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我ら言葉のほかに失うものなし
天木・筆坂熱血インターネット対談
2006/11/26(Sun)
防衛庁の省昇格のまやかし(天木)
天木直人
11月25日の各紙が防衛庁の省昇格関連法案が今国会で成立する見通しになったと一斉に報じている。最大野党の民主党が条件付で賛成に回ったためだ。今回にはじまったことではないが、民主党の安全保障政策に関する曖昧さこそ日本の政治を国民から遠ざけている最大の原因である。
今回の防衛庁関連法案の改正は、「防衛庁を防衛省に昇格させるかどうか」という表面的な問題ばかりが報じられてきた。そして多くの国民も「名前の変更ぐらい、いいではないか」という軽い気持ちでこの問題を眺めてきたに違いない。
ところが改正法案の本質はわが国の安全保障政策の根幹に関わる政策の変更にあるのだ。国民の気づかないところで又一つ重大な憲法9条違反が堂々と国会で行われるのである。国民は知っているのだろうか。こんどの改正では70本以上の防衛庁関連法案が提出されていることを。そしてその改正の真の目的は、名称問題に国民の関心を集中させるそのウラで、自衛隊の国際活動をいままでの付随的任務から本来任務に格上げし、自衛隊を米国の戦争に協力できる体制にさせることにあることを。完全な集団的自衛権の容認である。
安全保障問題は難しいもの、専門家に委ねるもの、という迷信がひろく行き渡っている。しかし新聞などで報じられる事実を少しでも知る努力をすれば、今の日本の安全保障政策がいかに馬鹿げているか、子供でもわかるほどだ。
その一例として今はやりの「ミサイル迎撃システムの緊急導入」という問題がある。迎撃は二段階からなっていて、敵のミサイルを発射直後に日本海に浮かんだイージス艦からまず迎撃する、そしてそれを打ち損ねた場合に本土着弾間際に本土に配備されたミサイルによって迎撃する、これである。前者をSM3,後者をパトリオットPAC3と呼ぶらしい。
ところがである。SM3が届くのはせいぜい300メートルくらいで北朝鮮が開発中のテポドン2は高度500メートルを飛ぶので届かない。本土に配備するPAC3に至っては、それを設置する場所は横田か厚木の基地しかありえないが、迎撃範囲は20−30キロ程度で東京都心や皇居はまったく守れないという。
そもそも飛んでくるミサイルを確実に打ち落とせなければ国防の意味は無いのにこれさえも出来ないと防衛庁長官は認めているのである。
素人でもわかる無用のミサイル迎撃システムに1兆円もの金をつぎ込み米国の軍事産業に献金する愚かさを、どうして国会で議論しないのか。マスコミは大きく報じないのか。
無力な護憲勢力よ。抽象的な平和論、護憲論を繰り返すだけでは駄目だ。負担増に苦しめられている庶民の素朴な感情に訴えろ。この政府のまやかしを「馬鹿の一つ覚え」のように繰り返せ。政治家や官僚の売国振りを訴えて庶民の心を揺さぶれ。庶民の怒りが燎原の火のごとくひろがれば、政治家、官僚はおろかその盟主である米国さえも消すことは出来ないのである。
http://www.tembosha.com/kd_diary/kd_diary.cgi?20061126
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