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福岡県西方沖地震
地震が少ないといわれる大都市・福岡を突然、大きな揺れが襲った。気象庁は「前例となる地震がない」とし、地震学者は「たまたま日曜日で被害が少なく済んだ」と指摘。「首都圏を含め、マグニチュード(M)7程度の地震はいつどこで起きてもおかしくない」と、あらためて地震国・日本に警鐘を鳴らした。 (社会部・宇佐見昭彦、科学部・永井理)
■小さいひずみ
気象庁によると、震源となった福岡県西方沖の玄界灘は「普段の地震活動が極めて低く、無感地震を含めて地震が非常に少ない」。地震のメカニズムは東西から圧縮する力が加わった横ずれ断層型で、余震は最大でM6程度、震度5弱−5強となる恐れもあるという。
衛星利用測位システム(GPS)による地殻変動観測に詳しい名古屋大学の鷺谷威助教授は「新潟県中越地震や阪神大震災の起きた新潟−神戸間は千年単位で地殻のひずみがたまる。九州北部はひずみが非常に小さく、たまるのに万年単位の時間がかかる」と地震の少ない理由を説明する。
過去に被害が出た地震では、一八九八年に同市付近の糸島半島でM6があり、百七年ぶりということになる。さらにさかのぼれば、一七〇〇年に玄界灘の壱岐付近でM7が起きているが、総じて大地震の記録は少ない地域だ。
■陸域で要注意
福岡周辺は活断層が少なく、福岡市内を北西−南東方向に通る警固(けご)断層や、同市の東の西山断層帯など、活動度の低い断層がいくつか知られている程度だ。
地震防災対策強化地域判定会の溝上恵会長(東大名誉教授)は「余震分布が北西−南東方向にあり、延長が福岡県の陸域に当たる」と、陸域での余震発生に注意を促す。
防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の岡田義光企画部長も「今回の地震は、警固断層の延長上で起きた可能性がある」と指摘。「同断層の北端は一部、海底に延びていることが、博多湾の音波調査で分かっている。延長上の地震なら、警固断層には、地震を起きやすくする方向の力が働くと考えられる」と話す。
海底探査は費用がかかることなどから、沿岸部の活断層は海に向かって続いているかどうか分かっていないものも多い。
■不十分な調査
政府の地震調査委員会によって三十年以内の地震発生確率が全国最高とされた神奈川県の神縄・国府津−松田断層帯も、海域に続いているかどうか不明のまま、陸上部分だけで評価されている。
専門家の間では「沿岸地域の調査はまだ不十分」という声が聞かれる。鷺谷助教授は「海域が活断層調査の次の目標になるのでは」と話す。
溝上会長は、地震の少ない福岡で大きな地震が起きたことについて「M6・9−7程度の地震は、首都直下でも日本のどこでも、いつ起きても不思議はないことの証し」と説明する。「ビルの窓ガラスが割れて落ちるなどしたが、日曜日だった偶然が幸いして、見かけの被害を小さくした。平日の昼間ならもっとひどい被害が出ていた」とみる。
日本列島に住んでいる限り、地震の恐怖から逃れるすべはない。防災対策の重要性を認識させることにもなった。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050321/mng_____kakushin000.shtml