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政治経済小説:村上龍「半島を出よ」を読む
上下900ページ、読むのに3日間。
何かを捨てなくては読めない。
小説は映画だった。イシハラ・グループ。
語り部は北朝鮮の革命軍である高麗遠征軍の将校たちであり、住民基本コードもない日本深部の
少年たちである。毒の虫たちを飼育しているシノハラ。
2005年4月からは何かがあると動物的に直感していた。
世界ではローマ法王が死去した。10億人のカトリック教徒。新たなる新法王。
日本では「グローバル資本社会主義共和国」として個人情報保護法が起動。
東アジアでは中国と韓国による「反日運動」。緊張が高まっている。
自分は村上龍「半島を出よ」の読書行為で4月を迎えたのだった。
戦争とは暴力による他者と他者の死闘であり交通でもある。
チョ・スリョンと細田佐起子。キム・ヒャンモクと世良木医師。
高麗遠征軍の駐留本部がある高層ホテルを倒し、占領革命軍を全滅させた行為において、
日本アンダーグランド少年はそれぞれ共有感覚をおのれに誕生させる。
近代がすでに日本で終焉した以後の戦争形態であるが
近代はいまなお、ポストモダンはハイパーモダンとして、近代的理念である
「グローバル資本社会主義共和国」に疾走しているのが日本である。
ここでは末端神経回路において個々が管理操作されていく社会である。
北朝鮮とはおそらく20世紀後半から21世紀にかけて革命戦争を継続してきた社会であろう。
近代が誕生させたのは「グローバル資本相場」と「社会主義社会」であろう。
「グローバル資本相場」も「社会主義社会」も革命である。
しかし労働者とは農民と同様に保守的であるがゆえに、革命に動員すべく「共産主義」が外部から注入されてきた。
高麗遠征軍は近代理念の代表選手であり、日本アンダーグランド少年たちは近代崩壊の代表選手である暗黒に生息していた。
ゆえに住民基本ネットワークには情報化されていなかった。
占領革命軍である高麗遠征軍の敗因は、近代軍であるがゆえに、福岡市行政ネットワークをあまりに
信頼してしまったことによる。リ・キヒは住民基本ネットが全ての情報だと錯覚してしまったのだ。
ツルツルピカピカの福岡都市の表層を支配すれば、12万の革命軍本隊を北朝鮮から、福岡港に迎え入れることが
できるとデスクワークしたのだが、そのデスクワークとは暗黒である日本深部を情報化できなかった。
ゆえに失敗したのだろう。
高麗遠征軍と福岡市行政機構は効率をめざす近代理念において通低していた。ゆえに福岡市住民基本ネットはすぐさま
高麗遠征軍の統治支配の回路へと転化された。住民基本ネットから悪徳資産家と判断された者はすぐさま逮捕され
財産は没収され、高麗遠征軍の維持資金へと転化される。
高麗遠征軍500名兵士の一日の食事代をいかに創造するのか? 兵士を飼育するにはエサ代がかかり、
エサを兵士に投与しなければ、集団軍規律が崩壊する。
戦争とは徹頭徹尾経済である。歴史をつくる人間はまず生存しなくて「ならない」。この「なくてはならない」こそ
近代理念であり近代経済でもある。古代から経済の基本は衣食住である。
おのれの軍隊の衣食住をどうするのか? この仕事こそキム・ヒャンモクの任務であった。
村上龍「半島を出よ」のプロローグは川崎北部にある巨大なホームレス・マーケットである。
ホームレスの死闘とはおのれのエサを発見できるかどうかにある生存闘争にある。
「エサ」こそ「21世紀グローバル資本社会主義」における経済指標。
村上龍「半島を出よ」は巨大な情報小説であり政治経済小説である理由の根幹は「エサ」である。
人間動物における生存が語り部たちによって情報化されデーターベースとなる情報の基地小説。
物語装置こそ「エサ」をめぐる生存の経済であり、人間をだますのが「政治」における動物的本能でもある。
「叛乱軍であって叛乱軍ではなく、叛乱軍ではないが叛乱軍でもある」
(増録生活人)
http://plaza.rakuten.co.jp/masiroku/
JMM [Japan Mail Media] 村上龍書き下ろし作品『半島を出よ』特別配信号
http://www.asyura2.com/0502/bd39/msg/254.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 3 月 21 日