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(回答先: 国力のない国の悲劇 (World Report) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 4 月 04 日 03:32:22)
トム・クランシーを凌駕する村上龍「半島を出よ」
村上龍「半島を出よ」上下を読む。5日間かかった。
さて、村上龍「半島を出よ」は村上春樹「アンダーグランド」とリンクしているのだが、
高麗遠征軍の語り部たちによって、自分は1989年以後の壮絶な東アジア経済を知覚した。
東欧社会主義体制とソ連邦はすでに崩壊し「グローバル資本相場」に飲み込まれている。
いまだ北朝鮮と中国は共産主義国家政党が統治している。
中国を支えたのは中華経済圏であり、北朝鮮を支えたのはコーリアン経済圏である。
東欧社会主義とソ連邦が崩壊したのはEUという「ヨーロッパ合衆国」幻想であった。
しかし1989年において「東アジア共同体」という幻想はなかった。
ご存知のように日本は在日米軍によって占領されているがゆえに、独自戦略を構築することはできない。
政治家も国家官僚も非国民であり売国奴である。
日本の上部構造はアメリカUSA本体を支えるために起動している。
日本国民の危機意識を解毒させるためにマスメディアはある。
リアリティを剥奪し、おもしろくおかしく希薄な空気を醸成させるために、マスメディアによって
「日本ドーム」は形成されている。
80年代以来、日本のマスメディアは「希薄な明るい笑い」で「日本ドーム」を醸成してきた。
リアリティを奪われた人間はおのれの動物的感覚を喪失してしまう。
村上龍「半島を出よ」を読みながら、自分が想起したのは
イングランドからスコットランドが独立する中世の戦争を描いたメル・ギブソン監督「ブレイドハート」だった。
1995年度アカデミー賞で5部門受賞した映画作品。徹底したリアリズム。
米国防総省による911陰謀に参画したネオコン小説家トム・クランシーの作品は英雄が登場する。
CIAのライアンが危機を救うという設定であり、やがてライアンは大統領へと上昇する。
トム・クランシーの想像力とはレーガン政権で力を得た共和党ネオコンと同時一体である。
そこには「対テロ戦争」における世界戦略におけるリアリティがある。
経済を無視する点においては、現ブッシュ・ネオコンと同期化している。
経済を破壊するための世界戦争はイルミナティと同期化している。それがトム・クランシーの英雄物語装置。
村上龍「半島を出よ」はトム・クランシーを凌駕する政治経済の想像力があると思った。
アンダーグランド少年たちと北朝鮮革命軍である高麗遠征軍との戦争。
2005年4月に他者が小説という媒体によって現出したのである。
それは日本アンダーグランド少年と北朝鮮革命軍という情報でもあった。
家族崩壊と日本社会の崩壊は表土流出としてある「土」の崩壊現象でもある。
その瓦解の地獄を歩いてきた少年それぞれたち。もはやアンダーグランドの動物感覚のみで生存してきた生態がある。
近代はすでに崩壊しており、少年たちはまるで占領軍であるイングランド軍にレジスタンス決起する
中世のスコットランド人でもあった。
皮肉にも高麗遠征軍はイングランド兵士でもあった。
高麗遠征軍の母国である金王朝は中世のイングランド王朝なのか?
日本アンダーグランド少年たちも高麗遠征軍兵士たちも、地獄の過程を通過し生存してきた点においては
通低している。
村上龍「半島を出よ」は東アジア小説として、韓国、台湾、中国の若い読者によって熱狂的に読まれるだろうと
確信が自分にはある。
近代以後ポストモダンの方向感覚を喪失し、人間からヒューマノイド(人間のようなモノ)へと変貌しつつある
現在進行形の日本社会その政治経済が現出しているからである。
今年2月8日から開始されたライブドアによるニッポン放送への買収、ホリエモン騒動一色こそ
日本マスメディアの基調色であった。センセーショナル報道とは何かを隠すためにある。
どうやら隠されたものは、日本の政治経済のリアリティである。
ホリエモン騒動は「自己完結における自己解釈」のなだれ現象において日本が変貌している事実を
限りなく隠蔽するのに都合がいいのであろう。
ホリエモン騒動報道合戦に中毒するより、村上龍「半島を出よ」の読む時間の方がおのれの生活世界においては
情報を取得できるだろう。おのれの頭脳展開能力が更新されるはずである。
(スパイダーマン・2)
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