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(回答先: イラン・イラク隠密同盟がシオンを撃ち破る [JoeVialls] 投稿者 ファントムランチ 日時 2004 年 8 月 27 日 22:31:37)
この論文らしきものの、事実誤認(見解の相違?)を2つばかり指摘しておこう。
その1)
湾岸戦争当時、フセイン大統領がイラン領内に戦闘機の一時退避を行ったことがあったのだが、その事実をとらえて以下に言う。
ーー<初めてイラン‐イラク同盟のまぎれもない戦略が広く国際社会の目に曝されたのは13年前のことだった。>
・・・<フセイン大統領が利用可能な戦闘機とエクゾセが装填された武装ヘリをすべてイランへ移動させた・・・>ーー
ふつうに考えれば窮余の一策として、中立姿勢のイランに戦力の一部を分散させ、
戦争終結とともに交換条件を呑んで返却を願い出る公算だったとしか思えない。
あたりまえのことだが、バース党内にもイランと交渉できるシーア派官僚は何人もいたはずだ。
しかし今回のイラク戦開始前においても、
該当戦闘機がイラクに返還されることはなかったのである。
つまり約束らしきもの?はとうに反故にされ、
イランは無償で最新鋭の戦闘機とその機密情報ともらっただけのことであり、
これはほとんどイラ・イラ戦争においてイラクの支払うべき、
戦後賠償費の一部ぐらいの意味しかないものであった。
筆者の言う、<イラン‐イラク同盟>など、
「イスラムの大儀が存在する以上何らかの協力関係はありうる」
という程度の憶測記事としか思えない。
一体どうしてこんなものが<イラン‐イラク同盟のまぎれもない戦略>事実を意味しているのか、正直理解不可能である。
その2)
サドル氏に関して、彼がまるでイランのシーア派に服属する人物であるかのように推定して以下に言う。
ーー<・・・シオニストの陰謀家らがムクタダ・アル・サドルをナジャフから「取り除く」ことを決定した瞬間に過去のものとなった。>
・・・<実際ムクタダ・アル・サドルは、イラク北部のスンニ派共和国防衛隊とイランのシーア派聖職者たちによって選定された、
イラク南部における中心的人物であるのだから。>ーー
イラク人はアラブ人だが、イラン人はペルシャ人だ。
同じシーア派だと軽々しく考えがちだが、言葉も違えば、背負う歴史と文化が違う。
民族が違うからこそ、かってのイラ・イラ戦争でもイラクシーア派は「同胞であるイラク・スンニ派」とともに、
イラン・シーア派に対して銃口を交えたのである。
つまり国内的には敵対する関係にあるスンニ派と、
当たり前のように民族的共同体を意識して外国勢力(イラン・シーア派)と戦ったのだ。
現在の対米戦線で同じ事(シーア派・スンニ派共闘)がおきても何ら不思議ではない。
ただ問題は、米軍を追い出してからは下克上よろしく、泥沼の粛正劇がはじまるというだけのこと。
イラク・シーア派がイラン政府と結託しているなどというのは、
韓国人と日本人が儒教や仏教を信じているので、同じ同盟関係にある連立国家だとデマをつくようなものである。
民族的な違いが、宗教以前に国家を裏切ることを抑制しているのである。
サドル氏の主張は「イラク・ナショナリズム」が基本であり、
イランのシーア派に服属しない独自路線の模索であるように思われる。
サドル氏の場合反米だけが強調されているが、
国内的には旧フセイン体制時代の協力者(シーア派抑圧者)をリンチ・処刑する蛮行を繰り広げているのじゃないだろうか。
マスコミはサドル氏をレジスタンのように伝えているが、
基本的には全敵対勢力の暴力的根絶が目的なのであって、イラク民衆を独裁的に支配する目論見しか読みとれない。
これはブッシュ政権とつるんだ、「第二のフセイン登場」のための作戦計画じゃないのか、とも思える。(笑)
事実、穏健派指導者は何者かにより次々と殺害され、どういう訳か、
牙をむいて襲いかかる獣(ブッシュ・コピー)だけが生き残っていくようなのだ。
こうした<イラク・シーア派=イラン政府>同盟論は、ブッシュ政権の流す、対イラン包囲網の一貫であると思うな。
つまりイラク問題に手を出せば火傷することになるぞ、という威嚇である。