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(回答先: シミュレーションモデルの情報不足 投稿者 パーマン21号 日時 2004 年 8 月 29 日 15:07:48)
パーマン21号さん、どうも。
>問題は、隠密同盟を可能ならしめる組織と思想の既定です。
>イラクはともかくとして、フセイン失脚で、その隠密同盟の契約当体も消滅しています。
>仮にバース党官僚組織がイラク側の契約主体であったとしても、
>権威ある指導者をなくし、追放処分を受けた失業状態のバース党職員に同盟関係を履行する能力も、
>何らかの密約をイランに要求する地位・権益さえ最早持ち合わせてはいないでしょう。
>イラク経済封鎖の期間、隠密同盟を伺わせる何らかのイランの動きがあったかどうか。
>イラク開戦時に、隠密同盟を伺わせるイラン軍部の動きがあったかどうか。
>せめてその程度の指摘は必要であり、ないなら無いで、その思想的理由を示さないと説得力に欠けると思います。
この記事の仮定の根拠が弱い部分はひとつ前のレスで私も指摘しました。
その内容はここでパーマン21号さんが書かれたこととほとんど同じです。
ただこの記事は何かの事実を証明しようとするものではありません。
想定し得る範囲を広くして将来のリスクを予測しようという記事です。
戦争のシミュレーションにおいて最も必要な情報は各勢力の戦力の量・質と配置です。
各勢力の頭脳が何を考えているか、どこと密約を結んでいるのかを示す情報は、
参考にはなりますが絶対的に必要というわけでもなく、信頼もおけまません。
各勢力は気まぐれで、極力情報を隠し、ときには偽情報を流すこともあります。
けっきょく判断の段階では、各勢力の立場と利害を考慮し、想像力を働かせて、
複数のシナリオを想定し、どう転んでも最悪の事態は避けられるよう手を打つしかない。
実際シミュレーションは仮定からスタートするもので、その仮定に根拠は不要です。
例えば「朝鮮半島有事」をシミュレートする際に、それが起こる根拠が問題でしょうか?
もし仮に起こった場合、各勢力の戦力がこうだから、こうなる可能性がある。
幾つものシナリオとさらに分岐の展開をも想定してゆくのがシミュレーションです。
起こる可能性が少ないからといってシミュレートする意味が無いわけではありません。
敵は裏をかくために敢えて可能性が少ないところを攻めてくることもあるのです。
たとえイランとイラクの隠密同盟があるという証拠となる情報が希薄だからといって、
もし、ゆるやかで実体が捉えにくい、流動的な何らかの形の同盟関係が存在した場合、
米国にとってリスクがどれくらい大きいのかというシミュレーションはどうしても必要です。
これはイラク情勢の鍵をにぎる問題であり、見誤ると悲惨な事態になりかねないからです。
パーマン21号さんの言われる情報不足とは仮定の前の情報であり、
シミュレーションモデルの情報不足というには当たらないと考えます。
この記事の主眼は仮定後のシミュレーションと兵器の分析に置かれており、
仮定の根拠に関しては導入部の数段落で扱っている過ぎず、
もともとそこに焦点を合わせて書かれた記事ではいないのです。
>次にアメリカは何らイラク占領政策に失敗してはいません。
>米軍は当初予想された核攻撃もなく、細菌兵器の被害も受けず、
>グリンカード欲しさに入隊してきた、
>練度の低い兵士を弾よけにして、育てるのに時間のかかる精鋭部隊を温存し続けており、
>それどころか、軍隊に必要不可欠な実地訓練によって
>ますます殺人機械としての能力向上に成功しているとしか思えません。
精鋭部隊を温存し続けているとは私には思えません。むしろ主力部隊が
侵攻の後もそのまま駐留させられ、ファルージャやキルクークなどに走り回り、
その後も大規模な武装抵抗があるたびに東奔西走されられていると思います。
経験の少ない予備役兵や州兵は、治安維持ぐらいしか役に立たず、
何らかの作戦を行なうには、正規軍が中心になってやらないと被害は倍増します。
ラムズフェルト長官の軍改革により、非正規軍に依存を強める中、
アフガニスタンでもあまり伝えられなくなりましたが、犠牲が増え続けています。
それでもどこかに虎の子の精鋭部隊を温存しているという情報があるのでしょうか?
仮にそれがあったとしても少数の精鋭部隊があるだけでは、
せいぜい「大規模テロ」を起こすくらいが精一杯でしょう。
>無法な侵略軍・米軍は「分断統治の原則」を踏み、
>クルド人はイスラエル軍、
>スンニ派はイスラム法学者協会傘下の武装集団、
>シーア派はサドル師マフディ軍(シスタニ師追い落としまで後一歩)、
>を各派閥の代理人に指定して、
>三つ巴の利害関係の下、自在にあやつる魂胆でいるのです。
これは面白い分析です。サドルはイランではなくアメリカと繋がっているというわけですね。
そうした事実を暗示する記事や証言にもとづく根拠にやはり欠けますが、
そう仮定してその先を考えることで見えてくるものがあるでしょう。
イスラエルには20年以上前からイラクを崩壊させ分割統治する案があったようですし、
イラクのシーア派の中心にはシスタニよりサドルのほうが考えようによっては扱い易い。
シスタニは民主化により、選挙を通じて多数派であるシーア派政権を
確立しようとしていますから、これは米国にとっては都合が悪いですからね。
イラク情勢ひとつとっても、いろんな想定が可能ですから、
相反するいくつもの仮説を立て、その先をシミュレートしてみればいいと思います。
それとは別に仮定の裏付けをとる作業を行なえばよいわけでしょう。
それは分野で言うと軍事分析と政治分析に別れるといえるかもしれません。
>表(暫定政府)も裏(軍事三局)もアメリカの肝いりで成立しています。
>マスコミの流す戦況報告など、大半はブッシュの検閲済みと考えるべきです。
>中東大戦を目指す現政権にとって、イラク戦争など遊びにもならないでしょう。
中東大戦などということばを使うパーマン21号さんが、
イラン・イラク隠密同盟ということばをなぜそれほど厳密に捉えるのか解りかねます。
表現ですから。ことばの表現の幅を広く考え、やや大袈裟な部分は察してくれないと(笑)
まあ記事の仮説の根拠とネーミングとのギャップに疑問を感じられたのでしょうが、
それについて語ると長文にならざるを得ません。だから前の私のレスが長文になったのです。
私は大中東構想などただの欲望に過ぎず、すでに頓挫いていると考えています。
米国やイスラエルは中東大戦を目指ことは当面できないでしょう。
逃げたくても逃げられないで巻き込まれてゆくという中東大戦なら分かる気がします。
米国やイスラエルは中東大戦を起こすには、敵となりうる国々が現在保有する兵器の、
一世代先の性能をもった未来兵器の開発を待たなくてはならず、
それらは急ピッチで開発中ですが、知られている範囲ではまだ実用化できていません。
攻撃用兵器、占領統治向け兵器、攻撃用ミサイル、敵からの戦略ミサイル防衛など。
こうした兵器が実用化される前に、シオニストの敵となる惧れのある諸国は、
それに対抗できる兵器を開発・グレードアップさせるために必死ですが、
もしそれが追いつかないと分かれば、米軍が疲弊している今のうちに、
第5次中東戦争くらいのものは起こすかも知れないと思います。
たとえばイスラエルがイランの原子炉を攻撃するなどの、キッカケがあれば。
始まってしまえばエジプトやシリアなどがどう動くか分かりません。
彼らが事前に裏で中東有事の場合の連携について話し合っていたとしても、
そういった隠れた動きが世間にもれることはまず無いでしょう。