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http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20041126ddm010100163000c.html
高齢社会の今、肉や脂肪を控える「粗食」のすすめが広がっている。この風潮に浜松医科大名誉教授(生理学)の高田明和さん(68)は「粗食で長生きは迷信。長生きの秘けつは肉食にあり、脳と心の健康を保つ上でも重要」と力説する。高田名誉教授に、最近の研究で明らかになった「心を元気にする」食肉の働きなどを聞いた。
◇脳の健康維持に必要−−セロトニンが精神の安定保つ
−−食物の役割で大切なものは、第一に栄養、第二がおいしさ、満足感など、し好に訴えるものだそうですが、食肉が持つ第三の働きとはどんなものなんでしょうか?
生理機能を調節する働きで、生理活性物質と言われるものです。その一つがセロトニン。これは必須アミノ酸であるトリプトファンが脳内に入り、代謝されて作られる神経伝達物質です。私たちはストレスを受けると、トリプトファンを大量に取り込むことによってセロトニンを増やし、精神的な安定を保っているのです。トリプトファンを多く含む肉類の摂取は、脳の健康のためにも欠かせないのです。
−−とするとセロトニンが不足すると「うつ」になりやすい?
そうです。うつ病患者では脳内のセロトニンが不足していることが明らかになっています。しかもセロトニンが少ないと、いくら食べても空腹感が解消されず、肥満にもつながります。脳の健康には脂肪も不可欠で、コレステロール値が低いとうつ状態になる率が高く、高齢者では特にその傾向が強まるようです=図<左><上>参照。
◇免疫力を高める−−タンパク質を効率的に吸収
−−牛肉、豚肉などの良質なタンパク質、脂質はストレスに対抗するために重要なもの?
それだけではありません。免疫機能にもかかわってきます。肉を食べない高齢者の場合、インフルエンザにかかりやすく、肺炎になりやすい。動物性タンパク質の摂取を増やすと、B型肝炎ウイルスの排除など、免疫力を高めることが確認されています。沖縄の人たちが長寿なのも、トリプトファンの豊富な豚肉と、野菜のゴーヤに代表される食事のたまものです。
−−成人が必要とする1日のタンパク質はどのくらい?
男性で70グラム、女性で60グラムです。これを1種類の食品で補うとすれば、牛乳で3リットル、卵で10個、米だと1升もの量が必要ですが、肉ならステーキ2枚(約510グラム)ですみます。大豆などの植物性食品と比べ、食肉はとても効率的なタンパク源なんです。
◇カルニチン、体脂肪燃焼に不可欠/アナンダマイド、至福感もたらす
−−最近の研究で、食肉には「至福感」をもたらす物質がある、ということですが。
アナンダマイドという物質です。動物の細胞膜に含まれるアラキドン酸(不飽和脂肪酸)から作られるもので、脳に作用して幸福感や楽しい気分をもたらし痛みを和らげる働きが分かっています。動物実験でも(1)不安をなくす(2)恐怖心を軽減する(3)ストレスへの抵抗力を増す−−効果が確かめられています。「アナンダ」とはサンスクリット語で「至福」という意味です。
−−他に、どんな活性物質があるのですか?
脂肪の燃焼に不可欠なカルニチンという物質が見つかっています。牛肉に特に多く、豚肉の2倍、鶏肉の6倍も含まれ、植物にはほとんど含まれていません=図<上>参照。伊藤ハムの研究では、カルニチンの摂取から8週間後に体重が1・5キロ減ったのに対し、体脂肪は2キロ減少。0・5キロ分の筋肉が増えたことを示す結果が出ています=図<右>参照。エネルギーのもとである脂肪酸を運ぶ役のカルニチンには体脂肪を減らす働きがあるんです。
◇「高齢者は淡泊」誤解−−食生活、油脂を取って元気に
−−一般的には年を取るほど淡泊なものを好み、その方が健康にもよい、と思われていますが。
それは根拠のない思い込みです。東京都老人総合研究所が東京都小金井市の70歳の男女422人を対象に、76年から15年間追跡調査したところ、元気で長生きしている高齢者ほど肉や牛乳を取り、油脂を使った料理をよく食べていることが分かりました。しかもコレステロール値がやや高めの群が生存率も高いという結果が出ているのです=図<上>参照。長寿のカギをにぎるのは食肉などのタンパク質なんです。肉や脂肪を控えすぎるのは脳の健康のためにもなりません。現代のようにストレスの多い時代に必要な栄養は、心を健全に保つものでなければ−−と。そうは思いませんか。
毎日新聞 2004年11月26日 東京朝刊