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「減産」(供給量を減らす)よりも「供給額」(勤労者の可処分所得)を増やすほうが合理的だと思います。
http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/730.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 12 月 04 日 01:46:46:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: あっしらさん、「円高」・「デフレ」対策として、「自主的減産」政策は有効でしょうか? 投稿者 最大多数の最大幸福 日時 2004 年 12 月 03 日 17:37:27)


最大多数の最大幸福さん、どうもです。


■ 「減産」政策について

提示された財の物理的供給量が減少する「減産」政策は、供給に投入される通貨量(流動資本)の減少を伴わなければデフレを緩和ないし解消する効果があります。

端的には、「減産」が実施されても失業者は増加せず給与も減少しない条件なら、デフレ解消に効果があります。
勤労者の可処分所得総額を減少させないで供給(生産・販売)量のみを減少させるということは、供給量が減少する一方で需要額は増加するという経済状況ですから、財の平均価格は上昇することになります。

しかし、「減産」政策が、“常識”として考えられるように、失業者の増加や可処分所得の減少につながるのなら、供給量と需要額のバランスは同じでただ規模が縮小するだけなので無効です。


(この間の日本経済は、最終消費財の供給量は減少しないで、給与切り下げや公的資本形成の縮小を通じて需要額が減少するという流れのなかでデフレ・スパイラルに陥っています。そして、輸出や固定資本形成(設備投資や建設)の変動で景気サイクルが規定される状況が続いています)


■ 「減産」政策の問題点

「減産」政策が“理想”的に実施されたとしても、「減産」政策でデフレを解消させようとすることにはいくつかの問題があります。

● 名目GDPは変わらない政策ですから、インフレになった分、実質GDPはマイナス成長になります。(“理想”的な「減産」は生産性の低下を意味するので、そうなって当然です)

● 持続性の観点で考えると、緩やかなインフレを続けるためには「減産」も継続しなければならず、「減産」スパイラルに陥りかねません。(インフレやデフレという概念は絶対値ではなく変化率ですから、ある傾向を持続させるためには同じ施策を続ける必要があります)

● 「減産」は生産設備の稼動率を低下させるので、固定資本形成産業(機械・電気関連)の供給活動力を低下させ(破綻する企業も出る)、「減産」効果を帳消しデフレ脱却を不発にしてしまう恐れもあります。また、設備の更新(技術革新)を遅らせ産業基盤を脆弱化する可能性もあります。(「減産」政策は、この問題がいちばんのネックです)


● 名目GDPが拡大しないので、財政問題(公的負担)の緩和にほとんど貢献しないことも問題です。

※ 輸出に関しては、短期的には円ベースで同じ利益を得るためには輸出単価を引き上げる必要がありますが(国際競争力の低下)、長期的には円ドルレートの変動(円安になる)で相殺されます。


インフレになったのならベースアップもあるはずだという考えに立てば、名目GDPも徐々に拡大していくという見通しもできます。
この場合は、2番目の継続的な「減産」も回避できます。


■ 「減産」政策よりは供給額増加政策のほうが合理的

勤労者の数も給与も減らさず「減産」ができるのなら、ただ給与を引き上げる供給額増加政策も採用できるはずですから、そちらのほうが合理的でスムーズに目的が達成できると考えています。

供給量を増やさないで供給額(究極的には給与)を増やす政策でデフレを解消していくほうが名目GDPも拡大することになるので、企業のバランスシートもよくなり、税収の増加と債務の負担減少で政府部門の財政問題も緩和されることになります。
さらには、生産性の上昇を阻害することもないので、産業基盤の持続的強化や人的活動力の再配置などもスムーズに行われます。

(輸出競争力の劣化は、「減産」政策と同じように長期的には為替レートの調整で回避できます)

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