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様々な奇態を演じている日本政府
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投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 23 日 03:08:18:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: ペーパーマネーの実感 投稿者 baka 日時 2004 年 3 月 21 日 20:07:56)


bakaさん、こんばんわ。


Q1.これは、ドル買い介入に使われている円が、ペーパーマネーであるということを仰っているのでしょうか?
 bakaは、今一つ、庶民が保有する貨幣の価値について理解できていません。


A1:「外為特別会計での制限は、政府が保有する(外為特別会計にある)米国債を日銀に売却すればクリアできることですから障壁にはなりません」に関わる疑問ですが、紙幣発行額に物理的制約がある金本位制ではそれができず、ペーパーマネーだからこそできるということになります。
(政府が日銀からお金を借り入れ、そのお金でドル=米国債を買い、買った米国債を日銀に売却して借りたお金を返すという流れ全体を同時的に行えば、政府に為替差益がでることのほうが多いくらいで、損失も生じないで済みます)

日本円に限らずドルを含めてどの通貨もぺーパーマネーであるからできることですが、日本円がハードカレンシーであること、日本経済がデフレ状況にあることもそれを可能にする条件です。

例えば韓国ウォンや中国人民元でドルを大量に買おうとしてもウォンや人民元を手に入れても使い道が限られているのでドルを売ってくれる人は限定されるが、ハードカレンシーである日本円はそのような制約がないので円売り・ドル買いがスムーズにできます。

日本経済がデフレ状況にあることで、政府・日銀が日本円を大量に市中に出しても、インフレを引き起こす心配をしなくて済みます。インフレ傾向のときに年間20兆円を超える円売り介入をすれば、ベースマネーの増加ですから、大きなインフレ昂進要因になります。そのために、銀行が保有する日本円を吸い上げるために日銀が“売りオペ”を必死に行うハメになったはずです。
今の日本経済では、日本国債のスムーズな消化に貢献したり、大量のドル売りが株価上昇をもたらしたり、それらを通じて少しはデフレを緩和するだけなので問題になりません。


「庶民が保有する貨幣の価値」は、自分の活動力に対する評価結果であり、自分の活動力で何(他の人たちの活動成果)を買えるかということに帰着します。
「庶民が保有する貨幣の価値」は、活動力の交換価値だと言えます。


Q2.米国連邦政府が対外債務をデフォルト宣言するまで、米国の双子の赤字は増えつづける、ということでしょうか?

A2:財政赤字と経常収支赤字は、デフォルト宣言に至るまで増加し続けると考えています。
71年以降、米国の産業基盤はドル安傾向が続いていますが回復せず、貿易収支の赤字は拡大し続けています。

米国経済は、外国からファイナンスを受けそのお金で外国からものを輸入して消費を継続する構造になりきっています。
一般国民はそうではありませんが、支配層にとっては、負担もせず楽して金儲けができる構造ですから、それを改める気もありません。(最後はデフォルトでちゃらにすると既に考えています)

GDPを縮小することなく財政赤字を縮小するとしたら、富裕層への課税を強化しなければなりませんが、そうしなくても日本政府などがファイナンスしてくれるのなら、わざわざ自分たちが苦しむ政策をとる“バカな富裕層”はいません。
(GDPを縮小するかたちの財政赤字縮小政策は、一般国民の日常生活を直撃するので、戦争遂行が可能な政治状況を維持しなければならない米国ではとり得ないものです)

貿易収支の赤字そのものは、どういう性質のものであれ輸入できるお金があるからそうなるという結果論的なものですから、産業基盤が脆弱な条件で、借金であってもお金があるという状況が続けば減ることはありません。
貿易収支赤字は、米国内で苦労して産業を復興するよりも中国などから安いものを買ったほうが得だという意識がある限り減りません。
そして、それを可能にするためには外国からファイナンスも辞さないという政策を続けてきたのが、膨大な双子の赤字の実相です。

米国は、支配層が楽して金儲けや統治ができるために、政府が借金を膨大に積み上げてでも輸入に依存するという“ヤクザな国家”に成り下がっています。

“ヤクザな国家”になれる主要因は、自国の通貨ドルが国際基軸通貨であることです。
それに付け加えるのならば、日本や中国などが最たるものですがなんとか輸出で稼ぎたいという国家が数多くあることであり、世界最強の軍事力と政治力を誇る米国の通貨(債務)が胡散霧消することはないという思い込みが“ヤクザな米国”を支えていると思っています。


日本のドル買い介入の動きをみていると、年間50兆円だろうが米国が必要とするだけのファイナンスをする覚悟を持っているようです。


Q3.「奇態を演じる辛さ」とは、某かのデメリットを抱えているということでしょうか? それとも、奇態に見えるだけで、何のデメリットもないということでしょうか?

“見えやすい奇態”と“見えにくい奇態”があります。

“見えやすい奇態”は、円高を抑制するために経常収支の黒字を大きく上回る年間21兆円ものドル買い介入をしていることです。貿易で稼いでいるドルよりも為替介入で買っているドルのほうが大きく、米国の経常収支赤字の2/5を日本が面倒を見ているというのは異常というしかありません。
日本政府のドル買い介入は、米国の対日貿易収支赤字+対日利払いを超えて、中国など他の国に対する貿易収支赤字の補填まで行っているのです。

(財務省がよく言う「円安誘導が目的ではなく急激な為替変動を抑制する」が為替介入の目的であれば、105円から112円に急激に円安に振れたときは“ドル売り介入”で調整しなければならないことになります。財務省の言い訳も奇態ですね)

これが“見えやすい奇態”なのか“見えにくい奇態”なのかは微妙ですが、製品輸入比率が60%を超え、原材料を輸入して製品を輸出する構造よりさらに円安メリットがなくなっているのに、円安誘導を金科玉条のごとく掲げてドル買い介入をしているのも奇態です。
製品輸入比率の増加に加え、最近のように主要一次産品のドル建て価格が上昇していることを考えれば、円安は、輸出企業の利益にはある程度貢献するとしても、国民経済総体の交易条件を良くするとは言えません。


これも“見えやすい奇態”なのか“見えにくい奇態”なのかは微妙ですが、円安で輸出企業は確かに輸出した財の円建てでの手取りを増加させますが、それ以上の金額を政府が債務として積み上げていることです。
デフォルトまでは為替差損分だけが純債務ですが、為替差損個別民間企業の“財布”を豊かにするために、国民(国家)の借金を積み上げているのです。
それでも、かつてのように、輸出企業が豊かになった“財布”を使って設備投資に励むというサイクルであればそれなりの意味もありますが、しまいこんでしまったり、中国や北米そして欧州などへの投資に使われるだけであれば、国民(国家)が積み上げている借金はなん(誰)のためのものかということになります。
(このようにして輸出で潤っている企業が、国内販売分の消費税も払わず、逆に膨大な消費税還付金を受け取っているのですから、奇態も極まれりです)

“見えにくい奇態”は、米国連邦債務が完済できないことや輸出で稼いだ利益が国民の生活向上に使われていないことを考えると、日本国民は、汗水たらして働いた成果をタダで米国に渡しているようなものであることです。
ドルの暴落が起きたり米国のデフォルトが現実化したときに、為替差損=外国為替特別会計の借金が国鉄のように国民負担で返済されることになれば、この“見えにくい奇態”が一気に“見える奇態”になります。


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