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(回答先: 司馬遼太郎史観ははたして正しいのか、--- 『坂の上の雲』の歴史観に問題はないか(『株式日記と経済展望』より) 投稿者 まさちゃん 日時 2004 年 1 月 19 日 14:41:36)
まったくお話しにならないといっていい。このような思考をする人物には、到底一国の指導者や軍の最高級幹部は務まらないだろう。いや、このような短絡的思考をする人物がそうした地位についた時点で、その国は終わるだろう。なぜなら「戦略的思考」というものが決定的に欠如しているからだ。
双方の絶対的損害がどうあれ、厳然たる歴史的事実として日本軍はノモンハン以降、一度でも当時のソ連やモンゴルに対して「北進」を行ったか?むしろ正反対に、北進を阻止されて、「南進論」へ転ぜざるを得なかったのではないか?
ソ連・モンゴル側は、国境線を守り抜き、日本軍側は逆にその支配地域を北へ押し上げることが出来なかったという事実を前にしては、日本軍側の「大勝利」などという台詞が出てくること発想自体が理解できない。このような思考では、国境を抜けなかった日本軍と同様の過ちをこの人は何度でも繰り返すだろう(その最大のものは、過去から教訓を学ばない、という過ちであることは言を待たない)。
この論法ならば、第一次大戦における最大級の海戦と名高いあのユトランド海戦も、英国海軍の方が損害が大きかったからドイツ側の勝ちと評価するようなものだ。
両国の被害は以下のとおり。
英国の損害:巡洋戦艦3隻、補助艦艇11隻、戦死者は6096人
ドイツの損害;旧式戦艦1隻、巡洋戦艦1隻、補助艦艇9隻、戦死者2551人
なお、双方の詳しい参加艦艇や被害状況は下記ページに。
http://www007.upp.so-net.ne.jp/togo/dic/data/jutland.html
確かに数値だけ見れば、この海戦ではドイツの方が損害の絶対数量は軽微だったが、この海戦以降、ドイツの水上艦隊は再び外洋へ出ることが出来ず、潜水艦(Uボート)による通商破壊作戦に特化せざるをえない状況に追い込まれた。そして何より、この海戦での当初の目的(英国艦隊の主力を破り、北海における制海権の確保)を果たすことが出来なかった。
あの日本海海戦での丁字戦法を考案したとされる秋山真之も、その際の連合艦隊司令長官東郷平八郎も、その「戦略的目標を達成できなかった」ことをもって、この海戦をドイツ側の敗北(英国側勝利)と評価している(東郷に至っては、どちらが被害が多いかなどは勝敗となんの関係もない、とまで言ったとされる)。
http://ww1.m78.com/honbun/jutland.html
http://ww1.m78.com/topix-2/akiyama%20saneyuki.html
損害の絶対数が多かろうと、「敵の目標達成を阻む」逆に言えば「当方の目標を達成する」ことが出来れば、戦略的には勝ちなのである。そのことも理解できずに現場での損害数だけにこだわって、「木を見て森を見ない」人間に、大所高所から決定しなければならない国家的軍事戦略あるいは外交戦略を理解できるとは思えない。無論、そのような人物にそれら戦略の決定に関与してもらいたくないというのが個人的感想だ。
「株式日記と経済展望」などと大層なものを書いている人ににあわない器の小ささと言わざるを得ない(到底「相」や「将」の器ではない)。この人の株式や経済への洞察にも、重大な疑念を抱く(大所高所に立った戦略的な見方ができていないのではないか?)。