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「開戦の詔書」には「東亜戦争の目的がアジアの欧米殖民地からの解放」などという字句はない!【後付の牽強付会は無意味】
http://www.asyura2.com/0401/dispute16/msg/379.html
投稿者 傍観者A 日時 2004 年 1 月 21 日 19:16:41:9eOOEDmWHxEqI
 

(回答先: Re: はぁ?ノモンハンが日本軍の大勝利?この人、「戦略的思考」があるの?【ウソを繰り返せばだませると思ってる典型>株式日記と経済展望】 投稿者 サスケ 日時 2004 年 1 月 21 日 18:04:35)

当時の「大日本帝国」の最終的戦略目標が「アジアの解放」にあったのならその論は成り立つ。

1.しかしあなたにとっては残念ながら、いわゆる「大東亜戦争」(私からすれば、これは「第二次世界大戦」のアジア太平洋戦線に過ぎないと見るのが正しいという見解だ>他は欧州戦線・アフリカ戦線他)の日本側からの開戦理由を述べた、いわゆる「開戦の詔書」には、東亜の「安定」や「平和」という字句はあっても、「解放」の字句はどこにもない。

単なる「安定」や「平和」なら、植民地体制化でもありうる。現にこの詔書は中華民国の重慶政府を非難する箇所があるが、この部分は同政府との戦闘状態が継続していることを論じている。これ即ち、日本が中国大陸に武力攻撃を仕掛けていることを前提にしなければ説明がつかない。
本当に「アジア解放」を目的としていたのなら、当然のこととして、同じアジアにある主権国家としての中華民国の尊重と、他の植民地地域の解放も盛り込んでいなければならないはずである。

即ち、開戦当初の戦略的目標として「アジア解放」が天皇を含め日本の政府・軍首脳部になかったことはこの詔書でも明らかである(私見を言えば、アジア全体からの支持を得、欧米列強と植民地との間に楔を打ち込み、切り崩しを図る意味でも、たとえ詭弁だとしても詔書に「アジアの欧米による植民地支配からの解放」の字句を明確に挿入すべきであったと思う>それができなかったあたりに、天皇裕仁・東条英機を含む当時の日本指導者層の思慮の浅薄さと無計画振りを感じる)。
【参照】開戦の詔書
http://homepage1.nifty.com/sira/war/


2.仮に戦争の途中から目標が「アジア解放」に変わった、と強弁したとしても、すぐその場で矛盾が生じる。すなわち、日本からの独立運動が曲がりなりにも続いていた朝鮮やいわゆる満州(いずれの地域でも広範な抗日ゲリラ勢力の存在が確認されている>だから日本はそれらの地域に「朝鮮軍」や「関東軍」といった強力な駐留軍を置いて支配しなければならなかった)をなぜ独立させないのか、という矛盾である。

これに対する批判に、「住民の理解が得られている」あるいは「日本は現地住民のために善政を強いている」などという理由を持ってくれば、逆に米英仏蘭といった欧米列強も「住民の理解」の上で「善政」を敷いていると反論された場合、再反論が困難になる(現にインド・パキスタンに現在ある鉄道網・港湾施設・大学の大部分は、英国植民地時代に整備されたものである>当時整備されたインフラの恩恵を独立後も住民は享受できた、ともいえる)。
朝鮮や満州の占領を正当化しようとすればするほど、逆に欧米の植民地支配を非難できなくなるという深刻なジレンマに陥る。

現に、日本陸軍参謀本部の支援で軍事教練を受け、日本軍が組織した「ビルマ独立義勇軍」の幹部として最初は日本に協力的だったビルマのアウンサン(ちなみにアウンサンは第二次大戦後に英国からの本格的な独立を達成させた最大の功労者とされ、今もビルマの建国の父とさる>その娘がビルマ民主化運動の象徴アウンサン・スーチーであるのは周知のとおり)も、日本軍が形式的な独立しか与えず、むしろ食料の徴発その他強圧的な支配を行うようになると、今度は旧支配者だった英国側に味方し、日本軍と戦っている。当時の日本が約束した「解放」などというのは、旧植民地支配者たちに簡単に切り崩される程度のものに過ぎなかった。


3.こうした事実にかんがみれば、いわゆる「大東亜戦争」の開戦時あるいは期間中の戦略的目標が「アジアの解放」にあったなどという論は、牽強付会に過ぎず、論証に耐えない詭弁と判断せざるを得ない。

サスケ氏のご質問は、残念ながらその前提自体が誤りだとご返答するしかない。

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