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2機の情報収集衛星を載せた国産ロケット「H2A」6号機は、29日午後1時33分、鹿児島県・種子島の宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターから打ち上げられた。しかし、2段エンジン点火後、何らかのトラブルが起き、打ち上げ約10分後、機体を爆破する指令が出された。打ち上げは失敗した。宇宙開発事業団などの統合で10月に発足したばかりの同機構は、滑り出しから大きくつまずくことになった。H2Aの信頼性は低下し、国際的な衛星ビジネスへの参入も大きく遠のいた。
衛星の製造費は公表されていないが、少なくとも、ロケットの打ち上げ費用約100億円の損失となる。
事実上の偵察衛星となる情報収集衛星の打ち上げは3月に続いて2度目。当初は9月10日に予定されていたが、エンジントラブルなどで3度延期されていた。
順調なら、発射後30分以内に切り離され、北極付近と南極付近を結ぶ高度約500キロの周回軌道に入る計画だった。前回の2機と計4機態勢が整うと、地球上のあらゆる地点を1日1回は撮影可能で、朝鮮半島の核施設など安全保障にかかわる情報収集のほか、大規模災害時の被害把握にも役立てるはずだった。
同機構は10月、宇宙開発事業団、文部科学省宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の3機関が統合して発足。コストを削減し、衛星市場で欧米や中国のロケットに対抗するための再編の一環だった。H2Aは01年の1号機から今春の5号機まで連続して打ち上げに成功していたが、今回の失敗で日本の宇宙開発計画は根本から見直しを迫られる可能性がある。
原因究明が長引けば、04年の早い時期に予定されているH2Aによる気象衛星「ひまわり」後継機打ち上げスケジュールの遅れは避けられない。
日本の宇宙開発は、昨年に軌道投入された環境観測技術衛星「みどり2号」が電気系のトラブルで今年10月に通信途絶した。中国が同月、長征ロケットで打ち上げた宇宙船「神舟5号」で有人宇宙飛行を成功させ、宇宙技術の高い信頼性を世界に印象づけたのとは対照的だ。
政府も情報収集衛星の運用計画の見直しを迫られることになる。衛星は燃料の制約などから寿命5年とされるが、交代機の打ち上げは数年先とされ、当面、2機での運用が続くとみられる。
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<H2Aロケット> 国産主力ロケットの前身「H2」が98、99年に連続失敗した教訓を生かしてエンジンなどを改良し、01年8月に初打ち上げ。コスト削減にも努め、打ち上げ費用は国際水準に近い94億〜106億円に。直径4メートルの2段式で液体燃料を使う。
積む衛星の重さなどにより、固体補助ロケットの組み合わせを変える。今回は、3月の情報収集衛星打ち上げの時と同様、補助ロケットを大型2本、小型4本使い、現段階での最大打ち上げ能力(静止衛星なら当初軌道に5トン級を打ち上げ可能)。重さは衛星を積まない状態で約350トン。全体の高さは57メートル。
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<的川泰宣・宇宙航空研究開発機構執行役(軌道工学)の話> 参った。米国のアトラスや欧州のアリアンなどのロケットも最近失敗しており、世界的にロケットの打ち上げ成功率は90%ぐらい。H2Aが技術的に世界水準より劣っているとは思わない。とにかく、原因をしっかり追究して、失敗が繰り返されないようにするしかない。 (11/29 14:30)
http://www.asahi.com/science/update/1129/001.html