現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産32 > 577.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
【オーストラリア】【総括】先進国中屈指の成長率
新型肺炎SARSの流行、イラク戦争勃発、前年から続く干ばつ、豪ドル高――これらのマイナス要因にもかかわらず、2003年の豪州経済は12年連続のプラス成長を記録することが確実だ。環境の大きな変化にも柔軟に対応し、経済の底堅さを見せたこの1年を振り返ってみたい。
「原因不明の肺炎」「謎の肺炎」――3月上旬に香港で最初の死者を出したSARSは、不気味な形容詞とともに豪州にも魔の手を伸ばした。幸い国内では、いわゆる「疑い例」が数例認められただけで本格的な流行はなかったが、直後に勃発したイラク戦争とともにSARSが豪州経済に与えた影響は決して小さくなかった。
旅客数の激減を受け、カンタス航空は4月、6月末までに1,000人を解雇すると発表した。
干ばつによる生産量の落ち込みと国際的な需要減退に伴う一次産品輸出の減少が要因となり、4月の貿易赤字は前月比16億5,300万豪ドル増の31億2,800万豪ドル(季節調整値)と過去最大を記録。4〜6月期の経済成長率は年換算で2%と、四半期ベースでは2年半来の低成長を示した。
だが、ブッシュ米大統領が5月にイラク戦争の大規模な戦闘状態の終結を宣言し、7月上旬にSARSが終息に向かうとともに、豪州経済を取り巻く環境は改善した。
住宅ブームを背景とするおう盛な内需がけん引役となり、経済成長率は上昇。10月の失業率は5.6%とほぼ20年ぶりの最低水準に低下した。
国際通貨基金(IMF)と経済協力開発機構(OECD)は、2003年後半に発表した報告書の中で、豪州経済は先進国中で群を抜いて安定していると高く評価。
コステロ財務相は12月、中期見通しの中で、今年度の経済成長率予測を5月時の3.25%から3.75%に上方修正している。
■住宅ブーム下火に
景気回復基調が鮮明になったことを受け、豪連邦準備銀(RBA)は11月、2002年6月以来17カ月ぶりに政策金利を変動。年率4.75%から5%に引き上げた。RBAのマクファーレン総裁は報道発表の中で、「景気拡大政策が必要な局面は過ぎた」と説明している。
財界団体をはじめ、ハワード首相やコステロ財務相からは利上げを疑問視するコメントも出たが、RBAは大方の予想通り、翌12月にも0.25%の追加利上げを実施した。これを受け、シドニーでは住宅オークションの成約数が低下。不動産投資熱には明らかに沈静化の兆しが見られるが、今のところ、懸念されたハードクラッシュは回避されそうな様相だ。
■進む豪ドル高
豪ドルは2003年に入ってから対米ドルで30%上昇。RBAが金利を2カ月連続で引き上げたことで米国との金利差は4.75%に広がり、さらに米ドル売り豪ドル買いが加速。12月上旬には73米セントを上回り、6年来の高値を更新した。
豪ドル高は豪州経済の根幹を担う輸出産業にとって脅威だ。豪農業資源経済局(ABARE)は最新の報告書の中で、2003/04年度の一次産品輸出高が前年度比5.3%減の822億豪ドルにとどまるとの見方を明らかにしている。
アナリストの中には、2004年前半までに豪ドルが80米セントに達するとみる向きもあり、今後の動き次第では、好調な豪州経済にとって障害となる恐れがある。
■ハワード政権4期目なるか
安定した経済を背景に、ハワード首相はこれまで確実にポイントを上げてきた。米英軍とともに第1次攻撃に参加したイラク戦争はフセイン元大統の拘束で1つの区切りを迎え、日の出の勢い中国との外交関係も強化した。2004年初めには、懸案の米との自由貿易協定(FTA2003年12月29日渉にも結論が出る。
野党労働党のクリーン党首が就任以来不人気を続けてきたこともあり、ハワード首相の地位は安泰とみられたが、12月上旬に就任したレーサム新労働党党首は42歳の若さを追い風に急速に支持率を上げてきている。
ハワード政権は、若手ナンバーワンのアボット議員を保健相に据え、労働党が政策の差を見せたい保健医療、教育、福祉面の充実を図って2004年後半の総選挙に臨む構えとみられる。新たな年は、内政をめぐる与野党の攻防が激しさを増しそうだ。
▼NNAの無料メールマガジン⇒http://nna.asia.ne.jp.edgesuite.net/free/bm/(NNA)
[12月29日10時35分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20031229-00000009-nna-int