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戦前の日本に戦争を煽ったのはそれで利益が得られる国際財閥 − 国際金融家に「敗戦責任」があるわけではありませんが... −
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/299.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 10 月 31 日 19:50:36:Mo7ApAlflbQ6s

(回答先: Re:  死の商人 投稿者 戦争屋は嫌いだ 日時 2003 年 10 月 31 日 06:55:02)


戦争屋は嫌いださん、コメントありがとうございます。


巨大な私的企業が存続し利益を拡大していく(それが存続条件)ためには、国家機構の保護を必要とし、そのために、政治家や官僚に経済的利益を供与したり、逆に、国家が手に入れた権益を授与してもらったり特段の優遇措置を受ける関係にあると考えています。

巨大な私的企業は、戦争が利益になると考えればその正当性理論を用意してでも戦争に向けて国家を動かそうとします。
戦争ではなくとも、国外での経済権益を広げることは重要な利益源ですから、そのような国策を要望しサポートします。


戦争屋は嫌いださんが書かれているように、軍部のみならず政府・官僚・政党が財閥と密接なつながりを持ち(強力な癒着)、賄賂もあれば、その見返りとしての厚遇も得ています。
(民間右翼であった北一輝に対しても、池田成彬からも三井合名からも資金が提供されています。血盟団による団琢磨暗殺に恐怖した三井が、情報収集や懐柔を目的に資金を提供したものです。他の過激右翼に資金援助がなされたことは容易に推測できます)

コメントの対象となった書き込みで書いているように、「戦前の軍需産業は、富国強兵策や打ち続く戦争で膨大な利益を上げ続けたのは確かです」。

財閥の商社部門や銀行部門が持つ海外拠点は軍部にとっても重要な情報収集拠点であり、派遣軍や特務機関の非合法(非予算措置)活動を支える資金源になっていました。
その見返りとして密輸や物資調達そして新たな利権の分け前に預かっていました。

財閥が敗戦という結末で終わった戦前の国策に重大な影響力を行使しその遂行成果の最大の受益者であったことは間違いなく、国策となった中国における経済権益拡大に財閥が深く関わっていることは疑いを入れることはできません。
この意味で、財閥の活動実態や国策への関わり方は、「敗戦責任」論議のなかで根掘り葉掘り追求されなければならないと考えています。

その一方で、敗戦への決定的な踏み出しとなった対米戦争を財閥が誘導したとは事実としても確認できないし、当時の財閥の経済論理に照らしても、せいぜいがやむをえないことだ、この流れのなかで精一杯儲かるように動くしかないというものだったと思っています。

戦後の米国財閥の経済論理と戦前の日本財閥の経済論理は異なるものであり、戦前の世界に貫徹していた経済論理と戦後の世界のそれも異なるものです。
その峻別も重要なテーマだと思っていますので、戦後的論理や戦後米国の国策から、戦前の日本及び日本財閥の動きを類推することを抑制しています。


日本を戦争に誘導したのは、日本財閥よりも国際金融家だと考えています。

戦前の日本は資金不足(金・ポンド・ドルの不足)であり、軍備を増強するためには国際金融家を中心とした外国から借り入れをしなければなりませんでした。
戦前は、国内で管理通貨制が可能だとしても、国際取り引きは金本位制です。戦後米国の無軌道な軍事行動は、ドル為替本位制であったが故に可能なのです。

日露戦争のために借り入れた資金は、1980年頃にようやく完済しています。
(英国はともかく、米国は貨幣過剰と経済失策がむすびついて“大恐慌”が起きています。過剰な通貨をできるだけ有利に回せる取り引きを求めていたのが国際金融家です)

さらに、産業力で劣っていた日本は、軍備を増強するために、金属ほかの原材料・工作機械・化学製品を輸入し、エンジンや機関砲などのライセンス料を支払わなければならない状況にありました。

日本は、対米開戦直前まで、軍需物資を手に入れるため、米国に金の現物輸送をしていたのです。

日本が戦争への道を歩むほど日本から経済利益を貪ることができたのが当時の国際金融家だったのです。
さらに言えば、それにより、日本の矛先であった中国からも軍事物資の供給などで利益を貪ることができました。

経済論理に照らせば、日本財閥が戦争に誘導したと考えるより、国際金融家が日本に戦争を煽ったと考えるほうが理に適っています。

もちろん、日本財閥ないし金融家さらには軍部のなかに、国際金融家ないし米英支配層のそのような意図に協力した人たちがいたことを否定しません。
山本五十六は、明確にそういった協力者です。

しかし、このような判断をもって、国際金融家に「敗戦責任」があるという結論にはなりません。
そのような誘導に乗ってしまったのは国家の責任です。


>共に空前の財政難をかかえる米国・英国が、兆単位でカネのかかる今般のイラク侵略
>に乗り出したのを見てもわかるように、彼らは国家の財政が破綻してもいいから、軍
>需産業をはじめとする財閥の利益を優先するのです。それは彼らが実際は国民の代表
>(そのふりはしているが)などではさらさらないからです。まあ戦争を一種の公共事
>業・景気刺激策とみなす、ケインズ的経済政策という位置づけもちろんあるのかもし
>れないが。 

現在の米英財閥が国家の財政が破綻してもいいからと考えて「対イスラム戦争」に乗り出していることは間違いありません。
そして、それが、財閥の利益を優先する目的であることも確かです。

しかし、「国家の財政を破綻させてでも、儲かる戦争を推進したがっている」という見方はとっていません。

「対イスラム戦争」の目的に関する私見は書き込みをしているので省略しますが、米英の財閥なかんずくその頂点にある国際金融家は、ドル基軸体制を維持したい、すなわち戦後世界経済構造を維持したいと思っているのなら、米国の財政が本当に破綻してしまうような国策を認めません。
(国際金融家は強欲かつ悪辣ですが、それほどのバカではありません。愚かであることは確かですが...)

戦争をしなくともドル基軸体制が破綻することを見通しているからこそ、破綻後の世界秩序をつくり上げるために「対イスラム戦争」を遂行しています。


また、現在において、戦争や軍備増強が軍需産業の利益に貢献することは確かですが、「一種の公共事業・景気刺激策とみなす、ケインズ的経済政策」の意味はもたなくなっています。
軍需産業の利益は増加しても、雇用は増えず、GDPも拡大しないことは、この間の米国経済の動きを見ればわかります。

>「一度戦争で甘い汁吸ったら他の商売なんてかったるくてやってられるか。」と思っ
>ている人々がこの世にいる限り、戦争はなくなりません。「戦争は非道い、絶対やっ
>てはいけない。みんながひどいめにあう。」、と関係者全員が噛みしめない限り根絶
>できません。

おっしゃられていることは痛いほどよくわかります。

世界のほぼみんなが、「戦争は非道い、絶対やってはいけない。みんながひどいめにあう。」に近い考えを持っていると思っています。

しかし、ごく一部の戦争受益者(たんに軍需産業の意味合いではありません)が、巧妙なプロパガンダや悪辣な謀略を仕掛けて、「戦争は非道い、絶対やってはいけない。みんながひどいめにあうものだが、今回はやむをえない」という判断を醸成することで戦争に進んでいきます。

また、現在の生活を維持したいと考えている人たちは、「戦争は非道い、絶対やってはいけないものだが、自分が殺されたりひどめにあうのでないのなら、今の生活を維持するために必要というのなら仕方がない」と考えたりもします。


だからこそ、戦争はなぜ起こされるのか、ひどいものやってはいけないものと軍人までが考えていながら戦争にむかっていった過程はどんなものだったのか、戦争をしないで今の生活よりも魅力的な生活が手に入れられる国家社会とはどういうものかを考えていかなければならないと思っています。


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