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(回答先: 消費税16%をめざす奥田トヨタ&日本経団連会長の破廉恥さ:消費税「輸出戻し税」制度 投稿者 あっしら 日時 2003 年 6 月 19 日 03:26:04)
あっしらさん、こんばんわ。今日は消費税でお怒りですか?
またまた、クレームをつけて申し訳ありませんが、今日の議論はどうやら見当違いのようですよ。
まず、あっしらさん、消費税の計算がどうなっているのかご存じですか?
問題を簡単にするために、簡易課税は考えず、どの業者もすべて一般課税で計算するとします。また、非課税売上割合などの面倒なことは一切考えません(課税売上割合100%を仮定)。それから、仕入税額控除を考えると、また話が難しくなるので、前段階の業者からの仕入れ額と次段階の業者への売却額との差額は、すべて利益であるとします。また、最初の業者の仕入額は簡単にするためゼロにします。(これがこれから議論を進めるための前提条件です。したがって、中小企業は消費税相当額を実際は転嫁できていないといった現実の要素は入れないでください。)
さて、消費税の一般課税とは、 年間の自社の預かった消費税から支払った消費税を差し引いた分を納税するものです。計算式で示せば、次のようになります。
課税期間の課税売上高×5%−課税期間の課税仕入高等×5%=消費税額
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@あっしら怒りのモデル
【設定モデル】
材料納入業者→部品納入業者→輸出業者
【納入経路と消費税のサンプル】
材料納入業者→部品納入業者:納品価格:20万円・預かり消費税:1万円・納入消費税:1万円
部品納入業者→輸出業者:納品価格:50万円・預かり消費税:2万5千円・納入消費税1万5千円
輸出業者:輸出価格:100万円
このようなモデルとサンプルであれば、輸出業者は「輸出戻し税」制度により2万5千円の還付を受ける。(まさか、5万円の還付をうけているということはないだろう)
これを、「相手国の人に消費税を負担させない」輸出だから、最終段階の消費税負担者に還付してちゃらにするものだと考えるとそりゃあそうだということになる。
Aあっしら改良モデル
しかし、次のように考えると事情は変わってくる。
とにかく消費税はすべて支払ってもらい、輸出の分は後で還付するようにする。
上記の例で言えば、
材料納入業者:預かり消費税:1万円・納入消費税:1万円
部品納入業者:預かり消費税:2万5千円・納入消費税1万5千円
輸出業者:納入消費税:2万5千円
合計消費税:5万円
この5万円は輸出だからということで、政府が各消費税納付業者に還付する。
現在の制度では、輸出業者はプラス2万5千円だったのに、この例ではプラマイゼロである。
その代わりに、部品納入業者と材料納入業者はプラマイゼロだったのに、この例ではそれぞれ1万5千円と1万円のプラスになる。
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「@あっしら怒りのモデル」ではどうなるか?(現行税制と同じ)
材料納入業者→部品納入業者:納品価格:税込み21万円
仮受消費税1万円−仕入税額控除0円=消費税額1万円
消費税納税後の手取額:売上21万円−消費税額1万円=20万円
部品納入業者→輸出業者:納品価格:税込み52万5千円
仮受消費税2万5千円−仕入税額控除1万円=消費税額1万5千円
消費税納税後の手取額:売上額52万5千円−仕入額21万円−消費税額1万5千円=30万円
輸出業者:輸出価格:100万円
仮受消費税0円−仕入税額控除2万5千円=消費税額▲2万5千円(これが怒りの原因)
消費税納税後の手取額:売上額100万円−仕入額52万5千円−消費税額▲2万5千円=50万円
この結果、材料納入業者→部品納入業者→輸出業者の三段階で国が受け取る消費税の合計は、
1万円+1万5千円+▲2万5千円=0円
と、海外では消費税をとれないから、前段階でかかった消費税を最後の輸出業者に戻して、全体で消費税がかからないように調整をしている、というのが現行税制の趣旨。
次に「Aあっしら改良のモデル」ではどうなるか?
材料納入業者→部品納入業者:納品価格:税込み21万円
仮受消費税1万円−仕入税額控除0円=消費税額1万円
消費税納税後の手取額:売上21万円−消費税額1万円=20万円
部品納入業者→輸出業者:納品価格:税込み52万5千円
仮受消費税2万5千円−仕入税額控除1万円=消費税額1万5千円
消費税納税後の手取額:売上額52万5千円−仕入額21万円−消費税額1万5千円=30万円
輸出業者:輸出価格:100万円(ここで何故か消費税を5万円かける)
仮受消費税5万円−仕入税額控除2万5千円=消費税額2万5千円
消費税納税後の手取額:売上額100万円−仕入額52万5千円−消費税額2万5千円=45万円
この結果、材料納入業者→部品納入業者→輸出業者の三段階で国が受け取る消費税の合計は、
1万円+1万5千円+2万5千円=5万円
この消費税額をあっしらさんの指摘する金額(納めた税金の割合?)で、各段階の事業者に、1万円、1万5千円、2万5千円還付すると、各事業者の手取額は次のようになる。
材料納入業者の手取額:20万円+1万円=21万円(消費税の負担ゼロ)
税込売上高21万円−税込原価0円=利益21万円
部品納入業者の手取額:30万円+1万5千円=31万5千円
52万5千円−21万円=31万5千円(消費税の負担ゼロ)
輸出業者 45万円+2万5千円=47万5千円
100万円−52万5千円=47万5千円(前段階の消費税をすべて負担)
この結果、材料納入業者→部品納入業者→輸出業者の三段階で国が受け取る消費税の合計は、
(1万円−1万円)+(1万5千円−1万5千円)+(2万5千円−2万5千円)=0円
と、怒りのモデルと変わらない。しかし改良モデルでは、輸出業者の前段階の業者は、消費税を上乗せして請求しても事実上免税扱いになり、手取額は大幅にアップする。一方、輸出業者は、仕入額について消費税がかかっているのだから、前段階の付加価値に対するすべての税負担を行うことになる。
この改良モデルは、付加価値に対して平等に(広く・薄く)という税の考え方に合わないし、材料納入業者や部品納入業者の売上が輸出につながるものかどうかもわからず、税計算が実務上できないということになるでしょう。この考え方には無理がある!