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(回答先: Re: ありがとうございます。この本の筆者のスペルを教えていただけませんか? 投稿者 Hi! 日時 2003 年 6 月 10 日 12:22:53)
海外在住の方とは知りませんでした。また、この本を良く読んでみたところ、前の紹介文章に若干、不適切なところがあるように思いますので、以下、一部訂正します。
ほとんどの宗教が神(絶対者、絶対善、全能者)の対立概念として悪魔(絶対悪)を想定しています。ゾロアスター教(拝火教)では、そのものずはり、絶対善神(アウラマズダ)と絶対悪神(アーリマン)の対立として世界を描いています。(東芝の電球が昔、マツダという商標名だったのは、松田さんが発明したからではなく、アウラマズダのマズダをもじったのです。アウラマズダは光=火=の神だからです)。何やら、世界を「善と悪」の二分法で捉えているブッシュをほうふつとさせますが、ひょっとして、ブッシュはゾロアスター教の開祖(名前を度忘れしました)のリーインカーネーションなのかも知れません。(十字軍を呼びかけたローマ教皇のウルバヌス2世の”生まれ変わり”という説も米国のネットで流れているそうですが)。
従って、キリスト教でも、神、キリストの対抗馬として悪魔という概念は初期から登場しています。もっとも、キリスト自身はこんなことは言っていなかった、という説が最近では有力のようですが(キリストなぞいなかった、という説も有力です)。ただ、キリスト教では、「悪魔も神の創造物か」という議論にうまくケリをつけられず、大きなネック、教義問答(カテキズム)上のアポリアとして今日に至っています。神が悪魔をクリエイトしたなら、神の属性に「絶対悪」も含まれてしまうではないか、というわけです。(小生にもこの議論の”落としどころ”は良くわかりません)。
まあ、これまでの条りは、一般論で、この本は、前に書いたほど、キリスト教とは密着していないようです。もちろん、悪魔がキリスト教の神との絡みで登場しているだけに、無関係ではありませんが、魔女狩り、異端審問といった、悪魔にまつわる社会現象の紹介、分析に論述の力点があるようです。その分、悪魔の哲学的・存在論的考察はそう鋭くなく、「悪魔」という歴史減少の分析本のようです。
リクエストのあった著者名はRobert Muchembledで、原タイトルはUne histoire du diable、出版社はSeuil(魂かな)というところです。お役に立てば幸いです。