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【カイロ22日=村上大介】エルサレムで二十二日に起きたパレスチナ過激派による銃乱射事件で、イスラエルのシャロン政権によるパレスチナ自治区への攻撃激化は避けられない情勢となった。しかし、自治区への侵攻を続けるイスラエル軍は、アラファト自治政府議長を事実上の軟禁状態に置くヨルダン川西岸の自治区ラマラもすでに半分以上を支配下に置いており、イスラエルがさらなる軍事攻撃に踏み込んだ場合、自治政府がもちこたえられるのか微妙な段階に入ってきた。
イスラエル軍は二十二日早朝、西岸の自治区ナブルスに侵攻し、パレスチナ側との銃撃戦でイスラム原理主義組織ハマスの活動家四人を死亡させた。軍スポークスマンは、空軍特殊部隊が市内のアパートでハマスの爆弾製造工場を発見し、その際に銃撃戦となったと発表。死者のうち二人がテロ容疑者だったとしている。
これに対し、ハマスは「この虐殺はシオニスト(イスラエル)との全面戦争に道を開いた。手段と場所を選ばずシオニストを攻撃する」との声明を発表し、自爆テロも含めた対イスラエル攻撃の再開を宣言。その直後にエルサレム中心部での銃乱射テロが発生した。
ハマスは、先月十六日のアラファト自治政府議長の武装闘争停止の呼びかけに応じ、イスラエル国内での自爆テロを停止するなど協力姿勢を示してきたが、すでに別のイスラム原理主義組織「イスラム聖戦」は「停戦破棄」を宣言しており、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハ系の武装組織「アルアクサ殉教者旅団」も、トゥルカレムで同組織の幹部がイスラエルに暗殺された報復として、十七日にイスラエル北部ハデラで銃乱射テロに踏み切った。
同旅団は二十一日、「イスラエルが二十四時間以内にラマラでのアラファト自治政府議長に対する包囲を解かなければ、新たな殉教攻撃を行う」と予告。イスラエルの自治区攻撃に対するパレスチナ過激派の反発は抑えられなくなっている。
シャロン首相は二十一日の国会外交防衛委員会で、ハマスがロケット弾を製造しているとし、「それがイスラエルに向けて使用されたならば、自治政府に対する報復を劇的に変化させる」と警告した。
米国など国際社会は、イスラエル軍の自治区侵攻に対してほとんど沈黙を守り、パレスチナの孤立化が明らかになっている。ただ、イスラエル国内では、ダリア・ラビン国防次官(暗殺された故ラビン首相の長女)が二十一日、「政府には事態を沈静化に向かわせる戦略がない」と批判。二十二日付イスラエル有力紙マーリブも社説で首相の“独走”に強い懸念を示した。
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【パレスチナをめぐる最近の動き】
【2001年】
12・4 イスラエルが「パレスチナ自治政府はテロ支援組織」と宣言。議長府のほかパレスチナ自治区を一斉攻撃
11 米国のジンニ特使が48時間の攻撃停止を提案
12 パレスチナ過激派がイスラエルのバスを襲撃。40人死傷
13 イスラエル軍戦車がラマラに侵攻。議長府を戦車で包囲
16 アラファト議長がパレスチナ住民に「あらゆる武力行使の停止」を要請
20 パレスチナ警察とハマスが銃撃戦。内部対立が先鋭化
23 自治政府とパレスチナ各派が内部対立を回避で合意
25 ハマスに続きイスラム聖戦が軍事作戦の停止を決定
【2002年】
1・3 イスラエルが武器積載の密輸船を拿捕(だほ)
4 ジンニ米特使が調停を再開
9 ガザでハマスとイスラエル軍交戦
10 イスラム聖戦がテロ停止破棄通告
14 ファタハの武装組織が軍事作戦の停止無効を宣言
15 自治政府がパレスチナ解放人民戦線議長を逮捕
17 ハデラで銃乱射事件。報復合戦が再開
21 イスラエル軍がトゥルカレム制圧
22 イスラエル軍、ナブルスに侵攻。ハマスが全面戦争を宣言