(回答先: どちらでも良いが、やっぱり小さな政府 投稿者 596 日時 2002 年 4 月 09 日 23:19:37)
596さん、こんにちわ。
まず、「国家破産8」に投稿されている『明日の日本・アルゼンチン惨状ルポ〜強盗激増、給料9割減。構造改革が社会を潰した〜斉藤貴男(文芸春秋2002年5月号) 』をお読みになられることをお奨めします。
( http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/991.html )
>累進課税はある程度は税収増加につながるでしょうけど、限度を超せば逆に税収減に
>なっていくものと思われます。
>クリントンの累進課税強化は税収増につながったのでしょうが、現在の日本で累進課
>税強化することは逆に税収減になるのではないかと思います。
高額所得者の抵抗はありますが、所得が1円でも多い人は税引後も1円は必ず多く可処分所得を手にするという内容での高額所得者に対する増税は減収にはつながりません。
企業はともかく、日本を活動拠点として所得を得ている人は、特殊な人を除けば、外国に移住したからといって同じ所得を得られる可能性も低いので“逃げる”こともできません。
>レーガンの時代は確かに金持ち優遇でした。この場合は累進課税強化は税収増になり
>ます。
>日本は金持ちと貧乏人の格差が少ない国です。累進課税強化は効果が少ないでしょう。
金持ち優遇だということでことさら累進課税緩和策を批判する気持ちはありません。
高額所得者が一時的に得だと考える累進課税緩和策が、結局は、多くの勤労者の所得を減らして経済状況を悪化させ、高額所得者の数も減らし、その所得水準も下げることになり、破滅的な経済状況を迎えるから反対しているのです。
とりわけ、89年以降、金持ちと貧乏人の格差が広がっています。
累進課税強化は、総需要の減少から生じている「デフレ不況」解消に効果があります。
>金持ち優遇の国は金持ちが集まるでしょう。貧乏人優遇の国は貧乏人が集まるでしょう。
それはそれでいいと思います。
金持ち優遇の国に集まった金持ちは、金の奪い合いの結果、すぐに金持ちと貧乏人に分化するでしょう。
貧乏人が集まった国は、日々みんながきちんとしのげる稼ぎを続けていけばいいでしょう。
>>日本は、89年4月に消費税導入に伴う累進税緩和策を採った年に「バブル崩壊」が
>>始まったのです。
>>596さんが言われるように、累進税緩和策が景気拡大に資するのであれば、89
>>年から90年にかけて“バブル”が崩壊した理由は何でしょうか?
>あの時は地価税というものが創設されました。アッシラさんの言われることだけが
>バブル崩壊の原因ではないと思います。
私は、「累進課税緩和」策を採ったのに、その年に“バブル”が崩壊し始めたのは、どういう理由だと思いますかと問いかけただけで、それが「バブル崩壊」の原因だとは言っていません。
地価税は地価上昇率が低くするものだとは思いますが、地価の上昇を止めるものではありません。新たな地価税を含め金利負担と諸税(固定資産税・売却時の譲渡益課税・登録免許税など)の全体を勘案して、地価が、今後、それらの経費を差し引いても儲けられるだけ上昇すると考えれば、土地に投機します。
地価税は不動産取引に影響を与えることは認めますが、株式市場の崩壊と累進税緩和策の関係についてはどうお考えでしょうか?
596さんは、累進税緩和策を主張されると同時に株価3万円復活も志向されているようですので、是非ともお願いします。
>日本も同じ危険性をはらんでいますが、レーガノミックスやサッチャリズムによって、米国や英国は、産業が弱体化し、大都市以外の地域が衰退してゆきました。
>サッチャーによって英国病が治ったことは事実です。
>アメリカはニューヨーク付近に変わって、南部やカリフォルニアが新産業地域になっ
>てきています。
GDP成長率と国民生活の実態という問題になりますので、繰り返しません。
>>10%の人の懐が膨らみ、90%の人の生活が劣化するという状況のなかでも、経
>>済成長は可能ですから、596さんが、それを好ましいと考えるなら、そのように
>>意思表示してください。
>それが好ましいとは思っていません。金持ちも貧乏人もともに懐が膨らむことを期待
>します。
議論を続ける意義があると思います。
>>米国への投資で利益を上げて増やしたお金を日本に戻すことができればまだ救いが
>>ありますが、損失を招いたり、アルゼンチン国債のように紙切れ同然になる可能性
>>が非常に高いと思っています。
>5兆ドルを超える国債をデフォルト宣言する可能性は少ないと思います。
額が大きいとデフォルトしないと考える根拠は何ですか?
>購買力平価で換算した2000年の国内総生産は9兆ドルであり、5兆ドルなら返済
>不可能な額ではありません。
政府はほとんど生産活動をしていません。経済活動としては、投資家や消費者と同じことをしているだけで、政府はそのような経済活動のための資金を、民間の生産活動や経済活動から税金として徴収してまかなっているのです。
また、日本もそうですが、新規発行分よりも、過去の国債を償還するための借り換え分のほうが多いのです。借り換え分の国債を引き受けてくれる人がいなければ、その分を増税で補わなければなりません。
米国の資産家や高額所得者が、そのような増税を素直に受け入れると思いますか?
過去の国債分を返済するために、中低所得者に増税を行えば、米国経済は一気に大不況に陥ります。
私が米国政府の代表者であれば、幅広い国民に訴えて高額所得者や資産家に対する課税を強化しますが、米国政権であれば、そのような方策を選択せず、国民経済がめちゃくちゃになる道も選ばす、「対外債務のデフォルト」を選ぶと思います。
中央銀行や国民・企業が米国政府の「対外債務のデフォルト」で被害にあったとしても、その国の政府が、米国に何らかの対応をするとは思えません。
それは、アルゼンチンのデフォルトを見てもわかることです。
確かに米国のデフォルトはアルゼンチンのそれとは比較できない額になるので、いきり立つ国もあるかも知れませんが、米国の軍事力を冷静に考えれば、矛を収めざるを得ないでしょう。
>日本の国内総生産は3兆4千億ドル。それをはるかに上回る借金が日本にはあってデ
>フォルトするのは日本のほうでしょう。
日本は対外債務黒字国で、日本国債の外国人保有率は3%〜5%のあいだですから、「対外債務デフォルト」さえできません。
しかも、国債のほとんどが、政府部門(資金運用部)・銀行・生保などに保有されていますから、日本政府は全面的なデフォルトをしないでしょう。
日本政府は、デフォルトの道よりも、ハイパーインフレの道を選ぶと思います。
日本国債問題はなんにしてもほぼ国内問題と言えますから、政府と国民で対応していくことになります。
>>596さんが、「日本は金利を高くすると、とたんに不景気になります。」と言わ
>>れる根拠をお示し下さい。
>おととしだったか、9月頃に少し日銀が引き上げたことがあった。そうしたらとたん
>に景気が悪くなっていった。
公定歩合をいじったわけではなく、銀行間取引の短期金利を高めに誘導したものですから、金利引き上げたというものではありません。
[銀行の平均貸出金利]
85年 6.467%
86年 5.505%
87年 4.936%
88年 4.930%
89年 5.782%(バブル崩壊の始まり)
90年 7.697%
91年 6.989%
92年 5.552%
93年 4.414%
94年 4.047%
95年 2.788%
96年 2.533%
97年 2.367%
98年 2.255%
99年 2.100%
00年 2.116%
これを見てもわかるように、「デフレ不況」適用相を呈した95年以降の銀行貸し出し金利は、低利で貼り付いたままです。
原因は、おととし(2000年)、銀行の貸出残高が初めて前年度を下回るという強硬な“貸し渋り”があったことが主因で、「長期不況」がベースとしてあったと考えています。
とにかく、総需要が落ちているときに金利を引き上げれば、経済状況はさらに悪化します。
>>一時的な「大きな政府」政策はいいでしょうが、いくらぐらいの財政出動をどういう
>>方法で何年くらい行えば景気が好くなるとお考えですか?
>構造改革が終わるまでの間。セーフティネットを張ったり、消費税を下げたりする。
>消費するのは今しかないと思わせる。供給を増やすのではなく需要を増やす。
>できれば1年ぐらいですばやく終える。そのためには大胆な改革を一気に進めること
>が必要。
消費税を下げる分を国債で補う?のだろうということやセーフティネットのための支出拡大くらいしかわからないので、あまりコメントできません。
しかし、「消費するのは今しかないと思わせ」て経済成長させると、次年度は間違いなくマイナス成長になると思いますが?
“大胆な改革”という小泉的形容詞ではなく、具体的な内容を示してください。
>民主党はわかりませんが、民主党の簗瀬進さんは以下の通り財政出動による需要の喚
>起を主張しています。
>1.デフレの本質的原因は、供給側(=会社の競争力)に問題があるのではあ
>りません。需要喚起こそデフレ対策の本筋です。
>2.小泉さんの経済政策の後ろ盾である竹中大臣はかつて日本の問題点を供給
>サイドの弱さにあると見ていました。今回のデフレ対策では「需要喚起」に触
>れた部分が最後になって出てきました。これはある意味で経済政策の基本姿勢
>を変更するものです。それ自体は評価します。
>3.しかし具体的な需要喚起の方策としては規制改革ののみです。これではあ
>まりにも少なすぎる。財政出動による積極的な需要喚起こそ今の危機的な日本
>には必要です。
>4.小泉政権の規制改革のスピードはあまりにも悠長です。
最後を除けば、自民党の亀井元政調会長と基本的に同じもののようです。
国債問題を脇に置いたとしても、財政出動に頼っている限り、財政出動を拡大していかなければならなくなります。
今年が10兆円であれば、来年は12兆円、再来年は15兆円といった感じで財政出動を拡大していかなければ、次年度にマイナス成長となってしまいます。
>>平均株価がなぜ3万円以上にならなければならないのかもお示しください。
>経済を知らない人間の単なる思い付きです。景気をよくすると同時に大胆な改革をし
>なければならない、ということです。
“大胆な改革”が、どう平均株価3万円と結びつくのかわかりません。
>財政出動しなくても良いように改革します。補助金をカットすれば補助金なしでは
>やっていけないような産業は小さくなります。
>有望産業に金が向かうようにさせる。大きな政府にするのではなく改革がスムーズに
>行くように歳出する。
>構造改革が終わっているのであればマイナス成長になっても将来に希望が持てます。
有望産業とは、どういうもので、どれくらいの売り上げ規模と雇用規模があるものでしょうか?
>全国を300の郡に分け、その上に州を置く。県や市町村は廃止。
>以下は民主党の地方分権。
>権限と財源を地方へ移譲し、自治体と地域に根ざして生活している住民が、権限と責
>任をもち、自ら決定できるよう大胆な地方分権をすすめます。
>現行制度から道州制へのいきなりの転換は現実的ではなく無理も生じます。そこで民
>主党は以下に掲げる段階を踏みながら、その実現を着実に図ります。
>補助金は「一括交付金」に改革します。
>本来は国ではなく地方で担うべき事業に対して支出されている補助金の大部分につい
>ては、使途の限定されない「一括交付金」に改革します。自治体が必要な事業を効率
>的かつ的確に行うことができるようになります。
自治体が紐付きではない資金をより多く持つことには賛成ですが、それぞれの「自治体が必要な事業を効率的かつ的確に行う」態勢をつくると、地方自治体の公務員を増やさなければならなくなると思いますが、「公務員3割減」を掲げる596さんはそれは認めるのですか?
>所得税の一定割合を地域の税源へ移します。
>現在、国と地方の仕事量は、おおよそ1:2となっていますが、税収の比率はおおよ
>そ2:1と逆転しています。この税源移譲により、税収比率を1:1とします。
596さんに聞くべきことではないかも知れませんが..
微妙な言い回しなので具体的なことがよくわかりません。所得税と住民税の比重を変えると言うことなのでしょうか?
>住民の意志で市町村合併するかを決め、適正な規模にします。
>将来的に道州制を導入します。分権連邦型国家へ。
現在及び今後の日本を考えると、分権連邦型国家が好ましいとは思いません。
日本経済は、相対的な話ですが、本社機能・開発・金融の比重が高まります。
逆に言うと、生産拠点である工場は衰退していくということです。
比喩的に言えば、日本は、頭脳だけが肥大化し四肢が衰えた国家になるということです。
大企業の本社が集中している東京やそこに勤める人たちが生活拠点にしている首都圏は、経済不況の影響を相対的に小さくしか受けませんが、工場の存立で支えられてきた地域は、より大きく影響を受けるということです。
地方都市や大阪の経済苦境が、それをよく物語っています。
このような問題の論議を抜きにして、分権連邦型国家云々を考えることはできないと思います。
>郵便は民営化。郵貯と簡保は消滅。
>郵貯と簡保は消滅させたほうが民間銀行はやりやすくなるでしょう。財投は大胆な見
>直しを迫られている。
民間銀行はやりやすくなるかも知れませんが、それで国民生活がよくなるわけではありません。
信用金庫や信用組合が次々と破綻していることだけでも、地方の金融サービスは著しく低下しています。
利益と効率を第一優先にしている民間大手銀行が、地方をくまなくカバーするとは思えませんが?
郵貯は、破綻して国有化になる銀行と統合して「決済専門銀行」にすべきだと思っています。簡保は、消滅させてもいいと考えています。
「決済専門銀行」になると“郵貯”には利子が支払われなくなるので、財投に回す必要もありません。
>郵便はヤクルトおばさんが運んだり新聞販売店が運んだりすれば安くなる。インター
>ネットにすればなお安くなる。
一般の信書から速達・書留・小包まである郵便をヤクルトおばさんや新聞販売店が運ぶのですか?
インターネットを利用している人は、既に、eメールで済むことはeメールで済ましているでしょう。
>山間僻地への郵便配達は民営化しても何とかなるでしょう。
「何とかなる」ではなく、こうしたらをお示しください。
>消費税がだんだんと高くなっていきますから安いうちに消費してしまおうという気に
>なります。
>それ以後、消費税が安くなることはありません。
徐々に消費税が上がっていく過程で、徐々に不況に陥っていきます。
「リサイクル法」施行が、駆け込み需要を生み、その反動で家電(冷蔵庫・洗濯機・TV)の販売が落ち込んだことでわかることです。
消費税となれば、あまねく商品に「リサイクル法」施行と同じ現象が起きることになります。
>1パーセントに減税した補填は、消費が活発になって景気が良くなること。および消
>費税が高くなることにより補填できます。
消費総額がおなじであれば、消費税が4%下がったことで税抜きの消費が増えるので、税収は3%くらいしか下がらなかったり、消費の拡大で生産も拡大するので、生産余力がない状態であったなら、雇用や設備投資も増えるので、税収は1〜2%しか減らない可能性もあります。生産余力があると、雇用や設備投資は増えないので、3%程度の減収になるでしょう。
>企業の利益が増大すれば下部も高くなる。銀行の不良債権も少なくなる。給与もボー
>ナスも上がる。失業者も少なくなり好景気になる。
企業の利益増大は、ご指摘のようなことになる保証はありません。
トヨタは1兆円を超える経常利益を上げましたが、賃上げは日産以下です、
限定的な企業がいくら利益を拡大しようとも、総体的に不況であれば、銀行の不良債権も減少しません。かえって増大します。
GDPが名目で成長すれば、ご指摘のようなことが起きる可能性は高いでしょうが...
>法人税の減少はほかの税収が上がることでカバーできる。バブルは政府のコントロー
>ルにより少なくできる。
「ほかの税収」という曖昧な言葉ではなく、具体的にお示しください。
バブルを抑える政府のコントロールも、具体的にお示しください。
>>法人税に累進的要素を加味する。例えば、申告所得/従業員数を基準に、従業員一人
>>当たりの所得金額が増えるにつれ高くなる5段階程度の累進課税とする。(失業対策
>>の一環で、より多く雇用したりより多く給与を支払う企業は、法人税が軽減されるこ
>>とになる。この値によっては、現在の法人税税率よりも低くなる場合を設定する)
>>但し、法人税税率は、該当法人が支給している報酬・給与を受け取る給与所得者の最
>>高税率を下回らない税率を適用するものとする。(個人事業主などが法人を設立する
>>ことで税金を低く抑えるのを防止する)
>>新規の設備投資(固定資産の償却に伴うものではないもの)については、時限的に、
>>単年度での一括償却を認める。設備の更新については、時限的に、短縮した期間で償
>>却できるようにする。
>わかりづらい。1行目には所得が増えたら税金を上げる、となっている。2行目には
>給与を多く支払えば法人税を少なくするとなっています。
説明不足だと言うことは自覚していますが、誤読があるようです。
「所得が増えたら税金を上げる」(現在の法人税がそうです)のではなく、「従業員一人当たりの所得が高いと税率が上がる」のです。
同じ所得額でも、“従業員一人当たりの所得”の違いで、適用される法人税率が変わるということです。
給与を多く支払えば、その企業の“従業員一人当たりの所得”は低下するので、適用される税率も下がる可能性があるということです。