(回答先: Re: 政界再編の必要あり? 投稿者 596 日時 2002 年 3 月 09 日 00:18:18)
596さん、こんばんわ。
>アメリカ流の生存競争を避けようと思えば鎖国するしかありません。
>日本は自由貿易国で鎖国をしたら石油さえ入ってこなくなります。
アメリカ流の生存競争が“主流”の価値観として通用しているのは、米国と日本だけだと言ってもいいくらいです。
英国をはじめとする欧州諸国の支配層も、そのような方向に持っていこうとしていますが、抵抗が根強くうまくいっていません。英国では、保守党でさえ反対しているくらいです。
米国以外の多くの国々の国民は、アメリカ流生存競争の価値観にうんざりしているほうが多いのです。
このような実状から、アメリカ流の生存競争を避けても、鎖国する必要はありません。
鎖国はしませんが、日本の政策が気に入らないからといって、世界有数の原油輸入国である日本に原油を売らないという政策は長続きしません。
(日本が“勝手なこと”をすれば、禁輸をちらつかせたり、一時的な禁輸を実行するかもしれません)
原油については、原油の大部分が国際金融家が支配するメジャーにコントロールされていているなかで、日本政府が、そのような枠から抜け出る方策を採ってこなかったことが問題なのです。
原油については、米国ブッシュ政権が「反イスラム戦争」を行っていることに照らせば、ブッシュ政権の愚かな戦争に参戦するのではなく言葉だけの支持に終始し、中東イスラム諸国との関係を重視するほうが、将来的な原油確保にはつながるでしょう。
さらに言えば、大資源国家であるロシアとの経済関係を強化してこなかったツケもあります。さすがにエグイ米国=国際金融家は、ロシアの原油をコントロールしようと策動しています。(米国の原油輸入国第1位は、ここ2,3年でサウジアラビアからロシアに変わるようです)
>鎖国みたいなことをやっているうちに外国ではすっかりアメリカの巨大資本のものに
>なって、第2のペリー提督が大砲をぶっ放すことになってしまうかもしれません。
日本と違って他の国の多くは、それほど愚かな対米追随政策はとりませんから、アメリカの巨大資本のものにはなりません。
日本はそうなる可能性がありますが...
>日本からも巨大資本を育てるのが必要です。
>日本がうるおえば弱者もそれに連れて豊かな生活ができるようになります。
このまま進めば、日本でも、国際金融家所有の巨大金融資本が“育ち”ます。
ここ最近の書き込みでも書いたように、日本資本自身が、国際的な巨大金融資本を育てることはできません。
産業資本であれば、日本資本でも国際的に通用する巨大資本がありますが、より大きな利益を目指して中国など外国に生産拠点を移しています。
米国支配層が潤う歴史過程(1960年以降)で、米国の中産階級や上の勤労者家庭がどのように没落していったか見つめ直せば、弱者もそれに連れて豊かな生活ができるようになるのかどうかわかると思いますよ。
米国産業資本は、日本やドイツとの競争に負けたのではなく、国際金融資本の利益のために衰退させられていったのです。
巨大金融資本であれば、厖大な“餌”が必要です。
現在の世界に残された新しい厖大な“餌”は、中国とロシアくらいのものです。
中国もロシアも、日本とは違い、やすやすと“餌”になることはありません。
巨大資本がその食欲を十分に満たせる余地は、これからますます小さくなっていくのです。
>生存競争のない社会は生産性が上がらず、三等国になってしまいます。
>中国や韓国よりも劣る国になってしまっては弱者も最下等になってしまいます。
前のレスでも書きましたが、生産性が高いということは、別に誇ることでも何でもありません。
生産性が高いというのは、企業が利益を上げやすい条件にあるということでしかありません。
高い生産性の究極は、無人工場なのです。すべての商品が無人農場や無人工場で生産されることを考えてみてください。
通常の経済取引で商品を買える人は、無人農場や無人工場の所有者とその下で管理・販売(商店や運輸業を含む)に携わっている人たちだけになります。
他の人たちは、通常の経済取引で商品を買える条件を維持している人たちから国家が徴収した税金を還流してもらうことで、細々と生存条件を手に入れることになります。
生産性を上げるということは、極端な例として上げた無人工場に少しずつ向かっていくということなのです。
日本や米国の産業資本が中国に進出しているのも、人件費が安いことで同じ生産設備を使って得られる生産性がすぐに上がるからです。
生産性を上げることが企業の至上命題であるとすれば、政情が安定していることを条件に、教育レベルが高くて人件費が安い国に生産拠点を移すことがベストの選択です。
社会主義国は、官僚組織とのやり取りの問題はありますが、このような意味では条件がいいのです。
日本国内で同じ条件を得ようとしたら、日本の人件費を中国の人件費未満にしなければなりません。なぜなら、地価や租税などが中国より高いからです。
もちろん、日本と中国の価格差は為替レート的比較によるものですから、日本円を1ドル=2,000円とか3,000円にすることでもいいのですが、そうなると、輸入物価が15倍や20倍になり、原材料を輸入に依存している日本の場合、国際競争力が大きく低下することになります。
どちらの方法で中国並みの生産性を日本で達成するにしても、日本の勤労者の生活水準はとてつもなく下がることになります。
購買力が急激に低下するわけですから、農産物価格も、地価も、株価も、一斉に下がっていくことになります。(とんでもないハイパーデフレが日本を襲うことになります)
日本の生産性を上げるということは、否応なく中国や韓国に劣る経済状態にするということなのです。
ハイパーデフレが収まった時点で、対米・対欧・対アジアに輸出ドライブをかけてはい上がるという道もありますが、その間も経済成長を続けるであろう中国は、14億人とも言われる人口を抱えていますので、さらに生産性を上げるはずですから、熾烈な輸出競争になるでしょう。
米国や欧州諸国も、そのような条件で製造されて洪水のように流れ込んでくる日本製品に門戸を開き続けてはくれないでしょう。
なんにせよ、生産性上昇をめざして、わざわざ、一度“地獄に堕ちる”必要はないと思いますよ。
例えば、生存競争で生産性が上がることで、日本国民の3%が贅沢三昧の生活条件を得て、60%がそこそこの生活条件を得、残り40%近くが生活もままならない状況になるというのであれば、生産性なぞ上がらなくてけっこうです。
そして、そうならないのが三等国であれば、三等国でけっこうです。
国際金融家や国内金融家の利益をなくし、日本企業(産業)に生産拠点の国外への移動を思いとどまってもらえば、そこそこの生産性でも国際競争力が維持でき、国民の98%くらいは、生活不安を背負わないで、自力で(経済取引を通じて)そこそこの生活条件を手に入れることができます。
そして、そのような価値観を世界的に浸透させていけば、穏やかなランディングで“近代収奪システム”を終わらせることができると思います。