事故当日に棺120秘密発注 ロシア原潜沈没〜「全員無事」は責任逃れの策〜救出、故意に遅らせる? 露紙報道(産経)

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投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 8 月 22 日 15:55:45:

【モスクワ21日=斎藤勉】
ロシア・北方艦隊の原子力潜水艦「クルスク」がバレンツ海に沈没した十二日、軍から地元のムルマンスクの企業に早々と百二十人分の棺の秘密発注があった−。事故から十日目の二十一日、ロシアのマスメディアは、ロシア海軍の最高幹部が最初から百十八人の乗員を絶望視する一方、責任回避のため「乗員は全員無事」などのディスインフォメーション(故意に流す虚偽情報)を流すよう指示していた−と、プーチン政権を糾弾する記事を掲載した。
モスクワの人気紙「モスコフスキー・コムソモーレツ」は第一面のトップに「彼らは沈まない」と大見出しを掲げ、その下に今回の事故の最高責任を負うべきプーチン大統領、セルゲーエフ国防相、クロエドフ海軍総司令官の三人の大きな写真を並べて掲載した。二番手の記事の見出しも「ディスインフォメーションの一〇〇メートル」と辛辣だ。
同紙が北方艦隊司令部の所在地セベロモルスクから報じたルポによると、事故が起きた十二日、セベロモルスクのすぐ南のムルマンスク市の企業「ムルマンスク・モルスタリ」に軍当局から「ただちに百二十人分の亜鉛製の棺を作ってほしい。一般水兵には標準の棺、将官には高価な棺を」と極秘注文があった。土曜日の十九日に同艦隊のモツァク参謀長が「全員死亡」を示唆する声明を発表すると、その棺が実際にセベロモルスクに届けられた。
同艦隊では五年前、深海で潜水艦の救助作業ができる最後の艦船が退役、一握りの潜水夫も六〇メートル以上の潜水は能力的に不可能なお寒い状態だった。事故翌日の十三日、沈没現場めがけて潜った潜水夫は「水温は二度以下、乗員の生存のチャンスはない」と報告したものの、ポポフ同艦隊司令官の直接の指示で「乗員は生存している」との「神話」が生み出された。同司令官は「乗員はSOS信号を出していると(外部には)言うように」と命令を出し、これがロシア全土に「意味のない(生存の)希望が現れた」原因だとしている。
クルスクは冷戦後、ロシア海軍が誇る最大の攻撃型原潜で、プーチン政権にとっては将来、「強いロシア」の象徴になりうる重要艦だった。モスクワの軍事筋は「一瞬にして沈没し、全員が死亡したとなれば、ロシア海軍の威光は地に落ち、責任問題が噴出するのは必至だった。そこで、真実を糊塗(こと)する必要性が生じた。外国からの救助の申し出を断り続けたのも、即座に受け入れれば、ウソがすぐばれる危険性があったからだ」と指摘する。
同紙は「北方艦隊の専門家は、悲劇の規模の大きさを隠すために乗員を見限った。彼らを生きたまま埋葬したのだ。そして、その後一週間、ウソをつき続けた」「クルスクの乗員は故意に“埋葬”され、(軍当局は)最終的には多分、ばらす(殺す)ことだけに専念したのだ」などと攻撃した。また、「責任逃れのため、事故原因を外部性のもの」と主張し続けたとしている。
こうした見方を裏付けるように二十一日朝、「クルスク」のハッチを開けることに成功したノルウェーの救助隊は「ロシア側の官僚主義が作業を遅らせた。これは(まだ生存しているかも知れぬ)艦内の乗員には重大問題だった」と、ロシア当局が不自然に作業を遅らせたことを非難した。
軍事筋は「ロシア当局の行動は、まるで、乗員が一人でも生き残ってしまった場合、あとで事故の最高秘密をばらされては絶対困る、といった意図が働き、救出作業が故意に遅らされたとも受け取れかねない不明朗な点が多過ぎる」と指摘している。



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