投稿者 FP親衛隊國家保安本部 日時 2000 年 8 月 22 日 19:37:19:
回答先: 『レッド・オクトーバー』とかにも出てきますが…… 投稿者 一刀斎 日時 2000 年 8 月 22 日 18:55:58:
ロシアの原子力潜水艦「クルスク」の沈没事故は、同国軍の多くの問題を浮き彫りにした。事故がロシアの軍事戦略に与える影響などを防衛庁防衛研究所の三井光夫・主任研究官に聞いた。
(共同=折坂浩史)
―原潜の現在の役割は。
「攻撃型原潜のクルスクは、目の前の敵である北大西洋条約機構(NATO)の空母艦隊や潜水艦を狙うことを基本任務とするほか、巡航ミサイルを搭載しており、米本土に接近し、沿岸部の重要施設を狙うこともできる。さらに核弾頭を装着することも可能で、戦略型も含めた原潜の総数が減少している中では、核戦力の一部にもなりうる。今回の事故で、攻撃型原潜そのものの問題を露呈したほか、広い意味でのロシアの核戦略に少なからず影響があると言える」
―冷戦終結後も米国を狙う潜水艦が必要なのか。
「昨年のコソボ紛争を契機に、ロシアが安全保障のよりどころとしてきた国連の安全保障理事会が機能しなくなったほか、NATOの東方拡大も進むなど、第二次大戦後、ロシアの安全保障上、最も厳しい状況が生まれていると言える。そこで、以前にも増して軍事力、特に核戦力が重要な意味を持ち始めた」
「一方で、ロシアはこれまで以上に米国に対し対等な立場を要求し始め、軍事的な態勢を取る必要があった。今回の大規模な演習も、強いロシアを誇示することが目的の一つにあったが、結果的に弱いロシアを見せるという皮肉な結果になってしまった」
―軍の弱体化が顕著になったということか。
「潜水艦は高性能の小型原子炉、秘匿性を保つための消音性能など最先端技術のすべてを結集しなければならない。ロシアにはそれを建造する技術はある。ロシアには乗組員救助のための潜水艇がないなど、技術水準の低さを指摘する声もあるが、今回の事故で露呈したのは、技術がないのではなく、軍を維持する金がなかったということ。ロシア軍の中でも海軍は置き去りにされ、整備すらできないのが現状。このため、日本海の原潜も稼働しているのは一隻だけとのうわさもある」
―事故によるロシアの対外政策の変化は。
「事故原潜の引き揚げでは外国と協調する以外になく、これまで主張してきた『強いロシア』のトーンは対外的にも低下せざるをえなくなるのではないか」
三井光夫氏 1943年12月香川県生まれ。
防衛大卒。駐ユーゴスラビア防衛駐在官、陸上幕僚監部調査部などを経て、89年防衛庁防衛研究所に。現在、主任研究官兼防衛庁教官。ロシア・旧東欧諸国の安全保障などが専門。