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日刊ゲンダイ6/15
放射性物質を大量保管
財団法人「日本母性文化協会」の正体
首相官邸などに放射性物質「モナザイト」が郵送された事件で、文部省所管の「日本
母性文化協会」という間きなれない財団法人の名前が取りざたされている.理事長
(84)は倉庫に15トンものモナザイトを保有していて科技庁が調査中だが、こん
な物騒なものを抱えていた財団とはいったい何なのか。
謄本によると、財団設立は昭和23年12月。「日本の母性文化の向上を目指し、ひ
いては社会教育の発達に寄与すること」が目的で、「資金総額1億円」となってい
る。だが、ここ20〜30年は活動している形跡がほとんどないから驚きだ。
「登記上の住所は東京都台東区になっていますが、とうの昔に移転しています。数年
前に亡<なった理事長の兄が理事のままです」(事情通)
あきれることに、文部省のの所轄課も今現在、実在する事務所の場所は把握しておら
ず、連絡は理事長宅に入れているという。「この何十年、事業計画も活動報告、理事
の改変など、提出書類はありません。自主解散を促していますが、思い出したように
数年に一度、機関紙を発行したりするから、強制的に解散させるわけにもいかず困っ
ています」(文部省担当者)
なんともノンビリした話ではないか。
最新の機関紙は95年の発行。発行元は埼玉県与野市とあるが、そこに事務所もない
し、電話番号も無関係の個人宅に変わっている。
「ちょくちょくその財団あてに電話がかかってきます。理事長にお金を持ち逃げされ
て、行方を捜していると訴えていた人もいました」(新しい電話番号の主)
その機関紙のー面に元文部大臣の坂田道太氏が寄稿している。だが、「古い知り合い
ですが、忘れたころにフラッと来ではお酒を飲んで帰られます。どんな人か主人もよ
く知らんと言ってました」(坂田夫人)。
文部省所管の財団法人は1800余りあり、「解散を促すほど実体のない財団はここ
だけ」というが、財団法人の肩書や信用力はどう悪用されるか分からない。実態も把
握できない財団を放置してきた文部省の責任も間われて当然だ。