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■オウム新法原案 完全撤退までは…
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各自治体、期待と不安
「少しは安心できる」「オウムが解散するまではやはり不安」−。対象と
なる団体施設への立ち入り検査や報告義務を課した「観察処分」と施設の取
得・使用禁止などの規制を実施する「再発防止処分」を盛り込んだオウム新
法の原案が、二十七日示されたが、オウムの進出に頭を抱える自治体では期
待と実効性を疑問視する声が交錯した。 麻原彰晃被告(四四)=本名・松本
智津夫=の子供や信者十八人が住民登録している茨城県旭村。同村オウム対
策協議会の畠英寿会長は、「破防法が適用されなかっただけに一日も早い法
制化を望む。彼らにも人権はあるが、いまだに地下鉄サリン事件など一連の
凶悪事件の反省はみられず、住民は不安でいっぱいだ」と教団活動の制限に
期待を寄せる。 全国自治体に先駆け四月、教団信者の転入届不受理を決め
た同県三和町のオウム真理教対策協議会の舟本巌雄理事(六五)は「もっと早
く法を制定し、こうなる前にオウムの動きを止めてほしかった。完全撤退す
るまで安心はできない」と話した。 栃木県大田原市では今年六月から信者
たちが、民宿だった場所で生活を始めた。二十四時間の監視活動を続けてい
る住民の一人は「警察が中に入って調査をすれば、信者も危険なことはしな
いだろうから安心感は増す」と効果に期待するが、根本的な解決に直結する
かについては懐疑的な声が強い。同市佐久山地区で対策協議会会長を務める
柴田昌夫さん(六八)は、「期待はしているが、オウムの解散にまでもって
いってもらわなければ困る」と話す。 オウム信者の転入届不受理を決めて
いる長野県松本市は市役所内にオウム真理教対策庁内連絡会議を設置。会長
を務める松村好雄助役は「松本市はサリン被害を受けた所。その立場からす
れば、新法でオウムの活動が規制されることは大変ありがたい」と話す。
教団の中枢施設進出を阻止しようと住民が二十四時間態勢で監視活動を続け
ている東京都豊島区。ある町会役員は「最近は信者が衣装ケースなどを運び
出す光景が多く、立ち入り調査で施設の使用禁止にまで踏み込めるのかどう
か…」と不安が半ばといった表情。 中枢施設は退去したものの、依然とし
て区内に拠点施設を抱える鈴木恒年・足立区長は、「自治体としての限界を
感じていたところで、制定が決まるとなれば待ち望んでいたので大変喜ばし
い。適切な執行を望みたい」とコメントした。