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回答先: ■オウム新法原案 完全撤退までは… 投稿者 明星 日時 1999 年 10 月 28 日 18:26:48:
99.10.28
■「オウム新法」活動封じの実効性は「?」
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強制力弱い「観察処分」/「再発防止」 施設の定義不明確
曲折を経た「オウム新法」は二十七日、ようやく原案の全文が確定し、臨
時国会での成立が濃厚となった。新法策定の背景には、今年になってオウム
側と地域住民のトラブルが多発してきたことがあるが、新法でオウムの動き
を封じ込めることができるのか。なぜ破壊活動防止法の適用や改正ができな
かったのか。「オウム新法」の具体的内容と問題点を探った。《新法の仕組
みは?》 団体規制法案はオウムの活動内容をチェックする「観察処分」と
活動に制限を加える「再発防止処分」の二段構えでオウム真理教の動きを抑
えようというものだ。 「観察処分」は、「三年」を限度に行うが、まず
(1)役員の氏名、住所、役職名(2)信者の氏名、住所(3)施設の住所、規模、
用途(4)資産・負債状況−などを三カ月ごとに報告させる。さらに、もっと
詳しく活動状況を明らかにしたい場合には公安調査庁と警察当局による施設
への立ち入り検査を認めることにしているが、強制力は弱い。 「再発防止
処分」は、その観察処分を妨害されて当局が教団の動向を把握できない場合
や爆発物、毒物や銃器を保有しようとした場合などに「六カ月」を限度に適
用されるもので、処分内容は格段に厳しい。 例えば土地、施設の新規取得
が禁じられるほか、現有施設の使用や教団への加入強要も禁止。さらに松本
サリン事件、地下鉄サリン事件当時の幹部に対しては施設内での活動も禁止
される。 ただ、再発防止処分の中に、信者に対してオウムの施設や土地の
使用を禁止できることとしているが、施設の定義が明確にされていない。た
とえば、「専ら居住の用に供しているもの」は除くとされているが、複数の
信者が生活しているアパートの一室や居住空間として使用している道場の一
部など、該当部分の範囲は定かでない。このため、このような「除外事項」
が信者の立ち退き拒否の口実に使われる可能性があり、周辺住民とのトラブ
ルが消えるとはいえない根拠になっている。自治体が違法ともいえる行為で
やってきたオウム信者への転入拒否や子供への就学拒否についても解決策が
ない。 このためオウム施設を抱える周辺住民や自治体からは早くも「これ
でオウムとの対決が終わるとは思えない」(地元自治体関係者)との実効性に
疑問をもつ声もあがっている。《なぜ破防法改正ではなかったのか》 「自
自連立」政権の発足直後、政府・与党は、再び活動を活発化させたオウム真
理教対策の切り札として「破壊活動防止法の改正」を想定、所管の法務省と
公安調査庁は水面下で法改正作業に着手、単一の団体を対象とした新法制定
は「少し無理がある」(公安庁筋)と漏らしていた。 そういった中、「自自
公」体制が構築されていく過程で風向きが変わっていった。創価学会を大き
な支持基盤とする公明党が、オウム真理教以外の宗教団体にも適用のおそれ
があると難色を示すのではないかとの観測があったことから野中広務官房長
官(当時)が動いたのだ。 野中氏は記者会見などで、「破防法は白黒(解散
の是非)をつけるのが目的の法律なので、それ以外の灰色の規定を設けるの
はなじまない」と、「オウム新法」で対処する方針を打ち上げた。これに対
しオウム真理教への破防法適用を視野に入れていた自由党は「破防法の特別
法として、適用対象をオウムに限定しない法律にしてほしい」(藤井裕久幹
事長)と要望、法務省も巻き込んで駆け引きが続いた。 結局、野中氏主導
の形でオウム対策は破防法改正ではなく、対象を限った「新法」とし、「現
行法との整合性がつきにくい」(自民党筋)被害者救済のための破産特別措置
法案は議員立法とすることで決着がついた。 しかし、与党内からは依然と
して「法理論的には破防法適用か改正が最善だった」(自由党ベテラン議員)
との声も根強い。
99.10.28
http://www.sankei.co.jp/より