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回答先: 外国からの危険なものを水際で防止するはずの検疫とは? 投稿者 ★阿修羅♪ 日時 1999 年 8 月 02 日 16:41:39:
C食品の輸入手続き
食材となるものは、食品として供されるものは、動
物、植物の検疫に合格してはじめて、食品衛生法に基づ
く検査を受けなければ、輸入できません。
輸入者が「食品等輸入届書」を厚生省の輸入食品監視
窓口に提出しますと、食品衛生監視員は、届書(とどけ
しょ)に記載された食品名、製造方法、使用食品添加物
等を審査し、食品衛生法違反のおそれがなければ受理
(許可のこと)します。そこで輸入者は、通関手続きを
して引き取ります。
食品衛生法違反のおそれがあるものには、現場(げん
ば)検査、見本検査、室内検査のいづれかの命令がでま
す。室内検査は、分析や培養による検査ですが、検査
は、行政検査(検疫所〜国立衛生試験所)と指定検査機
関検査(民間の検査機関を厚生省が指定するもので、委
任検査とも呼ばれる)にわかれます。
82年4月に新「検査指針」が出され、@継続して輸
入されるものは検査を免除する(1回目の検査成績を2
回目からの輸入に活用する)。A輸出国の検査機関の
データを受け入れる。B生鮮食品は、貨物が到着する前
に届書を受け付ける(後に全貨物に拡大)。C特定品目
について手続きを簡素化・迅速化する……などとなりま
した。
さらに、95年の食品衛生法の改定で検査制度も変わ
り、違反の確率が高い食品でも、輸出国の検査データ
か、指定検査機関の検査データがあれば検査が省略され
ます。ただし、届出件数の約二%を抽出検査します。こ
れをモニタリング検査といっていますが、品物はそのま
ま市場に流通します。
モニタリング検査でもし違反が発見された場合、現物
はもうお腹の中ということになります。それでは危険で
はないのか、厚生省の担当者に聞くと、「そういう食品
衛生法違反の恐れのあるものは初めからモニタリング検
査にしないし、もし違反したら次回からサーベイランス
検査にして、検査で合格するまで止める」ということで
した。
サーベイランス検査とは、輸出国の検査データか、指
定検査機関の検査データがないもので、室内検査分析に
回されます。
●少ない検査
94年度の輸入食品の検査率は全体で13.8%で
す。国による行政検査(検疫所〜国立衛生試験所)はわ
ずか5%で、それも主に官能検査がおこなわれていま
す。官能検査というのは、視覚や臭覚など五官で異常の
有無を調べる検査ですが、輸入食品では添加物や農薬な
ど、目や鼻ではわからないものが問題なのです。
「民間検査」といわれる指定検査機関による検査が
7.7%で、残留農薬や抗生物質など分析機器による精
密分析が必要なものは、ほとんどここでおこないます
(この場合、サンプルの採取は輸入者)。厚生省が認め
た外国にある公的検査機関によるものが2.2%ありま
す。
消費者としては全部検査してほしいのですが、年間3
000万トンを超える食品などが輸入され、100万件
ほどの届け出があり、それを260人あまりの食品衛生
監視員で処理するという現状では、とうてい不可能でし
ょう。
ではどれくらい検査すれば、安全性が確保できるので
しょうか。73年に厚生省の担当者が試算したところで
は、「少なくとも輸入件数の15%から20%」は必要
だとされています。単純な比較はできませんが、いまの
検査率が不十分なことは明白です。
ところが厚生省は、前にもふれたように、従来の原則
としての全量検査を、「(厚生大臣が)必要と認めた場
合」に検査を限定し、原則自由に緩和してしまいまし
た。この原則の転換の根拠として、厚生省の担当者は、
「輸入食品については、水際での検疫所の食品衛生監視
員だけが責任を負って業務を遂行しているのではなく、
背後に都道府県7000名の食品衛生監視員が控えてい
る」から大丈夫、と説明しています。しかし、その国内
のチェック体制もまた、行革の進行で、輸入食品のチェ
ックを補完する余力など、ないのが現状です。(合同出
版 「これでわかる食の安全読本」から)