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回答先: 食品の輸入手続きは、思っているほど安全だろうか???? 投稿者 ★阿修羅♪ 日時 1999 年 8 月 02 日 16:46:36:
国内のチェック体制は (森 俊隆)
●キーパソンは食品衛生監視員
では、国内の安全チェックはどうなっているのでしょう?
前にも触れましたが、食品衛生法では
@食品、添加物、器具、容器包装、表示、営業の基準を設け、
A検査でその適否をチェックし、
B不適合の場合は罰則を適用しますが、なかでも、Aの
チェックを日常的に行っている食品衛生監視員は、国民
の食生活の安全を保つために非常に重要な役割を担って
います。
現在、@輸入時には国(厚生省)の食品衛生監視員2
64人が、A国内では自治体(都道府県、政令市(大都
市))の食品衛生監視員約7000人(兼務を含む)
が、それぞれ食品をチェックしています。
自治体の食品衛生監視員は、加工処理(食品工業)−
>販売(卸売市場、小売業)−>調理(飲食店、仕出し
屋、弁当屋)など食品流通の全過程の営業施設に立ち入
って、基準通りにおこなわれているかどうかを監視し、
必要なときには食品を無償で持ち帰り検査をします。
この食品検査は自治体の検査機関で実施し、たとえば
添加物の使用基準違反があった場合は、その食品を回収
して廃棄処分にし、製造者には営業停止などの処分がお
こなわれます。食品衛生監視員は、自治体では主に保健
所に配置され、消費者教育や苦情処理にも携わっていま
す。
●進む行革
近年、食品関連産業は目覚ましく成長し、食品衛生検
査の対象施設も激増しています。当然、食品衛生監視員
の大幅増員と質的向上が必要となっていますが、「地方
行革」によって人員確保を抑えているため監視体制は逆
に低下し、行政による食品衛生管理の事態は悪化の一途
をたどっています。
食品衛生監視員による検査頻度は、法定監視率という
規定があります。この法定監視率というのは、監視指導
する施設の数と、法律で決まっている監視回数の割合を
表わしたものですが、監視率の現状は20%前後という
低さで、法律で決まっている5分の1しか実行できない
人員しか配置されていません。
また、検査の質的な面では、食品衛生監視員による監
視対象が45業種と広範多岐のうえ、近年、食品加工技
術が高度化し、複雑な製造過程をもつ大規模な食品工場
が出現し、加えて流通の広域化など、広範かつ専門的知
識を持つ高度な監視技術が求められています。それにも
かかわらず、これらの変化の対応した研修などはほとん
どおこなわれていない現状で、綿密な監視指導もでき
ず、大規模な食品工場では業者の話を聞くだけという状
態になっています。
もっとも「行革」が進んでいると言われる大阪市を例
にとれば、これまで、食品衛生監視員と環境衛生監視員
(旅館等環境衛生六法、水道法、公書関係五法、ビル管
理法、ねずみ・衛生害虫対策等に基づく、環境監視に従
事する監視員)は、それぞれ別々の業務をおこなってい
ましたが、88年に1人で両方の業務をおこなわせるよ
う、環境監視と食品衛生業務の一元化が強行されまし
た。この結果、大阪市の保健所に配属されていた両監視
員139名は123名に削減されました。これは厚生省
の「食品衛生監視員の専任化」の方針にも反するもので
あり、全国的にも大阪市でしかおこなっていない、食品
衛生行政の後退です。
96年の食品衛生法が改定では、食品衛生監視員の民
間委託に道を開くともいうべき食品衛生推進員制度の導
入がなされました。また95年に制定された地域保健法
によって、保健所が大幅に減らされ、住民から一段と遠
い存在になろうとしています。
食品衛生行政は本来消費者保護のためのもので、消費
者対策は無論のこと営業対策も地域密着難ですすめてこ
そ、その内容を真に高めることができます。最近の状況
をみるにつけ、食の安全チェックがますます空洞化する
のではないかと危惧を禁じ得ません。(合同出版 「こ
れでわかる食の安全読本」から)