外国からの危険なものを水際で防止するはずの検疫とは?


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投稿者 ★阿修羅♪ 日時 1999 年 8 月 02 日 16:41:39:

 では、ここで検疫の仕組みをみてみましょう。検疫に
は、@人についての検疫、A動物検疫、B植物検疫、C
食品検疫の四つがあります。

 @人についての検疫
 人についての検疫は、海外からコレラやペスト、黄熱
病などの伝染病を国内に持ち込まないように、検疫法で
対策を立てています。以前は、到着した船や飛行機に検
疫官が乗り込み、直接確かめていました。また、空港周
辺の蚊を採取したり、港周辺でネズミをつかまえて、伝
染病の病原菌をもっていないかを調べていました。

 最近は、入国する人や、外国航路の船、離発着の航空
機が激増し、とても対応できなくなりました。それで、
船舶は航行中に無線連絡で、発病の有無を確認すること
で検疫を済ませ、入国者については、質問票に記入する
だけの自己申告で済ますという簡単なものになってしま
いました。

 A動物検疫
 動物検疫は、国内の家畜を伝染病から守る目的で、家
畜伝染予防法によっておこなわれます。主に牛疫(ギュ
ウエキ)や口蹄疫(コウテイエキ)、豚コレラなどが対
象になります。これらの外国の伝染病が侵入すると、わ
が国の家畜は甚大な被害を受けます。

 家畜伝染予防法に基づいて、動物検疫がされますが、
まず、相手国の検疫証明書がなければ、輸入(検疫)手
続きはできません。しかし、それでもカナダからスクレ
イピーにかかった羊が輸入されたこともありました。狂
牛病の原因でもあり、関係者は憂慮しました。

 この動物検疫は、あくまでも国内の家畜を守るためで
あって、食品の安全確保が目的ではありませんから、O
157のように、牛に由来する病原菌であっても、それ
は検査対象になりません。

B植物検疫
 植物検疫は、海外の病害虫から農産物を守る目的で、
植物防疫法によっておこなわれます。植物にたとえば地
中海ミバエやウリミバエ、コドリンガなどの指定病害虫
が一匹でモ発見されれば、輸入禁止措置をとります。そ
の他の病害虫がいると、青酸ガスや臭化メチルなどで消
毒を受け、輸入が許可されます。

 くん蒸は国内の農産物を守るのが目的ですから、青酸
ガス、臭化メチル、リン化アルミニウムなど強力なもの
が使用されます。臭化メチルのように浸透性、残留性の
強い薬剤を果物や野菜などの食品に使用することは問題
があります。

 注意が必要なのは、動物検疫も植物検疫も、国内の動
物や植物を伝染病や病害虫から守る目的でおこなわれて
いるもので、人への安全のために検疫がおこなわれてい
るのではないという点です。たとえば毒グモは、人体に
害を与えますが、伝染病を媒介したり、動植物に被害を
もたらす害虫ではないので、検疫の対象になっていませ
ん。これを検疫で阻止するには、有害虫に指定する必要
がありますし、海上コンテナなどの輸送容器の洗浄、消
毒などが必要になりますが、食料だけでも年間3000
万トン以上を輸入に頼っている現状からして、容易なこ
とではありません。

 それが今、外国からの圧力で完璧なチェックより通関
時間の短縮が至上命令になっています。1996年に
は、植物検疫法が改定されました。大きく改定された点
は、「非検疫有害植物」として30種類の害虫、六種類
の害菌を指定して、これらについては、もし水際で発見
しても、消毒や選別をしないことになりました。この改
定で、コクゾウムシやバクガ(麦蛾)がフリーパスにな
りましたから、コメや麦の輸入検疫業務が大幅に緩和さ
れることになります。
 人の検疫も、動植物の検疫も、私たち国民の安全と健
康にとって、大事な防波堤です。いわゆる安全行政の
「規制緩和」はすべきでありません。




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