投稿者 weeklypost.com/010126 日時 2001 年 1 月 16 日 12:34:53:
<TWP特報・忠誠心なき外交 外務官僚たちの機密費私的流用>
(1)「河野外相辞任」と引きかえに機密費の聖域を
守る
問題の外務省室長と
は、省内で“ミスター
サミット”と呼ばれる
大臣官房総務課機能強
化対策室の松尾克俊
(まつお かつとし)
室長である。
松尾氏は昨年7月の
九州・沖縄サミット準
備事務局次長だった
が、それ以前は93年
から6年間にわたって
要人外国訪問支援室長
を務めた。
今年元日付けの読売
新聞は1面で松尾氏を
実名ではなく、≪大臣
官房幹部≫として、こ
の幹部の口座に1億5000万円がプールされてお
り、警視庁捜査二課が外交機密費の一部が流用されて
いる疑いがあると捜査を開始したと報じた。
その後、松尾氏には競走馬13頭を買ったことや、
東京都文京区小石川に8000万円の高級マンション
を購入したことなど、潤沢な資金に恵まれていると思
わせる事実が次々に明らかになった。
一連の報道に対し、外務省は1月4日に阿部知之官
房長の下に調査チームを発足させて内部調査を開始し
た。
省内の緊張を中枢幹部のひとりがこう明かす。
「松尾の個人口座にプールされた資金は、松尾一人で
使っていたわけではない。外交上の秘密を守るために
は金の出所を隠さなければならない場合がある。だか
ら、機密費を管理する官房総務課の裁量で会計課から
いったん松尾の個人口座に移し、マネーロンダリング
したうえで必要に応じて使う仕組みがあった。そのこ
とが発覚すると外務省全体の問題に発展してしまう」
この見方を借りれば、松尾氏の蓄財は外務省自体が
組織的にプールした≪裏金≫であり、松尾氏はただで
さえ不透明な機密費を完全に使途自由な裏金にするた
めのマネーロンダリングという重要な役割を担ってい
たことになる。さらにこう続けた。
「そうした金は外交上の様々な工作資金にも使われる
し、どうせ使途自由なのだから、幹部たちの遊興費に
もあてられてきた。警視庁の捜査がその部分に及ぶこ
とはなんとしても避けなければならない。機密費で競
走馬を買うのはやりすぎだが、警視庁は松尾が個人的
に使った金の一部はつかめても、口座資金全体は外交
機密の壁にはばまれるはずだし、松尾が守秘義務を楯
に使途を明らかにしない場合、立件は難しい」
要は、外務省の内部調査とは、松尾氏が何をしたか
ではなく、機密費の聖域に踏み込まれることを阻止す
るために、松尾氏個人の私的流用問題として処理する
ための口裏合わせをしているということではないの
か。
すでにこの問題では民主党が疑惑解明プロジェクト
チームを発足させる方針を決めているが、外務省首脳
部は国会で追及されて政治問題化する事態を想定し、
その場合でも松尾氏個人の脱税事件として処理し、そ
のうえで最悪でも河野外相の引責辞任によって幕を引
き、機密費の聖域には指一本触れさせないという二重
三重の対策を練りあげ、ひそかに官邸への根回しを進
めている――。