3. 中川隆[-14005] koaQ7Jey 2020年2月06日 13:11:28 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-674]
モーツァルト(クラヴィーア曲、声楽)
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88%28%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%A2%E6%9B%B2%E3%80%81%E5%A3%B0%E6%A5%BD%29
クラヴィーア曲
ピアノソナタ
モーツァルトのピアノソナタは愛らしく可愛らしい曲が多い。単旋律を歌わせることに長けているモーツァルトに向いている分野である。現代ピアノの機能の一部しか使わずスケール感やピアニスティックな楽しみには少々欠けるものの、良作揃いで楽しめる。素直でシンプルな初期や中期の良く、後期の作品は考えすぎの感がありイマイチである。
•ピアノソナタ第1番 ハ長調 K.279(189d)◦3.5点
どの楽章もオーソドックスな構成や内容で、モーツァルトのソナタの魅力を端的に味わうことが出来る。
•ピアノソナタ第2番 ヘ長調 K.280(189e)◦3.5点
1、3楽章は1番の方が良いが、2番は二楽章の短調のアダージョの魅力が素晴らしいのでトータルでは同じくらいよい。
•ピアノソナタ第3番 変ロ長調 K.281(189f)◦3.5点
各楽章いい。コロコロとした曲であり、最終楽章らしい感情に満ちた三楽章は特に魅力的。
•ピアノソナタ第4番 変ホ長調 K.282(189g)◦3.5点
いきなりアダージョで始まり、その魅力がかなりのもの。他の楽章は並。
•ピアノソナタ第5番 ト長調 K.283(189h)◦3.0点
イントロは耳を捉える魅力があるが、それ以降は詩的な魅力において1から4番までより少し下がると思う。
•ピアノソナタ第6番 ニ長調 K.284(205b)◦2.5点
最後の長い変奏曲は聞くのが大変。それ以外も発想の素晴らしさがあまりない。
•ピアノソナタ第7番 ハ長調 K.309(284b)◦3.5点
オーケストラのようにユニゾンで鳴らすイントロが耳に残る。各楽章が6番までより華やかでどの楽章も魅力がある。
•ピアノソナタ第8番 イ短調 K.310(300d)◦3.5点
初の短調ピアノソナタ。1楽章と3楽章の悲しみが疾走する感じが良い。
•ピアノソナタ第9番 ニ長調 K.311(284c)◦3.5点
1楽章がかなり魅力的。2,3楽章はいまいち。
•ピアノソナタ第10番 ハ長調 K.330(300h)◦3.5点
全部の楽章が魅力的。16番同様にハ長調をやさしく柔らかく詩的に非常に魅力的に鳴らしている。
•ピアノソナタ第11番 イ長調 K.331(300i) 『トルコ行進曲付き』◦3.5点
一楽章が主題や前半部分は魅力的だが、長い変奏曲なので後半は次の曲にいきたくなる。二楽章は並。三楽章の有名なトルコ行進曲は素晴らしいの一言。
•ピアノソナタ第12番 ヘ長調 K.332(300k)◦3.5点
一楽章は内容充実。二楽章は伴奏に乗って歌うような曲。三楽章は技巧的フレーズなど工夫あり。短調を活用したり作者の意気込みを感じる。
•ピアノソナタ第13番 変ロ長調 K.333(315c)◦3.5点
全編がしなやかな瑞々しい美しさにあふれた曲。三楽章にカデンツァがあるのは面白い。
•ピアノソナタ第14番 ハ短調 K.457◦3.5点
二曲目の短調曲。同じハ短調の協奏曲を思い出す。イントロはベートーヴェンのようだ。二楽章の穏やかさによる対比はモーツァルトの得意技の一つだがやはり素敵。三楽章の性急さを持った悲しみの表現も素敵。で少し理屈っぽい。慣れが必要な曲だが良さが理解できると感動的。
•ピアノソナタ第15番 ヘ長調 K.533/494(旧全集では第18番)◦3.0点
大作というより長すぎの曲だと思う。モーツァルトのピアノソナタは若いときの発想の瑞々しさがだんだん無くなってそれを技術でカバーされてクオリティーを維持している印象があるのだが、この曲でいよいよ発想の衰えが顕著になって隠しきれなくなった感じがする。
•ピアノソナタ第16番 ハ長調 K.545(旧全集では第15番)◦4.0点
初心者向けとして有名だし、一般的な観賞用にもトルコ行進曲を除いてもっとも有名な曲。シンプルでコンパクトな中に巧みな作曲技術を生かした絶妙なバランスがあり、他人には真似出来ない不思議なほど耳を捉えて離さない美しさ。
•ピアノソナタ第17番 変ロ長調 K.570(旧全集では第16番)◦1.5点
モーツァルトのピアノソナタの中でダントツの駄作。冗長で内容も薄い。
•ピアノソナタ第18番 ニ長調 K.576(旧全集では第17番)◦2.0点
一楽章や三楽章のテクニカルさが楽しむポイントと思うが、発想力の豊さも美しさも足りないと感じる。
4手および2台のピアノのためのソナタ
•四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.19d◦2.0点
9歳の作品。まだお子様の作品で、独奏のソナタでも構わないような単純な部分が大半である。しかしモーツァルトの旋律の癖や優美さなどのセンスが現れ始めているのが興味深い。
-四手のためのピアノソナタ ト長調 K.357(497a)
•四手のためのピアノソナタ 変ロ長調 K.358(186c)◦2.8点
音感の良さでは悪くはないのだが、冴えている霊感を感じる瞬間がほとんどない地味な曲。4手ピアノの音の厚さもあまり生かせていない。
•四手のためのピアノソナタ ニ長調 K.381(123a)◦3.3点
序曲風の豪華さがある1楽章。モーツァルトらしい穏やかな優美さを発揮しいる2楽章。オペラのような活力のある3楽章。いずれも管弦楽的で編曲のようであり、華やかさで耳を楽しませてくれる愉しい曲。
•四手のためのピアノソナタ ヘ長調 K.497◦3.3点
モーツァルトにしては、かっちりとした印象。規模が大きくて、堂々としていて、あまり優美さや愛らしさは感じない。2手用ピアノソナタとも協奏曲などの別ジャンルとも違うし、2人が活発に絡むのとも違う、独特のこの曲だけの音世界の美しさを作っている。若い新鮮さやメロディーの魅力が足りない点は物足りない。
•四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.521◦2.8点
若いときの愛らしい曲調を取り戻している。しかし、音が薄くて4手で演奏する価値が低く、2手でいいのでは?と思ってしまう。メロディーも発想の瑞々しさに乏しい。愛らしいだけで面白くない曲になってしまっている。
•2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448(375a)◦3.3点
冒頭が非常に印象的。オペラが開幕するような威勢のよい音楽。1楽章はそのまま元気に管弦楽的な豊かさを見せる。2楽章は優美で管弦楽的なまったりした豊かさがある。3楽章は少し印象が薄いが、悪くない。
その他のピアノ曲
•アレグロ ト短調 K.312◦2.5点
普通のアレグロ曲。特段感動しなかった。ひどい曲というほどではないが。
•メヌエット K.355
モーツァルトにしては異様な不協和音に近い響きや半音階的進行を使った部分に驚かされる。しかし、全体に美しさが感じられず、あまり価値が高い曲とは思えない。
•プレリュードとフーガ◦2.5点
モーツァルト本人のスタイルによる作品というより模倣による習作であるのは明らか。プレリュードといっても普通の曲ではなく、自由な疾風怒濤の激しい幻想曲である。CPEバッハとJSバッハの作品を真似したものとはっきり分かる。フーガは感心するほどの出来ではなかった。
•カプリッチョ K.395◦2.5点
モーツァルトとは思えないヴィルトゥオーゾ的な即興的パッセージで埋め尽くされた曲。違うCDと間違えたかと思うほど異色の作品で驚いた。たいした曲ではない。
•組曲 K.399◦3.0点
ヘンデルの組曲の影響を受けた曲。バロック音楽色がかなり強い、異色の曲。アルマンドが素敵だし、他の曲も頑張っている。
•アレグロ K.400◦3.0点
未完の曲。活発なソナタ形式のアレグロ。将来ソナタにする予定だったため、きっちりとした形式感があるし、かなり華やかな派手さがあるため楽しめる。
•フーガ ト短調 K.401◦2.8点
バロック風のフーガであり、未完成である。まだ若い時の作品であり、昔の作品を真似しながら書いたように感じた。
•行進曲 K.408◦3.5点
かなり楽しめる行進曲。規模が大きくて勇壮で、心踊るような元気な楽しさに満ちていて、かなり魅力的。行進曲を書いても一流であることに感服した。管弦楽曲の編曲。
•2台のピアノのためのフーガ ハ短調 K.426◦3.0点
成熟した内容である。大バッハのフーガにテーマも展開も非常に似ており、伝記に登場するようなモーツァルトのバッハ体験の強烈さを体感できる曲の一つ。
•小さな葬送行進曲 K.453a◦3.0点
ごく小さな曲であるが、内容はしっかりしており、小品として良い曲である。葬送曲らしさを楽しめる。
•主題と2つの変奏曲 K.460◦3.0点
愉しいテーマと細かく音を分断して派手にする変奏曲。自筆譜に2つの変奏しか無いそうだ。おかげで短くて聞きやすい小品になっている。
•アンダンテと5つの変奏曲 ト長調 K.501 (四手のための)
•幻想曲 ハ短調 K.475◦3.8点
ハ短調の曲らしく悲劇的で堅い印象。内向的な作品で形式にとらわれない自由なドラマ構築がされている。かなり暗い曲であり、モーツァルトの内に秘めていた熱いものをさらけ出している。堅さはあるものの、悲しみを乗り越えて現実を受け入れるかのようなメロディーは胸をうつ。ドラマティックな場面展開はかなり優れていて、ソナタには無い自由さと長大さを正しく使いこなして、曲を成功させている。
•幻想曲 ニ短調 K.397◦4.0点
短調の曲における悲劇と悪魔的な雰囲気を最も感じさせるクラヴィーア曲。むしろやり過ぎで、あからさま過ぎなのが気になる。とはいえ、素直に音楽の流れに乗れれば感動できるし、印象的な場面ばかりなのは確か。同じ二短調のピアノ協奏曲と共通点がある。
•ロンド ニ長調 K.485◦3.5点
愛らしい主題によるロンド。成熟した音楽であり、転調を繰り返しながら、場面展開を繰り返す。ピアノソナタの大半の楽章以上に複雑で充実した作品である。
•ロンド イ短調 K.511◦3.5点
晩年の諦観の香りがする曲。どこもなく人恋しく寂しい感じのする主題が胸をうつ。書法に他の作品とどこか違う簡素さがあり、モーツァルトのクラヴィーア曲の中で特殊な曲という印象を与える。
•小葬送行進曲 ハ短調 K.453a
•アダージョ ロ短調 K.540◦3.5点
悲しい人生経験を衝動的に表現したくなって書いた事が容易に想像出来る曲。モーツァルトらしい悪魔的な表現、内面的なドラマティックさの塊のような曲であり、切々とした寂しさや悲しみに強く胸を打たれる。これだけ端的にこのような表現をされた曲は珍しい。10分の大作だが、聞き入っているうちにあっという間に終わる。とはいえ、時間をかけて何か特別な用意をした感じの曲ではないので、点数は抑え目にした。
•小さなジーグ K.574◦2.5点
2分以下の小さな曲。ソナタでは聴かれない特殊な軽快で活発な音楽という点で、モーツァルトの新しい面を聴ける。スケルツォのようでもある。ただ、良い曲という印象はない。
•2台のピアノのためのラルゲットとアレグロ変ホ長調◦2.8点
2台ピアノの書法に成熟感があり楽しめるだが、メロディーにあまり魅力がないため、全体としてはいまいちな作品である。
声楽作品
ミサ曲
•戴冠ミサ ハ長調 K.317◦3.3点
華やかで豪華な印象の強い曲。しかし、あまり目立つ良さがない。モーツァルトの良さが十分に生きていないというか、ミサ曲に馴染んでいないと感じる場面が多いのと、メロディーにこれはという感動がない。職人的に書かれた機械音楽の趣が強いと感じる。とはいえ舞台音楽の名手らしい躍動感で音の輝きをみせるし、華やかな聴き栄えの良さはなかなかである。
•大ミサ曲 ハ短調 K.427(K6.417a)◦4.5点
このような曲を自主的に書き始めるのは、どのような切羽詰まった心境だったのだろうか?冒頭こそ半音階的でバッハのような堅さが目立つが、すぐに音楽は悲しみにくれた心情を露わに表現する音楽が始まる。ロマン派の誰よりも直接的な感情表現の得意なモーツァルトの独壇場となって、次々とシンプルでありながら見事に心を打つメロディーをみせる。その迫力においてやはり非常に価値のある曲と言えるだろう。レクイエムと比較したくなる曲だが、自身で完成している割合がずっと高い点ではこちらの方が素直に楽しめる。ただし長いため最後の方は飽きてしまうが。
合唱音楽・モテット
•モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618
•カンタータ『悔悟するダヴィデ』K.469
大ミサ曲ハ短調を改作した曲
•レクイエム ニ短調 K.626◦5.0点
映画アマデウスのイメージが強い。心の叫びのような素晴らしく感動的な曲が並んでいる。本人作は全曲良いが、その中でも特に全部本人が書いた1曲目は素晴らしいし、その後も次々と凄まじい曲が続いて圧倒される。ただし、全てが清算される無に返る超越的な事象である死を受け入れるというより、どちらかというと生への執着と劇的な悲しさを感じてしまう。他人が鎮魂するための曲というより、本人が死と格闘する曲であるかのようだ。
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%88%28%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%82%A2%E6%9B%B2%E3%80%81%E5%A3%B0%E6%A5%BD%29
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