日米交渉という国難には与野党を超えて迎え撃つしかない
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2018-10-19 天木直人のブログ
いよいよ来年1月から日米貿易交渉が本格的に始まる。 この交渉は、安倍政権の発表とは裏腹に、サービス分野も含めた事実上の二国間自由貿易交渉だ。 ライトハイザー米通商代表部代表が16日、声明を出してそう宣言した。 おまけに、パーデュー農務長官は農産品関税のさらなる引き下げを求め、ムニューシン財務長官は為替条項の導入の要求を公言した。 そこで思い出すのがトランプ大統領の発言だ。 米国の要求に対し、どれくらい対価を払わなければならないか日本に伝えた途端、安倍首相との良好な関係は終わるだろうと。 これが、まさしく来年の1月から現実のものとなるのだ。 この米国との交渉を、安倍政権の対米従属外交の失敗だと攻めるだけでは何の解決にもならない。 実態を隠す安倍政権をゴマカシだと批判してもはじまらない。 なぜなら、どんな政権であったとしても、トランプ大統領の米国第一の要求は防げなかったに違いないし、誰が首相や閣僚であっても米国の理不尽な要求を止められなかったからだ。 来年1月から始まる日米交渉はまさしく国難である。 国難に対応するには、与野党の違いを超えて挙国一致して対応しなければいけない。 国益を守る事で一致し、そして負担を甘受しなければいけない場合は、皆が等しく負担を分担する。 特定の政党、業界、国民に都合のいい形で交渉が進められてはいけないのである。 メディアは情報公開に徹し、国民が納得するように、日米交渉を監視しなければいけないのである。 国難に対処する要諦は、公平、公正、透明性の徹底である(了) 日米貿易交渉 19年1月にも開始 米政府が議会に通知 https://mainichi.jp/articles/20181017/k00/00e/020/254000c 毎日新聞2018年10月17日 10時58分(最終更新 10月17日 13時21分) 【ワシントン中井正裕】米通商代表部(USTR)は16日、日米間で農産物や工業品などの関税を引き下げる「日米物品貿易協定(TAG)」について、日本との2国間交渉に入ることを米議会に通知した。今回の通知で日米交渉は2019年1月中旬にも始まる見通しとなった。 USTRは議会への書簡で巨額の対日貿易赤字に不満をあらわにしており、交渉では農産品の輸入拡大など日本側に厳しい要求を突きつけるとみられる。 米国では議会が通商交渉の権限を持っており、貿易促進権限(TPA)法に基づいて大統領に交渉権限を委ねている。TPAは政府に通商交渉の開始90日前までに議会に通知するよう義務付けており、この手続きを経て日本との交渉が可能になる。USTRは同日、欧州連合(EU)や英国との貿易交渉の開始についても同様に議会へ通知した。 USTRのライトハイザー代表が米議会代表者に宛てた書簡では、日本との交渉目的を「関税と非関税障壁の問題に取り組み、公平でバランスの取れた貿易を達成する」と説明し、物品の関税に限定せず交渉を行う方針を明記した。 日米両政府は9月26日の日米首脳会談で、2国間交渉入りで合意。日本政府は物品関税交渉を先行させたい考えだが、米国は関税以外の規制や商慣行など「非関税障壁」の解消も交渉目的に挙げており、日米の思惑の違いが改めて鮮明になった。 来年1月にも日米貿易交渉 農産品、為替で攻防へ http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201810/CK2018101802000138.html 2018年10月18日 東京新聞 朝刊 米通商代表部(USTR)は十六日(米東部時間)、日本と貿易協定締結に向けた交渉に入ると議会に通知したと発表した。自動車や農産品、サービス分野で日本の市場開放が不十分だと指摘。物品関税の引き下げに加え、ビジネスを阻む「非関税障壁」の撤廃を求める方針を表明した。来年一月中旬にも正式な交渉が始まる見通しになった。 トランプ米政権はこれまで二国間交渉でカナダやメキシコ、韓国に強い姿勢で譲歩を迫った経緯がある。日本政府は、農産品の関税引き下げは過去に結んだ経済連携協定(EPA)が譲歩の最大限との立場で、九月の日米首脳会談で合意済みだと説明している。農業分野や、米側が求める為替条項の導入を巡って厳しい攻防になりそうだ。 欧州連合(EU)、英国とも、それぞれ交渉入りすると通知した。 日本政府は、今回の交渉は「物品貿易協定(TAG)」を結ぶためのものと説明。米側は一般的にサービスや投資も含める「自由貿易協定(FTA)」(ペンス副大統領)と位置付けている。 USTRのライトハイザー代表は、対日貿易では慢性的な赤字を抱えていると指摘した。 パーデュー農務長官は対日交渉で、日本とEUが署名したEPA以上の農産品関税引き下げを求める考えを示している。ムニューシン財務長官は為替介入といった通貨安誘導を阻止する「為替条項」の導入を要求する意向を表明しており、交渉は難航が必至だ。 通知文書にサービス分野の具体例は記さなかったが、USTRは政府出資の続く日本郵政グループが手掛ける国際郵便サービスの優位性や、かんぽ生命保険の高いシェアなどを巡って競争条件が不公平だと問題視。米国では日本の皆保険・薬価制度への不満も強く、幅広い規制改革を求められる可能性がある。
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