シンゾウを、及び腰握手する国、おだて透かし利用する国、毛嫌いする国
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2018年03月02日 世相を斬る あいば達也
世界中を勝手気ままに訪問し、外貨準備金とは謂えども、おそらく100兆円換算のドルをバラ撒き続けているのが、誰あろう、我国の総理大臣安倍晋三、外国的には“シンゾウ”だ。この100兆円は、国内の一般予算とは異なる金なので、その金額が国内的な感覚で無駄遣いとは言えないが、集票的には、非常に有効だ。簡単な話、経済団体に対するボーナスのようなもので、その100兆円の見かえり的な業務が、日本企業に転げ込む。まぁ体のいい選挙の買収をマネーロンダリングしたものと考えれば、やはり、国民の財産を私物化して、自民党の選挙上における迂回買収行為で、理念的には公職選挙法に違反しているが、スケールが大きすぎて、犯罪的だが犯罪とは認定されないのだろう。
それはさておき、以下のふたつの日経の記事を読んで考えてみた。安倍シンゾウの目指す日本のイメージはハッキリしない。彼の目指す日本のイメージが「日本会議」の連中と同じであれば、日本は“神の国”であり、人間の生物進化論も無視したカルト宗教的発想に至ってしまうのだが、神の国のくせに、嫌に金儲けにご執心なのだが、シンゾウの方向性豊かな政治姿勢は整合性をもって進んでいるのだろうか?個人的には懐疑的なのだが……。
それでいて、シンゾウは、いたく米国におもねるのが大好きで、恥も外聞もなく米国に擦り寄る。大統領がオバマでも、トランプでも、多分、ヒラリー出も同じ。その別なく属国根性を見直すつもりはさらさらない。“属国根性”で“神の国”、この時点で、イデオロギーは破綻している筈だが、意にも介さない。今日も国会で嘘を吐き散らしているのだから、非常に稀有な存在だ。恥を恥とも思わない根性は、立派と言えば立派だが、同国人としては、やはり、恥ずかしい。
しかし、地政学的に我が国を見た場合、アメリカやイスラエル、サウジアラビアなどの国は、中国、インド、或いは太平洋というバリアーがあるわけで、安全保障の観点からも、合理的な親密国家という選択が正しいと主張するには、多くの証明が必要である。しかし、シンゾウは、その説明を放棄している。まぁ野党も、この大きな課題に対しての解決策は見えていないので、追求する器量がないのも事実である。
21世紀をロングランで見た場合、無謀な捻じ曲げがなければ、自然な形で成長するのは、中国、インド、ASEAN諸国ということが出来る。世紀的な流れで、成長するであろうこれらの国々は、地政学的にも隣接地域であり、これらの国々との、単に通商的親密さだけでなく、安全保障や外交的な面でも、親密になるよう努力の方向性を出すことは合理的だ。
しかし、その対象となる、中国、インド、ASEAN諸国との、通商以外の分野では、アメリカ外交の方向をなぞるだけで、独自性などはなきに等しい。EU諸国がアメリカのヘゲモニーに疑問符と対案を出すまでに至っている事実。ユーラシアグループ中心に、アメリカを単なる一国視する傾向が出ている時に、唯一、何のてらいもなく、アメリカのヘゲモニーを妄信している我が国の既得権益層の人々の無責任さは、目を覆いたくなる。
アメリカのヘゲモニーに疑問を持つことは、現在の既得権益層にとって不都合だと云う理由だけで、世界のアホの見本のような方向性で今後を推移させることは愚かだ。隷米という屈辱的だがぬるま湯である、この環境に順応することで、現在の既得権益層は生きてきたのだから、変えたくはない。しかし、それが立ち行かなることも見えている。仮に、それを維持しようとするには、対米の様々な要求を、本来米国政府が担うような費用の多くを、日本が肩代わりする理念のようなものが、安全保障以外の分野にも拡大することも概ね見えている。
無論、これだけの隷米姿勢で70年以上を過ごしたわけだから、一朝一夕に、手の平を返すことは難しいだろう。しかし、ASEANを含むユーラシア大陸勢力と、親密な通商上の関係だけで、ウィンウィンと云う関係は、長続きさせるのはご都合主義に過ぎず、破綻が見えている。やはり、充分な国家間の公式な共通認識を持てる努力を、今からでも、目に見えるかたちで推進すべきだ。国民に理解しやすいかたちは、やはり、目に見えるかたちでの、それら国々との関係構築だ。
しかし、残念ながら、シンゾウの世界は、隷米主義の継続に夢中のように見せておく必然性と、その間に、日本を国家主義的な国化すると云う野望に燃えている。そして、その国家観は歴史修正過ぎに満ちており、皇国史観に則っており、世界の中心に日本があるという、なんだか良く判らない、マスターベーションのようなイデオロギーを振りかざし、最終的には他国とのいがみ合いを起こすことは、想像に難くない。EU,中国、ロシア、アメリカに行って、講演会を開き、記者クラブのない、各国メディアの厳しい質問に回答できるだけの説得力がない以上、井の中の蛙の強がりに過ぎない。国内だけで通用するイデオロギーというのは、製造輸出業で儲けようと企てる国としては、あまりの自己矛盾で、こちらの頭が破裂しそうなシンゾウ勢力の政治だ。無論、シンゾウさんには、毎日自己矛盾発言で驚愕させられている。
≪ 対中国、共闘探る モディ印首相 シンゾウとの距離・準同盟(中)
首相の孫として政治家一家に生まれた安倍晋三(63)と、インド西部グジャラート州の貧しい家庭生まれのナレンドラ・モディ(67)。2人の首相の生い立ちはまるで異なる。半面「アベノミクス」「モディノミクス」などキーワードを掲げて求心力を高める政治手法は似る。安倍にとってモディは自身と同じように戦略的外交を好むとあって話の合う外国首脳の一人だ。
「2国間関係も大事だが、視野を地域に広げて率直に話し合いたい」。2017年9月、モディの出身地グジャラート州で開いた夕食会。安倍とモディはテーブルに世界地図を広げた。
安倍は自身が掲げる「自由で開かれたインド太平洋戦略」を説明。モディも東アジアとの連携を重視する「アクト・イースト」構想を語り、互いの外交戦略の親和性を確かめた。
夕食会に先立つ現地での歓迎パレードで「事件」があった。モディが安倍に乗るよう促したのはインド側が用意したオープンカー。安倍は事前に警護官から「インド側からオープンカーに乗ることを打診されたが狙撃の恐れなどがあるので断った」と聞いていた。
安倍の目の前にはオープンカーしかなかった。「もう乗るしかない。モディのメンツのためだ」。自ら警護官を説得して乗り込んだ。9キロのパレードは無事に終わった。
安倍とモディの初対面は10年前の07年4月にさかのぼる。当時まだグジャラート州首相だったモディが来日し、第1次政権時の安倍と会った。
安倍には忘れられない光景がある。「日印関係こそ世界で最も可能性を秘めた2国間関係だと心から信じている」。インド側の要請で07年8月にインドの国会で演説した際、議場から万雷の拍手を浴びた。
「二つの海の交わり」を演題に太平洋に面した日本とインド洋に接したインドとの協力強化を呼びかけた。現在のインド太平洋戦略の原型といえる。インドは準同盟国でもオーストラリアなどと異なり、中国の直接的な脅威を共有できる数少ない国だ。インド国会での体験はその後、安倍がインドに触れる際の定番になった。
安倍のインドへの思い入れは深い。1957年に戦後初めて訪印した首相は祖父、岸信介だ。日本にとって中国に匹敵する成長を期待できるのもインドしかない。2020年代には人口で中国を上回る見込みだ。
第2次安倍政権になりインドへの対応を大きく変えた。それまでは複雑な南アジア情勢を考慮してインドとパキスタンを同格に扱ってきた。駐印日本大使館はワシントンや北京と並び自衛隊の陸海空3武官が駐在する6拠点の1つとなった。
インドも伝統的に全方位・等距離外交で対欧米関係重視だが、モディは「アクト・イースト」構想を掲げ、外交の軸足を東・東南アジアに移す。
日印は中国と真正面から衝突できない点でも似る。日本は中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加しないものの、中国の広域経済圏構想「一帯一路」には秋波を送る。インドは一帯一路への協力は拒否するものの、AIIBには参加する。
日印双方の主要な貿易相手国は中国だ。中国との国力にまだ差があるインドにとって日本が思うほど中国との関係を切り離せるわけではない。
「日本が中国の脅威を強調するほどインドの立ち振る舞いが難しくなる」。日本政府高官はインドの外交官からこう指摘された経験がある。「インド太平洋戦略の目的は中国囲い込みではない」。日本が国際会議で本音を控えて説明して回るのは中国との距離に悩むインドへの配慮でもある。=敬称略
≫(日経新聞:ニューデリー=黒沼勇史、政治部 島田学)
≪シンゾウとの距離 準同盟国(上)ターンブル豪首相 親日・親中 揺れる振り子
1月18日、陸上自衛隊の習志野演習場(千葉県船橋市)に首相、安倍晋三(63)と来日中のオーストラリア首相のマルコム・ターンブル(63)の姿があった。2人で頑強な装甲車に乗り込み、安倍が運転席に、ターンブルが助手席に座ると記者団に笑顔で手を振り和やかな雰囲気に包まれた。
2人が乗り込んだのは陸上自衛隊が2015年に導入した豪州製の輸送防護車「ブッシュマスター」。両国の防衛協力を内外に印象付けるにはうってつけの材料だ。
潜水艦選定で溝
防衛省は当初、ターンブル単独で視察する日程を組んでいた。直前になって安倍が「自分が案内する」と加わった。前日夕方にバルト3国など欧州歴訪から帰国したばかり。防衛省内には「安倍はターンブルとの関係を重視している」との受け止めが広がった。
安倍が提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」は中国を意識したものだ。戦略の推進には、太平洋とインド洋に面し米国とも同盟関係がある豪州は欠かせない存在だ。
「マルコムを招くことができてうれしい」。安倍は視察後、国家安全保障会議(NSC)の特別会合に参加したターンブルをファーストネームで呼んだ。
前任のアボット(60)と安倍は互いに保守政治家として相性が合った。アボットは安倍を「最高の友人」と称し、安倍は豪州と「特別な関係」を築いたと誇った。日本の政府高官は、安倍とターンブルの関係を「アボットとの個人的な信頼関係と比べると、まだ及ばない」とみる。
16年4月の次期潜水艦の選定は両者の関係にさざ波を立てた。アボットは日本の最新鋭潜水艦「そうりゅう」に関心を示し導入が有力視された。ところがターンブルは突如「国内雇用重視」の方針を打ち出しフランスを開発相手に選んだ。
前政権で通信相だったターンブルは「指導力を発揮できていない」とアボットを追い落とし15年9月に首相に就任した経緯がある。
ターンブルの中国との間合いも懸念材料だ。実業家時代に中国で鉱山開発に関わり、流ちょうな中国語を操る。就任当初は「親中派」と目された。息子の妻も中国出身だ。
豪州にとって中国は輸出額の3割弱を占める最大の貿易相手国。経済界を中心に「中国との経済関係を抜きに国は成り立たない」との声もある。
アボットは親日とされ、その前任のラッド(60)は中国通として知られた。政権によって日本、中国との距離は揺れ動く。
TPPで足並み
ターンブルは中国への警戒を鮮明にしつつある。17年6月、シンガポールでのアジア安全保障会議。基調講演で「中国は自らのやり方に従う国に経済的に寛大にふるまう一方で、自らの国益に異を唱える相手を孤立させるかもしれない」と中国を名指しで批判した。
同じ米国の同盟国で、民主主義や国際法に基づく秩序を重んじる日本への信頼は増す。
「安倍首相と私は米国が環太平洋経済連携協定(TPP)の離脱を表明した時、交渉を頓挫させないよう決意した」。ワシントンで米大統領のトランプ(71)とTPP交渉への復帰を巡って協議。帰国したターンブルは25日、記者団に語った。国内で「TPPは死んだも同然」(豪州の野党党首)と冷ややかな視線にさらされてきた。米国を除く11カ国での署名が決まり、足並みをそろえてきた安倍との距離は近づいた。
豪州は近年、短命政権が続く。ターンブルは第2次安倍政権が発足してから4人目の豪首相だ。政権が変われば、築き上げてきた準同盟国としての関係が揺らぐリスクはある。
それでも日豪の連携は加速する。ターンブルとの接近がインド太平洋戦略を進める近道――。これは安倍の確信でもある。=敬称略(シドニー=高橋香織、政治部 加藤晶也)
◇
国際社会での米国の求心力低下は同盟国、日本に新たな外交戦略を迫る。中国を見据えたインド太平洋戦略の成否は日本が準同盟国と位置付ける豪印英3カ国首脳との関係と連動する。3カ国首脳と安倍晋三首相の距離を探る。
こんな人
弁護士を経てIT(情報技術)企業を興し事業売却で富を築いた。投資銀行幹部などを歴任し、産業界に人脈が広い。知性派として知られ、同性婚を認めるなど前任のアボットよりリベラルとされる。
シドニー生まれ。幼い頃に両親が離婚し、父親に育てられた。奨学金を得て名門私立校「シドニー・グラマー」で学んだ。最近は副首相が女性問題で辞任するなど政権が揺らいでいる。総選挙に向けて体制の立て直しを急ぐ。
≫(日経新聞)