韓国の李明博・元大統領に捜査の手が迫っている。国家情報院の裏金疑惑とされ、逮捕されれば大統領経験者として4人目。元大統領は「政治報復」と文在寅政権に反発し、韓国紙は「いつまで悲劇を繰り返すのか」と嘆いている。写真は韓国の大統領府。
李明博元大統領に迫る捜査の手、元大統領は「政治報復」と反発、「いつまで悲劇繰り返すのか」と韓国紙
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2018年1月28日(日) 9時20分
2018年1月26日、韓国の李明博・元大統領に検察当局の捜査の手が迫っている。国家情報院の裏金疑惑とされ、逮捕される事態になれば大統領経験者として4人目になる。元大統領は「保守壊滅を狙った政治工作であり、政治報復」と文在寅政権に反発。韓国紙は「いつまでこうした悲劇を繰り返すのか」と嘆いている。
聯合ニュースなどによると、検察当局は李明博政権の青瓦台(大統領府)高官らが国家情報院から裏金を受け取った疑惑と関連し、16、17日に収賄容疑などで李政権の青瓦台総務企画官や民政秘書官などを務めた2人を逮捕した。2人は李氏の側近として知られる。
19日には元世勲・元国家情報院長や複数の関係者の自宅などを家宅捜索した。元氏は在任中の2012年に大統領選挙を控え、インターネット上で最大野党・民主統合党(現・共に民主党)候補だった現大統領の文氏を中傷する書き込みをするよう職員に指示し、選挙に介入したとして、昨年8月に国家情報院法違反などの罪で懲役4年を言い渡され、収監されている。李元大統領の実兄で元国会議員の李相得氏にも出頭を要請した。
一連の捜査について、中央日報は社説で「残念であり複雑な気持ちだが、元大統領でも大きな罪を犯した容疑があるのなら捜査するのが当然だ」としながらも、「現在の検察の捜査が前政権とその前の政権に集中し、政治報復という声を招いているのも事実だ」と指摘。「検察の捜査が真実究明でなく賛否陣営間の政争になる場合、国論が深刻に分裂するのは間違いない」と疑問を投げ掛けた。
さらに「われわれの憲政史には国民から拍手を受けて退場した大統領がいない」と前置き。「大統領が任期初めに独走し、任期末には例外なく奈落に落ちるパターンが繰り返されるのは、われわれの政治システムに決定的な問題があることを示す証拠だ」としている。
その上で「いつまでこうした悲劇を繰り返すのか。憲法改正で国家運営システムを変えることはもう先送りできない課題だ」と強調。「政界はこの機会に帝王的大統領制の弊害を減らす分権型改憲に対する合意を引き出すために奮発しなければいけない。政権交代があるたびに繰り返されるこの不幸の連鎖を断ち切ることが国家大革新の最初の課題だ」と論じている。
「政治報復」に関して、朝鮮日報は社説で「李明博政権当時、(文大統領が側近だった)盧武鉉・元大統領に対する捜査はまさに政治報復だったが、これと同じく李元大統領に対して行われている今の捜査も完全な政治報復だ」と断言。「国家的危機の最中に政界では現政権(文在寅)と前々々政権(盧武鉉)、前政権(朴槿恵)と前々政権(李明博)に分かれて誰の得にもならない争いに没頭するばかりだ」と非難している。(編集/日向)