「自分の医療データが流出したらイヤだ」という人は、必見!「医療情報を企業へ提供すれば、漏洩は必ず起こる。」(山本太郎議員)
http://useful-info.com/medical-data-is-unavoidable-and-prevent-discrimination
2017年5月18日 お役立ち情報の杜(もり)
2017年4月25日、内閣委員会が開かれ、そこで山本太郎議員が質問に立ちました。医療データ法案に関する件です。
【山本太郎事務所編集】2017.4.25内閣委員会「人権侵害を防ぐ 法律もなく、 医療データを 企業に さしあげる話」
質疑の内容に関して、要点のみを以下に記します。
要点始め
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○山本太郎君
(略)
「通称医療データ法案についてお聞きします。この法案、五秒で説明しろと言われたら、一番センシティブな医療情報を業者に匿名加工させて医療ビッグデータとして利活用するものというふうになるのかなと思います。
詳しく聞いていきます。
本法案で、病院から匿名加工業者に提供される生データの医療情報、この中に個人の遺伝子情報も含まれるんでしょうか?」
○国務大臣(石原伸晃君)
(略)
「今、山本委員が御指摘になった遺伝子情報なるものは患者から取得するわけでございますので、新法案に定義するところの医療情報に含まれます。」
(略)
○山本太郎君
(略)
「国連教育科学文化機関、ユネスコでは、研究の重要性はあるけれども、遺伝子情報により個人を差別してはならない、特に個人情報の収集に当たってはその管理をしっかりすべきであり、潜在的な危険性を十分理解すべきであると、個人の遺伝子情報による差別をしないとする宣言を1997年、2003年、2005年に採択。」
(略)
「本法案では個人の遺伝子情報も取り扱う想定であると。一番の問題、情報漏えいです。それに関して最も危機感を持っておられる方々が遺伝性、家族性の病気のリスクを抱える方々。親や先祖から引き継いだ遺伝子、DNAに変異があるために、今は発症していなくても将来病気になるリスクを抱えている。それに加えて、医療情報の利活用で遺伝情報が漏えいしてしまったら、不当な差別、就職などへの影響などなど、心配は尽きません。」
「本法案の第二条では、当該個人又はその子孫に対する不当な差別、偏見、そのほかの不利益が生じないようにその取扱いに配慮を要すると定義しています。事前に省庁に連絡しまして、子孫って私から見てどこからどこまでなんですかとか、私のいとこや、はとこは、入らないということなんですかと聞いても、答えはすごい曖昧なんですよ。」
(略)
「情報漏えいを心配する当事者の方々が守ってほしい情報は、縦の子孫だけではなく、いとこ、はとこなどの横のラインだとおっしゃいます。本法案を御覧になった当事者の方々、一番におっしゃったのは、不利益を生じない範囲の明記を血縁者にしていただきたいということでした。守備範囲を広げてほしいという当事者の思いとは別に、法文は限定されてしまったような書きぶり。」
(略)
「当事者の声をお聞きください。リンチ症候群患者家族会の声です。
遺伝性大腸がんの一つであるリンチ症候群、遺伝性非ポリポーシス性大腸がん、ポリポーシス性大腸がんは、大腸がんや子宮内膜、卵巣、胃、小腸、肝胆道系、腎盂・尿管がんなどの発症リスクが高まる疾患です。全大腸がんの二から五%程度がリンチ症候群と考えられ、最も頻度が高い遺伝性腫瘍の一つとされ、日本全国に三十万人のリンチ症候群患者さんがいると推定されます。中には二十歳代前半で発がんし、就職先から解雇されそうになったところ、職場仲間の働きかけで何とか免れた若者もいるそうです。若くしてがんという悩みを抱えるだけでなく、治療による体と経済的な負担も大きくのしかかり、さらに就学、就職、婚姻などで制限や性別を受ける可能性があるといいます。」
「そのほかの声にも、胃、大腸、肺がんの闘病後、十二年前に父を、七年前に姉を診断から僅か三週間で亡くし、二年前には自分自身が卵巣がん、そして今年、姉が子宮がんを発病しました。これが遺伝性疾患の現状。自分が遺伝性と判明してからも病院では一般的ながんと同じ見解でしか診てもらえず、特別心の寄り添いなどはないと。根本的な治療法が確立していない患者さんたち。しかも、遺伝性の病気の場合、自分だけではなく家族や子供も同じような病気になる可能性が高く、不安はこれいかばかりかと思ってしまいますよね。」
「それに加えて、情報漏えいという心配まで加わるわけです。遺伝性の病気を抱える方々が恐れるのは、情報漏えいからつながる差別、それによる不利益。ヒトゲノムのDNA配列が明らかになり、個人の遺伝情報を利用した研究開発が活発化。新しい治療法が見付かる可能性に託して、研究や調査、開発には協力したい。けれども、もしデータの流出などの問題が生じたら。不安は尽きません。」
「厚労省の所管する法律、採用や雇用、労働契約の際、明確に遺伝情報や医療上の情報の取得の禁止や、遺伝情報を基に雇用や勤務上の不利な取扱いをしてはならないという条文ありますか?」
○政府参考人(酒光一章君)
「お答えいたします。
現行の法律では、採用や労働契約など雇用の場面におきまして、遺伝情報ですとか医療上の情報の取得あるいは遺伝情報に基づく雇用上の不利益な取扱い、これらを明確に禁止する規定はありません。」
○山本太郎君
「明確に禁止する規定はないと。解雇自体、それで禁止しているとかということでもないと。
個人情報保護委員会、流出した場合の人権侵害を禁止する法律ありますか?」
(略)
「流出した場合の人権侵害というか、人権侵害を禁止する明確な法律、いろんなものに対してちょっと規則的なことは書かれているけれども、明確なものというのは恐らくないと思うんですね。事前にやり取りさせていただいたときにはそのようなお答えだったんですね。法務省において救済制度があるからという、最悪それ使ってくださいという話だと思うんですけど、随分冷たい話だなという印象を持ったんですね。」
(略)
「日本では、情報が漏れることを前提とした人権侵害を防ぐ法文、法律というのがなかなかないんじゃないかって。利活用の前にやるべき法整備あるんじゃないですかって思うんですよね。だって、漏れるに決まっているんだからって。」
「じゃ、漏れた後にどう人権侵害に及ばないかというための法律を先に整備してからその後利活用という当たり前の流れが日本では行われていない。」
「アメリカはどうか。アメリカでは、皆さん御存じのとおり、GINA法という遺伝情報の保護に特化した連邦法が存在すると。本人の遺伝子検査結果プラスいとこの子、さらには胎児、人工受精卵まで幅広い血縁者の検査結果や病歴も含め、これらの情報を基に事業者による遺伝情報取得の禁止、採用、解雇、昇進等に関する遺伝情報に基づく不利な取扱いの禁止が定められている。」
「EUでは、EU基本権憲章によって、遺伝的特徴に基づく差別の禁止、欧州評議会のオビエド条約では、遺伝学的地位に基づく差別の禁止や防止のための適切な処置をうたっている。」
(略)
「海外では情報が漏れる前提で対応する、日本とは法整備のやり方が少し違うようですね。日本では利活用が先、利活用が始まったとしても、そうした法制定が今後なされるかどうかは分からない。今後、遺伝子分野における研究が加速していけば、病気と遺伝子の関係、今よりも解明されます。結果、保険分野における遺伝子による差別、つまりは遺伝子によって排除されることが増えていくんじゃないでしょうか。個人の遺伝子情報などをさっさと利活用することが目的になっているんじゃないでしょうか。先走る前に、待ち受ける人権侵害からいかに人々を守るのかという部分が少し抜け落ちているんじゃないかなということで提案させていただきました、修正案では。」
(略)
「漏れることを前提に法案作り行われていますかということに関して、残念ながら、漏れることは考えたくない、若しくは漏れない努力をしますといった法案作りになっている気がします。現実を見詰めれば、漏れることが前提の法整備でなければ先々大変なことになるような事案であふれていませんか。膨大な医療情報、個人情報を取り扱うわけですよね。個人情報が漏えいすることは本当にないのか?」
写真(年金情報流出事件での謝罪)
「2015年に起きた情報お漏らし事故の中で最もインパクトの強かったのは、5月発覚、年金機構の個人情報漏えい125万件。厚労省の中でも、定期点検でも特に問題がないとされていた組織からの情報漏えいだった。官庁へのサイバー攻撃だけでも年間613万件。さらに、医療情報のようなものが大量に集まるというところ、この認定業者ですか、加工するという、通常よりも多くの巧妙かつ大量の攻撃が集まると言わざるを得ません。しかも、生データいつまで持っているんですか、その人たち。」
「十九条関係の消去では、作成業者は利用する必要がなくなったときに消去しなければならないという話になっている。誰が判断するの、それって。特段決められているわけじゃない。じゃ、ずっと持っていますよ、普通。その上にどんどん情報も載せていきたいし、つながった情報が必要なんでしょうって。だとしたら、そんなところにサイバー攻撃が集中したときにはとんでもないことになってしまう可能性があります。世界有数の国民皆保険に加え、治療後に亡くなられた方も加わる超ビッグデータ、匿名加工を施す二から三の認定事業者に集積されているわけですから、ターゲットになることは容易に想像できる。」
(略)
「では、金融庁、お伺いします。日本において遺伝情報に基づいて(保険の)加入制限をすることを禁止するような法律ありますか?」
○政府参考人(松尾元信君)
「現行の保険業法では、民間保険会社が保険契約を引き受けるに当たり、遺伝情報に基づき加入を制限することについて禁止する規定はないものと承知しております。」
(略)
○山本太郎君
「この人権侵害、例えばアメリカのGINA法みたいな法整備というものは既にもう考えられていて、それと両輪だというような形で考えてよろしいんでしょうか?」
○政府参考人(大島一博君)
「政府の中におきまして、いわゆる遺伝子差別禁止法の具体的な議論があるとは、現在においては承知しておりません。」
○山本太郎君
「これじゃ、困りますよね。どうするんです?漏れますよ、間違いなく、一番おいしい大きい情報。だって、国民皆保険でどれだけのデータが集約されているという、これだけのもの、アメリカみたいに一民間保険会社に対して情報が集約されるのではなく、国全体として情報を持っているわけですよね。(略)
大臣、是非旗を振っていただいて、この人権侵害に関する不利益を被らないような法整備というのはやっていただけるんでしょうか?」
(略)
「大臣、これ、しっかり法制化するという約束してくれないと不安ですよ。先ほど御紹介したリンチ症の方だったりとか、いろんな病気抱えた方々、漏れるんだから、漏れる前提に立って法整備、これからやってくれるんですか?やってくれないんですか?旗振っていただけるんですか?」
(略)
「こういう法律作って、誰のために作るんだって、企業のための法整備は良くないと思います。もう一度考え直すべきだと思います。」
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要点終わり
一番立場が弱い患者の人権を守るという立場で、山本太郎議員は執拗な追及をしています。「情報は必ず洩れるんだから、漏れることを前提にして、差別など人権侵害の防止対策を法律で定めよ」ということです。これに対して政府側は、「いろいろ対策しているから情報が洩れることはないと思う。」と繰り返すばかりです。情報が洩れる可能性を認めてしまうと、漏洩後の人権侵害防止対策が面倒なので認めません。とにかく、企業に医療データを差し上げることばかりを急いでいるのです。
安倍政権が、企業の利益が最優先だということを示す好例です。経団連の意向に沿うことばかりを考えて、立場の弱い庶民をないがしろにする姿勢を認めてはいけません。
今回取り上げたテーマは、マスコミもあまり取り上げていませんが、非常に重要な問題です。一見地味なテーマに対して積極的に光を当てる山本太郎議員の活動に感謝したいと思います。
以上