保険料は値上げ?それとも値下げ?
終身、定期、医療…値上げと値下げで揺れ動く生命保険の保険料
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170507-00010000-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 5/7(日) 12:30配信
住宅費や通信費と並んで家計に占める負担の大きい生命保険の保険料が大きく揺れ動いている。まず、今年4月から終身保険や学資保険といった貯蓄型の生命保険の保険料が一斉に値上げされた。日本銀行のマイナス金利導入によって生命保険会社の運用が悪化し、契約者に約束した利回り(予定利率)を達成することが難しくなったことが背景にある。
たとえば日本生命の終身保険(保険金300万円)を40歳で契約して60歳まで払い込む場合、毎月の保険料はそれまでの1万1178円から1万3653円へと22.1%の値上げ。明治安田生命の学資保険を30歳で契約した場合は9.7%増、住友生命の個人年金保険も30歳契約の場合は17%増。割安とされるオリックス生命でも終身保険の保険料が18%ほど上昇するなど、いずれも1〜2割の値上げとなっている。
生命保険の保険料は「【1】死亡率」「【2】予定利率」、人件費などの「【3】事業費率」によって決まる。【3】は各社の事業努力によるが、【1】は「標準死亡率」(公益社団法人日本アクチュアリー会が算出)、【2】は「標準利率」(金融庁が設定)がもとになるため、それによって生保各社の保険料は一斉に動く仕組みとなっている。なかでも【2】の予定利率は掛け捨ての定期保険よりも、保障期間の長い終身タイプのほうがその影響を受けやすい。
今回は標準利率が4月に1.00%から0.25%まで大幅に下がり、それを受けて各社も予定利率を引き下げたため、その分が貯蓄型の保険料に跳ね返った格好だ。
その一方で、来年4月には保険料が値下げとなる可能性も浮上している。前述の日本アクチュアリー会が医療技術の進歩などに伴って平均寿命が延びていることから、11年ぶりに「標準死亡率」を引き下げる方針を示しているためだ。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター)が解説する。
「死亡率が下がれば、保険会社にとっては保障期間が一定の定期保険などで保険金を支払う可能性が減るため、保険料が大きく下がることが予想されます。前回(2007年)の標準死亡率引き下げの際には、保険料が10%以上下がったものもありました。一方で、生涯保障される終身保険は寿命が延びてもいずれ保険金を支払わなくてはならないため、さほど影響は受けないと見られます。また長生きすることによって医療費がかさんでくる医療保険は、むしろ値上げの可能性が高いと考えられます」
■値上げ前に契約することが本当に有利か?
なんとも複雑な話に聞こえるかもしれないが、簡単にまとめると以下のようになる。
●終身保険=今年4月に1〜2割値上げしたが、来年4月以降はさほど変わらない。
●定期保険=今年4月に保険料はさほど変わらなかったが、来年4月以降は値下げ。
●医療保険=今年4月に保険料はさほど変わらなかったが、来年4月以降は値上げ。
そう考えていくと、もはや値上がりしてしまった終身保険はさておき、定期保険の契約は「来年まで待ったほうがお得」、医療保険は「値上げされる前に契約したほうが有利」に思えてくるが、前出・藤川氏は「冷静に考える必要がある」と説く。
「保険というのは万が一必要な時に最低限の備えをしておくものであり、来年安くなるのを待ったりすると、それまでに何かあった時に手遅れとなるかもしれません。特に定期保険なら、いったん契約しておいて、来年以降、大きく下がったのを見てから加入し直してもメリットはあります」
かつての高い予定利率で契約した貯蓄型の保険を手放してまで現在の低利率の保険に新たに加入し直すのは“愚の骨頂”であるし、一方で何も備えていないのに「来年まで待とう」などと呑気に構えている場合でもない。家計の負担が大きい保険料だからこそ、ここはじっくり考えておきたいものだ。