福島県飯舘村から生中継を行った富川悠太アナ(テレビ朝日『報道ステーション』16年3月9日放送回より)
安倍政権が見捨てた福島・飯舘村から悲痛な叫びを『報ステ』が報道「東京が1mSvなのに、なぜ福島は20mSv?差別でしょ」
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2017.03.10. 福島飯舘村からの悲痛な叫びを報ステが リテラ
3.11から明日で丸6年。テレビでは多くの局が東日本大震災の特集を組んでいる。しかし、原発事故の苛烈な実態を報じるものは少なく、なかでも、安倍政権に尻込みしているのか、国の原発政策に対する批判的な報道はほとんど見られない。そんななか、昨日9日の『報道ステーション』(テレビ朝日)では、綿密な取材を通して、国が定める放射線量基準の“ダブルスタンダード”を真っ向から批判した。
安倍政権は本日10 日、復興推進会議と原子力災害対策本部の合同会議を開き、避難指示地域について、福島第一原発がある双葉町と大熊町の一部を除き、帰還困難区域などを除いた全地域で解除することを決定した。すでに今月末に飯舘村の帰還困難区域を除く全域と、川俣町の一部地域の避難指示を解除することが決まっていた。同時に今月末には「自主避難者」に対する仮設住宅の無償提供などの支援を打ち切る。県が把握する「自主避難者」は、昨年10月時点で1万世帯以上にものぼっている。
安倍政権による“帰還政策”は待ったなしだ。しかし、解除する避難指示区域は、はたして、人々が容易に生活することのできる場所なのか。
9日の『報ステ』では、富川悠太アナウンサーが飯舘村から生中継を行った。飯舘村は福島第一原発から約40キロメートルの地点に位置する、農業や畜産業を中心にした村で、事故前には約6000人が住んでいた。原発の補助金は出ていない。事故発生後、すぐには避難指示が出なかったが、原発の爆発で撒き散らされた放射性物質が強い風に乗り大量に浴びた。
富川アナが立つ場所のすぐ後ろには、おびただしい量の“黒い物体”が山積みになっていた。汚染土を詰めた袋だ。こうした状況が、飯舘村のあちらこちらで見られるという。番組が取材した飯舘村の酪農家・長谷川健一さんは、2011年5月を最後に、家族で別々の場所への避難を余儀なくされた。自宅の前は、除染で削り取られた汚染土が積載したままだ。撤去の目処は立っていないという。
国は避難指示地域で除染作業を行ってきたが、その基準の毎時0.23マイクロシーベルトは、一般の人の被曝限度である年間1ミリシーベルトから導かれたものだ。ところが、長谷川さんの庭先で線量を調べると、毎時1.2〜1.3マイクロシーベルトを計測。除染基準の約5倍の数値である。なぜ、こんな高い数値が出るのか。長谷川さんは、「山が(放射性物質の)供給元だと私は思う」と語る。実は、飯舘村の約7割を占める山林では除染はほとんど行われていないのだという。
「線量が除染によって下がったという場所は非常に限られた場所なんですね。全体的に下がったということは決していえない」
「現実に土壌の汚染度合いを調べてみても、やっぱり汚染されてるから。それがはたして、われわれがここで牛乳を生産してね、(略)『安心、飲んでみろ』って、そんなこと言えない。やっぱり、これは」
はたして、これで本当に除染が進んだと言えるのか。国は年間線量が20ミリシーベルト以下になった地域から避難指示を解除するが、これは一般の被曝限度である年間1ミリシーベルトの、実に約20倍の数値だ。しかもこの数値は事故直後、内閣官房参与だった小佐古敏荘東京大学教授が「この数値(年間20ミリシーベルト)を乳児、幼児、小学生に求めることは、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と涙ながらに訴えて、参与を辞任するきっかけとなった数値でもある。
『報ステ』は、この年間20ミリシーベルトの基準の根拠を取材。そもそも、事故直後に政府が避難指示の基準とした20ミリシーベルトという数値の基準の拠り所は、専門家による国際学術組織・ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告だという。番組はフランスに飛び、ICRP副委員長のジャック・ロシャール氏に話を聞いた。すると、ロシャール氏は驚くべき事実を口にしたのだ。
「年間20ミリシーベルトの被曝は長期間続くと安全ではない。ICRPでは『事故後の落ち着いた状況では放射線防護の目安は1〜20ミリの下方をとるべき』と勧告している」
つまり、もともとICRPは「20ミリ」では危険との認識を示していたのである。実際、同じく『報ステ』が取材したICRPの甲斐倫明専門委員も、「(事故直後の)20ミリというのはある意味で緊急時の数値でしたから、こういう環境回復の段階ではもっと別な数値を選んで、20ミリと1ミリの間のなかで目標値を立てて、1ミリに近づけていきなさい、と」「そういう数値を設定しなさいというのがICRP的な考え方なわけですね」と語っている。
繰り返すが、帰還基準の20ミリシーベルトは、通常時の年間被曝限度の20倍だ。しかも、ICRPが示していたのは「20ミリ」ではなく「1ミリに近づける」ということだった。『報ステ』はこの“二つの基準値”を「ダブルスタンダードではないのか」と強く疑義を呈したうえで、再び、富川アナのいる飯舘村から生中継する。
もともと農地だったその場所には、汚染土を入れた大量の袋が積み上げられている。袋には「遮」の文字が。これは、汚染土を入れた袋の周りを、通常の土を入れた袋で囲って“壁”をつくっていることを意味する。大量の袋と富川アナの距離は、約10メートルほどだろうか。その状況で、富川アナが線量を計測した。0.77マイクロシーベルト。除染基準の3倍以上の数値だ。そうした環境で、政府は避難指示を解除、自主避難者に対する援助を打ち切るのだ。
もちろん、今回の避難指示解除で、故郷に戻ろうと考えている人も少なくない。だが、食品売り場を始め、医療や介護施設などのインフラは整っておらず、主な産業である農業や畜産業の再開も、いばらの道だ。当然、健康被害への不安も尽きない。帰りたい、けれど帰れない。そういう人がたくさんいるのだ。
前述した飯舘村の長谷川さんも、いずれは故郷に戻りたいと考えている一人だ。だが、現段階ではそれは難しいとも吐露する。『報ステ』のなかで長谷川さんはこのように語っていた。
「東京が1ミリ(シーベルト)で、なんでここが福島が20ミリなんですか? まったくの差別でしょ、こんなのは」
「ものすごい私は怒りを覚えますよ。なんでわれわれだけがそうなんだ」
「その尺度はどうやって決めたんですか。だから安全なんですか? 誰もわかりません。それじゃおかしいでしょ」
飯舘村だけの話ではない。番組では2014年に避難指示が解除された隣の南相馬市高倉も取材し、除染が不十分な場所が少なくないにもかかわらず、国が再除染を渋っている現実があることを伝えた。さらに避難解除基準に内部被ばくが入っていないという点を指摘し、土壌汚染がチェルノブイリの規制区域基準より大幅に高いところがある事実まで見せた。実際、こうした問題は被災地の様々なところで喫緊の課題となっている。
だが、安倍政権は、差別的な二枚舌で避難指示を解除し、自主避難の支援を打ち切るなど、人々から選択肢を奪うことで強引に“福島の復興”を演出しようとしている。そこに、2020年の東京五輪招致のため「アンダーコントロール」と嘯いた安倍首相の思惑があるのは間違いない。
福島原発事故から6年。政権の圧力に萎縮しきったテレビメディアからは、年々、震災と被災地そして原発の扱いが小さくなっている。おそらく『報道スーション』のこの報道にも、政府からの圧力が加わるのは確実だろう。
作家の室井佑月は本サイトの連載で、報道の萎縮を防ぐために、タブーに踏み込んだ良い報道をしたメディアやスポンサーには直接電話をして褒めることが大事だと語っていたが、今回の『報ステ』のこうした原発報道の姿勢は支援していく必要がある。そして、安倍政権に対しては、東京五輪で金の無駄遣いをするまえに、なさねばならないことが山ほどあることを、突きつけていかなければならない。
最後に、番組から長谷川さんの言葉を引用して終わりたい。
「避難解除という部分だけが先行して、インフラとか、医療の問題はどうなのか。買い物はどうなのか。戻りたい人が戻ってきて飯舘で生活するときに、何で生活していけばいいのか。そういうものがまったく整備されていない現状なわけですよ。そういうものをしっかりやってもらわないと、われわれが戻るにしても、安心して戻れる環境づくり、これが非常に私は大事だと思いますね」
「やっぱり国の責任でなったものですから、事故がね。国にはきちっとした責任をとってもらわないとダメだと思います」
(宮島みつや)
「戻るのか 戻れないのか」解除直前の飯舘村の現実 大震災から6年 2017年3月9日報道ステーション
まもなく避難解除飯館村から、事故から6年帰りたい... 投稿者 gomizeromirai
「帰るのか、帰らないのか」大震災から6年 2017年3月9日報道ステーション
【この後】3月9日の報道ステーション。<「帰るのか、帰らないのか」大震災から6年、避難指示の解除は進む、一方で住民の思いは > 南相馬の20mSv問題や飯舘村について取り上げるそうです。「ひだんれん」共同代表の長谷川健一さんも生出演されるとのこと。ぜひご覧ください。
— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) 2017年3月9日
「戻るのか、戻れないのか」。3月9日の報道ステーションの特集は、原発事故から6年の現実。飯館村からの生中継を交えて。通常ニュースの後で。 pic.twitter.com/l48cTDTu70
— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) 2017年3月9日
高さ1mで1.2μSv/h。7割が山林除染されず。放射線量が除染で下がったのは一部。全体的に下がったわけではない。土壌の汚染度合調べても汚染されている。牛乳を生産して「安心だから飲んでみろ」なんて言えない(長谷川さん)#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
いいたてホーム15床あるが空き部屋もある。40人ほど入居希望がいるが、入れられない。職員が減った。放射能との絡みで、子育て世代はいなくなった。戻ってくる職員はいない。#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
「戻ります、町の生活が慣れない」「全然帰れない。介護のインフラができていない状況では帰れない」戻りたい3割、戻らない3割、判断つかないが2割、他は無回答。分断を招いたのは「避難指示解除の基準」にあると長谷川さん。東京は1ミリでなんでここは20ミリなんですか。#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
「戻ります、町の生活が慣れない」「全然帰れない。介護のインフラができていない状況では帰れない」戻りたい3割、戻らない3割、判断つかないが2割、他は無回答。分断を招いたのは「避難指示解除の基準」にあると長谷川さん。東京は1ミリでなんでここは20ミリなんですか。#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
ものすごい怒りを覚える、なんで我々だけ。全国1ミリなんでしょう。なんで福島の事故のところだけ20ミリで解除なんですか。その尺度は?「誰もわかりません」それじゃおかしいでしょう。長谷川さん。#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
「なぜ20ミリなのか」政府がよりどころにしたのはICRPの勧告。実際に尋ねた。帰還の基準の20ミリをどう考えるか。意外な答えが。「20ミリに固執するのはおかしい」ジャック・ロシャール氏「20ミリが長期間続くと安全ではない。被曝防護の目安は1〜20ミリの下方を取るべき」#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
20ミリシーベルトの帰還基準について、「まったくの差別」「ものすごい怒りを覚えますよ」「なんで我々だけがそうなんだ」と憤る長谷川健一さん。3月9日の報ステから。 pic.twitter.com/cEwSiqs9MK
— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) 2017年3月9日
南相馬市。飯舘村より早く避難指示が解除された。2014年に解除された地区、高倉を取材した。遠藤八郎さん。震災前は娘夫婦と孫で7人暮らし。リビング、壁紙、床、天井も全部リフォーム。未だに仮設住宅。理由は自宅にあるホットスポット。「水の通るところはどうしても高い(娘さん)」#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
「ここが一番高いと」「雨どいの下とか局所的に高いところがある」放射線を映像化した。「赤く見えるところが高いところがある」赤くなったのは雨どいの下のあたり。この地域の線量を調べている小澤洋一さん。「だんだん上がってくる。6μSv/h(地表)。1mだと0.5μSv/hくらい」#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
ホットスポットの除染は「対象外」とされた。再除染は国が戸別に判断する。ホットスポットがあっても、頻繁に徹場所ではないと「やらない」。「国のやり方には抵抗がある。汚いですよあまりにも。最後はほったらかしと同じ」#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
高さ1mで毎時4μをこえた。原因は、工事用のシート。「持って行ってもらいたい。どんな方法であろうと袋に入れて撤去してもらいたいが、今のところダメだと」国は地面の除染は行うが、資材は対象外だという。所有者が自費で処分しなくてはならない。#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
小1の子どもは知らないで遊ぶ。「(対応に)怒っていても、すごくストレス」
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
住民は12年から土壌を測定してきた。#報ステ
小1の子どもは知らないで遊ぶ。「(対応に)怒っていても、すごくストレス」
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
住民は12年から土壌を測定してきた。#報ステ
「放射線含んだ土埃を吸わないように。どういう風に影響がでるのか、怖いですよね(娘さん)」20ミリ裁判の菅野さん「何を信じていいのかわからない」住民たちは裁判に踏み切った。#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
日本政府が20ミリシーベルトを避難指示基準とした根拠とされたのは、ICRPの勧告。しかし、ICRPのジャック・ロシャール副委員長は理解できないと。 pic.twitter.com/LXPIgZnZbT
— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) 2017年3月9日
記者「長期的」とはいつまでか。「一律の達成するのは難しいと考えている」世耕大臣「年限は示してない」
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
遠藤さんは仮設住宅をまもなくでなくてはならない。「公共インフラの整備や除染が進み生活環境が整った」という理由。#報ステ
「仮設に居られるなら(いたい)。戻りたくなくても戻らないといけない選択」「どうしたいと言われても…前のように戻してと言っても戻らない。難しい。(娘さん)」#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
長谷川さん「避難解除は6年だから住民には限界を超えてる。ただそこでそれぞれの考え方で自分で判断すべきだと思う。解除というのが先行してインフラ、医療問題、買い物、何で生活したらいいのか、全く整理されてない。#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
しっかりやってもらわないと戻るにしても安心して戻る環境づくりが大切。国が責任を持ってやってもらわないと。生活は戻らない。私は8人で暮らしていたがバラバラ。若い人子どもたちはここに戻ってくるべきではないと考えています」#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
戻りたくても戻れない人たちの、考える時間とそれを補強する資金面の支援、国の責任がある。#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
(本当だよ!)
長谷川さん「(解除で戻るか、という問いに)なかなかそうはいかない。いずれは帰るという判断をしようと思っている。農地は林に戻っていく。とても考えられない。子ども、孫たちはダメ!だが、我々(の年代)が身体の続く限りは手入れをしたいなと考えている」#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
日本政府の20ミリシーベルトを基準とする帰還政策は、根拠とされたICRPの見解と明確に異なっている。これはどういうことか。安倍政権は明確にこの点を説明しなければならない。3月9日の報ステより。 pic.twitter.com/QNpXTJEp3b
— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) 2017年3月9日
明らかな差別政策を正当化して恥じない新居泰人参事官。こうした冷酷な官僚たちが高給を取りながら、棄民政策を推進している。行政による人権犯罪を許すわけにはいかない。3月9日の報ステより。 pic.twitter.com/BLLF1OUJyL
— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) 2017年3月9日
「政府は長期的に追加被ばく線量について(年間)1ミリシーベルトを目指すとしているが、長期的とはいつごろまでか」と問われた世耕弘成経産相は、用意された原稿を冷酷に読み上げるだけ。度し難い「原子力ムラ」の代理人。3月9日の報ステより。 pic.twitter.com/L4UDPyHA49
— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) 2017年3月9日
村のあちこちに緑の物体。カバーの下には汚染された土の袋が山積みに。飯舘村だけでも234万個。ここは「仮の」仮置き場だった。「仮の」仮置き場の場所が仮置き場に。住民はこれが常態化して永久の景色になるのではという不安を抱いている。3週間後、解除。みなさんはどう思うか。#報ステ
— 吉田千亜 (@hankoyama) 2017年3月9日
安倍政権と福島県が「自主避難者」への住宅の無償提供を今月末で打ち切るのは、行政による公然たる人権犯罪だ。日本国憲法や世界人権宣言、国際人権法への違反でもある。それを見過ごすことは、一人ひとりが加害者、共犯者になること。3月9日の報ステより。 pic.twitter.com/agGEgONCah
— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) 2017年3月9日
南相馬市除染委員会委員長の児玉龍彦さんも、国の帰還強制政策を厳しく批判。3月9日の報ステより。 pic.twitter.com/OXLwCH8lAl
— 杉原こうじ(NAJAT・緑の党) (@kojiskojis) 2017年3月9日
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/645.html