2 月9 日・日曜討論:「新型コロナウイルス今、必要な対策は ? 」
新型コロナウイルス感染症Q&Aとは ?
(datazoo.jp:2020年2月9日より抜粋・転載)
☆【出演者】加藤勝信,猪狩英俊,岡部信彦,尾身茂,角野文彦,中谷内一也,
☆【司会者】伊藤雅之,中川緑
○新型コロナウイルス いま必要な対策は ?
◆感染の現状は ? 命と健康をどう守る
世界的な流行をみせる新型コロナウイルス。加藤勝信厚生労働大臣が出演し現状について説明。国内では今朝の時点で26人の患者がいて、無症状の人もいる。また横浜港に入港したクルーズ船からは64人の陽性が確認された。また、きのう中国で新型コロナウイルス感染疑いの日本人男性が亡くなり、中国からのチャーター便からも陽性者が出ている。
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集団感染が確認されたクルーズ船・ダイヤモンド・プリンセスの現状について。症状がある方、症状がある方と接触した300人以上を対象に検査をしたところ、64人が陽性となった。今後は80歳以上、基礎疾患がある方も検査対象に広げるべく、対応を進めている。新型コロナウイルスの感染は拡大している状況ではなく、通常の咳エチケット、マスク、手洗いなどが重要。なにか問題があれば、厚生労働省相談窓口へ。
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専門家に現状、何が注目で何が必要かと考えるか聞いた。川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦が「一般的な対策はインフルエンザなどと共通。チャーター便やクルーズ船の中でも軽症の方も多い。感染=重症ではないので切り分けた方がいい。いかに重症の方を早くみつけて、適切な治療をして、いかにうつさないか。国内の医療体制、行政対応が必要だと思う」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
☆キーワード:コロナウイルス
マスクの品薄について。加藤厚労相は「色んな課題がある。生産メーカーに対し増産を頼んでいるが、中国の輸入が大半を占める。地域差があるので、品薄の地域に供給して盛られるよう要求している」とコメント。
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◆感染の現状は ?
新型コロナウイルスの現状。中国本土では8日時点で死者は803人。中国以外の感染者は353人で死者は2人。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、WHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言を出した。感染症対策管轄のトップはパンデミックには当たらないとしている。
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◆コロナウイルス世界保健機関
中国の原状について、地域医療機能推進機構理事長の尾身茂は「武漢を中心に広がったのは初期対応の遅れが重要なひとつの原因だったと思う」、川崎市健康安全研究所の岡部信彦は「中国全土に広がっている感じだが、亡くなられる方が武漢に限られているという事は、致死率は1%を切る。きちんと医療体制が行われれば、救えると思う。重症者を早くみつけて、適切な処置をすることが重要」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆感染した人たちの命をどう守る
WHOなどによると新型コロナウイルスを発症した場合の主な症状は、発熱、咳、筋肉痛など。重症化すると肺炎、呼吸困難などを引き起こす。感染力は感染した人から1.4〜2.5人ほど。岡部信彦が「潜伏期間は少し長い。感染力もバカに高いわけではないが、インフルエンザよりは少し広がりやすい。インフルエンザと同じような注意を」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆中国滞在の日本人は ?
中国滞在の日本人の対応について。加藤厚労相は「中国に残っている方、帰りたいという方も出てきています。外務省が希望を聴きながら、帰国への方策も検討している」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆クルーズ船への対応は ?
クルーズ船への対応について。加藤厚労相は「クルーズ船の中で症状が出ている方、その方と濃厚接触をした方、高齢者、基礎疾患がある方を優先して検査したい。検査には限界があり、民間の力も借りるべく総力をあげている」、同志社大学の中谷内一也は「より辛いのは先の見通しが立たないことで、心身の不調を増大させる。情報提供、外部との接触、同じ境遇の人たちが寄り添えることが必要」などと述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆受け入れ態勢の課題は ?
感染した人たちなどへの医療機関の受け入れ体制につて。感染が確認された人は、国・自治体指定の医療機関で治療する。また厚生労働省は感染の疑いがある人の専用窓口「帰国者・接触者外来」を設置するとしている。千葉大学医学部附属病院の猪狩英俊は「現状としては十分。しかし1ヵ月先のビジョンが描けないので、1週間先を描こうというのが現状。専門外来が設置されれば、将来的な地域の医療計画のビジョンが描けるのでは」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆感染拡大を防ぐには ?
今月1日に施工された政令で、新型コロナウイルスは指定感染症と検疫感染症の対象になった。これにより患者に対して入院勧告や仕事を休む指示ができたりする。新型コロナウイルスの検査対象は、37度以上の発熱と肺炎を疑わせる呼吸器症状、2週間以内に武漢を含む湖北省への渡航歴か、湖北省に滞在した人との濃厚接触など。また政府は湖北省発行のパスポート所持の外国人などに対し、入国拒否を出している。
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◆指定感染症検疫感染症
入国拒否の基準拡大について、加藤厚労相は「湖北省が要注意地域。その他の地域でも対象にすべき点があれば、対象を拡大していく」などと述べた。水際作戦について、地域医療機能推進機構の尾身茂は「感染初期は指定感染症で隔離もできる。早くみつけて早く治す。拡大期は軽症者は普通の病院でもみてもらい自宅待機になる」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆検査・医療体制のあり方は ?
検査・医療体制のあり方について。千葉大学医学部附属病院の狩英俊は「検査が診療の要。PCR法だと準備に6時間かかる、もっと簡素な検査を考えているようだ。インフラのある病院ではできる体制があるので、施設の数を増やすのも一つの手」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆国・自治体・病院の連携は ?
国・自治体・病院の連携について。千葉大学医学部附属病院の狩英俊は「指揮命令系統のしっかりしない感染対策ではうまくいかない。今後も連携は絶対に必要」、滋賀県健康医療福祉部理事の角野文彦は「大きな考え方は国が考える。新しい治験の情報発信をいかに早くやるか。行政対応として最適化できるような形を関係機関と相談しながら考えるべき」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆情報提供のあり方は ?
情報提供のあり方について、同志社大学の中谷内一也は「情報提供の基本方針を設定するには、情報を受ける人がどう受け止めるか理解する必要がある。パニック状態になることを恐れて新型コロナウイルスの恐ろしさを伝えることを控える必要はない。都合の悪いことでも一貫して提供することがデマを防ぐには重要」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
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◆今後の見通しは 注目点は ?
新型コロナウイルスをめぐる今後の見通しと注目点について。地域医療機能推進機構の尾身茂は「日本は武漢のようにはならない。医療、自治体、国民の連携があれば、ある程度感染は避けられる」と述べるなど、専門家が意見を述べた。
(参考資料)
○新型コロナウイルス感染症Q&A T
新型コロナウイルス感染症の基礎知識
(idsc.tokyo-eiken.go.jp:i2019年12月より抜粋・転載)
Q1:新型コロナウイルス感染症とは?
A:これまでに報告されていない新型コロナウイルス(2019-nCoV)に関連する呼吸器感染症といわれています。
Q2: 症状は?
A:発熱、せきなどの呼吸器症状が報告されています。
Q3:感染源、感染経路は?
A:感染源は、現在調査中です。武漢市の市場(以下、華南海鮮城)の関係者から多数の患者が報告されており、野生動物の可能性などが考えられています。
感染経路は、現在調査中ですが、患者と濃厚に接触することによる飛沫感染、ウイルスに汚染された環境にふれることによる接触感染が考えられています。ヒトからヒトへの感染は認められるものの、感染の程度は明らかではありません。
Q4:潜伏期間は?
A:潜伏期間は現在のところ不明ですが、他のコロナウイルスの状況などから、最大14日程度と考えられています。他のコロナウイルスについては、国立感染症研究所「コロナウイルスとは」をご覧ください。
Q5:診断のための検査は?
A:患者の咽頭ぬぐい液や痰を検査材料として、遺伝子増幅法(リアルタイムPCR検査やPCR検査)等を行います。
国が決めた条件に合った患者がいた場合、医療機関から保健所に連絡があり、検査をするか検討します。検査は、地方衛生研究所や国立感染症研究所で行います。
患者又は医療機関の希望による検査は行っていません。
Q6:治療方法は?
A:有効な抗ウイルス薬等の特異的な治療法はなく、対症療法を行います。
Q7:予防方法は?
A:一般的な衛生対策として、咳エチケットや手洗いなどを行っていただくようお願いします。
また、十分な栄養と休養、人込みを避けるなども有効です。発熱や咳などの症状がある人との不必要な接触は避けましょう。接触をした場合は、十分な手洗いをしましょう。野生動物や、動物の死体に触れないようにしましょう。
現時点で予防接種はありません。
Q8:コロナウイルスとは?
A:発熱や上気道症状を引き起こすウイルスで、人に感染を起こすものは6種類あることが分かっています。そのうち、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの、重症化傾向のある疾患の原因ウイルスも含まれています。それ以外の4種類のウイルスは、一般の風邪の原因の10〜15%(流行期は35%)を占めます。
詳しくは、国立感染症研究所「コロナウイルスとは」をご覧ください。
Q9:発生状況は?
A:最新の状況については、厚生労働省ホームページをご覧ください。