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[アジア22] 韓国が桜の「起源」に固執する理由 日本文化を楽しむのは不謹慎だという反日脅迫観念からの解放 2017/04/13 崔 碩
韓国が桜の「起源」に固執する理由
日本文化を楽しむのは不謹慎だという反日脅迫観念からの解放
2017/04/13
崔 碩栄 (ジャーナリスト)
 韓国の桜の季節は日本の東北地方と同じ時期、東京よりは1、2週間ほど遅れてやってくる。桜の時期になると毎年繰り返して話題に上げるのが、日本ー韓国間の「原産地」論争だ。そうはいっても日本側での反応は薄い、というよりはさほど関心がないように見受けられる。これに対し、韓国側では、韓国=原産地説を否定でもしようものなら、まるで顔に泥を塗られでもしたかのように、ヒステリックで感情的な反応を示す。桜の「原産地」だということへの執着は日本人の比ではない。この執着心はどこから生まれたのだろうか?


(iStock)
 実は、桜の原産地が韓国だという主張は1950年代にも存在した。しかし、初期には一部による主張にとどまり、大部分の韓国人にとって桜は日本の花であり、日本を象徴する花だと考えられていた。それは、1945年に第二次世界大戦が終わり、日本統治から解放された韓国のあちらこちらで、韓国人の手によって桜の木が伐採されたことが何よりもはっきりと証明している。「桜=日本のもの」という認識があったからこそ、日本に対する反感を桜に向け、怒りをぶつけたのだ。

 また、戦後にも春になると喜んで「花見」に出かける韓国人たちの姿を見咎めて、問題提起をするような新聞記事も90年代までは何度も書かれている。日本文化である花見を楽しむ姿は目に余るという理由だ。

 美しい花をみて、それを楽しむという行動が批判を浴びなければならない理由はなんだろうか? 所属する国家が違い、民族が違ったとしても、美しいものをみて美しいと思い、それを愛でたいと思うのは人間の「本能」とでもいうべきものだ。

 終戦直後の韓国には、こういった本能的な喜びを素直に受け止めることすら罪悪視されるほどに強烈な反日感情が充満していた。美しいものをみても「敵の文化と象徴を愛でてはならない」と、美しいと感じる感情は強迫観念にも似た罪悪感のもとに押さえつけられなければならなかったのである。

 だが、この罪悪感はいつまでも韓国人の本能を抑え続けることができなかった。何処何処の桜が美しく咲き誇っていると話題になれば、人々は吸いつけられるかのように桜を見に出かける。近年では全国各地の自治体が観光客を誘致しようと観光地化を推し進め、競うように桜の名所と宣伝し始めた。このような風潮に対して、「韓国の花もいろいろあるのに何で日本の花?」、「日本文化の真似だ」といった懸念の声があがったことは言うまでもない。

 これに対し、これらの懸念をきれいに払拭してくれる主張が登場したのだ。それこそが「桜の原産地は韓国である」という主張だ。つまり、日本の象徴であり、日本の花だとして知られていた花は実は韓国原産である、という主張は、桜を好み、愛する韓国人達を罪悪感から救い、強迫観念から解放してくれたのだ。今や自制する必要はなく、日本の目を気にする必要もない「名分」を得たのである。

韓国伝統文化の中に見当たらない桜の痕跡
桜は親しみのない花だった

 桜の原産地が厳密に言うとどこであるのかという問題については、専門家ではないので判断することは控える。だが、確実に言えるのは、韓国に樹齢何百年といった桜の老木があったとしても、桜を愛でて楽しみ、あるいは生活の中に利用するような文化や情緒は無かったという事実だ。これについては、韓国内での名コラムとして知られている朝鮮日報の「李圭泰コーナー」でも指摘されている。

済州島や南海の島で数百年になる桜の古木が発見され、原産地が韓国であるという説が有力視されているが、そうであれば(韓国において)古くからに誰も目にしたことがない花というわけではないはずなのに、我々の先祖たちが残したものの中から桜を素材にした詩の一首、物語の一場面をみつけだすことができないということは、ないがしろにされてきた花だったようだ。
(朝鮮日報 1985年 4月21日)
 韓国には桜が登場する古典文学や詩歌は知られておらず、伝統的な料理の中で桜を使ったものも、私の知る限りは存在しない。古典文学や詩歌の中にも頻繁に登場し、餅や菓子などの材料として使われ、絵に描かれ、着物の柄として使われてきた日本との差は歴然としている。

 もちろん、これが原産地論争の結論と直結するわけではないが、明らかなのは、桜が韓国に原生していたとしても、「ないがしろにされてきた花」に過ぎなかったということだ。

不都合な真実――戦後日本から渡ってきた多くの日本産桜
在日韓国人達が寄贈した数万株の桜が半島全域に広がっている

 もう一つ、桜に関して韓国人たちが目を背けている事実がある。現在、韓国で咲いている桜の多くは戦後、在日韓国人達によって贈られた、「日本産」の桜であるという点だ。1950年に起きた朝鮮戦争のため荒廃した祖国の山林を蘇らせようと、日本にいた同胞たちがたくさんの木を寄贈したのだが、その中でも数多く贈られたのが桜だったのだ。ここは想像でしかないが、おそらく、日本で見た美しい花を祖国の人々にもみせてあげたいと願ったのではないだろうか。

 在日韓国人による桜の木の寄贈については、古い新聞の記事などから相当数確認することができる。1963年に民団東京商工会の許弼奭氏らが寄贈した日本産桜が7000株、1966年に片スゲ氏が鎮海に1万株、1971年民団埼玉県西部支部の李載東氏らがソウル市に2000株など、大量の桜が日本から韓国に渡っている。1960年以降に在日韓国人達によって寄贈された桜は6万株に達するという。そして、これらの桜の木が植えられた場所の多くは今、桜の名所となっている。

 だが、今この桜の下で花見を楽しむ韓国人の多くはこの事実を知らずにいる。桜の名所を紹介する案内書をみても、在日韓国人たちの功績を認め、感謝の意を表すような解説を寄せている自治体はどこにもないからだ。

 数万株の桜が戦後日本から韓国に渡り植樹され、そのおかげで現在、韓国人たちが桜を楽しんでいるという事実は、桜の原産地が韓国だと主張する韓国の立場から見ると、「不都合な真実」に他ならない。

 少し話が飛ぶが、壬辰倭乱つまり、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に、朝鮮の陶工が数多く日本に捕虜として連行された。しかし、彼らのうちの相当数は終戦後、韓国側の捕虜と交換に半島に帰れることになったのだが、朝鮮へ帰国を拒否し、日本に残り陶工として根をおろした。商人や職人を蔑視する朝鮮とは異なり、日本では技術と努力に対し正当な評価が受けられたためだという。

 私は、毎年春になれば、韓国が桜の原産地論争を持ち出すのを見るたびに、この陶工たちの話を思い出す。「原産地」や「起源」よりも、その対象を認め、評価し、愛してきたのかということの方が、よほど重要な問題に思えてならないからだ。植物のDNA検査の結果を持ち出して「所属」を主張することで、一体何が得られるというのだろうか?
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9368
http://www.asyura2.com/17/asia22/msg/558.html

[国際19] トランプ大統領の「ラストベルト重視」はそう簡単に変化しない サプライチェーン改革がうまくいかない3つの理由――ますます複
【第1回】 2017年4月13日 ダイヤモンド・オンライン編集部
トランプ大統領の「ラストベルト重視」はそう簡単に変化しない

主筆に聞く!日本企業の「“トランプ”との付き合い方」
アメリカのトランプ政権発足で、これまでの「常識」に大きな変化が起こり、日本の企業経営者たちも新たな発想を持つ必要が出てきている。今後をどう見据えて経営の舵取りをしていくべきか。ダイヤモンド・オンライン連載「今月の主筆」に登場した経営者に問う企画。今回はボストン コンサルティング グループシニア・パートナー&マネージング・ディレクターの御立尚資氏に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 山出暁子)

「トランプ大統領」は突然出てきたわけではない


御立尚資(みたち・たかし)/ボストン コンサルティング グループシニア・パートナー&マネージング・ディレクター。前日本代表。京都大学文学部卒、ハーバード大学経営学修士(MBA)取得。日本航空を経て現職。主な著書に『戦略「脳」を鍛える』『経営思考の「補助線」』『変化の時代、変わる力』『ビジネスゲームセオリー』(共著)がある。  Photo by Yoshihisa Wada
――アメリカでトランプ政権が誕生し、「保護主義」に対する警戒感が強まっています。

「トランプ政権の保護主義的な動き」という話をするときは、そこだけを見るのではなく、まず前提にあるものを捉えておくべきだ。「トランプ大統領」は突然出てきたわけではなく、大きな流れの中で出るべくして出てきている。

 大きな流れのひとつとして、「エレファントカーブ」といわれるグラフを見てみるといい。これは世界銀行のエコノミストだったミラノビック氏が発表したものだが、1988年から2008年までの間に、世界で誰が豊かになったかを示している。グローバリゼーションの進んだこの約20年間に、先進国の富裕層は豊かになっていて彼らの富は6割くらい増えている。新興国の中間層も豊かになった。ところが、先進国の中間層は所得が伸び悩み、ないしは下がっている。

 この要因は第3次産業革命による工業化が世界に広がったことだ。当初は、日本を含むG7の国々だけが工業化に成功して豊かになった。ところが教育の普及で工業化を支える人材が新興国でも続々と生まれ、資本のグローバル化の中で、世界が工業社会化したのだ。その中で、人件費が安い新興国に、先進国中間層の雇用がシフトしたため、彼らが世界的な富の増と分配から取り残されてしまった。

 そうした大きな流れの中から出てきたのが、「トランプ大統領」であり、「ブレグジット」という現象だと捉える必要がある。

 したがって「トランプ大統領による保護主義」を考えるのであれば、トランプ氏個人や政権の性格だけでなく、大きな潮流も見る必要がある。たまたま今のタイミングで出てきたが、ポピュリズムにつながる流れ自体はもっと長期かつ強力なものだ。

 極端なことを言うと、民主党の候補がクリントンではなくサンダースだったら、サンダースが勝ったかもしれない。要は「トランプをトランプたらしめたもの」に目を凝らさなければならないということだと思う。

 同様に今年の4月末から5月にかけて、フランスの選挙がどうなるか、その結果を受けて、今秋のドイツの選挙がどうなるか。これらも同じ大きな流れの中にあると認識して見ていくべきだ。

――トランプ大統領も「しばらくすれば、大統領らしくバランスを取るようになるのでは」という声もありました。

 そうなるとは思わない。というのも、こうした大きな流れのなかで、中間層を満足させないと中間選挙に勝てず、さらに4年後の再選もないからだ。

 トランプ大統領が中間層、特にラストベルトと呼ばれるところの人たちの支持を得るために主張していることは、経済学的には相当怪しい部分もある。ただ、ロジカルに正しいのかどうかではなく「感情に訴えるわかりやすさ」を重視して支持を得たのだから、その方向性が簡単に変化することは考えにくい。

――具体的にどのような動きが出てくると思いますか。

 まず、「工業社会×グローバル化」で先進国中間層が取り残された、という大きな流れに対応する3つの動きが強弱あい交えながら出てくることになるだろう。

 1つ目は、富の分配政策を変えること、すなわち税と政府支出のあり方を中間層に受ける方向にすること。2つ目は、保護主義的政策でアメリカがグローバル貿易の中で「勝ち組」になるようにしようという動き。3つ目に、今後AI、ビッグデータによる「第4次産業革命」が加速していくなかでアメリカが一番になり、そこで中間層が豊かになる流れを作ろうという方向性が出てくると思う。

 ただ、そうはいっても、法律化していくもの、予算を伴うものについては議会の承認を得る必要があるから、貿易はある程度自由度を持ってやらせてもらえるとしても、税制などはこれから紆余曲折ある時期に入っていくと見ていたほうがいいだろう。新しい政策を大きく打ち出しても、そう簡単には実行できない、ということだ。

 経済の問題を超えて、目をこらしておくべき潮流も重要だ。いま起こっている世界の不安定さの大きな要因は、軍事力も経済力も、基軸通貨も圧倒的な強さを誇るアメリカが世界の安全保障の保護者となる「パックスアメリカーナ」という一極集中のモデルから、多極化の時代に向かい始めたことだ。

 アメリカだけでなく中国、インドも加えた「3極」、EUが今の苦しみを乗り切った場合には彼らも含めた「4極」の時代に向けて、世界のガバナンスや軍事バランスが作りなおされ始めた。ただ、それがどこへ向かい、どのような姿になるかはまだ見えない。その途上で自らが安全保障リスクを抱え込むのは嫌だ、ということで、トランプ政権は軍事力の再強化に乗り出そうとしている。

 もちろん、軍事力強化は国内の雇用も増やせる可能性があるので、そういうインセンティブも働いているだろう。

企業は主要国の「選挙カレンダー」を作って備えよ

――そうした環境の中で、日本企業はこれまでと違う、どのような戦略が必要になりますか。

 トランプ政権が誕生した際もブレグジットの際も、まず為替が大きく振れた。地政学リスク、政治リスクの時代には、為替のボラティリティがこれまでよりも高まるというふうに考えるべきだろう。

 当たり前のようだが、輸出企業を中心に為替の影響を大きく受ける企業は、「為替のボラティリティ」が起こるタイミングを注視することと、可能な限りのボラティリティ対応策を持っておくことが重要だ。

 同じような流れはEUでも起こっているわけだから、今後3年間のうちに先進国の主要な選挙がいつあるか、そのタイミングで為替が大きく振れたとき、自社にどんなインパクトがあるか想定しておくことが重要になる。主要国の選挙を軸にした "ポリティカルカレンダー"を作り、備えをしておくことはいますぐにでもできるはずだ。

 もうひとつ重要なのが、「リスクのポートフォリオ」という考え方を導入することだ。

 金融機関以外の企業の大部分は、事業ポートフォリオを考えるとき、将来、世界のどの地域のどの事業がこれくらいキャッシュを生んで成長が期待できるから、じゃあそこに投資しよう、という発想の仕方をする。これはあくまで「チャンスのポートフォリオ」だ。

 だが、これからは「リスクのポートフォリオ」を見なければならない。自社のどの地域のどの事業が、政治リスクや地政学リスクが顕在化したときに、どれくらいのマイナスインパクトを被るのか。その可能性は、限りなくゼロなのか、2〜3割なのか、あるいはそれ以上なのか。こういう目で、事業ポートフォリオを「チャンス」「リスク」両面から定期的に見直し、必要に応じて経営資源の再配分をする。

 これがこれからの事業ポートフォリオマネジメントの基本となろう。

「チャンスのポートフォリオ」と「リスクのポートフォリオ」の両方を見た上で、したたかにリスクテイクをすることが求められる時代なのだから。

――トランプ自身よりもトランプ大統領を作ったその背景にある大きな流れを認識しながら、“ポリティカルカレンダー”を重視し、「リスクのポートフォリオ」というツールを経営に持ち込むことが必要になった、ということですね。チャンスが出てくるとすればどのようなところが考えられますか?

 例えば、今後の貿易はグローバルのルールから、二国間のルールに変わっていくと考えられるが、その前に「地域経済圏」というものが出てくるだろう。

 つまり、これまでアメリカが中国で作っていたものを内製するようになる、その逆もしかり、で、そうなると「アメリカとその周辺」とか「中国とその周辺」といった経済圏ができてくる。すると、これまでのような「世界の工場」よりも、アメリカ経済圏、中国経済圏、といった地域経済圏ごとに、さまざまなチャンスが生まれてくるかもしれない。

トランプ政権の誕生前からすでに世界の貿易は増えていない

――アメリカが保護主義にシフトすることで、世界貿易や経済に大きな変化は起こると考えますか。

 これもまた、大きな流れの方が重要だ。

 そもそも、今、しきりに「保護貿易だ!」と言われているが、実はこの10年くらい、世界の貿易総量は増えておらず、輸出と輸入を足した世界の貿易総額の世界のGDPに対する比率は上がっていない。

 だから、トランプ政権の誕生前からすでに世界の貿易は増えにくくなっている。世界銀行などもスロートレードと呼んで、この現象を注視してきている。

 大きな要因は、中国の地産地消化だ。中国が大消費地になり、中国から輸出するために工場を作るのではなくて、中国で売るために工場を作るという投資が増え続けている。貿易というものの質が、気が付かないうちにすでにずいぶん変わっているということだ。

 したがって、TPPについても、もちろん関税の問題もあるが、どちらかというと知的財産とか、デジタル分野といった将来に向けたところのルールづくりが本質的な部分だ。製造業を中心にみて「保護主義だ」という議論をするよりも、先進国は、知的財産やデジタル分野でのルール作りを急いでやることのほうが今は重要度が高いとも言える。

 確かに、アメリカの国境税は大きなインパクトがあるかもしれない。狙い撃ちをされるのが中国、日本、ドイツとなる可能性は高いし、これがどうなるかは、目を凝らしてみていなければならない。

 だが、「保護主義の時代がくる!」などと騒ぐ前に、そもそもグローバル貿易というのはもう伸びにくくなっていて、世界は地産地消型に移行しつつあることを落ち着いて捉えたほうがいい。そうすれば、今、悩まなければいけないことにフォーカスできる。

 メディアを騒がせる「保護主義」という見出しの表面だけに踊らされてはいけない。

http://diamond.jp/articles/-/123012

 


 


【第6回】 2017年4月13日 PwCコンサルティング
サプライチェーン改革がうまくいかない3つの理由――ますます複雑化する世界におけるオペレーション統治の有効性

近年、内需の限界を感じ国際化を目指す企業がより一層増えている。そのような状況の中、企業は変化が激しい市場に合わせ、統合された需給コントロールを実施する必要がある。競合他社との差別化を図る上でも、これまで以上にマーケットとの連動、収益性を念頭に置いた意思決定を行うことが求められている。サプライチェーンの個別機能(開発、販売、製造、調達など)を最適化し連携させていくだけではなく、財務、マーケティングなど他部門を含めて全体最適を目指した構造改革によるオペレーションコントロールが必要となっている。この構造改革をどのように実現していけばよいのだろうか。
トップの期待通りに進まない構造改革
山田 祐三
PwCコンサルティング合同会社
シニアマネージャー
大手コンサルティングファームを経て現職。金融、製造、消費財、商社等幅広い業種に対し、グローバルサプライチェーン改革、ITシステム改革の支援を行う。戦略立案から、業務改革実行・定着化までのプロジェクトに数多く携わる
 PwCのグローバル調査によると、調査対象企業トップの78%が「自社組織を改革したい」と考えている。
 しかし、「自社内に改革を実行できる能力がある」と考えているのはわずか54%。「その改革に必要な戦略を自社の担当者が理解している」と考えているのは76%であるが、「その戦略が具体的な行動に落とし込まれていると考えている」と回答したのは54%にとどまった。トップの期待に対して、現場には能力も足りないし、実際に行動にも移せていないというのが調査の結果だ。
 なぜそのようなことが起きるのであろうか。実際のビジネスにおいては計画通りに進まない要因は複数あり、それらがビジネスの成果に大きな影響を与えている。現場がトップの期待に応えるべく、戦略を実行に移そうとしているが、以下のようなさまざまな要因によって、企業トップの期待通りの成果があげられていないのが現状なのである。
・市場の動向に対して自社の製品ポートフォリオがミスマッチとなっている
・顧客需要にフォーカスした結果、必要以上にコストがかかり利益を圧迫している
・予測不可能な需要に対して在庫が積み上がってしまう
・適切な判断ができないことにより利益機会を喪失している
・組織が縦割りとなっているため、情報が分断されている

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現場は改革を推進、しかしそこには落とし穴が
 ただ、各企業はこのような課題を放置しているわけではない。優良企業と言われる企業は率先して財務成果達成のためS&OP(Sales and Operations Planning)を構築している。生産、販売の連携を強化するために、需給予測の精度を高め、S&OPを導入することで経営とつながるオペレーションの実現を進めてきているのである。ただ、そこにも落とし穴が待っている。

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 ガートナーの調査結果によると、S&OPを構築して自社の利益を増やしたいと考える企業が増えてきているが、成果が出ていると感じている企業は40%に満たない。S&OP導入への期待と結果の間にギャップが発生しているのが現状なのである。なぜか? それは、S&OPの実行プロセスに問題がある可能性が高い。
 経営の高度化を目指しS&OPの導入を図ったA社の事例を見てみよう。
 A社では従来、生産部門と営業部門の担当者が顔を会わせ、翌月の需要要求に対して生産側で対応が可能かを調整する会議を実施していた。需給調整会議と呼ばれるもので、数量ベースでの判断が中心となっていた。
 そこにS&OPの概念を導入し、数量だけではなく金額や利益も判断材料とし、より会社の利益に貢献する判断を行える体制を志向することになった。ヨーロッパとアメリカからそれぞれ供給可能数量を超える要求が届いた場合、より利益を生み出す方を優先するといった判断を行うことだ。
 このS&OP会議には、もう一つの目的があった。中長期的な意思決定が必要な情報を適時にマネジメントへ伝えることである。例えば、今後5年の販売計画を考えたとき、3年後にはある工場の生産能力が限界に達すると予測。工場の設備を増設するか、もしくは、市場が大きく成長しているエリアに新工場を設置するかの検討を行うようなケースだ。
 この場合、生産のコストだけではなく、原材料の調達から中間品製造、最終加工、倉庫保管、小売り、という全体のネットワークを、コスト/リスク/効率の観点でどう変わるのかをマネジメントに提示していく。ITを使って動的にシナリオ(この場合、工場増設と新工場設置)を設定し、分析可能にするところまで考えていた。
 大きな期待のもとでスタートしたA社のS&OP会議だが、1年後の結果はどうなったか?

なぜ、プロジェクトは自然消滅したのか
 前者の取り組みについては一定の結果が得られた。これまで見えていなかった、売上や利益、コストという観点で判断するというプロセスが定着し、関係者の意識は格段に高くなった。一方、後者の取り組みについては、残念ながら目指した姿には遠く及ばないまま自然消滅してしまった。
 うまくいかなった要因を3つ挙げる。まず1つ目が現状調査の甘さ。この取り組みを行う上で、全体を詳細に把握しておくことは不可欠だ。その前提となる調査が甘かった。どこの工場がどれくらいの生産能力を持っているのか、商材の物流、商流はどうなっているのか、販売の計画はどのように立てられ、どのような頻度で更新されているのか、リベートなど値引きを含む販売価格はどうなっているのか、またそれぞれどのようなコストで運営されているのか…。
 すべてを詳細に把握する必要があったのだが、できていなかった。情報を集めるためには部門を跨いだ調査が必要となるが、販売や経理などの他部門をうまく連携できず、突っ込んだ現状調査が行われなかった。
 2つ目は、経営陣を巻き込めなかったこと。一つ目の要因により、詳細情報をベースとしたシナリオ&分析に基づく意思決定はできず、担当者の恣意的な判断をベースに経営者へ意思決定を促すという形になってしまった。
 となれば、従来通り取締役会で判断を仰げばよい、ということになり、経営者が参加するS&OP会議は有名無実化し、いつしか運営されなくなってしまった。情報を集められなかったために、経営陣をうまく巻き込めなかったのだ。
 そして3つ目が、IT活用の失敗だ。S&OPを実現させるためには企業全体のサプライチェーンの詳細情報を集める必要があるが、毎月毎月データを集めるのは非常に手間がかかる。うまくITを活用して情報収集できればいいが、A社の場合は社内調整が難しく、IT化が進まなかった。
 結果、担当者、データ提供側双方の作業負荷が高くなり、データの収集を途中でやめてしまう。さらに、せっかく収集した情報が会議で有効活用されないとなれば、「集める意味がない」という空気が蔓延する悪循環に陥ってしまった。
 A社の取り組みは、S&OPの真の目的を見失い、中身のない名ばかりのものとなっていた。ではどうすれば成果があげられるS&OPが実現できるのだろうか?

成功の秘訣は統合されたオペレーション
 成功の秘訣、それは「統合されたオペレーション」である。簡単に言えば、部門・チームを跨いで計画するということだ。「そんなの今もやっているよ」という声が聞こえてきそうであるが、やり方を間違えていることが多い。
 財務部門、サプライチェーン部門、マーケティング/販売部門を繋ぎ、統合された計画として戦略を実行に落としこむ必要がある。機能していないS&OPは、財務部門とマーケティング/販売部門との連携が十分にできていない。

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結果が出るサプライチェーン改革の実現
 成果が出るサプライチェーン改革の実現のために重要な4つの成功要因は以下の通り。
1.その企業に合った意思決定アプローチを決めること
2.各部門における計画プロセスを連携させること
3.意思決定のために正しいデータを正しい時に提供すること
4.より利益のある意思決定を促すためのリアルタイム分析と部門連係を可能にするテクノロジーを積極的に活用すること
 S&OPを導入したが、中身のない意思決定会議になってしまっては意味がない。その企業に合ったカスタマイズされた意思決定アプローチを決めることが重要である。
 そして、「財務」「マーケティング/販売」「サプライチェーン」の各計画プロセスを各部門間で連携させる。情報の連携においては、正確な情報を必要なタイミングで意思決定者で連携することが重要である。さらに、収集された情報をリアルタイムに分析し各部門に連携するために、積極的にテクノロジーを活用することで、成果が出る仕組みの構築が可能となる。
 これらの取組をしっかり実行することにより、結果は必ず出る。数多くの企業を見ている中で、この取り組みができている企業は着実に成果が出ている。皆様の会社は期待通りの成果が出ているだろうか?

http://diamond.jp/articles/-/123012

http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/124.html

[戦争b20] 米軍がアフガニスタンに特殊爆弾、通常兵器として最強 IS潜伏地域に 米シリア攻撃3つの理由 シリア誤算に苦慮するプーチン
米軍がアフガニスタンに特殊爆弾、通常兵器として最強 IS潜伏地域に
2017/4/14 2:18
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 【ニューヨーク=平野麻理子】米CNNテレビによると、米軍は13日、アフガニスタンに爆弾を落とした。落とした爆弾は、大規模爆風爆弾兵器(MOAB)と呼ばれ、通常兵器として最強の破壊力を持つとされる。現地時間の午後7時に、過激派組織「イスラム国」(IS)の潜伏する地域に落としたという。

http://www.nikkei.com/content/pic/20170414/96958A9E9381959CE3E19AE0828DE3E1E2E6E0E2E3E5E2E2E2E2E2E2-DSXMZO1530476014042017000001-PB1-5.jpg

米軍がアフガニスタンに落とした大規模爆風爆弾兵器(MOAB)=AP
 
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米軍、アフガニスタン


NY株、下げ幅100ドルに迫る 米軍がアフガニスタン爆撃と伝わる (2017/4/14 2:44)

シリア攻撃は化学兵器使用への「けじめ」 (2017/4/8 6:30) [有料会員限定]

「トマホーク」冷戦後の主力兵器 米大使館テロ報復でも使用 (2017/4/7 14:37) [有料会員限定]

「イスラム国」包囲網揺らぐ (2017/4/11付) [有料会員限定]
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN13H2P_T10C17A4000000/


 


米国がシリアを攻撃した3つの理由

田原総一朗の政財界「ここだけの話」

2017年4月14日(金)
田原 総一朗
 4月6日と7日、米国のトランプ大統領と中国の習近平主席による初の米中首脳会談が開かれた。最も重要なのは、その首脳会談の最中に、米国がシリアに向けて59発のミサイルを発射したことだ。

 トランプ大統領は会談の途中で、習近平主席にその事実を伝えた。これはどういうことなのか。


米国によるシリア攻撃は米中首脳会談の最中に行われた(写真=ロイター/アフロ)
 ミサイルを撃ち込んだ理由は3つある。

 1つ目は、トランプ大統領が「自分はオバマ氏とは違う」と示したかったこと。2013年にアサド政権が反体制派に対して化学兵器とみられる爆弾を使用した時、米政府は兵器の使用を断定し、オバマ大統領はこれを「レッドライン(超えてはならない一線)」として、シリアへ軍事攻撃しようとした。

 しかし、オバマ氏は「攻撃する」と言いながらも実現できず、結局、ロシアのプーチン大統領に主導権を握られてしまった。その点で、トランプ氏はシリアを実際に攻撃することでオバマ氏との違いを示したかったのだろう。

 2つ目は、トランプ氏が大統領に就任してから、内政が全くうまくいっていないことだ。特に、「オバマケア」の改廃に失敗したことは、トランプ政権にとって打撃だった。与党の支持を集められなかったことはトランプ氏の求心力低下に繋がり、今後の政権運営に悪影響が出る可能性もある。

 このように内政がうまくいっていない時には、外交、特に戦闘行為を行うのは常套手段だ。

 しかし、何よりも大事なことは、ミサイル攻撃が米中首脳会談の最中だったことだ。これは何を意味するのか。

 この答えは、3つ目の理由である中国へのメッセージだ。米国は、北朝鮮に対してもミサイル攻撃を行う準備があることを示し、中国に「北朝鮮への攻撃が嫌なら、中国は北朝鮮に対してもっと圧力をかけ、ミサイル発射や核実験を止めさせろ」と伝えたかったのだと思う。もし、中国がそれをやらなければ、米国が独自で攻撃をするというメッセージだ。

米国の思惑について二通りの見方がある

 米国のメッセージが非常にリアルになってきたのは、4月15日に金日成生誕105周年記念日が控えているからだ。

 北朝鮮は5年ごとに大がかりな祝賀イベントを開催しているが、5年前の4月13日未明には弾道ミサイル「テポドン」を発射した。これは失敗に終わったが、今年の生誕記念日にも何らかの実験をやるのではないかと言われている。

 具体的には、「今回は核実験をやるのではないか」という話を情報筋からよく聞く。もし本当に北朝鮮が核実験に踏み切れば、米国はシリアにミサイル攻撃をしたように、北朝鮮にも報復を行う可能性がある。外務省筋もそういう見方が多勢を占めている。

 4月8日、米太平洋軍のハリス司令官が、シンガポールから豪州に向かう予定だった空母カール・ビンソンを中心とする艦隊に対し、北朝鮮付近の西太平洋に向かうよう指示した。北朝鮮に対する強烈な牽制である。

 その一方で、こんな話もある。もし米国が武力攻撃をした場合、北朝鮮はどう出るのか。下手をすると、北朝鮮の反撃によって韓国や日本が有事になる可能性もある――。

 例えば先日、北朝鮮が4発のミサイルを同時に発射したが、それは在日米軍基地を狙ったのではないかと言われている。もしかすると北朝鮮は、報復としてこれをやる可能性がある。

 米国は、北朝鮮の核実験をできるだけ回避したいと考えている。だから、原子力空母の展開などといった大仰なことをやって、圧力をかけていると考えられる。

 米国の一連の動きは、核実験の報復行為への準備か。あるいは、核実験を避けるための圧力か。外務省筋も、この二つの見方に割れている。いずれにしても、今週末から来週には具体的な話が見えてくるだろう。

アメリカに理解を示した中国と、強く非難したロシア

 米国のシリア攻撃について、各国の反応はそれぞれ異なる。微妙な立場にあるのは、中国とロシアだ。

 シリアへのミサイル攻撃について、ティラーソン米国務長官は、「習近平主席は理解を示した」と述べた。これは、先にも述べたように「北朝鮮にも単独で攻撃をする準備がある」というメッセージが含まれている。習近平主席もそのメッセージを理解しているだろう。その点で、習近平氏は表面的に反発しなかっただけかもしれない。

 一方、ロシアのプーチン大統領は、アメリカに対し「シリアへのミサイル攻撃は侵略行為だ」と強く非難した。しかし、これも難しい問題だ。2013年にシリアが化学兵器を使用したと米国が認定した際、プーチン大統領は報復に踏み切れなかったオバマ氏に代わってアサド大統領と交渉し、「化学兵器を廃棄し、二度と使わない」と約束させた。

 つまり、アサド政権がその約束の後に化学兵器を使用したならば、プーチン大統領の顔に泥を塗ったことになる。プーチン大統領の本音としては、アサド大統領に腹を立てているのかもしれない。

 来たる4月15日の金日成生誕105周年記念日に向けて、米国と中国が北朝鮮に核実験をさせないように押さえ込めるのか。当面はここが焦点となる。

 ただし、本コラムの記事「問題は『ストレスの塊』である金正恩の判断力」でも述べたが、金正恩氏は今、正常な判断力を失っている懸念がある。

 これまで200人近くの側近たちを粛清した金正恩氏には、相談する相手が誰もいない。ストレスの塊で、正常な精神状態ではないだろう。ここ数日、金正恩の発言が一切報道されていない点も謎だ。各国が緊張感を持って北朝鮮の動向を見つめているのは明らかだ。

米中、中身の議論は避けたものの友好関係は維持

 今回の米中会談は、北朝鮮の核ミサイル問題において、「危険なレベルに達している」という認識を共有したが、それ以外の問題には互いに深く踏み込まなかった。経済問題についても、貿易の不均衡を是正するために「100日計画」を策定することで一致したものの、具体的な中身については詰めなかった。

 もし具体的なところまで踏みこめば、両国の間で摩擦が起きる。互いにそれを避けて、友好関係を優先させたということだ。

 何を評価するかは難しいが、緊迫する北朝鮮問題を前に米中関係を悪化させなかったという点は、一つの成果ではないか。


このコラムについて

田原総一朗の政財界「ここだけの話」
ジャーナリストの田原総一朗が、首相、政府高官、官僚、財界トップから取材した政財界の情報、裏話をお届けする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/041300016/

「シリアの誤算」に苦慮するプーチン政権

解析ロシア

2017年4月14日(金)
池田 元博
ロシアが軍事介入するシリア問題で、プーチン政権が苦慮している。第2の都市サンクトペテルブルクでテロ事件が発生したのに続き、シリアでアサド政権による化学兵器使用疑惑が浮上、米国がミサイル攻撃に踏み切ったからだ。

米ロ関係改善のシナリオは完全に狂った(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
 冷徹な指導者とされるプーチン大統領にとっても、さぞかしショックだっただろう。4月3日にサンクトペテルブルクの地下鉄車内で起きた爆発事件だ。容疑者1人を含む15人が死亡し、100人以上が負傷した」

 捜査当局は爆破テロ事件と断定するとともに、実行犯を中央アジアのキルギス出身で、ロシア国籍を持つサンクトペテルブルク在住のアクバルジョン・ジャリロフ容疑者と特定した。

 プーチン大統領にとって衝撃だったのは、政権が万全だと誇示してきた国内のテロ対策のもろさが露呈したうえ、標的となった都市が自身の出身地であるサンクトペテルブルクだったことだ。

 しかも大統領は事件の当日、ベラルーシのルカシェンコ大統領との首脳会談のため、サンクトペテルブルク市内に滞在中だった。まさにプーチン氏の訪問日程に合わせ、大統領の神経を逆なでするようなテロ攻撃だったわけだ。

 プーチン大統領の困惑ぶりを象徴したのが、事件当日の夜に現地で開いたルカシェンコ大統領との共同記者会見だろう。

 「我々の会談結果を簡単に報告したい」――。プーチン大統領は厳しい表情のまま、冒頭から首脳会談での合意事項を列挙し、続くルカシェンコ大統領の発言が終わると質問も受け付けずに会見場を去った。メディアを通じて国民に訴えかける格好の場だったが、地下鉄爆破事件には一言も触れなかった。

 テロと断定された事件に対する大統領の生の声が伝わったのは2日後。5日にモスクワで開いた独立国家共同体(CIS)加盟国の治安機関トップとの会合の席だった。

 「先のサンクトペテルブルクでの悲劇が示したように、残念ながら状況は改善していない。テロ攻撃によって人々が犠牲になり、多くが負傷した。我々のどの国であってもテロ攻撃の潜在的な標的となり得るということだ」

 従来、「テロリストの殲滅(せんめつ)」を豪語してきた大統領にしては、やや意外感のある弱気の発言ともいえる。サンクトペテルブルクでのテロ事件が政権に与える打撃の大きさを実感しているからかもしれない。

プーチン氏が恐れる、テロとシリア問題の関連付け

 ロシアはこれまで何度もテロの悲劇に遭い、多くの犠牲者を出してきた。ただ、過去の多くのテロ事件はチェチェン独立派武装勢力など、主に国内のイスラム過激派や原理主義勢力によるものだった。

 1999年秋には首都モスクワなどでアパート連続爆破事件が発生し、当時は首相に就任直後でほぼ無名だったプーチン氏が「チェチェン武装勢力の犯行」と断定。大規模な掃討作戦を主導して国民の人気を一気に集め、翌年の大統領選で初当選する素地となったのは有名な話だ。

 こうした経緯もあって、プーチン氏は「テロとの戦い」を政権の主要課題に掲げ、国民の結束を呼びかけるとともに、政権への支持を集める題材≠ニして利用してきた。実際には政権基盤を安定させるためのメディア統制やデモ・集会規制といった社会統制措置も、対テロ対策を国民向けの言い訳にしてきた面も否定できない。

 今回の事件によって、社会統制を含めた政権の治安対策にも疑問符がつけられかねない情勢だが、政権が恐らく、それ以上に危惧しているのは事件がシリア問題と関連づけられることだろう。

 ロシアは過激派組織「イスラム国」(IS)など国際テロ組織の撲滅を名目に、2015年9月末からシリアで大規模な空爆作戦を開始した。旧ソ連圏以外では、ソ連時代のアフガニスタン侵攻以来の他国への軍事介入だった。プーチン政権には、ウクライナ領クリミア半島の併合で強まった国際的な孤立を脱却する狙いもあったとされる。

 しかし、ロシア社会では多数の犠牲者を出したアフガン侵攻の苦い経験から、他国への軍事介入に否定的な風潮も根強い。

 プーチン政権もシリア介入後、社会の反応にはとくに配慮した。2015年10月末にエジプトで観光客を乗せたロシア旅客機が墜落した際には、「爆破テロ」との見方をなかなか認めなかった。同年11月、トルコがシリア空爆作戦に参加していたロシア軍機を撃墜しロシア兵が死亡した時は、経済制裁まで科してトルコを激しく非難したこともあった。

 ところが今回はロシア第2の大都市で、一般市民が巻き込まれた。ひとごとと思っていたテロが、身近な恐怖として国民の間に浸透したのは間違いない。

 国内メディアはジャリロフ容疑者が2015年11月にトルコのイスタンブールに空路で向かい、その後にシリア入りしてISによる軍事訓練を受けていたとの説や、今年2月にキルギスに一時帰郷後、急に無口になり様子が変わったという情報などを相次ぎ報じている。

 ロシアや旧ソ連諸国からIS戦闘員として参加した若者らは数千人に達しているとされる。しかもIS側は空爆を続けるロシアへの報復を予告していた。ジャリロフ容疑者もISや他のイスラム過激主義に傾倒し、テロ事件を起こした可能性は否定できない。

旧ソ連から「イスラム国」(IS)に参加した戦闘員 (ICSRの推計、2015年1月発表)

(注)ICSR=英ロンドン大学キングス校の過激化・政治暴力研究国際センター

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/040400028/041200026/p2.png


 ただ、ISの関与の有無にかかわらず、国民の多くがテロ事件とシリアでの軍事介入を関連づけ、介入に批判的な世論が今後高まる恐れがある。ひいては「シリアの誤算」が、政権の求心力を弱めるきっかけにもなりかねない。

狂った米ロ関係改善のシナリオ

 プーチン氏にとって唯一の救いは、地下鉄テロを受けて米国のトランプ大統領をはじめ世界の主要国首脳がこぞって電話をかけ、対テロ共闘を呼びかけたことだろう。大統領は機を見るに敏な戦術家だけに、国際連帯の輪を利用し、シリア和平を主導的に進める方策を模索したことは十分に想像できる。

 ところがそんな折も折、新たな「誤算」に見舞われた。シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑である。北西部の反体制派が支配する地域でサリンとみられる化学兵器が空爆に使われたとされ、女性や子どもを含めて100人規模の死者が出た。これで国際社会のアサド政権批判が一気に強まった。

 特にトランプ大統領は「多くの一線を越えた」「シリアとアサド(大統領)への考えは大きく変わった」と激しく非難。さらに米軍はシリア内戦が始まってから初めて、アサド政権軍に対する大規模なミサイル攻撃に踏み切った。

 ロシア大統領府はこれに対し、プーチン大統領が「米国のシリア攻撃は主権国家への侵略で国際法違反」とみなしたとする非難声明を発表。アサド政権軍による化学兵器使用を否定するとともに、今回の攻撃が米ロ関係にも深刻な損失を与えると警告した。

 ロシアはこれまで、アサド政権を存続させる形でのシリア和平を画策してきた。今年1月にはトルコ、イランとともにカザフスタンの首都アスタナでのシリア和平協議も主導した。この流れに、米国のトランプ政権も巻き込んで和平を実現するとともに、オバマ前政権下で大きく冷え込んでいた米ロ関係を改善するシナリオを描いていたようだ。

 こうしたシナリオは完全に狂ってしまった。かつてロシアとの協調に前向きだったトランプ大統領は、アサド政権の後ろ盾となっているロシアにも疑心の目を向けており、対ロ制裁の強化までちらつかせている。

 4月11〜12日には米国のティラーソン国務長官が初めて訪ロし、プーチン大統領やラブロフ外相と会談したが、シリア情勢をめぐる米ロの立場の隔たりは全く埋まらなかった。

 米ロ外相会談では両国が特別代表による作業部会を設置し、互いの様々な懸案を協議する枠組みをつくることでは合意した。決定的な対立は回避したとはいえ、トランプ政権の発足で一時的に膨らんでいた米ロの関係改善の期待も、急速にしぼみつつある。

 ロシアでは先月末、反政権派ブロガーとして知られる弁護士、アレクセイ・ナワリヌイ氏の呼びかけで政権の汚職や腐敗を批判する集会が各地で開かれ、若者を中心に多数の市民が参加した。メドベージェフ首相が莫大な隠し財産を保有していると告発したナワリヌイ氏のビデオがユーチューブを通じて流布し、多くの若者の関心を集めたためだ。

 危機感を募らせる政権与党などの間では、その直後に起きた地下鉄爆破事件を受け、反テロ集会を盛り上げて国民に連帯を呼びかけ、汚職や腐敗に対する国民の不満を抑えようとする動きがでている。また、政権側が「テロ対策」を名目に、政権批判のデモや集会を一段と規制するのではないかとの観測も浮上している。

 しかし、こうした小手先の対応が政権の求心力維持に結びつく保証はない。むしろ地下鉄爆破事件で国民の懸念が強まったシリア介入に、どのような落としどころを探っていくのか。プーチン大統領の真価が試されているといえるだろう。


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解析ロシア
世界で今、もっとも影響力のある政治家は誰か。米フォーブス誌の評価もさることながら、真っ先に浮かぶのはやはりプーチン大統領だろう。2000年に大統領に就任して以降、「プーチンのロシア」は大きな存在感を内外に示している。だが、その権威主義的な体制ゆえに、ロシアの実態は逆に見えにくくなったとの指摘もある。日本経済新聞の編集委員がロシアにまつわる様々な出来事を大胆に深読みし、解析していく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/040400028/041200026/
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/144.html

[国際19] 「ダーイシュ(IS)」を正当化するNYTの記事に、ジャーナリストたちが憤慨 米軍がアフガニスタンに最強非核爆弾MOAB

「ダーイシュ(IS)」を正当化するNYTの記事に、ジャーナリストたちが憤慨 © AFP 2017/ Emmanuel Dunand
米国
2017年04月14日 05:56短縮 URL 0 2211
ジャーナリストのセス・フランツマン氏は、米国に対して事実上シリアでのテロ組織「ダーイシュ(IS)」との戦いを止めるよう呼びかけている、様々に解釈できる記事に注目した。この記事は、ニューヨーク・タイムズに掲載された、スプートニクが報じた。

世界遺産が無残... 「ダーイシュ(IS)」パルミラ破壊の証拠動画を露国防省が公開【動画】
© 写真: DAVID HOLT
世界遺産が無残... 「ダーイシュ(IS)」パルミラ破壊の証拠動画を露国防省が公開 【動画】
スプートニク日本
フランツマン氏は自身のブログで、トーマス・フリードマン氏の記事「なぜトランプ氏はシリアでISと戦うのか」の一部のスクリーンショットを公開した。同記事では、テロリストとの速やかな戦いは米国の利益にならないと述べられている。

フリードマン氏は、トランプ米大統領は「ダーイシュ(IS)」に「アサド大統領、イラン、ヒズボラ、そしてロシアの頭痛の種」であることを許すべきだとの考えを示し、そこで米国人が「ロシア人の血を流すこと」を鼓舞したアフガニスタンのムジャヒディン(ジハード遂行者)たちとの共通点を挙げている。

フリードマン氏は、世界的には「ダーイシュ」との戦いが必要であることを認めているが、「ダーイシュ」はイラク西部とシリアの多くの地域を支配しており、「彼らの目的は、アサド政権とそのシリアの同盟者、そしてイラクの親イランのシーア派政権との戦いだ」と言及している。同氏によると、シリアでの戦争は、穏健派反政府勢力と「ダーイシュ」の2方向で行われなければならない。米国がシリアで「ダーイシュ」の支部を鎮圧すれば、「アサド大統領、イラン、ロシア、そしてヒズボラへの圧力が軽減され、彼らに穏健派反政府勢力を鎮圧するチャンスを与える」ことになるという。

フランツマン氏は「これが大手新聞に掲載されたとは信じがたく、ニューヨーク・タイムズに掲載されたとは、さらに信じるのが難しい。誰かにとって問題になると主張されているあらゆる組織のうち、なぜまさに非常に多くの犯罪を犯している「ダーイシュ」に目をつぶらなければならないのだろうか?… 過激主義者やジハード主義者らとの協力が解決策にはならないことを、誰も本当に理解していないのだろうか?」と憤慨している。

フランツマン氏は、「ダーイシュ」はハマスあるいはムスリム同胞団のような穏健なイスラム主義者ではないと指摘している。「ダーイシュ」は大勢の人々を殺害し、文化遺産も破壊している。フランツマン氏は「まさか全ての人が、ダーイシュが生きたまま人々を焼き殺し、数千人もの人々を斬首したことを忘れてしまったのだろうか?… いったいどうしてこの組織にくつろぐことを許せる人がいるのだろうか?」と問いかけている。

先の報道によると全米反戦連合(UNAC)は、シリア空軍基地への米国のミサイル攻撃は、この地域の紛争を「破滅的にエスカレートさせ、核戦争を引き起こす」恐れがあると警告した。
https://jp.sputniknews.com/us/201704143535031/


 

米軍、最大級の非核爆弾投下 アフガニスタンでIS掃討を援護
By Ben Kesling
2017 年 4 月 14 日 04:47 JST
 【ワシントン】米国防総省の発表によると米軍は13日、アフガニスタン東部で過激派組織「イスラム国(IS)」が建設したトンネル施設に対し、保有する中で最大級の非核爆弾を投下した。

 米国とアフガンの両軍による同地域での掃討作戦を援護するためで、投下されたのは「すべての爆弾の母」とも呼ばれる大規模爆風爆弾兵器(MOAB)。

 MOABは精密誘導機能を備えた「スマート爆弾」で、地下施設やトンネルなど、通常の大型爆弾や砲撃に耐え得る施設を最大限に破壊する設計となっている。

 アフガ...
http://jp.wsj.com/articles/SB12067679343987804777504583083213153026082


米国、アフガニスタンの「ダーイシュ(IS)」を「最も強力な非核爆弾」で攻撃 © 写真: Ministry of defence of the Russian Federation
政治
2017年04月14日 01:56(アップデート 2017年04月14日 02:43) 短縮 URL1105121
米国防総省 米国はアフガニスタンのダーイシュ(IS)を「最も強力な非核爆弾」で攻撃した。

スプートニク日本

米国は、戦闘状況の中で最も強力な非核爆弾を初めて使用した。その対象は、アフガニスタンのテロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国、ロシアで活動が禁止されている)」となった。米国防総省広報部がリア・ノーヴォスチ通信に伝えた。

広報部の代表者は「攻撃は13日、ナンガハール州アチンで行われた。対象となったのはダーイシュ(IS)の戦闘員、彼らが移動のために使用しているトンネル・システム。GBU-43(爆弾)が使用された」と述べた。

先の報道によると、国際有志連合がシリア・デリゾール県にあるダーイシュ(イスラム国、IS)の武器倉庫を空爆した結果は、大量破壊兵器として使用可能な化学物質を過激派が所有していることを確認するものだ。
https://jp.sputniknews.com/politics/201704143535408/


米軍がアフガニスタンに特殊爆弾、通常兵器として最強 IS潜伏地域に 米シリア攻撃3つの理由 シリア誤算に苦慮するプーチン
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/144.html 

http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/125.html

[政治・選挙・NHK224] 安倍政権をアシストする大揺れの民進党 「ふるさと納税」批判に熱心な霞が関の狙い なぜ国が「返礼品」の上限額を決めるのか?
安倍政権をアシストする大揺れの民進党

ニュースを斬る

相次ぐ離党、蔓延する「あきらめムード」に揺れる蓮舫体制
2017年4月14日(金)
安藤 毅
 民進党の蓮舫体制が揺れている。党内保守派の長島昭久元防衛副大臣が共産党との共闘路線を批判して離党を決断。執行部の一員だった細野豪志氏も代表代行の辞表を提出した。苦戦が予想される7月の都議選を前に公認内定者らの「離党ドミノ」も続く。党勢低迷を象徴するような自壊の動きが広がり、結果的に安倍晋三政権をアシストする構図となっている。

民進党内の結束を揺るがす事態が多発し、正念場を迎えている蓮舫代表。(写真:アフロ)
 「共産党と共闘する党の方針は受け入れがたい」

 今月10日、離党届提出後の記者会見で長島昭久元防衛副大臣は離党を決断した理由についてこう強調した。

「民共路線は受け入れがたい」

 長島氏は安全保障政策に詳しい保守派の論客として知られる。共産党との選挙協力に否定的で、以前から離党の可能性がささやかれていた。衆院東京21区で落選して比例代表で復活当選し、民進の都連幹事長を務めていた。2016年3月の民進党結党後、同党所属国会議員の離党表明は初めてとなる。

 長島氏がこの時期に離党を決めた背景について、長島氏に近い民進議員は「党にとどまっても先が見えないという閉塞感に加え、7月の都議選をにらんだ動きだ」と解説する。

 長島氏の地元では元秘書などが小池百合子都知事が実質的に率いる「都民ファーストの会」との連携へと動き出している。長島氏も会見で「あらゆる可能性を追求していきたい」と語り、小池氏との連携も視野に入れていることを示唆した。

 これ以上の所属国会議員の離党を防ぎたい民進執行部は火消しに追われている。11日の常任幹事会で長島氏を除名処分とする方針を決定。野田佳彦幹事長は会見で、野党共闘について「変えるつもりはない」と断言した。

 今のところ、長島氏に追随する動きが広がるかは見通せない。だが、民進の中堅議員は「離党を考えている議員はかなりいる」と明かす。水面下では憲法改正の発議をにらみ、改憲勢力の拡大を目指す自民党による切り崩し工作が加速している事情もある。

 「自民党と同じ会派で活動をしてもらえればありがたい」。長島氏の離党表明を受けた自民の下村博文幹事長代行のこうした発言はなんとも示唆的だ。

 長島氏の離党表明にショックを受けた蓮舫代表だが、13日にはさらに党内の結束を揺るがす事態が起きた。細野豪志氏が代表代行の辞表を提出したのだ。

 きっかけとなったのが、10日発売の中央公論で発表した憲法改正私案だ。高校までの教育無償化を柱とする内容で、「教育無償化に憲法改正は不要」とする蓮舫氏の考え方や党の正式な方針とは食い違っている。

 蓮舫氏が掲げた「提案路線」の一環というのが細野氏の主張だった。ただ、執行部の一員である細野氏の反執行部色の強い私案に対しては、「党がバラバラとみられるようなことがないようなマネジメントが求められている」(前原誠司元外相)などの声が相次いでいた。

 背景には、改憲に前向きな姿勢を打ち出すほど野党の選挙協力に影響が出かねないとの苦しい事情が見え隠れする。細野氏は辞表提出の理由について、「今の執行部は憲法改正に消極的で、私が執行部の一員としてとどまっているのはふさわしくないと判断した」と語った。

都議選候補が「離党ドミノ」

 もう1つ蓮舫氏ら民進執行部が頭を痛めているのが都議選への対応だ。台風の目になっている都民ファーストや体制を整えつつある自民、公明の狭間で苦戦が予想され、公認内定者らの「離党ドミノ」が続いているのだ。

 支持団体の連合は苦肉の策として、離党して都民ファーストから公認を得た組織内候補を支援することにした。蓮舫氏の周辺では「元民進」の議員が議席を守ることができれば、東京選出の参院議員でもある蓮舫氏の責任問題を回避できるとの思惑も透ける。

 だが、民進内では既に都議選後の「蓮舫降ろし」の動きが拡大するのは必至との声が広がっている。民進関係者は「細野氏の代表代行辞任で早くも号砲が鳴った感じだ」と漏らす。

 抜群の知名度と女性リーダーへの期待を追い風に2016年9月に代表に就いた蓮舫氏。「選挙の顔」や党勢回復の柱として期待されていたが、支持率は低空飛行が続く。(本コラム 2016年9月22日配信「『蓮舫』民進、船出に漂う不穏な空気」、2016年9月12日配信「民進党に足りない『泥臭さ』 参照)

 就任直後、「しっかりと選択してもらえる政党をつくる」と意気込みを語った蓮舫氏。だが、今の民進内には「政権交代なんて無理」「何を言っても有権者に聞いてもらえない」といったあきらめの空気すら漂っている。

 党勢低迷の背景は2つに大別できる。安倍政権の巧みな政権運営と、民進側の問題だ。

 前者については、民主党時代から「格差是正」を掲げてきた民進のお株を奪うような政策を安倍首相が中心課題に据えてきたことが大きい。

 賃金アップへの働きかけ、非正規雇用の処遇改善、長時間労働の是正、子育て支援などに取り組む姿勢をアピールすることで、保守層だけでなく野党支持層や無党派層の取り込みにつなげてきた。

 安倍政権が国政選挙で連勝し、高い支持率を維持しているのは、外交・安全保障面での安定感に加え、こうしたテーマ設定や「争点つぶし」が効果的だったことが挙げられる。

 一方、民進側の低迷の要因はかねて指摘されてきた点に行き着く。憲法改正や安全保障政策、野党共闘のあり方など主要課題を巡って溝が残り、党内グループも細分化したまま。党の一体感は希薄で、根回しや調整に汗をかこうという存在は少ない。

 良くも悪くもこうした状況は蓮舫体制発足以降もほとんど変わっていないのだ。

繰り返す「ホップ、ステップ、肉離れ」

 金融緩和と財政支出に軸足を置くアベノミクスを掲げつつ、着々と「レフトサイド」の支持層取り込みに向け、ウイングを広げる安倍政権。

 これに対し、本来なら野党第1党として説得力を持つような明確な対抗軸を打ち出すべきなのに、肝心の党内論議は極めて低調だ。

 「党がまた揉めているとみられるのが嫌なうえ、どうせ議論しても仕方がないという空気があり、党内の政策を巡る議論は盛り上がらない」。民進のあるベテラン秘書はこう嘆く。

 国会戦術も空回り気味だ。今通常国会は特に「森友学園問題」の追求に注力してきたものの、安倍政権のダメージは限定的なものにとどまっている。

 「本当は文部科学省の天下り問題をもっと攻められるほうが痛かった」。安倍首相は周辺にこう漏らしている。

 しかも、多くの国会審議の場で森友問題に関する質問を浴びせ続ける姿勢については、有権者から共感を得ているとは言い難い。

 民進のあるベテラン議員は「予算案、北朝鮮への対応など国内外の重要課題よりスキャンダル追求を優先するのは考えものだ」と漏らす。

 NHKが今月10日に発表した月例世論調査では、安倍内閣の支持率は53%と微増。自民の政党支持率が38.1%に対し、民進は6.7%と低迷している。安倍首相に近い自民議員は「数字が全てを物語っている」と指摘する。

 「到来したチャンスをものにできない間に、党のマイナスイメージを拡大するような事態が起きてしまう。ホップ、ステップ、ジャンプのはずが、ホップ、ステップ、肉離れになってしまうことが多い」。民進のある中堅議員はこう嘆く。

 戦略的な「攻め」の体制を作れず、ここにきて自壊の動きが目に付く民進。これでは、折に触れ、安倍政権のほうが「よりまし」と有権者が判断する材料を提供しているようなものだ。

 「民進で政権交代を目指すのは無理だろう。それより、膨らんだ自民をもう一度割らせて、政界再編に期待するほうが現実的ではないか」。かつて民主党政権の誕生を支え、その後の凋落ぶりを目の当たりにしてきた連合関係者はこんな本音を漏らしている。

 このままじり貧傾向に歯止めが掛からず「政権交代可能な二大政党」の看板を降ろすことになるのか。足元が大きく揺らいだ蓮舫体制は正念場を迎えている。


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/041300664/


 

「ふるさと納税」批判に熱心な霞が関の狙いとは

磯山友幸の「政策ウラ読み」

なぜ、国が「返礼品」の上限額を決めるのか?
2017年4月14日(金)
磯山 友幸

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/238117/041300046/fb.jpg

(写真:PIXTA)
「ふるさと納税」の返礼品、寄付額の3割以下に

 総務省が「ふるさと納税」の返礼品について、寄付額の3割以下に抑えるよう全国の地方自治体に要請する通知を出した。「自治体の間で過熱する返礼品競争に歯止めをかける」のが狙いだという。通知に強制力はないが、改善が見られない自治体には個別に働きかける、という。

 昨年あたりから大手メディアを中心に、「高額返礼品」を批判する記事が頻繁に掲載されるようになっていた。学者や文化人の中からも批判の声が挙がった。

 「高額の返礼品を目当てにふるさと納税するのは問題だ」

 「本来受け取る自治体の税収が減るのはおかしい」

 そんな声を伝える特集記事が組まれ、批判が繰り返されている。

霞が関が「ふるさと納税」を批判する理由

 こうした批判の多くは、霞が関の記者クラブに所属している記者や、新聞社の論説委員によって書かれているものが多い。学者もよくみると、総務省や財務省など霞が関官僚のOBという例が少なくない。雑誌などへの働きかけも多い。どうも霞が関が「アンチ・ふるさと納税」キャンペーンを仕掛けているようなのだ。

 これまでも総務省は、返礼品に「不動産」を提示したり、家電や貴金属など「資産性の高いもの」は返礼品にしないよう求めてきた。最近は家具や時計、カメラといったものまでアウトだとしている。メディアによる世の中の高額返礼品批判を演出したうえで、その声に「応える」形をとって、高市早苗総務相が満を持して、今回、返礼品について「上限3割」を打ち出したのだ。

 霞が関が「ふるさと納税」を批判する理由は明白だ。地方自治体には国から「地方交付税交付金」が支給される。国税の形で国が集めた税金を地方に再分配する制度だ。その分配権は総務省が握って来た。自治と言いながら、地方自治体は総務省に首根っこを押さえられ続けてきたのだ。

「ふるさと納税受入額」の急増に危機感

 そこに風穴をあけつつあるのが「ふるさと納税」だ。地方自治体の創意工夫によって、納税者が自主的に納税先を決める制度が生まれたわけだ。当初は微々たる金額だったが、その急増ぶりは著しい。

 総務省の調査によると、「ふるさと納税受入額」は年々増加。2013年度は145億円だったものが、2014年度には388億円へと倍以上に増えた、それが2015年度には1652億円になった。2016年度の統計はまだ出ていないが、さらに大きく増える見通しだ。この急増によって、アンチ・キャンペーンが始まったのである。

 1652億円と聞くと大きな金額のように見えるが、実際はそうではない。地方税収の総額は2016年度予算で38兆7742億円。わずか0.42%である。それに総務省が目くじらを立てるのは、自分たちの権益が侵されることへの恐怖感があるのだろう。

返礼品の調達は自治体にとって無駄ではない

 果たして、ふるさと納税に返礼品を出すことは「問題」なのだろうか。

 2015年度のふるさと納税受け入れ額が全国トップだった宮崎県都城市は、42億3123万円を集めたが、返礼品としては地元の牛肉や焼酎、乳製品が人気を集めた。返礼品の調達額は受け入れ額の7割相当だという。全国平均は4割強とされるので、「もっともお得」な納税先だということもできる。納税額の7割分が返礼品として戻ってくるからだ。

 都城市にとっては、それでも3割の13億円近くが手元に残るから、財政にとってありがたい事このうえない。自由に使える財源を確保するのは地方の自治体にとって至難の業だからだ。

 もちろん7割の返礼品調達も市にとっては無駄ではない。ふるさと納税がなくても、地域の農業振興などに予算を割いている。ふるさと納税での税収は、それに置き換わっている格好になる。しかも、他地域の人たちから「選択」されることで、市が独自に決める補助金よりも、合理的に配分されている可能性がある。

「過熱気味でもいいのではないか」

 総務省が1742の市町村に聞いた調査で、「寄付者に特産品を送ることをどう考えているか」という問いに対して13%227の市町村が「積極的に実施すべき」と答え、55%に当たる965市町村は「特に問題はない」と回答していた。「問題はあるが、各地方団体の良識に任せるべき問題」とした市町村が395団体(23%)あったが、「問題があるので規制すべき」と回答したのは21団体、わずか1%だった。91%の市町村が現状の制度を支持あるいは問題なしとしているにもかかわらず、総務省は「規制」に動いたわけだ。

 そんな総務省の返礼品調達額への上限規制にさっそく反対の声が上がっている。山形県の吉村美栄子知事は4月11日の記者会見で、「(返礼品競争が)過熱気味でもいいのではないか」と述べたと報じられた。毎日新聞によると知事は、「予算の獲得だけでなく、地域のPRという点でも官民一体となって盛り上がっている」「地方が盛り上がり一生懸命に取り組んでいる点を懐深く見守ってほしい」と語ったという。

 河北新報の報道によると、山形県の場合、2015年度には、米沢市がノートパソコンや牛肉を返礼品として、全国11位に当たる19億5824万円のふるさと納税を集めた。調達額の比率は6割という。また、寒河江市への納税額は13億7178万円(調達率5割)、東根市は9億6901万円(調達率3割)で、いずれも人気の返礼品は牛肉やコメ、サクランボといった地元の特産品だ。

すべての人が「返礼品目当て」というわけではない

 ふるさと納税額の急増のきっかけがこうした魅力的な返礼品にあるのは間違いない。実際に、大都市圏に納められるべき地方税の一部が、地方に回っているのは確かだ。だが、それは総務省が言うように「大きな問題」なのか。

 「日本には寄付文化が根付かないと言われてきましたが、ふるさと納税をきっかけに、寄付しよう、応援しようという意識が高まっている」と、ファンドレイジング(寄付金集めや資金の調達)に詳しいファンドレックスのイノウエ ヨシオさんは言う。「無税にできる上限を超えて、ふるさと納税している人がかなりいる」というのだ。

 ふるさと納税の中には、1型糖尿病の研究への助成を指定できる佐賀県の例や、犬の殺処分ゼロに取り組むNPOに助成される広島・神石高原町の例など、目的に共感を持った人からの納税を集めているケースも出てきた。こうした寄付での返礼品調達率は当然ながら低い。つまり、ふるさと納税者のすべてが「返礼品目当て」というわけではないのだ。

ふるさと納税の使途を、原発建設差し止め訴訟費用に

 北海道函館市は今年度から「ふるさと納税」の使途の一つとして、市が起こしている大間原子力発電所(青森県大間町)の建設差し止め訴訟の裁判費用を追加した。4月3日に受け付けを始めたが、わずか4日で約50件、120万円の寄付があったという。多くの自治体で、ふるさと納税の使途を、いくつかの項目から選んで指定できる仕組みが導入されている。

 これまで地方自治体は「自治」と言いながら、地方交付税交付金制度によって財源を総務省に握られ、国や都道府県に言われるがままに事業を実施せざるを得なかった。この長年の慣行が「国頼み」を生み、地方自治体の「自立心」を削いできた。ふるさと納税制度はそうした地方のムードに小さな風穴をあけ、創意工夫が生まれるようになった。

 地方自治体によっては、地元から上がる地方税収よりも、ふるさと納税によって得られる金額の方が大きくなったところもある。ふるさと納税を使って保育園を無料化した北海道上士幌町のような自治体も出てきた。そうした「自立」の芽を摘もうとする霞が関のネガティブ・キャンペーンに惑わされてはいけない。


このコラムについて

磯山友幸の「政策ウラ読み」
重要な政策を担う政治家や政策人に登場いただき、政策の焦点やポイントに切り込みます。政局にばかり目が行きがちな政治ニュース、日々の動きに振り回されがちな経済ニュースの真ん中で抜け落ちている「政治経済」の本質に迫ります。(隔週掲載)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/238117/041300046/
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/167.html

[経世済民121] 緊急調査から見えた「働き方改革」の実態  「比較優位説」(前編)頑健なモデルで社会を考える オーバーブッキングと監視社会
緊急調査から見えた「働き方改革」の実態

記者の眼

2017年4月14日(金)
広岡 延隆

 長時間労働の是正を旗印に行われている「働き方改革」。厚生労働省が労働基準法違反への対応を厳格化している影響で、経営者の危機意識が高まっていることもあるのだろう。今や、国内で取り組んでいない企業を探すほうが難しい状態だ。

 肝心なのは、改革を推進する現場がどのように捉えているかだ。そこで、日経ビジネスは3月末、インターネットで働き方改革の実態に関する緊急調査を実施した。1026人もの回答を得た。本記事では、緊急調査に対して寄せられたコメントを中心に、論点を整理していきたい。なお、引用したコメントについては、意図を損ねない範囲で文言を一部整えている。(データを分析した記事は日経ビジネス本誌で2回に渡って掲載しています。 2017年4月3日号「改革するほど消費減退のワケ」、2017年4月10日号「現場は答えを知っている」)

論点1:労働時間

 今回の調査では実態としての残業時間が改革前後でどのように推移したかを聞いた。「実態としての」という回りくどい言い方をしなければならないのは、日本企業には違法な「サービス残業」がはびこっている実態があるからだ。そこで、同時にサービス残業の推移も尋ねている。

 その結果、実質残業時間とサービス残業時間のいずれも減少したことが確認された。一般にサービス残業が発生するのは、会社から一定の時間以上の残業を認めないなどと様々な形で言われるため。残業そのものが減れば、正確に出退勤時間を報告することができるようになる。一定の成果を上げていると言えそうだ。

労働時間とともにサービス残業も減る


 「不要な残業(すぐやらなくてもよいこと)をせず、必要な業務が終われば早い時間でも退社しやすくなった」

 見過ごせないのは、「結局はサービス残業もしくは家に持ち帰って業務することになり、ますます実態がわからなくなってしまう」「退勤扱いにした後に、事実上の残業をするケースが多くある」など、サービス残業が生まれていると訴える声が上がったことだ。

 「会社側は残業時間の削減を要請するが、会社側からの削減のための具体的な提案や行動がないこと」

 「(会社側が残業時間の)上限を設けるだけで、仕事の中身を考えようとしていない」

 「勤怠システムのプルダウンに『自己啓発・私的コミュニケーション』が存在し多くの人達は、それを選択している」

 仕事を見直さずに残業時間抑制の号令だけをかければ、むしろサービス残業の温床となりかねないということだろう。

 どうすればサービス残業を無くせるのだろうか。以下にサービス残業がなくなったと答えた人の意見を抜粋する。

 「勤怠管理簿・パソコンログ・事務所施錠時間等の整合性を取り、不整合であった場合、社内処分を受ける可能性が出る制度に変わったため」

 「部下にサービス残業させると、その上司が処罰されることになったため」

論点2:生産性の位置付け

 現在の働き方改革を巡る議論の特徴は、「労働者保護」の観点が前面に打ち出されていることだ。過労死が後を絶たないという状況を考えれば当然のことといえるが、現場からは下記のような声も上がってきた。

 「労働時間ばかりフォーカスすると本質からそれてしまう。時間成果を高めるために、働き方は改革すべきで、時短がゴールではない」

 「いつの間にか残業を減らすことが目的になっているように見える。本質は生産性の向上であり、その結果としての労働時間削減だ」

 「働き方改革よりも、事業運営の有効性、合理性の向上を図り、賃金の向上につなげるべき。次に労働時間の短縮。そうであれば、消費拡大につながるのでは」

 「まず、生産性をあげる取り組みが重要。会社が人生のすべてのような人の意識を変えることも必要」

 働き方改革ブームにのって労働時間短縮を進めたところで、企業競争力が落ちるようなことがあれば、結局給与や雇用の面でしわよせを受けるのは現場だ。生産性が上がらなければ持続的な取り組みにならないということは、現場のビジネスパーソンが最も知っているということだろう。

論点3:「働き方改革」のネーミング

 「働き方改革」という言葉の主語は「現場のビジネスパーソン」だ。だが、経営者が指示してやらせているのだから「働かせ方改革」と呼ぶのが正しいのではないか。そうした、素朴な疑問を呈したコメントは多かった。調査当時、本サイトに関連記事が掲載されていた影響もあっただろうが、そもそも、多くの人が心に引っかかるものを覚えていたということだろう。

 「働き方改革と銘打って、働く人の意識を変えることを手段としているうちは改革は進まないと思う。これを成功させるためには経営者の意識を変えることのみが鍵である。働かせ方改革である」

 「名前自体胡散臭い」

 「ネーミングが間違っている。せめて労働時間改革とか」

 私自身は、今は以下のコメントの考え方に近い。

 「『働き方改革』というあまりキャッチーでないネーミングに当初疑問を持っていたが、うまく広まっているようなので期待している」

 もちろん「働き方改革」が一義的に経営の問題であることは疑いがない。過重労働が常態化している企業が経営危機に直面しているというニュースが、毎日のようにあることからも明らかだ。

 ただ、現場の実態や問題点を知っているのは、誰よりも現場の人間だ。そうである以上、現場のビジネスパーソンが自発的に「働き方改革」を進めることが、改革を実りあるものにするのに何よりも効果的だ。きちんと働き方改革が進むことは、働き手にとってもメリットのある話だ。要所でリーダーシップを発揮しつつ、現場の自発的な取り組みを引き出す環境を整えるのが経営の役割ということだろう。

 上記を踏まえ、個人的な提案がある。経営者は「働かせ方改革」という言葉だけを使い、社員は「働き方改革」という言葉だけを使うことにするのはどうだろう。言葉遊びと思われるかもしれないが、言葉の力は案外大きい。まずは経団連と連合あたりで始めてもらえれば、労使で協力する改革だという機運がもっと醸成されるような気がするのだが…。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/041300444/


 

 
「比較優位説」(前編)――頑健なモデルで社会を考える

「日経ビジネスベーシック」から

今回のキーワード:比較優位
2017年4月14日(金)
飯田 泰之
 体系的に理解しよう! とすると、なかなか手強いのが経済学(エコノミクス)。とりあえず、耳にしたことがある経済学用語の定義だけでも、「なるほど」と腑に落ちる形で学んでみませんか。テレビでもお馴染みの、明治大学政治経済学部准教授の飯田泰之さんが、ちょっと他所では読めない角度から、経済学のキーワードを読み解きます。

飯田泰之(いいだ・やすゆき)
明治大学政治経済学部准教授
1975年東京生まれ。マクロ経済学を専門とするエコノミスト。シノドスマネージング・ ディレクター、規制改革推進会議委員、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。著書は『経済は損得で理解しろ!』(エンターブレイン)、『ゼミナール 経済政策入門』(共著、日本経済新聞社)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)、『ダメな議論』(ちくま新書)、『ゼロから学ぶ経済政策』(角川Oneテーマ21)、『脱貧困の経済学』(共著、ちくま文庫)など多数。
 自由で競争的な市場では、取引を行った全員が得をすることになります。
 え、そんなお花畑はこの世にない?

 いえ、売り手にとっても買い手にとっても「得」だから、取引が成立するのです(もちろん、後で振り返ってみたら思っていたほどの得がなかったということはあるでしょうが)。

 そしてこの話には国境は関係ありません(→こちら)。価値観のズレやすれ違いがあるならば、むしろ、自由な取引が当事者双方の経済的な幸せさを向上させます。

 これは価値観だけではなく、2つの国の間で技術力が異なる場合にも成立します。

 生産技術に注目して自由な取引の効能を説明する――それが「比較優位説」です。このように、数学的なモデルを援用しながら社会問題を考える……というスタイルの元祖が、比較優位説に出てくる「機会費用」です(本当は先行する研究があるのですが学説史の詳細はさておき)。

 二国間の貿易に「機会費用」という概念を持ち込むことで組み立てられる比較優位説の論理は、非常に「頑健」です。

「頑健である」とはどういうことか

 ちなみにこの「頑健(robust)」「頑健性(robustness)」という評価軸は経済学に限らず、理論的に物事を考える際に非常に重要な概念なので、少し解説しておきましょう。

 経済学の理論は、非常に多くの仮定をおいた上で作成されます。多くの仮定を用いるほど詳細な分析が可能になるのです。その一方で、その仮定が現実と異なっていると理論は不正確なものになるでしょう。

 ここで重要になるのが頑健性です。仮定の一部が満たされていなくても、または仮定と現実が多少ずれていても結論が大きく変わらない理論を「このモデルの結論は頑健である」と評価したりします。仮定がそっくりそのまま当てはまらなくても、それなりに同じ結論が得られるのが「良い理論」のひとつの条件というわけです。これは経済学に限った話ではありません。難解で複雑な理屈ほど有用というわけではないのです。

 さて、比較優位説の説明に戻りましょう。

 比較優位説の主張は明確です。結論から先にまとめておきましょう。

・他国より低い機会費用で生産できる財を「比較優位財」と呼ぶ
・全ての国に(少なくとも1つは)比較優位な財がある
・比較優位財の生産を増加させ、それ以外の財を輸入するという活動を通じて全ての国の経済状況は改善される

 ここではもっとも単純な二国の貿易について考えます。世界にはE国P国の二カ国しかないと考えて読み進んでください。

 E国とP国の主要産品は、どちらも「綿織物」と「ワイン」だとしましょう。そして、綿織物1反,ワイン1本をつくるために必要な労働者の数は両国で、

生産に要する人数 綿織物 ワイン
E国 1人 2人
P国 3人 3人
 とします。

 この表は、1反の綿織物を作るのに、E国なら1人で済むのにP国だと3人必要ということを表しています(品質は同じだとしましょう)。一方、ワイン1本を作るのに、E国なら2人で済むのに、P国だと3人必要というわけです。

 つまり、綿織物でもワインでも、E国のほうがP国より生産性が高い(綿織物なら3倍、ワインなら3/2=1.5倍)ことになります。気候がよいとか、労働者の能力が高いとか……理由はここでは考えませんがなにはともあれ、E国の方が技術水準が高い状態です。

 比較優位説が登場する以前の貿易理論では,国別の生産技術の優劣によって輸出・輸入が決まると考えられていました。このような考え方を「絶対優位説」と言います。

 この例では、P国の綿織物の生産性はE国の3割以下(1/3倍)、ワインの生産性はE国の7割以下(2/3倍)なのだから、P国はE国から綿織物もワインも輸入するだろう、というわけです。

最強国なら、輸入する必要がない?

 絶対優位説に従うと、綿織物、ワイン、ともにP国の技術水準はE国を下回るため,輸出するものがありません。そのためP国は、金・銀・財産などをE国に支払って財を購入することになるでしょう。そして、このような国富の流出は防がなければならない…だから「貿易制限や、他国より優位な産業を育成するための、幼稚産業保護が必要だ」という話に行き着くのが絶対優位説の特徴です。

 具体的には関税を課すなどして、輸入品を閉め出すわけです。…また最近聞いたような話になってきましたね。

 しかし、落ち着いて考えてみてください。仮に絶対優位に従って貿易が行われているなら、P国からE国に国富が永遠に流出していくことになります。しかし、P国は無限に金・銀をもっているわけではないでしょう。そして、E国も食べられない金・銀・財宝ばかりを永遠にほしがり続けるというのも考えづらい。金・銀・財宝は「将来欲しいものと交換できる」からこそ意味を持ちます。E国にとって唯一の「外国」はP国です。E国はそのP国から何も買わないのですから……そもそもなんで金・銀をため込もうとするのでしょう。絶対優位説は突き詰めていくと多くの矛盾が明らかになっていきます。

 また、現実の問題としてほとんどの産業について絶対優位を誇っていた18世紀の英国は輸入大国でもありました。そして、1960年代の米国はほとんどあらゆる財について世界最高水準の生産技術を誇っていましたが、世界中から多種多様な商品を輸入しており、むしろ貿易赤字が大きな問題になったくらいです。

 貿易構造を決めるのはどうも「絶対的な技術水準」ではないようです。

 そこで比較優位説は「ある商品の生産性の国際比較」ではなく,(ひとつの国の内での)商品間の生産性の差――生産に要する機会費用に注目しました。

 たとえば,E国では綿織物を1反増産するために必要な労働者数(1名)を確保するためにはワインの生産に従事する労働者を1人(ワイン生産0.5本分)を削らなければなりません。綿織物を1反増産するために、ワインを0.5本あきらめなければならないという状況を「E国の、綿織物1反の機会費用はワイン0.5本である」といいます。逆に、ワイン1本分の機会費用は綿織物2反分となります。

 あるものを手に入れるために犠牲になるもの・こと・カネが機会費用でしたね(こちら)。

 一方、P国では綿織物生産を1反増やすにはワイン1本分の労働者をワイン工場から織物工場に異動させればよい。ということは、「P国の、綿織物1反の機会費用はワイン1本」です。逆も同じです。

生産性ではなく「他国より機会費用が低い財」が「比較優位財」

 ここでそれぞれの機会費用をまとめてみましょう。

【綿織物一反の機会費用】
E国:ワイン0.5本
P国:ワイン1本

【ワイン1本の機会費用】
E国:綿織物2反
P国:綿織物1反

 ですね。このとき、綿織物の機会費用が低いのはE国ですから、「E国は綿織物に比較優位がある」ことになります(生産効率ではE国の方が高いのですが、なぜ「優位」というのか。これは後編で詳述しましょう)。一方でワインの機会費用が低いのはP国です。これを「P国の比較優位財はワインである」と表現します。

それぞれの機会費用は逆数の関係にある

 ここで、ある国の「ワインの機会費用」と「綿織物の機会費用」はそれぞれ逆数の関係にあることに注目しましょう(P国の場合は1ですが、1の逆数は1)。分子・分母を逆にしているわけですから、綿織物とワインについて同時に比較優位をもつことは不可能、ということになります。

*逆数……分子分母を逆にした数の関係。2/3の逆数は3/2、4の逆数は1/4など。逆数を掛け合わせると1になります。元の大小関係と逆数の大小関係は必ず逆になります。A>Bならば1/A<1/Bですよね。
 綿織物の機会費用が「E国でワイン1/2本」<「P国でワイン1本」
 ワインの機会費用はその逆数ですから「E国で綿織物2反」>「Pで綿織物1反」

 …のように、逆数では大小関係は逆転します。

 比較優位は分数・逆数の性質(のみ)から導かれているため、経済状況がどう変化しようがその結論部分が変わらないという意味で頑健というわけです。

 各国が比較優位の財を輸出すると考えれば、全ての国には輸入する品があると言うことになります。これならば絶対優位説のような矛盾は発生しません。

 ではこのような比較優位に基づいた貿易は各国の経済的な豊かさに何をもたらすのでしょう?

(後編に続きます)

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このコラムについて

「日経ビジネスベーシック」から
このコラムでは、「日経ビジネスBasic」に掲載した記事の一部をご紹介します。日経ビジネスBasicは、経済ニュースを十分に読み解くための用語解説や、背景やいきさつの説明、関連する話題、若手ビジネスパーソンの仕事や生活に役立つ情報などを掲載しています。すべての記事は、日経ビジネスの電子版である「日経ビジネスDigital」を定期購読すれば無料でお読みいただけます。詳しくはこちらをごらんください。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/041300033/041300022/

 


オーバーブッキングと監視社会

小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 〜世間に転がる意味不明

2017年4月14日(金)
小田嶋 隆

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/041300090/illustration.png

 4月9日、シカゴのオヘア空港にいたケンタッキー州ルイビルへ向けて出発予定のユナイテッド航空3411便内で、トラブルが発生した。

 乗客に説明された話では、「オーバーブッキングにより、4人の乗客を降ろさないと出発できない」という。4人の乗務員をルイビルに運ぶ必要が発生したために、代わりに4人の乗客に降りてもらわないといけない。でないと、定員オーバーで離陸できない、ということらしい。

 スタッフは一定の条件(800ドル=約8万8000円、宿泊先、翌日の便のチケット)を提示した上で、降りる乗客を募った。しかし、降りてくれる乗客の数は4人に満たなかった。そこで、降りる乗客をコンピュータで選んだ上、対象の乗客を説得した。が、その1人は「翌日では間に合わない予定がある」と拒絶した。

 シカゴ航空局の係官が呼ばれ、その乗客(後にベトナム系米国人の医師であることが判明した)を強制的に座席から排除して飛行機から降ろした。動画で撮影されているのは、その時の係官による処置の一部だ。

 排除された乗客は、血を流し、ぐったりと横たわった状態で文字通りに引きずり出されている。
 ショッキングな映像だ(こちら)。

 動画は、私のツイッターのタイムラインにもすぐに到着した。
 見てみると、なるほどひどい。
 21世紀の文明国でこのようなあからさまな暴力が白昼堂々敢行されたことにただただ驚く。
 今回は、この動画を見て考えたことについて書く。

 動画を見ての印象は、とにかく
「あきれた」
 ということだ。そう申し上げるほかに言葉が見つからない。

 ……と言いたいところなのだが、原稿を書く人間は、そう言いながらも言葉を探しにかかってしまう。なんというのか、職業的なクセとして、別の角度からものを見ようとしてしまうわけだ。自分ながらいやらしい態度だと思っている。

 それでも、そういう見方が身に付いてしまっていることはいかんともしがたいわけで、つまり私は、動画の中で起こっている事態の評価とは別に、こんなふうに、こういう出来事の一部始終がその場で撮影されて、すぐさま世界中に拡散されている現実のありように注目しないとダメだぞ、と、原稿のネタみたいなことを考えながら動画を眺めていることに気づいて、ちょっとげんなりしている次第なのである。

 ともあれ、この動画のツイートに付加されていたコメントの中で、幾人かの人々が指摘していたように、こんなこと(つまり、オーバーブッキングの乗客を強制的に排除すること)は、世界中のあらゆる場所で毎日のように起こっている日常的な出来事なのであって、動画を見てびっくりしている私たちの方が、単に世間知らずだったというだけの話なのかもしれない。

 なるほど。
 この程度の暴力は、あるいは日常に属する範囲のものなのかもしれない。

 ただ、それはそれとして、
「野蛮な出来事が起こっていること」
 と、
「野蛮な出来事が撮影されてシェアされるようになったこと」
 は、切り分けて考えなければならない。

 後者が、前者を必要以上に強調していることが事実なのだとしても、だからといって前者が免罪されるわけではない。

 まぎらわしい書き方をしてしまった。もう一度言い直す。

 つまり、誰もがスマホを持つ時代になって、身の回りで起きている野蛮な出来事や暴力的な事件が、その場で撮影されて拡散されるのが当たり前になったことで、この世界の残酷さや野蛮さが、実態以上に強調されているのだとしても、だからといって、動画の中で起こっている野蛮さや残酷さが軽視されて良いことにはならないということだ。

 この種の(つまり「野蛮な」ということだが)動画がリツイートされてくるたびに思うことだが、私は、動画から受け取る印象そのものよりも、動画に対する率直な感情を表明している人たちと、その人たちの感情を冷笑する人々の間でやりとりされる不毛な口論に、毎度のことながらうんざりさせられる。

 動画の残酷さを嘆く人々も、動画の残酷さへの反応の大仰さを冷笑する人々も、大筋としては、自分の率直な印象を語っているだけなのだろうとは思う。

 ただ、SNSのような場所でやりとりされる「感想」は、個人の感想である事情とは別に、その人間の「対外アピール」として互いにぶつかり合うことになっている。

 と、暴力に辟易している人々と、暴力への反発を表明する人間の偽善に腹を立てている人々が、お互いを誹謗しあうみたいな展開になって、事件そのものは背景に退く結果になる。

 この口論は、動画の中で展開されている暴力以上に見物人をうんざりさせる。
 そういうふうにして、世の中は動いている。

 つまり、私たちは、公然とやりこめてもかまわない相手を発見するべく、今日もスマホの画面をスクロールさせているということだ。

 もしかしたら、われわれが、暴力が記録されている動画に群がるのは、暴力を恐れているからではなくて、むしろ、暴力がもたらす興奮に嗜癖しているからなのかもしれない。

 でなくても、暴力が扱われている動画を見た人間の何割かは、しばらくの間、暴力的な反応を示し続ける。
 SNSは、そういう世界にわれわれを誘引している。

 別の見方をすればだが、今回のケースのように、航空会社の暴挙が全世界に向けて可視化され、結果として当該の会社の株価の暴落を招いたことは、顧客サービスにたずさわる業界の人間たちに、ひとつの教訓を与えたはずだ。

 顧客は、常に秘密裏に自分たちの仕事ぶりを撮影している。
 とすれば、あらゆる機会において、最善のサービスを提供していないと、今回のケースのように、いつ、不適切な一部分を切り取って撮影されて、告発されることにもなりかねないぞ、と。

 実際、SNSならびにネット動画の普及は、サービス業に大きな脅威をもたらしている。
 今回の事件以外にも、特定の企業なり店舗が、顧客への対応のまずさをツイッターやフェイスブックに晒された結果、苦境に陥ったケースは少なくない。

 とすると、ネット炎上のおかげで、世界のサービスは向上し、われわれの社会は、より快適になるのだろうか。

 おそらく否だ。

 監視カメラが増えたことで、犯人が捕獲されやすくなったことはおそらく事実なのだろうし、監視カメラの威圧が犯罪予備軍の人間たちに犯行の自粛を促す効果も期待できるのだとは思う。

 が、映像やインターネットによる相互監視を強化することが、単純にこの社会で暮らす人間のモラルを向上させるのかというと、そう簡単には話は進まないと思う。

 あるタイプの人々は監視に対して疑心暗鬼を募らせるようになるだろうし、そうでない人々も、自分が監視されていることに少なからぬ圧力を感じはするはずで、その圧力の結果は、必ずしも良い方向にだけ作用するとは限らない。

 個人的にだが、私は、内圧の高い組織は暴力への傾斜を強めると思っている。

 これは、先日お会いした津田大介さんが言っていたことだが、昭和の時代の都立高校は、万事締め付けが緩かった。制服も無ければ校則もほとんど有名無実化しており、授業の出席すら問われない放牧場のような場所だった。おかげで、生徒の学力が低迷していた半面、いじめは見たことがない、と、津田さんは、ご自身が通った都立北園高校の例を引きながら、そんな話をしてくれた。

 私自身も、津田さんが通っていた時代の少し前の、似たような都立高校でぶらぶらしていた人間だが、たしかに、いじめは見たことがない。

 要するに、監視の緩さによって助長されるタイプの逸脱もあれば、厳しい監視がもたらす逸脱もあるということなのであろう。

 暴力でも規則でもノルマでも相互監視でも、高い圧力でコントロールされている組織の中の人間は、その圧力を内部に向けるようになる。ブラック企業であれ体育会の運動部であれカルト宗教の教団であれ、強い圧力によって統御された組織の内部では、いじめが起こりやすい。なんとなれば、いじめというのは、圧力が弱い屈曲点に集中するその結果だからだ。

 今回のオーバーブッキング自体、ユナイテッド航空の経営の苦しさの顕在化局面(つまり、常に“過度なオーバーブッキング”気味の予約処理をしていないと経営が成り立たない綱渡りの座席運営を余儀なくされているということ)と言えないこともない。高校の物理の時間に習った通りだ。圧力は、常に弱い部分に集中することになっている。

 とすれば、コンピュータによって選ばれた(←この情報が事実なのか、航空会社の対外アナウンスにすぎないのか、あるいはコンピュータによる選択の根拠が単なるランダム変数を噛ませた結果なのか、あるいは、座席の値段や乗客の属性を加味した上での処理結果なのか、私はいまのところ判断できずにいる)乗客が、アジア系の出自を持つ人間であったことは、偶然ではないのかもしれない。

 偶然でないのだとすると、それは何だろう。
 差別だろうか。

 個人的な話をすれば、私も、2000年にインドでオーバーブッキングに遭遇したことがある。
 その時の状況をお知らせする。

 成田への直行便を待つデリー国際空港で、搭乗便にオーバーブッキングが発生したというアナウンスがあった。

 客に向かって平然と「オーバーブッキング」という言葉を使う神経にも驚かされたのだが、その時、航空会社は、「チケットの○○番から××番までの乗客はシンガポール経由のトランジット便にチェンジされる」という旨を空港内放送と電光掲示板で通告してきた。お詫びも何も無く、である。

 私は、その搭乗便変更の該当者だったわけだが、チケット変更のために列に並んでいる20人ほどの人々を見ると、どうやらほとんどが日本人のツアー客だった。

 もともとの便の乗客に占める日本人乗客の比率は、3割ほどに過ぎない。
 にもかかわらず、トランジット便に乗せ換えられる客には、ほとんど全員日本人が選ばれている。
 これは、偶然だろうか。

 おそらく偶然ではない。
 では、差別だったのかというと、必ずしもそうとばかりは言い切れない。
 結果が物語っている。

 つまり、航空会社側からの一方的な搭乗変更通告に対して、抗議したのは、私の同行者(私と同年齢の、英語とイタリア語が達者な編集者兼劇評家だったI氏。既に故人)ただ1人で、ほかの20人ほどの日本人乗客は、いずれも軽く驚きつつも事態を受け容れていた。この「あっさりあきらめる」性質の温順さ(あるいは、単に空港のスタッフに抗議するに足る語学力を身につけていないということなのかもしれないのだが)が評価されて、われわれは、ダブルブッキング処理要員に選ばれていたに違いないということだ。ツアー客なら、まとめて大人数を動かせる。それで日本人となれば言うことなしだ。

 これは、差別といえば差別なのだろうが、日本人の温厚さが評価された結果というふうに見ることもできる。

 たぶん、文部科学省ならびにクールジャパン関係者は後者と見なすことだろう。
 世界に冠たるニッポンの驚くべき美しい民族性のわたくしたち。
 私は当事者なので、断定は避ける。
 文句を言わない人間は、世界中で歓迎されるのだろうとだけ言っておく。

 話をもとに戻す。
 「相互監視による、相互密告社会の到来は、その中で生きる人間の公共心を向上させるのか」という質問だった。
 答えはノーだ。
 相互監視社会の中の人間は、陰険になると思う。
 われわれは、現にそうなりつつある。

 つい昨日(つまり4月の12日)、ユナイテッド航空のケースに関連してなのか、Airbnbのホストが、2月に、アジア人であることを理由にアジア系米国人女性の宿泊を拒否した事例をNBCで報じている(こちら)。

 ネット上には、こういう事件の発生を、トランプ政権の人種や民族への態度を反映したものだとする意見が散見される。

 実際、トランプ大統領が当選した後、アジア系やアラブ系に対するヘイト犯罪が急増したことが報告されている(こちら)。

 政権のトップが他民族への態度を硬化させたからといって、ただちに差別的な犯罪が増えたり、ヘイトグループ(人種や宗教に基づく差別・憎悪を扇動する集団)の活動が活発化するものなのかどうか、たしかなところはわからない。が、政権の態度と世論が、相互依存的な関係にあることは事実だと思う。

 差別的な言論を容認する政府が実権を握っていれば、世論は差別を助長する方向に動き勝ちになる。
 また、世論が全体として差別を強化する方向で推移しているのであれば、政権の側もそうした世論におもねった態度を取るようになる。

 今週号の週刊現代は、巻頭で
「儒教に支配された中国人・韓国人の悲劇」
 というケント・ギルバート氏の寄稿を掲載している(こちら)。

 リンク先の目次でも確認できるが、新聞に掲載されている目次では、
《国より家族、公より私――――「歪んだ儒教思想」が世界でヒンシュクを買っている》
《アメリカ人だから断言できる「日本人と彼らはまったくの別物、全然違う」》
 という内容紹介が印刷されている。

 ほかにも
《ぶっちゃけ座談会 下品で幼稚、自分だけが良ければいい人たち 中国人は中国人が一番嫌い》
 という座談会記事の見出しも掲載されている。

 記事の本文はまだ読んでいないので、内容についてはどうこう言えないのだが、仮にも日本を代表する総合週刊誌がこういう見出しを掲げた広告を打っていることに驚いている。

 世論の動向と政府の態度には強い相関がある。
 どちらがどちらを主導し、いずれの側が相手の側を支配しているのかを、単純に断定することはできない。

 おそらく、両者は相互に影響を与えつつ、互いを引っ張っているのだと思う。
 アメリカの例でも同じことだが、一旦こんなふうに動き始めてしまっている世論の動向を、いったいどうやって引き戻したものなのか、正直なところ、見当がつかない。

 搭乗便の変更を一方的に通告されて、おとなしく従ってしまったあの時のことを思い出している。

 私は、トランジット先のシンガポールのチャンギ空港で、乗継便を待つ4時間の間、不必要な土産物とバカな文房具を山ほど買った。ほかの乗客もほぼ同じだ。クレジットカードと待ち時間を持たされた日本人は、際限なくモノを買う人間になる。あるいは航空会社の狙いはそこのところにあったのかもしれない。

 引きずり下ろされるのとどっちがマシなのかは、分からない。
 だが、もう一度ああいうことにならないように、できれば、抗議するに足るボキャブラリーを備えた人間になりたいものだと思っている。

(文・イラスト/小田嶋 隆)

国内線ですが、何度応募しても振り替え便(とお小遣い)に当たりません。
でも、いつかは、と思っています。

 当「ア・ピース・オブ・警句」出典の5冊目の単行本『超・反知性主義入門』。相も変わらず日本に漂う変な空気、閉塞感に辟易としている方に、「反知性主義」というバズワードの原典や、わが国での使われ方を(ニヤリとしながら)知りたい方に、新潮選書のヒット作『反知性主義』の、森本あんり先生との対談(新規追加2万字!)が読みたい方に、そして、オダジマさんの文章が好きな方に、縦書き化に伴う再編集をガリガリ行って、「本」らしい読み味に仕上げました。ぜひ、お手にとって、ご感想をお聞かせください。

このコラムについて

小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 〜世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たやすいこと」「取るに足らない出来事」「チョロい仕事」ぐらいを意味している(らしい)。当欄は、世間に転がっている言葉を拾い上げて、かぶりつく試みだ。ケーキを食べるみたいに無思慮に、だ。で、咀嚼嚥下消化排泄のうえ栄養になれば上出来、食中毒で倒れるのも、まあ人生の勉強、と、基本的には前のめりの姿勢で臨む所存です。よろしくお願いします。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/041300090


 


 


http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/109.html

[政治・選挙・NHK224] 人生格差を拡大しかねない教育無償化ブームの本末転倒 『消えゆく「限界大学」:私立大学定員割れの構造』
017年4月14日 岸 博幸 :慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授
人生格差を拡大しかねない教育無償化ブームの本末転倒


安倍首相の高等教育無償化、小池都知事の私立学校無償化、小泉進次郎氏らの“こども保険”など、教育無償化ブームが起きている。これらは結果として本末転倒だ Photo:首相官邸HP
安倍首相の高等教育無償化
問題提起は正しかったのだが……

 安倍首相が今年1月の施政方針演説で、「誰もが希望すれば高校にも専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」と述べ、高等教育の無償化に意欲を示しました。

 もちろん、安倍首相の悲願である憲法改正の“道具”に使われている観は否めません。それでも、格差が拡大する中で高所得層の子弟ほど高学歴と高所得を実現できる可能性が高いという現実を考えると、憲法で保障された“教育を受ける権利”をより公平に行き渡らせるという観点からは重要な問題提起です。

 これまでかけ声ばかりで本格的な改革はすべて先送りの安倍政権で、久々に良い改革テーマが提示されたなあと私も期待しているのですが、その一方で、その後に官邸以外から提起される教育関連の政策を見ていると、首をかしげざるを得ないものばかりになっています。

 その典型は、安倍首相の問題提起を先取りする形で小池都知事が打ち出した、東京都の私立高校授業料の無償化です。

 東京を含む全国の公立高校の授業料は民主党政権時に無償化されましたが、私立高校の授業料については、これまで国の奨学支援金に東京都独自の給付型奨学金を加えることで、世帯収入に応じて補助をしてきました。

 たとえば生活保護世帯ならば、都内の私立高校授業料平均の約44万円を全額、年収350万円の世帯なら年間約37万円、年収760万円の世帯なら年間約22万円を補助してきました。

 小池都知事はこの仕組みを抜本的に変えて、今年度から年収760万円までのすべての世帯を対象に、私立高校の授業料平均の44万円を補助することにしたのです。

小池都知事による志の低い「先取り」
高収入世帯まで私立学校を無償化

 公立高校のみならず私立高校の授業料も無償化してしまうのですから、一見すると思い切った政策、大英断のように感じられますが、私はニュースでこの決定を見て「アホか」と思いました。というのは、この政策は都道府県の間の教育格差を拡大するだけだからです。

 私立高校の授業料に対する補助の現状を見ると、国の奨学支援金は日本全国の世帯に提供されていますが、それに都道府県が独自の上乗せをしています。その結果、私立高校の授業料が無償化される世帯年収の上限は、都道府県によってかなり異なります。

 たとえば、岩手県、群馬県、山梨県、島根県、山口県、鹿児島県、沖縄県では、県内の私立高校の授業料平均まで全額補助されるのは、年収250万円の世帯までです。大都市を擁する自治体を見ても、大阪府は年収590万円まで、愛知県、福岡県は年収350万円までです。

 こうした数字と比較すると明らかなように、今回の措置で、東京都は頭抜けて高収入の世帯まで私立学校の授業料を無償化したのです。それは裏を返せば、もともと住むところによって世帯の教育費の負担(=子どもの私立学校への通わせやすさ)に差があったのに、その格差をさらに大きくしてしまったことに他なりません。

 もちろん、小池氏は東京都知事なんだから、東京のことだけを考えていればよいのかもしれません。でも、仮にもかつては長く国会議員を勤め、国務大臣の経験もある方が、自分の自治体は税収も潤沢だから、そこの住民だけ良ければそれで良しという都議選目当てのバラマキ政策を行い、結果として国民の教育格差の拡大を助長するような政策を講じてしまうのはいかがなものでしょうか。その視野の狭さと志の低さにはげんなりしてしまいます。

 もう1つは、小泉進次郎氏をはじめとする自民党の若手有志が提言した“こども保険”です。小学校入学前の子どもへの幼児教育・保育を無償化するため、厚生年金・国民年金の保険料に0.5%を上乗せして、児童1人当たり月2万5000円を支給しようという構想です。

 この構想は、自民党で議論されている“教育国債”(高等教育無償化の財源として使途を教育に特化した新たな国債)へのカウンターという要素はあるのでしょうが、そもそもの発想からして間違っています。

 というのは、“保険”の意味をまったく理解していないとしか思えないからです。保険とは、基本的にはもしものことがあったときへの備えとして用意されるべきものです。だから、すべての児童に支給すると言っている時点で、裕福な家庭の子どもも貧しい家庭の子どもも対象になるので、それは保険とは言えないのです。保険料の名を借りて国民から強制的に原資を徴収しようというだけです。

自民党若手の世論迎合的な発想
なぜ幼児教育・保育だけが対象に?

 ただ、それ以上に個人的におかしいと思うのは、すでに述べたように私立高校の授業料への補助で大きな格差も生じるのに、なぜあえて幼児教育・保育にだけフォーカスするのかということです。おそらく、待機児童問題がメディアで大きく報道され、国民の関心が高いからではないでしょうか。

 でもそれって、言葉を変えて言えば単なるポピュリズム、世論に媚びているだけです。教育格差が将来の所得格差につながることを考えると、特に第四次産業革命により日本でも格差が一層拡大する可能性がある中では、幼児教育や高等教育など教育の特定分野に限定せず、トータルのパッケージとして教育全体をどう改革するかを示すのが、政治家の役目ではないでしょうか。

 このように考えると、安倍首相の最初の問題提起は正しかったのにもかかわらず、その後の教育をめぐる個別の政策論議は随分おかしな方向に行きつつあるように感じます。

 しかし、教育政策のポピュリズム化とも言えるこうした動きで、日本の教育全体が良くなるとはとても思えません。それを防ぐためにも、憲法改正とは別次元の問題として、様々な環境変化に直面する今の日本で、憲法で保障された“教育を受ける権利”を全国民に行き渡らせるためにはどのような制度改革が必要か、という根本からの骨太な議論を、官邸主導で早く始めるべきではないでしょうか。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)
http://diamond.jp/articles/-/124817


 

【第44回】 2017年4月14日 山本尚毅 :HONZ
大学全入時代に生き残る大学、消える大学の違い

『消えゆく「限界大学」:私立大学定員割れの構造』

苦しい時代を組織一丸となって、乗り越え成長してきた大学の一例に武蔵野大学がある。200人の単科女子大学と400人の短大を併設したお嬢さま大学から入学定員2000人を超える総合大学へ転換することに成功した
進学率が現状維持で推移すると
定員500人の大学が200校以上消える!

 2020年、東京オリンピックの開催の裏側で、大学入試センター試験の改革が着々と進んでいる。次の中学3年生が高校3年生になるタイミングであるから、もう間近である。高校も大学も塾も、その準備に追われてとても大変になることは想像に難くないが、その手前にも、大きな問題が来ることは随分前から囁かれていた。2018年問題である。

 1992年に200万人を超えた18歳人口は、2008年に120万人台まで減り続け、その後横ばいで推移した。その安定期は2018年には終わりを告げる。2016年度の出生数は100万人を切っているため、おおよそ20万人が減ることになる。


『消えゆく「限界大学」:私立大学定員割れの構造』
小川洋
白水社
232ページ
2000円(税別)
 これは大学経営に大きな衝撃を与えるだろう。大学進学率が現在の55%前後で変わらず推移すると仮定すれば、大学進学者は10万人以上減ることになり、入学定員500人の大学が200校以上消えてしまう計算なのだ。

 事実として、この10年で廃止された大学は10校を超える。2015年段階で、定員割れしている大学数は250校、そのうち定員の充足率が80%未満の大学が114校である。充足率が低下すれば、文部科学省からの補助金の減額幅が大きくなり、経営は苦しくなる。

 いつ破綻してもおかしくなかった大学だが、幼稚園から高校を含めた学園全体で辻褄をあわせて、赤字の大学を支えていた。しかし、公立の中高一貫校の登場などで市場環境が変化し、高校以下の安定経営も難しくなっている。また地方では、私立大学の公立化というウルトラCが繰り広げられ、ますます既存の私立大学は窮地に追いやられている。

 このような厳しい環境の中、同じ私立でも、近畿大学のように着実に成長を続ける大学もあれば生徒の募集や教職員の取りまとめに苦戦し、息絶え絶えの大学がある。そこにはどのような違いがあるのか、著者は歴史を遡り、統計データを駆使して明らかにしていく。

 過去には、大学にとって驚くほどおいしい時代もあった。1986年から92年のゴールデンセブンと呼ばれる7年間である。受験戦争は加熱し、受験校数は平均で10回を超え、受験料収入だけでも莫大な収入になった。さらに、文部科学省は受験戦争の加熱化をおさえるため、臨時定員を設け、生徒数は増え、学納金収入も大幅に伸びた。準備があったにも関わらず、89年から93年の五年間で毎年40万人前後の不合格者数が出ていた。これはバブル崩壊により高卒の求人倍率の急降下などの要因により、予想以上に大学進学率が上昇したためだった。もちろん、予備校や塾などの周辺産業にとってもおいしい時代だった。

なぜ四大化した短大が
学生募集に苦戦しているのか

 この時代以降、大学は急激に増え、私立大学は334校から604校になった。そして、新設された大学の7割強の母体は短大だった。短大側から見ると、最大500校あった短大のうち、半数以上が大学経営に進出したことになる。そして、受験バブルの恩恵を受けて、短絡的に四大化した短大が今、厳しい競争環境に晒され、学生募集に苦戦している。こういった短大の経営難を、歴史とデータを丁寧に追っていき、責任ある教育機関として目も当てられないような不祥事やずさんな経営体制の事例を交えながら、明らかにしていく。

 その一方で、苦しい時代を組織一丸となって、乗り越え成長してきた大学がある。武蔵野大学、共愛学園前橋国際大学などである。武蔵野大学は200人の単科女子大学と400人の短大を併設したお嬢さま大学だったが、総合大学へと見事転換し、入学定員は2,000人を超える。学部構成も「情報」や「環境」や「総合」などを掲げた新しいコンセプトを作り出す他大学とは真逆で、オーソドックスな構成になっている。

 前橋国際大学は、定員225人、教員組織も30人強と小規模ながらも、文部科学省が支援する事業に私立大学6位の6件も採択されている。教職員が一体化し、風通しのよい組織をつくっている。また、産業界と共創する仮想企業による商品化のプロジェクトなどにより組み、地元からも高い評価を受けている。

 うまくいっている大学は長期的な視点で身の丈にあった取り組みをし、衰退している大学は、流行に追随し、その場しのぎの改革に取り組んでいるように思える。ありきたりで、身も蓋もない話ではあるが、大学経営でも変わりのない真実である。

 2050年には1億人を下回り、出生数は60万人を下回る。そして、将来の推計人口は予測を大きく外れることはない。少子化の煽りを受ける大学及び教育機関の撤退戦は、この先もずっと続いていく。この逆境に負けない、力のある大学を見分けるヒントも本書『消えゆく「限界大学」:私立大学定員割れの構造』にはある。


(HONZ 山本尚毅)
http://diamond.jp/articles/-/124735

http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/179.html

[経世済民121] 2万5000円のトースターが爆発的にヒットした理由 米国より大幅利上の中国 意識のズレ 良い上司になろうとするほど部下が
【第8回】 2017年4月14日 週刊ダイヤモンド編集部
2万5000円のトースターが爆発的にヒットした理由

「バルミューダ ザ・トースター」 寺尾 玄(バルミューダ社長)

photo by Toshiaki Usami
 こんがり焼けた厚切りトーストの上でとろけるバター。表面がぐつぐつと溶け出して少し焦げ目が付いた熱々のチーズトースト。

 思わずよだれが出そうな画像が並んでいるのは、家電ベンチャーのバルミューダが販売する「ザ・トースター」のホームページだ。商品そのものの画像よりも、おいしそうなパンや料理のレシピ画像の方が圧倒的に多い。それは、同社創業者で社長の寺尾玄が、「われわれが売っているのはモノではなく体験」だと考えているからだ。

「『2万5000円のトースター』と言われると私も高いと感じる。でも、『世界一のバタートーストを食べたくないですか』と聞かれたら、食べてみたいと思う」

 価格や機能を訴求するのではなく、食べてみたい、作ってみたいというワクワクする体験を提案することで消費者の心を捉えた。数千円が相場のトースター市場では飛び抜けて高い価格にもかかわらず、2015年6月の発売以来、累計で20万台を売る大ヒットとなった。

「世界の役に立つ」夢を抱き
音楽からものづくりへ転身

 クリエーティブな心で思い描いたものを世の中に送り出して、世界の役に立ちたい──。

 寺尾がずっと心に抱き続ける信念だ。かつてはミュージシャンとしてその道を目指したが、夢半ばに終わる。だが「情熱は消えなかった」。03年、音楽ではなくものづくりで夢の実現を目指そうと、バルミューダデザイン(現バルミューダ)を設立した。

 だが、寺尾にはものづくりの知識も経験もない。ネットで調べようにも、検索のキーワードさえ分からない。そこでまず東急ハンズに行って、店員を質問攻めにした。「これ、何でできてるんですか」「ステンレスです」「どうやってこんな形にするんですか」「プレスかな」。こうした会話で「プレス」というキーワードを仕入れて、ネットでいろいろと調べた。

 すると今度は現場を見たくなる。タウンページで自転車で行ける距離にあるプレス工場を調べて片っ端から足を運んだ。ずいぶん門前払いも食らったが、次第に工場の中を見せてもらえるようになった。

 そうやってものづくりを一から学んで作ったのが、ノートブックパソコンの冷却台「X-Base」だった。発表後ニュースサイトで取り上げられ、注文が次々と入って順調なスタートを切った。

 だが、好事魔多しである。08年のリーマンショックで、会社が倒産の危機にひんしたのだ。1カ月間、全く注文が来なかった。これはつぶれるな、と覚悟した。

 こうなったら前から作りたかったものを作ろう──。こうして生まれたのが、独自の二重構造の羽根で「自然界の気持ちいい風」をつくり出す扇風機「グリーンファン」だった。扇風機市場はすでにあらゆる製品が出尽くしているように見えたが、「出尽くしたと皆が思っている市場にこそチャンスがある」。テレビ番組で紹介されて人気商品となり、バルミューダは息を吹き返した。

 しかし、また壁に突き当たる。「いいものであれば売れる!」と確信した寺尾は、空気清浄機や加湿器、ヒーターなど空調関連商品を次々と投入したものの、思ったように売れない。価格が高過ぎたのだ。ユーザーメリットに直接つながらない品質を求めた結果、収益が悪化し在庫が積み上がった。

 すでにモノがあふれている時代に、いいものというだけでは売れない。人が欲しているのはモノではなく、五感で感じることができる「体験」なのではないか。そうだとすれば、五感全てを使う体験である「食べること」を訴求しよう。そんな仮説を立ててトースターの開発に乗り出した。

おいしさの鍵は「スチーム」
充実のレシピで体験を訴求

 寺尾が目指したのは、土砂降りの社内バーベキュー大会で食べたパンの味。表面はパリッとしていて中はしっとり。この食感を再現するために試行錯誤を重ねた。最初はバーベキューの炭火に秘訣があるのかと考えいろいろ試したがうまくいかない。「そういえば、あの日は土砂降りだったな」。そんな誰かの一言から、スチームを使ったザ・トースターの方向性が決まった。

 スチームでパンの表面に薄い膜を作り、中の水分や香りをしっかり閉じ込めれば、おいしく焼き上げることができる。どのくらいの水分量が適正なのか、どのくらいの温度でどのくらいの時間焼けばいいのか。その解を得るまでに焼いたパンは5000枚を超えた。

 ところが、ようやくほぼ製品に近い試作機が出来上がったある日、突然パンがおいしく焼けなくなってしまった。夏から秋へと季節が変わって気温が変わり、庫内温度も変わっていたためだった。そこで、どんな季節でも庫内温度を同じように制御できるようソフトウエアを作り直した。

 もう一つ苦労したのが、パンの品質のばらつき。コンビニで買える大手メーカーのパンをずっと使っていたのだが、ロットによって重さも水分量も密度も違う。どんなパンでも同じ仕上がりにするため、さらに作り込んでいった。

 ものづくりを突き詰める一方で、体験をどう伝えるかにも心を砕いた。冒頭のレシピページには、「『珈琲専門店エース』ののりトースト」など、老舗の看板レシピもたくさんそろえた。「おいしさだけじゃなくて、ワクワクするうれしさも感じてもらう」ためだ。「モノより体験」という寺尾の仮説は、ザ・トースターの爆発的ヒットで裏付けられた。

 17年はキッチン家電の第2弾として炊飯器を発売。電子レンジやコーヒーメーカーも開発中だ。さらに、「掃除用でも対話型でもない、もっと役に立つロボットを開発している。年内には発表したい」。世界の役に立ちたいという寺尾の信念には、いささかのぶれもない。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 前田 剛)


【開発メモ】ザ・トースター
「食パン」が「トースト」になるのは化学反応。そこでトーストを科学目線で徹底的に追究した。その結果、温度制御が重要であることが分かった。パンの中の軟らかさと風味がよみがえる60度前後、表面がきつね色に色付き始める160度前後、焦げ付きが始まる220度前後という三つの温度帯を完璧に制御することで、最高のトーストが生まれた。
http://diamond.jp/articles/-/117593

 

2017年4月14日 加藤 出 :東短リサーチ代表取締役社長
米国よりも大幅利上げの中国
地下街にも漂う消費意欲と商魂


中国・上海にある地下街の空きスペースに設置された、2人用のカラオケボックス。見た目はほとんど電話ボックスだ Photo by Izuru Kato
 米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月から今年3月にかけて、銀行間の短期金利を合計0.5%引き上げた。そして、世界の金融市場は米国の利上げ観測やその動向に大きく揺れてきた。

 しかしながら、FRBよりもはるかに大胆に短期金利を引き上げている中央銀行がある。中国人民銀行だ。

 上海銀行間取引金利(SHIBOR)の3カ月物を見ると、昨年10月上旬には2.8%程度だったが、この4月上旬は4.4%前後だ。半年間でなんと1.6%もの引き上げが実施されている。その理由は次のように考えられる。

 第一に、中国経済は昨年後半から回復基調にある。中国政府は足元の景気動向には不安を感じていない。

 第二に、中国にしては低金利環境が続き、民間の資金需要が伸びない中で一部の中小金融機関は不健全な投資を行ってきた。そういった動きをけん制し、市場におけるマネーのだぶつきを引き締める必要が生じている。

 第三に、人民元の下落圧力が強まらないように、FRBが利上げを行うならば、中国でも金利を引き上げておこうという判断もあるようだ。

 なお、中国の生産者物価指数は前年比で8%近い上昇だが、消費者物価指数は同1%未満の上昇と落ち着いている。そこで中国人民銀行は、本来の政策金利である1年物貸出金利は据え置きつつ、SHIBORを引き上げてバランスを取ろうとしている。

 中国の金融当局は不健全な資金運用を行っている金融機関に「お灸」を据えているので、3月に一部の中小銀行が資金繰りに窮する場面があった。2013年6月には当局の「お灸」が効き過ぎて、銀行間金利が暴騰。市場全体が混乱して、上海株の急落を招いたこともあった。

 ただ、そのころと比べると金融当局のスキルは向上しているので、今回は当時ほどの混乱が起きることはないだろうとみている。

 他方で、中国の長期的かつ重要な課題として目が離せないのは、国内の過剰債務問題である。借金を膨張させてきた低収益のゾンビ国営企業の改革に中国政府は昨年から本腰を入れ始めたが、今後も持続できるかどうかが注目される。

 国際通貨基金(IMF)は昨年、中国が中成長のうちに国営企業の整理を推し進めるならば、低成長期にバブルが破裂した日本やスペインのような混乱は回避できると助言した。

 国営企業を整理しつつ中成長を維持するには、ITなどの新産業と巨大な中間層の消費が関連し合いながら拡大していくことが必要となる。中国の李克強首相が3月の全国人民代表大会における政治活動報告で、イノベーションを推し進める方針を強調したのは、その話につながっている。

 先日の中国出張時も、中国の中間層の消費は着実に伸びているという印象を受けた。消費者の嗜好に合わせたニッチな商売が続々と現れているからだ。

 例えば、上海ではカラオケ需要が強く、夜の時間帯はかなり待たされる。それを察知した業者が、地下街の空きスペースに電話ボックスを少し大きくしたような2人用カラオケボックス(写真)を最近設置し始めた。

 長期的な課題やリスクを抱える中国ではあるものの、そのマーケットには日本企業にもビジネスチャンスがまだ多数あるように思われる。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出 )
http://diamond.jp/articles/-/124816

 


 

【第5回】 2017年4月14日 吉野聡
「ストレスチェック結果の捉え方」があぶり出すマネジャーと部下の意識のズレ

組織の課題に目を向ける企業は少ない

 ストレスチェック制度施行の初年度は、個人のストレス度合いについて検証する、ということに終始したきらいがある。

 言うまでもなく、ストレスチェックについては個人のメンタル面の課題と同時に、働く人のメンタルを左右する組織の課題を浮き彫りにし、それに対処することが求められる。少なくとも、それが制度を施行した国の考えである。

 しかしながら、連載第1回で述べたように、実施企業の多くが、組織の課題には目を向けていない。これでは、せっかくコストをかけて実施したストレスチェックが、十分に生かされないことになる。

 今回は、ストレスチェックの結果を、組織の課題解決につなげようとする企業の事例を紹介したい。

集団分析の結果をもとに5人の部長が議論する

 これは私が産業医をしている、IT系企業の事例だ。仮にA社としよう。A社は社員数約400名で、部署は16部門に分かれている。

 ストレスチェックを実施した後、A社では16の部単位で集団分析を行った。その結果を各部にフィードバックして、部長を集めて「自分の部の結果について、どう思う?」という問いかけをした。

 各部からは、ストレスチェックのスコアをふまえて、「うちの部署は、そもそも人が足りない」とか、「私の部署では、コミュ二ケーション不足だと思う」など、さまざまな意見が出た。

 さらにA社は、各部の部長5人を一組として、集団分析の結果を踏まえて、「自分の部署の結果を、どう見るか」、「来年は、組織と仕事のあり方をどう変えるか」という観点から、ディスカッションを実施した。

 そこでは、さまざまな意見が飛びかった。

「お前の部は、なんでこんなにスコアがいいの?」、「けっこう、うまくいってるように見えたけれど、意外に職場のストレス要因が高いんだね」などなど、いろいろな発見や指摘があった。

「自分の部署はうまくいっている」

 A社の場合、社員数が400人という、全員が全員の顔を名前を知っている、という環境であることの良さもあるかもしれない。

「そりゃあ、お前のやり方が悪い」、「お前があまり現場にいないから、部下は仕事がしにくいと言ってるよ」というような、忌憚のない意見が交わされたようだ。

 このような取り組みをしたのは、A社が業種柄、客先常駐の社員が多く、組織の課題がなかなか見えにくかったことが背景にある。コンサルに調査分析を依頼したこともあったが、その結果はあまり職場には好影響をもたらさなかったらしい。

 そこで社長が、ストレスチェック制度をひとつの材料として、社員の状況を把握しておきたい、と考えたのである。動機はどうあれ、その結果は有益だった。

 いろいろな事情がありながらも、多くの部長は「自分の部署は普通(概してうまくいっている)」と考えていたようだ。しかし、ストレスチェックの結果が出て、自分の部署のことを客観視せざるをえなくなった。

 さらにA社では、高ストレスという結果が出て、なおかつこの3年以内にメンタルヘルス不全による休職者が出た3職場について、部長をはずして、課長以上を集めてミーティングをした。

すれ違う部長と課長の意識

 ミーティングの狙いは、ストレスチェックの結果を客観的な指標として、なぜ高ストレスという結果が出たのかを分析し、どのように改善するか手立てを考えることにある。

 部長を外したのは上長の意見に引きずられることなく真因を考えるためであり、言いっ放しにならないように外部のファシリテーターがミーティングに加わった。

 その結果は、実に興味深いものだった。先に述べた部長を集めた話し合いの結果と、大きく食い違ったのである。

 たとえば改善策として部長の話し合いでは「人が足りないのが高ストレスの要因」とする意見が多かったが、課長ミーティングでは「部長とのコミュニケーションが不足している」、「人の頭数の問題ではなく、部署として仕事を回していく仕組みの問題。仕組みがなければ、いくら人を入れても意味がない」などと指摘する声が多いなど、随所でかみ合っていないことが明らかになった。

 もちろん部長だけが全面的に悪い、ということではないし、改善する意志がないわけでもない。しかし、マネジャーの意識と現場の本音がすれ違いを起こしていることは事実だった。

 このすれ違いがなぜ生じたのか。次回、詳しく解説したい。

(新宿ゲートウェイクリニック院長 吉野 聡)
http://diamond.jp/articles/-/124803


 


 

2017年4月14日 安藤広大 :識学代表取締役社長
良い上司になろうとするほど部下がますますダメになる理由


新年度が始まって新入社員も入り、人事異動があった会社も多いだろう。「初めて部下を持つ」という人も多いかもしれない。そこで、多くの人は「良い上司」でありたいと思うことだろう。しかし、もしかしたら、多くの人が描く「良い上司」とは、部下の将来にとっては「最低最悪の上司」なのかもしれない。改めて「良い上司」について考えてみたい。(株式会社識学代表取締役社長、組織コンサルタント 安藤広大)

「良い」上司像は
「最低の上司」かもしれない

 ・部下の「頑張る姿」を評価するな
 ・上司は新入社員に「頑張る理由」を与えてはいけない
 ・「無礼講」を許すのはダメ上司

 これまで、私がダイヤモンド・オンラインに寄稿してきた記事の内容だ。でも、一般的に「良い」上司とされているのは、これらとは真逆の上司像かもしれない。例えば、下記のような上司像だ。

 ・部下の「頑張る姿」を褒めてくれる「良い」上司
 ・新入社員に「頑張る理由」を与えてくれる「良い」上司
 ・たまには「無礼講」を許してくれる懐の深い「良い」上司

 どうだろう。あまり、違和感を持たないのではないだろうか。実際、私がお会いする経営者、管理者の中にはこのような「良い」上司像を持つ方々も少なくない。

 しかし、このような上司が本当に「良い上司」と言えるのだろうか。結論は、これまで書いてきたように良い上司であるはずがない。部下の未来を奪う「最低の上司」であるというのが現実だ。

上司は部下より
「遠く」を見るべき

 そもそも上司と部下では、組織ピラミッドの中での置かれている位置=高さが違う。当然ながら、上司は部下より常に高い位置に配置されている。高い位置に置かれているのだから、上司は常に部下より遠くを見なければいけないという責任がある。ここでいう「遠く」は距離ではなく、「時間」を表すものだ。組織において、上位、つまり高い位置に配置されている人間は、低い位置に配置されている人間より「遠い未来」を見て物事を判断しないといけないのである。

 物事の良し悪しの判断は、時間軸をどこに置くかによって変わってくる。子どもの頃の怖かった先生がわかりやすい例だろう。子どもの頃は、本当に怖くて嫌だった先生に、大人になった今、とても感謝しているというのはよく聞く話だ。その時、本当に辛くて、苦しかった経験が、振り返ると自らの糧になっているということは、人生を振り返れば多くあるはずだ。

 とはいえ、辛くて苦しい経験は、その当時という時間軸で捉えると、自分にとって「悪い」ことになる。しかし、その当時から見たときの未来である、今という時間軸で捉えると「良い」ことになるというわけだ。

 では、当時、先生が「私が厳しく叱っているのは君の未来のためだ」と言ったとして、理解できただろうか。辛くて苦しい経験をしている時に、「これは自分の未来のためには良い経験だ」と自分で思える人がどれくらいいるだろうか。「悪い」ことの当事者になった時に、それは簡単ではないのだ。

 繰り返すが、上司は部下より遠い未来を見る責任がある。そして、今という時間軸で捉えて状況を判断するのか、未来という時間軸で捉えて判断するのかでは、物事の「良い」「悪い」は変わってくる。

「今」時点の部下からは「悪い上司」でも
未来では「良い上司」になるべき

 部下の遠い未来を見なければならない上司は、「今」時点の部下からは嫌われ、「悪い上司だ」という評価を受けようが、心を鬼にしてでも「仕事の評価はあくまでも結果」という考えを徹底させるなど、指導すべき点は厳しく指導しなければならないのだ。

 仮に、あなたが「今」時点の部下から好かれよう、嫌われたくないと思い、「良い」上司を演じたとする。その下で育った部下は将来どうなっていくのだろうか。多くの「勘違い」を抱えたまま、生きていくことになる。

 例えば、いつも「頑張っている姿」を褒めてくれる上司がいるとする。その部下は「結果が悪くても頑張っている姿を褒めてくれる、部下のモチベーションを上げてくれる『良い』上司だ」と思うだろう。

 そして、「上司がモチベーションを上げてくれるから頑張ろう」と思う。裏を返せば、「上司がモチベーションを上げてくれなければ頑張れない」人間になってしまい、自分は「モチベーションを上げてもらわなければ頑張らなくて良い存在」だという勘違いをするようになってしまう。また「頑張る姿」が褒められるわけだから、自分が求められていることは「良い結果」ではなく「頑張る姿」だと勘違いしてしまう。その結果、「頑張る姿」をアピールするようになってしまう。

 要するに「良い」上司の言動によって、「上司がモチベーションを上げてあげなければ頑張れない、頑張る姿のアピールがうまい、結果にこだわらない部下」が完成してしまうのだ。

 この勘違いしてしまった部下は、本当に不幸だ。あくまでも「今」という時間軸では何の問題も起きないだろう。むしろ、ストレスがなく、快適に日々を過ごすことができるのではないだろうか。しかし、そこに「時間という概念」が入ってくるとそうはいかない。勘違いした部下には、将来、厳しい現実が待ち構えているからだ。

 残念ながら、このような「勘違い部下」が会社で良い評価を受け続けるのは難しい。なぜなら、会社自体が市場からは「頑張る姿」ではなく、あくまでも業績という「結果」で評価されているからだ。

「頑張る姿」を評価すれば
「ビジネスの世界」で生きる力を失う

 会社は「結果」で評価されているのに、会社を構成している従業員は「頑張る姿」で評価される、そんなことが成立し続ける訳がない。どれだけ勘違いをしている部下でも、時間の経過とともに「上司がモチベーションを上げてくれようがくれまいが頑張らないといけない、出した結果の有益性に対して評価を受ける存在」という現実に直面せざるを得ないのが現実なのだ。


安藤広大さんの『伸びる会社は「これ」をやらない!』(すばる舎)が好評発売中。224ページ、1620円(税込み)
 勘違いした部下は「現実の世界」に引き戻される時、大きなストレスを感じることになる。そして、その場から逃げ出し、会社を辞め、再び勘違いできる働き場所を探す。その原因を作りしてしまうのは、「良い」上司なのだ。

 ここで注意すべき点は、勘違いをし続けた部下は、その期間が長ければ長いほど「ビジネスの世界」で生きていく力を失ってしまうことだ。

 ビジネスの世界で得られる対価とは、本人が出した結果の有益性に対して支払われるというのが、どこまでいっても現実だ。「頑張る姿」に支払われていると勘違いしている部下は、その期間が長ければ長いほど、「有益性のある結果」を出す能力がなくなってしまう。

 上司の皆さんには今一度考えていただきたい。あなた自身が「良い」上司だと思われたいがために、部下が将来に向けて「生きていく力」を奪っていないかを。

 上司は、常に部下のためにも「未来を見る責任」があるということを忘れず、日々の部下との「接し方」を考えていただければと思う。
http://diamond.jp/articles/-/124824

http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/113.html

[戦争b20] 広がる戦場 ――IoTへのサイバー攻撃 数十億台のマシンがサイバー攻撃の標的に
【第6回】 2017年4月14日 ユージン・カスペルスキー :Kaspersky Lab 取締役会長兼最高経営責任者(CEO)
広がる戦場
――IoTへのサイバー攻撃

数十億台のマシンがサイバー攻撃の標的に

 サイバーセキュリティの最前線では、攻撃する側と防御する側で絶えず攻防が繰り広げられている。攻撃側はITの脆弱性をチャンスと見て、手っ取り早く金儲けをしようとする犯罪者やスパイ、政治的ハッカー、戦闘員、さらにはテロリストに豹変し、防御側は個人や組織をサイバー攻撃から守ろうとする。ここには、セキュリティ研究者やセキュリティ企業、司法当局などが含まれる。

 ハッキングツールはめまぐるしく変化し、マルウェアはますます巧妙化しているが、 幸い、保護技術も進化を遂げている。しかし、デジタルテクノロジーは、サイバー攻撃の脅威が登場する前に設計された概念やシステムを基に構築されており、今日広く使用されているオペレーティングシステムはいずれも攻撃を受けやすいのが現状だ。

 この攻防には、闘いの舞台が移り変わってきたという別の側面もあるだろう。10〜20年前の戦場はコンピューターが主流だったが、その後、すっかり生活の一部に溶け込んできたスマートフォンやタブレットがこの舞台に加わった。現在では、IoT(モノのインターネット)のセキュリティがセキュリティ業界にとって最大の課題のひとつとなった。

 IoTとは、形状や大きさを問わず、コンピューター化されインターネットにつながった多種多様なデバイスを指すが、こうしたデバイスが数十億台も存在し、それが物理的プロセスを制御している事実(電子制御システムによる自動車など)を考えると、我々が日常生活の中で直面するサイバー攻撃のリスクは拡大していると言えるだろう。

 IoTを狙った攻撃の多くはすでに現実のものになっており、私はスマートテレビに対する攻撃の急増を予測していたが、これまでのところ、ハッカーは多くの防犯カメラとホームルーターを攻撃しマルウェアに感染させることで、史上最大規模のDDoS攻撃を実行してきた。

“未来”は明るいとは言えないが…

 こうしたデバイスを狙う悪名高いマルウェアのひとつに、「Mirai」(日本語の「未来」に由来)がある。このマルウェアはソースコードが公開されているため、今や特定のスキルを持つ者なら誰でも自作し、脆弱なデバイスを攻撃することができてしまう。その結果起こったDDoS攻撃により、TwitterやSpotify、PayPalを含む世界最大規模のグローバルインターネットサービスが一時的にダウンしたことは記憶に新しい。未来はすぐそこまで来ているが、見通しは決して明るいとは言えない。

 例えば、ある企業がシステムとセンサーをネットワークで結んで、プロセスの合理化と高速化を図っているとしよう。工場でスマート電球が切れたら、センサーが直ちに自動化された倉庫に知らせ、替えの電球が出荷される。また、全メーカーの電球の電力効率に関する統計データをもとに、長期的に電気代を節約することもできるだろう。こうした大規模なシステムを効率よく円滑に稼働させることは技術面でやりがいがあるが、障害が発生した場合の復旧費用は莫大となる。

 ここ数十年の間に、コンピューターを取り巻く脅威は不穏にも大きく進化した。初期のコンピューターマルウェアは一人のプログラマーが自己満足のために作成していたものだったが、今では裏のサイバーコミュニティが発展し、巧妙な手口で金融機関を襲うプロ集団、ある国の政府が裏で支援するデジタルスパイや傭兵の高度な集団など、犯罪者から成るエコシステムが暗躍している。

 一方で、ITセキュリティに従事する専門家は、残念ながら世界的に不足している(と言われて久しい)。最先端技術を広く採用する日本をはじめとして、多くの国々ではこの分野の専門プログラムに投資を行っているが、IoTのセキュリティに特化した専門家となると、人材不足はさらに深刻だ。

 市場がどんどん拡大し、めまぐるしく変化していく一方で、ハイテク製品(現代ではコンピューター化されインターネットに繋がった製品を指すことが多い)の製造メーカーは、デジタル時代のセキュリティ対策にどのような人材が必要なのかを理解することが急務だ。

 幸い、サイバー犯罪者(やテロリスト)にとっても、IoTデバイスに特化した経験豊富なハッカーを見つけることは容易ではない。しかし、サイバー犯罪者は敏捷性に優れた比較的少人数の集団で活動しており、学習のペースも速い。 弊社では、IoTデバイスを狙ったマルウェアの急増を確認しているが、 これはまだ序章にすぎない。

IoT機器メーカーの姿勢にも変化がみられる

 つい最近まで、インターネット対応型デバイスの製造メーカーの多くは、自社製品のセキュリティにそれほど注意を払っていないように見えたが、今やそれも変わりつつある。 防犯カメラなどのインターネット接続型家電製品を製造する有名なあるメーカー数社に話を聞いたところ、セキュリティが万全でなければ、えり好みする富裕層は製品を購入しないため、自社製品のセキュリティを万全にしているという。 これは大変喜ばしいことだ。

 またメーカー側は、すでに製品化されたデバイスにセキュリティ機能を追加することは簡単な作業ではないことを理解している。サイバー攻撃の脅威に対する認識が急速に高まっているとはいえ、他社より先に技術革新を行い、製品化し、競争したいという気持ちが強いがために、セキュリティ機能の改良に時間とコストをかけようとしないメーカーが存在することも事実だ。

 新しいデバイスの製造メーカーや設計者に伝えたいアドバイスは、いたってシンプルだ。それは、自社製品に少なくともある程度の保護機能を装備すること。既存の脆弱性を修正する手段を確保し、パッチ管理手順を策定すること。デバイスに設定されている工場出荷時のパスワードをユーザーが予め知っていることのないようにすること。たとえ何世紀にもわたって製品を製造してきたメーカーでも、今やソフトウェア企業としての顔をもつことを忘れてはならないのだ。

 さらに、インターネット接続型デバイスを利用する個人ユーザーには、利用に伴うリスクについて学ぶことをお薦めしたい。また、万全なセキュリティというものは存在しないことを覚えておいて欲しい。現代社会は、さまざまなスマートデバイスなしで生きていけないが、使用するデバイスを賢く選ぶことはもちろんだが、ルーターを使用する場合は、管理者パスワードは必ず初期設定から変更するという基本的なこともお忘れなく。
http://diamond.jp/articles/-/124632
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/148.html

[不安と不健康18] 肩こりや腰痛の元になる「噛み合わせ」は食習慣で改善できる 残業は美徳だった!10年前の「働き方黒歴史」を振り返る

2017年4月14日 夏目幸明 [経済ジャーナリスト]
肩こりや腰痛の元になる「噛み合わせ」は食習慣で改善できる

群馬県高崎市の「丸橋全人歯科」。噛み合わせを調整することで、全身のさまざまな症状を改善し、患者に喜ばれている歯科だ。今回のテーマは「歯列矯正も噛み合わせの調整もできなかった昔の日本人が、なぜ現代日本人より噛み合わせがよかったのか」。詳細を聞くと肩こりや腰痛が文明によってもたらされた弊害であることと、その解決策が見えた。(経済ジャーナリスト 夏目幸明)

噛み合わせの悪さは文明病!?
世界中を調査して得た真実とは

「モンゴル人や縄文時代の日本人は、現代の日本人より歯周病になる割合が少ないんですよ」。丸橋全人歯科の亀井琢正医師によれば、モンゴル人や縄文人の歯は噛み合わせもいいらしい。


現代の日本人の噛み合わせが悪いのは、食生活に原因がある。日本人の咀嚼回数は、戦前の半分以下、弥生時代と比べると、なんと6分の1にまで減っているのだという
 これはトンデモ話ではない。丸橋全人歯科の歯科医師たちは、実際に世界のさまざまな地域に赴き、噛み合わせを研究してきたのだ。「我々は、ブータンの奥地や、ケニアのマサイ族まで調査に行きました。そして、これらの民族もまた“日本人に比べ噛み合わせがいい”という結論を得ています」(亀井医師)。

 この調査の中、彼らは奇妙な事実に気づいた。モンゴルでは、馬で移動するような、あまり文明化されていない部族の人は噛み合わせがいい一方、都市部には噛み合わせが悪い人が少なからずいた。ブータン、ケニアでも、同様の傾向が見られた

「すると、怖い仮説が成り立ちます。噛み合わせは、文明が持つ何かによって悪くなっているのではないか、と……。そして、我々は歯列矯正の知識を元に、ほぼ“これだ!”と考えられる原因を突き止めたのです」

 前回記事「ガンコな肩こりが10分で解消、自宅でできる意外な方法とは?」で触れたように、肩こりや腰痛、果てはうつ病まで、噛み合わせの悪さは全身に影響を及ぼす。「単なる歯の問題」と考えるのは危険だ。

 詳細な説明の前に、知っておいてほしい事実がある。亀井医師によれば“歯はゆっくりゆっくり伸びたり動いたりするもの”らしい。「例えば、下の歯を抜歯すると上の歯が伸びてくるんですよ。そもそも、歯列矯正ができるのも、歯が少しずつ動くからです(笑)」。

 そして人間の体は「噛み合わせが悪いと、自然と調節を始めるようにできている」という。「歯には凹凸がありますよね。この凹凸は非常に大事で、上の歯と下の歯は、凹凸が見合ってこそ、うまく機能するんです」

 例えばグッと力を入れるとき、人は歯をくいしばる。歯は骨格の一部だから、文字通り噛み合わせていたほうが骨格全体が安定し筋力を発揮できるのだ。一方、凹凸が合っていないと、全力を発揮することができない。

噛み合わせがよくなると
食べ物の好みも変わる

 ただし、ここで人間の体はすごい力を発揮する。

「先にお話ししたように、歯は動きます。そこで、食事のときによく噛んで食べるうちに人間の歯は動き、自然と噛み合わせが合ってくるのです」

 とくに子どものうちは、ガシガシとよく噛んで食べるうちに、自然と噛み合わせが合ってくる。ではなぜ、近年の日本人の噛み合わせは悪いのか?

「上下の歯をしっかり使っていないからです。直接的に言えば、子どもの頃から柔らかい食事ばかりで育つと、歯を噛みしめる機会が減り、噛み合わせが悪いまま大人になってしまうのです」

 文明は食品を食べやすく加工する。丸橋全人歯科の丸橋賢理事長いわく「モンゴルの肉は噛んでも噛んでも食いちぎれなかった」らしい。しかし日本の肉は、ハム、ハンバーグなどに食べやすく加工されているし、肉そのものも品種改良されて柔らかい霜降りが好まれる。丸橋理事長が話す。

「日本人の咀嚼回数は、確実に少なくなっています。弥生時代に比べると約6分の1、戦前に比べても半分以下です」

 余談だが、ロッテの人気商品「Fit's」が開発された理由が興味深い。ガムの売り上げが落ちたとき、同社は「なぜ最近の若者はガムを買わないのか」と調査した。するとある女子高生が「あごが疲れる」と言った。聞き流さず調べると、現代の若者のアゴは細く、総じて噛む力が弱くなっているという。そこでロッテは柔らかいガムを「噛むとフニャン」というキャッチコピーで売り出し、大ヒットさせた。

 一方、何度も噛まなければ食べられない食品は、若い世代から敬遠されるようになっている。堅いおせんべい、漬物、小魚……。ようするに、文明は人に「噛まない食事」を提供し、人はそれを好んで食べるのだ。

「これが原因で噛み合わせが合わないまま成長してしまうのです。一方、子どもにチューインガムを使って咀嚼訓練を施すと、咬合力が高まって今まで見向きもしなかった食べ物に興味を示した、という例が多数報告されます」(丸橋理事長)。

柔らかいエサで育つと
ネズミの学習能力が落ちる

 よく噛んで食べることにより、噛み合わせがよくなる。大人は長時間がかるが、子どもなら効果が出るのは早い。これにより姿勢がよくなり、集中力が向上し、将来的に肩や首がこりにくくなる、との説には説得力がある。では、具体的に何を食べればよいのか。丸橋理事長が話す。

「不思議なことに、よく噛む必要がある食べ物は、いわゆる“体にいい”場合が多いのです。海藻、玄米、小魚、さらにはブロッコリーやキャベツなど生野菜……。ダイエットにもなる食品ばかりです」

 同時に丸橋理事長は、興味深い事実を挙げる。

「柔らかいエサを与えて育てたネズミと、よく噛んで食べるエサを与えたネズミを比較した実験があります。おなかをすかせた状態で、両方のネズミを迷路に入れ、ゴールに食べ物を置いておく。これを何度も繰り返し、ネズミに迷路の解き方を学習させるのです。すると堅いエサで育ったネズミは袋小路に迷い込む回数が少なく、サクサクとゴールに行くんです」

 人間で大規模な調査をした結果はないが、興味深い結果だ。だが、ここまで書いた事実はあまり世に伝わっておらず、丸橋理事長は危機感を募らせる。

「文明はすばらしいものですが、たとえばスマートフォンによりストレートネックになる人が増えたように、負の側面ももたらします。そして、おいしい食事にも負の側面はあるのです。せめて子どもには、よく噛む食べ物を与えてあげたいですよね」
http://diamond.jp/articles/-/124822


 

2017年4月14日 プレスラボ
残業は美徳だった!10年前の「働き方黒歴史」を振り返る


電通社員の過労死自殺事件をきっかけに、働き方を健全にする機運が高まってきた。もちろん、まだブラック労働は各所にあるはずだが、それでも10年前を思い出すと、今では信じられない醜い労働環境が蔓延していた。そこで、10年前にあったブラック労働エピソードを調査してみた。働き方への注目度が高まる中、あえて10年前の黒歴史を思い出して、未来への戒めとしたい(取材・文/有井太郎、編集協力/プレスラボ)

「就職氷河期」の直後だからこそ
あまりにブラックだった10年前

 プレミアムフライデーや残業時間の上限規制など、「働き方」に関する政府の動きが慌ただしい。電通社員の過労死自殺が大きな問題になり、社会の働き方に対する機運が高まった結果、このようなニュースが盛んに報じられているといえよう。

 現実的に見れば、今もブラックな労働環境にさらされているビジネスパーソンはたくさんいる。残業時間の上限規制についても、「繁忙期は月100時間未満」という落としどころに対し、批判の声も多く挙がった。もっと大幅に改革をしようにも、まだまだ企業の抵抗が強いのだろう。

 そんな実情を考えながら、ふと10年ほど前の労働環境を思い出すと、今よりずっとひどい状況だった記憶がある。というのも、10年前の2007年といえば、ちょうど就職氷河期が終わって2年ほどの頃。社員の大半が氷河期に採用された人たちだった。今よりずっと「買い手市場」の中で採用されたため、会社の「理不尽」を押し付けられることが多かったはずだ。

 それは企業に限った話ではない。例えば、2006年12月に自殺した当時25歳の新任女性教員。彼女の死が公務災害に当たるかどうかについて、今年2月に東京高裁で裁判が行われた。彼女は長時間労働や頻発する児童のトラブルに悩み、うつ病を発症。さらに、初任者研修では「病休・欠勤は給料泥棒」と言われたという報道もある。しかも、この研修は"校外"で行われたもの。つまり、その学校だけの問題でなく、現場全体にブラックな空気が蔓延していた可能性がある。

 10年前は、今よりもずっとひどい環境だった。だから「今はまだマシだ」などとは断じて言わない。むしろ、今後本気で働き方をクリーンにするために、今の機運が一過性で終わらず、昔に戻らないために、ここで改めて10年前の信じられないブラックな環境を振り返ってみてはどうだろうか。

 そこで、ビジネスパーソンに「10年前のブラック労働エピソード」を調査。思わず気分の悪くなるような逸話を紹介していく。

先輩より早く帰ってはいけない
「おかしい」と言えない異常な環境

 10年前のブラック労働エピソードとして、やはり多かったのは労働時間に関するものだ。今こんなことをしていたら、問題になるのは間違いないものばかりが聞かれた。

「ベンチャーのIT企業だが、仕事が終わるのは毎日22時頃。そしてその後は、連日飲み会へ強制的に連れ出された。しかも、終電で帰してくれない…。挙げ句の果てに土曜は1日中会議を入れられた」(35歳男性/IT)

「入社初日、新入社員の掟として『絶対先輩より先に帰るなよ』と言われた。それが新人として当然のルールだと教えられた。そして働いてみると、毎日必ず終電まで働いている先輩がいる。そのため、夜12時頃までずっと残った。たとえ仕事が終わっても。一度、先に帰ろうとした新人がいたが、それを見た部長は『礼儀がなってない』と怒鳴りつけていた」(37歳男性/メーカー)

「チーム長の一声で、月2回、金曜の20時からチーム会議をやることになった。週末の、しかも定時終わりに会議をやることが信じられず、ある日、先輩に『大学の飲み会があるのですが、金曜の会議は休めないですよね…?』と聞いたところ、『それは休めないでしょ。プライベートな理由では欠席できないよ』と、当たり前のように一蹴された」(34歳男性/商社)

「期末になると、徹夜は当たり前だった。もはや社員はそれを疑問に思うことさえなく、なかには『私は今回“3徹”したよ』と、3日連続の徹夜を自慢するような風潮さえあった。当然のごとく、体を壊したりすぐに退職したりする人は多かった」(36歳女性/広告)

 さらに、最近は企業だけでなく学校のブラック労働も問題になっている。冒頭のエピソードもそうだが、それだけではない。昨今よく言われる「部活」の問題だ。ある現役教師は、10年ほど前のこんな実情を話した。

「中学の教師をやっていますが、バレー部の顧問になったところ、平日は18時頃まで部活の練習に出て、そのあと溜まっている仕事をするので、学校を出るのは21時過ぎ。翌朝は8時前からまた部活の朝練。そして土日は、部活の練習と試合の引率ですべて潰れます。部活に出ないと、保護者から苦情が来るのでどうにもなりません。土日も、顧問が付き添わないといけない決まりでした。休みはほぼない生活が続きましたね」(36歳男性/教師)

 あまりにも厳しい実態。しかも、これらは本当に「氷山の一角」で、似たような環境の職場は他にもたくさんあったと言えるだろう。

 何より致命的なのは、年配者たちの問題意識が欠如していることだ。上記のエピソードについて、それを良しとしている上司がいる。だからこそ、若い社員が「おかしい」と違和感を抱いても、それを主張できない。そして、その風習に合わせざるを得ない。異を唱えることさえできなかったのである。

“昼飯抜き”が理想の営業マン?
間違った仕事観を刷り込まれた若手たち

 労働時間に関するエピソード以外にも、“問題意識の欠如”を随所に感じさせるものは聞かれた。いわば、先輩や上司からの「教え」「教育」といった部分である。いくつかの話を紹介したい。

「新入社員として研修を受けていたとき、ある役員が『うちの会社は労働時間も長く、世間的にはブラックな企業に入るかもしれない。でも、その環境に耐えてこそ真のビジネスマンだ』と熱弁した。『徹夜してこそ一流だ』と。それだけでもびっくりしたが、他の先輩社員の多くも、そういった考えに心から同調していた。あからさまに『ブラックを受け入れろ』というスタンスだった」(35歳男性/イベント)

「新人として先輩の営業マンに同行したとき、『繁忙期は昼飯の時間を削って営業する。それくらいしないとダメ』と言われた。今ではおかしいと思うが、新人時代は何もわからないので『そういうものなのか』と信じ込んでしまった」(33歳女性/製造)

「新卒採用の面接で、ごく当たり前のように家族構成や宗教関係の質問をされた。さらに驚いたのは、入社してから同期を見ると、特定の出身地が半分を占めていた。また、その会社の中には、ある苗字の人がとても多く、どういった基準で採用しているのか非常に怖くなった。縁故や自分とゆかりのある社員で固めて、ワンマンなやり方を通す社長だった」(38歳男性/販売)

「かなり労働環境が厳しいので、入社1年で辞める人が多い企業だった。自分が新卒で入った時、過去の新入社員の話を先輩が聞かせるのだが、1年目で辞めた社員のことを、ひどい表現で話していた。しかも内容を聞くと、明らかにその社員より会社に問題があった。力仕事が意外に多い会社だが、それは入社前に知ることができない。そして、辞めた社員は『あのくらいで骨折されてもなあ』『体が弱すぎだろ』と言われていた」(35歳男性/メーカー)

 今では信じられないほど、10年前はブラック企業や労働に対するモラルが低かった。そして新卒社員は、最初こそこの労働環境に疑問を持っても、先輩に強く言われれば「社会はそういうものなのか…」と思ってしまう。こうして悪い環境に埋もれていく悪循環ができたのだろう。

残業代を尋ねたら社長が呼び出し
退職強要も多かった時代

 そのほか、給料や日々の業務に関しても、さまざまなエピソードが聞かれた。それらを紹介しよう。

「入社時に、『うちの会社は残業代出ないよ』と先輩に言われた。おかしいと思って気軽に経理部へ尋ねたところ、なぜかその話が社長まで伝わり、社長室に呼び出された。『残業代が出ないと不満ですか?』と問い詰められ、『会社の風紀が乱れるのでそういうことを言うのは止めなさい』と言われた。恐ろしい世界だと思った」(34歳男性/イベント)

「残業代は支給されると聞いていたが、それは1年目だけで、2年目以降は残業代が出なくなるシステムだった。入社してそれが発覚。このため、2〜3年目の人は新人より給料が少なくなる事態に…」(36歳男性/IT)

「30人ほどのデザイン会社だったが、新しく入った社員のほとんどは数ヵ月で辞めた。その期間に社長が『使えない人材』だと判断すると、毎日のように夜呼び出して、会社を辞めるよう言い続けた。退職勧奨というか、ほぼ退職強要だった気がする。その中で残った社員は、みな社長のわがままに耐えてきた人ばかりなので、自ずとブラックでワンマンな企業になった」(40歳女性/デザイン)

「メールでのやり取りが十分普及しているにもかかわらず、重要な報告は面と向かって上司にしなければいけないルールがあった。前日の夜に地方で行われたイベントも、その日のうちに会社に戻って上司に報告する。泊まることも、家に直帰することも許されなかった」(33歳男性/イベント)

 筆者の感覚では、10年前、残業代を当然のごとく出さない企業が非常に多かった気がする。自分がいた企業もそうだった。そしてそれをもはや不服に思わず、「まあ仕方ないだろう」と諦めていた。恐ろしい話である。何より、残業代が出ない企業こそ長時間労働が蔓延して、社員が疲弊しているものである。

過去の哲学をまだ振りかざす人もいる
今後10年で大切になることとは

 ここに並べたエピソードは、今の時代なら間違いなく世間から非難されたり、社員が到底受け入れられずに反対したりするものばかりだ。そう考えてみると、10年という横軸の中で、働き方の意識改革が進んできた証明とも言える。

 一方、ここに出たエピソードは「わずか10年前のもの」と見ることもできる。社会の風潮は変わってきたものの、10年前に働いていた人の多くは、もちろん今も働いている。上述のようなブラック労働の一因となった社員や、その空気を受け入れてしまった社員たちは、変わらず現場にいるのだ。

 ということは、10年前のような哲学をいまだに振りかざしている企業は多数あるだろうし、いつ昔のように逆戻りしてもおかしくない。20代の頃にブラックな現場で働いていた人が、結局30〜40代になっても同じくブラックな環境を作り出してしまうかもしれない。

 長時間労働を是正しようという社会の機運が盛り上がってきたことは歓迎すべきだが、依然としてブラックな現場はたくさんある。そしてそこで悲鳴を上げている人がたくさんいる。今から10年後、2017年を振り返って「あの頃は本当にひどかったよね」と言えるようになるか。社会全体で一律に働き方を改善して、今後10年で大きく水準を上げなければならない。ビジネスパーソン全員が、強い意識で取り組む必要性があるはずだ。
http://diamond.jp/articles/-/124823
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/485.html

[日本の事件32] 逮捕の男は保護者の会会長 千葉の小3殺害 DNA型が現場遺留物と一致 松戸市六実4自称不動産賃貸業、渋谷恭正容疑者46
逮捕の男は保護者の会会長 千葉の小3殺害
2017/4/14 10:46 (2017/4/14 13:07更新)
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 千葉県我孫子市の排水路脇で、殺害されたベトナム国籍の小学3年、レェ・ティ・ニャット・リンさん(9)の遺体が見つかった事件で、県警捜査本部は14日、リンさんの自宅近くに住む同県松戸市六実4、自称不動産賃貸業、渋谷恭正容疑者(46)を死体遺棄容疑で逮捕した。捜査関係者によると、同容疑者のDNA型が事件現場に残された遺留物と一致したという。

千葉の小3女児殺害事件で、容疑者の男を乗せ県警我孫子署に入る車両(14日午前)=共同
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千葉の小3女児殺害事件で、容疑者の男を乗せ県警我孫子署に入る車両(14日午前)=共同
 捜査本部によると、渋谷容疑者は調べに対し黙秘している。捜査本部は同容疑者が登校途中のリンさんを連れ去り、殺害した可能性があるとみて、詳しい動機などを調べる。

 リンさんの自宅近くに住む住民によると、渋谷容疑者は被害者が通う小学校の保護者会の会長を務めていた。同容疑者宅はリンさん宅から直線距離で約300メートルにある。

 逮捕容疑は3月24日朝から26日朝までの間、我孫子市北新田の排水路脇の橋の下にリンさんの遺体を遺棄した疑い。

 リンさんは3月24日午前8時ごろ、登校のため松戸市の自宅を出発。その後、行方不明になり、26日午前6時45分ごろ、自宅から約10キロ離れた我孫子市北新田の排水路脇で遺体で発見された。

 リンさんは自宅を出る際、灰色のパーカにピンクのズボン姿だったが、発見時は衣服を身につけていなかった。司法解剖の結果、死因は窒息死とみられ、首に絞められたような痕があったほか、手首にも押さえつけられたような痕があった。

 捜査本部は遺棄現場から約20キロ離れた茨城県坂東市の利根川河川敷で、リンさんのランドセルや防犯ブザー、手提げバッグなどを発見。約500メートル上流からはリンさんのものとみられる衣服数点も見つかった。

 捜査関係者によると、リンさんが行方不明になった24日朝に通学路付近を走っていた車のドライブレコーダーに、リンさんに似た子供に歩いて近づく人物が映っていた。

 捜査本部は映像を詳しく解析するとともに、リンさんの所持品などに付着した遺留物のDNA型鑑定などを進めていた。

 リンさんはベトナム国籍の両親と弟の4人で暮らしていた。2015年12月に川崎市から松戸市に転居してきた。

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渋谷恭正、ニャット、リン、捜査本部、レェ

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http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG14H2X_U7A410C1CC0000/
http://www.asyura2.com/17/nihon32/msg/107.html

[政治・選挙・NHK224] 北朝鮮ミサイル「サリン弾頭搭載の能力」安倍首相 ミサイル防衛は抑止力ならず、米国頼み 北朝鮮情勢「深刻さ増す」首相熊本で
北朝鮮ミサイル「サリン弾頭搭載の能力」 安倍首相
2017/4/13付
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 安倍晋三首相は13日午前の参院外交防衛委員会で、北朝鮮の弾道ミサイル技術に関し「サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と述べた。北朝鮮の核・ミサイル技術が向上していると指摘し「新たな段階の脅威であり、朝鮮半島の非核化は日本が絶対に実現させるべき課題の一つだ」と強調した。

 北朝鮮に核放棄を促す「圧力」に関し「北朝鮮が危険な道に進んでいく政策を大きく転換するよう国際社会の団結が求められる」と強調。米国との協力や中国への働きかけに取り組む考えを示した。

 自民党が提言したミサイル防衛能力向上や「敵基地攻撃能力」を巡っては「自衛隊が保有する計画はないが、日米同盟全体の抑止力強化のため、常に様々な検討をしていくべきものだ」と語った。
http://www.nikkei.com/article/DGXKASFS13H16_13042017EAF000/


2017.4.13 21:32
【北朝鮮情勢】安倍晋三首相「サリン弾頭の着弾能力を保有している可能性」 自衛隊のミサイル防衛の限界にも言及


参院外交防衛委員会で答弁する安倍晋三首相。左は岸田文雄外相=13日午前、国会・参院第34委員会室(斎藤良雄撮影)
 安倍晋三首相は13日の参院外交防衛委員会で、北朝鮮について「(猛毒の)サリンを弾頭に付けて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と述べた。シリアのアサド政権が化学兵器であるサリンを使用したとの疑惑も引き合いに出し、北朝鮮の脅威に危機感を示した。自衛隊の現行のミサイル防衛(MD)態勢には限界があるとの認識も示した。

 首相は、化学兵器や核兵器搭載の弾道ミサイルへの対処に関し「ミサイル防衛能力はいわゆる抑止力とはならない。打撃力としての抑止力は(日本は)米国に依存している」と説明した。さらに「現実を踏まえ抑止力をしっかりと持つべきだという議論が当然ある」と述べ、自民党が進める敵基地攻撃能力保有に向けた議論に期待を示した。

 韓国国防省は、北朝鮮がサリンや猛毒の神経剤VXなどの化学兵器を2500〜5千トン保有しているとしている。日本政府はこれまでも北朝鮮の生物・化学兵器について「一定の生産基盤を有している」との見解を示してきたが、具体的にサリンの名前を挙げて警鐘を鳴らすのは異例。菅義偉官房長官も13日の記者会見で、「化学兵器を生産できる複数の施設を維持し、すでに相当量保有しているとみられている」と述べた。

 一方、政府は同日、国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合を首相官邸で開催。北朝鮮による6回目の核実験など挑発行為に備え、情報収集・警戒監視に当たる方針を確認した。
http://www.sankei.com/politics/print/170413/plt1704130035-c.html



北朝鮮、サリン搭載ミサイルを保持の可能性 安倍首相
2017.04.13 Thu posted at 20:00 JST

安倍首相
東京(CNN) 日本の安倍晋三首相は13日、北朝鮮が猛毒の神経ガスであるサリンをミサイル弾頭に搭載して発射し、地上に着弾させる能力を既に保有している可能性があるとの見解を示した。
国会の外交防衛委員会で述べた。この見解の根拠については触れなかった。
首相はまた、日本を取り囲む安全保障の環境は厳しさを増し続けているとの認識も表明。化学兵器が用いられたとされ、乳児や子どもを含む多数の罪のない住民らが殺されたシリアの最近の惨事にも触れ、我々は「現実をしっかり踏まえるべきだ」と強調した。
その上で、そのような事態が日本で生まれないよう「抑止力をしっかり持つべきだろうという議論が当然ある。そのために日米同盟を強化している」と主張。日米間の適切な役割分担に基づき、同盟関係による抑止力向上に努めるべきだと続けた。

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http://www.cnn.co.jp/world/35099765.html


 


北朝鮮情勢「深刻さ増す」 首相、熊本で訓示
2017/4/14 13:37
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 安倍晋三首相は14日、視察先の熊本市の健軍駐屯地で陸上自衛隊員らに訓示した。北朝鮮情勢について「北朝鮮による核ミサイル開発は深刻さを増し、南西方面では外国軍機による領空接近が増加している」と指摘。「いかなる事態でも国民の生命、財産、我が国の領土、領海、領空は断固として守り抜き、世界の平和と安定に寄与することが責務だ」と力説した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H1C_U7A410C1EAF000/
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/182.html

[国際19] 米中首脳会談の結果を読み間違える日本 トランプ驚くべき同盟、口先で中国戦略支援 中国短期市場疑心暗鬼 ドルは強過一部希望
チャイナ・ウォッチャーの視点
米中首脳会談の結果を読み間違える日本
2017/04/14
富坂 聰 (ジャーナリスト)
 4月6日と7日、米フロリダ州にあるドナルド・トランプ大統領私邸、「マール・ア・ラーゴ」において同大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談が行われた。

 太平洋を挟んだ2つの大国のトップ会談とあって、日本のメディアのボルテージも高まった。しかしその焦点が、たった一つの両国間の対立に向けられていたことには、違和感を拭えなかった。

 結果、おそらく日本人の多くは、今回の米中首脳会談の最大の焦点が「対北朝鮮政策」だと誤解したのではないだろうか。


iStock
数々の問題は「管理可能な相違」

 もちろん、年初から挑発行動を繰り返し首脳会談直前にもミサイルを試射した北朝鮮の行動は、東アジアに不測の事態を生じさせかねない危機をはらむ問題だ。緊急の対応が迫られる問題であることは、中国自身が「(米朝は)互いに加速しながら譲らない2台の列車だ」(王毅外相)とたとえていることからも理解できる。

 だが、新大統領の誕生――しかも前大統領とは明らかに違った特徴を備えた新政権の誕生――後、その変化を受けた初めてのトップ会談であれば、最重要テーマが朝鮮半島情勢のはずはない。しかも二国間関係の不安定化が事前に指摘されていたのである。まずは二つの大国関係がどこに向かおうとしているのか、その結果をしっかり報じるべきなのだ。

 事実、帰国後に記者会見に臨んだ王毅外相は、「米中首脳会談前には(米中の)将来を少なからず懸念していた」と認めた上で、「(会談後には中米関係が)積極的な方向へ落ち着いて移行し、発展している」とほっとした表情で自信を示したのである。

 とくに二国間関係を説明した言葉の中で、「相互尊重を基礎に意見の相違を管理することで合意した」との説明が見られたことは中国側にとって大きな成果であった。オバマ政権に対し「新型大国関係」という言葉を繰り返したように、この「相互尊重を基礎に……」という文言は、中国側が当初から繰り返し提案してきた関係であったからだ。

 つまり北朝鮮問題や南シナ海問題、通商摩擦といった問題は、「意見の相違を管理する」と表現された言葉の一つであり、“管理可能な相違”に位置付けられたということだ。

 中国は会談で「衝突せず、対抗せず、相互尊重、協力・ウィンウィンの原則を遵守してお互いが関心を寄せる議題を処理する」との表現も用いているが、これを具現化したのが通商問題担当として汪洋副総理を、また外交・安全保障問題には王滬寧政治局委員以下、楊潔?国務委員や王毅外相を充て、テーマ別に計四つの話し合いを行い、対応するという砕心勉励ぶりを見せたのである。

 これは中国が当初からこの会談を、まるで薄氷を踏むような気持ちで調整していたことの現れでもある。

 3月末から1週間ほど北京を訪れていた私は、そこで会った複数の外交関係者が、「今回の訪米には、主席もあまり乗り気ではないらしい。理由? そりゃ成果が期待できないからさ」

 と口をそろえるのに接していた。しかも米中のトップ会談であれば十分すぎる準備期間が設定されるのが常であり、こんなに短期間で調整した米中首脳会談は初めてのことだからなおさらである。

 中国が元首を担ぎ出す外交は西側の感覚とは多少違っている。国家主席が相手国のトップと丁々発止やり合うような場面を、できる限り避けようとするからだ。そのために中国は3月26日から先遣隊を米国へと送り最終的な詰めの作業を行っていたのであり、それ以前の楊国務委員の訪米やレックス・ティラーソン国務長官を中国に迎えるなかでも調整は進められたのである。

 通常、元首は事務方が走り回って固められた平らな道を進み、相手と余裕の笑顔で握手しなければならない。そのミッションを従来にない短期間に、またクセの強いとされる新大統領とそのスタッフらとの間でこなさなければならなかったのである。しかも、中国側はトランプ大統領がどれほど現実に外交をグリップしているのかについても見極められずにいたようなのだ。

 その意味では大きなチャレンジであったというべきだろう。

中国側を喜ばせたトランプの発言

 一方、米国側の視点はどうだったのか。

 個別の問題では決して満足したわけではなく、多くの宿題を中国に迫っているが、基礎となる二国間の関係では中国に応え、歓待したといえるのではないだろうか。

 ティラーソン国務長官はNATO外相会合をキャンセル――最終的にはNATOが日程をずらして出席――して習一行を空港で出迎え、トランプ大統領の孫たちが中国語で「茉莉花」を歌い、「三字経」や唐詩を暗唱するパフォーマンスもそうだが、何よりトランプ大統領が習主席との信頼関係に言及したことは中国側を喜ばせた。

 ロイター通信は、「(米国は)中国との関係で目覚しい進展が得られた。(中略)習主席との間で傑出した関係を築くことができた」と報じ、中国側はよほどうれしかったのか「非凡的友誼」と訳して大々的に報じた。

 在北京のアメリカ大使館のホームページでは、トランプ大統領の言葉が中国語に訳されて紹介されたが、そこでは「習主席と私は、十分に良好な関係へと発展させることができた。今後はさらに会談を重ねることを期待する。そして両国間に潜在する多くの非常に困難な問題が解決へと向かうと信じている」との言葉も紹介された。

シリア攻撃は中国に突きつけた「踏み絵」だったのか

 だが、気になるのはやはり首脳会談の途中で米軍がシリア・アサド政権軍に向けて地中海から59発のトマホークを撃ち込んだことだ。これについては挑発行為を繰り返す北朝鮮に対する直接的な警告と同時に、北朝鮮問題の解決について、腰の重い中国に本気で取り組むことを促す意味があったとの解説が多く聞かれ、また実際に米政府の交換もそう言及している。

 だが私は、これはむしろ米国が中国に突きつけた「踏み絵」であった可能性が高いと考えている。

 理由は、アサド政権への攻撃がそのまま米ロ関係の破壊へと直結することだ。そして驚いたのが米軍のシリア攻撃後に会見した中国外交部の反応に少しの焦慮の様子が見られなかったことだ。しかも抽象的な表現に徹し、米国への直接の言及を避けたのである。これは事前に知らされていたと考えても不思議ではない。

 従来、シリア問題ではロシアと歩調を合わせるように国連安保理で拒否権を発動してきたことから考えれば、トランプ大統領なみの変心である。さらに中国は安保理において従来の姿勢を転換して棄権するという露骨な姿勢も見せた。

 ロシアが米国の行為を「侵略」(プーチン大統領)とまで表現し、米国との関係を「後戻りのできないレベル」(ラブロフ外相)と怒りをぶつけたことと比べてもいかにも物足りない反応だといえるだろう。

 このミサイル攻撃には、対北朝鮮という意図はあったにしても、やはりその背後にはロシアとの関係での「踏み絵」という目的が大きかったのではないかと思われるのだ。

 そして中国は、この踏み絵をきちんと踏んだことでトランプ大統領との信頼関係を手に入れたのである。

 日本では相変わらずトランプ大統領が日中のどちらに好感を抱いているかといった意味のない視点で外交を見ることから抜けきっていないが、米中どちらともきちんとした関係を築かなければならない時代が始まったということをもっと真剣に考える時期を迎えたことを認識すべきだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9392


 

トランプ米大統領の驚くべき同盟関係、口先で中国為替戦略を支援
Bloomberg News
2017年4月14日 11:39 JST


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• 中国は対ドルで元の安定、ドル以外の通貨に対し元安の戦略
• CFETS人民元指数、年内に3.4%下がりそうだ−BBVAの夏氏

トランプ米大統領が中国と驚くべき同盟関係を築こうとしている。
  大統領のドルが強過ぎるとの見方や中国を為替操作国と認定しないとの発言はいずれも、中国がこれまで練り上げ実施してきた為替戦略を支える。つまり人民元相場をドルに対しては安定を保ち、ドル以外の大半の通貨に対しては元安方向にするというものだ。
  トランプ大統領のコメントを受けた人民元の上昇は、他の大半のアジア通貨よりも小さい。ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)の夏楽エコノミスト(香港在勤)は、人民元が今年、通貨バスケットに対して最安値を更新すると予想する。
  ブルームバーグの人民元予想ランキングで最も精度が高かった夏氏は、「トランプ発言は中国に人民元を他のアジア通貨に対して安くする好機を与えた。政策当局が元安ペースをコントロールし続け、金融安定を損ねることを回避している限り、中国輸出企業に恩恵を与えるだろう」と述べた。
  13日の取引で人民元はドルに対し0.1%上昇。対ドルで韓国ウォンは1%値上がりだった。
  人民元は上海時間14日午前9時50分(日本時間同10時50分)現在、0.05%高の1ドル=6.8841元。中国外国為替取引システム(CFETS)の通貨バスケット、人民元指数のブルームバーグが作成したレプリカは0.08%下げている。夏氏は同指数が年内にさらに3.4%下がると見込んでいる。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iXq3IFDpl1iA/v2/-1x-1.png

原題:PBOC Finds Friend in Trump as Yuan Seen Falling Versus Peers (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OODM216TTDS401


 


ews | 2017年 04月 14日 12:38 JST 関連トピックス: トップニュース

アングル:中国の「為替操作国」認定見送り、米国の思惑は

[上海 13日 ロイター] - トランプ米大統領は米紙のインタビューで、近く公表する外国為替報告書で中国の為替操作国認定を見送る考えを示した。ただ、これで中国が難を逃れるわけではなく、米国は対中貿易赤字の問題に別方向から対処しそうだ。

オックスフォード・エコノミクス(香港)のルイス・クイジス氏は「大局的に見た場合、われわれが難局を抜け出したとは決して言えない。為替はひとつの問題だが、米国があきらめたとは考えていない。それどころか、対策を検討し始めるだろう」と話す。

トランプ氏は為替操作国のレッテル貼りを控えることで、北朝鮮の核開発問題への中国の協力を引き出そうとしているようだ。中国が最近、為替介入を行っていないことを評価した側面もある。

中国外務省の陸慷報道局長は13日、同国は輸出促進を狙いとした通貨切り下げ競争を行わないと繰り返し、「米国と均衡のとれた貿易関係を促進するため、喜んで協力を拡大する」と述べた。

トランプ氏は昨年の大統領選期間中、中国をすぐに為替操作国に認定すると述べていた。今回は姿勢を後退させたが、これは対中貿易赤字の縮小に向けた手綱を緩める兆しではなさそうだ。

米商務省は先月、中国を「市場経済国」として認めるかどうかの調査を開始した。世界貿易機関(WTO)の規則では、認められれば他の国々は中国からの輸入品の一部に反ダンピング措置を採ることが制約される。

米商務省はまた、貿易上の不正行為や、それが米国の貿易赤字に及ぼす影響も調査している。

調査会社ノース・スクエア・ブルー・オークのジョナス・ショート氏は、トランプ氏は、中国叩きなどに共感した支持者からの人気が衰えるようなら、直ちに手のひらを返して敵対的な姿勢に転じると予想する。

またアナリストらによると、米財務省は新たな陣営が整い次第、半年に一回の為替報告書で用いられる3つの基準を見直す可能性がある。オバマ前政権下で昨年10月に発表された報告書では、中国は為替操作国認定の3つの基準のうち、対米貿易赤字の規模という1つの基準しか満たしていなかった。次の報告書は今年10月に発表される。

(John Ruwitch記者)

米政権、貿易赤字要因調査へ31日に大統領令 関税徴収強化も

トランプ大統領が中国批判、「為替操作のグランドチャンピオン」
ドル過度に強い、中国を為替操作国に認定せず=トランプ氏
米財務長官候補、中国を為替操作国と明言せず 上院の質問に
http://jp.reuters.com/article/us-china-currency-idJPKBN17G072


 


 
Column | 2017年 04月 14日 10:40 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:中国の短期市場で広がる疑心暗鬼

Pete Sweeney

[香港 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国当局が投機抑制のために短期金利を高めに誘導し、資金吸収に動く中、市場参加者の間で疑心暗鬼が広がっている。金融機関は信用不安から資金を融通し合うことに消極的だ。季節要因による金利上昇が追い打ちをかければ、株式市場にまで影響が及ぶ可能性がある。

中国の短期金融市場での流動性ひっ迫はこれまでにも何度か起きている。2013年6月に人民銀行は、シャドーバンキング規制のため流動性枯渇を容認、短期金利は急上昇した。これにより市場での懸念が世界的に広がり、株価は大幅下落した。

人民銀行は現在、2013年の時と同じ措置を進めている。昨年の信用の急拡大で膨れ上がった流動性の吸収だ。銀行が資金調達手段として、シャドーバンキングツール、つまり譲渡性預金(CD)や理財商品を利用することにも厳しく対応している。

人民銀行は13日に、公開市場操作(オペ)を通じて資金を供給した。ただ、ここ3週間ほどはオペを見送っていた。短期金利も高めに誘導、担保基準も厳格化した。こうした措置により、短期金利は3月末に一時、急上昇した。

こうした中、主にオフバランス取引で主に利益を得ている規模の小さい金融機関や理財商品を販売するノンバンクが痛みを受けている。レポ取引の80─85%はこれらの資金需要とみられる。

金利上昇に伴い小規模の金融機関に対する信用は低下している。UBSの分析によると、ノンバンクの7日物の借り入れ金利は3月21日に5%に上昇し、銀行の平均借り入れ金利を2%ポイント上回った。債券市場にも不安は広がっており、人民銀行のデータでは社債・金融債取引の減少が確認できる。

資金調達コストの上昇は、中国株指数に占める割合の大きい金融サービスセクターの減益につながる。クレジット市場への打撃はさらに大きくなるかもしれない。理財商品を販売する小規模金融機関の新規資金調達が厳しくなれば、理財商品のデフォルト(債務不履行)も発生する。こうした理財商品の多くは個人に販売されており、問題は深刻だ。

借り換えができない企業は社債の返済が滞る。人民銀行が推奨する生産的な融資が減少することになれば、人民銀行は4年前のような深刻な頭痛に悩まされるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

コラム:中国、中小銀行の資金調達構造に潜む危うさ

コラム:中国の財テク商品規制、繰り返されるいたちごっこ
焦点:中国の銀行が流動性確保に殺到、人民銀の健全性審査控え
コラム:中国も陥る「国際金融のトリレンマ」

http://jp.reuters.com/article/column-china-market-suspicious-idJPKBN17G034?sp=true

 

 

ミシガン大消費者マインド指数:4月は98に上昇−現況17年ぶり高水準
Patricia Laya、Michelle Jamrisko
2017年4月14日 00:44 JST


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4月の米消費者マインド指数は現況を中心に上昇した。
  13日発表されたミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は98と、前月の96.9から上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は96.5だった。  
  現況指数は115.2と、2000年11月以来の高水準に上昇。前月は113.2だった。
 
  6カ月後の先行き景況感を示す期待指数は86.9と、前月(86.5)から小幅上昇した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iFlLVGEst1Do/v2/-1x-1.png

  ミシガン大の消費者調査ディレクター、リチャード・カーティン氏は「1年先のインフレ期待値は3、4月と2.5%にとどまり、昨年見られた2.8%を大きく下回っている。こうした低い水準は、物価上昇が生活水準を押し下げているとの不満が極めて少ない状況に裏付けられている」と指摘した。
  向こう1年間のインフレ期待値は2.5%と、前月から変わらず。
  向こう5−10年間のインフレ期待値は2.4%で、こちらも前月と同水準だった。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Consumer Sentiment Climbs on Upbeat Assessment of Economy(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-13/OOCSDUSYF01T01


 

トランプ米大統領の「ドルは強過ぎる」発言、一部市場には希望の兆し
Dani Burger、Julie Verhage
2017年4月14日 10:01 JST


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• 過去5年の24%のドル高で打撃を受けた資産クラスには朗報
• 原油や金はドルと逆方向に動く傾向

トランプ米大統領はドル安が好きであり、一部の市場も同感だ。
  12日のトランプ大統領発言を受けたドルの反射的反応はほとんど反転したとはいえ、ドルは米国の政策の遅れや利上げペース鈍化の見通しを背景に新たなレンジで定着しつつあるようだ。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は1月の高値から4.5%下落し、今週は約1カ月ぶりの大幅安に向かっている。
  これは一部トレーダーにとって歓迎すべき知らせだ。過去5年間の24%のドル上昇で打撃を受けたセクターや資産クラスにとって、ドル安は支えになり得る。確かに、米経済の足元は依然としてしっかりしているため、最近のドル下落は一時的現象にすぎないとの見方も多いが、ドルが持続的な低迷に直面すれば、これらの資産には買い注文が見込まれる。

貴金属

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  ドルは引き続き世界の市場で最も重要な通貨として君臨しており、近年は金との間で逆相関の関係を作っている。ドル下落は安全資産の需要を生むとナショナル・アライアンス・キャピタル・マーケッツの国際債券責任者アンドルー・ブレナー氏は指摘する。
  ブルームバーグ・ドル・スポット指数が今週、0.8%下落した一方、金は2.3%上昇し、昨年11月以来の高値を付けている。
原油

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  トランプ大統領の望み通りドル安となれば、消費者はいずれガソリン代の上昇を目にするかもしれない。
  クリッパーデータの商品調査責任者、マット・スミス氏はインタビューで「ドルと商品は通常、逆方向に動く。従って、トランプ大統領はドル発言で望む効果を得た場合、原油価格やガソリン価格などの商品価格の上昇を図らずも促すことになる」と指摘した。
  そうした効果は、米国が原油の輸出国としての役割を増す中で恩恵を受ける立場にあるシェールオイル生産者にも及ぶ。

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原題:Trump Strong Dollar Snub Meets Silver Lining Bets on Weakness(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OODHDB6S972O01


http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/129.html

[原発・フッ素47] 原発事故の知られざる大問題:避難との因果関係 弁護士の見解に目から鱗、東電・国は真摯な対応をせよ 
原発事故の知られざる大問題:避難との因果関係
弁護士の見解に目から鱗、東電・国は真摯な対応をせよ
2017.4.14(金) 澤野 豊明
東日本大震災と福島第1原発事故、発生から5年
宮城県仙台市で、東日本大震災の犠牲者を悼んで海に献花するきょうだい(2016年3月11日撮影)〔AFPBB News〕
 私は南相馬市立総合病院で外科医として研修をする傍ら、地域住民や地域の復興に従事する作業員の健康相談に参加したり、放射線災害を中心に災害が健康に及ぼす影響に関して研究している一医師だ。

 先日「原発慰謝料増額、東電と1人和解」という原発事故前に浪江町に居住されていた方の記事が日本経済新聞の社会面の端に載っていた。

 東京電力が福島第一原発事故の損害賠償を巡り、ADR(原子力損害賠償紛争解決手続)や裁判を通して被災した住民と争っているケースを少なからず抱えているということを報道などで見聞きはしていた。しかし、このことに関して詳しく知るようになったのはつい最近のことだ。

 そういった法的紛争に関して、実際に身近に触れる機会となったのは当院内科・坪倉正治医師といわき市の渡辺淑彦弁護士が主宰する勉強会だ。

原発事故で避難を余儀なくされた人たちの死

 2016年6月から行なっているその勉強会では、原発事故がきっかけで避難が必要となり、その避難が影響で亡くなられたり、後遺障害が生じたと考えられる人やその家族が東京電力に対して起こした法的紛争の中で、医学の専門的な知識が必要となった事例に関して弁護士の方々からご相談を受ける場となっている。

 専門の異なる医師と弁護士が協力し、実際に原発事故がどのように亡くなられた方々に影響を与えたかに関して議論する。

 2011年3月11日の東日本大震災での地震と津波によって福島第一原発事故が引き起こされたことは周知の事実であり、原発事故による直接の死者がいなかったことはもちろん不幸中の幸いである。

 しかし、その事故によって生じた避難の影響で多くの方が命を落としたということは意外と知られていない。

 震災当時、最も原発事故の影響を被った福島県相馬地方および双葉地方(以下、相双地区)では、双葉郡内にあった6つの病院すべてと相馬郡内にあった10病院中7病院で入院患者が避難を強いられた。

 重症の患者は自衛隊ヘリなどで移送されたが、ほとんどの患者は着の身着のまま、バスに詰め込まれ、十数時間にも及ぶ移動を強いられた。バスに乗り込んだ患者の中にも、座位が保てない寝たきりの患者や、普段点滴をしているのに外されてしまった患者もいた。

 そもそも入院が必要な状態の患者を移動させたために、移動中に命を落としてしまったケースや長時間の移動により体調を崩しその後亡くなったケースもままあった。

 ここで私たちの勉強会で取り扱った原発事故によって生じた避難がきっかけとなりその後亡くなってしまったと考えられるケースを提示したいと思う。前もって断っておくが、私たちの勉強会は個人情報の取り扱いには細心の注意を払って開催されている。

 福島第一原発が位置する福島県浜通り地方にある市町村に住み、もともと腎臓疾患、認知症を患っていた90代の女性は褥瘡と腎臓疾患の悪化に伴い震災直前に地元の病院に入院となった。

 震災の発生に伴い、物資不足のため点滴の中止や食事の回数制限などに加え、原発事故による避難指示の影響で転院が必要となり、震災後1週間程度で群馬県内の病院に転院となった。

 転院先の病院で腎機能の急激な悪化が確認され、即日、転院先と同じ地域内の透析可能な別の病院へ転院、翌日から透析治療開始となった。しかし腎機能は回復せず、5月になり慢性腎不全のため、逝去された。

弁護士と医師で思考に大きな差

 勉強会でこの事例の紹介を受けたとき、私は弁護士と医師に思考の違いに面食らった。

 というのも、たいていの医師がこの事例の紹介を受ければ、そもそもこの女性の年齢や基礎疾患を考慮すると、この患者の腎機能が悪化し透析導入されたことに対して何ら不思議はなく、避難がなくてもいずれ悪くなったのではないか、という感情を持つだろう。

 しかし、弁護士の方々の話を聞くにつれ、法的紛争においては「因果はある事象が生じた際に影響を与えた可能性あるものを広く含むことがある」ということが分かり、段々と考え方に変化が生じていった。

 つまり、避難がなければこの女性は腎機能が悪化することがなかったかもしれないし、あるいは腎機能の悪化があったとしてももっと遅くなっていたかもしれないという考え方だ。

 言い換えれば、原発事故による避難がもともと悪かった腎臓を回復できない状態へ導く「最後の一撃」になったかもしれないということだ。

 法律の世界ではこの「最後の一撃」が原発事故に起因していることが立証できれば、すなわち原発事故とこの女性の死との間に社会的にみて相当な因果関係が認められれば、(賠償内容が十分かどうかはともかく)損害賠償が認められることがあるというのである。

 そもそも医師は一般の診療をするにあたって、好発年齢や性差、そして基礎疾患という概念を持って臨む。

 噛み砕いて言うと、「このような状況にある人にはこういった疾患が起こりやすい」と考えながら診療を行っている。

 なぜそのように診療に当たるかというと、例えば救急車で患者さんが運ばれて来た際にこの患者さんに何が起こっているかを瞬時に判断するための材料となるからだ。だから、この能力は医師にとって必須と言えるし、あるいはこのような思考回路でないと論理的思考による診断を下すことできない可能性すらある。

 上記の考え方をしていると、話を聞き始めた当初はなかなか弁護士の方々のおっしゃる原発事故による避難とそれがきっかけとなった死や障害とを結びつけて考えることが難しかった。

 一般診療と同じように、「この透析導入は原発事故がなくても起こったかもしれない」と考えてしまっていたのだ。

原発事故の問題を後世に残す責任

 しかし、法律家の損害賠償の世界では必ずしも同じではない。しかも、その損害賠償の世界での重要な証拠として、私たち医師の作成した診断書が利用されているので、私たちの判断や責任は重大だ。

 自分が、患者個々の法的な因果関係の問題と、臨床的に認められる集団のバックグラウンドとを当初同じように考えていると気がついた際に私は絶句した。

 また、同時に、このような事態が原発事故の避難の現場で起きていたことを後世に残さねばならないと強く感じた。なぜなら避難と疾患の因果を論理的に説明するのは私たち医療関係者でないと難しいからだ。

 ご紹介した事例の女性に関しては、東京電力側からの提示では原発事故が影響したのは10%とされていた。

 そもそも避難がどれほどその後遺障害や死に対して影響を与えたかいうことに関して、割合を出すのもおかしな話だが、避難の影響は最終的には20%程度とされたようだ。私たちも避難がどのように腎機能を急激に悪化させるかに関して、論理立てて説明できるように弁護士の方へ助言を行った。

 私たちはこう言った事例に上がる人たちはもともと年齢が高く、基礎疾患も多い中ギリギリの状況で生きていた人たちが多いのではないかと推測する。

 そもそも周りのサポートが正常に機能している状況でなければ命に危険がある方々、健康弱者であったのだと思う。

 私たちのように健康に働いている世代が、例えば数時間バスに乗り、座った状態移動が必要になれば、もちろん疲れるだろうが命の危険は非常に小さいだろう。しかし状態が悪いために病院のベッドで生活している人に同じことを体験させればどうなるだろうか。

 もちろん、病院が原発災害の渦中に患者の避難を決めたことを責めることはできないが、それが命を危険に晒すことになるであろうと想像することはそれほど難しくはない。

 そういった避難が人体に及ぼす影響の大きさに関しては震災後に行われた研究からも明らかになってきている。

 東京大学・野村周平助教らが南相馬市で行った研究では、市内の介護施設にいて長距離の避難を余儀なくされた高齢者は死亡率が震災前の2.7倍高く、避難方法や避難先のケア状態が悪い場合、死亡率がさらに高かった。

人生最後の一撃となった避難

 また避難した施設としなかった施設を比較した福島県立医科大学・村上道夫准教授らの研究から、初期被曝を避けて急いで避難した場合、ゆっくり避難した場合に比べて約400倍余命が短くなり、結果的には放射線被曝があっても受け入れ態勢が整うのを待った方がリスクは低いと考えられた。

 しかし、その一方で、相馬中央病院・越智小枝医師の研究によれば、東日本大震災の直後に、放射線災害の影響を受けた相馬地域では医療スタッフも急激に減少し、医療を維持することができなかったことが知られている。

 その結果、相馬中央病院の森田知宏医師らの研究によれば、震災後1か月間に、相馬市および南相馬市で津波や地震の揺れ以外の要因で死亡した75歳以上の高齢者が、震災前の同時期の約1.5倍に増えた。

 特に肺炎で亡くなるケースが多く、避難に伴い介護が必要な高齢者が歯磨きなど口腔ケアを受けられなくなり、誤嚥性肺炎による死者が増えたと考えられている。

 避難の必要性や賠償金を考えるにあたって、何が正しいかと言うことを私は言及する立場にはない。しかし原発事故が起こったことで生じた強制避難が多くの方の運命に変化をもたらした、場合によってはそれが「最後の一撃」となってしまったことは今までの研究の結果に鑑みても紛れのない事実だと思う。

 東京電力や国は、それを正確に認識したうえで深く反省し、「それは避難の影響は小さかったので賠償の対象になりません」と答えるのではなく、誠実に対応していただきたいのだが、そうならないのが現実だ。

 そのような状況の中で、私たちが行っている勉強会は、避難の健康への影響を検証することの一助となっていると思う。こういった検証を通じてこの経験を次の災害に生かすことが亡くなられた方への弔い、遺族の心の安寧につながるのではないだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49700
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/777.html

[経世済民121] 「オーバーブッキング」事件の何が悪かったのか ネットが拡散「根拠なき非難」BR報酬28億円 イオン株価上昇でも買判断ゼロ
「オーバーブッキング」事件の何が悪かったのか
ネット動画が世界に拡散した「根拠なき非難」の大合唱
2017.4.14(金) 池田 信夫
ユナイテッド航空の旅客機(資料写真、出所:Wikipedia)
?ここ数日、シリア情勢と並んで世界のメディアをにぎわせたのが、シカゴ空港で起こった事件だった。米ユナイテッド航空の国内便がシカゴ空港を飛び立つ直前に、機内で乗務員と乗客のトラブルが起こったのだ。

?これを空港警察の警官が排除した光景を乗客がスマートフォンで撮影し、ネットで拡散したため、世界中でユナイテッドの対応を批判する大合唱が起こった。定員より多くの予約を取るオーバーブッキングは合法で、乗客が拒否したら排除することも連邦航空法で認められている。何がこの小さな出来事を世界的事件にしてしまったのだろうか?

乗客の排除は合法的である

?まず簡単に経緯をおさらいしておこう。シカゴ発ケンタッキー州ルイビル行きのユナイテッド航空3411便の定員は70人だが、ユナイテッドは定員いっぱいの乗客を乗せたあと、さらに翌日の乗務員4人(パイロット2人と客室乗務員2人)を乗せようとした。彼らが搭乗できないと別便が飛べなくなるので、乗務員の搭乗は最優先である。

?機内で「400ドルのクーポンと代替便の航空券と1泊のホテル代」で翌日の便に変更する乗客を募ったが、応じる乗客がいなかった。800ドルに上げても誰も応じなかったので、乗務員は無作為に4人を選んで同じ条件を提示したという。

?このうち3人は応じたが、デビッド・ダオという人物が拒否した。彼は医師と自称し、「あすの午前中に診療がある」と主張したが、そういう事情を斟酌したら無作為にならないので、乗務員は空港警察を呼んで排除した。

?このときダオが暴れて、口にケガをした。彼は機内から引きずり出されたあと機内に戻ってきて「殺せ殺せ」と繰り返し、席を離れなかったので、3411便は運休し、乗客は(ダオを含めて)すべて退去した。

?ここまではありふれた事件だが、ダオが引きずり出される様子を乗客がスマホで撮影した以下のような動画(複数のバージョンがある)がインターネットで世界に拡散され、「アジア人差別だ」などと大騒ぎになった。

?これについてユナイテッドのオスカー・ムニョスCEO(最高経営責任者)は遺憾の意を表明し、「徹底的な調査」を約束した。ここまで見るとユナイテッドの起こした暴力事件と見えるが、大手メディアは冷静だ。乗客の排除は航空法で認められており、乗務員の指示を乗客が拒否した場合は、警察力で排除することも合法的だ。

?特に今はテロリストへの警戒が強いので、ダオのように機内で大声で叫ぶ人物は、それだけで排除の対象になる。特に離陸前に、危険な乗客を排除することはよくある。彼が負傷したのは抵抗してアームレストに口をぶつけたためで、抵抗しなければ負傷しなかった。これは交通事故の容疑者が警官ともみ合ってケガしたのと同じで、賠償は受けられない。

オーバーブッキングは合理的である

?アメリカの国内線を利用した人なら、搭乗カウンターで「400ドル払うので、予約変更するお客様はいらっしゃいませんか?」といったアナウンスを聞いたことがあるだろう。これは航空会社が受け付けを間違えたのではなく、意図的に定員を超える乗客の予約を受け付けたのだ。

?たとえば定員100人の便に平均10%のキャンセルが出るとすると、航空会社は111人までチケットを売る。10%がキャンセルしても100の席が完全に埋まるからだ。もし定員を超えて、たとえば103人が搭乗カウンターに来たら、「400ドルで予約変更するお客様はいませんか?」とアナウンスし、3人が応じたら取引は終わる。2人しか応じなかったら、機内で800ドルに上げて募集する。

?うまく行けば航空会社は儲かり、乗客は得するが、問題は最後まで席が足りなかった場合だ。航空法では国内便のオーバーブッキングの補償金の上限を1350ドルとしているが、近距離だともっと低い価格で予約変更の募集を打ち切り、無作為に選んで客を排除する。アメリカでは年間約4万人が「非自発的に」排除されている。

?そのほとんどは自分で離席するが、今回のダオのように最後まで拒否すると、警察が出てくる。そうしないと、乗客は無限に価格を吊り上げるからだ。つまりオーバーブッキングで警察が出てくることは合理的なのだ。

オークションで「最適オーバーブッキング」が実現できる

?ここまで読んで、不愉快になった読者が多いだろう。航空会社が座席を余分に売って、あふれた客を暴力で排除するなんてけしからん──それは私も同感だが、オーバーブッキングを禁止すると競争がなくなる。航空会社は運賃を上げたりサービスを落としたりするので、乗客のためにもならない。

?ただユナイテッドのシステムの弱点は、最後に機内で予約変更を割り当てることだ。これを乗客に強制するには警察力が必要で、普通は警官が来ると抵抗しないが、ダオは大きな声を出して抵抗した。こういう非常識な人物への対策が不十分だった。

?こういうトラブルを避ける方法を、40年前から経済学者が提案している。余分の座席をオークションで配分するのだ。上の例でいうと、カウンターで3人分の席を価格を決めないでオークションにかける。400ドルで2人が応札してもやめないで、たとえば600ドルで3人になったらやめ、全員に600ドル払う。

?そうすると今回のように機内で高い価格を払う必要がない。これは航空会社にとっては、今のシステムをちょっと手直しするだけで可能だ。カウンターで「お客様の中で450ドルで予約変更する方は?」とか「500ドルでは?」とアナウンスすればいいのだ。ただしユナイテッドのように、乗客が強い立場にある機内でやってはいけない。

?航空会社にとって魅力的なのは、変な人物との争いが起こらないことだろう。このオークションは(通常のオークションとは逆に)低い価格を出す人を選ぶので、ダオのような人物は応札しない。もし応札したら、彼は自発的に予約変更したことになるので、トラブルは起こらない。

?ウォールストリート・ジャーナルは社説で予約変更のオークションを提案し、ユナイテッドも新しい予約変更システムを検討しているという。今のシステムは合理的だが、根拠なき非難が映像として拡散することは想定外だったと思われる。スマホ時代には、それにふさわしい広報戦略が必要である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49736

 


 オーバーブッキングと監視社会
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/109.html


 

 

米ブラックロックCEO、昨年報酬は27.8億円−社員ボーナス減少でも
Morten Buttler、Sabrina Willmer
2017年4月14日 10:04 JST
ブラックロックの昨年の純資金流入額は2020億ドルに達した
運用報酬減少などの影響で09年以来で初めて収入が減少

世界最大の資産運用会社である米ブラックロックは2011年以降で初めて社員のボーナスを減らし、株式の銘柄選定ビジネスのパフォーマンスも競合他社に後れを取っているが、ローレンス・フィンク最高経営責任者(CEO)は、2016年分として約2550万ドル(約27億8300万円)相当の報酬パッケージを受け取った。
  ブラックロックの届け出によれば、フィンク氏(64)の報酬パッケージのうち、現金ボーナスは800万ドル、繰り延べ株式報酬が約1640万ドル相当(長期の業績目標に一部連動)。このほか給料90万ドルと約19万3000ドル相当の特典も支給された。報酬総額は15年との比較で1.2%減少した。
  約5兆1000億ドルの資産を管理・運用するブラックロックの昨年の純資金流入額は2020億ドルに達したが、投信調査会社モーニングスターのデータによれば、運用報酬減少や米国のアクティブ運用ファンドから193億ドルの資金が流出したことが影響し、09年以来で初めて収入が減少。社員の年間ボーナスは平均2−4%減少した。
原題:BlackRock Pays Fink $25.5 Million as Assets Top $5 Trillion (1)(抜粋)


オルテガ氏、ベゾス氏抜き世界2位の富豪に返り咲く−チャート
Bloomberg News
2017年4月14日 09:16 JST
小売り王が復活
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The GBU-43/B Massive Ordnance Air Blast bomb. Source: Eglin Air Force Base via AP Photo
米軍、通常兵器で最強の爆弾をアフガニスタンのIS拠点に投下

日本株4日続落、米軍がアフガンISを空爆−海外休場前で買い見送り
Toshio Morita Photographer: Akio Kon/Bloomberg
野村HD:米国ビジネス再び拡大へ、リーグテーブルで三冠狙う
働き方改革に課題、過労死ライン超の100時間残業に「改悪」指摘も

  スペインの衣料小売りインディテックスの創業者アマンシオ・オルテガ氏が13日、世界2位の富豪に返り咲いた。インディテックスの株価が同日、前日比1.27%上昇したためだ。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、同氏の資産評価額は6億1700万ドル(約670億円)増加して767億ドルとなった。米アマゾン・ドット・コムの創業者ジェフ・ベゾス氏の資産評価額は、同社の株価が前日比11.56ドル下落したため9億7800万ドル減り、764億ドル。ベゾス氏は2週間前に、オルテガ氏と米資産家ウォーレン・バフェット氏を抜き、初めて世界2位の富豪となっていた。  
原題:Ortega Passes Bezos to Retake Spot as No. 2 Billionaire: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OODHHE6TTDS301


 
【インサイト】イオン、株価上昇でも「買い」判断ゼロの理由
コラムニスト:David Fickling
2017年4月14日 11:06 JST

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小売り国内最大手のイオンに関し、かなり誤った思い込みをしている人がいる。

イオンのショッピングモール

Photographer: Shiho Fukada/Bloomberg
  ブルームバーグがまとめたデータによれば、イオンは2015年9月以降、アナリストから「買い」の投資判断を付与されたことがない。だがイオンの株価は、アナリスト2人が「買い」としていた15年3月の水準を30%余り上回っている。

目標株価と実際の株価の推移
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iiwZ3zl4A8IA/v1/-1x-1.png

  12日の17年2月期決算発表前の時点で、イオンの12カ月予想PER(株価収益率)は62倍と、66倍の米アマゾン・ドット・コムに大きく引けを取らず、年間売上高が100億ドル(約1兆900億円)以上の世界小売り大手の16倍(中央値)を大きく上回った。実績PERでは、イオンが223倍でトップだった(アマゾンは183倍、アリババ・グループ・ホールディングスは54倍、インディテックスは33倍)。

世界の小売業のPER比較
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  一体どうなっているのだろうか。
  イオン株に対するアナリストの見方が弱気な理由を察するのはそう難しいことではない。日本の小売業界はかなり細分化されており、ユーロモニター・インターナショナルによれば、イオンは市場のわずか4%を占めることで昨年のシェア1位になれた。スーパーマーケットや複合型小売りのカテゴリーでも同社はそれぞれ8.6%、19%のシェアを確保し、競合他社を全てしのいだ。

売上高と営業利益の内訳
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i3N49USND3s4/v1/-1x-1.png

  高齢化の流れで買い物客の足がより身近な店舗に向いているため、イオンが支配的立場にある大型小売店市場は数年前から、セブン&アイ・ホールディングスやユニー・ファミリーマートホールディングスが経営するコンビニエンスストアにシェアを奪われている。中核であるチェーン店事業の利ざやがかなり縮小しているため、イオンは全社売上高の10%未満を占めるに過ぎない金融サービスおよびショッピングモール開発から利益の大半を稼ぎ出している。
  だがこれがイオンの動向を説明する要素の一つかもしれない。イオンの金融・不動産事業は膨大で、16年2月期の総資産は4兆7000億円、EBITDA(利払い・ 税金・減価償却・償却控除前利益)は1620億円に上った。
  日本の金融サービス企業のEBITDA倍率の中央値(15.23倍)などを基に計算すると、金融サービス・不動産部門のみの時価総額は約1兆6300億円と推定される。これは、全社の時価総額1兆4400億円をも上回る。

営業利益の推移
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iO.ypbafbtPI/v1/-1x-1.png

  だがあいにく同社は、金融事業との繋がりが密接な小売り事業を切り離すことはできない。14年にイオンが完全子会社化したダイエー事業の再建見通しが特に不透明であることなどを含め、通期業績を上向かせるための逆風はかなり大きい。
  アナリストらによるイオンの目標株価は年初から18%引き上げられ、それと現在の株価との差は14年以降で最も縮小した。売り上げの伸び悩みや市場の細分化、不採算店の扱いといった問題が残り、持続的な回復はまだ当分期待できないことがうかがえる。イオンは最悪期を乗り越えたかもしれないが、アマゾンに匹敵する企業かと言えばそうではない。
原題:More Prized Than Amazon, and Not a ‘Buy’ in Sight: Gadfly(抜粋)
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:
シアトル ハイアー千津子 cheyer5@bloomberg.net
翻訳記事に関するエディターへの問い合わせ先:
大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
蒲原桂子 kkambara@bloomberg.net

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OODGXE6JIJUO01

http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/117.html

[国際19] 米副大統領、日韓で北朝鮮への対応を議論へ−軍事的選択肢も検討 為替操作は「悪」ただし自分は例外トランプ 長期金利―突入か
米副大統領、日韓で北朝鮮への対応を議論へ−軍事的選択肢も検討
Justin Sink
2017年4月14日 14:12 JST

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為替操作は「悪」、ただし自身が関与なら話は別−トランプ氏の世界観

トランプ米大統領の驚くべき同盟関係、口先で中国為替戦略を支援
ペンス副大統領はアジア歴訪で16日に訪韓、前日は金日成生誕日
北朝鮮は祝日に核実験ないしミサイル試射行う可能性示唆−米当局者

トランプ米政権は北朝鮮が弾道ミサイル試射ないし核実験に踏み切った場合に備え、経済制裁と軍事的選択肢を検討していると、複数の米当局者が13日、明らかにした。
  ペンス米副大統領は今週末からの10日間のアジア歴訪の一環として、韓国と日本を訪れた際、北朝鮮の挑発への米国の対応を協議する。ペンス副大統領が韓国に到着するのは16日の予定だが、前日の15日は北朝鮮を建国した故金日成国家主席の生誕記念日で同国では祝日。ホワイトハウスの外交政策補佐官が匿名を条件に明らかにしたところでは、北朝鮮は祝日に核実験ないしミサイル試射を行う可能性を示唆している。
ペンス米副大統領
ペンス米副大統領 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
  北朝鮮とトランプ政権の緊張は高まっており、米国は北朝鮮の抑止で協力するよう中国への圧力を強めている。トランプ大統領はペンス副大統領の訪韓に先立ち、原子力空母カール・ビンソンをはじめとする空母打撃群を朝鮮半島へと向かわせた。ジョンズ・ホプキンス大学米韓研究所の北朝鮮分析ブログ「38ノース」によれば、衛星画像に核実験場の準備を示唆する動きが見られるという。
  北朝鮮・平壌で開かれる故金日成国家主席の生誕式典に合わせて、海外メディアから数百人が招待されている。トランプ大統領は13日、ホワイトハウスで記者団に、「北朝鮮は問題だ。しかし対処できるだろう」と語った。
  ペンス副大統領は韓国訪問後に日本を訪れ、引き続き北朝鮮問題を協議するほか、通商交渉にも取り組む予定。
原題:Trump Rattles Saber at North Korea as Pence Dispatched to Seoul(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OODUPQ6TTDS201

 

為替操作は「悪」、ただし自身が関与なら話は別−トランプ氏の世界観
Bloomberg News
2017年4月14日 14:00 JST

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• ドルは強過ぎとのWSJ紙への発言、口先介入と受け止めらている
• 中国やドイツを為替操作で批判してきた大統領、信頼損ねるリスクも

トランプ米大統領の世界観では、為替操作は「悪」とされる。ただし、それには例外がある。自身が操作に関与する場合だ。
  トランプ大統領は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)との12日のインタビューで、ドルは「強くなり過ぎている」と指摘。米財務省による為替報告書の公表を間近に控えていることもおかまいないしの発言に、外国為替市場ではドルが売られた。
  この発言は「口先介入」と広く受け止められている。トランプ氏自身と米政府当局者がかねて痛烈に批判してきた為替操作国のグループに米国を加えるのにも等しい行為だ。同氏はインタビューで、中国を為替操作国に認定するとした公約からも後退した。


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iWXMnIQuIQRo/v2/-1x-1.png

  ウエストパック銀行の為替ストラテジスト、ショーン・キャロー氏(シドニー在勤)は、「トランプ氏が通貨について語ることが操作に当たると見なしていないのは明らかだ」と話した。
効果持続見込まれず
  自国通貨押し下げの口先介入の効果は通常長続きしないことが過去の事例で示されているが、ドル相場について直接コメントするというトランプ氏の判断は結局、同氏自身の信頼を損ねる可能性がある。それというのも、トランプ氏は中国やドイツについて、米国に対する貿易面の不公正な優位を確保しようと通貨安誘導を行っていると繰り返し非難してきたからだ。
  メルク・インベストメンツ(サンフランシスコ)のアクセル・メルク社長は「トランプ氏はもちろん、自身の信認を危険にさらしているが、気にしていないようだ」と述べ、「口先で為替相場を動かせれば最も安上がりで、トランプ氏もそのような行動に駆り立てられたのではないか」との見方を示した。
  ナショナルオーストラリア銀行(NAB)の通貨戦略グローバル共同責任者、レイ・アトリル氏に言わせれば、世界的な金融危機以降、連邦準備制度の量的緩和策がドル相場を左右してきた米国こそが「世界最大の為替操作国」だ。
  しかし、それでもトランプ氏がこの闘いに勝利することを意味するわけではない。
  「税制改革を中心とした政策課題の遂行でトランプ氏が成功を収めれば、その結果、ドル高が進むことになる」とアトリル氏は語り、「レトリックではなくハードな政策が最終的に通貨動向を決める」と論じた。
  
原題:Trump’s Currency Rulebook Gives His Own Jawboning a Pass (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OODTWS6K50XS01 

 

【債券週間展望】長期金利マイナス圏突入か、強気増えているとの見方
三浦和美
2017年4月14日 16:13 JST
 
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• 地政学的リスクの動向が引き続き大きな注目点−JPモルガンAM
• 20年入札、投資家需要で順調に消化される可能性高いだろう−岡三証

4月第3週(17−21日)の債券市場では長期金利が5カ月ぶりにマイナス圏に沈む場面があると予想されている。北朝鮮情勢の緊迫化で地政学的リスクが高まっており、安全資産としての国債に買い圧力がかかりやすいことが背景にある。
  新発10年物国債346回債利回りは0.055%で10日の取引を開始した。米国のシリア空爆をきっかけに北朝鮮に対する強硬姿勢が浮き彫りとなる中、トランプ米大統領の低金利支持やドル高けん制発言で買い圧力が強まり、13日には一時0.005%と、昨年11月以来の水準まで低下した。


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/if2Ju7obqg3c/v2/-1x-1.png

  損害保険ジャパン日本興亜の石崎竜也グループリーダーは、「北朝鮮情勢の緊迫感がさらに強まるというケースを想定すると、円高・株安が進み、金利も低下方向になる。米経済政策が進まない中で地政学リスクも重なり、複合要因で足元はやや債券に強気の見方が増えている」と指摘。ただ、「10年金利がマイナス圏に突入していくと、そこからはなかなか買いづらい。すでに買われ過ぎの感もあり、何もなければリスクオンで調整が入る」と見込む。
  来週の国債入札は18日に5年利付国債(発行予定額2兆2000億円程度)、20日に20年利付国債(同1兆円程度)がそれぞれ実施される。
  損保ジャパン日本興亜の石崎氏は、「リスクオフモードがさらに強まっていれば、割高感はあっても20年入札は堅調になる可能性がある」と予想。「リスクオンになっていれば、敬遠されるかもしれない」とみる。
  日本銀行の長期国債買入れオペは、17日に残存期間「5年超10年以下」、19日に「1年超5年以下」、「5年超10年以下」、21日には「10年超」がそれぞれ予定されている。
市場関係者の見方
*T
◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
*地政学的リスクの動向が引き続き目先の大きな注目点。資金の逃避先として円が買われやすい
*利回りはこれまで結構下がってきたので、さらに大幅な低下は見込んでいないが、若干の金利低下バイアスはかかるだろう。10年債利回りの一時的なマイナス圏への突入は十分あり得る
*長期金利の予想レンジはマイナス0.03%〜プラス0.03%
◎損害保険ジャパン日本興亜の石崎竜也グループリーダー
*昨年度後半からの金利上昇でなかなか金利リスクを取りにくいという投資家は引き続き多い
*超長期についてはリスクオフが強まらない限りは金利低下余地は限定的
*長期金利の予想レンジはマイナス0.02%〜プラス0.06%
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*10年債利回りがゼロ%近辺まで低下したことで投資家も上値追いには慎重。国債買い入れ減額も意識される
*20年入札は投資家の需要で順調に消化される可能性が高いだろう
*長期金利の予想レンジはマイナス0.01%〜プラス0.04%

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OODZQI6JTSE801


http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/133.html

[経世済民121] 債券上昇、地政学リスクで金利低下圧力−超長期オペ減額困難との見方 株続落 シリア攻撃で原油暗雲 全面禁煙、年代上ほど賛成
債券上昇、地政学リスクで金利低下圧力−超長期オペ減額困難との見方
山中英典、野沢茂樹
2017年4月14日 08:05 JST 更新日時 2017年4月14日 15:35 JST

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複合要因で債券に強気の見方が増えている−損保ジャパン日本興亜
先物は18銭高の151円09銭で終了、長期金利0.015%に低下

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iYWj.jBL2HAs/v2/-1x-1.png

債券相場は上昇。中東や北朝鮮の軍事的な緊張を巡る地政学的リスクの高まりを背景に、安全資産の国債が買われる流れが続いた。日本銀行がこの日実施した長期国債買い入れオペの金額を前回から据え置いたことも買い安心感につながった。
  
  14日の長期国債先物市場で中心限月6月物は、前日比12銭高の151円03銭で開始。その後150円86銭まで軟化したが、午前10時10分の日銀オペ通知後に持ち直した。取引終盤には一段高となり、結局18銭高の151円09銭と、この日の高値で引けた。

  JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「地政学的リスクの高まりを背景とした世界的なリスクオフの一環として、日本国債にも利回り低下圧力がかかっている」と説明した。国債買いオペについては、「減額を今どんどん進めると相当な円高圧力がかかる恐れがある。日銀としてはイールドカーブは緩やかなスティープ化が望ましいだろうが、現段階での超長期ゾーン減額は、とてもではないが無理」だと述べた。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいの0.02%で開始。いったんは1ベーシスポイント(bp)高い0.03%まで売られたが、次第に買いが入り、午後は0.015%に下げた。
  超長期債は堅調。新発20年物の160回債利回りは2bp低い0.56%、新発30年物の54回債利回りは3bp低い0.76%と1月以来の水準まで買われた。40年物の9回債利回りは0.97%と、新発債として2月以来の水準まで下げた。
  損害保険ジャパン日本興亜の石崎竜也グループリーダーは、キャリーが取れないものには手を出しにくく、超長期についてはリスクオフが強まらない限り、金利の低下余地は限定的としながらも、「米経済政策が進まない中で地政学的リスクも重なり、複合要因で足元はやや債券に強気の見方が増えている」と述べた。
日銀買いオペ
  日銀はこの日、今月5回目の長期国債買い入れオペを実施。残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、10年超25年以下、25年超が対象で、いずれも前回と同額だった。オペ結果では1年超3年以下の応札倍率が4.6倍に上昇し、売り圧力が示されたことから、新発2年物375回債利回りはマイナス0.22%に小幅上昇した。
日銀国債買い入れ結果はこちらをご覧下さい。
  
  13日の米国株式相場は3日続落。S&P500種株価指数は前日比0.7%安の2328.95で終了した。米国が強力な爆弾をアフガニスタンで使用したと伝わり、地政学的リスクが警戒された。一方、米債相場はもみ合い。米10年国債利回りはほぼ変わらずの2.24%程度。売りが先行していたが、次第に買い戻された。


  北朝鮮の韓成烈(ハン・ソンリョル)外務次官は最高指導者が適切と判断すれば同国がいつでも核実験を実施するだろうと述べたとAP通信が伝えた。同次官とのインタビューを引用している。  
  これに対して、トランプ米政権は北朝鮮が弾道ミサイル試射ないし核実験に踏み切った場合に備え、経済制裁と軍事的選択肢を検討している、と複数の米当局者が13日、明らかにした。ペンス米副大統領は今週末からの10日間のアジア歴訪の一環として、韓国と日本を訪れた際、北朝鮮の挑発への米国の対応を協議する。
  JPモルガン・アセットの塚谷氏は、「来週も地政学的リスクの動向が引き続き、目先の大きな注目点だ。資金の逃避先として円が買われやすい。加えて5年債と20年債の入札をにらみながらの展開になる。日本国債の利回りはこれまで結構下がってきたので、さらに大幅な低下は見込んでいないが、若干の金利低下バイアスはかかるだろう」と言う。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-13/OODD846K50XU01

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長谷川敏郎
2017年4月14日 07:58 JST 更新日時 2017年4月14日 15:43 JST

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通信や電力など内需セクター安い、今月堅調な業種に売り圧力
寄り付きはSQ絡む売買も、決算評価のFリテイリ堅調も影響

14日の東京株式相場は、TOPIXがことし最長の4日続落。米国がアフガニスタンの過激派組織に爆弾を投下、北朝鮮情勢の一層の緊張につながると警戒された。海外市場の祝日休場を前にリスク資産を圧縮する動きが優勢、情報・通信や電力、医薬品、小売株など内需セクター中心に安い。

  TOPIXの終値は前日比9.24ポイント(0.6%)安の1459.07、日経平均株価は91円21銭(0.5%)安の1万8335円63銭。TOPIXは昨年11月22日以来、日経平均は同12月5日以来の安値水準。
  りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネジャーは、「投資家はトランプ米大統領に景気浮揚策を早く実現して欲しいが、大統領の目は外に向かっている。日本ではそれを地政学リスクと呼ぶが、オバマ政権時のように先が読める大統領ならここまでリスクを心配しなくとも良かった」と指摘。場合によっては、取り返しのつかないことになるという不安は、トランプ氏が「大統領に決まったときからのリスクの1つ」と話した。

  米軍は13日、通常兵器では史上最強の爆弾をアフガニスタンにある過激派組織「イスラム国(IS)」の拠点に投下した。米政権はISの動きを封じることが目的だ、と説明。トランプ大統領は北朝鮮への警告かどうかの記者団の質問に、「それがどうであるかはどうでもよい。北朝鮮が問題だ。この問題に対処することになる」と応じた。
  銀行の決算が予想を上回り、13日の米国株は小高くなる場面もあったが、アフガンのISに対する空爆を材料に取引終了にかけ下落、3日続落のS&P500種株価指数は0.7%安と3月21日(1.2%)以来の下落率だった。グローバルでリスク資産回避の動きが出ている上、14日はグッドフライデーの祝日で米国の株式・債券、欧州株も休場、北朝鮮の重要イベントも控え、投資家の買い見送り姿勢は強かった。「グローバル投資家はリスクを落とす際に値動きが鈍かった日本株からまず売り始め、次に欧州、最後にもう少しリスクを落としたいとして米国株まで売り始めた」と、りそな銀の戸田氏はみている。
  きょうの為替市場は、午前こそ小康状態だったが、午後に入り1ドル=108円台後半まで円が強含んだ。15日に金日成国家主席の生誕105周年を控える北朝鮮の韓成烈外務次官は、「最高指導者が適切と判断すれば、いつでも核実験を実施するだろう」、「彼らが選択するなら、われわれは戦争に突入するだろう」などと述べた、とAP通信は報じた。
  ただ、日本の調整色が強まっていることで、株価の下げ過ぎを指摘する向きも出ている。東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは75%まで低下。「騰落レシオや日経平均の25日移動平均線からの下方乖離率などは短期的に売られ過ぎを示している」と、大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストはみている。先物ベースでは海外投資家がトランプラリーで買った平均コストの水準まで下落し、需給面からは下げ止まりやすいとの認識も示した。

先物買いコストに関してはこちら

  きょうの取引開始時はオプション4月限の特別清算値(SQ)算出で、ブルームバーグの試算では日経平均型で1万8613円29銭、13日の終値を186円45銭上回った。SQの影響できょうの日経平均は105円高で寄り付き、安く始まったTOPIXと真逆の動きとなった。指数影響度の大きいファーストリテイリングが決算評価から上昇した影響もあった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストは、「3月のメジャーSQが終わった段階で4月の日経平均が1万8500円を割れてくると市場は想定していなかった。少しでも損失を減らそうとのポジション上の都合が一部にあった」としている。
  東証1部33業種は電気・ガスやパルプ・紙、鉱業、繊維、石油・石炭製品、医薬品、情報・通信、小売など27業種が下落。鉄鋼や不動産、輸送用機器など6業種は上昇。4月月初から前日まで上昇していたのは小売、陸運、食料品など、電気・ガスやパルプ・紙、通信の下落率は小さかった。きょうの取引では、こうした業種群の下げが目立った。売買代金上位では、半導体事業売却を巡る協議を一時的に停止した東芝、みずほ証券が目標株価を下げたユニー・ファミリーマートホールディングスが安い。新型ゲーム機「スイッチ」が北米で発売月として史上最速販売数ほ記録した任天堂は高い。
東証1部の売買高は18億3885万株、売買代金は2兆248億円
値上がり銘柄数は359、値下がりは1559

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iWw7XGUvLPY8/v2/1200x-1.png
TOPIXは昨年12月以来の4日続落に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-13/OODDUX6KLVR401


日本株連日の安値、米大統領のドル高けん制と極東有事−資源中心売り

  東京株式相場は3日続落。トランプ米大統領のドル高けん制発言や朝鮮半島有事への警戒で為替が5カ月ぶりのドル安・円高水準に振れ、企業業績への懸念から電機など輸出株、鉄鋼など素材株、銀行など金融株中心に売られた。商品市況の下落を材料に、石油や商社など資源株は業種別下落率で上位。
  TOPIXの終値は前日比11.23ポイント(0.8%)安の1468.31、日経平均株価は125円77銭(0.7%)安の1万8426円84銭。両指数とも連日で年初来安値を更新。
  ちばぎんアセットマネジメントの加藤幸祐運用部長は、「地政学リスクで市場センチメントが悪く、日米経済対話も控える中でのトランプ米大統領発言というタイミングがさらなる円高を招いた」と指摘。為替が1ドル=105ー110円のレンジに移行すれば、「今期業績の最終的な着地に対する業績上方修正期待が完全に消えかねない」と懸念を示した。
東証1部の売買高は19億5868万株、売買代金は2兆2590億円
値上がり銘柄数は543、値下がりは1374
  東証1部33業種は石油・石炭製品、鉄鋼、鉱業、卸売、保険、銀行、非鉄、機械、電機など30業種が下落。電気・ガス、水産・農林、パルプ・紙の3業種は上昇。売買代金上位では、東芝や三井物産が安く、今期も収益性は低位にとどまるとメリルリンチ日本証券が指摘したイオンも売られた。石川製作所など防衛関連銘柄は急反落。半面、ペプチドリームや関西電力、ニプロは高く、最新ゲーム「アナザーエデン」の出足好調のグリーは急伸した。


長期金利が一時5カ月ぶり低水準、米大統領発言と地政学リスクで

  債券相場は続伸し、長期金利は一時5カ月ぶりの水準に沈んだ。トランプ米大統領の発言を受けた米債高の流れを引き継いだことに加えて、北朝鮮をめぐる地政学的リスクを背景に買い圧力が強まった。半面、午後の取引終盤にかけて高値警戒感などから売りが優勢となり、相場は伸び悩んだ。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値から0.5ベーシスポイント(bp)低下の0.01%で取引を開始。一時は0.005%と、新発債として昨年11月17日以来の水準まで切り下げた。その後は0.025%に戻して推移している。
  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「北朝鮮をめぐる地政学的リスクはなかなか終息せず、長引きそうだ」と指摘。30年債入札については、「地政学的リスクを受けた金利急低下の中で、どれだけ需要が集まるか懸念があったが、テールも流れることなく、しっかりした結果だった」とし、「安心感が広がった」と言う。
  長期国債先物市場で中心限月6月物は前日比10銭高の151円00銭で寄り付き、一時は151円15銭と、中心限月としては昨年11月以来の高値を付けた。引けにかけて伸び悩み、結局1銭高の150円91銭で取引を終えた。
  財務省がこの日に実施した30年利付国債の入札結果は、最低落札価格が100円05銭と、市場予想99円90銭を上回った。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.08倍と前回3.14倍からやや低下。小さければ好調を示すテール(最低と平均落札価格の差)は7銭と、前回の19銭から縮小した。


ドルは109円前半、米大統領発言で一時200日線割れる場面も

  東京外国為替市場のドル・円相場は約5カ月ぶり安値から反発。トランプ米大統領の発言や北朝鮮情勢など地政学的リスクを受けて一時200日線を割り込んだが、午後には米長期金利の持ち直しなどを背景に1ドル=109円台を回復した。
  午後4時40分現在のドル・円は前日比0.1%高の109円09銭。トランプ発言でドルが急落した前日の海外市場の流れを引き継ぎ、午前11時前には108円75銭を通る200日線を割り込み、一時108円73銭と昨年11月17日以来の安値を付けた。一方、午後はドル買い・円売りが優勢となり、一時109円24銭とこの日の日中高値を付けた。
  トランプ米大統領は、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙との12日のインタビューで、「ドルは強くなり過ぎていると思う」と述べ、強いドルが米企業の競争力を損ねていると指摘。また、来年2月に任期切れを迎えるイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長を「好感し尊敬している」と述べた上で、再指名について「極めて尚早だ」と付け加えた。「低金利政策が好ましいと、私は正直に言わねばならない」と語った。
  ソシエテ・ジェネラル銀行の鈴木恭輔為替資金営業部長は、トランプ大統領の発言は「いきなり出てきたのでショッキング」だったが、日米経済対話など米国のスタンスを確認する機会を来週に控えて、「早晩ドル売りを進めるのは考えにくい」と指摘。ドル・円も「ぐいぐい下に向かっていくというよりは108円という大台くらいでちょっと踏みとどまるイメージはある」とし、北朝鮮情勢などについて「事実の見極めがしばらくは続いていく」と話した。  
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-13/OOC1C36JIJUS01

 

 

米国のシリア攻撃が原油価格に与えた影響とは
地政学的リスクの高まりで減産延長に暗雲
2017.4.14(金) 藤 和彦
ロシア、米国のシリア攻撃を非難 米ロ関係に「相当なダメージ」
米駆逐艦ポーターが地中海から行ったシリアへのミサイル攻撃。米海軍提供(2017年4月7日撮影・公開)。(c)AFP/US NAVY/Mass Communication Specialist 3rd Class Ford Williams〔AFPBB News〕
?4月10日の米WTI原油先物価格は1バレル=53ドル台に上昇した(その後、サウジアラビアの減産延長の意向が伝えられ、米国の原油在庫の減少が明らかになったが、シェールオイルの増産を嫌気して、原油価格は1バレル=52ドル台に下落した)。

?上昇の要因となった国はリビアだ。4月9日、リビア最大のシャララ油田が武装勢力に封鎖されたため生産が再び停止し、輸出港ザウィアからの原油輸出が不可能になったことを受けて、国営石油会社が「フォースマジュール」(不可抗力条項の適用)を宣言したことが価格を押し上げた。フォースマジュールは先月27日に続き今年2回目であり、リビアの原油生産量は再び日量約20万バレル減少したとされている。

?先週、米国がシリアの軍事施設を巡航ミサイルで攻撃したことから「地政学的リスク」が意識され始めたことに加え、ドライブシーズンを控えて米国の製油所の稼働率が上昇しているなど、原油価格が上昇しやすい地合いとなりつつある。3月のWTI原油の平均価格は昨年11月以来の1バレル=50ドル割れとなったが、4月に入り「再び元のボックス圏(同50〜55ドル)に戻った」との声も出始めている。

?とはいえ、リビアの供給減は世界の原油供給量(日量約9600万バレル)からすればわずかな量に過ぎない。米国で石油製品の需要が増加したとしても、シェールオイルの増産が続いていることから、原油在庫の減少が続くかどうかは不透明な状況だ。

サウジとロシアの溝が鮮明に

?現在、原油価格を下支えしているのはなんと言っても主要産油国の協調減産である。だが筆者は、米軍によるシリアへのミサイル攻撃が主要産油国間の協調関係に暗い影を投げかけたのではないかと危惧している。

?サウジアラビア政府は4月7日、米軍がシリアの軍事拠点を攻撃したことについて、「トランプ大統領による勇気ある決断である」と全面的な支持を表明した。一方、ロシアのプーチン大統領は「米国のシリア攻撃は侵略」だとして厳しく批判した。シリア情勢を巡って“反体制派を支援するサウジアラビア”と“アサド政権を支えるロシア”との間で溝が生じていたが、米軍の攻撃によりこの構図が一気に鮮明になってしまった感が強い。

?サウジアラビアの今年1月から3月にかけての減産遵守率は100%を超えている。それに対し、ロシアは約束した減産目標(日量30万バレル)の半分程度しか実施していない。ロシアのエネルギー相、アレクサンドル・ノヴァク氏は「現行の減産期間の終了までに減産目標を達成する」と繰り返しているが、その実現可能性には疑問符が付き始めている。

?元サウジアラビア・エネルギー産業鉱物資源相のアリ・ヌアイミ氏が自伝の中で「OPECが減産しても、ロシアがその分を増産してしまう」と過去の苦い経験を吐露しているように、サウジアラビアのロシアに対する警戒感は根強い。その疑心暗鬼が日に日に高まっていてもなんら不思議ではない。

?サウジアラビアのエネルギー産業鉱物資源相、ハリド・ファリハ氏は3月末の米国での講演で「サウジアラビアはただ乗りを許さない」と語った。その警告は、シェール企業とともにロシアにも向けられているとみて間違いないだろう。

欧州市場に注目し始めたサウジ

?欧州市場におけるサウジアラビアとロシアのつばぜり合いも激しくなりそうである。

?サウジアラビアは近年中国・インド・日本の市場でのロシアの原油売り込みに防戦一方だったが、このところ欧州への自国産原油の売り込みを強化し始めている(4月6日付OILPRICE)。2017年7月から欧州向け原油価格の体系を改めるなどして欧州の需要開拓に努める意向だ。

?これまで欧州市場はロシア産原油の独壇場であった。欧州の原油需要量は世界の約14%(日量約1350万バレル)を占めるが、ロシアは長年にわたり最大の原油供給者だった(2016年のシェアは約32%)。

?サウジアラビアは従来欧州市場への関心が低かった(2016年のサウジアラビアのシェアは8%)。しかし、成長著しいアジア市場での競争激化やシェール革命による米国での原油需要の減少により欧州市場に注目し始めており、既に欧州市場へダンピング価格で原油輸出を始めていると言われている。

?日本ではあまり知られていない欧州市場でのロシアとサウジアラビアの間のシェア争いに安全保障上の問題が加われば、ロシアとサウジアラビア間の歴史的な協調関係が瓦解する可能性がある(昨年4月のドーハ会合の失敗はサウジアラビアとイランの間の安全保障上の緊張の高まりが原因だった)。

OPECが抱える地政学的リスク

?OPEC内でも、米軍のシリア攻撃で協調減産に関する不協和音が高まっている。

?まず、イラク政府は「年内に原油生産能力を現在の日量440万バレルから同500万バレルにまで引き上げるプロジェクトを進めている」ことを明らかにした。イラク政府はIS(イスラム国)との戦闘で軍事費が増大し財政危機に陥っているが、米軍のシリア攻撃後ISが反転攻勢に出ていることから、軍事費がますます嵩む状況になっている。財政危機を忌避するため、イラク政府は年後半増産することはあっても減産を延長することは考えにくい。

?また、減産実施後の期間で原油生産量が日量約380万バレルにまで増加したイランも、米軍の攻撃後のシリアにおけるアサド政権支援のため、年後半に減産を受け入れる余地はなくなりつつある。

?OPEC内にはもう1つの「地政学的リスク」がある。ベネズエラの政情不安だ。

?ベネズエラは減産合意に基づき原油生産量を日量207万バレルから同197万バレルに減少することになっているが、原油収入に依存する財政構造が破綻しかかっている状況では減産を実施できるわけがない。

?国営石油会社「PDVSA」の4月の債務返済額は25億ドルである(国全体の返済額は約30億ドルと言われている)。ベネズエラは「融資を受けてその返済を原油で行う」契約を中国などとの間で結んでいるため、生産される原油量の4分の1以上が融資の返済分に回り、原油売却代金が徴収できなくなっている。外貨準備高は10億ドルにまで落ち込んでおり、デフォルトを防ぐためには原油を増産することがあっても減産することはありえないだろう。

?このように地政学的リスクの高まりは、主要産油国の減産体制の維持・延長にとって大きなマイナスである。

?地政学的リスクなどで原油価格が復帰したことにより、米国における石油掘削装置(リグ)の稼働数は毎週2桁のペースで増加している。「フラックログ」(掘削したものの生産を開始していない油井)からも日量30万バレル分の原油が供給される見通しが高まっている(3月29日付OILPRICE)。

台頭する「第3勢力」

?2014年後半以降、世界の原油市場は“OPECを始めとする主要産油国”対“シェール企業”という構図となっているが、ここに来て「第3勢力」がさらに加わるという事態が現実味を帯び始めている。

?国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は3月末、「協調減産により原油価格が上昇すれば、米国産にとどまらずブラジル産やカナダ産の原油が市場に流入するだろう」と述べた。ブラジル産の今年の増産分は日量23万バレル(海底油田開発)、カナダ産は日量15万バレル(オイルサンド)とされている。

?前回のコラム(「いよいよ切れた『減産ゲーム』の神通力」)でブラジル沖の「プレソルト」(原油を含むことができる炭酸塩から成る多孔質の岩石)の海底油田開発の状況を紹介したが、ブラジルの2月の原油生産量は前年比15%増の日量268万バレルとなり、輸出量は前年比94%増となった。

?ブラジル政府は近年プレソルトの鉱区を海外大手企業に開放しており、英蘭シェルなどが既に活動を開始している。4月に入ってからは、エクソンモービルが当該地区に本格的に参入する意向を示した。これにより、ブラジル政府が「2020年の原油生産量を日量400万バレルとする」目標の実現性が高まっている。

?海底油田の開発が活発化しているのはブラジル沖だけではない。メキシコ湾沖でも油田開発が活発化している。

?その理由は生産コストの大幅な低下である。技術革新により海底油田の1バレル当たりの生産コストが50ドル以下、場合によって40ドルと低下しており、生産コストがシェールオイル並みになっているとの評価も出始めている(4月3日付OILPRICE)。

?こうした海底油田の開発が活発化により、米国への原油の流れは拡大するばかりである。

世界の原油市場は構造的に供給過剰

?OPECやロシアが減産を続けたとしても、世界、特に米国市場を巡る原油の状況は以上のように構造的に供給過剰である。そのため、原油在庫が大幅に減少するとは思えない。原油市場には今後長期間にわたってデフレ圧力が続くとすれば、原油価格は長期にわたって大幅上昇することはないだろう。

?原油価格に関してはいまだ強気な見通しが主流であるが、「4月に55ドルを明確に超えるような状況にならなければ、今年末に向けて35ドルまで下落するシナリオが有力になる」との見方も出始めている(エモリキャピタルマネジメントの江守哲氏、4月4日付東洋経済オンライン)。

?主要産油国の協調減産監視委員会は4月中に開催される予定だが、減産の延長とともに減産幅の拡大に関する合意が成立するだろうか。

?この微妙な時期に米国が中東地域に落とした「一滴」が、世界の原油市場に「売り」圧力の洪水をもたらさないことを祈るばかりである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49711


 

公共の場での全面禁煙、年代が上がるほど「賛成派」が多くなることが判明
2017年4月14日 (金) 16:29 配信 マイナビニュース
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http://cdn.top.tsite.jp/static/top/sys/contents_image/media_image/035/160/399/35160399_0.jpeg

リサーチ・アンド・ディベロプメントはこのほど、20〜79歳の首都圏在住の一般生活者における禁煙意識についての分析結果を明らかにした。これは同社の独自調査「生活者総合ライフスタイル調査システム CORE」を用いて実施したもの。

今回は、2016年10月に、住宅地図を用いたエリアサンプリングで抽出した3,000人を対象として行った「CORE2017 マスター調査」(訪問・郵送併用の自記入式留置調査)と、2017年2月にマスター調査協力者1,800人を対象として実施した「CORE2017 春オムニバス調査」(郵送調査法による自記入式留置調査)をもとに分析している。

「飲食店など公共の屋内では、ふつうにタバコは全面禁煙にすべきだと思うか」と尋ねたところ、20〜79歳全体の約6割が「賛成」と回答した。「賛成」と答えた人は、20代では48%だが70代では74%と、年代が上がるほど上昇している。過去と比較すると、20代は上の年代に比べ、「全面禁煙にすべき」という意識は高くないことがわかった。

喫煙者と非喫煙者別に、「飲食店など公共の屋内では、ふつうにタバコは全面禁煙にすべきだと思うか」と尋ねたところ、喫煙者では17%、非喫煙者では70%が全面禁煙に賛成と回答した。非喫煙者も、20代の「全面禁煙にすべき」という意識は他年代よりも低かった。

世の中の常識に対する意識について聞くと、若年層ほど「常識にとらわれず色々な考え方が認められるべき」を支持する割合が高かった。20代では49%が、30代では39%が、40代では32%がそのように回答している。40代以下の層では、「常識にとらわれず色々な考え方が認められるべき」が、2000年と比較すると10ポイント以上増加している。

同社は、年代による「全面禁煙」に対する意識差の要因の一つとして「健康に対する意識」を挙げている。一般的には、年代が上がるほど健康に対する意識が強くなることから、年代とともに全面禁煙を賛成とする人が増えていると考えられるという。

もう一つの要因としては、世代による「多様な考え方への許容性」の違いが考えられるとのこと。全面禁煙に対する賛成率が低い若年層は、「色々な考え方が認められるようになるべき」という考え方を強く持っており、20代では5割にものぼっている。

全面禁煙は「喫煙者を公の場から完全に排除する」という意味合いが強い施策であるため、多様な考え方への許容性が高い20代には、「喫煙者・非喫煙者のどちらの考え方もきちんと汲み取った施策」を求める声が根強いのではないかと、同社では分析している。
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http://top.tsite.jp/news/news/o/35160399/?sc_int=tcore_news_recent

http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/122.html

[戦争b20] 軍事に頼り始めたトランプ政権に不穏な動き オバマケア代替案失敗で即シリア攻撃、劇場型政権の危険度 
軍事に頼り始めたトランプ政権に不穏な動き
オバマケア代替案失敗で即シリア攻撃、劇場型政権の危険度
2017.4.14(金) 伊東 乾
【AFP記者コラム】アレッポの廃虚に流れる音楽
砲撃で瓦礫の山になったシリアの都市アレッポ。(c)AFP/Joseph Eid〔AFPBB News〕
1885年、ソウルで発生した残虐処刑をきっかけに福澤諭吉が「脱亜論」を時事新報に発表した経緯を前回のコラム原稿として書いている最中、まさに歴史は繰り返す、同様の残虐な報道が世界を駆け巡りました。

出来事をざっと振り返っておきましょう。

AP電によりますと4月4日の早朝、シリアで反体制派が支配する北部イドリブ県ハンシャイフンを戦闘機が攻撃、ここで毒ガスと思われる化学兵器が使用されて多数の死傷者が発生。

さらに被害者が治療を受けていた近隣の病院も複数回空爆で破壊されるという軍事行動が報道されました。

こうした行動は戦争犯罪に当たると考えられます。

シリアでは「貧者の核」、化学兵器を用いた攻撃が続いており、多くの人命が奪われ、都市という以上に社会全体が破壊され続けている、これは間違いのないことだと思います。

2013年9月には化学兵器禁止条約に加盟、190国目のメンバーとなります。この時点でシリアには少なくとも25か所の関連施設があり、1300トンを超える化学兵器が存在しているとされました。

この年のノーベル平和賞は、化学兵器の廃絶を推し進めた化学兵器禁止機関(OPCW)に与えられています。

サリン使用?偽装廃棄?

今回使用された化学兵器は「サリン」であった可能性が指摘されています。サリンという毒ガスは、日本では「地下鉄サリン事件」を通じて記憶している人も多いと思います。

しかし先日、今年度の大学1、2年生たちと関連の話をしていて、現在の大学教養学部生は1997−98年生まれが大半、大学4年生にして95年生まれなので、その95年に発生した阪神淡路大震災も、地下鉄サリン事件も、リアルな記憶は全く持っていないという話になり、記憶の風化を如実に感じざるを得ませんでした。

さて、今回のシリア「サリン」攻撃ではサリンを用いたと思われる空爆が実施され、直接的には80人以上が死亡、350人以上が負傷したと報じられています。

これに対して、米軍は日本時間の4月7日これらの攻撃を実行したと見られている、シリア軍機の発信基地、シャイラット空軍基地を空爆攻撃。

東地中海を遊弋する米駆逐艦から60発の巡航ミサイル「トマホーク」を発射するよう命令、このうち不発であった1つを除く59発が実際に発射され、シャイラットの滑走路や格納庫、燃料タンクなどに着弾、破壊に成功した、と報じられます。

ここで私は、福澤諭吉の「脱亜論」を思い出さざるを得ないのです。

シリアで化学兵器が用いられた。これはたぶん間違いないと思います。それで、幼い子供を含む多数の犠牲者が発生してしまった。

さらに、それらの犠牲を生々しく映し出した写真なども、私たちは目にしています。ここまでは、ファクトと判断して間違いないと私は考えます。

しかし、それらの攻撃を本当に誰が実施したのかは、率直に言ってよく分かりません。

米国はただちにバッシャール・アル・アサド大統領の率いるアサド政権がこれらの攻撃を実施したと断定し、シャイラット空港・基地へのミサイル空爆を実施しています。

また、アサド政権は「これらは反政府勢力による自作自演だ」として、化学兵器の使用を否定しています。

ここで見落とすべきでないと思うポイントを2つ、記しておきたいと思います。

第1は、広く知られている通り、現在のアサド政権「シリア・アラブ共和国」が社会主義・人民民主主義国家として成立しており、アラブ社会主義復興党すなわち「バアス党」が指導、現実にはアサド家が代々支配する独裁体制のもとで、ロシア、イランなどと友好的な関係を保っていること。

平たく言えば、シリア内戦は米国とロシアの代理戦争という様相を呈していることで、これについては多くの解説が出ていると思いますので、それらをご参照いただければと思います。

ここで私が強調したいのは2番目のポイント、米国内での変化と、今回の「サリン空爆」との時間的近接性です。

最大の選挙公約に敗れたトランプ政権

シリア北部、イドリブ県ハンシャイフンがサリン空爆される10日ほど前、米国を揺るがす政治的激震が走ったことは、今回の軍事行動との関係でほとんど報じられていないと思います。

「オバマケア」完全撤廃の失敗・・・。

まったき政治素人の金満老人、ドナルド・トランプ氏が選挙公約のトップに掲げて「まさか」の当選を果たした「医療保険制度改革法」撤廃を目指す代替法案は「アメリカン・ヘルス・ケア・アクト」と呼ばれます。

ここでは分かりやすく「トランプ・ケア」と記しておきましょう。このトランプ・ケア法案を3月24日、下院採決の直前に撤回しました。

票の取りまとめに失敗したのです。そのまま採決に流れ込めば「否決」という、政権自体への死刑宣告を受けてしまう。

選挙の目玉でトランプ政権は完全敗北を喫してしまいました。

そもそも、この問題は何であったのか。そもそも「オバマ・ケア」とは何であったか、から、簡単に振り返っておきましょう。

「これではアメリカがケニアのソ連になってしまう・・・」

野党共和党が徹底して反対しながら2010年に議会を通過し、与党民主党オバマ大統領が署名した「アフォーダル・ケア・アクト」(ACA)が、通称「オバマケア」と呼ばれているものです。

国民健康保険が浸透している日本国内では、この議論にピンとこないことが少なくありませんが、「国民皆保険」は必ずしも世界各国で採用されている政策ではありません。

米国には完全な保険未加入人口が5000万近くあり、3億強の人口の貧困層2割ほどが健康保険と無縁な生活を送っていました。

これを是正し、国が管理する電子保健取引所で健康保険システムを管理運営するというのが、極めてざっくりした話で恐縮ですが「オバマケア」のポイント、として話を進めたいと思います。

オバマケアの導入によって、新たに2000万人の米国低所得層が保険医療の恩恵を受けることができるようになりました。

と同時に、それを負担するしわ寄せも当然発生しました。とりわけ中間層に毎月の保険料負担増が嵩んだことから、さきほど記した「ケニアのソ連はまっぴらだ」という世論が沸き起こります。現実にはオバマ・ケア成立以前から、ネガティブ・キャンペーンは張られていました。

それを受ける形でトランプ政権になり「自己責任」への回帰というキャンペーンが巻き起こります。具体的には「オバマケアの廃止と代替法案の実現」、つまり、ここ7年に及ぶ米国民主党の中心的な選挙公約の旗印が掲げられました。

そして発表された「トランプ・ケア」、発表からわずか3週間ほどで、無理やりこれを成立させるスピード可決に向け、トランプ大統領ならびに若干47歳の共和党エリート、ポール・ライアン下院議長は下手な賭けを打ちます。

現実にはオバマ・ケアの一部を残した、みかけだけの「トランプ・ケア」プランをインスタント製造、これを発表したのです。

共和党保守派、特に「下院自由議員連盟」はオバマ・ケアの完全廃止を求めており、こんな素人の表面だけ取り繕った法案に誰が賛成するか、と反発します。

また無保険者が急増することに懸念を持った人も多かったと報じられています。

ここで、ニュー・ライトの実業家でやはり政治素人のスティーブン・バノン大統領首席戦略官は音痴ぶり全開で議会対策に失敗してしまいます。あろうことか高圧的な態度で議員に対して次のように投票を命じたというのです。

「法案に賛成する以外、諸君に選択肢はない。これは話し合いでも討論でもない」

もちろん他の選択肢はしっかり存在し、トランプ政権は政策実現能力において完全にアマチュアであることを天下に知られることとなりました。オバマ・ケアをひっくり返し損ねたお化けアマ政治だな、と思った次第です。

さらに、これらの造反議員、つまりバノン氏の命令に従わなかった者の名は「造反者リスト」に載せられるという話も広く流布しました。

トランプ+バノンの「最後通告」から24時間を経ることなく、世論の支持も極めて低かった「トランプ・ケア」は廃案となった。

28歳で最年少議員当選して以来、善くも悪しくも最上層上澄みのエリート、ポール・ライアン下院議長47歳は「今日は私たちにとって失望の日となった」と敗北を認めます。

が同時に、トランプ大統領とライアン下院議長は「医療保険制度からほかの政策へと、すでに軸足を移す準備は整っている」とコメントしました。

それから1週間ちょっとで発生したのがシリアの「サリン空爆」でした。

「オバマ・ケア代替法案」撤廃の敗北からわずか2週間で、米軍はシリア軍シャイラット基地へのミサイルを実行したことになります。

「医療保険制度」から軸足を移す「ほかの政策」が何であったのか、ここで納得した人は少なくなかったのではないでしょうか?

2002年、米ジョージ・W・ブッシュ大統領は年頭教書で「悪の枢軸」に言及、イラク、イラン、北朝鮮は「大量破壊兵器」を保有するテロ支援国家である、と断じ、それから1年余の準備を経て「第2次湾岸戦争」空爆の先制攻撃が始まりました。

いまもって「大量破壊兵器」がどこにどのようにあったのか、私はよく理解していませんが、共和党政権にとってはこの種の政策がお家芸であったことは周知の通りです。

シリアで発生している化学兵器の行使は、絶対に容認すべきでない残虐な蛮行です。ただ、ここで私たちは、その実行主体が何であるかを冷静に見定める必要があるでしょう。

福澤諭吉は甲申政変後の朝鮮半島で実施された残虐な処刑の事実を、中国・朝鮮と袂を分かつ「脱亜」の議論に結びつけました。

そのストーリーはやがて政治的思惑で一人歩きし始め、「朝鮮半島の人々を圧制から救う」大義名分が「清朝を撃つ」議論、さらに「李氏朝鮮王朝の廃止と日本への併合」への流れに、力づくで結びつけられていきました。

2000年代イラクやアフガニスタンでの出来事、130年前の朝鮮半島や中国での紛争、そして今現在進みつつあるシリアを舞台とする最悪の劇場型戦争。

私たち今日の日本人は、幸いなことに、これらを冷静に観察できるだけの時間と空間の距離を持っています。

好悪とか善悪ありきではなく、ファクト、史実を見て冷静に考える必要があると思う次第です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49724
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/151.html

[経世済民121] 雨宮日銀理事「2%の物価目標の実現が財政健全化にも資する」 待機児童減らない社会構造変化 おせっかいが救う50歳引きこも
雨宮日銀理事「2%の物価目標の実現が財政健全化にも資する」
2017/4/14 10:55
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 日銀の雨宮正佳理事は14日午前の衆院財務金融委員会で、日銀による長短金利操作に伴う国債買い入れについて「2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するために行っており、財政ファイナンスを目的に行っていない」と述べた。財政運営については「2%の物価目標を実現することが、結局は国民経済全体あるいは財政運営の健全化に資する」と指摘した。

 金融緩和の出口戦略については「現段階で予断を持ったシナリオを申し上げるのは時期尚早であり、適当でない」と従来の考えを強調しつつ、2%の物価目標が達成される局面において「金利は自然な格好で整合的に上昇していく」との見通しを示した。そうした金利上昇局面において「日銀は各種の政策手段を有しており、市場の安定を確保しながら適切に金融政策を運営していくことは時間がかかっても十分可能」とも述べた。民進党の重徳和彦議員の質問に答えた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL14HY2_U7A410C1000000/


シリーズ「待機児童はなぜ減らないのか?」
社会構造の変化を認識しよう 待機児童が減らない本当の理由D
2017/04/14
小林美希 (労働経済ジャーナリスト)
 子どもが熱を出すと、まるで四面楚歌の状況――。

 「ちょっと子どもを見ていてもらえさえすれば、全然違うのに」と、都内に住む山野博美さん(仮名、39歳)は、途方に暮れる。

 4歳の娘と1歳の息子を保育所に預けているが、悩みの種が尽きない。娘が熱を出した時、元気いっぱいな息子を保育所に預けてから娘を病院に連れていこうとすると、保育士から「お母さん、お休みですよね」と言って門前払いをくらった。「元気な息子を病院に連れて行って何時間も待つのでは、息子がかわいそう。なんとか、受診が終わるまで預かってもらえないか」と食い下がると、今度は「何かに感染して潜伏しているといけないので、元気でも登園しないでください」と冷たい。

 一般的には、兄弟姉妹のなかで体調を崩した子がいた場合でも、多くの保育所で元気な子は預かってもらえる。感染症は発症する前日から感染力があるため元気な子の登園拒否には科学的根拠が乏しい。また、病気の子には親から看護される権利があり、元気な子には保育・教育を受ける権利がそれぞれあるため、本来は登園を拒否されるものではない。厚労省が定めているのは、特定の感染症に対する羅漢した本人の登園できない日数についてであって、元気な兄弟姉妹の登園の可否については国として通知などを出してはいない。ただ、博美さんの子どもが通う保育所では、親が休めば理由を問わず一切、子どもを預からない主義だった。(関連記事『締切直前、保育園選びのポイント解説』)

 実家が遠く、両親も高齢で自由が効かないため助けは求められない。博美さんはやむなく、2人を連れて病院へ。周囲には咳こむ患者も多く、息子が感染するのではないかと気が気でない。やっとの思いで家に帰ると、熱でぐったりして母親から離れない娘と同じ部屋に、元気を持て余して外で遊びたがる息子がいる。しばらくはテレビを見せてしのいだが、そのうち「外に行きたい」と泣きわめき、「私が泣きたい」と思わず口にしてしまう。「こんな時、近所の人にちょっと見てもらうことができれば、どんなにらくか」と、博美さんは思えてやまないが、子どもを預けられる関係の“ご近所さん”はいない。

 娘が治ったかと思うと、今度は息子が熱を出した。続けて10日も休むことになった。派遣社員の博美さんは、休んだ分は無給になる。こうしたことが年に2〜3度続くと、決まって派遣契約は更新されず、事実上、派遣先からクビを切られてしまう。「せめて、保育園が元気な子だけでも預かってくれれば、きょうだいに風邪がうつらず、もっと休まなくて済んだのではないか」と落胆する。急な残業も同じだ。延長保育はその日の受付がなく、突発的な残業ができないばかりに「あてにならない」と派遣先から見られ、契約更新されない経験もある。そうした場合も「もし近所にお迎えをお願いして1時間でも見てくれる人がいれば」と痛感するのだった。地域の関係の希薄さと保育所の硬直的な運営が、博美さんの雇用を奪っていくようだ。


(iStock)
失われた10年から20年へ

 これまで指摘したように、子育て世代の雇用のなかでも、特に女性の雇用は厳しい環境にある。それというのも、今、子育て真っ最中の年齢層のなかの多くに就職氷河期世代が含まれるからだ。まだ2000年前後の「失われた10年」と呼ばれるうちに社会に出た層は、そのまま不況のなかで「失われた20年」のなかにいた。

 1980年代の大卒就職率は約8割を維持し続けていたが、91年のバブル崩壊を機に就職率は一気に低下して7割を下回り、97年の山一証券の破たんでまた就職が困難になっていく。2000年には統計上、初めて6割を下回る55.8%をつけ、2003年には最低の55.1%となった。2人に1人しか就職できなかった厳しい世代だ。その後、就職率は持ち返すものの、08年のリーマンショックでまた下降した。当然、非正規雇用は若年層にも爆発的に増えていき、そのまま中年層になっている。正社員でも少数精鋭で過酷な長時間労働を強いられる。そうした、超就職氷河期世代に学校を卒業してから30〜40代に出産した世代が今、保育所を利用して働いていることになる。

 前回も記したが、文部科学省「学校基本調査」の卒業後の状況調査(2016年度速報)を見てみると、夜間や土日祝日にニーズの高い働き方が増えていることが伺える。就職先で多い産業は、男性の場合、「卸売業・小売業」(17.0%)、「製造業」(14.8%)、「情報通信業」(10.5%)となっている。女性では、「医療・福祉」(19.5%)、「卸売業・小売業」(15.2%)、「金融業・保険業」(10.7%)、「教育・学習塾」(9.8%)となる。職種を見ると男女とも、トップが「専門的・技術的職業」で、医師や看護職、システムエンジニアなどの長時間労働の目立つ職業が増えている。正社員になったとしても、ワークライフバランスを図ることが難しい業界や職種に雇用の受け皿がある。

 そうしたなかで、「社員=親」ということが理解されない職場であると、子育てのためワークライフバランスを図ろうとすれば左遷されるケースもあり、最悪のケースは退職に追い込まれてしまう。依然として労働環境が厳しいなかで、正社員で残業せずに保育所にお迎えに行くことは困難な状況だ。

 育児介護休業法の「短時間勤務制度」は、子が3歳未満の社員は1日6時間労働が認められているが、育短を取得できることになっている。労働基準法でも、30分の「育児時間」を1日2回取得できることになっている。しかし、厚生労働省の「2015年度雇用均等基本調査」によれば、育児のための「短時間勤務制度」が「ある」企業は57.8%で、約4割の企業には制度すらない。制度があっても、最長利用可能期間が最も多いのが「3歳に達するまで」(59.7%)で「小学校就学の始期に達するまで」は19.8%に留まる。

お迎えで早く帰っても、仕事は持ち帰り

 そして、国立社会保障・人口問題研究所の「第15回出生動向基本調査」(2015年実施)では、「育児時間制度・育児短時間勤務制度」を利用した女性は、わずか7.1%しかいない。それだけ、延長保育などのニーズがあるわけだ。取材のなかでも、仮にお迎えのために早く帰ったとしても、実際には仕事を持ち帰り、深夜や早朝に自宅でPCに向かっているケースは決して少なくない。

 この間、雇用環境だけではなく、社会構造そのものも変わった。2005年と2015年の10年を比べると、「児童のいる世帯」は33.3%から23.4%に減った。その一方で、核家族は69.3%から80.9%に増えている(厚労省「国民生活基礎調査」)。つまり、小さな子どものいる世帯が、社会から見えづらくなっているのだ。

 ベネッセ次世代育成研究所が行った「第4回 首都圏・地方支部ごとにみる乳幼児の子育てレポート」(2010年9月)では、0〜2歳児の子育て調査を行っている。自宅で母親と子どもだけで過ごす時間が1日15時間以上というケースが、22.1%で、5人に1人は寝る時間以外はほとんど母子で生活をしていることになる。そして、3人に1人の母親が、子どもの祖父母に子どもを預かってもらうことが全くない。さらに、4人に1人の母親は、地域の中に、子ども同士を遊ばせながら立ち話をする程度の人が1人もいない。7年前の調査であるが、実情は今もさほど変わらないだろう。

 もし母親が「妊娠解雇」に遭っていれば、職場から分断されるため、なおさら孤立は深まる。これでは、虐待あるいは虐待一歩手前というのが他人事ではなくなっていく。子育て世代の雇用が崩壊し、社会が子育てに不寛容であるなかでは、保育所に一層と「親支援」という役割や、地域とつながる新たな役割が必要とされている。現在、それは保育所内で行われる地域に向けた一時保育や、地域に開放された地域子育て支援事業に見られるが、そうした機会の拡充はもちろん、在園児にも親が安心して子育てに向かえるための保育環境の整備や「子どものための親の安定」を意識した保育が求められているのではないだろうか。

 親のワークライフバランスが図られ、延長保育や土曜保育などを使うことが減って子育ての時間が増えることは理想だ。しかし、残業規制を巡って経済界が「繁忙期は月100時間の残業の例外」という過労死ラインを超えた残業時間を主張する現状から、長時間労働を是とする企業体質はすぐには変わらないことが透けて見える。そうした現実からすると、延長保育や休日の保育、そして0歳児保育の実施が実現されなければ、親の雇用が奪われてしまいかねず、保育所の柔軟な運用なしに親の雇用は守られないのだ。

0歳児保育の枠こそ増やすべき

 妊娠・出産・育児期の女性の雇用情勢からすれば、0歳児の枠こそ増やしていかないと、待機児童の解消にはつながらない。ただ、いくら急ピッチで保育所を新設していっても限界がある。私見であるが、保育所整備が追い付かない間の時限的な策のひとつとして、育児休業給付金の支給を例外なく就業継続を希望する全員に拡充してしまう方法も考えられるのではないだろうか。

 厚労省によれば、育児休業給付金の平均支給額は月額で約13万円。0歳児を1人受け入れる際のコストが月40〜50万円ほどかかるとすれば、0歳児枠1人分の財源で約3人の育児休業給付金を支給できると筆者は考える。0歳で保育所に入ることができなくても現物給付が叶えば、安心して子育てする機会を得る、就業継続を諦めずに割高の認可外に預けることができるようになるなど、今より道が開けるはず。出産を機に半数が辞める現状を食い止める一案にはならないだろうか。

 「一億層活躍」や「女性活躍」の実現のため、保育所が本当に必要なだけ整備されるまでの何年間かでも、たとえマタハラに遭い「妊娠解雇」されたとしても育児休業給付金を支給するなど、社会構造が変わった今、大胆な政策転換が必要だ。

 2016年4月の0歳児の保育所などの利用数は、13万7107人。0歳児の数そのものは96万7100人。仮に、0歳児の利用希望が6割だとすると、合計で58万260人が保育を必要とする。育児や次の就業への準備に充てるため、残りの約44万人分を育児休業給付金(月13万円)で賄ったとすると、単純計算で年間で約6900億円かかるが、女性の就業継続が叶えばマクロ経済への効果は大きい。内閣府は2011年時点で、女性の潜在労働力342万人によって雇用者報酬総額が7兆円増加する可能性を示している。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9308


 

 

「おせっかい」が救う、50歳の引きこもり息子を抱えた高齢家族
ライフ2017.04.12 29 by 廣田信子『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』
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先ごろ、「50歳までに一度も結婚したことがない人は男性で4人に1人、女性で7人に1人」という調査結果が発表されました。無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者で住居・マンション事情に詳しい廣田信子さんは、この未婚の男女には「引きこもり」の人たちも含まれいるはずで、現状では本人とその家族のフォローが行われていないことを危惧するとともに、「おせっかい」の有用性を訴えています。

50歳独身引きこもりを抱える家族をどう見守るか

こんにちは! 廣田信子です。

国立社会保障・人口問題研究所の調査で50歳まで一度も結婚したことがない人が2015年に男性で4人に1人、女性で7人に1人いたと報道されました。

研究所は5年に1回、国勢調査を分析して「生涯未婚率」を割り出しています。50歳まで結婚したことがない人の割合を「生涯未婚率」といっています(50代、60代で結婚する人もいるだろうと思いますが、一応そういう定義です)。

「生涯未婚率」は、男性が前回調査比3.23%増の23.37%、女性は3.45%増の14.06%でした。この数字にはさすがにびっくりしました。

男性は1970年まで、女性は60年まで1%台だったのに、その後、ものすごい勢いで増加しています。少子化が進むのも、うなずける数字です。

同研究所が昨年9月に公表した出生動向基本調査によると、「いずれは結婚したい」と考える18〜34歳の未婚者の割合は男性85・7%、女性89・3%となっていて、結婚を望んでいない訳ではないのに、結婚に踏みきれない障害として、「結婚資金」や「結婚のための住居」の確保をあげる人が多く、「非正規労働者の増加も生涯未婚率の上昇に影響している」と言われていますが…。

周囲に知られていない「高齢の引きこもり」という存在

もっと深刻な引きこもりのまま50歳を迎えるというケースもあります。先日、名簿を提出してもらえない状況を憂う理事長さんが、言っていました。

「もう、分からないんだよね。誰がどのような状況で暮らしているか。どうも、80歳代の親のところへ、途中で戻ってきたまま引き込もっている50歳の男性がいるらしいけど、もちろん届出はないし、親は近所とも付き合わないし、その息子の姿もほとんど見ないので、管理員さんしか存在を知らないんだよね。親が隠したがっているので、知らないふりをしているべきかとも思うけど、親が弱ったらどうするのか心配なんだよね…」

と。話を聞いた私も心配になりました。

引きこもりの人の就労支援は、ほとんどが34歳までと言われます。40歳になると難しいと言われる中、50歳を迎える人も、今後どんどん増えてくると思います。この理事長さんのように、何となく察して気にしてくれている人がいるのはまだましで、本当に、マンションの中で孤立していても、誰も気がついていない高齢親子も、きっとたくさんいるんだろうと思います。

みんなが、さりげなく近所に注意を向けるって、やっぱり必要ですね。で、もう少し、踏み込んで、ちょっとおせっかいに働きかけることも…。そのおせっかいが、孤立している人を救うことにもなります。私も、ちょっとおせっかいになろうと思います。

image by: Shutterstock.com

『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』
著者/廣田信子(記事一覧/メルマガ)
マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。
http://www.mag2.com/p/news/245948/2


遊民さんがリツイート
namake_taio? @NamakeTaio 4月12日
その他
高齢引き篭もりも、未婚も個人の志向の話で部外者には何も問題ないはずなのに。ぼんやり問題ありそうだから監視しようというこの意味不明な文章が不気味すぎる。
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「おせっかい」が救う、50歳の引きこもり息子を抱えた高齢家族

https://twitter.com/yumin4

http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/123.html

[国際19] ルペン氏、トランプ米大統領を批判−NATOについて「考え変えた」 中国:3月のファイナンス活動、予想上回る−当局が対策講
ルペン氏、トランプ米大統領を批判−NATOについて「考え変えた」
John Follain
2017年4月14日 18:09 JST
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フランスの極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首は14日、米国は世界の警察官ではないと主張していたトランプ米大統領は考えを変えたようだと述べ、米政権メンバーから影響を受けている可能性があるとの見方を示した。
  トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長との12日の会談後にホワイトハウスで記者会見を行い、NATOはテロとの戦いにおいて「もはや時代遅れではない」と述べた。同大統領は1月にNATOを「時代遅れ」と評していた。
  ルペン氏は仏ラジオ局フランス・アンフォのインタビューで、「トランプ氏は明らかにそれまでのコミットメントと矛盾している」と指摘。「私は首尾一貫している。数日で心変わりすることはない」とし、「トランプ氏は世界の警察官にはならないと言っていたが、考えが変わったようだ」と述べた。
  ルペン氏はフランスのNATO脱退を主張している。
原題:Le Pen Criticizes Trump for Changing His Mind on NATO (Correct)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OOE5JV6S972B01

 

中国:3月のファイナンス活動、予想上回る−当局が対策講じる中
Bloomberg News
2017年4月14日 16:46 JST
 
中国経済全体の3月のファイナンス規模は市場予想を上回った。当局は高騰する不動産価格の抑制や過剰な借り入れの削減に向けた取り組みを進めていた。
  中国人民銀行(中央銀行)が14日発表した3月の経済全体のファイナンス規模は2兆1200億元(約33兆5400億円)。ブルームバーグが調査した市場予想の中央値は1兆5000億元だった。人民元建ての新規融資は1兆200億元。市場予想は1兆2000億元。
  マネーサプライ(通貨供給量)統計では、3月のM2が前年同月比10.6%増。市場予想では11.1%増が見込まれていた。
原題:China Credit Growth Accelerates, Defying Property Purchase Curbs(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OOE2AY6JIJUQ01
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/138.html

[原発・フッ素47] 米ウェスチングハウスの経営破綻で契約社員が原発建設現場に姿見せず 
米ウェスチングハウスの経営破綻で契約社員が原発建設現場に姿見せず
Christopher Martin
2017年4月14日 10:07 JST

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Toshio Morita Photographer: Akio Kon/Bloomberg
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スキャナ:VCサマー原発の作業は継続中−州当局者に説明
原発プロジェクトの評価期間中、計画断念も含めた選択肢検討

米電力会社スキャナの原子力発電所プロジェクトで原子炉2基の建設を受託した東芝傘下ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が経営破綻した。その結果、スキャナの信用格付けは引き下げのリスクが生じ、株価は大幅下落している。さらに今、原子炉完成を支えるために雇用された労働者の一部が作業現場に姿を見せていない。
  スキャナ幹部は12日にサウスカロライナ州当局者との会合で、ウェスチングハウスが先月、連邦破産法11条の適用を申請したものの、VCサマー原発で建設中の原子炉2基の作業は継続中だと説明した。ただ、スキャナによれば、ウェスチングハウスは週末や時間外の作業を縮小しており、同社が破産申請して以来、受託業者フルアーで新規採用者が研修に姿を見せないケースが「多発」しているという。
  同州の公共事業委員会が13日公表した記録によると、スキャナのシニア・バイスプレジデント、スティーブン・バーン氏は「プロジェクトのこの側面について、そうした傾向が続くのかモニターしている」と説明。「現場の作業は大きな混乱なく続いている」とも述べ、1月当たり約1億2000万ドル(約130億円)が建設の継続に支払われていることを明らかにした。
  ウェスチングハウスの破綻はスキャナの原子炉や、ジョージア州での電力会社サザンのボーグル原発プロジェクトの行方に疑問を投げかけている。ウェスチングハウスは建設完了にはさらに40億ドルの費用が生じる可能性があると試算しているが、サザンやスキャナからは徴収できない。プロジェクトは既に予定より何年も遅れており、大幅な予算超過となっている。バーン氏はウェスチングハウスが主要受託業者の立場を退いた場合、スキャナのプロジェクトを完成させる能力のある2社としてフルアーとベクテルを挙げた。フルアーは現時点で取材要請に応じていない。
  スキャナのジミー・アディソン最高財務責任者(CFO)は12日の会合で、VCサマー原発プロジェクトが予算超過推定額のうち15億ドルを占めるとウェスチングハウスから最近説明されたことを明らかにした。ウェスチングハウスが撤退した場合、スキャナは同社に約17億ドル相当の損害賠償を請求し、東芝に直接補償を求める可能性もあるとの見解を示した。
  スキャナはVCサマー原発プロジェクトの選択肢を見直す30日間の評価期間に入っており、建設継続や2基のうち1基の計画断念、2基の建設を完全にとりやめることも検討している。
原題:Westinghouse Woes Have Nuclear Contract Workers Failing to Show(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OODCM56JTSEA01

http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/778.html

[経世済民121] ドルが対円で反落、米CPIが予想下回り 日経下落18260円 GDP統計大改革 人口減と高齢化加速 浅田真央引退が心に響
NY外為(14日):ドルが対円で反落、米CPIが予想下回り
Brian Chappatta
2017年4月15日 05:25 JST

14日のニューヨーク外国為替市場ではドルが 対円で反落。3月の米消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったた め、世界的なリフレ取引の持続性について懐疑的な見方が強まった。
3月のCPIは2016年2月以降で初めて前月比で低下した。
ニューヨーク時間午後3時55分現在、ドルは対円で前日比0.4%安 の1ドル=108円62銭。対ユーロではほぼ変わらずの1ユーロ=1.0612 ドル。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・ス ポット指数は前日比0.1%上昇。
原題:Dollar Drops After U.S. Inflation Falls for First Time in a Year(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OOF11RSYF01T01


 

 
GDP統計、大改革始動 14年かけ米欧の手法に刷新
2017/4/15 1:47日本経済新聞 電子版
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 モノやサービスなどの国内で生み出された付加価値を示す国内総生産(GDP)の見直しが2017年度に始まる。戦後一貫して使用してきた統計手法ではIT(情報技術)産業など複雑な経済の流れを捉え切れなくなったためだ。14年間というとても長い時間をかけ、米欧など他の先進国のやり方にそろえていく大改革だ。統計の精度向上でサービス産業などのGDPが増えるとみる専門家も多いが、調査で事業者の負担が増すとの懸念も…
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15358850V10C17A4EA3000/

 

GDP推計方法見直しへ 統計改革推進会議が中間報告
2017/4/14 17:24
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 政府は14日、国内総生産(GDP)など経済統計の精度向上策を検討する「統計改革推進会議」(議長・菅義偉官房長官)の第2回会合を開き、中間報告をまとめた。証拠に基づいた政策立案(EBPM)ができる体制づくりを盛り込んだ。より実態に合った統計データの整備により、課題を正確に把握し、政策効果を高める。

 GDPの基礎となる統計「産業連関表」の見直しにも触れた。産業ごとの商品の生産と購入をまとめた「供給・使用表(SUT)」を用いることでサービス産業などの経済実態を的確に把握できるようにする。統計データの利用促進や統計行政の見直し、統計分野の人材育成強化なども指摘した。

 会議は関係閣僚や大学教授、日銀総裁、民間エコノミストらで構成する。5月に具体的な方針をまとめ、6月にもまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に反映する見通しだ。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL14I0J_U7A410C1000000/?n_cid=SPTMG002

 

 


日経平均先物、夜間取引で下落 60円安の1万8260円で終了
2017/4/15 5:54日本経済新聞 電子版
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【NQNニューヨーク=古江敦子】日本時間15日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL15H0E_V10C17A4000000/
 

 

近畿2府4県の人口推計減少 大阪・京都では社会増
2017/4/15 6:02
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 総務省が14日発表した2016年10月1日時点の人口推計は近畿2府4県すべてで減少した。少子高齢化を反映し、全府県で出生数を死亡数が上回る「自然減」となった。一方、府県内への転入数と転出数のバランスを示す社会増減率は奈良県や和歌山県が「社会減」となったが、大阪府と京都府が「社会増」となり、同じ近畿圏でも強弱が鮮明になった。

 2府4県の推計人口は2068万1千人と前年比0.21%減り、減少率は全国平均(0.13%)を上回った。府県別では大阪府が0.08%減の883万3千人、京都府が0.19%減の260万5千人、兵庫県が0.27%減の552万人だった。

 主要な働き手となる15〜64歳の2府4県の生産年齢人口は1241万人と5年前から6.4%減った。和歌山県や奈良県の5年間の減少率は10%近い。

 滋賀県は自然増減率が1970年の調査公表以来、初めて減少に転じた。三日月大造知事は「少子高齢化の進行は続いており、危機感を再認識している」とコメントした。自然減は他府県にも共通した傾向だが、社会増減率でみると府県別の差が大きい。

 大阪府は0.09%の社会増となり伸び率が0.03ポイント拡大した。訪日外国人の増加で流通・サービス業などの雇用が増加。大阪市中心部などのマンション開発も追い風となり、進学や就職時に近隣府県などから移住する若者が増えたとみられる。

 京都府の社会増減率は0.04%増となり、1983年以来のプラスとなった。関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)や京都市周辺で宅地の開発が進んだことが背景にある。府は「府の子育て支援策などが人口流出を抑えている可能性がある」(企画統計課)としている。

 兵庫県の社会減少率は0.06%と前年の0.12%からやや改善したとはいえマイナスが続く。井戸敏三知事は「大学の卒業生が就職時点で東京、大阪に流出しているのが一番の原因」と分析する。和歌山県や奈良県は社会減少率が広がった。

 人口減に危機感を強める自治体は対策を急ぐ。兵庫県は東京都にある移住希望者の相談拠点に4月、職業紹介を担う「カムバックひょうごハローワーク」を併設。6月には県内企業の求職情報や紹介リポートを載せたポータルサイトを開設する。大阪府は東京を中心とする専修大学や日本大学など6校と、近畿出身の学生らに地元企業への就職を促す協定を結んだ。

 もっとも近畿全体でみれば東京圏などへの人口流出は続いており、こうした自治体の対策には限界がある。人口減に少しでも歯止めをかけるには、若者らをひき付ける新産業育成など雇用創出の取り組みが欠かせない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15353540U7A410C1LKA000/
 

 


日本の総人口1億2693万人 減少幅拡大
2017/4/14 19:12
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 総務省は14日、2016年10月1日時点の人口推計を発表した。外国人を含む総人口は15年と比べて16万2千人少ない1億2693万3千人となった。6年連続で減少し、過去最多だった08年から約110万人減った。1年間の死亡者数から出生数を差し引いた「自然減」は、統計を始めた1950年以降で最多の29万6千人。少子高齢化が進み減少幅が広がった。

 人口推計は国勢調査をもとに、毎月の人口移動などを加味して推計する。毎年4月に前年の10月時点の数値を公表する。

 自然減は07年以来、10年連続となった。1年間の出生児数は100万4千人で死亡者数は130万人。自然減は男性は12年連続、女性は8年連続となった。今後も高齢者の増加と出生数の減少の傾向は変わらない見込みで、自然減の減少幅の拡大が続くとみられる。

 労働の担い手となる15〜64歳の「生産年齢人口」は、前年比72万人減の7656万2千人だった。総人口に占める割合は60.3%で、終戦後の1951年の60.0%に次ぐ低さだった。一方で65歳以上の高齢者(老年人口)は72万3千人増の3459万1千人。高齢者が人口に占める割合は27%を超え、過去最高となった。

 入国者数から出国者数を差し引いた「社会動態」は13万4千人のプラスとなった。入国者数は336万1千人と、東日本大震災があった11年の減少以降、5年連続で増えている。政府による外国人労働者受け入れ政策などの効果で、長期滞在をする外国人が増加。国内の生産年齢人口の減少を補っている側面もある。

 総人口を男女別にみると、男性は前年比0.12%マイナスの6176万6千人。9年連続で減った。女性は0.13%減の6516万7千人となり、6年連続の減少となった。

 日本人のみの人口は前年と比べて0.24%減少して1億2502万人。マイナス幅は6年連続で拡大している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H6K_U7A410C1MM8000/


 
日本の総人口、1億2693万人 6年連続減 総務省
久永隆一2017年4月14日21時14分
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 総務省は14日、2016年10月1日現在の人口推計を発表した。総人口は前年より16万2千人(0・13%)減の1億2693万3千人で6年連続の減少。65歳以上の割合は27・3%と過去最高で、15歳未満は12・4%と過去最低だった。

 都道府県別にみると、40道府県で人口が減った。昨年4月の熊本地震で大きな被害が出た熊本県の減少率は0・67%で、前年の0・47%から0・20ポイント拡大し、全国で最も悪化した。担当者は「地震後に転出者が増えたことが要因の一つと考えられる」と話す。減少率が最も大きいのは秋田(1・30%)で、青森(1・13%)、高知(1・00%)と続いた。

 一方、人口が増えたのは7都県。増加率が大きかったのは東京(0・80%)、沖縄(0・40%)、埼玉(0・32%)、愛知(同)の順だった。地方から大都市圏への人口流出が続いている。

 日本人のみの人口は前年より29万9千人(0・24%)減り、1億2502万人。外国人は13万7千人(7・71%)増の191万3千人で、入国者数から出国者数を引いた「社会増加」は4年連続増加の13万6千人だった。(久永隆一)

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http://www.asahi.com/articles/ASK4G5QZ0K4GULFA02H.html


総人口1億2693万人=6年連続で減少―生産年齢割合、6割に・総務省推計
時事通信 4/14(金) 15:30配信

 総務省は14日、2016年10月1日現在の推計人口を公表した。

 在日外国人を含む総人口は前年比16万2000人(0.13%)減の1億2693万3000人で、6年連続の減少。15〜64歳の生産年齢人口が総人口に占める割合は60.3%となり、ピークだった1992年の69.8%に比べ1割近く減少した。

 在日外国人を除いた人口は29万9000人(0.24%)減の1億2502万人。減少幅は過去最大となった。

 65歳以上の高齢者は3459万1000人で、総人口に占める割合は27.3%。75歳以上は1690万8000人で13.3%に達し、いずれも過去最高を更新した。一方、0〜14歳の年少人口は1578万人となり、総人口に占める割合は12.4%と過去最低を記録。少子高齢化が一段と進んだ。 

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最終更新:4/14(金) 22:18
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170414-00000069-jij-pol


 


 


浅田真央の引退が心に響いたわけ

青島健太「スポーツ社会学」

世界と戦い続けた時代のアイコンも目標を失う
2017年4月15日(土)
青島 健太
 深夜、外資系の会社に勤める旧友から携帯にメールが届いた。

 フィギュアスケート・浅田真央の引退を知って驚いている内容だった。彼がどれほどの浅田ファンだったのかは知らないが、海外を飛び回る仕事をしていながらもずっと気になる存在だったことは確かだろう。そうでなければ彼女の引退を受けて深夜にメールなどしない。


「この先も新たな夢や目標を見つけて、笑顔を忘れずに、前進していきたい」。4月12日の引退会見で涙を浮かべることもあった浅田真央さん。(写真:ロイター/アフロ)
浅田真央とは何だったのか?

 かく言う私もそうだ。

 自分の娘より若い女性スケーターをこれほど長く追いかけることになるとは思っていなかった。折あるごとに彼女の活躍を取り上げて、原稿を通じて泣いたり笑ったりしてきた。浅田真央の代名詞「トリプル・アクセル」は、伝家の宝刀であり、諸刃の剣であり、世界を感動させる武器であり…、さまざまな意味において私がスポーツ評論で使う重要な言葉にさえなっていた。

 彼女のスケーターとしてのすごさや、純真なパーソナリティーについては、これからたくさんのメディアが報じることになるだろうから、本稿でそこに触れるつもりはない。

 考えたいのは、「浅田真央とは何だったのか?」という存在そのものの理由だ。

 おそらく彼女は、「時代のアイコン」だったのだろう。

 戦後の日本。復興の象徴として活躍したプロレスラー・力道山は、外国人レスラーに空手チョップをお見舞いして日本再建のイメージを多くの人に届けた。

 日本経済が高度成長期を迎えた頃に強いイメージを背負って躍進したのは9連覇の巨人であり、その主役は明るさと勝負強さの象徴である長嶋茂雄と世界スケールのホームランを打ち続ける王貞治の両人だった。

 平成になってからの時代の象徴は、メジャーリーグの扉を開けた野茂英雄であり、ヤンキースで4番を任された松井秀喜であり、現在ではピートローズを抜いて世界最多のヒットを打ち続けているイチローが務めている。

 本コラムでも取り上げたサッカーのカズ(三浦知良)も、いち早く海外でのプレーを求めてブラジルやイタリアでプレーし、50歳になった今でも日本人が求める勤勉と美徳を背負って「時代のアイコン」となっている一人だろう。

不運から立ち上がる姿勢が国民の希望に

 浅田真央が背負ってきたものは何なのか?

 多くの人が彼女に何を投影してきたのか?

 それは抜群の才能と天性の明るさを持ちながらも、何故か五輪というひのき舞台では結果に恵まれなかった彼女の歩みに起因するのだろう。

 2006年トリノ五輪は、出場年齢に数か月足りず滑ることができなかった。2010年バンクーバー五輪は、韓国のキム・ヨナに僅差で敗れて銀メダル。雪辱を期した2014年ソチ五輪では、ショートプログラムで出遅れたものの、フリーでは世界中を感動させる完ぺきな演技を見せた。しかし結果は6位に終わった。

 あと一歩のところで涙を飲みながらも、諦めることなく這い上がってきた。しかもいつでも前向きにエレガンスを忘れることなく…。

 誰かを恨むことやネガティブな発言も一切なく、必ず笑顔で立ち直ってきた。そんな彼女の生き方(競技生活)に多くの人が共感し、自分たちの置かれた状況とだぶらせて浅田さんの戦いを見ていた。

 何があってもへこたれない。この閉塞感の漂う今の時代に「浅田真央という存在」が多くの人にとって希望であり、世界への架け橋であり、生き方のテキストだったのだろう。だから、男女を問わず年齢を問わず、多くの人が彼女に関心を寄せてその活躍を見守っていたのだ。

五輪出場の目標消え、気力が限界に

 その「時代のアイコン・浅田真央」もついに引退。何とも言えない寂しさが伴うのは当然のことだ。しかし、時代は次なるアイコンを作り出すことになるだろう。それが誰なのか、どんな人なのかは、この時代しか知らない。

 浅田さんは、引退を告げたブログにこう綴っている。

 「去年の全日本選手権を終えた後、それまでの自分を支えてきた目標が消え、選手として続ける自分の気力もなくなりました」

 自分を支えてきた目標とは、やはり五輪という舞台だったのだろう。若手の台頭もあり、全日本選手権の結果により日本代表から外れたことによって、彼女の五輪出場は事実上途絶える形になっていた。彼女がスケーター・浅田真央であり続けられた理由は、やはり目標とするものがあったからなのだ。それがなくなると、世界の浅田真央ですら滑れなくなってしまう。これは私たちにとっても、考えるべき、そして忘れてはいけない心と体のシステムといえるだろう。

 ただ、浅田さんは目標の大切さをちゃんと知っている。だから最後には、こう言って引退表明を締めくくっている。

 「これは、自分にとって大きな決断でしたが、人生の通過点だと思っています。この先も新たな夢や目標を見つけて、笑顔を忘れずに、前進していきたいと思っています。皆様、今までたくさんの応援、本当にありがとうございました」

 まだ26歳の彼女だが、「時代のアイコン・浅田真央」を見事に演じ切って、爽やかに次の人生に向かった。


このコラムについて

青島健太「スポーツ社会学」
元プロ野球選手で現在はスポーツライター、キャスターとして活躍する青島健太氏。野球はもちろんのこと、オリンピック、テニス、フィギュアスケート、サッカーなど、その守備範囲は広い。そうした様々なスポーツを題材に、社会やビジネスに通じる真理を抽出、若手ビジネスパーソンへの提言としてまとめる。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/122600093/041400015

http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/135.html

[経世済民121] 戦後初の市場リスク環境、多様な変数と心理のあや 米消費者物価指数0.3%低下 「超強硬対応、在日米軍も照準」北朝鮮軍
Column | 2017年 04月 14日 18:45 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:

戦後初の市場リスク環境、多様な変数と心理のあや

http://s4.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170414&t=2&i=1180629187&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED3D088
写真は13日KCNA提供写真(2017年 ロイター)

田巻 一彦

[東京 14日 ロイター] - 東京市場が「地政学リスク」に直面している。中東戦争やイラク戦争など日本から「遠い」地域での有事は「ドル買い」と単純に反応してきたが、朝鮮半島有事の場合は日本国内も多様なリスクにさらされ、それをどのように市場価格へと結びつけるのか、頭を悩ませている市場関係者が多い。

第2次世界大戦後、初めて日本が経験するリスク環境と言え、米国、中国、北朝鮮、韓国などの動向に「耳目」を集中させる局面となっている。

<リスクに警戒する米当局>

米中央情報局(CIA)のポンペオ長官は13日、ワシントンの米戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、北朝鮮は核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルを手にして米国を脅かす状況に「かつてないほど近づいている」と警告。米国の選択は狭まっており、「北朝鮮のリーダーにとって、悪い決定と厳しい1日を目にする可能性が高まった」と述べた。

また、米国防総省は、米NBCが米情報機関高官の話として、北朝鮮が核実験を断行すると判断した場合、米国は通常兵器で先制攻撃する用意があると報道したことに対し、コメントを拒否した。そのうえで可能性のあるシナリオについて、公的に憶測を述べることは、ポリシーとして行わないとした。

ダナ・ホワイト広報官は声明で「不測の事態に備え、司令官は常に様々な選択肢を検討している」、「日韓など同盟国の防衛にコミットしている」と述べた。

一方、トランプ米大統領は13日、「北朝鮮は問題だ。その問題は今後、対処される」と述べ、中国の習近平国家主席が問題解決に「懸命に取り組む」との見方を示した。

また、複数の国内メディアは、日本政府が13日に開催した国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合で、朝鮮半島の有事の際、韓国にいる在留邦人の保護や避難策などについても話し合ったと報道している。

<市場覆う重苦しさとこう着感>

マーケットにはジワジワと緊張感が広がり出しているが、ある国内金融機関の担当者は「日本国内の被害を織り込んでいる参加者はほとんどいないはず」と述べる。

米軍の先制攻撃や北朝鮮の反撃は、互いに多大の損害発生が予見され「合理的に考えれば、両者とも損になる。ブラフはかけても、武力衝突は避けるのではないか」と話す。

14日の東京市場でドル/円JPY=EBSは109円前半、日経平均.N225は1万8300円台を中心としたレンジ取引となっており、先の市場関係者の発言を裏付けるような展開だ。

ただ、別の国内金融機関の関係者は「重苦しいムードになってきたのは事実。リスク資産から安全資産へというマネーフローになりつつある」と話す。

とはいえ「あまりにも変数が多く、ブレグジットの時のように残留か離脱かのような2者択一の決め打ちができない」(冒頭の国内金融機関関係者)との見方が多い。

<市場参加者には読めない軍事的な展開>

複雑な情勢判断を求められる現状では、取引を手控える方向に傾きやすくなっているようだ。

まず、選挙の投票日のような明確な節目が見えないため、いつまでリスクオフ心理が継続するのか読めない、という。

また、米国が認識しているいわゆる「レッドライン」(重大な一線を越えたと判断される出来事)が何か不明であるため、北朝鮮が核実験やミサイル発射を実行した場合、その内容によってその後の事態が大きく変わる可能性があるが、マーケットの一般的な参加者には判断が難しいという声も出ている。

仮に米国の先制攻撃があったとしても、そのオペレーションの内容によって、北朝鮮の反撃手段も変わってくると予想され「軍事専門家のリポートを詳細に探しているが、参考になるような情報は得られていない」と話す参加者もいる。

北朝鮮のミサイル発射によって、日本の排他的経済水域への着弾はあったものの、これまで領土・領海内における被害は発生していない。

しかし、マーケットの重苦しいムードの背景に「もしや」の思いがあるのは確かだ。東京市場は第2次世界大戦後、初めての「緊張感」と向き合っていると言えそうだ。

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2月から朝鮮半島有事の対応検討
http://jp.reuters.com/article/column-tokyomkt-idJPKBN17G0GG?sp=true


 

http://fx.dmm.com/market/news/


 

米消費者物価指数:3月は0.3%低下、1年ぶりのマイナス
Michelle Jamrisko
2017年4月14日 23:58 JST

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米労働省が14日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は2016年2月以降で初めて前月比で低下した。
  CPIは前月比0.3%低下。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値では前月比変わらずだった。2月は0.1%上昇。
  前年同月比では2.4%上昇(前月2.7%上昇)。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は2.6%だった。
  食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.1%低下と、2010年1月以降で初めてのマイナスとなった。コア指数は前年同月比では2%増。


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ivbMMu88eGqw/v2/-1x-1.png

  パンセオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏はリポートで、「1カ月の弱い数字が新たなトレンドを形成することはないが、4月の明確な回復が望まれる。3月のような数字がもう1カ月続くようだと、6月利上げの可能性はかなり低下するだろう」と指摘した。
  項目別に見ると、エネルギーが前月比で3.2%低下。ガソリンの6.2%低下を反映した。食品は0.3%上昇。
  中古車は前月比0.9%低下と、2014年12月以降で最大の下げ。前年同月比では4.7%減。
  居住費は0.1%上昇と、14年6月以来の小幅な伸びにとどまった。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Consumer Prices in U.S. Fall 0.3%, First Decline in a Year(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-14/OOELRRSYF01S01


 


 


米大統領、公開引き継がず=ホワイトハウスの来訪者記録【4/15 05:24】
【ワシントン時事】トランプ米政権は、ホワイトハウスの来訪者記録を原則公開するオバマ前政権の政策を引き継がないことを決めた。米メディアが14日、報じた。識者の間では政策決定プロセスの透明性が失われると批判が強まりそうだ。

オバマ前政権は来訪者の名前や面会相手をインターネットで公開していた。それでも機微に触れる訪問などを例外扱いとしたため、トランプ大統領は2012年に「オバマ氏は史上最も不透明な大統領だ」とツイッターで批判したことがある。

米メディアによると、トランプ政権は一部の部署への訪問者を情報公開請求に基づいて公開するだけで、ほとんどの記録は大統領の退任後まで公開しない。「安全保障上の重大なリスクとプライバシー上の懸念」を理由に挙げているという。

ロウハニ大統領が再選出馬=イラン【4/15 05:22】
【カイロ時事】イラン国営テレビによると、ロウハニ大統領は14日、5月19日投票の大統領選挙への立候補を届け出た。大統領はその後、記者団に対し、2015年に実現した欧米など6カ国との核合意について「合意を維持することがイランの政治、経済にとっての最重要事項の一つだ」と訴えた。


米国防長官、中東アフリカ歴訪へ【4/15 01:07】

爆風爆弾でIS戦闘員36人死亡=「米と共同作戦」―アフガン【4/15 00:37】

【ニューデリー時事】アフガニスタン国防省は14日、東部ナンガルハル州アチン地区で米軍が13日投下した大規模爆風爆弾(MOAB)で、過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員少なくとも36人が死亡したと発表した。民間人の死傷者はいなかったという。地元メディアによれば、米軍とアフガン治安部隊は空爆後、同地区に地上部隊を派遣し、掃討作戦を開始した。

同省は声明で「ISの主要な隠れ家と地下トンネルから成る複合施設が破壊された」と述べた。爆撃当時は武装したIS戦闘員40〜70人が現場付近にいたという。

アフガン大統領府も「空爆は米、アフガン両軍の共同作戦で、民間人死傷者を出さないように細心の注意が払われた」と強調。アフガン治安部隊と米軍を主力とする駐留国際部隊の対テロ作戦を支援する狙いだったことを明らかにした。

アチン地区行政関係者はAFP通信に「爆発は今まで見たことがないほど大規模で、巨大な火柱が上がった」と語った。

ISと敵対関係にあるアフガンの反政府勢力タリバンは、空爆は正当化できるものではないとの声明を発表し、米軍を「国際的犯罪者だ」と非難した。

柏崎再稼働、最短で19年想定=収支見通し―東電再建計画【4/14 23:37】

米挑発に「超強硬対応」=「在日米軍も照準」―北朝鮮軍【4/14 23:19】

【ソウル時事】北朝鮮国営の朝鮮中央通信によると、朝鮮人民軍総参謀部報道官は14日、声明を出し、米原子力空母カール・ビンソンの朝鮮半島近海への急派などを「挑発策動」と強く非難し、「超強硬対応」で徹底的に粉砕すると警告した。

声明は「超強硬対応には、先制攻撃も含まれる」とし、在韓米軍の基地や韓国大統領府を「数分間で焦土化する」と威嚇。「日本本土や沖縄、グアムなどの米軍基地はもちろん、米本土もわが戦略ロケット軍の照準圏内にある」と強調した。

声明は「現在、朝鮮半島では、トランプ政権の無謀な軍事的挑発で極めて深刻な状況が醸成されている」と主張。「米国務長官や国防長官らは、わが国に対する単独軍事行動を口にしている」と指摘し、トランプ政権の強硬姿勢に強い警戒感を表明した。さらに、「攻撃されても直ちに対応できないシリアのように、わが国に対応すれば、それほど大きな誤算はない」と主張した。

その上で、「米国は問題解決のため、正しい選択をしなければならない」と述べ、北朝鮮への「敵視政策」の放棄を改めて要求した。


エコカーにも目配り=将来の成長見据え―NY自動車ショー【4/14 23:13】
英観光客、刺殺される=路面電車内で―エルサレム【4/14 23:02】
【エルサレム時事】イスラエルのメディアによると、エルサレム旧市街近くで14日、路面電車に乗っていたパレスチナ人の男が、別の乗客の20代の英国人女性観光客を刃物で刺し、女性は搬送先の病院で死亡した。ほかにも2人が負傷。男はその場で取り押さえられた。

容疑者は50代の東エルサレム在住の男で、精神病を患っていたとの情報もある。

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アサド政権支援で結束=ロ・イラン・シリア外相会談【4/14 22:53】
NY円、108円台後半【4/14 22:49】
〔NY外為〕円、108円台後半(14日朝)【4/14 22:34】
〔NY外為〕円、108円台後半(14日午前8時)【4/14 22:10】
3月の米消費者物価、0.3%低下【4/14 22:00】
【ワシントン時事】米労働省は14日、3月の消費者物価指数(CPI)が季節調整後で前月から0.3%低下したと発表した。ガソリン価格の低下が影響した。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は0.1%の低下だった。コアのマイナスは7年2カ月ぶり。

項目別ではエネルギーが3.2%低下。ガソリンは6.2%の大幅な下げ。一方で、食料品は0.3%上昇した。


中国航空大手、平壌便の運航停止=経済的圧迫の見方も【4/14 21:52】
3月の米小売売上高、0.2%減=商務省【4/14 21:33】
【ワシントン時事】米商務省が14日発表した3月の小売売上高は季節調整後で4708億4400万ドルと、前月比0.2%減少した。

変動の激しい自動車・同部品ディーラーを除くと横ばい、ガソリンを除くと0.2%減、自動車・同部品とガソリンを除くと0.1%増だった。

市場予想(ロイター通信調べ)は全体が0.1%減少、自動車・同部品を除くと0.1%増加だった。

部門別に見ると、ガソリンスタンドが1.0%減(前月0.3%減)、自動車・同部品は1.2%減(1.5%減)。食品・飲料は0.5%増(横ばい)、衣料は1.0%増(2.7%減)。一般量販店は0.3%増(0.4%減)、このうちデパートは0.2%増(1.0%減)。ネットなど無店舗販売は0.6%増(0.6%増)、電子機器・家電は2.6%増(1.9%減)、建築資材関連は1.5%減(2.6%増)だった。

また、前年同月比では全体が5.2%増、自動車・同部品を除くと5.0%増。2月は当初発表の0.1%増加から0.3%減に改定された。


3月の米消費者物価、0.3%低下=ガソリン6.2%低下、コアは0.1%低下【4/14 21:31】
【ワシントン時事】米労働省は14日、3月の消費者物価指数(CPI、1982〜84年=100)が243.801となり、季節調整後で前月から0.3%低下したと発表した。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は0.1%の低下だった。

市場予想(ロイター通信調べ、中央値)は全体が横ばい、コアは0.2%上昇だった。

項目別ではエネルギーが3.2%の低下。このうち燃料油は0.8%低下、ガソリンは6.2%低下。食料品は0.3%上昇した。

コア項目では、新車が0.3%低下、中古車が0.9%低下。衣料は0.7%低下、航空運賃は0.4%上昇。帰属家賃(持ち家の家賃相当コスト)は0.2%の上昇。

前年同月比は季節調整前で全体が2.4%上昇、コアは2.0%上昇した。
http://fx.dmm.com/market/news/
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/136.html

[環境・自然・天文板6] 米政権交代で弾み?「温暖化CO2主因説」の再検証  ケムトレイルで 地球温暖化あっさり解決? 議論中心は太平洋 長期対策
米政権交代で弾み? 「温暖化CO2主因説」の再検証

(1/2ページ)2017/4/3 2:00日本経済新聞 電子版
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 二酸化炭素(CO2)による地球温暖化を否定するトランプ米大統領が、火力発電所に対するCO2排出規制の撤廃に踏み出した。去年の大統領選以降、米科学界はトランプ氏の姿勢について「科学の軽視は許されない」と猛反発しているが、人為的なCO2の排出を気候変動の主因とする温暖化論はいまだ仮説の域を出ていない。CO2以外の気候変動のさまざまな要因を検証する研究が進められており、異論も出ている。

■大きな自然変動…
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO14673300Z20C17A3000000/


 

地球温暖化の議論の中心はアメリカと中国を挟む太平洋に移った
井熊 均
2017年4月10日号掲載 印刷 記事を保存
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パリ協定の発効の前から世界中で再生可能エネルギーの導入が積極的に進められている。各国で国民の環境意識が高まっていること、大型のウィンドファームの発電コストが火力発電を凌駕するなど経済性が大きく向上したこと、化石燃料の調達リスクに晒されないためエネルギーのセキュリティが向上すること、が理由だ。

しかし、再生可能エネルギーの賦存量とコストは国によって大きく異なるため、エネルギーシステムはいくつかのパターンに分かれる。

一つ目のパターンは、再生可能エネルギーによって電力の過半を賄うエネルギーシステムだ。現在、世界中で最も普及している再生可能エネルギーは風力発電と太陽光発電だが、いずれも発電量の変動が大きく、エネルギーシステムを安定させるためには火力発電などで調整しなくてはならない。結果として、風力発電や太陽光発電で賄える電力は総電力供給の3分の1前後とされるのが一般的だ。これを引き上げようとすれば送電網側の調整機能を高めるための大きな投資が必要となる。

ただし、十分な規模の水力発電があれば、再生可能エネルギーで風力発電、太陽光発電の変動を調整することも可能だ。

しかし、それだけの規模の水力発電を持っている国はカナダ、ノルウェーなどに限られている。

二つ目のパターンは、経済性の高い風力発電を大量に導入し、火力発電で変動を調整するエネルギーシステムだ。火力発電の代わりに原子力発電を導入することも考えられるが、福島第一原子力発電所の事故以来、コストが高まり、導入反対の声も強くなったため、火力発電が調整電源の中心となる。

三つ目のパターンは、経済性の高い太陽光発電を大量に導入し、火力発電で変動を調整するエネルギーシステムだ。まだ、世界的に例はないが、今後太陽光発電の効率が高い低緯度の国で低炭素型のエネルギーシステム作りが進む際に、採用される可能性があるシステムである。

四つ目のパターンは、経済性の高い風力発電や太陽光発電も、豊富な水力発電資源もない国で、あらゆる再生可能エネルギーを組み合わせて作られるエネルギーシステムだ。

これまで再生可能エネルギー市場の中心となってきたEU、アメリカ、中国はいずれも二つ目のパターンに属する。いずれも平坦で強い風の吹く広大な土地を有し、火力発電を凌駕するほどコスト競争力の高いウィンドファームを擁している。アメリカはシェール革命で天然ガス火力発電のコストが大幅に低下したので、低コストの風力発電と組み合わした「ガス&ウィンド」がエネルギーシステムの中心になっていく。中国でも国民からの生活環境改善の要請を受けて、石炭から天然ガスへの転換が進んでいるが、当分の間石炭が火力発電の中心になるので、「コール&ウィンド」がエネルギーシステムの中心となる。

ドイツは自国内の再生可能エネルギーの導入比率を飛躍的に上げようとしているが、その分だけ(国境を超えて送電網が連結された)EUの送電網内のどこかで火力発電による変動調整が必要になる。上述したエネルギーシステムのパターンは完結した送電網の中で定義されるので、ドイツのエネルギーシステムとアメリカ、中国のエネルギーシステムは同様の分類に属する。ドイツとアメリカ、中国との最も大きな違いは電力料金に対する考え方だ。ドイツは電力料金の大幅な上昇を受け入れてエネルギーシステムの低炭素化を進めた。アメリカと中国がドイツのように国民や企業に多大な負担を課して低炭素化を進めることは考えられない。近年、アメリカが石炭から天然ガスへ大幅にシフトしたのは、シェール革命により天然ガス火力の経済性が高まったからであり、大量の風力発電を導入したのは風力発電のコストが大幅に下がったからである。今後も、アメリカの地球温暖化政策はあくまで経済合理性の範囲内で進められる。

また、中国は国民の生活基盤を維持向上させることを重要な政策課題としているから、国民に負担を課すような政策を講じるとは考えにくい。

パリ協定の議論でも、両国は最も経済合理性がある、「ファイアー&ウィンド」を軸に自国の政策の正当性を主張していくだろう。それはドイツのような低炭素先進国から見ると、物足りなく映るかもしれない。

しかし、アメリカと中国に更なる負担を伴う温暖化対策の積み増しを求めることは難しい。アメリカも中国も外圧で自国の政策が変わったと思われることを嫌う上、両国に強く迫れる国は見当たらないからだ。アメリカと中国の参加を得たことがパリ協定の大きな成果であったのは間違いないが、それは地球温暖化の議論の重心がアメリカと中国を挟む太平洋に移動させる両刃の剣でもあるのだ。

電力改革で生まれる新事業 バックナンバー

・地球温暖化の議論の中心はアメリカと中国を挟む太平洋に移った(この記事です)
・中国の再生可能エネルギー動向
・トランプ政権後のアメリカのエネルギー政策予測
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この記事の著者
井熊 均(いくま・ひとし)
井熊 均(いくま・ひとし)
日本総合研究所 創発戦略センター所長
1983年早稲田大学大学院理工学研究科修了後、同年三菱重工業株式会社入社。1990年に株式会社日本総合研究所入社ののち、産業創発センター所長を経て、2002年より現職。2014年より同社常務執行役員。早稲田大学大学院 非常勤講師、内閣府 官民競争入札等監理委員会 委員などを兼務。専門分野は事業の計画・提携・運営、産業政策、ベンチャービジネス、環境産業、公共IT政策、地域経営、公共財政、中国・アジア市場など。

著書に『エネルギーサービスプロバイダー』(日刊工業新聞社、共著2002年)、『分散型エネルギー』(日刊工業新聞社、編著2004年)、『次世代エネルギーの最終戦略』(東洋経済新報社、2011年)など多数。新著は『なぜ、トヨタは700万円で「ミライ」を売ることができたか?』(日刊工業新聞社、編著2015年)。
https://www.kankyo-business.jp/column/014639.php

 


地球温暖化、あっさり解決か? 二酸化炭素を原料に燃料を作ることに成功

地球温暖化の原因は、人類が排出する二酸化炭素であると言われています。産業革命以降、人類が燃料を燃やすことによって排出する二酸化炭素量は、木や草などの資源が吸収できる量を遥かに超え、地球誕生以来類を見ないペースで増加を続けています。これまでの常識では、二酸化炭素を減少させる事ができるのは、基本的に植物の光合成のみとされてきました。しかし、近年の研究により、二酸化炭素からエタノールを作ることが出来るということが判明しました。地球温暖化の原因物質を材料に燃料を作る。私たちは地球温暖化にもう悩まされずにすむのでしょうか? YouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」。今回は、タスマニアデビルから発見された抗生物質のニュースと、二酸化炭素をエタノールに変える最新の研究について解説します。

シリーズ
SciShow
2016年10月28日のログ
スピーカー
Michael Aranda(マイケル・アランダ) 氏
参照動画
Using Devil's Milk to Kill Superbugs
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トピックス一覧
人類を病原菌から救うのは動物の母乳!?
二酸化炭素をエタノールのもどす
人類を病原菌から救うのは動物の母乳!?

マイケル・アランダ氏 薬学における最大の発見の1つは、1900年代初めに抗生物質が発見されたことでしょう。新たな武器を身につけた医師たちは、それまでどうすることもできなかった細菌感染に立ち向かえるようになったのです。
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ところが細菌の繁殖能力はとても強いため、抗生物質が効かなくなる、遺伝子の突然変異が起こってしまいます。実際MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、たくさんの抗生物質が投与される現代の病院で流行する細菌です。
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そこで研究者たちはこうした多剤耐性菌、「スーパーバグ」と戦うための新たな物質を探し始めたのです。その1つは……「タスマニアデビルミルク」です。
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2016年10月に発表されたシドニー大学の研究者チームの論文では、有袋類の母乳にカテリシジンという抗微生物物質が存在すると言及されていました。哺乳類と鳥類にみられるこの物質は、細菌や真菌の膜を突いて穴を開けて殺すはたらきがあります。
人間にはカテリシジンがこれまで1種類しか見つかっていませんが、タスマニアデビルはなんと6種類も備わっているのです。このカテリシジンは、「Saha-CATH1」から「Saha-CATH6」と名付けられました。生まれてすぐのタスマニアデビルの赤ちゃんはお母さんの袋に存在する細菌への抵抗力を持っていないため、この免疫システムは極めて重要です。
研究者チームは合成した6種類のカテリシジンの、25種類の細菌と6種類の真菌に対する反応を観察しました。3種類のカテリシジンは抗微生物反応を見せなかったので、タスマニアデビルが持つ他の免疫システムと関係があるのだろうと考えられました。しかしSaha-CATH3と5と6は反応を見せたのです。
Saha-CATH3はとりわけ1種類の真菌に対して効果がありました。一方Saha-CATH6は、何種類かのレンサ球菌、さらに薬剤耐性を持つVREF(バンコマイシン耐性腸球菌)に対して効果がありました。
そしてSaha-CATH5は新薬開発で最も期待される結果を出しました。なんと半数のバクテリアと真菌に対して効果を見せ、その中にはスーパーバグであるVREFとMRSAも含まれていたのです。細菌との終わりなき戦いをするうえで、薬を開発するために他の動物たちから学ぶことはまだまだ多くありそうですね。
二酸化炭素をエタノールのもどす

研究者たちがみな、獰猛な哺乳類の母乳を研究しているわけではありません。アメリカのオークリッジ国立研究所の実験室では、別の新たな発見があり、大気中の二酸化炭素量をコントロールできるのでは、という期待から大きく報道されました。二酸化炭素をエタノールに液化させるのです。
化石燃料を燃焼させる時に発生する二酸化炭素が、温室効果ガスとして地球の気温上昇の原因の1つであることは広く知られています。研究者チームはナノテクノロジーを用いた触媒によって、二酸化炭素をメタンガスなどの炭化水素に変換したのです。
まず炭素原子と窒素原子を50ナノメートルほどの小さなトゲ状の形にします。次に数100個程度のわずかな銅原子をふりかけます。銅は高い導電性を持っているため、電子を動かして化学反応が起きやすくする触媒のはたらきをします。
そこに電流を流すと銅がトゲ部分に電流を集めるため、ごくごく小さな稲妻が発生します。二酸化炭素を水に溶かし、集めた電流と小さなトゲを使うこのナノテクノロジーによって、還元反応の触媒作用を促せるのです。
この反応は、二酸化炭素分子が酸素原子を失って水素原子を得るという、一酸化炭素ができる場合と似た反応です。さらに一酸化炭素が結合し、その過程で酸素原子をさらに失えばエタノールができ上がるのです。燃えカスを反応させて燃料に戻すという、不可逆反応である燃焼反応を逆転させたのです。
二酸化炭素をメタンガスに戻そうとする研究は以前にも行われていました。しかし余計な副産物を出さずに液体のエタノールを生成することはさらに難しいことです。ところがナノテクノロジーによって大きな成果を上げました。電流の63%の電子と、二酸化炭素分子の84%がエタノール分子へと反応したのです。
炭素、窒素、銅といった一般的な物質を使っているため、産業として大規模に実用化できれば一層大きな効果が期待できます。しかし現状では反応を起こすためのエネルギー効率がとても悪いため、そのためにはまだまだ多くの研究が必要です。
しかも生成したエタノールを燃料させれば二酸化炭素をまた空気中に戻すことになるので、この技術は大気中の二酸化炭素を減らすわけではありません。それでも二酸化炭素量の上昇を止めて、他の燃料を燃やす必要はなくなります。
タスマニアデビルミルクがどんな致死的な細菌に対しても効果があるわけではないように、この技術も気温変化に対する魔法の杖ではありません。しかしこうした科学研究の新たな発見の小さな積み重ねが、やがて大きなブレイクスルーにつながるのです。
  
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http://logmi.jp/196609


 


 
【緊急】ハーバード大教授がケムトレイルで地球温暖化を防止へ → 失敗すれば5年以内に大飢饉発生・人類滅亡も
2017.04.03
 


画像は「Wikipedia」より引用
 米ハーバード大学の研究者らが、上空20kmの大気中に化学物質を注入する「エアロゾル・インジェクション」を数週間以内に開始するという驚きのニュースが舞い込んできた。一部では「ケムトレイル」との関連も指摘され、大きな話題になっている。
「Futurism.com」(3月28日付)などによると、同計画は世界最大の地球工学プログラムになる見通しで、火山噴火にともなう大気の冷却効果を人工的に引き起こし、地球温暖化を緩和することが目的だという。2022年までに2つの物質の散布を完了する予定とのことだ。
 火山と地球冷却の間には一見したところ何の関係もなさそうだが、実は火山噴火が原因の世界的な冷害はこれまで何度も起こっている。

ピナトゥボ山の噴火「Wikipedia」より引用
 1991年、フィリピンのピナトゥボ山が噴火した際には、大量の大気エアロゾル粒子が成層圏に放出され、全球規模の硫酸エアロゾル層を形成し何か月も残留したことで、太陽放射が遮断され、地球の気温が約0.5℃下がった。
 1815年には、インドネシアの成層火山であるタンボラ山の大噴火が1.7℃もの気温低下を引き起こし、アメリカ北東部、イギリス、スカンディナヴィアなどで、異常低温による不作や食糧不足が深刻な問題となった。翌1816年は「夏のない年」と呼ばれ、大きな社会不安を招いたことで知られている。
 ハーバード大学教授Frank Keutsch氏率いる研究チームは、上述の冷却効果を再現するため、水分、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウム、“ダイヤモンド”などを成層圏に散布し、人工的にエアロゾル層を形成するという。しかし、地球温暖化を世界規模で劇的に緩和する特効薬として期待される一方、その危険性を指摘する専門家も少なくない。

Frank Keutsch教授「Harvard University」より引用
 たとえば、英「ハドレー気候研究センター(Hadley Centre for Climate Prediction and Research)」は、成層圏への化学物質投入は北アフリカに深刻な干ばつをもたらす恐れがあると指摘。さらに、「米国立大気研究センター」のケヴィン・トレンバース氏も、安全性が保証されていない技術を無闇に使用すれば、大規模な災害を引き起こす危険性があると警鐘を鳴らしている。
「地球に流入する太陽放射の減少は、気候と水循環に影響を与えます。情勢の不安定化を招き、戦争が勃発する可能性もあります。この技術には副作用があまりにも多いのです。今回のモデルも結果を予測できるほど精密なものではありません」(トレンバース氏)

画像は「Disclose.tv」より引用
 科学的になにかと問題含みの計画だが、陰謀論系ニュースサイトでは「ケムトレイル」との関連まで指摘されている。「ケムトレイル」とは、航空機が物質などを空中噴霧してできる、まるで飛行機雲のように見える現象のことで、気象操作のみならず、有害物質による人口削減が目的だと囁かれている。
 人口削減となると随分と陰謀論チックになるが、これが意外と的を射た指摘かもしれない。というのも、人口削減計画を積極的に行っていると言われているマイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツ氏も、今回の計画に興味を示し、出資も検討しているからだ(英紙「The Guardian」3月29日付)。

ビル・ゲイツ氏「PAGALPARROT」より引用
 ゲイツ氏は、2000年に慈善事業団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」を創設し、そのプログラムの1つとしてワクチン開発に資金を投入しているが、陰謀論者の間ではその目的が「人口抑制」にあると言われているのだ。ここでは詳しく立ち入らないが、ゲイツ氏が興味を持つ理由として十分だろう。
 果たして、科学的にも陰謀論的にも問題だらけの「エアロゾル・インジェクション」は本当に実行されるのだろうか? 科学者の中には、ゆるやかな温暖化の後に、本格的な気候変動による突然の氷河期が訪れるとする声も少なくない。特に温暖化と水循環の関係は様々な科学者が警鐘を鳴らしており、このまま温暖化が進めば北極やグリーンランドの氷が溶けて結果的に海水温度が下がるとみられている。
 だが、それも一部の“気候変動モデル”でしかなく、結局のところ確実な予想はできていないデリケートな問題だ。「エアロゾル・インジェクション」の結果によっては、突然の人類滅亡もありえるだろう。今後も彼らの動向には注意しておいた方が良さそうだ。
(編集部)

参考:「Futurism.com」、「The Guardian」、「Disclose.tv」、ほか
http://tocana.jp/2017/04/post_12795_entry_2.html

 

 


長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書を取りまとめました
本件の概要

経済産業省は、昨年7月に産官学からなる「長期地球温暖化対策プラットフォーム」(プラットフォーム)を立ち上げ、2030年以降の長期の温室効果ガス削減に向けた対策の検討を行ってまいりました。
この度、プラットフォーム及びその下に設置した国内投資拡大タスクフォース、海外展開戦略タスクフォースにおける議論の結果を踏まえ、報告書を取りまとめました。
1.概要

2015年12月にCOP21(気候変動枠組条約第21回締結国会議)で採択されたパリ協定において、2020年までに各国は自国の「長期低排出発展戦略(世紀中頃の長期的な温室効果ガスの低排出型の発展のための戦略)」を作成・提出することが定められています。

これを踏まえ、2030年以降の長期の温室効果ガス削減に向けて、経済成長と両立する持続可能な地球温暖化対策の在り方について検討を行うために、経済産業省では、2016年7月に産官学からなる「長期地球温暖化対策プラットフォーム」(プラットフォーム)を立ち上げました。その後、プラットフォームの下に設置した国内投資拡大タスクフォースを計8回、海外展開戦略タスクフォースを計6回開催し、また、内閣府の下に設置されているエネルギー・環境イノベーション戦略推進ワーキンググループにおける議論のフィードバックも得ながら、検討を重ねました。その他、2016年12月26日に公表したプラットフォームにおける議論の中間整理案について、国内外に幅広く「エビデンス・情報提供の呼びかけ」を実施したところ、109件のエビデンスと情報が寄せられました。

これらの議論や情報を踏まえた上で、この度、我が国の地球温暖化対策の進むべき方向について報告書を取りまとめました。

2.報告書の概要

我が国の長期的な低排出型の発展に向けての戦略は、国内、業種内、既存技術内に閉じた発想にとらわれず、「国際貢献」、「産業・企業のグローバル・バリューチェーン」及び「イノベーション」にまで視野を広げる「3本の矢」により、国、産業・企業といったすべての主体が自らの排出を上回る削減(カーボンニュートラル)を目指して行動を起こし、これを競うゲームチェンジを仕掛けることで、パリ協定の排出・吸収バランスに向けた本質的な貢献をしていくものとすべきです
担当

産業技術環境局 環境政策課長 奈須野
担当者: 川口、角銅、加藤 
電 話:03-3501-1511(内線 3521〜3)
03-3501-1679(直通)
03-3501-7697(FAX)

公表日

平成29年4月14日(金)

関連資料

長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書(PDF形式:5,105KB)PDFファイル
長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書概要(PDF形式:1,703KB)PDFファイル
関連リンク

長期地球温暖化対策プラットフォームの開催状況
http://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170414006/20170414006.html

http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/530.html

[自然災害21] (緊急)ハーバード大教授がケムトレイルで地球温暖化を防止へ → 失敗すれば5年以内に大飢饉発生・人類滅亡も
【緊急】ハーバード大教授がケムトレイルで地球温暖化を防止へ → 失敗すれば5年以内に大飢饉発生・人類滅亡も
2017.04.03
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エアロゾル
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火山


画像は「Wikipedia」より引用
 米ハーバード大学の研究者らが、上空20kmの大気中に化学物質を注入する「エアロゾル・インジェクション」を数週間以内に開始するという驚きのニュースが舞い込んできた。一部では「ケムトレイル」との関連も指摘され、大きな話題になっている。
「Futurism.com」(3月28日付)などによると、同計画は世界最大の地球工学プログラムになる見通しで、火山噴火にともなう大気の冷却効果を人工的に引き起こし、地球温暖化を緩和することが目的だという。2022年までに2つの物質の散布を完了する予定とのことだ。
 火山と地球冷却の間には一見したところ何の関係もなさそうだが、実は火山噴火が原因の世界的な冷害はこれまで何度も起こっている。

ピナトゥボ山の噴火「Wikipedia」より引用
 1991年、フィリピンのピナトゥボ山が噴火した際には、大量の大気エアロゾル粒子が成層圏に放出され、全球規模の硫酸エアロゾル層を形成し何か月も残留したことで、太陽放射が遮断され、地球の気温が約0.5℃下がった。
 1815年には、インドネシアの成層火山であるタンボラ山の大噴火が1.7℃もの気温低下を引き起こし、アメリカ北東部、イギリス、スカンディナヴィアなどで、異常低温による不作や食糧不足が深刻な問題となった。翌1816年は「夏のない年」と呼ばれ、大きな社会不安を招いたことで知られている。
 ハーバード大学教授Frank Keutsch氏率いる研究チームは、上述の冷却効果を再現するため、水分、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウム、“ダイヤモンド”などを成層圏に散布し、人工的にエアロゾル層を形成するという。しかし、地球温暖化を世界規模で劇的に緩和する特効薬として期待される一方、その危険性を指摘する専門家も少なくない。

Frank Keutsch教授「Harvard University」より引用
 たとえば、英「ハドレー気候研究センター(Hadley Centre for Climate Prediction and Research)」は、成層圏への化学物質投入は北アフリカに深刻な干ばつをもたらす恐れがあると指摘。さらに、「米国立大気研究センター」のケヴィン・トレンバース氏も、安全性が保証されていない技術を無闇に使用すれば、大規模な災害を引き起こす危険性があると警鐘を鳴らしている。
「地球に流入する太陽放射の減少は、気候と水循環に影響を与えます。情勢の不安定化を招き、戦争が勃発する可能性もあります。この技術には副作用があまりにも多いのです。今回のモデルも結果を予測できるほど精密なものではありません」(トレンバース氏)

画像は「Disclose.tv」より引用
 科学的になにかと問題含みの計画だが、陰謀論系ニュースサイトでは「ケムトレイル」との関連まで指摘されている。「ケムトレイル」とは、航空機が物質などを空中噴霧してできる、まるで飛行機雲のように見える現象のことで、気象操作のみならず、有害物質による人口削減が目的だと囁かれている。
 人口削減となると随分と陰謀論チックになるが、これが意外と的を射た指摘かもしれない。というのも、人口削減計画を積極的に行っていると言われているマイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツ氏も、今回の計画に興味を示し、出資も検討しているからだ(英紙「The Guardian」3月29日付)。

ビル・ゲイツ氏「PAGALPARROT」より引用
 ゲイツ氏は、2000年に慈善事業団体「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」を創設し、そのプログラムの1つとしてワクチン開発に資金を投入しているが、陰謀論者の間ではその目的が「人口抑制」にあると言われているのだ。ここでは詳しく立ち入らないが、ゲイツ氏が興味を持つ理由として十分だろう。
 果たして、科学的にも陰謀論的にも問題だらけの「エアロゾル・インジェクション」は本当に実行されるのだろうか? 科学者の中には、ゆるやかな温暖化の後に、本格的な気候変動による突然の氷河期が訪れるとする声も少なくない。特に温暖化と水循環の関係は様々な科学者が警鐘を鳴らしており、このまま温暖化が進めば北極やグリーンランドの氷が溶けて結果的に海水温度が下がるとみられている。
 だが、それも一部の“気候変動モデル”でしかなく、結局のところ確実な予想はできていないデリケートな問題だ。「エアロゾル・インジェクション」の結果によっては、突然の人類滅亡もありえるだろう。今後も彼らの動向には注意しておいた方が良さそうだ。
(編集部)

参考:「Futurism.com」、「The Guardian」、「Disclose.tv」、ほか
http://tocana.jp/2017/04/post_12795_entry_2.html


 

HARVARD SCIENTISTS ARE GOING TO USE CHEMTRAILS TO 'FIGHT CLIMATE CHANGE' Share 2.4K The largest solar geoengineering program in the world is about to be launched in the US within the next few weeks. The program is from the Harvard University and costs US$20 million. The scientists behind the program will send injections of aerosol 20km into the stratosphere with the hope of accessing the feasibility of the technique as a way of fixing global warming. The whole purpose of the experiment is to simulate, safely, the cooling effects in the atmosphere of a big volcanic eruption. This is the largest program in solar engineering to ever have been considered, with scientists intending to undertake two dispersals of small-scale, by 2022. The first of the dispersals will put water out into the stratosphere, while the second disperses particles of calcium carbonate. Scientists hope that in the future more tests will be undertaken to include seeding the upper atmosphere with either aluminum oxide or diamonds. TESTS WILL MIMIC NATURAL ALTERATIONS CAUSED BY VOLCANIC ERUPTION RELATED ARTICLES Stonehenge, Easter Island, Venice: Climate change to destroy human history?Climate Change Theory Debunked By Cern In This Video Techniques such as these copies the natural alterations made to the typical radiation balance of Earth, which is generally seen following a volcanic eruption of large scale. One example was said to be the Mount Pinatubo eruption in 1991 when the global temperature dropped by 0.5C. Another example was when Mount Tambora erupted in 1815 the Earth was cooled and results were more sinister as it resulted in crop failure, disease and famine. In 2013 a study from the Met Office gave the warning that if fine particles are dispersed into the stratosphere there could be a drought in North Africa that would be disastrous. UNPREDICTABLE AND DANGEROUS RESULTS BRING OPPOSITION Due to the unpredictability and the possibility of the range of results being dangerous, the Harvard University program has been met with some opposition from those in the scientific community. There is the fear that technical fixes which are unproven may take the focus from mitigation efforts that have had proven results. One of the United Nations intergovernmental panel lead authors, Kevin Trenberth, said that solar geoengineering wasn’t the answer. He went on to say that by cutting the incoming solar radiation it has an effect on the weather, along with the hydrological cycle, and could bring about drought along with causing destabilization and even war. Trenberth added that there may be many side effects and pointed out that the models are not good enough to be able to predict the outcomes. The Harvard scientists behind the program have acknowledged that geoengineering should be seen to work alongside the reduction of emissions instead of it being a substitute. However, they have said that it is imperative to find out if geoengineering would work, in the event that all else fails and there is the need to use it. The atmospheric sciences professor, Frank Keutsch, in charge of the program said that the deployment of the solar geoengineering system was a prospect that terrified him. He also said that people shouldn’t choose to be ignorant about knowledge in such a situation as this. RELATED ARTICLES NASA Just Released This Video: 100 Years Of Climate Change In 20 SecondsThis Secret VHS Tape Could Have Stopped Climate Change Decades Ago READ MORE: http://www.disclose.tv/news/us_governments_partners_are_going_to_use_chemtrails_to_fight_climate_change/138367
http://www.disclose.tv/news/us_governments_partners_are_going_to_use_chemtrails_to_fight_climate_change/138367

 
米政権交代で弾み?「温暖化CO2主因説」の再検証  ケムトレイルで 地球温暖化あっさり解決? 議論中心は太平洋 長期対策
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/530.html
http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/803.html

[エネルギ3] 「シェールガス」は日本のエネルギー市場に革命を起こせるか 石油界アップル第2革命 資源機構メタンハイドレ 世界LNG中印
「シェールガス」は日本のエネルギー市場に革命を起こせるか?
2017.03.20 17:30
社会
経済, 社会問題, エネルギー問題


(C)Shutterstock
東日本大震災から6年が過ぎた。事故を起こした福島第1原発の現状については、いまだに詳細が分からない状況だ。

世論調査を見てみると、国民の過半数が原発の再稼動に反対している。しかし、原発が必要だとする意見も少数ながら一定数あり、その根拠としては「再生可能エネルギーは原発の代わりにならない」、「石油・天然ガスは高いので電気料金が上がる」、「原発は温暖化ガスを出さない」などといったものが目立つ。

確かに、現在の国内電力を太陽や風力などの再生可能エネルギーだけでまかなえるものではない。しかし、この6年間、電力供給を中心的にまかなってきたのは火力発電だ。今後も短期的には火力発電に頼らざるを得ない。だが、燃料として石油よりも安上がりになる可能性があるのが、アメリカ産の『シェールガス』だ。

「シェールガスは天然ガスの一種で、2005年ごろからアメリカで安く掘り出す技術の開発が本格化しました。そのアメリカ産シェールガスが、1月6日に初めて日本に輸入されました。これは中部電力と東京電力が出資しているJERAが買い付けたLNG(液化天然ガス)ですが、日本のエネルギー市場において革命的な意味合いを持つと言えるでしょう。日本では現在、LNGは石炭を抜いて、石油に次ぐ第2位のエネルギー源となっているからです」(エネルギー問題に詳しいジャーナリスト)

トランプ大統領も資源開発に積極的

JERAが今回輸入したのは2週間分の燃料にあたる7万トンだけだが、今年は計約150万トン調達する計画だ。2018年後半には年間調達総量の1割に当たる計400万トンに拡大するとしている。

他社もこの動きに追従し、東京ガスも今年度後半には140万トン、大阪ガスは2018年に220万トンを調達する予定だという。こうした動きが本格化すれば、消費者は料金の低下という恩恵を受けられる可能性も出てくる。

「アメリカではメリーランド州、ルイジアナ州、テキサス州に4つのLNG輸出基地を建設中です。アジアと欧州向けの拠点となり、2016年から2019年のあいだに稼働開始を予定しています。アメリカのトランプ大統領は資源開発に積極的といわれ、このことも追い風になるかもしれません」(同・ジャーナリスト)

天然ガスは燃やしたときに排出される二酸化炭素の割合が石油や石炭より少なく、環境負荷が少ないエネルギーの一つである。将来的には再生可能エネルギーをメインにするにしても、その過程にシェールガスを有効活用しようという動きが活発になるかもしれない。

【画像】

(C)BalLi8Tic / Shutterstock

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石油界のアップル」が挑む第2のシェール革命
より迅速かつ低コストな方法で増産目指す水平掘削の先駆者
By ERIN AILWORTH
2017 年 4 月 3 日 12:32 JST
 【ミッドランド(米テキサス州)】米石油・天然ガス開発会社EOGリソーシズの地質研究者、ブライアン・タップ氏は、自社開発アプリ「iSteer(アイスティア)」を使用し、160キロ離れた掘削リグに急いで指示を送った。ほとんど無名の同社が米国本土でエクソンモービルなどより多くの石油を産出できているのは、このアプリのおかげだという。

 タップ氏のアイフォーンから通知を受け取ったリグの作業員は、地下数千メートルにあるドリルの先端が「原油のスイートスポット」をぴたりと捉えるよう、軌道を修正した。

...
http://jp.wsj.com/articles/SB11500019099593664650904583055981346216720

 


 

資源機構、メタンハイドレート開発で第2回産出試験

(2017/4/11 05:00)

石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は10日、経済産業省から受託したメタンハイドレート開発促進事業の一環として、渥美半島から志摩半島の沖合(第二渥美海丘)で第2回海洋産出試験を実施すると発表した。商業化を見据えた試金石となる産出試験で、4月下旬から3―4週間のガス連続生産を目指す。

メタンハイドレートを分解し、天然ガスを取り出す。2013年の第1回試験では坑井内に砂が流入するトラブルにより6日間で終了した。今回は形状記憶ポリマーによる出砂対策を施した2本のガス生産用坑井を掘削する。地球深部探査船「ちきゅう」の運用費など海洋産出試験の予算は合計200億円規模。メタンハイドレートは、メタンと水が低温、高圧の状態で結晶化した物質。日本近海には日本の天然ガス消費量の約10年分に相当するメタンハイドレートが存在するとみられる。

海洋基本計画では、平成30年代(2018―27年)後半に民間企業が主導する商業化のためのプロジェクトの開始を掲げている。米国産シェールガスの台頭などで天然ガスの取引価格が下落する中、コスト競争力が鍵を握る。今後、米アラスカ州での陸上産出試験なども予定される。

(2017/4/11 05:00)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00424056


 


 


 


 

原油は小幅高、IEA月報でOPEC順守率の向上を好感
[4/13 ニューヨーク終値]

WTI5月限:53.18ドル/バレル 前日比 +0.07(+0.13%)

原油相場は、金曜日がグッドフライデーの祝日で休場となるため薄商いとなったが、IEA月次報告で、原油市場は需給均衡にかなり近い状態にあるとされたことや、OPECの減産順守率が向上したことが好感され、買いが先行した。ただ、同レポートで第1四半期のOECD在庫が前年比で増加していることなどにより、買いは長続きせず小幅高で引けた。

国際エネルギー機関(IEA)の月次報告が発表され、OPECの3月の供給量は前月比36.5バレル減の3168万バレル/日、3月の減産順守率は99%となったことは好感された。ただ、1-3月期のOECD各国の合計在庫が前年比増加見込みとなったこと、米シェール生産量見通しが上方修正されたこと、ロシア、インドの需要の伸びが下方修正されたことなど、懸念材料も含んでおり、買いは続かなかった。

サウジが減産合意の延長に合意を支持する意向であることや、今週水曜日のEIA在庫統計で、原油/石油製品在庫が市場予想を上回り減少したことなどから、需給バランス改善への期待は強く、限月間スプレッド(価格差)は縮小した。長期の17年12月先物と18年12月先物のスプレッドは0.40ドルから一時0.62ドルまで上昇し、今年後半以降の需給均衡化への期待は根強い。

米ベイカーヒューズ社によると、先週の米国リグ数は、前週比+8の847、石油リグは前週比+11の683、ガスリグは前週比−3の162となった。石油リグは二桁増加となった。

米国は、アフガニスタンのトンネルなどのISIS施設を大規模爆風爆弾兵器(GBU-43B)で攻撃したが原油相場への影響はなかった。

トレーダー筋によると、今後は、年初から3月半ばまで続いたレンジ上値の55ドルを突破できるかが焦点となる。

14日金曜日は、グッドフライデーの祝日でCMEは休場となる。

原油見通し

原油価格見通し(WTI、ブレント)
原油市場見通し
原油価格ニュース
IEA月報=OPEC減産順守率は99%、1月−3月期の在庫は前年比…
原油相場は反落、OPEC減産順守率104%で上昇も、クッシング在庫…
EIA石油在庫統計:原油在庫−217万バレル、原油は利益確定の売り…
アースエレメンツ・アドバイザーズ/リサーチ
http://eea-strategy.com/archives/7017
 

 


 

世界のLNG取引、16年は7.5%増 中印がけん引
2017/3/27 21:21
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 【フランクフルト=加藤貴行】世界の液化天然ガス(LNG)取引が拡大している。2016年は前年比7.5%増え、過去最高を更新。オーストラリアと米国の新規供給が始まり、需要側では中国とインドの輸入が押し上げた。買い手、売り手双方とも市場参加者が多様化するなか、アジア勢が主導し、より取引形態を柔軟にしようという動きも加速する。

 国際LNG輸入者協会(GIIGNL)が27日発表した年次報告によると、16年の取引量は2億6360万トン。10年以降では、カタールの増産と、日本の福島第1原子力発電所の事故で9.4%増えた11年に次ぐ高い伸び率となった。

 供給側では、新たに1800万トンの生産能力が追加。豪州では米石油大手シェブロンが主導する「ゴーゴン」(年産能力1560万トン)の生産が開始された。日本の電力・ガス大手も購入するアジア向け有数の事業だ。シェールガス増産が続いた米国でも同国本土のLNG第1弾「サビーンパス」の輸出が始まり、ブラジルや日本などに出荷された。

 需要側では、中国とインドが3割以上の伸び。世界最大の輸入国の日本は原発再稼働などで2年連続で需要が減り、同2位の韓国も横ばいのなか、中印が世界需要の伸びを支える。

 中印とも伝統的に発電用燃料の石炭依存度が高かったが、大気汚染などで環境負荷が少ないガス火力を好む傾向が強まる。産ガス国のエジプトは国内ガスの減産でLNG輸入が3倍になるなど、中東が需要国として存在感を高めてきた。

 GIIGNLは「16年は一段と地域間の取引が活発になった」と分析する。背景にあるのは、10年単位の長期契約が主流だった取引の短期化だ。

 米国産LNGは仕向け地が指定されておらず、転売しやすい。最大の輸出国カタールもスポット(短期売買)向けに供給を増やし、中国やインド、エジプトが購入に動いた。GIIGNLは16年の全体に占めるスポット比率が約18%と前年比3ポイント上昇したとみる。

 23日には東京電力ホールディングスと中部電力が共同出資するJERA(東京・中央)が、韓国ガス公社、中国国有の中国海洋石油(CNOOC)とのLNG連携の覚書を発表した。合計で世界の取引量の約3割を握る巨大連合となる。3社はLNGの共同調達や在庫調整の可能性を探るほか、売り手に働きかけて仕向け地を指定する商習慣を変えたい考えだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H8V_X20C17A3FF2000/


 
米政権交代で弾み?「温暖化CO2主因説」の再検証  ケムトレイルで 地球温暖化あっさり解決? 議論中心は太平洋 長期対策
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/530.html

 

(緊急)ハーバード大教授がケムトレイルで地球温暖化を防止へ → 失敗すれば5年以内に大飢饉発生・人類滅亡も
http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/803.html


http://www.asyura2.com/16/eg3/msg/108.html

[原発・フッ素47] フランスはこのまま「原発大国」であり続けるのか? 大詰めの大統領選で原発問題が突如として浮上 2017.4.17(月)
フランスはこのまま「原発大国」であり続けるのか?
大詰めの大統領選で原発問題が突如として浮上
2017.4.17(月) 山口 昌子
フランスのフェッセンアイム原子力発電所(出所:Wikipedia)
?フランス大統領選は4月23日の1回目投票まで残すところ1週間を切った(決選投票は5月7日)。ここに来て、急きょ争点の1つとして浮上したのが原発問題だ。フランス最古のフェッセンアイム原発(仏中東部、1977年稼働)の「閉鎖延期」が4月6日に決まったからだ。有力候補者たちは原発存続派と閉鎖派に分かれて激しい論戦を展開中している。

トップを走る3人のスタンスは?

?各種世論調査で支持率20数パーセントを獲得し、トップ争いを続ける極右政党「国民戦線」(FN)のマリーヌ・ルペン氏は、「原発の維持と現代化、安全化」との条件付きながらフェッセンアイム原発の「閉鎖反対」を明言している。

?ルペン氏と抜きつ抜かれつの熾烈な戦いを展開中の中道政治グループ「前進!」のリーダー、エマニュエル・マクロン氏(前経済・再建・デジタル相)は、原発エネルギー依存率の「50%削減」を公約し、フェッセンアイム原発の原発に関しても「閉鎖」を唱えている。

?支持率18%前後で2人を猛追する右派政党「共和党」(LR)の公認候補フランソワ・フィヨン元首相は原発の再開発を公約文書に記載し、基本的には「原発維持」派だ。


パリのポルト・ド・ヴェルサイユで開かれたフランソワ・フィヨン氏の集会の様子
原発削減を公約していたオランド大統領

?現職のフランソワ・オランド大統領は、元々、公約としてフェッセンアイム原発の閉鎖を掲げていた。

?2012年の大統領選で社会党の公認候補に選出されたオランド氏は、福島の原発事故を受けて、大統領選の公約に「2025年までに原発エネルギーへの依存率を現在の75%から50%に削減する」と公約した。

?特に最古のフェッセンアイム原発は5年の任期中にかならず閉鎖すると強調した。稼働から40年が経つフェッセンアイム原発2基はすでに寿命に達しており、論議の的になっていた。

?オランド氏がフェッセンアイム原発閉鎖を掲げたのは、自らの支持率を向上させるためでもあった。大統領選でオランド氏の支持率は当初、保守政党「国民運動連合」(共和党の前身)公認のニコラ・サルコジ前大統領を下回っていた。勝利するには環境政党の「ヨーロッパエコロジー・緑の党」(EELV)の支持が不可欠だった。そこでオランド氏は同党の意向を汲んで原発削減を公約に盛り込んだのである。オランド大統領が誕生した際は、共闘の見返りにEELVの事務局長らが入閣した。

?だが、オランド大統領の5月の任期終了を目前に控えた今も、フェッセンエイム原発は依然として稼働中だ。フェッセンアイム原発はオランド大統領の「公約違反の象徴」とも言われている。

今後も最低1年半は稼働

?フェッセンアイム原発の親会社であるフランス電力公社(EDF)グループ内では労使ともに反対が根強い。約2000人の従業員が働く原発を閉鎖すると、大量の人員を整理しなければならず、原子炉廃棄などで莫大な出費につながるからだ。

?EDFグループは最終的な決断のため4月6日に理事会(18人出席)を開催し、フェッセンアイム原発の閉鎖の是非を採決した。その結果、従業員代表の理事6人が閉鎖に反対。一方、外部者で構成する独立の理事6人が閉鎖に賛成した。国家の代表理事6人は国がEDFの株式83%を所有しているため、採決には加わらなかった。

?賛否が同数の場合は、議長が票を投じて決定する規定になっている。議長を務めたEDFグループ会長のジャン=ベルナール・レヴィは、従業員代表とは反対に「閉鎖賛成」の票を投じた。その結果、閉鎖が決まった。オランド政権の意向を反映したのではないかとも推測されている。

?実際にオランド政権のセゴネール・ロワイヤル環境・エネルギー・海洋相はこの決定について、「EDFは良い決定をした。閉鎖は逆行不能かつ不可避の明白な事実だ」と称賛した。オランドの公約が実現したことのアピールだとも言える。

?ただし、閉鎖は即時ではなく、次のような条件付きだ。(1)フランス北部に建設中の第3世代原発「欧州加圧水型原子炉(EPR)」の稼働にメドが立ってから閉鎖する、(2)国家がEDFに対し閉鎖の補償金として約4億9000万ユーロを支払う──などとなっている。

「原発」のお目付け役のフランス原子力安全院(ASN)は、EPRがテロ攻撃などに耐えられない可能性があるとして工事を2015年に一時中止したため、工期は大幅に遅れており、完成は2019年が予定されている。EPR稼働が決定しなければフェッセンアイム原発は閉鎖されないことになっている。つまり、閉鎖は2018年末から2019年初頭となり、フェッセンアイム原発は今後も最低1年半は稼働を続けるのだ。

「原発大国」は続くのか?

?4月6日、パリのEDFグループ本社前に集まった約1000人の「閉鎖反対」派は「閉鎖延期」の決定に歓喜の声を上げた。

「脱原発の会」は、「EDFはフェッセンアイム原発を即刻閉鎖するべきだ。すでに寿命が来ており事故続きだ。(延期の決定は)受け入れがたい」とツイートした。同会のツイッターには賛成派と反対派の両方から書き込みが続いている。

?フランスは米国(104基)に次ぐ「原発大国」(58基)である(ちなみに日本は54基)。フランスだけでなく世界の原発政策の潮流を見通すうえでも、誰が次期大統領になるのかが注目される。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49731


http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/789.html

[戦争b20] 北朝鮮ミサイル攻撃リスクへの対応シナリオ 東アジア地域の将来像をイメージした日米中韓協力のあり方 2017.4.17(月
北朝鮮ミサイル攻撃リスクへの対応シナリオ
東アジア地域の将来像をイメージした日米中韓協力のあり方
2017.4.17(月) 瀬口 清之
【写真特集】北朝鮮、金日成主席生誕105年の軍事パレード
北朝鮮の首都・平壌で行われた軍事パレードに登場したミサイル(2017年4月15日撮影)〔AFPBB News〕
1.深刻なリスクへの直面は昨年9月に予想されていた

朝の出勤前にテレビを見ると、バラエティ的なニュース番組の中でも北朝鮮による在日米軍基地を狙ったミサイル攻撃のリスクが現実的な問題として取り上げられるようになっている。

昨年9月に筆者が米国に出張した際に、ある著名な外交専門家が、今後2年以内に韓国または日本が北朝鮮から直接ミサイル攻撃を受ける可能性は排除できないため、それを前提とした事前準備が必要である。これが来年以降の日米両国政府間の最重要課題の1つとなる可能性が高いと指摘した。

この点については、帰国直後に発表した出張報告(「 米国大統領選挙の行方とTPP、北朝鮮リスク対応等への影響」キヤノングローバル戦略研究所HP掲載*1)で紹介した。

筆者自身、この話を初めて聞いた時には、正直半信半疑だったが、足元の状況はまさにこの通りになっている。

仮に北朝鮮が日本の領土に直接ミサイル攻撃を行った場合、米国政府関係者、および政府に近い専門家は、即時反撃以外に選択肢はないとの見解で一致していた。

それが日米同盟、日米安全保障条約の意味するところであるとの彼らの言葉には決然たる責任感が感じられ、直接その言葉を聞いた時には緊張感を伴う安堵の想いを味わった。

実際に日本国民が北朝鮮によるミサイル攻撃リスクを実感し始めたタイミングは前述の外交専門家の予想の範囲の中でもかなり早い時期に属する。時期が早まった主な要因はドナルド・トランプ政権の成立である。

昨年9月時点では、有識者の多くがヒラリー・クリントン氏の大統領就任を予想していた。クリントン政権が成立していれば、バラク・オバマ政権の外交方針との連続性も考慮し、これほど早いタイミングでシリアや北朝鮮に対する厳しい対応を選択していなかった可能性が高い。この点については、殆どの米国の有識者も昨年9月時点では予想できていなかった。

今後の日本としての対応策を考えるためには、北朝鮮リスクに関するいくつかのシナリオを整理しておく必要がある。

筆者は安全保障の専門家ではないため、専門的な見解は安全保障問題の専門家に委ねるしかない。しかし、現時点で考えつくいくつかの可能性について自分なりに整理しておくことが、今後専門家の洞察力に富む見解を学ぶ際にも参考になると考え、本稿をまとめることとした。この初歩的な概念整理が少しでも一部の読者のお役に立てれば嬉しく思う。

*1=詳細はURL : http://www.canon-igs.org/column/1601018_seguchi.pdfのp.6〜7を参照。

2.日本本土が北朝鮮のミサイル攻撃を受けた場合

もし北朝鮮が日本国内の米軍基地を狙ってミサイル攻撃を実施した場合、日本は個別的自衛権の行使として、即座に米軍と共に北朝鮮に対する反撃を開始すると考えられる。

中途半端な反撃は北朝鮮による2次的な攻撃による日本国内の被害を大きくすることから、初回の反撃で北朝鮮の攻撃能力を壊滅させることが重要である。

仮に北朝鮮からのミサイルによる先制攻撃に対して、日米両国、そして韓国が加わり、3国だけで反撃する場合、戦後処理は日米韓3国の主導で進められる。

それは中国として受け入れがたい。なぜなら、北朝鮮という緩衝地帯がなくなった状態で、米軍が朝鮮半島に駐留することを排除できなくなり、中国は喉元に米国の軍事的脅威を突きつけられることになるためである。

中国としてそうした事態を避けるためには、中国が日米韓3国とともに攻撃に加わり、北朝鮮制圧のために協力し、重要な役割を担うしかない。

ただ、その場合でも日米両国が相対的に重要な役割を担うことになる可能性が高く、戦後処理による朝鮮半島統治のあり方を考慮すれば、中国としてはこのシナリオを回避したいと考える可能性が高い。

常識的には北朝鮮が日米中韓4国を敵に回して戦争を始めることは考えにくく、そこから類推すれば、日本本土へのミサイル攻撃もあり得ないはずである。しかし、現在の北朝鮮の金正恩政権はトランプ政権との関係で何をするか分からないため、上記のようなシナリオを全く否定することはできないと考えられる。

3.日本本土へのミサイル攻撃前に中国主導で北朝鮮を制圧する選択肢

もし米中両国が協力し、そこに韓国も加わって、日本本土へのミサイル攻撃を実施する前に北朝鮮を制圧し、朝鮮半島を安定的に統治する方向を模索する場合、日本の関与は大幅に低下する。

その場合、中国が最も重要な役割を担えば、朝鮮半島の戦後処理は中国主導で進められる可能性が高まる。米国としても泥沼の戦争に巻き込まれるリスクがなくなるため、この方式を歓迎するはずである。おそらく今月実施されたトランプ大統領−習近平主席会談においてこの点が話し合われたと推測される。

中国主導で北朝鮮リスクを制圧し、朝鮮半島の南北統一を韓国と共に実現し、韓国駐留米軍が撤退すれば、中国として最も安心できる形での戦後処理となる可能性が高い。

この場合は、日本も領土を攻撃されないで済むことから、日本にとっても望ましいシナリオである。

韓国も朝鮮半島の統一と非核化が実現し、日本が米国とともに朝鮮半島への影響力を強める懸念が小さくなるため、日本の介入を警戒する韓国にとっても望ましい選択肢の1つであると考えられる。このように日米中韓4国の利害は一致する。

そうであるとすれば、北朝鮮がミサイル攻撃を自制しないことが判明した場合には、このシナリオを実現することが関係4か国の共通目標の1つになり得る。

ただし、この選択肢を選ぶ中国指導層の政治的決断は非常に難しいと考えられる。

4.戦後処理としての半島統治

日本としては朝鮮半島の政治経済情勢が安定し、非核化が実現しさえすれば、半島の統治に強く介入する権限を持つ必要はない。

朝鮮半島情勢が安定を回復し、半島全体の経済・社会の復興を目指す場合、日中韓3国が経済発展促進の面で緊密に協力することが重要である。米国も何らかのコミットをして、朝鮮半島の安定化に貢献すると考えられる。

その場合、日本が果たす役割は非常に大きい。北朝鮮地域に対する直接的支援ももちろんだが、それを中心的に推進する役割を担う韓国および中国自身の経済基盤の安定保持が極めて重要である。

特に両国政府が雇用と税収を確保できる産業基盤整備のためには、優良な日本企業の直接投資拡大による中韓両国の産業競争力の強化が極めて重要である。

憲法の制約上、安全保障面での日本の役割は限定的とならざるを得ないが、経済協力面は何の制約もなく積極的な役割を担うことが可能である。長期的にはそれが地域経済・社会の安定持続のために非常に重要な役割となる。

以上は北朝鮮リスクのシナリオに関する部分的かつ初歩的な概念整理に過ぎず、このほかにも様々なシナリオや洞察があり得る。

重要なことは、仮に北朝鮮リスクを排除するために米国、あるいは中国の側から積極的な行動を起こす場合には、以上のような戦後処理の展望を関係国で共有したうえで、具体的な対応策を実行に移すことが必要であるという点である。

もし日本国民が北朝鮮リスクを現実のものとして受け止め始めるのであれば、戦後処理を展望して東アジア地域の将来像について、具体的なグランドデザインを描く努力も開始すべきである。

その過程では、かつて日本国民が米国において民族差別を経験した苦しみを教訓とし、日本国民自身が他民族を差別し危害を加えた経験に対する反省も深く心に刻み、そうした過去の過ちを二度と繰り返さない覚悟を全国民が共有することも併せて肝に銘ずるべきである。

中東やアフリカなど世界の紛争地域において、欧米諸国が徹底した武力介入により一時的に平和を回復しても、長期的に経済社会の安定が実現しない大きな原因は、権力の空白が生まれることを防ぐことができないためである。

武力による平和回復は短期的には有効であるが、権力の空白を生む場合には当該地域の安定回復は極めて難しい。長期的な地域の安定のためには、生活インフラ・産業基盤の整備と国家ガバナンスの回復といった内生的発展基盤の形成が不可欠である。

そうした観点に立てば、北朝鮮に対しても武力介入を回避、あるいは最小限に留め、長期的に経済社会の健全な発展を促進する政策を実施することが望ましいことは言うまでもない。

アジアでは現在、ミャンマーやカンボジアが徐々に安定を回復しつつあるが、その原因は外部からの武力制圧に頼らず、長期的に内生的発展基盤の形成が行われたことが大きいと考えられる。

今回の北朝鮮問題も権力の空白を生むような方法を避け、アジア型の紛争解決手段の成功例となることを期待したい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49751



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2016.10.17
米国大統領選挙の行方と TPP、北朝鮮リスク対応等への影響
<2016 年 9 月 19 日〜10 月 2 日 米国出張報告>
キヤノングローバル戦略研究所
瀬口清之
<主なポイント>
○ 7 月後半の共和・民主両党の党大会で大統領候補指名が行われた後、トランプ氏の
戦死者の遺族に対する問題発言から同氏の支持率が低下した。その後、クリントン氏
の健康不安等が取り沙汰されたこともあって、9 月中旬にはトランプ氏が盛り返した。
○ しかし、9 月 26 日に行われた第 1 回テレビ討論会(過去最高の視聴者数に達した)
を機に、クリントン氏が再び優勢となり、支持率の差が拡大した。
○ トランプ氏の支持者層は熱烈な支持者が多いのに対して、クリントン氏の支持者層
はトランプ氏を大統領にしたくないので仕方なくクリントン氏を選んでいるといっ
た消去法的観点からの支持者の比率が高いと言われている。このため、大統領選挙当
日に何があっても投票に行くという熱意が乏しい人が多いことから、何らかの事情で
投票率が低い場合にはトランプ氏が有利になると見られている。
○ 仮に TPP 法案が米国議会の承認を得られない場合には、TPP 成立が不可能となり、
米国のアジア太平洋地域における影響力は深刻なダメージを受ける。それのみならず、
同地域の自由貿易政策推進の主導権が米国から中国に移る可能性が高まり、TPP が
成立する場合に比べて、貿易・投資の自由化推進のテンポが大幅にスローダウンする
可能性が高いと考えられる。
○ TPP の議会承認を巡る環境は以前に比べて一段と厳しさを増している。3 月時点で
はレイムダック期間中の承認可能性は 50%以下と言われていた。6 月になるとその
確率が 30%以下にまで低下し、9 月下旬時点では 10%以下との見方が大勢である。
それでもオバマ政権関係者及び政府内部の関係者は成立を諦めていない由。
○ 国連総会出席のためにニューヨークに滞在していた安倍首相が、ヒラリー・クリン
トン氏からの要望を受けて同氏と面談した。クリントン氏が大統領選で勝利すれば、
同政権発足当初から両国首脳同士が良きパートナーであるとの心象を共有できるた
め、日米両国の緊密な関係が一段と強固なものとなる可能性が高い。
○ 一部の専門家は、今後 2 年以内に韓国または日本が北朝鮮から直接ミサイル攻撃を
受ける可能性は排除できないため、それを前提とした事前準備が必要である。これが
来年以降の日米両国政府間の最重要課題の一つとなる可能性が高いと指摘した。
○ この 1、2 年、中国人留学生が中国の政治制度やイデオロギー問題に関して発言を
控えるようになっている。これは中国国内のイデオロギー・言論統制が影響している
ものと推察されている。米国の大学関係者はこの点を憂慮している。
2
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1. 米国大統領選挙の推移と勝敗の行方
前回の 6 月出張時点では、その前の 3 月出張時に比べて、ヒラリー・クリントン
候補をドナルド・トランプ候補が追い上げる形で両候補の支持率の差が縮小し、僅
差となっていた。このため、選挙の行方を予想することは難しく、選挙当日になる
までわからないとの見方が多かった。
7 月後半の共和・民主両党の党大会で大統領候補指名が行われた後、トランプ氏
の問題発言から同氏の支持率が低下したが、その後、クリントン氏の健康不安等が
取り沙汰されたこともあって、9 月中旬にはトランプ氏が盛り返した。
しかし、26 日(月)の夜に行われた第 1 回テレビ討論会(過去最高の視聴者数
に達した)を機に、クリントン氏が再び優勢となり、支持率の差が拡大した(10
月上旬に筆者が米国出張から戻った後、トランプ氏の 2005 年の女性蔑視発言の公
開映像が新たな問題となり、同氏への批判はさらに厳しさを増している)。
以下では、この間の経緯の概略を解説し、今後の米国の対外政策への影響等につ
いて米国の国際政治専門家・有識者等の見方を紹介する。
(1)7 月の民主党大会後の推移
7 月 26〜28 日(米国現地時間)にフィラデルフィアで開催された民主党全国大
会において、初日の 26 日にヒラリー・クリントン氏を大統領候補に指名し、28 日
の最終日には同候補が受諾演説を行った。28 日には米兵だったイスラム教徒の息
子をイラク戦争で亡くした両親が応援演説に立ち、父親が感動的なスピーチを行っ
た。自分の息子はイスラム教徒だったが、自分の命を犠牲にしてアメリカのために
戦ったことを訴え、イスラム教徒の入国禁止を主張するドナルド・トランプ氏を非
難した。とくに米国憲法のブックレットを取り出し、トランプ氏に対して「あなた
はこれを読んだことがあるのか」と訴えたシーンは多くの米国民を深く感動させた
と言われている。
この演説に対して、トランプ氏は、父親が演説をする間、その横で黙って立って
いた母親に対して、彼女が発言しなかったのはイスラム教徒の習慣上父親から発言
するなと言われていたからではないのかといった趣旨の発言を行った。戦死者の遺
族に対するこうした批判は米国ではタブー視されているうえ、イスラム教徒に対す
る民族的偏見とも受け止められ、トランプ氏の発言は共和党内部を含め各方面から
厳しい批判を受けた。
この問題発言が出る前までは、世論調査でのクリントン候補の支持率のリードは
僅差に過ぎず、選挙の行方はどうなるかわからないとの見方が多かった。しかし、
この問題発言の直後、世論調査におけるクリントン氏のリードは約 10%ポイント
にまで拡大し、同氏の圧勝ムードが強まった。
しかし、クリントン氏は、8 月入り後、メディアへの露出を抑えて慎重な姿勢を
保ったことから、徐々にリードの差が縮小した。さらに、9 月 9 日にニューヨーク
で開かれた資金集めの会合において、同氏の支持者を前に油断して、次のような趣
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旨の失言をしたと報じられた。
「トランプ氏の支持者の半分は嘆かわしい(deporable)人々である。彼らは人
種差別主義者、男女差別主義者であり、同性愛者やイスラム教徒に偏見を持つ人々
である。そしてさらに言えば、彼らの一部は救いようがない(irredeemable)。」
この発言は共和党のトランプ氏支持者に向けられたものとはいえ、一般の選挙民
を侮辱する発言として批判された。
9 月 11 日には、ニューヨークで行われたアメリカ同時多発テロ事件の追悼式典に
出席していたクリントン氏が、体調不良から式典の途中で退席した。その際に、よろ
けて自力で歩けなくなり、隣の人に支えられながら車に乗り込むシーンが全米に報じ
られ、同氏の健康不安説が全米の注目を集めた。トランプ陣営は従来から、クリント
ン氏が国務長官時代に転んで頭を打った後に長期療養したが、その時の後遺症が重く、
健康状態は良くないことを訴え続けていたため、この出来事はなおさら注目を浴びた。
加えて、同氏がその時肺炎にかかっていたことを周囲のごく一部の限られた人々に
しか伝えていなかったことが報じられ、それが同氏の秘密主義的特徴の表れとして、
併せて批判の対象となった。
クリントン氏の側における、以上のような相次ぐ問題発生により、8 月時点では
約 10%ポイントまで広がっていた支持率の差がほぼなくなり、両候補の支持率は
再び僅差となった。このため、26 日(月)の第 1 回テレビ討論会直前の時点では、
選挙の行方は混沌とした状態に戻っていた。
(2)第 1 回テレビ討論会後にクリントン氏若干優位に
そうした状況で 26 日(月)21:00(米国東海岸時間)から第 1 回のテレビ討論
が行われた。その討論会の中身の受け止め方について数名の識者に伺ったところ、
概ね以下のような見方で一致していた。
最初の 30 分程度はトランプ氏が理性的で落ち着いた態度をとっていたため、そ
れまでの過激な問題発言を繰り返していたことによる不信感が後退し、好印象を与
えた。しかし、時間の経過とともに徐々に理性的なコントロールが効かなくなり、
感情を露わにしながら、自分の発言の順番を待たずにクリントン氏の発言を途中で
遮って発言を繰り返すようになった。このため、終始冷静さを保ち、見識と経験に
支えられた政策論議を展開するクリントン氏との差が明確になった。クリントン氏
の支持者は後半の議論の様子を見て、この討論会でのクリントン氏の圧勝を確信し、
安心した由。
この討論会の 2、3 日後に討論会での議論の勝敗に関する世論調査の結果が公表
されたが、クリントン氏勝利との回答が 6 割を占め、トランプ氏勝利と回答したの
は 3 割にとどまった。
ただ、この評価の大きな差が支持率の格差拡大に直結するわけではなかった。7
月下旬の民主党大会後に約 10%まで拡大した格差が 9 月中旬に僅差にまで縮小し
たが、この第 1 回テレビ討論によってクリントン氏とトランプ氏の支持率の差は約
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5%ポイントに拡大したに過ぎない。その格差が維持されるか、再び縮小に向かう
かは予想がつかないとの見方が多い1。
また、トランプ氏の支持者層は熱烈な支持者が多いのに対して、クリントン氏の
支持者層はトランプ氏を大統領にしたくないので仕方なくクリントン氏を選んで
いるといった消去法的観点からの支持者の比率が高いと言われている。このため、
大統領選挙当日に何があっても投票に行くという熱意が乏しい人が多いことから、
何らかの事情で投票率が低い場合にはトランプ氏が有利になると見られている。
以上のような理由から、10 月初時点では、クリントン氏が若干優位に立ってい
ることは間違いないが、それが選挙での勝利に確実に結びつく保証はまだないと見
られていた。
2. 選挙の行方と米国の対外政策への影響
(1)米国議会による TPP 承認の可能性
大統領選挙の行方は依然として不透明であり、選挙後の米国の対外政策はどちら
の候補が勝利するかによって大きく左右される。トランプ氏が勝利する場合には、
大きな変化が生じることは確実視されているが、どのような政策方針が打ち出され
るかはわからないとの見方が大勢である。一方、クリントン氏が勝利する場合には、
基本的にオバマ政権の対外政策が受け継がれ、継続性・一貫性が概ね維持されると
見られている。
とくに TPP は米国のアジア太平洋政策の最も重要な柱の 1 つであり、その成立
の行方が重大な関心を持って注目されている。
仮に米国議会での承認が得られない場合には、TPP 成立が不可能となり、米国
のアジア太平洋地域における影響力は深刻なダメージを受ける。それのみならず、
同地域の自由貿易政策推進の主導権が米国から中国に移る可能性が高まり、TPP
が成立する場合に比べて、貿易・投資の自由化推進のテンポが大幅にスローダウン
する可能性が高いと考えられる。これは最近の米国自身の保護主義化傾向の強まり
と相俟って、グローバル経済の保護主義化を助長することが強く懸念されている。
そうした事態に陥ることを防ぐためにも、米国議会による TPP 承認は極めて重要
である。ただし、実際にはその実現の見通しはかなり暗いとの見方しかない。
<TPP 議会承認を巡る様々な可能性>
オバマ政権はその点を十分認識しており、選挙終了後直ちにレイムダック期間中
の議会承認取り付けのために動き始める用意を進めている模様。USTR や商務省の
担当官も TPP の議会承認に向けて全力を投入する姿勢を崩していない由。

1 現地時間 10 月 9 日(日本時間 10 月 10 日)にミズーリ州セントルイスで行われた第2
回テレビ討論会でも、討論の評価に関するクリントンの優位は変わらなかったが、その
差は第1回ほどの大差ではなかった。しかし、トランプ氏の女性蔑視発言問題の影響が
大きく、世論調査での支持率の格差は、むしろ若干拡大した。
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ただし、議会承認を巡る環境は以前に比べて一段と厳しさを増している。3 月時
点ではレイムダック期間中の承認可能性は 50%以下と言われていた。6 月になると
その確率が 30%以下にまで低下し、9 月下旬時点では 10%以下との見方が大勢で
ある。それでもオバマ政権関係者及び政府内部の関係者は成立を諦めていない由。
とは言え、もしトランプ氏が大統領選に勝利すれば、米国の保護主義化は一段と
加速し、レイムダック期間中を含めて TPP 成立の可能性はほぼなくなると見られ
ている。
一方、クリントン氏が勝利する場合には、以下の 2 つの可能性が指摘されている。
クリントン氏が僅差で勝利する場合には、保護主義化を支持する米国民の意向を
より重視せざるを得なくなるため、もしレイムダック期間中に議会承認が得られな
い場合には、当面成立は難しくなる可能性が高い。もしクリントン氏が当選直後に
TPP の議会承認に向けて動けば、選挙公約違反であるとの批判が強まることが必
至であるためである。
クリントン氏が大差で勝利する場合には、レイムダック期間のオバマ政権にとっ
ても追い風となる。また、もしオバマ政権の下で議会承認を得られない場合でも、
クリントン政権発足後、時機を見て TPP 交渉参加国との再交渉、あるいは付帯条
項を付与することなどによって TPP の議会承認を取り付ける方向に動く可能性は
十分考えられるとの見方が多い。ただし、その場合でも選挙公約で TPP への反対
を主張した以上、就任 1 年目から公約を無視して動くことは難しく、2 年目以降に
始動すれば、成立は 2019 年頃にまでずれ込むとの見方が多い。
(2)日米関係への影響
9 月 19 日、国連総会出席のためにニューヨークに滞在していた安倍首相が、ヒ
ラリー・クリントン氏からの要望を受けて同氏と面談した。大統領選挙期間中に大
統領選の候補者と会談するのは異例である。同時期にドナルド・トランプ氏との会談
は行われなかったことから、安倍政権としてクリントン氏を応援する姿勢が明らかに
なったと見られている。
これはかなり大胆な賭けであるとの見方が多い。これでクリントン氏が勝利すれば、
同政権発足当初から両国首脳同士が良きパートナーであるとの心象を共有できるため、
日米両国の緊密な関係が一段と強固なものとなる可能性が高い。しかし、仮にトラン
プ氏が勝利する場合には、マイナス効果を生むと考えられる。
この点についてある日本通の国際政治学者は、もしトランプ氏が勝利すれば、対日
政策方針の転換によって日本が被るダメージの大きさは甚大であると予想されるため、
この程度のマイナス効果は大した問題ではなくなる。そうした点を含めて判断すれば、
今回安倍首相がクリントン氏と会見を行ったことのリスクはそれほど大きなものでは
なかったとの見方を示した。
また、日米関係に詳しい複数の専門家は、次のメリットを指摘した。これまで一
般的に自民党議員やその関係者は共和党には個人的に親しく交流できる人脈を持
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ち、親近感を感じる一方、民主党との関係においては個人的なパイプがないため、
それほど緊密ではなかったことが懸念されていた。しかし、クリントン政権が発足
すれば、最初から首脳同士の緊密な信頼関係が構築され、これまでの自民党の米国
民主党に対する見方が転換する可能性が期待できるとしている。
自民党関係者が民主党に対して親近感を持っていないのは、1980 年代の共和党
レーガン政権時代に、民主党が共和党によって否決されることを前提に、地元選挙
民を意識して日本に対して厳しい要求を突き付けた。これを受けて日本のメディア
が、民主党の厳しい対日要求を大々的に報道したため、日本国内で民主党に対する
反発が強まった経緯がある。
実際、当時の民主党による厳しい対日要求法案に関する議会答弁が行われた現場
に居合わせた国際政治学者によれば、その場には民主党議員も共和党議員も一人も
出席せず、答弁に立つ民主党議員だけが一人で話し続けて記録を残し、地元選挙区
向けのアピール材料として利用していたのが実情だった。その状況を日本のメディ
アは知っていたはずであるが、そうした背景を説明せずに日本向けに報道していた。
これが上記のような誤解を招いた事情だそうである。
ただし、こうした自民党と米国民主党との関係に関する見方には必ずしも賛成で
きないとの声も聞かれた。すなわち、日米関係に精通している政府関係者等は、2015
年以降、安倍首相の上下両院合同会議における日本の首相として初めての演説実現、
日米防衛協力の枠組みの見直し、TPP 交渉への協力、オバマ大統領の仲介による
日韓関係の改善、オバマ大統領の広島訪問の実現など、数多くの歴史的成果を生ん
でおり、すでに自民党と民主党との関係を心配する必要はなくなっていると指摘し
ている。
(3)北朝鮮リスクに対する対応への影響
今回の出張で、事前の予想以上に米国の専門家・有識者が深刻に懸念していたの
は北朝鮮リスクである。
北朝鮮が進める核実験や弾道ミサイル発射訓練について、これは抑止力強化が目
的であることから、実際に日本や韓国の領土に直接ミサイルを撃ち込むことは考え
られないとの見方が一般的である。しかし、一部の専門家は、今後 2 年以内に韓国
または日本が北朝鮮から直接ミサイル攻撃を受ける可能性は排除できないため、そ
れを前提とした事前準備が必要である。これが来年以降の日米両国政府間の最重要
課題の一つとなる可能性が高いのではないかと指摘した。
また、一部の国際政治学者は、仮に北朝鮮が日本の領土に直接ミサイル攻撃を行
った場合、米国は日本とともに北朝鮮に対してすぐに反撃する準備に入るが、その
際には中国に事前に通告する。そこで中国は、北朝鮮に対して日米両国が反撃する
ことには強硬に反対すると予想される。その場合、米国政府は中国の意向に配慮し、
どのように対処するか判断に迷う可能性があると指摘する。
これに対し、別の専門家は、確かに中国は強く反対するであろうが、そうした緊
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急事態の下で日米両国が自衛のために即時反撃する事情を理解するはずであり、中
国の反対に左右される必要なないと述べた。
米国政府関係者、および政府に近い専門家は、即時反撃以外に選択肢はないとの
見解で一致していた。それが日米同盟、日米安全保障条約の意味するところであり、
日本が北朝鮮から直接攻撃を受ければ、日本とともに即時反撃に出ることに関して
微塵も疑いの余地はないとの考え方が明確に示された。
3. G20 および東アジア・サミットに対する評価と米中関係
米国の外交専門家・有識者に対して、9 月 4〜5 日に中国の杭州で開催された G20
首脳会合とラオスで開かれた東アジア・サミットの 2 つの会合に関する評価を伺っ
たところ、概ね評価できる内容だったとの見方でほぼ一致していた。
@G20
G20 については、開催前日の 9 月 3 日に米中首脳会談を行い、2015 年 12 月に
採択された温暖化対策「パリ協定」を米中両国が批准することを発表した。米中両
国は温暖化ガス削減を強化することで合意し、それぞれ新たな排出削減目標を打ち
出すとともに、年内の同協定発効を促すという大きな成果を生んだ。加えて、オバ
マ大統領と習近平主席は 2 度にわたって首脳会談を行い、会談の時間はトータル 5
〜6 時間に及ぶなど、両国の対話の機会としても実り多い内容だったことから、高
く評価できるとの評価が一般的である。G20 の存在意義は、共同声明の中身以上に、
首脳同士の意味のある対話の場としての意義が大きいと見られており、その点で今
回の G20 は評価されている。
習近平主席からオバマ大統領に対して、米国の協力のおかげで G20 が成功した
との謝辞があり、二人で乾杯したとの情報も耳にした。政府関係者の中には、米国
の国際政治学者に対して、現在の米中関係は歴史上最も良好な協力関係にあると語
った人もいる由。
とは言え、米中間の懸案事項である、台湾、チベット、南シナ海・東シナ海、サ
イバー攻撃、人権問題等に関して両国の間の溝が埋まったわけではなく、意見の食
い違いの距離は縮まってもいない。それでも必要な対話は継続できており、相手の
考え方を互いに理解し合っている状態である模様。
A東アジアサミット
日本のメディア報道の一般的論調では、共同声明の中に中国の南シナ海問題に対
する批判も盛り込むことができなかったなど、日米両国は中国に押し切られてしま
い、満足のできる内容ではなかったとの評価が多かった。
しかし、共同声明に中国という固有名詞を挙げて南シナ海での行動を批判するこ
とはなかったが、それを意味する内容は盛り込まれた。また、会議の席上では、多
くの参加国が中国の問題を指摘しており、中国に対してのメッセージは十分伝える
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ことができたという点で、評価できる会議だったとの見方が一般的である。この評
価については日本政府関係者の評価とほぼ一致していた。
4. 米国留学中の中国人学生にみられるイデオロギー・言論統制の影響
今回の出張中にワシントン DC の某大学の教授が筆者に対して、この 1、2 年、
中国人留学生が中国の政治制度やイデオロギー問題に関して発言を控えるように
なっていると語った。その原因は、中国政府の現体制を批判するような言論に対し
て、中国人留学生が相互に発言内容を牽制しあっていることによるとの指摘だった。
この点につて、ボストンの別の大学でも確認したところ、その大学では 2、3 年
前から同様の現象が見られているとのことだった。
中国人留学生がその大学の某教授に語ったところによれば、互いに信頼できるご
く少数の親しい仲間内であれば、自由に議論を交わすことができる。しかし、議論
の場に一人でもよく知らない中国人が混ざっている場合には、政治的な発言は控え
るよう自制している。
こうした現象は中国国内のイデオロギー・言論統制が影響しているものと推察さ
れている。中国人留学生を直接指導する立場にない教授・准教授はこうした現象に
気づいていないほか、一部の大学ではこうした現象が見られていないケースもあっ
た。米国の大学関係者はこの点を憂慮しているが、有効な対策は見つかっていない。
5. 日本企業の経営理念の共有化を図るための具体策
筆者は前回 6 月の出張時に、欧米諸国の経済社会における貧富の格差拡大が社会
問題化し、多くの中間層がエスタブリッシュメントに対して強い不満を持ち始めて
いる点を指摘した。同時に、そうした社会問題のソリューションとして、短期的な
株主利益の最大化より、長期の社会的信用、従業員の雇用安定、地域社会への貢献
等を重視する日本企業の経営理念・企業文化が重要な役割を担うことができるので
はないかと提案した。
この点について、今回の出張中に多くの専門家・有識者に意見を伺ったところ、
概ね以下のようなポイントが指摘された。
@米国企業経営者の説得は困難
米国の経営者の多くは日本企業の経営の在り方を高く評価してはいない。その背
景には 2 つの問題点の指摘がある。
第 1 に、日本企業の経営の多様性の欠如である。多くの日本企業は外国人の登用
に極めて消極的であり、民族的には日本人中心、しかも女性の登用は稀で、役員の
ほとんどが男性である。
第 2 に、日本企業の経営は米国企業に比べて透明性が低い。
確かに、経営トップの報酬を抑えて、長期的な信用と従業員雇用を重視する点は
評価できるが、その他の点で多くの欠陥をもつ日本企業に学べと言われても、多く
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の米国企業経営者は反発を覚えるはずだ。
A学者・政治家は賛同する可能性が高い
一方、欧米の学者・政治家は日本企業の経営理念・企業文化の価値を素直に認め
る可能性が高い。彼らは欧米企業の問題点をしばしば指摘しているが、企業経営者
は何も改善策を講じていない点に強い不満を抱いている。彼らに対してきちんとわ
かりやすく日本企業の経営理念・企業文化の価値を伝えれば、支持をする可能性は
十分考えられる。
B具体策はソーシャルメディアの活用
米国企業は社会貢献活動をアピールするのがうまい。それが企業のブランド価値
の向上を通じて株価の上昇にもつながるからである。それに対して、日本企業は米
国内でのアピールが下手である。実際、一般的米国人の中で、日本企業がそうした
経営理念や企業文化に基づいて行動していることを知っている人は日本企業の従
業員等ごく一部に限られている。
日本企業も米国企業のアピールの仕方を学び、もっと上手に日本的経営理念・企
業文化の価値を伝えるべきである。
具体的には、日本企業の社長自らが米国の従業員を前に、自社の経営理念や企業
文化に基づく実践活動についてわかりやすく、心に響くスピーチを行い、その様子
をビデオに撮って、ソーシャルメディアにアップするといった方法が有効であると
の指摘を受けた。これはまさにサンダース候補を支持する若者たちが活用した方法
で、現在の米国社会ではこれが最も効果的なアピール方法であると言われている由。
以 上
http://www.canon-igs.org/column/1601018_seguchi.pdf

http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/166.html

[国際19] トルコ国民投票でエルドアン大統領が勝利宣言−野党は不正行為非難 リラ大幅高 トランプ中国為替操作国ではない ミサイル失敗

トルコ国民投票でエルドアン大統領が勝利宣言−野党は不正行為非難
Bloomberg News
2017年4月17日 05:02 JST

トランプ大統領:北朝鮮問題で協力する中国を為替操作国とは呼べない
ヘッジファンド名前に潜む警告サイン−「権威」や「経済学」にご用心
NY外為(14日):ドルが対円で反落、米CPIが予想下回り

米消費者物価指数:3月は0.3%低下、1年ぶりのマイナス

トルコで16日、大統領の権限を強化する憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、エルドアン大統領が勝利を宣言した。野党は大規模な不正行為があったと主張している。
  国営アナトリア通信によると、開票が大部分終了した時点で賛成51.3%、反対48.7%だった。
原題:Erdogan Declares Referendum Victory as Opposition Cries Foul (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-16/OOIQCH6TTDSL01

トルコ・リラが大幅高−憲法改正の国民投票で賛成多数
Bloomberg News
2017年4月17日 06:31 JST

17日の外為市場でトルコ・リラが大幅に上昇。エルドアン大統領の権限強化の是非をめぐる国民投票で賛成票が反対をわずかながら上回り、2017年に新興市場通貨で最悪のパフォーマンスとなっている同通貨への関心が再燃する可能性がある。
  リラは一時2.4%高の1ドル=3.6188リラと、1月30日以来の大幅高。
原題:Turkey’s Lira Gains as Erdogan Victory Sparks Relief Rally(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-16/OOIUG86TTDSY01

トランプ大統領:北朝鮮問題で協力する中国を為替操作国とは呼べない
Ros Krasny
2017年4月17日 06:47 JST
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北朝鮮のミサイル発射失敗後にトランプ大統領がツイート
米財務省は14日、中国の為替操作国認定を見送り 
トランプ米大統領は選挙公約に反して中国を為替操作国に認定しないことを決めた理由について、北朝鮮を抑え込むために中国政府の協力を得られるためだと説明した。
  トランプ大統領は16日午前にツイッターで2800万人のフォロワーに対し、「北朝鮮問題でわれわれと協力している中国を為替操作国とどうして呼べようか」とコメントした。
  北朝鮮は前日遅く(日本時間16日朝)にミサイル発射に失敗しており、トランプ大統領はそれを受けてツイートした。トランプ大統領はイースター(復活祭)の週末をフロリダ州パームビーチで過ごしている。
  米財務省は14日公表した外国為替報告書で、中国を為替操作国として認定することを見送った。代わりに同国に対し、人民元が市場原理に従い上昇するのを容認するよう求めた。
原題:Trump Ties China Currency Decision to Help With North Korea (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-16/OOISUJ6TTDS001

 
海外主要ニュース:米為替報告、米統計、北朝鮮ミサイル失敗、デルタ
Bloomberg News
2017年4月17日 06:23 JST

関連ニュース
Turkish President Recep Tayyip Erdogan (R) and his wife Emine Erdogan (L) flash the four-finger "Rabia sign" during a campaign rally of Turkey's president on April 12, 2017 during a 15 July Martyrs meeting and a campaign rally for the "yes" vote in a constitutional referendum in Istanbul.Turks will vote on April 16, 2017 on whether to change the current parliamentary system into an executive presidency. / AFP PHOTO / Ozan KOSE (Photo credit should read OZAN KOSE/AFP/Getty Images)

トルコ国民投票でエルドアン大統領が勝利宣言−野党は不正行為非難
U.S. President Donald Trump listens during a news conference with Angela Merkel, Germany's chancellor, not pictured, in the East Room of the White House in Washington, D.C., U.S., on Friday, March 17, 2017. Trumps first meeting with Merkel will test the power dynamic between the Wests two pre-eminent leaders, one struggling for credibility on the world stage while the other fights for political survival at home. Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

トランプ大統領:北朝鮮問題で協力する中国を為替操作国とは呼べない
ヘッジファンド名前に潜む警告サイン−「権威」や「経済学」にご用心
A woman walks past a television screen broadcasting live footage of a ceremony to mark the 105th anniversary of the birth of North Korea's founder Kim Il-Sung and showing North Korean leader Kim Jong-Un, at a railway station in Seoul on April 15, 2017.North Korea's military forces were massed in Pyongyang on April 15 for a show of strength by leader Kim Jong-Un as tensions mount over his nuclear ambitions. / AFP PHOTO / JUNG Yeon-Je (Photo credit should read JUNG YEON-JE/AFP/Getty Images)

北朝鮮、金正恩委員長出席の軍事パレードでミサイル披露−世界は警戒

海外の金融経済・企業関連ニュースの主な項目は次の通り(日時は現地時間)。記事は◎をクリックしてください。
◎米財務省:中国の為替操作国認定見送り、日本の監視継続−為替報告書
◎3月の米小売売上高:2カ月連続で減少、自動車の購入減が響く
◎米消費者物価指数:3月は0.3%低下、1年ぶりのマイナス
◎米企業在庫:2月は前月比0.3%増加−市場予想と一致
◎北朝鮮、ミサイル発射失敗−トランプ政権の警告無視
◎北朝鮮、金正恩委員長出席の軍事パレードでミサイル披露−世界は警戒
◎中国外相、朝鮮半島で戦争勃発なら壊滅的結果もたらすと警告−新華社
◎中国国務委員と米国務長官が朝鮮半島情勢で意見交換−新華社
◎中国国際航空、17日から北京−平壌便の運航を停止−中国中央テレビ局
◎韓国がミサイル防衛システム開発の最終段階に−聯合ニュース
◎韓国大統領代行と米副大統領が17日午後3時から記者会見
◎トルコ国民投票でエルドアン大統領が勝利宣言−野党は不正行為非難
◎中国人民銀:M2の伸びは経済成長に沿っている
◎コーン米NEC委員長、株式を最大309億円分売却−トランプ政権入り後
◎米軍のアフガニスタンIS拠点攻撃で36人死亡、通常兵器で最強の爆弾
◎ロシア:シリアの化学兵器攻撃、でっち上げの公算高まった
◎イラン大統領選、現職ロウハニ氏が立候補届け出−2期目目指す
◎ルペン氏、トランプ米大統領を批判−NATOについて「考え変えた」
◎デルタ、定員超過で席譲る補償を最大108万円に−ユナイテッド事件で
◎米アップル、自動運転車ソフトの公道試験を近く実施へ−関係者
◎米ウーバー:財務情報を開示、増収率は損失の伸びを上回ると指摘
◎米アマゾン、ビージェーズ・ホールセール・クラブ買収検討か−NYP
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-16/OOITMS6KLVR901

 


 
ヘッジファンド名前に潜む警告サイン−「権威」や「経済学」にご用心
Hema Parmar
2017年4月17日 07:03 JST

ヘッジファンドは重厚な語句をネーミングの際に選ぶことが多い
そのようなファンドはリターンが低く、より早く清算される可能性

ヘッジファンドの名称に使われる言葉が、投資家にとって警告のサインである場合もある。
  ヘッジファンドは権威や安定、パワーを反映する言葉、すなわち重厚さを備えた語句をネーミングの際に選ぶことが多い。ニューヨーク州立大学バッファロー校とフィンランドのオウル大学の研究者らは報告書で、投資家は警戒が必要だと分析した。
  報告書によれば、世界の1万8000近いヘッジファンド(資産運用額は平均約1億6000万ドル=約174億円)を調査した結果、重々しいネーミングのファンドの方が、その傾向が比較的小さいファンドに比べて、「リターンやアルファ(ベンチマークを上回る運用成果)、シャープレシオ(効率係数)、マニピュレーションプルーフ・パフォーマンス指標がいずれも低く、ボラティリティー(変動性)やドローダウン(目減り)の最大値、消滅の可能性については高い」との分析結果が示された。これらのファンドが請求する管理報酬は高く、成功報酬は低い傾向にあることも分かった。
  それにもかかわらず、投資家はそうしたタイプの名称、とりわけ経済学や国家、政治に関係する言葉をちりばめたネーミングにだまされがちであり、ヘッジファンドの名称に重厚な語句を一つ加えるだけで、年間の資金流入額を平均で約22万7120ドル増やすことができるという。
  
原題:Beware Falling for Hedge Funds With Names That Connote Gravitas(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-16/OOE02N6KLVR401
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/151.html

[経世済民121] トランプ大統領、市場の「複雑さ」ようやく認識か 日経先物下落1万8260円 日ロ貿易拡大税関 読書格差 VB法務人材拡充
Column | 2017年 04月 16日 16:05 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:
トランプ大統領、市場の「複雑さ」ようやく認識か

Gina Chon

[ワシントン 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領は、医療保険制度(オバマケア)だけでなく金融市場もまた複雑であることにやっと気付いたようだ。

大統領は、中国がしばらく人民元を低め誘導していないことを遅まきながら知り、同国を為替操作国に認定しない方針を示した。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長と輸出入銀行についてもこれまでの態度を改め、友好的になった。

トランプ氏は大統領選の期間中、中国が意図的に人民元を切り下げて輸出競争力を確保しているとし、就任初日に為替操作国に認定すると繰り返し約束していた。しかし中国は過去2年間、資本逃避を食い止めるために多額の外貨準備を売って人民元を押し上げている。トランプ氏は12日の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、中国は実際には何カ月も為替を操作していないと述べた。

選挙戦期間中にはイエレン議長のことも批判し、首をすげ替えると述べていた。しかしインタビューではイエレン議長を尊敬しているとひょう変し、金利が引き続き低水準にあることが望ましいと述べた。これは、景気拡大と雇用創出というトランプ氏の目標と相入れない。FRBは景気認識を踏まえて今年、利上げペースを加速させたい意向だ。

トランプ大統領は輸出入銀行についても、小規模企業を助ける上、他国にも同様の機関があるとして支持を表明した。トランプ氏の仲間である下院金融委員会のヘンサリング委員長を含む保守系議員により、同行の業務は制約を受けている。

不動産王のトランプ氏は、株式や為替など市場に関する経験が乏しい。現在はブラックストーンの創業者スティーブ・シュワルツマン氏やゴールドマン・サックス出身のコーン米国家経済会議(NEC)委員長から教えを乞うている。

まだオバマケア代替法案の成立を目指していた2月、トランプ氏は「医療保険制度がこれほど複雑だとはだれも知らなかった」と述べた。輸出や金融市場についても同じ気付きがあったのだろう。政策が首尾一貫しないのは困ったことだが、トランプ氏は少なくとも大統領という職について学びつつあるようだ。

●背景となるニュース

・トランプ米大統領は12日のWSJ紙で、15日に公表する外国為替報告書で中国を為替操作国に認定しない方針を示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 
コラム:トランプ大統領、市場の「複雑さ」ようやく認識か

ドル過度に強い、中国を「為替操作国」に認定せず=トランプ氏
ドル過度に強い、中国を為替操作国に認定せず=トランプ氏
コラム:トランプ氏の景気刺激策、景気後退を先延ばしするだけ
http://jp.reuters.com/article/trump-market-breakingviews-idJPKBN17G0PW?sp=true

 

トランプ氏、中国の役割に期待表明 北朝鮮抑止
2017/4/16 23:46
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 【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は16日、今回の北朝鮮のミサイル発射後初めてツイッターに投稿し、北朝鮮抑止に向けた中国の役割に重ねて期待を表明した。「北朝鮮問題で我々に協力してくれているというのに、なぜ中国を為替操作国に指定するというのか。指定するわけがない」とつぶやいた。

 「米軍はかつてないほど急速に強力になっている。はっきり言って我々に選択肢はない」とも表明。米軍の強大な軍事力を誇示して圧力をかけ、北朝鮮に核・ミサイル開発を断念させる決意を重ねて示したものとみられる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM16H7M_W7A410C1NN1000/

 


拍子抜けの米為替報告書 ぶれるトランプ氏の強硬姿勢
2017/4/15 12:52日本経済新聞 電子版
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 米財務省が14日発表した為替報告書は想定の範囲内の内容で、日本の財務省もひとまず安堵する結果となった。トランプ米大統領は直前に「ドルが強すぎる」と強気姿勢を見せていただけに拍子抜けともいえる。問題は米国の本音と建前があまりにも乖離(かいり)している点。主要7カ国(G7)は有事の際に為替相場に対する認識を擦り合わせて市場をけん制する。ところが肝心の米国の意向がぶれれば調整に手間取るのは必至。市場は…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK15H0R_V10C17A4000000/

 


 


日経平均先物、夜間取引で下落 60円安の1万8260円で終了
2017/4/17 7:05日本経済新聞 電子版
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【NQNニューヨーク=古江敦子】日本時間15日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL15H7E_V10C17A4000000/


 
経産省、温暖化ガス大幅削減へ若手研究者のアイデア募集
2017/4/16 23:33日本経済新聞 電子版
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 経済産業省は温暖化ガスの大幅削減につながりそうなアイデアを若手研究者から募る試みを始める。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に産業革命からの気温上昇を2度以内に抑える「2度目標」が盛り込まれたが、達成には相当な技術革新が要る。若手の自由な発想で、従来にない低炭素技術を掘り起こす。

 5月から大学や研究機関などの40歳未満の研究者を対象に、アイデアを募る。2度目標達成の有望技術とされる次世代パワ…
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15375410W7A410C1TJM000/


 


日ロ貿易拡大へ税関担当者会合 年内にも開催
2017/4/16 21:02日本経済新聞 電子版
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 日本とロシア両政府は貿易拡大に向け、2017年内にも2国間の税関担当者の専門家会合を開く。法令を守る優良な輸出業者の情報を共有、通関手続きを簡素化するなどして、貿易量の底上げにつなげる。密輸の摘発や関税業務の運用方法などのノウハウなどについても情報交換する。

 会合の頻度や具体的な出席者は今後検討する。財務省によると、日本各地の通関審査…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF14H0F_W7A410C1NN1000/

 

VB、法務人材拡充急ぐ 飛躍の支えに
2017/4/17 0:32日本経済新聞 電子版
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 ベンチャー企業(VB)が弁護士など法務人材を拡充している。フィンテックや遠隔診療といった新産業で成長するには法的な問題をクリアにすることが欠かせない。海外でのブランド保護やM&A(合併・買収)でも法律の知識は不可欠。法務人材は飛躍をめざす起業家にとってなくてはならぬ助っ人だ。

 飲み会での割り勘の精算など面倒なお金のやりとりをスマートフォンで簡単にできる個人間無料送金アプリが登場した。開発したフィ…
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO15369350V10C17A4TJE000/


 
クレジットカード一時決済できず JCBなど
2017/4/15 21:00
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 クレジットカード大手のJCBは15日、同日午前11時すぎから約6時間にわたって一部の加盟店でカードが利用できないトラブルが発生したと発表した。加盟店とカード会社を結ぶシステムに障害が生じた。同システムを利用している他の複数のカードも一時利用できない状態になった。

 障害が起きたのは「日本カードネットワーク」が運営するシステムで、加盟店での決済情報などをカード会社に伝えている。この障害でJCBや三菱UFJニコスなどのカードが15日午後5時すぎまで一部の加盟店で使えなくなった。障害の規模などについて各社は「調査中」としている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC15H1Y_V10C17A4EA4000/

 


文科省、子供への読み聞かせ支援 「読書格差」を是正
2017/4/15 20:23
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 文部科学省は今年度、経済的困難を抱えた世帯が多い地域を中心に、子供の読書機会を増やす試みに乗り出す。ボランティアによる読み聞かせなどを支援し、所得の低い世帯ほど本に触れる機会が少ない「読書格差」の是正を目指す。

 実施主体として複数の地方自治体が名乗りを上げており、5月下旬までに総額約3700万円の委託費の配分先を決める方針だ。

 具体的な支援対象として、ボランティアの協力を得て図書館でひとり親家庭の子供に読み聞かせをしたり、推薦図書のリストを作って保護者に配布したりといった取り組みを想定。効果的な読み聞かせ方法を検討し、福祉施設や家庭などへの普及を図る活動も支援する。

 2013年度の文科省調査では、年収平均が約920万円の世帯では子供に本の読み聞かせをした割合が83%だったのに比べ、約350万円の世帯では64%にとどまった。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15H4A_V10C17A4CR8000/
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/166.html

[不安と不健康18] ギャンブルやFXがやめられない…それって病気?脳の前頭葉の機能が明らかに低下、自助グループのセラピーが効果的 オトコのお

ギャンブルやFXがやめられない…それって病気?脳の前頭葉の機能が明らかに低下、自助グループのセラピーが効果的

誰にも言えない…オトコのお悩み相談室
• 荒川直樹=科学ライター
バックナンバー
• 2017年4月17日(月)
まだまだ男盛りの中高年に容赦なく襲いかかる体の悩み。医者に相談する勇気も出ずに、1人でもんもんと悩む人も多いことだろう。そんな人に言えない男のお悩みの数々を著名な医師に尋ね、その原因と対処法をコミカルで分かりやすく解き明かす。楽しく学んで、若かりし日の輝いていた自分を取り戻そう。
総合商社に勤務する42歳。学生時代から大のパチンコ、競馬好き。レースのある日は朝から気もそぞろ。勝っても負けても気持ちが熱くなり、周囲のことが目に入らなくなる。先日は家族と約束していた買い物をすっぽかして大ひんしゅくを買った。そんなオレが最近手を出したのがFX(外国為替証拠金取引)だ。為替がもくろみどおりに動いて利益が出たときには大興奮。24時間取引なので、つい遅くまでパソコンに向かうようになり、会社を遅刻するようにも…。妻や子供との会話もめっきり減り、家に居場所がない感じ。妻は、本気で離婚を考えているみたい。

(イラスト:川崎タカオ)
[画像のクリックで拡大表示]
 日本では基本的にはギャンブルが禁止されている。それに替わる娯楽として行われているのが、地方公共団体など公の機関が開催する競馬、競艇、競輪、オートレースなど、いわゆる「公営競技」だ。それに加えて全国に1万以上のパチンコ店が、ギャンブル好きな人々を引き寄せている。
 パチンコも公営競技も、国民の娯楽として健康的な範囲で楽しんでいる分には問題ない。実際、行っている人のほとんどが、「オレは楽しみでやっている」「いつでも止められる」と思っているだろう。しかし、そこに「心の病」が忍び込み、いつの間にか「止めたくても止められない」状態になってしまうケースがある。
FXにはまる人も急増中
 してはいけない状況にあることが分かっていながら、ギャンブルにはまりこんでしまう状態がギャンブル依存症だ。ギャンブルで仕事に支障を来すようになったり、家庭生活に深刻な影響を与えたり、ギャンブルによる借金がかさんだりと問題はさまざま。なかには公金を横領するなど犯罪に手を染めるケースもある。
 厚生労働省研究班が2017年に発表した調査結果によれば、国内のギャンブル依存症患者(病的ギャンブラー)はおよそ283万人(国民の2.7%)と言われている。これについて「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は、「これは他の先進国の倍以上の数字。ギャンブルが禁止されているはずの日本で、これほどギャンブル依存症の患者が多いのは皮肉なこと。また、早急の対策が必要でしょう」と話す。
 ギャンブル依存症の患者が最も多いのはパチンコで、依存症患者の8〜9割が該当、次いで競馬が2割ほど」と話す。そして、最近になって徐々に増えてきているのがFX(外国為替証拠金取引)への依存だという。もちろんFXはギャンブルではないが、取引しているときに高揚感を感じること、短時間で取引結果が出るなどのギャンブルと類似した特徴がある。しかも、インターネットで行うことから、人目を気にせず家庭で気軽に行えるなど、潜在的な依存症患者は多いと考えられる。
 実際、2014年には、大手企業の経理担当社員がFXの損失を埋めるために数億円もの金額を会社から横領するという事件も報道されている。田中代表の元には、FXに依存してしまった者の家族からの相談も多く寄せられるようになったという。
次ページ「一人の行動が増え、家庭に居場所がない」

一人の行動が増え、家庭に居場所がない
 ギャンブル依存症の傾向が見られ始めたとき、まず気づくのは家族や友人だ。田中代表は、ギャンブル依存症の初期症状として次のような症状を挙げる。

[画像のクリックで拡大表示]
 もし、こんな症状が見られたら、次のリストでチェックを行ってほしい。これはギャンブル依存症の自助グループ、ギャンブラーズアノニマス(GA)が発表しているギャンブル依存症のチェックリストで、20の質問のうち7つ以上が当てはまれば「脅迫的ギャンブラー(ギャンブル依存症)の可能性が高い」と判定される。

[画像のクリックで拡大表示]
次ページ「ギャンブル依存症は脳の病気か」

ギャンブル依存症は脳の病気か
 ギャンブル依存症というと「どうしようもなくギャンブルが好きな人」と、なにか特別な人のように思われる。しかし田中代表は「実際には、一般の人と同じように普通にギャンブルを楽しんでいた人々」と話す。しかし、自分でも気がつかないうちに、やめたくてもやめられないギャンブル依存症という病気を発症してしまったのである。
 田中代表は「WHO(世界保健機関)では、ギャンブル依存症を『治療すべき病気』と捉えている」と話す。それに対して、一般的には「人間性の問題で、意思の力によってなんとかできるはず」と考えられがちだ。そのため周囲の人々も、本人に対して「理論的に考えれば、ギャンブルで儲けることはできない」などと諭すことが多い。
 しかし、ギャンブル依存症の患者は、こうした理屈を十分承知した上で、それでも「今度勝てば、これまでの借金を返せる」と考えてしまう。しかも、最初のうちは味わえたギャンブルをやっているときの高揚感や多幸感が失われているにもかかわらず、強迫観念によりギャンブルを止められないのである。田中代表も「非常に苦しい思いをしながらも、ギャンブルを続けている人がほとんど」という。
 なぜ、こうした行動を繰り返すのか。ギャンブル依存症の臨床研究は、まだ始まったばかりだ。しかし、最近の研究では、繰り返しギャンブルを行っていくうちに、脳にさまざまな異変が起こると考えられ始めている。例えば、脳の働きを画像で分析するfMRI(機能的磁気共鳴映像装置)という装置を用いた研究では、ギャンブル依存症の患者は脳の前頭葉という部分の機能が明らかに低下。ギャンブル以外のことでは、脳がうまく働かない状態になっていることも明らかになっている(京都大学医学部、鶴身孝介助教など、「依存症の新しい展開 依存症の脳科学」、月刊精神科. 2015;26(4):247-251.)。
 そして、ギャンブル依存症は慢性疾患であり一度発症すると生涯完治はない。このことを専門家は「大根をたくあんにするのは簡単だが、たくあんを大根にはできない」と表現する。早め早めにギャンブル依存症に対処し、重症にしないことが重要なのだ。
次ページ「自助グループなどでのミーティングが基本」

自助グループなどでのミーティングが基本
 もし、自分や家族がギャンブル依存症の可能性があると感じたとき、例えば「GAによる20の質問」で問題の見つかった人は、どこに相談すればいいのだろうか。
 最近では、各地の精神神経科などが依存症外来を設けている。まずは、そこで相談してみるといいだろう。しかし、特効薬的な薬剤があるわけではなく、医師のカウンセリングなどを主体とした認知行動療法などを行うことになり、回復までには時間がかる。田中代表は「この地道な回復過程で効果的なのがグループセラピーだ」と解説する。同じ経験を持つ人たちとのミーティングを重ねていくというもので、前述のGAもこうした自助グループの一つだ。
 回復のための最初のステップは「自分の力ではギャンブルを止められないのだ」としっかり認識することだという。「ギャンブルを止められない」という状態は、一般の人には理解しがたいものだが、それは当事者も一緒だ。止めようと思えば止められるつもりでいるので、その意識をまず改める必要がある。
 そして、同じ経験を持つ人たちとミーティングを続けるうちに、自分では止められなくなっていった状態を初めて客観的に理解できるのだ。そして、「では、どのようにして止める?」「同じ依存症のメンバーと一緒にやれることは?」と一つひとつ前向きに考え、その次の段階として回復プログラムに取り組めるのだ。
 田中代表は「これまでギャンブル依存症というと男性の病気であったが、近年は女性の患者も増える傾向にある」と話す。また、子供たちにもネット依存が広まるなど、依存症には新しい問題が登場している。パチンコ、競馬からFXまで、「依存症大国」となってしまったニッポン。ギャンブル依存症に対する正しい知識を家族で共有することが大切といえるだろう。
田中紀子(たなか のりこ)さん
ギャンブル依存症問題を考える会 代表
1990年、国立大学附属病院秘書。2001年、弁護士事務所秘書。2004年よりギャンブル依存症問題に関わり、2010年依存症治療施設のカウンセラーとなる。主に依存症者を家族に持つ家庭の家族支援に関わる。2014年2月、ギャンブル依存症問題を考える会の代表に就任。関連著書に『ギャンブル依存症』(角川新書)があり、厚生労働省主催の「依存症への理解を深めるためのシンポジウム」など、各地で講演活動を行っている。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/091500010/041400013/

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/490.html

[戦争b20] 極東戦争への歴史的危機 米空母派遣でも「北朝鮮攻撃」の可能性はほとんどない理由 米シリア攻撃はわずか3日間で世界を変えた
【良質な経営・ビジネス・IT・経済・金融・知識の提供を目標に】
       2017年4月14日: Vol.369

<Vol.369:騒然としてきた世界を、事実から読む>

   テーマ: 極東戦争への歴史的危機
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
HP: http://www.cool-knowledge.com/
無料版の登録/解除: http://www.mag2.com/m/0000048497.html
有料版の登録/解除: http://www.mag2.com/m/P0000018.html
           感想/連絡:yoshida@cool-knowledge.com
        Systems Research Ltd.吉田繁治 41624部

おようございます。日本では桜が見納めの時期というのに、世界が、
一挙に、騒然としてきました。

韓国と日本は、地政学的な危機の可能性の、直前にあります。

避けることができるかどうか。入手できた事実をもとに考えます。
焦点になるのは、北朝鮮がもつ核兵器、サリン、ミサイルです。
(無料版が、約2ヶ月とだえたことをお詫びします。)

新着のニュースでは、米国は、シリアの反政府組織(ISISと言われ
る)の空港などの、59発のクルーズミサイルでの爆撃に続き、今度
は、ISIS(イシス)の拠点とされるアフガン東部に、超大型の爆弾
を投下しました。

(注)クルーズミサイル(巡航ミサイル):長距離を低く飛ぶため、
敵国のレーダーにかかりにくいが、100%避けることはできない。

【アフガンの爆撃:4月14日】
アフガン爆撃に使われたのは、「GBU-43/B」で大規模爆風弾兵器とさ
れています。核に準じる大規模破壊の威力があり、実戦に使われる
のは、初めてです。投下された地域は、ナンガルハル州の、ISISの
支配地域です。(Bloomberg:4月14日:午前6時)

【シリアへのミサイル攻撃:4月7日】
電撃的だった米国のISISの爆撃は、「シリア反政府組織が、国際法
が禁じるサリンを使って攻撃した」というものです。サリンは、ト
ルコの保健相が犠牲者から確認したという。

ただしプーチン大統領のロシアは、「米国が言うISISのサリンの使
用は嘘であり、トルコが持ちこんだ西側の、(攻撃の理由を作るた
めの)自作自演」としています。そして、国連の安全保障委員会で
も、米国のミサイル攻撃に対し、不当だと反論しています。

【ロシアと西側】
ロシアは、シリアのアサド現政権を支えるため、派兵しています。
一方、西側(米国、英国、ドイツ、オランダ等)は、アサドへの反
政府組織とのつながりがあります。

米国は、公式にはこれを認めていませんが、「アラブの春の民主化
を支援する」とは言っています。ISISを、民主化運動とするには、
無理があるからです。

【ドルトムントのバステロ:4月13日】
昨日、ドイツのドルトムントの自爆テロで、バスが襲われました。
サッカーチームが乗っていて、選手1人が重傷を負っています。香
川選手も同乗していましたが、無事という。

ドイツで人気あるチームの襲撃なので、騒然としています。「ドイ
ツのシリア派兵」を糾弾する、イスラム系と見られる文書が残され
ていたという。

【ペテルスブルグ:4月3日:自作自演の説】
4月3日には、プーチン大統領が滞在していたペテルスブルグの地下
鉄車内で、自爆テロが起こり、14人犠牲者が出ています。

犯人は、キルギス出身のロシア人とされますが、当人も死亡してい
ます。イスラム系の自爆テロかどうか、裏付けはまだありません。

ロシアが、軍事力強化の世論を喚起するために起こしたロシア保安
局(FBS)の自作自演だ、というメディアの観測もあります。第二
次座残酷だったチェチェン戦争に至り、エリツィンに代わってプー
チン氏が大統領の座を獲得する前に起こった、モスクワの連続テロ
に、プーチン氏の関与があったことは、2014年に明らかになってい
るからです。

【シリアへのロシアの関与】
シリアのアサド政権の支援では、ロシアは、レバノンの武装組織ヒ
ズボラを使い、イラン・イスラム革命防衛隊の部隊も、利用してい
ます。

シリアの内戦では、ロシアと西側が介入して入り乱れているため、
錯綜しています。秘密警察出身のプ─チン氏にとって、諜報を流し、
陰謀を画策するのはお手のものでしょう。それが仕事だったからで
す。

【中国の人工島】
シリアへのミサイル攻撃は、習近平国家主席が、フロリダの別荘へ
行き、トランプ大統領と会談をはじめた直後でした。

中国と米国では、貿易の問題以外に、フィリピンに近い南シナ海の、
人工島(南沙諸島の北西)での対立があります。至近のフィリピン
に、2014年から再び米軍が駐留していることも、緊張に関係してい
ます。

かつての、ソ連の核ミサイルがもちこまれていたキューバの規模を
小さくしたものです。米軍は、これを海上封鎖しようとしていると
言われます。米国と中国に軍事衝突があるとする識者も多い。(注)
当方は、ないと見ています・・・。

【北朝鮮の核爆弾】
金正恩(きむ・じょんうん)委員長の北朝鮮が、核をもつことは、
事実です。イランにも、技術提供と売却をしたという。

ただし核爆弾は、長距離弾道ミサイルに搭載されないと、米国に対
する有効性は薄い。韓国と日本の米軍基地と、国土に対しては、現
在の短距離のスカッド型、通常ミサイル(ノドン)は届きます。

米中首脳会談の直前を狙って、北朝鮮が4発の長距離弾道ミサイル
の打ち上げ実験をし、示威をしています。60キロ飛んで、日本海に
落ちています。

【中国への依頼】
これに対し、トランプ大統領は、「中国は北朝鮮の問題に対処でき
る」、「中国が対処しなければ、米国だけでも、完全に対処できる」
と言っています。古い浪花節のような独特の節をもつ国営放送は、
悪の国アメリカの壊滅を叫んでいます

このため、米国にとって下田の黒船のように、空母(原子力船の
カール・ビンソン)と巡洋艦で北朝鮮を威嚇し、経済封鎖すること
はあっても、軍事的な戦闘の選択肢はないと見ていますが。当方の
見方は、希望的な観測にすぎるでしょうか。

【金正男の暗殺:2月28日】
金正恩の異母兄、金正男氏(きむ・じょんなむ)は、マレーシア空
港で、神経系を麻痺させるVXガスとされるもので暗殺されました。
暗殺されたのは、刺客をひどく恐れていた金正恩の影武者という説
もありますが、おそらく、本人でしょう。

金正男がしていた腹への入れ墨が見えなかったことが、影武者と言
われる根拠です。全身の入れ墨は簡単には消えないからです。

異母兄の存在は、情報統制により、北朝鮮の国民には、知らされて
いません。金正恩の指示で暗殺が行われたとすれば、その目的は、
自分の暗殺を恐れたからでしょう。

金正男がいなければ、血筋の後継者がいなくなるので、自分の暗殺
は避けることができると考えたからかもしれません。国家主席も承
継で得た人は、主席という地位は、父からの遺産の相続と同じとい
う考えをしているからです。

日本にとって、核を持つ北朝鮮に対する、米軍(集団自衛権で自衛
隊も同じ行動をとります)の軍事攻撃は、危険です。韓国や日本に
核爆弾が飛んでくるかもしれない。このときは、通常ミサイル(ノ
ドン)で原発を狙うことも想定できるからです。

原子炉と、停止中ではあっても使用済み燃料のプールは、全電源が
破壊され、数時間の注水ができなくなると、東電の当時の発表とは
違いメルトダウンからメルトスルーしていた福島第一がそうであっ
たように、使用済み核燃料であっても、核爆弾と同じになるからで
す。

放射線が出ると、補修作業者が近づけなくなるので、シビアアクシ
デントに発展します。冷却水で燃料の温度を制御し、すこしずつ核
反応を起させているからです。

原子炉と全電源の破壊は、通常のミサイルで可能です。ロシアで起
こった自爆テロでも危険です。

【Behead】
米国は、斬首を意味するBeheadという言葉を、金正恩委員長に対し、
使っています。映画でも見ることがある特殊で激しい訓練をした部
隊シールズ(SEALs)を沖縄に派遣し、極秘で北朝鮮に送り込んで
います。

2011年のウサマ・ビン・ラディンの、パキスタンでの暗殺もシール
ズが行っています。

米国と中国が、金正恩氏の体制を守る約束して妥協すれば、戦争に
は至らない可能性も残っています。

【Beheadの部隊はシールズ】
シールズの部隊を乗せているC・チャンピオン(2100トン)は、沖
縄に一時寄港し、北朝鮮に向かっています。核ミサイルを載せた大
型原子力空母のカール・ビンソン(9万トン:乗員5000人)と、隊
列を組む巡洋艦も、北朝鮮に向かっています(4月13日)。

【焦点は、実験された長距離弾道ミサイル】
米国は、北朝鮮の長距離弾道ミサイルが完成する前に、軍事工場と
設備を破壊する必要に迫られています。

4発の実験をした長距離弾道ミサイルが完成すると、核を搭載した
ものが、米国まで届くからです。

【迎撃ミサイルの有効性には限界がある:ロイター】
米国は、迎撃ミサイル(MD計画で開発)で打ち落とせるとしていま
すが、その実際の効果は、未定のままです。

イージス艦が発射できる「SM3」、地上からのものは「PAC3」と言われ
ます。両方とも、日本の自衛隊も装備しています。

しかしロイターは、イージス艦のSM3が1000Kmの高さまで到達する
のは不可能とし、地上からのPAC3で迎撃するしかないはずだと報じ
ています。わが国の自衛隊幹部も、この見解を言っています。
この迎撃は、拳銃の弾を、別の拳銃の弾で撃ち落とす感じのもので
す。

弾道ミサイルの速度は、上昇のときは遅くても、落下が始まると、
最高速度はマッハ20(音速20倍)に達します。発射直後の上昇の中
でないと、PAC3では追いつけないという説もあります。

われわれが、イージス艦とともに期待している迎撃ミサイルが、被
害の少ない海上で、弾道ミサイルを打ち落とせると見ることは、で
きないようです。最高が1000kmに達しないからです。

地上からのPAC3も100%の期待はできないということが、正解でし
ょう。北朝鮮の平壌から東京までの直線距離は、約1300kmでしかな
い。韓国は、全土が至近です。


【自衛隊の迎撃は3発まで:自衛隊】
自衛隊と自民党は、3発のミサイルなら落とせるが、4発以上が同時
にきたら無理だという。

北朝鮮は、全部が動くかどうかは別にして、700から1000発のミサ
イル(使いやすい液体燃料)を保有しています。日本の全域を射程に
収めることができるノドン(中距離ミサイル)が45%です。ノドン
用の移動式発射台は、最大で50両あるという(米国防省)。

ノドンでも射程距離は1300kmから2000Kmで、その命中精度は半径
190mから2500mです。飛距離にたいし、999/1000の精度です。液
体燃料で、移動が可能なノドンにたいして、日本は射程内です。万
一ノドンが日本に向けられた場合、7分から8分で到着します。

【化学兵器2000トン】
北朝鮮は、確認されたところでは、世界最大級の2000トンの化学兵
器(薬品)を備蓄しています。

シリアのサリンも、北朝鮮のものと言う説があります。(注)ことが
ことなので、露骨で直截な言葉をお許しください。2000トンの化学
兵器は、2億人に人命被害をもたらすと言われます。ミサイルに搭
載されるサリンについては、昨日、安倍首相も触れています。

ノドンに、神経を麻痺させる化学兵器が搭載されると、迎撃ミサイ
ルで打ち落とすことができても、被害は拡散します。

局地的に言えば、核兵器と同じですが、被害が悲惨として国際法が
禁じるサリンやVXガスの化学兵器です。解毒剤はありますが、至近
の韓国や日本に打ち込まれたらひどい事態になります。核兵器より
ひどいかもしれない。

【イージス艦:米国防省】
自衛隊の、迎撃ミサイルSM3搭載のイージス艦は、4隻です。
米軍は、日本の周辺で、10隻のイージス鑑を配備しています。

しかし、威嚇を超えた全面戦争では、日本の国土と人命の被害は、
どの程度かは別にして、避けられないと思えます。

【長距離弾道ミサイルの耐熱性の問題】
ノドンのミサイルは完成していても、落下のときの温度が、外壁の
セラミックが焦げるスペースシャトルのように、数千度になる長距
離弾道ミサイルは、耐熱材料の問題から、北朝鮮は開発できていま
せん。

北朝鮮は「耐熱性を確認」と発表していますが、その確認には落ち
たミサイルを日本海から回収し、検証せねばならない。北朝鮮はこ
れを行っていないので、長距離弾道ミサイルの耐熱性は未定とみな
ければなりません。

一般的な推論では、長距離弾道ミサイルに核を搭載して、核反応を
引き起こせるかどうか。ここまでは行っていないとみるのが正しい
でしょう。

耐熱性がないと、音速の20倍の速度で落下するとき、流れ星や隕石
のように、空中で燃え尽きます。核爆弾を搭載していたら、数千度
の高温により燃焼したとき、核反応がどうなるかは、わかりません。

ただし、核ミサイルが爆発したとき出る放射線では、ヒロシマやナ
ガサキのように、核物質の残留が短期です。福島第一のように、数
十年、数百年にわたって、致死量の放射線を出し続けることはあり
ません。

【トランプ氏は、いままでは、有言実行:4月13日】
トランプ大統領は、昨日、「北朝鮮が、新たな核実験をするだろう
と確認できたということだけでも、攻撃する」と、踏み込んでいま
す。

理由は、防衛する迎撃ミサイルの精度が、まだ確率的なものだから
でしょう。

トランプ大統領の言葉は、当選以来、今まで、「有言実行」でした。
開戦には、議会の承認が要りますが、それは、開戦したあとのこと
です。

現段階では、シリア政府軍によるサリン使用の証拠がまだない爆撃
にも、議会の承認は難しいとみられています。未承認でもミサイル
発射という過去の事実は、消えません。

【軍事施設の壊滅の可能性】
北朝鮮が、ミサイルを発射する前に、北朝鮮の核とミサイルの軍事
施設を壊滅できるのかどうか。焦点は、そこに絞られてきました。
しかし、北朝鮮側からのミサイルの発射がないまま、全軍事施設の
壊滅することは、難しいでしょう。

そうすると、論理的に言って、われわれはシールズのBeheadの戦略
に期待するしかないでしょう。

スイスのように、全国民が隠れることができる核シェルターをもた
ないわれわれには、核兵器から、生命を守る手段は、数分の直前に
予想される落下地点から逃げるしかありません。化学兵器も、着弾
付近から逃げるしかない。

マンホールや、都市の地下鉄、地下街、大深度地下が有効です。開
戦前に、地下鉄や地下街までの行路を調べ、確保しておきましょう。
核兵器の放射能は短期ですから、直接浴びなければ、なんとかなり
ます。

あくまで念のためですが、インターネットで調べればすぐ分かりま
す。知っている人とそうでない人には、逃げ惑う人で混乱が起こる
とき、差が出ます。

米軍(2.8万人)の基地がある、至近の韓国にとっては、切実でし
ょう。ただし、約1000Km離れた日本にも、ほぼ同じ数の駐留があり
ます。

安倍首相は、昨日、「北朝鮮は、サリンも搭載できるミサイルをも
つ」と明かし、集団自衛権で米軍と共同行動をとるとしています。
北朝鮮にとって、日本も、米国と同じです。

北朝鮮が勝つこと万一もない。しかし開戦されれば、日本の被害は
あるでしょう。

開戦に至らず、中国の習近平国家主席が、瀬戸際作戦をとっている
金正恩委員長を、押さえることができる可能性は、残っています。

ところが、どんな理由か、金正恩委員長は、前任者までの恒例だっ
た中国訪問を、就任以来していないのです。しかし、中国が「押さ
え」を行うことができれば、トランプ大統領は、手を出さないでし
ょう。これも、米軍の空母か、特殊部隊のシールズが、軍事行動を
起こす前までの猶予です。

【後記】
100年スケールの歴史で見ても、大変なことになってきました。米
国と北朝鮮の、「威嚇(こけおどし)のブラフ」だけとは見えなく
なってきたからです。昨日(4月13日)は、日経平均も、急落してい
ます。

北朝鮮から石油とマネーを遮断する、海上封鎖で済めば、幸いです。
それに期待しましょう。ただし・・・その海上封鎖に対し、北朝鮮
が、ミサイルを撃ち込むか、攻撃をすれば、結果は同じことになり
ます。

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<人民元と米ドルと無国籍通貨のゴールドと・・・(1)>
         2017年3月8日:有料版
【目次】

1.米ドルが抱える根本的な矛盾
2.ドルは、長期的・周期的に、切り下げる必要がある通貨
3.定期的・サイクル的な、ドル切り下げ調整
4.1971年の金ドル交換停止は、1/2へのドル切り下げだった
5.二度目ドルの下落調整が、1985年のプラザ合意だった
6.ドルを50%に切り下げたプラザ合意(1985年)
7.1991年のソ連崩壊のあと、世界のドル需要が増加した
【後記】

<872号:人民元と米ドルと無国籍通貨のゴールドと・・・(2)>
        2017年3月15日:有料版
【目次】
1.1990年代は、ドル高だった:その理由は何か?
2.2010年までは、日本が支えた米ドル基軸通貨体制
3.1991年のソ連の崩壊は、ソ連圏と東欧を米ドル圏に取り込むこと
だった
4.中国は人民元の問題を抱えていた
5.人民元の切り下げと「ハード・カレンシー化」
6.ハード・カレンシー化のため、人民銀行は米ドルにリンクする
7.中国のGDPの大躍進はドル需要の増加になりドルを上げた
【後記】

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2017年4月17日 田岡俊次 :軍事ジャーナリスト
米空母派遣でも「北朝鮮攻撃」の可能性はほとんどない理由


Photo:U.S.Navy
 4月6日、7日のフロリダ・パームビーチでの米中首脳会談翌日の8日、米太平洋艦隊は原子力空母「カールヴィンソン」(9万3000t、約60機搭載)を北西太平洋に派遣すると発表した。同艦は3月からの米韓合同演習「フォール・イーグル」に参加後シンガポールに寄港、オーストラリアを親善訪問する予定だったが、俄かに朝鮮半島周辺海域に向かった。

 米中首脳会談では双方とも「北朝鮮の核・ミサイル開発が深刻な段階に達した」との認識を示し、「国連安保理の制裁決議の完全な履行」で一致したが、具体的な方策は決まらなかった。トランプ大統領は「米国が独自の行動を取る可能性」を示唆し、その姿勢の表明として空母を派遣した、と見られる。

 だが、米国にとっても北朝鮮に対する攻撃は第2次朝鮮戦争に発展する公算が大で、米軍、韓国軍に多大の人的損害が出るのみならず、韓国と北朝鮮に致命的な災禍をもたらすから、空母派遣も北朝鮮と中国に向けた一種の政治的ジェスチャーに過ぎないだろう。ただし、威嚇が効果をあげない場合、トランプ大統領は振り上げた拳を振り下げざるをえない立場になる危険はある。

 全面的攻撃ではなく、北朝鮮の首脳部や指揮中枢に対する特殊部隊の急襲が検討されている、と報じられるが、要人の所在もリアルタイムで知ることは極めて困難、これも全面戦争の口火となる公算が高く現実性は乏しい。

過去にも核施設攻撃を検討
米韓の被害も大きく諦める

 米国は1994年にも北朝鮮の核施設に対する 「外科手術的攻撃」(surgical strikes)を検討した。1990年にソ連は北朝鮮を見捨てて韓国と国交を樹立、92年に中国もこれに続いたため、孤立した北朝鮮は核開発を始め、93年にはNPT(核不拡散条約)脱退を宣言した。

 のち脱退は留保したが、査察には非協力的で、核兵器製造を目指している疑いが濃厚となった。このため93年1月に発足したクリントン政権では寧辺(ヨンビョン)の原子炉や使用済み燃料棒からプルトニウムを抽出する再処理施設を航空攻撃で破壊すべきだ、との声が高まり、米軍はその命令が出た場合に備えて、計画、準備を始めた。

 だが在韓米軍司令部では、「核施設を攻撃すれば北朝鮮は朝鮮戦争の停戦協定は破棄されたとして、戦争再開となる公算大」との見方が強かった。ソウル北方約40kmの停戦ライン(南北境界線)のすぐ北には、朝鮮半島を横断する全長約230km、奥行き約30kmの地下陣地が朝鮮戦争中、中国軍によって築かれ、米軍の猛攻撃に耐えた。

 北朝鮮軍はそこにトラックに乗せた22連装の240mmロケット砲(射程60km)や、170mm長距離砲(同40km)など、砲2500門を配備していると見られた。戦争が再発すれば、韓国の人口の3分の1以上が集中するソウル首都圏が「火の海になる」との北朝鮮の呼号はあながち虚勢でもなかった。

 核施設を攻撃するなら、その以前か同時にこの大要塞地帯を制圧する必要があり、大規模な地上戦となる。在韓米軍による損害見積もりは、「最初の90日間の死傷者は米軍5万2000、韓国軍49万、民間人の死者100万以上」と出た。

 この報告は航空攻撃だけを考えていたワシントンの政治家、高官らに冷水を浴びせた。クリントン政権は攻撃を諦め、カーター元大統領に訪朝し金日成主席と会談するよう要請した。この会談で北朝鮮は核兵器開発を凍結し、見返りに米国は軍用の高純度プルトニウムが抽出しにくい軽水炉を供与する、などの合意が成立、戦争の危機は回避された。

弾道ミサイルの監視は不可能
日本にも大量の避難民

 今日、「外科手術的攻撃」はその当時よりはるかに困難でリスクが大きい。原子炉や再処理施設は大型で空から丸見えだから航空攻撃で破壊するのは容易だったが、核弾頭はどこへでも隠せる。「核の弾薬庫はこのあたりにあるらしい」との情報もあるが詳細な位置は分からないし、本当かどうかも怪しいうえ、移動するのも簡単だ。

 相手の反撃能力も弾道ミサイルになって格段に高まった。これを先制攻撃で破壊しようとしても、移動式発射機に載せて山間部のトンネルに隠し、出て来るとミサイルを立てて発射するからどこにあるか分からない。偵察衛星は地球を南北方向に1周約90分で周回し、地球は東西方向に自転するから、世界各地上空を1日約1回通るが、時速約2万8000kmだから北朝鮮上空は1分程で通過する。宇宙センターや飛行場、造船所など固定目標は撮影できるが、移動目標の監視は不可能だ。

 静止衛星は赤道上空を高度約3万6000kmで周回するから、地球の自転の速度と釣り合って止まっているように見える。電波の中継には便利だが、地球の直径の約2.8倍も離れた距離にあるからミサイルは見えず、その発射の際に出る赤外線(熱)を感知できるだけだ。

 最大高度が2万mに近いジェットエンジン付きグライダーのような無人偵察機「グローバル・ホーク」を多数投入し、交代で北朝鮮上空を旋回させておけば、発射機が出て来てミサイルを直立させる光景を撮影することは可能だが、平時にそれをやれば領空侵犯だし、低速だから北朝鮮の旧式ソ連製対空ミサイル「SA2」(射高2万5000m)でも容易に撃墜される。公海上空だけを飛ばせるのでは、多くが北部山岳地帯にあるとされる弾道ミサイルは発見できない。

 また先制攻撃で仮に一部の弾道ミサイルを破壊できたとしても、相手はすぐさま残ったミサイルを発射して来るから、ほぼ同時に全てのミサイルを破壊しないと危険で、それは至難の業だ。1994年に核施設攻撃を検討した際と同様、ソウルなどを狙う前線のロケット砲、長距離砲を処理するためには、地上戦で敵の陣地を潰して行くことも必要となるだろう。

 もし戦争になれば北朝鮮には最終的な勝ち目はないから、「死なばもろとも」の自暴自棄の心境となり、韓国の都市や米軍、韓国軍の基地だけでなく、横須賀、佐世保の両港や嘉手納、三沢、横田、岩国などの米軍飛行場に核ミサイルを発射する可能性は十分あるし、東京などを狙うかもしれない。

 仮に幸い日本が直接攻撃を免れたとしても、韓国から途方もない数の避難民が押し寄せることになろう。韓国への融資、投資は回収不能となり、その復興に巨額の寄与を迫られることになるだろう。日本では「米軍が北朝鮮を叩きつける」と期待し、それを快とする言動もあるが、戦争を現実的に考えない平和ボケのタカ派の発想だ。

韓国は精鋭特殊部隊編成
要人の動向を把握するのは困難

 第2次朝鮮戦争にならずに問題を解決する手法として、米国、韓国では特殊部隊の潜入で北朝鮮首脳部を処理して体制変革を図る、とか指揮、通信機能を麻痺させてミサイル発射を防ぐ、という策も論じられる。3月からの米韓合同演習「フォール・イーグル」にはオサマ・ビン・ラディンを殺した米海軍の「ネービー・シールズ」や陸軍の「デルタ・フォース」も参加し、その演習がテレビで放映された。韓国軍も「斬首作戦」のために1000名の精鋭特殊部隊を今年中に編成する計画という。

 だが要人の所在をリアルタイムでつかむことは極めて困難だ。O・B・ラディンの殺害は米、英軍が2001年10月にアフガニスタンを攻撃してから10年後だった。米、英軍は2003年3月にイラクを占拠したが、サダム・フセインの拘束は9ヵ月後の12月だった。

 地下30m、コンクリートなら6mを貫通する電柱状の爆弾、「バンカーバスター」などで地下の司令部や通信中枢を破壊しようとしても、相手は他の地下壕に移っている可能性があるし、一時的に通信が途絶しても復旧すればミサイルを発射するだろう。

 特殊部隊による暗殺や破壊活動は、もし本当にやる気なら、極秘で計画、準備するものだ。そうでなければ相手は警戒して隠れ家を転々としたり、影武者を用意したりするなど、対抗策を取るからだ。「斬首作戦」を公言したり、演習を公開したりするのは、それを実行する気がないことを示している。あまりにも単純な威嚇だろう。

失敗した「生かさず殺さず」
米中ともに妙策なし

 トランプ大統領の大胆な「独自の行動」としては金正恩委員長との直接対話も考えられる。だが会談でトランプ大統領が最大限の譲歩を示し「米国は北朝鮮と国交を樹立し、その安全を保障する。経済援助もするから核を廃棄しろ」と説いても、相手はいまや存立の唯一の頼りである核を捨てそうにはない。せいぜいが、「米国に届くICBMの開発は凍結する」と言う程度だろう。それでは日本や韓国は「我々はどうしてくれる」と反発する。米国内でも「無法者に褒美を出すのか」と非難が高まるだろう。

 中国が1992年に韓国と国交を樹立して以来、北朝鮮に対し続けてきた「生かさず殺さず」政策は、北朝鮮が自暴自棄になって暴発することを防ぐ効果があり、穏当な策ではあったが、所詮は問題の先送りだ。その間に北朝鮮は核・ミサイル開発に成功したのだから、これも失敗と言う外ない。この難題を解く妙策はトランプ大統領、習金平国家主席だけでなく、誰にもないのでは、と暗然たる思いを抱かざるを得ない。

(軍事ジャーナリスト 田岡俊次)
http://diamond.jp/articles/-/124912


 


2017年4月17日 週刊ダイヤモンド編集部
米シリア攻撃はわずか3日間で世界を変えた

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米中首脳会談を挟み、わずか数日の間に世界は動いた。トランプ米大統領の登場で大国間の緊張は高まるといわれたが、一気に現実のものとなったのだ。世界経済はどう動くのだろうか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子、片田江康男、清水量介、竹田孝洋)
 後に振り返ってみると、2017年4月の3日間は大きな歴史の転換点となっているかもしれない。
 4月6、7日、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席は会談に臨んだ。その直前に、米国はシリアの空軍基地をミサイルで攻撃。攻撃の目的は、化学兵器を使用したとされるシリアのアサド政権への制裁だ。
 ただし、シリアへの攻撃は過激派組織「イスラム国」(IS)打倒優先という米国の中東政策の「変更ではない」(畑中美樹・インスペックス特別顧問)。化学兵器使用は、米国にとって絶対に越えてはならないラインだということを分からせることが目的だったのだ。
 一方で、大きく揺らぐのはロシアとの関係だ。アサド政権を支援するプーチン大統領は、米国の攻撃を「国際法違反に当たる」「米ロ関係を損なう」と非難した。トランプ大統領は親ロシアとの見方もあったが、「ロシアとの関係は悪くなるだろう。もともと米国内には親ロシア路線は国益に反するという声が大きかった」(畑中顧問)。
 さらに、事態は動く。8日には、米原子力空母「カール・ビンソン」が北上を開始し、北朝鮮へ向かい始めた。対する北朝鮮は米国に先制攻撃の兆候があれば「核攻撃をする」と警告している。
 わずか3日の間に、世界を大きく揺るがす事態が起こっているが、その起点はトランプ大統領の決断にある。ところが、そのトランプ陣営では内紛が続いているのだ。
 宮家邦彦・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹は、トランプ陣営は「選挙モードのトランプ1.0のグループ」と「統治モードのトランプ2.0のグループ」に分かれると言う。前者は白人低所得者の支持を得るため常に過激な主張と行動を取り、後者は地に足の着いた決断をするが支持者からは不人気な政策が多くなる。シリア攻撃をめぐっても争いがあったとされ、「トランプはこれからも両者の間を揺れる」(宮家研究主幹)。
 すでに米ロの関係は悪化した。そして、習国家主席が穏健路線を取るのは秋の党大会までという見方もある。ただでさえ具体的な成果の少ない首脳会談をシリア攻撃でさらにかすませ、北朝鮮にも強硬な態度を取る米国に習国家主席は顔に泥を塗られた形だ。秋以降、政権の地盤を固めれば、米国への態度を硬化させることもあろう。
 今後、米国vs中国、米国vsロシアという構図に世界経済と市場は揺り動かされそうだ。
http://diamond.jp/articles/-/125020


http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/167.html

[経世済民121] トランプ政権への期待剥落で株価下がれば投資のチャンス 好調経済NZ蝕む中国病 凡人こそリスクを取れ リーダーが部下を潰す
2017年4月17日 居林 通 :UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパンエクイティリサーチヘッド
トランプ政権への期待剥落で株価下がれば投資のチャンス
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 ここ1カ月の日本株の動きは米トランプ政権に対する期待値が行き過ぎた反動といってよいだろう。これで年初来の日経平均株価の騰落率は、世界の主要国市場の中では数少ないマイナスとなった。
 ドル円が円高に振れたせいもあるが、外国人投資家が売りに回っている。2017年1月23日の本欄で「トランプ氏の大統領選勝利後、米国経済回復→米国金利上昇→ドル高円安という論理で見方が円安に変わり、(日本株が)買われた面が大きかった」「ここから株価が一時的にせよ下落すれば、それは円高と外国人投資家の売り越しを伴うことになるだろう」と述べ、2月20日の本欄では日本の企業収益の足元の伸びは前年の円高の反動にすぎない、と分析した。
 年初から外国人投資家は先物等を含めて2兆円程度の売り越し、日本銀行はETF(上場投資信託)を通じて1.7兆円程度の買い越しである(上図参照)。下値は日銀が買い、上値は外国人が売っている。よって、日経平均の年初来の上値と下値の幅はわずか5.4%しかない。通常の年で20%程度の変動幅があることを考えると、日本株市場はここから変動幅が大きくなると考えた方がよさそうだ。
 それがどちらの方向に振れるのかは何を見れば分かるのだろうか。米国の経済データの見方が鍵になるだろう。米国経済がこのまま上昇基調をたどるのか、米国の政策金利引き上げは米国景気を腰折れさせないのか、という疑問は今株式市場の注目点といってよい。
 UBSでは米国の景気指標を大きく2種類に分類して判断を下している。センチメント(心理)データに基づく経済指標と、実際の支出や消費などで確認できるハードデータ(今回は耐久消費財受注)に基づくものである。
 図の青い線が示すように、聞き取り調査などを基にして作成されている米国景気のセンチメント指標は非常に好調である。しかし、実際の企業や消費者の支出はまだ追い付いていない。
 この二つのデータにはタイムラグがあって、当然だがここ数カ月は聞き取り調査ベースの指標と支出データの差が非常に大きい。もしかすると期待先行なのではないか、という懸念がここから生まれてくるが、今後米国の企業や消費者が減税などの恩恵を受けて消費や投資を拡大すれば問題はない。
 日本株市場は昨年末から年初にトランプ政権期待を織り込み、現在はそれがある程度剥落した状態であるとみる。大きく円高になり、トランプ政権に対する期待値がさらに剥落すれば、投資のチャンスが巡ってくる局面になろう。日銀のETF買いが下値を支えるとみるからである。今年はここから日本株投資の妙味が増すだろう。
(UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパンエクイティリサーチヘッド 居林 通)

http://diamond.jp/articles/-/125021

 

 

好調経済の裏でニュージーランドを蝕む"中国病"
主力の酪農は青息吐息、中国投資熱で地価は暴騰・・・
2017.4.17(月) 末永 恵
ニュージーランド新首相にイングリッシュ氏
ニュージーランド・ウェリントンの議会で記者会見を行うビル・イングリッシュ首相〔AFPBB News〕
?壮大な自然に恵まれた南半球の島国、ニュージーランド。最近では、世界的なメガヒットとなった映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』の撮影地としても有名となった。

?羊の数が人の数をはるかに超え、世界屈指の「羊の国」(人口約460万人、羊の数約3000万頭)としても知られるが、先進国の中で経済成長率が断トツだということはあまり知られてこなかった。

?3月に発表された経済協力開発機構(OECD)の経済成長見通し(中間報告)をはじめ、ここ数年の各国際金融機関算出の成長拡大幅で、米国やカナダが2%台、日本やユーロ圏全体が1%台に甘んじる中、ニュージーランドは3%(2015年、IMF=国際通貨基金)から減速するものの、2016年は約2.8%、今年は約2.7%(いずれもIMF)の成長が見込まれている。

?そんな経済見通しが発表された先月末、ニュージーランドは、中国が目指す現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に協力することで中国と一致し、覚書などに署名した。

中国の「一帯一路」に先進国で初めて署名

?ニュージーランドの一帯一路への協力署名は、「欧米先進国で初めて」(中国新華社)という。

?中国の狙いは、ニュージーランドとライバル関係にある米国の長年の同盟国のオーストラリアを牽制するだけではない。

?オーストラリアにとって中国は最大の貿易相手国。難民問題で対立し、同盟関係に亀裂が生じている米豪関係の切り崩しも同時に図る、したたかな中国の「オセアニア包囲網戦略」が見え隠れする。

?そうした狙いから、中国は「キーウイ(ニュージーランドのこと。特に、ニュージーランドの人は自分の国をそう呼ぶ)との蜜月」を今後、深めていく計画だ。

?3月末、ニュージーランドの首都・ウエリントンで会談した中国の李克強首相とニュージーランドのイングリッシュ首相だが、両国は4月25日にも、現行2国間の自由貿易協定(FTA)の改定協議を行う予定だ。

?李首相は「(中国と各国間の協定の中で)最も進歩した水準になるだろう」とした上、「そのレベルは、先進国間で締結された同様の協定で初めてのものになる」と強い期待感を示す。

?また、一帯一路構想の本来の目的である南シナ海の軍事拠点化への国際社会からの批判に関しては、「(領有権問題に関する)関係国との交渉はスムーズに進んでいる」と豪語した。

?一方、ニュージーランドは、一帯一路への協力表明に加え、中国人に対する「5年間有効のマルチビザ」の発給を同時に発表。対象となるのは観光、親族訪問、ビジネス目的の渡航。

?毎年2桁増で急増し、「2020年までには中国人観光客の支出が現在トップのオーストラリア人観光客の支出を抜き、最大の観光収入源になる見込み」(ニュージーランド観光局)から、中国人旅行者への異例ともいえる「特別待遇」を決めた。

?ニュージーランドにとって中国はいまや最大の貿易相手国である。以前から中国との関係強化を深めてきたニュージーランドは、ジョン・キー首相率いる親中政権のもとで2008年、「先進国の中で中国が初めてFTAを結んだ国」となり、経済の中国依存を進めてきた。

?もともと投資銀行、メリルリンチの為替ディーラーだったキー氏は、2008年に首相に就任。以来、中国経済に支えられ、良好な経済情勢を背景に、約7年ぶりの財政黒字化も実現させ、2011年、2014年の総選挙でも圧勝した。

?「ニュージーランドの歴史で、最も人気のある首相の1人」(英ガーディアン紙)といわれたが、2016年12月、「家族との時間を大切にしたい」と突然、電撃辞任を発表。後任に副首相だったイングリッシュ現首相を指名し、政界を去った。

?ニュージーランドの成長拡大の原動力は、(2011年発生の)地震による復興対策での住宅関連施設の再建需要の高まりを要因とする建設ブームと、酪農業だ。

輸出の3割が酪農乳製品

?「羊の国」の印象が強いニュージーランドだが、国策により、牛の飼育にも国の骨太施策が取り入れられ、乳牛数は約500万頭にも達する。

?ニュージーランドの主要輸出品目は、乳製品、食肉、食品、果物、魚で、人口が460万人と少ないため、国内で生産された農産品の約95%が海外に輸出される。中でも最大の輸出品は酪農乳製品で、輸出品の約30%に相当。

?同製品の輸出規模は世界一で、世界の乳製品輸出量の約3割を占める。世界の酪農製品輸出順位でも、全粉乳とバターが世界1位、脱脂粉乳とチーズも同3位にランクされ、そのほとんどをアジア地域に輸出。

?中でも対中輸出量は約10年前と比較すると10倍以上に達しており、中国向け輸出で2013年、国別輸出額でオーストラリアを抜き、初めて1位に躍り出たほどだ。

?その最大の輸出元は「フォンテラ」。世界最大の乳製品輸出企業で、日本の総生乳生産の約4倍相当、約2300トンの世界一の生乳取扱量を誇る、ニュージーランド最大の企業だ。

?技術革新も進め、粉ミルク、脱脂粉乳、バターなどの生産では世界一の技術を誇り、中国、オーストラリア、南米などで、 牧場経営から乳製品の生産、販売まで展開し、グローバル化を進め、創業約15年で世界屈指の乳製品企業にまで急成長した。

?年間売上高は約230億NZドル(約1兆8500億円)に達し、「酪農業は国の基幹産業で、同社の発展なしに、ニュージーランドの今日の堅調な経済成長はなかった」(ニュージーランド経済界関係者)。

?それを下支えしてきたのが、中国だ。拡大する富裕層の波に押され、中国の粉ミルクなどの乳製品の約9割は、ニュージーランド産。ニュージーランドの独占市場になっているほど、両国の蜜月は揺ぎないもののようだ。

?中国では経済発展を背景に、ライフスタイルが欧米化し、牛乳、バター、チーズなどの乳製品の需要が拡大。「中国を中心としたアジアの富裕層拡大による牛乳などの乳製品の需要が、ニュージーランドの景気を拡大させる」(同関係者)と言われてきた。

?しかし、ここに来て “蜜月”であるはずの中国の経済失速に伴う粉ミルクの需要減少で価格破壊を招き、乳製品価格は2014年以来、約5割も下落した。

?前述の世界最大の乳製品輸出企業「フォンテラ」も、国内契約の約1万6000の農家への支払いが半減。それに伴い農家の約70%が赤字経営を強いられ、農家の収入は約70億NZドル(約5600億円)も減少(ニュージーランド準備銀行=中央銀行)し、自殺者が出るほどの深刻な状況となっている。

?倒産に追い込まれる酪農家が増える一方で、世界的に大ヒットとなった映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』の撮影地となったニュージーランドでは、ロケ地ツアーなどの観光ブームで、酪農家が観光業に転じる動きも出始めている。

酪農をやめてホテル業へ転身

?映画の撮影地となったホビトン周辺の牧場では、牛の代わりに、中国からの宿泊客を受け入れるようになっているという。

?もともと、ニュージーランドはパーマカルチャー(農業を基本に自然と共存)やサバイバリズム(自然を愛し、核戦争などでも生き残れるライフスタイルを貫く)を標榜する欧米人や日本人などに人気だ。

?その美しい自然や農村地帯をロケに使用した映画の影響で、ここ10年来、映画のロケ地の牧場のファームステイが人気急上昇となっている。

?20年近く牧場を経営している筆者の知人のロッジでは、素朴な農家の牧場料理を満喫しながら、酪農体験ができるロケツアーが人気だそうだ。観光客対象のレストランやカフェも増え、ロッジに宿泊の場合、宿泊料の相場は200NZドル(約1万6000円)前後という。

?だが、知人によると、「乳製品下落や中国の在庫余剰による輸出減少で、酪農家1軒が受けた損失は、20万から30万NZドル(約1600万円から約2400万円)にも上り、観光客を誘致しても巨額な損失を補えない」のが現状だという。

?しかし、観光業は資源のないニュージーランドにとって重要な外貨獲得源だ。その経済効果は2013年以降、100億NZドル(約8000億円)を超え、2015年には乳製品輸出額をも上回り、堅調な内需を支える欠かせない新たな基幹産業となっている。

?同年、同国の海外売上高の約30%を占める乳製品の輸出は約21%に減少したが、映画のロケツアーなど空前の観光ブームがその損失を補填し、そうでなければ酪農業の現状はさらに悪化していただろう。

?だからこそ、ニュージーランド政府が、シルクロード経済圏構想「一帯一路」などに組み入れられることで、インフラや関連産業への巨額投資を見込むとともに、「5年有効のマルチビザ」など急増する中国人旅行者への厚遇を決めたわけだ。

?中国に依存するニュージーランドの未来は、中国に左右され、中国に翻弄されることを意味する。

?しかし、政府は親中でも、肝心な国民は嫌中だ。

?堅調な経済成長、上昇傾向の通貨、さらに理想的な金利水準で、投資対象としても注目されるニュージーランド。中国からの過剰な投資熱でニュージーランドの最大の都市、オークランドの平均住宅価格がほんの数年前まではシドニーより約30%低かったが、2016年、93万1000NZドル(約7500万円)の大台に乗り、ついにオーストラリアの首都、シドニーを超えてしまうという現象が起きている。

?今後も価格上昇は続くと見られ、「住宅は中国人の投資のためにあるのではない。普通の市民が住むためにある!」と中国人富裕層の移民による爆買いに加え、中国人の投資対象での住宅購入に批判が巻き起こっている。

?ニュージーランドでは、隣国のオーストラリアで働いた方が給与が高いため、オーストラリアに出稼ぎに行く人が多い。しかし、住宅価格のうなぎのぼりで、オーストラリアでお金を貯めてニュージーランドに帰ってきても、ニュージーランドの方が住宅価格が高くなっており、一般庶民には到底、手の届かない価格にまで上昇。

中国投資熱で地価高騰、危険水域に

?「このままではニュージーランド人が自国でマイホームが購入できないという異常事態に陥り、オークランドでは、特に若い世代の人たちの過半数がマイホームを持つことができなくなるだろう」(ニュージーランド不動産関係者)と深刻な状況だ。

?さらに、中国は食料確保のため、ニュージーランドの牧場買収を加速化させている。中国の畜産中堅の湖南大康牧業は、すでに大規模な3つの牧場を傘下に収めた。

?しかし、食品大手の上海鵬欣の牧場買収には、買収後の軍事利用や牛肉すべてを中国に出荷することなどへの警戒論や、国民の嫌中への影響から、一部失敗に終わった。

?ニュージーランドでは数年前、中国企業による約8000ヘクタールの農地購入が決まったが、数千人規模のデモが発生、阻止された例がある。

?ニュージーランドにはおよそ数百万ヘクタールの広大な農地があり、米国企業が20万ヘクタールほどの農地を購入しても反発が起きなかったが、中国資本による土地買収反対の動きは、明らかに反中感情の表れだろう。

?また、ニュージーランドへの「中国人移民」の問題も懸念されている。現在、永住権を取得した中国人移民のうち、50歳以上の熟年層が増加しており、両親も呼び寄せている。

?ニュージーランドでは、10年間居住すれば、65歳から満額の年金を受理することが可能で、ニュージーランド生まれの国民と同じ待遇だ。高齢者移民の急増は、年金支出の拡大の要因となり、国民から批判が続出するだろうと懸念されている。

?中国に依存するあまり、自国の基幹産業が喘ぎ、自国民が住まいを追われ、自国民の社会保障が揺らぐ。

?目の前の利益を優先し中国という大国に依存してきたことの怖さをニュージーランドはいま、思い知らされている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49725

 

【第3回】 2017年4月17日 小西史彦
「平凡な人間こそリスクを冒すべきだ」マレーシア大富豪が語る成功の教え

NHKやテレビ東京、日経産業新聞などで話題の「マレーシア大富豪」をご存じだろうか? お名前は小西史彦さん。24歳のときに、無一文で日本を飛び出し、一代で、上場企業を含む約50社の一大企業グループを築き上げた人物。マレーシア国王から民間人として最高位の称号「タンスリ」を授けられた、国民的VIPである。このたび、小西さんがこれまでの人生で培ってきた「最強の人生訓」をまとめた書籍『マレーシア大富豪の教え』が刊行された。本連載では、「お金」「仕事」「信頼」「交渉」「人脈」「幸運」など、100%実話に基づく「最強の人生訓」の一部をご紹介する。

平凡だからこそリスクを冒すべきである

 私は、ごくごく平均的な日本人です。
 そう言うと、必ず、こんな質問を受けたものです。
「日本を飛び出してマレーシアに渡るなどというリスクを取るのは無謀ではないのか? 平凡な人間は、平凡な仕事を選び、平凡な人生を歩むのが無難ではないのか? あなたは平凡な人間なのに、なぜリスクを冒したのか?」と。

 たしかに、無一文で日本を飛び出し、全くコネクションもないマレーシアに飛び込むのはリスクが高い。「無謀だ」と言う人もいるでしょう。実際、マレーシアに来てから数年間は非常に苦しい時期を過ごしました。しかし、私はずっとこう考えてきました。平凡だからこそリスクを冒すべきだ、と。

 もしも、私に潤沢(じゅんたく)な資金や豊富なコネクションがあったり、ずば抜けた能力に恵まれていたりすれば、「国」を変えるようなリスクを取る必要はなかったでしょう。「持てるもの」を最大限に活かして、日本で事業家として成功するための戦略を考えたはずです。

 しかし、私には資金もコネクションも格別の能力も、何もありませんでした。日本という“出来上がった国”では、サラリーマンとして生きていく以外にない。サラリーマンとして立派な人生を送る人もたくさんいますが、それでは私の夢を実現することはできない。であれば、「国」を変えるというハイリスクを冒してでも、自分の可能性を追求したいと考えたわけです。

 もちろん、躊躇(ちゅうちょ)する気持ちもありました。しかし、このとき私はある発見をしました。「持たざる者」であることが、自分にとっての最大の強みであることに気づいたのです。
 「持たざる者」であるがゆえに、たとえ失敗したとしても失うものが何もない。だからこそ、ハイリスクが取れる。これは、「持たざる者」の最大の武器だと気づいたのです。

「ハイリスク」と「無謀」の違い

 ただし、私は、決して無謀なリスクを取ったわけではありません。
 まず第一に、当時、私は24歳と若かった。しかも、薬科大学で薬剤師の資格を取っていましたから、マレーシアで大失敗をしたとしても、日本でやり直しができます。事業家の夢は捨てなければならないかもしれませんが、家族を養っていくことはできる。いや、どんな仕事をしてでも、体力さえあればやっていける。「若さ」と「体力」を資本にすればハイリスクを許容(きょよう)できる、と考えたわけです。

 それに、「戦う場所」を決めるうえで、私はかなりの研究をしました。
「青年の船」に乗って、東南アジア各国を訪問するなかで、冷静に「場所」を見極めたのです。当時の東南アジア各国は、どこも“出来上がった国”ではありませんでしたから、その意味では、どの国であってもチャンスはあった。しかし、私は、比較検討したうえでマレーシアがベストであると判断したのです。

 なぜか?
 インフラがどこよりも整っていたからです。マレーシアには、イギリス植民地時代に築き上げられたインフラが無傷のまま残されていました。植民地政策には多くの問題がありますが、イギリスの植民地政策には評価すべき点もあります。単に搾取(さくしゅ)するのではなく、その土地で富を生み出すためのインフラ整備に多額の投資をしたことです。

 たとえば道路。イギリス植民地政府は、マレーシアに広大なゴム園をつくりましたが、その輸送ルートとして立派な道路網を整備しました。それは、当時の日本よりもはるかに効率的で美しい道路網だったのです。

 これは、初代マレーシア首相であるトゥンク・アブドゥル・ラーマンさんの大きな功績です。彼が奔走(ほんそう)することで「無血独立」を果たしたからこそ、その後の経済発展を支える
インフラが遺(のこ)された。もしも、独立戦争が起きてインフラが破壊されていたら、その後のマレーシアの歴史は大きく変わったはずです。

 道路など目に見えるインフラだけではありません。イギリスはリベラルな資本主義経済と法治国家の概念(がいねん)も遺しました。マレーシアの人々は勤勉な労働倫理をもっていますし、契約概念など商取引をするうえで欠かせない観念も一般に浸透していました。これは、東南アジア各国のなかでもきわだった特徴でした。つまり、経済発展をする可能性が最も高い国だったのです。

 こうしてマレーシアの可能性を見極めたうえで、さらに、私は貯金をはたいて国立マラヤ大学に留学。1年間という短い期間ではありましたが、実際に住んでみてマレーシアという国を理解しようとしました。

 実際に住んでみなければわからないことはたくさんあります。たとえば、第二次世界大戦時に日本軍が華僑を弾圧したために、華僑には根強い反日感情がありましたが、マレーシアの人口の約65%を占めるマレー人には親日家が多いことを肌で感じました。留学中に国内をくまなく旅行したときに、私が日本人であるというだけで歓迎してくれるマレー人に何度も巡り合ったのです。こうした経験を数多くすると、「この国でやっていける」という判断がどんどん腹に落ちてくるのです。

 このように、あらゆる観点からマレーシアという国を分析したうえで、この国を自分の人生を賭ける「場所」にすると決断しました。いわば、石橋を叩くように慎重に検討したうえで、「勝算あり」という自分なりの答えを導き出したわけです。

 だから、決して「無謀」な選択をしたわけではありません。「ハイリスク」と「無謀」はまったく異なるものです。可能性とリスクをじっくりと検証したうえで、許容できる最大限のリスクを取る。これが、「ハイリスクを取る」ということなのです。

リスクを取らなければリターンはない


小西史彦(こにし・ふみひこ)
1944年生まれ。1966年東京薬科大学卒業。日米会話学院で英会話を学ぶ。1968年、明治百年を記念する国家事業である「青年の船」に乗りアジア各国を回り、マレーシアへの移住を決意。1年間、マラヤ大学交換留学を経て、華僑が経営するシンガポールの商社に就職。73年、マレーシアのペナン島で、たったひとりで商社を起業(現テクスケム・リソーセズ)。その後、さまざまな事業を成功に導き、93年にはマレーシア証券取引所に上場。製造業やサービス業約45社を傘下に置く一大企業グループに育て上げ、アジア有数の大富豪となる。2007年、マレーシアの経済発展に貢献したとして同国国王から、民間人では最高位の貴族の称号「タンスリ」を授与。現在は、テクスケム・リソーセズ会長。既存事業の経営はすべて社著兼CEOに任せ、自身は新規事業の立ち上げに采配を振るっている。著書に『マレーシア大富豪の教え』(ダイヤモンド社)。


 リスクとどう向き合うか――。

 これは、人生を決めるきわめて重要なポイントです。私は決して、ハイリスクを取ることをすすめているわけではありません。ローリスクであってもかまわない。ハイリスクを取らなければハイリターンを望むことはできませんが、ローリスクであってもローリターンは得られる。リスクを取れば必ずリターンはあるのです。逆に言えば、リスクを取らなければ、決してリターンは得られないということです。

 だから、私は、リスクを避けるように生きるのは間違いだと思っています。リスクとは避けるべきものではなく、自分が取れるリスクをしっかりと見極めたうえで、許容できる範囲内で積極的に取りに行くべきものなのです。

 こう言うと、必ず「失敗したらどうするのか?」という反論があります。
 でも、私は「失敗してもいい」と思います。もちろん、「無謀なリスク」を取って失敗するのは危険すぎます。リスクを衝動的に取るようなことをしてはいけない。あらゆる角度から勝算を見極めたうえで、最悪の事態を招いても命までは取られない範囲でリスクを取るのが絶対条件です。しかし、そのうえでチャレンジをした結果、失敗するのは決して悪いことではありません。なぜなら、リスクを取ることで、人間は必ず成長するからです。たとえ失敗したとしても、リスクを取れば必ず成長という対価を得ることができるのです。

 私は、人間の成長には方程式があると考えています。
「リスク」×「時間」×「努力」=「成長」という方程式です。リスクと努力には相関関係があります。人間はリスクがあると思うから、安全地帯にいないという自覚があるからこそ、必死になります。いやが上にも人一倍努力をするようになるのです。だから、リスクは大きければ大きいほど、成長のレバレッジは強くきくわけです。

 しかし、逆に、リスクを取らずにいれば、本人は努力をしているつもりであったとしても、たかが知れています。そのまま、10年、20年と時間が過ぎるうちに、リスクを取る人との差はかけ離れたものになる。リスクを取らなければ失敗確率は少なくなるでしょうが、成長角度が上がらない。リスクを取った人との間に大きな実力差が生じるのです。

 そもそも、あらゆる選択にはリスクが伴います。
 私がリスクを避けて日本にとどまる選択をすれば、マレーシアに移住するよりも苦労の少ない人生を送れたかもしれない。しかし、そのコインには裏側がある。つまり、私のような平凡な人間では、日本で事業家として何事かを成し遂げることはできなかった。そして、「あのとき、リスクを取っていれば」と後悔したはずです。リスクを避けようとしても、そこにはすでに別のリスクが存在している。私たちはどんな選択をしようとも、リスクとは無縁ではいられないのです。

 であれば、リスクは積極的に取りに行くべきです。人生において何事かを成し遂げたいと思うならば、リスクを恐れてはならないのです。ローリスクでもいい。自分が取れる範囲のリスクを、自らの意志で取りに行く。リスクを取る者の前には、必ず人生が拓けていくのです。
http://diamond.jp/articles/-/124425

 

【第26回】 2017年4月17日 須賀正則
リーダーが部下をつぶしてしまうから目標達成につながらない
青木毅×須賀正則対談(後半)
住宅、保険、自動車など、営業力に左右される販売は個人の力によるものが大きい。昔から、トップセールスが書いた本はよく見かけるものの、トップセールスを育てた人の本はそう多くはない。今回は、質問型営業の開発者で、業種業界を問わず、多くのトップセールスを育ててきた青木毅氏を迎え、目標を達成するための営業組織の在り方をお伝えします。(撮影/熊谷章)
営業マンからコンサルタントへ
須賀正則(すが・まさのり)
1958年生まれ。東京都出身。77年、トヨタ自動車直営販売店のトヨタ東京カローラ株式会社に入社。たちまち、新人賞を獲得。やるからには常にトップを目指すという信念から、トヨタ自動車年間優秀セールスマン賞を3年連続受賞。営業マンの憧れである累計販売台数1000台のトヨタ自動車特別表彰を受賞し、金バッチセールスマンとなる。その後、年間優秀マネージャー賞3回受賞、年間優秀店長賞6回受賞など、多大な成績を残す。98年、39歳にして新車店長に抜擢。その後、武蔵野東八店店長を任される。200メートル圏内に7店舗がひしめきあうエリアを任されるなか、トヨタ販売店史上いまだ破られたことのない、オープン初月から48か月連続で新車販売目標を達成する。雑誌「プレジデント」ほか、さまざまな媒体のトヨタ特集などでトヨタの現場リーダーとして紹介される。 そして、営業部長、本部部長を歴任し、後進店長、管理職の指導、育成に携わる。2017年4月から、株式会社学究社専務執行役に就任。著書に、『トヨタの伝説のディーラーが教える絶対に目標達成するリーダーの仕事』(ダイヤモンド社)がある。

青木 とにかく、営業はお客様の感謝の声を聞くことです。それがわかると、プライドができてきます。下手(したて)に出ると、大事なときに提案できなくなるものです。ですから、営業マンは「アドバイザー」や「コンサルタント」という立場にならないといけません。
今の時代、営業マン以上にお客様は情報を持っていますからね。
須賀 これだけ情報が巷にあふれていると、車を買おうとしたとき、だいたいのことはネットで調べればわかる。やはり、お客様が持っている情報は多いですね。
「君に来てもらってよかったよ」と言われることが重要で、お客様に喜んでもらうためには、そう言われるための情報を発信していくことです。
青木 「喜び」を知り、「感謝」を知ると、継続していく。お役立ちのために、仕事が始まるのです。目標達成だけを狙うと好不調の波が出てきます。
須賀 お客様の「うれしい」がないと、目標は達成できません。達成するためのいちばん大きな要素は、「紹介」でした。「あそこの店、いいよ!」といわれたり、「クルマ買うなら、あそこのだれだれ」がいいよ、など。48か月連続で目標を達成したときも、やはり、紹介が多かったですね。
そのために、私たちは何をすればいいのか。
「感謝されない」と、お客様は来ません。
青木 紹介の活動は、どのようにされていたのですか?
須賀 会社は紹介の指導をしませんよね。紹介に対するノウハウがない。でも、そこが大事。一人のお客様から枝葉にわかれていくかんじでしょうか。営業ではとても大事なことです。
紹介をもらうのは、決して難しいことではありません。
最後に、このひと言が言えればいいんです。
「紹介をしてください」。
すぐに紹介されるわけではありませんが、もし購入者の知人が車を買いたいと思ったとき、その人の意識の中で「あの人、素晴らしいから、紹介しようかな」と、思わせられるかどうか。
青木 前提として、「喜び」でしょうね。仕事が好きで、喜んでやっているかどうか。
須賀 同じく「やりがい」だと思うんです。この仕事をやっていてよかったと思うか。「やりがいを与えること」がリーダーとして重要な仕事です。
『トヨタの伝説のディーラーが教える絶対に目標達成するリーダーの仕事』で「4つの感」について紹介していますが、そのなかの「達成感」と「満足感」。
達成感は誰でも感じられるもの。しかし、達成感だけでは意欲は生まれません。
「やってよかったな」という気持ちが、次の原動力になります。
青木毅(あおき・たけし)
1955年生まれ。大阪工業大学卒業後、飲食業・サービス業を経験し、米国人材教育会社代理店入社。88年、セールスマン1000名以上の中で5年間の累積業績1位の実績をあげる。97年に質問型営業を開発。98年には個人・代理店実績全国第1位となり、世界84か国の代理店2500社の中で世界大賞を獲得。株式会社リアライズ(本社:京都府)を設立後、2002年に質問型セルフマネジメントを開発。大阪府、東京都など、自治体への質問型コミュニケーションを担当指導する。08年、質問型営業のコンサルティングを企業・個人に向けてスタート。現在、大手カーディーラー、ハウスメーカー、保険会社、メーカーなどで指導を行い、3か月で実績をあげ、高い評価を得ている。16年、一般社団法人質問型コミュニケーション協会を設立。一般の方々への質問型コミュニケーションの普及を開始している。 Podcast番組「青木毅の質問型営業」は累計ダウンロード数が150万回を超えている。 著書には、『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』『3か月でトップセールスになる質問型営業最強フレーズ50』(ともにダイヤモンド社)などがある。
青木 須賀さんの場合、どうやられているんですか?
須賀 褒めることですね。褒めて認めること。
ちょっとしたこともできちんと気持ちを伝える。簡単なものなら、「ありがとう」というメモを書くだけでもいい。上の人が示すことが重要ですが、今は少ないでしょうね。大きな会社になればなるほど、その傾向は強いと思います。下の人がやるのは当然という考えですから。
青木 「褒め方」「心の入れ方」で当たり前でなくなる。
須賀 力を発揮するときは、力を認めてもらったとき。自分がチームに必要とされている、そんな気持ちをいだいたときに部下は力を発揮します。
青木 なるほど。やりがいを感じてもらうと、やる気になる。その喜びを教えているわけですね。
私は、仕事の喜びを感じるには、やはり、質問だと。お客様との触れ合いがあって、チームとして喜びを感じる。
上司と部下も、営業とお客様も結局は同じなんです。
ただ、お客様だとお金を出してくれますけど、上司と部下だと横柄になりますよね。
須賀 そうですね。
青木 家庭と一緒で、横柄になる。これ、何とかなりませんか?(笑)
須賀 会社に貢献して評価されリーダーになる。できる人間がリーダーになって、できない人間が部下にくる。このギャップは大きく、リーダーはどうしても目線が高くなってしまいます。なので、軋轢が出てしまう。これが対お客様なら、別のところにいけばいいだけです。
昔から言われていますけど、上司は部下が選べない。部下も上司を選べない。そういった中で活動するには、部下が上司の目線に合わせるのは不可能なので、やはりリーダーが部下の目線に合わせる必要があります。
青木 質問して、「現状を聞く」こともその一つですね。
須賀 そういうことです。一緒になって、階段を1段ずつ登るつもりでやらないといけません。私も昔は思いましたよ。「なんで、こんなことできないの?」と(笑)。
ただ、それは私の目線。彼らの目線ではそれが当たり前だということ。
青木 降りすぎてなめられることはありませんか?
須賀 それはないですね。一緒に上がっていくイメージで、「流れ」と「頃合い」を見ながら少しずつ改善していく。
青木 毅然としたものも必要ですよね。どのようにしていますか?
須賀 言い訳をしてきたときは、否定せずに話します。
コーヒーショップの話でたとえるとわかりやすいのですが、ホットコーヒーを飲んだおばあさんが「熱くてやけどをした」とクレームを部下に言ってきたとします。そのクレームがおかしいのではなく、「熱いのでお気をつけください」とひと言添えることはできたのではないかと、部下に気づかせるようにします。
「言い訳は通用しないんだよ」というのを早い段階で根付かせていました。頭ごなしに否定せず、しっかりと受け止めることですね。
紹介してもらう方法
須賀 青木さんは、紹介に関して、どのように教えていますか?
青木 紹介の仕方が分からないというのもあるんですが、そもそも、営業フレーズがわかっていないんですよね。うちでは、「商品を購入したら、何がよかったですか?」とお客様に聞くように指導しています。「どうですか?」と聞いてしまったら、いいところも悪いところも言うので、この質問はNGです。
そして、「(前と比べて)どのような変化がありますか?」(『3か月でトップセールスになる質問型営業最強フレーズ50』フレーズ39)と、あくまでもポジティブな面を聞く。
須賀 確認作業ですね。
青木 そうです。お客様に「自分の判断に間違いはなかった」と確認してもらう作業です。すると、「この内容をお伝えしたい人はいますか?」(『3か月でトップセールスになる質問型営業最強フレーズ50』フレーズ44)を使ってナビゲートしていく。
このフレーズがわからない人が多いですね。できるリーダーは、なんとなくこれをやっている。自分が無意識にできているから、自覚がない。そういうのを分析して、どのように言えばいいのかを私は教えているわけです。
リーダーが自分の言葉でビジョンを語る
須賀 私は、トップセールスはいらないという考え方です。トップセールスがいると、上司もチームもその人に頼ってしまう。この人が抜けると、とたんに店舗が崩れてしまう。その代わりに、落ちこぼれをつくらないようにします。全員が平均レベルより、ちょっと上を目指す。これが連続達成の最大のコツですね。
本にも書いたのですが、トップをとれる男がチームにいたんです。しかし、彼は自らならなかった。本当にすばらしい男です。同じ時期、売上に苦労している人がいました。優秀な彼は受注寸前まで商談の話をまとめて、その人にスイッチ。
彼は今マネジャーになって、そのチームは売上ナンバーワンになっていましたね。
青木 そういうチームになるために、何をすればいいのでしょうか。
須賀 本の帯に書いてある「なぜ、寄せ集めの集団が最強の組織に変わったのか?」の答えになりますが、リーダーがすべてです。リーダーが方向性を示し、その意を組んだスタッフが力を発揮する! これです。
リーダーが与えられた組織をどうしたいのか、自分の言葉で語ること。チームをまとめるには、「こうしたい」というビジョンが大事。
人は何を考えているかわからない人に付いていかないものです。私も経験があります。何を考えているかわからない上司には付いていかないです。
青木 私なんかは、トヨタのビジョンがあって、みんな一人ひとりがやってそうな気がしますけど……。
須賀 全員が全員、そうというわけではないですね。経営方針はきちんと出てきても、それを下におろすだけでは、何のための中間管理職かということです。上から来たものをそれを具体化するために、「私たちはこうするんだよ」と伝えるのがリーダーの務め。
店長、マネジャーの位置づけが今後もっと大事になってくるはずです。
青木 須賀さんはどんなビジョンを掲げていたのですか?
須賀 私は「全国ナンバーワンの店舗にしよう!」と。みんな、キョトンとしていましたけどね(笑)。
でも、語らなきゃダメ。語らないリーダーが多い。できなかったら、追及されるんじゃないかと思っているようだと、下はついてこない。
青木 私は、請負業だから、絶対にコミットはしますが、「お役に立つ」ことがいちばん重要で、結果は数字でしかないと言います。
最初は、「結果は置いておけ」と言っておきながら、最後には「数字はどうだった?」と、私は聞きますけどね(笑)。
リーダーとは何か?
須賀 営業部長のとき、「数か月ください」というリーダーがいましたが、それではダメですね。数か月と言って、数か月経っても変わらないことが多いです。
最初に、強烈な方針を示して変わるときはすぐ変わる。本書で、「目標は生き甲斐でありプライド」とは言っていますが、でも目標は好きにはなれなかったですね(笑)。
青木 それでも、日本一になると言い続けたのはさすがですよ。
須賀 その裏には、心配性で臆病な性格が災いしていたと思います。言ったことに対して、私はどうすればいいのかを常に考えていました。それがなかったら、目標は達成できなかったと思います。「リーダーは小心者たれ」といつも言っているのは、そういうことなんです。
連続達成におけるリーダーと部下の関係
青木 目標を達成し続けるのはそんなに簡単ではありません。リーダーの教育では、「部下の話を聞いて、一緒に解決していく姿勢を示すこと」を伝えています。頭ではみんなわかっていても、それができない。結果、すぐにアドバイスをしちゃうんですよ。
営業ではお客様の話を聞くことができても、上司と部下の関係になると、上司は部下の話を聞くことができない。営業の手順と同じように、「現状」を聞いて、「何が問題なのか」を聞いて、「どうしていく?」と聞いて、「じゃあ、これで行こう」と決めるだけ。
なのに、「現状どうなんだ? それはなぁ……」と話し始める。なぜそうなるんだ!と(笑)。
須賀 上に立つ人は成功体験があるから、言っちゃうんでしょうね。
青木 そうです。また、それを「愛情」だと思っている。ただ、そこを辛抱しないと、ある意味、リーダーが教えてしまったことで、部下をつぶしていることになるんです。
指示しても、教え方がそうだと、部下はプレッシャーを感じてしまい、自立した組織にならない。そうなると、連続達成するような組織にはならない。
須賀 「48か月連続達成、すごいですね」とよくいわれてきましたが、私は、すごいとは思わなかった。目標達成を当たり前のレベルにしないとダメ。
達成することが特別なものになっているから、「すごいですね」という言葉が出てくる。当たり前が定着すると、難しくはないです。
青木 だけど、目標のバーがあがっていくのは、大変ではないですか?
須賀 それに比例して、部下が力をつけていく。実力も上がっていくので、問題はないと考えていました。
与えられた目標を自分の目標にできるかどうか、これをしっかりすれば、必ずチームで達成できます。

(書き手=編集部・武井康一郎)

http://diamond.jp/articles/-/122747

http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/171.html

[国際19] トランプは悪性の人格障害!?米で精神科医らが解任求める 勢いづくトランプ軍複合体 脳が納得する命令 意思決定ノイズ大損失
2017年4月17日 矢部 武
トランプは悪性の人格障害!?米で精神科医らが解任求める


Photo by Keiko Hitomi
 トランプ大統領は6日、化学兵器の使用が疑われるシリアのアサド政権に対する攻撃を命じた。軍事作戦をためらったオバマ前大統領と違い、決断力と実行力があると誇示したかったのかもしれないが、はたしてこの「即断」は正しかったのか。国連決議や国際社会の支持を得ることなく、主権国家攻撃の根拠もシリア内戦終結の戦略も示さないまま、単独で武力行使に踏み切るのはかなりの危うさをはらんでいる。

 また、トランプ大統領は北朝鮮の核や弾道ミサイル開発をめぐり、中国の対応によっては米国が北朝鮮への軍事攻撃に踏み切る可能性をほのめかしている。もし米国が攻撃すれば、北朝鮮の報復によって韓国が火の海になるだけでなく、日本も甚大な被害を受ける可能性がある。そのリスクが大きすぎるために、米国の歴代政権は北朝鮮への軍事攻撃に踏み切らなかった。問題は気まぐれで衝動的なトランプ大統領が大惨事のリスクをすべて考慮に入れて、軍事的選択肢をテーブルの上に載せているのかということだ。

 実は米国ではいま、トランプ大統領の自己制御がきかない衝動性や精神不安定性に対する懸念が高まっている。きっかけは2月半ばに35人の精神科医らが連名でニューヨーク・タイムズ紙に送った、「トランプ氏は重大な精神不安定性を抱えており、大統領職を安全に務めるのは不可能だ」とする内容の投書だった。

 米国精神医学会(APA)は「精神科医が自ら診察していない公的人物の精神状態について意見を述べるのは非倫理的だ」とする規定を設けている。しかし、この投書の後、「危険性について認識しながら、沈黙しているのは逆に倫理に反する」として多くの精神医療の専門家(精神科医、臨床心理学者、ソーシャルワーカーなどを含む)が立ち上がり、トランプ大統領の解任を求める運動に加わっている。彼らが口を揃えて指摘するのは、「現実と空想の区別がつかない妄想症で、サイコパス(反社会性人格障害)の人物が核のボタンを握っていることの怖さ」である。

現実と空想の区別がつかない「妄想症」

 トランプ大統領は就任後も選挙戦中と同様、根拠のない発言を繰り返している。たとえば、就任式の参加者数がオバマ前大統領の時より少なかったと報じたマスコミを「嘘つきだ!」と非難し、「過去最大規模の人出だった」と主張した。CNNテレビなどが流した両者の就任式の映像を比べればトランプ氏の方が少ないことは明らかなのに、また、就任式当日のワシントンの地下鉄の乗降者数でもトランプ氏の方が少なかったことが報道されたにもかかわらず、トランプ氏は主張を変えなかった。

 選挙結果にしても、トランプ氏は選挙人数で民主党のヒラリー・クリントン候補を上回ったが、総得票数ではクリントン氏より約300万票少なかった。この事実を受け入れられなかったのか、トランプ氏は何の根拠も示さずに「得票数で負けたのは300万〜500万人の不法移民が不正に投票したからだ」などと突拍子もないことを言い出した。


ガートナー医師
 ジョンズ・ホプキンス医科大学での精神療法を含め、35年以上の実績と経験を持つジョン・ガートナー精神科医はトランプ氏の一連の言動をこう分析する。

「自分はベストで偉大だと思い込む誇大妄想の傾向が強いので、そこそこの勝利では我慢できないのだと思います。普通なら、“選挙に勝って大統領になったのだから十分だ”と考えるだろうが、彼の場合は“選挙人数でも得票数でも勝っていた”と主張しないと気がすまないのでしょう。就任式の参加者数でも同じことが言えます。トランプ氏は自分に都合の悪い現実を受け入れることができない。本当に危険なのは、彼が事実をねじ曲げ、自分の空想と一致するような“もう1つの事実”(嘘)を作り上げてしまうことです」

 トランプ氏は選挙戦中からずっと事実と異なる発言(嘘)を繰り返してきたが、目的を遂げるためなら平気で嘘をつき、それに対して自責の念を感じることも謝罪することもないというのが多くの専門家の意見だ。実際「トランプ氏の選挙戦中の発言のうち、77%は嘘だった」(『ポリティファクト』)との調査結果もある。

 そして、ロシアによる米大統領選介入にトランプ陣営が関わっていたのではないかとするFBI調査で追い詰められる中、トランプ氏は国民やメディアの関心をそらそうとしたのか、新たな暴言を吐いた。3月4日の朝、「なんということだ。オバマが投票日直前、トランプタワーを盗聴していたことがわかった。何も見つからなかったが、これはマッカーシズム(赤狩り)だ」とツイッターでつぶやいた。さらにこの後、「神聖な選挙戦の最中、私の電話を盗聴するとはオバマはどこまで落ちたのか。ニクソンのウォーターゲートと同じ悪い奴だ」などと立て続けに3回書き込みをした。

 結局、トランプ大統領からは何の証拠も示されず、FBIのジェームズ・コミー長官は「盗聴は起きていません」と議会で証言し、「トランプ大統領が言う盗聴を裏づける証拠はない」と明言した。

超ナルシストの「自己愛性人格障害」


メイヤー医師
 カリフォルニア州ロサンゼルスで精神科クリニックを約25年開業しているリン・メイヤー医師(臨床心理学博士)は最近、トランプ大統領の「精神障害」について他の医師と話す機会が多いが、ほとんどの人は「自己愛性人格障害」(NPD=Narcissistic Personality Disorder)を疑っているという。

 NPDは誇大妄想症、過剰な賞賛欲求、共感性の欠如などによって特徴づけられる人格障害である。米国精神医学会(APA)の「NPDの定義」によれば、多くの人は「自己愛性」の特徴を持っているが、そのうちNPDと診断される人は1%程度。次の9項目のうち5項目以上があてはまると、相当するという。

 1.自分の実績や才能を誇張する。
 2.無限の成功、権力、才能などの空想にとらわれている。
 3.自分は「特別」であると信じている。
 4.過剰な賞賛を求める。
 5.特権意識をもち、特別な取り計らいを期待する、
 6.対人関係で相手を不当に利用する。
 7.共感性の欠如。
 8.よく他人を妬み、または他人が自分を嫉妬していると思い込む。
 9.傲慢で横柄な行動や態度を示す。

 メイヤー医師は、「トランプ氏の場合、9項目すべてが当てはまるように思う。学校の成績でいえば“オールA”です」と話す。

「就任式の参加者数のことでメディアを批判したのは、どれだけ多くの人が自分を賞賛しているかを示す意味で重要だからです。一方、自分を批判する人に対して激しく攻撃するのは、批判を受け入れられないからです。褒めてほしい欲求が強すぎて批判に耐えられない、これもNPDの兆候です」

 さらにメイヤー医師はNPDを疑われる人物が核のボタンを握っていることについて警告する。

「最も注意しなければならないのは、結果をよく考えずに行動してしまう衝動性です。外国の指導者から否定的なことを言われたり、批判されたりした時に激しい怒りを抑えられず、行動に移す可能性があります。このような人物が核のボタンを握っているのは米国にとっても世界にとっても非常に危険だと思います」

 たしかにトランプ大統領が真夜中の執務室で核のボタンとツイッターを前にしている姿を想像するとぞっとする。世界最強の軍事力を誇る米国は7000個以上の核弾頭を所有するが、それを使用するかどうかは大統領の決定にかかっているのだ。

「世界でも最も危険な指導者になる」

 前出のガートナー医師も同様の懸念を示す。

「現実と空想の区別ができない妄想症のため、相手が攻撃を仕掛けてくると勝手に思い込み(現実は違うのに)、“想像上の敵”に向かって攻撃するかもしれない。このような人物に核のボタンを握らせるべきではないと思います」

 さらにトランプ氏の怖さはそれだけではない。豊富な診療経験を持つベテラン精神科医で心理学者のガートナー医師は、トランプ氏は非常に稀で深刻な「悪性の自己愛性人格障害(MNPD=Malignant Narcissistic Personality Disorder)」ではないかと推測する。MNPDは主にナルシシズム(自己愛性)、パラノイア(偏執病)、反社会性、サディズム(他人を傷つけて喜ぶ)の4つの要素を持ち、治療はほぼ不可能だという。

「パラノイアは移民やマイノリティへの侮蔑発言やメディアへの敵視などに現れ、反社会性は人々の権利を侵害したり、嘘をついても自責の念がまったくない所に現れています」

 MNPDという病名を最初に使ったのはナチスドイツの迫害から逃れた心理学者のエリック・フロム博士で、1964年にヒトラーなどファシズム指導者の精神構造を解明するために考え出した。そのため、MNPDは「ヒトラー型の人格障害」とも呼ばれているそうだ。

 ガートナー医師はこう続ける。

「これまで多くの人格障害患者を診てきたが、トランプ氏のケースは“最悪の最悪”と言ってよいでしょう。普通のNPDなら、問題はあってもなんとか大統領として4年の任期を全うできるかもしれません。でも、彼は悪性のNPDですから、それよりはるかに病的です。パラノイドで反社会的で妄想的で、現実と空想の区別ができない。精神医学の見地から言っても非常に危険です。たとえば、精神医学の研究所で“世界で最も危険な指導者をつくる実験”をしたとしても、彼以上の危険な“人格”をつくり出すのは難しいでしょう。彼は意図的に混乱をつくり出し、人を傷つけることに喜びを感じているのですから」

「トランプ解任」を求める動き

 にもかかわらず、トランプ大統領は今でも40%前後の支持率(4月11日のギャラップ調査で41%)を維持している。それについてガートナー医師は、「全ての人を常に騙すことはできないが、一部の人を騙すことはできる」というリンカーン大統領の言葉を引用しながら、「だからこそ、彼の危険性についてより多くの人々に知ってもらわなければならない。それを行うのは私たち精神科医の責任だと思っています」と話す。

 ガートナー医師は2月半ば、他の精神医療の専門家と一緒に「警告義務の会」(DTW)を結成した。DTWはトランプ大統領の人格障害や危険性についての情報をメディアや政治家に提供したり、憲法修正第25条を適用して職務不能を理由に解任を求める署名運動を行ったりしている。3月末の時点で3万人を超える精神医療の専門家が署名したという。

 第25条には「職務不能を理由に大統領を解任し、副大統領を代理に据えることができる」と規定されている。具体的には、「副大統領と閣僚の過半数が“大統領は職務上の権限と義務を遂行できない”と判断した場合、副大統領が直ちに職務を遂行する」というものだ。

 精神医療の専門家に連動するかのように、議会でも大統領の解任に向けた動きが出ている。野党・民主党のアール・ブルメンナウアー下院議員は2月半ばに憲法修正第25条の適用に備える会を立ち上げ、「妄想症で偏執病の大統領には本条項が適用される可能性はあると思います」との声明を発表した。

 また、医療助手として働いた経験を持つカレン・バース下院議員は、「トランプ氏の衝動性と自己抑制の欠如、精神不安定性は米国にとって非常に危険である」として、「トランプ大統領に精神科医の診断を求める」署名運動をchange.orgで始めた。「ダイアグノス・トランプ(DiagnoseTrump)」と呼ばれるページには、4月14日の時点で3万6882人の精神医療の専門家が署名している。

 前述の「警告義務の会」と合わせて6万6000人以上の専門家が(一部は重複しているかもしれない)、トランプ大統領の「精神障害」を懸念し、職務能力に疑問を持ち、政府や議会に適切な対応を求めているのである。

 憲法修正第25条はこれまで一度も適用されたことはなく、しかも副大統領や閣僚が「大統領にノーを突きつける」というハードルの高さを考えると、現実的には難しいかもしれない。しかし、トランプ大統領は他に自らのビジネスとの利益相反問題や選挙中のロシアとの不適切な関係など、弾劾訴追の大きな火種をかかえており、憲法第2条(弾劾規定)の適用を受けて解任される可能性はある。

 ロシア関連の調査は現在、FBIと上下両院の情報委員会で進められており、疑惑はどんどん膨らんでいる。そのため、トランプ大統領がシリア攻撃に踏み切ったのは、ロシア疑惑から国民の関心をそらす目的もあったのではないかとの指摘も出ている。

「公共政策世論調査」(PPP)が3月30日に発表した調査では、ロシア疑惑について国民の44%は「米国大統領選の介入でロシア政府とトランプ陣営は“共謀”したと思う」と答え、「そう思わない」(42%)を上回った。そして、「もし証拠が出たら、トランプ大統領は辞任すべきだ」と答えた人は53%にのぼった。

 与党・共和党が議会両院の多数を握っている現状では、普通に考えればトランプ大統領の弾劾は難しいかもしれない。しかし、ロシア疑惑の調査や「利益相反裁判」(トランプ氏は政治倫理監視団体から訴えられている)の行方次第では、世論が一気に高まる可能性はある。そうなれば、共和党の議員たちも「トランプ弾劾」に向けて動かざるを得なくなるだろう。そうしなければ、共和党は2018年11月の中間選挙で惨敗し、代わって多数を握った民主党が弾劾に向けて動きだす可能性が高いからである。

 ガートナー医師は最後に、「民主党が過半数を握ればトランプ大統領の弾劾訴追を行うでしょう。こちらの方が第25条より可能性は大きいと思います」と話した。

(ジャーナリスト 矢部 武)
http://diamond.jp/articles/-/124974


 


 


 

トランプ大統領が勢いづいている本当の理由
失点を一気に挽回する人事の勝利があった

湯浅 卓 :米国弁護士 2017年4月15日

トランプ政権で新たに最高裁判事に就任したゴーサッチ氏(写真:ロイター/アフロ)
4月10日、連邦最高裁判事に決まったニール・ゴーサッチ氏の宣誓式がホワイトハウスで行われた。同氏の就任で、終身制の最高裁判事は保守派5人、リベラル派4人となった。保守派論客だったアントニン・スカリア氏の死去で、1年以上空席だった体制が、これでやっと元に戻った形だ。

保守派のゴーサッチ氏をドナルド・トランプ大統領が指名したのは1月31日のこと。この間、指名されたゴーサッチ氏が指名したトランプ大統領を批判するという”珍事”が起きたり、上院での承認手続きをめぐってフィリバスター(長時間演説による議事妨害)阻止という「禁じ手」を使った強行採決が行われたり、とにかく紆余(うよ)曲折があった。それらの逆風を乗り越えて、最終的に保守派の判事が決まったことは、トランプ大統領にとって大きな得点になる。

就任以来、トランプ大統領は移民規制に関する大統領令の挫折やオバマケア(医療保険制度改革法)代替法案の撤回など、失点続きだった。そのトランプ大統領にとって、就任100日を前に、公約の1つである保守派の最高裁判事の就任が決まったことは、逆転ホームランに値するほどの大きな勝利といえる。

なぜそこまで重要なのか。それは「最大のライバル」であるバラク・オバマ前大統領に一矢報いることになるからだ。

ヒラリー氏勝利ならオバマ氏が最高裁判事に

9人制の最高裁判事は、1年以上にわたって保守派4人、リベラル派4人で、1人空席のままだった。その空席を埋めるために、オバマ前大統領がリベラル派のメリック・ガーランド氏を指名したのは昨年3月。ところが、共和党は新判事を任命するのは新大統領であるべきとして上院での審議を拒否してきた。

オバマ氏は最高裁の権威を損なう共和党の妨害行為にうんざりし、「共和党はアメリカ民主主義の中核をなす機関の1つをむしばんでいる」と怒りをぶちまけていた。リベラル派はもちろんのこと、多くの国民がその怒りに共感した。

実は、そのオバマ氏は、ヒラリー・クリントン民主党大統領候補が当選した暁には、最高裁判事に指名されるであろうという話が民主党関係者の間でひそかに語られていた。そのうわさは共和党系支持者が圧倒的に多いウォール街にも伝わっていた。それは長年にわたる連邦最高裁の保守化を覆し、長期的に民主党寄りの連邦最高裁の実現という、民主党にとって究極のアメリカンドリームとさえいえた。

オバマ氏はハーバード大学ロースクールを首席で卒業した秀才だ。最高裁判事になる資格は十分に備えている。ヒラリー・クリントン氏が大統領になり、オバマ氏が最高裁判事になれば、民主党のリーダーシップは絶大なものになる。

選挙戦中、オバマ氏が全米を回って、まるでわがことのようにクリントン候補を応援したのは、そんな潜在的な願望もあったからだと邪推すれば、その熱心さも理解できるというものだ。

オバマ氏は、大統領任期中も退任後も抜群に高い支持率を誇っている。その人気の高さに遠く及ばないトランプ大統領にとって、最大のライバルは、いまなおオバマ前大統領なのである。選挙戦中にオバマ前大統領の最大公約であり、政治的成果でもあるオバマケア廃止をぶち上げたのも、ここへきてのシリア攻撃や北朝鮮に対する強硬姿勢も、「最大のライバル」オバマ氏への挑戦と言っていい。

オバマ氏のレジェンドを潰した

1期目のアメリカ大統領にとって最大の目標は再選を果たすことだ。その難関の扉を開くにはどうするべきか。「扉をたたけ、さらば開かれん」と新約聖書のマタイ伝にある。その言葉をウォール街で何度も聞いた。その難関の扉を開くには、2つの条件を満たさなければならないという教えがウォール街にある。

1つは、ギブ・アンド・テイクなど交渉相手とのやり取りを通じて、現実に仕事の実績を上げること。もう1つは、近い将来、自らの目標を実現できるように仕事をしっかり遂行すること。つまり、現在の実績と将来の実績、その2つの実績を上げることである。

オバマ前大統領はその2つの実績を上げて、再選という難関の扉を開いた。オバマ氏を「最大のライバル」と意識しているトランプ大統領にとって、自分以上にオーラがあり、人気の高いライバルに張り合うには、まず相手の実績をたたき潰すこと、そしてそれこそ、トランプ大統領の実績なのだ。

ゴーサッチ最高裁判事の決定は、その第1の実績に当たる。オバマ氏が最高裁判事になるチャンスを封じたからだ。ゴーサッチ氏は連邦控訴審判事を務め上げた49歳、オバマ氏は55歳。最高裁判事は終身制であり、判事仲間で結束力が強く、年功序列を重んじる。ゴーサッチ氏のあとにオバマ氏が選任されることは、もはや考えられない。

その結果、オバマ氏の将来のレジェンドはついえることになった。オバマケアが潰れるよりも、そのインパクトのほうが大きい。トランプ大統領にとって大きな得点であり、大勝利だ。

将来の実績に向けて、もう1つ手を打った。シリア攻撃と北朝鮮に対する強硬姿勢だ。「偉大なアメリカ」再興という目標に向けて、「戦果」を上げることができるかどうかも焦点だ。

4月6日夜、米軍はシリアの空軍基地をミサイル攻撃した。6年前、シリア内線が始まって以来、米軍のシリア直接攻撃はこれが初めてだ。バッシャール・アル=アサド政権が反体制派の拠点を空爆した際、シリア軍が化学兵器を使用したことに対する対抗措置という。

トランプ政権は、これまでアサド政権には関与しない方針だった。それが急きょミサイル攻撃に転じたのは、シリア軍の化学兵器使用による子供たちの悲惨な映像がトランプ大統領の長女イヴァンカ氏(大統領顧問)の「悲しみと怒り」を誘い、それが父を動かしたとも報じられる。

ともかく、シリア内線の混乱、泥沼化は、2013年夏の米軍によるシリア攻撃が、突然中止されたことが原因とされる。このドタキャンは「オバマ最大の失態」とされ、タカ派は「史上最弱の大統領」と非難した。その失敗を繰り返さないためにも、トランプ大統領がシリア攻撃を即決したとしても不思議ではない。

今回のシリア攻撃は、これまでのオバマ支持者の目を覚まさせ、トランプ支持者を増やす絶好の機会になる。CBSテレビの世論調査(4月10日実施)では、シリア攻撃支持者は米国民の57%、反対は36%だった。

トランプ大統領が米軍にシリア攻撃の命令を出した当日は、まさに米中首脳会談の最中だった。パームビーチの別荘で習近平国家主席と会談中、トランプ大統領は何度も席を外した。にもかかわらず、トランプ氏はシリア攻撃については包み隠さず、習氏に伝えた。その説明を聞き、習氏は米軍のシリア攻撃に対して理解を示したという。

「トランプ軍複合体」のパワー発動

習氏が本当に理解を示したかどうかはともかく、目下、米中間では北朝鮮問題が焦眉の急となっている。トランプ政権は、中国政府に北朝鮮への説得工作を強く求めている。そんな対中折衝を進めるに当たって、このシリア攻撃は絶妙のタイミングだった。

トランプ政権は、オバマ政権時代の「戦略的忍耐」戦略の終わりを宣言し、先制攻撃を含む「あらゆる選択肢」を検討中であることを公言している。もし中国が北朝鮮の説得に応じず、北朝鮮の核開発を放置するなら、米軍はシリア同様、単独で北朝鮮攻撃も辞さないというメッセージになったはずだ。

パックスアメリカーナの全盛時代、「偉大なアメリカ」は「産軍複合体」という強力なパワーを発揮した。そのパワーを支えた産業の力は衰え、これから「偉大なアメリカ」を再興するには、「産軍複合体」に代わって「トランプ軍複合体」というべきパワーが発揮されることになる。トランプ大統領の指導力と軍事力の組み合わせによるパワーの発動だ。近い将来、それがうまくいく可能性が高まれば、トランプ大統領の評価も高まり、2020年の再選が視野に入ってくる。
http://toyokeizai.net/articles/-/167707

 

意思決定の「ノイズ」
企業の知られざる大損失
ダニエル・カーネマン,アンドリュー M. ローゼンフィールド,リネア・ガンジー,トム・ブレイザー:プリンストン大学名誉教授(心理学)
2017年4月17日
人の判断力はあてにならない。医師や裁判官、経営者など、訓練や経験を積んだプロフェッショナルも、その時の気分やお腹の減り具合、天候などさまざまな要因の影響を受け、判断がぶれる。同じ人に同じ案件を別の日に検討させると、前回と異なる判断を下すケースが実に多い。こうした判断の不安定さを「ノイズ」と呼ぶ。企業はノイズにより多大な損失を被っているが、ほとんど認識されていない。本稿では、まず自社のノイズを把握することから始め、それを減らす方法を具体的に提示する。
『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』2017年5月号より1週間の期間限定でお届けする。
「ノイズ」は企業に
多大な損害をもたらしている
 ある世界的な金融機関と仕事をともにした際、こんなことがあった。同社の古くからの顧客が間違って、金融サービスの申し込みを2ヵ所の支店に提出してしまったのだ。本来ならその申込書を社員の誰が担当しようとも、全社共通の基準に従って審査し、同じような結果になるはずであった。ところが実際には、2ヵ所の支店から顧客に返ってきた2通の見積書は内容がまったく違っていた。顧客はあっけに取られ、その仕事を競合他社に頼むことにした。
 会社とすれば、同じ業務を担当する社員は代理が可能で、同じ回答を出すはずであったが、このケースで2人の社員は同じではなかったのだ。残念なことに、これは広く見られる問題である。
 多くの組織は、社内のプロフェッショナルに対して、無作為に案件を割り当てる。信用格付け機関のアナリスト、緊急治療室の外科医、融資と保険の審査・引き受け担当者──。そして組織は、こうしたプロフェッショナルに一貫性を求める。すなわち、ほぼ同一の案件を扱うなら、完全に同じとまではいかなくても似たような対応をすべきであると。
 しかしやっかいなことに、人間の意思決定能力はあてにならない。人間の判断は、その時の気分やお腹の減り具合、天気といった、どうでもいい要因から強い影響を受けるのである。
 こうした判断の不安定な変動を、「ノイズ」と呼ぶ。ノイズは、最終損益に課される目に見えない重い負担として、多くの企業に損害を与えている。
 ノイズの影響を受けない仕事も一部にはある。銀行や郵便局の窓口係は複雑な業務をこなすが、厳格な規則に従って仕事をしなければならないので主観的判断は制限され、同一案件には間違いなく同一の対応をするよう意図的に設計されている。
 これとは対照的に、医療の専門家や融資担当者、プロジェクトマネジャー、裁判官、企業幹部などは皆、自分で判断を下す。その判断のよりどころとなるのは厳格な規則ではなく、むしろ個人的な経験や一般原則である。そして、他の誰もがその立場にいたら下すであろう結論でなくても、それは受け入れられる。これこそ、「判断の分かれる問題」といわれるものである。
 社員にこうした判断をさせる企業も、ノイズの影響をまったく受けない意思決定などできるとは思っていない。
 しかし、ノイズの影響は、企業幹部が許容範囲だと思うであろうレベルをはるかに超えていることが多い。しかも、企業幹部はそのことにまったく気づいていない。
 ノイズがどれだけ蔓延しているかは、複数の研究によって実証されている。時期を変えて同じデータをプロフェッショナルに見せると、前に下した判断と矛盾する結論に至ることが頻繁にある。
 このことは学術研究者が繰り返し立証してきた。たとえば、「この作業を完了するのに何時間かかりそうか」という見積もりを同じソフトウェア開発者に日にちを変えて行わせると、彼らが予測する時間は平均して71%もぶれていた。
 病理学者に生体組織検査の結果を見せて症状の深刻さを2回診断させると、2回の診断結果の相関関係はわずか0.6(完全一致は1.0)しかなく、かなり多くのケースで彼らが(過去の自分の診断と)相反する診断を下しているだろうと推測される。
 判断するのが別人なら、判断結果がばらつく可能性はさらに大きくなる。さまざまな仕事において各分野の専門家たちが下す判断に非常にむらが大きいことは、研究によって実証されている。たとえば株式の価値の評価、不動産の鑑定、犯罪者への量刑、仕事の業績評価、財務諸表の監査など──。つまり次のように結論せざるをえない。
 プロフェッショナルは、他のプロフェッショナルとも、自分の過去の判断とも、自分たちが従っていると主張するルールとも、相当に違う判断を下すことが頻繁にある。
 多くの場合、ノイズはひっそりと悪さをする。成功している企業でさえ、ノイズによって気づかぬうちに相当の金額を失っている。相当の金額とは、どれくらいか。一つの目安を得るため、我々が研究対象とする某組織の幹部たちに次のように質問した。「ある案件の最適な査定額が10万ドルだったとします。もし、その案件を担当したプロフェッショナルが11万5000ドルと査定したら、組織が被る損失はいくらになるでしょうか。また、8万5000ドルと査定された場合は、組織の損失はいくらでしょうか」──。
 こうして得られた損失の見積額は大きかった。1年間のすべての査定を何期にもわたり集計していくと、ノイズによる損失額は何十億ドルという桁になった。仮に国際的な大企業であっても、容認できないレベルの巨額な金額である。この組織のノイズをわずか数ポイント減らすだけでも、その価値は数千万ドルに相当しよう。驚くべきことに、この組織は調査時点まで一貫性の問題にまったく無関心であった。
 ところで、統計を使った簡単なアルゴリズムによる予測と判断のほうが、専門家による予測と判断よりも正確なことが多い、という事実はかなり前から知られている。それは、アルゴリズムの利用する情報量より専門家のほうが多くの情報にアクセスできる場合でさえ当てはまる。
 これに対して、それほど知られていない事実もある。アルゴリズムのほうが優れている主な理由はノイズフリー(ノイズの影響を受けない)だからである、ということだ。人間と違い、アルゴリズムの方程式はどのような入力値であっても同じ入力値には常に一定の答えを返す。一貫性に優れているため、単純かつ不完全なアルゴリズムでさえも、人間のプロフェッショナルより高い正確性を達成できるのだ(もちろん、業務上の理由や政治的な理由でアルゴリズムが導入できない場合もあろう。これについては後に触れる)。
 本論ではまず、ノイズとバイアスの違いを説明し、組織内に存在するノイズの強さと影響力を幹部がチェックする方法を示す。次に、費用もあまりかからず、もっと利用されるべき方法として、ノイズを減らすためにアルゴリズムを構築するやり方を紹介する。さらに、アルゴリズムが利用できない場合でも一貫性を高めることができる手順についても、概略を述べる。
ノイズとバイアスの違い
 判断や意思決定の誤りを考える時、たいていの人が頭に思い浮かべるのは、マイノリティを固定観念で見るような社会的バイアスか、自信過剰や根拠のない楽観といった認知バイアスだろう。しかし我々がノイズと呼ぶ無意味なばらつきは、これらとは種類の違うものである。その違いをきちんと理解するため、自宅にある体重計を思い浮かべてほしい。
 もし体重計の目盛りが常に実際より重め、または軽めに表示されるのなら、それは目盛りに「バイアス」がかかっているという。一方、体重計のどこに足を置くかによって体重が左右されるようであれば、この体重計は「ノイズ」が多いという。
 常に本当の体重よりもきっちり4ポンド軽く表示される体重計は、大きなバイアスがかかっているものの、ノイズはない。2回乗ったら2回とも違う数値を示す体重計はノイズが多い。計測の誤りをもたらす原因は、多くの場合バイアスとノイズの組み合わせである。最も安価な体重計にはそれなりのバイアスと大量のノイズが存在する。
 両者の違いを図示したのが、図表1「ノイズとバイアスが正確さに与える影響」である。これは4人チームで1人1回ずつ撃つ射撃訓練の結果である。

図表1
ノイズとバイアスが正確さに与える影響
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●Aチームは「正確」だ。チーム全員のショットが的の中心部に当たっており、それぞれの位置も近い。
 Aチーム以外の3チームはいずれも「不正確」だが、どのように不正確なのかはそれぞれ異なる。
●Bチームは「ノイズが多い」。各ショットは的の中心部を囲んで分散しているが、それぞれが大きくばらついている。
●Cチームは「バイアスがかかっている」。各ショットは皆中心部を外しているが、互いに密集している。
●Dチームは「ノイズが多く、かつバイアスがかかっている」。
 AチームとBチームを比較すればわかるように、バイアスがない状態でのノイズ増加は必ず正確さを低下させる。バイアスがある状態だと、ノイズ増加はまぐれ当たりを引き起こすことも実際にはある。Dチームにはこれが起きた。もちろんまぐれ当たりを当てにする企業などないだろう。ノイズは常に望ましくないし、時には破壊的影響をもたらすこともある。
 社員の判断にどのようなノイズとバイアスが存在するのか、それを知れば間違いなく会社の役に立つ。だが、その情報を集めるのは一筋縄ではいかない。そうした誤りを集計しようとするといろいろな問題が持ち上がる。
 大きな問題の一つは、たとえ判断の正誤がわかるとしても、多くの場合はるか先になることだ。たとえば融資担当者が、可とした融資の結末がどうなるか、何年も待たねば判明しないことは頻繁にある。そして融資を不可とした融資先については、その後どうなったかなどほとんど知ることもない。
 バイアスとは違い、ノイズは正確な答えがどんなものかを知らなくても計測できる。前述の射撃訓練の図表から、狙うべき的の中心の赤い部分が消された姿を想像するとわかりやすい。各チームの総合的な正確さについては何一つわからないが、BチームとDチームのばらついた弾痕を見れば、何らかの問題があると確信できるだろう。的の中心部がどこにあろうと、2つのチームは、全員が中心部に近いという結果ではない。判断に含まれるノイズを計測するには、数人のプロフェッショナルがいくつかの現実的な事例を別個に評価するという簡単な実験だけで済む。
 繰り返すが、正しい答えを知らなくても判断のばらつきは計測できるのだ。我々はこうした実験を「ノイズ検査」と呼んでいる。
ノイズ検査の実際
 ノイズ検査の意義は、報告書の作成ではない。最終目的は判断の質の向上であり、部門ごとのリーダーが不愉快な検査結果を受け入れて対策を取る覚悟ができていない限り、検査は成功しない。そのような積極的な受け入れ姿勢は、組織の幹部がノイズ検査を自分のプロジェクトとして扱うことで実現が容易になる。
 そのためには、検査用の事例の収集作業は部門内で尊敬されるメンバーにやらせるべきであり、また事例はよく起きる問題を幅広く含んでいなければならない。ノイズ検査の結果を皆にとって意味あるものにするため、部門のメンバー全員が検査に参加すべきである。検査の技術的側面は、厳密な行動実験を行った経験のある社会科学者の監修を受けるべきではあるが、検査プロセスの主導権はプロフェッショナルの所属する部門が握らねばならない。
 我々は最近、2つの金融機関でノイズ検査の実施を手助けした。2つの機関は業務内容も専門分野もまったく異なるが、どちらもそれなりに複雑な資料を評価する必要があり、数十万ドルがかかった判断をすることもしばしばあった。我々はどちらの機関に対しても同じ手順で事を進めた。
 最初に、関連するプロフェッショナルの所属部門の各マネジャーに依頼して、評価用の現実的な事例集をいくつか作成してもらった。このテストの内容が漏れないよう、すべての取り組みは両機関とも同じ日に実施し、当日ですべて完了するようにした。その日、プロフェッショナルの社員にはほぼ半日をかけて2つから4つの事例を分析してもらった。彼らは日常業務と同じように各事例について金額を決める。
 談合が起きないよう、これが信頼性に関する検査だという点は参加者に伏せられた。たとえば一つの機関では、この調査の目的は社員の専門的思考方法を理解し、彼らの使うツールの利便性を高め、社員間の意思疎通を改善することだと説明された。機関Aでは組織内のプロフェッショナルのおよそ70%が検査に参加し、機関Bではおよそ50%が参加した。
 我々は事例ごとにノイズ指数を作成した。これを見れば「無作為に選ばれた社員2人の判断にどれほど差異があるか」がわかる。差異の大きさは、2つの評価の平均値に対する比率で表す。たとえばある事例を2人の社員が評価し、結果が600ドルと1000ドルだったとしよう。2つの評価の平均は800ドル、差異は400ドルなので、このペアのノイズ指数は50%ということになる。社員すべての組み合わせに対してこれと同様の計算を行い、その後で事例ごとに全体の平均ノイズ指数を求めた。
 ノイズ検査に先立つ両機関の幹部インタビューでは、彼らが自社のプロフェッショナルの行う判断の誤差を5〜10%の範囲に収まると予想していたことがうかがえる。「判断の分かれる問題」なら許容範囲であると彼らが考える水準だ。
 しかし、ノイズ検査の結果はショッキングだった。機関Aでは6つの事例のノイズ指数が34〜62%の範囲で、組織全体の平均ノイズ指数は48%。機関Bでは4つの事例のノイズ指数が46〜70%の範囲で、全体の平均ノイズ指数は60%だった。おそらく最もがっかりさせた点は、業務経験がノイズ削減に役立たないように見えたことだ。現在の業務に5年以上のキャリアを持つプロフェッショナルだけ見ても、ノイズ指数の平均値は機関Aで46%、機関Bで62%だった。
 このような結果は、両機関の誰一人として予測していなかった。だが、どちらの機関でも幹部が主導権を握ってノイズ検査を実施したため、彼らは自社のプロフェッショナルによる判断の信頼性が許容範囲を超える低さであるという検査結果を受け入れた。この問題に対処するため何らかの手を打たねばならない、と全員がすぐさま合意した。
 我々はこの検査結果に驚かなかった。プロフェッショナルの判断でも信頼性は低い、というそれまでの研究結果と一致していたからだ。我々が大いに不思議だったのは、どちらの機関も信頼性が問題になると一度も考えたことがない点だった。
 ビジネス界では、ノイズ問題は実質的に目に見えない。プロフェッショナルの行う判断の信頼性に問題があると指摘されて、聞き手が非常に驚く姿を我々は何度も目にしている。会社が、自社のプロフェッショナル社員の判断にノイズが多いと気づかないのはなぜなのだろうか。その答えは2つの見慣れた現象にある。
 経験を積んだプロフェッショナルは、えてして自分の判断は正確だという強い自信を持っている点と、彼らが同じプロフェッショナルの知性に大いに敬意を抱いている点だ。この2つが組み合わさると必然的に、自分の判断には他人も皆、合意するはずだと過大評価する結果になる。他のプロフェッショナルならどう判断するだろうかと問われると、実際よりはるかに自分に近い判断をするだろうと予想するのだ。もちろん経験豊富なプロフェッショナルはたいてい、他人ならどう判断するかなどまったく無関心であり、自分の判断が最良だと素直に思い込んでいる。

図表2 ノイズとバイアスの種類
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ノイズとバイアスは種類の異なるミスだ。それぞれ違う形で出現し、是正措置にも違う行動が求められる。
 ノイズ問題が目に見えない理由の一つは、人は自分の下す判断一つひとつにそれぞれ妥当な別の判断がありうるなどと、わざわざ想像しないで日々生きていくからだ。
 他人でも自分と同じ判断をするはずだと予想するのがもっともな場合もある。とりわけ判断が熟練の域に達して、ほとんど直感に近くなるような場合だ。
 訓練によってほぼ完璧となるタスクの定番といえば、チェスと運転である。チェスの名手たちが同じ盤面を見れば、ゲームの状況について非常に似通った判断を下すだろう。たとえば「白のクイーンが危ない」とか「黒のキングの守りが手薄だ」といったように。ドライバーについても同様で、交差点やラウンドアバウト(信号のない環状交差点)で周囲のドライバーが自分と同じ優先順位の判断をしていると想定できなければ、車の流れに乗った運転など危なくてできない。こうしたハイレベルのスキルにはほとんど、もしくはまったくノイズがない。
 チェスおよび運転の熟練スキルは、自分の行動に対して即時かつ明快なフィードバックが得られるとわかり切っている環境で、長年の訓練を積み重ねることで培われる。だが残念なことに、そのような環境で仕事をしているプロフェッショナルはほとんどいない。
 ほとんどの人は、職場で上司や同僚が口にする釈明や批判を聞いて判断の仕方を学ぶ。自分自身のミスから学ぶのに比べ、はるかに当てにならない情報源である。一つの仕事で長い経験を積めば、人は例外なく自分の判断に自信を深めていく。だが、素早いフィードバックのない経験を積み重ねたところで、その自信は正確さもみんなの合意も保証してくれない。
 これを一言にまとめて次の格言を捧げよう。「判断のあるところ常にノイズあり。しかも、あなたが思うより多くあるものだ」。概して、上司もプロフェッショナル自身も彼らの判断の信頼性を的確に推定することはできない、と我々は確信している。的確に見積もるにはノイズ検査を実施するしか方法はない。少なくとも一部の組織では、何らかの手を打つ必要があるほどノイズ問題は深刻である。
ノイズを減らす
 ノイズ問題の解決策として最も徹底的な手は、人間の判断を形式的なルール(要するにアルゴリズム)で置き換えることだ。その案件に関するデータを使って予測や決定を行うのである。
 過去60年間、人間は数百に及ぶ分野で正確さをアルゴリズムと競ってきた。がん患者の余命から大学院生の成功見込みまでそのタスクは多岐にわたる。調査結果のおよそ半数ではアルゴリズムのほうが人間より正確であり、残り半数ではだいたい対等だった。対等であればやはりアルゴリズムの勝ちとすべきだろう。コスト面で人間に勝るのだから。
 もちろん、アルゴリズムが実用に適さない状況も数多くあるだろう。入力すべきデータが特異なものや、一貫したフォーマットに押し込めないものなら、形式的ルールはおそらく利用できない。また、相手との交渉が必要の場合や、複数の側面を持つような判断や意思決定にも、アルゴリズムは役立たない可能性が高い。
 原理的にはアルゴリズムを用いた解決法が使えるはずなのに、組織上の配慮によって導入が見送られる場合さえ時にはある。既存社員をソフトウェアで置き換えるのは痛みを伴う作業であり、結果的に彼らがそれまでの仕事より面白い作業に就けるようにしない限りは抵抗を受けるだろう。
 しかし、条件が揃っていれば、アルゴリズムの開発と導入は驚くほど簡単な場合もある。一般にはアルゴリズムを使うには大量のデータを統計的に分析する必要があると思われている。たとえば、我々と話すほとんどの人は、商業ローンの貸倒率を予測する計算式の開発には数千件の実際の融資と結果のデータが必要だと思い込んでいる。実際には融資の結果データなど一つもなくても、少数の案件の情報さえあれば十分実用的なアルゴリズムを開発できるのだが、そうと知る人はほとんどいない。このように結果データなしで考案された予測用の計算式を、我々は「推論ルール」と呼ぶ。常識的な推論を利用しているからだ。
 推論ルールの考案はまず、予測すべき結果と明らかに関係のある少数の変数(たいていは6〜8個)を選ぶことから始める。
 たとえば予測すべき結果が「商業ローンの貸倒率」なら、融資先の資産と負債は確実に変数リストに含まれるだろう。次に、これらの変数にわかり切った正負符号をつけて(資産にはプラス、負債にはマイナス)、同じウェイト付けで計算式に組み込む。その後、この計算式を使った簡単な計算を何度か繰り返して手を加えてもいいだろう(詳細は囲み「推論ルールのつくり方」を参照)。

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 驚くべき成果は、多くの調査研究によって明らかになっている。さまざまな状況においてこの推論ルールは、結果データを使って構築された統計モデルとほぼ同等の正確さだったのだ。
 標準的な統計モデルは、予測に使う一連の変数を組み合わせ、各変数同士の関係、および予測する結果との関係に応じて、それぞれの変数にウェイト付けを行う。ところが多くの場合、このウェイト付けは統計学的に見て一定しておらず、実用的見地から見ても重要性は低い。選んだ変数に皆同じウェイト付けをする単純なやり方でも、標準的な統計モデルとほとんど同等の有効性がある。すべての変数に等しいウェイト付けをし、結果データに頼らないアルゴリズムは、人事選抜や選挙予測、アメリカンフットボールの試合結果の予測、その他の事例で、有効性が証明されている。
 要するに肝心なのは、ノイズを減らすためにアルゴリズムを活用するつもりなら、結果データが入手できるまで待つ必要はないということだ。常識的な判断力を使って変数を選び、一番簡単な方法でそれら変数を組み合わせれば、アルゴリズムのメリットの大半を手にできる。
 もちろん、どのような種類のアルゴリズムを使おうとも、最終決定権は人間が握っておくべきだ。アルゴリズムを監視し、案件の母集団で時折発生する変化に合わせてアルゴリズムを修正しなければならない。マネジャーは個々の判断内容にも目を光らせ、誰が見てもそうすべき場合にはアルゴリズムの判断を覆す権限を持つ必要もある。
 たとえば融資可と判断されたケースでも、その借り手が逮捕されたとわかったら一時的に判断を覆さねばならない。そして最も大事なのは、アルゴリズムの判断結果をどのような行動に変換するのかは組織の幹部が決めなければならない点だ。アルゴリズムは融資の申込書を見て、その借り手が上位5%に属するのか下位10%なのかは判断できる。しかしその情報をもとに「どう行動するか」は、人間が決めなくてはならない。
 アルゴリズムは、プロフェッショナルが最終判断を下す前に利用する補助的な情報源として役立つ場合もある。その一例が、被告人を保釈しても安全かどうかを米国の裁判官が判断する際に役立てようと開発された計算式「パブリック・セーフティ・アセスメント」(公衆安全評価)である。ケンタッキー州で導入された最初の半年間、裁判前に保釈された被告人の割合は増えたにもかかわらず、保釈中の被告人による犯罪はおよそ15%減った。このケースでは、人間の裁判官に判断の最終決定権を残すべきなのは明らかだ。もし法の裁きが計算式によって行われるのを見たら、人々はショックを受けるだろう。
 人が聞いたら不愉快に感じるかもしれないが、複数の調査研究で次の点が明らかになっている。すなわち、人間は判断に役立つ情報を提供できるものの、最終判断をする役割はアルゴリズムのほうが上手にできる。もしミスを避けることが唯一最大の目的であれば、例外的状況でない限りアルゴリズムの判断を覆してはならないとマネジャーに強く言い聞かせるべきである。
判断に規律を与える
 プロフェッショナルの判断にノイズが多い場合は、人間の判断をアルゴリズムに切り替えることを必ず検討すべきではあるが、この解決策はあまりに急進的だったり、どうにも実用的でなかったりすることが大半だろう。そこで代案として、次のような手順を導入して一貫性を高める手もある。
 同じ業務を行う社員は共通の方法で情報を集め、それらの情報から共通の方法で案件に対する意見を構築し、その意見をもとに判断を下す時にも共通の方法で行うことを徹底するのである。この手順のすべてを細かく検証するのは本論の枠を超えるが、何点か基本的な助言をすることはできる。判断に規律を植え付けるのはけっして簡単なことではない、という重要な警告とともに留意してほしい。
 言うまでもなく訓練は極めて重要だが、一緒の訓練を受けたプロフェッショナルでさえ、ともすれば各自が独自のやり方へとずれていく。このずれをなくすため、企業によっては判断を行う社員を集めて案件を評価する討論会を実施するところもある。だが残念なことに、こうした討論会の大半は、あまりにも簡単に意見が一致してしまうようなやり方で運営されている。
 参加者は最初に出た意見か、または自信満々で述べられた意見に皆、収束してしまうからだ。こうした見せかけの意見の一致を避けるため、討論会の参加者はそれぞれ独自に当該案件を研究し、簡単には譲れない意見を持ち、その意見を事前に司会者に提出しておくべきだ。そのうえで意見の違いを考えるグループディスカッションも加えれば、討論会は効果的なノイズ検査の場となろう。
 また、討論会の代わりにもなるし、討論会と両立もできる方策として、プロフェッショナルが担当案件の情報を収集する段階、途中で補助的な判断を行う段階、そして最終的な判断を下す段階という各過程で、それぞれの指針となるような使い勝手のいいツールも提供すべきである。
 具体的にはチェックリストや慎重に練られた質問事項といったものだ。望ましくないばらつきは、上記のそれぞれの段階で発生する。企業はこうしたツールでばらつきをどれほど減らせるかテストできるし、すべきである。利用者がこうしたツールを、自分の仕事を効率的・経済的に行うのに役立つ助手のように考えてくれれば理想的だ。
 残念ながら我々の経験から考えると、効果的でかつ使い勝手のいい判断支援ツールの作成は多くの企業幹部が思っているより難しいようだ。たしかにノイズの抑制は大変だが、組織がノイズ検査を行ってそのコストを金額で把握すれば、一貫性のないばらつきを減らす努力はそれに見合う価値があると納得してもらえるだろう。
*    *    *
 本論の主な目的は、誤りの原因となる「ノイズ」という概念を組織のマネジャーに紹介し、バイアスとの違いを説明することにある。バイアスという言葉は人々の意識に広く浸透し、いまや「誤り」と「バイアス」が同じ意味で使われることも頻繁にあるほどだ。ところが実際は、一般的なバイアス(たとえば楽観)や、より具体的な社会的バイアスや認知バイアス(女性差別やアンカー効果)を減らすだけでは判断の質は改善されない。
 組織の幹部として正確さを気にするならば、プロフェッショナルの判断に広く見られる一貫性のなさにも立ち向かうべきなのだ。ノイズはバイアスよりも実態を正しく知るのが大変だが、バイアスと同じだけリアルな存在であり、もたらす損害額もけっしてバイアスに劣らないのである。

倉田幸信/訳
(HBR 2016年10月号より、DHBR 2017年5月号より)
NOISE
(C)2016Harvard Business School Publishing Corporation.

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『知性を問う』
知識労働者の仕事といわれた医療の診断や、リスク分析などがAIに代表される機械に置き代わろうとしている。今後我々の知性はどのように価値を生み出していくのであろうか。今号の特集では、機械化が進む中でも必要とされる人間の「知性」とは何かを問う。膨大な知識を記憶する力において、人間はとっくに機械に負けた。そんな時代でも、人が発揮すべき知性について各界の第一人者とともに考察する。

【特集】知性を問う
◇知性の核心は知覚にある(安宅和人ヤフー CSO)
◇小説は何者が生み出すのか(朝井リョウ 作家)
◇「心の質感」が創造性の源泉になる(前野隆司 慶應義塾大学大学院 教授)
◇人間は機械へと進化する(石黒 浩 大阪大学大学院 教授)

http://www.dhbr.net/articles/-/4797


 

【第14回】 2017年4月17日 池田義博 :一般社団法人日本記憶能力育成協会代表理事兼会長
脳が納得する命令の出し方とは?
新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』では、脳の仕組みを活用し、4回連続記憶力日本一、日本人初の記憶力のグランドマスターになった著者による世界最高峰の勉強法を紹介していきます。記憶力が左右する試験、資格、英語、ビジネスほか、あらゆるシーンで効果を発揮するノウハウを徹底公開します。
自分の目標を脳にわかりやすく理解させることができる
有効な手段とは?
 さまざまな分野で成功している人たちが、子どもの頃に自分の将来像を紙に書いて宣言していたという話を最近よく聞きます。
 本当に書いてある内容どおりに実現していたりするので驚かされます。
「目標は紙に書くといいらしい」というのは昔からよく聞く話ですが、まさに彼らもそれを子どもの頃から実行していたというわけです。
 そういう私も世界記憶力選手権で日本人初の記憶力のグランドマスターを目指したときは、紙に「必ず日本人初の記憶力のグランドマスターを獲得する!」と書いて壁に貼り毎日眺めていたものでした。
 なぜ、紙に書くことによって目標を達成する可能性が高くなるのでしょうか。私なりにその理由を想像してみました。
 脳は一日のあいだに、ものすごいスピードで次から次へと思考を続けています。
 今こう思っていても次の瞬間には違うことを考えたりしています。
 瞑想の経験がある人ならば、この感覚はよくわかるはずです。
 瞑想中は雑念をなくしたいものですが、意に反して頭の中には次から次に新たな思考が入り込んできて、よくもまあこんなに出てくるものだと逆に感心するほどです。
 そんなわけですから、ひっきりなしに新しいことを考えて働き回っている脳に向けて伝えたい自分の意志があったとしても理解してもらうのは難しいのです。
「こうなればいいなあ」と、なんとなく考えるだけでは、その思いはたくさんの思考の中にまぎれてしまい、脳はそれをあまり重要だと感じてくれません。
 そこで、全速力で走っている脳を立ち止まらせて「こうなりたい!」という意志をしっかり理解させる必要があるのです。
 一度納得すると、脳はその目的のために一生懸命働いてくれる律儀な性格も併せ持っています。
 脳の特徴の一つに「カラーバス効果」というものがあります。
 たとえば家を出るときに、「今日は赤い色のものを意識して探してみよう」と脳に言い聞かせるとします。
 すると、「今まで本当にこんなにあったのか」と思うぐらい赤い色のものが目に入ってきます。しかも、ものすごいスピードで見つけ出すことができます。
 試しに今、目を閉じて何か一つの色を探すと決めてから目を開けて周囲を見渡してみてください。すぐに、その色をした何かが目に飛び込んでくるはずです。
 脳というのは納得して命令を受け取ると、まるで熱線追尾式のミサイルのごとくその対象を探し始めるので、探す対象をあなたが目指している目標に設定すれば、脳は自動的にその目標に向かって進み始めるのです。
 そして、自分の目標を脳にわかりやすく理解させることができる有効な手段が「紙に書く」ということなのです。
 紙に書く目標は、ある人にとっては「◯◯大学に絶対合格する!」や「TOEIC目標900点!」など、試験に合格することであったり、点数であったりするでしょう。
 そこで、目標実現の精度を高めるためにしたほうがいいことがあります。
 それは最終目標のみを紙に書くのではなく、ゴールを達成するまでのあいだに必ずクリアしなければならない小さな目標をできるだけたくさん書いておくことです。
「ひと月に100個ずつ英単語を覚える」とか「問題集を毎日必ず3ページ進める」といったような目標です。
 最終目標は、そこまでの距離が遠いので、脳の熱線追尾ミサイルがはっきりとその標的をとらえるのが難しいのです。
 それに対して小さな目標は達成までの距離が短いので、それぞれの標的に対してミサイルの精度が高くなります。小さな目標を的確にクリアしていくたびに、最終目標に近づいていくことになるのです。
 書いた紙は毎日見るようにします。そして、小さな目標の達成度もチェックするようにしてください。標的に向けて照準をキープし続けるためです。
 他にも必ず行ってほしいことがあります。
 定期的に内容を更新していくことです。なぜなら、勉強を進めていくうちに小さな目標が変わっていくはずだからです。
 最終目標自体も、もっと上のレベルに変わるようなことだってありえます。途中でゴールを見失わないためにも、脳に命令する内容をこまめに変更して微調整をする必要があるのです。
 そして欲をいえば、目標を達成した後、自分はどうなっているのか、またはどうなっていきたいかまで想像で書くようにすれば、そのイメージが心を浮き立たせ、必ずそうなりたいという気持ちをさらに強くさせます。

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http://diamond.jp/articles/-/124920

【第3回】 2017年4月17日 南谷真鈴
大変であればあるほど「目標に近づいている」と実感できる
世界で約50名しか成し遂げていない偉業「探検家グランドスラム」(世界七大陸最高峰、北極点、南極点を制覇すること)を世界最年少で達成した南谷真鈴さん。本連載では、南谷さんが快挙を成し遂げることができたエッセンスをお伝えするべく、話題の新刊『自分を超え続ける』の内容を一部公開いたします。連載第3回。

南谷真鈴 (みなみや・まりん)
1996年、神奈川県川崎市生まれ。1歳半でマレーシアに渡り、大連、上海、香港など幼少時から約12年間を海外で生活。2016年7月、北米大陸最高峰デナリに登頂し、日本人最年少の世界七大陸最高峰登頂者となった。早稲田大学政治経済学部に在学中。「CHANGEMAKERS OF THE YEAR 2016」受賞。「エイボン女性年度賞2016」ソーシャル・イノベーション賞受賞。

白い砂漠をひたすら南へ
 世界で一番乾燥している、氷で覆われた白い砂漠。
 360度、なんの目印もない、平らな大地。
 気温マイナス40度、体感温度はマイナス60度くらい。
 その中を重いソリを引きながらスキーで走行します。
 第二次世界大戦で爆撃機として使われていた小型旅客機ツインオッターに乗り込み、南緯89度地点に降ろしてもらったところが、南極点へのスタート地点となります。

 コンパスの針を南にセットし、前進するのみ。
 2015年1月4日、南極点踏破への旅が始まりました。
 南極点までは凍りつくような強風にさらされ続けました。チームメンバーは4人。ソリに積むテント、食料、燃料は、1人あたり60キロ以上の割り当てです。ビンソン・マシフのキャンプ1でも同じように荷上げをしたし、数日間トレーニングしていたとはいえ、これはけっこうな重さ。ソリとつながっているゴム製のベストでどうにか引っ張っていきます。
 誰にも話しかけられない。自分からも話しかけない。
 ただ自分のペースで、ひたすらに突き進む真っ白い大地。

 4人のチームで進んでいるとはいえ、南極点への道は完全に1人の世界でした。吹き付ける風と強烈な寒さはつらかったものの、私はなんとなく楽しくなり、やがて瞑想している感じになりました。
 たぶん、ランナーズハイのようなものでしょう。
 聞こえるのは風の音と、自分の心の中のおしゃべり。
 これまでのこと。これからのこと。
 何も考えていない時もあれば、いろいろなことを考えている時もありました。
 行程が進むうちに、チームメンバーもそれぞれのスタイルが出てきます。
 進むのが遅くてどんどん後ろに行く人。
 苦しくてハアハア言いながら、「絶対に、自分が一番前にいたい!」という人。

 私は「絶対前!」というタイプではありませんが、自分のペースを崩したくないほうです。私がチームで一番速いペースだったので、自然と前を進むようになりました。
 南極点までは、1時間もしくは2時間に1回、立ち止まって休憩します。これがだいたい1日に5〜6回。マイナス40度とはいえ、ソリで引く荷物が本当に重いし、体が熱を発しているので、動いている時にはめちゃめちゃ暑い。それなのに止まった瞬間、3分で凍え死にそうになります。しかも私は他のチームメンバーの男性に比べると体に肉がついていないので、みんなが10分休むなら5分くらいですませるようにしていました。
 止まった瞬間、分厚いダウンジャケットを重ね着して、立ったまま大量のお菓子を口に詰め込みます。板チョコが、もう最高においしかった!
 板チョコ2枚にバナナチップス、ドライマンゴー、ドライメロンをそれぞれ山盛りにしてリスのようにモグモグ。休憩でなくても、ポケットに入れてある何十本ものエナジーバーを滑りながら食べ続け、「とにかくエネルギーがあるものを」と、バターを丸ごとかじったりもしました。1日1万カロリーは最低でも摂っていたと思います。
 こうした食料はユニオン・グレーシャー・キャンプ(南極唯一の民間基地、宿泊施設)に大量に保管されていて、出発する時に自分の好きなものを各自で持っていくのです。
 食べたか食べないかで、パフォーマンスがまったく違う。いくつかの登山でそれが身に染みていたので、私はひたすら食べていました。
 「いい」とわかっていることは、迷わず実行あるのみです。
個性的なチームメンバーで「自分の世界」が広がる
 南極点へ共に向かった4人は、私以外男性ばかりの個性的なメンバーでした。
 チームリーダーはスコットランド人の登山家。
 南極点には初めて挑むそうですが、何百回も山に登っているクライミングのプロフェッショナルです。ジョーダン・ロメロ君が世界最年少の13歳でエベレストに登った時のガイドを務めるなど、経験豊富な彼の話は面白くて、とても仲良くなりました。
 アメリカ人は身長190センチぐらいの非常に頭が切れる方。
 ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得後、経営コンサルタントをしていましたが、アラビア語ができるうえに戦略を学んでいたことからFBI(米連邦捜査局)にリクルートされ、アフガニスタンで司令官をしていたというキャリアの持ち主です。彼はすでに七大陸最高峰登頂を終えていて、探検家グランドスラム達成を目標として南極に来ていました。
 日本の自衛隊と、アメリカや中国の軍事システムの違い。ウォールストリートのコンサルティング会社が、採用面接で何を質問するか……。
 彼にはいろいろなことを教えてもらいました。
 ロシア人は起業家。
 全身にタトゥー、背中には傷という、危ない雰囲気の方。
 スキーをしたこともないし、山も初めてなのに「寒さに強いし、体力があるから南極点を目指してみる」と言うのです。「なんだろう、この人?」という感じで、私には別世界の人に見えました。
 しかし30代、40代の彼らにとっては、19歳になったばかりの「日本の小娘」である私のほうこそ、別世界の人間に映ったことでしょう。
 普通の生活では出会うことがない人同士が出会い、年齢も国籍も関係なく、同じ目標に向かう。自分の内側にある「心の世界」が広くなった気がしました。
 世界を見るというのは外側を広げることではなく、自分の内側を広げることなのかもしれません。
 マイナス70度近くなった時には風が凄まじく強くなり、経験したことがないほど足とお尻が冷たくなりました。寒くて寒くて、足の表面が凍ってしまうと心配になるほど。凍傷まではいかないけれど、痛んだ皮膚がアレルギーのようになり、だんだんかゆくなってきます。
 ヒートテックのインナー、フリース、ウルトラライトダウンのジャケット、スキーパンツと何枚も重ね着し、寒さと強烈な紫外線から守るように顔も忍者のように覆っているなか、かゆくてもかけないじれったさ。
 ずっと横になれず、座ることもできず、ひたすら60キロ以上のソリを引いて滑っていると、徐々に足腰の負担も大きくなってきます。それにひきかえ、ちっとも寒さがこたえていない様子のロシア人には「体のつくりがもともと違う!」とつくづく感心しました。
 「腰が痛くてもう動けない。無理だ! 飛行機をチャーターしてくれ!」
 アメリカ人が言い出したのは、なんと初日でした。
 スコットランド人リーダーは驚き、「大金が必要だ」と言います。ベースキャンプに戻るまで所要4〜6時間のフライトのチャーター料は、日本円にして約3000万円もするそうです。
 ベースキャンプで出会った人の中には、最初からチャーター便でらくらくと南極点に飛んだ人が何人かいました。
 中国人の大富豪。
 アメリカの超有名企業の経営者。
 そして国から起訴され、ボディガードにFBIが2人ついているというロシア人実業家。
 待機中にウオッカやウイスキーを飲みながら、ヨットや家、しまいには「自分の島」を賭けてカードゲームをしているような並外れた人たちです。
 ところが我がチームのアメリカ人も並外れた人らしく、「費用なら大丈夫」と即答。みんな驚きましたが、彼がチャーターすれば、飛行機が来るまでチーム全員で待機しなければならず、それは大きな時間のロスとなります。
 「大丈夫、フォローするから」
 リーダーがアメリカ人をなだめ、結局全員で再出発することになりました。弱ったチームメンバーの荷物は、残りのメンバーが分担して持つのが決まりで、それは女性であっても同じです。ソリには、さらなる重みがずっしり。
 「そんな大男なんだからがんばってよ!」
 こう言いたいところですが、目標は荷物を減らすことではなく、みんなで無事に南極点に到達すること。文句を言っている暇はないのだと、気持ちを切り替えました。
 南極点に近づくにつれ、空気が薄くなってきます。南極は標高が平均約150メートルの陸地とはいえ、上にかぶさった氷はおよそ2700メートル。富士山の標高は3776メートルですから、高地にいるのと同じ状況です。
 私はビンソン・マシフ(南極大陸最高峰)に登ってきたばかりで体が高地に慣れていたこともあって、まだまだエネルギーがみなぎっていました。

南極点も北極点も「冒険の途中」
 2015年1月11日、私たちのチームは南極点に到達しました。
 たどり着けたことが、本当にうれしかった。残った甲斐があったと思いました。

 途中で怪我をして動けなくなる可能性。
 ぎりぎりしかない食料や燃料がなくなる可能性。
 ありとあらゆるできない可能性を乗り越えて、「ついにやった!」という気持ちがあふれてきました。
 南極点踏破はその場でやろうと思い、その場で決めたこと。
 「失敗したらどんな顔をして帰ればいいだろう」と考えてもいたので、ホッとした気持ちもありました。
 南極点からは再び、ツインオッター機がピックアップしてくれました。「ちょっといいな」と思っていた、かっこいいパイロットが操縦する定員19人という小さな機内で、私はゆっくりと広がる喜びを味わっていました。
 2016年は、南極点到達のあと、春から夏にかけてカルステンツ・ピラミッド、エルブルース、エベレスト、デナリを次々と登頂。世界七大陸最高峰すべてを踏みしめた年となりました。

 そして2017年4月には、探検家グランドスラム達成となる北極点を目指します。
 北緯89度のスタート地点まで軍用機で飛び、10日から2週間かけて到達するプラン。軍用機は氷山の広い部分を探してなんとか着陸するのですが、緯度が1度変わるだけで北極点までの距離がまったく違ってしまいます。
 南極点と北極点を比べた場合、北極点のほうがはるかに難易度は高いとされ、「エベレストよりもつらい」と言う人もいるそうです。
 それぞれ南緯90度と北緯90度ですが、南極点は大陸の上なのに比べて、北極点は海の上です。平均気温は南極のほうが20度ほど低いとはいえ、北極は湿度が高く、じめっとした寒さ。スキーで行くのはどちらも同じですが、北極は氷山と氷山をつなげるように覆う氷の上を滑っていくのですから、氷の裂け目もあるし、氷山がぶつかり合って盛り上がっているところもたくさんあります。
 もしも氷山が崩れたら、凍りそうな海を泳いで次の氷山に向かうことも想定内。ウエットスーツ着用とはいえ、なかなかにハードです。安全な客船で北極圏ツアーに行くのなら「かわいい」と思えるホッキョクグマも、一緒に泳ぐとなると「こわい動物」に変わるでしょう。
 話を聞いたり本やネットで調べたりするほど、大変なことは山積みだとわかりますが、私は今、わくわくしています。
 地球温暖化で環境がどんどん変わっているという北極を、この目で見て、この体で感じてみたい。「今」の地球を体験するのが、楽しみでたまりません。
 出発に備えて、さらなるトレーニングも必要です。
 10時間以上歩き続けられる持久力。重い荷物を引っ張っても大丈夫な足腰の筋力。心肺機能も大切です。
 世界七大陸最高峰を目指していた時は、元K-1日本王者でクロスフィットトレーニングの権威であるニコラス・ペタスさんの指導を受けていましたが、今はパーソナルトレーナーの指導のもと、大学や家の近くのジムで足腰を中心とした筋トレをしています。
 1人でできることもたくさんあるので、ほぼ毎日10キロのランニングと筋トレも欠かしません。かなり筋肉がつき、スクワットを300回やってもつらくないので、もっと負荷を上げていくつもりです。
 また、体力が落ちていないか試すには山に行くのが一番なので、友人と「日帰り富士山登頂」なんてこともしています。
 体づくりと同時に、テクニックや知識も大切です。ロープの結び方、器具の扱い方などの技術の本を読んだり、実際に練習したり。もちろん大学の勉強もあり、自分としては忙しい日々です。
 トレーニングをしている最中は、もちろんつらい。
 食事をしたあと、「スクワット300回!」というのを毎日続けるのはきつい。

 勉強したり、原稿を書いたり、トレーニングをしたり、掃除や料理をしたり、大学生にしてはやることがけっこう多いことも確かです。
 それでも、「やめよう」と思ったことは一度もありません。
 種類の異なるいろいろなタスクをこなすと気分転換になりますし、誰に強制されたのでもない、すべて自分で決めてやっていることばかりです。
 目標さえあれば、すべては苦であって苦ではない。
 どんなに苦しくても、最終的にやり遂げたあと、最高にいい気持ちになることを、体で味わっているからくじけない。
 大変であればあるほど、「目標に近づいている!」と実感できるのです。

 南極点がそうであったように、北極点もきっと通過点。
 私の冒険は、まだまだ途中なのですから。

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[不安と不健康18] 禁煙ダイエットは「まず運動、1ヵ月後に食事改善」が効く ガムや飴で紛らわすメタボ 「四季を感じる言葉」口にすると心が潤う
【第27回】 2017年4月17日 岡田明子 :管理栄養士
禁煙ダイエットは「まず運動、1ヵ月後に食事改善」が効く


禁煙を始めると口寂しさをガムや飴で紛らわす人は多いはず。しかし、それが習慣化するとメタボに繋がります
厚生労働省の平成27年の国民栄養・健康調査によると、習慣的に喫煙している割合は現在18.2%、男女共にこの10年間は減少し続けています。喫煙場所が規制されたことやたばこの値上げを機に禁煙を決心する人も多いでしょう。しかし、いざ禁煙すると口さみしくなり食べる量が増えて太ってしまう人も少なくありません。今回は、禁煙中でも太らない食事術をお伝えします。(管理栄養士 岡田明子)

「禁煙すると太る」と言われる
3つの要因

 そもそも、禁煙すると太るのはなぜなのでしょうか。これには3つの理由が考えられます。

 まず一つは、食事や間食が増えるということです。禁煙すると味覚が変わり、食べ物が美味しく感じられるようになります。その結果、たくさん食べてしまう人も多いようです。たばこを吸っている時は、ニコチンにより味覚に関係している舌の器官「味蕾(みらい)」が鈍り、味覚がマヒしています。それがたばこを止める事で正常化して、食べ物を美味しいと感じるようになるようです。

 また、たばこを吸うことでストレスを紛らわしていた場合、たばこの代わりに何か食べること(ストレス食い)に走ってしまったり、口寂しさから間食が増えるということも太る原因です。

 次に、代謝の変化が挙げられます。たばこを吸っている時は、交感神経が促進されて心拍数が上昇するのでエネルギー消費が活発化します。禁煙によってそのエネルギー消費が減るため、太りやすくなります。

 3つ目に、消化吸収の変化も起こります。たばこを止める事で、胃腸の血液循環の改善や腸内環境が改善され、消化吸収が高まると言われています。

禁煙直後は「運動」で体重をコントロール
1ヵ月経ってから具体的な食事改善を

 以上の、禁煙によって太る要因3つを踏まえると、単に禁煙することで太るわけではなく、運動習慣と禁煙後の食習慣が関係していることがわかります。

 禁煙してまだ日が浅い時期の体重コントロールには、食事の改善の前に運動量を増やしていくのがおすすめです。速く歩いたり、エレベーターではなく階段を使う、床磨き、子どもと外で遊ぶ、風呂掃除、草むしり、重い荷物の運搬など、日常生活でできる運動を取り入れていきましょう。

 禁煙開始から1ヵ月程経ち、少し慣れてきた頃に本格的な食事の改善に取り掛かります。なぜ禁煙開始と同時に食事改善を始めないのかと言うと、禁煙直後の食事制限はストレスがかかってしまい、逆に「たばこをまた吸いたい!」という欲求を高めてしまう可能性があるからです。

 必要以上に食べ過ぎてしまう理由にも、「美味しく感じられるから」「たばこを吸えないストレスから」「お腹が空いているわけではないけれど口寂しくて」といった様々な理由があると思います。一つずつ改善策を見ていきましょう。

●美味しく感じて食べ過ぎる

 禁煙して食べ物が美味しく感じ、食べ過ぎてしまうのは体が健康的になった証拠でもあります。しかし、これを続けていればどんどん太ってしまうので、食習慣の改善やマインドを整えていく必要があります。

 <1日3食、なるべく規則正しく栄養のある食事をして、ダラダラ食いをしない>。まずはこの習慣を1週間続けてみましょう。

 1ヵ月ほどして習慣に慣れたところで、以下のルールも追加すると効果的です。

 ・腹八分目を常に心掛ける
 ・おかわり、大盛りをしない
 ・ゆっくりよく噛んで食べる
 ・お酒の飲み過ぎに注意する

●ストレスで「食」に走ってしまう

 元来、イライラした時にたばこを吸っていた人は、それが食への欲求に置き換わってしまうことも少なくありません。イライラした時は、深呼吸をする、軽いストレッチをするなど体を動かして気分をリフレッシュするのもおすすめです。

●口寂しくて間食が増える

 口寂しいとガムや飴、甘いお菓子、菓子パン、スナック菓子を食べたり、甘い飲料を飲んで紛らわす人がいますが、糖質の摂り過ぎや甘いものを食べる習慣が止められなくなることにもつながりかねないので注意が必要です。

 口寂しくなった時は、水やお茶などのノンカロリーの飲み物を飲んで紛らわしましょう。どうしても我慢できない時は間食「=甘いお菓子」ではなく、栄養のあるものを間食として採り入れましょう。

 コンビニで買えるおすすめの間食として、ゆで卵、するめ、チーズ、サラダチキンがあります。これらは低糖質でタンパク質が摂れる食品です。

 基本の食事に慣れてきたところで、栄養が摂れる食事を心掛ける本格的な食事改善に移行します。以下の品目を意識して食材を選ぶようにしましょう。

 ・タンパク質を多く含む、肉や魚、卵、大豆製品を毎食採り入れ
 ・ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含むきのこ、海藻類を積極的に食べる

 最初に運動習慣、次に食事改善に取り組むことで禁煙のストレスにうまく付き合いつつ、禁煙による過食を防いでいきましょう。最後に、実際の禁煙後のダイエット成功事例をご紹介します。

禁煙後の体重コントロールの成功事例
1日平均30本たばこを吸っていた会社員Oさん(46歳)

 禁煙後に体調が良くなり食欲が出てきたOさん。「食べ物が以前よりも美味しく感じて我慢するのが大変」と話していました。

 禁煙後1週間で体重が2kg増加しましたが、しばらくすると食欲も落ち着いてくる事をお伝えし、まずは運動量を増やすことをおすすめしました。

 駅までバスに乗っていたので、それを自転車に変え、片道20分ずつの運動習慣をつけることから始めました。

 ほとんど運動習慣がなかったため、最初は筋肉痛になり大変だったようですが徐々に体を動かすことにも慣れ、禁煙から1ヵ月経っても運動習慣を続けることができました。そして通勤がない週末は、犬の散歩に積極的に行き、体を動かすことを楽しんでいるようでした。

 Oさんのように、自分のライフスタイルの中でできることから取り組み始めると長く続けることができます。「運動しなきゃ!」と、急にジムに通い出したり筋トレを始めるのはなかなか続くものではありません。

 運動習慣を付けたことで、体重を増やさずに維持していたOさんですが、「以前の体重に戻したい」と食事の改善にも取り組み始めました。


 食事改善前のOさんは、朝食を食べない分お昼にガッツリ食べて、口寂しい時は甘いお菓子や飲料をちょこちょこ口にする食習慣を送っていました。また、夜はお酒を飲み、以前はお酒を飲んだ時にたばこを吸っていたのでそれを食べ物で紛らわしているようでした。

 Oさんには、まず朝食を食べることを始めていただきました。最初は朝食を食べる事が苦痛に感じていたようですが、3食とも食後に食べ過ぎで苦しいと感じるぐらい食べるのを止めて腹八分目を意識するようにお伝えしました。

 すると、朝にお腹がすくようになり朝食を食べる習慣がついたようです。朝しっかり食べるようになったので自ずと間食も徐々に減っていきました。時々お腹が空いてしまう時は、茹で卵を食べているようです。このように、少しの改善ですが以前に比べて栄養がしっかり摂れる食事になりました。

 運動習慣と食習慣の改善の効果で2週間後には2kg体重を落とし、以前の体重に戻ることができました。

 太りやすいのは禁煙直後です。この時期に運動と食事を意識していけば禁煙しても太ることはありません。最初は苦しいかもしれませんが、禁煙して運動、食事の正しい習慣が身につけば、健康も手に入れることができますよ。
http://diamond.jp/articles/-/124852


 


【第17回】 2017年4月17日 山名裕子
「四季を感じる言葉」を口にすると、心が潤う

無意識のうちについつい言ってしまう口ぐせ。でも、その口ぐせひとつで幸せになれる人となれない人が決まってしまうとしたら……?
テレビ出演多数の人気臨床心理士が、幸せを引き寄せる口ぐせの数々を、脳への効果や医学的理論を基に解説。今回は、「四季を感じる言葉」をつかう効用についてです。


五感を刺激すると、意外な効果も


山名裕子(やまな・ゆうこ)
やまなmental care office代表。臨床心理士。 1986年、静岡県浜松市生まれ。幼い頃から両親が一番の理解者であったが、身内ではないからこそ話せることもあるのだということに気がつく。心理学系大学を卒業後、夢に向かって努力を重ねるが、努力だけではどうにもならない挫折を味わい、自信をなくす。その後もう一度心理学を学び、臨床心理士として活動するため、大学院にて心理療法の心得や技術を習得する。2013年、臨床心理士の資格を取得。心の専門家、臨床心理士として「モーニングバード」(テレビ朝日)、「あさチャン!」(TBS系)、「Rの法則」(Eテレ)などメディア出演多数。また、有名企業から教育機関などで講演活動も精力的に行っている。主な著書に『バカ力―完璧をめざさない強さ―』(ポプラ新書)『一瞬で「できる男」と思わせる心理術』(宝島社)がある。


 四季を感じることは、心を動かすトレーニングになります。

 日常の幸せに、気づきにくくなっている現代人。四季の移り変わりにも気づけない人が増えています。「あんなに暑かったのに、気づけば肌寒くなっている、もうすっかり秋だ!」なんてビックリしたことはありませんか?

 四季が明確に分かれている日本は、とても恵まれています。四季それぞれの風景があり、色があり、香りがあり、楽しみ方があります。それを意識して感じ、楽しむことで、心が潤っていきます。

 できるだけ、広く外に目を向け、季節の移り変わりを肌で感じてみてください。春のさくら色、夏の緑の強い香り、秋の紅葉、冬の凛とした静寂や枯れ葉を踏みしめる音……さまざまなことに気づけるはずですよ。

 旬の食材も、積極的に食べていただきたいですね。旬の食材を、旬を感じながらありがたくいただくことで確実に五感が刺激され、身体にいいだけでなく心も弾んでいくからです。

 旬の食材はみずみずしく、栄養価にあふれています。目で見て楽しいし、口にした時の触感も心地よい、そしてその触感……例えばサクッ!という歯ごたえは、聴覚も刺激します。もちろん、旬にいただくことで味は濃く、香りも強く、華やかです。

 五感を刺激することには、ネガティブな感情が和らぐという効果もあります。四季を感じることは認知症予防にもつながると言われているほど。老化防止の役割もありますので、ぜひ四季をもっと意識し、全身で感じるよう心掛けてみてください。

(『幸せを引き寄せる「口ぐせ」の魔法』の本文の一部を掲載しました)
http://diamond.jp/articles/-/123555

 
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/491.html

[よいモノ・よい話1] デキる男は尻がイイ 転職時「円満退社こだわらない 「飯・風呂・寝る」を「人・本・旅」 やさしい上司が増、やさしさ過剰社会
デキる男は尻がイイ

河合薫の『社会の窓』
他のメディアには出ない河合さんの本音が読める
生き方・働きかたを考えるきっかけになる
河合さんに直接質問ができる
発行日:毎週 水曜日(祝祭日・年末年始を除く)
登録料:毎月540円(税込)
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元ANA国際線のCAであり「ニュースステーション」の初代気象予報士としても知られる河合薫さん。現在は健康社会学者として大学で教鞭をとるだけでなく、執筆や講演、コメンテーターなども務めている。そんな河合さんが2016年11月に『デキる男は尻がイイ−河合薫の「社会の窓」』というメルマガを創刊した。一風変わったこのメルマガタイトルに込められた意味とは?そして河合さんが研究する健康社会学とは?ご本人にたっぷりとお話を伺った。

●『デキる男は尻がイイ』に隠された深い意味

――2016年11月に創刊した河合さんのメルマガですが、まずはメルマガを始めようと考えたきっかけを教えていただけますか?

河合:色んなサイトで文章を書かせてもらっているのですが、もっと読者と正面と向合いたかった。無料で誰でも読めるコラムだと、いい意味でも悪い意味でもコメントが荒れます。本当は「自分」の問題なのに、他人事になりがちなんです。

私がやっている健康社会学にある「健康」っていうのは、別に肉体的なことだけじゃなくて、社会的健康であり、あるいは精神的健康でもあるんです。つまり、誰もが「こうありたい」と思う姿を追求する社会学ですから、全ての人にとって足元の問題を専門にしてるんですね。だから自分のコラムに対しても、「河合さんの窓からはそういうふうに見えるけども、自分の窓からはこういうふうに見えるよ」っていう意見をもっと聞きたい。そして、書いて終わり、ではなく、そのコメントを読んだ人も私も「ああ、そういう意見もあるよね」と学び、「でも……」といった議論が活発にできるようなプラットホームを持ちたいっていうのは、以前からずっと思ってたんです。
社会にある問題って、小さなことからコツコツとやっていかないと解決しないんです。過労死の問題も育児の問題も介護の問題も、「明日は我が身」です。GDPやら経済成長、トランプ大統領就任で世界はどうなるだとか、そういう大きな問題ばかりがよく取り沙汰されますけど、みんなが本当に苦しんだり不安やストレスを感じてることって、やっぱり自分の足元の問題。今日どうするか、明日どうするかっていうことですよね。そういった問題について、自分が発信するだけじゃなくって、色んな人からの意見を聞きたいし、みんなにちゃんと考えてもらいたいっていう気持ちはすごくありました。

河合薫さん1
――より濃厚なやりとりといいますか、真剣度の高いリアクションを求めて、ということでしょうか?

河合:真剣というよりホンネ。普段書いているメディアでは書けない、ここでしか言えない私の本音の部分みたいなものも書いていければと。……例えば今こうしてインタビューを受けている時は、「河合薫スイッチ」が入ってるんですけど、そのスイッチを切った時の私は、皆さんと同じようにすごい不安を抱えていたり、悔しい思いをしたり、あるいは泣くこともあれば、怒ることもある、キレることもある。そういったこともちゃんと書いていくことで、同じような問題を抱える人たちが「なんだ、河合薫もそうなんだ」「私もこれでいいんだ」と思ってくれたりとか、そういったことも分かった上で向き合えればって思ったんです。

――そういった思いで始められたメルマガですが、実際に始めてみていかがですか?

河合:自分でハードルを上げ過ぎちゃって、もう大変です(笑)。ワンコインで気軽に読めるものをっていうことで始めたんですが、お金を出してもらう以上は、ちゃんと価値があるものを、役立つようなものを、ちょっと笑えるものをって、読んでくれる人の顔を思い浮かべて考えていたら、結構なボリュームになってしまって……。

一番最初にメルマガを出した後は、「こんなのずっと1人で続けていくの無理」って泣きそうになってたんですけど、そんな私を見透かしたように「ちゃんと読んでますよ」っていうメールがすぐに来て。救われたし、本当にうれしかった。涙がぼろぼろ出ちゃうぐらい。その後も、配信を重ねるごとにすごいボリュームの相談なども届いたりして……。掲載するために短くするのが大変なんですが、うれしい悲鳴です。読者のホンネのグチャグチャの相談がモチベーションになってますね(笑)。

――ところで『デキる男は尻がイイ−河合薫の『社会の窓』』というメルマガのタイトルですが、とてもインパクトがありますよね。一体どういう経緯で決まったんですか?

河合:デキる男って、本当に尻がいいんですよ。プリッとしてるってことじゃないですよ(笑)。例えば一緒に仕事してて「この人デキるな」とか「手ごたえのある人だな」って思う方っているじゃないですか。そういう人って、立ち上がってドアから出ていったりとか、「じゃぁ、また」って言って後ろを振り向いた時に、お尻が絶対にいいんです。鍛えてるお尻というわけではなく、キュッとしてるというか、周りの空気も含めてぼよよーんとしていないというか。……説明がしにくいんですけど、お尻の雰囲気が必ずいいんですよ。

河合薫さん2
そういう人は、お尻だけじゃなく、例えば仕事の締め方がキレイだったり、メールのやりとりがよかったり、お金の払い方がよかったりと、そういった色んな意味での尻がいいんですよね。……そんな話を打ち合わせのときにしていたら、まぐまぐのスタッフが「タイトルはそれでいきましょう」ってことになったんです。

でも、これって健康社会学とも通じるところがあるんです。お尻って、回りの人には見られるけど、自分じゃ見えない。健康社会学は、自分自身をとりまく周りの環境から「自分」を捉える学問なんですね。「社会の窓」を通じて自己を見つめます。……「尻」と「社会の窓」なら、前と後ろっていう意味でもイイかなって。ただ最近は「社会の窓」はすっかり死語ですから、30代後半の人じゃないとピンと来ないみたいなんですよ(笑)。

●健康社会学へと辿り着いた奇妙な道筋とは

――先ほどのお話の中にも少し出たんですが、河合さんが研究されてる健康社会学という学問について、どういうものなのか教えていただけませんか?

河合:健康社会学って、心理学と比較すると一番わかりやすいんですね。心理学は簡単に言うと、究極のところ自分自身が強くならなくちゃいけないんですよ。自分が変わらなくちゃいけない。いきつくところは自分で、自分が強くなって、どうやって前に進んでいくのかをゴールにするのが心理学です。

いっぽうで健康社会学は、へなちょこな自分でイイんですよ。どんなに強くなれって言われても強くなれない、「何か目標持てばイイ」と言われたって、どんな目標持てばいいのかさえ分からない。どんなに「自分を信じることが一番」と言われたって、自分は本当にこれでいいのかって不安だらけになる。そんなへなちょこな自分でも、この会社であれば、この人がいれば、このチームがあれば不安だけども一歩前に踏み出してみようって思える環境をゴールにするのが健康社会学です。人は環境で変わります。環境が人を作るというのが、健康社会学の考え方です。

ただ、環境というの必ずしも、自分の都合のいい環境ばかりではありません。でも、自分を取り巻く環境を、真正面からだけじゃなく横から見たり上から見下ろしたりすると、「あ、こんな面白いところがあった!」と気付くことがある。あるいは自分のちょっとした行動が環境を変えることもあります。だからこそ「自分が見ている社会の窓」だけではなく、「他の人の社会の窓」から見える景色を知る必要があるんです。さまざまな窓からのぞいてみることで、環境と自分との関わり方って変わるんですよね。健康社会学は「大変なこともあったし、全ては思いどおりにはいかなかったけど、意外といい人生だったな」と思える生き方を追求する。究極の悲観論の上で成立する楽観論。それが健康社会学です。

河合薫さん3
――この健康社会学とは、昔からある学問なんですか?最近できたものなんですか?

河合:私の専門としている健康生成論に基づく健康社会学は、米国のイスラエル系健康社会学者アーロン・アントノフスキーの理論に基づき、1970年代から広まりました。健康生成論というのは、ひとことでいえば「病気じゃない=健康」ではない、という考え方です。それまでの医学の世界では、病気にさえならなければ人は健康は健康になれるとかんがえられていたんですね。

でも、病気でもイキイキと生活してる人もいるし、肉体的には健康なのに元気じゃない人もいる。アントノフスキーは人が健康でいるためには「元気になる力」が必要だと考えた。たとえば、がんを患っていても元気な人はいるでしょ? あるいは、残業が続いてもその仕事が終ったときに、「うぁ?ビールが旨い!しんどかったけどがんばったな!」って思えるときってありますよね?

そういう時って、大切な人が地近くにいたり、同じ方向を向いてふんばる仲間がいたり、仕事が意味のあるものだったり、それなりの報酬が得られるものだったり……。そういった「元気になる力」が存在する。

一方、自分をきにかけてくれる人もいない、一緒にやる仲間のもいない、意味不明の仕事、信じられないほどの低賃金だったら、残業で心身蝕まれていって疲れ果てる。人が生きていくには「元気になる力」を増やすことが大切なんです。

ストレスや困難は雨だと考えてください。雨が降ってきても、傘があればぬれずにすみます。この傘の役目をするのが「元気になる力」です。傘をちゃんと準備して、雨をやりすごすことができれば、ストレスは成長の糧になる。雨上がりに草木が成長するのと同じです。

人生もそれと一緒で、生きてりゃ辛いこともあるんですよ。人生晴れ続きなんて、どんなに恵まれた人でもなかなかないんです。だから雨を無くそうと考えるんじゃなくって、雨をしのぐ傘……「元気になる力」を持っておこうと。雨は必ずやみますから。地球上に24時間365日、ず?っと雨が降り続いてる場所はありません。止まない雨はありません。殻ならず太陽の光りが差し込みます。
――そんな健康社会学に、河合さんが出会ったきっかけとは何だったんでしょうか?

河合: CAをやっていた時に「自分の言葉で伝える仕事がしたい」って強く思って、CAを辞めました。その後に飛び込んだお天気の世界で、気象予報士の第1期生になり、『ニュースステーション』に出演することになった。そこで「生気象学」という学問に興味を持って、お天気コーナーの中で取り上げたりしていたんです。……生気象学というのは、例えば晴れている日は朝から気分がいいけど、逆に雨がずっと降ってると気が滅入るとか、あるいは花粉が飛んで来て具合が悪くなるとか、そういった天気によって人間の心とか身体の調子が変わるというのをテーマにした学問なんです。

『ニュースステーション』で4年間、その後TBSにお引っ越しして4年間やってきて、『体調予報―天気予報でわかる翌日のからだ』という一冊の本にまとめて出版しました。その延長線上にあったのが、健康社会学です。

確かにお天気で気分や体調は変わりますが、人間関係とか仕事とか、あるいは家族のことやお金のこととか、そういうことで悩んだり楽しんだりするわけで。天気っていうのはあくまでも人の周りを囲む環境のひとつでしかない。じゃぁ、他の社会的な様々な環境要因が人間の心や身体にどう影響するかを知りたい。もっと自分の言葉を持ちたいと思った。当時、東大の医学系研究科に健康社会学という研究室があり、そこを受験しました。

でも、社会人入試制度などないし、東大の研究室は研究者、世界に通じる博士を目指す人間しか採らないと言われた。事実上、門前払いです。ところが研究室の先生が私が書いた『体調予報―天気予報でわかる翌日のからだ』を読んでくれて、「あなたの本は面白い」「あなたみたいな人はすごくいい研究ができると思うから、試験を頑張りなさい」って言われたんです。

河合薫さん4
――でも、テレビなどのお仕事をやりながらの受験勉強は、大変だったんじゃないですか?

思い立った時点で試験は2か月後だったので、地獄でした。その頃は朝の番組をやっていたんですが、朝2時起きで局に入って、朝8時半に仕事が終わった後は、ずっと勉強。結局、最後まで受かる自信はなかったんですが、いざ試験を受けてみると、英語論文のテーマがCA時代から縁深かった「エコノミー症候群」だったりとラッキーが重なって、なんとか合格できた。そういった偶然が味方してくれました。

最初は修士課程しか行く予定がなかったんですが、「博士まで行ってちゃんと学ばないと、自分の言葉なんか持てない」と思って、それで今に至っているというわけです。……

私自身も、環境の中で変わってきてるんですよね。ちゃんとした研究者を目指している研究室のみんなを見て、「修士だけじゃダメだ」って思い立ったわけですからね。

人生は想定外の連続です。

気象予報士や博士になるだなんて、CAをやっているときは想像したこともないですから。でもCAを振り出しに色々な経験を経て、思いもかけない今の自分につながった。環境で変わり、大変なことも元気になる力で乗り切った。まさしく健康社会学です。

人は環境で変わるし、環境を変えることもできる。おもしろいですよね。健康社会学って今の時代に必要な学問だと思うんです。

自分の中に行き詰まりを感じていたり、変わりたいと思いながら変われなかったりといった悩みを抱えている人に対して、元気になる力のことを伝えたい。「私も一緒だよ」「みんな一緒に社会の問題考えてみようよ」「あなたにも他の窓あるんじゃないの」ということを言いたい。そんな気持ちが、ものすごくあるんですよね。

――これまで色々な職業に挑戦して、どんどん自分を変えていらっしゃる河合さんですが、その原動力となるものは一体なんでしょうか?

河合:出会った人たちですね。最初の全日空の先輩たちから始まり、気象会社の気象庁OBのおじちゃんたち。テレビに出演するようになってからは、『ニュースステーション』の久米宏さんや制作スタッフや視聴者のみなさん、そして大学院に入ってからは先生や院生の人たち。それこそ最近なら、メルマガを初めて配信した直後にメールをくださった方たちとか。そういった人たちが「頑張ろうよ」「もっと世の中に発信していこうぜ」って後押ししてくれる。そういう、傘を差し出してくれる人たちがいることで、ここまで来てるんですよね。

ただ、ひとつだけ決めてるルールがあります。

それは最後まできちんとやり抜こうっていうことなんです。

河合薫さん5
期待したような結果につながる、つながらないにかかわらず、傘を差し出してくれた方がいるんだから、きちんと真面目にやり抜こうって。その繰り返しです。

世の中捨てたもんじゃなくって、腹の底から真面目にきちんとやっていると、ちゃんと見ていてくれる人がいるんですよね。そういう人がまた声を掛けてくれる。何度も「あー、もうダメだ?」ってなるんですけど、不思議とそういうときに「ちゃんと見てるよ」とメッセージをくれる人がいる。しんどい雨が降り続くようなことがあっても、やがて晴れ間が出る……、人生ってその繰り返しなんですよね。

――こうやってお話を聞いていると、健康社会学というのはすごく優しさにあふれた学問なんだなぁという気がします。

河合:そうですね。ただね、傘を借りても傘を持つのは自分自身です。もちろん、傘が重たければ手を添えてもらえばいいんですけどね。あるいは、雨の中で一歩踏み出すのは自分自身。なかなか踏み出せないなら背中を押してもらう、あるいは手を引っ張ってもらう。つまり、傘の貸し借りをするということは、人生の伴走者を得るってことなんです。

おそらく誰もが、周りの人と傘の貸し借りができる関係になれればいいなって思ってるはずなんですよ。私自身、雨に濡れてる人の傘になれたり、元気な人のちょっとしたビタミン剤になれたらいいなっていう思っています。これもメルマガを配信している動機のひとつなんです。

河合薫が送るおじさんへのエール

――河合さんのメルマガといえば、中高年の男性を題材に現代社会の生き方や働き方を論じていく連載企画「他人をバカにすることで生きる男たち」が、とても興味深い内容で面白いのですが、このように河合さんが他の媒体も含めて「おじさん」をよく取り上げるのには、何か理由があるのでしょうか。

河合:うーん、あんまり意識したことがないかもしれない(笑)。でも「生気象学」を学んでいたときに、「おじさんは正しいな」って思ったことはあって……。

例えばおじさんっておしぼりを出されたら、手だけじゃなくって顔から頭まで拭いたりするじゃないですか。周りからは「止めてよ」なんて言われちゃうんですが、これって生気象学的に見てみると、汗をかいたときに首元の汗を拭いたり、暑くて体温が上がった時に首の後ろを冷やすのっていうのは、とても理にかなった行動なんですよ。それ以外にも、室内でよく靴を脱いで足をブラブラさせてるおじさんっていますけど、あれも実は温度が上がって細菌が繁殖しやすい靴の中を乾燥させてるってことで、実に理にかなった行動なんですよね。

あとは私自身がこれまで、そういうおじさんの世界で生きてきたっていうのもあって。それこそ研究者の社会は男社会だし、私が連載を持っていた日経ビジネスやプレジデントにしても、読み手も書き手も男性がほとんどですからね。自分の中では全く意識をしてないんですけど、そういう風に男性の社会の中でずっと生きてきたので、おじさんたちの切ない気持ちだったりとか、悔しい気持ちっていうのは、すごく分かるんですよ。私も同じようなことを経験してるから。

――河合さんのメルマガでは、そんな様々なおじさんの姿をリアルに切り取ってらっしゃいますけど、過去の時代のおじさんと今を生きるおじさんとでは、その行動に結構違う特徴があったりするのでしょうか?

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河合:おじさんだけじゃなく、若い学生とかを見ていても、確かにそういう違いはあります。でも根っこの部分にある悩みは、それほど違ってないと思うんですよ。

私が大学で授業をする時って、毎回学生からレビューシートを提出してもらうんですけど、社会学って学生にとってもすごく身近なテーマを扱うので、レビューシートにも人生相談のような内容をみんなすごく書いてくるんですよ。そういうのを読んでいると、私たちのときと何ら変わらない。同じようなことに悔しいと思ったり、悲しいと思ったりしてて。

人との接し方っていう点では、私たちの時代だと直接対面で会うしかなかったのが、今ならスマホとかでパーソナルなやりとりができるとか、そういう違いはあります。ただコミュニケーション手段は変わっても、根っこの部分はあまり変わっていない。だから、その人たちがおじさんになった時に、その時代なりに様々な問題にぶち当たるかもしれないけど、根っこの人間の本質の部分は変わらないから、今から当事者意識を持ってよく考えておけば、将来の問題を解決する方法が得られるかもしれないし、辛い中でもやっていける勇気をもらえるんじゃないかなと思うんです。

とはいえ、コミュニケーション手段が変化したことで、おじさんたちの女性や部下たちに対する距離の取り方に関しては、ちょっと変わったんじゃないかっていう気はします。例えば私たちの上の世代のおじさんは、それこそ失礼なことも平気で言うし、何事にもズケズケと立ち入って来る。でも私の世代だと、そういう部分もあるんだけど「いいのか、これで」って思わず立ち止まるところもある。で、それより少し若い世代になると、「いいのか」って心の中でも思いながらもズケズケとは立ち入らないで、実に微妙にバランスを取って、上と下との板挟みという状態になっている。さらに若い世代になると、色々と考えながらもどうすることもできなくなって、ものすごく孤立している。世代論ってあんまり好きじゃないけど、そういった状況はあると思います。

もっと言うと、より上の世代になるほど、学歴や社歴といった属性にしがみついている人が多いです。でも、そういう傾向って30代、20代にもあるんですよ。それを表に出すか出さないかの違いだけで。……そういった話を授業で学生とかにすると、みんなズキッと来るみたいで、「私は属性にしがみつかないでやっていこうと思います」みたいな反応になるんですけどね(笑)

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――そういうふうに属性にしがみつかないで生きるというのが、メルマガのタイトルにもある「尻がイイ」人間になるための、ひとつの秘訣ということですね。

河合:そうなんですよ。私はよくメルマガで「ジジイの壁」っていう言葉を使うんですけど……これって例えば、小池都知事の前に立ち塞がる人を想像すると分かりやすい。ジジイ独特な厚い壁って存在するじゃないですか。でも、ジジイというのは上の世代だけではなく現在40代ぐらいの人間でも、気が付けばジジイの壁の向こう側の住人になってしまうことがある。世代論ではなく、人間の弱さやズルさがジジイの壁を作るんです。

「ジジイの壁」はどこにでも存在します。ジジイとは単なる年齢ではなく、組織のためを装いながら自分のために生きる人の象徴としての言葉です。

なので私がおじさんを取り上げるのは、不毛な「ジジイの壁」を無くそうぜっていうメッセージでもあるんですよね。日本中にいる40〜50代の男たちに「ジジイの壁の中で息をひそめるな」「あなたたちが変わんないと、後でしんどい思いをするし、その下の世代はもっとしんどい思いをするんだ」「あなたたちは、ジジイになりたいのか」って訴えかけるというか。……それってもちろんおじさんだけの話じゃなく、おばさんにも当てはまる話なんですけどね。

――さて、今後のメルマガの展望についてですが、取り上げたいテーマや、こういう企画をやってみたいなど、そういった構想はありますか?

河合:そうですね。今でもメールでご意見を送ってくださる読者の方は多いんですが、もっと送ってもらえるようにしたいと思っています。ひとつのテーマを持続的に考えていくのもいいんじゃないかなって思ってます。例えば介護の問題とか育児の問題だったりとか……。

今の時代ってニュースの寿命が、ものすごく短いじゃないですか。話題になるのは一瞬で、メディアが報じなくなると何事もなくなったようになっちゃう。でも、問題は起こり続けているわけですし、今は自分にとって関係ないと思っているテーマでも、将来的にその問題に直面することもあると思うんです。だから、読者のみなさんが当事者の意識を持って、色んな意見を寄せてくださるよう、私のほうからもどんどんと新しい情報、みんなが知らないような情報を出して行ければと思っています。

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最近はフェイクニュースっていう言葉が流行ってますが、実際にフェイクじゃないと思われてたことでも、後からフェイクだったっていうこともあるんですよ。例えば古い話なんですけど、マイナスイオン効果ってあったのを覚えていますか? 私が天気予報をやっていたときにも、マイナスイオン効果の特集を組んだりして、取り上げたこともあるんですが、実はその後の研究で、当時言われていたような効果はないっていうのが分かった。後々になって初めて分かることって結構あるんで、そういう意味でも持続して考えることってすごく大切なんですよね。

メルマガ上での読者のみなさんと私とのやりとりは、書籍でもサイトでもいいんですが、まとめた形で世の中に出すことができれば、おもしろいと考えています。メルマガの読者のみなさんも、自分がメルマガに寄せたひと言が、他人や世の中を変えるひとつのきっかけになるかもしれないと思うと、モチベーションも上がるんじゃないかって。

とはいえ、これは私ひとりじゃできないことだから、みなさんにホント参加して欲しいです。初月無料の期間に4回ある配信の中で、みなさんがそれぞれ抱えている問題、心の中で密かに感じてたり引っ掛かってるようなテーマを、一度は絶対に取り上げる自信はありますので、試しにぜひとも読んで欲しいですね。

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健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士 河合薫さんプロフィール
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。全日本空輸を経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。長岡技術科学大学、東京大学、早稲田大学非常勤講師などを務める。
◇主な著書
『考える力を鍛える「穴あけ」勉強法』草思社『穴あけ勉強法』(草思社)、『5年後必要とされる人材になる!人生を変えるココロノート』(東洋経済)「上司と部下の「最終決戦」』(日経BP) など他多数。
http://www.mag2.com/magspe/interview222/ 


 


 


【第60回】 2017年4月17日 丸山貴宏 :株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役
転職時「円満退社」にこだわらないほうがいい理由


「辞めたいけれど会社が辞めさせてくれない」という話を聞くことがありますが、その背景に退職を認めない職場のトラブルが少なくないようです
退職を認めないトラブルに遭遇したら
どんな人に相談したらいいか

「バカヤロー!お前に辞める権利なんかないんだ!!」

 新卒で入社したある人が勤務していた会社で退職を申し出たときに、上司からこう怒鳴られたといいます。

 もちろん「辞める権利なんかない」なんてことがあるわけはないのですが、この方は当時まだ若く、上司から怒鳴られたために「そういうものか……」と思い込んでしまったそうです。

 残念ながら世の中にはこうした会社が存在します。まだ知識や経験のない新卒社員に対し、「これが世の中である」と間違った“常識”を信じ込ませて辞めさせないのです。

「辞めたいけれど会社が辞めさせてくれない」という話を聞くことがありますが、その背景に退職を認めない職場のトラブルが少なくないようです。会社全体でなくても、上司によってこのような状況が作られている職場もあります。

 そんな職場では「そういうものか……」の“常識”がカルチャーになっており、先輩などに相談しても上司と同じようなことを言われてしまうため、頼りになりません。

 退職を巡るトラブルで悩んでいる人は、「非常識が常識」の世界である会社の外側にいる第三者に相談することをオススメします。親でもいいし、親戚のおじさんでもいい。大学の先生でもいいし、もちろん我々キャリアコンサルタントでも構いません。

会社側の承認がなくても
個人の意思で退職できる

 会社側の承認がなくても、社員が辞めたければ辞められます。「辞めさせてくれないから辞められない」ということは絶対にありません。退職の申し出から退職するまでの期間は就業規則に書かれており、3週間という会社もあれば1ヵ月という会社もあります。民法第627条では、期間の定めのない雇用契約については申し出から2週間が経過すれば認められます。

 常識的には「辞めます」と申し出てから1ヵ月程度。置き換えがきかない仕事をしているような場合でも、最大で2ヵ月プラスアルファだと思います。退職を申し出てから退職日までにきちんと業務の引継ぎをして円満退社するのが理想ですが、強引に辞めざるを得ないこともあるでしょう。

 冒頭に挙げたようなひどいケースではない一般的な会社でも、周囲と摩擦を起こさずに良好な関係のまま「うまく辞める」ことは難しいと考えておいたほうがよいと思います。

 会社を辞めるということは、これまで仲間だった職場の裏切り者になることを意味します。裏切り者に対し、優しくしてくれるわけがありません。それなのにうまく辞めようと思うと、いろいろな心理的負担が生じてしまうのは必然ですが、うまく辞めようとしてかえって余計な苦労をしている人が非常に多い。

 摩擦なしに辞めることはまずできない。もし「うまく辞められたらラッキーだ」というくらいに考えておけばいいのです。

 心配することはありません。退職を申し出ることで一時的に上司や社長と関係が悪くなっても、多くの場合、時間が解決してくれます。大切なのはビジネスパーソンとして礼を尽くし、後任にきちんと引継ぎを行ってから退職していくことです。それでも関係が悪化したままであれば仕方がないと割り切ることです。

退職理由は
正直に伝えればよい

 退職理由は、基本的には正直に伝えるのがよいと思います。一昔前は退職するのが大変で、正直に「転職するから」と伝えるわけにはいきませんでした。

 なぜ退職が大変だったかというと、部下が転職で退職するとなれば、上司の人事考課に大きなバツ印が付けられたからです。まして競合への転職となれば大問題になりました。そのため転職しようとする人は、上司から強く慰留されるのが常でした。

 これを回避するため、昔は「叔父が倒れたため、田舎に帰り商売を継ぐことになりました」といったウソをついて辞めることが少なくありませんでした。こうすれば不可抗力による退職なので人事考課で上司にバツ印が付けられることはなく、誰も傷つけずに円満退職できるからです。


本連載の著者・丸山貴宏さんの『そのひと言で面接官に嫌われます』が好評発売中!
青春出版社
192ページ
926円(税別)
 不思議なことに、半年も経つと噂で「転職した」とバレてしまうのですが、その頃、元上司にあいさつに伺って「すいません、円満に辞めるためにウソをつきました」と謝ると、たいてい「いや、そうじゃないかと思ったよ。あっはっは(笑)」で終わったものです。トラブルになることはありませんでした。

 現在は部下の退職で上司にバツ印が付けられることはまずないので、退職理由は正直に伝えればよいでしょう。

 最近、私が指導をお願いしているトレーニングジムのトレーナーから、「会社を辞めて独立したい」と相談を受けたときのことです。

「それなら正直に『独立します』と会社に伝えたほうがいいですよ。すぐに、というと角が立つかもしれないので、『落ち着いたら』とか、『ゆくゆくは』といった修飾語をつけても構わないですから。狭い業界でいずれ知られるのだから、『よろしくお願いします』ときちんと仁義は切ったほうがいい」

 そうアドバイスしたところ、彼はその通り実行して独立する意思を社長に伝えました。すると、会社は拠点を閉鎖統合するタイミングであったため、社長はこう言ってくれました。

「独立するなら、いらなくなったトレーニング機器があるから持っていくといい。拠点の統合で来られなくなるお客様もいるから、お前が引き継いでやってくれ」

 社長も素晴らしいですが、もう渡りに船の展開になったのです。

 たまたま会社の都合と個人の独立のタイミングが一致しただけで、こんな超・円満退職となったケースはめったにありませんが、正直に独立を告げていなければ「トレーニング機器を持っていくといい」という話は出て来ませんし、後に、他人から独立の事実を聞かされたら、社長は気を悪くしたかもしれません。やはり退職理由は正直に伝えるのが無難といえるでしょう。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)
http://diamond.jp/articles/-/124976

 


【第3回】 2017年4月17日 出口治明 :ライフネット生命保険(株)代表取締役会長
「飯・風呂・寝る」の生活を「人・本・旅」に、それが働き方改革の本質だ

今月の主筆 出口治明 ライフネット生命会長【第3回】

Photo by Yoshihisa Wada
「なぜですか病」と「星取り表」の新人時代

 4月に入り、街が少し華やいで見える。まだ慣れていないと分かるネクタイの結び目や、丁寧にアイロンをかけた真っ白なブラウスの襟。仕事人としての生活が始まったことへの緊張と安堵が交じったような表情。かつて、自分はどんな新人であったかと思いがよぎる。

 講演に呼ばれると、「出口さんの社会人生活の始まりはどんなものでしたか」と質問されることも多い。残っている記憶は実に鮮明で、僕は「なぜですか病」の新人だった。一方で、だからこそ仕事に対して一生変わらない思いを持つようにもなった。

 京都大学を卒業し、司法試験に落ち、無礼な僕を拾ってもらったのが日本生命保険だった。まず配属されたのが京都支社で、事務を担当した。

 僕は何事でも、中途半端な理解のままでは行動できないタイプなので、新人時代も上司に、「この仕事はなんのためにやるのですか」「これはなぜ僕がやるのですか」などと、「なぜですか」を連発していた。上司には、「君のようなうるさい新人は見たことがない」と嫌がられていた。でもこれは僕の癖で、目的が分からなければエンジンがかからないのだ。

 決して仕事を減らしたいとか、手を抜きたいのではない。仕事の目的がわかれば、後は「この仕事を効率よくかつ面白くするにはどうしたらよいだろうか」と自分でとことん考えるタイプでもあったからだ。

 就職とは会社と雇用契約を結ぶことだ。何時から何時まで働き、労働の対価としていくら払う云々。しかもいっぱしの大人として自分の責任で結んだ契約である。

 だとすれば仕事を効率よくかつ面白くしたほうが双方にとって得だし、「面白くないな」と思いながら9時から18時まで働くよりは、どうしたら仕事は面白くなるだろうと考えながら過ごしてこそ生産性も上がるし、日々の生活も圧倒的に充実する。だから、仕事の目的が本当に腹に落ちていないと仕事はできないのだ。

 しばらくすると、「なぜですか病」にうんざりしていた上司から、「出口は、あまり仕事のやり方を聞かないな」と不思議がられるようになった。しかし僕からすれば目的が腹に落ちていれば、求められているアウトプットも理解でき、後は自分で考えればいいと思っていただけだった。周りの先輩たちの仕事の仕方を参考にはしたが、それはあくまで参考であって、自分なりの効率よく面白いやり方を創ろうとしていた。

 例えばロールモデル方式で、「この人はすごい」と思った先輩や上司のやり方を徹底的に研究し、「1年後には僕のほうが上手に仕事をしてみせる」と決意すると、これが意外にもできてしまうものなのだ。

 もう一つやり続けていたのが「星取り表」だ。上司から仕事を頼まれると、どんなアウトプットが必要かを考える。そして報告の際に、上司が重要なポイント3点を指摘して僕が5点考えていたら僕の勝ちだ。

 逆に、僕がまったく気づいていなかった点を指摘されると完敗。「もうちょっと仕事を深く考えなければいけないな」とか「腹落ちが足りていなかったな」などと反省する。

 そういう勝負が1日に5回あり、4勝1敗ならば「本日は勝ち越し」と気分がよくなり、帰りに居酒屋に寄る。「負け越し」ならばおとなしく家に帰り資料を読んだりして勉強した。

 星取り表には時間軸も加味していた。つまり勝った回答や報告を短時間で用意できたら「圧勝」。どんなすばらしい報告でも、だらだらと時間がかかっていては、決して優れた仕事とは言えない。

 2日も負け越しが続くと、「これはあかん。気が緩んでいる。気合を入れないと」などと自分を引き締める。そんな新人時代だった。

腹落ちには具体的なデータが必要であり、エピソードとエビデンスは違う

 僕が入社した当時は、ものすごくバンカラな社風だった。夕方になると酒盛りが始まり、あぁでもない、こうでもないと熱のこもった仕事の話を互いにぶつけ合う。これは新入社員の僕には究極のOJTであり学校のようなもので、とても勉強になった。僕はあの空気感が大好きで、今でも忘れない。

 あるとき上司から、「企画部には会社のすべての情報が集まってくるのだから、会社の中で知らないことがあるのは恥やで」と督励された。「そうやな」と思うと同時に、「自分は日本生命についてなにも知らない」と自覚し、それからは図書館にあった30年史、50年史、70年史などの社史を順番に読み漁っていた。

 この「社史を読む」という経験が後々、僕の仕事人としての人生に大きな影響を及ぼすようになるのだが、その話は後ほど書こう。

 とにかく、「なぜ自分がこの仕事をするのか」が腹に落ちさえすれば、後は自分で仕事を効率的かつ面白くする方法を考える。そのために必要だったのがデータだった。

 例えば「業績の伸びが鈍い理由と対応策を検討してみてくれ」と言われたとする。まずは本当に業績が伸びていないのかどうかから確認しなければならない。上司は「業績は伸びていない」と言うが、それは一時的なことなのか、もっと重大なトレンドなのかなど生の数字を見て自分なりに判断する。その見極めがしっかりしていないと有効な対応策にはたどり着けない。

 ここでぜひ考えてみてほしいのが、「エピソード(Episode)」と「エビデンス(Evidence)」はまったく違うということだ。

 例えば、課題の実態をつかむために現場へのインタビューを重ねる。たくさんの事実や考え方が伝えられる。しかし、それだけで報告書をまとめるようでは単にエピソードを収集したにすぎない。それらの事実や考え方を裏付ける具体的な証拠、つまりエビデンスを探しだし、裏を取ってこそ真に価値のある報告書ができあがる。

 僕は、30代の頃、ゴーストライターとして日経新聞証券面の匿名コラム「大機小機」を2〜3年下書きしていた。そうした経験があって今でも同コラムを愛読しているが、先日、とても感心した次のような原稿があった。

「経済財政諮問会議の議事録を読んでいたら、あるテーマについてある委員が『当社ではこんなことがあった』と発言した。他の委員も『うちではこうだった』『こんな話を聞いた』などと真顔で議論している。」筆者は、「これらの委員は適性がないのでは」と訴えていた。

「経済財政諮問会議は国の政策を検討する場であり、個人の体験や聞いた話を話し合う場ではない。エビデンスをベースに、国全体にこういうデータがあり、こういう統計があるから、こうすべきなのだと話し合うべきだ。自分たちの会社の話をする場ではないのだ。」

 これがエピソードとエビデンスの違いだ。エビデンスがあって初めて腹に落ちるし、目的や目標がはっきりと分かるからなにをすべきかも明確になる。

 人は、自分が経験したり見聞きしたことのないエピソードであれば、なるほどと思いエピソードだけで納得した気になってしまいがちだ。つまり、その段階で物事の理解が止まってしまうのだ。だからこそしつこいぐらいに数字やファクト、つまりエビデンスを基にしてロジックを組み立て考える癖をつけなければならない。

仕事は巡り合わせと運の世界でもある

 数字、ファクト、ロジックをベースに仕事をする。と同時に自分の仕事人として人生を振り返れば、「仕事は巡り合わせの部分も大きい」と思う。

 先に、会社のことを知ろうと社史を読み漁った話を書いた。それが僕の仕事の巡り合わせともつながっていた。

 日本生命は、創業から10年後の1899年に保有契約高で業界1位になった。国内基盤は盤石で、その上で3代目の社長であった弘世助太郎氏は外遊に出た。

 国内ではトップだが、世界を見ればプルデンシャルやメトロポリタンなどの巨大な生命保険会社がある。それに比べれば日本生命はアジアの小国の小さな生保にすぎないということに気づく。助太郎氏は帰国後、「臥薪嘗胆20年」という今で言う長期経営ビジョンを掲げる。つまり「20年頑張って世界一になる」との旗だった。後に「日本生命中興の祖」と呼ばれる人物だけあって、掲げる目標も大きい。

 残念にもこの壮大な目標は、第二次世界大戦でとん挫してしまうのだが、そういう先人の思いは僕の記憶に強く残った。僕は縁あって1995年に国際業務部長になり「海外戦略の策定を頼む」と言われたので、「トリプル20」という事業計画書を提出した。2020年に売上高と利益、つまりトップラインとボトムラインの双方で20%を海外から生み出す計画だ。これは、助太郎氏のアイデアを借用したものだ。

 結果的には「トリプル20」は具体化することはできなかったが、先人たちの志は確かに生きており、人の仕事に幸福な巡り合わせをもたらしてくれる。

 ライフネット生命を立ち上げてからしばらくしたあるとき、名前も知らない日本生命の若い社員さんが、「常務会の議事録でトリプル20を読みました。必ず僕らが実現しますので、見ていてください」とメールをくださった。これには驚くと同時に感激した。OBとして本当に嬉しかった。

 巡り合わせはたくさんあった。30歳で関西から東京に出てきた僕は、大蔵省(現・財務省、Ministry of Finance)や日銀から情報を収集するMOF担になった。銀行や証券会社を訪ね、金融政策や金融制度、規制に関わる情報を集める日々が続いたが、そうこうしているうちに当時の日本興業銀行には優秀な人材がおり、充実した教育システムや調査機能があることが分かった。

 そこで「興銀への派遣研修制度」という企画をまとめ提案すると、「言い出しっぺのお前からだ」と1年間、銀行員として勉強させてもらえる機会に恵まれた。そこには同じ金融と言ってもまったく異なる世界が広がっていた。

 さらに80年代の後半には金融制度改革の議論が始まり、生保業界も対応を迫られた。主舞台は業界団体の財務委員会。「このポストは僕たちがやりましょう」と働きかけたら運良く順番が回ってきて、「ではお前が事務局をやれ」と命じられた。金融制度改革という大きな時代の変化の中で、いろいろな新しい仕事や勉強に巡り会えた。

 何か新しい仕事をやれと言われ、たとえそれが巡り合わせや運だったとしても、それを効率的に面白くできるかどうかは自分次第だ。どんな仕事も面白く楽しそうにしているからどうか。仕事とは、そういうものだと思うのだ。

 僕の社会人人生は34年間が日本生命であり、当時の会社と諸先輩方には、僕のようなわがままな人間を30年以上も面倒を見てもらって、本当に感謝している。当時の楽しい思い出も、苦しい思い出も、「人生は喜怒哀楽の総量」なので、全てが僕にとってはかけがえのない宝な物のようなものだ。今でも飲みに誘ってくれる上司がいて、頭が上がらない。

働き方改革は、2つの軸で議論されるべきだ

 今春、社会人になった若者は「働き方改革1期生」と呼ばれる存在だ。社会が新たな働き方を求めて本格的に試行錯誤を始め、新入社員自身もまた自ら働き方改革を担っていかなければならないことになる。

 僕は、働き方改革は、ある意味、とても単純な問題だと考えている。例えば書籍編集の仕事なら、朝8時に出社して夜の22時頃までまできっちり作業して帰って行く編集者と、朝10時ぐらいに来てスタバで誰かとコーヒーを飲み、18時になると会社を出て誰かと会っている編集者とでは、どちらがベストセラーを頻発できるか、つまり良い仕事をできるかは、だいたい想像がつくだろう。しかし、これが物をつくる工場であれば話は真逆になる。

 つまりサービス産業モデルと工場モデルとでは働き方がまったく違うのだ。戦後の日本は、冷戦下にアメリカの庇護の下で、人口ボーナスにも恵まれ、工場モデルを基軸にアメリカにキャッチアップしていけば高度成長する幸せな時代を過ごせた。そうしたときは「飯・風呂・寝る」の長時間労働が適しており、女性が家庭にいて夫を支えるのが一番合理的であった。

 今でもそうした社会形態を、「日本人の性格に合っている」と主張する人もいる。しかし数字、ファクト、ロジックでよく見れば、この主張は間違っているし、それを伝統だの日本人だのとあいまいなエピソードで済まそうとするから経済の低成長からなかなか抜け出せないのだと思う。

 日本は先進国で一番高齢化が進んでいる。これは疑う余地のないファクトだ。そして予算だけを見ても毎年5000億円ベースで社会保障関連の出費がかさんでいく。とすれば、なにもせずに放置すれば市民も国も貧しくなるばかりだ。選択肢は2つに1つで、「皆が平等に貧しくなる」か「それが嫌なら生産性を上げる」のどちらかだ。GDPは「人口×生産性」だから、人口が減っている現状では生産性を上げるしかない。

 具体的にどうすれば経済が成長するかを考えれば、経済の構造が第3次産業、サービス産業に大きくシフトするなかでは、この分野の生産性を上げるしかない。そしてサービス産業のニーズ、消費の7割は女性がリードしている。これは世界のどの国の統計を見ても同じだ。ユーザーが女性であるならば、女性が輝ける社会を創らなければ経済は伸びない。

 だからこそヨーロッパでは早くからクォータ制(政治や経済における男女平等を実現するために議員や会社役員などの一定数を女性に割り当てる制度)を導入して一所懸命に女性を引き上げようとしている。そうしなければ貧しくなるしかないのだから必死だ。その結果、ここ数年間は日本の2倍ぐらいの経済成長率を実現している。

 逆に言えば、日本はヨーロッパよりもさらに厳しいクォータ制を導入するぐらいの覚悟がなければ、未来を開けないのだ。にもかかわらず、日本では工場モデルの時代と同じように、男性は相変わらず長時間労働を続け、女性はそれを支えている。そうしながら女性自身が仕事をするとなれば、ショートスリーパーで2時間ぐらいの睡眠で夫や家族、そして自分の仕事を支えなければならない。男女雇用機会均等法の施行以来、女性の正社員の数が減っているのは、よく考えれば至極当たり前のことなのである。

 サービス産業モデルと工場モデルでは働き方が異なること、そして長時間労働を止めないと女性が働けないので経済が成長しない。この2つをきっちりと軸に据えて議論しなければ前に進まない。

 付け加えれば、サービス産業はアイデア勝負でもあるので、「飯・風呂・寝る」の生活では脳が疲れていいアイデアが生まれない。早く退社して、人に会い、本を読み、多くの現場に足を運んで(≒旅)、脳に刺激を与えないとアイデアが浮かんでこない。つまり、働き方改革とは、一言で述べれば「飯・風呂・寝る」の生活から「人・本・旅」の生活に切り替えることなのだ。

 女性が輝く社会とは何か。それは、産業に求められるニーズが女性中心というダイバース(多様化)の変化があるので、供給側の人員構成もダイバースしなければいいアイデアなど生まれるはずがない、ということの本質である。それを放置するのは供給・需要の大きなミスマッチを放置することであり、言葉を換えればこのミスマッチを解消すればよいだけの話なのである。

 しかし多くの議論を見ていても、今僕たちがどういうステージにいるのかという本質的な認識が欠けたままの議論が続いているような気がしてならないのである。

(ライフネット生命会長 出口治明)
http://diamond.jp/articles/-/124975

 

 
【第41回】 2017年4月17日 flier
なぜ「やさしい」上司が職場や教育現場で増えたのか『「やさしさ」過剰社会――人を傷つけてはいけないのか』

何かとほめてくれる上司は部下を気持ちよくさせるため、部下からは「やさしい」上司といわれることが多い。しかし、「やさしい」といわれる人たちは、はたして本当に「やさしい」のだろうか?
要約者レビュー

 部下を持つ上司であれば、だれでも一度は部下への注意の仕方に悩んだことがあるのではないだろうか。なにせ、厳しく注意したらヘソを曲げられてしまったり、パワハラだと訴えられたりする時代だ。まちがいを指摘するときも、細心の注意を払わなければならない。それが、たとえ部下に完全なる非があったとしても、である。


『「やさしさ」過剰社会――人を傷つけてはいけないのか』
榎本博明
206ページ
PHP研究所
800円(税別)
 こうした事情が関係しているのか、日本社会には一見すると「やさしい」上司が増えたようにも思える。だが、それがはたして本当のやさしさと言えるのか、大いに疑問だ。

 この点に関して、『「やさしさ」過剰社会――人を傷つけてはいけないのか』の著者の指摘はするどい。著者は現代日本における「やさしさ」の正体を、「予防としてのやさしさ」と看破する。つまり、一見すると「やさしい」上司というのは、あくまで相手を傷つけないようにしているだけで、実はたんに利己的かつ保身的な態度をとっているだけだというのだ。

 相手のためを思い、ときに厳しく接する「治療としてのやさしさ」は、たしかに現代では許容されにくくなっているかもしれない。しかし本当に重要なのは、本当に相手のことを思って接すること、そして相手からの厳しい言葉の裏に隠された想いを見落とさないことなのである。

 もちろん、真のやさしさは本書だけで定義できるものではない。だが、傷つき傷つけられることを許しあうということは、現代の日本が忘れかけている「やさしさ」のかたちかもしれない。

 本当のやさしさについて考えさせてくれる一冊として、本書をお読みいただければと願う。 (池田明季哉)

本書の要点

・傷ついた相手を癒す「治療としてのやさしさ」よりも、相手を傷つけない「予防としてのやさしさ」に対する感受性が日本で広まっている。
・「予防としてのやさしさ」が求められる「やさしさ社会」は、一度でも他者を傷つけることは許されないという意味において、きびしい社会である。
・心の傷は癒すことができるという信頼のもと、相手の長期的な利益を考えて、ときに厳しく接する「やさしさ」への感受性に回帰していくべきだ。

要約本文

◆部下に注意をすることがむずかしい時代
◇その上司は本当にやさしいのか

 上司、恋人、家族、先生など、現代ではあらゆる人間関係の場面で「やさしい」人が人気である。たとえば、何かとほめてくれる上司は、部下を気持ちよくさせるため、部下からは「やさしい」上司といわれることが多い。

 しかし、「やさしい」といわれる人たちは、はたして本当に「やさしい」のだろうか。たしかに、気分で口うるさくする上司や、心配性で不必要に口うるさい上司にはうんざりさせられるものである。

 だがその一方で、相手のためを思う口うるささというものもある。部下に実績を上げさせるためにアドバイスを送る上司に対して、鬱陶しさを感じつつもありがたいと思う人も少なくないはずだ。

 また、口うるさいことも厳しいことも言わない、「やさしい」上司だとされている人に話を聞いてみると、「単にめんどうだからうるさく言わないだけだ」と漏らすことがある。結局、彼らは若手に反発されて逆恨みを受けるリスクを減らすために、何も言わないことで距離を取っているだけなのだ。

 部下から嫌われないための「やさしさ」は、部下のためというより、むしろ自分のためである。部下からパワハラで訴えられないための「やさしさ」は、本当のやさしさではなく、保身のため以外のなにものでもない。それにもかかわらず、そうした人物が、「やさしい」上司だと言われているのが現状なのである。

 現代の日本では、このような怪しげな「やさしさ」がはびこっている。だが考えてみてほしい。厳しいことを言ったりむずかしい課題を与えたりして部下を鍛えようとする上司と、部下のいたらない点を指摘せずに甘やかす上司、はたしてどちらが本当に「やさしい」のであろうか。

【必読ポイント!】

◆やさしさは予防なのか、治療なのか
◇現代の「やさしさ」はきびしい

 なぜ、現代ではあやしげな「やさしさ」がはびこりがちなのであろうか。

 精神科医の大平健(おおひらけん)は、やさしさが「治療としてのやさしさ」から「予防としてのやさしさ」へ変化していると指摘する。彼の考察によれば、旧来のやさしさとは、相手の気持ちを察し共感することで、お互いの関係を円滑にするものであった。一方、新しい「やさしさ」とは、相手の気持ちに立ち入らずに傷つけないための社交術なのだという。

 たとえば、ある意識調査のデータを見ると、「年長者からアドバイスされて、うっとうしいと思うことがある」というものは2割以上、とくに20代では3割近くになっている。また、「他人に批判されると、それが当たっていてもいなくても無性に腹が立つ」と答えた者も、とくに20代で45%と飛びぬけて高い。

「正しいことであっても注意されたら腹が立つ」という人が増えている背景には、「予防としてのやさしさ」の流行があると考えられる。「治療としてのやさしさ」の場合、一度注意をして相手を傷つけても、いつかその傷は癒えると捉える。そしていっとき気まずい思いをしたとしても、長期的に見れば相手の成長につながると考える。一方、注意をして相手の気分を害することは避けるべきだと考えるのが「予防としてのやさしさ」だ。そこでは、傷は一度つけたら癒えないものとして捉えられてしまう。つまり、一度相手を傷つけたら終わりなのだ。

 社会学者の森真一(もりしんいち)は、意図せず傷つけてしまったときにその傷を癒そうとする「治療としてのやさしさ」よりも、傷つけること自体を回避しようとする「予防としてのやさしさ」のほうが、実際は「きびしいやさしさ」だとしている。なぜなら、後者は関係の「修復」がそもそも考慮されていないからである。

 正しいことであっても注意をされて腹を立てる人々は、「予防としてのやさしさ」という非公式ルールにしたがい、人に注意をすることを控えてきた人たちだ。彼らにとって、振る舞いを注意する人はマナー違反を犯している存在なのである。このような理由から、現代の「やさしさ社会」とは、生きづらく閉鎖的な社会であると言えよう。

◇傷つきやすい若者が急増している

 経営者や管理職の人たちのあいだでは、「最近の若手の扱いはむずかしい」と口にする人が後を絶たない。これは、現代の「やさしさ」のありかたが変化していることが原因である。

 最近の若者は、注意したり叱ったりすると、落ち込んで仕事が手につかなくなってしまう。ひどいときは翌日から休んだり、パワハラだと訴えたりしてトラブルになることさえある。実際、訴えられたケースでは、とくに横暴なことを言ったわけでもないのに、なぜそこまでの事態に発展してしまったのか、理解しがたいものも含まれているという。しかしそれは、彼らにとっては予防的やさしさが常識であり、注意を受けること自体が許しがたいゆえに起こったことなのだ。

◇「やさしさ」が脆弱性を生みだす

 傷つきやすい若者が生まれた原因は他にもある。最近の若者はほめられて育った人が多いため、怒られ慣れていないのだ。

 現在日本で流行している叱らずほめる子育ては、アメリカが発祥である。アメリカでは親が子どもに厳しすぎることから、1970年代から子どもの人権を守ろうという動きが起こった。そのなかで、ゴードン(フライヤー注:アメリカの臨床心理学者)が提唱した「親業(おやぎょう)訓練講座」という子育てマニュアルが流行り、ほめる親が増えてきた。これは、ほめて子どもの自尊心を高めれば、能力を伸ばすことができると説いたものであった。

 しかし、現在ではアメリカでも揺り戻しが生じている。アメリカの心理学者トウェンギとキャンベルは、うまくいかなかったときでも子どもをほめそやすことは、自尊心を育むのではなくナルシシズムを引き出してしまうと批判をしている。

 さらに、親が子どもをほめすぎることの弊害として、忍耐力の低下が指摘されている。「自分は特別である」という認識を育んだ結果、それに反する現実にうまく立ち向かえなくなってしまっているというわけだ。日本でも1990年代から取り入れてきた「ほめて育てる」思想は、このように発祥の地アメリカでも悪影響が取り沙汰されるようになっている。

 アメリカのような厳しい父性原理を背景とした社会でも、「ほめて育てる」ことが深刻な甘やかしにつながるのであれば、日本のような社会では、より一層の弊害が出ることが予想される。実際、「ほめて育てる」ことで自己肯定感が高まると言われていたにもかかわらず、「ほめて育てる」風潮が広まってから、日本の若者の自己肯定感はむしろ低下の一途をたどっている。

 大した努力をしなくてもほめられて育った子どもたちは、厳しい現実に直面したときに傷つきやすい脆弱な心の持ち主となる。日本でも、ちょっとしたことで傷つきやすい、忍耐強さがなく逆境でがんばれない若者が増えており、教育現場や企業でもきびしく育てることができなくなっている。

 教師や上司、先輩からの注意やアドバイスから学ぶのではなく、反発を示してしまう若者が増えているのは、ほめられることに慣れてしまい、きびしい環境に馴染みがないからだと言えるだろう。

◆子育てとやさしさ
◇「友だち親子」は誰のためか

 最近では友だち親子と呼ばれるような、仲のよい親子が増えている。

 親子仲がよいということはもちろんよいことだ。しかし、親のやさしさというのは自分のさびしさを堪えてでも、親の役割を担い、親離れを促すことなのではないだろうか。友だち親子を演じている親は、「自分がさびしいのは嫌だから」と子どもの自立を邪魔している親に他ならない。それはけっして子どもにやさしいのではなく、自分に甘いだけなのだ。

 友だち親子のように、子どもに対するきびしさに欠ける親は、子どもの将来を見越して、ときに厳しくしつけ育てるという視点を持ち合わせていない。そのような甘い親たちの間で「叱らない子育て」が広まったため、教育的配慮に欠けた甘い子育てが横行してしまった。

 だが、子どもの将来のために厳しく育てようとする親と、目の前の子どもを喜ばせるためにひたすら甘い顔をしている親、どちらが本当にやさしいのかは明白である。

 子どもを叱れないのは、「嫌われたくない」という心理があるからだ。たしかに、叱った子どもから「嫌い」と言われれば少なからずショックを受けるものではある。しかし、子どもの未熟で感情的な言葉に大人が振り回されて、子育ての使命を忘れるべきではない。

 親子の関係は、もっと深い結びつきのあるものだ。子どものためを思ったら、一時的に嫌われるようなことがあっても、親としてきびしく注意しなければならないこともある。子どもに嫌われないために叱らない親は、結局自分のために子どもにやさしくしているだけなのである。

 子どものために憎まれ役を買って出るのは、親にしかできないことといっても過言ではない。将来のわが子のことを考えてその役を引き受ける親の方が、甘くしている親よりも本当の意味でやさしいと言えるはずだ。

◇親にきびしさを求める子どもたち

 友だち親子というあり方に疑問を感じていない人々がいる一方で、親には「もっと堂々としてほしい」「もっと頼れる存在であってほしい」と願っている子どもたちもいる。

 たとえば、朝日新聞の読者投稿欄である「声」に、おしゃべりをしている生徒をしっかり叱らない先生に対して、本気で叱ってほしいと願う中学生の読者からの投書が寄せられたことがあった。中学生ですら、先生たちが本気で叱らなくなったことを嘆いているのだ。きちんと叱れない大人が抱えている利己的な思いを、子どもたちはしっかり見抜いているのである。

 叱られずに育った子どもたちは、打たれ弱く、傷つきやすく、辛い状況でがんばることもできなくなる。つまり、生きづらくなってしまう。また、そのような若者を相手にすることになった上司も頭を悩ますこととなる。とくに、上司として部下を鍛え、力をつけさせてやらなければと思うタイプほど、部下の対応に悩むことになるだろう。

 叱られずに生きてきた若者が教師や親になり、「叱らない」教育が続いてしまうのは悪循環以外のなにものでもない。今こそ、やさしさのあり方について考え直し、「治療としてのやさしさ」への感受性を高める方向に回帰すべきなのではないだろうか。

一読のすすめ

 要約では、著者の主張するやさしさのあり方について、ビジネスシーンに関係する場面を中心に取りあげた。通読することで、自分や周囲のやさしさについて、考えなおすよいきっかけとすることができるだろう。

評点(5点満点) 


※評点基準について
著者情報

榎本 博明(えのもと・ひろあき)

 1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒業。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士過程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在はMP人間科学研究所代表を務める。心理学博士。心理学をベースにした企業研修・教育講演を行なう。

 主な著書に『「上から目線」の構造』『薄っぺらいのに自信満々な人』『「みっともない」と日本人』(以上、日経プレミアシリーズ)、『ほめると子どもはダメになる』(新潮新書)、『中高年がキレる理由』(平凡社新書)、『他人を引きずりおろすのに必死な人』(SB新書)、『傷つきやすくて困った人』(イースト新書)など。

(要約の達人 flier)
http://diamond.jp/articles/-/124756
http://www.asyura2.com/10/yoi1/msg/315.html

[政治・選挙・NHK224] 朝鮮半島有事の邦人保護検討、ミサイルの監視も続ける−安倍首相 ペンス軍事境界線視 北朝鮮ミサイル失敗もなお軍事行動の用意
朝鮮半島有事の邦人保護検討、ミサイルの監視も続ける−安倍首相
広川高史
2017年4月17日 12:21 JST

避難民流入の際の収容施設設置や保護対象選別を想定
米と協力した攻撃抑止が重要、中国の役割に期待
 
北朝鮮が挑発行動を続ける中、日本政府は朝鮮半島有事の場合の在留邦人の保護の方法について検討している。北朝鮮は16日にも弾道ミサイル発射を試みており、政府は高度な警戒監視態勢も維持する。
  安倍晋三首相が17日午前の衆院決算行政監視委員会で瀬戸隆一氏(自民)の質問に答えた。
  安倍首相は北朝鮮への対応について「外交努力を通じて平和を守ることが重要」と述べた一方で、朝鮮半島有事の際には「在留邦人の保護や待避が必要になった場合など平素からさまざまな状況を想定し必要な準備、検討を行っている」と語った。朝鮮半島からの避難民の流入に関しても、収容施設設置や保護対象選別といった対応を想定している。
  弾道ミサイルには「日米が協力して攻撃を抑止することが最も重要」と語った。また北朝鮮が対話に応じるよう圧力をかけるため、米韓両国と連携すると同時に、中国には「さらに大きな役割を果たすよう働き掛けていく」考えを示した。4月下旬に予定しているロシアのプーチン大統領との首脳会談でも北朝鮮問題について意見交換するという。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJ8MF6KLVR401


 

 

北朝鮮ミサイル失敗もトランプ政権はなお軍事行動の用意−米当局者
Kanga Kong、Justin Sink、Jennifer Jacobs
2017年4月17日 06:40 JST

大統領は奇襲攻撃を含む「動的な」軍事行動を検討する準備
トランプ氏は中国が率先して北朝鮮に対処するよう強く望む

北朝鮮による16日の弾道ミサイル発射が失敗に終わったことで、米国が直ちに対抗措置を取るリスクは後退したが、トランプ政権は金正恩体制に対処する計画を変えていない。
  ホワイトハウスの考え方に詳しい関係者2人によれば、トランプ大統領は北朝鮮による相次ぐかく乱的な行動に対抗するため、奇襲攻撃を含む「動的な」軍事行動を検討する用意がある。
  ホワイトハウスの外交政策顧問が記者団に語ったところによると、16日に発射されたのは大陸間弾道ミサイル(ICBM)ではなく中距離ミサイルだったことを当初の報告は示し、4、5秒後に爆発した。米国には北朝鮮への対応で幅広い選択肢があるが、今回のミサイル発射に対し労力を費やす必要はないと、同顧問は語った。
国立ソウル顕忠院を訪れたペンス米副大統領とカレン夫人(4月16日)
国立ソウル顕忠院を訪れたペンス米副大統領とカレン夫人(4月16日) Photographer: Lee Young-ho/Pool via Bloomberg
  北朝鮮が故金日成主席の生誕105年にあたる15日に核実験あるいはICBMの発射を行うとの観測で、トランプ政権は朝鮮半島近海に空母打撃群を派遣するなど、米朝間の緊張はこの数週間で高まっている。トランプ大統領は軍事的な選択肢を検討中だと明言し、中国が北朝鮮の自制を促すためさらなる行動を取らなければ、米国は単独で行動するとしてきた。
  ホワイトハウスの戦略に詳しい複数の関係者によれば、トランプ大統領としては中国が率先して北朝鮮問題への対応に当たることを強く望んでいるが、軍事行動を命じることを恐れていないという。協議の非公開を理由に匿名で語った。
  中国外務省によると、楊潔篪国務委員とティラーソン米国務長官が朝鮮半島情勢について意見交換するため16日に電話協議した。詳細は明らかにしなかった。
  ペンス米副大統領は北朝鮮によるミサイル発射の数時間後、ソウル南方の烏山空軍基地に到着した。到着直後、朝鮮戦争で死没した軍人などが埋葬されている国立ソウル顕忠院を訪れて献花した。ホワイトハウスによると、副大統領は日本やインドネシアを含む10日間のアジア諸国歴訪で主に経済問題について協議する予定。しかしトランプ政権当局者が13日に語ったところによれば、訪問中に挑発行為が起きれば、対北朝鮮経済制裁や軍事的選択肢も協議するという。
原題:North Korea Missile Fails But Trump Stands Ready to Respond(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-16/OOIUW06KLVR401

 


ペンス副大統領、北朝鮮との軍事境界線視察−米政府は対応をなお検討
Justin Sink
2017年4月17日 12:24 JST
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/imsic3hCLV1w/v2/1200x-1.jpg

South Korea US Pence Korea
南北軍事境界線に近いキャンプ・ボニファスに到着したペンス米副大統領(中央) Photographer: Lee Jin-man/AP Photo
北のミサイル発射失敗で米政府による即時対抗措置のリスク後退
トランプ大統領は軍事行動をなお検討する意向だと関係者語る

韓国訪問中のペンス米副大統領は17日、北朝鮮との軍事境界線近くにある国連軍の基地を訪れた。北朝鮮は16日、トランプ米政権の警告を無視して弾道ミサイル試射を断行した。
  ペンス副大統領は17日午前、ヘリコプターで軍事境界線から400ヤード(約370メートル)しか離れていないキャンプ・ボニファスを訪問。その後、軍事境界線沿いの共同警備区域を視察した。
南北軍事境界線に近いキャンプ・ボニファスに到着したペンス米副大統領(中央)
南北軍事境界線に近いキャンプ・ボニファスに到着したペンス米副大統領(中央) Photographer: Lee Jin-man/AP Photo
  米政府高官ではオバマ前大統領が2012年に軍事境界線に隣接する非武装地帯(DMZ)を訪れており、それ以降に訪問した米高官ではペンス氏が最高位。
  ホワイトハウスの外交政策顧問が記者団に明らかにしたところでは、北朝鮮が16日に発射したのは中距離ミサイルで、発射後4、5秒ほどで失敗に終わったことが当初の報告で示唆された。この結果、トランプ大統領が対抗措置を取るリスクは後退した。また事情に詳しい関係者2人は、北朝鮮の一連の挑発行動を受け、トランプ大統領は急襲も含む軍事行動をなお検討する意向だと述べた。
原題:Pence Visits Troops on North Korea Border as Trump Weighs Action(抜粋)

ペンス米副大統領、非武装地帯付近の米軍基地に到着
 
http://s2.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170417&t=2&i=1180858199&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED3G053

[キャンプ・ボニファス(韓国)/ワシントン 17日 ロイター] - 韓国を訪問しているペンス米副大統領は17日、南北の軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)付近の米軍基地に到着した。

ペンス副大統領は米韓の同盟関係をたたえ、「われわれの結び付きが揺るぎないことを示している」と述べた。

副大統領は16日、北朝鮮によるミサイル発射の数時間後に韓国に到着した。韓国は副大統領によるアジア歴訪の最初の訪問国となる。
http://jp.reuters.com/article/northkorea-usa-pence-idJPKBN17J094


 

極東戦争への歴史的危機 米空母派遣でも「北朝鮮攻撃」の可能性はほとんどない理由 米シリア攻撃はわずか3日間で世界を変えた
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/167.html


北朝鮮ミサイル攻撃リスクへの対応シナリオ 東アジア地域の将来像をイメージした日米中韓協力のあり方 2017.4.17(月
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/166.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 4 月 17 日 07:18:48: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/299.html

[中国11] 第1四半期の中国GDPは前年比+6.9%、予想上回る 鉱工業堅調 中国の粗鋼生産、過去最高 不動産抑制措置4月以降に効果
Business | 2017年 04月 17日 12:52 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
第1四半期の中国GDPは前年比+6.9%、予想上回る 鉱工業堅調

[北京 17日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は、前年同期比6.9%増と予想をわずかに上回った。政府のインフラ投資や住宅投資が成長をけん引し、2015年第3・四半期以来の高い伸びとなった。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は昨年第4・四半期と同水準の6.8%増だった。

政府は2017年通年の成長率として、6.5%前後を目指している。中国の経済指標はこれまでのところ概ね堅調だが、アナリストの多くは、景気刺激策の効果が薄れるにつれて経済は失速すると見ている。

第1・四半期の中国のGDPは、前期比では1.3%増。昨年第4・四半期の1.7%増から鈍化した。市場予想は1.6%増だった。

同時に発表された3月の中国の鉱工業生産は前年同月比7.6%増となり、予想および1─2月実績である6.3%増を上回った。前年比の伸び率は7.9%増だった2014年12月以来の高水準だった。

1─3月期の固定資産投資は前年同期比で9.2%増加した。予想の8.8%増を上回った。1─2月期には8.9%増となっていた。

3月の小売売上高は前年比で10.9%増。予想は9.6%増。

また、1─3月の民間投資伸び率は7.7%で、1─2月の6.7%から加速した。民間投資は中国の投資全体の60%前後を占める。

<「オールドエコノミー」への依存なお>

GDPのほか各種指標も総じて力強い内容となり、世界の金融市場の不安沈静化につながる可能性がある。その半面、中国政府がなお、景気刺激策や「オールドエコノミー」に依存している実態が鮮明となり、債務の急増に伴うリスクに十分対応していないことが示唆された。

「オールドエコノミー」を象徴する中国の粗鋼生産は、3月は前年同月比で1.8%増の7200万トンに達し、過去最高を更新した。

一方、第1・四半期の中国のGDP伸び率への最終消費の寄与が、77.2%となるなど、消費の持ち直し傾向も明らかになった。
http://jp.reuters.com/article/china-gdp-idJPKBN17J07Y?il=0&sp=true


 


Business | 2017年 04月 17日 12:33 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

中国の3月粗鋼生産は前年比1.8%増、過去最高を更新

[北京 17日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した3月の粗鋼生産は前年同月比1.8%増の7200万トンとなり、過去最高を更新した。供給過剰懸念が強まる可能性がある。

これまでの過去最高は2016年3月に記録した7065万トンだった。

第1・四半期の粗鋼生産は前年同期比4.6%増の2億0110万トンだった。

コラム:トランプ大統領、北朝鮮に「禁断のカード」切るか

コラム:北朝鮮有事の円相場シミュレーション=佐々木融氏
北朝鮮、外国人記者らに「重大なイベント」に備えるよう通知
トランプ政権、巡航ミサイルでシリア攻撃 化学兵器使用を非難
http://jp.reuters.com/article/china-steel-output-idJPKBN17J08I


 
Business | 2017年 04月 17日 13:06 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

中国の不動産抑制措置、4月以降に効果出ると予想=国家統計局

[北京 17日 ロイター] - 中国国家統計局は17日、不動産の投機抑制策の効果が4月以降に出る可能性が高いとの見通しを示した。

中国の大都市では、このところ不動産の投機的な取引を抑制する措置が強化されている。

統計局は1月下旬、不動産抑制策の効果が出ているとの見方を示していたが、1━2月の不動産価格は再び上向いている。

コラム:トランプ大統領、北朝鮮に「禁断のカード」切るか

コラム:北朝鮮有事の円相場シミュレーション=佐々木融氏
北朝鮮、外国人記者らに「重大なイベント」に備えるよう通知
トランプ政権、巡航ミサイルでシリア攻撃 化学兵器使用を非難
http://jp.reuters.com/article/china-economy-property-idJPKBN17J09U
http://www.asyura2.com/17/china11/msg/401.html

[経世済民121] 日米経済対話で話し合うべきこと 有事の円買なぜ 予想外コアCPI低下ハト派勢い 日銀総裁 世界経済の潮目変化 ドル安更新
FX Forum | 2017年 04月 17日 12:00 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:日米経済対話で話し合うべきこと

河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 17日] - 地政学リスクの高まりのみならず、米国の為替政策の方向性を巡る思惑から、円高・ドル安が進んでいる。円高による輸出セクターの業績への悪影響を懸念し、株価も下落。金融市場における典型的なリスクオフのパターンだ。

ただ、日本経済はすでに完全雇用にあり、マクロ経済全体では、供給制約から付加価値の生産を大きく増やすことができない状況になっている。このため、輸入物価の下落を通じ家計の実質購買力向上につながる円高は、輸出セクターに不利に働くとしても、一国全体の社会厚生を考えれば、むしろ望ましい。円高を容認することは、足踏みする個人消費の喚起にもつながる。

もちろん、より重要なのは為替レートの安定であり、円高のスピードは考慮する必要がある。とはいえ、実質実効ベースで見れば、円相場は依然、1980年代前半の超円安水準にある。1ドル110円を割り込んだからと言って、大騒ぎをする必要はない。

株価下落は確かに問題だが、それ以前に株価が好調だったのは、円安で輸出企業の業績が実力以上にかさ上げされていたためである。超円安が修正されるのなら、株価の調整が起こるのも極めて自然だ。株価が実体経済を反映するのなら、円高メリットを受ける内需セクターの業績改善がけん引し、株価の方向性もいずれ変わる。そうならない懸念が拭えないのは、我々が重商主義的な政策を続け、円高メリットを享受できる社会づくりを怠ってきたためだ。

こうした中、4月18日から日米経済対話が始まり、麻生太郎副総理とペンス副大統領を中心に、両国の金融政策や為替政策などマクロ安定化政策も話し合われる。日銀のマイナス金利政策やイールドカーブ・コントロールが円安誘導を意図したものという批判を米国から受けるのではないか、日本側は昨年11月から強く警戒してきた。日本は、どのような説明を行うのだろう。日銀の異次元緩和は円安誘導を意図したものではなく、2%インフレ達成のため、あくまで国内のインフレ期待の醸成を狙ったものだと説明するのだろうか。

だが、それでは全く説得力を欠くように思われる。なぜなら、日銀の不十分な金融緩和によって、ドル安・円高が止められなかったから、日本経済はデフレに陥ったというのがアベノミクスの基本的な考えであり、その流れを反転させるべく2013年4月にスタートしたのが日銀の異次元緩和だったからだ。

理論的にも、ゼロ金利制約に直面すれば、内需を刺激するのは困難となるため、唯一の経路として期待されたのが、アグレッシブな金融緩和がマーケットの「期待」ないし「誤解」を通じて、円安につながることだった。株価が上昇したのも、金利が低下したからというより、金融緩和で円安誘導に成功したためだった。

それゆえ、一連の異次元緩和が円安誘導を目指したものではないという建前の主張は、「Post truth(ポスト真実)」や「Alternative truth(もう1つの真実)」といった言葉を思い出さずにはいられない。我が方も先方に合わせ、これらの戦略を取るのも一案だが、理想形として日本はどのような議論を米国と行うべきだろうか。

今回は、およそ近い将来の日米経済対話で話し合われることは予想されないものの、本来、日米の通貨当局が真摯に話し合うべき論点を考える。

<紳士協定を反故(ほご)にしたのはFRB>

トランプ大統領の味方をするわけでは決してないが、やはり米政権からすれば、欧州中銀(ECB)や日銀のマイナス金利政策や量的緩和(QE)は通貨安誘導の方策としか映らないのだろう。

だが、そもそもECBや日銀が、金融システムや金融インフラに悪影響を及ぼすアグレッシブな金融政策を採用せざるを得なかったのは、リーマン・ショック後、米連邦準備理事会(FRB)がアグレッシブな金融緩和を進めたために、ドル安・円高、ドル安・ユーロ高が大幅に進んだからだ。どの国も輸出企業こそが成長部門と考え、自国通貨高に対し政治は相当に敏感である。それゆえ、通貨高回避のため、長期的な弊害が大きいにもかかわらず、極端な金融緩和を中央銀行に迫る傾向が強い。これは新興国も同様であり、こうした輸出信仰が誤った通商政策だけでなく、誤った金融政策や誤った通貨政策をもたらす。

ただ、実は2010年11月にFRBが量的緩和第二弾(QE2)を開始するまでは、日米欧(G3)の中央銀行の間では、大幅な通貨安につながるQEは実施しないという紳士協定が存在していた。大量の長期国債の購入など、量的緩和は通貨安をもたらし、他国に悪影響が及ぶため、採用しないというのが暗黙の合意だった。

2008年11月にFRBが実施した量的緩和第一弾(QE1)は、あくまで住宅クレジット・バブルの崩壊で機能不全に陥ったクレジット市場を補完するための措置であり、長期金利の大幅な引き下げとドル安を狙った政策とは受け止められず、それゆえ、日欧の中央銀行も必要な政策として歓迎していた。だが、2010年に取られたQE2は、大規模な国債買い入れによって長期金利の低下とともに、ドル安を助長し、G3の紳士協定を反故(ほご)にした。そこからECBと日銀の苦境が始まった。

ドル安は副産物で、主眼はあくまで長期金利の低下による内需刺激という説明は単なるレトリックにすぎない。そもそも住宅クレジット・バブルが崩壊し、国内に過剰ストック、過剰債務などバブルの残骸があふれ、いかに実質金利を低下させようとも、内需を刺激することは相当に難しかった。QE2によるドル安で純輸出を刺激し、バブル崩壊で低迷した内需を補おうとしたのがFRBの真意だ。長期金利の低下で株価が押し上げられたのは事実だが、それとてグローバル企業の利益がドル安で大幅に膨らんだから、株価の底上げにつながった。

通貨安による景気刺激効果の本質は、自国の財・サービスを割安にすることで、海外の需要を惹き付けることにある。一定の世界需要のパイの下で、自国の生産、所得を増やそうとすることだ。自国以外の国が好況にあるのなら、国際政治上、容認され得るが、世界経済が不況にあえいでいるのなら、他国の需要を奪い取る「競争的切下げ」という誹りを免れることはできない。米国はアグレッシブな金融緩和によるドル安誘導を本来、採用すべきではなかったのである。

では、黒田東彦日銀総裁が採用したアグレッシブな金融緩和によって、事態は著しく改善したと言えるだろうか。もちろん、円安で株価が上昇し、日銀と政治の関係が著しく改善したのは事実だが、金融システムや金融インフラにはダメージがもたらされた。

また、完全雇用に入ってもゼロ金利や超円安が続いた結果、家計の実質購買力は大きく損なわれ、社会厚生はむしろ悪化した。さらに、日銀が長期金利を低く抑え込んでいるため、政府の財政規律は著しく低下し、財政健全化は先送りが続いている。公的債務の膨張に伴う将来負担の増加懸念が現役世代の消費を抑制するなどの非ケインズ効果で、潜在成長率の回復も大きく遅れている。

こうした問題以上に深刻なのは、米国を基点としたG3のアグレッシブな金融緩和の副作用が国内的なものにとどまらない点だ。まず、欧州債務危機に直面する中で、米国のQEがもたらすドル安・ユーロ高の回避を目的に、ECBがアグレッシブな金融緩和を続けたため、欧州の周辺国は、自国通貨高・ユーロ安に直面し、ECB以上にアグレッシブな金融緩和に追い込まれた。同様に、日本の異次元緩和で円安が進んだ際、周辺のアジア諸国にも少なからぬ悪影響が及んだのである。

<最大の弊害は新興国・資源バブルの醸成>

より大きな問題は、米国のアグレッシブな金融緩和が新興国バブルや資源バブルを醸成し、世界経済を不安定化させたことだ。リーマン・ショック後のかなり早い段階で、世界経済の回復が始まったのは、新興国や資源国でバブルが生じたためだった。米国の極端な金融緩和で、大量のドル資金が資源市場や新興国に流れ込み、バブルが醸成されたのだ。

新興国バブルは2011年後半にピークを打ち、量的緩和第三弾(QE3)終了とともに、2014年秋には全面的な崩壊を迎える。同時に、資源バブルも、QE3終了を引き金に、急激な崩壊過程に入る。その後、2016年前半まで、世界経済がさえなかったのは、新興国、資源国でバブル期に生み出された過剰の調整が続いていたためだ。

新興国、資源国を犠牲に、米国経済は回復したが、当時、米国の消費回復が精彩を欠いていたのは、単に住宅クレジット・バブル崩壊の後遺症だけが原因ではない。一連のQEがもたらした資源バブルによって、家計の実質購買力が低迷していたためだ。この状況は初期アベノミクス下の日本も同様で、消費が大きく落ち込んだのは、2014年4月の消費増税に円安のダブルパンチが加わったからだけでなく、2014年末まで原油高が続いたことも影響していた。

経済学の教科書は、管理通貨制度の下で、国内均衡のみを目指して金融政策を行うべきだと教える。一般論としては正しいが、現実の世界は教科書と異なり複雑であり、とりわけ金融政策の為替レートへの影響は非対称的である。それゆえ、少なくとも基軸通貨国や準基軸通貨国の中央銀行は、つまりFRBやECB、日銀は、いくら不況だからといって、他国に大きな影響を及ぼすアグレッシブな金融緩和を発動すべきではない。反対に引締めの際は、自国通貨高を含め国内への悪影響が目につきやすく、もともと、かなりグラジュアルな変更しか選択されないため、これ以上の自制は必要ない。

そもそも、金融緩和の効果の本質は、将来の需要の前倒しにすぎず、また前述した通り、金融緩和に付随して生じる通貨安の効果の本質も、他国の需要を国内で生産された財・サービスに惹きつけることにすぎない。一時的に所得が増えるとしても、付加価値を生み出す能力が新たに生み出されているわけではない。つまり潜在成長率が高まっているわけではなく、効果を追求しようと政策を拡大すれば、大きな弊害が生じるのは当然だ。弊害が国内でとどまるのならまだしも、グローバル経済に大きな弊害を及ぼすため、そのような政策を大国は自制しなければならない。

<新興国の固定的な通貨政策も問題>

もちろん、G3の中央銀行が他国に大きな影響を及ぼすアグレッシブな金融緩和を自制するだけでは、国際金融上の問題は解決できない。米国のアグレッシブな金融緩和で新興国バブルが膨らんだのは、新興国が米ドルに対し固定的な為替レート制を採用していたことも理由の1つである。固定制とまではいかないまでも、米国がアグレッシブな金融緩和を行った際に、自国通貨高を回避しようと、相当に緩和的な金融環境を維持したため、それが新興国バブルの醸成につながり、その旺盛な需要が資源バブルの膨張を助長した。

現在、強い資本規制や人民元買い介入によって人民元の大幅な減価を避けようとしている中国が抱える問題の本質も、経済規模が大きくなったにもかかわらず、米ドルに自国通貨を事実上連動させてきたことの弊害だ。米ドルの最適通貨圏でないにもかかわらず、そのような体制を採用してきたことの弊害が米国の金融引き締め期に現れた。フロート制に移行することで経済実勢に合った為替レートを可能にする必要がある。

貿易はプラスサムであり、ゼロサム志向は誤りである。だが、通貨安の効果は、グローバルでは明らかにゼロサムである。米国が協調しないと諦め、非協調の下で各国が自国の利益を追求しようとすれば、マイナスサムとなる可能性が高い。少なくともG3は他国に大きな影響が及ぶアグレッシブな金融緩和には自制的にならなければならない。協調政策を取り、グローバル経済を不安定化させない国際通貨制度を構築する必要がある。これが日米経済対話で本来取り上げられるべきテーマだろう。

今や米国は不況期のみならず好況期にもドル安政策を志向しており、正論で説得するしか道はないと思われる。それとも、目先の円高回避や株安回避に汲々とし、「Post truth」戦略や「Alternative truth」戦略を日本も選択するのだろうか。ただ米国と同様、好景気の日本が円安を志向するのはそもそも無理がある。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

(編集:麻生祐司)


日米首脳会談控え、積極的なドル買いは手控え=今週の外為市場

インタビュー:トランプ政権はドル安志向、年末に100円割れも=榊原元財務官
ADB総裁の職に満足、日銀人事については答えられない=黒田氏
コラム:「救世主」ECB登場で注目すべき通貨=山本雅文氏
http://jp.reuters.com/article/column-ryutaro-kono-idJPKBN17J054

 

World | 2017年 04月 17日 12:57 JST 関連トピックス: トップニュース
アングル:ペンス米副大統領、日本企業と対話へ 投資拡大を要望か   

[東京 17日 ロイター] - 18日に来日するペンス米副大統領は、安倍晋三首相との会談や麻生太郎副総理兼財務相と日米経済対話をスタートさせるだけでなく、日米企業のトップから直接話を聞く会合にも出席する。同会合にはトヨタ自動車(7203.T)など米国で現地生産している企業を呼び、米国経済への貢献を感謝するとともに、今後の投資拡大への期待を伝えるとみられる。

この会合は「ビジネスリスニングセッション」と呼ばれ、日本に進出している米国企業と合わせ、数十社が対話に参加する見通し。

この場で、日本企業に対し、米国内でのさらなる設備投資と雇用の増加を促す可能性がある。

トランプ米大統領は貿易不均衡の是正に向け強いリーダーシップを発揮しようとしており、その方向でペンス副大統領からも発言があるかどうかが注目されている。

ペンス副大統領は、今回歴訪する韓国、インドネシア、オーストラリアでも同様の会合を開催し、米国で事業展開する企業に一段の投資増大を要請するとともに、輸出を目指す米国企業にプラスになるような対応も期待しているとみられる。

日米貿易は日本の大幅な輸出超過となっており、中でも自動車の黒字が大きなウエートを占め、一部には米国からの圧力を懸念する声もある。

ただ、ペンス副大統領はインディアナ州知事時代から日本企業との関係が深く、州知事として経団連の訪米ミッションを迎えたほか、自ら来日して同州への企業誘致に熱心に取り組んできた経緯がある。

日本企業側では「ビジネス会合の相手がペンス氏でよかったと思っている。トランプ大統領の日米貿易不均衡に対する問題意識を伝える役割を担っているのだろうが、それでも日本企業の貢献を理解しているというこれまでの経緯は大きなポイントになるだろう」(企業団体幹部)と、同副大統領の「知日派」としての存在感に期待を寄せる声が少なくない。

(中川泉 編集:田巻一彦)

米政府、日米2国間貿易交渉を要望=関係筋

ペンス米副大統領、4月来日調整
焦点:日米経済対話、対立回避を模索 北朝鮮情勢にらむ
4月中旬に米副大統領来日、経済対話は18日軸に調整=関係筋
http://jp.reuters.com/article/pence-japanese-conpany-idJPKBN17J09K


米副大統領、北朝鮮との軍事境界線視察−中国に影響力行使促す
Justin Sink
2017年4月17日 12:24 JST 更新日時 2017年4月17日 13:47 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/imsic3hCLV1w/v2/680x-1.jpg

South Korea US Pence Korea
南北軍事境界線に近いキャンプ・ボニファスに到着したペンス米副大統領(中央) Photographer: Lee Jin-man/AP Photo
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北のミサイル発射失敗で米政府による即時対抗措置のリスク後退
トランプ大統領は軍事行動をなお検討する意向、中国の主導望む

韓国訪問中のペンス米副大統領は17日、北朝鮮との軍事境界線に隣接する非武装地帯(DMZ)を訪れた際、中国に対し北朝鮮への対応措置を促す発言を行った。北朝鮮は16日、トランプ米政権の警告を無視して弾道ミサイル試射を断行した。
  ペンス副大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に核兵器と弾道ミサイルの開発計画を断念させるため、中国指導部が「特別の影響力を行使」することを望むと語り、そうした方向への中国からの初期兆候を「心強く思った」と述べた。
  また、必要なら中国なしでも米国は行動するとのトランプ大統領の警告をあらためて強調。「中国がこの問題に対処するか、それとも米国と同盟国がそうするか、どちらかだ。われわれは変化を見たいし、北朝鮮が無謀な道筋をあきらめるのを見届けたい」と述べた。
  トランプ政権は現在、金委員長が北米を核攻撃する能力を手にするのを阻止するため、選択肢を検討中だ。同政権は北朝鮮を主要同盟国として支えている中国の協力に期待しているほか、米国の同盟国である日本および韓国のミサイル防衛システム強化を目指している。
  ホワイトハウスの外交政策顧問が記者団に明らかにしたところでは、北朝鮮が16日に発射したのは中距離ミサイルで、発射後4、5秒ほどで失敗に終わったことが当初の報告で示唆された。この結果、トランプ大統領が直ちに対抗措置を取るリスクは後退した。また事情に詳しい関係者2人は、北朝鮮の一連の挑発行動を受け、同大統領は急襲も含む軍事行動をなお検討する意向だと述べた。ただ、大統領は体制転換には興味がなく、北朝鮮問題で中国が主導的立場を担う方が望ましいと考えているという。協議が非公開であることを理由に関係者は匿名で明らかにした。
  ペンス副大統領は17日午前、ヘリコプターで軍事境界線から400ヤード(約370メートル)しか離れていない国連軍のキャンプ・ボニファス基地を訪問。その後、軍事境界線沿いの共同警備区域を視察した。:

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南北軍事境界線に近いキャンプ・ボニファスに到着したペンス米副大統領(中央) Photographer: Lee Jin-man/AP Photo

  米政府高官ではオバマ前大統領が2012年にこの区域を訪れており、それ以降に訪問した米高官ではペンス氏が最高位。
原題:Pence Visits North Korea Border, ‘Heartened’ by China Moves (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJ8IX6K50YI01


 


 


 
北朝鮮で緊張が高まると、なぜ「日本の円」が買われるのか?
「有事の円買い」国際政治と通貨の不思議

橋 洋一
経済学者
嘉悦大学教授
プロフィール

為替の予測はかくも難しいが…
ひと昔前は「有事のドル買い」がセオリーだったのに、最近の為替市場では、「有事の円買い」が常識になっているという。たしかにそうだ。東日本大震災の時には円高が進んだ。今回も朝鮮半島緊張が懸念されるなか、為替は円高になっている。
筆者は、為替について短期の見方を示すことはほとんどない。為替の短期的(概ね半年〜1年以内)な動きを分析すれば、ほとんどランダムウォークになっている。つまり、その状態で為替の予測をすることは、サイコロの目をあてるのに等しい「神業」になる、ということだ。短期の予想することは無謀なので、筆者はやらないことにしている。
短期以外、つまり中長期では、実質金利差や貨幣量比率などを参考に、国際金融理論に基づき7割程度の予想ができる場合もあるので、必要な場合は中長期の予想だけ行うこととしている。ただし、この「有事の円買い」というのは、面白い話題なので、今回のコラムはこれに挑戦してみたい。
4月16日付けの日経新聞には「「有事の円買い」なぜ 背景に日本の弱さも」(http://www.nikkei.com/article/DGXMZO15276830T10C17A4000000/)という記事が掲載された。
その中で、これまでの世界的なショックが起こった時に円が買われたケースとして、@リーマン・ショックなどの世界的な金融危機(2008年9月)、A欧州債務危機(2010年)、B東日本大震災(2011年3月)、C英国民投票(2016年6月)で「EU離脱」が決まったとき、があげられている。
@とAの円高は、理論通りであり、簡単に説明できる。このとき各国とも金融緩和を猛烈に行ったのに、当時、白川方明総裁率いる日銀が無為無策であったため、円買いが進んだ。これは貨幣量比率で為替レートがだいたい決まるという、国際金融のマネタリーアプローチで説明できる。つまり、各国ともに貨幣量を増加させたのに、日本だけが増加させなかったので、円は各国通貨と比較して相対的に希少性が高まり、その結果円高になったわけだ。いうなれば、金融政策の失敗である。
本コラムでは、そのあたりも数量的に分析しており、例えば、2010年9月6日付け「菅・小沢代表選の政策論争で決定的に欠けている『金融政策』」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1135)などをご覧いただきたい。
Bについても、伝統的な理論での説明が可能だ。東日本大震災のような国内危機が起こると、その後に大規模復興予算が組まれる。その結果、金融緩和をしなければ、国内金利高の連想になって、国内外の実質金利が日本のほうが高くなるので円高になりやすい。これは、いわゆる「マンデル・フレミング」効果であり、阪神淡路大震災の時にも確認されている。
多くのエコノミストが東日本大震災で円安を予想していたが、筆者は円高予想をしており、結果的にはその通りになった。ちなみに、2011年3月28日付け「財務省主導の復旧ではダメ!復興は新設する『東北州』に任せ、福島に国会と霞ヶ関を移転せよ」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2330)で円高を予想しており、そのために究極の金融緩和として、同年3月14日付けの記事「「震災増税」ではなく、「寄付金税額控除」、「復興国債の日銀直接引受」で本当の被災地復興支援を」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2254)では、日銀引き受けについても提案している。
Cについては、今回の朝鮮半島緊張と同種のモノと筆者は考えているので、その理由を以下に述べよう。
NEXT ▶︎ 日経新聞が絶対に言えないこと

やっぱり答えはコレだった
まずはじめに、この1週間という「超短期」の動きを確認しておこう。為替市場に超短期的な影響を与えるモノとして、要人の発言がある。通常の中長期の経済分析ではこうした発言はノイズであるので無視するのが、短期分析ではふれざるを得ない。
トランプ米大統領は12日、米紙に「ドルは強くなりすぎている。最終的には害をもたらす」と述べた。また、連邦準備理事会(FRB)の金融政策でも「私は低金利政策がとても好きだ」と言った。
もちろん、筆者にとっては、この発言は予想済みなので、驚かなかった。なお、トランプ政権の経済政策についての筆者の見立ては、投資家であるぐっちーさんとの対論『勇敢な日本経済論』(講談社現代新書)(https://www.amazon.co.jp/dp/4062884232/)に書いたので参照して欲しい。
このトランプ発言によって、ドル以外の通貨はドルに対して高くなっている。G20諸国の中でも日本円は高くなっているほうだ。

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さて、「有事の円買い」の理由として日経新聞があげたのは、1.長期的なデフレ、2.超低金利、3.世界最大の対外純資産残高である。
1.の理由は、デフレはモノに対してカネ(日本円)が相対的に少ない時の現象なので、金融緩和をサボったとき、つまり@リーマン・ショックなどの世界的な金融危機(2008年9月)とA欧州債務危機(2010年)の時には、上に書いたように円高の理由を説明できるが、今回の理由にはちょっと説得力がない。
2.の理由は、キャリー取引の増加というテクニカルなものであり、それが全体の為替に影響するというのはアカデミックな意味ではちょっと首をかしげる。また、他にも為替が高くなっている国もあるが、それには通用しないロジックである。
3.の理由は、多少は頷ける。
こうしてみると、3.以外は筆者にとって説得力はない。
3.にしても、世界最大の対外純資産残高と類似したものであるが、もっと簡単に説明できる理由がある。それは、日本政府にとって、財政問題をほとんど気にする必要がない、という事実だ。
そうであれば、C英国民投票(2016年6月)や今回の朝鮮半島緊張でも、日本円を「安全資産」とみなして投資する理由が理解できるだろう(ただし、今回の朝鮮半島緊張では、仮に有事となっても、かつての1950年代の朝鮮戦争のように日本が漁夫の利を得ることが前提となっているが)。
まず常識的に考えて、円に投資しようとしても、マスコミが煽るように日本政府が財政破綻するような状況であれば、投資する人は誰もいないはずだ。
日経新聞はこれまで「日本の財政状況が悪い」と言い続け、そのために消費増税を主張してきた。その立場であれば、今の「有事の円買い」を、「日本政府に財政問題がないため」とは言いにくいだろう。そこで、上のような苦しい理由を挙げるほかないのだと筆者はみている。

NEXT ▶︎ 日本に「有事」が及べば…
筆者は、本コラムにおいて、統合政府のバランスシートでみれば、日本の財政問題はたいしたことはないと論じている。1年以上前の記事になるが、2015年12月28日付け「「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした〜それどころか…財政再建は実質完了してしまう!」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156)がそれである。
筆者の考え方は、最近訪日して経済財政諮問会議で講演した、ノーベル賞経済学者のスティグリッツ教授も同じ認識であるようだ。4月2日付け「1000兆円の国債って実はウソ!? スティグリッツ教授の重大提言 マスコミはなぜ無視をしたのだろう…」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51314)にも、そのことが書かれている。
ここでポイントになるのが、アベノミクスの矢の一つである「金融緩和」である。かつて日銀が金融緩和すると、ハイパーインフレになって円は暴落すると指摘する人が多かったが、その意見は一体どうなったのだろうか。現実に起こっていることは、金融緩和の結果、財政再建がほとんど終了してしまった。その結果、円は安全資産の代表格となり、それがために「有事の円買い」が進む、というのが筆者の見立てである。
ただし、「有事の円買い」といっても、浮かれていられない。円は多少安い方が経済成長は楽だからだ。
目先の株価を考えても、円高は株価低迷要因だ。最近4年間で、日経平均をニューヨークダウと円ドルレートで回帰すると、重相関係数0.95。日経平均は10円円高になると1680円下がり、1000ドルダウ高で570円上がるとの結果である。

「北朝鮮有事」は起こるのか
しかも、もし近い将来に朝鮮半島有事が起こったとき、1950年代の朝鮮戦争のように、日本が安全で居続けられるとは言いがたい。今や、安倍晋三首相が4月13日の参院外交防衛委員会で「サリンを弾頭に付けて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と言うぐらい、危機は高まっているからだ。
16日に北朝鮮はミサイルを発射したが、失敗に終わった。米国が電子戦でミサイル実験を妨害した可能性もあるが、確たることはわからない。そうした電子戦は現代戦争にはつきものだが、相手も必死に防ぐので、絶対に成功するとは思ってはいけない。
北朝鮮は今後どこかで必ずミサイル実験をやるし、15日の北朝鮮太陽節の軍事パレードで誇示された大陸間弾道ミサイルと核弾頭ができれば、アメリカのレッドラインを超えることになる。それでも北朝鮮が体制存続をかけて、遮二無二に進むのは確実である。
一方、押さえになるべき中国はちょっと心許ない。これまで金正恩氏が一度も訪中していないので、中国がどれだけ圧力をかけても、最終的には北朝鮮をコントロールできないだろう。こうした状況では、アメリカと北朝鮮がぶつかるシナリオを否定できない。中国が北朝鮮を見捨てたとき、たとえロシアが介入しても、北朝鮮を押さえることはできないだろう。
といって、アメリカは軍事オプションだけを考えているのではない。中国の協力の下で、経済制裁、資金制裁を長期的に継続すれば、いずれ北朝鮮を体制崩壊させることも考えうる。この場合、北朝鮮は事実上中国の管理下に置かれることになるので、これは中国としても受け入れやすいプランだろう。希望的観測であるが、筆者はそうなってもらいたいと思っている。そうであれば、「有事の円買い」は続くだろう。
しかし、朝鮮半島有事が「日本の有事」にもなれば、「有事の円買い」もあっさり崩れる可能性があることを、最後に指摘しておきたい。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51494

 

 

 

予想外の米コアCPI低下、ハト派に勢いも−6月のFOMC
Shobhana Chandra、Michelle Jamrisko
2017年4月17日 12:15 JST

サプライズ
3月の食料品とエネルギー除くコアCPIは1982年以来の大幅な下げ
漸進的なインフレ加速のトレンドが突然停止したとスタンリー氏

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iK5chOW4XANI/v2/-1x-1.png


米連邦公開市場委員会(FOMC)で6月に追加利上げが決定される可能性を巡り、経済面の裏付けの確かさが若干弱まった。
  労働省が14日発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.3%低下と、予想外のマイナス。食料品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.1%低下と、1982年以来の大幅な下げを記録した。一方、商務省が同日発表した3月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.2%減少と、2カ月連続で減った。

  エコノミストらは1−3月(第1四半期)の個人消費の弱さを既に織り込み済みであり、小売売上高の減少はそれを裏付けるものにすぎないが、企業が価格決定力を回復したと思わせる最近の兆候を考えれば、インフレ統計は驚きだった。
  アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「FOMCがより忍耐強くなければならない理由として、どちらの統計もハト派の主張を裏付ける根拠となろう。1−3月期の消費実績が比較的軟調な状況で、漸進的なインフレ加速のトレンドが突然停止した。私がハト派なら『少し待って展開を見極めても害はないのではないか』と言うだろう」と指摘した。
原題:Falling Inflation, Retail Sales Bolster Fed’s Go-Slow Approach(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJ6LA6JIJUO01
 

 

 


黒田日銀総裁 昨年後半以降世界経済の潮目に変化

配信日時 2017年4月17日(月)15:16:00 掲載日時 2017年4月17日(月)15:26:00
黒田日銀総裁は信託大会でのあいさつを行った。
我が国経済は昨年前半にかけ新興国経済の減速や国際金融市場の不安定化などの海外動向に影響を受けた。昨年後半以降は世界経済の潮目は変わりつつある。先進国・新興国双方において、製造業や貿易面での改善が明確に。
我が国経済は緩やかな回復基調続ける。
2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持も、なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要。
世界経済が好転するもとで、わが国の景気回復の足取りもよりしっかりとしたものになってきているが、物価安定の目標までにはなお距離があり、現在の「金融市場調節方針」のもとで、強力な金融緩和を推進していくことが適切。


日経平均17日大引け=5日ぶり反発、19円高の1万8355円

配信日時 2017年4月17日(月)15:01:17 掲載日時 2017年4月17日(月)15:11:17

 17日の日経平均株価は前週末比19.63円(0.11%)高の1万8355.26円と5日ぶり反発し取引を終了した。東証1部の値上がり銘柄数は1395、値下がりは510、変わらずは109と、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回った。

 日経平均プラス寄与度トップはユニファミマ<8028>で、日経平均を4.56円押し上げ。次いで大塚HD<4578>が4.22円、セコム<9735>が3.31円、キッコマン<2801>が2.85円、アサヒ<2502>が2.74円と続いた。

 マイナス寄与度は12.09円の押し下げでソフトバンク<9984>がトップ。以下、ファストリ<9983>が9.89円、日東電<6988>が4.45円、信越化<4063>が4.03円、東エレク<8035>が3.42円と並んだ。

 業種別では33業種中22業種が値上がり。1位は電気・ガスで、以下、不動産、その他製品、食料が続いた。値下がり上位には輸送用機器、非鉄金属、銀行が並んだ。

株探ニュース

一時円高進行も、売り一巡後はもみ合いに =東京為替概況

配信日時 2017年4月17日(月)15:10:00 掲載日時 2017年4月17日(月)15:20:00
 週明け17日の東京外国為替市場は、午前中に108円13銭を付けるなど、ドル安円高の動きが一時優勢となった。

失敗に終わったとはいえ先週末に北朝鮮がミサイル実験を実施したことをうけて、地政学的リスクを意識した動きが広がり、朝の市場で108円台半ばを割り込むと、その後は108円台半ばが重くなり、下値を試す展開に。
 
もっとも、米国の国家安全保障担当大統領補佐官が、「今回の北朝鮮のミサイル試射について、軍事的行動以外の措置を検討している」と発言したことで、有事リスクが一服したこともあり、午前のドル売りが一服すると、ドル円は少し値を戻した。

 東京株式市場が値を戻し、日経平均、TOPIXともにプラス圏を回復したことも、リスク警戒感の一服につながり、ドル円を支えた。

 もっとも、戻りは鈍く、午後は108円台前半での推移が続いた。

みんかぶ「KlugFX」山岡和雅


アジア株 上海株は下げ幅を拡大、1.3%安

配信日時 2017年4月17日(月)14:05:00 掲載日時 2017年4月17日(月)14:15:00
東京時間14:00現在
香港ハンセン指数   24261.66(休場)
中国上海総合指数  3203.21(-42.86 -1.32%)
台湾加権指数     9719.70(-13.23 -0.14%)
韓国総合株価指数  2146.38(+11.50 +0.54%)
豪ASX200指数    5889.95(休場)
インドSENSEX30種  29443.45(-18.00 -0.06%)

 アジア株は韓国を除いて下落している。
 
 上海株は下げ幅を拡大、約2週間ぶり安値をつけている。きょう発表された中国第1四半期GDPは前年比で6.9%と市場予想の6.8%を上回ったが、北朝鮮情勢への不安が根強く相場への影響は限定的。ほぼ全面安。保利房地集団や北京首都開発など不動産株が安い。

 一方、韓国株は上昇。北朝鮮のミサイル発射失敗を受けて過度な不安が後退しているもよう。LGディスプレイなどハイテク関連が上昇。現代自動車など自動車関連も買われている。

 香港、豪州市場はイースターマンデー祝日で休場。
http://klug-fx.jp/fxnews

 


 

 
日本株売られ過ぎ、「買いのチャンス」−17兆円超運用の投資顧問
Tom Redmond、Min Jeong Lee
2017年4月17日 08:31 JST 更新日時 2017年4月17日 10:02 JST

日本企業決算や北朝鮮関連リスクに悲観過ぎるとピクテ投信投資顧問
TOPIXは先週、週ベースで5週連続下落

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iQtoY1Df8jp4/v2/-1x-1.png

日本株は売られ過ぎたので、今や無視できないほど割安になったと、約1610億ドル(約17兆4400億円)運用のピクテ投信投資顧問の幹部が語った。
  TOPIXが週ベースで5週連続安となった先週末、同顧問の常務執行役員を務める松元浩氏は電話インタビューで、「買いのチャンスだ」と語った。
  強気になる理由として、約2週間後から本格化する日本企業決算のほか、北朝鮮関連リスクについて投資家が過度に悲観的であることを挙げた同氏は、いったん市場参加者がそうした状況に気付けば日本株は上がるはずだと付け加えた。
  TOPIXは3月13日に1年3カ月ぶり高値を付けたが、そこから7.5%下落。年初来では4%近く下げ、ブルームバーグが集計対象とする24の先進国・地域市場で下落率2位となっている。北朝鮮の核実験やミサイル発射を巡る懸念や、トランプ米大統領のドルは強過ぎるとの発言などの海外要因で株価は下落してきた。17日の取引開始直後はほぼ変わらずとなっている。
  円の対ドル相場は年初来で7%以上値上がりしたものの、松元氏は企業が今期業績見通しを発表する際、ポジティブサプライズの内容になるとみている。堅調な世界経済が利益を支える中で、企業は為替リスクに対応できるとの認識だ。北朝鮮に関しても、トランプ米大統領と会談した中国の習近平国家主席の対応に期待を示した。
  TOPIXの株価収益率(PER、予想ベース)は14日終値時点で13.2倍と、米S&P500種株価指数と比べて24%割安。また、相対力指数(RSI、14日ベース)は同日に29.3に低下し、売られ過ぎとも見なされる水準の30を下回った。

原題:A $161 Billion Manager Says the Japanese Stock Gloom Is Overdone(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-16/OOIZ2D6K50XT01

 

 
狭いレンジ取引から抜け出た米国債市場、これからが正念場
Brian Chappatta
2017年4月17日 09:44 JST
JPモルガン:相場上昇には利回りが2.15%を割り込む必要あり
BMOキャピタル:最も抵抗の少ない道筋はもちあい

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iJ03Xz6Wqlto/v2/-1x-1.png

世界最大の債券市場である米国債市場は今年の狭いレンジ取引をようやく抜け出したようだが、トレーダーに今後の行程表をはっきりと示すには至っていない。
  トレーダーは世界的なリフレトレードの苦境について洞察を深めるよりも、北朝鮮やロシアからの地政学リスクに反応している。また、トランプ米大統領はドル安を促す口先介入を行い、政権の座に就いた今になって低金利政策が好きだと言い出している。
  これらの要素は今後数週間は消えそうにない。米10年債利回りは2.24%と、今年最低付近に低下し、ドルは対円で昨年11月以来の安値圏にある。今週は経済指標面では比較的静かな展開になるとみられ、トレーダーやストラテジストは住宅着工のような統計を気にしすぎるよりもむしろ、テクニカル面から市場の水準を分析し最近の動きの持続性を見極める構えだ。
  ミシュラー・フィナンシャル・グループのトレーダー、グレン・カペロ氏は「北朝鮮とシリアは我慢の限界を超えさせるものだったが、われわれは今、新たなレンジを設定した」と述べた。同氏は10年債利回りの取引レンジを2.3ー2.65%から約2.05−2.4%に修正した。トランプ大統領の財政政策課題の実施時期に関しては、債券相場の弱気派は「当面は何も分からない」と述べ、「今は経済指標のハードデータが上向きに転じる必要がある」と指摘した。
  JPモルガン・チェースのテクニカルアナリスト、ジェーソン・ハンター、アリックス・テッパー氏によると、米国債相場の上昇が続くには10年債利回りは2.15%を割り込む必要がある。そうなれば、1.88%まで低下する可能性もある。利回りが上向く場合は2.34%が抵抗線になるという。 

  テクニカル分析はさらなる相場上昇を支持しており、トランプノミクスによる債券安の50%戻しの水準である2.177%が目標とされるが、BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン、アーロン・コーリ両氏はこうした見方を受け入れていないという。
  両氏は14日付のリポートで、「われわれは債券相場についてもっと強気になりたいが、相場の動きの程度や短期のインプライドボラティリティーの上昇からみて、最も抵抗の少ない道筋は横ばいだと受け止めている」と記した。
原題:Bond Traders Finally Broke 2017’s Range. Now Comes the Hard Part(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJ0TI6JIJVA01


 


 

 
ドル・円、5カ月ぶり安値を更新−地政学リスクへの警戒根強く残る
池田 祐美
2017年4月17日 12:46 JST

円とドル Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
一時108円13銭と、昨年11月15日以来のドル安・円高水準
北朝鮮、何か動きが出てきた時に円が買われやすい−JPモルガン

東京外国為替市場のドル・円相場は昨年11月15日以来のドル安値を更新した。北朝鮮情勢に対する警戒感や米長期金利の低下を背景にドル売り・円買いが進んでいる。
  17日午後0時26分現在のドル・円は前週末比0.4%安の108円25銭。相場は朝方からドル売り優勢の展開。前週末に発表のあった米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことや米金利が低下したことなどがドルへの逆風となり、午前の高値108円93銭から徐々に水準を切り下げ、一時は108円13銭を付けた。
  市場ではまた、地政学リスクを回避する動きも根強く、円は主要16通貨に対してほぼ全面高となっている。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.3%安の1218.22。
16日の北朝鮮によるミサイル発射失敗に関する記事はこちらをクリックしてください
トランプ政権の北朝鮮に対する対処計画についての記事はこちらをクリックしてください
 
  JPモルガン・チェースの佐々木融市場調査本部長は、「北朝鮮の件に関すると今後どうなるか分からない。市場は非常に神経質になるだろうから、次に何かあった時、何か動きが出てきた時に円が買われやすい。良くても何もないまま緊張状態が続くので、円ショート(売り建て)に振りにくい材料」と指摘。また「米CPIが相当弱かったので、米金利先物が動き始めたら為替もそこを見て動くだろう。日米10年金利差との相関が続いた場合、米10年金利が2.1%くらいまで落ちるとドル・円は107円前半まで落ちる計算」とも語り、ドルは下落圧力かかりやすいとの見方を示した。

  アジア時間17日の時間外取引で米10年債利回りは一時、前週末比4ベーシスポイント(bp)低下の2.1966%と2.2%を割り込み、昨年11月17日以来の低水準を付けた。
  米労働省が14日に発表した3月のCPIは前月比0.3%低下となり、2016年2月以来の低下に転じた。市場は前月比変わらずを見込んでいた。食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.1%低下と、10年1月以来の低下に転じた。米商務省が同日発表した3月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.2%減少となり、2カ月連続で減少した。
円とドル
円とドル Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  米財務省は14日に公表した外国為替報告書で、中国を為替操作国として認定することを見送った。「監視リスト」には、前回と同じく中国と韓国、日本、台湾、ドイツ、スイスの6カ国・地域が掲載された。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「為替報告書は、中国について北朝鮮問題対応とバーターで為替操作国認定しないという形。全体を見ても監視リストは変わらず、オバマ前政権のころから現状維持だ。トランプ政権に入って、内容が変わるのではないかという観測は肩すかし」になったと指摘した。ただ、「為替操作国認定の条件が変わっていない中で、中国が1項目しか抵触していないのに監視リスト入りしていることが示されるように、対米貿易黒字がウエートとして大きいことも同時に示されている」と述べた。
  中国がこの日発表した1−3月期国内総生産(GDP)は前年比6.9%増加となり、昨年10−12月期(同6.8%増加)から伸びが加速。3月の小売売上高は前年比10.9%増加(2月は10.9%増加)、工業生産は同7.6%増加(2月は6.0%増加)となり、いずれも市場予想を上回った。中国統計が良好だったことを背景に、豪ドルは対米ドルで堅調に推移している。
  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)外国為替部の村田雅志通貨ストラテジストは、「中国の経済指標は強い数字で良い結果だと思う。生産が加速しており、むしろ良すぎるぐらい。中国経済は安定しているとの評価」と説明。「豪ドル・米ドルは少し反応したが限定的だった。ドル・円は、地政学的リスクとトランプ政権対応の先行き不透明感の高まりを嫌気している。中国景気の安定はドル・円のサポート材料だが、あまり影響していない。ペンス米副大統領の発言も中国指標の効果を中立化させたと思う」と述べた。
  ペンス米副大統領は18日に来日し、麻生副総理兼財務相と経済対話(第1回)を行うほか、安倍首相を表敬訪問する予定。
  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、「日米経済対話で為替について言及されるかどうかは警戒されそう」と指摘。「何もなければ、もう少しショートカバーで109円半ばくらいまではありそう。ただ、フランス大統領選の第1回投票を控え、地政学リスクも残っている中で、そこら辺までではないか」と見込んでいる。
  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、ほぼ横ばいの1ユーロ=1.0620ドルで推移している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJ2CO6S972801

Business | 2017年 04月 17日 06:59 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
IMM通貨先物の取組=CFTC(4月11日終了週)

[ニューヨーク 14日 ロイター] - 米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(4月11日までの1週間)によると、ドルの対主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)の投機筋のポジションは、ネットロング(買い越し額)が前週の5週間ぶり低水準から増加した。

先月の米保険制度改革の頓挫(とんざ)を受け、トランプ大統領が減税やインフラ投資などの公約を実現できるのか懸念が広がり、投機筋はドル買い姿勢を弱めつつある。

ドルの買い越し額(CFTCの発表に基づきロイターが算出)は150億4000万ドル。前週は146億7000万ドルだった。

円の売り越しは3万4764枚で、昨年12月以来の最低となった。
http://jp.reuters.com/article/cftc-forex-idJPKBN17I0UX


 

 


 
News | 2017年 04月 16日 16:12 JST 関連トピックス: トップニュース

アングル:為替操作国の認定見送りでも、中国が油断できない訳

[上海 13日 ロイター] - トランプ米大統領は米紙のインタビューで、近く公表する外国為替報告書で中国の為替操作国認定を見送る考えを示した。ただ、これで中国が難を逃れるわけではなく、米国は対中貿易赤字の問題に別方向から対処しそうだ。

オックスフォード・エコノミクス(香港)のルイス・クイジス氏は「大局的に見た場合、われわれが難局を抜け出したとは決して言えない。為替はひとつの問題だが、米国があきらめたとは考えていない。それどころか、対策を検討し始めるだろう」と話す。

トランプ氏は為替操作国のレッテル貼りを控えることで、北朝鮮の核開発問題への中国の協力を引き出そうとしているようだ。中国が最近、為替介入を行っていないことを評価した側面もある。

中国外務省の陸慷報道局長は13日、同国は輸出促進を狙いとした通貨切り下げ競争を行わないと繰り返し、「米国と均衡のとれた貿易関係を促進するため、喜んで協力を拡大する」と述べた。

トランプ氏は昨年の大統領選期間中、中国をすぐに為替操作国に認定すると述べていた。今回は姿勢を後退させたが、これは対中貿易赤字の縮小に向けた手綱を緩める兆しではなさそうだ。

米商務省は先月、中国を「市場経済国」として認めるかどうかの調査を開始した。世界貿易機関(WTO)の規則では、認められれば他の国々は中国からの輸入品の一部に反ダンピング措置を採ることが制約される。

米商務省はまた、貿易上の不正行為や、それが米国の貿易赤字に及ぼす影響も調査している。

調査会社ノース・スクエア・ブルー・オークのジョナス・ショート氏は、トランプ氏は、中国叩きなどに共感した支持者からの人気が衰えるようなら、直ちに手のひらを返して敵対的な姿勢に転じると予想する。

またアナリストらによると、米財務省は新たな陣営が整い次第、半年に一回の為替報告書で用いられる3つの基準を見直す可能性がある。オバマ前政権下で昨年10月に発表された報告書では、中国は為替操作国認定の3つの基準のうち、対米貿易赤字の規模という1つの基準しか満たしていなかった。次の報告書は今年10月に発表される。

(John Ruwitch記者)

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米政権、貿易赤字要因調査へ31日に大統領令 関税徴収強化も

中国の「為替操作国」認定見送り、米財務省が為替報告書
トランプ大統領が中国批判、「為替操作のグランドチャンピオン」
ドル過度に強い、中国を為替操作国に認定せず=トランプ氏
http://jp.reuters.com/article/us-china-currency-idJPKBN17G072

 


ソロス氏をイスラエルの富豪が提訴、ギニア採掘権めぐり−米連邦地裁
Franz Wild
2017年4月17日 10:40 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iBtvwDLRXqNc/v0/760x-1.jpg
George Soros. Photographer: Jason Alden/Bloomberg
ソロス氏の中傷キャンペーンで採掘権失い1兆円以上を損失と主張
ソロス氏の広報担当にコメント求めたがこれまでに返答はない

著名投資家のジョージ・ソロス氏は、イスラエル鉱業界の重鎮で富豪のベニー・スタインメッツ氏が経営権を握る企業から提訴された。これら企業は、ソロス氏の中傷キャンペーンによりギニアなどの鉱山で採掘権を失い、少なくとも100億ドル(約1兆800億円)の損失を被ったとして米連邦地裁に損害賠償訴訟を提起した。
  スタインメッツ氏が経営権を握るBSGリソーシズはマンハッタンの連邦地裁への14日の訴状で、ソロス氏が法律事務所や汚職監視団体、ギニアの捜査当局者や政府高官に資金を提供した結果、BSGは2014年4月にシマンドゥ鉄鉱山の採掘権を失ったと主張した。
  BSGはまた、ソロス氏は1998年にロシアでのビジネスをめぐってスタインメッツ氏に恨みを抱いたほか、イスラエルを敵視していることで知られていると指摘した。
  ソロス氏の広報担当、マイケル・バション氏に営業時間外に電子メールと電話でコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。
  
原題:Soros Sued by Fellow Billionaire in $10 Billion Mine Brawl (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJ2XF6K50XS01


http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/172.html

[国際19] 高まる北朝鮮の脅威、意外と冷静な韓国国民 為替操作国免れても貿易摩擦 中国GDP識者 米中「百日計画」米企業から不安の声
高まる北朝鮮の脅威、意外と冷静な韓国国民

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-SY702_31tBv_M_20170414061317.jpg

ソウルで桜を鑑賞する市民 PHOTO: LEE JIN-MAN/ASSOCIATED PRESS
By Jonathan Cheng and Min Sun Lee
2017 年 4 月 15 日 11:05 JST

 【ソウル】韓国では米国と北朝鮮間で起こり得る軍事衝突が新聞の見出しを独占しているが、ソウル市内を見渡すと、北朝鮮のミサイルや核実験、米軍による先制攻撃に関する懸念は日常生活のリズムによってかき消されている。

 一方、中国は米国と北朝鮮に自制を強く求め、国有の中国国際航空( エアチャイナ )は平壌へ向かう便を一時的に運航停止にすると発表した。
http://jp.wsj.com/articles/SB12360975215471474718104583085210230784432

 ソウルの中心街で働く59歳の店員、ユ・ジョム・スンさんは春先の雨模様の中、椅子に座ってお茶を飲みながら次のように話した。「北朝鮮は脅しをかけるが、それを実行することなどあり得ない」

 「以前には私も心配したが、ここで人々が死ぬなら北朝鮮でも人々が死ぬことになるので、実際に攻撃することはないと思うようになった」

 この数日間、各方面からのレトリックは一段と過熱してきた。一方、人工衛星画像では、建国の父である金日成主席の生誕105周年を祝う記念日「太陽節」を前にして北朝鮮が核実験の準備をしているとされる兆候が示された。

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-SY909_31Zmp_M_20170415020347.jpg


15日平壌で行われた北朝鮮の軍事パレードでには新型とされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)が登場 PHOTO: YONHAP NEWS/ZUMA PRESS


 中国の王毅外相は14日、中国政府として米国と北朝鮮の両国に扇動的、威嚇的な言動を控えることを要請するとし、戦争では誰も勝利しないと付け加えた。

 王外相は「朝鮮半島問題で勝利するのは、相手より語気を荒げたり、大きな拳を振り上げたりする国ではない」と強調した。

 先週、米国は北朝鮮の友好国であるシリアに巡航ミサイル攻撃を行い、空母戦闘群を朝鮮半島の周辺海域に向かわせた。

 「北朝鮮は何かやらかしそうだ」として一連のツイッターへの投稿で北朝鮮を非難してきたトランプ米大統領は13日、「北朝鮮は問題であり、問題は対処されるだろう」と述べた。米軍がアフガニスタンの過激派組織「イスラム国(IS)」の複雑な地下施設に最大級の爆弾を投下した後のコメントだった。

 64歳の退職者、セオ・チャン・ウォンさんは朝鮮半島で戦争が起きるかもしれないという懸念をはねつけた。

 セオさんは書店の椅子に座りながら、「北朝鮮はこれまで多くの嘘をついてきた。それを誰が信じる?」とした上で「単なるレトリックに過ぎない。彼らは事前に書かれた台本を読んでいるだけだ」と話した。

 ただ、言動が予想不可能なトランプ大統領が出現したことが「少し心配だ」(セオさん)という。「トランプがやる必要があると考えれば、彼は実際に行動に移すかもしれない」

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http://jp.wsj.com/articles/SB12580682065743184470104583085741599760044?mod=trending_now_3

 

News | 2017年 04月 17日 15:42 JST 関連トピックス: トップニュース

焦点:アジア各国、「為替操作国」免れても貿易摩擦懸念は続く

[北京 15日 ロイター] - 米財務省が14日公表した主要貿易相手国の為替政策に関する報告書(為替報告書)で、アジア諸国は「為替操作国」と認定されることを免れた。しかし、トランプ米大統領が貿易不均衡の解消に取り組む方針を維持する中、各国は貿易摩擦の過熱を引き続き懸念している。

トランプ氏は、いくつかの米国の貿易相手国、中でも中国が、為替を操作していると批判してきた。しかし、最近ではそうした表現は影を潜め、中国は自国の輸出を有利にするために人民元安に誘導しているわけではないとしている。

ただ、巨額の対米貿易黒字を計上している中国のほか、日本、韓国、台湾は、引き続き為替に関する動きを特に注視する「監視対象」リストに掲載された。

日本政府高官は「日本や中国との対話においては貿易不均衡の解決が問題とされ、為替操作の問題は後回しにされた」との見方を示す。

今回の為替報告書では、「為替操作国」とされた国・地域はなかったが、今後、認定される可能は引き続き残る。

一方、中国が為替市場に介入し人民元を買い支えし、北朝鮮情勢を巡り中国の協力を期待される中、トランプ氏は中国の貿易活動に対する舌鋒を緩めている。

農林中金総合研究所の主席研究員、南武志氏は、北朝鮮に関する中国の協力を求め、米国は今回、(中国の為替操作国への)認定を見送ったとの見方を示したうえで、今後の北朝鮮情勢の進展によっては(次の為替報告書の取りまとめ期限である)半年後にどうなるかは分からないと指摘した。

<新記述>

為替報告書では、中国や韓国、台湾が過去に行ってきた為替操作を指摘した新たな記述も登場。将来の為替操作を防ぐために、今後、米国は為替操作国の認定基準を変える可能性もあると専門家は指摘する。専門家によると、最も筋の通った選択肢は為替市場への介入の動きを評価する際の期間をこれまでの1年から数年単位へとより長く取ることだという。

韓国財務省の高官は「報告書が(為替操作の)歴史に触れていた意味を考えさせられた。米国は、今後そんなことはするなと釘を刺している。我々としても、するつもりはない」と話した。

報告書は、トランプ政権が貿易不均衡への対応に高い優先順位を置いていることを示し、米国が中国の貿易や為替への取り組みを細部まで注目していくことを強調。

米報告書がまとまるのに先立って中国政府が公表した貿易収支によると、今年1─3月期の中国の対米貿易黒字額は前年からおおむね横ばいの496億ドル。報告書では、保護主義的な中国市場が貿易不均衡の改善を妨げていると指摘している。

トランプ大統領と中国の習近平国家主席は先週、米国が中国に対し抱える巨額の貿易赤字削減に向けた「100日計画」の策定で合意した。ただ、中国に進出している米企業幹部は、何年にもわたる交渉にも関わらず中国市場への参入が拡大していかないことに懸念を表明している。

<日本>

アナリストらは、為替報告書が日本に対してはこれまでとほぼ同様のスタンスを維持しており、内需拡大に向けた構造改革の必要性を強調したと指摘。農林中金総研の南氏は、込められている基本的なメッセージは、日本が国内需要を拡大する必要があるということだとし、米国は日本にもっと米国製品を買えと言っていると解釈できると述べた。

米国のペンス副大統領は17日からの週に、日本を訪問し日米経済対話を行う予定だ。米高官は、日本に非関税障壁をなくし、米国製品をもっと輸入するよう求める姿勢を示している。

岡三証券のチーフエコノミスト、愛宕伸康氏は、今回の為替報告書が来週のハイレベル経済対話に影響することはないが、米国が貿易赤字に注目していることには注意を払っていく必要がある、と指摘した。

(梶本哲史、船越みなみ、金子かおり、Christine Kim、EliasGlenn記者)


アングル:中国の「為替操作国」認定見送り、米国の思惑は

中国の「為替操作国」認定見送り、米財務省が為替報告書
トランプ政権、為替操作より「不均衡」を重視=高官
米財務長官候補、中国を為替操作国と明言せず 上院の質問に
http://jp.reuters.com/article/asian-economies-manipulator-idJPKBN17J0DF

 

Business | 2017年 04月 17日 16:40 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
中国、17年トウモロコシ作付面積4%縮小へ、在庫削減

[北京 17日 ロイター] - 中国国家統計局の調査によると、国内の大豆作付面積は今年、8.1%拡大する見通し。一方、トウモロコシ作付面積は4%縮小する。

トウモロコシの作付面積縮小は2年連続。中国政府はトウモロコシの過剰在庫を削減する一方、大豆の作付面積拡大に取り組んでいる。

このほか、小麦は0.8%減、コメは0.3%減、綿花は0.7%減となる見通し。

中国は10年近くにわたる備蓄制度の結果、1年分以上の消費量に相当する約2億5000万トンのトウモロコシ在庫を抱えており、政府は昨年発表した5カ年計画にトウモロコシの作付面積を縮小する一方、大豆の作付面積を拡大する方針を盛り込んだ。

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http://jp.reuters.com/article/china-corn-idJPKBN17J0G0



中国版「国際金融のトリレンマ」が言いたいこと
By Liyan Qi and Chao Deng
2017 年 4 月 17 日 16:11 JST
 中国人民銀行(中央銀行)のエコノミストらは3月30日に発表した論文で、現代では標準的とされているマクロ経済理論と対立するような「分析的フレームワーク」を提示した。これは明らかに、資本流出(人民元安を抑制することも人民銀の意図に含まれている)を回避する同国の姿勢を正当化しようとするものだ。 

 「国際金融のトリレンマ」もしくは「聖ならざる三位一体」として知られる「不可能の三角形」理論によると、1つの国が「自主的な金融政策」、「固定為替相場制」、「自由な資本移動」を同時に実現することはできず、3つの政策...
http://jp.wsj.com/articles/SB12017738245610734619404583090203136902028


News | 2017年 04月 17日 13:17 JST 関連トピックス: トップニュース

中国GDPは前年比+6.9%、予想上回る:識者はこうみる


[東京 17日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は、前年同期比6.9%増と予想をわずかに上回った。3月の中国の鉱工業生産は前年同月比7.6%増となり、予想および1─2月実績である6.3%増を上回った。1─3月の不動産投資は前年比9.1%増と、1―2月の8.9%増から加速した。市場関係者のコメントは以下の通り。

<オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)のエコノミスト、トミー・シェー氏>

民間部門による一定の押し上げがあった。3月の固定資産投資は非常に強かった。第1・四半期の民間投資は引き続き加ただ、下半期は成長が再び減速する可能性がある。不動産部門の寄与度が低下していることや、今後数カ月で金融政策がやや引き締められるとみられることが理由だ。通年では成長率が6.4%か6.5%程度に低下すると予想している。

短期金融市場の全般的な流動性は中立となるだろう。中国当局は今後も市場の流動性を慎重に管理していく。

過去数カ月間マネーサプライ(M2)の伸びは鈍化しており、今後数カ月この傾向が続く可能性がある。

米国に追随して短期金融市場の金利を引き上げるかもしれない。基準貸出金利を動かすとは思わないが、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを続ければ、短期市場の金利を引き上げることはあり得る。

<みずほ銀行(シンガポール)のシニアエコノミスト、VISHNU VARATHAN氏>

民間部門で一部、回復の動きがみられる。無論、すべてが歓迎すべき動きではない。例えば、不動産市場は、まだバブル気味だ。

ただ、輸出全体の回復は、鉱工業活動の大幅な増加と符合している。外需の好転と関係している部分があるのだろう。

基本シナリオでは、通年で6.7━6.8%の成長を見込んでいる。下期は、ベース効果や、刺激策の効果が薄れることで、おそらく成長率が多少鈍化するだろう。

<キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏>

経済の現在の勢いを見極めるためには3月単月のデータに目を向けることが理にかなっている。鉱工業生産と固定資産投資の伸びは共に加速し、増税で自動車販売が低迷したものの、小売売上高も堅調を維持した。この3つは全て予想を大幅に上回り、経済活動が第1・四半期末に活発になったことが示された。

結論を言えば、中国経済は第1・四半期に力強い伸びを維持し、3月の堅調な指標は、第2・四半期もこの底堅さがある程度続くことを示している。

しかしながら、最近の回復を後押ししていた信用の急速な伸びが反転するなか、経済はやがて減速し始めるだろう。

<IHSグローバル・インサイトの中国担当エコノミスト、ブライアン・ジャクソン氏>

通年の成長率は引き続き低迷すると予想しているが、第1・四半期のGDP伸び率は、予想を上回った。

鉱工業生産の伸び加速がサプライズだった。重工業の供給サイドの統合で、付加価値が高まったことが大きい。これは年を通じて、プラスの要因になるが、自動車製造・販売など他のセクターの逆風が強まるため、全体への効果は低下するだろう。

さらに重要なのは、ベース効果や引き締め政策を背景に、不動産セクターの失速が第2・四半期以降、続くとみられることだ。そうなると、サービス・建設業の重しが増えることになる。

私たちの行動規範: トムソン・ロイター「信頼の原則」
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News | 2017年 04月 17日 16:38 JST 関連トピックス: トップニュース

アングル:米中「100日計画」、米企業から不安の声

[北京 14日 ロイター] - 米中首脳は先の会談で貿易不均衡解決のための「100日計画」の策定で合意した。両国が何十年も抱え続けてきた厄介な問題に対応する作業となり、米企業経営者からは、100日という短い期間では上辺だけの成果しか得られないのではないかと懸念する声が聞かれる。トランプ大統領が北朝鮮問題で中国の協力を得るために「通商カード」を使うことで、米企業の中国における権益が犠牲になりかねないとも危惧されている。

トランプ氏は対中貿易赤字の是正と中国市場の開放に積極的に取り組み、中国に米国の製品・サービスをより多く流入させると約束している。在中国米商工会議所のウィリアム・ザリット会頭は今後の協議で米企業が中国で直面している「構造的な障害」に対処する必要があるとした上で「貿易戦争をするよりは話し合った方がましだが、過去20年間協議してきてほとんど進展なかった」と先行きを楽観していない。

ホワイトハウスによると、取り上げられる問題の1つに米国産牛肉に対する中国の市場開放がある。これについて関連業界からは歓迎の声があがる一方、冷ややかな見方もある。アプコワールドワイドの広域中華圏会長ジェームズ・マクレガー氏は「牛肉問題は10年前に決着してなければならなかった。それがまだ延々と存在しているという事実こそが、両国が交渉して相互に対処していく不均衡の象徴になっている」と述べた。

また、習近平中国国家主席が訪米の「お土産」として米国産牛肉輸入解禁を打ち出した可能性があるとの報道もあったが、その後、李克強首相がこの問題を米国の中国産鶏肉輸入制限の扱いと結び付ける姿勢を示している。

中国政府はかねてより金融サービス分野の対外開放を進めると約束しており、100日計画にも盛り込まれる見通しだ。それでも中国側の具体的な市場開放計画はまだほとんど明らかになっていない。

米中ビジネス評議会(USCBC)幹部のジェイコブ・パーカー氏は、中国が引き続き約束だけして何も実行しないか、小出しに措置を講じていく事態になるのではないかとの不安を吐露している。

パーカー氏は「中国側が開放策だと呼べる方法は多々あるが、現実はそうではない」と話した。

習主席はトランプ氏との会談で、インフラ投資における協力強化も提案した。だが米国の目玉的な公共事業に中国国有企業を使うのは、トランプ氏が国内雇用創出を公約しているだけに政治的に難しい。

また中国側の関心が高い半導体や仮想現実・拡張現実などのハイテク産業は安全保障にかかわる分野と位置づけられ、そうした観点からの米政府の審査をクリアしなければならない。

米企業の間では、中国が自分たちに役立ちそうな分野だけ都合よく不均衡是正に協力するのではないかとの見方も出ている。例えば米国の天然ガスや石油、原料炭などの輸入促進だ。

さらに中国が既に約束した国内の銀行、証券、資産運用、先物取引、保険、格付け、会計の各セクターの外資規制緩和は、中国の金融インフラの質向上や市場の安定・高度化に貢献する、とアプコワールドワイドのマクレガー氏は主張している。

マクレガー氏は「中国が市場開放を口にしている場合、それはすべて彼らが支援を必要としている分野だ」と断言した。

(Michael Martina記者)
コラム:トランプ大統領、北朝鮮に「禁断のカード」切るか

コラム:北朝鮮有事の円相場シミュレーション=佐々木融氏
北朝鮮、外国人記者らに「重大なイベント」に備えるよう通知
トランプ政権、巡航ミサイルでシリア攻撃 化学兵器使用を非難
http://jp.reuters.com/article/china-usa-business-idJPKBN17J0FB
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/153.html

[日本の事件32] 事件関与聞かれ「アリバイある」保護者会で 逮捕された保護者会長はロリコンだった?「リンちゃんとハイタッチしていた」証言も
事件関与聞かれ「アリバイある」保護者会で

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2017年4月17日 10時38分 日テレNEWS24
事件関与聞かれ「アリバイある」保護者会で
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 千葉県でレェ・リンさん(9)の遺体が見つかった事件で、逮捕された小学校の保護者の会会長・渋谷恭正容疑者が学校関係者に対して、「アリバイがある」などと話していたことがわかった。

 17日朝、渋谷容疑者の逮捕が明らかとなってから、初めての登校時間を迎え、これまで通り約20分間の集中登校が行われた。保護者からは「まだ気持ちの整理がつかない」などの声が聞かれた。

 一方、レェ・リンさんの遺体を遺棄したとして逮捕された渋谷容疑者は、リンさんが行方不明になった日の夜、近隣住民らによる捜索に参加していなかったことがすでにわかっているが、このとき、保護者の会のメンバーが渋谷容疑者に連絡しようとしても電話に出なかったことが学校関係者などへの取材で新たにわかった。

 渋谷容疑者の車はこの夜、遺体遺棄現場や遺留品が見つかった現場の周辺を走っていたことが警察の捜査で明らかになっている。

 また渋谷容疑者は、保護者の会の中で、事件に関わっていないかたずねられ「アリバイがありますから、やめてください」などと話していたことも新たにわかった。

 警察は、引き続き犯行当時の状況を詳しく調べている。
日テレNEWS24
外部サイト

渋谷容疑者 小中学生のイメージDVD収集
死体遺棄容疑で逮捕 渋谷容疑者は「黙秘」
リンさんをキャンピングカーに連れ込んだか
http://news.livedoor.com/article/detail/12945826/


逮捕された保護者会長はロリコンだった? 「リンちゃんとハイタッチしていた」証言も

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2017年4月17日 11時50分 J-CASTテレビウォッチ
(吹き出し)羽鳥:女の子に声かけ
写真拡大
千葉・松戸市の小学3年生、ベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンちゃん(9)が殺害され、我孫子市内の河川敷に放置されていた事件で、先週金曜日(2017年4月14日)朝、近くに住む渋谷恭正容疑者(46)が逮捕(死体遺棄容疑)された。登下校を見守る「保護者会長」(一報ではPTA会長と伝えられた)で、リンちゃんとは面識があったらしい。

小学校の保護者会は、ブルーのジャンパーに「防犯パトロール」と書いた黄色のタスキをかけて、通学路に立つ。会長だった渋谷容疑者は、毎朝自分の子供を学校まで送ってくる。リンちゃんのことも知っていたはずという。大勢の子供たちと一緒に歩く姿を撮った映像もあった。見守り活動は、事件後も行っていたという。

話しかけるのは女の子ばかり
保護者や同級生によると、「用もないのに給食を食べに行っていた」とか「リンちゃんと学校内で笑いながら話している姿を見た」「リンちゃんとハイタッチしていた」という。その一方で、話しかけるのは女の子ばかりだったらしい。渋谷容疑者の仕事先の従業員の間では、「ロリコンだったよね、あいつ」と言っていたそうだ。

リンちゃんが行方不明になった当日の行動もわかってきた。渋谷容疑者の自宅とリンちゃんの自宅は300mほど。先月24日朝、リンちゃんを軽自動車で連れ去った後、自宅と離れた駐車場にあるキャンピングカーに連れ込んだとみられている。軽自動車で駐車場に向かう姿が、防犯カメラに映っていた。

死体や遺留品の遺棄現場周辺でも、渋谷容疑者の車が通った痕跡が残されていたという。さらに遺体に残されていた遺留物から検出されたDNAが、渋谷のものと一致した。しかし、逮捕の後渋谷容疑者は黙秘を続けているという。

「犯人に目の前で会いたい」と父親
リンちゃんの父親、レェ・アイン・ハオさん(34)は昨日(16日)、初めて取材陣を自宅に招きいれ、「私の心は辛いです。犯人に対して、目の前で会いたいです」と話した。

司会の羽鳥慎一「渋谷容疑者は、特に女の子に声をかけていた」
石原良純(天気予報士)「だからと言って、顔見知りのおじさんにも気をつけなさいとは、言えないよね。防犯は顔見知りが頼りなのだから。あまりにも奇怪な事件」
住田裕子(弁護士)「46歳になって、ロリコンを上手に使い分けていた。そういう人間の行為を防ぐのは難しい。みんな安心しきっているから」
羽鳥「リンちゃんから見たら、優しいおじさんなわけですものね」
石原「こんなことが起こりえるのがショック」
宇賀なつみアナ「集団登下校をする小学校が減っている。2006年に79.8%だったのが、2015年には63.1%。子供が一人になる時間が増えた」
羽鳥「一人になるから、見守りがある。それがこうなった」
人によっては、「優しい人だからといってついていかないよう教える必要がある」という。しかしこれには皆首をかしげる。

羽鳥「こう教えるのがいいことなのか」
頭のおかしな一人のために、正常な社会が壊れる? その方が問題だ。 

J-CASTテレビウォッチ
外部サイト

千葉でまた「危ないオジサン」小6男児連れ去り!近所からたびたび通報「おかしい男」
「ちばレポ」街で気づいたことすぐ送信して!千葉市が始めたスマホで行政参加
http://news.livedoor.com/article/detail/12946158/


http://www.asyura2.com/17/nihon32/msg/108.html

[経世済民121] 1ドル108円すら通過点か止まらぬ円高 経団連会長、世界的緊張、戦後最もリスク 日銀総裁景気よりしっかり 億ション3割減

1ドル108円すら通過点か 止まらぬ円高
経済部 浜美佐
2017/4/17 13:15日本経済新聞 電子版
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 外国為替市場でじりじりとした円高が止まらない。円の対ドル相場は17日の朝方には一時、1ドル=108円台前半を付け、昨年11月以来5カ月ぶりの高値を5営業日連続で更新した。4月以降、北朝鮮や中東情勢の緊張が高まったのをきっかけに、円高が進展。世界で投資家のリスク回避姿勢が強まる中、市場では「1ドル=108円すら通過点にすぎないのでは」と心配する声が出始めている。

 「今はとてもリスク資産を買えるよう…
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO15386710X10C17A4000000/


 

 
コラム:
ドル110円割れ後の円高進行余地

鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト
[東京 17日] - ドル円相場は4月11日、約5カ月ぶりに1ドル=110円を割り込むと、断続的に年初来安値を更新し、17日には108円台前半までドル安円高が進んでいる。

1月の当コラムに書いた通り、筆者は2017年のドル円相場について、年序盤の1―3月期には昨年終盤にみられた急激な上昇に対する調整局面を迎えることで、110―117円程度のレンジを想定。その後、4―6月期には、トランプ米政権の景気刺激策や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ姿勢、欧州の選挙結果などを評価しつつ、底打ちから上昇に転じ、年後半に120円を目指す展開を予想した。

1―3月のドル円相場は想定通り調整・もみ合いといった展開になったものの、4月に入り、底打ちどころか改めて下方バイアスを強めている。シナリオが狂った要因はどこにあるのだろうか。

<意外に短い「有事の円買い」の賞味期限>

想定外を2点挙げるとすれば、地政学リスクの高まりとトランプ政権の政策執行能力の低さだろう。

地政学リスクはこれまでもくすぶってはいたものの、4月に入り急速に高まりをみせている。3日にロシアで地下鉄爆破事件が発生、5日には北朝鮮がミサイル発射実験を行い、6日には米国がシリアの化学兵器使用を理由に巡航ミサイルで同国を攻撃、11日にはトランプ大統領が北朝鮮問題に関して中国に協力を求める一方、単独でも行動する可能性を示唆したが、16日に北朝鮮は再びミサイル実験を行った。

中でも、シリアに対する米国単独のミサイル攻撃、米中首脳会談前日にミサイル実験を行った北朝鮮の挑発的な行動などは想定外の円高圧力をもたらす要因となっている。

ただ、地政学リスクを根拠とする円買いは現実化しても長続きしないだろう。実際、過去の例では、2003年3月20日の英米軍主体の対イラク攻撃開始後、120円台だったドル円は4月1日にかけて117円台に下落するが、4月11日には120円台を回復。この間、17営業日だった。

2001年9月11日の米同時多発攻撃の際には121円台から9月20日にかけて116円台に下落。しかし、協調介入もあり23営業日後の10月11日には121円台を回復している。

さらにさかのぼり1993年5月29日の北朝鮮によるミサイル実験の時には106円台後半から6月14日にかけて105円程度まで下落したものの、6月17日には107円台に反騰。この間、14営業日にすぎない。

なお、北朝鮮で有事があった場合も円は買われるのかとの質問は多いが、「有事」の度合い次第だ。当初は東日本大震災後にもみられた通り、日本人による海外資産の引き上げ(いわゆるリパトリ)や低金利の円を売り高金利通貨を買う円キャリートレードの巻き戻し、投機筋による「リスク回避=円買い」との思惑が円高をもたらすとみられるが、北朝鮮からのミサイルが日本の領土に着弾すれば自衛権が発動されて日本は紛争の当事者となり円は急落するだろう。

このように、過去の例からは地政学リスクを理由とした円高は限定的となる可能性が高いとみられる。

<トランプ政策、満点は無理でも合格点か>

トランプ大統領の政策執行能力の低さもドル売りの要因となっている。メキシコ国境に壁の建設を命じたまでは勢いもあったが、イスラム圏数カ国からの入国禁止措置は司法に止められて機能せず、人事も遅れ、予算も一部しか提示されず、医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案は採決撤退に追い込まれた。

特にオバマケア代替法案の失敗は、上下両院とも共和党が過半数を握っていてもトランプ大統領の政策がすんなり通るものではないことを強く印象付け、税制改革などの公約に対する懸念にもつながっている。改めてオバマケア代替法案に関する審議が進んでいるとの報道もあるが、税制改革やインフラ投資などを含めトランプ政権の政策が思惑通りに進むことは難しいようだ。

ただ、リパトリ減税などいくつかの政策については実現する可能性が高いとみており、100点とはいかなくとも60点程度の景気刺激策は結実するのではないか。

景気刺激策で一定の成果が示されれば、保護主義姿勢はやや後退する可能性もある。3月23日にオバマケア代替法案の採決を見送ってから2週間後のシリアへのミサイル攻撃や3週間後の「ドルは強すぎる」発言は、内政の失態を地政学や保護主義にすり替えることで取り繕おうとしている感が強い。

トランプ大統領は選挙期間中、大統領になったら初日に中国を為替操作国に認定すると発言し、FRBの低金利政策を批判、イエレンFRB議長には(決め台詞の)「You’re fired」と言い渡すとしていたが、直近、中国を操作国には認定しないとし、低金利政策が好きで、イエレン議長を尊敬していると発言している。

経常赤字国でファイナンスを対内証券(米国債)投資で賄っている米国にとってドルの安定は極めて重要であることをどこかで認識すれば、発言もコロッと変わるかもしれない。

<105円手前で底打ちか、年末115円超の予想堅持>

トランプ政権の政策に関しては夏休み前の7月頃が次の山場となりそうだ。事実上の予算教書は5月とされるなか、議会が急げばこの頃、予算審議が盛り上がるとみられる。予算がより固まるに従って、出来ることや出来ないことが分かってくるだろう。

また、通商問題にしても、貿易不均衡を調査して90日間で報告書にまとめることを命じた大統領令(3月31日)や、米中首脳会談(4月6―7日)で合意した「100日計画」策定、6月末以降とされるメキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉などが7月頃に重なってくる。

それまではトランプ政権の政策に対しては期待よりも懸念の方が強く、ドル円相場にとっては上値抑制要因となるだろう。前述の地政学リスクや結果の出ていないフランス大統領選挙と合わせ、ドル円は5月にかけて下値模索となる可能性が強まっており、筆者も4―6月期の想定レートを105―115円に引き下げた。

ただ、1)2019年に向けた中長期的なFRBの利上げ姿勢、2)トランプ政権の一部景気刺激策が実現に向かうとみられること、3)日銀の緩和姿勢継続、4)欧州の選挙が無難な結果となり地政学リスクによる円買いは長続きしないこと、などを前提に引き続き年末にかけては115円を上回る展開をメインシナリオとしている。

18日の日米経済対話や23日のフランス大統領選挙(第1回投票)などを控え、ドル円は17日東京時間昼現在1ドル=108.10円近辺まで下落している。この水準は、日銀短観3月調査における大企業製造業の想定為替レート108.43円や、1年間の平均値である52週移動平均線108.30円近辺を下回る。テクニカル的にはこの水準を明確に下抜けると、心理的節目105.00近辺まで下落するリスクが出てくる。

ちなみに、昨年11月8日の米大統領選挙日のニューヨーク終値は105.15円、FRBが利上げに踏み切った12月14日の終値は117.05円、同3月15日の終値は113.39円だ。105.00円まで下落すると、これまでの2回の利上げ実施と今後の利上げ期待(FRBは2019年まで年3回ペースで利上げ実施を想定)、トランプ政権の景気刺激策への期待はきれいさっぱり吹き飛ぶことになる。

それだけフランス大統領選や地政学リスクに対する懸念が強いのかもしれないが、個人的には違和感が拭えない。105円に至る前に底打ちとなる展開を想定している。

*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

(編集:麻生祐司)

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 経団連会長、世界的緊張「戦後最も現実的なリスク起こっている」
2017/4/17 16:00
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 経団連の榊原定征会長は17日午後の記者会見で、北朝鮮など世界で緊張が高まっていることついて「(日本にとって)戦後何十年の中で最も現実的なリスクが起こっていると言える」と話した。その上で「国会では最悪な場合を想定し危機対応して欲しいが、平和的解決を優先するという形で臨んで欲しい」とした。経済界としての取り組みについては「どう発信するかこれから考えていきたい」とした。

 18〜19日に開かれる麻生太郎副総理兼財務相とペンス米副大統領による日米経済対話の初会合については「両国の経済関係強化のためのプラットフォームが作られれば」と期待した。

 17日の東京外国為替市場で1ドル=108円台前半まで円高・ドル安が進んだことについては「地政学的な緊張の高まりによるもので、世界経済のファンダメンタルが変わったわけではない」との見解を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HKI_X10C17A4000000/

 

 
Business | 2017年 04月 17日 16:22 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

景気の足取り「よりしっかり」、イールドカーブ形成は円滑=日銀総裁

[東京 17日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は17日、都内で開かれた信託大会であいさつし、世界経済が好転する中で、日本の景気の足取りは「よりしっかりしたものになってきている」と語った。現行の長短金利操作政策のもとで、イールドカーブは円滑に形成されている、との認識も示した。

総裁は世界経済について、昨年前半の「新興国経済の減速や国際金融市場の不安定化」という状況から、後半以降、「世界経済の潮目は変わりつつある」とし、「先進国・新興国双方において、製造業や貿易面の改善が明確になっており、グローバルに成長モメンタムの高まりがみられている」と述べた。

世界経済が好転に向かう中で、日本の景気も足取りがよりしっかりとしてきている、との認識を示した。

足元の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)は前年比上昇率がゼロ%程度で低迷しているが、先行きは「マクロ的な需給バランスが改善し、中長期的な予想物価上昇率も高まるにつれて、2%に向けて上昇率を高めていく」と語った。

物価2%目標に向けたモメンタムも「維持されている」ものの、「なお力強さに欠けており、引き続き注意深く点検していく必要がある」と指摘。物価2%に「なお距離がある」中で、目標の早期実現には「現在の金融市場調節方針のもとで、強力な金融緩和を推進していくことが適切」との見解を示した。

昨年9月に導入した長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)政策のもとで、日本のイールドカーブは「金融市場調節方針と整合的な形で円滑に形成されている」と語った。

(伊藤純夫 編集:吉瀬邦彦)
http://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKBN17J0FH


 


日銀総裁「2%物価安定に向け強力な緩和を推進」 信託大会であいさつ
2017/4/17 15:54
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 日銀の黒田東彦総裁は17日、都内で開かれた信託大会であいさつし、「2%の物価安定目標まではなお距離があり、(長短金利操作による)強力な金融緩和の推進が適切だ」と述べた。世界経済の成長力の高まりが国内景気の改善につながっているものの、物価上昇力が弱含んでいる中で緩和継続の必要性を強調した。

 黒田総裁は海外需要の高まりを受けて、輸出・生産の持ち直しや設備投資の拡大が進んでいると指摘。4年連続のベースアップが実現する見通しを受けて「雇用・所得環境も着実な改善を続け、個人消費も持ち直している」と説明した。

 国内景気の回復により物価面では「マクロ的な需給バランスが改善し、長期的な予想物価上昇率も高まり、2%に向けて物価上昇率を高めていく」と述べた。一方で足元の物価は「2%の物価安定のモメンタム(勢い)は維持されているものの、なお力強さに欠けている。注意深く点検する必要がある」との見方を示した。

 黒田総裁は信託業界に対して、資産管理機能やリスク遮断機能などの特性を上げつつ、「教育資金贈与信託や、結婚・子育て支援信託など世代間の財産移転につながるサービスの普及も進めている」と評価した。また預金中心だった家計の金融資産において、株式などのリスク性資産の比重が高まっていることから「信託業には家計の資産の運用の多様化に大きな役割を担ってほしい」と期待感を示した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HJS_X10C17A4000000/

 


麻生金融相「責任持って運用できる信託商品の開発を」 信託大会
2017/4/17 16:18
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 麻生太郎金融相は17日、都内で開かれた信託大会であいさつし「責任を持って運用できる信託商品を開発していってほしい」と話した。1800兆円ともいわれる個人の金融資産の半分以上を現預金が占める中で、リスク性資産への投資拡大など金融市場を活発化するための信託業界の重要性を強調した。

 麻生金融相は「低金利の中で(利息の少ない)預金やタンス預金が増えているのは信託業界がだらしないからだ」と指摘。信託銀行を通じて個人資産が金融市場で活用される仕組み作りへの期待感を示した。また「先進国で最も政権が安定している日本(の金融市場)には海外勢も注目している」として今後の競争激化の可能性も示唆した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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三菱UFJ信託、信金中金傘下の信託銀を買収 (2016/10/31 2:02) [有料会員限定]

信託銀70歳 どこへ向かう (2016/10/24付) [有料会員限定]

信託銀70歳どこへ向かう 金融庁が兼営に疑念 (2016/10/24 0:40) [有料会員限定]
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HKS_X10C17A4000000/


日米貿易の歴史、摩擦と妥協繰り返す 18日から経済対話
2017/4/17 16:16日本経済新聞 電子版
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 麻生太郎副総理とペンス米副大統領が出席する日米経済対話が18日から始まる。トランプ米大統領が対日貿易赤字を問題視するなか、自動車や農産物などの取り扱いが注目されている。過去をみると、日米は自動車や半導体などで摩擦と妥協を繰り返してきた。財務省の貿易統計をもとに日米貿易の歴史を振り返る。

 ■対米黒字の過去最高は9.4兆円

 電子データでさかのぼれる1970年以降の日本の対米貿易黒字の推移をみると、大…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HA1_X10C17A4000000/


高齢者「多過ぎる薬」で副作用…防止へ指針策定

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2017年4月17日 15時20分 読売新聞
 高齢者に多くの種類の薬が処方され、副作用で体調が悪化するケースが少なくないことから、厚生労働省は、薬の処方を適正化するためのガイドライン(指針)を策定する方針を固めた。

 医療ビッグデータを活用して全国規模で実態を分析し、副作用を招きやすい危ない薬の飲み合わせなどを調べる。17日夕、有識者検討会の初会合を開く。

 高齢者は薬を分解する機能が低下しており、副作用が出やすい。複数の持病を抱えることが多く、薬の種類が増えがちだ。高齢者が6種類以上の薬を併用すると、一層副作用が出やすくなり、転倒などを招く恐れが高まるというデータがある。医療機関からは副作用が原因で入院した高齢患者の報告が相次いでいるが、実態は明らかではない。
http://news.livedoor.com/article/detail/12947029/


 

タワマン節税・爆買い一服…「億ション」販売3割減
16年度
2017/4/17 14:18日本経済新聞 電子版
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 首都圏のマンション市況が振るわない。不動産経済研究所(東京・新宿)が17日発表した2016年度の首都圏の新築マンション発売戸数は、前年度比4%減の3万6450戸だった。価格高騰に付いてこれなくなった一般層向けのマンションが減速しているだけでなく、富裕層向けの「億ション」も伸び悩みが鮮明だ。これまで高額物件市場を支えていた3つの要因が剥げ落ち、けん引役が不在となっている。

■「節税」「爆買い」効果が…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HLP_X10C17A4000000/

3月首都圏マンション発売戸数26.6%増 16年度は24年ぶり低水準
2017/4/17 14:07
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 不動産経済研究所(東京・新宿)が17日発表したマンション市場動向調査によると、3月の首都圏の新規発売戸数は前年同月比26.6%増の3408戸だった。2カ月連続で前年実績を上回った。販売対象となる物件が増えた。同時に発表した2016年度(16年4月〜17年3月)の首都圏の発売戸数は同4.4%減の3万6450戸で、1992年度(2万8460戸)以来24年ぶりの低水準だった。工事費上昇を背景にした販売価格の高止まりが響いた。近畿圏の発売戸数も1万8359戸と0.1%減少し、92年度以来の低水準となった。

 3月の首都圏新規発売戸数を地区別で見ると、東京都区部、東京都下、神奈川県、千葉県が増加し、埼玉県が減少した。東京都区部は1369戸と10.8%増加した。4月の発売戸数は2500戸前後を見込む。

 一方、消費者が購入した割合を示す月間契約率は1.4ポイント低下の66.2%だった。即日完売となるような大型物件が少なく、好不調の目安とされる70%を下回った。1戸あたりの平均価格は5588万円と0.9%(50万円)下落した。

 3月の近畿圏の発売戸数は1575戸と26.5%減少した。2カ月連続で前年実績を下回った。契約戸数は1155戸で、月間契約率は73.3%だった。4月の発売戸数は1300戸前後の見通し。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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首都圏マンション発売戸数、5月14.1%減 同月で24年ぶり低水準 (2016/6/16 13:42)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HFZ_X10C17A4000000/


 
高さ390メートル、日本一の高層ビル計画始動 三菱地所
2017/4/17 13:23
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 三菱地所が東京駅北側の常盤橋街区で計画している高さ約390メートルに及ぶ日本一の高層ビルの建設プロジェクトが始動した。17日、計画する4棟の建物のうち、下水ポンプ所などを備えた最初の1棟の新築工事が着工した。東京都が東京駅周辺を世界的な金融集積地域とする構想を掲げる中、その一翼を担うと期待されている同プロジェクトの10年に及ぶ再開発計画が本格的に始まった。

三菱地所が東京駅前に建設を計画する超高層ビル完成イメージ
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三菱地所が東京駅前に建設を計画する超高層ビル完成イメージ
 今回着工したのは4棟あるうち、下水ポンプ所や事務所などを備えたD棟。地上9階、地下3階建てで延べ床面積は約3万平方メートル。2021年12月の完成を目指す。

 三菱地所の平井幹人常盤橋開発部長はD棟について「東京の国際競争力の強化、都市を支える重要なインフラの更新という2つの意義がある」と話す。D棟の下水ポンプ所は、64年から稼働している東京都下水道局の同ポンプ所を更新する意味もある。下水ポンプの機能を維持しながら建設を進める難工事となる。D棟の完成後は下水道局が所有し、地上階は同局などの事務所となる。

 同プロジェクトは東京駅周辺では最大となる敷地面積3.1ヘクタールに及ぶ大規模な再開発案件だ。18年1月には事務所や店舗を備えた高さ約230メートルのA棟、変電所などを備えた地下4階建てのC棟が着工。高さ約390メートルのB棟の着工は23年度、全面開業は27年度を予定している。東京駅とは地下でつながり、雨にぬれずに移動ができる予定。平井氏は「行政手続きは順調だ」と話す。

 英民間機関が発表する国際金融センター指数の最新の調査によると、東京は5位にとどまっている。ロンドンやニューヨークに加えて、香港やシンガポールにも後れをとっているのが現状だ。東京都は東京駅のある大手町・丸の内一帯から東京証券取引所がある兜町周辺を金融やビジネスの交流拠点とする「東京国際金融センター」構想を掲げるなかで、同プロジェクトはその一翼を担うと期待されている。

 三菱地所は常盤橋街区の下層部について、国際金融センターとしてのビジネス交流施設、高層部は展望機能の導入を検討するなど観光施設として発信する方針だ。一方で全面開業を予定する27年度はリニア中央新幹線の品川〜名古屋間の完成が見込まれ、東京の中心軸は南へのシフトも見込まれる。東京駅周辺の引力を放ち続けられるか、常盤橋街区プロジェクトの成功がそのカギを握る。

(加藤宏一)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HH6_X10C17A4000000/

 

 

日経平均大引け 小反発、19円高 円高一服、売買代金は今年最低
2017/4/17 15:14
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 17日の東京株式市場で日経平均株価は5営業日ぶりに小反発し、前週末比19円63銭(0.11%)高の1万8355円26銭で終えた。外国為替市場で円高・ドル安進行が一服したため、投資家心理の悪化にいったん歯止めがかかった。内需関連株に押し目買いが入り、相場を支えた。

 東証1部の売買代金は概算で1兆6337億円(速報ベース)と今年に入って最低。2016年12月28日以来の低水準だった。イースター(復活祭)休暇で欧州や香港市場が休場となり、市場に参加する外国人投資家が少なく売買は低調だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLAS3LTSEC1_X10C17A4000000/

http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/176.html

[国際19] [FT]印ATM再び紙幣不足、現金社会脱却に壁 世界最大の豚肉加工会社、移植部門新設 米中10年国債利回り格差7カ月ぶり
[FT]印ATM再び紙幣不足、現金社会脱却に壁
2017/4/17 15:06日本経済新聞 電子版
Financial Times
 インドのATMで再び現金が枯渇している。モディ印首相が大半の紙幣を突然廃止してから5カ月がたつが、インド準備銀行(中央銀行)は通貨を流通させる努力を怠っているとの非難がわき起こっている。

 政府関係者は高額紙幣の廃止後、現金供給は通常の状態に戻ったと繰り返し主張している。取引額の半分以上で紙幣が使われる同国は、紙幣廃止後に深刻な流動性危機に陥った。

インドでの紙幣流通量は廃止前の3分の2にとどまっている(昨年11月、ハイデラバード)=AP

 だが、今月に入りムンバイやバンガロール、チェンナイ、プネのATMが現金不足に陥ると、アナリストらは、準備銀は紙幣発行のペースを緩めるのが早過ぎたと指摘した。紙幣流通量は現在、廃止前の水準の3分の2にとどまっている。

 クレディ・スイスのリサーチアナリスト、アシシュ・グプタ氏は「政府は経済における現金の量を減らしたがっている」とした上で、「政府は新たな均衡では(現金比率を)引き下げたいと望んでいる」と話す。

 また、紙幣に「希少価値」が生じる可能性があることから「ため込む傾向が強まっている」と指摘した。

 紙幣廃止は、腐敗や「ブラックマネー」の摘発を目的とするだけでなく、国民の半分しか銀行口座を持たない同国をデジタル決済社会に移行させる取り組みでもあるとうたわれていた。だが、紙幣廃止はかえってこの目的を脅かしているかもしれない。

 アンビット・キャピタルのシニアエコノミスト、リティカ・マンカー氏は「現金を手に入りにくくすることで、必ずしもデジタル取引を拡大できない」とした上で、「これでは経済活動を窒息させるだろう。その大半が非公式経済だからだ」と指摘した。

 同氏はまた、インドでは大部分が現金ベースである非公式経済が雇用で70%、国内総生産(GDP)では40%を占めると述べた。

 インド準備銀行のある関係者によると、4つの造幣所の職員は24時間体制で2000ルピー札と500ルピー札を印刷している。

 準備銀のデータでは1月以降、流通通貨の量が最低時の8兆9000億ルピー(約15兆円)から2月17日には11兆3000億ルピーへと安定して増えている。だが、これは昨年11月8日の高額紙幣廃止以前の量の3分の2に満たない。

 通貨供給量の増加ペースは今年に入り減速した。1月13日までの1週間は5.9%だった増加のペースは、2月24日までの1週間には2.8%に低下した。準備銀はコメントの要請に応じなかった。

■紙幣をため込む銀行

 マンカー氏は、現金が不均衡に分配されているため、このデータは現実を反映していないと指摘する。

 同氏は「インド準備銀行は基本的な情報を公開しようという信念のない中銀のように振る舞っており、これは良くない」とした上で、「国全体の紙幣再流通の道筋を国民に示すべきだ」と述べた。

 ATMの管理業者によると、銀行は紙幣をより広く分配しないで、自らの顧客用にため込んでいる。

 同国で4万台以上のATMを管理するFSSのリテールサービス部門長、V.バラスブラマニアン氏は「供給は十分に増えていない」とした上で、「引き出し制限があったが、3月に制限が解除されるやいなや人々はより多くの現金を引き出し始めた」と述べた。

 同国の現金管理業者の業界団体「キャッシュ・ロジスティクス・アソシエーション」によると、ATMの稼働率は処理能力の65%という。

 同国最大のATM管理業者であるCMSは「現金に回帰する人がかなり増えており、結局また現金不足に陥っている」と述べた。

By Aliya Ram

(2017年4月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H2E_X10C17A4000000/

 


世界最大の豚肉加工会社、移植向け部門新設−「人間と著しい類似」
Mario Parker
2017年4月17日 16:22 JST
豚肉加工で世界最大手の米スミスフィールド・フーズは、豚の部位の残った部分を使って移植のための組織や器官を育て、人間の命を救うことに役立てる考えだ。
  中国の万洲国際(WHグループ)が傘下に置くスミスフィールドは、食肉処理時に生じるそうした部分を医薬品業界などで利用してもらうため、「スミスフィールド・バイオサイエンス」部門を設立したと12日に発表した。既に消化不良や甲状腺機能低下症などを治療するための医薬品開発を目指す企業に販売を行っている。
  バイオサイエンス・グループのコートニー・スタントン副社長は、DNAなど「豚と人間の間には著しい類似性がある」と電子メールで説明した。
原題:World’s Largest Pig Producer to Look at Human Organ Transplants(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJK956JTSE801

 

米中10年国債利回り格差、7カ月ぶり大きさ−中国GDP統計上振れ
Bloomberg News
2017年4月17日 16:39 JST

スプレッドは120bpと昨年9月以来の大きさ
人民銀は引き締めバイアス継続、元相場下支えへ−徳邦証の章国U氏

中国の10年物国債利回りは17日に上昇。米国債が値上がりする一方で、1−3月(第1四半期)の国内総生産(GDP)など中国経済指標が軒並み市場予想を上回った。
  指標の中国10年債利回りは上海時間午後2時4分(日本時間同3時4分)現在、4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し3.41%。中国10年債の米国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は120bpと昨年9月以来の大きさになった。
  徳邦証券の章国Uアナリスト(上海在勤)は、「直近の経済データが市場予想を上回り、中国債券市場が今後も圧力にさらされても驚きはない」と指摘。「成長モメンタムを踏まえると、中国人民銀行(中央銀行)は引き締めバイアスを継続し、いかなる緩和策も控える見通しだ。つまり、越境資金を呼び込む効果があり、人民元相場を下支えすることになるだろう」と述べた。
原題:China-U.S. Yield Gap at Widest in Seven Months on GDP Momentum(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJM1E6KLVR401
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/154.html

[経世済民121] 都心で大規模ビル竣工ラッシュ、20年までに45棟−景気拡大期待で計画 長期金利ゼロ再接近、円高リスク日銀オペ減額しづらい
都心で大規模ビル竣工ラッシュ、20年までに45棟−景気拡大期待で計画
桑子かつ代
2017年4月17日 15:54 JST

丸の内、虎ノ門などで30−40階建てビル、ホテルオークラが竣工予定
都心3区以外ではテナント獲得競争激化も−アナリスト

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i_3pUZdFuMZM/v1/-1x-1.png

東京都心で高層ビルが相次いで完成する。2018ー20年に都心3区で45棟の大規模ビルが竣工予定で、新規のオフィス用貸し付け面積は前3年間に比べて5割近い増加となる見通しだ。
  オフィス仲介や調査を行う三幸エステートの調査によると、都心3区(千代田区、中央区、港区)に予定される大規模ビル(1フロア200坪以上)のオフィス用貸し付け面積は約54万坪となる見込み。15ー17年は約37万坪だった。千代田区丸の内の東京商工会議所ビルや港区虎ノ門のホテルオークラ東京本館の建て替えなど30−40階建て前後の高層ビルが含まれている。
  今関豊和チーフアナリストは18ー20年に大規模ビルが続々と完成する理由について、安倍晋三政権の経済政策、アベノミクスが示された「13年ごろに景気拡大への期待でデベロッパーが相次いで打ち出したビル建設計画が完成するタイミングだ」と指摘。さらに、超低金利も建設計画を支えていると語った。

  新築ビルの完成計画がオフィスビル市況に与える影響について、みずほ証券の石沢卓志上級研究員は「立地が良い都心3区に集中しているため、それ以外のエリアではテナント獲得競争が厳しくなる可能性がある」と指摘する。
  森ビルの調査では、大規模ビルの都心3区への供給割合は11ー15年は61%だったが、16ー18年は75%程度に上昇する見通し。石沢氏は「東京五輪を控えて、五輪関連に携わるテナントの需要も見込まれる」と語った。また、ビル建設には建て替えも含まれるため「18ー20年で見込まれるオフィス床部分の純増分は4割以下」と分析している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJ4816JTSEA01

 


 
長期金利がゼロ%再接近、円高リスクで日銀オペ減額しづらいとの見方
三浦和美
2017年4月17日 08:07 JST 更新日時 2017年4月17日 15:52 JST

トランプ米大統領 Bloomberg
月末にかけては金利上昇要因が見当たらない−バークレイズ証
新発10年債利回り0.005%に低下、超長期債利回りは軒並み低下

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iT_UToXjNAYY/v2/-1x-1.png

債券相場は上昇。長期金利は再びゼロ%に接近した。北朝鮮情勢を巡る地政学的リスクを背景に円高圧力が強まる中、日本銀行がこの日の国債買い入れオペの減額を見送ったことから買いが優勢となった。
  17日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値と横ばいの0.01%で取引を開始。午後には0.5ベーシスポイント(bp)低い0.005%と、13日に付けた昨年11月以来の低水準まで買われた。
  超長期債も堅調。20年物の160回債利回りは1.5bp低い0.545%と、新発債として昨年12月以来の水準まで低下した。30年物54回債利回りは一時2.5bp低い0.735%、40年物の9回債利回りは2bp低下の0.94%と、ともに新発債で1月以来の低水準を付けた。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、「10年債利回りのターゲットがもともとゼロ%程度、プラス金利では目くじらを立てるような水準ではないと日銀が解釈している可能性が高いことに加え、円高リスクが高まる中で買い入れ減額はやりづらい」と指摘。「北朝鮮のヘッドラインリスクもまだ分からず、今週末はフランスの大統領選挙が予定されているため、月末にかけては金利上上昇要因が見当たらない」と述べた。
  長期国債先物市場で中心限月6月物は前週末比8銭高の151円17銭で取引を開始し、一時151円21銭と、先週末の夜間取引で付けた昨年11月以来の高値まで水準を切り上げた。その後は4銭安の151円05銭まで伸び悩む場面も見られたが、結局6銭高の151円15銭で引けた。  

米金利低下


  北朝鮮は16日朝、何らかの弾道ミサイルを発射したものの、直後に爆発した。ミサイル発射が失敗に終わったことで、米国が直ちに対抗措置を取るリスクは後退したが、トランプ政権は金正恩体制に対処する計画を変えていない。
  ホワイトハウスの考え方に詳しい関係者2人によれば、トランプ大統領は北朝鮮による相次ぐかく乱的な行動に対抗するため、奇襲攻撃を含む「動的な」軍事行動を検討する用意があると言う。
  米10年債利回りはこの日の時間外取引で一時2.2%を割り込み、昨年11月以来の水準まで低下。東京外国為替市場では、ドル・円相場が一時1ドル=108円13銭と、昨年11月以来の水準まで円高が進んだ。
日銀オペ
  日銀はこの日、残存期間「5年超10年以下」の国債買い入れを実施。買い入れ額は4500億円程度と、前回から据え置かれた。応札倍率は3.22倍と、前回の4.1倍から低下した。また、変動利付国債も前回と同額の1000億円だった。
過去の日銀オペの結果はこちらをご覧ください。
  バークレイズ証の押久保氏は、「長期金利が万一マイナスに潜ってしまったら、前回マイナス圏だった時の5−10年買い入れ額4100億円が目安になる」と指摘。「もともと4500億円への買い入れ額引き上げ自体が大きく金利上昇したことへの対応で、4100億円は平常運転に戻すイメージに近い」とみる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-16/OOIY9R6S972801

 


円が全面高、地政学リスクを警戒−対ドルは5カ月ぶり高値更新
池田 祐美
2017年4月17日 12:46 JST 更新日時 2017年4月17日 16:31 JST

円とドル Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
一時108円13銭と、昨年11月15日以来のドル安・円高水準
北朝鮮、何か動きが出てきた時に円が買われやすい−JPモルガン

17日の東京外国為替市場では、円が全面高。北朝鮮情勢など地政学リスクに対する警戒感から円買い圧力が根強く残った。対ドルでは、昨年11月15日以来の高値を更新した。
  午後4時10分現在の円は前週末比で主要16通貨全てに対して上昇。ドル・円は1ドル=108円34銭前後で推移している。朝方からドル売り・円買いが優勢となり、一時は108円13銭まで円買いが進んだ。地政学リスクへの警戒感に加え、前週末に発表された米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、米金利が低下したことなどがドルの重しとなった。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.3%低下の1218.27。
  ソニーフィナンシャルホールディングス金融市場調査部の石川久美子為替アナリストは、北朝鮮、シリア、アフガニスタンなどの地政学リスクが不透明な中で、「ドルを積極的に買えない」と指摘。「戻りがあっても自律反発の範囲内。基調的にはもう少し下の水準を試すと思う。108円を割れるのは時間の問題」との見方を示した。

16日の北朝鮮によるミサイル発射失敗に関する記事はこちらをクリックしてください
トランプ政権の北朝鮮に対する対処計画についての記事はこちらをクリックしてください
 
  JPモルガン・チェースの佐々木融市場調査本部長は、「北朝鮮に関すると今後どうなるか分からない。市場は非常に神経質になるだろうから、次に何か動きが出てきた時に円が買われやすい。良くても何もないまま緊張状態が続くので、円ショート(売り建て)に振りにくい材料」と指摘。「日米10年金利差との相関が続いた場合、米10年金利が2.1%くらいまで落ちるとドル・円は107円前半まで落ちる計算」とも語った。
  米10年債利回りは、この日のアジア時間の取引で一時、前週末比4ベーシスポイント(bp)低下の2.1966%と2.2%を割り込み、昨年11月17日以来の低水準を付けた。

  米労働省が14日に発表した3月のCPIは前月比0.3%低下となり、2016年2月以来の低下に転じた。市場は前月比変わらずを見込んでいた。食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.1%低下と、10年1月以来の低下に転じた。米商務省が同日発表した3月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.2%減少となり、2カ月連続で減少した。

  米財務省は14日に公表した外国為替報告書で、中国を為替操作国として認定することを見送った。「監視リスト」には、前回と同じく中国と韓国、日本、台湾、ドイツ、スイスの6カ国・地域が掲載された。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「為替報告書は、中国について北朝鮮問題対応とバーターで為替操作国認定しないという形。全体を見ても監視リストは変わらず、オバマ前政権のころから現状維持だ。トランプ政権に入って、内容が変わるのではないかという観測は肩すかし」になったと指摘。ただ、「為替操作国認定の条件が変わっていない中で、中国が1項目しか抵触していないのに監視リスト入りしていることに示されるように対米貿易黒字がウエートとして大きい」と分析した。

  中国がこの日発表した1−3月期国内総生産(GDP)は前年比6.9%増加となり、昨年10−12月期(同6.8%増加)から伸びが加速。3月の小売売上高は前年比10.9%増加(2月は10.9%増加)、工業生産は同7.6%増加(2月は6.0%増加)となり、いずれも市場予想を上回った。中国統計が良好だったことを背景に、豪ドルは対米ドルで堅調に推移している。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)外国為替部の村田雅志通貨ストラテジストは、「中国の経済指標は強い数字で良い結果だと思う。生産が加速しており、むしろ良過ぎるぐらい。中国経済は安定しているとの評価」と説明。「豪ドル・米ドルは少し反応したが限定的だった。ドル・円は、地政学的リスクとトランプ政権対応の先行き不透明感の高まりを嫌気している。中国景気の安定はドル・円のサポート材料だが、あまり影響していない。ペンス米副大統領の発言も中国指標の効果を中立化させたと思う」と述べた。

  韓国訪問中のペンス米副大統領は17日、北朝鮮との軍事境界線近くの国連軍基地・非武装地帯(DMZ)を視察。北朝鮮に関して、記者団に対し、中国支援の公算がある初期兆候に勇気を得るとしながらも、トランプ政権は「すべての選択肢をテーブルに乗せている」と発言した。同副大統領は18日に来日し、麻生副総理兼財務相と経済対話を行うほか、安倍首相を表敬訪問する予定。

  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、「日米経済対話で為替について言及されるかどうかは警戒されそう」と指摘。「何もなければ、もう少しショートカバーで109円半ばくらいまではありそう。ただ、フランス大統領選の第1回投票を控え、地政学リスクも残っている中で、そこら辺までではないか」と見込んでいる。
  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.1%高の1ユーロ=1.0625ドルで推移している。ユーロ・円相場は、0.2%安の1ユーロ=115円13銭。一時114円85銭と昨年11月9日以来のユーロ安・円高水準を付けた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJ2CO6S972801


 


日本株5日ぶり反発、過度な地政学リスク後退−売買代金はことし最低
 
  東京株式相場は5営業日ぶりに反発。北朝鮮を巡る過度な地政学リスクへの警戒が後退したほか、複数のテクニカル指標が売られ過ぎを示唆し、見直しの動きが優勢となった。電力や食料品、陸運などディフェンシブ業種、不動産や小売株など内需セクターが高い。
  ただ、為替の円高に対する懸念が根強いほか、米国経済統計の低調もあり、輸送用機器など輸出株、非鉄金属など素材株、銀行株は軟調。海外投資家を中心に積極的に取引する向きも少なく、東証1部の売買代金はことし最低を更新した。
  TOPIXの終値は前週末比6.62ポイント(0.5%)高の1465.69、日経平均株価は19円63銭(0.1%)高の1万8355円26銭。
  第一生命保険の岩渕康哉株式部長は、「不透明感が取り除かれれば、日本株は上昇とみている投資家は多い。世界的にファンダメンタルズは堅調。国内企業業績への期待も根強く、為替が現水準を維持できれば、今期2桁増益の見通しはまだ保てる」と指摘。地政学リスクはなお根強いものの、「それほどボラティリティは上がっていない。下落を想定して積極的にヘッジしていないということだ」と話した。
東証1部の売買高は14億5429万株、売買代金は1兆6337億円とことし最低だった2月21日の1兆6540億円を下回った
上昇銘柄数は1395、下落は511
  東証1部33業種は電気・ガス、不動産、その他製品、食料品、サービス、小売、陸運、医薬品など22業種が上昇。輸送用機器や非鉄金属、銀行、石油・石炭製品、鉄鋼、機械など11業種は下落。売買代金上位では新作ゲームが好調なグリーは大幅高。任天堂や三井不動産、ペプチドリーム、DOWAホールディングスも上げ、業績計画を上方修正したローツェは急騰。半面、ソフトバンクグループやSUMCO、ミネベアミツミ、石川製作所は安い。
 
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJDC96JTSES01
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/179.html

[政治・選挙・NHK224] 山本地方創生相「いちばんのがんは学芸員」発言 きょう撤回 陳謝 「連中は観光マインドが全くない」学芸員から批判の声相次
山本地方創生相「いちばんのがんは学芸員」発言 きょう撤回 陳謝
4月17日 11時34分
山本地方創生担当大臣は16日の講演で、外国人旅行者に対する文化財の観光案内が不十分だと指摘したうえで、「いちばんのがんは学芸員で、一掃しなければならない」などと述べたことについて、発言は適切でなかったとして撤回し陳謝しました。
山本地方創生担当大臣は16日に大津市で行った講演で、外国人旅行者に対する文化財の観光案内が不十分だと指摘したうえで、「いちばんのがんは学芸員という人たちだ。この連中を一掃しなければならない」などと述べ、博物館や美術館で調査研究や展示などにあたる学芸員を批判しました。

これについて山本大臣は17日、東京都内で記者団に対し、「これからは文化が非常に大きな観光資源となるので、学芸員の方々も観光マインドをぜひ持ってもらいたいという趣旨で申し上げた」と述べました。

そのうえで山本大臣は、「『一掃しなければならない』という発言は適切ではなく反省しており、撤回しておわびしたい。菅官房長官にも『大変申し訳ありませんでした』と申し上げた。全力を挙げて地方創生、規制改革などに頑張っていきたい」と述べました。
首相「撤回と聞いている」
安倍総理大臣は衆議院決算行政監視委員会で、山本地方創生担当大臣の発言に対する見解を問われたのに対し、「本件については、山本大臣が、けさ謝罪し、撤回したと聞いている」と述べました。
官房長官「閣僚は責任を持って発言を」
菅官房長官は午前の記者会見で、「山本大臣は、文化財は保護するだけでなく、観光立国という観点からも文化財を地域資源として活用していくことが重要で、学芸員の方々にも、より観光マインドを持って頂きたいという趣旨で発言したと理解している」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は、「朝、山本大臣から連絡があり、『全員クビにしろ』というのは言いすぎであり、撤回して謝罪したいという電話があり、私からもしっかり行うようにと話した」と述べました。

また菅官房長官は、記者団が、閣僚が不適切な発言をし撤回する事態が続いていることについて質問したのに対し、「閣僚は、常に閣僚としての責任を持って発言をしてほしい」と述べました。
民進 野田幹事長「極めて非常識な発言」
民進党の野田幹事長は記者会見で、「山本大臣は陳謝したようだが、学芸員を大変おとしめる発言だ。非常に問題が多く、極めて非常識な発言だと受け止めており、厳しく反省を求めなければいけない。閣僚の問題発言が続出しているが、安倍政権は、ただただ守ろうという姿勢が目立っている。異様で異常な発言が続いているので、委員会などでも厳しく追及したい」と述べました。
民進 小川参院会長「問題大臣の一掃を」
民進党の小川敏夫参議院議員会長は党の参議院議員総会で、「ひどい発言だ。自分たちがやりたいことについて、反対する人は消えろということであって、政権の姿勢をしっかりと表しているのではないか。こうした問題大臣の一掃を目指して、力を合わせて頑張りたい」と述べました。
共産 小池書記局長「誤解の余地のない暴言」
共産党の小池書記局長は記者会見で、「学芸員という職種に対する誤解の余地のない暴言であり、撤回すれば済む問題ではない。また、がん患者に対しても全く思慮に欠ける発言であり、一掃すべきはこういう大臣だ。大臣の職にとどまることは許されず、国会の場で追及していきたい」と述べました。
関連ニュース
「学芸員はがん」発言に学芸員から批判の声相次ぐ4月17日 18時40分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170417/k10010951011000.html

 

 

2017.4.17 14:47
【山本幸三担当相の発言要旨】
「一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ。連中は観光マインドが全くない」


衆院決算行政監視委員会に出席した山本幸三地方創生担当相=17日午後、国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影)
 「中国や東南アジアの爆買い的な観光はもう終わり、質が変わってくる。文化や伝統、歴史をしっかりと理解してもらうような観光が本物で、一番長続きする。

 文化財の説明をきちんと説明できるかどうかが勝負。二条城では過去、全く英語の案内表記がなく、何の歴史的な説明もなかった。イギリス人が抗議し、今はがらっと変わり、ガイドも付くようになった。

 日本ではいったん国の重要文化財に指定されると、火も水も使えない。花も生けるのも駄目、お茶もできないというばかげたことが当然のように行われており、一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ。

 この連中は普通の観光マインドが全くない。プロの自分たちが分かればいい、他の人たちは分からないだろうから来なくてもいいよ、というのがだいたいだ。この連中を一掃しなければ駄目だ。

 大英博物館はロンドン五輪後に大改造したが、一番反対したのが学芸員たちで、全部首にして入れ替えた」
http://www.sankei.com/politics/news/170417/plt1704170022-n1.html


 


「一番のがんは文化学芸員」 山本地方創生相が発言

2017年4月17日 朝刊


写真
 山本幸三地方創生担当相は十六日、大津市のホテルで地方創生に関するセミナーに出席し、外国人観光客らに文化財などの説明、案内が不十分として「一番のがんは文化学芸員。この連中を一掃しないと駄目」などと発言した。学芸員やがん患者らに対して不快感を与えかねない発言。不適切だとして野党側が追及するのは必至だ。
 セミナーの質疑応答で、観光振興について問われ、山本氏は「文化や歴史を理解してもらう観光が最も長続きする。文化財をきちんと説明できるかが勝負」と回答した。
 その上で、外国人に十分な説明ができていないと指摘。大英博物館も学芸員を辞めさせて成功したとして批判した。
 山本氏は終了後、報道陣に「二条城(京都市)でも当時の生活を再現しようとしたら学芸員が反対した。彼らだけの文化財にしてしまっては資源が生きない」と指摘。「『一掃』は言い過ぎたが、文化財はプロだけのものではない。学芸員も観光マインドを持ってほしい」と釈明した。
 山本氏は衆院福岡10区選出で当選七回。
 学芸員は、博物館法に定められた専門職員。資料の保管や展示、調査研究などを行う。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017041702000119.html


 

 

「学芸員はがん」発言に学芸員から批判の声相次ぐ
4月17日 18時40分
外国人旅行者に対する文化財の観光案内が不十分だという説明の中で、「いちばんのがんは学芸員という人たちだ。この連中を一掃しなければならない」などとした山本地方創生担当大臣の16日の発言。学芸員の間では批判や反発の声が上がっています。
全国およそ1200の博物館が加盟する日本博物館協会の専務理事で、みずからも学芸員の資格を持つ半田昌之さんは「学芸員をがんに例えた言葉の使い方を含めショッキングなコメントだった。全国の博物館関係者からも正しい理解の上に立った発言ではないという多くの声が寄せられた」と話していました。

そのうえで「学芸員には観光マインドがない」とする大臣の発言に対しては「学芸員は繊細な文化財を保存して後世に伝えていくという責務を果たす一方で、一般社会にいかにわかりやすく伝えるかという重要な使命を担っている。学芸員も文化財の保存と活用というはざまのなかで日々、努力している」と反論しました。
学芸員は法律で義務づけられた存在
そもそも学芸員は専門的職員として博物館や美術館に置くことが法律で義務づけられた存在です。その役割は文化財などの収集や保管、展示、それに調査研究などと定められていて、学芸員の国家資格を得るには大学で資料保存論や展示論の単位を取得するなど専門的な知識が必要です。

最新の国の調査では、平成27年度、全国で7800人余りが博物館や美術館、動物園などで働いているということです。

今回の山本大臣の発言を受けて文部科学省は「国際的にも学芸員は人類や地域にとって大切な資料を取り扱い、人々に新しい知識を普及し創造する重要な仕事だとされている。これを機に多くの人に理解してもらいたい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170417/k10010951591000.html?utm_int=detail_contents_news-related-manual_001

 


大臣の発言を記録したもの
文脈の確認にご利用ください。「がん」発言そのものがないぞ、とのご指摘をいただいたので、追加しました。

EssenceSci @Essence_sci 2017-04-17 21:37:48
「がん」発言の動画/大臣「学芸員の連中一掃しないと」発言撤回|MBS 関西のニュース mbs.jp/news/kansai/20…
毎日新聞映像グループ @eizo_desk 2017-04-16 22:18:51
山本幸三地方創生担当相は大津市での講演後、観光やインバウンド(訪日外国人)による地方創生に関する質疑で、「一番のがんは文化学芸員だ。観光マインドが全く無く、一掃しないとだめだ」と述べました。(賢)フルバージョンは→goo.gl/xEAGHL pic.twitter.com/LNm3YsHYfY

0:00

森瀬 繚@『古典ゲーム名鑑』連載中 @Molice 2017-04-16 22:33:12
これか。「大英博物館の中の壁を取っ払って、真ん中に人が集まるところをつくって、そこからいろんな部門に行くというように全部やり替えました。そのときに一番抵抗したのが学芸員でありまして(略)観光マインドがない学芸員は全部首にしたという」 kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangii…
大英博物館の改修の真偽は?
Kajiya Kenji 加治屋健司 @kenji_kajiya 2017-04-16 23:15:26
「大英博物館の中の壁を取っ払って、真ん中に人が集まるところをつくって、そこからいろんな部門に行くというように全部やり替えました」というのは、ノーマン・フォスターによるグレート・コートのことだと思うのですが、これは、オリンピック開催決定の4年前の2001年に完成しています。 twitter.com/kmzwhrs/status…

Kajiya Kenji 加治屋健司 @kenji_kajiya 2017-04-16 23:20:20
この大改装が行われたのは、1997年までそこにあった大英図書館がセントパンクラスの新館に移ったからで、オリンピックのためではないですよね。
全員クビにした事実はあったのか?
加治屋健司さんが調べられました。

Kajiya Kenji 加治屋健司 @kenji_kajiya 2017-04-16 23:43:49
「観光マインドがない学芸員は全部首にした」事実があったかは分かりません。ロンドンオリンピックの文化プログラムを含むイギリスの文化政策については研究が進んでいるので、明日調べてみます。
中島 智 @nakashima001 2017-04-17 19:16:12
大英博物館で「観光マインドがない学芸員は全部首」は本当にあったのか?
東京大学の加治屋健司(@kenji_kajiya)准教授による検証
mobile.twitter.com/i/moments/8537…
アトキンソン氏発言との関連性を指摘する情報
ただし、大臣が意味を取り違えているとの指摘も

トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 20:56:36
さてはこの大臣半可にデービッド・アトキンソンの著作を読んだな。逆に学芸員の力なくば観光振興も何もないのに。 twitter.com/nilvadipine/st…

トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:03:15
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170416-…

この記事で、「学芸員はがん」、「学芸員だけの文化財ではない」、「観光マインドを持って観光客に説明することを理解してもらわないと困る」と述べた山本大臣の考えは、ほぼ間違いなく大臣のオリジナルではない。(連続します。1/10)
トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:05:02
この山本大臣の発言は、デービッド・アトキンソン氏の考えをベースとしたものであろう。
氏の経歴については略すが、氏は「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議ワーキンググループ」において有識者として出席し、恐らく下記のような意見を述べている。2/10 pic.twitter.com/7PLQduTJOJ
拡大
トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:05:42
また、氏の著作『新・観光立国論』には、以下のような見出しが並ぶ。

もっと文化財を活用すべき
もっと「稼ぐ」ことを意識せよ
「稼ぐ文化財」というスタイル
(外国の有名博物館が改装した際に抵抗した学芸員を全員クビにしたという記述はない)。 3/10
トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:06:20
デービッド・アトキンソン氏は文化財で金儲けを考える人か。『新・観光立国論』には以下のような見出しもある。

文化財には説明と展示が不可欠
ガイドの重要性
ガイドの有料化
問題は発信力でなく文化財の魅力

つまり、文化財の魅力を伝えることこそが稼ぐ力になると述べている。4/10
トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:06:49
更には、

「「神社仏閣という歴史的資産」をしっかりと整備すること。つまり、文化財を整備する」
「なぜそこに建てたのか、なぜそのような形になったのかということをわかりやすく、かつ面白く来館者に説明する」
「「説明」が必要だが、外国人向けの「説明」がされていない」など。 5/10
トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:07:51
これによれば、氏は、文化財を活かすにはその文化財の詳細かつ丁寧な説明、現状の貧弱な保存状況を解消する整備、空っぽの部屋だけでなく、中に納める展示物、伝統芸能の充実もまた求めている。 これらは学芸員の知識をフルに活かすことが求められる仕事であり、観光マインドは必要ない。
6/10
トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:08:25
これではデービッド・アトキンソン氏の最終的な主張と山本大臣の発言はまるで逆である。山本大臣が別の手段から、またはまったく独自にこのアイデアを思いついた可能性はあるが、会議の有識者として呼ばれたデービッド・アトキンソン氏の影響を受けていないはずはない。 7/10
トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:09:51
なぜこうなったか。ひとつ思い当たるのは明日の日本を支える観光ビジョン構想会議(以下会議)と山本幸三氏の大臣就任のそれぞれの日付である。山本大臣の就任は2016年8月、2回行われた会議の第2回開催日は2016年3月。大臣はどちらの会議にも出席していない。 8/10 pic.twitter.com/x3ckJgpRih
拡大
トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:10:51
会議の概要は以下の通り。これでは、説明、展示、整備の充実については学びようがない。この議事録、人伝えに聞いた話から、山本大臣は活用を保存より重視すべきと考えるようになったのではないか。学芸員をクビにした外国の博物館についてはどこから情報を得たのか不明だが。

9/10 pic.twitter.com/yTfS3xBI4w
拡大
トリオンファン @lefantask950212 2017-04-16 23:12:25
ここまで事情を推し測っても、主張を完全に逆の意味に取ることは山本大臣の信じがたいエラーである。例え不勉強なだけであっても、アトキンソン氏による以下のプレゼンテーションの意味を学芸員がガンであると見誤ることはあり得ない。山本大臣には自らの不見識への一定の責任がある。以上 10/10 pic.twitter.com/OGDN4G8KwB
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発言を受けての反応
akita_komachi @antiMulti 2017-04-16 23:21:23
1949年に法隆寺金堂が火災になり壁画が失われたことをきっかけに、文化財保護法が出来た。
こういうごく基本的なことは、山本幸三地方創生大臣だって流石に知ってるよな。
丹菊逸治 @itangiku 2017-04-16 23:23:47
文化財指定を受けた建物で火を使うことはある。だが、それには大変な手間がかかる。予算を増額しないでたんに一律に火気を解禁すれば大変なことになるだろう。火が使えないのは人手かノウハウか予算がないからだろう。対策は学芸員を変えることではなく、人手かノウハウか予算をつけることである。
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https://togetter.com/li/1101440

http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/315.html

[国際19] 仏大統領選決選投票、マクロン氏64%でルペン氏に勝利=世論調査 
仏大統領選決選投票、マクロン氏64%でルペン氏に勝利=世論調査
 4月17日、調査会社オピニオンウェイが公表したフランス大統領選に関する世論調査によると、中道系独立候補のマクロン前経済相(写真)と極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が決選投票に進んだ場合、マクロン氏が64%を獲得し、ルペン氏の36%を上回ると予想されている。写真はグルノーブル近郊で撮影(2017年 ロイター/Robert Pratta)
 4月17日、調査会社オピニオンウェイが公表したフランス大統領選に関する世論調査によると、中道系独立候補のマクロン前経済相(写真)と極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が決選投票に進んだ場合、マクロン氏が64%を獲得し、ルペン氏の36%を上回ると予想されている。写真はグルノーブル近郊で撮影(2017年 ロイター/Robert Pratta)
[17日 ロイター] - 調査会社オピニオンウェイが公表したフランス大統領選に関する最新の世論調査によると、第1回投票の支持率は、中道系独立候補のマクロン前経済相が22%(前回調査と変わらず)、極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が22%(1ポイント低下)、右派候補のフィヨン氏が21%(1ポイント上昇)、急進左派のメランション氏が18%(1ポイント上昇)となった。

マクロン氏とルペン氏が決選投票に進んだ場合、マクロン氏が64%を獲得し、ルペン氏の36%を上回ると予想されている。

フィヨン氏とルペン氏の決選投票となった場合は、フィヨン氏が60%の支持を得てルペン氏(40%)に勝利するとみられている。
http://jp.reuters.com/article/france-macron-poll-idJPKBN17J0W4
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/160.html

[戦争b20] 北朝鮮、ミサイル技術誇示 軍事パレードで複数の新型 北朝鮮、中国を無視「中国立場変わらず」 米韓、北に強硬THAAD再確

北朝鮮、ミサイル技術誇示 軍事パレードで複数の新型
2017/4/17 20:21
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 【ソウル=鈴木壮太郎】故金日成主席の生誕105年記念日の15日に北朝鮮が平壌で実施した大規模な軍事パレードで、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる装備が複数登場したことがわかった。パレード用につくった模型との見方もあるが、ミサイル技術の誇示に重点を置き、圧力を強める米国をけん制する意図は明らかだ。

 韓国の保守系最大紙、朝鮮日報は17日付朝刊で3種の新型弾道ミサイルが公開されたと報じた。中央日報も同日付で、新型2種、改良型1種が初めて登場したと伝えた。

 1つ目は、16輪の移動式ミサイル発射台に搭載された全長20〜22メートルの弾道ミサイルだ。韓国メディアは「ロシアのICBM『トポルM』に類似している」とする韓国軍関係者の分析を紹介する。

 2つ目は全長18メートルのタイプだ。軍関係者は最大射程が7000キロメートルと、米太平洋軍が司令部を置くハワイを攻撃できる能力があると分析している。3つ目は、存在が確認済みの「KN08」の改良型だ。移動式の発射台に搭載され、「実戦配備が近いのではないか」との見方も出ている。

 技術的には、液体燃料から固体燃料への転換が進んでいる可能性が高いとみられている。液体燃料は発射前に燃料を充填する作業が必要だが、固体燃料はその必要がなく即応力が高いとされる。

 兵器の国産化が進んでいるとの見方もある。朝鮮日報はKN08改良型を搭載した移動式発射台が、すでに実戦配備されている中距離弾道ミサイル「ムスダン」と同型だと指摘した。KN08の移動式発車台は中国からの密輸品だったが、中国の制裁強化で入手できない可能性を考慮し、他国の技術への依存度を下げようとしているとの分析だ。

 ただ、パレードに登場したミサイルがすべて本物なのかは確認できていない。梁茂進(ヤン・ムジン)慶南大教授は「実物なのか、パレードを演出するための実態のないミサイルなのか、確認はできない」と語る。

 今回の軍事パレードに中国高官の出席は確認されなかった。中国外務省は17日の記者会見で高官派遣について問われても「中朝は友好の伝統を維持している」と述べるにとどめ、回答を避けた。前回の2015年10月の軍事パレードでは中国共産党序列5位の劉雲山・政治局常務委員が金正恩(キム・ジョンウン)委員長の隣で観覧した。

 対応の差は、北朝鮮に対する不満の現れとの見方が多い。北朝鮮は中国の反対を無視して核実験とミサイル発射を継続。米国が中国に圧力をかける事態を招いており、高官を派遣できる状況にないとの判断だ。韓国の統一研究院の申鍾浩(シン・ジョンホ)国際戦略研究室長は「トランプ大統領が米中首脳会談で習近平主席に中国の役割を強く求めたことが影響した」と分析する。

 一方で、中国は米朝双方に対話を呼びかけており、中国共産党系のニュースサイトには14日時点で、武大偉・朝鮮半島問題特別代表が15日から訪朝する予定との報道があった。中朝双方とも公式な確認を避けており、韓国メディアには「北朝鮮が入国を拒否した」との見方も浮上している。

 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H7E_X10C17A4FF2000/

 

平壌市内は「平穏な週末」 弾道ミサイル発射の16日
2017/4/17 20:24
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 北朝鮮が弾道ミサイルを発射した16日も平壌市民は外国メディアに対し「ミサイルのことは知らない」と話し、平穏な週末の行楽を楽しむ様子を公開した。経済発展をアピールする狙いがうかがえる。

 北朝鮮は故金日成主席生誕105年の記念日に合わせて外国メディアを招待。祝賀ムードの中、家族連れでいっぱいになった屋内プールや動物園の様子を公開した。AP通信によると、金日成氏をたたえて名付けられた花が咲き誇る「金日成花」の祭りでは、スマートフォンで記念写真を撮る人の姿が多くみられた。

 家族と行楽を楽しんでいた高齢の女性は取材に「私たちは金正恩(キム・ジョンウン)委員長がいる限り勝利する。恐れることは何もない」と語ったという。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H56_X10C17A4FF2000/


 


 

北朝鮮の核・ミサイル「中国の立場変わらず」 駐米大使
2017/4/17 20:17
中国 北朝鮮
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 【北京=永井央紀】中国の崔天凱駐米大使は17日までに、習近平国家主席とトランプ米大統領の7時間超に及ぶ6、7日の会談のうち半分以上は通訳だけを介した一対一の協議だったと明らかにした。その上で北朝鮮の核・ミサイル問題に関し「中国は関心を深めているが、中国の立場に何らかの重大な変化があったとは思わない」とした。

 崔氏が国営中央テレビの国際番組で語った内容を中国外務省がホームページに載せた。崔氏は米中会談で北朝鮮問題が最も切迫した外交問題だったと指摘。中国が最重視するのは「中国自身の国家安全の利益だ」とし、平和的方法や対話で解決しなければならないと従来の立場を繰り返した。

 米国が対中貿易赤字削減に向けて期待する「100日計画」は、中国側が提案したものだとも明らかにした。年内に予定するトランプ氏の訪中前に一定の成果を目指すとしつつ、「計画が百日であれ、あるいは1年とか2年であれ、中米双方の努力が必要だ」と強調。中国側は一方的に譲歩はしないとけん制した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H7L_X10C17A4FF2000/

 


 


北朝鮮、中国外交官の会談要請に返答せず=通信社 
[17日 ロイター] - ブルームバーグは17日、北朝鮮が今月、外相を含む中国の上級外交官による会談の要請に返答しなかったと報じた。

関係筋の話として伝えられたところによると、中国の武大偉・朝鮮半島問題特別代表の会談要請にも返答はなかったという。

中国外務省は報道について現時点でコメントを控えている。

同省は前週、武代表が北朝鮮を訪問するかどうかについて公表する情報はないと2度表明していた。
http://jp.reuters.com/article/northkorea-usa-china-diplomat-idJPKBN17J0QQ
 


 
韓国大統領代行と米副大統領、北朝鮮に強硬姿勢 THAAD計画確認

[ソウル 17日 ロイター] - 韓国の黄教安・大統領代行とペンス米副大統領は17日会談し、北朝鮮による一段のミサイル発射や核実験を容認しないとの姿勢を強調した。

会談後の記者会見では、韓国に米軍の新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)を配備する計画を進めることを確認。配備に反発する中国が韓国に対し報復的な行動をとっていることについて遺憾の意を示した。

ペンス米副大統領は現在、アジア歴訪中で、韓国は最初の訪問国。

ペンス米副大統領は共同記者会見で、北朝鮮はトランプ米大統領の行動と意思に留意すべきと警告。「世界はこの2週間に、シリアやアフガニスタンでとった行動を通じて、トランプ米大統領の強さと決意を目の当たりにした。北朝鮮は、トランプ大統領の決意や、この地域における米軍の強さを試すようなことはしないほうが賢明だ」などと語った。

<「戦略的忍耐」は終わり>

ペンス米副大統領はきょう会談に先立ち、南北の軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)付近の米軍基地を訪問。副大統領は、米国の北朝鮮に対する「戦略的忍耐」の時代は終わったと強調。米国は韓国との「鉄の同盟関係」を支持し、力を通じた平和を模索する姿勢を示した。

米副大統領は「この国の人々の安定を確保するため、あらゆる選択肢を検討する」とした上で「戦略的忍耐の時代は終わった」と述べた。

米副大統領は、中国が北朝鮮の「政策変更に必要な行動をとる」ことをトランプ大統領は望んでいるが「中国が問題に対処しないのであれば、米国と同盟国が対処するとの意思を鮮明にしている」と説明した。


 
http://jp.reuters.com/article/south-korea-us-pence-idJPKBN17J0LM
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/172.html

[経世済民121] 経団連会長「円相場、安定を期待」一時5カ月ぶり円高  中国新築住宅18%増1兆 大和系プレ金で1万円 シンガ輸出5カ月連
経団連会長「円相場、安定を期待」 一時5カ月ぶり円高
2017/4/17 19:16
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 経団連の榊原定征会長は17日の記者会見で、円相場が一時、1ドル=108円台前半と5カ月ぶりの円高水準に上昇したことに関して「経済界として安定的な推移を期待したい」と強調した。世界経済の先行きは「ファンダメンタルズが変わったわけではない」と指摘し、緩やかな回復が続いているとの見方を示した。

 18日に麻生太郎副総理とペンス米副大統領が参加する日米経済対話は「両国の経済関係強化に向けたプラットフォーム的な役割を期待する」と語った。榊原氏は19日に予定するペンス副大統領と日本の経済界の会合で「同盟関係を基盤に経済面でより強靱(きょうじん)な関係を構築したい」と訴える見通しだ。

 緊迫する朝鮮情勢については「戦後何十年の中で最も現実的なリスクが起こっているといえる」として警戒感を示した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H34_X10C17A4EE8000/

 


中国:3月の新築住宅販売、18%増の1兆元−規制前の駆け込み需要
Bloomberg News
2017年4月17日 12:37 JST

3月は少なくとも64都市が新規規制もしくは規制強化を発表
3月の不動産開発投資、前年同月比9.4%増−ブルームバーグ算出

中国の新築住宅販売は3月も大きく伸びた。住宅購入に対する規制強化を控えた駆け込み需要が見られた。
  中国国家統計局が17日発表した統計を基にブルームバーグが算出した3月の新築住宅販売額は前年同月比18%増の1兆元(約15兆7200億円)。1−2月は前年同期比23%増だった。
  3月は少なくとも64都市が新規の不動産購入規制もしくは規制強化を発表した。
  ブルームバーグの計算によると、3月の不動産開発投資は前年同月比9.4%増。1−2月は前年同期比8.9%増だった。
原題:China Home Sales Surged 18% in March Ahead of Stepped-Up Curbs(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJASA6JIJUO01

 

シンガポール輸出額、5カ月連続増 3月16.5%
2017/4/17 19:19
シンガポール
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 【シンガポール=菊池友美】シンガポール国際企業庁は17日、3月の輸出額(石油を除く)が前年同月比で16.5%増と、5カ月連続で伸びたと発表した。2月の増加率(21.1%)からは減速したが、中国や台湾など主な輸出先10カ国・地域すべてで輸出額が増えた。中国の景気減速などで停滞していた需要が上向き、シンガポールに景気回復の兆しが出ている。

 ICや電化製品、機械類などの輸出が好調だった。国・地域別の輸出額伸び率では、中国向けが45.5%増と最大で、台湾(32.5%)、香港(17.4%)も伸びた。自国市場が小さく貿易への依存度が高いシンガポールでは、中国など周辺国の景気動向が自国経済に影響する。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H8E_X10C17A4FF2000/


 大和ハウス系、お小遣い付きプレ金 休暇取得で1万円
2017/4/17 19:46
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 大和ハウス工業は17日、賃貸管理子会社で「お小遣い付きプレミアムフライデー」を導入すると発表した。6月と11月の第3金曜日を終日休んだ従業員に1日1万円の手当を支給する。平日休暇を取りやすくし、効率的な働き方につなげる。

 大和リビングマネジメント(東京・江東)の従業員約1840人が対象。繁忙期の2月と3月、9月を除く各月の第3金曜日を「プレミアムデー」とし、終業時間を午後3時に設定。6月と11月については終日休暇を取れば1万円を支給する。

 大和リビングマネジメントでは水曜日と日曜日が定休日の社員が多い。その場合は火曜日をプレミアムデーとし、同様に年2回手当を支給する。

 大和ハウスは政府が推奨するプレミアムフライデーを当初から積極的に導入。偶数月の最終金曜日の午後を実質的に休みとし、有給休暇の対象とするなど独自の対策に取り組んできた。グループ会社でも導入を進めている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HWU_X10C17A4TJC000/
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/184.html

[中国11] 嫁に家を奪われる!? 中国421社会の衝撃 中国高齢者介護ビジネスの現状と日本企業の展開 中国経済新聞に学ぶ〜中国介護ビ
2017年4月17日(月)放送
“嫁”に家を奪われる!? 中国421社会の衝撃

中国が「一人っ子政策」を見直して1年余。30年以上続いた政策は、高齢化を加速させた。高齢者人口は世界最多の2.2億人。2050年には5億人に迫る。中国の人口構成を象徴する言葉が「421社会」(1人の子ども、2人の夫婦、4人の老人)。都市部では、孤独に暮らす高齢者が増え、子が老人世代の財産を奪うトラブルも急増。一方、中国政府は、高齢者市場を開拓することで、内需拡大を狙う。高齢者向けマンションと高度な医療施設などを併設した特区や、介護施設や商業施設を誘致した新たな都市を建設。日本企業も続々と進出している。急速に進む高齢化のリスクとチャンスに迫る。

出演者
興梠一郎さん(神田外語大学 教授)
于洋さん(城西大学 教授)
武田真一・鎌倉千秋(キャスター)
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3961/index.html

 
一人っ子政策で世界一の高齢社会となった中国。
都市では、高齢者の財産を子が奪うトラブルが急増。
シルバー市場開拓のため新都市作りも進む。一人っ子政策の光と影に迫る。
【ゲスト】神田外語大学教授…興梠一郎,城西大学教授…于洋,
【キャスター】武田真一,鎌倉千秋
http://nhk2.2ch.net/test/read.cgi/livenhk/1492424610/


 


中国高齢者介護ビジネスの現状と日本企業の展開
 [本書のポイント]
 この1冊で、中国の高齢化対策の現状と日本企業の中国進出・展開戦略がわかります。
 ◆ 高齢者介護の現状がわかります。
  ✓ 高齢化のキーワードは 「未富先老」 「空巣老人」 「421」
 ◆ 政府の高齢者政策と取り組みがわかります。
  ✓ 高齢者政策のキーワードは 「三無老人」 「9073」
 ◆ 参入企業・参入予定企業の動向がわかります。
  ✓ 中国の参入企業個票を掲載
  ✓ 日本からの参入企業個票を掲載

市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニング(本社:東京都文京区 梅田佳夫社長、以下シード・プランニング)は、このほど、「2013年版 中国高齢者介護ビジネスの現状と日本企業の展開」を発刊いたしましたのでお知らせします。

現在、急速に高齢化が進む中国において、高齢者養老施設の建設や在宅養老サービスの展開、介護用品、福祉機器の製造・販売など「養老産業」といわれる高齢者介護に関連するビジネスが急速に拡大しています。
このような養老産業市場に向け、中国ですでに一部の養老事業を行っている企業や、他業種から参入を検討している企業、日本を含めた外国企業が中国の養老産業市場への参入を狙っています。

世界で最も高齢化が進んでいる日本で、高齢者介護ビジネスにかかわっている企業にとっては、日本で培った経験やノウハウを活用した事業展開を行うことができることから、中国市場は非常に大きなチャンスが存在する市場といえます。一方で中国養老サービス市場へ進出している日本企業は少なく、現在、現地で養老サービスを展開している企業も現地の文化や風土、法律制度などの違いに苦労しています。

本書は、中国における高齢化の動向や政策動向、中国や他国の介護事業を行っている企業の動向などをまとめるとともに、中国の養老施設、および、日本から中国へと進出している企業へヒアリングを行い、中国の介護サービスの現状をまとめました。

本書のポイント、掲載内容、調査概要は以下の通りです。

本書のポイント
この1冊で、中国の高齢化対策の現状と日本企業の中国進出・展開戦略がわかります。
◆ 高齢者介護の現状がわかります。
  ✓ 高齢化のキーワードは 「未富先老」 「空巣老人」 「421」

◆ 政府の高齢者政策と取り組みがわかります。
  ✓ 高齢者政策のキーワードは 「三無老人」 「9073」

◆ 参入企業・参入予定企業の動向がわかります。
  ✓ 中国の参入企業個票を掲載
  ✓ 日本からの参入企業個票を掲載

◆ 高齢者介護の現状がわかります。
 ✓ 高齢化のキーワードは 「未富先老」 「空巣老人」 「421」

中国の高齢化の特徴(他国にはない特殊性)は以下の3つのキーワードに集約されます

未富先老
豊かになる前に老いるという意味。中国は今までの先進国と異なり発展途上の段階で高齢化社会へと突入することとなった初めての国となる。高齢者は老後の蓄えが十分ではなく、若年層には高齢者を養えるほどの経済的余裕はない。

空巣老人
子供が仕事(出稼ぎ)や独立、死亡などでいなくなり、高齢者夫婦のみで生活する家庭や、高齢者が独りで生活している家庭のこと。2010年に発表された全国都市・農村失能老年人状況研究によると、空巣老人は全国で49.3%、都市部で54.0%、農村部で45.6%を占めている。

421
現在の中国の一般的な家庭構成で、2人の夫婦が4人の親(老人)と1人の子供を養う状況であることをいう。中国では家族が責任を持って両親の面倒をみるという伝統があったが、一人っ子政策の影響により家庭構成人数が減少したため、高齢者の面倒をみることが難しくなってきている。

◆ 政府の高齢者政策と取り組みがわかります。
  ✓ 高齢者政策のキーワードは 「三無老人」 「9073」

中国政府の高齢者政策は以下の3つのキーワードに集約されます。

三無老人
身寄り(扶養親族)がいない、収入がない、労働能力がない(働くことができない)高齢者のことをいう。今までの中国における高齢者政策は主に三無老人などを対象とした公的扶助の色合いが強いものであった。

9073
中国政府が養老サービス体系を構築するにあたり目標としている方針。90%の高齢者を自宅で介護し、7%の高齢者を社区のサービスによって介護し、3%の高齢者を施設で介護するという方針。なお、サービス提供の割合は全国一律ではなく、地域によって異なる場合もある。

◆ 参入企業・参入予定企業の動向がわかります。
  ✓ 中国の参入企業個票を掲載
  ✓ 日本からの参入企業個票を掲載

以下の企業の個票を掲載しました。

[中国企業]
・ 上海市第三社会福利院 (Shanghai No.3 Elderly Home)
・ 北京太陽城集団
・ 聯衆休閑産業集団有限公司
・ 親和源股份有限公司
・ 上海海陽老年事業発展服務中心
・ 青松老年看護服務(北京)有限公司

[他国の企業]
・ 広州市紅昇僑頤養老院
・ 宜康愛生雅(上海)健康管理有限公司
・ Right at Home社

[日本企業]
・ 株式会社ウイズネット
・ 株式会社リエイ
・ 株式会社エス・エム・エス
・ 株式会社コミュニティネット
・ フランスベッドホールディングス株式会社
・ 株式会社日立システムズ
・ ロングライフホールディング株式会社
・ 株式会社ニチイケアネット
・ 株式会社三貴工業所
・ 株式会社松永製作所
・ 日進医療器株式会社
・ パラマウントベッドホールディングス株式会社
・ ユニ・チャーム株式会社

調査概要
• 調査対象
✓ 中国の養老施設、養老サービス企業、介護用品・福祉機器企業
✓ すでに中国に進出している日本の介護サービス企業、福祉用具企業
• 調査方法
✓ 対象企業へのヒアリング
✓ オープンデータ整理

• 調査項目
<中国養老施設ヒアリング調査>
事業内容/施設規模/入居価格/入居者属性/職員数・介護関連有資格者数/ハード面の特長  /ソフト面の特長/運営面について/サービス面について/人材面について/外部交流について/高齢者数/今後の問題/日本の介護サービス企業について/日本の福祉用具企業について

<中国進出企業個別ヒアリング調査>
事業内容/サービスの特長/経営指標/ターゲット・価格設定/動機/検討開始時期・行動開始時期/事前の現地調査方法について/現地法人の経営形態/提携先の発見・選択方法/提携時に重視した(すべき)条件/経営陣の日本人・中国人割合/設立時の出資金按分方法/経営参画度合い/参入障壁/政府(自治体)との関わり・制約/中国の介護レベル・印象について/ケアについて日本と同様に求められていること/ケアについて日本と変えていること/使用する福祉用具について/競合について/事業拡大の予定/中国進出のメリット/中国でのリスクとその対策/ 今後の収益予測/他事業体の進出は可能か

• 調査期間
2013年1月〜2013年7月

本書の概要
• レポート名
2013年版 中国高齢者介護ビジネスの現状と日本企業の展開
• 発刊日
2013年8月1日
• 体 裁
A4 /213ページ
• 販売価格
95,000円+消費税
• 発 行
株式会社シード・プランニング
• 掲載内容
第1章 総括
  T.中国の高齢者政策と養老サービス関連市場のポイント
  U.ヒアリングによる中国介護事業進出に際してのポイント
第2章 中国における高齢者介護の現状
  T.中国における高齢者政策とその取り組み
  U.中国の養老サービスの現状
第3章 介護関連企業の中国進出動向
  T.中国における養老サービス事業の展開
  U.中国における介護用品・福祉機器の展開
第4章 中国養老施設取材個票
  T.ヒアリング個票
  U.オープンデータ個票(中国企業)
第5章 中国進出企業取材個票
  T.ヒアリング個票
  U.オープンデータ個票
第6章 関連資料
  T.統計資料
  U.法令資料
本件に関するお問合せ先
株式会社シード・プランニング
〒113-0034
https://www.seedplanning.co.jp/press/2013/2013082001.html

 

2015年06月29日
• 中国
• 子供
中国の一人っ子政策に「規制緩和」の波? 第2子を許す動き
• rong zhang
「一人っ子政策」が実は変わり始めています 出典: PIXTA 

• ・違反すると重い罰金
• ・「失独老人」100万人超、結婚できない男性
• ・政府にしたがって中絶したのに
 世界一の人口13億人を誇る中国。人が急激に増えすぎるのを防ぐため、長らく「一人っ子政策」が取られてきました。しかし近年、出生率の低下や高齢化を前に、規制緩和の方向に舵を切りつつあります。
違反すると重い罰金
 中国政府が人口をコントロールする「計画生育政策」は1971年から始まります。政府は、夫婦1組で子どもは2人までにすることを推奨しました。しかし、そのスピードでも2000年には12億人を突破するとの試算がなされ、当時のケ小平政権はさらに厳しい政策を打ち出しました。これが1979年に始まった「一人っ子政策」で、1983年に全面実施されました。

 一人っ子政策に違反して妊娠すると、中絶が強要されました。それでも出産した場合は、厳しい罰金が課せられます。中国の著名な映画監督・張芸謀(チャン・イーモウ)氏は2013年、子どもが少なくとも4人いることが明らかになり、罰金748万元(当時の為替で約1億3千万円)が課せられました。

 「一人っ子政策」は憲法に盛り込まれ、守らないと憲法違反とされました。少数民族や、夫婦ともに農村戸籍で第1子が女児の場合など、第2子が許される例外もありましたが、かなり限定的でした。

張芸謀監督
出典: 朝日新聞
「失独老人」100万人超、結婚できない男性たち
 一人っ子政策で急激な人口増加は防げましたが、近年はその弊害が心配されています。若い労働力の減少や超高齢化です。中国では「空巣老人」「失独老人」などと呼ばれるお年寄りが増え続けています。

 「空巣老人」とは、子どもが進学や仕事で実家を出てしまった老夫婦のこと。心理的に不安定になったり、孤独死したりする例が相次ぎ、2013年には「高齢者と別居する家族は、よく帰省して親の面倒を見ること」との法律までできました。

 「空巣老人」より悲惨、とされるのが「失独老人」です。唯一の子どもを事故や病気で失ってしまったお年寄りです。中国老齢科学研究センターによると、2013年の中国の高齢者の数は2億人を超え、空き巣老人は1億人以上、失独老人は100万人以上と推定されています。

 また、男女の不均衡も社会問題になっています。中国では伝統的に男の子をほしがる傾向が強く、一人っ子政策の導入後は、女の子を中絶したり、遺棄したりするケースが相次いでいます。その結果、中国では男児が生まれる確率が女児より2割ほど多くなり、結婚できない男性も増えています。

出典:PIXTA
政府にしたがって中絶したのに
 失独老人のなかには、国家政策に従って第2子を中絶し、孤独と後悔に悩み続ける人もいます。

 今年5月には失独老人たちによる大規模なデモが起きました。遼寧省や浙江省、甘粛省などのお年寄りが集まり、一人っ子政策を推進する政府機関のビルの前に座り込んで「補償金」の増額を求めました。政府はかつて、『一人っ子政策はいいことで、老後は政府が面倒をみる』(“只生一个好,政府来养老”)と宣伝していたため、これを実現させようとの訴えでした。

「文明的な出産で幸福な生活」とうたうスローガン。中国の農村部には「一人っ子政策」を守るように促す看板が目立つ=広東省乳源瑶族自治県、2012年、吉岡桂子撮影
出典: 朝日新聞
第2子を認める政策も
 社会の不満を背景に、政府は一人っ子政策の規制緩和を少しずつ進めてきました。80年代の半ばには、「双独」(夫婦ともに一人っ子)ならば第2子を認めるように。2013年には、夫婦のどちらかが一人っ子であれば第2子を認める「単独二胎」政策が導入されました。

 しかし、中国はすでに低出生率の時代に突入。2013年の統計によると、合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数)は1970年の5.8から2012年の1.5〜1.6に下落。大都市では先進国よりも厳しい出生率に落ち込みました。東京の出生率は1.1%ですが、北京と上海は0.7%です。

 中国の専門家らの間では「第2子の出産を全面的に許可すべき」との声が強まっています。しかし、物価や教育費など子育てのコストが急騰していることから、もし第2子が全面解禁されても、経済発展を大きく促すような人口増は簡単ではない、との指摘もあります。

「計画出産を自覚して実行し、婦人の健康水準を高めよう」と書かれたスローガン=湖南省、2012年、吉岡桂子撮影
出典: 朝日新聞
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http://withnews.jp/article/f0150629001qq000000000000000W0230301qq000012138A 


 


015年06月22日 17:04

o 企業・経済


中国経済新聞に学ぶ〜中国介護ビジネスの現状と将来(前)チャイナビジネス最前線
中国高齢者の生活を理解する3つのキーワード
 急速な少子高齢化が進んでいるのは、日本だけではない。中国では現在、60歳以上の高齢者が1.7億人と、全人口の13%を占める。年間600万人の高齢者が増えていく高齢化のスピードは、むしろ日本よりも速い。
 現代中国の高齢化社会を、俗に「421社会」という。「1人の子どもと2人の夫婦、4人の老人」というのが、典型的な家庭構造だ。夫婦は共働きで子どもは1人っ子、そんな家庭には老人の面倒をみる者がいない、ということを意味する。
 日本のようなサービス重視の介護施設の普及はまだまだ先のこと、ましてや介護保険の制度もない中国で、「自分が年をとったらどうなるのか」と漠とした不安を抱く中国人は少なくない。
 中国の場合はこの問題に加えて、国内の介護保険制度がまだ未整備であり、さらに国の医療体制も都市部と郊外では差が顕著で、日本よりも医療と介護の現状は複雑だ。しかし、だからこそビジネスチャンスが多くあるとも言える。なかでも日本を含めた海外企業にとって、医療機器ビジネスと介護ビジネスは、中国政府によるビジネス環境の整備が進みつつあり、これから急速に市場が拡大すると見られる。
 中国市場に詳しいコンサルタントアドバイザの廣田廣達氏は、「中国の高齢者の生活を理解するキーワードは3つがある」と指摘した。
1.「9073」
 この数字は「90%」「7%」「3%」を表す造語で、政府が政策に力点を置くウェイトでもある。それぞれの意味は、次の通りである。
 90%:「在宅介護」、7%:「社区における介護」、3%:「専門施設における介護」。
 中国政府は、中国人の家族観を大事にするということで、在宅介護をメインに政策を置いている。ただし、高齢者の家族がご子息と何らかの事情で別々の暮らしを余儀なくされた場合、コミュニティで高齢者の面倒を看るというものである。
 「社区」とは、日本的な意味では「自治会」と意訳することができる。ただ、中国では「社区」に存在する病院は、高度な治療ができないために、コミュニティの外にある大きな病院を利用する必要がある。それが専門施設の介護である。
2.「空巣老人」
 この言葉は、高齢者のみが住んでいる家庭のことを指している。
 中国政府はGDP7%成長を維持するために、優先順位を付けているが、誰も面倒を看られなくなった人を何とかせねばと考えている。ご子息が面倒を看られない人や、財政的に苦しい高齢者は、政府が面倒を看る必要がある。そういう高齢者のことを「空巣老人」と呼んでいる。
3.「未富先老」
 これは、中国全体が富を得るまでに、老いてしまうことを指す。
 現在、中国平均でも1人当たりGDPが約7,000ドル。上海市や北京市でも1万5,000ドル。まだ、中所得国の罠から抜け出せていない。それにも関わらず、2014年には、高齢者人口比率(60歳以上)が10%を超えてしまった。急速に高齢者が多く存在する世の中になってしまうのは、想像に難くない。
(つづく)
015年06月23日 15:26

o 企業・経済


中国経済新聞に学ぶ〜中国介護ビジネスの現状と将来(後)チャイナビジネス最前線
中国の介護に関する政府の財政サポート
 日本では、生産年齢人口のピークが1995年頃だったが、人口ピークに達する前に「国民皆保険制度」を導入した。その後、2000年に介護保険制度を導入した。法律の中身は3年ごとの実情に合わせて改正されているものの、これは世界にある意味では誇れる制度と言ってよい。
 米国の国民皆保険制度もあるが、日本と違い、国民に政府や民間の保険の加入を義務付けるもので、日本の国民皆保険制度と根本的に異なる。
 中国は日本の保険制度を見習って、2020年に国民皆保険にする方向で制度設計を始めている。これは、生産労働人口のピークを13年頃に迎えて、その後に制度設計されることを意味する。だが、現段階では、日本は福祉に対する財政の拠出は20%程度存在するが、中国は3%と非常に少ない。
 また、国民皆保険で、現段階の加入者は大都市では90%近くに達している。ただし、この割合は、サラリーマンのみ加入の数字であったり、農民工の数字が入っていなかったり、行政区を超えると、現在加入している保険が使えなかったりと、さまざまな課題がある。
 財政の財布の大きさが小さく、対象に入っていない人が予測以上に多いならば、政府がサポートしてもとても追い付かないのが実情である。
中国で大事にする家族観のつながり
 政府が現在の中国人の家族観を大事にして政策立案することは、とても素晴らしいことである。一方、介護者は自分の子どもが1人っ子政策の世代に突入しつつあるので、介護者自身が万が一子どもの世話になった場合には困ってしまう。それを今の介護者が見越し、自分のご両親の世話をするために、施設に入れる人も増えている。
 施設に入れた人たちは、周りの人や、自分の親に対して、盛んに自分自身は「親孝行」という言葉を発して、親の面倒を看ていることをアピールして、親子のつながりを確認し合っている。中国人の心の温かさをベースとして、中国の介護ビジネスは展開している。
「介護士」、「ヘルパー」の提供するサービスの定義の明確化と専門性
 現在、中国では、介護士の資格取得に対して、中国政府が懸命に指導している。現実的には、家政婦が家の掃除、洗濯や家族の世話のサービスを行っており、実質それらの運用があいまいになっている。もちろん介護士としてすべきことの仕事内容のなかに、一般の人ができる内容も存在している。今後、介護士にはより専門性が求められる可能性が高い。「褥瘡対策」「リハビリテーション」「栄養管理」などがその事例である。
 日本総合研究所の南雲俊一郎氏によると、欧米メジャーの多くは中国市場向け医療機器の開発や製造を中国で行っていて、中国市場にあった製品をつくっている。対照的に、多くの日系メーカーは、日本の型落ち製品を安く販売する傾向にある。
 また一部の欧米メジャーは、中国の農村で一緒に病院を建てたり、地方政府と連携したモデル事業の推進、疾患対策の啓蒙、自社医療機器のトレーニングの提供を、主体的に実施している。
 このように、10年後の利益最大化を狙う欧米企業に対して、日系企業の多くは短期志向で利益を考えている。中長期でビジネスを構築する必要がある中国では、これではなかなか勝負にならない。
(了)

<連絡先>
■(株) アジア通信社
所在地:107-0052 東京都港区赤坂9丁目1番7号
TEL:03-5413-7010
FAX:03-5413-0308
E-mail:china@asiahp.net
URL:http://china-keizai-shinbun.com/
http://www.data-max.co.jp/270622_ck01/
http://www.data-max.co.jp/270623_ck02/



http://www.asyura2.com/17/china11/msg/402.html

[経世済民121] 生産性向上について考える(前編) 不安を感じるミレニアル世代:不確実な世界で安定と機会を求めて  女性社員がイキイキ働く
生産性向上について考える(前編)
14 4月 2017

近年、日本では生産性の向上が注目されている。政府の働き方改革の取り組みを始め、生産性をテーマにした本がヒットし、至る所で生産性を高めようと関心が高まっている。この生産性を高めようという動きは日本のみならず、経済発展とともに生産性を高めてきたアジア新興国でも今後重要なテーマとなりつつある。今回のコラムおよび次回のコラムでは前編と後編に分けて、我々が組織人事の観点からアジア地域の生産性向上をテーマに調査したレポート1の内容をご紹介しつつ生産性向上について考えてみたい。

1 Workforce Analytics Institute(MercerとThe Conference Boardが共同で運営する調査機関), Employing Analytics to Enhance Workplace Productivity, 2016

本レポートは、MercerとThe Conference Boardの共同調査として、アジア地域に拠点がある企業のHR責任者約50名に対して生産性向上に関するアンケート調査およびインタビュー調査を行い、その結果をまとめたものである。

なぜ生産性向上が重要なのか

なぜ、生産性の向上がこれほど重要視されているのか。様々な背景が考えられるが、ビジネスの不確実性が高まっていることが1番の要因であろう。Brexitやトランプ大統領の就任、為替の急激な変動、自動運転やAIといった新技術の登場など企業を取り巻く外部環境は目まぐるしく変化している。その変化に伴い、グローバルな環境でリーダーシップを発揮できる人材、高度なスキルをもったITエンジニアなど、市場での需要が高い人材の賃金水準は年々上がっている。これらの事象はすべて一企業ではコントールできるものではない。では、企業内部でコントールできることは何か?それこそが生産性である。つまり、外部環境の変化の将来予測が不可能な現状において、企業が持続的な成長をしていくためには企業内部でコントールできる要素、すなわち従業員の生産性を向上させることに注目が集まっているということである。

そもそも生産性とは何か

そもそも生産性とは何だろうか。日本生産性本部2によると、生産性は「アウトプット(産出量) / インプット(投入量)」と定義されている。このインプットとアウトプットがくせ者で、インプットは労働者数、労働時間、資本、土地、原料など様々な項目があてはまる。アウトプットも、売上高、営業利益高、付加価値額、生産量、GDPなど様々な項目があてはまる。このように生産性は、幅広い項目の効果・効率性を表す言葉である。したがって、生産性の議論をする時は、何のアウトプットのための、何のインプットについての話をしているのか明確にすることをお勧めしたい。(なお、OECDでも「産出物を生産諸要素の1つによって割った比」と定義しており3、単一の項目はなく、アウトプット / インプットは複数の項目が入り得ることと記載されている)

2 公益社団法人 生産性本部

3 OECD, Glossary of statistic term

生産性は大きく3種類

とはいえ、生産性は大きく3種類に分類することが可能である。1つめは労働生産性、2つめが資本生産性。3つめが全要素生産性である。

1) 労働生産性:
労働生産性は労働者1人もしくは労働者1時間当たりのアウトプット(産出量)を示したものである。一般的に生産性と言われたときはこの労働生産性を指すことが多い。アウトプットはその時の指標によって変わるが、インプットが労働力という意味で、企業単位でみるとどれだけ従業員が効果的に働いているかを見る指標といえる。

● 労働生産性 = アウトプット:売上高、付加価値額など / インプット:労働者数もしくは労働時間

2) 資本生産性:
資本生産性は有形固定資産をインプットとして、資本ストック1単位あたりのアウトプットを示したものである。通常、機械や設備1単位あたりの生産量や、機械や設備の運転時間あたりの生産額で表される。つまり、設備や機械が、どれだけ効果的に生産できているかをみる指標である。資本生産性を知ると、「企業の生産性を上げるためには、労働生産性ではなく資本生産性を上げる方が簡単ではないか」という意見が出そうである。(例えば社員一人ひとりの業務効率を高めるよりも、最新の設備を導入した方が効果的だという考え)確かに一理あるが、経営の観点から言うと、資本生産性を大きく高めるためには相当額の投資が必要であり、可能であれば現在のリソースで生産性を向上させたい。その結果、まずは自社の従業員により多くの価値を出してもらいたいと考える。また、機械 / 設備では競合他社と差がつきにくい業界の場合は特に、競合に勝つためにも従業員の生産性をどう高めるか、と思案を巡らすことになるだろう。

● 資本生産性 = アウトプット:生産量、生産額など / インプット:有形固定資産

3) 全要素生産性:
全要素生産性は、労働生産性や資本生産性のように特定のインプットに対する指標ではなく、全ての要素をインプットとして合算した場合のアウトプットとの関係を示したものである。但し、労働、資本以外の経営効率、技術革新、ブランド価値向上などあらゆる要素をインプットに含むので直接的に計算することは困難である。よって実際は、生産性そのものではなく、生産性の伸び率が算出される。一般的にはGDP成長率が用いられることが多く、GDP成長率から労働と資本の変化による伸び率を引いた差として算出される。これは企業単位では使われることは少なく、国単位の比較で使用されることが多い指標である。

● 資本生産性 = アウトプット:付加価値額、生産量など / インプット:全てのインプット

世界的にみて日本の生産性は低いのか
「世界の中で日本の生産性が低い」とよく言われるが、これは労働生産性の話である。具体的には、労働者1人あたりの付加価値(GDP)に着目した数値で、2014年度の調査ではOECD加盟34か国中、日本の労働生産性は21番目4であった。これを基に日本の生産性が低いと言われているのである。しかしアウトプットの要素が付加価値額(GDP)であることに着目すると、そもそも付加価値額は産業によって大きく異なるので国別の産業特性の影響を大きく受ける。

例えば2014年度OECD加盟国の中で最も労働生産性が高かった国はルクセンブルクだが、詳しく調べるとルクセンブルクは、産業特性的に労働生産性が高くなりやすい金融業や不動産業、鉄鋼業がGDPの半分近く占めていることがわかる。日本は、労働生産性が比較的低いサービス産業に従事する労働者の割合が多いので国際比較では低い結果になりやすい。(ちなみに製造業のみの労働者1人あたりの付加価値(GDP)の労働生産性でみると日本はOECD加盟34か国中11番にあがる。)また、OECDの調査では、インプットの要素である労働者数には国外からの就労者はカウントされない。そのため国外からの就労者が多い国の指標が高くなる傾向があり、国外からの就労者が少ない日本は比較的低い結果となってしまう傾向にある。
4 日本生産性本部, 日本の生産性の動向2015年版
以上のように生産性の言葉の定義は広く、生産性の議論をする際には、インプットとアウトプットに何の項目が使用されているかを理解したうえで進めることが重要であるとご理解いただけたと思う。なお、本コラムで議論する生産性は、最も一般的な定義である労働生産性を意味しており、アジアの各企業が労働生産性を高めるためにはどうすれば良いかを考えていく。

アジア新興国の労働生産性の伸び率は低下し始めた

以下のグラフはアジア地域における従業員1人あたりの付加価値額で算出した労働生産性の伸び率を1999年-2007年の8年間と2008年-2016年の8年間を比較したものである。
グラフ:アジアにおける従業員1人あたりの労働生産性の伸び率

出所:The Conference Board Total Economy Database™, May 2016
(2016年データは予測値ベース)
http://www.mercer.co.jp/content/dam/mercer/assets/content-images/jp-2017-consultant-column-755-01-564x419-chart.jpg

まず、日本の労働生産性の伸び率の低さに目が留まると思う。加えて筆者としては、日本以外の国々の結果にも目を向けたいと思う。インド、インドネシア、フィリピンの3か国を除くと、1999年からの8年間と2008年からの8年間を比較すると、アジア各国の労働生産性の伸び率は低下傾向にあるのだ。一般的には、中国やASEAN諸国は高い経済成長とともに労働生産性も高い伸び率を記録しているというイメージがあるのではないだろうか。しかし、実際は労働生産性の伸び率は低下し始めている。本分析ではその原因まではわからないが、アジア諸国においては機械化・自動化だけで労働生産性を飛躍的に向上させることができた時代が終わりを迎えつつあることを示唆している。

アジア諸国では労働生産性の伸びが低下傾向に入った一方で、賃金水準は上昇し続けている。筆者の感覚では、アジア諸国における概ね過去1年間の各企業の昇給率は、8年間の労働生産性の伸び率と同程度以上である。仮に、労働生産性の低下傾向が今後も続き、賃金水準だけはそれでも上昇し続けた場合、アジア新興国に拠点を持つ企業にとって深刻な問題となることはご理解いただけるだろう。したがって、日本のみならず、経済成長著しいアジア新興国においても、持続的な成長をしていくためには従業員の労働生産性を高めていくことが企業の重要課題と言えるのである。
労働生産性を高めるためにはどうするか

では、従業員一人ひとりの生産性を向上させるためにはどうすれば良いか。本調査では、アジア新興国に拠点を持つ各企業のHR責任者約50名に対してアンケートおよびインタビュー調査を行った。その結果の1つをご紹介したい。
グラフ:自社の労働生産性向上に向けた取り組みをするうえでHR責任者が重要だと考える上位3項目5

出所:The Workforce Analytics Institute, October pulse survey of HR practitioners, 2016
http://www.mercer.co.jp/content/dam/mercer/assets/content-images/jp-2017-consultant-column-755-02-476x133-chart.jpg

HR責任者が労働生産性を高める取り組みをするうえで重要だと思っている上位3項目は、

(1)労働生産性の向上を主導するリーダーシップの強化
(2)従業員のエンゲージメントの強化
(3)テクノロジーの活用

であった。着目すべきは、テクノロジーの活用以上に、労働生産性の向上を主導するリーダーシップの強化と、従業員一人ひとりのエンゲージメントの強化が重要であると、アジア新興国のHR責任者は考えているという結果である。これは先ほど申し上げた、日本はもとよりアジア新興国においても技術導入だけで労働生産性を改善できた時代が終わり、新たな時代を迎えつつあることを感じ取れる結果である。

次回の後編のコラムでは、(1)労働生産性の向上を主導するリーダーシップの強化(2)従業員のエンゲージメントの強化に関して具体的な内容をご紹介したい。
5 自社で労働生産性向上の取り組みをするうえで重要な項目を次の12項目から選んでもらい、その結果として上位3項目をグラフとして記載。具体的な選択肢は以下の12項目:
リーダーシップの強化 / 従業員のエンゲージメントの強化 / テクノロジーの活用 / ターゲットを絞った採用活動 / 社内の人材育成/社内の認知 / 報酬制度の活用 / 説明責任を果たす / 部署間の連携強化 / 人員構成の変更 / フレキシブルな勤務形態の導入 / 福利厚生の充実 / 人材の多様性の拡大 
________________________________________

執筆者: 池淵 慶 (いけぶち けい)
組織・人事変革コンサルティング アソシエイト
http://www.mercer.co.jp/our-thinking/consultant-column/755.html 

 

2017年 デロイト ミレニアル年次調査 日本版 

不安を感じるミレニアル世代:不確実な世界で安定と機会を求めて

• 世界30カ国、約8,000人のミレニアル世代(1982年以降に生まれた世代)を対象として行った調査結果をもとに、「2017年 デロイト ミレニアル年次調査」を発表。グローバルレポートに加えて、日本のミレニアル世代の傾向をまとめたサマリーを付記しています。

世界30カ国、約8,000人のミレニアル世代を対象として行った調査結果をもとに、この世代の会社への帰属意識や価値観について分析しました。このレポートは柔軟な勤務形態と業務の自動化の進展がいかにミレニアル世代の姿勢とパフォーマンスに影響を与えるかを説明しつつ、従業員の目的意識とリテンションとの関係性を改めて示しています。
主な調査結果
• 先進国のミレニアル世代は悲観的であり、一方、新興国のこの世代は楽観的である。これは各グループのミレニアル世代が何に関心を持っているかが大きく影響している。
• 現在の環境下において、ミレニアル世代は一年前よりも、より企業に対する帰属意識が高くなった。不確実性の高い時代で、安定性は魅力的であり、フリーランスや嘱託契約としての仕事の依頼を受け入れないという傾向もある。
• 企業はポジティブに捉えられ、より一層、責任ある行動を取っていると考えられている。しかしミレニアル世代は、企業はまだ社会の大きな課題を軽減する為にその潜在力を十分に活かしていないと考えている。
• 企業は、ミレニアル世代に「社会的大義」に携わる機会を多く提供し、専門知識のある若い世代に自信を持たせながら、一方で企業活動とそれが与える社会への影響の前向きな関係性を強化している。
• 双方の強い信頼関係をもとに、柔軟な勤務形態は引き続き企業への帰属意識を高め、それは企業活動の成果に大きく貢献する。
• 職場環境における業務の自動化は急速に進んでいる。 この状況は、ある者にとっては創造性を働かせたり新しいスキルを身に付けたりする機会になる。またある者にとっては、この自動化は自身の職を脅かすものであり、面白くない職場環境を作り出すことになる。

本レポートは、デロイトのレポートをもとに日本のお客様に向けて作成した抄訳版の資料です。原文と相違がある場合には、原文の記載事項が優先します。

2017年 デロイト ミレニアル年次調査 日本版〔PDF, 1.80MB〕ダウンロード

デロイトのミレニアル年次調査について
この調査結果は、デロイトが2016年9月に、世界30カ国、約8,000人のミレニアル世代を対象として実施した調査に基づいています。募集段階のスクリーニングにおける質問により、ミレニアル世代(1982年以降生まれ)で、単科大学または総合大学の学位を取得しており、フルタイムで、主として民間の大企業で働いてきたという条件を満たした回答者のみを選んでいます。
グローバルのレポート(英文)はこちらをご参照ください。
プロフェッショナル

土田 昭夫/Akio Tsuchida
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員
製造・サービス・金融など様々な業種を対象に、組織と人材のマネジメントに関するコンサルティングを手がけている。人材マネジメント計画立案、人事制度構築、コーポレート・ガバナンス改革等の領域において豊富な経験を有する。 主な著書に『人事制度改革の戦略と実際』(共著 日本経済新聞社)。その他人事専門誌、一般経済誌等に執筆実績多数。 関連サービス ・ ヒューマンキャピタル(ナレッジ・サービス一覧はこちら) ... さらに見る
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「2017年 デロイト ミレニアル年次調査 日本版」発表

日本のミレニアル世代は経済的・政治的状況の改善に悲観的。1年前の調査より、会社への帰属意識が低い結果に。

2016年 デロイト ミレニアル年次調査
次世代のリーダーたちの獲得をめざして
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/about-deloitte-japan/millennial-survey-2017.html

 
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http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2017/katsu170417USCPI1703.pdf

 


女性社員がイキイキ働くために。〜明るい職場は、女性がつくる。〜

労働力人口が減少する中、各方面から人手不足の問題が叫ばれています。企業活動を継続していくためにも、女性を労働力として活かすことは必要不可欠です。それとともに、女性がイキイキと働く環境は、職場全体も明るくします。今回は、女性が働きやすくするための職場づくりについて紹介します。

1.女性が働きたいと思える仕事環境

女性の能力を活かすためには、まず女性が前向きな気持ちで働ける職場づくりが大切です。1番目のページは、女性をはじめ多様な人材を活かすダイバーシティの活用について解説しています。2番目のページは、女性社員にとって関心の高い福利厚生について紹介しています。
ビジネスQ&A「ダイバーシティの活用で事業を拡大するには、何が大切でしょうか?」
ビジネスQ&A「若い女性社員のやる気のでるような福利厚生を教えてください。」

2.育児・介護休業の整備

女性が退職する理由の多くに出産が挙げられます。育児休業をしっかりと取れるようにすることは、女性社員の定着には欠かせません。1番目のページは、育児休業を社内に整備する方法について説明しています。2番目のページは、育児・介護休業が法律でどう定められているかを解説しています。3番目は、生活と仕事を調和させ、働きやすい環境をつくるワーク・ライフ・バランスへの取り組み方を紹介しています。
ビジネスQ&A「女性社員に長く働き続けてもらうにはどうしたらよいですか? 」
法律コラム「中小企業への育児・介護休業法の適用について」
ビジネスQ&A「ワーク・ライフ・バランスへの取り組みのためには、何が必要ですか?」

3.女性の雇用を促進する制度

女性が働きやすい環境をつくるために、様々な制度が設けられています。1番目のページは、従業員の家庭と仕事の両立支援に取り組む事業種向けの制度を紹介しています。2番目のページでは、職場の保育所に関わる補助金等について紹介しています。
ビジネスQ&A「仕事と育児の両立支援のために活用できる制度はありますか。」
ビジネスQ&A「事務所内保育施設の設置に利用できる制度を教えてください。」

4.セクシャルハラスメントへの対応

男性の視点だけで行動していると、女性社員にかけた何気ない一言が、セクシャルハラスメントととられる場合もあります。1番目のページは、セクハラを起こさないための対策について紹介しています。2番目のページは、セクハラが発生した場合の対処方法について紹介しています。
ビジネスQ&A「いま職場内で実施すべきセクハラ対策には、どのようなものがありますか?」
ビジネスQ&A「セクシャルハラスメント発生後の対策について教えてください。」
[2017年4月17日掲載]

関連支援施策&編集部オススメ情報
企業の成長のために、国や都道府県などの公的機関が展開する様々な施策、及び、今回の「特集」に関連する情報を集めました。ぜひご活用ください。

<参考情報>
■企業における女性の活躍推進に取組む「ポジティブアクション」の情報ポータルサイトです。多くの企業事例が集められています。

厚生労働省「 POSITIVE ACTION 」
<参考資料>
■女性が働きながら安心して妊娠・出産できる職場づくりのためのサイトです。

女性にやさしい職場づくりナビ
<参考資料>
■“女性の活躍”についての経団連の数々の取組みが紹介されています。

日本経済団体連合会「女性の活躍」
<J-Net21編集部オススメ(1)>
◯ダイヤモンド・オンライン
企業における女性の登用が必要な理由について、社会情勢、未来予想の観点から切り込んでいます。

女性管理職の増えない企業が被る5年後の損失
<J-Net21編集部オススメ(2)>
◯東洋経済オンライン
「積極的に管理職を目指してもらう」ための取り組みについて、具体的なケーススタディを通じて紹介しています。

女性活用、3つの「失敗パターン」への処方箋
http://j-net21.smrj.go.jp/tokushu/2017041700.html

http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/186.html

[経世済民121] 黒田総裁(第92回信託大会)(挨拶) 企業のインフレ予想形成に関する新事実:Part I ―粘着情報モデル再考
黒田総裁(第92回信託大会)【挨拶】
第92回信託大会における挨拶

日本銀行総裁 黒田 東彦
2017年4月17日

全文 [PDF 221KB]
目次

はじめに
経済・物価情勢と金融政策運営
信託業界への期待
おわりに
はじめに

本日は、第92回信託大会にお招き頂き、誠にありがとうございます。皆様におかれましては、常日頃より、信託の機能を活かした金融商品やサービスを提供されることで、日本経済の発展に貢献されています。こうしたご努力に対し、日本銀行を代表して改めて敬意を表したいと思います。また、皆様には、平素から、日本銀行の政策や業務運営に多大なご協力を頂いております。この場をお借りしてお礼申し上げます。

経済・物価情勢と金融政策運営

私からは、まず、経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営についてお話しします。

振り返りますと、わが国の経済は、昨年前半にかけて、新興国経済の減速や国際金融市場の不安定化といった海外の動向に大きく影響されました。もっとも、昨年後半以降、世界経済の潮目は変わりつつあります。すなわち、先進国・新興国双方において、製造業や貿易面の改善が明確になっており、グローバルに成長モメンタムの高まりがみられています。

そうしたもとで、わが国の経済は、緩やかな回復基調を続けています。企業部門では、IT関連需要の堅調さや新興国経済の回復を背景に、輸出・生産が持ち直しています。設備投資は、企業収益が高水準で推移するなかで、緩やかな増加基調にあります。また、家計部門でも、今春の賃金改定交渉において4年連続となるベースアップが多くの企業で実現する見通しにあるなど、雇用・所得環境が着実な改善を続けています。そうした動きに支えられ、ひと頃は一部に弱めの動きがみられていた個人消費も持ち直しています。

物価面では、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、このところ0%程度となっています。先行きについては、エネルギー価格の動きを反映して0%程度から小幅のプラスに転じたあと、マクロ的な需給バランスが改善し、中長期的な予想物価上昇率も高まるにつれて、2%に向けて上昇率を高めていくとみています。2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムは維持されていますが、なお力強さに欠けていますので、引き続き注意深く点検していく必要があると考えています。

金融政策運営面では、日本銀行は、昨年9月に、「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果について総括的な検証を行い、その結果を踏まえ、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入しました。この枠組みのもとで、日本銀行は、経済・物価・金融情勢を踏まえ、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促しています。新たな枠組みの導入後、7か月ほど経過しましたが、この間、わが国のイールドカーブは、日本銀行の「金融市場調節方針」と整合的な形で円滑に形成されています。

現在、世界経済が好転するもとで、わが国の景気回復の足取りもよりしっかりとしたものになってきています。しかしながら、2%の「物価安定の目標」までにはなお距離があり、これをできるだけ早期に実現するためには、現在の「金融市場調節方針」のもとで、強力な金融緩和を推進していくことが適切であると考えています。

信託業界への期待

次に、信託業界の皆様方に期待する役割について申し上げます。

信託業界では、これまで、専門機関による高度な資産管理機能やリスク遮断機能といった信託ならではの特長を活かし、幅広い商品やサービスを提供してこられました。特に、最近では、少子高齢化の進行を踏まえ、教育資金贈与信託や、結婚・子育て支援信託など、世代間の財産移転に資するサービスの普及を進めてきておられます。また、後見制度支援信託など、財産保全にサポートを必要とする方々向けのサービスにも積極的に取り組んでこられています。さらに、企業経営者に対する業績連動型株式報酬制度における信託スキームの活用など、コーポレート・ガバナンス強化の流れの中で、信託の機能が発揮される場面も増えてきています。今後も、変化する経済・社会のニーズを的確にとらえ、より良いサービス提供に向けた創意工夫を進めていただくことを期待しています。

わが国家計の金融資産は、引き続き預金が中心ですが、長い目で見れば、リスク性資産の比重が高まる傾向にあります。こうした家計による資産ポートフォリオの多様化は、企業に対するリスクマネーの供給を通じてわが国経済の成長力を高めていくうえでも極めて重要です。この点、2014年に導入された「日本版スチュワードシップ・コード」をきっかけに、企業価値の向上と顧客の投資リターン拡大を図る観点から、機関投資家と投資先企業との対話が深められてきたことを心強く感じております。また、最近では、各金融機関において、従来以上に顧客の利益を重視した業務運営が進められていると承知しています。こうした動きを通じて、信託が、家計による資産運用の多様化に向けても、一段と大きな役割を果たしていかれることを期待しています。

おわりに

最後に、皆様方のますますのご発展を祈念し、私のご挨拶とさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。

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4/17(月)
被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション等の実施結果 [PDF 43KB]
4/17(月)
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4/14(金)
FSBが市中協議文書「G20金融規制改革の実施後の影響の評価のための枠組み案」を公表
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2017/ko170417a.htm/

 


 
企業のインフレ予想形成に関する新事実:Part I―粘着情報モデル再考―
2017年4月14日
宇野洋輔*1
永沼早央梨*2
原尚子*3
• 全文 [PDF 700KB]
要旨
本稿では、「短観」の個票データを用いて、企業のインフレ予想形成に関する分析を行う。企業のインフレ予想に関するデータは世界的にも限られるため、本稿は、現時点では、もっとも包括的な企業のインフレ予想に関する分析となる。事実整理の結果、次の四点を指摘できる。第一に、企業のインフレ予想には下方硬直性がある。第二に、企業のインフレ予想は業種間より企業規模間での差異が大きい。第三に、企業のインフレ予想の期間構造をみると、3年後以降はほぼ不変である。第四に、企業のインフレ予想は、年限が長いほど予想改定頻度が高い。そして、本データを用いた実証分析では、企業のインフレ予想形成にはMankiw and Reis(2002)のシンプルな粘着情報モデルと整合的な面があることを示す。特に、本稿が初めて報告する企業のインフレ予想の改定頻度は、先行研究が報告してきたエコノミストや家計の予想改定頻度に比べてずっと低く、Mankiw et al.(2004)が想定していた値にかなり近い。
JELコード:E31、E37、E52、E58
キーワード:インフレ予想、予想改定頻度、粘着情報モデル、金融政策
本稿の作成にあたっては、久野遼平氏(東京大学)、青木浩介氏(東京大学)、堀雅博氏(内閣府)、桑原茂裕氏(以下、日本銀行)、関根敏隆氏、中村康治氏、一上響氏、開発壮平氏、伊藤智氏、稲村晃希氏、武藤一郎氏、吉羽要直氏、黒住卓司氏、加藤涼氏から有益なコメントを頂いた。ここに記して感謝したい。ただし、ありうべき誤りはすべて筆者たちの責任である。また、本稿に示されている意見は、筆者たち個人に属し、日本銀行の公式見解を示すものではない。

1. *1日本銀行調査統計局 E-mail: yousuke.uno@boj.or.jp
2. *2日本銀行調査統計局 E-mail: saori.naganuma@boj.or.jp
3. *3日本銀行調査統計局 E-mail: naoko.hara@boj.or.jp
日本銀行から
日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局(post.prd8@boj.or.jp)までご相談下さい。転載・複製を行う場合は、出所を明記して下さい。

ニュース
• 4/14(金)(論文)企業のインフレ予想形成に関する新事実:Part I ―粘着情報モデル再考―
• 4/13(木)(論文)構造改革、イノベーションと経済成長
• 4/12(水)金融システムレポート別冊「地域金融機関における貸倒引当金算定方法の見直し状況」
関連リンク
FAQ
• 日本銀行ではどのような論文・レポート類を公表していますか?
• 統計の作成、調査・研究
その他
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2017/wp17j03.htm/

企業のインフレ予想形成に関する新事実 : Part I
—粘着情報モデル再考—∗
宇野洋輔 † ‡ 永沼早央梨 † 原尚子 †
平成 29 年 4 月 12 日

JEL コード : E31、E37、E52、E58
キーワード : インフレ予想、予想改定頻度、粘着情報モデル、金融政策
∗本稿の作成にあたっては、久野遼平氏 (東京大学)、青木浩介氏 (東京大学)、堀雅博氏 (内閣府)、桑原茂
裕氏 (以下、日本銀行)、関根敏隆氏、中村康治氏、一上響氏、開発壮平氏、伊藤智氏、稲村晃希氏、武藤一
郎氏、吉羽要直氏、黒住卓司氏、加藤涼氏から有益なコメントを頂いた。ここに記して感謝したい。ただし、
ありうべき誤りはすべて筆者たちの責任である。また、本稿に示されている意見は、筆者たち個人に属し、日
本銀行の公式見解を示すものではない。
†日本銀行調査統計局経済調査課経済分析グループ
‡連絡先 : yousuke.uno@boj.or.jp
1. はじめに 1
1 はじめに
将来のインフレ率に関する予想は、現在のインフレ率を決定する重要な要素のひとつ
であると考えられている。特に、価格を実際に設定する主体が企業であることを踏まえる
と、企業がどのような予想形成を行うかは、インフレ率のダイナミクスを理解するうえで
決定的に重要である。言うまでもなく、インフレ率の動向を制御する役割を担う中央銀行
にとっては、特に関心を払うべき事項のひとつである。もっとも、このように重要なテーマ
であるにもかかわらず、企業のインフレ予想の形成メカニズムに関する知見は、これまで
のところ必ずしも十分に蓄積されていない。これには、明らかにデータの制約が大きく影
響している。家計やエコノミストのインフレ予想については比較的多くのデータが入手可
能である一方、企業のインフレ予想に関するデータは、世界的にみても、いくつかのサー
ベイが存在するにとどまってきた1。
こうしたなか、近年、企業のインフレ予想に関する大規模なサーベイを研究者自らが関
与して行い、その個票データを詳細に分析した研究 (Coibion et al. [13]、Kumar et al. [18])
や、企業の名目 GDP 予想と実質 GDP 予想から逆算される GDP デフレータの予想を企業
のインフレ予想とみなした分析 (開発 · 白木 [1]) など、データの制約を克服しようとする
意欲的な研究がみられ始めている。本稿は、こうした状況をさらに一歩前へ進めることを
試みる。本稿では、企業のインフレ予想に関する大規模データ、具体的には、日本銀行調
査統計局が四半期ごとに作成 · 公表する「全国企業短期経済観測調査 (以下、短観)」の個
票データを扱う。短観は、1 万社を超える規模のわが国を代表するサーベイであり、企業
のインフレ予想について、「上がる」「下がる」といった質的な情報ではなく、「1%」「2%」
といった量的な情報を備えている。この規模の企業のインフレ予想に関する量的な情報を
備えたパネルデータは、世界的にも他に類をみない。本稿は、この有用なデータを用いて、
企業のインフレ予想の形成に関する包括的な事実整理を行う。そのうえで、Mankiw and
Reis [21] と Reis [25] が提示したシンプルな粘着情報 (sticky information) モデルの主たる
含意をテストする。
本稿の貢献は、次のふたつである。ひとつは、企業のインフレ予想に関するいくつか
の重要な事実を発見したこと、もうひとつは、企業のインフレ予想形成に、Mankiw and
Reis [21] と Reis [25] のシンプルな粘着情報モデルと整合的な面があるとの実証結果を得
たことである。ひとつめの貢献として、本稿は、企業のインフレ予想に関する重要な事実
を四点報告する。第一に、企業のインフレ予想には、下方硬直性がある。これは、鎌田 [3]
がわが国家計のインフレ予想について指摘した事実でもある。こうした下方硬直性は、こ
1片岡 · 白鳥 [2] を参照。
1. はじめに 2
こ数年のインフレ予想の低下局面において、インフレ予想の改定頻度を低下させる方向に
作用してきた。第二に、企業のインフレ予想は、業種間より企業規模間での差異が大きい
ことを指摘する。これは、価格設定に関しては、むしろ業種間で差異が大きいことと対照
的である。このことは、企業のインフレ予想の形成と価格設定の関係がシンプルなもので
はないことを示唆している。第三に、企業のインフレ予想の期間構造をみると、3 年後以
降はほぼ不変である。短観では、1 年後、3 年後、5 年後という三つの年限についてのイン
フレ予想を回答させているが、3 年後と 5 年後を同じ伸び率で回答する先は 70%を上回っ
ている。このことは、ほとんどの企業が、3 年後には消費者物価指数の伸び率が一定にな
り、その後しばらく安定すると予想していることを意味している。第四に、企業のインフ
レ予想は、企業規模や業種を問わず、年限が長いほど予想改定頻度が高い。この事実は、
Yellen [28] に代表されるような長期のインフレ予想がインフレ率のトレンドを決めるとの
見方と必ずしも整合的でなく、長期のインフレ予想についてどう考えるかという、とりわ
け中央銀行にとって重要な論点を提示している。
ふたつめの貢献として、本稿は、企業のインフレ予想形成が、Mankiw and Reis [21]
と Reis [25] のシンプルな粘着情報モデルと、以下の点において整合的であることを報告
する。第一に、予想を改定しない企業が相応に存在している。シンプルな粘着情報モデル
では、予想の改定にコストがかかると仮定するため、企業はしばしば予想を改定しない。
こうした理論的予測は、Sims [27] らのシンプルなノイズ情報 (noisy information) モデル
の含意と対照的である2。第二に、理論モデルと整合的に計測した予想改定頻度は、時間
を通じてほぼ一定である。これも、毎期一定割合の企業が予想を改定するとする、シンプ
ルな粘着情報モデルと整合的である。ただし、本稿のサンプルが時系列方向に十分長くな
いことには留意が必要である。第三に、本稿が報告する予想改定頻度は、これまでに先行
研究が報告してきた推定値よりずっと小さく (予想の改定頻度が低く)、当初、Mankiw et
al. [22] らがモデルのカリブレーションで想定していた値にかなり近い。こうした違いは、
多くの先行研究がエコノミストや家計のインフレ予想のデータを用いてきたことと対照的
に、本稿が初めて企業のインフレ予想のデータを用いたことにも起因すると考えられる。
本稿の構成は、以下のとおりである。2 節では、関連する先行研究を整理し、本稿の立
ち位置を確認する。3 節では、本稿で用いるデータの特徴を確認し、続く 4 節と 5 節で、
企業のインフレ予想形成にかかる基本的な事実整理を行う。6 節では、シンプルな粘着情
報モデルの主たる含意をテストしたうえで、得られた分析結果が有する金融政策に対する
含意について議論する。最後の 7 節は結論である。
2シンプルなノイズ情報モデルでは、企業は、予想を改定するか否かではなく、どの程度予想を改定するか
という問題に直面する。
2. 関連研究 3
2 関連研究
インフレ予想に関する研究には、大別して、ふたつの領域がある。ひとつは、インフ
レ率に限らず、広く何らかの事象に関する経済主体の予想形成メカニズムに焦点をあてる
研究、もうひとつは、企業の価格設定行動を説明する重要な要素として、インフレ予想そ
のものに焦点をあてる研究である3。いずれの領域においても、ベンチマークとなるのは、
予想が利用可能な情報をすべて使ってモデルと整合的に形成されるとの仮説 (「完全情報
下の合理的予想形成仮説」) であろう。この完全情報下の合理的予想形成仮説は、インフ
レ予想の予測誤差にバイアスや予測可能性があることなどから、ほぼ完全に否定されてい
る (たとえば、Coibion and Gorodnichenko [12])。後者の領域においては、こうした結果
を踏まえ、予測誤差のバイアスや予測可能性をうまく説明できるような予想形成および価
格設定のモデルが提案されてきた。
よく知られているように、そうしたこれまでの取り組みは、大きくふたつのモデルに
分類できる。ひとつは、Mankiw and Reis [21] と Reis [25] による粘着情報モデルである。
このモデルでは、情報の獲得にコストがかかると仮定するため、企業は、しばしば予想を
改定しないことが合理的になる4。ある時点で予想を改定していない企業は、過去の情報
にもとづいて予想を形成しているため、その時点の情報を反映していない。したがって、
同企業の予想から生じる予測誤差は、その時点の情報を用いると予測可能であると考えら
れる。このように、粘着情報モデルでは、予想改定をしない企業が存在することによって、
経済全体のインフレ予想の予測誤差に予測可能性が残ることを説明しようとする。もうひ
とつは、Sims [27] らによって提示されたノイズ情報モデルである。ノイズ情報モデルで
は、企業が情報を獲得 · 処理するキャパシティには限りがあると考える。このことは、企
業が利用可能なすべての情報を使って予想を形成することが不可能であるため、現時点の
情報にもとづくと、企業のインフレ予想が予測できることを示唆している。このように、
ノイズ情報モデルでは、各企業がすべての情報を使いきれないことによって、経済全体の
インフレ予想の予測誤差に予測可能性が残ることを説明しようとする。
これらふたつのモデルの重要な違いは、予想を改定しない企業が存在するか否かであ
る。この点は、集計データでは観察できないが、個票データを用いることで直接的に観察
することができる。個票データへのアクセスが比較的容易なエコノミストのインフレ予想
について、Andrade and Le Bihan [9] と Dovern et al. [14] は、予想を改定するエコノミス
トの割合 (予想改定頻度) を個票データから直接計測している。そこでは、予想を改定しな
3前者の分野は、Pesaran and Weale [23] が包括的に整理している。
4Zbaracki et al. [29] は、米国のある大企業を対象として、粘着情報モデルが想定するコストを実際に計
測するというケーススタディを行っている。
2. 関連研究 4
いエコノミストは確かに存在するものの、予想の改定が、Mankiw et al. [22] や Reis [25]
がモデルのカリブレーションで想定したよりはるかに頻繁であることが報告されている。
家計についても、Pfajfar and Santoro [24] と Hori and Kawagoe [20] が、個票データの
分析にもとづいて、エコノミスト予想と同様に頻繁な予想の改定がみられることを報告
している。このように、先行研究は、予想を改定しない企業が存在するという意味では、
Mankiw and Reis [21] と Reis [25] の粘着情報モデルを支持するものの、同モデルの定量
的な説明力にはかなり懐疑的である。同時に、予想改定とは別の角度から、大きなショッ
クに対してインフレ予想がより迅速に反応するなど、ノイズ情報モデルを支持する報告も
なされてきた (Coibion and Gorodnichenko [12])。
企業のインフレ予想については、1 節でも述べたように、世界的にもデータが限られて
おり、エコノミストや家計のインフレ予想に比べて研究の蓄積が少ない。具体的には、企
業については、インフレ予想の改定行動についての分析が存在していない。したがって、
エコノミストや家計のインフレ予想で計測されてきた予想改定頻度は、企業についてはな
お不明である。それでも、限られたデータのなかで、いくつかの研究は、企業のインフレ
予想の予測誤差の特徴や属性別の差異などを指摘してきた。Coibion et al. [13] と Kumar
et al. [18] は、2013 年から 15 年にかけてニュージーランド企業を対象とした大規模なサー
ベイを行い5、そこで得られた個票データを用いて、企業のインフレ予想の予測誤差に粘
着性が観察されることなどを報告している。Richards and Verstraete [26] は、横断面方向
のサンプルサイズは 100 社程度と小さいものの、2001 年以降と比較的長い期間のデータ
が四半期頻度で確保できるカナダ中央銀行によるサーベイの個票データを用いて、企業の
予想形成が合理的ではないが、単純に適合的でもないことを指摘している。開発 · 白木 [1]
は、内閣府「企業行動アンケート調査」の実質 GDP と名目 GDP の予想から逆算される
GDP デフレータの予想を企業のインフレ予想とみなして分析を行っている。彼らは、企
業の属性ごとにインフレ予想の分布形状やショックに対する反応が異なることを報告して
いる。また、Inamura et al. [17] は、本稿と同じく短観の個票データを用いて、企業のイ
ンフレ予想には企業規模間で差異があることなどを指摘している6。
本稿は、まず、企業のインフレ予想について、エコノミストや家計について行われてき
たような基本的な事実整理を包括的に行う。これには、これまでデータ制約によってアプ
ローチできなかった企業のインフレ予想の改定についての分析も含まれる。そのうえで、
Mankiw and Reis [21] と Reis [25] のシンプルな粘着情報モデルのいくつか含意をテスト
5サンプル数は、2013 年 9 月から 2014 年 1 月にかけて実施された第一回が 3,153 社、2014 年 2 月から 4
月の第二回が 714 社、2014 年 8 月から 9 月の第三回が 1,607 社、2014 年 12 月から 2015 年 1 月の第四回が
1,257 社、2015 年 8 月の第五回が 50 社。
6このほか、予想の形成メカニズムを直接の分析対象としたものではないが、Bryan et al. [10] と Cloyne
et al. [11] も企業のインフレ予想に関する個票データを用いた分析を行っている。
3. データ 5
する。これらの分析の結果は、粘着情報モデルの定量的な説明力に懐疑的だったこれまで
の議論に新たな材料を提供する。なお、本稿で用いるパネルデータは、企業のインフレ予
想について、「上がる」「下がる」といった質的な情報ではなく、「1%」「2%」といった量的
な情報を備えており、また、これまでに先行研究で用いられてきた、上記のいずれのデー
タより横断面方向のサンプルサイズが大きい。加えて、時系列方向にも、四半期の頻度で
11 四半期分のデータの蓄積がある。そうした点を踏まえると、本稿は、現時点では、企業
のインフレ予想に関するもっとも包括的な実証分析であるといえる。
3 データ
本稿で分析に用いるデータは、日本銀行調査統計局が四半期ごとに作成 · 公表する短観
の個票データである。本節では、短観におけるインフレ予想データの特徴について整理し
たあと、関連研究で用いられてきたインフレ予想データとの相違点についても確認する。
3.1 短観のインフレ予想データ
短観には、大きく分けて三種類の情報がある。第一は、業況や需給バランスなどの主
観的な判断を三つの選択肢から選んで回答させる質的データ、第二は、設備投資や売上な
どの事業計画を実数で回答させる量的データ、最後の第三は、1 年後、3 年後、5 年後の物
価見通しを複数の選択肢のなかから回答させる量的データである。最後の第三が、本稿が
分析対象とする企業のインフレ予想データである。
短観におけるインフレ予想には、「物価全般の見通し」と「自社の販売価格見通し」の
二種類がある。「物価全般の見通し」について、調査票には、「物価全般 (消費者物価指数を
イメージしてください) の前年比に関して、1 年後、3 年後、5 年後はそれぞれ何%になると
考えますか。貴社のイメージに最も近いものを、以下の選択肢 (1∼10) の中から選んで太
枠内にご記入下さい」とあり7、「物価全般」が消費者物価指数を指すことを明示している。
選択肢は、(1) 前年比+6%程度以上 (+5.5%以上)、(2) 前年比+5%程度 (+4.5%∼+5.4%)、
以下 1%刻みで、(10) 前年比-3%程度以下 (-2.6%以下) までの 10 個で8、記入要領および記
入例には、「参考:消費者物価指数とは?」として、消費者物価についての説明がある。な
7短 観 の 調 査 票 の 見 本 は 、以 下 の ウェブ サ イ ト か ら ダ ウ ン ロ ー ド す る こ と が で き る 。
http://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/tk/extk01.htm/
8物価全般について、イメージをもっていない場合には、(11) 先行きについては不確実性が大きいから、
(12) 変動したとしても経営にほとんど影響がないため意識していないから、(13) その他、三つの選択肢のい
ずれかを選択することが求められている。
3. データ 6
お、調査票や記入要領では、「消費税など制度の変更の影響を除いて」回答することを求
めている。
「自社の販売価格見通し」については、調査票には「貴社の主要製商品の国内向け販
売価格または主要サービスの国内向け提供価格に関して、現在の水準と比べた 1 年後、3
年後、5 年後の価格の見通しに最も近いものを、以下の選択肢 (1∼10) の中から選んで太枠
内にご記入ください」とあり、選択肢は、(1) 現在の水準と比べ+20%程度以上 (+17.5%以
上)、(2) 現在の水準と比べ+15%程度 (+12.5%∼+17.4%)、以下 5%刻みで、(9) 現在の水
準と比べ-20%程度以下 (-17.6%以下)、(10) 分からない、の 10 個である。3 年後と 5 年後
については、「物価全般」と異なり、現在の水準と比べた累積変化を聞いている点には、留
意が必要である。なお、記入要領および記入例には「貴社の実情に応じて、「客単価」、「坪
単価」、「受注単価」なども念頭にご回答ください。貴社の主要製商品または主要サービス
を 1 つに絞り込むことが難しい場合は、複数の主要製商品 · サービスの加重平均価格や貴
社全体の販売価格についてご回答ください。販売 · 提供価格を国内向けに限定することが
難しい場合は、為替レート等の影響をできる限り排除したうえで、海外向けを含む販売単
価についてご回答ください」との記述がある。
短観の調査対象は、資本金が 2,000 万円以上の企業で、一定精度の母集団推計値が得
られるように抽出された 11,126 社である (2015 年 3 月時点)。短観におけるインフレ予想
に関する調査は、2014 年 3 月調査から実施されているため、本稿のサンプルは、2014 年
3 月調査から 2016 年 9 月調査までの 11 四半期分である。
3.2 主要な関連研究のインフレ予想データとの相違点
Hori and Kawagoe [20] が家計のインフレ予想の分析に用いた、内閣府が月次で作成 ·
公表する「消費動向調査」は、短観と同じように、いくつかの選択肢から回答を求めてい
る。具体的には、「あなたの世帯で日ごろよく購入する品物の価格について、1 年後どの程
度になると思いますか」との質問に対して、(1)-10%以上、(2)-10%未満 ∼-5%以上、(3)-
5%未満 ∼-2%以上、(4)-2%未満、(5)0%程度、(6)2%未満、(7)2%以上 ∼5%未満、(8)5%以
上 ∼10%未満、(9)10%以上、(10) 分からない、という 10 個の選択肢が用意されている。
これと対照的に、Coibion et al. [13] と Kumar et al. [18] がニュージーランドで実施し
たサーベイは、「During the next twelve months, by how much do you think prices will
change overall in the economy?」との質問に対して自由に回答することを求めている。ま
た、Andrade and Le Bihan [9] が分析した、欧州中央銀行が約 90 社のエコノミストを対象
に実施しているサーベイ (Quarterly Survey of Professional Forecast) も、「Year-on-year
4. 事実 1: インフレ予想の水準 7
change in the HICP」と明示したうえで、ユーロ圏のインフレ率についての予想を自由に
回答させる。
Pfajfar and Santoro [24] が分析した、ミシガン大学が月次で作成 · 公表するサーベイ
(Survey of Consumers) は、選択式と自由に回答させる方式の両方の要素をもっている。
すなわち、「During the next 12 months, do you think that prices in general will go up,
or go down, or stay where they are now?」との質問に対して、(1)Go up、(2)Stay the
same、(3)Go down、(4)Don’t know、という四つの選択肢が用意され、(1) と (3) を選ん
だ場合に限り、何%という具体的な回答を記入することを求めている9。
こうした回答方式の違いは、予想の改定について議論する際には、特に気をつける必要
がある。すなわち、選択肢に示されている範囲のなかで予想が改定された場合、短観や消
費動向調査では、回答が変更されない。このため、こうした選択式のサーベイは、自由に
回答させる形式のサーベイに比べて予想改定の有無を過小に評価してしまうことになる10。
4 事実 1: インフレ予想の水準
本節と次節では、企業のインフレ予想についての事実整理を行う。本節では、まず、イ
ンフレ予想の水準についての事実を確認する。
4.1 基本統計量
表 1 は、本稿のデータのサンプル数と基本統計量の時系列推移である。まず、「物価全
般」予想について、基本統計量の特徴点を確認する。平均と標準偏差は、いずれの年限で
みても、サンプル期間中、ほぼ一貫して低下してきた。予測誤差は、2015 年 3 月以降し
か計算できないが、明らかにバイアスがある。また、歪度は、いずれの年限でみてもプラ
スで、度数分布を描くと、分布のピークはすべての期間で左側に寄っている (分布の裾野
は右側に長くなっている)。この間、1 年後予想では、歪度が大幅に上昇している様子が見
てとれる。こうした歪度の上昇は、調査回ごとの分布を描くと、より明確になる。図 1 か
ら明らかなように、回を追うごとにプラス領域の回答が減少している一方で、マイナス領
域の回答はさほど増加しておらず、ゼロと回答する企業の割合が増加している。これは、
下限をゼロとする下方硬直性の存在を示唆している。残念ながら、短観のインフレ予想は
2014 年以降しかデータが存在しないため、この下方硬直性が 2014 年以降に生じたものな
9同サーベイには、5 年から 10 年先の物価についての質問もあるが、回答の求め方は同じである。
10この点について、日本銀行調査統計局 [7] は、より細かな刻み幅で調査を行うと、調査対象企業の「回答
負担が増すことになり、結果として回答率低下などの問題が生じることが予想されます」としている。
4. 事実 1: インフレ予想の水準 8
のか、あるいはそれ以前から備わっている特徴なのかを判別することはできない。それで
も、鎌田 [3] が指摘するように、わが国では、家計のインフレ予想にも下方硬直性がある
ことが知られているため、もし、企業と家計の予想形成に共通する特徴があるのであれば、
企業の予想の下方硬直性についても、家計と同様に、2014 年以前から備わっている特徴で
あると考えられるかもしれない。
「自社の販売価格」予想についても、平均と標準偏差は、サンプル期間中、ほぼ一貫
して低下してきた。また、「物価全般」と異なり、「自社の販売価格」については、予測誤
差を計測することができない。ここでは、ひとつの試みとして、消費者物価指数の対象業
種である、小売業、個人向けサービス業、宿泊飲食サービス業に属する企業の「自社の販
売価格」1 年後予想の平均を計算し、それを消費者物価指数の実績と比較することで、「自
社の販売価格」の予測誤差を評価してみたい。図 2 は、小売業、個人向けサービス業、宿
泊飲食サービス業に属する企業の「自社の販売価格」予想から作成した「物価全般」予想
を、本来の「物価全般」予想と比較している。2014 年から 2015 年前半にかけて「自社の
販売価格」予想が「物価全般」予想を下回っているのは、個人向けサービス業の「自社の
販売価格」予想が低いためである。表 2 は、「自社の販売価格」予想から作成した「物価
全般」予想の予測誤差である。これをみると、「自社の販売価格」の予測誤差も、「物価全
般」と同様に、明らかにバイアスがある。また、一部の期間では、「自社の販売価格」か
ら作成した「物価全般」は、予測誤差が相対的に小さくなっているところもみられる。歪
度に着目すると、3 年後予想と 5 年後予想でマイナスとなっており、分布のピークが右側
に寄っている点が特徴的である。これは、「自社の販売価格」が長期的に大きく伸びると
予想している先が相対的に少ないことを意味している。
4.2 属性別の特徴 : 企業規模と業種
企業規模別の特徴 Inamura et al. [17] でも指摘されているとおり、インフレ予想には、
企業規模による差異がみられる11。すなわち、大企業のインフレ予想は、「物価全般」「自
社の販売価格」のいずれでみても、中堅 · 中小企業に比べて平均が低く、また、標準偏差
も小さい (表 3)。消費者物価指数 (総合) の実績がゼロ近傍にあったことを踏まえると、大
企業の「物価全般」予想の平均が相対的に低いという事実は、大企業の予測誤差が相対的
に小さいことを意味している。この点、Coibion et al. [13] は、ここでの結果と逆に、大
企業の予測誤差が中小企業より大きいことを報告している。もっとも、彼ら自身も指摘し
ているように、彼らのニュージーランド企業を対象としたサンプルでは、最大規模の企業
11短観では、資本金を基準に、大企業 (資本金 10 億円以上)、中堅企業 (同 1 億円以上 10 億円未満)、中小
企業 (同 2 千万円以上 1 億円未満) に区分している。
5. 事実 2: インフレ予想の改定 9
でさえ従業者数が 698 人であり、本稿のサンプルにおける大企業とは質が大きく異なって
いる可能性が高い。
歪度に着目すると、「物価全般」予想では、大企業と中堅 · 中小企業の間で差異はない
ものの、「自社の販売価格」予想では、中堅 · 中小がプラスとなっている一方、大企業はほ
ぼゼロ近傍にある。これは、一部の中堅 · 中小企業が、「自社の販売価格」の大幅な伸びを
予想していることを意味している。
業種別の特徴 業種別にみると、「物価全般」予想には、企業規模間で観察されるような
明確な差異は認められない (表 3)。他方、「自社の販売価格」予想では、製造業うち素材業
種と非製造業の間では大きな違いはないものの、製造業うち加工業種において、平均が相
対的に低く、歪度もゼロ近傍となっている。
4.3 期間構造
表 4 は、企業のインフレ予想について、1 年後、3 年後、5 年後の大小関係を比べてい
る。これは、企業のインフレ予想の期間構造を端的に捉えたものと考えることができる。
これをみると、短観におけるインフレ予想は、1 年後、3 年後、5 年後とも同一の伸び率で
回答する企業がもっとも多い。この傾向は、大企業においていっそう顕著で、「物価全般」
で 37.8%、「自社の販売価格」で 45.1%の大企業が 1 年後、3 年後、5 年後を同一の伸び率
で予想している。さらに、3 年後と 5 年後に絞ってみると、「物価全般」を同じ伸び率で回
答する先は、中小企業まで含めて 70.6%ときわめて多い。このことは、中小企業まで含め
てほとんどの企業が、3 年後には消費者物価指数の伸び率が一定になり、その後しばらく
安定すると予想していることを意味している。
5 事実 2: インフレ予想の改定
本節では、インフレ予想の改定についての事実整理を行う。
5.1 ふたつの予想改定の定義
理論モデルにおける予想の改定とは、一般に、t + s 期の事象に関する t − 1 期から t 期
にかけての予想の変化を指す (図 3)。すなわち、予想するターゲットの時期は固定されて
いなければならない。短観は、3.1 節で確認したとおり、四半期ごとに 1 年後、3 年後、5
5. 事実 2: インフレ予想の改定 10
年後の物価見通しを回答させる「ローリング · ホライゾン」方式であるため、予想の改定
は、本来であれば、たとえば、現在の 1 年後予想と 2 年前の 3 年後予想を比較することに
よって定義される。短観では、2014 年 3 月調査からインフレ予想の調査を開始しているた
め、2014 年 3 月調査における 3 年後ないし 5 年後予想 (予想のターゲットは 2017 年 3 月
ないし 2019 年 3 月) と、2 年後の 2016 年 3 月調査における 1 年後ないし 3 年後予想 (予想
のターゲットは同様に 2017 年 3 月ないし 2019 年 3 月) との間の変化が初めて計測される
理論モデルと整合的な予想改定となる。時間の単位 t を四半期とすると、以下のとおりで
ある。
rt,T = Et
[πT ] − Et−8[πT ]
rt,T は、予想のターゲットを T 時点 (2017 年 3 月、6 月、9 月、2019 年 3 月、6 月、9
月) とした場合の t − 8 時点 (2014 年 3 月、6 月、9 月) から t 時点 (2016 年 3 月、6 月、9
月) にかけての予想の改定、Et
[·] は t 時点の期待値で、πT は T 時点のインフレ率である。
本稿のサンプル終期は、2016 年 9 月調査であるため、rt,T は、1 年後予想と 3 年後予想の
間で 3 回、3 年後予想と 5 年後予想の間で 3 回、合計 6 回計測することができる。なお、
この理論モデルと整合的な予想改定は、8 四半期の間に予想を何度改定しても一度の改定
とみなすことから12、予想の改定回数を過小に評価するバイアスがある。
3.1 節で確認したように、「自社の販売価格」の 3 年後予想と 5 年後予想は、累積の伸び
率を回答させているため、rt,T を計測することができない。たとえば、2014 年 3 月時点で、
先行き 3 年間の「自社の販売価格」について、毎年+3.5%ずつ一定の伸び率で上昇すると
予想している企業があるとする。この企業は、2014 年 3 月調査で「自社の販売価格」3 年
後予想を+10%程度と回答する。仮に、2014 年 3 月以降の 2 年間の販売価格がこの企業の
予想どおりに上昇した場合、2016 年 3 月調査で 1 年後予想を+5%程度 (+2.5%∼+7.4%)
と回答すれば、この企業は予想を改定していないとみなすことができる。もっとも、当初
の予想に反して、2014 年 3 月以降の 2 年間で販売価格が上昇しなかった場合には、2016
年 3 月調査での 1 年後予想+5%程度という回答は、2014 年 3 月調査の 3 年後予想を下方
改定したとみなすべきである。この例からわかるように、「自社の販売価格」予想の改定
は、当初の 3 年後ないし 5 年後予想がどのような経路を想定していたのか、そして、それ
が実際に実現したか否かに依存している。これらが明らかでないため、「自社の販売価格」
について、rt,T を計測することはできない。よって、「物価全般」についてのみ、rt,T を計
測する。
予想の改定に関して、もうひとつの代替的な定義は、以下のように、1 四半期前の前回
12正確には、たとえば 8 四半期の間に複数回予想を改定し、インフレ予想の水準が元に戻ってしまうと、予
想を複数回改定したにもかかわらず、改定していないとみなしてしまうこともあり得る。
5. 事実 2: インフレ予想の改定 11
調査時点からのインフレ予想の変化を予想改定とするものである。
rˆt = Et
[πt+s] − Et−1[πt+s−1]
s は 4、12、20 をとるとする。このため、t + s 時点は、各調査時点からの 1 年後、3 年
後、5 年後を意味する。この代替的な定義 rˆt には、rt,T に比べてより多くの時点で予想改
定を計測することができること、「自社の販売価格」についても予想改定を計測できるこ
と、三つの年限ごとにそれぞれ予想改定を計測できること、などの利点がある。ただし、
予想のターゲットが 1 四半期ずれるため、理論モデルと整合的でないという欠点も同時に
ある。
これらふたつは、どの程度同じ企業を捕捉できているだろうか。2016 年 3 月、6 月、9
月の三時点の累計でみると、rt,T ̸= 0 なる企業は、1 年後予想で 10,178 社、3 年後予想で
9,640 社、rˆt ̸= 0 なる企業は、1 年後予想で 5,935 社、3 年後予想で 6,662 社、rt,T ̸= 0 か
つ rˆt ̸= 0 なる企業は、1 年後予想で 3,475 社、3 年後予想で 3,747 社となっている。この
ことは、代替的な定義を用いた予想改定の 60%弱は、理論モデルと整合的な予想改定とみ
なせることを示唆している。
5.2 予想改定頻度 1: 全体観
予想改定頻度は、Andrade and Le Bihan [9] らと同様に、予想を改定した企業数を全
体の企業数で除したものとして定義する。表 5 は、5.1 節で議論したふたつの予想改定頻
度の計測結果である。これらを比較する際には、理論モデルと整合的な予想改定頻度が 8
四半期の間での予想の改定であることを踏まえて、これを四半期あたり平均に変換する必
要がある。ここでは、8 四半期の間の予想改定頻度が一定であると仮定して四半期あたり
平均に変換した13。
表 5 の結果から、いくつかの重要な事実を指摘できる。第一に、理論モデルと整合的な
予想改定頻度は、1 年後予想と 3 年後予想の間の改定では四半期あたり 14%程度、3 年後予
想と 5 年後予想の間の改定では 13%程度、同じ時点の代替的な予想改定頻度は、34.8%か
ら 26.1%となっている。第二に、理論モデルと整合的な予想改定頻度は、代替的な予想改
定頻度に比べて水準が低い。これには、上述のとおり、理論モデルと整合的な予想改定頻
度が 8 四半期前との 2 時点間でしか計測できないため、真の予想改定を過小に評価してい
ることも影響している。同時に、代替的な予想改定頻度が理論モデルと整合的な予想改定
138 四半期の間で計測された予想改定頻度を g、四半期あたり平均を f として、8 四半期の間の予想改定頻
度が一定であると仮定すれば、f = 1 − (1 − g)
1
8 である。
5. 事実 2: インフレ予想の改定 12
頻度と比べて高めに計測されやすいことも影響しているとみられる。第三に、計測結果が
3 四半期分しかないことから確定的なことはいえないが、理論モデルと整合的な予想改定
頻度は、時間を通じてほぼ一定である。他方、代替的な予想改定頻度は、通時的な変動が
相対的に大きい。第四に、理論モデルと整合的な予想改定頻度は、3 年後予想と 1 年後予
想の間では、5 年後予想と 3 年後予想の間に比べて予想改定頻度が高い。ただし、予想の
ターゲットが前者で 2017 年、後者で 2019 年と大きく異なっていることには留意が必要で
ある。年限別の予想改定頻度については 5.4 節で改めて議論する。
図 4 は、代替的な予想改定頻度の時系列推移を示している。図 4 から、次の三点を指摘
できる。第一に、予想改定頻度は、2014 年 3 月調査から 2016 年 9 月調査までの期間の平
均で、「物価全般」1 年後予想で四半期あたり 36.3%、「自社の販売価格」1 年後予想で四
半期あたり 20.4%である。第二に、この期間のインフレ予想の低下傾向を反映して、下方
改定頻度は、上方改定頻度を常に上回っている。第三に、予想改定頻度は、低下傾向にあ
る。この点、下方改定頻度の低下には、4.1 節で議論したように、インフレ予想における
下方硬直性が影響していると考えられる。すなわち、インフレ予想をゼロと回答した企業
が何らかの理由で下方改定しにくくなるのであれば、インフレ予想が低下する局面では、
そうした下方硬直性は、下方改定頻度を低下させるように作用する。
次に、各企業がどの程度の頻度で予想を改定しているかを確認する。ここでは、2014
年 3 月調査から 2016 年 9 月調査まで継続して回答している企業を抽出し、それらの企業
が同期間中に何回予想を改定したかを計測する14。図 5 は、その予想改定回数ごとの企業
数分布をみたものである。この分布からは、次の二点を指摘できる。第一に、予想を一度
も改定していない企業が相応に存在する。「物価全般」1 年後予想で 14.0%、「自社の販売
価格」1 年後予想で 40.3%の企業がこの二年半の間、一度も予想を改定していない。第二
に、予想改定頻度には、企業間でかなりのばらつきがある。一度も予想を改定しない企業
が存在する一方、頻繁に予想を改定する企業もみられている。
5.3 予想改定頻度 2: 属性別
次に、属性別に予想改定頻度を確認する。表 6 は、ふたつの定義にもとづいて計測し
た属性別の予想改定頻度である。
企業規模別の特徴 企業規模別にみると、いずれの定義を用いても、また、「物価全般」
「自社の販売価格」それぞれの予想でみても、大企業の予想改定頻度は、中堅 · 中小企業に
14ここでの予想の改定は、代替的な定義によるものである。
5. 事実 2: インフレ予想の改定 13
比べて明確に低い。理論モデルにもとづく解釈は 6 節で議論するが、大企業の予想改定頻
度が相対的に低いという事実は、シンプルな粘着情報モデルにもとづけば、大企業が直面
したショックが相対的に小さかったか、大企業の方が予想改定の際の意思決定などにかか
るコストが大きかったことを示唆している。後者のコストについて、Zbaracki et al. [29]
は、売上高 10 億ドル規模のある大企業 (米国所在) のケース · スタディとして、粘着情報モ
デルが想定している情報の獲得や予想の改定にかかるコスト (情報収集、意思決定、内部コ
ミュニケーションにかかるコストの合計) を実際に計測し、純利益 (net margin) の 4.6%と
の計測結果を報告している。こうしたコストは、中堅 · 中小企業において相対的に小さい
かもしれない。ただし、大企業は、相対的に大きなコストをかけて予想を形成する結果、
4.2 節で議論したように、事後的にみた予測誤差が中堅 · 中小企業より小さくなっている
面もあると考えられる。
業種別の特徴 業種別にみると、「物価全般」の予想改定頻度については、いずれの定義
を用いてみても、製造業と非製造業の間で明確な差異はみられない。4.2 節での議論とあ
わせて考えると、企業のインフレ予想は、予想の水準でみても予想改定頻度でみても、業
種間ではなく企業規模間に差異が存在するといえる。これと対照的に、価格改定頻度には
財の種類や業種の間で大きな差異が存在する。たとえば、才田 · 肥後 [6] や倉知 · 平木 · 西
岡 [5] が指摘するように、サービスの価格改定頻度は、財に比べてずっと低い。このこと
は、予想改定頻度と価格改定頻度の関係が必ずしもシンプルなものではないことを示唆し
ている。この点は、今後の研究課題である。
5.4 予想改定頻度 3: 年限別
年限別のインフレ予想に対する見方 年限別のインフレ予想は、「短期」と「長期」という
区分で議論されることが多い15。価格設定における短期と長期それぞれのインフレ予想の
役割は、先験的には明らかでないが、実証的には、ふたつの異なる見方が存在している。
ひとつは、Yellen [28] に代表されるような、長期のインフレ予想こそがインフレ率のトレ
ンドを決めるとする見方である。Yellen [28] は、家計やエコノミストによる長期のインフ
レ予想とインフレ率の長期的なトレンドを比較したうえで、長期のインフレ予想がインフ
レ率のトレンドを決める重要な要素であると主張している。もうひとつは、Fuhrer [15] が
示したように、長期のインフレ予想は実際のインフレ率に影響を与えないとする見方であ
15こうした議論における「長期」がどの程度の期間を指すのかについては、必ずしも広く合意があるわけで
はない。Fuhrer [15] のように、10 年後を長期と呼ぶ場合もあるし、開発 · 白木 [1] や鎌田 · 中島 · 西口 [4] の
ように、5 年後を中長期ないし長期と呼ぶ場合もある。
6. シンプルな粘着情報モデルにもとづく議論 14
る。Fuhrer [15] は、実際のインフレ率に影響を与えるのは、短期のインフレ予想であり、
長期のインフレ予想は、短期のインフレ予想を経由して間接的に実際のインフレ率に影響
を与えていると主張している。
年限別の予想改定頻度 表 7 は、代替的な定義にもとづいて計測した年限別の予想改定頻
度である。これをみると、企業のインフレ予想は、「物価全般」「自社の販売価格」のいず
れについても、企業規模や業種を問わず、年限が長いほど予想改定頻度が高い。この結果
は、上述の Yellen [28] の見方と整合的でなく、Fuhrer [15] の見方と整合的であると考え
られる。すなわち、長期のインフレ予想は、短期のインフレ予想より頻繁に改定されるこ
とから、インフレ率の長期的なトレンドを捕捉できるとは考えにくい。ただし、この結果
が本稿のサンプル固有の結果である可能性も否定できない。すなわち、本稿のサンプル期
間中 (2014 年 3 月 ∼2016 年 9 月)、わが国では、長期のインフレ率により多くの関心が向
けられた可能性がある。この間の金融政策に対する注目度などを踏まえると、こうした主
張は、少なくとも定性的には受け入れやすい。やや一般化していえば、長期のインフレ予
想が「リアンカー」されていく過程では、こうした現象が生じるということなのかもしれ
ない16。
5.2 節で議論したように、理論モデルと整合的な予想改定頻度でみると、5 年後予想と
3 年後予想の間では、3 年後予想と 1 年後予想の間に比べて予想改定頻度が低い (表 5、表
6)。これは、表 7 の結果と対照的である。もっとも、これらは、予想のターゲットが 2019
年と 2017 年と大きく異なっている。また、5 年後予想と 3 年後予想の間の改定を長期のイ
ンフレ予想の改定とみなすには、ホライゾンが短すぎるため、表 5 と表 6 の結果は、ここ
での長期と短期のインフレ予想の議論にはなじまないと考えられる。2018 年 3 月調査まで
待てば、2019 年 3 月をターゲットとした 5 年後予想と 3 年後予想と 1 年後予想が出そろう
ため、今よりは踏み込んだ議論をすることが可能になる。いずれにしても、長期と短期の
インフレ予想の関係については、今後も、様々な角度から分析を深めていくことが求めら
れる17。
6 シンプルな粘着情報モデルにもとづく議論
5 節の事実整理を踏まえると、短観のデータに予想改定頻度を過小評価するバイアスが
あるとはいえ、一定程度の企業は、しばしば予想を改定していない可能性が高い。また、
16この点についての詳細な議論は、補論 A 節を参照。
17この点、日本銀行調査統計局経済分析グループ [8] は、機械学習の手法を用いて、長期のインフレ予想の
特徴点を探ろうとしている。
6. シンプルな粘着情報モデルにもとづく議論 15
サンプル数が時系列方向に少ないために確定的なことはいえないが、理論モデルと整合的
な予想改定頻度は、時間を通じてほぼ一定である。こうした予想の改定行動は、Mankiw
and Reis [21] と Reis [25] のシンプルな粘着情報モデルで説明できる可能性がある。本節
では、シンプルな粘着情報モデルが満たすべきいくつかの条件について実証的なテストを
行ったあと、同モデルの推定結果が有する金融政策に対する含意について議論する。なお、
Mankiw and Reis [21] と Reis [25] の粘着情報モデルは、「価格の」粘着性を説明するため
のモデルであるが、本稿の関心は、「価格の」粘着性ではなく、同モデルが仮定ないし導
出する「予想の」粘着性そのものにある。
6.1 シンプルな粘着情報モデル
モデルの構造 Reis [25] のシンプルな粘着情報モデルでは、価格の改定にはコストがかか
らない一方、予想の改定にはコストがかかると仮定する。また、そのコストを支払いさえ
すれば、各企業は、利用可能なすべての情報にもとづいてモデルと整合的に予想を形成す
るものと仮定されている。各企業は、予想の改定にかかるコストを所与として、期待収益
を最大化するために、価格ではなく予想をどの程度の期間据え置くのかを選択する。この
シンプルな粘着情報モデルでは、各企業は独自の情報を持っておらず、すべての企業が同
じ情報を有しているというシンプルな仮定を置く。各企業が一定の確率で独立に予想を改
定する結果、経済全体では、以下のとおり、毎期一定割合の企業の予想が改定されていく。
Ft = λE [πt
|Ωt
] + (1 − λ)Ft−1
ここで、Ft は t 時点における経済全体のインフレ予想、λ は予想を改定する企業の割
合、πt は t 時点のインフレ率の実績、Ωt は t 時点において利用可能なすべての情報の集
合、E[·|·] は条件付期待値を意味する。
実証的に確認すべき含意 5.2 節では、予想を改定しない企業が相応に存在すること、ま
た、各企業の予想改定の回数にばらつきがあることを確認した (図 5)。これらは、各時点で
観察される予想改定が特定の企業に偏っているわけではないことを示唆している。ここで
は、さらに一歩進んで、シンプルな粘着情報モデルが示唆するように、各企業の予想改定
がランダムに生じているかどうかを確認する。各企業がランダムかつ独立に予想を改定す
るのであれば、Reis [25] が主張するように、経済全体の予想据置期間はパラメータ λ の指
数分布に従う。これは、短観の個票データによって検証可能である。ただし、短観のデー
タでは、理論モデルと整合的な予想据置期間を計測することができないため、5.1 節で議
論した rˆt を用いて、予想据置期間を定義する。
6. シンプルな粘着情報モデルにもとづく議論 16
テストされる含意 1: シンプルな粘着情報モデルが適切であれば、予想据置期間は指数分
布に従う。
実証的に確認すべきもうひとつの重要な点は、予想の改定が合理的かどうかである。シ
ンプルな粘着情報モデルが示唆するように、ひとたび予想を改定すると決めた企業が合理
的に予想を形成するのであれば、次のふたつが成り立つはずである。第一に、利用可能な
すべての情報を用いるとすれば、予想の改定は幅広い変数で同時に生じる可能性が高い。
予想する変数ごとにコストが異なる可能性などを踏まえると、確定的なことはいえない
が、複数の変数の予想が同時に改定されやすくなる可能性は高い。このことは、「物価全
般」1 年後予想を改定することを所与とした場合、3 年後予想や 5 年後予想を改定する確
率が高まることを意味している。第二に、すべての企業が同じ情報にもとづいて合理的に
予想を改定するならば、予想を改定する企業の間では予想不一致 (disagreement) は生じな
い。たとえば、「物価全般」の 1 年後予想について、ある企業は 2%、別の企業は 3%といっ
た予想の改定は、シンプルな粘着情報モデルでは生じない。これらは、Andrade and Le
Bihan [9] がエコノミスト予想のデータによって検証したシンプルな粘着情報モデルの含
意でもあり、短観の個票データでも直接的に検証可能である。これらについては、5.1 節
で議論した rt,T と rˆt の両方を用いて検証することができる。
テストされる含意 2: シンプルな粘着情報モデルが適切であれば、条件付の予想改定確率
は無条件の予想改定確率を上回る。
テストされる含意 3: シンプルな粘着情報モデルが適切であれば、予想を改定した企業間
では予想不一致 (disagreement) は生じない。
6.2 シンプルな粘着情報モデルのテスト結果
含意 1 含意 1 のテスト結果は、図 6 にまとめられている。ここでは、各企業の予想据置
期間を適切に計測するために、サンプルの始期と終期の両端で計測される予想据置期間を
除外している18。この結果、サンプル 11 四半期の間に一度だけ予想を改定した企業が予
想据置期間の計測サンプルから抜け落ちる。当然ながら、予想を一度も改定していない企
業についても予想据置期間が計測できないため、結果として、本稿のサンプル期間中の予
18サバイバル分析では、この除外される部分を「左右の切断スペル」と呼んでいる。「スペル」とは、何ら
かの事象が持続する時間を総称する単語で、サバイバル分析の分野で広く使われている。「左側の切断スペル」
とは、サンプルの始期から最初の事象が発生するまでの持続時間で、サンプルの始期が存在することによって
前回の事象発生時間が不明となることから、「真のスペル」ではないという意味で「左側の切断スペル」には
バイアスがある。「右側の切断スペル」にも、サンプルの終期について、同様のバイアスが存在する。「左右
の切断スペル」をサンプルから除外するのは、こうしたバイアスに対処するためである。ただし、「右側の切
断スペル」は除外せず、「左側の切断スペル」だけをサンプルから除外する場合もある。
6. シンプルな粘着情報モデルにもとづく議論 17
想改定が一度以下の、潜在的に予想据置期間が長いとみられる企業の予想据置期間が計測
できていない19。なお、サンプルの始期と終期の両端で計測される予想据置期間を除外し
たうえで、ひとつの企業から複数の予想据置期間が計測された場合には、それらのうちの
ひとつをランダムに抽出し、その企業の予想据置期間とした。
図 6 では、指数分布のパラメータ推定に加えて、念のために、先験的に指数分布を仮
定せずにハザードレートを推定することもあわせて行っている。結果をみると、予想据置
期間は指数分布におおむね従っており、ハザードレートは予想据置期間に対しておおむね
一定である。すなわち、Mankiw and Reis [21] と Reis [25] のシンプルな粘着情報モデル
が示唆するように、各企業がランダムかつ独立に予想改定を行っていると考えることはあ
る程度もっともらしい。ただし、予想据置期間の実績は、1 四半期のところで理論値をや
や大きめに下回っている。上述のとおり、本稿のサンプルは時系列方向に短いため、長め
の予想据置期間が脱落しやすく、予想据置期間が短い方向にバイアスがかかっているとみ
られる。これを踏まえると、予想据置期間の「真の」実績は、より大きく理論値を下回っ
ている可能性が高い。この点は、データが十分に蓄積されたあと、再度検証されることが
望ましい。
予想据置期間が指数分布に従うとすると、予想改定頻度からパラメータ λ を推定する
ことが可能となる20。本稿では、5.2 節において、ふたつの予想改定頻度を計測した。そ
こで議論したように、理論モデルと整合的な予想改定頻度は概念的には適切であるが、短
観のデータで計測すると二重に下方バイアスがかかっている。したがって、表 6 のなかの
14.1%および 12.9%という予想改定頻度の計数を用いるのは明らかに適切ではない。
ここでは、代替的な予想改定頻度から λ を推定する。推定される λ の値は、「物価全
般」1 年後予想で 0.45、「自社の販売価格」1 年後予想で 0.23 となり、示唆される予想据
置期間の平均は、「物価全般」1 年後予想で 2.2 四半期、「自社の販売価格」1 年後予想で
4.4 四半期となる。この λ の推定値 (0.23、0.45) は、Andrade and Le Bihan [9] と Dovern
et al. [14] がエコノミストのインフレ予想の個票データから計測した λ の値 (0.7∼0.9 程度)
や、Pfajfar and Santoro [24] と Hori and Kawagoe [20] が家計のインフレ予想の個票デー
タから計測した λ の値 (0.98、0.86) よりずっと小さく、Mankiw et al. [22] や Reis [25] が
モデルのカリブレーションに用いた値 (0.22∼0.27) にかなり近い。もちろん、上述のとお
り、この推定値には、短観のデータに固有のバイアスがあることには十分留意する必要が
ある。それでも、代替的な予想改定頻度には、短観のデータが選択式であることから生じ
19図 5 で示したとおり、本稿のサンプルでは、「物価全般」で 28.8%、「自社の販売価格」で 54.8%の企業
で同期間の予想改定が一度以下となっている。
20予想改定頻度を f とすると、予想据置期間がパラメータ λ の指数分布に従うのであれば、f = 1−exp(−λ)
である。
6. シンプルな粘着情報モデルにもとづく議論 18
る下方バイアスがある一方、理論モデルと整合的な予想改定頻度に比べて高めに計測され
る傾向があることから、上下両方向にバイアスが生じている可能性が高い。したがって、
得られた推定値が先行研究に比べて低くなることがすべてバイアスによるものと先験的に
いえるわけではない。企業のインフレ予想については、これまで、データの制約から、λ
を計測することが困難であった。このため、エコノミストや家計の予想のデータにもとづ
いて、シンプルな粘着情報モデルの説明力に疑問を投げかける議論が多くなされてきた。
ここでの結果は、こうしたこれまでの議論に新たな材料を提供している。
含意 2 と含意 3 含意 2 のテスト結果は、表 8 に示している。ここでは、ふたつの定義に
もとづいて、無条件の予想改定確率と条件付の予想改定確率を計測している。たとえば、
理論モデルと整合的な予想改定確率の「3 年後と 1 年後」の条件付の列にある計数は、「5
年後と 3 年後」の予想が改定されることを所与とした場合の「3 年後と 1 年後」の予想改
定確率を示している。いずれの定義でも、条件付の予想改定確率は、無条件の予想改定確
率より常に高い。このことは、複数の予想が同時に改定されやすいことを意味しており、
シンプルな粘着情報モデルを支持する結果である。
含意 3 のテスト結果は、図 7 に示している。図 7 は、各調査時点において予想を改定
した企業だけを抽出して、それらの企業間での「物価全般」予想の不一致 (標準偏差) を計
測したものである。予想を改定した企業間の標準偏差は、いずれの年限でみても、明らか
にゼロではない。これは、Andrade and Le Bihan [9] と同様の結果で、シンプルな粘着情
報モデルの含意と整合的でない。加えて、図 7 は、予想を改定する企業のなかに適合的に
予想を改定しない企業が相応に存在していることも、同時に示唆している21。すなわち、
すべての企業が適合的に「物価全般」予想を改定するのであれば、消費者物価指数の実績
はひとつしか存在しないことから、シンプルな粘着情報モデルによる予測と同様に、予想
を改定した企業間の標準偏差はゼロでなければならない。
6.3 ディスカッション : 金融政策に対する含意
含意 1 と含意 2 のテスト結果は、シンプルな粘着情報モデルがある程度はもっともら
しいことを示唆している。ここでは、同モデルが有する金融政策に対する含意について議
論する。
21ここでの「適合的」とは、前期の実績をそのまま今期の予想とする、静学的な予想形成を意味している。
6. シンプルな粘着情報モデルにもとづく議論 19
中央銀行にとっての λ: 含意 1 今、中央銀行が企業の予想に働きかける手段を有してお
り、経済全体の予想を一定の水準に向けて転換させようとしているような状況を考える22。
含意 1 のテスト結果 (図 6) は、相応に時間はかかるとしても、そうした政策を完遂できる
可能性があることを示唆している。要する時間の長さを確認すると、推定された λ の値
(0.23、0.45) は、たとえば 90%の企業が予想を改定し終えるのに、「自社の販売価格」で
11 四半期、「物価全般」予想で 6 四半期かかることを示唆している。通常の景気循環の長
さを踏まえると、6 ないし 11 四半期の間に予想の形成に影響を与えるショックが生じる可
能性はかなり高い。このため、中央銀行が政策を完遂させるにあたっての不確実性を削減
したいと考えるとすれば、この 6 ないし 11 四半期という時間は相応に長いと考えられる。
また、図 4 から明らかなように、予想改定頻度は、この二年半の間、ほぼ一貫して低下
してきた。たとえば、2014 年 6 月調査時点では、λ は「自社の販売価格」で 0.32、「物価全
般」で 0.63 と推定され、期間平均値よりずっと高い。この推定値にもとづくと、90%の企
業の予想が改定されることにかかる時間は 4 ないし 8 四半期となり、この二年半の予想の
粘着化が、中央銀行の政策を完遂させるにあたっての不確実性を高めたことが示唆される。
中央銀行は予想形成にどうアプローチできるか : 含意 2 と含意 3 シンプルな粘着情報モ
デルが示唆するように、利用可能なすべての情報にもとづいて合理的に予想が改定される
のであれば、時間はかかるとしても、中央銀行の予想への働きかけは有効に機能し得る。
他方、予想が完全に適合的に形成されていれば、中央銀行が先行きのインフレ率にコミッ
トするような政策は機能しない。含意 2 と含意 3 のテスト結果(表 8、図 7)は、企業の予
想形成が完全に合理的とも、また、完全に適合的ともいえないことを示唆している。言い
換えると、中央銀行は、少なくともいくらかは予想に働きかけられる可能性がある。それ
では、実際に、中央銀行の行動は、企業のインフレ予想形成に影響を与えているだろうか。
この点、Fujiwara [16] や Hattori et al. [19] は、日本銀行のインフレ率の見通しがエコノ
ミストのインフレ予想に影響を与えていることを報告している。他方、Kumar et al. [18]
は、多くの企業経営者は、中央銀行のインフレ目標などについての知識をもっておらず、
自らの買い物の経験などのミクロ情報にもとづいて予想を形成しているため、ニュージー
ランド準備銀行が 25 年間にわたってインフレ目標政策を遂行しているにもかかわらず、企
業のインフレ予想はアンカーされていないと主張している。ここでは、Fujiwara [16] や
Hattori et al. [19] のアイデアに依拠しつつ、日本銀行のインフレ率の見通しが企業のイン
フレ予想にも影響を与えていることを確認する。
日本銀行のインフレ率の見通しは、「展望レポート」と呼ばれる媒体を通じて定期的
22もちろん、実際には、金融政策は、インフレ予想以外の経路を通じても実体経済に影響を及ぼすとみられ
るため、中央銀行はインフレ予想だけにアプローチしようとするわけではない。
7. 結論 20
に公表される。「展望レポート」では、毎年 4 月に、見通し期間を 1 年延長する。たとえ
ば、2016 年 4 月の「展望レポート」では、2015 年度、2016 年度、2017 年度の 3 年間に
加えて、新たに 2018 年度の見通しが公表される。これは、毎年 4 月に、「物価全般」3 年
後予想に影響を与え得る新たな情報が到来することを意味している。このとき、「物価全
般」1 年後予想についての新たな情報が到来しなければ、各企業は、3 年後予想について
のみ予想を改定する誘因が生じる。幸運にも、2014 年 4 月以降の 3 年間、「展望レポート」
における消費者物価指数の 1 年後見通しは、0.5%から 1.3%の修正幅に収まっている (表
9)。したがって、短観における「物価全般」1 年後予想の回答に際して、「前年比+1%前後
(+0.5%∼+1.4%)」という選択を変更する誘因が「展望レポート」によって生じることは
ない。このことは、「物価全般」の 1 年後予想と 3 年後予想を比較すれば、企業のインフ
レ予想形成が「展望レポート」にどう反応するのかを調べられる可能性があることを示唆
している。
結果をみると、「物価全般」3 年後予想の改定頻度は、3 月調査と 6 月調査の間で、1 年
後予想と比べて 2.42%ポイント大きく上昇している (表 10)。このことは、「展望レポート」
における日本銀行のインフレ率の見通しが企業のインフレ予想の形成に影響を与えている
ことを示唆している。この結果は、Kumar et al. [18] の主張と対照的に、企業が日本銀行
のインフレ率の見通しというマクロ情報も利用しながら、インフレ予想を形成している可
能性があることを示唆している。
7 結論
本稿では、短観の個票データという、これまでにないサイズのパネルデータを用いて、
企業のインフレ予想に関する包括的な事実整理を行ったうえで、シンプルな粘着情報モデ
ルの主たる含意について実証分析を行った。
事実整理に関して、本稿の主たる発見は次の四点である。第一に、企業のインフレ予想
にはゼロ%未満には下がりにくいという性質がある。この下方硬直性は、ここ数年のイン
フレ予想低下局面において、インフレ予想の改定頻度を低下させる方向に作用してきた。
第二に、企業のインフレ予想は、業種間より企業規模間での差異が大きい。価格の改定が
財やサービス、業種間で差異が大きいことを踏まえると、インフレ予想の形成と価格設定
の関係はシンプルなものではないことが示唆される。第三に、企業のインフレ予想の期間
構造をみると、3 年後以降はほぼ不変である。第四に、企業のインフレ予想は、企業規模
や業種を問わず、年限が長いほど予想改定頻度が高い。これは、長期のインフレ予想につ
いてどう考えるかという、とりわけ中央銀行にとって重要な論点を提示している。
7. 結論 21
実証分析に関して、本稿は、企業のインフレ予想形成が、Mankiw and Reis [21] と
Reis [25] のシンプルな粘着情報モデルと、以下の点において整合的であるとの結果を得
た。第一に、予想を改定しない企業が相応に存在している。第二に、理論モデルと整合的
に計測した予想改定頻度は、時間を通じてほぼ一定である。第三に、本稿が計測した予想
改定頻度は、これまでに先行研究が報告してきた推定値よりずっと小さく (予想の改定頻
度が低く)、当初、Mankiw et al. [22] らがモデルのカリブレーションで想定していた値に
かなり近い。
以上の分析結果はいずれも、今後、企業のインフレ予想の形成や価格設定行動をモデ
ル化していくうえで、また、金融政策が実体経済に及ぼす影響を議論するうえで重要な示
唆を与え得る。ただし、企業のインフレ予想の下方硬直性の背景、予想改定と価格改定の
関係、長期のインフレ予想をどう考えるかなど、本稿の分析によって明らかにできていな
い点もなお多い。こうした点を含め、理論面・実証面ともに更なる研究の蓄積が望まれる。
以 上
参考文献 22
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http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2017/data/wp17j03.pdf
 
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/188.html

[経世済民121] 市場が真剣に警戒する「第2次朝鮮戦争」 ドルは強すぎる」発言の矛盾と限界 米株上昇6週間で最大 ドル上昇ムニューシン発言
市場が真剣に警戒する「第2次朝鮮戦争」

上野泰也のエコノミック・ソナー

それでも「リスク回避の円高」はあてはまるのか?
2017年4月18日(火)
上野 泰也

昨年9月、66年前の朝鮮戦争における洛東江(ナクトンガン)での北朝鮮軍との戦いを再現した韓国陸軍。(写真:AP/アフロ)
金融市場が注目する「北朝鮮情勢」

 物価は相変わらず上がりにくく目標の2%がはるかに遠いため、日銀は身動きが取れず、粘り強く金融緩和を続ける姿勢である。FRB(連邦準備理事会)は、3月に追加利上げを前倒し的に強引に行った後は、様子見モードに入っている。ECB(欧州中央銀行)は5月7日に決選投票が行われるフランス大統領選挙の結果待ちで、様子見を決め込まざるを得ない。このように日米欧の金融政策が「フリーズ」状態になる中、市場の関心は地政学的なものを含む政治リスクの行方に寄せられやすくなっている。フランス、シリアと並んで注目を集めているのが、北朝鮮情勢である。

 4月上旬に2日にわたって米フロリダ州パームビーチで行われたトランプ大統領と習近平国家主席の米中首脳会談は、特に北朝鮮の問題で、どうやら物別れに終わったようである。両首脳の共同記者会見は行われず、共同声明も発表されなかった。ティラーソン米国務長官が記者会見で、両首脳は「北朝鮮の核開発が深刻な段階に達した」という認識で一致し、同国の核開発阻止に向けた協力強化で合意したと述べたものの、具体的な内容への言及はなかった。米国側出席者によると、トランプ大統領は今回の会談で、中国が協力しないなら米国は単独での行動も辞さないという考えを習主席に伝えて、核開発阻止に向けた意味のある行動(北朝鮮への強い圧力行使)を迫った。

一致した解決策を見いだせなかった米中首脳

 「これまでの首脳会談では共同会見か、合意に失敗した場合でも共同声明を発表しており、今回のような状況は極めて異例と言える。これは両首脳が北朝鮮核問題で一致した解決策を見いだせなかったことを意味する」と、韓国の聯合通信は指摘した。日本経済新聞は4月9日朝刊で、「2日間の会談後、米中共同の発表や中国側の記者会見も一切ない。深刻な対立があった証拠である」と断言した。

 米海軍のスウィフト太平洋艦隊司令官は4月6日のインタビューで、米国の対北朝鮮政策について、外交的・経済的な手段では期待したような成果が出なかったと言明。北朝鮮に先制攻撃をするかどうかはトランプ大統領の判断次第だとした。

 4月8日には、シンガポールを出港した米原子力空母カール・ビンソンを中心とする第1空母打撃群が南下する予定を変更して北方に向かったことが明らかになった。トランプ大統領は「無敵艦隊」だと形容し、北朝鮮を強くけん制した。

日本が戦闘に巻き込まれる懸念も

 ティラーソン国務長官は4月9日のテレビ出演で、シリアに対する米国のミサイル攻撃に関連して、「国際合意に違反し他国の脅威になれば対抗措置を受けるというメッセージだ」と述べて、国連決議に違反する核開発を続ける北朝鮮に警告を発した。ただし、米国の目的はあくまで朝鮮半島の非核化であり、北朝鮮の体制転換ではないと述べた上で、米国が金正恩委員長暗殺を1つの選択肢として検討しているとの報道については「そうした計画は把握していない」と否定した。

 こうした米国による軍事的威圧に対し、激しい言葉づかいで北朝鮮は反発している。

 日本政府の動きはどうか。共同通信によると、北朝鮮封じ込めも意識したとみられる米軍のシリア攻撃について政府筋は「米国を敵視する北朝鮮に衝撃を与えたはずだ。日米同盟の抑止力は高まった」と判断しているが、米国や日本が描く筋書き通りに北朝鮮が米国の力に屈するかどうか見極めきれない点が問題で、圧力が裏目に出て金正恩委員長の理性を欠いた自暴自棄の行動を誘発する可能性もあると分析している。政府内には米国が本当に対北朝鮮軍事行動に踏み切れば日本が戦闘に巻き込まれるとの懸念も漂っているという。

「重大な挑発を仕掛ける可能性もある」

 ドル/円相場は筆者が予想していた通り、110円さらには109円を割り込む円高ドル安になった。平壌では4月11日、北朝鮮の国会にあたる最高人民会議の第13期第5回会議が開催された。この日は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が当時の党の最高職位だった第1書記に就任してから5年にあたる日でもあったのだが、目新しい動きはなかった。韓国の黄教安(ファン・ギョアン)大統領代行(首相)は同日、北朝鮮が「さまざまな記念日に合わせ、追加核実験をはじめ、重大な挑発を仕掛ける可能性もある」として、一層の警戒を指示した。その後、さまざまな動きが日々伝えられており、市場でも緊張が高まっている。

 北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル実戦配備は、実際に戦争を起こして勝とうとする動きではなく、米国を直接交渉の場に引きずり出して北朝鮮の現在の政治体制維持への保証をとりつけることを最大の狙いとした「政治的なカード」だというのが、コンセンサスになっている。武力で朝鮮半島の統一を行おうとしても、米国との軍事力・継戦能力の差は歴然としている。金委員長が軍事的に暴発するようだと、それは体制の崩壊に直結するだろう。

 だが、何が起きるか分からないのが現実世界である。発生する確率は低いもののひとたび発生してしまうと損害が甚大なものとなるテールリスクに備えて、北朝鮮が自暴自棄になり米韓と交戦状態に入るケースで市場がどう動くのか考えておくことは、全くの無駄ではないだろう。

万一の時のシナリオを検討する

 現時点での筆者の考えを整理すると、次のようになる。

(1)【戦争になれば、円買いが急速に進む】
 第2次朝鮮戦争が発生した場合には初期反応として、「リスクオフ」の円買いが急速に進む可能性が高い。

 交戦国の通貨である米国のドルと韓国のウォンは、条件反射的に売りを浴びるだろう。米国に関しては戦費による財政赤字拡大、韓国に関しては戦争被害・マインド悪化・終戦後に起こり得る北からの難民大量流入という難題が悪材料視されやすい。北朝鮮の隣国である中国との経済関係が深いオーストラリアドルも、対円で急落するだろう。

(2)【ミサイルが着弾するなどの被害が出れば、円には売り戻しが入る】
 戦闘地域が朝鮮半島とそのごく近くにとどまれば、円は逃避通貨という位置付けのままだろう。しかし、北朝鮮のミサイルが日本の領土に着弾したり、特殊部隊が日本海側から上陸して在日米軍基地や原子力発電所を襲ったりする事態になると、円の逃避通貨としての信頼感が弱まり、いったん買われた円にはある程度売り戻しが入ると予想される。もっとも、そうした緊急事態は短期間で終息する可能性が高いため、「逃避通貨」としての円の位置付けは維持されるだろう。

(3)【為替相場の動きが急激な場合は、協調介入実施の可能性】
 為替相場の動きがあまりにも急激だと判断される場合、要するに円高ドル安の進み具合がイレギュラーで市場の秩序が壊れたと判断される場合には、G20・G7の従来からの合意に沿って、円売りドル買いの協調介入が実施される可能性がある。これはパニック的な円高ドル安を止めて、円安ドル高方向にある程度押し戻す効果を発揮するだろう。

(4)【戦争が終結すれば、難民流出や財政負担などの問題も】
 第2次朝鮮戦争がそう長引かずに終結した後には、北朝鮮から韓国・中国・日本などへの難民流出の問題、南北のインフラ再建需要とその財政負担といったマターが、市場で随時材料になっていくと考えられる。

 日経ビジネスはトランプ政権の動きを日々追いながら、関連記事を特集サイト「トランプ ウオッチ(Trump Watch)」に集約していきます。トランプ大統領の注目発言や政策などに、各分野の専門家がタイムリーにコメントするほか、日経ビジネスの関連記事を紹介します。米国、日本、そして世界の歴史的転換点を、あらゆる角度から記録していきます。

このコラムについて

上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/041400090/?ST=print


 

トランプ氏「ドルは強すぎる」発言の矛盾と限界
ニュースを斬る
「口先介入」によるドル安円高は長続きしない
2017年4月18日(火)
武田 紀久子
日米経済対話を前に、円相場が急上昇している。シリア攻撃や北朝鮮問題による「安全資産=円」へのマネーの逃避に、トランプ大統領の「ドルは強くなり過ぎている」発言が追い打ちをかけた。だが、トランプ大統領の為替問題に対する姿勢には3つの矛盾が内包しており、口先介入によるドル安円高は長続きしない。国際通貨研究所の武田紀久子・経済調査部上席研究員が分析する。

(写真:ロイター/アフロ)
日米経済対話直前に円相場が急上昇
 円相場が対ドルで108円台へ上昇している。きっかけはトランプ大統領が4月12日に米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで「ドルは強くなり過ぎている」と発言したこと。続く14日にはトランプ政権下で初となる半期毎の「為替報告書」を米財務省が公表したが、同大統領が12日のインタビューで示唆した通り、選挙公約の目玉の一つであった「中国の為替操作国認定」は見送られている。
 日米経済対話の初回会合が18日に都内で開催され、その後20〜21日には米ワシントンでG20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議が実施されるなど、この先も重要イベントが目白押しだ。そのため、為替問題を巡るトランプ政権の出方に、改めて大きな注目が集まっている。
トランプ政権のドル高牽制で浮かび上がる3つの矛盾
 もっとも、今のトランプ政権には為替問題に対する首尾一貫した方針やコミュニケーション・スタイルがうかがえず、そのこと自体が混乱を招いている面は大きい。そして、残念ながら「日米経済対話」や「G20財務相・中銀総裁会合」を境に一気呵成にそれが確立されるとも思えず、しばらくはこうして「ブレ」の激しい状況を覚悟する必要がありそうだ。
 一方で日本政府にしてみれば、日米間に是正すべき為替問題は存在しない、というのが基本スタンスであろう。「対話」において為替問題がどのような優先順位で取り扱われるか現時点で見極めは難しいが、戦術的には初回「対話」直前にドル安円高が大きく進んだことで、むしろ「現在は円が増価している」「市場の変動幅が非常に大きいことを懸念する」などと言い込む“のりしろ”が確保できたと言えるのかもしれない。
 一連の重要イベント直前であるため、本稿では、ドル政策を巡りトランプ政権が直面している政治経済的な「3つの矛盾」に触れておきたい。それは、以下の3つである。
 (1)「国境調整税(BAT)」も含め、トランポノミクスの柱の多くが実はトランプ支持者の直接的メリットにならない政治的矛盾
 (2)米連邦準備委員会(FRB)が推進する超緩和政策からの出口戦略は、本質的にはドル高要因であるという金融政策との矛盾
 (3)長い目で見た場合、財政・経常赤字とドル高の併存は持続可能ではないという経済理論的な矛盾(とそれがもたらすリスク)
 まずは、1つ目の矛盾から見ていきたい。
矛盾(1):トランポノミクス効果を実感できないトランプ支持者
 1つ目は、“トランポノミクス”が掲げる財政刺激・減税・規制緩和が米ドル金利や米ドル相場へ与える作用は基本的に「金利上昇・ドル高」だが、それは、トランプ大統領誕生の原動力となった支持者層、すなわち製造業が集積する中西部“ラスト・ベルト”の低所得労働者に直接的なメリットをもたらさない。そればかりか、デメリットも大きいという点だ。
 財政刺激については、公共投資の「真水」規模や主たる投資対象が未だ判らず、他方、規制緩和策は主として金融と環境に集中している。また、昨年来、共和党が提起している法人税改革「国境調整税(BAT)」では、輸入品への課税・輸出品への課税免除などを通じ貿易赤字を縮小させ、国内調達が増えることで結果的に、雇用増加に繋がることなどが企図されている。
 しかし、その目論見が実感されるよりも前に、輸入製品の価格上昇が顕在化することで、「ラスト・ベルトのトランプ支持者」は国内物価の上昇と実質所得の低下を通じ、生活コストの上昇=窮乏化に直面することになるだろう。また、BAT導入は、理論的には「輸入関税と同率程度のドル高が進む」ことを意味している。ドル高は米製造業にとって、無論、マイナス要因である。
 彼らがトランポノミクスによって実は今よりも窮乏化するリスクに気付けば、トランプ大統領の支持基盤は崩れていく。政権発足から「100日のハネムーン」(4月30日まで)が終わりに近づいたこのタイミングでトランプ大統領があからさま過ぎるドル高牽制に動いた背景には、こうした支持層に対する一定の配慮があったことも考えられる。
矛盾(2):ドル高の背景はFRBによる金融政策正常化推進
 2つめの矛盾は、トランプ大統領が「強くなり過ぎている」とコメントした目下のドル高をもたらした最大の要因は、実はFRBによる金融政策正常化=利上げ推進にある、という点である。ドル相場は実質実効相場でみて確かに約30年ぶりの高値水準にあるが、そこに至るドル高を招いたのは、FRBの金融政策と上述の“トランポノミクス”への期待であり、つまり、今のドル高は米国自らがその原因を生み出した結果と言える。
 冒頭のトランプ大統領発言に加えて、シリアや北朝鮮情勢など地政学的リスクの高まりも相まって円高が進んでいる。こうした「安全資産への逃避」が進む中でも、米債利回りは昨秋の米大統領選挙後の下限水準を割り込んでおらず、それはやはり、米ドル金利の先高感が市場にしっかり根付いているから、と思われる。織り込み済みとはいえ、この先年内に追加で2〜3回の利上げが想定される米金融政策とその結果としての日米金利差などを考えれば、口先介入でのドル安円高誘導には自ずと限界があろう。
 ドル高の背景と是正アクションを日本に求めることには本来的に無理があり、それは本邦当局が承服しないという以上に、「FRB利上げ推進→ドル高定着」の道理が変わらない以上、無理は通らないということになるだろう。FRBは次のステップとしてのバランスシート縮小=国債購入の再投資停止に言及するなど、正常化推進にいよいよ本腰を入れている。米国とそれ以外の国や地域の金融政策のダイバージェンスが続く限り、抜本的なドル高是正は難しく、いくら口先介入の語気を強めたところで、その効果は一時的に留まる可能性が高い。

出所:BIS(国際決済銀行)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/041700666/p1.png

矛盾(3):持続可能でない対外赤字とドル高の併存
 3つめは、かなり長い視点に立ってのことだが、財政赤字、及び、それに伴う経常赤字とドル高の併存は、長期的に持続可能ではない、という点だ。
 財政支出の拡大とインフレの進行は、最終的には当事国通貨の価値を毀損させる。将来的な話とはいえ、そうしたリスクを抱えている通貨ドルに対し、大統領自らが場当たり的な口先介入で闇雲にドル安誘導を行うことは、場合によっては、ドル安が無秩序なものに発展する危険性を伴う。基軸通貨であるドルに仮にそのような事態が発生した場合、金融市場のみならず、世界経済が大きく混乱するリスクがあるだろう。
トランプ政権下での初の「為替報告書」の含意
 最後に、トランプ政権下で初めて発表された米財務省の「為替報告書」に触れておきたい。トランプ大統領の公約に反して「中国の為替操作国認定」が見送られたことが大きく報道されている。しかし、丁度一年前にオバマ政権下で導入された「為替監視国リスト」作成と「為替操作国認定」のクライテリア3項目は、言うまでもなく、米財務省自らが設定したものだ。2項目でリスト入り、3項目で操作国認定という手続き上、この基準項目などを変更しない限り、1項目しか抵触していない中国を操作国として認定することはできない。
 先のオバマケア代替法案提出の断念に続き、公約であった中国の為替操作国認定が見送られたことは、報道などにある通り、トランプ大統領の政治資本のそもそもの低さ、あるいは、減退を意味しているかもしれない。しかし、考えようによっては、トランプ大統領が議会や官僚に耳を傾ける、ある意味政権運営の正常化の事例の一つと取れなくもないだろう。
 なお、今回「為替報告書」を見る限り、日本に関する指摘に目新しさや切迫感は特に見て取れない。報告冒頭の監視国に関するレビューのサマリーにおいても、後段の詳しい記述部分でも、日本に対しては繰り返し「貿易不均衡の背景となっている低成長や低インフレの長期化を是正するために、従前の金融緩和と財政出動に加えて、労働市場等を中心に構造改革をより強力に推進し、生産性の向上などを目指すこと」が指摘されているにとどまる。
 トランプ政権の財政・金融政策は本質的に「ドル高型」であり、米当局による口先のドル安誘導には無理がある。そして、米財務省「為替報告書」において、少なくとも日本については為替水準ではなく構造改革推進の必要性が強調されていたことなどに鑑みれば、この先の口先介入による円高ドル安進行には限界があるように思われる。
 口先介入による円高ドル安誘導に限界があるならば、別の言い方をすれば、一段の市場開放や障壁削減への圧力は予想以上に高まる可能性があるのかもしれない。それほど、トランプ大統領誕生以前から「輸出振興・通商保護」に傾斜していた米国の経済保護主義の根は深い。
 日経ビジネスはトランプ政権の動きを日々追いながら、関連記事を特集サイト「トランプ ウオッチ(Trump Watch)」に集約していきます。トランプ大統領の注目発言や政策などに、各分野の専門家がタイムリーにコメントするほか、日経ビジネスの関連記事を紹介します。米国、日本、そして世界の歴史的転換点を、あらゆる角度から記録していきます。


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http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/041700666/

米国株:上昇、6週間で最大の上げ−薄商いの中で不動産など高い
Oliver Renick
2017年4月18日 05:36 JST 更新日時 2017年4月18日 06:40 JST

17日の米株式相場は4営業日ぶりに反発。6週間で最大の上げとなった。イースター(復活祭)の休暇で連休となっていた週末に、世界の成長を脅かすような大きな地政学的イベントが発生しなかったことが背景にある。米国株は週間ベースでは、先週まで2週続落となっていた。
  S&P500種の業種別11指数は全て値上がりした。この日は欧州市場がイースターマンデー(復活祭後の月曜日)の祝日で休場。米国では取引が再開されたが薄商いとなった。

  S&P500種株価指数は前営業日比0.9%高の2349.01。ダウ工業株30種平均は183.67ドル(0.9%)上げて20636.92ドル。
  S&P500種の業種別指数では金融や不動産が特に上げた。一方で上昇率が最も低かったのはエネルギー株。
  米証券取引所全体の売買高は約53億株と、年初来で最低だった。売買高の多かった個別銘柄はアーコニック、インサイト、イーライリリー、ネットフリックスで、30日平均の2倍以上となった。
  シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は14.7に低下した。
  
原題:U.S. Stocks Climb on Low Volume as Real Estate, Tech Shares Gain(抜粋)
原題:Stocks Rise, Dollar Slumps as Weekend Risks Fade: Markets Wrap(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOKLXS6VDKHS01


NY外為:ドルが対円で上昇、ムニューシン財務長官発言に反応
  17日のニューヨーク外国為替市場でドルが対円で上昇。ムニューシン米財務長官の発言を手掛かりに売り優勢から反転した。米10年債利回りも上昇した。
  ニューヨーク時間午後3時56分現在、ドルは対円で0.3%上昇して1ドル=108円97銭。対ユーロでは0.2%下げて1ユーロ=1.0641ドル
  ニューヨーク在勤トレーダーによると、108円70銭でストップロスの買い注文が発動され、ドルは一時109円台に上昇した。ムニューシン長官は年内の税制改革をなお見込んでいると述べたほか、「長期的には強いドルが好ましい」と語った。
◎米国株:上昇、6週間で最大の上げ−薄商いの中で不動産など高い
  17日の米株式相場は上昇。6週間で最大の上げとなった。イースター(復活祭)の休暇で連休となっていた週末に、世界の成長を脅かすような大きな地政学的イベントが発生しなかったことが背景にある。米国株は週間ベースでは、先週まで2週続落となっていた。
  S&P500種の業種別11指数は全て値上がりした。この日は欧州市場がイースターマンデー(復活祭後の月曜日)の祝日で休場。米国では取引が再開されたが薄商いとなった。
  ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種株価指数は前営業日比0.9%高の2349.01。ダウ工業株30種平均は183.67ドル(0.9%)上げて20636.92ドル。


◎米国債:小幅安、米財務長官の発言で売り−朝方は買い優勢
  17日の米国債相場は小幅安。ムニューシン米財務長官の発言を受けてドルが上昇したため、終盤にかけて売りが優勢になった。同長官は、長期的にみて強いドルは良いことだと発言した。
  ニューヨーク時間午後4時19分現在、10年債利回りは前営業日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.25%。
  アジア時間の取引では2.197%と、昨年11月17日以来の低水準を付ける場面もあった。米債券市場が休場だった14日に発表された消費者物価指数(CPI)や小売売上高が予想を下回ったことが買い材料となった。欧州では多くの市場がイースターマンデー(復活祭後の月曜日)の祝日で休場となる中、米国市場の早い段階で上げ止まった。今週の社債発行が膨らむとの予想が背景にある。
◎NY金:4営業日続伸、5カ月ぶり高値−ドル下落で
  17日のニューヨーク金先物相場は4営業日続伸。3月22日以降で最長の連続高となった。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は前営業日比0.3%高の1オンス=1291.90ドルで終了。終値では昨年11月4日以来の高値
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は低下
「ここ数日に見られた買い注文の大半は地政学的な問題に後押しされたものだった」−エレメンタルのトレーディング責任者、ブラッド・イエー ツ氏
プラチナ先物7月限は1.4%高の991.10ドルで終了
銀先物は0.02%高の18.514ドル
パラジウムは0.9%安の788.55ドル
原題:Gold Advances to Five-Month High as Dollar Drops; Platinum Rises(抜粋)
◎NY原油:反落、米国生産の増加見通しを嫌気
  17日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が反落。シェールオイル開発の拡大を示すデータを受け、米国の生産急増で石油輸出国機構(OPEC)主導の減産分が帳消しになるとの観測が広がった。
  ベーカー・ヒューズが前週末発表したデータによると、米国の石油リグ(掘削装置)稼働数は先週11基増加した。コンサルティング会社ショーク・グループのスティーブン・ショーク社長は電話取材に対し「リグ稼働数は直近36週中の32週で増加した。生産量が8週連続の増加となったほか、米エネルギー情報局(EIA)は2018年の米生産量が日量990万バレルになるとの見方を示した。米国の製油業者は堅調で、好調さは増すばかりだ」と話した。
  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物5月限は前営業日比53セント(1.00%)安い1バレル=52.65ドルで終了。北海ブレント6月限は53セント安の55.36ドルで取引を終えた。
原題:Crude Falls as Rising Rig Count Seen Boosting U.S. Production(抜粋)
◎欧州株:イースターマンデー(復活祭後の月曜日)の祝日で休場
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOKMYH6VDKHU01
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/197.html

[経世済民121] 予想外の経済成長加速、中国消費者の高級志向が寄与 中国新築住宅値上都市数増加 トランプ、リーマンショック再現 創造的製品
予想外の経済成長加速、中国消費者の高級志向が寄与
気掛かりもBloomberg News
2017年4月18日 11:22 JST

カードの利用
クラブメッド宿泊の旅行やティファニーの宝飾品などが人気
消費パターンのグレードアップが見受けられる−みずほの沈建光氏

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iuMuz2AnNeUs/v2/-1x-1.png

中国経済は1−3月(第1四半期)に6.9%成長と、予想外に2四半期連続で加速したが、これをけん引したのが消費者だ。
  中国で圧倒的な銀行カード決済ネットワークを展開する中国銀聯と電子商プラットフォームで中国2位のJDドットコム(京東)のデータによれば、3月は高級ホテルと飲食店での支出が伸び、オンライン販売も増加した。ただ、1−3月期の映画興行収入は振るわず、自動車販売は減少した。

  投資主導の経済成長からの脱却を手助けしているのが消費者だ。クラブメッド宿泊の旅行やティファニーの宝飾品などが人気で、消費者の高級志向も強まっている。
  みずほセキュリティーズアジアのアジア担当チーフエコノミスト、沈建光氏(香港在勤)は「消費パターンのグレードアップが見受けられる。一段と高級な商品とサービスが求められている」と述べた。所得の伸びの回復力と住宅ブームの資産効果が消費を支えているとも指摘した。
  ただ中国国家統計局が17日発表した経済統計で気掛かりなデータもある。1人当たりの可処分所得(中央値)伸び率が1−3月期は6.7%と、昨年の8.3%から低下。このデータ公表開始(2014年3月)後で初めてGDP成長率を下回った。
原題:Big Data Confirm China Consumer Rebound From Makeup to Club Med(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-18/OOL0EI6K50ZG01

中国:新築住宅の値上がり都市数、3月は62に増加−駆け込み需要
Bloomberg News
2017年4月18日 11:13 JST 更新日時 2017年4月18日 12:40 JST 
新築住宅価格が前月から上昇した都市数は62−2月は56
北京や広州で価格上昇−上海や深圳では値下がり

中国の新築住宅価格は3月に62都市で上昇した。昨年10月以来の水準に増えた。不動産購入に対する規制強化を控え、駆け込み需要があったことが示唆されている。
  国家統計局は18日、調査対象の主要70都市のうち新築住宅価格が前月から上昇した都市数は62と、2月の56から増加したと発表。前月から値下がりした都市数は8だった。
  中国当局は住宅バブルを防止するため、大半の1級都市と2級都市で厳しい抑制策を実施する意向を表明しているほか、小規模都市の中心部で住宅供給過剰の解消を目指している。1カ月間に少なくとも64都市が新規の不動産購入規制もしくは規制強化を発表しており、購入資格が将来なくなることを懸念した買い手が市場に殺到したことが住宅販売増加の一因となった可能性がある。
  北京の新築住宅価格は前月比0.4%上昇。同市当局は2軒目の住宅購入の頭金要件を引き上げた。主要都市で最後に購入規制を発表した広州の新築住宅価格は2.5%値上がりした。一方、上海では0.1%下落したほか、昨年初めに最も過熱していた深圳でも0.3%下落と、6カ月連続で値下がりした。
原題:China Home Prices Rise in More Cities as Buyers Beat Curbs (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-18/OOL1NF6JTSE901


 

【第2回】 2017年4月18日 ダイヤモンド・オンライン編集部
トランプ政権がこのままいくと「リーマンショック」が再現されるのではないか
主筆に聞く!日本企業の「“トランプ”との付き合い方」
現在、アメリカ・トランプ政権の注目テーマといえば緊張が続く北朝鮮情勢だが、そうした中、18日にペンス米副大統領と麻生太郎副総理兼財務相との経済対話が始まり、トランプ政権と日本政府の経済分野での議論が本格化する。アメリカ側からは対日貿易赤字削減、為替政策への要求などが予想されるが、トランプ政権のスタンスに対し、日本の企業経営者たちは今後をどう見据えて経営の舵取りをしていくべきか、ダイヤモンド・オンライン連載「今月の主筆」に登場した経営者に問う企画。今回は三菱ケミカルホールディングス会長で、経済同友会代表幹事の小林喜光氏に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 山出暁子)

短期的にアメリカ経済は上向く

――トランプ政権発足から丸3ヵ月経ちました。就任当初は企業に対する「脅し」ともとれるような発言も目立ち、保護主義的な動きへの警戒感が高まっていましたが、今、トランプ大統領についてはどのように見ていますか。


小林喜光(こばやし・よしみつ)/三菱ケミカルホールディングス会長 。1946年山梨県生まれ。71年東京大学相関理化学修士課程修了。ヘブライ大学(イスラエル)物理化学科、ピサ大学(イタリア)化学科留学を経て、74年三菱化成工業(当時)に入社、2005年三菱化学常務執行役員、07年三菱ケミカルホールディングスと三菱化学の社長に就任。15年4月より三菱ケミカルホールディングス会長。理学博士。15年度より経済同友会代表幹事。
Photo by Yoshihisa Wada


 少し前の話になるが、共和党内をまとめきれずにオバマケアの代替法案を撤回せざるを得なかったように、さすがに議会が納得しないと政策も動かないから、ある程度バランスを取っていくような動きは出てくると思う。

 だが、選挙遊説や就任演説で訴えていた「バイアメリカン、ハイヤーアメリカン(米国製品を買い、米国人を雇え)」というスタンスは本質的には今後も変わらないと思っていたほうがいいだろう。

 アメリカ自身がグローバルな交易、グローバルな人材の受け入れによって経済発展を遂げてきたことを否定し、トランプ大統領の中心的支持者であると言われる「中西部の白人」のために発言していくような、いわゆる保護主義的な路線は今後も継続していくのではないか。

 ただ、安全保障の面では、対シリア、対北朝鮮で極めて明確な戦略的対応をしていると思うし、国際秩序保持のため、そこは今後ともご尽力いただきたい。

――トランプ大統領が今のままのスタンスを推し進めていくと、世界経済はどのような景色になって行くと見ていますか。

 目先の懸念材料に反応して株価が一時的に下ブレすることなども当然あるだろうが、火力発電所のCO2排出規制を見直す大統領令に署名したり、石炭産業復活を支援するなど、今後いろいろな規制緩和やインフラ投資をしていくから、税制改革などの先行き不透明感は若干あるにせよ、短期的にはアメリカ経済は上向いていくだろう。

 それと同時に、今は世界中がカネあまり状態であり、期待先行で株価が上がっていく可能性が高い。このままいくと、今後4年の間にまたバブルが起こり、2008年(リーマンショック)が再現されるのではないか、という危機感を感じている。

――アメリカだけでなく、4月23日のフランス大統領選で極右政党のルペン候補が注目されてきたとおり、ヨーロッパでもグローバル化を否定し保護主義が台頭する動きが出てきたことに対して警戒感などはありますか。

 全体的に「保護主義に向かっている」というよりは、歴史上の大きな流れの中の澱みであると思っている。

 つまり、1989年のベルリンの壁崩壊以降、国際社会においては、ロシアも含め、自由主義経済、資本主義をベースにした民主主義が“正義”だった。

 COP21で「パリ協定」が採択されるなど世界中が1つになって地球環境を考えていくような取り組みも進んでいった一方で、経済のグローバル化が進む中、マネーゲームが横行する金融資本主義が優位になり、富める者と富めない者を生んでしまった。

 また、ネット社会の発展により、中近東では自由、公正などを訴え、独裁体制を打倒する「アラブの春」など民主化運動が起こったが、混迷する状況の中、一部の過激な者たちはISのような集団を生み、その結果、シリアを中心とする多くの難民が欧州に渡って、それがイギリスのEU離脱や、欧州の一部の国が保護主義的な考えに傾く契機となってしまった。

 アメリカでも同様に、大変な格差社会で最も不満をため込む状況に陥っていた中下層階級の白人の鬱憤が爆発した。

 こうしたことは、国際社会の大きな流れの中では、一時的に「後ずさり」したという状態だと思っている。

 アメリカで今起こっていることは、白人中間層がハッピーだった時代への「ノスタルジー」であって、新たな方向性が出てきたわけではない。「ノスタルジー」は長く続くわけはなく、これまで世界の大きな流れは「グローバル化」「ダイバーシティ」で来ていたわけだから、一定の期間が過ぎれば終わればその流れにまた戻るだろう。

 だいたい、政治はともかく、経済のグローバル化は自然科学的に考えても拡散していくものだ。個別ではやっていられないからこそ、ここまでグローバル化が進展してきた。

 今後トランプ大統領が二国間協定を推し進めていっても、それが上手くいけば次の段階としては貿易連合が出てくるはずだから、今そこをあまり心配する必要はないのではないか。

――日本企業はどのような影響を受けると考えますか。

 日本では金融政策でマイナス金利まで導入しても、想定したほど円は安くならなかった。それが、トランプ大統領誕生後、財政出動など政権の経済政策への期待であっという間に円安が進んだ。それくらい、日本というのは経済的には「大海に浮かぶ小舟」ということ。

 だから、アメリカ経済が好調であれば、輸出や為替を通じて日本経済にも良い影響があるだろう。今はいくらトランプ大統領が口先介入したとしても、トレンドとしては円高には行かないと思う。

 インフラ投資や税制改革による経済成長を見越して、日本企業も今後相当アメリカに投資していくだろう。エネルギーコストは安いし、重化学工業系なども中国に向かっていた分がアメリカに行くようになるのではないか。アベノミクスにとっては追い風だ。だが、そこで喜んでいてはいけない。これは一種の「神風」と捉えなければ。

 日本はこの4年間、金融と財政だけでなんとか景気を上向かせようとやってきたが、実態はほとんど何も変わっていない。トランプ政権の経済政策によって、ここでまた「時間を稼げた」と思うべきだ。

 時間をもらったのだから、実態を伴う経済成長をしていくためにはどうしたらいいのか、日本は何が強くて、何で稼いで成長していくのか、構造改革、業務改革含めて、そこに本気で取り組まなければならない。そうした中で、アメリカに行ってやるべきものと、日本でやるべきものを峻別していけばいい。

日米政府間交渉では「データ」「ファクト」をベースに

――トランプ大統領就任直後、企業経営者たちがトランプ大統領への“お土産”に「アメリカにいくら投資する」「アメリカで何人雇用を創出する」と表明していることに対し「いくら大統領でも差別を公然と口にするような人物に対して、経営者というのはもっと毅然としていられないものなのか」という意見も聞かれました。日本の企業経営者は、トランプ大統領のアメリカにどう向き合うべきだと考えますか。

 私は常に政治と経済は基本的には独立していると思っている。政治は国家単位で考える、経済用語で言えば「単独決算」だ。

 だが、経済はグローバルで成り立っている「連結決算」だから、当然ビジネスの条件が良いところに向かう。株主に報いるために利益が得られそうな場所でビジネスをするのは、経済人としては当然の論理だ。

 ただ、私自身、経営には「資本の効率性の追求」「イノベーションの創出」「社会・地球の持続性の向上」の3つの軸が必要だと思っている。単に儲けることだけを考えるのではなく、企業の社会的使命などもバランスよく考えることが重要だ。環境・社会問題の解決、持続可能性を意識しつつ、利益が上げられると思うところに迷わず進出していく、といったことが重要なのではないか。

――今後、日米政府間の通商交渉において日本政府に期待することは。

 基本的に経済はグローバルな流れにあるので、自由主義、市場経済を基本とする理念をベースに議論していただきたい。

 例えば、対日貿易赤字の問題で「アメリカ製の車が日本で走っていない」と言われても「ドイツ製はこれだけ走っている。それは製品の魅力、消費者の選択の問題だ」としっかり返すくらいでいてほしい。

 要はデータ、ファクトをベースにしっかり議論して、合理的な結論に立ってもらえれば何も文句はない。

※編集部注:インタビューは2017年3月時点
http://diamond.jp/articles/-/125143


 


消費者調査から改めて考える、
「創造的な製品」とは何か
ジェニファー・ミューラー:サンディエゴ大学准教授
2017年4月18日
米国と中国において、ある製品・サービスが「創造的」とされる判断基準はどう違うのか。たとえば中国の場合、米国とは対照的に「大衆向け・量産品」であることは創造的である証だという。

 消費者はある製品が創造的だと思うと、それを気に入り、情報をシェアしたり買ったりする可能性が高くなる(英語論文@、A、B)。しかし「創造的」とはどんなものを指すのかについては、すべての人が一致しているわけではない。
 ジェフリー・ローウェンスタインと私が先頃発表した研究では、世界の2大経済圏である米国と中国において、創造的とされる製品の特性を検証した(英語論文)。その結果、製品が創造的かどうかの判断基準は2つの国で違っていることがわかった。
 たとえば、米国人が非常に創造的だと感じて惚れ込むような製品が、中国の人にとってはつまらないものに見えることがありうる。また逆に、中国の人が創造的だと思う製品が、米国人にとっては個性に欠けるものに見える場合もある。
 どんな製品にもさまざまな機能・特性がある。我々の研究では、米中2つの文化圏の少なくとも一方において創造性との関連を指摘された特性を、26個特定した。それぞれの文化圏での創造性に関する心理的認識を理解するために、まずは双方が一致している特性を知っておこう。その後、相違している部分を見ていくことにする。
 以下のリストは、米中で共に創造的だとされる特性である。
●パラダイムシフト:その製品やプロセスは、発想の大きな転換を象徴している。
●ブレークスルー:他者が実現できなかったことや不可能だと考えたことを、実現している。
●ポテンシャル:その製品やプロセスによって開かれた、未来のさまざまな可能性。
●新奇性:その製品やプロセスの珍しさ。
●再利用:あるコンテキストから何かを抽出して、別のコンテキストに応用している。
●意外性:その製品やプロセスが呼び起こす、驚きや衝撃などの感情的反応。
●芸術性:その製品やプロセスの美しさ。
●組み合わせ:通常は別々である複数の機能、特性その他の要素を統合している。
●ハイテク:テクノロジーの機能性にこだわっている。
●喜び:その製品やプロセスに接することで生じる幸福感や楽しさ。
 創造的かどうかを判断する際に、米国人は上記リストの特性だけに注目する。一方、中国の消費者はより広い範囲の特性を考える。
 たとえば、中国の人にとっては、あるアイデアが「ブレークスルー」であるだけでは十分ではない。そのアイデアが「広い支持」を得ているという実績の有無にも注目する。
 我々の研究で見られた特に大きな相違点の1つは、製品が「マスマーケット(大衆市場)向け」かどうかという特性だ。中国人は、ある製品がマスマーケット向けであるという事実のみをもって、それが創造的である証拠だと考える。他方、米国人は、マスマーケット向けにつくられている製品は創造的ではないと捉える。
 ここで、期待ほど売上げが振るわなかった、アップル・ウォッチを考えてみよう。アップル・ウォッチは同社初のマスマーケット向けウェアラブル端末として宣伝されていた。アップルと聞けばクリエイティビティや新しい発想(Think different)を連想する米国人にとって、「マスマーケット」という言葉で製品を売り込まれてもしっくりこない。アップル・ウォッチが米国で期待外れに終わった理由はここにあると、私は考えている。皮肉にも(我々の研究結果によれば)、中国でならこの同じ広告戦略が非常にうまくいくかもしれない。
 もう1つの重要な特性は、製品が「有名なブランド品/メーカー品」として売り出されているかどうかである。中国では、有名ブランドであることを打ち出す(または想起させる)のは、創造性との相関が非常に高い。しかし米国人の70%にとっては、それが創造性への判断にマイナスに働くことがある。すでに実績ある製品とは対照的な、創造性に富む新製品を売りたいなら、ブランド力を打ち出すことで米国人に「非創造的」と認識されるおそれがあるのだ。
 米国と中国で見解が分かれたポイントは、他にもいくつかある。たとえば、あるアイデアが高いレベルの「社会的承認」を得ている場合(フェイスブックの「いいね」の数、キックスターターの出資者数、ダウンロード数など)、中国人はそのアイデアが非常に創造的だと考えるが、米国人はそうではない。
 同じように、「おしゃれ」(流行に乗っている)、「評判・信用が高い」(有名人が推奨しているなど)、「高度の生産実現性」(安価・容易に生産できる)、「広く使われている」、「使い方が簡単」などの特性を持つアイデアは、米国人にとっては創造的でないと見られる一方、中国人はこれらを創造性の証拠だと見なす。
 我々の考えでは、これらの研究結果が示しているのは、米国人にとって創造的とは「個性的(distinctive)」を意味するということだ。広い支持(流行に乗っている、有名人が推奨しているなど)、生産しやすさ、使いやすさなどを伝える特性は、その製品がありふれたもの、独自性のないものであると示していることになる。
 他方で中国の消費者は、新しいアイデアが広く支持されていないなら、創造性に欠けているのだろうと考える。そんなアイデアは注目に値しない、というわけだ。
 マーケターがアイデアを発信するとき(そして追求すべきアイデアを意思決定者が選ぶとき)は、ターゲットとなる消費者に見合った創造性の特性を強調することが肝要なのだ。

HBR.ORG原文:Chinese and American Consumers Have Different Ideas About What Makes a Product Creative February 23, 2017
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ジェニファー・ミューラー(Jennifer Mueller)
サンディエゴ大学准教授。著書にCreative Change: Why We Resist It… How We Can Embrace Itがある。

http://www.dhbr.net/articles/-/4805

http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/203.html

[戦争b20] 北朝鮮高官「米行動なら全面戦争」米副大統領はけん制発言 ロシアTVトランプ最も危険 パキスタン、テロと戦う必要性=米大統
World | 2017年 04月 18日 11:12 JST 関連トピックス: トップニュース
北朝鮮高官「米行動なら全面戦争」、米副大統領はけん制発言

[ロンドン/ソウル 17日 ロイター] - 北朝鮮の韓成烈(ハン・ソンリョル)外務次官は、定期的にミサイル発射実験を続けるほか、米国が軍事的な行動に出れば「全面戦争」を招くと警告した。BBCが17日、インタビュー中の発言として伝えた。

BBCによると、同次官は「週、月、年ベースでさらなるミサイル実験を行う」と言明。「米国が軍事的手段を活用するほど向こう見ずな態度に出れば、まさにその日から全面戦争(が始まること)を意味することになる」と述べた。

核兵器で、米国の軍事的脅威から自国を防衛すると確信しているとも語ったという。

一方、アジア歴訪中のペンス副大統領は17日、北朝鮮に対しトランプ米大統領の行動と意思に留意すべきと警告。

「世界はこの2週間に、シリアやアフガニスタンでとった行動を通じて、トランプ米大統領の強さと決意を目の当たりにした。北朝鮮は、トランプ大統領の決意や、この地域における米軍の強さを試すようなことはしないほうが賢明だ」。ペンス副大統領は、韓国で黄教安・大統領代行との会談後、共同記者会見でそう語った。

ペンス副大統領と黄大統領代行は、北朝鮮による一段のミサイル発射や核実験を容認しないとの姿勢を強調。共同会見では、韓国に米軍の新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)を配備する計画を進めることを確認し、配備に反発する中国が韓国に対し報復的な行動をとっていることについて遺憾の意を示した。

<「戦略的忍耐」は終わり>

ペンス米副大統領は韓国での会談に先立ち、南北の軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)付近の米軍基地を訪問。副大統領は、米国の北朝鮮に対する「戦略的忍耐」の時代は終わったと強調。米国は韓国との「鉄の同盟関係」を支持し、力を通じた平和を模索する姿勢を示した。

米副大統領は「この国の人々の安定を確保するため、あらゆる選択肢を検討する」とした上で「戦略的忍耐の時代は終わった」と述べた。

米副大統領は、中国が北朝鮮の「政策変更に必要な行動をとる」ことをトランプ大統領は望んでいるが「中国が問題に対処しないのであれば、米国と同盟国が対処するとの意思を鮮明にしている」と説明した。

*情報を追加しました。


韓国大統領代行と米副大統領、北朝鮮に強硬姿勢 THAAD計画確認

北朝鮮ミサイル発射、米国は中国などと対策検討=大統領補佐官
米韓、北朝鮮挑発には「懲罰」
ペンス副大統領、非武装地帯視察
北朝鮮高官「米行動なら全面戦争」、米副大統領はけん制発言


 


ロシア国営テレビ:最も危険なのはトランプ大統領、金委員長でなく
Henry Meyer、Ilya Arkhipov
2017年4月18日 09:00 JST

政府の代弁者的存在、TVキャスターのキセリョフ氏が番組で発言
ラブロフ外相はシリアのような単独行動を回避するよう呼び掛け

ロシアの国営テレビは北朝鮮を巡る危機で世界を戦争へと駆り立てる恐れのある予想不可能な人物は北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長でなく、トランプ米大統領だと指摘した。
  ロシア政府の代弁者的存在であるテレビキャスターのドミトリー・キセリョフ氏は16日のトークショーで、最も危険なのはトランプ大統領だと発言。わずか数週間前までは、ロシア当局者や政府の政治宣伝の一翼を担う人たちは、トランプ大統領こそ世界が求めるリーダーだともてはやしていた。
  ロシア当局者は公式の場ではそれほど手厳しくない。ラブロフ外相は17日、北朝鮮への単独の武力行使を回避するよう訴え、実行した場合は「非常にリスクが高い行動過程」になるだろうと警告。さらに、北朝鮮の弾道ミサイル試射による「瀬戸際政策」は国連安保理決議違反だとロシアは非難するが、だからといって国際法違反を正当化しないとし、「シリアでみられたような単独行動が起こらないことを私は強く望む」と語った。
  
原題:Putin’s TV Says Trump More Dangerous Than N. Korea’s Kim (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-18/OOKW0V6TTDTM01

 

朝鮮半島情勢、外交を通じた問題解決を=中国外相

[北京 18日 ロイター] - 中国の王毅外相は18日、朝鮮半島情勢を巡り緊張感が高まっていることについて、外交を通じて問題解決に努める必要があると主張した。

記者会見で述べた。また、平和的な解決を関係各国に呼び掛けた。
http://jp.reuters.com/article/northkorea-usa-china-wang-yi-idJPKBN17K09P


 


パキスタン、あらゆる形態のテロと戦う必要性=米大統領補佐官
[イスラマバード 17日 ロイター] - マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)は17日、訪問先のパキスタンでシャリフ首相と会談し、「あらゆる形態のテロリズムと戦う必要性」を強調した。また、パキスタンにおける民主主義と経済の発展を称賛した。米大使館が声明を発表した。

シャリフ首相は、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方を巡る問題で、トランプ米政権が仲介役を果たすことに期待を表明した。

マクマスター氏は、トランプ政権発足以来初めて南アジアを訪問中。パキスタンに先立ち、アフガニスタンも訪れている。
http://jp.reuters.com/article/pakistan-usa-idJPKBN17K084

http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/179.html

[不安と不健康18] 間接照明が睡眠によくない本当の理由
【第11回】 2017年4月18日 ショーン・スティーブンソン(著) ,花塚 恵(訳)
間接照明が睡眠によくない本当の理由
全米で話題沸騰中の21の睡眠メソッドを集約した、『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』。本連載では同書の中心的なメソッドを紹介していきます。食事、ベッド、寝る姿勢、パジャマ――。どんな疲れも超回復し、脳のパフォーマンスを最大化する「睡眠の技術」に注目です!

アイマスクでは光をふせげない
暗いほうがよく眠れるというのは周知の事実だが、この事実をフルに活用している人は少ない。寝室に光の類いがあると、睡眠サイクルが乱れる恐れがある。アイマスクを使ったとしても、100パーセント光が遮られることはほとんどない。
皮膚にも光を感知する受容体が存在することはご存じだろうか? 目の網膜にある光受容体とよく似ているので、実は皮膚にも光が見えていると言えるのだ。ブラウン大学の研究チームにより、皮膚の細胞がロドプシンをつくることも確認された。ロドプシンは、網膜で光を認識する物質だ。寝室に光があると、身体はそれを感知して脳や臓器に通達する。そうなれば、睡眠が邪魔されかねないのではないか。
コーネル大学の研究チームがそれを試す実験を行った。被験者の膝の後ろに光ファイバー・ケーブルをつけ、皮膚の一部に光をあてた。一部といっても、その範囲は25セント硬貨ほどの大きさだ。被験者は真っ暗ななかで眠っていたが、そのごくわずかな光があたっただけで、体温とメラトニンの分泌に変化が生じた。やはり、目を覆うだけでは十分ではないのだ。ぐっすり眠るためには、眠るときの環境をきちんと整える必要がある。
遮光カーテンで
最良の睡眠環境をつくる
まずは、近年人気が高まりつつある「遮光カーテン」に替えよう。いまではたいていのカーテン売り場で扱われている。それから、光を発し続けるものを寝室から取り除こう。この二つを今夜のうちに行えば、明日起きたらきっと私に感謝したくなる。睡眠の専門家は、顔の前に手をもってきても見えないくらいの暗闇で寝ることを推奨している。私自身、豆電球をつけたまま寝る習慣で育ったせいで、部屋を真っ暗にして寝るのは本当に勇気がいった。
豆電球と言えば、フィラデルフィアにあるペンシルベニア大学シェイエ眼科研究所の研究チームが、小さな豆電球一つでも子どもの近視が進む一因となり、大人になってから深刻な視覚障害を招く恐れがあると発表した。彼らは2歳未満の子ども479人を三つのグループに分けた。真っ暗のなかで寝る子ども、豆電球が一つついた状態で寝る子ども、電気をつけた状態で寝る子どもだ。その結果は恐ろしいものだった。
真っ暗のなかで寝た場合、将来的に近視になった子どもは10パーセントだったが、豆電
球の部屋で寝た子どもは34パーセント、電気をつけた部屋で寝た子どもに至っては55パーセントが近視になったのだ。あらゆる条件を同じにして行われた実験ではなかったとはいえ、この結果は絶対に無視できない。なにしろ、大人だけの問題ではなく、自分の子や孫にもかかわる問題だ。
私たちの遺伝子は、暗闇で眠ることを当たり前だと思っている。いまは、部屋のなかで何かしらの光が一晩中ついていることも珍しくない。外の世界で起きることはどうにもならないのだから、せめて自分の家のなかのことは自分の手で何とかするしかない。最近の車のヘッドライトや街灯には、LEDが使用されるようになった。LEDは、光のなかでもとくに睡眠の妨げとなる。だからこそ、遮光カーテンは絶対に必要だ。
寝室を居心地のいい暗闇に変えるべく、行動を起こそう。私の睡眠は暗闇に変えた瞬間からよくなった。寝室を真っ暗にするようになってからというもの、最高の睡眠がずっと続いている。
間接照明がよくない、もう一つの理由
色には変化に応じた温度があり、それが人体に影響を及ぼす。絶対温度の単位ケルビンを用いた色温度表を見ると、ブルーはいちばん右端になる。この表は、右に行くほど温度が高く、左端のレッドに行くほど温度が低い。私たちが「熱い」でレッドを、「冷たい」でブルーをイメージするのとは反対だ。このことから、ハーバードの調査チームは、夜になったら薄暗い赤い照明を使うことを推奨している。彼らのデータによると、「赤い光は、体内時計とメラトニンの抑圧にもっとも影響力が小さい」という。
間接照明や天井の照明に使われる標準的な電球は、高い熱をもつ光だ。そういう電球の代わりに、暗くなったらキャンドルの優しい光をともして睡眠の質を高めよう。私たち人間は太古の昔からずっと、調理のときも、身体を温めるときも、暗い夜道を照らすときも、熱い炎を大事に使ってきた。自宅でともすキャンドルだって、小さいとはいえ立派な炎に変わりはないので、取り扱いには十分注意してもらいたい。
また、自宅の照明を赤い電球に替えることだってできる。そうすれば、パートナーとのあいだにいい雰囲気が生まれる効果も期待できる。音楽でも、ロック、R&B、カントリー、Kポップなどのジャンルを問わず、赤い光が出てくる曲はかなり多い。光は色も大事だが、明るさを表す照度についても知っておくと役に立つ。
照度を表す単位が「ルクス」だ。
太陽光が直接照らすと最低でも3.2万ルクスになる。私たちの先祖にとって、夜の光と言えば月明かりだ。1ルクスがせいぜいのその光と比べると、現代の私たちがどれほど異常な量の光を浴びているかよくわかるだろう。
http://diamond.jp/articles/-/125067


http://www.asyura2.com/16/health18/msg/492.html

[国際19] ソマリアの少女、飢える一族救うため失った自由と夢 個人消費に焦点当て、中国市場でシェアトップに トランプが強くする中国
World | 2017年 04月 18日 11:34 JST
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ソマリアの少女、飢える一族救うため失った自由と夢

 4月10日、干ばつに襲われたソマリア南部の村で、アブディル・フセインさんが家族を飢餓から救うために残された最後のチャンスは、14歳の娘ゼイナブさん(写真)の美貌だった。4日、ソマリアのドーロで撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
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Katharine Houreld
[ドーロ(ソマリア) 10日 ロイター] - 乾ききった低木地の広がるソマリア南部の村では、井戸が涸れ、家畜が死んでいった。そんな苦しい状況下で、アブディル・フセインさんが家族を飢餓から救うために残された最後のチャンスは、14歳の娘ゼイナブさんの美貌だった。

ゼイナブさんは左から2番目。3日、ソマリアのドーロで3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
年配の男性が昨年、ゼイナブさんとの結婚支度金として1000ドル(約110万円)を渡すと申し出た。エチオピア国境に近いドーロの街に親族もろとも引っ越すには十分な金額だ。ドーロでは、国際支援機関が壊滅的な干ばつから逃れてきた各世帯に食料と水を供給している。
だが、ゼイナブさんは結婚を拒んだ。

ソマリアのドーロで2日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
「死んだ方がまし。茂みに駆け込んでライオンに食べられた方がまだいい」と黒い瞳を持つ細身の少女は、高く柔らかい声で語った。
「そうすれば、私たちはここに留まって餓死し、動物たちに骨まで食い尽くされることになる」と彼女の母親は言い返した。
10代の少女とその母親が交わした会話は、2年に及ぶ干ばつを経て、ソマリアの家族たちが突きつけられている典型的な選択だ。「アフリカの角」に位置するソマリア全域で、作物は枯れ、白骨化した家畜の死体が散乱している。
この災害は、アフリカから中東にわたって2000万人の住民を脅かしている飢餓と暴力の一部にすぎない。

ソマリアのドーロで3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
国連によればソマリアの人口1200万人の半数以上が支援を必要としている。2011年にも似たような干ばつが発生し、何年も続く内戦によって状況がさらに深刻化したため、26万人が命を落とすという世界的にも大規模な飢饉が発生した。現在この国は、ふたたび飢饉状態の瀬戸際まで追いやられている。
犠牲者は今のところ数百人程度だが、3─5月も降水量が改善しなければ、その数は急増するだろう。見通しは楽観を許さない。

ソマリアのドーロで2日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
米国のトランプ大統領が国際援助予算の削減をちらつかせるなかで、国連は、ソマリア、ナイジェリア、イエメン、南スーダンの4カ国における干ばつと紛争により、第2次世界大戦以降で最大となる人類の集団災害が現実化しつつあると指摘する。
オブライエン国連事務次長(人道問題担当)は3月、安全保障理事会に対して、「私たちは歴史の臨界点に立っている」と述べた。「国連が創設されて以来、最大の人道的危機に直面しているのだ」
国連は7月までに44億ドルの資金を必要としているとオブライエン事務次長は語る。だが、これまでに国連が受領したのは5億9000万ドルに過ぎない。

ゼイナブさんの6歳の妹。4日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
<辛い選択>
統計数値には表われないが、家族たちは日々、生き残るために胸を締め付けられるような選択を余儀なくされている。
フセインさんは、ゼイナブさんの自由を、彼女の姉妹の生命のために売り渡した。

アブディル・フセインさん。4日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
「とても辛い気持ちだ」とフセインさんはロイターに語った。棒とボロ布、ビニールシートでできた粗末なテントには、彼女と14人の親族が身を寄せ合っている。「あの子の夢を終わらせてしまった。しかし結婚支度金がなかったら、私たちは全員死んでいたはずだ」
ゼイナブさんの手は染料の色に染まり、10代の子供らしく、自分でした落書きの跡がある。ぴったりとしたスカーフを頭に巻き、一番下にラインストーンで装飾を施したズボンの上に、長い淡褐色のスカートを履いている。内に秘めるのは鉄のように強固な意志だ。彼女は英語の教師になりたがっている。学校を卒業したいと思っている。彼女は結婚などしたくないのだ。
「私が求めているのは、こんな状況ではない」と彼女は言う。2歳の甥は裸で砂の上に横たわり、その弟である赤ん坊が弱々しく泣いている。

化粧をするゼイナブさん。4日撮影((2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
ゼイナブさんの夢の引き換えとなったのは、20人の姪や甥たちの命だ。彼らの母親はゼイナブさんの3人の姉で、若くして結婚したが、いずれも夫に死別するか離婚している。他にも、心配事でやつれた兄や、すきっ歯の妹、それに中年にさしかかった両親がいる。
かつて一家は牛やヤギを飼い、3頭のロバを馬車につないで移動手段として使っていた。だが家畜たちは死んでしまい、彼らがこの状況から逃れるための唯一の希望はゼイナブさん自身となってしまった。

皿を洗うゼイナブさん3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
1ヶ月にわたって彼女は結婚を拒否し、ふさぎ込み、部屋に閉じ込めておくことを家族が忘れたときには逃げ出した。だが結局、家族のあまりの困窮ぶりに、彼女の気持ちは折れた。
「娘に強制したいとは思わなかった」と母親は憂鬱そうに言う。心労のために額には皺が刻まれ、娘は硬い表情のまま隣に座っていた。「ストレスで眠れなかった。あまりにも目が疲れていて、針に糸を通すこともできなかった」

3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
<結婚>
支度金を受け取り、祝福を受けて結婚は成立した。ゼイナブさんは3日間、婚家に留まった後、そこを逃げ出した。
家族が自動車を借りて40キロ離れたドーロに移ったとき、ゼイナブさんも同行した。彼女は地元の学校に入学した。簾(すだれ)で壁を作り波形の鉄板で屋根をふいた教室には、教師が10人、生徒は約500人いた。
夫は後を追ってきた。
「彼は、自分を拒むなら金を取り戻さなければならない。さもなければ力ずくで彼女を取り戻す、と言った」とザイナブさんは静かに語る。「金を返せ、さもなければ夫としてお前のそばにいる、というメッセージを彼は私に送ってきた」
家族には支度金の一部でさえ返済することはできない。彼らのわずかな財産は、シミの付いた発泡素材のマットレスが2枚、調理用の鍋が3つ、その場しのぎのテントを覆うオレンジの防水シート、たったそれだけだ。他には何も売るものはない。

3日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
そこで、ゼイナブさんの英語の教師であるAbdiweli Mohammed Hersiさんが仲介役を買って出た。干ばつのために学業を諦める生徒を彼は何百人も見てきた。
<結末>
Hersiさんはゼイナブさんを地元の支援団体のもとに連れて行き、彼女をイタリアの支援団体に紹介した。欧州連合(EU)の資金提供者と一緒に視察に訪れていた地域コーディネーターは、介入を決意した。
「この少女のために何かしなければならない」。祈祷への呼び掛けが屋根を通して聞こえてくるなか、説明を聞くために集まった同僚たちのために茶を注ぎながら、Deka Warsameさんはそう語った。「さもなければ、毎晩レイプが行われることになってしまう」
彼女のスタッフは献金を募り、支度金の返済に足りるだけの現金を集めた。そしてゼイナブさんに、支援団体が両家の男性会合で仲裁を行うと語った。彼女の夫が証人の前で離婚を認めるならば、彼は支度金を取り戻すことができる。
それを聞いて、うつむいていたゼイナブさんは、さっと顔を上げ、 「私は自由の身になるの」と尋ねた。

4日撮影(2017年 ロイター/Zohra Bensemra)
(翻訳:エァクレーレン)
私たちの行動規範: トムソン・ロイター「信頼の原則」
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アングル:ソマリアの少女、飢える一族救うため失った自由と夢

国連、シリアで人道支援物資を空中投下 成否は不明
コラム:シリアなど破綻国家に共通する要因、宗教にあらず
地中海で密航船が沈没、難民約500人死亡の恐れ

http://jp.reuters.com/article/africa-hunger-somalia-idJPKBN17J01I

 

個人消費に焦点当て、中国市場でシェアトップに

トランプが強くする中国経済

日本ペイントホールディングス 田堂哲志社長
2017年4月18日(火)
田村 賢司
中国市場の成長が鈍化していることに注目が集まる。しかし、個人消費は拡大しつつある。これに焦点を当てた日本ペイントは、住宅内装用塗料でシェア1位になった。トランプ大統領が“攻撃”する元安について現地企業には影響がないとする田堂哲志社長に営業戦略を聞いた。
中国の住宅内装用塗料市場でシェア1位になっている。日本企業では数少ないシェアトップですね。

田堂:中国は、一戸建て、マンションとも、住宅の壁を塗装します。壁紙を使う日本と異なり、塗料の需要が大きい。


田堂 哲志(たどう・てつし)氏
1952年7月生。77年、同志社大学卒業。83年4月、日本ビー・ケミカル入社。2009年6月、同社社長就任。13年6月、日本ペイント取締役上席執行役員に。15年4月、日本ペイントホールディングス社長就任(写真:鈴木愛)
 それだけではなく、沿海部などでは最近、生活レベルが上がったためにリフォーム需要が出てきました。狙いは住宅の資産価値を維持することだと思います。リフォームの際にも塗料を使います。

 こうした動きを含め、中国の塗料需要は、2013年以降も年率8%で伸びています。輸出の伸びが鈍化し中国経済全体の成長力が落ちたように言われますが、消費市場は変化しています。

 おっしゃるように当社は中国の住宅内装用塗料で、2011年頃からシェア1位になっています。中国市場においてシェアNO.1になっている日本企業はあまり例がないのではないでしょうか。

原料調達は国内。元安の影響はほとんどない

どうやってシェアNO.1を達成したのですか。


田堂:重要なのは、市場戦略をしっかりと立てて実行することです。当社が中国に進出したのは1992年。その当時は、欧州の大手が圧倒的に強かった。そこで、まずブランドをしっかり確立しようと考え、パートナー企業と一緒になって「立邦塗料」というブランドを立てました。中国人はブランド好きだからです。

 思い切った広告を展開し、手応えのあった地域に集中的に営業をかけ、足場を築いていきました。平行して、専売店や併売店などの販売網を、そうした地域から全国に広げました。今、専売店は3300、併売店は4万2000にまで増えています。

 2つめの戦略は、設計から施工、メンテナンスまで一貫して手がけることで、製品・サービスの質の高さを印象づけることです。3年前に高価格帯の市場から着手しました。これもブランド戦略です。高価格帯の市場でブランドを確立し、中間層にも徐々に浸透させていったわけです。店舗網はそれに伴って増やしていきました。

最終的に実質見送りとなったようですが、米国のドナルド・トランプ大統領は元安を問題視し、いったんは「中国を為替操作国に認定する」とまで言いました。元安は輸出には追い風ですが、輸入物価の高騰につながります。影響はないのですか。

田堂:中国は、これまで経済成長の中で、皆さんが考えるよりずっと多様な産業が育っています。そのおかげで、塗料原料の相当部分は中国国内で調達できるようになっており、あまり問題はありませんね。そこはやはり市場規模の大きさですね。

 資本規制についてもよく聞かれます。配当の送金は事前に認可を取れば問題はありません。それに、我が社は基本的に、現地で稼いだ利益は現地に投資しているので、大きな障害にはなっていません。

中国政府は、環境保護に力を入れ始めています。その対応はブランド価値に影響しますか。

田堂:実は我々は、環境に優しい水性型塗料を早い時期から売り出しています。この姿勢もブランド価値の向上に貢献したと思います。

 こうした着実な販売戦略が効果を上げるのに伴って工場も増やしてきました。全国に5カ所のマザー工場を配置し、その下に地域中核工場を7カ所、さらにその下に小型工場などを17カ所、計29カ所の生産拠点を張り巡らしています。これは、顧客の需要に素早く応えられるようにすることで、さらに浸透しようと考えた結果です。

施工業者のための学校まで作った

顧客のニーズにきめ細かく、素早く応える仕組みを作った。


田堂:施工まで手がけているとお話ししました。これを実現すべく、地場の施工業者に技術を習得してもらうため、5年前に学校まで作りました。中国全土に16校を設け、塗料の知識や施工技術を業者の方々に教え、卒業証書まで出しています。

 それまで技能を認定する機関は中国になかったから、当社の学校を出たことは彼らにとって技能の証明になり、顧客にも業者にも価値のあるものとなりました。当初は無償だったものを昨年から有償にしましたが、それでも学びたい人が来るまでになっています。

 東南アジア諸国でも同様の戦略で、個人と企業市場を攻めています。タイ、ベトナムでは、自動車や二輪車市場で大きなシェアを獲得。シンガポールやマレーシアでは住宅用で非常に強くなりました。

 アジア市場では、シンガポールの投資会社、ウットラムにTOB(株式公開買い付け)をかけられたことがありました。2013年のことです。当社とウットラムは50年来の付き合いで、合弁会社を設立する仲でした。この件は、話し合いで決着させました。合意内容は、ウットラムが当社に39%出資する、アジアに展開していた合弁会社は当社の子会社にするというものでした。

 これにより、当社の売上高は2015年度、一気に世界4位に浮上。ウットラムとも協議し、今後の成長に伴って、ウットラム側は出資比率を下げていくことになりました。中国市場は大きく変わりつつあります。内需を捉える戦略をしっかり立てていけば、まだ可能性はあると思います。


このコラムについて

トランプが強くする中国経済
4月6日、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席が初めて会談した。
トランプ大統領はかねて中国で作られる安価な製品が米国の雇用を奪っていると主張。
中国製品に高税率の関税をかけると公言してきた。
会談中に米国はシリアを攻撃。
米中の懸案に対する具体策は乏しく、両国の溝が埋まったとは言い難い。
モノの貿易高だけで60兆円を超える世界1位と2位の経済大国の関係にヒビが入れば、
両国だけでなく世界全体が大きな影響を受ける。
それでなくても中国の成長は減速しており、経済の構造転換は待ったなしの状態だ。
だが、トランプ大統領の圧力が中国経済の変革を促すようなことがあるとすれば、また違った世界が現れるかもしれない。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/041400131/041700005/
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/164.html

[政治・選挙・NHK224] “奥崎謙三”を持ち上げたかつての左翼と今の右翼はどっちもどっち 幸福度世界1位のデンマークより日本のほうが恵まれている
“奥崎謙三”を持ち上げたかつての左翼と今の右翼はどっちもどっち
[橘玲の日々刻々]
 太平洋戦争末期、独立工兵第36連隊の二等兵・奥崎謙三は敗残兵として、飢餓と疫病の蔓延するニューギニアのジャングルに置き去りにされました。銃撃によって右手小指を吹き飛ばされ、右大腿部を銃弾が貫通し、左手一本で濁流の川を泳ぎ渡って逃げ延びようとしたものの頭部に銃弾を受け、とうとう死を覚悟せざるを得なくなります。
 奥崎は、山中で腐り果て、蛆虫にたかられ山豚の餌になるよりは、ひとおもいに米兵に射殺された方がマシだと思い、酋長らしき男の前に飛び出して自分の胸を指差します。ところが酋長は、「アメリカ、イギリス、オランダ、インドネシア、ニッポンみんな同じ」といって、奥崎に食事をふるまったあと米兵に引き渡したのです。
 奥崎はこうして終戦の1年前に捕えられ、俘虜収容所で玉音放送を聴くことになります。ニューギニアに送られた独立工兵第36連隊千数百人のうち、生き残ったのは奥崎を含めわずか8名でした。
 帰国した奥崎は結婚して神戸でバッテリー商を営みますが、不動産業者とのトラブルから相手を刺し殺し、傷害致死で懲役10年の刑に処せられます。大阪刑務所の独居房で奥崎は、自分はなぜあの戦場から生きて日本に戻ってきたのかを考えます。そして、この世のすべての権力を打ち倒し、万人が幸福になれる「神の国」をつくることこそが、ニューギニアで神が自分を生かした理由であり、戦争責任を果たそうとしない天皇を攻撃することで自らの信念を広く世に知らしめるべきだと決意したのです。
 出所後の1969年1月2日、新春の一般参賀で、奥崎はバルコニーの天皇に向かってゴムパチンコで数個のパチンコ玉を撃ち込みました(暴行罪で懲役1年6カ月の実刑)。
 この事件のあと、奥崎の人生は大きく変わります。彼は突如、左翼のヒーローとして祀り上げられたのです。
 それまでも左翼の知識人たちは天皇の戦争責任を追及してきましたが、それはたんなる理屈にすぎませんでした。それに対して、レイテ島、インパールと並ぶ太平洋戦争の最大の激戦地から奇跡的に生還した元日本兵は、自らの凄惨な体験に怨念を込め、全身全霊で天皇の責任を問うたのです。
 その後、奥崎は連隊の残留守備隊長(中尉)が日本軍の敗戦を知ったあとに、2人の上等兵を敵前逃亡の罪で銃殺刑に処した事件にとりつかれていきます。「捨身即救身」「神軍 怨霊」などと車体に大書した白のマークUを駆って、銃殺事件に関与したとされる下士官や軍医、衛生兵のもとを訪ね、ときには暴力をふるって真実を問いただす奥崎の鬼気迫る姿は、ベルリン国際映画祭などで多くの賞を受賞した原一男監督のドキュメンタリー映画『ゆきゆきて神軍』に描かれています。
 奥崎の言動が過激になればなるほど左翼の知識人は彼を神格化し、「東大を出た奴らが跪いてくる」と奥崎も悦に入ります。しかし83年12月、奥崎が上等兵2名を銃殺した責任を認めない元残留守備隊長を殺害すべく、改造銃を持って自宅を訪ね、応対に出た長男に発砲して重傷を負わせたことでこの関係は終わります。それまで奥崎を称賛していた左翼知識人たちは、潮を引くように離れていったのです。――この話は、左と右を逆にすればいま起きていることととてもよく似ているのではないでしょうか。
 奥崎謙三は懲役12年の判決を受けて97年に満期出所。05年に死去。享年85でした。
参考:「38年目の亡霊 奥崎謙三と戦争責任」
『週刊プレイボーイ』2017年4月10日発売号に掲載

橘 玲(たちばな あきら)
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(ダイヤモンド社)『「言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)など。最新刊は、小説『ダブルマリッジ』(文藝春秋刊)。
●橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中!(20日間無料体験中)
• “奥崎謙三”を持ち上げたかつての左翼と今の右翼はどっちもどっち [橘玲の日々刻々][2017.04.17]
• 森友学園問題をめぐる、 保守派とリベラルの空回り議論の本質 [橘玲の日々刻々][2017.04.10]
• 本気でいじめをなくそうとするなら 「学校制度」をやめるしかない [橘玲の日々刻々][2017.04.03]
• コロンビア大学黒人名物教授が提言する ”「ドラッグの非犯罪化」による黒人の救済” [橘玲の日々刻々][2017.03.30]
• 「自衛隊員の生命を守れ」というひとはいても、 南スーダンのひとたちのことは話題にしない [橘玲の日々刻々][2017.03.27]

http://diamond.jp/articles/-/125187 

 
【第1回】 2017年4月18日 石黒 浩 :大阪大学大学院基礎工学研究科教授
幸福度世界1位のデンマークより、日本のほうが恵まれている


今回からお届けするのは、漱石アンドロイド、マツコロイドを生み出したアンドロイド研究開発の世界的第一人者・石黒浩氏による、常識に囚われないモノの見方・考え方のヒント。第1回は、日本という国が我々が思っている以上に世界の中でも恵まれた社会だ、という“脱常識的”考察について。

公共サービスの充実は
貧しさゆえの必然

 僕は学会や講演で世界中の国々を回りますが、日本のように暮らしやすい国はほかにないと実感しています。これはもう奇跡的なレベルです。

 とくに何がいいかと言えば、バランス。公共サービスが中途半端なところで止まっているところが素晴らしいのです。

 たとえば、「幸福度ランキング」で1位のデンマーク。公共サービスがすごく充実していますが、その背景にあるのは貧しさです。

 冬の気温が低いので決して浮浪者は出せません。凍死する可能性が高いからです。近代社会において道端に死体が転がっている状況を容認することはできないでしょう。公共サービスの充実は、背に腹は代えられない事情から進んだものだと私は想像しています。

 北欧の中でもデンマークは最も貧しく、資源がなくて、貿易等でしか生きていけない国です。それでも公共サービスを充実させなければならないので、当然ながら税金を上げることになります。消費税率は25%で世界3位の高さ。所得税は40〜60%です。

 すると何が起こるか。ネガティブなループがぐるぐる回り出します。

 税金を上げると、男女共働きじゃないと平均的な生活ができません。20代〜60代の女性の社会進出率が70%以上という数字は先進的に見えますが、そうしないと生きていけないのです。最近の日本でも、少しそのような現象が表われ出しています。

 女性が自由に働けるようにするには、幼稚園から大学まで、すべて無料にしなければならない。個人では貯金はできないが、未来に貯金をしているという構図にしない限り、国民は納得しないからです。

女性が家事や子育てに集中する
選択ができる社会の豊かさ


石黒教授(左)と自身のジェミノイド(遠隔操作型ロボット)

 また、男女共働きになると、弁護士や医者といった机に向かって、一所懸命勉強したほうが有利な職業は、女性が大半を占めるようになります。だから、実はデンマークは女性のほうが平均年収が高いのです。

 すべての人が人工的に子どもをつくるような社会ならばいざ知らず、妊娠、出産を経験することの多い女性が、果たして男性と同じように働かなければならないのか。

 もちろん機会は平等であるべきだと思いますが、僕自身、労働における男性と女性の立場は必ずしも同じでなくていいと考えています。

 少なくとも、女性が家事や子育てに集中するという選択ができる社会のほうが豊かなのではないでしょうか。

 それに加えて、こうした政策を採ると、どうしても公務員が増える。公務員を国民の1割にまで増やして破綻した国がギリシャですが、割合はデンマークも同程度で、地方自治体の中には1割を超えているところもあります。

 その人たちが何をやっているかといえば、労働集約型の公共サービスしかない。それは、老人介護なのです。

 税負担が大きく、かつ貯金がない人が大半なので、介護を徹底的に充実させておかなければ国民の不満が爆発することは目に見えています。

 ここまでだと「そういう社会もありかな」と思われるかもしれませんが、一方で先端医療には十分な支援ができません。

 たとえば、がんだとわかったとしても、かなり長期間待たないと医師に診てもらえないと聞きます。そのうちに手遅れになる可能性もあります。

 そんなネガティブフィードバックがぐるぐる回っているというのがもし現実だとしたら、それでもまだ、あなたは「デンマークはすごくいい」「住んでみたい」と言えるでしょうか(これはあくまで、僕が想像するデンマークの一面だけを取り上げての見方の一つです。この国の社会のすべての説明にはなっていないことはご容赦願いたいと思います)。

あなたの想像以上に
日本は恵まれている


『枠を壊して自分を生きる。』石黒浩 著 三笠書房刊 1400円+税

 逆に、公共サービスが極端に整備されていないのはアフリカの一部の地域です。水道も電気もない。これはこれで大きな問題です。

 アメリカはスラム街があるので、どちらかと言えばアフリカ型に近い。個人的な見解ですが、スラム街を持っているような国が豊かで住みやすいとはとても思えません。そうした国と日本と、どちらがよい国かは一目瞭然です。

 いずれにせよ、やはりライフラインなどの生活のベースとなる公共サービスは国民が公平に享受できるレベルに達していなければなりません。

 イギリスの『エコノミスト』誌が23項目にわたって163ヵ国を対象に分析し、各国や地域がどれくらい平和かを相対的に数値化する「世界平和度指数」があります。これで日本は常にトップ10に入っています。

 上位に入っている他国は、そもそも人口が少なかったり、人口密度が低かったり、あるいは近隣に北朝鮮のような困った国がない、という点に鑑みると、実質的には日本がトップではないか、と僕はひそかに思っています。

 実際、2016年の1位であるアイスランドの人口は約34万人、2位のデンマークは約570万人、3位のオーストリアは約870万人。人口も人口密度も日本とはケタ違いです。

 また、日本が9位であるのに対して(2011年は3位)、フランス46位、イギリス47位、アメリカは103位という結果を見ても、日本の順位の高さは輝いています。

 デンマークのように公共サービスが重たくなり過ぎてネガティブフィードバックが起こる状態になっているわけでもないし、逆に公共サービスが手薄過ぎて、死者が出るような状態でもなく、適度なところでバランスを取っている、日本は世界でも稀有な国なのです。世界中からあこがれられている国です。

 さらに国民性として真面目で誠実、差別が少なく、貧富の差が小さくて社会がフラットなので、相互扶助の精神が行きわたっている。そんな国だからこそ、僕は世界に先駆けて、

「日本こそ国民全員が家族になることができる国」

 だと考えています。もちろん、人類のゴールは、

「地球上の全員が家族」

 となることです。その前段階として、国が一つの家族として機能する状態が求められます。僕は、これを「島国仮説」と呼んでいます。つまり、みんなが助け合って平等になるということです。

日本のものづくり世界一は
労働を苦役としない社会ゆえ

 そのためには「家族の輪」を広げなければなりません。血縁だけが家族、一族という幻想を捨て去って、その枠組みを拡大していく必要があります。そうなると、

「僕の父はお金持ちだから将来は安泰」

「自分の子どもにお金をどれだけ残そうか」

 といったような矮小な思考がなくなり、

「この社会にいかにして役に立つか、貢献するか」

 という思考をする人が増えます。現在はその方向へと進んでいる過渡期なのです。そして、日本は幸運にも世界をリードできる場所にいます。

 もちろん、日本にも多くの矛盾はある。それでも、日本人は矛盾の中を揺れ動きながら、差別の少ない平等な社会の中で、極端に走る人が少ない安定した社会を形成してきました。

 その意味で、親という存在に縛られず、家族の概念を国全体にまで拡大できる可能性の高い国だと言えます。そして僕たちは、そんな日本という国の一員なのです。

 さらに言えば、そういう日本だからこそ、ロボットの研究では圧倒的な強みがあると考えています。

 日本はこれまで時計でも、家電でも、自動車でも、ものづくりに関してはすべて世界一を取ってきました。「トップになれなかった分野がない」と豪語してもいいくらい、日本人はものづくりが得意です。

 それは日本という一つの大きな家庭のようなところで、協力し合えたからだと思います。

 ヨーロッパは人種が入り乱れ、貧富の差も大きい。階級をつくって、上の人が下の人を虐げるような構造になっているので、労働を苦役とする傾向が強く、働くことの目的が日本人とは明らかに違います。

 日本人は貧富の差がない、非常にフラットな民族なので、むしろ「社会の中で自分の役割を見つけよう」というモチベーションで働いている。だから、よく働くんですね。

 労働時間はいささか長いかもしれません。しかし、お金のためよりも、ものをつくることへのプライドを心の軸にして働いているので、いいものができて当たり前で、その結果、すべてのものづくりにおいて世界一になった。

 ロボットにおいても、日本は産業ロボットで圧倒的に世界をリードしてきました。

 これに続く日常活動型ロボット、日常生活の中で様々なサービスを提供するロボット、あるいは人間型ロボットの社会はもうそこまで来ています。

 そこで日本は再び世界のイニシアチブを取れると、僕は確信しています。

 世界的にも稀有なバランスの取れた国だからこそ、国全体が一つの家族になれる国だからこそ、世界に先駆けて豊かなロボット社会がつくれるはずだと信じて、研究に取り組んでいます。
http://diamond.jp/articles/-/124434

http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/343.html

[政治・選挙・NHK224] 地方税1200億円の回収不能15年度、滞納全体の1割 回収不能年1.3兆円 本当に必要?助成金バラマキで訪日中国人を誘致
地方税1200億円の回収不能 15年度、滞納全体の1割
2017/4/18 11:53日本経済新聞 電子版
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 滞納された地方税のうち全国の自治体が「回収不能」と判断した額が2015年度に1237億円に達したことが分かった。自治体が抱える地方税の滞納額全体の約1割にあたる。総務省が実施した15年度の決算調査データをもとに日本経済新聞が集計した。全国で企業倒産や家計の厳しさが増していることが改めて浮き彫りになった。

 自治体が回収できないと判断し、決算に損失として計上した不納欠損額の合計をまとめた。全国的な自…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB15HHY_Y7A410C1MM0000/

2016年04月06日
回収不能年1.3兆円 (平成28年04月06日)

回収不能 年1.3兆円 (平成28年04月06日)
          公的年金の保険料や税金

国民が支払う公的年金の保険料や税金のうち、政府が徴収をあきらめて回収不能になった金額が年間およそ1.3兆円に及ぶことが5日、わかった。国民年金が6割を占め最大だ。全体では現在8%の消費税率での0.5%分の税収に相当する金額を徴収できず、税金で穴埋めしている。…過去5年の状況を調べたところ、毎年6兆円程度の税金や保険料が決められた時期に支払われずに滞納となった。このうち毎年1.3兆円〜1.4兆円が回収できずに積み上がっている。(日本経済新聞 朝刊 北九州版 5P)

 (背景)
     …約1.3兆円の内訳は、国民年金8000億円、国税・地方税3081億円、国民健康保険料1658億円、厚生年金323億円、その他(介護保険・協会けんぽ・後期高齢者医療制度・労働保険・健康保険組合)413億円となっている。(日本経済新聞 朝刊 北九州版 5P)

(独り言)
     税や社会保険の延滞が、毎年6兆円で、回収不能額が1.3兆円ですか。政府の回収努力が全く見えず、国民の不信感が募る金額です。これこそ、マイナンバー制度を早期に利用し、回収すべきです。
http://cpachibou.seesaa.net/article/436298420.html

 

本当に必要?助成金バラマキで訪日中国人を誘致
地方都市の“本来の魅力”は高められているのか
2017.4.18(火) 姫田 小夏
中国人の訪日客を増やすために政府や自治体があの手この手で施策を展開している(写真はイメージ)
「爆買い」は終了したが、中国人客は相変わらず日本にとって大事なお客さんである。

?政府は「2020年までに年間訪日客を4000万人まで増やす」という目標を掲げている。現在、訪日客の中で最大の割合を占める中国人客をさらに増やさない限り、この数字は実現不可能とみられている。

自治体の大盤振る舞い

?政府や自治体は中国人客に日本に旅行に来てもらうために、あの手この手で誘致策を展開している。

?まず、政府は観光予算を積み増している。2017(平成29)年度の観光庁の予算額は、前年比4%増の255億9900万円を見込む。2015年度までは100億円規模で推移していたが、2016年度に一気に245億4500万円となった。前年比で約2.4倍、金額は約140億円増という力の入れようだ。

?地方自治体は助成金の大盤振る舞いである。クルーズ船の誘致、航空路線の誘致、ツアーの誘致などになりふり構わず予算をつぎ込んでいる。

?X市の観光協会のホームページを開いて驚いた。「今なら空港利用助成と合わせると、最高75万円!」と赤く強調された数字が目に飛び込んでくる。これは、視察や研修旅行などをX市で行ってもらうための施策の一環だ。X市への宿泊数がのべ30泊以上の視察・報奨・研修旅行に、一泊につき1人2000円(助成金空港利用助成と合わせて最高75万円まで)を助成するという。

?X市の空港は、昨年、中国の沿海部の都市との間の新規路線が就航したばかりである。中国をはじめとする海外からの訪日客を呼び込む際に、この助成金は大きな武器となる。

?X市の助成金はそれだけではない。同市に本社を置く旅行代理店に尋ねると、「中国人などの訪日客が空港を利用して市内に宿泊すると、旅行代理店に1日当たり5000円の助成金が出る」と言う。また同社の経営幹部は「訪日客が船で入国した場合も、市から1日当たり1500円の助成金が出る」と打ち明けた。

助成金がなければツアーが組めない?

?こうした助成金のバラマキはX市に限らない。中国の旅行代理店側からみると、この種の助成金は貴重な収益源になっているようだ。

?中国語のウェブサイトで訪日ツアーを検索すると、その料金の安さに目を奪われる。4泊5日のツアーで3000元(日本円で約5万円)台は当たり前。インフレが進む中国では、3000元などたいした金額ではない。現地事情に詳しい観光業者、Z社は「中国人にとって、日本は“格安料金で行ける手軽な外国”という認識が浸透しています」と言う。

?こんなツアー代金では、飛行機チケット代とホテル代を引くと中国の旅行代理店に利益はほとんど残らない。そこで旅行代理店は闇ガイドと結託し、中国人訪日客を“ぼったくり免税店”に連れて行く。そして、その店の売り上げを山分けしていることは当コラム(「跋扈する無資格通訳ガイド、悪徳商法でボロ儲け」)でお伝えしたとおりだ。

?さらに、彼らは日本の自治体の助成金にも手を伸ばす。前出の旅行代理店Y社の幹部によると、「中国系の旅行代理店は、助成金がなければツアーが成り立たないところが少なくない」と言う。

?ネットで検索した中国の旅行代理店のツアー商品には、「福岡、別府、北九州、長崎、佐賀で4泊5日4099元」といった複数の都市を訪問するツアーがある。これらの都市の中には、旅行代理店に助成金を支給するところも含まれている。

「A市では旅行客1人当たり5000円、B市に行けば1日当たり2000円の助成金がもらえる。その助成金を受け取ることで、原価ギリギリのツアーを商品化している中国の旅行代理店もあります」(同)

?ちなみに、中国人訪日客が相手の旅行市場は、日本の旅行代理店はほとんど手が出せない。中国から送客できる日本の旅行代理店は数社しかなく、訪日旅行業界は中国資本の旅行代理店とランドオペレーター(海外旅行の現地手配を行う会社)に独占されているのが現状だ。ある自治体の職員は、「各自治体の旅行代理店向けの助成金は、ほとんどが中国側に吸い上げられていると言ってもいい」と打ち明ける。

“本来の魅力”を高めるべき

?政府が掲げる「訪日客4000万人」の目標は、さらに多くの中国人客に来てもらわない限り達成し得ないことは冒頭で述べたとおりだ。中国人客を日本に呼び込むための助成金は、今後もますます増え続けていくことだろう。

?だが、こうしたやり方は果たして未来につながるのだろうか。助成金以外に「その都市の魅力」がなければ、残念ながらそれまでの話である。自治体が助成金をエサにして訪日客をかき集めるような手法ではなく、その都市の“本来の魅力”を高めることこそが、健全な税金の使い道ではないかという気がするのだが。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49719
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/347.html

[経世済民121] 日米経済対話は「相当ハード」な交渉に、円高は不可避−榊原元財務官 日銀人事「リフレ派」再び やる気ない「ゆとり世代」部下
日米経済対話は「相当ハード」な交渉に、円高は不可避−榊原元財務官
野沢茂樹、Chikafumi Hodo
2017年4月18日 00:00 JST

• 恐らく年内に1ドル=100円を突破する
• 「ノーと言うべきところはノーと言うべきだ」

トランプ政権は日米経済対話で「かなり厳しい」要求を突きつけてくる−。1990年代の対米貿易摩擦を背景とした超円高を打開した経験を持つ榊原英資元財務官は、輸出競争力や雇用に有利なドル安を志向する米国との交渉が難航すれば、今回の円高は避けられないとみている。

榊原元財務官

Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  ミスター円の異名をとる榊原氏(76)は17日のインタビューで、トランプ大統領は「雇用重視と輸出促進なので、ドル安を望んでいる」と指摘。経済対話は「相当ハードな交渉になる。米国の要求は必ずしも全てはのめないので、日本政府はノーと言うべきところはノーと言うべきだ。ただ、難航すればどうしても円高になる」との見方を示した。
  週明け17日の東京外国為替市場では、ドルは米国が攻撃姿勢を鮮明にしているシリアや北朝鮮、アフガニスタンとの地政学的リスクもあり全面安の展開となる一方、円はリスクの回避先として全面高となった。ドル・円相場は1ドル=108円台前半と、昨年11月の大統領選直後に付けた101円台前半から、12月には米景気刺激策を先取りする形で118円台後半まで上昇したものの、その上昇幅の6割近くを失った。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/itD96r_BbUPI/v2/-1x-1.png

  12日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ大統領がドルは強くなり過ぎ、米企業の競争力を損ねていると発言したと、インタビュー記事で報じた。榊原氏は「緩やかな円高・ドル安の流れが今後も続いていく。恐らく年内に100円を突破する」と読む。
  麻生太郎副総理兼財務相とペンス米副大統領はこの日から2日間の日程で、都内で初の経済対話を行う。次回は6月に米インディアナ州で開く予定だ。麻生財務相はムニューシン米財務長官ともワシントンで、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開かれる20日に会談。共同通信によれば、米国は今週のG20会議で為替問題の重要性を強調する方針だ。
  米財務省は14日公表した半期に一度の外国為替報告書で、日本と中国、ドイツ、韓国、台湾、スイスを、1)対米貿易黒字が200億ドル超、2)経常黒字が国内総生産(GDP)の3%超、3)GDPの2%規模の海外資産購入による継続的な通貨安誘導のいずれかに抵触する「監視リスト」に引き続き指定。中国については為替操作国と認定しなかった半面、米貿易赤字に占める割合の大きさを新たに指摘した。
  円については実質実効レートが過去20年間の平均に比べて20%安いと指摘。為替介入を最小限にとどめ、柔軟で透明性のある為替政策を目指すよう求めた。榊原氏は「為替介入は両国が合意しないと実施できない。今回100円に向かう過程ではあり得ない」と指摘。「米国がある程度のドル安を望んでいるため、90円が視野に入る状況になれば可能性が出てくる」と述べた。
  1995年4月。ドル・円相場は日米貿易摩擦などを背景に当時の戦後円高値79円75銭を記録した。その後に大蔵省(現財務省)の国際金融局長に就任した榊原氏は、米欧との協調介入で手腕を発揮し、相場は同年9月の100円台回復にした。アジア経済危機が発生した97年7月からは財務官を務め、巨額の円買い介入も実施した経験がある。政府・日銀は75円35銭と円高値を更新した2011年10月末の直後に過去最大の円売り・ドル買いを実施したが、以後は約5年半介入していない。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-17/OOJPP26JTSEA01

 
日銀人事「リフレ派」再び 民間銀取締役も起用
2017/4/18 12:29日本経済新聞 電子版
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 政府は18日、日銀審議委員に三菱UFJリサーチ&コンサルティング上席主任研究員の片岡剛士氏と三菱東京UFJ銀行取締役常勤監査等委員の鈴木人司氏をあてる人事案を衆参両院に提示した。任期は5年。積極緩和派のエコノミストと金融緩和により収益を圧迫される銀行の出身者を並べて硬軟のバランスをとった形だ。

 ただ緩和派である片岡氏もマイナス金利政策の効果には懐疑的で、量的緩和の推進を主張している。日銀が今後、…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC18H02_Y7A410C1000000/


長期金利、再びマイナス迫る 日銀オペ減額巡り思惑
2017/4/17 20:53日本経済新聞 電子版
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 長期金利の約5カ月ぶりのゼロ%割れが間近に迫るなか、日銀が国債買い入れオペ(公開市場操作)を減額するかどうかを巡り市場の思惑が交錯している。債券や為替の市場参加者の間で、オペの減額が円高・ドル安の要因になるとの見方があるためだ。外国為替市場で円高がじわりと進んでおり、市場は日銀の動きを注視している。

 「日銀は10年債の需給逼迫に配慮して買い入れを減らすのではないか」。17日の債券市場ではこうした…
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO15403260X10C17A4EN2000/

日銀審議委に片岡・鈴木両氏、原子力規制委委員長に更田氏
2017/4/18 11:47
 政府は18日午前、日銀審議委員に三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士上席主任研究員と三菱東京UFJ銀行の鈴木人司取締役を充てる人事案を国会に提示した。7月23日に任期が満了する木内登英氏と佐藤健裕氏の後任。

 政府は18日、国会の同意が必要な人事案を衆参両院に提示した。日銀審議委員には三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済政策部上席主任研究員の片岡剛士氏(44)と三菱東京UFJ銀行取締役常勤監査等委員の鈴木人司氏(63)をあてる。任期は5年。原子力規制委員会委員長には同委員会委員の更田豊志氏をあてる。

 片岡 剛士氏(かたおか・ごうし) 96年(平8年)慶大商卒、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。01年慶大院商学研究科修了。現在、経済政策部上席主任研究員。愛知県出身。44歳。

 鈴木 人司氏(すずき・ひとし)77年(昭52年)慶大経卒、三菱銀行入行。08年三菱東京UFJ銀行常務執行役員、11年専務取締役、12年副頭取。16年取締役常勤監査等委員。63歳。

 更田 豊志氏(ふけた・とよし) 87年(昭62年)東工大院卒、旧日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)へ。01年企画室調査役、12年原子力基礎工学研究部門副部門長。同年、原子力規制委員会委員、14年から委員長代理。59歳。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE18H03_Y7A410C1MM0000/

 


 
【第29回】 2017年4月18日 新谷学
やる気のない「ゆとり世代」部下との接し方

つねに世間を賑わせている「週刊文春」。その現役編集長が初めて本を著し、話題となっている。『「週刊文春」編集長の仕事術』(新谷学/ダイヤモンド社)だ。本連載では、本書の一部を抜粋してお届けする。(編集:竹村俊介、写真:加瀬健太郎)

迷っている部下とは生き方についてじっくり語れ

 部下のモチベーションを高めることはリーダーの大切な仕事だ。

 チーム全員が当事者意識を持って、この雑誌を自分なりに良くしようと思っていないと、雑誌は良くならない。個々のモチベーションなり、発散している熱量の総和が編集部の勢いになるわけだから、少しでもそのエネルギーは強いほうがいい。


新谷学(しんたに・まなぶ)
1964年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。89年に文藝春秋に入社し、「Number」「マルコポーロ」編集部、「週刊文春」記者・デスク、月刊「文藝春秋」編集部、ノンフィクション局第一部長などを経て、2012年より「週刊文春」編集長。
 脱落したり、不満分子になったり、冷めた目で見ている人間は、いないに越したことはない。スクープ記者だけが偉いわけではない。グラビア班もセクション班も大切だ。阿川佐和子さんの対談の担当者も、表紙の和田誠さんの担当者も毎週懸命に働いている。林真理子さんの原稿をもらうために深夜まで待つこともある。「淑女の雑誌から」という名物コラムはオチも含めて若手男子社員が担当するのだが、あの1ページのために徹夜することも珍しくない。グラビア班もそうだ。特集班が悪化させてしまった芸能事務所との関係に苦しみながらも、「原色美女図鑑」のキャスティング、撮影に日夜奮闘している。それぞれが大変なのだ。一人欠けても、週刊文春はできあがらない。私は部員一人ひとりに「あなたの仕事がいかに雑誌にとって大切か」をわかってもらいたい。

「やる気のない?」ゆとり世代とどう付き合うか

 中にはいわゆる「ゆとり世代」と言われるような若者に手を焼いているリーダーもいるだろう。「自分が何をしたいのか」もわかっていないような新人も最近は多いという。

 私はあらゆる問題について、予断を持たないようにしている。安易な世代論に流されて「最近の新人は」なんて嘆いてみても何も始まらない。最初から色眼鏡で見ていたら、本来、その人間が持っている優れた資質にも気がつかないだろう。

 つかみどころがないような若手に向き合うとき、私ならまず「仕事って何だ」という話から始める。これはモチベーション以前に、生き方の問題なのだ。自分はどういう人生を望むのか。人生において、仕事はどういう位置づけなのか。「仕事が全てじゃない」「そこそこ稼げればそれでいい」という割り切り方もあるだろう。それで本当に幸せだと思えるなら、べつに否定はしない。ただ、人生において、好むと好まざるとに拘わらず、かなりの長い時間を「仕事」にかけるわけだ。その仕事を、義務感でお金のために嫌々やるのか、本当におもしろいと思ってやるのかによって、人生そのものの有り様が大きく変わってくる。

 私自身は、とにかく清々しくおもしろく生きたいと思っている。そのためには、仕事はおもしろくなくては困る。したがって、「どうすれば仕事がおもしろくなるのか」「自分にとっておもしろい仕事とは何だろう」ということは、ずっと考え続けている。そういうふうに仕事と人生を考えたときに、例えば出版社に就職したとして、本づくりがおもしろくなくても、経理がおもしろいと思えばそれはそれで立派なことだ。編集職が偉くて、他がダメということは、全くない。

「自分は何を求められているのか」「自分はどう世の中の役に立てるのか」。そこがちゃんとわかってくれば、若手だって意識が変わるはずだ。感情のない人間などいないのだ。いちばんダメなのは、最初からレッテルを貼ったり、予断を持って「あいつやる気ないからダメだよ」とたらい回しにするようなリーダーだろう。他の部署での評価が芳しくなくても、週刊文春に来て花開くこともある。

 若い人にはいろんなことをやらせてみないと、適性はわからない。若手も「自分はこういう仕事をやりたいから入って来た」とか「自分はこういうことに向いている」などと早々に決めつけてはいけない。まずは目の前の仕事を何でも一生懸命にやらないと、本当の適性や、やりたい仕事は見えてこない。自分よりも、一緒に働いているまわりの人のほうが、その人の適性を見抜くことはよくあることだ。
http://diamond.jp/articles/-/125157


「よそ者目線」で明るい日本の魅力を見てみよう

これからの働き方と仕事の視点

A.T.カーニー日本法人・梅澤高明氏 × オイシックス・高島宏平氏
2017年4月18日(火)
楠本 修二郎
 ここ数年、東京を訪れる外国人が増えた。だが、観光客たちは一体何を期待してきているのだろう──。買い物、食事、独自のカルチャー、街の雰囲気…。国際都市としての東京、そして日本の魅力を問われると、はたと考えこんでしまうほど日本人自身はその可能性を分かっていない。さらに未来の話となればなおさらである。ならば、まずは日本の明るい可能性を語り合おうではないか。

 今回の鼎談のテーマ「これからの都市と地方」。鼎談相手は、オイシックス社長の高島宏平氏。そしてもう1人がA.T.カーニー日本法人会長の梅澤高明氏。グローバルな視点から東京の活性化を提案する『NEXTOKYOプロジェクト』の発起人でもある。
(連載 第1回、 第2回、 第3回 から読む)


左から、筆者(楠本修二郎)、A.T.カーニー 日本法人会長の梅澤高明氏、オイシックス社長の高島宏平氏。(写真:的野弘路)
「日本版ダボス会議」で出会う、そんな交流の場がもっと必要

楠本:最近、1人で生きているのではなく、「共存している感覚」を持つことがとても大切な時代になってきたと思っているんです。人間だけではなく、国内の地域や世界の各都市もそう。「共存」という視点で、国際問題から隣近所の問題まで見ていけば、もっとポジティブな発想・アイデアが出てくると思うんですが、お二人はどう思いますか。

高島:以前は、農業界であれば農業界だけで固まっていました。そして、外食業界には様々な団体が業界内にあり、団体内の中には各々のコミュニティは存在していたんですが、その境界線を超えることがほぼない状態。言ってみれば、人と人同士はすぐ友達になれるけど、国同士になるとあんまり仲がよくなれないのと同じ感覚でした。境界線を越えることで、実はとても良い化学反応が起こりやすいのにもったいないなぁと思っていました。

楠本:僕は外食業で、高島さんは食品の流通業。その出会いはG1サミット(グロービス経営大学院の堀義人学長らが主催する「日本版ダボス会議」。今後の日本・世界を担っていくリーダーが学び、交流する場を提供する。2009年から毎年開催)でした。そういう交流の場があれば、境界を超えて簡単に繋がることができます。

 そういう新しいきっかけをつくる場、業界を超えたプロジェクトがもっともっと必要ですね。お二人とは、『東京ハーヴェスト』や『NEXTOKYO』というプロジェクトでご一緒しています。この2つは、共に「東京」がキーワードになっているのですが、これからの東京は、どのように変わっていくと思いますか?

地方には「資源」がたくさん眠っています

梅澤:高度成長期から今までの日本は、地域が人を供給して、都市に集まった人たちが産業を興し、その産業が生み出した富が国全体に再配分されてきた基本的に一方通行な状態でした。だけど、産業が高度化し、サービス化してきて、かつインバウンド観光というものが重要な産業になってきました。インバウンド観光にしても、食にしても、実は地域が鍵を握っている。沢山の資源が眠っていて、それをどれだけ活用できるかが、国力向上には大事なんです。

楠本:地方に眠っている「資源」?

梅澤:自然や食や歴史遺産など、様々な素材が地域に眠っていますよね。大事なのは、それらの素材を発掘、編集して、魅力的な観光資源に磨き上げ、情報発信していくこと。Uターンだけでなく、Iターンも含めて、いろいろな人が地域に入っていって、こんな動きを活性化することが必要です。

楠本:そうすると、東京の役目はどうなるのでしょう?


梅澤高明(うめざわ・たかあき)氏
A.T.カーニー 日本法人会長
東京大学法学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローンスクール卒(MBA)。経営学修士。日産自動車を経て、A.T.カーニー(ニューヨーク・オフィス)入社。日本・米国の大手企業を中心に、戦略・イノベーション・組織関連のコンサルティングを実施。クールジャパン関連の政府委員会で委員を歴任。著書に『最強のシナリオプランニング』など。
梅澤:本来は地域の住民が直接、世界に情報発信をしていければ良いのですが、東京から遊びに行った人たちがその地域の魅力に惹かれて行き来するようになり、情報発信のハブとなるケースも少なくない。

 今まで以上に、豊富な結び付きが大都市とそれ以外の地域にできてくれば、日本はとても豊かになるしもっと魅力的な国になるはずなんですよ。

楠本:いわゆる“よそ者”たちが入ってきて、その地域の魅力を再発見して、地域イノベーションを起こしていくということが始まってきたということですが、一方で、地方の在り方はどうなっていくでしょう。

高島:楠本さんも著書の『ラブ、ピース&カンパニー これからの仕事50の視点』で紹介していますが、例えば、東北だと震災以降、人が移住し実際にその場で新しい事業や仕組みづくりに取り組み、成果を出し始めているケースも増えてきましたよね。

梅澤:ちょうど日本がそういう転換を必要としていたタイミングだったということもあると思います。そして、東日本大震災からの復興を前向きに良いきっかけにしようと思う人たちが、地元からも現れて、少なくとも局所的にはいい意味での化学反応がいろいろ起こっているとみています。

楠本:いろいろな人が混ぜ合わされることで新たな動きにつながり、プラス効果を生んでいますよね。

よそ者目線で発掘できるはず

梅澤:最近、外国人が、これまで日本人もあまり見向きもしなかったようなマイナーでディープなところに移住して、いろいろとピックアップしては、世界に発信してくれることが本当に多くなってきました。東京にいる日本人にだってできるはずです。よそ者目線で都市や地方の見えない価値をどんどん発掘してほしいです。

楠本:高島さんがサポートしている「越後妻有のアートフェス」にも近いイメージがあります。「よそ者目線」で見て面白いことを発掘し、しかもアート作品にすることによって社会問題提起や、それによって社会を変えようというソーシャルインパクトになっていたりしますから。

高島:そういう地域のイベントや戦略の重要性が相対的に上がってきていると思います。例えば、国対国で問題解決ができないことが地域同士なら解決できたりするようなこともありえます。国という概念よりも、都市やさらに地域単位。世の中を明るくするパワーは国がつくるんじゃなくて、都市や地域が牽引し、つくっていくようになると思います。

楠本:そうですね。アメリカではなく「ポートランド」とか、スペインではなく「サン・セバスティアン」などが、いい例ですよね。ポートランドは“クリエイティブ”、サン・セバスティアンは“美食”といったように、キーワードがあり、キャラクターの立っている街は魅力的ですよね。

国ではなく、世界が「都市」の連合体になっていく

梅澤:そもそも国ではなく、都市単位で動けばもっと速くなります。そしてその方が、アイデンティティも明確にしやすい。要は世界中がシンガポールみたいな感じになる。シンガポールがあれだけ早く動きを決めて前に進めるのは、都市規模だからだと思います。

楠本:企業単位に近いイメージですね。

高島:それがこれからの方向観なのかもしれませんね。そういう小さい単位が主役になっていく。

自分たちの街は何の街? 大切にしたいものを世界の街と共有


高島宏平(たかしま・こうへい)氏
オイシックス社長
1973年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。米マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社入社。2000年オイシックス設立、社長に。2013年東証マザーズ上場。著書に『ライフ・イズ・ベジタブル オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント』『ぼくは「技術」で人を動かす』など。
高島:街単位での成功例は出てきていますが、どういうことをやっていけば次のステップとして進めるのでしょう。

楠本:より地域同士の交流が混ざっていくことが大切ですね。例えば、それぞれの街が何の街なのかということを宣言し、そして近くの地域同士でその価値を共有して、次に世界のどの地域と同期できるかを見つける。世界と同期する街を決めるとそこに国を越えたアクションが生まれます。類似点を探ることで自分たちのキャラクターを再発見することもできるし、世界的にどう売っていくかということも学べる。

梅澤:外から見ることで新しい価値を発見する。さらに価値観を共有する都市同士で知恵を交換することで、互いに進化していくという動きですね。

楠本:例えば、逗子にあるシネマアミーゴ(CINEMA AMIGO)というカフェが、シネマキャラバン(cinema caravan)という移動式の映画館をつくり、逗子の海岸で「逗子海岸映画祭」をやりました。それが、かっこいいと評価されてスペインのサン・セバスティアンの国際映画祭に招待されました。サン・セバスティアンは美食の街として知られ、キャラクターが立っている街なのですが、親交が深まり、スタッフ同士で勝手に姉妹都市を宣言し、今度はサン・セバスティアンの人が逗子に来て、地元の人たちにバスク料理を教えるという、映画だけでなく食での交流も生まれたんです。そういうことが大切なんだと思います。

 そのチームは、次にインドネシアの古都で現在はヒップ・クリエイティブ・タウンでもあるジョグジャカルタとも交流を持っています。

 そうやって小さい単位でネットワークになりながら広がってきているというのが、面白いですよね。


逗子海岸映画祭
では、巨大都市が巨大都市でありつづける理由は?

楠本:メトロポリタン都市としてのロンドン、ニューヨーク、パリ、東京、そこに追随してきている北京、シンガポールがあると思いますが、この中での東京はどういうふうに存在感を出していけばいいでしょうか。

梅澤:存在感を高めるための必要条件と十分条件があります。必要条件は、グローバル都市としての必要な環境が整っていること。どこの国の人にとっても、快適な滞在や居住が可能で、ストレスなく働ける都市であることです。外国語による生活サービスの拡充、高度・専門人材に対するビザ緩和、子息の教育や生活の環境を整備することなどが重要です。十分条件は、世界の都市競争の中で、どこで突き抜けて圧倒的ナンバーワンの価値を作るかというポイントです。ニューヨークやロンドンやパリの真似ではなく、東京の凄い部分、世界に誇るエッジをどう強調するかという問いですね。NEXTOKYOでも議論を重ねていますが、クリエイティブシティとしての側面が、東京のエッジとして最も重要だと思います。

楠本:今まで都市というと、人口が多く高層ビルが沢山建っているところという感覚でしたけど、これだけネットワークが発達し、情報が簡単に手に取るようになってくると、都市の役割が変わってきていると思うんですが。

高島:都市の機能として残るのは何なのか? 先ほどの必要条件でいうと、東京が凄い部分は「治安」ではないでしょうか。落とした財布が戻ってくるじゃないですか。それが東京であり、日本の凄さだとすれば、それは「治安」だと思います。日本人は性善説が主になって、そのような治安を保持できてきました。しかし今後、外国人が増えてきた時にそれを同じように性善説で見るのか、それとも海外のように性悪説で見るのかが大事なポイントになってくるんだと思います。

楠本:そういえば、ポートランドはすごく治安がいい。ブルックリンも以前より治安がよくなった。治安の良さは街の魅力を高めるうえで大きいですね。

梅澤:東京のシェアオフィスの方がニューヨークのシェアオフィスより使いやすいのは、例えば会員になって前金を払わなくても使えたりするところです。つまりそれは、ニューヨークは機材を持ち逃げする人がいる、ということを前提にしているから、先にセキュリティーを担保している。それは性悪説ですね。性善説の日本の方がいろいろな面で便利です。

高島:東京は世界でも1、2の治安のいいメトロポリタンだとしたら、性善説で人を集めていくのが良いな。僕としてはずっと東京に居続けたいです(笑)。

楠本:治安がいいとポジティブな人が集まり、ポジティブな人はクリエイティブ志向な人が比較的多く、彼ら同士の会話やアクションが成り立ちやすくなる。良い循環ですね。

梅澤:なぜか分かりませんが、長く日本に住んでいる外国人はとてもマイルドになると思いませんか。下手な日本人より日本人らしくなっています。不思議とみんな日本人化しています(笑)。

楠本:そうですね、しかもすごく丁寧な人が多いな。それ面白いですね!

梅澤:物腰が柔らかいし、僕がニューヨークで対峙していたあのガツガツした感じの人は、あまり東京では見かけません。人も日本化できる土壌を持っているんです、日本は。それは結構強い財産です。

東京の魅力の1つは「食」にあり

楠本:あとエッジを立てるとしたら、やはり「食」だと思います。

梅澤:そうですね、僕が東京に戻ってきた理由の1つは食生活の水準ですね。ニューヨークは決して美味しくない。純粋に味で評価したら、ニューヨークの三つ星レストランで、東京の一つ星に負けるのがごろごろありますよ。

楠本:店の内装や世界観のつくり方、料理の見せ方などプレゼンテーションは上手ですけどね。

高島:ランチでも東京とニューヨークの違いはありますね。東京のランチは、5〜600円でもまあまあ美味しいじゃないですか。ニューヨークは1500円ぐらい出しても…(苦笑)。

楠本:世界基準で見た時、東京は安過ぎます。

梅澤:食の水準が高いのは、一般の消費者の味覚レベルが高くて、提供側が鍛えられていることと、全国で整備された食産業のインフラの差だと思います。もっと『食』の魅力を伝えたら、海外の人が日本から出ていけなくなるのではないか?それくらい、一番効果的なパワーを持っているコンテンツだと思います。現に、日本人の僕たちにもそれはかなり効いているから(笑)。

楠本:そう。あと日本の価値は「四季」だと思います。サクラのシーズンは既にビジュアルで理解されています。夏は、海岸線の総距離が世界第6位の日本ですから、海の街、海の国というのが北海道から沖縄までイメージしやすい。冬になるとアジアでもスキーができるトップクラスの国です。これも非常に分かりやすいインバウンド動機に既になっています。秋はなかなかそういったキャラクターが見えにくかったのですが、世界に向けて強力に発信されていない秋がこれからキーになると思っています。

高島:日本の秋といったら、美しい紅葉。そして、実りの季節ですよね。

楠本:ええ。それで一緒に始めたのが「東京ハーヴェスト」ですよね。ドイツといえばオクトーバーフェストのように、ビールとともに収穫祭を祝い、大いに集い賑わっている風景が世界中に拡散されています。その風景が、海外からもあそこに行ってみたいなというモチベーションに繋がっています。フランスのパリでは、シャンゼリゼ通りが「巨大農園」に姿を変えた「ネイチャー・キャピタル」と呼ばれる農業イベントがあったわけです。プロバンスをはじめとした田舎暮らしのブランディングに貢献しています。そうやってどの国も『食』を使ってブランディングをしている。日本もそういった秋の収穫祭を、より強く世界に対して発信していくことで、春夏秋冬を通して一年中魅力的な国であることをアピールできると思ったんです。

 2013年から毎年11月に東京のど真ん中、六本木ヒルズアリーナをメイン会場として2日間開催しています。コンセプトは「東京から、ラブレターを」。ラブレターという言葉には、生産者さんへの「ありがとう」を伝えようという気持ちを込めています。僕たち生活者は、生産者さんに感謝の気持ちを伝える機会がなかなかありませんよね。だから、実りの秋に、「いつもありがとう」という気持ちを生産者の皆さんに東京のど真ん中から伝える収穫祭をやろう、と。このイベント、来場者数はもちろん、外国人の方の来訪も年々増えていっています。

東京ハーヴェスト
「僕らは未来にむけた、面白いことしかやらない」

梅澤:最近、未来の東京の話をすると、「もっと高齢化社会のことを考えて欲しい」とか「防災はどうするんだ」とか聞かれるんですが、防災など政府が当然検討、着手しているテーマについては素直に「すみません、分かりません」とお答えしています。NEXTOKYOは民間組織なので、役所と違ってすべての論点をカバーする必要はない。むしろ、東京という都市の未来にむけて、面白いことにフォーカスしたいと考えています。

楠本:全体的に底上げしていくというよりも、もっとポイントをしぼってコンテンツやその背景にあるストーリーにフォーカスしてもいいと思います。言うなれば、ボトムアップじゃなくて、ピックアップです。以前、限界集落のおじいさんたちが、自分たちが収穫したお米を使って、餅つきをしてくれました。みなさん、すごく素敵な笑顔をされていました。もちろん生活面では、大変なことも多々あるんだと思いますが、その時に、混じりっけのない純度100%のエネルギーをすごく感じることができたんです。そういう人たちと会う経験が価値だと世界中が気付けば、「限界集落」が世界の中での桃源郷のような存在になれるのではないかと思いました。

 世界には実はそういうことを求めている人がいるんです。そこに気付いていただくきっかけをつくっていきたいですね。そういう沢山の多様な地域の魅力が日本にはあります。そのハブとしての東京の価値が上がれば、東京がメトロポリタンシティーのトップになりえるのではないでしょうか。

 実は、ニューヨークはこうしたハブ機能を意識し始めたように見えます。ロングアイランドやモントークのエリアは、いままでは別物扱いのようでしたが、グレーター・ニューヨーク(複数の自治体の合併により拡大したニューヨーク市 (City of New York) を指す非公式の用語)のように、ニューヨークはマンハッタンだけではなく、ハドソン川の北側にあるオーガニックな農場エリアあたりも、グレーター・ニューヨークに取り込もうとしているんだと思います。

梅澤:それはブルックリンの存在が大きいでしょう。ブルックリンを包含してないニューヨークのブランディングに、時代遅れになるリスクを感じているんだと思います。

高島:ニューヨークは、家賃が上がるたびに同性愛者の方々が追い出されて、その人たちが移動したところに新たな文化ができています。それはSoHoだったり、ブルックリン北部だったり、ちょっとずつ移動しています。そういうクリエーターの人たちが文化をつくるとすぐに家賃が上がるらしいのですが、結果的に最先端な人たちが移動していくと、その人たちが通った場所が最先端の状態になっていき、かっこいい地域が広がっているんです。地域間で人材を移動させるというのはすごく良い効果が生まれています。

楠本:東京でも同じ方向性に向かっている気がしています。多様な人々が混ざり合い、ポジティブな化学反応があちこちで起きて、しなやかに変態しながら、新たな価値が次々と生まれていく都市。これからの東京が楽しみですね。

執筆者/楠本 修二郎(くすもと・しゅうじろう)
カフェ・カンパニー社長

1964年福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルートコスモス入社。1993年大前研一事務所入社、平成維新の会事務局長に就任。その後、渋谷・キャットストリートの開発などを経て、2001年カフェ・カンパニーを設立、社長に就任。2014年11月、カルチュア・コンビニエンス・クラブの関連会社と合弁会社スタイル・ディベロップを設立、社長に就任。2016年11月、アダストリアとの合弁会社peoples inc.の設立に伴い、社長に就任。一般社団法人「東の食の会」の代表理事、東京発の収穫祭「東京ハーヴェスト」の実行委員長、一般財団法人「Next Wisdom Foundation」代表理事、一般社団法人「フード&エンターテインメント協会」の代表理事を務める。

日本の文化・伝統の強みを産業化し、それを国際展開するための官民連携による推進方策及び発信力の強化について検討するクールジャパン戦略推進会議に参加している。 著書に『ラブ、ピース&カンパニー これからの仕事50の視点』がある。


このコラムについて

これからの働き方と仕事の視点
カフェを中心に100店舗以上を展開するカフェ・カンパニーの創業者・楠本修二郎氏と各界のキーパーソンとの鼎談連載。食や組織づくり、ビジネス、地域社会など、毎回いくつかのテーマについて話をしていきます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/121700019/030200004/?

 
【第6回】 2017年4月18日 西岡壱誠
東大弁論部・127年の歴史から学ぶ相手を説得する3つの極意

偏差値35の落ちこぼれが 奇跡の東大合格をはたした、『現役東大生が教える「ゲーム式」暗記術』。本連載では同書の勉強嫌いでも続けられるゲーム式暗記術や、東大生の勉強にまつわるエピソードを紹介していきます。「英熟語ポーカー」「単語マジカルバナナ」「メモリーチェックゲーム」「暗記復讐帳ゲーム」など英語、資格試験……なんにでも使える24のゲーム式暗記術に注目です! 今回は著者の西岡壱誠氏による取材で明らかになった東大弁論部「最強の説得法」を紹介します!


127年続く東大弁論部に学ぶ
「人を説得する方法」とは?

私の友達に、「東大で一番、人を説得するのが上手な人」がいます。
東大生多しと言えど、彼の話術には敵いません。彼は、名だたる名門大学の学生が参加する弁論大会で、東大生でも誰も知らないような社会問題を、たった11分の弁論で「それは重大な問題だ」と会場の全員を説得し、優勝したのです。

「そんなこと、別に問題じゃないだろ」と怪訝な目で見ていた人が全員、
「なるほど、それは大きな問題だ!!」と説得させられたのです。

日常的なレベルでも、彼の言葉には不思議な説得力があり、誰もが「確かにその通りだ!!」と納得させられてしまいます。

彼の名は吉沢健太郎。127年続く一高東大弁論部の、第127代目の部長です。
今回は彼から聞いた、127年の歴史の中で醸造された東大弁論部秘伝の『プレゼンから日常会話まで使える、相手を説得させる3つの極意』をお伝えしたいと思います。

プレゼンから日常会話まで使える、
相手を説得する「3つの極意」とは

まず1つ目の極意は「相手の立場に立つこと」。
相手がどのような知識を持ち、価値観を持っているのかを考えないと、説得などできないのです。

例えば、「ペットの命を救うことが大切だ」と説得したい時に、相手が「殺処分になる動物の数がどれくらいなのか」という知識を持っていなかったり、「動物の命が大切だと言うなら、家畜を殺すのはいけないのか」と価値観が違ったりした場合には、絶対に説得なんてできません。

大切なのは「どんな知識量の人でも、どんな価値観の人にも共有できる話」。
「殺処分になる動物の数はこんなに多いんです。ここにかかるお金も膨大です。家畜のように食用でなく、ただ無為に殺されていく命を見過ごすことはできませんよね」なんて具合に、説得はどんな人にでも理解可能で価値観が共有できるように行う必要があるのです。

2つ目の極意は「メリハリをつけること」。

例えば「保育園の数を増やすべきだ」と主張したい時に、「保育園が増えれば待機児童の数が減るから作るべきだ」と説明したとしても、「待機児童の数が多いことでどんな問題が発生しているのか」とか「待機児童の数は保育園の数が増えることで本当に減るのか」とか、そう疑問が生じて、十分な説得はできません。

「現状、こんな問題が存在する」という現状説明と、
「でも、Aがあればこの問題が解決する!!」という内容説明と、
「Aというのは、こんなに重要で、優先順位が高いんだ」という重要性の説明の、3つが揃っていなければ、相手を説得することはできません。

たとえば逆に、
「今、待機児童が多くてこういう問題が起こっている」と現状説明をし、
「でも、保育園の数が増えればこれらの問題は解決する?」と内容説明をし、
「待機児童の数が年々上昇傾向にある?このままいくともっと大きな問題が発生する?」と重要性の説明をすれば、自ずと「なるほど、それなら保育園の数を増やすべきだ」と聞き手も思いはじめます。

この3つがきちんと説明できているかどうかを考え、話している時には自分が3つのうちどれを説明しているのかをしっかり意識することが必要なのです。

3つ目の極意は「質問させること」。

ここまで話を聞いた時に自分は、「そうは言っても限られた時間の中で、誰からも疑問を持たれないようにこの3つを全て入れるなんて、難しいんじゃないかな?」と聞きました。すると、「全部説明しようとする必要はない」と、彼は言うのです。

「えっ、でも全部説明しなかったら、説得できないんじゃないの?」と私が疑問をぶつけると、彼はこう言い放ちました。
「今君が疑問を持ったように、話の中に『欠けているところ』をあえて作って、そこを質問させればいい」と。

そう、3つ目の極意はこれ。「わざとすべてを話さないことで相手に疑問を持たせる」、いわば「質問させる」こと。私もまんまと彼の話術の術中に嵌ってしまったわけです。

例えば「具体的に保育園の数はどれくらい増やすべきなんだろう?」と疑問を持たれるかもしれませんね?でも、聞く人がそうやって疑問を持ってくれれば、聞く人は「この疑問に対する答えをどこかで述べるかもしれない」と思って、話を良く聞いてくれるようになります。

もちろん先程のメリハリがしっかりしていなければスピーチ全体に疑問を持たれてしまいますが、それとは違ってメリハリをしっかりさせつつ「内容」に疑問を持ってもらえれば、そのスピーチ全体の聞き手の興味を増大させることができるのです。
さらに、わざと疑問を抱かせる『的』を作っておき、後から質問された時に詳しく「それはこういうことです」ときちんと説明できれば説得力が向上します。

そして、逆に聞く人が疑問を抱かない事柄は、聞く人が「そこまで知る必要がない」と思う事柄だということ。話す必要がない部分を削ぎ落とすことにも繋がるのです。
私たちは「説得術」というと、「いかに上手く話すか」というところに主眼を起きがちです。
しかし彼らは、「いかに上手く話さないか」、つまり「いかに上手く疑問を抱かせられるか」が重要なのだと考えていたわけです。

こんな風に、「相手の立場に立って話を組み立てて、メリハリを作り上げて話をして、さらにわざと質問をさせる」これができれば、どんな人でも必ず説得することができる。
これこそが、127年の極意だったのです。

さて、東大弁論部の3つの極意、いかがだったでしょうか。
東大弁論部に興味を持った方は、今度の五月祭(東京大学の本郷・弥生キャンパスで行われる学園祭)で弁論大会がみれますので、是非足を運んで見てください!
http://diamond.jp/articles/-/125157
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/205.html

[戦争b20] アフガンへ大規模爆風爆弾投下で馬脚現した米国 ペンス「いかなる攻撃も退ける」 アサドが「ゴッドファーザー」から学べること

アフガンへ大規模爆風爆弾投下で馬脚現した米国
ヘイトで目を曇らせればどんな残虐行為も正当化されてしまう
2017.4.18(火) 伊東 乾
米軍投下の最強爆弾、IS戦闘員死亡は90人にアフガン当局
米空軍が公開した大規模爆風爆弾、通称「MOAB(モアブ)」〔AFPBB News〕
前回の原稿を書いている最中の4月13日、米国はアフガニスタンで大規模爆風爆弾「MOAB」を用いた空爆攻撃が実施され、IS(イスラム国)兵士36人が掃討されたとの報道がありました。

ハーミド・カルザイ前アフガニスタン大統領は直ちにこれをツイッターで激しく非難、アフガニスタンの土地と人民を実験台にした新兵器の試用であると抗議します。

4月7日のシリア攻撃、そして1週間後13日のアフガン、米国としては「世界の警察官」復帰のキャンペーンが着々と進み、そのままの勢いで北朝鮮、東アジアエリアに飛び火しないことをただただ祈るばかりです。

ここで、シリアについて1点確認しておくと、今のタイミングでバッシャール・アル=アサド政権に化学兵器を行使するメリットは何一つありません。

私は13日に赤坂のシリア大使館でワリフ・ハラビ大使と3時間ほど別件で打ち合わせを行いましたが、そこでも再々強調され、その通りだとしか言いようがありませんでした。

2013年の化学兵器禁止条約への加盟、国内施設の破壊と関連兵器の引渡しなど、平和カードを切って外交を進める中で発生・拡大してきたISシリア紛争にあって、国際世論を敵に回す化学兵器空爆がシリア・アラブ共和国にとってプラスになることはほとんどありません。

もちろん、私もアサド政権へ肩入れなど全くしていません。

「シリアはこのタイミングで化学兵器を持っている」というシグナルを発したかったのではないか、という観測にもならない「評論家」の意見を目にしました。

しかし、「武器を持っている」というカードを誇示したかったのは、アフガンでそれを実戦試用した米軍側で、語るに落ちるというか、問わず語りに自分自身を説明してしまう例があるものだ、とあきれざるを得ませんでした。

「ヘイト」という感情は、悪者を殲滅しても「正義」であるという爽やかな印象を残しがちです。それが非常に危うい。

3月末から急にきな臭くなってきた世界情勢は、米国内で拙劣な政権が失敗を重ねてきたことと期を一にしています。

あえて因果性などには言及しませんが、ほんの2日ほど前まで「現地民族自決」と言っていたのが、手のひらをひっくり返して世界の警察官再登板というのは、明らかに中東にある理由からではなく、別のご都合があまりにも丸見えです。

くれぐれも東アジア情勢については、冷静な観点を見失わないことが重要です。

ヘイトで目を曇らせれば、簡単にどんな残虐でも正義に粉飾できます。ということで前々回、1885年に李氏朝鮮の首都・京城で発生した「甲申事変」を紹介しました。

クーデターが3日で鎮圧され、反乱関係者が極めて残虐な方法で処刑され、これが国内に報じられて中国朝鮮半島に対する「ヘイト」の一因となった。

再び、ここに戻ってみましょう。

謀反人とされた当人のみならず、その両親や祖父母、子供や孫、全く罪のない幼児まで、長く生かし苦しめて殺害する処刑のあり方に、叛徒側となった朝鮮開化党の金玉均らを支援していた福澤諭吉は大いに憤り、自ら社説を記していた「時事新報」に『脱亜論』を掲載したのでした。

その翌月、日本と清朝は「天津条約」を結んで両国とも朝鮮半島から撤収することで合意します。

今回は、現在に至る朝鮮半島や中国に対する「ヘイト」の1つの源流とも見なされる、この福澤「脱亜論」の確認から始めてみたいと思います。

条約改正の前提条件:法治国家のフレームワーク

最近ではネットでも取り上げられるようになったという「脱亜論」で、ポイントとされる部分の原文を引用してみましょう。

例ヘバ支那朝鮮ノ政府ガ古風ノ專制ニシテ法律ノ恃ム可キモノアラザレバ西洋ノ人ハ日本モ亦無法律ノ國カト疑ヒ、支那朝鮮ノ士人ガ惑溺深クシテ科學ノ何モノタルヲ知ラザレバ西洋ノ學者ハ日本モ亦陰陽五行ノ國カト思ヒ、支那人ガ卑屈ニシテ耻ヲ知ラザレバ日本人ノ義モ之ガタメニ掩ハレ、朝鮮國ニ人ヲ刑スルノ慘酷ナルアレバ日本人モ亦共ニ無情ナルカト推量セラルヽガ如キ是等ノ事例ヲ計レバ枚擧ニ遑アラズ

「例えば、シナや朝鮮の政府が古臭い専制体制で、頼りになる憲法のような法治の体系をもっていないのを見て、西洋の人は日本もまた無法律の未開国かと疑い、シナや朝鮮の人士が迷信ばかりを信じ込んで科学の何たるかを知らないのを見て、西洋の学者は『日本もまた根拠のない陰陽五行説を報じる後進国か!』と思い、シナの人間が一見すると卑屈な姿勢をとりながら恥知らずな行動を取るのを見て日本人が持つ東洋の美風である義侠心もこんなもののために覆い隠されてしまい、朝鮮国での死刑執行が残酷極まりないのを見て日本人もまた朝鮮同様無情なのか、と推量されてしまう、といった具合で、こうした事例を考えれば枚挙の暇がないだろう」

「脱亜論」が書かれた1885年時点では、いまだ日本に大日本帝国憲法はなく、現実問題として「日本もまた無法律の国」と西欧列強から見なされていました。

そんな国で自国民が裁判にかけられようものなら、証拠も何もなしに、お代官さまお奉行さまの先入観と独断偏見でどんな残酷な死刑を科せられるともしれない、だから「領事裁判権」を手放すことはないよ・・・というのが不平等条約の一大ポイントにほかなりません。

これは刑事訴訟に限られず、民事、例えば輸入関税の税率設定なども、無法な野蛮国に任せておいたらどんな滅茶苦茶を働くとも知れない。だから関税自主権なぞは与えないよ、というのがもう1つのポイント。

日本が西欧列強に伍して大国となっていくためには、こうした封建遺制を全廃し、近代的な政府を樹立するしか現実的な方法がなかったというのが、こうしたところからよく分かると思います。

科学についてはさらに如実でしょう。日本は維新からほんの30年ほど、まる一世代で、まず、少なくとも理論物理のような分野、つまり紙と鉛筆と頭脳さえあれば世界のどこでも達成できる専門で、世界最先端レベルに到達します。

長岡半太郎の水素原子モデルを想起されれば納得がいくでしょう。また留学先の海外では、北里柴三郎の先駆業績(破傷風菌の純粋培養〔1889〕や血清療法の確立〔1890〕がその能力を如実に示しています。

北里は脱亜論が記された1885年にベルリン留学、破傷風菌は大日本帝国憲法が発布された1889年。血清療法は教育勅語や「宝蔵院流槍術」を取り入れた「日本式銃剣術」が制定されたのと同じ1890年の仕事であるのは皮肉な一致かもしれません。

そして、もろもろ悪名高い「支那人ガ卑屈ニシテ耻ヲ知ラザレバ」のくだり、正確に何をもって福澤が中国人を卑屈、恥知らずと言ったのかは特定できません。

しかし、直前の甲申事変で袁世凱率いる清朝軍閥が竹添進一郎公使が日本公使館を攻撃、日本人居留民も多数殺害されながら、和平交渉では非を認めず、そうした行動も念頭において記している可能性があるでしょう。

さらに「朝鮮國ニ人ヲ刑スルノ慘酷ナルアレバ」は明白に「甲申事変」後の謀反人への処刑を指すもので、実際、国事犯の親族とされれば無実の女性や子供も容赦なく残酷な方法で公開処刑されており、これについては疑う余地がありません。

私はしばしば「日本もほんの150年前までは首刈り族だったんだから」といった表現を使い、ネット上SNSなどに記すと感情的な反発を示す通りすがりの方もいます。

しかし、江戸幕府時代の日本の刑罰は中国朝鮮のそれと大差なく、欧米列強はそれをもって「不平等条約」押しつけの大義名分としたのは事実でしょう。

ではそういう欧米がどうだったかと目を転じれば「瞬時で首が切り落とせ、痛みが少なく人道的な刑具」としてフランス革命のさなかにギロチンが考案され〔1792〕、1981年に廃止されるまで膨大な数の人間の頭を撥ねており、野蛮さにおいては大差ないものと言わざるを得ません。

要するに、欧米が先進的で植民地は遅れているという、欧州優位主義、ユーロセントリズムと言うほかなく、植民地支配のための方便と捉えるのが今日では合理的だと思います。

「こんな遅れた専制政治で民衆が苦しめられるくらいなら、進んだ欧州の法律で民主的に裁かれる植民地の方が幸せではないか?」

といった議論がまかり通り、実際、日清戦争の端緒も、朝鮮民衆を苦しめている清の圧制に大日本帝国が義侠心をもって挙兵する、といったストーリーで正当化されました。

しかし、その先日本が朝鮮半島や中国にどのような政治行動を取ったか、それらは「義侠心」などという言葉で表現できる代物でしょうか。歴史は事実をもって答えるのみでありましょう。

天皇名代の酒乱強姦事件

甲申事変後の日清間での和平交渉は「天津条約」にまとめられ、その締結に当たって日本からは明治天皇の名代として、薩摩軍閥の総帥、黒田清隆が派遣され、北京を訪れます。

時の駐北京大日本帝国公使は榎本武揚、箱館戦争以来の盟友である榎本・黒田は北京の町を飲み歩き、連日随所で乱痴気騒ぎ。この「乱痴気」ぶりは「乱交」の側面も持っていたようで、お供の外交官たちは大変な目に遭いました。

黒田清隆は、箱館で戦った榎本武揚を傑物と見るや、自ら頭を丸めて榎本や大鳥圭介らの助命運動に奔走するなど、大変男気のある人物でもありました。

と同時に、別の男気もあったようで、北京から巡回してきた上海でも連日連夜の深酒と乱痴気騒ぎ、この中で、逗留していたフランス・ホテルで中国人ボーイを強姦、証拠の下着などを押さえられてしまいます。

フランス・ホテルのマネジャーが訴訟を起こすと連絡を寄越し、あわや日清間の国交にも影響を及ぼしかねない大スキャンダルに発展かけます。

黒田にとっては別段珍しいことではなかったようで、泣きながら出て行った中国人少年に一定の金銭を渡して済んだことにしていたようです。

しかし、フランス・ホテル側は証拠を押さえ、またもう1人の少年がベッド脇で一部始終を見ていたとのことで、これを新聞に発表し、「国際問題として訴える」と通告してきたのでした。

これには百戦錬磨の黒田も完全に参ってしまい、しょげているのを、辣腕の外交官、幕臣として負けも経験して練れた大人の安藤太郎が「抱腹絶倒の椿事」として笑い飛ばして励まし、相応の金額を裏で捻出し内々に収めてことなきを得ました。

酒の上での妄念でも、ちょっとしたことで何が起きるか分からない。安藤もそう思ったのでしょう。

また安藤の細君、文子夫人は「お酒が入れば貴方だって同じことになりかねません!」と手厳しく、これが最終的にハワイでの安藤や藤田敏郎たちの「キリスト教入信+禁酒」に繋がることになります。

ここで本論と外れますが、少しだけ、普段感じている「違和感」に触れておきたいと思います。

元から酒乱で知られた黒田清隆は、あろうことか天皇の名代で中国人少年を強姦してしまうわけですが、黒田は今日で言うところの「LGBT」と考えるべきなのでしょうか?

薩摩には幕藩体制期から「郷中(ごじゅう)」教育と呼ばれる独特の人材育成システムが存在しました。ここでは

6、7歳〜10歳を小稚児(こちご)
11〜15、16歳を長稚児(おせちご)
15、16〜25、26歳を二才(にせ)
それより年長の妻帯者を長老(おせんし)

と呼び、思春期から青年期にかけて若い郷士が実質的に共同生活を送り、西郷隆盛や黒田清隆など、幕末維新で活躍した薩摩藩士は、一人の例外もなくそのような環境で育ちました。

薩摩藩士出身で海軍軍人、海軍大臣時代にいわゆる「蛮勇演説」で問題を起こした樺山資紀の孫で、随筆家として知られた白洲正子は、この「郷中」での男色について粒さに語っています。ご興味の方は「両性具有の美」ほか、白州の遺著をご参照いただければと思います。

ここで私が指摘したいのは性が社会習俗であるという点にほかなりません。

ある時期までに薩摩に郷士として生まれれば、例外なく郷中で教育を受け、100%男色が当たり前の社会で育ち人となりを養っています。

大久保利通、大山巌、白州正子の母方の祖父である川村純義、デフレで知られる松方正義、美男で知られた東郷平八郎、民衆運動弾圧で知られた三島通庸・・・これら薩摩出身の人物で、上記の例外にあたる者など1人もありません。

「LGBT」という表現が私はどうも苦手で、最近は「里親」のニュースが報じられましたが、関連の話題も正直相当微妙に感じます。音楽の世界にはあらゆる形態のカップルがあり、別段そんなことはどうでもよい。

私が気持ち悪いのは「あの人たちは、母胎内にいるときナントカホルモンの分泌がどーたらこーたら」といった、サイエンスのごとき装いを持って「別の生き物」として語られるかのごとき風潮にあります。

だったら、何ですか、薩摩藩というのは300年以上にわたって、そういう特殊な身体を持った人だけによって構成されていたことになるのでしょうか?

ドイツの大学と長く仕事し、学術外交も一部担当しているため、「ナチス優生学」の過ちに懲りている欧州知識人はまずもって「特殊な身体」論を採用しません。

黒田清隆が上海で狼藉に及んだ最大の問題は、給仕を「強姦」した点にあり、被害者がボーイであるか、女性であったかというのは問題になりません。

ともあれ、とんだレイプ事件をなんとか暗黙裡に収拾した「しくじり外交官」幕臣出身の安藤太郎氏は、この功績をもって、ということではないでしょうけれど、同年ハワイ総領事に栄転しました。

帝国憲法の発布や日清戦争前の大日本帝国太平洋政策の焦点、ホノルルに着任して、現地で「クリスチャン+禁酒」という人生の第2フェーズに突入、甲申事変収拾の天津条約締結直後の眼差しで、ハワイ王国を容赦なく丸裸にし属国〜併合してしまう米国の貪婪な「銃剣外交」を目撃、つぶさに東京へと打電し続けることになるのです。

(つづく)


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49754


 


 

「我々はいかなる攻撃も退ける」 ペンス氏の発言全文
2017年4月18日02時02分
ソウルで17日、韓国の黄教安首相との会談後、記者発表で話すペンス米副大統領=AFP時事

 ペンス米副大統領は17日午後、ソウルで韓国の黄教安(ファンギョアン)首相と会談後、共同記者発表をした。北朝鮮をめぐる情勢に比重を置き、最大限の圧力を柱とするトランプ政権の北朝鮮政策を包括的に語る形になった。共同記者発表でのペンス氏の発言は以下の通り。

「我々をテストしない方が」 米副大統領、北朝鮮に警告
 (韓国語で)アンニョンハシムニカ(こんにちは)。

 黄教安大統領権限代行様。私と私の家族に対する優しい言葉や歓迎のもてなしに感謝する。韓国は私は副大統領としてアジア太平洋地域の最初の訪問国だ。

 今日、この地に来たことを大変光栄に思う。トランプ大統領のあいさつを皆さんに伝える。大統領に代わり、古い同盟国である韓国に対し、米国の揺るぎない支持を表明する。

 トランプ大統領と私は韓国と米国との強い協力関係に感謝する。韓国の転換期をうまく管理している黄氏と国民をたたえたい。トランプ大統領と米政府は、法治と民主的プロセスに対する韓国民の意志に敬服し、韓国大統領選挙に大いに期待している。

 5月9日、韓国に変化がもたらされるだろうが、選挙結果がどうなろうと、米国の韓国の安全と安全保障に対する意志は確固たるものだと、韓国民に対して確信を持って伝えたい。

 米大統領に代わり、韓国民に対する私のメッセージは以下の通りだ。

 我々は皆さんと100%ともにある。この困難な時期にも我々は自由で安全な未来のため、皆さんとともにある。

 米国は韓国とともにある。そして、自由を守る前線での3万7500人の米陸海空軍、海兵隊の任務と警戒は、両国民の不朽の協力関係の証しだ。

 米韓同盟は朝鮮半島とアジア太平洋地域全体の平和と安全の核心的な柱だ。韓国に対する米国の意志は鉄桶(てっとう)のように強固だ。トランプ大統領のリーダーシップの下、米韓同盟はさらに強化され、両国とアジア太平地域はさらに安全になるだろう。

 我々の固い同盟は、この地域の最も危険で緊急な脅威である北朝鮮に対処するにあたって、最高に強い姿を見せている。1992年以降、米国と我々の同盟国は朝鮮半島の非核化のため、ともに努力してきた。我々はこの目的を平和的に達成することを望む。

 しかし、すべての選択肢はテーブルの上にある。

 過去2週間、シリアとアフガニスタンで我々がとった行動により、全世界は我々の新たな大統領の力と決意を目撃した。北朝鮮は我々の大統領の決意や、この地域の米軍の力を試すようなことはしない方がよい。

 我々は引き続き、防衛的な措置であるTHAAD(高高度迎撃ミサイルシステム)を同盟によって、また同盟のために展開していく。

 韓国の安保のため、包括的に組み合せた戦力を引き続き発展させる。ここ韓国で最近、国防長官が明確にしたように、我々はいかなる攻撃も退ける。いかなる通常兵器や核兵器の挑戦にも、圧倒的で効果的な対応によって対処する。

 戦略的忍耐は、米国の前政権とそれ以前の取り組み方だった。過去20年以上の間、米国と我が同盟国は北朝鮮の核プログラムを平和理に放棄させ、北朝鮮住民の苦難を和らげるために努力してきた。

 しかし、その全ての段階で、北朝鮮は我々の試みに対し、意図的なだましと約束破り、そして核実験とミサイル試射で対応した。

 過去18カ月の間、北朝鮮は2度の核実験を行い、前例のない数多くの弾道ミサイルを発射した。私が韓国を訪れる途上、失敗したがミサイル発射も強行した。戦略的忍耐の時代は終わった。

 今月、トランプ大統領は黄首相と電話で話し、米韓同盟の力を再確認した。私がきょう黄氏に申し上げたように、我々は全ての問題について決断を下して前に進めていくうえで、韓国、現内閣と緊密に協議する。

 我々はそれだけでなく、すべての地域の国家、全ての国際社会が我々と共に北朝鮮に対処するよう求めた。北朝鮮に対し、核と弾道ミサイルの計画を放棄し、近隣国家に対する敵対的行為を終わらせ、自国民に対する抑圧を中止するよう、国際社会全体に求める。

 今月、トランプ大統領は「南方のホワイトハウス」(フロリダ州の大統領の別荘)で中国の習近平(シーチンピン)国家主席と会った。4月7日にあった首脳会談で、両首脳は北朝鮮の兵器開発の脅威の切迫性に対して意見交換し、朝鮮半島の非核化に対する意志を再確認した。

 両首脳は、国連安全保障理事会の制裁決議を完全に履行することを明らかにし、北朝鮮が違法な兵器プログラムを放棄するよう、ともに説得するために協力を深めようと合意した。

 中国のこのような意思の表明は非常に勇気づけられるものだ。しかし、韓国が自国の防衛のための適切な措置をとることに対し、中国が経済的な報復措置をとることについて、米国は問題があるとみている。中国は、韓国がこのような防衛措置をとる必要性をつくり出している北朝鮮の脅威に対応することがより適切だ。

 このように様々な問題があるが、トランプ大統領と私は、中国が北朝鮮について適切に対処するという強い大きな自信がある。しかし、トランプ大統領が数日前に明らかにしたように、万が一、中国が北朝鮮に対応できなければ、米国と我々の同盟国が対応するだろう。

 今日、私はトランプ大統領の代わりに、米国の韓国に対する安全とさらなる繁栄に対する意志を再確認し、韓国民に我々の強固な絆は絶対であると伝える。我々は共通の価値観と犠牲によって結ばれている。

 自由で民主的な韓国は、両国の兵士の犠牲の上に成り立っている。そこには私の父親も含まれている。65年前、私の父親であるエドワード・ペンス少尉は米陸軍45砲兵師団に所属していた。勇敢な韓国軍とともに、この国の自由のために戦った。私の父は、再び家に戻ることができたが、父の友や米軍人と韓国軍人のうち多くの方が亡くなった。このような方々の犠牲によって、両国の自由は永遠に続くだろう。

 我々は一緒に血を流した。我々は一緒に繁栄した。そして、それを基礎に米国と韓国の国民は友に未来に向かっていくだろう。勇気、決意、そして信念をもって我々は(韓国語で)カッチカプシダ(ともに行きましょう)。

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http://www.asahi.com/articles/ASK4K62BTK4KUHBI04Q.html

 


 
アサドが「ゴッドファーザー」から学べること
米国のシリア攻撃、中東紛争に巻き込まれるのは米大統領の宿命
2017.4.18(火) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙2017年4月13日付)

米大統領、アサド政権は「多くの線越えた」 攻撃死者86人に
米ホワイトハウスでヨルダンのアブドラ・イブン・フセイン国王(写真外)との共同記者会見に臨むドナルド・トランプ大統領(2017年4月5日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News〕
シリアの「かわいらしい赤ちゃん」が毒ガスにさらされるのを止めるために行動する――。ドナルド・トランプ米大統領がそう誓うのを聞いて、筆者はマイケル・コルレオーネのことを考えた。映画「ゴッドファーザー・パート3」の有名なセリフ「足を洗ったと思ったとたんに、引き戻されてしまう」と同じようなことを、大統領は思っていたに違いない。

案の定、トランプ氏がシリア内戦への介入に反対していた以前の発言を専門家たちがいくつも列挙し、「米国第一」主義はどうなったのかと指摘するなかで、米国はシリアの空軍基地にミサイルの雨を降らせた。

トランプ大統領は、前任のバラク・オバマ氏がかつて無視した、化学兵器を使ったらただではおかないという「レッドライン(越えてはならない一線)」を復活させた。これを受け、トランプ氏の応援団は激しく反発し、悪口を言い続けてきた人々は当惑まじりの支持を表明した。

中東では、今回のミサイル攻撃に対してさまざまな反応が出ているが、とりわけ目立つのは、いくつかの場所で漏れている安堵のため息だ。米国がこの問題に再び関与してくれるようになった、と多くの人が思ったのだ。

米国の大統領は、最初の段階でいくら抵抗しても、結局は中東の紛争の泥沼に引きずり込まれる。これはどうやら、避けられない運命のようだ。和平仲介の偉大さの夢に惹かれる場合もあれば、同盟国を救援したり米国のリーダーシップを敵に思い出させたりする観点からやむを得ず足を踏み入れる場合もある。

ビル・クリントン氏は、アラブ諸国とイスラエルの紛争を終結させるという不可能に思える偉業を成し遂げられると考えた。いいところまで行ったが、最終的には失敗に終わった。ジョージ・ブッシュ氏は、クウェートからサダム・フセインを追い出して石油の輸出が滞らないようにしようと戦争を始めたが、その仕事を完全に成し遂げることはできなかった。息子のジョージ・W・ブッシュ氏は、サダムを追い出すべくイラクに再び派兵したものの、独裁者から解放された後継者たちに遺したのは、破綻した国家だった。

介入に心から反対し、地域紛争と米国の安全保障や利益とを分けて考える大統領も、最終的には巻き込まれている。

オバマ氏は、近年の大統領の中では最も消極的な介入論者だった。自分自身が中東で戦争を始めることは絶対に避けると決めていたし、和平の仲介に乗り出しても、障害に突き当たると早々に断念した。前任者たちが手がけた冒険的な行為については、離れたところから攻撃するという手を使った。就任1年目のオバマ政権が命じたドローンによる攻撃の件数は、前任のジョージ・W・ブッシュ氏が在任8年間で命じた件数を上回った。

だが、ドローンの効率にも限界があること、そして行動しない方が行動するよりも高く付く場合もあることに、オバマ氏は程なく気がつく。2期目の任期が終わる前に、過激派組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」はイラク北部を席巻し、シリアとの国境線を消してカリフ制国家の樹立を宣言した。オバマ氏は程なく、これを叩く有志連合を率いることとなった。

架空のマフィアのボスが慣れ親しんだ世界に引きずり戻されるのとは異なり、トランプ氏による突然のシリア攻撃は正しい行動だった。戦術を考えてそうしたのか、それとも感情的に動いただけなのかは、この際あまり重要ではない。シリアやそのほかの国々に対し、大量破壊兵器を使わないよう警告を発する必要があるということの方が重要だ。

しかし、ミサイル攻撃だけでは不十分だろう。化学兵器によるシリア国民の死者は1500人前後に達しており、樽爆弾による死者の数はそれをはるかに上回る。また別のかわいらしい赤ちゃんが苦しめられ、トランプ氏は中東の難局にもっと深く介入せよという圧力が強まるまでに、さほど長い時間はかからないだろう。

ゴッドファーザーの物語が筆者の頭に浮かんだのは、バシャル・アサド大統領の政権は化学兵器の使用という国際社会を激怒させるリスクをなぜ冒したのかという疑問について、アナリストたちがあれこれ検討するのを聞いたときだった。

シリアの独裁者はこのところ連戦連勝で、国内の主要都市をすべて支配下に取り戻している。また、北西部のイドリブ県で残虐行為が行われるほんの数日前には、トランプ政権がアサド退陣をもう目指さないとのシグナルを発していた。これも1つの勝利だった。

ところが、アサド政権はマフィアのファミリーのように行動し、マフィアのように考える。マフィアによる殺しや攻撃は、直接的な成果の獲得ではなくメッセージの伝達を目的に行われることが時々ある。シリア政府軍には、人々に毒ガスを撒く必要性は軍事上なかった。

しかし、反政府勢力のほとんどをイドリブに押し込めていたことから、アサド政権は反政府勢力に――そしてその周囲の住民に――対し、シリア国内のどこにいようが孤立した抵抗勢力は容赦しないと思い知らせようとしたのではないだろうか。もう出口はない、助けを求める相手はもういないというのが、そのメッセージだ。

一般市民が殺害されても世界は何年も傍観するばかりで、アサド氏の排除を求める声も弱まっていたことから、化学兵器で攻撃することのリスクは抑えられているように見えたに違いない。

アサド政権は明らかに計算ミスを犯した。この失敗がどの程度のダメージをもたらすかは、トランプ氏のシリア政策がどこに落ち着くか、そしてかわいらしい赤ちゃんたちがさらに虐殺されたときに同氏がどう反応するかによって決まることになる。

By Roula Khalaf

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49757
http://www.asyura2.com/17/warb20/msg/181.html

[国際19] 外交も内政も、実は何も決められないトランプ政権 米韓FTA見直し 金融政策波乱  トルコ国家分断 豪中銀、弱雇用と強住宅
外交も内政も、実は何も決められないトランプ政権

政府高官人事が遅々として進まず、本格始動は夏以降
2017.4.18(火) 堀田 佳男
トランプ氏のリゾート施設で13件の衛生基準違反 安倍首相も利用
表向き外交は順調に進んでいるように見えるが・・・。写真は米フロリダ州パームビーチにあるドナルド・トランプ大統領のリゾート施設「マーアーラゴ・クラブ」で食事を共にする安倍晋三首相(中央左)、ドナルド・トランプ大統領(中央右)、昭恵夫人(右)、メラニア夫人(左)、ニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー、ロバート・クラフト氏(左下、2017年2月10日撮影)〔AFPBB News〕
?「トランプ政権内に、アジア問題の専門家はいませんから」

?3月下旬、筆者が首都ワシントンで取材した時、クリントン政権時代に国務次官補を務めたスタンレー・ロス氏は、ドナルド・トランプ(以下トランプ)政権をこう言って批判した。

?トランプは大統領就任後、何人もの首脳と会談している。だが、ロス氏は誰とも実りある会談ができていないと述べた。最大の理由は、政策担当の高官がまだポストに着任していないからだという。

?2月に安倍晋三首相が、4月に習近平国家主席がフロリダ州に出向いた。表舞台では安倍・習両首脳は笑顔でトランプと写真に収まった。しかし2国間交渉の細部は詰められなかった。

政権内に日本通が見当たらない

?取材を進めると、トランプ政権を支える主要ポストに、アジアの専門家だけでなく「日本通」が見当たらないことも分かった。

?全くいないわけではない。知日派と言われるウィルバー・ロス商務長官は閣僚に名を連ねている。ただ、その他の省庁の高官クラスがまだ決まっていない。人事が大幅に遅れているのである。

?どれくらい遅れているのか。大統領が代わるたびに、ワシントンの省庁では4000人以上の連邦職員が入れ替わる。その中で、要職(政治任用者)と言われる554人は連邦上院から承認を受ける必要がある。

?4月14日現在、554人中で承認されたのはまだ22人に過ぎない。たった22人である。

?指名されて、承認を待っているのが24人。この数字からも分かるように、ほとんどの要職はまだ指名さえも済んでいないのだ。

?これでは安倍首相と会談しても、大枠のことしか話し合えないわけである。現在は英語で「ビーチヘッド(浜辺に最初に上陸する)」と呼ばれる代理の役人が主要ポストに就いている。だが彼らに責任を押しつけるのも無理がある。

?オバマ政権時代の同じ時期には、すでに111人が承認されていた。なぜ遅れているのか。いくつか理由はあるが、最大の理由は今の共和党にトランプを支持する優秀な人材が少ないということだ。適材適所の人事がかなわないのである。

?1年ほど前、大統領選の予備選が行われている時、トンラプの過激な言動がメディアを騒がせていた。打ち出す政策も共和党主流派が主張した内容とは路線が違った。多くの議員や研究者、党内にいる有力者はトランプに背を向けた。

?「ネバー・トランプ・キャンペーン(トランプに反旗を翻る運動)」が党内から生まれもした。ブッシュ元政権の閣僚経験者を始め、高官、知事、連邦議員など、今でもネット上には数百人の名前が確認できる。トランプにとっては「ブラックリスト」である。

政権内に入れない共和党の中核

?また昨年8月には、50人の外交専門家も反トランプの文書に署名した。

?その中には知日派のマイケル・グリーン元国家安全保障会議上級アジア部長、マイケル・チャートル元国土安全保障長官、ジョン・ネグロポンテ元国家情報長官、ロバート・ゾーリック元通商代表部(USTR)代表などが連なっている。

?共和党の中核をなす人たちは、最初からトランプ政権には「入らない・入れない」という事情があるわけだ。

?トランプもわざわざ自分に背を向けた人に懇願したりはしない。指名された方もトランプと政策が合わなければ、政権の高官になっても職務をまっとうすることは難しい。

?レックス・ティラーソン国務長官がいまだに国務副長官を決められずにいるのもそうした背景がある。トランプが当選してからすでに5カ月が経とうとしているにもかかわらずだ。

?しかも人選で、「この人はいい」という人物がいても、ラインス・プリーバス主席補佐官やスティーブ・バノン上級顧問、ホワイトハウスのドン、ドナルド・マクガーン法律顧問が難くせをつけることもしばしばだという。

?事実、ティラーソン長官がエリオット・アブラムズ氏という外交専門家を副長官に据えようとしたが、バノン氏が反対して指名を見送った。同氏は以前、民主党寄りだったからだ。

?ワシントンで取材中、「トランプ政権に忠誠を誓えない者が要職に就くと、政策の調整が難しくなるばかりか、メディアに内部情報をリークされる危険性がある」との話も聞いた。

「米国版天下り禁止令」も一役買う

?人事が遅れている次の理由が、打診を受けても拒否する人がいることだ。トランプへの個人的な忌避だけでなく、連邦職員の年俸が魅力的でないというのも理由である。

?連邦職員のトップに君臨する大統領の年俸は40万ドル(約4400万円)。大統領以上に稼ぐ連邦職員はいない。各省庁の次官(副長官の下)で約16万ドル(1760万円)だ。

?日本の民間企業の給与と比較すると高給かもしれないが、高官として指名を受ける人たちのほとんどは成功者であり、多くは弁護士資格を持つ。

?また企業役員、金融やロビイング企業に勤務する人であると、年俸は大統領以上に稼ぐ人たちが多い。となると、あえて年俸を下げて受ける仕事ではないとの判断が働く。

?閣僚や大使に選ばれれば名声も伴うために指名を受けることも多いが、高官レベルであれば拒否することも珍しくない。さらにトランプは1月28日、ある大統領令を出した。これが多くの人たちのやる気を削ぐことにもなっている。

?政治任用者としてトランプ政権に勤務し、辞めた後5年間はロビイストになれないという大統領令だ。これは「米版天下り禁止令」である。

?日米を問わず、政府職員を辞めた後、政権内で培った人脈を使って仕事をしようと考える人は多い。その選択肢がなくなっては最初からトランプ政権のために仕事をしたくないと考える人が少なくないのだ。

?ほかの理由としては、高官レベルの人事に着手するのが遅かった点も挙げられる。人事局のジョニー・デステファーノ局長が実際の人選に動き出したのは、1月20日の就任式以降のことである。

?実は、同局長は人事のプロではない。共和党全国委員会でデータ管理をしていた人物で、有能な人材を探してくるという仕事は初めてだという。

駐日大使も未定のまま

?さらにスティーブン・ムニューチン財務長官やジェームス・マティス国防長官は自ら部下を連れてこようとした時、ホワイトハウスから横やりが入って却下された経験をしている。

?それでも国務省、財務省、国防総省の人事は少しずつ進んでいる。ただ農務省や住宅都市開発省、労働省などは副長官の名前さえ指名されておらず、554人の政治任用者の承認がすべて終わるのは夏以降になることは確実だ。

?つまりそれまでは、日米間で分野ごとの政策や細部を高官レベルでは詰められないということだ。

?次期駐米大使も、キャロライン・ケネディ氏の帰任後、ウィリアム・ハガティ氏が指名されているが、連邦上院での承認はまだである。

?トランプ政権の表の顔はスムーズに見えるが、裏の顔はアップアップしているのが実像である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49753


 

World | 2017年 04月 18日 10:50 JST 関連トピックス: トップニュース

米政府、米韓FTAを見直す方針=ペンス副大統領
 
[ソウル 18日 ロイター] - 韓国を訪問中のペンス米副大統領は18日、トランプ政権は5年前に発効した米韓自由貿易協定(FTA)を見直す方針だと明らかにした。ソウルの米国商工会議所で開かれた財界幹部との会合で語った。

ペンス氏は、米国の貿易赤字は米韓FTA発効後の5年で倍以上に膨らんだとした上で、韓国には米国企業にとって障壁が多すぎると指摘。「両国の通商関係に欠点に向き合う必要がある」と語り、トランプ政権が企業と連携して見直しを進めるとした。

トランプ大統領は「米国第一主義」を掲げ、米国の雇用を奪うと見なされる貿易協定を見直す方針を示している。

公式データによると、韓国の対米貿易黒字は、米韓FTA発効前の2011年は116億ドルだったが、2016年には232億ドルとなった。

米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)傘下の韓国GMのジェームズ・キム最高経営責任者(CEO)は、米韓のFTAを改善する機会はあると指摘。「米国製品の購入をより容易にするため、韓国特有の基準を最小限に抑える必要がある」と述べた。

*内容を追加します。

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米政権、全FTAと政府調達方針見直す大統領令発表へ=当局者
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焦点:日米経済対話、対立回避を模索 北朝鮮情勢にらむ
http://jp.reuters.com/article/southkorea-usa-pence-idJPKBN17K03Y

 


Column | 2017年 04月 18日 11:51 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:クォールズ氏、FRB副議長就任なら金融政策に波乱も

Gina Chon

[ワシントン 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領が、連邦準備理事会(FRB)の金融規制担当の副議長にジョージ・W・ブッシュ政権で財務次官を務めたランダル・クォールズ氏を指名するとの観測が浮上した。トランプ氏は金融規制改革法(ドッド・フランク法)を批判しているが、クォールズ氏は銀行に関し実際的な見方を持つとみられる。同氏が波風を立てるのは金融政策の方かもしれない。

トランプ氏は先週、ドッド・フランク法を撤廃したいとの意向を表明した。これに対し、クォールズ氏の見方は分野により濃淡がある。2015年にブルームバーグテレビの番組に出演した際には、ドッド・フランク法は「野心的過ぎる」部分と「野心的な要素が足りない」部分の両方があると指摘。16年には米紙ウォールストリート・ジャーナルで、銀行の規模に基づいた規制を批判し、真に問題なのは安定的な預金の不足と、レポ取引といったリスクの高い短期資金への依存にあるとの持論を展開した。

短期資金への依存の問題は、今月FRB理事を退任したタルーロ氏も警鐘を鳴らしていた。クォールズ氏は、ドッド・フランク法が破綻金融機関の秩序立った清算権限を当局に与えているのは好ましいとも発言している。

クォールズ氏がより積極的に発言してきているのは、金融政策に関してだ。政策金利に関する裁量的な判断は、公開市場委員会(FOMC)の委員の見方に左右されるために不透明感が増しており、中央銀行が政治問題に巻き込まれる原因だと分析。スタンフォード大のジョン・テイラー氏が提唱するような、物価や経済成長率などを使った公式に基づいて金利を決める手法を取るべきだと主張している。これに対し、イエレン議長はそうした金利の決め方は支持しないと繰り返し表明している。

クォールズ氏の意見は、低金利が好ましいとするトランプ氏の考えとぶつかる可能性もある。もし指名され、上院が承認したなら、クォールズ氏は自らの考えに基づき独立的に行動するとみられる。その結果、金融規制担当の副議長であったとしても、むしろ金融政策の面で印象を長くとどめる存在となるかもしれない。

●背景となるニュース

*米政治情報サイトのポリティコは16日、トランプ大統領がランダル・クォールズ氏をFRBの規制担当の副議長に指名する見通しだと報じた。クォールズ氏は01─06年に米財務省で勤務し、最後の年は国内金融担当の次官を務めた。ただ、08年の金融危機前に退任している。

*クォールズ氏は、ユタに本拠を置き富裕層向けの資産運用を手掛けるサイノシュア・グループの共同創業者。米投資会社カーライル・グループ(CG.O)のパートナーを務めたこともある。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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News | 2017年 04月 18日 12:42 JST 関連トピックス: トップニュース

アングル:トルコ改憲、僅差の承認であらわになった国家分断

[アンカラ/イスタンブール 17日 ロイター] - トルコで16日、大統領に実権を集中する憲法改正の是非を問う国民投票が実施された。非公式の開票結果によると、賛成が51.4%とわずかに反対を上回る形で、同国の分断があらわになった。

国民投票を受け、トルコは現在の共和国成立後で最大の統治制度改革を行い、首相が廃止されて大統領が行政の長となる。2003年に権力を掌握して以来ずっと本格的な対抗者が存在せず、昨年の軍の一部によるクーデター未遂事件も乗り切ったエルドアン大統領は、2029年もしくはその先まで国家指導者の地位にとどまる可能性がある。

エルドアン氏はかねてから、軍部が再三にわたって基盤の弱い文民政府から権力を奪取しようと試みてきたトルコの過去数十年にわたる政治的な不安定さに終止符を打つために、改憲が必要だと主張してきた。

同氏は国民投票後の勝利演説で「わが共和国の歴史上初めて、文民の政策行動を通じて統治制度を変革しようとている」と胸を張った。

しかし「僅差の勝利」は、それ自体が政治の不安定さを助長しかねない。改憲は保守的な農村部でしっかりと支持されたが、イスタンブールなどの都市部と、クルド系住民が暮らす南東地域は強く反対した。

こうした状況について有力紙ヒュリエトの政府支持派の論説委員Abdulkadir Selvi氏でさえ、国民投票は十分に意味のある「イエス」という結果を生まなかったと指摘した。

その他のメディアを見ると、政府寄りのサバーが「国民の革命」と称賛する一方、反政府系のジュムフリエトが「投票に暗い影」との見出しで野党が結果の正当性に異議を唱えている様子を伝えるなど、反応が分かれた。

選挙管理委員会が16日遅くに示した開票結果では、賛成が反対を125万票上回った。これはエルドアン氏や与党の公正発展党(AKP)が猛烈な選挙戦で目指してきた圧倒的多数の賛成とは言えない。

最終結果は12日以内に公表する見通し。ただ最大野党の共和人民党(CHP)は、投票全体の最大60%を再集計するよう求め、選管が土壇場になって、正式なスタンプがない投票も有効とみなすとの決定を不当だとしている。

統治制度の改革措置はほとんどが、次回総選挙が行われる2019年以降に発効する。エルドアン氏がすぐに選挙を実施して権限を強化できるようにするのではないかとの観測もくすぶっているが、シムシェキ副首相はロイターに対してそうした計画はなく、選挙は19年という予定は変わらないと述べた。

(Gulsen Solaker、Daren Butler記者)


トルコ国民投票、大統領権限強化に「賛成」51.5% 野党は非難

焦点:歴史的なトルコ国民投票、最大の試練に直面する大統領
トルコ改憲「賛成多数」
トルコ与党、憲法改正案を提出 大統領の権限強化へ
http://jp.reuters.com/article/turkey-politics-idJPKBN17K09J?sp=true


 

 

 
豪中銀議事録:弱い雇用情勢と強い住宅市場、動向を注視へ
Michael Heath
2017年4月18日 12:12 JST

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は18日 公表した今月の金融政策決定会合(4日開催)の議事録で、向こう数カ 月にわたり国内の労働・住宅市場の動向を注視していく方針を示した。
豪中銀は議事録で、雇用情勢が「従来の予想より幾分鈍化」してお り、失業率の指標は「なお高水準にとどまっている」と分析。「今後数 カ月間にわたり雇用と住宅市場の動向を慎重に監視する必要があると理 事会は判断した」と説明した。
13日発表された3月の豪雇用統計ではフルタイム雇用者数が急増し たものの、失業率は5.9%に高止まりしていた。
豪中銀は鉱業以外の産業に投資や雇用の拡大を促す中、昨年8月の 利下げを最後に政策金利を過去最低の1.5%に維持している。ただ、そ れによりシドニーやメルボルンでは不動産投資家による投機ブームが誘 発され、住宅価格と家計債務を押し上げた。一方、労働市場は依然とし て比較的抑制されており、結果的に賃金は低迷している。
豪中銀は「労働需要の先行指標は引き続き今後の雇用の伸び拡大を 示唆しているものの、ここしばらく雇用情勢の改善につながっていない のも事実だ」と指摘。「住宅与信は引き続き家計所得を上回るペースで 伸びており、住宅市場と家計のバランスシートに関連したリスクが高ま りつつあることを示唆している」と、先週の金融安定化報告と同じ認識 をあらためて示した。
原題:RBA Shines Spotlight on Weak Aussie Jobs, Strong Housing Market(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-18/OOL3XI6TTDS001


World | 2017年 04月 18日 11:45 JST 関連トピックス: トップニュース

労働市場と家計債務のバランスに配慮必要=豪中銀議事要旨

[シドニー 18日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)が3月の理事会で、軟調な労働市場と家計債務の増加とのバランスに配慮する必要があるとの立場を示していたことが、18日に公表された議事要旨で明らかになった。

雇用と住宅が政策の焦点とし、「理事会は今後数カ月、労働市場と住宅市場の動向を注意深く見守る必要があると判断した」との1文が新たに加えられた。

中銀は3月の理事会で政策金利を過去最低の1.5%に据え置いた。

議事要旨によると、中銀は労働市場の状況は「予想していたよりも幾分弱い」との見方を示した。

3月の雇用統計によると、失業率は5.9%と1年1カ月ぶりの高水準に並んだ。また仕事量を増やしたいのに十分な仕事がない人の水準は過去最高近辺に高止まりしている。

その一方で投資を目的とした住宅購入のための借り入れが増え、シドニーとメルボルンで住宅価格が高騰するなど、住宅市場のリスクが高まっていると分析した。

豪不動産コンサルタント会社コアロジックが発表した3月の主要都市の住宅価格は2ケタの伸びとなり、上昇率はシドニーで19%超を超えた。

ロウ中銀総裁は利下げは既に高水準にある家計債務を増やすだけで、経済にはプラスよりもマイナスの方が大きいと繰り返し主張している。

規制当局は住宅ローンの貸し出し基準を厳格するなどの対応をとってきたが、議事要旨はこうした措置が効果を発揮するまでに「しばらく」時間がかかると指摘。市場の過熱を防ぐために必要に応じて追加措置を取る姿勢を示した。

*内容を追加しました。

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豪中銀、住宅市場のリスクの高まりに警鐘=議事要旨

豪中銀、景気に慎重ながら楽観的 政策のバランス重視=議事要旨
経済指標を注視、政策変更の必要性見極め=豪中銀議事要旨
ECB議事要旨「安定的な政策運営必要」、緩和縮小には消極姿勢
http://jp.reuters.com/article/rba-meetingsummary-idJPKBN17K05U
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/167.html

[社会問題9] 「見た目」問題を抱える女性は長考の末にこう答えた HONZ特選本『顔ニモマケズ』 2017.4.18(火) HONZ 本
「見た目」問題を抱える女性は長考の末にこう答えた
HONZ特選本『顔ニモマケズ』
2017.4.18(火) HONZ
本当に読むに値する「おすすめ本」を紹介する書評サイト「HONZ」から選りすぐりの記事をお届けします。
雨にも、風にも、そして顔にも負けない人でありたい(写真はイメージ)
(文:塩田 春香)

顔ニモマケズ ―どんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語
作者:水野 敬也
出版社:文響社
発売日:2017-02-15
「人は見た目が9割」「人は見た目が100パーセント」「美貌格差」・・・その内容はさておき、こうした本やドラマのタイトルは多くの人が「見た目」に関心があることの表れだろう。

では、もしも顔などの見た目に大きなあざや変形などの目立つ症状がある場合、ネガティブな人生が約束されてしまうのか?

本書『顔ニモマケズ─どんな「見た目」でも幸せになれることを証明した9人の物語』は、そうした症状をもつ「見た目問題」の当事者9人へのインタビュー集である。インタビュアーは、『夢をかなえるゾウ』や『人生はワンチャンス!』などミリオンセラーを繰り出してきた作家の水野敬也さん。じつは思春期の頃、自身の顔のむくみを異様に気にして、「醜形恐怖」という強迫観念に苦しんだ経験がある。

みんなすごいんだけど、みんな「普通」

本コラムはHONZの提供記事です
顔に症状をもつ人たちが、人並み以上の苦労や理不尽を味わってしまうことは想像に難くない。でも、読みながら「すごいなあ、賢いなあ」と、思わず何度もつぶやいてしまった。本書に登場する人たちは、悩みながらも自分の道をきちんと選び取り、自分で居場所をつくりだして生きているからだ。

たとえば、口唇口蓋裂(唇や上あごがつながっていない症状)の女性は、中学でいじめを受けて「死んじゃおうか」と思うまでに追い詰められている。しかし、アート系の高校に進学したことで超個性的な同級生に囲まれて、「私、すごい普通だからこのままだと埋もれてしまう」と逆に焦るほどになったという。

眼球の腫瘍で片目をなくした男性は、就職活動の面接で目のことが大きな壁になる。そこで「第一印象の比重が大きい面接は、自分向きのシステムではない」と考えてインターンで働くところを見てもらい、みごと内定を勝ち取っている。

本書は写真もたくさん掲載されているのだが、リンパ管腫の男性が大好きなマラソンをしているカットは「お、かっこいい!」と思うこと間違いないし、パラリンピック水泳代表になったアルビノの女性も、努力してきた誇りがにじみ出るような飾らない笑顔がとてもすてきだ。

それぞれが自分の好きなことを見つけて打ち込んでいる姿は「無理して前向きに頑張っています」という力みはなくて、なんとなく親しい友人のSNS投稿でも眺めているような気分になってくる。

そう、「障がいや病気のある人が頑張って、健常者が感動する」という「美談」とは、本書はちょっと違う。みんなすごいんだけど、みんな「普通」なのだ。「困難を乗り越えた」「劣等感を克服した」というよりも、「うまく付き合っている」というかんじ。見た目の症状でつらい思いをすることもあるけれど、折り合いをつけながら、時にちょっと気持ちが揺れたりもしながら、でもきちんと自分の人生を歩いている。

「底を蹴って上に上がる」

事故などで顔面を損傷したり、やけどを負ったり、病気の治療で脱毛することなどは、誰にでも起こり得る。もし私も突然当事者になったなら、おそらく最初はその自分を受け容れられずに引きこもるだろう。それから、徹底的に治療や症状を隠す方法を模索するに違いない。でもそのいずれも不可能だと悟ったら、まわりの人たちには「憐れむでもなく、気にするでもなく、これまで通り普通に接してもらいたい」と、強く望むのではないか?

先ほどの片目のない男性が高校生の時、電車で前に座った男の子から指を差されて「あのおじちゃん、目がないよ」と言われたそうだ。もしあなたが彼の友人でその隣にいたなら、どんな態度をとるだろう?「気にしないで」と慰めるのか、それとも男の子を注意すべきか?

実際にその時一緒だった友達は、「お前、おじちゃんって言われとるぞ」と爆笑したそうだ。つまりその友達にとって彼の「片目がない」ということは、「おじちゃん」と言われることよりも全然気にならないことだったのだ。気の置けない仲間だからこその反応と言っていいだろう。本書に登場する人たちは、周囲の人たちとよい関係を築いていることも印象的だ。

もちろんそこに至るまでには、それぞれに葛藤があったに違いない。二十歳で脱毛症になった女性は、今でこそ「白髪を気にしなくてもいいし、ムダ毛の処理もしなくていい」と明るく笑えるエネルギッシュなお母さんなのだが、初めてかつらをつけて会社に行った日は、「仕事から家に帰ってきたら死んでいいことにしよう」と自分に何度も言い聞かせたという。

顔にあざのある男性も、「私のような人間から話しかけられても誰もうれしくないだろう」と人に話しかけられなくなり、大学も中退して引きこもってしまった。そのことを「独りぼっちで海の底に沈んでいくような感覚」と語っているが、その後の自転車旅行やホームレス支援活動、そして今の福祉関係の営業職というアクティブさは、ご本人の「一番下に落ちれば、底を蹴って上に上がる」という言葉を体現している。

どちらの人生を選びますか?

本書のタイトル『顔ニモマケズ』は、言わずもがな、宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」からとったものだろう。「雨ニモマケズ」の最後はこう結ばれる。

── サウイフモノニワタシハナリタイ

自らが醜形恐怖に苦しんだインタビュアーの水野さんは、その苦しさが忘れられなかったから、本書を書こうと思い立ったのだろう(ちなみに本書の著者印税は、見た目問題の解決を目指すNPO法人に寄付されるそうだ)。きっと本書のタイトルも、この9人の話を聞きながら「自分もこういう人になりたい」と感じてつけたのではないか・・・?

本書を読めば、あながちこれが考えすぎではないことに、納得してもらえるだろう。だって私も「こういう人になれたらなあ」と感じた言葉が、たくさんあったから。

「顔に症状がある人生と症状がない人生を選べるとしたら、どちらを選びたいと思いますか?」という水野さんの質問に、動静脈奇形の女性が長考の末に出した答えを、このレビューの結びとしたい。

“もし、今の状態が保証されるなら──子どもがいて、主人がいて、顔の症状があったからこそ出会えた人たちとの関係が保証されるなら──顔の症状はないほうが良いです。ただ、今の自分になるために、この顔の症状が必要とされるなら・・・それはあって良かったと思います。”


夢をかなえるゾウ文庫版
作者:水野敬也
出版社:飛鳥新社
発売日:2011-05-20

じつは自己啓発本って怪しいニオイがするようで読んだことがなかったのですが・・・すみません、食わず嫌いでした。刺さる言葉もたくさんあって、特に「人生を変えるために必要な2つのこと」は、納得。


人生はワンチャンス! ―「仕事」も「遊び」も楽しくなる65の方法
作者:水野敬也
出版社:文響社
発売日:2012-12-11


人生はニャンとかなる! ―明日に幸福をまねく68の方法
作者:水野 敬也
出版社:文響社
発売日:2013-10-22

こちらのシリーズも、偉人の格言やエピソードなど読み応えがあってびっくり。食わず嫌いはいかんですね。


フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳――いま、この世界の片隅で (岩波新書)
作者:林 典子
出版社:岩波書店
発売日:2014-02-21

顔を硫酸で焼かれた女性たちの話が、とにかく辛かった。東のレビューはこちら。


アルビノを生きる
作者:川名 紀美
出版社:河出書房新社
発売日:2013-06-19


塩田 春香
出版社勤務。大学では日本美術史を専攻するも、自然や生きものへの愛情を抑えきれず、自然科学系書籍の編集に3社で合計10年間ほど携わる。好きな作家は井上靖。好きな花はキュウリグサ。最近の関心事は、ミナミコアリクイの威嚇がすごくカワイイことと、家庭菜園を荒らすハクビシンをどうやってとっちめるか。プロフィール画像は「べつやくれい」さんによるもの。

◎こちらもおすすめ!
・虫のように生きられたら、きっと人生は素晴らしい『熊田千佳慕のハイカラ人生記』
・その気になれば、できるのか?『あしたから出版社』
・何のために働くか、人としてどうありたいか『奇跡の陸前高田の老舗醤油蔵八木澤商店再生の物語』
・『孝謙・称徳天皇』by 出口 治明
・もうゆり子さんの鼻歌は聞こえない。『さようならと言ってなかった』
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49744
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/781.html

[政治・選挙・NHK224] 日米経済対話始まる、麻生副総理「両国の摩擦は遠い過去」官房長官、首相と米副大統領の会談「北朝鮮政策のすり合わせできた」
Business | 2017年 04月 18日 16:30 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

日米経済対話始まる、麻生副総理「両国の摩擦は遠い過去」

[東京 18日 ロイター] - 麻生太郎副総理と米国のペンス副大統領は18日、首相官邸で第1回の日米経済対話を開いた。麻生氏は冒頭、日米経済関係は「これまで摩擦という言葉が象徴されていたが、それは遠い過去になり、今は協力という時代になりつつある」と指摘した。その上で、「アジア太平洋地域や世界の力強い経済成長をリードしていくためにも、副大統領とじっくり議論したい」と語った。

日米経済対話では経済政策をはじめ、分野別の協力や貿易・投資ルールなど幅広く意見交換する。会合後には、今後の検討課題などを示した文書を公表するほか、両氏が共同会見を開いて今回の成果を説明する。

麻生氏は対話の中で、日米同盟に関し「軍事同盟だけではなく経済によっても非常に大きく支えられている」と意義を強調。

ペンス氏は「日米経済の強化は可能」との認識を示したうえで、「トランプ米大統領は今回の対話が2国間の通商関係を強化し、近い将来に結果を出す枠組みだと考えている」と述べた。

(梅川崇)
http://jp.reuters.com/article/aso-pence-idJPKBN17K0ND



官房長官、首相と米副大統領の会談「北朝鮮政策のすり合わせできた」
2017/4/18 16:33
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 菅義偉官房長官は18日午後の定例記者会見で、同日のマイク・ペンス米副大統領と安倍晋三首相の会談について「高いレベルで北朝鮮政策のすり合わせを行うことができた」と評価した。その上で「日米同盟は揺るぎないとのメッセージを世界に発信することができた」と語り、連携に向けた成果を強調した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL18HGL_Y7A410C1000000/


安倍首相「訪日は適切なタイミング」 ペンス米副大統領と会談
2017/4/18 16:05
 安倍晋三首相は18日、ペンス米副大統領との首相公邸での昼食会で、同氏の訪日について北朝鮮問題を巡り緊張感が高まっていることを背景に「適切なタイミングだった」と語った。北朝鮮については対話に応じるよう圧力をかけることが大事だとの考えを訴えた。

 また、日米両政府が外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を早期に開くことで一致した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL18HG3_Y7A410C1000000/


日米経済対話は「相当ハード」な交渉に、円高は不可避−榊原元財務官 日銀人事「リフレ派」再び やる気ない「ゆとり世代」部下
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/205.html


日米経済対話で話し合うべきこと 有事の円買なぜ 予想外コアCPI低下ハト派勢い 日銀総裁 世界経済の潮目変化 ドル安更新
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/172.html
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/352.html

[国際19] ロシアで冷めるトランプ熱、「金正恩氏よりも怖い」   トランプこそが世界を不安定化させる−仏大統領選フィヨン候補側近  
News | 2017年 04月 18日 15:43 JST 関連トピックス: トップニュース

アングル:
ロシアで冷めるトランプ熱、「金正恩氏よりも怖い」

[モスクワ 17日 ロイター] - トランプ米大統領の下ですぐにも緊張緩和が訪れるというロシアの抱いていた期待は消えつつある。トランプ大統領誕生を歓迎していたロシア国営メディアは16日、トランプ氏は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長よりも恐ろしいと批判し、同大統領への見方を大きく転換した。

ロシアの同盟国であるシリアに対するミサイル攻撃や、アフガニスタンの過激派組織「イスラム国」を標的にした最強の非核爆弾投下、そしてオバマ前政権時代のクリミア政策を踏襲するとした米政権の決断は、トランプ大統領が親ロシア路線を取るというロシア側の期待が当面脇に追いやられることを意味している。

ロシアの国営メディアが指標となるとすれば、北朝鮮の核プログラムに対するトランプ大統領の強硬姿勢や、同地域への空母艦隊派遣の決断は、歴代の米大統領よりも外交問題に介入しないかもしれないというロシアのいかなる希望も葬り去ってしまったように見える。

ロシアで週1回放送される主要ニュース番組の司会者、ドミートリ・キセリョフ氏は、同国政府寄りとして知られる。同氏はすでに「トランポマニア」から一転、米大統領を批判し始めている。

それまで米政界の既成勢力から「独立」しているトランプ大統領を称賛していたキセリョフ氏だが、ティラーソン米国務長官のロシア訪問後初めて行った放送で、「一歩間違えば、世界で核戦争が勃発しかねない」と警告。「ドナルド・トランプ氏と金正恩氏という2人の対立の結果として戦争は起こり得る。2人とも危険だが、どちらがより危険か。それはトランプ氏だ」と番組で語った。

キセリョフ氏は続けて、トランプ大統領は金委員長よりも「衝動的で予測不可能」だとし、2人とも「限られた国際経験、予測不可能、戦争を行う用意」という共通のマイナス傾向があると指摘した。

クレムリンのペスコフ大統領報道官は、キセリョフ氏の意見がクレムリンのそれと一致するかどうかについてコメントするのは差し控えたが、同氏の考えは必ずしも公式見解と互換性があるとは限らないと説明。「彼の立場は近いが、いつもそうとは限らない」と語った。

とはいえ、キセリョフ氏がトランプ大統領についてそのように強硬な発言を述べる自由な裁量が与えられているという事実は、ロシアとの関係を改善するとの約束をトランプ氏が反故(ほご)にしたと考えるロシアの怒りの深さを反映しているとも言える。

北朝鮮の指導者や軍司令官と、トランプ大統領を並べた写真を前にして、キセリョフ氏は、金委員長がトランプ大統領よりも恐ろしくない理由として、金氏には対話の用意があり、他国を攻撃したことはなく、海軍の強力な艦隊を米沿岸に派遣したことがないことを挙げた。

他の国営メディアや政権支持派のメディアもこの数週間、当初示していたトランプ大統領への熱狂的支持から後ずさりしているが、キセリョフ氏は他の意見を方向づける傾向にあり、これまでのところトランプ大統領に対して最も断固たる態度を示している。

<トランプ大統領に冷めるロシア人>

トランプ大統領を巡る国営テレビの姿勢転換が、テレビからニュースを知る国民の大半に浸透していることを各世論調査は示している。

国営調査機関VTsIOMが17日公表した調査によると、トランプ大統領を否定的に見るロシア人の割合は1カ月で7%から39%に急増。同大統領に対する不信感と失望も募っている。

「シリアに対する米国のミサイル攻撃は、多くのロシア人に冷や水を浴びせた」と、同調査機関のワレリー・フョードロフ氏は指摘。

「ドナルド・トランプ氏の攻撃的な行動は、過去20年間、ロシア社会を特徴づけてきたような米国への不信感と反感をよみがえらせた」と同氏は述べた。

他の多くの国と同様、ロシアもトランプ氏が大統領選期間中から掲げる「米国第一主義」を受け入れた。当初期待していたほどうまくいってはいないものの、ロシア当局者たちによると、ウクライナを巡って科されている金融制裁の緩和にぜひとも必要な米国との関係改善を今なおあきらめてはいないという。

とはいえ、そのプロセスは当初考えられていたよりも難しく、時間を要し、結果も限られたものになるとロシア側は認識しているという。

トランプ政権の政策の多くは、オバマ前政権のそれと何ら変わらないか、より強硬だと、当局者らは非公式に語っている。

ラブロフ外相は17日、北朝鮮の「核を巡る無謀な行動」を非難したが、ロシアは事態をエスカレートさせないようトランプ大統領に求める立場を明確にした。

「われわれがシリアで最近目にしたような一方的な行動が(北朝鮮で)起きないことを、そしてトランプ氏が大統領選中に繰り返し打ち出した政策に米国が沿って進むことを切に願っている」と同外相は語った。

(Andrew Osborn記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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http://jp.reuters.com/article/kremlin-trumpomania-media-idJPKBN17K0JF?sp=true


 


トランプ氏こそが世界を不安定化させる−仏大統領選フィヨン候補側近
Helene Fouquet
2017年4月18日 13:03 JST
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フィヨン候補の側近であるラファラン元首相がインタビューで発言
フランスと欧州は米国の世界支配に対抗すべきだとの見方にも賛同
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トランプ米大統領の予想不能な言動や北朝鮮・ロシアに対する姿勢が世界を不安定にさせかねない。フランス大統領選の中道・右派陣営統一候補、フィヨン元首相の側近を務めるラファラン元首相がそんな認識を示した。
  ラファラン氏は電話インタビューで、「中国は米国を大変懸念している」と発言。「トランプ氏は予想がつかず、中国にとって大きな懸念の種だ。事前協議もなく一方的に実施されたシリア空爆が前例となり、大きな不安となっている。中国は北朝鮮に何ができるかや同国のリスクをどう管理するかについて、十分に分かっている。彼らにとっては、トランプ氏こそが不安定化の要因だ」と述べた。
  外交についてフィヨン氏に助言するラファラン氏はまた、フランスは欧州とその同盟国をトランプ氏の介入から守ろうとしなければならないとも話し、フランスおよび欧州が米国から距離を置き、同国の「世界支配」に対抗する必要があるとするフィヨン氏の主張を支持した。ラファラン氏はフランスが中国との結び付きを強めるべきだとする上院議員。
原題:Trump Is a Global ‘Instability Factor,’ Fillon’s Top Aide Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-18/OOL5JI6JIJUO01
http://www.asyura2.com/17/kokusai19/msg/168.html

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