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肝話窮題 isyYYouHkeg コメント履歴 No: 100002
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[政治・選挙・NHK262] 玉城知事の平和宣言を全文読んでしっかり記録にとどめたい・・・「圧倒的多数の県民が辺野古埋め立てに反対」 −玉城沖縄県知事が明快に宣言=沖縄慰霊の日− (ちきゅう座)
2019年 7月 5日
<坂井定雄(さかいさだお):龍谷大学名誉教授>

 6月23日恒例の2019年慰霊の日に、玉城沖縄県知事は「圧倒的多数の県民が辺野古埋め立てに反対している」と明確に宣言した。この演説は全文を通して、「戦後の廃墟と混乱を乗り越え、人権と自治を取り戻すべく米軍占領下を生き抜いた私たちウチナーンチュ」の戦後史と現在を明快に示した。NHKが全文を中継し、夜七時のニュースでも詳しく報道したのに比べ、朝日新聞は1面3段、2面4段、26面4段と紙面を割いたが、玉城知事の平和宣言の紹介は要旨だった。安倍首相のあいさつでは、今年も「辺野古」には触れなかった。他紙、他チャンネルの報道にはあまり目を通していないが、玉城知事の平和宣言を全文読んでいただきたいし、しっかり記録にとどめたいので、以下に再録します

http://chikyuza.net/wp-content/uploads/2019/07/201906292024523e8.jpg
平和宣言する玉城デニー知事=23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園


玉城デニー知事の平和宣言(2019年慰霊の日)【全文】 

 戦火の嵐吹きすさび、灰燼(かいじん)に帰(き)した「わした島ウチナー」。
 県民は、想像を絶する極限状況の中で、戦争の不条理と残酷さを身をもって体験しました。
 あれから74年。忌(い)まわしい記憶に心を閉ざした戦争体験者の重い口から、後世に伝えようと語り継がれる証言などに触れるたび、人間が人間でなくなる戦争は、二度と起こしてはならないと、決意を新たにするのです。

 戦後の廃墟(はいきょ)と混乱を乗り越え、人権と自治を取り戻すべく米軍占領下を生き抜いた私達ウチナーンチュ。その涙と汗で得たものが、社会を支え希望の世紀を拓くたくましい営みをつないできました。
 現在、沖縄は、県民ならびに多くの関係者の御尽力により、一歩一歩着実に発展を遂げつつあります。
 しかし、沖縄県には、戦後74年が経過してもなお、日本の国土面積の約0.6パーセントに、約70.3パーセントの米軍専用施設が集中しています。広大な米軍基地は、今や沖縄の発展可能性をフリーズさせていると言わざるを得ません。

 復帰から47年の間、県民は、絶え間なく続いている米軍基地に起因する事件・事故、騒音等の環境問題など過重な基地負担による生命の不安を強いられています。今年4月には、在沖海兵隊所属の米海軍兵による悲しく痛ましい事件が発生しました。
 県民の願いである米軍基地の整理縮小を図るとともに県民生活に大きな影響を及ぼしている日米地位協定の見直しは、日米両政府が責任を持って対処すべき重要な課題です。
 国民の皆様には、米軍基地の問題は、沖縄だけの問題ではなく、我が国の外交や安全保障、人権、環境保護など日本
国民全体が自ら当事者であるとの認識を持っていただきたいと願っています。

 我が県においては、日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小が問われた1996年の県民投票から23年を経過して、今年2月、辺野古埋立ての賛否を問う県民投票が実施されました。その結果、圧倒的多数の県民が辺野古埋立てに反対していることが、明確に示されました。
 それにもかかわらず、県民投票の結果を無視して工事を強行する政府の対応は、民主主義の正当な手続を経て導き出された民意を尊重せず、なおかつ地方自治をも蔑(ないがし)ろにするものであります。

 政府におかれては、沖縄県民の大多数の民意に寄り添い、辺野古が唯一との固定観念にとらわれず、沖縄県との対話による解決を強く要望いたします。
 私たちは、普天間飛行場の一日も早い危険性の除去と、辺野古移設断念を強く求め、県民の皆様、県外、国外の皆様と民主主義の尊厳を大切にする思いを共有し、対話によってこの問題を解決してまいります。

 時代が「平成」から「令和」へと移り変わる中、世界に目を向けると、依然として、民族や宗教の対立などから、地域紛争やテロの脅威にさらされている国や地域があります。貧困、難民、飢餓、地球規模の環境問題など、生命と人間の基本的人権を脅かす多くの課題が存在しています。
 他方、朝鮮半島を巡っては、南北の首脳会談や米朝首脳会談による問題解決へのプロセスなど、対話による平和構築の動きもみられます。
 真の恒久平和を実現するためには、世界の人々が更に相互理解に努め、一層協力・調和していかなければなりません。

 沖縄は、かつてアジアの国々との友好的な交流や交易を謳(うた)う「万国津梁(ばんこくしんりょう)」の精神に基づき、洗練された文化を築いた琉球王国時代の歴史を有しています。

 平和を愛する「守禮(しゅれい)の邦(くに)」として、独特の文化とアイデンティティーを連綿(れんめん)と育んできました。
 私たちは、先人達から脈々と受け継いだ、人を大切にする琉球文化を礎(いしずえ)に、平和を希求する沖縄のチムグクルを世界に発信するとともに、平和の大切さを正しく次世代に伝えていくことで、一層、国際社会とともに恒久平和の実現に貢献する役割を果たしてまいります。

 本日、慰霊の日に当たり、国籍や人種の別なく、犠牲になられた全ての御霊(みたま)に心から哀悼(あいとう)の誠(まこと)を捧げるとともに、全ての人の尊厳を守り誰一人取り残すことのない多様性と寛容性にあふれる平和な社会を実現するため、全身全霊で取り組んでいく決意をここに宣言します。

 御元祖(うぐゎんす)から譲(ゆじ)り受(う)きてぃ、太平(てーふぃー)(平和)世(ゆー)願(にげー)い愛(かな)さしっちゃる肝心(ちむぐくる)、肝清(ちむぢゅら)さる沖縄人(うちなーんちゅ)ぬ精神(たまし)や子孫(くゎんまが)んかい受(う)き取(とぅ)らさねーないびらん。
 幾世(いちぬゆー)までぃん悲惨(あわりくり)さる戦争(いくさ)ぬねーらん、心安(くくるや)しく暮(く)らさりーる世界(しけー)んでぃし、皆(んな)さーに構築(ちゅくてぃ)いかんとーないびらん。
 わした沖縄(うちなー)御万人(うまんちゅ)と共(とぅむ)に努(ちとぅ)み尽(ち)くち行(い)ちゅる思(うむ)いやいびーん。

We must pass down Okinawa’s warm heart we call “Chimugukuru” and its spirit of peace, inherited from our ancestors, to our children and grandchildren.
We will endeavor to forge a world of everlasting peace.
I am determined to work together with the people of Okinawa.

                          令和元年6月23日

                           沖縄県知事 玉城 デニー

  ※方言及び英語の訳
    先人から受け継いだ、平和を愛する沖縄のチムグクル(こころ)を後世(子や
    孫)に伝えなければなりません。
    いつまでも平和で安心した世界をみんなで築いていかなければなりません。
    沖縄県民の皆さんと共に努力していくことを決意します。


初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8784:190705〕

http://chikyuza.net/archives/95046
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/733.html

[政治・選挙・NHK262] 韓国への経済制裁発動――日本政府は、冷戦体制下の「大いなる勘違い」に気づくべきだ(ちきゅう座)
2019年 7月 3日
<矢沢国光(やざわくにてる):ちきゅう座会員>


 日本政府は、7月1日、韓国に対する半導体材料の輸出規制を決定した。徴用工問題での経済制裁である。

 だが、日本政府の経済制裁発動は、慰安婦問題以来の、一貫した「大きな勘違い」にもとずいている。

 日本政府の勘違いとは何か?「歴史問題は解決された」という勘違いである。

 日本と韓国のあいだの「歴史問題」――日本という国家が、朝鮮半島の住民に対して数十年にわたって植民地支配したという歴史的犯罪行為をどう償うかという問題――は、解決されたのではなく、「棚上げされた」だけだったのだ。

 なぜ「棚上げされた」のか?冷戦体制への移行に伴って、アメリカが「米日韓」の軍事同盟の構築を必要としたからだ。東条内閣の商工大臣・岸信介は、巣鴨プリズンから釈放されて、戦後日本の指導者として復活した。復活させたのは、冷戦体制の構築に日本を必要としたアメリカである。朝鮮戦争では、米軍は在日基地を前線基地として韓国軍とともに戦った。日韓は、ともにアメリカの極東安全保障体制に組み込まれた。こうして、日本の韓国に対する「歴史問題」は、棚上げされた。

 日本は、韓国への植民地支配を本気で謝罪していない。謝罪しなくても、アメリカの東アジア体制の一翼を担うことが許されたからだ。

 韓国は、日本の植民地支配への糾弾を貫徹できなかった。朴正熙軍事政権が日本からの経済支援によって北朝鮮に対抗しうる経済的軍事的体制を作ることを優先させたからだ。アメリカも、「歴史問題」の解決よりも、米日韓が結束して対ソ対中の軍事体制――冷戦体制――を構築する方を優先した。

 被害者が加害者に対してより徹底した謝罪を求めるとき、加害者が「謝罪はもう済んだ、つべこべ言うな」と、脅迫まがいの言動をするのは、ふつうはあり得ない。冷戦体制下で例外的に「歴史問題の棚上げ」という特殊事情があり、しかもその特殊事情のあったことを忘れてしまった日本政府だけが「ふつうはありえない」言動を平気で行っている。恥ずかしいかぎりだ。

 だが、いまや冷戦体制そのものが過去のものとなった。

 アメリカ自身が「世界の警察官をやめる」と公言している。オバマ大統領と、オバマきらいのトランプ大統領も、この点では、一致している。

 トランプ・金正恩の米朝トップ会談が3度実現し、世界で唯一残っている「冷戦による分断国家」は、分断の解消に向けて舵を切った。

 トランプは「日米安全保障条約の解消」を口にするようになった。ソ連・東欧体制崩壊から30年経ったいま、「冷戦体制」はヨーロッパでも東南アジアでも解消し、中東で液状化し、唯一残った東アジアでも解体しつつある。

 「歴史問題は解決した」という前提で韓国に経済制裁を発動した日本政府の言動は、冷戦体制の崩壊という事態の進行によって、その前提が崩れる。大いなる「勘違い」が立ちゆかなくなる。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/

〔opinion8781:190703〕

http://chikyuza.net/archives/95025
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/735.html

[政治・選挙・NHK262] 一強国会が壊した民主主義 強行の日常、深まらない議論(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月1日23時03分 斉藤太郎、内山修

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190701002410_commL.jpg
参院法務委員会で出入国管理法改正案が採決される際、委員長席でもみ合う与野党の議員=2018年12月8日未明、国会内

 参院選で改選されるのは2013年に当選した議員たちだ。その歩みは再登板した安倍晋三首相の政権6年半とほぼ重なる。13年参院選では自民党が大勝し衆参ねじれが解消、国会は政権の意向がそのまま反映される「一強国会」へ歩み始めた。与野党の圧倒的な議席差のもと、国会は何を得て、何を失ったのか。

 委員会での法案の反対討論の目安は3分。だがその演説は30分に迫っていた。

 「ルールを守れ!」。昨年6月の参院内閣委。与党議員の声を無視して、山本太郎氏は環太平洋経済連携協定(TPP11)関連法への反対討論を続けた。

 山本氏は当時、自由党共同代表。「一人牛歩」「焼香パフォーマンス」といった議場の行動で「トリックスター」の異名を取る。しびれを切らした与党議員が「討論終局の動議を提出する」と言い出した。

 「ダメだ」。立憲民主党の白真勲氏は動議の提出を制しつつ「選挙に勝つしかないんだよ」と山本氏に演説をやめるよう諭した。動議が可決されれば、多数派が野党の発言を強制的に終わらせる前例となるからだ。

 山本氏はうつむいて「確かにそうですね」とつぶやき、演説を終えた。関連法は与党などの賛成多数で委員会可決、本会議でも可決され、成立した。

■強引な議事進行、日常に

 憲法は国会を「国権の最高機関」「国の唯一の立法機関」と定める。最後は多数決になるため、選挙で勝った多数派が主導権を握るが、議論によって法律の必要性や問題点を明らかにし、必要なら法案を修正したり、撤回させたりするのが国会の大切な機能だ。

 少数政党の主張が尊重される理由はそこにある。国民の支持があれば、法案に反対するための審議の引き延ばしなど「議事妨害」はある程度容認されてきた。

 もし野党が、法案を審議する委……こちらは有料会員限定記事です。残り:1279文字/全文:1998文字

https://www.asahi.com/articles/ASM6N40W6M6NUTFK00H.html?iref=pc_rellink
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/736.html

[日本の事件32] 大崎事件再審取り消し決定は明らかに法に反する 最高裁は何のためにあるのか (朝日新聞社 論座)
五十嵐二葉  弁護士
論座 2019年07月05日 より無料公開部分を転載。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070200002_1.jpg
拡大大崎事件で服役し無罪を訴えている原口アヤ子さんの92歳を祝う誕生会。弁護士や支援者らがケーキや花束を贈った=2019年6月7日、鹿児島県志布志市

■「ありえない」再審開始取り消し

 全国紙が一斉に1面で報じた。朝日、毎日はトップ。地方紙も筆者が把握した限りでは同様だった。一刑事事件でメディアがこんな扱いをするのは、死刑事件での再審無罪など限られた例しかない。

 1979年鹿児島県で起こった「大崎事件」。鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部と下級審がそろって再審の開始を認めているのを「最高裁が覆すのは初めて」、であるだけでなく92歳の原口アヤ子さんが、40年間無実を訴え続けて、再審もこれで3次にわたっていて、第1次再審の鹿児島地裁も2002年3月26日開始決定を出している。「開かずの門」といわれる再審請求で、3つの下級審が開始するべきだと判断している事件だ。

 各紙が最高裁の決定に「ありえない」「まさか」と見出しを付けたのは、弁護団の反応との形はとっているものの、この事件はえん罪なのに、というメディアの認識が示されている。

 40年前の1979年10月15日、鹿児島県大崎町でN家の末弟(42歳)の遺体がその自宅隣の牛小屋の堆肥の中から見つかった。警察は3日後の18日に、死者の長兄と次兄を殺人・死体遺棄容疑で逮捕。12日後の27日に甥(次兄の息子)を、死体遺棄を手伝ったとして逮捕。15日後の30日に長兄の妻原口アヤ子を殺人・死体遺棄容疑で逮捕し、起訴したのがこの事件の発端だ。

 今回最高裁決定が「当裁判所の判断」として認定したこの事件を客観的な<事実>、有罪判断をした確定判決とそれを引用した最高裁判決による<推理>、その裏付けに用いられている城旧<鑑定>に分けて簡単に見ていくと客観的事実はごく少なくて、刑事事件とされた部分は推理とそれに沿う「城旧鑑定」(城鑑定は後でもう一度出されているので区別のためこう呼ばれる)のつまみ食いで成り立っていることが分かる。

<事実@> 10月15日、大崎町でN家の末弟の遺体がその自宅隣の牛小屋の堆肥の中から見つかった。
<鑑定@> 遺体の肺には吸い込まれた堆肥の成分がない。
<推理@> 遺体は死んでからここに運ばれた。
<事実A> 3日前の10月12日、末弟は泥酔して近くの側溝に自転車ごと落ちて意識のない状態を近所の男性2人が見つけて引き上げ、自宅に運んでくれた。
<推理A> 末弟はこの時は生きていた。
<推理B> <推理@>と合わせて、このあと誰かに殺された。
<推理C> 死者の家は長兄、次兄「方に隣接しており、これらの敷地はそれぞれ周囲を崖や林に囲まれていることなどから、夜間、死者方敷地内に立ち入る者として」長男、次男「方の居住者か、これらの居住者宅への来訪者以外は現実的には推定しがたい」。

 殺人と死体遺棄はこの「推定」に合う4人が「夜間」におこなったのだという推理。第一小法廷が自ら言っている推理で、警察が、2週間かけて知的障害のある長兄と次兄をまず自白させて、アヤ子さんを逮捕、一度も虚偽自白しなかった彼女を含めて4人が逮捕起訴されて、有罪とされて、服役させられ、何十年もの苦難の人生を歩まされることになった。再審開始決定取り消しという結論だけでなく、この決定内容は「ありえない」「あるまじき」決定だった。

■第一小法廷は判例違反を侵した?

 「日本の裁判所は上に行くほど悪くなる」弁護士や冤罪支援者など関係者の間で、戦後長い間言われてきたことで、1審の無罪判決が、高裁で直接有罪と自判され、或いは有罪方向で差し戻される。最高裁はさらに厳しいという傾向だった。それが ・・・ログインして読む
(残り:約7070文字/本文:約8552文字)

https://webronza.asahi.com/national/articles/2019070200002.html
http://www.asyura2.com/17/nihon32/msg/183.html

[環境・自然・天文板6] 温暖化脅威論を粉砕するマーク・モラノの本 『「地球温暖化」の不都合な真実』 を翻訳・刊行した(朝日新聞社 論座)
温暖化脅威論を粉砕するマーク・モラノの本
『「地球温暖化」の不都合な真実』を翻訳・刊行した

渡辺正 東京理科大学教授
論座 2019年07月04日 より無料公開部分を転載。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019062600003_1.jpg
グリーンランドのラッセル氷河。末端では氷がとけて滝となって流れ落ちる。だが、これは二酸化炭素濃度とは関係ないとマーク・モラノはいう=2017年7月20日、中山由美撮影

 「地球温暖化論は科学的根拠に乏しく、『対策』は社会を狂わせる」と断じる本が米国で昨年2月に出た。これを邦訳し、『「地球温暖化」の不都合な真実』(日本評論社)として刊行した。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019062600003_3.jpg

 著者のマーク・モラノ氏は1968年生まれのジャーナリスト。国内外の科学者や政治家(たとえばチェコ元大統領)への精力的な取材をもとに軽妙な筆で論を張り、地球温暖化の恐怖を警告する「脅威派」と、それに疑いの目を向ける「懐疑派」双方の声を吟味した。ご本人の講演動画が、滑らかな口調と強い気迫をよく伝える。読みとれる米国の風土(談論風発、共和党と民主党の確執)も興味深い。

 刊行から1年4か月を経ても米国Amazonのベストセラー状態にある同書のサワリを紹介したい。

■あやうい科学

 全20章のうち、最初の章は著者の自己紹介で、2〜8章は科学的データの吟味に当てられている。

「人間の出すCO2(二酸化炭素)が地球を暖めて危ない」というのが温暖化脅威論だ。国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が中心となって広めてきた。確かに過去20年、CO2濃度は増加の一途だったが、衛星で観測した地球の気温はほぼ横ばいが続く。地上の気温データは、都市化(ヒートアイランド)効果を含むので全体の動向を知るには適さない。しかし米航空宇宙局(NASA)や米国海洋大気局(NOAA)が発信する「世界の気温推移」グラフは、地上データをまとめたものだ。しかもグラフ化の際、生データを加工して近年の気温上昇を「演出」してきた気配も濃い。

 北極のシロクマは危機になど面しておらず、数が増えているし、海面上昇のスピードは100年以上ほとんど変わっていない。南極では氷がじわじわ増えている。グリーンランドの氷河は過去100年間ずっと縮小中で、人為的CO2とは関係ない。

 地質学者は「地球史上ほとんどの期間、気温は過去200年間より高かった」「(現在の)大気のCO2濃度は史上いちばん低い部類に入る」という。

 温暖化科学は、モデル予測に頼る。だがモデル計算で確実なことは何もいえない、と多くの研究者が指摘する。

■目覚める大物

 9章は、脅威論をいったんは受け入れたあと、データを調べ、または脅威派集団の「主張の異なる研究者は排除する」といった不品行を見て、懐疑派に転じた研究者や論客を紹介する。1973年に江崎玲於奈氏とノーベル物理学賞を共同受賞したアイヴァー・ジエーバー、環境運動の始祖ジェームズ・ラブロック、名高い環境団体グリーンピースの共同設立者パトリック・ムーアなど、十数名の大物「転向者」が取り上げられ、一部には直接取材もしている。

 元NASAの科学者でマンチェスター大学名誉教授レス・ウッドコックは「数百万年間、地球の気温は上下動を繰り返してきた。大気のCO2濃度と関係はなく、むろん人間活動とも関係ない。まっとうな科学者なら、温暖化の脅威など存在しないと言うはず。金儲けしたい連中がこしらえた空想物語にすぎない」「人為的温暖化説は、まだ誰ひとり証明していないのだ」と語っている。

■国連の意図

 14章は、 ・・・ログインして読む
(残り:約1502文字/本文:約2837文字)

■まだ誰ひとり証明していない

https://webronza.asahi.com/science/articles/2019062600003.html
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/741.html

[環境・自然・天文板6] 『地球温暖化の不都合な真実』 マーク・モラノ著 渡辺正訳 (長周新聞 書評)
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/9c8fd4edb3095b9b32e1cbf534daf9cd.jpg
2019年7月2日

 温室効果ガス(CO2)による「地球温暖化」が大大的に宣伝されるようになって30年になる。この間、アル・ゴア(元米副大統領)の『不都合な真実』が衝撃的に売り出され、国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)がそれを科学的に支える形で環境保護団体を従え、メディアがくり返し警鐘を鳴らしてきた。

 今日、メディアは「地球温暖化」問題は科学的に決着済みであり、それに異論をとなえる学説はエセ科学の「トンデモ」論であるかのようにふりまいている。そして、どこからともなく、「科学者の97%が“人為的CO2地球温暖化”に合意している」という風潮がまことしやかに振りまかれるようになった。太陽活動との関連を指摘したり、データから南極では寒冷化しているという知見は、正規の研究論文であっても「懐疑派」と称される。

 そして最近目につくのは、世界各地をハリケーン、台風、竜巻、大雨、洪水、山火事などの災害が襲うたびにその解説に、「地球温暖化」を枕詞のようにつけるようになったことだ。熱波はともかく寒波や南極の氷の増加まで、さらに地震や飛行機事故まで「温暖化」のせいだといってはばからない風潮がまかりとおっているのである。

 だが、それは情緒的に人人の不安を煽るだけで、科学的な根拠をもって納得させるものではない。本書は、20年前から「地球温暖化」問題にとりくんできたアメリカのジャーナリストが、IPCC報告の査読経験を持つなどしている数多くの研究者の学説や、元政治家・運動家の発言を歴史的広がりのなかでていねいに拾い上げ、科学的なデータをもとに真実を照らし出すという姿勢を貫いている。そのことで、国連の権威で大がかりに組織された「人為的地球温暖化」論が、いかに科学的根拠のない砂上の楼閣のようなものか、偽善的でウソにまみれた世界かを赤裸裸にあばき出すものとなっている。

■シロクマは20年で20倍に 南極の氷も増加

 最近、「地球温暖化」よりも、「気候変動」という言葉が使われるようになってきた。そこにも、そうした「不都合な真実」が正直に反映しているという。なによりも、地球の年間平均気温はこの20年間、「加速度的な上昇」の予測に反して横ばいを続けている。ゴアやIPCCが危機感をあおってとりあげてきた「地球の危機」の実例や予測はことごとく外れてしまっている。

 温暖化で北極の海氷が解けて、シロクマが絶滅に向かうといって子どもたちを悲しませたが、現在、シロクマは20年前の20倍にまで急増している。NASA衛星観測では南極の氷も増え続け、年ごとに最高記録を更新し、南極の氷融解が海面上昇の原因にならないことが判明した。また、海面上昇によって2000年までに多くの国の沿岸の主要都市が水没するという国連の予測はとっくに失効している。加速度的な海面上昇は生じなかったばかりか、ツバルなどのミクロネシアの島島はサンゴ堆積や干拓などで面積を広げてさえいる。

 1980年代末、イギリスの研究者が「数年のうちに雪を知らない子ばかりになる」と発表した。そうならなかったのでその10年後の2000年、大物環境活動家が「地球温暖化は降雪を増やす」と発言して取り繕った。こうしたなかで、一方向の「地球温暖化」でなく、どんなことでも説明できそうな「気候変動」を使う学者が増えてきた。

 それにうってつけの事例として持ち出されてきたのが「異常気象」である。しかし、温暖化騒ぎから30年のあいだ地球の気温は、わずか0・2℃から0・3℃の温度上昇で横ばいである。それが「異常な気象」を増やしたと断言できる研究機関はない。2007年には「温暖化でハリケーンの数が倍増した」と騒がれた。だが、07年から17年まで、カテゴリー3以上のハリケーンはアメリカ本土に一個も上陸していない。万事がこんな具合である。

■「97%の科学者が合意」の嘘 数字捏造は茶飯事

 本書は、まっとうな気候学者でも「人為的温暖化説は、97%の科学者が合意」論に惑わされた事情と、それがいかにねつ造されたものかを具体的に暴いている。科学者の多くは、自分で調べないで反論できないので同僚の判断を受け容れるのだ。しかし、IPCC関係の研究者が、名高い「97%」の証拠(論文1万1944編の「要旨」の部分)を具体的に分析したが、再現できなかった。その検証の結果、実際はそのうち中身が「合意」に合うのはわずか64編(0・3〜0・5%)であり、明確なでっち上げであることを証明した。

 米国気象学会(AMS)は「人為的温暖化の合意」を承認したと声明したが、一般会員の意識調査では、75%の会員がIPCCの主張に同意していなかった。こうした数字のねつ造が茶飯事となっている。著者は、クライメートゲート事件によってIPCCがデータねつ造を常習化する腐敗の温床になっていることが暴露され、多くの良心的な科学者を現実に立ち戻らせる契機となったと指摘している。

 著者はあらためて、「科学者たちは合意などしていない。人間活動が温暖化を激しく進めているという叫びに根拠はない」と断言するとともに、科学を進歩させてきたのは政治がらみの「合意」などではなく、“懐疑”を生命とする真実の探究であったことを再確認している。

 IPCCの権威を誇るうえで、世界130カ国の政府が送り出した数千人の科学者の集団であることが強調される。だが、その実態は各国の官僚が入り込んだ「科学の仮面をかぶった政治的ロビー集団」である。それは、IPCC前議長のパチャウリが地球温暖化を「私にとっての宗教ですよ」と公言したり、「報告書の目的は世界の理性のある人々に、温暖化対策が必要だと思わせること」で、「報告書の中身は政治の動向に合わせる」といって恥じないことに端的に示されている。

 本書から浮かび上がる一つの問題は、ゴアやオバマなど民主党に見られる潮流、「左派」と見なされる勢力が「地球温暖化脅威」論の先頭に立って巨額の予算を投入していることである。ある場合は、「経済成長を許すな」「子どもを守るには子どもをつくらないのがベスト」などと主張する潮流もある。

 著者は、「地球を救うという甘い言葉が、科学と経済と政治をどれほどゆがめ腐敗させたか」と批判するとともに、この10年来の「国連気候変動枠組条約国会議」(COP)ではほぼ毎回、「今回こそ最後のチャンス」と叫ばれてきた滑稽さを直視すべきだと訴えている。そして、国連の条約やEPA(米環境保護庁)の規制や、「地球のため」と称する市民の犠牲で、気候や海水面を変える可能性はないことを明確にしている。

 ひるがえって日本では「温暖化対策費」として、毎年5兆円を超える巨費が投入され、すでに40兆円を使っている。さらに、2030年までに総額約100兆円を注ぎ込む計画である。

 訳者の渡辺正・東京理科大学教授(東京大学名誉教授)は「年間国家予算に近い100兆円を使おうと地球が0・001℃も冷えないことは、小学生でもわかります。血税から回す巨費は、実効の見こめる防災や福祉、医療、教育に回すのが、為政者のとるべき姿勢でしょう」と問いかけている。  
(日本評論社発行、B6判・308ページ、1800円+税)

https://www.chosyu-journal.jp/review/12084
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/742.html

[政治・選挙・NHK262] テレ朝人事の波紋(上) 経済部長の「報道外し」(朝日新聞社 論座)
臺宏士 フリーランス・ライター
論座 2019年07月05日

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テレビ朝日(東京・六本木)の正面玄関受付のあるホールに飾られた「報道ステーション」の垂れ幕。古舘伊知郎氏の後任メインキャスターは、テレ朝社員の富川悠太氏が引き継いだ。

■4年前も「更迭」人事?

 テレビ朝日の看板番組「報道ステーション」でプロデューサーを務めるなど同局のジャーナリズムを支えてきた松原文枝・経済部長(52)が7月1日付で「若返り」を理由に報道局を離れ、総合ビジネス局のイベント事業戦略担当部長に異動した。

 原発再稼働、安全保障、憲法改正など安倍晋三首相が強くこだわる政策に正面から問いかける報ステ時代の特集は大きな注目を集めた。これが原因で「更迭された」とも言われている。

 7月からは、放送番組を国内外に販売したり、映画・コンサート、展覧会など放送事業以外での収益を図る仕事に就く(参院選や夏の終戦企画もあり着任は8月後半らしい)。

 今回の松原氏の異動をめぐっては、同担当部長というポストが、松原氏を迎えるに当たって新設されたもので、昇格もないままの報道局以外への転出であることから、局内でも異例の人事だと受け止められている。

 早河洋会長の下、安倍政権との距離を縮めるテレビ朝日にあって、「テレ朝ジャーナリズム」の退潮を危惧する声が出ている。

■株主総会でも質問

 「今回の人事で落ち込んでいるんじゃないか。会社を辞めるなんてことも考えるなよ。こういう人事異動もある」――。

 松原氏の周辺を取材すると、テレビ朝日で7月の人事異動の内示(発表)が6月21日にあった後、ある役員は松原氏にそう言って励ましたらしいという情報が入った。

 関係者によると、テレビ朝日の社内人事は、人事担当を含む3人の役員を中心に進められ、担当部長以上のポストについては、実権を握る早河会長の了解を得る仕組みになっている、という。

 松原氏の異動を「テレ朝 政権追及 経済部長を左遷 ”忖度”人事か?」といち早く報じた「日刊ゲンダイ」(6月24日)の取材に対して、テレビ朝日広報部は「通常の人事異動の一環です」と回答し、6月27日のテレビ朝日ホールディングスの株主総会でも松原氏の異動について出た質問に対して、会社側は同様の答弁で押し切ろうとしたという。

 木で鼻をくくったような説明を額面通りに受け止める社員は、まずいない。ある関係者が明かす。

 「役員がわざわざ本人に『辞めるな』と言うなんてことは、かえって今回の人事が左遷だということを示したようなものではないでしょうか。通常の人事異動でそんなことを役員がしたなどと聞いたことがありません」

 左遷なのかどうかはともかく、社員の目から見ても不自然さが目立つ人事であったことは間違いないようだ。

■「安倍政権に厳しい番組づくり」が理由?

 松原氏がいまの経済部長に着任したのは2015年4月だった。在任期間は2019年4月で5年目に入り、時期的には異動になっても確かにおかしくはない。問題はその異動先だ。

 過去の経済部長の異動先を見てみると、前々任の経済部長は、クロスメディアセンター長、前任者は、政治部長への異動後に、同じ7月1日付の人事でアナウンス部長として昇格するなどいずれも放送の現場にとどまっているのとは対照的なのだ。

 仮に報道局以外に行く場合でも秘書や企画などといった経営にかかわる部署が多いという。経済部長として築いた企業とのパイプをビジネスに生かしてもらうという理由が成り立たないわけではない。ただ、こういうケースでは表向き昇格人事を装うことが多いが、それもない。

 松原氏の異動について別の民放キー局の関係者は「今回の人事異動は、松原さんが報道ステーションのチーフ・プロデューサーだったときに起きた出来事までさかのぼると思います。松原さんの安倍政権に厳しい番組づくりに経営陣はもともと報道から出したかったのです」と指摘する。

 報ステ時代にいったい、松原氏の周辺では何が起きたのか。当時のテレビ朝日内で起きていたことを関係者に尋ねてみた。すると、安倍政権との関係を深めるトップの姿が浮かび上がってきた。

■テレ朝・早川会長と幻冬舎・見城社長と安倍首相

 松原氏は、1991年にテレビ朝日に入社した1年後の1992年に報道局の政治部に異動となった。その後、経済部をへて2000年に、「報道ステーション」(2004年4月〜)の前身にあたる「ニュースステーション」(1985年10月〜2004年3月)のディレクターになる。2012年には、チーフ・プロデューサー兼プロデューサーという立ち場で約100人のスタッフを率いることになった。

 折しも時代は、民主党政権がこの年の12月に崩壊。自民党が政権与党に復帰し、第二次安倍政権が成立するなど政治状況はがらりと変わった。

 第一次安倍政権は2007年7月の参院選で敗北し、約1年で退陣を余儀なくされた。「アベノミクス」の言葉が象徴するように、第2次安倍政権では憲法、歴史認識、安全保障といった安倍首相好みの政策は当面、脇に置かれて、経済政策重視の姿勢を打ち出した。また、かつては激しかったメディア批判も手控え、良好な関係にも気を使うなど発足当初、安全運転の政権運営との評価も受けた。

 しかし、その一方で、新聞、テレビなどメディアトップと安倍首相との度重なる会食は、読者、視聴者のメディア不信を招いた。

 このころ早河会長も2013年3月22日と2014年7月4日の2回、会食をともにしている(読売新聞「安倍首相の1日」から)。報道畑の出身ではない早河会長に安倍首相を紹介したのは、見城徹・幻冬舎社長と言われている。幻冬舎は『約束の日 安倍晋三試論』(小川榮太郎)、『総理』(山口敬之)――などのいわば、安倍政権のPR本の版元である。

 首相との会食には当然ながら、見城氏もテレ朝の放送番組審議会委員長を務める関係から同席していた。菅義偉官房長官も報道各社幹部との会食を頻繁に行っていることはよく知られているが、その実態は不明だ。

 早河会長が、安倍首相や菅官房長官との携帯電話やメールでのやりとりを周囲にうれしそうに話すというのは、局内で語られる蜜月ぶりを示すエピソードだ。

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幻冬舎の見城徹社長
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テレビ朝日の早河洋会長

■見城氏、安倍首相を大絶賛

 早河会長、見城氏の2人と、安倍首相との関係が露骨に番組づくりに結びついたと言われているのは、2017年10月の衆院選(10月10日公示、22日投開票)を2日後に控えた10月8日、インターネットテレビ局「AbemaTV」に安倍首相が単独出演したことだろう。

 見城氏は本来、番組審議会の委員長としてテレビ朝日の番組のお目付役であるはずなのだが、テレ朝が出資し、早河会長が会長を務める「AbemaTV」に自分の名前を冠したトーク番組「徹の部屋」(原則毎月1回、2016年7月〜19年6月・全44回)を持っていて、そこに安倍首相を招いたのである。

「すごく、あれですよ、ハンサムですよ」
「内面がにじみ出ているお顔です」
「本当にね、信義に厚い方、それから私利私欲がない」
「いい人過ぎるんですよ。独裁の感じは全くしないです」

 見城氏は、安倍首相を前にこう大絶賛したのである。余りにあからさますぎて「ほめ殺し」に見えるほどの持ち上げぶりは番組の最後まで続いた。

 国政選挙の直前に特定の政党のトップを単独出演させることは、放送法4条が定める政治的公平の観点から各局とも控えている。放送法対象外とは言え、テレビ朝日が40%出資する「AbemaTV」で、露骨に政府寄りの番組を配信するのは問題だ、という声はテレ朝社内からも多く出た。

 テレ朝との関係は一例だが、安倍政権はこうしてメディアの経営者との関係を深めていく。

■「報ステ」チーフ・プロデューサー退任の経緯

 安倍政権は「安全運転」を1年ほど続けた後、2013年の終わりごろから「暴走運転」に変わっていった。

 安全保障政策関連では、国家安全保障会議設置法(11月成立)、「特定秘密保護法」(12月成立)に続いて、2014年に入ると、「武器輸出三原則」を改めた「防衛装備移転三原則」を4月に閣議決定し、武器輸出に道を開いた。7月には憲法9条の解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行うなどそれまで封印してきた政策を、反対する国民の世論を押し切って次々に実現させた。

 エネルギー政策でも大きな方針転換が図られる。4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で原発を「ベースロード電源」と明記し、原発再稼働の方針を打ち出した。民主党政権が東京電力・福島第一原発事故(2011年3月)を受けて決定した「2030年代に原発稼働ゼロ」という理念は葬られてしまった。

 この年の沖縄では辺野古新基地建設の是非が争点となった名護市長選(1月)、名護市議選(9月)、沖縄県知事選(11月)、衆院選(12月)と四つの選挙で沖縄県民は反対の意思を安倍政権に突き付けた。

 一方、メディアにとっては大きな痛手を負う年となった。朝日新聞が8月、過去の慰安婦報道の一部を誤報と認めて取り消し、当時の木村伊量社長が退任することになった。この出来事は松原氏にも小さくない影響を与えることになる。

 衆院選で自民党が勝利した2014年12月。松原氏は、チーフ・プロデューサーから経済部長への異動を上司から告げられるのである。

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「これは単なる安倍批判じゃないんです。日本人がどういう生き方をしようかということを考えるうえでの一つの材料にして頂きたい、一つの考え方として申し上げた」。古賀茂明氏は「I am not ABE」に込めた意味について番組内でそう語っていた=2015年3月27日(テレビ朝日「報道ステーション」から)

■古賀茂明氏の告発

 松原氏の異動が一般に広く知られることになったのは、報道ステーションでゲスト・コメンテーターの古賀茂明氏が番組中に「(松原氏は)更迭された」と明かしたことがきっかけだったろう。古賀氏が発言したのは、2015年3月27日。最後に出演したときだった。

 「今日が最後ということで、テレビ朝日の早川会長とか古館プロダクション(古館プロジェクト)の佐藤会長のご意向ということで私は今日が最後なんですけど、これまで非常に多くの方から激励を受けまして、一方で菅官房長官はじめ官邸のみなさんにはものすごいバッシングを受けてきました」

 古賀氏は降板になった理由をテレビ朝日が官邸による圧力に屈したためだと告発したのだ。事前に打ち合わせのなかった突然の発言だった。古賀氏の降板については当時、メディアが番組中での告発を受けて大きく報じたので覚えている人は多いだろう。

 2015年1月、後藤健二氏ら日本人2人を拘束したイスラム国は、反イスラム国の勢力に2億ドルの支援を安倍首相が表明したのに対し、同額を身代金として要求した。このニュースに関連して、古賀氏は1月23日、襲撃を受けたパリの新聞社「シャルリー・エブド」への共感を示す「私はシャルリー」というメッセージになぞらえ、「『I am not ABE』というプラカードを掲げて、日本は攻めてこない国に対して攻撃することを考えていない国と、しっかり言っていく必要がある」とコメントした。

 関係者によると、この発言をリアルタイムで見ていた菅官房長官の2人の秘書官が抗議の電話やメールを報道局の関係者に送り、このうち警察庁出身の中村格秘書官からの「古賀は万死に値する」(『週刊現代』2015年4月18日号)とのメールを受け取った報道局ニュースセンター編集長が、古賀氏の発言を問題視して局内は大騒ぎになったという。

 もともと古賀氏は官邸から出演させないよう名指しされていた識者の一人だった。松原氏は「番組として共有し、了解したコメントで問題ない」と反論したと聞くが、この発言で古賀氏の降板の流れが決まったらしい。

 菅長官は「オレだったら放送法に違反してるって、言ってやるところだけどな」と2月24日のオフレコの場で番記者たちに語ったという。どの条文に反していると言いたいのかは不明だが、テレビ朝日幹部にも伝わることを意識した菅長官のいわば“脅し”である。

 古賀氏はこの告発に続いて、松原氏の異動にも触れ「更迭された」と表現したのだった。

 次のようなやりとりをMCの古舘伊知郎氏との間でしている。

   古館氏 マスコミの至らなさ、ふがいなさももちろん認めるところはあ
    りますが、この番組でいえば、数日前に川内原発に関する地震動に対
    する不安の指摘、あるいは3.11には核のゴミがまったく行き場がない
    問題、あと沖縄の辺野古の問題ですね。北部でのアメリカ海兵隊の思
    惑があると、批判すべきところはやらせていただいているんです
   古賀氏 素晴らしいですね。それ、私も昨日ツイートしたんですよ。こ
    んな立派なビデオを作ってますよと。(テレビ朝日の)サイトに行って
    特集のところをクリックしてくださいと。すごく反響もありました。
    で、あれを作っていたプロデューサーが今度更迭されるというのも事
    実です。
   古館氏 更迭ではないと思いますよ。私は人事のことはわかりませんが。
   古賀氏 いや人事のことを……。
   古館氏 人事異動、更迭、やめましょう古賀さん。これ、見てる方よく
    わからなくなってくるんで。
   古賀氏 やめましょう。僕はそんなこと言いたくないので。

 古館氏が、古賀氏に「(政府を)批判すべきところはやらせていただいている」と例示した報ステの特集とは、▽原発の使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)について世界が抱えている問題を検証した(3月11日)▽沖縄北部の高江や辺野古では海兵隊の訓練など基地機能の強化が着々と図られている現状を報告した(3月17日)▽九州電力・川内原発の再稼働問題で原子力規制委員会が合格とした新規制基準の審査では地震動の評価が不十分ではないかと指摘した(3月24日)−−の三つだ。

■ギャラクシー賞の大賞に選ばれた特集

 松原氏の下の報ステでは、安保、沖縄、原発、改憲といった世論を二分するような大きな政策課題を積極的に取り上げてきたことが高く評価された。1年後には「Nステ越え」(18年6カ月)を周囲に公言していた古館氏も目標を達成することなく番組を去ることになるが、直前に放送された、「特集 独ワイマール憲法の“教訓”」(2016年3月18日放送)は、なかでも反響が大きかった特集の一つだ。

 ドイツのワイマール憲法に定めのあった、国家緊急権の悪用がヒトラーを生んだ経緯を、自民党の憲法改正草案にある緊急事態条項と重ねながら検証した内容で、松原氏が経済部への異動後もディレクターとして企画立案、構成などすべてを手がけた。

 この特集は、「ギャラクシー賞」(放送批評懇談会主催)のテレビ部門で大賞に選ばれている。平日帯のニュース番組の大賞受賞は初めてという。松原氏は授賞式で「時代が変容しているなか、このような番組や特集が大賞を受賞したことが嬉しい」と語っていた。

 こうした数々の優れた番組を視聴者に届けてきた松原氏が2015年4月に経済部への異動となった理由は今回の「若返り」ではなく、「番組リニューアル」とされたようだ。

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第2次安倍政権発足後初めての衆院選(2014年12月)を前に、自民党が民放各局に送った「選挙時期における報道の公平中立ならびに構成の確保についてのお願い」の文書(11月20日付)=左=と、テレビ朝日「報道ステーション」の担当プロデューサーに宛てた文書(11月26日付)=右。

■自民党から「担当プロデューサー」宛ての文書

 しかし、古賀氏が「更迭」と表現したように報道ステーションをめぐっては、その伏線ともいえる出来事が、2014年にはいくつも起きているのだ。次にそれらをみていきたい。

 2014年12月の衆院選(2日公示、14日投開票)の争点の一つは、約2年間続いた「アベノミクス」の評価であった。11月21日に衆院が解散されると、報道各社は特集を組んだ。

 報道ステーションでは「衆院選企画」として連日、テーマを絞った特集を放送した。その第1回(11月24日放送)で取り上げたのが、アベノミクスの検証だった。

 これに自民党がかみついた。

 自民党は福井照報道局長名で「貴社の11月24日付『報道ステーション』放送に次のとおり要請いたします」とのタイトルの文書を作成し、自民党を取材する平河クラブの所属記者を通じて「担当プロデューサー」宛ての文書を出した。放送から2日後の26日付。担当プロデューサーとはもちろん松原氏のことである。

 自民党は「アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく、特定の富裕層のライフスタイルを強調して紹介する内容の報道がなされた」と非難し、「公正中立な番組作成に取り組んでいただきますよう、特段の配慮をお願い申し上げます」と番組内容に注文を付けたのだった。

 特集で取り上げられたように、豪華客船「飛鳥U」のスウィートの売れ行きが好調だったり、「富裕層」と「超富裕層」がアベノミクス以前より25%も増えたりするなど、富裕層に恩恵が及んでいるのは間違いない。その一方で、物価上昇によって実質賃金が目減りとなってしまった低所得者層には恩恵が届いていないという現実がまず、あるのである。

 自民党の報道局長が放送法4条の「報道は事実をまげないですること」という規定を知らないわけではあるまい。そもそも、放送法3条は「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と定める。

 お構いなしの番組介入である。

 自民党が11月25日に公表した政権公約のキャッチフレーズは「景気回復、この道しかない」。少しでもアベノミクスについて批判のニュアンスを含んだニュースには目を光らせていたようで、自民党は萩生田光一筆頭副幹事長、福井報道局長の連名で「選挙時期における報道の公平中立ならびに構成の確保についてのお願い」と題した文書を20日にも在京民放キー局の編成局長、報道局長宛てに出したばかりだった。

■TBS「NEWS23」への首相生出演

 この文書を自民党が出した直接のきっかけは、11月18日に安倍首相がTBSの報道番組「NEWS23」に生出演した際に流れた「街の声」に否定的な声が多かったことだった。

 東京・有楽町とJR大阪駅前で聞いた6人(男4人、女2人)のうち5人が否定的な感想で、安倍首相は「これ、おかしいじゃないですか」とその場でTBSの編集を批判し、その後延々と反論したことがあった。街の声が6人合わせて54秒だったのに対して、安倍首相は2分22秒もアベノミクスの成果について2倍を超える時間を使ってたっぷりとしゃべり続けたのだった。

 文書が各局に具体的な対応を求めた4項目の一つに、「街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的な立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと」というのがあった。

 テレビ朝日の内部でもこの文書に反応した人は少なくなかったとある関係者は明かした。安倍首相が衆院を解散した11月21日のニュースで、解散の是非を聞いた街の声からは、否定的な声が当初予定よりも削られたらしい。

 こうして2014年の衆院選では民放各局の多くの番組で街頭インタビューそのものが消えたという。

 一方、安倍首相が衆院の解散権を行使する前とは言え、解散の流れが明らかな政治状況のなかで、TBSは「生出演 安倍首相に問う 総選挙の狙い」と銘打っていた。

 安倍首相や自民党は、番組の批判をする際には、必ずと言っていいほど、政治的公平を定めた放送法4条を持ち出す。特定の政党のトップが選挙直前に約35分間にもわたって出演したのである。萩生田氏らは自分たちに都合が良い場合は、目をつぶるというのでは、ご都合主義の説得力のない要請文だと受け取られかねないと思わなかったのだろうか。

■制作現場の責任者個人を標的

 民放各局に同じ文面で配られた11月20日付の文書と違って、テレビ朝日への26日付の文書は、制作現場にいる責任者個人を標的にした点で悪質だった。これは自民党が放送現場への圧力と萎縮を狙ったと考えるのが自然だ。

 しかもテレ朝では、2件の文書はデスククラスの現場まで下りてきたという。

 これでは自民党の思惑にまんまと乗せられてしまう懸念もあり、ある関係者は「現場からは反論する文書を出すべきだという声も出たと聞きました。慌てた幹部は『これまでと同じように事実関係をしっかり固めて批判するべきところは批判していく、ということでいい』ということにして現場を収めたようです」と明かした。

 これらの自民党の文書については2015年1月の放送番組審議会でも取り上げられた。委員の一人から「情報番組は全体的に少し弱腰だったという印象があった。自民党がテレビ局に公平性を要請する文書を送ったが、萎縮や過剰な反応があってはならない」という意見が出された。

 これに対して局側からは「選挙報道の中では、公示後と同じレベルの公正さを早い段階からきちんと担保していこう、という約束事を報道局全体でしている。今回の選挙に限らず、自民党の文書にも関係なく、常に同じである」との見解が示された。

 しかし、報道ステーションを率いる松原氏が自民党に狙い撃ちされたのは明らかで、自民党が勝利した総選挙が終わり、ほどなくした12月下旬、松原氏は異動の打診を受けるのである。

 古賀氏が指摘するような「更迭」でなく、会社の言うように本当に「番組リニューアル」だったのだろうか。テレビ朝日の見識を信じたいとは思うのだが。

(本稿で取り上げた報道ステーションの特集は、テレビ朝日のサイトではいずれも執筆時点では閲覧できない)=「テレ朝人事の波紋(下)」に続く

https://webronza.asahi.com/national/articles/2019070300004.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/745.html

[政治・選挙・NHK262] 日本国憲法を大切に思う有権者は、けっして維新に投票してはならない。(澤藤統一郎の憲法日記)
 
いよいよ参院選に突入である。日本国憲法の命運にかかわる選挙戦。本日(7月5日)の各紙は、「安倍政権を問う」「改憲3分の2が焦点」「争点は、年金・増税」とほぼ共通している。

驕る平家は久しからず。長すぎるアベ政権の綻びは明らかで、有権者はウンザリのはずなのだが、アベは、「政治の安定」を売り物としての延命策。なんという開き直りよう。なんというふてぶてしさ。なんという図々しさ。

ところで、多くの政党・政派が有権者の支持獲得を競っているが、各政党は一本の物差しの所定の目盛りに位置している。大雑把にいえば、最も右に自民党が、最も左に共産党が位置して、その中間にそれぞれの政党が、あるいは自民寄りに、あるいは共産寄りに、ふさわしい位置を占めている。

本日の朝日が、これを図示している。「朝日と東大谷口研究室」の共同調査による、「候補者 読み説く」という記事。いくつもの指標で、13もの政党の立ち位置を図示しているが、最も目を惹くのは、憲法改正に関する各党の積極度。

常識的には、改憲積極派の最右翼が自民党で、その対極の積極護憲派の位置に共産党がある。その両極の間の自民寄りに公明党、共産党寄りに立憲・国民などがある。この常識は、大きな間違いがない。

ところが、朝日の改憲度物差しの図示には、驚くべきことがある。右翼自民よりも、さらに右に位置する政党がある。なんとそれが維新なのだ。維新こそが自民党を凌ぐ積極改憲派なのである。

念のため、《改憲派⇔護憲派》の位置関係を順に並べてみると、次のとおり。
維新・自民・公明・国民・立憲・れ新・共社 の順となる。

そして、自民と公明の間は、かなり大きく開いている。ここに、紛れもない右翼の「N国」や、何ものかよく分からない「安楽死の会」などの諸派が入る。

なるほど、維新と共産。これは改憲・護憲軸の両極端、水と油なのだ。そういえば、最近維新が共産に絡む事件が目につく。取りようによっては、維新の自民党への媚びであり、すり寄りの手段のようでもあるが、本来この両党は本質的に相性が悪いのだ。

通常国会閉幕直前の本年6月25日、野党4党1会派が、共同で衆院本会議に内閣不信任案を提出した。これに、維新は反対に回り、足立康史が反対討論をした。足立が登壇すると、与党席から拍手が起こったという。

足立の演説は驚くべきものだった。アベ内閣が国民の信任に値するものであるか否かの、メインテーマには直接触れずにこう述べ、その行動の基準が、反共にあることを明言したのだ。

   「念のため申し上げますが、私たち日本維新の会は内閣不信任決議案
   に反対と申し上げたのは、別に自民党や公明党と行動を共にしたいか
   らではなく、共産党と同じ行動を取るのが、死んでもいやだからであ
   ります!」

通常国会閉会後の6月30日、ドワンゴとヤフー共催によるネット党首討論で、維新の松井代表と、共産党の志位委員長との間に、こんなやり取りがあった。
https://www.youtube.com/watch?v=Wdm4c7NCqlc

   司会:松井さん、お願いします

   松井:今、消費増税のお話がありました。これはもう、他の政党の皆
   さん、そうなんですが、2011年復興増税の折には増税の負担を国
   民の皆さんにお願いする限り国会議員が、すべての国会議員で身を切
   る改革をやろうと。ということで、いっとき2割カットがスタートし
   たのに、今は元に戻ってしまっております。
    まず国民の皆さんに負担をお願いするのなら、自分たちが自分たち
   の身分を見直すべきだと思いますが、志位さん、どうでしょうか。

   志位:あの、私たちは消費税を国民に押し付ける代わりに自分たちの
   身を切るというのは、これは理屈が違うと思います。身を切れば増税
   を押し付けていいんでしょうか? そんなことにはならない。ただ、
   私たちはたとえば、政党助成金、317億円。これ、各党が取っている
   わけですが、松井さんのところもたくさん貰っていると思います。

   松井:いや…、活動経費に…(聞き取れず)

   志位:これ全部返上したらいかがですか? 私たちは廃止を求めて
   おりますし、私たちは受け取っておりません。まず身を切ると言うん
   だったら、まずそこから取り組んだらいかがですか?

   松井:いや、それは…


7月3日、日本記者クラブ主催「党首討論会」でもこんな場面があった。
https://www.youtube.com/watch?v=DQgu5yni7rI

   松井:前の総選挙のときの党首討論で、国会議員が領収書なしでもら
   えている文書通信交通滞在費は見直すべきだ、せめて領収書公開しよ
   うと提案したとの話があり、「その折、志位さんはやるといったが、あ
   れからもう2年が経過している。今のところ、知らぬ存ぜぬで、これ
   はまったく実行されていない。志位さんの公約というのはそういう軽
   いもんなんでしょうか」

   志位:共産党ウオッチャーで有名な松井さんがご存じないというのは
   驚きましたが、私たちはホームページで、文通費の使途をすでに公開
   しております。公表した通り、文通費の趣旨を踏まえて活用し、人件
   費と選挙には使っておりません。会計処理はすべて、領収書と伝票に
   基づいて行い、領収書と伝票を保管しており、ルールができればいつ
   でも提出する用意はあります。

    …領収書、私、維新の会についてちょっと調べてみたんですが、こ
   こに持ってきた杉本和巳議員の使途報告書は、100万円の文通費の
   全額を杉本議員自身が支部長を務める政党支部に入れており、領収書
   はこの2枚付いておりますが、領収書を発行したのも杉本議員、領収
   書を受け取ったのも杉本議員、何に使われたのかはまったくのブラッ
   クボックスです。この使途が何かが大事なのであって、使途を公表し
   て初めて公表したといえるのではないでしょうか。

    この問題についてもう一言申し上げますと、先ほど「身を切る改革」
   ということ議論になりましたが、そんなに身を切るのがお好きなら、
   政党助成金を返上したらいかがと、私は思います。

こういうのを、みごとな「切り返し」「返り討ち」というのだろう。あるいは、「効果的逆襲」「ブーメラン効果」「ツケが回る」「形なし」「ぐうの音も出ない」「身から出た錆」…。維新には党首の発言にファクトチェックの助言をする態勢がないのだろうか。いずれにせよ、憲法を大切に思う有権者は、けっして維新に投票してはならない。
(2019年7月5日)

http://article9.jp/wordpress/?p=12920
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/747.html

[政治・選挙・NHK262] ナショナリズム 日本とは何か/沖縄と「祖国」@  「日本人民と結合せよ」 沖縄から叫んだ不屈の人 (朝日新聞社 論座)
ナショナリズム 日本とは何か
【11】沖縄と「祖国」@
「日本人民と結合せよ」 沖縄から叫んだ不屈の人

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)
論座 2019年06月27日 より無料公開部分を転載。

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沖縄の祖国復帰運動で演説する瀬長亀次郎の展示=那覇市若狭2丁目の瀬長の資料館「不屈館」。藤田直央撮影
 
 6月23日、曇天からの小雨。沖縄は戦後74年目の慰霊の日を迎えた。日米間で最大の地上戦となった沖縄戦で1945年のこの日、米軍の猛攻のなか旧日本軍の現地司令官が自決した。

 死者は日本側約18万8千人、米側約1万2千人。沖縄本島の南へ南へと逃れる民間人も巻き込み、最後の激戦地となったのが糸満市、摩文仁の丘だ。いまそこに広がる県平和祈念公園では、今年もそれら全ての戦没者を悼む式典があり、黒いかりゆしなどを着た人たちが手を合わせ、花を手向けた。

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沖縄全戦没者追悼式を終え、手を合わせる人たち=6月23日午後1時、沖縄県糸満市。朝日新聞社

 欧米列強が迫る中で極東の島々が築いた近代国家・日本は、明治という時代を画し、「国体」としての天皇による統治に服する「臣民」をつくろうとした。大正から昭和へ入り、大国とのせめぎ合いで運命共同体としての「国民」意識が高まる中で、日本はアジアと太平洋へ支配を広げた。1941年の真珠湾攻撃でついに米国との戦争に入る。

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太平洋戦争時の日本の最大勢力範囲=朝日新聞社

 1945年の敗戦で、アジアと太平洋での日本支配は一気に縮んだ。その時、沖縄までが切り離された。

 沖縄戦で上陸した米軍の支配は72年の日本復帰まで続いた。日本が米国などと講和し52年に主権を回復してから、さらに20年かかったのだ。

 近代国家・日本で「国民」がひとまとまりになろうとする意識、つまりナショナリズムは、敗戦後も保たれた。国民を天皇の「臣民」とした明治憲法を改正する形をとった日本国憲法は、「主権が国民に存することを宣言」する一方で、天皇を「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と位置づけた。

 国家と「国民」をめぐるそんな意識が対流する戦後の日本という水槽を、沖縄という光源は、切り離されてからも、復帰してからも、真横から照らし続ける。そちら側から見つめると、沖縄を除く本土でイメージされる自画像とは異なる日本の姿が、鮮明に浮かびあがる。

■沖縄から見つめ直す日本

 そして今も、沖縄が復帰したかった日本と現実の溝は深い。日本のナショナリズムを考えるために、沖縄へ足を運んで日本を見つめ直すことは欠かせなかった。
 瀬長亀次郎(1907~2001)。米軍支配からの「民族の解放」を唱えて祖国復帰運動を率いた、沖縄で最も知られる政治家だ。今も親しみを込めて呼ばれる「カメジロー」を知る人々を訪ね、ゆかりの地を歩いた。2月下旬、ちょうど米軍普天間飛行場の県内移設をめぐる県民投票があった頃だ。

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復帰前の沖縄の立法機関だった立法院の議員選挙に立候補した瀬長亀次郎。米軍統治下で弾圧を受けながら、1950~60年代に立法院議員や那覇市長を務めた=那覇市にある瀬長の資料館「不屈館」提供

 那覇市街とその先の東シナ海を一望できる、首里城公園の高台へ。中国語や韓国語も飛び交う観光客でにぎわっていた。明治維新で琉球王国がついえて沖縄県ができた後も城は残ったが、1945年の沖縄戦で一度焼失し、日本復帰20周年の92年に国営公園として復元されている。

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米軍統治下の1952年、沖縄戦で焼失した首里城跡地での「琉球政府」創立式典で、起立せずに米政府への宣誓を拒んだ瀬長=「不屈館」提供

 不屈の人、瀬長の1952年の首里城跡地でのエピソードは有名だ。米軍統治下での「琉球政府」創立式典に公選の立法院議員の一人として臨んだが、米政府への宣誓の際に起立せず拒否した。
 首里城から東へ下ると、モノレールのそばに市立首里中学校がある。日曜のグラウンドに野球少年らの練習の声が響く。1950年9月13日、このグラウンドは瀬長の演説で沸いていた。

 沖縄初の知事公選の候補者演説会。詰めかけた聴衆に、瀬長は壇上から訴えた。

■「ワシントンを動かせる」

 「瀬長ひとりが叫んだなら、50メートル先まで聞こえる。
 ここに集まった人たちが声をそろえて叫べば、全那覇市民まで聞こえる。
 沖縄の70万人民が声をそろえて叫んだならば、太平洋の荒波を越えてワシントン政府を動かすことができる」

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1950年に瀬長が「沖縄の人民が声をそろえて叫べばワシントンを動かせる」と演説した首里中学校のグラウンド=2月下旬、那覇市首里汀良町2丁目。藤田撮影

 瀬長が唱えたのは日本復帰だった。当時は本土ですらまだ連合国軍総司令部(GHQ)、つまり事実上米国の占領下にあったが、その現実は沖縄で最も生々しかった。県民の4人に1人が亡くなった戦闘で米軍に制圧されてから、まだ5年だった。

 「アメリカにそんなことを言えるのは瀬長さんだけでした。指笛と拍手が止まなくてね」と、仲松庸全さん(91)は振り返る。その演説会で、首里地区の青年会役員として司会をしていた。

 当時の世論調査を、瀬長が51年6月の論文「日本人民と結合せよ」で紹介している。

 それによると、沖縄の青年会員約1万人の回答のうち「日本復帰」が84%で、「独立」などを圧倒。瀬長は「沖縄の人民の力が日本人民の力と切断されたままではなしに、力と力が結合するとき民族解放の威力は発揮されるのだ」と述べ、「即時日本復帰!」と結んだ。

 沖縄戦の後も土地を奪い、基地を造り続ける米軍。力による「異民族支配」への人々の反発が、瀬長の背を押していた。

 ただ、仲松さんには日本復帰熱の高さに戸惑いもあった。その沖縄戦の記憶だ。

■平和憲法にかけた思い

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沖縄戦体験を語る仲松庸全さん。米軍統治下で立法院議員を務めた=2月下旬、沖縄県糸満市大度の自宅 。藤田撮影

 旧制中学を卒業する17歳で、激戦地となった摩文仁の丘をさまよった。「今の平和な日本では考えられないことでしょうが」と、そこからほど近い糸満市の自宅で話してくれた。

 「雨のような砲弾の中を、首里から何日もかかって摩文仁へ歩きました。 ・・・ログインして読む
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https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019041300002.html
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[政治・選挙・NHK262] ナショナリズム 日本とは何か/沖縄と「祖国」A  沖縄復帰と相克 戦後に現れた「国体」日米安保 (朝日新聞社 論座)
ナショナリズム 日本とは何か
【12】沖縄と「祖国」A
沖縄復帰と相克 戦後に現れた「国体」日米安保

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)
論座 2019年07月04日 より無料公開部分を転載。

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那覇市にある瀬長亀次郎の資料館「不屈館」で自宅書斎を再現した展示。写真は米軍統治下で那覇市長の職から追放された後の50代ごろとみられる=2月下旬。藤田直央撮影

 政界が夏の参院選へ慌ただしさを増した6月下旬、東京・渋谷のとあるビルの地下で映画の試写会があった。8月公開の「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー 不屈の生涯」。米軍基地からの「民族の解放」を唱え続けた沖縄の政治家・瀬長亀次郎(1907〜2001)の生き様を追う、佐古忠彦監督の二作目だ。

 佐古さんとは10年ほど前、政治記者として永田町の取材現場で重なっていた。その頃から、いや、そもそも米軍統治下の沖縄で瀬長が祖国復帰を叫んでいた頃から、沖縄の人々の苦悩は変わっていない。そんな思いを佐古さんと共有するような映画だった。

■茨の道となった瀬長の祖国復帰運動

 日本は敗戦から7年の1952年、沖縄を切り離して主権を回復した。米ソ両陣営による冷戦下での米側との「片面講和」によるものだった。米軍が「太平洋の要石」として統治を続ける沖縄にも、日米安保条約を結んだ日本にも、米軍基地は残った。

 瀬長が率いる祖国復帰運動は茨の道となった。瀬長は沖縄戦の悲劇を繰り返すまいと、「全面講和の早期締結」によって戦争と基地のない日本に戻ろうと唱えていたからだ。

 瀬長を「敵」、つまり共産主義者とみる米軍の弾圧が追い打ちをかけた。それでも屈せずに瀬長が目指した「祖国復帰」と「民族の解放」とは、一体何だったのか。

 私は2月下旬に沖縄を訪れ、那覇市内の瀬長ゆかりの地を内村千尋さん(74)と巡った。瀬長がこまめにつけた日記に出てくる次女の「ちーちゃん」は、父亡き後もその人生を見つめ続けている。自宅に残る山積みの資料を整理し、沖縄の戦後を語る講演やガイドをし、今は市内にある瀬長の資料館で館長を務める。

■瀬長の次女・内村さんと歩く

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2011年8月、父の瀬長の資料が山積みの部屋でスクラップ帳を見る次女の内村千尋さん=那覇市の内村さん宅。藤田撮影

 米軍統治の頃、瀬長の自宅の雑貨店「瀬長商店」は那覇市楚辺にあり、すぐ隣が沖縄刑務所だった。1956年4月、出獄の扉から瀬長が現れ、待っていた群衆の歓声に右手を挙げて応えた。

 沖縄人民党に対する米軍の弾圧で書記長の瀬長は1年半も収監されていた。その間も、米軍基地建設のための土地収奪や、米兵が幼児を殺める「由美子ちゃん事件」といった凄惨な暴力が野放しだった。

 今は那覇地方検察庁や公園になっているその辺りを歩きながら、内村さんは父・瀬長への思いを、「家をほっぽらかして……と、中学生までは両親への反抗もありました」と振り返った。

 出獄した瀬長はさっそく那覇市長に当選したが、翌年に米軍の圧力で追放されるという激動が続く。60年に沖縄県祖国復帰協議会が結成されてさらに多忙となり、瀬長の活動を支える妻フミも奔走した。

 内村さんは瀬長が収監された9歳の頃から、ひとりでよく雑貨店の番をした。授業参観や運動会に、両親が来てくれた思い出はない。

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1956年4月、沖縄刑務所を出る瀬長=内村千尋さん提供

■父の思いに気づいたある「事件」

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1964年、瀬長商店の軒先に立つ瀬長。雑貨や駄菓子を売り、遠くから買いに来るシンパもいたという=那覇市楚辺。朝日新聞社

 そんな「ちーちゃん」が父の思いを受け止め、演説会場へ足を運ぶようになったきっかけは、自身が米軍による人権侵害を目の当たりにしたことだった。

 1963年2月28日、那覇市のいまの国道58号泉崎交差点で起きた「国場君事件」。市立上山中学校1年の国場秀夫君が米軍のトラックにひかれて亡くなった。信号無視をした運転手の米兵は「夕日がまぶしく信号が見えなかった」と供述し、米軍の軍法会議で無罪になった。

 当時高校生だった内村さんは、上山中学校の卒業生だった。この泉崎交差点を私と一緒に訪れ、行き交う車のそばで話した。

 「通学路で後輩にこんなことが起きるなんて、やっぱり沖縄はおかしい。それで両親はこんな活動をしてるんだ、と理解できました」

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那覇市の国道58号泉崎交差点で、56年前の「国場君事件」を振り返る内村さん。手元の写真は当時の現場の様子で、沖縄の戦後についてガイドをする際に使う=2月下旬。藤田撮影

 那覇港そばの那覇市若狭にある瀬長の資料館「不屈館」へ行く。「亀次郎先生の生き様は、私も心から尊敬しておりました」という祝電が貼られている。

 6年前の開館時に、翁長雄志が寄せたものだ。那覇市長としては瀬長の後輩で、知事1期目の昨年、米軍基地問題の解決を日米両政府に迫りながら急逝した。

 遺品などが所狭しと並ぶ館内の一角で、1960年代後半の瀬長の日記を内村さんに見せてもらった。

■興味をひかれた1967年10月の日記

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瀬長の1967年9〜11月の日記。この期間だけで4冊あり、表紙上に96〜99と通し番号が書かれている=那覇市にある瀬長の資料館「不屈館」で。藤田撮影

 瀬長が大量に残した日記の中で、なぜ1960年代後半か。本土でその頃、首相の佐藤栄作が「民族の悲願」として沖縄返還を唱え、米国との間で焦点となった米軍基地の扱いをめぐる交渉がヤマ場を迎えていたからだ。

 「基地のない日本」を唱えてきた瀬長が、当時どういうスタンスをとっていたのか、自分の目で確かめておきたかった。

 B5ノートに万年筆で書かれた文字が走る。興味をひかれたのは、67年10月に沖縄人民党の委員長となっていた瀬長が、パスポートを持って11年ぶりに東京を訪れた際、本土メディアの取材を受けたというあたりの日記の記述だ。概要はこうだ。

 「記者は盛んに本土基地容認論を引き出そうとする。本土なみに基地を縮小し憲法が適用され施政権を返還するといっても反対するか。反対する。我々は日本人民の立場で考えている。基地つき返還論は支配者アメリカの立場から論じている。全土を核基地化し、アメリカの核の傘の下にいちだんと深くひきずりこもうとしている。即時無条件全面返還を勝ち取るよう、大国民運動を盛り上げる道を確保する」

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1967年11月、名古屋のホテルで本土メディアの取材を受ける瀬長。米軍統治下の沖縄から11年ぶりに本土渡航が認められ、北海道から鹿児島まで講演して沖縄の祖国復帰を訴えた=朝日新聞社

 米国は朝鮮半島や台湾での有事を念頭に、沖縄の米軍基地の自由使用継続を望んだ。佐藤は「核抜き、本土なみ」を探った。

 結局、沖縄は日本に復帰した後、「本土なみ」になるが、それは沖縄の米軍基地から核兵器を撤去する一方で、沖縄を日米安保条約と日米地位協定の下に置いた上でのことだった。つまり米軍基地はそのまま、というのが「核抜き、本土なみ」の中身だった。

 72年の沖縄返還は、その線で行われた。しかも佐藤は、有事には沖縄への核兵器の再持ち込みを米国に認めるという密約を、大統領のニクソンと交わしていた。

■日米の妥協を見透かす?

 先の瀬長の日記には、そんな日米の妥協を見透かすように、警戒感があらわだ。「本土なみ」に沖縄の米軍基地が縮小されれば日本復帰に応じるのか、と楽観的に問う本土メディアの記者に対し、瀬長は対極ともいえる悲観的な立場から、「基地つき返還論」は核兵器が置かれる米軍基地を沖縄から本土へ広げることになるから反対だと答えている。

 沖縄が日本に復帰しても米軍基地はほとんど減らなかったが、そこに核兵器はもうないということにはなった。後知恵として言えば、瀬長の悲観論の正しさは6割ほどだったろうか。いや、日本政府は有事の場合の米軍の核持ち込みを、沖縄に限らず日本全体について今も否定しておらず、8割ぐらいかもしれない。

 ともあれ、瀬長は「民族の解放」をかけた祖国復帰運動で、沖縄だけでなく日本の米軍基地をなくそうという立場を貫いた。そして、そうした沖縄の声とかけ離れた形にも関わらず、時の首相は「民族的悲願」として沖縄返還に踏み切った。

■溝を生んだ新たな「国体」の存在

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1969年11月21日の朝日新聞夕刊1面。佐藤首相とニクソン大統領の日米首脳会談で、沖縄返還へ向け米軍基地維持で合意したことを伝えている

 瀬長の立場と首相の決断の溝を生んだのは、戦後日本で新憲法が戦争放棄を掲げた後に、米ソ両陣営による冷戦下で生まれた新たな「国体」の存在だった。 ・・・ログインして読む
(残り:約801文字/本文:約3864文字)

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019041400004.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/749.html

[政治・選挙・NHK262] 有権者惑わせるフェイク情報 発信元を記者が訪ねると…(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月6日05時00分
荒ちひろ、佐藤恵子、編集委員・須藤龍也

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190705003240_comm.jpg
昨年の沖縄知事選で現れたサイトは、玉城デニー知事らを中傷するニセ情報がちりばめられていた。陣営側が対応しようにも発信元がわからなかった

 参院選で、ネット上に流れる「フェイクニュース」を検証しようという取り組みが始まった。ウソの情報で有権者の心を揺さぶり、投票に影響を与えようとする動きは海外で顕著だ。日本も例外ではない。

 「あなたの決断が未来になる!」「これが真実!沖縄の基地問題」。昨年8月。沖縄県知事選の告示を3週間後に控えたころ、二つのサイトが突然現れた。

 掲載された二十数本のほとんどの動画は、候補者だった玉城デニー知事らを中傷する内容だった。他人の土地と邸宅をドローンで撮影し、「リゾートホテルのような超豪華別荘」「1億円を超える費用を全額キャッシュで支払った」などとニセ情報をちりばめていた。玉城陣営でネット対策を担当していた平良暁志さん(45)は、プロが作り込んだような動画に驚いた。

 陣営では十数人のチームを組み、SNSやネット上のデマ情報、フェイクニュース対策にあたっていた。それでも、一度広がったニセ情報を打ち消すのは簡単ではなかったという。

 サイトは知事選告示の前日に閉鎖された。発信者はいったい誰なのか。

 二つのサイトのアドレスを管理する非営利団体の情報を閲覧して、登録した人物の名前、住所などがわかった。

 書かれている住所を訪ねた。東……こちらは有料会員限定記事です。残り:1375文字/全文:1878文字

http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/757.html

[政治・選挙・NHK262] 私がNHKを辞めたワケ(ちきゅう座)
2019年 7月 6日
<小原 紘:個人新聞「韓国通信」発行人>

韓国通信NO606

 昨年8月、30年以上のキャリアを持つNHKのベテラン放送記者が退職した。相澤冬樹氏(56)である。彼の活動をよく知る人たちから退職を惜しむ声があがった。
 退職後に発表した著書『安倍官邸VS NHK』を読み、「解雇」ではないが、NHKによって実質退職に追い込まれた記者の無念を知った。
 
 彼は森友学園事件とNHK大阪支局司法担当キャップ時代から関わった。国有地が8億円以上も値引きされ、タダ同然に森友学園に売却された事件。名誉校長の昭恵首相夫人の疑惑をいち早く報道し、他社の報道記者とともに、真相解明にしのぎをけずった。
 この本を読むまで、NHKが独自調査をして、スクープ報道を追っているとは知らなかった。新聞報道の後追い、警察発表をそのまま報道するのが私のNHKニュースのイメージだった。
 国有財産が政治の力で不正に売却されたなら、明らかな犯罪。彼はそれを立証するために奮闘し、巨悪は「官邸」と「大阪府」と確信するに至った。しかし彼の取材に立ちはだかったのは、官邸を忖度する官僚たちと検察だった。籠池理事長への独自取材と自殺した近畿財務局の職員家族への取材は本書の読ませどころだ。

 権力の壁に挑む姿に久しぶりの「ジャーナリスト魂」を見た思いもするが、特筆すべきは真相解明の足を引っ張ったのはNHKの上層部だったという事実だ。彼の記事は書き替えられ、握りつぶされた。報道局長からの横やり、挙句は取材を断念させるために人事異動の脅しまで受ける。果たして結果はその通りになった。有能な部下、同僚、上司の姿も垣間見えるが、詰まるところ、官邸に対する「忖度」が相澤記者を退職に追い込んだ。取材記者としての生命が断たれた。

<これが公共放送か>

 著書を読み終わって、意外性はなかった。NHKが政権の「侍女」になって久しい。「ウソ」「偏向」「隠蔽」報道の例に枚挙のいとまがない。「国営放送」、「アベチャンネル」という非難が巷に溢れるなかで、あらためてそれが実証されたことになる。経験にもとづく勇気ある内部告発だが、NHKの腐敗はこれに始まったことではない。
 2001年1月に放送された「ETV2001」の番組改変事件を記憶する人は多い。従軍慰安婦の存在を認めない中川昭一議員、安倍晋三官房副長官(当時)がNHK上層部に談じ込み、放送内容を変えさせた事件。言論の自由に対する明らかな侵害は、番組を担当した長井暁、永田浩三氏らの証言で明らかになった。しかし事件は誰も責任を取ることなく、証言した二人が社外に去るという結末に終わった。私は長井暁さんが記者会見の席で見せた涙を今でも忘れられない。保身に走らず、NHKと自分の尊厳を守った非力だが誠実そうな姿に感動した。
 あの事件以来、NHKは権力者の「薬籠中 (やくろうちゅう)のもの」になった。

 今日のNHKの無残な姿は2014年にNHK会長に就任した籾井勝人氏の「言いたい放題」からも見て取れる。籾井の就任は日銀総裁、内閣法制局長官人事と同じ露骨な「安倍人事」だった。
 政府が「右」と言っているのに「左」と言うわけにはいかない発言に代表される政府の「下請け機関宣言」は公共放送NHKを葬り去った。従軍慰安婦問題は「日韓条約で解決ずみ」と政府見解と口を合わせ、国家機密法は「通ったものは仕方ない。あまりカッカする必要はない」と、官房長官さえ口に出来ない政府の本音を語った。このような会長をトップに据えたNHKは公正中立とは無縁な存在となった。だから相澤氏が官邸への忖度を指摘しても今さら驚かなかった。
 「ETV問題」にしても、「籾井発言」にしても、NHKは組織としての反省はしていない。壊された公共放送の体質は現在も温存されたままだ。

<韓国の放送民主化運動から学ぶ>

 韓国のドキュメンタリー映画 『共犯者たち』(2017)を思いだす。監督はMBC放送を解雇された崔 承浩(チェ・スンホ)氏。2008年に大統領に就任した李明博が真っ先に手がけたのは社会的影響力の強いKBSとMBCのテレビ局を政権の手中に収めることだった。大統領の息のかかった社長に交代、露骨な報道への干渉を強めた。社員たちは直ちに反撃を開始。両テレビ局の社員たちは放送の「公平」「中立」を求めて10年間にわたって闘った。解雇・懲戒者は300人を超えた。その激しさと厳しさが理解されよう。
 「主犯」は李明博元大統領と朴槿恵前大統領。「共犯者たち」は両大統領の手足となってテレビを権力に売り飛ばした経営者たちだ。政権に忖度して事実を伝えない公共放送に対する人々の怒りがローソクデモの中で爆発した。大統領と共に共犯者たちも崩壊、追放された。

http://chikyuza.net/wp-content/uploads/2019/07/20190704144618213.jpg
<写真/公正放送を求めて立ち上がったKBS社員>

 韓国のローソクデモを過小評価したがる人たちは言うかもしれない。韓国の大統領も大統領なら、国民も国民だと、韓国政治の未熟さと国民の「過激」さを笑う。
 韓国の後進性を語るなら、放送内容に安倍、中川らが「イチャモン」を付けて改ざんさせたこと、政府が右と言えば右と云って憚らない首相差し回しの会長、森友学園のスクープに怒り、報復人事を行なったNHKは、「韓国ほどではない」とでも言うのだろうか。

 言論の自由を守るために韓国では労働組合が組織を挙げて市民とともに闘った。かつて、NHKの労働組合「日放労」は社会的存在感のある「たたかう」組合だった。今ではNHKに労働組合があることを知らない人も多い。政府の走狗となった経営への批判はおろか、ジャーナリストとして苦悩する社員を守ろうともしない労使協調の企業内組合。その組合が先進的で、報道の「中立」「公正」を求めてストライキをした韓国のKBSとMBCの組合が後進的で、過激とは考えられない。政権にハイジャックされたNHKに怒らない日本人が「立派」とは思えない。

 ドキュメンタリー「共犯者たち」を見たNHKの職員も多いはず。政府に頭があがらない情けないNHKをどう考えるのか彼らに聞いてみたい。韓国の放送労働者たちは「共犯者」たちを追いだしたが、NHKの「共犯者」たちは長期政権とともに栄光の座に居すわり続けている。それを容認するなら職員も共犯者ではないのか。
 受信料支払いは国民の義務と言わんばかりの最高裁判決にあぐらをかいて、NHKはますます傲慢になっていくように見える。放送受信料をただ黙々と払い続けるなら、私たちも共犯者に違いない。公共放送を私物化するNHKに損害賠償を求めたいくらいだ。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8786:190706〕

http://chikyuza.net/archives/95063
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/758.html

[政治・選挙・NHK262] 「日本、独裁政権のよう」ニューヨーク・タイムズが批判(朝日新聞)
報道の自由はいま
記者襲撃、やまぬ世界

「日本、独裁政権のよう」ニューヨーク・タイムズが批判

朝日新聞デジタル 2019年7月6日16時50分

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190706002164_commL.jpg
首相官邸で記者会見に臨む菅義偉官房長官=岩下毅撮影

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は5日、菅義偉官房長官が記者会見で東京新聞記者の質問に対する回答を拒むといったメディア対応を指摘したうえで、「日本は憲法で報道の自由が記された現代国家だ。それでも日本政府はときに独裁国家をほうふつとさせる振る舞いをしている」と批判した。

 同紙は、菅氏が会見で東京新聞記者の質問に「あなたに答える必要はありません」と述べたことなどのエピソードを紹介。菅氏ら日本政府に対するマスコミ関係者らの抗議集会が3月に開かれ、参加した600人が「Fight for truth(真実のためにたたかえ)」と訴えたことも伝えた。

 一方で、同紙は日本政府の記者会見をめぐる振る舞いの背景には「記者クラブ」の存在があると指摘。「記者らはクラブから締め出されたり、情報にアクセスする特権を失ったりすることを恐れ、当局者と対立することを避けがちになる」との見方を示した。

 日本政府のメディア対応をめぐり、海外の視線は厳しくなっている。言論と表現の自由に関する国連の特別報告者デービッド・ケイ氏は6月、日本メディアは政府当局者の圧力にさらされ、独立性に懸念が残るとの報告書をまとめている。(ワシントン=園田耕司)
 
https://www.asahi.com/articles/ASM7644NNM76UHBI00V.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/778.html

[政治・選挙・NHK262] 大手メディアが黙殺する“れいわ新選組” 彼らが語った出馬への思い(長周新聞)
長周新聞 2019年7月6日

 参議院選が告示を迎え、いつになく静けさが覆うなかで選挙戦が始まった。政治不信がかつてなく高まっているもとで、与野党ともに既存政党の足腰が弱まり、この幾度かの国政選挙では全有権者からの支持率17%の自民党が公明党・創価学会の協力によってかつがつ25%前後の得票を得て国会の3分の2以上を占める選挙が続いてきた。
 
 安倍政府の再登板から6年が経過し、安保法制、消費税増税、TPP、日米FTA交渉、原発再稼働、医療福祉、年金、貧困や失業、議会制民主主義や統治の崩壊、お友だちへの便宜を図る私物化政治など争点は多岐にわたるが、国民から遊離して壊死した政治構造をどう転換するか、あの国会のぬるま湯状態に激震を走らせるかが問われている。
 
 このなかで、国会において一人気を吐いて注目されてきた山本太郎が、国会でガチンコのケンカをするのだと訴えて“れいわ新選組”なるグループを立ち上げ、3億円近い寄付を集めて10人の候補者を擁立したことが注目を集めている。大手メディアが黙殺するなか、街頭から発信を強めている彼らはなにを主張しているのか、立候補にあたっての9人の発言をそれぞれ見てみた。
 
  
◇今やらなければ誰がやるのか  はすいけ透氏
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 山本太郎さんとはずいぶん前からおつきあいがあり、3・11のあとにテレビの某番組でご一緒したのが最初だ。今芸能人が政治のことを口にするのはタブーだとよくいわれているが、山本太郎さんはそんなことをものともせず、みずから国政に打って出て、風穴を開けた。当時から原発反対ということでは共感し、リスペクト(尊敬)していた。当時は反原発の騎士という形で政治をやっておられたが、この6年間いろいろな施策を展開しておられ、国民のみなさん一人一人の目線から、みなさんのために政治をやっている。このままでは国が壊れるのではなく、人が壊れてしまう。そういう危機感は私も非常に共感するところだ。

 私は新潟県柏崎の方に引っ込んでいたが、突然山本太郎さんが尋ねてきて、何とか力を貸して下さいということをおっしゃった。私が太郎さんのグループに加わったならばマイナスが生じるかも、そちらの方がむしろ大きいのではないかと申し上げたが、非常に光栄な言葉をいただき、一念発起して山本太郎さんを応援していくということに決めた。

 田舎に住んでいると、地方創生など何だというほど本当に疲弊している。地方はどこもそうだと思うが、惨憺たる状況にある。私の実家は柏崎刈羽原発から3`bのところにあるが、地域の人たちが非常に分断されている。分断ならまだいいが、差別さえ生まれているような状況がある。原発ごときで差別が起こるということはあり得ない話であり、地域の住民のみなさんは非常に内向的になっていて、あまり元気がない。私が一番驚いたのは、原発の是非について表立って話をするのはタブーですよね、と聞くと、いやマナーだよといわれたことだ。その言葉にショックを受け、このままではいけないという気持ちを強くした。

 東京一極集中といわれているなかで、新潟県でも非常に人口が流出している。県内の大学を卒業した人たちが東京にどんどん出て行き、県内の就職率も非常に下がっている。かつ県内においても県庁所在地に人口が一極集中しているところがあり、「このままだと地方都市にはコンビニとラーメン屋とドラッグストアしか残らないのではないか」と、多くの人が半ば自虐的におっしゃっている。それに非常にショックを受けた次第だ。これは何とかしなければならないと思った。

 私たちの世代は「1億総中流」といわれていたが、山本太郎さんがいつもいっている格差の問題、貧困の問題がある。「1億総中流」といっていたのがなぜそのようになったのか、上級国民という言葉まで出ているような状態にあり、こんなことでいいのかという疑問がふつふつと湧いてきた。原発政策一つをとってもすべての政策がその場しのぎの棚上げ・先送りで、このままいったら本当にこの国が壊れる。この国に住んでいる人たちが壊れる。これからの人たちが本当に生きていけるのかという不安が私におしかかってくる。

 今、政治を目指すためには非常に高いハードルがある。比例区で600万円、選挙区で300万円という高額なお金を必要とする。本当に政治を志す人がなれない。そこを打破しなければいけない。このままだとあまりにもハードルが高いために、既得権者だけが選挙に出る、そしてとにかく選挙に出たからには勝つことに先念する。「それが本当の政治なのか」ということで、今れいわ新選組が頑張っている。みなさんの力で、みなさんの寄付金でハードルを下げる方向に進めていくという政策にも私は賛同している。太郎さん一人で今までずっと頑張ってこられて、一人にしておいてはいけないという思いが非常に強い。

 1人や2人、あるいは10人で何ができるのかという方がたくさんおられるかもしれないが、今やらなければ誰がやるのかという気持ちも非常に強く感じるところだ。今はインディーズでも、いろんな方方が政治に関心を持って下さり、投票率50%台という数字を80%くらいにできるようであれば、このインディーズがブレイクする可能性は十分にあると私は考えている。今回でブレイクという形になって、山本太郎さんとわれわれの手で政策うんぬんということができるかどうかはわからないが、少なくともスタートにはなる。そこに意義があると考えている。

 私も年齢からいうと安倍首相と同じ学年で、太郎さんから見れば父親みたいな年代だが、この65年間いろいろな人にお世話になり、いろいろな方に助けていただき、いろいろな人に迷惑もおかけして、少しでもそういう方方、そしてすべての国民のみなさんに恩返しできればと考えている。

【肩書き】
元・東京電力社員
元・北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長
生年月日1955年1月3日
東京電力で32年間原子力関連業務に従事した経験から、原発現場の実態を伝えるとともに、福島第一原発事故を当事者目線で分析、考察。原子力の廃止を訴える。
 
  
◇子どもを守ることを政治の判断のすべての基礎に  やすとみ歩氏
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 現代社会というのは、「豪華な地獄」のような社会だと思っている。とても見た目はすばらしいが、中にいると息が詰まって苦しくてたまらないという社会。真綿で首を絞めてくるが、その真綿は上等−−というような世の中だ。そこを変えなければ私たちは決して幸せになれないし、日本社会はやがて崩壊に向かっていくのではないかと非常に強く危惧している。

 私の元来の専門は満州国の経済史研究だ。当時から、エリートを中心としたインテリゲンチャが、真剣にまじめに物ごとにとりくんでいる人人を地獄に連れて行くというビジョンを抱くようになり、私はそれをどうやって解消していくかを考えてきた。

 普通の選挙は、政策を訴えることが建前になっている。だが、私は政策をどうこうしてなんとかなる段階ではなく、政治の原則を変えなければならないと思っている。

 政治の原則とはなにか。私は、私たちが住んでいるこの豪華な地獄は、国民国家という名のシステムであり、それはイギリスで形成された資本制的生産システムと、フランスで形成された市民による国民軍という二つが融合してできあがったものだと見立てている。これが通用しなくなりはじめたのが第一次世界大戦の時であるが、もうそこから100年が経っている。だが、それがまだ私たちの社会の根幹になっているというところに問題の本質がある。それがインターネットや高齢化、アジアの台頭というような大きな波によって崩壊の危機に瀕している。それが私たちが暮らしている時代だと思う。

 この時代においては、その社会の目的、政治の原則は、国民国家システムの維持、つまり言いかえれば「富国強兵」にある。富国強兵だと古臭いから経済発展とかGDP(国民総生産)何%といっているに過ぎない。

 そこから別の原則に移行しなければならない。

 その原則とは、私は子どもを守ることだと考えている。私たちの社会はもともと自分たちではなく子どもを守るためにあった。でなければ人類はとっくの昔に滅んでいると思う。この人類の、生命の普遍的な原理に戻るだけのことだ。それを思い出せば、私たちは国民国家の地獄から逃れられるのではないか。

 子どもを守ることを政治の判断のすべての基礎に置くという、いわば当たり前のことを思い出すことが、生きづらさから私たちの社会を解放し、現代の危機から私たちを救い出す唯一の道ではないかと考えている。

 これまでの経済という考え方を、暮らしという言葉に変えなければならない。経済政策というのもGDPで表現されることも非常にバカバカしいものだ。高度成長の本質は引っ越しだ。それまで月3万円しか使わない田舎で生活をしていた人たちが東京に出てくれば何十万円ももらわないと生活できない。この引っ越しによってGDPは10倍以上に増える。日本の引っ越しが済んだ後に中国の引っ越しが始まり、それが三〇年続いたから経済が持っている。だが、まもなくこの世界最大のプールである中国の引っ越しも終わる。

 かつて東京タワーを建てて新幹線を走らせて東京五輪をやって大阪万博をやって高度成長したといって、スカイツリーを建て、リニアモーターカーを走らせ、東京五輪、大阪万博をやればもう一度高度成長すると思っているようだが、すでに引っ越しが終わっているのだから「雨乞い」にすぎない。この雨乞いのために何十兆円も浪費している。投機でしかない。

 そうではなく、一人一人の暮らしが立つということをもう一度考え直さなければならない。現在の法律やイデオロギーなどの価値観のすべて、経済と呼んでいるものも、イギリスで始まった資本制的生産システムに応じてできあがったものだ。これが存続しなければ死んでしまうというのはただの勘違いだ。

 私たちは、勇気を持って自分たちの暮らしを立て、子どもを守り育てることをどうやって実現できるかを考えなければならない。そのために必要なのは助け合いであり、お金で解決できるものではない。

 私たちが人と人との関係をとり結べなくなっているのは、その能力が資本制生産システムにとって不便だからだ。友だちを思って会社にこないような人間は必要ない。友だちが一人もいなくてもお金が頼りの人間がいなければこの経済は持たないのだ。だから助け合う力が次第に失われ、お金を稼がなければ死んでしまうという考えがはびこってきた。これを改める以外に、私たちが「繁栄の中の貧困」という意味の分からない世界から抜け出す道はないと思う。

【肩書き】
東京大学東洋文化研究所教授
生年月日1963年3月22日
大阪府出身。京都大学経済学部卒業後、住友銀行勤務を経て、同大学大学院経済学研究科修士課程修了。京都大学人文科学研究所助手。ロンドン大学政治経済学校の森嶋通夫教授の招きで、滞在研究員として渡英。京都大学大学院経済学研究科より博士(経済学)を取得。博士論文を『「満洲国」の金融』として出版し、第40回日経経済図書文化賞を受賞。
  
 
◇差別のない誰もが生きやすい社会になると信じて  木村 英子(きむら えいこ)氏
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 本来、私は養護学校高等部を卒業したら施設に入れられてしまう存在だった。生後8カ月のときに障害をもち、幼いころから施設と養護学校で生活し、19歳で地域に出るまで社会を知らずに育った。同い年の健常者の友だちができたのは地域に出てきてからだ。一生施設で生かされ、死ぬまで出ることはできないと思ってきた。なのに今こうして参院選に立候補して、記者のみなさんの前でお話するとは、自分でも信じられない。

 私の同級生の仲間の障害者はみんな施設にいる。小さいころからなので施設に50年もいる人もいる。私たち重度障害者にとって親が介護ができなくなれば施設に入れられ、一生そこで終わってしまうことがあたりまえの道筋だ。障害者は施設に入りたくて入っているわけではない。そこしか行き場がない。施設で育った私が社会をまったく知らず、地域で自立生活をすることは雲の上の夢だった。施設での生活は自由がなく、管理され、ときに虐待を受ける、そんな生活に耐えられずにすでに地域で自立して暮らしている先輩の障害者たちに助けられ、19歳で地域生活を国立市で始めた。そのとき奇跡を感じたが、こうしてここにいることもとても大きな奇跡だ。

 立候補した理由は障害者運動を続けていくなら政治に参加してたたかっていこうと思ったからだ。今まで障害者の仲間とともに、地域で生きるための介護保障制度を行政に求めて運動していくことこそが私の生活そのものだった。私は地域に出て健常者の人と同じように、ただ普通の女性としてあたりまえに生きていきたかっただけなのに、地域に出たとたん障害者の介護保障制度の運動をしなければ生きていけないことを思い知った。地域で生きていく以上、死ぬまで運動していくことが今の私の現実だ。私は日ごろ障害者の仲間たちと運動している。

 2003年に措置から契約制度にかわってからヘルパー派遣についても行政は責任を放棄し、民間に投げてしまった。さらに障害福祉制度と介護保険制度を統合しようとしている国の動きのなかで、地域で生活している障害者の生活は壊されようとしている。障害福祉で必要な介護時間を保障してもらっていた一人暮らしの障害者が65歳になった途端に介護保険に組み込まれ、介護時間を減らされて外出もできなくなり、お風呂にも入れなくなった。自分でベッドに移動できないのでずっと座椅子の上で寝るしかなく褥瘡ができたり、ヘルパーが1日1時間しか来ないので食事も1回しか食べられない、そんな状況の人がいる。全国的に人手不足だが、介護職という重労働で安い賃金の所にはさらに人は集まらず、せっかく命がけで施設を飛び出し自立生活をしても、介護事業所から人手がないということで、お盆や暮れはショートステイということで施設に入れてしまわれるといった始末だ。

 そんな厳しい現状の人がどんどん増えている。障害者は65歳になった途端、障害者ではなくなり高齢者の枠に入り、今まで受けてきた介護制度を減らされて命を脅かされている。障害者は一人一人障害が違う。介護の方法もまったく違う。65歳になるまで自分にあった必要な介護を受けてきた人が、65歳になった途端に減らされ、命の危険にさらされる生活を強いられている。行政は地域移行を掲げているが、障害者の生活を壊し施設に逆戻りさせてしまう、そんな政策は明らかな人権侵害であり、あからさまな差別だ。

 立候補させてもらった理由は、障害者運動をしていくなかで、山本太郎さんと出会い、障害をもった当事者の現状を直接国会に訴えていってほしい、一緒にたたかっていこうと声をかけてもらったからだ。私のような重度障害者が国会に声を届けるチャンスをいただき立候補を決意した。厳しい現状を強いられている仲間たちの苦悩と叫びを私が障害当事者として政治に参加し、少しでも変えていくことができたらと思っている。

 障害者は、障害を持った時点から、教育の場面でも、働くところからも、住む場所も、遊ぶ場所もどこでもわけられる。そのことで街の中のバリアも人の心のバリアも広がっていく。わけられればわけられるほど差別はひどくなっていくばかりだ。それは私にとってもとても生きにくい社会だ。そしてだれにとっても生きにくい社会のはずだ。小さいときからともに育ち、学び、遊び、支えあって生きる社会は差別のない誰もが生きやすい社会になると信じてたたかっていきたいと思っている。

【肩書き】
全国公的介護保障要求者組合・書記長
全都在宅障害者の保障を考える会・代表
自立ステーションつばさ・事務局長
生年月日1965年5月11日
   
 
◇民衆が中心になってものを考える  三井よしふみ氏
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 私は27年間銀行員として働いていた。国際部門が多く海外での生活が長かった。単身赴任もして帰国したときに、最終的に自分の足で、銀行の名前でない人生が送りたいと思った。250万円で自営業ができるというコンビニに触れ、自分の家の近くで銀行員がやっていると聞いて、これはいいじゃないかと思った。高齢化が進んでいくと地元で店舗が必要になると思って始めた。

 一番の大手(セブンイレブン)に入ったのだが、入って驚いたのは契約書に書いてないことが次次と起こり始めたことだった。当初は24時間営業は義務だけども、24時間営業をやらない場合はチャージが2%上がるという話だった。実際に始めてみて24時間営業の不採算性がわかり、やめたいといってもやめさせてくれなかった。毎日売上を1円たりとも残らず送金するのだが、ある程度時が経って「そのお金どうなってますか?」と聞いたときに、「それは本部のものだ」といわれて、「ちょっと待ってくれ!」と。これは独立業者ではないのではないかというところから仲間を探し始めた。

 すると、周辺で困りきっている人がたくさんいることに気付いた。仲間をつくって、とりあえず話をさせてもらいたいといったが、それから大変な圧力がかかって「信頼関係が失われるのであれば即契約解除になります」「契約解除になる場合は違約金をとります」といわれた。これは絶対に離れられないビジネスになっているなと思った。

 われわれが仲間を募って組織をつくると、信じられないような相談がくる。24時間365日、店を開けなければならないので、自分の親の葬儀でも店を閉めることができず、親族から「オマエは商売の方が大事なのか」といわれながら店に戻ったと訴えた方もいた。一番驚いたのは、「今私、青木ヶ原にいます」というメールが仲間のところへ送られてきたことだ。「24時間365日店を開けているのだが、人手不足で自分も限界なので一旦閉めたいといっても許してもらえなかった。その日、やっと家に帰れると思ったのにシフトが来ないことになり、朦朧としてここに来てしまった。ネットを見たら、コンビニ加盟店ユニオンというのがあったので、一度は連絡してみたいと思って」ということだった。そのときは私が副執行委員長で、家族の方とも連携して警察に保護してもらった。

 とにかく、どうして加盟店がここまで追い込まれなければならないのかと、私は今回の選挙で訴えたいと思う。みんな希望を持って契約している。しかし一旦契約すると、強い方が一方的に支配する世界ができている。どうしてそれができているのか非常に危惧している。働き方が変化するなかで、正社員から派遣に移っていった。今、派遣率が半分くらいになっている。それだけでなく、最近は「あなたも事業主だ」といういい方で、普通の労働者ではない立場の契約に変えていく。私たちコンビニ店主は契約上みな事業主だといわれながら、無償で無限大の労働を提供させるビジネスシステムに巻き込まれた。こういうやり方が横行しては困る。

 私は海外にいたので、日本の労働の質の良さはものすごく感じている。どうして日本のこの国は、一生懸命に働いている現場の人をこんなにいじめるのだろうか。私は日本の心が壊れたと思っている。昔の日本人は強きをくじき弱きを助くといっていた。今はどうだろうか。勝ち組だ、負け組だという。誰が勝って、誰が負けているんだと強くいいたい。私は今回の選挙で是非日本の心をとり戻して、競争から切磋琢磨に変えていきたい。これを直接訴え、山本先生と一緒にこの選挙戦をたたかいたいと思って立候補した。

 民主党政権時にフランチャイズ法ができるチャンスがあった。一大の名誉教授の北野先生が教授を3人集めて弁護士も含めてフランチャイズ法をつくった。姫井百美子先生にもそれを渡した。姫井先生はそれを当時のトップである小沢一郎に渡した。すると、北野教授の名前を見て、小沢一郎先生が「ダメだ」といわれた。その理由は、以前、北野教授が小沢一郎先生の政治手法に批判的な論文を週刊誌に書かれ、そのことを覚えていたからだ。それともう一つ。「君らユニオンというが、何人いるんだ?」といわれた。そのときは約300人いたが、「1000人だったら法案を提出しようじゃないか」といわれた。そのときから私は政治に対して「おや?」と思った。票がないとダメなの? と。

 私は、たった一人の人であっても正しいことをいっていることはあるのだから、それを聞くのが民主主義だと思う。ただ、その通りにするかどうかはみんなが考えればいい。たった一人の意見でもよく考えるのが民主主義だと思う。多数決が民主主義だと勘違いしていると思う。民衆が中心になってものを考えるのであって、政治のリーダーが考えるのではない。

【肩書き】
元銀行員・元セブンイレブンオーナー
生年月日1956年9月29日
熊本県出身。明治大学経営学部卒業。住友銀行後、三井住友銀行に入行し、早期退職。千葉県内でセブン-イレブンを開業。九年目に本部から契約解除。現職・軽量貨物運送業
 
  
◇勇気を出して声を上げてほしい  野原ヨシマサ氏
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 今、私が強く感じていることをのべさせていただく。そもそも公明党の立党の精神は大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆のなかに死んでいくというのが原点であったはずだ。しかし、公明党は自民党と連立を組んで以来の20年のあいだに、権力にどっぷりと浸かってしまって、今やそのような民衆救済の精神をすっかり忘れ去ってしまった感じがする。

 公明党が安保法制に賛成した結果、海外派兵できるようになった。また現代版治安維持法といわれている共謀罪にも賛成した。立党以来、平和福祉を掲げてきた公明党が、このような戦争を肯定するような法案を通し、また民衆を弾圧するような法案を通すことはどう考えてもおかしい。自民党の歯止め役になるはずだった公明党は、今や自民党と一緒になって暴走をしている。今の公明党は池田名誉会長の平和思想とは真逆の方向に進んでいるようにしか思えない。これは非常に危険なことであり絶対に止めないといけない。

 さらに公明党の最大の支持母体である創価学会は、このような間違った方向に進んでいる公明党を相も変わらず支援している。組織に従うことが、また幹部の指示に従うことが信仰であると勘違いをしているようにしか思えない。

 学会員の考え方、行動の指針になるのはあくまでも御書であり、歴代三代会長である牧口先生、戸田先生、池田先生の主導である。御書に日興遣誡置文というのがあるが、そこに次のような一節がある。「時(とき)の貫主(かんず)為(た)りと雖(いえども)も仏法(ぶっぽう)に相違(そうい)して己義(こぎ)を構(かま)えば之(これ)を用(もち)う可(べ)からざる事(こと)」また「衆義(しゅうぎ)たりと雖(いえど)も、仏法に相違(そうい)有らば貫主之を摧(くじ)くべき事」とある。

 わかりやすくいえば、たとえ組織の長が決めたことであっても、たとえ多数決の意見であったとしても、それが仏法の教えに反しているならば、絶対に従ってはいけないということだ。このことは宗門問題が起こったときに学会側がさかんにくり返し主張していたことだ。学会員のみなさまにおかれましては、御書の教えと歴代三代会長の主導を考慮したうえで、賢明な判断・行動をとられることを切に希望する。

 次に、沖縄の選挙についてものべたい。公明党沖縄県本部は辺野古新基地建設反対だと主張しているにもかかわらず、昨年9月の沖縄県知事選、今年4月の沖縄3区衆院補欠選、さらに今月おこなわれる参院選沖縄選挙区では辺野古新基地建設を容認する候補を推薦し支援している。だれが考えてみても整合性がなく矛盾している。また、昨年に沖縄県がおこなった辺野古新基地建設埋め立て承認の撤回を、公明党の石井国交大臣が無効とした。また大阪の公明党は府知事選挙・市長選挙で大阪都構想に反対していたが、選挙で負けた途端に手のひらを返したように維新にすりよった。関西の6選挙区で維新が対立候補を立てることに恐れをなしての行動だった。本当に理念も信念もない、自己保身のための浅はかな行動だと思う。コウモリ政党だといわれるのもあたりまえだ。

 ではなぜ公明党と創価学会がこのような間違った行動をとるようになったのか。その一切の淵源は昭和59年4月24日の池田名誉会長の勇退に端を発していると思う。昭和59年4月24日に創価学会は、現在の原田会長を中心とする執行部のメンバーによってハイジャックされたものと思われる。その時以来、操縦桿を握っているのは原田会長を中心とする裏切者の弟子たちだ。あの時以来、池田名誉会長は組織運営上の最終的な決裁権はない。だからこれだけむちゃくちゃな組織に成り下がった。公明党の議員は現執行部の推薦なしには公認が得られないため、筋が通らないとわかっていても保身のために服従せざるを得ない。

 池田名誉会長を勇退に追いやったのは、原田会長を中心とする現在の執行部のメンバーであると思われる。聖教新聞には池田名誉会長が元気である旨がくり返し報道されているが、決してそうではないと思う。なぜならば、池田名誉会長のお元気な姿を写した写真は最近一度も掲載されていないからだ。

 3、4年前に掲載された写真は、素人目にもわかるくらいぎこちない合成写真でしかない。池田名誉会長は脳梗塞で倒れて以来、日に日に体調が悪くなり、現在は寝たきりの状態になっていると思う。それをいいことに、現執行部は学会組織を選挙のさいに集票マシンとして利用するために池田名誉会長をカリスマとして利用しているに過ぎない。

 あたかも戦前戦中、軍部が天皇を利用して国を滅ぼしたのに酷似している。アメリカで公民権運動のリーダーとして活躍したキング牧師は次のようにいっている。「最大の悲劇は悪人の圧政や残酷さではなく、善人の沈黙である」。本当に意味深長ないいまわしをしている。

 良識ある学会のみなさん、あなたがたに私は訴えたい。いつまで善人の沈黙を続けるつもりだろうか。おかしいものはおかしい、間違っているものは間違っていると勇気を出して声を上げてほしい。公明党はもう一度平和福祉というヒューマニズムの原点に戻ってもらいたい。また創価学会は御書、歴代三代会長の主導という原点に戻ってもらいたい。ファシズム前夜の様相を呈している現今の社会を変革するため、またこの世から不幸と悲惨をなくすため、山本太郎をリーダーとする、れいわ新選組の仲間たちと力を合わせ頑張っていきたいと思う。

【肩書き】
沖縄創価学会壮年部
生年月日1960年1月16日
 
  
◇日本一個分の暮らし、これをとり戻したい  辻村ちひろ氏
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 環境保護団体でずっと職員をしていて、つい最近まで保護部長という席にいた。環境の専門家としては国会で参考人に呼ばれ、種の保存法の改正やいろんな法律の改正に携わってきた。ただ、残念ながら参考人で呼ばれた意見は参考意見で法律には反映しない。

 自然保護というと、現世の大事な山を守るとか希少なものを守るとか、そういうイメージはないだろうか? 違う。自然保護は人と自然との繋がりを守ることだ。なので僕はいつも思っている。日本一個分の暮らしをしませんか。日本一個分の暮らし、これをとり戻したい。そのためには環境省が弱すぎる。なぜか? 法律で権限を与えられていないからだ。経産省よりも弱い。

 環境影響評価法という法律では、環境大臣が許可を出せない。出すのは国交省や経産省だ。なので環境省は意見しかいえない。こんな弱い環境省では環境省もかわいそうだ。なので僕は環境省をまず強くしたい。そのためには法律を変える必要がある。

 それから自然保護をやっているNGOも弱い。なぜか? 金がないからだ。それと訴権がない。訴える権利、団体訴権というものがないので全部門前払いだ。しかし、あちこちで自然破壊が起きている。辺野古もそう。それから中央新幹線で南アルプスにトンネルを掘るが、南アルプスだけでなく、中津川と全部沿線の自然破壊をしている。それから石木ダム。ここでは普通に暮らしたい人たちが都会の利便性のための犠牲になる。もうこういう弱い人たちの犠牲のうえに成り立つ社会はやめませんか。僕は本当にそういう社会を変えたい。そう思って今回出馬を決意した。

 もう退路を断つ。元の職場には戻れないので、ぜひみなさんお力を貸してほしい。無名だがこれから頑張るのでよろしくお願いします。

【肩書き】
環境保護NGO職員
生年月日:1967年11月14日
 
  
◇財政金融の地動説がわかっているれいわ新選組  大西つねき氏
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 今回の自分の役割は一つだと思っている。私は今の金融制度がいかにおかしいかをのべてきた。みなさんもわかっていると思うが、われわれが直面しているたくさんの問題、格差、貧困、病気、戦争、すべてその中心にはおカネがあるということをみなさん知っている。そこに何かおかしいと違和感を感じている。私はJPモルガンでずっと金融の仕事をしていた。今の金融システムがいかにおかしいか目の前で見てきた。

 2008年のリーマン・ショックのときに、「これは完全に終わったな」と思った。本当におかしな詐欺まがいの金融商品を散散つくって、もう膨大な、まったく実態のないおカネをつくり出して、そのおカネというのはまったく消えていないまま、みなさんの生活を圧迫している。世界的規模で。この金融システムを変えなければいけないという大きな世界規模の流れが今年から始まっている。去年ぐらいから始まっているイエロー・ベスト運動でも、結局どこにこの問題の根源があるのか多くの人が理解し始めている。

 今回のれいわ新選組の政策のなかに、消費税廃止、奨学金チャラ、最低賃金1500円、公務員を増やす、おカネを配る等等とある。こういった政策を出すと必ず「財源がない」といい出す。戦後の国債管理政策の推移を試しにグーグルで検索してみてほしい。1965年からの財務省の国債管理政策がずっと載っている。1965年から建設国債が発行された。そこから赤字国債、建設国債、両方が基本的にほぼほぼ毎年ずっと赤字だ。要するに税収の範囲内ではほとんどやっていない。

 では、足りない分はどうしているのか。借金でおカネをつくり続けてやっている。ちょっと待って、借金でおカネをつくるって何? と思うだろう。おカネとは実は借金でつくっている。私はそこがおかしいといい続けている。何をいっているかというと、政府が借金でおカネをつくれるのであれば、財源の問題ってそもそもどこにあるの?税金を集める必要はあるの? 極端な話だが税金をゼロにしてすべて政府の借金でまかなおうと思えばできる。できてしまう。なぜかというと、ずっとやり続けてきたことだ。

 (スライドを見せながら)1980年から2018年までのデータだが、これは日本中のおカネがいくらあるのかを示したものだ。1980年には200兆円だったのが、今は1000兆円を超えている。この38年間で5倍に増えている。

 ちなみに、私が1986年に就職したとき、初任給が20万円だった。うちの息子が昨年就職したときの初任給が20万円でまったく同じだった。1986年は日本中にあるおカネは340兆円くらいだった。それが2017年には940兆円と3倍くらいに増えている。600兆円以上のおカネが増えたにもかかわらず、大学生の初任給はまるで変わっていない。なぜか? 払うのをやめたからだ。では600兆円はどこにいったかというと、結局企業の内部留保が400兆円とかだ。内部留保はどうやって貯まるかというと、企業がみなさんの給料を払わずに安い法人税を払うと貯まる仕組みになっている。それをずっとやってきて、こんなにおカネは増えている。

 おカネはどうやってつくっているかというと、今のおカネは日銀が発行しているのではなくて、借金でつくっている。要するに銀行がおカネを貸す度におカネが生まれる仕組みになっていて、それに利息が付くので何が起きるかというと、おカネと借金がずっと増え続ける仕組みになっている。そうしないと回らない仕組みになっている。しかし、おカネと借金をずっと増やし続けられるかというと、そんなはずはない。1億3000万人しかいないのに、銀行がずっと貸し続けられるかというと、誰がそんなに借りるんだ? という話だ。当然それは止まる。

 (グラフを指しながら)日本の銀行の貸出残高を見てみると、バブルが崩壊して銀行が貸せなくなり、不良債権処理をして貸し渋りをして、貸し剥がしをして、借金を減らしている。でもおカネは減っていない。では誰が借金しておカネを増やし続けたかというと、日本政府が国債を発行しておカネをつくり続けてきた。

 政府の借金でおカネをつくるって何なの? と思うかも知れない。日本の一般会計の税収はだいたい年間で50兆円ほどだ。50兆円ほどをみなさんから税金で集める。するとみなさんの現金預貯金が50兆円分減ることになる。その後、もし政府が50兆円分の予算を組んだとする。そうすると、政府の使うものというのは、公務員の給料とか政府事業の支出とか、要するに民間に戻っていく。50兆円の税収で50兆円の予算を組むと、その50兆円分は行ってこいとなる。

 これでもし70兆円の予算を組むとどうなるかというと、20兆円足りない。その20兆円分は政府が国債を発行する。それを銀行に買わせる。銀行が20兆円分の国債を買ってくれると政府が20兆円分もらえる訳だが、その20兆円分はどこからきているかというと、みなさんの預金だ。だが、政府から20兆円分の国債を買うからといって、みなさんの預金は1円も減らない。なぜかというと、銀行はその分をつくって政府に渡しているからだ。その20兆円と、もともとの50兆円の税収をあわせた70兆円を使うと何が起きるか。みなさんの預金が差し引き20兆円分増える。そして政府の借金も20兆円分増える。従って、政府の借金とみなさんの預金は平行して伸びている。

 そして、今や政府の借金が900兆円なのにたいして、みなさんの現金預貯金は1000兆円。900兆円の政府の借金をみなさんの1000兆円の預金から返してしまうと何が起きるか。おカネが消えてしまう。おカネがなくなってしまう。つまり、政府の借金を税金で返すというのは嘘だ。でっかい嘘だ。そんなことをしたらおカネがなくなってしまう。だから、「政府の借金が大変だから消費税を上げなければならない」「財源がない」などすべて嘘っぱちだ。それを本気でやったら、今の金融システムは崩壊する。そういうことが分かっていない人たちがこの国を動かし続けてきた。これはとんでもないことだ。免許のない人間がみなさんを乗せてF1レースを走っているようなものだ。このようなどうしようもない連中の考え方を破壊していかなければならない。

 今日この場にはマスコミの人もいる。大手新聞の人たち、いい加減に嘘を書くのをやめなさい。政府の借金を税金で返すなどあり得ないんだ。そんなことも知らないで大手新聞の論説委員をしているなど話にならない。ようやくアメリカからMMT(現代貨幣理論)というのが出てきた。この仕組みをわかった人たちが、政府の借金は垂れ流し続けて、おカネをつくり続けるしかないといい出した。天動説が地動説に変わっている。要するに今までの財政金融の考え方がいかに間違っていたかということに世界が気付き始めている。

 山本太郎氏の政策もこの考え方をとり入れている。この議論を大きくしていくと、今までの政治家ってバカだったの? ということになる。ならば地動説がわかっているれいわ新選組しかないね! という動きになる。私はこの選挙戦で、こうしたまともな議論をしていく。そうすることで、山本太郎が嫌いだった人や保守の人たちも含めて説得していきたい。それはすごい数の力を生み出すかもしれない。幅を広げる役だと思っている。

【肩書き】
元JPモルガン銀行資金部為替ディーラー
生年月日1964年2月29日
東京都出身。上智大学外国語学部英語学科卒業。シアトル大学政治科学専攻。JPモルガン銀行資金部為替ディーラー。株式会社インフォマニア代表取締役。政治団体フェア党代表
  
 
◇「命の価値は横一列」を国会から  ふなご やすひこ氏
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/2ec9f5591bb196b2c0712360a7b87a89.jpg

 私は5年前に松戸市議会議員選挙に立候補した。周囲から見たら随分無謀な挑戦だと思えたことと想像している。なにができるのか、どんな政策があるのかと思う人たちも多かったと思う。障害者、しかも最重度とされている人工呼吸器を装着している人間が立候補する。驚きであったと思う。今回もいおうと思っているが、スローガンは「強みは障害者だから気づけるものがある」。しかしながら、私が目指していたのは、障害者も健常者もない世界。今は自説「人間価値論・命の価値は横一列」に反映させている。

 ところで今回の参議院議員選挙についていうと、もし私が当選したなら私にかかわる人たち、つまり議員たちが私と議会で上手に接していくことや、同じように発言するための工夫をする姿を人人が見れば、障害者に対する接し方も変化が生じる気がする。実際私が所属するアースでも、役員たちがどのようにしたら私が参加した会議がスムーズにできるだろうかと考えてくれている。山本代表の話を直接聞き、この人ならそれを実行して世の中の障害者の接し方の手本になると信じ、その一助となるべく立候補を決意した。

【肩書き】
難病ALS当事者
全身麻痺ギタリスト
株式会社アース副社長
生年月日1957年10月4日
岐阜県生まれ。千葉県立南高等学校から拓殖大学政治経済学部を卒業。1982年酒田時計貿易鞄社、商社マンとして活躍。1999年41歳の夏に突如、箸、歯ブラシ、ペンが上手く握れなくなる。翌年5月ALSの告知を受ける。麻痺は全身に及び、2002年人工呼吸器、胃ろうを装着。2008年最後まで働いていた右手中指も麻痺。現在は歯で噛むセンサーでPCを操作しながら詩歌や童話などの創作活動、意思伝達装置「伝の心」を用いての講演活動にとりくむ。松戸市常盤平在住。
 
  
◇本当に困っている人たちの生の声、政治の場に届けたい  渡辺てる子氏
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/8291404850a5d76dd249700c6d8445f2.jpg

 私は現在60歳だが、一昨年に約17年勤めた派遣先企業から一方的に雇い止めを受けた。「派遣は派遣であるかぎり何年勤めようといつでも首を切れる」「退職金など一銭もやらない」というふうにいわれた。本当にくやしかった。正社員以上に仕事をしてきた。月に100時間の残業をやったこともある。過労で倒れて派遣先から救急車で運ばれたこともある。そんなときに「健康管理が悪いからだ」ともいわれた。資格もいくつもとってきた。それでも時給は上がらなかった。パワハラもセクハラも受けた。それもなんとか耐え抜いてきて、ずっと長く働こうと思っていたのに雇い止めという、もっともひどい形で仕事を終えることになった。

 「私の努力が足りなかったのだろうか」「派遣を選んだ私がいけなかったのだろうか」。そんなことは決してないと私は考えた。でも「派遣労働という有期雇用、いつでも首を切られることを承知のうえで選んだあなたが悪いんだ」「文句をいうな、自己責任なんだから」ということを、さんざんまわりからはいわれた。

 働いている女性の半分以上は私のような正社員ではない非正規労働者だ。賃金が安いので、それだけではなかなか一家を養うことはできない。私はシングルマザーだ。人生の半分以上をシングルマザーとして生きてきた。子どもが2人いる。3歳、1歳のときに配偶者が突然失踪し、突然働かなければならない状況になった。そんな状況で正社員に誰がなれるだろうか。「正社員になれないあなたが悪い」といわれているが、日本の労働市場は女性に対して非常に厳しく冷たいものがある。

 私はまずは目の前にいる幼い子ども2人を何とか育てなければならないということで、保育園の給食調理や生命保険の営業などいろいろな職を転転としてきた。そのなかで、なぜこんなに頑張っても、いつになっても生活が楽にならないのだろうかと思った。シングルマザーは私に限らずみな働いている。二つ、三つと仕事をかけもちして働いている。それは正社員になれないからだ。パートや非正規で仕事をしなければならないからだ。そうしたら今度は子どもをほっといて仕事をしている、育児がだめなのではないかといわれ、仕事先では子どもの面倒見る人がほかにいないから、「子どもを理由にすぐ仕事を休む。シングルマザーは使えない」といわれる。これでどうやって日本で女性が子どもを育てながら働いていくことができるだろうか。

 私のような悔しい思いを、今頑張っているシングルマザーの人たちにさせたくない。自分だけが何とか生き抜ければそれでいいんだとも思っていない。それにはやはり、政治を変えなければだめだ、社会を変えなければだめだと思うようになった。私の苦労が単に苦労に終わらず、本当に困っている人たちの生の声だというように政治の場に届けたいと思っている。

 特別な人が、ヒーローが、エリートが政治をやる時代ではない。それを体現しているのが、れいわ新選組だと考えている。

【肩書き】
元派遣労働者・シングルマザー
女性労働問題研究会運営委員
レイバーネット日本運営委員
生年月日1959年5月7日
1980年3月 武蔵大学社会学科社会学部を2年で中退。1985年25歳の時に2人の子どもを残し配偶者が失踪。シングルマザーとなる。以来、保育園の給食調理、保険営業等を経て、2001年に派遣労働者として企業に勤務。2017年12月、それまで16年8カ月働いてきた派遣先企業から一方的に雇い止め通告を受ける。2015年8月には参議院厚生労働委員会に「宇山洋美」の氏名で派遣労働者当事者として登壇し、派遣労働の実態を訴える。

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12095

(スレ主注) 以下の3点で記事原文と異なります。
 1 9候補者の掲載順・・・れいわ新選組ホームページ上の「公認候補予定者発表」順とした。
 2 候補者氏名・・・れいわ新選組ホームページ上の氏名表記に従った。
 3 小見出し・・・各候補者の発言よりひとことずつ抽出して新たに設けた。
 
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/801.html

[政治・選挙・NHK262] 望月衣塑子の質問(4) 政府を動かした質問 (朝日新聞社 論座)
望月衣塑子の質問(4) 政府を動かした質問
「きちんとした回答をいただけていると思わないので、繰り返し聞いています」

臺宏士 フリーランス・ライター
論座 2019年07月07日

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070400012_1.JPG
「2017年8月末になると上村秀紀報道室長が番記者に接触しまして、幹事社の方に『これまで通り番記者には手が上がり続ける限り、何回でも難問でも指し続ける。しかしながら、望月衣塑子の質問だけは制限させて頂きたい』と内々に打診したらしい」。望月衣塑子・東京新聞記者は市民らを前に質問妨害の実態を明かした=東京都豊島区で、2019年6月15日、筆者撮影

■望月記者が官房長官会見に出席した経緯

 望月衣塑子・東京新聞記者の官房長官会見での質問をめぐり、同紙が官邸から最初に申し入れを受けたのは、2017年9月1日だった。

 「国民に誤解を生じさせるような事態は許容できない」

 東京新聞政治部次長(官邸キャップ)という立ち場だった篠ヶ瀬祐司氏(当時)宛ての文書は、非常に強い調子でそう非難した。

 この文書を出したのは、司会進行を務める、上村秀紀・官邸報道室長だ。2018年12月28日に内閣記者会に対して、米軍辺野古新基地建設をめぐる望月記者の質問を「事実誤認」だとして「問題意識の共有」を求める文書を出した同じ人物である。

 9件に及ぶ東京新聞への申し入れで、官邸が初めて問題視したのは、1週間前の17年8月25日午前の記者会見で望月記者がぶつけた、加計学園問題についての質問だった。

 そもそも、社会部記者である望月記者が報道各社とも政治部の取材範囲である官房長官会見に出席しているのはなぜか。

 望月記者によると、目的の一つは、学校法人・加計学園(岡山市)が、岡山理科大学の獣医学部(2018年4月開校)を愛媛県今治市に新設する問題について質問するためだったという。

 朝日新聞が17年5月17日朝刊で、獣医学部の新設に難色を示す文部科学省に対して内閣府が「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」――などの言葉を使って、文科省に開設を急がせる様子を記した同省の内部文書の存在を報じた。この報道をきっかけに社会の大きな注目を集めることになった加計学園の加計孝太郎理事長は、安倍晋三首相が「腹心の友」と呼ぶ人物で、直接見解をただしたかったらしい。
 
 しかし、安倍首相が官邸で記者会見を開く回数は年に数回ほど。例えば、17年は4回、18年は3回しか開かれなかったという。

 首相会見では、東京新聞の政治部すら直接質問する機会は限られている。そこで目を付けたのが、内閣記者会が主催する官房長官の記者会見だった。原則として平日の午前と午後に2回開かれ、質問する内容や時間の限定はない。丁々発止の問答にたけた望月記者にはもってこいの条件だったともいえる。

 2017年8月25日の質問に戻す。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070400012_3.jpeg
記者会見する菅官房長官

■加計学園問題を巡る質問

 加計学園問題は、報道から約3カ月たった8月時点の焦点は、文科省の大学設置・学校法人審議会が獣医学部の新設を認める答申を出すかどうかだった。

 8月25日午前、望月記者は次のような質問をした。このときの記者会見の時間は全体で約30分間あり、このうち約7分間にわたり質問している。質問回数も10回。ほぼ二問に制限されている現在とは大違いである。加計学園問題に関する質問は八問目だった。

   望月記者 最近になって公開されております、えー、加計学園の設計
   図、今治に出す獣医学部の設計図52枚ほど公開をされました。それを
   見ましてもバイオセキュリティーの危機管理ができるような設計体制
   になっているかは極めて疑問だという声も出ております。また、単価
   自体も通常の倍ぐらいあるんじゃないか、という指摘も専門家の方か
   ら出ています。こういう点踏まえても、今回えーと、学校の認可の保
   留という結果が出ました。本当に特区のワーキンググループ、政府の
   内閣府がしっかりと学園の実態を調査していたのかどうか。ここにつ
   いていま、政府としてのご見解をお聞かせ下さい。

   菅義偉官房長官 いずれにしろ、あのー、学部の設置認可については
   昨年11月および本年4月も文部科学大臣から大学設置・学校法人審議
   会に諮問しており、まもなく答申が得られる見込みであると聞いており、
   今の段階で答えるべきじゃないと思います。この審議会というのは、専
   門的な観点から公平公正に審査されている。こういうふうに思います。
   
 首相官邸のホームページにある官房長官会見の映像を見ると、望月記者の方を見て、質問に耳を傾けていたと思われる菅長官は、望月記者が「学校の認可の保留」と言及すると、上村室長が立っている上手の方向を一瞥する様子を確認することができる。

 案の定と言うべきなのか。7日後の9月1日、上村室長が篠ヶ瀬氏に出した文書は次のような内容だった。

    貴社の記者が質疑の中で、平成30年度開設の大学等についての大学
   設置・学校法人審議会の答申に関する内容に言及しました。正式決定・
   発表前の時点での情報の非公表は、正確かつ公正な報道を担保するもの
   です。官房長官記者会見において、未確定な事実や単なる推測に基づく
   質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は、当室として
   は断じて許容出来ません。貴社に対して再発防止の徹底を強く要請いた
   します

 上村室長名のこの文書は、申し入れた理由について、「文部科学省広報室から当室に対し、当室から内閣記者会駐在の貴社の記者に注意喚起を行うよう要請がありました」と説明している。

 前日の8月31日に文部科学省の三木忠一広報官は、東京新聞に対して、「(望月記者が官房長官会見で)言及のあった当該内容は、正式決定・発表前の時点のもので、当該記者会見の場という公の場において言及されることは、当該質疑に基づく報道に至らなかったとはいえ、事前の報道と同一のものとみなし得る行為であり誠に遺憾です」と批判し、「今後二度とこのようなことのないよう、再発防止策の真摯な実施を求めます」と申し入れているのだった。

 つまり、望月記者の質問は、官邸報道室と文科省広報室の二つから問題視されたというわけだ。

 とりわけ、上村室長は「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は、当室としては断じて許容出来ません」と望月記者を厳しい表現を使って批判したのだった。

■文科省記者クラブの取り決め

 文科省や官邸がどうしてこれほどの怒りを示したのかというと一つには、望月記者が触れた「認可の保留」は、この日の午後、文科省が発表を予定していた情報だったからだ。記者会見で先に言及しただけなら、望月記者のいわば「特ダネ」になるわけだ。親切にも会見の参加者全員に教えたということに過ぎない。

 ところが問題にされたのは、文科省が事前に文科省の記者クラブの加盟社に対しては説明をしており、その情報を報道できる解禁日時も設定されていた。文科省から見れば、望月記者は、取り決めを破ったというわけだ。

 各省庁がそれぞれの記者クラブとどのような発表前の情報提供についての取り決めをしているのかを、記者クラブ所属していない記者が知るということはまずない。知らなかった記者がたまたま別のルートから入手した情報をもとに記事にしようとすれば、通常だと、報道される前に担当記者(この場合は文科省の記者クラブに所属している記者)にも問い合わせや、ゲラなどの形で情報が回るので報道に至ることはまずない(場合によっては、情報源が異なることで確信的に報じる報道機関もあるかもしれない)。

 望月記者のように取り決め内容を知らない記者の質問を、記者会見などの取材段階で防止するのは、現実的にはかなり難しい。記者会見には、取り決めの場となった記者クラブに所属していないフリーランスのライターもいることだってあるのだ(フリーの場合、記者会見への参加拒否というリスクが伴う)。

 ただ、このケースで文科省や官邸の激しい抗議が腑に落ちないのは、望月記者の質問や文科省の発表を待つまでもなく世の中の人たちは、大学設置・学校法人審議会が認可を保留するであろうことを、報道を通じてすでに知っていたということだ。秘密の定義には当てはまりようのない情報なのだ。

■広く報道された情報を質問したのだが…

 8月25日から2週間ほど遡る。

 大学設置・学校法人審議会がこの判断を固めたのは8月9日だった。審議会は原則としてメンバーも日程も非公開で行われるため、どんな審議をしたのかはすぐにはわからない。報道各社はその情報を入手した時点でそれぞれが五月雨式に報じていった。以下のような具合だ。

   ▽朝日「新設判断保留へ 文科省審議会が方針」(8月10日朝刊)
   ▽読売「文科省審議会 『加計』新設 判断を保留 獣医学部 可否
    の答申延期」(8月10日朝刊)
   ▽毎日「岡山・加計学園 獣医学部新設問題 新設の判断保留 答申、
    秋以降に延期 文科省設置審」(8月10日夕刊)
   ▽東京「『加計』認可 判断保留へ 獣医学部 設置審 答申は秋以降」
    (8月10日夕刊)
   ▽日経「学部新設の判断保留 設置審 文科相への答申延期 加計学
    園巡り」(8月10日夕刊)
   ▽産経「加計獣医学部の判断保留 設置審 文科相答申延期へ」(8月
    11日朝刊)

 望月記者は、NHKのニュースを参考に質問したという。

 NHKは「学校法人『加計学園』の来年4月の獣医学部新設について審査する文部科学省の審議会が、きょう開かれ、実習計画などが不十分で課題があるとして、認可の判断を保留する方針が決まり、今月末に予定されていた大臣への答申は延期される見通しとなりました」と9日に報じていた。

 これらの報道に対して、文科省や官邸報道室が抗議したのかというと、それは行っていない。

 これだけ報道機関が報じている中で、上村室長が非難したように「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態」に当時の国民は、本当に巻き込まれていたのだろうか。

 このときは、東京新聞が官邸の申し入れを事実上、受け入れる形で決着したらしい。文書での回答はしなかったようだ。2月20日朝刊の特集「検証と見解/官邸側の本紙記者質問制限と申し入れ」には記述がない。

 ただ、「認可保留」が、いわば既知の情報であったことなどを踏まえると、文科省や官邸の過剰抗議にも映るこうした態度は、“望月記者に完敗したあの時の会見”の意趣返しであるようにも思える。

 2017年6月8日の質問だった。

 2日前の6月6日午前の記者会見(この時の質問は11回だった)に続く、2回目の出席となる菅官房長官の記者会見で、望月記者は「総理のご意向」文書問題を改めてぶつけた。

■「きちんとした回答をいただけていると思わないので…」

 2017年5月17日。菅長官は、朝日新聞の「総理のご意向」報道(17日朝刊)について、午前の記者会見で全面否定していた。「報道は承知していますけれども、そのような事実はありません」「あの文書がどういう文書かさえ、その作成日時だとか作成部局だとか、そんなの明確になってないんじゃないでしょうか。通常、役所の文書というのは、そういう文書じゃないと思いますよ」「誰が書いたか分かんないじゃないですか。そんな意味不明なものについて、いちいち政府で答えることじゃない。そう思います」

 午後の会見ではさらに「全く、怪文書みたいな文書じゃないでしょうか。出所も明確になってない」と朝日があたかも誤報したかのようにニュアンスを強めた。

 文科省も19日にはわずか半日の調査で「文書の存在を確認できない」と発表した。政府は国会での野党の再調査要求も突っぱねていた。

 しかしその一方で、文科省の現役職員による、報道各社の取材に応じる形での内部告発も続き、25日には前川喜平・元文科省事務次官が記者会見し、文書の存在を証言するという展開にまでなった。

 「文部科学省において検討した結果、出所や入手経路が明らかにされていない文書については、その存否や内容などの確認の調査を行う必要がない。そのように判断した。現在においても状況には変わりがない。文部科学省において考えられるもの」

 菅長官は記者会見で同じ言葉を繰り返し、再調査については否定し続けた。不毛とも言える膠着状態を打ち破ったのが、望月記者の6月8日午前の質問だったのである。

   望月記者 今や、前川さん(前事務次官)だけでなく、複数の方からの
   告発が報道等でいっぱい出ております。このことについてもう一度、真
   摯にお考えになって、文書の公開、第三者による調査というのは、お考
   えじゃないですか

   菅長官 あのー、そこについてはですね、我が国は法治国家ですからそ
   の法律に基づいて適切に対応している。こういうふうに思います。

   望月記者 出所不明を繰り返されてますけれど現役職員の方が、ですね、
   自分の身の危険を冒してもいま、告発に出ていると思うんですが。しか
   も、複数です。で、これをもしどなたかが、実名での告発に踏み切った
   場合、適正な処理をしていただけますか。その方の公益通報者保護制度
   の精神に基づいて、きちんと保護された上で、その実名の方の意見とい
   うのを聞き入れていただけるんでしょうか

   菅長官 あの、仮定のことについて答えることは控えたいと思います。い
   ずれにしろ、文部科学省で、そこは判断する。こういうふうに思います。

 こうした堂々巡りの質疑が延々と続き、司会が「同趣旨の質問はお控えいただけるようお願い致します」「同趣旨の質問を繰り返し行うのは、やめて頂きたいと思いますので、お願いします」と2回続けて注意をした。これに対して望月記者がその場で返したのが、後に広く知られることになった「きちんとした回答をいただけていると思わないので、繰り返し聞いています」――という言葉だった。

 望月記者が菅官房長官にぶつけたこのときの質問は、一人で23回(全体では34回)を数えた。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070400012_2.JPG
「(記者会見で)突っ込めばそれだけ成果出ているし、それがメディアの仕事」。前川喜平・元文部科学省事務次官はそう訴えた=東京・有楽町の有楽町朝日ホールで、2019年6月17日、筆者撮影

■政府を動かした質問

 望月記者は官房長官の記者会見に参加した理由について「これほど多くの証拠や証言が出てきているのにもかかわらず、再調査しない政府の説明は、納得がいくものではありませんでした。官房長官の会見も淡々とした質問ばかりで、問題の本質に切り込む質問はなく、官邸の内と外の温度差はあまりに大きかったのです。それならと国民の疑問や怒りを自分で直接ぶつけようと思いました」と明かしている。

 このときの官房長官会見は望月記者に続き、ジャパンタイムズの吉田玲滋記者も「FNN、テレ朝、NHK、朝日、文春は現職の文科省職員の証言を引いて、文書があったと報道している。これらはすべてウソだと、信用できないという考えか」などと追及に加わり、その様子はテレビでも大きく取り上げられた。

 6月8日夜、テレビ朝日の「報道ステーション」は、この質疑の様子を国会審議が再開した共謀罪法案に続く二番手の扱いで約9分間も取り上げた。TBSの「NEWS23」でも約4分間も放送した。

 二つの番組とも質問する複数の記者の名前を報じたわけではないが、視聴者の反響は大きかった。舌鋒鋭い記者たちの追及を受けて当惑の表情を見せる菅官房長官に多くの視聴者は、政府による隠蔽の臭いを感じ取ったのではないだろうか。

 菅官房長官は8日午後の会見後、いつもなら番記者と行うオフレコでの会見を行わずに、そのまま総理執務室に駆け込んでしまったというのだ。

 午後の記者会見では、日本テレビ記者も午前の望月記者らの質問を引き継ぐ形でただしている。「日本テレビの取材でも現職の文科省職員が存在を認めた。長官にとってまだ文書は怪文書という認識でよいか」。これに対しても菅長官は怪文書かどうかという認識は避けつつ「出所が不明のものであり、信憑性もよくわからない文書であった」と繰り返した。

 このころから、再調査への流れができ始めたとされる。翌6月9日、松野博一文科相は再調査を表明し、文科省は15日に「見つかった」と発表したのだった。

 「記者会見後に官邸の雰囲気は少し変わり始めたように思います」

 望月記者はそう語った。

 「総理のご意向文書」の発見から2年後の2019年6月17日。前川喜平氏は、映画「新聞記者」の公開を記念し、東京で開かれたシンポジウムで当時を次のように振り返っていた。

    加計学園問題の文部科学省文書は、最初、文部科学省が「調べまし
   た。確認できませんでした」と言ったわけですよね。私はまだ文部科
   学省には良心が残っているな、と思ったわけですよね。もういっぺん、
   よく調べたらありました、と言う余地を残しているよなと思ったんで
   す。それだけだったら、そのままになっていたと思うんです。望月さ
   んがあそこまでガンガンガンガン突っ込んで、そのお陰で文部科学省
   文書というのは存在が確認されたのです。

 記者の記者会見での質問が、真相の解明を阻む厚い壁に穴を開けたというわけだ。

 望月記者の質問が注目を集めるきっかけとなった17年6月8日の記者会見だったが、その一方で一転して、怪文書の存在を認めざるを得ない状況に追い込まれた文科省や官邸が、望月記者のミスを虎視眈々と待ち構えていたところに出たのが8月25日の質問だったのではないか――。

 そういう、うがった見方もできなくはない。(「望月衣塑子の質問(5)」につづく)

https://webronza.asahi.com/national/articles/2019070400012.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/803.html

[政治・選挙・NHK262] 伊藤詩織さんと元TBS記者を尋問 東京地裁(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月8日22時01分

 望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBS記者の男性に1100万円の損害賠償を求めた訴訟で、伊藤さんと男性の本人尋問が8日、東京地裁であった。伊藤さんは改めて被害を訴え、男性は合意があったと反論した。

 男性は「売名を図った悪質な虚妄だ」として1億3千万円の損害賠償を求めて伊藤さんを反訴しており、合わせて審理されている。

 男性側は伊藤さんの提訴について「TBSへの就職相談に乗ってもらっていた男性が、会社を辞めたことへの逆恨みだ」と主張している。これに対し、尋問で伊藤さんは「警察に相談に行った後、辞めると連絡があった」と強調した。性行為があった2日後に男性へ送ったメールで被害を訴えていなかった点については、「混乱し、何もなかったように過ごすことが身のためと思った」と述べた。

 一方、伊藤さん側は、性暴力に悪用される睡眠薬を男性が使った可能性を指摘している。男性は8日の尋問で「根拠なく言うのは許せない」と批判した。「安倍晋三首相との個人的な関係から逮捕状の執行が見送られたのではないか」という見方については「仮に逮捕状が出ていれば、自分は被疑者なので知る手段がない。もみ消しはできない」と語った。(新屋絵理)

https://www.asahi.com/articles/ASM7863JRM78UTIL02T.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/847.html

[政治・選挙・NHK262] 「安倍礼賛者」にされた左派の論客 リベラルは共闘下手(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月8日17時00分 近藤康太郎

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190708001991_commL.jpg
イラスト・高田ゆき

 参院選で、少数野党は巨大与党に共闘で対抗しようと必死だ。一方で、大きな争点の消費税ひとつとっても政権を批判する知識人の意見はまとまらず、「身内」どうしで反発し合っている。左派、リベラルが一枚岩になれないのは、なぜなのか。

 立命館大学の松尾匡教授(理論経済学)は、安倍政権への厳しい批判で知られる左派の論客で人気も高い。しかし、ツイッターやブログで厳しくたたかれることが、まれではない。「自民党や維新の党の協力者と同じ主張を取り続けた」など、鋭い言葉を浴びせられる。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190703000059_commL.jpg
立命館大の松尾匡教授=2015年

 これらの批判は、政権支持派からではない。味方。リベラル、左派と呼ばれる人たちからの舌鋒だ。

 松尾さんに直接聞くと、苦笑しながら、批判はかなり気になる様子だった。

 「安倍政権以降、景気が改善し……こちらは有料会員限定記事です。残り:1874文字/全文:2197文字

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190703000061_commL.jpg
井手英策・慶応大教授=2019年2月

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190708002549_commL.jpg
消費税率を引き上げる関連法案を可決した衆議院本会議=2012年6月

https://www.asahi.com/articles/ASM6Y6KBZM6YTLZU001.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/848.html

[政治・選挙・NHK262] 伊藤詩織氏「やめてと言った」 元記者への賠償請求訴訟で証言 / 元TBS記者、損賠訴訟で反論 「法に触れてない」 (東京新聞)
 
伊藤詩織氏「やめてと言った」 元記者への賠償請求訴訟で証言
TOKYO Web 2019年7月8日 11時07分

 ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が、元TBS記者の山口敬之氏から性暴力を受けたとして慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が8日、東京地裁で開かれた。伊藤さんが出廷し「(山口氏と)会食中に目まいがして、気付いたらホテルで暴行されていた。『やめて』と言って、体を守るのに必死だった」と証言した。

 午後は山口氏の証人尋問が実施される。

 伊藤さん側は、2015年に就職先の紹介を受けるため山口氏と飲食した際に記憶をなくし、ホテルで乱暴されたと主張。山口氏側は「同意に基づいており不法行為は一切ない」と反論している。

(共同)


元TBS記者、損賠訴訟で反論 「法に触れてない」
TOKYO Web 2019年7月8日 18時35分

 ジャーナリスト伊藤詩織さん(30)が、元TBS記者の山口敬之氏から性暴力を受けたとして慰謝料など1100万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論は8日午後も東京地裁で続き、山口氏は証人尋問で「法に触れる行為は絶対にしていない」と話した。伊藤さんは2015年に山口氏と飲食後、ホテルで乱暴されたと主張している。

 山口氏は「ホテルで酒に酔って吐いた伊藤さんに私物を汚され不快な態度を示した。険悪な雰囲気を和らげようとしたのか、伊藤さんは手を引っ張って積極的に誘ってきた」と反論。「合意がなかったと事実と異なることを言われ、社会的なダメージを受けた」と訴えた。

(共同)
 
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019070801001409.html
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019070801001983.html

http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/849.html

[政治・選挙・NHK262] 問われているのは、国民に嘘をつき続けるアベ政権を、信任するのかどうかだ。 (前川喜平ツイッター ・2)
自由と平等と友愛を原理とする社会の実現を求めています。
日本と世界の未来を危うくするアベ政権の退陣を求めています。
前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)@brahmslover


(以下、珠玉の最新ツイート集 第2弾)

◇このピラニア、うまい言葉に騙されて投票する哀れな選挙民のように思われる。
https://twitter.com/GENSENDOGAbot/status/1147702704291979264
厳選動画bot ピラニアの釣り方草wwww
https://twitter.com/brahmslover/status/1147995857666469888

◇「僕が生きていけてるので」とアベ自民党を支持する若者たちへ。このまま40年経ったら、皆さんは生きていけなくなります。それは富が一部の人に集中していくためです。それは金持ち優遇の制度があるためです。それはアベ自民党が金持ちに支えられた政党だからです。
https://twitter.com/brahmslover/status/1147965758141390848

◇サンデーモーニングで青木理さん「事実とかデータに基づいて政策を作って行くんじゃなくて、政権の意向とか都合に合わせてデータをかき集めたりねじ曲げたり、見たくないものは見ない、事実を書いた公文書を改竄しちゃう。破滅への道」
https://twitter.com/brahmslover/status/1147899413152464896

◇年金問題についてアベ自民党総裁の街頭演説「野党は具体的な財源を示さず具体的な案を示さず不安ばかり煽っている」。これはウソ。野党は具体案を示している。不安の元凶はアベ政権だ。
https://twitter.com/brahmslover/status/1147892782733774851

◇前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)さんがリツイート
中野晃一 Koichi Nakano@knakano1970
だらだら言い訳してますが、一言で言えば「とっさに安倍さんに忖度して固まっちゃった」ってことですよね。
話題の「忖度」の瞬間芸をライブで見れたのは興味深かったです。
長年無節操に安倍さんにべったりくっついた結果、良心的な創価学会員が離反するだけのことはあるな、と感銘を受けました。
https://twitter.com/knakano1970/status/1147647196679958528

◇権門上に傲れども国を憂うる誠なし。財閥富を誇れども社稷を思う心なし。
https://twitter.com/brahmslover/status/1147885428789268481

◇すべての「正義」を相対化したら、正義は結局どこにもなくなってしまう。「正義と正義の間の分断」で済ませている人には「あなたの正義は?」と問いたい。僕らは正義を求めよう。不正義と戦おう。
https://twitter.com/brahmslover/status/1147884071466307585

◇野党統一候補を応援します。
https://twitter.com/brahmslover/status/1147879569891835907

◇前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)さんがリツイート
小野寺宏友 #VOTE部城南@deluxe55
中野駅北口アベちゃん街宣、カウンターの怒号でほとんど聞き取れず騒然としたままおしまい。
ま、大したこと言ってないし民主党時代や野党のディスりばかりで。
https://twitter.com/deluxe55/status/1147769610927665153

◇ 前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)さんがリツイート
orange@orenjikd
今日、乗り換えの駅にあった七夕飾り。
やっぱりステキなこと書く人いるんだね。
今までの七夕でこんなことあったか?
https://twitter.com/orenjikd/status/1147870506231578625

◇亡くなった元自衛官の泥憲和さん「集団的自衛権は他人の喧嘩を買いに行くこと。他人の喧嘩を買いに行ったら逆恨みされる。だからテロに遭う。自衛隊はテロから市民を守れない。集団的自衛権に反対する政党に投票してください」
https://twitter.com/brahmslover/status/1147873181618675714

◇憲法が争点だと言うアベ首相。それなら集団的自衛権の行使を認めた安保法制の違憲性こそ、真っ先に議論すべきなのだ。
https://twitter.com/brahmslover/status/1147871936308924417

◇前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)さんがリツイート
石垣のりこ@norinotes
⚠️参院選の争点⚠️
 1990年度と2018年度の税収を比較すると
  消費税👉4倍に増えた
  法人税👉4割減った
 消費税は低所得層ほど負担が大きい税金。貧困層が増える中、富裕層を優遇する税制をこのまま進めて良いのでしょうか?
 お金があるところからいただくのが政治の仕事です。
https://twitter.com/norinotes/status/1147677932300591104

◇参院選始まる。問われているのは、国民に嘘をつき続けるアベ政権を、信任するのかどうかだ。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146770472140361729

◇「教育基本法を改正し教育の目標として愛国心を書き込んだ」「国のために命を懸ける」「かけがえのない祖国を護る」とアベ首相。人の命より国が大事という考え方。南三陸町の女性職員は命を守ろうとしたんだ。国を守ろうとしたんじゃない。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146606265709105153

◇前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)さんがリツイート
山岡俊介@yama03024
この暴力団との関係を暴き、追及している山岡俊介です。私の過去のツイート見ていただければ事件の概要が詳しく分かります。関心を持っていただき、ありがとうございます。何しろ、大手マスコミは一切無視ですから。東京新聞の望月記者の新書『安倍晋三大研究』には私のインタビューが載っています
https://twitter.com/yama03024/status/1146023021905207296

◇原発新増設という基本的な政策で自公は一致していない。これでよく連立政権が組めるものだ。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146587967198093312

◇アベ首相は、野党間の自衛隊の合憲性に対する考え方の違いを突いて、共闘の足並みを乱そうとしているが、改憲に対する自民党と公明党との間の不一致は、いったいどう説明するのだろう?
https://twitter.com/brahmslover/status/1146582170594451462

◇選択的夫婦別姓にただ一人賛成の手を挙げなかったアベ自民党総裁。国家・社会の基礎的な単位は「家」だと考えるから「家名」が大事なのだ。個人の尊厳に立脚しない戦前回帰の観念である。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146579642712645632

◇アベ政権の対韓輸出規制措置は、日中戦争時に軍が作った「暴支膺懲」のスローガンを思い出させる。「悪いのはあいつらだ。懲らしめてやろう」。「暴支膺懲」。当時多くの日本国民はこの言葉に熱狂した。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146075673435365376

◇アベ政権の対韓国輸出規制は「対抗措置ではないと明言します」とスガ官房長官。徴用工問題の対抗措置であることは誰の目にも明らか。誰もが嘘だとわかっていることを知りつつ嘘を言う。実に陰険な態度だ。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146073112514949121

◇アベ政権の対韓国輸出規制は「安全保障を目的に輸出管理を適切に実施する観点からその運用を見直すもの」とスガ官房長官。全く意味をなさない言葉の羅列。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146071710908608512

◇子どもが指導死もいじめ自殺も虐待死もしない社会にしたい。根本は人を大切にする政治だ。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146066690494455809

◇さいたま市立南浦和中学校の部活動顧問の暴言による指導死事件。学校の人権蹂躙体質と隠蔽体質が強く疑われる。事実を明らかにし、責任ある教員はしっかり処分すべきだ。部活はやめていい。学校は行かなくていい。死ぬほどつらいことを我慢してはいけない。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146063463900307456

◇生活が苦しいと感じる人は自民党と自民党の候補者に投票してはいけません。
https://twitter.com/brahmslover/status/1146057212827058176

https://twitter.com/brahmslover
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[政治・選挙・NHK262] 白井聡が読む『パルチザン伝説』 戦後日本の「現在」を憎悪し否定した作家・桐山襲 (朝日新聞社 論座)
白井聡が読む『パルチザン伝説』
戦後日本の「現在」を憎悪し否定した作家・桐山襲

白井聡 京都精華大学人文学部専任講師
論座 2019年07月09日 より無料公開部分を転載。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070400010_1.jpg
三菱重工ビル爆破事件。8人が死亡し、380人が重軽傷を負った=1974年8月3日

■創作動機は「現在への憎しみ」

 寺島実郎が『世界』6月号(岩波書店)に衝撃的なことを書いている。3.11の福島第一原発事故の際、「米軍による日本再占領」が検討されていたのだという。衝撃的ではあるが、筆者は当然のことだとも感じる。あの非常時において、日本の体制は当事者としての対処能力を致命的に欠いているという事実をさらけ出したからだ。

 なにもそれは原子力ムラのエリートたちだけではない。何が起きても「本気」になれない人たち。いまこの国を崩れ落ちるにまかせているのは、この無気力ではないのか。

 いつからこの国はこんな有り様になったのか。この度、作品社から『全作品T,U』(2巻)が刊行された作家、桐山襲は今を去ること30年前、第一の創作動機として「現在への憎しみ」を挙げていた。1949年に生まれ、学生時代からその早過ぎる晩年に至るまで(1992年没)新左翼運動にコミットした桐山にとって、「現在」あるいは戦後日本は、唾棄すべき対象にほかならなかった。

 ただし、「戦後日本の虚妄」やら「戦後民主主義の欺瞞」といったフレーズには、右からのものであれ、左からのものであれ、たっぷりと手垢が付いている。それは、桐山がデビューした時代(1983年)において、すでにそうだった。1970年、三島由紀夫は、自決の直前に、戦後の日本を「私はほとんど「生きた」とはいえない。鼻をつまみながら通りすぎたのだ」と述べていた。

 だから、肝心なのは「現在に対する憎悪」の強度なのだ。桐山襲は、その強度において突出した書き手であった。

 本稿では、桐山の処女作にして代表作と目される『パルチザン伝説』(1983年)の内容について考えたい。同作品は、虚構を混じえつつ、実際の事件、すなわち、東アジア反日武装戦線による連続企業爆破事件ならびに同グループによる昭和天皇暗殺未遂事件についての貴重な史料となっている。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070400010_4.JPEG
三菱重工ビル爆破事件。負傷者を搬送する消防職員と救急隊員=1974年8月30日

■「筋を通せ。通さないなら刺し違える覚悟で強制的に通させる」

 連続企業爆破事件とは、1974年8月30日に三菱重工本社(東京丸の内)に爆弾が仕掛けられ爆発、8名が死亡、385名が負傷した事件を皮切りに、翌年5月までの間に企業等を対象として発生した合計9件の爆弾テロ事件を指す。これらを実行したのは「東アジア反日武装戦線」を名乗った、全共闘運動のノンセクト・ラジカルを出自とするグループであり、その主要メンバーは、75年5月19日、一斉逮捕された。ただし、メンバーのうち、桐島聡は現在も全国指名手配逃亡中であり、逮捕された者のうち佐々木規夫、大道寺あや子、浴田由紀子の3名は、日本赤軍の起こしたクアラルンプール事件、ダッカ事件により、超法規的に釈放され、国際指名手配中である。その意味で、この事件はいまだ終結していない。

 連続企業爆破事件は、1995年のオウム真理教による毒ガステロ事件が発生するまで、その犠牲者数において近代日本史上最大のテロ事件であった。にもかかわらず、 ・・・ログインして読む
(残り:約3014文字/本文:約4300文字)

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019070400010.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/871.html

[原発・フッ素51] 原発政策に固執する理由 今度は核処分場ビジネスに投機する流れ(長周新聞)
長周新聞 2019年7月9日

 中国電力は6月10日に全国最後の新規立地ともいわれる上関原発建設計画とかかわって、山口県に対して予定地の公有水面埋め立て許可について今年7月の期限を3年6カ月延長し、2023年1月までとする申請書を提出した。さらに6月26日に開いた株主総会では上関原発について「将来も原子力技術を確保するために新増設は必要。これまで以上に重要な経営課題」「(エネルギー基本計画に)新増設の明記はないが脱炭素化の選択肢として原子力は重要」などと必要性を強調した。だが、世界的に見ても国内的に見ても、とりわけ福島原発事故を契機にして原発からの撤退の流れは押しとどめることはできず、大きな潮流になっている。中電のような原発に固執する古い経営体質の電力会社ははじき飛ばされかねないのが現実だ。それでもなおかつ上関原発建設予定地の埋め立てに固執する背景には、核のゴミ捨て場建設などの別目的があることも指摘されている。最近の世界的な原発事情に関連して日本の原発政策について見てみた。

■世界的には撤退の趨勢

 世界的に原発については、国際的なエネルギー・原子力政策問題の評論家であるマイケル・シュナイダーが「絶滅危惧種」と表現しているとおりだ。具体的に見ていくと、世界で建設中の原子炉数は80年代をピークに激減している【グラフ参照】。福島原発事故前の2010年に68基だったものが19年初頭には49基となり、19基減っている。建設開始数はピークの1976年の44基から95年にはゼロになった。その後2010年には15基の建設が開始されたが、その3分の2は中国だった。その中国も16年12月で原発の新規着工をストップしている。11年の福島原発事故を経て17、18年には建設開始の原発は各5基に減った。

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世界で完成・建設中の原子炉数(1951〜2018年)

 この2年間で建設が開始された10基のうちの6基がロシア製で、どれも民間銀行や民間投資家の融資によるものではなく、政府の資金提供によるか、直接・間接に公的補助金を得たものだ。それは、民間の投資家や世界銀行、アジア開発銀行などが原発建設プロジェクトに対して融資を渋っているからだ。原発への投資はリスクが非常に高い。最終的な建設費がどれくらいになるのか、建設した原発が収入をもたらし始めるのはいつになるのかもわからない。格付け会社は、原発建設計画を「クレジット・ネガティブ」(格下げ要因)と評価している。新しい原発建設プログラム全体が格付け会社による格下げ警告を受けて中止された例もある。

 世界全体で見ると、2017年の原子力発電容量の純増は約1ギガhで、原発1基分でしかない。同年の世界全体での発電容量純増分257ギガhの0・4%しか占めておらず、原発は世界の発電市場において競争力を失っている。

■終わったコンテンツと化した原発

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アメリカは人類史上で唯一広島、長崎に原爆を投下した

 第二次世界大戦でアメリカは人類史上で唯一広島、長崎に原爆を投下したが、その8年後の1953年の国連総会でアイゼンハワー大統領が「アトムス・フォー・ピース(平和のための原子力)」を提唱し、原爆製造過程から産まれた原発推進に拍車をかけた。それから今年で66年たつが、この間「安全神話」「安価なコスト」「安定した電力供給」などの大義名分はことごとく破たんした。原発は技術的に未完成であるとともに、「トイレなきマンション」と呼ばれるとおり、使用済み核燃料の処分場建設のめどはない。また、核兵器開発と表裏一体の技術であり、核拡散問題と繋がっている。

 1979年のスリーマイル島原発の炉心溶融事故、1986年のチェルノブイリ原発核暴走事故、2011年の福島原発事故と重大事故があいつぎ、まず原発の先進国であったアメリカやヨーロッパで原発からの撤退がすう勢となった。

 国際エネルギー機関(IEA)は毎年「世界エネルギー見通し」を公表しているが、2018年版では2040年時点で原発の割合は9・2%にとどまっている。これに対して自然エネルギーはその4倍をこえる41・4%に達しており、IEAの予測でさえ原発の低迷は明白だ。

 原発からの撤退がすう勢になるにはさまざまな要因があるが、最近ではコストの高さが最大の理由の一つになってきている。世界的な投資顧問・資産管理会社ラザードが出した電源別発電コストの推移を見ると、原発の発電コストは18年で1`h時当り15・1kとなっている。石炭火力の10・2kの1・5倍、ガス火力の5・8kの3倍という高さだ。他方で太陽光発電は10年時点で24・8kだったが、18年には4・3kにまで下がっている。風力発電も同時期に12・4kから4・2kまで低下した。18年段階では原発はすべての電源のなかでもっとも高コストになっており、自然エネルギー電源の4倍近くにのぼっている。

 各国で投資の方向が自然エネルギーへ大きく転換している。全世界のエネルギー投資の調査によると、原発に対する新規投資は2004年以降では500億jをこえたことは一度もない。他方で大型水力を除く自然エネルギー発電への新規投資は10年から大幅に拡大しており、毎年2000億〜3000億j以上にのぼっている。

 原発は大規模集中型の電源であり、一つの原発の総投資額が数千億円から一兆数千億円と巨額にのぼる。加えて、建設着工から稼働開始までに長期間を要し、その間に想定外の事態に直面して工期が延長されることもたびたびある。原発は、民間投資の対象としてはきわめてリスクの高い電源になっていることで、投資家が敬遠している。

 IAEA(国際原子力機関)の統計では、全世界で運転可能な商業用原発は18年12月時点で約450基ある。そのうちアメリカには最大の98基があるが、1990年のピーク時に比べ13基少ない。原発推進の旗を振ってきたアメリカで原発からの撤退が進んでいる。原発の経済性の問題が顕著にあらわれているのもアメリカだ。ブルームバーグNEFの調査では、アメリカで原発を新設した場合の発電コストは電力1`h時当り20円をこえている。対して陸上の風力発電は平均で約4円、太陽光発電とガス火力発電は平均で約5円であり、コスト競争力に圧倒的な差がついている。新設する場合だけではなく、運転中の原発の採算性も困難性を増している。アメリカでは原発の償却期間は15年と設定されており、すでに投資回収を終えた発電設備が多い。それでも運転に必要なコストが風力・太陽光やガス火力発電の発電コストを上回るようになっており、電力の取引市場で苦戦を強いられている。そのためいくつかの州では原発に補助金を出して支えている。

 17年には全米61カ所の原発(合計99基)のうち半数以上の34カ所が赤字に陥った。もはや原発では安定した収益が見込めなくなり、25年までに新たに12基の原発が運転を終了する。そのうち10基は運転可能な期間を大幅に残しているにもかかわらず廃止をよぎなくされた。なおアメリカの50州のうち、カリフォルニア州とハワイ州は四五年までに州内の電力を自然エネルギー100%で供給する目標を掲げている。

 世界でもっとも原発依存度が高いフランスでも原発からの撤退は進んでいる。フランスでは国全体の発電量の70%以上を原発が占めている。最近の8年間で原発の数に変化はないが、発電量は減少している。原発の老朽化が進み機器の故障による運転停止の頻度が増えているためだ。原発は1カ所で大量の電力をつくることができるが、裏返せば想定外の運転停止は電力の安定供給に大きな支障を来す。フランス政府は福島原発事故以後、原発の縮小に乗り出し35年までに国全体の発電量に占める比率を50%まで低下させることを決めた。

 イタリアは原発から完全に撤退し、ドイツでも22年までに撤退する。ベルギーも25年までに原発撤退を決めている。原発に依存しすぎたフランスはヨーロッパの電力市場で不利な競争を強いられている。

 ヨーロッパではアイルランド、オーストリア、デンマークが法律で原発を禁止している。スイスは原発の新設を禁止しており、既設の5基が運転を終了した時点で原発がゼロになる。ヨーロッパ以外ではオーストラリアが原発を禁止している。韓国は建設中の5基を含めて合計29基の原発があるが、運転延長や新設は認めない方針で、運転期間の終了にともなって段階的に原発を撤廃していく。

 他方、中国では原発が増加している。過去8年間で新たに33基が運転を開始した。既設分と合わせると日本を抜いてアメリカ、フランスに次いで第3位の原発大国になったが、それでも国全体の発電量のうち4%を占めるにすぎない。

 中国は21世紀に入って急速な高度成長にともない国全体の発電量が一気に増大し、アメリカを上回って世界最大の発電量を誇っており、日本の約6倍の規模になっている。ただし石炭火力が全体の6割以上を占めて、大気汚染の問題が深刻になり、中国政府は原発と自然エネルギーの両方を伸ばす戦略を進めてきた。中国では以前から水力発電が盛んで、自然エネルギーの比率は18年に25%に達した。風力発電が10年から大幅に増え、13年には原発の発電量を抜いた。さらに最近では太陽光発電が風力を上回る勢いで伸びている。すでに風力と太陽光は政府目標を前倒しで達成しているが、原発は目標を大きく下回っている。原発は二酸化炭素を排出しないとはいえ放射性廃棄物を生み出し、放射性廃棄物の処分を含めて安全性の問題を解決できず、中国でも原発を拡大することは難しくなっている。

 急速な経済発展を遂げるインドも中国と似通っている。現在合計22基が稼働中で、さらに7基の新規計画が進んでいるが、政府が32年までの長期計画で掲げた目標には遠くおよばず、18年に目標を下方修正した。国全体の発電量に占める原発の比率は3%にとどまり、今後上昇する見込みはない。

■尻拭い役の日本企業 日米原子力協定の呪縛

 1950年代から商業用原発が建設され60年以上がたち、先進国の原発は老朽化がめだっている【表参照】。原発が最多のアメリカでは平均運転年数は38年に達している。アメリカでは政府の承認を得れば20年の運転延長が可能だが、他の発電方法と比べて採算性が厳しくなるなかで、運転期間を40年以上に延長する原発が多数出る可能性は低い。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/173f6f9116748ab74a14b5a6b1976cc6-768x1326.jpg
原子炉の平均運転年数(2018年12月時点)

 原発の数が第2位のフランスでも平均運転年数は34年に達し、日本とロシアは平均で約30年だ。運転期間を40年以上に延ばすためには安全対策として多額のコストがかかる。現時点で運転可能な世界の原発がすべて40年で運転を終了した場合、30年代の初めの時点で残っている原発は4分の1程度しかない。アメリカなどでは40年を待たずに運転を終了する原発が増えており、縮小のペースはさらに早まる。

 世界的に撤退していく潮流のなかで、先進国では日本のみが、福島原発事故を起こしながらいまだに原発依存の体質から抜け出せない。そこには「日米原子力協定」に縛られ、アメリカのWH(ウェスチングハウス)やGE(ゼネラル・エレクトリック)の下請として東芝や日立、三菱が使われてきた姿がある。いずれも世界的な原発撤退の尻ぬぐいの役目を押しつけられ屋台骨まで揺るがす経営危機にさらされ、世界の新しい流れからとり残されている。

 日本国内を見ると、福島原発事故を教訓にして原発撤退世論が圧倒しており、原発をめぐる状況は激変した。今年の5月段階で営業運転をおこなっている原発は9基のみだ。11年の福島原発事故前は原発が全発電量の27%を占めていたが、事故後は原発ゼロの状態が2年間続き、54基の原発がなくても電気は十分に足りていることを証明した。17年度の原発の発電割合は3・1%にすぎない。しかも今年4月に原子力規制委員会はテロ対策施設が遅れた原発の運転を停止させると表明しており、再稼働済みの9基も再停止が予測されている。

 福島事故以前に稼働していた54基の原発のうちすでに21基が廃炉を決めており、残りは33基だ。このうち13年7月に施行された新規制基準への申請は25基で、認可基数は15基にとどまっている。規制委が認可した原発であっても、再稼働には地元同意が必要であり、原発再稼働反対の圧倒的な世論のなかで難航している。こうした現実に直面しても政府と原子力・電力業界は「原発は絶対に必要」と主張し続けている。

 政府が18年に出した「エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーを「主力電源化」する方針を新たにうち出す一方で、原発については「重要なベースロード電源」とし、2030年に20〜22%の電力を原発で供給するとした。

 専門家は、現実を直視すれば20〜22%という目標はおろかその半分程度の実現も容易ではないとしている。それどころか、30年以降日本の原発の縮小はさらに加速すると見ている【グラフ参照】。だからといって新規の原発建設は高コスト化し採算はまったくあわず、老朽原発を60年稼働する場合の経済的なデメリットやリスクも大きく、原発撤退の流れは日本でも現実化している。

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日本の原子力発電設備容量の予測

 さらに日本では電力自由化推進のもとで20年には、総括原価方式の電気料金が撤廃される。原発は巨額の初期投資と安全対策など長期的な資金調達を必要とする設備投資が不可欠だ。電力会社は建設にかかる巨額の投資を長い期間をかけて回収するが、かかった費用を電気料金に上乗せして回収することを可能にしたのが総括原価方式だ。電力の地域独占と総括原価方式が原発を持つ電力会社の経営を支えてきた。

 原発は建設から廃炉、使用済み燃料の再処理にいたる費用を電気料金に組み込み、国民全体で負担することを前提に成り立ってきた。2020年に総括原価方式による料金規制が撤廃されると、原発を持つ電力会社は追加的費用をみずから捻出しなければならないし、使用済み燃料など放射性廃棄物の処分や廃炉に向けたとりくみをおこなわなければならない。

 原発推進の立場に立つ専門家は、電力自由化にともない総括原価方式や地域独占など制度的な保障が廃止されていくなかで、「電力会社が原発のリプレース(建て替え)や新増設に関してこれまでのような好条件で投資資金を調達できる見込みは非常に薄い」「更新や安全対策に巨額の長期投資を必要とする原発はいずれ維持できなくなる懸念が現実のものとなる」と危機感を表明している。

 中国電力の場合、島根原発1号機(41年間運転)は17年に廃炉決定、島根2号機(運転開始から30年)と島根3号機(建設中)の早期稼働をめざすとし、加えて「上関原発の開発に向けたとりくみの推進」を掲げている。だが、中電の経営事情を見ると、家庭を含めた電力小売の全面電力自由化が始まってから3年が経過した今年3月期の連結決算では純利益は前期比45%減であった。電力自由化のもとでの販売電力量の減少が響いている。

 電力自由化のもとでの厳しいコスト競争のなかで、原発再稼働のための安全対策費や増設・新設費用や廃炉費用、さらには事故が起こったさいの賠償費などを負担することは中電の経営をさらに悪化させることは目に見えており、原発建設がお荷物になっていることは明らかといえる。

 中電は上関原発の新規建設を執拗に叫ぶが実現の可能性はなく、しかし上関町内での利権だけは維持し続ける動きを見せている。考えられるのは、予定地周辺の海域を埋め立て、核のゴミ処理場にしようという狙いである。

■仏ヴェオリアの怪しい動き

 世界各国と同様、日本も高レベル放射性廃棄物の最終処分地を確保できていない。2015年に政府・経済産業省は「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」を閣議決定し、2017年に処分に適した場所を示した「科学的特性マップ」を発表した。現在全国で説明会を開催しており、山口県内でも開かれている。

 使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物の処理は、数百bの深さにある安全な地層に建設した施設で最終的に処分する計画を政府は立てている。長年にわたって世界各国でも最終処分場建設の適地調査をおこなっているが、地層処分ができる施設の建設は実現できていない。唯一見通しがたっているのはフィンランドの地層処分施設オンカロで、2015年に建設が認められ、2020年代に運用開始を見込んでいる。

 世界最大の原発大国アメリカでも、最終処分場はない。建設候補地としてネバダ州の砂漠地帯にあるユッカ・マウンテンを30年以上前に選定し、150億jの巨費を投じて調査を進めたが、地元の反対によって現在は計画を中止している。ドイツも、北部のゴアレーベンに処分施設を建設する計画が進んでいたが、技術的に不安定であることが指摘され、地元住民の猛反発を受けて中断している。

 世界各国で核のゴミ処分場建設が進まないなかで、核のゴミが溜まり続ける先進国が目をつけているのが日本だ。2016年4月にフランスのヴェオリア社が放射性廃棄物の処理事業を日本で開始すると『日本経済新聞』が報道した。環境省が福島原発事故で出た放射性廃棄物のうち8000ベクレル/`c以下の汚染土を公共事業で再利用することを正式に決定したことを受けてのものだ。

 環境省はさらに汚染土を「公園を含む緑地の造成」や「園芸作物を植える農地の造成」にも利用可能として用途を拡大し続けている。放射性廃棄物の再利用基準はIAEAの基準にもとづいて原子炉等規制法によって、100ベクレル/`cと決まっていた。それを80倍も緩和したのだ。

 ヴェオリア社のCEOは「今後、先進国には原発の廃炉や使用済み核廃棄物処理の膨大な需要があり、それは2030年までに2000億j(約22兆円)になる」といい、その事業を日本を拠点に開始すると表明した。直前の2016年3月に同CEOは放射性廃棄物処理分野で最先端の技術を持つアメリカのキュリオン社を3億5000万j(約400億円)で買収している。

 さらに安倍政府の原発輸出戦略は失敗続きとはいうものの、「使用済み核燃料を日本が全部引き受ける」という約束を交わしている。世界中でもっとも緩い規制基準にしたことで核のゴミ処理のコストは低くてすみ、「世界の核のゴミはすべて日本に運べばよい」ということになり、世界の放射性廃棄物の最終処分場になりかねない。

 加えて昨年末のTPP11や今年2月の日欧EPAの発効で、「政府調達」分野では公共事業の入札が外資に開かれた。外資が核のゴミを日本に持ち込み公共事業に投入することを拒否できなくなる可能性がある。世界中の核ゴミを引き受けようというのが日本政府であり、中電が上関原発計画を白紙撤回せず利権を維持する背景には、核ゴミの処分場建設の狙いがあるのではないかと警戒されている。

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12113
http://www.asyura2.com/19/genpatu51/msg/713.html

[政治・選挙・NHK262] ネットの世界ではダントツのようですが、既存政党はリアルの世界で地道に票固めをしています。(蓮池透ツイッター)

蓮池透@1955Toru
山本太郎「反原発はどうした!」とご指摘の皆様ご安心下さい。れいわ緊急政策として挙げています。それも「原発即時禁止」です。これは山本にとって、言うまでもなく基本の「き」なのです。東京電力で原子力エンジニアのはしくれだった私も強く訴えます!
https://twitter.com/1955Toru/status/1148538605138145281

蓮池透さんがリツイート
茂木健一郎@kenichiromogi
「国会議員一人で何ができる?」という聴衆の問いかけに反応することから始まる、山本太郎さんの熱い魂のスピーチ。米民主党のカーマラ・ハリスさんと通じるものがる。今回の選挙、話している内容やヴィジョンで誰かひとりということならば山本さんでしょう。日本は山本さんを受け止められるのかな。
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1148517854309830656

蓮池透さんがリツイート
畑中葉子@hatanaka_yoko
『れいわ新選組』の事務所に参議院選のハガキをもらいに行ってきた。
私は『れいわ新選組』を応援しています。『れいわ新選組』の事務所に参議院選のハガキをもらいに行ってきた。
私は『れいわ新選組』を応援しています。
◎東京選挙区は、野原ヨシマサ
◎全国比例は、山本太郎
(敬称略)
皆様のお力添えをよろしくお願いいたします。
https://twitter.com/hatanaka_yoko/status/1148201664567894017

蓮池透さんがリツイート
リリ@ri_9024
今日も比例区ポスター貼ってきた!
いい家主さんが、山本太郎の政見放送よかったよ!と声をかけてくださった。
れいわ比例区当選は2番目まで重度障害の木村さんとふなごさん。
山本太郎は3番目当選ライン。だから300万票必要❗️
弱者に優しく本気の太郎さんがいます❗️
https://twitter.com/ri_9024/status/1148475930911711233

蓮池透さんがリツイート
mmiizzuuhhoo777@mmiizzuuhhoo777
昨夜LINEで「れいわ」も「山本太郎」も知らないと言った友人にLINEで動画を送ったら、今朝「感動した!れいわにする!」と数件の返事が返って来ていました!
れいわのみなさんのライブ演説動画は波及せずにはいられない訴求力があります!地道にコツコツ、頑張ります!
https://twitter.com/mmiizzuuhhoo777/status/1148373263988350976

蓮池透さんがリツイート
盛田隆二@product1954
日本のテレビは、山本太郎のれいわ新選組を紹介せず、討論にも呼ばない
日本のテレビは、話題沸騰中の映画『新聞記者』を取り上げない
日本のテレビは、選挙期間中に安倍首相のCMを流し、公選法違反の疑い
日本のテレビは、社会現象や政治不正を報じない
理路整然と訴える山本太郎。政見放送が頼みの綱
https://twitter.com/product1954/status/1148404114482552832

蓮池透さんがリツイート
日仏共同テレビ局France10及川健二@esperanto2600
報道ステーション素晴らしい。
ちゃんと #れいわ新選組 の野原ヨシマサ候補を報道した。
しかも、創価学会員で、なっちゃん批判をしている部分の演説を流した。
これが全国に流れたのだ。
初めて知った創価学会員も多いだろう。
https://twitter.com/esperanto2600/status/1148218968529764352

蓮池透@1955Toru
ネットの世界ではダントツのようですが、既存政党はリアルの世界で地道に票固めをしています。私たちも負けずに頑張っていきましょう!リツィートやいいねを下さっている皆様に感謝するとともに、是非こちらも‼️
#れいわ新選組 #公選ハガキ
https://v.reiwa-shinsengumi.com/hagaki/
https://twitter.com/1955Toru/status/1148222939117936640

蓮池透@1955Toru
廃炉作業と住民帰還を同時に進める。これは異例のこと、との報道があつたが極めて異常なことだ。
https://twitter.com/1955Toru/status/1148209433928851456

蓮池透@1955Toru
被害者を愚弄している! 無理やり避難解除し、避難者数を減らす。究極の統計不正!
https://twitter.com/1955Toru/status/1148203324727894017

蓮池透@1955Toru
「山本太郎現象」では終わらせない!!!
https://twitter.com/1955Toru/status/1148070781185740801

蓮池透さんがリツイート
水野木内みどり@kiuchi_midori
届いた!
選挙ハガキ。
300枚。
想いをこめて、書くぞ!
https://twitter.com/kiuchi_midori/status/1147718592755974145

https://twitter.com/1955Toru
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/878.html

[政治・選挙・NHK262] 参院選序盤の選挙情勢をどう見る 改憲勢力「3分の2割れ」がもたらすもの(1)(リベラル21)
参院選序盤の選挙情勢をどう見る
改憲勢力「3分の2割れ」がもたらすもの(1)

広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
2019.07.09


 7月6日、各紙は参院選序盤の選挙情勢に関する有権者調査(7月4,5日実施)を発表した。見出しは、朝日「自公、改選過半数の勢い、改憲勢力2/3は微妙」、毎日「改憲3分の2割れも、与党、改選過半数は確保」、日経(共同通信)「自公、改選過半数の勢い、改憲勢力2/3うかがう」というもの。各紙が挙って同じ情勢を報じているのだから、情勢分析の確度は相当高いと思える。残念ながら「自公、過半数割れ」は望むべくもない以上、焦点は「改憲勢力、3分の2割れ」に移ることになる。果たしてこれが可能なのか。もう少し、各紙の解説を紹介しよう。

【朝日】
 改憲発議が可能になる「3分の2」は164議席。自公与党に維新、与党系無所属を加えた「改憲勢力」は非改選79議席あり、改選で85議席が必要だ。自民、公明、維新の3党で計80議席前後となりそうで、85議席に届くかは微妙だ。

【毎日】
 自公は衆院で3分の2を確保し、参院では維新と、改憲に前向きな無所属議員と合わせて3分の2を占める。非改選の改憲勢力議員は79人で、3分の2の維持には85人の当選が必要だ。序盤情勢では自公維3党は69議席からの上積みを狙う。党勢が好調なら3党で85に達する可能性もある。

【日経(共同通信)】
 自民、公明両党は改選124議席の過半数63を超え、改選前の77議席前後まで積み上げる勢い。安倍政権下での憲法改正に前向きな「改憲勢力」は、国会発議に必要な3分の2以上の議席維持をうかがう。野党は立憲民主党が改選9議席からの倍増を視野に入れるものの、全体では伸び悩む。

 私が注目するのは、選挙公示日直後の有権者調査で早くも「改憲勢力3分の2割れ」の兆候が出ていることだ。本格的な論戦が始まる前段階でこのような兆候があらわれているのは、国民の間に流れている「安倍改憲」への根強い警戒心を示すものだろう。今後、安倍首相が改憲姿勢に前のめりになればなるほど、国民の警戒心はますます高まるに違いない。

 その一方、予想外だったのは1人区での野党共闘の不振ぶりだ。毎日新聞は「1人区、苦しい野党」「共闘空回り、優勢5区」と見出しでその実態をあまねく伝えている。表向きは野党共闘であっても、(1)立憲民主と国民民主の主導権争いが解消されず、互いの支援活動に腰が入ってないこと、(2)共産に対する他党支持層のアレルギーが根強いこと、(3)無所属の野党統一候補は18選挙区に上るが、政党色を抑え幅広い支持を得る狙いが十分に発揮されていないこと、などがその原因だという。

 それに、1人区はもともと自民が強い選挙区であること、野党統一候補はほとんど新人で名前が浸透していないこともある。ならば、もっと早くから野党共闘体制を確立し、候補者を決定して選挙運動を始めるべきであったが、野党第一党の枝野立憲民主代表が最後まで踏み切らずこのような事態を招いたことは誠に残念だと言わなければならない。もっとも今回の参院選における枝野代表の狙いは、かねてからの持論の如く「野党第一党の座を確実にする」(日経新聞コラム「大機小機」、7月6日)というものらしいから、野党統一候補のために全力を傾注することにはならないのだろう。

 しかし、より根本的な問題は、安倍政権の政策に賛成はしないが自民に投票するとする支持層が多数存在するという現実だ。朝日新聞によると、年金だけでは「2千万円不足」という問題に関しては、麻生金融担当相が報告書の受け取りを拒んだ対応について「納得できない」62%、「納得できる」16%と大差がついているにもかかわらず、納得できない層の比例区投票先は自民40%に達し、立民24%を大きく引き離している。また、消費税増税に「反対」する人の比例区投票先も自民40%、立民21%とこれも変わらない。つまり、政策に関係なく自民を支持する有権者が多数いるということだ。

 おそらくこのギャップは、政策の問題点がより明確になる中盤戦から終盤線にかけて縮小するものと思われるが、目下のところ「選挙戦が始まったばかりの現時点では、これらの問題に関する批判層が野党に大きく流れる状況までには至っていない」(朝日)というのが実態だろう。だが、果たしてこのような状況は起こりうるものなのか。

 私はその背景に、政策で政党を選択するという近代政治の基本が国民の間に充分に浸透していないことがあるのではないかと疑っている。また、その原因として野党がそもそも政権政党として国民に信頼されていないのではないかと思っている。民主党政権による無様な政権運営、野党転落後の見苦しい分裂劇、最近では元閣僚の自民入党など、野党の存在意義を揺るがす不祥事には事欠かないからだ。

 また、野党共闘の不振に関しても、これまで金科玉条の如く「自共対決」を掲げて野党共闘を拒んできた共産に責任がないとはいえないだろう。国民はいきなり「昨日の敵は今日の友」なんて言われても、そう簡単に信用することができないからだ。いずれにしても、政策を掲げるだけでは野党の存在意義を国民に納得させることはできない。それを示すのは政策を実行する政党の体質なのである。(つづく)

http://lib21.blog96.fc2.com/
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/881.html

[政治・選挙・NHK262] 思い出そう、政権傲慢行為の数々。安倍政権よ、自民党よ。「有権者をなめるな!」(澤藤統一郎の憲法日記)
 
参院選公示の翌日、7月5日付け東京新聞朝刊「こちら特報部」。
「民、侮るなかれ」の文字が踊る。それだけでない。「弱者軽視『上から目線』」「不適切発言の麻生氏 首相は議論避け」「三原氏『問責は愚か者の所業』」「二階氏『選挙一生懸命なら予算付ける』」「品格失い忖度が横行」「我田引水の参院定数増」「カジノ法案も強行採決」「選挙で傲慢政治家退場を」という見出し。この見出しだけでも相当なインパクト。

選挙戦突入に際して、真っ当なメディアが「前回選挙以後に権力が犯した傲慢な行為の数々」を、もう一度思い出そう、あの責任を今こそ取らせようではないか、と有権者に訴えているのだ。そのメインのタイトルが、「民、侮るなかれ」「有権者をなめるな!」である。

リードの勢いがよい。有権者を励ますもので、まったくその通りだと思う。

   「参院選がスタートした。表面上の争点は、年金や消費税増税、改憲
   などだろうが、今この国で問われるべきなのは、もっとずっと深刻な
   問題ではないか。それは、国会議員が国民を『侮る』言動である。前
   回2017年の衆院選以降、多くの国会議員が、数々の問題発言や身
   勝手な政策で主権者たる国民を見下してきた。選挙中は、国民に奉仕
   するかのような甘言を弄するかもしれないが、決してだまされてはい
   けない。『有権者をなめるな!』」

そして、以下の「あとがき」(デスクメモ)も熱い。

    どんな政策よりも、健全な民主主義の維持は優先されねばならない。
   主権者を見下す議員や政党は、この点で失格だ。有権者は問題議員の
   多さにあきれるかもしれないが棄権は絶対ダメ。それも民主主義の破
   壊につながる。気に入らなくても、対抗候補や対抗政党に1票を投じ
   よう。

 この東京新聞の記事は、主として自民党議員の「国民を侮る」言行録である。選挙に際して、きちんと思い起こそうという呼びかけなのだ。東京新聞に敬意を表したい。

本文を再整理して、今有権者が思い起こすべき事件の数々(国会議員による問題発言や身勝手な行動・政策)を整理しておきたい。

   ☆2019年6月24日の参院本会議。安倍音三首相の問責決議案の
   審議で自民党の三原じゅん子参院議員がこう訴えた。「安倍首相に感
   謝こそすれ、問責決議案を提出するなど愚か者の所業」。

   ☆自民党の二階俊博幹事長は6月29日、参院選候補も出席した会合
   で「選挙を一生懸命やってくれるところに予算を付ける」。支持者以外
   の有権者など、いないも同然なのか。2人の言葉からは「われらの総
   裁は無条件にありがたい存在」「国民の税金はわれらの思うまま」との
   おごりがにじむ。

   ☆杉田水脈衆院議員(自民)は昨夏、性的少数者は「『生産性』がない」
   と月刊誌へ寄稿。

   ☆山本幸三衆院議員(同)はアフリカ支援に熱心な議員の会合で「何
   であんな黒いのが好きなんだ」とくさした。社会的弱者も軽んじる。

   ☆昨年3月の参院予算委員会の公聴会で、渡辺美樹参院議員(同)は
   過労死家族を前に「働くことが悪いように聞こえる。週休7日が人間
   にとって幸せなのか」と発言。

   ☆今春、桜田義孝五輪相(当時、自民)は「(同僚議員は)復興以上に
   大事」と述べた。

   ☆過大な防衛負担を負わされた沖縄県民、戦争の犠牲者にさえ配慮が
   ない。昨年一月、沖縄県で相次いだ米軍ヘリコプターの不時着を巡っ
   て「何人が死んだんだ」と衆院本会議でやじを飛ぱしたのが松本文明
   内開府副大臣(当時、自民)。

   ☆今年5月、丸山穂高衆院議員(当時日本維新の会)は、北方領土の
   元島民に 「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか」と迫った。

   ☆麻生太郎副総理は森友学園の公文書改ざん問題で原因を問われると
   「それが分かりゃ苦労せん」とまるで人ごと。財務事務次官のセクハ
   ラ疑惑では当初、「はめられたとの意見もある」と次官をかばった。先
   月、金融庁審議会の報告書の公表後、「100歳まで生きる前提で退職
   金を計算したことあるか?」と「上から目線」で語ったのに、「年金以
   外に2千万円必要」が問題視されると「政府のスタンスと違う」と態
   度を一変。もはや失笑もできない。

   ☆安倍首相は沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、土砂投入現場と違
   う区域のサンゴをわずかに移植しただけなのに「サンゴは移している」
   と胸を張り、建設に反対する大多数の県民の感情を逆なでした。

   ☆先月末の20カ国・地域首脳会議の夕食会でも、大阪城の復元時にエ
   レベーターを設置したのは「大きなミス」と評し、障害者らが反発した。

   ☆失言以上に問題なのが、都合の悪い議論を避ける安倍首相の態度。共
   産党の富裕層への課税強化などによる年金底上げ提案を、首相は「ばか
   げた政策」と愚弄。動画サイトの党首討論会で選択的夫婦別姓の是非を
   問われると「経済成長と関わりはない」と意味不明の回答に終始した。
   背後で、膨大な有権者が議論を聞きたがっていることなど、完全に無視だ。


   この間、国会で審議された法案を見ても、有権者はなめられている。

   ☆その最たるものが、この人□減少時代にあえて参院定数を6増する
   公職選拳法の改正だ。自民党のお家の事情からの強行で、昨年7月に
   自民、公明などの賛成多数で可決。この参院選から適用される。

   ☆昨年(2018年)7月の通常国会では、カジノを含む統合型リゾー
   ト施設(IR)整備法案が、「ギャンブル依存度への懸念が払拭されな
   い」として野党が反対する中、強行採決された。法案審議の昨年7月、
   日本は九州から岐阜県までの広い範囲で「西日本豪雨」の被害に見舞
   われた。「数十年に一度の大雨」という特別警報下、河川氾濫、土砂災
   害が多発し、死者は200人を超えた。水害対応のどさくさに紛れ、
   国民の間でも強く問題視されていた法案が可決された形だ。

   ☆自民党議員は豪雨初期の夜、議員宿舎で「赤坂自民亭」なる宴会を
   開催。参加議員が安倍首相を囲んで酒に興じる笑顔の写真をツイッタ
   ーに投稿し、「被災者軽視」と批判された。

   ☆裁量労働制拡大をめぐる議論では、誤ったデータが国会に提出され
   た。「裁量労働制で働く方の労働時間は、平均的な方で較べれば、一般
   的労働者よりも短いというデータもある」。安倍首相がこう答弁したの
   は昨年1月の衆院予算委員会。
    これを「不自然」と追及されて調べ直したところ、一般労働者のデー
   タは「1か月で残業が最も長い日」の聞き取り結果と分かった。安倍
   首相は答弁を撤回、裁量制拡大も法案から削除されたが、これほど国
   民をばかにした話はない。

安倍一強態勢下、繰り返される有権者への「侮り」。私たち有権者は、侮られっぱなしでいいはずがない。「洋の東西を問わず、おごれる政治は久しからず。あきらめたり絶望したりせず、参院選では、まじめで謙虚、国民に尽くす候補者に投票しよう。傲慢な政治家には退場いただくしかない。

これが、「特報部」の呼びかけ。私も呼応したい。ぜひ、あなたも。
(2019年7月9日)

http://article9.jp/wordpress/?p=12932
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/882.html

[政治・選挙・NHK262] 劇場型と黙殺型の二刀流 〜選挙におけるメディアのお作法について〜(長周新聞)
コラム狙撃兵 2019年7月10日

 大手メディアときたら、劇場型選挙を仕掛けるときはショスタコーヴィチの交響曲第5番(第4楽章)なんぞをBGMで流しながら、まるでプロレス中継のように永田町の暗闘を腕まくりして盛り上げるくせに、今回の選挙はつとめて寝た子を起こさない作戦に徹している。恐らく低投票率にして自民党が勝ち抜ける選挙にするためのお膳立てなのだろう。どの局も新聞も初日に与党優勢を報じ、暗に「選挙に行っても無駄なのだ」と印象付けた後は、実にしれっとして冷めた態度で傍観しているのである。

 山口選挙区を見ても、街頭では覇気のない選挙カーを何度か見かけただけで、既存の与党も野党も呆れるほどやる気がないのが特徴だ。その熱量は市議選、県議選以下であり、素人でなければわざとやっているとしか考えられないほどである。こうして国政選挙が幕を開けた気配すら乏しく、この静けさはいったい何なのだろうか? と思うほど冷めきっているのである。自民党側はもっぱら組織票固めの電話作戦に終始し、雲隠れしたかのよう。一本化した野党共闘の側はというと、労働組合の連合を筆頭に随分と足腰が弱まり、端から投げている印象だ。そしてここ山口県の巷では、「新撰組」の響きにいささか150年来の抵抗感を感じつつも、「れいわ(新選組)は山口県から出ないのか」と話題になっている。期待するものがなにもないなかで、とりわけ既成政党の枠外にいる大半の有権者にとって、選挙区はいかにもつまらないものに映っているのである。こうした政治不信の延長線上にあるのは、それこそ5割もの有権者が投票を棄権し、おかげで低投票率狙いの自民党がほくそ笑むずるい世界なのである。

 目下、政治不信を吹き飛ばす勢いで台頭しつつあるのが、ネットを中心に日日存在感を増している“れいわ新選組”だ。大手メディアがこぞって黙殺するなか、山本太郎を中心に劇場型をみずから仕掛け、街頭から無数の力を束にして這い上がろうとしている姿が注目を浴びている。虐げられた側、あるいは困っている国民の側を代表するかのように各分野の当事者やプロフェッショナルたちを擁立し、首都圏だけではなく日本全国の津津浦浦で街頭から議論を起こし、その斬新さと本気度に注目は高まるばかりである。恐らく10人当選など本人たちも考えていないのだろう。しかし、今回の参院選は次の衆院選やその後の政治勢力結集への呼び水となるデビュー戦であり、さながら閉ざされた国会の門をこじ開けに行く一揆のようにも見える。思い切った本気の行動力に「もっとやれ!」の応援が広がっているのである。

 5議席及び比例の2%を奪取して国政政党として立ち上がるという目標は決して容易ではないかもしれない。しかし、四谷本部事務所に入りきらないほどボランティアが手伝いに押し寄せ、東京選挙区では1万4000カ所のポスター貼りをやりきり、街頭演説会になると自民党や他政党をはるかに上回る聴衆を動員しており、間違いなく旋風を起こしている。よほど目をつむり、耳を塞いでいない限りは情報が飛び込んでくるはずである。

 ところが、メディアは右へ習えでしれっと黙殺している。取材にはあれだけの人数が来ているのに、記者が書いても報じられないのだ。閉塞した政治状況に風穴を開け、社会を下から突き動かしていく端緒になるかもしれないのに、これに鈍感であったり黙殺することはジャーナリズムにとって自殺行為以外のなにものでもない。というより、切実な問題に突き当たる度にいつも事の真実を歪めたり、しらじらしい嘘やずるい黙殺、問題のすりかえに終始するというのは、“社会の木鐸(ぼくたく)”などといわれたジャーナリズムが武器であるはずのペンをみずから投げ捨て、権力を監視するはずが忖度を生業とし、社会のかさぶたとして剥ぎ取られなければならない有害物に成り下がっていることを意味する。情けないかな、劇場型と黙殺型という二刀流の作法に昨今のメディアの本質が滲み出ている。誰に何を伝えるかではなく、黙殺すなわちみずからの存在意義を殺して「誰にも何も伝えない」を選択しているのである。

 山本太郎といえば、小学生の頃に見ていた『天才・たけしの元気が出るテレビ!』のダンス甲子園でブレイクしていた「メロリンQ」であり、当時、目立ちたがり屋でお調子者の男の子たちがこぞって真似をして、親や教師からひんしゅくを買っていたのを覚えている。大人になった「メロリン」が大真面目で一世一代の勝負に出ていることに、おそらく同世代の30代後半〜40代は反応しているのだろうし、あれから30年近くを経て、無邪気にふざけている場合ではないある意味ふざけきった世の中について考えているのだと思う。  吉田充春

https://www.chosyu-journal.jp/column/12121
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[政治・選挙・NHK262] ゼロ票確認 選挙ガチ勢って? ツイッターで「いいね!」も (毎日新聞)
あなたの参院選
ゼロ票確認 選挙ガチ勢って? ツイッターで「いいね!」も

デジタル毎日 2019年7月10日 16時00分(最終更新 7月10日 16時00分)

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2017年10月の衆院選と宮城県知事選で投票する際、土井直樹さんが仙台市内の投票所でゼロ票確認をした投票箱=土井さん提供

 「零(ゼロ)票確認ガチ勢」と呼ばれる人たちを知っていますか。誰から頼まれたわけでもないのに、投票所で最初の投票者になり、投票箱が空であることをチェックしている一般の人たちです。一番乗りするために早朝から投票所に並ぶことも。なにが彼らを駆り立てるのでしょうか。【待鳥航志】

■公職選挙法の施行令に規定

 公職選挙法の施行令は、投票開始前に投票箱が空であることを投票に来た人に示すよう規定しています。ゼロ票の確認は、投票所を一番に訪れた投票者らにしかできない特別なものです。

 埼玉県川口市の高校教諭、安藤顕一さん(42)はガチ勢歴が10年以上。きっかけはテレビやネットでゼロ票確認を知ったことでした。投票日が来ると、安藤さんは午前6時すぎに家を出ます。投票所に用意された椅子に座って待ち、最初に投票。投票箱に何も入っていなかったことを確認した書類にサインします。初めて空の投票箱を見た時、選挙に参加する感覚が強まるような楽しさがありました。

 投票後はSNS(ネット交流サービス)でゼロ票確認を報告し、「投票に行きましょう」と呼び掛けます。勤務先で生徒への話題にしようと続けてきましたが、最近ではツイッターで全国のガチ勢たちが朝一番の投票を報告しあうようになっています。安藤さんも「いいね!」やコメントをもらうことが楽しいそうです。

■社会の成り立ちを身近に

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参院選候補者のポスター掲示板の前に立つ「零票確認ガチ勢」の土井直樹さん=東京都渋谷区で2019年7月8日、手塚耕一郎撮影

 東京都の会社員、土井直樹さん(29)は2017年10月、当時住んでいた仙台市で衆院と宮城県知事のダブル選挙の朝を迎えました。ネットでゼロ票確認を知り、空箱を見てみたいという思いがありました。たまたま朝6時過ぎに目覚めると、外は雨です。「雨で他の人が出遅れるかもしれない」。自宅から5分のところにある投票所へ走ると、入り口付近にすでに人影が。「ガチ勢かもしれない」と焦りましたが、投票の準備をするスタッフでした。

 無事に一番乗りを果たし、二つの投票箱が空であることを確認できました。「何も入っていない投票箱を見て、これから票が入っていく光景を想像しました。選挙が不正なく行われていくことは民主主義の根幹に関わる。こうやって社会が成り立っているんだということを、身近に感じることができました」

 ゼロ票確認を伝えた投稿のリツイートは1万件を超えました。土井さんは「人生で1回は体験してみてほしい。特別な感じがして選挙に対する意識も変わる。雨の日が狙い目です」とアドバイスしています。

■SNS時代の楽しみ方

 土井さんが投票した場所では空箱の写真を撮影できましたが、選挙管理委員会によって対応は異なるようです。ベテランの安藤さんは「感謝状を出す選管もあります。ゼロ票確認はSNSがある今の時代ならではの投票の楽しみ方」と言います。安藤さんからはこんな声も聞きました。「自分の地元は投票率が低い。自分の1票がどれだけ政治に影響を与えるか実感を抱くのは難しいし、投票が面倒だという気持ちも分かる。でも意見の近い候補を見つけて投票することで、少しでも自分の意見を吸い取ってもらおうとすることが大切だ」

■参院選で社会は変えられるのか

 参院選に投ずる1票で、政治や世の中を変えることができるのでしょうか。参議院に詳しい竹中治堅・政策研究大学院大学教授(政治学)は「参院選は世の中を大きく変える可能性があるし、逆に現状を変えたくない人にとっても重要。現政権の権力基盤を左右する」と断言します。

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参院選の選挙ポスター掲示板を見つめる「零票確認ガチ勢」の土井直樹さん=東京都渋谷区で2019年7月8日、手塚耕一郎撮影

 参院議員は3年ごとに半数が改選され、今回は124議席が選挙の対象になります。竹中教授は「一般的に、(政権を担う)与党が参院で過半数の議席を確保できない場合、政権運営に支障が生じる。例えば、自民党が公明党と連立内閣を組んだそもそもの目的は、参院で過半数勢力を作ることでした。自民単独で過半数の議席を獲得したいまでも連立を維持しているのは、政権に対する参院の影響力が持続しているためと解釈できます」と指摘する。

■「1票は非常に重い」

 法律は衆参両院で議決が一致した場合に成立し、通常は衆院で法案が可決された後に参院で審議されることが多いです。法案を参院で一部修正して議決した場合、衆院で再び議論され、修正案に同意された場合は成立します。衆院で可決されたのに参院で否決された場合は、再び衆院で3分の2以上の賛成で可決されると、参院の議決に関係なく法案は成立します。

 このような「衆議院の優越」が憲法で認められていますが、参院の影響力が限られているということでしょうか。竹中教授によると、歴史的に歴代首相には参院の議長や議員と安定的な関係を保つなどして、法案に対する支持をあらかじめ確保しようとする動きがありました。参院が法案成立を拒むことが少ないのは、内閣側が事前に働きかけて参院の支持を獲得した結果でもあると指摘します。

 衆院の多数派である与党が、参院で少数派になって両院の議決が一致しにくい状況を「ねじれ国会」と呼びます。「ねじれ状態においては特に、参院で法案を成立させるために内閣は多くの政策を見直している。13年の参院選以降はねじれが解消されたが、例えば安保法制(15年)が長時間にわたり審議されたのも、参院の影響力を示しています」と竹中教授。法案をつくる過程で、内閣は衆院より独立性の高い参院から支持を得ることを重視することもあり、参院には強い影響力があるといいます。

 竹中教授は「参院選の結果は政権運営に大きな影響を与える。1票は非常に重い」と話しています。

連載「あなたの参院選」
 この連載は毎日新聞社とYahoo!ニュースによる共同企画です。参院選を新たな目線から伝えます。

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190709/k00/00m/010/177000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/901.html

[政治・選挙・NHK262] 国民を政治の場から遠ざけておく「呪いの言葉」・・・上西充子著「呪いの言葉の解きかた」(晶文社)(ちきゅう座)
2019年 5月 27日
<村上良太(むらかみりょうた):ジャーナリスト>

 上西充子氏と言えば、国会パブリックビューイング(国会PV)という、国会審議の録画を独自に編集して公衆の前で見せる運動を始めた法政大学の教授です。国会PVは、「国会を10倍面白く見る方法」と言い換えてもよく、現代の最も優れた市民運動の1つだと思っています。その理由は生まれてこの方、政治も国会もまったく面白くないと思い込まされてきた人々に、上西教授が国会の見方を提示したことにあります。野党議員による質問と首相をはじめとする閣僚たちや官僚たちの答弁を、細かく切り刻むような意図的な編集はせず(こうした手法は従来、プロパガンダと呼ばれる)、まるごと1ブロック数分間じっくり見せるのです。その前後に上西教授やその日の特別ゲストが適宜解説を入れることで国会議員や官僚のリアリティが、その震えや息遣いまで如実に見えてくるではありませんか。彼らが何を隠そうとしているのか、なぜ質問に対して素直に答えないのか。これを70〜80分の番組に仕立てて見せるのが国会PVです。新聞に書かれた国会討論の記事の活字では見えなかったものが、国会PVでは浮き上がってきます。TVの細かく切り刻まれたカットの断片の編集とナレーションでは見えなかったリアルな審議の流れがわかります。
 
 国会PVは政策を訴える「演説」ではなく、映像素材を生で人々が見て自ら認識する運動です。上西教授がNHKのニュースの編集が意図的に野党議員を貶めるものであったことを精密なカット割りの分析を通して批判記事を書いたことがありましたが、まさに政治運動というよりもむしろ、映像を「見る」運動なのです。ここにこの運動の新しさがあります。

 「政治は面白くない」、「国会は面白くない」、というのは日本の国民を政治の場から遠ざけておく「呪いの言葉」だったのです。呪いの言葉には、「野党は反対ばかりしている」とか、「野党の追及は不発に終わった」とか、「デモに行ったら就職できなくなる」とか、「お上にたてついてはいけない」などのバリエーションが無数にあります。上西教授によると、これらはカテゴリーとしては「政治をめぐる呪いの言葉」になるのです。こうして選挙の投票率もどんどん低下の一途をたどっています。有権者は自分で自分に呪いの言葉をかけてまるで主権を放棄するかのように、政治から遠ざかっています。いったい誰がこうした呪いの言葉を発明しているのでしょうか。

 新刊の「呪いの言葉の解きかた」の中で、上西教授は呪いの言葉が発散されているのは政治の世界に限らないと言います。職場や家庭にも呪いの言葉はあふれていて、日々、私たちの思考を縛りつけていると言います。「文句を言うと職場の雰囲気を壊す」とか、「嫌なら辞めちゃえば」とか、「母親なんだからしっかり」などの言葉もそうです。こうした言葉は、人々がものを批判的に考える力を封じて、その場の空気の奴隷にする言葉です。ですから、その呪いを解かない限り、若者も中高年もあらゆる世代で、人々の未来は暗いのです。そして、呪いの言葉は解きかたがあると言います。本書では相当多くのケーススタディが紹介されていて、そこには国会だけでなく、人気漫画や人気ドラマ、あるいは映画などのシーンの抜粋も呪いの事例として紹介されています。

 上西教授が属する「キャリアデザイン学部」は単なる就職支援教育を施しているだけの学部ではないそうです。就労と教育と生活の3本柱を同時に考える「キャリア」教育だと言います。キャリアとは人生の轍です。長い人生を生きていくうえで、就職出来たらめでたしめでたしではなく、むしろ、就職した後も教育を受ける必要がありますし、暮らしがよくないと仕事もよい結果が残せないわけです。上西教授は当初は人を使い捨てるようなひどい企業の問題とか、早期離職などの問題を研究していたそうですが、のちには個別のケースの研究や指摘だけでは十分ではなく、その背後にある国の労働政策や労働法制まで見据えなければ若者たちや労働者の暮らしを守ることはできないと考えるように至ったそうです。その結果として、私たちの記憶に残るのが、昨年の働き方改革の国会審議の際に、厚生労働省が国会に提出した裁量労働制をめぐるデータが誤りだったことを上西教授が最初に指摘したことです。この指摘によって裁量労働制の法案が撤回されたのです。

 僕が国会PVを初めて見てみようと決意したのは、インターネットで昨年暮れに上西教授が有楽町のガード下で国会PVを実行したと知ったことからでした。ガード下でやった、と知ったときは大きなインパクトを受けました。この運動は本物だ、と直感的に思いました。僕はこの運動を立ち上げ、自ら街頭に立っている上西充子という人に次第に関心を持つようになって行きました。いったいなぜ、彼女はこれほど力強い行動を起こせるのか、と。というのも、そうした何かをしなくてはならないと多くの人が思っていたとしても、実行できた人はほとんどいなかったからです。「呪いの言葉の解きかた」の中には上西教授の原体験とでもいえる中学時代の話が出てきます。相手が教師だからと言って、それだけで権威に屈したくなかった、今日の上西教授はそんな女生徒だったそうです。ある日、中学の実技試験の評価があまりにも主観的でひどいのではないか、と思った時、彼女は教師に異議申し立てをしたそうです。その時、勇気を出して声を上げた女生徒が、今日までつながっているように思えました。そして、その時、教師の中には理解を示してくれる人もいたのだ、と。この女の子が成長しながらもずっと彼女の中にいて、原石のような光を放っているのだと知りました。今、注目される運動を担っている著者の歩みが描かれていて、現代の閉塞を打ち破ることができるヒントが詰まった貴重な一冊だと思います。

村上良太

■国会パブリックビューイングを見に行く
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201902062355103

■国会パブリックビューイング (4月9日)で語られた「働き方改革」とフランスのマクロン改革
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201905050922090

http://chikyuza.net/wp-content/uploads/2019/05/uenisi.png
上西充子著 「呪いの言葉の解きかた」(晶文社)

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国会パブリックビューイング。JR新宿駅西口地下にて。画面の中は質問に立った小川淳也衆院議員(立憲民主党・無所属フォーラム)。2月4日の衆議院予算委員会での質問。脇に立っているのは上西充子教授。

http://chikyuza.net/wp-content/uploads/2019/05/uenisi3.png
国会PVの司会は法政大学の上西充子教授(右)。隣は解説に訪れた全国労働組合総連合の伊藤圭一氏(雇用・労働法制局長)。伊藤氏は「呪いの言葉の解きかた」にも登場する。

初出:「日刊べリタ」より許可を得て転載
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201905261630370&fbclid=IwAR1VJA-r9eWaovEtYRFeINEgwqgtJa-EV7PRFGxCf2qmL-Plo6VHmbpudyg

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔eye4608:190527〕

http://chikyuza.net/archives/94001
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/904.html

[政治・選挙・NHK262] 山本太郎ばかりがネットで話題になるワケ(プレジデントオンライン)
永田町コンフィデンシャル
山本太郎ばかりがネットで話題になるワケ
参院選の注目は「最低投票率」だけ

2019.7.8
プレジデントオンライン編集部


7月4日公示された参院選は、残念ながら盛り上がりに欠ける展開になっている。ネットでは山本太郎氏の率いる政治団体「れいわ新選組」が一部で話題だが、これは話題に乏しいことの裏返しだ。「自公過半数」は既定路線。残るポイントは、参院選として最低の投票率を更新するかどうかだ――。

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政治団体「れいわ新選組」の山本太郎代表=2019年7月5日(写真=アフロ)

■「安倍1強」が続くが、直ちに憲法改正が進むわけでもない

7月6日の在京各紙は一斉に参院選の序盤情勢を伝えた。

朝日新聞は「自公、改選過半数の勢い 改憲勢力2/3は微妙」、毎日新聞は「改憲 3分の2割れも 与党、改選過半数は確保」、読売新聞は「参院選 自民が優位」、産経新聞が「与党の改選過半数確実 改憲勢力維持か」。そして日経新聞、東京新聞は共同通信社の調査に基づいた「自公、改選過半数の勢い 改憲勢力2/3うかがう」という記事を1面で掲載している。

多少の誤差はあるが、各紙とも自民、公明の与党が過半数を軽くクリアして勝利すると予想している。そして、日本維新の会を含めた改憲勢力が3分の2を取れるかどうかは微妙な情勢だ。当然ながら安倍晋三首相は続投。「安倍1強」態勢が続くが、直ちに憲法改正が進むわけでもない。要するに、ドラマチックな展開にはならないと予想されるのだ。

■5割強の「投票先未決定」は、多くが投票に行かない

この情勢調査で注目すべき点がある。態度未決定の有権者の数が異様に多いのだ。4、5の両日に行った共同通信の調査では「投票先を未決定」とした人は選挙区で54.5%、比例代表で47.8%。朝日新聞の調査では選挙区で5割、比例区で4割が投票行動を明らかにしていないという。序盤とはいえ「5割」という数字は多い。

「投票先未決定」の人たちの中には、その後、意中の政党を決めて投票する人もいるが、多くは最終的に投票に行かない。従って「未決定」が多いということは、投票率が低くなることを予告しているのだ。

前回2016年の参院選の投票率は、54.70%だった。「昭和」のころは7割を超えることも珍しくなかったが最近は50%台の「低値安定」が続く。最低は1995年の44.52%。そして、今回はその最低記録を下回る心配が出てきている。これは、民主主義の危機と言っても言い過ぎではない。

■過去の選挙とは比較にならないほど関心が低い選挙

1995年に投票率最低を記録した後、投票率アップに向けた制度改正が行われてきた。参院選では98年から投票時間が従来の午後6時までから8時までに延長になった。04年からは期日前投票制度が導入された。それによって投票率が飛躍的向上したとは言えないが、下支えしてきたのは事実だ。

仮に今回の参院選で投票率が最低を記録したら95年の「期日前投票なし、投票は午後6時まで」のルールならもっと悲惨な投票率となることだろう。言い換えれば、「午後8時まで投票、期日前投票OK」で最低投票率が懸念される今回は過去の選挙とは比較にならないほど関心が低い選挙ということになる。

これほど関心が低いのは、いったいどういう理由なのか。先に書いたように、選挙結果がある程度見えているというのも大きな要因だろう。衆院との同日選になると思っていた人は、参院単独となったことへの失望もあるはずだ。

■立憲・枝野氏もピークを過ぎ、話題は山本太郎氏ぐらい

さらに今回は、国民が関心を持つような政治家や政党が存在しないという特徴もある。平成になってから数多くの政党ができては消えていった。それらの多くは選挙の前に誕生し、少なくとも最初の選挙では一定の注目を集めた。2017年の衆院選の時には小池百合子東京都知事が希望の党を立ち上げ、それに対抗するような形で枝野幸男氏が立憲民主党を立ち上げて脚光を浴びた。

今回の参院選で政党要件を持つ政党は自民、公明、立憲民主、希望の党の流れをくむ国民民主、共産、日本維新の会、社民党の7つ。いずれも目新しさはない。2年前の衆院選ではブームを起こした枝野氏も今回の参院選ではピークを過ぎた印象だ。

山本太郎氏が率いる政治団体の「れいわ新選組」が、一部リベラル層で注目されているが、これは既成政党が話題性に乏しいことの裏返しでもある。

■選挙報道は「面倒で、しかも数字が取れない」

参院選が盛り上がらず投票率が下がりそうな原因となっているものがもう一つある。これは、恐らく一番大きな原因だ。

2012年に安倍晋三首相が首相に返り咲いてから、自民党はさまざまな形で報道機関に「働き掛け」を行っている。記憶に新しいのは2014年の衆院選を前に、自民党がNHKと民放5社に「公平な報道を求める」という要請文を出したことだ。この時は「事実上の圧力」と問題視されたことがあった。

その結果、テレビ局は、生ニュースを扱う報道番組を除き、極端に選挙報道を抑制するようになった。

少しでもエッジを効かせた番組をつくろうとすると、クレームがくる心配がある。かといって主要政党を公平に扱い、クレームをつけられないように配慮しすぎると、間延びしておもしろくなくなる。視聴率も取れない。ならば、選挙を扱うのは最小限にしようという判断が働いたと言われる。

■自民党の古手秘書「報道時間が短くなればそれでいい」

その後、安倍政権のもとで参院選、衆院選が行われてきたが、テレビ局の報道姿勢はおおむね同じだ。極端な圧力を受けたというわけではなくても「面倒で、しかも数字が取れない」選挙報道を敬遠するのが定着しているのだ。

テレビの放送時間が短くなれば当然、国民の関心が低くなり、投票率も下がる。悪循環だ。

そして、最後に指摘しておかなければならないことがある。低投票率になって有利なのは、やはり自民、公明の与党なのだ。強固な後援会組織と業界団体の支援を受ける自民党。そして創価学会の全面的な支援のある公明党。両党は浮動票を頼りにしないでも選挙戦を戦える。参院選での低関心は、そのまま与党有利の材料を補強することになっている。

自民党の古手秘書はこうささやく。

「報道機関への働き掛けによって自民党に有利な報道をしてもらいたいとは最初から思っていない。報道時間が短くなればそれでいい。今回も、その点では思惑通りだ」

https://president.jp/articles/-/29250?
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/908.html

[政治・選挙・NHK262] 投票のすすめ・・・選挙で棄権するのは、注文していない商品に6年間ローンを払い続けるようなもの(畠山理仁ツイッター)
畠山理仁@hatakezo


白票を「自らへの批判」と捉えることができる候補者は、よっぽど自省的な人だと思います。候補者にとって一番堪える批判は「落選」です。
https://twitter.com/hatakezo/status/1148897079479029760


「欲しい商品がない」と嘆いて政治から距離を置いている方。自分の希望を伝えなければ、欲しい商品は開発されません。選択肢は「誰かが求めた既成品」に限られます。コストはかかりますが、応援や意見、注文をつけるのも有効です。それでも見つけられなければ「自作(立候補)」する選択肢もあります。
https://twitter.com/hatakezo/status/1148125244936224768


参議院議員の任期は6年。その間、私たちは税金を払い続けます。議員は私たちに代わって政治を引き受ける報酬として、税金から歳費を受け取ります。どれも確定事項であるなら、一度は生の候補者を見て選びませんか。選挙で棄権するのは、注文していない商品に6年間ローンを払い続けるようなものです。
https://twitter.com/hatakezo/status/1148115462946824192


選挙が追加課金なしで楽しめるゲームなのは、先に収入の40%以上の参加費(税と社会保障費)を払っているからです。選挙結果によって、参加費が値下がりすることもあれば、追加課金されることもあります。「自分の一票では政治は良くならない」と思っている間は、良くなる要素は「運」しかありません。
https://twitter.com/hatakezo/status/1147675492541071360


畠山理仁さんがリツイート
絵本のこたち@cotachi_books
政治についてのコメントをするとフォロワーさんが減ります。絵本屋なのに、なぜ堅苦しいことを…と思われるのかもしれません。ですが、子どもに絵本を手渡すことと政治家を選ぶことは、どちらもより良い未来の選択をすることなので、私にとっては同じなんです。選挙に行きましょう。行ってください。
https://twitter.com/cotachi_books/status/1147142677697191941


「よりマシな地獄の選択」。これが今の選挙の実態だ。自分が立候補するか、応援したい人を候補者として送り出さない限りはそうなる。誰かが候補者を用意してくれるわけではない。棄権は「どんな地獄も受け入れる」という態度の表明だと思う私は、毎回投票率の低さに驚く。そんなに地獄に行きたいか。
https://twitter.com/hatakezo/status/1147459241206095872


世論調査の結果は、約3万人に電話で聞いた数字。参考にはなるが、あくまでも電話がかかってきた人が回答した結果。実際の選挙は投票に行かないと一票にもならない。実際には投票に行かない人の割合が4割超えている。動きが読めない分、本当は恐ろしい存在なんだけど、たいてい行かないからナメられる。
https://twitter.com/hatakezo/status/1147366157092921345


支援者同士が議論したり喧嘩したりしているのをみると、もったいないなあと思う。暇なのか。その喧嘩に勝って嬉しいのは本人だけじゃないのか。それなら応援する人を勝たせるために時間を割いたほうが良くないか。議論を挑むなら、政治の現場にいる政治家や候補者に対してだろう。相手を間違えてる。
https://twitter.com/hatakezo/status/1146975458795278338


候補者の傾向を見てほしい。自分と同じ立場の人はいるかな?
「政治家一族」
「元公務員」
「会社経営者」
「弁護士」
「自営業者」
「労働組合幹部」
「タレント」
「アスリート」
「定年退職者」
「会社員」
「アルバイト」
「学生」
「無職」
「生活保護受給者」
社会の構成比と比べてみてほしい。
https://twitter.com/hatakezo/status/1144638447992180736


「力のない少数派は黙ってろ」
この空気を称賛しているのが多数派の貧者だったりする。
人間は不思議だ。
https://twitter.com/hatakezo/status/1144236140582461442


安冨歩氏の記者会見の最後で、安冨氏の口から石井紘基議員の名前が出た。
「戦後日本で最も尊敬している政治家は石井紘基議員。暗殺された(2002年)。彼は国政調査権を用いて、日本社会の構造、特に財政に関する構造を解明するという大きな仕事をなさった」
https://twitter.com/hatakezo/status/1144204189578358784


2017年総選挙の時、被選挙権を行使して立候補したのは「約7万5千人に1人」の割合でしかなかった。立候補のハードルはものすごく高い。代議制民主主義の社会において、有権者の数少ない選択肢となる候補者は社会の宝。思想信条は違っても、その訴えには耳を傾けたい。一票の行方は、自分で決められる。
https://twitter.com/hatakezo/status/1143885833000247296


政治への関心が低くて半数近くの人が投票に行かない日本ではあまり需要がないと思いますが、選挙のことを楽しく面白く真面目に語れという依頼があれば行きます。
https://twitter.com/hatakezo/status/1143765393955098624


日本の選挙では、無収入の人も年収1億円の人も同じ「一票」を持っている。
それなのに選挙に行かない人が約半数近くいる。
自分が持つすごい権利を捨てて他人に白紙委任できる人がこれだけいる。
オレが知らないだけで、みんな老後の蓄えとして余裕で2000万円以上貯め込んでるのかもしれない。
https://twitter.com/hatakezo/status/1143170218820116480


選挙の争点を決めるのは有権者。
選挙の結果を決めるのは有権者。
選挙で一番力を持つのは有権者。
https://twitter.com/hatakezo/status/1143164310870302727


参議院選挙に候補者を擁立予定の13政党・政治団体に「選挙公報の保存・公開」に関するアンケートを依頼しました。結果は後日公開。
6月末の署名提出に向け、キャンペーンへの賛同もお願いします!
「選挙が終わっても選挙公報を消さないでください!」 http://chng.it/V7H4c9kn @change_jpさんから
https://twitter.com/change_jp/status/1140453252602798080
https://twitter.com/hatakezo/status/1142025613454135296


お金がない人は、お金以外の武器を使うしかない。たとえば知識や知恵や行動力。しかし、お金がない人は、お金持ちがお金を使ってちらつかせる「お金の匂い」に簡単にだまされる。そして自分の武器を簡単に捨てる。富裕層も低所得者層も平等に持つのが一票。絶対数はどちらが多いのか。冷静に考えよう。
https://twitter.com/hatakezo/status/1139910943612137474

https://twitter.com/hatakezo
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/911.html

[政治・選挙・NHK262] 山本太郎が霞む!「れいわ新選組」候補者たちの魂の叫び!!(マガジン9)
雨宮処凛がゆく!
第488回:山本太郎が霞む!「れいわ新選組」候補者たちの魂の叫び!! の巻(雨宮処凛)

By 雨宮処凛 2019年7月10日
出典「マガジン9:https://maga9.jp/


 「2016年7月、あの相模原障害者施設殺傷事件が起こりました。事件を起こした植松被告は、津久井やまゆり園職員に『重度障害者は生きていても仕方がないので、安楽死させた方が良い』と話し、衆院議長宛ての手紙に『障害者は不幸を作ることしかできません』と書いたと報じられています。この『重度障害者は生きていても仕方がない』という文節を、“なぜなら”という接続詞でつないで理由を言えば、『重度障害者は生きていても仕方がない。なぜなら、生産性のない重度障害者は生きている価値がないから』と、なるのではないでしょうか?」

 「危機感を覚えた私は、教育面からこの考えを芽生えさせないように、この話を不特定の大学でしてきました。これは、あまりにも非効率です。ところが、この度、直接文科省とこれについて話せるかもしれない、千載一遇のチャンスが、善い縁からもたらされました」

 「スローガンは、『強みは、障害者だから気づけることがある』」

 「もし私が当選したなら、私にかかわる人たち、つまり議員たちが、私と議会で上手に接していくことや、同じように発言するための工夫をする姿を、人々が見れば、街場での人々の障害者への接し方も変化が生じる気がします」

 「私のギタリストとしてのスローガンは、『肉体の動きは止まった! だが人間の可能性はNO LIMIT(限界はない)! やれることはある』です」

 7月3日。参議院選挙告示前日。永田町の星陵会館で、人工呼吸器を装着した、ふなごやすひこさんが自作の原稿を自動音声にて読み上げた。部屋に規則的に響く呼吸器の音。プロジェクタに映し出される文字。ふなごさんはALSという病気に罹患している。身体中の筋肉が徐々に麻痺し、ついには全身麻痺に至る病だ。原因は不明。治療法も今のところない。

 バリバリの商社マンとして働いていた頃、身体に異変を感じ、42歳でALSと診断された。以来、筋肉は麻痺し、気管を切開して声を失い、胃ろうの手術を受け、人工呼吸器を装着し、現在は自宅にて24時間介護を受けている。生きていることそのものが「戦い」のふなごさんだが、なんと介護関連会社「アース」の副社長もつとめている。

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ふなごやすひこさんと。ものすごくオシャレな方です

 ALSは、肉体は動かなくなるものの、知性や精神活動には影響がない。よって、ふなごさんのように頭脳とパソコンだけで仕事をする人が結構いるらしいのだ。指先が動く人は指で、指が動かなくなると額の皺などをセンサーで読み取ってパソコンを操る。ふなごさんは現在、歯で噛むことでパソコンを操り、副社長の仕事の他、看護学部・福祉学部のある大学を中心に年に10回以上講義をし、また、福祉業界新聞でコラムを連載している。

 さて、この日行われたのは、「れいわ新選組」の出馬会見。ふなごさんは候補者として出馬することを発表したのである。ふなごさんのスピーチの前には、太郎氏がふなごさんの紹介文(全文はこちらhttps://ameblo.jp/amamiyakarin/entry-12489843987.html)を読み上げた。これまでの経緯を振り返りながら、感極まり、声をつまらせる場面もあった(会見全編の動画はこちらhttps://www.youtube.com/watch?v=Iu_7J-VPGIA)。この日、ふなごさんの次には、れいわ新選組10人目の候補者が出馬会見を行った。元派遣労働者でシングルマザーの渡辺てる子さんだ。

 そうして午後7時、星陵会館のホールで「れいわ新選組」の集会(全編はこちらhttps://www.youtube.com/watch?v=kUHc3uAg5Rg)が始まった。

 山本太郎氏がたった一人で「れいわ新選組」を立ち上げてからわずか3ヶ月。参院選に10人擁立すると宣言したものの、「到底無理」と鼻で笑う人も多かった。実際、私も「何を企んでいるのだろう」とハラハラしっぱなしだった。しかし、蓋を開けてみたら、山本太郎の「本気」に多くの人が「感染」した。寄付を集めればあっという間に2億円を突破し、続々と候補者が集まり、次々と発表された。告示日が近づく頃にはほぼ連日候補者が発表され、そのたびに度肝を抜かれ、鳥肌が立ったり涙ぐんだりした。

 そんな10人がこの日の集会で、初めて一堂に介したのだ。それぞれ初対面なのに、なんだかずーっと前から同志だったような雰囲気なのが不思議だった。

 さて、ここで太郎氏の思いに賛同し、れいわ新選組に集まりし候補者たちを改めて紹介したい。

 前述したALSのふなごやすひこさん。全身麻痺ギタリストで、株式会社アース副社長。

 生後8ヶ月で保育器ごと玄関に落ちて首の骨を損傷、以来、全身がほとんど動かない重度障害者の木村英子さん。

 拉致被害者家族で元東電社員の蓮池透さん。

 東大教授にして女性装の安冨歩さん。

 元派遣労働者でシングルマザー、ホームレス経験もあるという渡辺てる子さん。

 沖縄創価学会員壮年部の野原よしまささん。

 元セブン・イレブンオーナーの三井よしふみさん。

 そして元JPモルガンの大西つねきさん。

 環境保護NGO職員の辻村ちひろさん。

 ずらりと並んだ10人を見て、胸が震えた。同時に、ふと気づいた。この9人と一緒にいると、山本太郎が「普通」に見える! 霞んでいる! 山本太郎が、キャラで負けている!

 しかも選挙戦になれば、安冨さんは馬を連れてくるというではないか。れいわ新選組、なんかもう「政党」というよりは「劇団」とかの方に近い気がする。

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全員集合! れいわ新選組!!

 そうして山本太郎氏はこの日、前回当選を果たした東京選挙区からではなく、比例で出馬することを宣言。その上、ふなごさん、木村さんという重度障害者の二人は「特定枠」に入り、二人が当選しないと自身は当選しないという「比例三位」での出馬と捨て身の戦いに打って出ることを発表した。太郎氏が当選するためには350万票以上が必要と言われる。そうして彼が当選すれば、障害者の二人は確実に当選する。ということは、24時間介護が必要で、しかも一人は人工呼吸器という国会議員が誕生するわけである。

 これはこの国の「バリア」を確実に破壊していくだろう。まず、国会の本会議場で投票する際には、一人ひとり階段を上って投票しなければならない。そんな時、車椅子の二人はどうするのか。また、木村さんは一人では水も飲めず、ふなごさんには定期的にタンの吸引が必要だ。介助者はどうなるのか。また質疑の際、自動音声や文字盤を使う議員への対応はどうなるのかなどなど、不安要素は考えていけばキリがない。だけど、これこそが真のダイバーシティではないだろうか。

 この国には、身体障害者が約436万人、知的障害者が約108万人、精神障害者は約392万人存在する。合わせて約936万人だ。これまで、これらの人々の声を代弁する議員がいなかったことこそが大問題視ではないだろうか。

 障害者を利用している、という人もいるかもしれない。が、前回の原稿https://maga9.jp/190702-2/でも書いたように、太郎氏のスタンスは「上等です。障害者を利用して障害者施策を進めようじゃないか」というものだ。

 また、「本人は本当に出たいの?」というような声もあるが、ふなごさんに至っては、今から5年前、松戸市議選に立候補している。残念ながら落選となったが、太郎氏と出会うはるか前から、ふなごさんは障害者であることを「強み」として政治の場に打って出ようとしていたのだから見上げたど根性である。

 一方、「重度障害者に国会議員がつとまるのか」という声もある。

 が、木村英子さんの肩書きは、全国公的介護保障要求者組合・書記長。全国在宅障害者の保障を考える会・代表。自立ステーションつばさ事務局長。障害者施策に精通した素晴らしき活動家だ。

 ふなごさんに至っては、前述したようにバリバリの商社マンだった人であり、現在は介護関連会社の副社長。ちなみに私はもろもろのなりゆきから、記者会見の段取りなどについてふなごさんとメールで打ち合わせをしていたのだが、その仕事の速さ、的確さには感動しっぱなしだった。しかも、設定した締め切り日時に遅れそうになった場合など、その都度ちゃんとメールしてくれる。この部分、締め切りや約束にルーズだったり適当だったりする私の周りの一部の人に、ぜひとも見習ってほしいものだ。しかもメールには絶妙な加減でユーモアを含ませてあったりと、細やかな気配りには恐縮しっぱなしだったのである。

 それだけではない。ふなごさんはALS当事者として国際会議にも出席している。2002年にはメルボルンで開催された「ALS/MND国際会議」に参加。翌03年にも、ミラノで開催された「ALS/MND国際会議」に参加。ALSを発症し、人工呼吸器をつけていても飛行機に乗り、海外で国際会議に参加できることを世界に知らしめたのだ。しかも音楽活動もしている。全身麻痺でも弾けるギターでライブもする「全身麻痺ギタリスト」を名乗っているのだから、前人未到の地をゆくミュージシャンなのである。

 「全身麻痺なのに仕事してライブしてとか、そんなの信じられない」という人もいるかもしれない。私だって、昔はそんなこと聞いても信じられなかっただろう。そもそも喋ることも動くこともできない人がどうやって仕事をするの? と。

 そんな私の固定概念をぶち壊したのは、長年ALSの母親の介護をしてきた川口有美子さんとの出会いだ。13年にはこの連載でも3回にわたってインタビューに応じてもらっている(第254回http://www.magazine9.jp/karin/130206/、第255回http://www.magazine9.jp/karin/130213/index.php、第256回http://www.magazine9.jp/karin/130220/index.php)ので、ご記憶の方もいるだろう。また、私の本『14歳からわかる生命倫理』https://www.amazon.co.jp/14%E6%AD%B3%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8B%E7%94%9F%E5%91%BD%E5%80%AB%E7%90%86-14%E6%AD%B3%E3%81%AE%E4%B8%96%E6%B8%A1%E3%82%8A%E8%A1%93-%E9%9B%A8%E5%AE%AE-%E5%87%A6%E5%87%9B/dp/4309616852にもご登場頂いている。同書で川口さんは、ALSで全身麻痺になっても頭と指先だけでヘルパー派遣会社を立ち上げ、社長として経営している人が何人もいることを紹介してくれている。

 「寝たきりで、呼吸器つけながら、頭と指先だけで会社を経営してるんです。身体が動かなくても、ベッドの上で商売できちゃうんです。ALSは知性にはまったく影響ありませんから。彼らは日本経済にも貢献してるし、地域医療にもものすごく貢献しています。ALSの人たちの介護はがん等の末期の人の在宅ケアにも応用できるんです。胃ろうも呼吸器も慣れているし、地域医療とも連携していますので」

 このような患者は「社長モデル」と呼ばれ、世界的にも注目を集めているという。

 川口さんと知り合い、ALSという奇妙な病とそれとともに生きる人々の実践の数々を知り、私の中の「寝たきり」観は根底から変わった。端からは寝たきりに見えても、これほど充実して生きている人たちがいる。以来、ALSの人たちとは院内集会など様々な場所で会うようになったのだが、そのポジティブさにはいつも驚かされてきた。

 相模原事件の後に開催された集会では、全身麻痺の女性が文字盤で「まだ死んでない」という最高のブラックジョークを飛ばして笑いをとったりもした。地方の空港で何度か見かけたこともある。そういう姿を見るたびに、全身麻痺でも寝たきりでも、全国飛び回って活躍しながら生きる道があるのだ、と勇気をもらう。はからずも会見の日、太郎氏はふなごさんを「寝たきり界のトップランナー」と評した。また、「当事者というのはその道のスペシャリストだと思っています」とも述べた。まったくもって同感だ。

 さて、ふなごさんだけでなく、れいわ新選組の候補者は全員がなんらかの当事者だが、そんな中、人気急上昇中なのが「てるちゃん」こと渡辺てる子さん(60歳)だ。

 てるちゃんは、元派遣労働者でシングルマザー、2年前、17年働いた派遣先を突然解雇されたという経歴の持ち主だ。しかも若かりし頃、5年間のホームレス経験があるという。最近、近所のスーパーのもやしが27円から29円に値上がりして「真っ青になった」と言うてるちゃんは、新橋駅前のスピーチで言った。

 「私、ホームレスを5年やってました。子ども二人、12月と1月、冬の寒い時に生まれてしまいました。泊まるお金がないから、新生児を抱っこして野宿してました。日本って、お金がないと死んでしまう国なんです。私はたまたま生き延びることができました」

 「今、日本では、若者に希望がない。年金も貰えない。給料も上がらない。だから結婚もできない。自殺も多いです。こんな日本に誰がした? 私たち大人の責任です。変えるのは今、たった今!」

 「我々が、当事者が、ど庶民が、働く者が、貧乏人が、今の日本を変えなくて誰が変える!?」

 「私は今、仕事もないし収入もないし、母親が90歳でぼけちゃってるんですよ。もう貧困のデパート、総合商社。それが強みです。マイナスを強みに変える。貧乏人のど根性、見せてやりましょう!」(全編はこちらhttps://www.youtube.com/watch?v=zNNMQ43Mnxo

 今、「貧乏の専門家」との呼び声が高いてるちゃんだが、彼女は15年、派遣法改正にあたり衆院厚生労働委員会の参考人質疑に呼ばれている。もやしの値段を気にする「ど庶民」でありながら、国会の参考人質疑にも対応できる「派遣問題のプロ」でもあるのだ。

 他にも紹介したい候補者やスピーチばかりだが、もう本当にキリがない。安冨さんの虐待サバイバーのスピーチhttps://www.youtube.com/watch?v=vQmZ63mywfgもよかったし、三井さんのコンビニ話も素晴らしいし紹介したいスピーチはもうたくさんあるけど今回はこの辺で。

 れいわ候補者の顔ぶれを見て、「山本太郎すごい」という声もあちこちで聞く。

 しかし、私はすごいのは太郎氏ではなく、太郎氏の思いに賛同した一人ひとりの候補者だと思う。特にふなごさんにはもろもろのなりゆきから太郎氏が話に行く時に同行したという経緯もある。人工呼吸器の音が規則的に響く部屋で、私たちはふなごさんとパソコンを通じて話をした。ふなごさんの今までを紹介する動画を見せてもらった。その時は、まさか本当に今のような状況になるなんて、思ってもいなかった。だけど、ふなごさんは決意したのだ。

 自身が国会に入ることで、様々なシステムは音を立てて変わる。変わらざるを得ない。強制的に、命に合わせた、ニーズに合わせたバリアフリー化が進む。そのことは、必ずや日本社会を大きく変える。いくら「ピンピンコロリ」「寝たきりゼロ」と言っても、多くの人は寝たきりになる。誰も望んでいないけれど、そうなる。自分じゃなくても、親が、パートナーが、大切な人が、そうなる可能性は非常に高い。だからこそ、ふなごさんはやっぱりトップランナーなのだ。人工呼吸器をつけた彼は、それが外れると生きていけない。また、停電やバッテリー切れが命にかかわる。それでも、太郎氏に「命を預けた」のだ。

 「全難病者が幸せになるように働きます」。集会で、ふなごさんは目で文字盤を示し、そう言った。全難病者が幸せに生きられる社会は、「今たまたま健常者」の人たちにとっても生きやすい社会だろう。

 このように、れいわ新選組には太郎氏の存在が霞むほどの多様性、専門分野を持った人々が集まった。山本太郎が「普通の人」に見えてしまうくらいに多彩で多様でいい意味でアクが強く、空気を読めない・読まない上に、見事なほどに全員が「言うこと聞かない系」である。

 しかも、東京選挙区にれいわから出るのは創価学会員の野原よしまささんだ。

 この人たちが、国会で大暴れする姿を想像するだけでたまらなくワクワクする。こんなに面白い選挙、初めてじゃない?

 そうして特筆しておきたいのは、今回の選挙、れいわ以外にも入れたい候補者があまりにもたくさんいるということだ。そんな顔ぶれを見ていて、ふと思った。これって3・11以降の様々な運動の、ひとつの大きな成果なのではないだろうかと。だって10年前だったら、野党の候補者にこれほど素晴らしい人々が揃うなんて、考えられなかった。

 7月7日、安倍首相が中野駅に丸川珠代氏の応援演説に来ると聞きつけたので観に行った。そこで一番びっくりしたのは、次々と登場した、肩書きばかり立派な自民党の男性たちの多くが、共産党と野党の悪口に終始していたことだった。告示日以降、れいわの候補の魂の叫びみたいなスピーチばかり聞いていた私にとって、彼らの言葉のからっぽさと、皮肉と嘲笑、冷笑に満ちた語り口は衝撃以外の何物でもなかった。

 今、政治を語る言葉そのものが根底から変わっている。とてつもなく大きな地殻変動が起きている。それをどこに着地させるか、私たちにかかっている。


雨宮処凛
http://ameblo.jp/amamiyakarin/
あまみや・かりん:1975年北海道生まれ。作家・活動家。2000年に自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビュー。若者の「生きづらさ」などについての著作を発表する一方、イラクや北朝鮮への渡航を重ねる。現在は新自由主義のもと、不安定さを強いられる人々「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。『反撃カルチャープレカリアートの豊かな世界』(角川文芸出版)、『雨宮処凛の「生存革命」日記』(集英社)、『プレカリアートの憂鬱』(講談社)、『自己責任社会の歩き方 生きるに値する世界のために』(七つ森書館)など、著書多数。2007年に『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版)でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、「週刊金曜日」編集委員、、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長、09年末より厚生労働省ナショナルミニマム研究会委員。

https://maga9.jp/190710-2/
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/917.html

[政治・選挙・NHK262] れいわ新選組の人気と立ちはだかる「テレビの壁」(マガジン9)
映画作家・想田和弘の観察する日々
第78回:れいわ新選組の人気と立ちはだかる「テレビの壁」(想田和弘)

By 想田和弘 2019年7月10日
出典「マガジン9:https://maga9.jp/


 7月4日から参議院選挙が始まった。

 山本太郎参議院議員が4月に立ち上げたばかりの政治団体「れいわ新選組」に、5日の時点で2億5244万円もの寄付が、1万7731人から集まったそうだ。異例のことである。

 「3億円集まったら10人候補者を立てる」と公言していた山本太郎議員は、約束通り、次々に強力な候補者を立てていった。

 元東京電力社員で拉致被害者の家族でもある蓮池透氏。

 「女性装」の東大教授・安冨歩氏。

 重度障害者で自立ステーションつばさ事務局長の木村英子氏。

 元セブン・イレブンのオーナーで本部から契約解除された経験を持つ三井よしふみ氏。

 沖縄創価学会壮年部に所属しながら、公明党を批判する野原ヨシマサ氏。

 環境問題の専門家である辻村ちひろ氏。

 元J.P.モルガン銀行資金部為替ディーラーの大西つねき氏。

 難病ALSの当事者で全身麻痺ギタリストのふなごやすひこ氏。

 元派遣労働者でシングルマザー、ホームレス経験者の渡辺てる子氏。

 山本氏はかねてから「当事者を候補者として立てたい」と述べていたが、まさに一人ひとりが日本を覆っている問題の中心にいる当事者である。

 れいわにこんなことができるのも、市民からの寄付のお陰だ。日本の選挙の供託金は世界一高く、選挙区では1人300万円、比例区では1人600万円かかる。大多数の主権者には払えない金額である。そういう法外な供託金を設定することで、日本の政治は普通の人が新規参入するのを見事に阻んでいる。しかしれいわ新選組は、まずはその壁を見事に乗り越えたのである。普通の人から集まった浄財によって。

 いずれにせよ、僕は候補者のラインナップが発表されるたびに、「その手があったか!」と膝を打つ思いであった。候補者自体が、れいわ新選組の強いメッセージとなっり、どんな政治を目指す集団なのかがよくわかるからだ。有名人を客寄せパンダのように擁立するのとはわけが違う。

 しかも山本氏は当確と言われていた東京選挙区から抜けて、代わりに野原氏を送り込むという奇策に出た。創価学会員である野原氏を公明党党首の山口那津男氏にぶつけ、「福祉」も「平和」も捨ててしまった公明党から票を奪うためだ。喧嘩の売り方がうまい。公明党に不満のある創価学会員がどう反応するのか、大変見ものである。

 そして山本氏自らは比例区から立候補。しかも優先的に当選する特別枠にふなご氏と木村氏を当て、最低3人当選しないと自分は落選という背水の陣を敷いた。新聞の調査では比例区から一人か二人しか当選しないと推定されているなか、正直無謀な策にも思えるが、山本氏は自分の議席と引き換えにしてでも、重度障害を抱える二人をなんとか国会に送りたいのであろう。

 実際、彼らが選ばれたら、それだけで国会は確実に変わる。変わらざるを得ない。なにしろ主権者によって選ばれた議員なのだから、彼らが自由に国会内を動き、質問をしたり、投票をしたりできる環境を作らなければならなくなる。それは国会のバリアフリー化を否応無く推し進めるだろう。そして福祉制度が少しずつ崩されていく中、彼らは全国にいる無数の障害者たちの視点と要求を国会に届ける強力な議員になるであろう。考えるだけで胸が熱くなる。

 また、比例区で得票率2%を獲得すれば、れいわ新選組は政党要件を満たすことになる。そうなれば山本太郎氏は、たとえ議員として落選したとしても党首として討論会等に参加し、引き続き政治をかき回してくれるに違いない。

 僕はれいわ新選組を見ていると、どうしても小林まことのコメディ漫画『1・2の三四郎』を思い出してしまう。実力はあるのに外れ者の東三四郎や西上馬之助、南小路虎吉などが、ラグビーや柔道、プロレスなどのスポーツで、馬鹿力を出してメインストリームの一流どころをギャフンと言わせていく。れいわ新選組の挑戦には、そういうアンダードッグ的な強烈な物語性がある。

 残念でならないのは、本来ならばいかにもテレビが飛びつきそうな物語を持つ彼らが、テレビ討論会に全く呼ばれず、ニュースでも取り上げられないことである。それは「現時点で政党要件を満たしていないから」「特定の政治団体を取り上げると不公平になるから」という杓子定規な理由によるものなのだろうが、それではいくら画期的で新しい政治現象が出てきても、テレビは一切無視するしかなくなる。

 れいわ新選組の街頭やネットでの勢いを「小泉フィーバーに匹敵する」と評する人もいるが、この点が小泉フィーバーとの決定的な違いだ。小泉純一郎が自民党主流派に反旗を翻した際には、その一挙手一投足をテレビが報じた。それは自民党という大政党の中での内紛だったからである。テレビは思う存分その「物語」を報じ、全国的な小泉フィーバーを作り出した。

 一方のれいわ新選組は、テレビ的には存在しないも同然だ。香港で巨大なデモが起きても、中国本土では全く報じられないのと同じだ。きちんと報じられていたら、政権にとって深刻な脅威になっていたであろう。というのも、年々テレビ離れが進んでいるとはいえ、人々が政治や選挙について知るうえで、テレビの影響力はまだまだ大きいからである。

 実際、公益財団法人「明るい選挙推進協会」が2017年に行われた第48回衆議院議員総選挙について全国で意識調査http://www.akaruisenkyo.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/07/48syuishikicyosa-1.pdfをしたところ、「あなたは政治、選挙に関する情報を主に何から得ていますか」という問いに対して、「テレビ」と答えた人が62.5%とダントツ1位であった。ちなみにラジオは1.4%、新聞は19.2%、インターネットは12.6%、家族や知人からの話は3%である。

 政治に対して最も影響力があるテレビというメディアは、「公平性」を装いながら、実は既成の勢力に味方し、真に新しい勢力の参入を阻んでいる。日本の政治に新しい血が入りにくく、マンネリズムで空気が淀んでいるのは、決して偶然ではないのだ。

 そういう政治に風穴を開け、新鮮な空気を入れるためにも、れいわ新選組にはなんとか複数の議席を確保してほしいと思う。

 僕自身は早々にニューヨーク総領事館で在外投票を済ませた。比例は山本太郎に、選挙区は野党統一候補に一票を入れた。野党もれいわ新選組を「自分たちの票を奪う脅威」とみなすのではなく、むしろ「野党全体を活性化させる起爆剤」として手を結び、うまく活用してほしいと願う。


想田和弘
http://www.laboratoryx.us/sodaofficial/HOME.html
想田和弘(そうだ かずひろ): 映画作家。ニューヨーク在住。東京大学文学部卒。テレビ用ドキュメンタリー番組を手がけた後、台本やナレーションを使わないドキュメンタリーの手法「観察映画シリーズ」を作り始める。『選挙』(観察映画第1弾、07年)で米ピーボディ賞を受賞。『精神』(同第2弾、08年)では釜山国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞を、『Peace』(同番外編、11年)では香港国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞などを受賞。『演劇1』『演劇2』(同第3弾、第4弾、12年)はナント三大陸映画祭で「若い審査員賞」を受賞した。2013年夏、『選挙2』(同第5弾)を日本全国で劇場公開。最新作『牡蠣工場』(同第6弾)はロカルノ国際映画祭に正式招待された。主な著書に『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』(講談社現代新書)、『演劇 vs.映画』(岩波書店)、『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』(岩波ブックレット)、『熱狂なきファシズム』(河出書房)、『カメラを持て、町へ出よう ──「観察映画」論』(集英社インターナショナル)などがある。

https://maga9.jp/190710-5/
http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/918.html

[政治・選挙・NHK263] ナショナリズム 日本とは何か/沖縄と「祖国」B  「沖縄メッセージ」に煩悶 昭和天皇と瀬長 (朝日新聞社 論座)
ナショナリズム 日本とは何か
【13】沖縄と「祖国」B
「沖縄メッセージ」に煩悶 昭和天皇と瀬長

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)
論座 2019年07月11日 より無料公開部分を転載。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019041400005_1.jpg
日本復帰で衆院議員となった瀬長亀次郎。このころは共産党副委員長=1985年、東京・永田町の衆院議員会館。朝日新聞社

■ナショナリズムを分断した戦後の「国体」

 この連載で私は、ナショナリズムについて、明治に生まれた近代国家・日本がまとまりを追求し続ける動きととらえ、幕末以降を点描してきた。

 戦後の沖縄に舞台を移した前々回(*1)と前回(*2)では、米軍統治からの「民族の解放」を目指した祖国復帰運動に触れた。沖縄は1972年に日本に戻ったが、日米安保体制という戦後の新たな「国体」にはめ込まれ、「在日米軍基地が集中する沖縄」となって今に至ると書いた。
(*1) http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/748.html
(*2) http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/749.html

 祖国復帰運動を率いた政治家・瀬長亀次郎(1907〜2001)を知る人々を、私が沖縄に訪ねたのは今年2月の下旬。ちょうど在日米軍基地問題の焦点である普天間飛行場の県内移設をめぐる県民投票の最中だ。
 
https://image.chess443.net/S2010/upload/2019041400005_2.jpeg
県民投票の当日、小雨の中でのぼりが揺らめいた=2019年2月24日夕、那覇市。朝日新聞社、

 移設先として、政府が「抑止力維持と基地負担軽減の両立を満たす唯一の選択肢」とする名護市辺野古沖の埋め立てに対し、県民が示した意思は、投票率5割超、うち「反対」は7割超だった。

 戦後日本に生まれた日米安保体制という「国体」が、ナショナリズムを分断している。それは、1952年4月8日、日本が主権を回復する一方で、米軍の要衝として切り捨てられた沖縄の「屈辱の日」まで溯る差別の構造として、沖縄の人々に意識され続けている。

 そうした「国体」をめぐる日本と沖縄の分断の淵源として、避けるわけにはいかない出来事がある。

■「天皇メッセージ」

 「天皇の沖縄メッセージ」。戦争に敗れた日本が連合国軍総司令部(GHQ)の占領下にあった1947年9月、昭和天皇が主権回復を探りつつ沖縄では米国の占領継続を望むという考えが、宮内庁御用掛の寺崎英成からGHQに伝えられていた、というものだ。

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沖縄県公文書館が米国立公文書館から収集した1947年9月の「天皇メッセージ」のコピー

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寺崎英成。在米日本大使館の一等書記官として日米開戦回避に努め、戦後は宮内省御用掛として昭和天皇に仕え、GHQ最高司令官マッカーサーとの通訳も担当した=朝日新聞社

 米側の公文書をもとに79年に明かされたこの「天皇メッセージ」については、その意図や影響をめぐり今も評価が分かれる。

 それは、この出来事があった47年9月が、近代国家・日本の行方を左右する動乱のさなかだったということもある。戦前は統治者として「国体」の中心にあった昭和天皇が、GHQ占領下でできた新憲法の施行により「日本国と日本国民統合の象徴」となった直後だった。

 だが、昭和天皇が72年の沖縄返還にあたっては「さきの戦争中および戦後を通じ、沖縄県民の受けた大きな犠牲をいたみ、長い間の労苦を心からねぎらう」と述べ、その思いを抱えながら世を去って30年。遺志を平成に継いだ天皇陛下(いまの上皇さま)も今年退位した。

 時は着実に過ぎていく。風化せぬよう、「天皇メッセージ」に関する事実を時系列で整理しておく。丸カッコ内は私が注記した。

◇1947年

・9月19日 寺崎が昭和天皇に拝謁後、「シーボルト(GHQ外交局長)に会ふ 沖縄の話 元帥(GHQ最高司令官マッカーサー)に今日話すべしと云ふ 余の意見を聞けり」(寺崎英成・御用掛日記、1991年、文芸春秋)
・9月20日 シーボルトから同日付でマッカーサーに宛てたメモ(天皇メッセージ)より以下に抜粋、概訳。

 「寺崎は、米国による沖縄の軍事占領継続を天皇が望んでいると語った。天皇の考えでは、そうした占領は米国の利益、日本への保護となる。日本の人々はロシアの脅威だけでなく、台頭する右翼や左翼が起こす事件にロシアが乗じ日本の内政に介入することを恐れているので、(米国の沖縄占領継続は)広く受け入れられる。沖縄の占領は、日本の主権を残しつつ、20〜25年かそれ以上の長期貸与という擬制をとるべきだ、と天皇は思っている」

・9月22日 シーボルトから同日付で米国務長官マーシャルに宛て、上記のマッカーサー宛てメモのコピーを送る。

◇1979年

・4月 上記の「天皇メッセージ」メモを進藤栄一・筑波大助教授が月刊誌「世界」(岩波書店)に寄せた論文「分割された領土」で紹介し、反響が広がる。

・4月19日 宮内庁侍従長の入江相政が昭和天皇から呼ばれ、「『沖縄をアメリカに占領されることをお望みだった』といふ件の追加の仰せ。(日本の敗戦後、中華民国の)蔣介石が占領に加はらなかったので、ソ連も入らず、ドイツや朝鮮のような分裂国家にならずに済んだ。同時にアメリカが占領して守つてくれなければ、沖縄のみならず日本全土もどうなつたかもしれぬとの仰せ」(入江相政日記、1991年、朝日新聞社)

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進藤栄一・筑波大助教授が寄稿で「天皇メッセージ」を紹介した月刊誌「世界」(岩波書店)の1979年4月号

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1979年5月、全国植樹祭に出席のため愛知県を訪れた昭和天皇=朝日新聞社

■激しい追及を繰り返した瀬長

 1979年、瀬長は沖縄選出の衆院議員となって10年目だった。復帰後も米軍基地撤廃による「民族の解放」を求めた瀬長は、国会で政府に「天皇メッセージ」の確認を迫る。「世界」の進藤論文に赤線を何本も引いて臨んだ4月27日の質問は、激しかった。

 「当時はすでに憲法が施行されておる。この問題は国家主権と国民主権の問題なんです。(沖縄の)百万人、日本国民なんです。実に売国行為である」

 「あした、4・28という民族屈辱の日、(52年に)対日平和条約が発効して(主権を回復した日本に沖縄が)断ち切られた日なんです。その苦しみの根源がここにあった」

 そのころ国会では、「元号法案」が審議中だった。明治、大正、昭和と継がれてきた一世一元の元号を、「広く国民の間に定着し、大多数の国民が存続を望んでいる」(首相の大平正芳)として法制化しようという世相だった。

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1989年1月、那覇市の国際通りで昭和天皇の「沖縄メッセージ」を批判する街頭宣伝車=朝日新聞社

 那覇市に住む瀬長の次女・内村千尋さん(74)の手元にある遺品の議員手帳には、「5月12日、天皇を批判したので脅迫状が来た。差出人は大日本軍団青年部。対策をとらないと」と書かれているという。

 それでも瀬長は、5月31日の国会で改めて「沖縄の長期にわたる軍事占領支配が天皇の提言に基づいて行われたという歴史の証言である」と訴えた。答弁に立った外相の園田直は、「調査の結果は、そういう事実や記録は全然ない。私個人で判断しても、そういうことに天皇が自らの意見を発表されるようなことは絶対にあり得ない」と反論した。

 先の「入江相政日記」には、5月2日に昭和天皇に宮内庁長官が拝謁し、「瀬長議員質問の例の寺崎・シーボルトの件につき申し上げる」とある。瀬長の追及ぶりは伝わっていたようだ。

 そして、宮内庁は2017年に編集した「昭和天皇実録」で、「天皇メッセージ」について上記の1947年9月の経緯をほぼ確認している。

■「美しい祖国日本をとりもどす」

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瀬長の1967年11月の日記。「美しい祖国日本をとりもどす」とある=今年2月下旬、那覇市にある瀬長の資料館「不屈館」。藤田直央撮影

 瀬長は1967年10〜11月、復帰前の沖縄からパスポートを手に本土を訪れ、北海道から奄美大島までを講演で巡った。旅の途中の日記に、沖縄の復帰によって「美しい祖国日本をとりもどす」と書いた。

 何だか、今の安倍晋三首相の言い回しと似ている。今年2月10日の自民党大会での総裁挨拶では、 ・・・ログインして読む
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[政治・選挙・NHK263] 参院選情勢を徹底取材! 慢心!安倍自民が陥る三つの落とし穴 (毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月11日 05時00分(最終更新 7月11日 05時00分)
Texts by サンデー毎日 鈴木哲夫

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討論会に臨む与野党の党首ら=東京都千代田区の日本記者クラブで2019年7月3日、藤井達也撮影

▼自民幹部「失言連発」のウラ

▼東北「1人区」与野党バトルの「秘策」とは?

 いよいよ始まった参院選では7月21日の投開票に向けて与党優勢、野党劣勢が伝えられる。老後資金2000万円問題の影響を最小限にとどめ、3分の2議席に肉薄するとの情報もある。とはいえ、一寸先は闇。慢心する安倍自民に「三つの落とし穴」があるという。

 連立政権で安倍晋三首相はいわば身内。にもかかわらず、公明党のベテラン議員がこぼした。

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[政治・選挙・NHK263] 響く演説、スマホに通知 駅ごとの住民データを候補者へ(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月11日06時00分 関口佳代子、藤原伸雄

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ジャッグジャパンが陣営に提供するデータの一例。総世帯数の分布が色の濃淡で表されたうえで、世帯の構成人数を示す円グラフや地方選での得票数も示されている

 1丁目では「年金」の演説を、大通りを挟んだ3丁目では「保育」の話を――。ネット上のデータを活用して、地域住民のニーズに沿った演説内容を候補者に教える。そんな取り組みが静かに広がりつつある。

 「この地域はサラリーマン世帯が密集して電車通勤の人が多いので、朝に駅前で『賃上げ』を訴えましょう」「低所得者の多い地域。見切り品を求める人が多い夕方に、スーパー前で『年金問題』を取り上げてください」

 選挙コンサルティング会社「ジャッグジャパン」(東京都渋谷区)は、参院選の候補者にこんなアドバイスをしている。2014年から始め、今回は複数の陣営と契約しているという。

 分析に使うのは、有権者に関す……こちらは有料会員限定記事です。残り:719文字/全文:1000文字

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[政治・選挙・NHK263] 参院選の争点、図で見せます 20代女性らSNSに公開「無関心でいたいわけじゃない」(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月11日 19時02分(最終更新 7月11日 19時02分)

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工藤彩音さんらが作成した、消費税に対する各党の主張をまとめた画像=工藤さん提供

 年金や消費税など、参院選の主要争点についての各党の立場を1枚にまとめた画像を大阪府の保育士らが作成し、SNSで公開している。11日現在、ツイッターで11万回以上リツイートされ、「分かりやすい」と評判だ。【塩田彩/統合デジタル取材センター】

■七つの課題への主張を図示

 「消費税、上げる?上げない?無くす?」「保育士不足どうするの?」――。画像は、こんなキャッチコピーとともに、年金▽消費税▽憲法改正▽原発▽学費▽同性婚▽保育士不足――の七つの課題について、各政党の主張が党首の顔写真入りで分かりやすく示されている。

 作成したのは大阪府摂津市の保育士、工藤彩音さん(26)と友人の花岡凜(りん)さん、長井絵里子さんら…

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https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190711/k00/00m/010/193000c
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[政治・選挙・NHK263] 老後2千万円不足が映すよれよれの「家族国家」 (朝日新聞社 論座)

老後2千万円不足が映すよれよれの「家族国家」
「家族」に過大な負担を強いてきた結果、立ちゆかなくなっているこの国

松下秀雄 朝日新聞編集委員(政治担当)
論座 2019年07月11日 より無料公開部分を転載。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070700002_1.jpg
金融庁の審議会がまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」

■不安を一皮めくると見えてくるもの

 この参院選で最大の争点といえば、老後の暮らしに必要な資金の問題だろう。

 「年金だけだと2千万円不足する」という金融庁の審議会の報告書は、多くの人の心の中でくすぶっていた不安に火をつけた。

 ただ、これは選挙権を行使する大切な機会だ。不安にあおられるよりも、その正体を見極め、しっかりと考えたうえで投票したほうが一票は生きる。

 不安を一皮めくったとき、そこにみえてくるのは、「家族」に過大な負担を強いてきた結果、立ちゆかなくなっている「家族国家・日本」の姿ではないか。

■長生きを喜べない社会

 この報告書で注目すべきは、そこに書かれていること以上に、消されてしまった文章だろう。

 報告書の原案には「公的年金の水準については、中長期的に実質的な低下が見込まれている」「今後は、公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある」とあったが、最終稿では「公的年金の水準については、今後調整されていくことが見込まれている」などと丸められた。そして、これは最後まで残ったけれど、「『自助』の充実を行っていく必要がある」と資産形成を促した。

 年金はこの先、大丈夫なのか? そんな不安を認めた表現だった。

 「自助のすすめ」は、社会保障の意味を疑わせる内容になっていた。

 社会保障は、何のためにあるのか?

 社会保障の中でも、年金や介護、医療は社会保険に分類される。その存在理由のひとつは、人の一生は不確実性に満ちていて、個人で備えるのがなかなか難しいことにある。

 年金でいえば、何歳まで生きるか予測がつかないから、自分で貯蓄しろ、投資しろといわれても、どれだけ蓄えればよいのかわからない(2千万円不足というのは、65歳の夫と60歳の妻が、あと30年生きると仮定した場合の話だ)。けれども1万人の寿命を足せば、合計は「平均寿命×1万」に近づく。みんなで老後に備えれば、必要な額のおおよその見当がつくから過剰な蓄えをせずに済み、ずっと合理的なのだ。

 それなのに、年金だけでは満足に暮らせなくなるから自分で備えよと、報告書はいう。
そういわれても、ぎりぎりの生活をしている人はどうしようもない。多少は蓄えることができたとしても、「思っていた以上に長生きしたら、どうしよう」という心配を抱え続ける。長生きを喜べない、悲しい社会になってしまう。

 それで社会保障といえるのか。保障していないじゃないか……。そうした疑問がわかないほうが、私には不思議に思える。

■年金先細りの元凶は少子化

 そんなことをいったって、年金は先細らざるをえない。いまと同じ額を給付していたら、若い世代が耐えきれないよ……。

 そういう指摘もまた、否定しがたい事実だろう。

 私たちは年金の保険料を納めているけれど、それを積み立てて老後に給付するわけではない。お年寄りの年金の原資は、現役世代の保険料や、税金などでまかなっている。息子や娘が年老いた親を養うのと同じことを、社会全体に広げておこなっているのだ。だから「減らすのはけしからん。とにかく出せ」というばかりでは、いまのお年寄りはよくとも、現役世代の負担が重くなり、年老いたあとに受け取る年金も減りかねない。

 この問題に簡単な解決策はない。だからこそ、年金の土台である社会の構造から考えなければならない。

 年金はなぜ先細るのか。いうまでもなく、原因は少子高齢化だ。

 高齢化は長寿化だから、悪いことではない。問題は、なぜ少子化が進んだのかにある。

■生みたくても生めない劣悪な環境

 いちばんの問題は、生みたいと思っている人も生みにくい、劣悪な環境だろう。

 国立社会保障・人口問題研究所による2015年の出生動向基本調査では、夫婦が理想とする「理想子ども数」は2.32人。これに対し、実際に生むつもりの「予定子ども数」は2.01人にとどまる。なぜ「理想」まで生もうとしないのか。その理由としてもっとも多くの人が挙げたのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(56.3%、複数回答)だった。

 内閣府が昨年実施した少子化社会対策に関する意識調査では、国や自治体の少子化対策のうち「質が十分でない」「量が十分でない」と思うのは、そのどちらも「待機児童の解消」(質52.9%、量42.8%、複数回答)が最多で、次が「教育費負担の軽減」(質43.4%、量38.6%)だった。

 「お金がかかりすぎる」と感じる理由ははっきりしている。ほかの先進国に比べて教育に投じる公費が少なく、私費負担が多いのだ。経済協力開発機構(OECD)の「図表でみる教育 2018」によれば、日本では高等教育のための支出の68%が私費で賄われ、OECD平均の倍以上にのぼる。

 待機児童は、なぜ解消できないのか。理由はいろいろ挙げられるけれど、要は「本気度」が足りないのだろう。何をおいてもとりくむと腹をくくれば、解消できないわけがない。この社会では「3歳までは母親の手で育てるべきだ」といった意識が根強い。だから心の底で納得できず、本腰が入らないのではないか。

 社会としての支援を怠り、家族に自助を強いれば、子どもを生むのを諦める人が増える。日本の少子化は、「しかたがない」という諦めが積もり積もった結果のように思える。

■自民党は本気になれるか?

 日本の社会保障は、主にお年寄りを対象としてきた。安倍晋三政権は、子育て世代を含む「全世代型」の社会保障への転換を掲げ、教育無償化などにとりくむ。具体策にはいろんな問題があるものの、子育てを支援し、教育費の負担を軽くするという方向性じたいは間違っていないと思う。

 それは子どもたちや、子育て世代のためであると同時に、お年寄りのためでもある。子どもたちがしっかりと育ち、税や保険料を納められるようにならないと、年金を給付できない。若者にしかるべき賃金を払い、結婚して子どもをもうけられるように支えることも含め、全力で支援すべきだ。

 しかし、である。

 政権や自民党は、どこまで本気になれるだろうか?

 自民党は野党時代、「子どもは社会で育てる」と唱える民主党政権に対して「子どもは家庭で育てる」と食ってかかり、その看板政策だった子ども手当も高校無償化も徹底的に批判した。2012年にまとめた日本国憲法改正草案には「家族は互いに助け合わなければならない」と記し、家族の自助を掲げた。この草案は党の公式なもので、いまも修正や撤回はされていない。

 こういう意識をもったままで、「全世代型」の社会保障への転換が進むだろうか? 本気でとりくむというのであれば、安倍首相はみずから党内を説得し、改憲草案も修正・撤回すべきではないか。

■時代に逆らった「日本型福祉社会」論

 自民党が、家族の自助をしきりに唱えるようになったのは、何十年も前にさかのぼる。
 1973年、田中角栄首相が社会保障を拡充し、「福祉元年」と呼ばれた。 ・・・ログインして読む
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https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019070700002.html
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[政治・選挙・NHK263] 参院選 辺野古問題 国の横暴、誰が正す(朝日新聞)
社説 2019年7月12日

 辺野古の海をめぐる沖縄県と政府の対立が、再び法廷に持ちこまれることになった。玉城デニー知事の提訴方針が、きのうの議会で認められた。

 昨年8月、軟弱地盤の発覚などをうけて、県が埋め立て承認を撤回したのが、今回の訴訟の出発点だ。防衛当局は、県の措置を取り消すよう石井啓一国土交通相に申し立て、認められた。裁判では国交相のこの裁決の当否が争われる。

 残念なのは、有識者でつくる第三者機関・国地方係争処理委員会(富越和厚委員長)が全く機能しなかったことだ。

 裁判に先立つ形で、係争委はこの問題を審査してきた。論点はふたつだった。

 (1)行政不服審査法によれば、国交相に申し立てができるのは国民や企業などの「私人」に限られるが、防衛当局はそれに当たるか(2)防衛当局と同じ政府の一員である国交相に、公平公正な審査が期待できるか。

 これに対し係争委は先月、(1)防衛当局の立場も私人と変わらない(2)行政事務は細分化され、どの機関も適正に仕事をしている。国交相がことさらに判断をゆがめるとはいえない――として政府の行動を追認した。

 とうてい納得できない。

 埋め立ての要件などを定めた公有水面埋立法は、私人と国とを明確に区分し、扱いも別にしている。何より軍事基地を造る目的で埋め立てを許される「私人」などいるはずがない。

 (2)の縦割り行政を称賛するような見解も噴飯ものだ。工事は閣議決定に基づいて行われており、国交相が防衛当局と異なる見解を示すことなど考えられない。理屈をこね、事の本質を見ないまま、常識に反する判断をしたとの批判は免れまい。

 係争委は4年前にも同様の辺野古案件を審査した。最終的に県の訴えを退けたものの、国側の主張にも疑問を呈していた。その後、委員長らが交代したためか、政府による既成事実づくりに屈したのか、国寄りの姿勢を今回鮮明にした。この係争委の判断に対しても、県は提訴を検討しているという。

 政権の強引さは目にあまる。国と自治体の利害がぶつかった場合を想定した解決手段は別に用意されているのに、一般国民の権利を守るためにある行政不服審査請求という裏技を繰り出した。「身内」同士で確実・迅速に処理でき、工事に突き進めると踏んだのは明らかだ。

 地元の民意を無視し、脱法的なやり方を恥じず、係争委もまた期待される使命を果たさないとなれば、地方は国に従属するしかない。ひとり沖縄の問題ではない。地方自治全体をゆるがす事態と考えるべきだ。

https://www.asahi.com/articles/DA3S14093218.html?iref=comtop_shasetsu_02
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/141.html

[政治・選挙・NHK263] 偽装留学生、奴隷労働の最前線・・・ 『移民クライシス』 著・出井康博 (長周新聞 書評)
2019年7月11日


 安倍政府が「特定技能」という新しい在留資格をつくったため、今年4月から外国人が単純労働を目的に入国できるようになった。しかし同じく4月以降、日本の大学を卒業した留学生の就職条件が緩和され、単純労働の人手不足対策にされようとしていることはあまり知られていない。留学生はいったん就職すれば日本で永住する権利を得たのと同じで、それは日本の移民国家化に直結する。

 これまでも「外国人技能実習制度」の問題点は指摘されてきたが、それ以上にひどいのが留学生の扱いで、多額の留学費用を借金して来日した彼らは、その返済のため、人手不足だが実習生の受け入れが認められていない仕事−−コンビニやスーパーで売られる弁当や惣菜の製造工場、大手通販サイトの深夜の仕分け作業など−−に明け暮れる。「週28時間以内」という入管法の上限をこえる違法就労でも企業は見て見ぬふり。それでも日本語学校が学費で吸い上げるため、借金はなかなか減らない。

 この出稼ぎ留学生が急増した契機は、安倍政府が日本再興戦略で掲げた「留学生30万人計画」だ。この目的を達成するため、政府は留学ビザの発給基準を大幅に緩和。留学生は安倍政府の6年半で14万人以上増え、現在32万人をこえており、出稼ぎの目的を果たすどころか、借金を返すまでは母国に帰れない、まさに人身売買と見まがうような現代の奴隷労働を強いられている。この「偽装留学生」の実情を明らかにするのが本書の目的である。

 この問題はメディアではほとんどとり上げない。なぜならメディア自身がその構造に深く組み込まれているからだ。

 著者は東京都内の朝日新聞販売所で密着取材をおこなった。大手新聞各社とも、配達現場で目立つのがベトナム人で、都内では配達員すべてがベトナム人留学生という販売所もあるという。

 ベトナム人のファット君(仮名)は、区域統合で朝刊400部、夕刊250部を週に6日配る。かさばる元旦の新聞は自転車に乗せきれず、販売所との間を10往復以上して5時間以上かかった。しかし彼らの給料は「週28時間以内」の就労が前提の固定給だ。いくら仕事が増えても法律を逆手に残業代を支払わないしくみである。著者はベトナムで「日本への留学ブーム」をつくったのが朝日新聞だったことも暴露している。

■留学生30万人計画の犯罪性

 しかし留学生全体から見れば新聞奨学生として来日できる外国人はごく少数。その他大勢の偽装留学生の待遇はもっと劣悪だ。そのしくみは、要約すれば次のようになる。

 ベトナムでは「日本に留学すれば、月20万〜30万円が簡単に稼げる」という噂が広まっている。それは現地では豊作の年の農家一軒の年収に匹敵する。だが留学するためには日本語学校の初年度の学費、寮費6カ月分の前払い、渡航費、ブローカーに支払う手数料など、総額約150万円が必要だ。それで多くの留学生は、親の家や田畑を担保に銀行から借金をする。

 普通、留学費用を借金に頼るような者は、本来なら留学ビザの発給対象にはならない。だが、日本政府は留学のための経費支払い能力のない留学生にまでビザを発給している。そのカラクリで重要な役割を果たすのが現地のブローカーで、彼らは親の年収や銀行預金口座がそれぞれ200万円以上になるよう証明書を捏造し、行政機関と銀行の捺印を得る。32万人をこえる留学生のうち、少なくとも半数程度がこうした偽装留学生の可能性があると著者はいう。

 このブローカーと提携している日本語学校が近年急増して全国711校となり、9万人の留学生を抱えるまでに膨れ上がった。だが勉学条件は劣悪で、バイトの必要のない富裕層指定の上級クラスと、バイトに明け暮れ授業中は机に突っ伏して寝る中・初級クラスに二極化し、ひどい学校では寮も一部屋に8人詰め込んで1人1カ月2万5000円というぼったくりがあるという。一方、学校間で留学生の奪い合いが起きて、ブローカーは留学生1人につき10万円程度のキックバックを受けている。

 日本語学校の設立には学校法人以外に株式会社も参入できることから、人材派遣会社や塾産業大手が留学生ビジネスに乗り出している。政府は「適正校」に1年で5割の定員増を認めており、定員を6年間で4倍にし授業料収益を4倍にした東京の大手校もある。

 近年、学費を払えなくなって失踪し、不法就労に走る留学生が急増しているが、それを防ぐためにパスポートや在留カードを留学生からとり上げている日本語学校すらある。失踪・不法残留者が5%以上になると「非適正校」になり、定員を増やせないからだ。こうして8割以上の日本語学校が偽装留学生を受け入れて経営を成り立たせている疑いがあると著者は指摘している。

 さらに大学や専門学校も、本来なら日本語能力試験N2合格が入学の必要条件だが、少子化のもとでそれをかなぐり捨て、偽装留学生を受け入れて生き残りをはかっているところがある。文科省も以前は、専門学校における留学生の割合を学生全体の50%以下にするよう決めていたが、この規制を撤廃した。

 そして、日本語能力試験を統括する独立行政法人・国際交流基金は、国籍別の合格者を発表していない。それは、合格者が韓国や中国などの漢字圏に偏り、ベトナムなどアジア新興国から急増する留学生が偽装だということがバレてしまうからだという。

 このように見てくると、留学生問題はたんに一部の悪徳ブローカー・企業の問題ではなく、国策としての国境をこえた労働力流動化政策、移民国家化が背景にあることが浮き彫りになる。ロスジェネ世代の貧困、高齢者の貧困、先進国一高い母子家庭の貧困率など、日本人の貧困問題と同根の問題といわざるをえない。
 
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/imin.jpg
(角川新書、303ページ、定価920円+税)

https://www.chosyu-journal.jp/review/12138
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/145.html

[政治・選挙・NHK263] 月6万円の過酷労働、病気で半身不随 日本恨んだ実習生(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月12日07時00分

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190711004137_commL.jpg
脳梗塞(こうそく)になったベトナム人元技能実習生のグエン・ドゥック・フーさん。帰国前日、東京都港区の日新窟で体を休める=2019年6月12日午後9時30分、平山亜理撮影

 夢を抱いてこの国に来たはずの人が、また一人失意のまま母国へ去った。

 ベトナム人の元技能実習生グエン・ドゥック・フーさん(34)。脳梗塞(こうそく)で倒れ、半身不随になった。

 3年前に来日した。実習先は建設現場で足場を組む仕事だった。一日14時間働いて月給は約6万4千円。「月給14万円」という来日前の説明とは異なった。

 「来日のために抱えた借金150万円が返せない」。3カ月で逃げ出した。その後は、岐阜で清掃、愛知で農業、滋賀で荷物の梱包(こんぽう)などの仕事に就いた。

 倒れた時は失踪中だったため、……こちらは有料会員限定記事です。残り:2251文字/全文:2503文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7B6S4RM7BUHBI02J.html?iref=comtop_latestnews_04
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/146.html

[政治・選挙・NHK263] 今日の毎日新聞「ちょっとだけよ」(デジタル毎日)
 
金融庁報告書から透けて見える「戦前のイヤな感じ」(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月12日 11時00分(最終更新 7月12日 12時17分)

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/11/20190711k0000m010303000p/6.jpg?1
金融庁の「報告書騒動」の発端となった麻生氏の諮問文。自ら有識者に「検討」してもらいながら、その結果の受け入れは拒否するという奇手に出た=東京都千代田区で2019年7月11日

 考えている。かの「老後2000万円問題」、金融庁報告書の一件だ。おカネの不安もさることながら、安倍晋三政権が報告書を握り潰したことが気になっている。昭和の戦争の時代にも、似たようなことがあった。報告書から透けて見える「戦前のイヤな感じ」を読み解いた。【吉井理記/統合デジタル取材センター】

■麻生氏、仰天の一手
 
 それにしても、麻生太郎財務相にはびっくりである。

 例の報告書、金融担当相も兼ねる麻生氏が2016年4月、金融庁の審議会に「経済の持続的な成長及び家計… 

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https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190711/k00/00m/010/309000c
 
 
大学生が作った「政治家失言タイムライン」が話題(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月12日 16時00分(最終更新 7月12日 16時00分)

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/12/20190712k0000m040124000p/6.jpg?1
麻生太郎財務相の3回目の発言=「政治家 うっかり失言TIMELINE〜ジェンダー編〜」から

 過去約20年間のジェンダーに関する国会議員の問題発言を時系列で紹介するインターネット記事「政治家 うっかり失言TIMELINE(タイムライン)〜ジェンダー編〜」が話題を集めている。今月1日にアップして以降、アクセス数は9万を超えた。集めた事例24件のうち20件は自民党議員によるもの。まとめた明治大4年生の日下部智海(くさかべ・ともみ)さん(22)に、記事の狙いや失言の分析を聞いた。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】

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https://mainichi.jp/articles/20190712/k00/00m/010/130000c
 
 
アポロの月着陸は捏造だった? 「はやぶさ」元広報担当が斬る(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月12日 09時44分(最終更新 7月12日 12時19分)

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/12/20190712k0000m040032000p/6.jpg?2
アポロ月着陸捏造説について解説する寺薗さん=毎日メディアカフェで、7月8日、斗ケ沢秀俊撮影

 アポロ11号による人類初の月着陸から50年にちなむイベント「アポロ月着陸捏造疑惑を斬る!〜月探査新時代を前に」が8日、東京都千代田区一ツ橋の毎日メディアカフェで開かれ、寺薗淳也・会津大准教授が講演した。

 「月着陸はうそ。映像は米国内で撮影された」との捏造説がある。寺薗さんは「空気がないのに旗がはためく、影の方向がおかしいなどの指摘があるが、旗は真空中でもはためくし、空気がないため遠くの物が近くに見える。地上の現象を月に当てはめると間違いが起こる」と解説した。

 米国同時多発テロなど大きな出来事や事件が起こると陰謀論が出てくるが、寺薗さんは「陰謀論を信じると、物事を深く考えなくなる。科学的、論理的に考え、だまされないでほしい」と訴えた。【斗ケ沢秀俊】
https://mainichi.jp/articles/20190712/k00/00m/040/033000c
 
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/158.html

[政治・選挙・NHK263] 消費税は、日本国憲法下の税制に相応しいのか。(ちきゅう座)
2019年 7月 12日
<熊王信之:ちきゅう座会員>

金融庁の報告書を契機に火がついた年金問題は、少子高齢化の社会にあって老後の不安が現実になった、と受け取られ社会問題になりつつあります。来る参議院選挙では、国民の不安を鎮静化出来る選良の方々を選びたいものです。

国民の生活実態は、新自由主義が跳梁跋扈する現状を反映し、前世紀から悪化する一途なのです。現政権の統計には疑惑が付き物であり、此処で引用するのも気が引けますので、ある保険会社の調査を引用しますと、「還暦を迎える人の4人に1人は、貯金が100万円も無い」現状が明らかになります。

還暦を迎える人の4人に1人は、貯金が100万円も無い シニアガイド 2019/6/14 00:00 https://seniorguide.jp/article/1190354.html

しかも男女差別を反映して「働く女性の9割は定年後の生活が不安、でも4割は貯金が無い」のが実態です。

働く女性の9割は定年後の生活が不安、でも4割は貯金が無い シニアガイド 2019/6/30 00:00 https://seniorguide.jp/article/1193337.html

このような過酷な生活実態を無視して消費増税が実施されます。 

消費税は、極めて逆進性が強く所得が過小な貧困層からも徴収されます。所得課税が無くても、生活保護の対象者であっても、小児であっても課税と徴収の対象からは逃れることが出来ないのです。  

日本国憲法の原理に則る税法学を喧伝されておられた故北野弘久先生は、「応能負担原則・国民(納税者)主権主義などに鑑み、租税理論的及び憲法理論的にいえば、直接税中心の体系が合理的である。 中略

大型間接税を導入しなくても、日本国憲法が意図する応能負担原則等に従って税制を整備することによって、二十一世紀の高齢化社会、福祉社会、平和な社会の日本を財政的に展望することが可能である。」(税法学原論第六版)と述べられています。

処が、憲法原理に則る税制から違背した税目である消費税を導入し、法人税、所得税等の税率を操作することに依り、大企業と富裕層にとっては「日本版タックスヘイブン」(浦野広明著「税が拡げる格差と貧困」)と化したのが実態なのです。

世界の課税実態と比べて「日本は非常に富裕層に優しい税制になっているといえる。仮に、株式などの金融所得に対する税率を25%に5%引き上げるだけで、約1兆円の税収増が見込めるという。」と報道されるのが一部であるのがこの国の悲しい実態でもあります。 

老後2000万円報告書で発覚した“富裕層の税率が高い”のウソ 女性自身 記事投稿日:2019/06/21 11:00 最終更新日:2019/06/21 11:00 https://jisin.jp/domestic/1749646/

大企業にとっては、この国がタックスヘイブンそのものであるのです。その一例は、あのトヨタ自動車は法人税を5年間も払っていなかった、との事実があるのです(不公平な税制をただす会「社会保障財源38兆円を生む税制」)。 

これらの事実を勘案すれば、現税制の反憲法性が顕著です。 

ここで思い出すのがあの麻生氏の「ナチスの手口に学べ」です。あの発言。現憲法を改正する手法について、では無く、正しくナチスのように政治を司る、と言う意味であったのではないのでしょうか。即ち、ナチスは、憲法改正等の正統的な手続は一切せず、ただ、なし崩しに法体系を無視してしまっただけなのです。アベ自民党は、既にナチス化し、日本国憲法下の実定法秩序をなし崩しにしつつあるのではないでしょうか。そう思えば、消費増税の影で税制そのものを大企業と富裕層へ有利にしつつある動きが理解出来ますし、各種統計の恣意的改編も理解出来ます。加えて未だ明らかになっていない処で恣意的改編等があるのではないか、とも思えます。

蛇足ですが、株式市況が景気の前兆との金融界の常識が今では通用しない、と金融業の人々が言いますが、それも官製相場でアベの何とかの実態暴露を隠蔽しているのかも知れません。 とすると、上に引用した保険会社へも何らかの行政指導が為されるのかも。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion8807:190712〕

http://chikyuza.net/archives/95200
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/159.html

[政治・選挙・NHK263] 大西つねき氏(れいわ新選組)の演説を文字で読む 現代社会が抱える金融システムの不条理(長周新聞)
長周新聞 2019年7月12日

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岡山駅前でのれいわ新選組の街頭演説(10日)

 参議院選に10人が立候補した山本太郎率いる「れいわ新選組」が全国でくり広げている街頭演説や講演会が話題を集めている。そのなかの1人、元外資系銀行ディーラーであった大西恒樹氏(全国比例)が10日、広島市内で講演会を開き、現代の日本社会が抱える金融・経済システムの不条理に焦点を当て、資本主義社会のもとで広がる貧困化、格差拡大、増税などの財政問題について問題提起をおこなった。現在の経済の仕組みを根本から問い直す内容が各地で反響を呼んでいる。大西氏の講演を概括して紹介する(掲載する図やグラフは同氏による提供)。

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 日本は世界一のお金持ち国にもかかわらず、7人に1人の子どもが貧困状態にある。私は3年前から地元神奈川県のある高校の図書館カフェでボランティアをしている。そこからは高校生たちの何気ない会話の中からいろんな問題が垣間見えてくる。学校や家庭の悩みに加えて、最近はバイトの悩みなども多く、日本中の企業が驚くほどブラック化していて、5月の10連休に高校生たちは10連勤している状態もあった。さらにはJK(女子高生)ビジネスといういかがわしいビジネスも横行している。そこから聞こえる何気ないSOSを拾って、しかるべき支援に繋げていくというボランティアだ。この子どもたちの一人一人の顔が、私が政治をやる非常に強いインセンティブ(刺激)になっている。

 そこからは、子どもの貧困はさらに悪化していることがわかる。教育困難校といわれる学校に行くと、3人に1人が生活保護だったりする。この世界一のお金持ち国の現実がすでにそうなっている。では、貧困状態にある子どもたちの何がいけなかったのか? それは生まれてきた境遇によるもので子どものせいではない。

 子どもだけの問題ではなく、大人も簡単に貧困状態に陥る状態にある。病気、ケガ、失業、離婚、災害…などでちょっとバランスを崩した瞬間に一気に貧困状態に突き落とされてしまう。そのようなことが簡単に起こる経済、社会の仕組みになっている。

 例えば、2011年3月の東日本大震災。私が政治団体を立ち上げたきっかけは、この大震災だ。当時、私は宮城県石巻市にボランティアとして通っていた。そのとき私はある民主党議員のところで復興支援室でボランティアをしており、民主党政権下だったので民主党の物資倉庫で物資のやりとりを担当していた。

 あるとき石巻のボランティア団体から電話がかかってきた。「石巻エリアで1500人くらいの人が食うのに困っているから、カップラーメンを2万食送ってくれ」という。だがすでに5月末で、みんな避難所にいっていて、そこには食料も物資もあるはずだ。「なぜ?」という違和感があった。すぐに2万食を送ったものの、何が起きているのか自分の目で確かめようと思い、翌日、車に布団を積んで石巻まで走って行った。

 石巻インターを降りると、すぐ左側に巨大なイオンが営業している。店内に入ってみると、土曜日の午後でもあり、人でごった返し商品も溢れている。まったく被災地感はなく、どこにでもある土曜日の混雑したイオンだった。「何かおかしいな?」と不可解さを抱きながら、そのまま沿岸部に向かった。女川トンネルを抜けた瞬間に景色が一変した。ぐちゃぐちゃになった車が積み重なり、ガソリンスタンドの支柱には車が刺さったまま宙に浮いている。そこで案内されたのは、食うに困っている人たちの代表のお宅だった。避難所ではない。被災後、その人たちも一度は避難所に行ったが、そこには限界状態にある人たちがたくさん集まっていて、プライバシーもない過酷な環境だ。

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大震災と津波に襲われた後の石巻市雄勝町(2011年4月、本紙取材にて撮影)

 だから、自宅の1階まで水に浸かり、家の半分がぶち抜かれて泥だらけになり、家電製品が使えなくなっていても、自宅の2階に戻って住んでいた方がマシだということで、石巻では約1万世帯くらいの人たちが在宅被災者という形で自宅に避難して暮らしていた。

 実はいまだに同じ状況が続いている。数は少し減っているが、つい2カ月前にNHKが石巻の渡波(わたのは)という地域の在宅被災者のドキュメンタリーを放映していたが、そこはいまだに壊れた自宅に住んでいる。なぜかといえば、家を直すにも1000万〜2000万円かかる。支援金、義援金を合わせても全壊世帯で600万円。住宅ローンも抱えている。当時は被災で働けなくなり貯金を切り崩して暮らしていた。それが「食うに困っている人たち」の真実であり、だからこそ「1食でもタダでもらえるならもらいたい」ということでカップラーメン2万食という救済の声があがっていたのだ。

 その話を聞いたとき、これは震災の問題でもなく、津波の問題でもなく、巨大な金融問題だ、経済問題だと思った。結局、今の金融経済では困っている人たちのところにはお金がいかない仕組みになっている。

 おそらく他の理由でも同じようなことが起こる。病気、ケガ、失業、離婚…そういう理由で全国津々浦々で経済的に困る人が必ず出る。経済の仕組みがそうなっている。これから大きな問題になるのは高齢者の貧困だ。年金が足りず、2000万円の貯金がなければ大変だといわれているが、そんな額が簡単に貯められるものではない。当然、高齢になると病気もケガもしやすい。そのときに十分な貯金がなく、年金もわずかで、働くこともできなければ、もう誰も助けてくれない。そうやって一気に貧困に突き落とされ、誰にも知られることなく孤独死したり、将来を悲観して自殺するようなことが簡単に起きる。全国津々浦々で日常茶飯事のように起きることが容易に想像できる。

 高齢者だけではない。若者たちもちょっとバランスを崩したり、引きこもったり、いろんな理由で一気に貧困に突き落とされる人がたくさん出る。これも経済の仕組みに起因している。

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豪雨災害に見舞われた広島県呉市天応地区(2018年7月12日)

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3年たちながら仮設住宅暮らしを強いられている熊本地震の被災者たち(2019年4月、益城町)

■お金に支配される本末転倒な社会

 私はもともとJPモルガンという銀行にいて、今の金融システムのど真ん中で働いてきたので、その仕組みがいかに残酷で、いかに格差拡大的であるかを身をもって体験している。震災の光景を見ながら、根本的な原因は金融システム、経済の仕組み、資本主義というような私たちの考え方、生き方にあり、これを根こそぎ変えなければ解決できないと感じた。これを根こそぎ変えるために政治団体を設立した。なぜかといえば、そんなことをいっている政治家も政党もどこにもいないからだ。今の金融経済がおかしい、今の金融システムがおかしい、資本主義はそろそろ限界だ、などといっているような政党はいまだに皆無だ。誰かがそれを大きな声でいい出して、新しい勢力をつくらなければダメだと考えた。

 むしろ、今の仕組みがおかしいということは、国会の中の人たちよりも、その外にいて毎日一生懸命働いても働いてもちっとも楽にならないという人たちの方がはるかに実感している。だから、そういう人たちに、今何が起きていて、何が本当の原因で、何が問題なのかをひたすら伝え続けて納得してもらい、その人たちの気持ちを集めれば必ず後で大きな数となり、本当に政権をとって国をひっくり返す。その先に今の仕組みを根本的に変えることができるだろうと思い、政治団体を設立した。

 2011年の被災地で、私の堪忍袋の緒を切った出来事がもう一つある。5月末か6月ごろ、石巻エリアで巨大な建物が建設され始めた。なぜ被災地にこんな巨大な建物をいきなり建てるのだろう? と思ったが、これはきっと病院や、当時泊まる場所がなくて寝袋を持ってきていたボランティアが寝泊まりできるような復興の手助けになる施設ができるのではないかとワクワクして見ていた。何カ月か後、初めてそれが何かがわかったときに衝撃を受けた。二つとも巨大なパチンコ店だった。自分の中で何かがブチッと切れた。

 確かに今の金融経済では、お金は物凄いスピードでもうかるところへ移動する。困っている人のところにはお金はいかない。もうからないからだ。ある人はいうかも知れない。「当たり前だよ。それが金融資本主義だから」「そういう仕組みだから」と−−。だが、それを「そういう仕組みだから」という理由で鵜呑みにし続けていいのだろうか。困っている人を助けるためにどうすべきかを考えなければいけない。お金も経済の仕組みもそのためにあるべきだ。その本質が忘れ去られ、いつの間にかカネ、カネ、カネの社会、経済になってしまっていることから変えなければ、人間の生き方や人生までおかしくなってしまう。私は、生きて働いて、死ぬときに「何をしたのか?」という自問に答えられないような人生を送ってしまうことに気付いたとき、絶対にこれを変えてやると思った。お金に支配された社会、経済を根こそぎ変えなければ、個人の心の自由も、自分の人生における時間をどのように使うのかという基本的な人権も奪われ続ける。

 週に5日も6日も会社の上司や株主など金持ちのいうことを聞かなければいけない生活を強いられ、場合によっては残業をやらされ、わずかに残った自分の時間だけ自由に過ごせるという人生を30年、50年続けて、最後には何のために生きていたのかわからない状態になるほど歪んでしまっている。自分でコントロールできるはずの時間を一人一人に返さなければいけない。奪われてしまっている時間の解放は、金融経済を変えることによって可能になる。これは未来の子どもたちにとっても非常に不公平な仕組みだ。ひたすら作って、消費して、壊すというサイクルを続ければ地球の環境も悪化し、あらゆる種を絶滅に追い込んでいくことになる。これを根こそぎ変えるには、国家経営の間違いも含めてまったく新しい社会を描かなければいけない。それは世界を変えることでもあり、そのために日本だからこそできることがある。

■世界一の金持ち国で340兆円のタダ働き

 冒頭にいった「日本は世界一のお金持ち国」であるという事実はあまり知られていない。だがこれは紛れもない事実だ。主要国の対外純資産【表参照】を調べると、日本はプラスの341兆円で1位。ドイツが2位、中国が3位。そして、アメリカ合衆国がなんとマイナスの1076兆円。日本はこの数十年間不動の1位だ。かたやアメリカは不動の最下位。世界中から借金をしている世界一の借金大国だ。トランプのディール外交というのは、この莫大な借金を解消するために米国製品をひたすら売る。とくに日本に対してポンコツのオスプレイとかGMO(遺伝子組み換え生物)食品、F35、詐欺まがいの金融商品とか、バカ高い医薬品とか、とにかく何でもいいから日本に買わせて世界一の日本の資産を奪っていこうとするものだ。中国に対するプレッシャーも、3位にいる中国人に25%の関税をかけ、「アメリカに売ってばかりでなくて買え」と圧力をかけているのが米中貿易摩擦だ。トランプの政策はとても単純だ。世界一の借金を負っているから少しでも米国製品を売ってそれを解消しようとしている。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/265c5563220ea30a405210ce71b2a71c-2-768x747.jpg 主要国の対外純資産@

 では、日本はなぜこれほど大きな資産を持っているのか。それはみなさんがこの30年間黒字を稼ぎ続けてきた結果だ。日本は戦後復興を貿易立国、輸出主導型でずっとやってきた。海外に製品をたくさん輸出し、輸入を少なく抑えることで黒字を稼いだ。その結果たまった黒字341兆円は、実際には3兆ドルの外貨で円ではない。国際決済はドルでやってきた。原油もドルで買うし、輸出の代金もドルで受けとる。だから黒字もドルで貯まる。アメリカの1076兆円の赤字も円ではなく、約10兆ドルのドルを借りている。そのドルは黒字国が貸している。

 では、なぜ世界一の黒字を稼いでいるのにみなさんにその実感がないのか。それはこの稼いだ3兆ドルがみなさんのために使われないからだ。この黒字は使わなければただの紙切れだから当然投資する。ドルならドルを使うアメリカに投資する。この3兆ドルはその国で使われる。労働者の賃金を払い、つくった製品も国内に提供し、米国内で循環する。日本には入ってこない。黒字が増え続けたとしても海外投資になるため日本のみなさんは受けとれない。だからまったく実感がない。家庭に例えるなら、親が「わが家は世界一金持ち」といいながら稼いだお金を全部貯金して使わなければ、子どもは「嘘だね。何も買ってくれないじゃないか」というだろう。それと同じ状態で、何一つ受けとれていない。

 それどころか、この30年間みなさんはとんでもない働き方をさせられてきた。1971年から2016年までの為替レート【グラフ参照】を見るとそれがよくわかる。1971年には1ドル=360円だった。これが今は110円くらいになっている。円の価値が3倍になり、ドルが3分の1に下がっている。その契機が1985年のプラザ合意だ。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/e8e0555fa9d2037c2d0b11466a182266-768x576.jpg  プラザ合意と為替レート?

 プラザ合意とは、ニューヨークのプラザホテルでG5(主要5カ国)が集まって、各国の協調介入でドルを下げることを決めた合意だ。なぜかといえば、当時のレーガン米政権は「強いアメリカ」であるための「強いドル政策」をしていた。強い自国通貨のドルで労働者に高い給料を払えば、その国の労働者がつくった製品は高くなる。そのかわりに、逆に海外からは物を安く買える。自国の通貨が高いため、輸入ばかり増えて、輸出はしにくくなり、その結果大赤字を抱えた。一方、戦後復興を輸出主導型でやってきた日本と西ドイツはともに戦敗国であり、戦後賠償もあったので輸出で稼いで貿易黒字が続いていた。アメリカは「いい加減に黒字を稼ぐのをやめろ」といって、西ドイツのマルクと日本の円の為替レートを上げることによって、これらの国の黒字を減らしてアメリカの赤字を減らそうとした。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/dly1805080005-f1.jpg プラザホテル

 その結果、プラザ合意前夜に1ドル=230円だった為替レートが、2年以内で一気に1ドル=120円にまで真っ逆さまに落ちた。ほぼ半額のドル安、2倍の円高だ。簡単にいえば、1ドル=200円が100円になった。日本の輸出企業にはたいへんな事態で、今まで200円のコストで作っていたものが1ドルで売れていたのに、2ドルで売らなければならない。海外からすればまったく同じ製品が値段が2倍になるため、日本製品は高すぎて買えないということになる。逆に、海外からの輸入では2ドル(200円)していたものが1ドル(100円)で買えるようになる。輸出がしにくく輸入がしやすいので赤字になる可能性がある。つまりアメリカに「日本の貿易収支を赤字にしろ」と要求されたのがプラザ合意だった。

 日本は何をしたか。確かにバブルの3年間はそれをやって金融緩和でお金を回し、みんながそれを使って遊んだので輸入が増えて輸出が減った。それで黒字が少し減った。だが、バブルが崩壊して景気が悪化すると、何とか景気を回復させようとした。

 日本の経済構造は輸出企業が中心だ。彼らはコストカットを始めた。1ドル=200円のときに200円でつくっていたものをそのままのコストでつくったのでは円高で値段が倍になって売れない。それなら、今まで200円でつくっていたものを100円のコストでつくれば、これまで通り1ドルで売れるという話だ。要するにコストをカットすればなんとか売れる、売るためにコストをカットする、ということを景気回復のためにひたすらやってきた。

 だが、コストとは、そのまま誰かの売上であり給料だ。それを30年もずっと削り続けて3兆ドルも稼いだわけだ。半分のコストでつくるといっても人間が2倍の速度で働けるわけもなく、要するにコストカットの名の下に、みなさんが受けとるべき給料や代金がちゃんと支払われなかったということだ。これが支払われていたら製品の値段は上がるので、輸出が伸びず、3兆ドルも資産は増えなかったかもしれない。つまり、みなさんが自分の身を削り、無理矢理安くつくって、3兆ドルの黒字を稼いだということだ。胸に手を当てて考えてみてほしい。日本で横行しているサービス残業とは何か。働いているのに給料がもらえないということだ。海外の労働者にしてみれば狂気の沙汰だ。

 この3兆ドルはみなさんが受けとらなかった分であり、みなさんのタダ働き分だ。現在は1ドル=110円だから330兆円、1ドル=200円だったことを考えると600兆円だ。これだけの給料を受けとらないまま、それだけのタダ働きをして世界一の3兆ドルの黒字を稼いでしまった。しかも、その3兆ドルはほぼ海外に貸しっぱなしでみなさんは受けとれていない。

 今アベノミクスの賃金偽装疑惑みたいなもので、「実は賃金が〇・何%低かった」というような細かい話をしているが、いかにみなさんが受けとるべき給料が受けとれていなかったかは、もっと大きなデータを俯瞰して見ると一目瞭然だ。

■お金の量は5倍に増えたのに給料は削減

 ここに1980年から2018年までの4つのデータ【グラフ参照】がある。すべて日銀からとってきたデータだ。4本の線のうち、マネーストックM2というのは、日本中の現金・預貯金(ゆうちょ銀行や農協に預けたお金を除く)をすべて足した額だ。つまり、日本には今お金がいくらあるのかという数値だ。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/1325209f4f8c00ba8606a9a27404c976-1-768x694.jpg マネーストックとGDP、借金の推移B

 1980年にはマネーストックは200兆円だった。それが2018年には1000兆円を超えている。このあいだに5倍に増えた。私が就職した1986年のマネーストックは340兆円だった。このとき私が会社から受けとった初任給は20万円だった。そして、私の息子が就職した2017年のマネーストックは990兆円。息子の初任給はまったく同じ20万円だった。31年たってお金が3倍に増えているにもかかわらず、大学生の初任給は変わっていない。私は外資系金融機関だったので他よりちょっと高かったかもしれないが、それほど極端な金額ではない。600兆円のお金が増えながら、この30年間ほとんど給料は上がっていないという話だ。ではその600兆円はどこにいったのか? みなさん薄々気づいているだろう。日本の大企業の内部留保は600兆円とか、500兆円といわれる。

 この内部留保は、会社が従業員に給料を払うのをやめて、安い法人税を払うと溜まる仕組みになっている。もちろん内部留保は全部現金ではないが、その資産はお金があったから買えたものだ。

 対外資産の3兆ドルはみなさんに支払われなかったものだと考えると、この30年で日本の企業というのは給料を払うのをやめたということだ。昔の日本の企業は「三方よし」などといわれ、従業員、お客様、株主みんなのためにあったはずだが、小泉・竹中改革あたりから政財界は「会社は株主のもの」という明確な答えを出した。利益を上げるのがよい経営者で、利益を上げないものはクビになる。ひたすら株主のために利益を上げ続けるし、そのために従業員の給料はひたすら削り続ける。みなさんは削るべきコストだ。人間をコストとするのが今の企業経営になっている。そういう仕組みの中で、法人税を下げたり、株式売買益に対する課税が極端に低かったりする。すべて一部の株主のためだとしか思えないような国家経営をずっとやっている。

 この30年間、間違いだらけの国家経営をしてきた。現在の自民党政権がやり続けてきたことだ。だが問題は、この間違いをどの野党も指摘できていないことだ。わかっていないもの同士のプロレスごっこが続いている。私がれいわ新選組から立候補したのは、真実を知らせて彼らの無能を理解してもらい、外に新しい勢力をつくって中に殴り込みをかけるしかないということをわかってもらうためだ。

■GDP上がればよいか 国民の幸せは置き去り

 彼らには、国家経営という概念すらない。強いていえば、「GDPを上げる」「株価を上げる」という浅はかな答えが返ってくるだろう。みなさんが幸せになった結果、GDPや株価が上がるというなら別に悪くないが、これが目的になってしまうと完全に本質を見失う。

 残念ながらこの国の首相は就任した途端に「GDP600兆円」みたいなことをいっていた。そのための「一億総活躍」だ。みんなが活躍して稼げばGDPが上がる、それがみなさんの幸せと信じて疑わないという浅はかな思考の持ち主がこの国の首相だ。

 経済成長の目安にされているGDP(国民総生産)とは、1年間にどれだけのお金が動いたかというだけの指標だ。今までお金の交換でなかったものをお金の交換にすれば上がる。例えば、子育てを保育サービスにするとGDPが上がる。母親が保育料を稼ぐために外に働きに出るとGDPが上がる。それで時間がなくなったから、自分でつくっていたご飯を外で買ってくるようになればGDPが上がる。介護も同じだ。そうしたい人はそれでもいいが、子育てや介護のために自分の手を掛けるとGDPは上がらない。

 G D P と は 、 消 費 + 政 府 支 出 + 投 資 + 純 輸 出 だ。純輸出とは、輸出から輸入を引いた差であり、黒字になればプラスで、赤字になればマイナスだ。日本の戦後復興はこの純輸出をプラスにするところからはじまった。焼け野原で資源もないから、まず資源を輸入しなければ生産ができない。輸入するにはドルが必要になる。だからドルを借りて資源を輸入し、それを加工して輸出して黒字を稼ぐとそこからドルを返せた。黒字をたくさん稼ぐと輸入がさらに増やせた。戦後はなにもないから、原材料を輸入してたくさんつくっても飛ぶように売れた。純輸出が増えれば消費が増え、たくさんつくるための投資も増え、政府支出も増える。全部がプラスだからGDPはずっとプラスだ。これで戦後復興を30年、40年ずっとやってきた。その結果、何も考えなくなり、GDPがプラスならいいと思い込み、そこで政治家も官僚も思考停止してしまった。

 戦後復興はそれでよかったが、1985年のプラザ合意でアメリカから円高にされても基本的に変わらない。そして、純輸出を上げるためにみなさんの給料を削った。それで売って稼いだ3兆ドルの黒字は海外に貸しっぱなしで、みなさんの幸せは置いてけぼりになっている。

 売上や給料を削ったために、みなさんが好きなように消費し、自由に時間を使うことができない。それで消費が伸び悩んだとしても、輸出を維持し、作るための投資をし、政府が赤字を垂れ流しながら支出を続ければ、差し引きでGDPはプラスだ。これで「経済成長してます」「政治はうまく機能しています」と政治家も官僚も大手マスコミもずっと言い続け、野党もこれを指摘できない。経団連は輸出企業の塊みたいなものだが、これらが巨額の献金を自民党にすれば輸出企業に有利な政策をする。それによって労働者の幸せなどはとうの昔に置いてけぼりだ。これがこの30年間の日本の国家経営だ。

 いまだに東京五輪をやって外国人にお金を落としてもらえば経済が活性化し、GDPがあがるなどという。五輪で観光客が来たところで落とされるのは外貨であり、輸出と変わらない。いくら黒字を稼いでも海外に貸しっぱなしになって受け取れない。TPP(環太平洋経済連携協定)でも「これで日本の輸出が伸びる」という。そんなことをやってもみなさん幸せになれないことは30年間で証明されているにもかかわらず、いまだにそんなことを言っている。それに対して新しい提言をすべき野党が同じかそれ以下のレベルだからずっとこれが続いている。

 黒字を稼いでも使わなければ意味がない。どうやって使うかは簡単だ。政府があお金を作って配る。1人100万円でいい。あくまでこれは、れいわ新選組の公約ではなく私個人の持論だ。4人家族なら400万円もらえれば現役世代は使うだろう。働く時間を減らして、その分遊ぶ余裕ができれば、消費が増える。消費が増えるから資源の輸入が増える。生産が減るので輸入が増える。もしかしたら赤字になるかもしれないが、むしろ赤字にしなければいけない。赤字にすることが黒字を使う唯一の方法だからだ。政府が国家経営を誤ったために支払われなかった30兆ドルを「黒字還付金」として国民に配る。1人100万円を1億3000万人に配っても130兆円。タダ働き分の3分の1に過ぎない。それでも赤字がたいしたことなければ1人あたり8万円のベーシックインカムを2年くらい配ることだってできる。これは実は日本だからできることだ。日本がタダ働きで品質のいいものをつくると世界が迷惑する。黒字が出るということはどこかが赤字なのだ。この構図が続くことは持続可能な社会とはいえない。

■借金でお金をつくってきた現代の経済システム

 もう一つは、財政金融の考え方を根本的に間違え続けてきた。政府の借金が大変だから税金でそれを返し続けなければならないとか、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の達成、つまり税収の範囲内で支出を抑えなければならないという発想だ。財務省をはじめ大手メディアもずっと言っている。これは全部大ウソ、大間違いだ。なにもわかっていない人の世迷い言でしかない。

 実は政府の借金とは、政府の無駄遣いのせいでも、税収が足りないせいでもない。もっと根本的な原因はいまのお金の発行の仕組みにある。いまのお金の発行の仕組みを続ければ、世界中のほぼすべての国は赤字(借金)まみれになるという帰結になる。そのお金の発行の仕組みを続けている限りは政府の借金問題は絶対に解決しない。

 では、「お金の発行の仕組み」とはなにか。日銀券だから日銀が発行していると思っているだろうが、それではつじつまが合わない。お金がどれだけあるのかは、さきほど見たとおり1980年に200兆円だったものが現在1000兆円を超えている。800兆円以上のお金が増えている。みなさんがお金だと思っている日銀券は、日本中の紙幣をかき集めても100兆円にもならない。誰がどう見ても計算が合わない。お金の量は1000兆円を超えているのにお札は100兆円しかないのだから。

 では、どうやって800兆円も増えたのだろうか。現金・預貯金の総額であるマネーストックM2というのは、日本中の個人や企業が自分のお金だと認識しているものを足したものだ。みなさんも自分のお金は財布の中だけでなく、預金通帳の中にあるものも含めて自分のものだと思っているだろう。1000兆円あるうち100兆円しか紙幣がないということは、ほとんどが預金でしかないということだ。実際には存在しておらず、あると勘違いしているだけだ。では、どうやってその勘違いが生まれるのか。それがいまのお金の発行の仕組みの正体だ。

 現代のお金の増やし方=信用創造の仕組みを説明する。

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 例えば、Aさんが100万円をA銀行に預けに行ったとする。するとA銀行は金庫に入れ、運用もする。銀行には預金準備制度というのがあり、預かった預金のごく一部を日銀に預けなければいけない仕組みになっている。仮に預金準備率が1%とすると、100万円の預金を預かったA銀行は100万円の1%(1万円)を日銀に預けて、残りの99万円を貸すことができる。私がA銀行にお金を借りに行くと、銀行は必ず口座を持たせる。なぜかといえば私が99万円を借りると私の預金通帳に99万円と書き込むだけだからだ。これで私は自分が99万円を持っていると思う。Aさんも口座に100万円持っていると思っている。その時点でお金は199万円に増えている。ただ私は借金だからあまり自分のお金とは思えない。

 だが私がB銀行の誰かに99万円を送金してしまえば、それを受けとった誰かはその99万円を純粋に売上か給料かわからないが自分の預金として認識する。これがもともと私の借金であるかなど知らないし、気にもしない。晴れてめでたく、Aさんの100万円の預金は99万円の預金とあわせて、もともと100万円だったお金が199万円に増えることになる。新たに99万円を預かったB銀行は、そのうち1%の9900円を日銀に預け、98万100円をまた誰かに貸すことができる。また同じことが起きる。これをC銀行の誰かに送金すれば、その誰かは98万100円を純粋に自分の預金と認識し、これを預かったC銀行はまた1%(9801円)を日銀に預けて、残りの97万299円を誰かに貸すことができる。もうこの時点で、私の99万円を受けとった人は99万円を持っているし、これを借りて送金した相手は99万100円を持っていることになる。もともとお金を預けたAさんはお金を1円も動かしていない。預金通帳に100万円と書かれたまま。だがお金は300万円に増えている。

 これをぐるぐるとやっているうちに、貸せる金額は1%ずつ減っていくが、100万円の元預金÷預金準備率1%=1億円までお金を作り出すことができる。これが信用創造という現代のお金の発行の仕組みだ。こうやってお金が増えている。その結果、みなさんそれぞれが1000兆円持っていると勘違いしているという状態だ。実際にはもっていないのだから勘違いにすぎない。実際に存在しているのではなく、銀行が誰かに借金を貸すことによって作り出した数字が電子的に回ってきて、それをみんながお金と認識し、自分のものだと思っている。みんなが一斉に銀行にお札を取りに行っても金庫にお金があるわけではない。

■拡大し続ける巨大なイス取りゲーム

 「借金でお金を作る」――この仕組みが意味することは、借金を返すとお金が消えるということだ。最初に私が99万円借りたときには、99万円のお金を作り出し、それを使うこともできる。だが私が返せないかもしれない…と弱気になってすぐ返したとする。返した途端に相殺してお金も消える。仮になんとか借り切ってなにかに使ったとすると、私の手元に残るのは99万円の借金だけだ。もし1年ローンだとすると、1年以内に99万円を世の中から集めてこなければ私はたいへんなことになる。だから1年後に99万円を集めて借金を返すと、同時に世の中から99万円のお金を消して自分の借金を相殺して消すことになる。これはすぐに返しても1年後でも同じだ。

 これが意味するものは、現代のお金はほとんどが借金で生まれているということだ。だからみんなが借金を返してしまえばお金が消える。つまりみんなが借金を返してはいけない仕組みなのだ。ただ、だからといって銀行からお金を借りて「お金を返したらお金が消える仕組みだから返さない」といっても銀行は納得しない。必ず返せという。だからみんな毎月返済する。その分お金は消えている。でもお金が減らないのは、その分誰かが借りているからだ。誰かが返せば、誰かが借りて新しいお金を生むという自転車操業だ。返した分、誰かが借り続けなければいけない。

 しかも問題は、元本分だけ返すのではなく利息が付く。私も99万円返せばいいのではなく5%の利息なら104万円返さないといけない。借金によって元本分しかお金は生まれていないのにそれ以上のお金を集めようとする。それで何が起きるかといえば、お金が足りなくなる。発行されていないのだから−−。

 例えばこの部屋に100人いたとして、1人100万円ずつ銀行からお金を借りて経済を回すとする。それぞれの銀行口座に100万円と記入されてスタートだ。みなさんがマッサージでも占いでもそれぞれサービスを交換し、お金を払ったり、貰ったりして経済を回す。1年後に100万円ずつ借金を返さないといけない。返してしまえばお金は消える。ここに5%の利息が付けば、みんなが1年後までに105万円ずつ集めようとするとお金が足りない。100万円×100人=1億円のお金しか回っていないのに、利息を含めて1人が105万円買えそうとすると500万円足りず、必ず誰かが破たんする。いまの金融システムは巨大なイス取りゲームなのだ。

 みんなが破たんせずに105万円を返済するには、あと500万円が余分に必要だ。そのためには誰かが借金をする必要がある。ここにもう5人いて100万円×5人=500万円の新たな借金が生まれ、それがみなさんのところにいけばめでたく利息も返済できる。だがそのときはお金が消えている状態で、この5人の手元には500万円の借金しか残らない。この人たちが返すためにさらに5人が必要になる。そして、もともとの1億円のお金があった状態に戻すためにはもう一部屋必要になる。100万円お金を借りる100人だ。つまり、どんどん部屋が大きくなって増えていかなければ回らない。

 人口が増え続け、借りる人も増え続け、その人たちが必要とする価値(いろんなサービスや製品)が増え続け、作れば売れ続けるような高度成長期のような状態が続けばいいが、そう長くは続かない。経済成長は必ず止まる。借金でお金を増やし続けなければいけない経済も必ず立ちゆかなくなる。

■「政府の借金=お金の発行」 という仕組み

 では、実際どうなったのかを先ほどのグラフで見てみたい。日本の現金・預貯金の総額である@マネーストックが200兆から1000兆円へと5倍に増えている。右肩あがりに堅調に伸びているのは、お金と借金が増え続けなければいけない金融システムだからだ。お金を作るために作った借金に利息が付いてどんどん返す金額が増え、それを返すためにどんどんお金が必要だったといことだ。当初は、青い線のB民間銀行貸出が並行に走っており、借金がお金を作っていたことがわかる。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/1325209f4f8c00ba8606a9a27404c976-1-768x694.jpg マネーストックとGDP、借金の推移B

 ところがあるときを境にこの2つの線が乖離していく。CGDPが増えなくなり、すっかり横ばいになる。そうすると銀行は誰に貸し続けるのか。1億3000万人しかいないのに同じ人たちに対して永遠にお金と借金を増やす続けることなどできない。A民間銀行貸出が下がっていくのは、それが実際にできなかったというデータだ。

 バブルが崩壊してから銀行は不良債権を処理し、貸しはがしや貸し渋りで実は100兆円近く貸し出しを減らしている。貸せる相手が見つからないから、その後も伸ばせていない。貸さないが、いままで借りた人には返せといわれて返し続けるから、だんだんお金は減っていく。新たな借金がなければお金は減る。

 だが、@マネーストックはまっすぐ増えている。では、誰が借金をしているのか。答えは赤い線A国債残高だ。民間銀行がマネーストックを支えきれなくなってから急激に日本の国債残高が上がり、いまや並行して上がっている。つまり、政府が借金をしてお金を発行し続けたということだ。民間の借金にかわって政府の借金でお金を作ってきたということだ。これはすべて日銀のデータだ。その気になれば誰でも引っ張ってこれる。みごとに政府の借金がお金を作っていることが証明されている。

 いまや1000兆円のみなさんのお金に対して政府の借金は900兆円だ。この900兆円を返すために900兆円の税金を集めれば、みなさんの預貯金はほとんどなくなる。政府が借金でお金を作っているのだから、政府が返済すればマネーストックも道連れにして下まで下がっていく。だから政府の借金がたいへんだから税金を上げなければいけないとか、消費税を上げなければいけないというのは全部大ウソだ。まったくあり得ない世迷い言でしかない。プライマリーバランスも同じだ。でもそれを政府もマスコミも言い続けている。

■政府の借金を税金では消せない

 政府の借金でお金を発行するというのは、どういうメカニズムなのか。日本の政府の一般会計における税収は年間約50兆円だ。例えば、政府が50兆円の税収を集めれば、みなさんの預貯金が同額減る。それに対して50兆円の予算を組んだとすると、政府の予算というのは公務員給与とか政府支出で民間に行く。集める相手と渡す相手が同じ人とは限らず、ひどく不公平なこともあるだろうが、経済全体としては50兆円の税金を集めて50兆円使うことによって、みなさんに50兆円戻すことになる。基本的には「行ってこい」の差し引きゼロだ。

 もし70兆円の予算を組んだとすると、みなさんから50兆円集めたうえで、政府は借用書(国債)を書いてそれを銀行に買わせる。銀行がそれを買って二〇兆円を政府に払う。この20兆円はみなさんの預金から出ていることになる。だが、政府の借金を銀行が買うからといって、みなさんの銀行の預金残高は1円も減らない。減れば誰もが怒るだろう。

 そうならないのは、銀行は20兆円分のお金をつくって政府に貸しているからだ。先ほどの例えでAさんが100万円の預金をし、僕が99万円を借りるときにAさんの預金が減らないのも、銀行が99万円をつくって貸しているからだ。政府が銀行に借金をするときも同じ事が起こる。そうすると、政府は集めた税収50兆円に加えて20兆円分の新しいお金を手に入れて、70兆円を政府予算で使う。

 そうすると最初の50兆円の税金を払ったみなさんは、70兆円戻ってくるので差し引きで20兆円分増えている。受けとっている実感はなくても誰かが受けとって、そのお金がぐるぐるまわって全体としてみなさんの預金を20兆円増やしている。この20兆円と政府の借金20兆円が同じなのは偶然でもなんでもなく、両方が並行して上がっていく。だからグラフもその通りになっている。これが政府の借金でお金を増やすメカニズムだ。

 では逆に政府の借金を税金で返すというのはどういう意味か。例えば、政府の借金を返すために税収を70兆円に上げたとする。みなさんのお金が70兆円減ってしまうが、その後に50兆円の予算しか組まなければ、差し引き20兆円みなさんのお金が消えてしまう。どこに行くかといえば、それは政府の黒字だ。その黒字で借金を返すので、政府の借金とみなさんのお金を20兆円分相殺して消す。借金を返せば、その分のお金が世の中から消えるのは当然のことだ。これをずっとやれば政府の借金は減るが、そのかわりみなさんのお金もほぼ消えてしまう。論理的にありえない話だ。当たり前のことなのだが、ずっとわからないままやり続けて、ようやく去年ぐらいからMMT(現代貨幣理論)が話題になりはじめた。

 現代貨幣理論とは、政府が借金をしてお金を発行し続ければいいという話だ。まさに日本が数十年間やっていることだ。必ずこうなる当然の帰結だ。政府の借金でお金を発行し続けたのだから−−。そうでなければ回らない金融システムだ。民間の信用創造、民間の借金によるお金の発行は必ず頭打ちになる。地球は一個しかないのだから、経済成長は必ず止まる。お金と借金を増やし続けるようなことが続くはずがない。この金融システムを維持するために誰かが借金をし続け、お金を発行し続けなければ立ちゆかない。最後まで借り続け、1円も返さなくても借り続けられる政府が借金をし続けてお金を発行し続けなければ、今の金融システムを維持する方法はない。

 だからMMTとは、この仕組みをただ単に認めたということに過ぎない。仕組みの結果を認めただけで解決策ではない。そのままそれをやればいいという話ではない。私のことをMMT論者だと誤解している人もいるが、それは間違いだ。

 なにが根本的な問題なのか。それは、借金でお金を発行する仕組みそのものだ。このまま借金を続けることは大きな問題があり、政府の国債のもとに年間9兆円もの利息を発生させている。利息とはお金を持っている人がお金を増やす仕組みだ。持っていない人にお金を貸してもっとお金を貰う。年間9兆円だ。日本政府の国債のもとに30年間で300兆円以上の利息が発生している。つまりそれだけお金を持っていない人からお金持ちに所得が移転されているという話だ。なぜお金という公共のもの(それがなければ経済が回せないもの)をつくるのに利息が発生し、その利息が富める者を富ませ、貧しい者から奪い続けるのか。こんなものは社会にとって意味がない。

■政府通貨という発想

 唯一の解決策は、誰の借金でもないお金を政府が責任をもって発行することだ。早くこれに気づかなければ所得の移転が進み、いまの金融経済そのものが巨大な格差拡大マシーンになっていくし、すでになっているということだ。

 私が考える政府通貨とは、1兆円紙幣でいい。この1兆円×130枚を日銀に預けるとする。それを日銀は金庫に入れて、政府の預金口座に130兆円と数字を書き込む。あとはそれを普通にみなさんに送金すればいい。1人100万円ずつ。みなさんの預金口座50万円だったものが150万円になる。それを使うときにはいままで通りに送金したり、1万円札で引き出せばいい。政府貨幣が現行の貨幣と混同されることはない。政府貨幣1兆円は日銀の金庫の中に入ったまま二度と出てこない。それならスペースを取らない1兆円札でいい。

 政府の借金を消すときも、政府が1兆円紙幣を900枚作ればいい。それを日銀に預けて金庫に入れると、政府預金口座に900兆円と書き込まれるだけだ。あとは、それをお金を貸してくれる人に返せばいいが、政府の借金はほぼ銀行がまかなっている。銀行が国債を山ほど持っていた。「持っていた」と過去形にしたのはアベノミクスの異次元金融緩和で、日銀が銀行から山ほど国債を買ってしまっている。半分以上の500兆円ほど買ってしまっている。それでなにが起きたかといえば、なにも起きていない。インフレにもなっていないし、金融的になにも起きていない。それなら全部買ってしまえばいい。

 それで何が起きるかといえば、日銀の金庫の中に900兆円の国債が入っている。これは政府に貸している分だ。日銀の政府預金口座に900兆円があり、政府から借りた900兆円の国債と政府から預かった900兆円が同じ日銀の中に両方あるという状態になる。相殺して消してしまえばいい。これは消したところでみなさんなにも感じない。おそらく蝶が羽ばたいたくらいの感覚しかない。

 だが、このバタフライイフェクトは必ず大きな変化を起こす。なぜかといえば年間900兆円発生していた利息が消滅する。この30年で300兆円もの所得を移転してきた巨大な格差拡大マシーンが止まる。誰が一番困るかと言えば、それでもうけ続けてきた銀行だ。銀行はこの仕組みによって、いままで900兆円、半分買われて400兆、500兆円という利息を得てきた。それが買い取られていきなり現金に変わる。だから収支を圧迫しており、いまや青息吐息だ。日銀が銀行から国債を買って、銀行に「民間にお金を貸しなさい」とプレッシャーを掛けている。それは銀行がお金を貸してはじめてお金が生まれるからだ。これが金融緩和の本質だ。でもそれができていない。つまり日銀も大したことはやれていないということだ。銀行から全部の国債を買われてしまうといくつかの銀行は潰れる。いろんな手当てをしたうえでやっているが、原理はそういうことだ。このように考えると国家経営も根本的に変わっていく。

■忘れ去られている税制の本質

 税金とはなにか。ほとんどの人が、使うために必要だから集めると思っている。実際には、日本政府はこの50年間ほとんど赤字でやっている。前回の東京五輪の翌年に建設国債を発行してから、何年かの例外を除いてずっと税収よりも多い予算を組んで、足りない分を政府の借金で賄ってやってきた。足りない分お金をつくってきたし、それができていた。それができるなら別に集めなくてもいい。全部借金でお金を作って使うこともできる。本当は使うために集めているのではない。

 無税国家にすることも可能だ。政府通貨でお金をつくって全部の政府支出を賄えばいい。税金をゼロにするとみなさんが余計にお金を手にして余裕が生まれ、働く時間を減らし、そのお金と時間を使って休んだり、より文化的な生活が送れる。すると消費が増え、輸入が増える。赤字になるかもしれないが、もしそれで大した赤字にならなかったら、そのまま無税国家ができる。日本は世界一の黒字国だから赤字にしていい国なのだ。

 ただ、だからといって税金をゼロにすればいいとは思わない。税金にはもっと大事な、思想の反映とか国家の形をつくるという側面がある。つまり税金は使うために集めるのではなく、国の形をつくるためにある。それはわれわれの考え方に従って決めるものだ。

 例えば、所得税が累進課税になっているが、これはお金持ちから余計にとって貧しい人に回していく。これは「所得の再配分」という思想の反映だ。ある程度所得を平準化させて格差を縮めるということだ。みなさんがそのような社会を望むからそう決まっている。

 相続税を0%にするか、100%にするかも明確に思想が違う。0%ならば相続税の家庭は子や孫もお金持ちという富の格差が世代を超えて続く。相続税を100%にすれば富の格差は一代でなくなる。みなさんがどちらの社会に住みたいかによって、その思想を税制に反映させればよいものだ。それによって税制も税金も変わっていくし、それこそが政治の本質だ。

 このような税制の本質を忘れ去って、お金が足りないから課税する、政府の借金が大変だから消費税を上げる…という、お金を集めるためのつぎはぎ税制になっている。

■価値を生み出さないマネーゲームを優遇

 さらに、政治家が点数稼ぎをするためのおかしな税制になっている。

 私が非常におかしいと思うのは分離課税だ。それは金融課税。株式の売買や配当に対して所得税とは別に税金が課税される。それが一律20%だ。つまり、株式でいくらもうけようと、配当でいくら稼ごうと一律20%しか課税されない。一時は10%まで減税されていた。それに対して所得税の最高税率は45%だ。地方税も合わせると50%以上とられる。

 株式の売買や配当はなにも生み出さない。右から左にお金を動かして、結局なにも作っていない。そういう所得に課税される分離課税がたったの一律20%だ。逆に、所得税というのは基本的に自分たちで働いて価値を作り出している人たちが払う税金であり、それに最高55%が課税される。価値を作って働くよりも、他人のふんどしで相撲をとって右から左にお金と所有権を流す方が低税率で得だから、そうしなさいというのが今の政府だ。

 だが、みんなが株式の売買だけを始めたら国は滅ぶ。株式売買といってもその株式会社で実際に価値を作り出して働く人がいなければ株価など上がらない。みんなが株式の売買をやれば国が滅ぶのに「それでいいですよ」というメッセージをこの国の税制は発しているということだ。完全に狂っている。

 その結果どのようなことが起きているか。所得によってどれくらいの税負担があるかを国税庁の資料【グラフ参照】でみると、一番高い28・7%の税金を払っているのは1億円プレイヤーだ。この人たちがだいたい所得税を払っているサラリーの上限だ。そこから先は税負担が下がり、右端の100億円以上稼いでいる人たちは、金融課税が10%だった平成25年度では11%しか払っていなかった。翌年に税率が20%になっても所得に対して17%しか払っていないということだ。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/6425fe1f503edf1ebb6513962f0b4667.jpg 申告納税者の所得税負担率

 つまり、100億円以上稼ぐ人たちは所得税など払っていないということだ。所得税は税率が高くて損だからそういう稼ぎ方はしないのだ。いまの税制の結果だ。税率が低いのは株主優遇なのだ。例えば外国人株主がすごく多いとか、売買を盛んにさせて株価が上がれば「政治家がうまくやった」とか、GDPが上がれば「経済政策が成功した」という。思い込みの点数稼ぎをやっていると、みなさんの本来の働き方や生き方、幸福は全部置き去りになる。そろそろ「おかしいだろ」と誰かがいう必要があるし、それをみんなが理解し、こんなものは変えようという機運をつくる必要がある。

 山本太郎代表は、分離課税と所得税を一体化させて総合課税にして累進課税をかければいいと主張している。もちろんそういう考え方もある。だが私個人の意見はもっと過激で、分離課税をそのままにして思いっきり課税すればいいと思う。1年未満の株式売買で得た利益に対しては99%課税する。要するにやめろという話だ。1年未満で株式を売ってもうける人がこの社会に必要なのか? それは誰のためになっているのか? そんな人はいらないし、そんな行為がいらない。

 1〜3年の株式保有でもうけても85〜90%。3〜5年なら80%。5年以上もってようやく70%と、どんなに保有しても所得税の最高税率より低くならないようにすればいい。そうすると外国人投資家が裸足で逃げ出す。株価は落ちるかもしれないが、そんなものは知ったことではない。株価が下がってもみなさんの生活には基本的になにも関係ない。一部それを保有している人たちの簿価が下がるだけだ。これがれいわ新選組の政策になるかはわからない。だが、これもみなさん次第で正しいと思う人が多ければ政策になるかもしれない。

■価値を生み出すために作るのがお金

 国家予算の考え方も根本的に変わる。予算とは、集めたお金の使い道だとたいていの人は思っている。だがこれも違う。そもそも集めなければお金がないということが幻想だ。なぜならいままでも集めらないのにお金を作ってきた。政府通貨でもお金は作れる。

 お金を集めなければいけないという発想も古い時代の思い込みだ。かつて日本の場合、戦争に負けて焼け野原になり、生産能力がなかった。それに対してみんなモノが欲しかった。 需 要 > 供 給 、つまり圧倒的な需要に対して供給量が少ない時代だ。供給する生産能力がなかった。だから一時的に税金を集めた。そして、みんなが貯金をした。するとみなさんのお金が減り、購買力が落ちる。需要を抑えて、国家が集めたお金で大規模に投資する。道路や橋、港湾や空港などインフラを充実させる。すると生産性が飛躍的に上がる。それではじめて需要を満たすことができる。これを戦後復興期はずっとやってきた。

 昔はサプライサイドエコノミーといわれていた。サプライサイド、つまり供給する側の経済だ。いかにして生産能力を高めるかという話で、生産能力を高めれば高めるほど売れまくっていた時代だ。だが、いまや国家が成熟してインフラも整って、逆に生産能力が有り余る状況になっている。そして、お金を集め続けることにより、とくにプラザ合意以降、みなさんの購買力をコストカットの名の下に落としてしまうことによって生産能力に対して需要が思い切り冷え込んでいる。 需 要 < 供 給 、つまり戦後復興期とは逆のことが起きているのに高い税金を集め、みんなが2000万円を目指して貯金などはじめると大変なことになる。これではお金が動かず、人が動かなくなる。

 富とはなにか。それはみなさんが作り出す価値だ。だからみなさんが活動しなくなれば富は生まれない。お金を貯めるというのはこれからは自殺行為だ。でもそういう発想の転換が政治家にはできていない。仕組みをわかっていないからゼロから考える能力がないのだ。

 何をするべきなのか。お金を作って配り、使うことだ。価値を作るためにお金を作るのだ。例えば、これから介護産業にものすごい人数が必要になる。この産業を大きくする必要がある。そこにはたくさんの仕事がある。若者たちに行ってほしくても、お金がなく十分な給料がもらえないからみんな行かない。そこにお金を作って投入すれば、そこで働く人が増えて、実際にそこで人が動き始め、そこではじめて価値が生まれる。価値が生まれるなら、その分のお金を先につくって注ぎ込めばいい。それをせずに生まれるべき価値が生まれないということは富がないということだ。根本的に発想を転換する必要がある。

■国家の財産とは人の時間と労力

 すぐに結果がお金で返ってくるような短期的な投資は民間企業に任せておけばいい。政府がやるべきは中長期的な価値の創造だ。例えば、子どもの教育や環境の保護。こういったものはすぐに利益が返ってくるものではない。子どもの教育にいくら人を使い、お金を投入しても、それが実際にお金として返ってくるのは20年後か、30年後か、50年後かわからない。そんな長期的な投資は民間企業はできない。だが教育の充実は必ず国を豊かにする。そこに絶対に価値が生まれるという信念のもとに政府がお金を作って投入しなければ、その価値は生まれない。

 環境保全でもお金など戻ってこない。その価値は計算できない。だがそれは絶対に価値があるものだと信義をもってお金を投じなければいけない。そのためならお金などいくらでも作って突っ込めばいい。そういう発想をもって政府は動かなければいけない。お金で考えるから本質を失う。民間企業だけでなく、政府の予算立案者も政治家もカネ、カネ、カネばっかり考える。

 国家経営にとって大事なのはGDPでも株価でもなく、最も大事なのは人の時間と労力と貴重な資源だ。国家が持っているものはこれだけだ。この国にあるのは一人一人の時間と労力、自然資源だけだ。外貨もあるが基本的にこれだけだ。その貴重な時間と労力をいかに大事に無駄なく使って、本当に意味あることに役立てるかというのが国家経営だ。カネの話ではない。

 例えば、1億円で穴を掘って埋める。まったく意味のない無駄な事業だ。無駄なのは1億円だからではない。10億円でも1000万円でも関係ない。お金というのはぐるぐると経済を回るだけでなくなりはしない。本質は、このお金が回る間に何をするかだ。1億円の穴掘り事業が無駄なのは、そのために使われた人の時間と労力は二度と返ってこないからだ。それに使われた資源も同じだ。われわれの時間と労力と、国の資源をどれだけ何のために使うかが大事なのだ。これこそが国家経営の本質だ。お金はそのためのツールに過ぎない。

 それが人の時間と労力の使い方を決めるのであれば、カネがあるとかないとかは全然関係ない。カネがあろうとなかろうと、絶対にやらなければいけない仕事ならばやればいい。そういう発想が必要だ。なにをやらないかも大事で、人の労力と時間を無駄にしないために障害は取り除かなければいけない。

 例えば、この国では高速道路は有料だ。あんなものは無料が当たり前だ。お金で考えるから有料という発想になる。高速道路などは造った時点でコストは確定している。そのために使った人の時間と労力と地球の資源は二度と返ってこない。それを取り戻せると思うのはカネで考えるからだ。課金すればカネが返ってくる。だが有料にすれば高いからみんな使わず、下道を走るといい始める。本来はそれを使ってみなさんの時間と労力をセーブしてもらうために造っているのに、課金して使わせないことによって、そこから先の人の時間と労力は無駄になる。こんなバカな話はない。

 あらゆるインフラがそうだ。電気、ガス、水道、通信、郵便、銀行のATMも、公共交通機関もだ。なぜ民営化しているのか? なぜ企業がもうけなければいけない? みなさんの生活に必要なものを提供している企業がもうける必要はない。公営化し、国営化し、最低限の金額でいいし、赤字でも構わない。

 例えばJRも国鉄に戻して、一定金額までタダにすればいい。学生とか若者の交通費など全部無料にすればいい。それで有り余る時間を使って、好きな場所に行き、好きな人に会い、好きなモノを見て、持っている時間を有効に使えと。それが富を生む。みなさんの時間と労力を使う以外に実際に富を生む方法などない。課金することによって、富を生み出す機会をどんどん潰している。

 消費税がなぜいけないのか。あれが金持ち優遇だとか、8%か5%かというような話ではない。消費税を課税することで、余計にお金を払わされることでみなさんが活動しにくくなる。全国民の活動が低下する。人生の長さは変わらないから、その分人の貴重な時間が無為に過ごされる。これ以上の国家の損失があるだろうか。その分みなさんが価値を生むチャンスを潰しているのだ。思想的にあり得ない。どこかの国はもっと高いなど関係ない。その国が愚かなだけで、消費税などゼロが当たり前だ。そういう無駄な障害を確実に取り去っていく必要がある。

■なんのために働くのかという新しい価値観

 もう一つ大事なのは、明確な方向性だ。国家経営の仕事として、国を成り立たせるために必要な仕事をみんなに分担してもらう必要がある。食糧の自給、エネルギーの自給、この国に無い物を買ってくるだけの十分な外貨を稼ぐことだ。この3つがなければ基本的に国として自立できない。残念ながら食料の自給とエネルギーの自給ははるか遠く及ばない。これはなんとかしなければならない。それでも外貨は世界一稼いでいる。もうやりすぎたので、お金を配って返すことによって生活を楽にし、みなさんから取り過ぎた時間を返すべきだ。

 それをやったとしても、みなさんは「遊ぶより人のために役立ちたい」といって休まずに働き続けるかもしれない。それなら今まで通りの働き方ではなく、何のために働くのかという新しく明確な方向性を出そうと−−。われわれはこの30年以上、その大きな方向性を失っている。戦後復興という大きな目標を成し遂げた後、何のために生き、働いているのかわからなくなったまま、ひたすら目先の利益とか売上のために働き続ける状態がずっと続いてきた。若者たちはそんな大人たちを見てもっとわからない。そんな社会になんで入っていかなければいけないのか、なんのためにそれをしているのか、どこの企業に入っても「売れ、売れ」といわれるが、それがそんなに重要なのか若者たちはわからない。おそらく彼らもそれほど生きる意義を見いだせないから、10〜30代の若者の死因のトップが自殺になったりしている。

 われわれ大人が何のために生き、働くのかというのを国家として大きな方向性を示す。これだけの経済大国で、世界一の黒字を稼ぐ生産性を持つに至ったわれわれとしては、もはやそれを自分たちのためだけに役立てるのではなく、もっと世界中の困っている人たち、餓死寸前に置かれている10億人の人たち、壊れゆく地球環境を保全する技術、そのための生き方や社会のインフラなど、世界の問題を解決するようなモデル社会をつくるために使わなければいけない。われわれの社会が大きな使命を帯びたときに、人の生き方や働き方が変わり、何が不必要で何が必要かがみなさんの中で選別されていくだろう。カジノやパチンコ産業などがいかに無用なものであるかがはっきりしてくる。

■お金集めのために社会や地球を破壊

 世界のあらゆる問題を解決するには、いまの世界がいかにおかしいかをちゃんと認識する必要がある。残念ながらいまの世界経済はすでに狂気だ。本質から経済システムがかけ離れている。経済とは、価値の生産と価値の交換だ。みなさんに必要な価値があるからそれを作り、それを互いに交換する、それだけだ。必要ないものは作らなくていいし、売らなくていい。なのに私たちは必要ないものを膨大に作り、捨てさせ、壊し続けている。いつの間にかお金を貰うために経済を動かしている。

 結局、お金をもらうゲームだ。先ほどいったように、1人100万円の借金に利息をつけて経済を回す巨大なイス取りゲームだ。お金をもらわないと破たんするゲームだから、何を提供するかなど関係ない。それが人を幸せにするものかなど関係なく、だましてお金を取った方が楽だ。1年後にお金を集めなければ破たんするのだから。

 あらゆる理屈を付けて、短時間でいかにお金を稼ぐかというゲームが始まり、何を作っているかなど二の次になる。一番簡単な方法は「安かろう悪かろう」の商品を作り、買ってもらい、すぐ捨ててもらい、また買ってもらうことをいかに短い時間でくり返すかだ。現実に身の回りに溢れている。当然、世界はゴミの山になる。お金がすべての社会。狂気の沙汰でしかない。

 いかに短時間で手を掛けずに商品化してお金をもらうか――いまの経済や経営学は、学問でもなく、世の中の本質を見失っている。経済の専門家がことあるごとに「コストがどうだ」というが、いまの経営学がいうコストとは人間が動く労力の分しか入っていない。魚を獲るときに無駄な種も含めてばっさり大量に捕獲しているのは、その方が安いからだ。あくまで人間が獲るコストしか入っておらず、多様な魚がそこに存在するまでにかかった長い時間は一切入っていない。原油や石炭などの鉱物のコストも、掘り出す人間が動くコストしか入っておらず、それらの鉱物がその状態になるまでにかかった何十万年という長い時間は入っていない。原発もそうだ。元に戻しようのないものをコストとして考えること自体が無理がある。計算しようのないものをコストに入れていないのだから、論理として完全に破たんしている。そろそろ正気に戻る必要がある。

 世界中の企業がそんなことばかりやって、こんな経済を回していたら地球が破たんするに決まっている。

■資本主義にかわる新しい社会を展望

 資本主義という制度も疑わなければいけない。資本主義とは、資本家のいうことをきかなければいけないという考え方だ。誰もが自由意思をもって生きているのに、週5日も6日もお金のために拘束されて動かされ続け、残りのわずかな時間だけ自分のために使える。その人がお金をもっているからというだけで、誰かのいうことを聞いて生きなければいけない理由がどこにあるのだろうか?

 資本主義というのは、資本家が労働者を安く使って、同じ労働者(消費者)に高く売りつけるという仕組みだ。企業が利益を上げるためにそれ以外の方法はない。世界中の企業がそれをやっている。だから、世界で最も裕福な28人が世界の下位半分の36億人と同じだけの資産を持つに至っている。そして10億人の人たちが年中餓死寸前の状態に置かれている。資本主義だから仕方がないのか? 文明を持つ人間の生き方として根本的に間違っていないか? そろそろ真剣に考えるときに来ている。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/c18832e96f9ef3854237b6ac13db700f.jpg 資本主義の仕組み

 資本家が利益を上げて資本が増えるというが、資本って本当に増えるのか。お金で考えるから増えると勘違いする。数字が増えるから。でも資本とは何かといえば、人の労働力や土地といった基本的に実態物だ。お金などいくら貯めても実態としては札束という紙切れでしかなく、預金であれば数字でしかない。そこからは何も作り出せない。

 本来の資本である人の労働力、使える土地などは永遠に増え続けるのか? 一つしかない地球が2個、3個になるのか? 普通に考えれば全部思い込みでしかないことがわかる。

 お金とは虚の数字でしかない。いま実際に起きていることは、この数字を一部の人たちがどんどん集め、その数字を使って市場で土地を買ったり、株を買ったり、さらに知的所有権、種子、水道などみなさんの生活に必要なものの権利を買っていく。膨大に膨れてしまった何の意味もない数字で、実際にみなさんが生きるために必要な地球を買い取っている。それによってみなさんを永続的に隷属化することができる。そういうことがもうすでに起きているということを、そろそろみなさんもお気づきだろう。狂気なのだ。

 お金には何の意味もないことに気づかなければいけない。お金とは、交換できる実態(価値)があって初めて意味を持つ。でも実態物は、金利でお金が増えるように時間とともに増えるものではない。普通のものは時間とともに壊れたり、腐ったりして減っていくのが自然だ。だがお金が金利で増えていけば、変わらない実態物(価値)の量に対してお金が膨大に増えてバランスがとれなくなる。バランスを取るために無理矢理作って売ることをやっていれば当然地球は破壊される。追いつくはずがないのだから。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/beb6a47821c9a7c3dd84f1ead3699a79.jpg お金の量と実態価値の量

 同時に、気づかなければいけないのは、 お 金 の 量 = 借 金 の 量 ということだ。このことをほとんどの人が知らないことが問題なのだ。みなさんがあると思っているお金は、すべて借金の裏返しなのだ。借金をすべて返してしまえばお金はない。あるのは実態物だけであって、お金というのは借金と利益を合わせたゼロサムゲームだ。借金と利益を平等に分け合えばお金は消えてしまうので、お金を奪い合い、借金を押しつけ合あわせる。私たちもそうしなければ、ちょっとバランスを崩して弱い方に回ってしまうと借金まみれになり、貧困に突き落とされる。みんなが豊かになるのではなく、必ず多くの人が貧困に突き落とされる社会の仕組みなのだ。

 必然的に熾烈な競争社会になり、生産性のない人たちがいじめられるようになる。生産性がないというのはとても狭い価値観の中での言葉だ。その人たちが社会保障などでお金を手にすると、その分の借金が誰かに回る。「俺たちが一生懸命働いているのに、生産性のない連中が社会保障でお金を手に入れるのはけしからん」という感情もこの経済システムが生み出すものだ。社会はどんどんギスギスしていく。こんな醜い仕組みをこのまま子どもたちに渡していいわけがない。

 いますべきことは、この金融資本主義の仕組みを根こそぎ変えることだ。これ以上に重要な政治課題はないと思う。すべての政治家が命をかけてとりくむべき課題だ。地球規模の大転換が迫られている。

 日本の政治というのは、それを促進するための政治であるべきだと思う。だからまったく新しい次元の新しい政党をつくって、新しい政治を実行するべきだ。いまの既存の政党や政治家はこのレベルにはいない。なぜみなさんが世界一の黒字を稼ぎながら、こんなに苦しいのかということすらわかっていない。だから、これから世界がどこにシフトしていくのかについても考えすら及ばない。新しい次元でものごとを考える勢力を作って、国会の中に殴り込みを掛けなければいけない時に来ている。

 2011年に政治団体を設立し、お金の仕組みのおかしさを言い続けてきた私がれいわ新選組から立候補したのは、この地球規模の大転換のチャンスがいまここに来ていると思ったからだ。まったく無名の人間や勢力が国政の壁を突破することはたいへん難しい。だが、世界的な新しいムーブメントがそこに生まれようとしている。

 ただ、例え国政を突破しても、世界を変えるためには、社会を構成する一人一人の頭の中を変革することからしか変わらない。紙切れを「お金」と思い込むのは、人間が作り出した概念に過ぎないし、所有権というのも人間の意識だ。人間の生命活動は本来生きて死ぬだけなのに、地球上のものを所有していると思い込むことによってサバイブ(生き残る)できると思い込む。資本主義とは、一種の所有主義であり、所有者支配主義だ。株主つまりお金を持っている人のいうことを聞かなければいけない。なぜ? という問いに哲学的に答えられるだろうか。ただそういう仕組みだというだけの話だ。その正しさを誰か説明できるだろうか。

 資本主義制度によって効率的にモノを生産でき、みんなが生き残れた時代もあったかもしれないが、現在はそれが逆にみんなを苦しめている。これからは金持ちのいうことを聞いて生きる社会ではなく、もっとみんなが自由に創造的に生き、お互いの人権が尊重される社会がもうそこまで来ている。そのような大きな思想の転換が求められる時代が来ており、政治もその新しい転換をベースにして新しい運動を作らなければ、大きな数は生まれないと思っている。

 できるか、できないかではない。自分がやらなければならいと信じることをやるか、やらないかだ。いずれ死ぬのなら、人間生きている間に何をするかだ。仮にそれができなくても、誰かがそれをやり、他にもやる人が出てきて、ちょっとずつ進んでいるうちに最後には大転換が到来する。すべてはプロセスであり、自分が生きている間に何ができるかをみんながくり返していけば、大きな変化が起きる。この社会がおかしい理由をみんなが気づき始めれば、それはもう止まらない。そこからみんなが新しい希望を抱くようになれば世界は変わる。昨今の世界情勢、日本国内の変化をみれば、それはもう遠い未来の話ではなくなっている。

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おおにし・つねき
元JPモルガン銀行資金部為替ディーラー
東京都出身。上智大学外国語学部英語学科卒業。シアトル大学政治科学専攻。JPモルガン銀行資金部為替ディーラー。株式会社インフォマニア代表取締役。政治団体フェア党代表

大西つねきホームページ
https://www.tsune0024.jp/

大西つねき講演会スケジュール
https://calendar.google.com/calendar/embed?src=ovnpt16rv0d30dq7uqg1rlhqrc%40group.calendar.google.com&src=tsuneki.ohnishi%40gmail.com&ctz=Asia%2FTokyo

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12166
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/172.html

[政治・選挙・NHK263] 私は引き続き、選挙などには一切期待しない 非民主的≠ネ政治制度の希望に満ちた可能性(朝日新聞社 論座)
私は引き続き、選挙などには一切期待しない 
非民主的≠ネ政治制度の希望に満ちた可能性

外山恒一 ファシスト
論座 2019年07月12日 より無料公開部分を転載。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070400008_2.jpg
2013年参院選では、白いバンに乗って九州から北海道まで、自民党を「ほめ倒す」ツアーを実施した=2013年7月20日

■「おいちょっともうサバルタンは黙ってろ!」

 ちょっと前(00年前後あたり?)には左翼方面のインテリの方々は眉間にしわを寄せて、「サバルタンは語ることができるのか?」などと深刻そうに考え込んでいた印象がある。

 私は、大抵のことは耳学問かせいぜい新書レベルの入門書で済ませる、絵に描いてギャラリーに展示したような典型的亜インテリ≠ネので、名前からでは性別も国籍も予測しづらい謎の外人さんの、たぶんどこかの難解書房から出ているのに違いない本をわざわざ読む労はもちろん惜しみまくって、しかしそこは耳学問の大家=Aサバルタンというのは要するに、自分が置かれた状況を自分で認識(まして説明)することもできないぐらい(つまりそんなスキルというかガクを身につけること自体が不可能なぐらい)下の下≠ノ置かれた最下層人民のことであるらしいと見当をつけ、語ることができない#゙らになり代わって発言することにどうしてもなりがちな左翼インテリ諸氏が、そのことの是非とか、他に道はないのかとか、そもそも本当に代弁≠オえているのだろうかとか、あれこれ思い悩んでいるのだろう、左翼であり続けるというのも(そういう良心的ポーズを見せつけ合うことによるマウント合戦で)大変だなあと同情していた。

 そして想像するに現在、もはや彼らはそうした一種の余裕を失って、少なくとも本音では叫び出したいに違いないのである。「おいちょっともうサバルタンは黙ってろ!」と。

 私のサバルタン@揄が正確かどうかはともかく、下層階級が言葉を持たない≠フは普遍的に云いうる、単なるミもフタもない事実である。ここで云う下層とは第一義的にはもちろん文化的下層のことで、はっきり云ってしまえば勉強ができない$lたちとほぼイコールと考えてよい(得意・不得意の話であって学歴≠ヘ必ずしも関係ない。私なんか文化的には超上層だが、学歴は中卒だ)。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019070400008_4.jpeg
『サバルタンは語ることができるか』の著者で米コロンビア大教授のガヤトリ・C・スピヴァク氏

 自分が置かれている状況を適切に言語化するには一定の読み書き≠フスキルがまず前提的に必要であることは云うまでもない。社会科学的な素養も必要だろうが、それは言語化の模索の過程で自然に身につきもするし、身につかないような人は要するにそもそも勉強ができない<^イプの人である。そして、読書感想文≠ネどでたかだか原稿用紙4、5枚を埋めるにも地獄のような苦しみを味わってきたであろう彼ら文化的下層階級に、広く世間に向けて自らの見解を発信することなど、ただ当たり前に不可能だったにすぎない。

 もちろん、IT革命以前は、だ。

■そもそも人民というものは相当アレである

 本来はそうした意見表明の資格(あえて資格と云ってよいはずだ)を持たないし持つべきでもない下層人民が、今やネット上で日々、好き放題に意見≠轤オきものを表明しまくっている。いわば語りえない≠ヘずのサバルタン≠ェ、文明の力に支えられて語り散らしている¥況であると云える。

 もちろんこれは民主主義的な解放≠ナある。

 左派やリベラル派が度しがたいのは ・・・ログインして読む
(残り:約3921文字/本文:約5226文字)

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019070400008.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/173.html

[国際26] イギリスの団体「ベネズエラ連帯キャンペーン」の論説記事『「ベネズエラ経済封鎖の影響」に関する状況説明』を掲載します。(駐日ベネズエラ大使館)
2019/07/10

「ベネズエラ経済封鎖の影響」に関する状況説明―ベネズエラ連帯キャンペーンの分析記事

イギリスの団体「ベネズエラ連帯キャンペーン(Venezuela Solidarity Campaign)」の論説記事『「ベネズエラ経済封鎖の影響」に関する状況説明』を掲載します。

そもそも米国はなぜ、ベネズエラに制裁を課すのか?

米国は国連の負託を受けないままベネズエラに制裁を課しているが、国内法・国際法に照らして合法なのか?

制裁は誰に、どのような影響を及ぼしているのか?

なぜ一般市民に影響が出るのか?

記事ではベネズエラに課されてきた制裁内容を振り返り、これらがいかに市民社会に影響を及ぼしているか、ベネズエラ特有の経済構造を踏まえながら数字や具体例とともに分析しています。

目次
・状況に応じた封鎖
・米国の制裁は合法か?
・封鎖を構成するカギとなる制裁は何か?
・ベネズエラは制裁措置によってどの程度深刻な影響を受けたか?
・制裁はベネズエラの経済にどのように具体的に影響を及ぼしたか?
・制裁はベネズエラの人々にどのように影響を及ぼしたか?
・銀行がベネズエラの金融資産を違法に所持し続けている
・トランプは2019年にどのように封鎖を強化したか?
・英国はベネズエラを巡る制裁に何らかの形で関わっているか?
・現状をどう打開すべきか?

本文はPDFでお読みください。
https://docs.google.com/viewerng/viewer?url=http://venezuela.or.jp/embassy_web/wp-content/uploads/2019/07/20190709-Analisis-de-Venezuela-Solidarity-Campaign-sobre-sanciones-japones.pdf

https://venezuela.or.jp/news/2210/
http://www.asyura2.com/19/kokusai26/msg/807.html

[国際26] 『「ベネズエラ経済封鎖の影響」に関する状況説明』(ベネズエラ連帯キャンペーン)
『「ベネズエラ経済封鎖の影響」に関する状況説明』
ベネズエラ連帯キャンペーン (Venezuela Solidarity Campaign)

2019年6月20日付 venezuelasolidarity.co.uk 掲載記事


■状況に応じた封鎖

米国は、ウゴ・チャベスが大統領に就任すると直ちに、ベネズエラを不安定にすることを通じて「体制転換」の戦略を追求してきた。このため、ジョージ・W・ブッシュ政権は2002年に失敗したチャベス政権に対するクーデターを支援し、さらに石油産業における右派(反チャベス派)による生産ロックアウトも支援することになった。このロックアウトは、最終的には失敗したが、何十億ドルもの収入減をもたらし、ベネズエラ政府の社会プロジェクトは壊滅的な影響を被った。

機密解除された米国の政府文書やウィキリークスの資料によると、米国は引き続き、その目的を追求し、金融、政治、メディア、外交で秘密活動を展開してきた。その中には、チャベス、マドゥーロ両大統領率いる選挙の洗礼を受けたベネズエラ政府を不安定化し、転覆させる取り組みを支援するための右派反政府勢力への何百万ドルもの資金供与が含まれる。

だが、米国に資金援助されたベネズエラの右派反政府勢力による政府転覆の取り組みが繰り返し失敗し、(2014年と2017年に起きた)市街での暴力や破壊活動という2つの大きな組織的活動の後ですら、米国政府は「体制転換」の戦略の中心的な役割を果たすことを決定した。

この転換の一環として、オバマ政権下の米国はベネズエラに対して一方的で違法な制裁を科すことに踏み切った。トランプ政権下では、さまざまな形態をとることの出来る制裁は1960年代初め以降キューバに対して採用されているタイプの大掛かりな経済封鎖を作り出すことに関心を集中するようになった。

米国は、カナダや欧州連合(EU)と共謀し、ベネズエラを資金的に絞め殺す戦略を採用した。これには、攻撃的な措置の中でも、とりわけ石油禁輸、国際的な銀行口座の封鎖及びベネズエラ国外での金融取引の妨害が含まれ、食料、医薬品、その他諸々の物品を輸入するベネズエラの資金力に深刻な影響を及ぼしている。

その意図は、ボリバル主義に基づく社会モデルを攻撃して混乱させ、それを解体するためにベネズエラ・ボリバル共和国の崩壊を達成しようと努めることである。米国務省は、ベネズエラに対するこの全面的な経済戦争を続行するため、ベネズエラに150の強圧措置を適用した。2019年 1 月に着手されたフアン・グアイドによる米国支援のクーデターの企てが失敗して以降、米国の制裁は激化している。

同時に、トランプ大統領自身、ペンス副大統領及びポンペオ国務長官のコメントの中にはベネズエラに対する軍事行動の脅威が含まれていた。封鎖を通じてベネズエラにおいて経済的、政治的な崩壊の条件(または認識)を作り出せば、これを口実に軍事的な形態をとった国際的な(すなわち米国による)「人道的介入」、あるいはベネズエラ軍によるクーデターの支援を実施することができる。

以下は、米国務省の2018年1月9日付コメント。

「圧力キャンペーンはうまくいっている。我々がベネズエラ政府に科した金融制裁によって、政府とベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の債務支払いは双方とも止む無く不履行に陥り始めた。」

「そして見ての通り、ベネズエラは完全に経済崩壊している。したがって、我々の政策はうまくいっており、戦略は功を奏している。これは維持する。」

■米国の制裁は合法か?

オバマ大統領が 1 カ月前に署名した大統領令を受け、米国の制裁措置は2015年4月に発動した。制裁はベネズエラが「米国の国家安全保障と外交政策に対する並外れた、途方もない脅威」であるとの理由で認可された。

これ以来、それぞれの大統領令は、ベネズエラの状況によって米国は「国家非常事態」に苦しんでいると宣言している。このような制裁を科すためには、非常事態の指定が米国の法律によって要求され、それは1976年の国家非常事態法に基づき発動される。

しかしながら、ベネズエラが米国の国家安全保障に対する並外れた、途方もない脅威であると宣言する本当の根拠はなく、米国が国家非常事態に直面していると宣言する本当の理由も存在しない。トランプ大統領にとって、国家非常事態の定義付けは非常に融通が利き、同大統領は2019年2月に国家緊急事態法を発動した。この際、メキシコとの国境の壁の建設資金調達に必要な議会承認を回避する目的で国家非常事態が宣言された。

トランプ政権が科した一方的制裁は米州機構憲章(OAS)、とりわけ第4章の第19条と第20条に違反する。一連の制裁はまた、アメリカ合衆国が署名した条約はもちろん国際人権法にも違反する。それらは国連からの負託を得ていない。

制裁措置は、米国が署名しているジュネーブ条約(1949年第4条約、第33条)及びハーグ条約に記載されているように、一般市民の集団罰禁止を定めた条項に該当する。
 
2018年にベネズエラを視察し、国連人権理事会(HRC)の報告書を作成した元HRC長官で国際法の専門家であるアルフレッド・デ・ゼイヤスは、数ある活動の中でも、国際刑事裁判所がベネズエラに対する経済制裁をローマ規定(国際刑事裁判所設置規定)第7条の定める人道に対する犯罪容疑で捜査するよう勧告した。

強圧措置が人権に与える影響に関する国連特別報告者イドレス・ジャザイリーも米国の対ベネズエラ制裁について大きな懸念を表明した。彼は2019年 1月、次のように述べた。

「軍事的なものであれ、経済的なものであれ、強制力は主権国家における政府の転換を求めるために決して使用されてはならない。選挙の洗礼を受けた政府を転覆する目的での外部勢力による制裁の使用は国際法のあらゆる規範に違反する。」注1

■封鎖を構成するカギとなる制裁は何か?

制裁をできるだけ包括的にするために新たな制裁が切れ目なく追加されている一連の米国の金融制裁は、ベネズエラの経済を財政的に絞め殺すことを狙っている。制裁措置には以下のようなものがある。

・ベネズエラ政府や政府機関に対する配当支払いなどその他利益の支払い禁止(2017年8月24日付米大統領令13808)

・米国人による、または米国内での、ベネズエラ政府によって、同政府のために、または同政府に代わって発行された、あらゆるデジタル通貨、デジタル・コイン、またはデジタル・トークンに関連するすべての取引、その資金調達、及びその他の取引の禁止。(2018年3月19日付米大統領令13827)

・個人、企業または団体によるあらゆる種類のベネズエラの債券、ベネズエラ政府の支払い義務のあるあらゆる債務の購入、ベネズエラ政府や(ベネズエラ中央銀行及びベネズエラ国営石油会社・PDVSAを含む)政府機関によるあらゆる持ち分の売却、譲渡、割当、あるいは担保差し出しの絶対的な禁止(2018年5月21日付米大統領令13835)

・ベネズエラの金輸出に関する新たな制裁措置を徹底して行い、世界市場でベネズエラの金の取引を行っている、あるいは取引に関係しているすべての人に影響を及ぼすこと(2018年11月の大統領令13850)

・2019年 1 月にPDVSAに対して追加制裁措置を講じた。これには、米国に3つの石油精製所を持ち、パイプライン及び石油・ガスステーションの全米ネットワークを監督する米国拠点の子会社シットゴー石油公社(CITGO)が保有する資産70億ドルの凍結が含まれる。

これらの禁止事項はすべて、米国の個人、団体、企業及び米国の領土内または米国内のいかなる管轄区域内に居住している人または営業している組織(つまり、外国の個人、団体、企業)に適用される。またこれらは、米国が圧力を加えることができ、封鎖の支持を得ることのできる領土外のいかなる場所にも適用される。

■ベネズエラは制裁措置によってどの程度深刻な影響を受けたか?

評判の高いエコノミスト、マーク・ワイスブロとジェフリー・サックスが最近刊行した報告書によると、「一連の制裁の影響のほとんどは政府ではなく、民間の人々に及んでいる」ことが分かった。注2

最も貧しく被害を最も受けやすいベネズエラの人々に過度に害を及ぼしている影響の中には、(子供及び大人の)病気と死亡率の増加がある。上の報告書の推定によると、2017年から2018年にかけて死者は4万人を超えた。

これによって、米国の科している制裁措置は米国が署名したジュネーブ(1949年第4条約、第33条)及びハーグの両国際条約に記載されているように、一般市民の集団罰禁止を定めた条項に該当することになった。

■制裁はベネズエラの経済にどのように具体的に影響を及ぼしたか?

圧倒的に石油に依存する経済を持つ国であるベネズエラは本質的に封鎖の影響に脆弱だ。食料、医療機器、スペアパーツ及び発電に必要な機器、水道、交通システムといった基幹物資の輸入に必要な外貨収入をベネズエラ政府にもたらしているのは石油の輸出である。

制裁措置は、ベネズエラへの支払いを封鎖し、これにより輸出収入、ひいては政府歳入が大きく落ち込み、これら基幹物資を輸入する政府の資金力は弱まった。

同時に、世界市場で自由に活動するベネズエラ政府の財政の力を制限する制裁措置によって、その絶対不可欠な金融取引はさらに制限される。

具体的には、次のようなことが挙げられる。

・2017年 8 月に科された制裁によって、ベネズエラ政府は米国の金融市場での借り入れを禁止された。このため、ベネズエラ政府は新規債券を発行して対外債務を再編することができなくなった。

・大統領令(No.13808)は、ベネズエラ政府からあらゆる種類の有価証券の直接または間接の購入を禁止した。このため、さまざまな銀行や金融機関が制裁の網に引き込まれた。

制裁措置は石油産業の産出量に間接的ながら深刻な影響を及ぼしている。信用が失われた結果、生産設備の維持管理や新規投資によって生産レベルを維持する資金が欠乏し、生産は急減していった。

ワイスブロとサックスは次のように示唆した。

「2017年8月の制裁が実施された際、何十億ドルもの外貨と政府歳入が失われ、これがベネズエラ経済を高インフレからハイパーインフレへと押しやった大きな衝撃となった可能性が非常に高い。 」

加えて、金融制裁は、利払いの増加、輸送費の高騰、さらに違法没収された資産から具体的な損害を生み、多大な追加費用をもたらした。これまでのところ、専門家の計算によると、その総額はおよそ300億米ドルに上る。
<※原文には図が掲載されている>
https://www.venezuelasolidarity.co.uk/wp-content/uploads/2019/06/impacts-1.png

■制裁はベネズエラの人々にどのように影響を及ぼしたか?

2017年に科された制裁によってすぐに生じた影響は、ラテンアメリカ、欧州、アジア、そして米国のいたるところの銀行で、その年の残り数カ月間、食料や医薬品の輸入支払いを含め、ベネズエラとの一般的な商取引を処理することがまったくできなかったことだ。次のような事例が挙げられる。

  ・ 3,900 万ドル相当の食料品、必需品、医薬品購入のローン分割返済の
   1回分の滞り

  ・ ワクチン取得の4カ月遅延、国内での予防接種計画のスケジュール変
   更が必要となった

制裁措置が継続して出される中、次のような影響も出ている。

  ・ ベルギーに本拠を置く金融サービス会社(国際決済機関)・ユーロクリア
   による資金留保。ベネズエラ政府が食料や医薬品の購入に使用する
   ことになっていた少なくとも12億米ドルが使えなくなった。

  ・ 米国に本拠を置く金融機関シティバンクは、ベネズエラが糖尿病患者
   のための大量のインスリン輸入の支払いのため預けていたお金の受
   け取りを拒み、積荷は港で何日も足止めを食らった。

  ・ コロンビア政府の命令で抗マラリア薬・プリマキンのコロンビアの研究
   所からの出荷が阻止され、ベネズエラはインドからプリマキンやその
   他の慢性疾患用医薬品の購入を余儀なくされた。

  ・ 複数の国際金融機関は3カ月間、外国の供給業者への支払いを延期
   し、ベネズエラで食品の加工と生産に必要な物資を輸送するコンテナ
   船29隻の到着を延滞させた。

  ・ 2017年9月、ベネズエラ政府から提供された1,800万個の食品パッケー
   ジが食品輸入の支払い妨害によって配布できず、輸入品を確実に手
   に入れるためにさまざまな同盟国と複雑な支払い取引が必要となった。

■銀行がベネズエラの金融資産を違法に所持し続けている(2019年4月30日現在)

銀行              国         米ドル
ノボ・バンコ          ポルトガル  1,547,322,175
イングランド銀行        英国     1,323,228,162
クリアストリーム-ロンドン   英国      517,088,580
スミトモ            米国      507,506,853
シティバンク          米国      458,415,178
ユーロクリア          ベルギー    140,519,752
Banque Eni          ベルギー     53,084,499
Delubac            フランス      38,698,931
その他41の金融機関       計17カ国     654,142,049
合計                    5,470,030,641

制裁が被害を受けやすいベネズエラの人々にどのように直接影響を及ぼしてきたのかの明白な事例は、イタリアで骨髄移植を待機している24人のベネズエラ人患者が以前は費用を賄っていた米国のシットゴー石油公社(CITGO)が没収された結果、もはや治療費の支払いができないことである。ベネズエラ人患者の骨髄移植の支払い費用として割り当てられ、ポルトガルのノボ・バンコ銀行に預けられている500万ユーロ(557万米ドル相当)のCITGOからの資金は凍結されている。その結果、今日までに 3 人の子供が死亡した。
<※原文には図:「封鎖の石油部門への影響(2017年8月-2018年10月)」が掲載されている>
https://www.venezuelasolidarity.co.uk/wp-content/uploads/2019/06/impacts2.png

■トランプは2019年にどのように封鎖を強化したか?

フアン・グアイドが憲法に違反してベネズエラの「暫定大統領」と自ら宣言したのをトランプ政権が承認したことと併せ、一連の大統領令はベネズエラに対する厳しい新たな制裁措置を認可し、追加制裁は米国によるグアイドのクーデター未遂や「移行期の政府」という彼の発案を承認することと一体となって
いた。

これら米国の行動はその実質的な効果として、ベネズエラの石油の生産能力及び販売力を劇的に低下させ、ベネズエラの最も重要な国外資産が凍結あるいは没収されて以降、ベネズエラ政府の外国資産の売却力を著しく減少させた。

これにより、主要輸入品の購入に使用されることになる外貨収入はさらに減少し、商品の輸入は 100億ドルから61億ドルへと39.4%減少すると予測されている。こうして、疑いの余地なく、ベネズエラの一般の人々、とりわけ最も貧しく最も被害を受けやすい人々の生活と健康にさらに深刻な影響が及ぶことになる。

具体的に言うと、ベネズエラは2018年に輸出された石油の35.6%を受け入れた最大の石油市場である米国から受け入れを大幅削減された。同時に、トランプ政権はインドなど他の国々に米国に代わってベネズエラの石油を受け入れないよう圧力をかけようとした。そればかりか、世界中の石油を取り引きする商社や精製業者にベネズエラとの取引の制限を強化するよう警告した。たとえ取引が一連の米国の制裁措置によって禁止されていない場合でも、従わなければ彼らを制裁すると告げた。

ベネズエラのホルヘ・アレアザ外務大臣は2019年4月25日の国連会合で、政府高官にではなくベネズエラの一般大衆に対する一方的な制裁として米国のこれらの動きを非難した。彼はさらに続けてこう述べた。

「我々は米国政府によるベネズエラへの一方的封鎖がもたらしている帰結、数万ものベネズエラ人の命が奪われた結果を世界の国々に理解してもらうためキャンペーンを行っている。」

これに対し、トランプ政権が直ちに反応したのは、アレアザ外相を制裁対象のベネズエラ高官リストに加えることだった。

■英国はベネズエラを巡る制裁に何らかの形で関わっているか?

欧州連合(EU)への関与を通じて、英国政府は2017年11月にEUが全会一致で合意した制裁体制を支持している。これは「自由で公正な選挙」と呼ぶものを確実に実施するようベネズエラに求めるとともに、18人の政府高官を対象とした制裁措置からなっていた。

米州担当の国務大臣アラン・ダンカン卿は2018年10月に英王立国際問題研究所(チャタムハウス)で演説し、ベネズエラ政府が要求に応じないならば、英国は国際的なパートナー諸国とともに新たな制裁を検討すると警告した。

ジェレミー・ハント外務大臣は2019年1月、EU加盟国に対し、ベネズエラに新たな制裁を科すよう促した。

これに対応して、ジェレミー・コービン(英労働党首)は追加制裁を求めるこの呼びかけを批判し、次のように述べた。

「ベネズエラの将来はベネズエラの人々にとって重要な問題である。ジェレミー・ハントがベネズエラに対して追加制裁を求めるのは間違っている。我々は、米国であれ、その他の国であれ、ベネズエラへの外部からの干渉に反対する。危機を克服するには、対話と交渉による解決が必要だ。」

制裁に加えて、イングランド銀行は、名目上は英国政府から独立しているものの、英国政府の指導に従い、その金庫に預けられているおよそ10億ポンド相当のベネズエラの金31トンをその正当な所有者であるベネズエラ政府に送還するのを阻止した。

■現状をどう打開すべきか?

封鎖はベネズエラの人々をまったく助けることにならず、この国の諸々の問題を悪化させ、意見の違いを深刻にするだけである。制裁はベネズエラの諸問題を解決するための国内対話の促進に役立たない。

ベネズエラ連帯キャンペーンは以下のことを働きかけ続ける。

・ベネズエラの国家主権に対する権利を支持し、外部からの介入を拒否する

・国際法の尊重を求める

・国際法に違反し、刑事罰に値するすべての経済制裁及び金融制裁の即時かつ無条件な解除を獲得する

・意見の違いを解決するための対話プロセスを支援する。



1. 国際連合人権高等弁務官事務所 http://bit.ly/2WNp6U2
2. マーク・ワイスブロ(英経済政策研究センター・共同センター長)とジェフリー・サックス(コロンビア大学経済学部教授兼持続可能な開発センター長)による共同報告書「集団罰としての経済制裁:ベネズエラの事例」。2019年4月、英経済政策研究センター(CEPR)刊。

翻訳:加治康男(独立ジャーナリスト)

出典:2019年6月20日付 venezuelasolidarity.co.uk 掲載記事
Briefing: The effects of the economic blockade of Venezuela

https://www.venezuelasolidarity.co.uk/2019/06/20/briefing-the-effects-of-the-economic-blockade-of-venezuela/
http://www.asyura2.com/19/kokusai26/msg/808.html

[政治・選挙・NHK263] [書評] 『改訂版 全共闘以後』 外山恒一 著 (朝日新聞社 WEBRONZA)
三省堂書店×論座 神保町の匠

[書評]
『改訂版 全共闘以後』 外山恒一 著

小木田順子 編集者・幻冬舎
WEBRONZA 2019年01月28日


■600ページ超もまったく苦にならず

 そもそも私は著者を知らなかった。同業の友人がとても力を入れて編集し、解説が『日本会議の研究』の菅野完さん。それで本書を手に取ったのだが、略歴を見ると、アヤシイことこの上ない。

 1970年生まれ。逮捕歴あり。獄中でファシズムに転向。2007年の都知事選に出馬し、「政府転覆」を呼びかけた政見放送が話題になる。それによって「キワモノ」イメージが定着してしまい、そのイメージからの脱却に苦しむ……とあるけれど、やっぱりキワモノじゃないでしょうか、失礼ながら。

 しかし、しかしだ。

 日本の学生運動は、1968年の全共闘運動をピークとし、72年の連合赤軍事件を境に急速に退潮、以後は「シラケでバブルでオタクでサブカル」な時代が続き、若者は一貫して政治的に無関心だったと語られる。しかしそれはまったくの偽史であり、若者たちの運動は70年代以降も現在に至るまでずっと存在し、ときにそれは高揚してもいる、と著者。

 その「なかったこと」にされてきた、若者たちによる68年以後の社会運動の50年を通史として描いたのが本書だ。

 まず序章の「“68年”という前史」で、「この人、大丈夫かな」という著者への疑念は払拭された。客観的でクリアな説明。切れのいい文章。新左翼、ブント、全共闘、革マル派と中核派、ノンセクト……これまで何度説明を聞いても記憶に定着しなかった「用語」が、全体の見取り図に収まったかたちで理解でき、これだけでも本書を読んだかいがあったと思う。

 本書のメインストリームは、日本の“89年革命”を担った「ドブネズミ」たちの活動史だ。ベルリンの壁が崩壊した1989年、日本でも夏の参院選で土井たか子氏率いる社会党が躍進し、社会民主主義的ムードが高まっていた。「ドブネズミ」とは、この前後の社会運動、それも「闘争」と呼べるようなラジカルな運動を担った若者たちのこと。

 反原発運動の「札幌ほっけの会」、反天皇制の「秋の嵐」「馬の骨」、著者も中心となった「全国高校生会議」、埼玉大学の演劇サークルから始まった旅するテント芝居「劇団どくんご」等々。いずれも私が本書で初めて知った団体だ。日本がバブルに浮かれていた時代に、こんなことをやっていた若者たちがいたとは!

 著者は関係者への膨大なインタビュー取材に基づき、当時のデモや集会の模様、警察との攻防を、まるでその場に居合わせたかのように生き生きと描き出す。これを「青春グラフィティ」などと称したら不謹慎なのだろうが、この群像劇が、本書からたちのぼる熱量の源になっている。

 本書を読んでいると、「こんなことが起きていたとは!」という驚きと、「そうそう、こんなことがあった」という感慨とが、代わる代わる押し寄せる。

 運動系で言えば、80年代の反核運動、90年代の「だめ連」、ゼロ年代の「素人の乱」。浅田彰氏(ニューアカ!)や柄谷行人氏など思想・哲学系。「朝まで生テレビ」開始や『戦争論』刊行など論壇系。さらには尾崎豊やザ・ブルーハーツ(「ドブネズミ」の語は、「リンダリンダ」の歌詞からきている)など音楽シーンやマンガ・演劇まで。

 「こんなことあったね」という点の理解が、「これとこれがこう繋がっていたんだ」という線になる。それらがさらに、68年以降の思想・文化・政治全体の「見取り図」に位置づけられていく、その目配りの広さと構成の巧みさにも舌を巻く。

 最近では、3・11後の反原発の運動や2015年SEALDsの運動が盛り上がった。それに対し、「日本でまたこんな光景を見られるとは」と感涙にむせんだ全共闘世代がいたが、それももちろん、唐突な「点」として登場したのではない。68年以降も紡がれてきた、運動の軌跡の一端としてある。

 実は、そのあたりの新しい運動については言及が少なく、何十周遅れかで少しだけ運動なるものに目覚めた私としては残念なのだが、著者によれば「触れる価値もない」そうなので仕方ない(苦笑)。

 5月の改元を控えて、テレビ、新聞、雑誌その他、いたるところで「平成」が回顧されている。私にとって、著者が描く50年の通史は、それらのどの平成史よりもリアルで、そのときどき、自分は何に関心を持ち、何をし、どう生きていたのかと自問を迫られた。

 45字×19行と目が潰れそうな字詰めの624ページもまったく苦にならない。ほとんど「自分史」を読むような気持ちで読了したのだった。


https://image.chess443.net/S2010/upload/2019011700004_2.jpg
『改訂版 全共闘以後』(外山恒一 著 イースト・プレス) 定価:本体2600円+税

いま初めて描かれる 若者たちの 社 会 運 動 5 0 年 "通 史"

(『日本会議の研究』著者) 菅野 完氏、解説!

(『革命的な、あまりに革命的な』著者) すが(糸+圭)秀実氏、推薦!
「外山恒一の思想と行動の集大成ともいえる本書は、3・11を経て、ヘイトとポリコレで奇妙な行き詰まりの様相を呈している今日の運動状況において、〈人民の敵〉による、人民のための、革命の書である」


*ここで紹介した本は、三省堂書店神保町本店4階で展示・販売しています。
*「神保町の匠」のバックナンバーはこちらで。

*三省堂書店×WEBRONZA 「神保町の匠」とは?
 年間2万点近く出る新刊のうち何を読めばいいのか。日々、本の街・神保町に
 出没し、会えば侃侃諤諤、飲めば喧々囂々。実際に本をつくり、書き、読んで
 きた「匠」たちが、本文のみならず、装幀、まえがき、あとがきから、図版の
 入れ方、小見出しのつけ方までをチェック。面白い本、タメになる本、感動さ
 せる本、考えさせる本を毎週2冊紹介します。目利きがイチオシで推薦し、料
 理する、鮮度抜群の読書案内。

https://webronza.asahi.com/culture/articles/2019011700004.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/195.html

[政治・選挙・NHK263] <参院選>低迷続く投票率 正確な民意、反映できぬ恐れ・・・政権与党を支持しない人ほど棄権する傾向が (東京新聞)
東京新聞 2019年7月14日 朝刊

 二十一日投開票の参院選は投票率も大きな焦点だ。長期低落傾向が続いており、過去には50%を割ったこともある。投票率が低いと、選挙結果は民意を正確に反映したとはいえず、国民から強い信任を受けていない国会議員が国の針路を決めることになる。 (上野実輝彦)

 参院選の投票率(選挙区)が70%を超えたのは、衆参同日選だった一九八六年の71・36%が最後だ。九二年以降は60%を割り込んでいる。九五年には44・52%と過去最低を記録した。

 第二次安倍政権以降も、二〇一三年が52・61%、一六年が54・70%で、高いとはいえない。政府は投票時間の延長や期日前投票の導入など、投票しやすい環境づくりを進めてきたが、低落傾向の歯止めになっていない。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/images/PK2019071402100090_size0.jpg
参院選の投票率 (選挙区)

 衆院選の投票率(小選挙区)も、自民党から民主党に政権交代した〇九年は69・28%だったが、その後は低迷。前回の一七年は53・68%だった。

 投票率が低い場合、全有権者に占める得票割合「絶対得票率」が低くても、多くの議席を占有するという現象が起きる。

 一三年参院選の選挙区で自民党の絶対得票率は21・78%、一六年は21・76%だった。いずれも全有権者の五人に一人程度しか自民党に投票しなかったのに、自民党の獲得議席割合は一三年が64・4%、一六年は50・7%に達した。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/images/PK2019071402100091_size0.jpg
最近の参院選 自民党の結果(選挙区)

 投票率が下がると、経済団体や農業団体など組織票の重みが相対的に増す。このため、多くの支持団体に支えられた自民党などの政党が、低投票率では有利とされてきた。

 共同通信社が十二、十三両日に行った参院選の第二回トレンド調査では、参院選に「大いに関心がある」「ある程度関心がある」は計64・0%。公示前の第一回調査では計59・7%。選挙戦が中盤に入っても関心は大きく伸びてはいない。

 明治大の井田正道教授(政治学)は、今回の参院選について「投票結果によって政策が変わるような対立軸が示されておらず、国民の関心は高まっていない」と分析。低投票率が続けば結果として、与党が支持団体の望む政策を優先するようになることから「棄権は白紙委任だ」と警鐘を鳴らす。「政権与党を支持しない人ほど棄権する傾向がある」とも指摘した。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/CK2019071402000127.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/220.html

[政治・選挙・NHK263] 7月14日の毎日新聞 「ちょっとだけよ」 (デジタル毎日)
 

目立つアベノミクスへのいらだち 強まる疎外感(毎日新聞)
参院選企画「対決の夏」〜あなたはどちらに軍配
2019年7月14日

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/12/20190712pol00m010001000p/9.jpg?1
候補者らの第一声に耳を傾ける人々=東京都新宿区で2019年7月4日午前10時6分、滝川大貴撮影

 7月4日に公示された参院選で安倍晋三首相(自民党総裁)らの第一声について、みなさんにコメントを寄せてもらいました。

 雇用改善の評価は? 効果は表れているか あなたの意見は

■強まる疎外感

 目立ったのは「景気が良くなった」と繰り返す首相へのいらだちです。首相の言う通り、失業率は改善し、高校生や大学生の就職率は過去最高水準です。

 しかし、その恩恵を直接受けていない人にとっては首相が「良くなった」と言えば言うほど、「なぜ自分は……

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残り872文字(全文1084文字)
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20190712/pol/00m/010/002000c


「入れたい人いない」 白馬の王子、いつまで待つ気なのか(毎日新聞)
松尾貴史のちょっと違和感

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/14/20190714dd0phj000009000p/0c8.jpg?1
=松尾貴史さん作

 参議院選挙がかまびすしい。それなのに、投票率は低迷するのかもしれない。

 日々、仕事がきつい、休めない、収入が上がらない、働けど働けど我が暮らし楽にならず、と嘆いている人の数は、年々増えているようだ。今の政権になってからというもの、金持ちと大企業を優先する政策や弱者への締め付けが横行し、厚生労働省の国民生活基礎調査によると生活が苦しいと答える人は6割にも達しようとしている。

 ところが、選挙については無頓着もいいところで、「興味ない」「入れたい人がいない」「誰に入れればいい…

この記事は有料記事です。
残り1208文字(全文1446文字)
https://mainichi.jp/articles/20190714/ddv/010/070/006000c


http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/221.html

[政治・選挙・NHK263] 首相が「印象操作だ」という印象操作 他人に指さす人は(朝日新聞)
日曜に想う 編集委員・福島申二
朝日新聞デジタル 2019年7月14日05時00分

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190711002566_commL.jpg
「溢(あふ)れた水はやがて乾く」絵・皆川明

 他人を指さす時は、残りの指が自分をさしていることを忘れるな、と言った人がいる。まさにそのとおりで、人に向ける非難や誹(そし)りは、しばしば自分自身にもあてはまる。私もそうだが、自省の苦い思いとともにこの警句にうなずく人は結構多いに違いない。

 参院選が公示された4日、安倍晋三首相は第一声でこう訴えた。

 「私たちのように議論する候補者、政党を選ぶのか、審議をまったくしない政党、候補者を選ぶのか……」。国会で憲法議論が進んでいないことを述べたくだりだが、これなどは、残りの指が自分をさしている一例だろう。

 政府与党こそ国会を軽んじて、議論に背を向けてこなかったか。モリカケ疑惑など都合の悪いことや、年金など国民の関心事の質疑応答からは逃げてきた。そうした一切を棚に上げて自分の関心事については議論か否かと迫るのだから、相当丈夫な棚をお持ちである。

 公示の前日、日本記者クラブでの党首討論会では、こんな一幕があった。

 質問者がテーマごとに挙手で賛……こちらは有料会員限定記事です。残り:1264文字/全文:1692文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7B55X6M7BULZU00W.html?iref=comtop_8_03
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/222.html

[政治・選挙・NHK263] この呼びかけは、どうしたら聞いて欲しい人に届くのだろう。(澤藤統一郎の憲法日記)

本日の東京新聞「こちら特報部」《民、侮るなかれ 参院選2019》。

いつにもまして、語りかけのボルテージが高く熱い。誰に語りかけているのか。現状維持でよいとする「無関心の有権者」にである。本当にそれでよいのか、「現状維持」とはどういうことなのか、無関心が何をもたらすのか。熱い語りかけなのだが、一面虚しくもある。が、虚しくはあっても、語り続けなければならない。

見出しをならべてみよう。
25面の前半記事の見出しは以下の3本
 「現状維持」危うい行く末
 安倍政権続けば…生活さらに困窮
 無関心の有権者「今のままでいい」
そして、頁を変えた26面後半記事の見出しがやはり3本
 「声上げれば変えられる」
 外交・安保 膨らむ懸念
 人権感覚も 世界に遅れ

この見出しで、全体の構成がほぼお分かりだろう。
メインの見出しが、下記の2本で対になっている。

 「現状維持」危うい行く末(25面)
 「声上げれば変えられる」(26面)

つまり、「現状維持」は、実は悲惨な近未来を招く選択なのだ。それを回避するには、「声を上げ」なければならない。「声を上げ」れば、悲惨な近未来を回避することができる。今、声を上げるとは、何よりも投票すること。選挙に参加するよう人に働きかけること。もちろん、安倍政権にアンチの立場での投票の呼びかけである。

「無関心の有権者は『今のままでいい』」というけれど、「このまま安倍政が権続けば…生活はさらに困窮する」ことになる。それだけではない。「外交・安保も、安倍政権のすることは危なっかしく、懸念は膨らむばかり」。「日本の人権感覚も 世界に遅れ」ていく一方ではないか。いつまでも安倍政権の横暴を許していてはならない。いまや、声を上げ、選挙に行って、反安倍に一票を投じようではないか。私にはそう読める。

下記がリードである。

    街角の有権者にこの参院選で期待する変化について尋ねると、選挙
   に関心がない人ほど「今のままでいいんじゃない」と答える。要は
   「現状維持」を望む意見で、よく出くわす。しかし、現状維持とは、
   現在の状況が固定化して続くことではない。現政権がもたらした経済、
   社会の指標や、外国との関係について、良好や悪化といった「傾向」
   が、そのまま引き継がれることを意味する。では、現状維持がもたら
   す日本の未来とはどんな姿なのか。 

本文に、こんな記載がある。

   「日本すごい」どころか、「日本ダメ」が世界的に定着しつつあるの
   が現実なのだ。それなのに、なぜ現状維持を望むのか。
    駒沢大の山崎望教授(現代政治理論)が、老後資金2千万円不足
   問題について、学生たちに感想を尋ねたところ、「日本沈没」「終わ
   った」と思考停止に陥るタイプと、「文句を言ってもしかたない」
   「個人で頑張る」といった自己完結するタイプに分かれたという。
    山崎氏は、「雇用も外交も問題は山積していて、暮らしにくさも
   あるのだが、ならば選挙で政治を変えようという発想には結び付か
   ない。漠然とした将来の不安はあっても目をつぶり、むしろ不安ゆ
   え、現状が変わる方を恐れる」と心理を読み解く。

   突破口はあるのか。山崎氏は、職場でのパンプスなどの強制に抗議
   する女性たちの身近な運動「#KuToo」の広がりに着目する。
   「当事者が.痛いと声を上げれば、個人の不満は共感され、集団で現
   状を変える力になる。・・政策も同―じ。若者が直面する貧困や奨学
   金といった切実な問題だって、当事者がおかしいと声を上げれば、
   政治も転換できる。そのことを知ってほしい」

うーん。このような運動が全体的な突破口たりうるのだろうか。「#KuToo」やLGBT容認の運動の広がりはあっても、どうして政治的な運動は十分な広がりを持てないのだろうか。

文末の「デスクメモ」が、率直にその苛立ちを露わにしている。

   「この記事は大半の現状維持、選挙無関心派には届かないだろう。彼
   らは新聞はおろか、テレビやネットでも選挙の話題に触れず、投票に
   も行かないからだ。
    ヒドイ現実に直面しても、自己責任に帰してしまう。だが、それは
   美徳ではない。この国の主権者として責務を果たして欲しい。」

これ、運動に携わる者にとっての、永遠のテーマである。
(2019年7月13日)

http://article9.jp/wordpress/?p=12953
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/223.html

[政治・選挙・NHK263] たとえ干されようとも いだてん俳優、覚悟の政治発言(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月14日15時00分

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190712004954_commL.jpg
古舘寛治さん(事務所提供)

 芸能人が政治に絡む発言をすると、ハレーションが起きる――。SNS上では見慣れた光景だ。大河ドラマ「いだてん」の可児徳役で知られる俳優の古舘寛治さんもその一人。最近になってツイッターでの政権批判のツイートが度々注目を集めているのだ。古舘さん自身、「仕事を干される」覚悟で発言しているという。俳優生命をかけなければならない理由とは。

――参院選まっただ中ですが、最近、政権批判のツイートをするたびに、多くの人にリツイートされるなど、注目を集めていますね

 今回の参議院選挙、自民党が憲法改正を公約の一つに掲げているでしょ。党の改憲草案を見たけれど、とにかく国民一人一人の権利を弱め、全体主義を強める内容で恐ろしいと僕は感じた。言いたいことが言えない社会になるのが嫌なので、21日の投開票日まで必死になって発言しています。

――政治に関する発言は最近になってからですか?

 いいえ。2011年の東日本大震災の少し前に、ツイッターやフェイスブックを始めたんですが、その頃からつぶやいていました。(中東や北アフリカで独裁的な政権を崩壊させた)「アラブの春」でSNSが大きな役割を果たしたことに衝撃を受け、興味を持ったんです。最近でも、沖縄・辺野古での新基地の建設強行に憤りを感じ、反対を訴えるツイートをするなど、コンスタントにつぶやいています。

――では、ここにきてなぜ注目されたのでしょうか

 そんな僕のツイートを批判してきた人に向けて、7月2日にこうつぶやいたからでしょう。

 「『政治のことなんか触れず、いだてんの宣伝だけしとけ』ってのがまた来た……(中略)……私一俳優ではありますが、一有権者でもあるんで、一つの存在に閉じ込めるのはやめてください」

 本来は仕事の話と、政治の話は……こちらは有料会員限定記事です。残り:1324文字/全文:2048文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7C7D1GM7CUCVL03F.html
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[政治・選挙・NHK263] ファシズムは楽しい? 集団行動の危険な魅力を考える (時事オピニオン)
ファシズムは楽しい?
集団行動の危険な魅力を考える

時事オピニオン 2018/10/19
田野大輔(甲南大学文学部教授)


 「民主主義」の「敵」として、世界中で警戒されている「ファシズム」。善悪を問うならば、圧倒的多数の人間が「悪」と答えるだろう。
 だが社会の中で生きる以上、誰もが一度は参加した経験のある「集団行動」は、いとも簡単にファシズムに結びつく危険性をはらんでいる。
 あなたの中に、あるいは周囲に、ファシズムの芽が潜んではいないだろうか? 甲南大学で「ファシズムの体験学習」講義を続ける田野大輔教授に、集団行動の魅力と危険について話をうかがった。


■世界中で排外主義が高まるのはなぜか?

 「ファシズムは楽しいか」と問われれば、多くの人は「そんなはずはない」と答えるだろう。たとえばヒトラー支配下のドイツで、ユダヤ人や反対派の人びとが受けた過酷な弾圧のことを想起すれば、それがけっして「楽しい」などといえるものではなかったことはたしかだ。

 だがそうした弾圧を行った加害者たちの意識に目を向けるとどうだろう。敵や異端者を攻撃することは、彼らにとって胸踊る経験だったのではないだろうか。近年わが国で問題になっているヘイトスピーチや、欧米各国で高まっている排外主義運動の背景に迫る上でも、過激な言動をくり返す加害者たちの内面的な動機、彼らがそこに見出している「魅力」を理解することが欠かせない。

 そうした考えのもと、筆者は勤務校の甲南大学で2010年から毎年「ファシズムの体験学習」という特別授業を実施してきた。その内容は簡単にいうと、教師(筆者)扮する指導者のもと独裁体制の支持者となった受講生が、敬礼や行進、糾弾といった示威運動を実践することで、ファシズムを動かす集団行動の危険性を体験的に学んでいくというものだ。

 授業の具体的な内容と進行については、筆者が別の媒体に寄稿した記事(『現代ビジネス』「私が大学で『ナチスを体験する』授業を続ける理由」2018年7月8日https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56393〈外部サイトに接続します〉)を参照していただきたいが、授業に参加した学生のほとんどが驚きをもって認めるのは、大勢の仲間と一緒に行動していると気持ちがどんどん高ぶってきて、他人に危害を加えるような悪行も平気で行えるようになってしまうことだ。

 だがそれにしてもなぜ、このような意識の変化が生じるのだろう。同じ制服を着て指導者の命令に従うだけで、どうして人は過激な言動に走ってしまうのか。その謎を解く鍵は、集団行動がもたらす独特の快感にある。

■集団行動の魅力

 全員同じ白シャツ・ジーパンを着用してグラウンドに集まった約250名の学生が、右手を挙げて一斉に「ハイルタノ(田野万歳)!」と叫んで敬礼し、笛の音に合わせて隊列行進をくり広げる。やがてグラウンド脇のベンチに座るカップル(サクラ)を取り囲んだ彼らは、指導者の号令のもと一斉に何度も「リア充爆発しろ!」と怒号を浴びせはじめる。多くの野次馬が見守る中、拡声器の号令に煽動されたこの集団はどんどん声を強めていき、ついにカップルを退散させると、万雷の拍手をもって勝利の凱歌を上げる……。
[注]
「リア充」とは・・・「現実(リアル)の生活が充実している人」を意味するネットスラング。主に彼氏・彼女がいる人のことを指す。

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/img.imidas.jp/topics/wp-content/uploads/2018/10/16181833/L-40-255-18-10-1.png
「リア充」を糾弾する参加者たち

 これは筆者が実施している「ファシズムの体験学習」の一コマである。事情を知らない部外者の目には、新興宗教か何かの狂信者の集まりのように映ったにちがいない。体験学習に参加した学生たちも、最初は恥ずかしさや気後れを感じていたようだ。だがこの異様なパフォーマンスに参加しているうちに、いつのまにか慣れてしまい、しだいに楽しい気分になってくる。

 このような意識の変化は、集団行動が生み出す独特の高揚感によるところが大きい。参加者は全員で一緒に行動するにつれて、自分の存在が大きくなったように感じ、集団に所属することへの誇りや他のメンバーとの連帯感、非メンバーに対する優越感を抱くようになる。参加者のレポートにも、「大声が出せるようになった」「リア充を排除して達成感が湧いた」といった感想が多い。彼らは集団の一員となることで自我を肥大化させ、「自分たちの力を誇示したい」という感情に満たされるようになるのである。

 そうした高揚感は、実は私たちが身近に経験しているものである。運動会の集団体操や入場行進、サッカーの試合の応援、夏祭りの神輿巡行や盆踊りなどに参加して、えもいわれぬ興奮を覚えた経験は誰にでもあるはずだ。文化人類学や民俗学が明らかにしてきたように、人は遊びや祭りなどの非日常的なイベントに参加し、日頃抑えている欲求を発散することで、高揚感や爽快感、他者との一体感を得て、社会生活を営む活力を維持している。

 この種の集団行動はいつの時代にもどんな場所にも存在するもので、普通は一時的な興奮を呼び起こすにとどまり、差別やヘイトといった加害行動と結びつくことはめったにない。それが危険なファシズムへと変貌するのは、集団を統率する権威と結びついたときである。

■集団行動がファシズムに変わるとき

 集団行動が権威と結びつくと、どんな変化が生じるのか。まず生じるのは、責任感の麻痺である。体験学習の参加者は、指導者の命令に従い、他のメンバーに同調して行動しているうちに、自分の行動に責任を感じなくなり、敵に怒号を浴びせるという攻撃的な行動にも平気になってしまう。「指導者から指示されたから」「みんなもやっているから」という理由で、彼らは個人としての判断を停止し、指導者の意志の「道具」として行動するようになる。

 スタンフォード監獄実験やミルグラム実験の結果が示しているように、権威への服従は人びとを「道具的状態」に陥れ、自分の行動の結果に責任を感じなくさせる働きをもっている。そこではどんなに過激な行動に出ようとも、上からの命令なので自分の責任が問われることはない。逆説的なことに、権威に従属することによって人は行動に伴う責任から解放され、社会的な制約から「自由」に行動できるようになるのである。
[注]
「スタンフォード監獄実験」とは・・・1971年、アメリカの心理学者フィリップ・ジンバルドーが行った実験。スタンフォード大学の地下実験室を模擬的な刑務所に仕立て、公募した被験者を看守役と囚人役に分けて、それぞれの役割を演じさせた。6日間で中止されたこの実験によって、看守役が囚人役に対して自発的に暴力をふるうようになることがわかったが、最近になって看守役に対する演技指導などが指摘されたことで、実験結果には疑義も出ている。
「ミルグラム実験」とは・・・アイヒマン実験とも呼ばれる。1961年、アメリカの心理学者スタンリー・ミルグラムがイェール大学で行った実験。公募した被験者を教師役とした上で、生徒役が問題を間違えるたびに段階的に強まる電気ショックを与えるよう指示した(実際には電流は流れておらず、生徒役は苦しむ演技をするサクラだった)。実験結果は、約2/3の教師役=被験者が致死的な電気ショックを与えたというものだった。

 しかもこうした治外法権的な状況がいったん成立すると、これを維持・強化しようとする動きが服従者の側から自発的に出てくる。それは人びとが自分の行動の責任を指導者にゆだね、その命令を遂行することにのみ責任を感じはじめるという、状況的義務への拘束が生じるためである。

 体験学習の参加者も、指導者の命令に従って敵を糾弾するという行動を自分たちの義務のように感じはじめ、やがて真剣に取り組むようになる。この糾弾行動がロールプレイにすぎず、敵役のカップルがサクラであることは参加者も承知のはずだが、何度も怒号を浴びせているうちに、その声はしだいに熱をおびてくる。

 「リア充が憎らしく思えた」「声を出さない人に苛立った」といった感想が示すように、彼らは自分たちの行動を正当なことと見なし、内面的・情緒的な関与を強めていく。芝居とわかっている行動であっても、人びとの「義憤」を駆り立てる危険な力を発揮しうるのだ。

 こうして敵対者は容赦なく攻撃すべき「悪」となり、これを攻撃する行動は「正義」となる。自分は権威=善の側に立ち、その後ろ盾のもとで悪に正義の鉄槌を下すという意識なので、攻撃をためらわせる内面的な抑制は働かない。

 それどころか、この「義挙」の前に立ちはだかるいかなる制約も正義を阻む脅威と見なされ、「自衛」のためにさらなる暴力の行使がもとめられることになる。

 敵や異端者への攻撃の中で、参加者は自分の抑圧された攻撃衝動を発散できるだけでなく、正義の執行者としての自己肯定感や万能感も得ることができる。そこに認めることができるのは、暴力が歯止めを失って過激化していく負のスパイラルである。

■日本に見られるファシズムの萌芽

 このようなファシズムの危険な感化力は、私たちにも無縁のものではない。近年わが国では在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチやヘイトデモが大きな社会問題になっているが、民族的出自の異なる人びとへの憎悪や敵意を煽る加害者たちの差別的・排外主義的言動が、権威と結びついた集団行動の過激化のパターンをなぞっていることは明らかだ。

 彼らにとって、在日韓国・朝鮮人とこれを支援する人びとは「反日勢力」であり、日本で不当な特権を享受しながら破壊工作を行う「売国奴」である。それゆえ、これを差別・攻撃することは「正義」であり、「日本のため」の正当防衛であるということになる。

 たとえば、朝鮮学校への補助金交付をもとめた各地の弁護士会の声明をきっかけに、複数の弁護士に対して大量の懲戒請求が寄せられた事件(『朝日新聞』「ブログ信じ大量懲戒請求『日本のためと思い込んでいた』」2018年6月23日https://www.asahi.com/articles/ASL5X6609L5XUTIL04P.html〈外部サイトに接続します〉)を見てみよう。あるブログの呼びかけに応じて懲戒請求を行なった人物が、弁護士から損害賠償をもとめられた後になって「日本のためになると思い込んでいた」と反省の弁を述べたのは、いかにも特徴的だ。

 この人物を行動へと突き動かしたのは、「日本を守らねばならない」という使命感であり、「反日勢力」の脅威に対する危機意識である。だがそこには、自分の行動とその目的に対する責任ある判断が欠けている。

 そうした人びとにとっては、敵対者の脅威が現実に存在しているか、これに対する自分の行動が適切かは問題とならない。重要なのは、自分がどれだけ怒りを感じ、使命感を呼び覚まされたかである。それゆえ、彼らの思想・信条をいくら究明したところで、過激な行動に走る理由を十分に理解することはできない。

 差別的な言動をくり返す加害者たちの内面的な動機に迫る上ではむしろ、彼らがそうした活動の中で感じる解放感、自分の感情を何の制約も受けずに表現できる「自由」の経験に注目することが必要だろう。

 「日本」というマジョリティの権威を笠に着ながら、数の力で社会的少数派や反対派に攻撃を仕掛けるという行動は、権威への服従がもたらす「責任からの解放」の産物である。彼らはこれによって存分に自分の欲求を満たしながら、堂々と正義の執行者を演じることができる。その何物にも代えがたい快感にこそ、ファシズムの危険な魅力があるといってよい。

■ファシズムに飲み込まれないためには

 ファシズムが「悪」であり、民主主義社会の基本的価値と相容れないことは、今日では誰もが知っている。ヒトラー率いるナチスがユダヤ人や反対派を弾圧し、戦争とホロコーストに突き進んでいった歴史を、私たちはくり返し学んできたはずだ。だがそれが遠い過去の出来事にとどまるならば、いま「義憤」に駆られて「自衛」に走ろうとする人びとを押しとどめることはできない。

 ファシズムを悪なるものとして否定するだけでは、多くの人びとがその魅力に惹きつけられ、歓呼・賛同しながら侵略と犯罪に加担していった歴史の教訓をいかすことにはならない。それどころか、臭い物に蓋をするような生半可な教育は、人びとを無免疫のまま危険にさらすことにもつながる。「ファシズムの体験学習」の狙いも、若い世代に適切な形で集団行動の危険に触れさせ、それに対する対処の仕方を考えさせることにある。

 これまで9回実施した体験学習では、受講生の参加意欲は非常に高く、授業の狙いを的確に理解して、集団行動の効果に対する認識を深めているようだ。「自分たちと異なる人を排斥したくなる気持ちが理解できた」「中学・高校まで制服を着ていたことが怖くなった」などと感想を書いた学生もいる。

 ただしこうした危険な授業を実施する上では、アフターフォローに細心の注意を払う必要がある。何よりも重要なのは、受講生が自らの体験をファシズムの危険性に対する認識につなげることができるよう、的確なデブリーフィング(被験者への説明)を行うことである。本記事もまた、そうした取り組みの一環といってよい。

 「ファシズムの体験学習」から得られる最も大きな教訓は、ファシズムが上からの強制性と下からの自発性の結びつきによって生じる「責任からの解放」の産物だということである。指導者の指示に従ってさえいれば、自分の行動に責任を負わずにすむ。その解放感に流されて、思慮なく過激な行動に走ってしまう。表向きは上からの命令に従っているが、実際は自分の欲求を満たすことが動機となっているからだ。そうした下からの自発的な行動をすくい上げ、「無責任の連鎖」として社会全体に拡大していく運動が、ファシズムにほかならない。

 この単純だが危険なメカニズムは、いくぶん形を変えながら社会のいたるところに遍在している。学校でのいじめから新興宗教による洗脳、さらには街頭でのヘイトデモにいたるまで、思想の左右を超えた集団行動の危険性を、私たちはあらためて認識する必要がある。世界中で排外主義やナショナリズムの嵐が吹き荒れている今日、ファシズムの危険な魅力に対処する必要はますます高まっている。大勢の人びとが熱狂に駆られて「正義の暴走」に向かったとき、これに抗うことができるかが一人一人に問われているのである。

https://imidas.jp/jijikaitai/l-40-255-18-10-g746
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/233.html

[政治・選挙・NHK263] 山本太郎さんと彼の率いる「れいわ新選組」を、テレビに映してください。まるでいないかのように無視しないでください!(change.org)
キャンペーン
 
山本太郎さんと彼の率いる「れいわ新選組」を、テレビに映してください。まるでいないかのように無視しないでください!

発信者:好川 真理子 宛先:マスコミ各社

巷やネットでは、社会現象になっているほど各地で旋風を巻き起こしている山本太郎さんと「れいわ新選組」ですが、テレビ局は、彼らがまるで存在しないかのように今も無視し続けています。これは、おそらく政府当局やスポンサーへの忖度と思われ、ジャーナリズムとして恥ずべき行為に思います。表現の自由、言論の自由、報道の自由に反するのではないでしょうか?

マスコミを、一部の人たちの利害だけに配慮した、偏った報道の場にしないでください。そして、太郎さんとれいわ新選組を平等に映して下さい。国民は彼らを見たがっています。


キャンペーンの進捗
3時間前 10,000人の賛同者
2日前 好川 真理子さんがこのキャンペーンを開始

https://www.change.org/p/%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%9F%E5%90%84%E7%A4%BE-%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E5%A4%AA%E9%83%8E%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%A8%E5%BD%BC%E3%81%AE%E7%8E%87%E3%81%84%E3%82%8B-%E3%82%8C%E3%81%84%E3%82%8F%E6%96%B0%E9%81%B8%E7%B5%84-%E3%82%92-%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%81%AB%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84-%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%81%A7%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E7%84%A1%E8%A6%96%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/237.html

[政治・選挙・NHK263] 潮目は変わった 参院選終盤へ 街頭から地殻変動起こすれいわ新選組(長周新聞)
長周新聞 2019年7月15日

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/492db4257f78c382d2220984afd12646-768x511.jpg 12日、JR品川駅港南口でのれいわ新選組の街頭演説会

 後半戦に突入した参院選(21日投開票)は、既存政党が存在感を欠くなかで、山本太郎が立ち上げた「れいわ新選組」が各地で旋風を巻き起こしている。1週間の全国行脚をへて12日に開いた東京・品川駅港南口における全候補者による街頭演説会では、駅前は人で埋め尽くされ、駅に繋がる階段やデッキの上にも聴衆が連なった。大手メディアの黙殺にもかかわらず、同団体の街頭宣伝はやるたびに黒山の人だかりをつくっており、政治変革を求める有権者の切実感と響き合いながら支援の輪を広げている。選挙の枠をこえた大きな地殻変動が起きていることを実感させている。

 集会の冒頭、山本太郎代表(全国比例)が挨拶に立ち、「驚くことに私たちの事務所に自民党の大臣経験者からも“頑張ってくれ”と励ましの電話があった。自民党において現在のトップに異を唱えたら次の公認をもらえない、自分の政治生命が終わってしまうという危機感のなかで苦しんでいる自民党議員もいる。そのなかで国会の中に必要なものは、空気を読まない集団だ。空気が読めるが読まない。与野党の間での交渉で、政治はこんなもんだろう…という永田町の論理で妥協することを一切許さない。みなさんのための政治をする政治勢力を永田町に増やしたい! 力を貸してください!」と呼びかけ、以下のように政策を訴えた。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/69fe0ccb00e5e0ec556286df46d8735a-768x498.jpg 挨拶に立つ山本太郎代表

 20年以上続くデフレで日本経済は完全に衰退した。20年以上、消費が失われ、投資が失われた。20年間の需要が失われた結果、20年以上デフレが続いた。そんな国が世界のどこにあるのか? 日本以外にあったら教えてくれと、参院本会議の代表質問で安倍総理に聞いた。総理は答えた。“ございません”と。当たり前だ。20年以上にわたってモノが安くなり、モノをつくる人人の給料もどんどん減っていく。消費が弱れば所得も減っていく。これが20年続いた。あなたの生活と人生が削られてきた20年をどうやってとり戻すのか。消費税は廃止しかない。

 収入が少ない人ほど消費税の負担率は上がる。収入のほとんどが消費に消える。金持ちの道楽で買うフェラーリ、ダイヤモンドから、庶民が生きるために買うおにぎり、紙おむつまで同じ税率なんて不公平と呼ばずに何と呼ぶのか。消費税は社会保障のために必要だと2014年4月に消費税を3%増税するときに国はいった。増税分は全額、社会保障の充実と安定化に使うと約束した。

 2017年度、消費税3%増税で得られた収入は約8兆円。このうち社会保障の充実に使われたのはたった16%。その一方で、社会保障費用はこの7年の間に4兆円削っている。いっていることとやっていることがまったく逆だ。

 消費税が導入されることによって下がった税が二つある。所得税そして法人税だ。所得税は最高税率を引き下げ、法人税は1990年代に50%近かったものが現在20%台に突入した。金持ちがより金持ちになるために、大企業がよりもうけるために、その尻ぬぐいをみなさんにお願いする、という話なのだ。こんなものは筋が通らない。

 消費税をやめることによって失われる国の財源は約20兆円だ。これを新規国債の発行と、所得税の最高税率を上げ、税率の低い金融資産からの所得の分離をやめて同じ所得として総合課税にして同じように累進制を導入する。

 現在、法人税は中小企業も大企業も同じ税率だが、大企業だけはさらに大割引サービスされる租税特別措置が80以上も存在している。この特別扱いをやめて、法人税にも累進制を導入し、もうかっている大企業には高い税率を課し、もうかっていないところは負担を減らす。これによって中小零細企業を守る。この二つの税制改革で29兆円が賄える。消費税をやめても9兆円のおつりが出る。

 残りの9兆円は、国のサラ金事業である奨学金を借りている555万人分の借金をチャラにするために使う。大学生の2人に1人が借りていて、その6〜7割が有利子。これで金融機関が年間350億円ほどもうける一方で若い世代を苦しめている。少子化が問題というのなら奨学金に苦しむ555万人から救うべきだと考える。

 20年で奪われたものを本気でとり戻す。現在の政党にはおそらく無理だ。デフレのなかで財政規律、財政再建、その言葉が出た途端に国から財政は削られ、増税が必要になる。20年以上のデフレで衰退国家になりつつある日本で財政規律を引き締めれば、デフレ不況はもっとひどくなり、人人の命が奪われる。今やるべきは人人の生活の底上げだ。

 それを実現するのが、私たち、れいわ新選組だ。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/393dfec835a85037eda28ef62506cf5b.jpg 駅に繋がる階段やデッキの上にも聴衆が連なった

■新人候補が相次ぎ演説 カンパは3億円突破

 続いて、9人の新人候補があいついで演説した。

 派遣労働者の渡辺てる子氏は「東京都内を街宣カーで回ると、日本がいかに階級格差の激しい社会かということがよくわかる。だが貧乏は決して恥ずかしいことではない。貧乏だからこそ見えてくるものがある。日本の政策のヘビーユーザーだからだ。1%の富裕層と99%の貧困層に分かれている社会なら、私たち99%が動けば世の中は絶対に変わる。力を合わせよう!」とのべた。

 元セブンイレブンオーナーの三井義文氏は、「昨日はコンビニの総本山セブン本社前で8時間しゃべりつづけた。強い者が弱い者をいじめる。これは単純にコンビニだけの問題ではなく、国が国民をいじめているのが今の社会だ。消費税のような逆進性などありえない。自民党が勝てば安倍晋三は選挙後、“国民の信任が得られた”といって消費税を上げるだろう。だれもそのために自民党に入れていないのに。民主主義とは民衆主人公の社会ではないのか」とのべた。

 また、「昨日、同じコンビニ仲間の訃報を聞いた。東日本橋1丁目のセブンイレブンのオーナーだった。今年3月に本人がやめるという署名もしていないのに本社に店舗を奪われたのだ。真面目に約10年近く本部のいう通りにやってきたが、本部の優等生になると絶対にもうからないのがコンビニの仕組みだ。彼は多額の負債を抱えて店を追い出され、心臓を患って救急車で運ばれた。それでも店を奪ったのは、本店が店をつくりすぎてこの店が邪魔になったからだ。彼は借金を返すには保険金しかないと思い詰め、単身で寒い3月の北海道に行ったが、心配した家族の訴えで旭川で保護された。セブン本部は店の清算金すら払っていない。私も緊急保護者だったが、昨日、奥さんから死亡の連絡があった。もういい加減に強い者が人間を部品のように扱うのはやめるべきだ」と怒りを込めて訴えた。

 環境保護NGO職員の辻村ちひろ氏は、「選挙戦で全国のいろんな自然保護運動の現場に行った。静岡県伊東市で山林を削ってつくるメガソーラーの建設現場にも行った。長野県大鹿村のリニア中央新幹線のトンネル工事現場では、きれいな水田が残土置き場になっていた。長崎では川棚町の石木ダム。ダムのために家を追い出して墓まで追い出す。生活も歴史も文化も断ち切ってしまう。諫早湾では国が潮受け堤防で湾を断ちきり、開門をめぐって堤防で魚やノリがとれなくなった漁業者と水害に悩む農業者が対立させられている。国は第一次産業を守るといっているが、この事業で誰が喜んだのだろうか。収奪や誰かの犠牲のうえにある繁栄はもういらない。他人の暮らしを奪う権利は誰にもない。地球一個分の暮らしをすべきときだ。そのために第一次産業である林業、農業を地産地消の仕組みのなかで生き返らせる。開発するときは、きちんとした合意形成を義務化する。審議会や協議会でも国が人を選ぶのではなく、公募型の円卓会議にする。苦しんでいる人たちの思いを背負って頑張る」と宣言した。

 元東京電力職員の蓮池透氏は「選挙になると急に福島県や新潟県にあらわれる政権与党。そこでいう言葉は当事者の思いとはまったく違う。復興という言葉は、実際に復興させてからいうべきだ。震災直後に出た原子力緊急事態宣言はまだ解除されていないにもかかわらず避難指定を解除し、生活支援も打ち切り、正確な避難者の数もわからない。これこそが究極の統計不正だ」とのべた。

 元JPモルガン銀行ディーラーの大西つねき氏は「お金の裏付けになっているのは、みなさん一人一人であり、みなさんが作り出す価値だ。その活動を阻害する消費税など廃止が当たり前だ。ずっと当たり前と思わされてきた虚構の世界から脱して、今真実を明らかにするときだ。政治家や官僚、専門家たちが必死に隠してきた不都合な真実を大声で伝えて、みんなが声を上げることによって新しい時代を切り開こう。新時代の訪れをワクワクしながら迎え、その希望を日本中のみなさんに伝えていけば、真実は必ず広がっていく。国会議員でもない一般の政治団体が国政政党になることが起きれば、それはもう革命だ。みなさんの力で未来を築こう!」と力強く呼びかけた。

 さらに、東京大学教授の安冨歩氏、重度障害者の木村英子氏、難病ALS患者の舩後靖彦氏、東京選挙区から出馬する沖縄創価学会壮年部の野原善正氏がそれぞれの当事者としての切実な思いを込めて政治を変革していく決意を表明した。時間とともに聴衆は膨れあがり、声援が飛び交うなど候補者と一体化した熱気に包まれた。

 最後に山本太郎代表は、「このような新しい勢力が出てこなければ、国が壊れていく速度は加速度を増し、ブレーキもきかなくなる。市民の力でつくった初めての政党を誕生させたい。年間2万人がみずから命を絶っていく社会。自分の力を過小評価してはいけない。あなたがいなければこの社会はなにも変えられない。その力に気づいてもらいたい。政治は一人一人に投資をするべきであり、増税が必要だというなら、ないところからとるな! まずはあるところからとれ! だ。このまま食い物にされて終わるわけにはいかない」と呼びかけた。

 また、「この選挙で10人全員勝ったとしても政権はとれない。1回の選挙でどうにかなる話ではないのが現実だ。だが、10人が国会の中でしっかりと人人のための政治がやれることが認められれば、次の選挙は大躍進する。1年以内に衆議院選。その先の3年後にはまた参議院選だ。このスパンで本気で政権をとりに行く。鍵を握るのは私たちじゃなくみなさんだ。一部の者だけがもうかる制度を続ける政治家を食わせるための選挙にさせぬため、みなさんの力を貸してほしい!」と熱を込めて訴えた。

 れいわ新選組への全国からのカンパはこの日、目標の3億円をこえた。有権者から遊離して停滞しきった国政への不信感が充満するなかで、一切の権威に媚びることなく風穴を開けることを訴えるれいわ新選組の動向に全国的な関心が集まっている。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/c5e090843aa03da38c068b2c38f51f37.jpg 寄付を寄せる聴衆

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12233
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/258.html

[政治・選挙・NHK263] ファクトチェック 安倍首相が誇る雇用増の実績は本当?(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月15日10時30分


 参院選は政権運営のありようや政策の達成度に評価を下す機会だ。安倍晋三首相は全国各地での街頭演説で、様々な数字を示して政権の「実績」を強調している。とりわけ繰り返している数字を検証してみた。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190714003415_commL.jpg
安倍晋三首相の発言

     ◇

(11日、大分県別府市での街頭演説で) 
「この6年間、私たちの経済政策によって、働く人、雇用は380万人も増えた。年金の支え手が400万人近く増えたということ。それだけ保険料収入は増えた」 ――△(一部不正確)

 総務省の労働力調査(年平均ベース)によると、企業や団体などに雇われている雇用者のうち役員を除いた働き手は、第2次安倍政権発足後の2013年から18年までの6年間で383万人増えた。「380万人増」という主張は正しい。

 ただ、増えた働き手のうち55%はパートやアルバイトなど非正規で働く人々が占める。非正規で働く人の多くは所得が少なく、不安定な生活を送っている。総務省が5年ごとに公表している就業構造基本調査によると、非正規で働く人の75%が年収200万円未満だった。この中には学生バイトや主婦のパートも含まれているが、いわゆるワーキングプアにあたる人も一定数いるとみられる。

 首相はこれまで「この国から非正規という言葉を一掃する」と何度も訴えてきたが、役員を除いた働き手に占める非正規雇用の割合は18年平均で37・9%となり、過去最高の水準になっている。

 非正規雇用が増え続ける一因には、企業が人件費を抑えようと正社員よりもパートやアルバイトを雇ってきたことがある。特に近年目立つのが、非正規で働く高齢者の増加だ。労働力調査によると、この6年間に増えた働き手383万人のうち40%は、パートやアルバイトを中心に非正規で働く65歳以上が占めている。定年後の再雇用でも、賃金など待遇面は現役時代より下がるのが一般的だ。

 加えて、1990年代後半以降、自民党政権が企業の求めに応じて派遣労働などの規制緩和を進めたことも非正規雇用の増加につながった。

 秘書や通訳など26業種に限られていた派遣業は、小渕政権下の99年、建設業や製造業などを除き原則自由になった。さらに、安倍首相が政府・与党の中枢にいた小泉政権では、04年3月に施行された改正労働者派遣法によって、派遣期間の上限は1年から3年に延び、製造業への派遣労働も解禁された。

 一方、年金の支え手である加入者数は、保険料の納付期間が終了して加入者でなくなる人と新規加入者を出し入れすると、12年度末が6736万人、17年度末が6733万人で、ほぼ横ばいだ。「年金の支え手が400万人近く増えた」かどうかははっきりしない。

 保険料収入は確かに増加傾向にある。17年度は37兆2687億円で、12年度より7兆1千億円増えた。厚生労働省は理由の一つに、国民年金に比べて保険料が高い厚生年金の加入者が増えたことを挙げる。

 年金の種類別にみると、自営業者や無職の人らが入る国民年金の加入者は12年度末から17年度末の間に449万人減り、会社員が対象の厚生年金の加入者は446万人増えている。厚労省は「厚生年金の適用拡大や、雇用状況の改善に伴う国民年金から厚生年金への移行などが影響している」と分析する。

 また、厚生年金の保険料(労使折半)を上限の18・3%まで段階的に引き上げてきたことも保険料収入の増加につながっているという。働く人が増えたことだけを保険料の収入増の理由に挙げるのは不正確だ。

 首相は演説で「4月に年金額が増えた」ともアピールする。19年度は公的年金の支給額が前年度より0・1%引き上げられた。引き上げは、15年度以来4年ぶり。国民年金の場合、満額で受け取る人は月67円増えて6万5008円、厚生年金はモデル世帯(夫婦2人分)で月227円増の22万1504円となった。

 ただ、少子高齢化に合わせて年金水準を自動的に引き下げる「マクロ経済スライド」により、物価上昇率(1・0%)や賃金上昇率(0・6%)よりも支給額の伸び率が抑えられている。だから支給額は増えても、実質的な水準は目減りしている。

 今後も同じ状況が続く。14年の年金財政検証の試算の一つでは、43年度の厚生年金の水準は14年度より2割下がり、国民年金は3割下がるとされている。(内山修、山本恭介)

     ◇

(12日、三重県伊勢市での街頭演説で)
「月5万1千円、介護士の皆さんの待遇を改善したし、リーダー級の皆さまには更に最大8万円上乗せをしていく」「(保育士の処遇について)すでに6年間で月4万1千円の改善を図ってきた。経験を積んだ方は、さらに4万円上乗せをしていく」 ――△(説明不足=上乗せの対象は限定的)

 安倍政権は2020年代初頭の「介護離職ゼロ」と、20年度末の「待機児童ゼロ」を目標に掲げる。実現には施設整備と合わせ、介護職員と保育士の不足を解消することが欠かせないため、処遇改善に取り組んでいる。

 介護離職ゼロを達成するため、政府は50万人分の受け皿整備を目標とする。17年調査では、介護職員の平均給与(賞与を含む)は月額27万4千円。全産業平均より9万2千円少ない。

 介護従事者処遇状況等調査によると、09〜17年度の介護報酬改定などに伴い、一定要件を満たした事業所で常勤の介護職員の平均給与(同)は月額で計5万7千円増えた。

 このうち6千円分は民主党政権時代(09〜12年度)で、首相の言う「5万1千円」は5万7千円から6千円を引いた金額だ。

 ただ、09年度に麻生政権下で決定した増額分2万4千円が含まれており、12年末の第2次安倍政権発足以降の増額分は2万7千円にとどまる。待遇が改善した期間を明示しないのは説明不足だ。さらに、厚生労働省の担当者は「給与の増加には、人手不足の深刻化に伴う介護職員の賃金上昇が反映されている側面もある」と指摘する。

 今年10月からは新しい加算も始まる。昇進制度の整備など一定の要件を満たした事業所を対象に、経験10年以上の介護福祉士のうち少なくとも1人の賃金を月額8万円以上増やす。

 保育士の昨年6月の平均月給は23万9300円(賞与などを含まない)で、全産業を約10万円下回る。

 市区町村の保育園で働く保育士は地方公務員となるため、給与は市区町村が決める。私立保育園の保育士の給与は各園が独自に決めるが、国は子ども1人の保育にかかる費用である「公定価格」を決める際、目安の給与を示している。

 内閣府によると、賞与や処遇改善の加算分を含めた今年度の目安の給与は、12年度に比べて約4万1千円増えた。首相が言う「4万1千円」はこれを指す。ただ、このうち約2万2千円分は人事院勧告を受けた国家公務員の給与改定に準じて増えたものだ。

 「4万円上乗せ」は17年度に始まった。保育士経験がおおむね7年以上の副主任らが対象だが、1施設につき保育士数の3分の1程度と上限が決められている。介護福祉士の「8万円上乗せ」と同様に対象者は限定的で、丁寧な説明が必要になる。(石川春菜、浜田知宏)

     ◇

(7月10日、山形県酒田市の街頭演説で)
「農業は大切な国の基。今この19年間のなかで生産農業所得は最高になっているし、そして輸出額も毎年、過去最高を記録して、政権交代前の倍の9千億円まで来た」 ――△(言い過ぎ)

 農林水産省の統計によると、最新データである2017年の生産農業所得は3兆7616億円。3年連続の増加で、1998年(4兆440億円)以来の高額だった。09年に2兆5946億円まで落ち込んだことを考えると、農家の所得が大きく回復してきたのは事実だ。ただ、政権の実績としては評価が分かれる。

 今年3月の農水省の審議会。首相と同様に「所得増加」を強調した農業白書の骨子に対し、全国農業協同組合中央会の中家徹会長は「このことで農業が強くなっているのかといえば、そうではないのでは。生産量が減少して単価が上がり、金額が伸びたのではないか」と異論を唱えた。

 主要作物の18年産の収穫量を政権交代前の12年産と比べてみると、コメや小麦、大麦は1割ほど減った。一方、18年度の消費者物価指数の生鮮食品は、6年前より22%も上がった。

 過疎地が支える農業は人口減の直撃を受ける。18年の耕地面積は、6年前より13万ヘクタール狭い442万ヘクタール。神奈川県の半分が減った計算だ。農業所得の増加は、弱い農家が生き残れないことの裏返しとも言える。消費者にとっては、生産量が減って価格が上がるというマイナス面が際立つ。

 「輸出額9千億円」は誤解を招く。18年に過去最高の9068億円だったのは、農産物、林産物、水産物の三つを合わせた「農林水産物」の額。農産物だけなら5661億円にとどまる。

 庄内平野を抱える山形県はコメの一大産地。首相は演説で、「山形のおいしいお米『つや姫』は、実は上海でも売っています」とコメの輸出をアピールした。だが、コメの18年の輸出額は38億円。リンゴ(140億円)、緑茶(153億円)、牛肉(247億円)から出遅れている。輸出量1・4万トンは、30年産の国内生産量(778万トン)の0・2%にすぎない。(大日向寛文)

https://digital.asahi.com/articles/ASM7G560BM7GUTFK006.html?rm=1436
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/259.html

[政治・選挙・NHK263] 利害が均衡する「構図」にひそむ無責任な政治・・・近ごろの政治家はなぜ「遺憾」を口にするのか? (朝日新聞社 論座)
近ごろの政治家はなぜ「遺憾」を口にするのか?
政権、批判者、政治無関心層の利害が均衡する「構図」にひそむ無責任な政治

佐藤信 東京大学先端科学技術研究センター助教
論座 2019年07月15日 より無料公開部分を転載。


■昨今の政治状況を映す「遺憾」

 2019年6月28日、G20大阪サミットの夕食会で、安倍総理大臣が大阪城復元にあたってエレベーターをつけたことを「大きなミス」と述べたことに対して、バリアフリーの観点から批判が続出した。

 この批判について、菅義偉官房長官はその記者会見で「批判されるようなものではない」と反論したが、自民党の萩生田光一幹事長代行は総理との会談を受けて「取りようによっては、障害者やお年寄りに不自由があってもしかたがないと聞こえるもので遺憾だ」と述べたという。

 この「遺憾」という言葉、近年、政権有力者の発言としてしばしば聞かれる。あまりに耳慣れていてもはや気にも留めないが、本来、心残り、残念を指す言葉で、謝罪を示すものではない。自分自身について使うこともあるが、第三者の問題について使うことが一般的であろう。

 最近でも6月19日、韓国元徴用工訴訟をめぐって韓国側が仲裁委員会の任命を行わなかったのに対して菅官房長官が「遺憾」と述べ、また同21日、ロシア軍の爆撃機が日本領空を侵犯したことについて岩屋毅防衛相が「甚だ遺憾」と述べた。

 ところが、最近、政権有力者がこれを自身や政権の行動に関してもしばしば使うとすれば、そこには実は現今の政治状況が反映されているのではないか。ここでは統計不正問題を皮切りにこの問題について考えてみたい。

■責任を官僚に丸投げする政権

 統計不正問題について細かい説明は避けよう。問題の源泉は厚労省の統計不正。厚労省が2004年から基幹統計の一つである毎月勤労統計において、全数調査の一部が不正に抽出調査に切り替えられていた。当初、厚労省はこれを再集計することで対応しようとしたが、後に再集計に必要なデータが不適切に破棄されていたことも判明した。

 この問題について、今年1月11日の記者会見で根本匠厚労相は「こうした事態を引き起こしたことは極めて遺憾であり、国民の皆さまにご迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げます」と発言した。また同日の記者会見で菅義偉官房長官も、「統計の信頼性を損なう事態が生じたことは甚だ遺憾で、国民の皆さまにご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げる」だと述べている。テンプレートのような発言で事前に調整しているのだろう。

 ここで注目したいのは、なにを「遺憾」とし、なにについて謝罪しているのかという点である。最終的には謝罪しているようだが、これらは国民に迷惑がかかったことを謝罪するもので、事態を引き起こしたことの責任を認めて謝罪するものではない。この言は、引き起こしたのは自分ではない誰かだと丸投げしているように聞こえるのである。

 責任を丸投げされている相手は誰か。それは多くの場合、そして統計不正の場合にも、官僚であった。1月17日の時点で、厚労次官ら幹部も含めて処分する方針であることが報道されていた。22日に特別監察委の報告が提出されたが、その以前から(官僚個人ではなく)官僚機構が責任を負うことは決まっていたわけである。

 最終的には根本大臣のほか副大臣、政務官など厚労相のポストにある政治家も給与の自主返納を行ったが、国会で野党から大臣辞任を求められると、首相も根本厚労相も否定して譲らなかった。「消えた年金」問題後の閣僚辞任ドミノの再燃を避けたいという意図はわかるが、政治が責任を放り出したように見えるのは致し方あるまい。

 これは当然ではない。2015年6月に日本年金機構の情報流出問題が生じたが、このとき塩崎恭久厚労相は「監督する立場としておわびする」と述べていた。また、直近では2017年の稲田朋美防衛相(当時)が―本人の責任もあるとはいえ―もともと防衛相内で発生した問題について辞任に至った。大臣辞任のほとんどは政治資金問題や不祥事など大臣個人の事由に依るもので、こうした事例は珍しいものである。

 このように省庁における失態の責任を大臣が担うことは不思議なことではなく、まして政治主導が拡大・深化すればそれだけ官僚機構の作動の結果責任を政権が負うようになるべきものである。それぞれのケースに固有の事情があって比較は難しいが、こうした事例と比べると、この数年の対応では官僚機構の責任を大臣が引き受けることなく、むしろ官僚に官の問題として切り離しているように考えられるのである。「遺憾」に象徴される政官関係のあり方は、ここ数年で突然生じて、急激に亢進してきたことになる。

■問題の焦点は一党優位のもとでの官僚統制

 政治家が官僚機構の作動の責任をとる政官関係が確立されていれば、官僚機構の機能不全は政権の責任となり、国民は政権交代を通じて官僚機構の機能不全を咎めることができる。そしてまた、このチェック機能を意識すればこそ、政権も官僚機構のよりよい作動のために務めるだろう。

 ところが、現在の政権運営では別の均衡点が生じている。

 官僚機構にとって一定のダメージとなることが想定されるがゆえに、官僚機構が自らの欠点を隠そうとするだけではなく、政権にとってもこれを隠すことが望ましい選択となる。ただ、いざ官僚機構の機能不全が明るみに出ると、自衛隊日報問題のように隠ぺいを図ることは得策にならないことがわかってきたので、財務次官のセクハラ疑惑に対する麻生蔵相の木で鼻をくくったような対応、今回の厚労相の対応のように、むしろ官僚の側の問題と突き放すようになった。政権の問題ではないとダメージを管理するためである。

 要は、政治主導の主流化が、逆説的に政官関係に懸隔を生み出し、責任関係の不明確を招いている。

 こうした奇妙な事態の前提となっているのは、自民党の一党優位のもとの安定的な自公連立である。

 政権交代が予見されるなら、機能不全の隠ぺいは近い将来暴かれる虞(おそれ)があるので、これを公表するインセンティブが働く。公表するにあたって、官僚に責任をなすりつければ、官僚は次の政権を見据えて野党に協力するかもしれないし(まさに民主党政権で生じたことである)、また国民の支持も野党に靡(なび)くであろう。

 ところが、一党優位のもとではこのメカニズムが働かない。しかも、官僚は政権交代を予見できないうえ、人事を政権に握られていて反抗することは難しい。それで官僚に責任を押し付けるような対応をしても、国民はその対応には不満でも(2月半ばの朝日新聞の世論調査では「真相解明への政権への対応は適切ではない」とするのは61%)、代わりうる政権担当能力を持った政党がないので、政権へのダメージにならない(同世論調査における内閣不支持率は前月と同じ38%)。言うまでもなく、今回の参議院選挙でもこの筋に沿った選挙結果が予想されている。

■責任を曖昧にする「落としどころ」

 「遺憾」という言葉は、第三者の責任であるかのように聞こえ、無責任な印象を与えるため、謝罪記者会見などでは忌避される。しかし、政権有力者にとっては、その語を使うことが不利にならない、むしろ有利になる政治状況が現前しているのである。

 こうした「遺憾」という表現を用いて責任を転嫁したり、その在所を曖昧にしたりする手法は、一義的にはそれをする政権の問題であろう。しかし、このような手法を、わたしたちも日常生活のなかでしばしば目にする。自分が可愛い人にとって、とりわけ他者から評価される立場にある人にとって、常に誘引される、合理的な行動であろう。

 だから、それをチェックするのは、彼/彼女たちを信任する国民の、そしてチェックする役割を託された野党の役割である。ところが、とりわけ責任の所在を問うフェイズで、野党はしばしば問題を「アベ」と直結しようと試みてきた。森友問題、加計問題がそうであったし、個別の閣僚の問題発言についても、総理大臣の任命責任を問うてきた。あくまで総理大臣の、また彼の内閣の総辞職を期待し続けてきたのである。

 それゆえに、その総理大臣が「遺憾」と述べれば、また述べていると伝聞すれば、(さらなる追及はあるにせよ)自分たちの殊勲であるかのように、鬼の首を取ったかのように、それを誇って政権批判を繰り返してきた。

 こうして政権有力者が発する「遺憾」という語は、批判者としては得点を挙げた気になり、政権有力者としては謝罪をせずに官僚に(もしくはスピーチライターに)責任転嫁できるのだから、便利な言葉なのだろう。

 いわば各アクターが共同して、責任を曖昧にする「落としどころ」を発見したのである。


■求められる問題への真摯な「態度」の評価

 改めて冒頭の大阪城に関するコメントを振り返る。ニュースの上では ・・・ログインして読む
(残り:約677文字/本文:約4365文字)

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019071200008.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/261.html

[政治・選挙・NHK263] 参院選を、年金・税制一新の市民革命の機会に。(澤藤統一郎の憲法日記)
 
第25回参院選をちょうど1週間の後に控えての7月14日、フランスの革命記念日である。230年前のこの日、民衆がバスチーユを攻撃した。ルイ16世は側近から、「陛下、これは暴動ではありません、革命でございます」と聞かされたという。

当時の日本は、元号でいえば寛政期。松平定信が幕府の老中首座にあって、「白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき」などと煙たがられていた。その頃に、ヨーロッパでは民衆の蜂起が成功して自由と平等を理念に掲げる近代市民社会が生まれた。

7月14日に何があったか。学び舎の中学教科書「ともに学ぶ 人間の歴史」からの引用が最も適切であろう。

   バスチーユを攻撃せよ−フランス革命−

   《自由と平等を求めて》
   1789年7月14日,パリ(フランス)の民衆が,バスチーユ監獄に
   押しよせました。武器・弾薬を引きわたすように,ここを守る司令官に
   要求しましたが,拒否されます。人びとは,はね橋を下ろしてなだれこ
   み,激しい銃撃戦のすえバスチーユ監獄を攻め落としました。監獄には,
   国王の専制政治を批判した人が捕らえられていると考えられていました。
   同じころ,農村では,年貢の引き下げを求める一揆が起こっていました。
   バスチーユでの勝利は,フランス全土に伝わります。農民たちは領主の館
   に押しかけ,土地の証文を焼いたり,火を放ったりしました。
   国王ルイ16世は,5月に,身分ごとの会議を開いて,増税を決めようと
   しました。これに対して,平民代表は,「白分たちこそが,国民を代表し
   ている」と主張して,国民議会をつくりました。さらに,16世がこれ
   を武力でおさえようとしたため,人びとはバスチーユを攻撃したのです。
   こうして,フランス革命がはじまりました。

   《国民の権利,女性の権利,黒人の権利》
   国民議会は,重い年貢を取り裁判権をにぎって,農民を支配していた領
   主の特権を,廃止しました。そして,自由と平等,国民主権をうたう「人
   権宣言」を発表しました。さらに,教会の領地や,国外に亡命した貴族の
   領地を,農民が買い取れるようにしました。
   革命に参加した平民には,豊かな商工業者や地主と,貧しい人びとがいま
   した。貧しいパリの民衆は,パンの値上がりに抗議し,政治への発言権を
   求めて,地区の集会を開きました。女性たちを先頭に、7000人が「パン
   をよこせ」と叫びながら、ベルサイユ宮殿まで行進しました。1792年
   には、民衆が王宮を攻撃し、王政を廃止させます。
   そして、21才以上の男性のすべてが選挙権を得ました。しかし、女性に
   は選挙権は認められず、政治集会への参加も禁じられました。劇作家のオ
   ランプ=ド=グ−ジュは、「女性の権利宣言」を発表し、「女性は生まれな
   がら自由であり、男性と同等の権利をもつ」と、第1条に掲げました。グ
   −ジュは、黒人の地位にも関心をもち、フランス植民地だったハイチでの奴
   隷制度に反対する劇を上演しました。

   《皇帝になったナポレオン》(略)
欄外に幾つかの資料や写真・書き込みがある。
◆まず、人権宣言の要約が次のように掲載されている。
   第1条 人間は生まれながらにして、自由で平等な権利をもつ。
   第2条 すべての政治的な団結の目的は、自由・所有・安全および圧制への
        抵抗の権利を守ることである。
   第3条 すべて主権は、本来、国民にある。
   第11条 思想・言論の自由な発表は、人間の最も尊い権利のひとつである。

◆革命前の3つの身分
   聖職者・貴族・平民の3つの身分があった。革命前は,わずか2%の聖職者と
   貴族が,領地と農民を支配し、さまざまな特権をもち、税も免除されていた。

****************************************************************

さて、問題は、他人事ではない。今の日本である。フランス革命以前のアンシャンレジームとなんと似通ってはいないだろうか。

今の日本は、一方に大企業・富裕者と、その取り巻きがあり、その対極に格差貧困に沈みつつある経済弱者がいる。この固定された階層秩序は、身分制の桎梏と変わらない。

大企業・富裕者は、この社会を支配し、さまざまな特権をもち、特権的な優遇税制の利益を享受しているではないか。だから、事態は次のように語られるものとなる…のではないか。

   首相官邸を攻撃せよ−2019年金・税制革命−

   《経済的平等と生存の保障を求めて》
   2019年7月21日,日本中の民衆が,一斉に投票所に押しよせま
   した。人びとは、消費税の値上げに反対し、人生100年を安心して
   過ごせる年金を要求してきましたが、権力者アベに拒否されます。
   そこで、人びとは各地の投票所になだれこみ、熱い思いで投票用紙に
   反アベの候補者と政党名を書き込むことによって、増税をたくらんで
   いたアベ官邸を攻め落としました。この日、アベは、側近から「これ
   は、単なる選挙の敗北ではありません。革命が起きたのです」と聞か
   されたと言います。
   アベ官邸には,この社会の格差を押し広げている、大企業・富裕者の
   代理人たちが、百鬼夜行さながらに棲息していると考えられていまし
   た。
   同じころ,農村でも漁村でも商店でも税や年金の改革が叫ばれ、同時
   に会社や工場では、賃金引き上げを求める運動が巻き起こっていまし
   た。首相官邸陥落の報は,たちまち日本全土に伝わります。各地で、デ
   モやストや、民衆の集会が続きました。そして消費税増税は阻止され、
   さらに消費税そのものが廃止されました。大企業や富裕層の特権はす
   べて取りあげられ、累進制に基づく真の応能主義が貫徹されることに
   なり、国会は、自由だけでなく、経済上の実質的平等,政府に対する
   格差貧困撲滅の義務をうたう「新人権宣言」を発表しました。
   この活動を通じて、革命に参加した人びとは、自分たちがこの国の主
   人公であることを強く自覚し、自らの手で税制も年金の設計も行うよ
   うになったのです。
   こうして、フランスに遅れること230年にして、日本にも、自由・
   平等・博愛・福祉をスローガンとする革命がなし遂げられました。
   230年前には、王ルイ16世も王妃マリーアントワネットも、民
   衆の怒りによって断頭台の露と消えました。しかし、2019年の
   日本革命では、そのような野蛮なことは行われず、民衆はアベとそ
   の妻をよく説諭し、改心した夫婦にはきちんと年金の保障もしたと
   いうことです。
(2019年7月14日)

http://article9.jp/wordpress/?p=12958
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/262.html

[政治・選挙・NHK263] 「れいわ新撰組95点」・・・森永卓郎氏語る参院選「自民10点」増税で消費は↓(日刊スポーツ)
ニッカンスポーツ・コム 2019年7月10日20時51分

https://pbs.twimg.com/media/D_Mky5SU0AU-wvt.jpg
れいわ新撰組95点、共産70点、立憲50点、自民10点

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/img/201907100000922-w500_0.jpg
各党の経済政策・公約を辛口採点した森永卓郎氏

参院選(21日投開票)は消費増税、年金、社会保障など国民生活を直撃する「お金」の問題が最大の争点の1つとなっている。

各党の経済政策・公約を、経済アナリストの森永卓郎氏(61=独協大経済学部教授)が鋭く分析した。「モリタク」先生の辛口採点は? 

   ◇   ◇   ◇

−参院選は序盤戦から国民生活に直結する経済政策や公約が各党論戦の柱となった様相です

森永氏 今回は基本政策が各党できれいに分かれた。こんなに分かりやすい選挙はかつてなかったと思う。消費税は自民+公明だけが予定通り8%→10%の増税を掲げる一方で、野党はオール反対。立憲の「凍結」は、中途半端だけど(笑い)。

−増税で消費は落ち込む?

森永氏 自公は増税の緩和策としてキャッシュレス決済で最大5%分のポイント還元やプレミアム付き商品券の発行などを予定しているので1年ぐらいかけて、じわじわ落ちます。前回2014年に5%→8%に増税した時は消費は3%分落ちて減少額は5兆円とも言われた。今回も2%分落ちますが、減少額は5兆円規模では済まない。リーマン・ショック級です。

−注目の年金問題。金融庁試算では「高齢無職の夫婦世帯平均で65歳から95歳まで30年間に年金だけでは赤字で約2000万円が不足する」とのことです

森永氏 この試算は甘い。公的年金の給付水準は近い将来、今よりも減少します。政府の公式答弁は約3割減ですが、私は4割落ちると思います。平均余命が延びて100歳以上になると2000万円どころではない。自民の「在職老齢年金」廃止は「70歳まで働け」と言っているのと同じ。共産・社民は「マクロ経済スライド」を廃止して国庫負担で「最低保障年金」の創設を掲げています。立憲の「最低保障機能強化」は具体的な中身が見えてこない…。維新の「歳入庁」創設の発想はいい。財務省は徹底抗戦するでしょうけどね(笑い)。

−各党ともに最低賃金1000円以上を掲げる

森永氏 欧州の平均時給は1300〜1500円。経済が低迷する韓国でも1000円超えてます。日本は先進国の中でも低賃金。「同一労働・同一賃金」じゃないのは日本ぐらいなのでこんなのおかしい。

−各党ごとに幼児教育・保育の無償化や低所得の年金生活者への給付や補助を掲げている

森永氏 財源がまったく明確にされていない。国民の「賃貸住宅に住む年収500万円以下の世帯に月5000円補助」とか訳が分からない(笑い)。モリタク採点(100点満点)は自民10点、公明10点、立憲50点、国民40点、共産70点、維新40点、社民60点、れいわ新撰組95点。争点だけは明確。年金で「切り捨てられる」若者にはぜひ投票に行ってもらいたい。

森永卓郎「消費増税で消費の減少はリーマン・ショック級。公的年金の給付水準は4割落ちる。欧州の平均時給は1300円以上。日本は先進国の中でも低賃金。各党の経済政策を百点満点で採点。自民10点、公明10点、立憲50点、国民40点、共産70点、維新40点、社民60点、れいわ新撰組95点」


◆マクロ経済スライド 少子高齢化で公的年金制度の担い手である現役世代が減少、年金受給する高齢者が増える。給付と負担のバランスを取り、制度維持のため給付水準を抑える。

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201907100000922.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/264.html

[政治・選挙・NHK263] ロスジェネの逆襲も? 氷河期世代の人生再設計は(毎日新聞)
あなたの参院選
氷河期世代の人生再設計は 
ロスジェネの逆襲も?

デジタル毎日 2019年7月15日 14時00分(最終更新 7月15日 14時00分)

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「この層が氷河期世代です」。1975年生まれの小島鐵也さんは、人口ピラミッドのグラフを指さした=愛知県豊橋市で2019年6月28日午後0時54分、奥山はるな撮影

 平成不況のあおりを受けた就職氷河期世代(ロスジェネ)がクローズアップされている。4月の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)で民間委員が「人生再設計」を提言したことがきっかけだが、インターネット上には当事者から「もう手遅れ」「人生がムリゲー」といった声も上がる。時代に翻弄(ほんろう)され、無職や非正規雇用のまま40歳前後を迎えた人たちに、政治は何ができるのか。ウェブライターのヨッピーさん(38)ら氷河期世代の3人に取材した。【奥山はるな、日下部元美】

■「取り残されてゆくばかり」

 「年齢が高すぎるから無理です」

 グラフィックデザイナーを志す愛知県豊川市の小島鐵也さん(44)は5年前、文部科学省の委託による人材育成プログラムで投げかけられた言葉が忘れられない。参加者の多くは学生だったが、負けないよう作品をつくり、リクルートに訪れた企業の担当者に話しかけようとした。すると、講師に引き留められ、冒頭の言葉をかけられたのだ。

 「この年齢で実務経験もないから、どんどん取り残されてゆくばかりです」。ここ10年は無職のまま、実家で母と2人暮らしをしている。

 小島さんのように、バブル崩壊後の景気悪化で企業が新卒採用を絞った1993〜2004年ごろに高校や大学を卒業した人たちは「就職氷河期世代」と呼ばれる。現在30代半ば〜40代半ばとなった約1689万人が中心層で、正社員として就職できなかった人の多くは非正規雇用や無職の立場となった。

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正社員を目指したが就職氷河期の壁にはばまれた1975年生まれの小島鐵也さん=愛知県豊橋市で2019年6月28日午後1時40分、奥山はるな撮影

 小島さんは2歳で父を亡くし、トヨタの下請け工場で働く母が、女手一つで家計を支えた。94年に高校を卒業。「グラフィックデザインの仕事をしたい」という夢を抱いて上京し、働きながら専門学校に通う資金をためることにした。

 東京・八王子で月2万8000円のアパートを見つけ、警備会社でアルバイトを始めた。線路の工事現場に立ち、列車が来ないか見張る仕事。日勤は9000円で、夜勤なら1万円になる。差額の1000円が惜しくて夜勤を選んだ。冬はしんしんと冷え、つま先から凍り付くように寒かった。

■正社員を目指したのに

 連日夜勤を続けたが、不況で仕事が減り、月給は17万、18万円に下がった。働き始めてから2年がたった頃、社長に「正社員にならないか」と声をかけられる。応じたものの、保険料などが天引きされ、手取りは14万円になった。週3回の泊まり勤務も任され、時給に換算したら「500円くらい」だった。

 苦労を重ねて24歳で専門学校に入学した。ところが、卒業した2001年3月は就職難が底を打った時期だ。正社員の門は極めて狭かった。「フリーター」にしかなれず、追い詰められた。

 「これは自己責任ではない。時代のせいだ」。そんな思いをブログにつづり始めたのは30歳の頃だ。07年、会員制交流サイト「mixi」に「氷河期世代ユニオン」というコミュニティーを作ると、全国各地の同世代が参加し「仲間がいる」と思えた。リーマン・ショック後の08年暮れ、東京の日比谷公園に失業者のシェルターとして設けられた「年越し派遣村」の運動にも参加。しかし、ブームが去ると交流は途絶えていった。「みんな自分の生活で精いっぱいなのかな」と想像する。

 「人生再設計」が提言された動きについて、小島さんは「私たちの世代が注目されたのは、ありがたい。冷や水をかけたくない」という思いがある。けれども経済財政諮問会議の民間議員がまとめた提言には「人手不足産業への就職促進」「地方への人材移動の促進」という言葉が踊っていた。

 「また雇用の調整弁にされるのか」。そんなあきらめのような感情も覚えている。政府によるスキルアップのプログラムは参加してみたいが、5年前の経験から「期待しすぎないように」と自分に言い聞かせている。

■常見陽平さん「人生がムリゲー」

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「僕らの世代は人生がムリゲー化している」と語る1974年生まれの常見陽平さん=東京都千代田区で2019年6月26日午前11時38分、奥山はるな撮影

 千葉商科大の専任講師で、働き方評論家の常見陽平さん(45)は自分たちの世代の人生を「ムリゲー」と表現する。「かつては正社員でも、工場のラインや事務の仕事があった。けれども工場は海外移転し、事務は派遣に委託され、正社員の枠が大きく狭まった。自己責任とはどう考えても言えない」。自身も企業で働いていた頃に、日付が変わるまで猛烈に働かされ、転職情報誌を開いてあまりの求人の少なさにがくぜんとしたことを鮮明に覚えている。行き場のなさを実感させられた。

■本来は存在感のある世代

 政府が6月に閣議決定した骨太の方針には「就職氷河期世代支援プログラム」が盛り込まれた。正規雇用を希望する非正規労働者や無職の人、ひきこもり状態にある人ら約100万人を対象に、3年間で正規雇用を30万人増やす目標を掲げている。この中には民間事業者に就職相談や教育訓練などを委託することも明記されている。

 こうした動きに対し、常見さんは「企業でなく労働者に金を配るべきだ」と指摘する。氷河期世代に向けた就職イベントでは会場がガラ空きのこともあり、参加するための時間や金がないことを痛感した。「今年の10連休の時にも問題になったが、不安定な雇用の人はカツカツの生活で、シフトを減らせない。生活費や交通費のバウチャー(引換券)を配れば、イベントに参加する余裕ができる」

 支援プログラムで気になるのは、どんな層にどんな仕事に就いてもらうか、踏み込みが足りないことだ。「政府はよく『成長産業に人を動かせ』というが、誰でもできる仕事でない。介護は過酷だし、IT(情報技術)にはスキルがいる。誰にどんな仕事をしてもらうか、ターゲット別のプランを作らなければいけない」。人材ビジネスへのばらまきで終わってしまうことを懸念している。

 企業側は、再就職の門戸を開いているのか。マイナビが昨秋に行ったインターネット調査「ミドルシニア採用企業レポート」では、直近3年間に中途採用をした2372社のうち、40代を1人でも正規雇用したのは約5割。だが、採用の理由には「豊富な経験」「専門性が高い」といった点があがっており、新卒の時点でつまずいた人にとってハードルは高いようにみえる。

 常見さんは参院選で、同世代の政治家による発言を期待している。「当事者としての視点から、アラフォー男女に寄り添う政党が出てきてほしい。政治不信は根強いけれど、団塊ジュニアで人口は多く、本来は存在感がある世代だ」

■ヨッピーさん「ロスジェネの逆襲が始まる?」

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「氷河期世代はかわいそうなんですよ」と語る1980年生まれでウェブライターのヨッピーさん=東京都新宿区で6月28日午後3時39分、日下部元美撮影

 「インターネットで最も数字を持っている」といわれる人気ウェブライターで38歳のヨッピーさんも氷河期世代の一人。「人生再設計」について聞くと「遅い!」「動機がむかつく!」と憤りつつ、「ロスジェネの逆襲が始まるかも」と展望を語った。

 僕が人生で唯一うつ病になりそうだったのが就活の時でした。

 当時はまだ履歴書やエントリーシートが手書きで、1社書くだけで大変なのに、50〜60社エントリーして。面接官の前に就活生が並んで「はい、次」「はい、次」ってベルトコンベヤーみたいな面接を受けさせられました。

 繰り返し落とされると「俺は間違った人生を歩んできたのかな」って考えるようになる。振り返れば、就活なんて実はそこまで重要じゃない。今の若い世代には「終身雇用制度は終わっているし、新卒で入った会社で人生決まることないから落ち込まなくていいよ」って言っています。でも僕の時代はまだ終身雇用の空気があって、だからこそ「これで人生が決まる」というプレッシャーがありました。大手に決まった人は、業種を選ばずに片っ端から受けていた。なりたいものになれる人なんて、ほんの一握りの時代でした。

■外れくじを引いた世代

 僕らの世代って、外れくじを引いている感覚なんです。団塊ジュニアなんで、人口も多くて、受験もそこそこ厳しい。そのくせバブル世代ほど楽に就職できなくて。

 憂鬱な就職活動って、安定した雇用との対価のはずだったのに、就職したら「終身雇用、終わります」って雰囲気になった。ちょうどいろんな価値観の変化が起きる境目にいたんです。長時間労働とか、旧時代のつらいことをやらされたのに、旧時代のおいしいところはもらっていない。そんな世代かな。

 新卒で専門商社に入ったら、まだ猛烈に働く風潮がありました。残業して午後9〜10時くらいに帰ってたんですけど、大学の同期はみんな終電で帰ってて「9時に帰れるの、ええなあ」なんて言われる時代で。でも今はそういう時代じゃない。先輩にたくさん仕事を振られたのに僕らは後輩に仕事を振れないんですよ。

■国や社会に期待しなくなった

 氷河期を経験して、ざっくりした言い方ですけど、国とか社会に期待しなくなりました。政治に対する期待度にもつながっていると思います。同世代で飲むと「日本脱出しよう」みたいな話題にしょっちゅうなります。日本社会は変わらないし、政治も若者の意見なんて聞いてくれないし。若い人でもこういう考えの人は多いのでは。今の若い世代は僕らの世代がひねくれた感情をもってたどりついたところにスッとたどりついているような気がします。若い人ってはじめから日本という国に対して思い入れがないですよね。

 骨太の方針に支援プログラムが盛り込まれた。対策はありがたいけど、遅いですよね。僕としては、動機もむかつくんですよ。「氷河期の人たちが大変で救わないといけないからやりましょ」。これならいいんですけど「10年、20年後、生活保護受給者が一気に増えたら財政も大変やから、何とかせなあかん」っていう考えで始まっているんじゃないですか? 「そのツケが自分に回ってくるのが嫌だからやろう」っていう発想。支援プログラムって一部を人材派遣会社に委託するんですよね? 人材派遣会社なんて、氷河期で非正規雇用が増えて散々もうけてきたのに、なんでまたそこに税金で予算を組むんだと思いますね。

 もちろん再設計は、今からでもできるはずです。でも「できる」っていうと「自己責任」や「努力不足」と言うことと変わりません。氷河期世代が生まれてしまった責任を、個人に押しつけるのは違うんじゃないか。「できる」という前提は、やめてほしい。

 かわいそうなんですよ、氷河期世代。でもあと10年たったら、氷河期世代が会社の中で偉くなって、現場のトップ層が氷河期世代になりますよね。そのとき社会がどうなるか、ちょっと楽しみです。復讐(ふくしゅう)が始まるんじゃないかって思う。上司の首をばんばん切るとか。それでも全然世の中よくならなかったら、日本を捨てるのかも。

■投票は「行かないとだめ」

 政治に氷河期世代の声を反映させるのは、難しいかも。本当は良くないけど、諦めてますよね、みんな。でも、未来が良くなる兆候が出てきてほしい。せめて子ども世代にはこういう思いをさせたくないから、子育てにかかるお金は全部無料にしてほしいです。

 そのためには、みんな選挙に行かないと。そこは氷河期世代にも非があって、投票しないから、ないがしろにされる面はある。やはり選挙は、行かないとだめですね。


連載「あなたの参院選」
 この連載は毎日新聞社とYahoo!ニュースによる共同企画です。参院選を新たな目線から伝えます。

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190715/k00/00m/010/035000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/266.html

[政治・選挙・NHK263] アベノミクスがすがる「指標神話」 数値化されたデータは、時に妄信者と誤用と世論誘導を生む (朝日新聞社 WEBRONZA)
アベノミクスがすがる「指標神話」
数値化されたデータは、時に妄信者と誤用と世論誘導を生む

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員
WEBRONZA 2018年04月19日 より無料公開部分を転載。


 自然科学であるか社会科学であるかを問わず、「現象・現状の把握」が肝要となる分野では、複雑な現象・現状を客観的に表現すべく、データの指標化をすることが常套手段となっている。例えば地球の温度は、実際には2次元的分布が刻々と変化し、しかも観測点がいびつになっていて、その状態を正確に記述するのは困難だ。しかし、これを強引に平均することによって得られる「地球平均気温」「北半球平均気温」「日本平均気温」などの指標は、一般の人にも分かりやすく、地球温暖化やヒートアイランド効果も直感的に議論できるようになる。

 指標化の他にも、複雑な現象をできるだけ簡潔に表現するための用語化も重要だ。私が直接関係している宇宙天気(参照:「生活に直結する宇宙天気予報」https://webronza.asahi.com/science/articles/2017121200004.html)だと、太陽活動が人工衛星や変電所、無線通信などの障害を起こしうるような現象に、「太陽フレア」(X線などの各種電磁波を大量に放出する太陽表面現象)、「SEP」(光速に近い電子放射線やイオン放射線が惑星間空間の磁場に沿って地球や惑星を襲う突発的現象)、「CME」(太陽コロナが大量に太陽から切り離されて、静穏時の数倍〜数十倍のプラズマが常時の2〜7倍の速度で地球や惑星を襲う現象)などがある。これらは用語化により、主要現象の分類だけでなく、どの物理量を見れば(指標化すれば)よいか直感的に分かるようになり、ひいては因果関係の強弱をも統計的に調べること可能となる。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2018041700001_1.jpeg 就職活動を始める大学生たち。雇用は本当に改善されたのか=2018年3月

 経済学でも、この指標化は威力を発揮している。たとえば新聞やテレビで頻繁に出てくる「GDP」「平均株価」「完全失業率」「総雇用者数」などの指標は、多くの人が現在の景気について把握し、議論をするときに便利だ。そして「インフレ」「売り手市場」「バブル」などの用語は、過去の好景気だった時期の記憶と重なることで現在も同じように景気がよいと「感じさせる」効果があり、指標が変化する「要因の一つ」として説明しやすくなる。

■指標が引き起こす「錯覚」

 ところがである。便利だからこそ錯覚や落とし穴にはまりやすい。例えば地球温暖化の問題では地球平均気温が重要な指標となっていることから、日本平均気温が年々上昇している現象(これは8割以上がヒートアイランド効果)についても地球温暖化の現れであるようにとらえる誤解が跡を絶たない(参照:「猛暑の原因に関する3つの誤解」https://webronza.asahi.com/science/articles/2013080500009.html)。宇宙天気だって、1〜2日先の予報では太陽フレアのX線強度を用いた指標が最重要視されているために、電波フレア(X線は少ないのに、GHz帯の電磁波が極端に増え、通信障害すら起こすフレア)の観測体制が過去より後退して、2年半前の電波フレアではスウェーデン南部の空港が半日閉鎖する被害を受けた(参照:「速報! これから赤信号の宇宙天気」https://webronza.asahi.com/science/articles/2015110500004.html)。これらの過ちは、指標が因果関係を含め現象の「ほぼ全て」を言い尽くしているという「錯覚」が引き起こした弊害だ。

 指標化された数値はあくまで参考値である。個々の現象をより正確に把握するためには、より多くの指標をその背景込みで吟味することが欠かせないし、それ以上に生データを吟味する必要がある。さらに、たとい因果関係の仮説から作られた指標であってすら、指標そのものは主因を特定するものではない。

 しかしながら、現実には同じ指標ばかりが優先的に使われ、いつしかその指標で「全てを言い尽くせる」かのような神話化が起きる。最悪の場合「その指標さえ議論すれば因果関係すらわかる」という神話にまでなる。「日本の平均気温の上昇=温室効果」という短絡も、吟味の不足(地球平均と日本平均の区別をしないことと、因果関係を調べていないこと)による指標神話の一つだ。

 では同じことは、より一般に使われている経済指標でも起こっているのではあるまいか?

■雇用環境は本当に良くなったのか

 私がこのような疑念を抱くのは、多くの人が「雇用を示す指標が良い」と考え、さらにその主因をアベノミクスの「成果」として評価しているように思えるからだ。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2018041700001_4.jpg 若年雇用者が減少した後、シニア雇用者が増えている

 この種の議論で引き合いに出される「完全失業率」や「有効求人倍率」の指標は、確かにこの5年で良くなっている。しかし、実際の勤労者の就業環境が良くなっているかは疑問だし、その主因となると、安倍内閣の経済政策のおかげなのか、他の要因の方が大きいかの因果関係すら分からない。というのも65歳以下の労働力人口が減少するなか、正規雇用から非正規雇用への転換と高齢者の再雇用が進んだことで、「完全失業率の低下」や「総雇用者数の増加」が起きていると予想されるからだ。これは決して「雇用の改善」を意味しない。むしろ、悪化すら意味しかねない。

 2003年から04年にかけて男性の退職世代の数が新卒世代を超え、労働力人口は07年から減少へ転じた。この際に、上図に示すとおり、まず15〜24歳の若い雇用者が大幅に減少し、その後で、60〜69歳のシニア層の雇用者が大きく増えている。つまり、雇用者の減少に供給が追いつかないからシニア層も働かざるを得なくなったのであって、シニア層が雇用にしがみついているから若い世代の雇用が減らされているわけではないことが、データから読みとれる。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2018041700001_2.jpg 総務省「労働力調査」のデータをもとに編集部で整理

 この時に何が起きていたのかを吟味してみよう。雇用者数を男女別に正規・非正規に分けたのが左図だ。これを見ると、正規雇用者が非正規雇用に振り替えられて行くのがわかる。安倍政権下の2014年以降の雇用の伸びも、その内訳を年代別に調べれば、増えているのは65歳以上の男女と、35-54歳の「子育て世代」の女性が中心だと分かる。前者は民主党時代の「60歳以上の雇用確保とそれに伴うワークシェアリング」の成果であり、後者も少子化や「子供が出来ても働かざるを得ない」という労働環境が関係していそうだ。つまり、とても「経済が好調のおかげで雇用が良い」とは言えないのである。 ・・・ログインして読む
(残り:約954文字/本文:約3303文字)

https://webronza.asahi.com/science/articles/2018041700001.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/271.html

[政治・選挙・NHK263] 民主主義が生きるか死ぬか ― それが選挙にかかっている。(澤藤統一郎の憲法日記)

寒く、じめじめした、陰鬱な日が続くが、季節はまぎれもなく夏である。暑中見舞いをいただいて、すでに小暑であることに気付く。七十二候では「蓮始開」の侯。

全国の自由法曹団や青年法律家協会系の法律事務所から、暑中見舞いを兼ねた事務所ニュースが届く。いずれも力作で、楽しく目を通す。

カラー印刷のレイアウトに凝ったものが多い中で、珍しく単色の無骨さが却って目立つのが、横浜合同法律事務所の事務所ニュース。

表紙に大きく、「暑中お見舞い申しあげます−憲法を護るための選挙の夏です」と書き込まれている。その下に、所員のメーデー参加時の集合写真(モノクロ)が掲載されている。大きな横断幕には「守るべきは、平和で安全な暮らし〜安心して生活するため、憲法9条をいかそう〜」というスローガン。「憲法9条を守ろう」ではなく、「憲法9条を活かそう」というのが、いかにも法律事務所らしい。

最初のページに、「民主主義を機能不全にしないために」という、小口千恵子弁護士の論稿。「民主主義の死」の危険を警告して刺激的である。

    かつて民主主義は革命やクーデターによって死んだ。しかし、現代
   の民主主義の死は選挙から始まる。選挙というプロセスを経た強権的
   なリーダーが、司法を抱き込み、メディアを黙らせ、憲法を変える。
   『合法的独裁化』が世界中で静かに進む。これがハーバード大の2人
   の教授著の「民主主義の死に方」で指摘されている内容である。

    安倍政権は、これまで国政選挙で5連勝してきた。……その結果、
   国会の討論が機能しなくなり、内閣に不利な情報は隠蔽・改ざんされ、
   忖度が横行し、最終的には数を頼んでの強行採決で法案が成立し、一強
   政権がますますのさばる結果となる。

    前述の文献では、民主主義は、「相互的寛容」(競い合う政党がお互
   いを正当なライバルとして受け入れる)と「自制心」(節度をわきまえ
   る)ことで成り立っているとされている。しかし、沖縄の辺野古問題で
   も明らかなとおり、安倍政権の下では民意は顧みられることもなく、国
   会の多数決原理のみ強調されて民主主義の根幹が無視され続けている。

    独裁者を抑制するためには、独裁者に有利となるような制度に作り
   替えさせてはいけないし、また、民主主義の砦として人類の英知を結
   集して作り上げた憲法を独裁者のために献上してはならない。独裁者
   の暴走を許さず民主主義を守るために、来る国政選挙において、その
   ための投票行動が求められている。


「民主主義の死に方 ― 2極化する政治が招く独裁への道―」(原題“How Democracies Die”、スティーブン・レビツキー、ダニエル・ジブラット共著)は、濱野大道訳で、昨年(2018年9月)新潮社から出版されている。新潮社自身が、「司法を抱き込み、メディアを黙らせ、憲法を変える――。日本にも忍び寄る危機。」とキャッチを書いている。

新潮の惹句は、次のように続けている。
https://www.shinchosha.co.jp/book/507061/

   世界中を混乱させるアメリカのトランプ大統領を誕生させ、各国でポ
   ピュリスト政党を台頭させるものとは一体何なのか。欧州と南米の民
   主主義の崩壊を20年以上研究する米ハーバード大の権威が、世界で
   静かに進む「合法的な独裁化」の実態を暴き、我々が直面する危機を
   抉り出す。全米ベストセラー待望の邦訳。


この書については、「論座」に、堀由紀子さん(編集者・KADOKAWA)の的確な書評がある。

https://webronza.asahi.com/culture/articles/2018111900005.html

その一部を引用させていただく。

    言わずもがなだが、民主主義は民衆が主権の国家のことで、対義語は
   独裁主義だ。民主主義は崩壊し、独裁主義となる。その転換が、クーデ
   ターなどの劇的なものであれば、両者の入れ替わりはわかりやすい。

    しかし本書によれば、民主主義は、「多くの場合、見えにくいプロセ
   スによってゆっくりと侵食されていく」。クーデターが起きるわけでも、
   緊急事態宣言が発令されるわけでも、憲法が停止されるわけでもない。
   選挙によって選ばれた政治家が、民主主義を少しずつ崩壊させて、憲法
   を骨抜きにし、「合法的に」独裁者となって君臨するというのだ。

    こういった独裁者の登場を防ぎ、民主主義を護るために憲法は存在す
   るのだが、著者たちは、「憲法は常に不完全だ」と言い切る。どれほど
   しっかりしたと思われる憲法であっても、恣意的な解釈や運用が可能な
   ため、それだけでは民主主義は護れないという。

    ではなにが民主主義を護るのか。それは「相互寛容」と「組織的自制
   心」の2つだという。

    「相互寛容」とは、対立相手を自分の存在を脅かす脅威とみなさず、
   正当な存在とみなすこと。つまり、「政治家みんなが一丸となって意見
   の不一致を認めようとする意欲のこと」だ。

    もうひとつの「組織的自制心」は、厳密には合法であっても、明らか
   にその精神に反するような行為は行わないようにすること。丁寧な言動
   やフェアプレーに重きを置き、汚い手段や強硬な戦術を控えなければい
   けないということだ。

    ちなみに、この本の中では、日本のことは触れられていない(池上彰
   さんの巻頭解説を除いて)。しかし私は、今の日本との相似性を意識せ
   ずに読めなかった。カバーにある言葉、「司法を抱き込み、メディアを
   黙らせ、憲法を変える――。『合法的な独裁化』が世界中で静かに進む。
   全米ベストセラーの邦訳」をどう感じるだろうか。空気のように当たり
   前の民主主義を次世代に渡していくために。本書はその大きな手がかり
   をくれる。


 民主主義の土台であり、民主的政治過程の出発点でもあるのが選挙であったはず。だからこそ、民主主義の実現を望む多くの人びとが、普通選挙制度の獲得に文字どおり身を呈し、権力者がこれを妨害してきた。ところが今、「現代の民主主義の死は選挙から始まる」と言われるに至っているのだ。

「司法を抱き込み、メディアを黙らせ、憲法を変える」。これは、まさしく、安倍政権の悪行を指している警鐘ではないか。安倍政権こそが、すでにそこにある「日本の政治的危機」ではないか。

来たる参院選は、憲法の命運がかかっているだけではない。民主主義の生死さえかかっているのではないか。次の選挙を、「民主主義の死」の第一歩としてはならない。

(2019年7月15日)

http://article9.jp/wordpress/?p=12964
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/278.html

[環境・自然・天文板6] アポロ着陸から50年 月探査の変容 (朝日新聞社 論座)
アポロ着陸から50年 月探査の変容
冷戦時代に夢を与え、国際化時代に科学を発展させた

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員
論座 2019年07月15 より無料公開部分を転載。


 アポロ11号で人類が地球外の天体に足を踏み入れて50年になる。いや、もう50年も経ってしまったというのが正しいだろうか?

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019071300002_1.jpg
50年前、人類が月に残した第1歩(NASA)

 夏休み2日目の月曜朝、NHKをつけっぱなしにしていたものの、いかにも降下途中であるかのような点滅をしている説明図を画面左側に固定させたまま、時折国際電話らしき音声が入る中、同じ解説を何度も繰り返すばかりで、ニュース冒頭を聞き損ねた我が家は、結局何が起こっているのか状況がつかめなかったのを覚えている。今のように「月に着陸しました」とか「このあと月面に出る予定です」とかのテロップを映像に流す技術が無かった時代の昔話だが、それでも未だに覚えているほどの強烈な出来事だった。

 アポロの数日前に旧ソ連が月の石だけでも先に持ち帰ろうと、無人のサンプルリターン機ルナ15号を打ち上げ、最終的に着陸に失敗したのも、月着陸が人類にとっての重大なイベントであることをリアルタイムに示していた。

■数カ月おきに月へ飛んだ時代の終焉

 まさに月の時代だったのである。着陸だけでも、アポロ計画の有人着陸6回(1969〜72年)と、同じく米国サーベイヤー計画の無人軟着陸5回(1966〜68年)、旧ソ連ルナ計画の無人軟着陸7回(1966〜76年)と、わずか10年の間に計18回も成功し、それだけで火星を上回る着陸回数を誇る。しかも、その際の科学データは、未だに月表面近くの環境に関する「最新のデータ」として各種研究で引用され続けている。

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月着陸船から降りる乗組員(NASA)

 丁度、日本が人工衛星打ち上げに挑戦していた時期と重なり、3度目の失敗をした1967年春は、アポロ1号が地上試験で人身事故を起こした直後だった。しかし、4度目の挑戦が政治的理由で出来ないうちに、アポロ7号が初めて人を乗せ、8号が月を周回し、9号で着陸船を宇宙空間で実験し、10号が着陸に向けてのリハーサルを完了して、11号の月面着陸に至った。当時、米国のアポロと旧ソ連のソユーズがどんどん打ち上がっていったのとは対照的に、日本の衛星がいつまでも上がらないのを子供心に歯がゆく思ったものだ。

 しかし、そこで月着陸はいったん途切れてしまったのである。3年後にアポロ計画が終わるや、有人ミッションは宇宙ステーションのみが実践され、無人ミッションですら、その中心は火星を中心に広く分散し、ルナ計画以降、月が脚光を浴びることはなかった。もちろん、10年以上のブランクというのは太陽系ミッションでは当たり前のことだ。しかし、月に関してみると、あれだけ米ソが競い合って数カ月おきに宇宙船を飛ばしていたのに、それが突然終わってしまった感が強い。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019071300002_4.jpg
アポロ11号で月に到達した3人の宇宙飛行士(NASA)

 その後の空白は長かった。理由は、当時の観測技術にある。カメラ等のリモートセンシング技術も、採集物を現場で解析する技術も未熟で、科学ミッションといえば現場探査、特に大気や電離層、その上の宇宙空間を調べるのが主流だったからだ。

 しかし月には大気が無い。しかも常に同じ面を地球に向けているが故に、潮汐摩擦がほとんどない。潮汐摩擦とは、主星から感じる重力が衛星内部の各地点によって異なるために生まれる摩擦のことで、木星の衛星イオや土星の衛星エンセラダスなどに活火山が見られる主な原因でもある。これが月にはないので、探査可能な地下の活動も期待できない。太陽系探査の主流から外さざるをえないのだ。例外がサンプルリターンだが、それもアポロ計画やルナ計画で十分に採集されて「その次」に続かなかった。

■科学目標として再出発した月探査

 結局のところ、月の科学観測は、アポロ計画やルナ計画の付随だったのだ。人々の夢のための探査、時として国威発揚や国際協力のシンボルとなる探査は、純粋な科学探査より遥かに予算が通りやすい。その極端なものが有人ミッションだ。それは科学者から見ると金食い虫で、おそらく宇宙機関からみても金食い虫だ。しかし人類に夢と娯楽を与えるという意味では、それほどの大金ではない。娯楽産業の市場規模と基礎科学の予算規模が桁違いなことが示す通りであり、同じ土俵で意義を語ってはいけないのである。むしろ夢ミッションに乗っかれるからこそ望外の観測まで可能になる。

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月の北極(上)と南喬(下)での氷の分布。インドの探査機「チャンドラヤーン1号」による(NASA)

 逆にいえば、純粋な科学ミッションは、巨額の予算に見合う内容でなければ通りにくい。その意味で、月が純粋に科学の対象として認められるのに20年以上もかかった。それが米国の月探査機「クレメンタイン」(1994年)であり、「ルナープロスペクター」(1998年)だ。特に後者は、急速に発展したリモートセンシング技術で、月表面の性質を月全体に渡って調査して、その後の月科学を牽引した。しかし、いずれも着陸無しの周回ミッションで、大発見もなく、度重なる火星着陸ミッションや巨大惑星ミッションに比べて地味といえよう。 ・・・ログインして読む
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https://webronza.asahi.com/science/articles/2019071300002.html
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/748.html

[政治・選挙・NHK263] 7/16 今日の毎日新聞「ちょっとだけよ」(デジタル毎日)

政見放送、動画サイトでも「激戦」 政党や政治団体で再生回数に差 参院選(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月16日 15時00分(最終更新 7月16日 15時41分)

 参院選で、動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップされた各党・政治団体の政見放送の再生回数に大きな差が生じている。議席のある党・政治団体を比べると、政治団体「れいわ新選組」や自民党が多く再生される一方で、他の政党は伸び悩んでいるようだ。【大場伸也/統合デジタル取材センター】

■れいわや自民が好調

 現有1議席のれいわ新選組は、山本太郎代表による政見放送の再生回数が16日時点で約41万回に上っている。生活の苦しい若者や中年層がやがて高齢化するとして、「このままでは野垂れ死にです」「死にたくなる社会から、生きていたい社会に」と呼びかける内容だ。

 そのうえで、消費税の廃止や奨学金の徳政令などの政策を訴えており、ネット上では「ここまで真剣だとは思…

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https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190716/k00/00m/010/108000c



〔牧太郎の青い空白い雲〕/727
この国のメディアは「政権」に擦り寄る"太鼓持ち"?(サンデー毎日)
デジタル毎日 2019年7月16日 05時00分(最終更新 7月16日 05時00分)

 若干、盛り上がりに欠ける「安倍1強」下の参院選。でも、個人的には、山本太郎が代表の小さな小さな「れいわ新選組」に興味を持っている。「消費増税凍結」ではなくて「消費税廃止」、それに「最低賃金1500円」「奨学金徳政令」「1次産業戸別所得補償」……。

「5月末までに1億円!」とカネ集めの「目標額」を公表した。「カネ集めは善!」なのだ。

「カネの流れ」に関して言えば 自民党は「国家志向―拡張財政志向」。公共事業で、金持ちの大企業にカネを…

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https://mainichi.jp/sunday/articles/20190714/org/00m/070/004000d



メディア万華鏡
映画「新聞記者」見事に分断されたメディアのレビュー(毎日新聞)
山田道子・毎日新聞紙面審査委員
毎日新聞 2019年7月16日

 見ないわけにはいかない。自分の職業の名がついた映画「新聞記者」。言うまでもなく、官房長官記者会見での追及質問で注目されるようになった東京新聞の望月衣塑子記者の同名ベストセラーが原案だが、それに着想を得たフィクション。政府の特区構想の闇を追う記者と政府の情報操作に悩む内閣情報調査室官僚。大学新設計画、自殺する官僚から官僚スキャンダルのでっち上げ、レイプ事件もみ消しまで、安倍政権で起きた出来事を連想させるさまざまなエピソードが登場する。

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https://mainichi.jp/premier/business/articles/20190711/biz/00m/020/009000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/293.html

[政治・選挙・NHK263] 映画『新聞記者』を新聞社・新聞記者はどう見たか (朝日新聞社 論座)
映画『新聞記者』を新聞社・新聞記者はどう見たか

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)
論座 2019年07月16日 より無料公開部分を転載。


 新聞では毎週金曜日の夕刊に、その週末に封切る映画の記事をずらりと載せる。監督や俳優へのインタビューもあるが、中心となるのは記者や外部筆者による映画評だ。新聞によって大きな違いのある政治面や社会面と違って、映画評で取り上げる映画はだいたいどこの新聞も似通っている。

 ところが6月28日(金)付の夕刊では異変が起きた。各紙は『凪待ち』(白石和彌監督)と『COLD WAR あの歌、2つの心』(パヴェウ・パブリコフスキ監督)をおおむね大きく取り上げたが、『新聞記者』(藤井道人監督)は新聞によって扱いにかなり違いが出た。この違いを探ってみると、新聞各紙の政治的立場を見事に反映していたことがわかった。

 この映画は文字通り「新聞記者」が主人公の映画である。この題名を聞けば、映画担当であろうと新聞記者ならば必ず見なければと思うだろう。そのうえ、映画はこの2年ほど菅官房長官を追い詰める質問で話題の東京新聞・望月衣塑子記者が書いた『新聞記者』をもとにしたフィクション。総理主導の医療系大学院大学新設にまつわるスキャンダルを追う記者の吉岡(シム・ウンギョン)と内閣情報調査室(内調)に勤務する官僚の杉原(松坂桃李)を中心に描く。

 不正入試を総理の指示と漏らした元局長の不倫リークや官邸べったりのジャーナリストのレイプ疑惑もみ消しなど、まさにこの数年安倍政権で起こっていることと似たような出来事が次々と現れる。アメリカ映画では『バイス』や『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』のように最近の政治を描く作品は多いが、日本では極めて珍しい。

■「朝日」「毎日」と「読売」「日経」の違い

 さてこの映画に「新聞記者」はどう反応したのか。簡単に言うと、6月28日付金曜夕刊で「朝日」「毎日」は大きく扱い、「読売」「日経」は小さく載せ、「産経」(朝刊)「東京」は全く触れなかった。映画評を書く欄は文化面であり、通常は会社の政治的方向とはあまり関係がないはず。そこで文章の細部を分析してみたい。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019071300001_4.jpg
『新聞記者』の評を掲載した6月28日(金)付の各紙=筆者提供

 一番いい場所を用意したのは「朝日」。4つの大枠の映画評のうち、写真が一番大きくなる「プレミアシート」で扱った。書いたのは「朝日」OBの映画評論家・秋山登氏で、冒頭に日本の報道の自由がなくなっているデータを載せた後に「これは現代日本の政治やメディアにまつわる危機的状況を描いた映画である。日本映画久々の本格的社会派作品として珍重に値する」と始める。

 「瑕瑾(かきん)がないわけではないが、藤井の冷静な演出、シム、松坂らの好演が補って余りある。/しかし、最も高く評価すべきはスタッフ、キャストの意欲と勇気と活力だろう。権力に屈しない気概だろう」とべた褒め。

 「毎日」は大きな枠が4つあるが、「時代の目」という左上の「2番目」と言える場所を用意した。書くのは長年映画を担当し、現在は東京学芸部長でもある勝田友巳氏で「映画を取り巻く状況もジャーナリズムも様変わりし、映画人も気概を持ちにくくなっている。そんな中で果敢な挑戦である」と始める。「ただ、内調の描写を誇張する一方、報道機関の内実は描き込み不足。米韓の政治スリラーと比べてしまうと腰砕けの感はあるものの、これがきっかけになれば、映画界ももっと面白くなりそう」。「毎日」は演出の弱さを指摘しつつも、こういう映画を作ること自体にエールを送るという姿勢。ちなみに私の個人的な感想もこれに近い。

 「読売」は ・・・ログインして読む
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https://webronza.asahi.com/culture/articles/2019071300001.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/294.html

[政治・選挙・NHK263] 私の1票で政治は変わるの? パタゴニアの「ローカル選挙カフェ」で、中学生やシニアと話してみた。(ごみゼロ日記)
【ごみゼロ日記:第21話(番外編)】
私の1票で政治は変わるの? パタゴニアの「ローカル選挙カフェ」で、中学生やシニアと話してみた。

2019年07月16日 14時31分
Yuko Funazaki ハフポスト日本版 インターナショナル・エディター

https://img.huffingtonpost.com/asset/5d2d3b1f2600004f0004483a.jpeg?ops=scalefit_630_noupscale
パタゴニア渋谷ストア PATAGONIAウェブサイトより

梅雨真っ最中の7月の渋谷、とある金曜日の朝9時。
しっとりとした小雨の中、私はパタゴニア渋谷ストアに向かった。

今年の参院選の投票日(7月21日)、全ての直営店を休業することを発表したパタゴニア。各店舗が選挙を前に開催している、政治や社会のあり方などについて気軽に会話する「ローカル選挙カフェ」に参加するためだ。

平日午前開催の渋谷ストアでのイベントには、「職業体験」に来ている地元の中学生や、大学生、ストア近辺に勤める社会人から近所に住む70代まで、約30人が集まっていた。テレビや新聞などの取材陣も多く、注目度が伺える。

https://img.huffingtonpost.com/asset/5d2d3baf260000490004483b.jpeg?cache=GAsJTrm3IC&ops=scalefit_630_noupscale
パタゴニア渋谷ストアでのイベント 約30名の参加者とスタッフが集まった。メディア取材陣の姿も多く見られた。 YUKO FUNAZAKI

開始時刻の9時が少し過ぎ、イベント開始。パタゴニアの企業理念や選挙への思い、イベントの趣旨などの短い説明の後、グループに分かれて、選挙や社会問題についてのディスカッションがスタート。嬉しいことに、朝ということでパンやコーヒーも用意されている。

https://img.huffingtonpost.com/asset/5d2d3ed9260000490004483e.jpeg?cache=oxQW7JH1A5&ops=scalefit_630_noupscale
グループディスカッションの様子。参加者は皆キャンプ用の折りたたみ椅子に座って、コーヒーを飲みながらカジュアルに政治や社会問題について語った。

私が参加したグループは、男子中学生から町内会の70代の女性、大学生、社会人、海外出身者など、多様性に富んだメンバーの集まりだった。それぞれの自己紹介の後、「選挙に行く意義」や「気になる社会・環境問題」などについて、スタッフを中心にみんなで会話を始めた。

環境保護に力を入れる同社は、選挙において「Vote Our Planetー私たちの地球のために投票しようー」というキャンペーンを実施している。しかしグループディスカッションでは「海洋プラスチック問題」への意見も出るものの、「年金問題」「孤独死」「夫婦別性」など、環境よりも社会問題への関心の方が高かったと感じた。

海外では環境問題は政治や選挙の際の大きな焦点の1つになるが、日本ではまだ時間がかかるのだろうか(地球温暖化は待ってくれないのだが)。

政治について語る敷居の高さもしかり。

海外出身で今回初めて投票に行くという18歳の女子大学生は、「アメリカだと高校生でも普通に政治について話すけど、日本でそんな話したら『意識高い人』って言われて。しかもそれが時に褒め言葉じゃなくてちょっとネガティブな意味だと知ってびっくりしました」と話ていた。

https://img.huffingtonpost.com/asset/5d2d41813b00004d00dac7a9.jpeg?ops=scalefit_630_noupscale
YUKIKO OGA
直営店で配っているステッカー。表(右)をめくると、「I VOTED」(「投票しました」の意)

今回、私は選挙に行くつもりだ。それは自分の意見を政府へ届ける、自分でできるせめてもの意思表示だと思っているから。しかし、ちょっとドライな気持ちもある。そこで、グループの皆さんに聞いてみた。

「選挙は行こうと思っています。でも正直、私の1票で何か変わりますか? 熱い思いを込めて投票しても、たったの1票で何か変わると思いますか?」

すると、グループ最年長の70代の女性は、真剣な表情で「はい、変わりますよ」と答えた。

「私の長い選挙経験から言うと、投票結果って結構接戦だったりするんです。あー、あと数票足りてれば...とか。だから、1人の投票でも違いが出るんです。だから私は、1票でも変わると思いますよ」

キャッチコピーで「あなたの1票で日本を変えよう」などとよく耳にするが、人生と選挙の先輩からの、イチ国民としてのリアルな経験に基づく意見は、どの選挙ポスターよりも心に響いた。

イベントはその後、各グループが意見発表などをし、盛り上がりをみせて終了した。

帰り際に話をした20代女性(社会人)は、「普段交流のないような人たちと、普段話さないような事を話せて勉強になったし楽しかった」と貴重な体験を楽しんだ様子。やはり、日本で政治や社会問題について話すことは、特に若い世代の日常生活でよくあることではないのだろう。

https://img.huffingtonpost.com/asset/5d2d41e1260000500004483f.jpeg?cache=OSoZW1Cmvc&ops=scalefit_630_noupscale
折角なので、ステートメントTシャツを着てきた私。Democracy(民主的)とcrazy(クレイジー)の造語で、国民の意が反映されない民主主義に疑問を投げかけるメッセージTシャツ。トランプ政権下でのアメリカで使われることも多いらしい。

金曜日、渋谷、朝10時半。
店を出ると、まだ小雨が降っている。

私は通り沿いにある「タピオカ始めました」と謳う飲食店を横目に、駅に向かって歩いた。

「タピオカを飲みながら政治を語ろう!」という企画はどうだろうか、、、などと考えながら。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/patagonia-election-japan_jp_5d2d1f59e4b0a873f6406b2c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/295.html

[政治・選挙・NHK263] 参院選突破口に本気でたたかう政治勢力をつくる 山本太郎の演説から/他1点(長周新聞)
(第1話)
参院選突破口に本気でたたかう政治勢力をつくる 山本太郎の演説から
長周新聞 2019年7月16日

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 21日投開票の参院選は終盤戦に入り、東京選挙区と全国比例区に10人の候補者を擁立する「れいわ新選組」は、首都圏をはじめ、東北・北海道など各地での街頭演説を旺盛にくり広げている。16日には、東京都内の中野駅前、新宿駅西口小田急百貨店前で政策を訴えた。いずれの会場でも若い世代から年配者まで多くの聴衆が足を止め、「市民の力による初めての政党」を誕生させる熱気に溢れた。演説会場での組織動員は見られず、他の野党と一線を画した独自政策や主張によって多くの有権者を惹きつけている。中でも、代表の山本太郎氏が議員になって6年間、国会の中で目の当たりにしてきた現実をあるがままに有権者に伝え、主義主張を超えて多くの働く人人を結集して新勢力を出現させる必要性を説いており、既存の枠にとらわれない内容が新鮮な共感を集めている。主な内容を紹介する。

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多くの聴衆を集めている れいわ新選組の街頭演説(16日、東京中野駅前)

◇————◇————◇————◇————◇

 いま国会の中に足りないものはなにか? それは緊張感だ。みなさんは国会に緊張感があると思われるか? 確かに、野党の先輩方は圧倒的に少ない野党の数の中でやれることを最大限やりながら行政監視、政府の不正や疑惑を追及されてきたと思う。だが、それを受ける政権側は、ほとんど答弁の中身がない。グダグダだ。何か意味のあるようなことを言ってるように聞こえるが、中身はほとんどない。それによって質問時間を潰され、最後まで追及できないという状況がいくつもあった。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/DSC_0944-768x861.jpg

 それならば私は究極は体を張ってでも抵抗しなければならないと思う。例えば、去年最後の国会で入国管理法の改正がおこなわれた。この狙いは何か。より安い労働力を大量に求める経済界の要望によって、より安く働く外国人労働者を大量に、長期間にわたってこの国に住めるようにしろという法律だ。法律の中身はこれ以外にほとんど何も決まってない。

 これが実現してしまったら一体どうなるか。もともとこの国に生きている方々と、今でも奴隷労働のような働き方をさせられている外国人の労働環境、この両方が無茶苦茶になってしまう。労働環境はより悪い方へ、賃金もより安い方へとどんどんどんどん寄せられていく。それで得するのは誰か? 安い労働力が得られる企業だろう。入管法改正はこの究極のバージョンをやるということだ。

 その運用が始まって首が閉まるのは誰か? 多くの働く人々だ。もともとこの国で生きてきた人も、外国人も最悪の労働環境が拡大し、より安い賃金で働かされる環境が拡大する。絶対にやってはならないことだ。

 にもかかわらず自民党側はこれ推し進める。理由は、自分たちに権力を持たせ、自分たちに議席を与えてくれた方々へのご恩返しだ。組織票と企業献金で自分たちを議員にしてくれ、政権を持たせてくれた一番の協力者のいうことを何でも聞くのだ。

 最もわかりやすいのが経団連だ。経団連のいうことはこの数十年、全部かなっている。例えば派遣法。この制度を始めた中曽根政権時代は「小さく穴を開けるだけで限定されたものだ」と説明されていた。それが小泉・竹中改革で製造業まで広げられ、その後も改悪を重ね、非正規雇用という働き方は今やもう4割だ。自分たちがもうけるために、自分たちのコストを極力まで下げることを政治の場で実現させている。それ以外にも、原発の再稼動、カジノ解禁、武器の輸出、集団的自衛権、憲法改正……これを全部要望しているのが経団連だ。「提言」という名のもとに、ほぼ命令といえる形で順番に実現させている。

 高度プロフェッショナル制度もそうだ。残業代ゼロにするという話だ。これは2003、2004年ごろにも経団連は「ホワイトカラーエグゼンプション」という名前で要求している。年収400万円以上の人の残業代はなしということを進めようとしたが、「それはないだろう」という声が渦巻いたから一度看板を下ろした。そして、しばらく寝かせて、去年の夏の前に国会を通過した。年収1075万円以上の専門職の人は残業代ゼロというような話だ。みんなは1000万円ももらえていないから自分には関係のない話だと思い込んでしまう。だが、この1075万円という年収要件は、後からいくらでも下げていける。これに国会の審議は必要ないのだ。

 つまり「残業すればお金がもらえる」という約束そのものをぶっ壊しに来ている。「今でも自分はサービス残業だ。いまさらそんなことになったとしても関係ないわ…」と思われる方がいるかもしれないが、とんでもない。サービス残業であったとしても自分自身の勤務形態の証拠を残していれば、もし自分の心や体を壊してしまったらそれを元に裁判でたたかえる。でも、その裁判をたたかうための根拠自体を潰してしまうということだ。

 これは、この国に生きている人々のためのものではない。みんなを踏みつけてでも自分たちは肥え太ろうとする者たちのために、精一杯努力しているのが今の政治だ。これが加速すれば、国は壊れなくてもみんなが壊れる。これを変えていこうということで旗揚げしている。ガチンコで喧嘩しろ! ということだ。

■本気でたたかう野党の必要性

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/DSC4771-768x510.jpg
JR新宿駅西口での街頭演説では、暗くなっても若い人たちが多く足を止めた(15日)

 野党の先輩方が一生懸命頑張っていることは重々知っている。尊敬する先輩方であり、足元にも及ばない。だが、例えば入管法。議論の入り口に入ることは致し方ない。議員の数で負けているのだから強行に議論を始めることは与党側には可能なのだ。

 議論が始まってプラスと言えるのは、議論の中でこの法案の持つマイナス部分、不備があることを多くあぶり出せることだ。確かに、野党の先輩方はその数々の不備、みなさんに先々どのような懸念があるのかをあぶり出された。それは素晴らしいお仕事だった。

 ただ、入り口に入れば当然、その先の出口がはっきりと見える。採決だ。この採決に行く前に、法案の不備があぶり出されたならば、それを根拠に体を張ってでも止めるという意思を示す必要がある。なぜなら少数派にできることは限られている。つまり、採決に行く手前でピケを張ったり、体を張ってでも採決にもっていかないということだ。私は1人で牛歩をやった。これを褒めてくださいという話じゃない。牛歩をやっても決まるものは決まるのだ。これは本会議場でやれる最後の抵抗だった。

 本会議場で採決に行く手前の、委員会審議の最終盤に入りかかった手前で、これ以上前に進めないために体を張って止めることをやらなければ少数派には戦う術がない。それをやったら国会が正常でなくなる。いわゆる不正常化だ。

 まず、入管法を扱っていた法務委員会が動かなければ、他の委員会の審議も本会議さえも動かさないということを、野党で決めてとことん体を張って止めるべきだった。1ヶ月でも2ヶ月でもいい。これほど長期に国会審議が不正常化されたら、毎日のようにメディアが取り上げる。不正常化の理由である入管法改正のプラスとマイナスの両面をメディアは伝えなければいけなくなる。テレビや報道を通して全国津々浦々までとんでもない法案が通ろうとしていることを皆が知ることになる。少数派であってもケンカの仕方はある。

 「みっともない」「選挙で負けて少ない数なんだから、何があっても採決で決まっちゃうんだからジタバタしてもしょうがない」…。そんな話ではない。いくら理解が得られないとしても、その法律が通った先にはこの国に生きる人々の首を絞め続けることになる。何が何でも、体を張って這いずり回ってでも止めるという気概が必要だと私は思う。

 野党の先輩方には申し訳ないが、足りないのは気迫だ。地べたを這いずり回ってでもなんとか止めようとする気合いだ。カードはそれしか残されていない。それなら、自分たちからメディアが流さざるを得ないような状況を作る。それを流してもらうことによって、全国津々浦々まで情報が流れる。とんでもない与党の実態を知ってもらい、最終的に採決されたとしてもみんなで選挙で審判を下すことができる。徹底的にたたかってほしい。

 残念ながら、そのようなたたかいがされなかった結果どうなったか。当然、与党は予算委員会を開かない。審議を拒否したら「野党のズル休み」といわれるのが怖いのか? それがどうした! 有権者に理由を説明すればいい。徹底的にたたかって、与党が一番嫌な予算委員会に引きずり出し、それをNHKに映させる。「与党が予算委員会に立たないのなら国会を動かさない」ということを、どうしてゴールデンウィーク前に続けておかないのか? という話だ。それをしないことよって国会の状況を国民は知ることができなくなった。野党の先生方を私は尊敬しているが、そのような喧嘩の場面では上品すぎる。そのたたかい方では、この国で生きる人々の壊れていく速度を緩めることすらできない。必要なことは、普通じゃない相手に対して、こっちも徹底的に抗わなければいけないということだ。

 今この国はものすごいスピードで壊れていっている。この6年間、私が参議院の最前列で見て経験してきたことは、この国を壊していくような作業の連続だった。今ここでなんとしても、国会の中に永田町の論理に一切従わない、空気を読まない人たちを1人でも多く皆さんに送り込んでいただくことによって、徹底的にたたかう野党を作る。それがれいわ新選組だ。この捨て身でたたかう人間たちが当選する数によっては永田町に激震が走り、その後の政治が大きく変わっていく。

 だが、政治の中に緊張感を持ち込むことだけが本当の目的ではない。真の目的は政権を取りに行く。政権交代に絡んで行く。「山本さん、落ち着いてくださいよ。政権交代に絡むって今回あなた、この選挙で10人しか出してないじゃないですか」――。確かにそうだ。10人ではウンともスンともいかないと思われるかもしれない。だが、このややこしい人たちをまず中に送り込むことによって国会への注目が高まり、政治に興味が集まる。投票に行かない人が有権者の4割いるから、自分が勝つために組織票に頼る。そうではなく、自分がバックアップして議員にするグループがあることによって、信念を曲げることなく、約束したことを全力でやることがみなさんのプラスになることを気付いてもらえる。世の中を変えていくためには、多くの方々に政治に興味を持ってもらわなければ始まらない。

 まずは参議院で議席を持ち、その中でしっかりと徹底的にたたかう。それをやれば1年後の衆議院選で党勢を拡大し、3年後にもう一度ある参議院選挙でも党勢を拡大させる。そうなれば、政権交代に必要な影響力は出てくる。そのようなプラットホームを作れば、もしかしたら他の野党、与党からも参画してくる議員が出てくるかもしれない。

■国民生活のために政治は存在する

 この間、国会で見せつけられたものはなにか。富めるもののために多くの働く人たちの首を絞める。自分の「腹心の友」には、60年間認可されてこなかった獣医学部を作らせてあげたり、自分の嫁が名誉校長に就いた学校経営者の友だちに国有地をタダで差し上げるとかやりたい放題だ。それだけでなく、公文書の改ざん、隠蔽、8年分のデータが消える……もう無茶苦茶だ。権力でそこまでできるのなら、逆に権力をとり戻してみんなのための政治をやることができる。

 子どもの7人に1人が貧困、高齢者5人に1人が貧困、1人暮らしの女性3人に1人が貧困……。こんな苦しい状況に置かれているのは、この一人一人が頑張ってこなかったからではない。20年以上のデフレが続いたことで生活が地盤沈下し、いまや衰退国家の入口に立っているのだ。この国に生きる一人一人を慮(おもんばか)る気持ちと、20年のデフレを呼んだドケチ政治をやめてみなさんへの投資をする。この国に足りないみなさんへの愛とお金を取り戻すというのがこの選挙のテーマだ。

 もっと政治に緊張感さえあれば、選挙前に消費税増税など口にできないはずだった。それだけ野党が舐められているのだ。こんな悔しい話があるか。消費税が上がればみなさんの首が絞まる。また人がバタバタと殺される。97年以降の自殺者は年間3万人。いまは2万1000人になったからよかったと喜んでいる場合ではない。50万人が自殺未遂をするような殺伐とした社会に私たちは生きている。こんな国は滅びるしかない。そんなことのために政治があるのか。みんなが生きていてよかったと思える社会をつくるために政治があるはずだ。私はそれが綺麗ごとだとは思わない。このビジョンをみんなで実現したい。みんなのそれを実現したいという気持ちによって、それは可能になる。力を貸してください。先頭に立たせてください。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/DSC4810-768x510.jpg
駅の中にまで多くの聴衆が連なっていた(新宿駅)

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12264

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(第2話)
Reiwa Shinsengumi Silenced by the Media, Energized by the People
長周新聞 2019年7月16日

国内だけでなく海外にも情報が届いて欲しいと思い、「大手メディアが黙殺するれいわ新選組 彼らが語った出馬への思い」http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/801.htmlの英語版を掲載します。翻訳家である早川健治氏に翻訳して頂きました。この場をかりてお礼申し上げます。
(以下英文記事にて転載省略・・・スレ主)

https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/12245

http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/296.html

[政治・選挙・NHK263] 消費税廃止を掲げる「れいわ新選組」が大躍進するかもしれない いまや自公の対立軸となった(現代ビジネス)
2019.07.11
伊藤 博敏 ジャーナリスト

https://gendai.ismedia.jp/mwimgs/9/5/-/img_9597c99784b3df42ca261876f14aff02196654.jpg

■「れいわ新選組」の人気が高い

山本太郎代表が率いる「れいわ新選組」の人気が高い。東京選挙区から比例代表に回った山本氏は、全国を駆け回って遊説、数多くの聴衆を集めている。

参院選公示日前日の7月3日までに2億3100万円のキ付を集め、「3億円の寄付で10人を擁立」という条件は整ったとして、10名の候補者を決めた。

人気は日を追うごとに高まっており、寄付金は5日までに2億5200万を達成。2日で2000万円超を集めた計算で、無党派層を大きく取り込むうねりを感じさせる。

その象徴が、れいわ新選組のネット上での人気の高さ。

選挙ドットコムの集計によれば、れいわ所属候補のツイートに対する「リツイート」と「いいね」の数は、1ツイートあたり1547.73にのぼり、自民候補の449.09、立憲民主候補の109.71を圧倒的に上回る。

マスメディアの間では諸派扱いが多く、山本代表が討論などに招かれることはないが、ネットを主な情報ツールとする若年層の間では、自公VS統一候補を含む野党といった対立構図ではなく、既存政党への対立軸としてれいわ新選組が捉えられている。

旧来の発想では、れいわ新選組の公約と人選はポピュリズムの極地である。

消費税の廃止、最低賃金1500円、奨学金徳政令、公務員増員、第一次産業戸別所得補償……。

「財源はどうする!」という批判も当然で、それに対して山本代表は、国債発行を柱とするMMT(近代貨幣理論)と、富裕層や大企業への累進的大増税で捻出すると主張する。そうして得た財源をバラ撒き政策に使う「左派ポピュリズム」である。

常識的には無茶な発想だが、だから対立軸となった。

■人選についてポピュリズム批判が起きたが…

民主党政権時代、民主党、自民党、公明党は、消費税を5%から8%、8%から10%に段階的に引き上げることを決めた。民主党を引き継ぐ立憲民主党と国民民主党は、この「三党合意」の“呪縛”から逃れられない。

だから新鮮味がなく、期待度、支持率ともに低迷。れいわ新選組が訴えかける90年代から00年代の非正規雇用が急増した就職氷河期、世に出たロストジェネレーション世代は、既存政党に何の期待も抱けない。

山本代表は、選挙公報のなかでロスジェネを、シングルマザー、障害者、非正規雇用、蓄えのない高齢者などを含む「弱者」と位置づけ、「弱者に明るい未来を与える政治」を訴える。

そのうえで、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の舩後靖彦氏、重度障害者の木村英子氏の2人を、比例特定枠の候補者とし、山本代表の上位に位置づけた。山本代表は3番目。300万票以上を得なければ、議席は確保できない。

この人選にも、ポピュリズム批判は起きた。だが、山本氏は「生産性で人の価値をはかる社会でいいのか。その選別を合法的に行なう国会に、介助・介護なしには動けない議員を送り込み、バリアフリーを実現、健常者だけが選抜される状況を改め、障害者の声を国会に届ける」と、意に介さない。

■反緊縮、反グローバリズム、反新自由主義経済

高度経済成長の果てにバブル経済が発生。その崩壊で日本経済がガタガタになって以降、国民はひたすら我慢を強いられた。

ITが進展、インターネットが急速に普及するなか、経済的にはグローバリズムが世界各国を覆い、効率の良さで新自由主義経済が採り入れられた。

当然の帰結として、能力ある者、力のある者、努力を怠らない者、そのうえで運のいい者が、ひとにぎりの成功者となる二極化が進展した。

だが、政府もまた効率化を迫られ、緊縮財政のなか、公共工事や補助金は削減され、民営化を推進、失業者、落伍者、老齢者、貧困家庭に目配りする余裕はなくなった。

それが失われた20年の間に起きたことである。

ファンド資本主語、金融資本主義、そして今、データ資本主義と、経済社会を動かすエンジンは変化しているものの、主たるプレーヤーはひとにぎり。

大半の一般大衆は、「企業の力を強くするためには法人税減税は不可欠」、「証券市場などを通じた成功者への手厚い報酬は経済成長に欠かせない」という言葉を受け入れてきた。

日米欧のそうした経済常識が生んだのが、世界の最も裕福な26人が、世界38億人の総資産と同額、という歪んだ二極化である。

従って、反緊縮、反グローバリズム、反新自由主義経済は、米サンダースやオカシオ・コルテスに見られるように、世界の一大潮流になっている。れいわ新選組は生まれるべくして生まれたのであり、山本太郎という「役者」を得て、花開こうとしている。

■参院選の一番の見所

もうひとつ世界的潮流のなかでは、「右派ポピュリズム」もあり、広く捉えれば米トランプ政権はそれにあたるが、日本ではトランプ流の自国第一主義はもちろん、ネット右翼や在日特権を許さない市民の会(在特会)も含めて安倍政権を支持している。

野党が対立軸になっていないのは前述の通りであり、小池百合子都知事人気に乗ってブームとなった希望の党は、小池氏が踏ませた「安保の踏み絵」に象徴されるように、しょせん「第二自民党」でしかなく、「排除の論理」とともに雲散霧消した。

自民の3倍の「リツイート」と「いいね」に象徴されるように、「弱者へ向けたメッセージ」は、着実に拡散、支持を集めており、それが大河の流れとなる可能性もある。

結果、「れいわ新選組は何議席を確保するか」が、争点のない今回の参院選の一番の見所となっている。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65817
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/300.html

[お知らせ・管理21] 2019年07月 削除依頼・投稿制限・等管理スレ。突然投稿できなくなった方も見てください。 管理人さん
27. 肝話窮題[3] isyYYouHkeg 2019年7月16日 19:48:21 : KzsKwpDjm2 : NEZCVnVxTW5zNjY=[47]

二重投稿でした。削除をお願いします。
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/300.html
http://www.asyura2.com/13/kanri21/msg/564.html#c27
[お知らせ・管理21] 2019年07月 削除依頼・投稿制限・等管理スレ。突然投稿できなくなった方も見てください。 管理人さん
29. 肝話窮題[4] isyYYouHkeg 2019年7月16日 20:16:03 : KzsKwpDjm2 : NEZCVnVxTW5zNjY=[48]

大変失礼いたしました。以後気を付けます。
迅速に対応していただきありがとうございました。
http://www.asyura2.com/13/kanri21/msg/564.html#c29
[政治・選挙・NHK263] 「財政赤字は悪でも脅威でもない」MMT提唱の米教授(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月16日23時05分 笠井哲也

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190716004172_commL.jpg
MMT(現代貨幣理論)について講演後、記者会見するニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授(中央)。左は京都大大学院の藤井聡教授=2019年7月16日午後、東京都千代田区

 財政赤字の拡大を容認する「異端」の理論として議論を呼んでいる「MMT」(Modern Monetary Theory=現代金融理論、現代貨幣理論)の提唱者の一人、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が来日し、16日東京都内で講演した。自国通貨を発行している日本や米国は、税収による財政的な制約を課されることはないと主張。「財政赤字は悪でも脅威でもない」「債務の大きさにまどわされてはいけない」と訴えた。

 ケルトン氏は、税収が財政の制約ではなく、インフレ率が制約になるべきだと主張。たとえば日本は2%のインフレ目標に達していないので、さらなる財政支出の余地があるとし、「もっと積極的に財政政策を活用して、減税で成長を下支えした方がいい」と述べた。財政赤字に対する見方を変えることの重要性も強調。「政府の赤字は、非政府部門にお金が注入されることであり、所得や雇用を増やす」とも語った。

 MMTは、税は税収を得るために課されているのではなく、「所得を誰かから奪うもの。支払い能力を減らすために課す」との考え方をとるという。そのため、消費税については「消費増税の目的は消費支出を減らすことで、インフレを冷やすなら理にかなっている。だが、インフレ問題を抱えていない国にとっては意味がない」とし、政府が10月に予定する10%への消費増税に否定的な考えを示した。

 ケルトン氏を招いたのは、安倍政権で参与を務めた藤井聡・京大大学院教授(公共政策)ら。左派系で参院選では野党候補らを支援する松尾匡・立命館大教授(理論経済学)も加わり、「反緊縮」の学者が立場を超えてMMTの理論家を招く異例の形となった。

■出会いはネット上「腑に落ちた」

 経済の専門家からは「異端」扱いされるMMTだが、それを支持する人々も現れている。

 東京都練馬区の30代男性は半……こちらは有料会員限定記事です。残り:2014文字/全文:2774文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7D4TN0M7DULFA01X.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/310.html

[政治・選挙・NHK263] ヤジの市民を道警が排除 安倍首相の街頭演説中(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月16日22時03分

 15日に札幌市中央区であった安倍晋三首相の参院選の街頭演説の際、演説中にヤジを飛ばした市民を北海道警の警官が取り押さえ、演説現場から排除した。道警警備部は取材に対して「トラブル防止と、公職選挙法の『選挙の自由妨害』違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」と説明。だが現場では、警察官は声かけすることなく市民を取り押さえていた。

 安倍首相はJR札幌駅前で同日午後4時40分ごろ、選挙カーに登壇。自民党公認候補の応援演説を始めた直後、道路を隔てて約20メートル離れた位置にいた聴衆の男性1人が「安倍やめろ、帰れ」などと連呼し始めた。これに対し、警備していた制服、私服の警官5、6人が男性を取り囲み、服や体をつかんで数十メートル後方へ移動させた。また年金問題にふれた首相に対して「増税反対」と叫んだ女性1人も、警官5、6人に取り囲まれ、腕をつかまれて後方へ移動させられた。いずれのヤジでも、演説が中断することはなかった。現場では、多くの報道陣が取材していた。

 公選法は「選挙の自由妨害」の一つとして「演説妨害」を挙げる。選挙の「演説妨害」について、1948年の最高裁判決は「聴衆がこれを聞き取ることを不可能または困難ならしめるような所為」としている。

 松宮孝明・立命館大法科大学院教授(刑法)は「判例上、演説妨害といえるのは、暴行して注目を集めたり街宣車で大音響を立てたりする行為で、雑踏のなかの誰かが肉声でヤジを飛ばす行為は含まれない」と話す。むしろ連れ去った警察官の行為について「刑法の特別公務員職権乱用罪にあたる可能性もある」と指摘。「警察の政治的中立を疑われても仕方がない」と話した。

https://www.asahi.com/articles/ASM7J4DN3M7JIIPE027.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/311.html

[政治・選挙・NHK263] 参院選終盤戦で情勢はどう動くか 改憲勢力「3分の2割れ」をめぐる攻防(2)(リベラル21)
参院選終盤戦で情勢はどう動くか
改憲勢力「3分の2割れ」をめぐる攻防(2)

広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
2019.07.17


 7月15日、各紙は参院選後半の選挙情勢に関する有権者調査(7月13、14日実施)を発表した。序盤情勢に関しては、各紙とも情勢分析にそれほど大きな違いはなく、自公与党が改選過半数を制するものの、維新等の改憲勢力を含めても3分の2に届くかどうかは微妙...というものだった。それが後半情勢に関しては、各紙によって若干見方が分かれてきているのである。

 例えば、日経新聞は1面トップの見出しで「改憲勢力3分の2迫る」と大きく打ち出し、2面でも「自民、選挙区で堅調」「比例も自民優位に」「1人区 野党共闘伸び悩み」と断定的に分析している。その背景には、(1)内閣支持率が49%に達し、不支持率35%を大きく上回っていること、(2)政党支持率でも自民党が43%で断トツ1位であり、2位の立憲民主党11%を大きく引き離していることがある。つまり安倍政権は、内閣支持率をみても政党支持率をみても極めて安定した政治基盤を築いており、どこから見ても負ける要素がないと見られているのである。

 これに対して、毎日新聞は「改憲 3分の2厳しく」「1人区 自民防戦」と反対の見方を示している。最大の理由としては、序盤情勢に比べて32カ所ある1人区で野党優勢の選挙区が5から7(岩手、宮城、新潟、山形、長野、愛媛、沖縄)に増えたことを挙げている。しかし、自民優勢の1人区が20もあり、残り5選挙区(青森、秋田、三重、滋賀、鹿児島)では接戦が続いているというので、前回2016年参院選で野党が獲得した11議席を超えることができるかどうかはわからない。

 一方、読売新聞は「与党 改選過半数の勢い」「1人区 自民優位」と分析しているが、「与党・改憲勢力2/3焦点」としてまだ明確な判断を下していない。ただ、勝敗の行方を決する1人区の情勢分析をみると、野党統一候補がリードしているのは3選挙区(長野、愛媛、沖縄)だけで、7選挙区(岩手、宮城、秋田、山形、新潟、滋賀、大分)が接戦、残り22選挙区は全て自民リードとなっている。これは、毎日新聞が野党優勢とした7選挙区(岩手、宮城、新潟、山形、長野、愛媛、沖縄)のうち4選挙区(岩手、宮城、新潟、山形)を接戦区とするもので、それが分析の分かれ目になっているのである。

 情勢がこのように流動しているためか、朝日新聞は情勢分析に消極的で明確な方向性を打ち出していない。その結果、選挙情勢分析というよりは世論調査結果の解説にほとんどの紙面を割いている。その中で気になるのは、第2次安倍政権の評価に関する質問と回答だ。質問は「第2次安倍政権が発足して6年半がたちました。安倍首相のこれまでの実績について、どの程度評価しますか」というもの。これに対する回答は「大いに評価する」9%、「ある程度評価する」54%、「あまり評価しない」24%、「全く評価しない」11%と、圧倒的に評価側に傾いている。

 消費税増税や老後年金に対する取り組みなどに関しては、これまでと同様に否定が肯定を上回っているが、安倍政権の6年半の「実績評価」にこれほどの肯定意見が寄せられるとは、意外にも意外と言わなければならない。私自身は、いったいどこがよくてこんな数字が出て来るのかさっぱりわからないが、世論調査の数字だから受け入れるほかない。とはいえ、これが総体的な国民の意見であるとしたら、安倍政権の失政を追求する野党の選挙方針が宙に浮かないとも限らない。改めて選挙終盤戦の戦略を検討する必要があるのではないか。

 全体的な情勢はこれぐらいにして、注目すべき選挙区について少し感想を述べたい。取り上げるのは、大阪選挙区(定員4人)と京都選挙区(2人)だ。大阪選挙区は、維新が現職と新人2人を擁立し、自民、公明、共産現職3人が議席を守れるかどうかが焦点となっていた。序盤戦ではまだはっきりとした情勢がわからなかったが、後半戦では維新2人が当選圏内に入ったとの情勢が確定的となり、その煽りを喰って共産現職が弾き飛ばされそうな状況になっている。

 若手の共産現職は、国会論戦でも他党を圧する力量を発揮した実力派であるにもかかわらず、なぜポット出の維新新人候補がこれほどまでに支持を集めることが出来るのか、不思議でならない。聞けば、大阪ダブル選挙で圧勝した維新の勢いが今も続いており、維新は「大阪改革」の代表選手だと見なされているのだという。しかしそれ以上に、今回の参院選における共産現職の苦戦は、直前の衆院補選における共産現職の「惨敗」が大きく響いていると私は考えている。

 周知のように、この前の衆院補選(大阪12区)では共産現職が「無所属」になって出馬するという大胆な行動に踏み切ったが、結果は得票率9%で最下位、供託金を没収されるという前代未聞の惨敗に終わった(トップは維新新人、39%)。この作戦の誤りが運動員や支持者に与えた衝撃は殊の外大きく、多くの運動員がその時の衝撃から未だ立ち直れないでいるという。しかも、その時の総括が「市民と野党共闘の展望を切り開いた」というこれも前代未聞の内容だったので、多くの支持者からブーイングが起り、大規模な「共産離れ」が起ったというのである。

 今回参院選の共産現職の苦戦は、党幹部の再三再四の応援にもかかわらず運動員や支持者が動かないことにあるのだという。自らの失敗を棚に上げて𠮟咤激励するだけでは組織は動かない。このまま情勢が推移すれば敗北は決定的となり、共産現職は貴重な議席を失うことになるだろう。それでも総括はまた、「市民と野党共闘の展望を切り開いた」というものになるのだろうか。

 京都選挙区についてはどうか。京都は「非自民、非共産」を掲げる旧民主系勢力の牙城だ。それが国民と立民に分裂したとはいえ、その接着剤となる連合が依然として強力な投票動員力を持っていることには変わりない。今回の参院選では国民と立民は候補者擁立をめぐって主導権争いを繰り返した挙句、漸く国民が降りて候補一本化した。すでに自民現職が独走態勢にある以上、立民の候補者擁立の目的が共産現職の追い落としにあることは明白だった。

 しかし、共産現職は立民と1人区で野党統一候補の一本化に合意したこともあって批判を控えざるを得ない。こうした選挙戦術上の躊躇が影を落としているのか、立民新人候補の追い上げが急となり、後半戦になってからは立民のターゲットは共産現職に絞られ、「非共産」の旗を掲げた激烈な戦いとなっている。1人区では野党統一候補の一本化が漸く成立したものの、複数区では「切磋琢磨」が原則とのことで候補者調整は一切行われず選挙戦に突入した。京都選挙区はその最前線であり、選挙結果が今後の野党共闘の行方を占うシンボルともなっている。選挙終盤戦での両選挙区の動向に注目したい。(つづく)

http://lib21.blog96.fc2.com/
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/326.html

[政治・選挙・NHK263] 参院選の深層の争点は日米安保と天皇制なのだが、表層では…(ちきゅう座)
2019年 7月 16日
<加藤哲郎(かとうてつろう):一橋大学名誉教授>

2019.7.15 まだ参院選が続いており、東京は天候不順が続き体調も思わしくないので、マイナーチェンジにとどめ、前回更新を残しておきます。現在すすんでいる国政選挙の光景は、この国の民主主義の悲しい現実です。特に権力を監視し批判するジャーナリズムの衰退、政治を考える余裕も時間も奪われた人々、自分の生活感覚にフィットした候補者・政党を見出すことができず投票日の天気と気分次第とあきらめている人々、野党攻撃と憲法改正だけ威勢のいい首相と官邸の情報操作に主権者の一票を委ねてしまいそうな若者ーーもとより「深層の争点」=日米安保と象徴天皇制を正面から取り上げる政党・候補者は見られません。いや、いたとしても、テレビや新聞には出てきません。内政で国民から不満や不安が寄せられ批判にさらされた時、国外に「仮想敵」を作って批判をそらし、支持を調達しようとするのは、権力者の常道です。そのスケープゴートが、3年前の前回参院選では北朝鮮、今回は韓国です。より深刻なホルムズ海峡「有志連合」自衛隊派遣の問題は、表層の争点にもならず。世界から見れば異様な差別的反韓・嫌韓報道・言説が溢れていますが、心ある人には、テレビでも新聞でも宣伝されない最新の劇場映画「新聞記者」をオススメします。「この国の民主主義は形だけでいい」という台詞の問いかける意味、なぜこの映画がマスコミで取り上げられないかも分かります。

ハンセン病家族訴訟に賠償を命じた熊本地裁判決に、国が控訴を断念したのは明るいニュース。しかし「おわびと反省」の「首相談話」と共に出された「政府声明」を合わせて見ると、どう読んでも「心からの反省」どころか、選挙戦最中のパフォーマンスの仕掛けが透けてみえます。旧優生保護法強制不妊手術の被害者裁判等への波及をあらかじめ法的にガードし、むしろ「首相談話」前日に一面トップで控訴の見通しを報じた某大新聞に「誤報」の打撃を与えるための情報戦があった可能性大です。投票日直前には、首相がハンセン病家族訴訟原告団と会見して「見せ場」を作る可能性もあります。かつての2001年ハンセン病国家賠償訴訟で、当時の小泉首相の控訴断念が参院選大勝を用意したのにあやかって。沖縄米軍基地・地位協定の問題も、ローカルな争点にされてしまいました。この問題を「深層の争点」から考えるために、岩波現代文庫の新刊、国場幸太郎『沖縄の歩み』をオススメします。かつて一緒に仕事をした故・国場幸太郎さんが、青少年向けに書いた本で、「本土」と沖縄の選挙の違い、なぜ沖縄には自立した抵抗運動とジャーナリズムが今日まで続いているのかを、考えさせられます。

初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://netizen.html.xdomain.jp/home.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4619:190716〕

http://chikyuza.net/archives/95293
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/327.html

[政治・選挙・NHK263] 「下層階級」転落の不安、広がる 私も家族もいずれは…(朝日新聞1面トップ)
朝日新聞デジタル 2019年7月17日05時00分 高久潤

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190716001357_commL.jpg
日本社会の「階級」について語る社会学者で早稲田大教授の橋本健二さん=2019年7月10日、東京都豊島区、仙波理撮影

 参院選の投開票日が迫った。未来の「見取り図」を描くには、いま、を見つめることが欠かせない。「階級」という概念にこだわって日本社会の変容を見つめてきた社会学者の橋本健二さんに、この国で暮らす人々の「不安の正体」を聞いた。

 「階級」という言葉には古めかしい印象が付きまとう。だが、昨年1月に世に出たその本は、筆者の予想をはるかに上回る反響を呼んだ。

 「新・日本の階級社会」(講談社現代新書)。

 閉塞感が漂う日本社会の現状をみるには階級という視点が不可欠、という警鐘だった。不安定な雇用で収入も低く、結婚や子育て、老後の蓄え、といった営みもままならない新しい階級「アンダークラス(下層階級)」の出現に注目するべきだ――。

 本のヒットに、「何が起きているのかと思った」と誰よりも驚いたのが筆者だ。社会学者で早稲田大学教授の橋本健二。格差・階級理論の専門家だ。階級という概念にこだわり、40年近く前から日本社会を分析してきた。

 ただ橋本はすでに2006年、……こちらは有料会員限定記事です。残り:1190文字/全文:1603文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7D41VPM7DUPQJ00G.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/333.html

[政治・選挙・NHK263] 最新鋭マシンか伝統の技か 開票どちらが早く正確か 近づく参院選本番(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月17日 08時00分(最終更新 7月17日 11時32分)

https://video.mainichi.jp/detail/video/6059669307001?autoStart=true&q=%E5%8F%82%E9%99%A2%E9%81%B82019
【動画】こいつ…動くぞ!最新鋭選挙開票マシン

 参院選の投開票日となる21日、候補者たちの運命を決める開票作業が午後8時以降にスタートします。機械化が進む開票作業ですが、人の目と手による開票のノウハウを磨いている自治体もあります。最新鋭の開票マシンか、伝統の技か。今回はどちらが正確に速く票を数えるのでしょうか。

■1分間に660枚を仕分け

 選挙機材大手「ムサシ」(本社・東京都中央区)は選挙関連事業に参入しておよそ半世紀になります。開票時に100票ごとに整理する計数機や、投票人数を数える機能がついた投票用紙の交付機は、投開票の事務の効率化に貢献してきました。中でも画期的だったのが、2001年に販売を始めた投票用紙の読み取り分類機です。開票作業の最初に投票用紙の向きをそろえ、候補者・政党などの別に仕分ける作業が大幅に省力化されました。

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/17/20190717k0000m010011000p/6.jpg?1
東京都中央区の選挙機材大手「ムサシ」で、投票用紙を分類する最新の機械の説明をする同社の篠沢康之広報室長。用紙の表裏や上下を自動的に整理し、最高125種類に分類できる=2019年7月12日午前11時13分、秋山信一撮影

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東京都中央区の選挙機材大手「ムサシ」で、用紙の色を識別する投票用紙交付機(手前)や用紙計数機を説明する同社の篠沢康之広報室長=2019年7月12日午前11時12分、秋山信一撮影

 取材に訪れると、篠沢康之広報室長が最新の分類機を紹介してくれました。試しに150票ほどの投票用紙を機械にかけると、自動的に仕分けが始まりました。セットした用紙の上下や表裏はまちまちで、手書きされた候補者名は、漢字、平仮名、カタカナ、仮名交じり、縦書き、横書きと字体もばらばらです。分類機は止まることなく、15秒ほどで仕分けが完了しました。「人の手の比じゃないですよ」。篠沢さんの表情は自信にあふれていました。

 ムサシによると、最新機は1分間に660枚以上を仕分けられ、手作業の数十倍の効率です。最大で125分類することが可能で、機械にさまざまな手書き文字を認識させるなど改良を重ねた結果、識別できない票の割合は約4%にまで減りました。ムサシの分類機は、全国で約1200自治体が計約4000台を導入しており、グローリー(本社・兵庫県姫路市)など競合メーカーを含めると、7割以上の自治体が分類機を導入しています。

■「機械に読めなくても人間は読める」

 ただ、自治体にとってネックとなるのがコストです。ムサシの最新機の希望小売価格は、本体=270万円、用紙の向きを整理するパーツ=110万円、仕分け用の増設ユニットが1台(8分類)=100万円で、最高約1900万円かかる計算です。税収が多い東京23区内には20台以上の分類機を導入している自治体もありますが、導入に二の足を踏む自治体もあります。

 「機械の性能は上がっていますが、耐用年数もありますし、コストを考えながら導入のタイミングを見極めています」。東京都府中市選挙管理委員会の山崎信孝事務局長はそう語ります。今回の参院選では、候補者が多い比例代表の仕分けに分類機を2台利用しつつも、基本的には手作業で分類する方針です。山崎さんは「機械に読めないものが人間には読める」と自負しています。

 実はムサシが選挙事業に乗り出すきっかけになったのが、府中市選管でした。府中市は、金融機関や公営ギャンブル場向けに紙幣計数機を作っていたムサシに「投票用紙計数機」への改良を提案しました。完成した計数機は、1970年に全国に先駆けて府中市に導入されました。

 府中市は、ムサシなどが開発した「開きやすい特殊な投票用紙(ユポ用紙)」も87年に導入しました。プラスチック製の票分類ケースの開発(99年)、角材とベニヤ板による開票台のかさ上げ(00年)など、職員の発案による工夫も組み合わせて効率を上げ、府中市選管は「開票スピード日本一」と評されるまでになりました。公職選挙法にある「選管は、選挙結果を選挙人に対して速やかに知らせるように努めなければならない」の精神を体現してきたのです。

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/17/20190717k0000m010015000p/7.jpg?1
東京都府中市の選挙管理委員会の山崎信孝事務局長。水道管部品で開票台に使う机をかさ上げしたり、分類ケースを手作りしたりするなど、府中市は開票作業効率化の工夫を積み重ねてきた=2019年7月5日午後1時38分、秋山信一撮影

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/17/20190717k0000m010013000p/6.jpg?1
東京都府中市の選挙管理委員会が使用している投票用紙の分類ケース。「開票スピード日本一」を誇った府中市は、職員の発案で工夫を重ねてきた=2019年7月5日午後1時29分、秋山信一撮影

■リベンジに燃える王者

 近年は、分類機の普及で自治体間の格差は縮まりつつあります。府中市の開票時間もほぼ横ばいなのですが、それでも速さは健在で、東京都選管の担当者は「府中市には熟練した職員がそろっていて、人口が同じ規模の自治体より結果は早く送られてきます」と話しています。

 ただ、府中市では今年4月の市議選で、投票した人数と開票済みの票数が合わずに数え直すトラブルがあり、開票に普段の倍以上の約3時間を要しました。山崎さんは「今回は『正確に速く』という心がけを徹底したい」と反省しています。開票台の安定性を高めるため、角材でかさ上げする方法をやめ、机の脚を水道用の管に入れて高くし、家具転倒防止用のストッパーで固定するなど手作業で改良を重ねています。山崎さんは「いずれ機械が人間に勝る時代が来るかもしれない。でも、我々には伝統と蓄積があります」と静かに燃えています。【秋山信一】

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水道用の管と家具転倒防止用のストッパーを使って、開票作業に使う机をかさ上げする府中市選挙管理委員会の山崎信孝事務局長。低コストで作業効率を上げ、スタッフの腰痛を防ぐ目的がある=2019年7月5日午後1時37分、秋山信一撮影

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190717/k00/00m/010/016000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/334.html

[政治・選挙・NHK263] 森友問題告発の2団体「厳正な捜査を」 最高検に要請(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月17日21時10分

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190717004411_commL.jpg
大阪地検前で徹底した捜査を訴える木村真・大阪府豊中市議(左)ら=17日午後、大阪市福島区、一色涼撮影

 学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却問題で、財務省職員らを刑事告発した二つの市民グループが17日、稲田伸夫検事総長宛てに「厳正な捜査」を求める要望書をそれぞれ提出した。問題をめぐっては、いったん不起訴とした大阪地検が、検察審査会の「不起訴不当」の議決を受けて再捜査を進めている。

 東京の最高検を訪れた醍醐(だいご)聡・東大名誉教授らのグループは、取引にかかわった近畿財務局職員を起訴するよう要望。大阪地検による不起訴処分を「政権へのおもねりによる処分との疑惑を招いた」と主張し、厳正な捜査をするよう指導して欲しいと求めた。会見した醍醐氏は「捜査が尽くされていれば起訴されるべきものだ。検察には、公開の法廷で真相を解明する機会を設ける責務がある」と述べた。

 また、「森友学園問題を考える会」(大阪府豊中市)のメンバーは郵送で要望書を提出。「最高検が政権の顔色をうかがい圧力をかけたのではないか」などと指摘した。この日訪れた大阪地検に対しても要望書の写しを渡した。メンバーの一人で、問題を追及してきた木村真・大阪府豊中市議は「圧力がないのであれば、きちっと再捜査して起訴して欲しい」と話した。

https://www.asahi.com/articles/ASM7K5Q6RM7KUTIL03J.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/343.html

[政治・選挙・NHK263] 「私は山本太郎に発掘されたノンポリ」 自民党議員一家で育った25歳女子が「れいわ新選組」を推す理由(ビジネスインサイダー ジャパン
竹下 郁子  Business Insider Japan記者
2019年7月17日


参議院議員の山本太郎代表率いる政治団体「れいわ新選組」への寄付が3億円を超えた。街中での街宣活動はまるでフェスのような盛り上がりだ。

その輪の中に、自民党議員の家庭に育った25歳の女性がいた。チラシ100枚のポスティング、ポスター貼り、公選ハガキの送付、SNSでの拡散……。これまで「ノンポリ」だったという彼女が、なぜここまで「れいわ新選組」の選挙活動を支援するのか。

■初めての寄付は250円

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7月13日、東京・新宿で演説する「れいわ新選組」の山本太郎代表。

250円。

東京都内に住むAさん(25)が初めて「れいわ新選組」に寄付した金額だ。政治団体への個人献金も初めて。5月、山本太郎代表が街宣活動をしているところに偶然通りかかったのがきっかけだったという。

山本氏は演説が終わった後、自身との写真撮影の時間を設けている。マスコミでの露出が少ないため、参加者にSNSにアップして拡散してもらう戦略だ。参加者にとっても「日々の困りごと」を訴えたり、ねぎらいの言葉をかける貴重なコミュニケーションの時間になっている。

Aさんも写真撮影の列に並んだ。どうしても言いたいことがあった。

■名門海外大学院でも手取り月12万円

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「あまりにもひどい政治の中で、自分自身が参加しても何も変わるはずがないと思い込まされてる」と山本氏は参加者に問う。

Aさんは慶應義塾大学を卒業し、現在は海外で理系の大学院に留学中だ。専攻している学科は世界でトップ5に入る名門校。4月に帰国し、日本の研究機関で1年間のインターンシップをしている。華やかな経歴に見えるが、生活は厳しい。

インターン先からもらう給与は、手取りで月12万円。パートナーの男性と2人で住む賃貸住宅の家賃は月8万5000円。雇用保険はインターン先で加入しているが、住民税や国民年金は自分で納付しなければならない。年金は支払えないため、免除申請をしている。

女性は現在、修士課程。将来の夢は研究者になることだ。

 「大学生やポスドク(博士号を取得した後の任期付きの研究員)が困窮していることは社会問題として知られてきたけど、実は博士号を取るまでもすごく大変で。海外ではもっと給与があるのが一般的です。
 でも大学の教授たちに『おかしいですよ、制度を整えるよう声を上げましょう』と言っても全く取り合ってもらえなかった。怒りが爆発してたので、とにかく誰かに聞いて欲しかったんです」(Aさん)

■「政治屋」と嘲笑された私の話を聞いてくれた

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演説中もその後も、「カンパ箱」の前には行列ができる。ある参加者は「頑張ってじゃなくありがとうと声をかけたい」と話した。

山本氏はAさんの言葉にじっと耳を傾けた。特に山本氏の目の色が変わったのが、Aさんがパートナーの「治験」(薬などの安全性を人でテストすること)の話をしたときだ。

パートナーの男性も大学院生で博士課程在学中。研究の助成金で月約20万円の所得があるが、そこから社会保険料、奨学金の返済、学費などを引くと自由に使えるお金は月4万5000円しかない。学費や生活費を稼ぐため、学部生・修士課程時代は報酬の良い治験のアルバイトをしていたという。

この話を聞いた山本氏は、「後日詳しく話を聞かせて欲しい」と反応した。

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寄付の受付用紙に記入する人たち。100円玉数枚から数千円までその金額はさまざまだ。

 「教授たちに(生活が苦しいことを)話しても『まるで政治屋だね』『学会の理事長にでもなって頑張ってください』と揶揄されるだけで、恵まれていない人間は排除しても問題ないという考えが透けて見えました。でも山本さんは違った。一緒に怒ってくれて、改めて話す時間も作ってくれた。
 それまでは『反原発の人』で、何となく“色物”扱いされているイメージだったんですけど、これはちゃんと彼の政策を知らなくちゃと思いました」(Aさん)

Aさんはそのまま寄付受付の列に並び、250円を寄付した。同じ金額の野菜を買うのに、普段どれだけ悩んでいることか。

■「生産性でなんか人間の価値はかれるかよ」

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れいわ新選組は重度障害者、難病ALSの当事者を比例代表の候補に立て、優先的に当選できる「特定枠」に据えている。この日スタッフは、杖をつく参加者に飲み物が入ったクーラーBOXを椅子代わりに差し出していた。

以降、Aさんはれいわ新選組のホームページやYouTubeで山本氏の演説を見続けた。「正論」、しかも「面白い」。不可能に思える政策にも財源を示していて、Aさんが抱いていた山本氏のイメージが覆るのに、そう時間はかからなかった。何よりうれしかったのが、「社会的弱者の存在を認めていたこと」だと言う。

特に共感したのが「生産性」に関する考え方だ。「死にたくなる社会から生きていたい社会に転換させる」と呼びかけた政見放送が話題になったが、山本氏は街宣活動でも繰り返し同じメッセージを伝えてきた。

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演説には子どもを連れた参加者も多い。小学生くらいの子どもたちがじっと聞き入っている様子も見かけた。

 「あなたには生きている価値があるのか、あなたは何かの役に立っているかみたいな社会的空気の中、生きていくのを諦めてしまいそうになる。諦めてしまって、今やもう年間で2万1000人以上が自殺し、50万人以上が自殺未遂している。この数字にも表れない人たちも、たくさん苦しんでいる。その苦しさの原因は何か。生産性で人間をはかるっていうこと。生産性でなんか人間の価値はかれるかよって。じゃあ何ではかるんだって。存在ですよ。存在しているだけでも、『ありがとう』っていうような世の中作ろうじゃないかってことですよ。存在してるだけで価値があるっていう社会を作れるのが政治。そのために税金払ってるっていうような政治を作っていきましょうよ。生産性で人間の価値がはかられる世の中。その先には何が待っているか。人の命を選別するという世の中だ」(7月13日、東京・渋谷の街頭演説で)

■聞くだけで救われる演説

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若者の奨学金負担のことを話しながら涙ぐんだこともある山本氏。「わかっててやってるよもう。もうすでにみんな食われてるんですよ」と悔しさをにじませた。

Aさんと共に研究者を目指していた友人が、急に起業すると言い出しマルチ商法を勧めてくるようになったことがある。実家の家賃やきょうだいの学費を稼ぐため、常に複数のアルバイトに追われていたという。そんな友人の変節を、大手企業に就職した他の友人たちは嘲笑した。笑った友人のうち1人の手取りは月16万円だ。

 「周りを見ていてもうつ病やうつ病予備軍って本当に多いんです。原因は何でも自己責任を求める空気と貧困だと私は思っています。友人を笑った友人だって、手取りはたった16万円ですよ。私たち世代って全員弱者ですよね。
 『死にたくなる社会』は、山本さんの演説を聞くまで私の中で透明でした。国に原因があるのかもしれないとぼんやり思ってはいたけど、具体的にどこに問題があるのかまで分からなかった。
 山本太郎やれいわ新選組を支持しなくても良い。でも演説を聞くだけで救われると思って、友人たちに動画を勧めるようになりました」(Aさん)

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「政権を取りに行く」という山本氏の言葉に、拍手と歓声が起きた。

れいわ新選組は消費税の廃止、安い家賃で住める公的住宅の拡充、奨学金を借りている人たちの全額をチャラにするなどの政策を掲げている。特に演説で盛り上がるのは、消費税廃止についての説明だ。そのために必要な財源は、所得税の累進性を強化して分離課税を止め、法人税にも累進性を導入することで担保すると山本氏は言う。そしてこう問いかける。「財源は確保できました。他に心配することは何ですか? 足りないのは、皆さんが『そうなって欲しい』という気持ちじゃないですか」(7月13日、東京・新宿の街頭演説にて)。

Aさんは政策を一通りチェックした後、団体のホームページから2000円を寄付した。「自分に力が無いと思い込まされていたけど、変わるべきは社会じゃないかと思うになりました」(Aさん)。

■ノンポリがノンポリを呼ぶ

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「有権者の4割が選挙に行かない状態で、ここの人たち(参加者)とそれ以外の人たちがゆるく繋がれる何かがあれば、社会なんて変えていける」と山本氏。

Aさんは修士論文の提出を控えた多忙な時期にもかかわらず、毎日のように選挙運動に走り回っている。

チラシ100枚のポスティング、ポスター貼り、公選ハガキの送付、SNSでの情報の拡散。インターン先の共有スペースには大阪の若者たちが作成した各政党の政策比較表「#政党のアレコレ比べてみました」を貼り、選挙のことを積極的に話題に出す。

周囲はAさん曰く皆「ノンポリ」。心がけているのは、「投票先決めた? この動画見てみて」とライトに話しかけることだ。「ももクロファンが『まずはライブに行って』と勧める感覚です(笑)。太郎さんは演説が何より魅力なので」(Aさん)。

動画を見た友人たちのほとんどが好意的な反応だそう。公選ハガキを頼んだ友人16人も、1人以外は皆、快諾だった。断ってきた友人は以前「うちの企業は自民党におんぶに抱っこだから」と話していたという。

Aさんは山本太郎氏やれいわ新選組に共感が集まっているのは、「ノンポリがノンポリを呼ぶ」からだと分析している。

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「あなたを幸せにしたい」というキャッチコピーの入ったスタッフTシャツ。ボランティアも若者が目立つ。

 「私はずっとノンポリでした。だから会社のしがらみとか、多数派に投票しておけば責任を問われなくてラク、みたいな気持ちも分かるんです。
 一方でノンポリは『もっと選挙にかかわらなきゃ』という罪悪感を常に持ってる。でも報道やマニフェストを読んでもよく分からないし胡散臭く感じてたところに、理路整然とした政策と、これまで言葉にできなかった怒りとか悲しみを代弁してくれる人が現れてハマったという感じ。
 れいわ新選組は野党共闘を乱していると批判する人もいるけど、私たち山本太郎に“発掘された”ノンポリは、太郎さんきっかけで政治、他の野党にも興味を持つようになってます。むしろこれまで若者を政治から締め出してこなかったか、考えて欲しいですね」(Aさん)

■私に未来は無くても、未来への責任はある

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参議院議員の任期は6年。選挙権のない子どもたちの未来も私たちの選択に託されている。

Aさんは父親が医者、母親は専業主婦の家庭で育った。祖父は高齢で引退するまで自民党所属の地方議員だった。生活に不自由したことはなく、奨学金も利用していない。留学して自身の収入だけでは生活が苦しくなって初めて、政治や公的サービスの大切さを痛感したという。

 「私には財産も未来も無い。でももっとかわいそうなのは下の世代の若い子たち。経済など状況が悪くなることは分かってるはずなのに、自分たちが困らないからと無責任な態度でいる上の世代にすごくイライラします。私は絶対にああはなりたく無い。だからせめて自分の1票に責任を持ちたいし、周囲にもそういう人が増えて欲しくて活動してます。
 これまで国会なんて見たことなかったんですけど、今は次の国会が楽しみで仕方ないんです」(Aさん)

元自民党議員の祖父にも公選ハガキを送った。母親には「あまりのめり込まないで」と釘を刺されたそうだが、自民党員の親戚には「シングルマザーの候補者などもいて、すごく共感する」と好感触だ。

■異端扱いして得するのは誰ですか

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「テレビ中継は入っていますが放送されるか分かりません。今見て行ってください」と通行人に声をかけるスタッフたち。

山本氏に「熱狂」する支持者を嘲笑するような空気が一部にあるが、Aさんは「太郎さんはカリスマじゃない。常に私たちと同じ目線だから支持してます。そうやって候補者や支持者を“異端”扱いするのは強者の思うツボですよ」と一蹴する。

山本氏がマイクを握るれいわ新選組の街宣活動には、親子連れ、タピオカを手にした若いカップル、ヘルプマークをつけて杖をつく老人、車椅子に乗る障害者など多様な人が参加しているのが印象的だ。

演説中もその後も、寄付の受付には長蛇の列ができる。若い人も多く、Aさんのように100円玉と10円玉数枚を寄付していく人もいる。

3億円という異例の個人献金を支える彼らの姿に、声に、社会は向き合ってきたか。選挙が終わった後も続く彼らの日常を、私たち1人1人が想像してみる番だろう。

(文・写真、竹下郁子)

https://www.businessinsider.jp/post-194809
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/347.html

[政治・選挙・NHK263] 紙媒体はこちら / 密着・れいわ新選組 in 仙台(写真特集) (長周新聞)

(第1話) 
紙媒体はこちら(長周新聞)
長周新聞 2019年7月17日

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/f7725ff7529d9b00e57574fa4a15fe06-1-768x1025.jpg

ホームページを訪問して下さる方々より、実物の新聞紙面を見てみたいとの要望を頂きました。1部4ページ(月、水、金の週3回発行)となっています。ネットでは記事の一部を配信しております。

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12292

(第2話)
密着・れいわ新選組 in 仙台【写真特集】(長周新聞)
長周新聞 2019年7月17日

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/DSC5005.jpg
れいわ新選組 仙台駅西口での街頭演説(17日)

 終盤戦に突入した参院選で、東北各地を巡回する山本太郎率いる「れいわ新選組」は、16日に盛岡市、札幌市、17日には秋田市、仙台市に赴き、弛緩した国政の枠を突き破る市民主人公の新たな政党を誕生させるための支援を呼びかけた。仙台駅西口での街頭演説では、演説を聞くために足を止めた多くの人たちでデッキが埋め尽くされた。立憲民主党候補で唯一「消費税廃止」を主張する石垣のりこ氏(宮城県選挙区・新人)も応援に駆けつけ、有権者の側に立ってたたかう野党をつくることを訴えた。演説に真剣に聞き入っていた聴衆からは「一次産業を守れ!」「日本は植民地じゃない!」「政権を取ってくれ!」などの激励や声援が飛び交い、午後8時を過ぎても熱気冷めやらぬ空気に包まれた。現場の写真を特集する。

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/12304
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/349.html

[政治・選挙・NHK263] 「安倍辞めろ」のヤジ飛ばした男女を道警排除 首相街頭演説中/他1点(毎日新聞)

(第1話)
「安倍辞めろ」のヤジ飛ばした男女を道警排除 首相街頭演説中(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月17日 19時55分(最終更新 7月17日 20時23分)

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/17/20190717k0000m040187000p/6.jpg?1
「増税反対」と叫び、制止される女性(左から3人目)=札幌市中央区で2019年7月15日午後4時49分、岸川弘明撮影

 安倍晋三首相が札幌市中央区で15日に参院選応援のため街頭演説した際、「安倍辞めろ」などとヤジを飛ばした男女数人が、演説現場から北海道警に排除された。周囲の支持者とのトラブルはなく、安倍首相の演説が中断されることはなかった。道警警備部は「トラブルを未然防止するためで対応は適正」と説明するが、専門家は「過剰警備と感じる」と話している。

 安倍首相は同日午後4時半ごろ、JR札幌駅前で選挙カーに登壇。「安倍総理を支持します」と書かれたプラカードを掲げる支持者らを前に演説を始めた。すると、数十メートル離れた場所から若い男性が「安倍辞めろ」と連呼し、警備していた制服姿の警察官数人が男性を取り囲み、後方に引き離した。「増税反対」などと叫んだ女性も、私服姿の警察官数人に囲まれてもみ合いとなり、排除された。

 これに先立ち、安倍首相が市内にある地下道を小走りで移動した際も、大声でヤジを飛ばす若い男性がおり、私服姿の警察官数人が男性を現場から数十メートル移動させた。

 一方、安倍首相が市内の繁華街で選挙カーの上から演説した際には、中高年の男性が「安倍帰れ」などと叫び、周囲の支持者らが「おまえこそ帰れ」と叫び返すなど現場は一時騒然となったが、警察官は静観していた。

 道警警備部は、興奮した状態で繰り返し大声を出したために排除したと説明。「聴衆とのトラブルが懸念され、移動するよう声を掛けたが応じなかった」とし、通常の警察活動の一環だったとした。男性らの行動が公職選挙法違反(選挙の自由妨害)にあたるかどうかについては確認中とした上で、「移動を促したのは公選法違反を念頭に置いたものではない。ヤジを飛ばしただけで排除したわけではない」とした。

 現場の映像を見た札幌弁護士会の猪野亨弁護士は「聴衆の言動は良識の範囲で自由であり、強制的に排除するには相応の根拠が必要だ。今回は聴衆がつかみかかるような衝突しそうな雰囲気があるといった理由は見当たらず、過剰警備と感じる」と述べた。【岸川弘明、山下智恵】

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190717/k00/00m/010/336000c

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(第2話)
知事が「非国民」と非難される「気味悪さ」 秋田選挙区どうなるか(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月17日 13時35分(最終更新 7月17日 13時49分)

 秋田県の佐竹敬久(のりひさ)知事が「非国民」と非難されている。政府が秋田市に設置しようとしている陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」をめぐる防衛省のずさんな調査を批判したためだ。国の意向に異を唱えると非国民と呼ばれたのは戦前・戦中の話。その気味悪さは、与野党激突の構図となっている参院選秋田選挙区の情勢にも影響するのだろうか。【秋田支局/森口沙織・川口峻、統合デジタル取材センター/江畑佳明】

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https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190717/k00/00m/010/130000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/352.html

[政治・選挙・NHK263] ヤジ飛ばした男性、警官に囲まれる 大津で首相の演説中(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月18日20時30分

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190718004648_commL.jpg
参院選候補者の応援演説をする安倍晋三首相=2019年7月18日午後5時32分、大津市のJR大津京駅前、野平悠一撮影

 大津市のJR大津京駅前で18日、参院選の自民党公認候補の応援演説をしている安倍晋三首相(自民党総裁)にヤジを飛ばす男性を、警備の警察官らが会場後方で囲んで動けなくする場面があった。15日の札幌市のJR札幌駅前でも、首相演説時にヤジを飛ばした市民が排除されたばかりだ。

 安倍首相は18日午後5時過ぎ、JR大津京駅前にとめられた選挙カーの上で応援演説を始めた。男性は、首相の演説開始前からヤジを飛ばしており、5人ほどのスーツ姿の警察官によって、会場端の駅高架下のフェンスに押しやられた。男性はこのときも「安倍辞めろ」などと声を上げ、動こうとしたが囲んだ警察官らに止められている。

 滋賀県警の広報は18日午後7時前、朝日新聞の取材に「(大津京での事案は)聞いていない」と話した。

 15日の札幌駅前での市民の排……こちらは有料会員限定記事です。残り:284文字/全文:623文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7L661GM7LULFA03Z.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/378.html

[政治・選挙・NHK263] 毎日新聞只見席「ちょっとだけよ」 7/18 (デジタル毎日)

政治のモヤモヤすくい取る「れいわ新選組」 消費税廃止掲げるが…(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月18日 16時00分(最終更新 7月18日 18時30分)

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/18/20190718k0000m010154000p/6.jpg?1
「れいわ新選組」を率いる山本太郎さん=東京都品川区で2019年7月12日

 梅雨冷えの参院選も終盤である。メディアもあまり報じないけど、やっぱり気になる。山本太郎さん率いる政治団体「れいわ新選組」である。既存政党が幅を利かす中、報道各社の情勢調査を見ると、孤軍奮闘しているらしい。12日に東京・品川であった演説会を見に行った。【吉井理記/統合デジタル取材センター】

■因縁の地・品川
 品川、実は史実の新選組に縁がある。

 明治維新の端緒となった鳥羽伏見の戦い(1868年)で、薩摩・長州連合軍に敗れた新選組隊士たちが、大…

この記事は有料記事です。
残り2496文字(全文2716文字)
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190718/k00/00m/010/157000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/380.html

[政治・選挙・NHK263] <参院選>「一人でも投票に行くんや!!」 31歳芸人の動画、279万回再生(東京新聞)
東京新聞 2019年7月18日 夕刊

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/images/PK2019071802100266_size0.jpg
「若者の政治離れ」をテーマとした「せやろがいおじさん」の動画

 自身もかつては選挙に行かない若者だったという三十一歳のお笑い芸人が、若者に参院選の投票を呼び掛ける動画が、インターネット上で人気を集めている。参院選が公示された今月四日にツイッターに投稿した動画は、十八日午前までに再生回数が二百七十九万回を超えた。政治家が若者に届く言葉で政策を語ろうとしない「政治の若者離れ」を変えたい思いが配信の動機だ。 (村上一樹)

 「若者の政治離れもなにも、そもそも近づいたことが無いと思うねん」

 「それよりも、若者に近づいてもらうための工夫をした方がええんちゃうか」

 動画は、沖縄の海辺で赤いTシャツにふんどし姿のお笑い芸人「せやろがいおじさん」が、カメラに向かって語り掛ける場面で始まる。決めぜりふは「せやろがい」。関西弁で「そうだろ?」の意味だ。

 おじさんの正体は、奈良県出身で沖縄県を拠点に活動する榎森(えもり)耕助さん(31)。知名度を上げるため試行錯誤を重ね、昨年夏から「せやろがいおじさん」として時事問題や世間の風潮に物申すネタを動画サイト「ユーチューブ」やツイッターに投稿し始めた。

 今回のテーマは「若者の政治離れ」。離れる以前に、若者と政治の距離が遠いという問題意識だ。

 動画では、若者らに人気のショート動画配信アプリ「TikTok(ティックトック)」を例に挙げ「年配の方に『老人のTikTok離れ』って言うても絶対ピンと来(け)えへんやん。そんな感じ」と、若者と政治の距離感を表現する。

 一方、十月に予定される消費税増税について、困るのは所得が低い若者も同じだと指摘。「『俺が行かんくても一緒でしょ』じゃなくて、俺一人だけでも行くんや!」と呼び掛けた。

 ネット上では「人生で初めて、選挙に行こうと思った」などの多くのコメントが寄せられている。

 榎森さんは本紙の取材に「参院選には政権に緊張感を持たせる役割がある。動画を見た人はぜひ投票に行ってほしい」と話した。動画は「せやろがいおじさん 参院選」で検索できる。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/images/PK2019071802100267_size0.jpg
榎森耕助さん

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/CK2019071802000341.html

http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/381.html

[政治・選挙・NHK263] 警察が安倍首相の演説をヤジった人を排除したわけ 北海道警察の行為は「違法」。元道警警視長が緊急苦言! (朝日新聞社 論座)
警察が安倍首相の演説をヤジった人を排除したわけ 
北海道警察の行為は「違法」。元道警警視長が緊急苦言!

原田宏二 警察ジャーナリスト 元北海道警察警視長
論座 2019年07月18日 より無料公開部分を転載。

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自民候補の応援に駆けつけた安倍晋三首相=2019年7月15日午後4時58分、札幌市中央区

■選挙は警察の管理下で行われている

 札幌市中央区であった安倍晋三首相の参院選の街頭演説の際、演説中にヤジを飛ばした市民を北海道警の警官が取り押さえ、演説現場から排除したことが非難を浴びている。

 私は現職中に選挙違反事件を捜査する捜査第二課長や警察署長、方面本部長を務めた。その経験から、警察のやった排除行為は法律的な根拠を欠く違法な行為ではないかというのが私の結論だ。

 背景には、残念なことに、戦後74年たつというのに、未だに民主主義の根幹とされる選挙が警察の監視下で行われているという現実がある。

 朝日新聞によると、安倍首相はJR札幌駅前で7月15日午後4時40分ごろ、選挙カーに登壇。自民党公認候補の応援演説を始めた直後、道路を隔てて約20メートル離れた位置にいた聴衆の男性1人が「安倍やめろ、帰れ」などと連呼し始めた。

 これに対し、警備していた制服・私服の警官5、6人が男性を取り囲み、服や体をつかんで数十メートル後方へ移動させた。また年金問題にふれた首相に対して「増税反対」と叫んだ女性1人も、警官5、6人に取り囲まれ、腕をつかまれて後方へ移動させられた。

 いずれのヤジでも、演説が中断することはなかったとされている。

 道警警備部は取材に対して「トラブル防止と、公職選挙法の『選挙の自由妨害』違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」と説明したとのことだ。

 道警の言う自由妨害は、公選法225条にある。「交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき」と定められている。選挙の「演説妨害」について、1948年の最高裁判決は「聴衆がこれを聞き取ることを不可能または困難ならしめるような所為」としている。

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自民党総裁選最終日、安倍晋三首相の街頭演説中に「安倍辞めろ」の大合唱が広がった=2018年9月19日、東京・秋葉原

■「現行犯逮捕」でなければ何なのか

 私も動画と写真で確認した。

 「安倍やめろ」のヤジは、一国の総理に対する言葉としては無礼かも知れない。しかし、選挙演説にはヤジはつきものだ。この程度のヤジが自由妨害にあたる行為とはとても思えない。

 写真、動画で見る限りは、数人の男性が抱えるようにして取り囲み、自由を拘束している状況が明らかに見られる。これは自由を拘束しているのだから、私はてっきり「現行犯逮捕した」と思った。

 しかし、どうやら現行犯逮捕ではなかったようだ。逮捕ではないとしたら何なのか。

 考えられるのは、警察官職務執行法5条の「犯罪の予防及び制止」だ。「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞(おそれ)があつて、急を要する場合においては、その行為を制止することができる」とある。

 道警警備部の「『選挙の自由妨害』違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」という説明は「犯罪の予防のために警告した」という意味なのかもしれないが、声かけの内容は判然としない。

 では、自由を拘束する行為は何か。強いていえば犯罪の制止だろう。

 しかし、犯罪の制止は、「人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞(おそれ)があって急を要する場合」が条件だ。この現場にそうした状況があったとは思われない。

 今回、警察のやった排除行為は法律的な根拠を欠く違法な行為ではないかというのが私の結論だ。

 道警は批判が高まるなか、「公選法違反のおそれ」との説明を「事実確認中」と変えた。

 道警は7月16日の朝日新聞の取材には「トラブル防止と、公職選挙法の『選挙の自由妨害』違反になるおそれがある事案について、警察官が声かけした」と説明していた。西村康稔官房副長官は17日午前の記者会見で今回の問題を問われ、「(警察の対応は)公職選挙法の規定に基づいて適切に判断をされると考えている」と述べた。しかし同日に道警は公選法違反については「事実確認中」と見解を変えた上で、行為の法的な根拠については「個別の法律ではなくトラブル防止のため、現場の警官の判断で動いている」と説明。対応に問題がなかったのかとの質問には「今の時点ではない」と答えた。

 突然の説明変更は理解できないが、道警はおそらく先の説明では対応できないと判断したのだろう。

 警察庁の指摘もあっただろう。「個別の法律ではなく」というのは、道警警備部は、身体を拘束している事実は動画などから否定できない、警察官職執行法5条の制止も緊急状態にないから使えない、つまり、法的な根拠がないことに気が付いたのだろう。


■責任は下に下に

 警察官の職務執行は、具体的な法的な根拠、例えば、警察官職務執行法による職務質問、道路交通法による車両の停止などだ。

 しかし、実際には、警察は警察法2条(警察の責務)「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする」を根拠に「事実行為」と称して様々な活動を行っている。例えば、警察は犯罪捜査などに備えて、さまざまな個人情報を収集している。それも警察法2条を根拠に許されると説明している。

 しかし、そうなると警察は治安維持のためなら具体的な法的な根拠もなく何でもできることになる。しかも、警察法は警察の組織を定めた法律であり、警察官の権限を定めたものではない。無論、これを根拠に強制力を行使することはできない。

 「トラブル防止」という説明の意図も分かる。ヤジが公選法の自由妨害に当たるとするには無理があると判断したからだろう。多くの市民が集まる場所の事件・事故の防止活動は「雑踏警備」と呼ばれ、地域部門が担当する。

 しかし、今回の現場を指揮していたのは警備部門だ。警備部門というのは公安部門ともいわれ、かつての特高の流れを汲む。警備部門が乗り出してきたのは「安倍晋三総理の街頭演説に伴う警護活動」の一環と考えていたからだろう。

 現場には演説妨害を阻止する「制圧班」のほか、録音・録画の「採証班」、日ごろから政府批判を繰り返す人物に対する「監視班」、それにこれらを統括する「指揮班」が配置されていたに違いない。

 「通常の活動」とか「現場の警察官の判断で動いている」という説明も、こうした大規模な体制を組んでいたことを隠すためだろう。明らかに組織的にやった行為なのに、批判を浴びると現場の責任に転嫁する意図がみられる。

 道警裏金問題のときは、幹部はヤミ手当てを受け取りながらも、私的流用を認めなかった。「責任は下に下に」。現場のせいにして隠蔽しようとする体質は、裏金問題のときと同じで変わっていない。

■特高時代の代物の復活

 こうした警察のやり方をみると、戦前の行政執行法(明治33年)1条の予防検束「暴行、闘争その他公安を害する虞(おそれ)のある者に対する処分」が復活したような気さえする。「やりそうなやつの身柄を拘束してしまう」という特高時代の代物だ。

 3年前の参院選では、大分県警の別府署が民進党現職らの支援団体が入居する大分県別府市の建物の敷地内に無断で立ち入り、隠しカメラを設置して監視していたことが発覚した。これも法律的な根拠を欠く違法行為だ。

 警察は法律の執行機関として、誰よりも厳しく法律を順守する姿勢が求められると思う。しかし、残念ながら警察内部には「治安維持にためなら多少の違法行為は許されるのではないか」という誤った風潮がある。GPS捜査が最高裁で違法とされたのはその典型だ。

 最近、共謀罪のようにそれまで犯罪ではなかった市民の行為が犯罪とされる法律ができたが、こうした警察内部の風潮が一層強くなっているのではないかと思わざるをえない。

 私は演説を聴きにきた人がヤジを飛ばすことも選挙への参加のひとつの形態だと思う。ヤジを飛ばすというのは政権に対する一つの批判行為かもしれないけれども、札幌の人にとっては首相に対して直接抗議する唯一の場、選挙に参加する行為ともいえよう。

 品があまりよくないかもしれないが、有権者がヤジも飛ばせないような選挙は民主主義の選挙ではないと思う。

 警察が過剰な警備で市民を選挙から「けしからん」と一方的に排除するのは民主警察のやることではない。

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公開中の映画「新聞記者」には内閣情報調査室が登場する ©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

■警察は政治的に中立でありえない

 それは警察と選挙取り締まりの仕組みに関係があると私は考えている。 ・・・ログインして読む
(残り:約954文字/本文:約4575文字)

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[政治・選挙・NHK263] 密着・れいわ新選組 in 福島(写真特集)(長周新聞)
長周新聞 2019年7月18日

 山本太郎率いる「れいわ新選組」は18日正午、福島駅前で街頭演説をおこなった。東日本大震災と原発事故から8年を経てもなお原発によるさまざまな影響に晒されつづけ、鋭い意識が渦巻く福島県民との真剣な意見交換もおこなわれた。元東電社員の蓮池透候補(全国比例)もマイクを握った。原発被災地における被災者支援、郷土の復興、さらに原発政策をめぐる国政の問題について旺盛な論議がくり広げられた。

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/12333
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/384.html

[政治・選挙・NHK263] 密着・れいわ新選組 in 宇都宮(写真特集)(長周新聞)
長周新聞 2019年7月18日

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 れいわ新選組は18日午後3時30分から、栃木県の宇都宮駅前で街頭宣伝をおこなった。小雨の降るなか、年配者から子連れの親、高校生、中学生などの若い世代まで幅広い人たちが西口デッキに集まり、代表の山本太郎の訴えを真剣に聞き入った。消費税廃止をはじめ、人人を貧困に陥れながら大企業の利益を優先する自・公政府と「空気を読まずに」対抗する新勢力を国会に送り込むため、ともに行動することを呼びかけると声援が飛び交い、「一人の議席を温めるのではなく、集団としてたたかえる勢力をつくり、本気で政権を奪いに行く。そのために組織票に依存することなく、みなさん一人一人の力を横に繋いでいく」というビジョンにはひときわ強い拍手が沸いた。演説後は、「太郎」コールがわき起こり、握手を求める人たちが殺到した。

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https://www.chosyu-journal.jp/shakai/12351
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/385.html

[政治・選挙・NHK263] 書ける理由と書けない理由(長周新聞 コラム狙撃兵)
書ける理由と書けない理由
コラム狙撃兵
長周新聞 2019年7月19日

 「大手メディアがれいわ新選組の活躍を黙殺しているなかで、どうして山口県に拠点を置いている長周新聞は1面トップで自由に報道できるのか知りたい」との問い合わせがメールや電話等で相次いでいるので、丁寧にお答えしたいと思います。

 長周新聞はいかなる権威に対しても書けない記事は一行もない言論機関であると宣言し、今日までその立場を貫いてきました。社会全体にとってよくないこと、社会悪であると判断した物事については誰にも遠慮せずに批判を加え、称揚すべきはおおいに称揚し、書くべきことは書く。それが長周新聞の生命線であると考えています。不自由さに縛られ、口にてつをかまされた馬のように語るべき何らの機関もない、いいたいこともいえないがんじがらめにされた世の中にあって、人間が自由にのびのびと精神を解放し、戦争も貧困も搾取も抑圧もない豊かに暮らしていける社会を実現するために、言論機関として役割を果たさなければならない−−。そのために人と人をつなぎ、協力し、団結できるすべての力とのつながりを求め、発信し続けることが使命であると考えます。

 なぜ権力者や巨大な資本に遠慮しないで好きなことが書けるのか? それは、彼らから金銭的に何ら世話になっておらず、遠慮する必要がないというのが一番の理由です。創刊以来、困難な経営状態には変わりありませんが、一人一人の読者の皆様から頂く1カ月1500円の購読料、そして夏と冬に山口県中を走り回って読者や支持者の皆様にお願いして頂くカンパ、「もっとがんばれ!」といって全国から支持者の皆様が寄せて下さるカンパ、さらに中小零細企業や商店、病院をはじめとした方々に協力して頂く年賀・暑中見舞い等の広告料のみに依存し、巨大な組織や団体などのスポンサーに依存することなく運営しています。それは金銭的な困難さこそあれ、スポンサーの顔色を伺って書くべきことが書けない、あるいは銀行を通じて圧力が加えられるというような状態を排除し、紙面への介入を許さないためには避けられない選択です。自由に書くべきことを書く言論活動の最大の保証でもあります。嘘偽りなく読者・支持者の皆様に支えられ、守られ、存在しているのが長周新聞社の現実です。

 世の中、なにをするにもおカネは必要となり、カネが人を支配し、企業を支配し、かつては無冠の帝王などといわれたジャーナリズムといえども支配されます。背に腹は変えられない状態で安易に身を委ねてしまうと、次の瞬間から忖度をはじめ、いいたいことの一つもいえなくなり、書けなくなってしまいます。そうして武器であるペンを折って軍門に降ってしまい、いまや足腰が立たなくなるほどジャーナリズムが堕落してしまっています。喜んで権力者から寿司を奢ってもらうような者までがジャーナリストを名乗っている始末です。口に鉄をかまされた馬ならぬ、口に寿司をかまされたジャーナリストとでもいうのでしょうか。

 どうして報道できるのか? と聞かれて思うことは、巨大メディアはどうして報道できないのか? という裏返した問題です。それはスポンサーや電通に頭が上がらないからであり、擁護している対象が権力者や資本だからにほかなりません。私たちはそのように金銭的に支配しようとする力や誘惑を断り、逆を行くかわりに、この目で見たれいわ新選組の台頭や日本社会の変化についてあるがままを自由に報道したいと考えています。「誰にも何も伝えない」ジャーナリズムもどきに成り下がるのではなく、「みんなにすべてを伝えたい」を選択します。その違いは、私たちが守るべきは困難な状況に置かれた民衆であり、弱者であり、それが創刊以来脈々と引き継がれてきた信念だからです。 武蔵坊五郎

https://www.chosyu-journal.jp/column/12372
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/412.html

[政治・選挙・NHK263] もうひとつの選挙戦 SNSの勢いは投票につながるか(朝日新聞)
フロントライン
もうひとつの選挙戦 SNSの勢いは投票につながるか
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004154_comm.jpg

朝日新聞デジタル 2019年7月20日05時00分
笹川翔平、山下剛、編集委員・須藤龍也


 もう一つの戦いが、そこにある。手のひらのスマートフォンのなかに。

 なまはげ。秋田犬。秋田名物の映像に安倍晋三首相(自民党総裁)の演説の声がかぶさる。「秋田県にはあきたこまち。とってもおいしいお米がありますよね」

 自民党は、参院選で首相が応援に入る選挙区ごとに政権の実績をPRする動画を作成している。「攻めの農政を続けてきた結果、農林水産物の輸出、6年連続過去最高を持続してきました」

 こうした動画を首相は自身のツイッターやインスタグラムなどSNSで配信。それに候補者が「応援に勇気づけられました」とコメントをつけてリツイートすれば、首相もまた「最後まで全力で頑張って」と返す。

 政党の幹部や候補者と有権者とがSNSで直接つながることができる時代なのだ。

 選挙カーが候補者の名前を連呼し、候補者が街頭でマイクを握る。事務所から投票を呼びかける電話をかける――。こうした従来型の選挙手法に加えて、各党はネット選挙、とりわけSNSに力を入れる。

 政党が発するメッセージに、SNSの利用者が応えるかたちをつくるのに「成功」したのが、立憲民主党だ。

 2017年の衆院選直前、枝野幸男代表がツイッターで「#枝野立て」と励まされたのが結党の原点でもある。今回の参院選でも、「#令和デモクラシー」「#この夏わたしは変えたい」などハッシュタグ(#)をつけて、SNSでの拡散を意識したテーマで街頭演説をしている。

 「昭和の時代の遺物から令和の新しい政治へ変えていく。あなたの力が必要です!」枝野氏が放つ決めぜりふに反応した支援者の動画が、またスマホを通じて拡散していく。

 他党も、若者に人気の15秒間の動画投稿ができるSNS「TikTok(ティックトック)」にアカウントをつくったり、動画を配信したりと多様なSNSサービスの特性を生かし切ろうと必死だ。

 国会の現有議席は少なくとも、SNSの世界で圧倒的な存在感を発揮しているのが、政治団体「れいわ新選組」だ。

 12日と19日に候補者がそろった街頭演説「れいわ祭」を開催し、「#れいわ祭」は一時トレンドワード入りした。山本太郎代表(参院議員)は街頭演説で聴衆に呼びかける。「好きな角度から写真を撮って、勝手にSNSにアップしていただければ。ご自由にご拡散などをしていただければ」

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004166_commL.jpg
近づいてきた党首をスマートフォンで撮影する男性=JR名古屋駅前(画像の一部を加工しています)

 ネット選挙によって、有権者は全国どこにいても候補者の訴えを動画で視聴することができる。組織のない団体でも、ツイッターやフェイスブック、ユーチューブ、ウェブサイトとネットをフル活用し、支持の浸透を図ることが可能になった。

 では、こうしたSNSでの活動はどのように拡散し、どこまで届いているのか。

 興味深いデータがある。SNSによる選挙戦の「勢い」分析だ。

 参院選公示日の4日から17日までにツイートされた、各政党に言及した内容(計906万件)を集計すると、最多が自民の277万件(30%)、次いでれいわが159万件(17%)となった。共産党が144万件(15%)、立憲106万件(11%)と続いた。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004415_commL.jpg
ツイッターに見る各政党の勢い

 朝日新聞社が電話で有権者に聞いた序盤情勢調査では自民、公明の与党が改選議席(124)の半数を大きく上回る勢いで、れいわは立憲、共産からも水をあけられているという集計結果だったにもかかわらず、だ。

   電話調査でつかむ「地上戦」と、SNSの「空中戦」でみられるこの違い。
   秘密はどこにあるのだろうか。膨大なツイッターの中身を分析すると、
   カギが見えてきた。「拡散力」と「インフルエンサー」の存在だ。

 朝日新聞は全世界のツイッターを収集し、分析する英ブランドウォッチ社のソーシャルメディア分析システムを使い、各政党に関するツイートを調べてみた。

 実は、ツイッターなどSNSは、投稿された件数を数えるだけでは勢いを推し量れない側面がある。ポイントは「拡散力」と「投稿者」だ。1件のツイートがリツイートされ、それをまたリツイートをされ……を繰り返し、最終的にどのくらいのアカウントまで広がったのかを把握することで、本当の影響力を見ることができる。

 まずは、SNS上で圧倒的な存在感を発揮しているれいわ。157万件のツイートで最も拡散したのは、れいわの公式アカウントが7月10日に投稿した「あなたがいなきゃ、この国は始まらない」。

 これは5947件(18日現在)のリツイートを起点に、最終的には474万アカウントにまで届いたと推計される。公式アカウントは17日までに計293件のツイートをし、のべ1億7356万アカウントに届いたとみられる。ツイート数も届いた推計アカウント数も、分析対象となったアカウントの中で圧倒している。

 こうした拡散力を持った投稿ができるアカウントを、SNSの世界で「インフルエンサー」と呼ぶ。れいわに関するツイートで、インフルエンサーの上位10アカウントをみると、思わぬ名前を見つけた。動画サイト「ユーチューブ」の公式アカウントだった。

   インフルエンサースコアとは、リツイートやメンションによって拡散した
   そのアカウントのツイート件数が、抽出したツイート全体に占める割合を
   点数化したもの

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004416_commL.jpg 自民
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004789_commL.jpg れいわ
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004793_commL.jpg 共産
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004858_commL.jpg 立民
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190720000100_commL.jpg 維新
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004856_commL.jpg 公明
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004869_commL.jpg N国
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004870_commL.jpg 社民
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190719004871_commL.jpg 国民

 ユーチューブは再生数がうなぎ登りの注目動画があると、公式アカウントが自動的に紹介する仕組みを採っており、これに街頭演説の動画が複数含まれていた。

 ユーチューブの公式アカウントで紹介されたのは、分析によればれいわともう一つ、政治団体「NHKから国民を守る党」だけで、主要政党を上回る勢いを見せた。両団体はいずれもネットを使った選挙運動に力を入れており、その結果が反映されたと言えそうだ。

 さらにインフルエンサーの上位10アカウントを見ていくと、他党に関するツイートと大きく異なる傾向があった。れいわに批判的なスタンスを持った投稿者が見当たらないのだ。

 対照的だったのは、最多の277万ツイートだった自民。インフルエンサーの上位10アカウントは自民に批判的な人たちで占められ、トップは前川喜平・元文部科学事務次官だった。「アベ自民党を支持する若者たちへ」とした7月8日の投稿は、1万2千強のリツイートを起点に、824万アカウントに届いたと推計された。

 その中で唯一、自民を支持するツイートは、安倍首相の公式アカウントのみ。「我々自民党は最後まで、誠実に訴えていきたいと思います」とした公示日4日のツイートがトップ10に入った。首相アカウントは145万超のフォロワーを抱え、党首のなかで最も多い。

 自民と似た傾向は、144万ツイートの共産党にも言えた。トップは志位和夫委員長、日本共産党の公式アカウントと並ぶが、その後は自民を支持する立場のネットメディアや、経済評論家の上念司氏ら、共産を批判する投稿者が目立った。

 トップインフルエンサーが個人アカウントだったのが、106万ツイートの立憲だ。このアカウントは普段から、共産や立憲を激しく批判するツイートで知られる。今回の投稿は特定候補に対するネガティブキャンペーンといえるもので、2万2千以上のリツイートを起点に、1271万アカウントに届いたと推計される。今回分析した全ツイートの中で2番目に拡散した投稿だった。

 ネット選挙では有権者による落選運動が認められている一方で、名前を偽って発信をしたり、候補者に対する悪質な誹謗(ひぼう)中傷をしたりすることは禁じられており、問題視される可能性もありそうだ。

 今回最も拡散したツイートは、N国に関する投稿をしたトップインフルエンサーの個人アカウントだった。政見放送でかぶり物をしたり、派手なパフォーマンスをしたりした候補者の写真を集めたもので、4万4千以上のリツイートを起点に、1816万アカウントに届いたと推計された。

 問題は、こうしたSNSでの活動が、実際の票につながるのか。各党ともこうした懸念を抱いているからか、若者に投票にいくよう呼びかける投稿もまた盛んだ。

 れいわの山本氏は公明党の支持母体・創価学会の活動を念頭に街頭でこう呼びかけた。「携帯電話のアドレス帳に入っている友人、親戚、いろんな方に電話をしてください。何とか学会がやっているような横に広げていくということを私たちがやらなきゃ」

 現状では、SNSの空中戦だけでは、フォロワーを実際に投票所に足を運ばせられるかどうかは計れない。だから陣営は、握手や人脈といった地上戦との「ハイブリッド」で選挙戦を戦っている。

 ただ、10年、20年と時間が経ち、生活の中にネットが当たり前のように浸透する層が社会の中心をなした時、選挙の状況は一変するかもしれない。

https://digital.asahi.com/articles/ASM7L7F3NM7LUTIL05K.html?rm=1367
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/421.html

[政治・選挙・NHK263] 「政治なんて関係ない」と距離を置いていると、いずれみずからの首を絞め、人間としての最低限の思いやりと想像力が欠如している「強い人たち」に与することになる。・・・亥年選挙の年に大阪で思う(後編) (朝日新聞社 論座)
亥年選挙の年に大阪で思う(後編)
大阪市議選にかかわって気づいた「大阪の教育」の危うさ

岩城あすか 箕面市立多文化交流センター 館長
論座 2019年07月20日


 2019年は12年に一度の「亥年選挙」の年。

 これまで自分は政治の世界は関係ないと思っていたが、「政治をもっと生活の近くに」と、友人が大阪市議会議員選挙に臨んだことから、手作りの選挙運動にかかわった。(『亥年選挙の年に大阪で思う(前編)』https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019071500001.html参照)

 残念ながら当選はかなわなかったが、選挙戦本番までに「まちおこし」「子育て」「女性の生きづらさを支える法的環境」など、政治を身近に考えるさまざまな勉強会をもったことで、大阪でおきている現象の「まやかし」が見えてきた。

■大阪の教育を通して「強い政治」の中身が見えてくる

 とりわけ考えさせられたのが、「大阪の教育」について。私自身、中学生の子を持ちながらよく知らなかったのだが、大阪府内の中学生を対象に実施されている「チャレンジテスト(=大阪府中学生統一テスト)」の仕組みには心底驚いた。

 3年前の2016年から実施されているこの統一テストは、結果を内申点に直結させるもので、自治体独自のテストを高校入試に結びつける手法は、全国でも他に例がないという。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019071500002_4.png
大阪教育文化センターのウェブサイトhttps://osaka-kyoubun.org/archives/1530から。以前は中3の成績(9教科)だけが、10段階の「相対評価」として内申点に反映されていたが、2016年度より入試制度は大きく変わった。

 5教科 (中1は3教科) のみの学力テストの成績が、4教科(音楽、体育、技術家庭科、美術)も含めた内申に影響を与えるという不条理さを感じるが、最もおどろいたのが、中3のテストは「団体戦」だということ。

 1、2年生で受けたテストは「個人戦」(=自分の取った点がそのまま内申に結び付く)であるのに、3年生のテストの結果は、生徒たちの成績結果によって中学校ごとに「評定平均値(以下、評定値)」が決められ、それに基づいて生徒の内申点が割り振られるという。

 下図左の学校のように、評定値が高い中学校では、一定以上の点数を取れば、5段階の「5」をつけられる生徒が多くなるが、評定値が低い右の学校の生徒は、ほかの生徒の平均値が大幅に下がってしまうため、たとえ99点だったとしても、「5」をつけづらくなり、結果として入試に不利になるおそれがある。(いっぽうで、評定値の高い中学校に通う得点の低かった生徒は、低い学校と比べて高い点をつけてもらえる可能性もある)

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大阪教育文化センターのウェブサイトhttps://osaka-kyoubun.org/archives/1530から一部修正)

■「相対評価」は競争原理を激化する

 ちなみにこのテストは、2016年度から大阪の入試制度における内申点のつけ方が、「10段階の相対評価」から「5段階の絶対評価」へと切り替わったのと同時に始まったという。

 「相対評価」は一つの集団内での比較となるため、結果のバラつきも出にくく、評価される側にとっても、評価者によって大きな偏りが生じづらくなるというメリットがある。集団内での競争原理もよりはたらくそうだ。ただし、個人が自分なりの目標を達成しても、それと同等か僅かに超える結果を出した生徒がいれば、相対的に評価が下がるというデメリットもある。つまり、評価はしやすいが、合理性を欠いた評価になってしまう可能性がある。

 概して、学力テストの結果が良いかどうかは、子どもを塾に行かせることのできる「親の経済力」の差によるところが大きい。経済的に厳しい世帯の多い地域の中学校の評定値は、そうでない地域よりも低くなる傾向にあり、統一テストで同じ点をとっていても、所属する中学校の評定値によって内申点が変わってしまうおそれがあるのは問題だ。

 また昨年、「学力テスト」の結果を公表したいとの意向が大阪市の吉村市長から示されたが、これは学校間格差を浮き彫りにし、百害あって一利なしの「メリットペイ(結果を教職員の給料に反映させること)」に悪用されるおそれがある。(鈴木大裕さんの論考『日本の公教育の崩壊が、大阪から始まる』『私は娘に全国学力調査を受けさせない』をご覧いただきたい)

■民間委託の闇

 さらにこのチャレンジテスト、「国語」は記述式の問題がとても多いのに、テストの得点結果は非常に高いそうだ。勉強会では、「記述式問題の多いテストは通常、平均点が下がるのに、チャレンジテストではなぜか平均得点が高くなって不思議。ちゃんと内容を読み込んで採点されているのだろうか」と疑念を口にする先生もいた。

 私は国語で「記述式」が多いということに危惧をおぼえた。外国ルーツの子どもたちや、文字を書いたりまとめたりするのが苦手な発達障害を抱える子どもたちは、「〇〇字以上〇〇字以内で記述せよ」という設問が一番困るからだ。もし空欄がそれなりに埋まっているだけで点がもらえるとしたら、書けないハンディはより大きくなってしまう。

 テスト結果については、項目ごとの点数が記載されたレーダーチャート型の評価シートが返却されるだけで、どの設問をどう間違えたかのフィードバックは一切なく、まったく答え合わせはできないという。(ちなみに今年の3月、ある生徒が2018年9月に実施された中3テストの結果を府庁に開示請求したところ、「11月に委託業者が契約に基づき現物を溶解処分したので、原本は存在しない」と説明され、後日「不存在による非開示決定」通知を得たという)

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大阪府のホームページより、昨年の中3テストの結果概要http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/24765/00307563/3_0_kekkagaiyou.pdf

■管理者目線の教育が子どもをゆがめる

 勉強会では「『おれ頭悪いから、明日のテスト休もうかな』と話した生徒に、教室中から拍手がわきおこった」とか、「成績が悪い生徒に、『明日休んで良いよ』」と先生が声掛けしていた」など、学校現場にあるまじきエピソードが伝えられた。

 子どもの学力を、年1回の、しかも外部の民間業者に委託したテストに大きくウェイトをかけて測る現在のやり方は、監理する側からは好ましいのかもしれないが、生徒の側からみると、まったく教育的効果がないのではないか。

 以前の入試制度であれば、体育や音楽の成績が抜きん出ていたり、まじめにコツコツ提出物を準備した生徒も、高い内申点を得られる可能性があったが、あまりにも5教科テストのウェイトが大きくなっている。

 学力テスト偏重主義の傾向は、大阪府内の進学実績上位10位校を「グローバルリーダーズハイスクール(GLHSと略されている)」に認定し、予算を多く配分して大学受験まっしぐらのカリキュラムを組む教育にも反映されている。学校現場に多様性が失われ、勉強だけできる生徒だけを集めても、これからの社会を生きる力は養われないと思う。

 大阪の教育現場の姿を知ってショックを受けた私は、いろいろなところで友人たちにこの話をしてみた。教育関係に詳しい彼女/彼らはこのシステムをよく知っていて、「なんで大阪だけそんな変なやり方をするのかと、他の地域からはあきれられてるよ」と言う。大阪の“ガラパゴス化”を痛感した。

■「強い政治」は人を幸せにできるか?

 他にも「府市の二重行政を解消する」という名分で「住吉市民病院」が閉鎖されたが、そもそもきちんと役割分担をしていたので二重行政になっていなかったという指摘もある。「2つあるものは1つにすれば無駄がなくなる」という単純な発想で府大と市大の統合が進められるなど、対話無視の強硬策ばかりが大阪では目につく。

 2018年4月に民営化された「大阪メトロ」では、津波浸水対策工事の予算を削りつつ「増収増益」を誇っているが、いざというときどう責任を取るのだろう。

 また、近年の失業率の低下も喧伝されているが、より大事なのは「雇用の質」だ。

 たとえ就職できたとしても、非正規で最低賃金すれすれの長時間労働、労基法違反やパワハラなどが横行すれば、生活の質は悪化する。建築業界や施設管理などの業界では、大幅な価格破壊を繰り返した入札が相次ぎ、深刻な人手不足に陥っている。大阪では身動きが取れなくなったので、ある建築関連の企業が関東方面へ進出しようとすると、「大阪の企業は相場を破壊するから出入り禁止」と閉め出しをくらっているとも聞いた。

 安易な民営化と価格だけを重視した入札の実施。「今だけ、金だけ、自分だけ」の、浅はかで持続可能性のない政策の悲惨な末路のあおりを食うのは、私たち住民だ。

 政治の役割は、税や予算の分配で、弱いものがより弱いものを抑圧する、グローバル資本主義の弊害を少しでも軽くすることだ。うわべだけの「効率」や「生産性」を重視するやり方では、超高齢化社会のなかで、ますます社会不安は増大する。

 「身を切る改革」よりも大切なのは、「対話」を通して「あるものを活かしないものを創る(by世田谷区長の保坂展人さん)」こと。少なくなり続けるパイを競争して奪い合うのではなく、あるものを少しずつ分け合って新しい関係性を築いていくパラダイムシフトが望まれている。

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劇団「態変」の最新作「箱庭弁当」のワンシーン。子どもが食べずに廃棄した弁当のおかずたちがごみ箱から逃げ出し、助けを得ながら冒険するファンタジーだ。2019年6月、伊丹アイホールにて。撮影:bozzo

■生産性でひとを測るな!〜イノベーションのヒントは脱優生思想

 日本社会は、成長期をとっくに終え、長い成熟期に入っている。しかしながら、いまの政治は、スカイツリーにオリンピック、万博まで招致するなど、いまだに発展途上型の経済成長を夢見ているようだ。

 今後日本がイノベーションをおこすなら、世界の最先端を行く超高齢化社会を迎える中で、今まで培われてきた社会資源をシェアしながら「生き合う」システムづくりとノウハウを売りにするしかないと思う。

 「生産性」でひとを分断、競争させ、排除をあおる図式には一切のらず、ベーシックインカムも試したらよい。少なくともいまの政治が変われば、もうちょっとましな社会になると思うが、私たちがこの悪循環から抜け出せる道をみつけるのが先か、もろとも崩壊するのが先か。まさに瀬戸際だ。

 この4月から、入管法改正に伴い、入管庁に初めて外国人受け入れに関する担当部局が置かれ、全国で13名(少ない!)の専門官が配置された。一方で、同じ組織の茨城県牛久市にある東日本入国管理センターでは、27人がハンスト中だ(ロイター記事)。6月には長崎県の大村入国管理センターでハンストをしていたナイジェリア出身の男性が死亡したという(毎日新聞記事)。

 かつて大阪府茨木市に西日本入国管理センターがあった頃、UNHCRの職員とともに、被収容者のクルド人男性の面会通訳をしたことがある。仮放免で1か月に1回出頭する生活が何か月も続いていたが、ある日出頭したら、なぜか即再収監されることになった。ちょうど妻が来日したばかりで、施設内のロビーで待たせていたため、「せめて彼女に収監されたことを伝えさせてほしい」と言ったが、一切取り合ってくれなかったという。日本語がまったく通じず、一人でバスや電車にも乗れなかった彼女は、閉館まで何時間もひとり待ち続けたそうだ。名古屋や大村、西日本の各施設でどのような暴力を受け、いじめにあったのかも聞いた。

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在留資格のない外国人らが収容されている東日本入国管理センター=茨城県牛久市

 長期収容や虐待がまん延している状況は、現在も一切変わっていないようだ(むしろ悪化しているのではないか)。オリンピックで「おもてなし」に力を入れようとする一方で、外国人との共生を図るための総合的対応策の総額(150億円)以上の「不法滞在者への対策費(157億円)」が今年度は予算計上されている。やはり、同じ組織で「受け入れ」と「取り締まり」という、相反する業務を担うのには無理があるのではないか。

 オーバーステイになったからといって、非人間的な仕打ちをして良いはずなどない。技能実習生も、著しく尊厳を奪われている状況が改善されないまま、新たに「特定技能」の外国人労働者を働かせようとしている。同じ人間なのに、国籍や障碍の有無、性別や働き方などで線を引き、優劣をつけることがまかり通る社会は異常だ。

 7月26日で、相模原の障碍者大虐殺事件から3年を迎える(『相模原障碍者大虐殺事件 劇団態変の闘い』)。原発事故で「底が抜けた」と思っていたが、さらなる奈落に私たちは落ちてしまった。「家族の意向」という理由で、殺された19人の名前はいまだ公表されないままだ。

 昨年は三田市で重度の知的障害がある長男を25年以上監禁していた事件が発覚。今年は川崎市登戸の児童殺傷事件や、練馬区で父親が息子を刺殺する事件もおこったが、すべて7.26の延長線上にあると感じている。世界でも類をみない凶行を、このまま風化させてはいけない。

 7月26日の夕方は、大阪で毎年有志による「相模原追悼アクション」がおこなわれるので、大阪近辺の方はぜひ参集いただきたい。(18時から、梅田ヨドバシカメラ前で開始、献花台も設ける予定。その後19時半にはHEP FIVE前でアクションもする)

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写真は2018年7月26日の追悼アクションの様子(写真提供:TETSUYA FUCHIGAMI)。神戸でも、「リメンバー 7.26 神戸アクション」の呼びかけによる追悼デモが行われる。(午後4時 西元町きらら広場集合→4時15分 デモ出発→5時45分 三宮東遊園地到着→6時 解散)http://u0u0.net/RYdN(障碍者を殺すな7.28追悼デモ)

■あきらめずに投票を

 今回、友人は惜しくも落選したが、本人及び支える人たちの決意と覚悟は半端ではない。社会の不条理に対して見て見ぬふりをせず、自らできるところから関わり始めた動きは、どんな「組織」よりもしなやかな強さがある。

 大阪市では、都構想をめぐって、来年にも2度目の住民投票がおこなわれる。前回の投票では、在日外国人は投票の対象外となったことを受け、友人の選挙区から有志があつまり、「今回こそは投票権獲得を」と、新たな運動がはじまっている。

 「政治なんて関係ない」と距離を置いていると、いずれみずからの首を絞め、人間としての最低限の思いやりと想像力が欠如している「強い人たち」に与することになる。

 参院選の最終盤。今回の選挙は右や左のイデオロギーではなく、世の中の格差、分断がこのままでよいのか、人に対する尊厳を、国籍や働き方(正規か非正規か)などで線引きをしてよいのか、ということが問われていると思う。

 制度的に直接声を伝えられない人がいるということを肝に銘じて、選挙権のある人は投票へ行ってほしい。

 以下、私が薦める「参院選関連おすすめ参考サイト」である。

■若い人必見、「せやろがいおじさん」の動画をぜひ見てほしい。
今回選挙を手伝って感じたのは、「そもそも政治にまったく関心がない」人が相当数いる、ということ。共通の回路が開かず大変な思いをしたけれど、若い人たちに特に見てほしい。
https://www.youtube.com/watch?v=3cI-JRRjxKs&feature=youtu.be

■移民政策についての政党アンケート・政党からの回答(NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク)
https://migrants.jp/news/voice/20190703.html

■【2019参院選】有権者ではない日本社会の一員「外国人」のことどう見てる?ー外国人関連公約・政策比較?ー外国人関連公約・政策比較(田中宝紀 | NPO法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部責任者)
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaiki/20190708-00133315/

■参議院選挙2019〜立候補(予定)者への人権意識アンケート調査〜(国際人権NGOアムネスティ日本)
https://www.amnesty.or.jp/campaign/election2019/

■毎日新聞ボートマッチ えらぼーと 2019参院選
質問に答えるだけで、自分の考えに近い立候補者や政党がわかるので参考になる。
https://vote.mainichi.jp/25san/

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019071500002.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/422.html

[政治・選挙・NHK263] 選挙なのに、この気味の悪い静けさは何だ (マガジン9)
こちら編集部
選挙なのに、この気味の悪い静けさは何だ

2019年7月17日
By マガジン9編集部


 朝、NHKを見ていたら、ニュース速報が流れた。「なにごと?」と見れば「ハンセン病患者家族訴訟、控訴せずと、安倍総理が決断」みたいなテロップが。あれ? 今朝の新聞の見出しでは「控訴へ」となっていたけれど……。テレビ画面は「総理大臣の緊急発表」へと画面が切り替わり、「人権に配慮した総理の異例の政治判断」をライブで伝え、スタジオの記者は「安倍さん、よくぞ決断しましたね」的なコメントを、大まじめに流す。ああ、またか……。

 テレビはこういう「印象操作」は平気でやるが、参議院選挙を巡って街頭やネット上で何が起きているかは、まったく報じない。「れいわ新選組」が、3億を超える寄付を集めたこと、候補者の異例の顔ぶれと意表を突く選挙戦略、街頭演説の熱気など、それ自体が事件であり、社会現象であり、ニュースそのものじゃないか。ワイドショーネタとしてもおもしろく、視聴率がとれること間違いなし。なのに、れいわの“れ”の字も山本太郎の“や”の字も出さないと、ダンマリを決め込んでいる。政党要件を満たしていないから? 横並びの暗黙の協定? 自粛、忖度、同調圧力?

 どこのチャンネルも各党の政策一覧、比較のような解説はやるけれど、テレビならではの生き生きとしたライブ映像がない。素顔が見えず肉声が聞こえず、熱気も伝わらない。押し黙ったようなこの静けさは何なのだ。気味が悪い。

 そのくせ「どこよりも早い当確」を競う開票特番の番宣はうるさいくらい。特番ではきっと密かに撮りだめた「れいわ」がらみの映像を一気に放出するのだろう。終わってからでは遅い! 放映するのは、今だろう!

 選挙は祭りだ。テレビのキャスターはスタジオを飛び出し、街頭演説の輪に飛び込んで、候補者や聴衆にマイクを向け、編集なしで肉声を伝えて欲しい。

 昔のテレビはもっと勢いがあった。あくまで私個人の記憶だが、久米宏や筑紫哲也が現役だった頃のニュース番組では、選挙ともなればお祭り騒ぎだった。硬軟取り混ぜ、さまざまな角度から争点を俎上に載せ、候補者を追いかけた。スタジオは喧々囂々、自由な意見が飛び交った。政党要件を満たしていようがいまいが、泡沫候補であろうが、おもしろおかしく取り上げた。オウム真理教の奇っ怪なパフォーマンスが広く知れ渡ったのもテレビを通してだった。良くも悪くもそれは政治ニュースという枠を超え、エンターテイメントとして大いに楽しめた。もうすぐ選挙だというザワザワした空気は、主権者ひとりひとりに染み渡っていたと思う。

 テレビ離れと言われるが、それでも世の中の空気を作るのにテレビの力は圧倒的だ。ネットの中でいかに盛り上がろうと、パソコンやスマホにうとく、新聞・テレビしか見ない人は、「れいわ」の存在すら知らない。投票率と自民党の議席数は逆比例するとか。主権者の半分近い無党派層が「今度の選挙、おもしろそう」と思えば、世の中変わる。

(田端 薫)

https://maga9.jp/190717-3/
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/423.html

[政治・選挙・NHK263] WTOの裁定で解決を!悪化する一方の日韓関係  「報復」を即時撤回せよー朝日新聞社社説は良識だ(リベラル21)
WTOの裁定で解決を!悪化する一方の日韓関係
「報復」を即時撤回せよー朝日新聞社社説は良識だ

2019.07.19
坂井定雄 (龍谷大学名誉教授)


 悪化する日韓関係。日本政府は7月1日、韓国向け輸出の規制を強めると発表し、一方的にその実施に着手した。規制の対象となるのは、スマホやテレビの電子部品、半導体基板に塗る感光材、半導体洗浄に使うフッ化水素など3品目、すべて、韓国の高度な電子部品・製品の生産に不可欠な原材料。国際的に日本のシェアが大きく、韓国も、日本からの輸入への依存度が大きい。日本は輸出をスムーズにするため、2004年に指定した韓国をはじめ、米国など27か国を安全保障上問題がない「ホワイト国」に指定、軍事転用が可能な技術や製品の輸出手続きを包括的に実施し、個別審査を簡略化するなど優遇してきた。

 今回、日本政府は、一方的に韓国を「ホワイト国」から外した。そのため韓国への輸出手続きが個別の審査となり、日数がかかるうえ、不都合な障害が起こりかねない。政府はこの制裁措置について、韓国政府に対応を求めていた諸問題が、大阪での20ヵ国首脳会議までに解決しなかったことを理由の一つに挙げた。それは、韓国最高裁判所の元韓国人徴用工らへの損害賠償判決への対抗措置で、報復ではないと否定はしたが、「韓国との信頼関係のもとで輸出管理に取り組むことは困難だ」(西村官房副長官)と説明した。日韓の主要メディアはすべて、徴用工問題への対抗あるいは制裁措置だと報道した。その後、両国政府は、事務レベルの協議を行ったが、まったく進展せず、2週間が過ぎた。

 もはや、日本・韓国二国間での交渉では解決の見込みはないと思う。国際的な経済、貿易紛争を調停し、解決に導く国連のWTO(世界貿易機関)に提訴し、解決方策を委ねるしかない。そのためには、一方的な報復、輸出規制を解除しなければならないだろう。

 この件では、国内主要メディアのうち、日本政府に対し即時撤回を要求した朝日新聞の社説が最も明快だった、と思う。記録のためにも、全文を紹介しようー


(2019年7月3日付け朝日新聞社社説 全文転載)

対韓輸出規制 「報復」を即時撤回せよ

 政治的な目的に貿易を使う。近年の米国と中国が振りかざす愚行に、日本も加わるのか。自由貿易の原則をねじ曲げる措置は即時撤回すべきである。

 安倍政権が、韓国への輸出の規制を強めると発表した。半導体をつくる材料の輸出をむずかしくするほか、安全保障面で問題のない国としての優遇をやめるという。

 日韓には、戦時中に朝鮮半島から労務動員された元徴用工への補償問題がくすぶっている。韓国政府が納得のいく対応をとらないことに、日本側が事実上の対抗措置にでた格好だ。

 大阪でのG20会議で議長だった日本は「自由で公平かつ無差別な貿易」を宣言にまとめた。それから2日後の発表は、多国間合意を軽んじる身勝手な姿をさらしてしまった。

 かつて中国は尖閣問題をめぐり、レアアースの対日輸出を止めた。米トランプ政権は安全保障を理由に鉄鋼などの関税を上げた。国際社会はこうした貿易ルールの恣意(しい)的な運用の広がりを強く案じているさなかだ。

 日本政府は徴用工問題を背景に認めつつ、「韓国への対抗措置ではない」などとしている。全く説得力に欠ける。なぜいま規制なのか、なぜ安全保障に関わるのか、具体的な理由を国内外に堂々と表明すべきだ。

 日本は今後の貿易をめぐる国際論議で信用を落としかねないうえ、日韓双方の経済活動に悪影響をおよぼす。そんな規制に矛盾した説明で踏み切るのは、無責任というほかない。

 今のところ、半導体の材料輸出そのものを禁じてはいない。だが審査期間が長引けば、供給や生産に響く。規制の運用によっては、韓国のかなりの生産が止まるとの見方も出ている。

 韓国と取引する日本企業にも被害が跳ね返る公算が大きい。将来的には韓国企業が供給元を変える可能性もある。

 政治の対立を経済の交流にまで持ち込むことが、日韓関係に与える傷は計り知れない。

 確かに徴用工問題での韓国政府の対応には問題がある。先月に示した解決への提案は、日本企業の資金が前提で、日本側には受け入れがたいものだ。

 しかし、今回の性急な動きは事態を一層こじらせている。機を合わせるように、韓国の司法当局は日本企業の株式を現金化する手続きを一歩進めた。韓国は世界貿易機関(WTO)への提訴も検討するといい、報復の応酬に陥りかねない。

 日韓両政府は頭を冷やす時だ。外交当局の高官協議で打開の模索を急ぐべきである。国交正常化から半世紀以上、隣国間で積み上げた信頼と交流の蓄積を破壊してはならない。

http://lib21.blog96.fc2.com/
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/426.html

[政治・選挙・NHK263] 棄権は危険 投票呼びかけ、きっかけは「いらだち」(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月21日06時00分

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190720002291_comm.jpg
投票所は、月より近い。    ・・・少なくとも、今は。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190720002298_commL.jpg
行かないことで 何を選んでるの?

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190720002318_commL.jpg
棄権 は キケン と 読みます。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190720002313_commL.jpg
「でも」「だって」「どうせ」を、「そう」「きっと」「どうか」に。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190720002285_commL.jpg
P e a c e election      棄権は、あなたの国の健全を
                 悪化させる危険性を高めます。


 選挙に行こう。そして未来を自分で選ぼう――。そんな呼びかけが広がっている。見過ごすなんてもったいない。きょう21日は、参院選の投開票日。

 参院選に行こうと呼びかけるポスターを、絵本作家やCMディレクターたちがネットに投稿している。

 美大出身者たちが3年前の参院選から始めた「Shall we 選挙?」というプロジェクト。ポスターを募集してネットで公開する取り組みで、今回で3回目だ。

 「行かないことで何を選んでるの?」と猫が問いかける。「棄権は、あなたの国の健全を悪化させる危険性を高めます」は、たばこのパッケージをパロディーにした作品だ。

 きっかけは、国政選挙の低投票率だという。プロジェクトの立ち上げや運営に携わるクリエーティブディレクター入江洋平さんは「近年は衆参ともに投票率は50%台しかないのに、国の在り方、自分たちの代表が決まっていくいらだちがあった」と言う。簡単なメッセージ付きのポスターであれば、選挙に関心のない若い人たちの目を引くこともできると考えた。

 だれでも参加することができ、プロの芸術家たちに交じって、16歳の高校生や離島のミカン農家からの投稿もあるという。特定の政党の応援目的などでなければ表現は自由だ。

 入江さんは「政党の公約を理解するのは大人だって難しい。だったら、気になったポスターから自分の印象に残ったことを探って候補者を選んでみては」と話す。

https://www.asahi.com/articles/ASM7N5X2CM7NULZU002.html?iref=comtop_8_02
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/456.html

[政治・選挙・NHK263] こんな日米FTAなんていらない 野球なら日本のコールド負けだ (朝日新聞社 論座)
山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
論座 2019年07月20日

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「女性のエンパワーメントに関する首脳特別イベント」の会場で、米国のイバンカ大統領補佐官(中央)を挟んで握手する安倍晋三首相(左)とトランプ米大統領=2019年6月29、大阪市住之江区

■圧倒的に有利なはずだった日本

 日本政府はアメリカ抜きのTPP11を妥結し、アメリカ産農産物を日本市場で豪州などよりも不利に扱うことで、アメリカのTPPへの復帰を促そうとした。トランプのTPP脱退によってもくろみは外れたが、日米二国間交渉となっても、アメリカの交渉ポジションを弱くすることができた。自動車への追加関税の脅しで日本政府は二国間交渉を余儀なくされたが、自動車関税は見送られる可能性が高まり、日本としての交渉ポジションが圧倒的に有利になった(『トランプは自動車関税を上げられない』)

 そもそも日本としては、日米FTAなど、ない方がよかった。アメリカが困るというなら「TPPに戻ればよい」と言えばよかった。

 しかし、TPPから脱退したトランプはいまさらTPPに戻れない。彼にとって日米FTAはどうしても必要となった。

 トランプが2016年の大統領選挙に勝利したのは、貿易や移民が雇用を奪っていると主張し、ラストベルトと呼ばれ、自動車や鉄などの重厚長大型の産業が多いウィスコンシン、ミシガン、オハイオ、ペンシルベニアなど、これまで民主党の地盤だった中西部で勝利したからである。来年の大統領選挙で再選するためにもここでの勝利が欠かせない。

 しかし、昨年11月の中間選挙では、ミシガン、イリノイ、ウィスコンシン、ミネソタ、ペンシルベニアといった中西部の州の知事選挙で、民主党が勝ち、党勢を盛り返している。

 トランプ再選を左右する中西部は、ラストベルトであると同時に、アメリカで最も農業の盛んなコーンベルトでもある。トランプとしては、これまでも熱心な共和党支持者だった農家の票を失うことはできない。

 それなのに、TPP11や日・EU自由貿易協定の発効で、日本市場において、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、EUという農産物輸出のライバル国との競争条件に決定的な差がついてしまった。トランプは早急に日米FTAを締結し、日本市場でアメリカ農産物がライバル国の農産物と対等に競争できるようにしなければ、来年の大統領選挙で勝てなくなる。

 トランプが始めた米中貿易戦争で、中国がアメリカ産大豆の関税を引き上げたことから、中国への大豆の輸出が大幅に減少し、中西部の農家は大きな打撃を受けている。このうえ、牛肉などの日本市場まで失うと大変だ。どうしても日本の農産物市場を確保しなければならないアメリカに対して、日本は交渉上圧倒的に有利な立場に立っているはずだった。

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ライトハイザー米通商代表(右)に迎えられる茂木敏充経済再生相=2019年6月13日、ワシントン

■日本は交渉の入り口で躓いた

 それなのに、これまでの日米交渉と同じく、日本側が譲歩を重ねる交渉となっている。

 まず、二国間交渉をすると農産物でTPP以上の譲歩を要求されると勝手に思い込み、TPP以上の譲歩を防止することを最大の交渉目標としてしまった。

 この結果、交渉の入り口の段階となる2018年9月の日米首脳の共同声明で、TPPや日EU自由貿易協定などこれまでの交渉で譲歩した以上のことはできないと主張し、逆にそれまでの譲歩をアメリカに認めてしまった。

 アメリカにそもそも農産物の関税削減を認めるかどうかということではなく、TPP並みの譲歩以上は許してほしいということになってしまったのである。アメリカにしてみれば、日本からは、最低TPP並みの譲歩は取れると思っている。

 日EU自由貿易協定では、EUが関心を持っているチーズなどについてTPP以上の約束をした。アメリカは勝手にTPPから離脱したのに、これも含めて日本側に譲歩を迫っている。

 TPP11での輸入割当枠やセイフガード発動水準はアメリカの輸出実績を加えたままの水準になっているため、アメリカがTPP11に戻ってこないことがはっきりすれば、アメリカの輸出分は差し引かなければならず、そのための交渉をオーストラリア等と行わなければならない。

 アメリカにTPPプラスの追加的な譲歩をするなら、TPP11に付合ってくれたカナダ、オーストラリア、ニュージーランドにも同様の条件を認めざるをえなくなる。日本の農業界にとっては、これはさらなる譲歩となり受け入れられないと反発するだろう。

■TPP並みの譲歩も見せないトランプ政権

 米韓自由貿易協定で韓国車に対するアメリカの関税は2017年に撤廃されたのに、TPPでは、アメリカの2.5%の自動車の関税撤廃に25年もかかるという譲歩を強いられることになった。(具体的には15年目から削減開始(2.25%)、20年目で半減(1.25%)、22年目で0.5%まで削減、25年目で撤廃)

 25%のトラック関税は、29年間維持された上で、30年目にようやく撤廃される。日本政府は自動車部品について米韓自由貿易協定で韓国が勝ち取ったものを上回る87.4%の関税が協定発効後に即時撤廃されると説明した。

 しかし、アメリカに対して日本が自動車で支払っている関税は約1千億円、即時撤廃される自動車部品の関税は200億円に過ぎないものだった。つまり、TPP交渉で、日本は自動車について満足できる結果を得られなかったのである。

 日本が圧倒的に有利な立場にいる以上、日米FTA交渉では、自動車関税については、TPP並みの25年後の撤廃ではなく、即時撤廃を要求すべきだった。

 しかし、アメリカは、自らは農産物についてTPP以上を要求しながら、自動車についてはTPP並みの関税引下げという日本側のささやかな要求さえ拒否している。

 7月17日のロイター通信は、現在ワシントンで行われている日米協議について、次のように報じている。

    自動車業界のある関係者によると、日本が米国に対して農産品の市
   場を開放し、その見返りに米国が日本製の自動車部品の一部について
   関税を削減するという内容の合意となる可能性がある。(中略)米国が
   自動車部品の関税削減で合意した場合でも、米議会の承認は必要とな
   らないとみられる。大統領は関税率が5%未満の製品の関税を撤廃あ
   るいは削減する権限があり、自動車部品の大半は関税率が約3─6%に
   とどまる。

■米国は議会承認不要、日本は国会承認必要

 なぜアメリカは連邦議会の承認が必要とならない合意を求めているのだろうか?

 実は、アメリカ連邦議会は、政府に対して、農業だけとか物品だけとかという協定ではなく、サービスや知的財産権等も含めた包括的な自由貿易協定を提出するよう、要求している。そうでないと承認しないというのである。

 しかも、知的財産権などTPPの一部の章については共和党も含めて議会の反対があるため、TPP類似の規定を入れた包括的な自由貿易協定だと、議会の承認が得られない可能性が高い。現に、NAFTAを改定したUSMCAは、民主党の反対により未だに議会承認のめどが立っていない。

 しかし、議会が満足するような協定を日本と合意するためには、TPP合意を蒸し返すことになり、交渉にかなりの時間がかかってしまう上、仮に日本から一定の合意を勝ち取ったとしても、議会の承認が得られる保証はない。議会の承認を得た包括的な日米FTAを発効させようとすると、何年かかるかわからない。とても来年の大統領選挙には間に合わない。

 これでは、既にカナダ、オーストラリアなどライバル国と大きな競争条件の格差がついてしまっているアメリカ農業界の要望を満足させることはできない。それどころか、アメリカの農業界にとっては、交渉が遅れれば遅れるほど、日本市場で関税が段階的に下がっていくライバル国との競争条件の格差は、どんどん広がってしまう。

 つまり、議会承認を回避するためには、包括的な自由貿易協定は結べない。この点でもアメリカ政府の交渉ポジションは極めて弱いのである。

 物品だけの自由貿易協定に限定したとしても、トランプ政権としては、自動車と鉄が中心のラストベルトの票を獲得するためには、自動車の関税を引き下げるという譲歩はできない。自動車部品なら、これが輸入された後にアメリカの工場で組み立てられることになるので、アメリカの雇用は増加すると主張できる。

 しかも、5%以下の関税なら議会の承認は要らない。日本さえ了承すれば、今年中にもアメリカ農業界の要望を満足させることができる。ロイター通信の報道は、以上のようなアメリカ政府の置かれた状況を前提にしている。

 もちろん、アメリカ連邦議会の承認は要らなくても、日本は農産物の関税を下げるので、国会の承認が必要となる。これほど日本が馬鹿にされた交渉はない。

■日本は席を立ってはどうか

 そもそも、勝手にTPPから離脱して苦しい状況になっているのは、トランプである。日米FTAなんていらない日本とどうしても必要なアメリカとでは、交渉ポジションは圧倒的に日本有利である。傍から見ると、横綱が幕下と両差しになりながら相撲しているようなものである。

 しかし、実際は、属国が宗主国の言うことを全て聞くような交渉となっている。「こんな日米FTAなんてやめた」と席を立つ交渉者は出てこないのだろうか?

 首脳同士の仲が良いことが、逆にアメリカの言うことは何でも聞く日本になっているようだ。今度は交渉者がシンゾウ・ドナルド関係を忖度しているのだろうか?

 安倍首相はトランプにいっぱい言っていると言うが、日米安保についてのトランプの発言などを聞くと、その主張はトランプの心には響いていないようである。

 7月17日付朝日新聞夕刊の「時事小言」で藤原帰一氏が指摘しているように、安倍首相は一見華々しい首脳外交を展開しているように見えるが、ほとんど見るべき成果を上げていない。

 安倍首相は、アメリカ農産物について譲歩する代わりに、北朝鮮にいる拉致被害者の即時解放を金正恩に要求し実現するよう、トランプに申し入れてはどうだろうか? 安倍首相は「拉致問題は安倍政権の最重要事項」とか「被害者家族に寄り添う」などと発言してきた。拉致被害者の心に寄り添っているはずのシンゾウなら、シンゾウ・ドナルド関係を利用して、それくらいのことはドナルドに頼んでもよいのではないだろうか。シンゾウが金正恩に要求するのは難しいにしても、ドナルドなら拉致被害者の解放を実現できるのではないだろうか?

https://webronza.asahi.com/business/articles/2019071700004.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/457.html

[政治・選挙・NHK263] 年金2千万円不足問題で見えた30年後の年金 (朝日新聞社 論座)
年金2千万円不足問題で見えた30年後の年金
参院選では期待したほど議論が深まらなかったが……

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士
論座 2019年07月20日


 参議院議員選挙が迫ってきました。選挙の開始時点においては、年金2千万円不足問題が世間の耳目を集め、選挙戦の大きな争点になるかと思われましたが、それほど議論が深まらないまま、選挙が終わろうとしています。

 しかし、有権者のアンケートでは年金・社会保障問題が第一の関心事であり、今後の日本のあり方を決めるうえで極めて重要な問題であることは論を待ちません。参院選の投票を考える際の最後の材料として、あえて年金問題を取り上げたいと思います。

■「年金2千万円不足」問題とは

 ことの発端となった「年金2千万円不足」問題についてあらためてみてみましょう。

 ご承知の通り、この問題は金融監督庁の審議会で「年金だけで暮らすには2千万円不足する。」と言う報告書がまとめられ、反響を呼んだというものです。これについて、「年金は安心だ」とする政府・自民党と、「安心でない」と言う野党とで主張が正反対になっていますので、事実関係を整理したいと思います。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019071900009_2.jpg
金融庁の審議会がまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」

 まず、この報告書が示しているのは、具体的な高齢者の家計ではなく、厚生年金を受け取っている全高齢者世帯の収入と支出の「単純平均」です。つまり、厚生年金で暮らす夫婦2人世帯はひと月に「平均」21万円の年金を受け取り、「平均」26万円の支出をしているから、「平均」5万円が不足する。とすれば、30〜40年で2千万円程度不足するという計算なのです。

 このことから、「2千万円不足」以外に、以下の重要な事実が導かれます。

 まず、これはあくまで厚生年金を貰っている世帯の「平均」であることです。夫婦で21万円以下しかもらえない世帯も多々あり、特に国民年金であれば、夫婦で11万円程度にしかなりません。その場合、不足額は5千万円程度になります。

 一方でこの計算は、「現在の高齢者は月21万円しか年金をもらっていないのに、月26万円の生活をできている」ということでもあり、これは「高齢者世帯の平均貯金額は2400万円(中央値1500万円)」という内閣府のデータ(平成29年版高齢社会白書)と一致します。

 あくまで平均値ですが、実は現在の高齢者は2千万円程度の貯金があり、貯金と年金を使って夫婦で月26万円という、落ち着いて考えるとそれなりに余裕のある生活を送れているという見方もできるのです。実際、読者のお近くにも、年金暮らしの割にお孫さんに大判振舞いをしている方が、それなりにおられるのではないかと思います。

■高齢世代から半減する現役世代の貯蓄額

 しかし、だからといって、政府・自民党の言うように「年金で老後は安心」なのかと言うと、そう簡単ではありません。高齢世帯に比べ、現在の現役世代の貯金額は、世代によって異なりますが、おおむね1300万円(中央値800万円)とほとんど半減します(2018年版家計調査。ライフステージによる影響も考えられますが、あくまで概算ということで考えていただければと思います)。

 親の貯金は前述の計算上使いはたされ、遺産として残りません。また、現在の賦課方式では、人口構成上30年後の厚生年金の支給額は現在の価値で15万円程度にならざるを得ないと推定されます(この点については、後で解説します)。

 とすれば、今の現役世代が年金と貯金の取り崩しで暮らす場合、平均で月18万円程度になるのですが、これは今の高齢者世代より月8万円低く、生活保護水準に近いレベルです。今の現役世代が、今の高齢者世代と同程度の生活をしようとするなら、さらに4〜5千万円程度の貯金が必要ということになります。

■世代内と世代間の格差を含む複雑な問題

 以上、「年金2千万円不足」問題は次のように整理されます、

(1)現在の高齢者世代は高度成長期に平均2千万円の貯金をし、現在2人世帯で平均月21万円の年金を受け取り、貯金を切り崩しながら平均月26万円という、そう悪くない生活をしている。

(2)一方で、国民年金しか受け取れない世帯や、貯金がない世帯(30%程度の世帯が無貯金です)は、これよりはるかに低い生活水準である。

(3)30年後には、厚生年金を受給している2人世帯で、平均月18万円程度で暮らすことになる。

(4)30年後に国民年金しか受け取れない世帯や、貯金がない世帯は、(3)より低い生活水準で暮らす事になる。

 要するに、年金2千万円不足問題は、それだけにとどまらす、世代内の格差と世代間の格差を含んだ、非常に複雑な問題なのです。

■人口の推移と厚生年金支給額

 ところで、先に「現在の賦課方式では、人口構成上30年後の厚生年金の支給額は現在の価値で15万円程度にならざるを得ない」と書きましたが、その根拠は将来推計人口です(日本の将来推計人口)。

 現在、厚生年金は年間ざっと4400万人の加入者から48兆円の保険料を集め、うち46兆円を3500万人ほどの受給者に給付しています(平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況)。平均は年間135万円、月あたり11万円で、これが前述した厚生年金の2人世帯の平均支給額21万円(1万円ずれてはいますが)になっています。マクロスライド方式等々の細かい話をするまでもなく、賦課方式においては、基本的には、現在集めた保険料が、現在の受給者に分配されるのです。

 では30年後の2049年はどうなるでしょうか。現在の7462万人の生産年齢人口は5333万人へと30%減少し、現在3592万人の65歳以上の高齢者人口は3859万人へと7%程上昇します。これと同じ比率で、厚生年金の加入者と受給者数が増減すれば、加入者が3144万人、受給者が3760万人と逆転します。この時、加入者が現在と同じ保険料を支払うとすると、保険料収入は33兆円に減少し、これを3653万人の受給者で分配するので、受給額は月額7万6千円になるわけです(経済成長、物価上昇を無視していますが、それは30年後の支給額を現在の価値に引き直した額ということになります)。

 もちろんこれらの数字は概算ですし、マクロスライド方式等々で変わり得ますが、賦課方式を継続する以上、大枠の計算は変わりようがなく、現在の30代が年金をもらう30年後、その支給額はほぼ確実に、現在の平均月11万円から、平均月7万6千円まで低下するのです。

■「30年後の現実」に対処する三つの方法

 この状況は、私たちに大いなる選択を迫ります。

 月7万6千円というのは、ほぼ現在の生活保護水準で、この額をもらっていれば、生きていけなくはありません。しかし忘れてはならないのは、この額は厚生年金受給世帯の平均に過ぎないという事です。現在平均5万5千円の給付で、同様の計算で30年後には平均3万8千円程度の給付になると考えられる国民年金給付者も含めると、30年後、3900万人の高齢者の半分以上、おそらく2千万人以上の高齢者が、生活保護水準以下の年金での生活を余儀なくされることになります。

 こうした人たちを、「自己責任」という一言で放置するのもひとつの判断ですが、生きていけないとなれば、それこそ命がけで食べ物の窃盗等々の犯罪をする人が出てくるでしょう。そんなことをせず、餓死する人も出るでしょう。

 そのこと自体が痛ましいのはもちろんですが、同時に犯罪者は収監しなければなりませんし、餓死者は葬儀等の見送りをしなければなりません。仮にそれを「自己責任」と切り捨てたとしても、社会に多大な対応コストを強いるのです。

 「30年後の現実」に対処する方法は、大きく分けて三つあります。

 第一は、原則として現在の制度を維持することで、おそらくはこれが政府・自民党の立場になります。

 第二は、保険料を上げるなり公費を投入するなり、現役世代の負担を増やすなりして支給額を維持することで、おそらく現在の野党の立場がこれになります。なお、それには現在の保険料を50%程上げる必要があります。

 そして、あまり言われていないのですが、第三の方法として、「給付を平準化する」があります。厚生年金はご承知の通り現役時代の給与に比例して上下するのですが、それを完全に平準化してしまえば、計算上は全員が少なくとも7万6千円、国民年金まで含めて平準化しても一人当たり7万円の給付を受けられ、現役世代の負担を上げることなく、全員が何とか生きてはいける額を支給することが可能になります。

■避けられない「第三の敗戦」

 以上、三つの選択は、いずれもとうていバラ色とは言えないものですが、その原因はほぼ確実に実現する人口分布の推移にあるのであり、避けようがありません。

 昨年の日本の人口が43万人減少し、1億2477万6346人となったことが最近話題になりましたが、人口減少は今後さらに加速し、7年間で300万人、30年間で何と2300万人の人口が減少します。太平洋戦争における官民合わせた死者数が300万人であることを考えると、今後日本は、バブル崩壊を第二の敗戦とすれば、7年後に第三の敗戦を迎え、その後も敗戦を繰り返すとさえ言えます。

 繰り返される「敗戦」に際し、現在の社会保障制度を維持するのであれば、それこそ敗戦時と同様の死屍累々が発生します。それを避けたいのであれば、「現役世代の保険料負担を50%増やす」もしくは「年金の給付額を平準化する」いう、いずれもドラスチックな改革が必要になりますが、私は敗戦後の非常事態に対する対応と考えれば、止むを得ないことなどではないかと思います。

■野党がなすべきこと

 以上みてきたように、日本の年金・社会保障制度は、30年後というそう遠くない未来に極めて深刻な事態に陥ることがほぼ確実です。しかし、残念ながら、今回の参議院選挙において、この問題に関して議論が深まったとは言えない状況だと思います。

 その原因に、議論に正面から答えない政府・自民党の態度があるのはもちろんなのですが、一方で、野党側が「対案を出さない」のではなく「対案を出し過ぎている」ことも原因の一つではないかと、私は思っています。

 年金の議論は技術的なところが多く、各党がそれぞれ対案を出すと議論百出し、一般の有権者からすると何を争っているか分かりづらくなり、政府・自民党にすれば、個別のテーマへと議論を小さくできてしまうからです。

 それを避けるためにどうするか? 私は、まずもって野党は、上記の「現状維持」「現役世代の負担増」「平準化」のどれを(もしくはそれらの混合のどれを)有権者に提案するのか、意見を集約すべきだと思います。民主党政権下で年金問題が有権者の耳目を集めたのは、それが新しい問題だったということもありますが、野党の中で民主党が圧倒的なプレゼンスを占め、議論が「政府・自民党」対「野党民主党」の一対一の構図で分かりやすかったということも、大きかったと思います。

 とすれば、今回の参院選には間に合いませんが、選挙後、野党側は政治的手腕を駆使して対案を集約し、一対一の構造を作っていくことが不可欠だと私は思います。それによって、与野党間で年金・社会保障問題についての議論を深め、やがて来る衆院選において、国民に実質的選択肢を提供することを、私は期待しています。

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019071900009.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/458.html

[政治・選挙・NHK263] 明日、参院選挙  「先進国で最低の投票率」の汚名返上を(リベラル21)
2019.07.20     
岩垂 弘 (ジャーナリスト)

 いよいよ、あす7月21日(日)は参院選挙です。一部メディアは投票率が前回参院選挙(2016年)を下回るのでは、と予測しています。日本の国政選挙の投票率は、先進国の中では最低です。でも、今度の参院選は、これからの日本の命運を決しかねない全国民にとって極めて重要な選挙です。1人でも多くの有権者が投票所に足を運ぶことが求められている、と言っていいでしょう。

 先日、NHKラジオを聴いていて気が重くなりました。それは、NHKが参院選公示前の6月28日から30日にかけで行った全国世論調査の結果でした。それによると、「投票に行くか」という問いに、「必ず行く」と答えた人は49%。これは、3年前の「必ず行く」を11ポイント下回る、とNHKは伝えていました。

 街を歩いても、まことに静かで参院選への熱気が感じられず、今は参院選中なのかと思わせられる日々でしたから、「やはり参院選は低調なんだな。この調子だと低い投票率になりそうだ」と思わずにはいられませんでした。

 以前から、日本では選挙の投票率がなぜこうも低いんだろう、と考え続けてきました。この傾向は国政選挙でも地方自治体の選挙でも変わりません。ここでは、外国、なかでも先進諸国の国政選挙と比べてみましょう。
 
 日本の国政選挙の投票率は以下の通りです。 
 <衆院選挙>1953年の76・99%をピークに年々低くなり、ここ3回は2012年=59・32%、2014年=52・66%、2016年=53・68%
 <参院選挙>1980年の74・54%をピークに年々低くなっており、ここ3回は2010年=57・92%、2013年=52・61%、2016年=54・70%

 要するに、最近は衆院選挙も参院選挙も有権者の2人に1人、つまり半数しか投票所へ足を運んでいないのです。

 一方、先進国の国政選挙での投票率はどうでしょうか。

 ドイツの連邦議会選挙(2017年)=76・2%、
 フランスの大統領選挙(決戦投票、2018年)=74・56%
 イタリアの上院・下院選挙(2018年)=72・93%
 イギリスの総選挙(2017年)=68・7%
 カナダの連邦議会選挙(2015年)=68・5%
 アメリカの大統領選挙(2016年)=54・7%

 要するに、先進国では日米が最低ということですね。最近、「日本は世界最高だ」と自賛する日本人が少なくありませんが、国民の政治参加という面でみる限り、とても「日本は世界最高」と誇れる状況ではありません。

 なぜ、日本では選挙の投票率が低いのか。それには、さまざまな歴史的、社会的要因があるでしょう。が、それをここで追究する紙面的な余裕がありませんので省略します。

 ともあれ、選挙における投票は日本国憲法で保障された日本国民の基本的権利です。すなわち、日本国憲法は第1条で日本国の主権は国民にあると規定し、第3章で31カ条ににわたって「国民の権利及び義務」を明らかにしていますが、その中の第15条で「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と述べています。
 
 そればかりではありません。憲法は第12条で「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と述べているのです。つまり、憲法で保障されている国民の権利を棚に放置しておいてはいけない、「国民の不断の努力」によって保持しなければならない、と呼びかけているのです。逆に言えば、国民の諸権利は、国民が絶えずそれを行使してこそ初めて維持される、と言っているのです。選挙権にならして言えば、「棄権するな、ぜひ投票を」ということでしょう。 

 石川県津幡町在住のエッセイスト、水野スウさんは、自宅で憲法カフェ「紅茶の時間」を開いたり、全国各地で出前の講演会を行ったりして、憲法の普及に努めています。水野さんは、憲法第12条に「国民の不断の努力によって 」とあるところを「ふだんの(不断の、日々普段からの)努力によって」と読み替え、第12条への理解を深めるよう訴えています。

 「ある時、辞書をひいてみたら、『不断』には『普段』という意味もあることを発見したんです。となれば、不断とは、普段できるくらいの小さいことをずっと続けることだ、と解釈したってまちがいじゃありません」(水野スウ著『たいわ・けんぽうBOOK+』)

 さて、また投票率のことに戻りますが、今度の参院選で投票率が低かったらどうなるのか。おそらく、組織力をもつ自民党と公明党に有利な結果、無党派層が頼りの立憲野党には不利な結果をもたらすでしょう。もし、自公、日本維新を中心とする改憲勢力が参院議席の3分の2以上を占めることになれば、自民党は公約に従って一気に改憲作業を加速させるでしょう。

 有権者の半分が投票したに過ぎない選挙結果に基づいて「国民の同意を得たから」として改憲作業が進められるなんて、私にはたまりません。

 改憲に賛成であれ、反対であれ、今度の参院選では、有権者が投票所に足を運ぶことが従来にも増して求められていると思えてなりません。なにしろ、選挙結果によっては、私たちの国は重大な局面を迎えるわけですから。

http://lib21.blog96.fc2.com/
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/459.html

[政治・選挙・NHK263] 参院選 きょう投票 棄権するのですか(朝日新聞)
社説 2019年7月21日

 いよいよ、選択の日です。

 で、みなさんはどうしますか。まだ迷っていますか。

 どうせ、自分の1票じゃ何も変わらない。誰がやっても同じさ。仕事が忙しい。高齢で投票所まで行くのがつらい。そもそも政治がうさんくさい……。

 投票しない理由をよく聞きます。参院選の投票率は1995年に40%台に落ち、その後も50%台をうろうろ。毎回、棄権が第1党の得票数を超えます。

 棄権しても、この国ではおとがめなしですが、ベルギーや豪州では罰金を科せられます。

 政策ごとに賛同できる政党が違うから、1票に絞りきれないと悩む人もいます。

 1人が複数の票を持ち、候補者に自由に振り分ける。落選させたい候補者に×印をつける。そんな方式なら、投票に行きたくなりますか。

 より丁寧に民意をすくいあげようと、候補者に順位をつけて投票するアイルランドや豪州、スロベニアの例もあります。

 今回も投票率が著しく低ければ、投票方式を見直す議論も必要かもしれません。

 とはいえ、まだ現行ルールでの選挙です。

 棄権が増えれば、強固な組織票を持つ政党や候補者が有利になり、そうした組織の意向が政治に反映されやすくなります。

 無党派層を含むより多くの人々が投票するか、しないかで選挙結果は大きく変わります。

 09年の衆院選では、投票率が69%に達し、民主党政権の誕生につながりました。

 安倍首相が政権を奪回した12年の衆院選の投票率は59%で、戦後最低を更新。自民党は09年より比例票を200万票も減らしながら勝利しました。

 棄権は「沈黙」です。

 現状が認められた。白紙委任された――。政治家は勝手にそう解釈するかもしれません。

 その結果、意に沿わない政策を後から押しつけられてしまう可能性があります。

 自治体の首長や議員なら解職を請求できますが、国会議員にはできません。国会での多数派には、ブレーキがなかなか利きにくいのです。

 それでも、棄権する覚悟がありますか。

 棄権は「責任放棄」でもあります。

 子や孫の世代に膨大なツケを回し続ける。日々、電気を使うのに原発問題には知らん顔をする。いまを生きる私たちが、しっかり考え、意思表示をしないのは無責任すぎませんか。

 憲法前文には「国政は、国民の厳粛な信託による」と書いてあります。棄権は、この大事な「信託」をないがしろにする行為ではないでしょうか。

https://www.asahi.com/articles/DA3S14105959.html?iref=comtop_shasetsu_01
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/460.html

[政治・選挙・NHK263] 沈黙は「加担」であり「共犯」 選挙へ行こう(毎日新聞)
松尾貴史のちょっと違和感
いい候補者いなくても 「悪い方ではない」方に

デジタル毎日 2019年7月21日 04時01分(最終更新 7月21日 07時34分)

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/21/20190721dd0phj000001000p/7.jpg?1
松尾貴史さん作

 21日は参院議員選挙の投票日だ。まだ投票に行っていない皆さんは、「いい候補者」「いい政党」がなくとも、「悪い方ではない候補者」「悪い方ではない政党」に、それぞれ1票を投じていただきたい。

 今回の選挙戦を振り返ってみると、選挙は公平であるべきだけれど、潤沢に広告料を支払える政党は、テレビで朝から晩まで繰り返し自党の広告を流して、「迷ったから、なじみのある政党に」という確実にいる層にアピールし続けていた。こういう運動はかつて規制されていたように思うのだが、私の記憶違いなのだろうか。あまりにも特定の党のCMばかりが流れるので、違和感が半端ではなかった。

 ある選挙区では、複数出ている野党の候補の片方に、それまで与党を推していた企業が、組織ぐるみで「支援…

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https://mainichi.jp/articles/20190721/ddv/010/070/021000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/461.html

[政治・選挙・NHK263] 「これらの行為が北海道警察による組織的なものだということ」・・・警察は、安倍晋三の私兵になり下がってはならない。(澤藤統一郎の憲法日記)

マッチは生活に必要な小物だが、芥川の言うとおり「重大に扱わないと危険」である。マッチすら危険なのだ。権力機構の実力組織としての警察の危険はその比ではない。

マッチ同様、警察は国民生活に必要で有益だから存在している。しかし、その内在する危険のゆえに、遙かに慎重に取り扱わねばならない。

警察に内在する危険とは、何よりも時の権力者の私兵に堕することにある。権力を握る特定の人物、特定の勢力のために、警察に与えられた実力が行使される危険である。「安倍一強」と言われる異常事態が長く続き過ぎた今日、その危険顕在化の徴候に敏感でなくてはならない。国民は常に警察を監視し、その逸脱した警察権の行使には、一斉に批判の声を上げなくてはならない。

札幌市中央区で7月15日に行われた安倍晋三の参院選街頭演説の際、演説中にヤジを飛ばした市民(男性と女性)を北海道警の複数の警官が取り押さえ、演説現場から排除した。男性市民は、「ものすごい速度で警察が駆けつけ、あっという間に体の自由が奪われ、強制的に後方に排除されてしまった」と言っている。女性市民に対しては、その後2時間以上も警察が尾行、つきまとったという。18日には、大津でも同様のことが起こった。その動画がネットに掲載されて、何が起こったか警察が何をしたのかが明確になっている。

安倍晋三は、政治と行政を私物化した首相と刻印されているが、本来各都道府県公安委員会の管轄にあるはずの警察権力までも私物化しているのだ。国民的な批判と弾劾が必要である。

警察法第2条《警察の責務》の第2項を確認しておきたい。
   「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつ
   て、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、い
   やしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等
   その権限を濫用することがあつてはならない。」

これに基づいて、第3条《服務の宣誓の内容》はこう定める。
   「この法律により警察の職務を行うすべての職員は、日本国憲法及び
   法律を擁護し、不偏不党且つ公平中正にその職務を遂行する旨の服務
   の宣誓を行うものとする。」


当然のことだが、警察組織にも、警察官個人にも、「不偏不党且つ公平中正」が求められる。「いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる警察権濫用の行為」があってはならないのだ。

現実はどうか。北海道警も滋賀県警も、厳格に公共の安全と秩序の維持という責務の範囲に限られるべき警察権の行使を、安倍晋三個人の利益のために行使したのだ。市民の言論の自由を侵害して、「安倍やめろ。安倍かえれ」「増税反対」という言論を封殺し、日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる警察権濫用の行為を敢えてしたというほかない。

東京都在住の男性が、北海道警の警官らによる市民への排除、拘束が特別公務員職権濫用罪(刑法194条)と公務員職権濫用罪(刑法193条)に該当するとして札幌地検に刑事告発したと報道されている。地検の捜査と処分に注目したい。

道警の頭には、安倍晋三の「選挙活動の自由」という価値しかない。これを批判する市民の批判的言論は対抗価値としての位置づけはなく、不逞の輩の狼藉としか考えられていない。これが恐いところだ。

「不偏不党且つ公平中正」を厳正に貫くためには、市民の側よりも権力の側により厳しい姿勢を保持しなければならない。一強体制の継続の中では、この本来あるべき姿勢が忘れられ、権力に対する忖度行政が横行する。道警の行為は、その氷山の一角の露呈であって、看過してはならない。

さっそく、自由法曹団の北海道支部と国民救援会とが行動を起こした。昨日(7月19日)下記の抗議の「申入書」を道警本部長宛に提出している。その迅速な対応に、敬意を表したい。

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北海道警察本部長 山岸 直人 殿

申  入  書
2019年7月19日

国民救援会北海道本部 会 長  守 屋 敬 正
自由法曹団北海道支部 支部長  佐 藤 哲 之

1 本年7月15日午後、安倍総理大臣が来札し、JR札幌駅前で、参議院選挙の自民党公認候補応援の街頭演説を行った。その際、「安倍やめろ、帰れ」などと声を発した男性と「増税反対」と叫んだ女性が、事前の声かけもなく、多数の警察官に取り囲まれ、腕をつかまれるなどして、数十メートルも強制的に移動させられ、その場から排除されるという事態が発生した。同様のことが地下道を移動中の安倍総理大臣に対して大声でヤジを飛ばした若い男性に対しても行われたと報道されている。

2 警察官によるこれらの行為は、強制的に排除された聴衆の行為が当初の北海道警察本部の説明にあった公職選挙法225条(選挙の自由妨害)に該当しないのは明白であり、法令上の根拠など全くなく、些かも正当化することができないものである。
それどころか、警察官によるこれらの行為は、特別公務員職権濫用罪(刑法194条)ないし特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条)に該当する可能性さえあるものだと言わなければならない。

3 更に問題なのは、これらの行為が、複数の場所で、複数の人々に対して、複数の警察官によって行われ、現場にいた警察官が誰もそれを注意したり、制止したりしていないということである。このことから言えるのは、警察官によるこれらの行為が北海道警察による組織的なものだということである。
いうまでもなく、警察法2条は、警察の活動について、「不偏不党且つ公正中立」を旨とし、「いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない」としており、警察は公平・中立・適正にその職務を遂行しなければならない。特に、国政のあり方を決める選挙の期間中はとりわけ慎重でなければならない。
 北海道警察の対応は、時の政権におもねり、公権力が有形力を行使して時の権力者に対する批判を強制的に封じ込めることにもつながりかねないものである。

4 われわれは、民主主義社会の根幹を支える政治的言論の自由を擁護し、警察権力の違法、不当な制約を受けることなく主権者が旺盛に政治活動を行うことができるよう様々な活動を行ってきた。
 われわれは、今回の北海道警察の行為やその後の対応に対し、強く抗議するとともに、今回の事態の責任の所在を明らかにし、二度と同様の事態を引き起こさないことを強く求めるものである。

以上

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なお、公選法225条は、「交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき」を選挙の自由妨害罪の構成要件とし、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に当たるとする。
さて、「演説を妨害し」とは、どんな行為がこれに当たるか。公選法ではなく、衆議院議員選挙法時代のものではあるが、次の最高最判例(1943年12月24日)がリーディングケースとされている。

   弁護人上告趣意について。
    論旨は、原判示第一の事実に関して、原判決が被告人の所為を選挙
   妨害の程度と認定したことを非難している。しかし原判決がその挙示
   の証拠によつて認定したところによれば、被告人は、市長候補者の政
   見発表演説会の会場入口に於て、応援弁士B及びCの演説に対し大声
   に反駁怒号し、弁士の論旨の徹底を妨げ、さらに被告人を制止しよう
   として出て来た応援弁士Aと口論の末、罵声を浴せ、同人を引倒し、
   手拳を以てその前額部を殴打し、全聴衆の耳目を一時被告人に集中さ
   せたというのであるから、原判決がこれを以て、衆議院議員選挙法第
   一一五条第二号に規定する選挙に関し演説を妨害したものに該当する
   ものと判断したのは相当であつて、所論のような誤りはない。仮りに
   所論のように演説自体が継続せられたとしても、挙示の証拠によつて
   明かなように、聴衆がこれを聴き取ることを不可能又は困難ならしめ
   るような所為があつた以上、これはやはり演説の妨害である。(以下略)

以上のとおり、選挙の「演説妨害」とは、「演説の継続を不能とせしめること」、または「演説自体が継続せられたとしても聴衆がこれを聴き取ることを不可能又は困難ならしめること」である。札幌や大津の例が、これに該当するはずもないことは、明白と言って良い。

さらに、この構成要件に該当する場合でも、権力者の選挙演説に対する市民の対抗意見の表明が、憲法に保障された表現の自由の行使として、違法性が阻却されることも考えられる。警察権の行使は、慎重の上にも慎重でなくてはならない。

明日(7月21日)投票の参院選、安倍一強体制崩壊のきっかけとしたい。そうしなければ、この国のあらゆるところが、際限なく腐ってゆく。

(2019年7月20日・連続更新2301日)

http://article9.jp/wordpress/?p=12996
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/469.html

[政治・選挙・NHK263] 激震走らせた「れいわ新選組」 2議席獲得し政党要件を突破 国政変えるスタートラインに立つ(長周新聞)
長周新聞 2019年7月22日

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開票結果を受けて会見する山本太郎代表

■停滞した国政に確かな風穴

 参院選の投開票がおこなわれた21日の午後8時、東京都千代田区のれいわ新選組の開票センターには、多くのボランティアが詰めかけて開票状況を見守った。「市民とともに本気でたたかう政党をつくる」と宣言し、6年間、参議院議員を務めた山本太郎氏が単独で立ち上げたれいわ新選組(東京選挙区1人、比例9人擁立)は、比例で224万3878票(得票率4・5%)を得て2議席を獲得し、政党要件(得票率2%)を突破した。優先度の高い比例特定枠に新人2人を立てたため山本太郎代表は当選を逃すことになったが、比例での個人票は全党派別で単独トップの97万1916票を集めた。数々の選挙常識を覆し、政党として新段階に進んだれいわ新選組は、停滞した国政に確かな風穴を開け、次期衆院選でのさらなる躍進を見据えて大きな一歩を踏み出した。

 開票センターでは、早くから多数のボランティアが詰めかけ、開票状況を見守った。特定枠で、難病ALS患者の舩後靖彦氏、重度障害者の木村英子氏の当選確実が報じられると大きな歓声に包まれた。山本太郎代表は「私の一議席だったものが2議席になり、政党要件も獲得できた。みなさんと一緒に手にした大きな勝利だ」と、集まったボランティアたちににこやかに呼びかけた。

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開票センターに駆けつけたボランティアたち

■「誰も切り捨てられない社会を作るために」

 「みんなで支えていきましょうね」――山本代表のアナウンスで登場した舩後氏は、「障害者への合理的配慮を実践する山本太郎代表こそが、これからの日本を変えていくと確信している。優しい国にするはずだ。選挙戦でも、一般の人がエレベーターを譲ってくれるなど障害者に対する国民のみなさんの意識が少しずつ変わってきたと感じる。障害者自立支援法が障害者総合支援法に名称が変わったが、小手先だけをいじる法律だけでなく、必要な支援とは何かを今一度考え直してもらえる制度を作っていきたい」とのべた。

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比例特定枠で当選した難病ALS患者の舩後靖彦氏(左)

 同じく木村氏は、「たくさんの応援をいただき、厳しい状況にある障害者みなさんの一票一票が私の胸に突き刺さっている。地域で生きている障害者の生活環境は非常に厳しく、介護者がいなければ生きていけないのに介護者不足の状況もある。出るのには勇気がいったが、その状況を変えるために覚悟を決めて出馬した。地域で暮らすことを望む障害者が安心して生きられる環境を整えていきたい」と決意をのべた。

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比例特定枠で当選した重度障害者の木村英子氏

 山本代表は、「日本は近い将来、高齢化が加速して寝たきりの人たちが増えていく。生産性で人間の価値がはかられる世の中にあって、この人たちに対する“いつまで生きているのか?”という空気も強まっていくだろう。医療費などによって命が選別さえされかねない時代になることを危惧している。パラリンピックのホスト国になり、“合理的配慮”などの言葉だけが踊っているが、国権の最高機関にそのような考えがない。寝たきりでありながら豊かな人生を実践し、この国の将来に必要な知見をもっている人を国会に送ることは非常に意義深い。誰も切り捨てられない社会を作るためには、寝たきりや難病の方の人間の尊厳が守られるべきであり、それを実践するために当事者に国会に入ってもらう意味は大きい。これから議会は議会活動のサポートをやるべきであり、参議院はじめ国権の最高機関である国会が柔軟に対応してほしい」と力を込めた。

 東京選挙区に立候補し、21万票を得ながら落選した野原善正氏をはじめ、7人の新人候補者たちも当選には届かなかったが、山本代表は「私一人の議席を守る選挙ではなく、この魅力的な候補者がいたからこそ2議席を確保できた。風穴を開けていくために立ち上げたれいわ新選組に対するみなさんの期待だ。すぐに来る衆院選でまたチャレンジする」とのべ、この選挙戦で作り出した地殻変動に対する確信をみんなで共有した。

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■「山本太郎の一議席と引き換えに得られたものは、比べものにならないくらい大きい」

 比例票が出揃い、みずからの落選が確定した22日午前4時45分、改めて会見の場に出てきた山本代表が、「後悔は一切ない。前回は東京選挙区の自分一人だけだったのが2議席になった」と支持者を前に語ると、みずからの身を切って勢力拡大を果たしたことへの惜しみない拍手が送られた。

 「立候補した10人を当選させることができなかったのは私の力不足だ。加えて、私自身も議席を得られなかったのは残念だが、みんなで全力でたたかった結果だ。とはいえ、政党要件を持たない諸派が議席を獲得したのは新制度に移行後はじめてのことだ。そのうえに2議席を頂戴して政党要件を満たしたというのは、決して負けてはいない。この波紋は今後大きく広がっていく。れいわ新選組として大きく前進した。

 旗揚げした理由は、まず国会の中に緊張感をもたらす野党勢力を作ること、そして一番の狙いは政権を取ることだ。2議席に加えて政党要件は大きな成果だ。政党助成金によってたたかうことができる。しかも障害をお持ちのお二人が通ったことで、日本の障害者施策は大きく前進する。山本太郎の一議席と引き換えに得られたものは、比べものにならないくらい大きい」と強調した。

■「すでにこの瞬間からそのたたかいがはじまっている」

 躍進の理由として、「そろそろみんなが怒るときに来ているということだ。20年以上続くデフレで生活や人生を削られる一方で、一部のものだけが好景気の恩恵を享受する。この国に生きるすべての人を慮(おもんばか)る政治へとみんなの力で変えようという訴えにみなさんが賛同してくれた結果だ。もっとも意識したのは小さな野党の票を狙うのではなく、最大多数である無関心層、浮動票だった。今回の投票率は戦後2番目に低いが、それだけ政治への幻滅が広がっている。と、同時に私たちが支援を呼びかける対象が増えているということだ。がんじがらめの永田町の中から変えることは不可能だが、その外側にいる数を生み出す人たちの力が動けば変えていける。山本一人ではできないが、それが2人、3人になっていくことで政治が必ず変えられることを今後も訴え続けていきたい」と力を込めた。

 今後は政党代表として国政にかかわるとともに、次期衆院選にみずからを含めて政権奪取可能な数の候補者を擁立するために全国で活動することも明言し、「すでにこの瞬間からそのたたかいがはじまっている」と口もとを引き締めた。

https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/07/IMG_8856.jpg

■「目標は政権」

 この選挙戦で全国の人々から寄せられた寄付金は、約3万3000人から4億円を超える額にのぼった。有権者に支援を呼びかける公選ハガキは、法定数15万枚を大きく超える22万枚が1万1000人から返送された。配られた政党・個人のポスターは9万枚、ビラは270万枚。それらを掲示、配布することを含め、選挙戦を下で支えたボランティアの人数は集計不能な規模に膨らみ、四ッ谷の選挙事務所を訪れた人数だけでも17日間で3500人以上にのぼった。

 山本代表は、「身を削る思いで私たちに寄付をくださった方々、忙しい中で自分の時間を削ってポスター掲示やビラ配りをしてくださった方々、まるで自分が候補者に成り変わったかのように全国を走り回ってくださった方々が全国にいらっしゃることを私は知っている。残念ながら10人当選に至らなかったが、6年前の1議席しか得られなかった私および私たちの力が2議席に増え、政党要件を満たした。テレビが映さないなど、これまでの政党でないことから受ける数数の不条理を払拭するためのカードを手に入れることができた。次の選挙では、メディアも扱わなければならなくなるし、政党でなければ4、5人(×供託金600万円)立てなければ認められなかった衆院選のブロックに、1人でも立候補が認められるようになる。それによって費用も大きく抑えられる。かなり大きなシード権を手に入れることができたと思う。6年前に比べたら非常に大きな力だ。このような状況でこれからのたたかいをさらに進められるのは、みなさんのお力のお陰以外にない。足を向けて寝られない」と感謝の思いを伝えた。

 「あくまで目標は政権を取りに行く。そのための大きな一歩をみなさんの力で勝ち取った」――会見場に悲壮感はなく、一人一人の力を繋ぎながら全国を走り抜けた選挙戦で得た力を確信し、次期衆院選に向けてさらに勢力を拡大していくことを確認して、長い一日を終えた。

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12454
(注:各小見出しはスレ主が設けたもので記事原文にはない)

http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/524.html

[政治・選挙・NHK263] 結果は自民党の惨敗 政治不信の打開が課題に(長周新聞)
長周新聞 2019年7月22日


 21日に投開票を迎えた参議院選挙は、自公が過半数の議席を獲得したものの、安倍政府が目指した改憲勢力3分の2の議席獲得には及ばなかった。選挙は、TPP、消費税増税、共謀罪法や安保法制の強行、アベノミクスの失敗や憲法改正、広がるばかりの格差や貧困の問題など、安倍政治6年についての審判と同時に、日本社会をどうしていくのか重要なテーマが問われた。このなかで、劇場型選挙とは打って変わって大手メディアは徹底的な静観と黙殺を貫き、「寝た子を起こさない選挙」に徹した。投票率は48・80%とかつてなく低いものとなり、有権者の半数以上が棄権するものとなった。政治不信は依然として強いが、一方で山本太郎が立ち上げたれいわ新選組が「困っている国民のために、本気でケンカをしにいく政治勢力をつくる」と街頭から旋風を起こし、初の挑戦で2議席を獲得した。メディアに完全に黙殺されながらも、放送禁止物体と化した彼らが次の衆院選や今後の政治勢力拡大につながる第一歩を踏み出し、国会に一つの風穴を開けた。

 改選後の議席数としては、自民党が113議席(改選前123議席)となり、公明党は28議席(改選前25議席)。自公合わせて141議席で、維新などの改憲勢力を合わせても3分の2の164議席には届かなかった。維新は16議席(改選前13議席)となった。

 民主党解体後の野党第一党となっている立憲民主党は、改選前の24議席から32議席へと勢力を拡大した。一方の国民民主党は23議席から21議席へと微減。社民党は現状維持の2議席、「日共」は14議席から13議席へと減らした。

 小選挙区では、争点が明確な地域では特徴があらわれている。

 日米政府が強行する辺野古への米軍基地建設に対して、島ぐるみで日米両政府と対決している沖縄選挙区では、玉城デニー知事はじめオール沖縄が推す無所属新人の高良鉄美が自民党候補を寄せ付けずに当選を果たした。県知事選、前回衆院選に続いて、覆すことができぬ沖縄の底力を改めて見せつけた。

 イージス・アショア配備を巡って防衛省のずさんな調査が発覚し、反発が強まっている秋田県では、無所属新人の野党統一候補である寺田静が自民現職を破って当選を果たした。山形でも自民現職が敗北。立憲民主党の候補ながら消費税廃止を訴えて注目されていた宮城選挙区の石垣のりこが自民現職を撃破して当選を果たした。

 柏崎刈羽原発を抱え、原発再稼働問題を抱えている新潟県では、国交副大臣として忖度発言が問題になった塚田一郎が無所属の打越さく良に破れて落選した。広島では岸田派の重鎮である溝手顕正が自民党内の矛盾も反映して落選した。大分選挙区では日本会議関係者で安倍晋三の親衛隊として認知されてきた首相補佐官の礒崎陽輔が落選した。

■既存政党見放されるなか新たな勢力登場の兆し

 自公が強いわけではなくむしろ弱体化もしているが、そうはいっても企業や団体などの組織票を一定程度有し、一方の野党がそれ以上に国民の支持基盤が乏しく、選択肢としても細細と分散した状況のなかで選挙はたたかわれた。前回衆院選の直前に起こった不可解な野党解体・小池劇場の後、それまで反自民の受け皿となっていた旧民主党は国民民主党と立憲民主党に分裂し、野党側は今回の選挙で1人区において野党共闘を組んで挑んだ。いくつかの選挙区では結果を残したが、とりわけ1人区では山口県のようにまるで有権者の思いからかけ離れ、相手にされないところもあった。御用組合と化した連合や、県政・市政のもとでは自民党に迎合してきた旧民主党系及び自称野党への信頼が乏しく、たたかう姿勢が乏しいことを強く印象付けた。絶対得票率が20%に満たない自民党を上回る実力がなく、有権者をひきつける熱意も能力もない問題について考えさせるものとなった。とくに山口県選挙区はその傾向が顕著で、野党というだけではどうしようもない現実を突きつけた。

 今回の選挙の最大の特徴は、大手メディアが黙殺に徹したれいわ新選組の台頭である。開票番組になって初めてどのテレビ局も山本太郎を登場させたものの、投票が終わるまでは完全に黙殺し、一般の有権者に旋風を伝えない戦略に徹した。あちこちで駅前を埋め尽くし、いわばこの選挙で最大の熱気をつくり出していたにもかかわらず、影響力が広がることを恐れたかのような対応に終始した。

 れいわ新選組は比例で224万3878票(開票率99・02%)を獲得し、比例の特定枠で難病ALS患者の舩後靖彦、障害者の木村英子の2人が当選した。代表の山本太郎の当選はならなかったが、かつてない政治不信が覆っているなかで間違いなく街頭から旋風を巻き起こし、次につながるたたかいをくり広げた。得票率2%以上の4・53%(同)を達成し、国政政党として立ち上がった。

 政党政治は引き続き有権者から浮き上がり、5割以上の参政権が行使されないという分断された状況のもとで、絶対得票率が20%にも満たない自民党が勝利する構造が横わたっている。この自民党を上回る政党や政治勢力がいないのも厳然たる事実で、既存野党の弱さに付き合って幻滅していたのでは展望が見えない状態は引き続き変わりがない。閉塞した政治状況を打開するためには、既存の与野党の面子のなかから「誰がマシか」を争うような小手先の選択ではどうにもならない。街頭から本気で有権者とつながり、その思いを代表して政治を実行していく政治集団が登場し、下から日本社会をよりよくするための力を束ねていくことが求められ、その兆しが見えた重要な選挙となった。

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12478
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/525.html

[政治・選挙・NHK263] 自民が比例区の得票数、大きく減らす 議席数はキープ(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月22日11時52分

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190722001230_commL.jpg
第2次安倍政権下の自民党の比例区得票と絶対得票率

 自民党は今回の参院選比例区で、前回2016年と同じ19議席を獲得したにもかかわらず、得票数は2011万票から大きく下げ、1800万票前後にとどまりそうだ。棄権者も含めた全有権者に占める割合を示す比例区の絶対得票率も、第2次安倍政権下での国政選挙で過去最低の17%を切る可能性もある。

 自民は過去2回の参院選で20人台に絞っていた比例候補を今回は33人擁立。「候補者を増やせば、党全体の得票数の押し上げにつながる」(党関係者)との思惑があったが、比例票を大きく減らし、狙い通りにはならなかった。

 一方、比例の獲得議席数は、前回と同じ19。比例で自民に投票したのは全有権者の17%前後だが、比例区50議席のうち、38%を獲得した計算になる。支持に大きな広がりはみられないものの、低投票率に支えられたといえる。

 自民の絶対得票率は低下傾向が続いている。第2次安倍政権での国政選挙でみると、16年参院選でいったん18・9%まで上昇したが、17年衆院選では17・5%まで下落し、今回はこれを下回る可能性がある。

 連立を組む公明も前回と並ぶ比例7議席を獲得したが、今回の得票数は自民と同じように大幅減。前回の757万票から減らし、600万票台にとどまりそうだ。

 野党第1党の立憲民主党は800万近い比例票を獲得し、8議席となったが、結党直後の17年衆院選の1108万票からは大きく減らした。(磯部佳孝)

https://www.asahi.com/articles/ASM7Q2SX4M7QUTFK003.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/526.html

[政治・選挙・NHK263] <参院選>山本氏、最多97万票も落選 次期衆院選「挑戦する」(東京新聞)
2019年7月22日 夕刊

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/images/PK2019072202100297_size0.jpg
当選した木村英子さん(左)とガッツポーズする政治団体「れいわ新選組」の山本太郎代表=22日午前1時15分、東京都千代田区で(内山田正夫撮影)

 れいわ新選組は比例代表で二議席を獲得する一方、代表の山本太郎参院議員は落選した。山本氏が比例で獲得した個人名得票は二十二日午後一時現在で九十七万票を超え、二〇〇一年に参院比例で非拘束名簿式が導入されて以降、落選した候補者として最多を記録した。

 山本氏は一三年参院選で東京選挙区から立候補し初当選。今回の参院選では比例に回った。れい新で当選したのは、今回から導入された特定枠の一位に擁立した、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者で介護事業会社副社長の船後靖彦氏(61)と、同二位に擁立した重度障害者で市民団体代表の木村英子氏(54)。

 これまで落選した候補としては、一〇年参院選で浮島智子氏(公明)が獲得した四十四万五千六十八票が最も多かった。山本氏はその倍以上を獲得。当選者を含めたすべての比例候補の中で最多得票だったが、特定枠の二人に優先的に議席が回った。民意が反映されない制度として、特定枠への見直し論が出る可能性もある。山本氏は二十二日早朝、自らの落選が確定したことを受け、東京都内のホテルで記者会見。「山本太郎としての議席は失ったが、れいわ新選組としては大きく前進した。人々の力によって政治は変えられるということの入り口に立ったと思う」と強調した。

 次期衆院選について「出るしかない。挑戦する」と明言し、「政権にリーチできる戦い方をしたい。候補者を百人くらい擁立しなければいけない」と話した。

 生活に苦しむ多くの人たちに、憲法が定める生存権が保障されていないとして「憲法を変えたいのは憲法を守っていない人たちだ。現在の勢力の中で行われる憲法改正はやめた方がいい」とも語った。 (上野実輝彦、妹尾聡太)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/CK2019072202000320.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/527.html

[政治・選挙・NHK263] (第1話)れいわ「非常識」の前評判が一転 野党の勢力図に影響か (第2話)れいわ・N国に交付金配分へ(朝日新聞)
(第1話)
れいわ「非常識」の前評判が一転 野党の勢力図に影響か
朝日新聞デジタル 2019年7月22日21時50分 河合達郎

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190722003234_commL.jpg
落選が決まった後、記者会見する山本太郎代表=2019年7月22日午前4時47分、東京都千代田区、西畑志朗撮影

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190722000622_commL.jpg
落選が決まった後、記者会見する山本太郎代表=2019年7月22日午前5時1分、東京都千代田区、西畑志朗撮影

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190722003264_commL.jpg
落選が決まった後、支援者にあいさつする山本太郎代表(左端)ら=2019年7月22日午前5時51分、東京都千代田区、西畑志朗撮影

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190722003221_commL.jpg
落選が決まった後、支援者に一礼する山本太郎代表=2019年7月22日午前5時51分、東京都千代田区、西畑志朗撮影

 山本太郎氏が率いる「れいわ新選組」が、発足から3カ月余で迎えた参院選で2議席を獲得した。旗揚げ当初には「非常識な挑戦」との評価も政界にあったが、「消費税廃止」など既存野党にない公約やSNSを駆使した選挙活動で支持を広げた。山本氏は議席を失ったものの、れいわが野党の勢力図に影響を与える可能性も出ている。

 「山本太郎としての議席は失ったが、れいわとしては大きく前進した」。22日朝まで開票速報を見届けた山本氏は、記者会見で満足げに語った。

 れいわは比例区で約228万票(4・55%)を集め、公職選挙法などに基づく政党要件を得た。優先的に当選する「特定枠」の2人が当選した。

 山本氏は、比例票発掘のため東京選挙区から比例に転出する「捨て身の戦術」に出て落選したが、今回の全比例候補で最多の99万票超の個人票を集めた。今後は非議員の立場で代表を続け、次の衆院選で100人規模の擁立をめざす。

 れいわ設立当初、野党内では「野党結集と言うが、やっていることは分派だ」(国民民主党幹部)、「政党要件がない大変さを分かっていない」(立憲民主党幹部)と冷ややかな見方が強かった。

 だが山本氏は、立憲など主要野……こちらは有料会員限定記事です。残り:1160文字/全文:1646文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7Q558PM7QUTFK00V.html

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(第2話)
れいわ・N国に交付金配分へ 「政党」認定、活動で恩恵
朝日新聞デジタル 2019年7月22日22時18分 別宮潤一

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190722004557_commL.jpg
当選を決め、記者会見するれいわ新選組の木村英子氏(左から2人目)と山本太郎代表=2019年7月22日午前1時1分、東京都千代田区、西畑志朗撮影

 参院選で、れいわ新選組とNHKから国民を守る党(N国)が、法律上の政党要件を満たした。今後は政党と認められ、政党交付金や選挙活動上でのメリットを受けられる。社民党も政党要件を維持した。

 れいわは比例区で2人当選し、比例区の得票率は4・55%。N国は比例区で1人当選し、選挙区の全国得票率が3・02%だった。社民は比例区で1人当選し、比例区の得票率は2・09%となった。

 政党助成法は、@国会議員5人以上A国会議員1人以上で、直近の衆院選か参院選、またはその前の参院選で選挙区か比例区での得票率が2%以上――のどちらかを満たせば「政党」と認定する。れいわとN国はAで要件を満たした。8月13日までに総務相に届け出し、10月10日までに交付請求書を出せば、10月18日に8月分からの政党交付金がうけられる。

 交付金は年約320億円が各政党の議員数や国政選挙の得票率に応じて配られる。総務省政党助成室は「両党に配る額の計算はこれから」と話すが、似たケースでは、自由連合が1998年の参院選後、政党要件を満たし、所属議員1人で5400万円の交付を受けた。

 公職選挙法にも、政党助成法と類似の政党要件があり、れいわとN国はこちらも満たした。少なくとも次の衆院選では、政党としての選挙カーやビラ、はがきを活用できる。小選挙区の候補者が政見放送に出られるようになる。

 政党と認定されることで、テレビの討論番組などでのメディアの露出も増える可能性がある。

https://www.asahi.com/articles/ASM7Q5F39M7QULFA01V.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/528.html

[政治・選挙・NHK263] 野党、試される「共闘」 次期衆院選 立憲と国民に溝(毎日新聞)
デジタル毎日 2019年7月22日 20時12分(最終更新 7月22日 20時57分)

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/22/20190722k0000m010372000p/7.jpg?2
次期衆院選に向けた野党結束の課題

 立憲民主、国民民主、共産など主要野党は次期衆院選で接戦が予想される選挙区で候補を一本化する「共闘」を模索する。ただ、参院選で対決する選挙区もあった立憲、国民にはしこりが残り、連携に不安を抱える。安倍晋三首相が憲法改正論議で国民に秋波を送るなど「分断圧力」もかかり、野党の結束が試されそうだ。

 「このままバラバラでやって、野党同士が争い続ければ、体力を失って政権交代は夢のまた夢になる」。国民の玉木雄一郎代表は22日、党本部で記者団にこう語り、旧民主党勢力が立憲と国民に分かれたままで次期衆院選を戦うことに危機感を示した。連合の神津里季生会長も玉木氏、立憲の枝野幸男代表と連合本部で個別に会い、「他の野党との連携をもう少し深めてほしい」と促した。

 玉木、神津両氏は国民、立憲の連携強化を求める立場だ。だが、立憲は一貫して「離合集散、他党との合併は…

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https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190722/k00/00m/010/360000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/529.html

[政治・選挙・NHK263] 恐るべしレイシスト・トランプ。いや、本当に恐るべきはトランプ支持者なのだ。(澤藤統一郎の憲法日記)

上西充子さんが上梓した「呪いの言葉の解きかた」が評判になっている。

「私たちの思考と行動は、無意識のうちに『呪いの言葉』に縛られている。そのことに気づき、意識的に『呪いの言葉』の呪縛の外に出よう。のびやかに呼吸ができる場所に、たどりつこう。」

数ある「呪いの言葉」のうちで、最も普遍的で最も打撃的なものが、「イヤなら出ていけ」という物言い。「それを言っちゃお終い」のたっぷり毒が入っている。

どこから出て行けというのかは千差万別である。「この家から出ていけ」「このムラから出て行け」「会社から出て行け」「ギョーカイから出ていけ」「仲間はずれだ」「この国から出て行け」…。強い者が弱いものに、多数派が少数派に、主流が傍流に投げつける言葉。多くは、出て行こうにも出てはいけない状況であればこそ、呪いの言葉として機能する。

上西さんは、こう解説している。

悪いのは、「嫌だ」と思っている人間の方だ、というニュアンスが込められている。呪いの言葉とは、「会社」や「この国」の方の責任は不問に付して。社会や組織の構造的な問題については不問に付し、それをすべて個人の責任の問題に転嫁することで、その人を呪縛し、あたかも個人に非があるように思い悩ませる言葉。もっと簡単に言えば、人の生き方や働き方を縛り付け、人の自由を奪う言葉。これが呪いの言葉である。

戦前の天皇制国家では、「非国民」が最大級の呪いの言葉だった。あるいは、国賊・逆臣・不忠など。天皇への忠誠が国民道徳を超えた社会規範として国民を縛りつけていた。この規範から外れた「非国民」との刻印を押されることは、社会的な死をさえ意味していた。

米大統領のトランプが、極めつけの呪いの言葉を発した。野党・民主党の非白人女性(下院)議員4人を念頭に「イヤならこの国から出て行け」と言ったのだ。文言はすこし違うが、このとおりなのだ。

トランプはこう言ったのだ。「オレが大統領だ。オレが、アメリカの正統だ。そのオレにグズグズ文句を言うのなら、この国から出て行け」

しかも、トランプの最も忌むべき卑劣さは、非白人女性を狙い撃ちにしたことだ。もちろん、このような差別言論が、自分の支持者に熱狂的に歓迎されることを計算してのことである。

トランプは、アメリカの恥ずべきレイシズムをバネに大統領になった。再選のためには、自分のレイシストぶりをアピールしておかねばならないのだ。たとえ、それが理性ある人びとの大きな反感を買うとしても、次期大統領選には自分に有利と計算したのだ。

米下院は7月16日、「人種差別的な発言」と非難する決議案を賛成多数で可決した。「新たな米国民や有色人種への恐怖や憎悪を正当化し、拡散させたトランプ大統領の人種差別的な発言を強く非難する」「暴力や圧政から合法的に避難や亡命を求める人々に対し、米国は開かれ続けるよう約束する」というもの。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、同種の決議可決は過去4回だけと米議会史でも異例で、この100年では初めてという。投票結果は賛成240票、反対187票。民主党以外では、共和党4人と独立系1人が賛成にまわった。これほどのあからさまな差別発言に対する批判決議が、けっして圧倒的な多数で成立してはいない。

決議の翌日(7月17日)、南部ノースカロライナ州グリーンビルで開かれた共和党集会では、ソマリア出身でイスラム教徒のイルハン・オマル下院議員を批判するトランプの演説に聴衆が呼応。会場全体が「彼女を(ソマリアに)送り返せ」の大合唱に包まれたという。

「非国民は、この国から出ていけ」という呪いの言葉は、天皇制社会の専売ではない。理性を捨てた国民と、これを煽る政治家がいる限り、民主主義を標榜する社会でも、呪いとして機能する。民主主義の母国アメリカにその実例を見せつけられて暗澹たる思いである。

第25回参院選の投開票日の今日(7月21日)、あらためて思う。民主主義は、けっして常に正義を約束するものではない。主権者国民と政治家とが有すべき理性が不可欠なのだ。アメリカでも日本でも、である。
(2019年7月21日・連続更新2302日)

http://article9.jp/wordpress/?p=13000
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/530.html

[政治・選挙・NHK263] 「れいわ新選組」に多大なご支援をいただいたあなたへ。(山本太郎オフィシャルブログ)
2019-07-23 20:20:43

今回の参議院選挙の比例代表の結果、
122万6413票をれいわ新選組に、
99万2267票を山本太郎に、
合計で228万764票をいただきました。
(総務省発表)

私たちのグループで唯一の選挙区。
東京選挙区で立候補をしてくださった、
野原よしまささん。
基地問題や消費税増税による沖縄の人々の窮状、
創価の改革を訴えて、21万4438票をいただきました。
(都選管発表)

東京選挙区の議席獲得は至りませんでしたが、
堂々と素晴らしい戦いを展開して下さいました。
準備が間に合わず短い期間で、ここまで票が積み上がったのは、
損得ではなく、どこまでも真っすぐな、
野原さんのお人柄を評価いただけたのだと考えます。

さて、今回の選挙を振り返ると、
山本太郎の議席は守れず、
加えて、全力で戦ってくれた7人の素晴らしい仲間を国会議員にできなかった。

その責任は全て私にあります。力不足でした。
申し訳ありませんでした。

一方で、6年前の東京選挙区の山本太郎1議席から、
今回、倍の2議席になったうえ、政党要件を獲得できました。

山本太郎の議席は失いましたが、
れいわ新選組としては大躍進です。

ALSの舩後さん、重度障がいの木村さんを
国会議員として送り出すことができました。
れいわ新選組流のパリテですね。
生産性で人間の価値を測らせない社会、
誰も切り捨てられない社会への第一歩です。

それに加えて、今回私たちのテーマであり、
皆さんと目標としていた一つ、
「市民の力で国政政党を作る」、が実現しました。
すべては、あなたのお力のおかげです。

一週間のおかずを一品減らして捻出した千円。
1日の自分へのご褒美だったコンビニスイーツを数日諦めた500円。
帰りの電車賃を財布に残して、街宣会場で絞り出した200円。
底の擦り切れそうな靴を買い換える為においていたお金。
老後の資金を切り崩して工面してくださったお金。
みんなの思いが積み上がり、
4月10日から7月20日までに、
4億205万円に。

1日の空き時間が少しでもできれば、
ポスターを貼るためにコツコツ歩いてくれた。
雨の中でもチラシをポスティングしてくれた。
周りにどう思われようと、広げるために人に会ってくれた。
電話やSNSでも広げてくれた。
みんなの思いが積み上がり、
228万764票に。

あなたが、
ない時間を削って、なけなしのお金で、
全力で私たちを支えて下さった。

この国や将来に希望など持てないなか、
徹底的に戦う、政権を取る、社会を変えると旗を振る私たちに、
一縷の望みをかけてくださった思いを決して無駄にはいたしません。

消費税増税の悪影響が数字に現れる前に、
衆議院選挙が行われると考えます。
年内、または年明けではないかと、予測されます。

今年4月に立ち上げたグループが、
3か月後の選挙で国政政党になるまで勢いがついたのですから、
次の衆議院選挙で大きく議席を伸ばし、
あなたと一緒に作ったれいわ新選組が、
国会において主導権を握る存在になるよう、
これからもお力をお貸しください。

蓮池透さん、やすとみ歩さん、三井よしふみさん、野原よしまささん、
辻村ちひろさん、大西つねきさん、渡辺てるこさん。
誰一人被らない濃いキャラ、素敵で本気な大人たち。
次なる挑戦の際には必ずお声がけしたいと考えています。

暑さが落ち着くころ、全国ツアーに出ます。
その際には、街宣だけでなく、
みなさんとのミーティングなども別で行い、
対話を深めていこうと考えています。
政治に興味のない周りの人々もどうか巻き込んでください。
みんなで、国の未来を作っていきましょう。

みんなで政権取りにいこう。

改めてインフォメーションいたします。
奮ってご参加いただきますようお願い申し上げます。

山本太郎

https://youtu.be/2PxazQ7qa-8
山本太郎・れいわ新選組 参院選2019

https://ameblo.jp/yamamototaro1124/entry-12497140764.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/552.html

[政治・選挙・NHK263] 「言葉の海へ」 第82回:選挙雑感(鈴木耕)
By 鈴木耕 2019年7月24日

 今回の選挙、いったい何だったんだろうなあ。どうも、すっきりしない感じが残っただけのような…。だけど、いろいろな現象は起きていた。気づいたことを、順不同で挙げてみよう。

■「れいわ新選組」旋風

 ともかく、山本太郎旋風は凄かった。各地での太郎さんの演説には、驚くほど多数の人々が押しかけた。時には1万人を超えるほどの人々が、山本さんの演説を聞きに詰めかけたのだ。ぼくも新宿に出かけたけれど、その熱気は、他党の党首などを完全に圧倒していた。自民党の選挙用ペットの小泉進次郎議員だって遠く及ばない凄さだった。

 だがマスメディア、とくにテレビはほとんどこの現象を無視した。先週もこのコラムに書いたけれど、これは明らかに「ジャーナリズムの敗北」だ。街でいま起きていることや、ネット上で吹き荒れている台風の目に、なぜ注目しないのか、いや、できないのか。

 森達也さんが、山本さんの応援でこんなことを言っていた。

 「ここに、たくさんのメディアの方が取材に来ている。でもこれを、いったいいつ報道するんですか。なんで今日、このすごい熱気を報道しないんですか。選挙が終わってから、こんなことが起きていましたよと流して、いったい何になるんですか!」

 まさにその通りだと思った。選挙直後の「特番」で、エクスキューズでこの熱気の映像を流して何になるか。これを報道することで、何かが変わることを恐れていたのだろうか?

 この国のジャーナリズム、死にかけていないか。

■翌朝のワイドショー

 ぼくは選挙特番を遅くまで見ていたので、22日は朝8時頃に起きた。早起きのカミさんが、テレビのワイドショーを見ていて、呆れ顔で言った。

 「今朝のテレビ、ずーっと吉本ばっかり。選挙のセの字も言わないのよ」

 ぼくはチャンネルをあちこち回してみたが、出てくるのはふたりの芸人さんの涙ばかり。それはそれで大きな話題だとは思うけれど、これが1時間以上も続いたのだ。カミさんじゃなくったって、呆れるよ。

 ようやく選挙の話題になったけれど、例の田崎史郎氏が出てきて、なにやらワケの分かんないことを十数分しゃべって、はい、おしまい。

 投票率がどーのこーのと言う前に、これがテレビの現状なのだということを認識する必要がある。

■最低の投票率

 なんでもテレビのせいにするつもりはないけれど、投票率が48.8%と最低ラインの50%を割ってしまった。ここまで政治に関心が薄れれば、もう何も言うことはない。国が国民(有権者)とともに、国は滅びていくだけだろう。ハンナ・アーレントの言い方を借りれば「凡庸な悪」か。

 むろん、ほくそ笑むのは権力者たち。やりたい放題の政治ができる。何を批判されたって「国民の信をいただいている」で済ましちゃう。

 思った通り、安倍首相は「国政選挙で国民の強い支持をいただいた」と会見で強調。しかし、この結果のどこを見れば「強い支持」などと言う言葉が出てくるのだろう?

■自民党は勝ったか

 確かに、自民公明の与党は勝った。だけど、数字はとても「勝った」と言えるようなもんじゃない。

 今回の自民党の比例区での得票数は、約1、771万票(約35.4%)だ。実は前回2016年の参院選では、約2、011万票だったのだから、240万票あまりも得票を減らしているのだ。得票率だって35%に過ぎないし、絶対得票率(全有権者に占める得票率)では、ほぼ17%でしかない。

 獲得議席数も自民党は67→57と、大きく減らしている。はたして勝ったと言えるのか。

■改憲発議は阻止できた?

 「改憲の発議」には、衆参両院のそれぞれ3分の2の議員の賛成が必要だ。確かに今回、改憲党派の3分の2の議席獲得はならなかったが、ことはそう簡単じゃないようだ。

 読売新聞はさっそく、安倍首相が、改憲派が存在すると言われる国民民主党に向けて、一緒に「憲法議論をしようではないか」と呼びかけと報じたし、これに呼応するような声も、国民民主党内から漏れ始めている。

 この選挙で、いっそう存在感が小さくなった国民民主党の一部が、ズリズリと自民党へすり寄っていかないとも限らない。

 改憲には慎重姿勢の公明党だけれど、これまでのあの党の動き方を見れば、とても信用できるもんじゃない。肝心な場面で、いつ寝返るか?

■争点があれば野党は勝てる

 32ある1人区のすべてで野党共闘が成立したとはいえ、選挙戦序盤では、圧倒的に自民優勢との報道が多かった。知人ジャーナリストたちからの情報でも「32区のうち5〜6区で野党が勝てるかどうか」というものだった。しかし、結果は10区で野党統一候補が競り勝った。前回は11区で野党が勝ったけれど、それに匹敵する健闘だった。

 総じて東北地方は野党共闘が強い。これは、自民党の農業政策に対する農業者たちの反発が強いためだと言われるが、むろんそれだけではない。「争点」があって、それにきちんと野党側の意見がまとまっていれば、力を発揮するということだ。

 例えば、秋田ではイージス・アショア問題。野党の寺田静候補はこの配備に厳しく反対したが、自民党の中泉候補はぐずぐずと口を濁して明確な判断を示さなかった。

 宮城は混沌。何しろ野党・石垣のりこ候補が「消費税撤廃」と、山本太郎さんと同じ主張で突き進んだ。立憲の枝野幸男代表も、積極的にこの主張を取り消そうとはしなかったようだ。自民の愛知治郎候補はアタフタ。大接戦だったが、野党候補が未明に当選を決めた。

 新潟では原発への態度も争点となった。野党の打越さく良候補は最初から脱原発との主張をしていたが、自民・塚田一郎候補は失言問題で追いつめられ、原発に言及する暇さえなかった。

 むろん、沖縄では辺野古工事に関する姿勢。オール沖縄の高良鉄美候補は、これを争点にしたが、自民・安里繁信候補は最後まであやふやな態度で逃げた。

 滋賀の元知事の嘉田由紀子候補は、環境問題の専門家。とくに琵琶湖を抱える選挙区だけに、この訴えが効いたようだ。

 つまり、きちんとした争点を設定し、それに明確な意見を表明して選挙戦に臨めば、いかに自民優勢でもそうとうな闘いができるということ。

■山本太郎さんがテレビ「党首討論」に参戦

 国会が召集されれば、れいわ新選組が大きな話題の的になるだろう。重い障害を持つ方が国会に登場する。それは、ほんとうの意味で「当事者」の国会への登場である。各党がどう対応するのか、鼎の軽重が問われる、というのはこういうことだろう。

 れいわ新選組は今回、比例で約228万票を獲得、政党要件である得票率2%を大幅にクリアした(得票率4.55%)。「政党」として認められ「政党助成金」の支給対象になったということだ。

 したがって、党の代表である山本太郎さんは、晴れてテレビの党首討論などに参加できることとなる(実は、政党要件クリアが党首討論や各党討論番組の参加への絶対条件ではないのだが、なぜか各マスメディアがそう決めているらしい)。マスメディアはこれまでの慣例から、山本氏を呼ばざるを得ないだろう。議員ではなくても党代表なのだから。

 歯に衣着せない山本さんが、党首討論などで、あの街頭演説で見せたすさまじい迫力を披露すれば、つまらない番組の代名詞だった党首討論だって、視聴率アップは間違いない。

 面白いことになる。

■社民党が生き残った

 政党要件ということでいえば、社民党もギリギリ踏ん張った。政党要件2%をかろうじて獲得したのだ。ぼくはほんとうにホッとしたのだ。

 この党は、毀誉褒貶はあるけれど、やはり戦後のこの国を支えた政党であったことは間違いない。「やるっきゃない」「山が動いた」で国民的人気を得て「おたかさんブーム」を巻き起こし、平和国家のひとつの象徴になった土井たか子委員長を、懐かしく思いだす。

 ぼくは雑誌編集者時代、何度も土井さんにインタビューし、親しくしていただいた。ズバリとものを言うけれど、その平和への想いは揺らぐことがなかった。選挙でも何度も勝利し、参議院では「首相指名」を受けたこともあった。もしあの時、土井さんが首相になっていたら、この国はどうなっていただろうと、いまでもときどき思うほどだ。

 弱小政党にはなったけれど、まだまだ頑張ってほしい。社民党の政策はとてもまともだと、ぼくは思っているのだから。

■NHKのブラック・ジョーク

 政党要件をちょっと心配な党もクリアしたようだ。それは「NHKから国民を守る党」だ。その党名の通り、「NHKをぶっ壊す」が売り物なのだが、あとは何を言っているのかさっぱり分からない。そうとう極右的主張も目につく心配な党なのだ。

 ではなぜ、この党が議席を得たのか。「争点があれば勝てる」とぼくは書いたが、この党名こそが「争点」になったのではないか。

 NHKという巨大マスメディアに対して、多くの有権者が嫌悪感を抱いていて、この党の他の主張などよく知らなくても「おお、NHKをぶっ壊してくれるのか。それなら投票しよう」という人が多かったのではないか。NHKが、それほど有権者の信頼を失っているということでもある。

 NHKは、これから党首討論番組等に、N国党の立花孝志代表を呼ばざるを得なくなる。その際に、NHKの司会者は毎回「NHKから国民を守る党」と紹介するわけだ。これはかなりのブラック・ジョークだろう。

 その場面を想像するだけで、黒い笑いが浮かぶ。

■やはり選挙制度の問題に行き着く

 大きな問題として残ったのは、やはり「選挙制度」だろう。

 なにしろ山本太郎さんが、99万票という今回の選挙では最大の得票をしていながら落選してしまった。どう考えても納得いかない。

 この「選挙制度問題」については、先週のこのコラムできちんと書いたから、ここでは繰り返さない。だが、この山本さんの例ひとつとってみても、早急に選挙制度改革は必要だろう。

■残念だったこと

 ぼくが今回の選挙でもっとも残念だと感じたのは、立憲民主党から比例で立候補したおしどりマコさんの落選である。彼女がおしどりケンさんと一緒に、東京電力などの記者会見などにほとんど毎回出席して、多くの疑問点を追及、それをSNSで拡散してくれた功績は半端じゃない。

 マコさんが国会で、経産省や文科省、環境省などを鋭く問い詰めてくれる場面を期待していただけに、ほんとうに残念であった。次回は必ずリベンジしてくれることを願っています。

■ポスターが当落を分けた

 さいごに、こぼれ話をひとつ。

 東京選挙区では、最後の議席を争っていた立憲民主党の山岸一生さんが、結局、競り負けて落選。維新に敗れたのだから、まことに残念。

 しかし、彼は落ちるべくして落ちたと言える。

 山岸さんのポスターを見て「あ、こりゃダメだ」とぼくは思ったのだった。賢そうなお顔の下に経歴として「筑波大付属駒場高、東京大学卒、元朝日新聞記者」と麗々しく書かれていたのだ。いまどき「どうだ、ボクはこんなに秀才なんだぞ!」とばかりに学歴をひけらかす。そりゃ賢いかもしれないが、人としてどうなのよ。

 ぼくだけではなく、FBでも同じような感想がずいぶん書き込まれていたから、多くの人に不快感を持たれたのは間違いない。

 さすがに最後は陣営も不評に気づいたのか、経歴を削除したポスターに貼り替えられていたところもあったけれど、時すでに遅し。

 誰が作ったポスターかは知らないが、やはり「れいわ」とはセンスが違っていた。負けるべくして負けた人もいたのである。

 あまり盛り上がらなかった今回の選挙だったけれど、個別に見ていけば、それなりに興味をそそられたことがあったのです…。

https://maga9.jp/190724-3/
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/591.html

[政治・選挙・NHK263] 「政治家とは人々が政治を行うのを手助けする職業である」(ちきゅう座)
2019年 7月 24日
<村上良太(むらかみりょうた):ジャーナリスト>

 今回の選挙で山本太郎氏を左派のポピュリストと言う人もいるようですが、筆者はそういう風に見ていません。欧州で筆者が最近、耳にした言葉を1つ挙げさせてください。それは現代の哲学者が政治について語った言葉です。

 「政治家とは人々が政治を行うのを手助けする職業である」

 これがその言葉です。最初、本当に驚きました。こんな発想を日本で持ったことがなかったからです。日本の政治に対する常識と180%異なる視点ではないでしょうか。というのは当地では政治家とは人々を導いていくカリスマ的リーダーが良き政治家と思われてきたフシがあります。「強いリーダーが欲しいですね」という言葉が象徴的です。

 でも欧州では新しい政治家の概念が生まれているようです。政治の主役は町の人々なのです。その哲学者はこうも語りました。「多様な人々が参加することで政治の世界で想像力が豊かになる」フランスのパリで1968年に起きた五月革命では「想像力が権力を奪う」という言葉が壁に書かれていました。想像力を政治の世界にもっと導入していこうという願いがそこにはあります。

 また、ある人はこんな言葉を言っていました。「政治は町の人々が毎日行っていることです」。この言葉はある画廊主の女性から聞きました。家庭の中でも職場でも政治と言うものは日常だというのです。男女の関係ですら政治が関わっています。国会は決して、特別な何かなどではなくて日常の小さな政治の延長線上にあるものだというのです。ですから、「政治には関心を持つな」というのは生きるのをやめろ、ということとほとんど同義なのです。選挙に行って投票する、という行為は政治の1コマでしかありません。投票することは大切なことですが、投票したらそれで政治の役割を果たしたわけではないというのです。

 今回、れいわ新選組の山本太郎代表が難病患者や重い障碍者を候補に立てたのを見て障碍者を利用している、と批判する声もあります。しかし、欧州の哲学者の考えに沿って解釈すれば、山本氏は彼らが政治を行うのを手伝っているのです。そして、当選した二人の障碍者たちもまた、他の障碍者や、他の人々が政治を行うのを手助けする仕事をする、ということになります。障碍者だからといって障碍の問題しか扱えない、と決めつけるのは傲慢だと思います。障碍者であっても経済の問題でも、外交問題でも扱うことは可能だと思います。どんな問題の当事者でも、自分の問題だけでなく、他の様々な分野の人々の利益も代弁することは可能です。想像力がそれを可能にするのです。

 立憲民主党の辻元清美氏に以前、インタビューした時、辻元氏はNPOなど市民運動の力をどんどん国会に取り込んで政治を活性化していきたいというようなことを言っていました。これも「政治家とは人々が政治を行うのを手助けする職業である」という言葉だと思えます。高学歴で一流企業などの肩書きを持つスーパーエリートを選んで、どんな問題でも解決してもらおう、という考え方とは対照的です。もし人々が政治を行うのを手助けするのが「ポピュリズム」だとしたら、ルソーの社会契約論などそもそも成り立ちえません。ルソーは法律と言うものは国民みんなで決めることが大切だと言っていました。政治の主権者は国民なのです。確かに、複雑な現代では、経済や技術の面で専門知識も必要になるでしょう。しかし、それは知恵や技術や経験の豊かな人と一緒に政治をやればいいのです。

 近年の傾向として選挙戦で争点を隠し、さらに国会が始まってもTPPの時などのようにできるだけ国会議員に情報にアクセスできないようにして、秘密裏に政治を進めていこうという傾向が顕著になっています。日本でもアメリカでもフランスでもそうです。そのような時代に、国会の中に町の人々の声を入れていく、様々な知恵や経験を導入していく、ということはとても大切なことだと思います。現政権における国会の常識が世界の非常識になっていることが多々あるからです。今回の選挙で新しい風が吹いていると言うのはこのことだと思っています。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion8839:190724〕

http://chikyuza.net/archives/95568
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/592.html

[政治・選挙・NHK263] 国民の政治離れ≠ェ顕著になり、政党政治の劣化が進んでいる − 改憲勢力「3分の2割れ」をめぐる攻防 −(ちきゅう座)
2019年 7月 24日
<広原盛明(ひろはら もりあき):都市計画・まちづくり研究者>

 2019年参院選の結果を見て思うことは、国民の政治離れ≠ェ顕著になり、政党政治の劣化が着実に進んでいることだ。何しろ全国の投票率が48.8%と50%を切り、戦後2番目の低投票率に落ち込んだのである。前回2016年参院選の投票率54.7%を約6ポイントも下回ったので、有権者の過半数が投票に行かなかったことになる。これまでは、大都市部で投票率が低くても地方では高いという傾向があったが、今回は北陸、中国、四国、九州、沖縄の各地方でも軒並み戦後最低に落ち込んだ(朝日新聞7月22日)。国民の政治離れはもはや全国共通の社会現象となりつつある。

 国民の政治離れの原因が、安倍首相の「ウソをつく政治」にあることは明白だろう。安倍首相は、自らが関わったモリカケ問題についても「知らぬ存ぜぬ」と強弁し続けているし、財務省の公文書捏造についても一切責任を取ろうとしない。その上、真相究明を求める野党の国会開催、予算委員会開催にも応じない。都合の悪いことには全て蓋をして、憲法審査会の議論だけは進めようとする。こんな安倍首相の究極のご都合主義に多くの国民は心底から嫌気がさしているのである。

 私の周辺でも「アベチャン嫌い」が非常に多い。彼・彼女ら(彼女の比率が高い)は安倍首相がテレビに出て来ると即座にテレビを切る。安倍首相自身でなくても例のNHKの政治部女性記者がしたり顔で出て来ると同様の反応を示すのだ。関西風に言うと「けったくそ悪い!」のである。最近ではNHKの報道番組全体が嫌いになったという連中もわんさといる。それでも私は諦めないで投票に行くが、彼・彼女らの少なくない部分が最近は投票に行かなくなった。今回参院選の投票率50%割れは、こんな政治拒否層が劇的に増えている兆候ではないのだろうか。

 安倍首相はもとより菅官房長官も国民から「安定した支持をいただいた」としきりに宣伝している。NHK報道も同様の分析だ。だが、投票率の低下につれて自民党の比例得票数が大幅に減っていることには一切目をつぶっている。今回参院選の政党別得票確定数はまだ出ていないが、朝日新聞の推計(7月22日)によると、自民党の比例区得票数は前回参院選に比べて2011万票から1800万票までに300万票余りも減っている(議席数19は同じ)。また、改選時の議席数67を57に10議席と大きく減らして、参院での単独過半数を失った。公明党の比例得票数も前回757万票から600万票へと150万票余りの減少だ(議席数7は同じ)。自公与党あわせて450万票余りの大量票を失ったことになる。2割近くの投票を失いながら、「安定した支持をいただいた」などとうそぶいているのは気が知れない。

 一方、1人区で野党共闘候補が10選挙区で勝利したことは、改憲勢力3分の2を阻止する上で大きな役割を果たしたと言える。改憲勢力は、公示前勢力161議席(238議席の3分の2以上)から157議席(245議席の3分の2未満)に後退し、3分の2の164議席に届かなかった。このことの意義はいくら強調してもし過ぎることはないが、それでも安倍首相は選挙直後の記者会見で他党派の改憲分子を取り込んで3分の2確保を目指すと言明した。野党共闘に加わった国民民主がその標的になっており、同党はこれから野党共闘に止まるのか、改憲勢力に加わるのか、党是のあり方を根本から問われることになる。

 この点に関して私が注目した1人区は、福島選挙区だった。福島はいうまでもなく東電原発災害の現場であり、東日本大震災の復興においても最も遅れている地域である。安倍首相が「原発汚水は完全にコントロールされている」と大ウソをつき、2020年東京オリンピックの誘致に成功したが、現場では今も原発廃炉の道筋はいっこうに見えず、避難者の帰還もほとんど進んでいない。その上、安倍政権は原発を基幹エネルギーと位置づけ、全国各地の原発再開に次々と踏み切っている。このように二重三重に地元を踏みつけておきながら、こともあろうに安倍首相は今回参院選の第一声を福島で上げたのだ。

 福島選挙区の結果は、野党共闘候補が軒並み勝利した東北各県に比べても異様だった。現職の自民女性候補が野党共闘女性候補に10万票の大差(自民44万5547票、野党共闘34万4001票)をつけて勝利したのである。聞けば、連合の主力である電力労連が実質的に自民現職の選対となって活動し、電力関連企業や下請け企業の従業員は総力を挙げて自民現職支援に回ったという。国民民主は野党共闘の一員でありながら、この事態を黙認するしかなかった。野党共闘は綺麗ごとばかりではない。野党共闘各派は福島選挙区の総点検を行い、今後の方針について再検討しなければならない。

 関西では、大阪と京都の複数区で激烈な選挙戦が展開された。大阪は定員4人、京都は定員2人であり、そのいずれにも共産現職がいた。現職は2期目が強いと言われるが、大阪と京都では明暗を分けた。大阪では、維新、公明、自民の現職と維新の新人が当選、共産の現職が落選した。原因は維新旋風だ。それほど大阪の維新旋風は強烈だった。維新の強さは、もはや「改革政党」のイメージだけでは説明できない。端的に言うなら、維新は大阪では「政権与党」なのであり、それが維新旋風の土台になっているということなのである。大阪府知事と大阪市長のツートップを抑えて10年近くともなれば、維新に加担しなければやっていけない事業者が沢山いる。自民党政権の下での巨大な利権構造が大阪では維新政権の下で形成されているのであって、単なるポピュリズム政治の影響によるものだけではないことに注目しなければならない。

 今回参院選では維新は現職と新人の2人を擁立し、しかもワンツートップで当選した。維新新人が72万9千票、現職が65万9千票、計138万8千票(得票率40%)の大量票を奪い、その煽りを喰って共産現職(37万9千票)と立憲新人(35万5千票)が弾き飛ばされた。公明現職(59万票)は3位、自民現職(55万9千票)は最下位の4位だから、最下位の自民現職と次点の共産現職の間には18万票もの大差があり、共産現職の完敗というほかない。

 なぜ、これほどまでに大差がついたのか。今回の参院選における共産現職の苦戦は維新旋風の所為ばかりではなく、もともと基礎体力が弱いという構造的弱点があることを指摘しなければならない。参院選直前の共同通信世論調査によれば、政党別支持率は自民21%、公明9%、共産7%、立民5%に対して、維新27%と段違いに高い。共産と立民合わせても維新、自民には遠く及ばず、公明とチョボチョボの水準にしかならないのだから、野党共闘を組んで無党派層26%を狙わない限り、相手にならないことは初めから分かっていたのである。

 加えて、今回の共産現職の落選は、直前の衆院補選における共産の「惨敗」が大きく響いていると私は考えている。周知のように、この前の衆院補選(大阪12区)では共産現職が「無所属」になって出馬するという大胆な行動に踏み切ったが、結果は得票率9%で最下位、供託金を没収されるという前代未聞の惨敗に終わった(トップは維新新人で得票率39%)。この作戦の誤りが運動員や支持者に与えた衝撃は殊の外大きく、多くの運動員がその時の衝撃から未だ立ち直れないでいると聞いた。しかも、その時の総括が「市民と野党共闘の展望を切り開いた」というこれも前代未聞の内容だったので、多くの支持者からブーイングが起り、大規模な「共産離れ」が起ったというのである。

 今回参院選の共産現職の苦戦は、党幹部の再三再四の応援にもかかわらず運動員や支持者が最後まで動かなかったことにあるのではないか。幹部が自らの失敗を棚に上げて叱咤激励するだけでは、組織は動かないのである。例によって「大阪はよくやった。再度の復帰を帰す」といった程度の総括では、大阪の組織は立ち直れないだろう。それでも総括はまた、「市民と野党共闘の展望を大きく切り開いた」ということになるのだろうか。

 自共現職が当選した京都選挙区についてはどうか。京都は「非自民、非共産」を掲げる旧民主系勢力の牙城だが、共産も結構強い。共同通信の世論調査では、京都の政党別支持率は自民35%、共産12%、立民9%、国民4%、維新6%、公明3%で大阪とはまるきり様子が違う。旧民主系は国民と立民に分裂したとはいえ、その接着剤となる連合が依然として強力な投票動員力を持っているので両者を合わせれば13%となり、共産と対抗することもできる。そんなことで、今回参院選では国民と立民は候補者擁立をめぐって主導権争いを繰り返した挙句、漸く国民が降りて候補を一本化した。しかし、それが選挙直前だったため、落下傘候補の女性候補はいま一息及ばなかったのである。
 一方、公明と維新は単独候補を立てるだけの基礎体力がないので、これらは全て自民候補に流れ込んだと言ってよいだろう。投票率が46.4%と全国平均よりも低かったにもかかわらず、自民現職は42万1千票(得票率44%)と前回よりも4万票近く積み上げ、共産現職24万4千票、立民新人23万2千票を大きく引き離した。京都ではなぜ維新が伸びないのか。維新は度々独自候補を擁立すると言明しながら、遂にできなかった。その根底には大阪と京都の政治風土の違いもあるが、京都府知事と京都市長が自民にしっかりと掌握されていることもある。その意味で、首長選挙が今後の野党共闘の行方を占う一大要因になっていくのかもしれない。(つづく)

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

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〔opinion8836:190724〕

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http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/593.html

[政治・選挙・NHK263] 選挙結果の感想各様(ちきゅう座)
2019年 7月 24日
<熊王信之:ちきゅう座会員>

今回の選挙結果、皆様はどのような思いでマスメディアの報道をご覧になられたのでしょうか。 憲法改正に歯止めをかけた、或いは、自公政権が揺るがず、消費増税に待ったをかけられず貧富の格差が広がる一方だ、とか夫々の思いを抱かれておられることでしょう。

私自身は、日本の報道で腑に落ちずネットで色々と探した挙句、以下の外国報道機関のものに興味を抱きましたのでご紹介をいたします。 ロイターのものは、夫々の分野の方々に感想を聞かれた結果ですし、ニューズウィークのものは、事実を的確に報道されたのみですが、日本の報道とは違うように思えます。 

改憲勢力3分の2割り込む、自公71議席:識者はこうみる 東京 22日 ロイター
https://jp.reuters.com/article/election-jpn-idJPKCN1UH02G
参院選、改憲勢力3分の2割り込む 自公71議席に留まり立憲・維新が伸長 Newsweek 2019年7月22日(月)08時41分
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/07/3271_1.php

何が違うのか。 それは、投票率が下がっているのに、自民が負けたことです。 野党へ浮動票が行くには、投票率が上がらなければならない処、投票率が下がったにも関わらずに自民が減ったのです。 

私自身が投票所へ行きました感想では、相変わらずにシルバー民主主義の実相が見られました。 二十代、三十代の若い層が投票所では見られず、介護者に連れられて来た老人が相当数居られたのでした。 我が家のご近所にお住まいの若いご夫婦等は、早朝から車で外出されていましたし、来る人、来る人、殆どが老齢の方々でした。

車椅子で来られた方々が入り口で担当者の方と何やら問答を繰り返されていまして、時間が経過するばかりで怒りを露わにされる方も居られました。 市役所の担当者が慣れない業務で手間取るからでした。 何に時間をかけて確認しているのか、と不思議でした。 業務の研修をすれば済むのですから、手際よく実務を出来るように研修をせよ、と言いたくなりました。

さて憲法改正に歯止めをかけた、との選挙結果とは本当でしょうか。 憲法の成文を改正する策動に一定の歯止めをかけた、と言うことは出来るでしょう。 しかし、憲法改正そのものに歯止めをかけた、とは言えない、と言うのが私自身の感想です。

言うなれば、憲法の条文そのものを改正するのは困難になったのは事実ですが、実態的な憲法を改正することには何の歯止めも掛けられないのが事実です。

例えば、実態的には、憲法第九条は、既に侵害されているのです。 即ち、自衛隊と言う名の軍隊が存在しているから成文の第九条は憲法違反の存在を抱えていることになるのです。 

と言えば、自衛隊は軍隊ではない等と言われる方々がおられます。 名称に依って実態が相違することになるのであれば、物事は簡単ですが、駆逐艦や巡洋艦を「護衛艦」と言い改めても実態は変わりません。 戦車を「特車」と言い改めても同様です。 兵士を「自衛官」と言われても世界標準では「兵士」です。

明確に軍備を禁じた憲法の条文に違背するのが自衛隊であるのは明々白々なのです。

税財政の実態も此処数十年で様変わりしました。 憲法が予定していたのであろう税制が変貌し、富裕層と大企業への所得課税と法人課税が軽減され、富裕層と大企業の軽減された分を補うための消費税が導入され、日本版タックスヘイブンとも呼ばれる実態が現出しました。

最近では、保守を自認される藤井 聡氏(表現者クライテリオン編集長・京都大学教授)が、消費増税を「『「大本営発表』を鵜呑みにしていては、増税で日本は破壊されます。」とまで極言されています。

【藤井聡】「大本営発表」を鵜呑みにしていては、増税で日本は破壊されます。
『表現者criterion』メールマガジン 2019.07.09
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20190709/

日本国憲法の原理に基づく税法体系を唱道された故北野弘久先生は、租税体系の在り様について以下のように述べられています。

「憲法理論的には、直接税は国民主権、人権尊重・応能負担、申告納税(国民負担の税法的表現)、地方自治、平和主義等の日本国憲法の諸原理の趣旨に適合している。 間接税は、これらの日本国憲法の諸原理にむしろ背反している。 それゆえに、直接税を中心に租税体系を構築するのが妥当である。」(北野弘久「税法学原論」)。

加えて、「憲法理論からいえば、いかなる型の大型間接税(一般消費税)をも正当化することはできない。」(同著)とも指摘されています。

このような実態的憲法の在り様を見るにつけ、憲法改正が出来ない選挙結果等と喜ぶのには程遠い、と思わざるを得ないのです。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/

〔opinion8838:190724〕

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[政治・選挙・NHK263] うねる「れいわ」、ぶれない代表 永田町の論理変えるか(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月24日14時35分
取材考記 政治部・河合達郎

 このうねりは何だろう。20日夜の東京・新宿。4月に立ち上がったばかり、法的に「政党」とさえ認められていない政治団体「れいわ新選組」による参院選最後の訴えを取材し、その熱量に驚いた。

 「さんざん踏みつけられ、もう死にたいと思いながらも、最後のチャンスはないかと思ったときに参院選があった。だから託してくれたんでしょ?」

 山本太郎代表が言葉を投げかけるたび、詰めかけた聴衆は熱烈な拍手で応える。ステージに仕立てた大型トラックの荷台の前は身動きが取れないほどごった返し、約50メートル先のデッキですら何層もの人垣ができた。

 山本氏の街頭演説を初めて取材したのは昨年9月。東京選挙区を地盤とするはずなのに、なぜか、埼玉県朝霞市の駅前にいた。

 いまとなっては、それが新党立…

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https://www.asahi.com/articles/ASM7Q5D0ZM7QUTFK011.html?iref=comtop_8_02
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/595.html

[政治・選挙・NHK263] 大躍進し損ねた山本太郎・れいわ新選組に必要な事 (朝日新聞社 論座)
大躍進し損ねた山本太郎・れいわ新選組に必要な事
得票に必ずしもつながらなかった演説会場の「熱狂」。来たるべき衆院選で大切な戦略は

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士
論座 2019年07月24日 より無料公開部分を転載。

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東京選挙区で立候補した野原善正氏(右端)、比例候補者たちと記者会見するれいわ新選組の山本太郎代表=2019年7月21日夜、東京都千代田区

■「5議席くらいいけると思ってたら……」

 参議院選挙が終わりました。結果は与党で過半数を占めるものの、与党に維新を加えた改憲勢力では3分の2を割るという中間的な結果に終わりました。

 私が選挙前に総得票の5%、300万票をとって複数の当選者をだすと予想した「れいわ新選組」は、総得票の4.5%、228万票を取得し、比例で2つの議席を獲得しました。この結果は比較的私の予想に近く、選挙直前まで存在しなかった政党である事を考えれば「躍進」と評価されていいものです。

 一方で、れいわ新選組の演説会が各地であれだけの聴衆を集めたことを考えれば、代表の山本太郎氏自身が「5議席(得票率10%程度に相当)くらいいけるかなあ思ってたら、自分も落ちちゃった」と言っている通り、党代表である山本太郎氏が落選しての当選2は、「躍進」はしたけれど、「大躍進」はしそこなった、いわば「停滞」であるとも評価できる中間的な結果であったと思います。

 れいわ新選組の「躍進」の理由は、前稿の「山本太郎・れいわ新選組が選挙で伸びる三つの根拠」http://www.asyura2.com/19/senkyo262/msg/204.htmlで示した通り、左派ポピュリズムど真ん中の政策・理念が、現在の政治で報われていない層の心をつかみ、そこに恐縮ながら「負け組ルサンチマン」と、山本太郎氏自身の演説能力・カリスマ性が加わって、各地の演説現場で見られた「熱狂」を生み出したからだと思われます。

 では、れいわ新選組がその「熱狂」にもかかわらず、得票率10%、5議席程度の「大躍進」には至らず、(4月1日に結党した政党としては、十分多いとはいえ)得票率4.5%、2議席にとどまった「停滞」の理由は何でしょうか。

■れいわの選挙戦略に抱いた疑問

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当選確実となり記者会見で笑顔を見せるALS患者の舩後靖彦氏とれいわ新選組の山本太郎代表(右)=2019年7月21日夜、東京都千代田区

 これについては、賛否はあるでしょうが、私は率直に言って「候補者擁立戦略」が原因だと言わざるを得ないと思います。

 上記の通り、れいわ新選組はその政策・理念で熱狂的な支持者をつかみました。しかし、演説会にいかに多くの人が集まったとはいえ、一か所で数千人を超えることは稀です。得票率10%、500万票の「大躍進」を達成するためには、会場に足を運ぶほどではなく、熱狂しているわけではないけれど、「何となく共感する」位の有権者に支持を広げ、投票してもらわなければなりません。そのためには、党の政策・理念だけではなく、「誰が立候補しているのか」という候補者擁立戦略が、極めて重要になるのです。

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当選を決め、記者会見で笑顔を見せるれいわ新選組の木村英子氏(左)と山本太郎代表=2019年7月22日、東京都千代田区

 ここは間違えて欲しくないのですが、私は、重度身体障碍者である木村英子氏、舩後靖彦氏両名を「特定枠」で優先したことも、「タレント候補」と言えるような候補者を擁立しなかったことも、なにより山本太郎氏自身が当選確実な東京選挙区に立候補せず、野原善正氏を擁立したことも、その狙いやコンセプトが悪いと言う積りは毛頭ありません。「理想の高さ」という点では、素晴らしいと思います。

 しかし、残念ながら山本氏の理想とは別に、選挙には選挙の「現実」があります。こんなことを言うとがっかりされるかもしれませんが、「選挙の現実」として、候補者の王道は、今なお、「クラスのヒーロー、ヒロイン」なのです。

■票を集めるのは誰か

 繰り返し間違ってほしくないのは、これはそうでない人は候補者にふさわしくないなどと言う「適格性」の議論ではまったくなく、「誰が票を集めるか」という「結果論」「現実論」の話です。

 容姿は現実の政治を行ううえではほとんど関係ありませんが、しかし現実には、同じ条件で戦えば、やはり美男美女が票を集める結果になります。だからこそ、各候補は選挙ポスターを作るに当たっては、何百枚も撮った写真の中から最も映りのいいものを選び、中には「もはや詐欺だろう」というレベルまでフォトショップを駆使したり、写真の年代を遡ったりする候補者も出るのです。

 また、運動能力も基本的には政治を行うには無関係です。しかし、現実をみると、人はおうおうにしてたくましく、きびきび動く人を有能だと思い、票を入れます。だからこそ各候補者は、少なくともテレビカメラが回っている場面では、どんなに疲れていても、有権者のもとに全力疾走で走りますし、なかには演説のたびに意味も無くバク宙をする候補者すらいます(私です……苦笑)。

 知名度に至っては、議員になった後の活動には全く関係ありませんが、しかし現実には、人は自分が知っている名前の人に投票します。知名度の高い候補者と低い候補者が同じ条件で戦えば、多くの場合知名度の高い候補者が勝ちます。だからこそ各候補者は、少しでも知名度を上げようと選挙カーで名前を連呼し、その効果は各種の調査で立証されています。それが、選挙の現実なのです。

 れいわ新選組の擁立した候補者は、率直に言って、山本太郎氏以外は「クラスのヒーロー、ヒロイン」タイプではありませんし、知名度も非常に高いとまでは言えませんでした。この候補者擁立戦略をとる以上、コアな支持者の熱狂は得ても、その外側の、一般的な有権者に支持を広げる事は困難で、得票率、獲得議席が「大躍進」に至らず「停滞」したのは、「従来の選挙セオリー」から考えたら、あまりに当然の結果だったのです。

■想像するほど早くない理想の伝播速度

 では山本太郎氏はなぜ、このような候補者擁立戦略をとったのでしょうか。これについては、今回の結果を意図したうえで、「障碍者の政治参加に風穴を開けるため」という良い見方から、「障碍者候補者を利用し、当選後は辞職させて自らが議席を得るため」という完全に邪推と言える見方まで、さまざまな言説が飛び交いました。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019072300006_4.jpg
参院選後、記者会見するれいわ新選組の山本太郎代表=2019年7月22日、東京都千代田区

 しかし私は、山本太郎氏はご自身が言っていた通り、この候補者擁立戦略が示す「誰もが政治に参加できる」という氏の理想が世の中に伝播し、熱狂的支持が加速し、「大躍進」といえる10%、500万票程度の得票を得て、5議席程度の議席を獲得できるとシンプルに信じていたのだと思います。かつて野党統一候補で選挙戦を戦った私は、理想を信じる野党陣営において、これと同様の「理想の伝播速度」についての誤解、もしくは過信を山ほど見てきたからです。

 野党側の人間は、現状を変えようと願い、自らの理想が世の中に理解され、世の中を変えられると基本的に思っています。それ自体は当然で、そう思えないなら、野党をやる意味はありません。しかし、理想が人々に伝わり、現実が変わる速度は、決して自らが考える程、速くはありません。

 れいわ新選組がとった「候補者擁立戦略」の理想は、 ・・・ログインして読む
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https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019072300006.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/600.html

[政治・選挙・NHK263] 「理不尽なことに怒ることを忘れた」 ― 有権者さんとの対話(澤藤統一郎の憲法日記)

 ようやく探し当てました。アナタですよ。アナタが加重平均的有権者その人なんです。どうしてって? いろんな指標で国民の意見分布を数値化して、それぞれの中位点を見定める。数ある中位点群のちょうど重心に位置しているのがアナタ。だから、アナタが、典型的有権者。あるいは「ザ・有権者」。有権者全体の意見を代表している。
 そのアナタにお聞きしたい。問い質すつもりも、問い詰めるつもりもありません。ひたすら、ホンネを聞かせていただきたい。どうしてアナタは、右翼につながる安倍政権を支持するんでしょうか?

なぜって? 理由が必要ですか? ただ、なんとなくですよ。そう、なんとなく。
別に熱烈に安倍さんを支持するわけじゃない。と言って、別に安倍内閣で大きな
不都合もないようだし…。今あるこの社会の空気にしたがって、自民党でいいん
じゃないかって感じ。

 ほかの政権選択肢は考えられませんか? たとえば、今の野党各党の連立政権とか、自民党以外のどこかの党を核にした政権とか。

現実味ないでしょう。世の中の仕組みは、もう固まってしまってますからね。
10年前の民主党ブームが例外現象。結局うまく行かなかったでしょ。自民党
政権が、この国の宿命みたいなもんじゃないですか。

 今回の参院選では、アベノミクスの当否が争点のひとつでした。アナタには、アベノミクスの恩恵を受けているという実感がありますか?

そんな実感は、ありませんね。でもね。アベノミクスをやめたら家計が潤うだろ
うという期待もないんですよ。だいたい、経済政策で生活が左右されるという実
感自体が乏しい。

 うーん、どうしてなんでしょう。与党と野党で、ずいぶん政策が違うように見えますが。税金を、どこからどのように取って、どのように使うか。

どんな公約を掲げた、どんな政権ができようとも、どうせ同じようなことしか
できないでしょう。政権が代わったところで、やれることの幅は小さい。世の
中の仕組みを大きく変えることなんてできっこないでしょうから。それなら、
冒険せずに無難な選択をということですね。

 でも、アナタの経済的実状で、安倍政権の年金政策や消費増税を支持することができますかね。

そりゃあ、年金には大いに関心ありますよ。受給額は多ければ多い方が良い。
でもね、所詮無理なことはできないでしょ。高齢化に少子化が重なるんだから、
我慢するところはしなけりゃね。消費税もおんなじ。税金は安いに越したことは
ないけど。それでは国がやっていけないというんだから、多少の増税はしょうが
ない。もっとも、自民党の具体的な政策は良く知りませんがね。

 安倍政権が続けば、経済でも防衛でも、アメリカに揺さぶられ、押し切られて、だんだん苦しくなりませんか。

なんだか、そうなりそうですね。トランプさんは、アメリカの利益オンリーです
からね。でも、相手がアメリカではしょうがない。そんなに極端なことにはなら
ないでしょうしね。

 安倍内閣もしょうがない、アメリカもしょうがないですか。原発再稼働はどうですか。

これもしょうがない。長年積み上げてきたことですから、将来の課題としてなら
ともかく、すぐにこれをご破算してゼロベースからのスタートは難しいでしょう。

 森友や加計問題で、安倍首相による「政治の私物化、行政の私物化」の疑惑が大きく問題になりましたね。「ウソとごまかしの安倍政権」はごめんだという声は高い。安倍さんには退場してもらった方が良いとは思いませんか。

そのときどきの報道には、腹を立ててきましたよ。確かに、安倍さんの態度は良
くない。麻生さんもヒドイ。丁寧に説明するとよく言いますが、ポーズばかり。
不誠実な人だとは思います。けっして信用できる人ではない。それでもね。ガラ
ガラポンと、政権を変えてしまうのは不安なんですね。やっぱり慎重でなくっちゃ。

 安倍さんの憲法改正提案はどうですか。

正直言って、賛成か反対かに悩みます。どうしたらよいものやら。もちろん、
戦前息苦しい時代に後戻りしたくはありません。戦争を繰り返すのは、ごめんだ。
だから、9条を変えてはならないという訴えはよく分かります。でも、「非武装
中立で国の安全が保てるか」と切り込まれると不安を感じますし、最低限の武力
は必要ではないかとも思います。それなら、自衛隊を憲法に書き込むだけという
安倍さんの提案を信じたいという気持にもなります。でもまた、「憲法をいじると
副作用が大きいぞ」と言われると、それもそうだな、と揺れ動きます。安倍さん
は信用ならぬ人ということもあります。ですから、結論を急ぐことではない。ゆっ
くりと後回しの議論で良いと思います。

 それで、アナタは結局どう投票したのですか。

どうせ自分の1票で何も変わるはずもないのですから、棄権しようかと思ってい
たんです。でも、会社の関係で投票したことを報告しなければならなかった。
だから投票には行きました。すぐに改憲ということではないでしょうから、積極
的に安倍首相不信任の投票をする必要はない。でも、万が一国会で具体的手続が
始まったら困るから、改憲発議に必要な3分の2の議席は、改憲派に与えたくは
ない。そんな私の気持ちのとおりの開票結果でしたね。

 沖縄の問題、とりわけ辺野古基地建設はどうですか。

安倍政権のやり方は強引ですね。沖縄の人はお気の毒ですよ。お気の毒ですが、
沖縄の地理的条件を考えると、沖縄への基地集中はやむを得ません。沖縄へは、
手厚い経済援助で我慢してもらうしかないのではありませんか。

 さて、選挙が終わったいま、あらためて政府や国会に一番力を入れてほしい政策として、何を望みますか?

朝日の選挙後の世論調査のとおりですよ。
まずは、「年金などの社会保障」(朝日調査38%)で、
次が、「教育・子育て」(同23%)ですね。
それから、「景気・雇用」問題、(同17%)
以上の切実な問題ばかりで、合計78%に達しますね。そんなものでしょう。
調査は5択で、4番目が「外交・安全保障」(同14%)となっています。
「憲法改正」(同3%)は最下位で、国民が憲法改正の議論を優先課題として
いるとは到底考えられません。

 なんとなく、アナタの考え方は分かりました。あれもこれも、仕方がない、しょうがない。どうせ自分の意見や行動で、政治を変えられっこない。とすると、棄権するか、空気を読んだ現状維持の投票行動になると言うことですね。けれど、身近なテーマでは安倍政権に不満はけっこうあるんですよね。このままで、いいんでしょうか。

このままで良いのかって、あんまり真剣には考えませんね。だいたい、政治とい
う分野がマイナーなんですよ。政治を熱く論じるなんて、ダサいことじゃないで
すか。「この社会で生きている以上、主観的に政治には無関心でも、客観的に無
関係ではいられない」とか、「無関心派は与党の応援団になっている」とか聞か
されるけど、胸に響かない。働くのに忙しいばかりで、政治に積極的関心を持つ
ゆとりもないんです。

 自分たちの力で社会を変えていこうって、ワクワクすることではありませんか。政治にロマンを感じませんか。

スローガンだけ並べられても、その実現のイメージを描けませんね。不平や不満
はあっても、我慢できないほどではない。それより、何かを主張して、トゲトゲ
しい雰囲気になるのがイヤですね。穏やかに暮らしたい。多少の理不尽なことに
は、怒ることを忘れてしまいましたよ。

(2019年7月24日)

http://article9.jp/wordpress/?p=13018
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/601.html

[政治・選挙・NHK263] マガ9レビュー:『新聞記者』(2019年日本/藤井道人監督)
By マガジン9編集部 2019年7月24日

 歯切れが悪い。全体のトーンは暗く、語り口は抑揚に乏しい。物語が進むほどに気分は滅入っていく。

 深夜の東都新聞社に大量のファクスが届くところから物語は始まる。政府による大学新設計画。それは首相の特別案件であり、しかも大学の隠れた目的は軍事研究である疑いがある。このプロジェクトの現場責任者である高級官僚の神崎が、不正を世間に公表するため、匿名で新聞社に送ったのであった。

 公僕としてのモラルよりも上司の指示を優先した自分を責めた上での決断だったが、彼は霞が関に並ぶ省庁の建物の屋上から身を投げる。

 私は当初、この作品から、古くは『大統領の陰謀』、最近では『スポットライト 世紀のスクープ』や『記者たち 衝撃と畏怖の真実』といった映画が描く、権力からの圧力に屈しない新聞記者が真実を突き止めていくストーリーを期待していた。ニクソン大統領の指示による政敵への盗聴、カトリック教会の神父らの児童に対する性的虐待、そして政府が嘘で固めた大義をもって始めたイラク戦争……。これらの映画では、アメリカの正義漢たるジャーナリストたちが地を這うように取材を重ね、権威をふりかざす者の欺瞞を白日の下にさらすのである。

 『新聞記者』に手に汗を握る小気味よいテンポはない。行きつ戻りつ。私たちが目にするのは、たとえば、内閣情報調査室のスタッフが、政府に批判的な人物のツイートに淡々と悪罵を書き込む姿である。

 この国の民主主義は形だけでいいんだ――内閣情報調査室の現場トップの多田は、組織ぐるみの不正に異議を唱える部下の杉原にそう言って憚らず、それと同じ口調で子どもが生まれた杉原に祝いの言葉をかけながら、無表情で祝儀を渡す。不気味な口封じに抗するように杉原は職場から機密情報を持ち出し、それを受け取った日本人の父と韓国人の母をもつ新聞記者、吉岡エリカが一面でスクープする。

 しかし、吉岡エリカはボブ・ウッドワードにはなれない。権力は複雑な搦手で個人の良心を押しつぶし、自由を奪っていくのである。

 上述のアメリカ映画は、すでに真実が明かされた過去の事件を物語にしたものだ。一方、この映画は、いまこの国で起こっていることを現在進行形で追っているので、起承転結のストーリーが成り立たない。

 歯切れが悪いのはそのせいだ。しかし、それこそがこの作品を高く評価する理由である。

(芳地隆之)

https://maga9.jp/190724-4/
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/602.html

[政治・選挙・NHK263] 記者座談会 れいわ新選組がこじあけた扉 反撃の狼煙(のろし)は上がった(長周新聞)
長周新聞 2019年7月24日


■次の衆院選に向け動き出す

 参院選が終わり「自公過半数」として政治構造には何ら変化がなかったかのような澄ました空気のなかで、またぞろ安倍政府が「次は改憲」などといい始めている。今回の選挙はれいわ新選組の台頭が物語っているように、旧態依然とした政治構造に風穴があき、潮目が変わる瞬間となったことを強く印象付けるものとなった。選挙結果は何をあらわしているのか、議席数だけでは推し量ることのできない変化について、記者座談会で分析してみた。

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 A まず結果をどう評価するかだが、大手メディアを見ていると「自公改選過半数」「与党勝利改選過半数」「首相 改憲議論を加速 “審判下った”」等等、まるで自民党が勝ったかのようなとりあげ方に終始している。自民党としては改選議席67から当選者は57と10議席減らしている。参議院の245議席のうち113議席へと減り、単独過半数割れに逆戻りした。比例票は前回16年の参院選から240万票減。全有権者に占める絶対得票率は16・7%。第二次安倍政権発足後の最低だ。これらは明らかに自民敗北といえる数字だ。さらに公明党の瓦解状況も顕著で、比例票は16年の前回参院選では757万票あったのが653万票と100万票も減っている。それで自公に維新を足しても改憲勢力として必要な3分の2(164議席)にも達しなかったのに、なにが「改憲議論を加速」かだ。安倍晋三の精神勝利法(阿Q正伝)的思考に引きずりこまれているかのようだ。

 にわかに「国民民主が改憲に前向きで安倍自民党と手を握る」という話もとり沙汰されているが、それはそれで欺瞞的な姿を自己暴露し、次の衆院選で審判が下されるだけだ。選挙が終われば、あとは永田町の合従連衡(がっしょうれんこう)の論理だけで物事を動かせるというなら、これほど有権者や国民を愚弄した話はない。

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2019年参議院選挙の結果

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参院選での絶対得票率

 B 立憲民主が8議席増やして改選前の24議席から32議席に増やしたのも特徴だ。そして、無所属とはいうものの野党共闘などによって自民現職を撃破した候補者たちも複数が当選を果たした。滋賀県の嘉田元知事であったり、秋田県の寺田静、山形県の芳賀道也、岩手県の横沢高徳、新潟県の打越さく良、大分県の安達澄、沖縄県の高良鉄美などがそうで、いわゆる野党系は議席を増やした。沖縄はさすがというか、オール沖縄の盤石な力を見せつけた。立憲所属ながら消費税廃止を訴えた宮城県の石垣のりこ、格闘家からの転身となった立憲の須藤元気など、新鮮な政治家も幾人かが選挙を勝ち抜いて登場した。今後の政治活動が注目されるのではないか。「自公過半数」は確かに事実ではあるが、大手紙はこの選挙で起こった変化や特徴を覆い隠すような表現として、主見出しやそで見出しまで含めて紙面を構成している印象だ。極めて巧妙な形で。

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自民党の絶対得票率の推移

 C 何といってもこの選挙で台風の目になったのは、山本太郎が立ち上げたれいわ新選組だ。街頭から地べたを這うようにして旋風を起こした。選挙戦略としても相当にキレている印象で、街頭演説で引きつけていく力は洗練されていた。よく政治家は選挙を通じて街頭で鍛えられるというが、一つ一つの言葉への反応や空気を捉え、聴衆と向き合っていくなかであのスタイルが確立されたのだろう。他の候補者にしても不条理な政治によって苦しんできた各分野の当事者たちの演説は、気持ちも含めて伝わってくるものがあった。見事なたたかいぶりだった。街頭演説はどこでも大群衆が集まって、他の政党には真似できないほどの動員力を誇っていた。現場の空気からして自民党が組織動員で集めるのとはまるで異なっていた。熱気が違うし、「太郎頑張れ!」の思いを持った一般の人人が、老若男女を問わずに演説に聴き入っていた。みんなが本気なのだ。

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 四谷本部事務所には期間中、名前を記帳してビルの中で作業をしたボランティアスタッフだけでも3700人にのぼったという。会社帰りにサラリーマンが手伝いに来たり、無数の人人が彼らを押し上げようと自分にできることを通じて支えていた。政治に期待できるものがなにもないなかで、一つの光明のように捉えられていた。困っている国民を幸せにするために政治がある−−。これは本来なら当たり前の話なのに、現実には権力者や金持ちのためだけに政治が機能し、国権の最高機関である立法府が一部の者の飼い犬に成り下がっている。そんなのおかしいじゃないか! と野良犬上等で声を上げ始めた。

 D ネット上では注目されていたものの、それだけでは上滑りする恐さもある。だからリアルに人と人がつながっていくことを意識していた。公選はがきを送ったり、実際の得票につないでいく努力を重ねた結果、立ち上げから3カ月にして国政政党としての要件を軽軽とクリアし、次期衆院選への有利な基盤をつくった。1議席でも2議席でもいい。今回の選挙はとにかく分厚い壁に穴を開けたことに意味がある。そして次の衆院選には100人規模を擁立し、さらにその次の参院選など含めて本気で政権をとりに行こうと動き出している。寄付は4億円を突破し、その後も増え続けている。政党交付金もないゼロからの旅立ちに対して3万人以上がおカネを出して支え、みんなで国政政党を立ち上げるところまでいった。すごい力だ。山本太郎の求心力もすごいが、本気でやろう! という要求が鬱積していたからこその爆発力だと思う。

 何らかの旗やスローガンを振り回して「オレがすごい! みんなついてこい!」みたいなのをいくつも見てきたが、独りよがりで誰もついていかないケースがままある。笑えないが右にも左にも実に多い。自惚れと幻想の世界を彷徨って自己の承認欲求を満たし、他者にマウントをかけて大喜びするのを生きがいにしていたが、気付いたら年老いて、社会の片隅で少数派として身を寄せ合っていた−−とか。そうではなくて、小難しいカバチ(屁理屈)を垂れるわけでなく、みんなに届く言葉でもって、みんなのためにたたかうんだという嘘偽りのない姿勢に共感があった。誰のために政治をするのか、誰のために自分たちは行動を開始したのか−−。みんなのためなのだ。これは理屈ではなく性根の話だ。

 このれいわ新選組旋風を黙殺して何が報道かと思う。彼らは明らかに地殻変動を起こしていた。その目撃者として読者や視聴者にあるがままを伝えられないというのは、ジャーナリズム失格でもあるが、同時に可哀想だなという思いしかない。開票を見守っているれいわ新選組の会場にもたくさんのメディアが来て取材していたが、「あなたたちはなぜ報道しなかったのか」と逆質問を浴びて困っていた。現場の記者たちに罪はないが、大手メディアは統一司令部の指示でもあるのかと思うほど黙殺に徹していた。

 選挙期間中は地上波、あるいは大手紙にとりあげることで旋風に風を送ってはならないという明確な意志を持っていたようだ。そして開票後になって恥ずかし気もなく「台風の目でしたね!」などと声をかける。ずるい黙殺や問題のすり替えはお家芸なのだ。

 C 山本太郎及びれいわ新選組の面面はなにを発信しているのか、本紙でも丁寧に演説内容を紹介してきたので重複は避けるが、読者のなかでも「山本太郎、いいこといってるじゃないか」「これまであまり良い印象がなかったが、実際の演説内容を読んで見方が変わった」という意見も多かった。あるいは大西つねき氏の演説も随分注目されていた。経済問題への関心は高いが、動画を見るだけだと右から左に流れてしまいがち。文字だと何度も頭を整理しながら考えられるという側面もあったようだ。

 A 困難な状況に置かれた国民のために本気でたたかう政党になるんだという気迫が世論を動かしていった。その本気度が既存政党との明確な違いであったし、他の野党の存在感が霞むほど目立っていた。野党側からは自分たちの基盤を食われると文句が出ていたが、れいわ新選組としてはそのような小さな枠のなかで支持者を奪い合うというちんけな話ではなく、「われわれは最も可能性のある選挙に行かない5割に支持を広げに行く」という戦略だった。そして実際に、これまで選挙に行ったことがない層も含めて初めの一歩を動かした。

 れいわ事務所に詰めていた電話対応スタッフ曰く、「比例票はどう書いたらいいのか?」「投票所の前まで来たのですが、どうしたらいいのですか?」「山本太郎と書けばいいのですか? れいわ新選組と書けばいいのですか?」など投票の仕方を尋ねる問い合わせが相当数あったという。つまり、選挙に行ったことがないが行ってみようと思った人たちの反応だ。

 全体としては異様なる低投票率だったなかで、どれだけの人人を動かせたのかは未知数だが、比例で228万票、うち山本太郎の個人得票だけでも99万票という驚異的な数字を叩き出した。99万票を得て落選というのもすごい話というか、選挙制度の歪(いびつ)さを映し出してもいるが、そのような選挙制度をあざ笑っているようにも見える。むしろ山本太郎が自分の議席にこだわっていないところが潔い。結果的に、本命であろう次の衆院選で再び本人自身が暴れられる。その他の仲間とともに。そして必然的に「太郎を国会へ!」の力がより強く動くことになる。おおいに大暴れして欲しいと思う。

■国民のための政治へ 選挙行かぬ5割が鍵

 D 異様な低投票率が物語っているように、5割が選挙に行かず「無関心層」などといわれている。政治不信がすごいことになっている。無関心というより、政治や選挙と切り離れた分断された層のようにも見える。この国の選挙は5割が棄権するなかで17%の自民党(今回の選挙では16%台に突入)、公明党をあわせても支持率24〜25%の勢力が国会の大半の議席を独占し、好き勝手する状況が続いている。選挙に行かない5割にアクセスした政治勢力こそがもっとも伸びしろがあり、1割でも2割でも動かしたときには巨大な山が動く。3割の支持を得たときには、自公政権など吹っ飛ぶ。そして新しい政治勢力が台頭していくことができる。この巨大な山登り? 山崩し? の端緒を切り開いて、一歩を踏み出したところに価値がある。参院選で示された支持基盤を2倍にも3倍にも、いやもっとスケール大きく捉えながら拡大していけば流れは変わる。潮目が変わると、それまでとは真反対に激流となって動き出す。一つの突破口をつくった意義は大きい。

 C 低投票率のおかげで国会の圧倒的議席を総なめにでき、寝た子を起こさない選挙によって政権与党の座が確保される。情けない話ではあるが、一強などといいながら低投票率に味をしめている。これは自民党の足腰がかつてなく弱まっているなかで一つの戦法になっている。劇場型で世論を目くらましして票をかっさらっていくか、あるいは無風状態にして、しれっと選挙を済ませてしまうかの二刀流をくり返している。なぜか? それほどまでに自民党が弱体化してしまっているからだ。しかし、そうはいっても大企業や組織の動員票で17%(今回の選挙では16%台に突入)はかつかつ組織しており、これをこえるものがいない限り一強は続く。従って、今の政治構造を土台からひっくり返したいという場合、政治勢力としては万年野党で飯を食って行ければいいというような怠慢では話にならず、選挙に行かない5割とつながっていくことにしか未来はない。そこに遠慮や忖度なしで思い切り挑戦し始めている。つまり、まだまだ伸びしろがあるということだ。

 A 自公に対抗して結集軸として存在する政治勢力がいないなかで、現状では野党が細細と分散して自民党が楽勝を決め込んでいる。政権交代が起き得るような状況の選挙ではなく、おおよその結果はこんなものだろうというのが余計にでも幻滅させ、有権者を投票所から遠ざけている。5割の有権者から見て、政治に期待が持てないという意識は現実にあるわけで、それを「無関心なのがけしからん」と敵視したところで始まらない。期待を抱かせ、心の底から応援したいと思える政治勢力が選択肢として存在していないのだ。

 よく「野党がだらしない」と書くと怒って文句をつけてくる人もいるが、与党がむちゃくちゃであると同時に、野党も馴れ合いと予定調和で出来上がっているではないか。法案が通過する際の「私たち反対してます」アピールの茶番でも、申し訳ないが嘘くささしか感じないし、学芸会みたいなものだ。そのように本気でないことが見透かされている。投げ与えられた議会制民主主義は既に壊死している。れいわ新選組の台頭は、そこを乗りこえて「本気でたたかう」ことへの共感が大きいことを示しているのではないか。

 B 民主党が大裏切りをして下野し、野田が自爆解散によって大政奉還して第二次安倍政府が6年続いた。民主党になろうが自民党になろうが、どの政党が与党になっても財界とアメリカの犬みたいな政治が実行され、原発政策、TPP、米軍基地問題、消費税増税などどれをとっても国民が苦しむ方向で事が動いていく。売国政治が止まらない。誰のために政治が実行されているのか? 現状では誰が見ても財界や米国のためであり、国民のためではない。

 その結果、例えば21世紀のこの時代に、子ども食堂が全国で爆発的に広まるほど、ご飯が食えない子どもたちが増え続けている。貧困だからだ。「北朝鮮は核開発にお金を注ぎ込んで国民を飢えさせている」などというが、北の3代目ならぬこちらの3代目・安倍晋三も大差ないではないか。トランプから武器ばかり買わされて、この国の子どもたちは飢えている。下関のある子ども食堂に行くと、2〜3日なにも食べられずに辛抱していて、カレーライスを3杯もおかわりする子どもがいた。子どもたちがお腹をすかせているような状況は、その社会を形づくってきた大人たちは恥じないといけない話だ。世が世であるだけに、地域で皆の力によって支え合って生きていこうとしているが、国民を飢えさせないのは政治の責任だ。貧困社会というが、みんながカネがなくて貧しいのと同時に、カネのある者の精神世界も貧しい。

 A 誰のために政治が機能しているか? 問題は単純だ。国民生活に思いが至らない者が国民のことなどお構いなしに政治を司っているのだ。同じように大手メディアはなぜれいわ新選組を黙殺したか? スポンサーである大企業を擁護して広告収入を得るためであり、国民に真実を伝えるという本来の任務を放棄して、食うために黙殺する。その取捨選択の基準はビジネスだ。れいわ新選組のような勢力が拡大して政権奪取でもすれば、スポンサーである大企業は困るので、飼い主である大企業や財界の安寧が損なわれないように、現状の政治構造が犯されないように機能する。誰のためにメディアが機能しているか? これも単純だ。恐らく次の衆院選でも黙殺に徹することは間違いない。しかし、そんなことは百も承知のうえで、岩盤にドリルで穴を開けていくほかない。小さな穴はあいたわけで、あとはみんなでゴリゴリこじ開けていく感じだろうか。いずれにしても今回の選挙では政党要件を満たした時点で勝利といえるわけで、次の衆院選は俄然面白みを帯びてきた。みんなして薪をくべて炎上させていけば、巨大な松明になって暗闇を照らし出せるかもしれない。

 B 今回のれいわ新選組のたたかいを支えるために、実は本紙からも複数名の記者が東京に出向き、20日間近く四谷事務所でボランティアスタッフとして参加してきた。これは応援するとかの話ではなく、みんなにとって自分自身のたたかいだという思いで参戦してきた。小倉や広島での山本太郎本人の演説で本気さと気概を感じ、これは同じ時代を生きる20〜40代として本気でいっしょにたたかわないといけない、日本社会にとっての分水嶺だと思ったからだ。くたびれた政治状況に渇を入れ、泥まみれで立ち上がっていく彼らに全力で援護射撃しなければと思ったのが動機だ。

 金銭的には無理できないなか、可能な限り負担を少なくするべく東京滞在中の住まいを世話して頂いたり、読者の皆様からの物心両面の支援に支えられて実現できた。この場をかりて感謝申し上げたい。そしてより発信力を強めるよう努力もして、煽り続けていきたいと思う。大手メディアのように大企業や権力に迎合せず、飼い慣らされずに野良犬上等で自由に書き続けていくし、なにより志を同じくする者としておおいに連帯して、次の衆院選で爆発力が生み出せるよう頑張っていきたい。あの2議席は反撃の狼煙(のろし)みたいなもので、誰もなにも満足していない。もっと大きい事を見据えて、挑戦は始まったばかりなのだ。

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https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12489
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/605.html

[不安と不健康18] ゲノム編集で肉厚マダイ、クエは大量養殖 近畿大水産研(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月25日15時39分

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家戸敬太郎教授(左)と学部生、大学院生がいけすのゲノム編集されていないマダイから卵や精子をとる=2019年6月、和歌山県白浜町の近畿大水産研究所白浜実験場

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https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190711003452_commL.jpg

 6月13日午後、和歌山県白浜町の近畿大学水産研究所。入り江のほとりにある実験室では、研究室のメンバーが高級魚クエの受精卵を顕微鏡でのぞき込んでいた。

 研究室の鷲尾洋平助教(35)と大学院2年の大浜光希(みつき)さん(24)が、アクリル板の細い溝に並べた、受精卵一粒一粒にガラス製の針を刺している。ゲノム編集用の分子を注入する神経を使う作業だ。生命科学で今、最も注目されている最先端技術「ゲノム編集」の現場だ。

 クエは若いころは雌しかおらず、卵の元となる細胞しか持っていない。卵になるはずの細胞をゲノム編集で精子へと変え、人工授精して通常よりも早く繁殖できるようになれば、大量に養殖して高級魚が庶民の食卓に並ぶようになる。

 研究室を主宰する、家戸敬太郎教授(51)は、魚の育種(品種改良)が専門だ。最初は遺伝子を入れる組み換え技術に取り組んでいたが、日本の消費者には抵抗感が強く、なかなか受け入れられそうになかった。

 そこで、新たに取り組んだのが、ゲノム編集技術だ。2012年、「CRISPR(クリスパー)―Cas9(キャスナイン)」と呼ばれる、狙った遺伝子を効率よく壊したり加えたりする画期的な手法が発表された。外部の遺伝子を加えなければ、これまで長年行われてきた育種と遺伝学的には何ら変わらない。

 「これだ」と思った家戸さんは翌13年、京都大学と共同で食用魚への応用研究を始めた。筋肉の成長を妨げるミオスタチンと呼ばれる遺伝子を壊すことで、魚の身が大きくなる。身が1・2倍ほどに増えた肉厚マダイを作ることに成功し、実用化を目指している。

 「受精卵への注入は熟練の技が必要。10年以上前に遺伝子組み換えで培った技術が今になって生きてきた」という。学生たちは海辺の研究室で2年かけて、この技を学ぶ。

 だが、大浜さんは「ゲノム編集2時間、飼育2年間」という。受精卵のゲノム編集作業はすぐに終わるが、そこからモノになるまでは地道な作業が続く。卵の質が悪いと孵化しない。多くの稚魚はすぐに死んでしまう。成長させて繁殖させ、性質のよいものを残す。商品になる大きさにまで成長する魚はわずかだ。

 研究室には、大浜さんら院生2人と学部生が3人いる。全員が宿泊施設に泊まり込み、毎日、いけすの見回りや魚の世話をしている。

 一日は朝8時のラジオ体操で始まる。そして白いシートで覆われた施設に向かう。ゲノム編集を受けた卵や、生まれた魚は外部の生態系に影響を与える可能性があるので、厳重に扱われる。施設の入り口には「関係者以外立ち入り禁止」と看板が掲げられている。稚魚が施設から外に出ないよう、排水設備には三重のフィルターが取り付けられ、卵などを殺すため紫外線が当てられている。

 施設の中には、直径1メートルほどの丸い水槽がいくつも並び、稚魚が泳いでいる。育ち具合に応じて違う種類、大きさのえさを与える。元気に泳いでいるか、えさの量に応じた大きさに成長しているか、水温はどうか……。目を配る。

 教授、助教、大学院生、学部生みんなで作業する。「800だと食いつきがいい。600では反応が鈍い」と鷲尾さんが叫ぶと、家戸さんが「こっちは全部800でええな」。えさの大きさについて魚を囲みながら議論する。

 春から夏にかけての産卵期は、魚の卵や精子をとる作業もある。学生たちの一日はすぐに終わってしまう。休みは少なく、近くに遊びに行くところもない。

 でも、みんな前向きだ。

 大学院1年の鈴木晴(はれ)さん(22)は「研究室で実験しているだけでなく、目の前に魚がたくさん泳いでいるのがいい」という。研究室に来るまでゲノム編集は知らなかったという大浜さんは、肉厚マダイを作るための二つの遺伝子を比較した研究を修士論文にまとめている。来春には養殖関係の企業に就職する。

 学部生3人は慣れない作業に必死だ。石田湧輝さん(21)は「近大に来た以上、マダイの研究に携わってみたかった」。小林翔(かける)さん(20)は「作業の意味や目的がわかってきた」。橋本慎司さん(23)は「(休みのときは)いけすで釣りをする。ここでしかできないことがある」。

 早ければ来年にもゲノム編集技術を使った食品が市場に出回る予定だ。肉厚マダイなどが社会でどう受け止められるか。家戸さんは不安に思いながらも、ゲノム編集や養殖が飢餓など食の課題の解決に役立つと考えている。

 ともに魚と向き合う学生たちには「ここは養殖の現場から最先端のゲノム編集まで学べるユニークな場。最新の技術を導入して養殖業を成長産業にするような人材になってほしい」と願っている。(勝田敏彦)

略歴
 家戸敬太郎(かと・けいたろう) 1967年、大阪府東大阪市生まれ。近畿大学農学部水産学科の学生だった時は魚のえさを研究していた。水産研究所では、遺伝子解析技術による魚の育種へと研究の軸足を移した。現在はゲノム編集技術による食用魚の開発のほか、育種で遺伝子の多様性が失われて奇形が発生しやすくなる仕組みも研究している。

https://digital.asahi.com/articles/ASM794SDYM79ULBJ00N.html?rm=313
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/776.html

[不安と不健康18] ゲノム編集食品 「選べる」 ことが必要だ(朝日新聞)
社説 2019年7月11日

 これでは消費者の利益よりも、役所の都合を優先させているとしか思えない。

 肉厚のマダイや栄養成分を強化したトマトなど、ゲノム編集技術を使って遺伝子を操作した食品について、改変した旨の表示を見送る方向で検討が進んでいる。消費者庁が先月、「義務化は困難」との見解を示し、近く最終決定するという。

 厚生労働省はすでに、別の生物の遺伝子の挿入・残存がなく、現にあるDNAの一部を切断して変異を加えるだけなら、「遺伝子組み換え食品」に該当せず、安全性審査も不要とする方針を決めている。

 そうした変異は自然界や既存の品種改良でも起きており、特に問題になっていないというのが理由だ。この措置に消費者団体などは異議を唱えたうえで、「安全性審査をしないのなら、改変の有無がわかる表示は一層必要だ」と主張してきた。

 人々が安心・安全に暮らせるように、商品やサービスを自主的、合理的に選べる環境を整える。それが消費者庁の任務だ。表示の義務化見送りはこれに反すると言わざるを得ない。

 「ゲノム技術による変異か、そうでない変異かを現在の技術で見きわめることは難しく、表示制度を設けても違反者を特定できない」というのが消費者庁の見解だ。業者の事務負担が重くなり過ぎないように考慮する必要もあるという。

 納得できない言い分だ。

 実効性が確保できないのでルール自体を設けず、業者の任意の取り組みに委ねるという理屈が、社会に受け入れられるとは思えない。また業者にとって、自らの商品に関する情報を把握し、消費者に正確に伝えるのは当然の務めではないか。

 こんな発想がどうして出てくるのだろう。昨年6月に閣議決定された「統合イノベーション戦略」は、ゲノム編集食品を早く社会に出すよう関係省庁に求めている。その達成が至上命令になってはいないか。

 ゲノム編集技術は発展途上にあり、輸入品を含めてどんな食品が現れるか予想がつかない。EU司法裁判所が昨年夏、ゲノム編集食品も遺伝子組み換え食品にあたるという、厚労省とは異なる判断を示すなど、国際的な動向も一様ではない。

 ゲノム編集をめぐっては、国民の間に漠とした不安があることを示す東大チームの調査結果もある。本来は国が率先して調べ、誤解や偏見があれば丁寧な対話を通じて解消に努めるべきなのに、そうした動きは鈍い。

 良い商品を開発しても、社会に受け入れられなければ意味はない。消費者の視点に立って議論を進めることが不可欠だ。

https://www.asahi.com/articles/DA3S14091541.html?iref=comtop_shasetsu_02
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/777.html

[不安と不健康18] 『ゲノム編集の光と闇』 著・青野由利 (長周新聞 書評)
https://www.chosyu-journal.jp/wp-content/uploads/2019/06/e82418fbd35b58512a00a8ab78bb9a40.jpg
2019年6月23日

 安倍政府はゲノム編集をイノベーション戦略の核となる技術の一つと位置づけており、3月には厚労省がゲノム編集食品の安全審査を原則不要にする報告書を承認した。これによってこの夏からゲノム編集食品が食卓に出回ることが予想される。そうするとどうなるのか? こういう問題意識から、科学ジャーナリストが著した本書を興味深く読んだ。

 ゲノム編集とは何か? 遺伝子組み換えとどう違うのか? ゲノムはある生物の全遺伝情報、遺伝子はそのうちタンパク質に翻訳される情報のことで、どちらもその本体はDNAだ。だからゲノム編集も遺伝子組み換えも、基本的には生物のDNAを切り貼りして編集する操作のことである。

 人間は何十兆個もの細胞からできている。その細胞の一つ一つに、人間を人間に形づくるための遺伝情報が詰め込まれている。この遺伝情報を担うのがDNA(デオキシリボ核酸)と呼ばれる分子で、延ばすと全長2bにもなるDNAが、ヒストンという物質に巻き付いた形で細胞のなかに畳み込まれ、染色体を形づくっている。

 遺伝子とは、私たちの生命維持に欠かせないタンパク質づくりを指令するひとまとまりの遺伝暗号をいう。髪の毛の色や肌の色、血液型、ある病気へのかかりやすさまで、遺伝子が左右している。

 一方ゲノムとは、人間を人間とするために、あるいは生物をその生物とするために必要な全遺伝情報のことをいう。私たちの細胞の核の中には同じ役目を持つ染色体が2セットずつ(1セットを母親、もう1セットを父親から)入っており、人間の全遺伝情報はこの染色体が担う遺伝情報に相当する。遺伝子はゲノム全体の数%にすぎない。

 ゲノム編集は、遺伝子組み換え技術を革新し、生命科学に革命をもたらすものとして登場した。というのも、遺伝子組み換えは予測不可能な位置でしかDNAを操作できないが、ゲノム編集は狙ったDNAを効率良く、正確に、思い通りに切り貼りできる技術だからだ。それを可能にしたのがクリスパーという手法で、もともとは細菌がウイルスの攻撃から身を守るために備えている自然界の仕組みだが、これをうまく利用して、生物の設計図ともいえるゲノムを自由自在に編集する手段となった。そのやり方は本書に詳しいが、要するに標的とするDNAの配列を探し出し、ばっさりと切断し、切断された末端同士をつなぎあわせたり、そこに望みの遺伝子を挿入したりするものだ。

 この新技術は、医学への応用で期待が大きい。まだ研究途上とはいうものの、実際にエイズや白血病、がん、筋ジストロフィーなど難病の治療に導入され始めた。そのこと自体は科学技術の進歩として歓迎したい。

 ところが、このゲノム編集による遺伝子改変の技術が農水産物にものすごい勢いで応用され始め、各国で消費者からの強い反発を招いている。それは変色しないマッシュルーム、角のない乳牛、肉付きのよいマダイ、通常より収量の多いイネ、芽に毒がないジャガイモ、受粉しなくても大きくなるナスなど目白押しだという。

 ゲノム編集農水産物は現時点で安全性は未知数で、EUや中国では遺伝子組み換え食品と同じく厳しい規制をかけている。ところが野放しなのがアメリカで、すでにレストランなどでの流通が始まっている。それはモンサント社やデュポン社がゲノム編集関連特許の大半をおさえており、利潤追求の手段にしているからだ。

 また、昨年末、「中国の研究者がゲノム編集した受精卵から双子の女の赤ちゃんを誕生させた(エイズウイルスの感染にかかわる遺伝子を改変)」というニュースが世界を驚愕させた。人間の受精卵の遺伝子改変はしないという世界的合意が崩れたからだ。倫理性にもとるとともに、子どもに思わぬ障害が出る恐れがおおいにあり、しかもその影響は世代をこえて伝わっていく。アメリカの幹細胞研究者は、クリスパーを受精卵に使い、頭がよくて美しく運動能力も高い「デザイナーベビー」をつくる構想すら打ち出している。

 さらに、ゲノム編集を軍事に転用する動きまであるというから驚く。大陸間弾道弾やステルス戦闘機を開発してきた米国防高等研究計画局(DARPA)が、マラリアの病原菌を媒介するハマダラカという種類の蚊に不妊遺伝子を挿入して絶滅させる研究に注目。それをバイオテロから兵士を守る方策の立案や、攻撃的な生物兵器の開発・製造につなげようとしているという。

 本書を読むと、いかに多くの研究者たちが試行錯誤をくり返しつつ、一歩一歩自然界の謎を解く歩みを進めてきたかがわかる。と同時に、その科学技術が大多数の人間を幸福にするために使われるのでなく、一握りのグローバル企業のもうけのために使われたとき、とりかえしのつかない災厄を生むことを考えないわけにはいかない。

 かつて遺伝子組み換え技術が誕生した1970年代、それが毒をつくる組み換え微生物を生むなど、思いもよらぬ危険な生物がつくり出されるかもしれない懸念から、学問・研究の自由を重んじる世界の主要な研究者たちが音頭をとり、みずから実験のモラトリアムを呼びかけたことがあった。そのような科学技術に対する研究者の立場を問う問題でもあると思う。 
   
(ちくま新書、234ページ、定価800円+税)

https://www.chosyu-journal.jp/review/12015
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/778.html

[政治・選挙・NHK263] 山本太郎政権の可能性 − 参院選2019の結果をみて −(ちきゅう座)
2019年 7月 26日
<半澤健市(はんざわけんいち):元金融機関勤務>

■山本太郎政権は夢物語だろうか 

 何を夢想しているのかと思う読者が多いだろう。しかしそういう読者も、この夢の実現を、一瞬は考えたのではないだろうか。下記は一つのイメージ提示である。

 前回2013年の参議院選挙時に山本太郎の街頭演説を聴いた。

 タダゴトではないと感じた。彼の出現は、一時のユーフォリア(多幸感)ではないと感じたのである。今回は、代表的な演説をネットで見ただけだが、会場の熱狂は十分に―というより更に―高まっていると感じられた。「れいわ新選組」は、「政界の野良犬」で終わるのか。それとも政権奪取の可能性があるのか。

 衆院選には100人の候補者を出したいと言っている。今までとは状況が違ってくる。政策ブレイン、組織の専門家、カネの出納人、メディア戦略家。全力投球で助けるプロフェショナルが要る。もちろん、山本自身の魅力と選挙運動の過程で「弾みがついて」党勢急拡大の希望はある。すでに国民民主党や共産党の党首が提携の打診を始めている。山本の強烈な個性と実績がこういう声を呼び起こすのである。

 7月19日に横浜駅頭で催した「市民連合」主催の演説会をネットで見た。一つの理想型があった。学者山口二郎(法大教授)、役人経験者前川喜平(元文科次官)、共産党書記局長小池晃、応援山本太郎の布陣である。そして応援の対象は共産党候補者浅賀由香であった。残念ながら結果は次点に終わったが、実に明るいキャンペーンであると見た。

■21世紀における人民戦線

 実際は、山本内閣というより野党連合政権への「れいわ」の少数名入閣が現実的であろう。しかし連合政権が、オルガナイザー山本のラジカルな人気に依存して、山本の副総理はあり得る。山本の演説で、もっとも拍手が多いのは、「あなたが政治の主人なんですよ」と叫ぶときである。これは民主政治の核心を突いたセリフだ。山本の演説が山本を閣僚へと招くのである。 

 山本太郎入閣の連立政権は決して夢ではない。その幅の広い連立政権が実現すれば、近代日本で初めて「人民戦線」の誕生となるかも知れない。

 これは、20世紀のフランスやスペインに出現した国際共産主義の戦略に連動した「人民戦線」とは違う。彼らの歴史は決して幸せなものではなかった。

 1934年に誕生したフランス人民戦線は、36年にレオン・ブルム首相で政権を握ったが、ほぼ一年で崩壊した。36年成立のスペイン人民戦線もフランコの反革命に破れ、39年に崩壊している。だから私のいう日本の「人民戦線」は、30年代のそれとは成立事情が異なる。

 とはいえ、日米同盟は「ファシズム」に限りなく近い没落途上の二カ国の同盟である。

 21世紀の人民戦線もまた、30年代のそれと通底する部分をもつことになるだろう。

 安倍晋三が「悪夢」だったという民主党政権は、おのれの失政だけで崩壊したのではない。「悪い奴」らによる印象操作やフェイク情報により自壊を早めたのである。鳩山由紀夫は、辺野古問題で外務官僚に騙されたと証言している。人民戦線を包囲する多様なアクターの力は決してヤワではない。反「人民戦線」側は、人格破壊を狙う硬軟のテロリズム、天皇制の「活用」までを、武器にするであろう。

 戦後民主主義に共感する私の世代は、生きている間に「山本太郎政権」に象徴される人民戦線の誕生を見たいと思う。人びとが「国のかたち」を決める民主政治を実現したいと思う。閉塞感を一掃する晴天をみたい私は、自分なりの蟷螂の斧を振り上げ続けるつもりである。(2019/07/23)

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye4624:190726〕

http://chikyuza.net/archives/95616
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/660.html

[政治・選挙・NHK263] 「放送禁止物体だった」山本太郎氏 突風で揺さぶる政界(朝日新聞)
フロントライン
「放送禁止物体だった」山本太郎氏 突風で揺さぶる政界
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朝日新聞デジタル 2019年7月26日16時34分
河合達郎

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参院選で第一声を上げる「れいわ新選組」の山本太郎代表=2019年7月4日午前、東京・新宿駅、江口和貴撮影

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 突風が、この国の「権威」を揺さぶる。

 7月25日、東京・六本木のテレビ朝日。生放送の情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」に、れいわ新選組の山本太郎代表が登場した。

 「どっちかというと放送禁止物体としてこれまで生きてきたので、逆に今日、地上波で呼ばれるなんてびっくりなんですよ。ここしか呼ばれていない、私」

 れいわは、山本氏が4月1日に立ち上げた「政治団体」。マスメディアの選挙報道は、「政党」かどうかを基準にする例が多く、7月4日公示の参院選に山本氏を含め10人が立候補した「団体」がテレビで取り上げられることはほとんどなかった。

 ところが、参院選では228万票を集め、比例代表で2議席を獲得。得票率は4・6%となり、「政党」として認められる法律の条件2%をクリアした。選挙を終えたことで、マスメディアの扱いにも変化が生まれ、この日の番組では25分間にわたる一人舞台となった。

 もともとはテレビタレントの山……こちらは有料会員限定記事です。残り:1860文字/全文:2253文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7T6SJMM7TUTFK01P.html?iref=comtop_8_02
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/661.html

[政治・選挙・NHK263] 「消費税5%なら共闘」 山本太郎代表、野党連携で(東京新聞)
2019年7月26日 朝刊

 れいわ新選組の山本太郎代表は二十五日のテレビ朝日番組で、立憲民主党など他の野党との連携について「消費税は5%(に減税)ということで手をつなげるのであれば全力でやりたい」と話し、消費税減税が共闘参加の条件になるとの認識を示した。

 参院選で立民や国民民主党など野党四党は、十月に予定される消費税率10%への引き上げ凍結を訴えたが、減税については各党で意見が分かれている。

 自らは消費税廃止を主張する山本氏は、共闘の条件として「減税は絶対に担保したい」と強調。野党四党が主張する増税凍結については「あくまで凍結。解凍されたあとに増税される」と実効性を疑問視した。

 消費税減税を巡っては、共産党が参院選の政策で、将来の廃止を掲げた一方、立民と国民は旧民主党政権時代に10%への増税に合意した経緯があり、減税は打ち出しにくい立場だ。

 山本氏の主張について、立民の福山哲郎幹事長は二十五日の記者会見で「10%に上げた時点で8%に戻すと言わなければならない。その次は経済状況や国民生活を含めて考えていく」と語った。 (木谷孝洋)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/CK2019072602000150.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/662.html

[政治・選挙・NHK263] 毎日新聞只見席「ちょっとだけよ」 7/27×3+7/25×1 (デジタル毎日)
(第1話)
戦争プロパガンダのポスターや雑誌 元高校教師が収集 浮かぶ巧みな宣伝術 30日から大阪で展示2019年7月27日 13時28分(最終更新 7月27日 13時28分)

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/27/20190727k0000m040105000p/8.jpg?1
国民に敵国のスパイ活動に警戒するように呼びかけるポスター

 大阪府高槻市の元高校教師、河田隆史さん(60)は日中戦争から太平洋戦争末期までに発行された戦争プロパガンダの雑誌やポスターを収集している。100点以上のコレクションからは、敵意をあおるだけでなく、自己犠牲や努力が足りないと国民に思わせる巧みな宣伝術が浮かび上がる。「国民の感情が操作された。自覚しないとその危険は今もある」と話す。

 自国の戦闘を正当化し、戦争協力の世論をつくる政府や軍部のプロパガンダは、1930年代後半から雑誌や…

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https://mainichi.jp/articles/20190727/k00/00m/040/108000c


(第2話) 韓流パラダイム
文在寅大統領を助け、問題解決遠ざけた輸出規制
2019年7月27日 堀山明子・ソウル支局長

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韓国の文在寅大統領(左)を出迎える安倍首相=大阪市住之江区で2019年6月28日午前11時半(代表撮影)

 7月1日に発表された日本による対韓輸出規制の強化措置は、徴用工問題の深刻さを韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に知らしめるために送った「気付け薬」だった。安倍晋三政権周辺では、そうささやかれているらしい。

 劇薬で目覚めて、何が起きたか――。経済危機を乗り越えようと、財界や政界も協調する挙国一致体制が生まれ、文大統領の求心力は高まった。

 対日交渉では、日韓外交の経緯を知る知日派は退き、世界貿易機関(WTO)に持ち込まれた韓国の水産物輸…

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https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20190726/pol/00m/010/002000c


(第3話) 政治プレミア <元連合会長>低投票率の参院選「勝者」はれいわ
過去2番目の低投票率、勝者は誰なのか?
2019年7月25日 古賀伸明・元連合会長 

https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/07/24/20190724pol00m010001000p/9.jpg?1
古賀伸明氏=内藤絵美撮影

 盛り上がらず、熱気もない参院選だった。「1強多弱」と言われるように、野党がバラバラで政治に緊張感がないことが、大きな要因の一つである。

 「投票率は低いのでは……」と思っていたことが的中した。1992年以降60%を割り込んでいた参院選の投票率は今回48.8%。95年の44.52%から24年ぶりに50%を切り、過去2番目の低さとなった。

 九州地方の台風5号の大雨の影響もあったと伝えられたが、95年当時から比較すると、投票時間が長くなり…

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https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20190724/pol/00m/010/002000c


(第4話) 参院選2019
労組の集票、存在感 低投票率救い 組織力には課題
2019年7月27日 東京朝刊

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組織内候補の当選に向け、気勢を上げる労組関係者ら=埼玉県川口市で

 投票率が48・8%と過去2番目に低かった21日投開票の参院選では、組織票を抱える労組が一定の存在感を示し、立憲民主、国民民主両党の議席獲得に貢献した。ただ、組織力の低下に歯止めがかかったとまでは言えず、課題を残したままだ。【宮島寛】

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https://mainichi.jp/senkyo/articles/20190727/ddm/005/010/033000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/688.html

[自然災害22] 五輪狂騒の陰で苦しむ被災地 1年経った広島豪雨災害の現場から(長周新聞)
長周新聞 2019年7月27日

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豪雨災害で崩落したまま手つかずの道路(25日、呉市天応)

 中四国地方に未曾有の被害をもたらした西日本豪雨災害から1年が経過した。東日本大震災、九州北部豪雨、熊本地震など全国各地で毎年のように災害被災地が増え、その度に家を失い、路頭に放り出される被災者たちが増え続けている。西日本豪雨の被災地も例外ではなく、生活再建が遅れ、住居の問題や経済的負担など多重の困難が被災者にのしかかり、高齢者などの弱者がとり残されている現状がある。国民の困難に対して政治はなにをすべきなのか――。被害の大きかった広島県坂町、呉市の今を取材した。

■坂町小屋浦 インフラ復旧遅れ、商店も病院もなく

 山と海に挟まれた広島県安芸郡坂町(人口約1万3000人)は、昨年7月6日の豪雨で町内の約50カ所で土砂崩れが発生し、家屋全壊は292軒、半壊が983軒にのぼった。死亡者は18人(うち災害関連死3人)で、今も人が行方不明となっている。

 なかでも坂町中心部の東約5`に位置する小屋浦地区は、山からの土砂や流木が激流とともに集落全体を呑み込み、15人が死亡するなど町内で最も大きな被害を受けた。

 町内に入ると、昨年末までは放置されていた倒壊家屋や全半壊になった建物はほとんどが解体・撤去され、家家が軒を連ねていた集落のあちこちに更地が目立ち、雑草が生い茂っている。解体作業のために出入りしていたトラックや重機も姿を消し、ひっそりとした静寂のなかで、そこにあった人人の営みが丸ごと消えてしまったような寂寥感が漂っている。氾濫によって崩れた川土手には、土砂を詰め込んだフレコンバックが積み重ねられ、崩れた歩道はまだ補修されていない。上流に上がれば上がるほど路面は凸凹になり、道幅も軽自動車が1台ようやく通れるほどしかない。

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家があった場所は更地になり、護岸はフレコンバックでの応急処置が続く(25日、坂町小屋浦)

 川土手の家に住む70代の男性は「不幸中の幸いで我が家は被害が少なかったので住み続けられるが、周辺の全半壊になった家はみんな諦めて解体してしまった。町営の促進住宅から、ときどきここに足を運んでは“早く戻りたい…”といわれるが、家を建て替えるには膨大な費用がかかる。上流の砂防ダムはまだ完成しておらず、いつまた土砂災害が起こるかわからないという不安もある。隣近所の友だちが土砂に流されたので、妻は“ここに住んでいるのが辛い”といって親戚の家に行っている。元の生活や精神状態をとり戻すにはまだ時間がかかりそうだ…」と話した。

 被害がひどかった川向こうの集落は、道路が崩落したままで下水道も復旧していないため、工事現場に置いてある仮設トイレを設置している家もある。水道管も仮設の管を地上に這わせているため、夏場になると蛇口から熱湯が出てくる。電柱も倒れてテレビの共同アンテナも敷くことができず、テレビもインターネットも見られない。「どうしても必要なら土地を確保して自力で敷くしかない」と語られていた。

 町内会長を務める男性は、「一年経って倒壊家屋の解体がようやく終わったというところだ。古い砂防ダムが決壊したので、2つの砂防ダムを建造中だが、一つは今年中(12月)、もう一つは今年度中(来年3月)に完成予定で、それから土石流が溜まった川の浚渫(しゅんせつ)をし、ようやく道路の補修に手が付くという状態だ。だから住民が安心して暮らせる状態になるのはまだ何年も先の話になる。それでも仮設住宅やみなし仮設の入居期限は2年間で、来年には切れる。家を補修したり、建て替えるにも、災害保険に入っていなければ経済的な負担が大きすぎる。子どもとの同居ならまだしも、高齢者世帯だけなら、あと何年生きられるかわからないのだから新築の家を建てる気にもならないのが実際だ。被災前に36軒あった町内の家は15軒に減り、空き地には雑草が生い茂っている。これからどのようにして町内のコミュニティを維持していこうかと頭を抱えている」と話した。

 町民の生活再建にとって一番の心配事は、町内唯一のスーパー(Aコープ)が被災直後から閉店し、買い物ができる場所が町内2カ所に一日一時間程度やってくる移動販売車だけになったこと、さらに病院もなくなって日常生活に支障をきたしていることだ。「若い人が住みやすい環境を作るという以前に、高齢者が安心して暮らせる対策がされなければ人口減は歯止めがかからない。JRもバスも1時間に1本しかなく、車がなければ生活は困難になっている。町に要望をしても、お店や病院を誘致するにもお金がかかることなので簡単には進まない。今は小学校(全校約60人)をかつがつ維持しているが、このままでは先細りになってしまう」と危惧していた。

 壊れた家を補修しながら住み続けているのは、長年この場所に住み続けてきた高齢者が多い。他の場所に移り住んでもコミュニティになじめなかったり、そもそも住む場所の確保が困難であったり事情はさまざま。近くに子どもたちが暮らしていれば見守ることができるが、高齢者だけの世帯は孤立していくことが心配されている。

 70代後半の姉が一人で住んでいた家が大規模半壊したという男性は、車で1時間以上かかる廿日市市から毎日姉の世話のために通っている。「今は県のみなし仮設(県が借り上げた民間アパート)に暮らしているが、姉はどうしても地元に戻りたいというので小さな家を建てようと思っている。だが、大規模半壊でも支援金は150万円しかなく、蓄えのほとんどをはたかなければいけない。せめて帰って安心して暮らせるように買い物ができる場所を整備してもらいたい」と話していた。

 床も天井も剥ぎとってがらんどうになった家の中からガレキを運び出していた40代の男性は、「半壊なのでリフォームを考えていたが、思ったより損傷が激しく、基礎からやり直せば建て替えるのと同じ費用がかかる。家族で話し合って小さくてもみんなで住める家を建て替えることにした」と話した。「一年たつと公費解体も打ち切られ、ガレキ置き場も閉鎖されるから急いで片付けている。公営住宅も家賃減免は二年で打ち切られる。おんぶにだっこで助けてほしいとは思わないが、プラスでもマイナスでもなくゼロに戻りたい。元の生活をするスタートラインに早く立つためにも行政には柔軟な対応をしてもらいたい」と話した。

■850世帯が仮住まい 家賃の高い災害公営住宅

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呉ポートピアの応急仮設住宅

 広島県内では、6月末現在で少なくとも17市町の850世帯以上(2053人)が仮住まいでの生活を続けている。公営住宅や借り上げ住宅には712世帯、プレハブの仮設住宅には今も147世帯が暮らしている。

 避難者が最も多い坂町では、坂地区の平成ヶ浜中央公園に98戸のプレハブ仮設が建設されている。仮設の入居期間は原則2年と定められているものの、他の激甚災害被災地と同じく特例として延長が認められている。だが広島県は、呉市と坂町に国が建設費の7割を負担する災害公営住宅が建つ見通しが立ったことを理由に期間延長しない方針を表明している。ところが災害公営住宅は家賃設定が高く、減免期間が終われば数倍に値上がりするため、経済的な事情で仮設住宅に入らざるを得なかった被災者たちを追い詰めている。

 夫婦2人暮らしの77歳の男性は、40年間住んできた家が山の土砂や流木で押し流されて住めなくなり、県営住宅や公営住宅の抽選にも外れ、ようやく昨年10月にこの仮設住宅に入ることができたという。4畳半と6畳の2DK。広かった自宅とは比べものにならないほど手狭だが、家財道具を減らして何とか2人で生活している。解体した自宅跡には雑草が生い茂るため畑にして野菜を育てたり、「落ち込んでいたら病気になる」と自分を奮い立たせて仮設住宅の砂利の隙間にトマトやキュウリ、花を育てたりしながら「何とか前向きな姿勢で生きよう」と、見守りボランティアの手助けも受けて周囲の被災者と励まし合っているという。

 「いずれは夫婦2人だけでも住める程度の持ち家を建てたいが、砂防ダムが今年の9月着工で来年3月までかかり、それから水路の整備、農道の補修をしなければ県の建築許可が下りない。だから来年7月にできる災害公営住宅に入ろうと思っているのだが、国の災害支援法で定められた家賃が月額4万〜7万円。所得によって値段が変動し、入居から3、4年で減免期間が終われば全体がさらに値上がりするのだという。少ない年金生活者にはとても払える額ではない。みんなすべてを捨てて裸一貫で逃げてきた人たちばかりなのに…」と顔を曇らせた。

 「私たちも家から持ち出せたものといえば、2階にかろうじて残っていた冬物の服とタンスだけ。巨木が家に突き刺さってめちゃめちゃに破壊され、家の中は土砂や泥に埋もれて手の施しようもなかった。たとえ3年後に全財産を注ぎ込んで家を建てても80歳。あと何年生きられるのかもわからない。贅沢をいう気はないが、せめて少ない年金でも入れる家賃設定にできないものだろうか。ここに入っている高齢者みんながそれを望んでいる」と切実な思いを吐露していた。

■呉市天応 コミュニティ回復せず取り残される高齢者

 坂町に隣接する呉市天応地区も、豪雨災害で甚大な被害を被った。坂町と同じように家屋の解体は進んだが、人口が半減した地域もあり、コミュニティの回復が進んでいない。川の護岸は崩れたままで、豪雨に見舞われたらいつまた崩れてくるかわからないような危険な箇所がそのまま放置されており、周辺住民の帰還を妨げている。

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家があった場所を指す住民(呉市天応)

 地区内の仮設住宅で暮らす高齢者夫婦のお世話をしにきていた女性は「お世話になった人だから、今は解体する家から必要なものだけを運んであげている。本人たちにとっては愛着のある家だから壊したくないといわれていたが、直すだけで1000万円以上かかる。公費解体の期限が切れないうちに手放した方がいいと説得してようやく決断したところだ」と明かした。被災前に数十万円をかけてリフォームしたばかりだったという。自宅から狭い仮設住宅に持ち込めるものは衣類や食器などわずかだが、車を持たないお年寄りだけではそれすら運ぶこともできない。

 女性は「天応は道路も砂防ダムもいまだ手つかずで高齢者だけで住み続けるには危険すぎる。災害公営住宅の家賃は月額7万円といわれるが、それでも命にはかえられない。身寄りのいない高齢者がとり残され、被災後、急速に足腰が弱っており、そのうち痴呆が始まらないか心配している。高齢者の継続的なサポートと、安くて安心できる住宅を確保してあげないと寿命を縮めるばかりだ。こんな扱いで人生の最期を迎えるのは本当に気の毒だ…」と、こみ上げるものを抑えながら憤りを口にした。

 同じく仮設住宅に入居中の80歳の男性も、家が半壊して病気持ちの奥さんと2人で暮らしている。「天応でも唯一のスーパーが閉店し、病院も一つしかない。この場所に災害公営住宅が建っても、買い物をしたり、医者にかかるには、車で30分以上かけて呉市内まで行かなければいけない。車も水に浸かり、家も失った人たちには酷な環境だ。命が助かっただけ喜べといわれても喜べない状態だ」と話した。

 「公営住宅も家賃が高く、あの値段では国民年金の人たちは対象外だ。私は妻が病気で、手が震えて包丁も持つことができないので、周囲から隔絶されたこの場所では生活ができない。現在介護付きのケアマンションを探しているが、これもカネ次第でピンからキリまであり、カネのないものは姥捨て山のような僻地で惨めな生活をしなければならない。80歳で誰がお金を貸してくれますか? 誰が雇ってくれますか? 仮設からは来年7月までに出ろといわれているが、県からの見舞金は30万円、呉市からは6万円程度しか出なかった。助けてもらうのが当たり前とはいわないが、あれほど集まった義援金はどこへいったのだろうか? と思う。国は“老後のために2000万円貯めておけ”というが、年寄りは早く死ねということなのだろうか…」と話していた。

 未曾有の災害から一年が経過した広島被災地では、災害当初にはメディアも同情の視線を注いだが、今はほとんど報道されることもない。だが、災害は終わっておらず、数千人が家を失った状態が続いており、時間が経てば経つほど弱者がとり残され、誰も知らないところでひっそりと息を引きとる高齢者も少なくない。東京五輪のお祭り騒ぎに数兆円が注がれる一方で、生活基盤すら失った被災者の救済は「自助努力」の名のもとに置き去りにされている。

 国民のために機能することをやめた政治の残酷な姿が集中的にあらわれている。

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家財道具の多くが置き去りのまま進む家屋の解体(25日、呉市天応)

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家が解体され、雑草に覆われた空き地(呉市天応)

https://www.chosyu-journal.jp/shakai/12508
http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/694.html

[政治・選挙・NHK263] 大崎事件再審開始決定取り消し 法学者92人が抗議声明(朝日新聞)/第4次再審請求へ 弁護団が方針(毎日新聞)
「再審制度ゆがめる」大崎事件で法学者92人が抗議声明
朝日新聞デジタル 2019年7月12日17時48分

 鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、刑事法学者92人が12日、殺人罪などで懲役10年の判決を受けて服役した義姉・原口アヤ子さん(92)の再審開始決定を取り消した最高裁に抗議する声明を出した。「再審制度の意義を根本からゆがめる決定」と批判し、制度改正を訴えた。

 原口さんの再審請求は一、二審で認められていたが、検察側の特別抗告を受け、最高裁は6月25日付の決定で取り消した。声明は再審が「誤判と人権侵害を救済する制度」と指摘し、下級審の開始決定を最高裁が覆すのは「基本理念を揺るがす」と批判した。また、開始決定が出れば検察側は不服を申し立てられなくする制度改革を求めた。

 会見した指宿信(いぶすきまこと)・成城大教授は「短期間にこれだけの賛同が集まったのは、決定の衝撃と、再審の門が再び閉じられる危機感の表れだ」と語った。(阿部峻介)

https://www.asahi.com/articles/ASM7D56LYM7DUTIL02J.html


第4次再審請求へ 弁護団が方針 /鹿児島
毎日新聞地方版 2019年7月23日 

鹿児島県
 鹿児島県大崎町で1979年に男性(当時42歳)の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で服役した原口アヤ子さん(92)の弁護団は、最高裁が先月25日付で第3次再審請求を棄却したことを受け、第4次再審請求をする方針を決めた。弁護団が21日に明らかにした。

 弁護団によると、弁護団の弁護士計約20…

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https://mainichi.jp/articles/20190723/ddl/k46/040/697000c
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/689.html

[環境・自然・天文板6] 私たちはどこから来たのか 物理学者村山斉さんの考えは(朝日新聞)
村山斉の時空自在
私たちはどこから来たのか

朝日新聞デジタル 2019年7月28日07時00分

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村山斉さん

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190725003654_commL.jpg

 私たちはどこから来たのか。かつて哲学や神学で扱われた問題が、最近は物理学の力で答えに近づいてきた。

 私たちの体はさまざまな原子でできている。骨を作るカルシウム、血液に必要な鉄、呼吸する酸素、そして炭素や窒素、リン、カリウム……。どれがなくても私たちは生まれなかった。ところが、こうした原子は初めからあったわけではない。

 実は宇宙の始まりには、水素など軽い原子しかなかった。実際、古い星を観測すると、ほとんど水素とヘリウムだけでできている。それでは他の原子はいつ、どこで生まれたのか。

 星がなぜ光るかは20世紀に入ってやっと説明された。小さな原子、例えば水素と水素をくっつけて大きな原子を作り、そのときに重さをエネルギーに変えて光っているのだ。つまり星は原子の製造工場ということになる。

 だが本当か。星の中心で起きていることを実際に見るのに成功したのは、日本の実験だった。岐阜県の山中の地下1キロにある巨大な水槽「スーパーカミオカンデ」だ。原子を組み立てる時に出る副産物のニュートリノを捉え、原子製造の現場を押さえた。

 とは言っても、星の中にあったままでは、私たちの体に使えない。太陽より重い星は、生涯の最後に超新星という大爆発を起こし、星一つで銀河全体よりも明るくなる。この時、製造した原子がばらまかれて、私たちの体になったのだ。この現場もニュートリノを検出して押さえ、小柴昌俊先生がノーベル賞に輝いた。私たちの体は星のかけらであり、宇宙の長い歴史が刻まれているのだ。

◆村山斉

 むらやま・ひとし 1964年生まれ。専門は素粒子物理学。カリフォルニア大バークリー校教授。初代の東京大カブリ数物連携宇宙研究機構長を務めた。

https://digital.asahi.com/articles/ASM2P4CQSM2PULBJ00D.html?rm=254
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/753.html

[政治・選挙・NHK263] やまゆり園事件をきっかけに、障がい者に肩身の狭い思いをさせることない社会を(澤藤統一郎の憲法日記)

相模原の障害者施設「津久井やまゆり園」での、あの忌まわしい殺傷事件が2016年7月26日のこと。事件当初の驚愕はこの上ないものだったが、あれから3年が経過した今も、その衝撃は消えない。むしろ、さらに重く深く沈潜している。

その犯行の実行者が平然と被害者の人権を否定する動機を語って、犯した罪業を反省していないこと、正当化さえしていることが、悲しくもあり恐ろしくもある。

植松聖は、かつて「やまゆり園」の職員であった。障がい者に接しての生活を送るうちに、その障がい者の人格を積極的に抹殺しようと思い至ったのだ。刺殺という残忍な手段で。

彼が、犯行直前に衆議院議長宛に認めたメモに、「戦争で未来ある人間が殺されるのはとても悲しく、多くの憎しみを生みますが、障害者を殺すことは不幸を最大まで抑えることができます」「私の目標は重複障害者の方が家庭内での生活、及び社会的活動が極めて困難な場合、保護者の同意を得て安楽死できる世界です」とある。

当時、これに目を通して誰もが想起したのが、石原慎太郎の発言だった。重度障害者が治療を受けている病院を視察した後、彼は、記者団にこう語っている。
    「ああいう人ってのは人格あるのかね。ショックを受けた。ぼくは結論
   を出していない。みなさんどう思うかなと思って。
    絶対よくならない、自分がだれだか分からない、人間として生まれて
   きたけれどああいう障害で、ああいう状況になって……。
    しかし、こういうことやっているのは日本だけでしょうな。
    人から見たらすばらしいという人もいるし、おそらく西洋人なんか切
   り捨てちゃうんじゃないかと思う。そこは宗教観の違いだと思う。
    ああいう問題って安楽死につながるんじゃないかという気がする。」

植松と石原に共通するのは、役に立つ生命と役に立たない生命とを差別する思想である。

典型的には、ナチスドイツがそのような優生思想を国策化した。人が人として尊重されるのではなく、国家への寄与の能力かあるか否かで、人間の価値の有無をはかり人間を選別した。稼働能力も戦闘能力もない重度障がい者は、比喩ではなく、文字どおり抹殺された。「T4作戦」として知られるこの政策で「安楽死」を余儀なくされた障がい者は20万人を超すとされる。

人権という思想は、脆いものだと思う。事件後の植松は接見を試みたジャーナリストにこう語っている。
   「ナチスの大量虐殺についても、障害者を虐殺したことは正しかったが、
   ユダヤ人虐殺は誤っていた」「人間が幸せに生きる為に、心の無い者は
   必要ない」「『意思疎通がとれない者を安楽死させる』考えを本心で否定
   するのは『バカ』と『ブサイク』です」(創)

「意思疎通がとれない者を安楽死させる」考えを否定しない石原慎太郎は、その後13年も都知事の座にあって、数々の差別発言を続けた。「こんな人物」を都民は知事に選任し続けたのだ。

人権とは元来が思想の産物であって、検証された真理ではない。人類の叡智が創り出した約束事なのだ。この約束事を社会の成員が共有することで、自由で平等な社会を作ることに資するものと承認され、その尊重が社会の基本合意となり、社会的規範とも法的規範ともなった。

人権尊重は社会の公理なのだから、何か別の根拠で人権尊重の必要性や合理性を説明することは困難である。人権は尊重されねばならず、人権尊重の浸透、人権尊重の常識化、人権尊重の教育が必要なのだ。

この公理に意を唱えさせてはならない。たとえば、「なぜ、人を殺してはいけないの?」「『私の命だけが大切で、他人の命は無価値』と、なぜ言ってはいけないの?」などと改まって発問させてはならない。それが社会の最も基本的な約束事だからだと言う以上には、論理での説得は困難でもある。

人権とは各個人に平等にある。生産性や寄与度の有無多寡に関わりなく、誰の人権も平等に尊重されなければならない。この公理を受け入れがたいとするのが、植松や石原でありヒトラーでもあった。

「障がい者にも人格があるのかね」ではない。弱い立場の者においてこそ、平等に
保障された人権の存在が貴重なのだ。その意味では、「障がい者にこそ人権がある」。
障がい者に肩身の狭い思いをさせることない社会でありたい。やまゆり園事件が、
そのきっかけになればと願う。

(2019年7月27日)

http://article9.jp/wordpress/?p=13032
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/717.html

[政治・選挙・NHK263] 参院選 真偽不明情報まん延 ネットに50件超確認 調査団体(東京新聞)
2019年7月28日 朝刊

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/images/PK2019072802100051_size0.jpg
ファクトチェック・イニシアティブと連携した新聞やネットメディアによる主な検証記事

 今回の参院選期間中にインターネットで出回った真偽不明の関連情報は、ファクトチェック(事実確認)の推進団体「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ、東京都)の調べで五十件を超えていたことが分かった。連携する新聞社などが確認し、真偽を判定できたのは九件にとどまった。検証作業の担い手不足が課題になっている。

 参院選公示後にツイッターに載った政治家、候補者の発言や、参院選関連の各種メディア報道、ネット情報などに対し、誤りやミスリードを指摘する投稿を自動的に収集。さらにスタッフが内容を精査し、ファクトチェックが必要と判断した情報が五十件を超えた。主要争点となった消費税増税関連が多かったという。

 琉球新報やバズフィード・ジャパンなどFIJと連携する新聞社やネットメディア計五媒体が情報の提供を受け、年金積立金の運用益に関する安倍晋三首相の発言などを独自に検証。計九本の記事を掲載した。判定は「誤り」が三件、「不正確」が五件、「ミスリード」が一件だった。

 真偽不明の情報には、候補者の当落に影響しかねないものもある。広島選挙区で再選した無所属の森本真治氏は、選挙戦中盤に「韓国の国益のために働いていた過去」との批判記事がネットに出回り「事実無根」とホームページでコメントする事態に追い込まれた。

 森本氏の秘書は「内容を打ち消すネット対応や法的措置に力を注ぐべきか、候補者の集票に力を入れた方が良いのか対応に困った」と振り返った。

 FIJの楊井人文(やないひとふみ)事務局長は「もっとチェックすべき情報があった。人的資源が全然足りない」と指摘。ネット上でデマや真偽不明の情報が拡散する危険性は高まっており「事実に基づいた議論をしないと、民主主義が崩壊する」と警鐘を鳴らす。 (川田篤志)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201907/CK2019072802000118.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/718.html

[政治・選挙・NHK263] れいわ、積み上げた票と金 生きづらさ抱える人ら支える(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月28日09時00分 牧内昇平

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190726004023_commL.jpg
参院選投開票日前夜、新宿駅前での山本太郎代表(手前)ら「れいわ新選組」候補者の最後の訴えには、大勢の人たちが集まった=2019年7月20日、東京・新宿、江口和貴撮影

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190726003477_commL.jpg
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 参院選比例区で228万票を獲得し、2議席を得た山本太郎氏率いる「れいわ新選組」。設立間もない政党の支持者はどのような人々なのか。SNSで連絡を取ったり、会ったりしてみると貧困や病気、障害などさまざまな悩みをかかえる人たちが目立った。

 名古屋市に住む50代の男性会社員がれいわを支持したきっかけは、4月末にインターネットでみた山本氏の街頭演説だった。

 《あなたの生活が苦しいのは、あなたのせいにされていませんか。あなたが役に立たないからとか、あなたが勉強してこなかったからだとか。冗談じゃない》

 山本氏の言葉を聞くうち、涙があふれてきた。世の中から見放されてきた自分がはじめて共感してもらったように、男性は感じたという。通帳の残高は5万円ほどしかなかったが、その中から1万円をれいわに寄付した。

 「生活は苦しいけど、彼に託すしかないと思った。だってぼくを勇気づけてくれたのは、彼だけだから」

■「自己責任? 違う」

 20年近く、主に派遣社員とし……こちらは有料会員限定記事です。残り:1839文字/全文:2250文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7R32FVM7RULFA00C.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/719.html

[環境・自然・天文板6] 月面到達から50年、再び月に向かう長い道〜アポロ11号からAMAZONの野望まで(イミダス・集英社)
時事オピニオン
月面到達から50年、再び月に向かう長い道〜アポロ11号からAMAZONの野望まで

2019/07/16
松浦晋也(科学ジャーナリスト)

 1969年7月20日、米国のアポロ11号月着陸船「イーグル」が月面“静かの海”に着陸した。搭乗していたのはニール・アームストロング、バズ・オルドリンの2宇宙飛行士。彼らは月面を歩行した最初の人類となった。それから50年、ここにきて、再度月を目指す動きが活発になりつつある。が、疑問に思う人もいるだろう。「この半世紀、一体なにをしていたのか」。確かにアポロ計画が1972年に17号をもって終了してから、これまで月を訪れた者はいない。

 結論を先に書けば、過去15年にわたって、有人月計画は政治と予算の狭間で迷走を続けてきた。今も状況は混沌としており、すぐに「もう半世紀も経ったのだからもう一度月に行こう」とすんなりいきそうにはない。その一方で、今世紀に入ってから米国内で急速に力をつけてきた“ニュー・スペース”と呼ばれる宇宙ベンチャー企業の中から、世界的ネット流通大手のAMAZONを率いるジェフ・ベゾスが起こしたブルー・オリジン社が、月面有人植民構想に強い興味を示している。

 アポロ計画終了時から現在までの米国における有人月探査を巡る状況を、順にみていこう。

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月面に立つバズ・オルドリン宇宙飛行士。右手奥に月着陸船「イーグル」、中央奥に星条旗が見える。撮影はニール・アームストロング船長

■シャトルとISSで「月どころではない」

 アポロ計画には、当時世界を2つの陣営に割って、冷戦という刃を交えない戦争でソビエト連邦と対峙していた米国にとって、“科学技術面における代理戦争”という側面があった。だから米国政府は計画を実施する米航空宇宙局(NASA)に青天井の莫大な予算を付け、何が何でも勝ちをもぎ取ろうとした。アポロ11号の成功は、米国にとってソ連に対する勝利を意味した。勝った以上それ以上続ける意味はない。米国内における月への興味は11号以降急速に薄れ、当初20号までを予定していたアポロ計画は、18号以後がキャンセルされ、1972年の17号で終了した。

 アポロ計画終了と同じ1974年、NASAはポスト・アポロの大型宇宙開発計画として、地表と地球を巡る周回軌道を低コストで結ぶ宇宙輸送システム、スペースシャトルの開発を開始した。が、青天井で予算がついたアポロ計画と異なり、スペースシャトルは厳しい予算制限の中での開発を余儀なくされた。結果、シャトル以外の計画は軒並み停滞を強いられた。特に太陽系探査は、1978年5月と8月に打ち上げた2機の金星探査機「パイオニア・ヴィーナス」シリーズの後、1989年5月に金星探査機「マゼラン」が打ち上げられるまで、実に10年以上にわたって中断してしまった。月探査機もまた、ずっと計画すら動きださない状況が続いた。

 1981年4月に、スペースシャトルの初打ち上げが成功すると、NASAはスペースシャトルの行き先となる、地球を周回する有人宇宙ステーションを次の大型計画として動かしはじめた。有人ステーションは、1984年のロンドンサミットの議題となり、日米欧が国際協力で実施する巨大計画へと発展した。

 その後、1980年代から2000年代にかけて、スペースシャトル「チャレンジャー」号の事故(1986年)が発生してステーション計画が大幅に遅延したり、1991年のソ連崩壊によって冷戦が終結し、有人宇宙ステーション計画にロシアが参加するという大どんでん返しがあったりで、NASAは予算の多くをシャトルと宇宙ステーションに費やすという状況が続いた。有人ステーションは国際宇宙ステーション(ISS)という名称となり、1998年から建設が始まった。

 アポロ後の20年余りは「月どころじゃない」という状況が続いたのである。

■小さな探査機から始まった、月探査への復帰

 おずおずと月への復帰が始まったのは1994年だった。この年米国は、久しぶりの月探査機「クレメンタイン」を打ち上げた。同探査機は重量227キロと小型で、かつ計画はNASAとアメリカ国防総省・弾道ミサイル防衛局(BMDO、現・ミサイル防衛局)との共同だった。予算の捻出のために「ミサイル防衛に必要なセンサーの試験を宇宙で行う。そのついでに月を探査する」という形をとったのである。クレメンタインは、月を周回する軌道からその全面を撮影して詳細な地図を作成した。それ以上に重要なのは、月の極地域をレーダーで調べ、「氷の形で水が存在する可能性がある」というデータを得たことである。もしも水が本当に存在するなら、恒久的な有人月基地が低コストで運営できるかもしれない。しかも水の量が多ければ、電気分解して水素と酸素を得て、ロケットの推進剤に使うこともできる。この可能性は、その後の月探査計画で予算を獲得するための重要なポイントとなった。

 続いて米国は1998年に、探査機「ルナ・プロスペクター」を月に送り込んだ。同探査機は中性子線分光計というセンサーで、水の存在を直接確認することを目的としていた。が、結果は「月の両極で最大60億トンの水が存在してもおかしくはない」という推定に留まった。

■ブッシュ新宇宙政策、混乱するコンステレーション計画

 2003年2月、スペースシャトル「コロンビア」号空中分解事故が発生した。ISS建設はシャトルに依存しており、事故は建設の停滞を意味した。ロンドンサミットからすでに20年。事故を受けて巨大国際協力計画のISSは、「政治的に、どのようにして“成功”という体裁を作るか」が問題となった。

 2004年1月、ブッシュ米大統領は、新しい宇宙政策を発表した。スペースシャトルを2010年に引退させ、新たに開発する有人宇宙船「オリオン」で月に恒久的有人基地を建設するというものだ。ここで米国は「ISSは2010年までにとにかく完成させて、シャトルを引退。引退でできた予算的余裕を、アポロ以来の有人月探査計画に振り向ける」という決断を下したのである。

 そのために、有人宇宙船「オリオン」、月着陸船「アルタイル」、打ち上げ用大型ロケット「アレスI」と「アレスV」を開発する「コンステレーション計画」と総称される大型開発計画が始まった。が、ブッシュ大統領が宇宙政策の中で「2015年、遅くとも2020年までに月有人ミッションへ復帰する」と宣言したにもかかわらず、開発はずるずると遅れた。特に先行して開発されていたアレスIとアレスVは設計にしばしば問題点が見つかり、設計変更を繰り返した。

 その理由は、過去の技術的遺産にあった。アポロ計画は、月着陸に最適なロケット「サターンV」をゼロから開発した。しかしコンステレーション計画では、ハードウエアに「アポロやスペースシャトルの技術資産を活用すること」という制約がかかっていた。この制約により、構想としては既存技術の有効利用で低コストかつ高速に開発が進められるはずだったが、実際には、最適ではないものを最適に手直しするという手間が膨れあがり、ゼロから開発するよりも難航してしまったのだった。

 その一方で米大統領府が、「月に戻る」と意思をはっきりさせたことで、月の科学的探査は進展した。NASAは有人月探査計画に先立ち、無人探査機「ルナ・リコナイサンス・オービター(LRO)」を2009年6月に打ち上げた。同探査機は月面上空50キロから、月の表面を50センチの分解能、つまり50センチ×50センチのものが識別できるという超高精度で観測し、過去最高精度の月面地図を作成した。余談だが、同探査機の撮影データには、アポロ各号機が残した月着陸船降下段や、各種観測機器、月面車やその轍などが映っており、これにより「アポロは月に行っていなかった」とする各種陰謀論は、完全に命脈を絶たれた。

 米国はまた、同じく2009年6月に大型の月衝突機「LCROSS(Lunar Crater Observation and Sensing Satelliteの略。エルクロス)」も打ち上げた。LCROSSは同年10月に月面南極のカベウス・クレーターに突入。その際に吹き上がった粉塵を観測することで、月面には水が存在することが再度確認された。

 LROは、2019年7月現在、最低高度を20kmまで下げて、月面の詳細観測を継続している。

 NASAは、2011年には月の重力場を詳細観測する探査機「GRAIL(Gravity Recovery and Interior Laboratoryの略。グレイル)」も打ち上げ、詳細な重力場地図を作成した。表面詳細地図と重力場地図は、月周回軌道から安全に着陸機を降ろし、また月周回軌道に戻すためには必須の情報である。

■オバマ政権のフレキシブル・パス

 月面の水の存在は、有人探査を推進するにあたり、大きな動機となる。が、問題はその総量と「どんな形で存在するのか」だ。量が少なければ、あっという間に利用し尽くしてしまうだろう。また、広く薄く存在するなら、取り出すには膨大なエネルギーと手間がかかることになる。これまでの探査で、この疑問には決定的な回答が得られていない。そのため米国内でも、「人類は次にどこに有人探査を行うべきか」という設問に対する様々な意見が存在する。「近くて水のある月に集中するべきだ」「月に行くよりも水の存在が確実な火星に行くべきだ」「月も火星も省略して小惑星に向かうべきだ」などなど――。

 米国では大統領が交代すると、宇宙政策が変更される。ブッシュ大統領の次のオバマ大統領は2010年2月、新しい政策を打ち出した。混乱するコンステレーション計画を中止し、どこに向けて有人探査を行うかは、もっとよく調査を行って検討する「フレキシブル・パス(柔軟な道筋)」という路線を打ち出した。そのためにまずは先行する無人科学探査と有人探査に必要な基礎技術の開発に力を入れるというものである。これにより、米国の有人月探査に向けた動きは再度減速した。

 ところがその後、米議会で優勢な共和党がオバマ政策に反対した。スペースシャトルが引退する以上は、あくまで米国は国として独自の有人宇宙飛行技術を保持すべきだと主張したのである。共和党が押し戻したことで、宇宙船「オリオン」の開発は継続し、「アレスI」「アレスV」に代わる新たな大型ロケット「SLS」が開発されることになった。

 どこに行くかは決めていない、しかし行くための宇宙船とロケットは開発する――2010年代の米国の宇宙政策は奇妙に“不安定な安定”状態に陥った。

■スペースXとブルー・オリジン―― “ニュー・スペース”の台頭

 その間に急速に力を付けてきたのが、“ニュー・スペース”と呼ばれる宇宙ベンチャー企業だった。特に、電気自動車のテスラ・モータース社を起こしたイーロン・マスクが立ち上げ、大型ロケット「ファルコン9」、超大型ロケット「ファルコン・ヘビー」の開発に成功したスペースX社、そしてネット流通の世界的大手AMAZONの創業者ジェフ・ベゾスが設立し、ベゾス個人の莫大な資産をふんだんに注ぎ込んで弾道飛行有人宇宙船「ニュー・シェパード」と超大型衛星打ち上げ用ロケット「ニュー・グレン」を開発するブルー・オリジン社は、米政府とは別に有人宇宙探査、さらにその先の恒久的有人基地建設に積極的な姿勢を見せている。

 面白いことに、イーロン・マスク/スペースXは、火星移住計画に執心する一方で、ジェフ・ベゾス/ブルー・オリジンは、月の有人基地に興味の対象を絞っている。ベゾスは、「月に行かずに火星を目指すのは非現実的だ」として、有人月探査に向けた技術開発を進めている。

■トランプ政権の朝令暮改、探査の加速か、それとも混乱か

 NASAにとって、有人月探査は、ISS(国際宇宙ステーション)の次の大型国際協力計画という意義があった。ISSは、何度か運用期間が延長され、現在では2024年まで運用することが決まっている。このため、2010年代後半からNASA主導で「ポストISSの国際協力計画としての有人月探査」の検討が、参加各国の間で進み始めた。2019年現在は、月を周回する軌道に投入する有人宇宙ステーション「月軌道プラットフォームゲートウェイ(LOP-G)」という構想が検討されている。LOP-Gは、次のステップの有人月探査、さらには有人火星探査に向けて必要となる技術開発と先行する科学探査を行う拠点で、4名の宇宙飛行士が滞在する予定だ。2028年の完成を目指して検討が進んでいたが、2019年3月になって、現在のトランプ政権が「NASAの構想は進展が遅すぎる」という不満を表明し、2024年までの月面有人着陸をNASAに命令した。

 このため、2019年7月現在、将来的に米国の、そして米主導の国際協力による月探査がどのような形でいつ実施されるかは、不明確になっている。NASAはトランプ政権の要求に応えるべく計画の見直しを行っているが、まだはっきりとしたスケジュールを公表できる段階ではない。検討に参加する各国も情報収集に集中している段階だ。トランプ大統領は、2019年6月に入ると、今度は月よりも火星に興味があるという発言をしており、一体この先どのような計画が策定されるかは混沌としている。

 いずれにせよ、計画を加速するとなると“ニュー・スペース”の力を借りるのが順当だろう。特に、月に興味を示すブルー・オリジンは、トランプ政権の要求に呼応するかのように2019年5月、有人探査をも視野に入れた月着陸機「ブルー・ムーン」を開発していることを公表した。同着陸機は早ければ2023年にも月面への着陸を実施できるとしている。これは明らかに、米政府に対する売り込みであるし、同時に「国がさっさと動かないならば民間でやる」というNASAに対する意思表示でもあろう。

 人類は有史以前から夜空にぽっかりと浮かぶ月に様々な思いを寄せてきた。もし将来、「見上げる月にはいつだって誰かしらの人がいて、活動している」となると、その思いも大きく変化し、月はより身近な場所になるだろう。が、10年後15年後にそうなるかどうかは、宇宙での活動能力を持つ国々の思惑と合従連衡次第である。

https://imidas.jp/jijikaitai/k-40-112-19-07-g113
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/754.html

[政治・選挙・NHK263] リベラルな若者が政権を支持するネジレの謎を追う イデオロギーを凌駕する「権威ファースト」の出現 (朝日新聞社 論座)
リベラルな若者が政権を支持するネジレの謎を追う
イデオロギーを凌駕する「権威ファースト」の出現

勝部元気 コラムニスト・社会起業家
論座 2019年07月17日 より無料公開部分を転載。


 若者の安倍政権支持率はあらゆる世代の中で最も高い――。

 もはや常識と化したこの傾向に対して、「なぜ、若者は政権を支持するのか」という視点の分析記事がたくさん出ています。

 私は、そのような記事を見つけ次第、なるべく目を通してきました。確かにどの記事も一部の若者の声を代弁していますが、その一方で、何かまだ一つ、決定的なピースが欠けているように感じるのです。

■生活満足度と支持率は必ずしも比例しない

 たとえば、インターネット上でもトレンド入りするほど話題になった朝日新聞の記事「「安倍政権支持」の空気――この貧困、自己責任だもの 格差認め自民支える若者たち」では、生活が苦しいと感じる若者が自己責任論に染まっているせいで、経済格差を肯定・容認し、自分が受ける不利益を「社会のせい」「政治のせい」とは捉えられなくなっていると指摘しました。

 よく分析できている素晴らしい内容で、非正規雇用を拡大した自民党を、苦しい思いをしてもなお支持する姿は、「まるでDV加害者の夫をフォローする被害者の妻や、虐待親をフォローする虐待被害児童のような心理状態なのかもしれない」とさえ思ったのですが、これは貧困層における傾向であり、生活にある程度満足している中間層の話ではありません。

 中間層を焦点に当てた記事では、「若者の生活満足度が高まっており、政権を変える意味を見いだせないからだ」という指摘も少なくありません(※参考記事)。

 確かに一理あると思います。ですが、「満足度・生活の質に関する調査」(内閣府)を見ると、若者よりも政権支持率の低い高齢者のほうが満足度は高くなっています。さらに、同年代でも政権支持率の低い女性のほうが満足度は高くなっており、若い男性の政権支持率が他の層に比べて高い理由にはならないでしょう。

■30代の政権支持は雇用増では説明できない

 「若者はイデオロギーフリーになっているため、イデオロギーよりも成果で政権を選ぶ。安倍政権になって以降、若者にとって最重要課題である雇用問題で、数値が改善傾向にあるから政権支持は当然だ」という説もよく耳にします(※参考記事https://gendai.ismedia.jp/articles/-/53343)。雇用の悪化が進むと若者の支持率が下がるのは世界各国で見られる現象で、確かにその影響はかなり大きいと思うのですが、一つ大きな疑問が残ります。

 2012年12月発足の第二次安倍政権下で就職活動をした大卒(浪人・留年なしと仮定)は、2014年3月卒業の1991年生まれ以降の世代で、2019年現在で28歳以下のはずです。29歳以上は民主党政権時に就職活動をしています。

 恩恵を受けた28歳以下の若者が安倍政権支持に雪崩を打つのは、確かに若者の雇用増で説明がつくかもしれません。ですが、転職組を除いて、雇用が差し迫った課題ではなくなったはずの29歳〜39歳の世代までもが、自分よりも若い世代の雇用増加を理由に安倍政権の支持に傾くのはどういうことでしょうか。どうも雇用増だけではないと思うのです。

■若者は保守化もリベラル化もしている

 「政権に関する負のニュースを取り上げるテレビや新聞を見ないため、若い人々には政権のネガティブ情報が入って来ないから」という分析もあります。確かに影響はおおいにあると思いますが、もしその説が正しければ、世界各国でネット中心の生活を送る若い男性ほど政権支持率が高い傾向が見て取れても良いはずです。

 ところが、どうもそうではありません。デモが続く香港では、むしろ若い男性の行政長官支持率が最も低いようです。ですので、テレビや新聞を見ないことよりも、ネットで政権に関する負のニュースが広まらない日本の特徴のほうに問題の原因があるように感じます(※なぜ広まらないかは論点が異なるので今回は触れません)。

 「若者の価値観が保守化・右傾化している」という話もよく聞きます。確かに、ネットを介して「ネトウヨ化」が進み、極右候補が一定の票を得るようになったのは事実です。「チャレンジをしない」「安全運転でよい」「現状変更を望まない」「留学に行かない」という意味で、保守的な若者が増えているのも間違いありません。

 ですが、その一方で、外国人労働者の積極的受け入れ、選択的夫婦別姓、同性婚、働き方改革等に賛成する人の割合は若者のほうが多く、価値観のリベラル化が進んでいる側面や、変化を望む面も見られます。つまり、保守化が進むと同時に、リベラル化が進む面もあるわけです。

 さらに、保守化とリベラル化の二極化もあるでしょうし、同一人物内において保守化とリベラル化が同時に進んでいるケースも考えられます。若者全体をひとまとめにして「右傾化・左傾化」という単純な尺度で見分けること自体がもはや不可能なのでしょう。

■イデオロギーを凌駕する「権威ファースト」

 若者に特徴的で、とりわけ男性に多く、世界各国でも同様の傾向が見られる現象と言えば、やはり権威主義化ではないでしょうか。「論座」でも、吉田徹氏が「若者と民主主義との「ディスコネクト」」https://webronza.asahi.com/politics/articles/2018071800002.htmlという記事で、若者の権威主義化の問題を指摘しています。儒教的な上下関係の概念が根強く残り、人権、個人の尊厳等に対して理解の乏しい日本でその特徴がより強く出るのも頷けます。

 この土壌に政権の長期化が加わります。前回の記事「安倍政権のネット戦略は国民の弱みを突いてうまい」https://webronza.asahi.com/culture/articles/2019070400009.htmlでは、日本でも権威主義パーソナリティが拡大する傾向にあり、長期政権によって政治的権威を高めた安倍政権に好感を持ちやすくなっている社会背景について触れました。国民の側にも政権の側にも、権威的結び付きが太くなった原因があると思います。

 そしてこの権威主義化は、自分の政治的価値観というレイヤーよりも上位に位置しているのではないでしょうか? というのも、リベラルな価値観を有する人が、権威ある人の自分と異なる意見を平然と受け入れるケースが少なくないと感じているからです。安倍首相の政治的価値観とは相反するのに、批判的態度を一切とらず、中には「安倍首相はすごい」と言ってしまう人がいるのも、まさにこれでしょう。

 つまり、「自分の政治的価値観ファースト」ではなく、「権威ファースト」です。これが、リベラルな価値観の強いはずの人までもが安倍政権を支持するという「ネジレ現象」が生まれるクリティカルな要因のように思うのです。

■野党が若者に支持されないのはなぜか

 その一方で、野党が若者に支持されない理由も、何かクリティカルなものがあるはずです。 なぜリベラルと位置付けられる野党は、リベラルな若者から支持を獲得できないのでしょうか?

 その一つとして、 ・・・ログインして読む
(残り:約1802文字/本文:約4572文字)

https://webronza.asahi.com/culture/articles/2019071600014.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/723.html

[政治・選挙・NHK263] 交代すべきは衆議院議長ではない。政権こそ交代を。(澤藤統一郎の憲法日記)
 
今朝(7月28日)の毎日新聞朝刊の記事。「萩生田・自民幹事長代行が、『改憲滞れば衆院議長交代』異例の言及」という見出し。「国会での改憲手続きが滞るようなら、衆院議長を交代させるぞ」という恫喝なのだ。なんたることか。

   「自民党の萩生田光一幹事長代行は26日夜のインターネット番組で、
   国会で憲法改正の議論が停滞したままであれば大島理森衆院議長が交
   代する可能性に言及した。萩生田氏は安倍晋三首相の側近。改憲を巡
   る議論を進展させたいとの思惑があるとみられるが、衆院議長の交代
   は総選挙後に行われるのが慣例で、首相が意欲を示す改憲議論の停滞
   を理由に議長の進退に触れた発言は波紋を広げそうだ。」

朝日は「『有力な議長置いて国会が改憲シフトを』 自民・萩生田氏」という見出しで、こういう記事にしている。

   自民党の萩生田光一幹事長代行は26日夜のインターネット番組で、
   憲法改正に向けた国会運営について「憲法改正をするのは総理では
   なく国会で、最終責任者は総理ではなく議長。有力な方を議長に置
   いて、憲法改正シフトを国会が行っていくのは極めて大事だ」との
   考えを示した。
   出演者から改憲に向けた衆院議長の重要性を問われて答えた。その
   うえで萩生田氏は、大島理森衆院議長について「立派な方だが、ど
   ちらかというと調整型。議長は野党に気を使うべき立場だが、気を
   使いながら(憲法審査会の)審査はやってもらうように促すのも議
   長の仕事だったと思う」とも指摘した。
   安倍晋三首相は参院選を受け、改憲に向けた議論を加速させようと
   している。首相側近として知られる萩生田氏が議長の役割の重要性
   に言及したことは、波紋を広げそうだ。

一議員が、自党から出している衆院議長の国会運営に注文を付け、交代もあり得ると脅かしたのだ。虚飾を剥いで分かり易く言えば、こういうことだ。

   「大島理森議長よ、憲法改正問題の国会審議が停滞しているではない
   か。いったい何をグズグズしているんだ。あんたの姿勢は野党に対し
   て弱腰に過ぎるではないか。事態がこのままで、憲法改正審議がこれ
   以上遅滞するようなら、審議促進のために、有力政治家に交代させる
   ことを考えねばならん」

到底、普通の議員ができる発言ではない。萩生田がこんなことを言えるのは、普通の議員ではないからだ。萩生田といえば、安倍晋三の伝声管。「萩生田氏は安倍首相が白いといえば黒でも白というほど忠誠心が厚い」と、言われる人物である。自分の声はなく、ひたすら安倍晋三の声を拡声して振りまくのが役どころ。

萩生田は単なるスピカーの音声。マイクに向かって喋っているのは安倍晋三。誰もがこう思っているから、首相発言として「波紋を広げそうだ」ということになる。

もっとも、波紋は二通りに考えられる。
ひとつは、安倍の思惑通りに大島議長が動くことだ。議長が改憲審議促進に積極的となり、憲法審査会もその意を体して動き出すという、安倍の意に沿った筋書きの通りの波紋。

しかし、そうなるとは限らない。むしろ、この発言は、改憲策動が進展しないことへの安倍の焦りとも、八つ当たりともとられる公算が高い。大島議長の反発を招くことは必至だし、安倍晋三の驕りに自民党内の結束が乱れる方向への波紋も考えられる。何よりも、野党と国民の反安倍感情を刺激することにもなる。

参院選の評価は人によって様々だが、自民党は大きく議席を減らし、改憲勢力が3分の2の議席をとれなかったことは厳然たる事実である。民意が、改憲を望むものでないことははっきりした。あらゆる世論調査や、候補者・議員アンケートが、改憲は喫緊の課題ではないことを明確にしている。

にもかかわらず、何ゆえ異例の議長交代までさせて改憲審議促進にこだわるのか。民意よりも、自分のイデオロギー優先の安倍晋三とその取り巻きへの批判が必要である。

言うまでもなく、内閣総理大臣とは、憲法を遵守し擁護しなければならない立場にある。にもかかわらず、自分の思いに適わぬ憲法条項を変えてしまえというトンデモ総理が、安倍晋三なのだ。

季節は、冷たい梅雨が去って猛暑の夏到来の様子である。生ものは、早く処理をしないと腐敗する。政権も、本来長くは持たないものだ。アベ政権は、疾うに賞味期限も消費期限も過ぎている。

促進すべきは、議長交代論議でも改憲論議でもなく、政権交代論議である。

なお、赤旗は「“安倍改憲へ衆院議長交代も”ネット番組 自民・萩生田氏が発言 憲法議論加速へ任期途中に」という見出しでの、一面トップ記事だった。

(2019年7月28日)

http://article9.jp/wordpress/?p=13035
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/728.html

[政治・選挙・NHK263] 首相演説、謎の黒服に阻まれたプラカード  首相、もう潮時です。40年越しに「真の女性活躍」を進めた首相になってください(朝日新聞社 論座)
首相演説、謎の黒服に阻まれたプラカード
首相、もう潮時です。40年越しに「真の女性活躍」を進めた首相になってください

井田奈穂 「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局長
論座 2019年07月28日

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安倍首相の参院選ラスト演説。このときはプラカードを邪魔されずに掲げることができた=2019年7月20日、東京・秋葉原

■プラカードでかき消された「困っている人の姿」

 2019年の七夕の日。降りしきる雨の中、私たちはJR中野駅前で選挙演説に訪れるという安倍晋三首相を待っていました。

 昨年11月、私がTwitterで出会った仲間と立ち上げた「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」https://chinjyo-action.com/のメンバーも6人、一緒にいました。

 首相から見える場所を探したものの、すでに人でいっぱい。ひしめき合う傘の間は、むんむんと暑いほどの熱気でした。テレビ局のカメラの前のわずかなスペースしかなく、私たちはそこで待つことにしました。

 政治家の演説にプラカードを持って行ったのは初めてでした。

 きっかけは7月3日の日本記者クラブの党首討論会。「選択的夫婦別姓を認めるか」について、安倍首相は1人だけ手を上げなかったのです。

 実際に結婚できなくて困っている人、改姓して苦しむ人を、その目で見てほしいと思いました。

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2019年7月7日、JR中野駅前

 この日集まった7人のうち2人は「妻と夫の対等な関係性のまま結婚したいから」と、35年も前から事実婚を続けているご夫婦でした。そして「生まれ持った氏名で、この人と結婚させて」という思いを首相に伝えるために、わざわざ群馬県から来た20代のカップルもその場にいました。

 安倍首相の演説が始まった時、群馬県のカップルの20代女性が、傘の合間から「選択的夫婦別姓の実現を」というプラカードを掲げました。

 すると驚いたことに、スラックスの上に黒のパーカーを着た背の高い男性が傘の波をかき分け近づいてきて、手に持った「がんばれ自民党」「安倍総理を支持します」というプラカードをその上に覆い被せてきたのです。

 何も声をかけられず、突然の行為だったので、私たちはびっくりしました。

 「すみません、ちょっと見えなくなるので」と声を出したものの、無言で、この女性が右に行けば男性も右、左に行けば左と、しばらく攻防が続きました。

 静かで怖かった。視線すら合わせないのです。背の小さい私たちは威圧感を感じ、プラカードを下げました。

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この位置から安倍首相の演説を聞いた。プラカードの件で一層遠くに感じた=2019年7月7日、東京・中野駅前。著者提供

 私たちは安倍首相を批判しに来たのではありません。「結婚できず困っている人たちがここにいる。選択的夫婦別姓を実現してほしい」。自分の国のリーダーにそう訴えにきただけでした。

 「安倍帰れ」とコールした人たちもいましたが、私たちはただプラカードを掲げていただけです。はぐれてしまった夫婦2人のメンバーも、やはり同じ目に遭っていたことを、後で合流して聞きました。

 「当事者の存在をかき消すような行為を受けたのはショック」「安倍さんはこんなの、喜んでいるのかな」

 20代のメンバーたちも驚いた様子でした。プラカードを隠した男性は誰だかわかりません。しかし自民党支持者の方でも、多様な意見に首相が触れる機会は奪わないでいただきたかったと感じました

■「経済成長と関わりがない」という発言の衝撃

 再婚後、あまりに大変な改姓手続きと自己喪失感で苦しんでいた私がTwitterを始めたのは、2018年1月のこと。投稿を始めると、同じ思いを持つ人たちと、面白いようにつながっていきました。

 姓を変えずに結婚したい。でも、法律を変えるにはどうすればいいかわからない。政治活動経験はゼロ。「とりあえず、国会議員に相談じゃない?」と、数人で地元選出の自民党・松本文明衆議院議員に会いに行くことになりました。

 「いろいろなところから本人が声を上げるといい。地元の人が望んでいるのがわかれば議員も動く。党本部にも行くといい」

 そんなアドバイスをもらい、中野区議会に陳情を出したところ、たくさんの議員が応援してくれ、選択的夫婦別姓の法制化を求める意見書を国に送ることができました。

 これに背中を押された私は、11月に「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」のサイトを開設。Twitterで参加を呼びかけると、北海道から沖縄までメンバーが集まってきました。

 現在の登録者数は約120人。それぞれ地元の議会から国会を動かしてもらえるよう、議員に働きかけています。

 6月30日のネット党首討論で安倍首相は「選択的夫婦別姓は、女性の社会参画のために不可欠ではないか?」と問われ、「我々はいわば、経済成長とは関わりがない、という風に考えています」と答えました。

 この言葉は、とにかく悲しかった。がっかりしました。

 望まない改姓は、個人の尊厳を傷つけ、苦痛を与えます。自分の名前で仕事をしてきた人にとっては死活問題です。でも、どちらか改姓しなければ結婚できない。だから男性優位の日本社会では、96%の男性は妻に譲ってもらい、改姓せずに結婚しているのです。(参照 平成28年度人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin16/dl/gaikyo.pdf

 この点が女性差別にあたるとして、日本は国連から3度にわたり、夫婦別姓を認めるよう勧告されていますが、応じていません。

 安倍首相の発言を聞いて、「女性に自分自身が生まれ持った名前を名乗らせたところで、国として儲からない」と言われたように感じました。

 「生産性」の話題が頭をよぎったのは、私だけではないでしょう。

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党首討論で選択的夫婦別姓を認めるかとの質問に、ただひとり手を上げない安倍首相=日本記者クラブ提供

■研究実績が改姓で奪われる苦痛。日本の知識流出にも

 私たちのメンバーには研究者や医師も数多く登録しています。

 「自分の名前で仕事をする」最たるものが、研究論文や特許。「氏名は研究者にとって命」とあるメンバーは言います。

 「ネットによる論文検索が主流なので、名字が変わると検索結果から漏れる。過去の業績が評価・参照対象から外される可能性が高い」

 つまり、積み上げてきた実績が突然、同一人物のものとみなされなくなるのです。

 これでは実績ゼロの新人研究者と同じ。想像を絶する喪失感でしょう。医師検索でも、結婚改姓により本人の証明ができなくなるケースが多いといいます。

 法務省は2018年3月20日の国会で、同省が把握する中で、夫婦同氏制を採用している国は日本以外にないと述べました。生まれ持った氏名で結婚できる選択肢を、今やどの国も標準装備しています。そのため国際学会では、研究者としての登録名とパスポートの氏名が異なる理由を説明しなければならない場面も少なくありません。

 国際的な研究機関で旧姓のまま仕事を続けるメンバーは、戸籍姓が必須の資格を業務で使うたびに、結婚改姓したと説明せねばならず、「仕事しか関係のない相手にプライベートをさらすのは苦痛。同僚である夫には何の支障もないのに」とストレスを抱えています。

 研究者としての氏名を守るため、事実婚で活動していた女性も先日、メンバーになりました。彼女はオーストラリアで研究を続ける夫の元で出産を迎えようとしたものの、事実婚では永住権ビザが取得できず、やむなく法律婚。その後、彼女も現地の大学に所属し、戸籍姓必須の書類以外はすべて、自分が研究実績を積んできた本来の姓で登録しました。

 ところが現地で出産し、役所に出生届を出した時のこと。「免許証とパスポートの名字が違う」「これでは2人の人間になりすましていることになる。どちらかに統一を」と指摘されたのです。

 日本に一時帰国し、保育園の入園申請をした時も、「ネット検索したが○○大学にあなたの氏名(保護者として申請した戸籍姓)の研究者は見つからない」と指摘され、在職証明に追われたといいます。

 4月の選択的夫婦別姓訴訟の法廷でも報告されたこのケースで彼女は、「夫の姓ですべてを統一したら私の研究者生命は死を迎える。日本国籍を捨て、この姓の問題から解放されたいと考えている研究者は私だけではない」と述べています。

■国も自覚する「旧姓の通称使用」による国際的信用トラブル

 旧姓併記のパスポートを持ってただ出張するだけでも、海外の入国審査で足止めされることがあります。

 発展途上国支援の仕事をしているメンバーは、パスポートにかっこ書きされている旧姓について、何度も説明を求められたことがあったそうです。日本国民として法的に存在しないはずの名前がかっこで書いてある。だがなぜかICチップには記載がない。ビザにもその名前がない(どちらも旧姓不可)。「このパスポートは偽造かも」と不審がられても不思議ではありません。

 海外の大学院で学ぶ予定の彼女は、困っている状況をTwitterに投稿しました。これが河野外相の目に止まり、外務省に説明文書を作ってもらえることに。(朝日新聞デジタル『パスポートの旧姓トラブル対策 ツイートが外相動かす』https://digital.asahi.com/articles/ASM6P4WR3M6PUTFK00X.html

 しかしそもそも仕事で実績のある自分の氏名を変えずに結婚できるなら、こんな「説明」は不要です。選択的夫婦別姓を認めてほしいと、彼女も訴えています。

 内閣府は「女性活躍加速のための重点方針2019」に盛り込むべき事項について、旧姓の使用拡大を挙げています。

 しかし旧姓が法的に認められた戸籍上の氏として機能しない限り、問題は解決しません。実際、各省庁へのヒアリングでは、外務省自身が、国際的な信用トラブルの事例だけでなく、「旅券の旧姓を国内外で悪用(詐欺行為等の犯罪に使用)する者が現れる可能性」まで指摘しています。

 主に女性がいわれのない疑いをかけられ、国際的な活躍を妨げられていることを、国も認識しているのです。(参照「男女共同参画会議 重点方針専門調査会(第19回)」http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/jyuuten_houshin/sidai/jyu19-s.html

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2019年4月、外務省が内閣府に示した説明資料。旧姓使用の拡大でトラブルが広がる可能性が列挙されている=内閣府男女共同参画局ホームページより

 こうした制約がなければ、改姓せず結婚している96%の既婚男性と同じように、女性たちも実績や在職の証明に困らず、海外で難なく仕事ができ、プライバシーの侵害もなくなります。

 経済成長につながるような活躍がもっとできるはずです。

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人気ロックバンド・SEKAI NO OWARIのメンバー、Saoriさんが7月、望まない改姓とそれに伴うコストへの違和感をTwitterでつぶやくと、20万近いいいねという爆発的な反響を記録した。

■半数以上が非正規雇用、男女賃金格差ワースト3の「女性活躍」とは?

 次に安倍首相が党首討論で述べた数字も調べてみました。

 「この6年間で250万人の女性が働き始め、25歳以上のすべての世代で女性の就業率は、あのアメリカを、上回っている」という点です。

 たしかに「女性就業率が7割を超えた」という統計は2018年秋、ニュースになりました。

 しかし労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2018」によれば、日本人女性の就業者のうち短時間労働者(労働時間が週30時間未満の者)の割合は37.1%と高く、アメリカ人女性17.6%の2倍以上(こちら参照https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2018/03/p117-118_t3-7.pdf)。

 管理職に占める女性の割合でも、アメリカは43.8%に対し、日本はわずか12.9%です(こちら参照https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2018/03/p089_3-3.pdf)。

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労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2018」より

 政府の2018年の労働力調査https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdfによれば、非正規雇用は、男性の場合は4人に1人以下(22.2%)であるのに対し、女性は半数以上(56%)。さらに「非正規の仕事についた主な理由」http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/2019_1.pdfを見ていくと、男女ともに「自分の都合のよい時間帯に働きたいから」が1位ですが、女性の2位、3位は、「家計の補助・学費などを得たいから」、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」。家庭の事情で、非正規を選ぶ女性が多い状況が表れています。

 安倍首相は先のネット党首討論で、「男女間の収入の格差も、一番短く、小さくなってきている」とも発言されました。たしかに東京オリンピック開催年の1964年に女性の給与が男性の半分程度だったことを考えると、2017年は約7割。徐々に差は縮まってきています。(参照 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0406.html

 ただ世界的には誇れる成果ではなく、日本の男女賃金格差はOECD加盟国ワースト3(OECD加盟国は現在36カ国)。これはOECD東京センターが国際女性デーに寄せて、Twitterでも紹介していますhttps://twitter.com/OECDTokyo/status/1103769889519661064?s=20

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019072500006_12.png

 ほかにも医師、国会議員、裁判官に占める女性割合はOECD加盟国中ワースト1位。民間企業の管理職、上場企業役員における女性割合はワースト2位です。

 これが安倍首相の言う「すべての女性が輝く社会」につながっているでしょうか。現実が伴っていないように感じます。

 アメリカのヒラリー・クリントン氏が2011年、ゴールドマンサックスの調査をスピーチで紹介した記録も、内閣府経済社会総合研究所サイトに掲載されています。(こちら参照http://www.esri.go.jp/jp/workshop/forum/140305/data/140305_siryo04a.pdf

 「日本の女性労働力が男性並みに上昇すれば、GDPは16%上昇する」

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019072500006_7.png
経済における女性の活躍に関する共同セミナー「女性活躍推進の経済効果」(慶應義塾大学・経済産業研究所 樋口美雄)より

 女性が真に働きやすい環境を整えれば「経済成長につながる」という指摘です。

■法律婚できないことは、少子化に直結している

 「経済的成長」といえば、少子化と切り離すことのできない議題です。「子どもが増えれば将来の労働人口、消費者が増える」のですから当然、経済成長につながります。

 しかし今は出産以前に、結婚しようと思うカップルが結婚できない現状があります。

 初婚年齢は現在、30歳前後。男女ともに個人名で信用・実績・資産を積んできたにもかかわらず、いざ結婚するとなると必ず片方が「社会的に一度死に、以後別人として生きる」ことを強いられるのが今の日本。膨大な手続きに追われた結果、仕事の実績を継続できず、人によっては自己喪失感を抱きます。

 改姓を望まない人にとって、これは罰ゲームでしかありません。

 少子化により一人っ子が増えている昨今、カップルの双方とも生まれ持った氏名を変えたくなく、破談に至る。このことが非婚率の上昇を底上げする要因の一つであるといわれています(もちろん、仕事と家庭の両立が難しい日本型長時間労働、男女格差が改善されないことなども大きな要因です)。

 別れるまではいかなくとも、次なる選択肢は婚姻届を提出しない=法的保障のない「事実婚」です。政府は事実婚の実数を調べない形で国勢調査を行っていますが、総務省の2010年調査によれば「非親族の男女同居の者(20歳以上)」は61万人ほど。そのうち未婚は4分の3以上。直近5 年間で2割以上増加したとのことです。(こちら参照https://www.stat.go.jp/training/2kenkyu/pdf/zuhyou/doukyo3.pdf

 また国民生活白書http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9990748/www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/honpenzuhyo/honpen1.htmlによれば、女性の「事実婚を選んだ理由1位」は「夫婦別姓を通すため」。事実婚女性の実に89.3%がそう答えています。

 法律婚できないことは、日本の場合、少子化に直結します。なぜなら日本の子どもの出生数における婚外子割合はわずか2.3%。OECD加盟で2番目に少ない国だからです。(こちら参照https://www.oecd.org/els/family/SF_2_4_Share_births_outside_marriage.pdf

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019072500006_13.jpeg
OECDが調査した出生数における婚外子の割合。日本は婚外子の相続差別が数年前に撤廃されたばかり。未婚での出産には風当たりが強い。

 改姓の不利益を避けるため、結婚したいカップルが法律婚できないままでいると、少子化は今後も“スムーズに”進むことでしょう。

■「公私ともに1つの氏名で活躍できる」選択肢を

 結婚にあたり、名字を変えるか、変えないか。選べるようになったところで、だれに迷惑をかけるのでしょうか。

 シンプルに変えたい人だけ変え、「公私ともに1人1つの氏名で生きられる国」を実現すれば、困っているカップルが結婚でき、少子化解消の一助となり、経済成長に結びつくと私は思います。

 望まない改姓手続きで本人、経理担当、あらゆる顧客窓口が手間とコストを負う必要がなくなります。

 女性も男性と同じく、実績を積んだ自分の名前で、法人代表や役員として登記ができます。不動産や株、NISA、確定拠出年金なども難なく運用できます。

 もちろん論文や資格、表彰、商標、特許など、大事な実績を自分が自分のままで引き継げます。

 夫婦別姓は「子どもがかわいそうだ」「国が崩壊する」という反対論もありますが、名字のある国で夫婦別姓が選べない国は、日本以外にありません。どこかの国で別姓が理由の「子どもがかわいそう」な社会問題や国家崩壊現象でも起きていたら、教えていただきたいと思います。

 あるベテラン自民党議員は私に言いました。

 「伝統守って国滅びたらどうするんだと僕は思っている。選択的夫婦別姓は必要だ」

 安倍首相、潮時です。議論が始まって40年。どうか選択的夫婦別姓を認め、女性参政権に次ぐ「真の女性活躍」を進めた首相として、歴史に名を残してください。

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019072500006.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/730.html

[政治・選挙・NHK263] 剛腕・小沢さんのもうひとつの顔 「夫婦別姓。僕は賛成だ」と小沢一郎さんは言った (朝日新聞社 論座)
元参院議員・円より子が見た面白すぎる政治の世界G 
剛腕・小沢さんのもうひとつの顔 「夫婦別姓。僕は賛成だ」と小沢一郎さんは言った

円より子 元参議院議員、女性のための政治スクール校長
論座 2019年05月05日


https://image.chess443.net/S2010/upload/2019050300004_1.jpg
小沢一郎さんを囲む新進党の女性議員たち。小沢さんの真後ろが小池さん。右隣り円。右端は扇千景さん=1997年10月1日

■小沢一郎さんとの二つの強烈な思い出
 
 先月末、自らが代表をつとめた自由党を解党して国民民主党に合流するなど、今も政治の一線で活躍する小沢一郎さん。1994年末に旗揚げした新進党でご一緒するようになって以来の付き合いだが、彼には二つの強烈な思い出がある。

 ひとつは愛媛県・松山市での“カーチェイス”。もうひとつは夫婦別姓法案の国会提出に一役買ってくれたことだ。

 なかでも、私がこだわってきた夫婦別姓に小沢さんが理解を示したことは、剛腕といわれ、“マッチョな”政治家に見られがちな小沢さんのもうひとつの側面として、印象深く記憶している。

■小選挙区制での初の総選挙で東奔西走
 
 まずは、カーチェイスの話から始めよう。

 ときは1996年10月の総選挙。ある意味、小沢さんが中心となってつくりあげたともいえる新しい選挙制度、小選挙区比例代表並立制のもとでも初の衆院選にのぞんだ小沢さん(新進党結党から1年後の1995年末の党首選で新進党の第2代党首になっていた)は、新進党の候補を応援するため、文字どおり東奔西走、全国を駆け回っていた。

 そんなある日、私は小沢さんとともに、和歌山、徳島、高知、愛媛の4県を一日で回ることになった。まず東京から関西空港までJALで飛ぶ。ヘリコプターに乗りかえて和歌山県へ。2か所で応援演説をした。

■「二階が今やっていることは、僕が昔やったこと」

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新進党は江藤淳氏を呼び、箱根プリンスホテルで政策勉強会を開いた。その夜の懇親会で中西啓介さん(右から2人目)や藤井裕久さん(その左)と=1997年9月1日
 
 和歌山県では、地元の二階俊博さん(現自民党幹事長)が迎えにきていたが、「円さん、小沢さんと一緒に来てくれてありがとう」となぜかお礼を言われた。「女性議員は小沢さんを煙たがっているし、円さんと一緒だと小沢さんの女性人気も上がる」という理由らしかった。
 
 ホテルでの昼休みには、やはり和歌山県が地元の中西啓介さんも同席していた。彼は二階さんが座を仕切っているのを見て、露骨に嫌な顔をしていた。かつては小沢一郎さんの「第一の子分」と見られていた中西さんだが、当時は議員を辞職していて、この衆院選での復帰をねらっていた。自分の後輩と思っていた二階さんにお株を奪われて面白くなかったのかもしれない。

 あれから20年、小沢さんの“最側近”だった二階さんが、今や自民党の大幹事長である。小沢さんが私にしみじみ言ったことがある。「二階が今やっていることは、僕が昔やっていたことと同じだな」と。
 
■松山駅まで行く時間がない
 
 話を戻す。午後、ヘリコプターで和歌山県から徳島県に飛んだ。2か所で演説をしたあと、高知県に足を伸ばし、最後に四国山脈をこえて愛媛県の松山市をめざした。松山市では、かつて日本新党の同志だった中村時広さんが待っていた。

 快晴の秋晴れだった。高知から愛媛に向かうヘリコプターの床がパタパタ開き、隙間から地図でしか見たことのない四国山脈の山容が見える。素晴らしい眺めだった。「円さん、こわくない?大丈夫?」と小沢さんが気遣ってくれる。そして「規制緩和が進んでいないから、せっかくヘリコプターを使っても河川敷にしか昇降できない。これがビルの屋上とかOKになれば便利になるんだけどね」と規制緩和についてひとくさり。

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1996年衆院選前、日本記者クラブでおこなわれた党首討論。右から3人目が小沢一郎・新進党党首。その左が橋本龍太郎・自民党総裁=1996年10月7日

 選挙応援ではよくあることだが時間が押していた。そりゃそうだ。朝に羽田を発って、すでに和歌山で2か所、徳島で2か所、高知で1か所の応援演説をこなしている。松山市郊外の河川敷に着いた時点で1時間の遅れ。松山駅前に3000人の支持者が既に集まって小沢さんの到着を待っていると、迎えに来た同僚の参議院議員が青い顔で伝えた。
 
 ところが、河川敷から松山駅前までの道が渋滞しており、30分もかかるという。小沢さんが東京に帰る飛行機は決まっている。それに乗り遅れると、東京の夜の会合をキャンセルすることになる。

 小沢さんの秘書が「ムリです。このまま空港へ行きましょう」と言うと、「そうするか。円さんが代理で少し長く演説してくれ」と小沢さん。迎えの人たちは、ますます真っ青である。私は言った。

 「小沢さん、3000人の人が小沢さんを待っているんですよ。このまま帰ったとなれば、中村時広さんが面目をつぶすだけでなく、小沢さんも党も支持を失います。時間がなかったなんて誰も信じてくれません。松山はあなどられているんだと彼らは思います」

■「とばせ」と小沢さん。まるでカーチェイス
 
 小沢さんは決断した。「よし、行こう。とばせ」

 パトカーに先導され、小沢さんの車、私の車、迎えのスタッフの車が、前の車を追い越し、対向車をよけながら、走った走った。以前見た、スティーブ・マックイーンの映画のカーチェイスのシーンを思い出した。

 「円さん、こわくないですか。目をあけてられませんよ」と迎えの参議院議員。「ジェットコースターとか大好きだから」と私。「それにしても良かった。小沢さんが来る気になってくれて。小沢さんは女性に弱いんですかね」「女性だからじゃないわよ。こういうのは気迫の問題です」「そうですね。円さんの迫力はすごかったもの」

 松山駅前に到着すると、私と小沢さんは人波をかきわけ、しつらえられた壇上をめざした。

 「5分の挨拶なら、飛行機に間に合います。私が20秒前に背中をたたきますから」

 「わかった、円さんは?」

 「私は小沢さんを紹介するだけにします」

 壇上で待っていた中村時広さんが小沢さんと固く握手をする。マイクを渡された私は叫んだ。

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女性のための政治スクールで講義してくれた時の中村時広さん(愛媛県知事)=2013年1月19日
 
 「みなさん、長い時間、お待たせして申し訳ありません。間に合わないのを押して、中村時広さんのために小沢一郎党首がかけつけてくれました。中村さんはこの国のためにとても大切な人だからです。では小沢さん、お願いします」
 
 ウォーッという歓声とともに割れるような拍手が空にこだました。そして5分後、小沢さんと私は再びカーチェイスで空港へと向かったのである。

 中村時広さんは、1993年に日本新党で当選した35人の衆議院議員の一人であり、後に松山市長となり、現在は愛媛県知事となっている。
  
■夫婦別姓法案を初めて国会に出した新進党
 
 夫婦別姓の話に移ろう。

 夫婦別姓は、世論を二分する大きな問題である。1990年代、国会では二分どころか、反対の方が大勢を占めていた。そんななか、新進党は夫婦別姓法案を議員立法で国会に提出している。

 国会で審議されなかったので、その後に民主党が出した法案が第一号のように誤解している人も多いが、それは間違い。新進党、正確に言うと参議院の平成会が提出したものが最初なのだ。それには、小沢さんの「理解」が大きく寄与した。

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夫婦別姓に向けての集会で新進党を代表して発言する円。左隣は与謝野馨さん=1996年4月2日
 
 当時、私は法務委員会に所属する新進党の議員たちでつくる人権部会の部会長をしていた。内閣が出す法務委員会マターの法案、いわゆる「閣法」の賛否についても議論するし、「議員立法」を出す時も、まず部会の了承が必要だった。
 
 選択制夫婦別姓の特徴は賛否が極端だということだ。

 夫婦別姓になると家族が崩壊する。ひいてはこの日本国の大本が崩れる。子どもが別々の姓だと混乱する。反対意見の大半はそこに尽きた。不便だというなら、通称を使用すれば十分だというわけである。

 一方、賛成派は、女性の社会進出が増えている▼氏が変わることで仕事や業績上不利益が多い▼別姓だからといって崩壊するような家族ならもともと絆が弱い▼民法で婚姻によってどちらの姓を選んでもいいのに常に98%ほどが男性の姓を選ぶのは、いまだに家意識や男性優位の意識が社会に存在するからで、選択制別姓によって打破すべきである▼自分の姓を変えることは自己を喪失するのと同じで強制するのはおかしい▼選択制だから、同姓がいい人は同姓を選べばいい――などと主張した。

 人権部会では、賛成派、反対派の有識者や、やむを得ず別姓でのくらしを選んで事実婚をしている人らを呼び、勉強会や議員同士の議論を重ねた。数カ月後、2人を除く部会のメンバーは選択制夫婦別姓と嫡出子・非嫡出子差別撤廃の法案を出すことを決定した。

■半端ではない小沢さんの威力
 
 問題は反対の2人だった。議員歴の長い西村真吾さんと中井冶さん(後の法務大臣)で、部会のメンバーから「あの2人が猛反対すると、部会で多数決で決まっても総務会は通らないかもしれない」と危惧の声があがった。個別に交渉したが、2人とも国家が崩壊するから絶対反対という。総務会メンバーや党幹部も、一人一人議員室をまわって理解を得るようにした。小沢さんにも会いに行った。

 「夫婦別姓。いいんじゃないの。僕は賛成だよ。女性の社会進出がこれだけ増えているのだから、当然だと思うよ。議員立法を出すのを反対するのがいるの?誰?僕が言ってやってもいいよ」

 非嫡出子(いわゆる婚外子)差別についても、小沢さんは「子どもは親を選べないんだから、親の都合で法律に差別があるのは良くない。撤廃すべきだと思うよ」と、これも賛成してくれた。

 次の人権部会で、反対していた2人は「個人的には今も反対だが、党が議員立法を出すのまでは反対しない」と軟化した。小沢さんの威力は半端じゃない。
 
■総務会は通ったが、扇千景さんが反対し……
 
 次のヤマ場は総務会。総務会で決定してくれないと議員立法は出せない。審議する日程が決まり、説明に参上したが、残り3分になっても夫婦別姓は議題にものぼらない。総務会長の神崎武法さんが言った。

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新進党の神崎武法総務会長=1997年1月23日
 
 「円さん、せっかく1時間待ってもらって悪いけど、次回にしてくれませんか」と。次回は2週間後である。国会開会中に出して審議する時間がない。今日、決めてもらいたい。私は立ち上がった。
 
 「総務会長。何か月も賛成・反対の両論を聞いて人権部会で議論してきました。多くの女性がこの法案を待っています。いつ解散総選挙があってもおかしくない今、新進党は女性を敵にまわしていいんでしょうか。今、ここでお決めくださいませんか」

 神崎さんはぐるりと左右の議員たちを見渡した。

 「円さんがこう言ってますが、みなさん、どうしますかね」

 「人権部会の議員立法に賛成」

 「円さんの意見に賛成」

 あちこちから声があがる。

 「それでは、人権部会提案の選択制夫婦別姓法案の提出の決をとります。賛成者は挙手願います」

 全員の手があがった。

 ホッとしたのもつかの間、次なる障害が待ち受けていた。法案を新進党の参議院の会派である平成会で出そうというとき、再び待ったがかかったのだ。

 反対したのは、平成会の会長である扇千景さんだった。「円より子」や「扇千景」といった通称で国会活動ができないのを理不尽だと思わないかという私の働きかけで、ともに参議院を動かし、通称使用を認めさせた仲間だ。ちなみに、扇さんの本名は林寛子。私は山ア順子である。

 彼女の反対は強く、通称使用で十分に女性の活躍は推進できるという。党の総務会の決定は最終決定ではないのかと主張する私に困った白浜一良政調会長らが、一案を講じた。無所属の議員を1〜2人入れて、平成会だけの議員立法ではなく、超党派有志の議員立法にするということで扇参院会長を説得してくれたのだ。

■いまだに法制化されない夫婦別姓
 
 こうして提案にこぎつけた法案だったが、結局、自民党の反対で法務委員会には付託されず、審議未了で廃案になった。どの法案も委員会に付託されないと審議がされないのだが、付託するかどうかを決めるのは議院運営委員会で、ここも与党の委員が多数だから、彼らに都合の悪い法案は付託が拒否される。

 与党の思惑がどうであろうと、野党が少数であろうと、誰か一人でも本気で、ある法案をその委員会に付託しようと思えばできないことはないはずだが、残念ながらそれらを決める議院運営委員会も、またそれを構成する委員も理事も圧倒的に男性に占められ、女性はゼロか一人ということが多い。女性や子ども関係の法案は、どうしても後回しになる。女性が力をつけて、議運の理事会の半分を占めたいとつくづく思う。

 夫婦別姓や非嫡出子の相続差別に関しては、その後も民主党から何度か議員立法が出されているが、夫婦別姓は20年たった今も法制化されていない。非嫡出子の相続差別の方は2013年にようやく廃止された。
 
■自民党のドン村上正邦さんを訪ねて
 
 選択制夫婦別姓の強力な反対者は自民党参議院幹事長の村上正邦さんだった。私は最も強硬な人物を説得するのが改正の近道だと思い、アポなしで幹事長室を訪ねた。ノックをして重いドアを開き、「こんにちは」と部屋に入った。事務室にいた男性職員が「円先生、何かご用でしょうか」と立ち上がった。

 「あの、村上先生はいらっしゃいますか」

 「幹事長とお約束ですか」

 「いいえ、約束はありません」

 「予定がびっしり入ってますので、お約束がないとちょっと」

 ここでめげては話にならない。平気な顔で、
「そうでしょうね、お忙しいのは重々承知しています。ほんのちょっとでいいので、待たせていただいてよろしいでしょうか」

 「では、中でお待ちください」

 左側の部屋に入っていくと、陳情客が20数人待っている。その奥には5〜6人副幹事長が坐って新聞を読んでいたが、全員起立して私を坐らせてくれた。

 自民党の幹事長室って、幹事長にたどり着くまで関門が多いんだなと感心していると、奥の部屋から村上さんが来客を送る形で出てきた。「やっぱり円さんか。あなたの声はよく通るからすぐわかるよ。どうしたの」と笑顔で言う。

 「先生にお願いがあって」

 「じゃあ、こっちに入んなさい」

 「お客様が多いようなので、終わってからでいいです」

 「いいよ、入って。さて、何かな。円さんのお願いなんてこわいね」

 私は民法改正のシンポジウムを開くので、村上さんに反対派として来てほしいと依頼した。村上さんが夫婦別姓に反対のことは知っている。それも反対派の雄だ。だからこそ、村上さんの意見を聞いて、夫婦別姓の何が問題で、この法案が成立しないのかを考えたいと言った。村上さんは笑い出した。

 「困ったねえ。私が一議員であれば引き受けるんだが、幹事長だからね。自民党には賛成の人もいるから、幹事長が大反対をぶつと、それが自民党ということになってしまうから党も困る。せっかくの円さんのお願いだけど、むずかしいなあ」と上手に断られてしまった。

■「あっぱれ!」の対象は男?
 
 村上さんはその後、参院会長にもなり、強すぎる参議院のドンとして力をふるっていた。1999年、盗聴法の強行採決をした荒木清寛法務委員長の解任決議で、史上初めて私が本会議場で3時間の大演説をしたときは、「敵ながらあっぱれ!」という言葉を送ってくれた人だ。「あっぱれな敵をぜひ、一度お食事に招きたい」とも言われたのだが、お気持ちだけお受けしますと私は丁重に断った。

 余談だが、あっぱれの後に、「女にしておくのは惜しい」とも言われた。褒めてくださっているのはわかるが、さすが、男社会。あっぱれの対象は「ふつうは」男と決まっているのかもしれません。(続く)

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春の園遊会で。左から2人目が村上正邦さん、右隣が扇千景さん、一人おいて円より子=1997年5月14日
  
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019050300004.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/731.html

[政治・選挙・NHK263] 非民主主義的な日本の放送行政(上) − 政府直轄の中国、北朝鮮、ロシアなどと並ぶ −(ちきゅう座)
2019年 7月 29日
<隅井孝雄(すみいたかお):ジャーナリスト>

■放送独立行政委員会を市民連合と野党が要求

 5月29日、国会内で市民連合の山口二郎氏、広渡清吾氏らが、立憲野党会派(立憲民主、国民民主、共産、社会民主、社会保障を立て直す国民会議)の党首、代表らと会談、市民連合が提起した13項目の政策要望に調印、野党勝利とその政策実現に向けてともに闘うことを誓い、調印した。

 合意を受けて、市民連合の広渡氏は「市民と野党をつないで、安倍政権以外の新しい選択肢を作りたい」と語った。7月の参院選に向けた動きだった。

 合意した政策は改憲発議阻止、安保法制と共謀罪の廃止、防衛予算の精査・削減、辺野古基地建設の中止、再生エネルギー政策の確立、脱原発、消費税引き上げの中止、森友、加計解明など13項目にのぼる。

 その第13項目に次の一文があることに私は大いに注目した。

 13. 国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること。

■政府直轄は中国、北朝鮮、ロシア、ベトナム、ラオス

 ジャーナリズムとしての放送は公共性にかんがみて、政府が直接管理、運営しない、国から独立した行政委員会の手に委ねる、というのが世界の常識だ。

 アメリカ・FCC(連邦通信委員会)、英国・Ofcom(放送通信庁)、フランス・CAS(聴視覚高等評議会)、フィリピン・NTC(電気通信委員会)、台湾・NCC(電気通信委員会)、韓国・KCC(放送委員会)などだ。イスラム国家であるイランも、放送の管理監督は立法、行政、司法の3分野の代表6名が放送評議会を構成している。

 わたしの知る限り、国が直営しているのは中国・国家新聞出版ラジオテレビ映画総局、北朝鮮・国家ラジオテレビ委員会、ロシア・通信マスコミ省、ベトナム・文化情報省、ラオス、情報文化省。ベトナムは社会主義国、ラオスは人民革命党による一党独裁。これら5か国と日本は肩を並べている。

■1960年代中頃から続く政府の介入、干渉

 1960年代半ばから70年代にかけて、日本のラジオ、テレビ放送は興隆期に入った。しかしそれとともに政府の干渉、介入が強まり、社会的テーマに挑んだドラマや、ベトナム戦争批判報道などが次々と中止となった。こうした状況のもと、政府の直接管理から欧米並みの第三者委員会にゆだねるべきではないかという「放送改革試案」が民放労連によって提案されたが、残念ながら実現されることはなかった。

 実は戦後しばらくの間、日本にも「放送委員会」が存在していたことがある。委員は荒畑寒村(作家)、島上善五郎(労働運動家)、加藤シズエ(活動家)、宮本百合子(作家)、土方与志(演出家)、聴涛克己(ジャーナリスト)、矢内原忠雄(経済学者)ら17人の委員が戦後の新生NHKの会長に高野岩三郎(政治学者)を選んだ。しかし後継の電波監理委員会が民放の設立を認めた直後の1957年、郵政省の一部に組み込まれるに至った。以降62年にわたって国が放送を掌握する事態は続いている。
 
■政府によるNHK掌握

 「知る権利 NHKの重要人事に政府の意向が反映している」。今年5月、外郭団体の社長になっていた板野裕爾氏が再びNHK専務理事に返り咲きしたことに、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞などの主要紙がNHKの独立性が侵されているという記事を書いた。

 安保法制の強行採決に批判が集中した2016年、国会で当時の高市早苗総務相が「公共の電波で一方的な番組が繰り返し流された場合、罰則を科すのは当然だ。免許停止もありうる」と述べメディアを牽制した。新聞と放送は日本の場合一体に近い経営状態にあるため、放送免許停止は新聞経営にも打撃を与える。

 同じ頃、古館伊知郎(テレ朝)、岸井成格(TBS)、国谷裕子(NHK)の3人の人気キャスターが一斉に姿を消したことも、安倍政権の介入であるとされている。

 安部首相は就任以来メディア対策を主要な政策と位置付けた。2014の特定機密保護法は新聞記者も対象にしている。主要メディア幹部との会食を繰り返し、個別記者、出演者の排除が繰り返された。

 (本稿の紹介)
 本稿はメディア総研設立25周年記念シンポジューム(7月6日、京都)での、筆者の基調講演「市民とメディアの三角関係を診断する」に加筆した。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8853:190729〕

http://chikyuza.net/archives/95686
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/752.html

[政治・選挙・NHK263] 友へ  参院選の簡単な総括(ちきゅう座)
2019年7月28日
<小島四郎:ちきゅう座会員>

 神奈川選挙区で私が投票したあさか由香さんは、また次点でした。しかも4位当選の松沢とは15万票という大差がつきまきした。牧山さんとのアベック当選を狙ったのですが残念です。一説によると最後の最後に自民から20万票が松沢に回したそうです。でも実感としては前神奈川県知事のネームバリーは捨てたものではなく、反自民の若者が松沢に入れたとの話も届いています。

 国民民主の乃木は12.6万票を獲得しました。彼の票をマルッポあさかが頂いても届きません。乃木は民主党時代に神奈川に落下傘候補として来た経緯もあり、党は変わっても支持母体に変更がなく連合としては牧山以上に力を注いできました。従って脇筋の噂を外して本線から言うと、乃木の票がどうのこうのではなく、あさか本人の力量不足として主体的に総括すべきです。同時に、牧山も選挙冒頭でいきなり「トップ当選」という言葉を使い、陣営がタガ羽目に苦労し、結局自民の島村の楽勝を許した。浮かれず丁寧に選挙戦を闘えば本人への投票も増え、あさかへの気配りも出来たかもしれません。

 私は比例区では沖縄平和運動を長く担ってこられた社民党の仲村みおさんに投票した。これは、例え土井−村山の社会党解体に腹を起てていても今次選挙で護憲政党が一つでも国会から消えていくのを回避すべきだとの判断と、沖縄連帯を本土の人間ではあるが直接に関わりたいとの思いから、仲村さんに投票した。結果は、1議席を取り政党要件を満たしたけれども、割り振りから吉田になってしまった。

 選挙最中は、山本太郎の「れいわ新選組」の動きが凄いと言う話が何回も耳にしました。私は、党名に山本の志が現われると批判し「れいわ新選組」との関りを撥ねつけました。党名に新元号と反革命テロリスト集団「新選組」の名前を使う政党に、消費税廃止や最低賃金1500円という私がやっている公共一般と同じ要求を掲げていても支持が出来ません。一般に、「れいわ新選組」を“左翼ポピュリズム”と規定し、既成政党批判の受け皿になったと囃していますが、私にはそう思えません。ナチスが「国民社会主義ドイツ労働者」と名乗って政治舞台に登場したことを思い出させます。今世界中で排外と愛国主義のポピュリズム政党が跳梁跋扈しています。天皇制という民族主義と排外主義、身分差別の元凶にして国家国民統合支配の核心、かつ戦後憲法での象徴に隠れてアジア植民地支配の責任を取らない祭主王に対して批判的な見地を持たないで、労働者連帯や沖縄の民意を語る姿は、昔の北一輝ら右派国家主義者や白井聡らの新勤皇攘夷派に近いと断じざるを得ません。落選した山本は来る衆院選に出馬するでしょう。その時、正体がハッキリすると思います。

 さて今次選挙は、結果から考えると不思議な選挙でした。完敗した政党がないのです。各党派、それぞれ面子が立つような結果でした。(幸福の党や労働党やオリーブの木は論外です。)
驚いた事に、自民は改選前の議席を10減らしてもNHKは自民の「勝利」というテロップを流していたし、安倍も「安定か混迷か」の選択で過半数を越えられたと奇妙な居直りをしていたことです。さすがに朝日や毎日、東京は「改憲勢力三分の二は届かず」との見出しをたてていました。これは左翼的偏向新聞だからではなく、安倍の言質からして常識的な判断なのです。

 思いだしてください。安倍は選挙前から憲法問題を正面から問う選挙だと豪語していたことを。本人もNHKもこの事をすっかり忘れています。挙句に、言うに事欠いてこれからは自民党案もゼロベースにしてとにかく憲法について話し合いましょうという維新や国民民主などにさざ波を送り改憲論議への引きずり込みを計っています。

 その中で唯一勝利したと評価されているのが、先ほど述べた「れいわ新選組」=山本太郎です。勝利と言うなら山本まで当選してこそ言えるのではないのか、つい呟くのは、「れいわ」嫌いの心のネジレ故でしょうか。N国党も議席を1つとったが、シングルイシューの党なので安保・年金・消費税などの政策で如何なる態度をとるのかは全く未知数です。これは私の独断ですが、両党とも政治の大波小波に翻弄されて沈んでいくのだろうと思っています。だからこそ、私には「れいわ新選組」の大成果である当選した二人の障がい者の政治的行く末も気になります。二人の政治的思いを出来る限り協力してその実現を助けていきたい。

 今次選挙の急所は何処か。「れいわ新選組」の躍進ではありません。全く違います。改憲勢力の三分の二を阻止した、ことか。これは大きいことです。政権側が三分の二を獲得していたら、安倍は一気呵成に改憲へと走ったでしょう。それが各党派の足並み・お手並みを拝見する舞台づくりへと変わったのです。策士揃いの安倍政権にとって、これは総選挙の時期を探る手だてにすぎません。改憲論議は後退したと、油断してはなりません。今次選挙結果で絶対に核心を握りしめ深めていかねばならない事があるのです。

 それは野党共闘が一人区で10議席を勝ち取った事です。6年前と同じ数の当選者を出した。候補者調整や選対体制づくりが大幅に遅れ選挙当日までバタバタしていた状況にあってよくぞ10人の当選を果たしたという意味ではありません。これで衆院選に弾みがついたといった俗論を主張したいのでもありません。

 私が言いたいのは10という数字ではなく、勝った場所・県を指摘したいのです。10勝は、現代日本の矛盾の縮図、安倍政権と現地で生活している人々=人民が激しくぶつかり合っている象徴的な選挙区で自公との死闘を経て勝利したのです。特に、東北の岩手・宮城・秋田・山形で、そして北陸の新潟で、沖縄で勝利したことだ。

 秋田や新潟では、アショア配備説明会での自衛隊の不遜な態度と自民党候補者の塚田の「忖度」発言などの敵失もあったが、底流というか選挙で本質的に問われていたのは、TPP11やEFTや日米通商交渉によって日本の農業・酪農は壊滅的打撃を受け戦略的見直しが問われていたことです。農・酪・水産業の自給率を高めない限り、人々の食は安全面でも供給面でも安定的な確保が出来ない。安倍政権や、その第五列・同様なグローバルの大企業や金融に依拠した政権には食料政策の戦略的転換は出来ません。第一次産業を外国に売り渡し、自動車・半導体を売り込むという戦後型貿易スタイルは古いのです。今後は、生産力主義や生産性至上主義や功利主義や合理主義といった従来の文明原理を転換し、同時に遺伝子組み換え商品や環境破壊から人々の命と環境を守っていくという新たな文明観に立脚した農業や牧畜や水産業を育む政権が問われているのです。

 また沖縄でも、日米安保体制と日米地位協定を根本から見直す政権の誕生が問われています。
二度の知事選、住民投票、衆院補選の結果を尊重せず、口先だけ「沖縄に寄り添う」と言って、住民の意思をブルドーザーで辺野古の海へ沈めようとしている安倍政権。辺野古の工事を進め既成事実を積み上げ沖縄の人々の心を折ろうとする態度は、沖縄独立を唱える声を次第に大きくさせているし、玉城デニー知事さえも一国二制度(沖縄の自治権承認)を唱えざるを得ない段階へと人々の沸点は高まっている。そんな状況の中で、安保体制を見直す絶好の機会が米国から飛び込んできた。米大統領トランプは「日米安保は米国を守らない」「不公平な条約だ」と述べ解消にまで触れた。米国は、こうした恫喝とも言えるブラフを駆使してまでも、イラン攻撃のための有志連合国への軍事参加を安倍政権に強く促すことが予想される。
米国がこうした無理篇を強要して来る時に、敢然と拒否できる政権が必要とされているのである。この国には憲法9条があり、イラン攻撃の為の有志連合には到底参加できない。三の次アフガンやイラクやシリアを例に挙げ、戦争では解決出来ないこと。国連での平和努力を重ね、イラン核合意の席に戻ることを諭す理性と決意とが政権に問われている。
同時に、日米地位協定によって米軍への統治(主権)を放棄している今の状況では沖縄の人々の暮らしも命も守れないとして、改定交渉を米国としていく政権が必要なのである。もうそうした政治的時期が来ていると言える。

 しかし、「れいわ新選組」は勿論、大政党の立憲にも、否、どんな野党にもこんな根性と政治的信念がない。可能性は唯一、共産党だけである。だが現共産党指導部は口が達者ではあるが気骨と豪放さがあるか。どれだけこうした任に堪えられるのか。耐えられず瓦解していくのが関の山であろう。じゃどうするのか。当面野党5派は総選挙前の連立政権作りを進めるが、10勝の戦略的意味を無視して消費増税をどうするのか、年金のマクロスライド方式を止めるのか、日米貿易交渉をどうするのか、待機児童をどうするのか、等々に時間を費やし、戦略的討議は二の次三の次へとはじかれていく。これでは、10勝を勝ち取った人びとに対して根本的解決策を提示し闘いの方向を指し示していく政党としての義務を放棄することになる。次もまた勝利するという保障は何処にもないのである。急所を握って総括を深めそれを人々に還し練り上げてもらう関係の連続性をつくりあげよ。

 今次参院選は大きな政治転換と新たな主体を形成する機会を政党政派が得たのは間違えのないことだ。立憲や国民や共産党がうかうかして政治能力を発揮できない時は、天皇主義右翼ファシストの出番であり、ひょっとしたらスペインのポデモスのような左翼ポピュリズム勢力の登場ということもあるうるだろう。同時に、新左翼にとっても歴史的遺物になるのか、活きた左翼として存続できるかの分水嶺でもあろう。

                 190723

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/ 
〔opinion8851:190728〕

http://chikyuza.net/archives/95675
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/753.html

[政治・選挙・NHK263] 「れいわ」だけがやった「ワクワクした参院選」(澤藤統一郎の憲法日記)

梅雨明け宣言とともに、東京は猛暑である。猛暑の中で、参院選のしこりが、まだ拭えない。共産党の後退と、これに代わる「れいわ」の健闘も、しこりのひとつ。

昨日(7月28日)の毎日新聞朝刊「みんなの広場」(投書欄)に、長崎県大村市の主婦が「初めてワクワクした参院選」という投稿。大要、以下のとおり。

「参院選、私にとっては、これほどワクワクする選挙は初めてだった」「自分の貴重な1票を誰に投じようかと、そのための選挙情報をいつになく積極的に集めた」「テレビや新聞だけでなく、ネットからの情報も得ることにした」「さまざまな情報が入り乱れるネットの世界で、情報をたどっていくうちに、幸運にも自分自身が心から応援したいと思う政党、立候補者に出会うことができた」「街頭演説をネットで視聴しながら、どうしても応援を形にしたいという気持ちが募り、政党へ寄付をしたのも初めてだった」「投開票日をドキドキしながら迎えたのも初めて。そして選挙結果を知り、私は自分の1票を誇りに思えた。そうしたことも初めてだった。」

 「ワクワクした選挙」、「ドキドキしながらの開票」、そして「自分の1票への誇り」。なるほど、本来選挙とはこうあるべきはずのものなのだ。振り返って現状はどうか。私自身、「ワクワクした選挙」はここしばらく経験したことがない。

なにしろ、国政を私物化し、ウソとごまかしを専らにする連中が、「国政6連勝」などと誇示している現状である。業界団体やら、宗教団体やら、右翼集団やらに推された勢力が、低投票率の中で勝つという構図が定着している。「ワクワク」も「ドキドキ」もない。

が、この投書者は、間違いなく「れいわ新選組」に共感したのだ。ここにだけ、「ワクワク」と「ドキドキ」があった。薄汚く、危険で、およそロマンに欠けた安倍一強に対峙して、政治を変えていこうというロマンに選挙民を引きつけることに成功したのだ。

私は、「令和」を政党名につけるセンスには大きな違和感を禁じえない。「新選組」という権力側のテロ集団名も、真面目なネーミングとは受けとめられない。それでも、彼らの経済政策に、とりわけ税制改革案に、有権者を惹きつけるものがあったことを認めざるを得ない。ネットでみるその集会の熱気は凄まじかった。

前回は共産党に投票していたと思われる何人かが、「今回は、山本太郎に期日前投票した」と呟いたのを聞いた。山本太郎が、老舗の政党を蚕食したのだ。はるかに精緻な理論と強固な組織を持つ政党を、である。

政治団体「れいわ新選組」は、4月の旗揚げから選挙戦終了まで、4億円を超える寄付を集めたという。大金持ちからのまとまった裏金ではない。たとえば、DHCの吉田嘉明が渡辺喜美に提供した裏金は8億円だった。汚いカネは結局は、汚い政治を支えるだけ。

貧者の一灯の集積が、国民のための政治に活かされる。山本太郎は、集まった寄付を「(支持者が)おかずを1品減らしたり、外食をやめたりして、無理をして積み上げてくれた」と語ったという。

その台風の目となった「れいわ」。既成保守には脅威であろうし、既成革新には強力なライバルとなる。比例での228万票・2議席の獲得は大健闘というほかない。老舗政党の代表格である共産党が448万票(前回参院選比150万票減)・4議席なのだから、共産党獲得票の半分強となっている。しかも、新聞・テレビの大手メディアの選挙報道からまったく無視されたハンディの中でのこの票数である。

これを、一方に「無党派層を掘り起こした」との積極評価もあれば、「結局は革新票を削っただけ」との見方もある。

今のところ、立憲民主党は「私たちの手が届いていない無党派層を掘り起こしている。一緒に闘えばウイングが広がる」、共産党は「演説会をお祭りのような雰囲気にして盛り上げる手法は学ぶべきだ。共闘できれば力強い援軍だ」と述べているという。既に、反自民野党共闘の一翼を担うべき勢力になっており、他の野党は共闘対象とせざるを得ない。

当面は、「消費増税反対」ではなく、「5%への減税」を共闘の条件にしよういう「れいわ」の姿勢を巡り、野党内に波紋が広がっているようだ。今後を注目せざるを得ない。

「れいわ」の訴えは、この社会の、とりわけ安倍政権が作り出した格差社会の弱者の心情の琴線に触れるところがあった。身障者、難病患者、非正規、失職者に、「消費税は廃止」「税金はすべて直接税に」「累進課税にして、あるところからとれ」「貧乏人からは取るな」と言ったのだ。

この点に限れば、実は共産党もほぼ同じことを言っている。ただ、共産党はあちこちに配慮しつつ品よくものを言い、「れいわ」は乱暴なまでにストレートに語った。今回の選挙、「れいわ」の方が有権者に訴える力で勝っていたということになる。「れいわ旋風」しばらく目が離せない。
(2019年7月29日)

http://article9.jp/wordpress/?p=13041
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/779.html

[政治・選挙・NHK263] 「れいわ新選組」に対する一抹の違和感(ちきゅう座)
2019年 7月 30日
<熊王信之:ちきゅう座会員>

この度の参議院選挙戦が始まる前後からですが、正直に申しまして、山本太郎氏を始め彼等「れいわ新選組」との呼称に不快な語感がするのです。

まず何故元号なのか、と不審な思いがしたのが事実です。 山本氏は、革新では無かったのか、と疑問に思われました。 わざわざ党名に年号を使われるのですから、何か曰く因縁・故事来歴がある筈と。

この時代に年号ですから、皇室を慕われているのであろう、と思われたのです。 でも続いては、「新選組」との呼称をも使われています。 反幕府の薩長を問わず「不逞の輩」のクーデターを防ぐために京都所司代を応援する企図で組織された侍の身分を必須としない武装団の呼称を使用されるのですが、その意図が不明なのです。

山本氏に関わっては、数年前に当時の天皇に対して、園遊会の場で手紙を手渡された一件があり、その当時の私の筆名「とら猫イーチ」の名で一文をちきゅう座に投稿したことがありました。 

山本太郎参議院議員は、不敬罪を犯したのか 2013年 11月 8日 <とら猫イーチ>
ちきゅう座
http://chikyuza.net/archives/42076

当時は、山本氏が嘗て存在した「不敬罪」にでも値するかの如き非難を受けておられた処から、その非難は中らず、象徴天皇制の時代にあっては寧ろ望ましいことでもあるのではないか、と擁護したことがあったのでした。 ただ、園遊会の場では他の出席者の手前もあり控えるのが礼儀でもあろう、とも思われたのでその旨も書き添えたものでした。

付け加えるとしましたならば、今般の党名からと併せて伺えることですが、山本氏は、現憲法における象徴天皇制を理解されていないのではないか、そして氏は、嘗ての主権者たる天皇制と現憲法下の象徴天皇制を峻別し、現憲法を厳守される立場ではないのではないか、との疑いを禁じ得ないのです。

即ち、現憲法では、第四条の第一項に「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」とあるからです。 「国政に関する権能を有しない」と一切の疑義を許さずに断じているのです。 憲法に言う天皇とは、ただ国の象徴に過ぎない訳です。 そうした存在に対して、当時の山本氏は、何故、手紙を出されたのか。 今一度、詳しく尋ねたいものです。 仮に、当時の天皇に対して「国政」に関する何等かの対応を求められたのであれば、私が山本氏に期待することは何もありません。

次には、選挙前から気になったので政策等も調べたのですが、MMTに肩入れをされているようであり、その点では、米国の民主党一部左派と目される方々の主張と同様のようでした。 

しかしながら、国家財政に関わっては、我が国の現実を前にして既に19年前に前途を明らかにされた方々がおられる事実を示さなければならない、と思われます。

その事実とは、「財政赤字という病を患う日本財政に対して、われわれが確信をもって下す診断は明解である。 返済不可能。
          ―中略―
財政が財政としての本来の役割を果たしながら、短兵急に債務も返済しない。 本書ではこうした『第三の道』こそ、『返済不可能』という真実を前に、最も現実的で最も未来を輝かせる選択肢なのだということを主張していきたいと考えている。」とされる神野直彦・金子勝両氏著に依る「財政崩壊を食い止める 債務管理型国家の構想」(岩波書店)です。 

日本の巨大な財政赤字は、バブル崩壊後に財政出動を繰り返す失政を温床に山積されて来ましたので、税財政の専門家のみならず、また、内外を問わず各専門領域からの提言等が大量に存在しますので、政党政派・立場を違えても政策等立案時の参考資料も山積しています。 ただ、その真偽を峻別するのには時間を要するのです。 輸入即実践とは如何にも安直と言わねばならないでしょう。

因みに、同著においては、消費増税に関わって以下のように喝破されています。 即ち「財政再建の道はすべて消費増税への道であるという幻想が広まっている。 財政再建には消費増税以外にありえない。 それが規定路線のように吹聴されている。 しかし、『租税国家』を再生しようとする債務管理型国家の構想では、消費増税を、『租税国家』の再生も財政再建も実現できない幻想だと拒否する。」と。

以下に、「公正な税制を求める市民連絡会」に依る税制と社会保障に関する公開質問事項 及び 回答書が公開されていますので、れいわ新選組を含む各政党の認識と政策の比較対照が可能です。 政党の中には、回答自体を拒否されている処もありますが、正体暴露と言わねばなりません。

税制と社会保障に関する公開質問事項 及び 回答書 公正な税制を求める市民連絡会
2019年7月4日
http://tax-justice.com/?p=929

最後に、私は、「れいわ新選組」との政党名を拒否します。 山本氏と志を一つにされる方々には、「維新」等という政党名と同等のように時代錯誤と思えるからです。 他の民主主義に相応しい政党名に改名されることを期待したいと思います。 加えて、日本の国家財政の現状を踏まえて歴史の真実に学び、日本の民衆のための税財政体系の再編を目指されることを希望します。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion8858:190730〕

http://chikyuza.net/archives/95743
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/780.html

[政治・選挙・NHK263] 悲劇的な日本の放送行政(下) − 「知る権利擁護」市民運動、新たな展開 −(ちきゅう座)
2019年 7月 30日
<隅井孝雄(すみいたかお):ジャーナリスト>

 ■EUの報道憲章と国連人権委員会
 欧米の自由主義諸国ではありえない日本政府のメディア政策である。2009年に制定されたEUの「報道の自由憲章」は10項目にわたる。そのうち最も重要な最初の3項を紹介しよう。
 1. 報道の自由は民主主義社会に欠かせない。報道の自由、政治的、社会的、
文化的多様性を守ることは政府の責務である。
 2. 検閲は認められない。すべてのメディアの独立性は守られる。メディア、ジャ
   ーナリストを一切刑罰、抑圧の対象にしてはならない。国家はメディアの独立
   性を妨げる立法を制定してはいけない。
 3. ジャーナリストとメディアの、自由に集まり、情報や意見を広げる権利を侵し
   てはならないし、処罰の対象にしてはならない。
 (この後ジャーナリストの権利保障などについての7項目が続く。)
 EU加盟諸国はこの10項目の憲章に違反した場合、制裁が科せられるということだった。

 ■国連人権委も新たな勧告検討
 国連人権委員会では2017年に特別報告者デービッド・ケイ氏を日本に派遣、日本で政府に言論の自由への侵害があるとして改善勧告を行った。特定機密保護法がジャーナリストを対象にする条項があること、放送法4条(公正報道)を理由としてテレ朝やNHKなどの特定番組に対して行政指導による改善を指示したことを問題としている。しかし改善が見られないとして、今年6月初旬から、メディアの独立性を尊重するよう新たな勧告の検討に入っている。

 ■メディアに対する市民運動、新展開
 3月14日マスコミ文化情報労組会議(MIC)が官邸前で異例の抗議行動を行い、「記者の質問制限をするな」、「知る権利を守れ」と訴えた。官邸では菅義偉(よしひで)官房長官と東京新聞望月衣塑子(いそこ)記者の攻防が続いている。集会には朝日新聞南彰記者(政治部)、中国新聞石川昌義記者(加計学園取材)ら現役記者が多数参加した。また望月記者自身も集会に参加、官邸記者クラブの運営が「知る権利」に応えていないと批判の声をあげた。現役記者らが望月記者支援のため官邸前で声を上げるという行動は、史上初だ。また4月5日には「知る権利を守れ」をスローガンに、MICは銀座をデモ行進した。

 ■NHKは政府からの独立を、批判相次ぐ
 今年3月22日の放送記念日、NHKのニュース報道について、19団体、有識者・ジャーナリスト46人、NHK退職者47人が、NHKに対して政府から独立したニュース報道を申し入れた、また6月26日は主要人事が政権の手で左右されているとして、20団体400人が、新任の板野裕爾専務理事を解任すべきだと申し入れをおこなった。板野氏は籾井勝人会長の下で辣腕を振るった人物で、籾井会長退任の際NHKエンタープライズの社長に転出した。クローズアップ現代の国谷裕子キャスターの首を切った人物としても知られる。
 いずれも、メディアに対する権力の介入干渉に対する市民の怒りの行動の高まりを示している。アメリカ、イギリスをはじめヨーロッパ諸国では、強力な市民運動がメディア、報道の自由、市民の知る権利を支えている。日本でもそれに肩を並べる報道の自由擁護の運動の高まりが見て取れる。心強い限りだ。

 ■ネットメディアと既存メディア、共存の動き
 問題は既存メディアだけではない。フェイクメディアの舞台となるインターネットの情報に真実、事実を取り戻すことが大切だ。
 ネットとメディアの融合が進んだ。新聞や放送各社もネット上でデジタル情報を拡大している。ネット情報専門のYahooニュース、スマートニュース、ライブドアユース、Niftyニュース、ニコニコニュース、MSNニュース、ハッフィントンニュースなどが既存メディアと並列している。5月にインターネットメディア協会(JIMA)が誕生した。ネット経由でニュース送出を活発に行っている朝日デジタル、毎日デジタルなど、既存大手メディアもこの組織に加入した。フェイクニュースに対抗し、記事や情報の質、信頼性、透明性を高めようとする動きは急速に拡大している。
 最近では既存メディア大手にネット上の情報を即時に流すJX通信社、Spctee社もなども活発化し、次第に垣根が取り払われつつある。
 インターネット、既存メディアが媒体の壁を越えて、一体化を進める新しい時代に入った。

 権力からのジャーナリズムの独立を主張する市民運動と、ジャーナリスの諸組織、諸団体が強い連携で結ばれる必要が生まれてきているように思う。
 NHKに改革を迫るとともに「知る権利と報道の自由擁護」の、強力な市民運動が21世紀に入って広がり、力を持つようになったが、その動きを放送全体、ジャーナリズム全体に広げる必要が痛感される。

http://chikyuza.net/wp-content/uploads/2019/07/20190723120103daa.jpg
マスコミ文化情報労組会議(MIC)は3月14日、首相官邸前で異例の抗議行動を行い、「記者の質問制限をするな」「知る権利を守れ」と訴えた。

初出:「リベラル21」より許可を得て転載http://lib21.blog96.fc2.com/

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8856:190730〕

http://chikyuza.net/archives/95722
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/781.html

[政治・選挙・NHK263] 韓国は「敵」なのか 日韓関係の改善求め知識人77氏が声明 オンラインで賛同署名訴え(長周新聞)
長周新聞 2019年7月29日

 日本政府による韓国への輸出規制で日韓関係の悪化に拍車がかかるなか、この事態を憂慮する知識人や社会活動家の有志が25日、「韓国は『敵』なのか」と題する声明を発表し、オンライン上で賛同署名を呼びかけている。77人の呼びかけ人は署名開始にあたり、「いま、ここで(日韓関係の)悪循環を止め、深く息を吸って頭を冷やし、冷静な心を取り戻さなければなりません。本来、対立や紛争には、双方に問題があることが多いものです。今回も、日韓政府の双方に問題があると、私たちは思います。しかし、私たちは、日本の市民ですから、まずは、私たちに責任のある日本政府の問題を指摘したいと思います。韓国政府の問題は、韓国の市民たちが批判することでしょう。双方の自己批判の間に、対話の空間が生まれます。その対話の中にこそ、この地域の平和と繁栄を生み出す可能性があります」と提言している。署名の一次締め切りは8月15日。声明文を紹介する。

https://peace3appeal.jimdo.com/
オンライン署名サイト

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〈声明〉韓国は「敵」なのか

はじめに

 私たちは、7月初め、日本政府が表明した、韓国に対する輸出規制に反対し、即時撤回を求めるものです。半導体製造が韓国経済にとってもつ重要な意義を思えば、この措置が韓国経済に致命的な打撃をあたえかねない、敵対的な行為であることは明らかです。

 日本政府の措置が出された当初は、昨年の「徴用工」判決とその後の韓国政府の対応に対する報復であると受けとめられましたが、自由貿易の原則に反するとの批判が高まると、日本政府は安全保障上の信頼性が失われたためにとられた措置であると説明しはじめました。これに対して文在寅大統領は7月15日に、「南北関係の発展と朝鮮半島の平和のために力を尽くす韓国政府に対する重大な挑戦だ」とはげしく反論するにいたりました。

1、韓国は「敵」なのか

 国と国のあいだには衝突もおこるし、不利益措置がとられることがあります。しかし、相手国のとった措置が気にいらないからといって、対抗措置をとれば、相手を刺激して、逆効果になる場合があります。

 特別な歴史的過去をもつ日本と韓国の場合は、対立するにしても、特別慎重な配慮が必要になります。それは、かつて日本がこの国を侵略し、植民地支配をした歴史があるからです。日本の圧力に「屈した」と見られれば、いかなる政権も、国民から見放されます。日本の報復が韓国の報復を招けば、その連鎖反応の結果は、泥沼です。両国のナショナリズムは、しばらくの間、収拾がつかなくなる可能性があります。このような事態に陥ることは、絶対に避けなければなりません。

 すでに多くの指摘があるように、このたびの措置自身、日本が多大な恩恵を受けてきた自由貿易の原則に反するものですし、日本経済にも大きなマイナスになるものです。しかも来年は「東京オリンピック・パラリンピック」の年です。普通なら、周辺でごたごたが起きてほしくないと考えるのが主催国でしょう。それが、主催国自身が周辺と摩擦を引き起こしてどうするのでしょうか。

 今回の措置で、両国関係はこじれるだけで、日本にとって得るものはまったくないという結果に終わるでしょう。問題の解決には、感情的でなく、冷静で合理的な対話以外にありえないのです。

 思い出されるのは、安倍晋三総理が、本年初めの国会での施政方針演説で、中国、ロシアとの関係改善について述べ、北朝鮮についてさえ「相互不信の殻を破り」、「私自身が金正恩委員長と直接向き合い」、「あらゆるチャンスを逃すことなく」、交渉をしたいと述べた一方で、日韓関係については一言もふれなかったことです。まるで韓国を「相手にせず」という姿勢を誇示したようにみえました。そして、6月末の大阪でのG20の会議のさいには、出席した各国首脳と個別にも会談したのに、韓国の文在寅大統領だけは完全に無視し、立ち話さえもしなかったのです。その上でのこのたびの措置なのです。

 これでは、まるで韓国を「敵」のように扱う措置になっていますが、とんでもない誤りです。韓国は、自由と民主主義を基調とし、東アジアの平和と繁栄をともに築いていく大切な隣人です。

2、日韓は未来志向のパートナー

 1998年10月、金大中韓国大統領が来日しました。金大中大統領は、日本の国会で演説し、戦後の日本は議会制民主主義のもと、経済成長を遂げ、アジアへの援助国となると同時に、平和主義を守ってきた、と評価しました。そして日本国民には過去を直視し、歴史をおそれる勇気を、また韓国国民には、戦後大きく変わった日本の姿を評価し、ともに未来に向けて歩もうと呼びかけたのです。日本の国会議員たちも、大きく拍手してこの呼びかけに答えました。軍事政権に何度も殺されそうになった金大中氏を、戦後民主主義の中で育った日本の政治家や市民たちが支援し、救ったということもありました。また日本の多くの人々も、金大中氏が軍事政権の弾圧の中で信念を守り、民主主義のために戦ったことを知っていました。この相互の敬意が、小渕恵三首相と金大中大統領の「日韓パートナーシップ宣言」の基礎となったのです。

 金大中大統領は、なお韓国の国民には日本に対する疑念と不信が強いけれど、日本が戦前の歴史を直視し、また戦後の憲法と民主主義を守って進むならば、ともに未来に向かうことは出来るだろうと大いなる希望を述べたのでした。そして、それまで韓国で禁じられていた日本の大衆文化の開放に踏み切ったのです。

3、日韓条約、請求権協定で問題は解決していない

 元徴用工問題について、安倍政権は国際法、国際約束に違反していると繰り返し、述べています。それは1965年に締結された「日韓基本条約」とそれに基づいた「日韓請求権協定」のことを指しています。

 日韓基本条約の第2条は、1910年の韓国併合条約の無効を宣言していますが、韓国と日本ではこの第2条の解釈が対立したままです。というのは、韓国側の解釈では、併合条約は本来無効であり、日本の植民地支配は韓国の同意に基づくものでなく、韓国民に強制されたものであったとなりますが、日本側の解釈では、併合条約は1948年の大韓民国の建国時までは有効であり、両国の合意により日本は韓国を併合したので、植民地支配に対する反省も、謝罪もおこなうつもりがない、ということになっているのです。

 しかし、それから半世紀以上が経ち、日本政府も国民も、変わっていきました。植民地支配が韓国人に損害と苦痛をあたえたことを認め、それは謝罪し、反省すべきことだというのが、大方の日本国民の共通認識になりました。1995年の村山富市首相談話の歴史認識は、1998年の「日韓パートナーシップ宣言」、そして2002年の「日朝平壌宣言」の基礎になっています。この認識を基礎にして、2010年、韓国併合100年の菅直人首相談話をもとりいれて、日本政府が韓国と向き合うならば、現れてくる問題を協力して解決していくことができるはずです。

 問題になっている元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました。元徴用工問題と同様な中国人強制連行・強制労働問題では1972年の日中共同声明による中国政府の戦争賠償の放棄後も、2000年花岡(鹿島建設和解)、2009年西松建設和解、2016年三菱マテリアル和解がなされていますが、その際、日本政府は、民間同士のことだからとして、一切口を挟みませんでした。

 日韓基本条約・日韓請求権協定は両国関係の基礎として、存在していますから、尊重されるべきです。しかし、安倍政権が常套句のように繰り返す「解決済み」では決してないのです。日本政府自身、一貫して個人による補償請求の権利を否定していません。この半世紀の間、サハリンの残留韓国人の帰国支援、被爆した韓国人への支援など、植民地支配に起因する個人の被害に対して、日本政府は、工夫しながら補償に代わる措置も行ってきましたし、安倍政権が朴槿恵政権と2015年末に合意した「日韓慰安婦合意」(この評価は様々であり、また、すでに財団は解散していますが)も、韓国側の財団を通じて、日本政府が被害者個人に国費10億円を差し出した事例に他なりません。一方、韓国も、盧武鉉政権時代、植民地被害者に対し法律を制定して個人への補償を行っています。こうした事例を踏まえるならば、議論し、双方が納得する妥協点を見出すことは可能だと思います。

 現在、仲裁委員会の設置をめぐって「対立」していますが、日韓請求権協定第3条にいう仲裁委員会による解決に最初に着目したのは、2011年8月の「慰安婦問題」に関する韓国憲法裁判所の決定でした。その時は、日本側は仲裁委員会の設置に応じていません。こうした経緯を踏まえて、解決のための誠実な対応が求められています。

おわりに

 私たちは、日本政府が韓国に対する輸出規制をただちに撤回し、韓国政府との間で、冷静な対話・議論を開始することを求めるものです。

 いまや1998年の「日韓パートナーシップ宣言」がひらいた日韓の文化交流、市民交流は途方もない規模で展開しています。BTS(防弾少年団)の人気は圧倒的です。テレビの取材にこたえて、「(日本の)女子高生は韓国で生きている」と公然と語っています。300万人が日本から韓国へ旅行して、700万人が韓国から日本を訪問しています。ネトウヨやヘイトスピーチ派がどんなに叫ぼうと、日本と韓国は大切な隣国同士であり、韓国と日本を切り離すことはできないのです。

 安倍首相は、日本国民と韓国国民の仲を裂き、両国民を対立反目させるようなことはやめてください。意見が違えば、手を握ったまま、討論をつづければいいではないですか。

 2019年7月25日

〈呼びかけ人〉(*は世話人) 2019年7月26日 現在77名
 青木有加(弁護士)、 秋林こずえ(同志社大学教授)、 浅井基文(元外務省職員)、 庵逧由香(立命館大学教授)、 石川亮太(立命館大学教員)、 石坂浩一(立教大学教員)*、 岩崎稔(東京外国語大学教授)、 殷勇基(弁護士)、 内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)*、 内田雅敏(弁護士)*、 内橋克人(評論家)、 梅林宏道(ピースデポ特別顧問)、 大沢真理(元東京大学教授)、 太田修(同志社大学教授)、 大森典子(弁護士)、 岡田充(共同通信客員論説委員)*、 岡本厚(元「世界」編集長)*、 岡野八代(同志社大学教員)、 荻野富士夫(小樽商科大学名誉教授)、 小田川興(元朝日新聞ソウル支局長)、 大貫康雄(元NHKヨーロッパ総局長)、 勝守真(元秋田大学教員)、 勝村誠(立命館大学教授)、 桂島宣弘(立命館大学名誉教授)、 金子勝(慶応大学名誉教授)、 我部政明(琉球大学教授)、 鎌田慧(作家)、 香山リカ(精神科医)、 川上詩朗(弁護士)、 川崎哲(ピースボート共同代表)、 小林久公(強制動員真相究明ネットワーク事務局次長)、 小林知子(福岡教育大学教員)、 小森陽一(東京大学名誉教授)、 在間秀和(弁護士)、 佐川亜紀(詩人)、 佐藤学(学習院大学特任教授)、 佐藤学(沖縄国際大学教授)、 佐藤久(翻訳家)、 佐野通夫(こども教育宝仙大学教員)、 島袋純(琉球大学教授)、 宋 基燦(立命館大学准教授)、 高田健(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会共同代表)、 村竜平(秋田大学教育文化学部)、 高橋哲哉(東京大学教授)、 田島泰彦(早稲田大学非常勤講師、 元上智大学教授)、 田中宏(一橋大学名誉教授)*、 高嶺朝一(琉球新報元社長)、 谷口誠(元国連大使)、 外村大(東京大学教授)、 中島岳志(東京工業大学教授)、 永田浩三(武蔵大学教授)、 中野晃一(上智大学教授)、 成田龍一(日本女子大学教授)、 西谷修(哲学者)、 波佐場清(立命館大学コリア研究センター上席研究員)、 花房恵美子(関釜裁判支援の会)、 花房敏雄(関釜裁判支援の会元事務局長)、 羽場久美子(青山学院大学教授)、 平野伸人(平和活動支援センター所長)、 広渡清吾(東京大学名誉教授)、 飛田雄一(神戸学生青年センター館長)、 藤石貴代(新潟大学)、 古川美佳(朝鮮美術文化研究者)、 星川淳(作家・翻訳家)、 星野英一(琉球大学名誉教授)、 布袋敏博(早稲田大学教授・朝鮮文学研究)、 前田哲男(評論家)、 三浦まり(上智大学教授)、 三島憲一(大阪大学名誉教授)、 美根慶樹(元日朝国交正常化交渉日本政府代表)、 宮内勝典(作家)、 矢野秀喜(朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動事務局長)、 山口二郎(法政大学教授)、 山田貴夫(フェリス女学院大学・法政大学非常勤講師、 ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク事務局)、 山本晴太(弁護士)、 和田春樹(東京大学名誉教授)*

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/12554
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/782.html

[政治・選挙・NHK263] 「イカサマ野党」の烙印(長周新聞 コラム狙撃兵)
2019年7月29日

 「今日は、こども食堂で一緒にカレーを食べました。夏休みで給食が休みになった子どもたちにとっては、子ども食堂は、なくてはならない存在。関係者の努力と協力に本当に頭が下がります。子どもの貧困対策は官民あげて取り組まなくてはなりません」

 国民民主党の玉木雄一郎がツイッターにアップしたつぶやきを見て、少少ひっかかる点があった。困っている現場に足を運び、実情を知ることは大切だ。しかし、カレーを食って自己プロモーションの画像をアップするよりも前に、国会議員が発すべきは「子ども食堂は、なくてはならない存在」ではなく、「子ども食堂など必要がない社会にしたい」「子どもたちが家庭で安心してご飯を食べられる社会を目指す」という言葉ではないだろうか。貧困を是認したうえで、「なくてはならない存在」にされては困るのだ。

 子どもの貧困対策すなわち親の貧困対策は、放っておいたら残酷な搾取ばかりする企業がのさばっているなかで、それを規制する政治や行政の側が責任を持って取り組まなければならない問題だ。貧困は政治・経済構造全体が生み出した結果である。見るに見かねて全国津々浦々に子ども食堂が爆発的に広がり、ここまでの存在感を持つようになったが、それほど貧困の問題は普遍的であることを示している。見て見ぬふりや置き去りにすることなく、人々は助け合っている。

 一方の「官」はというと、安倍晋三が「おじちゃんやおばちゃん」が助けてくれるから「夢をあきらめないでね」の丸投げポエムを出しただけである。外遊で60兆円も海外にばらまく者が、「美しい国」に暮らしている腹ぺこの子どもたちには思いが至らず、貧困の克服は自助努力と社会の善意に委ねられているのである。1兆円でも回せば相当数の子どもたちの胃袋は満たされ、腹ぺこは解消するはずなのに――。

 今や6人に1人の子どもが貧困に直面している。夫婦共働きが当たり前となり、ここ下関の街を見ても、例えば児童クラブの入所率は高まるばかりである。専業主婦がまだいた一世代前なら、学校から帰っても家に誰もおらず、親が仕事を終えて帰ってくるのを待っている鍵っ子は少数派に属していた。しかし時代が逆転してその比率が余りにも大きくなり、親や子どもたちが安心して過ごせる居場所を提供するために児童クラブはできた。専属の教員が配置されたもとで、夕方6時30分まで学校の一角で異年齢集団が勉強したり、遊んだり、本を読んだりして親の迎えを待っている。宿題も見てもらえる。ひらがなの練習も先生たちが丁寧につきあってくれる。おやつも出る。親としては感謝である。

 ただ、給食費や後納金とは別に毎月4000〜5000円(土曜日も含めると5000円になり、夏休みはプラス2600円+おやつ代)近い出費になるため、児童クラブにも入れず、鍵っ子状態の子どもたちも少なくないのが現実だ。夏休みになると、クーラー代がバカにならないと心配する親に遠慮してか、涼を求めて公民館や公共施設の片隅で一日中過ごしている子どもたちがいる。公園ではカップラーメンやおにぎりの入ったコンビニ袋を下げてお兄ちゃんが妹を見ていたりする。40日間の過ごし方は親も子もたいへんである。

 さて、話はぐるりと変わって、そんな玉木雄一郎が選挙後、「憲法改正に向けた国会での議論に応じるとともに、安倍晋三首相に党首会談を申し入れる」「私は生まれ変わった。われわれとしても憲法改正議論を進めていくし、首相にもぶつける」と発信して物議を醸している。発議を阻止するのではなく、数の力で押し切られることをわかっていて国会での議論に応じ、「たたかったが強行採決で押し切られた(悔しそうなポーズはやってみる)」の出来レースに道を開く気配である。もともとが大裏切りをやった旧民主党の残党集団であり、これらの国民民主(分裂含み)も含めて改憲勢力3分の2というなら、とんだ茶番である。

 参議院選で改憲勢力3分の2はならなかった。そこで荒技として繰り出そうとしているのが国民民主の糾合であり、選挙で示した有権者の意志がどうあろうと、国会内の合従連衡(がっしょうれんこう)で強行しようとする動きがあらわれている。国民民主党にとっても大博打であり、イカサマ野党の烙印を押される覚悟が問われている。

 吉田充春

https://www.chosyu-journal.jp/column/12557
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/783.html

[政治・選挙・NHK263] <親友対談 しなやかな反骨>(1) 城南信金顧問・吉原毅さん×元文科次官・前川喜平さん(東京新聞)
2019年7月30日 朝刊

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 加計学園の大学獣医学部設立認可をめぐり「行政がゆがめられた」と証言した元文部科学次官の前川喜平さん(64)と、経営トップでありながら脱原発の旗を掲げた城南信用金庫顧問の吉原毅(よしわらつよし)さん(64)。二人は麻布中・高校(東京)の同級生で、ともにラグビー部で汗を流した親友だ。強い者に負けない志の根っこはどこにあるのか。「しなやかな反骨」をテーマに存分に語り合ってもらった。 (四回シリーズでお伝えします)

 吉原 文科省の課長当時、「奇兵隊、前へ!」というブログがあったよね。官僚なのにこんなこと書いていいのって思いました。

 前川 確かに突出した行動ではあった。二〇〇五〜〇六年ごろかな、小泉純一郎内閣の看板政策の三位一体の改革で、国から地方に税源移譲し、地方の財政の自主性を高めるという話になった。そのために国から地方への補助・負担金を減らす。そこで三兆円ある義務教育費国庫負担金がなくなりそうになった。それでは子供たちが困ると思って、反対だと言って回ったんです。地方の財政力にかかわらず、教育の機会均等を保障するためのお金です。

 吉原 ブログは一般の方も見られるものですし、勇気がいりますよね。

 前川 月刊誌に名前を出して書いたりしましたしね。はっきり言ってクビが飛んでもいいと思いました。

 吉原 組織の上の方が白旗揚げて、ほかの人は静観する中で孤軍奮闘して…。

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前川喜平さん

 前川 いや、孤軍でもないのよ。課長仲間や下の連中は、すごく応援していた。素晴らしい改革のように見せようとしていたけど、小泉純一郎内閣の目玉として総務省が作り上げた話。地方公共団体はだまされたと言ってもいい。だから文科省と総務省とでドンパチやってたんです。

 吉原 文科省の当時の上司の了解は? 

 前川 上司の初等中等教育局長は、青年将校みたいなのが暴れるのを黙認していたって感じ。次官や官房長は、ほとんど白旗を揚げてました。次官のところに行ったら「この制度は廃止でしょうがないだろう」って。負け戦と思っている人もいるし、ぎりぎりまで頑張ろうという人もいた。最後の最後、助けてくれたのは与謝野馨さん(当時、自民党政調会長)。文科省の土俵で議論させてやるって、仕切ってくれた。

 その代わり中央教育審議会に、総務官僚が握っている知事・市長・町村会推薦の首長が三人入った。われわれも三人の首長に一本釣りで来てもらった。その一人が当時の鳥取県知事の片山善博さん。三位一体改革の本質を見抜いてるから、良い意見を言ってくださった。

 そのときにカウンターパートで、当時の総務省の自治財政局調整課長だったのが務台(むたい)俊介さん(現衆院議員)。中教審の会議の後、道端である女性の委員をつかまえて、いかに文科省が間違っているかと言ってるわけですよ。僕も入っていって、そうじゃないんですよと言ったら「前川さん、そんなこと言ってたらクビが飛ぶよ」と。それでブログに「クビが飛んでも構わない」と書いた。そのくらいの気持ちでした。結局、制度は守るが、負担率を二分の一から三分の一に下げることで決着をみた。

 吉原 なんで文科省(旧文部省)に入ったの? 使命感を持って入ったと思うけど、誰の影響なんですか。

 前川 人間の精神的な活動を広げていくっていうか、人の心の豊かさを大きくしていくっていうか。

 吉原 人間教育とか、人間の魂とか、子供たちを育てたいっていう気持ちの人は文科省に入る。

 前川 そういう人が多い。僕の場合はやりたい仕事のところに配置してもらえたけど、そんなに幸せでもないのよ。初等中等教育の仕事は確かにさせてもらえてよかったんだけど、それ以外の仕事も多くて。

 吉原 もちろんそうでしょうね。

 前川 多かったのは、政治家相手の仕事。秘書官で与謝野(馨)さんみたいな大臣と一緒に仕事をするのは楽しかったけど、理不尽なことで怒り狂っている政治家のところに行ってなだめるとか、何で怒っているか分からないけどとにかく謝るとか、そんなことばっかりやってました。国会の委員会で野党から追及されるよりも自民党の部会で攻撃されるほうがしんどいですよ。本当に言いたい放題言われますからね。

 吉原 組織の中で仕事をする中で、自分が情熱をかけている初等教育、中等教育の話とは別のものがいっぱいある。それでもう嫌だという人もいるけど、本当にやりたいことがあるから頑張って、初志を貫くと。

 前川 それはあるよね。義務教育費の時は、案外楽しかった。だけど防衛戦ですからね、仕掛けられた闘いをやってる感じ。その中で思ったのは、この機会に制度を見直して良い制度にすること。三位一体の改革は、義務教育費国庫負担制度(*)を良い方向に、地方の自由度を高める方向に変えるきっかけになった。外圧が改革のきっかけになることはありますよね。

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吉原毅さん

 吉原 厳しい状況の中で、上は支持しない、あるいは上はもう闘いを放棄してるところで、上がどうであろうとみんなの思いを結集して情熱と信念を持って、組織をまとめて。言われて動く組織じゃなくて自分が組織を組織化し、みんなのチームをつくり理想を実現していく。それをやった人だったってことです。なかなか組織人として難しいことだと思うんです。言われたことやってないと干されるし、クビにされるぞと脅かされるわけだし、その中で頑張る人って、なかなかいないと思います。

 前川 安倍政権では(官僚は)なかなか言えない。小泉政権は思いっきり議論ができる政権だった。最後は小泉さんの鶴の一声で決まるけれども、そこに至るまでの間に思いっきり言いたい放題言える。僕も一見、三位一体改革という看板政策にたてついてるとんでもないヤツなんだけど。

 吉原 当時は、組織が生きていた。今は全然違って、政府の上から言われたことを全部やらないとダメっていう絶対服従みたいなことをやる。小泉さんは、僕も付き合いあるから言うけども、決めたらドーンとやるけども、その前に必ず意見を言わせるんですよ。

 僕がびっくりしたのは、今原発反対をやってるんだけども、小泉先生は違う意見を聞くんですよ。僕らなんかが「あんなの頭きちゃいますよね」って言うと、そんなことない、民主主義なんだからいろんな意見があっていい、違う意見があってはじめて民主主義ってのは成り立つんだと。懐がでかいなと思ったんです。たぶん小泉政権は「万機公論に決す」で、最後は政治決着だというところがあった。今はいきなり結論ありきで、とにかく黙って従えと。この度量の狭さは、政府だけじゃなくて、現代社会に、いろんな企業も含めて組織体の共通の社会病理みたいになっている。これについてはどうですか。

 前川 安倍政権的な組織体質が、日本中に広がっちゃってるんじゃないかっていう気はしてるよね。

 吉原 力で勝負とか、問答無用とかね。言論しない、言論に重きを置かないでいきなり結論がある。別に安倍さんの悪口を言ってるわけじゃなくて、世の中全体がそうなってるのはどうしてだろう。不思議です。

 前川 僕は安倍さんの悪口言ってるんだけど。

 吉原 この場ではあんまり言わないほうがいいんじゃないか(笑)。

 前川 やっぱり、そういう忖度(そんたく)が蔓延(まんえん)してますよ。

 * 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、小・中学校など義務教育の学校の教職員給与の3分の1を国が負担する制度。以前は2分の1負担だった。

<まえかわ・きへい> 1955年、奈良県生まれ。東京大卒。79年、旧文部省(現文部科学省)に入り大臣秘書官、官房長、初等中等教育局長などを経て、2016年、文部科学次官。天下りあっせん問題の責任を取って退官後、夜間中学スタッフ、大学講師などとして活動。著書に「面従腹背」、共著に「これからの日本、これからの教育」など。

<よしわら・つよし> 1955年、東京都生まれ。慶応大卒。77年、城南信金に入り、企画部、副理事長などを経て2010年、理事長。15年、顧問。17年から麻布学園理事長。東日本大震災後、同信金の脱原発宣言を主導。小泉純一郎元首相らと活動を続ける。著書に「幸せになる金融」「原発ゼロで日本経済は再生する」など。

(対談は六月二十六日、東京都千代田区の東京新聞で行われた)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019073002000118.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/784.html

[政治・選挙・NHK263] <税を追う>辺野古下請け 黒塗り開示(東京新聞)

(第1話)
「国民目隠し」で強行

2019年7月30日 東京新聞朝刊

 公に周知すべき情報をなぜ隠すのか−。沖縄・辺野古(へのこ)の米軍新基地建設を巡る情報公開請求で、防衛省は全ての施工業者が記載された「施工体系図」のうち、下請け業者の名前を黒く塗りつぶした。国民に目隠しをしたまま、工事を強行する異常さが際立っている。 (中沢誠)

 公共工事の現場で見られる施工体系図は、公衆の見やすい場所への掲示が義務付けられている。税金を投じた工事が適正に行われているのか、第三者にも確認できるようにするためだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/images/PK2019073002100067_size0.jpg
2020年東京五輪でバレーボール会場となる「有明アリーナ」の施工体系図。下請け業者名まで伏せることなく、大通り沿いのフェンスに掲示している=東京都江東区で

 ところが、辺野古の工事の場合、新基地建設が行われている米軍キャンプ・シュワブ内にしか掲示していない。基地内では下請け業者の名前も記した体系図を掲示しているが、基地の外からは、いつ、どんな工事を、どの業者が行っているかはうかがい知れない。

 基地内だけの掲示となれば、目の届く人が限られ、第三者のチェックが制約されるが、防衛省沖縄防衛局は「基地に出入りする人も公衆と考えられ、法令の趣旨に沿っている」と意に介さない。

 制度を所管する国土交通省建設業課は「基地の外に向けても掲示したほうが親切だが、公衆の範囲について明確な基準はなくケース・バイ・ケース」と明言を避ける。ただ、辺野古が特殊なケースであることは国交省も認めている。

 来年に開催を控えた五輪会場の建設現場では、人通りの多い道沿いに施工体系図を貼り出している。東京都オリンピック・パラリンピック準備局は「人目の付かない場所に掲示しても意味がない」と話す。

 ゼネコンの業界団体、日本建設業連合会の担当者も「道路に面したところや現場の出入り口の目立つところなど、公衆というからには誰もが見られる場所に掲示するという認識だ」と説明する。

 そこで本紙で情報公開請求したところ、下請け業者は黒塗りに。沖縄防衛局は基地内にしか掲示していないことを理由に、「広く公知しているわけではないので、掲示しているからといって、直ちに情報がすべて公表すべきものとは思っていない」とする。

 辺野古の工事では、政府はこれまでも重要な事実やデータを隠し続けてきた。海底にマヨネーズ状の軟弱地盤が存在することに気づいていながら、公に認めたのは昨年十二月に埋め立て工事を強行した後の今年一月のことだった。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019073002000129.html


(第2話)
公開義務の施工体系図

2019年7月30日 東京新聞朝刊

 沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設で、本紙が工事業者を一覧にした「施工体系図」を情報公開請求したところ、防衛省沖縄防衛局は下請け業者名を全て黒塗りにして開示した。施工体系図は建設業法で公開が義務付けられており、制度を所管する国土交通省は「業者名を非開示にしたのは初めて聞いた」と異例の対応と認めた。巨額の税金を投じる事業で、公開すべき情報を明らかにしない防衛局の対応は批判を浴びそうだ。 (中沢誠)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/images/PK2019073002100054_size0.jpg
沖縄防衛局が開示した辺野古工事の施工体系図。下請け業者の名はすべて黒塗りになっていた

 本紙は四月、沖縄防衛局が二〇一四年度以降に発注した辺野古工事の施工体系図を開示請求。防衛局は七月八日付で、護岸新設工事や埋め立て工事など二十件(契約総額千五十九億円)の施工体系図について、一部開示の決定をした。

 開示された体系図によると、大成建設が百三十九億円で受注した仮設工事は、四次下請けまでに六十六社が参加。大林組などの共同企業体が百一億円で受注した埋め立て工事は、二次下請けまでに九社が入っていた。これらを含め二十件の体系図は全て下請け業者名が黒塗りになっていた。

 防衛局が非開示理由として引き合いに出したのが、五年前に受注業者を狙ったとみられるゲリラ事件だ。

 一四年十月、辺野古沖のボーリング調査を請け負った業者が入る埼玉県内のビルに迫撃弾が撃ち込まれ、後日、基地反対派の声明文が報道各社に送られた。

 防衛局は取材に、下請け業者名を公表すれば「同じような被害が発生し、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがある」と答えた。だが、ゲリラ事件から一年以上たった一六年一月、しんぶん赤旗は防衛局への開示請求で入手した施工体系図などから元請けや下請け業者を調べ、複数の業者が自民党側へ献金していたことを報じた。赤旗によると、当時は下請け業者名は非開示になっていなかったという。

 同じ文書であるにもかかわらず、今回は非開示としたことについて、防衛局は「以前に開示した文書を特定できておらず、答えるのは困難」と回答。非開示としたのは「情報公開法に基づく判断で、契約の透明性を阻害していない」と問題はないとした。

 辺野古の新基地建設は前例のない海底の軟弱地盤を改良しなければならず、工費高騰は必至だが、政府は工費を明らかにしていない。一方で、一七年の衆院選で、施工業者が沖縄県内の自民党候補の政党支部に献金したり、防衛省OBが天下ったコンサルタント業者が地盤改良工事にお墨付きを与えたりと、政官業の癒着ぶりが指摘されている。

◆治外法権ぶり象徴

<全国市民オンブズマン連絡会議・新海聡事務局長の話> 施工体系図は「闇下請け」や手抜き工事を防ぐため、掲示を義務付けている。もし業者が掲示していなければ、発注者から指導が入る。本来公表すべき下請け業者名を、発注者が隠すというのは聞いたことがない。法制度の趣旨をねじ曲げ、都合の悪い情報は出さないという辺野古工事の治外法権ぶりを象徴した対応だ。

<施工体系図> 下請けまでを含め、工事に関わる建設業者がどのような分担で施工するのかを、一目で分かるようにした樹形図。元請け業者が作成する。公共工事では工事期間中、契約通りの業者が適正に工事していることを確認できるよう、工事関係者や公衆の見やすい場所に掲示することが、建設業法などで定められている。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019073002000119.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/785.html

[政治・選挙・NHK263] 前川喜平「僕の憲法改正案」を読む(澤藤統一郎の憲法日記)

一昨日(7月28日)の『東京新聞』「本音のコラム」欄に、前川喜平さんの「僕の憲法改正案」が掲載されている。これがおもしろいので、ご紹介して多少のコメントを付したい。

まずは、最初に前川さんの断り書きがある。

   僕は安倍政権下での改憲には反対だ。4項目改憲案には、国民主権、
   平和主義、法の下の平等など柱となる原則を破壊する危険がある。
   改憲を議論するより、現行憲法が求める人権保障や国際協調を実現
   する努力をする方が先だ。

「改憲の議論よりも、現行憲法理念実現の努力が先だ」というご意見。まったく、同感。この当然の発言が、安倍政権には、きつい皮肉になるという現実がある。

なお、解説するまでもなく、「安倍改憲4項目」とは、「自衛隊の明記(9条改憲)」「緊急事態条項」「合区の解消」「教育無償化」である。「安倍晋三の改憲提案だから危険で反対」でもあり、「提案されている具体的内容が憲法の柱となっている原則を破壊するものだから反対」でもあるというのだ。教育行政の専門家で人権保障を熱く語る前川さんが、「安倍の掲げる教育無償化」には反対ということに重みがある。

   ただ、将来国民の中から憲法改正の機運が本当に盛り上がったときには、
   僕にも提案したい改正点がある。

前川さんは、慎重に「将来国民の中から憲法改正の機運が本当に盛り上がったときには」という条件を置くことを忘れない。現実と理想をごっちゃにするとおかしくなるからだ。理想を語ることが許される環境においては、誰にも、自分なりの憲法を作ってみたい思いがある。かつて、自由民権運動は多くの私擬憲法を作った。けっして、日本国憲法が理想の憲法ではない以上、今なお、自分なりの理想の憲法案を作ってみることには、大きな意義がある。

さて、前川改正案の具体的内容だが、日本国憲法の全面改正構想の披瀝ではない。コラムのスペースの制約から最小限の「部分改正」提案にとどまるもので、内容は計7点ある。

   まず、第3章の標題を「国民の権利及び義務」から「基本的人権の保障」
   に変える。国民が国に義務を課すのが憲法なのだから、国民の義務を
   書く必要はない。

まったく異存ない。「第3章 国民の権利及び義務」という標題はいかにも不自然。これは、現行憲法が大日本帝国憲法の改正手続としてなされた名残なのだ。
旧憲法の第2章は、「臣民権利義務」であった。旧章名の「臣民」を「国民」に直して新章名としたのだ。臣民には主権者天皇に対する義務があって当然と観念されていた。中でも、20条の「兵役の義務」は、重要な憲法上の臣民たるの義務とされていたから、当時は「臣民義務」に何の違和感もなかった。

今、立憲主義の立場からは、第3章の表題を「基本的人権の保障」とすべきは当然であろう。

なお、旧憲法の第1章は「天皇」であった。新憲法では、第1章を天皇とするのではなく「国民主権」あるいは「基本的人権の保障」とすべきが当然。しかし、敢えて「第1章 天皇」が踏襲された。これも、実質は「新憲法の制定」ではあっても、形式は「旧憲法の改正」とされたからだ。新憲法では、天皇には何の権限も権能もないのだから、「天皇」の章は、「人権」「国会」「内閣」「司法」の後に置くべきであったろう。

   基本的人権はすべての人が生まれながらに持つ権利だから、その主体
   は国民に限られない。現在の10条(国民の要件)は、「基本的人権は
   国籍の如何を問わず保障する」と変える。

現行憲法第3章の冒頭が「10条(国民の要件)」である。普通、この条文は「日本国籍」取得の要件と解されており、人権享有主体の要件を定めた条文とは考えられていない。では、この条文を受けた「国籍法」によって日本国籍を取得している「国民」以外は基本的人権の享有主体たり得ないか。そんなはずはなく、「外国人にも権利の性質上適用可能な人権規定はすべてその効力が及ぶ」とされている。

問題は参政権である。あるいは、公務員となる権利。「基本的人権は国籍の如何を問わず保障する」との条文明記となれば、外国籍の国内居住者にも、国政・地方を問わず選挙権・被選挙権を認め、あらゆる公務員職への採用を保障することが、条文改正の実益となろう。

   14条(法の下の平等)では性的指向・性自認による差別も禁止し、24
   条の「両性の合意」は「当事者の合意」として同性婚を明確に認める。
   26条2項(義務教育)は「国は、すべての人に無償の普通教育を受ける
   機会を保障する義務を負う」とする。「義務教育」という言葉は消える。
   「知る権利」も明示する。

14条・24条・21条・26条2項に関しての具体的条文改正提案。いずれも、文意明瞭であって、分かり易い。余人ならぬ、元文部科学次官の改正案として極めて興味深い。

   首相の解散権は制限する。53条の「いづれかの議院の総議員の4分の1
   以上の要求」があった場合の内閣の臨時国会召集義務に、20日間の期限
   を忖す。この点だけは自民党の改憲案と同じだ。

蛇足だが、「自民党の改憲案と同じ」とは、「安倍4項目改憲案」のことではなく、2012年4月に公表された「自民党憲法改正草案」のこと。

自民党の公式Q&Aでは、こう解説されている。

53条は、臨時国会についての規定です。現行憲法では、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならないことになっていますが、臨時国会の召集期限については規定がなかったので、今回の草案では、「要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない」と、規定しました。党内議論の中では、「少数会派の乱用が心配ではないか」との意見もありましたが、「臨時国会の召集要求権を少数者の権利として定めた以上、きちんと召集されるのは当然である」という意見が、大勢でした。

ところが、安倍内閣は、「当然なはずの、臨時国会の召集要求権を無視して、憲法上定めた少数者の権利を蹂躙」している。2017年6月22日、加計学園問題をめぐって野党4党は臨時国会の召集要求したが、安倍内閣は「応じない方針」を押し通して同年9月28日の衆議院解散に至っている。

安倍内閣は、憲法軽視内閣なのだ。自党の憲法改正案も無視。前川改正案は、このときの怒りに基づいたもの。

いつの日か、前川喜平さんの「僕の全面憲法改正草案」を見たいものと思う。天皇制をどうするのか、権力による教育への不当な支配をどう制御するのか。在日外国人の民族教育の権利をどう条文化するか。また、安倍晋三第1次内閣によって改悪された教育基本法の復旧案についても。
(2019年7月30日)

http://article9.jp/wordpress/?p=13044
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/828.html

[政治・選挙・NHK263] 社会主義社会とは、社会の形態なのか、社会の実体をめざすものか ・・・「米国でも社会民主主義者の大統領が当選し、社会主義化への第一歩を歩みだす」(ちきゅう座)
2019年 7月 31日
<岡本磐男(おかもといわお):東洋大学名誉教授>


 私は、いわゆる社会主義論の専門家ではない。大学に勤務していた頃は42年間にわたって金融論を講義してきた者である。けれども大学院においてはマルクス経済学者の宇野弘蔵先生を指導教授としてきた。宇野先生は「自分が経済学をやってきたのは社会主義というものをよく知るためである」とよく言われていた。私も当然に影響を受けてきたのである。

 本年はソ連型の社会主義体制が崩壊してから丁度30年にあたる。それ故、本サイトでも、もっと社会主義論について論ずる論稿があらわれてもいいのでは、と思っていた。たまたま、本サイトでも友人の社会主義批判について論ずる論稿が発表されているのが目についた。

 この論者の見解(この論者は友人の所説を肯定的に捉えているので)批判者の見解と呼んでおこう。だが私がここで社会主義論をとり上げるのは、(私はすでに10数年前に社会主義についての書物『新しい社会経済システムを求めて ―情報社会主義を構想する−』世界書院刊、を出版しているが)単にその論稿を論評するという意図によるのではない。今日では中国や北朝鮮のような国々は決して米国型の資本主義体制をとろうとしていない事の意味をもっと深く理解せねばならないと思うからである。かつて資本主義国の帝国主義としての側面によって侵略された国々は、戦争になる恐れのある経済システムを採用しないのは当然である。

 「批判者の見解」について私が思うのは、まず第1に資本主義社会についてどのように考えているのかはよく分らないが。大変甘い態度であるということである。資本主義とはいうまでもなく資本家と労働者大衆を生産関係とし、資本の論理によって動いている社会であるが、資本家とは、資本が人格化されたものであり、資本とは価値の運動体ではあるが同時に物であり、物が人間を支配している社会である。しかも『資本論』の労働価値説で説かれているように労働力は商品化されており労働者の剰余労働は資本家によって搾取されているのである。この搾取ということがなければ、今日の日本の労働者のように、正規労働者と非正規労働者が分断され非正規労働者がきわめて低賃金で働かされる等といったことも緩和されるかもしれない。現在非正規労働者は全労働者の4割をしめ、それ故貯蓄をもたない人も多いのである。他方で資本家層は数100億円、数1000億円の資産をもつ人が何1000人もいるにも拘わらず、である。

 しかも、企業間の競争は激烈をきわめるから技術革新は進展し資本の有機的構成は高度化し利潤率は低下していく。その結果失業者も増大する。現在の日本ではむしろ人手不足であるとはいえ、AI(人工知能)が発展すれば、必ず失業者が増える状況が出現するようになるであろう。もっとも今日の日本は少子高齢化が進んでいるから、ここに複雑な要因が発生するであろうが、将来は決して楽観できる状況にあるわけではない。またEU諸国等では移民、難民の問題もかかえていて失業問題が深刻化していく傾向にある。いま一つ金利の問題について言及しておくと、現在は世界のどの国でも資金過剰の状況にあり低金利によって本来の資本主義の体制とは異なりつつある。私は資本主義の体制は、あと数10年もたてば終焉するのではないかと考えている。

 だがこの批判者は資本主義の存続に対してきわめて楽観的であり、資本主義を改造するだけで持続していくとみているようである。

 第2にこの批判者は資本主義のイデオロギーとしての正義と自由についても少しも疑うところがない。私は人間による搾取のあるところに正義があるのかと疑う。また自由の概念についても、資本主義の自由とは、貿易の自由化、資本取引の自由化、金融の自由化等々、みな金儲けの自由をさすものと考えている。決して人間の自由ではなく資本の自由である。私は資本主義は発展すればする程、モラルは失われ金(かね)だけの世界になってしまうように感じている。資本主義では企業は商品売却のため、広告、宣伝をしなければならないが、テレビのコマーシャルをみても、ここにモラルがあると感ずる人は少ないであろう。

 第3に批判者は、ソ連の社会主義は社会主義であったのであり、これが30年前に崩壊したが故に、こうした社会は復元力をもつものかという視点から問題提起をしている。だがソ連型社会主義が社会主義であったという見方についても今日の経済理論学会などでは疑問視されており、むしろ国家資本主義だったという見解の方が有力となりつつある。私もソ連体制の崩壊の直前にインフレーションが発生した点等を顧慮するとこの所説の方に同意する、ソ連体制の崩壊にはさまざまな要因があり、例えば米ソ間で核戦争の脅威が高まりソ連が財政上軍事費支出を高めざるをえなくなり民生品への支出を低下させるようになった事が要因と批判者も指摘しているが、そうした点には賛同する。

 だがソ連の体制がレーニン率いるボルシェヴィキ党の革命以来、共産党一党独裁になっていくことがソ連自身の責任であるような書き方には賛同しがたい。この点はイギリス労働党の元党首でありロンドン大学の教授であったH.ラスキ教授が著書『現代革命の考察』(みすず書房刊)で詳細に考察しているように、西側資本主義国が、私有財産制に基づく生産手段の私的所有を金科玉条として、生産手段の社会的所有をかかげるボルシェヴィキ党に対して激しい敵意を示し(日本を含む6ヶ国の資本主義国がシベリアに出兵したため、同党を率いるレーニン等はこれに対抗した)たため、ソ連は強力な政権を必要としたため共産党一党独裁をとらざるをえなくなるのである。

 また批判者達は旧ソ連の体制をマルクス主義にもとづくものだったとみているようであるが私はそう考えていない。なぜなら旧ソ連の体制では、マルクスの『資本論』で商品価値の実体としてあれ程重視していた労働量の問題が全く顧慮されることなく、生産物価格は別の要因によって決められるとしていたからである。

 第4に批判者が社会主義論をイデオロギーとしていることに触れておこう。(もっとも批判者はここでは共産主義社会と呼んでいるが、社会主義と共産主義との相違については、質的相違は少ないのでここでは不問に付することとする)マルクスは、社会主義の古典といわれる『共産党宣言』なる書籍を公刊したが、ここでは階級闘争史観なる歴史観を提示しているが単なるイデオロギー論ともいえない側面も含んでいる。そして『資本論』では商品形態、貨幣形態、資本形態を展開し商品経済(市場経済に近い概念)が産業を補捉したとき産業資本が成立し資本主義が確立するので資本主義社会は形態規定を伴う社会形態といえることを示唆する。だが社会主義社会とはこれとは全く異なるといえる、原則的には商品も貨幣も資本も存在しない社会である、それ故社会主義とは社会形態とはいえない社会であるとマルクスは考えていたと思われる。実際マルクスは、古代史以前から発生している人類史をきわめて根気よく勉強していた学者である。

 人類史は決して商品経済の歴史ではない。古代、中世の歴史以前からの人類史の歴史は、共同体の歴史である。日本では縄文時代や弥生時代は共同体経済の時代であって貨幣は発生していなかったであろう。古代史においてもそうであり8世紀初までは日本では貨幣は発生していない。その後の日本社会では貨幣経済はごく狭い流れをなして発展するようになるが中軸は共同体経済であった。このような長期にわたる混合経済体制のもとでも経済の計画化は行われていた。

 宇野弘蔵先生は、古代以前の社会から、人間生存のためには人間が自然に働きかけて生産手段ないし生活資料を生産、獲得し消費するという人間と自然との間の物質代謝の過程として労働生産過程があるが、これがあらゆる社会に共通な人間生存の基礎をなす経済原則である点を指摘し、社会主義はこの経済原則そのものを、資本主義への法則性の根元をなす商品経済の特殊な形態を廃棄して、自主的計画的に実行することにあると考察している。すなわち宇野先生は資本主義は、人間が資本によって支配されている限り本来の人間社会ではないがこのように逆転させることによって人間社会としての社会主義を創造することが可能となるとみているのである。ここに法則性という言葉を使ったが、これは価値法則の意味である。資本主義のもとにあるかぎり人間は、商品価格の上では価値法則によって支配されているのである。このような価値法則の支配から脱出するのが社会主義である。マルクスが商品の価値の実体として説く抽象的人間労働というのも人類史と共にあると把握できるであろう。このようにみてくれば社会主義という社会の概念も社会形態ではなく、社会の実体に関連するとみることが可能であろう。

 日本が資本主義化したのは、明治維新の頃からであり、それから今日まで約150年しかたたないが、資本主義は絶大な生産力をあげ、生産力と生産関係の間の矛盾は深まっている。これは先進国イギリスのような国でも同様であり、産業革命が成立して本格的な産業資本主義国なってからこの国は200数10年しかたっていないが、生産力と生産関係の矛盾の拡大によって多数の貧困者を生み出す国となってしまった。この点は資本主義のチャンピオンと目されていた米国でも同様で、階級間の格差がきわめて拡大している。

 2年半前の米国の大統領選挙では共和党の候補者トランプ氏に対決する社会民主主義者のサンダース氏が現われて注目をあびた。来年度の米大統領選挙はどうなるかは未定ではある。だが私はいつかは −何年先になるかは分からぬが− 米国でも社会民主主義者の大統領が当選し、社会主義化への第一歩を歩みだすとみている。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔study1054:190731〕

http://chikyuza.net/archives/95783
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/829.html

[政治・選挙・NHK263] 永田喜嗣「戦争と想像力」 戦争「加害」を描いた映画を観るということ(イミダス・集英社)
戦争と平和のリアル
第32回 永田喜嗣「戦争と想像力」
戦争「加害」を描いた映画を観るということ

2019/07/29
永田喜嗣(戦争映画研究家)

■『この世界の片隅に』が描かなかったもの

 2016年に公開されたアニメーション映画『この世界の片隅に』(片渕須直監督)は、観客から絶大な支持を集めた作品として今も記憶されています。なぜ、戦争をテーマにしたこの作品が支持を集め、ロングランのヒットとなったのか。当然ながらこの映画の内容に多くの人が共感したからにほかなりません。
満州事変から敗戦に至る十五年戦争を背景に、主人公の少女すずさんが成人して結婚し、戦争が激化する中で苦難に耐え、明るく希望を失わず夫や家族と共に生きてゆく姿に感動を覚えた人も多いことでしょう。この作品のヒットは、木下恵介監督の『二十四の瞳』(1954年)や市川崑監督の『ビルマの竪琴』(1956年)が当時の観客から絶大な支持を集め、今も日本における反戦映画の名作として位置づけられていることの延長線上にあります。

 その一方で、日本では、ホロコーストをはじめとしたナチスドイツの戦争犯罪を主題とした作品が、劇場でもDVDでも年々人気を高めています。最近では、ホロコーストの計画実行者であったナチスドイツの高官ラインハルト・ハイドリヒを主人公にした『ナチス第三の男』や、ナチス戦犯裁判を描いた『顔のないヒトラーたち』などが上映され、人気を博しました。

 このように、日本人の戦争被害を描いた『この世界の片隅に』が支持される一方で、ナチスドイツの戦争加害を題材にした映画が人気を博するというのは、まことに奇異な印象を覚えます。

 日本の戦争については『この世界の片隅で』を通じて観て、その一方で遠く離れた欧州の戦争加害の映画を好んで観るという興味深い現象です。いわば、「戦争被害」は日本の戦争被害者で追体験し、「戦争加害」は他国の戦争犯罪で追体験する。

 これでは日本人は、あの十五年戦争という、日本が二十世紀に体験した未曾有の大戦争を、一方の側からのみ観察していることになるのではないでしょうか。

 映画評論家の佐藤忠男は『日本映画思想史』(三一書房、1970年)で、木下恵介監督の『二十四の瞳』について、「われわれは、ただ、戦争によって、平和を破壊され、純真な若者の多くを失ったのだ、という感慨を得るだけで、敵にどれだけの損害を与えたのかという点が全くぬけ落ちてしまう」(267頁)と指摘しています。
『この世界の片隅に』で、すずさんがあたかも音楽を奏でるように楽しそうに料理をする場面は微笑ましく、この作品の名シーンの一つになっていますが、少し想像力を働かせてみると、そのすずさんの楽しそうな姿、その家事は、呉軍港で軍属として働く夫を送り出すことに関わっています。その呉軍港から軍艦が出撃していく海の向こうでは、中国大陸や東南アジアへ侵略戦争を行う日本兵たちが、無辜(むこ)の市民を殺傷し、国際法で守られているはずの戦時捕虜に対して残虐な行為を働いていたのです。それを考えれば、すずさんの楽しそうな料理の場面も、総力戦となった侵略戦争の末端の戦争加害者の姿として映るのではないでしょうか。しかし、私たちはこの映画を観ても、そこまで思い至らないはずです。

 これは日本の戦争映画の大部分が抱える問題点の一つです。日本本土の日本人にとっての戦争の記憶は、ミッドウェイ海戦の敗北後、南太平洋のガダルカナルから反攻を開始して飛び石伝いに太平洋の島を侵攻してくる英米連合軍による上陸戦や空襲であり、戦後の映画でも、日本人は戦争の被害者であり続けました。戦争によって受ける苦しみとして想起されるのは、学徒動員、サイパンの玉砕、沖縄戦、特攻隊、本土大空襲、そして広島と長崎への原子爆弾の投下……。

 それらは、学徒兵の悲惨な運命を描いた『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』(1950年)や、沖縄戦を描いた『ひめゆりの塔』(1953年)、特攻隊員の苦悩と死を描いた『雲ながるる果てに』(1953年)、原爆投下の広島の悲劇を描いた『ひろしま』(1953年)などで映画化されています。

 これらはみな日本人が受けた戦争の苦しみだけを訴えた映画なのです。

 アメリカの映画監督、オリバー・ストーンは来日した際に講演で次のように語っています。

   日本の人たちは歴史を知らない。米国人と同じだ。自分の国の歴史を
   知ることを阻まれているのではないかと感じました。(中略)日本の
   学校教育の中では、日本が中国に侵略し、そして満州に侵攻し、韓国
   を侵攻し、東南アジアにも侵攻したことについて教えられていないの
   ではないかと思います。そのような所で米英軍の捕虜に対してひどい
   扱いをし、フィリピンでは「バターン死の行進」も行なった、残酷非
   道な振る舞いについて子どもたちに教えられていないのではないかと
   思います。
   (オリバー・ストーン、ピーター・カズニック、乗松聡子著『よし、
   戦争について話をしよう。戦争の本質について話をしようじゃない
   か!』株式会社金曜日、2014年)

 ストーン監督の指摘は日本における戦争映画事情にもあてはまります。日本による戦争加害を描く映画は、海外では製作され、公開されていますが、それらは日本国内ではほとんど公開されず、また日本では加害を描いた映画はごく僅かしか製作されていません。


■戦争加害を描いた映画を拒否しないドイツ

 日本の侵略戦争によって被害を受けた人びとや、対日戦争に参加した国々の人びともまた、苦しみを持ち続けています。日本で空襲や原爆の被害を受けた記憶が映像化されるのと同様に、日本の侵略戦争に苦しめられた国々の人びとが日本によって受けた戦争被害を映画として描くことは当然のことでしょう。

 そうした、日本の戦争加害、あるいは日本から受けた戦争被害を描く映画群を「抗日映画」といいます。
 抗日映画とはどのように定義され、分類されるのか、また、反日と抗日の違いや、どのような作品があるのかをご説明しなければならないのですが、字数の都合もあるので、主な抗日映画を表組みで紹介しておきます。

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/img.imidas.jp/topics/wp-content/uploads/2019/07/25184842/L-73-033-1.png

 これらの作品では、日本軍による残虐行為が生々しく描かれているのですが、これは日本人にとっては観るに堪えないものであることは事実でしょう。だから、日本人は抗日映画から距離を取ってしまいます。1998年に中国・香港・台湾合作の映画『南京1937』(95年)が日本で公開された際に、横浜の映画館で、右翼を名乗る男性によってスクリーンが切り裂かれるという上映妨害事件がありました。この事件が映画配給会社や上映館に与えた衝撃は大きなものがありました。また、他の映画の上映などに対しても、右翼団体などの街宣車による抗議活動などで上映を断念するケースもあり、日本の戦争加害や戦争責任を問うような内容の作品に関しては公開を自粛する傾向が支配的です。

 しかし不思議なことですが、冒頭でも触れたようにドイツ人たちが行った戦争における残虐行為や戦争犯罪に関する映画は日本ではヒットするのです。

 ではドイツ人たち自身はどうでしょうか。西ドイツは戦後、1960年代頃から自国の戦争犯罪や戦争加害に向き合い始めました。東ドイツはもっと早い段階で映画を通じてこの問題に取り組んでいます。戦後初のドイツの国産映画第1号である『殺人者はわれわれの中にいる』(1946年)はドイツ軍による占領地区での市民の大量虐殺を主題にした作品です。彼らも自国民の戦争犯罪を映画で観るときに、私たちが抗日映画を観るときに感じる苦痛と同じものを受けるはずです。しかしながらドイツでは、抗議行動で公開が困難になるといったこともなく、そうした映画が積極的に公開され、DVDなどのメディアで観ることができます。そればかりか、自国の戦争加害の映画を積極的に制作し、外国とも積極的に合作を試みてきました。

 そうした、自国の戦争加害を描いた映画を拒絶しないドイツ人の態度によって、かつての被害国との間での映像文化での和解がほぼ完成しつつあります。
ドイツの映画監督、フォルカー・シュレンドルフがフランスに招かれてドイツのフランスへの戦争加害の映画を撮る、またドイツのアウシュヴィッツ裁判開廷までのフリッツ・バウアー検事の行動を描いたドイツ映画の脚本をフランスの作家オリヴィエ・ゲーズが執筆するなど。これらはほんの一例ですが、協調と理解によってもたらされた和解の形です。それはドイツが過去の自国が犯した戦争犯罪や戦争加害に向き合い「知ろう」とした行動から生まれたことです。

 1985年5月8日の戦後40周年のドイツ連邦議会において、リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー大統領は有名な「解放の日」演説を行いました。その中でフォン・ヴァイツゼッカーは、過去の出来事に対する批判が自分たちにとって厳しいものであったとしても、その批判を否定してはならないと述べています。そして、世界的に有名な一節「過去を変えることはできない。過去を消し去ることなど不可能であり、過去に目を向けない者は現在においても盲目となって、同じ過ちを犯す危険に陥りやすいのだ」という言葉を残しました。フォン・ヴァイツゼッカーのこれらの言葉は、被害者の批判や立場を否定せずに理解すること、そして自ら過去の姿を見つめることを訴えています。こうしたドイツの過去への向き合い方は、政治を超えて映像文化の中でも今も生かされているのです。

 抗日映画を観ることは、日本人にとって、かつて日本人によって戦争被害を受けた国々の人びとの視点を知り、和解へと向かう一歩を生み出す一つのきっかけになるのです。

■「抗日映画」に向き合うことの意義

「日本人は美しい花を造る手を持ちながら、いったんその手に刃を握るとどんな残忍極まりない行為をすることか」
これは1971年の特撮テレビ番組『帰ってきたウルトラマン』のエピソードの一つ、「怪獣使いと少年」(東條昭平監督、上原正三脚本)に出てくるセリフです。

 私たちは日本の戦争映画で「美しい花を造る手を持った日本人」を常に観てきました。その一方で、ほとんどの作品が「刃を手に取る残忍な日本人」を描いてこなかったのです。抗日映画を観るということは、この「刃を手に取る残忍な日本人」を直視する行動になるでしょう。
『この世界の片隅に』は素晴らしい映画ですが、私たちはこの映画に登場する、すずさんをはじめとする日本人たちがイノセントで善良な存在であることに、どこかで安堵しているのではないでしょうか。

 私たちは「美しい花を造る手を持った日本人」の姿を観る一方で「刃を手に取る残虐な日本人」を観ることなく、戦争の中の無垢な子どもたちや善良な人びとの姿に悲劇と平和の祈願を感じているに過ぎないのではないでしょうか。また、そういった戦争映画への向き合い方が普遍化してしまっているのも事実です。

 私たちは映画を通じて、常に不完全な形で、一方側からだけで戦争を観察してきたのです。

 抗日映画を観ることは、戦争という過去に目を向けることです。そして日本人自身が行った戦争加害について、他国の人びとがどのように感じているのか、その視点を私たちが知り得る機会となります。

 抗日映画も時代を追って変遷を重ねてきました。劇場用映画に限ってですが、かつてしばしば登場した、スクリーンに現れるや片っ端から人びとを殺戮するような、悪魔的にカリカチュア化された日本将兵の姿を見かけることは、ほとんどなくなりました。欧米の抗日映画は、日本軍の残虐行為を描きながらも和解を模索しており、赦しや和解を主題にしたドラマ作りが増える傾向にあります。東アジアや中国の抗日映画では、近年、日本人の映画スタッフや俳優を積極的に招き、歴史認識を通じての相互理解と和解を模索し始めています。残された問題はただ一つ、私たち日本人が積極的にそれを観ようとしないこと、観る機会や環境が整っていないことです。

 映画は観ることがまず大切です。観ないで評価することも批判することもできません。まずは向き合わなくてはなりません。

 その上で初めて、世界の人びとと日本の戦争の過去を巡る対話が出来るようになるのです。

 そのためには、まずは心の国境を捨て去って、ある種の勇気を持って、抗日映画に向き合うことが肝要です。

 その勇気は必ず、世界の人びととの対話を生み、やがて握手を呼ぶことでしょう。

 その友愛と理解は必ず、あの過去の戦争の悲劇を再び引き起こさない力となるでしょう。

https://imidas.jp/sensoutoheiwa/?article_id=l-73-033-19-06-g775
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/831.html

[政治・選挙・NHK263] 浜矩子「経済万華鏡」 若者たちの『今』と政権支持率(イミダス・集英社)
2019/07/12
浜矩子(同志社大学大学院ビジネス研究科教授)


 このところ、立て続けに若者絡みの三つの報道が目に留まりました。第一に、若者たちはどんどん「ギグワーカー」化している。第二に、若者たちは持ち家志向を強めて借金を増やしている。第三に、彼らは安倍晋三政権への支持率が高い。この三つのニュースを三題噺に仕立て上げることが出来るでしょうか。

 ギグワークについては、以前にも取り上げたことがあると思います。ギグとは、短時間の仕事とか、単発の仕事や日雇い仕事を指す言葉です。アーティストなら「今日のパフォーマンス」という意味でギグという表現を使うことがあります。「フリーランスでキャッシュレス」の回の内容にも重なる面があります。声がかかれば、それに応じて呼ばれた職場に出向いて腕を振るう。それがギグワーカーです。古い日本語で言えば、「お座敷芸人」の感じですね。要請に応じてお座敷からお座敷へと渡り歩いてパフォーマンスするイメージです。

 このギグスタイルで、いくつもの仕事をこなす若者が増えている。そのように報じられています。ギグワーカーたちとギグ提供企業の間を仲介するのが、いわゆるプラットフォーム型の斡旋事業者です。プラットフォーマーに登録してギグ探しをするフリーランスの皆さんが、この1年で4割増えたそうです(*1)。その全てが若者だとは限りませんが、実際問題として、若い人たちが多いことは間違いないでしょう。

 第二の、持ち家と借金というテーマについては、二つのことが影響しているようです。第一に、企業が社宅提供や住宅賃貸への補助を減らしている。第二に、日銀の量的質的金融緩和の下で住宅ローン金利が超低水準化している。これらの要因が相まって、2018年末時点での20〜30代の金融負債残高は、現行調査が始まった02年以来、最高の水準に達したとのことです(*2)。

 こうして債務返済負担が増えた若者世代は、一方で消費を節約しているようだ、とも報じられています。それはそうでしょうね。いくら超低金利だといっても、まとまった住宅ローンの返済負担が出来たとなれば、そうそう気前のいい消費生活を謳歌するわけにはいきません。

 ギグからギグへと渡り歩いて仕事をしながら、持ち家をしっかり手に入れるために住宅ローンを組み、消費はなるべく控え目でいく。このような生き方をしている若者世代の安倍政権支持率が高いというわけです。日本経済新聞社の6月の世論調査結果によれば、20代の政権支持率は何と7割に達したということです。

 なるほどねと思います。こうしてみれば、若き皆さんの日々はなかなか大変です。ギグ型のワークスタイルには自由はあるが、収入と生活の安定確保は保障されていない。それでも持ち家を早めに確保したい。だから住宅ローンを組む。今は超低金利だからいい。だが、この状況が変われば、展望は狂う。何はともあれ、現状が大きく変わってもらって欲しくない。今のままなら、それなりに将来設計に向けても目途が立つ。だから、今が大事で何も変わって欲しくない。

 現状維持を願う思いが切実であればあるほど、政治についても、現行体制の継続を願う。それが、7割の現政権支持率につながっているのでしょう。その気持ちはとても良く分かります。ただ、今の政治は誰のため、何のために今の政策を遂行しようとしているのか。そこを考えておく必要があります。

 彼らの都合であまりにも低くなり過ぎた金利は、いつ、どうなるか分かりません。何の政策的支援もないまま、ギグワークを続けていて健康を害したらどうなるか。それも考えておく必要があるでしょう。こんなはずじゃなかった。こういうつもりじゃなかった。そう思った時は既に遅しです。厳しい目で政治環境を見抜いていく必要があります。

https://imidas.jp/kaleidoscope/?article_id=a-52-097-19-07-g356
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/832.html

[日本の事件32] 電車暴走「三鷹事件」 元死刑囚の再審認めず / 謎多き国鉄三大ミステリー、時の政府は「共産党の仕業」 / 電車暴走「三鷹事件」に遭遇、元記者が見た米軍の怪しさ (朝日新聞)

(第1話)
電車暴走「三鷹事件」 元死刑囚の再審認めず 東京高裁
朝日新聞デジタル 2019年7月31日14時32分 阿部峻介

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190731001545_commL.jpg
「三鷹事件」から一夜明けた現場。電車は国鉄三鷹駅舎を破壊して暴走し、通行人ら6人が死亡した=1949年7月16日

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190731001708_commL.jpg

 東京の旧国鉄・三鷹駅で1949年、無人の電車が暴走して6人が死亡した「三鷹事件」で、東京高裁(後藤真理子裁判長)は31日、電車転覆致死罪で死刑が確定した竹内景助・元死刑囚=45歳で獄死=の裁判をやり直すための請求を認めない決定を出した。竹内元死刑囚の長男(76)が、2011年に再審請求をしていた。

 確定判決によると、国鉄で運転士や検査係を務めた竹内元死刑囚は49年7月15日夜、三鷹駅の車庫から電車(7両)を発進。自分は運転席から飛び降りた後、暴走して脱線した電車が6人をはねて死亡させた。

 当時、政府は連合国軍総司令部(GHQ)の意向を受け、戦後の復員で増えた国鉄職員らの大量解雇に踏み切っていた。同じ49年夏には国鉄の下山定則・初代総裁が列車にひかれた状態で見つかった「下山事件」、福島県で乗務員3人が死亡した脱線事故「松川事件」も起き、三鷹事件と合わせて「国鉄三大ミステリー」と呼ばれる。

 三鷹事件で警察は、労働組合を……こちらは有料会員限定記事です。残り:575文字/全文:976文字

https://www.asahi.com/articles/ASM7Y73BHM7YUTIL04K.html?iref=pc_extlink


(第2話)
謎多き国鉄三大ミステリー、時の政府は「共産党の仕業」(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月31日19時40分 阿部峻介

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190725003835_comm.jpg
「三鷹事件」から一夜明けた現場。暴走した電車は通行人ら6人をはね、三鷹駅前の商店街に突っ込んだ=1949年7月16日

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190725003815_commL.jpg
「三鷹事件」から一夜明けた現場。電車は三鷹駅舎を破壊して暴走し、通行人ら6人が死亡した=1949年7月16日

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190731003673_commL.jpg
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190731003670_commL.jpg
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190731003680_commL.jpg

 70年前の1949年夏、東京の旧国鉄・三鷹駅で無人電車が暴走して6人が死亡した「三鷹事件」の裁判をやり直す再審の扉は開かなかった。連合国軍総司令部(GHQ)が「反共」にかじを切り、国鉄職員らが大量解雇された時代。「国鉄三大ミステリー」と称される不可解な3事件が相次ぎ、時の政府は「共産党の仕業」と主張したが、多くの謎が残されたままだ。

 戦後に日本を占領したGHQは当初、民主化・非軍事化を進めた。しかし、朝鮮半島での米ソ対立が次第に鮮明となり、中国でも共産党の勢力が増すと、日本を「アジアにおける共産主義の防波堤」と位置づける路線に転換した。

 共産党は国内でも人気を集め、49年1月の衆院選では4議席から35議席に躍進。吉田茂内閣が復員で膨れあがった官公庁の人員を整理するため、国鉄を含めて28万人以上を解雇する行政機関職員定員法を同年5月に成立させると、共産党が率いた国鉄労組は一部列車を止めるストライキを実施。GHQが止め、緊張が強まった。

 7月に入り、労組に大量解雇を告げた下山定則・初代国鉄総裁が轢死体(れきしたい)で見つかる「下山事件」が発生。その9日後に三鷹事件が続き、吉田首相は「社会不安が一部労組の挑戦的態度によって挑発されている」「共産主義者の煽動によるもの」などと声明を発表した。直接事件に言及はしなかったが、「共産党の犯行」を示唆した。8月には、福島県で列車が転覆して乗務員3人が死亡する「松川事件」が起き、今度は増田甲子七(かねしち)官房長官が「三鷹事件と思想的底流において同じ」と断じた。

 捜査も、「共産党の犯行」という線で進んだ。三鷹事件では非党員の竹内景助・元死刑囚とともに9人の党員が起訴され、松川事件では国鉄と東芝の労組幹部ら20人が起訴された。

 捜査は次第にずさんさが明らかになり、三鷹事件では竹内元死刑囚を除く9人、松川事件では起訴された全員の無罪が確定。下山事件は迷宮入りした。

 しかし、労働運動は3事件で腰砕けになり、政府は大量解雇を実現。50年にはGHQの指示で、共産主義者を公職などから追放する「レッドパージ」を実施した。内部対立も起きた共産党は、52年の衆院選で公認候補が全員、落選した。

 法政大の五十嵐仁(じん)・名誉教授(政治学)は「政府・GHQにとっては、絶好のタイミングで国鉄を舞台に事件が起きた」と指摘する。「共産主義者の仕業だと印象づけ、社会状況を変えられればそれでよかった。謀略だとすれば、狙いは十分に成功した」

https://digital.asahi.com/articles/ASM7056M6M70UTIL037.html?rm=425


(第3話)
電車暴走「三鷹事件」に遭遇、元記者が見た米軍の怪しさ(朝日新聞)
朝日新聞デジタル 2019年7月31日21時02分

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大学生のときに三鷹事件を目撃した元朝日新聞記者の堀越作治さん=大鹿靖明撮影

 下山、松川両事件と並ぶ占領期の国鉄3大事件のひとつ、三鷹事件に、堀越作治さん(89)は偶然遭遇した。無人電車が暴走して三鷹駅に突っ込み、6人が死亡。慌てて負傷者の救出活動をすると、米軍のMPに追い出された。事件は共産党の組織的犯行とされ、10人が逮捕されたが、9人は無罪に。獄死した1人の再審請求は7月31日退けられた。

 一橋大の学生だった1949年7月15日夜、後に「三鷹事件」と呼ばれる大事故に出くわした。東京・三鷹駅のホームで、減速せずに突っ込んで来る電車を目撃。「そのとたんガタガタドタンと大音響とともに砂ぼこりが舞い、あとは阿鼻叫喚(あびきょうかん)のちまたですよ」。慌てて飛び降り、電車の下に手をさしのべると生存者がいた。

 すると米軍のMP(憲兵)がこ……こちらは有料会員限定記事です。残り:497文字/全文:845文字

https://www.asahi.com/articles/ASM706F5ZM70ULFA035.html
http://www.asyura2.com/17/nihon32/msg/184.html

[日本の事件32] 「竹内景助さんは無実だ!」 ― 三鷹事件再審支援を(澤藤統一郎の憲法日記)

本日(7月31日)午後2時、注目の三鷹事件再審請求に対する東京高裁の決定。まことに残念ながら棄却の結論となった。あらためて実感させられる。再審の壁は、高く厚い。

担当の後藤眞理子裁判長は、東京高裁に赴任する3日前に大阪高裁において、湖東記念病院人工呼吸器事件の再審開始決定を下した人。弁護団も支援団体も、大いに期待していただけに残念さは一入。地裁・高裁の再審開始決定を覆して、異例の自判によって、再審請求を棄却した最高裁の大崎事件特別抗告審決定(本年6月25日)の影響がないか、気にかかるところ。

今次の三鷹事件再審請求は2度目のもの。第1次請求は1956年2月に、生前の竹内景助さん本人が獄中から申し立てている。この請求は、東京高裁で10年放置されていたという。そして、竹内さんの病死(脳腫瘍)で、決定に至らないまま終了した。

故人となった竹内景助さんのご長男が、第2次再審請求を申し立てたのが2011年11月。死刑事件についての死後再審事件である。
刑訴法第435条が確定した有罪事件について再審請求の要件を定めている。そのうちの第6項が、「明らかな証拠をあらたに発見したとき」とされている。つまり、再審を開始すべき証拠の「新規性」と「明白性」とが求められる。これが、かならずしも容易でないのだ。今回もこの壁に阻まれた。

ところで、1949年夏に、下山・三鷹・松川の「三大謀略事件」が起こされている。いずれの事件も、世人の耳目を驚かし世間を震撼させたにとどまらない。戦後日本が歩み始めた民主化の道を阻害する歴史的事件となった。

この年の1月、日本国憲法施行後最初の第24回総選挙が行われ、共産党は4議席から35議席に大躍進していた。興隆していた労働運動は官公労働者を中心に産別会議に結集して、日本の進路に影響を及ぼしうる力量を備えつつあった。このときに、占領軍と保守勢力は既に前年から逆コースに転じ、労働運動や共産主義運動弾圧に乗り出していた。

この情勢下、日本経済再生のための荒療治としてドッジ・ラインに基づく緊縮財政策が強行される。49年6月1日には定員法が施行され、全公務員で28万、新たに発足した国鉄だけで9万5000人の大量人員整理の着手となった。
緊迫した労使対決の中で、まず下山事件(7月5日)が起き、次いで三鷹事件(7月15日)、そして松川事件(8月17日)と続く。これが、共産党が指導する労働運動の仕業と徹底して宣伝され、それもあって次回25回総選挙(52年10月)では共産党の議席はゼロとなった。

今の感覚からは、国労側10名、東芝労組側10名の共同謀議者20名を起訴した松川事件が、一連の謀略事件の要の大事件のように思えるが、私は学生時代に何度か聞かされた。「当時の空気を知る者にとって、謀略事件としての効果の中心にあったのはまぎれもなく三鷹事件だった」「首都の事件でもあり、下山事件直後の時期でもあって、世間の注目度が大きかった」「国労の活動家である共産党員10名の逮捕と起訴は、労働運動と左翼運動への大きな打撃となった」。

刑事事件としての三鷹事件とは、電車転覆致死罪(刑法126条3項・法定刑は死刑または無期)での被告事件。事件の被害者となった死亡者は6名である。逮捕者は11名で、竹内景助さんを除く10名が、共産党員だった。アリバイのあった一人を除いて10名が起訴され、1950年8月11日の1審東京地裁判決を迎える。

鈴木忠五裁判長の判決は、共産党員による謀議を「空中楼閣」として9人の党員被告を全員無罪としたが、竹内景助さんの単独犯行として、無期懲役を言い渡した。

そして、1951年3月30日控訴審判決で9人の無罪は確定したが、竹内景助さんの有罪は維持され、なんと死刑判決となった。竹内さんの上告は、1955年6月22日大法廷で棄却された。票差は8対7、一票差だった。

謀略3事件を仕掛けた人物や実行犯は多様に推理はされているが、今日まで確証を得られていない。下山事件の起訴はなく、松川は全員無罪が確定し、三鷹事件でも共産党に対する弾圧は確定判決としては潰えた。が、謀略を起こした側から見れば、その効果は十分だったろう。そして、竹内景助さんという冤罪被害者が置き去りにされた。

私は学生時代に、木造2階建ての国民救援会の旧本部で、黙々と再審請求への訴えの事務作業をしていた竹内景助さんの奥さんの姿に接したことがある。今は、その奥さんも故人となっている。それに代わって、支援者が声を上げている。ぜひ下記URLを開いて、「竹内景助さんは無実だ!― 三鷹事件再審を支援する会」の訴えに耳を傾けていただきたい。
http://www.maroon.dti.ne.jp/mitaka-saishin/index.html

(2019年7月31日)
http://www.asyura2.com/17/nihon32/msg/185.html

[政治・選挙・NHK263] <親友対談 しなやかな反骨>(2) 元文科次官・前川喜平さん×城南信金顧問・吉原毅さん(東京新聞)
2019年7月31日 朝刊

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理想的な組織のあり方などについて意見を交わす吉原毅さん(左)と前川喜平さん=東京都千代田区の東京新聞で

 どんな組織が好ましいのか。元文部科学次官の前川喜平さんと城南信金顧問の吉原毅(よしわらつよし)さんの対談は「理想の組織」論に入った。

 吉原 今の政府の人たちが心配です。安倍(晋三)さんが絶対的な権限を持っていて、総理が言えば何でも通っちゃう。でも安倍さんが逆の立場になると、自分が徹底的にやられるわけです。そういう組織は、非常に不安定です。「正しい」「間違っている」よりも力を取ったら勝ち。それで本当にいいのかと。

 前川 多様性が失われている。いろんな意見があっていいんだ、存念を述べよ、みたいなところがなくなってきて。

 吉原 それに対して前川さんは警鐘を鳴らしている。正しいことは正しい、あるものをなかったとは言えないと言う。素朴な言い方だけど、勇気がある人だと思って喝采しました。

 前川 意を決して告発したなんていうことじゃなかったんだけどね。この文書を見たことありますかって言うから、ありますよって。加計学園問題(*1)に関しては、内部文書を表に出した職員が、今も文科省に複数人いるわけです。彼らの方がずっと僕より勇気がありますよ。

 吉原 世界中が上意下達の方向に行っている気がします。時代なんですかね。

 前川 国際政治も一国主義がはびこっている、リーダーが強い力を持って。プーチン(*2)だ習近平(しゅうきんぺい)(*3)だ、トランプ(*4)だ、エルドアン(*5)だと。城南信金の「クーデター」の話をしてよ。

 吉原 会社も政府も一つの政治システムだと思うんです。目的は定款に書かれている。憲法みたいなものです。人々を幸せにしたいなどと書いてあり、金もうけが目的ではない。それが外国資本が増えて、成果主義とトップダウンの傾向が強まった。新自由主義です。でも、成果主義で人を人と思わずに多様性を否定すると、組織は生きない。(よい企業は)相互コミュニケーションが利いている。自由な言論があって、英知を集めて最善の道を探る。

 フラットな分権型にするのは、経営学の世界では主流になった。ところが、いまだに威張り散らして、間違った考え方を押しつける人たちが上にいる。

 これでは力を結集できないし、お客さまにちゃんとサービスを提供できない。だったらトップに代わってもらうしかないよねと。給料は保証するから権力からは外れて、という極めて穏当な「クーデター」でした。

 城南信金の新理事長となった吉原さんは、自らの給料を支店長平均より低い千二百万円に下げた。

 吉原 千二百万円でも随分いただいていますけど。世の中がおかしくなったのは、大会社の社長がめちゃくちゃな報酬を取るようになってから。国会議員もお金をいっぱいもらうようになってから劣化した。

 小原鐡五郎(てつごろう)(*6)という、信用金庫法を作って業界を率いてきたリーダーに数年間お仕えした。その方が「吉原くん、お金は麻薬だ。持っていると人間は身を持ち崩す。適正なお金を使うことが大事。それをお勧めして、指導するのが信用金庫の仕事だ。貸すも親切、貸さぬも親切」と言った。身を持ち崩さないようにお金を使うのが大事。

 前川 すごいよね。お金を扱う仕事の中にいて、お金に溺れないという哲学を持つのが。そういう話、小泉さん(純一郎元首相)とはするの?

 吉原 小泉さんもお金にこだわらない清廉潔白で純粋な人ですよ。自民党って自由に民主的に話ができた政党で、けんかしたり仲良くしたりして、個性あふれる先生方が自由闊達に議論していた。今や一枚岩でどうしちゃったのと。

 前川 首相問責決議案への三原じゅん子さん(参院議員)の反対討論を聞くと、ひと言彼女が話すたび、与党席から「そうだ!」と。

 吉原 もはや自民党は、全体主義政党になってしまった。悲しい。自民党ファンとしては(かつての自民党が)復活してほしい。

 前川 国民政党と言えたのは多様性があったから。宇都宮徳馬(*7)、野中広務(*8)のような人もいた。派閥は政策集団でもあったからカラーが違った。その多様性が消え、本当の保守主義でなくなった。

 吉原 小泉先生は一生懸命に原発反対運動をしているけど、私は自民党です、と必ず言うんです。党の多様性を復活させようと努力している。いろんな意見を取り入れる幅広さがないと、政治も経営も社会も閉塞(へいそく)する。最大の懸念です。

 前川 霞が関も全体主義になった。もともと「司(つかさ)」という言葉があって、それぞれの分野については自信と誇りと責任感を持ってやっていた。その司の責任感や独立性がほとんど失われ、官邸が肥大化して、官邸官僚といわれる人たちが総理や官房長官をガチッと固めてしまった。どの分野の政策も官邸が決めている。

 吉原 現場には五感を通じて情報が集まってくるが、中央には数字のみ。数字じゃ骨しか入らない。血や肉や魂になる情報は入ってこない。でも上はアメとムチで脅かす。「良い暮らしをしたいだろう。良い地位につきたいだろう。従わないヤツは全部クビだ」と。これでは、うまくいくわけがない。危機感を覚えます。

<親友対談 しなやかな反骨>(1)http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/784.html

*1 安倍晋三首相の長年の友人が経営する学校法人「加計学園」が、獣医学部を新設する国家戦略特区の事業者に唯一選ばれた際、「首相案件」として官邸側が特別の便宜を図ったのではないかとされた疑惑。
*2 ロシア大統領。
*3 中国国家主席。
*4 米大統領。
*5 トルコ大統領。
*6 城南信金元理事長。元全国信用金庫協会長。1899〜1989年。
*7 元衆院・参院議員。月刊誌「軍縮問題資料」創刊者。1906〜2000年。
*8 元衆院議員。官房長官、自民党幹事長などを歴任。戦争反対を訴えた。1925〜2018年。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019073102000144.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/834.html

[政治・選挙・NHK263] (番外)ナショナリズム 日本とは何か/いがみあう歴史の亡霊たち 姜尚中氏に聞く。最悪の日韓関係をつくり出すもの(朝日新聞社 論座)
姜尚中氏に聞く。最悪の日韓関係をつくり出すもの
【番外】ナショナリズム 日本とは何か/いがみあう歴史の亡霊たち

藤田直央 朝日新聞編集委員(日本政治、外交、安全保障)
論座 2019年08月01日

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インタビューに応じる姜尚中氏=7月26日、東京都内。藤田撮影

 日韓関係の悪循環が止まらない。修復不能にさえみえる深刻さだ。なぜこうなってしまったのか? 論座での連載「ナショナリズム 日本とは何か」に取り組む筆者が助言をいただく姜尚中・東京大学名誉教授(68)に、あらためて尋ねた。

 在日コリアン2世の政治学者として、日本と韓国の事情をリアルに知る姜さん。もつれ合う日本と朝鮮半島の近現代史を解きほぐしつつ、「歴史の亡霊を呼び出していがみ合う言動」に警告を発した。

■「ここまで悪くなるとは」

――令和になって3カ月になります。残念ながら日本にとってこの新たな時代のスタートは、1965年の国交正常化後で最悪に陥った日韓関係とともに記憶されそうです。なぜこうなってしまったのでしょう。

 ここまで悪くなるとは、正直予想していませんでした。

 韓国の前の前の李明博大統領が竹島を訪問し、天皇陛下への謝罪要求をしたことが、日本国民の韓国に対する反発の土壌になっていたと思います。前の朴槿恵政権と日本の安倍晋三政権との間で「慰安婦問題合意」という形で蓋をしたと思ったら、文在寅政権になって慰安婦に加え、徴用工の問題で蓋が外れてしまった。

 日本側にすれば、韓国との歴史問題はいつまでたっても埒(らち)があかないという世論が、安倍政権のコアな支持基盤よりも広がってきました。かたや韓国側には、安倍首相はかつて満州国政府で幹部を務めた岸信介首相の孫であり、その政権は右傾化した歴史修正主義だという、通り一遍の不信感があります。

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2018年4月27日、板門店で韓国と北朝鮮の軍事境界線を挟んで握手しようと手を伸ばす文在寅大統領(右)と金正恩朝鮮労働党委員長=韓国共同写真記者団撮影

 そうした中で文政権は、安倍政権が驚くほどのスピードで北朝鮮との関係正常化に乗り出した。日本が拉致・核・ミサイル問題を抱える北朝鮮に対し、韓国は昨年の平昌五輪を機に猛烈な勢いで接近しました。韓国軍艦から自衛隊機へのレーダー照射もあり、安倍政権に、これは日本の安全保障に関わるという危惧が生まれたのだと思います。

 それで日本が輸出管理強化に乗り出すと、韓国では経済侵略と受け止められ、日本製品の不買運動に野党も異を唱えられず、挙国一致になりつつある。北朝鮮がまた短距離ミサイルを撃ちだす中で、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)といった安全保障での協力への影響すら懸念される事態になっています。

■「統一ナショナリズム」への動き

――おっしゃるように応酬の原因は様々でしょう。ただ私には、冷戦下の朝鮮半島で分断国家として生まれた韓国で、近代国家としてまとまろうとするナショナリズムの模索が、なお続いていることが背景にあるように思えます。

 韓国のナショナリズムは途上にあります。いま韓国で起きていることは、朝鮮半島を南北に分断するナショナリズムを克服し、統一ナショナリズムをつくろうという動きです。北朝鮮にも金日成主席を建国の父とするナショナリズムのストーリーがあるので、それと合致するかはまだわかりませんが……。

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今年は3・1独立運動から百年。3月1日、日本の植民地時代に独立運動家らが捕らえられていたソウルの西大門刑務所の跡で記念集会があった=朝日新聞社

 韓国にとって、日本の植民地支配から解放された朝鮮半島の南側で建国した1948年は分断ナショナリズムの起点と言えます。では、北朝鮮に対する反共主義を超えた統一ナショナリズムの起点をどこに置くか。文大統領が考えるのは1919年です。

 日本が朝鮮半島の大韓帝国を併合したのは1910年ですが、植民地支配への抵抗運動が1919年の3月1日にソウルから始まり、上海に臨時政府もできました。この3・1独立運動こそ国民国家を築くためのコリアの始まりだ、と文大統領は思うわけです。

 戦後日本から見て、そんな韓国はとてもわかりづらい。北朝鮮という、韓国と全く別個で、しかも日本に脅威を与える国と一緒になることが理解できないのでしょう。そのギャップが互いの不信感を高めています。

■和解なき植民地支配

――日本にすれば南北接近が親日的な形で進めばいいのですが、文政権が南北接近の一方で示す日本への姿勢を見ると心配になります。1965年の日韓国交正常化の際に植民地支配当時の請求権問題は解決したはずなのに、なぜ慰安婦や徴用工だった方々への賠償問題が韓国で吹き出し、日本との関係を悪化させるのでしょう。

 それは、日本の植民地支配について、1965年に根本的には和解していないからです。国交正常化をした日韓基本条約では、1910年の韓国併合に至る両国間の条約について無効と明記しましたが、いつ無効になったかの認識はくい違っています。

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1930年頃、日本の植民地支配の拠点だった朝鮮総督府。いまのソウルにあったが、日本敗戦による解放から50年を機に金泳三大統領の指示で撤去された=朝日新聞社

 韓国併合条約について、日本側は、合法に結ばれたが、日本が敗戦を経て主権を回復したサンフランシスコ講和条約により「朝鮮の独立を承認」したことで無効になったと主張。韓国側は、日本が力を背景に韓国の主権を踏みにじって結んだ条約なので最初から無効だと主張して折り合わず、「もはや無効」という曖昧な表現で何とかまとめた経緯があります。

 これは実は、非欧米世界で初の近代国家を樹立した戦前の日本をどうみるかに関わってきます。日本は戦争で道を誤ったという時、多くの見方は中国侵略を本格化させた満州事変からというものでしょう。司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」にあるように、明治維新から日清・日露戦争まではかなり肯定的に捉えられている。

 ところが韓国側からすると、日本の砲艦外交は李氏朝鮮を不平等条約で開国させた明治初期から始まっていて、それが日清・日露戦争を通じて韓国併合を生み、統一ナショナリズムの起点である3・1独立運動へとつながっている。

 しかも、韓国併合条約が当初から無効かどうかは植民地支配の評価につながります。日本側には鉄道や港湾をつくっていいこともしたという見方もあるでしょうが、韓国側にすれば、それこそ慰安婦や徴用工が生まれたとても苦しい時代だった。日本の敗戦後も朝鮮半島は分断国家になり、数百万人が死んだ朝鮮戦争の特需で日本は復興しました。

 その日本との国交正常化で植民地支配について曖昧にされた我々は一体どういう存在なのかという葛藤が、韓国ではずっとくすぶっています。だから僕は、この問題はいつか出てくると思っていました。

■「冷戦終焉」へのギャップ

――その認識の違いは確かに深刻です。ただ、なぜいま出てくるのでしょう。

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今年大阪市で開かれたG20サミットの開始を待つ安倍首相(中央右)と文大統領(左半分の中央)。この場で握手はしたが、サミット期間中の日韓首脳会談はなかった=6月29日。代表撮影

 文政権に、朝鮮半島でも冷戦がようやく終わろうとしているという認識があるからです。米ソが対峙した冷戦下でも、韓国と北朝鮮の間は「熱戦」でした。韓国は反共同盟に属し、軍事政権下で国交を回復した日本に関し、過去の植民地支配をどうみるかなんて話は凍結されてきました。

 でも、欧州で冷戦が終わる頃から、韓国では民主化が進んでいきます。米朝対話も促して、分断から統一へと向かう最終ランナーが文政権という位置づけなんです。

 逆に冷戦下でも全方位的な通商国家として発展した日本には、韓国のような熱戦という意識どころか、冷戦という感覚すら希薄だったんじゃないか。むしろ冷戦後に中国や北朝鮮への脅威認識が高まって、朝鮮半島で冷戦が終わるという感覚も希薄だと思います。だから、これまでの日韓合意をどんでん返しするような文政権に対し、中国だけでなく韓国まで日本を軽んじるのか、といういら立ちが生まれやすいのでしょう。

■対北朝鮮外交が突破口に?

――韓国が戦後に築いた日本との関係を顧みず、戦前を起点に「一つのコリア」を目指すなら、日韓関係の修復はとても厳しいものに思えます。どうすればいいのでしょう。

 当面はGSOMIAが焦点です。 ・・・ログインして読む
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https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019072900010.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/863.html

[政治・選挙・NHK263] <親友対談 しなやかな反骨>(3) 元文科次官・前川喜平さん×城南信金顧問・吉原毅さん(東京新聞)
2019年8月1日 朝刊

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「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」創設の記者会見をする吉原毅さん(左)と元首相の小泉純一郎さん=東京都品川区で

 個人と対立しがちな組織の論理。その中で人はどう生きたらいいのか。対談は佳境に入っていく。

 吉原 しょうがないから歯車になるという選択肢もあるかもしれないが、それでは面白くない。前川さんも歯車のふりをしながら、変えなきゃという思いも持っていたわけでしょ。

 前川 ヨットは逆風でも前に進む。役人の立場から言うと、風に相当するのが政治の力。政治の力が正面から吹いている時、かいくぐりながら前に進む。

 沖縄・八重山の教科書採択問題がそうでした。中学の公民の教科書の採択で石垣市、与那国町、竹富町の三自治体の教育委員会が、同じ教科書を共同採択しないといけない縛りがあったが、意見が割れた。石垣市と与那国町が育鵬社、竹富町は東京書籍。東京書籍は基地問題の記述が充実し、育鵬社は領土問題をちゃんと書いていた。その時、担当の初等中等局長だった僕は無理やりは良くないと思うが、やれと言われて、竹富町に育鵬社の教科書を採択するよう地方自治法に基づく是正要求をした。面従腹背の腹背の部分では無理筋と思っていました。

 ちょうどそのころ教科書無償措置法改正案を作り、そこに共同採択地区を分けることができる仕組みを忍ばせたんです。沖縄県と竹富町の教育長とは裏で話して、法案が通ったら独立の採択地区にできるから踏ん張ってくださいと。県の教育長は半年粘った。二〇一四年に法律が通って、円満に採択地区から分離して採択できるようになった。

 吉原 素晴らしいですね。そういう話聞くと、ちゃんとした考えの人が組織のあちこちにいることで、組織が正しい方向でできると思う。トップダウン組織は、トップが狂うと暴走する。自立分散型ネットワーク型組織がいい。それぞれが考えて連携しながらやっていけば、穏当で最適で正しい解決方法につながる。考えてくれる人を大事にするのが良い組織です。

 前川 それぞれの組織の中のポジションに、一定の自由度や裁量はある。それぞれの頭で考えれば、組織もうまく回っていく。

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加計学園問題をめぐり記者会見する前川喜平さん。「あったものをなかったことにできない」と証言した=東京・霞が関で

 吉原 みんなが考えていく組織、そういう組織人にならないと。面白くないから辞表を突きつけて辞めちゃうというのは、一見かっこいいようだけど負け。なんとか踏みとどまって、正しい組織運営のために努力しなきゃ。前川さんの言っている面従腹背が正しい組織人としてのあり方だ。

 前川 そうだけど、かなり面従ばっかりしていた気もしますよ。今はメディアがねえ。東京新聞は何でも言える社風があるようだけれど、メディアが歯切れ悪くなり、権力に忖度する状況が出てくれば、国全体がおかしくなってしまう。

 吉原 うちの会社は五権分立でやっている。台湾は五権分立。司法・立法・行政の三権分立だけでは、バランスを保てない。行政に当たる執行、国会に当たる取締役会あるいは株主総会、それらを統合する内部管理がある。さらに人事権を独立させ、外部監査を付けて監査役が監視する。この五権をしっかりやれば、均衡ある組織運営ができる。

 前川 日本国憲法の中にも会計検査院という独立の組織がある。憲法上の組織ではないが、人事院もある。この会計検査院と人事院の地位が低下している。

 吉原 国会が組織を作ればいい。例えば原発事故の時の事故調査委員会。政府から独立した指揮命令系統で動かすことで、議論の余地を作ることが大切です。

 前川 六年半かけて、中央省庁の幹部を官邸の言うことを聞く人間ばっかりにしたから、下のレベルまで忖度感情の分厚い層ができちゃっている。それをちゃんと自分で考える人間に入れ替えていくのは、かなり時間がかかると思います。

 吉原 ところで道徳の復権が叫ばれていますけど、道徳教育を押しつけちゃダメだと前川さんは言う。じゃあどうしたらいいのか。

 前川 基本は自分の命を大切にすること、自分らしい生き方を大切にする自主性を持つこと。自分が大切だと思わなければ、人を大切に思わない。今の道徳教育が目指すのは滅私奉公で、自分を犠牲にしなさい、自分を抑えて全体の役に立つ人間になれという方向性を持っているが、危ない。全体のために抑圧された人間は、今度はより弱い人間を抑圧する連鎖が起こる。昔の軍隊みたいに。

 今の道徳教育をやっていくと、若い人はむしろ逃避する方向に行くと思う。ここ数年、実は不登校が増えている。どうやら学校が息苦しい場所に戻ってしまっている。いったん校則が緩まったけど、また厳しくなった。改正教育基本法第六条に「規律を重んじる」って条項が入って、後押しになった。規律を守れ、自分を抑えて全体に奉仕せよという、上からの道徳です。

 吉原 権力を握っている人の了見が狭いって言うか。なんとかしなくちゃって思い、品川区(東京)と一緒にこども食堂を開いた。

 前川 こども食堂とか夜間中学に出入りしていると、地域の力って捨てたもんじゃないと思います。お金にならないけど、それを喜んでやっている。労力で協力する人もいれば、お金で協力する人もいる。品川区のこども食堂は、ふるさと納税を使って支援している。返礼品じゃなくて、子供たちの喜びがお返しです。


連載<親友対談 しなやかな反骨>(1)前川さん「三位一体改革に反対 クビ飛んでもいい」 吉原さん「官僚なのにこんなブログ書いていいの」 
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/784.html

連載<親友対談 しなやかな反骨>(2)吉原さん「多様性が組織生かす」 前川さん「いろんな意見大切」
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/834.html

川喜平さん・吉原毅さん 親友対談「しなやかな反骨」(動画 32:18)
https://youtu.be/JAzRZSvdWoo
https://www.youtube.com/embed/JAzRZSvdWoo

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019080102000124.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/864.html

[政治・選挙・NHK263] 野党が東北で健闘、与党が都市で勝った本当の理由 米山隆一(朝日新聞社 論座)
野党が東北で健闘、与党が都市で勝った本当の理由
「今は都市で与党改憲派が強く、地方で野党護憲派が強い」という説明は正しくない。

米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士
論座 2019年08月01日 より無料公開部分を転載。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019073100005_1.jpg
開門と同時に初登院する参議院議員たち=2019年8月1日、国会前

■東北で5勝2敗と健闘した野党

 臨時国会が1日に開かれ、先般の参議院議員選挙で当選をはたした議員たちが、決意もあらたに国会に登院をしました。今回の参院選を振り返ると、32ある1人区で、自民党は22勝10敗とトータルでは完勝したといえると思いますが、岩手、宮城、秋田、山形、新潟、長野、滋賀、愛媛、大分、沖縄で負け、ことに我が地元新潟を含む東北7県(新潟は東北に含まれるかは新潟県人的には微妙な問題ですが、今回は含まれるとして扱います。)では、与党の2勝5敗と、与党のこの地域での弱さ、裏返せば、野党の健闘が際立つ結果となりました。

 一方で、例えば6議席ある東京選挙区では、自民が2議席、自民+公明+維新で4議席を獲得し、大阪では4議席中維新2、自民+公明+維新で4議席を獲得するなど、与党側(維新が与党に含まれるかも、大阪府民・維新支持者的に微妙な問題なのだろうと思いますが、今回はある面では与党、ある面では野党として扱いました。)が圧勝と言える状況となっています。

 この結果について、憲法改正に熱心な論者などは、「かつては都市でリベラルが、地方で保守が強かったが、今は都市で与党改憲派(自民、公明、維新)が強く、地方で野党護憲派(リベラル系野党)が強い。これは、今や有権者にとって、与党改憲派がリベラルであり、野党護憲派が保守と映っているからである」と解説し、少なからぬ人がこの論説を支持していますが、これは本当でしょうか?

 以下、本稿では、今回の参議院選挙で野党がなぜ東北で健闘したのか、その本当の理由を考えてみたいと思います。

■「地方は野党護憲派が強い」は間違い

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参議院の登院表示盤を押す打越さく良氏。打越さんは新潟選挙区で野党各党の支援を受けて当選した=2019年8月1日午前8時13分、国会内

 まず、私には縁が深い新潟県を例にとって話しましょう。今回、野党候補が与党候補を破りましたが、長らく新潟での選挙に携わってきた者として、先述した選挙結果分析には端的に違和感を覚えます。

 まずもって、「地方で野党護憲派が強い」が正しくありません。確かにこの参院選において、野党候補は東北地方で健闘しました。とはいえ、地方の中の地方と言えるいわゆる「郡部」は、圧倒的に保守の地盤であり続け、野党候補の健闘は、県庁所在地に代表される「1区」における支持の強さが主な原因でした。「地方で野党が強い」はより正確に言うならば、「地方における主要都市で野党が強い」なのです。

 そもそも、今回の参議院選挙で最も重視したい政策課題として有権者が挙げたのは、トップが「社会保障」で29%、以下、「経済政策」が21%、「消費税」が19%で続き、「憲法改正」を挙げたのは8%に過ぎませんでした(NHK世論調査https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/)。また、地方と都市の双方の有権者と接してきた経験からしても、地方において「護憲」に関心が高いとは到底思えません。あえて言えば、都市では「改憲」に対する許容度が地方よりは高いかもしれませんが、それも限定的です。

 むしろ実感としては、地方と都市における与党、野党の支持の差は、まさにNHKの世論調査が示す通り、「社会保障」「経済政策」についての評価の違いが影響している様に思えます。

■「ぬるま湯」成長に満足する都市の有権者

 残念ながら、地方と都市で興味のある政策と政党支持を詳細に比較したデータがなく、「感覚」の話になってしまうのですが、地方と都市において、政策に対する考え方がもっとも違うのは憲法問題などではなく、「現行の経済政策継続への信認」と、その裏返しとしての「社会保障の必要性」ではないかと、私は感じています。

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 都市、ことに東京は、アベノミクスの恩恵を受ける大企業が集中し、その波及効果は小さくありません。それ以前の問題として、東京は平成8年から現在に至るまで、年間10万人、0.7%程度の割合で、一貫して人口が増加し続けています。

 人口が増え続ける限り、原則として地価は上昇し、新しい住宅が作られ、新しい街ができ、新しい店舗ができます。人々は現状の「経済政策」に満足し、生活への不安は比較的小さく、「社会保障の必要性」はさして自覚されません。

 ただ、経済政策が満足するに値するかといえば、疑問を禁じ得ません。アベノミクスによる経済成長は、2012年〜18年の6年間に名目GDPで11%とされているものの、統計の変更により30兆円増加した分を差し引けば、掛け声倒れの4.7%にとどまります。7%程とされている実質GDPの伸びも、統計による増加分を差し引くと、わずか1%程度に過ぎず、「大きな成長」と胸を張れるようなものではないのです。

 にもかかわらず、リーマンショック後の不景気と、与党側がさかんに喧伝する「民主党時代の悪夢」がトラウマとなっているのか、都市の有権者はこの程度「ぬるま湯」成長の現状に満足しているように見えます。そこでは、変革への期待や意思はすっかり失われています。

 換言すると、都市における与党支持の高さは、都市の有権者がより大きな成長を目指した変革への意思を失い、アベノミクスの金融緩和と、人口の継続的増加によってもたらされている、経済と社会の相対的安定に満足して「保守化」したことにより、社会保障の必要性を感じないまま、いまの経済政策の継続を求めて与党に一票を投じていることが原因だと思えます。

■社会保障、経済政策の改革を求めた地方の有権者

 これに対して、地方、ことに東北地方では、年間0.7〜1.5%の人口減少に見舞われています。ちなみに、野党系が勝った各県の人口減少率を見てみると、岩手(-1.12%、3位)、宮城(-0.33%、36位)、秋田(-1.47%、1位)、山形(-1.04%、6位)、新潟(-0.92%、10位)、長野(-0.6%、20位)、滋賀(-0.01%、42位)、愛媛(-0.9%、11位)、大分(-0.75%、14位)、沖縄(-0.31%、46位)と、宮城、滋賀、沖縄をのぞけば、軒並み上位にあります(日本の人口推計)。

 人口が減る地域では、同じことをしていても、地価が下がり、空き家が増え、店舗が消えて行きます。地方の経済と社会は、まさに衰退の危機に瀕しているのです。

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 こうした実態は、地方の有権者に、救済策としての社会保障の必要性を強く実感させると同時に、現行の経済政策の変革を求める機運を生みます。これに対し、与党−特に地方自民党は「アベノミクスの果実の波及」を唱え、昭和の高度成長以来、10年1日どころか50年1日のごとく繰り返してきた「中央とのパイプを生かした大型公共事業による地方創生」にすがるのですが、それが実現しないことは、目の前の現実が示しています。

 要するに、地方においては、人口減少が引き金となって生じている経済・社会の衰退が、「社会保障の必要性の自覚」「経済政策への失望」を生み、それが与党への不満というマグマとなってたまっているのです。

 とすれば、地方における野党の健闘は、人口減少によって経済、社会が衰退していく現実の中で、地方の有権者が社会保障の必要性を自覚し、従前の経済政策にも失望したことで「リベラル化」し、社会保障制度、経済政策の改革を求めて「野党」に一票を投じていることが原因のように思えます。だからこそ、地方といっても郡部ではなく、改革によって経済・社会の好転が期待できる余力のある地方主要都市において、野党票が集まったのだと思います。

■野党共闘の積み重ねも奏功

 くわえて、ここまで述べてきた社会背景のもと、東北各県では以前から選挙を通じて与野党の勢力が拮抗する「政治状況」がつくられていたことが、今回の参議院選挙における東北での野党健闘のもうひとつの理由でしょう。

 私の地元である新潟県は、田中角栄・元首相を輩出した保守王国でしたが、恐らくは上記の様な社会背景をもとに伝統的に野党系も強く、2016年には、参議院選、知事選(私が当選しました)で野党側が連勝しています。

 選挙の現場にいたものとして、正直言って「野党共闘」は当初、極めてぎくしゃくしたものでしたが、勝ちが重なれば、人は相互をたたえ合い、相手の良いところを見るようになります。回数を重ねるごとに、各党会派が徐々に信頼関係を深めるようになりました。

 有権者の側も、当初は野党共闘に半信半疑だったでしょうが、勝ちが重なれば、「もしかして、野党統一候補も勝つかもしれない」と期待するようになります。選挙では、この「勝ち馬期待」を集めることは極めて重要なことで、これがなければ入り口の段階で人は見向きもしてくれません。

 まとめると、今回の参議院選挙における東北地方での野党健闘は、人口減少に伴う地域経済・社会の衰退を背景とした社会保障制度、経済政策の改革の必要性という社会背景と、そこから生じた個別の勝利を基に野党共闘を積み重ねることによって形成された与野党拮抗の政治状況との、相乗効果の結果であったと私は思います。

■人口減少が進展する一方の日本

 上記の分析は、「自民1強」が言われて久しい今後の日本政治に、新たな変化の芽を予言します。 ・・・ログインして読む
(残り:約1348文字/本文:約5197文字)

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019073100005.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/865.html

[政治・選挙・NHK263] 「贖罪の思い」忘れない タイ慰霊135回 元通訳兵・故永瀬さん 若者ら足跡たどる(東京新聞)
2019年8月1日

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タイでの経験を話す小林さん(左)と奥津さん=埼玉県飯能市で

 第二次世界大戦中、旧日本軍によるタイとビルマ(現ミャンマー)を結ぶ泰緬(たいめん)鉄道建設に通訳兵として関わった故永瀬隆さんの足跡をたどろうと、二十〜七十代の九人が二月、現地を訪れた。鉄道建設では、過酷な労働や食料不足から多くの連合国軍捕虜が亡くなったことから、永瀬さんは戦後百三十五回にわたりタイでの慰霊などを続けた。現地を歩いた若者は「僕らの世代が永瀬さんの記憶を継承していかなければ」と決意した。 (加藤益丈)

 五日の日程で行われたタイへの旅で埼玉県飯能市の大学四年小林奨さん(21)は、高さ十メートルほどの垂直の断崖が両側にそびえ立つ山道を歩いた。「ここで僕と同じ年ごろの若者たちが一日十二〜十六時間も働かされ、命を落としたのか」と胸を締め付けられたという。断崖は旧日本軍が泰緬鉄道の線路を敷くため捕虜らに掘らせてできた。食料不足などから多くの捕虜らが命を落とし「ヘルファイア・パス」(地獄の業火の切り通し)と呼ばれる。

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犠牲者の出身国の旗で埋め尽くされたヘルファイア・パス

 小林さんは断崖でオーストラリアや英国、オランダ、ニュージーランドなどの国旗を見つけた。犠牲者の故郷から訪れた人たちが持ってきたという。「いろんな国の人にひどいことをした」と実感した。同行した同市の私立高校講師の奥津隆雄さん(52)は「(国旗は)ここで何があったのか、忘れてはならないというメッセージだ」と話す。

 小林さんは二〇一六年八月、奥津さんに誘われ、泰緬鉄道建設に動員後に日本へ送られて命を落とした英連邦軍兵士ら約千八百人が埋葬されている横浜市保土ケ谷区の英連邦戦死者墓地での追悼礼拝に参加した。

 さらに、同年に公開された永瀬さんの晩年を追ったドキュメンタリー映画を見て「自分たちもタイへ行きたい」と思ったところ、追悼礼拝の実行委員や参列者にも同じ思いの人たちがいることを知り、一八年末に今回の旅が決まった。

 旅先では、一九五七年のアカデミー賞映画「戦場にかける橋」で有名となった泰緬鉄道の鉄橋を見たり、連合軍共同墓地で献花をしたりした。小林さんは「僕らの世代は『あの戦争は正しかった』と言う人が多く、タイでの体験を話すには勇気がいるが、実際に戦争になればひどい目にあうのは僕たちの世代。永瀬さんも共感を得られない時があっても一人で贖罪(しょくざい)を続けてきた。僕もあきらめず、まずは同じ年代の人とタイに行ってみたい」と話した。

     ◇

 今回で二十五回目となる英連邦戦死者墓地での追悼礼拝は三日午前十一時から。雨天決行。問い合わせは、奥津さん=電090(8495)0063=へ。

<永瀬隆さん> 戦後、岡山県倉敷市で英語塾を経営しながらタイへ足を運び続けた。英連邦戦死者墓地での追悼礼拝の発起人の1人で、国内でも非戦のメッセージを訴え続けた。タイの連合軍共同墓地では、元捕虜との再会を果たし「あなたは私が握手できるたった一人の日本人です」と言われた。2011年6月に93歳で亡くなった。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201908/images/PK2019080102100073_size0.jpg
タイの連合軍共同墓地で手を合わせる小林さん(右から3人目)と、頭を下げる奥津さん(左端)=いずれもタイで塚田マサ子さん撮影

https://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201908/CK2019080102000164.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo263/msg/866.html

[不安と不健康18] 不安を和らげる「情報源の多様化」 無意識の「エコーチェンバー構築者」にならないために (朝日新聞社 論座)
小林啓倫 経営コンサルタント
論座 2019年07月30日 より無料公開部分を転載。

https://image.chess443.net/S2010/upload/2019072400005_1.jpg

■主義主張が異なる複数サイトを閲覧すれば

 あなたはいま「不安」だろうか?

 ニュース系のサイトでこんな話をするのも変かもしれないが、ニュースを見れば嫌な事件や事故ばかりだ。犯罪、自然災害、政治腐敗……むしろ不安にならない方がおかしいかもしれない。

 警備会社のセコムが、毎年「日本人の不安に関する意識調査」というアンケートを行っている。2018年12月に発表された最新の調査https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000036837.htmlによれば、実に2012年以来7年連続で、調査対象者(20歳以上の男女)の7割以上が「最近不安を感じている」と回答した。具体的な「不安」の内容を見てみると、1位が「老後の生活や年金」、2位が「健康」、3位が「地震」という結果になっている。

 一方で、「不安を解消するために何か対策しているか」という問いには、およそ7割が「対策していない」と答えたそうだ。漠然とした不安を抱えながら、特にこれといった対策を打たないというのも、極めて不健全な状態と言わざるを得ない。

 そこで今回は、米メリーランド大学が行った研究の成果に基づき、不安を和らげるための対策をひとつ紹介したい。それは「情報源の多様化」だ。

 メリーランド大学の研究者、ブルック・オージエとジェシカ・ヴィタクは、今年5月に共同で「デジタルニュース環境におけるカスタマイゼーションとエコーチェンバー構築の動機となる要因」https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/2056305119847506と題された論文を発表した。この研究において彼らは、アマゾンのサービス「メカニカル・ターク」(同社のウェブサイトを介して、世界中にいる不特定多数の人々にさまざまな作業を依頼し、その結果もウェブを通じて得られるというもの)を利用して317人の米国人にアンケートを取り、彼らがどのようなデジタル情報源(ニュースサイトやソーシャルメディア、モバイルアプリ等)からニュースを得ているのかを調査した。そしてその結果に基づき、調査対象者を「エコーチェンバー構築者」と「ダイバーシティ(多様性)模索者」に分類した。

 エコーチェンバーとは「残響室(音が響いて残響が長い間続くように設計された部屋)」を意味する英単語なのだが、コミュニケーションの文脈で使われた場合、「同じような意見しか交わされない、閉じたコミュニティや情報ネットワーク」を意味する。つまり対象者を、「似たような(自分の考え方と一致する情報を提供してくれる)情報源にしか接しようとしない人」と「情報源の多様性を積極的に求めようとする人」に分けたというわけだ。

 研究者たちはそれと同時に、調査対象者に対して、最近の出来事についてどの程度の不安を感じているかも尋ねた。そしてエコーチェンバー構築者とダイバーシティ模索者の間で、不安感の程度に差があるかを確認したのである。

 結果はご想像の通り、多様な情報源に接しようという姿勢を持つ「ダイバーシティ模索者」の方が不安感が少ない、というものだった。オンライン上でさまざまな、すなわち主義や主張が異なる複数のニュースサイトを閲覧したり、他のユーザーと交流したりといった行為を積極的に行うと回答した人々は、現在の出来事に対する不安のレベルが低かったのである。

 この研究では、「なぜ情報源を多様化すると不安が和らぐのか」の理由までは踏み込んでいない。したがって、因果関係が逆、つまり心に余裕がある人ほど自分とは異なる意見や、自分を否定するような主張に接することも厭わないという可能性もあるだろう。とはいえ多様な意見に接しているかどうかと、現状に不安を感じるかどうかに相関関係があるというのは興味深い研究結果だ。

■意識的に探しに行かなければ情報の多様性は広がらない

 前回の記事https://webronza.asahi.com/business/articles/2019052400005.htmlで、アマゾン傘下にある企業が、ユーザーが住む地域のローカル犯罪情報を配信するアプリを提供していることについて解説した。このアプリに対しては、犯罪被害を抑制するという目的は認めつつも、犯罪ばかり取り上げる情報源に接することで、ユーザーが余計な不安を煽られたり、偏見や憎悪を増したりするのではないかといった指摘がなされている。実際に、メディア接触のあり方によって現実に対する認識が変化するという研究は他にもなされており、「ネガティブな情報に触れすぎると必要以上に不安を覚えるようになる」というのは、体感的にも頷けるところがあるのではないだろうか。

 その上で考えられるのは、異なる視点を持つ複数の ・・・ログインして読む
(残り:約1481文字/本文:約3347文字)

https://webronza.asahi.com/business/articles/2019072400005.html
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/779.html

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