ライフスタイル 2019/02/16 20:00
ベッドを揺すれば睡眠の改善に? 新たな研究結果が示唆
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Bruce Y. Lee , CONTRIBUTOR
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Volha_R / shutterstock
科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された最近の研究によると、就寝時に体を揺すられることで寝付くまでの時間が短くなり、睡眠は深く長くなり、睡眠中に記憶が固定されやすくなるかもしれない。
体を揺らすことは、これまで乳児を眠らせる方法として活用されてきた。しかし今回の調査結果は、体を揺らすことが大人にも同様に睡眠改善効果をもたらすかもしれないことを示している。
大人を対象として実施された同調査の被験者は、20〜27歳の健康な成人女性10人、成人男性8人だ。ジュネーブ大学とローザンヌ大学の研究者らは被験者を集め、実験所で各自2晩睡眠を取らせた。被験者らは、1晩は動かないベッドで、もう1晩は揺りかご効果のあるベッドで眠った。
揺りかご効果のあるベッドは、横方向に10.5センチメートルの幅、周波数0.25ヘルツで、一晩中優しく揺れるよう設定された。ベッドは4秒に1度、左右に揺れるサイクルを繰り返す。
ベッドの動きは、次の動画で確認できる。
研究者らは、静止しているベッドと揺りかごベッドを経験する順番を被験者ごとに変え、一部は1晩目に静止したベッド、2晩目に揺りかごベッドで就寝し、その他は逆の順番で眠った。各被験者は、実験室で眠った影響を無効にするため、1晩目と2晩目の間に5〜14日間自宅のベッドで眠った。実験室での就寝中は、脳波を含め睡眠のあらゆる側面が監視された。
被験者らは、実験室で睡眠を取った夜の前後に注意力と記憶のテストを受けた。注意力テストは、コンピューターの画面中心に次々と現れる十字記号に対しキーを押す反応の速さを測るものだ。また記憶のテストでは、実験室で就寝する前に46組のフランス語の単語ペアを見せられ、睡眠の前後にどれほど覚えられたかを測定した。
これにより、被験者が睡眠を使って記憶を固定し、就寝前に見たものを眠っている間に長期記憶に変えることができたかどうかを測定できる。
結果として、揺りかごベッドを使用した晩の方に大きな効果が確認された。被験者は就寝時に揺すられた場合、寝付きが早く眠りが深かったのに加え、就寝時間は長く、1晩の間に目が覚める回数も少なかった。またフランス語の記憶テストでは、揺りかごベッドに寝た時の方がより多くの単語ペアを覚えていた。研究チームはまた、被験者の脳波にも関連の変化があることを発見した。
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さらに同研究チームは、マウスを対象に同様の実験を実施しており、こちらもカレント・バイオロジー誌に発表した。同研究では、カゴを揺らすことでマウスが睡眠を始めるまでの時間が早まり、長時間眠る可能性が指摘されたが、人間に見られたような睡眠の質の改善効果は確認されなかった。
では、揺すられることが睡眠に効果的な理由は何だろう? どうやら周期的な外部の動きにより、頭の中の電気的活動に適切なリズムが設定され、それが睡眠を促進するようだ。こうした効果をもたらしているのは、バランスを感知・維持している内耳の前庭器官かもしれない。実際マウスを使用した実験では、前庭器官を持たないマウスの間ではカゴを揺らすことの睡眠効果が確認されなかった。
適切な内部リズムを設定することが重要であり、どのような揺すり方でも睡眠に効果があるわけではない。継続的に激しく揺する動きの場合は、おそらくあまり効果がないはずだ。睡眠誘発的な動きがどこから睡眠を破壊する動きになり、不快感や吐き気さえもたらすようになるのかはいまだに明らかにされていない。また、これが人によって、あるいは人とマウスでは異なることさえ考えられる。
さらに、人を対象とした今回の研究では、短期的な効果を見ただけだ。揺りかごベッドで数日、数週間、数カ月、あるいは数年眠った場合もこうした効果が持続するだろうか? より詳細な調査が必要とされるため、ベッドを巨大な揺りかごやケージに変える前に一度考えた方がよさそうだ。
これらの調査結果はどちらにせよ、近い将来生じる睡眠問題に対し、新たなアプローチを生む可能性を秘めている。
睡眠障害は広く見られる健康問題で、米国立心肺血液研究所(NHLBI)の推定では5000万〜7000万人の米国人を悩ませている。薬の服用は長期的に見ると(あるいは短期的に見ても)良い解決策ではなく、その他の選択肢が強く必要とされている。成人も赤ん坊のように体を揺すられることで、すやすやと眠れるようになるかもしれない。
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