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[政治・選挙・NHK294] 遠くにあった政権交代の足音が、いま急速に近づいている 古谷経衡 猫と保守と憂国(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[361] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年5月30日 15:57:37 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[474]
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祖国にいながら外国人に怯えて暮らすのか 「受け入れろと」と他人の国で暴走する移民たち
WiLL2024年7月号 イスラム思想研究家・麗澤大学客員教授 飯山陽
■クルド人がまた犯罪
先の衆議院東京15区の補欠選挙は、たくさんの応援を頂きましたが力及ばず落選してしまいました。
皆さんのお陰で、最後までマイクを握ることが出来ました。
今回、選挙に出馬した理由の1つが、日本の移民国家への道にストップをかけるためです。
しかし現状は厳しく、またクルド人による犯罪が起きました。
しかも今度の被害者は何と女子中学生です。
産経新聞オンラインの記事(2024年4月5日付)です。
「女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署は2024年3月7日、不同意性交等の疑いで、トルコ国籍でさいたま市南区大谷口の自称解体工、ハスギュル・アッバス容疑者(20歳)を逮捕した」
「『日本人女性と遊んだが暴行はしていません』と容疑を否認しているという」
再度確認してみると、この記事は削除されており、追加の記事では容疑者は匿名にされていました。
実名は
「デイリー新潮」
やまとめサイトのみで閲覧できます。
容疑者の居住地はさいたま市ですが、川口署が逮捕したということは、川口市で活動するクルド人の居住地が近隣の市にも広がっているということでしょう。
トルコ国籍のクルド人の多くはイスラム教徒ですが、一般的にそれほど信仰に熱心ではありません。
しかし、クルド人文化は、イスラム教文化と共通する所が多く、その1つが女性や性に関する文化です。
イスラム教では、異教徒の女性は二重の意味で卑しい存在とされており、尊厳を持つ人間として扱われません。
更にイスラム教には、性行為や結婚をしても許される最低年齢という概念がありません。
イスラム教徒の男性の中には、本件のような
「異教徒の女子中学生」
というのは、性的に何をしてもいい存在だと思っている人がいる可能性があるのです。
イスラム教徒の移民による、現地の女性たちに対する性暴力事件がヨーロッパで多発している背景には、このようなイスラム教の女性観、異教徒観があります。
イスラム教徒の男性は、異教徒の女性には何をしても構わない、髪や肌を露出させているのは尊厳がないことの証であり、むしろレイプされたがっているのだと、そう理解してしまうことがあるのです。
私はイスラム教の研究者ですから、イスラム教が如何に土着文化を侵食する力を持っているかを知識としてだけでなく、実感としても知っています。
世界にはこうした文化や価値観を当然とする人々が多く存在するため、理想の多文化共生・異文化共生を現実のものにするのは困難です。
実現したいのならば、外国人に対し、
「あなたの常識は日本では受け入れられない」
「日本では日本のルールを守ってもらわねば困る」
と、ハッキリと徹底的に主張するしかありません。
更に、外国人の子供には出来るだけ早いうちから、日本のルール、文化に馴染んでもらう必要があります。
フランスでは、2019年から義務教育が始まる年齢を6歳から3歳に引き下げました。
その背景には、自国の文化や風俗を守るために移民を教育する意図もあります。
一方で日本には、こうした対策は一切なく、多文化共生・異文化共生は素晴らしい、日本人は外国人の文化を理解し、受け入れろと主張するだけです。
このまま何の対策もしなければ、先述のような事件は今後更に増えるでしょう。
■何が、権力の監視役か
にもかかわらず、政府や自治体、企業、そしてメディアも、日本社会に対して影響力(インフルエンシャル)な発言権を持つ”権力者の皆さん”はこぞって、
「活力維持に外国人が必要だ!」
と声高に言います。
読売新聞オンライン版でも
「外国人・高齢者 活力維持へ重要『育成就労』『特定技能』着実に・・・人口減抑制」
と題して、次のような記事が掲載されました。

<人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない>
<政府は今年(2024年)、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の創設を決めた>
<掲げたのは「人材の確保と育成」>
<帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った>
(中略)
<外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる>
(中略)
<業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある>
<その司令塔として、政府に「誘致戦略本部」を創設すべきだ>
<制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する>
(2024年4月26日付)

日本社会が人口減を抑制し、活力を維持するためには、外国人をどんどん日本に受け入れることが必須だとして、読売新聞がわざわざ提言しているわけです。
読売新聞だけでなく、既に国から企業まで皆揃って同じ事を言う有り様です。
外国人が必要だ、というのは、つまり”移民推進”です。
多様性の奨励はそのための地均しです。
多様性のある社会は
「活力を維持する」
と盛んに宣伝し、多様性を促進するために移民を受け入れる必要があるとして事を進める。
そもそも自民党は2016年3月15日の
「労働力の確保に関する特命委員会」
の初会合時に、政調会長の稲田朋美議員が
「日本は移民政策は採らない」
と明言した上で、議論を開始しています。
ところが、その8年後の2024年、岸田政権が在留資格
「特定技能」
について2024年度から5年間の受け入れ枠をこれまでの2倍を超える82万人とすると閣議決定しました。
8年前・2016年の方針を平気で変え、国民に嘘を付く、これが自民党政権です。
そしてこの嘘を嘘だと指摘せず、政府方針に同調しているのがメディアです。
何が
「権力の監視役」
でしょう。
「笑わせるな、愚か者!」
と言いたくもなります。
■7つの大罪である理由
読売新聞が提言した、
「日本社会の人口減を抑制し活力を維持し、成長を続けるためには外国人移民が必要だ」
という主張は完全に間違っています。
理由は7つー。
第1に、人口減の埋め合わせをするために移民を受け入れるなら、考えられないほど多くの移民を受け入れなければならないため、この政策自体が非現実的であることは、国連の調査でも明らかになっています。
第2に、人口減を埋め合わせするために移民を受け入れても、日本人でない人が増えるだけなので、日本で外国人による人口の置き換え(人口が増加も減少もしない均衡した状態になる)が進むだけです。
これを
「人口減の抑制」
だと言う人は、日本が日本でなくなることを積極的に推進する人たちです。
第3に、不足する労働力を補うために移民を受け入れても、移民もいずれ年を取って働けなくなります。
日本は今、永住を認めるという条件で移民を受け入れようとしていますが、労働力だったはずの移民は遠からず、日本の福祉によってその生活を支えなければならなくなります。
■移民と社会の暴走
第4に、不足する労働力を補うために移民を受け入れると言いながら、日本政府は彼らに家族の帯同を認めています。
5人、10人の家族を帯同すれば、移民の安い賃金では家族全員を養えなくなり、その分を補うのは、私たちの福祉、つまり税金です。
労働力が必要だと言って外国人を受け入れたのに、彼らの生活を我々の福祉で支えなければならないという事態が生じます。
労働力として受け入れた移民が、働く意欲を失ったり、病気になったり、失職すれば移民の家族の生活は、私たちの税金、私たちの福祉で支えなければならない。
これは移民を多く受け入れた欧米で実際に発生している問題です。
第5に、労働力として移民を受け入れれば、日本人の賃金が下がります。
政府が推進するインフレを上回る程度まで賃上げをする方針とは、正反対のベクトルに進みます。
サウジアラビアは移民を多く受け入れている国の1つですが、企業に一定数の自国民の雇用を義務付け、給与体系も外国人とは異なる水準を義務付けています。
しかし日本にはこうした規制はありません。
安い移民労働力を受け入れれば、企業と経営者が得をするだけで、日本人の労働者は専ら損をします。
これでは日本社会を弱体化させるばかりで、
「活力の維持」
どころではありません。
第6に、世界の文化の中には、日本の文化、伝統、常識、法律とは相容れない、矛盾するものが大量にあるため、全て受け入れれば、社会が混乱し、秩序が乱れます。
第7に、移民が増えれば間違いなく治安が悪化します。
現在、警察は外国人の犯罪を見逃し、仮に逮捕しても検察が不起訴にして犯罪者を無罪放免にします。
警察を恐れない”無敵の外国人”が、日本社会で暴走し、好き放題に犯罪に手を染めているのは、こうした背景があるからです。
外国人が増えれば、この状況は更に悪化するでしょう。
日本人は祖国にいながら、外国人に怯えて暮らさなければならなくなり、警察に守ってもらえなければ、自衛せざるを得なくなります。
犯罪の被害者となっても、誰も助けてくれない、そんな世の中にしたいですか?
■”聖域”という名の移民都市
2024年5月1日、バイデン大統領はワシントンでの集会で、日本経済が低迷している理由として
「外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」
と述べました。
そんなアメリカでは現在、不法移民が急増しています。
米南西部の国境を越えて拘束・保護された不法移民は2023年度(2022年10月〜2023年9月)に247万人と3年連続で過去最多を更新。
かつてはメキシコや南米各国からの流入がほとんどでしたが、今は、中国などから中南米を経由してアメリカを目指す不法移民も増えています。
バイデンの
「外国人好きで移民を望む」
政策が、世界中から不法移民を引き寄せているのです。
アメリカ内で移民に寛容な都市、いわゆるサンクチュアリ・シティ(聖域地域)の代表がニューヨーク市です。
ニューヨーク市では移民を10万人ほど受け入れ、日々増え続ける移民の数に悲鳴を上げ、2022年10月に民主党のエリック・アダムス市長がとうとう非常事態を宣言しました。
「移民はニューヨークのストーリー(歴史)の一部で、アメリカの一部でもある」
「しかし移民政策は崩壊している」
「国家的危機だ」
「もう限界だ」
「市単位の予算には限りがあり、思いやりだけではどうにもならない所まで来ている」
アダムス市長は移民の受け入れの危機的状況を踏まえ、度々このように訴えてきました。
ニューヨーク市の移民関連の予算は2024年度が約42億ドル、2025年度が約49億ドルと巨額です。
その後、アダムス市長は法律違反の疑いのある移民を保護してきた政策を転換する考えを示しています。
つまり不法移民を矢継ぎ早に受け入れる政策を採った結果、市が財政破綻しかかっているのです。
ニューヨーク市に限らず、不法移民を受け入れた州や都市は軒並み財政や治安が悪化し、地元住民の不法移民に対する感情も悪化しています。
今や28%のアメリカ人が不法移民の問題は、アメリカにとって最大の問題だと認識しています。
■”日本”であるために
一方、日本はどうか。
岸田政権は今まさに
「移民を望む」
政策を採りつつあります。
アメリカで不法移民に厳しい共和党が政権を取れば、アメリカに殺到している世界の不法移民が、今度は日本に殺到するでしょう。
今度は日本が不法移民の”サンクチュアリ(聖域)”になろうとしています。
日本が日本であり続けること、日本が国民にとって安心して暮らせる祖国であり続けること、日本人の暮らし、豊かさ、安全が守られることが何より大事です。
移民受け入れ推進は、こうした安心・安全を全て破壊します。
しかし今の日本の国会議員に、日本国民の安全を主張する人はほとんどいません。
彼らは皆、嘘を付き、移民を受け入れることによって起こる問題に言及する人はほとんどいません。
移民によって破壊された欧米社会や、先述のクルド人による性的暴行事件が彼らには見えていないのでしょうか。
文化や価値観の違いによって生じる事件、財政や治安の悪化などが起き得る移民政策を阻止する必要があります。
日本が移民問題で苦しむ欧米のようになるのは、時間の問題です。
私たちにとって大切な日本という国を、守り抜かなければなりません。

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

中学生に性的暴行したクルド人は難民申請中だった 地元市議は「実態を正しく直視するべき」
2024年4月5日
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04050558/?all=1
埼玉・川口市でクルド人男性が不同意性交容疑で逮捕された。
女子中学生に性的暴行をした疑いである。
実はこの男性、難民申請中だった。
悲劇の主人公のはずの
「難民」
が他人を悲劇に追いやる、その実態とは。
 ***
報道等によると、2024年3月7日に逮捕されたのはさいたま市に住むハスギュル・アッバス容疑者。
トルコ国籍の20歳、解体工だという。
事件があったのは2024年1月13日のことだ。
アッバスは都内の女子中学生とSNSで知り合い、複数人でドライブ。
2人きりになった後、川口市内のコンビニの駐車場に停車し、車内で犯行に及んだ。
行為の時間は約6分。
粗暴極まりない事件である。
川口市とその周辺でクルド系の住民と地元住民との間に軋轢が生じているのは周知の通り。
■市議も「不安に思う市民が増えている」
2023年7月4日は男女の揉め事で怪我をしたクルド人男性が川口市立医療センターに運び込まれ、それを巡ってクルド人が100人ほど病院に集結。
一時、救急搬送の受け入れが停止されるという大騒動が起きた。
「不安に思う市民が増えていると感じます」
とは、川口市議の奥富精一氏。
「これまでも一部のクルド人が改造車で危険運転や違法駐車をしたり、あるいは喧嘩をしたりという事例が見られてきました」
2023年6月には市議会で
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」
が採択されている。
「そこにきて今回の事件ですから、市民の不安が益々増したとしても不思議ではありません」
■クルド人増加の背景事情
クルド人とは、中東のトルコやイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に住む「国を持たない民族」。
川口は彼らが集住する地域として知られ、現在、2000人以上が暮らしている。
「彼らは難民申請をしているケースが少なくない」
と言うのは、入管のさる関係者だ。
「トルコと日本は現在、短期滞在ならビザは必要ではありません」
「で、ノービザで入国し、滞在期限が切れるまでの間に難民申請を行うんです」
「すると、その審査期間中は強制送還が止められる」
「川口に来るクルド人の多くは、ある特定の地域の出身です」
「こうした仕組みで入った人たちが地元の親類縁者を呼び寄せ、数が増えていったんです」
今回の事件を起こしたアッバスも、先に日本に来た父を頼って幼少期に来日し、難民申請をした“移民2世”だという。
「実際、彼らが難民認定されることはほとんどありません」
「クルド人が母国で差別されているのは事実でしょう」
「が、難民条約が規定するように、自由が奪われたり、生活が著しく損なわれ、生命の危機が生じているかと言えば、そこまでとは認められないことが多い」
「申請期間中に日本で稼いで帰国するか、或いは子供が小中学校に長期間通うなどすれば、在留特別許可を貰えるかもしれない」
「クルド人増加にはこうした背景事情があります」
しかし、そうした入国経緯の者の中から凶悪犯が出れば、住民との摩擦が生じるのは当然の事だろう。
■グレる2世
この地域で長年、クルド人支援に携わってきた「在日クルド人と共に」理事の松澤秀延氏は、
「彼らも日本の社会に順応したいと思っていますが、日本側の拒否反応が強く、そこで絶望を感じてしまうことも多い」
と分析するが、
「今回の事件もそうですが、2世の中には学校に行かず、いわゆる“グレて”しまうケースも少なくない」
「この問題を指摘するとすぐ差別と言われますが、まずは実態を正しく直視することが重要だと思います」
(奥富市議)
多様性尊重――そんな建前だけでは語れない現実が、この川口には横たわっているのである。
週刊新潮 2024年4月4日号掲載

外国人・高齢者 活力維持へ重要 「育成就労」「特定技能」着実に…人口減抑制[読売新聞社提言<7>]
2024/4/26 5:01
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240425-OYT1T50222/
■労働者に「選ばれる国」
人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない。
政府は今年、外国人技能実習制度に代わる新制度
「育成就労」
の創設を決めた。
掲げたのは
「人材の確保と育成」。
帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った。
外国人労働者を中期的に受け入れる在留資格
「特定技能1号」
も、自動車運送業や鉄道などの4分野を追加して16分野に広げた。
日本で暮らす外国人は増えており、約340万人に上る。
労働者は2023年10月末時点で約204万人だ。
政府は、育成就労と特定技能を
「車の両輪」
として、労働力を補っていく。
他国も受け入れを進めており、獲得競争を勝ち抜くには
「選ばれる国」
にならなければならない。
外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる。
農業や介護、建設など職種も幅広い。
業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある。
その司令塔として、政府に
「誘致戦略本部」
を創設すべきだ。
制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する。
育成就労では3年間働いた後、在留期間が5年の特定技能1号、永住が事実上可能な2号を段階的に取得してもらうことを目指す。
外国人の受け入れ先は主に地方の中小企業で、自力での育成には限界がある。
自治体の支援が欠かせない。
広島県は2023年、2号取得を目指す外国人を雇う企業に、最大300万円を補助する事業を始めた。
尾道市の
「因島鉄工」
はこの事業を使い、造船・舶用工業分野で全国初の合格者を出した。
その一人、ベトナム人のファン・ヴァン・マインさん(35)は
「将来は奥さんを連れてきて、ここでずっと働きたい」
と語る。
同社では試験対策として日本語講師を雇い、技能向上のための模擬試験を実施。
外国人向けの寮も整備した。
人材を繋ぎ止めるには、異国の地で働く外国人が暮らしやすく、文化に馴染める工夫も求められる。
■フレイル対策
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、2020年に7000万人超だった生産年齢人口は、2100年に3200万人に減る。
人手不足を補うため高齢者の力も必要だ。
内閣府の調査では、仕事で収入を得ている60歳以上の9割が、「いつまでも」を含め、70歳以上になっても働きたいと回答している。
企業は、技術や経験を持つ高齢者を積極的に受け入れるべきだ。
2040年には医療・介護人材が100万人近く不足するとされ、介護が必要な高齢者を少しでも減らしたい。
要介護一歩手前の状態「フレイル」の高齢者が対策を取った場合、5年後に15%が改善し、35%が状態を維持したという調査もある。
予防には食事や運動、就労といった心身の充実がカギを握る。

郷に入って「郷に従わん」外国人
直球&曲球 宮嶋茂樹
2024/5/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240509-H4LOHB4JIROYBC6FPXFOHBKM7Y/
日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
やて?
いやいや、バイデン米大統領、言葉は正確に伝えんとアカンわ。
多くの日本人が嫌いなんは、日本に来ても日本の文化や伝統、ルールを尊重せず、皇室を敬愛するどころか敵視するような外国人のことや。
日本人もどないかしとるで。
政・官・財・民、挙げて
「インバウンド」
景気やと歓迎して、いちびっとるけど、日本に来る観光客や定住外国人は、当たり前のことやけど、善意の人≠ホかりやないんやで。
最初から転売目的で爆買い≠オたり、白タクで荒稼ぎしたりしとる外国人も後を絶たん。
オーバーツーリズム
(とある地域を訪れる人が急増したことにより様々な問題が発生し、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況のこと。日本では「観光公害」とも呼ばれており、県や市といった全体で起きるものではなく、「〇〇市の橋周辺」や「春の〇〇府の寺院」など、特定の場所や季節、時間に起きるものを指す言葉)
の弊害も深刻や。
そこで暮らしとる日本人が多大な不便や迷惑を強いられとる。
東京や大阪じゃ日本人が泊まれるホテルを探すだけで一苦労や。
富士山もゴミだらけやんけ。
これほど外国人観光客が日本に押し寄せる理由は色々ある。
メシがうまいし、安い。
種類も豊富や。
治安もエエし、皆が皆とは言わんけど、まぁ日本人は外国人に親切や。
しかし、一番の原因は昨今の円安やろ。
円安=日本が安う見られとるというこっちゃ。
ハワイやヨーロッパは無理やけど
「円安」
の日本やったらいけるわ、とな。
それでも、ワシは何もやみくもに外国人の観光客や定住者を締め出せ、と言うとるわけやないんや。
困っとるんは、日本に来てまで犯罪まがいのことをやったり、日本の法令に反する自分らの風習を認めろ、と叫んだり、日本を理解しようともしたりせん、外国人なのである。
海外の日本人を見てみい。
皆から嫌われんようにちゃんと努力しとる。
その国の慣習、ルールを尊重して気、遣っとる。
イスラム圏に行ったら、お祈りの時間は静かにしとるし、豚肉は食べんし、公の場では酒も飲まんようにしとる。
「郷に入れば郷に従え」
という、諺を知っとるからや。
その国の交通ルールから公共マナーまで、いくら日本人には理解不能でも尊重するで。
そんな日本人を
「外国人嫌い」
やて?
バイデン大統領、それはないで!

バイデン米大統領が同盟国を「外国人嫌い」と切り捨てた失言の背景
ポトマック通信
2024/5/9 7:00
https://www.sankei.com/article/20240509-MFUGY3GBRVNUJJQMQJDL5YUPEA/
バイデン米大統領は2024年5月1日、アジアや太平洋諸島系の支持者集会でこう述べた。
「米国経済が成長を続けるのはなぜか」
「理由は我々が移民を歓迎するからだ」
「なぜ中国は経済的に行き詰まっているのか」
「なぜ日本は困難な状況なのか」
「ロシア、インドはなぜか」
「理由は彼らが外国人嫌い(xenophobic)で、移民を望まないからだ」
人は異なる人種、言語、宗教、生活習慣の人々の存在に拒否感や嫌悪感を抱くもので、どの国も受容と葛藤の歴史を続けている。
私が驚いたのは、大統領の失言に慣れっこのはずの米メディアの反応だった。
「同盟国に否定的用語を使った意図は?」
との疑問だ。
バイデン氏がなぜ日印中露を一括りに
「外国人嫌い」
としたのか報道官の釈明を聞いても判然としない。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、米国の移民差別の事例を挙げて
「日本の友人たちがバイデン氏のコメントを受け流してくれることを願う」
と述べた。
流せなかったのか、日本政府は
「正確な理解に基づかず残念」
と申し入れをしたと聞く。
日印を軸に中露を牽制する政権のインド太平洋外交への影響を懸念する向きもあるというが、失言には本心や願望が表れることもある。
日本を権威主義陣営との橋渡し役とする新構想があるのかと想像した。

林官房長官、バイデン米大統領の「日本は外国人嫌い」 「正確な理解に基づかない発言」
2024/5/7 12:18
https://www.sankei.com/article/20240507-GHSI6VL6DRNXPNOBYGMUH7TUQU/
林芳正官房長官は2024年5月7日の記者会見で、バイデン米大統領が、日本経済が低調なのは外国人嫌いなためだと発言したことに関し
「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言で残念だ」
「米国には日本の考えや政策を改めて説明した」
と述べた。
2024年4月の岸田文雄首相の国賓待遇での訪米を踏まえ、
「日米関係はかつてなく強固であり、引き続き日米関係の一層の強化に取り組んでいきたい」
とも強調した。

バイデン氏の発言は「残念」 日本政府が米側に伝達
2024/5/4 16:01
https://www.sankei.com/article/20240504-UYFMDSHLXZKMPNKFYEN72HZNLA/
バイデン米大統領が日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言したことについて、日本政府は2024年5月3日までに
「正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」
と米側に伝達した。
関係者が明らかにした。
ホワイトハウスが公表した発言録によると、バイデン氏は2024年5月1日、ワシントンでの選挙資金集めイベントで、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛し
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
と語った。
ジャンピエール大統領報道官は2024年5月2日、バイデン氏の発言について
「移民が如何に米国を強くしているかについて話した」
と記者団に釈明した。
記者から日本との関係を悪化させるのではないかと問われると
「日本とは力強い関係がある」
とだけ答えた。(共同)

日本や中国の経済不調は「外国人嫌いのせい」 バイデン米大統領が集会で発言、移民を称賛
2024/5/2 18:35
https://www.sankei.com/article/20240502-HXPLHHHEO5LJ5LECJI6HHSVFW4/
バイデン米大統領は2024年5月1日、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛した上で、日本や中国などの経済が低調なのは
「彼らが外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言した。
ワシントンでの選挙資金集めイベントで述べたと、ロイター通信が報じた。
2024年11月の大統領選で対決するトランプ前大統領の移民受け入れに消極的な姿勢を念頭に、バイデン氏は集会で
「移民こそが私たちを強くしてくれている」
と強調。
一方で
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)が2024年4月に発表した2024年の経済成長率の見通しでは、米国は2.7%で日本は0.9%。
一方、中国は4.6%、インドは6.8%となっている。(共同)

国貧しくする外国人政策
政策シンクタンク代表 原英史 
2024/4/28 8:00
https://www.sankei.com/article/20240428-7IRYKFFZSFP2TFLRAJTQM47IVE/
外国人の技能実習制度の見直しなどを内容とする出入国管理法等改正案の国会審議が始まった。
2024年4月26日、衆院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人の1人として陳述を行った。
私の述べた意見は、技能実習など個別制度の手直しの前に、まず
「外国人基本法」
を制定し、受け入れの戦略を明確にすべきだということだ。
政府は従来、なし崩しで外国人政策を進めてきた。
表向きは
「移民は受け入れない」
と言いつつ、実態は安価な外国人労働力の受け入れが拡大した。
日本人に十分な賃金を払って人材確保できない企業や業界が、安易に外国人労働者に頼り、入管行政も要望に応えた。
「国際協力」
が目的の技能実習制度などの悪用を政府が容認してきたのだ。
この結果、劣悪な労働環境や失踪などの問題が生じ、外国人による犯罪、社会的トラブルなども広がりつつある。
業界・企業が賃上げせず事業継続する道が用意され、賃金水準低迷の一因となった。
今回の改正案はこうした根本問題を解決するものではない。
「技能実習制度の廃止」
を掲げ、実態とかけ離れた国際協力の名目を人材育成などに改めてはいるが、実質大きく変わった点と言えば、転職を認めた程度だ。
看板の掛け替えに近い。
今後、人手不足が拡大する中で外国人受け入れの規模は拡大するから、これまでの戦略なき受け入れの負の側面は、更に大きく広がりかねない。
政府が今、行うべきことは戦略なき状態の解消だ。
国民的な議論も経て、
「外国人基本法」
を制定することが不可欠だ。
基本法ではまず、何のために外国人を受け入れるのかを明確にする必要がある。
「人手不足の解消」
を目的とするのは危うい。
業界要望に安易に応え続けることになり、日本人も含めた賃金引き上げを阻害し、日本をより貧しい国にしかねない。
安易な労働力の受け入れは社会的軋轢も生みやすい。
目的は
「日本を豊かにすること」
とすべきだ。
生産性を高めて経済社会を発展させるため、貢献できる質の高い外国人を戦略的に受け入れていく必要がある。
併せて、外交・安保政策の観点で人的交流を強化すべき国から重点的に受け入れるよう戦略性も求められる。
日本に限らず、移民を巡る議論は、賛否が大きく分かれ、イデオロギー・感情的対立にも陥りがちだ。
解決の道は、安易な受け入れでも全面的排除でもなく、日本国にとって有用な外国人材を選び抜いて受け入れることだと考える。
だが、今回の改正案はなし崩しの延長で、安易な外国人受け入れの道を広げ、社会の混乱を招き、日本をより貧しくしかねない。
必要なのは、なし崩し的な移民から戦略的政策への転換だ。

育成就労決定 永住資格を厳格化 税金滞納で取り消し
産経新聞2024年2月10日
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、外国人の永住許可制度を適正化する政府方針を決定した。
外国人永住者を巡っては、税金を滞納する事例などが確認されており、悪質な場合は在留資格を取り消せるよう要件を見直す。
政府は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度の方針を決定。
即戦力の外国人労働者を受け入れる在留資格を
「特定技能」
のうち、事実上永住できる特定技能2号への移行を促す同制度下では永住者の更なる増加が見込まれることから、悪質な外国人を排除する仕組みを整備する。
入管難民法は、永住資格の許可要件として素行の善良さなどを規定。
政府のガイドラインでは他に、納税義務の履行などを要件に挙げている。
一方、入管難民法で在留資格を取り消せるのは虚偽の申請で資格を得た場合などに限られ、税金や社会保険料の滞納を重ねても取り消されない。
関係者によると、永住資格取得後、納税などを拒むケースが複数、確認されている。
永住者は在留期限や活動に制限がない。
2023年6月末時点で約88万人で10年前から4割弱増加。
在留外国人の約3割を占める。

政府、外国人の「育成就労」新設方針 転籍1〜2年で可能 技能実習制度は廃止
2024/2/9 10:30
https://www.sankei.com/article/20240209-44RUQO4NEFNRPJT2WJRKPZ2X5Q/
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度創設を柱とする政府方針を決定した。
技能実習制度では原則認められていなかった転籍(転職)を原則1年で認める一方、最長で2年間、転籍を制限できるとした。
政府は2024年3月にも国会に関連法案を提出する。
技能実習制度を巡っては劣悪な労働環境の影響で人権侵害事案などが発覚。
政府の有識者会議が昨年、公表した最終報告書は技能実習制度を廃止し、育成就労制度を創設。
育成就労期間が1年を超えるなどの条件を満たせば原則、転籍を認めるとしていた。
その後、地方から都市部に人材が流出する可能性があるなどの懸念を払拭するため、転籍に一定の制限をかける必要があると自民党の部会が提言。
政府方針は、当面、業界ごとに最長で2年まで転籍を制限できるとした。
転籍時の日本語能力は、最も易しい日本語能力試験「N5」レベルや、基本的な日本語を理解することができる「N4」レベルを設定する。
転籍要件の緩和に伴い、悪質な転籍ブローカーの介入を防ぐため、転籍の仲介状況を透明化するための体制を整備をする他、資格のない外国人を雇うことを禁じる不法就労助長罪の法定刑を引き上げる。
受け入れの仲介を担う監理団体は
「監理支援機関」
とし、外部監査人の設置を義務付ける。
新制度は、人材の育成だけでなく確保も目的とし、受け入れる分野を特定技能制度と揃える。
育成就労期間を終えて日本語と技能の試験に合格すれば、特定技能1号に移行できる。

欧州、難民は「外国に送れ」の新潮流 メローニ伊首相「モデルになる」と意欲満々 
緯度経度 三井美奈
2024/2/9 9:00
https://www.sankei.com/article/20240209-O2HOXT6SKVMYXM4VF7UMMMLY64/
移民流入に悩む欧州で、
「難民を第3国に送る」
という奇策が浮上した。
イタリアと英国が先導している。
イタリアの計画は2023年11月、メローニ首相が発表した。
地中海を渡ってくる不法移民を隣国アルバニアに送るという。
2024年春にもスタートし、年間3万6000人を見込んでいる。
「欧州のモデルになる」
と誇った。
計画によると、アルバニアの沿岸に受け入れ施設を造ってもらい、イタリアに移民船が来たら、上陸させずに施設に直送する。
施設ではイタリアの職員が難民審査を行い、周辺の警備はアルバニアが担う。
難民資格が得られなかった人は、イタリアの責任で送り返すことになっている。
イタリアには2023年、北アフリカから移民船で15万人以上が押し寄せた。
イタリア政府は欧州連合(EU)加盟国に
「分担して受け入れを」
と求めたが、応じてもらえない。
そこで、アルバニアに
「EU加盟を支援する」
と約束し、合意を取り付けた。
地元紙によると、経費は5年間で推計6億5000万ユーロ(約1030億円)。
全てイタリアが負担する。
金と手間をかけて、わざわざ移民を外国に送るのには訳がある。
欧州人権法では、1度入国させると追放は極めて難しい。
難民資格がない人も申請を繰り返し、
「子供や病人がいる」
と法廷で訴えれば、強制退去にブレーキがかかる。
そこで
「とにかく入国させない」
ことが重要になった。
「我が国(イタリア)に来ても外国に送るからムダ」
と示し、密航を諦めさせる狙いもある。
メローニ氏は
「不法移民に危険な旅をさせずに済む」
と、抑止効果を強調した。
欧州研究機関
「国際移民政策開発センター」(ICMPD)
のマルティン・ホフマン顧問は
「よく練られたアイデア」
「EU域外の受け入れ施設でも、イタリア法で運営すれば『人権軽視』の批判をかわせる」
「うまくいけば、追随国が増えるだろう」
と予測する。
英国では今、
「移民のルワンダ移送」
法案が国会で審議されている。
英仏海峡を渡ってくる不法移民を6500km南のルワンダに送り、難民申請から定住まで委任することを目指す。
イタリアと英国は、人権団体や左派野党から
「残酷」
「難民保護の責任逃れ」
と批判された。
英国では2023年、当初法案に最高裁が
「人権侵害の恐れあり」
として違憲判決を示し、政局は大揺れになった。
それでも、第3国移送案への関心は高い。
デンマークの他、ドイツ最大野党の中道右派
「キリスト教民主同盟(CDU)」
が、EUによる取り組みを訴えている。
フォンデアライエン欧州委員長は、イタリア案を
「画期的」
と讃えた。
EUはこれまで、リビアやチュニジアに支援金を出し、移民船の出航を止めてもらおうとした。
EU加盟国で受け入れ枠を作り、負担を分け合うことも定めた。
いずれもあまり成果がない。
どの国も
「何とかしろ」
という世論の圧力に直面している。
注目が集まるのは、欧州人を良心の呵責から救う効果もあるからだろう。
各国政府は本音では不法移民を追い払いたいのだが、
「瀕死で救いを求める人を見捨てるのか」
という人権団体の訴えを無下にできず、常に逡巡している。
苦難の末にやってきた移民を、また外国に送る。
そんな方策に飛びつくほど、事態は切迫している。
2023年、欧州で難民申請件数は100万件を超えた。
地中海を渡る途中で死亡、行方不明になった移民は約3000人に上る。

「移民」と日本人 今年起きること
運転手は「移民」か「無人」か 外国人労働者に日本語力はもう問わない
2024/1/5 11:00
https://www.sankei.com/article/20240105-AFKGKWESRRKK3HLSIBZXGQEGLI/
★運転手は「移民」か「無人」か
東京都内の大手タクシー会社
「日の丸交通」
では平成29年から業界に先駆けて外国人運転手の採用を始め、現在では27カ国・地域の96人が在籍する。
全社員の5%を占める彼らは、タクシーやバスなど旅客を運ぶ車の運転に必要な
「第2種運転免許」
の合格者たちだ。
■現状は狭き門だが…
同社採用部の古舘博幸部長(55)は
「タクシー運転手として働きたい外国人は多いが、言葉の壁が厚かった」。
トラックなどを運転する準中型以上は外国の免許を比較的簡単に日本の免許に切り替えられる
「外国免許切替」
が主流で外国語での受験機会も広がっているが、2種に切替制度はなく、試験も日本語に限られている。
イタリア出身の男性運転手(44)は滞日16年。
日本人と結婚して永住権を持ち、英会話講師をしていたが、新型コロナウイルスの拡大で休校が増え、令和3年に転職した。
会話に自信はあったが、日本語の試験は厳しく、マークシートの文章問題90問、イラスト問題5問を50分で解かねばならない。
100点満点で合格は90点以上。
パスしたのは8回目だった。
■筆記試験を20言語に拡大
「一番大変だったのは漢字だった」
と男性は振り返る。
運転手を始めてからも方言や日本語独特の言い回しに苦労したという。
「国道246号を『にいよんろく』と言われてもわからなかった」
「バスタ新宿を『バスタ』と言われ、イタリア人だから『パスタ』とからかわれたのかと思った」
同社の外国人合格率は35〜40%。
西アフリカのガーナ人運転手は83回目で合格したが2024年4月以降、この合格率が飛躍的に高まる可能性がある。
警察庁は新年度から2種免許の外国語受験を認め、20言語に翻訳した例題を近く都道府県警へ配布するという。
背景には人手不足に悩む業界の強い要望がある。
法人タクシーの運転手数は2023年3月、23万2000人でコロナ前の平成31年3月に比べ20%減った。
厚生労働省によると、運転手の平均年齢は令和4年で58歳。
バスの53歳やトラックの49歳と比べ高齢化も著しいという。
■採用は企業側の判断
タクシー業界は国によっても様々だ。
アジアの一部では
「白タク」
まがいの運転手が横行している国もあれば、フランスなどでは我が国の2種免許のような試験がある。
英ロンドンでは地名や施設名の暗記など厳しい試験を通った人しか合格せず、その分社会的地位も高いという。
将来的には国内で外国語しかできない運転手がハンドルを握る可能性もあるが、警察庁の担当者は
「採用するかはタクシー会社側の判断だろう」
「日本語が全く出来ないのなら、普通は雇わないのではないか」。
一方で国土交通省は、人手不足の業種で働く在留資格
「特定技能」
の対象にタクシー運転手などを加える方向で関係省庁と協議を始めている。
特定技能の2号になれば、家族の帯同や永住も可能になる。

「移民」と日本人 今年起きること
自動運転「レベル4」 外国人労働者に代われるか
2024/1/5 11:05
https://www.sankei.com/article/20240105-JK5CFHCOPVIJJMMR3676XKTW64/
★運転手は「移民」か「無人」か
少子高齢化の進行で急速に減少している我が国の生産年齢人口(15〜64歳)。
令和22(2040)年には5000万人台に落ち込む見込みだ。
その解決策は
「外国人労働者」
以外にないのか。
■ホンダが目指す完全無人化
栃木県芳賀町にある本田技研工業の研究施設から白い車が公道に出た。
運転席に人は乗っているが、ハンドルは握っていない。
信号が赤に変わると、ゆっくり停止、青で走り出し、車間距離を保ちながらカーブもスムーズに曲がった。
お手本のような安全運転を、すれ違う車の運転手たちが興味深く目で追っていた。
車はホンダと米ゼネラル・モーターズ(GM)が共同開発した自動運転の試験車両。
赤外線レーザー5個、カメラ16個、ミリ波レーダー21個を搭載し、一部のセンサーが故障しても運転は安全に継続されるという。
ホンダが目指すのは、現在の自動運転技術で最高の
「レベル4」
の実用化だ。
国内では2023年4月、改正道交法の施行で解禁されたばかりだが、中国や米国では既に完全無人タクシーが公道を走っている。
■2年後にお台場で
我が国はまだ実証実験の段階で、事故責任など法的な側面でも越えるべきハードルがあるが、ホンダは2023年10月、国内の先陣を切って無人タクシーサービスを始めると発表した。
計画は2年後の令和8年1月、東京・お台場が舞台となる。
国内タクシー会社とも協業して配車から決済までスマートフォンで完結できる仕組みを目指すという。
「自動運転タクシーによる移動サービスは、これまでにない新たな選択肢となる」。
ホンダの三部敏宏社長(62)は記者会見でそう宣言した。

「移民」と日本人 今年起きること
「移民推進」リベラルは何をしている 治安、経済…真の弱者は誰か
2024/1/5 11:10
https://www.sankei.com/article/20240105-W3C7YZKGVZMDJNBRG2KUEG23XY/
★運転手は「移民」か「無人」か
外国人留学生に労働力を頼るコンビニ業界も、人手不足の解消策としてセルフレジ導入などの技術革新が進んでいる。
ローソンでは店員が遠隔からモニター越しに接客する
「リモート接客」
の実証実験も始めた。
■働く人がいなければ賃金は上がるはず
同社の竹増貞信社長(54)は
「技術の向上やデジタル化で効率化は図れるが、やはり人が働く部分とのバランスは必要だ」
「現状では外国人に頼らざるを得ない」。
労働力不足に端を発した
「移民推進論」は、
このまま我が国を覆い続けるのか。
文化や宗教、言葉の違いから、取り戻せないほどの治安悪化に苦しみ、ようやく移民政策の失敗を認めた欧米から学ぶことはないのか。
青山学院大学大学院の福井義高教授は、経済的視点から
「安易な移民推進は自国民の所得を下げるだけで、企業努力を妨げる」
と指摘する。
先進国で外国人労働者が従事するのは、自国民がやらないのではなく、現状の賃金ではやりたくない仕事だという。
仮に外国人という選択がなければ、自国民がやりたくなるまで賃金水準は上がり、企業はより一層の技術開発などで乗り切ろうとする、という考え方だ。
■高度成長期とは何だったか
安価な外国人が人件費を下げれば、結果的に自国民の賃金も抑えられる。
賃金を上げずに人が集まれば企業は努力しなくなる。
これは、経営者や株主だけが利益を追求する考え方だ。
外国人に頼らず、多くの日本人労働者が生き生きと働いて国力を上げた高度経済成長期は、その正反対の時代だったのではないか。
「本来、弱者の味方であるはずのリベラル層が多様性の名の下に移民政策に積極的であるのも矛盾している」
「仮に我が国が大量の移民時代を迎えたとしたら、治安や経済も含め本当の弱者は結局誰になるのか、国民1人1人が考える時が来ている」。
福井教授はそう指摘した。=おわり

「移民」と日本人 今年起きること
国保から墓場まで 在日イスラム教、土葬の現場に立ち会う
2024/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20240104-KUH2EZHOAZMS5ORR2F24W3GG4M/
★国保から墓場まで
■絶対に移民と言ってはいけない国
「異国の地で召された彼にアラーのご加護を」。
昨年暮れの夕刻、荒涼とした関東平野に広がる埼玉県本庄市の霊園にスリランカ人男性ら約90人が集まった。
神奈川県藤沢市に住んでいた同胞の70代の男性が死亡、遺体を土葬するために運んできたのだ。
■遺体は布に包まれ、土がかけられた
イスラム教徒は、預言者ムハンマドが土葬されたことや、聖典コーランにそのような教えがあることから、死後は土葬を望む。
ただ、火葬率が99.9%を超える国内に土葬可能な墓地は極めて少なく、この霊園が首都圏では唯一だ。
「われわれは土葬された後に来世が始まると信じている。父も満足していると思う」。
男性の長男(46)は目を潤ませた。
父親は故国では腕のよい仕立職人だった。
高齢になり、親族の暮らす日本に身を寄せていたところ、心臓の病気で急死したという。
墓地に重機が入ってきた。
運転手もイスラム教徒のボランティアで、深さ1.5メートルほどの長方形の穴が掘られた。
遺体は棺には入れず白い布に包まれた状態でゆっくりと降ろされ、土がかけられる。
司祭と参列者の唱和の後、土まんじゅうの頭の辺りに、灰色のコンクリートブロックの墓石が立てられた。
■全国で1000体が埋葬
「日本人の墓は、核家族化などで墓じまいが進み、ピーク時の4割に減った」
「入れ替わるようにイスラム教徒が増えた」
「日本人は墓参りにもあまり来ないが、彼らは熱心で、季節に関係なく夜中でも訪れる」
と霊園管理会社の男性社長(76)は言う。
霊園がイスラム教徒を受け入れ始めたのは令和元年。
東京都内のモスクから頼まれ、西アフリカのガーナ人を埋葬したのが最初だった。
以来、口コミで広がり現在はパキスタン、バングラデシュなど15カ国、100体余りが眠っているという。
イスラム教徒が土葬できる墓地は全国でも10カ所程度しかなく、現在の埋葬者は約1000人とみられる。
これまでは航空機で祖国に運んで土葬されることも多かった。
■イスラム系外国人も高齢化
イスラム系の外国人は以前から国内に在留していたはずだが、今改めて
「墓地不足」
が注目されるのは、外国人労働者の増加に加え、彼らの中に経済的に航空機を利用できない層が拡大していることもある。
更に以前は年を重ねる前に帰国するケースが多かったが、最近では日本で生涯を終える人もいる。
在留外国人の
「高齢化」
である。
早稲田大学の店田広文名誉教授(社会学)の推計によると、令和2年末時点で国内にいるイスラム系外国人は約18万人。
「お祈りもせず、酒も飲んで世俗化していても彼らは最期は土葬を望む」
「外国人労働者の増大で今後更に増える可能性は高く、近いうちに墓地も足りなくなるだろう」

「移民」と日本人 今年起きること
「安価」な移民 人生を丸ごと引き受ける覚悟はあるか
2024/1/4 11:05
https://www.sankei.com/article/20240104-J5QGWXOU65PBJAUU4JXQAC34JI/
★国保から墓場まで
外国人労働者を定住させることは、文化も風習も異なる彼らを丸ごと受け入れることに他ならない。
■スウェーデンは5人に1人
それは医療や教育、福祉、老後、更には墓場まで、その人の人生に我が国が責任を持つことでもある。
産業界は外国人労働者の受け入れに
「安価な労働力」
を期待するが、トータルコストを考えれば本当に
「安価」
と言えるのか。
2015年からシリアなどの難民や移民の受け入れを急拡大したドイツでは2019年、生活保護受給者の40%を外国人が占め、彼らの住居、教育、医療などの費用として毎月40億ユーロ(当時約4800億円)の公金支出があると公表した。
かつて
「ゆりかごから墓場まで」
の福祉国家と呼ばれたスウェーデンは人口1000万人の5人に1人の200万人が外国出身者とその子供となり、2022年に社会福祉を受けた16万世帯の57%が外国人世帯だった。
■荒川区は国保滞納30%
我が国でも、その兆候はある。
外国人が人口の1割の約2万1000人を占める東京都荒川区で2023年、国民健康保険の滞納状況を調べた結果、日本人世帯主の滞納率が14%に対し、外国人世帯主は30%と2倍以上の開きがあった。
国保は住民登録すれば外国人も加入義務があるが、保険料を支払わなくても病院では自己負担3割で最長2年間医療を受けられる。
滞納分は日本人が大半を占める国保加入者が負担している。
荒川区議(51)は
「国民皆保険でない国も多く、そもそも健康保険という概念が理解されていない」
「『病気でないのに、なぜ払うのか』という意識がある」。
区はネパールやミャンマーなど7カ国語のチラシ配布などで周知に努めるが、2024年からは家族も帯同しやすくなる在留制度も本格化する。
区議は
「子供や高齢者らが増える可能性もある」
「外国人と日本人で同一制度を維持しようという考え方は早急に見直すべきだ」。

「移民」と日本人 今年起きること
「異教徒と近い」 墓地でも宗教めぐる争い
2024/1/4 11:10
https://www.sankei.com/article/20240104-U4UZUNIFXVIJ3II7JFKK3WJNOY/
★国保から墓場まで
イスラム系の土葬墓地を巡っては地域住民との軋轢も生じている。
■遺体に遺体を重ねる
大分県日出町では、九州で初となる計画に水質汚濁や風評被害を理由に反対運動が起きた。
計画地は名水で知られる湧き水の水源近くにあり、墓地の水が飲用水に流れ込む懸念があった。
町は世界保健機関(WHO)の報告書などを基に影響はないと説明したものの、計画地を近くの町有地に変更。
2023年5月にイスラム教徒側と住民の間で合意が成立したが、今度は隣接市の一部住民が地下水の汚染を理由に反対した。
町は
「手続き上は進めざるを得ない」
として2024年中にも全79区画が完成する見込みだが、全ての区画が埋まれば、遺体の上に重ねて土葬する可能性もあるという。
近くに住む町議(74)は
「日本人は土葬とは縁遠くなり、正しい埋葬の仕方もよく分からない」
「将来的には何百体になるか分からず、町の行方が不安だ」
と話す。
■気の毒で引き受けたが…
埼玉県本庄市の墓地でイスラム教のスリランカ人男性の土葬が営まれた日、同じ敷地内で60代のペルー人男性の埋葬も行われた。
宗教はキリスト教だが故人の遺志で土葬を選んだ。
ただこれにイスラム教の遺族側からクレームが付き、ペルー人の墓は数十メートル離れた場所に急遽変更された。
「異教徒と近い」
と言い、敵対心を持った。
「他の墓地から排除されたイスラム教の人たちが気の毒で引き受けてきたが、今度は自分たちが排他的になっている」
「この墓地で宗教的な争いを起こしてほしくない」。
管理会社の社長は、そう懸念した。

「移民」と日本人 今年起きること
絶対に移民と言ってはいけない国 逃亡した技能実習生
2024/1/3 11:00
https://www.sankei.com/article/20240103-ZL4M2P7HQFJVBL3U43YAK7J7MM/
★絶対に移民と言ってはいけない国
「逃亡先」
の群馬県内のアパートで、ベトナム人女性(40)は同胞向けの求人サイトを開いて恐ろしくなった。
仕事内容は判然としなかったが、感覚的には半分が犯罪ではないかと思った。
金銭の運搬などもあり、ブローカーのような人物の書き込みもあった。
■留学生は学生か、労働者か
バカとも言われた
女性は平成30年、外国人技能実習生として来日した。
この制度では外国人が最長5年間、日本で働きながら技能を学べるが、厳しい職場環境などが原因で実習生の失踪などが相次ぎ、政府の有識者会議は20231月、現行制度を廃止し、新制度を設ける最終報告書をまとめた。
ベトナムの貧しい農村出身の女性は千葉県内のクリーニング会社に採用された。
工場で大量の衣服を洗ったり、乾燥させたりする単純労働だ。
同胞もおり、月収も手取り20万円弱で悪くはなかったが、ほどなく後輩が姿を消し、自身も来日から1年弱で逃げ出した。
女性は
「日本人工場長から『何故こんなことも分からない』と毎日怒鳴られた」
「『バカ』とも言われた」
「凄く厳しく、凄くうるさかった」。
■過半数占めるベトナム人
有識者会議では、こうした職場環境について
「人権侵害の疑い」
とも指摘したが、技能実習生そのものは年々増えている。
出入国在留管理庁によると令和5年は35万8000人で中規模都市の人口に匹敵する。
過去10年で2.3倍となった。
このうちベトナム人は18万5000人に上り1カ国で全体の過半数を占める。
必然的に失踪者も増え、令和4年の1年間で約6000人、失踪者全体の3分の2となった。
元警察官でNPO法人
「アジアの若者を守る会」
の沼田恵嗣代表(61)は
「人権侵害や暴力行為はあってはならない」
としつつも、一般的な指導や叱責を勘違いする外国人も少なくないという。
失踪者らと日常的に接している沼田代表にすれば
「中でもベトナム人は打たれ弱いと感じる」
「日本で働くモチベーションに疑問を抱くことも多いが、仕方のない面もある」。
■裏金で「優秀」と推薦
ベトナムでは実習希望者の多くが渡航費などの通常経費に加えて別途100万円程度の
「裏金」
を現地の送り出し組織に託している。
裏金があれば、その人物を
「優秀」
として日本側に推薦してくれるという。
「日本語をよく勉強して成績上位でも、裏金がなければ選ばれない」
「用意できれば、素行が悪くても来日できる」
「人材が適正に選定されていないのです」。
ベトナム政府は、不正な組織の許可取り消しを進めているが、道半ばという。
女性は失踪後、同胞のネットワークを通じて群馬県内のパチンコ台工場などで働いたが、精神的に限界を感じて自ら入管当局へ出頭、2022年12月に母国へ戻った。
現在は身元引受人を頼って再び日本で生活している。

「移民」と日本人 今年起きること
移民と外国人労働者はどう違う 「軍隊」は「自衛隊」に言い換え
2024/1/3 11:05
https://www.sankei.com/article/20240103-PZS32WQT3ROJ3LOBU6NIXLXF7Q/
★絶対に移民と言ってはいけない国
厚生労働省によると、令和4年の外国人労働者数は182万人で10年連続過去最多を更新中、10年前に比べ2.7倍に急増した。
■ついに現状を追認
欧米が移民を拡大した1990年代から、我が国は
「移民を受け入れない」
ことを“国是”として堅持してきたが、
「移民」
と言わないだけで
「外国人労働者」
は積極的に受け入れてきた。
「軍隊」

「自衛隊」
と言い換え、その本質に踏み込まない議論とよく似ている。
約30年前に始まった技能実習制度は2024年以降、どう変わるのか。
最も大きいのは
「人材育成による国際貢献」
から
「人材確保と人材育成」
に目的を変更することだ。
「実習生」
「見習い」
とみなしていた外国人を、実際には
「労働力」
としてきた現状を事実上追認するのである。
また、5年前に新設された在留資格
「特定技能」
と技能実習で職種を統一して新たな選択肢を示すことにもなった。
技能実習生も
「実習」
が終われば、特定技能に移行しやすくなる。
更に、特定技能のうち熟練技能を要する2号の対象をビル清掃や農業、漁業、外食業などにも拡大、2号は家族の帯同も認められるため、語学などの一定の条件を満たせば一家で永住も可能となる。
■まだ議論の余地がある
もはや、それは
「移民」
とどう違うのか。
「移民」
とは、広辞苑によれば
《労働に従事する目的で海外に移住すること》
である。
間近に迫った有史以来の大きな政策転換について入管行政関係者は
「投網をかけるように無制限に労働者を入れれば、玉石混交になる」
「対して一定の人材を選抜して一人前に育て上げるのは養殖のようなものだ」
「それを『移民』と呼ぶかどうかは議論の余地がある」。

「移民」と日本人 今年起きること
会社を変えられる技能実習生 都会に近づくベトナム人の反社組織
2024/1/3 11:10
https://www.sankei.com/article/20240103-GYQV3BLK2RLUXOKSJGUBKNQMIM/
★絶対に移民と言ってはいけない国
我が国では
「移民」

「外国人労働者」
の垣根が曖昧だ。
技能実習に替わる新たな制度では、一定の条件を満たせば、同じ分野で職場を変える
「転籍」
も容易になる。
これまでは最長5年間同じ職場に縛られていたため、労働者としての人権に配慮した格好だ。
■部隊を意味する「ボドイ」
ただ、農業や水産業などで多数の実習生を受け入れてきた地方からは不安の声も上がる。
最低賃金が高く、生活面でも魅力的な都市部へ人材が流出しかねず、労働者確保が難しくなるためだ。
現行制度でも給与面の不満で地方から失踪する実習生も多く、都会の孤独に耐えきれず、同胞同士で反社会的なコミュニティーを形成することも珍しくないという。
ベトナム人らがよく見ている求人サイトも同胞の失踪者らが作ったネットワークだ。
彼らを巡っては、現地語で部隊を意味する
「ボドイ」
と呼ばれる組織の暗躍も指摘されている。
■ベトナム人犯罪が最多
警察当局によると、その大半は元技能実習生でSNS(交流サイト)上には仕事や住居の斡旋に加え、預金通帳や偽造身分証の売買などの記録が公然と記されていた。
ベトナム人実習生らを支援しているNPO法人の沼田恵嗣代表は
「彼らだけがそうだとは言えないが、人が増えれば必然的に犯罪も増える」
「失踪者に加えて転籍者も都会を目指すようになれば犯罪の構図や地域性も変わってくる」。
警察庁によると、ベトナム人の犯罪は令和4年に摘発された来日外国人の中でも最多で、全体の3分の1以上の3432人。
10年前と比べ中国人が半減する一方、ベトナム人は5倍以上の増加だ。
犯罪別では中国人は
「詐欺」
が最多だが、
「侵入窃盗」

「万引」
はベトナム人が最も多かった。

「外国人に選ばれる国」という美名の下に… 政策シンクタンク代表・原英史
2023/12/10 8:00
https://www.sankei.com/article/20231210-K3VBLS7WBBPVZFO3Y4EMXZC6VA/
外国人が働きながら技能を学ぶ技能実習制度の抜本見直しに向けて、政府の有識者会議の最終報告書がまとまった。
国内外から指摘されてきた劣悪な労働環境などの問題を解消し、日本が
「外国人に選ばれる国」
になって、人手不足への対応を目指そうという。
具体的には
▽技能実習制度は廃止して新たに「育成就労」制度を設ける
▽人権侵害を防ぐべく、働く企業を変える「転籍」を認める
などの内容だ。
だが、欠落しているのは、
「外国人に選ばれる国」
になる前に
「日本国が外国人を選ぶ」
ことの重要性だ。
日本文化を愛し、地域に溶け込み、経済成長に大いに貢献する
「日本にいてほしい外国人」
もいれば、経済社会に貢献せず、犯罪を起こし、社会保障制度を悪用するなど
「いてほしくない外国人」
もいる。
後者が日本を選んでくれても害悪でしかない。
技能実習制度を巡る諸問題の根源は、この視点を欠いていたことだ。
「国際貢献」
という建前のもと、一部産業界の求める
「安価な労働力」
としての外国人受け入れに悪用されてきた。
欲しいのは
「安価な労働力」
だから、技能のない外国人を
「選ぶ」
ことなく受け入れ、余程の事がない限り在留し続けられる仕組みだった。
だから、劣悪な労働環境など人権侵害が生じ、一方、外国人犯罪なども起きがちになった。
本来必要な見直しは
「外国人を選ぶ」
制度への転換だ。
ところが、政府の有識者会議の最終報告書は小手先の見直しばかりで、問題の根源に手を付けていない。
新制度の目的は
「国際貢献」
から
「人材育成と人材確保」
に変えると言うが、
看板の掛け替えどころか、正面玄関から
「安価な労働力」
を受け入れることにも繋がりかねない。
一部産業界の要望に応え続けている限り、人権侵害の問題も解消しない。
結局、
「いてほしい外国人」
ほど日本を避け、選択肢の乏しい
「いてほしくない外国人」
ばかりが日本を選ぶ。
更に外国人受け入れの規模が拡大すれば、欧米諸国以上に深刻な移民問題に直面しかねなない。
これが
「外国人に選ばれる国」
という標語の行き着く先だ。
深刻な状況を前に主要新聞各紙の社説はおよそ的外れだ。
「(外国人に)選んでもらえる社会を作っていきたい」(朝日新聞)
「日本を『選ばれる国』に変えていくことが大切だ」(読売新聞)
「外国人にそっぽを向かれることになりかねない。政府は正念場」(日本経済新聞)
などと声を揃える。
せいぜい産経新聞が
「社会に様々な問題を生みかねない移民に対し、この改革が安易に道を開くことがあってはならない」
と一言指摘しているだけだ。
これでは、外国人政策はおかしな方向に向かうばかりである。

正論2024年2月号 政策シンクタンク代表 原英史
■人権左翼と一部産業界の結託?
政治とカネの騒動の陰で重要な政策転換も進んでいる。
その1つが技能実習制度の見直しだ。
技能実習を巡っては、劣悪な労働環境などの人権侵害、それに伴う失踪などが長らく国内外で指摘されてきた。
法務省の研究会でなされていた検討が2023年11月末にまとまり、2024年通常国会での法改正に向けて準備を進めることになった。
内容は、技能実習制度は廃止し、新たに
「育成就労」
制度を設けるという。
結論から言えば、看板の掛け替えどころか、むしろ更におかしな方向に向かっている。
そもそも技能実習制度の根本問題は、
「国際貢献」(途上国への支援)
という建前の下、
「安価な労働力」
として外国人受け入れの道を開いてきたことだった。
もちろん制度を有効利用する好事例もあり、全てを否定するわけではない。
だが、生産性の低い一部産業界が、賃金引き上げや設備投資の代わりに
「安価な労働力」
を要望し、政府が応えて対象業種を追加してきた面があった。
そんな事業者が利用しているから外国人への人権侵害が起きがちになった。
「安価な労働力」
を求める事業者は外国人を選ばず受け入れるので、犯罪なども起きがちになった。
生産性を高めない事業者を温存し、経済成長の阻害要因にもなった。
今回の報告書は根本問題に全く踏み込んでいない。
それどころか、
「就労育成」
制度は
「人材育成と人材確保」
が目的だという。
つまり、これまでのように
「国際貢献」
と建前を述べるのはやめて、堂々と
「人材育成」
と称する。
つまり、これまで通り、
「安価な労働力を」、
しかも正面玄関から受け入れようということだ。
その上で、人権侵害を防ぐため、別の企業などに移る
「転籍」
を認めるなどと言うが、小手先の見直しでしかない。
今、本当に求められるのは、
「日本国としてこれから、どんな外国人を(高度人材、安価な労働力など)、どのような方式で(短期か長期かなど)、どの程度の規模で受け入れるのか」
という国民的議論だ。
外国人の中には、日本の経済社会の成長や活性化に大いに貢献する
「日本に居て欲しい外国人」
もいれば、経済社会に貢献せず、罪を犯し、社会保険を悪用するなど
「日本に居て欲しくない外国人」
もいる。
これをどう選び、どう受け入れていくかが肝心なのだ。
政府はいつもこうした本来の議論から逃げ、技能実習の見直しなどの各論に突如入り込む。
基本戦略を定めていないので、結局、一部産業界などに引きずられ、なし崩しの移民受け入れに向かってしまうのだ。
これに対し、主要新聞各紙は的外れだ。
いずれも
「安価な労働力」
路線の継続を批判しようとはしない。
朝日新聞も毎日新聞も日経新聞も揃って
「これで外国人に選ばれる国になれるか」
と憂え、
「転籍」
をもっと拡大せよなどと論じている。
メディアがこんな状況では、外国人政策はおかしな方向に向かうばかりだ。
安価な労働力路線を続け、多くの
「日本に居て欲しくない外国人」
から
「選ばれる国」
になったところで、社会にとって害悪でしかないのは明らかだろう。
こんな状況から想起されるのは、欧米諸国でも生じてきた、人権左翼と一部産業界の暗黙の結託だ。
難民申請者などの幅広い受け入れに対し、人権を重視する勢力と、安価な労働力を求める一部産業界は、一見すると水と油のようだが、実は利益が一致している。
暗黙の結託を背景に、過剰な難民受け入れなどがなされてきた面が否めない。
今後、日本でも同様の事態が起きかねない。
事態は深刻だ。

弱者を作る朝日新聞 移民を歓迎する産経新聞
正論2023年7月号 政策シンクタンク代表 原英史
物事を見る時は、個々の事象の表層だけでなく、全体像や背後の構造まで見極めることが肝要だ。
例えば重大事故が生じた時、まず悲惨な被害状況などに向き合うことは欠かせないが、それだけでは不十分だ。
更に踏み込み、事故が何故生じたのか、製品の欠陥がなかったか、法規制や監督体制に問題はなかったかといった検証を行ってこそ、再発防止に繋がる。
報道機関にはそうした姿勢が求められる。
■入管法改正を巡る報道
しかるに2023年国会で焦点になっている入管難民法改正について、残念ながら新聞各紙の報道は実に底が浅い。
目立つのは、
「難民申請3回以降は送還可能」
について、在留外国人らの反対意見を紹介して批判的に報じるものだ。
毎日新聞(電子版)は
「ウィシュマさん妹『外国人の人権無視』入管法改正案の衆院委可決で」
(2023年4月29日)
で、今回の改正は
「不法滞在中の外国人の強制送還を進める狙いがあるが、日本で暮らす外国人の『排除』に繋がりかねないとの懸念も示されている」
とし、2021年に死亡したウィシュマさんの遺族の
「外国人の人権を無視し、尊重していない」
との意見を紹介している。
東京新聞は
「『国を分断する法案を許すな』『国家によるいじめだ』 入管法改正案への抗議デモ、国会前に4千人超」
(2023年5月13日)
で、仮放免中の外国籍の夫と暮らす女性のデモ参加者の声として
「夫は4回目の難民申請中」
「結婚したら収容はあり得ないと思っていたが、理由なく収容されて現実を受け止められず、弟に泣きながら電話したこともある」
「入管は厳正な判断をしているとは思えない」
「国を分断する法案を許してはいけない」
と報じる。
朝日新聞は社説
「入管法改正案 課題に背を向けた国会」(2023年4月28日)
でこう主張している。
「非正規滞在の外国人に対する入管当局の適正な処遇をどう確保するか」
「議論は大きな世論のうねりを生んだ」
「国会が拙速に封じるのは許されない」
(中略)
「入管施設での長期収容を防ぐ対策が問われたにもかかわらず、政府提出の法案は、収容をめぐる手続きに裁判所など第三者のチェックを入れることを避け、入管当局の強い裁量下にとどめる」
「難民申請中でも強制送還できる例外も設けた」
「保護を求めてきた人を迫害のおそれのある国に帰すリスクは高まる」
気になる点は色々ある。
「外国人の人権」
はもちろん尊重しなければならないが、外国人であっても日本にいる時は日本の法令を守らないといけない。
法令に違反したら収容や送還の対象になり得るのは当たり前だ。
東京新聞記事で紹介される女性は
「理由なく収容された」
と言うが、在留資格が切れているのに滞在していたので収容されたはずだ。
収容で引き裂かれて辛いだろうが、決して
「理由なく」
ではない。
だが、そうしたこと以上に根本的な問題は、不法滞在外国人に関わる不幸な事象の表層しか見ていないことだ。
■「弱者の味方」が弱者を作る
なぜ不幸な事象が生じてきたのか。
問題の根源は、不明瞭でどっちつかずで曖昧な入管行政だ。
確かに、難民認定はなかなか受け入れられない。
だが、申請を繰り返して長年日本に居続けることができる。
2010年以降は申請中の就労も法的に認められた。
在留資格が切れれば、収容されることもあるが、収容されないこともあり、何年も経ってから突然収容されることもある。
基準は不明確で運次第のようなものだ。
更に、在留特別許可という制度があり、日本人との結婚や、日本社会に定着しているなどの理由で特別に在留が認められることもある。
特に2000年代半ばには随分と許可がなされた。
こうした曖昧な入管行政が、
「日本にいれば何とかなる」
との期待をもたらしてきた。
難民認定申請者は、2000年頃は200〜300人程度だったが、2010年代後半には年間1万人以上に激増した(2018年に就労が制限されて2000〜4000人程度に減少した)。
政治的迫害など難民要件にはおよそ当てはまらず、経済目的で在留を望む外国人も相当程度含まれていたはずだ。
だが、期待と言っても、不確かな期待に過ぎない。
結果として、首尾よく在留できた人もいれば、収容や家族分断などの不幸な事態に陥る外国人も数多く生じたわけだ。
こうしてみれば、解決策は明らかだ。
認定基準を明確にすることだ。
保護すべき外国人は、何度も申請しなくても、迅速に難民や準難民として受け入れる。
認められない場合は、早期に退去してもらう。
曖昧な行政による不確かな期待を断ち切ることこそ肝要だ。
ところが、これに対し朝日新聞などは、
「申請を何度も繰り返す外国人が在留し続けられるようにせよ」
と唱える。
あやふやな期待を持たせ続けろというのだ。
「弱者の味方」
のつもりなのかもしれないが、実際には不幸な事態を更に引き起こすことになってしまう。
報じている記者らの気持ちは分からないでもない。
在留外国人などを取材するうちについ
「期待を持たせてあげたい」
と思うのだろう。
だが、不確かな期待を持たせてあげることで問題が解決するわけではない。
これも善意でやっていたことだろうが、不確かな助言で曖昧な入管行政が増幅した一部の支援者たちも、結果的には不幸を作り上げた一端だ。
朝日新聞などは自らの報道・主張が結局、新たな弱者を作りかねないことを自覚すべきだ。
■難民受け入れを進めた安倍内閣
外国人政策は全般に、建前と実態の乖離が深刻だ。
技能実習を巡る建前(国際貢献)の乖離はよく指摘されるが、もっと根本的な乖離もある。
まず
「移民は受け入れない」
という建前がある。
これについては、安倍晋三内閣の初期、経済財政諮問会議で
「年20万人の移民受け入れ」
が検討されたことがあった。
当時、諸方面から猛反発を受けて検討は中止され、その後は
「移民政策は採らない」
と言い続けることになった。
菅義偉内閣・岸田文雄内閣にも方針が引き継がれている。
だが、実態としてその間に何が起きたか。
「移民政策を採らない」
はずだった安倍内閣の間、外国人労働者総数は68万人(2012年末)から172万人(2020年末)と2.5倍に急拡大した。
その後コロナ禍で一旦鈍化したが、再び拡大しつつある。
「高度な外国人は受け入れるが、単純労働は受け入れない」
との建前もある。
だが、現実には100万人超の外国人労働者増のうち、半分は技能実習と留学生、即ち最も技能水準の低い労働者だ。
結局、実質的には
「単純労働を中心に毎年10万人以上の移民を受け入れてきた」
というのが現実なのだ。
何故こんなことになっているかというと、
「安価な労働力として外国人を利用したい」
という産業界の一部の要望に引きずられてきたためだ。
古くは1990年代から始まった日系移民の受け入れもそうだった。
その後は、技能実習や留学生アルバイトが広がった。
「移民は受け入れない」
「高度な外国人しか受け入れない」
との建前を守るため、名目上は
「日系だから」
「国際貢献(人材育成)のため」
といった理屈を付けてきたが、実態は
「安価な労働力としての外国人受け入れ」
そのものだった。
産業界の要望に引きずられるのは米国も欧州も同様だ。
メディアが
「日本と桁違いの認定率」
と称する難民受け入れも、実は
「安価な労働力を求める産業界」

「人権左派」
の意図せざる結託で過剰な受け入れがなされてきた面は否めない。
結果として過剰に
「安価な労働力としての外国人」
を受け入れ、移民に関わる深刻な社会問題をもたらした。
日本はこれまで受け入れ規模が小さかったが、今後、国内での人手不足の広がる中で
「安価な労働力受け入れ」
路線を拡大していけば、確実に欧米の轍を踏むのではないか。
■各社とも全体像度外視
技能実習については本来、こうした外国人政策の全体像を踏まえた見直しが求められるはずだ。
ところがメディアの報道では、劣悪な労働環境、失踪トラブル、海外からの「人権侵害」との指摘、といったことばかりが注目されがちだ。
法務省の有識者会議で2023年5月に公表された中間報告では、技能実習の廃止(人材育成を制度目的とする現行制度は廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新制度に)、転籍制限の緩和などを柱とする見直しの方向が示された。
これに対しても新聞各紙の報道は、
「外国人の人権を守れるか」
という視点での報道・主張ばかりだ。
朝日新聞は社説
「技能実習制度決別の意思を明確に」(2023年4月1日)
で、
「立場の弱い外国人の労働搾取だと指摘されてきた制度と、本当に決別できるのだろうか」
と危惧を示す。
日経新聞の社説
「技能実習制度の看板掛け替えでは困る」(2023年4月12日)
も、より抜本的な改革を求める内容だが、視点は
「日本が国際的な信用を取り戻すためには、技能実習制度の禍根を断ち、政策の転換を明確に示すことが欠かせない」
ということだ。
確かに
「外国人の人権」
は重要だが、課題はそれに止まらない。
「安価な労働力としての受け入れ」
を今後も維持・拡大するのか。
その場合に人材供給源はどう考えるのか(かつては中国、近年はベトナムだったが、経済水準が上がったので今後は難しい)。
諸外国で起きてきた移民問題にどう対処していくのか。
産経新聞くらいはまともな議論をしていないかと思って見てみたら、更にダメだった。
主張
「技能実習制度の廃止 人権を守る労働環境整えよ」(2023年4月25日)
では、人権問題を解決する観点から以下のように主張している。
「中間報告のたたき台案は、制度の目的を人材育成としたまま実習生を労働者として受け入れるのは『望ましくない』として制度廃止を求めた」
「その上で、人材育成だけでなく人材確保も目的とする新制度創設を提言したのは理に適う」
「ただしこれは移民問題とは別である」
「社会を変質させる恐れのある移民受け入れへと安易に道を開かないようにすべきだ」
率直に言って、これを書いた人は中間報告の意味が分かっていないのだと思う。
精度目的を
「人材育成」
から
「人材確保と人材育成」
に切り替えるとはどういうことか。
これまで表向き
「安価な労働力としての受け入れ」
とは言わずにこそこそとやってきたが、これからは正面から堂々とそう言ってしまおうということだ。
「人材育成」
も目的に残すことで技能水準の低い人材を受け入れ続けられる。
産経新聞はこの方針を
「理に適う」
として歓迎しているわけだ。
一方で
「移民問題は別」
とも言っているが、私の理解では、
「安価な労働力としての受け入れ」

「移民の受け入れ」
に他ならない。
政府の言い分では、
「在留期間の制限などがあるので移民には当たらない」
らしいが、どこの国でも単純労働者に最初から永住資格を与えることはあまりない。
今回の中間報告は、外国人政策の根本の転換だ。
だが、産経新聞までこの体たらくでは、国民の多くが気付かないうちに大転換がなされることになりかねない。
ここまで、私は外国人受け入れに否定的な主張ばかりしているように見えたかもしれないが、実は外国人雇用協議会という推進側の民間団体の代表理事も務めている。
本稿で述べたことはあくまで私個人の見解だが、この協議会も私も、能力水準が高く日本の経済社会に貢献できる外国人はもっと受け入れるべきとの考えだ。
高度人材に占める外国人の割合は、日本は欧米諸国などに比べて圧倒的に低い。
★高度人材に占める外国生まれの割合
OECDの資料を基に2010年11月経済産業省作成
◆15歳以上の高度人材の人口に占める外国生まれの割合
・英国 23%
・米国 16%
・フランス 13%
・ドイツ 13%
・日本 1%
これでは、グローバルな国際競争で日本が取り残され、日本の競争力は下がる一方だ。
日本の相対的な給与水準は急速に低下している。
2022年経済産業省が公表した
「未来人材ビジョン」
では、タイと日本の企業を比較し
「タイの方が部長に昇進する年齢が平均的に10歳若く、しかも年収が高い」
という衝撃的なデータも示された。
それなら能力に自信のあるアジアの若者は日本よりタイに行った方が良いわけだ。
このまま推移すれば、日本にやって来る外国人の水準はどんどん低下する。
経済社会への貢献度合いは小さくなり、半面で犯罪やトラブルは増えかねない。
そうした中で、
「安価な労働力としての外国人受け入れ」
路線を本当に更に進めるのか。
それで日本の競争力は上がるのか。
日本社会はどうなるのか。
産経新聞は
「社会を変質させる恐れ」
を本当に危惧するなら、真面目に考え直してもらいたい。
■「報道の能力」の欠如
毎年のことだが、
「国境なき記者団」
による
「報道の自由度ランキング」
が公表された。
朝日新聞ではこう報じられている。
朝日新聞
「報道の自由、日本は68位 主要7カ国で最下位」(2023年5月4日)
「国際NGO『国境なき記者団』(本部・パリ)は3日、2023年の『報道の自由度ランキング』を発表した」
「調査対象の180カ国・地域のうち日本は68位(昨年71位)で、昨年よりは順位を上げたものの、主要7カ国(G7)の中で依然、最下位だった」
「日本の状況について、『メディアの自由と多元主義の原則を支持している』としたものの、政治的圧力やジェンダー不平等などにより、『ジャーナリストは政府に説明責任を負わせるという役割を十分に発揮できていない』と批判した」
この記事は、重要な部分を報じていない。
本誌の読者ならば知っているだろうが、
「国境なき記者団」
のレポートでは例年、日本に関して
「記者クラブの問題」
「新聞・テレビのクロスオーナーシップ規制がないことにも起因する、メディアの極度の集中」
が指摘されている。
2023年も同様だ。
これらは
「政治的圧力」
などとは異なり、朝日新聞自らの問題だ。
少なくとも、このランキングを報じるならば、これらの点も報じないとおかしいだろう。
同時に、朝日新聞の報道の通り、
「政治的圧力」
などの指摘もある。
「2012年から右翼国家主義者(nationalist right)が政権について、ジャーナリストが敵視されている」
とか
「秘密保護法制で福島原発へのアクセスが制限された」
とか、私から見ると
「一体どこの国の話なのか?」
と思う内容だが、それこそ
「メディアの極度の集中」
の結果、朝日新聞など一部のメディアの特異な世界観や社会認識が世界にも広まっているのだろう。
私が思うに、日本のメディアに欠けているのは
「報道の自由」
ではなく
「報道の能力」
だ。
せっかく自由に報道できる環境があるのに、まともな報道ができていない。
今回取り上げた難民や技能講習に関しても、問題の本質に触れず、政府の方針に対する批判的検証もできていない。
決して政治的圧力で封じられているわけでなく、能力が欠けているからだ。
「政治的圧力」
云々と言うが、もし的確な取材に基づき自信を持って記事を出しているなら、圧力がかかっても、覚悟を持って抗したら良い。
実際には、能力不足で筋違いの記事を出しているためにしばしば抗議を受け、それに対し
「圧力だ」
と逆切れしているだけではないのか。
私自身、以前安倍政権で国家戦略特区ワーキンググループの座長代理を務めていた際、獣医学部の件をはじめ、いくつもの虚偽報道がなされ、その度に抗議していた。
朝日新聞本社に出向いて、そう間違っているのか詳細に説明したこともある。
担当の部長が何の反論もなく
「なるほど、なるほど」
と聞いているが、訂正記事が出ることはなかった。
毎日新聞にはデタラメな誹謗中傷記事まで掲載され、提訴して係争中だが、毎日新聞の言い分は
「そんなことは書いていない」
だった。
ひょっとすると朝日新聞や毎日新聞は、こうした抗議や提訴も
「政権の手先が圧力をかけてきた」
などと思い違いをしているのかもしれないが、まず自らの報道を省み、責任を持てる報道をしてほしい。
「ジェンダー不平等」
も同様だ。
取材対象に差別的な人物がいて、不当な扱いやセクハラを受けたなら、それを記事にして追い詰めれば良い。
能力不足でそれもできず、政治や社会のせいにしている様は、実に見苦しい。

「移民」と日本人 今年起きること
トラック運転手に外国人が増えた理由 「外国免許切替」は母国語で合格
2024/1/1 11:00
https://www.sankei.com/article/20240101-BX5DIWIDPNPPVIKUMF6T4SEMIM/
■トラック運転手に外国人が増えた理由
トラック運転手の残業規制が強化され、物流業界の労働力不足が懸念される
「2024年問題」
が2024年4月、いよいよ本格化する。
家族帯同の永住が可能になる外国人の在留資格
「特定技能2号」
も拡大され技能実習生は
「人材確保・育成」
が目的の新制度に移行する。
後に振り返れば、2024年は日本が外国人政策を根本的に転換した
「移民元年」
となる可能性がある。
今年何が起きるのか。
それも静かに−。
元日の本日2024年1月1日から5日連続で掲載します。
■○×式、7割正解で合格
上越新幹線高架近くの田園地帯に広がる埼玉県運転免許センター(鴻巣市)。
数カ月前に来日した埼玉内に住む40代のベトナム人女性は2023年暮れ、祖国の運転免許を日本の免許に切り替える
「外国免許切替」
のテストに合格した。
実技は2度目だが、筆記は一発合格。
さぞ勉強したのかと思うと、
「問題がベトナム語だったから」。
しかも常識的な○×式の10問のうち7問正解で合格する。
女性は日常会話も含め日本語はほとんどできなかった。
出入国在留管理庁によると、我が国在留の外国人は300万人を超え過去最多を更新中。
「技能実習」

「特定技能」
などが伸び、就労目的の中長期滞在者が増えた。
■東京では19カ国語
警察庁によると、運転免許保有者も10年前の1.5倍の約108万人に増加。
在留外国人の免許は日本人と同様、教習所へ通ったり国際免許を取ったりするなどの方法もあるが、近年は
「切り替え」
が主流だ。
2022(令和4)年は新たに全国で約5万人がこの制度を使って日本の公道でハンドルを握れるようになった。
背景には在留外国人の増加に伴い、テストの多言語化が急速に進んだことがある。
警視庁によると、東京都で現行の外国免許切替の制度が始まったのは1994(平成6)年。
当初は英語、中国語など7カ国語だったが、現在はタイ、トルコ、ミャンマーなど19カ国語に増えた。
埼玉でも9カ国語での受験が可能だ。
これは、トラックなどを運転するための大型、中型、準中型免許もほぼ同様だ。
祖国で類似の免許を取得していれば比較的簡単に日本での運送業務などが可能になる。
準中型以上の切り替えは2022(令和4)年で約1500人、過去20年間で約1万2000人に上る。
■住民票の移し替えも
タクシーやバスなど客を乗せる運転に必要な
「2種免許」
でも多言語化の流れは進んでおり、警察庁は今春から外国語での試験を可能にする。
近く各都道府県警に20言語に翻訳した問題例を配布するという。
先のベトナム人女性の交付手続きなどを代行していた日本人支援者の男性によると、地方では受験可能な言語がまだ少なく、埼玉に住民票を移して免許を切り替えるベトナム人もいるという。
男性は
「日本の車が右側か左側通行か分からない外国人もおり、最近は教習所で一時的に練習して実技に臨む人もいる」
「埼玉の教習所は今、ベトナム人が凄く多い」。

「移民」と日本人 今年起きること
信用度高い日本の免許がロンダリング 教習所は独特の制度
2024/1/1 11:05
https://www.sankei.com/article/20240101-H3MS7F6NKZIJBFX7YCFDCH7Y6I/
高速道路を走る過積載のトラック。運転手は中東系だったという=2023年、埼玉県内(読者提供、画像の一部を処理しています)
■トラック運転手に外国人が増えた理由
少子高齢化の進行で、我が国の生産年齢人口(15〜64歳)は急速に減少しつつある。
総務省によると平成7(1995)年の8716万人をピークに2023年は7400万人、令和22(2040)年には5000万人台に落ち込む見込みだ。
■諸外国は自己流
日本人だけで労働力を維持するのは難しく、物流業界の2024年問題では外国人労働者で穴埋めすべきとの議論がある。
個人が自家用車を使って有料で客を運ぶライドシェアも2024年4月から一部解禁される一方、中国国籍者による
「白タク問題」
も表面化している。
「そもそも教習所という制度は日本を参考にした韓国以外では重きが置かれていない」
「体系的に運転を教えるシステムは日本独特なのです」。
千葉市の教習所経営者(67)は指摘する。
欧米なども含め諸外国では、車の運転は知人に教わるなどして自己流で覚えたり、トレーニングコースで練習したりして
「一発試験」
に合格すれば取得できるという。
■外国人に「親切な国」
「外国免許切替」
は各国間の相互主義に基づき海外でも同様にある制度だが、我が国のように十数カ国以上の翻訳を用意するほど外国人に
「親切な国」
はほとんどない。
その上、身分証としても使える日本の運転免許証の信用度は途上国などとは比較にならないほど重みがあるという。
アジアの一部では偽造も横行しており、
「免許は買うもの」
という悪習すらある。
2019(令和元)年には、偽造したネパールの運転免許で約500人分の外国免許切替をしていたとして千葉県のネパール人グループ16人が警視庁に摘発されている。
■「止まれ」国際基準は八角形
経営者は
「まさに免許ロンダリングです」
「信用度が高い日本の免許に簡単に切り替えられる制度が悪用されている」
と言い、業界団体などを通じて警察当局に制度の見直しを訴えているという。
外国人の運転を巡っては標識の違いもある。
「止まれ」
は国際標準の八角形に対して日本は逆三角形。
筆記テストは親切なのに、路上に出れば日本語だけの表記も多い。
東京五輪を機に英語を加えた標識に交換を始めたが、
「止まれ」
だけでも全国に170万本あり、交換には10年以上かかるという。

「移民」と日本人 今年起きること
おばあさんは外国人のダンプにひかれ死んだ 事故率は本当に高いのか
2024/1/1 11:10
https://www.sankei.com/article/20240101-ULEWUGVLSJL4LFOJ66WA7N745U/
女性がダンプにひかれ死亡した現場。花が手向けられていた=2023年12月、横浜市戸塚区
■トラック運転手に外国人が増えた理由
母国語でも受験可能な
「外国免許切替」
のテストに埼玉県のベトナム人女性が合格した日の3日前、横浜市戸塚区の市道交差点で、横断歩道を渡っていた自転車の女性(73)が左折のダンプカーにひかれて亡くなる事故があった。
■着物姿が印象的
神奈川県警戸塚署は運転手の埼玉県川口市に住むトルコ国籍の男(57)を自動車運転処罰法違反の現行犯で逮捕。
男は現場近くの解体資材置き場に空のダンプで向かう途中だった。
日本語があまり話せず、取り調べは通訳を介したが、容疑を認めたため釈放されたという。
被害女性は日本舞踊の教室に通っており近所の人は
「着物姿が印象的だった」
「身近な場所で外国人がダンプを運転していたと聞いて驚いた」
「手荒な運転をしていたとは思いたくないが…」
と話した。
むろん外国人だけが、外国人だから、事故を起こすわけではない。
ただ、こんなデータもある。
公益財団法人交通事故総合分析センターの西田泰・元特別研究員(72)らが、運転者が最も過失の重い
「第1当事者」
となる事故リスクを示した
「相対事故率」
を調査した結果だ。
2014(平成26)年からの5年間にレンタカーを運転した日本人4520人と在日外国人341人を比べたところ、外国人の事故率は日本人の約4倍に上る高リスクだった。
■交通安全の意識に差
西田氏は
「外国で運転した経験のある人なら分かると思うが、現地語が出来ないからといって必ずしも事故に繋がるわけではない」
とした上で、日本と外国の交通安全に対する
「意識の差」
を指摘する。
戦後、我が国の交通事故死者数は昭和40年代の16000人台をピークに減少、近年では2000人台で推移している。
むろん道路整備や技術革新などが進んだ側面はあるが、地道な交通安全運動や啓発活動が寄与したことも否めない。
更に日本では、どんなに交通量が少ない交差点でも、あからさまに信号無視をする車は少ないし、対向車同士が互いに譲り合う光景は決して珍しくない。
西田氏は
「コロナ禍のマスクがそうだったように、日本人は法律があってもなくても周囲の行動に合わせる」
「一方で海外ではクラクションは鳴らすのが当たり前、遅い車は追い抜いて構わないと考える国もある」
「自動車運転とは、その国の文化や習慣が非常に表れる行為だと思うのです」。
■不法滞在者もそのまま運転
コロナ禍も終わり2024年は外国人運転手が更に増える可能性もある。
入管関係者によると、約8万人に上る不法滞在者や難民認定申請中の仮放免者でも、正規滞在中に取得した免許は免許停止とはならない。
そのまま運転免許を所持してトラックを運転し続けている事案は散見されるという。
ただ、その免許を使って働けば入管から不法就労と認定され、スピード違反すれば警察に摘発されることに変わりはない。
所有者不明、無保険など危険な車に乗っていても個別に取り締まるしかないのが実情だ。
入管関係者は
「交通警察と入管行政は制度的に紐付けられておらず、縦割り行政と言われても仕方がない」
「我々としては不法就労は警察とも連携して取り締まっている」。
都道府県公安委員会も、不法滞在の外国人が窓口に来た場合は警戒するよう努めているが、限界はあるという。

ライドシェア、どんだけ危険か
人手不足に賃下げ、おまけに外国企業参入・・・良い事なんて1つもない
WiLL2024年1月号 京都大学大学院教授 藤井聡
■天下の愚策
俄かには信じられないような政策が次々と実施されようとしており、驚きを通り越して憤りさえ覚えます。
岸田文雄首相は2023年10月30日の衆院予算委員会で、一般ドライバーが自家用車を使い有料で顧客を送迎する
「ライドシェア」
の導入について自治体の首長から意見を聞く考えを示し、
「(ドライバーの)担い手不足や移動の足の不足という深刻な社会課題に直面しているのが、全国の自治体だ」
「地方、都市部、観光地で関心やニーズは様々である」
と指摘しました。
規制改革を担当する河野太郎デジタル担当大臣は、既に複数の自治体から意見を聞いたことを明らかにした上で、2023年11月6日に開かれた規制改革推進会議のワーキンググループに自治体の長を招く考えを示し、
「日本にあった制度を早急に検討してもらいたい」
と述べました。
揃いも揃って政府はライドシェアの導入に乗り気です。
私は交通計画の研究室の出身で、中心的な研究の1つとして運輸・交通の研究を続け、
『交通シミュレーション・交通行動変容・社会的都市交通施策研究』
等についての様々な論文を出してきました。
そうした運輸・交通の専門家としてタクシーやライドシェアの問題には何十年も関わってきましたが、岸田総理はライドシェアがどういったものなのか、全く理解出来ていないと言わざるを得ません。
岸田総理は、ライドシェアという聞き慣れないカタカナの新鮮さに踊らされているだけです。
ライドシェアの本質とは、
「タクシー事業の規制を緩和する」
というだけの話なのです。
つまり、
「お金を貰って他者(乗客)を輸送する」
車(いわゆる、広義の「タクシー」)についてのルールを緩めて誰でもタクシーが出来るようにするという話です。
つまり、タクシー運転手として働くためには、2種免許の取得や一部地域では地理試験などが必要ですが、ライドシェアが導入されれば、そうした資格を緩めるというわけです。
一見すると、岸田総理が所信表明で宣言された
「担い手不足」(つまり、ドライバー不足)
の解消が、ライドシェアの導入により可能になると感じてしまいます。
しかし、それはタクシーの特殊なマーケット状況を知らないズブの素人の考え。
岸田総理の
「ライドシェア導入宣言」
は、全く持って愚かしい
「不合理」
なものであることが明らかです。
ライドシェアを単なるウーバーイーツの配達員(登録すれば誰でもなれるフードデリバリーの配達員)の延長線上にあると思われるかもしれませんが、所詮、それで運んでいるのは食べ物。
でも、ライドシェアで運ぶのは乗客、つまり”人間の命”なのです。
そもそも、タクシー運転手への2種免許取得の義務やタクシー会社に課せられた様々な規制は
「乗客の安全」
を守るために導入されたものです。
ライドシェアの導入で、この
「安全性の確保」
というものが確立されていないことが第1の問題です。
乗客の安全を守るため、タクシー会社は運行管理を行います。
具体的には、過剰運転(例えば、何十時間も連続で運転する等)や、飲酒運転のチェック、ドライバーの健康管理などです。
ライドシェアが解禁されれば、ドライバーが過剰運転をしているのか、また飲酒していないか、などのチェックが事実上出来なくなります。
加えて、現在のタクシー運転手は会社の看板を背負って運行しているため、極めて透明性が高いと言えます。
もし、タクシー運転手が失礼な行為や危険な運転(スピード違反や信号無視等)、まして犯罪行為を行った場合、タクシー会社という乗客側がクレームを言える先が存在します。
だからタクシー運転手はそうした
「監視」
を常に意識し、それが犯罪行為等への巨大な抑止となっています。
ライドシェアの場合でも、利用したドライバーをアプリで評価するシステムがあれば、信頼できるドライバーは確保できると考えるかもしれませんが、それは無理。
初期時点ではそんな評価がなく、全く抑止にはなりません。
あるいはわざと最初は親切なドライバーを装い評価を高めた上で、乗客を裏切ること等(窃盗や暴力、レイプなどの犯罪行為)も可能。
つまり、タクシー業界に備わっているディテクション・アンド・サンクショニングシステム(監視と処罰)がライドシェアには全く無いのです。
これは極めて危ない。
個人タクシーでも同様です。
個人タクシー協会などが完備されており、秩序を守る上で極めて重要な役割を担っています。
ライドシェアの解禁によって、
「乗客の安心・安全」

「交通事故」
の2つの危険に我々が晒されることは明らかなのです。
■”賃上げ”に逆行
岸田総理は2023年9月の再改造内閣の発足後の記者会見で、
「物価高に負けない構造的な賃上げと投資拡大の流れを強化する」
との考えを強調。
「物価高上昇プラス数%」
の継続的な賃上げを目指す姿勢も掲げています。
2023年10月に行われた、臨時国会の所信表明演説でも、今後3年程度を
「変革期間」
と位置付け、持続的な賃上げや設備投資の拡大を実現するための支援を集中すると述べています。
賃上げが岸田総理にとって1丁目1地番地の最重要課題だとしているにもかかわらず、ライドシェアの導入は、明らかにタクシー運転手の”賃下げ”に繋がるものであり、岸田総理の行いたい政策に逆行しているのです。
そもそもライドシェアが導入されれば、その導入時点ではタクシー台数が一時的に増えますが、それが1台当たりの売り上げを減らし、結果、タクシー運転手の賃下げは確実に生じます。
しかもタクシー会社は、安心・安全な運行管理(ドライバーの健康状態の把握や勤務時間の管理等)や車両の整備等を行うために、それなりのコストをかけて運営しています。
そのコストが運賃に加わるため、我々もそれ相応の金額を支払っているわけです。
つまり安心・安全料を支払ってタクシーに乗っているわけです。
しかし、ライドシェアはそんな安心・安全の仕組みがないため、必然的に運賃が安い。
だから、ライドシェアの導入はタクシー市場に強烈な価格引き下げ圧力をかけるのです。
結果、必然的にタクシー運転手の収入が減り、賃金が下落するのです。
つまり岸田総理のライドシェア導入宣言は意図的に賃下げ状況を作りましょうと宣言している等しいのです。
更に言うなら、岸田総理は所信表明で
「担い手不足(タクシー運転手不足)」
の解消を目指すため、ライドシェアを導入すると言っているわけですが、ライドシェアはタクシー運転手の賃金を下落させますから、若い人を中心にタクシーの担い手(運転手)になりたいと思う人を益々減らすことになります。
つまりライドシェアは、岸田総理がやろうとしている
「賃上げ」

「人手不足解消」
を改善するどころか、それらを正反対に悪化させるのです。
言わば彼が
「薬」
と思って国民に飲ませようとしているものが、実は単なる
「毒」
なわけで、その愚かしさには辟易する他ありません。
ライドシェア導入の問題点はまだあります。
仮に、ライドシェアを導入したとすれば、タクシー市場の担い手がタクシー会社からライドシェアに転換していくことになります。
つまり、ライドシェアが増えていくと同時に、タクシー会社が全国で潰れていくことになります。
マーケット環境が変わるのですからそうなるのは必然であり、その流れは避けられません。
結果、タクシーの空白地域は確実に全国に広がることになるのです。
そもそも全国のタクシー会社は、地域住民の足として、自分たちの地域で生き残り、頑張ってタクシーサービスを提供しようとしています。
どんな田舎に行ってもタクシーが存在するのは、それぞれの地域のタクシー会社が、その地域で公共交通機関としての役割を果たす意識、言わば
「使命感」
があるからです。
しかしライドシェアにはそんな使命感はありません。
ただ、金儲けの手段としてライドシェアをやっているだけですから、人口が少ない地域では儲からず、ライドシェアをやろうとする人が当然いなくなってしまいます。
その結果、タクシー空白地域がライドシェアで一気に拡大することになるわけです。
言わば地域におけるモビリティ(人や物を空間的に移動させる能力)を守るためにも、ライドシェアの導入回避は強く求められているのです。
その他にも、メディア等では、しばしば京都駅のタクシー乗り場に長蛇の列ができていると紹介され
「タクシー不足が深刻だ」
と報道され、これがライドシェア導入論の根拠とされていますが、こうした論調はフェイクの類です。
何故ならこういった現象はごく一部に限られるからです。
もちろん京都駅に長蛇の列があることは事実ですが、それは大量の外国人観光客が押し寄せているからというだけの話。
別にタクシー乗り場だけでなく、あらゆるサービスが激しく混雑し
「観光公害」
状況が生じているのです。
しかも、何より京都駅等の一部を除けばタクシーがいくらでも
「余っている」
状況で、京都の人たちはタクシー不足で悩んでなどいないのです。
だから、いつ突然来なくなるかもしれないような大量の外国人観光客のために、京都の人たちが望んでもいないライドシェアを入れましょうなどという話は、筋違いも甚だしいのです。
もちろん、最近、賃下げに伴って運転手のなり手が減少し、全国的に、タクシー営業台数が減ってきていることもまた事実です。
ですが、それは
タクシー
「運賃」、
ひいては、
運転手の
「賃金」
を引き上げるチャンスでもあったのです。
というかそもそも、規制緩和でタクシー台数が増えてしまった過去数十年間、タクシー業界の最大の懸案は(サービスレベルを維持しながら)
「賃上げ」
を図るための
「減車」(タクシー台数を減らすこと)
だったのであり、それが最近の人手不足で皮肉にも実現しつつあったのです。
従って、賃上げを目指す岸田総理は、この状況を継続させれば良かったのです。
にもかかわらず、ライドシェア導入論をぶち上げるなど、このタクシーにおける賃上げの
「好機」
をぶち壊す行為なのです。
いずれにしても、岸田総理はこうした
「タクシー」
の現場で何が起こってきたのかご存じないのでしょう。
全くもって愚かとしか言いようがありません。
■外国企業に駆逐される
更に問題となっているのが、中国人観光客による
「白タク」
問題です。
中国から日本に来た観光客が、日本のタクシーを利用せず、日本にいる無許可の中国人ドライバーの運転する自家用車を利用しているのです。
(特別の自由を除けば)「白タク」
はもちろん違法です。
道路運送法は自家用車が有償で客を乗せる
「白タク」
を禁じており、運転手は
「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」
などが科せられます。
タクシー事業の営業認可と共に、運転手は2種免許の取得が義務付けられています。
利用を申し込む中国語の大手配車アプリには、日本国内の運転手数千人が登録され、顔写真や利用客の評価といった情報が掲載されています。
訪日客向けの白タクは、アプリなどで
「(運転手は)母国語が堪能で、日本国内での長年の運転経験もある」
「現地のタクシーを使うよりも安い」
などと宣伝しているといいます。
アプリ内での決済のため、日本国内では支払いが行われず、利用客のクレジットカード情報などを調べない限り証拠もない。
金銭のやり取りがなく、
「知人を無償で送っているだけ」
と説明されればそれまでで、捜査の難しさも問題となっています。
当然ですが、タクシーを利用するはずの客が白タクに流れれば、売り上げが減少します。
中国客は大抵自国で予約決済を済ませるので、日本にお金が流れない。
これは日本のマーケットが外資に取られている状況。
たとえ、中国人観光客(利用客)と中国人ドライバー(サービス提供者)の閉じられた関係であったとしても、日本に来た中国人のタクシー需要は、日本国内の需要であるにもかかわらず、それを中国人に取られているわけです。
つまり、マネーの流出を意味しますから、経済政策として極めてまずい。
こうした中国人による白タク問題に根本的な対処が出来ないまま、ライドシェアを徒に導入すれば、海外の巨大マーケットで凄まじいノウハウを蓄積したアメリカや中国の企業が日本に参入することとなり、日本1国で頑張る小さなライドシェアの会社なんて太刀打ちが出来ません。
つまり経験値やこれまで集めたデータから得られるノウハウ、資本力の点でも劣る日本のライドシェア企業は、外資企業に駆逐されるわけです。
そもそも資本家は常に外国のマーケットを狙っていますから、結局、ライドシェアを導入すれば、外国の大資本にマーケットを侵略されることは必至。
ライドシェアは外資の日本経済侵略の窓口になるのです。
タクシー需要というのは、国民にとって必要不可欠かつ安定的な需要ですから、通常どの国もタクシー産業を多かれ少なかれ保護しているのですが、岸田総理はそんな常識を全く持ち合わせていないようです。
ライドシェアに外国企業が参入すれば、徹底的なコストカットの下で、利益の出ない地方ではビジネス展開をしない、という傾向が益々加速するでしょう。
純然たる日本資本で、日本企業が日本人のために提供していたタクシーサービスが、多くの地域であらかた消えることになる。
それで得をするのは、外国企業だけであり、日本人が被るのは大きな不利益だけとなるのです。
■志なき総理の”あだ名”
ライドシェア1つ取っても、如何に岸田総理が国民のために考えていないかが、お分かりだと思います。
では、岸田総理の行動原理はどういったものなのかー。
岸田総理のこれまでの、そして、これからの言動や政策は、経済学などで多用される
「ゲーム理論」
で100%完璧に証明することが出来ます。
ゲーム理論とは、
「自分の事だけ考える」(利己的で自己中な)
人々が互いに関わった時、彼らがどう振る舞うかを数学的に考える理論体系です。
実を言うと、岸田総理の報道されている言動は全て、このゲーム理論で綺麗に説明出来てしまうのです。
普通の人は
「自分の事だけ」
考えているわけではなく、倫理観や公共心、他人への思いやりや渡世の筋や生きる拘り等にも配慮しますから、ゲーム理論が予想する振る舞いから多かれ少なかれ乖離するのですが、岸田総理の場合はその乖離が全く観測されません。
これはつまり、岸田総理には政治的信念や倫理、道徳がなく損得勘定で動くような、利己的な意識しか持っていない、ということをゲーム理論が理論的に実証しているわけです。
では、彼はどういう利己的な意図を持っているのかというと、それは
「総理としての地位の確保と、その延命」
です。
出来るだけ総理大臣という地位に留まり続け、自らの政治権力の最大化を目指しているとしか考えられない。
彼がそう考えていると想定すれば、彼の言動は全て一貫して説明出来るのです。
「政治権力の最大化」
だけを考えた場合、財務省やアメリカ政府、経団連などの財界やグローバル企業などの
「強者」
の指図や意図に従い続けることが最善の策となります。
強者の言いなりになる限り、彼らに潰されずに自らの地位を守り続けることが出来るからです。
防衛増税が良い例で、増税したい財務省と自国の極東での負担を減らして防衛装備を日本に売り付けたいアメリカの両者の意向を汲むことが出来たから、岸田総理はその実施に前向きなのです。
しかし、本来、政治家は
「自らの政治権力」
ではなく
「国民の利益」
の最大化を図るべき存在。
ところが、そんな
「強者」
達は日本国民の利益の最大化等には何の興味もない。
彼らは自分たちの利益だけに興味関心があり、日本国民の利益などは眼中にない。
そんな連中の指図や意図に従っていれば、国民国家は滅茶苦茶になる他ないのですが、そんな連中の指図や意図に従い続けているのです。
総理として最低の愚行です。
ライドシェアも、岸田総理が発案したものではなく、菅義偉前総理が導入を目指すと宣言したもの。
岸田総理は、ここで菅氏のライドシェア導入論を自らも主張すれば、岸田降ろしの中心人物の1人である菅氏に媚びを売ることが出来、かつ、菅氏が世論で
「目立つ」
存在となることを回避出来ることから、結果的に自身の政治権力をより安定したものに繋げることが出来ると考えたわけです。
だから結局、
「政策論」
ではなく単なる
「政局論」
でライドシェアの導入を実現しようとしているに過ぎないのです。
ライドシェアの様々な問題点を考えれば、その導入に躊躇しそうなものですが、ゲーム理論で考えれば、岸田総理がライドシェア導入に前向きなのも当然だということになるのです。
繰り返しますが何らかの信念や思想を持つような文学的人物というのは、ゲーム理論では全く説明が出来ません。
急に人助けに走ったり、急に戦いだしたりと理論から外れた行動をするからです。
ある意味、そこに
「人間らしさ」
があるわけですが、岸田総理にはそうした人間らしさがない。
人間性がない=面白味がない。
国民もそれを理解し、
「増税メガネ」
と呼んでいるのでしょう。
安倍元総理は
「安倍ちゃん」、
菅前総理も
「ガースー」、
等、愛嬌のあるあだ名で呼ばれましたが、無機物である”メガネ”と呼ばれるのは、岸田総理に人間らしさがないことを象徴しています。
悪魔は神が堕落した有機的、精神的存在ですが、無機物であるメガネは腐ることすら出来ません。
彼は決して悪意があるのではない。
ただひたすらに権力だけを欲しがる虫のようなちっぽけな存在なのです。
だからこのあだ名は彼の人間性を上手く表現していると思います。
■消費税減税はムリ
岸田総理が国民の事を全く考えていないことが、最近、俄かに浮上した減税政策からも証明することが出来ます。
岸田総理が本当に国民の利益の最大化を考えて、所得税減税を実施するのであれば、2024年6月ではなく、今すぐ実施するはずですし、4万円の1度のみではなく、国民の賃金が上がるまで継続的に実施するでしょう。
かつ、
「所得税減税」
だけではなく、国民の暮らしが抜本的に良くなる
「消費税減税」
を考えるはずです。
参議院での予算委員会にて、消費税減税について問われた岸田総理がは、
「そもそも(消費税を)引き下げるということは、考えていない」
と突っぱね、
「引き下げの効果ということについても考えていない」
と答弁しました。
SNS上では岸田総理への失望や非難の声が溢れましたが、彼がどういった人物なのかは、これまでお話ししてきた通りです。
であれば、財務省が嫌がる消費税減税を岸田総理が実施することなど毛頭ありませんし、岸田総理が総理の地位に居続ける限り、消費税減税が実施されることは決してない。
ポイントなのは、こうした減税政策が見せかけであり、何ら効果を発揮しないことを、国民は見抜いているということです。
岸田政権の支持率が遂に自民党支持率を下回りました。
ANNが2023年10月28〜29日に行った調査での内閣支持率は、前回2023年9月の調査から3.8ポイント低い、26.9%でした。
一方で、自民党の支持率が38.3%でしたから、内閣の支持率は既に大幅に下回っています。
つまり、自民党の岩盤支持層も、遂に岸田政権を見放したということを意味します。
そもそも自民党支持者が内閣を支持する理由は、支持する政党のトップだからという、シンプルなもの。
だからその総理総裁が誰であろうが本来、彼らは支持するのであり、内閣支持率は通常、政党支持率を下回る筈はないのです。
にもかかわらず下回ったということは、結局、岸田氏が
「岩盤支持層からも見放された」
ということを意味しているのです。
日本経済新聞社が2023年10月27〜29日に行った調査での内閣支持率は、2023年9月の調査から9ポイント低下して、33%でした。
これは2021年10月の岸田政権発足以来最低で、2012年に自民党が政権復帰してから、最も低い。
今、国民的な岸田総理に対する嫌悪感は凄まじいものがあります。
しかしここまでの状況に陥っても尚、岸田総理は、国民ではなく、財務省を取るでしょう。
何もしなくても、2024年の9月までは総理総裁としての地位に留まれるわけですから、思い切った政策が出てくることはない。
それがゲーム理論が予測する悲しい未来です。
ついては当方は岸田総理には是非とも
「ゲーム理論の予測」
を激しく裏切るような国民のための大胆な政策を実施されますことを、心から祈念したいと思います。

トルコからテロ支援者と名指しされた「川口クルド」 トルコ国内の事情を川口市に持ち込まれても困る
WiLL2024年2月号 ジャーナリスト 佐々木類
■「クルド」で川口に激震走る
”多文化共生”を掲げる川口市(埼玉県)に激震が走った。
トルコ政府が2023年11月29日、川口市を中心に活動するトルコの少数民族クルド人の団体
「日本クルド文化協会」

「クルド赤新月社」
の2団体、そして同協会に関係する個人の計6人を
「テロ組織支援者」
に認定し、トルコ国内の資産凍結を発表したのだ。
トルコの非合法組織
「クルド労働者党(PKK)」
へ資金提供を行っていた、というのが理由だ。
東京都に隣接するベッドタウン川口市では2023年夏、クルド人による100人規模の乱闘騒ぎがあったばかり。
2023年11月には、クルド人側と市や県警が連携して合同パトロールを実施するなど、防犯対策に乗り出した矢先のテロ支援認定だった。
本来なら、テロ組織やその支援者らを取り締まるべき警察が、よりにもよって、トルコ政府の言う
「テロ組織支援者」
と防犯パトロールをしていたことになる。
県警はトルコ国内の情勢を知らなかったのだろうが、市民の安全を守る治安機関として、トルコ政府の決定に、さぞかしバツが悪い思いをしたことだろう。
ただ、川口市は2023年1月1日現在、外国人が約3万9000人、総人口の約6.5%を占め、全国で最も外国人住民の多い自治体として
「第2次多文化共生指針」(2023〜2027年)
を打ち出している日本随一の
「国際都市」
でもある。
県警にあれこれ言うのも酷かと思うが、警察庁と緊密に連絡を取るなど、もっと国際情勢にアンテナを張っておくべきではなかったか。
今後も合同パトロールを続けるのか、県警本部に問い合わせたが、
「報道機関には広報するが、フリーの記者は一般市民と同じなのでお答え出来ません」
という回答だった。
ただ、取材結果を発表する媒体(本誌)を伝えている以上、もう少し取材要請への対応に工夫があっても良かったのではないか。
目の前にある事実を報じない
「報道機関」
が少なくないので、残念である。
旧知の公安関係者は、トルコ政府の認定について、
「日本のクルド人組織がPKKに資金援助をしていると睨んでのことだろうが、政治的な認定ではないか」
「日本政府はトルコ政府とクルド人の両方に保険をかけているのだろう」
と語る。
一方、川口市の担当者は電話取材に対し、トルコ政府が日本クルド文化協会などをテロ組織支援者と認定したことについて、
「トルコ国内の事情は知らなかったので、トルコ政府が日本クルド文化協会をテロ組織支援者に認定したことに驚いている」
「それ以上のことは答えられない」
「合同パトロールは、出入国在留管理庁から県警を通じて話が合ったので協力することになった」
と語った。
今後の対応については、
「合同パトロールへの参加は考えさせてもらう」
「市としては、警察のように取り締まることは出来ないので、防犯の啓発活動を粛々とやっていくしかない」
「テロ組織に関することは、国が責任を持って対応してほしい」
と話した。
■クルド側「冤罪だ」
トルコ財務省の公式サイトによると、PKKへ資金提供するなどしたテロ組織支援者と認定したのは、欧州やオーストラリア、日本に拠点を置く62の個人と20の組織である。
これらについて、2023年11月27日付でトルコ国内の資産を凍結する決定を発表した。
実際、2023年10月には、トルコの首都アンカラの内務省庁舎前で自爆テロが行われ、犯人と見られる2人が死亡し、警察官2人が負傷する事件があった。
PKKに近いメディアは、
「我々に繋がる組織の一員」
が攻撃を実行したとするPKKの事実上の犯行声明を伝えた。
さて、今回トルコ政府にテロ組織支援者と認定されたのは、日本国内では、日本クルド文化協会とクルド赤新月社、同協会事務局長で東京外語大講師のワッカス・チョーラク氏(42)ら計6人だ。
同協会は、
「クルド人、日本人、その他の国民との友好関係の構築」
などを設立目的とした一般社団法人で、2015年に活動を始めた。
市民との文化交流の他、街の清掃などを行ってきた。
5万6000人以上が死亡した2023年2月のトルコ・シリア大地震では、川口市内を中心に募金活動を実施し、4000万円を集めた。
産経新聞によると、募金活動の際、協会事務所の壁にPKK創設者と見られる男性が描かれた旗が飾られていると指摘された(2023年12月5日付電子版)という。
トルコ政府の決定について、ワッカス・チョーラク氏は筆者の取材に対し2023年12月8日、電子メールで回答し、
「テロ支援の事実はなく、冤罪であり困惑している」
「トルコ法務省に自分の犯罪経歴の調査を求め、『犯罪歴がない』という結果の正式な文書を受け取っている」
と語った。
何故、テロ組織支援者に認定されたのかについては、
「誤認であるか、政治的迫害の可能性がある」
とした。
■地元住民の懸念
日本国民や在日クルド人らから集めた4000万円の使い道については、
「トルコの国会議員を通じて被災地で赤十字のような活動をしている団体に渡され、テント村が作られた」
「その国会議員から届いた感謝の動画を当協会のホームページに掲載している」
「議員と政党からの感謝状が日本政府にも届けられた」
「日本の皆様にもう1度感謝申し上げたい」
と説明した。
実際、トルコ日本友好議員連盟の国会議員、ガジアンテッブ氏が避難民が暮らすテント前から、日本への支援に感謝するメッセージを送っていた。
できれば、使途に関する細目一覧を公表すれば、日本人の理解は更に得やすいだろう。
ただ、ワッカス氏の言い分が何であれ、トルコ政府が日本クルド文化協会やワッカス氏らをテロ組織支援者と認定したことで、市民の見る目は厳しくなるに違いない。
ただでさえ、暴走車の騒音や強姦事件、女性への声掛けなど、治安悪化への地元住民の懸念の声は強い。
認定問題について、ワッカス氏は
「日本の皆様に説明を尽くしていきたい」
「事実関係やトルコ共和国とクルド民族の複雑な対立の歴史、近年の共存に向けた和平プロセスの開始と中断など理解頂き疑惑を払拭出来るように努める」
とも語る。
一方、クルド人を巡る問題の改善に取り組んできた川口市の奥富精一市議は2023年12月7日、顔を見ながらのリモートで取材に応じた。
奥富氏は、
「クルド人を差別する意図もなければ、排斥を唱えているわけでもない」
「しかし、守るべきルールは守り、市民の平穏な暮らしを脅かすべきではない」
という至極真っ当な考えの持ち主だ。
そんな奥富氏だが、トルコ政府の決定について、
「驚きは隠せない」
「日本クルド文化協会の人たちも知っているし、悪い人ではないということも分かっている」
「でも、トルコ政府がテロ組織支援者と認定したことは、一般の市民にすれば、暴力団事務所があるのと一緒で潜在的に恐怖でしかない」
「全くもって迷惑だ」
奥富氏はまた、
「当然市議会で取り上げるが、地域の不安を取り除くためにも、国に対応をお願いするしかない」
「川口どころか日本国内に国際テロ組織があるということ自体が驚きだ」
と言い、クルド側の反論については、
「トルコ国内の事情が分からないから、トルコ国内の事情を川口に持ち込まれても困る」
と語った。
トルコのエルドアン大統領が、日本がPKKをテロ認定から除外したことについて、国際会議の際に岸田文雄首相に不快感を示したとトルコメディアが報じていることに関しては、
「川口市という地域の治安問題が国際問題となってしまったので、戸惑っている」
と述べた。
■公安調査庁の右往左往
情けないのは、PKKを巡る公安調査庁の対応だ。
2023年11月24日にインターネット上に公開された2023年版の
「国際テロリズム要覧」
で、テロ組織のリストからPKKなどを除外していたことが判明したため、トルコ国内で反発が拡大した。
すると、公安調査庁は該当箇所のホームページの該当箇所を閲覧不能とする一方、PKKをテロ組織と認定した2022年版を参照するようホームページ上に掲載したのだ。
公安調査庁は、
「『国際テロリズム要覧2023』から抜粋し、公安調査庁ウェブサイトに掲載していた『主な国際テロ組織等、世界の国際テロ組織等の概要及び最近の動向』と題するウェブページについては、政府の立場について誤解を一部招いたことから、当該ページは削除しましたので、お知らせします」
として。
その上で、
「『主な国際テロ組織等』については『国際テロリズム要覧2022』の掲載内容をご参照ください」
とし、下線部をクリックすれば要覧のPDF(電子ファイルデータ)に飛ぶよう誘導していた。
最新版の要覧は、PKKの他、イスラエルとの戦闘が続くイスラム原理主義組織「ハマス」も削除していた。
これについては、小泉龍司法相が2023年12月7日の参院法務委員会で、鈴木宗男氏の質問に答える形で、
「明らかにおかしい」
「正しい道に戻る方策を取る」
と答弁し、最新版の要覧を修正する考えを示した。
■出入国在留管理庁の大チョンボ
入管当局もトップの責任で、不法滞在者の扱いについて、過去の誤りを国民の前に明らかにすべきだ。
過去の誤りとは、本来なら不法滞在で収容し、母国に強制送還すべき対象者を必要以上に仮放免を認めてしまったことだ。
理由はコロナ禍で収容先の入管施設で小規模集団による感染(クラスター)が起きる懸念があったためだ。
入管関係者は匿名を条件に
「仮放免という形で、必要以上に釈放してしまった」
「これは完全にウチ(入管当局)の落ち度だ」
と証言した。
これは筆者が2023年初め、入管関係者に対面取材して直接確認した事実である。
仮放免者には逃亡する者も少なくなく、中には犯罪に走る者や犯罪を繰り返す不届き者が続出しているのだ。
もう1つの理由は、かねてからの課題であった長期収容を是正する必要があったためだ。
収容者にかかる医療費は1人1月当たり、約2万4000円。
食糧費は全体で3億円かかり、ある大規模の収容施設では、食糧費や宗教上の理由などから、約90人の収容者に対して50種類を超える特別食を提供している、という。
送還費用も馬鹿にならない。
コロナ禍で送還者が大幅減少した2020年を除き、1億円から2億円台で推移している。
だからといって、放免すべきでない人物を放免して良い理由にはならない。
出入国在留管理庁によると、退去強制となる理由は、不法滞在(2023年7月現在、約7万9101人)、不法就労、重大犯罪で有罪となったケースなどだ。
退去強制に応じたり、自発的に帰国したケースが大半だが、送還忌避者は2021年12月現在、計3224人に上る。
このうち、前科を有する者は1133人で3分の1強を占める。
前年同時期の国籍別の内訳は、トルコ426人、イラン330人、スリランカ311人など。
トルコ籍の大半はクルド人と見られる。
送還忌避者3224人のうち、病気等のために一時的に収容を解く
「仮放免」
は2546人もいる。
仮放免中に逃亡した者は599人と4分の1弱に上る。
逃亡した仮放免者の中には、覚醒剤取締法違反で実刑判決を受け、刑務所を出所後の入管施設収容中に難民認定申請をし、その後、仮放免許可が出たケースなど、悪質なものは枚挙に暇がない。
難民申請の回数を制限した2023年6月の入管難民認定法の改正前までは、難民認定を申請中であれば、強制送還されないで済んだ。
難民に該当しない刑法犯までが、難民申請を繰り返していた。
2010年に1202件だった難民認定申請数が、2017年には16倍の1万9629件にまで膨れ上がっていた。
刑法犯らによる難民申請の濫用である。
■入れ知恵する悪徳専門家
背後に、人権団体と連携した弁護士や行政書士など法律の専門家がいることはあまり知られていない。
入管実務に携わる専門家のほとんどが真面目な法律家らであるのは言うまでもない。
だが、中には、
「送還忌避者に入れ知恵をして、難民申請を繰り返させる悪徳専門家もいる」(法務省関係者)
という。
筆者が独自に入手した手元の入管関係資料によると、仮放免の際に身元保証人となった一部の弁護士は、多数の逃亡者を発生させていた。
ある弁護士が保証人となった仮放免者約280人中、約80人が逃亡した。
別の弁護士に至っては、50人中20人と4割が逃亡していた(2014年1月から2021年3月末の間)。
一時的に収容を解除する改正前の仮放免制度は、確信的に逃亡させていると見られても仕方がないような弁護士ら身元保証人が法的義務を負わないなど、逃亡防止が不十分だった。
2023年6月の改正入管法が本人と監理人に届け出義務を課すことにしたのは当然である。
クルド人の仮放免者の中にも逃亡者が含まれている可能性がある。
この点について、先のワッカス氏は、
「ご指摘の通り、政治的な迫害を受けて難民申請をしている者と、出稼ぎのような形で申請している者とがいる」
「後者については、日本の法の下で厳正に対処して頂きたい」
「ただ、在日クルド人の人数と難民申請の数から考えると、トルコ国籍者がクルド人を騙って申請するケースも一定数あると見受けられる」
としている。
不法滞在者であっても人権に配慮すべきなのは当然だが、その一部が治安を脅かしている現実からも、目を逸らすべきではない。
”親日国で知られるトルコ”と長い歴史の中で敵対してきたクルド民族の問題が日本国内に持ち込まれている現状を軽く見てはいけない。
国際都市・川口市が抱える問題は、日本国中どこでも起こり得るし、それは外交問題化する危険を孕む。
それどころか、日本を潜在敵国と見る中国のような国が、日本政府が大幅に緩和した就労ビザを利用して移民を大量に送り込んできたら、日本の存在そのものが危うくなる。
実際、2015年に入管法が改正され、在留資格がそれまでの
「投資・管理」
ビザから、
「経営・管理」
ビザに緩和されたことで住民登録と印鑑証明書の取得が簡単になり、外国人による日本での会社の登記も格段に容易となった。
中国では、国内の経済失速に伴う政情不安や将来への見通しの暗さから日本への移民を希望する人々が増えており、日本の法律事務所の助言で作ったと思われる移民を勧めるチラシがSNSで飛び交っている。
国会は与野党とも、将来の日本の国を形作る移民や在留外国人の問題を正面から議論し、政府は自治体に問題を丸投げせずに、行政の責任でしっかりこの問題に取り組んでもらいたい。

「移民」と日本人
<独自>川口のクルド団体「テロ支援」トルコが資産凍結 地震で「4千万円」、団体側「冤罪だ」
2023/12/5 13:54
https://www.sankei.com/article/20231205-W3N7I2CLMNFQVPSWX6M47KAFO4/
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人の団体
「日本クルド文化協会」
と同協会の代表者らについて、トルコ政府が
「テロ組織支援者」
に認定、トルコ国内の資産凍結を決定したことが2023年12月5日、分かった。
同国の非合法武装組織
「クルド労働者党(PKK)」
への資金提供が理由。
同協会は2023年2月のトルコ地震の際、日本国内で募金活動を行い、約4000万円を集めたという。
トルコ政府が2023年11月29日、公式サイトに掲載した官報によると、欧州や豪州、日本に拠点を置く62人の個人と20の組織についてPKKへ資金提供するなどしたテロ組織支援者と認定。
2023年11月27日付で同国内の資産を凍結する決定をした。
このうち日本国内で対象となったのは同協会などと、同協会事務局長で東京外国語大講師のワッカス・チョーラク氏(42)や代表理事(32)らクルド人数人。
同協会は2015(平成27)年から活動している一般社団法人で、
「クルド人、日本人、その他の国民との友好関係の構築」
などを設立目的に掲げている。
文化交流活動の他、地域の清掃やパトロールなどを実施。
2023年11月4日には埼玉県警や川口市役所などとの合同パトロールにも参加していた。
2023年2月に起きたトルコ地震では、川口市内やクルド人経営の飲食店などで募金活動を実施。
その際、協会事務所の壁にPKK創設者と見られる男性が描かれた旗が飾られていると指摘された。
取材に対し、チョーラク事務局長は
「私達はテロ支援もテロ活動もしていない」
「在外選挙で私達が支持した政党が、真偽は不明だが、その後PKKを支援したと政府は言う」
「投票と駐日トルコ大使館内で選挙立会人を務めた以外の接点はない」
「以前も米閣僚の資産凍結をしたように現在のトルコは政権に批判的な者へ報復行動を取る」
「冤罪であり恣意的な資産凍結だと考えている」
とメールで回答。
募金については
「日本の皆様にもご支援いただき約4000万円が集まった」
「トルコの国会議員を通じて被災地で赤十字のような活動をしている団体に渡されてテント村が作られた」
「その国会議員から贈られた感謝の動画を当協会のホームページに掲載している」
「議員と政党からの感謝状が日本政府にも届けられた」
「日本の皆様に再度感謝申し上げたい」
と回答した。
【クルド労働者党(PKK)】
トルコの少数民族クルド人の非合法武装組織。
「国際テロリズム要覧」
2022年版によると、
「クルド人国家の樹立」
を掲げて1984年に武装闘争を開始、1990年以降、国内各地でテロを引き起こしてきた。
2023年10月にも首都アンカラの内務省前で自爆テロを起こし、警察官2人が負傷した。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/478.html#c22

[政治・選挙・NHK294] 小池百合子都知事の立候補表明見送りで「政界引退説」浮上 命運握るKY℃R本太郎氏の動向(東スポ WEB) 達人が世直し
34. 秘密のアッコちゃん[362] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年5月31日 20:53:50 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[475]
<■716行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
人手不足解消のカギは外国人労働者を受け入れないこと
Hanada2024年7月号 小西美術工藝社社長 D・アトキンソン
■衝撃的なアンケート結果
岸田政権は2024年3月29日、人手不足の分野で一定の技能がある外国人労働者を受け入れる在留資格
「特定技能」
について、2024年度から5年間の受け入れ枠を82万人とすることを閣議決定しました。
2023年度までの5年間で設定していた人数の2.4倍となり、外国人労働者の受け入れが加速することになります。
とんでもない話だと憤っていたら、最近、更に衝撃的なニュースが飛び込んできました。
「外国人労働者受け入れ『賛成』62%、高齢層で大幅増 朝日世論調査」(朝日デジタル)
<朝日新聞社が全国世論調査(郵送)のテーマ「人手不足社会」に関連して、人手不足の業種を対象に外国人労働者の受け入れを拡大する政府方針への賛否を尋ねたところ、「賛成」62%が「反対」28%を大きく上回り、賛否が拮抗した5年余り前の調査から大きく変化した>
もちろん、日本のマスコミの世論調査なので、どういう業種の人を対象にしたか、経営者だけにアンケートしたのかなど詳細が出ておらず、留意は必要ですが、6割もの人が外国人労働者受け入れに賛成というのは、驚きました。
人手不足に悩まされているのは、ほとんどが中小企業です。
人口減少の下、中小企業は生産性が低い。
有給休暇の取得率などを見ると、労働環境が大企業より厳しいので、労働者が不足すると、まず中小企業が人手不足になる。
日本の中小企業は社員数が非常に少ないので、すぐに大きなダメージを受けます。
日本企業の平均従業員数は9人。
85%の日本企業は、平均従業員数がたった3.4人。
仮に従業員数3人の職場から1人辞めると、労働力が3分の1減り、たちまち
「人手不足」
に陥ってしまうのです。
■努力したくない中小企業
私から言わせれば、中小企業は人手不足を解消する努力が進んでいません。
私は以前から、中小企業は統合して、次第に規模を大きくしていかなければいけないと主張しています。
合併統合することで、経営陣などの管理職や経理はこれまでの半分で済み、その分、人手不足の部署に人手を回すことができる。
統合まではいかなくても、会社間でお互いに人手が足りない時には融通し合うことができるよう連携はするべきです。
もう1つは、機械化など設備投資による作業の効率化。
ただ、経営者としては、日本人は低賃金でも仕事を真面目にこなしてくれるので、コストを掛けて設備投資を行う動機が生まれません。
機械化などをするより、低賃金で人間に働いてもらう方が安上がりなのです。
ここは肝心なポイントで、人口減少によって生じている人手不足は、本来、企業がそれに合わせてビジネスモデルを変えるチャンスであり、変えなければならないのです。
しかし、連携も合併もしたくない、設備投資で生産性向上もしない・・・中小企業がビジネスモデルを変える何の努力をすることもなく現状維持をするため、唯一残された方法が、減っていく日本人労働者の代わりに外国人労働者を受け入れることなのです。
現時点で、200万人の外国人労働者が日本に来ています。
2060年には生産年齢人口が3000万人減るので、低賃金労働者依存症の中小企業経営者を満足させるためには、1000万人単位で外国人労働者を受け入れなければならないでしょう。
主に最低賃金で働く外国人労働者が大量に入って来ると、日本人の賃金も上がらなくなります。
経営者は楽でしょうが、社会保障の負担が増える一方の日本で、財政も労働者も大きな打撃を受けます。
こんなふざけた話があるでしょうか。
■これまで以上に増える軋轢
2023年、2500万人の外国人観光客が日本を訪れました。
一方、
「オーバーツーリズムだ」
(ある地域を訪れる人が急増したことにより、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況)
と批判する声もあります。
満員でバスに乗れないとか、ホテルが満室で取れないとか、マスコミなどで
「オーバーツーリズム」
と批判されていることは、日本側の受け入れ体制の未整備によって起こっていることで、
「オーバーツーリズム」
などではありません。
1カ月当たり200万人来ているインバウンドは海外旅行できるレベルの層で、日本におカネを落として、欧米人などの場合、2〜3週間したら国に帰っていきます。
一方、外国人労働者は全く逆です。
中小企業が求めているのは、最低賃金で働いていくれる人材。
日本の最低賃金は世界23位で、ハンガリーやイランよりも低く、後進国レベル。
そんな低賃金であっても働きに来る外国人労働者は、言い方は悪いですが、どういう教育水準の人か分かりません。
そういう外国人が1000万人単位で日本に来て、定住するのです。
しかも最低賃金で働く外国人労働者は、経営者たちが住むようなエリアではなく、一般庶民が住むエリアで生活するようになる。
欧州などでは、低賃金の移民などは大変な問題を引き起こしています。
そもそも、イギリスがBrexit(イギリスが欧州連合 (EU) から離脱すること、離脱したこと)に踏み込んだ最大の原因は、庶民が強いられた移民の問題でした。
インバウンドは一時的にしかいないから、発生するトラブル、軋轢などたかが知れていますが、定住する外国人労働者は違います。
既にして、日本に住むイスラム教徒が
「土葬できる墓を作ってほしい」
と要請していたり、神社の賽銭箱を破壊したりする事態も起こっている。
1000万人単位で外国人が入ってきたら、これまで以上に様々な軋轢が生まれるでしょう。
なぜ経営者が低賃金で人をコキ使いたいがために、日本全体が迷惑を被らなければいけないのか。
「オーバーツーリズムだ!」
と騒いでいる人たちは、今すぐ外国人労働者受け入れに反対した方がいい。
どこの国でもそうですが、教育水準の低い移民を大量に入れれば、犯罪やトラブルが増えます。
移民政策で成功しているのは、高学歴かつポテンシャル(潜在的な力。可能性としての力)の高い人材を受け入れて、イノベーション(新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念)をどんどん起こしているアメリカくらい。
■中小企業延命という愚策
私が日本に来た1990年代前半は、高学歴・高所得の外国人でないと就労ビザが下りませんでした。
「日本人にできる仕事は外国人にやってもらう必要がない」
という考え方で、よほどの特殊技能を持った外国人でなければ、日本で働くことができなかった。
自分で言うのも何ですが、イギリスでトップの大学であるオックスフォードを卒業していても、なかなか申請が通らなかったほどです。
人手不足が叫ばれたているのは、飲食宿泊や運送業など、労働環境が悪く、生産性も低い業種です。
高学歴の人材などを必要としていません。
少子化によって競争率が下がり、今の若者は名門大学、大企業に入れる確率が昔よりも飛躍的に上がっています。
そんな中で、若者が最低賃金でしか雇えないような会社を選ぶはずがない。
若い優秀な人材を確保したければ、先述したように、合併するなり設備投資するなりして、生産性を向上させ、若者にとっても魅力的な
「中堅企業」
になるしかありません。
ところが、政府は外国人労働者を受け入れて、中小企業を延命させようとしています。
これほどの愚策はありません。
成功例がほとんどないのに、なぜ政府は外国人労働者受け入れを拡大しているのか。
もちろん、中小企業経営者側からの要請もあるでしょうが、一番大きいのは、今の社会保障を維持するためでしょう。
先述したように、ピークから既に1300万人も減っている生産年齢人口は、2060年まで更に3000万人減ります。
そうなれば、今のビジネスモデルを維持して高齢化に伴う負担に応えるために、労働している人間の数を最低でも維持しないと、今の社会保障制度を維持することができなくなる。
だから低賃金の外国人労働者を入れようということなのでしょう。
しかし、この考え方は余りにも短絡的過ぎます。
■日本人労働者は増やせる
政府には、外国人労働者を受け入れる前にやるべき事がたくさんある。
まず、日本人労働者の供給量を増やすべきです。
そのためには、扶養控除の廃止。
これだけ人手不足が騒がれる中で、フルに働かないことで税制優遇するなど、あり得ない制度です。
もう1つは、専業主婦(主夫)への年金制度の廃止。
サラリーマン(第2号被保険者)に扶養されている専業主婦(第3号被保険者)は保険料を自ら負担することなく、将来的に老齢基礎年金が受給できるのです。
自分は払っていないのに年金を受け取れるというのは、社会保障の原則に反しているだけでなく、女性の働く動機を奪っています。
海外によくあるやり方を導入して、既に貰っている人は仕方ないですが、例えば平成何年生まれ以降の人の場合、第3号非被保険者を廃止すると決めればいい。
低賃金の外国人労働者を受け入れる前に、優秀な日本人女性にフルに活躍してもらう仕組みを徹底的に実施するべきです。
女性活躍を訴えるなら、まずこの2つの廃止は必須でしょう。
それに中小企業改革。
これまで何度も書いてきたように、規模が小さいというだけで日本の中小企業は優遇されています。
弱者扱いされて、期待もされません。
商工会議所などの中小企業の団体も、改善を要求されると、すぐに
「中小企業潰し!」
「中小企業淘汰論者!」
「中小企業は下請けいじめを受けている!」
などと煽ります。
それによって、中小企業は成長するインセンティブ( やる気を起こさせるような刺激。動機付け)が削がれています。
そうではなく、きちんと足腰の強い中堅企業に成長した企業をバックアップしていく。
規模が大きくなることで、人手不足にも強くなる。
■逆説的な人手不足解消方法
経済合理性を歪ませる中小企業優遇の最たる例が、
「交際費」
です。
今は日本では中小企業というだけで、取引先との接待などに使う交際費を800万円まで損金扱いできます。
私の経験則でしかありませんが、私の周囲の中小企業経営者で、会社のためにこの800万円を使っている人はほとんどいません。
仕事に関係なく、高級寿司屋で食事をしたり、夜の店に行ったりと
「”社長自身”への接待」
に使われており、全く実態を伴っていない。
要するに、公私混同です。
この制度をフルに使うことができる企業はほぼ小規模事業者です。
成長して中堅企業になろうとすれば、この制度のメリットは次第に減ります。
更に、サラリーマンをやって何の経費も使えないよりは、公私混同が許されている小規模事業者になった方が圧倒的に有利になる。
経済合理性より、経営者優遇を狙って起業するインセンティブが働いていしまうのです。
これは考え過ぎではありません。
日本企業の場合、6割以上の企業が赤字企業です。
この比率は、1960年代から景気と関係なくずっと上がっています。
諸外国の例を分析すると、企業数の赤字比率は2割で、日本では如何に経済合理性の低い小規模事業者が多いか分かります。
実は、中小企業が2017年度に支出した交際費は約3兆円。
もし、この3兆円に法人税(23%)を掛ければ、6900億円もの税金を取ることができます。
政府の肩を持つわけではありませんが、日本は何か物事を動かそうと思えば、とにかく批判・反対の風です。
中小企業はもっと頑張れと言えば
「中小企業いじめだ」
と批判され、扶養控除廃止を言えば
「専業主婦いじめだ」
と批判される。
日本は本当に疲れる国です。
中小企業問題について、商工会議所前会頭の三村明夫氏は、未だに私を批判しています。
日経新聞(2024年4月27日)の
「私の履歴書」
で、三村氏はこう語っていました。
<中小企業はサボっているのではない>
<統計の数字だけを見た
「生産性の低い中小企業は淘汰されるべきだ」
といった極論が罷り通れば、日本経済は本来の強さを失うだろう>
「統計の数字」
以外に、一体何を根拠にすればいいのでしょうか。
教育水準の高い日本人を低賃金で働かせている
「統計的事実」
について、三村氏はどう思っているのか、逆に訊きたいくらいです。
三村氏は、最低賃金を引き上げると大量に中小企業が倒産する、失業者は大量に増えるというような主張をよくしていました。
1990年代に比べて、最低賃金は2倍に上がっています。
安倍政権以降も1.3倍にもなっている。
三村氏の主張と真逆に、企業数は大幅に増えて、就業者数も史上最高水準になっている。
三村氏が主張していた
「大量の倒産」

「大量の失業者」
も、統計に表れていません。
だから、
「統計ではない」
と言うのでしょう。
政府も、強烈な反対に遭うことは目に見えているから、
「じゃあ、現状維持のために外国人労働者を入れるしかない」
と半ば諦めており、場当たり的な対応しか取れないのではないか。
この人手不足を解消するために、政府はどうすればいいか。
逆説的ですが、
「これ以上、外国人労働者を受け入れないこと」
です。
外国人労働者を受け入れないことで、中小企業はにっちもさっちもいかなくなり、自動的に中小企業間の提携・統合、設備投資による生産性向上が進みます。
それは、中小企業改革の前進にもなる。
先述したように、中小企業を延命させるために外国人労働者を受け入れるなど、百害あって一利なしの愚策中の愚策。
冒頭の世論調査で、外国人労働者受け入れに賛成した人には目を覚まして頂きたい。
政府は
「経営努力をしたくない」
「現状維持をしたい」
という経営者の甘え、自己中心的な考えなど一顧だにせず、毅然と対応してほしいと思います。

外国人受け入れ「特定技能制度」に4分野を追加、5年で82万人見込み 政府が閣議決定
2024/3/29 10:10
https://www.sankei.com/article/20240329-QQTAPVAO7JLS3PHI6X4N4G3SQQ/
政府は2024年3月29日、外国人を中長期的に受け入れる
「特定技能制度」
の対象にトラック運転手などの自動車運送業や鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、対象分野を現在の12から16に広げる方針を閣議決定した。
令和6年度から5年間の受け入れ見込み数は最大で82万人とした。
パブリックコメント(意見公募)を経て省令を改正する。
受け入れ見込み数は、国内の雇用拡大や生産性向上だけでは不足する労働力を業界ごとに算出したもの。
5年間で約34万人としていた制度開始時から2倍超となった。
人口減少や時間外労働規制強化によって物流分野での人手不足が深刻化する
「2024年問題」
などが反映された。
追加4分野のうち、利用客と会話の機会が多いタクシーの運転手や鉄道の車掌などは、必要な日本語試験の基準を他の分野よりも高いレベルとする。
既に特定技能の対象となっている製造業分野でも繊維や鉄鋼、印刷業務などを中に加える。
特定技能は平成31年4月に創設。
最長5年間働ける1号と、家族が帯同できて事実上永住できる2号がある。
政府は、外国人の研修を目的とする技能実習制度を廃止し、外国人材の確保と育成を目的として将来的に特定技能制度に移行できる
「育成就労制度」
創設を柱とする関連法案を通常国会に提出している。

祖国にいながら外国人に怯えて暮らすのか 「受け入れろと」と他人の国で暴走する移民たち
WiLL2024年7月号 イスラム思想研究家・麗澤大学客員教授 飯山陽
■クルド人がまた犯罪
先の衆議院東京15区の補欠選挙は、たくさんの応援を頂きましたが力及ばず落選してしまいました。
皆さんのお陰で、最後までマイクを握ることが出来ました。
今回、選挙に出馬した理由の1つが、日本の移民国家への道にストップをかけるためです。
しかし現状は厳しく、またクルド人による犯罪が起きました。
しかも今度の被害者は何と女子中学生です。
産経新聞オンラインの記事(2024年4月5日付)です。
「女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署は2024年3月7日、不同意性交等の疑いで、トルコ国籍でさいたま市南区大谷口の自称解体工、ハスギュル・アッバス容疑者(20歳)を逮捕した」
「『日本人女性と遊んだが暴行はしていません』と容疑を否認しているという」
再度確認してみると、この記事は削除されており、追加の記事では容疑者は匿名にされていました。
実名は
「デイリー新潮」
やまとめサイトのみで閲覧できます。
容疑者の居住地はさいたま市ですが、川口署が逮捕したということは、川口市で活動するクルド人の居住地が近隣の市にも広がっているということでしょう。
トルコ国籍のクルド人の多くはイスラム教徒ですが、一般的にそれほど信仰に熱心ではありません。
しかし、クルド人文化は、イスラム教文化と共通する所が多く、その1つが女性や性に関する文化です。
イスラム教では、異教徒の女性は二重の意味で卑しい存在とされており、尊厳を持つ人間として扱われません。
更にイスラム教には、性行為や結婚をしても許される最低年齢という概念がありません。
イスラム教徒の男性の中には、本件のような
「異教徒の女子中学生」
というのは、性的に何をしてもいい存在だと思っている人がいる可能性があるのです。
イスラム教徒の移民による、現地の女性たちに対する性暴力事件がヨーロッパで多発している背景には、このようなイスラム教の女性観、異教徒観があります。
イスラム教徒の男性は、異教徒の女性には何をしても構わない、髪や肌を露出させているのは尊厳がないことの証であり、むしろレイプされたがっているのだと、そう理解してしまうことがあるのです。
私はイスラム教の研究者ですから、イスラム教が如何に土着文化を侵食する力を持っているかを知識としてだけでなく、実感としても知っています。
世界にはこうした文化や価値観を当然とする人々が多く存在するため、理想の多文化共生・異文化共生を現実のものにするのは困難です。
実現したいのならば、外国人に対し、
「あなたの常識は日本では受け入れられない」
「日本では日本のルールを守ってもらわねば困る」
と、ハッキリと徹底的に主張するしかありません。
更に、外国人の子供には出来るだけ早いうちから、日本のルール、文化に馴染んでもらう必要があります。
フランスでは、2019年から義務教育が始まる年齢を6歳から3歳に引き下げました。
その背景には、自国の文化や風俗を守るために移民を教育する意図もあります。
一方で日本には、こうした対策は一切なく、多文化共生・異文化共生は素晴らしい、日本人は外国人の文化を理解し、受け入れろと主張するだけです。
このまま何の対策もしなければ、先述のような事件は今後更に増えるでしょう。
■何が、権力の監視役か
にもかかわらず、政府や自治体、企業、そしてメディアも、日本社会に対して影響力(インフルエンシャル)な発言権を持つ”権力者の皆さん”はこぞって、
「活力維持に外国人が必要だ!」
と声高に言います。
読売新聞オンライン版でも
「外国人・高齢者 活力維持へ重要『育成就労』『特定技能』着実に・・・人口減抑制」
と題して、次のような記事が掲載されました。

<人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない>
<政府は今年(2024年)、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の創設を決めた>
<掲げたのは「人材の確保と育成」>
<帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った>
(中略)
<外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる>
(中略)
<業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある>
<その司令塔として、政府に「誘致戦略本部」を創設すべきだ>
<制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する>
(2024年4月26日付)

日本社会が人口減を抑制し、活力を維持するためには、外国人をどんどん日本に受け入れることが必須だとして、読売新聞がわざわざ提言しているわけです。
読売新聞だけでなく、既に国から企業まで皆揃って同じ事を言う有り様です。
外国人が必要だ、というのは、つまり”移民推進”です。
多様性の奨励はそのための地均しです。
多様性のある社会は
「活力を維持する」
と盛んに宣伝し、多様性を促進するために移民を受け入れる必要があるとして事を進める。
そもそも自民党は2016年3月15日の
「労働力の確保に関する特命委員会」
の初会合時に、政調会長の稲田朋美議員が
「日本は移民政策は採らない」
と明言した上で、議論を開始しています。
ところが、その8年後の2024年、岸田政権が在留資格
「特定技能」
について2024年度から5年間の受け入れ枠をこれまでの2倍を超える82万人とすると閣議決定しました。
8年前・2016年の方針を平気で変え、国民に嘘を付く、これが自民党政権です。
そしてこの嘘を嘘だと指摘せず、政府方針に同調しているのがメディアです。
何が
「権力の監視役」
でしょう。
「笑わせるな、愚か者!」
と言いたくもなります。
■7つの大罪である理由
読売新聞が提言した、
「日本社会の人口減を抑制し活力を維持し、成長を続けるためには外国人移民が必要だ」
という主張は完全に間違っています。
理由は7つー。
第1に、人口減の埋め合わせをするために移民を受け入れるなら、考えられないほど多くの移民を受け入れなければならないため、この政策自体が非現実的であることは、国連の調査でも明らかになっています。
第2に、人口減を埋め合わせするために移民を受け入れても、日本人でない人が増えるだけなので、日本で外国人による人口の置き換え(人口が増加も減少もしない均衡した状態になる)が進むだけです。
これを
「人口減の抑制」
だと言う人は、日本が日本でなくなることを積極的に推進する人たちです。
第3に、不足する労働力を補うために移民を受け入れても、移民もいずれ年を取って働けなくなります。
日本は今、永住を認めるという条件で移民を受け入れようとしていますが、労働力だったはずの移民は遠からず、日本の福祉によってその生活を支えなければならなくなります。
■移民と社会の暴走
第4に、不足する労働力を補うために移民を受け入れると言いながら、日本政府は彼らに家族の帯同を認めています。
5人、10人の家族を帯同すれば、移民の安い賃金では家族全員を養えなくなり、その分を補うのは、私たちの福祉、つまり税金です。
労働力が必要だと言って外国人を受け入れたのに、彼らの生活を我々の福祉で支えなければならないという事態が生じます。
労働力として受け入れた移民が、働く意欲を失ったり、病気になったり、失職すれば移民の家族の生活は、私たちの税金、私たちの福祉で支えなければならない。
これは移民を多く受け入れた欧米で実際に発生している問題です。
第5に、労働力として移民を受け入れれば、日本人の賃金が下がります。
政府が推進するインフレを上回る程度まで賃上げをする方針とは、正反対のベクトルに進みます。
サウジアラビアは移民を多く受け入れている国の1つですが、企業に一定数の自国民の雇用を義務付け、給与体系も外国人とは異なる水準を義務付けています。
しかし日本にはこうした規制はありません。
安い移民労働力を受け入れれば、企業と経営者が得をするだけで、日本人の労働者は専ら損をします。
これでは日本社会を弱体化させるばかりで、
「活力の維持」
どころではありません。
第6に、世界の文化の中には、日本の文化、伝統、常識、法律とは相容れない、矛盾するものが大量にあるため、全て受け入れれば、社会が混乱し、秩序が乱れます。
第7に、移民が増えれば間違いなく治安が悪化します。
現在、警察は外国人の犯罪を見逃し、仮に逮捕しても検察が不起訴にして犯罪者を無罪放免にします。
警察を恐れない”無敵の外国人”が、日本社会で暴走し、好き放題に犯罪に手を染めているのは、こうした背景があるからです。
外国人が増えれば、この状況は更に悪化するでしょう。
日本人は祖国にいながら、外国人に怯えて暮らさなければならなくなり、警察に守ってもらえなければ、自衛せざるを得なくなります。
犯罪の被害者となっても、誰も助けてくれない、そんな世の中にしたいですか?
■”聖域”という名の移民都市
2024年5月1日、バイデン大統領はワシントンでの集会で、日本経済が低迷している理由として
「外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」
と述べました。
そんなアメリカでは現在、不法移民が急増しています。
米南西部の国境を越えて拘束・保護された不法移民は2023年度(2022年10月〜2023年9月)に247万人と3年連続で過去最多を更新。
かつてはメキシコや南米各国からの流入がほとんどでしたが、今は、中国などから中南米を経由してアメリカを目指す不法移民も増えています。
バイデンの
「外国人好きで移民を望む」
政策が、世界中から不法移民を引き寄せているのです。
アメリカ内で移民に寛容な都市、いわゆるサンクチュアリ・シティ(聖域地域)の代表がニューヨーク市です。
ニューヨーク市では移民を10万人ほど受け入れ、日々増え続ける移民の数に悲鳴を上げ、2022年10月に民主党のエリック・アダムス市長がとうとう非常事態を宣言しました。
「移民はニューヨークのストーリー(歴史)の一部で、アメリカの一部でもある」
「しかし移民政策は崩壊している」
「国家的危機だ」
「もう限界だ」
「市単位の予算には限りがあり、思いやりだけではどうにもならない所まで来ている」
アダムス市長は移民の受け入れの危機的状況を踏まえ、度々このように訴えてきました。
ニューヨーク市の移民関連の予算は2024年度が約42億ドル、2025年度が約49億ドルと巨額です。
その後、アダムス市長は法律違反の疑いのある移民を保護してきた政策を転換する考えを示しています。
つまり不法移民を矢継ぎ早に受け入れる政策を採った結果、市が財政破綻しかかっているのです。
ニューヨーク市に限らず、不法移民を受け入れた州や都市は軒並み財政や治安が悪化し、地元住民の不法移民に対する感情も悪化しています。
今や28%のアメリカ人が不法移民の問題は、アメリカにとって最大の問題だと認識しています。
■”日本”であるために
一方、日本はどうか。
岸田政権は今まさに
「移民を望む」
政策を採りつつあります。
アメリカで不法移民に厳しい共和党が政権を取れば、アメリカに殺到している世界の不法移民が、今度は日本に殺到するでしょう。
今度は日本が不法移民の”サンクチュアリ(聖域)”になろうとしています。
日本が日本であり続けること、日本が国民にとって安心して暮らせる祖国であり続けること、日本人の暮らし、豊かさ、安全が守られることが何より大事です。
移民受け入れ推進は、こうした安心・安全を全て破壊します。
しかし今の日本の国会議員に、日本国民の安全を主張する人はほとんどいません。
彼らは皆、嘘を付き、移民を受け入れることによって起こる問題に言及する人はほとんどいません。
移民によって破壊された欧米社会や、先述のクルド人による性的暴行事件が彼らには見えていないのでしょうか。
文化や価値観の違いによって生じる事件、財政や治安の悪化などが起き得る移民政策を阻止する必要があります。
日本が移民問題で苦しむ欧米のようになるのは、時間の問題です。
私たちにとって大切な日本という国を、守り抜かなければなりません。

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

中学生に性的暴行したクルド人は難民申請中だった 地元市議は「実態を正しく直視するべき」
2024年4月5日
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04050558/?all=1
埼玉・川口市でクルド人男性が不同意性交容疑で逮捕された。
女子中学生に性的暴行をした疑いである。
実はこの男性、難民申請中だった。
悲劇の主人公のはずの
「難民」
が他人を悲劇に追いやる、その実態とは。
 ***
報道等によると、2024年3月7日に逮捕されたのはさいたま市に住むハスギュル・アッバス容疑者。
トルコ国籍の20歳、解体工だという。
事件があったのは2024年1月13日のことだ。
アッバスは都内の女子中学生とSNSで知り合い、複数人でドライブ。
2人きりになった後、川口市内のコンビニの駐車場に停車し、車内で犯行に及んだ。
行為の時間は約6分。
粗暴極まりない事件である。
川口市とその周辺でクルド系の住民と地元住民との間に軋轢が生じているのは周知の通り。
■市議も「不安に思う市民が増えている」
2023年7月4日は男女の揉め事で怪我をしたクルド人男性が川口市立医療センターに運び込まれ、それを巡ってクルド人が100人ほど病院に集結。
一時、救急搬送の受け入れが停止されるという大騒動が起きた。
「不安に思う市民が増えていると感じます」
とは、川口市議の奥富精一氏。
「これまでも一部のクルド人が改造車で危険運転や違法駐車をしたり、あるいは喧嘩をしたりという事例が見られてきました」
2023年6月には市議会で
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」
が採択されている。
「そこにきて今回の事件ですから、市民の不安が益々増したとしても不思議ではありません」
■クルド人増加の背景事情
クルド人とは、中東のトルコやイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に住む「国を持たない民族」。
川口は彼らが集住する地域として知られ、現在、2000人以上が暮らしている。
「彼らは難民申請をしているケースが少なくない」
と言うのは、入管のさる関係者だ。
「トルコと日本は現在、短期滞在ならビザは必要ではありません」
「で、ノービザで入国し、滞在期限が切れるまでの間に難民申請を行うんです」
「すると、その審査期間中は強制送還が止められる」
「川口に来るクルド人の多くは、ある特定の地域の出身です」
「こうした仕組みで入った人たちが地元の親類縁者を呼び寄せ、数が増えていったんです」
今回の事件を起こしたアッバスも、先に日本に来た父を頼って幼少期に来日し、難民申請をした“移民2世”だという。
「実際、彼らが難民認定されることはほとんどありません」
「クルド人が母国で差別されているのは事実でしょう」
「が、難民条約が規定するように、自由が奪われたり、生活が著しく損なわれ、生命の危機が生じているかと言えば、そこまでとは認められないことが多い」
「申請期間中に日本で稼いで帰国するか、或いは子供が小中学校に長期間通うなどすれば、在留特別許可を貰えるかもしれない」
「クルド人増加にはこうした背景事情があります」
しかし、そうした入国経緯の者の中から凶悪犯が出れば、住民との摩擦が生じるのは当然の事だろう。
■グレる2世
この地域で長年、クルド人支援に携わってきた「在日クルド人と共に」理事の松澤秀延氏は、
「彼らも日本の社会に順応したいと思っていますが、日本側の拒否反応が強く、そこで絶望を感じてしまうことも多い」
と分析するが、
「今回の事件もそうですが、2世の中には学校に行かず、いわゆる“グレて”しまうケースも少なくない」
「この問題を指摘するとすぐ差別と言われますが、まずは実態を正しく直視することが重要だと思います」
(奥富市議)
多様性尊重――そんな建前だけでは語れない現実が、この川口には横たわっているのである。
週刊新潮 2024年4月4日号掲載

外国人・高齢者 活力維持へ重要 「育成就労」「特定技能」着実に…人口減抑制[読売新聞社提言<7>]
2024/4/26 5:01
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240425-OYT1T50222/
■労働者に「選ばれる国」
人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない。
政府は今年、外国人技能実習制度に代わる新制度
「育成就労」
の創設を決めた。
掲げたのは
「人材の確保と育成」。
帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った。
外国人労働者を中期的に受け入れる在留資格
「特定技能1号」
も、自動車運送業や鉄道などの4分野を追加して16分野に広げた。
日本で暮らす外国人は増えており、約340万人に上る。
労働者は2023年10月末時点で約204万人だ。
政府は、育成就労と特定技能を
「車の両輪」
として、労働力を補っていく。
他国も受け入れを進めており、獲得競争を勝ち抜くには
「選ばれる国」
にならなければならない。
外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる。
農業や介護、建設など職種も幅広い。
業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある。
その司令塔として、政府に
「誘致戦略本部」
を創設すべきだ。
制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する。
育成就労では3年間働いた後、在留期間が5年の特定技能1号、永住が事実上可能な2号を段階的に取得してもらうことを目指す。
外国人の受け入れ先は主に地方の中小企業で、自力での育成には限界がある。
自治体の支援が欠かせない。
広島県は2023年、2号取得を目指す外国人を雇う企業に、最大300万円を補助する事業を始めた。
尾道市の
「因島鉄工」
はこの事業を使い、造船・舶用工業分野で全国初の合格者を出した。
その一人、ベトナム人のファン・ヴァン・マインさん(35)は
「将来は奥さんを連れてきて、ここでずっと働きたい」
と語る。
同社では試験対策として日本語講師を雇い、技能向上のための模擬試験を実施。
外国人向けの寮も整備した。
人材を繋ぎ止めるには、異国の地で働く外国人が暮らしやすく、文化に馴染める工夫も求められる。
■フレイル対策
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、2020年に7000万人超だった生産年齢人口は、2100年に3200万人に減る。
人手不足を補うため高齢者の力も必要だ。
内閣府の調査では、仕事で収入を得ている60歳以上の9割が、「いつまでも」を含め、70歳以上になっても働きたいと回答している。
企業は、技術や経験を持つ高齢者を積極的に受け入れるべきだ。
2040年には医療・介護人材が100万人近く不足するとされ、介護が必要な高齢者を少しでも減らしたい。
要介護一歩手前の状態「フレイル」の高齢者が対策を取った場合、5年後に15%が改善し、35%が状態を維持したという調査もある。
予防には食事や運動、就労といった心身の充実がカギを握る。

郷に入って「郷に従わん」外国人
直球&曲球 宮嶋茂樹
2024/5/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240509-H4LOHB4JIROYBC6FPXFOHBKM7Y/
日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
やて?
いやいや、バイデン米大統領、言葉は正確に伝えんとアカンわ。
多くの日本人が嫌いなんは、日本に来ても日本の文化や伝統、ルールを尊重せず、皇室を敬愛するどころか敵視するような外国人のことや。
日本人もどないかしとるで。
政・官・財・民、挙げて
「インバウンド」
景気やと歓迎して、いちびっとるけど、日本に来る観光客や定住外国人は、当たり前のことやけど、善意の人≠ホかりやないんやで。
最初から転売目的で爆買い≠オたり、白タクで荒稼ぎしたりしとる外国人も後を絶たん。
オーバーツーリズム
(とある地域を訪れる人が急増したことにより様々な問題が発生し、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況のこと。日本では「観光公害」とも呼ばれており、県や市といった全体で起きるものではなく、「〇〇市の橋周辺」や「春の〇〇府の寺院」など、特定の場所や季節、時間に起きるものを指す言葉)
の弊害も深刻や。
そこで暮らしとる日本人が多大な不便や迷惑を強いられとる。
東京や大阪じゃ日本人が泊まれるホテルを探すだけで一苦労や。
富士山もゴミだらけやんけ。
これほど外国人観光客が日本に押し寄せる理由は色々ある。
メシがうまいし、安い。
種類も豊富や。
治安もエエし、皆が皆とは言わんけど、まぁ日本人は外国人に親切や。
しかし、一番の原因は昨今の円安やろ。
円安=日本が安う見られとるというこっちゃ。
ハワイやヨーロッパは無理やけど
「円安」
の日本やったらいけるわ、とな。
それでも、ワシは何もやみくもに外国人の観光客や定住者を締め出せ、と言うとるわけやないんや。
困っとるんは、日本に来てまで犯罪まがいのことをやったり、日本の法令に反する自分らの風習を認めろ、と叫んだり、日本を理解しようともしたりせん、外国人なのである。
海外の日本人を見てみい。
皆から嫌われんようにちゃんと努力しとる。
その国の慣習、ルールを尊重して気、遣っとる。
イスラム圏に行ったら、お祈りの時間は静かにしとるし、豚肉は食べんし、公の場では酒も飲まんようにしとる。
「郷に入れば郷に従え」
という、諺を知っとるからや。
その国の交通ルールから公共マナーまで、いくら日本人には理解不能でも尊重するで。
そんな日本人を
「外国人嫌い」
やて?
バイデン大統領、それはないで!

バイデン米大統領が同盟国を「外国人嫌い」と切り捨てた失言の背景
ポトマック通信
2024/5/9 7:00
https://www.sankei.com/article/20240509-MFUGY3GBRVNUJJQMQJDL5YUPEA/
バイデン米大統領は2024年5月1日、アジアや太平洋諸島系の支持者集会でこう述べた。
「米国経済が成長を続けるのはなぜか」
「理由は我々が移民を歓迎するからだ」
「なぜ中国は経済的に行き詰まっているのか」
「なぜ日本は困難な状況なのか」
「ロシア、インドはなぜか」
「理由は彼らが外国人嫌い(xenophobic)で、移民を望まないからだ」
人は異なる人種、言語、宗教、生活習慣の人々の存在に拒否感や嫌悪感を抱くもので、どの国も受容と葛藤の歴史を続けている。
私が驚いたのは、大統領の失言に慣れっこのはずの米メディアの反応だった。
「同盟国に否定的用語を使った意図は?」
との疑問だ。
バイデン氏がなぜ日印中露を一括りに
「外国人嫌い」
としたのか報道官の釈明を聞いても判然としない。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、米国の移民差別の事例を挙げて
「日本の友人たちがバイデン氏のコメントを受け流してくれることを願う」
と述べた。
流せなかったのか、日本政府は
「正確な理解に基づかず残念」
と申し入れをしたと聞く。
日印を軸に中露を牽制する政権のインド太平洋外交への影響を懸念する向きもあるというが、失言には本心や願望が表れることもある。
日本を権威主義陣営との橋渡し役とする新構想があるのかと想像した。

林官房長官、バイデン米大統領の「日本は外国人嫌い」 「正確な理解に基づかない発言」
2024/5/7 12:18
https://www.sankei.com/article/20240507-GHSI6VL6DRNXPNOBYGMUH7TUQU/
林芳正官房長官は2024年5月7日の記者会見で、バイデン米大統領が、日本経済が低調なのは外国人嫌いなためだと発言したことに関し
「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言で残念だ」
「米国には日本の考えや政策を改めて説明した」
と述べた。
2024年4月の岸田文雄首相の国賓待遇での訪米を踏まえ、
「日米関係はかつてなく強固であり、引き続き日米関係の一層の強化に取り組んでいきたい」
とも強調した。

バイデン氏の発言は「残念」 日本政府が米側に伝達
2024/5/4 16:01
https://www.sankei.com/article/20240504-UYFMDSHLXZKMPNKFYEN72HZNLA/
バイデン米大統領が日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言したことについて、日本政府は2024年5月3日までに
「正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」
と米側に伝達した。
関係者が明らかにした。
ホワイトハウスが公表した発言録によると、バイデン氏は2024年5月1日、ワシントンでの選挙資金集めイベントで、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛し
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
と語った。
ジャンピエール大統領報道官は2024年5月2日、バイデン氏の発言について
「移民が如何に米国を強くしているかについて話した」
と記者団に釈明した。
記者から日本との関係を悪化させるのではないかと問われると
「日本とは力強い関係がある」
とだけ答えた。(共同)

日本や中国の経済不調は「外国人嫌いのせい」 バイデン米大統領が集会で発言、移民を称賛
2024/5/2 18:35
https://www.sankei.com/article/20240502-HXPLHHHEO5LJ5LECJI6HHSVFW4/
バイデン米大統領は2024年5月1日、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛した上で、日本や中国などの経済が低調なのは
「彼らが外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言した。
ワシントンでの選挙資金集めイベントで述べたと、ロイター通信が報じた。
2024年11月の大統領選で対決するトランプ前大統領の移民受け入れに消極的な姿勢を念頭に、バイデン氏は集会で
「移民こそが私たちを強くしてくれている」
と強調。
一方で
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)が2024年4月に発表した2024年の経済成長率の見通しでは、米国は2.7%で日本は0.9%。
一方、中国は4.6%、インドは6.8%となっている。(共同)

国貧しくする外国人政策
政策シンクタンク代表 原英史 
2024/4/28 8:00
https://www.sankei.com/article/20240428-7IRYKFFZSFP2TFLRAJTQM47IVE/
外国人の技能実習制度の見直しなどを内容とする出入国管理法等改正案の国会審議が始まった。
2024年4月26日、衆院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人の1人として陳述を行った。
私の述べた意見は、技能実習など個別制度の手直しの前に、まず
「外国人基本法」
を制定し、受け入れの戦略を明確にすべきだということだ。
政府は従来、なし崩しで外国人政策を進めてきた。
表向きは
「移民は受け入れない」
と言いつつ、実態は安価な外国人労働力の受け入れが拡大した。
日本人に十分な賃金を払って人材確保できない企業や業界が、安易に外国人労働者に頼り、入管行政も要望に応えた。
「国際協力」
が目的の技能実習制度などの悪用を政府が容認してきたのだ。
この結果、劣悪な労働環境や失踪などの問題が生じ、外国人による犯罪、社会的トラブルなども広がりつつある。
業界・企業が賃上げせず事業継続する道が用意され、賃金水準低迷の一因となった。
今回の改正案はこうした根本問題を解決するものではない。
「技能実習制度の廃止」
を掲げ、実態とかけ離れた国際協力の名目を人材育成などに改めてはいるが、実質大きく変わった点と言えば、転職を認めた程度だ。
看板の掛け替えに近い。
今後、人手不足が拡大する中で外国人受け入れの規模は拡大するから、これまでの戦略なき受け入れの負の側面は、更に大きく広がりかねない。
政府が今、行うべきことは戦略なき状態の解消だ。
国民的な議論も経て、
「外国人基本法」
を制定することが不可欠だ。
基本法ではまず、何のために外国人を受け入れるのかを明確にする必要がある。
「人手不足の解消」
を目的とするのは危うい。
業界要望に安易に応え続けることになり、日本人も含めた賃金引き上げを阻害し、日本をより貧しい国にしかねない。
安易な労働力の受け入れは社会的軋轢も生みやすい。
目的は
「日本を豊かにすること」
とすべきだ。
生産性を高めて経済社会を発展させるため、貢献できる質の高い外国人を戦略的に受け入れていく必要がある。
併せて、外交・安保政策の観点で人的交流を強化すべき国から重点的に受け入れるよう戦略性も求められる。
日本に限らず、移民を巡る議論は、賛否が大きく分かれ、イデオロギー・感情的対立にも陥りがちだ。
解決の道は、安易な受け入れでも全面的排除でもなく、日本国にとって有用な外国人材を選び抜いて受け入れることだと考える。
だが、今回の改正案はなし崩しの延長で、安易な外国人受け入れの道を広げ、社会の混乱を招き、日本をより貧しくしかねない。
必要なのは、なし崩し的な移民から戦略的政策への転換だ。

育成就労決定 永住資格を厳格化 税金滞納で取り消し
産経新聞2024年2月10日
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、外国人の永住許可制度を適正化する政府方針を決定した。
外国人永住者を巡っては、税金を滞納する事例などが確認されており、悪質な場合は在留資格を取り消せるよう要件を見直す。
政府は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度の方針を決定。
即戦力の外国人労働者を受け入れる在留資格を
「特定技能」
のうち、事実上永住できる特定技能2号への移行を促す同制度下では永住者の更なる増加が見込まれることから、悪質な外国人を排除する仕組みを整備する。
入管難民法は、永住資格の許可要件として素行の善良さなどを規定。
政府のガイドラインでは他に、納税義務の履行などを要件に挙げている。
一方、入管難民法で在留資格を取り消せるのは虚偽の申請で資格を得た場合などに限られ、税金や社会保険料の滞納を重ねても取り消されない。
関係者によると、永住資格取得後、納税などを拒むケースが複数、確認されている。
永住者は在留期限や活動に制限がない。
2023年6月末時点で約88万人で10年前から4割弱増加。
在留外国人の約3割を占める。

政府、外国人の「育成就労」新設方針 転籍1〜2年で可能 技能実習制度は廃止
2024/2/9 10:30
https://www.sankei.com/article/20240209-44RUQO4NEFNRPJT2WJRKPZ2X5Q/
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度創設を柱とする政府方針を決定した。
技能実習制度では原則認められていなかった転籍(転職)を原則1年で認める一方、最長で2年間、転籍を制限できるとした。
政府は2024年3月にも国会に関連法案を提出する。
技能実習制度を巡っては劣悪な労働環境の影響で人権侵害事案などが発覚。
政府の有識者会議が昨年、公表した最終報告書は技能実習制度を廃止し、育成就労制度を創設。
育成就労期間が1年を超えるなどの条件を満たせば原則、転籍を認めるとしていた。
その後、地方から都市部に人材が流出する可能性があるなどの懸念を払拭するため、転籍に一定の制限をかける必要があると自民党の部会が提言。
政府方針は、当面、業界ごとに最長で2年まで転籍を制限できるとした。
転籍時の日本語能力は、最も易しい日本語能力試験「N5」レベルや、基本的な日本語を理解することができる「N4」レベルを設定する。
転籍要件の緩和に伴い、悪質な転籍ブローカーの介入を防ぐため、転籍の仲介状況を透明化するための体制を整備をする他、資格のない外国人を雇うことを禁じる不法就労助長罪の法定刑を引き上げる。
受け入れの仲介を担う監理団体は
「監理支援機関」
とし、外部監査人の設置を義務付ける。
新制度は、人材の育成だけでなく確保も目的とし、受け入れる分野を特定技能制度と揃える。
育成就労期間を終えて日本語と技能の試験に合格すれば、特定技能1号に移行できる。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/483.html#c34

[政治・選挙・NHK294] 電通の懸命な都知事選情報工作(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
18. 秘密のアッコちゃん[363] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月01日 09:41:16 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[476]
<■2066行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
日本の電力 見えてきた河野太郎・孫正義 売国の悪巧み ”電力版一帯一路”を何としても阻止しなければならない
WiLL2024年7月号 YouTuber元NTT社員 ささやん
■河野大臣の影で暗躍する官僚
河野太郎デジタル担当大臣が立ち上げた内閣府の
「再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指すタスクフォース」(以下、再エネTF)
に、中国企業
「国家電網公司」(こっかでんもうこうし)
のロゴの透かしが入った資料が提出された問題。
この資料を提出した自然エネルギー財団事務局長の大林ミカ氏の人選に関わった河野太郎氏の責任が追及されましたが、この問題はまだまだここで終わらせてはいけません。
河野太郎(規制改革担当相)は2024年5月10日の記者会見で、この問題に関する調査の現状を問われ、
「調査に私は携わっていないので、内閣府か何かに聞いて頂きたい」
と発言しました。
2024年4月2日の会見では、
「海外から不当な影響力を行使される可能性があったかどうか、しっかり調査をしたい」
と述べていたのに、無責任極まりない!
これで次期首相候補というなら、冗談にも程があります。
大林ミカ氏を再エネTFのメンバーにした理由について河野太郎氏は
「下から上がって来たのを承認したからだ」
と言っています。
では、大林ミカ氏を上げた人間は誰なのか。
実は裏で忍者のように暗躍したのが、内閣府規制改革推進室規制改革・行政改革大臣直轄チームの
「山田正人参事官」
です。
山田正人氏も根っからの反原発推進者で、河野太郎氏との関係について経済産業省の元官僚・古賀茂明氏が週プレNEWS(「週刊プレイボーイ」のニュースサイト・2021年1月8日付)で、次のように書いています。
<私(古賀茂明)が注目している河野大臣絡みの人事がある>
<それは彼(河野太郎)が補佐官に抜擢した山田正人氏だ>
<経産省出身の同氏(山田正人)は資源エネルギー庁勤務の頃、核燃料再処理工場のコストが19兆円にもなるという文書「19兆円の請求書」を作成して同プロジェクトの中止を訴えたことで、閑職に追いやられていた>
<今は、TFと大臣の間で全てを調整する役回りだ>
山田正人氏と同じ経産官僚の古賀茂明氏の証言ですから、何よりの裏取りでしょう。
更にこの人事にはソフトバンクグループの影がチラつきます。
大林ミカ氏が所属する自然エネルギー財団は、ソフトバンクグループの孫正義氏(会長兼社長)が設立し、ソフトバンクが100%出資している財団です。
再エネTFの民間委員は4名ですが、そのうちの2名が自然エネルギー財団から選ばれており、孫正義氏の意向が半分入っているのと同じです。
仮に再エネを強力に推進していく2名、中立の立場の2名でTFを組織し、甲乙付け難い議論になった際は、最終決定を河野太郎氏が持つという既定路線が出来ているわけです。
河野太郎氏、孫正義氏の意思によってコントロール出来る仕組みとなっています。
河野太郎氏は原発の管轄である経産省の官僚を突破するため、再エネTFで自分に都合の良い資料を作らせているのでしょう。
人選の横暴さが何よりの証拠です。
再エネTFで作られた資料を基に官僚からの意見を跳ね除け、内閣府の権限で突っぱねてしまう。
官僚を怒鳴り付けるようなパワハラ体質ですから、
「俺の言うことが聞けないのか」
と権力を振りかざしている姿が容易に想像出来ます。
■”電力版一帯一路”の実態
なぜ河野太郎氏、孫正義氏はここまで深く再エネを推進するのかー。
その理由は、彼ら(河野太郎氏と孫正義氏)の狙いが日本の政府開発援助(発展途上国の経済発展や福祉向上のために先進国の政府機関が行う援助や出資。以下、ODA)を利用しての”電力版一帯一路”の実現にあるからです。
そのための機関が、中国国家電網(SGCC)会長の劉振亜(りゅうしんあ)氏が会長を務めるグローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO:Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization、世界的な送電網構築を目指す非営利団体・以下、GEIDCO)です。
GEIDCOは、中国国家電網の呼び掛けにより設立され、
「自然エネルギーの活用のための世界的な送電ネットワークの実現を目指す」
という目標を掲げていますが、GEIDCOが明示している
「北東エネルギー・インターコネクション計画」
に関する調査報告書の中身を確認してみると、3ページ目に驚くべき資料(画像1)があります。
見出しは
「地域の協力強化は各国共同の要求」
と書いてあり、その下には
「各国が地域協力を目標とした発展戦略を策定」
とあります。
国旗が6つ並んでいますが、時計回りに、ロシア、韓国、北朝鮮、日本、モンゴル、最後に中国となっています。
中国の国旗部分には分かり易くそのまま
「一帯一路」
と記載されており、まさにGEIDCOの狙いが
「電力版一帯一路」
だということの証拠です。
では、日本国旗の横の部分は何と記載されているのか。
記載された中国語を翻訳アプリで変換すると
「政府開発援助プロジェクトの資金と技術面での支援を強化し、アジアのインフラ建設過程を推進する」
となります。
驚くべきことに、ODAを意味していると思われる
「政府開発援助」
という文字が謳われており、これを素直に解釈すれば、日本の役割は
「資金面と技術面」
とはっきり明示されているのです。
電力版一帯一路に日本のODAが使用されるとは、まさに”世界規模での公金チューチュー”ではないですか。
しかし、不思議なのはODAの使用ということであれば、孫正義氏の一存で決めることはできず、外務大臣の許可が必要です。
一体誰がこんなバカげた計画にゴーサインを出したのか。
調べてみると、何と資料が作られた2018年時の外務大臣は河野太郎氏(2017〜2019年)ではありませんか。
これで完全に繋がったわけです。
河野太郎氏は外務省で気候変動対策のための有識者会議を開き、そこを突破口にして自然エネルギー財団のスタッフをバンバン省庁に送り込み、ロビー活動をして終わりかと思いきや、ODAの予算を使い、アジア諸国の電力網を電力の一帯一路に組み込もうと画策していたー恐ろしい話です。
もし電力版一帯一路が実現すれば、国家のインフラが牛耳られ、中国の一存でコントロールされてしまう。
電気が止まれば、日本の通信インフラは壊滅し、セキュリティ破壊、経済破綻は免れません。
国家の安危に関わる重大な危険を孕んでいます。
こうした危うい電力の投資計画を推進する河野太郎氏と孫正義氏の悪しき野望を何としても阻止しなければなりません!
私が孫正義氏についておかしいと思ったきっかけは、東日本大震災(2011年3月)の時でした。
被災地のインフラがズタズタになった当時、私の同僚であるNTT社員が休みなしで現地に向かい、復旧作業をしていました。
日本が一丸となって国難に立ち向かい、NTTも総力を上げて、
「必ずインフラを復旧させる」
という思いの中での作業でした。
ところが、2011年5月、ソフトバンクが太陽光発電に参入すると言い出したのです。
「孫正義は正気なのか」
と耳を疑いました。
同僚たちが同じ通信会社のよしみとして、ソフトバンクやKDDIから社員を派遣してもらえるのではないかと期待していた時に、まさかの電力事業参入の表明ー。
インフラも落ち着き、仮復旧したタイミングでの表明ならまだ分かりますが、仮復旧も困難な状況下で、ライバル企業が勝手な事を言い出したので、
「この人の国家観は大丈夫なのか」
という不信感を持ちました。
もちろん原発の問題も背景にはありましたが、タイミングとしてはそこじゃないでしょうという思いが強くあり、あの衝撃は未だに忘れられません。
孫正義氏は
「電力事業で利益は出さない」
と言っていましたが、一体その言葉のどこを信用すればいいのか。
国よりも個人的な利益に走ったようにしか見えませんでした。
国を思うのであれば、今起きている問題を議論すべきなのに、それを蔑ろにした孫正義氏を許すことは出来ません。
■再生”不可能エネルギー
このような危険人物が推し進める”電力版一帯一路”を阻止するために我々が出来る事は、まず日本国内から再エネについて疑問を呈することです。
例えば、再生可能エネルギーの代名詞とも言えるメガソーラーについて、推進派は地震や災害の際に威力を発揮すると主張しますが、2024年元日に発生した能登半島地震を見ても明らかなように、実態は真逆です。
読売新聞によれば
「斜面に数百万平方メートルに渡って敷き詰められていた太陽光パネルが、地盤と共に崩落」
「町道を塞ぎ、撤去された(2024年)2月中旬まで、車両が通れなくなった」
(2024年4月11日付)
とあります。
パネルは千葉県の業者が設置したようですがその後転売し、撤去したパネルを保管している町も今の事業者と連絡が取れていないそうです。
災害時に自活出来るだけの電力が賄えるのであれば、今こそ復興に役立てて宣伝すべきですが、活用どころか復興の妨げになっているのですから、バカバカしくて話になりません。
これではまるで再生”不可能”エネルギーと言う方が正解です。
しかも、再エネ議連(再生可能エネルギー普及拡大議員連盟)は一体何をやっているのでしょうか。
顧問を務める河野太郎氏は能書きばかりこいてないで能登の現地でパネルの1つでも回収してきたらどうでしょうか。
それをやってこその
「再エネ”助け”フォース」
です(笑)。
そして、パネル撤去の請求書は全て再エネ議連に回せばいいのです。
事務局長を務めていた秋本真利議員は風力発電の会社から賄賂を受け取り、馬主となれるくらいお金を持っているのですから。
こうした能登の現状を見ても、メガソーラーの使用には限界があります。
その理由を3つ上げます。
1つ目は、読売新聞の記事にもあるように、
「いざとなったら発電業者がトンズラする」
可能性が非常に高いことです。
これは随分前から言われてきたことで、全部の業者がそうとは言いませんが、多くがFIT(再生可能エネルギーから作られた電気を電力会社が一定価格で、一定期間買い取ることを国が保証する制度)の高価買い取り制度を狙い、お金に目が眩んで参入してきた業者たちです。
環境に良いというのは表向きの理由で、裏ではいつ転売して売り抜けようか、と考えています。
ですから、いざとなれば、さっさとトンズラし、パネル設備をポイ捨てし、放置した方が損害が少なくなる。
太陽光でサスティナビリティ(持続可能性)などと言っている人間など信用してはいけません。
2つ目は、国内において太陽光の設置は既に限界に来ている点です。
資源エネルギー庁の資料でも、日本の平地面積当たりのメガソーラーの設置は、世界と比べて群を抜いて高い密度であることが分かります。
ドイツのおよそ2.3倍、米国の40倍となっており、日本の国土は既に太陽光パネルの過密地帯なのです。
そこに災害が起これば、崩落したパネルの処理に手こずるのは自明の理。
現時点でパネルのリサイクルが出来ていない状況ですから、地震が起きて、まとまった数のパネルの廃棄が出てしまったら対処出来ません。
そして3つ目が火災の多さです。
2024年3月27日、鹿児島で起こったメガソーラーの火災は、鎮火まで20時間を要しました。
更に、2024年4月15日には、仙台でもメガソーラーの火災があり、これは鎮火に22時間かかっています。
なぜ、こんなに燃えやすいのでしょうか。
しかも1回燃え出したら、水ではなく、科学的な消火剤を撒かないと鎮火しません。
これでは環境の
「か」
の字もない。
再エネを進めたい方々は、まず能登の現場や鹿児島・仙台の火災現場を見てからもう1度判断すべきです。
再生可能エネルギーが本当に安いのかどうかもしっかり検証すべきです。
推進派は再エネを導入することによってやがて電気代は下がると主張し、孫正義氏も太陽光事業を始めた2011年、
「コーヒー1杯分を負担して下さい」
とキャッチコピーのように言っていました。
しかし、世界的に見て再エネを導入した結果、電気代が下がるというデータは出ていません。
むしろ、電気代は高くなるばかりで、2024年の再エネ賦課金は、経産省の試算で月平均、1396円になります(一般家庭)。
いつの間にかコーヒー3〜4杯分に膨れ上がっています。
しかも、2035年から2040年くらいにかけて、大量にパネルが廃棄される見込み(2035年問題)ですが、どう処理するのか全く見通しが立っていない。
部分的に分解し、ガラスやプラスチック部分は再生利用出来るかもしれませんが、シリコンやメカの部分は今のところ再生出来ないので、埋め立てるしかない。
オーストラリアやカリフォルニア州は実際にパネルの処理に困っているという事例もあり、カリフォルニア州は隣の州に持って行って処分しているという有り様です。
カリフォルニア州で作っておきながら、隣の州に持って行ったのでは、運ばれた方も迷惑でしょう。
このようにメガソーラーは世界的に見ても、矛盾ばかりです。
パネルの設置で動植物にも影響が出て、むしろ自然が破壊されています。
「再エネ=地球に優しい」
という言葉のレトリックに騙されてはいけません。
再エネは、むしろ地球に負荷を与えています。
一緒に利権まみれの安易な再エネに反対の声を上げていきましょう!

能登地震で太陽光発電施設19か所が破損や崩落、感電・発火の恐れ…被害の全容不明
2024/4/11 15:00
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240411-OYT1T50097/
能登半島地震で、太陽光発電施設が破損、崩落する事故が少なくとも19か所で起きていたことが分かった。
国に報告があったのは16か所だが、読売新聞が航空写真を分析した結果、他3か所でも確認できた。
破損したパネルは感電や発火の危険性がある。
事業者が報告していないケースが他にもあるとみられ、国は発生から3か月以上経った今も被害の全容を把握できていない。
斜面から土砂と共に崩落し、町道を塞いだ太陽光パネル(2024年1月4日、石川県穴水町で)=上万俊弥撮影
「『ドーン』という音と共に揺れを感じ、家の外に出ると大量のパネルが住宅の前まで迫っていた」。
2024年元日、震度6強を観測した石川県穴水町由比ヶ丘地区。
実家に帰省中だった女性(44)は振り返る。
斜面に数百平方メートルに渡って敷き詰められていた太陽光パネルが、地盤と共に崩落。
町道を塞ぎ、撤去された2024年2月中旬まで、車両が通れなくなった。
経済産業省などによると、このパネルは千葉県内の事業者が設置し、2022年に運転を開始した。
しかし、事業者は取材に
「直後に転売したので、今は分からない」
「当時は土砂崩れのリスクは考えていなかった」
とし、今の事業者は連絡が取れなかった。
町が撤去したパネルを保管しているが、町も事業者とはまだ連絡が取れていないという。
太陽光発電施設の事業者は、電気事業法に基づき、パネルの損壊や敷地外への流出、火災などがあれば、把握から30日以内に経産省に詳細を報告する義務があり、違反すれば罰則もある。
同省の資料によると、石川県内の能登地域(12市町)には、太陽光発電施設が小規模なものも含めて約1200か所ある。
2024年3月21日時点で七尾、能登、穴水、志賀、宝達志水の5市町の計16か所の事業者から被害の詳細な報告があったという。
読売新聞は、金沢工業大の徳永光晴教授(地理空間情報工学)の監修を受け、国土地理院が公表している地震発生後の被災地の航空写真を分析した。
その結果、他に少なくとも3か所の施設で被害が確認できた。
道路を塞いだ穴水町の施設の他、珠洲、七尾両市でそれぞれ1か所あった。
軽微で報告義務がないとみられる被害を含めると、更に数か所確認できた。
珠洲市宝立町では、スーパーの屋根に設置されていた200平方メートルほどのパネルが建物ごと倒壊。
今もそのまま残されている。
太陽光パネルは破損後も光が当たれば発電し、感電や発火の恐れがある。
2019年には、千葉県内で台風によりパネルなどが破損し、火災になったケースがあった。
珠洲市で倒壊したスーパーを経営する男性(62)は
「発火の恐れがあるとは知らなかった」
「市に建物の解体を申請しているが、いつになるかは分からない」
と困惑した様子で話した。
経産省によると、地震による太陽光発電施設の被害報告は、2016年の熊本地震で1か所、2018年の北海道 胆振いぶり 東部地震で3か所あった。
今回は、広範囲に地盤の亀裂や隆起が起こり、被害が拡大したとみられる。
経産省は2024年3月、事業者が被害を確認できなかったり、報告義務を認識していなかったりするケースがあるとみて、事業者に被害の確認を求める書面を郵送した。
太陽光発電施設を巡っては、2018年の西日本豪雨でも崩落し、神戸市で新幹線が運休。
その後も豪雨や台風による事故が相次いだ。
経産省は2022年度、大雨で土砂崩れなどの恐れがある
「土砂災害警戒区域」
にある280施設に立ち入り検査を実施。
うち25施設で敷地外への土砂流出を確認し、事業者に対策を指導していた。
しかし、土砂災害警戒区域は地震を想定していない。
今回、19か所のうち、少なくとも2か所で敷地外への流出が確認されたが、いずれも警戒区域外にあった。
徳永教授は
「太陽光発電施設は斜面に設置されているケースが多く、地震による崩落リスクがあることが改めて明らかになった」
「自治体は国への届け出情報などを基に施設の設置状況を把握し、崩落して住宅や道路に被害が及ぶ可能性がある場所については対策を促すことを検討してもいいのではないか」
としている。

くつざわ亮治氏「『河野一族は中国共産党の犬』などとブログに書いたら河野太郎大臣に訴えられました…」
2023/12/28
https://sn-jp.com/archives/149645

2024/4/13
【解説】「中共の犬国防の敵」河野太郎問題とズブズブの紀藤弁護士
https://aichinahn.hatenablog.com/entry/2024/04/13/001935

<中共の犬>よばわりしたら河野太郎に告訴された
河野太郎デジタル担当大臣と”徹底抗戦”します
WiLL2024年6月号 日本改革党代表 元豊島区議会議員 くつざわ亮治
■前代未聞のの訴訟
この度、河野太郎デジタル担当大臣に訴えられました!
現役の国務大臣が私人を名誉棄損で訴えたという事例は聞いたことがなく、被告となった私自身も驚いています。
事の発端は、自民党総裁選の最中である2021年9月20日、私がブログで
「河野太郎は一族ぐるみで中国共産党に飼われていました、はい試合終了」
と題し、河野太郎氏のファミリー企業
「日本端子」(本社・神奈川県平塚市)
について書いたことです。
ブログの内容は次の通りです。

河野太郎は一族ぐるみ中国共産党に飼われてました、はい試合終了 20210920
2021/9/20
https://go2senkyo.com/seijika/165194/posts/303109
<河野一族は中共の犬でした!お疲れ様でした!
洋平が実質オーナーで太郎の実弟の二郎が社長を務める日本端子株式会社(年商120億円)の中国子会社、北京日端有限公司は日本端子60%、京東方科技集団股分有限公司40%出資の合資会社
京東の責任者の陳炎順は今年(2021年)6月に全国優秀党員に選ばれたエリート共産党員だった
つまり中共4割と>

今から2年以上も前の事なので、書いた私自身もすっかり忘れていましたが、この内容について、突如、2023年11月2日に代理人弁護士を通じて
「通知書」
が届きました。
河野太郎氏側は
「ブログの削除」

「謝罪要求」
をしてきましたが、一般人ならばこの時点で怖がって要求を呑んでしまう。
ところが、私が代理人弁護士を通じて拒否したところ、訴訟に発展しました。
河野太郎氏側は加えて220万円の支払いを要求しています。
「今更なぜ?」
と首を傾げましたが、来る2024年9月の自民党総裁選を意識し、都合の悪い批判記事を削除しておきたい意向があるのではないか。
つまり、私への訴訟は
「批判に対しては容赦なく訴訟を起こしていく」
という。
一種の”見せしめ”なのでしょう。
■”中共の犬”仲間
しかも、現役大臣が訴訟を起こすという稀な案件にもかかわらず、テレビや新聞は無視を決め込んでいます。
メディアも野党も追及しないのは、”中共の犬”仲間だからでしょう。
小西洋之参議院議員も一般人を名誉棄損で訴えましたが、権力のない野党議員なら話題にならないのも理解できます。
しかし、与党の、しかも総裁候補に名前が挙がる現職大臣が一般人を名誉棄損で訴えた事実を、なぜ、どこも取り上げないのか。
非常に不可解です。
テレビも新聞も支局を人質にされ、結局は中国に逆らえないのです。
大きな権力に配慮するのは裁判所も同じです。
当初、この訴訟は裁判官が1人で進める単独部に回されたのですが、途中から3人の裁判官が付く合議部に回されました。
私の代理人弁護士に聞いても、民事の名誉棄損の裁判で合議制は聞いたことがないとのこと。
恐らく裁判所は訴状を受け付けた段階で、
「原告 河野太郎」
を見た時に、まさか現役の大臣であるとは思わず、通常通り単独部の裁判に回した。
ところが、ある時点で大臣本人ということに気付き、慌てて合議部に回したのでしょう。
裁判所も原告が国務大臣の裁判を1人の裁判官に任せるのは、まずいと判断したのではないか。
裁判の状況ですが、今年(2024年)1月を皮切りに、口頭弁論(原告・被告双方の代理人が、互いに意見や主張を述べること)が2回行われました。
しかし、公開の法廷で原告・被告本人を呼んでの争いは行われていません。
公開の法廷を開くと、傍聴席は埋め尽くされ、”河野太郎糾弾集会”のようになってしまうことを裁判所が懸念しているからでしょう。
裁判所が訴えの取り下げを原告側(河野太郎氏)に遠回りに示唆している可能性もあります。
裁判所が大臣という権力者にここまで配慮するとは、果たして公正な裁判になるのでしょうか。
ちなみに、かつて
「ゴキブリ」
と誹謗中傷された政治家が訴訟を起こそうとしたところ、裁判所から
「政治家は批判されるのが仕事でしょう」
と門前払いされた例があります。
なぜ
「ゴキブリ」
は良くて、
「犬」
はダメなのでしょうか(笑)。
■中共の犬である根拠
もちろん、私が書いた”河野一族は中共の犬”という内容に事実誤認があるとは到底思えません。
河野太郎氏の実父である洋平氏が官房長官として発表した
「河野談話」(1993年)
の後、日本端子は北京で子会社を作ることが許されました(同年の1993年、河野太郎氏は日本端子の常務に就任。現在は辞めている)。
河野談話を読んだ中国から
「河野洋平は使いやすい」
と判断され、見込まれたのでしょう。
中国でビジネスをするには、中国共産党の資本を入れて合資会社にし、株の比率も五分五分にしなければならないという条件があります。
ところが日本端子の子会社は、自身の持ち株比率が多いという有利な条件で、北京、香港、蘇州に立て続けに設立しました。
聞くところによると、神奈川県平塚市にある本社ではなく、中国本土にある3つの会社が事業のメインになっているそうです。
世界最大級のEC(電子商取引)事業を手掛ける
「アリババグループ」
を創業したジャック・マー氏が中国共産党を批判し、習近平政権に目を付けられ、ここ数年で公の場から姿を消しましたが、あれほど巨大な会社ですら中国共産党に逆らうと粛清される。
言い換えれば、中国でこれだけ有利な条件で商売が出来ている日本端子が中国共産党の言いなり(犬)なのは間違いないでしょう。
ちなみに日本端子の株主は11人ですが、全員が河野一族です。
筆頭株主は洋平氏で30%を所持。
20%は弟の次郎氏(社長)が持っており、河野太郎氏自身も3%ほど所持しています。
最新の政治資金収支報告書によると、日本端子は400万円を河野太郎氏が代表を務める自民党神奈川県第15選挙区支部に献金として寄付しており、河野太郎氏は未だに親から”お小遣い”を貰っているのです。
普通の会社なら、400万円も支部に寄付することに関して株主から文句が出ますが、株主は全員河野一族なので、当然文句も出ません。
■”徹底抗戦”します
河野太郎氏がお金に困っているとは到底思えませんので、支払い要求されている220万円という金額からも、原告が被告からお金を取ろうと考えている裁判でないことは明らかです。
河野太郎氏側は
「訴えた」
という事実を作りたかったのでしょう。
勝敗はさておき、私は全面的に戦う覚悟で”徹底抗戦”します。
ブログを削除したり、表現を変えるつもりは一切ありません。
裁判が長引けば長引くほど、
「河野一族は中共の犬と書いたら訴えられました」
と言い続けられるので、私としてはむしろ好都合です。
もちろん勝訴したら
「裁判所が河野太郎は中共の犬と認めた」
と騒ぎ立てます(笑)。
負けたら
「裁判所が大臣に配慮した」
と大騒ぎするので、いずれにしても、
「河野一族は中共の犬」
という事実が広まるわけですから、目的は達成できそうです。
仮に220万円の要求が22万円に変われば、こちらとしては勝ったも同然です。
今回の件で分かったことは、河野太郎氏の政治家としてのセンスの無さです。
安倍晋三元首相も山口二郎氏(北海道大学名誉教授・法政大学法学部教授)から
「安倍は人間じゃない」
「叩き斬ってやる」
と公然と侮辱されました。
しかし、安倍晋三元首相は眉一つ動かさず、訴えたりはしなかった。
それに比べて、河野太郎氏は何と器の小さいことか。
政治家、ましてや現役の大臣であるならば、政策や言論で勝負すべきです。
私は言論を持って、書いたブログ記事は事実であると確信していますので、河野太郎氏の理不尽な
「言論弾圧」
には屈せず、戦っていきます!
■エネルギー分野に中国の介入
河野太郎氏の問題はこれだけにとどまりません。
再生可能エネルギーに関する規制見直しを目指す内閣府のタスクフォース(以下、再エネTF)に、中国の国営電力会社
「国家電網公司(でんもうこうし)]
のロゴマークが入った資料が提出されました。
この資料を提出した民間構成員(現在は辞任)の大林ミカ氏(自然エネルギー財団事業局長)は、何と河野太郎氏が推薦した人物です。
河野太郎氏は記者会見で大林ミカ氏の起用について
「特に問題があったということではない」
と述べましたが、国家の根幹に関わるエネルギー分野に中国の干渉(侵略)を許しているのですから、問題だらけでしょう。
仮に問題がないなら、なぜ大林ミカ氏は有識者メンバーを辞任したのでしょうか。
後ろめたいことがないなら、辞める必要はないはずです。
河野太郎氏はこの件について
「ネトウヨが騒いでいるだけだろ」
と吐き捨てたそうですが、ネットを見下すポーズを取っておきながら、私の
「河野一族は中共の犬」
というブログはスルーできなかったようです(笑)。
自然エネルギー財団はソフトバンクの孫正義氏が設立し、会長に就任していますが、タスクフォースの民間委員4人のうち、2人が自然エネルギー財団の人間です。
4人全員が自然エネルギー財団の関係者という時もあったようで、まさに”ズブズブ”の関係であることが分かります。
■”大儲け”の太陽光ビジネス
しかも、再エネ賦課金制度を作ったのが河野太郎氏と孫正義氏です。
2024年4月から再エネ賦課金が年間6000円台から1万6000円台に値上がりしましたが、値上がりした賦課金のほとんどがメガソーラーを設置できる事業者に回されます。
日本端子の主要ビジネスが太陽光パネル事業なので、さぞかし儲かることでしょう。
日本端子は太陽光パネル周辺部品の特許をいくつか持っているので、他社が作った部品でも儲かる仕組みになっています。
つまり、河野太郎氏はこの制度を都合よく利用し、立派な”公金チューチュービジネス”をしているのです。
河野太郎氏があれほど
「脱原発」
を訴えていたのも納得でしょう。
しかも太陽光パネルの生産は中国が8割なので、実質中国にカネが流れます。
日本人の税金を中国企業に流す手引きをしているのですから、
「売国奴」
と言われてもやむを得ない。
おっと、こんなことを言ったら追加訴訟されてしまうかもしれません。
日本のソーラーパネルの敷設面積は世界で1位になってしまいましたが、山を切り開き、景観を壊して敷き詰められる太陽光パネルにはおぞましさを感じます。
日本の政治家ならば食い止めるべき自然破壊が行われているにもかかわらず、河野太郎氏は再エネ賦課金制度を廃止せずに、むしろ活用する。
このような人物を首相どころか、国会議員にしておくこと自体、危険です。
その危険さがどこまで国民の間に広がるかが重要です。
次の衆議院選挙でどのくらい票を減らすのか。
神奈川15区の有権者さん、国益のために良識ある御判断をお願いします!

中国企業ロゴ問題「内容には問題なし」 内閣府「不当な影響力受けたなら問題」 再エネタスクフォース資料
https://www.sankei.com/article/20240325-CWZ57KOKKRMF3IC7Q5BWVEJBWI/
再生可能エネルギー導入促進を目指すタスクフォースで中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題に関する内閣府の説明資料
https://www.sankei.com/article/20240325-CWZ57KOKKRMF3IC7Q5BWVEJBWI/photo/LLOZEZYSXBCVNBK4XJPIA5F4RA/

活動家「大林ミカ」があぶり出した河野太郎の危険な政治手法
Hanada2024年6月号 経済学者 池田信夫
■内閣府資料に中国企業ロゴ
2024年3月23日(土)の朝、X(旧ツイッター)にこんな呟きが出た。
<内閣府の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」(再エネTF)の構成員提出資料に、なぜか中国の「国家電網公司」の透かしが入っていました>
これを見付けたのは電力会社の社員だが、内閣府のホームページで公開された再エネTFのスライドには、右上に白地に白で
「国家電網公司」
という図のようなロゴマークがあった。
国家電網公司は中国の国営電力会社だが、このロゴは大林ミカ氏(自然エネルギー財団事業局長)の資料のほとんどの図に付いていた。
白地に白で描かれているのでパソコンでは見えないが、携帯のアプリでは見える場合がある。
なぜ、自然エネ財団の資料に中国の国営電力会社のロゴが付いているのか。
これは大林氏が中国の工作員だという暗号かーこれを私が紹介したところネット上で拡散され、数百万回表示された。
それを受けて同日2024年3月23日(土)14時30分に、内閣府はホームページから大林氏の提出した資料を削除した。
マスコミは(産経新聞を除いて)報道しなかったが、2024年3月25日に内閣府は説明資料を公開した。
ここに至って他の新聞も報じ、他の新聞も報じ、
「中国国家電網公司」
というロゴマークについて色々な推測が行われた。
当初は、無断複製を防ぐ
「電子透かし」
ではないかと言われたが、内閣府によれば、国家電網公司が2016年のシンポジウムの資料で使ったスライドの定型(テンプレート:「フォーマット」は「ビジネスでは文書を作成する上での形式や構成のこと」。「テンプレート」は「ビジネスでは元からあるレイアウトや定型部分に合わせて文章を入れていくひな形のこと」)に青地で白で入ったロゴだという。
それが何かの手違いでコピーされたと言うが、こんな現象はシンポジウムの資料のような印刷用ファイルをコピーしても起こらない。
テンプレートは、プレゼンテーションソフト(マッキントッシュのKeynote)に入っている機能で、同じ背景やロゴなどをコピーして使うものだ。
大林氏はシンポジウムの資料をコピーしたのではなく、国家電網公司の内部資料を入手して、そのテンプレートを使い回していたと思われる。
大林ミカ氏は自然エネルギー財団で
「アジアスーパーグリッド」【英語: Asian Super Grid、略称:ASGは日本、中華人民共和国、韓国、台湾、モンゴルおよびロシアなどを接続する電力網<スーパーグリッド(英語版)>の構想である】
という広域電力網の担当者だった。
その組織、GEIDCOの会長は、国家電網公司の劉振亜会長(中国共産党委員会書記)だった。
自然エネ財団は、中国の影響下にあるのではないか。
自然エネ財団は
「国家電網公司との間には人的・資金的関係はない」
と説明したが、これは嘘である。
自然エネ財団の孫正義会長はGEIDCOの副会長だった。
今回の騒ぎで自然エネ財団はGEIDCOから脱退したが、今後も関係は続けていくとしている。
■大林ミカとは何者か
今回の事件で一躍有名になったのが大林ミカ氏だが、財団のホームページの経歴には
「大分県中津市生まれ、北九州市小倉出身」
としか書いていない。
職歴も原子力資料情報室など活動家の経歴ばかりで、学問的業績は何もない。
エネルギー産業の実務経験もない。
再エネTFは内閣府の有識者会議である。
そこにこんな怪しげな活動家が入ったのは何故か。
しかも、再エネTFのメンバー4人のうち2人(大林氏と高橋洋氏)は自然エネ財団のメンバーであり、河野太郎規制改革担当相と山田正人参事官は再エネ推進派だから、再エネTFは再エネ業界のロビー団体ではないかーこのような疑問がネット上で多く寄せられ、大林氏は2024年3月27日に再エネTFを辞任したが、今に至るも学歴については説明していない。
自然エネ財団がホームページに掲載した追加説明によれば、大林氏は
「語学学校を卒業後、子育て等を経て、1992年に原子力資料情報室に参加」
と書いてあるが、どこの語学学校かは書いていない。
本人も原子力資料情報室にアルバイトとして入った時、
「何の専門家でもない私ができる事は何なのか」
と自問している。
このように大林ミカ氏はエネルギー問題の素人だが、活動家としての経歴は華やかである。
原子力資料情報室は高木仁三郎(じんざぶろう:物理学者)の作った反原発団体で、三里塚(さんりづか)闘争で1坪地主になるなどの過激な活動で知られる。
大林氏は原子力資料情報室を辞めた後、飯田哲也氏(再エネ活動家)と共に
「環境エネルギー政策研究所」
を設立し、2011年の福島第1原発事故の後、孫正義氏の設立した自然エネ財団に移った。
社民党党首、福島みずほ氏の
「応援団」
と自称し、グリーンピース日本支部の理事でもある。
そんな活動家が、なぜ内閣府の有識者会議に入ったのか。
本人は記者会見で
「河野太郎大臣の推薦と聞いている」
と語ったが、内閣府は国会で
「事務方が人選して河野太郎大臣が了承した」
と答弁した。
この事務方とは山田正人参事官である。
山田正人参事官はかつて経済産業省の反原発派で、核燃料サイクルに反対して左遷された。
その時、河野太郎氏と接点があり、それ以来、ずっと河野太郎氏と一緒に霞が関の傍流を歩んで来た。
■孫正義氏と自然エネ財団
そんな日陰者の反原発派が一挙に脚光を浴びたのが、2011年の福島第1原発事故だった。
飯田哲也氏と民主党政権に食い込み、ちょうどその時出来た再エネの固定価格買取制度(FIT)を最大限に利用した。
これは電力会社に再エネ電気の全量買い取りを義務付け、その価格を原価より高く設定して利潤を保証する欧州の制度だった。
この時、孫正義氏は
「太陽光発電は原発より安い」
と言う一方で、
「単価がキロワット時40円以上でないと採算が取れない」
という要望を政府に出した。
孫正義氏は国会などで次のような図を見せて、
「EU(欧州連合)の平均買い取り価格は58円だ」
と主張した。
しかしこれは、実は【2009年の買い取り価格】だった。
欧州では2000年代に再エネバブルが起こり、買取価格が上がったが、リーマン・ショックでバブルが崩壊して価格が大幅に下がったのだ。
これは孫正義氏も知っていたはずだが、菅直人首相に直訴し、2012年12月に菅直人首相がトップダウンで事業用40円、住宅用42円という買い取り価格を決めた。
調達価格等算定委員会の委員長だった植田和弘氏(京大教授)は、
「諸外国との比較を行い、【施行後3年間は例外的に利潤を高める】」
と説明したが、その調達価格等算定委員会の資料には、2012年の買い取り価格はドイツの事業用(平地設置)で18.76ユーロセント(約20円)と書かれていた。
「諸外国との比較」
では、日本の買い取り価格は当時、世界一だったのだ。
日本でもメガソーラーなら当時でも20円以下だったが、それが2倍以上の価格で20年間全量買い取り保障され、リスクゼロなのだから、外資が大量に参入して数兆円の投資が行われた。
この時、書類審査による事業認定だけで買い取り価格が決まったため、認定されたが稼働できない物件が大量に発生し、それが今も平均36円の価格で買い取られている。
この買い取り価格と火力の価格の差が【再エネ賦課金】である。
バカ高い買い取り価格が付けられた結果、2030年までに累計44兆円の再エネ賦課金(=再エネ業者の超過利潤)を電力利用者は払わなければならない。
更に重大な問題は、自然エネ財団の孫正義会長が社長を務めるソフトバンクグループ(SBエナジー)が、再エネに数兆円の投資をして数千億円の利益を上げたことだ。
公益財団法人の認定基準として、
「社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し【特別の利益を与えない】ものであること」
という規定がある(公益法人認定法第5条の2)。
自然エネ財団のロビー活動はこれに違反する利益相反であり、公益法人認定を取り消すべきだ。

★利益相反(りえきそうはん)とは、信任を得て職務を行う地位にある人物(政治家、企業経営者、弁護士、医療関係者、研究者など)が立場上追求すべき利益・目的(利害関心)と、その人物が他にも有している立場や個人としての利益(利害関心)とが、競合ないしは相反している状態を言う。
このように利益が衝突している場合、地位が要求する義務を果たすのは難しくなる。
利益相反は、そこから非倫理的もしくは不適切な行為が行われなくても存在する。
利益相反は、本人やその地位に対する信頼を損なう不適切な様相を引き起こすことがある。
一定の利益相反行為は違法なものとして扱われ、法令上、規制対象となる。
また、法令上は規制対象となっていない場合でも、倫理上の問題となる場合があり得る。

■「河野の威を借る狐」
自然エネルギー財団(大林ミカ他)は2023年10月11日に、私の3つのX投稿(ツイート)が名誉棄損だとして、東京地裁に損害賠償訴訟を起こした。
これは
「再エネ詐欺の総本山が、この自然エネルギー財団」
「大林ミカは、政府の再エネタスクフォースで、激しく利益誘導をやっている」
「ここにも特捜のガサが入るだろう」
などと書いたものだ。
2022年には、私は秋本真利(まさとし)衆議院議員からも名誉棄損で訴訟を起こされた。
これも
「検察が捜査してるんじゃないか」
というツイートだったが、秋本真利氏は私の予言通り、2023年9月に東京地検特捜部に収賄の容疑で逮捕された。
ここで私が問題にしたのは、自然エネルギー財団だけではなく再エネTFの利益誘導である。
これは2020年10月に、菅義偉首相が
「2050年カーボンニュートラル」(温室効果ガス排出実質ゼロ)
を宣言した後、内閣府の規制改革担当大臣だった河野太郎氏が集めた
「私兵」
である。
根拠法もなく、人選は山田正人参事官(河野太郎の腹心)が友人を集めたものだ。
もちろん資格審査もしていないから、大林ミカのような活動家も紛れ込んでしまう。
しかも、再エネTFの4人の構成員(大林ミカ・高橋洋・川本明・原英史)のうち2人(大林ミカ・高橋洋)は自然エネ財団のメンバーという利害関係者であり、これは有識者会議というより再エネ業界のロビー団体である。
これは、国家を巻き込んで再エネ業者に数十兆円の利益を与えた。
再エネTFは所管外の経産省の有識者会議などに殴り込み、支離滅裂な利益誘導を繰り返した。
特に、2021年の総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会のエピソードは有名である。
再エネTFは、非化石証書について提言にこう書いた。
<現状では「非化石」価格にプラスの価格を付けて取引する一方で、化石燃料については、何らペナルティ(炭素排出等に対するマイナスの価値)が課せられていないため、【積極的に普及すべき再生可能エネルギーの利用が、逆に割高になってしまう】という弊害が生まれている>
これには総合資源エネルギー調査会のメンバーが驚いた。
非化石価値というのは、再エネで発電した
「グリーン電力」
に通常より高いプレミアムを付けて売る制度である。
企業はこの証明書を買えば
「当社の電力は再エネ100%です」
などと宣伝でき、再エネ業者も利益を得る。
ところが、再エネTFはこれを逆に理解して
「再エネが割高になってしまう」
と言うのだ。
これには総合資源エネルギー調査会の委員が激怒し、
「このような最低限の知識もない委員で構成されたような組織(再エネTF)が内閣府に存在していること自体がどうかと思う」
「行政改革の対象じゃないか」
とコメントした。
こんな素人集団が、経産省だけでなく総務省や農水省などの有識者会議で暴れ回り、露骨な利益誘導を繰り返し、電力業界は彼ら(再エネTF)を
「虎の威を借る狐」
と呼んで恐れた。
虎とは、もちろん河野太郎大臣である。
■停電寸前でも再稼働反対
2022年3月22日、東京電力の管内は大停電(ブッラクアウト)の一歩手前だった。
その最大の原因は、2022年3月17日の地震で東電と東北電力の火力発電所が停止し、出力が335万キロワット低下したことだが、もう1つの原因は2022年の【3月という時期】に地震が起こった起こったことだった。
冬の電力消費のピークの1月から2月には火力はフル稼働するが、3月は停止して補修点検する。
おまけに季節外れの大寒波で、130万キロワットの供給不足になる見通しだった。
このままでは大停電になるため
「電力逼迫情報」
が出され、揚水発電をフル稼働して連携線で電力を融通し、供給電圧の低め調整という危険な対策まで動員して電力需要を抑制し、大停電を免れた。
ところがこれについて、再エネTFは
「電力は足りているから原発再稼働は必要ない」
という提言を出して、電力関係者を驚かせた。
それによると、
「冬の最大需要は5380万キロワットだったので、3月の最大需要4840万キロワットを満たす供給力は存在していた」
から、原発再稼働や火力の増設は必要ないという。
これに対して、資源エネルギー庁が詳しく反論した。
2022年の3月は約1000万キロワットが定期補修に入っており、最大に稼働しても4500万キロワット程度が限度だった。
合計270万キロワットの柏崎刈羽6・7号機が動いていれば予備率は5%以上あり、大停電のリスクはなかった。
なぜ、再エネTFは原発再稼働に反対し、ギリギリの電力運用を求めるのか。
その最大の理由は、原発が動くと再エネが送電線に【タダ乗り】できなくなるからだ。
送電線は大手電力(旧一般電気事業者)が建設した私有財産だが、今は原発が動かせない大手電力の送電線を再エネ業者が借りて使っている。
しかし、原発が再稼働すると大手電力の送電が優先になるので、再エネ業者は自前の送電線を建設しないといけない。
だから原発再稼働に反対するのだ。
こういう再エネ業者のエゴイズムを提言と称して役所で発表し、マスコミに売り込んで
「電力は足りている」
などとデマを流す利益誘導が再エネTFの仕事である。
■河野氏のヒトラー的手法
3・11(2011年3月11日の東日本大震災)以降、民主党政権が国際相場の2倍で買い取らせたFIT(固定価格買取制度)と、違法に止めた原発によって日本経済は数十兆円のダメージを受け、今尚立ち直れない。
その原因は、民主党政権のエネルギー政策を経済産業省が利用し、電力自由化の懸案だった【発送電分離】を強行したからだ。
発送電分離は、電力会社の発電部門と送電部門を分離して競争させる改革で、英米では1990年代に行われたが、日本では東電の政治力が強いため分離できなかった。
ところが、原発事故の処理で経営破綻した東電が原子力損害賠償支援機構の傘下に入って、実質的に国有化された。
これは
「親会社」
になった経産省にとって千載一遇のチャンスだった。
原発が全て止まり、再エネの価格が世界最高になった状況で、エネ庁は無知な民主党政権を利用して火事場泥棒的に電力自由化を強行したのだ。
これは反原発・再エネ派にとっても大勝利だった。
発送電分離の下では、発電会社は供給責任を負わない。
燃料費のかからない再エネ業者は安い限界費用で卸電力市場(JEPX)に卸し、固定費を負担しない新電力はそれを仕入れて高い小売値で売って大儲けした。
河野太郎氏は
「再エネは原発より安くなった」
と主張して、発送電分離を進めた。
その結果、何が起こったか。
1日の内、太陽光発電が使えるのは3時間程度である。
残りの21時間は火力や原子力でバックアップしないといけないが、原子力は出力を変えられないので、火力が
「負荷追従」
して再エネの不足を補う。
条件の良い昼間には再エネの電力を全量買い取るので、火力は止めないといけない。
これによって火力の稼働率が落ちるので採算が悪化し、古い石炭火力が廃止される。
その結果、毎年のように電力不足が繰り返さるようになったのだ。
このような電力不足を防ぐために経産省が導入したのが、【容量市場】である。
これは簡単に言うと、古い火力が採算に合わなくなっても、それを廃止しないで温存する制度である。
具体的には、電力広域的運営推進機関(広域機関)が4年後に必要な発電容量を公募し、オークションで発電会社から買い取る。
ところが、再エネTFはこの容量市場に反対し、総合資源エネルギー調査会で執拗に反対意見を繰り返した。
これをけしかけたのは河野太郎氏で、2021年の第6次エネルギー基本計画が決まる時、エネ庁の責任者を内閣府に呼び付けて
「容量市場を凍結しろ」
と怒鳴り上げた。
この音声データが『週刊文春』に取り上げられて話題を呼んだ。
これほど河野太郎氏が容量市場に拘るのは、新電力が競争で不利になるからだ。
容量市場は古い火力の発電容量を買う制度だから、大手電力は自社の発電所の容量を売り、広域機関からそれを買うので、ほとんど純負債が発生しない。
それに対して、発電設備を持っていない新電力は広域機関に拠出金を払うので、1〜2割コスト増になる。
このため、大手電力との競争に負けるというのだ。
これは身勝手な理屈である。
容量市場は再エネのバックアップなのだから、そのコスト負担が嫌なら自前で発電設備を持てばいいのだ。
政府の方針が気に入ら似ないと、再エネTFのような
「突撃隊」
を使い、所管外の役所に法を超えて介入する河野太郎氏の手法は、ヒトラーが私的な軍事組織でワイマール共和国を破壊したのと同じである。
■中国の国益に奉仕する
私は、規制改革に反対しているのではない。
内閣府の規制改革推進会議にも協力したことがある。
しかし河野太郎氏と再エネTFがやっているのは、規制改革の私物化である。
例えば、2023年12月に規制改革推進会議の出した中間答申には、なぜか(参考)として再エネタスクフォース(TF)の実績が書かれている。
規制改革推進会議は内閣府が正式に設置した会議だが、再エネTFは法的根拠のない河野太郎氏の私兵である。
その報告が、なぜ規制改革推進会議の答申の中に紛れ込んでいるのか。
これについて国会で追及された内閣府は答えられなかった。
恐らく河野太郎が押し込んだのだろう。
中国との関係についても、自然エネ財団の説明は不自然である。
大林ミカ氏の資料に入っていたロゴは、大林ミカ氏が国家電網公司の内部文書を使って資料を書いたことを示している。
国家電網公司は自然エネ財団を使って情報操作すると同時に、内閣府の機密情報を入手していたのではないか。
特に、アジアスーパーグリッドは危険である。
ウクライナ戦争でロシアと欧州を結ぶ天然ガスのパイプライン
「ノルドストリーム」
が遮断され、ドイツ経済が危機に陥った。
これは、ドイツのメルケル首相が
「ロシアとの相互依存で欧州の平和を守る」
という構想で実現したものだが、相互依存はリスクの原因ともなる。
もし中国と日本の電力網が一体化したら、台湾有事の際に中国が日本への送電を止め、大停電に追い込むこともできる。
不安定な再エネを増やし、火力や原子力を廃止すると、有事の際には電力供給ができなくなる。
そういう状況に日本を追い込もうとしている再エネTFの活動は、中国の国益に沿っている。
再エネTFが理想とするドイツは、パイプラインの遮断でエネルギー価格が暴騰し、経済が破綻して成長率がマイナスになった。
日本の太陽光パネルの70%以上は中国製であり、40兆円以上の再エネ賦課金は中国への資金援助のようなものだ。
新電力にも上海電力など多くの中国資本が入っており、有事の際には中国共産党が日本国内の中国系新電力に電力供給を止めるよう指令できる。
エネルギーは経済安全保障のコアである。
河野太郎氏と孫正義氏(自然エネ財団)と再エネTFは、再エネを全国に拡大して火力を廃止に追い込み、日本のエネルギーを脆弱化して中国の支配下に置くことに貢献している。
河野太郎氏と孫正義氏(自然エネ財団)と再エネTFが中国の工作員かどうかは分からないが、結果的に中国の国益に奉仕していることは間違いない。
この問題について内閣府は調査中だが、その調査を行うのが疑惑の張本人の河野太郎大臣では、調査結果は信用できない。
電取委(電力・ガス取引監視等委員会)などの第3者が、この4年間の再エネTFと自然エネ財団の活動家である大林ミカ氏の身辺調査については、公安警察などの協力も必要である。

★負荷追従運転
需要家による電力消費量(発電システム側にとっての負荷)は常に変動しつつあるため、短時間での負荷変動に対応した出力調整運転を特定の発電所において行うことをいう。
1日の負荷変動を表す日負荷曲線は季節、曜日、気象条件等に応じて一定のパターンを持ち、どの負荷水準まではどの発電所で対応するか、また負荷の変化に対してどの発電所がどの程度対応するかは予め決められている。
我が国では原子力発電は負荷の変動に関係なく一定の出力で運転されており、負荷変動に追従するためには短時間での出力制御が容易な火力発電が用いられている。
ただし、原子力発電でも技術的に負荷追従運転は可能であり、原子力発電比率が発電全体の80%近くを占めるフランスでは、実際に多数の原子力発電所において日常的に負荷追従運転が行われている。

河野太郎 日本の電力が中国に握られる
”将来の総理候補”を取り巻く「再エネ推進ネットワーク」の闇を暴く
WiLL2024年6月号
ジャーナリスト 櫻井よしこ
産業遺産情報センター・センター長 加藤康子
■説明責任を果たせ
★櫻井
中国の浸透がここまで進んでいたのかと驚愕しました。
”中国企業ロゴ問題”です。
再生可能エネルギーを巡る内閣府のタスクフォース(TF)に、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークが入った資料が提出されていました。
TFを主導したのは河野太郎デジタル担当相、資料を提出したのは
「自然エネルギー財団」
事務局長の大林ミカ氏です。
大林ミカ氏は河野太郎氏の推薦により、TFのメンバーになった。
国家の根幹に関わるエネルギー政策を議論する政府中枢にも、中国は影響を及ぼしていたわけです。
★加藤
大林ミカ氏は会見を開き、
「パソコンの操作ミス」
と釈明。
TFメンバーを辞任しました。
★櫻井
「パソコンの操作ミス」
で終わる問題でも、大林ミカ氏辞任という”トカゲの尻尾切り”で済む問題でもないと思います。
★加藤
河野太郎氏は国会で、
「(ロゴは)現時点でウイルスであったり、何か有害な要素があったりするということではない」
と弁明した。
しかし、これは論点の掏(す)り替えです。
大林ミカ氏とは一体どんな人物なのか。
中国とはどんな関係なのか。
河野太郎氏はなぜ大林ミカ氏をTF入りさせたのか。
河野太郎大臣と自然エネルギー財団の目的は何なのか。
説明責任を果たしていません。
★櫻井
自然エネルギー財団は2011年、孫正義氏によって創設されたと、財団のホームページなどに書かれています。
同財団が目指しているのが、
「アジアスーパーグリッド(ASG)」
に他ならない。
ASGとは何か。
中国、韓国、台湾、インド、モンゴル、東南アジア、ロシア・・・。
アジアのほぼ全域に、3万6000kmの送電網を張り巡らせ、各国間で太陽光や風力などの再生可能エネルギー(以下、再エネ)の相互運用を進めるというものです。
■首根っこを押さえられる
★加藤
ASGを更に発展させた国際送電網の構築を目指しているのが、中国の非営利団体
「グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO)」。
”電力版一帯一路”と考えてもらって構わない。
2016年に設立された際、自然エネルギー財団は理事会に加わりました。
GEIDCOの会長には中国国家電網公司の劉振亜会長(当時)が、副会長には孫正義氏が就任している。
★櫻井
ASGを主導しているのは、紛れもなく中国です。
そこに日本が参加すれば、エネルギー供給の安定を中国に依存することになる。
国家の首根っこを押さえられるに等しい。
★加藤
生殺与奪の権を中国に握らせることになります。
電気や水などのインフラは絶対に自前で賄わなければならない。
★櫻井
欧州でも、国境を越えて電気をシェアする動きが見られます。
しかし、その範囲は価値観を共有する国に限定しなければならない。
北方領土を不法に奪い取ったままのロシア、尖閣諸島を奪おうとしている中国などあり得ません。
★加藤
脱原発と再エネ導入を進めたドイツは、
「ノルドストリーム」
から輸送されるロシアの天然ガスに依存していました。
そんな中、ロシアが天然ガス供給を止めると、ドイツの経済と国民生活はたちまち大混乱に陥りました。
ドイツは電力が足りない時はフランスから原子力を輸入していますが、ロシアのウクライナ侵攻以降、家庭用電気料金は日本の2倍にもなりました。
エネルギー政策の転換を迫られています。
★櫻井
軍事の専門家たちは口を揃えて、台湾有事がいつ起こってもおかしくないと語っています。
ASGは
「再エネ版ノルドストリーム」
のようなものです。
台湾侵攻に踏み切ると同時に、中国が日本への電力供給を止めるー。
そんなシナリオも考えられます。
■”所管外”に口を出す
★櫻井
問題となったTFは4人のメンバーから構成されています。
大林ミカ氏の他に、高橋洋氏も自然エネルギー財団の特任研究員という肩書を持っています。
★加藤
河野太郎氏は外相時代の2018年、外務省に
「気候変動に関する有識者会議」
を設置しました。
9人いた有識者のうち、3人が自然エネルギー財団の関係者でした。
大林ミカ氏、高橋洋氏、同財団副理事長の末吉竹二郎氏です。
有識者会議では、化石燃料の中止や再エネの推進が議論されていました。
★櫻井
人選が明らかに偏っています。
有識者会議が提出する報告書に法的拘束力はない。
しかし、著名な政治家が主宰する会議の結論は自ずと大きな影響力を有します。
河野太郎氏はなぜ自然エネルギー財団の関係者を重用するのか。
再エネをなぜ異様に推進しているのか。
化石燃料の否定は日本の国益にどう合致するのか。
様々な疑念が残ります。
★加藤
GEIDCOの総会資料には、日本の役割として
「アジアのインフラ開発を促進するために、政府開発援助(ODA)による財政的・技術的支援を強化する」
という文言が記されている。
資料が作成されたのは2018年、当時の外相は河野太郎氏です。
総会には孫正義氏もビデオメッセージを送っている。
★櫻井
”電力版一帯一路”を実現するために、日本からODAを引き出そうと企んでいるのでしょうか。
★加藤
外務省に確認したところ、モンゴルの風力発電にはODAが使われているそうです。
外務省としては、それが”電力版一帯一路”に組み込まれているかどうかは認識していない。
★櫻井
外務省にそのつもりがなくても、結果的に中国の野望を助けることになる可能性があります。
★加藤
北海道や九州には再エネ発電施設が多い。
日本政府は今、電力の生産地と東京などの消費地を結ぶ送電網を強化しようとしている。
北海道と東京を繋ぐルートには、1兆5000億円もの予算が充てられる予定です。
九州と中国地方を繋ぐ送電網も、4000億円ほどで増強される。
事業者の選定は入札により行われるので、外国企業が参入する恐れがあります。
日本国内にとどまらず、大陸にも送電網を伸ばすなどと言い出しかねない。
自然エネルギー財団のホームページによると、東京電力も中国国家電網と毎年、人的交流を行っているそうです。
■神奈川グループの暗躍
★櫻井
河野太郎氏は防衛相時代、自衛隊施設の電力を再エネで賄うという方針を決めました。
全国にある969施設のうち、50施設で再エネの調達が可能となっている。
電力調達の再エネ比率が100%の施設も36あります。
★加藤
山口県の防府北基地はタイのエネルギー企業
「バンプーグループ」
の子会社と電力供給契約を結んでいる。
バンプーグループは中国とのビジネス契約が強い。
電力使用量を把握することで、自衛隊の動きも推測できます。
国防の要となる自衛隊基地の電力供給を不安定な再エネ、しかも外資に頼るのは安全保障上の問題がある。
★櫻井
防衛相、外相、デジタル担当相・・・。
河野太郎氏はどのポジションに就いても、常に再エネ推進の立場から影響力を行使しようとする。
”所管外”なのに口を出したがりますね。
★加藤
河野太郎氏にとっては反原発と再エネ推進が1丁目1番地。
政治家としての絶対的な使命なのかもしれない。
★櫻井
河野太郎氏の他に、菅義偉元総理、小泉進次郎氏らも再エネ推進に熱心です。
菅義偉元総理は神奈川県を地盤とする河野太郎氏、小泉進次郎氏を将来の首相候補に育てようとしているのでしょう。
★加藤
菅義偉政権時代、河野太郎氏(規制改革担当相)と小泉進次郎氏(環境相)が再エネ推進の実働部隊となりました。
菅義偉総理は首相就任後の所信表明演説において、2050年までに
「カーボン・ニュートラル」、
つまりCO2排出ゼロを目指すと表明した(2020年10月)。
政府はその目標を達成するための
「グリーン成長戦略」
を公表(2020年12月)。
その後、小泉進次郎氏が
「おぼろげながら浮かんできた」
という”迷言”と共に、2030年までにCO2排出量を46%削減すると言い放った(2021年4月)。
間もなくして、菅義偉政権は
「規制改革実施計画」
を閣議決定(2021年6月)。
自然公園や砂防指定地にも再エネ発電施設の建設を認める方針などは、河野太郎氏が設置したTFの主張を丸呑みしたものです。
大林ミカ氏は当時もTFのメンバーでした。
★櫻井
最終的に、第6次エネルギー基本計画(エネ基)が公表されました(2021年10月)。
第5次エネ基では、2030年の総発電量に占める再エネの割合は22〜24%でした。
第6次エネ基では、その数字が36〜38%と大幅に引き上げられました。
■そもそも日本に向いていない
★櫻井
再エネには発電量のコントロールなど弱点があります。
それを補うために研究開発を続けるのは構いません。
しかし、原発を稼働させなければ日本の産業は衰退の一途を辿ること、国民生活に重い負担を掛けることも同時に認識すべきです。
「カーボンニュートラル」
を達成したいのであれば、CO2を排出しない原子力を活用しなければならない。
★加藤
太陽光が災害に弱いことも指摘しておきたい。
能登半島地震では、19カ所の太陽光パネルが破損、崩壊していることが発覚しました。
太陽光パネルは壊れても尚、発電を続けるので危険です。
ここ最近でも、鹿児島県伊佐市のメガソーラーで火災が発生しました(2024年3月27日)。
その際は消防隊員4人が負傷、鎮火に20時間以上を要した。
宮城県仙台市青葉区でもメガソーラーが発火。
鎮火に35台の消防車が出動した(2024年4月15日)。
日本は現在、国土面積当たりの太陽光発電量で世界一ですが、自然災害の多い日本はそもそも再エネ導入に不向きなのです。
事業者の責任問題も曖昧になっています。
能登半島においても、事業者が被災したメガソーラーに責任を取らない事態が起こっている。
ソーラーパネルによっては鉛、ヒ素、カドミウム、セレンなどの有害物質が検出されています。
環境破壊に繋がるだけでなく、産業廃棄物となり、壊れても発電する上に、人体に悪影響を及ぼしかねない危険も孕んでいる。
■元凶は菅直人と孫正義
★櫻井
福島第1原発の事故後、民主党政権は原発停止に踏み切りました。
不足した電力供給を補うために、海外から天然ガスなどを輸入。
火力発電で穴埋めしましたが、燃料の調達コストは数十兆円にも上ります。
ウクライナ戦争によるエネルギー価格高騰で、我が国の電気料金は更に上昇している。
★加藤
再エネ賦課金も国民生活に重くのしかかっています。
元凶は民主党政権。
菅直人元総理が2011年、再エネの固定価格買取制度(FIT)を導入した。
★櫻井
風力発電や太陽光発電の事業者がFITの認可を得られれば、生み出した電気を20年に渡り固定価格で買い取ってもらえます。
買い取るのは電力会社ですが、そのコストは各家庭の電気料金に上乗せされる。
国民がツケを支払わせられる一方、再エネ事業者は高収益が保証される仕組みです。
★加藤
再エネ賦課金は今年2024年5月、1.4円から3.49円/キロワット時に引き上げられます。
1カ月の電力使用量が1世帯当たり月400キロワット時だとすれば、1年間で1万円から1万7000円の再エネ賦課金の値上げとなり、電気料金に加算されます。
これは今年2024年に限ったことではない。
毎年、再エネにどんどん認可が下りているので、国民の負担は今後更に増えていくでしょう。
国民がこの負担に耐えられるのかは疑問です。
★櫻井
FITがスタートした2012年、再エネの売電単価は事業用が40円、住宅用が42円でした。
この数字は他国と比べても2倍、一時は3倍ほど高かった。
菅直人総理の決定を称賛していたのが孫正義氏です。
FITの枠組みを決める際、孫正義氏が暗躍していたとも言われている。
その後、孫正義氏は再エネビジネスでも大儲けしています。
利益誘導を疑われても仕方がありません。
★加藤
経済産業省に置かれた
「調達価格等算定委員会」
が、FITの売電単価や再エネ賦課金の価格を議論しています。
2012年3月、経済学者の植田和弘氏(京都大学名誉教授)が委員長に就任。
植田和弘氏は2017年まで委員長を務めた。
注目すべきは、植田和弘氏が2013年8月に自然エネルギー財団の理事になっていること。
★櫻井
冒頭の”中国企業ロゴ問題”に繋がりましたね。
■絶対に総理にしてはならない
★加藤
植田和弘氏がいた京都大学では、
「再生可能エネルギー経済学」
という日本風力開発の子会社の寄附講座が設置されていた。
担当の特任教授は山家公雄氏。
山家公雄氏は日本風力開発の子会社役員でもあった。
★櫻井
日本風力開発と言えば、衆院議員の秋本真利氏との”贈収賄”が思い出されます。
秋本真利氏は洋上風力を巡り、日本風力開発の創業者から賄賂を受け取っていた。
秋本真利氏は逮捕され、自民党を離党しています。
★加藤
秋本真利氏が国会議員になったきっかけは河野太郎氏との出会いです。
秋本真利氏は地方議員時代、大学院に通っていた。
大学院に特別講師としてやってきたのが河野太郎氏。
その時、河野太郎氏から国会議員になるように勧められたと自ら語っています。
国政進出を果たした後、秋本真利氏は自民党内における反原発の急先鋒として名を馳せた。
河野太郎氏も
「自民党一番の脱原発男」
と称賛しています。
★櫻井
再エネを巡る怪しい動きや人物について調べると、なぜか河野太郎氏に辿り着くことが多い。
★加藤
真野秀太氏という人物がいます。
真野秀太氏は
「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」
なる組織の副代表を務めている。
真野秀太氏のプロフィールを調べると、
「自然エネルギー財団を経て、SBエナジー株式会社にて再生可能エネルギー発電事業に携わる」
とある。
SBエナジーは現在
「テラスエナジー」
に改称していますが、かつてはソフトバンクグループの完全子会社でした。
驚くべきは、真野秀太氏には
「河野太郎代議士秘書」
という肩書もあったことです。
一体全体、河野太郎氏の周辺では何が起きているのか。
★櫻井
河野太郎氏についてはファミリー企業
「日本端子」
を巡る問題も燻っています。
★加藤
日本端子の大株主は父・洋平氏で、太郎氏も株を所有している。
1995年の北京事務所開設を皮切りに、中国各地に事業所を展開しています。
★櫻井
河野太郎氏の危うさをいち早く見抜いていた人物がいます。
安倍晋三元総理に他なりません。
2021年の自民党総裁選において、安倍晋三元総理は高市早苗氏を推しました。
その背景には”河野太郎だけは絶対に総理にしてはならない”という危機感があったはずです。
★加藤
安倍晋三元総理は、党員に人気がある河野太郎氏を警戒していた。
反原発の急先鋒である河野太郎氏が総理に就任すると、偏ったエネルギー政策を推進する恐れがあります。
日本経済を危うくするのではないかと危惧されていました。
保守派の支持を高市早苗氏に集め、決選投票で高市早苗票と岸田文雄票を合算すれば、河野太郎氏に勝てるのではないかという戦略です。
その読みは見事に的中。
河野太郎氏は総理・総裁の座を逃した。
日本が救われた瞬間です。
■自動車産業を追い出すのか
★加藤
小泉進次郎氏の言動にも注意が必要です。
小泉進次郎氏も河野太郎氏と同様、再エネに熱心な政治家の1人。
小泉進次郎氏は電気自動車(EV)推進の発言も目立ちますね。
★櫻井
菅義偉政権の
「カーボンニュートラル宣言」
により、日本政府は2035年までにガソリン車の販売終了を目指しています。
★加藤
今年2024年2月、
「ゼロエミッションフォーラム」
というイベントが開催されました。
小泉進次郎氏はそこで、
「全国1700の自治体にEVを配ろう」
などと提案していた。
★櫻井
ウクライナ戦争などを契機に、欧米は再エネの限界に気付きました。
補助金を付けてもEVは消費者から敬遠されています。
各国が掲げたEV普及率の目標達成は程遠い。
欧米ではエネルギー政策、EV普及政策の見直しが進められています。
★加藤
ドイツの国営放送DWが先日、
「EV時代の終焉」
という番組を流しました。
再エネEVを牽引してきたあのドイツでもEVは凋落傾向にある。
隔世の感(変化が激しく、まるで世代が変わってしまったような感じ)を禁じ得ません。
★櫻井
ドイツ政府はEVへの補助金を前倒しで停止しました。
中国はEVで最先端を走っていましたが、大手の非亜油(BYD)さえも方向転換。
ハイブリッド車などに注力しています。
そんな中、なぜか日本政府には補助金を止める気配さえありません。
ひたすらEV推進の道を突き進んでいる。
世界で起きていることを理解しているのかと疑います。
世界の潮流に取り残されようとしているのです。
★加藤
EV開発に力を入れるのは構いません。
しかし、今の政策はやり過ぎです。
世界はEVの購入補助金を廃止する方向に動いている。
これだけ補助金を投じても、世界の自動車市場の9割が内燃機関(エンジン車)。
欧州におけるEVの普及率は15%ですが、日本がお得意とする北米では6%弱、日本では2%に及びません。
世界の新車販売台数は8600万台。
その約3割に当たる2600万台強が日本メーカーの車で、そのほとんどがエンジン車です。
エンジン車を後10年で廃止するとなれば、倒産を余儀なくされる企業が出てきます。
メーカー各社は製造ラインの設計やエンジン開発に10年単位の時間をかけている。
政治家の一言が、技術者のモノ作りに懸ける情熱を台無しにしてしまうのです。
★櫻井
日本はモノ作りの国です。
製造業なくして日本経済の繁栄はあり得なかった。
自動車産業を潰した後、一体誰が経済を支えていくのか。
★加藤
製造業はGDP(国内総生産)の2割に当たる。
製造業における設備投資の26%、研究開発費の30%は自動車産業が占めています。
日本の基幹産業であり、外貨の稼ぎ頭でもあるのです。
自動車産業なくして、日本経済は立ちゆきません。
その産業構造を破壊して国外に追いやるという発想が理解出来ない。
”経済弱体化政策”に他ならない。
★櫻井
雇用にも影響するでしょうね。
日本国内において、自動車産業に従事するのは約550万人、
労働人口の約10%を占めている。
そのうち、製造に関わるのは約90万人です。
★加藤
その多くは大手メーカーではなく、協力会社の部品工場などで働き、地域経済を支えている人たちです。
日経平均株価がバブル期を超え、一部の投資家たちは浮かれています。
しかし、日本経済を支えているのは投資家ではない。
生産設備なのです。
エンジン車は3万点の部品を必要としますが、EVはエンジン車よりも構造が単純なので部品数も少ない。
EVの製造コストの4割を占めるのは電池ですが、電池は原材料と精製過程における圧倒的なシェアを中国が握っている。
EVが普及すれば、中国が自動車覇権を握る仕掛けになっているのです。
急速なEV化を進めれば、内燃機関やトランスミッションなどの日本が得意とする部品を供給する会社は経営が厳しくなる。
100万人が路頭に迷う可能性すらあります。
■怪しい知事たち
★加藤
政治家は製造業を軽視する傾向があるのでしょうか。
静岡県知事の川勝平太氏による、新入職員入庁式での”職業差別”発言です(2024年4月1日)。
「県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです」
「毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです」
「ですから、それを磨く必要がありますね。」
食卓を支える農業、経済の根幹たる生産者を完全に見下しています。
しかし、川勝平太氏や県庁職員の給料は、農家や製造業従事者が納めた税金から払われている。
一体何様のつもりか。
★櫻井
失言がメディアに報じられると、川勝平太氏は辞意を表明しました(2024年4月2日)。
川勝平太氏は辞任の理由について、
「一番大きかった理由はリニア」
と説明した。
JR東海がリニア中央新幹線の2027年開業を断念したから、もう目的を達成したと言わんばかりです。
★加藤
川勝平太氏は静岡工区の南アルプストンネル工事を頑なに認めなかった。
その結果、リニア開業は2034年以降に遅れるとも報じられています。
★櫻井
川勝平太氏が国家的プロジェクトを止めたことによる損失は何十兆円、何百兆円にも達するでしょう。
日本は世界に先駆けてリニアを開通させる予定でした。
ところが、川勝平太氏が大井川の”命の水”云々と言って、理由にもならない理由で工事を許さなかった。
リニア開業が遅れることで利益を得るのは中国です。
中国が日本より先にリニアを開業させれば、中国がリニア技術を世界各国に売り込むことができます。
私は学者としての川勝平太氏を尊敬していました。
『文明の海洋史観』
も名著です。
しかし、静岡県知事になってからは国益を見失ってしまったように思います。
日本ではなく、中国共産党のために働いていたとしか考えられない。
日本国民への裏切りに他なりません。
★加藤
”国益を蔑ろにする知事”と言えば、東京都知事の小池百合子氏です。
小池百合子氏はカイロ大学卒業を巡り、かねて”学歴詐称”が疑われている。
『文藝春秋』(2024年5月号)では、小池百合子氏の元側近が新たな告発を行いました。
★櫻井
4年前の2020年、石井妙子氏の『女帝小池百合子』が文藝春秋から刊行されました。
その時も小池百合子氏の”学歴詐称”疑惑が騒がれました。
当時は何とか切り抜けましたが、今回は疑惑を打ち消す工作をした人の告白です。
告白が真実なら、小池百合子氏は学歴を詐称しただけにとどまらず、偽文書を作ったことになります。
★加藤
小池百合子氏も河野太郎氏と同様、再エネやEVを推進していますね。
小池百合子都政の下、新築戸建て住宅などに太陽光パネルの設置を義務付ける条例が制定された。
その背景にも自然エネルギー財団の影が見え隠れします。
東京都参与に、元東京都環境局の大野輝之氏という人物がいますが、大野輝之氏は自然エネルギー財団の常務理事でもある。
大野輝之氏は小池百合子都政が掲げる”ゼロエミッション東京”というメッセージを絶賛。
太陽光パネル義務化やディーゼル車規制のブレーンとも言われています。
■”外圧”でしか変わらない
★櫻井
再エネを巡り、国際社会は大きな揺り戻しの只中にあります。
2050年までにCO2排出ゼロを達成することで、気温上昇を1.5℃までに抑えるとしたパリ協定への姿勢が変化している。
その趨勢を決定付けるのが、2024年11月に控えるアメリカ大統領選挙です。
トランプ政権はかつてパリ協定から離脱しました。
トランプ氏が復活すれば、アメリカはバイデン政権の環境重視政策から脱却するのではないか。
★加藤
トランプ氏が大統領に就任したら、最初に手を付けるだろうとされているのが、バイデン政権のEV振興策の廃止です。
環境エネルギー部門ではビベック・ラマスワミ氏の閣僚起用を検討している。
ラマスワミ氏はインド系の実業家で、共和党の大統領候補者指名争いにも参加していました。
ラマスワミ氏が環境・エネルギー政策を担当すれば、アメリカは劇的に変わるでしょう。
ラマスワミ氏は民主党が重視する
「WOKE資本主義」
からの離脱を主張しています。
WOKEとは、LGBTの権利保護、ジェンダー平等や昆虫食などの”意識高い系”を指す。
ラマスワミ氏はESG(「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を取ったもので、これらの要素を考慮した企業経営や投資活動)、SDGs(持続可能な開発目標、『英語: Sustainable Development Goals、略称: SDGs(エスディージーズ)』)は、2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標)、EVの欺瞞も著書で鋭く批判している。
アメリカではロシアのウクライナ侵攻以降、数多くのESGファンドが破綻したことから、”反ESG”旋風が巻き起こっている。
それまでは環境や社会に配慮する企業への投資が推奨されていましたが、その流れが変わりつつあります。
気候変動の国際的枠組みにはウォール街の主要機関が参画、企業活動を監視していました。
23州の司法長官がそれを反トラスト法に違反していると判断したのです。
更に18の州では、ESG投資による年金運用が禁止となりました。
その結果、ウォール街の投資家たちはESG銘柄を売り払う方向に舵を切っています。
★櫻井
日本は良くも悪くも”外圧”で変わる国です。
アメリカの政策転換は日本にも変化をもたらす可能性が高い。
★加藤
アメリカ大統領選は激戦州の動向が鍵となります。
例えばミシガン州は前回、バイデン氏が勝利した。
しかし、メディアの支持率調査では、今のところトランプ氏が10ポイントほどリードしている。
ミシガン州は自動車部品メーカーが多い。
自動車部品メーカーの多くはこれまで民主党を支持してきましたが、今回はトランプ氏に票を入れるでしょうね。
エンジン車の産業構造を破壊するバイデン氏に嫌気が差しているのです。
★櫻井
パリ協定は既に破綻しています。
世界の潮流を見誤り、国力を衰退させるような事態は絶対に避けなければなりません。
再エネへの巨額投資は産業界と国民に大きな負担をかけます。
ひいては主要産業の海外流出を招き、経済成長を止めてしまう。
★加藤
エネルギー安全保障という国益のためにも、再エネ推進派の行き過ぎた政策に目を光らせておく必要があります。
再エネ議連は自民党内で大きな政治力がある。
特に河野太郎氏や小泉進次郎氏らはその中心にあり、後ろ盾となっているのが菅義偉元総理です。
★櫻井
まずは”中国企業ロゴ問題”について、説明責任を果たしてもらいましょう。
”再エネの闇”に切り込むための第一歩です。

岸田政権が”しれっと”進めるステルス増税の山
こっそり、分かりづらく国民を苦しめている
WiLL2024年6月号 シンガーソングキャスター saya
■再エネ賦課金の闇
2024年4月使用分から
「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」
が1.40円/kWhから、3.49円/kWhに値上がりします。
月400キロワット使用する標準的な家庭で計算すると、これまで1家当たり年間6000円程度だったのが、一気に倍以上の1万6000円程度値上がりします。
5、6月は比較的過ごしやすい気候のため、エアコンを使うことは、ほぼありませんが、本格的な暑さが襲う7、8、9月の電気料金には注意が必要です。
そもそも、
「再エネ賦課金」
とは、再生可能エネルギー普及のため、電気代に上乗せして徴収されている課金のことであり、
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」
に基づいて誕生しました。
電力会社が、再生可能エネルギー電気の買い取りに要した費用を我々利用者に転嫁させる制度で、2012年に当時の菅直人政権で導入されました。
なぜ、こんな事になるのか。
分かり易く言えば、再生可能エネルギー(主に太陽光発電事業者)の利益、売上のために全国民が高い電気料金(再エネ賦課金)を負担させられているわけです。
再エネ賦課金は岸田政権で成立した制度ではないので、岸田総理のみを責めるのは酷ですが、再エネ賦課金の廃止や見直しを検討するならまだしも、更に引き上げたことは批判されて当然です。
これは税金ではありませんが、賦課金という形で国民から徴収されており、庶民からすれば税金と何ら変わりはありません。
加えて電気を使わない家庭など、ほぼありませんから、全国民が強制的に太陽光発電事業者の”養分”になっているのです。
太陽光発電事業者側に立てば、発電した電気を固定価格で100%買い取ってくれる制度なので、売り上げが100%保証される何ともオイシイ仕組みであり、その売り上げの負担を全国民が負うという悪魔じみたものです。
この制度がある限り、震災や原発事故を理由に綺麗事で参入してくる事業者が増えるでしょう。
また、太陽光パネルの製造業者は、ほとんどが中国であり、国内業者は淘汰され、中国企業が幅を利かせています。
例えば、トリナ・ソーラー(中国企業)は業務実績として、日本各地に設置した太陽光パネルの航空写真を堂々とホームページに掲げています。
再エネ賦課金制度とは、極端に言えば、中国に”貢ぐ”システムなのです。
また、太陽光発電用の多結晶シリコンの80%は中国製で、その半分以上が強制労働を強いられているウイグル人の住む新疆ウイグル自治区で生産されており、ジェノサイド(集団殺害)に加担することにもなります。
環境省が当初試算したデータによると再エネ賦課金の推移は2030年にようやく一番高値の2.95円/kWhになる想定であったにもかかわらず、2019年時点で既に2.95円/kWhとなり、2022年には3.45円/kWhにもなり、平気で嘘を付き、値上げラッシュ。
再エネ賦課金は今や、政府の試算データや報告書ですら嘘を付く何でもありの状態です。
少子化対策用の健康保険料の上乗せ分も月平均500円、ワンコインだっただと試算を出し、その僅か2週間後には年収によって倍以上の金額に。
しかも毎年増額されるなどと掌返しする政府です。
最初は国民負担が少額だから問題ないといった説明をしていても、あれよあれよと値上がりし、気が付けば恐ろしい金額になり、あっという間に重税国家になってしまうことは目に見えています。

河野太郎を「精密検査」する
Hanada2024年6月号 福井県立大学名誉教授 島田洋一
■「河野グレタ郎」でブロック
「政治家河野太郎」
の最大の問題点は、その頑なな脱炭素・反原発イデオロギーによって、日本のエネルギー基盤を破壊し、日本社会を滅亡に追い込みかねない所にある。
河野太郎氏が野党の議員なら実害は小さい。
ところが、LGBTイデオロギーの稲田朋美議員同様、政府与党の中にいて、政策を動かし得る立場にあるため、非常に危険な存在となっている。
ところで御多分に洩れず、私も河野太郎氏のX(旧ツイッター)からブロックされている。
エネルギー問題を中心に河野太郎氏の政治姿勢を批判しつつ、
「河野グレタ郎」
と呼んだのが理由らしい。
河野太郎氏自身、著書『日本を前に進める』(2021年)で、
「グレタ・トゥーンベリさんの登場等によって気候危機に多くの関心が集まっている」
と反炭素活動家グレタさんへの尊崇の念を記しているので、このニックネームを喜んでも不思議はないと思うのだが。
一般人ならともかく、大臣を歴任し、首相を狙おうかという政治家が、
「グレタ郎」
程度の揶揄に我慢できずブロックするとは狭量に過ぎるだろう。
私は少なからぬ政治家のXを批判的に引用リポストしているが、河野太郎氏ほど神経過敏な反応を示した例はない。
さて河野太郎氏は前記著書におて、外相時代に国際再生可能エネルギー機関(IRENA)総会で(2018年1月)行ったという演説を数ページに渡って紹介している。
官僚が用意した原稿を全面的に書き直させたという。
よほど胸を張りたい内容なのだろう。
河野太郎氏の認識、基本姿勢がよく分かる。
長いので部分的にカットしつつ、引いておく。
「今、私たちは新しい時代を迎えています」
「再生可能エネルギーの時代です」
「・・・皆さんは、再生可能エネルギーの導入では世界から大きく遅れている日本の外務大臣が何を言うか、とお思いかも知れません」
「私も、日本国内の再生可能エネルギーを巡る現在の状況は嘆かわしいと思います」
「再生可能エネルギーの劇的な価格下落や気候変動問題が脱炭素化を不可避にしている世界の趨勢から目を背け、変化を恐れて現状維持を優先した結果、日本の再生可能エネルギーの電源割合目標は2030年で22〜24%という大変低い数字にとどまっています」
「・・・これまでの日本の失敗は、世界の動きを正しく理解せず、短期的なその場しのぎの対応を続けてきた結果です」
「・・・かように現在の日本の現状は嘆かわしいものですが、しかし、私は今日、このIRENA総会の場で、今後、日本は新しい思考で再生可能エネルギー外交を展開し、世界の動きを正しく理解し、長期的視野に立った一貫した対応を取っていくことを宣言したいと思います」
脱炭素化運動を
「世界の趨勢」
と信じ込み、異論を一顧だにせず、
「バスに乗り遅れるな」
とのめり込む姿勢が顕著である。
この演説が行われた当時(2018年1月)、自由世界の中心をなすアメリカの有権者は、脱炭素原理主義を排する共和党トランプ政権を選んでいたが、それは
「趨勢」
に入らないらしい。
「人間活動による地球温暖化」
を所与とする前民主党オバマ政権の立場は非科学的で、米企業の競争力を不必要に弱めるとして退け、テクノロジー開発を通じたエネルギーの効率利用を無理なく進めるのが正解との立場を採っていた(ちなみに国際エネルギー機関によれば、トランプ時代のアメリカは炭素の排出削減量で世界1位。「トランプは炭素を撒き散らした」はファクトではない)。
河野演説が言う
「世界の趨勢」
は、当時も今も
「リベラル・インテリ世界の趨勢」
に過ぎない。
アメリカはじめ、現に展開されている複雑な動きを素直に見据えたものではなかった。
今やヨーロッパ諸国でも、脱炭素への行き過ぎた傾斜への反省が語られ、
「電気自動車(EV)への移行」
等にも急速にブレーキが掛かっている。
2025年以降、アメリカが再びトランプ政権となれば、一層はっきりとした
「趨勢」
となるだろう。
原子力発電が再評価され、アメリカは、ウイグル人の強制労働を用いていることを理由に、中国製太陽光パネルの全面禁止を決めた。
河野太郎理論は到底、
「世界の動きを正しく理解し、長期的視野に立った」
ものではない。
非常に視野の狭い独善と言えるだろう。
政府が河野路線を撮り続けるなら(河野太郎氏を「軍師」とした菅義偉政権以来そうなっている)、日本は潮が引く中、岸辺に取り残された魚のように、1人干上がることになろう。
■一族会社と中国共産党
河野太郎氏は上記演説と並行して、外相の諮問機関
「気候変動に関する有識者会合」
を立ち上げている。
そのメンバーの1人が、脱炭素・反原発を掲げる自然エネルギー財団の大林ミカ氏だった。
その後、大林ミカ氏は、やはり河野太郎氏が行革担当相として主導する内閣府の
「再エネ規制総点検タスクフォース(特別部隊)」
の委員にも選ばれた。
中国の国家電網公司との余りに密接な関係が問題となり、2024年3月、辞任に追い込まれたことは記憶に新しい。
ちなみに、同タスクフォースを事務方で仕切る内閣府規制改革推進室の山田正人参事官は、極端な脱炭素・反原発姿勢のため、経産省で厄介者扱いされていたという。
まさにそれが故に河野太郎氏の目に留まり、一本釣りされた。
この
「大林ミカ事件」
で、岸田首相がタスクフォースと中国の不透明な関係を調整するよう河野太郎氏に指示したのは論外という他ない。
「ネトウヨが騒いでいるだけだろ」
と周囲に嘯くなど、河野太郎氏には何の反省も見られない。
まさに調査される側の中心に位置付けられるべき存在である。
河野太郎氏一族会社
「日本端子」
と中国共産党との関係など、太陽光利権を巡る疑惑も放置されてよい問題ではない。
「再エネ・反原発信仰」
に与しない関係者に対する河野太郎氏の、権力を笠に着た恫喝も見過ごせない。
私は最近、SNSで使う河野太郎氏の愛称を、やや可愛すぎる
「河野グレタ郎」
から
「サイコパス河野」
に変えたが、以下のやり取りを見れば、頷く人も多いだろう。
2021年8月24日に、河野太郎氏が資源エネルギー庁幹部を怒鳴りつける様子の録音記録である。
『週刊文春』が入手して公開した(説明語句を加えた文字起こしも同編集部)。
議論のテーマは、3年毎に見直される「エネルギー基本計画」。
<エネ庁:いや、(原案の再生可能エネルギー比率は政策的な裏付けを)積み上げて36〜38%程度>
<河野:積み上げて36〜38になるんだったら、(「程度」を「以上」に変えても)以上は36〜38を含む(からいい)じゃないか。日本語分かる奴出せよ、じゃあ。それから何か知らねえけどさ、日本が再エネ入れるのに不利だ、みてえな記載が(基本計画原案に)いっぱいあっただろ。あれ全部落としたんだろな>
<エネ庁:日本が置かれた自然状況につきましては(略)事実関係を書いたものでございますので・・・>
<河野:じゃあ、北朝鮮のミサイル攻撃に無防備だと原子力(発電所)は。日本は核燃料、使用済み燃料を捨てる場所も狭くてありませんと、(事実を)全部書けよ。使用済み核燃料が危ねえのは、もう自明の理じゃねえか。おめえ、北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい。テロリストの攻撃受けたらどうすんだい、今の原発>
チンピラ顔負けだが、特に最後の部分など
「おめえ」
が言うかの典型である。
河野太郎氏は防衛相時代、北朝鮮ミサイルから国土(当然原発も含む)を守る地上配備型迎撃システム
「イージス・アショア」
の設置計画を突然破棄する決定をした。
その責任者が北朝鮮のミサイルの脅威を反原発の理由にするとは、控えめに言っても身勝手だろう。
■普通なら即大臣解任
河野防衛相が
「アショア」
配備を中止したのは、迎撃ミサイル発射後の燃焼済みブースターの空タンク(長さ24メートル弱)が民家に落下する可能性がゼロとは言えないからとの理由だった。
しかし、その可能性は限りなくゼロに近い上、核弾頭が着弾した場合の破滅的被害とは全く比較にならない。
河野太郎氏は、
「アショア」
の代替は
「イージス艦でやってもらう」
と語った。
だが、そもそも
「アショア」
導入案は、イージス艦の常時洋上展開は隊員の疲労等に鑑みても困難で、また日本近海を離れた遠洋任務に就く場合もある等の事情から出てきたものである。
話をいきなり振り出しに戻す以上、より合理的かつ現実的な説明が必要だろう。
迎撃態勢の整備に真面目に取り組まなかったのみならず、河野太郎氏は、敵基地攻撃能力の保持にも一貫して反対してきた。
攻めと守りの両面において、無責任な議論に終始してきたと言える。
2020年春、東北や九州で中国の偵察バルーン(気球)が発見された際も、河野防衛相は
「(行方は)気球に聞いて下さい」
と、国民をコケにした応答をして批判を浴びた。
気球によって自衛隊が用いる電波情報を収集できれば、敵対国は妨害電波の精度を上げられる。
普通の国なら、この発言1つで防衛相解任だろう。
河野太郎氏を総理総裁にと動く自民党議員らはよく、
「河野さんは脱原発を封印した」
「安心していい」
と言う。
しかし
「封印した」
とは、権力の座に就いた暁には
「封を解く」
という意味だ。
しかも、河野太郎氏は何ら原発潰しを封印していない。
搦め手を用いているだけである。
「(プルトニウムを燃料に使う)高速増殖炉『もんじゅ』が廃炉になり、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す必要がなくなった」
「(青森県六ヶ所村の)再処理施設は要らなくなったから(運転開始を)やめる」
との主張がそれに当たる。
現在、使用済み核燃料は各地の原発内で保管されているが、再処理施設に移送できないとなれば、貯蔵プールはそのうち満杯になる。
燃料交換ができなくなれば、原発は運転停止の他ない。
再処理施設を潰せば原発全体を潰せる。
これが河野太郎氏のみならず反原発派の狙いである。
■極めて危険な歴史認識
河野太郎氏の歴史認識も大いに疑問符が付く。
2019年1月14日、モスクワ。
日露外相会談後、内外の記者を集めた公式会見で、ロシアのラブロフ外相は
「重要な文書」
として国連憲章第107条を上げ、
「第2次大戦の結果を認めるよう書かれている」
「本日もう1度、詳細に日本側に伝えた」
「日本側から反論はなかった」
と述べた。
これに対し河野太郎外相は、日本人記者のみを集めた
「臨時会見」
を開いたものの、
「ラブロフ外相の発言にいちちコメントは致しません」
「内容については対外的に公表しないことにしております」
と無回答に近い発言に終始した。
前日(2019年1月13日)、ロシア外務省の報道官が
「共同記者会見を準備していたのに日本側が逃げた」
と揶揄したが、それが実態だったと思わざるを得ない。
国連憲章で
「敵国条項」
とされるのは第53条、77条、107条の3項である。
このうち、ラブロフ外相が言及した第107条は
「この憲章のいかなる規定も、第二次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない」
と規定する。
ソ連軍による樺太・千島列島奪取はこの枠内の行動で、日本も国連に加盟した時点で承認したというのがロシア側の主張である。
日本政府はこの解釈を受け入れていない。
例えば
「北方領土に関し敵国条項をソ連側は如何に解釈しているのか」
との中川昭一衆院議員の質問に、外務省欧亜局長が次のように答えている(1990年6月11日、衆院安保特別委)。
「ソ連側は、北方4島の占拠の根拠としてヤルタ協定を挙げ、同協定が、国連憲章第107条により、戦後秩序の一部として日本を拘束すると主張しております」
「これに対し私どもは、ヤルタ協定はこれに参加した首脳たちが共通の目的を述べた文書に過ぎず、領土移転の如何なる法的根拠も持ち得るものではない、その当然の帰結として、国連憲章第107条はソ連側の北方領土占拠に如何なる根拠を与えるものでもないし、全く関係のない規定である、そう反論しておる次第でございます」
この日本政府の立場を、河野太郎外相はラブロフに対し、即座にぶつけねばならなかった。
ラブロフは、明確に日本世論を揺さぶる意図で発言している。
一方、河野太郎氏には、世論戦を戦うとの気概が全く見られなかった。
尚、ロシア側は、(1945年)8月15日でなく(1945年)9月2日(日本の降伏文書調印の日)を
「大戦終結記念日」
と定め、北方領土を含む樺太・千島占領は大戦中の行為だと強弁している。
ここも、日ソ中立条約違反と並んで日本の外相が強く反論せねばならぬポイントだった。
ちなみに、ソ連軍による北海道北方地域侵攻は1945年8月16日にカムチャッカ方面から開始され、1945年8月18日に占守島上陸、1945年8月28日に択捉島上陸、1945年9月1日に国後島・色丹島上陸、1945年9月3日に歯舞島上陸と続き、1945年9月5日までに全域を占領した。
明らかに終戦後の侵略である。
話を戻せば、カメラの前で言いたい放題のラブロフに対し、河野太郎氏は借りてきた猫の風であった。
当日(2019年1月14日)のNHKニュースはラブロフの一方的発言のみを伝えたが、河野太郎外相が何も発言しなかった以上、必ずしも放送局の不見識とは言い切れない。
かつて、双方国連大使の立場でラブロフとやり合った経験を持つボルトン元大統領補佐官は、
「終始細かく条件闘争を仕掛けてくる男で予測困難」
「土壇場での大芝居(見方によってはヒステリー)に走りがち」
「ラブロフは国連大使を務めつつ、この特技を完成させていた」
と回顧している。
ラブロフの
「大芝居」
を捌くだけの技量と度量が河野太郎外相には欠けていた。
日本国内では木で鼻を括ったような
「次の質問どうぞ」
「所管外でございます」
で逃げ、
日本国外では難しい相手との共同記者会見に出ないのが
「特技」
では、話にならないだろう。
■「カモネギ外交」の象徴
中東問題でも、河野太郎外相は日本の
「カモネギ外交」
を象徴する存在だった。
著書に次の1節がある。
「外交は国と国との交渉ではありますが、最後は外務大臣同士の人と人との関係がものを言うことも少なくありません」
「例えばアメリカが資金拠出を中止したUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)を支援するための会合の共同議長を私に頼んできたのは、それまでに会議で顔を合わせていただけでなく、私邸にまで招かれたりしていたヨルダンのサファディ外相とEUのモゲリーニ外相の2人でした」
「外務大臣のフットワークが軽くないと国の外交は成り立たない、と言えるでしょう」
自慢げに書いているが、要するに、トランプ政権がUNRWAはテロ組織ハマスの物資調達部門に堕しているとの認識から資金拠出を停止したのを受け、
「日本にもっと出させよう」
という国際リベラル勢力に英語力や
「フットワーク(というより腰)
の軽さをおだてられ、カモにされたに過ぎない。
原資は日本国民の税金である。
とても外交を任せられるような人材ではない。
慰安婦問題にも触れておこう。
強制連行・性奴隷化虚偽を今も世界に拡散する河野洋平官房長官談話(河野談話、1993年8月4日)について聞かれる度、洋平氏の長男・太郎氏は
「それは別の河野さんでしょ」
とはぐらかすのが常だった。
しかし、河野家のブランド力に助けられて政界入りした以上、
「自分は無関係」
では済まない。
2018年3月28日、衆議院外務委員会で杉田水脈議員(自民党)が、河野太郎外相に改めて河野談話に対する見解を尋ねた。
ところが、雄弁が自慢のはずの河野太郎氏は机上に目を落としたまま動かず、代わって立った外務省参事官の
「過去に安倍首相が、河野洋平官房が何を考えて発言したのか承知しないと答弁している」
云々の発言を無表情に聞くのみであった。
およそ責任ある態度とは言えないだろう。
関係者によると、河野太郎氏は1度河野洋平氏に
「修正談話」
を出すつもりはないのかとそれとなく対応を促したという。
しかしそのつもりはないと河野洋平氏に撥ねつけられ、それ以上何も言わずに引き下がったらしい。
本来なら、
「修正しないならここで刺し違える」
くらいの気合で迫るべきだったろう。
親が親なら子も子と言う他ない。
■「性格」という最大の問題
リーダーには心の余裕とバランス感覚が欠かせない。
しかし河野太郎氏には、このいずれも見事なまでに欠いている。
性格こそが最大の問題と言ってもいい。
「英語はうまいし、それなりの存在は出来上がっているが、常識に欠ける」
という所属派閥の長、麻生太郎自民党副総裁の発言は適評だろう。
かつて、議員宿舎で河野太郎氏と隣同士だった平沼赳夫経産相(全拉致議連会長)から聞いた次のような話もある。
ある時、河野太郎氏が大声で誰かを怒鳴りつける声が聞こえてきた。
余りに言葉が荒く、執拗なので、平沼赳夫氏の息女がベランダから耳を澄ませたところ、河野太郎氏が義理の母親を激しく罵倒していたという。
平沼赳夫氏は話を誇張する人ではない。
真実だろう。
一方、河野太郎氏が緩んだ表情を見せる場面もある。
過去に2回、中国外務省の華春瑩報道局長(当時)に顔を寄せ、鼻の下を伸ばした自撮り写真をSNSに上げたのが好例である。
華春瑩報道官は色白、ふくよかな一見
「いい人」
風の中年女性で、日本の政界にも隠れファンが多い。
しかし人権蹂躙、軍事恐喝を続ける中国共産党の準幹部である事実に変わりはない。
アメリカの国務長官が同じ事をすれば、即刻辞任に追い込まれるだろう。
日本の政界で何ら問題にならなかったのは、国会全体の意識が低いからに他ならない。

相次ぐ再エネ設備のトラブル、賦課金値上げに「そこまでして進めないといけないのか」
2024/4/21 13:03
https://www.sankei.com/article/20240421-QLQ6GHIV7NJ6NLCTFELLL5YD5Q/
再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みは各地で進むが、太陽光パネル設置などを巡ってはトラブルが相次ぐ。
ルール作りや規制に動く自治体もあり、賦課金の値上げには批判的な声も少なくない。
北海道釧路市の国立公園
「釧路湿原」
周辺では太陽光パネルが次々と設置され、特別天然記念物のタンチョウや絶滅危惧種のキタサンショウウオなどへの影響に懸念が広がっている。
北海道釧路市は2023年7月、事業者に届け出などを求めるガイドラインを施行。
2024年度中に条例に格上げする考えだ。
賦課金は、自然環境に影響を及ぼしかねない設備の設置を促すことになり、北海道内の60代の男性は値上げに対し、
「そこまでして太陽光を進めないといけないのか」
と疑問を投げかける。
メガソーラー(大規模太陽光発電所)の設置が進んだ山梨県内では、景観や災害時の土砂崩れなどへの懸念から周辺住民とのトラブルが多発。
県は令和3年10月に太陽光発電施設を規制する条例を施行した。
それでも2023年、甲斐市菖蒲沢でのメガソーラー設置で大規模に樹木が伐採されていたことから、地域住民らが県に対し、周辺を土砂災害特別警戒区域に指定するよう要望する事態となった。
静岡県東伊豆町では、平成15年に町営の風力発電所を稼働させたが、老朽化で故障が相次ぎ、令和3年に閉鎖。
現在、民間企業への事業継承について検証しているが、静岡県内の臨海部では稼働している風力発電所も多く、県民からは
「(騒音や低周波音による)健康被害を訴える声もあるのに、施設の建設促進のために負担が増えるのは納得がいかない」
と不満も漏れる。

米韓より高い日本の電気料金 円安、中東情勢に再エネ賦課金も…上昇に警戒感
2024/4/21 12:04
https://www.sankei.com/article/20240421-N4VMAFDOBFNK5PV4VNZ3SQNDPU/
令和6年度から、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及のため電気料金に上乗せしている賦課金の負担が標準家庭で年1万円程度増える。
電気料金の上昇は家計を圧迫し、企業活動にも影響を与えそうだ。
特に産業用の電力需要は、人工知能(AI)の普及本格化で拡大する可能性が指摘されている。
日本の電気料金は、先進国の中で中位とみられるが、資源を輸入に頼っているだけに足元の円安進行、中東情勢の緊迫化がエネルギー価格上昇に繋がる打撃となりやすく、警戒感が高まっている。
■エネ価格「不透明さ増す」
電力中央研究所の調べによる国際比較では、2022年の日本の電気代は、英国やドイツよりは低かったが、米国や韓国、フランスよりは高かった。
産業用では、米国や韓国の2倍前後。
一方、再エネ普及が進んでいるデンマークの家庭用料金は日本の2倍近くだった。
資源のない日本にとって、エネルギー価格上昇のリスクは深刻だ。
電力大手で作る電気事業連合会の林欣吾会長(中部電力社長)は
「今後のエネルギー価格の不透明性が、更に増しているのは事実」
と話す。
その上で
「2年前(2022年、ロシアによるウクライナ侵略開始)のような高騰があれば対応が大変だが、学んだこともある」
「調達先を工夫するなど、事業者は価格の乱高下を回避できる対策を講じていくと思う」
と述べた。
■電気料金、価格転嫁進まず
国内では人口減少が進んでいるものの、今後はAIの普及を背景に、電力需要は高まるという見通しがある。
科学技術振興機構の推計では、AIなどの情報処理を行うデータセンターの電力消費量は、平成30年の140億キロワット時に対し、令和12年には6倍以上の900億キロワット時まで拡大。
現在の国内の総需要の1割近くまで伸びる計算だ。
東京商工リサーチが行ったインターネット調査(2857社回答)では、2024年1月時点で本業に係るコストが2023年より
「増加した」
と回答した企業は、73.6%と7割を超えた。
特に多かったのが
「原材料や燃料費、電気代の高騰」
の91.2%(1920社)だ。
このうち、高騰した分を商品の価格に上乗せする価格転嫁が全額できたのは、3.6%の63社にとどまる。
「受注減など取引への影響が懸念される」
「同業他社が転嫁していないため」
などが理由として挙げられた。
東京商工リサーチの担当者は
「価格転嫁はまだ十分ではない」
「再エネ賦課金の値上げは、ようやく出てきた良い流れをとどめてしまう可能性がある」
と指摘する。
政府は電源として再エネの比率を高める計画だが、その分賦課金の必要性も高まってくる。
「再エネ普及と国民負担抑制の両立」
が重い課題として残り続ける。

再エネ賦課金、年1万円負担増 「パネル」高シェアの中国利する? 見直し機運も
2024/4/21 11:19
https://www.sankei.com/article/20240421-5VRUAFM3KFKGLBSPJOAJDHXF2U/
太陽光や風力発電など、再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされている
「再エネ賦課金」
が2024年4月から値上がりし、標準家庭(使用量400キロワット時)で電気料金が月額836円上昇した。
年間で1万円程度の負担増となる。
賦課金は平成24年に導入され、再エネの普及に伴い右肩上がりで増えてきた。
ただ、太陽光発電に用いるパネルは中国企業が大きなシェアを持っている。
日本国民の負担が増える一方、中国を利するとの指摘もあり、制度の見直しを訴える声が強まっている。
■再エネ買い取り、国民負担に
政府は賦課金の単価を令和6年度は1キロワット時当たりで前年度比2.09円高い3.49円に引き上げた。
政府は2024年6月使用分から電気代を抑える補助金を終了し、家計の負担は2024年3月使用分に比べ2236円増えることになる。
政府は平成24(2012)年に再エネの固定価格買い取り制度(FIT)を導入し、再エネで発電した電気は電力会社が再エネ事業者から一定価格で高く買い取ることになった。
この費用を消費者が負担するのが賦課金の仕組みだ。
賦課金の単価は電力会社の買い取り総額から事業者の販売収入などを差し引き、販売電力量で割って算出。
利用者は単価と電力使用量に応じ賦課金を一律に徴収される。
再エネ普及に伴い買い取り総額は増加傾向で、賦課金も右肩上がりで上昇している。
賦課金の単価は平成24(2012)年度は0.22円だったが、令和4(2022)年度には3.45円に達した。
令和5(2023)年度はロシアによるウクライナ侵略に伴う資源価格高騰で電力の市場価格自体が高騰、販売収入増加で1.40円に初めて下がった。
令和6(2024)年度は資源価格一服で販売収入減が見込まれ、再び引き上げとなった。
国民が負担する賦課金総額は2.7兆円に上る。
■玉木氏「間接的に富が中国に」
賦課金を巡っては
「2030(令和12)年頃までは上昇を続ける見通し」(政府関係者)
という。
FITの導入当初に高い買い取り価格で認定した事業用太陽光の20年の買い取り期間が重しとなる。
その後は下落する可能性が指摘されるが、負担がすぐに大きく減るかは見通せない。
賦課金には反発も根強い。
国民民主党は2024年3月26日、賦課金の徴収を一時停止し電気代を引き下げる
「再エネ賦課金停止法案」
を国会に提出。
玉木雄一郎代表は賃上げの効果を打ち消すとして
「廃止を含め抜本見直しの時期に来ている」
と話す。
玉木氏は
「所得の低い人も含め、集めたお金をメガソーラー設置事業者に回す『所得の逆再分配』が起きている」
と指摘。
また太陽光発電は
「コストが下がっており、市場原理に任せるべき」
と見直しも訴える。
中国の存在も懸念事項だ。
「太陽光パネルはほとんど中国製で、賦課金で間接的に富が中国に行っている」(玉木氏)。
再エネを巡っては、内閣府のタスクフォースの元民間構成員、大林ミカ氏の提出資料に中国国営電力会社のロゴマークが入っていたことも問題視されている。
賦課金制度について玉木氏は、
「経済安全保障の観点からも検証が必要だ」
と強調した。

電気・ガス代補助5月で終了、家計に1903円の負担増 再エネ賦課金値上げも
2024/4/18 19:19
https://www.sankei.com/article/20240418-35EY4SBKHRJUHJVT3ED74WB6PM/
政府はこれまで行ってきた家庭や企業の電気やガス代の負担を抑制するための補助金の支給を、2024年5月使用分を最後に終了する。
ロシアのウクライナ侵略などで高騰した燃料価格が安定したためだが、令和6年度からは再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せしている賦課金の単価も引き上げられた。
物価上昇に苦しむ家計にとっては、補助がなくなることで新たな打撃となりそうだ。
■冬が終わり価格も安定
政府は現在、電気は家庭向けで1キロワット時当たり3.5円、ガスは1立方メートル当たり15円を補助。
東京電力や関西電力によると標準家庭(260キロワット時)の月額の電気代の抑制効果は910円、東京ガスによるとガスは450円だ。
2024年5月使用分からはこの補助が半減し、2024年6月からはなくなる。
補助は令和5年1月使用分から始まったが、斎藤健経済産業相は
「液化天然ガス(LNG)や石炭の輸入価格が侵略前と同程度に低下した」
と役目を終えたと話す。
実際に財務省の貿易統計でも、1トン当たり16万円を超え過去最高水準に達したLNGの輸入価格は、令和6年2月には10万円弱に落ち着いている。
「電力需要が多い冬が終わったことも要因」(政府関係者)
だという。
■2024年4月からは賦課金も引き上げ
一方で足元の円相場は1ドル=155円を窺う
「超円安」
の状況が続く。
中東情勢の緊迫化などで価格が高騰する原油のように、不安定な国際情勢により、LNG価格が再び上昇するリスクは常にある。
補助がなくなるだけでなく、政府は2024年4月から再エネ賦課金の単価を1キロワット時当たり2.09円引き上げて3.49円とした。
賦課金の引き上げなどで、4月使用分の電気代は東電の標準家庭で8137円、関電で6754円と、いずれも前月より500円超上がる。
関電の電気代が東電よりも安いのは、発電コストが安い原発が稼働している影響が大きい。
賦課金の引き上げと補助金の消滅により、標準家庭で2024年3月と比較すると家計には計1903円程度の負担増となり、消費意欲が落ち込み、好調な賃上げの効果を打ち消しかねないとの指摘もある。
■新電力への乗り換えも…
こうした中、新電力に期待する向きもある。
エネルギー価格高騰で電力調達コストがかさみ、一時は撤退や新規申し込みの停止が相次ぐなど苦境に立たされたが、調達価格が落ち着くことで経営の安定化が見込まれるためだ。
帝国データバンクによると、令和6年3月時点で撤退や倒産・廃業が判明した新電力は前年同月比43.4%増の119社に上った。
しかし新規契約停止は38.4%減の69社、契約受付再開は51.6%増の47社と、巻き返しの動きも出てきている。
帝国データの担当者は
「値下げに動く新電力も僅かに見られる」
と明かす。
ただ電力不足を防ぐため、発電所設備の維持費を小売り事業者が負う
「容量市場」
制度の拠出金支払いも2024年度から始まる。
新電力にとっては経営上の負担となり、今後、電気料金に転嫁することも想定される。
電力自由化で参入した新電力も料金攻勢は力強さに欠けるのが実情だ。

「国破れてパネルあり」再エネ賦課金廃止も検討を…国民民主・玉木雄一郎代表が警鐘
2024/4/10 20:19
https://www.sankei.com/article/20240410-OTDEOGLDDVLGHF5JUWEFEKVH3U/
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年4月10日、産経新聞の取材に応じ、再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされている賦課金について
「廃止を含め、抜本見直しの時期に来ている」
と述べた。
再エネ賦課金は電力会社の販売収入が減ると、逆に上がる算定方式。
2024年度は、ロシアのウクライナ侵攻で高騰した資源価格が一服して販売収入の減少が見込まれるため、値上げとなった。
標準的な家庭(月の使用量400キロワット時)で換算すると、賦課金は令和5年度比836円増の月額1396円。
令和4年度(1380円)の水準に戻る。
■賃上げの流れも帳消しに
玉木氏は賦課金値上げについて
「せっかくの賃上げの良い流れを、帳消しにする」
「賃金が増え、消費が増えるという好循環が断ち切られてしまう」
と指摘した。
国民民主は2024年3月、賦課金の徴収を一時停止し、電気代を引き下げる
「再エネ賦課金停止法案」
を国会に提出している。
賦課金の制度については
「所得の低い人も含めて集めたお金を、メガソーラーを設置できる事業者に回す『所得の逆再分配』が行われている」
として、構造的な問題があると指摘。
特に太陽光発電については
「(発電)コストが下がっており、市場原理に任せるべきではないか」
と述べ、賦課金が支える固定価格買い取り制度(FIT)の見直しを訴えた。
再エネについては今後、洋上風力などメニューが増加し、賦課金を含めた補助的な制度の必要性が高まる可能性もある。
玉木氏は
「電気代、社会保険料、税金をこれ以上上げないことが最優先」
「『国破れてパネルあり』ではいけない」
「優先順位を国益、国民の生活から考えるべきだ」
と述べた。
■中国が生産能力8割
太陽光発電業界は中国勢が台頭しており、国際エネルギー機関(IEA)の2022年の報告によると、太陽光発電に必要な主要要素の世界の生産能力の8割超を中国が占める。
ただ、パネル素材の多結晶シリコンの多くは、新疆ウイグル自治区での
【強制労働】
による製造が疑われている。
これに関連し、玉木氏は
「人権を無視した形で安く製造されたものについては、輸入しない、使わない」
「供給網(サプライチェーン)から排除することを義務付けるための法制化も必要だ」
と主張した。
また玉木氏は、内閣府のタスクフォース(TF)元民間構成員、大林ミカ氏の提出資料に中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークが入っていた問題にも言及。
「組織や外国からの不当な影響がなかったのかどうか、政府は徹底検証すべき」
と強調した。

東京都の太陽光パネル設置義務化 住宅高騰や人権侵害助長する 杉山大志氏
2024/4/21 9:00
https://www.sankei.com/article/20240421-S3PWT4IHZBJQJEWHJ5UPTDWWHQ/
東京都が都心の温室効果ガスを令和12(2030)年までに50%削減することを目指し、2025年4月から新築住宅などを対象に太陽光パネル設置の義務化に踏み切る。
家庭の電気代削減や停電時の防災力効果も図れるとし、新築時などに補助も行うとする。
ただ、多額の税金を投入するだけの効果が得られるのか疑問視する声もある。
エネルギー政策と環境問題を研究するキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏に話を聞いた。
温室効果ガス削減といった取り組みは、地球全体の問題であり、東京都だけで規制することで得られる効果は少ないと言える。
また、都が行う太陽光パネル設置義務化は、日当たりが良く屋根が大きい住宅に住む人にとっては補助金などで儲かる制度になっているが、東京は人口密度が高く、一軒家でも屋根が北向きなど太陽光発電に不向きな家も多い。
更に、集合住宅などに住む人にとっても経済的恩恵を得られないにもかかわらず、莫大な税金が投入される。
条例で設置義務を負うのは住宅供給事業者で、未達成の場合は、その企業名が公表される。
このため、公表を恐れて、必要ない住宅にも設置することが考えられる。
加えて都民は新築の住宅を購入する際に太陽光パネルの費用も負担することになるため、住宅価格が高騰して都内で購入しづらくなる可能性もある。
太陽光パネルは光が当たれば発電し続けるため、災害時にも問題が生じる。
東京都の江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)と言われる海抜0メートル地帯では、台風や高潮で水害が発生した場合、太陽光パネルが水没することで感電など2次災害が発生する恐れがある。
パネルが損傷して火災が起きることもあり、消火活動も水を直接かけると水を伝って感電するため、鎮火に時間を要する場合もある。
そもそも太陽光発電は日光によって発電されるため、1年の内で、17%程度の時間しか発電できない。
住宅の上にパネルを設置しても発電量が予測しづらく、既存の火力発電設備などをなくすことはできず、2重投資の状態でコストが嵩む。
世界の太陽光パネルの約9割が中国で生産されていて、太陽光発電導入には、中国製の太陽光パネルに頼らざるを得ない現実もある。
中国製の太陽光パネルが台頭している背景には、新疆ウイグル自治区での
【強制労働】
で価格を安く抑えている点が指摘されており、米国などでは中国製の輸入禁止措置が取られている。
東京都の太陽光パネル設置の義務化は、こうした人権侵害を助長することに繋がる。
安定的なエネルギー供給と二酸化炭素(CO2)の削減の両立を目指すのであれば、太陽光発電に頼るよりも、原子力や天然ガスを利用することの方が現実的だと言える。

再生可能エネへの投資は無駄遣い 莫大な国民負担も…見返りはほとんどなし 気まぐれに発電するに過ぎない太陽光パネル
2024.4/11 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240411-RGOKT76P4VNNTMASJZO7KYOMZY/
日本政府は
「グリーントランスフォーメーション(GX)」、
つまり脱炭素のために、政策によって10年で150兆円の官民投資を引き起こすという。
投資というと聞こえはいいが、原資を負担するのは我々国民だ。
1人当たり120万円、世帯当たり360万円も負担するのだが、見返りはほとんどありそうにない。
なぜなら、最大の投資先が再生可能エネルギーだからだ。
太陽光発電は本質的に2重投資である。
なぜなら、家庭に太陽光パネルを付けても、火力発電所をなくすわけにはいかないからだ。
夜でも曇りの時でも電気は必要だからである。
バックアップのために火力発電所が必要だという言い方をする人もいるが、これでも太陽光パネルを贔屓し過ぎている。
なぜなら、太陽光パネルは年間17%しか稼働しない。
年間83%は火力発電所に頼ることになるわけで、8割以上も発電するのにバックアップという言い方は的外れである。
要は、電力供給のためには火力発電所が必要なのであって、太陽光パネルは気まぐれに発電するに過ぎない。
これは風力発電も同じことである。
日本では洋上のもっとも風況の良い所でも、風力発電の稼働率は35%しかない。
既に太陽光発電は導入し過ぎであり、余った時には電気を捨てている状態である。
政府はこの対策として他地域への送電線を建設するとか、蓄えるためにバッテリーを導入するが、これは3重投資、4重投資になる。
再エネは今や最も安いなどと言う人がいるが、それはコストの一部しか見ない都合の良い話をしているに過ぎない。
現実には再エネを大量導入したドイツやデンマークは電気代が最も高い。
CO2(二酸化炭素)を排出しない火力発電として、CO2を地中に埋めるCCS、それにアンモニア発電や水素発電などにも政府は巨費を投じるとしている。
だが、これも万事予定通り進んだとしても、発電コストはこれまでの火力発電所の2倍、3倍、あるいはそれ以上になると試算されている。
こんな高価な技術を日本でいくらか導入したところで、世界で売れるはずもない。
これに何千億円、何兆円と費やすというのは、まるきり無駄遣いである。
既存の火力発電と競合できるコスト水準になる技術を目指して、研究所で基礎的な技術開発をするにとどめるべきだ。
全てが予定通りに進んでも、確実なのは、莫大な国民負担だけである。
喜ぶのは利権に預かる一部の政治家、行政官、企業ばかりである。
こんな愚かな政策で
「グリーン経済成長する」
とのたまう経産省は、経済も産業も全く分からないようだ。
■杉山大志(すぎやま・たいし)
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
1969年、北海道生まれ。
東京大学理学部物理学科卒、同大学院物理工学修士。電力中央研究所、国際応用システム解析研究所などを経て現職。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、産業構造審議会、省エネルギー基準部会、NEDO技術委員などのメンバーを務める。
産経新聞「正論」欄執筆メンバー。
著書・共著に『「脱炭素」は嘘だらけ』(産経新聞出版)、『亡国のエコ』(ワニブックス)、『SDGsの不都合な真実』(宝島社新書)など。

<正論>中国を利するエネ政策を止めよ
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志
2024/4/10 8:00
https://www.sankei.com/article/20240410-UFXUMJX2DFLD3PKZRPR22GS6LM/
再生可能エネルギー導入に向け規制見直しを検討する内閣府タスクフォース(特別作業班)の会合に、委員の自然エネルギー財団事業局長、大林ミカ氏(2024年3月27日に委員辞任)が提出した資料に、中国国営企業である国家電網公司の透かしロゴが入っていたことが問題になっている。
日本のエネルギー政策が中国の影響を受け決定されているのではないかとの懸念が出た。
対策としてセキュリティ・クリアランス強化が言われているが、それだけでは到底足りない。
■脱炭素は中国の「超限戦」
というのは、中国は日本に対して直接的な工作をする必要すらないからだ。
日本には
「使える愚か者(useful idiots)」
がいる。
これはレーニンの言葉であり、資本主義国には、本人には特段の自覚すらないままに共産主義国のために働く愚か者がいる、ということである。
中国は世界を共産党独裁対民主主義の体制間の限りない闘争、即ち
「超限戦」
と捉えている。
そこでは脱炭素はまさに天佑である。
日本をはじめ先進国が勝手に経済的自滅をし、中国には莫大な利益をもたらすからだ。
大林ミカ氏も、
「再エネ最優先」
を掲げる河野太郎規制改革担当相も、中国企業の太陽光発電事業や風力発電事業を儲けさせる一方で、日本のエネルギー供給を不安定化し高コスト化している。
これは中国の望む通りだ。
だがここに中国が命令を逐一下す必要はない。
せいぜい、当たり障りのない情報提供をして親中的な気分を盛り上げる程度で足りる。
そうすれば勝手に運動してくれる。
「再エネ最優先」
を強く支持するのは日本の左翼リベラル勢力であるが、彼らは中国に融和的でもある。
中国の太陽光パネルの半分は新疆ウイグル自治区で生産されており、
【強制労働】
の関与の疑いが濃厚で、米国では輸入禁止措置まであるが、日本ではこれは全く不問にされている。
これも中国の望む事そのままである。
■日本を破壊する日本政府
今、日本政府は脱炭素、再エネ最優先を推進することで、日本経済を破壊している。
太陽光発電と風力発電を大量導入しているが、北海道では風力発電が多過ぎて余るので1兆5000億円を投じて新潟までの海底送電線を建設するという。
これだけでも仰け反るが、これは氷山の一角に過ぎない。
政府は脱炭素のために今後10年間で150兆円のグリーントランスフォーメーション(GX)投資を官民で実現するとしている。
投資と言えば聞こえは良いがその原資は国民が負担する。
GDPの3%であり、3人世帯で360万円もの負担になる。
これでは日本経済はガタガタになる。
目玉となる再エネ事業のお金の多くは中国企業に流れる。
一方で脱炭素は日本の防災には全く役立たない。
国連のモデルを信じたとしても、日本が2050年にCO2をゼロにした時の地球の気温の低下はせいぜい0.006度しかない。
日本の安全保障も危険に晒されている。
河野氏が防衛相を務めた時、自衛隊の施設は100%再エネを目指すこととされ、今では多くの施設が再エネ電力を購入するようになった。
電気事業者の中には近年に設立された企業もあり、中国系の企業がどのぐらいあるのかも分からない。
これら企業は電力消費量を監視することで、自衛隊の活動状態を把握できてしまう。
のみならず有事には、本国の命令があれば電力供給網を遮断・攪乱するかもしれない。
いつから日本政府はこのような、日本を滅ぼすような事ばかりするようになったのか。
2021年に策定された第6次エネルギー基本計画で2050年CO2ゼロが目標とされた。
河野氏は
「再エネ最優先」
を掲げ、2030年の発電に占める再エネの数値目標を36%から38%
「以上」
にするよう、経産省の官僚を怒鳴り上げた音声がリークされている。
日本の官僚は、時の政治権力には滅法弱くなった。
昇進するか左遷されるか、彼らにとっての生殺与奪の権を握られているからだ。
かつては脱炭素という経済自滅的な政策には抵抗していた経産省が、すっかり宗旨変えしてしまった。
■「愚か者」を排除せよ
今では経産省こそが巨大な予算と権限を持った最も強力な脱炭素利権と化し、日本経済を破壊している。
彼らは最早内から自らを変える能力はない。
政治が変わるしかない。
左翼リベラル化した自民党こそが脱炭素推進の本丸である。
日本の国益を損なう
「使える愚か者」
を退場させ、それに代えて、日本の安全保障と国民経済を第1に考える人々にエネルギー政策を任せるべきである。
政治が変われば、経産省の幹部人事も刷新できる。
経産省が脱炭素利権にまみれてしまったのはここ数年のことに過ぎない。
まだ以前のことをよく覚えており、現状に違和感を覚えている優秀な官僚はたくさんいる。
愚か者を排除し、政治的な路線転換さえすれば、彼らは日本国民の安全と経済のために良い仕事をしてくれるはずだ。

<主張>再エネ資料にロゴ 中国の影響力工作を疑え 河野担当相の責任は重大だ
社説
2024/4/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20240401-OK3BL3MXVFNBDKYMXUGDBPMHLQ/
政府のエネルギー関連の会議に提出された資料に、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークの透かしが入っていたことが発覚した。
再生可能エネルギー導入に向けて規制見直しを目指す内閣府のタスクフォース(TF、特別作業班)に対し、委員を務めていた大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長が提出した資料の件である。
大林氏が経済産業省や金融庁の有識者会議などのヒアリングに呼ばれた際や、国連、欧州連合(EU)の関連機関の会議への出席時に提出した資料にも同様のロゴがあった。
■全省庁で実態を調べよ
中国は共産党支配の全体主義国家で、日本から尖閣諸島(沖縄県石垣市)を奪おうと狙っている。
台湾問題では軍事力行使を辞さない姿勢を崩さず軍備を増強中で、日本にとって安全保障上の脅威だ。
中国国営企業は共産党政権と一体である。
大林氏は
「誤解を受け、不安にさせた」
として委員を辞任した。
財団主催の会合に中国国家電網公司が提出した資料を自身が改編した際にロゴが残ったと説明した。
財団は
「資料の内容は中国国家電網とは一切関係のないもの」
と釈明した。
鵜吞みにはできず、辞任で幕引きにはできない。
政策形成への中国の影響力工作はなかったのか。
中国共産党政権の意向が浸透して日本の政策が歪むことは決してあってはならない。
調査すべきは再エネTFに限らない。
岸田文雄政権はこれを機に、政策決定へ影響力工作が及んでいないか全省庁で点検に乗り出してもらいたい。
今回の問題で再エネTFは信頼できなくなった。
解散または活動停止が必要で、従来の提言は棚上げしたらどうか。
所管閣僚である河野太郎規制改革担当相は問題が発覚した当初、X(旧ツイッター)に
「チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していきます」
と投稿した。
ロゴ入りの点だけを問題視していたのか。
内閣府規制改革推進室の山田正人参事官も
「事務ミスかもしれない」
と述べていた。
国政担当者として視野が狭すぎる。
中国による影響力工作をなぜ一番に懸念しなかったのか。
高市早苗経済安全保障担当相は当初から
「エネルギー安全保障は、国民の生活や経済活動にも大きな影響を及ぼす安全保障の中核的な課題の1つだ」
「他国から干渉されるようなことがあってはならない」
と指摘していた。
斎藤健経済産業相も
「当該団体(同財団)が特定企業の強い影響を受けているとの懸念が払拭されるまで、ヒアリングを控える」
と語った。
河野氏が会見で
「自然エネルギー財団と中国の特定の企業の間にどんな繋がりがあったのか調査を始めている」
「事実関係を調べた上で対処方針を決めたい」
と表明したのは、問題への批判が高まってからだ。
河野氏は閣僚として高市氏や斎藤氏を見習うべきである。
■ASG構想ありえない
大林氏のTF委員起用について林芳正官房長官は
「内閣府の事務方が提案した案を河野氏が了承した」
と語った。
人選に関わった河野氏と内閣府の責任は重い。
河野氏が外相当時の
「気候変動に関する有識者会合」
では委員9人のうち3人が自然エネルギー財団のメンバーだった。
河野氏は同財団との関係についても説明すべきだ。
同財団は太陽光、風力、水力などの自然エネルギー資源を相互に活用するため日本と中国、ロシア、インド、タイなどの送電網を連結するアジアスーパーグリッド(ASG)構想の実現を唱えている。
中国国家電網公司の呼び掛けで設立された国際的な送電網構築を目指す非営利団体にも参加していた。
ASG構想も国際的な送電網も専制国家の中露両国などに日本の電力供給を左右される余地を与えかねない。
国家安全保障、エネルギー安保の両面から到底受け入れられない構想だ。
日本国民の安全と国益を損なう構想を掲げるような財団のメンバーを政府の会議体の委員にすることは極めて危うい。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、政府の審議会などの委員選定にも、経済安保上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る
「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」
が必要との見解を示した。
その通りである。

再エネ人選 河野氏に疑念
美しき勁き国へ 櫻井よしこ
2024/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20240401-4K7S5A2ICRLVNI2KSIZNGCO4YE/
河野太郎デジタル相が内閣府で主導した再生可能エネルギーに関するタスクフォース(TF)の会議で事件が起きた。
河野氏の推薦でTFに加わった
「自然エネルギー財団」
事業局長の大林ミカ氏が中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴ入り資料を正式に提出していた。
我が国のエネルギー政策を議論する政府中枢で中国の資料が使われていた。
ここまで浸透されていたかと驚愕したのは私だけではないだろう。
河野氏肝煎りのTFは構成員4人のうち、大林氏と高橋洋氏の2人が自然エネルギー財団関係者で大林氏がすぐに辞任した。
が、トカゲの尻尾切りのような終わり方で済む問題なのか。
2011年に孫正義氏が創設した同財団は中国を中心に広くアジア諸国にまたがるエネルギー供給網
「アジアスーパーグリッド(ASG)」
の実現を目指す。
ASGに組み込まれる国は民生、産業、国防、全分野でエネルギー供給の安定を必然的に中国に頼ることになる。
国家の首根っこを中国に押さえられるに等しいASGを孫氏らが目指すのは自由だ。
しかしなぜ、河野氏はそうした人々を重用するのだろうか。
気になることを国民民主党幹事長の榛葉賀津也(しんば かづや)参院議員が指摘した。
「河野氏が外相当時、気候変動の有識者会合を設置しました」
「その異常な人選と内容を我が党議員が国会で質した」
「有識者各氏は意見書で化石燃料由来の発電は中止、石炭火力発電の段階的廃止計画を明示せよなどと再生可能エネルギーを強く推していました」
2018年3月23日、参院経済産業委員会で同党の浜野喜史議員が質した。
「今年(2018年)2月、外務省は気候変動に関する有識者会合で、エネルギーに関する提言を取りまとめています」
「これは外務省の見解を示したものですか」
外務省側は
「あくまでも有識者の現状に対する危機感の表明」
で、それが
「外相(河野氏)に対して提出された(だけ)」
と答えた。
外務省見解ではないということだ。
浜野氏は更に、有識者9人の内3人が孫氏の財団の執行メンバーだと指摘した。
前述のように今回のTFでは4人中2人が財団関係者だった。
この人選の偏りは何を示すのか。
著明な政治家が主催する会議の結論は自ずと大きな影響力を発揮する。
河野氏が再エネ推進で影響を及ぼそうとしているのは明らかだ。
動機は何か。
河野氏の自然再生エネルギーへの肩入れ、化石燃料の否定は我が国の国益にどう合致するのか。
この疑念に関して河野氏はきちんと説明すべきだ。
政府は、温暖化対策の国際枠組み
「パリ協定」
に基づく温室効果ガスの削減目標の達成に向け、脱炭素化に10年で150兆円超の投資が必要だと想定し、うち20兆円を支援する方針だ。
専門家らは我が国のエネルギーを再エネで賄おうとすると、この額はやがて何倍にも膨らんでいき、日本経済を押し潰すと危惧する。
今、甚大な資金を風力発電などに注入することが正しいとは思えないのだ。
それが我が国の産業を下支えし、国民生活を豊かにするとも思えないのである。
加えて風力発電に関しては設備のほとんどが中国からの輸入だ。
利益は中国に吸い取られる。
更なる再エネ賦課金で、ただでさえ国際的に高額な我が国の電気料金はより高騰する。
国民負担も国内産業への負担も尋常ではない。
河野太郎氏や自民党の小泉進次郎衆院議員は再エネに莫大な資金を投入し電気自動車(EV)を増やすという。
しかし、日米欧のどこでも政府が補助金を出してもEVは消費者から敬遠され始めた。
EVに熱心だったドイツ政府はEVへの補助金を前倒しで停止した。
中国はEVで最先端を走っていたが、今や中国のEV大手、比亜油(BYD)さえも方向転換してハイブリッド車などに傾いている。
にもかかわらず、我が国はまだEVへの補助金をやめない。
再生エネルギー全体に関して国際社会は大きな揺り戻しの中にある。
2050年までに二酸化炭素(CO2)排出ゼロを目指し、気温の上昇を1.5℃までに抑えるとしたパリ協定への各国政府の姿勢が変化しているのである。
パリ協定の目標数値に縛られているのは主に先進国であり、ロシアやグローバルサウスの国々には有利な条件が与えられている。
先進国が年間5兆ドル(約750兆円)を温暖化対策費用として途上国に払う時、初めて彼らも先進国同様のCO2削減の努力をするという条件だ。
中国がインドと共に途上国に分類されているのは周知の通りだ。
そうした中で日本がCO2ゼロに向けて、巨額を支出するのは愚策である。
ドイツは2030年までに石炭から脱却する方針を延期する可能性が出てきた。
英国はCO2ゼロの実現よりもエネルギー安全保障の方が重要だとして、化石燃料の段階的廃止に距離を置いた。
キャノングローバル研究所の杉山大志研究主幹が紹介する
「脱炭素からの撤退が始まった」(ロス・クラーク著)
には、パリ協定崩壊を示す事例が満載だ。
例えば2023年12月にドバイで開催した国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、議長を務めたアブダビ国営石油公社の会長が3年で石油生産量を約50%増やすと発表した。
ブラジルとカナダが石油生産量の拡大を決定した。
インドは2030年までに化石燃料を60%拡大する。
そして中国だ。
2021年までの2年間に新規石炭発電所127基の建設を承認し、その後の2年で承認数は182基まで増えた。
繰り返す。
パリ協定は破綻した。
再エネへの巨額の支援、投資はやめるのが国益だ。
広く世界を見つめて、日本だけが世界の潮流に取り残され、国力を衰退させる事態は防がなければならない。
エネルギー分野で我が国が中国の影響下に置かれることも回避しなければならない。
一般常識から見れば奇々怪々の動きを見せてきた河野氏だからこそ、その行動の意味と意図を国民に説明する責任がある。

フィリピンの先例警戒、中国が電力支配 40%株式保有、送電止める危険 米軍基地抱える日本も脅威″トエネに中国の影・第5弾
2024.3/30 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240330-FTIF36STYBK5PFZIIJYHBZMBKY/
■峯村健司氏緊急リポート
再生可能エネルギーに関する規制見直しを検討する内閣府のタスクフォース(TF)に、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークが入った資料が提出された問題が収まらない。
エネルギー戦略は国家の存立に直結する最重要政策であり、
「他国の干渉があってはならない」(高市早苗経済安保相)
からだ。
林芳正官房長官は2024年3月28日の記者会見で
「河野太郎規制改革担当相の下、内閣府において中国政府から不当な影響を受けていなかったかなどの調査を行う」
と語ったが、議会や第3者機関も調査すべきではないのか。
キヤノングローバル戦略研究所主任研究員、峯村健司氏は、国家電網公司がフィリピンの送電企業の40%の株式を保有し、同国議会が
「安全保障上のリスク」
を懸念した前例に迫った。
再エネ導入に向けた規制の見直しを検討する内閣府のTFの資料の一部に、中国の
「国家電網公司」
のロゴマークの透かしが入っていたことが明らかになった。
資料は、民間構成員である財団法人
「自然エネルギー財団」
事業局長、大林ミカ氏が提出したものだった。
大林氏は2024年3月27日の記者会見で民間構成員を辞任したと発表した。
大林氏がTFに入った経緯について、林長官は2024年3月28日の記者会見で
「内閣府事務方が提案した案を、河野規制改革担当相が了承した」
と説明した(=大林氏は2024年3月27日の記者会見で、河野氏の推薦だったと説明)。
■「パワーポイント」による事務ミス…内閣府の説明に疑問と矛盾
問題発覚後の2024年3月25日に記者会見した内閣府規制改革推進室の山田正人参事官によると、同財団が2016〜2019年にかけて開いたシンポジウムに中国企業の関係者が登壇した。
その際の資料を大林氏が提供され、別の機会に編集ソフト
「パワーポイント」
を用いて引用した際、文書のテンプレートにロゴが残ったという。
山田氏は
「内容に問題はなく、事務ミスかもしれない」
と説明した。
この説明には早速、いくつかの矛盾や疑問が浮上している。
同財団が翌2024年3月26日、ホームページ上で発表した経緯説明では、大林氏は編集では
「パワーポイント」
ではなく、
「キーノート(Keynote)」
を使っていた。
金融庁の有識者会議や経産省の小委員会に大林氏が提出した資料にも同じロゴが確認されている。
内閣府の調査は不十分と言わざるを得ない。
そして、筆者が最も注目しているのが、中国政府における
「国家電網公司」
の役割である。
2002年に設立された中国最大の電力配送会社で、オーストラリアやブラジル、チリなどの発電・送電会社に積極的に出資をしている。
■40%株式保有、送電止める危険
その中で
「国家電網公司」
が積極的に進出をしてきたのが、フィリピンだ。
親中政策をとったアロヨ政権時代、フィリピン国家送電会社(NGCP)に40%出資し、2009年から全国の発電所から配電施設までの送電を受託した。
ところが、2019年11月、議員向けの内部報告書で、
「フィリピンの電力網が現在、中国政府の『完全な支配下』に置かれており、我が国の電力網に混乱を引き起こす能力を持っている」
と警告されていることが発覚した。
NGCPを監督する送電公社の責任者が議会の証言で、フィリピン人技術者が施設への立ち入りを制限されており、中国によって送電を止めることができる可能性があることを認めた。
中国が
「国家の悲願」
と位置付ける台湾併合に乗り出した場合、米国の同盟国でありバシー海峡を挟んで位置するフィリピンの存在は極めて重要だ。
その際、中国がフィリピンの関与を阻止するために、全土を停電にする可能性はあるだろう。
同じく、米国の同盟国であり米軍基地を抱える日本に対して、中国がフィリピンに対して実施したようなアプローチをするリスクを考慮するのは当然のことと言える。
今回の問題を
「事務的ミス」
で片付けるべきではない、と筆者は考える。
電力事業は2022年5月に成立した経済安全保障推進法で
「特定社会基盤事業」
と指定されている。
その所管官庁である内閣府は、地政学リスクも含めた徹底した原因究明をすべきだろう。

再エネ政策は中国の影響下?
阿比留瑠比の極言御免
2024/3/28 1:00
https://www.sankei.com/article/20240328-WDBBYQTYVVOUVE4YDID7CB4L2I/
中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題に関する内閣府の説明資料
https://www.sankei.com/article/20240328-WDBBYQTYVVOUVE4YDID7CB4L2I/photo/BL5EXY7Y2FJVBNWPL7F6BG6P7I/
国のエネルギー関連の有識者会議などで利用された資料に、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークの透かしが入っていた問題は、我が国の再生エネルギー戦略は中国製の資料を基にし、中国の意図に沿って進められてきたのではないかとの深刻な疑念を生んでいる。
高市早苗経済安全保障担当相は2024年3月26日の記者会見で、ロゴ入り資料を提出した再エネ導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースの民間構成員を務めていた大林ミカ氏についてこう指摘した。
「該当構成員が所属する自然エネルギー財団は中国国家電網の会長が、会長を務めている団体に理事会メンバーとして参加している」
「エネルギー安全保障の関連政策の検討に当たっては、他国から干渉されることがあってはならない」
■中露と送電網目指す
自然エネルギー財団はソフトバンクグループ(SBG)の会長兼社長の孫正義氏が、自然エネルギーを基盤とした社会構築を目的に設立した。
一方、国家電網公司の会長が会長を務める団体とは、中国、ロシア、韓国などの国際送電網の構築を目指す非営利団体
「グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO)」
のことである。
大林氏が事業局長を務める自然エネルギー財団は2024年3月26日、
「無用な誤解を避けるため」
としてGEIDCOからの脱退を表明したが、財団もそのアジア版とも言える
「アジアスーパーグリッド(ASG)構想」
を掲げてきた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年3月26日の記者会見で、これに対する懸念を次のように表明した。
「この財団が言っていることは、出来るだけ日本は原子力発電をやめろ、火力発電もやめろと」
「仮に電力不足になった時に、中国やロシアから電力を送電網を使って輸入していくことになると、エネルギーの中露依存が高まっていく」
「生殺与奪の権を握られてしまうということになる」
この安全保障上の観点を巡っては、自民党の小林鷹之前経済安保担当相も2021年2月、衆院予算委員会でこう指摘していた。
「(ASG構想で)日本は安全保障上、大陸と繋ぐわけにはいかない」
「日本はエネルギーミックスを、日本1国だけで実現していかなくてはいけない」
■ロゴの問題ではない
自然エネルギー財団の大林氏をタスクフォース構成員に選んだのは河野太郎規制改革担当相である。
河野氏に関しては、外相時代の2018年3月の参院経済産業委員会でも、国民民主党の浜野喜史氏が外務省の気候変動に関する有識者会合の在り方を巡りこんな疑問を呈していた。
「メンバーを見ると非常に偏った構成だ」
「9人中3人が孫正義氏が会長を務める自然エネルギー財団の執行メンバーだ」
規制改革担当相としてタスクフォースを作った河野氏は2024年3月25日の衆院予算委では、政府資料に中国企業のロゴが入っていたことについてこう述べていた。
「ロゴにはウイルスのような有害な要素はないと判明した」
「ロゴのないものに差し替えることを考えている」
誰がコンピューターウイルスの心配をしているというのか。
余りに国民をバカにした答弁ではないか。
玉木氏が2024年3月26日の記者会見で
「ロゴが入っているかどうかの問題ではない」
「我が国の大切なエネルギー政策を決める際に、外国企業や外国政府の影響が及んでいるのではないか」
と語った通り、中国との関係こそが問われている。

中国企業ロゴ問題「内容には問題なし」 内閣府「不当な影響力受けたなら問題」 再エネタスクフォース資料
2024/3/25 13:58
https://www.sankei.com/article/20240325-CWZ57KOKKRMF3IC7Q5BWVEJBWI/
再生可能エネルギー導入促進を目指すタスクフォースで中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題に関する内閣府の説明資料
https://www.sankei.com/article/20240325-CWZ57KOKKRMF3IC7Q5BWVEJBWI/photo/LLOZEZYSXBCVNBK4XJPIA5F4RA/
再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースで提出された資料に中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題で、内閣府規制改革推進室は2024年3月25日、緊急の記者会見を行った。
資料自体には中国企業に由来する内容はなく、内容に問題はないと説明した上で、更に経緯を調査するとした。
問題の資料はタスクフォース民間構成員の財団法人
「自然エネルギー財団」
事業局長、大林ミカ氏が作成し、2023年末などの会合向けに提出した。
一部のページに、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴが入っていた。
記者会見した規制改革推進室の山田正人参事官によると、同財団が2016〜2019年にかけて開いたシンポジウムに中国企業の関係者が登壇。
大林氏がその資料の提供を受け、別の機会に編集ソフト
「パワーポイント」
を用いて引用したところ、文書のテンプレート(ひな型)にロゴが残り、提出資料を作成した際にも反映された結果という。
ブラウザーの環境によっては表示されないため、同室も気付かなかったとした。
山田氏は大林氏の提出資料について
「内容には問題がない」
として、ロゴを抹消した上で再度、公開する方針を示した。
再発防止のため、事実関係を更に究明するとした上で
「何か不当な影響力の行使を受けたということであれば問題だが、単なる事務ミスかもしれない」
とも語った。
同財団と中国企業の関係については
「人的・資本的関係はないと聞いている」
と説明。
大林氏の身分に関しては
「まずは事実関係を調べてからだ」
と述べるにとどめた。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/491.html#c18

[政治・選挙・NHK294] 連合・芳野友子会長「小池百合子知事と関係性は良い」 都知事選に出馬表明の蓮舫氏に「共産とは考え方が全く違う」とくぎ刺す… 赤かぶ
36. 秘密のアッコちゃん[364] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月02日 14:27:24 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[477]
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<主張>尖閣に中国海警船 防衛方針を転換すべきだ
社説
2024/6/2 5:00
https://www.sankei.com/article/20240602-L3MUSILRQVKW7JS4SPDUBTPHDA/
尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の海域を中国海警局の船が徘徊し続けている。
2024年5月27日で158日間となり、連続日数で過去最長を更新した。
2024年6月1日も4隻が確認され163日連続となった。
だが、尖閣諸島は日本固有の領土である。
中国は1970年代以降、領有権を唱えてきたが一分の理もない。
1953年1月8日付の中国共産党機関紙
「人民日報」
を読んでみたらどうか。
同紙は、日本の琉球諸島を構成する中に尖閣諸島を挙げている。
盗人猛々しい中国の海警船は直ちに去るべきである。
令和3(2021)年2〜7月には尖閣海域で157日連続で海警船の徘徊があった。
2023年1年間の出没日数は過去最多の通算352日に上った。
ほぼ毎日である。
うち領海侵入は42日だった。
海警船の塗装は海上保安庁の巡視船に似ている。
だが、法執行機関の海保とは異なり、海警局は中国中央軍事委員会傘下の
「第2海軍」
である。
漁船に偽装した海上民兵などと結託して尖閣諸島占領に突如動くかもしれない脅威である。
林芳正官房長官は2024年5月27日の会見で海警船の徘徊が過去最長になったことについて
「極めて深刻だ」
「緊張感を持って警戒監視に万全を期すと共に、中国側に冷静かつ毅然と対応する」
と述べた。
それならば日本政府は、尖閣諸島侵略への対処策を根本から改めるべきだ。
海保や沖縄県警が警察行動にとどまるのは当然だが、自衛隊には速やかに
「防衛出動」
を下令する方針を取ってもらいたい。
自衛隊が
「海上警備行動」
などの警察行動で対応する段階を挟む現行方針は、中国の思う壺に嵌るだけだからだ。
警察行動では自衛隊の武器使用は制約される。
一方、第2海軍の海警船は隠し持った武装で思う存分軍事攻撃できる。
日本政府は米政府から、米国の日本防衛を定めた日米安全保障条約第5条の尖閣適用の言質を取ってきた。
だが、尖閣防衛への米軍の支援は自衛隊の
「防衛出動」
が前提となる。
早期の
「防衛出動」
に及び腰の政府方針では、米軍の登場以前に尖閣を奪うという中国が望んでやまない状況を差し出すだけだ。
政府は尖閣防衛方針の転換と、海保の増強、尖閣諸島への公務員、自衛隊の常駐に踏み切るべきである。

尖閣周辺に中国船 164日連続
2024/6/2 11:01
https://www.sankei.com/article/20240602-U6DO2LW5J5OXFG6EA6NXQXFROI/
沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で2024年6月2日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。
尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは164日連続。
日本政府による2012年9月の尖閣諸島国有化後、最長の連続日数を更新した。
第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。
領海に近付かないよう巡視船が警告した。

連続航行、最長更新を続ける尖閣周辺の中国船 政府の領土担当相は江戸時代の「槍奉行」か
竹島を考える
2024/6/2 1:00
https://www.sankei.com/article/20240602-OBOITYOMBBMJJFAZ5GADDC3M7Y/
中国海警局艦艇による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域での接続水域侵入は、150日を超えた。
だがその間、日本の与野党の国会議員たちの関心は、自民党のパーティー券問題に端を発した政治資金規正法の改正に向かい、国家主権が侵され続けているという現実から目を逸らしてきた。
彼らにとっては、国家主権よりも政権の奪取と死守が優先されるからだろう。
その最中、韓国の総選挙では与党「国民の力」が惨敗した。
日本に融和的な外交姿勢を示す尹錫悦氏が大統領に就任し、日韓関係にも改善の兆しが見えていたが、日本はせっかく訪れていた外交チャンスを逃してしまった。
■対日カード再び
韓国では総選挙の直後、野党「共に民主党」の議員ら17人が大挙して竹島(島根県隠岐の島町)に上陸すると、続いて文在寅政権時代の法相、゙国(チョ・グク)氏も竹島に上陸し、尹錫悦政権を
「親日政権」
と批判した。
韓国の野党陣営は、竹島を政権批判と対日批判のカードに使い、尹錫悦政権に揺さぶりを掛けたのである。
だが何とも皮肉な話である。
竹島は1954年以来、韓国によって不法占拠され続けている日本の領土である。
その竹島に韓国の国会議員らが上陸し、尹錫悦政権批判と対日批判の外交カードにしていたからだ。
だが、日本政府の官房長官や外相は、韓国の議員らの竹島上陸に
「遺憾の意」
を表しただけで、無為無策に徹していた。
また日本には2013年以来、
「領土・主権対策企画調整室」
なる機関が存在し、領土担当相も誕生していた。
しかし民主党政権時代の2010年以来、尖閣諸島周辺では中国政府による挑発行為が続き、来年2025年は、島根県議会が
「竹島の日」
条例を定めて20周年を迎える。
その間に、領土・主権対策企画調整室が戦略的な対応を企画したとも、領土担当相が竹島問題や尖閣問題の解決に努めたとも聞いたことがない。
それは江戸時代の
「槍奉行」
などと同じで、閑職の類である。
それに、2013年からは毎年、
「竹島の日」
の式典に政務官が派遣されるようになったものの、彼らは竹島問題の
「解決に向けて粘り強く努めていきます」
と誓って帰るが、その後は音沙汰無しである。
■政治不信の本質
昨今の日本では、パーティー券問題から裏金問題となり、それが派閥の解散となって今では政治資金規正法の改正議論に辿り着いた。
だが国民の政治不信の本質はそこにはない。
問題は、立法府が法案を成立させ、行政府がその法律を規則として実務を行うそのプロセスにある。
2013年に新設された領土・主権対策企画調整室は、尖閣諸島問題や竹島問題で失策続きだった民主党政権のアイデアを基に発足した。
そこでは
「対外情報発信」

「国民啓蒙」
が、既定の方針であった。
だがその有識者会議のメンバーの1人となった私は、竹島問題や尖閣諸島問題の現状を説明し、
「今は対外情報発信や国民啓蒙よりも領土問題での研究が必要だ」
と訴えた。
しかし、報告書がまとめられる段階で、私の異見(他の人とは違った考え。異議。異論)は立法府に忖度したのか削除を求められ、封印されてしまった。
これは1度決まってしまうと、そこに課題があっても軌道修正ができないということである。
2024年4月27日、沖縄県石垣市が実施した尖閣諸島の環境調整に国会議員5人が参加し、中国海警局の公船と洋上で対峙したという。
後日、その1人は
「私はもう本当に怒りましたよ」
「(腸が)煮えくり返っていますから」
と発言したそうだ。
だがこの種のパフォーマンスは、極めて危険である。
中国側でも尖閣諸島を
「歴史的にも国際法上も中国固有の領土」
と思い込んでいるからだ。
これは竹島に上陸した韓国の国会議員たちの行動と似ている。
相手を挑発するのなら、次の一手も考えておくべきだからだ。
私は2024年1月末、尖閣諸島問題をテーマにしたウェビナーを公開し、中国側が尖閣諸島を中国領としてきた文献を逆手に取って、正しく読めていなかった事実を明らかにした。
その歴史研究は領土・主権対策企画調整室や外務省とも違っていた。
■党利党略で失敗
現時、野党が政権を奪いたいなら、侵され続ける国家主権に不作為で臨んできた自公連立政権を追及すればよい。
また、自民党を再生したいというなら、何度か述べてきたように組閣の際、国務大臣をできるだけ多く国会議員以外から選ぶことだ。
派閥の論理で国務大臣が任用されている限り専門性は問われず、派閥の勢力拡大が優先される。
それでは論功行賞のための人事となり、副大臣や政務官といった
「槍奉行」
が増えるだけだ。
自民党のパーティー問題の本質はそこにある。
政権維持が目的となれば、特定の業界との癒着に繋がり、国民生活とは無縁の法案が成立する。
戦前の政党政治の失敗は、党利党略を優先させ、軍部の独走を防げなかったことにある。

尖閣上陸の12年前と一変…維新・和田有一朗衆院議員「目の前に海警の船」 尖閣視察を語る
2024/5/23 22:59
https://www.sankei.com/article/20240523-WPJTFPA535INNJP4PI7CGPQBN4/
沖縄県石垣市が2024年4月に実施した尖閣諸島(同市)の海洋調査には、与野党の国会議員5人が同行した。
そのうちの1人で、平成24(2012)年8月には魚釣島に上陸した日本維新の会の和田有一朗衆院議員に話を聞いた。
ーー尖閣諸島周辺の様子は
調査船は2024年4月26日の夜に石垣島を出発し、2024年4月27日の早朝には既に魚釣島から2〜3キロの辺りを航行していた。
日の出の光で目を覚まし、デッキに出ると海上保安庁の巡視船と中国海警局(海警)の船が何隻も入り乱れて航行している姿が目に飛び込んできた。
大袈裟かもしれないが、船の煙突から立ち上る煙を見て、日露戦争で連合艦隊とバルチック艦隊が激突した日本海海戦を扱った映画のワンシーンのように思え、『こんな状況になっているのか』と驚いた。
ーー旧民主党政権が尖閣諸島を「国有化」する直前の平成24(2012)年8月、魚釣島に上陸した
当時兵庫県議だった私を含む地方議員有志の数人で上陸したが、その時は非常に牧歌的な雰囲気だった。
1時間余り上陸し、日章旗を立ててきたが、辺りはヤギのフンだらけで、臭かったのを覚えている。
海警の船は当然いなかったし、海保の巡視船は遠くの方で、我々の安全を確保するために見守ってくれていたように見えた。
ーー状況は一変した
12年前『平成24(2012)年8月』はこんな事になるとは想像もしなかった。
海警の船が連日のように領海侵入していることは知ってはいたが、日本の領海の、日本の島のすぐ横、目の前に海警の船がある。
これはちょっと異常じゃないかと思った。
日本の領海であるのに、そうでないと錯覚しかねない状況があった。
ーー政府は尖閣諸島を「有効に支配」していて、現場海域で海保などが「冷静かつ毅然とした対応」を行っているとしている
海保の巡視船は数隻で海警の船を取り囲んで、進路を阻んでいた。
操船技術の高さを含め、海保の日夜の対応には敬意を表したい。
だが、それらも対症療法だ。
抗議をし続けても、どんどん海警の船が領海に入ってきている現実がある。
操船技術が海保に劣るという海警の船が海保に誤ってぶつかってきたらどうするのか。
あるいは発砲してきたらどうするのか。
現実問題として真剣に考えなければいけない。
ーー抗議以外に何が必要か
政府は、原則として政府関係者以外の尖閣諸島への上陸を認めない方針を取っているが、それならば、政府職員を上陸させ、常駐させるべきだ。
携帯電話の基地局を設置することも考えられる。
実効支配を強化するためだ。
今回、機会あって調査に同行できたが、上川陽子外相をはじめ、全ての国会議員が尖閣諸島を視察すべきだと思う。

わだ・ゆういちろう
昭和39年、神戸市生まれ。
早稲田大卒、神戸市外大大学院修士課程修了。
衆院議員秘書、神戸市議、兵庫県議を経て令和3年10月の衆院選で初当選。
59歳。

中国大使「火の中」発言、「日本人ぶっ殺す」と言ったも同然 外相抗議を 山上・前豪大使
2024/5/31 11:35
https://www.sankei.com/article/20240531-JUNQE7IOGVFNDB6CN5GF3TTYIY/
中国外交をめぐる論客、山上信吾・前駐オーストラリア大使が2024年5月30日、産経新聞の電話インタビューに応じた。
中国の呉江浩駐日大使が台湾問題で、日本が中国分断に加担すれば
「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」
と述べたことについて、
「日本人をぶっ殺す、という意味に等しい」
と批判した。
摩擦を嫌う日本政府の姿勢が、中国の動きを増長させると警鐘を鳴らした。
ーー「火の中」発言について
「火」
は台湾独立を阻止するための中国の武力行使を指す。
発言は、それに日本人が巻き込まれて殺されるという意味だ。
戦火を経験した日本人は東京大空襲や広島、長崎の原爆を想起する。
大使は日本人に与える意味合いを十分認識しながら、元首相やメディアの前で敢えて扇情的な言葉を使った。
そこに問題の深さを感じる。
中国外交官が問題発言をした例は過去にもあるが、今回は、発言が日本人一般に向けられている点で大きく異なる。
駐日大使が
「日本人をぶっ殺す」
と言うなど、あり得ない。
看過してはいけない。
■2008年日中韓サミット前にも
ーーこの発言の真意は
中国は台湾の頼清徳総統を独立派とみて過敏になっており、
「1つの中国」
原則の解釈を1歩1歩狭めている。
大使は日本の国会議員が総統就任式に出席したことを問題視したが、台湾と非政府間の実務関係を維持することは、1972年の日中共同声明以来、認められてきた。
議員は政府代表ではないから、訪台に問題はないはずだ。
日本に対するハードルを釣り上げ、譲歩を迫っている。
ーー日本の対応について
外相か外務次官が大使を呼び出し、直接抗議すべきだ。
それが世界の外交では常識なのに、政府は
「外交ルートの抗議」
で済ませた。
ソウルで2024年5月27日に日中韓サミットが開かれる直前だったから、中国の機嫌を損ねたくなかったのだろう。
私が危惧するのは、福岡県で2008年12月、初の日中韓サミットが開かれた時と状況が重なるからだ。
この時はサミットの5日前、中国が初めて海洋調査船を尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の日本領海に送った。
「日本はサミットを壊したくないから、文句を言わないだろう」
と見て、反応を試した。
2022年8月、ペロシ米下院議長の訪台後、中国が日本の排他的経済水域(EEZ)にミサイルを着弾させた時も、外務省は電話による抗議で済ませた。
中国が
「日本はこんな事をやっても大丈夫」
と思うようになれば、抑止力が働かなくなる。
日本が重視する
「台湾海峡の平和と安定」
が維持できなくなる。
■既成事実を重ねる「サラミ戦略」
ーー岸田政権の外交について
岸田文雄首相は2024年4月の訪米時、連邦議会での演説で
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
と言うだけで、台湾に言及しなかった。
中国の武力行使を牽制もしなかった。
そんな流れの中で、今回の大使発言があったとしても驚くべき事ではない。
中国はサラミを1枚1枚削るように既成事実を重ねる
「サラミ戦略」
で、陣地を拡大している。

「火の中」発言
中国の呉江浩駐日大使が2024年5月20日、中国大使館で開いた座談会での発言。
台湾で頼清徳総統が就任した当日で、大使は就任式に日本の国会議員が式典に参加したことを
「台湾の独立勢力に加担」
したと批判した。
その上で
「日本が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」
と述べた。
座談会には鳩山由紀夫元首相ら、日中関係者が出席した。

<主張>中国大使の暴言 日本国民への脅迫許すな
社説
2024/5/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20240524-T4ZEA7XLS5NKVCMU24YUQ5JQWA/
日本国と日本国民に対する、軍事力を振りかざした脅迫であり到底容認できない。
中国の呉江浩駐日大使が台湾を巡り、日本が
「中国の分裂」
に加担すれば
「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」
と語った。
呉氏は2023年4月、着任直後の会見でも同様の発言をして日本政府から抗議されている。
今回の異常な発言は、頼清徳台湾総統の就任式があった2024年5月20日、都内の中国大使館で開かれた座談会で飛び出した。
呉氏は
「(中国は)最大の努力を尽くして(台湾との)平和統一を目指す一方、武力行使の放棄も絶対確約しない」
と述べた。
その上で、
「火の中」
の言葉を用いて日本国民を脅迫した。
どのような前提条件を付けても、中国軍が日本国民を攻撃して殺傷すると脅した発言で外交官失格である。
呉氏は
「武力又は武力による威嚇に訴えない」
ことを確認した日中平和友好条約第1条にも反している。
このような大使が日本と正常な外交を営めるのか。
呉氏は発言を撤回して謝罪し、職を辞したらどうか。
もし同様の脅迫が中国駐在の外国大使から発せられたら、中国は国を挙げて非難し国外追放へ動くだろう。
発言を知った日本国民は眉を顰(ひそ)めている。
元国家公安委員長の松原仁衆院議員(無所属)は外交上の
「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)
として呉氏を追放すべきだと2023年に続き政府に促した。
林芳正官房長官は会見で
「極めて不適切だ」
と呉氏の発言を非難し、外交ルートを通じ抗議したと明らかにしたが不十分だ。
呉氏を呼んで直接抗議し、発言撤回と謝罪を求めるべきだ。
中国側の反応次第では、駐日大使交代の要求や呉氏の国外追放措置も必要である。
岸田文雄首相は近く韓国での日中韓首脳会談に臨む。
少なくとも呉氏の発言撤回がなければ、李強首相との2者会談をしている場合ではない。
座談会には鳩山由紀夫元首相や社民党の福島瑞穂党首、外務省OBらが出席したが、呉氏の暴言に誰も抗議しなかったのは情けない限りだ。
鳩山氏に至っては
「呉大使のお話に基本的に同意する」
と述べた。
出席者は日本国民よりも中国政府の機嫌を伺う卑屈な姿勢を取った自身を恥じてもらいたい。

日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_heiwa.html
第一条
1両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。
2両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。

<産経抄>低く値踏みされた日本、呉大使の恫喝
2024/5/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20240524-JV3T2USBRVPW5GUBEE44YU4JHQ/
ひと文字の違いで、大きく意味の変わる言葉がある。
「瀬踏み」

「値踏み」
はいい例だろう。
物事に取り掛かる前に、ちょっと試してみるのは
「瀬踏み」。
ざっと見積もって、物の値段の見当をつけるのが
「値踏み」
である。
▼中国の呉江浩駐日大使には、2023年春に着任する前にも約10年に及ぶ我が国での勤務経験がある。
歴史認識や台湾情勢などを巡る日本側の感度については、その時に瀬踏みを済ませたということか。
とすれば、日本は安く見積もられたことになる。
▼台湾を巡り、日本が
「中国の分裂」
に加担すれば―。
「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」。
中国大使館で2024年5月20日に開かれた座談会で、呉氏はそう発言した。
傲慢にして品がなく、度を越しており聞くに堪えない。
これが日本国民に対する恫喝でなくて、何であろう。
▼政府は外交ルートを通じて抗議したという。
謝罪も辞任も求めぬようでは首を捻る他ない。
呉氏は着任後の会見でも
「火の中に…」
の発言をしていたが、政府は今回と同じ対応にとどめていた。
足元を見られ、同じ轍を踏んだのなら情けない。
▼件(くだん)の座談会には、鳩山由紀夫元首相や外務省OBらも出席していた。
武威を背にした明け透けな脅しに、なぜ沈黙で応じることができたのか不思議でならない。
鳩山氏に至っては、
「呉大使のお話に基本的に同意する」
と語った。
「元首相」
を名乗る人の悲しい実相である。
▼ひと文字違いと言えば
「祈念」

「懸念
も浮かぶ。
日中関係の行く末を思う時、先立つのは懸念だろう。
隣人を脅して平気な相手と、良好な未来を誰が祈念できよう。
日本を低く見た
「無礼」

「非礼」。
ひと文字違い、されど通底する怒りは変わらない。

日本の民衆が火の中に…「事実に基づいている」 中国報道官が駐日大使の発言を正当化
2024/5/23 21:01
https://www.sankei.com/article/20240523-7JJYFYTOYJIKJL7M5ZHUS7TODA/
中国の呉江浩駐日大使が台湾との関係を巡り、日本政府が中国の分裂に加担すれば
「日本の民衆が火の中に連れ込まれる」
と発言したことについて、中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は2024年5月23日の記者会見で
「事実に基づいており、道理は正しく言葉は厳格で、完全に正当で必要なものだ」
と述べた。
呉氏の発言が正当だと主張した形だ。
汪氏は
「最近、日本の一部の人々の間で台湾問題に関してマイナスの動きがしばしば出ており、『台湾有事は日本有事』という出鱈目で危険な論調を騒ぎ立て続けている」
との認識を示した。
台湾問題について、汪氏は
「中国の核心的利益の中の核心で、中日関係の政治基礎に関わり、越えてはならないレッドラインだ」
と主張。
「もし誰かが中国の内政に干渉し、中国統一を妨害すれば、必ず重い代価を払うことになるだろう」
と強調した。

中国にこびる鳩山由紀夫元首相の危険性
阿比留瑠比の極言御免
2024/5/23 1:00
https://www.sankei.com/article/20240523-MXFTPPAZFBMEBODEISMKNGLJXQ/
民主党政権の初代首相、鳩山由紀夫氏の言動はバカバカしくて取り上げたくはないのだが、余りに有害で危険なので記録に残しておく。
中国の呉江浩駐日大使が2024年5月20日に開いた座談会で、日本が
「台湾独立」

「中国分裂」
に加担した場合についてこう警告した。
「民衆が火の中に連れ込まれることになる」
日本の一般国民に攻撃を加え、焼き殺すと言わんばかりの恫喝である。
当たり前の政治家であれば、直ちに厳しく反論すべき場面だが、社民党の福島瑞穂党首らと共にその場にいた鳩山氏は、反対に呉氏に同調したという。
「日本は台湾が中国の不可分の一部であることを尊重しなければならない」
これは、昭和47(1972)年の日中共同声明を意識した言葉だろうが正確ではなく、より中国に媚びた内容となっている。
日中共同声明は台湾が中国の不可分の一部であると
「表明」
する中国の
「立場」
について、日本は十分理解し、尊重する旨を述べているだけである。
鳩山氏は日本政府が中国と合意し、長年堅持してきた見解を飛び越え、勝手に
「台湾は中国の不可分の一部」
だと明言してしまっている。
■「領有問題」の前科
また、鳩山氏には中国への対応を巡り、”前科”がある。
現職の首相時代の平成22(2010)年5月の全国知事会議に出席した鳩山氏は、日本政府が、
「日本固有の領土であり、中国との間に解決しなければならない領有権問題は存在しない」
との立場を取る尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、こんな発言をした。
「米国は帰属問題に関しては、日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して、結論を見い出してもらいたいということだと理解している」
日本政府が、存在しないと主張してきた領有権問題の存在を認めた上で、これから中国との交渉のテーブルに着くかのような発言であり、中国の
「領有権問題の存在を認めろ」
という要求に擦り寄っている。
その前年の平成21(2009)年には自民党の麻生太郎政権が米オバマ政権から
「尖閣諸島に日米安保条約は適用される」
との確認を取っていた。
その安保条約の当事者である米国は第3者扱いである。
「こんなバカを言う首相がいるのか」
「バカな会合だ」
「ナンセンス!」
懐疑に出席していた石原慎太郎都知事は記者団にこう憤然と言い棄て、会議を途中退席したほどだった。
「日本列島は日本人だけの所有物ではない」
「国というものが何だかよく分からない」
こんな言葉も残している鳩山氏は、領土的野心を隠さない中国を、日本に招き入れかねない。
■怒るべき時に怒れ
ちなみに、無所属の松原仁元拉致問題担当相は2024年5月21日に、前掲の呉江浩駐日大使の
「民衆が火の中」
発言に対し、呉江浩駐日大使を国外追放すべきだとして日本政府に見解を質す質問主意書を提出している。
これについて筆者がX(旧ツイッター)に
「政府答弁が楽しみ」
と記したところ、山上信吾前駐オーストラリア大使が次のようにコメントした。
「実質的に
『日本人を殺す』
とまで言われておきながら、
『答弁』
だけで誤魔化せては駄目です」
「まずは外務大臣が(呉江浩駐日大使を)呼び付け、厳重に抗議し、謝罪と発言の撤回を強く求める」
「応じなければ、ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)として中国に送り返す」
「怒るべき時には怒る、それが抑止力になります」
怒るべき時には怒る、日本政府に最も足りない姿勢かもしれない。

呉江浩駐日中国大使の「火の中」発言要旨
2024/5/22 17:16
https://www.sankei.com/article/20240522-DB3TKL3WFRK4TGWPLRUA32X2KQ/
中国の呉江浩駐日大使が2024年5月20日の座談会で行った
「火の中」
発言の要旨は以下の通り。

我々は最大の努力を尽くして(台湾の)平和統一を目指す一方、武力行使の放棄も絶対確約しない。
台湾海峡情勢に緊張がもたらされている根源は、台湾当局の外部勢力を巻き込んでの独立を企てる試みや、外部勢力が台湾問題でもって中国を制しようとすることにある。
長きに渡って台湾に武器を売り込んでいるのは誰なのか。
中国の周辺で軍事的なグループを作るのは誰であるか。
答えははっきりしている。
日本が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる。

中国大使の「火の中発言」 昨年も「台湾有事は日本有事」を巡り問題発言
2024/5/22 17:15
https://www.sankei.com/article/20240522-3UTUJ35WMFKEZEHCRAVFETMMNA/
林芳正官房長官は2024年5月22日の記者会見で、中国の呉江浩駐日大使が台湾との関係を巡り、日本政府が中国の分裂に加担すれば
「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」
と発言したことについて
「極めて不適切だ」
「直ちに厳重な抗議を行った」
と述べた。
呉氏は過去にも同様の発言をし、日本政府が抗議した経緯がある。
発言は2024年5月20日、台湾の総統就任式に合わせて呉氏が東京都内の在日中国大使館で開いた座談会で出た。
呉氏は
「台湾海峡情勢に緊張がもたらされている根源は、台湾当局の外部勢力を巻き込んでの独立を企てる試みや、外部勢力が台湾問題でもって中国を制しようとすることにある」
と主張し、
「中国の周辺で軍事的なグループを作るのは誰であるか」
「答えははっきりしている」
と暗に米国を批判。
その上で
「日本が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」
と日本が米国に追随しないよう牽制した。
呉氏は同時に
「耳障りな言葉だが、言っておく必要があると思った」
と述べ、反発を予想していることも窺わせた。
座談会には鳩山由紀夫元首相や社民党の福島瑞穂党首、外務省OBら十数人が出席していた。
だが、呉氏を諫める出席者はなく、鳩山氏は呉氏の発言に
「基本的に同意する」
と述べた。
呉氏は2023年4月28日の日本記者クラブでの記者会見でも
「台湾有事は日本有事」
との見方は
「荒唐無稽で極めて有害だ」
とし、
「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」
と発言した。
この時は林氏(当時は外相)が国会答弁で
「極めて不適切」
として外交ルートを通じて抗議したと明らかにした。
同種の発言を繰り返す呉氏に対しては、政府に厳しい対応を求める意見が出ている。
松原仁衆院議員(無所属)は2024年5月21日、政府の見解を問う質問主意書を衆院議長に提出。
「脅迫発言」

「2度も繰り返すのは極めて不見識」
「日本政府に対し敬意を欠く」
と指摘し、外交関係に関するウィーン条約に基づき
「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)であることを通告し、追放すべきだ」
と求めた。

「極めて不適切」 林官房長官、中国駐日大使の「火の中」発言を非難
2024/5/22 12:31
https://www.sankei.com/article/20240522-EHRFUERXD5N77IAW6SNV4MRFZA/
林芳正官房長官は2024年5月22日の記者会見で、中国の呉江浩駐日大使が日本と台湾の関係を巡り、中国の分裂に加担すれば
「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」
と発言したことについて
「極めて不適切だ」
「直ちに厳重な抗議を行った」
と非難した。
また、林氏は中国の王毅共産党政治局員兼外相が台湾の総統に就任した頼清徳氏を
「民族と祖先に背く恥ずべき行為」
をしていると名指しで非難したことに関し
「台湾海峡の平和と安定は我が国の安全保障は元より、国際社会全体の安定にとっても重要だ」
と指摘。
その上で
「我が国の一貫した立場は台湾を巡る問題が対話により平和的に解決することだ」
と強調した。

中国大使の「民衆が火の中」発言、日本政府が厳重抗議 外交ルートで「極めて不適切」
2024/5/21 20:16
https://www.sankei.com/article/20240521-BYDXXHG2JJKRPE5YUQAWIFUWTM/
中国の呉江浩駐日大使が日本と台湾の関係を巡り、中国の分裂に加担すれば
「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」
とした発言に対し、日本政府が外交ルートを通じて
「極めて不適切だ」
と厳重に抗議したことが分かった。
政府筋が2024年5月21日、明らかにした。
呉氏は2024年5月20日、日本の超党派議員団による台湾総統就任式への出席を
「台湾独立勢力を公然と後押しした」
「断固反対する」
と非難した上で
「火の中に」
と強く牽制。
2023年4月にも記者会見で同様の発言をし、日本政府が抗議した経緯がある。

中国大使の「日本の民衆が火の中に」発言に鳩山元首相「基本的に同意する」
2024/5/21 16:54
https://www.sankei.com/article/20240521-46IYWPVPPBLHTIWKZLOYJ5NEYA/
中国の呉江浩駐日大使が、日本が
「台湾独立」

「中国分裂」
に加担すれば
「民衆が火の中に連れ込まれることになる」
と発言した2024年5月20日の座談会に出席していた鳩山由紀夫元首相が、
「基本的に同意する」
と述べていたことが分かった。
招待を受けた鳩山氏は
「和を以て貴しとなすという言葉は中国にも日本にも通用する言葉で、私はそれを『友愛』という言葉で置き換えている」
と持論を展開。
「東洋の持っている精神を十分に理解をすれば、決してこの地域全体が不安定になることはない」
と言い切った。
一方、鳩山氏は中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権を主張し、周辺海域で中国海警局の船が日本漁船を追尾するなど、中国側の挑発行為が活発化していることには言及しなかった。
呉氏の発言は2024年5月20日、同氏が東京都内の在日中国大使館で開いた台湾問題と日中関係について意見交換する座談会で飛び出した。
座談会には元外務省関係者ら10人以上の招待者がいたが、呉氏をたしなめる同席者は見られなかった。
呉氏は2023年4月に都内の日本記者クラブで行った記者会見でも、同様の発言を行っていた。

「民衆が火の中」発言の中国大使は「追放すべき」 松原仁氏が質問主意書
2024/5/21 14:00
https://www.sankei.com/article/20240521-OU6DREDDAJO43L777RGDPR3ELI/
松原仁衆院議員(無所属)は2024年5月21日、日本が
「台湾独立」

「中国分裂」
に加担すれば
「民衆が火の中に連れ込まれることになる」
と発言した中国の呉江浩駐日大使を国外追放すべきだとして、政府の見解を質す質問主意書を額賀福志郎衆院議長に提出した。
呉氏は2024年5月20日、在日本中国大使館で開いた台湾問題に関する
「座談会」
で、この発言を行った。
松原氏は質問主意書で、呉氏が2023年4月28日にも同様の発言をし、当時の林芳正外相が
「在京大使の発言として極めて不適切で、外交ルートを通じて厳重な抗議を行った」
と国会で答弁したことを紹介。
「脅迫発言」

「2度も繰り返すのは極めて不見識」
「接受国である日本政府に対し失礼千万で、敬意を欠く」
と指摘した。
その上で
「さすがに今回は、(外交関係に関する『ウィーン条約』に基づき)ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)であることを通告し、追放すべきだと考える」
として政府の見解を求めた。
政府は2024年5月31日に答弁書を閣議決定する見通し。

中国の呉駐日大使、日本が「台湾独立」加担なら「民衆が火の中に連れ込まれる」と警告
2024/5/20 19:12
https://www.sankei.com/article/20240520-2QALPXWBORMHZI5FZTPI3464KY/
中国の呉江浩駐日大使は2024年5月20日、台湾の総統就任式に日本から国会議員30人超が参加したことに対し、
「(台湾)独立勢力に加担する誤った政治的シグナルだ」
と批判した。
東京都内の在日本中国大使館で開いた台湾問題に関する
「座談会」
で語った。
呉氏は
「民主進歩党の歴代総統は全員が正真正銘の独立主義者」
「民進党が政権を握り続ければ両岸(中台)情勢の厳しさが増す」
と頼清徳政権を牽制した。
更に、中国が台湾の武力統一の選択肢を放棄しないのは
「台湾独立を抑制する切り札だ」
と強調。
日本が
「台湾独立」

「中国分裂」
に加担すれば
「民衆が火の中に連れ込まれることになる」
と警告した。
座談会には鳩山由紀夫元首相や社民党の福島瑞穂党首が参加。
鳩山氏は
「日本は台湾が中国の不可分の一部であることを尊重しなければならない」
と呉氏の主張に同調した。

自由がなければ生きていても意味がない。
自由を求めるためには時として死ぬ覚悟で戦うことが重要だ。

<正論>台湾のレジスタンスを支える鍵
東京国際大学特命教授・村井友秀
2024/2/21 8:00
https://www.sankei.com/article/20240221-35UAIMQ6LRLV7J37VPKJD6SQZA/
台湾有事は隣接する沖縄の有事である。
日本の一地方である沖縄有事は日本有事である。
■台湾は中国か
中華帝国にとって台湾は長い間、中華文明の外(化外の地)であった。
沖縄の支配者が中国に朝貢を始める前の時代は、中国の東の海にある沖縄や台湾などの島々を中国は琉球と呼んでいた。
しかし、14世紀に沖縄が中国に朝貢を始めると、中国は中華文明に取り込んだ沖縄を大琉球、朝貢しない野蛮な
「蛮族」
が住む
「化外の地」
である台湾などの島々を小琉球と呼んだ。
その後、17世紀に清朝が台湾を占領し、原住民の言葉(タイオワン、ターヤン)に倣い
「台湾」
と表記されるようになった。
これが中国が主張する
「歴史的権利」
の背景である。
今でも中国人の世界観には、沖縄と台湾を一体化して考える思想がある。
■台湾は独立国か
2024年1月の台湾総統選挙で、かつて
「台湾独立の仕事人」
と自称していた頼清徳氏が新総統に選ばれた。
頼清徳氏は選挙直前のインタビューで中国共産党(中共)が主張する
「1つの中国」
を否定した。
頼清徳新総統が率いる台湾は独立の方向に動くのか。
国際法によれば、独立国家の成立要件は、
@国民
A領土
B統治能力を持つ政府の存在
と定義されている。
また、スターリンは独立国家の条件として、
@100万人以上の人口
A外国と国境を接している
B国名を冠する民族が過半数を占める
の3条件を主張していた。
台湾政府の統治下にある2300万人の人口は世界57位、台湾政府が排他的に統治する領土の面積は3万6000平方kmで世界138(ベルギーより大きい)、そして外国に支配されていない政府が存在する。
台湾は独立国たる条件を備えている。
しかし、台湾は中国の武力行使を恐れて独立を宣言しない。
他方、台湾が中国の一部ならば、台湾の独立運動は正統性のある中央政府に対する地方の反乱ということになり、中央政府が国家の統一を維持し主権を守るために地方の反乱を武力鎮圧することは国際法上問題がない。
また外国が地方の反乱に介入することは内政不干渉原則に反する国際法違反である(友好関係原則宣言)。
ただし、台湾が独立国家ならば、中国の台湾に対する攻撃は、国際法が禁止する独立国に対する侵略戦争になる。
ロシアのウクライナ侵略と同じである。
その場合は国際法によれば世界中の国が集団的自衛権によって、外国に侵略された台湾を軍事的に支援することができる。
■台湾の抵抗力
中共は台湾政府が独立宣言すれば台湾に武力行使すると言っている。
世論調査を見ると(台湾民主基金会、2022年)、中国が台湾統一のために武力侵攻した場合は72%の台湾住民が
「台湾を守るために戦う」
と回答した。
なお2021年の世論調査によれば、外国軍の侵略に対して戦うと答えた国民は中国が88%、米国が60%、日本は13%であった(World VaLues Survey)。
戦争は勝つか負けるか泥沼になるかである。
小国が大国と戦うと戦争の結果は、負けるか泥沼になるかである。
小国が大国に負けない唯一の戦略は、戦争を泥沼化し大国が戦争に倦み疲れるのを待つことだ。
米国のベトナム戦争を止めたのは、戦死者の増大と増税による反戦運動だった。
ただし戦争が泥沼化すれば戦争による犠牲は巨大になる。
大きな犠牲に耐えられなければ小国は大国に負ける。
中共は勝てると思えば戦争し、負けると思えば戦争しない合理的な政権である。
いくら米国政府や日本政府が台湾防衛に言及しても、中共は台湾防衛に米国や日本が血を流すとは考えない。
中国の台湾侵攻を抑止する最大の鍵は、大きな犠牲に耐える台湾人の覚悟である。
台湾人が
「中国の一部になるくらいなら死んだ方がましだ」
と考えるなら中共は戦争を躊躇するだろう。
台湾人が
「死ぬくらいなら中国の一部になる」
と考えるなら中共は台湾を攻撃するだろう。
今、中共は
「我に順(したが)う者は昌(さか)え、我に逆らう者は亡(ほろ)ぶ」
と言っている。
順えば金持ちになり、逆らえば死ぬ、という2つの選択肢で、死ぬ選択をする台湾人はいるだろうか。
米国独立の英雄であるパトリック・ヘンリーは
「我に自由を与えよ、然(しか)らずんば死を」
と言った。
死ぬ覚悟で自由を求める台湾人は少数だろう。
普通の人は自由がなくても生きることを選ぶ。
もし、台湾人が自由を選ぶとしたら、それは自由を選んでも死なないと感じた場合である。
即ち、戦争になっても台湾が勝つと思った時であろう。
中共が
「順我者昌、逆我者亡」
と言った時、台湾人が中国の宣伝に抵抗できるのは、中国に逆らっても亡びないという自信がある場合である。
台湾人の自信を支えるものは、中国軍の侵攻を阻止できる軍事バランスであり、米日の軍事的経済的支援は台湾人の覚悟を支える最大の柱である。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/503.html#c36

[政治・選挙・NHK294] 「盗人が法改正」という倒錯 こんな猿芝居を「報じるバカ」と「演じる悪党」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
35. 秘密のアッコちゃん[365] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月02日 19:00:30 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[478]
<■1246行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
国民を富ませない移民の経済効果
正論2024年7月号 青山学院大学教授 福井義高
政府が進める外国人の受け入れ策は事実上、移民社会へと舵を切ることにならないか。
その是非を巡って推進、制限論者とも自分たちの主張に拘泥し、感情論になりがちで、建設的な議論が進まぬ中、なし崩しに外国人労働者の受け入れは進んでいく。
筆者は2023年の本誌7月号で主にジョージ・ボーハス教授(米ハーバード大)による研究を基に、移民の経済効果を検討した。
建設的議論の一助とすべく移民を
「感情」
でなく
「勘定」
の問題として考えてみたのである。
その結果分かったのが、移民の受け入れは、受け入れ国のGDP(国民総生産)を増加させるけれど、移民の受け取る賃金相当分を除いた自国民に帰属するGDPはほとんど変わらないことである。
2015年の時点で移民労働者が全労働者の16%を占める米国でも、元からいる米国民分のGDPへの効果は全GDPの0.3%しかなかった。
ただし、移民の効果は企業と労働者で大きく異なる。
移民受け入れで賃金は下がり、企業利益(資本所得)は12%増加したのに対し、賃金は5%減少と推計された。
更に、自国労働者のうち移民労働者と競合する職種の賃金が下がる一方、移民と競合しない自国労働者は移民が従事するサービスの価格低下の恩恵を受ける。
こうした移民の経済効果は、米国に限らない。
2003年にオランダ中央計画局(CPB)が公表した報告書
「移民とオランダ経済」(Immigration and the Dutch Economy)
によれば、移民により労働者が5%増えると、資本(投資)財価格が一定で、移民が全て単純労働者だった場合、オランダの自国民全体への効果はほとんどない一方(GDPが0.06%増)、企業利益は4%増、非単純労働者賃金2%増に対し、単純労働者賃金は6%減少する。
米国とオランダの例から明らかなように、移民受け入れは、自国民の所得増を伴わない、格差を拡大する所得再分配政策なのである。
勝者は企業とエリート、敗者は一般国民である。
■不都合な結果
たとえ格差が拡大しても、高齢化が加速する中、外国人労働者に頼ることなしに日本経済は回らないのだから、受け入れざるを得ないという主張もあろう。
しかし、移民推進は、高齢化により益々厳しくなる国の財政状態を多少とも改善するどころか、更に悪化させるのである。
2023年に前述の
「移民とオランダ経済」
のアップデート版とも言うべき移民が財政に与える影響に焦点を当てた報告書
「国境なき福祉国家」(Borderless Welfare State)
の最終版が公表された。
(https://demo-demo.nl/wp-content/uploads/2023/06/Borderless_Welfare_State-2.pdf)
ただし、
「移民とオランダ経済」
が明らかにした移民の経済効果は、多文化共生を是とし移民受け入れを推進する政府にとって都合が悪いものだったこともあり、今回の報告は民間プロジェクトとして行われた。
オランダは2023年現在、人口が1800万人で日本の7分の1程度、65歳以上人口の割合は20%で日本の29%より低いものの高齢化が進んでおり、2021年のGDP比国民負担率(税金と社会保険料の合計がGDPに占める割合)は39%で日本の34%より高い。
日本同様、高齢化が財政に与えるマイナスの影響が深刻な問題と考えられている。
ただし、移民流入により人口は増加している。
例えば2022は前年に比べ、《native》即ち土着のオランダ人の人口は0.1%(2万人)減少したものの、移民とその子供は3.1%(13万人)増加し、全体では0.7%(12万人)増加した。
こうした中、報告書
「国境なき福祉国家」
は、通常アクセスできないオランダ全人口1720万人(2016年初人口+年間出生児数)の個人データを使い、オランダ人と移民、後者は出身地地域別にそれぞれどれだけ財政に貢献し、また支出を伴ったかを推計している。
まず、全人口がオランダ人1340万人と移民385万人に大別される。
移民は他国で出生しオランダにやって来た1世(第1世代)とその子供である2世(第2世代)からなり、全体の22%を占める。
尚、当初から帰国する予定の外国人労働者とその家族も含まれている。
移民は欧米(western)出身と非欧米(non-western)出身に大別され、更に42地域にグループ分けされている。
欧米に含まれるのは、ロシアを含む欧州諸国、北米(米国とカナダ)、大洋州(オーストラリアとカナダ)、インドネシア(旧オランダ領)そして日本である。
調査の基準となる2016年のデータを基に、オランダ人と移民に分けて財政への単年度ベースの影響を示したのが表1だ。
★表1 オランダ人・移民別財政への影響(単年度ベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算)
(注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計/日本は欧米に分類
「@人口(百万人)A人口(全体比)B貢献額(兆円)C支出額(兆円)D純貢献額(兆円)E純貢献額(GDP比)F1人当たり純貢献額(万円)」
・合計:@17.2AーB60.2C60.5D-0.2E-0.2%Fー
・オランダ人:@13.4A78%B49.5C46.3D3.2E2.3%F20
・移民全体:@3.8A22%B10.7C14.2D-3.5E-2.4%F-90
・移民欧米:@1.7A10%B5.9C5.7D0.2E0.1%F10
・移民非欧米:@2.1A12%B4.8C8.5D-3.7E-2.6%F-170
単年度ベースというのは、この1年間の収支に基づく、筆者たちの表現を借りれば
「静的」
な推計である。
尚、
「国境なき福祉国家」
のデータは全て2016年価格のユーロで表示され、その後のインフレが考慮されていない。
ここでは、オランダの2023年消費者物価指数が2016年比26%上昇したことを反映させ1ユーロを160円で換算して、2023年価格で表す。
以下、同様である。
全体の78%を占めるオランダ人の財政への貢献は49兆円5000億円だったのに対し、46兆3000億円が支出されたので、差し引き純貢献額はプラス3兆2000億円、GDP比プラス2.3%の貢献となった。
一方、全体の22%を占める移民は貢献額10兆7000億円に対し支出14兆2000億円で純貢献額マイナス3兆5000億円、GDP比2.4%の負担(-2.4%)をかけたことになる。
ただし、欧米出身と非欧米出身で大きく異なる。
全体の10%を占める欧米出身移民は貢献額5兆9000億円に対し支出額5兆7000億円で純貢献額プラス2000億円、GDP比プラス0.1%でほぼ収支トントンであった。
ところが、全体の12%を占める非欧米出身移民は、貢献額4兆8000億円に対し支出額8兆5000億円でGDP比2.6%の負担(-2.6%)をかけたことになる。
これは、1.6%と推計されているオランダにおける高齢化がもたらすマイナスの影響を上回っている。
1人当たりで見ると、非欧米出身移民は170万円の負担(マイナス170万円)となっている。
欧米出身移民は貢献額と支出額が釣り合っているので、移民の財政負担はほぼ全てオランダ人の肩にのしかかることになる。
■資本ストックで見る重要さ
しかしながら、単年度ベースの数値は、移民受け入れの効果を判断する上で、必ずしも適切な指標とは言えない。
移民受け入れは(マイナス価値のある場合も含め)一種の投資であり、永住せず出国(remigration)する移民もいるけれど、長期に渡って財政に影響を与えることは間違いない。
移民を受け入れることに伴い、学校教育や医療、その他行政サービスを追加的に提供する必要が生じ、財政負担が増す。
従って、将来に渡る移民のストック(複数年度ベース)価値を推計する必要がある。
実際、
「国境なき福祉国家」
では、単年度ベースの静的アプローチでなく、経済学で
「世代会計」
と呼ばれる手法を用いたストックベースの動的アプローチが必須であることは移民に限らない。
政府がある年に長期に渡る支出にコミットしても、その年の支出として計上されるのは実際に支払った額だけである。
例えば、日本政府が10年間毎年1兆円合計10兆円の新規道路建設を決定しても、最初の年には1兆円しか支出計上されない。
しかし、財政への影響を考える場合に重要なのは、長期に渡って必要となる10兆円という金額であることは自明だろう。
さて、投資即ちストックとしての移民を考える場合、移って来た本人のみならず、その子供たちの分も考慮する必要がある。
また、移民全てが永住するわけではないので、受け入れ国にとってのストック価値を推計するには、出国する可能性も考慮し、その分を控除する必要がある。
「国境なき福祉国家」
は、この2点を考慮に入れた推計をメインの数値としてしている。
移民1人当たりの子供の数については、出身地域別で出生率が違うことも考慮されている。
まず、欧米出身移民に関しては、ストック価値はほぼゼロと推計された。
つまりオランダ財政に貢献もしないけれど、負担にもならないということである。
★表2
非欧米出身移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ160円換算)
@2016年A2015〜2019年平均B1995〜2019年平均
・純貢献額(兆円):@-6.4A-5.4B-3.4
・2016年GDP比:@-4.5%A-3.8%B-2.4%
一方、表2に示したように、非欧米出身移民は、1995〜2019年の25年間で見ると、財政への純貢献額は年平均マイナス3兆4000億円、GDP比2.4の負担(-2.4%)であった。
2015〜2019年の直近5年間だと、純貢献額はマイナス5兆4000億円、GDP比3.8%の負担(-3.8%)、2016年は難民が大量に入国したため、純貢献額はマイナス6兆5000億円、GDP比4.5%の負担(-4.5%)であった。
要するに、非欧米出身移民はマイナスの資本ストックであり、オランダ人にとって移民受け入れは、ただでさえ高齢化によって厳しくなる一方の財政状況を更に悪化させる負の投資ということになる。
「今年いくらかかったか」
というフローで見るよりもストックで見た方が、貢献額がプラスの場合は小さく、マイナスの場合は更にマイナス幅が大きくなる。
これは、移民1世は大人になってから入国するので、オランダ人にも共通する、子供時代の財政上のマイナス要因(公教育コストなど)がかからないためである。
■移民1人当たりはどうか
移民全体でなく、移民1人当たりで見た場合、オランダで生まれる子供や出国の可能性を考慮した、ストックとしての財政への影響はどのくらいなのか示したのが表3である。
★表3
出身地別1人当たり移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算)
(注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計
@出国の可能性を考慮した場合(基本推計)A出国の可能性を考慮した場合(最小推計)B出国の可能性を考慮した場合(最大推計)C永住した場合
(単位:億円)
・仮想オランダ人:@プラス0.2AーBーCプラス0.4
・移民平均:@マイナス0.3AーBーCマイナス0.5
・移民欧米:@0.0AーBーCプラス0.1
・移民日本:@プラス0.4Aプラス0.3Bプラス0.5Cプラス1.0
・移民非欧米:@マイナス0.6AーBーCマイナス1.0
・移民中国:@マイナス0.1Aマイナス0.2B0.0Cマイナス0.2
・移民トルコ:@マイナス0.7Aマイナス1.0Bマイナス0.6Cマイナス1.1
・難民平均:@マイナス1.0AーBーCー
・難民欧米:@マイナス0.6AーBーCー
・難民非欧米:@マイナス1.1AーBーCー
・難民トルコ:@1.0AーBーCー
推計に際して、当然ながら多くの仮定が置かれており、仮定を変更すると数値が大きく変動するようでは信頼が置けない。
その懸念に対応し、仮定をもっともらしい範囲内で変えた推計がいくつか試みられている。
結果的に、最小推計と最大推計の差はさほど大きくなく、基本推計の数値はかなり信頼度が高いと思われる。
まず、比較の基準として、オランダ人と同じ属性の人間が移民として訪れた場合を考える。
入国する年齢や出国の可能性も考慮した、この
「仮想オランダ人」
のストック価値はプラス2000万円である。
移民は平均でマイナス3000万円と推計される。
ただし、出身地域別の違いは大きい。
欧米出身移民は全体ではほぼ財政に中立的ながら、日本出身移民はプラス4000万円の
「優良資産」
となっている。
日本以外では北米、大洋州、北欧、そして西欧の一部からの移民のストック価値が高い。
皮肉なことに、途上国の移民が行きたいと願う国からの移民こそ、オランダにとって
「資産」
価値があるということだ。
一方、欧米系でも東欧の一部からの移民のストック価値はマイナスである。
非欧米出身は平均でマイナス6000万円の
「負債」
となる。
ただし、やはり出身地別のバラツキは大きく、中国がマイナス1000万円であるのに対し、トルコはマイナス7000万円となっている。
移民は更に入国理由別に推計されており、オランダに限らず受入国にとって最も負担となる難民の場合、欧米出身(旧ユーゴスラビアなど)がマイナス6000万円、非欧米出身はマイナス1億1000万円だった。
その多くがクルド系と思われるトルコからの難民はマイナス1億円である。
更に、移民が永住した場合の推計も行われている。
財政貢献がプラスにせよマイナスにせよ、永住を仮定しない基本推計よりも、絶対値(プラス幅あるいはマイナス幅)は大きくなる。
とりわけ、例外的に日本出身移民は2世になってもオランダ人より純貢献額が大きいので、ストック価値はプラス1億円となる。
一方、トルコ出身移民はマイナス1億1000万円である。
トルコ出身のうち難民の数値は未公表なものの、恐らく1億5000万円前後と思われる。
日本出身移民が例外的というのは、日本以外でストック価値が高い欧米出身移民の場合、2世になるとほぼ財政に中立的なオランダ人(2016年生まれの場合、ストック価値マイナス60万円」)にほとんど同化するのに対し、日本出身2世はストック価値がプラス2000万円と推計されるからである。
■福祉国家が終わる
オランダ財政に貢献する移民と負担となる移民を分けるものは何か。
学力(教育レベル)と共に重要なのが文化的距離(宗教や慣習などの隔たりの大きさ)である。
学力が高いほど、出身地とオランダの文化的距離が近いほど貢献額は大きく(負担額は小さく)なる。
実は、日本出身移民はオランダ人より学力が高く、日本は米国よりも文化的距離がオランダに近いとされている。
その結果、日本出身移民の財政から見た同化度はオランダ人(定義上100%)を上回る134%となっている。
一方、貢献額がマイナス即ちオランダ財政の負担となっているのが、学力や文化的距離で隔たりがある
「アフリカ・イスラム・クラスター」
である。
推計では2世までしか考慮されていないけれども、こうした地域からの移民は、3世以降もオランダ社会への同化が進んでいないため、財政上の重荷である状態が続くと考えられる。
従って非欧米出身移民による財政への負の影響は、推計値よりもっと大きい可能性が高い。

「アフリカ・イスラム・クラスター」
の移民2世にかかる治安維持コストは他地域の2世の2.3倍と推計されている。
日本同様、オランダでも少子高齢化が進んでいる。
推計時の出生率はオランダ人女性1.7、欧米移民女性1.4、非欧米移民女性2.0であった。
コロナ禍前2019年には更に低下し、オランダ人女性1.6、欧米移民女性1.3、非欧米移民女性1.9だった。
少子高齢化による年金財政悪化、経済成長率低下に対処するには、移民を必要とする意見がある。
しかし、
「国境なき福祉国家」
が示したのは、途上国からの移民流入は、財政を更に悪化させ、そのマイナスの影響は高齢化の影響を上回るという現実である。
途上国出身の場合、難民だけでなく、労働移民であっても財政には負担となる。
「働くならば移民は問題ない」
という主張は正しくないのだ。
財政問題を度外視するとして、オランダが現実の年齢人口バランスを維持するために移民受け入れを進めた結果、21世紀終わりには人口は1億人に達する。
ただしオランダ人は僅か1割の少数派になってしまう。
「国境なき福祉国家」
が指摘するように、移民で少子高齢化を抑制する試みは必ず行き詰まる
「ネズミ講」
のようなものである。
今回の推計に含まれていないけれど、オランダのように既に人口密度が高い国の場合、人口増が社会・自然環境にもたらす非財政的コストや、自国民の心理的コストを無視することができない。
可住地面積当たり人口密度がオランダの倍近く、同質性の高い社会を長年に渡って構築してきた日本の場合、こうしたコストは更に大きなものとなるのは確実である。
オランダ政府は、ほぼ無条件に受け入れている
「難民」
と称する移民の多くが制度を悪用していることを認めている。
にもかかわらず、有効な対策を取ろうとしない。
労働移民についても、選り好みせず途上国から受け入れている。
<報告書は
「政府の移民政策」
が長期的に何を意味するかについて以下のことを疑いなく示した>
<財政への増大するプレッシャー、そして最終的には我々が知る福祉国家の終わりである>
<従って、現在の法的枠組みを続けるという選択は、明示することなく福祉国家に反対する選択なのだ>
■議論に欠けるもの
本稿ではオランダを例に、移民を財政的観点から分析する見方を紹介した。
多文化共生あるいは人権の観点に基づく移民推進論者は、移民の是非を金銭価値のみで判断するのはけしからんと主張するであろう。
しかし、移民を巡って、どのような美辞麗句で飾り立てようと、途上国からの大量移民は、一般国民からエリートへの所得再分配をもたらす上、財政を圧迫し、自国民に対する行政サービス水準を低下させる。
とりわけ弱者に対するセーフティーネットを劣化させる可能性が高い。
如何なる政治信条の持ち主であろうと、政治家が第1に考えねばならないのは、まず自国民、とりわけ弱い立場にある国民の福利であるはず。
ここで指摘した移民の経済財政効果を十分考慮せず、なし崩しに外国人労働者を受け入れることは、自国民への裏切りと言っても過言ではない。
【付記】本稿作成に当たり、「国境なき福祉国家」の筆頭著者ヤン・ファンデベーク博士より貴重な助言を賜った。

人手不足論はまやかしの市場重視
正論2023年7月号 青山学院大学教授 福井義高
海外からの移民を積極的に受け入れるべきという意見には2つのタイプがある。
まず、昨今流行りのダイバーシティ、多文化共生の観点からのもの。
一方、こうした移民による多様化推進論に対しては、日本社会の独自性を保つため、移民は受け入れるにしても限定的にすべきという主張も有力である。
もう1つの移民推進論は、人口が減少する中、経済成長を実現するには、移民による労働力確保が不可欠という、経済的要請によるものである。
実際、様々な分野で、なし崩しに外国人労働者受け入れが進んでいる。
多様性か独自性かという、特定の価値観に基づく主張は、お互い自分が正しいことを前提に相手を非難する感情論になりがちで、言いっ放しに終わってしまう。
それに対し、経済的観点からの是非は、生前、経済倫理学を提唱された竹内靖雄元成蹊大教授に倣って、感情ではなく勘定、つまり損得の問題として、検討することが可能である。
「感情」
ではなく
「勘定」、
つまり損得の問題として、検討することが可能である。
というわけで、ここでは高邁な文化論は避け、対象を移民(外国人労働者)の経済効果に絞って考えてみたい。
■もし国境を撤廃したら
第二大戦後、米国主導で進められた貿易自由化によって経済成長が促進され、日本のみならず各国国民の生活水準は大きく向上した。
貿易自由化とは、モノの移動に関して国境を撤廃するということなので、ヒトの移動に関しても国境を撤廃すれば、更に経済成長が促進されると考えても不思議ではない。
実際、グローバル経済推進論者は、そのように主張している。
もし世界中で移民制限を撤廃し、ヒトの移動を完全自由化すれば、その経済効果は如何ほどなのか。
幸い、移民の経済研究の第一人者であるジョージ・ボーハス教授(ハーバード大)がシミュレーションを行っているので、その結果(一部筆者推計)を紹介しよう。
ここでは、途上国の労働者は祖国を離れることに特別なコストは伴わないケースを取り上げる。
まず、世界銀行の推計に基づき、世界を人口11億人うち労働者6億人の先進国と、人口59億人うち労働者27億人の発展途上国に大別する。
現実のデータに即して、先進国・途上国共に、企業が利益を人件費に回す割合を示す
「労働分配率」
を70%、先進国と途上国の賃金格差を4対1と仮定する。
移民自由化の賃金格差は、労働力の質ではなく、社会の仕組みを反映したもので、先進国の高賃金は、途上国に比べて、より効率的な経済活動を可能とするものになっているからと考える。
従って、移民を完全自由化すれば、自由貿易によって同じモノの値段が世界中で等しくなるように、ヒトの値段即ち賃金も世界中で同じなる。
また、移民を完全自由化すると、先進国と途上国の人口と賃金はそれぞれどうなるのか、2つの場合を考える。
まず、移民を受け入れても、それまで効率的な経済活動を可能にしてきた先進国の社会体制が変わらない場合、そして、途上国からの大量移民で、先進国の社会が半ば途上国化する場合である。
先進国社会不変の場合、世界全体の国内総生産(GDP)は57%増加する。
ただし、先進国経済に対する移民の経済効果を見るには、移民自身が得る経済効果(賃金)を除外し、土着の自国労働者賃金と自国資本に帰属する所得の合計を、移民自由化前後で比較する必要がある。
移民賃金を除外しても先進国のGDPは39%増加するので、モノの自由貿易同様、ヒトの移動自由化は自国民に帰属する経済のパイを大きくする。
しかし、移民自由化がもたらすGDP増加は、大規模な移民と表裏一体である。
国境撤廃によって、労働者の家族も含めて、途上国人口の95%に当たる56億人が先進国に移住することになるのだ。
その結果、国民・移民共通の先進国賃金は39%減少する。
ただし、途上国からの移民から見れば143%の増加である。
一方、先進国の資本所得(企業利益)は、労働者増・賃下げの恩恵で、220%増加する。
大量の移民が流入すれば、受け入れる側の先進国の社会体制が、その経済効率性も含めて、大きく変化すると考える方がもっともらしい。
やって来るのは、働くロボットではなく、人間なのだから。
途上国からの大量移民で先進国社会が半ば途上国化する場合、移民自由化前より低下するとはいえ、それでも途上国より高い生産性が維持される先進国に、途上国人口の84%に当たる50億人がやって来る。
その結果、世界全体のGDPは13%増加するものの、社会の途上国化で、移民に支払われる賃金を除外した先進国のGDPは7%減少すると共に、自国民・移民共通の先進国賃金は56%減少する。
それでも移民から見れば74%の賃上げである。
一方、先進国の資本所得(企業利益)は、社会の途上国化によるマイナス効果にもかかわらず、労働者増・賃下げ効果がそれ以上に
「貢献」
し、108%増加する。
移民自由化の勝ち組は、言うまでもなく、まず先進国で働くことで賃金が大幅に上昇する途上国からの移民である。
そして、途上国から安い労働力を
「輸入」
することで、利益を大幅に増やすことができる企業である。
一方、負け組は、移民労働者による
「賃金ダンピング」
で、大幅な賃下げを余儀なくされる先進国の自国労働者である。
先進国における移民推進とは、グローバル化とか多様性とかいった美辞麗句を取り去って、その経済効果を直視すれば、労働者から資本家・経営者への所得再分配政策である。
ボーハス教授が指摘するように、
「先進国の労働者が、国境撤廃論者に従うことを拒否するのは、人種差別や外国人排斥とはほとんど関係ない」
「単に新世界秩序(New World Order)から恩恵を受けないからなのだ」。
移民推進は、先進国の国民大多数から見ると、勘定の問題として割に合わないのである。
■移民大国、米国の場合
国境完全撤廃によって途上国民の大半が移民するケースなど非現実的過ぎて、今後の日本の移民政策の参考にならないという批判があろう。
確かにそうかもしれない。
そこで、移民大国である米国の実例を、ボーハス教授の推計(一部筆者推計)に依りながら、見てみよう。
結論から先に言ってしまえば、移民推進が所得再分配政策であるという、その本質は変わらない。
2015年のデータによると、全労働者のGDPに対する貢献分は12%を占める。
しかし、移民流入で増加したGDPから移民の取り分を除くと、移民が自国民にもたらす経済効果はGDPの0.3%でしかない。
ただし、GDPの内訳を見ると、自国労働者の取り分が3%減少したのに対し、企業の取り分は3%増えている。
国境完全撤廃でほとんどの途上国民が先進国に殺到する場合と異なり、移民労働者が全体に占める割合が
「僅か」
16%であっても、移民労働者がいない場合に比べ、賃金は5%低下し、企業利益は13%も増加するのである。
更に、移民に対して提供される公的サービスの財政負担増が移民の納税額を上回る、つまり財政純負担増は確実であり、移民流入のネットのGDP貢献分0.3%は、その純負担増で帳消しになるか、マイナスになっている可能性が高い。
ここまでは労働者を一括して扱ってきたけれども、労働者といっても、大企業経営幹部から非正規雇用の単純労働者まで様々である。
実際に、移民労働者との競争を強いられ、賃金低下圧力に晒されるのは、元から低賃金の職種に従事する自国労働者である。
ボーハス教授の推計によれば、移民流入で競合する職種の労働者が10%増えると、その賃金が少なくとも3%、場合によっては10%程度低下する。
一方、移民労働者と競合しないエリートたちは、むしろ移民労働の恩恵を受ける側である。
移民推進は労働から資本への所得移転のみならず、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転をもたらす。
そもそも、アメリカは移民の国とされるけれども、これまで常に大量の移民を受け入れてきたわけではない。
日本では
「排日移民法」
と呼ばれる1924年に成立した改正移民法により、北・西欧系を除く移民が大幅に制限され、1920年代半ば以降、移民が激減する。
それから約40年経った1965年に移民法改正が行われた際、法案を提出した国会議員も政府も、この改正は移民送出国の構成が若干変わるだけで、移民数自体が増加することはないと
「確約」
したにもかかわらず、移民数は激増、しかも、改正前と異なり、欧州ではなく、途上国からの移民が大多数を占めるようになった。
20世紀半ばの移民制限期に所得格差が縮小したのに対し、大量移民が始まった1970年代以降、所得格差が拡がり、今日に至っている。
この間、米国非管理職労働者のインフレ分を除いた実質賃金はほぼ横ばいだったのに対し、大企業社長(CEO)報酬は労働者賃金の20倍程度だったのが、300倍を超える水準となっている。
■誰のための移民推進なのか
まず、移民の経済的メリット・デメリットを検討するに当たり、何を基準とするのか、はっきりさせる必要がある。
移民自身から見れば、日本の移民受け入れはプラスに決まっている。
そうでなければ、そもそも日本にやって来ない。
しかし、デモクラシーにおける政策の判断基準は、まず主権者たる国民の幸福や豊かさであり、今いる日本人にとって新たな移民受け入れがどのような経済効果をもたらすかが、移民政策の是非を巡る判断基準となるべきであろう。
出生率の低下で人口が減少する中、新たな労働力として大量の移民を受け入れれば、日本のGDPが押し上げられることは間違いない。
ただし、経済成長政策として有効か否かを判断するには、移民を受け入れなかった場合のGDPと、受け入れた場合のGDPから移民賃金と移民受け入れに起因する純財政負担を引いた額を比較しなければならない。
米国の実例でも分かる通り、移民推進は自国民の経済成長にはほとんど影響しない、ほぼ純粋な所得再分配政策である。
社会の途上国化による生産性の低下、純財政負担を考慮すれば、経済成長への効果はむしろ全体としてマイナスの可能性が高い。
移民推進は、労働から資本への所得移転に加え、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転を引き起こす、弱肉強食の格差拡大政策なのだ。
企業経営者をはじめ社会のエリートたちに移民推進論者が多いのは、要するに自分にとって得だからである。
多様化推進の観点からの移民推進論も、こうした主張を行う人が概して高学歴エリートであることを鑑みれば、正義感溢れる
「感情」
論でカムフラージュされた
「勘定」
論と見ることもできる。
一方、欧米では弱者の味方のはずの左翼・リベラルが移民受け入れを推進しているけれども、これは比較的最近の現象である。
元々、左翼・リベラルの間では、支持基盤だった労働者の利益を守るため、移民受け入れに慎重な意見が有力であった。
冷戦時代、
「移民の継続は深刻な問題をもたらす」
「合法、不法とも移民をストップせねばならない」
と主張したのは、極右どころか欧州左翼の大立者ジョルジュ・マルシュ仏共産党書記長である。
米国のある有力な大統領候補もこう語っていた。
「不法移民流入を阻止せねばならない」
「この目的を達するため、国境警備要員を増やさねばならない」
「合法移民に関する法律も、合衆国が移民の数と質をもっとコントロールできるよう改正せねばならない」
「移民受け入れに関しては、まず、合衆国は、無責任な他国干渉への干渉ーこうした干渉はほぼ確実に政治難民を生み出すーによって難民が生じることだ」
「もっと用心しなければならない」
「本当に難民かどうか、より確実に難民申請を審査せねばならない」。
発言の主はドナルド・トランプ前大統領ではなく、ベトナム反戦で名を馳せたリベラルの雄、ユージン・マッカシー民主党元上院議員である。
要するに、今日の労働者は左翼・リベラル主流派に見捨てられたのである。
ただし、新たな動きも見られる。
ドイツで急進左翼の代表格とみなされてきた旧東独出身のザーラ・ヴァーゲンクネヒト左派党連邦議会議員が、大量移民は自国労働者の経済的利益を損なうという
「勘定」
論を前面に出した移民反対論を唱え、左翼・リベラル主流派から非難される一方、
「極右」
正統とされるAfD支持者の間で大人気となっている。
■低賃金は企業の敗北宣言
豊かな社会では、必要であったも自国労働者がやりたがらない仕事が増え、移民なしにはやっていけないという主張をよく聞く。
しかし、先進国で移民が従事するのは、自国労働者がやらない仕事ではなく、現在の賃金水準ではやりたくない仕事である。
不法移民を一掃した米国のある地域で現実に起こったように、外国人労働者がいなければ、自国労働者がやりたくなる水準まで賃金は上昇する。
また、企業は技術革新で乗り切ろうとする。
実際、それは高度成長期の日本で起こったことである。
「人手不足」
にもかかわらず、移民を入れなかったことで、製造現場ではロボットが普及して省力化が進み、高学歴エリートと大衆の賃金格差が縮小し、戦前の大企業大卒社員の家庭では当たり前だった
「女中」
が賃金高騰でほとんど姿を消した。
一方、我々がどうしても生活に必要と考える財サービスであれば、十分に生産性を上げることができないため賃金上昇を価格に転嫁せざるを得ず高価格となっても、需要は残る。
一例として、生産性向上が困難な理美容業の料金は、高度成長前に比べ一般物価水準を超えて大きく上昇したけれども、今も需要は健在である。
低賃金でないと事業を継続できないというのは、高い価格を支払ってまで買う価値のある財サービスを提供できないという、企業としての敗北宣言に過ぎない。
低賃金の外国人労働者への依存は企業にとって麻薬のようなものであり、自国民の所得格差を拡げるのみならず、生産性向上努力を妨げ、結果的に、企業の衰退をもたらす。
経済的観点からの移民推進論者は、ほとんどの場合、自称市場重視論者でもある。
しかし、現在、
「人手不足」
が叫ばれている仕事の多くは、財サービス価格が低過ぎて超過需要が生じているのであって、価格を上げて需要を減少させるのが、本来の市場重視であろう。
その典型例が貨物輸送である。
人手不足対策に議論は不要である。
市場のシグナルに耳を傾け、トラック運転手の賃金を上げればよいのだ。
現在の価格で現時点の需要に応じようとする需要充足主義は、計画経済的・社会主義的発想であり、市場重視とは無縁である。
人手不足論者にみられる、こういう財サービスの価格あるいは職種の賃金は低くて当然という発想は、単なる思い込みに過ぎない。
理美容サービス料金に見られるように、社会の変化に伴い、財サービスの相対価格は劇的に変化してきた。
戦後、相対賃金が大きく変化したことは、先に述べた通りである。
人手不足を理由とした移民推進論は、国民経済の観点からは到底正当化できない。
市場のダイナミズムを無視したまやかしの市場重視、その実、反至上主義なのだ。
国境完全撤廃のシミュレーションはともかく、米国の実例は、EBPM(Evidence-based Policy Making:証拠に基づく政策立案)を標榜する日本政府にとって、移民政策を検討する際に、大いに参考になるはずである。
ともあれ、移民問題は感情ではなく、冷静な議論が可能な勘定の問題という認識が求められる。

EBPM(証拠に基づく政策立案)とは?
EBPMとは、Evidence-based Policy Makingの略称であり、日本においては内閣官房が以下のように定義している。
(1)政策目的を明確化させ、
(2)その目的のため本当に効果が上がる行政手段は何かなど、当該政策の拠って立つ論理を明確にし、これに即してデータ等の証拠を可能な限り求め、「政策の基本的な枠組み」を明確にする取組。
つまり、たまたま見聞きした事例や経験(エピソード)のみに基づいて政策を企画するのではなく、データを活用し、合理的根拠(エビデンス)に基づいて企画すること。

人手不足解消のカギは外国人労働者を受け入れないこと
Hanada2024年7月号 小西美術工藝社社長 D・アトキンソン
■衝撃的なアンケート結果
岸田政権は2024年3月29日、人手不足の分野で一定の技能がある外国人労働者を受け入れる在留資格
「特定技能」
について、2024年度から5年間の受け入れ枠を82万人とすることを閣議決定しました。
2023年度までの5年間で設定していた人数の2.4倍となり、外国人労働者の受け入れが加速することになります。
とんでもない話だと憤っていたら、最近、更に衝撃的なニュースが飛び込んできました。
「外国人労働者受け入れ『賛成』62%、高齢層で大幅増 朝日世論調査」(朝日デジタル)
<朝日新聞社が全国世論調査(郵送)のテーマ「人手不足社会」に関連して、人手不足の業種を対象に外国人労働者の受け入れを拡大する政府方針への賛否を尋ねたところ、「賛成」62%が「反対」28%を大きく上回り、賛否が拮抗した5年余り前の調査から大きく変化した>
もちろん、日本のマスコミの世論調査なので、どういう業種の人を対象にしたか、経営者だけにアンケートしたのかなど詳細が出ておらず、留意は必要ですが、6割もの人が外国人労働者受け入れに賛成というのは、驚きました。
人手不足に悩まされているのは、ほとんどが中小企業です。
人口減少の下、中小企業は生産性が低い。
有給休暇の取得率などを見ると、労働環境が大企業より厳しいので、労働者が不足すると、まず中小企業が人手不足になる。
日本の中小企業は社員数が非常に少ないので、すぐに大きなダメージを受けます。
日本企業の平均従業員数は9人。
85%の日本企業は、平均従業員数がたった3.4人。
仮に従業員数3人の職場から1人辞めると、労働力が3分の1減り、たちまち
「人手不足」
に陥ってしまうのです。
■努力したくない中小企業
私から言わせれば、中小企業は人手不足を解消する努力が進んでいません。
私は以前から、中小企業は統合して、次第に規模を大きくしていかなければいけないと主張しています。
合併統合することで、経営陣などの管理職や経理はこれまでの半分で済み、その分、人手不足の部署に人手を回すことができる。
統合まではいかなくても、会社間でお互いに人手が足りない時には融通し合うことができるよう連携はするべきです。
もう1つは、機械化など設備投資による作業の効率化。
ただ、経営者としては、日本人は低賃金でも仕事を真面目にこなしてくれるので、コストを掛けて設備投資を行う動機が生まれません。
機械化などをするより、低賃金で人間に働いてもらう方が安上がりなのです。
ここは肝心なポイントで、人口減少によって生じている人手不足は、本来、企業がそれに合わせてビジネスモデルを変えるチャンスであり、変えなければならないのです。
しかし、連携も合併もしたくない、設備投資で生産性向上もしない・・・中小企業がビジネスモデルを変える何の努力をすることもなく現状維持をするため、唯一残された方法が、減っていく日本人労働者の代わりに外国人労働者を受け入れることなのです。
現時点で、200万人の外国人労働者が日本に来ています。
2060年には生産年齢人口が3000万人減るので、低賃金労働者依存症の中小企業経営者を満足させるためには、1000万人単位で外国人労働者を受け入れなければならないでしょう。
主に最低賃金で働く外国人労働者が大量に入って来ると、日本人の賃金も上がらなくなります。
経営者は楽でしょうが、社会保障の負担が増える一方の日本で、財政も労働者も大きな打撃を受けます。
こんなふざけた話があるでしょうか。
■これまで以上に増える軋轢
2023年、2500万人の外国人観光客が日本を訪れました。
一方、
「オーバーツーリズムだ」
(ある地域を訪れる人が急増したことにより、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況)
と批判する声もあります。
満員でバスに乗れないとか、ホテルが満室で取れないとか、マスコミなどで
「オーバーツーリズム」
と批判されていることは、日本側の受け入れ体制の未整備によって起こっていることで、
「オーバーツーリズム」
などではありません。
1カ月当たり200万人来ているインバウンドは海外旅行できるレベルの層で、日本におカネを落として、欧米人などの場合、2〜3週間したら国に帰っていきます。
一方、外国人労働者は全く逆です。
中小企業が求めているのは、最低賃金で働いていくれる人材。
日本の最低賃金は世界23位で、ハンガリーやイランよりも低く、後進国レベル。
そんな低賃金であっても働きに来る外国人労働者は、言い方は悪いですが、どういう教育水準の人か分かりません。
そういう外国人が1000万人単位で日本に来て、定住するのです。
しかも最低賃金で働く外国人労働者は、経営者たちが住むようなエリアではなく、一般庶民が住むエリアで生活するようになる。
欧州などでは、低賃金の移民などは大変な問題を引き起こしています。
そもそも、イギリスがBrexit(イギリスが欧州連合 (EU) から離脱すること、離脱したこと)に踏み込んだ最大の原因は、庶民が強いられた移民の問題でした。
インバウンドは一時的にしかいないから、発生するトラブル、軋轢などたかが知れていますが、定住する外国人労働者は違います。
既にして、日本に住むイスラム教徒が
「土葬できる墓を作ってほしい」
と要請していたり、神社の賽銭箱を破壊したりする事態も起こっている。
1000万人単位で外国人が入ってきたら、これまで以上に様々な軋轢が生まれるでしょう。
なぜ経営者が低賃金で人をコキ使いたいがために、日本全体が迷惑を被らなければいけないのか。
「オーバーツーリズムだ!」
と騒いでいる人たちは、今すぐ外国人労働者受け入れに反対した方がいい。
どこの国でもそうですが、教育水準の低い移民を大量に入れれば、犯罪やトラブルが増えます。
移民政策で成功しているのは、高学歴かつポテンシャル(潜在的な力。可能性としての力)の高い人材を受け入れて、イノベーション(新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念)をどんどん起こしているアメリカくらい。
■中小企業延命という愚策
私が日本に来た1990年代前半は、高学歴・高所得の外国人でないと就労ビザが下りませんでした。
「日本人にできる仕事は外国人にやってもらう必要がない」
という考え方で、よほどの特殊技能を持った外国人でなければ、日本で働くことができなかった。
自分で言うのも何ですが、イギリスでトップの大学であるオックスフォードを卒業していても、なかなか申請が通らなかったほどです。
人手不足が叫ばれたているのは、飲食宿泊や運送業など、労働環境が悪く、生産性も低い業種です。
高学歴の人材などを必要としていません。
少子化によって競争率が下がり、今の若者は名門大学、大企業に入れる確率が昔よりも飛躍的に上がっています。
そんな中で、若者が最低賃金でしか雇えないような会社を選ぶはずがない。
若い優秀な人材を確保したければ、先述したように、合併するなり設備投資するなりして、生産性を向上させ、若者にとっても魅力的な
「中堅企業」
になるしかありません。
ところが、政府は外国人労働者を受け入れて、中小企業を延命させようとしています。
これほどの愚策はありません。
成功例がほとんどないのに、なぜ政府は外国人労働者受け入れを拡大しているのか。
もちろん、中小企業経営者側からの要請もあるでしょうが、一番大きいのは、今の社会保障を維持するためでしょう。
先述したように、ピークから既に1300万人も減っている生産年齢人口は、2060年まで更に3000万人減ります。
そうなれば、今のビジネスモデルを維持して高齢化に伴う負担に応えるために、労働している人間の数を最低でも維持しないと、今の社会保障制度を維持することができなくなる。
だから低賃金の外国人労働者を入れようということなのでしょう。
しかし、この考え方は余りにも短絡的過ぎます。
■日本人労働者は増やせる
政府には、外国人労働者を受け入れる前にやるべき事がたくさんある。
まず、日本人労働者の供給量を増やすべきです。
そのためには、扶養控除の廃止。
これだけ人手不足が騒がれる中で、フルに働かないことで税制優遇するなど、あり得ない制度です。
もう1つは、専業主婦(主夫)への年金制度の廃止。
サラリーマン(第2号被保険者)に扶養されている専業主婦(第3号被保険者)は保険料を自ら負担することなく、将来的に老齢基礎年金が受給できるのです。
自分は払っていないのに年金を受け取れるというのは、社会保障の原則に反しているだけでなく、女性の働く動機を奪っています。
海外によくあるやり方を導入して、既に貰っている人は仕方ないですが、例えば平成何年生まれ以降の人の場合、第3号非被保険者を廃止すると決めればいい。
低賃金の外国人労働者を受け入れる前に、優秀な日本人女性にフルに活躍してもらう仕組みを徹底的に実施するべきです。
女性活躍を訴えるなら、まずこの2つの廃止は必須でしょう。
それに中小企業改革。
これまで何度も書いてきたように、規模が小さいというだけで日本の中小企業は優遇されています。
弱者扱いされて、期待もされません。
商工会議所などの中小企業の団体も、改善を要求されると、すぐに
「中小企業潰し!」
「中小企業淘汰論者!」
「中小企業は下請けいじめを受けている!」
などと煽ります。
それによって、中小企業は成長するインセンティブ( やる気を起こさせるような刺激。動機付け)が削がれています。
そうではなく、きちんと足腰の強い中堅企業に成長した企業をバックアップしていく。
規模が大きくなることで、人手不足にも強くなる。
■逆説的な人手不足解消方法
経済合理性を歪ませる中小企業優遇の最たる例が、
「交際費」
です。
今は日本では中小企業というだけで、取引先との接待などに使う交際費を800万円まで損金扱いできます。
私の経験則でしかありませんが、私の周囲の中小企業経営者で、会社のためにこの800万円を使っている人はほとんどいません。
仕事に関係なく、高級寿司屋で食事をしたり、夜の店に行ったりと
「”社長自身”への接待」
に使われており、全く実態を伴っていない。
要するに、公私混同です。
この制度をフルに使うことができる企業はほぼ小規模事業者です。
成長して中堅企業になろうとすれば、この制度のメリットは次第に減ります。
更に、サラリーマンをやって何の経費も使えないよりは、公私混同が許されている小規模事業者になった方が圧倒的に有利になる。
経済合理性より、経営者優遇を狙って起業するインセンティブが働いていしまうのです。
これは考え過ぎではありません。
日本企業の場合、6割以上の企業が赤字企業です。
この比率は、1960年代から景気と関係なくずっと上がっています。
諸外国の例を分析すると、企業数の赤字比率は2割で、日本では如何に経済合理性の低い小規模事業者が多いか分かります。
実は、中小企業が2017年度に支出した交際費は約3兆円。
もし、この3兆円に法人税(23%)を掛ければ、6900億円もの税金を取ることができます。
政府の肩を持つわけではありませんが、日本は何か物事を動かそうと思えば、とにかく批判・反対の風です。
中小企業はもっと頑張れと言えば
「中小企業いじめだ」
と批判され、扶養控除廃止を言えば
「専業主婦いじめだ」
と批判される。
日本は本当に疲れる国です。
中小企業問題について、商工会議所前会頭の三村明夫氏は、未だに私を批判しています。
日経新聞(2024年4月27日)の
「私の履歴書」
で、三村氏はこう語っていました。
<中小企業はサボっているのではない>
<統計の数字だけを見た
「生産性の低い中小企業は淘汰されるべきだ」
といった極論が罷り通れば、日本経済は本来の強さを失うだろう>
「統計の数字」
以外に、一体何を根拠にすればいいのでしょうか。
教育水準の高い日本人を低賃金で働かせている
「統計的事実」
について、三村氏はどう思っているのか、逆に訊きたいくらいです。
三村氏は、最低賃金を引き上げると大量に中小企業が倒産する、失業者は大量に増えるというような主張をよくしていました。
1990年代に比べて、最低賃金は2倍に上がっています。
安倍政権以降も1.3倍にもなっている。
三村氏の主張と真逆に、企業数は大幅に増えて、就業者数も史上最高水準になっている。
三村氏が主張していた
「大量の倒産」

「大量の失業者」
も、統計に表れていません。
だから、
「統計ではない」
と言うのでしょう。
政府も、強烈な反対に遭うことは目に見えているから、
「じゃあ、現状維持のために外国人労働者を入れるしかない」
と半ば諦めており、場当たり的な対応しか取れないのではないか。
この人手不足を解消するために、政府はどうすればいいか。
逆説的ですが、
「これ以上、外国人労働者を受け入れないこと」
です。
外国人労働者を受け入れないことで、中小企業はにっちもさっちもいかなくなり、自動的に中小企業間の提携・統合、設備投資による生産性向上が進みます。
それは、中小企業改革の前進にもなる。
先述したように、中小企業を延命させるために外国人労働者を受け入れるなど、百害あって一利なしの愚策中の愚策。
冒頭の世論調査で、外国人労働者受け入れに賛成した人には目を覚まして頂きたい。
政府は
「経営努力をしたくない」
「現状維持をしたい」
という経営者の甘え、自己中心的な考えなど一顧だにせず、毅然と対応してほしいと思います。

外国人受け入れ「特定技能制度」に4分野を追加、5年で82万人見込み 政府が閣議決定
2024/3/29 10:10
https://www.sankei.com/article/20240329-QQTAPVAO7JLS3PHI6X4N4G3SQQ/
政府は2024年3月29日、外国人を中長期的に受け入れる
「特定技能制度」
の対象にトラック運転手などの自動車運送業や鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、対象分野を現在の12から16に広げる方針を閣議決定した。
令和6年度から5年間の受け入れ見込み数は最大で82万人とした。
パブリックコメント(意見公募)を経て省令を改正する。
受け入れ見込み数は、国内の雇用拡大や生産性向上だけでは不足する労働力を業界ごとに算出したもの。
5年間で約34万人としていた制度開始時から2倍超となった。
人口減少や時間外労働規制強化によって物流分野での人手不足が深刻化する
「2024年問題」
などが反映された。
追加4分野のうち、利用客と会話の機会が多いタクシーの運転手や鉄道の車掌などは、必要な日本語試験の基準を他の分野よりも高いレベルとする。
既に特定技能の対象となっている製造業分野でも繊維や鉄鋼、印刷業務などを中に加える。
特定技能は平成31年4月に創設。
最長5年間働ける1号と、家族が帯同できて事実上永住できる2号がある。
政府は、外国人の研修を目的とする技能実習制度を廃止し、外国人材の確保と育成を目的として将来的に特定技能制度に移行できる
「育成就労制度」
創設を柱とする関連法案を通常国会に提出している。

祖国にいながら外国人に怯えて暮らすのか 「受け入れろと」と他人の国で暴走する移民たち
WiLL2024年7月号 イスラム思想研究家・麗澤大学客員教授 飯山陽
■クルド人がまた犯罪
先の衆議院東京15区の補欠選挙は、たくさんの応援を頂きましたが力及ばず落選してしまいました。
皆さんのお陰で、最後までマイクを握ることが出来ました。
今回、選挙に出馬した理由の1つが、日本の移民国家への道にストップをかけるためです。
しかし現状は厳しく、またクルド人による犯罪が起きました。
しかも今度の被害者は何と女子中学生です。
産経新聞オンラインの記事(2024年4月5日付)です。
「女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署は2024年3月7日、不同意性交等の疑いで、トルコ国籍でさいたま市南区大谷口の自称解体工、ハスギュル・アッバス容疑者(20歳)を逮捕した」
「『日本人女性と遊んだが暴行はしていません』と容疑を否認しているという」
再度確認してみると、この記事は削除されており、追加の記事では容疑者は匿名にされていました。
実名は
「デイリー新潮」
やまとめサイトのみで閲覧できます。
容疑者の居住地はさいたま市ですが、川口署が逮捕したということは、川口市で活動するクルド人の居住地が近隣の市にも広がっているということでしょう。
トルコ国籍のクルド人の多くはイスラム教徒ですが、一般的にそれほど信仰に熱心ではありません。
しかし、クルド人文化は、イスラム教文化と共通する所が多く、その1つが女性や性に関する文化です。
イスラム教では、異教徒の女性は二重の意味で卑しい存在とされており、尊厳を持つ人間として扱われません。
更にイスラム教には、性行為や結婚をしても許される最低年齢という概念がありません。
イスラム教徒の男性の中には、本件のような
「異教徒の女子中学生」
というのは、性的に何をしてもいい存在だと思っている人がいる可能性があるのです。
イスラム教徒の移民による、現地の女性たちに対する性暴力事件がヨーロッパで多発している背景には、このようなイスラム教の女性観、異教徒観があります。
イスラム教徒の男性は、異教徒の女性には何をしても構わない、髪や肌を露出させているのは尊厳がないことの証であり、むしろレイプされたがっているのだと、そう理解してしまうことがあるのです。
私はイスラム教の研究者ですから、イスラム教が如何に土着文化を侵食する力を持っているかを知識としてだけでなく、実感としても知っています。
世界にはこうした文化や価値観を当然とする人々が多く存在するため、理想の多文化共生・異文化共生を現実のものにするのは困難です。
実現したいのならば、外国人に対し、
「あなたの常識は日本では受け入れられない」
「日本では日本のルールを守ってもらわねば困る」
と、ハッキリと徹底的に主張するしかありません。
更に、外国人の子供には出来るだけ早いうちから、日本のルール、文化に馴染んでもらう必要があります。
フランスでは、2019年から義務教育が始まる年齢を6歳から3歳に引き下げました。
その背景には、自国の文化や風俗を守るために移民を教育する意図もあります。
一方で日本には、こうした対策は一切なく、多文化共生・異文化共生は素晴らしい、日本人は外国人の文化を理解し、受け入れろと主張するだけです。
このまま何の対策もしなければ、先述のような事件は今後更に増えるでしょう。
■何が、権力の監視役か
にもかかわらず、政府や自治体、企業、そしてメディアも、日本社会に対して影響力(インフルエンシャル)な発言権を持つ”権力者の皆さん”はこぞって、
「活力維持に外国人が必要だ!」
と声高に言います。
読売新聞オンライン版でも
「外国人・高齢者 活力維持へ重要『育成就労』『特定技能』着実に・・・人口減抑制」
と題して、次のような記事が掲載されました。

<人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない>
<政府は今年(2024年)、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の創設を決めた>
<掲げたのは「人材の確保と育成」>
<帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った>
(中略)
<外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる>
(中略)
<業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある>
<その司令塔として、政府に「誘致戦略本部」を創設すべきだ>
<制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する>
(2024年4月26日付)

日本社会が人口減を抑制し、活力を維持するためには、外国人をどんどん日本に受け入れることが必須だとして、読売新聞がわざわざ提言しているわけです。
読売新聞だけでなく、既に国から企業まで皆揃って同じ事を言う有り様です。
外国人が必要だ、というのは、つまり”移民推進”です。
多様性の奨励はそのための地均しです。
多様性のある社会は
「活力を維持する」
と盛んに宣伝し、多様性を促進するために移民を受け入れる必要があるとして事を進める。
そもそも自民党は2016年3月15日の
「労働力の確保に関する特命委員会」
の初会合時に、政調会長の稲田朋美議員が
「日本は移民政策は採らない」
と明言した上で、議論を開始しています。
ところが、その8年後の2024年、岸田政権が在留資格
「特定技能」
について2024年度から5年間の受け入れ枠をこれまでの2倍を超える82万人とすると閣議決定しました。
8年前・2016年の方針を平気で変え、国民に嘘を付く、これが自民党政権です。
そしてこの嘘を嘘だと指摘せず、政府方針に同調しているのがメディアです。
何が
「権力の監視役」
でしょう。
「笑わせるな、愚か者!」
と言いたくもなります。
■7つの大罪である理由
読売新聞が提言した、
「日本社会の人口減を抑制し活力を維持し、成長を続けるためには外国人移民が必要だ」
という主張は完全に間違っています。
理由は7つー。
第1に、人口減の埋め合わせをするために移民を受け入れるなら、考えられないほど多くの移民を受け入れなければならないため、この政策自体が非現実的であることは、国連の調査でも明らかになっています。
第2に、人口減を埋め合わせするために移民を受け入れても、日本人でない人が増えるだけなので、日本で外国人による人口の置き換え(人口が増加も減少もしない均衡した状態になる)が進むだけです。
これを
「人口減の抑制」
だと言う人は、日本が日本でなくなることを積極的に推進する人たちです。
第3に、不足する労働力を補うために移民を受け入れても、移民もいずれ年を取って働けなくなります。
日本は今、永住を認めるという条件で移民を受け入れようとしていますが、労働力だったはずの移民は遠からず、日本の福祉によってその生活を支えなければならなくなります。
■移民と社会の暴走
第4に、不足する労働力を補うために移民を受け入れると言いながら、日本政府は彼らに家族の帯同を認めています。
5人、10人の家族を帯同すれば、移民の安い賃金では家族全員を養えなくなり、その分を補うのは、私たちの福祉、つまり税金です。
労働力が必要だと言って外国人を受け入れたのに、彼らの生活を我々の福祉で支えなければならないという事態が生じます。
労働力として受け入れた移民が、働く意欲を失ったり、病気になったり、失職すれば移民の家族の生活は、私たちの税金、私たちの福祉で支えなければならない。
これは移民を多く受け入れた欧米で実際に発生している問題です。
第5に、労働力として移民を受け入れれば、日本人の賃金が下がります。
政府が推進するインフレを上回る程度まで賃上げをする方針とは、正反対のベクトルに進みます。
サウジアラビアは移民を多く受け入れている国の1つですが、企業に一定数の自国民の雇用を義務付け、給与体系も外国人とは異なる水準を義務付けています。
しかし日本にはこうした規制はありません。
安い移民労働力を受け入れれば、企業と経営者が得をするだけで、日本人の労働者は専ら損をします。
これでは日本社会を弱体化させるばかりで、
「活力の維持」
どころではありません。
第6に、世界の文化の中には、日本の文化、伝統、常識、法律とは相容れない、矛盾するものが大量にあるため、全て受け入れれば、社会が混乱し、秩序が乱れます。
第7に、移民が増えれば間違いなく治安が悪化します。
現在、警察は外国人の犯罪を見逃し、仮に逮捕しても検察が不起訴にして犯罪者を無罪放免にします。
警察を恐れない”無敵の外国人”が、日本社会で暴走し、好き放題に犯罪に手を染めているのは、こうした背景があるからです。
外国人が増えれば、この状況は更に悪化するでしょう。
日本人は祖国にいながら、外国人に怯えて暮らさなければならなくなり、警察に守ってもらえなければ、自衛せざるを得なくなります。
犯罪の被害者となっても、誰も助けてくれない、そんな世の中にしたいですか?
■”聖域”という名の移民都市
2024年5月1日、バイデン大統領はワシントンでの集会で、日本経済が低迷している理由として
「外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」
と述べました。
そんなアメリカでは現在、不法移民が急増しています。
米南西部の国境を越えて拘束・保護された不法移民は2023年度(2022年10月〜2023年9月)に247万人と3年連続で過去最多を更新。
かつてはメキシコや南米各国からの流入がほとんどでしたが、今は、中国などから中南米を経由してアメリカを目指す不法移民も増えています。
バイデンの
「外国人好きで移民を望む」
政策が、世界中から不法移民を引き寄せているのです。
アメリカ内で移民に寛容な都市、いわゆるサンクチュアリ・シティ(聖域地域)の代表がニューヨーク市です。
ニューヨーク市では移民を10万人ほど受け入れ、日々増え続ける移民の数に悲鳴を上げ、2022年10月に民主党のエリック・アダムス市長がとうとう非常事態を宣言しました。
「移民はニューヨークのストーリー(歴史)の一部で、アメリカの一部でもある」
「しかし移民政策は崩壊している」
「国家的危機だ」
「もう限界だ」
「市単位の予算には限りがあり、思いやりだけではどうにもならない所まで来ている」
アダムス市長は移民の受け入れの危機的状況を踏まえ、度々このように訴えてきました。
ニューヨーク市の移民関連の予算は2024年度が約42億ドル、2025年度が約49億ドルと巨額です。
その後、アダムス市長は法律違反の疑いのある移民を保護してきた政策を転換する考えを示しています。
つまり不法移民を矢継ぎ早に受け入れる政策を採った結果、市が財政破綻しかかっているのです。
ニューヨーク市に限らず、不法移民を受け入れた州や都市は軒並み財政や治安が悪化し、地元住民の不法移民に対する感情も悪化しています。
今や28%のアメリカ人が不法移民の問題は、アメリカにとって最大の問題だと認識しています。
■”日本”であるために
一方、日本はどうか。
岸田政権は今まさに
「移民を望む」
政策を採りつつあります。
アメリカで不法移民に厳しい共和党が政権を取れば、アメリカに殺到している世界の不法移民が、今度は日本に殺到するでしょう。
今度は日本が不法移民の”サンクチュアリ(聖域)”になろうとしています。
日本が日本であり続けること、日本が国民にとって安心して暮らせる祖国であり続けること、日本人の暮らし、豊かさ、安全が守られることが何より大事です。
移民受け入れ推進は、こうした安心・安全を全て破壊します。
しかし今の日本の国会議員に、日本国民の安全を主張する人はほとんどいません。
彼らは皆、嘘を付き、移民を受け入れることによって起こる問題に言及する人はほとんどいません。
移民によって破壊された欧米社会や、先述のクルド人による性的暴行事件が彼らには見えていないのでしょうか。
文化や価値観の違いによって生じる事件、財政や治安の悪化などが起き得る移民政策を阻止する必要があります。
日本が移民問題で苦しむ欧米のようになるのは、時間の問題です。
私たちにとって大切な日本という国を、守り抜かなければなりません。

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

中学生に性的暴行したクルド人は難民申請中だった 地元市議は「実態を正しく直視するべき」
2024年4月5日
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04050558/?all=1
埼玉・川口市でクルド人男性が不同意性交容疑で逮捕された。
女子中学生に性的暴行をした疑いである。
実はこの男性、難民申請中だった。
悲劇の主人公のはずの
「難民」
が他人を悲劇に追いやる、その実態とは。
 ***
報道等によると、2024年3月7日に逮捕されたのはさいたま市に住むハスギュル・アッバス容疑者。
トルコ国籍の20歳、解体工だという。
事件があったのは2024年1月13日のことだ。
アッバスは都内の女子中学生とSNSで知り合い、複数人でドライブ。
2人きりになった後、川口市内のコンビニの駐車場に停車し、車内で犯行に及んだ。
行為の時間は約6分。
粗暴極まりない事件である。
川口市とその周辺でクルド系の住民と地元住民との間に軋轢が生じているのは周知の通り。
■市議も「不安に思う市民が増えている」
2023年7月4日は男女の揉め事で怪我をしたクルド人男性が川口市立医療センターに運び込まれ、それを巡ってクルド人が100人ほど病院に集結。
一時、救急搬送の受け入れが停止されるという大騒動が起きた。
「不安に思う市民が増えていると感じます」
とは、川口市議の奥富精一氏。
「これまでも一部のクルド人が改造車で危険運転や違法駐車をしたり、あるいは喧嘩をしたりという事例が見られてきました」
2023年6月には市議会で
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」
が採択されている。
「そこにきて今回の事件ですから、市民の不安が益々増したとしても不思議ではありません」
■クルド人増加の背景事情
クルド人とは、中東のトルコやイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に住む「国を持たない民族」。
川口は彼らが集住する地域として知られ、現在、2000人以上が暮らしている。
「彼らは難民申請をしているケースが少なくない」
と言うのは、入管のさる関係者だ。
「トルコと日本は現在、短期滞在ならビザは必要ではありません」
「で、ノービザで入国し、滞在期限が切れるまでの間に難民申請を行うんです」
「すると、その審査期間中は強制送還が止められる」
「川口に来るクルド人の多くは、ある特定の地域の出身です」
「こうした仕組みで入った人たちが地元の親類縁者を呼び寄せ、数が増えていったんです」
今回の事件を起こしたアッバスも、先に日本に来た父を頼って幼少期に来日し、難民申請をした“移民2世”だという。
「実際、彼らが難民認定されることはほとんどありません」
「クルド人が母国で差別されているのは事実でしょう」
「が、難民条約が規定するように、自由が奪われたり、生活が著しく損なわれ、生命の危機が生じているかと言えば、そこまでとは認められないことが多い」
「申請期間中に日本で稼いで帰国するか、或いは子供が小中学校に長期間通うなどすれば、在留特別許可を貰えるかもしれない」
「クルド人増加にはこうした背景事情があります」
しかし、そうした入国経緯の者の中から凶悪犯が出れば、住民との摩擦が生じるのは当然の事だろう。
■グレる2世
この地域で長年、クルド人支援に携わってきた「在日クルド人と共に」理事の松澤秀延氏は、
「彼らも日本の社会に順応したいと思っていますが、日本側の拒否反応が強く、そこで絶望を感じてしまうことも多い」
と分析するが、
「今回の事件もそうですが、2世の中には学校に行かず、いわゆる“グレて”しまうケースも少なくない」
「この問題を指摘するとすぐ差別と言われますが、まずは実態を正しく直視することが重要だと思います」
(奥富市議)
多様性尊重――そんな建前だけでは語れない現実が、この川口には横たわっているのである。
週刊新潮 2024年4月4日号掲載

外国人・高齢者 活力維持へ重要 「育成就労」「特定技能」着実に…人口減抑制[読売新聞社提言<7>]
2024/4/26 5:01
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240425-OYT1T50222/
■労働者に「選ばれる国」
人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない。
政府は今年、外国人技能実習制度に代わる新制度
「育成就労」
の創設を決めた。
掲げたのは
「人材の確保と育成」。
帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った。
外国人労働者を中期的に受け入れる在留資格
「特定技能1号」
も、自動車運送業や鉄道などの4分野を追加して16分野に広げた。
日本で暮らす外国人は増えており、約340万人に上る。
労働者は2023年10月末時点で約204万人だ。
政府は、育成就労と特定技能を
「車の両輪」
として、労働力を補っていく。
他国も受け入れを進めており、獲得競争を勝ち抜くには
「選ばれる国」
にならなければならない。
外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる。
農業や介護、建設など職種も幅広い。
業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある。
その司令塔として、政府に
「誘致戦略本部」
を創設すべきだ。
制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する。
育成就労では3年間働いた後、在留期間が5年の特定技能1号、永住が事実上可能な2号を段階的に取得してもらうことを目指す。
外国人の受け入れ先は主に地方の中小企業で、自力での育成には限界がある。
自治体の支援が欠かせない。
広島県は2023年、2号取得を目指す外国人を雇う企業に、最大300万円を補助する事業を始めた。
尾道市の
「因島鉄工」
はこの事業を使い、造船・舶用工業分野で全国初の合格者を出した。
その一人、ベトナム人のファン・ヴァン・マインさん(35)は
「将来は奥さんを連れてきて、ここでずっと働きたい」
と語る。
同社では試験対策として日本語講師を雇い、技能向上のための模擬試験を実施。
外国人向けの寮も整備した。
人材を繋ぎ止めるには、異国の地で働く外国人が暮らしやすく、文化に馴染める工夫も求められる。
■フレイル対策
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、2020年に7000万人超だった生産年齢人口は、2100年に3200万人に減る。
人手不足を補うため高齢者の力も必要だ。
内閣府の調査では、仕事で収入を得ている60歳以上の9割が、「いつまでも」を含め、70歳以上になっても働きたいと回答している。
企業は、技術や経験を持つ高齢者を積極的に受け入れるべきだ。
2040年には医療・介護人材が100万人近く不足するとされ、介護が必要な高齢者を少しでも減らしたい。
要介護一歩手前の状態「フレイル」の高齢者が対策を取った場合、5年後に15%が改善し、35%が状態を維持したという調査もある。
予防には食事や運動、就労といった心身の充実がカギを握る。

郷に入って「郷に従わん」外国人
直球&曲球 宮嶋茂樹
2024/5/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240509-H4LOHB4JIROYBC6FPXFOHBKM7Y/
日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
やて?
いやいや、バイデン米大統領、言葉は正確に伝えんとアカンわ。
多くの日本人が嫌いなんは、日本に来ても日本の文化や伝統、ルールを尊重せず、皇室を敬愛するどころか敵視するような外国人のことや。
日本人もどないかしとるで。
政・官・財・民、挙げて
「インバウンド」
景気やと歓迎して、いちびっとるけど、日本に来る観光客や定住外国人は、当たり前のことやけど、善意の人≠ホかりやないんやで。
最初から転売目的で爆買い≠オたり、白タクで荒稼ぎしたりしとる外国人も後を絶たん。
オーバーツーリズム
(とある地域を訪れる人が急増したことにより様々な問題が発生し、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況のこと。日本では「観光公害」とも呼ばれており、県や市といった全体で起きるものではなく、「〇〇市の橋周辺」や「春の〇〇府の寺院」など、特定の場所や季節、時間に起きるものを指す言葉)
の弊害も深刻や。
そこで暮らしとる日本人が多大な不便や迷惑を強いられとる。
東京や大阪じゃ日本人が泊まれるホテルを探すだけで一苦労や。
富士山もゴミだらけやんけ。
これほど外国人観光客が日本に押し寄せる理由は色々ある。
メシがうまいし、安い。
種類も豊富や。
治安もエエし、皆が皆とは言わんけど、まぁ日本人は外国人に親切や。
しかし、一番の原因は昨今の円安やろ。
円安=日本が安う見られとるというこっちゃ。
ハワイやヨーロッパは無理やけど
「円安」
の日本やったらいけるわ、とな。
それでも、ワシは何もやみくもに外国人の観光客や定住者を締め出せ、と言うとるわけやないんや。
困っとるんは、日本に来てまで犯罪まがいのことをやったり、日本の法令に反する自分らの風習を認めろ、と叫んだり、日本を理解しようともしたりせん、外国人なのである。
海外の日本人を見てみい。
皆から嫌われんようにちゃんと努力しとる。
その国の慣習、ルールを尊重して気、遣っとる。
イスラム圏に行ったら、お祈りの時間は静かにしとるし、豚肉は食べんし、公の場では酒も飲まんようにしとる。
「郷に入れば郷に従え」
という、諺を知っとるからや。
その国の交通ルールから公共マナーまで、いくら日本人には理解不能でも尊重するで。
そんな日本人を
「外国人嫌い」
やて?
バイデン大統領、それはないで!

バイデン米大統領が同盟国を「外国人嫌い」と切り捨てた失言の背景
ポトマック通信
2024/5/9 7:00
https://www.sankei.com/article/20240509-MFUGY3GBRVNUJJQMQJDL5YUPEA/
バイデン米大統領は2024年5月1日、アジアや太平洋諸島系の支持者集会でこう述べた。
「米国経済が成長を続けるのはなぜか」
「理由は我々が移民を歓迎するからだ」
「なぜ中国は経済的に行き詰まっているのか」
「なぜ日本は困難な状況なのか」
「ロシア、インドはなぜか」
「理由は彼らが外国人嫌い(xenophobic)で、移民を望まないからだ」
人は異なる人種、言語、宗教、生活習慣の人々の存在に拒否感や嫌悪感を抱くもので、どの国も受容と葛藤の歴史を続けている。
私が驚いたのは、大統領の失言に慣れっこのはずの米メディアの反応だった。
「同盟国に否定的用語を使った意図は?」
との疑問だ。
バイデン氏がなぜ日印中露を一括りに
「外国人嫌い」
としたのか報道官の釈明を聞いても判然としない。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、米国の移民差別の事例を挙げて
「日本の友人たちがバイデン氏のコメントを受け流してくれることを願う」
と述べた。
流せなかったのか、日本政府は
「正確な理解に基づかず残念」
と申し入れをしたと聞く。
日印を軸に中露を牽制する政権のインド太平洋外交への影響を懸念する向きもあるというが、失言には本心や願望が表れることもある。
日本を権威主義陣営との橋渡し役とする新構想があるのかと想像した。

林官房長官、バイデン米大統領の「日本は外国人嫌い」 「正確な理解に基づかない発言」
2024/5/7 12:18
https://www.sankei.com/article/20240507-GHSI6VL6DRNXPNOBYGMUH7TUQU/
林芳正官房長官は2024年5月7日の記者会見で、バイデン米大統領が、日本経済が低調なのは外国人嫌いなためだと発言したことに関し
「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言で残念だ」
「米国には日本の考えや政策を改めて説明した」
と述べた。
2024年4月の岸田文雄首相の国賓待遇での訪米を踏まえ、
「日米関係はかつてなく強固であり、引き続き日米関係の一層の強化に取り組んでいきたい」
とも強調した。

バイデン氏の発言は「残念」 日本政府が米側に伝達
2024/5/4 16:01
https://www.sankei.com/article/20240504-UYFMDSHLXZKMPNKFYEN72HZNLA/
バイデン米大統領が日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言したことについて、日本政府は2024年5月3日までに
「正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」
と米側に伝達した。
関係者が明らかにした。
ホワイトハウスが公表した発言録によると、バイデン氏は2024年5月1日、ワシントンでの選挙資金集めイベントで、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛し
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
と語った。
ジャンピエール大統領報道官は2024年5月2日、バイデン氏の発言について
「移民が如何に米国を強くしているかについて話した」
と記者団に釈明した。
記者から日本との関係を悪化させるのではないかと問われると
「日本とは力強い関係がある」
とだけ答えた。(共同)

日本や中国の経済不調は「外国人嫌いのせい」 バイデン米大統領が集会で発言、移民を称賛
2024/5/2 18:35
https://www.sankei.com/article/20240502-HXPLHHHEO5LJ5LECJI6HHSVFW4/
バイデン米大統領は2024年5月1日、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛した上で、日本や中国などの経済が低調なのは
「彼らが外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言した。
ワシントンでの選挙資金集めイベントで述べたと、ロイター通信が報じた。
2024年11月の大統領選で対決するトランプ前大統領の移民受け入れに消極的な姿勢を念頭に、バイデン氏は集会で
「移民こそが私たちを強くしてくれている」
と強調。
一方で
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)が2024年4月に発表した2024年の経済成長率の見通しでは、米国は2.7%で日本は0.9%。
一方、中国は4.6%、インドは6.8%となっている。(共同)

国貧しくする外国人政策
政策シンクタンク代表 原英史 
2024/4/28 8:00
https://www.sankei.com/article/20240428-7IRYKFFZSFP2TFLRAJTQM47IVE/
外国人の技能実習制度の見直しなどを内容とする出入国管理法等改正案の国会審議が始まった。
2024年4月26日、衆院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人の1人として陳述を行った。
私の述べた意見は、技能実習など個別制度の手直しの前に、まず
「外国人基本法」
を制定し、受け入れの戦略を明確にすべきだということだ。
政府は従来、なし崩しで外国人政策を進めてきた。
表向きは
「移民は受け入れない」
と言いつつ、実態は安価な外国人労働力の受け入れが拡大した。
日本人に十分な賃金を払って人材確保できない企業や業界が、安易に外国人労働者に頼り、入管行政も要望に応えた。
「国際協力」
が目的の技能実習制度などの悪用を政府が容認してきたのだ。
この結果、劣悪な労働環境や失踪などの問題が生じ、外国人による犯罪、社会的トラブルなども広がりつつある。
業界・企業が賃上げせず事業継続する道が用意され、賃金水準低迷の一因となった。
今回の改正案はこうした根本問題を解決するものではない。
「技能実習制度の廃止」
を掲げ、実態とかけ離れた国際協力の名目を人材育成などに改めてはいるが、実質大きく変わった点と言えば、転職を認めた程度だ。
看板の掛け替えに近い。
今後、人手不足が拡大する中で外国人受け入れの規模は拡大するから、これまでの戦略なき受け入れの負の側面は、更に大きく広がりかねない。
政府が今、行うべきことは戦略なき状態の解消だ。
国民的な議論も経て、
「外国人基本法」
を制定することが不可欠だ。
基本法ではまず、何のために外国人を受け入れるのかを明確にする必要がある。
「人手不足の解消」
を目的とするのは危うい。
業界要望に安易に応え続けることになり、日本人も含めた賃金引き上げを阻害し、日本をより貧しい国にしかねない。
安易な労働力の受け入れは社会的軋轢も生みやすい。
目的は
「日本を豊かにすること」
とすべきだ。
生産性を高めて経済社会を発展させるため、貢献できる質の高い外国人を戦略的に受け入れていく必要がある。
併せて、外交・安保政策の観点で人的交流を強化すべき国から重点的に受け入れるよう戦略性も求められる。
日本に限らず、移民を巡る議論は、賛否が大きく分かれ、イデオロギー・感情的対立にも陥りがちだ。
解決の道は、安易な受け入れでも全面的排除でもなく、日本国にとって有用な外国人材を選び抜いて受け入れることだと考える。
だが、今回の改正案はなし崩しの延長で、安易な外国人受け入れの道を広げ、社会の混乱を招き、日本をより貧しくしかねない。
必要なのは、なし崩し的な移民から戦略的政策への転換だ。

育成就労決定 永住資格を厳格化 税金滞納で取り消し
産経新聞2024年2月10日
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、外国人の永住許可制度を適正化する政府方針を決定した。
外国人永住者を巡っては、税金を滞納する事例などが確認されており、悪質な場合は在留資格を取り消せるよう要件を見直す。
政府は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度の方針を決定。
即戦力の外国人労働者を受け入れる在留資格を
「特定技能」
のうち、事実上永住できる特定技能2号への移行を促す同制度下では永住者の更なる増加が見込まれることから、悪質な外国人を排除する仕組みを整備する。
入管難民法は、永住資格の許可要件として素行の善良さなどを規定。
政府のガイドラインでは他に、納税義務の履行などを要件に挙げている。
一方、入管難民法で在留資格を取り消せるのは虚偽の申請で資格を得た場合などに限られ、税金や社会保険料の滞納を重ねても取り消されない。
関係者によると、永住資格取得後、納税などを拒むケースが複数、確認されている。
永住者は在留期限や活動に制限がない。
2023年6月末時点で約88万人で10年前から4割弱増加。
在留外国人の約3割を占める。

政府、外国人の「育成就労」新設方針 転籍1〜2年で可能 技能実習制度は廃止
2024/2/9 10:30
https://www.sankei.com/article/20240209-44RUQO4NEFNRPJT2WJRKPZ2X5Q/
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度創設を柱とする政府方針を決定した。
技能実習制度では原則認められていなかった転籍(転職)を原則1年で認める一方、最長で2年間、転籍を制限できるとした。
政府は2024年3月にも国会に関連法案を提出する。
技能実習制度を巡っては劣悪な労働環境の影響で人権侵害事案などが発覚。
政府の有識者会議が昨年、公表した最終報告書は技能実習制度を廃止し、育成就労制度を創設。
育成就労期間が1年を超えるなどの条件を満たせば原則、転籍を認めるとしていた。
その後、地方から都市部に人材が流出する可能性があるなどの懸念を払拭するため、転籍に一定の制限をかける必要があると自民党の部会が提言。
政府方針は、当面、業界ごとに最長で2年まで転籍を制限できるとした。
転籍時の日本語能力は、最も易しい日本語能力試験「N5」レベルや、基本的な日本語を理解することができる「N4」レベルを設定する。
転籍要件の緩和に伴い、悪質な転籍ブローカーの介入を防ぐため、転籍の仲介状況を透明化するための体制を整備をする他、資格のない外国人を雇うことを禁じる不法就労助長罪の法定刑を引き上げる。
受け入れの仲介を担う監理団体は
「監理支援機関」
とし、外部監査人の設置を義務付ける。
新制度は、人材の育成だけでなく確保も目的とし、受け入れる分野を特定技能制度と揃える。
育成就労期間を終えて日本語と技能の試験に合格すれば、特定技能1号に移行できる。

欧州、難民は「外国に送れ」の新潮流 メローニ伊首相「モデルになる」と意欲満々 
緯度経度 三井美奈
2024/2/9 9:00
https://www.sankei.com/article/20240209-O2HOXT6SKVMYXM4VF7UMMMLY64/
移民流入に悩む欧州で、
「難民を第3国に送る」
という奇策が浮上した。
イタリアと英国が先導している。
イタリアの計画は2023年11月、メローニ首相が発表した。
地中海を渡ってくる不法移民を隣国アルバニアに送るという。
2024年春にもスタートし、年間3万6000人を見込んでいる。
「欧州のモデルになる」
と誇った。
計画によると、アルバニアの沿岸に受け入れ施設を造ってもらい、イタリアに移民船が来たら、上陸させずに施設に直送する。
施設ではイタリアの職員が難民審査を行い、周辺の警備はアルバニアが担う。
難民資格が得られなかった人は、イタリアの責任で送り返すことになっている。
イタリアには2023年、北アフリカから移民船で15万人以上が押し寄せた。
イタリア政府は欧州連合(EU)加盟国に
「分担して受け入れを」
と求めたが、応じてもらえない。
そこで、アルバニアに
「EU加盟を支援する」
と約束し、合意を取り付けた。
地元紙によると、経費は5年間で推計6億5000万ユーロ(約1030億円)。
全てイタリアが負担する。
金と手間をかけて、わざわざ移民を外国に送るのには訳がある。
欧州人権法では、1度入国させると追放は極めて難しい。
難民資格がない人も申請を繰り返し、
「子供や病人がいる」
と法廷で訴えれば、強制退去にブレーキがかかる。
そこで
「とにかく入国させない」
ことが重要になった。
「我が国(イタリア)に来ても外国に送るからムダ」
と示し、密航を諦めさせる狙いもある。
メローニ氏は
「不法移民に危険な旅をさせずに済む」
と、抑止効果を強調した。
欧州研究機関
「国際移民政策開発センター」(ICMPD)
のマルティン・ホフマン顧問は
「よく練られたアイデア」
「EU域外の受け入れ施設でも、イタリア法で運営すれば『人権軽視』の批判をかわせる」
「うまくいけば、追随国が増えるだろう」
と予測する。
英国では今、
「移民のルワンダ移送」
法案が国会で審議されている。
英仏海峡を渡ってくる不法移民を6500km南のルワンダに送り、難民申請から定住まで委任することを目指す。
イタリアと英国は、人権団体や左派野党から
「残酷」
「難民保護の責任逃れ」
と批判された。
英国では2023年、当初法案に最高裁が
「人権侵害の恐れあり」
として違憲判決を示し、政局は大揺れになった。
それでも、第3国移送案への関心は高い。
デンマークの他、ドイツ最大野党の中道右派
「キリスト教民主同盟(CDU)」
が、EUによる取り組みを訴えている。
フォンデアライエン欧州委員長は、イタリア案を
「画期的」
と讃えた。
EUはこれまで、リビアやチュニジアに支援金を出し、移民船の出航を止めてもらおうとした。
EU加盟国で受け入れ枠を作り、負担を分け合うことも定めた。
いずれもあまり成果がない。
どの国も
「何とかしろ」
という世論の圧力に直面している。
注目が集まるのは、欧州人を良心の呵責から救う効果もあるからだろう。
各国政府は本音では不法移民を追い払いたいのだが、
「瀕死で救いを求める人を見捨てるのか」
という人権団体の訴えを無下にできず、常に逡巡している。
苦難の末にやってきた移民を、また外国に送る。
そんな方策に飛びつくほど、事態は切迫している。
2023年、欧州で難民申請件数は100万件を超えた。
地中海を渡る途中で死亡、行方不明になった移民は約3000人に上る。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/505.html#c35

[政治・選挙・NHK294] 立憲民主党は与党になる覚悟があるの? 室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
25. 秘密のアッコちゃん[366] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月03日 15:51:54 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[479]
<■1832行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
メディアがダメだから国会議論もダメ
正論2024年7月号 政策シンクタンク代表 原英史
10年後、20年後に、
「あの法改正がその後の日本社会の破壊に繋がった」
と振り返ることになるのではなかろうか。
この通常国会で成立に向けて審議が進む、技能実習制度の見直しなどに関する法案のことだ。
■国会での意見陳述
技能実習制度は、劣悪な労働環境や失踪などが生じ、外国政府からも人権侵害との批判を受け、見直しの検討がなされてきた。
法務省の有識者会議での検討(2023年11月に最終報告)を経て、2024年の通常国会に法案が提出された。
2024年4月16日に審議入りし、2024年4月26日には衆議院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人として意見陳述を行った。
概略こんな事を述べた。
第1に、
「外国人に選ばれる国に」
という標語は再考すべきだ。
政府やマスコミは最近揃って、
「このままでは日本は外国人に選ばれなくなってしまう」
「外国人に選ばれる国にならないといけない」
などと唱えているが、違和感を感じる。
外国人の中には、日本文化を愛し、地域に溶け込み、経済成長に貢献する
「居て欲しい外国人」
もいれば、一方で、経済社会に貢献せず、犯罪を起こし、脱税や社会保障制度の悪用などを行う
「居て欲しくない外国人」
もいる。
まず、
「日本国が外国人を選ぶ」
ことが決定的に重要だ。
これを欠いたまま
「外国人に選ばれる国」
を目指しても、
「居て欲しくない外国人」
ばかりが日本を選ぶことになりかねず、これは害悪でしかない。
第2に、これまで日本政府が行ってきた事は、
「なし崩しの移民受け入れ」
だ。
政府は建前では
「移民政策は採らない」
と言い続けてきた。
第2次安倍政権の初期に
「年20万人の移民受け入れ」
の試算を示して猛反発を受けて以降、決まり文句として唱えることになり、菅内閣・岸田内閣にも引き継がれた。
しかし、現実には外国人労働者の数は、2012年に68万人から2023年には205万人になった。
この10年ほどの間、毎年12万人の移民受け入れを行ってきたのが実態だ。
また、政府のもう1つの建前は、
「高度な人材は積極的に受け入れるが、単純労働は受け入れない」
だが、これも現実と乖離している。
この10年ほどの移民受け入れの相当部分は、技能実習と資格外活動(主に留学生のアルバイト)だった。
言うまでもなく、どちらも技能水準のごく低い労働者だ。
一方で、
「積極的」
に受けれいているはずの高度人材は、2012年に高度人材ポイント制を創設したものの、技能実習などとは桁が異なり、外国人労働者総数の1%程度に留まって来た。

★表 外国人労働者データ(@2012年A2023年)、単位:人
・外国人労働者総数*1:@682,450A2,048,675
・技能実習*1:@134,228A412,501
・資格外活動*1:@108,492A352,581
・高度人材*2:@313A23,958
(出典)
*1:厚生労働省「外国人雇用状況」(各年10月末)
*2:出入国在留管理庁「在留外国人数」(各年末)

(【表】)要するに、日本政府が行ってきたことは、建前とは全く裏腹に、単純労働に重きを置く移民の受け入れだ。
これは、安価な労働力を求める一部産業界に引きずられた結果として生じて来た。
第3に、技能実習制度の問題の根源は、
「安価な労働力」
を求める一部産業界による悪用だ。
もちろん全てが悪用ではなく、好事例もある。
しかし、生産性の低い業界や企業が、高い賃金を払えないため人手不足に陥り、生産性を高めて賃金を上げる努力をする代わりに
「安価な労働力としての外国人」
に頼るケースが少なからずあった。
政府はこうした一部業界の要望に応えて対象業種を追加し、悪用を黙認してきた。
結果として、以下の問題が生じた。
@安価な労働力を求める企業が利用するので、自ずと劣悪な労働環境など人権侵害が生じがちになり、失踪などの事案も生じた。
A安価な労働力を受け入れるので、犯罪や社会的トラブルなど、社会への悪影響も生じがちになった。
B受け入れた企業は、生産性を高めて賃金を上げる代わりに、外国人労働力を受け入れて生き延びる道が与えられ、このため、賃金は低迷し、経済成長が阻害された。
日本は今、相対的に賃金の低い、貧しい国へと転落しつつあるが、大きな要因の1つが技能実習制度の悪用だった。
こうした経過を考えれば、問題解決には外国人政策を根本から見直す必要がある。
審議中の改正案のような小手先の手直し(技能実習の名称を改める、転籍を認めるなど)ではなく、何のためにどのような外国人を受け入れるのか、基本戦略を定めなければならない。
個別制度見直しの前にまず
「外国人基本法」
を制定すべきだ。
こういった事を国会で述べた。
実は、私は直前に骨折して入院中だったが、何としても国会議員の方々に問題を認識して、本来あるべき議論をして頂きたいと考えたので、無理に外出許可を貰って車椅子で出席した。
だが、残念ながら、徒労だったようだ。
私の提起した課題はほぼ議論されることなく、法案審議は粛々と進み、2024年5月17日に衆議院法務委員会で可決された。
参議院での審議が残されているものの、恐らくこのまま成立に向かう可能性が高そうだ。
■産業界に阿る与党
政府の改正案について、少し詳しく説明しておこう。
全くダメなわけではなく、評価できる部分もある。
技能実習関連以外で
「永住資格の取り消し」(永住者が税や社会保険料の支払いを故意に怠る場合や一定の犯罪を犯した場合に資格を取り消す規定)
の追加も提案されている。
これは望ましい改正だ。
本来そんな外国人には永住資格を与えるべきではなく、取り消し規定がなかったことがおかしかった。
早急に規定を追加し、厳正に執行すべきだ。
一方、
「技能実習制度の見直し」
は全く評価できない。
政府案では、技能実習制度を廃止し、代わりに
「育成就労制度」
を設ける。
報道では、
「育成就労では、技能実習と異なり、転籍が一部認められている」
といった事ばかり強調されているが、そんな事は枝葉の話でしかない。
事の本質は、従来の
「なし崩しの移民受け入れ」
を正面から制度化するものなのだ。
従来の仕組みは、
▽国際貢献(母国で働く人材を育てる)を目的とする技能実習制度に基づき、脱法的に低技能労働者を受け入れ、
▽更に、2018年改正で創設した特定技能制度と事実上接続して、長期在留を可能にし(ただし、あくまで事実上の接続であり、本来の制度趣旨には反するので、政府の説明資料では少し隙間が空いている)、なし崩しで
「低技能労働者を受け入れ、長期在留させる」
ものだった。
今回の改正では、
▽技能実習制度の代わりに、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を設けて、制度上堂々と低技能労働者を受け入れられるようにし、
▽更に、特定技能制度と正式に接続し(政府の説明資料では、隙間がなくなる)、制度的に
「低技能労働者を受け入れ、長期在留させる」
仕組みにするものだ。
看板の掛け替えに過ぎないという以上にこれまでコソコソと行ってきた事を堂々と看板に書いてしまうような改正と言って良い。
これではもちろん、先に述べた技能実習のもたらしてきた問題(人権侵害、犯罪・社会的トラブル、賃上げと経済成長の阻害)は何ら解消しない。
それどころか、今後は堂々と低技能労働者の受け入れを拡大できることになるから、益々増幅することになるだろう。
こうした改正の方向と軌を一にして、政府は2024年3月末、特定技能の受け入れ見込み数として
「今後5年で82万人」
との方針を決定した。
制度発足時の2018年からこれまでの5年間は34万人だったから、倍増以上だ。
また、対象業種として、バスやトラック運転手などの自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加する方針も併せて決定している。
特定技能の入り口である育成就労も、自ずと拡大していくことになろう。
より長期的な見通しも示されている。
2023年4月に国立社会保障・人口問題研究所が示した将来人口推計だ。
「外国人が毎年16万人入って来る」
との前提の下、人口に占める外国人比率が2020年の2%から2070年に11%にまで増えるとの推計を示した。
「移民政策は採らない」
などという空虚の説明をしながら、政府は現実には
「なし崩しの移民受け入れ」
を着実に前進させ、本格的な拡大へと向かっている。
ちなみに私は、外国人雇用協議会という一般社団法人の代表理事も務めている。
この団体には、安価な労働力の受け入れとは一線を画し、
「日本の経済社会で活躍できる質の高い人材の受け入れ」
という理念を共有する外国人材関連企業の業界団体だ。
団体の会員企業にとっては、単に短期的な利益拡大だけを考えれば、今回の法改正で外国人の受け入れ規模が拡大するのはビジネスチャンスかもしれない。
しかし、日本社会には取り返しの付かない損失をもたらしかねない。
結果として、長期的に外国人材ビジネスの基盤も損なわれる。
だから、私個人はこの法案には反対であり、参考人質疑でもそう明言した。
正直なところ、政府・与党がこんな法案を国会に提出したことには甚だ失望した。
欧米諸国の多くでは、移民問題が深刻な社会混乱をもたらしている。
日本の政治家も官僚もその状況は十分認識しているはずだ。
それなのに何故、諸外国の失敗の道を辿るように、
「なし崩しの移民受け入れ」
を平然と制度化しようとするのか。
特に自民党の保守派の議員たちは一体何をしているのか。
結局、政府・与党は、人手不足を訴える一部産業界に阿って、国の未来を危うくする危険性に目を瞑っている。
本当に情けないことだが、これが今の政府・与党の現実だ。
「政治とカネ」
を巡る自民党の対応が問題になっているが、こちらの方が余程深刻だと思う。
■より低レベル人材を求める立憲
立憲民主党は対案として
「外国人労働者安心就労法案」
を提出した。
立憲民主党の説明によれば、政府案では外国人の人権侵害の要因が除去されなていないのに対し、対案は外国人の人権を守る内容だという。
しかし、中身を見ると、
「外国人の人権を守る」
とは逆行している。
まず、技能実習と特殊技能を一本化して
「一般労働」
という制度に改め、受け入れのハードルをこれまでより引き下げる。
技能講習でも政府・与党案の育成就労でも最低限の日本語能力が求められるが、これを不要にするという。
とんでもない話だ。
日本語のできない低技能労働者を受け入れれば、職場でも地域社会でもこれまで以上にトラブルが生じる。
周囲の日本人に迷惑を及ぼすだけでなく、外国人自身にとっても人権侵害や差別を受ける可能性が高まるだろう。
更に
「永住資格の取り消し」(永住者が税や社会保険料の支払いを故意に怠る場合や一定の犯罪を犯した場合に資格を取り消す規定)
には反対し、規定を削除している。
これもおかしなことだ。
ルールを守らない外国人を野放しにすれば、外国人への反感が高まり、ルールを守る外国人までその対象にされかねない。
むしろ外国人への人権侵害を増幅しかねない。
何故こんな逆行した対案を出すのか。
結局、本当に人権を守りたいわけではないのだと思う。
本当に人権を守りたければ、低技能労働者を受け入れるのをやめ、安価な労働力として悪用される道を断てば良い。
「可哀相な外国人」
を作らないよう未然防止するのが最善の解決策だ。
ところが、立憲民主党の対案は、政府・与党案以上にもっとレベルの低い低技能労働者を受け入れ、問題を起こす外国人も在留させ続けようという。
「可哀相な外国人」
をもっとたくさん作って、その上で
「可哀相な外国人」
を守ろうという話だ。
マッチポンプそのものだが、これが
「人権を守る」
と称する人たちの求めていることだ。
参考人質疑の際、共産党の本村伸子議員から、諸外国での移民受け入れの状況について問われ、私はこう答えた。
多くの国には、安価な労働力を求める産業界がある。
一方で、可哀相な外国人を受け入れたい、守りたいという人たちもいる。
これらは全く異質なようだが、実は同じ方性を向いて、一緒になって社会を悪くしてきた。
これが欧米諸国の多くで起きてきたことだ。
現在の国会状況を見れば、日本でも同様に、産業界と人権左翼の結託が起きている。
自民党は、産業界の要望に応えて安価な労働力の受け入れを制度化しようとする。
立憲民主党は、可哀相な外国人を守ると称し、更に低レベル人材を受け入れようとする。
与野党どちらも、安価な労働力を受け入れる方針では合致して、どちらがより社会を悪くできるかを競い合っている状況だ。
そして、基本的な方向は合致しているから、こんな劣悪な政府・与党案に対して、野党は徹底抗戦しようとしない。
粛々と法案は成立に向かっているのだ。
しかも、採決に際しては、
「永住資格の取り消し」(永住者が税や社会保険料の支払いを故意に怠る場合や一定の犯罪を犯した場合に資格を取り消す規定)
に関して立憲民主党の主張を一部受け入れ、
「外国人の状況に配慮して行う」、
即ち資格取り消しは抑制的にしか行わない旨の修正が施された。
せっかく的確な改正がなされようとしていたのに規定の実効性を損なったわけだ。
最早、与野党で手を握って、社会を危機に向かわせようとしているとしか思えない。
■一刻も早く国民的議論を
残念ながら、こうした惨状をマスコミは全く報じない。
私は、これまでも技能実習の見直しについて、マスコミの報道がおよそ的外れであることを繰り返し指摘してきた。
2023年5月に法務省の有識者会議が中間報告を出した段階で本誌2023年7月号に
「弱者を作る朝日 移民を歓迎する産経」、
本誌2023年11月号に最終報告が出た段階で産経新聞にコラム
「『外国人に選ばれる国』という美名の下に…」(2023年12月10日付)
を寄稿し、新聞各紙は
「人権を守れ」
「選ばれる国に」
などと唱えるばかりで、
「安価な労働力」
に偏った外国人受け入れなどの根本問題に触れていないことを指摘してきた。
国会での法案審議の段階になっても状況は全く変わらない。
▼読売新聞は、
「外国人の就労環境を改善せよ」
「『選ばれる日本』にしていくことが大切だ」
と説いている(2024年2月10日付社説)。
▼産経新聞は、
「労働環境の是非を着実に」
と唱え、取って付けたように
「移民に対し安易に道を開くことにならにように」
と付け加えるだけだ(2024年3月21日付主張)。
▼朝日新聞は、
「労働者の権利を重んじる態勢に生まれ変われるのか疑問」
と指摘し、永住資格の取り消しについては
「筋違いで、共生の理念を否定するメッセージ」
と厳しく批判している(2024年5月10日付社説)。
いずれも、これまで本稿で述べてきたような外国人政策の根本問題には全く目を向けていない。
更に、ルールを守らない外国人との
「共生」
を求める朝日新聞に至っては、論外と言う他ない。
マスコミがダメだから、国会でもダメな議論しかなされない。
本来、外国人政策は、国の未来の姿、国民1人1人の生活に重大な影響を与える。
国民が議論に参画し、選挙などを通じ選択すべき課題だ。
一刻も早く、国民的議論の土台を整える必要がある。
そのため、
「移民政策は採らない」
などの意味不明な言葉で誤魔化すのでなく、明確な選択肢を示して議論がなされるべきだ。
第1の道は、従来の延長、即ち
「低技能労働者を中心とした移民受け入れ」
の拡大だ。
これは、欧米の多くが辿って来た道だ。
「深刻な人手不足への対応」
「人口減少する地方の活力維持」
「外国人の人権を守る」
などともっともらしい説明がよくなされるが、行き着く先は大概同じだ。
第2の道は、
「外国人排斥」
だ。
欧米各国では、第1の道で深刻な社会問題が生じ、反作用として極端な排外主義を唱える勢力が力を強めた。
第1と第2の道の対立で、社会の分断も招いた。
日本でも今後、こうした声が高まる可能性は高い。
第3の道は、そのいずれでもなく、冒頭でも触れた
「外国人を選ぶ」
道だ。
経済社会を豊かにすることに貢献する高度人材は積極的に招き、低技能労働者は受け入れない。
表向きの説明としては、日本政府はずっとそう言い続けてきたのだから、本当にその通り実行したらよい。
私は、欧米諸国の失敗を踏まえれば、これが進むべき道だと考えている。
いずれにせよ、このまま漠然と
「なし崩しの移民受け入れ」
を延長・拡大し、社会が大混乱に陥ってからでは手遅れだ。
1度立ち止まって、国の進む道を冷静に議論するには、今が最後のチャンスだ。

育成就労法案、衆院通過へ 労働力不足に外国人材確保 職場変更「転籍」も可能
2024/5/21 7:11
https://www.sankei.com/article/20240521-PBYN6RJRE5MVXCKDP3TIJGYTHM/
技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度
「育成就労」
を創設する入管難民法と技能実習適正化法の改正案が2024年5月21日、衆院本会議で可決され、衆院を通過する。
参院に送付され、今国会で成立する見通し。
人手不足の分野で労働力を確保し、即戦力とされる特定技能水準の人材を育て、長期就労を促す。
公布から3年以内に施行する。
育成就労の在留期間は原則3年で、技能実習では原則禁止されていた同じ業務分野で職場を変える
「転籍」
を一定の条件で認める。
転籍手続きなどで悪質なブローカーを排除するため、民間業者の関与を禁じる。
技能実習で受け入れ仲介を担う監理団体は
「監理支援機関」
と名称を変え、外部監査人を設置して中立性を高める。
今後は永住者の増加も見込まれるとして、納税などを故意に怠った場合は永住許可を取り消し、別の在留資格に切り替える規定も盛り込んだ。
衆院審議では与野党が修正を協議し、永住者の生活状況に配慮することなどを付則に追加した。

国貧しくする外国人政策
政策シンクタンク代表 原英史 
2024/4/28 8:00
https://www.sankei.com/article/20240428-7IRYKFFZSFP2TFLRAJTQM47IVE/
外国人の技能実習制度の見直しなどを内容とする出入国管理法等改正案の国会審議が始まった。
2024年4月26日、衆院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人の1人として陳述を行った。
私の述べた意見は、技能実習など個別制度の手直しの前に、まず
「外国人基本法」
を制定し、受け入れの戦略を明確にすべきだということだ。
政府は従来、なし崩しで外国人政策を進めてきた。
表向きは
「移民は受け入れない」
と言いつつ、実態は安価な外国人労働力の受け入れが拡大した。
日本人に十分な賃金を払って人材確保できない企業や業界が、安易に外国人労働者に頼り、入管行政も要望に応えた。
「国際協力」
が目的の技能実習制度などの悪用を政府が容認してきたのだ。
この結果、劣悪な労働環境や失踪などの問題が生じ、外国人による犯罪、社会的トラブルなども広がりつつある。
業界・企業が賃上げせず事業継続する道が用意され、賃金水準低迷の一因となった。
今回の改正案はこうした根本問題を解決するものではない。
「技能実習制度の廃止」
を掲げ、実態とかけ離れた国際協力の名目を人材育成などに改めてはいるが、実質大きく変わった点と言えば、転職を認めた程度だ。
看板の掛け替えに近い。
今後、人手不足が拡大する中で外国人受け入れの規模は拡大するから、これまでの戦略なき受け入れの負の側面は、更に大きく広がりかねない。
政府が今、行うべきことは戦略なき状態の解消だ。
国民的な議論も経て、
「外国人基本法」
を制定することが不可欠だ。
基本法ではまず、何のために外国人を受け入れるのかを明確にする必要がある。
「人手不足の解消」
を目的とするのは危うい。
業界要望に安易に応え続けることになり、日本人も含めた賃金引き上げを阻害し、日本をより貧しい国にしかねない。
安易な労働力の受け入れは社会的軋轢も生みやすい。
目的は
「日本を豊かにすること」
とすべきだ。
生産性を高めて経済社会を発展させるため、貢献できる質の高い外国人を戦略的に受け入れていく必要がある。
併せて、外交・安保政策の観点で人的交流を強化すべき国から重点的に受け入れるよう戦略性も求められる。
日本に限らず、移民を巡る議論は、賛否が大きく分かれ、イデオロギー・感情的対立にも陥りがちだ。
解決の道は、安易な受け入れでも全面的排除でもなく、日本国にとって有用な外国人材を選び抜いて受け入れることだと考える。
だが、今回の改正案はなし崩しの延長で、安易な外国人受け入れの道を広げ、社会の混乱を招き、日本をより貧しくしかねない。
必要なのは、なし崩し的な移民から戦略的政策への転換だ。

「外国人に選ばれる国」という美名の下に… 政策シンクタンク代表・原英史
2023/12/10 8:00
https://www.sankei.com/article/20231210-K3VBLS7WBBPVZFO3Y4EMXZC6VA/
外国人が働きながら技能を学ぶ技能実習制度の抜本見直しに向けて、政府の有識者会議の最終報告書がまとまった。
国内外から指摘されてきた劣悪な労働環境などの問題を解消し、日本が
「外国人に選ばれる国」
になって、人手不足への対応を目指そうという。
具体的には
▽技能実習制度は廃止して新たに「育成就労」制度を設ける
▽人権侵害を防ぐべく、働く企業を変える「転籍」を認める
などの内容だ。
だが、欠落しているのは、
「外国人に選ばれる国」
になる前に
「日本国が外国人を選ぶ」
ことの重要性だ。
日本文化を愛し、地域に溶け込み、経済成長に大いに貢献する
「日本にいてほしい外国人」
もいれば、経済社会に貢献せず、犯罪を起こし、社会保障制度を悪用するなど
「いてほしくない外国人」
もいる。
後者が日本を選んでくれても害悪でしかない。
技能実習制度を巡る諸問題の根源は、この視点を欠いていたことだ。
「国際貢献」
という建前のもと、一部産業界の求める
「安価な労働力」
としての外国人受け入れに悪用されてきた。
欲しいのは
「安価な労働力」
だから、技能のない外国人を
「選ぶ」
ことなく受け入れ、余程の事がない限り在留し続けられる仕組みだった。
だから、劣悪な労働環境など人権侵害が生じ、一方、外国人犯罪なども起きがちになった。
本来必要な見直しは
「外国人を選ぶ」
制度への転換だ。
ところが、政府の有識者会議の最終報告書は小手先の見直しばかりで、問題の根源に手を付けていない。
新制度の目的は
「国際貢献」
から
「人材育成と人材確保」
に変えると言うが、
看板の掛け替えどころか、正面玄関から
「安価な労働力」
を受け入れることにも繋がりかねない。
一部産業界の要望に応え続けている限り、人権侵害の問題も解消しない。
結局、
「いてほしい外国人」
ほど日本を避け、選択肢の乏しい
「いてほしくない外国人」
ばかりが日本を選ぶ。
更に外国人受け入れの規模が拡大すれば、欧米諸国以上に深刻な移民問題に直面しかねなない。
これが
「外国人に選ばれる国」
という標語の行き着く先だ。
深刻な状況を前に主要新聞各紙の社説はおよそ的外れだ。
「(外国人に)選んでもらえる社会を作っていきたい」(朝日新聞)
「日本を『選ばれる国』に変えていくことが大切だ」(読売新聞)
「外国人にそっぽを向かれることになりかねない。政府は正念場」(日本経済新聞)
などと声を揃える。
せいぜい産経新聞が
「社会に様々な問題を生みかねない移民に対し、この改革が安易に道を開くことがあってはならない」
と一言指摘しているだけだ。
これでは、外国人政策はおかしな方向に向かうばかりである。

正論2024年2月号 政策シンクタンク代表 原英史
■人権左翼と一部産業界の結託?
政治とカネの騒動の陰で重要な政策転換も進んでいる。
その1つが技能実習制度の見直しだ。
技能実習を巡っては、劣悪な労働環境などの人権侵害、それに伴う失踪などが長らく国内外で指摘されてきた。
法務省の研究会でなされていた検討が2023年11月末にまとまり、2024年通常国会での法改正に向けて準備を進めることになった。
内容は、技能実習制度は廃止し、新たに
「育成就労」
制度を設けるという。
結論から言えば、看板の掛け替えどころか、むしろ更におかしな方向に向かっている。
そもそも技能実習制度の根本問題は、
「国際貢献」(途上国への支援)
という建前の下、
「安価な労働力」
として外国人受け入れの道を開いてきたことだった。
もちろん制度を有効利用する好事例もあり、全てを否定するわけではない。
だが、生産性の低い一部産業界が、賃金引き上げや設備投資の代わりに
「安価な労働力」
を要望し、政府が応えて対象業種を追加してきた面があった。
そんな事業者が利用しているから外国人への人権侵害が起きがちになった。
「安価な労働力」
を求める事業者は外国人を選ばず受け入れるので、犯罪なども起きがちになった。
生産性を高めない事業者を温存し、経済成長の阻害要因にもなった。
今回の報告書は根本問題に全く踏み込んでいない。
それどころか、
「就労育成」
制度は
「人材育成と人材確保」
が目的だという。
つまり、これまでのように
「国際貢献」
と建前を述べるのはやめて、堂々と
「人材育成」
と称する。
つまり、これまで通り、
「安価な労働力を」、
しかも正面玄関から受け入れようということだ。
その上で、人権侵害を防ぐため、別の企業などに移る
「転籍」
を認めるなどと言うが、小手先の見直しでしかない。
今、本当に求められるのは、
「日本国としてこれから、どんな外国人を(高度人材、安価な労働力など)、どのような方式で(短期か長期かなど)、どの程度の規模で受け入れるのか」
という国民的議論だ。
外国人の中には、日本の経済社会の成長や活性化に大いに貢献する
「日本に居て欲しい外国人」
もいれば、経済社会に貢献せず、罪を犯し、社会保険を悪用するなど
「日本に居て欲しくない外国人」
もいる。
これをどう選び、どう受け入れていくかが肝心なのだ。
政府はいつもこうした本来の議論から逃げ、技能実習の見直しなどの各論に突如入り込む。
基本戦略を定めていないので、結局、一部産業界などに引きずられ、なし崩しの移民受け入れに向かってしまうのだ。
これに対し、主要新聞各紙は的外れだ。
いずれも
「安価な労働力」
路線の継続を批判しようとはしない。
朝日新聞も毎日新聞も日経新聞も揃って
「これで外国人に選ばれる国になれるか」
と憂え、
「転籍」
をもっと拡大せよなどと論じている。
メディアがこんな状況では、外国人政策はおかしな方向に向かうばかりだ。
安価な労働力路線を続け、多くの
「日本に居て欲しくない外国人」
から
「選ばれる国」
になったところで、社会にとって害悪でしかないのは明らかだろう。
こんな状況から想起されるのは、欧米諸国でも生じてきた、人権左翼と一部産業界の暗黙の結託だ。
難民申請者などの幅広い受け入れに対し、人権を重視する勢力と、安価な労働力を求める一部産業界は、一見すると水と油のようだが、実は利益が一致している。
暗黙の結託を背景に、過剰な難民受け入れなどがなされてきた面が否めない。
今後、日本でも同様の事態が起きかねない。
事態は深刻だ。

弱者を作る朝日新聞 移民を歓迎する産経新聞
正論2023年7月号 政策シンクタンク代表 原英史
物事を見る時は、個々の事象の表層だけでなく、全体像や背後の構造まで見極めることが肝要だ。
例えば重大事故が生じた時、まず悲惨な被害状況などに向き合うことは欠かせないが、それだけでは不十分だ。
更に踏み込み、事故が何故生じたのか、製品の欠陥がなかったか、法規制や監督体制に問題はなかったかといった検証を行ってこそ、再発防止に繋がる。
報道機関にはそうした姿勢が求められる。
■入管法改正を巡る報道
しかるに2023年国会で焦点になっている入管難民法改正について、残念ながら新聞各紙の報道は実に底が浅い。
目立つのは、
「難民申請3回以降は送還可能」
について、在留外国人らの反対意見を紹介して批判的に報じるものだ。
毎日新聞(電子版)は
「ウィシュマさん妹『外国人の人権無視』入管法改正案の衆院委可決で」
(2023年4月29日)
で、今回の改正は
「不法滞在中の外国人の強制送還を進める狙いがあるが、日本で暮らす外国人の『排除』に繋がりかねないとの懸念も示されている」
とし、2021年に死亡したウィシュマさんの遺族の
「外国人の人権を無視し、尊重していない」
との意見を紹介している。
東京新聞は
「『国を分断する法案を許すな』『国家によるいじめだ』 入管法改正案への抗議デモ、国会前に4千人超」
(2023年5月13日)
で、仮放免中の外国籍の夫と暮らす女性のデモ参加者の声として
「夫は4回目の難民申請中」
「結婚したら収容はあり得ないと思っていたが、理由なく収容されて現実を受け止められず、弟に泣きながら電話したこともある」
「入管は厳正な判断をしているとは思えない」
「国を分断する法案を許してはいけない」
と報じる。
朝日新聞は社説
「入管法改正案 課題に背を向けた国会」(2023年4月28日)
でこう主張している。
「非正規滞在の外国人に対する入管当局の適正な処遇をどう確保するか」
「議論は大きな世論のうねりを生んだ」
「国会が拙速に封じるのは許されない」
(中略)
「入管施設での長期収容を防ぐ対策が問われたにもかかわらず、政府提出の法案は、収容をめぐる手続きに裁判所など第三者のチェックを入れることを避け、入管当局の強い裁量下にとどめる」
「難民申請中でも強制送還できる例外も設けた」
「保護を求めてきた人を迫害のおそれのある国に帰すリスクは高まる」
気になる点は色々ある。
「外国人の人権」
はもちろん尊重しなければならないが、外国人であっても日本にいる時は日本の法令を守らないといけない。
法令に違反したら収容や送還の対象になり得るのは当たり前だ。
東京新聞記事で紹介される女性は
「理由なく収容された」
と言うが、在留資格が切れているのに滞在していたので収容されたはずだ。
収容で引き裂かれて辛いだろうが、決して
「理由なく」
ではない。
だが、そうしたこと以上に根本的な問題は、不法滞在外国人に関わる不幸な事象の表層しか見ていないことだ。
■「弱者の味方」が弱者を作る
なぜ不幸な事象が生じてきたのか。
問題の根源は、不明瞭でどっちつかずで曖昧な入管行政だ。
確かに、難民認定はなかなか受け入れられない。
だが、申請を繰り返して長年日本に居続けることができる。
2010年以降は申請中の就労も法的に認められた。
在留資格が切れれば、収容されることもあるが、収容されないこともあり、何年も経ってから突然収容されることもある。
基準は不明確で運次第のようなものだ。
更に、在留特別許可という制度があり、日本人との結婚や、日本社会に定着しているなどの理由で特別に在留が認められることもある。
特に2000年代半ばには随分と許可がなされた。
こうした曖昧な入管行政が、
「日本にいれば何とかなる」
との期待をもたらしてきた。
難民認定申請者は、2000年頃は200〜300人程度だったが、2010年代後半には年間1万人以上に激増した(2018年に就労が制限されて2000〜4000人程度に減少した)。
政治的迫害など難民要件にはおよそ当てはまらず、経済目的で在留を望む外国人も相当程度含まれていたはずだ。
だが、期待と言っても、不確かな期待に過ぎない。
結果として、首尾よく在留できた人もいれば、収容や家族分断などの不幸な事態に陥る外国人も数多く生じたわけだ。
こうしてみれば、解決策は明らかだ。
認定基準を明確にすることだ。
保護すべき外国人は、何度も申請しなくても、迅速に難民や準難民として受け入れる。
認められない場合は、早期に退去してもらう。
曖昧な行政による不確かな期待を断ち切ることこそ肝要だ。
ところが、これに対し朝日新聞などは、
「申請を何度も繰り返す外国人が在留し続けられるようにせよ」
と唱える。
あやふやな期待を持たせ続けろというのだ。
「弱者の味方」
のつもりなのかもしれないが、実際には不幸な事態を更に引き起こすことになってしまう。
報じている記者らの気持ちは分からないでもない。
在留外国人などを取材するうちについ
「期待を持たせてあげたい」
と思うのだろう。
だが、不確かな期待を持たせてあげることで問題が解決するわけではない。
これも善意でやっていたことだろうが、不確かな助言で曖昧な入管行政が増幅した一部の支援者たちも、結果的には不幸を作り上げた一端だ。
朝日新聞などは自らの報道・主張が結局、新たな弱者を作りかねないことを自覚すべきだ。
■難民受け入れを進めた安倍内閣
外国人政策は全般に、建前と実態の乖離が深刻だ。
技能実習を巡る建前(国際貢献)の乖離はよく指摘されるが、もっと根本的な乖離もある。
まず
「移民は受け入れない」
という建前がある。
これについては、安倍晋三内閣の初期、経済財政諮問会議で
「年20万人の移民受け入れ」
が検討されたことがあった。
当時、諸方面から猛反発を受けて検討は中止され、その後は
「移民政策は採らない」
と言い続けることになった。
菅義偉内閣・岸田文雄内閣にも方針が引き継がれている。
だが、実態としてその間に何が起きたか。
「移民政策を採らない」
はずだった安倍内閣の間、外国人労働者総数は68万人(2012年末)から172万人(2020年末)と2.5倍に急拡大した。
その後コロナ禍で一旦鈍化したが、再び拡大しつつある。
「高度な外国人は受け入れるが、単純労働は受け入れない」
との建前もある。
だが、現実には100万人超の外国人労働者増のうち、半分は技能実習と留学生、即ち最も技能水準の低い労働者だ。
結局、実質的には
「単純労働を中心に毎年10万人以上の移民を受け入れてきた」
というのが現実なのだ。
何故こんなことになっているかというと、
「安価な労働力として外国人を利用したい」
という産業界の一部の要望に引きずられてきたためだ。
古くは1990年代から始まった日系移民の受け入れもそうだった。
その後は、技能実習や留学生アルバイトが広がった。
「移民は受け入れない」
「高度な外国人しか受け入れない」
との建前を守るため、名目上は
「日系だから」
「国際貢献(人材育成)のため」
といった理屈を付けてきたが、実態は
「安価な労働力としての外国人受け入れ」
そのものだった。
産業界の要望に引きずられるのは米国も欧州も同様だ。
メディアが
「日本と桁違いの認定率」
と称する難民受け入れも、実は
「安価な労働力を求める産業界」

「人権左派」
の意図せざる結託で過剰な受け入れがなされてきた面は否めない。
結果として過剰に
「安価な労働力としての外国人」
を受け入れ、移民に関わる深刻な社会問題をもたらした。
日本はこれまで受け入れ規模が小さかったが、今後、国内での人手不足の広がる中で
「安価な労働力受け入れ」
路線を拡大していけば、確実に欧米の轍を踏むのではないか。
■各社とも全体像度外視
技能実習については本来、こうした外国人政策の全体像を踏まえた見直しが求められるはずだ。
ところがメディアの報道では、劣悪な労働環境、失踪トラブル、海外からの「人権侵害」との指摘、といったことばかりが注目されがちだ。
法務省の有識者会議で2023年5月に公表された中間報告では、技能実習の廃止(人材育成を制度目的とする現行制度は廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新制度に)、転籍制限の緩和などを柱とする見直しの方向が示された。
これに対しても新聞各紙の報道は、
「外国人の人権を守れるか」
という視点での報道・主張ばかりだ。
朝日新聞は社説
「技能実習制度決別の意思を明確に」(2023年4月1日)
で、
「立場の弱い外国人の労働搾取だと指摘されてきた制度と、本当に決別できるのだろうか」
と危惧を示す。
日経新聞の社説
「技能実習制度の看板掛け替えでは困る」(2023年4月12日)
も、より抜本的な改革を求める内容だが、視点は
「日本が国際的な信用を取り戻すためには、技能実習制度の禍根を断ち、政策の転換を明確に示すことが欠かせない」
ということだ。
確かに
「外国人の人権」
は重要だが、課題はそれに止まらない。
「安価な労働力としての受け入れ」
を今後も維持・拡大するのか。
その場合に人材供給源はどう考えるのか(かつては中国、近年はベトナムだったが、経済水準が上がったので今後は難しい)。
諸外国で起きてきた移民問題にどう対処していくのか。
産経新聞くらいはまともな議論をしていないかと思って見てみたら、更にダメだった。
主張
「技能実習制度の廃止 人権を守る労働環境整えよ」(2023年4月25日)
では、人権問題を解決する観点から以下のように主張している。
「中間報告のたたき台案は、制度の目的を人材育成としたまま実習生を労働者として受け入れるのは『望ましくない』として制度廃止を求めた」
「その上で、人材育成だけでなく人材確保も目的とする新制度創設を提言したのは理に適う」
「ただしこれは移民問題とは別である」
「社会を変質させる恐れのある移民受け入れへと安易に道を開かないようにすべきだ」
率直に言って、これを書いた人は中間報告の意味が分かっていないのだと思う。
精度目的を
「人材育成」
から
「人材確保と人材育成」
に切り替えるとはどういうことか。
これまで表向き
「安価な労働力としての受け入れ」
とは言わずにこそこそとやってきたが、これからは正面から堂々とそう言ってしまおうということだ。
「人材育成」
も目的に残すことで技能水準の低い人材を受け入れ続けられる。
産経新聞はこの方針を
「理に適う」
として歓迎しているわけだ。
一方で
「移民問題は別」
とも言っているが、私の理解では、
「安価な労働力としての受け入れ」

「移民の受け入れ」
に他ならない。
政府の言い分では、
「在留期間の制限などがあるので移民には当たらない」
らしいが、どこの国でも単純労働者に最初から永住資格を与えることはあまりない。
今回の中間報告は、外国人政策の根本の転換だ。
だが、産経新聞までこの体たらくでは、国民の多くが気付かないうちに大転換がなされることになりかねない。
ここまで、私は外国人受け入れに否定的な主張ばかりしているように見えたかもしれないが、実は外国人雇用協議会という推進側の民間団体の代表理事も務めている。
本稿で述べたことはあくまで私個人の見解だが、この協議会も私も、能力水準が高く日本の経済社会に貢献できる外国人はもっと受け入れるべきとの考えだ。
高度人材に占める外国人の割合は、日本は欧米諸国などに比べて圧倒的に低い。
★高度人材に占める外国生まれの割合
OECDの資料を基に2010年11月経済産業省作成
◆15歳以上の高度人材の人口に占める外国生まれの割合
・英国 23%
・米国 16%
・フランス 13%
・ドイツ 13%
・日本 1%
これでは、グローバルな国際競争で日本が取り残され、日本の競争力は下がる一方だ。
日本の相対的な給与水準は急速に低下している。
2022年経済産業省が公表した
「未来人材ビジョン」
では、タイと日本の企業を比較し
「タイの方が部長に昇進する年齢が平均的に10歳若く、しかも年収が高い」
という衝撃的なデータも示された。
それなら能力に自信のあるアジアの若者は日本よりタイに行った方が良いわけだ。
このまま推移すれば、日本にやって来る外国人の水準はどんどん低下する。
経済社会への貢献度合いは小さくなり、半面で犯罪やトラブルは増えかねない。
そうした中で、
「安価な労働力としての外国人受け入れ」
路線を本当に更に進めるのか。
それで日本の競争力は上がるのか。
日本社会はどうなるのか。
産経新聞は
「社会を変質させる恐れ」
を本当に危惧するなら、真面目に考え直してもらいたい。
■「報道の能力」の欠如
毎年のことだが、
「国境なき記者団」
による
「報道の自由度ランキング」
が公表された。
朝日新聞ではこう報じられている。
朝日新聞
「報道の自由、日本は68位 主要7カ国で最下位」(2023年5月4日)
「国際NGO『国境なき記者団』(本部・パリ)は3日、2023年の『報道の自由度ランキング』を発表した」
「調査対象の180カ国・地域のうち日本は68位(昨年71位)で、昨年よりは順位を上げたものの、主要7カ国(G7)の中で依然、最下位だった」
「日本の状況について、『メディアの自由と多元主義の原則を支持している』としたものの、政治的圧力やジェンダー不平等などにより、『ジャーナリストは政府に説明責任を負わせるという役割を十分に発揮できていない』と批判した」
この記事は、重要な部分を報じていない。
本誌の読者ならば知っているだろうが、
「国境なき記者団」
のレポートでは例年、日本に関して
「記者クラブの問題」
「新聞・テレビのクロスオーナーシップ規制がないことにも起因する、メディアの極度の集中」
が指摘されている。
2023年も同様だ。
これらは
「政治的圧力」
などとは異なり、朝日新聞自らの問題だ。
少なくとも、このランキングを報じるならば、これらの点も報じないとおかしいだろう。
同時に、朝日新聞の報道の通り、
「政治的圧力」
などの指摘もある。
「2012年から右翼国家主義者(nationalist right)が政権について、ジャーナリストが敵視されている」
とか
「秘密保護法制で福島原発へのアクセスが制限された」
とか、私から見ると
「一体どこの国の話なのか?」
と思う内容だが、それこそ
「メディアの極度の集中」
の結果、朝日新聞など一部のメディアの特異な世界観や社会認識が世界にも広まっているのだろう。
私が思うに、日本のメディアに欠けているのは
「報道の自由」
ではなく
「報道の能力」
だ。
せっかく自由に報道できる環境があるのに、まともな報道ができていない。
今回取り上げた難民や技能講習に関しても、問題の本質に触れず、政府の方針に対する批判的検証もできていない。
決して政治的圧力で封じられているわけでなく、能力が欠けているからだ。
「政治的圧力」
云々と言うが、もし的確な取材に基づき自信を持って記事を出しているなら、圧力がかかっても、覚悟を持って抗したら良い。
実際には、能力不足で筋違いの記事を出しているためにしばしば抗議を受け、それに対し
「圧力だ」
と逆切れしているだけではないのか。
私自身、以前安倍政権で国家戦略特区ワーキンググループの座長代理を務めていた際、獣医学部の件をはじめ、いくつもの虚偽報道がなされ、その度に抗議していた。
朝日新聞本社に出向いて、そう間違っているのか詳細に説明したこともある。
担当の部長が何の反論もなく
「なるほど、なるほど」
と聞いているが、訂正記事が出ることはなかった。
毎日新聞にはデタラメな誹謗中傷記事まで掲載され、提訴して係争中だが、毎日新聞の言い分は
「そんなことは書いていない」
だった。
ひょっとすると朝日新聞や毎日新聞は、こうした抗議や提訴も
「政権の手先が圧力をかけてきた」
などと思い違いをしているのかもしれないが、まず自らの報道を省み、責任を持てる報道をしてほしい。
「ジェンダー不平等」
も同様だ。
取材対象に差別的な人物がいて、不当な扱いやセクハラを受けたなら、それを記事にして追い詰めれば良い。
能力不足でそれもできず、政治や社会のせいにしている様は、実に見苦しい。

国民を富ませない移民の経済効果
正論2024年7月号 青山学院大学教授 福井義高
政府が進める外国人の受け入れ策は事実上、移民社会へと舵を切ることにならないか。
その是非を巡って推進、制限論者とも自分たちの主張に拘泥し、感情論になりがちで、建設的な議論が進まぬ中、なし崩しに外国人労働者の受け入れは進んでいく。
筆者は2023年の本誌7月号で主にジョージ・ボーハス教授(米ハーバード大)による研究を基に、移民の経済効果を検討した。
建設的議論の一助とすべく移民を
「感情」
でなく
「勘定」
の問題として考えてみたのである。
その結果分かったのが、移民の受け入れは、受け入れ国のGDP(国民総生産)を増加させるけれど、移民の受け取る賃金相当分を除いた自国民に帰属するGDPはほとんど変わらないことである。
2015年の時点で移民労働者が全労働者の16%を占める米国でも、元からいる米国民分のGDPへの効果は全GDPの0.3%しかなかった。
ただし、移民の効果は企業と労働者で大きく異なる。
移民受け入れで賃金は下がり、企業利益(資本所得)は12%増加したのに対し、賃金は5%減少と推計された。
更に、自国労働者のうち移民労働者と競合する職種の賃金が下がる一方、移民と競合しない自国労働者は移民が従事するサービスの価格低下の恩恵を受ける。
こうした移民の経済効果は、米国に限らない。
2003年にオランダ中央計画局(CPB)が公表した報告書
「移民とオランダ経済」(Immigration and the Dutch Economy)
によれば、移民により労働者が5%増えると、資本(投資)財価格が一定で、移民が全て単純労働者だった場合、オランダの自国民全体への効果はほとんどない一方(GDPが0.06%増)、企業利益は4%増、非単純労働者賃金2%増に対し、単純労働者賃金は6%減少する。
米国とオランダの例から明らかなように、移民受け入れは、自国民の所得増を伴わない、格差を拡大する所得再分配政策なのである。
勝者は企業とエリート、敗者は一般国民である。
■不都合な結果
たとえ格差が拡大しても、高齢化が加速する中、外国人労働者に頼ることなしに日本経済は回らないのだから、受け入れざるを得ないという主張もあろう。
しかし、移民推進は、高齢化により益々厳しくなる国の財政状態を多少とも改善するどころか、更に悪化させるのである。
2023年に前述の
「移民とオランダ経済」
のアップデート版とも言うべき移民が財政に与える影響に焦点を当てた報告書
「国境なき福祉国家」(Borderless Welfare State)
の最終版が公表された。
(https://demo-demo.nl/wp-content/uploads/2023/06/Borderless_Welfare_State-2.pdf)
ただし、
「移民とオランダ経済」
が明らかにした移民の経済効果は、多文化共生を是とし移民受け入れを推進する政府にとって都合が悪いものだったこともあり、今回の報告は民間プロジェクトとして行われた。
オランダは2023年現在、人口が1800万人で日本の7分の1程度、65歳以上人口の割合は20%で日本の29%より低いものの高齢化が進んでおり、2021年のGDP比国民負担率(税金と社会保険料の合計がGDPに占める割合)は39%で日本の34%より高い。
日本同様、高齢化が財政に与えるマイナスの影響が深刻な問題と考えられている。
ただし、移民流入により人口は増加している。
例えば2022は前年に比べ、《native》即ち土着のオランダ人の人口は0.1%(2万人)減少したものの、移民とその子供は3.1%(13万人)増加し、全体では0.7%(12万人)増加した。
こうした中、報告書
「国境なき福祉国家」
は、通常アクセスできないオランダ全人口1720万人(2016年初人口+年間出生児数)の個人データを使い、オランダ人と移民、後者は出身地地域別にそれぞれどれだけ財政に貢献し、また支出を伴ったかを推計している。
まず、全人口がオランダ人1340万人と移民385万人に大別される。
移民は他国で出生しオランダにやって来た1世(第1世代)とその子供である2世(第2世代)からなり、全体の22%を占める。
尚、当初から帰国する予定の外国人労働者とその家族も含まれている。
移民は欧米(western)出身と非欧米(non-western)出身に大別され、更に42地域にグループ分けされている。
欧米に含まれるのは、ロシアを含む欧州諸国、北米(米国とカナダ)、大洋州(オーストラリアとカナダ)、インドネシア(旧オランダ領)そして日本である。
調査の基準となる2016年のデータを基に、オランダ人と移民に分けて財政への単年度ベースの影響を示したのが表1だ。
★表1 オランダ人・移民別財政への影響(単年度ベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算)
(注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計/日本は欧米に分類
「@人口(百万人)A人口(全体比)B貢献額(兆円)C支出額(兆円)D純貢献額(兆円)E純貢献額(GDP比)F1人当たり純貢献額(万円)」
・合計:@17.2AーB60.2C60.5D-0.2E-0.2%Fー
・オランダ人:@13.4A78%B49.5C46.3D3.2E2.3%F20
・移民全体:@3.8A22%B10.7C14.2D-3.5E-2.4%F-90
・移民欧米:@1.7A10%B5.9C5.7D0.2E0.1%F10
・移民非欧米:@2.1A12%B4.8C8.5D-3.7E-2.6%F-170
単年度ベースというのは、この1年間の収支に基づく、筆者たちの表現を借りれば
「静的」
な推計である。
尚、
「国境なき福祉国家」
のデータは全て2016年価格のユーロで表示され、その後のインフレが考慮されていない。
ここでは、オランダの2023年消費者物価指数が2016年比26%上昇したことを反映させ1ユーロを160円で換算して、2023年価格で表す。
以下、同様である。
全体の78%を占めるオランダ人の財政への貢献は49兆円5000億円だったのに対し、46兆3000億円が支出されたので、差し引き純貢献額はプラス3兆2000億円、GDP比プラス2.3%の貢献となった。
一方、全体の22%を占める移民は貢献額10兆7000億円に対し支出14兆2000億円で純貢献額マイナス3兆5000億円、GDP比2.4%の負担(-2.4%)をかけたことになる。
ただし、欧米出身と非欧米出身で大きく異なる。
全体の10%を占める欧米出身移民は貢献額5兆9000億円に対し支出額5兆7000億円で純貢献額プラス2000億円、GDP比プラス0.1%でほぼ収支トントンであった。
ところが、全体の12%を占める非欧米出身移民は、貢献額4兆8000億円に対し支出額8兆5000億円でGDP比2.6%の負担(-2.6%)をかけたことになる。
これは、1.6%と推計されているオランダにおける高齢化がもたらすマイナスの影響を上回っている。
1人当たりで見ると、非欧米出身移民は170万円の負担(マイナス170万円)となっている。
欧米出身移民は貢献額と支出額が釣り合っているので、移民の財政負担はほぼ全てオランダ人の肩にのしかかることになる。
■資本ストックで見る重要さ
しかしながら、単年度ベースの数値は、移民受け入れの効果を判断する上で、必ずしも適切な指標とは言えない。
移民受け入れは(マイナス価値のある場合も含め)一種の投資であり、永住せず出国(remigration)する移民もいるけれど、長期に渡って財政に影響を与えることは間違いない。
移民を受け入れることに伴い、学校教育や医療、その他行政サービスを追加的に提供する必要が生じ、財政負担が増す。
従って、将来に渡る移民のストック(複数年度ベース)価値を推計する必要がある。
実際、
「国境なき福祉国家」
では、単年度ベースの静的アプローチでなく、経済学で
「世代会計」
と呼ばれる手法を用いたストックベースの動的アプローチが必須であることは移民に限らない。
政府がある年に長期に渡る支出にコミットしても、その年の支出として計上されるのは実際に支払った額だけである。
例えば、日本政府が10年間毎年1兆円合計10兆円の新規道路建設を決定しても、最初の年には1兆円しか支出計上されない。
しかし、財政への影響を考える場合に重要なのは、長期に渡って必要となる10兆円という金額であることは自明だろう。
さて、投資即ちストックとしての移民を考える場合、移って来た本人のみならず、その子供たちの分も考慮する必要がある。
また、移民全てが永住するわけではないので、受け入れ国にとってのストック価値を推計するには、出国する可能性も考慮し、その分を控除する必要がある。
「国境なき福祉国家」
は、この2点を考慮に入れた推計をメインの数値としてしている。
移民1人当たりの子供の数については、出身地域別で出生率が違うことも考慮されている。
まず、欧米出身移民に関しては、ストック価値はほぼゼロと推計された。
つまりオランダ財政に貢献もしないけれど、負担にもならないということである。
★表2
非欧米出身移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ160円換算)
@2016年A2015〜2019年平均B1995〜2019年平均
・純貢献額(兆円):@-6.4A-5.4B-3.4
・2016年GDP比:@-4.5%A-3.8%B-2.4%
一方、表2に示したように、非欧米出身移民は、1995〜2019年の25年間で見ると、財政への純貢献額は年平均マイナス3兆4000億円、GDP比2.4の負担(-2.4%)であった。
2015〜2019年の直近5年間だと、純貢献額はマイナス5兆4000億円、GDP比3.8%の負担(-3.8%)、2016年は難民が大量に入国したため、純貢献額はマイナス6兆5000億円、GDP比4.5%の負担(-4.5%)であった。
要するに、非欧米出身移民はマイナスの資本ストックであり、オランダ人にとって移民受け入れは、ただでさえ高齢化によって厳しくなる一方の財政状況を更に悪化させる負の投資ということになる。
「今年いくらかかったか」
というフローで見るよりもストックで見た方が、貢献額がプラスの場合は小さく、マイナスの場合は更にマイナス幅が大きくなる。
これは、移民1世は大人になってから入国するので、オランダ人にも共通する、子供時代の財政上のマイナス要因(公教育コストなど)がかからないためである。
■移民1人当たりはどうか
移民全体でなく、移民1人当たりで見た場合、オランダで生まれる子供や出国の可能性を考慮した、ストックとしての財政への影響はどのくらいなのか示したのが表3である。
★表3
出身地別1人当たり移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算)
(注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計
@出国の可能性を考慮した場合(基本推計)A出国の可能性を考慮した場合(最小推計)B出国の可能性を考慮した場合(最大推計)C永住した場合
(単位:億円)
・仮想オランダ人:@プラス0.2AーBーCプラス0.4
・移民平均:@マイナス0.3AーBーCマイナス0.5
・移民欧米:@0.0AーBーCプラス0.1
・移民日本:@プラス0.4Aプラス0.3Bプラス0.5Cプラス1.0
・移民非欧米:@マイナス0.6AーBーCマイナス1.0
・移民中国:@マイナス0.1Aマイナス0.2B0.0Cマイナス0.2
・移民トルコ:@マイナス0.7Aマイナス1.0Bマイナス0.6Cマイナス1.1
・難民平均:@マイナス1.0AーBーCー
・難民欧米:@マイナス0.6AーBーCー
・難民非欧米:@マイナス1.1AーBーCー
・難民トルコ:@1.0AーBーCー
推計に際して、当然ながら多くの仮定が置かれており、仮定を変更すると数値が大きく変動するようでは信頼が置けない。
その懸念に対応し、仮定をもっともらしい範囲内で変えた推計がいくつか試みられている。
結果的に、最小推計と最大推計の差はさほど大きくなく、基本推計の数値はかなり信頼度が高いと思われる。
まず、比較の基準として、オランダ人と同じ属性の人間が移民として訪れた場合を考える。
入国する年齢や出国の可能性も考慮した、この
「仮想オランダ人」
のストック価値はプラス2000万円である。
移民は平均でマイナス3000万円と推計される。
ただし、出身地域別の違いは大きい。
欧米出身移民は全体ではほぼ財政に中立的ながら、日本出身移民はプラス4000万円の
「優良資産」
となっている。
日本以外では北米、大洋州、北欧、そして西欧の一部からの移民のストック価値が高い。
皮肉なことに、途上国の移民が行きたいと願う国からの移民こそ、オランダにとって
「資産」
価値があるということだ。
一方、欧米系でも東欧の一部からの移民のストック価値はマイナスである。
非欧米出身は平均でマイナス6000万円の
「負債」
となる。
ただし、やはり出身地別のバラツキは大きく、中国がマイナス1000万円であるのに対し、トルコはマイナス7000万円となっている。
移民は更に入国理由別に推計されており、オランダに限らず受入国にとって最も負担となる難民の場合、欧米出身(旧ユーゴスラビアなど)がマイナス6000万円、非欧米出身はマイナス1億1000万円だった。
その多くがクルド系と思われるトルコからの難民はマイナス1億円である。
更に、移民が永住した場合の推計も行われている。
財政貢献がプラスにせよマイナスにせよ、永住を仮定しない基本推計よりも、絶対値(プラス幅あるいはマイナス幅)は大きくなる。
とりわけ、例外的に日本出身移民は2世になってもオランダ人より純貢献額が大きいので、ストック価値はプラス1億円となる。
一方、トルコ出身移民はマイナス1億1000万円である。
トルコ出身のうち難民の数値は未公表なものの、恐らく1億5000万円前後と思われる。
日本出身移民が例外的というのは、日本以外でストック価値が高い欧米出身移民の場合、2世になるとほぼ財政に中立的なオランダ人(2016年生まれの場合、ストック価値マイナス60万円」)にほとんど同化するのに対し、日本出身2世はストック価値がプラス2000万円と推計されるからである。
■福祉国家が終わる
オランダ財政に貢献する移民と負担となる移民を分けるものは何か。
学力(教育レベル)と共に重要なのが文化的距離(宗教や慣習などの隔たりの大きさ)である。
学力が高いほど、出身地とオランダの文化的距離が近いほど貢献額は大きく(負担額は小さく)なる。
実は、日本出身移民はオランダ人より学力が高く、日本は米国よりも文化的距離がオランダに近いとされている。
その結果、日本出身移民の財政から見た同化度はオランダ人(定義上100%)を上回る134%となっている。
一方、貢献額がマイナス即ちオランダ財政の負担となっているのが、学力や文化的距離で隔たりがある
「アフリカ・イスラム・クラスター」
である。
推計では2世までしか考慮されていないけれども、こうした地域からの移民は、3世以降もオランダ社会への同化が進んでいないため、財政上の重荷である状態が続くと考えられる。
従って非欧米出身移民による財政への負の影響は、推計値よりもっと大きい可能性が高い。

「アフリカ・イスラム・クラスター」
の移民2世にかかる治安維持コストは他地域の2世の2.3倍と推計されている。
日本同様、オランダでも少子高齢化が進んでいる。
推計時の出生率はオランダ人女性1.7、欧米移民女性1.4、非欧米移民女性2.0であった。
コロナ禍前2019年には更に低下し、オランダ人女性1.6、欧米移民女性1.3、非欧米移民女性1.9だった。
少子高齢化による年金財政悪化、経済成長率低下に対処するには、移民を必要とする意見がある。
しかし、
「国境なき福祉国家」
が示したのは、途上国からの移民流入は、財政を更に悪化させ、そのマイナスの影響は高齢化の影響を上回るという現実である。
途上国出身の場合、難民だけでなく、労働移民であっても財政には負担となる。
「働くならば移民は問題ない」
という主張は正しくないのだ。
財政問題を度外視するとして、オランダが現実の年齢人口バランスを維持するために移民受け入れを進めた結果、21世紀終わりには人口は1億人に達する。
ただしオランダ人は僅か1割の少数派になってしまう。
「国境なき福祉国家」
が指摘するように、移民で少子高齢化を抑制する試みは必ず行き詰まる
「ネズミ講」
のようなものである。
今回の推計に含まれていないけれど、オランダのように既に人口密度が高い国の場合、人口増が社会・自然環境にもたらす非財政的コストや、自国民の心理的コストを無視することができない。
可住地面積当たり人口密度がオランダの倍近く、同質性の高い社会を長年に渡って構築してきた日本の場合、こうしたコストは更に大きなものとなるのは確実である。
オランダ政府は、ほぼ無条件に受け入れている
「難民」
と称する移民の多くが制度を悪用していることを認めている。
にもかかわらず、有効な対策を取ろうとしない。
労働移民についても、選り好みせず途上国から受け入れている。
<報告書は
「政府の移民政策」
が長期的に何を意味するかについて以下のことを疑いなく示した>
<財政への増大するプレッシャー、そして最終的には我々が知る福祉国家の終わりである>
<従って、現在の法的枠組みを続けるという選択は、明示することなく福祉国家に反対する選択なのだ>
■議論に欠けるもの
本稿ではオランダを例に、移民を財政的観点から分析する見方を紹介した。
多文化共生あるいは人権の観点に基づく移民推進論者は、移民の是非を金銭価値のみで判断するのはけしからんと主張するであろう。
しかし、移民を巡って、どのような美辞麗句で飾り立てようと、途上国からの大量移民は、一般国民からエリートへの所得再分配をもたらす上、財政を圧迫し、自国民に対する行政サービス水準を低下させる。
とりわけ弱者に対するセーフティーネットを劣化させる可能性が高い。
如何なる政治信条の持ち主であろうと、政治家が第1に考えねばならないのは、まず自国民、とりわけ弱い立場にある国民の福利であるはず。
ここで指摘した移民の経済財政効果を十分考慮せず、なし崩しに外国人労働者を受け入れることは、自国民への裏切りと言っても過言ではない。
【付記】本稿作成に当たり、「国境なき福祉国家」の筆頭著者ヤン・ファンデベーク博士より貴重な助言を賜った。

人手不足論はまやかしの市場重視
正論2023年7月号 青山学院大学教授 福井義高
海外からの移民を積極的に受け入れるべきという意見には2つのタイプがある。
まず、昨今流行りのダイバーシティ、多文化共生の観点からのもの。
一方、こうした移民による多様化推進論に対しては、日本社会の独自性を保つため、移民は受け入れるにしても限定的にすべきという主張も有力である。
もう1つの移民推進論は、人口が減少する中、経済成長を実現するには、移民による労働力確保が不可欠という、経済的要請によるものである。
実際、様々な分野で、なし崩しに外国人労働者受け入れが進んでいる。
多様性か独自性かという、特定の価値観に基づく主張は、お互い自分が正しいことを前提に相手を非難する感情論になりがちで、言いっ放しに終わってしまう。
それに対し、経済的観点からの是非は、生前、経済倫理学を提唱された竹内靖雄元成蹊大教授に倣って、感情ではなく勘定、つまり損得の問題として、検討することが可能である。
「感情」
ではなく
「勘定」、
つまり損得の問題として、検討することが可能である。
というわけで、ここでは高邁な文化論は避け、対象を移民(外国人労働者)の経済効果に絞って考えてみたい。
■もし国境を撤廃したら
第二大戦後、米国主導で進められた貿易自由化によって経済成長が促進され、日本のみならず各国国民の生活水準は大きく向上した。
貿易自由化とは、モノの移動に関して国境を撤廃するということなので、ヒトの移動に関しても国境を撤廃すれば、更に経済成長が促進されると考えても不思議ではない。
実際、グローバル経済推進論者は、そのように主張している。
もし世界中で移民制限を撤廃し、ヒトの移動を完全自由化すれば、その経済効果は如何ほどなのか。
幸い、移民の経済研究の第一人者であるジョージ・ボーハス教授(ハーバード大)がシミュレーションを行っているので、その結果(一部筆者推計)を紹介しよう。
ここでは、途上国の労働者は祖国を離れることに特別なコストは伴わないケースを取り上げる。
まず、世界銀行の推計に基づき、世界を人口11億人うち労働者6億人の先進国と、人口59億人うち労働者27億人の発展途上国に大別する。
現実のデータに即して、先進国・途上国共に、企業が利益を人件費に回す割合を示す
「労働分配率」
を70%、先進国と途上国の賃金格差を4対1と仮定する。
移民自由化の賃金格差は、労働力の質ではなく、社会の仕組みを反映したもので、先進国の高賃金は、途上国に比べて、より効率的な経済活動を可能とするものになっているからと考える。
従って、移民を完全自由化すれば、自由貿易によって同じモノの値段が世界中で等しくなるように、ヒトの値段即ち賃金も世界中で同じなる。
また、移民を完全自由化すると、先進国と途上国の人口と賃金はそれぞれどうなるのか、2つの場合を考える。
まず、移民を受け入れても、それまで効率的な経済活動を可能にしてきた先進国の社会体制が変わらない場合、そして、途上国からの大量移民で、先進国の社会が半ば途上国化する場合である。
先進国社会不変の場合、世界全体の国内総生産(GDP)は57%増加する。
ただし、先進国経済に対する移民の経済効果を見るには、移民自身が得る経済効果(賃金)を除外し、土着の自国労働者賃金と自国資本に帰属する所得の合計を、移民自由化前後で比較する必要がある。
移民賃金を除外しても先進国のGDPは39%増加するので、モノの自由貿易同様、ヒトの移動自由化は自国民に帰属する経済のパイを大きくする。
しかし、移民自由化がもたらすGDP増加は、大規模な移民と表裏一体である。
国境撤廃によって、労働者の家族も含めて、途上国人口の95%に当たる56億人が先進国に移住することになるのだ。
その結果、国民・移民共通の先進国賃金は39%減少する。
ただし、途上国からの移民から見れば143%の増加である。
一方、先進国の資本所得(企業利益)は、労働者増・賃下げの恩恵で、220%増加する。
大量の移民が流入すれば、受け入れる側の先進国の社会体制が、その経済効率性も含めて、大きく変化すると考える方がもっともらしい。
やって来るのは、働くロボットではなく、人間なのだから。
途上国からの大量移民で先進国社会が半ば途上国化する場合、移民自由化前より低下するとはいえ、それでも途上国より高い生産性が維持される先進国に、途上国人口の84%に当たる50億人がやって来る。
その結果、世界全体のGDPは13%増加するものの、社会の途上国化で、移民に支払われる賃金を除外した先進国のGDPは7%減少すると共に、自国民・移民共通の先進国賃金は56%減少する。
それでも移民から見れば74%の賃上げである。
一方、先進国の資本所得(企業利益)は、社会の途上国化によるマイナス効果にもかかわらず、労働者増・賃下げ効果がそれ以上に
「貢献」
し、108%増加する。
移民自由化の勝ち組は、言うまでもなく、まず先進国で働くことで賃金が大幅に上昇する途上国からの移民である。
そして、途上国から安い労働力を
「輸入」
することで、利益を大幅に増やすことができる企業である。
一方、負け組は、移民労働者による
「賃金ダンピング」
で、大幅な賃下げを余儀なくされる先進国の自国労働者である。
先進国における移民推進とは、グローバル化とか多様性とかいった美辞麗句を取り去って、その経済効果を直視すれば、労働者から資本家・経営者への所得再分配政策である。
ボーハス教授が指摘するように、
「先進国の労働者が、国境撤廃論者に従うことを拒否するのは、人種差別や外国人排斥とはほとんど関係ない」
「単に新世界秩序(New World Order)から恩恵を受けないからなのだ」。
移民推進は、先進国の国民大多数から見ると、勘定の問題として割に合わないのである。
■移民大国、米国の場合
国境完全撤廃によって途上国民の大半が移民するケースなど非現実的過ぎて、今後の日本の移民政策の参考にならないという批判があろう。
確かにそうかもしれない。
そこで、移民大国である米国の実例を、ボーハス教授の推計(一部筆者推計)に依りながら、見てみよう。
結論から先に言ってしまえば、移民推進が所得再分配政策であるという、その本質は変わらない。
2015年のデータによると、全労働者のGDPに対する貢献分は12%を占める。
しかし、移民流入で増加したGDPから移民の取り分を除くと、移民が自国民にもたらす経済効果はGDPの0.3%でしかない。
ただし、GDPの内訳を見ると、自国労働者の取り分が3%減少したのに対し、企業の取り分は3%増えている。
国境完全撤廃でほとんどの途上国民が先進国に殺到する場合と異なり、移民労働者が全体に占める割合が
「僅か」
16%であっても、移民労働者がいない場合に比べ、賃金は5%低下し、企業利益は13%も増加するのである。
更に、移民に対して提供される公的サービスの財政負担増が移民の納税額を上回る、つまり財政純負担増は確実であり、移民流入のネットのGDP貢献分0.3%は、その純負担増で帳消しになるか、マイナスになっている可能性が高い。
ここまでは労働者を一括して扱ってきたけれども、労働者といっても、大企業経営幹部から非正規雇用の単純労働者まで様々である。
実際に、移民労働者との競争を強いられ、賃金低下圧力に晒されるのは、元から低賃金の職種に従事する自国労働者である。
ボーハス教授の推計によれば、移民流入で競合する職種の労働者が10%増えると、その賃金が少なくとも3%、場合によっては10%程度低下する。
一方、移民労働者と競合しないエリートたちは、むしろ移民労働の恩恵を受ける側である。
移民推進は労働から資本への所得移転のみならず、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転をもたらす。
そもそも、アメリカは移民の国とされるけれども、これまで常に大量の移民を受け入れてきたわけではない。
日本では
「排日移民法」
と呼ばれる1924年に成立した改正移民法により、北・西欧系を除く移民が大幅に制限され、1920年代半ば以降、移民が激減する。
それから約40年経った1965年に移民法改正が行われた際、法案を提出した国会議員も政府も、この改正は移民送出国の構成が若干変わるだけで、移民数自体が増加することはないと
「確約」
したにもかかわらず、移民数は激増、しかも、改正前と異なり、欧州ではなく、途上国からの移民が大多数を占めるようになった。
20世紀半ばの移民制限期に所得格差が縮小したのに対し、大量移民が始まった1970年代以降、所得格差が拡がり、今日に至っている。
この間、米国非管理職労働者のインフレ分を除いた実質賃金はほぼ横ばいだったのに対し、大企業社長(CEO)報酬は労働者賃金の20倍程度だったのが、300倍を超える水準となっている。
■誰のための移民推進なのか
まず、移民の経済的メリット・デメリットを検討するに当たり、何を基準とするのか、はっきりさせる必要がある。
移民自身から見れば、日本の移民受け入れはプラスに決まっている。
そうでなければ、そもそも日本にやって来ない。
しかし、デモクラシーにおける政策の判断基準は、まず主権者たる国民の幸福や豊かさであり、今いる日本人にとって新たな移民受け入れがどのような経済効果をもたらすかが、移民政策の是非を巡る判断基準となるべきであろう。
出生率の低下で人口が減少する中、新たな労働力として大量の移民を受け入れれば、日本のGDPが押し上げられることは間違いない。
ただし、経済成長政策として有効か否かを判断するには、移民を受け入れなかった場合のGDPと、受け入れた場合のGDPから移民賃金と移民受け入れに起因する純財政負担を引いた額を比較しなければならない。
米国の実例でも分かる通り、移民推進は自国民の経済成長にはほとんど影響しない、ほぼ純粋な所得再分配政策である。
社会の途上国化による生産性の低下、純財政負担を考慮すれば、経済成長への効果はむしろ全体としてマイナスの可能性が高い。
移民推進は、労働から資本への所得移転に加え、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転を引き起こす、弱肉強食の格差拡大政策なのだ。
企業経営者をはじめ社会のエリートたちに移民推進論者が多いのは、要するに自分にとって得だからである。
多様化推進の観点からの移民推進論も、こうした主張を行う人が概して高学歴エリートであることを鑑みれば、正義感溢れる
「感情」
論でカムフラージュされた
「勘定」
論と見ることもできる。
一方、欧米では弱者の味方のはずの左翼・リベラルが移民受け入れを推進しているけれども、これは比較的最近の現象である。
元々、左翼・リベラルの間では、支持基盤だった労働者の利益を守るため、移民受け入れに慎重な意見が有力であった。
冷戦時代、
「移民の継続は深刻な問題をもたらす」
「合法、不法とも移民をストップせねばならない」
と主張したのは、極右どころか欧州左翼の大立者ジョルジュ・マルシュ仏共産党書記長である。
米国のある有力な大統領候補もこう語っていた。
「不法移民流入を阻止せねばならない」
「この目的を達するため、国境警備要員を増やさねばならない」
「合法移民に関する法律も、合衆国が移民の数と質をもっとコントロールできるよう改正せねばならない」
「移民受け入れに関しては、まず、合衆国は、無責任な他国干渉への干渉ーこうした干渉はほぼ確実に政治難民を生み出すーによって難民が生じることだ」
「もっと用心しなければならない」
「本当に難民かどうか、より確実に難民申請を審査せねばならない」。
発言の主はドナルド・トランプ前大統領ではなく、ベトナム反戦で名を馳せたリベラルの雄、ユージン・マッカシー民主党元上院議員である。
要するに、今日の労働者は左翼・リベラル主流派に見捨てられたのである。
ただし、新たな動きも見られる。
ドイツで急進左翼の代表格とみなされてきた旧東独出身のザーラ・ヴァーゲンクネヒト左派党連邦議会議員が、大量移民は自国労働者の経済的利益を損なうという
「勘定」
論を前面に出した移民反対論を唱え、左翼・リベラル主流派から非難される一方、
「極右」
正統とされるAfD支持者の間で大人気となっている。
■低賃金は企業の敗北宣言
豊かな社会では、必要であったも自国労働者がやりたがらない仕事が増え、移民なしにはやっていけないという主張をよく聞く。
しかし、先進国で移民が従事するのは、自国労働者がやらない仕事ではなく、現在の賃金水準ではやりたくない仕事である。
不法移民を一掃した米国のある地域で現実に起こったように、外国人労働者がいなければ、自国労働者がやりたくなる水準まで賃金は上昇する。
また、企業は技術革新で乗り切ろうとする。
実際、それは高度成長期の日本で起こったことである。
「人手不足」
にもかかわらず、移民を入れなかったことで、製造現場ではロボットが普及して省力化が進み、高学歴エリートと大衆の賃金格差が縮小し、戦前の大企業大卒社員の家庭では当たり前だった
「女中」
が賃金高騰でほとんど姿を消した。
一方、我々がどうしても生活に必要と考える財サービスであれば、十分に生産性を上げることができないため賃金上昇を価格に転嫁せざるを得ず高価格となっても、需要は残る。
一例として、生産性向上が困難な理美容業の料金は、高度成長前に比べ一般物価水準を超えて大きく上昇したけれども、今も需要は健在である。
低賃金でないと事業を継続できないというのは、高い価格を支払ってまで買う価値のある財サービスを提供できないという、企業としての敗北宣言に過ぎない。
低賃金の外国人労働者への依存は企業にとって麻薬のようなものであり、自国民の所得格差を拡げるのみならず、生産性向上努力を妨げ、結果的に、企業の衰退をもたらす。
経済的観点からの移民推進論者は、ほとんどの場合、自称市場重視論者でもある。
しかし、現在、
「人手不足」
が叫ばれている仕事の多くは、財サービス価格が低過ぎて超過需要が生じているのであって、価格を上げて需要を減少させるのが、本来の市場重視であろう。
その典型例が貨物輸送である。
人手不足対策に議論は不要である。
市場のシグナルに耳を傾け、トラック運転手の賃金を上げればよいのだ。
現在の価格で現時点の需要に応じようとする需要充足主義は、計画経済的・社会主義的発想であり、市場重視とは無縁である。
人手不足論者にみられる、こういう財サービスの価格あるいは職種の賃金は低くて当然という発想は、単なる思い込みに過ぎない。
理美容サービス料金に見られるように、社会の変化に伴い、財サービスの相対価格は劇的に変化してきた。
戦後、相対賃金が大きく変化したことは、先に述べた通りである。
人手不足を理由とした移民推進論は、国民経済の観点からは到底正当化できない。
市場のダイナミズムを無視したまやかしの市場重視、その実、反至上主義なのだ。
国境完全撤廃のシミュレーションはともかく、米国の実例は、EBPM(Evidence-based Policy Making:証拠に基づく政策立案)を標榜する日本政府にとって、移民政策を検討する際に、大いに参考になるはずである。
ともあれ、移民問題は感情ではなく、冷静な議論が可能な勘定の問題という認識が求められる。

EBPM(証拠に基づく政策立案)とは?
EBPMとは、Evidence-based Policy Makingの略称であり、日本においては内閣官房が以下のように定義している。
(1)政策目的を明確化させ、
(2)その目的のため本当に効果が上がる行政手段は何かなど、当該政策の拠って立つ論理を明確にし、これに即してデータ等の証拠を可能な限り求め、「政策の基本的な枠組み」を明確にする取組。
つまり、たまたま見聞きした事例や経験(エピソード)のみに基づいて政策を企画するのではなく、データを活用し、合理的根拠(エビデンス)に基づいて企画すること。

人手不足解消のカギは外国人労働者を受け入れないこと
Hanada2024年7月号 小西美術工藝社社長 D・アトキンソン
■衝撃的なアンケート結果
岸田政権は2024年3月29日、人手不足の分野で一定の技能がある外国人労働者を受け入れる在留資格
「特定技能」
について、2024年度から5年間の受け入れ枠を82万人とすることを閣議決定しました。
2023年度までの5年間で設定していた人数の2.4倍となり、外国人労働者の受け入れが加速することになります。
とんでもない話だと憤っていたら、最近、更に衝撃的なニュースが飛び込んできました。
「外国人労働者受け入れ『賛成』62%、高齢層で大幅増 朝日世論調査」(朝日デジタル)
<朝日新聞社が全国世論調査(郵送)のテーマ「人手不足社会」に関連して、人手不足の業種を対象に外国人労働者の受け入れを拡大する政府方針への賛否を尋ねたところ、「賛成」62%が「反対」28%を大きく上回り、賛否が拮抗した5年余り前の調査から大きく変化した>
もちろん、日本のマスコミの世論調査なので、どういう業種の人を対象にしたか、経営者だけにアンケートしたのかなど詳細が出ておらず、留意は必要ですが、6割もの人が外国人労働者受け入れに賛成というのは、驚きました。
人手不足に悩まされているのは、ほとんどが中小企業です。
人口減少の下、中小企業は生産性が低い。
有給休暇の取得率などを見ると、労働環境が大企業より厳しいので、労働者が不足すると、まず中小企業が人手不足になる。
日本の中小企業は社員数が非常に少ないので、すぐに大きなダメージを受けます。
日本企業の平均従業員数は9人。
85%の日本企業は、平均従業員数がたった3.4人。
仮に従業員数3人の職場から1人辞めると、労働力が3分の1減り、たちまち
「人手不足」
に陥ってしまうのです。
■努力したくない中小企業
私から言わせれば、中小企業は人手不足を解消する努力が進んでいません。
私は以前から、中小企業は統合して、次第に規模を大きくしていかなければいけないと主張しています。
合併統合することで、経営陣などの管理職や経理はこれまでの半分で済み、その分、人手不足の部署に人手を回すことができる。
統合まではいかなくても、会社間でお互いに人手が足りない時には融通し合うことができるよう連携はするべきです。
もう1つは、機械化など設備投資による作業の効率化。
ただ、経営者としては、日本人は低賃金でも仕事を真面目にこなしてくれるので、コストを掛けて設備投資を行う動機が生まれません。
機械化などをするより、低賃金で人間に働いてもらう方が安上がりなのです。
ここは肝心なポイントで、人口減少によって生じている人手不足は、本来、企業がそれに合わせてビジネスモデルを変えるチャンスであり、変えなければならないのです。
しかし、連携も合併もしたくない、設備投資で生産性向上もしない・・・中小企業がビジネスモデルを変える何の努力をすることもなく現状維持をするため、唯一残された方法が、減っていく日本人労働者の代わりに外国人労働者を受け入れることなのです。
現時点で、200万人の外国人労働者が日本に来ています。
2060年には生産年齢人口が3000万人減るので、低賃金労働者依存症の中小企業経営者を満足させるためには、1000万人単位で外国人労働者を受け入れなければならないでしょう。
主に最低賃金で働く外国人労働者が大量に入って来ると、日本人の賃金も上がらなくなります。
経営者は楽でしょうが、社会保障の負担が増える一方の日本で、財政も労働者も大きな打撃を受けます。
こんなふざけた話があるでしょうか。
■これまで以上に増える軋轢
2023年、2500万人の外国人観光客が日本を訪れました。
一方、
「オーバーツーリズムだ」
(ある地域を訪れる人が急増したことにより、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況)
と批判する声もあります。
満員でバスに乗れないとか、ホテルが満室で取れないとか、マスコミなどで
「オーバーツーリズム」
と批判されていることは、日本側の受け入れ体制の未整備によって起こっていることで、
「オーバーツーリズム」
などではありません。
1カ月当たり200万人来ているインバウンドは海外旅行できるレベルの層で、日本におカネを落として、欧米人などの場合、2〜3週間したら国に帰っていきます。
一方、外国人労働者は全く逆です。
中小企業が求めているのは、最低賃金で働いていくれる人材。
日本の最低賃金は世界23位で、ハンガリーやイランよりも低く、後進国レベル。
そんな低賃金であっても働きに来る外国人労働者は、言い方は悪いですが、どういう教育水準の人か分かりません。
そういう外国人が1000万人単位で日本に来て、定住するのです。
しかも最低賃金で働く外国人労働者は、経営者たちが住むようなエリアではなく、一般庶民が住むエリアで生活するようになる。
欧州などでは、低賃金の移民などは大変な問題を引き起こしています。
そもそも、イギリスがBrexit(イギリスが欧州連合 (EU) から離脱すること、離脱したこと)に踏み込んだ最大の原因は、庶民が強いられた移民の問題でした。
インバウンドは一時的にしかいないから、発生するトラブル、軋轢などたかが知れていますが、定住する外国人労働者は違います。
既にして、日本に住むイスラム教徒が
「土葬できる墓を作ってほしい」
と要請していたり、神社の賽銭箱を破壊したりする事態も起こっている。
1000万人単位で外国人が入ってきたら、これまで以上に様々な軋轢が生まれるでしょう。
なぜ経営者が低賃金で人をコキ使いたいがために、日本全体が迷惑を被らなければいけないのか。
「オーバーツーリズムだ!」
と騒いでいる人たちは、今すぐ外国人労働者受け入れに反対した方がいい。
どこの国でもそうですが、教育水準の低い移民を大量に入れれば、犯罪やトラブルが増えます。
移民政策で成功しているのは、高学歴かつポテンシャル(潜在的な力。可能性としての力)の高い人材を受け入れて、イノベーション(新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念)をどんどん起こしているアメリカくらい。
■中小企業延命という愚策
私が日本に来た1990年代前半は、高学歴・高所得の外国人でないと就労ビザが下りませんでした。
「日本人にできる仕事は外国人にやってもらう必要がない」
という考え方で、よほどの特殊技能を持った外国人でなければ、日本で働くことができなかった。
自分で言うのも何ですが、イギリスでトップの大学であるオックスフォードを卒業していても、なかなか申請が通らなかったほどです。
人手不足が叫ばれたているのは、飲食宿泊や運送業など、労働環境が悪く、生産性も低い業種です。
高学歴の人材などを必要としていません。
少子化によって競争率が下がり、今の若者は名門大学、大企業に入れる確率が昔よりも飛躍的に上がっています。
そんな中で、若者が最低賃金でしか雇えないような会社を選ぶはずがない。
若い優秀な人材を確保したければ、先述したように、合併するなり設備投資するなりして、生産性を向上させ、若者にとっても魅力的な
「中堅企業」
になるしかありません。
ところが、政府は外国人労働者を受け入れて、中小企業を延命させようとしています。
これほどの愚策はありません。
成功例がほとんどないのに、なぜ政府は外国人労働者受け入れを拡大しているのか。
もちろん、中小企業経営者側からの要請もあるでしょうが、一番大きいのは、今の社会保障を維持するためでしょう。
先述したように、ピークから既に1300万人も減っている生産年齢人口は、2060年まで更に3000万人減ります。
そうなれば、今のビジネスモデルを維持して高齢化に伴う負担に応えるために、労働している人間の数を最低でも維持しないと、今の社会保障制度を維持することができなくなる。
だから低賃金の外国人労働者を入れようということなのでしょう。
しかし、この考え方は余りにも短絡的過ぎます。
■日本人労働者は増やせる
政府には、外国人労働者を受け入れる前にやるべき事がたくさんある。
まず、日本人労働者の供給量を増やすべきです。
そのためには、扶養控除の廃止。
これだけ人手不足が騒がれる中で、フルに働かないことで税制優遇するなど、あり得ない制度です。
もう1つは、専業主婦(主夫)への年金制度の廃止。
サラリーマン(第2号被保険者)に扶養されている専業主婦(第3号被保険者)は保険料を自ら負担することなく、将来的に老齢基礎年金が受給できるのです。
自分は払っていないのに年金を受け取れるというのは、社会保障の原則に反しているだけでなく、女性の働く動機を奪っています。
海外によくあるやり方を導入して、既に貰っている人は仕方ないですが、例えば平成何年生まれ以降の人の場合、第3号非被保険者を廃止すると決めればいい。
低賃金の外国人労働者を受け入れる前に、優秀な日本人女性にフルに活躍してもらう仕組みを徹底的に実施するべきです。
女性活躍を訴えるなら、まずこの2つの廃止は必須でしょう。
それに中小企業改革。
これまで何度も書いてきたように、規模が小さいというだけで日本の中小企業は優遇されています。
弱者扱いされて、期待もされません。
商工会議所などの中小企業の団体も、改善を要求されると、すぐに
「中小企業潰し!」
「中小企業淘汰論者!」
「中小企業は下請けいじめを受けている!」
などと煽ります。
それによって、中小企業は成長するインセンティブ( やる気を起こさせるような刺激。動機付け)が削がれています。
そうではなく、きちんと足腰の強い中堅企業に成長した企業をバックアップしていく。
規模が大きくなることで、人手不足にも強くなる。
■逆説的な人手不足解消方法
経済合理性を歪ませる中小企業優遇の最たる例が、
「交際費」
です。
今は日本では中小企業というだけで、取引先との接待などに使う交際費を800万円まで損金扱いできます。
私の経験則でしかありませんが、私の周囲の中小企業経営者で、会社のためにこの800万円を使っている人はほとんどいません。
仕事に関係なく、高級寿司屋で食事をしたり、夜の店に行ったりと
「”社長自身”への接待」
に使われており、全く実態を伴っていない。
要するに、公私混同です。
この制度をフルに使うことができる企業はほぼ小規模事業者です。
成長して中堅企業になろうとすれば、この制度のメリットは次第に減ります。
更に、サラリーマンをやって何の経費も使えないよりは、公私混同が許されている小規模事業者になった方が圧倒的に有利になる。
経済合理性より、経営者優遇を狙って起業するインセンティブが働いていしまうのです。
これは考え過ぎではありません。
日本企業の場合、6割以上の企業が赤字企業です。
この比率は、1960年代から景気と関係なくずっと上がっています。
諸外国の例を分析すると、企業数の赤字比率は2割で、日本では如何に経済合理性の低い小規模事業者が多いか分かります。
実は、中小企業が2017年度に支出した交際費は約3兆円。
もし、この3兆円に法人税(23%)を掛ければ、6900億円もの税金を取ることができます。
政府の肩を持つわけではありませんが、日本は何か物事を動かそうと思えば、とにかく批判・反対の風です。
中小企業はもっと頑張れと言えば
「中小企業いじめだ」
と批判され、扶養控除廃止を言えば
「専業主婦いじめだ」
と批判される。
日本は本当に疲れる国です。
中小企業問題について、商工会議所前会頭の三村明夫氏は、未だに私を批判しています。
日経新聞(2024年4月27日)の
「私の履歴書」
で、三村氏はこう語っていました。
<中小企業はサボっているのではない>
<統計の数字だけを見た
「生産性の低い中小企業は淘汰されるべきだ」
といった極論が罷り通れば、日本経済は本来の強さを失うだろう>
「統計の数字」
以外に、一体何を根拠にすればいいのでしょうか。
教育水準の高い日本人を低賃金で働かせている
「統計的事実」
について、三村氏はどう思っているのか、逆に訊きたいくらいです。
三村氏は、最低賃金を引き上げると大量に中小企業が倒産する、失業者は大量に増えるというような主張をよくしていました。
1990年代に比べて、最低賃金は2倍に上がっています。
安倍政権以降も1.3倍にもなっている。
三村氏の主張と真逆に、企業数は大幅に増えて、就業者数も史上最高水準になっている。
三村氏が主張していた
「大量の倒産」

「大量の失業者」
も、統計に表れていません。
だから、
「統計ではない」
と言うのでしょう。
政府も、強烈な反対に遭うことは目に見えているから、
「じゃあ、現状維持のために外国人労働者を入れるしかない」
と半ば諦めており、場当たり的な対応しか取れないのではないか。
この人手不足を解消するために、政府はどうすればいいか。
逆説的ですが、
「これ以上、外国人労働者を受け入れないこと」
です。
外国人労働者を受け入れないことで、中小企業はにっちもさっちもいかなくなり、自動的に中小企業間の提携・統合、設備投資による生産性向上が進みます。
それは、中小企業改革の前進にもなる。
先述したように、中小企業を延命させるために外国人労働者を受け入れるなど、百害あって一利なしの愚策中の愚策。
冒頭の世論調査で、外国人労働者受け入れに賛成した人には目を覚まして頂きたい。
政府は
「経営努力をしたくない」
「現状維持をしたい」
という経営者の甘え、自己中心的な考えなど一顧だにせず、毅然と対応してほしいと思います。

外国人受け入れ「特定技能制度」に4分野を追加、5年で82万人見込み 政府が閣議決定
2024/3/29 10:10
https://www.sankei.com/article/20240329-QQTAPVAO7JLS3PHI6X4N4G3SQQ/
政府は2024年3月29日、外国人を中長期的に受け入れる
「特定技能制度」
の対象にトラック運転手などの自動車運送業や鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、対象分野を現在の12から16に広げる方針を閣議決定した。
令和6年度から5年間の受け入れ見込み数は最大で82万人とした。
パブリックコメント(意見公募)を経て省令を改正する。
受け入れ見込み数は、国内の雇用拡大や生産性向上だけでは不足する労働力を業界ごとに算出したもの。
5年間で約34万人としていた制度開始時から2倍超となった。
人口減少や時間外労働規制強化によって物流分野での人手不足が深刻化する
「2024年問題」
などが反映された。
追加4分野のうち、利用客と会話の機会が多いタクシーの運転手や鉄道の車掌などは、必要な日本語試験の基準を他の分野よりも高いレベルとする。
既に特定技能の対象となっている製造業分野でも繊維や鉄鋼、印刷業務などを中に加える。
特定技能は平成31年4月に創設。
最長5年間働ける1号と、家族が帯同できて事実上永住できる2号がある。
政府は、外国人の研修を目的とする技能実習制度を廃止し、外国人材の確保と育成を目的として将来的に特定技能制度に移行できる
「育成就労制度」
創設を柱とする関連法案を通常国会に提出している。

祖国にいながら外国人に怯えて暮らすのか 「受け入れろと」と他人の国で暴走する移民たち
WiLL2024年7月号 イスラム思想研究家・麗澤大学客員教授 飯山陽
■クルド人がまた犯罪
先の衆議院東京15区の補欠選挙は、たくさんの応援を頂きましたが力及ばず落選してしまいました。
皆さんのお陰で、最後までマイクを握ることが出来ました。
今回、選挙に出馬した理由の1つが、日本の移民国家への道にストップをかけるためです。
しかし現状は厳しく、またクルド人による犯罪が起きました。
しかも今度の被害者は何と女子中学生です。
産経新聞オンラインの記事(2024年4月5日付)です。
「女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署は2024年3月7日、不同意性交等の疑いで、トルコ国籍でさいたま市南区大谷口の自称解体工、ハスギュル・アッバス容疑者(20歳)を逮捕した」
「『日本人女性と遊んだが暴行はしていません』と容疑を否認しているという」
再度確認してみると、この記事は削除されており、追加の記事では容疑者は匿名にされていました。
実名は
「デイリー新潮」
やまとめサイトのみで閲覧できます。
容疑者の居住地はさいたま市ですが、川口署が逮捕したということは、川口市で活動するクルド人の居住地が近隣の市にも広がっているということでしょう。
トルコ国籍のクルド人の多くはイスラム教徒ですが、一般的にそれほど信仰に熱心ではありません。
しかし、クルド人文化は、イスラム教文化と共通する所が多く、その1つが女性や性に関する文化です。
イスラム教では、異教徒の女性は二重の意味で卑しい存在とされており、尊厳を持つ人間として扱われません。
更にイスラム教には、性行為や結婚をしても許される最低年齢という概念がありません。
イスラム教徒の男性の中には、本件のような
「異教徒の女子中学生」
というのは、性的に何をしてもいい存在だと思っている人がいる可能性があるのです。
イスラム教徒の移民による、現地の女性たちに対する性暴力事件がヨーロッパで多発している背景には、このようなイスラム教の女性観、異教徒観があります。
イスラム教徒の男性は、異教徒の女性には何をしても構わない、髪や肌を露出させているのは尊厳がないことの証であり、むしろレイプされたがっているのだと、そう理解してしまうことがあるのです。
私はイスラム教の研究者ですから、イスラム教が如何に土着文化を侵食する力を持っているかを知識としてだけでなく、実感としても知っています。
世界にはこうした文化や価値観を当然とする人々が多く存在するため、理想の多文化共生・異文化共生を現実のものにするのは困難です。
実現したいのならば、外国人に対し、
「あなたの常識は日本では受け入れられない」
「日本では日本のルールを守ってもらわねば困る」
と、ハッキリと徹底的に主張するしかありません。
更に、外国人の子供には出来るだけ早いうちから、日本のルール、文化に馴染んでもらう必要があります。
フランスでは、2019年から義務教育が始まる年齢を6歳から3歳に引き下げました。
その背景には、自国の文化や風俗を守るために移民を教育する意図もあります。
一方で日本には、こうした対策は一切なく、多文化共生・異文化共生は素晴らしい、日本人は外国人の文化を理解し、受け入れろと主張するだけです。
このまま何の対策もしなければ、先述のような事件は今後更に増えるでしょう。
■何が、権力の監視役か
にもかかわらず、政府や自治体、企業、そしてメディアも、日本社会に対して影響力(インフルエンシャル)な発言権を持つ”権力者の皆さん”はこぞって、
「活力維持に外国人が必要だ!」
と声高に言います。
読売新聞オンライン版でも
「外国人・高齢者 活力維持へ重要『育成就労』『特定技能』着実に・・・人口減抑制」
と題して、次のような記事が掲載されました。

<人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない>
<政府は今年(2024年)、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の創設を決めた>
<掲げたのは「人材の確保と育成」>
<帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った>
(中略)
<外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる>
(中略)
<業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある>
<その司令塔として、政府に「誘致戦略本部」を創設すべきだ>
<制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する>
(2024年4月26日付)

日本社会が人口減を抑制し、活力を維持するためには、外国人をどんどん日本に受け入れることが必須だとして、読売新聞がわざわざ提言しているわけです。
読売新聞だけでなく、既に国から企業まで皆揃って同じ事を言う有り様です。
外国人が必要だ、というのは、つまり”移民推進”です。
多様性の奨励はそのための地均しです。
多様性のある社会は
「活力を維持する」
と盛んに宣伝し、多様性を促進するために移民を受け入れる必要があるとして事を進める。
そもそも自民党は2016年3月15日の
「労働力の確保に関する特命委員会」
の初会合時に、政調会長の稲田朋美議員が
「日本は移民政策は採らない」
と明言した上で、議論を開始しています。
ところが、その8年後の2024年、岸田政権が在留資格
「特定技能」
について2024年度から5年間の受け入れ枠をこれまでの2倍を超える82万人とすると閣議決定しました。
8年前・2016年の方針を平気で変え、国民に嘘を付く、これが自民党政権です。
そしてこの嘘を嘘だと指摘せず、政府方針に同調しているのがメディアです。
何が
「権力の監視役」
でしょう。
「笑わせるな、愚か者!」
と言いたくもなります。
■7つの大罪である理由
読売新聞が提言した、
「日本社会の人口減を抑制し活力を維持し、成長を続けるためには外国人移民が必要だ」
という主張は完全に間違っています。
理由は7つー。
第1に、人口減の埋め合わせをするために移民を受け入れるなら、考えられないほど多くの移民を受け入れなければならないため、この政策自体が非現実的であることは、国連の調査でも明らかになっています。
第2に、人口減を埋め合わせするために移民を受け入れても、日本人でない人が増えるだけなので、日本で外国人による人口の置き換え(人口が増加も減少もしない均衡した状態になる)が進むだけです。
これを
「人口減の抑制」
だと言う人は、日本が日本でなくなることを積極的に推進する人たちです。
第3に、不足する労働力を補うために移民を受け入れても、移民もいずれ年を取って働けなくなります。
日本は今、永住を認めるという条件で移民を受け入れようとしていますが、労働力だったはずの移民は遠からず、日本の福祉によってその生活を支えなければならなくなります。
■移民と社会の暴走
第4に、不足する労働力を補うために移民を受け入れると言いながら、日本政府は彼らに家族の帯同を認めています。
5人、10人の家族を帯同すれば、移民の安い賃金では家族全員を養えなくなり、その分を補うのは、私たちの福祉、つまり税金です。
労働力が必要だと言って外国人を受け入れたのに、彼らの生活を我々の福祉で支えなければならないという事態が生じます。
労働力として受け入れた移民が、働く意欲を失ったり、病気になったり、失職すれば移民の家族の生活は、私たちの税金、私たちの福祉で支えなければならない。
これは移民を多く受け入れた欧米で実際に発生している問題です。
第5に、労働力として移民を受け入れれば、日本人の賃金が下がります。
政府が推進するインフレを上回る程度まで賃上げをする方針とは、正反対のベクトルに進みます。
サウジアラビアは移民を多く受け入れている国の1つですが、企業に一定数の自国民の雇用を義務付け、給与体系も外国人とは異なる水準を義務付けています。
しかし日本にはこうした規制はありません。
安い移民労働力を受け入れれば、企業と経営者が得をするだけで、日本人の労働者は専ら損をします。
これでは日本社会を弱体化させるばかりで、
「活力の維持」
どころではありません。
第6に、世界の文化の中には、日本の文化、伝統、常識、法律とは相容れない、矛盾するものが大量にあるため、全て受け入れれば、社会が混乱し、秩序が乱れます。
第7に、移民が増えれば間違いなく治安が悪化します。
現在、警察は外国人の犯罪を見逃し、仮に逮捕しても検察が不起訴にして犯罪者を無罪放免にします。
警察を恐れない”無敵の外国人”が、日本社会で暴走し、好き放題に犯罪に手を染めているのは、こうした背景があるからです。
外国人が増えれば、この状況は更に悪化するでしょう。
日本人は祖国にいながら、外国人に怯えて暮らさなければならなくなり、警察に守ってもらえなければ、自衛せざるを得なくなります。
犯罪の被害者となっても、誰も助けてくれない、そんな世の中にしたいですか?
■”聖域”という名の移民都市
2024年5月1日、バイデン大統領はワシントンでの集会で、日本経済が低迷している理由として
「外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」
と述べました。
そんなアメリカでは現在、不法移民が急増しています。
米南西部の国境を越えて拘束・保護された不法移民は2023年度(2022年10月〜2023年9月)に247万人と3年連続で過去最多を更新。
かつてはメキシコや南米各国からの流入がほとんどでしたが、今は、中国などから中南米を経由してアメリカを目指す不法移民も増えています。
バイデンの
「外国人好きで移民を望む」
政策が、世界中から不法移民を引き寄せているのです。
アメリカ内で移民に寛容な都市、いわゆるサンクチュアリ・シティ(聖域地域)の代表がニューヨーク市です。
ニューヨーク市では移民を10万人ほど受け入れ、日々増え続ける移民の数に悲鳴を上げ、2022年10月に民主党のエリック・アダムス市長がとうとう非常事態を宣言しました。
「移民はニューヨークのストーリー(歴史)の一部で、アメリカの一部でもある」
「しかし移民政策は崩壊している」
「国家的危機だ」
「もう限界だ」
「市単位の予算には限りがあり、思いやりだけではどうにもならない所まで来ている」
アダムス市長は移民の受け入れの危機的状況を踏まえ、度々このように訴えてきました。
ニューヨーク市の移民関連の予算は2024年度が約42億ドル、2025年度が約49億ドルと巨額です。
その後、アダムス市長は法律違反の疑いのある移民を保護してきた政策を転換する考えを示しています。
つまり不法移民を矢継ぎ早に受け入れる政策を採った結果、市が財政破綻しかかっているのです。
ニューヨーク市に限らず、不法移民を受け入れた州や都市は軒並み財政や治安が悪化し、地元住民の不法移民に対する感情も悪化しています。
今や28%のアメリカ人が不法移民の問題は、アメリカにとって最大の問題だと認識しています。
■”日本”であるために
一方、日本はどうか。
岸田政権は今まさに
「移民を望む」
政策を採りつつあります。
アメリカで不法移民に厳しい共和党が政権を取れば、アメリカに殺到している世界の不法移民が、今度は日本に殺到するでしょう。
今度は日本が不法移民の”サンクチュアリ(聖域)”になろうとしています。
日本が日本であり続けること、日本が国民にとって安心して暮らせる祖国であり続けること、日本人の暮らし、豊かさ、安全が守られることが何より大事です。
移民受け入れ推進は、こうした安心・安全を全て破壊します。
しかし今の日本の国会議員に、日本国民の安全を主張する人はほとんどいません。
彼らは皆、嘘を付き、移民を受け入れることによって起こる問題に言及する人はほとんどいません。
移民によって破壊された欧米社会や、先述のクルド人による性的暴行事件が彼らには見えていないのでしょうか。
文化や価値観の違いによって生じる事件、財政や治安の悪化などが起き得る移民政策を阻止する必要があります。
日本が移民問題で苦しむ欧米のようになるのは、時間の問題です。
私たちにとって大切な日本という国を、守り抜かなければなりません。

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

中学生に性的暴行したクルド人は難民申請中だった 地元市議は「実態を正しく直視するべき」
2024年4月5日
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04050558/?all=1
埼玉・川口市でクルド人男性が不同意性交容疑で逮捕された。
女子中学生に性的暴行をした疑いである。
実はこの男性、難民申請中だった。
悲劇の主人公のはずの
「難民」
が他人を悲劇に追いやる、その実態とは。
 ***
報道等によると、2024年3月7日に逮捕されたのはさいたま市に住むハスギュル・アッバス容疑者。
トルコ国籍の20歳、解体工だという。
事件があったのは2024年1月13日のことだ。
アッバスは都内の女子中学生とSNSで知り合い、複数人でドライブ。
2人きりになった後、川口市内のコンビニの駐車場に停車し、車内で犯行に及んだ。
行為の時間は約6分。
粗暴極まりない事件である。
川口市とその周辺でクルド系の住民と地元住民との間に軋轢が生じているのは周知の通り。
■市議も「不安に思う市民が増えている」
2023年7月4日は男女の揉め事で怪我をしたクルド人男性が川口市立医療センターに運び込まれ、それを巡ってクルド人が100人ほど病院に集結。
一時、救急搬送の受け入れが停止されるという大騒動が起きた。
「不安に思う市民が増えていると感じます」
とは、川口市議の奥富精一氏。
「これまでも一部のクルド人が改造車で危険運転や違法駐車をしたり、あるいは喧嘩をしたりという事例が見られてきました」
2023年6月には市議会で
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」
が採択されている。
「そこにきて今回の事件ですから、市民の不安が益々増したとしても不思議ではありません」
■クルド人増加の背景事情
クルド人とは、中東のトルコやイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に住む「国を持たない民族」。
川口は彼らが集住する地域として知られ、現在、2000人以上が暮らしている。
「彼らは難民申請をしているケースが少なくない」
と言うのは、入管のさる関係者だ。
「トルコと日本は現在、短期滞在ならビザは必要ではありません」
「で、ノービザで入国し、滞在期限が切れるまでの間に難民申請を行うんです」
「すると、その審査期間中は強制送還が止められる」
「川口に来るクルド人の多くは、ある特定の地域の出身です」
「こうした仕組みで入った人たちが地元の親類縁者を呼び寄せ、数が増えていったんです」
今回の事件を起こしたアッバスも、先に日本に来た父を頼って幼少期に来日し、難民申請をした“移民2世”だという。
「実際、彼らが難民認定されることはほとんどありません」
「クルド人が母国で差別されているのは事実でしょう」
「が、難民条約が規定するように、自由が奪われたり、生活が著しく損なわれ、生命の危機が生じているかと言えば、そこまでとは認められないことが多い」
「申請期間中に日本で稼いで帰国するか、或いは子供が小中学校に長期間通うなどすれば、在留特別許可を貰えるかもしれない」
「クルド人増加にはこうした背景事情があります」
しかし、そうした入国経緯の者の中から凶悪犯が出れば、住民との摩擦が生じるのは当然の事だろう。
■グレる2世
この地域で長年、クルド人支援に携わってきた「在日クルド人と共に」理事の松澤秀延氏は、
「彼らも日本の社会に順応したいと思っていますが、日本側の拒否反応が強く、そこで絶望を感じてしまうことも多い」
と分析するが、
「今回の事件もそうですが、2世の中には学校に行かず、いわゆる“グレて”しまうケースも少なくない」
「この問題を指摘するとすぐ差別と言われますが、まずは実態を正しく直視することが重要だと思います」
(奥富市議)
多様性尊重――そんな建前だけでは語れない現実が、この川口には横たわっているのである。
週刊新潮 2024年4月4日号掲載

外国人・高齢者 活力維持へ重要 「育成就労」「特定技能」着実に…人口減抑制[読売新聞社提言<7>]
2024/4/26 5:01
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240425-OYT1T50222/
■労働者に「選ばれる国」
人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない。
政府は今年、外国人技能実習制度に代わる新制度
「育成就労」
の創設を決めた。
掲げたのは
「人材の確保と育成」。
帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った。
外国人労働者を中期的に受け入れる在留資格
「特定技能1号」
も、自動車運送業や鉄道などの4分野を追加して16分野に広げた。
日本で暮らす外国人は増えており、約340万人に上る。
労働者は2023年10月末時点で約204万人だ。
政府は、育成就労と特定技能を
「車の両輪」
として、労働力を補っていく。
他国も受け入れを進めており、獲得競争を勝ち抜くには
「選ばれる国」
にならなければならない。
外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる。
農業や介護、建設など職種も幅広い。
業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある。
その司令塔として、政府に
「誘致戦略本部」
を創設すべきだ。
制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する。
育成就労では3年間働いた後、在留期間が5年の特定技能1号、永住が事実上可能な2号を段階的に取得してもらうことを目指す。
外国人の受け入れ先は主に地方の中小企業で、自力での育成には限界がある。
自治体の支援が欠かせない。
広島県は2023年、2号取得を目指す外国人を雇う企業に、最大300万円を補助する事業を始めた。
尾道市の
「因島鉄工」
はこの事業を使い、造船・舶用工業分野で全国初の合格者を出した。
その一人、ベトナム人のファン・ヴァン・マインさん(35)は
「将来は奥さんを連れてきて、ここでずっと働きたい」
と語る。
同社では試験対策として日本語講師を雇い、技能向上のための模擬試験を実施。
外国人向けの寮も整備した。
人材を繋ぎ止めるには、異国の地で働く外国人が暮らしやすく、文化に馴染める工夫も求められる。
■フレイル対策
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、2020年に7000万人超だった生産年齢人口は、2100年に3200万人に減る。
人手不足を補うため高齢者の力も必要だ。
内閣府の調査では、仕事で収入を得ている60歳以上の9割が、「いつまでも」を含め、70歳以上になっても働きたいと回答している。
企業は、技術や経験を持つ高齢者を積極的に受け入れるべきだ。
2040年には医療・介護人材が100万人近く不足するとされ、介護が必要な高齢者を少しでも減らしたい。
要介護一歩手前の状態「フレイル」の高齢者が対策を取った場合、5年後に15%が改善し、35%が状態を維持したという調査もある。
予防には食事や運動、就労といった心身の充実がカギを握る。

郷に入って「郷に従わん」外国人
直球&曲球 宮嶋茂樹
2024/5/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240509-H4LOHB4JIROYBC6FPXFOHBKM7Y/
日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
やて?
いやいや、バイデン米大統領、言葉は正確に伝えんとアカンわ。
多くの日本人が嫌いなんは、日本に来ても日本の文化や伝統、ルールを尊重せず、皇室を敬愛するどころか敵視するような外国人のことや。
日本人もどないかしとるで。
政・官・財・民、挙げて
「インバウンド」
景気やと歓迎して、いちびっとるけど、日本に来る観光客や定住外国人は、当たり前のことやけど、善意の人≠ホかりやないんやで。
最初から転売目的で爆買い≠オたり、白タクで荒稼ぎしたりしとる外国人も後を絶たん。
オーバーツーリズム
(とある地域を訪れる人が急増したことにより様々な問題が発生し、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況のこと。日本では「観光公害」とも呼ばれており、県や市といった全体で起きるものではなく、「〇〇市の橋周辺」や「春の〇〇府の寺院」など、特定の場所や季節、時間に起きるものを指す言葉)
の弊害も深刻や。
そこで暮らしとる日本人が多大な不便や迷惑を強いられとる。
東京や大阪じゃ日本人が泊まれるホテルを探すだけで一苦労や。
富士山もゴミだらけやんけ。
これほど外国人観光客が日本に押し寄せる理由は色々ある。
メシがうまいし、安い。
種類も豊富や。
治安もエエし、皆が皆とは言わんけど、まぁ日本人は外国人に親切や。
しかし、一番の原因は昨今の円安やろ。
円安=日本が安う見られとるというこっちゃ。
ハワイやヨーロッパは無理やけど
「円安」
の日本やったらいけるわ、とな。
それでも、ワシは何もやみくもに外国人の観光客や定住者を締め出せ、と言うとるわけやないんや。
困っとるんは、日本に来てまで犯罪まがいのことをやったり、日本の法令に反する自分らの風習を認めろ、と叫んだり、日本を理解しようともしたりせん、外国人なのである。
海外の日本人を見てみい。
皆から嫌われんようにちゃんと努力しとる。
その国の慣習、ルールを尊重して気、遣っとる。
イスラム圏に行ったら、お祈りの時間は静かにしとるし、豚肉は食べんし、公の場では酒も飲まんようにしとる。
「郷に入れば郷に従え」
という、諺を知っとるからや。
その国の交通ルールから公共マナーまで、いくら日本人には理解不能でも尊重するで。
そんな日本人を
「外国人嫌い」
やて?
バイデン大統領、それはないで!

バイデン米大統領が同盟国を「外国人嫌い」と切り捨てた失言の背景
ポトマック通信
2024/5/9 7:00
https://www.sankei.com/article/20240509-MFUGY3GBRVNUJJQMQJDL5YUPEA/
バイデン米大統領は2024年5月1日、アジアや太平洋諸島系の支持者集会でこう述べた。
「米国経済が成長を続けるのはなぜか」
「理由は我々が移民を歓迎するからだ」
「なぜ中国は経済的に行き詰まっているのか」
「なぜ日本は困難な状況なのか」
「ロシア、インドはなぜか」
「理由は彼らが外国人嫌い(xenophobic)で、移民を望まないからだ」
人は異なる人種、言語、宗教、生活習慣の人々の存在に拒否感や嫌悪感を抱くもので、どの国も受容と葛藤の歴史を続けている。
私が驚いたのは、大統領の失言に慣れっこのはずの米メディアの反応だった。
「同盟国に否定的用語を使った意図は?」
との疑問だ。
バイデン氏がなぜ日印中露を一括りに
「外国人嫌い」
としたのか報道官の釈明を聞いても判然としない。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、米国の移民差別の事例を挙げて
「日本の友人たちがバイデン氏のコメントを受け流してくれることを願う」
と述べた。
流せなかったのか、日本政府は
「正確な理解に基づかず残念」
と申し入れをしたと聞く。
日印を軸に中露を牽制する政権のインド太平洋外交への影響を懸念する向きもあるというが、失言には本心や願望が表れることもある。
日本を権威主義陣営との橋渡し役とする新構想があるのかと想像した。

林官房長官、バイデン米大統領の「日本は外国人嫌い」 「正確な理解に基づかない発言」
2024/5/7 12:18
https://www.sankei.com/article/20240507-GHSI6VL6DRNXPNOBYGMUH7TUQU/
林芳正官房長官は2024年5月7日の記者会見で、バイデン米大統領が、日本経済が低調なのは外国人嫌いなためだと発言したことに関し
「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言で残念だ」
「米国には日本の考えや政策を改めて説明した」
と述べた。
2024年4月の岸田文雄首相の国賓待遇での訪米を踏まえ、
「日米関係はかつてなく強固であり、引き続き日米関係の一層の強化に取り組んでいきたい」
とも強調した。

バイデン氏の発言は「残念」 日本政府が米側に伝達
2024/5/4 16:01
https://www.sankei.com/article/20240504-UYFMDSHLXZKMPNKFYEN72HZNLA/
バイデン米大統領が日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言したことについて、日本政府は2024年5月3日までに
「正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」
と米側に伝達した。
関係者が明らかにした。
ホワイトハウスが公表した発言録によると、バイデン氏は2024年5月1日、ワシントンでの選挙資金集めイベントで、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛し
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
と語った。
ジャンピエール大統領報道官は2024年5月2日、バイデン氏の発言について
「移民が如何に米国を強くしているかについて話した」
と記者団に釈明した。
記者から日本との関係を悪化させるのではないかと問われると
「日本とは力強い関係がある」
とだけ答えた。(共同)

日本や中国の経済不調は「外国人嫌いのせい」 バイデン米大統領が集会で発言、移民を称賛
2024/5/2 18:35
https://www.sankei.com/article/20240502-HXPLHHHEO5LJ5LECJI6HHSVFW4/
バイデン米大統領は2024年5月1日、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛した上で、日本や中国などの経済が低調なのは
「彼らが外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言した。
ワシントンでの選挙資金集めイベントで述べたと、ロイター通信が報じた。
2024年11月の大統領選で対決するトランプ前大統領の移民受け入れに消極的な姿勢を念頭に、バイデン氏は集会で
「移民こそが私たちを強くしてくれている」
と強調。
一方で
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)が2024年4月に発表した2024年の経済成長率の見通しでは、米国は2.7%で日本は0.9%。
一方、中国は4.6%、インドは6.8%となっている。(共同)

育成就労決定 永住資格を厳格化 税金滞納で取り消し
産経新聞2024年2月10日
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、外国人の永住許可制度を適正化する政府方針を決定した。
外国人永住者を巡っては、税金を滞納する事例などが確認されており、悪質な場合は在留資格を取り消せるよう要件を見直す。
政府は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度の方針を決定。
即戦力の外国人労働者を受け入れる在留資格を
「特定技能」
のうち、事実上永住できる特定技能2号への移行を促す同制度下では永住者の更なる増加が見込まれることから、悪質な外国人を排除する仕組みを整備する。
入管難民法は、永住資格の許可要件として素行の善良さなどを規定。
政府のガイドラインでは他に、納税義務の履行などを要件に挙げている。
一方、入管難民法で在留資格を取り消せるのは虚偽の申請で資格を得た場合などに限られ、税金や社会保険料の滞納を重ねても取り消されない。
関係者によると、永住資格取得後、納税などを拒むケースが複数、確認されている。
永住者は在留期限や活動に制限がない。
2023年6月末時点で約88万人で10年前から4割弱増加。
在留外国人の約3割を占める。

政府、外国人の「育成就労」新設方針 転籍1〜2年で可能 技能実習制度は廃止
2024/2/9 10:30
https://www.sankei.com/article/20240209-44RUQO4NEFNRPJT2WJRKPZ2X5Q/
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度創設を柱とする政府方針を決定した。
技能実習制度では原則認められていなかった転籍(転職)を原則1年で認める一方、最長で2年間、転籍を制限できるとした。
政府は2024年3月にも国会に関連法案を提出する。
技能実習制度を巡っては劣悪な労働環境の影響で人権侵害事案などが発覚。
政府の有識者会議が昨年、公表した最終報告書は技能実習制度を廃止し、育成就労制度を創設。
育成就労期間が1年を超えるなどの条件を満たせば原則、転籍を認めるとしていた。
その後、地方から都市部に人材が流出する可能性があるなどの懸念を払拭するため、転籍に一定の制限をかける必要があると自民党の部会が提言。
政府方針は、当面、業界ごとに最長で2年まで転籍を制限できるとした。
転籍時の日本語能力は、最も易しい日本語能力試験「N5」レベルや、基本的な日本語を理解することができる「N4」レベルを設定する。
転籍要件の緩和に伴い、悪質な転籍ブローカーの介入を防ぐため、転籍の仲介状況を透明化するための体制を整備をする他、資格のない外国人を雇うことを禁じる不法就労助長罪の法定刑を引き上げる。
受け入れの仲介を担う監理団体は
「監理支援機関」
とし、外部監査人の設置を義務付ける。
新制度は、人材の育成だけでなく確保も目的とし、受け入れる分野を特定技能制度と揃える。
育成就労期間を終えて日本語と技能の試験に合格すれば、特定技能1号に移行できる。

欧州、難民は「外国に送れ」の新潮流 メローニ伊首相「モデルになる」と意欲満々 
緯度経度 三井美奈
2024/2/9 9:00
https://www.sankei.com/article/20240209-O2HOXT6SKVMYXM4VF7UMMMLY64/
移民流入に悩む欧州で、
「難民を第3国に送る」
という奇策が浮上した。
イタリアと英国が先導している。
イタリアの計画は2023年11月、メローニ首相が発表した。
地中海を渡ってくる不法移民を隣国アルバニアに送るという。
2024年春にもスタートし、年間3万6000人を見込んでいる。
「欧州のモデルになる」
と誇った。
計画によると、アルバニアの沿岸に受け入れ施設を造ってもらい、イタリアに移民船が来たら、上陸させずに施設に直送する。
施設ではイタリアの職員が難民審査を行い、周辺の警備はアルバニアが担う。
難民資格が得られなかった人は、イタリアの責任で送り返すことになっている。
イタリアには2023年、北アフリカから移民船で15万人以上が押し寄せた。
イタリア政府は欧州連合(EU)加盟国に
「分担して受け入れを」
と求めたが、応じてもらえない。
そこで、アルバニアに
「EU加盟を支援する」
と約束し、合意を取り付けた。
地元紙によると、経費は5年間で推計6億5000万ユーロ(約1030億円)。
全てイタリアが負担する。
金と手間をかけて、わざわざ移民を外国に送るのには訳がある。
欧州人権法では、1度入国させると追放は極めて難しい。
難民資格がない人も申請を繰り返し、
「子供や病人がいる」
と法廷で訴えれば、強制退去にブレーキがかかる。
そこで
「とにかく入国させない」
ことが重要になった。
「我が国(イタリア)に来ても外国に送るからムダ」
と示し、密航を諦めさせる狙いもある。
メローニ氏は
「不法移民に危険な旅をさせずに済む」
と、抑止効果を強調した。
欧州研究機関
「国際移民政策開発センター」(ICMPD)
のマルティン・ホフマン顧問は
「よく練られたアイデア」
「EU域外の受け入れ施設でも、イタリア法で運営すれば『人権軽視』の批判をかわせる」
「うまくいけば、追随国が増えるだろう」
と予測する。
英国では今、
「移民のルワンダ移送」
法案が国会で審議されている。
英仏海峡を渡ってくる不法移民を6500km南のルワンダに送り、難民申請から定住まで委任することを目指す。
イタリアと英国は、人権団体や左派野党から
「残酷」
「難民保護の責任逃れ」
と批判された。
英国では2023年、当初法案に最高裁が
「人権侵害の恐れあり」
として違憲判決を示し、政局は大揺れになった。
それでも、第3国移送案への関心は高い。
デンマークの他、ドイツ最大野党の中道右派
「キリスト教民主同盟(CDU)」
が、EUによる取り組みを訴えている。
フォンデアライエン欧州委員長は、イタリア案を
「画期的」
と讃えた。
EUはこれまで、リビアやチュニジアに支援金を出し、移民船の出航を止めてもらおうとした。
EU加盟国で受け入れ枠を作り、負担を分け合うことも定めた。
いずれもあまり成果がない。
どの国も
「何とかしろ」
という世論の圧力に直面している。
注目が集まるのは、欧州人を良心の呵責から救う効果もあるからだろう。
各国政府は本音では不法移民を追い払いたいのだが、
「瀕死で救いを求める人を見捨てるのか」
という人権団体の訴えを無下にできず、常に逡巡している。
苦難の末にやってきた移民を、また外国に送る。
そんな方策に飛びつくほど、事態は切迫している。
2023年、欧州で難民申請件数は100万件を超えた。
地中海を渡る途中で死亡、行方不明になった移民は約3000人に上る。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/512.html#c25

[政治・選挙・NHK294] 蓮舫氏の東京都知事選出馬に右往左往、毒舌批判する《#パニックおじさん》って何だ?(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[367] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月04日 09:18:24 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[480]
<■2058行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
きっと再燃する外国人参政権問題
正論2024年7月号 日本政策研究センター 岡田邦宏
我が国の外国人政策が大転換しようとしている。
今、国会に提出されている法案(出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案など)は、出身国への技術移転など国際貢献を建前とした現在の
「外国人技能実習」
制度を廃止し、人手不足を補うことを正面に掲げた
「育成就労」
制度、つまり外国人労働者を労働力として位置付け導入する制度へと転換することが眼目となっている。
この
「育成就労」
資格で3年の在留期間を経て技能や日本語能力が育成されたとなると在留資格が
「特定技能1号」
となり、更に次の段階として熟練技能が求められる
「特定技能2号」
の試験に合格すれば永住資格の取得も家族呼び寄せも可能となる。
また、これまでの技能実習制度では原則認められていなかった実習先の転籍が、新制度では1つの職場で1年を超えて働いた場合、条件付きで認められることとなる。
こうして
「育成就労」
資格で3年の在留期間を経て在留資格が
「特定技能」
となった場合も、外国人が働くことのできる職種が従来の14業種に自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野が追加されることが決定している。
近い将来、水産加工や製造業、農作業だけでなくバス・タクシーの運転手や鉄道の駅員として外国人が働く姿を見ることとなる。
まさに、外国人政策の大転換と言えるが、この転換がもたらすものは何か。
人手不足が幾分か解消されるというだけの単純な話ではない。
朝日新聞は
「未熟練労働者として入国した人たちに中長期のキャリアパスを示し、将来的な定住への道筋が見えるようにした」(2023年10月20日・社説)
と評価したが、外国人労働者の定住を促進するかのような政策変更と言える。
我が国の外国人政策は在留期限と在留資格を限定して在留を許可する
「在留管理」
が原則で、期限が切れると在留できなくなる制度のはずだったが、今回の政策転換が定住を前提とまで言わないが、定住を促進する、移民政策に転換するかのような内容と読めてしまうことは否定し難い。
■外国人が10%を超える日
問題は定住化だけではない。
既に日本人人口が急激に減少する一方、今回の政策転換以前から在留外国人は着実に増加する時代が始まっている。
2023年6月時点での在留外国人の総数は322万3856人(出入国在留管理庁)で過去最高となった。
そのうち外国人労働者は204万8675人(2023年10月末時点)で、前年から22万人余り増加し、初めて200万人を超えた。
政府は今回の政策転換によって5年間で82万人の外国人労働者の増加を見込んでいるというのだから、今回の法改正が外国人労働者の流入を加速させることは間違いあるまい。
このまま日本人人口が減少し、外国人人口の増加が続けばどうなるか。
国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研と略)による推計(2023年4月公表)では、今から45年後の2070年に日本の総人口は8700万人に減少し(2020年の国勢調査による1億2615万人から31%減)、その一方で在留外国人は939万人へと増加するとの推計を発表している。
つまり、総人口に占める外国人の比率が10.8%となり、現状の比率約2%と比べて約5倍、日本は10人に1人が外国人という人口推計となると予測されている。
しかも、既にその時期が45年後の2070年よりかなり早く前倒しされる可能性すら指摘されている。
入管庁の発表によると外国人の入国者数から出国者数を引いた
「入国超過」、
つまり外国人の増加数は2023年9月までの1年間で24万人と前年同時期を5万人も上回っていた。
実は、先の社人研による外国人人口推計は毎年16.4万人の入超を想定した推計だったが、現実には既にその1.5倍も増加している。
この増加傾向が続けば外国人人口比率10%は2070年より10年、20年早まるのは確実と言える。
ちなみに外国人比率10%と言えば、ヨーロッパではドイツ(19%)には及ばないが、イタリア(11%)とほぼ同率、フランス(13%)やイギリス(14%)に近い数字と言える。
これらの国々では移民問題が国政上の大問題となっているが、外国人労働者を移民とは呼ばない我が国においても、本格的な
「外国人政策」
が論じられねばならない時代がやって来ていることは確かである。
■抜け落ちた地方への視点
外国人政策は、出入国管理が国家の主権に係わり、労働政策を含めて出入国や在留、帰化などの制度も基本的に国政マターであり、今回の政策転換を行った背景となったのも外国人材受け入れ・共生に関する関係閣僚会議の報告書
「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」
と言える。
そこで何が掲げられているのかと言うと、
「外国人も社会の一員として包摂する安全・安心な社会」
「外国人を含む全ての人の社会参加」
「個人の尊厳と人権を尊重した社会」
の3つのビジョンを挙げ、外国人との共生社会を目指そうという構想である。
このロードマップに掲げられた共生のビジョンを真っ向から否定しようとは思わないが、その実現性に疑問を持たざるを得ないというのが率直な感想と言える。
というのも、外国人人口の増加、定住化の波に直面するのは
「地方」
なのだが、このロードマップにはその
「地方」
への視点が見当たらないというかすっぽり抜け落ちていると言わざるを得ないからである。
外国人は日本で働くために入国し在留しているが、単なる労働力として位置付けるだけで済む問題ではない。
「我々は労働力を呼んだが、やって来たのは人間だった」
というスイス人の言葉があるように、職場での労働環境、年金・健康保険、子供の保育・学校教育、本人と家族の日本語教育、更には生活保護を含めた生活環境の整備が必要とされることは言うまでもない。
そうした課題や問題に実際に直面するのは中央官庁ではなく地方自治体である市町村だが、自治体財政や人的問題への言及は余りに少ない。
そうした地方との連携が余りに希薄で、
「外国人との共生」
だけが独り歩きしているように読めてしまうというのが筆者の感想である。
■その先に外国人参政権
先に挙げた行政対応など財政的・人的問題はクリア可能だとしても、もっと深刻な問題がある。
ロードマップが外国人を
「日本社会を共に作る一員」
と位置付け、外国人の
「個人の尊厳と人権」
が尊重される社会を目指すことを強調している。
しかし、外国人の
「個人の尊厳と人権」
を強調すれするほど、その先には
「外国人参政権」
という議論が待ち構えていることは間違いない。
そもそも参政権(選挙権・被選挙権)は国民が自国の政治に参加する権利であり、外国人には与えられていない。
少し説明すると、平成7(1995)年の最高裁判決は概略次のように外国人の地方参政権を否定している。
憲法15条1項は公務員の選定罷免権は
「国民固有の権利」
と規定し、その
「国民」
とは憲法が規定する国民主権の原理における国民、つまり我が国の国籍を有する者を意味することは明らかで、そうした性質上、地方選挙であっても在留する外国人には及ばない。
また
「住民」
についても
「憲法第93条2項に言う『住民』とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当」
とも判示した。
その意味で外国人の参政権問題はこの最高裁判決で決着が着いていると言えるが、近年、当時とは違う事情が生じてきていることに留意したい。
平成7(1995)年の最高裁判決当時は憲法学者の間でも外国人の参政権は憲法上保障されないとする全面否認説(禁止説)が有力であったが、最近では国政レベルにおいて外国人の参政権は認められないが、地方自治体レベルの参政権は、外国人に認めても憲法違反にはならないとする学説(許容説)が有力となっているからである。
例えば、芦部信喜・高橋和之『憲法』(第7版)は、
「狭義の参政権(選挙権・被選挙権)は外国人には及ばない」
「しかし、地方自治体、特に市町村という住民の生活に最も密接した地方自治体のレベルにおける選挙権は、永住資格を有する定住外国人に認めることもできる、と解すべきであろう」
としており、樋口陽一『憲法』(第4版)も
「(外国人の)地域社会構成員としての性格に着目して、地方自治体の選挙につきそれらを認めることは、一般的に言って、違憲の問題を生じないと解することができよう」
と解釈している。
こうした憲法解釈を読めば、外国人を
「日本社会を共に作る一員」
と位置付けるロードマップのロジックと類似していることが分かる。
外国人の
「個人の尊厳と人権」
が尊重される社会を目指すという方向性は外国人地方参政権許容説と重なると言えよう。
尚、この他に憲法学者の中には憲法が外国人参政権を要請しているとの学説もあるがここでは省略する。
今現在、具体的に外国人参政権要求が叫ばれているわけではない。
しかし、近い将来、新たな参政権要求が提起された場合、最高裁判決当時(平成7年、1995年)とは学説状況が変わっていることを考えれば、従来の最高裁判決が維持できるのかどうか、不安なしとは言えない。
今の政府の閣僚会議が最高裁判決を超えて外国人参政権の議論を報告書に書くことはあり得ないが、関係閣僚会議のロードマップが外国人を
「日本社会を共に作る一員」
とし、外国人の
「個人の尊厳と人権」
の尊重を提言したことが、参政権議論の中で許容説の布石となることは十分にあり得るように思える。
■急増する10%超の市町村
参政権問題では、こうした憲法解釈とは別に外国人人口の増加によって市町村単位で深刻な問題が持ち上がることが予想される。
前提となる解説をさせて頂くと、先に外国人の人口比率が10%を超える時代が到来すると書いたが、この10%はその時の総人口の分母とし全外国人を分子とした比率、言わば全国平均であって、これを個別の市町村で見ると事情が大きく変わってくる。
4年前2020年の国勢調査では、外国人比率が10%を超えている市町村は10自治体程度しかなかったが、外国人人口の増加傾向を踏まえて5年後10年後に10%を超える市町村がどれほど増えるだろうか。
実は将来の市町村ごとの外国人人口は推計されていない。
ただ、社人研は毎年の全国レベルの外国人人口の
「入超」(増加)
分を16.4万人として計算しているので、この増加分を既知の国勢調査(2020年)の市町村別の外国人人口のシェアに基づいて年ごとに市町村に加算する方法で計算してみると、個別の市町村の数字は正確ではないにしても、ある程度のトレンドを知ることができる。
全体の傾向として言えることは、今から6年後の2030年になると、外国人比率が10%を超える市町村の数は40〜50と急増し、しかも分母となる日本人人口が少なくて外国人人口が多い現在の10%越えの市町村とは違って、地方では製造業の大規模工場や工場団地周辺の小都市、都市部では大阪や東京の一部の区に加えて名古屋市や神戸市の一部の区も、埼玉県川口市など特定の国の外国人が集中する自治体も10%を超えるという傾向が読み取れる。
このままの傾向が更に次の10年も続けば、10%超の自治体は100近くになる可能性がある。
また、10%超の予備軍とも言える外国人比率7〜9%の市町村は4年前2020年の国勢調査時には26しかなかったが、2030年の段階で既に倍増するとの傾向が窺える。
■地方政治を左右する勢力に
こうした外国人人口の急増は、仮に外国人に選挙権が与えられたとすれば、地方政治に大きな影響をもたらすこととなる。
人口10万人規模の市では市会議員は1200票程度で当選している(定数25〜30)。
その市の外国人人口比率が10%の場合、有権者数や投票率を考慮しない粗っぽい計算だが、複数の議員を外国人だけで当選させられる。
人口20万人の市と言えば地域の中心的な自治体だが、市議は1400票〜1500票で当選している。
ここでも外国人の人口比率が10%を超えていれば、更に複数の議員が当選可能と言える。
そうなれば外国人の政治集団ができると言えよう。
在留外国人からすれば、人口の一定比率を占めながら(ここでは仮に10%としたがそれ未満でも問題の性質は変わらない)、自分たちの代表を持てないのは、
「個人の尊厳と人権を尊重した社会」
というロードマップの共生ビジョンに反する、まさに人権が損なわれているという問題意識が生まれても何ら不思議ではない。
日本人の側にも、こうした外国人の政治パワーを利用しようと地方参政権の獲得を掲げる政治勢力も出てこよう。
かつて民主党政権は2009年の総選挙での民団(在日本大韓民国民団)の選挙支援と引き換えに外国人地方参政権法案を当時の小沢一郎幹事長が主導して提出しようとしたことがあった。
外国人労働者問題の専門家の中には参政権など当然だと主張する向きもある。
宮島喬(みやじまたかし)お茶の水女子大学名誉教授は
「(外国人労働者は)住民として国や自治体から様々なサービスを受ける権利を持ち、またサービスを受けるだけでなく、参加する権利、つまり地域の諸組織に参加したり、地域政治に参加する権利も認められるべきでしょう(住民投票、地方議員・首長の選挙に参加したり、請求権などを行使したりする権利)」
と主張している(岩波ブックレット『新版外国人労働者受け入れを問う』)。
今後、子弟の教育など外国人の生活に係わるテーマが地方選挙の争点となった場合、選挙権が認められていないことが問題視されることは十分に考えられよう。
こうした状況の背景にあるのは、これまで日本人が経験したことのない外国人の増加であることは間違いない。
にもかかわらず、先のロードマップは、こうした地方に係わる深刻な問題について問題意識がすっぽり抜け落ちていると言わざるを得ない。
■「国益の原則」忘れるな
そもそも外国人政策の原則とは如何なるものなのか。
外国人の政治的自由と在留許可を国が制限できるかが問題となったマクリーン事件において最高裁は、余り注目されなていない論点だが、法務大臣の任務についてこう判示している「昭和53(1978)年10月4日」。
「法務大臣は、在留期間の更新の許否を決するにあたっては、外国人に対する出入国の管理及び在留の規制の目的である国内の治安と善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定などの国益の保持の見地に立って、申請者の申請事由の当否のみならず、当該外国人の在留中の一切の行状、国内の政治・経済・杜会等の諾事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲など諸般の事情をしんしやくし、時宜に応じた的確な判断をしなければならない」
この判決で注目すべきは
「出入国の管理及び在留の規制」

「国内の治安と善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定など」

「国益の保持」
を目的としている点にある。
外国人政策は
「国益」
が原則だということである。
外国人労働者を受け入れる究極の目的は我が国経済に寄与してもらうためであることを考えれば、当然とも言える。
現在の外国人政策もこうした
「国益の原則」
に沿って、ここまで取り上げてきた地方の観点だけでなく、様々な観点から外国人政策がデメリットを含めて論じられ捉え直されるべきであろう。
外国人に係わる治安問題は国民の関心事だが、そうした問題指摘はロードマップには余りにも少ない。
経済的観点からは外国人労働者の受け入れの経済効果について、経済界は人手不足だけを強調するが、外国人労働者の受け入れにはどんなデメリットがあるのかも論じられるべきであろう。
また安全保障という観点からも検討が必須である。
中国の国防動員法は中国政府が有事を認定すれば日本在住の中国人も動員対象となる。
我が国に在留する外国人約342万人のうち、中国人は約82万人で最大勢力である。
外国人の4人に1人が中国人という現実を踏まえれば、中国の国防動員法は、それが実際に在留中国人に適用されるかどうかは別として、日本の外国人政策にとって検討されるべき大問題と言える。
こうして見ると、外国人との共生を目指すと言っているだけで問題が解決できるかのように思える、そんな時代では既にないことは確かと言えよう。

メディアがダメだから国会議論もダメ
正論2024年7月号 政策シンクタンク代表 原英史
10年後、20年後に、
「あの法改正がその後の日本社会の破壊に繋がった」
と振り返ることになるのではなかろうか。
この通常国会で成立に向けて審議が進む、技能実習制度の見直しなどに関する法案のことだ。
■国会での意見陳述
技能実習制度は、劣悪な労働環境や失踪などが生じ、外国政府からも人権侵害との批判を受け、見直しの検討がなされてきた。
法務省の有識者会議での検討(2023年11月に最終報告)を経て、2024年の通常国会に法案が提出された。
2024年4月16日に審議入りし、2024年4月26日には衆議院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人として意見陳述を行った。
概略こんな事を述べた。
第1に、
「外国人に選ばれる国に」
という標語は再考すべきだ。
政府やマスコミは最近揃って、
「このままでは日本は外国人に選ばれなくなってしまう」
「外国人に選ばれる国にならないといけない」
などと唱えているが、違和感を感じる。
外国人の中には、日本文化を愛し、地域に溶け込み、経済成長に貢献する
「居て欲しい外国人」
もいれば、一方で、経済社会に貢献せず、犯罪を起こし、脱税や社会保障制度の悪用などを行う
「居て欲しくない外国人」
もいる。
まず、
「日本国が外国人を選ぶ」
ことが決定的に重要だ。
これを欠いたまま
「外国人に選ばれる国」
を目指しても、
「居て欲しくない外国人」
ばかりが日本を選ぶことになりかねず、これは害悪でしかない。
第2に、これまで日本政府が行ってきた事は、
「なし崩しの移民受け入れ」
だ。
政府は建前では
「移民政策は採らない」
と言い続けてきた。
第2次安倍政権の初期に
「年20万人の移民受け入れ」
の試算を示して猛反発を受けて以降、決まり文句として唱えることになり、菅内閣・岸田内閣にも引き継がれた。
しかし、現実には外国人労働者の数は、2012年に68万人から2023年には205万人になった。
この10年ほどの間、毎年12万人の移民受け入れを行ってきたのが実態だ。
また、政府のもう1つの建前は、
「高度な人材は積極的に受け入れるが、単純労働は受け入れない」
だが、これも現実と乖離している。
この10年ほどの移民受け入れの相当部分は、技能実習と資格外活動(主に留学生のアルバイト)だった。
言うまでもなく、どちらも技能水準のごく低い労働者だ。
一方で、
「積極的」
に受けれいているはずの高度人材は、2012年に高度人材ポイント制を創設したものの、技能実習などとは桁が異なり、外国人労働者総数の1%程度に留まって来た。

★表 外国人労働者データ(@2012年A2023年)、単位:人
・外国人労働者総数*1:@682,450A2,048,675
・技能実習*1:@134,228A412,501
・資格外活動*1:@108,492A352,581
・高度人材*2:@313A23,958
(出典)
*1:厚生労働省「外国人雇用状況」(各年10月末)
*2:出入国在留管理庁「在留外国人数」(各年末)

(【表】)要するに、日本政府が行ってきたことは、建前とは全く裏腹に、単純労働に重きを置く移民の受け入れだ。
これは、安価な労働力を求める一部産業界に引きずられた結果として生じて来た。
第3に、技能実習制度の問題の根源は、
「安価な労働力」
を求める一部産業界による悪用だ。
もちろん全てが悪用ではなく、好事例もある。
しかし、生産性の低い業界や企業が、高い賃金を払えないため人手不足に陥り、生産性を高めて賃金を上げる努力をする代わりに
「安価な労働力としての外国人」
に頼るケースが少なからずあった。
政府はこうした一部業界の要望に応えて対象業種を追加し、悪用を黙認してきた。
結果として、以下の問題が生じた。
@安価な労働力を求める企業が利用するので、自ずと劣悪な労働環境など人権侵害が生じがちになり、失踪などの事案も生じた。
A安価な労働力を受け入れるので、犯罪や社会的トラブルなど、社会への悪影響も生じがちになった。
B受け入れた企業は、生産性を高めて賃金を上げる代わりに、外国人労働力を受け入れて生き延びる道が与えられ、このため、賃金は低迷し、経済成長が阻害された。
日本は今、相対的に賃金の低い、貧しい国へと転落しつつあるが、大きな要因の1つが技能実習制度の悪用だった。
こうした経過を考えれば、問題解決には外国人政策を根本から見直す必要がある。
審議中の改正案のような小手先の手直し(技能実習の名称を改める、転籍を認めるなど)ではなく、何のためにどのような外国人を受け入れるのか、基本戦略を定めなければならない。
個別制度見直しの前にまず
「外国人基本法」
を制定すべきだ。
こういった事を国会で述べた。
実は、私は直前に骨折して入院中だったが、何としても国会議員の方々に問題を認識して、本来あるべき議論をして頂きたいと考えたので、無理に外出許可を貰って車椅子で出席した。
だが、残念ながら、徒労だったようだ。
私の提起した課題はほぼ議論されることなく、法案審議は粛々と進み、2024年5月17日に衆議院法務委員会で可決された。
参議院での審議が残されているものの、恐らくこのまま成立に向かう可能性が高そうだ。
■産業界に阿る与党
政府の改正案について、少し詳しく説明しておこう。
全くダメなわけではなく、評価できる部分もある。
技能実習関連以外で
「永住資格の取り消し」(永住者が税や社会保険料の支払いを故意に怠る場合や一定の犯罪を犯した場合に資格を取り消す規定)
の追加も提案されている。
これは望ましい改正だ。
本来そんな外国人には永住資格を与えるべきではなく、取り消し規定がなかったことがおかしかった。
早急に規定を追加し、厳正に執行すべきだ。
一方、
「技能実習制度の見直し」
は全く評価できない。
政府案では、技能実習制度を廃止し、代わりに
「育成就労制度」
を設ける。
報道では、
「育成就労では、技能実習と異なり、転籍が一部認められている」
といった事ばかり強調されているが、そんな事は枝葉の話でしかない。
事の本質は、従来の
「なし崩しの移民受け入れ」
を正面から制度化するものなのだ。
従来の仕組みは、
▽国際貢献(母国で働く人材を育てる)を目的とする技能実習制度に基づき、脱法的に低技能労働者を受け入れ、
▽更に、2018年改正で創設した特定技能制度と事実上接続して、長期在留を可能にし(ただし、あくまで事実上の接続であり、本来の制度趣旨には反するので、政府の説明資料では少し隙間が空いている)、なし崩しで
「低技能労働者を受け入れ、長期在留させる」
ものだった。
今回の改正では、
▽技能実習制度の代わりに、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を設けて、制度上堂々と低技能労働者を受け入れられるようにし、
▽更に、特定技能制度と正式に接続し(政府の説明資料では、隙間がなくなる)、制度的に
「低技能労働者を受け入れ、長期在留させる」
仕組みにするものだ。
看板の掛け替えに過ぎないという以上にこれまでコソコソと行ってきた事を堂々と看板に書いてしまうような改正と言って良い。
これではもちろん、先に述べた技能実習のもたらしてきた問題(人権侵害、犯罪・社会的トラブル、賃上げと経済成長の阻害)は何ら解消しない。
それどころか、今後は堂々と低技能労働者の受け入れを拡大できることになるから、益々増幅することになるだろう。
こうした改正の方向と軌を一にして、政府は2024年3月末、特定技能の受け入れ見込み数として
「今後5年で82万人」
との方針を決定した。
制度発足時の2018年からこれまでの5年間は34万人だったから、倍増以上だ。
また、対象業種として、バスやトラック運転手などの自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加する方針も併せて決定している。
特定技能の入り口である育成就労も、自ずと拡大していくことになろう。
より長期的な見通しも示されている。
2023年4月に国立社会保障・人口問題研究所が示した将来人口推計だ。
「外国人が毎年16万人入って来る」
との前提の下、人口に占める外国人比率が2020年の2%から2070年に11%にまで増えるとの推計を示した。
「移民政策は採らない」
などという空虚の説明をしながら、政府は現実には
「なし崩しの移民受け入れ」
を着実に前進させ、本格的な拡大へと向かっている。
ちなみに私は、外国人雇用協議会という一般社団法人の代表理事も務めている。
この団体には、安価な労働力の受け入れとは一線を画し、
「日本の経済社会で活躍できる質の高い人材の受け入れ」
という理念を共有する外国人材関連企業の業界団体だ。
団体の会員企業にとっては、単に短期的な利益拡大だけを考えれば、今回の法改正で外国人の受け入れ規模が拡大するのはビジネスチャンスかもしれない。
しかし、日本社会には取り返しの付かない損失をもたらしかねない。
結果として、長期的に外国人材ビジネスの基盤も損なわれる。
だから、私個人はこの法案には反対であり、参考人質疑でもそう明言した。
正直なところ、政府・与党がこんな法案を国会に提出したことには甚だ失望した。
欧米諸国の多くでは、移民問題が深刻な社会混乱をもたらしている。
日本の政治家も官僚もその状況は十分認識しているはずだ。
それなのに何故、諸外国の失敗の道を辿るように、
「なし崩しの移民受け入れ」
を平然と制度化しようとするのか。
特に自民党の保守派の議員たちは一体何をしているのか。
結局、政府・与党は、人手不足を訴える一部産業界に阿って、国の未来を危うくする危険性に目を瞑っている。
本当に情けないことだが、これが今の政府・与党の現実だ。
「政治とカネ」
を巡る自民党の対応が問題になっているが、こちらの方が余程深刻だと思う。
■より低レベル人材を求める立憲
立憲民主党は対案として
「外国人労働者安心就労法案」
を提出した。
立憲民主党の説明によれば、政府案では外国人の人権侵害の要因が除去されなていないのに対し、対案は外国人の人権を守る内容だという。
しかし、中身を見ると、
「外国人の人権を守る」
とは逆行している。
まず、技能実習と特殊技能を一本化して
「一般労働」
という制度に改め、受け入れのハードルをこれまでより引き下げる。
技能講習でも政府・与党案の育成就労でも最低限の日本語能力が求められるが、これを不要にするという。
とんでもない話だ。
日本語のできない低技能労働者を受け入れれば、職場でも地域社会でもこれまで以上にトラブルが生じる。
周囲の日本人に迷惑を及ぼすだけでなく、外国人自身にとっても人権侵害や差別を受ける可能性が高まるだろう。
更に
「永住資格の取り消し」(永住者が税や社会保険料の支払いを故意に怠る場合や一定の犯罪を犯した場合に資格を取り消す規定)
には反対し、規定を削除している。
これもおかしなことだ。
ルールを守らない外国人を野放しにすれば、外国人への反感が高まり、ルールを守る外国人までその対象にされかねない。
むしろ外国人への人権侵害を増幅しかねない。
何故こんな逆行した対案を出すのか。
結局、本当に人権を守りたいわけではないのだと思う。
本当に人権を守りたければ、低技能労働者を受け入れるのをやめ、安価な労働力として悪用される道を断てば良い。
「可哀相な外国人」
を作らないよう未然防止するのが最善の解決策だ。
ところが、立憲民主党の対案は、政府・与党案以上にもっとレベルの低い低技能労働者を受け入れ、問題を起こす外国人も在留させ続けようという。
「可哀相な外国人」
をもっとたくさん作って、その上で
「可哀相な外国人」
を守ろうという話だ。
マッチポンプそのものだが、これが
「人権を守る」
と称する人たちの求めていることだ。
参考人質疑の際、共産党の本村伸子議員から、諸外国での移民受け入れの状況について問われ、私はこう答えた。
多くの国には、安価な労働力を求める産業界がある。
一方で、可哀相な外国人を受け入れたい、守りたいという人たちもいる。
これらは全く異質なようだが、実は同じ方性を向いて、一緒になって社会を悪くしてきた。
これが欧米諸国の多くで起きてきたことだ。
現在の国会状況を見れば、日本でも同様に、産業界と人権左翼の結託が起きている。
自民党は、産業界の要望に応えて安価な労働力の受け入れを制度化しようとする。
立憲民主党は、可哀相な外国人を守ると称し、更に低レベル人材を受け入れようとする。
与野党どちらも、安価な労働力を受け入れる方針では合致して、どちらがより社会を悪くできるかを競い合っている状況だ。
そして、基本的な方向は合致しているから、こんな劣悪な政府・与党案に対して、野党は徹底抗戦しようとしない。
粛々と法案は成立に向かっているのだ。
しかも、採決に際しては、
「永住資格の取り消し」(永住者が税や社会保険料の支払いを故意に怠る場合や一定の犯罪を犯した場合に資格を取り消す規定)
に関して立憲民主党の主張を一部受け入れ、
「外国人の状況に配慮して行う」、
即ち資格取り消しは抑制的にしか行わない旨の修正が施された。
せっかく的確な改正がなされようとしていたのに規定の実効性を損なったわけだ。
最早、与野党で手を握って、社会を危機に向かわせようとしているとしか思えない。
■一刻も早く国民的議論を
残念ながら、こうした惨状をマスコミは全く報じない。
私は、これまでも技能実習の見直しについて、マスコミの報道がおよそ的外れであることを繰り返し指摘してきた。
2023年5月に法務省の有識者会議が中間報告を出した段階で本誌2023年7月号に
「弱者を作る朝日 移民を歓迎する産経」、
本誌2023年11月号に最終報告が出た段階で産経新聞にコラム
「『外国人に選ばれる国』という美名の下に…」(2023年12月10日付)
を寄稿し、新聞各紙は
「人権を守れ」
「選ばれる国に」
などと唱えるばかりで、
「安価な労働力」
に偏った外国人受け入れなどの根本問題に触れていないことを指摘してきた。
国会での法案審議の段階になっても状況は全く変わらない。
▼読売新聞は、
「外国人の就労環境を改善せよ」
「『選ばれる日本』にしていくことが大切だ」
と説いている(2024年2月10日付社説)。
▼産経新聞は、
「労働環境の是非を着実に」
と唱え、取って付けたように
「移民に対し安易に道を開くことにならにように」
と付け加えるだけだ(2024年3月21日付主張)。
▼朝日新聞は、
「労働者の権利を重んじる態勢に生まれ変われるのか疑問」
と指摘し、永住資格の取り消しについては
「筋違いで、共生の理念を否定するメッセージ」
と厳しく批判している(2024年5月10日付社説)。
いずれも、これまで本稿で述べてきたような外国人政策の根本問題には全く目を向けていない。
更に、ルールを守らない外国人との
「共生」
を求める朝日新聞に至っては、論外と言う他ない。
マスコミがダメだから、国会でもダメな議論しかなされない。
本来、外国人政策は、国の未来の姿、国民1人1人の生活に重大な影響を与える。
国民が議論に参画し、選挙などを通じ選択すべき課題だ。
一刻も早く、国民的議論の土台を整える必要がある。
そのため、
「移民政策は採らない」
などの意味不明な言葉で誤魔化すのでなく、明確な選択肢を示して議論がなされるべきだ。
第1の道は、従来の延長、即ち
「低技能労働者を中心とした移民受け入れ」
の拡大だ。
これは、欧米の多くが辿って来た道だ。
「深刻な人手不足への対応」
「人口減少する地方の活力維持」
「外国人の人権を守る」
などともっともらしい説明がよくなされるが、行き着く先は大概同じだ。
第2の道は、
「外国人排斥」
だ。
欧米各国では、第1の道で深刻な社会問題が生じ、反作用として極端な排外主義を唱える勢力が力を強めた。
第1と第2の道の対立で、社会の分断も招いた。
日本でも今後、こうした声が高まる可能性は高い。
第3の道は、そのいずれでもなく、冒頭でも触れた
「外国人を選ぶ」
道だ。
経済社会を豊かにすることに貢献する高度人材は積極的に招き、低技能労働者は受け入れない。
表向きの説明としては、日本政府はずっとそう言い続けてきたのだから、本当にその通り実行したらよい。
私は、欧米諸国の失敗を踏まえれば、これが進むべき道だと考えている。
いずれにせよ、このまま漠然と
「なし崩しの移民受け入れ」
を延長・拡大し、社会が大混乱に陥ってからでは手遅れだ。
1度立ち止まって、国の進む道を冷静に議論するには、今が最後のチャンスだ。

育成就労法案、衆院通過へ 労働力不足に外国人材確保 職場変更「転籍」も可能
2024/5/21 7:11
https://www.sankei.com/article/20240521-PBYN6RJRE5MVXCKDP3TIJGYTHM/
技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度
「育成就労」
を創設する入管難民法と技能実習適正化法の改正案が2024年5月21日、衆院本会議で可決され、衆院を通過する。
参院に送付され、今国会で成立する見通し。
人手不足の分野で労働力を確保し、即戦力とされる特定技能水準の人材を育て、長期就労を促す。
公布から3年以内に施行する。
育成就労の在留期間は原則3年で、技能実習では原則禁止されていた同じ業務分野で職場を変える
「転籍」
を一定の条件で認める。
転籍手続きなどで悪質なブローカーを排除するため、民間業者の関与を禁じる。
技能実習で受け入れ仲介を担う監理団体は
「監理支援機関」
と名称を変え、外部監査人を設置して中立性を高める。
今後は永住者の増加も見込まれるとして、納税などを故意に怠った場合は永住許可を取り消し、別の在留資格に切り替える規定も盛り込んだ。
衆院審議では与野党が修正を協議し、永住者の生活状況に配慮することなどを付則に追加した。

国貧しくする外国人政策
政策シンクタンク代表 原英史 
2024/4/28 8:00
https://www.sankei.com/article/20240428-7IRYKFFZSFP2TFLRAJTQM47IVE/
外国人の技能実習制度の見直しなどを内容とする出入国管理法等改正案の国会審議が始まった。
2024年4月26日、衆院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人の1人として陳述を行った。
私の述べた意見は、技能実習など個別制度の手直しの前に、まず
「外国人基本法」
を制定し、受け入れの戦略を明確にすべきだということだ。
政府は従来、なし崩しで外国人政策を進めてきた。
表向きは
「移民は受け入れない」
と言いつつ、実態は安価な外国人労働力の受け入れが拡大した。
日本人に十分な賃金を払って人材確保できない企業や業界が、安易に外国人労働者に頼り、入管行政も要望に応えた。
「国際協力」
が目的の技能実習制度などの悪用を政府が容認してきたのだ。
この結果、劣悪な労働環境や失踪などの問題が生じ、外国人による犯罪、社会的トラブルなども広がりつつある。
業界・企業が賃上げせず事業継続する道が用意され、賃金水準低迷の一因となった。
今回の改正案はこうした根本問題を解決するものではない。
「技能実習制度の廃止」
を掲げ、実態とかけ離れた国際協力の名目を人材育成などに改めてはいるが、実質大きく変わった点と言えば、転職を認めた程度だ。
看板の掛け替えに近い。
今後、人手不足が拡大する中で外国人受け入れの規模は拡大するから、これまでの戦略なき受け入れの負の側面は、更に大きく広がりかねない。
政府が今、行うべきことは戦略なき状態の解消だ。
国民的な議論も経て、
「外国人基本法」
を制定することが不可欠だ。
基本法ではまず、何のために外国人を受け入れるのかを明確にする必要がある。
「人手不足の解消」
を目的とするのは危うい。
業界要望に安易に応え続けることになり、日本人も含めた賃金引き上げを阻害し、日本をより貧しい国にしかねない。
安易な労働力の受け入れは社会的軋轢も生みやすい。
目的は
「日本を豊かにすること」
とすべきだ。
生産性を高めて経済社会を発展させるため、貢献できる質の高い外国人を戦略的に受け入れていく必要がある。
併せて、外交・安保政策の観点で人的交流を強化すべき国から重点的に受け入れるよう戦略性も求められる。
日本に限らず、移民を巡る議論は、賛否が大きく分かれ、イデオロギー・感情的対立にも陥りがちだ。
解決の道は、安易な受け入れでも全面的排除でもなく、日本国にとって有用な外国人材を選び抜いて受け入れることだと考える。
だが、今回の改正案はなし崩しの延長で、安易な外国人受け入れの道を広げ、社会の混乱を招き、日本をより貧しくしかねない。
必要なのは、なし崩し的な移民から戦略的政策への転換だ。

「外国人に選ばれる国」という美名の下に… 政策シンクタンク代表・原英史
2023/12/10 8:00
https://www.sankei.com/article/20231210-K3VBLS7WBBPVZFO3Y4EMXZC6VA/
外国人が働きながら技能を学ぶ技能実習制度の抜本見直しに向けて、政府の有識者会議の最終報告書がまとまった。
国内外から指摘されてきた劣悪な労働環境などの問題を解消し、日本が
「外国人に選ばれる国」
になって、人手不足への対応を目指そうという。
具体的には
▽技能実習制度は廃止して新たに「育成就労」制度を設ける
▽人権侵害を防ぐべく、働く企業を変える「転籍」を認める
などの内容だ。
だが、欠落しているのは、
「外国人に選ばれる国」
になる前に
「日本国が外国人を選ぶ」
ことの重要性だ。
日本文化を愛し、地域に溶け込み、経済成長に大いに貢献する
「日本にいてほしい外国人」
もいれば、経済社会に貢献せず、犯罪を起こし、社会保障制度を悪用するなど
「いてほしくない外国人」
もいる。
後者が日本を選んでくれても害悪でしかない。
技能実習制度を巡る諸問題の根源は、この視点を欠いていたことだ。
「国際貢献」
という建前のもと、一部産業界の求める
「安価な労働力」
としての外国人受け入れに悪用されてきた。
欲しいのは
「安価な労働力」
だから、技能のない外国人を
「選ぶ」
ことなく受け入れ、余程の事がない限り在留し続けられる仕組みだった。
だから、劣悪な労働環境など人権侵害が生じ、一方、外国人犯罪なども起きがちになった。
本来必要な見直しは
「外国人を選ぶ」
制度への転換だ。
ところが、政府の有識者会議の最終報告書は小手先の見直しばかりで、問題の根源に手を付けていない。
新制度の目的は
「国際貢献」
から
「人材育成と人材確保」
に変えると言うが、
看板の掛け替えどころか、正面玄関から
「安価な労働力」
を受け入れることにも繋がりかねない。
一部産業界の要望に応え続けている限り、人権侵害の問題も解消しない。
結局、
「いてほしい外国人」
ほど日本を避け、選択肢の乏しい
「いてほしくない外国人」
ばかりが日本を選ぶ。
更に外国人受け入れの規模が拡大すれば、欧米諸国以上に深刻な移民問題に直面しかねなない。
これが
「外国人に選ばれる国」
という標語の行き着く先だ。
深刻な状況を前に主要新聞各紙の社説はおよそ的外れだ。
「(外国人に)選んでもらえる社会を作っていきたい」(朝日新聞)
「日本を『選ばれる国』に変えていくことが大切だ」(読売新聞)
「外国人にそっぽを向かれることになりかねない。政府は正念場」(日本経済新聞)
などと声を揃える。
せいぜい産経新聞が
「社会に様々な問題を生みかねない移民に対し、この改革が安易に道を開くことがあってはならない」
と一言指摘しているだけだ。
これでは、外国人政策はおかしな方向に向かうばかりである。

正論2024年2月号 政策シンクタンク代表 原英史
■人権左翼と一部産業界の結託?
政治とカネの騒動の陰で重要な政策転換も進んでいる。
その1つが技能実習制度の見直しだ。
技能実習を巡っては、劣悪な労働環境などの人権侵害、それに伴う失踪などが長らく国内外で指摘されてきた。
法務省の研究会でなされていた検討が2023年11月末にまとまり、2024年通常国会での法改正に向けて準備を進めることになった。
内容は、技能実習制度は廃止し、新たに
「育成就労」
制度を設けるという。
結論から言えば、看板の掛け替えどころか、むしろ更におかしな方向に向かっている。
そもそも技能実習制度の根本問題は、
「国際貢献」(途上国への支援)
という建前の下、
「安価な労働力」
として外国人受け入れの道を開いてきたことだった。
もちろん制度を有効利用する好事例もあり、全てを否定するわけではない。
だが、生産性の低い一部産業界が、賃金引き上げや設備投資の代わりに
「安価な労働力」
を要望し、政府が応えて対象業種を追加してきた面があった。
そんな事業者が利用しているから外国人への人権侵害が起きがちになった。
「安価な労働力」
を求める事業者は外国人を選ばず受け入れるので、犯罪なども起きがちになった。
生産性を高めない事業者を温存し、経済成長の阻害要因にもなった。
今回の報告書は根本問題に全く踏み込んでいない。
それどころか、
「就労育成」
制度は
「人材育成と人材確保」
が目的だという。
つまり、これまでのように
「国際貢献」
と建前を述べるのはやめて、堂々と
「人材育成」
と称する。
つまり、これまで通り、
「安価な労働力を」、
しかも正面玄関から受け入れようということだ。
その上で、人権侵害を防ぐため、別の企業などに移る
「転籍」
を認めるなどと言うが、小手先の見直しでしかない。
今、本当に求められるのは、
「日本国としてこれから、どんな外国人を(高度人材、安価な労働力など)、どのような方式で(短期か長期かなど)、どの程度の規模で受け入れるのか」
という国民的議論だ。
外国人の中には、日本の経済社会の成長や活性化に大いに貢献する
「日本に居て欲しい外国人」
もいれば、経済社会に貢献せず、罪を犯し、社会保険を悪用するなど
「日本に居て欲しくない外国人」
もいる。
これをどう選び、どう受け入れていくかが肝心なのだ。
政府はいつもこうした本来の議論から逃げ、技能実習の見直しなどの各論に突如入り込む。
基本戦略を定めていないので、結局、一部産業界などに引きずられ、なし崩しの移民受け入れに向かってしまうのだ。
これに対し、主要新聞各紙は的外れだ。
いずれも
「安価な労働力」
路線の継続を批判しようとはしない。
朝日新聞も毎日新聞も日経新聞も揃って
「これで外国人に選ばれる国になれるか」
と憂え、
「転籍」
をもっと拡大せよなどと論じている。
メディアがこんな状況では、外国人政策はおかしな方向に向かうばかりだ。
安価な労働力路線を続け、多くの
「日本に居て欲しくない外国人」
から
「選ばれる国」
になったところで、社会にとって害悪でしかないのは明らかだろう。
こんな状況から想起されるのは、欧米諸国でも生じてきた、人権左翼と一部産業界の暗黙の結託だ。
難民申請者などの幅広い受け入れに対し、人権を重視する勢力と、安価な労働力を求める一部産業界は、一見すると水と油のようだが、実は利益が一致している。
暗黙の結託を背景に、過剰な難民受け入れなどがなされてきた面が否めない。
今後、日本でも同様の事態が起きかねない。
事態は深刻だ。

弱者を作る朝日新聞 移民を歓迎する産経新聞
正論2023年7月号 政策シンクタンク代表 原英史
物事を見る時は、個々の事象の表層だけでなく、全体像や背後の構造まで見極めることが肝要だ。
例えば重大事故が生じた時、まず悲惨な被害状況などに向き合うことは欠かせないが、それだけでは不十分だ。
更に踏み込み、事故が何故生じたのか、製品の欠陥がなかったか、法規制や監督体制に問題はなかったかといった検証を行ってこそ、再発防止に繋がる。
報道機関にはそうした姿勢が求められる。
■入管法改正を巡る報道
しかるに2023年国会で焦点になっている入管難民法改正について、残念ながら新聞各紙の報道は実に底が浅い。
目立つのは、
「難民申請3回以降は送還可能」
について、在留外国人らの反対意見を紹介して批判的に報じるものだ。
毎日新聞(電子版)は
「ウィシュマさん妹『外国人の人権無視』入管法改正案の衆院委可決で」
(2023年4月29日)
で、今回の改正は
「不法滞在中の外国人の強制送還を進める狙いがあるが、日本で暮らす外国人の『排除』に繋がりかねないとの懸念も示されている」
とし、2021年に死亡したウィシュマさんの遺族の
「外国人の人権を無視し、尊重していない」
との意見を紹介している。
東京新聞は
「『国を分断する法案を許すな』『国家によるいじめだ』 入管法改正案への抗議デモ、国会前に4千人超」
(2023年5月13日)
で、仮放免中の外国籍の夫と暮らす女性のデモ参加者の声として
「夫は4回目の難民申請中」
「結婚したら収容はあり得ないと思っていたが、理由なく収容されて現実を受け止められず、弟に泣きながら電話したこともある」
「入管は厳正な判断をしているとは思えない」
「国を分断する法案を許してはいけない」
と報じる。
朝日新聞は社説
「入管法改正案 課題に背を向けた国会」(2023年4月28日)
でこう主張している。
「非正規滞在の外国人に対する入管当局の適正な処遇をどう確保するか」
「議論は大きな世論のうねりを生んだ」
「国会が拙速に封じるのは許されない」
(中略)
「入管施設での長期収容を防ぐ対策が問われたにもかかわらず、政府提出の法案は、収容をめぐる手続きに裁判所など第三者のチェックを入れることを避け、入管当局の強い裁量下にとどめる」
「難民申請中でも強制送還できる例外も設けた」
「保護を求めてきた人を迫害のおそれのある国に帰すリスクは高まる」
気になる点は色々ある。
「外国人の人権」
はもちろん尊重しなければならないが、外国人であっても日本にいる時は日本の法令を守らないといけない。
法令に違反したら収容や送還の対象になり得るのは当たり前だ。
東京新聞記事で紹介される女性は
「理由なく収容された」
と言うが、在留資格が切れているのに滞在していたので収容されたはずだ。
収容で引き裂かれて辛いだろうが、決して
「理由なく」
ではない。
だが、そうしたこと以上に根本的な問題は、不法滞在外国人に関わる不幸な事象の表層しか見ていないことだ。
■「弱者の味方」が弱者を作る
なぜ不幸な事象が生じてきたのか。
問題の根源は、不明瞭でどっちつかずで曖昧な入管行政だ。
確かに、難民認定はなかなか受け入れられない。
だが、申請を繰り返して長年日本に居続けることができる。
2010年以降は申請中の就労も法的に認められた。
在留資格が切れれば、収容されることもあるが、収容されないこともあり、何年も経ってから突然収容されることもある。
基準は不明確で運次第のようなものだ。
更に、在留特別許可という制度があり、日本人との結婚や、日本社会に定着しているなどの理由で特別に在留が認められることもある。
特に2000年代半ばには随分と許可がなされた。
こうした曖昧な入管行政が、
「日本にいれば何とかなる」
との期待をもたらしてきた。
難民認定申請者は、2000年頃は200〜300人程度だったが、2010年代後半には年間1万人以上に激増した(2018年に就労が制限されて2000〜4000人程度に減少した)。
政治的迫害など難民要件にはおよそ当てはまらず、経済目的で在留を望む外国人も相当程度含まれていたはずだ。
だが、期待と言っても、不確かな期待に過ぎない。
結果として、首尾よく在留できた人もいれば、収容や家族分断などの不幸な事態に陥る外国人も数多く生じたわけだ。
こうしてみれば、解決策は明らかだ。
認定基準を明確にすることだ。
保護すべき外国人は、何度も申請しなくても、迅速に難民や準難民として受け入れる。
認められない場合は、早期に退去してもらう。
曖昧な行政による不確かな期待を断ち切ることこそ肝要だ。
ところが、これに対し朝日新聞などは、
「申請を何度も繰り返す外国人が在留し続けられるようにせよ」
と唱える。
あやふやな期待を持たせ続けろというのだ。
「弱者の味方」
のつもりなのかもしれないが、実際には不幸な事態を更に引き起こすことになってしまう。
報じている記者らの気持ちは分からないでもない。
在留外国人などを取材するうちについ
「期待を持たせてあげたい」
と思うのだろう。
だが、不確かな期待を持たせてあげることで問題が解決するわけではない。
これも善意でやっていたことだろうが、不確かな助言で曖昧な入管行政が増幅した一部の支援者たちも、結果的には不幸を作り上げた一端だ。
朝日新聞などは自らの報道・主張が結局、新たな弱者を作りかねないことを自覚すべきだ。
■難民受け入れを進めた安倍内閣
外国人政策は全般に、建前と実態の乖離が深刻だ。
技能実習を巡る建前(国際貢献)の乖離はよく指摘されるが、もっと根本的な乖離もある。
まず
「移民は受け入れない」
という建前がある。
これについては、安倍晋三内閣の初期、経済財政諮問会議で
「年20万人の移民受け入れ」
が検討されたことがあった。
当時、諸方面から猛反発を受けて検討は中止され、その後は
「移民政策は採らない」
と言い続けることになった。
菅義偉内閣・岸田文雄内閣にも方針が引き継がれている。
だが、実態としてその間に何が起きたか。
「移民政策を採らない」
はずだった安倍内閣の間、外国人労働者総数は68万人(2012年末)から172万人(2020年末)と2.5倍に急拡大した。
その後コロナ禍で一旦鈍化したが、再び拡大しつつある。
「高度な外国人は受け入れるが、単純労働は受け入れない」
との建前もある。
だが、現実には100万人超の外国人労働者増のうち、半分は技能実習と留学生、即ち最も技能水準の低い労働者だ。
結局、実質的には
「単純労働を中心に毎年10万人以上の移民を受け入れてきた」
というのが現実なのだ。
何故こんなことになっているかというと、
「安価な労働力として外国人を利用したい」
という産業界の一部の要望に引きずられてきたためだ。
古くは1990年代から始まった日系移民の受け入れもそうだった。
その後は、技能実習や留学生アルバイトが広がった。
「移民は受け入れない」
「高度な外国人しか受け入れない」
との建前を守るため、名目上は
「日系だから」
「国際貢献(人材育成)のため」
といった理屈を付けてきたが、実態は
「安価な労働力としての外国人受け入れ」
そのものだった。
産業界の要望に引きずられるのは米国も欧州も同様だ。
メディアが
「日本と桁違いの認定率」
と称する難民受け入れも、実は
「安価な労働力を求める産業界」

「人権左派」
の意図せざる結託で過剰な受け入れがなされてきた面は否めない。
結果として過剰に
「安価な労働力としての外国人」
を受け入れ、移民に関わる深刻な社会問題をもたらした。
日本はこれまで受け入れ規模が小さかったが、今後、国内での人手不足の広がる中で
「安価な労働力受け入れ」
路線を拡大していけば、確実に欧米の轍を踏むのではないか。
■各社とも全体像度外視
技能実習については本来、こうした外国人政策の全体像を踏まえた見直しが求められるはずだ。
ところがメディアの報道では、劣悪な労働環境、失踪トラブル、海外からの「人権侵害」との指摘、といったことばかりが注目されがちだ。
法務省の有識者会議で2023年5月に公表された中間報告では、技能実習の廃止(人材育成を制度目的とする現行制度は廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新制度に)、転籍制限の緩和などを柱とする見直しの方向が示された。
これに対しても新聞各紙の報道は、
「外国人の人権を守れるか」
という視点での報道・主張ばかりだ。
朝日新聞は社説
「技能実習制度決別の意思を明確に」(2023年4月1日)
で、
「立場の弱い外国人の労働搾取だと指摘されてきた制度と、本当に決別できるのだろうか」
と危惧を示す。
日経新聞の社説
「技能実習制度の看板掛け替えでは困る」(2023年4月12日)
も、より抜本的な改革を求める内容だが、視点は
「日本が国際的な信用を取り戻すためには、技能実習制度の禍根を断ち、政策の転換を明確に示すことが欠かせない」
ということだ。
確かに
「外国人の人権」
は重要だが、課題はそれに止まらない。
「安価な労働力としての受け入れ」
を今後も維持・拡大するのか。
その場合に人材供給源はどう考えるのか(かつては中国、近年はベトナムだったが、経済水準が上がったので今後は難しい)。
諸外国で起きてきた移民問題にどう対処していくのか。
産経新聞くらいはまともな議論をしていないかと思って見てみたら、更にダメだった。
主張
「技能実習制度の廃止 人権を守る労働環境整えよ」(2023年4月25日)
では、人権問題を解決する観点から以下のように主張している。
「中間報告のたたき台案は、制度の目的を人材育成としたまま実習生を労働者として受け入れるのは『望ましくない』として制度廃止を求めた」
「その上で、人材育成だけでなく人材確保も目的とする新制度創設を提言したのは理に適う」
「ただしこれは移民問題とは別である」
「社会を変質させる恐れのある移民受け入れへと安易に道を開かないようにすべきだ」
率直に言って、これを書いた人は中間報告の意味が分かっていないのだと思う。
精度目的を
「人材育成」
から
「人材確保と人材育成」
に切り替えるとはどういうことか。
これまで表向き
「安価な労働力としての受け入れ」
とは言わずにこそこそとやってきたが、これからは正面から堂々とそう言ってしまおうということだ。
「人材育成」
も目的に残すことで技能水準の低い人材を受け入れ続けられる。
産経新聞はこの方針を
「理に適う」
として歓迎しているわけだ。
一方で
「移民問題は別」
とも言っているが、私の理解では、
「安価な労働力としての受け入れ」

「移民の受け入れ」
に他ならない。
政府の言い分では、
「在留期間の制限などがあるので移民には当たらない」
らしいが、どこの国でも単純労働者に最初から永住資格を与えることはあまりない。
今回の中間報告は、外国人政策の根本の転換だ。
だが、産経新聞までこの体たらくでは、国民の多くが気付かないうちに大転換がなされることになりかねない。
ここまで、私は外国人受け入れに否定的な主張ばかりしているように見えたかもしれないが、実は外国人雇用協議会という推進側の民間団体の代表理事も務めている。
本稿で述べたことはあくまで私個人の見解だが、この協議会も私も、能力水準が高く日本の経済社会に貢献できる外国人はもっと受け入れるべきとの考えだ。
高度人材に占める外国人の割合は、日本は欧米諸国などに比べて圧倒的に低い。
★高度人材に占める外国生まれの割合
OECDの資料を基に2010年11月経済産業省作成
◆15歳以上の高度人材の人口に占める外国生まれの割合
・英国 23%
・米国 16%
・フランス 13%
・ドイツ 13%
・日本 1%
これでは、グローバルな国際競争で日本が取り残され、日本の競争力は下がる一方だ。
日本の相対的な給与水準は急速に低下している。
2022年経済産業省が公表した
「未来人材ビジョン」
では、タイと日本の企業を比較し
「タイの方が部長に昇進する年齢が平均的に10歳若く、しかも年収が高い」
という衝撃的なデータも示された。
それなら能力に自信のあるアジアの若者は日本よりタイに行った方が良いわけだ。
このまま推移すれば、日本にやって来る外国人の水準はどんどん低下する。
経済社会への貢献度合いは小さくなり、半面で犯罪やトラブルは増えかねない。
そうした中で、
「安価な労働力としての外国人受け入れ」
路線を本当に更に進めるのか。
それで日本の競争力は上がるのか。
日本社会はどうなるのか。
産経新聞は
「社会を変質させる恐れ」
を本当に危惧するなら、真面目に考え直してもらいたい。
■「報道の能力」の欠如
毎年のことだが、
「国境なき記者団」
による
「報道の自由度ランキング」
が公表された。
朝日新聞ではこう報じられている。
朝日新聞
「報道の自由、日本は68位 主要7カ国で最下位」(2023年5月4日)
「国際NGO『国境なき記者団』(本部・パリ)は3日、2023年の『報道の自由度ランキング』を発表した」
「調査対象の180カ国・地域のうち日本は68位(昨年71位)で、昨年よりは順位を上げたものの、主要7カ国(G7)の中で依然、最下位だった」
「日本の状況について、『メディアの自由と多元主義の原則を支持している』としたものの、政治的圧力やジェンダー不平等などにより、『ジャーナリストは政府に説明責任を負わせるという役割を十分に発揮できていない』と批判した」
この記事は、重要な部分を報じていない。
本誌の読者ならば知っているだろうが、
「国境なき記者団」
のレポートでは例年、日本に関して
「記者クラブの問題」
「新聞・テレビのクロスオーナーシップ規制がないことにも起因する、メディアの極度の集中」
が指摘されている。
2023年も同様だ。
これらは
「政治的圧力」
などとは異なり、朝日新聞自らの問題だ。
少なくとも、このランキングを報じるならば、これらの点も報じないとおかしいだろう。
同時に、朝日新聞の報道の通り、
「政治的圧力」
などの指摘もある。
「2012年から右翼国家主義者(nationalist right)が政権について、ジャーナリストが敵視されている」
とか
「秘密保護法制で福島原発へのアクセスが制限された」
とか、私から見ると
「一体どこの国の話なのか?」
と思う内容だが、それこそ
「メディアの極度の集中」
の結果、朝日新聞など一部のメディアの特異な世界観や社会認識が世界にも広まっているのだろう。
私が思うに、日本のメディアに欠けているのは
「報道の自由」
ではなく
「報道の能力」
だ。
せっかく自由に報道できる環境があるのに、まともな報道ができていない。
今回取り上げた難民や技能講習に関しても、問題の本質に触れず、政府の方針に対する批判的検証もできていない。
決して政治的圧力で封じられているわけでなく、能力が欠けているからだ。
「政治的圧力」
云々と言うが、もし的確な取材に基づき自信を持って記事を出しているなら、圧力がかかっても、覚悟を持って抗したら良い。
実際には、能力不足で筋違いの記事を出しているためにしばしば抗議を受け、それに対し
「圧力だ」
と逆切れしているだけではないのか。
私自身、以前安倍政権で国家戦略特区ワーキンググループの座長代理を務めていた際、獣医学部の件をはじめ、いくつもの虚偽報道がなされ、その度に抗議していた。
朝日新聞本社に出向いて、そう間違っているのか詳細に説明したこともある。
担当の部長が何の反論もなく
「なるほど、なるほど」
と聞いているが、訂正記事が出ることはなかった。
毎日新聞にはデタラメな誹謗中傷記事まで掲載され、提訴して係争中だが、毎日新聞の言い分は
「そんなことは書いていない」
だった。
ひょっとすると朝日新聞や毎日新聞は、こうした抗議や提訴も
「政権の手先が圧力をかけてきた」
などと思い違いをしているのかもしれないが、まず自らの報道を省み、責任を持てる報道をしてほしい。
「ジェンダー不平等」
も同様だ。
取材対象に差別的な人物がいて、不当な扱いやセクハラを受けたなら、それを記事にして追い詰めれば良い。
能力不足でそれもできず、政治や社会のせいにしている様は、実に見苦しい。

国民を富ませない移民の経済効果
正論2024年7月号 青山学院大学教授 福井義高
政府が進める外国人の受け入れ策は事実上、移民社会へと舵を切ることにならないか。
その是非を巡って推進、制限論者とも自分たちの主張に拘泥し、感情論になりがちで、建設的な議論が進まぬ中、なし崩しに外国人労働者の受け入れは進んでいく。
筆者は2023年の本誌7月号で主にジョージ・ボーハス教授(米ハーバード大)による研究を基に、移民の経済効果を検討した。
建設的議論の一助とすべく移民を
「感情」
でなく
「勘定」
の問題として考えてみたのである。
その結果分かったのが、移民の受け入れは、受け入れ国のGDP(国民総生産)を増加させるけれど、移民の受け取る賃金相当分を除いた自国民に帰属するGDPはほとんど変わらないことである。
2015年の時点で移民労働者が全労働者の16%を占める米国でも、元からいる米国民分のGDPへの効果は全GDPの0.3%しかなかった。
ただし、移民の効果は企業と労働者で大きく異なる。
移民受け入れで賃金は下がり、企業利益(資本所得)は12%増加したのに対し、賃金は5%減少と推計された。
更に、自国労働者のうち移民労働者と競合する職種の賃金が下がる一方、移民と競合しない自国労働者は移民が従事するサービスの価格低下の恩恵を受ける。
こうした移民の経済効果は、米国に限らない。
2003年にオランダ中央計画局(CPB)が公表した報告書
「移民とオランダ経済」(Immigration and the Dutch Economy)
によれば、移民により労働者が5%増えると、資本(投資)財価格が一定で、移民が全て単純労働者だった場合、オランダの自国民全体への効果はほとんどない一方(GDPが0.06%増)、企業利益は4%増、非単純労働者賃金2%増に対し、単純労働者賃金は6%減少する。
米国とオランダの例から明らかなように、移民受け入れは、自国民の所得増を伴わない、格差を拡大する所得再分配政策なのである。
勝者は企業とエリート、敗者は一般国民である。
■不都合な結果
たとえ格差が拡大しても、高齢化が加速する中、外国人労働者に頼ることなしに日本経済は回らないのだから、受け入れざるを得ないという主張もあろう。
しかし、移民推進は、高齢化により益々厳しくなる国の財政状態を多少とも改善するどころか、更に悪化させるのである。
2023年に前述の
「移民とオランダ経済」
のアップデート版とも言うべき移民が財政に与える影響に焦点を当てた報告書
「国境なき福祉国家」(Borderless Welfare State)
の最終版が公表された。
(https://demo-demo.nl/wp-content/uploads/2023/06/Borderless_Welfare_State-2.pdf)
ただし、
「移民とオランダ経済」
が明らかにした移民の経済効果は、多文化共生を是とし移民受け入れを推進する政府にとって都合が悪いものだったこともあり、今回の報告は民間プロジェクトとして行われた。
オランダは2023年現在、人口が1800万人で日本の7分の1程度、65歳以上人口の割合は20%で日本の29%より低いものの高齢化が進んでおり、2021年のGDP比国民負担率(税金と社会保険料の合計がGDPに占める割合)は39%で日本の34%より高い。
日本同様、高齢化が財政に与えるマイナスの影響が深刻な問題と考えられている。
ただし、移民流入により人口は増加している。
例えば2022は前年に比べ、《native》即ち土着のオランダ人の人口は0.1%(2万人)減少したものの、移民とその子供は3.1%(13万人)増加し、全体では0.7%(12万人)増加した。
こうした中、報告書
「国境なき福祉国家」
は、通常アクセスできないオランダ全人口1720万人(2016年初人口+年間出生児数)の個人データを使い、オランダ人と移民、後者は出身地地域別にそれぞれどれだけ財政に貢献し、また支出を伴ったかを推計している。
まず、全人口がオランダ人1340万人と移民385万人に大別される。
移民は他国で出生しオランダにやって来た1世(第1世代)とその子供である2世(第2世代)からなり、全体の22%を占める。
尚、当初から帰国する予定の外国人労働者とその家族も含まれている。
移民は欧米(western)出身と非欧米(non-western)出身に大別され、更に42地域にグループ分けされている。
欧米に含まれるのは、ロシアを含む欧州諸国、北米(米国とカナダ)、大洋州(オーストラリアとカナダ)、インドネシア(旧オランダ領)そして日本である。
調査の基準となる2016年のデータを基に、オランダ人と移民に分けて財政への単年度ベースの影響を示したのが表1だ。
★表1 オランダ人・移民別財政への影響(単年度ベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算)
(注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計/日本は欧米に分類
「@人口(百万人)A人口(全体比)B貢献額(兆円)C支出額(兆円)D純貢献額(兆円)E純貢献額(GDP比)F1人当たり純貢献額(万円)」
・合計:@17.2AーB60.2C60.5D-0.2E-0.2%Fー
・オランダ人:@13.4A78%B49.5C46.3D3.2E2.3%F20
・移民全体:@3.8A22%B10.7C14.2D-3.5E-2.4%F-90
・移民欧米:@1.7A10%B5.9C5.7D0.2E0.1%F10
・移民非欧米:@2.1A12%B4.8C8.5D-3.7E-2.6%F-170
単年度ベースというのは、この1年間の収支に基づく、筆者たちの表現を借りれば
「静的」
な推計である。
尚、
「国境なき福祉国家」
のデータは全て2016年価格のユーロで表示され、その後のインフレが考慮されていない。
ここでは、オランダの2023年消費者物価指数が2016年比26%上昇したことを反映させ1ユーロを160円で換算して、2023年価格で表す。
以下、同様である。
全体の78%を占めるオランダ人の財政への貢献は49兆円5000億円だったのに対し、46兆3000億円が支出されたので、差し引き純貢献額はプラス3兆2000億円、GDP比プラス2.3%の貢献となった。
一方、全体の22%を占める移民は貢献額10兆7000億円に対し支出14兆2000億円で純貢献額マイナス3兆5000億円、GDP比2.4%の負担(-2.4%)をかけたことになる。
ただし、欧米出身と非欧米出身で大きく異なる。
全体の10%を占める欧米出身移民は貢献額5兆9000億円に対し支出額5兆7000億円で純貢献額プラス2000億円、GDP比プラス0.1%でほぼ収支トントンであった。
ところが、全体の12%を占める非欧米出身移民は、貢献額4兆8000億円に対し支出額8兆5000億円でGDP比2.6%の負担(-2.6%)をかけたことになる。
これは、1.6%と推計されているオランダにおける高齢化がもたらすマイナスの影響を上回っている。
1人当たりで見ると、非欧米出身移民は170万円の負担(マイナス170万円)となっている。
欧米出身移民は貢献額と支出額が釣り合っているので、移民の財政負担はほぼ全てオランダ人の肩にのしかかることになる。
■資本ストックで見る重要さ
しかしながら、単年度ベースの数値は、移民受け入れの効果を判断する上で、必ずしも適切な指標とは言えない。
移民受け入れは(マイナス価値のある場合も含め)一種の投資であり、永住せず出国(remigration)する移民もいるけれど、長期に渡って財政に影響を与えることは間違いない。
移民を受け入れることに伴い、学校教育や医療、その他行政サービスを追加的に提供する必要が生じ、財政負担が増す。
従って、将来に渡る移民のストック(複数年度ベース)価値を推計する必要がある。
実際、
「国境なき福祉国家」
では、単年度ベースの静的アプローチでなく、経済学で
「世代会計」
と呼ばれる手法を用いたストックベースの動的アプローチが必須であることは移民に限らない。
政府がある年に長期に渡る支出にコミットしても、その年の支出として計上されるのは実際に支払った額だけである。
例えば、日本政府が10年間毎年1兆円合計10兆円の新規道路建設を決定しても、最初の年には1兆円しか支出計上されない。
しかし、財政への影響を考える場合に重要なのは、長期に渡って必要となる10兆円という金額であることは自明だろう。
さて、投資即ちストックとしての移民を考える場合、移って来た本人のみならず、その子供たちの分も考慮する必要がある。
また、移民全てが永住するわけではないので、受け入れ国にとってのストック価値を推計するには、出国する可能性も考慮し、その分を控除する必要がある。
「国境なき福祉国家」
は、この2点を考慮に入れた推計をメインの数値としてしている。
移民1人当たりの子供の数については、出身地域別で出生率が違うことも考慮されている。
まず、欧米出身移民に関しては、ストック価値はほぼゼロと推計された。
つまりオランダ財政に貢献もしないけれど、負担にもならないということである。
★表2
非欧米出身移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ160円換算)
@2016年A2015〜2019年平均B1995〜2019年平均
・純貢献額(兆円):@-6.4A-5.4B-3.4
・2016年GDP比:@-4.5%A-3.8%B-2.4%
一方、表2に示したように、非欧米出身移民は、1995〜2019年の25年間で見ると、財政への純貢献額は年平均マイナス3兆4000億円、GDP比2.4の負担(-2.4%)であった。
2015〜2019年の直近5年間だと、純貢献額はマイナス5兆4000億円、GDP比3.8%の負担(-3.8%)、2016年は難民が大量に入国したため、純貢献額はマイナス6兆5000億円、GDP比4.5%の負担(-4.5%)であった。
要するに、非欧米出身移民はマイナスの資本ストックであり、オランダ人にとって移民受け入れは、ただでさえ高齢化によって厳しくなる一方の財政状況を更に悪化させる負の投資ということになる。
「今年いくらかかったか」
というフローで見るよりもストックで見た方が、貢献額がプラスの場合は小さく、マイナスの場合は更にマイナス幅が大きくなる。
これは、移民1世は大人になってから入国するので、オランダ人にも共通する、子供時代の財政上のマイナス要因(公教育コストなど)がかからないためである。
■移民1人当たりはどうか
移民全体でなく、移民1人当たりで見た場合、オランダで生まれる子供や出国の可能性を考慮した、ストックとしての財政への影響はどのくらいなのか示したのが表3である。
★表3
出身地別1人当たり移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算)
(注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計
@出国の可能性を考慮した場合(基本推計)A出国の可能性を考慮した場合(最小推計)B出国の可能性を考慮した場合(最大推計)C永住した場合
(単位:億円)
・仮想オランダ人:@プラス0.2AーBーCプラス0.4
・移民平均:@マイナス0.3AーBーCマイナス0.5
・移民欧米:@0.0AーBーCプラス0.1
・移民日本:@プラス0.4Aプラス0.3Bプラス0.5Cプラス1.0
・移民非欧米:@マイナス0.6AーBーCマイナス1.0
・移民中国:@マイナス0.1Aマイナス0.2B0.0Cマイナス0.2
・移民トルコ:@マイナス0.7Aマイナス1.0Bマイナス0.6Cマイナス1.1
・難民平均:@マイナス1.0AーBーCー
・難民欧米:@マイナス0.6AーBーCー
・難民非欧米:@マイナス1.1AーBーCー
・難民トルコ:@1.0AーBーCー
推計に際して、当然ながら多くの仮定が置かれており、仮定を変更すると数値が大きく変動するようでは信頼が置けない。
その懸念に対応し、仮定をもっともらしい範囲内で変えた推計がいくつか試みられている。
結果的に、最小推計と最大推計の差はさほど大きくなく、基本推計の数値はかなり信頼度が高いと思われる。
まず、比較の基準として、オランダ人と同じ属性の人間が移民として訪れた場合を考える。
入国する年齢や出国の可能性も考慮した、この
「仮想オランダ人」
のストック価値はプラス2000万円である。
移民は平均でマイナス3000万円と推計される。
ただし、出身地域別の違いは大きい。
欧米出身移民は全体ではほぼ財政に中立的ながら、日本出身移民はプラス4000万円の
「優良資産」
となっている。
日本以外では北米、大洋州、北欧、そして西欧の一部からの移民のストック価値が高い。
皮肉なことに、途上国の移民が行きたいと願う国からの移民こそ、オランダにとって
「資産」
価値があるということだ。
一方、欧米系でも東欧の一部からの移民のストック価値はマイナスである。
非欧米出身は平均でマイナス6000万円の
「負債」
となる。
ただし、やはり出身地別のバラツキは大きく、中国がマイナス1000万円であるのに対し、トルコはマイナス7000万円となっている。
移民は更に入国理由別に推計されており、オランダに限らず受入国にとって最も負担となる難民の場合、欧米出身(旧ユーゴスラビアなど)がマイナス6000万円、非欧米出身はマイナス1億1000万円だった。
その多くがクルド系と思われるトルコからの難民はマイナス1億円である。
更に、移民が永住した場合の推計も行われている。
財政貢献がプラスにせよマイナスにせよ、永住を仮定しない基本推計よりも、絶対値(プラス幅あるいはマイナス幅)は大きくなる。
とりわけ、例外的に日本出身移民は2世になってもオランダ人より純貢献額が大きいので、ストック価値はプラス1億円となる。
一方、トルコ出身移民はマイナス1億1000万円である。
トルコ出身のうち難民の数値は未公表なものの、恐らく1億5000万円前後と思われる。
日本出身移民が例外的というのは、日本以外でストック価値が高い欧米出身移民の場合、2世になるとほぼ財政に中立的なオランダ人(2016年生まれの場合、ストック価値マイナス60万円」)にほとんど同化するのに対し、日本出身2世はストック価値がプラス2000万円と推計されるからである。
■福祉国家が終わる
オランダ財政に貢献する移民と負担となる移民を分けるものは何か。
学力(教育レベル)と共に重要なのが文化的距離(宗教や慣習などの隔たりの大きさ)である。
学力が高いほど、出身地とオランダの文化的距離が近いほど貢献額は大きく(負担額は小さく)なる。
実は、日本出身移民はオランダ人より学力が高く、日本は米国よりも文化的距離がオランダに近いとされている。
その結果、日本出身移民の財政から見た同化度はオランダ人(定義上100%)を上回る134%となっている。
一方、貢献額がマイナス即ちオランダ財政の負担となっているのが、学力や文化的距離で隔たりがある
「アフリカ・イスラム・クラスター」
である。
推計では2世までしか考慮されていないけれども、こうした地域からの移民は、3世以降もオランダ社会への同化が進んでいないため、財政上の重荷である状態が続くと考えられる。
従って非欧米出身移民による財政への負の影響は、推計値よりもっと大きい可能性が高い。

「アフリカ・イスラム・クラスター」
の移民2世にかかる治安維持コストは他地域の2世の2.3倍と推計されている。
日本同様、オランダでも少子高齢化が進んでいる。
推計時の出生率はオランダ人女性1.7、欧米移民女性1.4、非欧米移民女性2.0であった。
コロナ禍前2019年には更に低下し、オランダ人女性1.6、欧米移民女性1.3、非欧米移民女性1.9だった。
少子高齢化による年金財政悪化、経済成長率低下に対処するには、移民を必要とする意見がある。
しかし、
「国境なき福祉国家」
が示したのは、途上国からの移民流入は、財政を更に悪化させ、そのマイナスの影響は高齢化の影響を上回るという現実である。
途上国出身の場合、難民だけでなく、労働移民であっても財政には負担となる。
「働くならば移民は問題ない」
という主張は正しくないのだ。
財政問題を度外視するとして、オランダが現実の年齢人口バランスを維持するために移民受け入れを進めた結果、21世紀終わりには人口は1億人に達する。
ただしオランダ人は僅か1割の少数派になってしまう。
「国境なき福祉国家」
が指摘するように、移民で少子高齢化を抑制する試みは必ず行き詰まる
「ネズミ講」
のようなものである。
今回の推計に含まれていないけれど、オランダのように既に人口密度が高い国の場合、人口増が社会・自然環境にもたらす非財政的コストや、自国民の心理的コストを無視することができない。
可住地面積当たり人口密度がオランダの倍近く、同質性の高い社会を長年に渡って構築してきた日本の場合、こうしたコストは更に大きなものとなるのは確実である。
オランダ政府は、ほぼ無条件に受け入れている
「難民」
と称する移民の多くが制度を悪用していることを認めている。
にもかかわらず、有効な対策を取ろうとしない。
労働移民についても、選り好みせず途上国から受け入れている。
<報告書は
「政府の移民政策」
が長期的に何を意味するかについて以下のことを疑いなく示した>
<財政への増大するプレッシャー、そして最終的には我々が知る福祉国家の終わりである>
<従って、現在の法的枠組みを続けるという選択は、明示することなく福祉国家に反対する選択なのだ>
■議論に欠けるもの
本稿ではオランダを例に、移民を財政的観点から分析する見方を紹介した。
多文化共生あるいは人権の観点に基づく移民推進論者は、移民の是非を金銭価値のみで判断するのはけしからんと主張するであろう。
しかし、移民を巡って、どのような美辞麗句で飾り立てようと、途上国からの大量移民は、一般国民からエリートへの所得再分配をもたらす上、財政を圧迫し、自国民に対する行政サービス水準を低下させる。
とりわけ弱者に対するセーフティーネットを劣化させる可能性が高い。
如何なる政治信条の持ち主であろうと、政治家が第1に考えねばならないのは、まず自国民、とりわけ弱い立場にある国民の福利であるはず。
ここで指摘した移民の経済財政効果を十分考慮せず、なし崩しに外国人労働者を受け入れることは、自国民への裏切りと言っても過言ではない。
【付記】本稿作成に当たり、「国境なき福祉国家」の筆頭著者ヤン・ファンデベーク博士より貴重な助言を賜った。

人手不足論はまやかしの市場重視
正論2023年7月号 青山学院大学教授 福井義高
海外からの移民を積極的に受け入れるべきという意見には2つのタイプがある。
まず、昨今流行りのダイバーシティ、多文化共生の観点からのもの。
一方、こうした移民による多様化推進論に対しては、日本社会の独自性を保つため、移民は受け入れるにしても限定的にすべきという主張も有力である。
もう1つの移民推進論は、人口が減少する中、経済成長を実現するには、移民による労働力確保が不可欠という、経済的要請によるものである。
実際、様々な分野で、なし崩しに外国人労働者受け入れが進んでいる。
多様性か独自性かという、特定の価値観に基づく主張は、お互い自分が正しいことを前提に相手を非難する感情論になりがちで、言いっ放しに終わってしまう。
それに対し、経済的観点からの是非は、生前、経済倫理学を提唱された竹内靖雄元成蹊大教授に倣って、感情ではなく勘定、つまり損得の問題として、検討することが可能である。
「感情」
ではなく
「勘定」、
つまり損得の問題として、検討することが可能である。
というわけで、ここでは高邁な文化論は避け、対象を移民(外国人労働者)の経済効果に絞って考えてみたい。
■もし国境を撤廃したら
第二大戦後、米国主導で進められた貿易自由化によって経済成長が促進され、日本のみならず各国国民の生活水準は大きく向上した。
貿易自由化とは、モノの移動に関して国境を撤廃するということなので、ヒトの移動に関しても国境を撤廃すれば、更に経済成長が促進されると考えても不思議ではない。
実際、グローバル経済推進論者は、そのように主張している。
もし世界中で移民制限を撤廃し、ヒトの移動を完全自由化すれば、その経済効果は如何ほどなのか。
幸い、移民の経済研究の第一人者であるジョージ・ボーハス教授(ハーバード大)がシミュレーションを行っているので、その結果(一部筆者推計)を紹介しよう。
ここでは、途上国の労働者は祖国を離れることに特別なコストは伴わないケースを取り上げる。
まず、世界銀行の推計に基づき、世界を人口11億人うち労働者6億人の先進国と、人口59億人うち労働者27億人の発展途上国に大別する。
現実のデータに即して、先進国・途上国共に、企業が利益を人件費に回す割合を示す
「労働分配率」
を70%、先進国と途上国の賃金格差を4対1と仮定する。
移民自由化の賃金格差は、労働力の質ではなく、社会の仕組みを反映したもので、先進国の高賃金は、途上国に比べて、より効率的な経済活動を可能とするものになっているからと考える。
従って、移民を完全自由化すれば、自由貿易によって同じモノの値段が世界中で等しくなるように、ヒトの値段即ち賃金も世界中で同じなる。
また、移民を完全自由化すると、先進国と途上国の人口と賃金はそれぞれどうなるのか、2つの場合を考える。
まず、移民を受け入れても、それまで効率的な経済活動を可能にしてきた先進国の社会体制が変わらない場合、そして、途上国からの大量移民で、先進国の社会が半ば途上国化する場合である。
先進国社会不変の場合、世界全体の国内総生産(GDP)は57%増加する。
ただし、先進国経済に対する移民の経済効果を見るには、移民自身が得る経済効果(賃金)を除外し、土着の自国労働者賃金と自国資本に帰属する所得の合計を、移民自由化前後で比較する必要がある。
移民賃金を除外しても先進国のGDPは39%増加するので、モノの自由貿易同様、ヒトの移動自由化は自国民に帰属する経済のパイを大きくする。
しかし、移民自由化がもたらすGDP増加は、大規模な移民と表裏一体である。
国境撤廃によって、労働者の家族も含めて、途上国人口の95%に当たる56億人が先進国に移住することになるのだ。
その結果、国民・移民共通の先進国賃金は39%減少する。
ただし、途上国からの移民から見れば143%の増加である。
一方、先進国の資本所得(企業利益)は、労働者増・賃下げの恩恵で、220%増加する。
大量の移民が流入すれば、受け入れる側の先進国の社会体制が、その経済効率性も含めて、大きく変化すると考える方がもっともらしい。
やって来るのは、働くロボットではなく、人間なのだから。
途上国からの大量移民で先進国社会が半ば途上国化する場合、移民自由化前より低下するとはいえ、それでも途上国より高い生産性が維持される先進国に、途上国人口の84%に当たる50億人がやって来る。
その結果、世界全体のGDPは13%増加するものの、社会の途上国化で、移民に支払われる賃金を除外した先進国のGDPは7%減少すると共に、自国民・移民共通の先進国賃金は56%減少する。
それでも移民から見れば74%の賃上げである。
一方、先進国の資本所得(企業利益)は、社会の途上国化によるマイナス効果にもかかわらず、労働者増・賃下げ効果がそれ以上に
「貢献」
し、108%増加する。
移民自由化の勝ち組は、言うまでもなく、まず先進国で働くことで賃金が大幅に上昇する途上国からの移民である。
そして、途上国から安い労働力を
「輸入」
することで、利益を大幅に増やすことができる企業である。
一方、負け組は、移民労働者による
「賃金ダンピング」
で、大幅な賃下げを余儀なくされる先進国の自国労働者である。
先進国における移民推進とは、グローバル化とか多様性とかいった美辞麗句を取り去って、その経済効果を直視すれば、労働者から資本家・経営者への所得再分配政策である。
ボーハス教授が指摘するように、
「先進国の労働者が、国境撤廃論者に従うことを拒否するのは、人種差別や外国人排斥とはほとんど関係ない」
「単に新世界秩序(New World Order)から恩恵を受けないからなのだ」。
移民推進は、先進国の国民大多数から見ると、勘定の問題として割に合わないのである。
■移民大国、米国の場合
国境完全撤廃によって途上国民の大半が移民するケースなど非現実的過ぎて、今後の日本の移民政策の参考にならないという批判があろう。
確かにそうかもしれない。
そこで、移民大国である米国の実例を、ボーハス教授の推計(一部筆者推計)に依りながら、見てみよう。
結論から先に言ってしまえば、移民推進が所得再分配政策であるという、その本質は変わらない。
2015年のデータによると、全労働者のGDPに対する貢献分は12%を占める。
しかし、移民流入で増加したGDPから移民の取り分を除くと、移民が自国民にもたらす経済効果はGDPの0.3%でしかない。
ただし、GDPの内訳を見ると、自国労働者の取り分が3%減少したのに対し、企業の取り分は3%増えている。
国境完全撤廃でほとんどの途上国民が先進国に殺到する場合と異なり、移民労働者が全体に占める割合が
「僅か」
16%であっても、移民労働者がいない場合に比べ、賃金は5%低下し、企業利益は13%も増加するのである。
更に、移民に対して提供される公的サービスの財政負担増が移民の納税額を上回る、つまり財政純負担増は確実であり、移民流入のネットのGDP貢献分0.3%は、その純負担増で帳消しになるか、マイナスになっている可能性が高い。
ここまでは労働者を一括して扱ってきたけれども、労働者といっても、大企業経営幹部から非正規雇用の単純労働者まで様々である。
実際に、移民労働者との競争を強いられ、賃金低下圧力に晒されるのは、元から低賃金の職種に従事する自国労働者である。
ボーハス教授の推計によれば、移民流入で競合する職種の労働者が10%増えると、その賃金が少なくとも3%、場合によっては10%程度低下する。
一方、移民労働者と競合しないエリートたちは、むしろ移民労働の恩恵を受ける側である。
移民推進は労働から資本への所得移転のみならず、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転をもたらす。
そもそも、アメリカは移民の国とされるけれども、これまで常に大量の移民を受け入れてきたわけではない。
日本では
「排日移民法」
と呼ばれる1924年に成立した改正移民法により、北・西欧系を除く移民が大幅に制限され、1920年代半ば以降、移民が激減する。
それから約40年経った1965年に移民法改正が行われた際、法案を提出した国会議員も政府も、この改正は移民送出国の構成が若干変わるだけで、移民数自体が増加することはないと
「確約」
したにもかかわらず、移民数は激増、しかも、改正前と異なり、欧州ではなく、途上国からの移民が大多数を占めるようになった。
20世紀半ばの移民制限期に所得格差が縮小したのに対し、大量移民が始まった1970年代以降、所得格差が拡がり、今日に至っている。
この間、米国非管理職労働者のインフレ分を除いた実質賃金はほぼ横ばいだったのに対し、大企業社長(CEO)報酬は労働者賃金の20倍程度だったのが、300倍を超える水準となっている。
■誰のための移民推進なのか
まず、移民の経済的メリット・デメリットを検討するに当たり、何を基準とするのか、はっきりさせる必要がある。
移民自身から見れば、日本の移民受け入れはプラスに決まっている。
そうでなければ、そもそも日本にやって来ない。
しかし、デモクラシーにおける政策の判断基準は、まず主権者たる国民の幸福や豊かさであり、今いる日本人にとって新たな移民受け入れがどのような経済効果をもたらすかが、移民政策の是非を巡る判断基準となるべきであろう。
出生率の低下で人口が減少する中、新たな労働力として大量の移民を受け入れれば、日本のGDPが押し上げられることは間違いない。
ただし、経済成長政策として有効か否かを判断するには、移民を受け入れなかった場合のGDPと、受け入れた場合のGDPから移民賃金と移民受け入れに起因する純財政負担を引いた額を比較しなければならない。
米国の実例でも分かる通り、移民推進は自国民の経済成長にはほとんど影響しない、ほぼ純粋な所得再分配政策である。
社会の途上国化による生産性の低下、純財政負担を考慮すれば、経済成長への効果はむしろ全体としてマイナスの可能性が高い。
移民推進は、労働から資本への所得移転に加え、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転を引き起こす、弱肉強食の格差拡大政策なのだ。
企業経営者をはじめ社会のエリートたちに移民推進論者が多いのは、要するに自分にとって得だからである。
多様化推進の観点からの移民推進論も、こうした主張を行う人が概して高学歴エリートであることを鑑みれば、正義感溢れる
「感情」
論でカムフラージュされた
「勘定」
論と見ることもできる。
一方、欧米では弱者の味方のはずの左翼・リベラルが移民受け入れを推進しているけれども、これは比較的最近の現象である。
元々、左翼・リベラルの間では、支持基盤だった労働者の利益を守るため、移民受け入れに慎重な意見が有力であった。
冷戦時代、
「移民の継続は深刻な問題をもたらす」
「合法、不法とも移民をストップせねばならない」
と主張したのは、極右どころか欧州左翼の大立者ジョルジュ・マルシュ仏共産党書記長である。
米国のある有力な大統領候補もこう語っていた。
「不法移民流入を阻止せねばならない」
「この目的を達するため、国境警備要員を増やさねばならない」
「合法移民に関する法律も、合衆国が移民の数と質をもっとコントロールできるよう改正せねばならない」
「移民受け入れに関しては、まず、合衆国は、無責任な他国干渉への干渉ーこうした干渉はほぼ確実に政治難民を生み出すーによって難民が生じることだ」
「もっと用心しなければならない」
「本当に難民かどうか、より確実に難民申請を審査せねばならない」。
発言の主はドナルド・トランプ前大統領ではなく、ベトナム反戦で名を馳せたリベラルの雄、ユージン・マッカシー民主党元上院議員である。
要するに、今日の労働者は左翼・リベラル主流派に見捨てられたのである。
ただし、新たな動きも見られる。
ドイツで急進左翼の代表格とみなされてきた旧東独出身のザーラ・ヴァーゲンクネヒト左派党連邦議会議員が、大量移民は自国労働者の経済的利益を損なうという
「勘定」
論を前面に出した移民反対論を唱え、左翼・リベラル主流派から非難される一方、
「極右」
正統とされるAfD支持者の間で大人気となっている。
■低賃金は企業の敗北宣言
豊かな社会では、必要であったも自国労働者がやりたがらない仕事が増え、移民なしにはやっていけないという主張をよく聞く。
しかし、先進国で移民が従事するのは、自国労働者がやらない仕事ではなく、現在の賃金水準ではやりたくない仕事である。
不法移民を一掃した米国のある地域で現実に起こったように、外国人労働者がいなければ、自国労働者がやりたくなる水準まで賃金は上昇する。
また、企業は技術革新で乗り切ろうとする。
実際、それは高度成長期の日本で起こったことである。
「人手不足」
にもかかわらず、移民を入れなかったことで、製造現場ではロボットが普及して省力化が進み、高学歴エリートと大衆の賃金格差が縮小し、戦前の大企業大卒社員の家庭では当たり前だった
「女中」
が賃金高騰でほとんど姿を消した。
一方、我々がどうしても生活に必要と考える財サービスであれば、十分に生産性を上げることができないため賃金上昇を価格に転嫁せざるを得ず高価格となっても、需要は残る。
一例として、生産性向上が困難な理美容業の料金は、高度成長前に比べ一般物価水準を超えて大きく上昇したけれども、今も需要は健在である。
低賃金でないと事業を継続できないというのは、高い価格を支払ってまで買う価値のある財サービスを提供できないという、企業としての敗北宣言に過ぎない。
低賃金の外国人労働者への依存は企業にとって麻薬のようなものであり、自国民の所得格差を拡げるのみならず、生産性向上努力を妨げ、結果的に、企業の衰退をもたらす。
経済的観点からの移民推進論者は、ほとんどの場合、自称市場重視論者でもある。
しかし、現在、
「人手不足」
が叫ばれている仕事の多くは、財サービス価格が低過ぎて超過需要が生じているのであって、価格を上げて需要を減少させるのが、本来の市場重視であろう。
その典型例が貨物輸送である。
人手不足対策に議論は不要である。
市場のシグナルに耳を傾け、トラック運転手の賃金を上げればよいのだ。
現在の価格で現時点の需要に応じようとする需要充足主義は、計画経済的・社会主義的発想であり、市場重視とは無縁である。
人手不足論者にみられる、こういう財サービスの価格あるいは職種の賃金は低くて当然という発想は、単なる思い込みに過ぎない。
理美容サービス料金に見られるように、社会の変化に伴い、財サービスの相対価格は劇的に変化してきた。
戦後、相対賃金が大きく変化したことは、先に述べた通りである。
人手不足を理由とした移民推進論は、国民経済の観点からは到底正当化できない。
市場のダイナミズムを無視したまやかしの市場重視、その実、反至上主義なのだ。
国境完全撤廃のシミュレーションはともかく、米国の実例は、EBPM(Evidence-based Policy Making:証拠に基づく政策立案)を標榜する日本政府にとって、移民政策を検討する際に、大いに参考になるはずである。
ともあれ、移民問題は感情ではなく、冷静な議論が可能な勘定の問題という認識が求められる。

EBPM(証拠に基づく政策立案)とは?
EBPMとは、Evidence-based Policy Makingの略称であり、日本においては内閣官房が以下のように定義している。
(1)政策目的を明確化させ、
(2)その目的のため本当に効果が上がる行政手段は何かなど、当該政策の拠って立つ論理を明確にし、これに即してデータ等の証拠を可能な限り求め、「政策の基本的な枠組み」を明確にする取組。
つまり、たまたま見聞きした事例や経験(エピソード)のみに基づいて政策を企画するのではなく、データを活用し、合理的根拠(エビデンス)に基づいて企画すること。

人手不足解消のカギは外国人労働者を受け入れないこと
Hanada2024年7月号 小西美術工藝社社長 D・アトキンソン
■衝撃的なアンケート結果
岸田政権は2024年3月29日、人手不足の分野で一定の技能がある外国人労働者を受け入れる在留資格
「特定技能」
について、2024年度から5年間の受け入れ枠を82万人とすることを閣議決定しました。
2023年度までの5年間で設定していた人数の2.4倍となり、外国人労働者の受け入れが加速することになります。
とんでもない話だと憤っていたら、最近、更に衝撃的なニュースが飛び込んできました。
「外国人労働者受け入れ『賛成』62%、高齢層で大幅増 朝日世論調査」(朝日デジタル)
<朝日新聞社が全国世論調査(郵送)のテーマ「人手不足社会」に関連して、人手不足の業種を対象に外国人労働者の受け入れを拡大する政府方針への賛否を尋ねたところ、「賛成」62%が「反対」28%を大きく上回り、賛否が拮抗した5年余り前の調査から大きく変化した>
もちろん、日本のマスコミの世論調査なので、どういう業種の人を対象にしたか、経営者だけにアンケートしたのかなど詳細が出ておらず、留意は必要ですが、6割もの人が外国人労働者受け入れに賛成というのは、驚きました。
人手不足に悩まされているのは、ほとんどが中小企業です。
人口減少の下、中小企業は生産性が低い。
有給休暇の取得率などを見ると、労働環境が大企業より厳しいので、労働者が不足すると、まず中小企業が人手不足になる。
日本の中小企業は社員数が非常に少ないので、すぐに大きなダメージを受けます。
日本企業の平均従業員数は9人。
85%の日本企業は、平均従業員数がたった3.4人。
仮に従業員数3人の職場から1人辞めると、労働力が3分の1減り、たちまち
「人手不足」
に陥ってしまうのです。
■努力したくない中小企業
私から言わせれば、中小企業は人手不足を解消する努力が進んでいません。
私は以前から、中小企業は統合して、次第に規模を大きくしていかなければいけないと主張しています。
合併統合することで、経営陣などの管理職や経理はこれまでの半分で済み、その分、人手不足の部署に人手を回すことができる。
統合まではいかなくても、会社間でお互いに人手が足りない時には融通し合うことができるよう連携はするべきです。
もう1つは、機械化など設備投資による作業の効率化。
ただ、経営者としては、日本人は低賃金でも仕事を真面目にこなしてくれるので、コストを掛けて設備投資を行う動機が生まれません。
機械化などをするより、低賃金で人間に働いてもらう方が安上がりなのです。
ここは肝心なポイントで、人口減少によって生じている人手不足は、本来、企業がそれに合わせてビジネスモデルを変えるチャンスであり、変えなければならないのです。
しかし、連携も合併もしたくない、設備投資で生産性向上もしない・・・中小企業がビジネスモデルを変える何の努力をすることもなく現状維持をするため、唯一残された方法が、減っていく日本人労働者の代わりに外国人労働者を受け入れることなのです。
現時点で、200万人の外国人労働者が日本に来ています。
2060年には生産年齢人口が3000万人減るので、低賃金労働者依存症の中小企業経営者を満足させるためには、1000万人単位で外国人労働者を受け入れなければならないでしょう。
主に最低賃金で働く外国人労働者が大量に入って来ると、日本人の賃金も上がらなくなります。
経営者は楽でしょうが、社会保障の負担が増える一方の日本で、財政も労働者も大きな打撃を受けます。
こんなふざけた話があるでしょうか。
■これまで以上に増える軋轢
2023年、2500万人の外国人観光客が日本を訪れました。
一方、
「オーバーツーリズムだ」
(ある地域を訪れる人が急増したことにより、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況)
と批判する声もあります。
満員でバスに乗れないとか、ホテルが満室で取れないとか、マスコミなどで
「オーバーツーリズム」
と批判されていることは、日本側の受け入れ体制の未整備によって起こっていることで、
「オーバーツーリズム」
などではありません。
1カ月当たり200万人来ているインバウンドは海外旅行できるレベルの層で、日本におカネを落として、欧米人などの場合、2〜3週間したら国に帰っていきます。
一方、外国人労働者は全く逆です。
中小企業が求めているのは、最低賃金で働いていくれる人材。
日本の最低賃金は世界23位で、ハンガリーやイランよりも低く、後進国レベル。
そんな低賃金であっても働きに来る外国人労働者は、言い方は悪いですが、どういう教育水準の人か分かりません。
そういう外国人が1000万人単位で日本に来て、定住するのです。
しかも最低賃金で働く外国人労働者は、経営者たちが住むようなエリアではなく、一般庶民が住むエリアで生活するようになる。
欧州などでは、低賃金の移民などは大変な問題を引き起こしています。
そもそも、イギリスがBrexit(イギリスが欧州連合 (EU) から離脱すること、離脱したこと)に踏み込んだ最大の原因は、庶民が強いられた移民の問題でした。
インバウンドは一時的にしかいないから、発生するトラブル、軋轢などたかが知れていますが、定住する外国人労働者は違います。
既にして、日本に住むイスラム教徒が
「土葬できる墓を作ってほしい」
と要請していたり、神社の賽銭箱を破壊したりする事態も起こっている。
1000万人単位で外国人が入ってきたら、これまで以上に様々な軋轢が生まれるでしょう。
なぜ経営者が低賃金で人をコキ使いたいがために、日本全体が迷惑を被らなければいけないのか。
「オーバーツーリズムだ!」
と騒いでいる人たちは、今すぐ外国人労働者受け入れに反対した方がいい。
どこの国でもそうですが、教育水準の低い移民を大量に入れれば、犯罪やトラブルが増えます。
移民政策で成功しているのは、高学歴かつポテンシャル(潜在的な力。可能性としての力)の高い人材を受け入れて、イノベーション(新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念)をどんどん起こしているアメリカくらい。
■中小企業延命という愚策
私が日本に来た1990年代前半は、高学歴・高所得の外国人でないと就労ビザが下りませんでした。
「日本人にできる仕事は外国人にやってもらう必要がない」
という考え方で、よほどの特殊技能を持った外国人でなければ、日本で働くことができなかった。
自分で言うのも何ですが、イギリスでトップの大学であるオックスフォードを卒業していても、なかなか申請が通らなかったほどです。
人手不足が叫ばれたているのは、飲食宿泊や運送業など、労働環境が悪く、生産性も低い業種です。
高学歴の人材などを必要としていません。
少子化によって競争率が下がり、今の若者は名門大学、大企業に入れる確率が昔よりも飛躍的に上がっています。
そんな中で、若者が最低賃金でしか雇えないような会社を選ぶはずがない。
若い優秀な人材を確保したければ、先述したように、合併するなり設備投資するなりして、生産性を向上させ、若者にとっても魅力的な
「中堅企業」
になるしかありません。
ところが、政府は外国人労働者を受け入れて、中小企業を延命させようとしています。
これほどの愚策はありません。
成功例がほとんどないのに、なぜ政府は外国人労働者受け入れを拡大しているのか。
もちろん、中小企業経営者側からの要請もあるでしょうが、一番大きいのは、今の社会保障を維持するためでしょう。
先述したように、ピークから既に1300万人も減っている生産年齢人口は、2060年まで更に3000万人減ります。
そうなれば、今のビジネスモデルを維持して高齢化に伴う負担に応えるために、労働している人間の数を最低でも維持しないと、今の社会保障制度を維持することができなくなる。
だから低賃金の外国人労働者を入れようということなのでしょう。
しかし、この考え方は余りにも短絡的過ぎます。
■日本人労働者は増やせる
政府には、外国人労働者を受け入れる前にやるべき事がたくさんある。
まず、日本人労働者の供給量を増やすべきです。
そのためには、扶養控除の廃止。
これだけ人手不足が騒がれる中で、フルに働かないことで税制優遇するなど、あり得ない制度です。
もう1つは、専業主婦(主夫)への年金制度の廃止。
サラリーマン(第2号被保険者)に扶養されている専業主婦(第3号被保険者)は保険料を自ら負担することなく、将来的に老齢基礎年金が受給できるのです。
自分は払っていないのに年金を受け取れるというのは、社会保障の原則に反しているだけでなく、女性の働く動機を奪っています。
海外によくあるやり方を導入して、既に貰っている人は仕方ないですが、例えば平成何年生まれ以降の人の場合、第3号非被保険者を廃止すると決めればいい。
低賃金の外国人労働者を受け入れる前に、優秀な日本人女性にフルに活躍してもらう仕組みを徹底的に実施するべきです。
女性活躍を訴えるなら、まずこの2つの廃止は必須でしょう。
それに中小企業改革。
これまで何度も書いてきたように、規模が小さいというだけで日本の中小企業は優遇されています。
弱者扱いされて、期待もされません。
商工会議所などの中小企業の団体も、改善を要求されると、すぐに
「中小企業潰し!」
「中小企業淘汰論者!」
「中小企業は下請けいじめを受けている!」
などと煽ります。
それによって、中小企業は成長するインセンティブ( やる気を起こさせるような刺激。動機付け)が削がれています。
そうではなく、きちんと足腰の強い中堅企業に成長した企業をバックアップしていく。
規模が大きくなることで、人手不足にも強くなる。
■逆説的な人手不足解消方法
経済合理性を歪ませる中小企業優遇の最たる例が、
「交際費」
です。
今は日本では中小企業というだけで、取引先との接待などに使う交際費を800万円まで損金扱いできます。
私の経験則でしかありませんが、私の周囲の中小企業経営者で、会社のためにこの800万円を使っている人はほとんどいません。
仕事に関係なく、高級寿司屋で食事をしたり、夜の店に行ったりと
「”社長自身”への接待」
に使われており、全く実態を伴っていない。
要するに、公私混同です。
この制度をフルに使うことができる企業はほぼ小規模事業者です。
成長して中堅企業になろうとすれば、この制度のメリットは次第に減ります。
更に、サラリーマンをやって何の経費も使えないよりは、公私混同が許されている小規模事業者になった方が圧倒的に有利になる。
経済合理性より、経営者優遇を狙って起業するインセンティブが働いていしまうのです。
これは考え過ぎではありません。
日本企業の場合、6割以上の企業が赤字企業です。
この比率は、1960年代から景気と関係なくずっと上がっています。
諸外国の例を分析すると、企業数の赤字比率は2割で、日本では如何に経済合理性の低い小規模事業者が多いか分かります。
実は、中小企業が2017年度に支出した交際費は約3兆円。
もし、この3兆円に法人税(23%)を掛ければ、6900億円もの税金を取ることができます。
政府の肩を持つわけではありませんが、日本は何か物事を動かそうと思えば、とにかく批判・反対の風です。
中小企業はもっと頑張れと言えば
「中小企業いじめだ」
と批判され、扶養控除廃止を言えば
「専業主婦いじめだ」
と批判される。
日本は本当に疲れる国です。
中小企業問題について、商工会議所前会頭の三村明夫氏は、未だに私を批判しています。
日経新聞(2024年4月27日)の
「私の履歴書」
で、三村氏はこう語っていました。
<中小企業はサボっているのではない>
<統計の数字だけを見た
「生産性の低い中小企業は淘汰されるべきだ」
といった極論が罷り通れば、日本経済は本来の強さを失うだろう>
「統計の数字」
以外に、一体何を根拠にすればいいのでしょうか。
教育水準の高い日本人を低賃金で働かせている
「統計的事実」
について、三村氏はどう思っているのか、逆に訊きたいくらいです。
三村氏は、最低賃金を引き上げると大量に中小企業が倒産する、失業者は大量に増えるというような主張をよくしていました。
1990年代に比べて、最低賃金は2倍に上がっています。
安倍政権以降も1.3倍にもなっている。
三村氏の主張と真逆に、企業数は大幅に増えて、就業者数も史上最高水準になっている。
三村氏が主張していた
「大量の倒産」

「大量の失業者」
も、統計に表れていません。
だから、
「統計ではない」
と言うのでしょう。
政府も、強烈な反対に遭うことは目に見えているから、
「じゃあ、現状維持のために外国人労働者を入れるしかない」
と半ば諦めており、場当たり的な対応しか取れないのではないか。
この人手不足を解消するために、政府はどうすればいいか。
逆説的ですが、
「これ以上、外国人労働者を受け入れないこと」
です。
外国人労働者を受け入れないことで、中小企業はにっちもさっちもいかなくなり、自動的に中小企業間の提携・統合、設備投資による生産性向上が進みます。
それは、中小企業改革の前進にもなる。
先述したように、中小企業を延命させるために外国人労働者を受け入れるなど、百害あって一利なしの愚策中の愚策。
冒頭の世論調査で、外国人労働者受け入れに賛成した人には目を覚まして頂きたい。
政府は
「経営努力をしたくない」
「現状維持をしたい」
という経営者の甘え、自己中心的な考えなど一顧だにせず、毅然と対応してほしいと思います。

外国人受け入れ「特定技能制度」に4分野を追加、5年で82万人見込み 政府が閣議決定
2024/3/29 10:10
https://www.sankei.com/article/20240329-QQTAPVAO7JLS3PHI6X4N4G3SQQ/
政府は2024年3月29日、外国人を中長期的に受け入れる
「特定技能制度」
の対象にトラック運転手などの自動車運送業や鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、対象分野を現在の12から16に広げる方針を閣議決定した。
令和6年度から5年間の受け入れ見込み数は最大で82万人とした。
パブリックコメント(意見公募)を経て省令を改正する。
受け入れ見込み数は、国内の雇用拡大や生産性向上だけでは不足する労働力を業界ごとに算出したもの。
5年間で約34万人としていた制度開始時から2倍超となった。
人口減少や時間外労働規制強化によって物流分野での人手不足が深刻化する
「2024年問題」
などが反映された。
追加4分野のうち、利用客と会話の機会が多いタクシーの運転手や鉄道の車掌などは、必要な日本語試験の基準を他の分野よりも高いレベルとする。
既に特定技能の対象となっている製造業分野でも繊維や鉄鋼、印刷業務などを中に加える。
特定技能は平成31年4月に創設。
最長5年間働ける1号と、家族が帯同できて事実上永住できる2号がある。
政府は、外国人の研修を目的とする技能実習制度を廃止し、外国人材の確保と育成を目的として将来的に特定技能制度に移行できる
「育成就労制度」
創設を柱とする関連法案を通常国会に提出している。

祖国にいながら外国人に怯えて暮らすのか 「受け入れろと」と他人の国で暴走する移民たち
WiLL2024年7月号 イスラム思想研究家・麗澤大学客員教授 飯山陽
■クルド人がまた犯罪
先の衆議院東京15区の補欠選挙は、たくさんの応援を頂きましたが力及ばず落選してしまいました。
皆さんのお陰で、最後までマイクを握ることが出来ました。
今回、選挙に出馬した理由の1つが、日本の移民国家への道にストップをかけるためです。
しかし現状は厳しく、またクルド人による犯罪が起きました。
しかも今度の被害者は何と女子中学生です。
産経新聞オンラインの記事(2024年4月5日付)です。
「女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署は2024年3月7日、不同意性交等の疑いで、トルコ国籍でさいたま市南区大谷口の自称解体工、ハスギュル・アッバス容疑者(20歳)を逮捕した」
「『日本人女性と遊んだが暴行はしていません』と容疑を否認しているという」
再度確認してみると、この記事は削除されており、追加の記事では容疑者は匿名にされていました。
実名は
「デイリー新潮」
やまとめサイトのみで閲覧できます。
容疑者の居住地はさいたま市ですが、川口署が逮捕したということは、川口市で活動するクルド人の居住地が近隣の市にも広がっているということでしょう。
トルコ国籍のクルド人の多くはイスラム教徒ですが、一般的にそれほど信仰に熱心ではありません。
しかし、クルド人文化は、イスラム教文化と共通する所が多く、その1つが女性や性に関する文化です。
イスラム教では、異教徒の女性は二重の意味で卑しい存在とされており、尊厳を持つ人間として扱われません。
更にイスラム教には、性行為や結婚をしても許される最低年齢という概念がありません。
イスラム教徒の男性の中には、本件のような
「異教徒の女子中学生」
というのは、性的に何をしてもいい存在だと思っている人がいる可能性があるのです。
イスラム教徒の移民による、現地の女性たちに対する性暴力事件がヨーロッパで多発している背景には、このようなイスラム教の女性観、異教徒観があります。
イスラム教徒の男性は、異教徒の女性には何をしても構わない、髪や肌を露出させているのは尊厳がないことの証であり、むしろレイプされたがっているのだと、そう理解してしまうことがあるのです。
私はイスラム教の研究者ですから、イスラム教が如何に土着文化を侵食する力を持っているかを知識としてだけでなく、実感としても知っています。
世界にはこうした文化や価値観を当然とする人々が多く存在するため、理想の多文化共生・異文化共生を現実のものにするのは困難です。
実現したいのならば、外国人に対し、
「あなたの常識は日本では受け入れられない」
「日本では日本のルールを守ってもらわねば困る」
と、ハッキリと徹底的に主張するしかありません。
更に、外国人の子供には出来るだけ早いうちから、日本のルール、文化に馴染んでもらう必要があります。
フランスでは、2019年から義務教育が始まる年齢を6歳から3歳に引き下げました。
その背景には、自国の文化や風俗を守るために移民を教育する意図もあります。
一方で日本には、こうした対策は一切なく、多文化共生・異文化共生は素晴らしい、日本人は外国人の文化を理解し、受け入れろと主張するだけです。
このまま何の対策もしなければ、先述のような事件は今後更に増えるでしょう。
■何が、権力の監視役か
にもかかわらず、政府や自治体、企業、そしてメディアも、日本社会に対して影響力(インフルエンシャル)な発言権を持つ”権力者の皆さん”はこぞって、
「活力維持に外国人が必要だ!」
と声高に言います。
読売新聞オンライン版でも
「外国人・高齢者 活力維持へ重要『育成就労』『特定技能』着実に・・・人口減抑制」
と題して、次のような記事が掲載されました。

<人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない>
<政府は今年(2024年)、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の創設を決めた>
<掲げたのは「人材の確保と育成」>
<帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った>
(中略)
<外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる>
(中略)
<業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある>
<その司令塔として、政府に「誘致戦略本部」を創設すべきだ>
<制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する>
(2024年4月26日付)

日本社会が人口減を抑制し、活力を維持するためには、外国人をどんどん日本に受け入れることが必須だとして、読売新聞がわざわざ提言しているわけです。
読売新聞だけでなく、既に国から企業まで皆揃って同じ事を言う有り様です。
外国人が必要だ、というのは、つまり”移民推進”です。
多様性の奨励はそのための地均しです。
多様性のある社会は
「活力を維持する」
と盛んに宣伝し、多様性を促進するために移民を受け入れる必要があるとして事を進める。
そもそも自民党は2016年3月15日の
「労働力の確保に関する特命委員会」
の初会合時に、政調会長の稲田朋美議員が
「日本は移民政策は採らない」
と明言した上で、議論を開始しています。
ところが、その8年後の2024年、岸田政権が在留資格
「特定技能」
について2024年度から5年間の受け入れ枠をこれまでの2倍を超える82万人とすると閣議決定しました。
8年前・2016年の方針を平気で変え、国民に嘘を付く、これが自民党政権です。
そしてこの嘘を嘘だと指摘せず、政府方針に同調しているのがメディアです。
何が
「権力の監視役」
でしょう。
「笑わせるな、愚か者!」
と言いたくもなります。
■7つの大罪である理由
読売新聞が提言した、
「日本社会の人口減を抑制し活力を維持し、成長を続けるためには外国人移民が必要だ」
という主張は完全に間違っています。
理由は7つー。
第1に、人口減の埋め合わせをするために移民を受け入れるなら、考えられないほど多くの移民を受け入れなければならないため、この政策自体が非現実的であることは、国連の調査でも明らかになっています。
第2に、人口減を埋め合わせするために移民を受け入れても、日本人でない人が増えるだけなので、日本で外国人による人口の置き換え(人口が増加も減少もしない均衡した状態になる)が進むだけです。
これを
「人口減の抑制」
だと言う人は、日本が日本でなくなることを積極的に推進する人たちです。
第3に、不足する労働力を補うために移民を受け入れても、移民もいずれ年を取って働けなくなります。
日本は今、永住を認めるという条件で移民を受け入れようとしていますが、労働力だったはずの移民は遠からず、日本の福祉によってその生活を支えなければならなくなります。
■移民と社会の暴走
第4に、不足する労働力を補うために移民を受け入れると言いながら、日本政府は彼らに家族の帯同を認めています。
5人、10人の家族を帯同すれば、移民の安い賃金では家族全員を養えなくなり、その分を補うのは、私たちの福祉、つまり税金です。
労働力が必要だと言って外国人を受け入れたのに、彼らの生活を我々の福祉で支えなければならないという事態が生じます。
労働力として受け入れた移民が、働く意欲を失ったり、病気になったり、失職すれば移民の家族の生活は、私たちの税金、私たちの福祉で支えなければならない。
これは移民を多く受け入れた欧米で実際に発生している問題です。
第5に、労働力として移民を受け入れれば、日本人の賃金が下がります。
政府が推進するインフレを上回る程度まで賃上げをする方針とは、正反対のベクトルに進みます。
サウジアラビアは移民を多く受け入れている国の1つですが、企業に一定数の自国民の雇用を義務付け、給与体系も外国人とは異なる水準を義務付けています。
しかし日本にはこうした規制はありません。
安い移民労働力を受け入れれば、企業と経営者が得をするだけで、日本人の労働者は専ら損をします。
これでは日本社会を弱体化させるばかりで、
「活力の維持」
どころではありません。
第6に、世界の文化の中には、日本の文化、伝統、常識、法律とは相容れない、矛盾するものが大量にあるため、全て受け入れれば、社会が混乱し、秩序が乱れます。
第7に、移民が増えれば間違いなく治安が悪化します。
現在、警察は外国人の犯罪を見逃し、仮に逮捕しても検察が不起訴にして犯罪者を無罪放免にします。
警察を恐れない”無敵の外国人”が、日本社会で暴走し、好き放題に犯罪に手を染めているのは、こうした背景があるからです。
外国人が増えれば、この状況は更に悪化するでしょう。
日本人は祖国にいながら、外国人に怯えて暮らさなければならなくなり、警察に守ってもらえなければ、自衛せざるを得なくなります。
犯罪の被害者となっても、誰も助けてくれない、そんな世の中にしたいですか?
■”聖域”という名の移民都市
2024年5月1日、バイデン大統領はワシントンでの集会で、日本経済が低迷している理由として
「外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」
と述べました。
そんなアメリカでは現在、不法移民が急増しています。
米南西部の国境を越えて拘束・保護された不法移民は2023年度(2022年10月〜2023年9月)に247万人と3年連続で過去最多を更新。
かつてはメキシコや南米各国からの流入がほとんどでしたが、今は、中国などから中南米を経由してアメリカを目指す不法移民も増えています。
バイデンの
「外国人好きで移民を望む」
政策が、世界中から不法移民を引き寄せているのです。
アメリカ内で移民に寛容な都市、いわゆるサンクチュアリ・シティ(聖域地域)の代表がニューヨーク市です。
ニューヨーク市では移民を10万人ほど受け入れ、日々増え続ける移民の数に悲鳴を上げ、2022年10月に民主党のエリック・アダムス市長がとうとう非常事態を宣言しました。
「移民はニューヨークのストーリー(歴史)の一部で、アメリカの一部でもある」
「しかし移民政策は崩壊している」
「国家的危機だ」
「もう限界だ」
「市単位の予算には限りがあり、思いやりだけではどうにもならない所まで来ている」
アダムス市長は移民の受け入れの危機的状況を踏まえ、度々このように訴えてきました。
ニューヨーク市の移民関連の予算は2024年度が約42億ドル、2025年度が約49億ドルと巨額です。
その後、アダムス市長は法律違反の疑いのある移民を保護してきた政策を転換する考えを示しています。
つまり不法移民を矢継ぎ早に受け入れる政策を採った結果、市が財政破綻しかかっているのです。
ニューヨーク市に限らず、不法移民を受け入れた州や都市は軒並み財政や治安が悪化し、地元住民の不法移民に対する感情も悪化しています。
今や28%のアメリカ人が不法移民の問題は、アメリカにとって最大の問題だと認識しています。
■”日本”であるために
一方、日本はどうか。
岸田政権は今まさに
「移民を望む」
政策を採りつつあります。
アメリカで不法移民に厳しい共和党が政権を取れば、アメリカに殺到している世界の不法移民が、今度は日本に殺到するでしょう。
今度は日本が不法移民の”サンクチュアリ(聖域)”になろうとしています。
日本が日本であり続けること、日本が国民にとって安心して暮らせる祖国であり続けること、日本人の暮らし、豊かさ、安全が守られることが何より大事です。
移民受け入れ推進は、こうした安心・安全を全て破壊します。
しかし今の日本の国会議員に、日本国民の安全を主張する人はほとんどいません。
彼らは皆、嘘を付き、移民を受け入れることによって起こる問題に言及する人はほとんどいません。
移民によって破壊された欧米社会や、先述のクルド人による性的暴行事件が彼らには見えていないのでしょうか。
文化や価値観の違いによって生じる事件、財政や治安の悪化などが起き得る移民政策を阻止する必要があります。
日本が移民問題で苦しむ欧米のようになるのは、時間の問題です。
私たちにとって大切な日本という国を、守り抜かなければなりません。

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

中学生に性的暴行したクルド人は難民申請中だった 地元市議は「実態を正しく直視するべき」
2024年4月5日
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04050558/?all=1
埼玉・川口市でクルド人男性が不同意性交容疑で逮捕された。
女子中学生に性的暴行をした疑いである。
実はこの男性、難民申請中だった。
悲劇の主人公のはずの
「難民」
が他人を悲劇に追いやる、その実態とは。
 ***
報道等によると、2024年3月7日に逮捕されたのはさいたま市に住むハスギュル・アッバス容疑者。
トルコ国籍の20歳、解体工だという。
事件があったのは2024年1月13日のことだ。
アッバスは都内の女子中学生とSNSで知り合い、複数人でドライブ。
2人きりになった後、川口市内のコンビニの駐車場に停車し、車内で犯行に及んだ。
行為の時間は約6分。
粗暴極まりない事件である。
川口市とその周辺でクルド系の住民と地元住民との間に軋轢が生じているのは周知の通り。
■市議も「不安に思う市民が増えている」
2023年7月4日は男女の揉め事で怪我をしたクルド人男性が川口市立医療センターに運び込まれ、それを巡ってクルド人が100人ほど病院に集結。
一時、救急搬送の受け入れが停止されるという大騒動が起きた。
「不安に思う市民が増えていると感じます」
とは、川口市議の奥富精一氏。
「これまでも一部のクルド人が改造車で危険運転や違法駐車をしたり、あるいは喧嘩をしたりという事例が見られてきました」
2023年6月には市議会で
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」
が採択されている。
「そこにきて今回の事件ですから、市民の不安が益々増したとしても不思議ではありません」
■クルド人増加の背景事情
クルド人とは、中東のトルコやイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に住む「国を持たない民族」。
川口は彼らが集住する地域として知られ、現在、2000人以上が暮らしている。
「彼らは難民申請をしているケースが少なくない」
と言うのは、入管のさる関係者だ。
「トルコと日本は現在、短期滞在ならビザは必要ではありません」
「で、ノービザで入国し、滞在期限が切れるまでの間に難民申請を行うんです」
「すると、その審査期間中は強制送還が止められる」
「川口に来るクルド人の多くは、ある特定の地域の出身です」
「こうした仕組みで入った人たちが地元の親類縁者を呼び寄せ、数が増えていったんです」
今回の事件を起こしたアッバスも、先に日本に来た父を頼って幼少期に来日し、難民申請をした“移民2世”だという。
「実際、彼らが難民認定されることはほとんどありません」
「クルド人が母国で差別されているのは事実でしょう」
「が、難民条約が規定するように、自由が奪われたり、生活が著しく損なわれ、生命の危機が生じているかと言えば、そこまでとは認められないことが多い」
「申請期間中に日本で稼いで帰国するか、或いは子供が小中学校に長期間通うなどすれば、在留特別許可を貰えるかもしれない」
「クルド人増加にはこうした背景事情があります」
しかし、そうした入国経緯の者の中から凶悪犯が出れば、住民との摩擦が生じるのは当然の事だろう。
■グレる2世
この地域で長年、クルド人支援に携わってきた「在日クルド人と共に」理事の松澤秀延氏は、
「彼らも日本の社会に順応したいと思っていますが、日本側の拒否反応が強く、そこで絶望を感じてしまうことも多い」
と分析するが、
「今回の事件もそうですが、2世の中には学校に行かず、いわゆる“グレて”しまうケースも少なくない」
「この問題を指摘するとすぐ差別と言われますが、まずは実態を正しく直視することが重要だと思います」
(奥富市議)
多様性尊重――そんな建前だけでは語れない現実が、この川口には横たわっているのである。
週刊新潮 2024年4月4日号掲載

外国人・高齢者 活力維持へ重要 「育成就労」「特定技能」着実に…人口減抑制[読売新聞社提言<7>]
2024/4/26 5:01
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240425-OYT1T50222/
■労働者に「選ばれる国」
人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない。
政府は今年、外国人技能実習制度に代わる新制度
「育成就労」
の創設を決めた。
掲げたのは
「人材の確保と育成」。
帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った。
外国人労働者を中期的に受け入れる在留資格
「特定技能1号」
も、自動車運送業や鉄道などの4分野を追加して16分野に広げた。
日本で暮らす外国人は増えており、約340万人に上る。
労働者は2023年10月末時点で約204万人だ。
政府は、育成就労と特定技能を
「車の両輪」
として、労働力を補っていく。
他国も受け入れを進めており、獲得競争を勝ち抜くには
「選ばれる国」
にならなければならない。
外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる。
農業や介護、建設など職種も幅広い。
業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある。
その司令塔として、政府に
「誘致戦略本部」
を創設すべきだ。
制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する。
育成就労では3年間働いた後、在留期間が5年の特定技能1号、永住が事実上可能な2号を段階的に取得してもらうことを目指す。
外国人の受け入れ先は主に地方の中小企業で、自力での育成には限界がある。
自治体の支援が欠かせない。
広島県は2023年、2号取得を目指す外国人を雇う企業に、最大300万円を補助する事業を始めた。
尾道市の
「因島鉄工」
はこの事業を使い、造船・舶用工業分野で全国初の合格者を出した。
その一人、ベトナム人のファン・ヴァン・マインさん(35)は
「将来は奥さんを連れてきて、ここでずっと働きたい」
と語る。
同社では試験対策として日本語講師を雇い、技能向上のための模擬試験を実施。
外国人向けの寮も整備した。
人材を繋ぎ止めるには、異国の地で働く外国人が暮らしやすく、文化に馴染める工夫も求められる。
■フレイル対策
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、2020年に7000万人超だった生産年齢人口は、2100年に3200万人に減る。
人手不足を補うため高齢者の力も必要だ。
内閣府の調査では、仕事で収入を得ている60歳以上の9割が、「いつまでも」を含め、70歳以上になっても働きたいと回答している。
企業は、技術や経験を持つ高齢者を積極的に受け入れるべきだ。
2040年には医療・介護人材が100万人近く不足するとされ、介護が必要な高齢者を少しでも減らしたい。
要介護一歩手前の状態「フレイル」の高齢者が対策を取った場合、5年後に15%が改善し、35%が状態を維持したという調査もある。
予防には食事や運動、就労といった心身の充実がカギを握る。

郷に入って「郷に従わん」外国人
直球&曲球 宮嶋茂樹
2024/5/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240509-H4LOHB4JIROYBC6FPXFOHBKM7Y/
日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
やて?
いやいや、バイデン米大統領、言葉は正確に伝えんとアカンわ。
多くの日本人が嫌いなんは、日本に来ても日本の文化や伝統、ルールを尊重せず、皇室を敬愛するどころか敵視するような外国人のことや。
日本人もどないかしとるで。
政・官・財・民、挙げて
「インバウンド」
景気やと歓迎して、いちびっとるけど、日本に来る観光客や定住外国人は、当たり前のことやけど、善意の人≠ホかりやないんやで。
最初から転売目的で爆買い≠オたり、白タクで荒稼ぎしたりしとる外国人も後を絶たん。
オーバーツーリズム
(とある地域を訪れる人が急増したことにより様々な問題が発生し、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況のこと。日本では「観光公害」とも呼ばれており、県や市といった全体で起きるものではなく、「〇〇市の橋周辺」や「春の〇〇府の寺院」など、特定の場所や季節、時間に起きるものを指す言葉)
の弊害も深刻や。
そこで暮らしとる日本人が多大な不便や迷惑を強いられとる。
東京や大阪じゃ日本人が泊まれるホテルを探すだけで一苦労や。
富士山もゴミだらけやんけ。
これほど外国人観光客が日本に押し寄せる理由は色々ある。
メシがうまいし、安い。
種類も豊富や。
治安もエエし、皆が皆とは言わんけど、まぁ日本人は外国人に親切や。
しかし、一番の原因は昨今の円安やろ。
円安=日本が安う見られとるというこっちゃ。
ハワイやヨーロッパは無理やけど
「円安」
の日本やったらいけるわ、とな。
それでも、ワシは何もやみくもに外国人の観光客や定住者を締め出せ、と言うとるわけやないんや。
困っとるんは、日本に来てまで犯罪まがいのことをやったり、日本の法令に反する自分らの風習を認めろ、と叫んだり、日本を理解しようともしたりせん、外国人なのである。
海外の日本人を見てみい。
皆から嫌われんようにちゃんと努力しとる。
その国の慣習、ルールを尊重して気、遣っとる。
イスラム圏に行ったら、お祈りの時間は静かにしとるし、豚肉は食べんし、公の場では酒も飲まんようにしとる。
「郷に入れば郷に従え」
という、諺を知っとるからや。
その国の交通ルールから公共マナーまで、いくら日本人には理解不能でも尊重するで。
そんな日本人を
「外国人嫌い」
やて?
バイデン大統領、それはないで!

バイデン米大統領が同盟国を「外国人嫌い」と切り捨てた失言の背景
ポトマック通信
2024/5/9 7:00
https://www.sankei.com/article/20240509-MFUGY3GBRVNUJJQMQJDL5YUPEA/
バイデン米大統領は2024年5月1日、アジアや太平洋諸島系の支持者集会でこう述べた。
「米国経済が成長を続けるのはなぜか」
「理由は我々が移民を歓迎するからだ」
「なぜ中国は経済的に行き詰まっているのか」
「なぜ日本は困難な状況なのか」
「ロシア、インドはなぜか」
「理由は彼らが外国人嫌い(xenophobic)で、移民を望まないからだ」
人は異なる人種、言語、宗教、生活習慣の人々の存在に拒否感や嫌悪感を抱くもので、どの国も受容と葛藤の歴史を続けている。
私が驚いたのは、大統領の失言に慣れっこのはずの米メディアの反応だった。
「同盟国に否定的用語を使った意図は?」
との疑問だ。
バイデン氏がなぜ日印中露を一括りに
「外国人嫌い」
としたのか報道官の釈明を聞いても判然としない。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、米国の移民差別の事例を挙げて
「日本の友人たちがバイデン氏のコメントを受け流してくれることを願う」
と述べた。
流せなかったのか、日本政府は
「正確な理解に基づかず残念」
と申し入れをしたと聞く。
日印を軸に中露を牽制する政権のインド太平洋外交への影響を懸念する向きもあるというが、失言には本心や願望が表れることもある。
日本を権威主義陣営との橋渡し役とする新構想があるのかと想像した。

林官房長官、バイデン米大統領の「日本は外国人嫌い」 「正確な理解に基づかない発言」
2024/5/7 12:18
https://www.sankei.com/article/20240507-GHSI6VL6DRNXPNOBYGMUH7TUQU/
林芳正官房長官は2024年5月7日の記者会見で、バイデン米大統領が、日本経済が低調なのは外国人嫌いなためだと発言したことに関し
「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言で残念だ」
「米国には日本の考えや政策を改めて説明した」
と述べた。
2024年4月の岸田文雄首相の国賓待遇での訪米を踏まえ、
「日米関係はかつてなく強固であり、引き続き日米関係の一層の強化に取り組んでいきたい」
とも強調した。

バイデン氏の発言は「残念」 日本政府が米側に伝達
2024/5/4 16:01
https://www.sankei.com/article/20240504-UYFMDSHLXZKMPNKFYEN72HZNLA/
バイデン米大統領が日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言したことについて、日本政府は2024年5月3日までに
「正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」
と米側に伝達した。
関係者が明らかにした。
ホワイトハウスが公表した発言録によると、バイデン氏は2024年5月1日、ワシントンでの選挙資金集めイベントで、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛し
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
と語った。
ジャンピエール大統領報道官は2024年5月2日、バイデン氏の発言について
「移民が如何に米国を強くしているかについて話した」
と記者団に釈明した。
記者から日本との関係を悪化させるのではないかと問われると
「日本とは力強い関係がある」
とだけ答えた。(共同)

日本や中国の経済不調は「外国人嫌いのせい」 バイデン米大統領が集会で発言、移民を称賛
2024/5/2 18:35
https://www.sankei.com/article/20240502-HXPLHHHEO5LJ5LECJI6HHSVFW4/
バイデン米大統領は2024年5月1日、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛した上で、日本や中国などの経済が低調なのは
「彼らが外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言した。
ワシントンでの選挙資金集めイベントで述べたと、ロイター通信が報じた。
2024年11月の大統領選で対決するトランプ前大統領の移民受け入れに消極的な姿勢を念頭に、バイデン氏は集会で
「移民こそが私たちを強くしてくれている」
と強調。
一方で
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)が2024年4月に発表した2024年の経済成長率の見通しでは、米国は2.7%で日本は0.9%。
一方、中国は4.6%、インドは6.8%となっている。(共同)

育成就労決定 永住資格を厳格化 税金滞納で取り消し
産経新聞2024年2月10日
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、外国人の永住許可制度を適正化する政府方針を決定した。
外国人永住者を巡っては、税金を滞納する事例などが確認されており、悪質な場合は在留資格を取り消せるよう要件を見直す。
政府は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度の方針を決定。
即戦力の外国人労働者を受け入れる在留資格を
「特定技能」
のうち、事実上永住できる特定技能2号への移行を促す同制度下では永住者の更なる増加が見込まれることから、悪質な外国人を排除する仕組みを整備する。
入管難民法は、永住資格の許可要件として素行の善良さなどを規定。
政府のガイドラインでは他に、納税義務の履行などを要件に挙げている。
一方、入管難民法で在留資格を取り消せるのは虚偽の申請で資格を得た場合などに限られ、税金や社会保険料の滞納を重ねても取り消されない。
関係者によると、永住資格取得後、納税などを拒むケースが複数、確認されている。
永住者は在留期限や活動に制限がない。
2023年6月末時点で約88万人で10年前から4割弱増加。
在留外国人の約3割を占める。

政府、外国人の「育成就労」新設方針 転籍1〜2年で可能 技能実習制度は廃止
2024/2/9 10:30
https://www.sankei.com/article/20240209-44RUQO4NEFNRPJT2WJRKPZ2X5Q/
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度創設を柱とする政府方針を決定した。
技能実習制度では原則認められていなかった転籍(転職)を原則1年で認める一方、最長で2年間、転籍を制限できるとした。
政府は2024年3月にも国会に関連法案を提出する。
技能実習制度を巡っては劣悪な労働環境の影響で人権侵害事案などが発覚。
政府の有識者会議が昨年、公表した最終報告書は技能実習制度を廃止し、育成就労制度を創設。
育成就労期間が1年を超えるなどの条件を満たせば原則、転籍を認めるとしていた。
その後、地方から都市部に人材が流出する可能性があるなどの懸念を払拭するため、転籍に一定の制限をかける必要があると自民党の部会が提言。
政府方針は、当面、業界ごとに最長で2年まで転籍を制限できるとした。
転籍時の日本語能力は、最も易しい日本語能力試験「N5」レベルや、基本的な日本語を理解することができる「N4」レベルを設定する。
転籍要件の緩和に伴い、悪質な転籍ブローカーの介入を防ぐため、転籍の仲介状況を透明化するための体制を整備をする他、資格のない外国人を雇うことを禁じる不法就労助長罪の法定刑を引き上げる。
受け入れの仲介を担う監理団体は
「監理支援機関」
とし、外部監査人の設置を義務付ける。
新制度は、人材の育成だけでなく確保も目的とし、受け入れる分野を特定技能制度と揃える。
育成就労期間を終えて日本語と技能の試験に合格すれば、特定技能1号に移行できる。

欧州、難民は「外国に送れ」の新潮流 メローニ伊首相「モデルになる」と意欲満々 
緯度経度 三井美奈
2024/2/9 9:00
https://www.sankei.com/article/20240209-O2HOXT6SKVMYXM4VF7UMMMLY64/
移民流入に悩む欧州で、
「難民を第3国に送る」
という奇策が浮上した。
イタリアと英国が先導している。
イタリアの計画は2023年11月、メローニ首相が発表した。
地中海を渡ってくる不法移民を隣国アルバニアに送るという。
2024年春にもスタートし、年間3万6000人を見込んでいる。
「欧州のモデルになる」
と誇った。
計画によると、アルバニアの沿岸に受け入れ施設を造ってもらい、イタリアに移民船が来たら、上陸させずに施設に直送する。
施設ではイタリアの職員が難民審査を行い、周辺の警備はアルバニアが担う。
難民資格が得られなかった人は、イタリアの責任で送り返すことになっている。
イタリアには2023年、北アフリカから移民船で15万人以上が押し寄せた。
イタリア政府は欧州連合(EU)加盟国に
「分担して受け入れを」
と求めたが、応じてもらえない。
そこで、アルバニアに
「EU加盟を支援する」
と約束し、合意を取り付けた。
地元紙によると、経費は5年間で推計6億5000万ユーロ(約1030億円)。
全てイタリアが負担する。
金と手間をかけて、わざわざ移民を外国に送るのには訳がある。
欧州人権法では、1度入国させると追放は極めて難しい。
難民資格がない人も申請を繰り返し、
「子供や病人がいる」
と法廷で訴えれば、強制退去にブレーキがかかる。
そこで
「とにかく入国させない」
ことが重要になった。
「我が国(イタリア)に来ても外国に送るからムダ」
と示し、密航を諦めさせる狙いもある。
メローニ氏は
「不法移民に危険な旅をさせずに済む」
と、抑止効果を強調した。
欧州研究機関
「国際移民政策開発センター」(ICMPD)
のマルティン・ホフマン顧問は
「よく練られたアイデア」
「EU域外の受け入れ施設でも、イタリア法で運営すれば『人権軽視』の批判をかわせる」
「うまくいけば、追随国が増えるだろう」
と予測する。
英国では今、
「移民のルワンダ移送」
法案が国会で審議されている。
英仏海峡を渡ってくる不法移民を6500km南のルワンダに送り、難民申請から定住まで委任することを目指す。
イタリアと英国は、人権団体や左派野党から
「残酷」
「難民保護の責任逃れ」
と批判された。
英国では2023年、当初法案に最高裁が
「人権侵害の恐れあり」
として違憲判決を示し、政局は大揺れになった。
それでも、第3国移送案への関心は高い。
デンマークの他、ドイツ最大野党の中道右派
「キリスト教民主同盟(CDU)」
が、EUによる取り組みを訴えている。
フォンデアライエン欧州委員長は、イタリア案を
「画期的」
と讃えた。
EUはこれまで、リビアやチュニジアに支援金を出し、移民船の出航を止めてもらおうとした。
EU加盟国で受け入れ枠を作り、負担を分け合うことも定めた。
いずれもあまり成果がない。
どの国も
「何とかしろ」
という世論の圧力に直面している。
注目が集まるのは、欧州人を良心の呵責から救う効果もあるからだろう。
各国政府は本音では不法移民を追い払いたいのだが、
「瀕死で救いを求める人を見捨てるのか」
という人権団体の訴えを無下にできず、常に逡巡している。
苦難の末にやってきた移民を、また外国に送る。
そんな方策に飛びつくほど、事態は切迫している。
2023年、欧州で難民申請件数は100万件を超えた。
地中海を渡る途中で死亡、行方不明になった移民は約3000人に上る。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/514.html#c22

[政治・選挙・NHK294] 眞鍋かをり「野党は文句しか言っていない」にツッコミ猛拡散 イベントで小池都知事と同席の過去(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
50. 秘密のアッコちゃん[368] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月04日 18:03:07 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[481]
<■257行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>天安門事件35年 「恥辱の歴史」繰り返すな
社説
2024/6/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20240604-PPVNE7MCTNNXBPXEWWXNEI5ZJM/
1989年6月5日、北京の天安門広場近くの大通りで、戦車の前に立ちはだかる男性(ロイター=共同)
https://www.sankei.com/article/20240604-PPVNE7MCTNNXBPXEWWXNEI5ZJM/photo/BPBDAEO23RNDNHPCMX37CCEDHA/
中国共産党政権が学生らの民主化運動を武力弾圧し、多くの犠牲者を出した天安門事件から2024年6月4日で35年になる。
遺族の会
「天安門の母」
が2024年も当局の責任追及や謝罪を求めたが、共産党政権は無視したままだ。
非人道的で断じて容認できない。
中国では6月4日を前に遺族や人権活動家への監視が強化された。
ネット上では天安門事件や関連用語に加え、6月4日を表す隠語の
「5月35日」
も検閲対象である。
異常という他ない。
2024年の6月4日も外国メディアを通じてこうした現状が世界に発信されることだろう。
中国本土だけではない。
1国2制度の下、事件の追悼活動が認められていた香港も
「表現の自由」

「集会の自由」
が奪われてしまった。
香港国家安全維持法(国安法)が2020年に施行されて以降、追悼集会は事実上禁止され、香港大にあった犠牲者を追悼する彫像
「国恥の柱」
も撤去されたままだ。
国安法を補完するため、2024年3月に施行された国家安全条例違反で先日逮捕された市民たちも、天安門事件の追悼を巡るネット投稿が問題視された。
香港は、共産党政権に支配されれば自由がどのように奪われていくかを示すショーウインドーのようだ。
毎年6月4日が近付くと香港のビフォー≠ニアフター≠ェ報道され、世界中の人が知る所となる。
習近平政権は自分で自分の首を絞めていることに気付かないのだろうか。
アジア・アフリカなどには中国との関係が深い非民主国家が少なくない。
こうした国々で生きる人々も、中国の影響力が強まればどうなるのかが6月4日を通じて分かる。
台湾のように中国への恐怖、反感が広がるのは当然である。
これ以上、反中・嫌中の種を撒き続けたくなければ、犠牲者数などの情報を公開すると共に責任を認めて謝罪し、恥辱の歴史を清算すべきではないか。
天安門事件後、真相究明と責任問題を曖昧にしたまま、率先して対中制裁を解除したのは日本政府である。
岸田文雄政権は苦い経験を忘れず、毎年6月4日を
「中国に人権問題の改善を迫る日」
としたらどうか。
自由を奪われた中国や香港の人々にとって、アジアの民主国家で隣国の日本への期待が小さくないことも忘れてはならない。

<産経抄>自由でいたい。テレサが言葉にかけた思い
2024/6/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20240604-44533GMEUFNXJDMIVXL6TCXNUU/
天安門事件が起きてから2024年6月4日で35年になる。
民主化を求める学生と市民が中国人民解放軍により武力鎮圧された惨劇は、多くの人の運命を狂わせた。
「アジアの歌姫」
と呼ばれた台湾出身の歌手、テレサ・テン(ケ麗君)もその1人である。
▼その歌声は中国社会に深く浸透していた。
「中国は2人のケが支配する」
と言われたほどだ。
1人は中国の最高実力者、ケ小平、もう1人はもちろんテレサである。
当時、両親の出身地である中国大陸での公演の準備を進めていた。
▼ただテレサは中国の民主化運動を後押しする立場だった。
活動拠点を置く香港で1989年5月に行われた民主化支援の野外コンサートにも飛び入り出演、
「民主萬歳」
と記したハチマキ姿でステージに立った。
それから8日後に起きた事件に大きな衝撃を受ける。
結局1度も大陸に足を踏み入れないまま、42歳の若さで世を去る。
▼近年多くの台湾の芸能人が中国で活躍するようになった。
何と言っても台湾とはマーケットの大きさが違う。
もっとも中国ならではの苦労がある。
台湾で頼清徳総統が就任した先月以降、
「私は中国人」
「(中台)統一を支持する」
などと、中国側の主張に沿った発信をする台湾の芸能人が目立つ。
中国当局の脅迫によるものだ、と台湾当局は主張する。
▼テレサは事件から5カ月後に来日する。
新曲を披露するテレビ番組で視聴者に語り掛けた。
「私はチャイニーズです」。
中国側の主張通りではないのは、次のフレーズで明らかだ。
「私は自由でいたい…それが脅かされているのがとても悲しいです」。
▼テレサの心配通り、中国では自由が脅かされたままだ。
若者のほとんどは、事件そのものを知らされていない。

天安門事件35年 台湾の頼総統「自由によって専制政治に対応」 習政権の統一圧力念頭に
2024/6/4 13:09
https://www.sankei.com/article/20240604-M74ZHWGSERMSFKVCMBRY6KX624/
中国の天安門事件から35年を迎えた2024年6月4日、台湾の頼清徳総統はフェイスブックに
「民主主義と自由は簡単に得られたものではないことを(天安門事件は)想起させる」
と投稿し、
「我々は民主によって共通認識を固め、自由によって専制政治に対応し、勇気をもって権威主義の拡張に立ち向かい、団結によって挑戦に対峙しなければならない」
と訴えた。
中国の習近平政権が民主主義体制の台湾への統一圧力を強める中、台湾の人々に団結を呼び掛けた形だ。
頼氏は、習政権が国内で進める言論統制の強化を念頭に
「如何なる政権も人々の声に勇敢に向き合うべきだ」
「特に若者世代は国の革新を促進する力であり、抑え付けるべきではない」
と指摘。
「天安門事件の記憶が歴史の奔流の中で消えることはない」
「我々は、この歴史の記憶が人々の心の中に長く留まり、中国の民主化に関心を持つ1人1人に感銘を与えられるよう引き続き努力する」
と強調した。

天安門事件を伝えたNHK海外放送が数分間遮断 「信号異常」と表示 中国当局が制限か
2024/6/4 12:50
https://www.sankei.com/article/20240604-NK6X5VKNOZN5BCLJKTVO2CJGUA/
天安門事件に関するNHK海外放送のニュースが中断されたテレビ画面=2024年6月4日、北京(共同)
https://www.sankei.com/article/20240604-NK6X5VKNOZN5BCLJKTVO2CJGUA/photo/NK53RQOXAJKV5OBB6BMZR4NBEI/
中国で2024年6月4日昼、NHK海外放送のニュース番組が、中国共産党・政府が学生らの民主化運動を武力鎮圧した1989年の天安門事件から35年となったことを伝えた際に放送の一部が遮断され、カラーバーと
「信号異常」
を示す画面に切り替わった。
中国当局が制限を加えたとみられる。
放送は数分間にわたって遮断された。
2024年6月4日朝に放送されたNHK海外放送のニュース番組でも、天安門事件について伝えた際に数分間、遮断状態が続いた。
中国では天安門事件に関する情報が厳しく制限されている。
2024年6月4日の中国メディアでは事件に関する話題は見当たらない。
追悼などの動きは徹底的に封じ込められており、若い世代を中心に事件を知らない人も多くなっている。
2021年に採択された中国共産党創建100年の歴史を総括する
「歴史決議」
は、天安門事件について
「重大な政治風波」
と定義し、党と政府が
「動乱に旗幟(きし)鮮明に反対した」
と位置付けた。

天安門事件35年 台湾が声明、中国に民主制度の実現と基本的人権の保障を求める
2024/6/3 22:40
https://www.sankei.com/article/20240603-TD2OSXVOBFJTFOBY2GJWG2ZV3E/
台湾で対中政策を主管する大陸委員会は2024年6月3日、中国が民主化運動を武力弾圧した天安門事件から35年となる2024年6月4日を前に声明を発表した。
中国当局に対し
「自由と民主的生活、公民としての権利を求める(中国の)広範な人民の心の声に耳を傾けるべきだ」
と主張し、民主的制度の実現と基本的人権の保障を求めた。
大陸委は
「両岸(中台)関係の本質は、制度と生活様式の争いだ」
と指摘し
「普遍的価値観は両岸人民の心の距離を縮める重要な要素になる」
と強調。
その上で中国に対し
「民主的で自由な体制と生活様式」
を台湾人が堅持していることを尊重してほしいと訴えた。(共同)

天安門事件から35年「残酷な弾圧忘れない」 衆院議員会館で追悼集会
2024/6/3 19:55
https://www.sankei.com/article/20240603-PNNNN3XQGNNIVAFXY3QO2AJWC4/
1989年6月5日、北京の天安門広場近くの大通りで、戦車の前に立ちはだかる男性(ロイター=共同)
https://www.sankei.com/article/20240603-PNNNN3XQGNNIVAFXY3QO2AJWC4/photo/BPBDAEO23RNDNHPCMX37CCEDHA/
中国当局が民主化運動を武力弾圧した天安門事件から2024年6月4日で35年となるのを前に、国会内で2024年6月3日、追悼集会が開かれ、在日の中国人や香港市民、日本人らが犠牲者に黙禱を捧げた。
出席者は
「残酷な弾圧を忘れない」
と語り、中国の早期民主化を訴えた。
元学生指導者、王丹氏が代表の「対話中国」(本部・米国)日本支部などで作る実行委員会が主催。
日本で活動する中国や香港、チベットの民主活動家らが講演した。
会場には香港当局が撤去した、天安門事件を記憶する像
「民主の女神」
を模した作品も掲げられた。
対話中国日本支部の王進忠代表は
「中国や香港での追悼はもう不可能」
「日本の国会の場で問題提起できたのは重要だ」
と語った。
日本ウイグル協会のサウト・モハメド副会長は中国の強権弾圧が続いているとし、
「現在進行形のジェノサイド(集団殺害)を黙認してはならない」
と訴えた。
香港で事件の追悼集会を主催して禁錮刑となった人権活動家、鄒幸彤(トニー・チョウ)氏を描いたドキュメンタリー映画も上映された。

「民主主義の中国を目指して戦う」在日中国人の若者が天安門事件の追悼集会 東京・新宿
2024/6/2 12:41
https://www.sankei.com/article/20240602-X2N5EIJ7UFAMNCWP4BSVWNUPUU/
中国共産党の一党独裁体制に反対する中国人の若者らが2024年6月1日夜、JR新宿駅(東京都新宿区)前で集会を開き、1989年6月4日に中国人学生らの民主化運動が武力鎮圧された天安門事件の犠牲者を悼んだ。
参加者は
「チェンジ・チャイナ」
などと書かれた旗を掲げて
「民主主義の中国を目指して戦っていく」
と強調し、民主と自由を求める在日中国人の存在をアピールしていた。
■「誇りを持ってこの名前で」
集会は、
「境外勢力」(外国勢力)
という在日中国人団体が主催した。
2022年11月に新宿で開かれた700人規模の
「白紙革命」
と称される反中国政権デモの中心メンバーらが立ち上げた。
30代前半の参加者は団体名について
「中国で人権を主張すれば(現政権に不都合なため)『境外勢力による工作』と呼ばれる」
「我々はただ中国人として、人間として、自由と尊厳を持っていきたい」
「境外勢力と言われるなら誇りを持って、この名前で活動したい」
と語った。
天安門事件で亡命した中国人元学生で作る「民主中国陣線」日本支部の王戴氏は
「中国は民主化する必要がある」
「日本で声を出していきたい」
と述べ、
「『6・4』(天安門事件の通称)世代は(発生から)35年が経ったが、白紙革命の若い中国人が立ち上がった」
「中国の未来は明るい」
「必ずや中国は民主化に向かう」
「応援よろしくお願いします」
と支援を訴えた。
■「自由と民主は空気と水」
在日香港人の民主活動家、ウィリアム・リー氏は、言論や表現の自由が狭められる香港の現状について
「『6・4』の話をするだけで逮捕される人が出てきた」
「この場でも誰かが中国当局に情報を渡して、集会に参加できる人が減らされる可能性がある」
と中国当局による妨害行為の可能性を指摘した。
日本ウイグル協会理事、サウト・モハメド氏は天安門事件に対する国際社会の反応に苦言を呈し、
「日本を含む西側諸国は中国に経済援助した」
「中国が豊かになれば民主化するという願いがあっただろう」
「中国の経済は著しく発展したが、民主的改革は行われなかった」
と語った。
「特に習近平政権で中国の人権状況は著しく悪化している」
「一番深刻な地域がウイグルだ」
と訴えた。
在日中国人の参加者がマイクで
「自由と民主主義は空気と水のようなものだ」
と述べると、聴衆は静かに頷いていた。

中国・天安門事件から4日で35年、東京都内で抗議集会を開催 民主化へ「最後まで闘う」
2024/6/1 20:58
https://www.sankei.com/article/20240601-DQZD6T4DUNLK3JSIR5M6WTGDQI/
中国当局が民主化運動を武力で弾圧した天安門事件から2024年6月4日で35年を迎えるのを前に、東京都内で2024年6月1日、犠牲者を追悼し、中国の抑圧統治に抗議する集会が開かれた。
事件があった1989年より後に生まれた中国出身の若者らも参加し、民主化へ
「最後まで闘う」
とシュプレヒコールを上げた。
中国の民主化を目指す団体「民主中国陣線」の王戴・日本代表
は「共産党の統治下で経済が減速するなど行き詰まりを見せている」
と指摘。
2022年に中国で人々が抑圧的な新型コロナウイルス対策に抗議した
「白紙運動」
に触れ
「運動に若い血液が加わり、中国は良い方向に向かっている」
と期待を示した。
事件に関わった元学生リーダーの1人、周鋒鎖氏=米国在住=もビデオメッセージを寄せ
「自由は手に届く所にある」
と強調し、東京が中国に変化をもたらそうとする人々の拠点になっていると歓迎した。(共同)

天安門事件から35年 中国大使館前で抗議デモ 在日中国人ら「民主化実現まで頑張る」
2024/6/1 15:41
https://www.sankei.com/article/20240601-2KXY4NZYSVEFLFDVKTRUP3EOFM/
中国大使館前で抗議する在日中国人ら=2024年6月1日午前、東京都港区(奥原慎平撮影)
https://www.sankei.com/article/20240601-2KXY4NZYSVEFLFDVKTRUP3EOFM/photo/FV766CWVAVB7VH3D6ZR72MYJDI/
中国共産党が学生らの民主化運動を武力鎮圧した1989年の天安門事件に抗議するため、当時の運動に参加した在日中国人や日本人支援者らが2024年6月1日、東京都港区の在日中国大使館前でデモを行った。
天安門事件は2024年6月4日で発生から35年を迎える。
参加者は
「中国に自由を、中国に民主を」
などと訴えた。
事件後に亡命した中国人元学生の組織「民主中国陣線」日本支部などで作る実行委員会が主催した。
同支部に所属する王戴氏は、事件について
「中国国内でタブーになっている」
「事件のキーワードが検索できないようになっているが、若者は外部から情報を手に入れるようと努力している」
と指摘する。
その上で
「1989年の民主化運動は長い目で見れば始まりに過ぎない」
「我々は中国の民主化を実現するまで頑張っていく」
と強調した。
その後、デモの参加者は
「民主的な中国を建設し、1党独裁を終わらせる」
「日本を含む民主主義国家に対し、中国の民主化運動を支援するように求める」
などと中国語で訴え、中国当局が拘束する政治犯らの釈放を求める抗議文を大使館側に投函した。
在日中国大使館に政治犯の釈放などを求める抗議文を投函するデモの参加者
https://www.sankei.com/article/20240601-2KXY4NZYSVEFLFDVKTRUP3EOFM/photo/JNUPI4IHWBD4LP66MNTKYL5OSM/
事件は1989年4月、改革派の胡耀邦元総書記の死を追悼する学生や市民が北京の天安門広場に集まると、民主化運動に発展。
1989年6月4日未明に武力介入した人民解放軍は無差別発砲を繰り返し、多数の死傷者を出した。
中国当局は死者を319人と発表したが、英外交文書は1万人以上と推計している。

香港、国安条例違反で初の逮捕 天安門事件追悼で「扇動」 言論の自由への懸念が現実に
2024/5/28 21:05
https://www.sankei.com/article/20240528-F3ALYQMJONKEZGZUDTEABU3J4I/
香港警察は2024年5月28日、国家安全条例違反の容疑で、収監中の著名な民主活動家、鄒幸彤氏を含む6人を逮捕したと公表した。
香港メディアによると、2024年3月に施行された同条例違反での逮捕は初めて。
逮捕容疑は、中国当局が民主化要求運動を武力弾圧した天安門事件の犠牲者追悼を巡るインターネット投稿について
「扇動の意図」
があったとしている。
同条例により香港の言論や表現の自由が更に狭まるとの懸念が現実となった形だ。(共同)
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/516.html#c50

[政治・選挙・NHK294] <子連れも、カップルも、子育て世帯がいる衝撃>蓮舫氏、都庁下の食料配布を視察 プロジェクションマッピングの影で(田中龍… 赤かぶ
27. 秘密のアッコちゃん[369] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月05日 09:03:26 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[482]
<■2162行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
林官房長官、河野太郎担当相を注意 中国ロゴ問題の再エネTF「運営に不適切な点あった」
2024/6/4 16:44
https://www.sankei.com/article/20240604-732YDZ7I5NLSNNFCNOSPWCU6JA/
林芳正官房長官は2024年6月4日の記者会見で、再生可能エネルギーの規制緩和を議論する内閣府のタスクフォース(TF)に関し、他省庁に具体的な政策対応を要求するなど権限を越える運用が行われていたとして、TFを所管する河野太郎規制改革担当相を注意したと明らかにした。
「懇談会等の運営に関する政府の指針に照らして不適切な点があったため、今後、そのようなことがないよう注意した」
と述べた。
TFを巡っては、元民間構成員の提出資料に中国の国営電力会社のロゴマークが入っていた問題が発覚。
内閣府が2024年6月3日に公表した調査結果では、中国の影響力行使を否定する一方、TFが
「行政運営上の意見交換、懇談の場」
であるにも関わらず、構成員が具体的な論点を挙げて各省庁に政策対応を求める運営が行われていたと指摘していた。
これを受け、河野氏は2024年6月4日の会見でTFの廃止を表明した。

自民・甘利氏、再エネTFの運営を批判 「とんでもない大臣来たら暴走する」
2024/6/4 16:42
https://www.sankei.com/article/20240604-IZ7VGQJF5FID7H2CCE6FD2K244/
自民党の経済安全保障推進本部長を務める甘利明前幹事長は2024年6月4日、再生可能エネルギーの規制緩和を議論する内閣府のタスクフォース(TF)の関係資料に中国の国営電力会社のロゴマークが入っていた問題を巡り、TFの過去の運営実態を批判した。
「TFは大臣(河野太郎規制改革担当相)の私的な懇談会だが、あたかも公的審議会と同等の権限を持たされ、エネルギー担当省庁を呼んで糾弾する」
「そんなことが許されていいのか」
と述べた。
経済安全保障推進本部などの会合の後、記者団に語った。
甘利氏は
「経済安全保障上、基幹インフラで最も重要なのはエネルギー、情報通信だ」
「その政策を何の公的権限もオーソライズされない人が決め、関係省庁に指示を出すことはおよそ考えられない」
と強調。
他国の工作を受けた人物が政策決定に関与するリスクを指摘し
「緊張関係にある国が、その国のエネルギー政策を間接的に支配できることになる」
と述べた。
「とんでもない大臣が来たら暴走する」
とも語った。
甘利氏は、この問題に関する内閣府の調査結果について
「中国との関係はまだ調べが甘いのではないか」
「もっとしっかり確認してほしい」
とも述べ、政府に引き続き対応を求める考えも示した。
内閣府が2024年6月3日に公表した報告書では、ロゴ混入を巡り中国の影響力行使を否定する一方、再エネTFは構成員が具体的な論点を挙げて各省庁に対応を求めるなど、本来の権限を越えた運用が行われてきたと指摘。
これを受け、河野氏は2024年6月4日の記者会見でTF廃止を表明した。

河野担当相、再エネのタスクフォースを廃止「議論の内容に問題はなかった」
2024/6/4 12:28
https://www.sankei.com/article/20240604-JSGWRYW2FVPJ7MS65ZATII4XHU/
河野太郎規制改革担当相は2024年6月4日の記者会見で、再生可能エネルギーの規制緩和を議論する内閣府のタスクフォース(TF)の関係資料に中国の国営電力会社のロゴマークが入っていた問題を巡り、同TFを廃止する方針を表明した。
この問題に関する内閣府の調査結果を受けた措置で、
「TFは議論の内容そのものに問題はなかったが、一定の成果を挙げたこともあり廃止する」
と述べた。
河野氏は今後、再エネの規制緩和は首相の諮問機関である規制改革推進会議で議論していく方針も示し、
「2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、議論していく態勢を構築すべく検討したい」
と述べた。
内閣府は2024年6月3日に公表した調査結果で、ロゴ入り資料を提出した元民間構成員が所属する
「自然エネルギー財団」
について
「中国政府等から不当な影響力を行使され得る関係性を有していた事実は確認されなかった」
とし、ロゴ混入も事務的ミスだと認定した。
一方でTFについては、
「行政運営上の意見交換、懇談の場」
であるにも関わらず、構成員が具体的な論点をあげて各省庁に対応を求めるなど、本来の権限を越えた運用が行われてきたことを指摘し、河野氏に対応を求めていた。

中国ロゴ問題、「財団に不当な影響力行使の関係確認されず」 内閣府が報告書
2024/6/3 21:31
https://www.sankei.com/article/20240603-R7TCLWPE6RJ4LOWUI6W6PX6R3I/
中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題に関する内閣府の説明資料
https://www.sankei.com/article/20240603-R7TCLWPE6RJ4LOWUI6W6PX6R3I/photo/63WDNIPI4NI4FEEQOI5YU7FGMM/
内閣府は2024年6月3日、再生可能エネルギーの規制緩和を議論するタスクフォース(TF)の関係資料に中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークが入っていた問題に関する調査結果を公表した。
資料を提出したTFの元民間構成員、大林ミカ氏が所属する公益財団法人
「自然エネルギー財団」
について
「中国政府等から不当な影響力を行使され得る関係性を有していた事実は確認されなかった」
と結論付けた。
調査結果ではロゴが混入した経緯に関し、財団の説明に基づき
「事務的な誤りだった」
と認定。
大林氏や財団が中国側から資金提供を受けるなどの事実も確認されなかったとした。
また、大林氏のTFメンバーへの起用は事務方の起案が発端で、河野太郎規制改革担当相から
「特定の者についての指示や示唆はなかった」
とした。
一方、消費者庁や外務省の有識者会議では、河野氏から大林氏の起用について
「示唆があった」
とした。
調査は内閣府が2024年4〜5月、外部弁護士らを交えて実施。
河野氏ら歴代担当相や財団関係者に対し、ヒアリングや文書での照会を行った。
この問題の発覚後、経済産業省や環境省は自然エネルギー財団からの意見聴取を停止している。
調査結果を受け、財団は
「当然の事実が公式に確認されたことを歓迎する」
「懸念に根拠がないことが明らかになったことを踏まえ、両省との議論を再開していく」
とする談話を発表した。

日本の電力 見えてきた河野太郎・孫正義 売国の悪巧み ”電力版一帯一路”を何としても阻止しなければならない
WiLL2024年7月号 YouTuber元NTT社員 ささやん
■河野大臣の影で暗躍する官僚
河野太郎デジタル担当大臣が立ち上げた内閣府の
「再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指すタスクフォース」(以下、再エネTF)
に、中国企業
「国家電網公司」(こっかでんもうこうし)
のロゴの透かしが入った資料が提出された問題。
この資料を提出した自然エネルギー財団事務局長の大林ミカ氏の人選に関わった河野太郎氏の責任が追及されましたが、この問題はまだまだここで終わらせてはいけません。
河野太郎(規制改革担当相)は2024年5月10日の記者会見で、この問題に関する調査の現状を問われ、
「調査に私は携わっていないので、内閣府か何かに聞いて頂きたい」
と発言しました。
2024年4月2日の会見では、
「海外から不当な影響力を行使される可能性があったかどうか、しっかり調査をしたい」
と述べていたのに、無責任極まりない!
これで次期首相候補というなら、冗談にも程があります。
大林ミカ氏を再エネTFのメンバーにした理由について河野太郎氏は
「下から上がって来たのを承認したからだ」
と言っています。
では、大林ミカ氏を上げた人間は誰なのか。
実は裏で忍者のように暗躍したのが、内閣府規制改革推進室規制改革・行政改革大臣直轄チームの
「山田正人参事官」
です。
山田正人氏も根っからの反原発推進者で、河野太郎氏との関係について経済産業省の元官僚・古賀茂明氏が週プレNEWS(「週刊プレイボーイ」のニュースサイト・2021年1月8日付)で、次のように書いています。
<私(古賀茂明)が注目している河野大臣絡みの人事がある>
<それは彼(河野太郎)が補佐官に抜擢した山田正人氏だ>
<経産省出身の同氏(山田正人)は資源エネルギー庁勤務の頃、核燃料再処理工場のコストが19兆円にもなるという文書「19兆円の請求書」を作成して同プロジェクトの中止を訴えたことで、閑職に追いやられていた>
<今は、TFと大臣の間で全てを調整する役回りだ>
山田正人氏と同じ経産官僚の古賀茂明氏の証言ですから、何よりの裏取りでしょう。
更にこの人事にはソフトバンクグループの影がチラつきます。
大林ミカ氏が所属する自然エネルギー財団は、ソフトバンクグループの孫正義氏(会長兼社長)が設立し、ソフトバンクが100%出資している財団です。
再エネTFの民間委員は4名ですが、そのうちの2名が自然エネルギー財団から選ばれており、孫正義氏の意向が半分入っているのと同じです。
仮に再エネを強力に推進していく2名、中立の立場の2名でTFを組織し、甲乙付け難い議論になった際は、最終決定を河野太郎氏が持つという既定路線が出来ているわけです。
河野太郎氏、孫正義氏の意思によってコントロール出来る仕組みとなっています。
河野太郎氏は原発の管轄である経産省の官僚を突破するため、再エネTFで自分に都合の良い資料を作らせているのでしょう。
人選の横暴さが何よりの証拠です。
再エネTFで作られた資料を基に官僚からの意見を跳ね除け、内閣府の権限で突っぱねてしまう。
官僚を怒鳴り付けるようなパワハラ体質ですから、
「俺の言うことが聞けないのか」
と権力を振りかざしている姿が容易に想像出来ます。
■”電力版一帯一路”の実態
なぜ河野太郎氏、孫正義氏はここまで深く再エネを推進するのかー。
その理由は、彼ら(河野太郎氏と孫正義氏)の狙いが日本の政府開発援助(発展途上国の経済発展や福祉向上のために先進国の政府機関が行う援助や出資。以下、ODA)を利用しての”電力版一帯一路”の実現にあるからです。
そのための機関が、中国国家電網(SGCC)会長の劉振亜(りゅうしんあ)氏が会長を務めるグローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO:Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization、世界的な送電網構築を目指す非営利団体・以下、GEIDCO)です。
GEIDCOは、中国国家電網の呼び掛けにより設立され、
「自然エネルギーの活用のための世界的な送電ネットワークの実現を目指す」
という目標を掲げていますが、GEIDCOが明示している
「北東エネルギー・インターコネクション計画」
に関する調査報告書の中身を確認してみると、3ページ目に驚くべき資料(画像1)があります。
見出しは
「地域の協力強化は各国共同の要求」
と書いてあり、その下には
「各国が地域協力を目標とした発展戦略を策定」
とあります。
国旗が6つ並んでいますが、時計回りに、ロシア、韓国、北朝鮮、日本、モンゴル、最後に中国となっています。
中国の国旗部分には分かり易くそのまま
「一帯一路」
と記載されており、まさにGEIDCOの狙いが
「電力版一帯一路」
だということの証拠です。
では、日本国旗の横の部分は何と記載されているのか。
記載された中国語を翻訳アプリで変換すると
「政府開発援助プロジェクトの資金と技術面での支援を強化し、アジアのインフラ建設過程を推進する」
となります。
驚くべきことに、ODAを意味していると思われる
「政府開発援助」
という文字が謳われており、これを素直に解釈すれば、日本の役割は
「資金面と技術面」
とはっきり明示されているのです。
電力版一帯一路に日本のODAが使用されるとは、まさに”世界規模での公金チューチュー”ではないですか。
しかし、不思議なのはODAの使用ということであれば、孫正義氏の一存で決めることはできず、外務大臣の許可が必要です。
一体誰がこんなバカげた計画にゴーサインを出したのか。
調べてみると、何と資料が作られた2018年時の外務大臣は河野太郎氏(2017〜2019年)ではありませんか。
これで完全に繋がったわけです。
河野太郎氏は外務省で気候変動対策のための有識者会議を開き、そこを突破口にして自然エネルギー財団のスタッフをバンバン省庁に送り込み、ロビー活動をして終わりかと思いきや、ODAの予算を使い、アジア諸国の電力網を電力の一帯一路に組み込もうと画策していたー恐ろしい話です。
もし電力版一帯一路が実現すれば、国家のインフラが牛耳られ、中国の一存でコントロールされてしまう。
電気が止まれば、日本の通信インフラは壊滅し、セキュリティ破壊、経済破綻は免れません。
国家の安危に関わる重大な危険を孕んでいます。
こうした危うい電力の投資計画を推進する河野太郎氏と孫正義氏の悪しき野望を何としても阻止しなければなりません!
私が孫正義氏についておかしいと思ったきっかけは、東日本大震災(2011年3月)の時でした。
被災地のインフラがズタズタになった当時、私の同僚であるNTT社員が休みなしで現地に向かい、復旧作業をしていました。
日本が一丸となって国難に立ち向かい、NTTも総力を上げて、
「必ずインフラを復旧させる」
という思いの中での作業でした。
ところが、2011年5月、ソフトバンクが太陽光発電に参入すると言い出したのです。
「孫正義は正気なのか」
と耳を疑いました。
同僚たちが同じ通信会社のよしみとして、ソフトバンクやKDDIから社員を派遣してもらえるのではないかと期待していた時に、まさかの電力事業参入の表明ー。
インフラも落ち着き、仮復旧したタイミングでの表明ならまだ分かりますが、仮復旧も困難な状況下で、ライバル企業が勝手な事を言い出したので、
「この人の国家観は大丈夫なのか」
という不信感を持ちました。
もちろん原発の問題も背景にはありましたが、タイミングとしてはそこじゃないでしょうという思いが強くあり、あの衝撃は未だに忘れられません。
孫正義氏は
「電力事業で利益は出さない」
と言っていましたが、一体その言葉のどこを信用すればいいのか。
国よりも個人的な利益に走ったようにしか見えませんでした。
国を思うのであれば、今起きている問題を議論すべきなのに、それを蔑ろにした孫正義氏を許すことは出来ません。
■再生”不可能エネルギー
このような危険人物が推し進める”電力版一帯一路”を阻止するために我々が出来る事は、まず日本国内から再エネについて疑問を呈することです。
例えば、再生可能エネルギーの代名詞とも言えるメガソーラーについて、推進派は地震や災害の際に威力を発揮すると主張しますが、2024年元日に発生した能登半島地震を見ても明らかなように、実態は真逆です。
読売新聞によれば
「斜面に数百万平方メートルに渡って敷き詰められていた太陽光パネルが、地盤と共に崩落」
「町道を塞ぎ、撤去された(2024年)2月中旬まで、車両が通れなくなった」
(2024年4月11日付)
とあります。
パネルは千葉県の業者が設置したようですがその後転売し、撤去したパネルを保管している町も今の事業者と連絡が取れていないそうです。
災害時に自活出来るだけの電力が賄えるのであれば、今こそ復興に役立てて宣伝すべきですが、活用どころか復興の妨げになっているのですから、バカバカしくて話になりません。
これではまるで再生”不可能”エネルギーと言う方が正解です。
しかも、再エネ議連(再生可能エネルギー普及拡大議員連盟)は一体何をやっているのでしょうか。
顧問を務める河野太郎氏は能書きばかりこいてないで能登の現地でパネルの1つでも回収してきたらどうでしょうか。
それをやってこその
「再エネ”助け”フォース」
です(笑)。
そして、パネル撤去の請求書は全て再エネ議連に回せばいいのです。
事務局長を務めていた秋本真利議員は風力発電の会社から賄賂を受け取り、馬主となれるくらいお金を持っているのですから。
こうした能登の現状を見ても、メガソーラーの使用には限界があります。
その理由を3つ上げます。
1つ目は、読売新聞の記事にもあるように、
「いざとなったら発電業者がトンズラする」
可能性が非常に高いことです。
これは随分前から言われてきたことで、全部の業者がそうとは言いませんが、多くがFIT(再生可能エネルギーから作られた電気を電力会社が一定価格で、一定期間買い取ることを国が保証する制度)の高価買い取り制度を狙い、お金に目が眩んで参入してきた業者たちです。
環境に良いというのは表向きの理由で、裏ではいつ転売して売り抜けようか、と考えています。
ですから、いざとなれば、さっさとトンズラし、パネル設備をポイ捨てし、放置した方が損害が少なくなる。
太陽光でサスティナビリティ(持続可能性)などと言っている人間など信用してはいけません。
2つ目は、国内において太陽光の設置は既に限界に来ている点です。
資源エネルギー庁の資料でも、日本の平地面積当たりのメガソーラーの設置は、世界と比べて群を抜いて高い密度であることが分かります。
ドイツのおよそ2.3倍、米国の40倍となっており、日本の国土は既に太陽光パネルの過密地帯なのです。
そこに災害が起これば、崩落したパネルの処理に手こずるのは自明の理。
現時点でパネルのリサイクルが出来ていない状況ですから、地震が起きて、まとまった数のパネルの廃棄が出てしまったら対処出来ません。
そして3つ目が火災の多さです。
2024年3月27日、鹿児島で起こったメガソーラーの火災は、鎮火まで20時間を要しました。
更に、2024年4月15日には、仙台でもメガソーラーの火災があり、これは鎮火に22時間かかっています。
なぜ、こんなに燃えやすいのでしょうか。
しかも1回燃え出したら、水ではなく、科学的な消火剤を撒かないと鎮火しません。
これでは環境の
「か」
の字もない。
再エネを進めたい方々は、まず能登の現場や鹿児島・仙台の火災現場を見てからもう1度判断すべきです。
再生可能エネルギーが本当に安いのかどうかもしっかり検証すべきです。
推進派は再エネを導入することによってやがて電気代は下がると主張し、孫正義氏も太陽光事業を始めた2011年、
「コーヒー1杯分を負担して下さい」
とキャッチコピーのように言っていました。
しかし、世界的に見て再エネを導入した結果、電気代が下がるというデータは出ていません。
むしろ、電気代は高くなるばかりで、2024年の再エネ賦課金は、経産省の試算で月平均、1396円になります(一般家庭)。
いつの間にかコーヒー3〜4杯分に膨れ上がっています。
しかも、2035年から2040年くらいにかけて、大量にパネルが廃棄される見込み(2035年問題)ですが、どう処理するのか全く見通しが立っていない。
部分的に分解し、ガラスやプラスチック部分は再生利用出来るかもしれませんが、シリコンやメカの部分は今のところ再生出来ないので、埋め立てるしかない。
オーストラリアやカリフォルニア州は実際にパネルの処理に困っているという事例もあり、カリフォルニア州は隣の州に持って行って処分しているという有り様です。
カリフォルニア州で作っておきながら、隣の州に持って行ったのでは、運ばれた方も迷惑でしょう。
このようにメガソーラーは世界的に見ても、矛盾ばかりです。
パネルの設置で動植物にも影響が出て、むしろ自然が破壊されています。
「再エネ=地球に優しい」
という言葉のレトリックに騙されてはいけません。
再エネは、むしろ地球に負荷を与えています。
一緒に利権まみれの安易な再エネに反対の声を上げていきましょう!

能登地震で太陽光発電施設19か所が破損や崩落、感電・発火の恐れ…被害の全容不明
2024/4/11 15:00
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240411-OYT1T50097/
能登半島地震で、太陽光発電施設が破損、崩落する事故が少なくとも19か所で起きていたことが分かった。
国に報告があったのは16か所だが、読売新聞が航空写真を分析した結果、他3か所でも確認できた。
破損したパネルは感電や発火の危険性がある。
事業者が報告していないケースが他にもあるとみられ、国は発生から3か月以上経った今も被害の全容を把握できていない。
斜面から土砂と共に崩落し、町道を塞いだ太陽光パネル(2024年1月4日、石川県穴水町で)=上万俊弥撮影
「『ドーン』という音と共に揺れを感じ、家の外に出ると大量のパネルが住宅の前まで迫っていた」。
2024年元日、震度6強を観測した石川県穴水町由比ヶ丘地区。
実家に帰省中だった女性(44)は振り返る。
斜面に数百平方メートルに渡って敷き詰められていた太陽光パネルが、地盤と共に崩落。
町道を塞ぎ、撤去された2024年2月中旬まで、車両が通れなくなった。
経済産業省などによると、このパネルは千葉県内の事業者が設置し、2022年に運転を開始した。
しかし、事業者は取材に
「直後に転売したので、今は分からない」
「当時は土砂崩れのリスクは考えていなかった」
とし、今の事業者は連絡が取れなかった。
町が撤去したパネルを保管しているが、町も事業者とはまだ連絡が取れていないという。
太陽光発電施設の事業者は、電気事業法に基づき、パネルの損壊や敷地外への流出、火災などがあれば、把握から30日以内に経産省に詳細を報告する義務があり、違反すれば罰則もある。
同省の資料によると、石川県内の能登地域(12市町)には、太陽光発電施設が小規模なものも含めて約1200か所ある。
2024年3月21日時点で七尾、能登、穴水、志賀、宝達志水の5市町の計16か所の事業者から被害の詳細な報告があったという。
読売新聞は、金沢工業大の徳永光晴教授(地理空間情報工学)の監修を受け、国土地理院が公表している地震発生後の被災地の航空写真を分析した。
その結果、他に少なくとも3か所の施設で被害が確認できた。
道路を塞いだ穴水町の施設の他、珠洲、七尾両市でそれぞれ1か所あった。
軽微で報告義務がないとみられる被害を含めると、更に数か所確認できた。
珠洲市宝立町では、スーパーの屋根に設置されていた200平方メートルほどのパネルが建物ごと倒壊。
今もそのまま残されている。
太陽光パネルは破損後も光が当たれば発電し、感電や発火の恐れがある。
2019年には、千葉県内で台風によりパネルなどが破損し、火災になったケースがあった。
珠洲市で倒壊したスーパーを経営する男性(62)は
「発火の恐れがあるとは知らなかった」
「市に建物の解体を申請しているが、いつになるかは分からない」
と困惑した様子で話した。
経産省によると、地震による太陽光発電施設の被害報告は、2016年の熊本地震で1か所、2018年の北海道 胆振いぶり 東部地震で3か所あった。
今回は、広範囲に地盤の亀裂や隆起が起こり、被害が拡大したとみられる。
経産省は2024年3月、事業者が被害を確認できなかったり、報告義務を認識していなかったりするケースがあるとみて、事業者に被害の確認を求める書面を郵送した。
太陽光発電施設を巡っては、2018年の西日本豪雨でも崩落し、神戸市で新幹線が運休。
その後も豪雨や台風による事故が相次いだ。
経産省は2022年度、大雨で土砂崩れなどの恐れがある
「土砂災害警戒区域」
にある280施設に立ち入り検査を実施。
うち25施設で敷地外への土砂流出を確認し、事業者に対策を指導していた。
しかし、土砂災害警戒区域は地震を想定していない。
今回、19か所のうち、少なくとも2か所で敷地外への流出が確認されたが、いずれも警戒区域外にあった。
徳永教授は
「太陽光発電施設は斜面に設置されているケースが多く、地震による崩落リスクがあることが改めて明らかになった」
「自治体は国への届け出情報などを基に施設の設置状況を把握し、崩落して住宅や道路に被害が及ぶ可能性がある場所については対策を促すことを検討してもいいのではないか」
としている。

くつざわ亮治氏「『河野一族は中国共産党の犬』などとブログに書いたら河野太郎大臣に訴えられました…」
2023/12/28
https://sn-jp.com/archives/149645

2024/4/13
【解説】「中共の犬国防の敵」河野太郎問題とズブズブの紀藤弁護士
https://aichinahn.hatenablog.com/entry/2024/04/13/001935

<中共の犬>よばわりしたら河野太郎に告訴された
河野太郎デジタル担当大臣と”徹底抗戦”します
WiLL2024年6月号 日本改革党代表 元豊島区議会議員 くつざわ亮治
■前代未聞のの訴訟
この度、河野太郎デジタル担当大臣に訴えられました!
現役の国務大臣が私人を名誉棄損で訴えたという事例は聞いたことがなく、被告となった私自身も驚いています。
事の発端は、自民党総裁選の最中である2021年9月20日、私がブログで
「河野太郎は一族ぐるみで中国共産党に飼われていました、はい試合終了」
と題し、河野太郎氏のファミリー企業
「日本端子」(本社・神奈川県平塚市)
について書いたことです。
ブログの内容は次の通りです。

河野太郎は一族ぐるみ中国共産党に飼われてました、はい試合終了 20210920
2021/9/20
https://go2senkyo.com/seijika/165194/posts/303109
<河野一族は中共の犬でした!お疲れ様でした!
洋平が実質オーナーで太郎の実弟の二郎が社長を務める日本端子株式会社(年商120億円)の中国子会社、北京日端有限公司は日本端子60%、京東方科技集団股分有限公司40%出資の合資会社
京東の責任者の陳炎順は今年(2021年)6月に全国優秀党員に選ばれたエリート共産党員だった
つまり中共4割と>

今から2年以上も前の事なので、書いた私自身もすっかり忘れていましたが、この内容について、突如、2023年11月2日に代理人弁護士を通じて
「通知書」
が届きました。
河野太郎氏側は
「ブログの削除」

「謝罪要求」
をしてきましたが、一般人ならばこの時点で怖がって要求を呑んでしまう。
ところが、私が代理人弁護士を通じて拒否したところ、訴訟に発展しました。
河野太郎氏側は加えて220万円の支払いを要求しています。
「今更なぜ?」
と首を傾げましたが、来る2024年9月の自民党総裁選を意識し、都合の悪い批判記事を削除しておきたい意向があるのではないか。
つまり、私への訴訟は
「批判に対しては容赦なく訴訟を起こしていく」
という。
一種の”見せしめ”なのでしょう。
■”中共の犬”仲間
しかも、現役大臣が訴訟を起こすという稀な案件にもかかわらず、テレビや新聞は無視を決め込んでいます。
メディアも野党も追及しないのは、”中共の犬”仲間だからでしょう。
小西洋之参議院議員も一般人を名誉棄損で訴えましたが、権力のない野党議員なら話題にならないのも理解できます。
しかし、与党の、しかも総裁候補に名前が挙がる現職大臣が一般人を名誉棄損で訴えた事実を、なぜ、どこも取り上げないのか。
非常に不可解です。
テレビも新聞も支局を人質にされ、結局は中国に逆らえないのです。
大きな権力に配慮するのは裁判所も同じです。
当初、この訴訟は裁判官が1人で進める単独部に回されたのですが、途中から3人の裁判官が付く合議部に回されました。
私の代理人弁護士に聞いても、民事の名誉棄損の裁判で合議制は聞いたことがないとのこと。
恐らく裁判所は訴状を受け付けた段階で、
「原告 河野太郎」
を見た時に、まさか現役の大臣であるとは思わず、通常通り単独部の裁判に回した。
ところが、ある時点で大臣本人ということに気付き、慌てて合議部に回したのでしょう。
裁判所も原告が国務大臣の裁判を1人の裁判官に任せるのは、まずいと判断したのではないか。
裁判の状況ですが、今年(2024年)1月を皮切りに、口頭弁論(原告・被告双方の代理人が、互いに意見や主張を述べること)が2回行われました。
しかし、公開の法廷で原告・被告本人を呼んでの争いは行われていません。
公開の法廷を開くと、傍聴席は埋め尽くされ、”河野太郎糾弾集会”のようになってしまうことを裁判所が懸念しているからでしょう。
裁判所が訴えの取り下げを原告側(河野太郎氏)に遠回りに示唆している可能性もあります。
裁判所が大臣という権力者にここまで配慮するとは、果たして公正な裁判になるのでしょうか。
ちなみに、かつて
「ゴキブリ」
と誹謗中傷された政治家が訴訟を起こそうとしたところ、裁判所から
「政治家は批判されるのが仕事でしょう」
と門前払いされた例があります。
なぜ
「ゴキブリ」
は良くて、
「犬」
はダメなのでしょうか(笑)。
■中共の犬である根拠
もちろん、私が書いた”河野一族は中共の犬”という内容に事実誤認があるとは到底思えません。
河野太郎氏の実父である洋平氏が官房長官として発表した
「河野談話」(1993年)
の後、日本端子は北京で子会社を作ることが許されました(同年の1993年、河野太郎氏は日本端子の常務に就任。現在は辞めている)。
河野談話を読んだ中国から
「河野洋平は使いやすい」
と判断され、見込まれたのでしょう。
中国でビジネスをするには、中国共産党の資本を入れて合資会社にし、株の比率も五分五分にしなければならないという条件があります。
ところが日本端子の子会社は、自身の持ち株比率が多いという有利な条件で、北京、香港、蘇州に立て続けに設立しました。
聞くところによると、神奈川県平塚市にある本社ではなく、中国本土にある3つの会社が事業のメインになっているそうです。
世界最大級のEC(電子商取引)事業を手掛ける
「アリババグループ」
を創業したジャック・マー氏が中国共産党を批判し、習近平政権に目を付けられ、ここ数年で公の場から姿を消しましたが、あれほど巨大な会社ですら中国共産党に逆らうと粛清される。
言い換えれば、中国でこれだけ有利な条件で商売が出来ている日本端子が中国共産党の言いなり(犬)なのは間違いないでしょう。
ちなみに日本端子の株主は11人ですが、全員が河野一族です。
筆頭株主は洋平氏で30%を所持。
20%は弟の次郎氏(社長)が持っており、河野太郎氏自身も3%ほど所持しています。
最新の政治資金収支報告書によると、日本端子は400万円を河野太郎氏が代表を務める自民党神奈川県第15選挙区支部に献金として寄付しており、河野太郎氏は未だに親から”お小遣い”を貰っているのです。
普通の会社なら、400万円も支部に寄付することに関して株主から文句が出ますが、株主は全員河野一族なので、当然文句も出ません。
■”徹底抗戦”します
河野太郎氏がお金に困っているとは到底思えませんので、支払い要求されている220万円という金額からも、原告が被告からお金を取ろうと考えている裁判でないことは明らかです。
河野太郎氏側は
「訴えた」
という事実を作りたかったのでしょう。
勝敗はさておき、私は全面的に戦う覚悟で”徹底抗戦”します。
ブログを削除したり、表現を変えるつもりは一切ありません。
裁判が長引けば長引くほど、
「河野一族は中共の犬と書いたら訴えられました」
と言い続けられるので、私としてはむしろ好都合です。
もちろん勝訴したら
「裁判所が河野太郎は中共の犬と認めた」
と騒ぎ立てます(笑)。
負けたら
「裁判所が大臣に配慮した」
と大騒ぎするので、いずれにしても、
「河野一族は中共の犬」
という事実が広まるわけですから、目的は達成できそうです。
仮に220万円の要求が22万円に変われば、こちらとしては勝ったも同然です。
今回の件で分かったことは、河野太郎氏の政治家としてのセンスの無さです。
安倍晋三元首相も山口二郎氏(北海道大学名誉教授・法政大学法学部教授)から
「安倍は人間じゃない」
「叩き斬ってやる」
と公然と侮辱されました。
しかし、安倍晋三元首相は眉一つ動かさず、訴えたりはしなかった。
それに比べて、河野太郎氏は何と器の小さいことか。
政治家、ましてや現役の大臣であるならば、政策や言論で勝負すべきです。
私は言論を持って、書いたブログ記事は事実であると確信していますので、河野太郎氏の理不尽な
「言論弾圧」
には屈せず、戦っていきます!
■エネルギー分野に中国の介入
河野太郎氏の問題はこれだけにとどまりません。
再生可能エネルギーに関する規制見直しを目指す内閣府のタスクフォース(以下、再エネTF)に、中国の国営電力会社
「国家電網公司(でんもうこうし)]
のロゴマークが入った資料が提出されました。
この資料を提出した民間構成員(現在は辞任)の大林ミカ氏(自然エネルギー財団事業局長)は、何と河野太郎氏が推薦した人物です。
河野太郎氏は記者会見で大林ミカ氏の起用について
「特に問題があったということではない」
と述べましたが、国家の根幹に関わるエネルギー分野に中国の干渉(侵略)を許しているのですから、問題だらけでしょう。
仮に問題がないなら、なぜ大林ミカ氏は有識者メンバーを辞任したのでしょうか。
後ろめたいことがないなら、辞める必要はないはずです。
河野太郎氏はこの件について
「ネトウヨが騒いでいるだけだろ」
と吐き捨てたそうですが、ネットを見下すポーズを取っておきながら、私の
「河野一族は中共の犬」
というブログはスルーできなかったようです(笑)。
自然エネルギー財団はソフトバンクの孫正義氏が設立し、会長に就任していますが、タスクフォースの民間委員4人のうち、2人が自然エネルギー財団の人間です。
4人全員が自然エネルギー財団の関係者という時もあったようで、まさに”ズブズブ”の関係であることが分かります。
■”大儲け”の太陽光ビジネス
しかも、再エネ賦課金制度を作ったのが河野太郎氏と孫正義氏です。
2024年4月から再エネ賦課金が年間6000円台から1万6000円台に値上がりしましたが、値上がりした賦課金のほとんどがメガソーラーを設置できる事業者に回されます。
日本端子の主要ビジネスが太陽光パネル事業なので、さぞかし儲かることでしょう。
日本端子は太陽光パネル周辺部品の特許をいくつか持っているので、他社が作った部品でも儲かる仕組みになっています。
つまり、河野太郎氏はこの制度を都合よく利用し、立派な”公金チューチュービジネス”をしているのです。
河野太郎氏があれほど
「脱原発」
を訴えていたのも納得でしょう。
しかも太陽光パネルの生産は中国が8割なので、実質中国にカネが流れます。
日本人の税金を中国企業に流す手引きをしているのですから、
「売国奴」
と言われてもやむを得ない。
おっと、こんなことを言ったら追加訴訟されてしまうかもしれません。
日本のソーラーパネルの敷設面積は世界で1位になってしまいましたが、山を切り開き、景観を壊して敷き詰められる太陽光パネルにはおぞましさを感じます。
日本の政治家ならば食い止めるべき自然破壊が行われているにもかかわらず、河野太郎氏は再エネ賦課金制度を廃止せずに、むしろ活用する。
このような人物を首相どころか、国会議員にしておくこと自体、危険です。
その危険さがどこまで国民の間に広がるかが重要です。
次の衆議院選挙でどのくらい票を減らすのか。
神奈川15区の有権者さん、国益のために良識ある御判断をお願いします!

中国企業ロゴ問題「内容には問題なし」 内閣府「不当な影響力受けたなら問題」 再エネタスクフォース資料
https://www.sankei.com/article/20240325-CWZ57KOKKRMF3IC7Q5BWVEJBWI/
再生可能エネルギー導入促進を目指すタスクフォースで中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題に関する内閣府の説明資料
https://www.sankei.com/article/20240325-CWZ57KOKKRMF3IC7Q5BWVEJBWI/photo/LLOZEZYSXBCVNBK4XJPIA5F4RA/

活動家「大林ミカ」があぶり出した河野太郎の危険な政治手法
Hanada2024年6月号 経済学者 池田信夫
■内閣府資料に中国企業ロゴ
2024年3月23日(土)の朝、X(旧ツイッター)にこんな呟きが出た。
<内閣府の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」(再エネTF)の構成員提出資料に、なぜか中国の「国家電網公司」の透かしが入っていました>
これを見付けたのは電力会社の社員だが、内閣府のホームページで公開された再エネTFのスライドには、右上に白地に白で
「国家電網公司」
という図のようなロゴマークがあった。
国家電網公司は中国の国営電力会社だが、このロゴは大林ミカ氏(自然エネルギー財団事業局長)の資料のほとんどの図に付いていた。
白地に白で描かれているのでパソコンでは見えないが、携帯のアプリでは見える場合がある。
なぜ、自然エネ財団の資料に中国の国営電力会社のロゴが付いているのか。
これは大林氏が中国の工作員だという暗号かーこれを私が紹介したところネット上で拡散され、数百万回表示された。
それを受けて同日2024年3月23日(土)14時30分に、内閣府はホームページから大林氏の提出した資料を削除した。
マスコミは(産経新聞を除いて)報道しなかったが、2024年3月25日に内閣府は説明資料を公開した。
ここに至って他の新聞も報じ、他の新聞も報じ、
「中国国家電網公司」
というロゴマークについて色々な推測が行われた。
当初は、無断複製を防ぐ
「電子透かし」
ではないかと言われたが、内閣府によれば、国家電網公司が2016年のシンポジウムの資料で使ったスライドの定型(テンプレート:「フォーマット」は「ビジネスでは文書を作成する上での形式や構成のこと」。「テンプレート」は「ビジネスでは元からあるレイアウトや定型部分に合わせて文章を入れていくひな形のこと」)に青地で白で入ったロゴだという。
それが何かの手違いでコピーされたと言うが、こんな現象はシンポジウムの資料のような印刷用ファイルをコピーしても起こらない。
テンプレートは、プレゼンテーションソフト(マッキントッシュのKeynote)に入っている機能で、同じ背景やロゴなどをコピーして使うものだ。
大林氏はシンポジウムの資料をコピーしたのではなく、国家電網公司の内部資料を入手して、そのテンプレートを使い回していたと思われる。
大林ミカ氏は自然エネルギー財団で
「アジアスーパーグリッド」【英語: Asian Super Grid、略称:ASGは日本、中華人民共和国、韓国、台湾、モンゴルおよびロシアなどを接続する電力網<スーパーグリッド(英語版)>の構想である】
という広域電力網の担当者だった。
その組織、GEIDCOの会長は、国家電網公司の劉振亜会長(中国共産党委員会書記)だった。
自然エネ財団は、中国の影響下にあるのではないか。
自然エネ財団は
「国家電網公司との間には人的・資金的関係はない」
と説明したが、これは嘘である。
自然エネ財団の孫正義会長はGEIDCOの副会長だった。
今回の騒ぎで自然エネ財団はGEIDCOから脱退したが、今後も関係は続けていくとしている。
■大林ミカとは何者か
今回の事件で一躍有名になったのが大林ミカ氏だが、財団のホームページの経歴には
「大分県中津市生まれ、北九州市小倉出身」
としか書いていない。
職歴も原子力資料情報室など活動家の経歴ばかりで、学問的業績は何もない。
エネルギー産業の実務経験もない。
再エネTFは内閣府の有識者会議である。
そこにこんな怪しげな活動家が入ったのは何故か。
しかも、再エネTFのメンバー4人のうち2人(大林氏と高橋洋氏)は自然エネ財団のメンバーであり、河野太郎規制改革担当相と山田正人参事官は再エネ推進派だから、再エネTFは再エネ業界のロビー団体ではないかーこのような疑問がネット上で多く寄せられ、大林氏は2024年3月27日に再エネTFを辞任したが、今に至るも学歴については説明していない。
自然エネ財団がホームページに掲載した追加説明によれば、大林氏は
「語学学校を卒業後、子育て等を経て、1992年に原子力資料情報室に参加」
と書いてあるが、どこの語学学校かは書いていない。
本人も原子力資料情報室にアルバイトとして入った時、
「何の専門家でもない私ができる事は何なのか」
と自問している。
このように大林ミカ氏はエネルギー問題の素人だが、活動家としての経歴は華やかである。
原子力資料情報室は高木仁三郎(じんざぶろう:物理学者)の作った反原発団体で、三里塚(さんりづか)闘争で1坪地主になるなどの過激な活動で知られる。
大林氏は原子力資料情報室を辞めた後、飯田哲也氏(再エネ活動家)と共に
「環境エネルギー政策研究所」
を設立し、2011年の福島第1原発事故の後、孫正義氏の設立した自然エネ財団に移った。
社民党党首、福島みずほ氏の
「応援団」
と自称し、グリーンピース日本支部の理事でもある。
そんな活動家が、なぜ内閣府の有識者会議に入ったのか。
本人は記者会見で
「河野太郎大臣の推薦と聞いている」
と語ったが、内閣府は国会で
「事務方が人選して河野太郎大臣が了承した」
と答弁した。
この事務方とは山田正人参事官である。
山田正人参事官はかつて経済産業省の反原発派で、核燃料サイクルに反対して左遷された。
その時、河野太郎氏と接点があり、それ以来、ずっと河野太郎氏と一緒に霞が関の傍流を歩んで来た。
■孫正義氏と自然エネ財団
そんな日陰者の反原発派が一挙に脚光を浴びたのが、2011年の福島第1原発事故だった。
飯田哲也氏と民主党政権に食い込み、ちょうどその時出来た再エネの固定価格買取制度(FIT)を最大限に利用した。
これは電力会社に再エネ電気の全量買い取りを義務付け、その価格を原価より高く設定して利潤を保証する欧州の制度だった。
この時、孫正義氏は
「太陽光発電は原発より安い」
と言う一方で、
「単価がキロワット時40円以上でないと採算が取れない」
という要望を政府に出した。
孫正義氏は国会などで次のような図を見せて、
「EU(欧州連合)の平均買い取り価格は58円だ」
と主張した。
しかしこれは、実は【2009年の買い取り価格】だった。
欧州では2000年代に再エネバブルが起こり、買取価格が上がったが、リーマン・ショックでバブルが崩壊して価格が大幅に下がったのだ。
これは孫正義氏も知っていたはずだが、菅直人首相に直訴し、2012年12月に菅直人首相がトップダウンで事業用40円、住宅用42円という買い取り価格を決めた。
調達価格等算定委員会の委員長だった植田和弘氏(京大教授)は、
「諸外国との比較を行い、【施行後3年間は例外的に利潤を高める】」
と説明したが、その調達価格等算定委員会の資料には、2012年の買い取り価格はドイツの事業用(平地設置)で18.76ユーロセント(約20円)と書かれていた。
「諸外国との比較」
では、日本の買い取り価格は当時、世界一だったのだ。
日本でもメガソーラーなら当時でも20円以下だったが、それが2倍以上の価格で20年間全量買い取り保障され、リスクゼロなのだから、外資が大量に参入して数兆円の投資が行われた。
この時、書類審査による事業認定だけで買い取り価格が決まったため、認定されたが稼働できない物件が大量に発生し、それが今も平均36円の価格で買い取られている。
この買い取り価格と火力の価格の差が【再エネ賦課金】である。
バカ高い買い取り価格が付けられた結果、2030年までに累計44兆円の再エネ賦課金(=再エネ業者の超過利潤)を電力利用者は払わなければならない。
更に重大な問題は、自然エネ財団の孫正義会長が社長を務めるソフトバンクグループ(SBエナジー)が、再エネに数兆円の投資をして数千億円の利益を上げたことだ。
公益財団法人の認定基準として、
「社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し【特別の利益を与えない】ものであること」
という規定がある(公益法人認定法第5条の2)。
自然エネ財団のロビー活動はこれに違反する利益相反であり、公益法人認定を取り消すべきだ。

★利益相反(りえきそうはん)とは、信任を得て職務を行う地位にある人物(政治家、企業経営者、弁護士、医療関係者、研究者など)が立場上追求すべき利益・目的(利害関心)と、その人物が他にも有している立場や個人としての利益(利害関心)とが、競合ないしは相反している状態を言う。
このように利益が衝突している場合、地位が要求する義務を果たすのは難しくなる。
利益相反は、そこから非倫理的もしくは不適切な行為が行われなくても存在する。
利益相反は、本人やその地位に対する信頼を損なう不適切な様相を引き起こすことがある。
一定の利益相反行為は違法なものとして扱われ、法令上、規制対象となる。
また、法令上は規制対象となっていない場合でも、倫理上の問題となる場合があり得る。

■「河野の威を借る狐」
自然エネルギー財団(大林ミカ他)は2023年10月11日に、私の3つのX投稿(ツイート)が名誉棄損だとして、東京地裁に損害賠償訴訟を起こした。
これは
「再エネ詐欺の総本山が、この自然エネルギー財団」
「大林ミカは、政府の再エネタスクフォースで、激しく利益誘導をやっている」
「ここにも特捜のガサが入るだろう」
などと書いたものだ。
2022年には、私は秋本真利(まさとし)衆議院議員からも名誉棄損で訴訟を起こされた。
これも
「検察が捜査してるんじゃないか」
というツイートだったが、秋本真利氏は私の予言通り、2023年9月に東京地検特捜部に収賄の容疑で逮捕された。
ここで私が問題にしたのは、自然エネルギー財団だけではなく再エネTFの利益誘導である。
これは2020年10月に、菅義偉首相が
「2050年カーボンニュートラル」(温室効果ガス排出実質ゼロ)
を宣言した後、内閣府の規制改革担当大臣だった河野太郎氏が集めた
「私兵」
である。
根拠法もなく、人選は山田正人参事官(河野太郎の腹心)が友人を集めたものだ。
もちろん資格審査もしていないから、大林ミカのような活動家も紛れ込んでしまう。
しかも、再エネTFの4人の構成員(大林ミカ・高橋洋・川本明・原英史)のうち2人(大林ミカ・高橋洋)は自然エネ財団のメンバーという利害関係者であり、これは有識者会議というより再エネ業界のロビー団体である。
これは、国家を巻き込んで再エネ業者に数十兆円の利益を与えた。
再エネTFは所管外の経産省の有識者会議などに殴り込み、支離滅裂な利益誘導を繰り返した。
特に、2021年の総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会のエピソードは有名である。
再エネTFは、非化石証書について提言にこう書いた。
<現状では「非化石」価格にプラスの価格を付けて取引する一方で、化石燃料については、何らペナルティ(炭素排出等に対するマイナスの価値)が課せられていないため、【積極的に普及すべき再生可能エネルギーの利用が、逆に割高になってしまう】という弊害が生まれている>
これには総合資源エネルギー調査会のメンバーが驚いた。
非化石価値というのは、再エネで発電した
「グリーン電力」
に通常より高いプレミアムを付けて売る制度である。
企業はこの証明書を買えば
「当社の電力は再エネ100%です」
などと宣伝でき、再エネ業者も利益を得る。
ところが、再エネTFはこれを逆に理解して
「再エネが割高になってしまう」
と言うのだ。
これには総合資源エネルギー調査会の委員が激怒し、
「このような最低限の知識もない委員で構成されたような組織(再エネTF)が内閣府に存在していること自体がどうかと思う」
「行政改革の対象じゃないか」
とコメントした。
こんな素人集団が、経産省だけでなく総務省や農水省などの有識者会議で暴れ回り、露骨な利益誘導を繰り返し、電力業界は彼ら(再エネTF)を
「虎の威を借る狐」
と呼んで恐れた。
虎とは、もちろん河野太郎大臣である。
■停電寸前でも再稼働反対
2022年3月22日、東京電力の管内は大停電(ブッラクアウト)の一歩手前だった。
その最大の原因は、2022年3月17日の地震で東電と東北電力の火力発電所が停止し、出力が335万キロワット低下したことだが、もう1つの原因は2022年の【3月という時期】に地震が起こった起こったことだった。
冬の電力消費のピークの1月から2月には火力はフル稼働するが、3月は停止して補修点検する。
おまけに季節外れの大寒波で、130万キロワットの供給不足になる見通しだった。
このままでは大停電になるため
「電力逼迫情報」
が出され、揚水発電をフル稼働して連携線で電力を融通し、供給電圧の低め調整という危険な対策まで動員して電力需要を抑制し、大停電を免れた。
ところがこれについて、再エネTFは
「電力は足りているから原発再稼働は必要ない」
という提言を出して、電力関係者を驚かせた。
それによると、
「冬の最大需要は5380万キロワットだったので、3月の最大需要4840万キロワットを満たす供給力は存在していた」
から、原発再稼働や火力の増設は必要ないという。
これに対して、資源エネルギー庁が詳しく反論した。
2022年の3月は約1000万キロワットが定期補修に入っており、最大に稼働しても4500万キロワット程度が限度だった。
合計270万キロワットの柏崎刈羽6・7号機が動いていれば予備率は5%以上あり、大停電のリスクはなかった。
なぜ、再エネTFは原発再稼働に反対し、ギリギリの電力運用を求めるのか。
その最大の理由は、原発が動くと再エネが送電線に【タダ乗り】できなくなるからだ。
送電線は大手電力(旧一般電気事業者)が建設した私有財産だが、今は原発が動かせない大手電力の送電線を再エネ業者が借りて使っている。
しかし、原発が再稼働すると大手電力の送電が優先になるので、再エネ業者は自前の送電線を建設しないといけない。
だから原発再稼働に反対するのだ。
こういう再エネ業者のエゴイズムを提言と称して役所で発表し、マスコミに売り込んで
「電力は足りている」
などとデマを流す利益誘導が再エネTFの仕事である。
■河野氏のヒトラー的手法
3・11(2011年3月11日の東日本大震災)以降、民主党政権が国際相場の2倍で買い取らせたFIT(固定価格買取制度)と、違法に止めた原発によって日本経済は数十兆円のダメージを受け、今尚立ち直れない。
その原因は、民主党政権のエネルギー政策を経済産業省が利用し、電力自由化の懸案だった【発送電分離】を強行したからだ。
発送電分離は、電力会社の発電部門と送電部門を分離して競争させる改革で、英米では1990年代に行われたが、日本では東電の政治力が強いため分離できなかった。
ところが、原発事故の処理で経営破綻した東電が原子力損害賠償支援機構の傘下に入って、実質的に国有化された。
これは
「親会社」
になった経産省にとって千載一遇のチャンスだった。
原発が全て止まり、再エネの価格が世界最高になった状況で、エネ庁は無知な民主党政権を利用して火事場泥棒的に電力自由化を強行したのだ。
これは反原発・再エネ派にとっても大勝利だった。
発送電分離の下では、発電会社は供給責任を負わない。
燃料費のかからない再エネ業者は安い限界費用で卸電力市場(JEPX)に卸し、固定費を負担しない新電力はそれを仕入れて高い小売値で売って大儲けした。
河野太郎氏は
「再エネは原発より安くなった」
と主張して、発送電分離を進めた。
その結果、何が起こったか。
1日の内、太陽光発電が使えるのは3時間程度である。
残りの21時間は火力や原子力でバックアップしないといけないが、原子力は出力を変えられないので、火力が
「負荷追従」
して再エネの不足を補う。
条件の良い昼間には再エネの電力を全量買い取るので、火力は止めないといけない。
これによって火力の稼働率が落ちるので採算が悪化し、古い石炭火力が廃止される。
その結果、毎年のように電力不足が繰り返さるようになったのだ。
このような電力不足を防ぐために経産省が導入したのが、【容量市場】である。
これは簡単に言うと、古い火力が採算に合わなくなっても、それを廃止しないで温存する制度である。
具体的には、電力広域的運営推進機関(広域機関)が4年後に必要な発電容量を公募し、オークションで発電会社から買い取る。
ところが、再エネTFはこの容量市場に反対し、総合資源エネルギー調査会で執拗に反対意見を繰り返した。
これをけしかけたのは河野太郎氏で、2021年の第6次エネルギー基本計画が決まる時、エネ庁の責任者を内閣府に呼び付けて
「容量市場を凍結しろ」
と怒鳴り上げた。
この音声データが『週刊文春』に取り上げられて話題を呼んだ。
これほど河野太郎氏が容量市場に拘るのは、新電力が競争で不利になるからだ。
容量市場は古い火力の発電容量を買う制度だから、大手電力は自社の発電所の容量を売り、広域機関からそれを買うので、ほとんど純負債が発生しない。
それに対して、発電設備を持っていない新電力は広域機関に拠出金を払うので、1〜2割コスト増になる。
このため、大手電力との競争に負けるというのだ。
これは身勝手な理屈である。
容量市場は再エネのバックアップなのだから、そのコスト負担が嫌なら自前で発電設備を持てばいいのだ。
政府の方針が気に入ら似ないと、再エネTFのような
「突撃隊」
を使い、所管外の役所に法を超えて介入する河野太郎氏の手法は、ヒトラーが私的な軍事組織でワイマール共和国を破壊したのと同じである。
■中国の国益に奉仕する
私は、規制改革に反対しているのではない。
内閣府の規制改革推進会議にも協力したことがある。
しかし河野太郎氏と再エネTFがやっているのは、規制改革の私物化である。
例えば、2023年12月に規制改革推進会議の出した中間答申には、なぜか(参考)として再エネタスクフォース(TF)の実績が書かれている。
規制改革推進会議は内閣府が正式に設置した会議だが、再エネTFは法的根拠のない河野太郎氏の私兵である。
その報告が、なぜ規制改革推進会議の答申の中に紛れ込んでいるのか。
これについて国会で追及された内閣府は答えられなかった。
恐らく河野太郎が押し込んだのだろう。
中国との関係についても、自然エネ財団の説明は不自然である。
大林ミカ氏の資料に入っていたロゴは、大林ミカ氏が国家電網公司の内部文書を使って資料を書いたことを示している。
国家電網公司は自然エネ財団を使って情報操作すると同時に、内閣府の機密情報を入手していたのではないか。
特に、アジアスーパーグリッドは危険である。
ウクライナ戦争でロシアと欧州を結ぶ天然ガスのパイプライン
「ノルドストリーム」
が遮断され、ドイツ経済が危機に陥った。
これは、ドイツのメルケル首相が
「ロシアとの相互依存で欧州の平和を守る」
という構想で実現したものだが、相互依存はリスクの原因ともなる。
もし中国と日本の電力網が一体化したら、台湾有事の際に中国が日本への送電を止め、大停電に追い込むこともできる。
不安定な再エネを増やし、火力や原子力を廃止すると、有事の際には電力供給ができなくなる。
そういう状況に日本を追い込もうとしている再エネTFの活動は、中国の国益に沿っている。
再エネTFが理想とするドイツは、パイプラインの遮断でエネルギー価格が暴騰し、経済が破綻して成長率がマイナスになった。
日本の太陽光パネルの70%以上は中国製であり、40兆円以上の再エネ賦課金は中国への資金援助のようなものだ。
新電力にも上海電力など多くの中国資本が入っており、有事の際には中国共産党が日本国内の中国系新電力に電力供給を止めるよう指令できる。
エネルギーは経済安全保障のコアである。
河野太郎氏と孫正義氏(自然エネ財団)と再エネTFは、再エネを全国に拡大して火力を廃止に追い込み、日本のエネルギーを脆弱化して中国の支配下に置くことに貢献している。
河野太郎氏と孫正義氏(自然エネ財団)と再エネTFが中国の工作員かどうかは分からないが、結果的に中国の国益に奉仕していることは間違いない。
この問題について内閣府は調査中だが、その調査を行うのが疑惑の張本人の河野太郎大臣では、調査結果は信用できない。
電取委(電力・ガス取引監視等委員会)などの第3者が、この4年間の再エネTFと自然エネ財団の活動家である大林ミカ氏の身辺調査については、公安警察などの協力も必要である。

★負荷追従運転
需要家による電力消費量(発電システム側にとっての負荷)は常に変動しつつあるため、短時間での負荷変動に対応した出力調整運転を特定の発電所において行うことをいう。
1日の負荷変動を表す日負荷曲線は季節、曜日、気象条件等に応じて一定のパターンを持ち、どの負荷水準まではどの発電所で対応するか、また負荷の変化に対してどの発電所がどの程度対応するかは予め決められている。
我が国では原子力発電は負荷の変動に関係なく一定の出力で運転されており、負荷変動に追従するためには短時間での出力制御が容易な火力発電が用いられている。
ただし、原子力発電でも技術的に負荷追従運転は可能であり、原子力発電比率が発電全体の80%近くを占めるフランスでは、実際に多数の原子力発電所において日常的に負荷追従運転が行われている。

河野太郎 日本の電力が中国に握られる
”将来の総理候補”を取り巻く「再エネ推進ネットワーク」の闇を暴く
WiLL2024年6月号
ジャーナリスト 櫻井よしこ
産業遺産情報センター・センター長 加藤康子
■説明責任を果たせ
★櫻井
中国の浸透がここまで進んでいたのかと驚愕しました。
”中国企業ロゴ問題”です。
再生可能エネルギーを巡る内閣府のタスクフォース(TF)に、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークが入った資料が提出されていました。
TFを主導したのは河野太郎デジタル担当相、資料を提出したのは
「自然エネルギー財団」
事務局長の大林ミカ氏です。
大林ミカ氏は河野太郎氏の推薦により、TFのメンバーになった。
国家の根幹に関わるエネルギー政策を議論する政府中枢にも、中国は影響を及ぼしていたわけです。
★加藤
大林ミカ氏は会見を開き、
「パソコンの操作ミス」
と釈明。
TFメンバーを辞任しました。
★櫻井
「パソコンの操作ミス」
で終わる問題でも、大林ミカ氏辞任という”トカゲの尻尾切り”で済む問題でもないと思います。
★加藤
河野太郎氏は国会で、
「(ロゴは)現時点でウイルスであったり、何か有害な要素があったりするということではない」
と弁明した。
しかし、これは論点の掏(す)り替えです。
大林ミカ氏とは一体どんな人物なのか。
中国とはどんな関係なのか。
河野太郎氏はなぜ大林ミカ氏をTF入りさせたのか。
河野太郎大臣と自然エネルギー財団の目的は何なのか。
説明責任を果たしていません。
★櫻井
自然エネルギー財団は2011年、孫正義氏によって創設されたと、財団のホームページなどに書かれています。
同財団が目指しているのが、
「アジアスーパーグリッド(ASG)」
に他ならない。
ASGとは何か。
中国、韓国、台湾、インド、モンゴル、東南アジア、ロシア・・・。
アジアのほぼ全域に、3万6000kmの送電網を張り巡らせ、各国間で太陽光や風力などの再生可能エネルギー(以下、再エネ)の相互運用を進めるというものです。
■首根っこを押さえられる
★加藤
ASGを更に発展させた国際送電網の構築を目指しているのが、中国の非営利団体
「グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO)」。
”電力版一帯一路”と考えてもらって構わない。
2016年に設立された際、自然エネルギー財団は理事会に加わりました。
GEIDCOの会長には中国国家電網公司の劉振亜会長(当時)が、副会長には孫正義氏が就任している。
★櫻井
ASGを主導しているのは、紛れもなく中国です。
そこに日本が参加すれば、エネルギー供給の安定を中国に依存することになる。
国家の首根っこを押さえられるに等しい。
★加藤
生殺与奪の権を中国に握らせることになります。
電気や水などのインフラは絶対に自前で賄わなければならない。
★櫻井
欧州でも、国境を越えて電気をシェアする動きが見られます。
しかし、その範囲は価値観を共有する国に限定しなければならない。
北方領土を不法に奪い取ったままのロシア、尖閣諸島を奪おうとしている中国などあり得ません。
★加藤
脱原発と再エネ導入を進めたドイツは、
「ノルドストリーム」
から輸送されるロシアの天然ガスに依存していました。
そんな中、ロシアが天然ガス供給を止めると、ドイツの経済と国民生活はたちまち大混乱に陥りました。
ドイツは電力が足りない時はフランスから原子力を輸入していますが、ロシアのウクライナ侵攻以降、家庭用電気料金は日本の2倍にもなりました。
エネルギー政策の転換を迫られています。
★櫻井
軍事の専門家たちは口を揃えて、台湾有事がいつ起こってもおかしくないと語っています。
ASGは
「再エネ版ノルドストリーム」
のようなものです。
台湾侵攻に踏み切ると同時に、中国が日本への電力供給を止めるー。
そんなシナリオも考えられます。
■”所管外”に口を出す
★櫻井
問題となったTFは4人のメンバーから構成されています。
大林ミカ氏の他に、高橋洋氏も自然エネルギー財団の特任研究員という肩書を持っています。
★加藤
河野太郎氏は外相時代の2018年、外務省に
「気候変動に関する有識者会議」
を設置しました。
9人いた有識者のうち、3人が自然エネルギー財団の関係者でした。
大林ミカ氏、高橋洋氏、同財団副理事長の末吉竹二郎氏です。
有識者会議では、化石燃料の中止や再エネの推進が議論されていました。
★櫻井
人選が明らかに偏っています。
有識者会議が提出する報告書に法的拘束力はない。
しかし、著名な政治家が主宰する会議の結論は自ずと大きな影響力を有します。
河野太郎氏はなぜ自然エネルギー財団の関係者を重用するのか。
再エネをなぜ異様に推進しているのか。
化石燃料の否定は日本の国益にどう合致するのか。
様々な疑念が残ります。
★加藤
GEIDCOの総会資料には、日本の役割として
「アジアのインフラ開発を促進するために、政府開発援助(ODA)による財政的・技術的支援を強化する」
という文言が記されている。
資料が作成されたのは2018年、当時の外相は河野太郎氏です。
総会には孫正義氏もビデオメッセージを送っている。
★櫻井
”電力版一帯一路”を実現するために、日本からODAを引き出そうと企んでいるのでしょうか。
★加藤
外務省に確認したところ、モンゴルの風力発電にはODAが使われているそうです。
外務省としては、それが”電力版一帯一路”に組み込まれているかどうかは認識していない。
★櫻井
外務省にそのつもりがなくても、結果的に中国の野望を助けることになる可能性があります。
★加藤
北海道や九州には再エネ発電施設が多い。
日本政府は今、電力の生産地と東京などの消費地を結ぶ送電網を強化しようとしている。
北海道と東京を繋ぐルートには、1兆5000億円もの予算が充てられる予定です。
九州と中国地方を繋ぐ送電網も、4000億円ほどで増強される。
事業者の選定は入札により行われるので、外国企業が参入する恐れがあります。
日本国内にとどまらず、大陸にも送電網を伸ばすなどと言い出しかねない。
自然エネルギー財団のホームページによると、東京電力も中国国家電網と毎年、人的交流を行っているそうです。
■神奈川グループの暗躍
★櫻井
河野太郎氏は防衛相時代、自衛隊施設の電力を再エネで賄うという方針を決めました。
全国にある969施設のうち、50施設で再エネの調達が可能となっている。
電力調達の再エネ比率が100%の施設も36あります。
★加藤
山口県の防府北基地はタイのエネルギー企業
「バンプーグループ」
の子会社と電力供給契約を結んでいる。
バンプーグループは中国とのビジネス契約が強い。
電力使用量を把握することで、自衛隊の動きも推測できます。
国防の要となる自衛隊基地の電力供給を不安定な再エネ、しかも外資に頼るのは安全保障上の問題がある。
★櫻井
防衛相、外相、デジタル担当相・・・。
河野太郎氏はどのポジションに就いても、常に再エネ推進の立場から影響力を行使しようとする。
”所管外”なのに口を出したがりますね。
★加藤
河野太郎氏にとっては反原発と再エネ推進が1丁目1番地。
政治家としての絶対的な使命なのかもしれない。
★櫻井
河野太郎氏の他に、菅義偉元総理、小泉進次郎氏らも再エネ推進に熱心です。
菅義偉元総理は神奈川県を地盤とする河野太郎氏、小泉進次郎氏を将来の首相候補に育てようとしているのでしょう。
★加藤
菅義偉政権時代、河野太郎氏(規制改革担当相)と小泉進次郎氏(環境相)が再エネ推進の実働部隊となりました。
菅義偉総理は首相就任後の所信表明演説において、2050年までに
「カーボン・ニュートラル」、
つまりCO2排出ゼロを目指すと表明した(2020年10月)。
政府はその目標を達成するための
「グリーン成長戦略」
を公表(2020年12月)。
その後、小泉進次郎氏が
「おぼろげながら浮かんできた」
という”迷言”と共に、2030年までにCO2排出量を46%削減すると言い放った(2021年4月)。
間もなくして、菅義偉政権は
「規制改革実施計画」
を閣議決定(2021年6月)。
自然公園や砂防指定地にも再エネ発電施設の建設を認める方針などは、河野太郎氏が設置したTFの主張を丸呑みしたものです。
大林ミカ氏は当時もTFのメンバーでした。
★櫻井
最終的に、第6次エネルギー基本計画(エネ基)が公表されました(2021年10月)。
第5次エネ基では、2030年の総発電量に占める再エネの割合は22〜24%でした。
第6次エネ基では、その数字が36〜38%と大幅に引き上げられました。
■そもそも日本に向いていない
★櫻井
再エネには発電量のコントロールなど弱点があります。
それを補うために研究開発を続けるのは構いません。
しかし、原発を稼働させなければ日本の産業は衰退の一途を辿ること、国民生活に重い負担を掛けることも同時に認識すべきです。
「カーボンニュートラル」
を達成したいのであれば、CO2を排出しない原子力を活用しなければならない。
★加藤
太陽光が災害に弱いことも指摘しておきたい。
能登半島地震では、19カ所の太陽光パネルが破損、崩壊していることが発覚しました。
太陽光パネルは壊れても尚、発電を続けるので危険です。
ここ最近でも、鹿児島県伊佐市のメガソーラーで火災が発生しました(2024年3月27日)。
その際は消防隊員4人が負傷、鎮火に20時間以上を要した。
宮城県仙台市青葉区でもメガソーラーが発火。
鎮火に35台の消防車が出動した(2024年4月15日)。
日本は現在、国土面積当たりの太陽光発電量で世界一ですが、自然災害の多い日本はそもそも再エネ導入に不向きなのです。
事業者の責任問題も曖昧になっています。
能登半島においても、事業者が被災したメガソーラーに責任を取らない事態が起こっている。
ソーラーパネルによっては鉛、ヒ素、カドミウム、セレンなどの有害物質が検出されています。
環境破壊に繋がるだけでなく、産業廃棄物となり、壊れても発電する上に、人体に悪影響を及ぼしかねない危険も孕んでいる。
■元凶は菅直人と孫正義
★櫻井
福島第1原発の事故後、民主党政権は原発停止に踏み切りました。
不足した電力供給を補うために、海外から天然ガスなどを輸入。
火力発電で穴埋めしましたが、燃料の調達コストは数十兆円にも上ります。
ウクライナ戦争によるエネルギー価格高騰で、我が国の電気料金は更に上昇している。
★加藤
再エネ賦課金も国民生活に重くのしかかっています。
元凶は民主党政権。
菅直人元総理が2011年、再エネの固定価格買取制度(FIT)を導入した。
★櫻井
風力発電や太陽光発電の事業者がFITの認可を得られれば、生み出した電気を20年に渡り固定価格で買い取ってもらえます。
買い取るのは電力会社ですが、そのコストは各家庭の電気料金に上乗せされる。
国民がツケを支払わせられる一方、再エネ事業者は高収益が保証される仕組みです。
★加藤
再エネ賦課金は今年2024年5月、1.4円から3.49円/キロワット時に引き上げられます。
1カ月の電力使用量が1世帯当たり月400キロワット時だとすれば、1年間で1万円から1万7000円の再エネ賦課金の値上げとなり、電気料金に加算されます。
これは今年2024年に限ったことではない。
毎年、再エネにどんどん認可が下りているので、国民の負担は今後更に増えていくでしょう。
国民がこの負担に耐えられるのかは疑問です。
★櫻井
FITがスタートした2012年、再エネの売電単価は事業用が40円、住宅用が42円でした。
この数字は他国と比べても2倍、一時は3倍ほど高かった。
菅直人総理の決定を称賛していたのが孫正義氏です。
FITの枠組みを決める際、孫正義氏が暗躍していたとも言われている。
その後、孫正義氏は再エネビジネスでも大儲けしています。
利益誘導を疑われても仕方がありません。
★加藤
経済産業省に置かれた
「調達価格等算定委員会」
が、FITの売電単価や再エネ賦課金の価格を議論しています。
2012年3月、経済学者の植田和弘氏(京都大学名誉教授)が委員長に就任。
植田和弘氏は2017年まで委員長を務めた。
注目すべきは、植田和弘氏が2013年8月に自然エネルギー財団の理事になっていること。
★櫻井
冒頭の”中国企業ロゴ問題”に繋がりましたね。
■絶対に総理にしてはならない
★加藤
植田和弘氏がいた京都大学では、
「再生可能エネルギー経済学」
という日本風力開発の子会社の寄附講座が設置されていた。
担当の特任教授は山家公雄氏。
山家公雄氏は日本風力開発の子会社役員でもあった。
★櫻井
日本風力開発と言えば、衆院議員の秋本真利氏との”贈収賄”が思い出されます。
秋本真利氏は洋上風力を巡り、日本風力開発の創業者から賄賂を受け取っていた。
秋本真利氏は逮捕され、自民党を離党しています。
★加藤
秋本真利氏が国会議員になったきっかけは河野太郎氏との出会いです。
秋本真利氏は地方議員時代、大学院に通っていた。
大学院に特別講師としてやってきたのが河野太郎氏。
その時、河野太郎氏から国会議員になるように勧められたと自ら語っています。
国政進出を果たした後、秋本真利氏は自民党内における反原発の急先鋒として名を馳せた。
河野太郎氏も
「自民党一番の脱原発男」
と称賛しています。
★櫻井
再エネを巡る怪しい動きや人物について調べると、なぜか河野太郎氏に辿り着くことが多い。
★加藤
真野秀太氏という人物がいます。
真野秀太氏は
「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」
なる組織の副代表を務めている。
真野秀太氏のプロフィールを調べると、
「自然エネルギー財団を経て、SBエナジー株式会社にて再生可能エネルギー発電事業に携わる」
とある。
SBエナジーは現在
「テラスエナジー」
に改称していますが、かつてはソフトバンクグループの完全子会社でした。
驚くべきは、真野秀太氏には
「河野太郎代議士秘書」
という肩書もあったことです。
一体全体、河野太郎氏の周辺では何が起きているのか。
★櫻井
河野太郎氏についてはファミリー企業
「日本端子」
を巡る問題も燻っています。
★加藤
日本端子の大株主は父・洋平氏で、太郎氏も株を所有している。
1995年の北京事務所開設を皮切りに、中国各地に事業所を展開しています。
★櫻井
河野太郎氏の危うさをいち早く見抜いていた人物がいます。
安倍晋三元総理に他なりません。
2021年の自民党総裁選において、安倍晋三元総理は高市早苗氏を推しました。
その背景には”河野太郎だけは絶対に総理にしてはならない”という危機感があったはずです。
★加藤
安倍晋三元総理は、党員に人気がある河野太郎氏を警戒していた。
反原発の急先鋒である河野太郎氏が総理に就任すると、偏ったエネルギー政策を推進する恐れがあります。
日本経済を危うくするのではないかと危惧されていました。
保守派の支持を高市早苗氏に集め、決選投票で高市早苗票と岸田文雄票を合算すれば、河野太郎氏に勝てるのではないかという戦略です。
その読みは見事に的中。
河野太郎氏は総理・総裁の座を逃した。
日本が救われた瞬間です。
■自動車産業を追い出すのか
★加藤
小泉進次郎氏の言動にも注意が必要です。
小泉進次郎氏も河野太郎氏と同様、再エネに熱心な政治家の1人。
小泉進次郎氏は電気自動車(EV)推進の発言も目立ちますね。
★櫻井
菅義偉政権の
「カーボンニュートラル宣言」
により、日本政府は2035年までにガソリン車の販売終了を目指しています。
★加藤
今年2024年2月、
「ゼロエミッションフォーラム」
というイベントが開催されました。
小泉進次郎氏はそこで、
「全国1700の自治体にEVを配ろう」
などと提案していた。
★櫻井
ウクライナ戦争などを契機に、欧米は再エネの限界に気付きました。
補助金を付けてもEVは消費者から敬遠されています。
各国が掲げたEV普及率の目標達成は程遠い。
欧米ではエネルギー政策、EV普及政策の見直しが進められています。
★加藤
ドイツの国営放送DWが先日、
「EV時代の終焉」
という番組を流しました。
再エネEVを牽引してきたあのドイツでもEVは凋落傾向にある。
隔世の感(変化が激しく、まるで世代が変わってしまったような感じ)を禁じ得ません。
★櫻井
ドイツ政府はEVへの補助金を前倒しで停止しました。
中国はEVで最先端を走っていましたが、大手の非亜油(BYD)さえも方向転換。
ハイブリッド車などに注力しています。
そんな中、なぜか日本政府には補助金を止める気配さえありません。
ひたすらEV推進の道を突き進んでいる。
世界で起きていることを理解しているのかと疑います。
世界の潮流に取り残されようとしているのです。
★加藤
EV開発に力を入れるのは構いません。
しかし、今の政策はやり過ぎです。
世界はEVの購入補助金を廃止する方向に動いている。
これだけ補助金を投じても、世界の自動車市場の9割が内燃機関(エンジン車)。
欧州におけるEVの普及率は15%ですが、日本がお得意とする北米では6%弱、日本では2%に及びません。
世界の新車販売台数は8600万台。
その約3割に当たる2600万台強が日本メーカーの車で、そのほとんどがエンジン車です。
エンジン車を後10年で廃止するとなれば、倒産を余儀なくされる企業が出てきます。
メーカー各社は製造ラインの設計やエンジン開発に10年単位の時間をかけている。
政治家の一言が、技術者のモノ作りに懸ける情熱を台無しにしてしまうのです。
★櫻井
日本はモノ作りの国です。
製造業なくして日本経済の繁栄はあり得なかった。
自動車産業を潰した後、一体誰が経済を支えていくのか。
★加藤
製造業はGDP(国内総生産)の2割に当たる。
製造業における設備投資の26%、研究開発費の30%は自動車産業が占めています。
日本の基幹産業であり、外貨の稼ぎ頭でもあるのです。
自動車産業なくして、日本経済は立ちゆきません。
その産業構造を破壊して国外に追いやるという発想が理解出来ない。
”経済弱体化政策”に他ならない。
★櫻井
雇用にも影響するでしょうね。
日本国内において、自動車産業に従事するのは約550万人、
労働人口の約10%を占めている。
そのうち、製造に関わるのは約90万人です。
★加藤
その多くは大手メーカーではなく、協力会社の部品工場などで働き、地域経済を支えている人たちです。
日経平均株価がバブル期を超え、一部の投資家たちは浮かれています。
しかし、日本経済を支えているのは投資家ではない。
生産設備なのです。
エンジン車は3万点の部品を必要としますが、EVはエンジン車よりも構造が単純なので部品数も少ない。
EVの製造コストの4割を占めるのは電池ですが、電池は原材料と精製過程における圧倒的なシェアを中国が握っている。
EVが普及すれば、中国が自動車覇権を握る仕掛けになっているのです。
急速なEV化を進めれば、内燃機関やトランスミッションなどの日本が得意とする部品を供給する会社は経営が厳しくなる。
100万人が路頭に迷う可能性すらあります。
■怪しい知事たち
★加藤
政治家は製造業を軽視する傾向があるのでしょうか。
静岡県知事の川勝平太氏による、新入職員入庁式での”職業差別”発言です(2024年4月1日)。
「県庁というのは別の言葉でいうとシンクタンクです」
「毎日、毎日、野菜を売ったり、あるいは牛の世話をしたりとか、あるいはモノを作ったりとかということと違って、基本的に皆様方は頭脳・知性の高い方たちです」
「ですから、それを磨く必要がありますね。」
食卓を支える農業、経済の根幹たる生産者を完全に見下しています。
しかし、川勝平太氏や県庁職員の給料は、農家や製造業従事者が納めた税金から払われている。
一体何様のつもりか。
★櫻井
失言がメディアに報じられると、川勝平太氏は辞意を表明しました(2024年4月2日)。
川勝平太氏は辞任の理由について、
「一番大きかった理由はリニア」
と説明した。
JR東海がリニア中央新幹線の2027年開業を断念したから、もう目的を達成したと言わんばかりです。
★加藤
川勝平太氏は静岡工区の南アルプストンネル工事を頑なに認めなかった。
その結果、リニア開業は2034年以降に遅れるとも報じられています。
★櫻井
川勝平太氏が国家的プロジェクトを止めたことによる損失は何十兆円、何百兆円にも達するでしょう。
日本は世界に先駆けてリニアを開通させる予定でした。
ところが、川勝平太氏が大井川の”命の水”云々と言って、理由にもならない理由で工事を許さなかった。
リニア開業が遅れることで利益を得るのは中国です。
中国が日本より先にリニアを開業させれば、中国がリニア技術を世界各国に売り込むことができます。
私は学者としての川勝平太氏を尊敬していました。
『文明の海洋史観』
も名著です。
しかし、静岡県知事になってからは国益を見失ってしまったように思います。
日本ではなく、中国共産党のために働いていたとしか考えられない。
日本国民への裏切りに他なりません。
★加藤
”国益を蔑ろにする知事”と言えば、東京都知事の小池百合子氏です。
小池百合子氏はカイロ大学卒業を巡り、かねて”学歴詐称”が疑われている。
『文藝春秋』(2024年5月号)では、小池百合子氏の元側近が新たな告発を行いました。
★櫻井
4年前の2020年、石井妙子氏の『女帝小池百合子』が文藝春秋から刊行されました。
その時も小池百合子氏の”学歴詐称”疑惑が騒がれました。
当時は何とか切り抜けましたが、今回は疑惑を打ち消す工作をした人の告白です。
告白が真実なら、小池百合子氏は学歴を詐称しただけにとどまらず、偽文書を作ったことになります。
★加藤
小池百合子氏も河野太郎氏と同様、再エネやEVを推進していますね。
小池百合子都政の下、新築戸建て住宅などに太陽光パネルの設置を義務付ける条例が制定された。
その背景にも自然エネルギー財団の影が見え隠れします。
東京都参与に、元東京都環境局の大野輝之氏という人物がいますが、大野輝之氏は自然エネルギー財団の常務理事でもある。
大野輝之氏は小池百合子都政が掲げる”ゼロエミッション東京”というメッセージを絶賛。
太陽光パネル義務化やディーゼル車規制のブレーンとも言われています。
■”外圧”でしか変わらない
★櫻井
再エネを巡り、国際社会は大きな揺り戻しの只中にあります。
2050年までにCO2排出ゼロを達成することで、気温上昇を1.5℃までに抑えるとしたパリ協定への姿勢が変化している。
その趨勢を決定付けるのが、2024年11月に控えるアメリカ大統領選挙です。
トランプ政権はかつてパリ協定から離脱しました。
トランプ氏が復活すれば、アメリカはバイデン政権の環境重視政策から脱却するのではないか。
★加藤
トランプ氏が大統領に就任したら、最初に手を付けるだろうとされているのが、バイデン政権のEV振興策の廃止です。
環境エネルギー部門ではビベック・ラマスワミ氏の閣僚起用を検討している。
ラマスワミ氏はインド系の実業家で、共和党の大統領候補者指名争いにも参加していました。
ラマスワミ氏が環境・エネルギー政策を担当すれば、アメリカは劇的に変わるでしょう。
ラマスワミ氏は民主党が重視する
「WOKE資本主義」
からの離脱を主張しています。
WOKEとは、LGBTの権利保護、ジェンダー平等や昆虫食などの”意識高い系”を指す。
ラマスワミ氏はESG(「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の頭文字を取ったもので、これらの要素を考慮した企業経営や投資活動)、SDGs(持続可能な開発目標、『英語: Sustainable Development Goals、略称: SDGs(エスディージーズ)』)は、2015年9月25日に国連総会で採択された、持続可能な開発のための17の国際目標)、EVの欺瞞も著書で鋭く批判している。
アメリカではロシアのウクライナ侵攻以降、数多くのESGファンドが破綻したことから、”反ESG”旋風が巻き起こっている。
それまでは環境や社会に配慮する企業への投資が推奨されていましたが、その流れが変わりつつあります。
気候変動の国際的枠組みにはウォール街の主要機関が参画、企業活動を監視していました。
23州の司法長官がそれを反トラスト法に違反していると判断したのです。
更に18の州では、ESG投資による年金運用が禁止となりました。
その結果、ウォール街の投資家たちはESG銘柄を売り払う方向に舵を切っています。
★櫻井
日本は良くも悪くも”外圧”で変わる国です。
アメリカの政策転換は日本にも変化をもたらす可能性が高い。
★加藤
アメリカ大統領選は激戦州の動向が鍵となります。
例えばミシガン州は前回、バイデン氏が勝利した。
しかし、メディアの支持率調査では、今のところトランプ氏が10ポイントほどリードしている。
ミシガン州は自動車部品メーカーが多い。
自動車部品メーカーの多くはこれまで民主党を支持してきましたが、今回はトランプ氏に票を入れるでしょうね。
エンジン車の産業構造を破壊するバイデン氏に嫌気が差しているのです。
★櫻井
パリ協定は既に破綻しています。
世界の潮流を見誤り、国力を衰退させるような事態は絶対に避けなければなりません。
再エネへの巨額投資は産業界と国民に大きな負担をかけます。
ひいては主要産業の海外流出を招き、経済成長を止めてしまう。
★加藤
エネルギー安全保障という国益のためにも、再エネ推進派の行き過ぎた政策に目を光らせておく必要があります。
再エネ議連は自民党内で大きな政治力がある。
特に河野太郎氏や小泉進次郎氏らはその中心にあり、後ろ盾となっているのが菅義偉元総理です。
★櫻井
まずは”中国企業ロゴ問題”について、説明責任を果たしてもらいましょう。
”再エネの闇”に切り込むための第一歩です。

岸田政権が”しれっと”進めるステルス増税の山
こっそり、分かりづらく国民を苦しめている
WiLL2024年6月号 シンガーソングキャスター saya
■再エネ賦課金の闇
2024年4月使用分から
「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」
が1.40円/kWhから、3.49円/kWhに値上がりします。
月400キロワット使用する標準的な家庭で計算すると、これまで1家当たり年間6000円程度だったのが、一気に倍以上の1万6000円程度値上がりします。
5、6月は比較的過ごしやすい気候のため、エアコンを使うことは、ほぼありませんが、本格的な暑さが襲う7、8、9月の電気料金には注意が必要です。
そもそも、
「再エネ賦課金」
とは、再生可能エネルギー普及のため、電気代に上乗せして徴収されている課金のことであり、
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」
に基づいて誕生しました。
電力会社が、再生可能エネルギー電気の買い取りに要した費用を我々利用者に転嫁させる制度で、2012年に当時の菅直人政権で導入されました。
なぜ、こんな事になるのか。
分かり易く言えば、再生可能エネルギー(主に太陽光発電事業者)の利益、売上のために全国民が高い電気料金(再エネ賦課金)を負担させられているわけです。
再エネ賦課金は岸田政権で成立した制度ではないので、岸田総理のみを責めるのは酷ですが、再エネ賦課金の廃止や見直しを検討するならまだしも、更に引き上げたことは批判されて当然です。
これは税金ではありませんが、賦課金という形で国民から徴収されており、庶民からすれば税金と何ら変わりはありません。
加えて電気を使わない家庭など、ほぼありませんから、全国民が強制的に太陽光発電事業者の”養分”になっているのです。
太陽光発電事業者側に立てば、発電した電気を固定価格で100%買い取ってくれる制度なので、売り上げが100%保証される何ともオイシイ仕組みであり、その売り上げの負担を全国民が負うという悪魔じみたものです。
この制度がある限り、震災や原発事故を理由に綺麗事で参入してくる事業者が増えるでしょう。
また、太陽光パネルの製造業者は、ほとんどが中国であり、国内業者は淘汰され、中国企業が幅を利かせています。
例えば、トリナ・ソーラー(中国企業)は業務実績として、日本各地に設置した太陽光パネルの航空写真を堂々とホームページに掲げています。
再エネ賦課金制度とは、極端に言えば、中国に”貢ぐ”システムなのです。
また、太陽光発電用の多結晶シリコンの80%は中国製で、その半分以上が強制労働を強いられているウイグル人の住む新疆ウイグル自治区で生産されており、ジェノサイド(集団殺害)に加担することにもなります。
環境省が当初試算したデータによると再エネ賦課金の推移は2030年にようやく一番高値の2.95円/kWhになる想定であったにもかかわらず、2019年時点で既に2.95円/kWhとなり、2022年には3.45円/kWhにもなり、平気で嘘を付き、値上げラッシュ。
再エネ賦課金は今や、政府の試算データや報告書ですら嘘を付く何でもありの状態です。
少子化対策用の健康保険料の上乗せ分も月平均500円、ワンコインだっただと試算を出し、その僅か2週間後には年収によって倍以上の金額に。
しかも毎年増額されるなどと掌返しする政府です。
最初は国民負担が少額だから問題ないといった説明をしていても、あれよあれよと値上がりし、気が付けば恐ろしい金額になり、あっという間に重税国家になってしまうことは目に見えています。

河野太郎を「精密検査」する
Hanada2024年6月号 福井県立大学名誉教授 島田洋一
■「河野グレタ郎」でブロック
「政治家河野太郎」
の最大の問題点は、その頑なな脱炭素・反原発イデオロギーによって、日本のエネルギー基盤を破壊し、日本社会を滅亡に追い込みかねない所にある。
河野太郎氏が野党の議員なら実害は小さい。
ところが、LGBTイデオロギーの稲田朋美議員同様、政府与党の中にいて、政策を動かし得る立場にあるため、非常に危険な存在となっている。
ところで御多分に洩れず、私も河野太郎氏のX(旧ツイッター)からブロックされている。
エネルギー問題を中心に河野太郎氏の政治姿勢を批判しつつ、
「河野グレタ郎」
と呼んだのが理由らしい。
河野太郎氏自身、著書『日本を前に進める』(2021年)で、
「グレタ・トゥーンベリさんの登場等によって気候危機に多くの関心が集まっている」
と反炭素活動家グレタさんへの尊崇の念を記しているので、このニックネームを喜んでも不思議はないと思うのだが。
一般人ならともかく、大臣を歴任し、首相を狙おうかという政治家が、
「グレタ郎」
程度の揶揄に我慢できずブロックするとは狭量に過ぎるだろう。
私は少なからぬ政治家のXを批判的に引用リポストしているが、河野太郎氏ほど神経過敏な反応を示した例はない。
さて河野太郎氏は前記著書におて、外相時代に国際再生可能エネルギー機関(IRENA)総会で(2018年1月)行ったという演説を数ページに渡って紹介している。
官僚が用意した原稿を全面的に書き直させたという。
よほど胸を張りたい内容なのだろう。
河野太郎氏の認識、基本姿勢がよく分かる。
長いので部分的にカットしつつ、引いておく。
「今、私たちは新しい時代を迎えています」
「再生可能エネルギーの時代です」
「・・・皆さんは、再生可能エネルギーの導入では世界から大きく遅れている日本の外務大臣が何を言うか、とお思いかも知れません」
「私も、日本国内の再生可能エネルギーを巡る現在の状況は嘆かわしいと思います」
「再生可能エネルギーの劇的な価格下落や気候変動問題が脱炭素化を不可避にしている世界の趨勢から目を背け、変化を恐れて現状維持を優先した結果、日本の再生可能エネルギーの電源割合目標は2030年で22〜24%という大変低い数字にとどまっています」
「・・・これまでの日本の失敗は、世界の動きを正しく理解せず、短期的なその場しのぎの対応を続けてきた結果です」
「・・・かように現在の日本の現状は嘆かわしいものですが、しかし、私は今日、このIRENA総会の場で、今後、日本は新しい思考で再生可能エネルギー外交を展開し、世界の動きを正しく理解し、長期的視野に立った一貫した対応を取っていくことを宣言したいと思います」
脱炭素化運動を
「世界の趨勢」
と信じ込み、異論を一顧だにせず、
「バスに乗り遅れるな」
とのめり込む姿勢が顕著である。
この演説が行われた当時(2018年1月)、自由世界の中心をなすアメリカの有権者は、脱炭素原理主義を排する共和党トランプ政権を選んでいたが、それは
「趨勢」
に入らないらしい。
「人間活動による地球温暖化」
を所与とする前民主党オバマ政権の立場は非科学的で、米企業の競争力を不必要に弱めるとして退け、テクノロジー開発を通じたエネルギーの効率利用を無理なく進めるのが正解との立場を採っていた(ちなみに国際エネルギー機関によれば、トランプ時代のアメリカは炭素の排出削減量で世界1位。「トランプは炭素を撒き散らした」はファクトではない)。
河野演説が言う
「世界の趨勢」
は、当時も今も
「リベラル・インテリ世界の趨勢」
に過ぎない。
アメリカはじめ、現に展開されている複雑な動きを素直に見据えたものではなかった。
今やヨーロッパ諸国でも、脱炭素への行き過ぎた傾斜への反省が語られ、
「電気自動車(EV)への移行」
等にも急速にブレーキが掛かっている。
2025年以降、アメリカが再びトランプ政権となれば、一層はっきりとした
「趨勢」
となるだろう。
原子力発電が再評価され、アメリカは、ウイグル人の強制労働を用いていることを理由に、中国製太陽光パネルの全面禁止を決めた。
河野太郎理論は到底、
「世界の動きを正しく理解し、長期的視野に立った」
ものではない。
非常に視野の狭い独善と言えるだろう。
政府が河野路線を撮り続けるなら(河野太郎氏を「軍師」とした菅義偉政権以来そうなっている)、日本は潮が引く中、岸辺に取り残された魚のように、1人干上がることになろう。
■一族会社と中国共産党
河野太郎氏は上記演説と並行して、外相の諮問機関
「気候変動に関する有識者会合」
を立ち上げている。
そのメンバーの1人が、脱炭素・反原発を掲げる自然エネルギー財団の大林ミカ氏だった。
その後、大林ミカ氏は、やはり河野太郎氏が行革担当相として主導する内閣府の
「再エネ規制総点検タスクフォース(特別部隊)」
の委員にも選ばれた。
中国の国家電網公司との余りに密接な関係が問題となり、2024年3月、辞任に追い込まれたことは記憶に新しい。
ちなみに、同タスクフォースを事務方で仕切る内閣府規制改革推進室の山田正人参事官は、極端な脱炭素・反原発姿勢のため、経産省で厄介者扱いされていたという。
まさにそれが故に河野太郎氏の目に留まり、一本釣りされた。
この
「大林ミカ事件」
で、岸田首相がタスクフォースと中国の不透明な関係を調整するよう河野太郎氏に指示したのは論外という他ない。
「ネトウヨが騒いでいるだけだろ」
と周囲に嘯くなど、河野太郎氏には何の反省も見られない。
まさに調査される側の中心に位置付けられるべき存在である。
河野太郎氏一族会社
「日本端子」
と中国共産党との関係など、太陽光利権を巡る疑惑も放置されてよい問題ではない。
「再エネ・反原発信仰」
に与しない関係者に対する河野太郎氏の、権力を笠に着た恫喝も見過ごせない。
私は最近、SNSで使う河野太郎氏の愛称を、やや可愛すぎる
「河野グレタ郎」
から
「サイコパス河野」
に変えたが、以下のやり取りを見れば、頷く人も多いだろう。
2021年8月24日に、河野太郎氏が資源エネルギー庁幹部を怒鳴りつける様子の録音記録である。
『週刊文春』が入手して公開した(説明語句を加えた文字起こしも同編集部)。
議論のテーマは、3年毎に見直される「エネルギー基本計画」。
<エネ庁:いや、(原案の再生可能エネルギー比率は政策的な裏付けを)積み上げて36〜38%程度>
<河野:積み上げて36〜38になるんだったら、(「程度」を「以上」に変えても)以上は36〜38を含む(からいい)じゃないか。日本語分かる奴出せよ、じゃあ。それから何か知らねえけどさ、日本が再エネ入れるのに不利だ、みてえな記載が(基本計画原案に)いっぱいあっただろ。あれ全部落としたんだろな>
<エネ庁:日本が置かれた自然状況につきましては(略)事実関係を書いたものでございますので・・・>
<河野:じゃあ、北朝鮮のミサイル攻撃に無防備だと原子力(発電所)は。日本は核燃料、使用済み燃料を捨てる場所も狭くてありませんと、(事実を)全部書けよ。使用済み核燃料が危ねえのは、もう自明の理じゃねえか。おめえ、北朝鮮がミサイル撃ってきたらどうすんだい。テロリストの攻撃受けたらどうすんだい、今の原発>
チンピラ顔負けだが、特に最後の部分など
「おめえ」
が言うかの典型である。
河野太郎氏は防衛相時代、北朝鮮ミサイルから国土(当然原発も含む)を守る地上配備型迎撃システム
「イージス・アショア」
の設置計画を突然破棄する決定をした。
その責任者が北朝鮮のミサイルの脅威を反原発の理由にするとは、控えめに言っても身勝手だろう。
■普通なら即大臣解任
河野防衛相が
「アショア」
配備を中止したのは、迎撃ミサイル発射後の燃焼済みブースターの空タンク(長さ24メートル弱)が民家に落下する可能性がゼロとは言えないからとの理由だった。
しかし、その可能性は限りなくゼロに近い上、核弾頭が着弾した場合の破滅的被害とは全く比較にならない。
河野太郎氏は、
「アショア」
の代替は
「イージス艦でやってもらう」
と語った。
だが、そもそも
「アショア」
導入案は、イージス艦の常時洋上展開は隊員の疲労等に鑑みても困難で、また日本近海を離れた遠洋任務に就く場合もある等の事情から出てきたものである。
話をいきなり振り出しに戻す以上、より合理的かつ現実的な説明が必要だろう。
迎撃態勢の整備に真面目に取り組まなかったのみならず、河野太郎氏は、敵基地攻撃能力の保持にも一貫して反対してきた。
攻めと守りの両面において、無責任な議論に終始してきたと言える。
2020年春、東北や九州で中国の偵察バルーン(気球)が発見された際も、河野防衛相は
「(行方は)気球に聞いて下さい」
と、国民をコケにした応答をして批判を浴びた。
気球によって自衛隊が用いる電波情報を収集できれば、敵対国は妨害電波の精度を上げられる。
普通の国なら、この発言1つで防衛相解任だろう。
河野太郎氏を総理総裁にと動く自民党議員らはよく、
「河野さんは脱原発を封印した」
「安心していい」
と言う。
しかし
「封印した」
とは、権力の座に就いた暁には
「封を解く」
という意味だ。
しかも、河野太郎氏は何ら原発潰しを封印していない。
搦め手を用いているだけである。
「(プルトニウムを燃料に使う)高速増殖炉『もんじゅ』が廃炉になり、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出す必要がなくなった」
「(青森県六ヶ所村の)再処理施設は要らなくなったから(運転開始を)やめる」
との主張がそれに当たる。
現在、使用済み核燃料は各地の原発内で保管されているが、再処理施設に移送できないとなれば、貯蔵プールはそのうち満杯になる。
燃料交換ができなくなれば、原発は運転停止の他ない。
再処理施設を潰せば原発全体を潰せる。
これが河野太郎氏のみならず反原発派の狙いである。
■極めて危険な歴史認識
河野太郎氏の歴史認識も大いに疑問符が付く。
2019年1月14日、モスクワ。
日露外相会談後、内外の記者を集めた公式会見で、ロシアのラブロフ外相は
「重要な文書」
として国連憲章第107条を上げ、
「第2次大戦の結果を認めるよう書かれている」
「本日もう1度、詳細に日本側に伝えた」
「日本側から反論はなかった」
と述べた。
これに対し河野太郎外相は、日本人記者のみを集めた
「臨時会見」
を開いたものの、
「ラブロフ外相の発言にいちちコメントは致しません」
「内容については対外的に公表しないことにしております」
と無回答に近い発言に終始した。
前日(2019年1月13日)、ロシア外務省の報道官が
「共同記者会見を準備していたのに日本側が逃げた」
と揶揄したが、それが実態だったと思わざるを得ない。
国連憲章で
「敵国条項」
とされるのは第53条、77条、107条の3項である。
このうち、ラブロフ外相が言及した第107条は
「この憲章のいかなる規定も、第二次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない」
と規定する。
ソ連軍による樺太・千島列島奪取はこの枠内の行動で、日本も国連に加盟した時点で承認したというのがロシア側の主張である。
日本政府はこの解釈を受け入れていない。
例えば
「北方領土に関し敵国条項をソ連側は如何に解釈しているのか」
との中川昭一衆院議員の質問に、外務省欧亜局長が次のように答えている(1990年6月11日、衆院安保特別委)。
「ソ連側は、北方4島の占拠の根拠としてヤルタ協定を挙げ、同協定が、国連憲章第107条により、戦後秩序の一部として日本を拘束すると主張しております」
「これに対し私どもは、ヤルタ協定はこれに参加した首脳たちが共通の目的を述べた文書に過ぎず、領土移転の如何なる法的根拠も持ち得るものではない、その当然の帰結として、国連憲章第107条はソ連側の北方領土占拠に如何なる根拠を与えるものでもないし、全く関係のない規定である、そう反論しておる次第でございます」
この日本政府の立場を、河野太郎外相はラブロフに対し、即座にぶつけねばならなかった。
ラブロフは、明確に日本世論を揺さぶる意図で発言している。
一方、河野太郎氏には、世論戦を戦うとの気概が全く見られなかった。
尚、ロシア側は、(1945年)8月15日でなく(1945年)9月2日(日本の降伏文書調印の日)を
「大戦終結記念日」
と定め、北方領土を含む樺太・千島占領は大戦中の行為だと強弁している。
ここも、日ソ中立条約違反と並んで日本の外相が強く反論せねばならぬポイントだった。
ちなみに、ソ連軍による北海道北方地域侵攻は1945年8月16日にカムチャッカ方面から開始され、1945年8月18日に占守島上陸、1945年8月28日に択捉島上陸、1945年9月1日に国後島・色丹島上陸、1945年9月3日に歯舞島上陸と続き、1945年9月5日までに全域を占領した。
明らかに終戦後の侵略である。
話を戻せば、カメラの前で言いたい放題のラブロフに対し、河野太郎氏は借りてきた猫の風であった。
当日(2019年1月14日)のNHKニュースはラブロフの一方的発言のみを伝えたが、河野太郎外相が何も発言しなかった以上、必ずしも放送局の不見識とは言い切れない。
かつて、双方国連大使の立場でラブロフとやり合った経験を持つボルトン元大統領補佐官は、
「終始細かく条件闘争を仕掛けてくる男で予測困難」
「土壇場での大芝居(見方によってはヒステリー)に走りがち」
「ラブロフは国連大使を務めつつ、この特技を完成させていた」
と回顧している。
ラブロフの
「大芝居」
を捌くだけの技量と度量が河野太郎外相には欠けていた。
日本国内では木で鼻を括ったような
「次の質問どうぞ」
「所管外でございます」
で逃げ、
日本国外では難しい相手との共同記者会見に出ないのが
「特技」
では、話にならないだろう。
■「カモネギ外交」の象徴
中東問題でも、河野太郎外相は日本の
「カモネギ外交」
を象徴する存在だった。
著書に次の1節がある。
「外交は国と国との交渉ではありますが、最後は外務大臣同士の人と人との関係がものを言うことも少なくありません」
「例えばアメリカが資金拠出を中止したUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)を支援するための会合の共同議長を私に頼んできたのは、それまでに会議で顔を合わせていただけでなく、私邸にまで招かれたりしていたヨルダンのサファディ外相とEUのモゲリーニ外相の2人でした」
「外務大臣のフットワークが軽くないと国の外交は成り立たない、と言えるでしょう」
自慢げに書いているが、要するに、トランプ政権がUNRWAはテロ組織ハマスの物資調達部門に堕しているとの認識から資金拠出を停止したのを受け、
「日本にもっと出させよう」
という国際リベラル勢力に英語力や
「フットワーク(というより腰)
の軽さをおだてられ、カモにされたに過ぎない。
原資は日本国民の税金である。
とても外交を任せられるような人材ではない。
慰安婦問題にも触れておこう。
強制連行・性奴隷化虚偽を今も世界に拡散する河野洋平官房長官談話(河野談話、1993年8月4日)について聞かれる度、洋平氏の長男・太郎氏は
「それは別の河野さんでしょ」
とはぐらかすのが常だった。
しかし、河野家のブランド力に助けられて政界入りした以上、
「自分は無関係」
では済まない。
2018年3月28日、衆議院外務委員会で杉田水脈議員(自民党)が、河野太郎外相に改めて河野談話に対する見解を尋ねた。
ところが、雄弁が自慢のはずの河野太郎氏は机上に目を落としたまま動かず、代わって立った外務省参事官の
「過去に安倍首相が、河野洋平官房が何を考えて発言したのか承知しないと答弁している」
云々の発言を無表情に聞くのみであった。
およそ責任ある態度とは言えないだろう。
関係者によると、河野太郎氏は1度河野洋平氏に
「修正談話」
を出すつもりはないのかとそれとなく対応を促したという。
しかしそのつもりはないと河野洋平氏に撥ねつけられ、それ以上何も言わずに引き下がったらしい。
本来なら、
「修正しないならここで刺し違える」
くらいの気合で迫るべきだったろう。
親が親なら子も子と言う他ない。
■「性格」という最大の問題
リーダーには心の余裕とバランス感覚が欠かせない。
しかし河野太郎氏には、このいずれも見事なまでに欠いている。
性格こそが最大の問題と言ってもいい。
「英語はうまいし、それなりの存在は出来上がっているが、常識に欠ける」
という所属派閥の長、麻生太郎自民党副総裁の発言は適評だろう。
かつて、議員宿舎で河野太郎氏と隣同士だった平沼赳夫経産相(全拉致議連会長)から聞いた次のような話もある。
ある時、河野太郎氏が大声で誰かを怒鳴りつける声が聞こえてきた。
余りに言葉が荒く、執拗なので、平沼赳夫氏の息女がベランダから耳を澄ませたところ、河野太郎氏が義理の母親を激しく罵倒していたという。
平沼赳夫氏は話を誇張する人ではない。
真実だろう。
一方、河野太郎氏が緩んだ表情を見せる場面もある。
過去に2回、中国外務省の華春瑩報道局長(当時)に顔を寄せ、鼻の下を伸ばした自撮り写真をSNSに上げたのが好例である。
華春瑩報道官は色白、ふくよかな一見
「いい人」
風の中年女性で、日本の政界にも隠れファンが多い。
しかし人権蹂躙、軍事恐喝を続ける中国共産党の準幹部である事実に変わりはない。
アメリカの国務長官が同じ事をすれば、即刻辞任に追い込まれるだろう。
日本の政界で何ら問題にならなかったのは、国会全体の意識が低いからに他ならない。

相次ぐ再エネ設備のトラブル、賦課金値上げに「そこまでして進めないといけないのか」
2024/4/21 13:03
https://www.sankei.com/article/20240421-QLQ6GHIV7NJ6NLCTFELLL5YD5Q/
再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みは各地で進むが、太陽光パネル設置などを巡ってはトラブルが相次ぐ。
ルール作りや規制に動く自治体もあり、賦課金の値上げには批判的な声も少なくない。
北海道釧路市の国立公園
「釧路湿原」
周辺では太陽光パネルが次々と設置され、特別天然記念物のタンチョウや絶滅危惧種のキタサンショウウオなどへの影響に懸念が広がっている。
北海道釧路市は2023年7月、事業者に届け出などを求めるガイドラインを施行。
2024年度中に条例に格上げする考えだ。
賦課金は、自然環境に影響を及ぼしかねない設備の設置を促すことになり、北海道内の60代の男性は値上げに対し、
「そこまでして太陽光を進めないといけないのか」
と疑問を投げかける。
メガソーラー(大規模太陽光発電所)の設置が進んだ山梨県内では、景観や災害時の土砂崩れなどへの懸念から周辺住民とのトラブルが多発。
県は令和3年10月に太陽光発電施設を規制する条例を施行した。
それでも2023年、甲斐市菖蒲沢でのメガソーラー設置で大規模に樹木が伐採されていたことから、地域住民らが県に対し、周辺を土砂災害特別警戒区域に指定するよう要望する事態となった。
静岡県東伊豆町では、平成15年に町営の風力発電所を稼働させたが、老朽化で故障が相次ぎ、令和3年に閉鎖。
現在、民間企業への事業継承について検証しているが、静岡県内の臨海部では稼働している風力発電所も多く、県民からは
「(騒音や低周波音による)健康被害を訴える声もあるのに、施設の建設促進のために負担が増えるのは納得がいかない」
と不満も漏れる。

米韓より高い日本の電気料金 円安、中東情勢に再エネ賦課金も…上昇に警戒感
2024/4/21 12:04
https://www.sankei.com/article/20240421-N4VMAFDOBFNK5PV4VNZ3SQNDPU/
令和6年度から、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの普及のため電気料金に上乗せしている賦課金の負担が標準家庭で年1万円程度増える。
電気料金の上昇は家計を圧迫し、企業活動にも影響を与えそうだ。
特に産業用の電力需要は、人工知能(AI)の普及本格化で拡大する可能性が指摘されている。
日本の電気料金は、先進国の中で中位とみられるが、資源を輸入に頼っているだけに足元の円安進行、中東情勢の緊迫化がエネルギー価格上昇に繋がる打撃となりやすく、警戒感が高まっている。
■エネ価格「不透明さ増す」
電力中央研究所の調べによる国際比較では、2022年の日本の電気代は、英国やドイツよりは低かったが、米国や韓国、フランスよりは高かった。
産業用では、米国や韓国の2倍前後。
一方、再エネ普及が進んでいるデンマークの家庭用料金は日本の2倍近くだった。
資源のない日本にとって、エネルギー価格上昇のリスクは深刻だ。
電力大手で作る電気事業連合会の林欣吾会長(中部電力社長)は
「今後のエネルギー価格の不透明性が、更に増しているのは事実」
と話す。
その上で
「2年前(2022年、ロシアによるウクライナ侵略開始)のような高騰があれば対応が大変だが、学んだこともある」
「調達先を工夫するなど、事業者は価格の乱高下を回避できる対策を講じていくと思う」
と述べた。
■電気料金、価格転嫁進まず
国内では人口減少が進んでいるものの、今後はAIの普及を背景に、電力需要は高まるという見通しがある。
科学技術振興機構の推計では、AIなどの情報処理を行うデータセンターの電力消費量は、平成30年の140億キロワット時に対し、令和12年には6倍以上の900億キロワット時まで拡大。
現在の国内の総需要の1割近くまで伸びる計算だ。
東京商工リサーチが行ったインターネット調査(2857社回答)では、2024年1月時点で本業に係るコストが2023年より
「増加した」
と回答した企業は、73.6%と7割を超えた。
特に多かったのが
「原材料や燃料費、電気代の高騰」
の91.2%(1920社)だ。
このうち、高騰した分を商品の価格に上乗せする価格転嫁が全額できたのは、3.6%の63社にとどまる。
「受注減など取引への影響が懸念される」
「同業他社が転嫁していないため」
などが理由として挙げられた。
東京商工リサーチの担当者は
「価格転嫁はまだ十分ではない」
「再エネ賦課金の値上げは、ようやく出てきた良い流れをとどめてしまう可能性がある」
と指摘する。
政府は電源として再エネの比率を高める計画だが、その分賦課金の必要性も高まってくる。
「再エネ普及と国民負担抑制の両立」
が重い課題として残り続ける。

再エネ賦課金、年1万円負担増 「パネル」高シェアの中国利する? 見直し機運も
2024/4/21 11:19
https://www.sankei.com/article/20240421-5VRUAFM3KFKGLBSPJOAJDHXF2U/
太陽光や風力発電など、再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされている
「再エネ賦課金」
が2024年4月から値上がりし、標準家庭(使用量400キロワット時)で電気料金が月額836円上昇した。
年間で1万円程度の負担増となる。
賦課金は平成24年に導入され、再エネの普及に伴い右肩上がりで増えてきた。
ただ、太陽光発電に用いるパネルは中国企業が大きなシェアを持っている。
日本国民の負担が増える一方、中国を利するとの指摘もあり、制度の見直しを訴える声が強まっている。
■再エネ買い取り、国民負担に
政府は賦課金の単価を令和6年度は1キロワット時当たりで前年度比2.09円高い3.49円に引き上げた。
政府は2024年6月使用分から電気代を抑える補助金を終了し、家計の負担は2024年3月使用分に比べ2236円増えることになる。
政府は平成24(2012)年に再エネの固定価格買い取り制度(FIT)を導入し、再エネで発電した電気は電力会社が再エネ事業者から一定価格で高く買い取ることになった。
この費用を消費者が負担するのが賦課金の仕組みだ。
賦課金の単価は電力会社の買い取り総額から事業者の販売収入などを差し引き、販売電力量で割って算出。
利用者は単価と電力使用量に応じ賦課金を一律に徴収される。
再エネ普及に伴い買い取り総額は増加傾向で、賦課金も右肩上がりで上昇している。
賦課金の単価は平成24(2012)年度は0.22円だったが、令和4(2022)年度には3.45円に達した。
令和5(2023)年度はロシアによるウクライナ侵略に伴う資源価格高騰で電力の市場価格自体が高騰、販売収入増加で1.40円に初めて下がった。
令和6(2024)年度は資源価格一服で販売収入減が見込まれ、再び引き上げとなった。
国民が負担する賦課金総額は2.7兆円に上る。
■玉木氏「間接的に富が中国に」
賦課金を巡っては
「2030(令和12)年頃までは上昇を続ける見通し」(政府関係者)
という。
FITの導入当初に高い買い取り価格で認定した事業用太陽光の20年の買い取り期間が重しとなる。
その後は下落する可能性が指摘されるが、負担がすぐに大きく減るかは見通せない。
賦課金には反発も根強い。
国民民主党は2024年3月26日、賦課金の徴収を一時停止し電気代を引き下げる
「再エネ賦課金停止法案」
を国会に提出。
玉木雄一郎代表は賃上げの効果を打ち消すとして
「廃止を含め抜本見直しの時期に来ている」
と話す。
玉木氏は
「所得の低い人も含め、集めたお金をメガソーラー設置事業者に回す『所得の逆再分配』が起きている」
と指摘。
また太陽光発電は
「コストが下がっており、市場原理に任せるべき」
と見直しも訴える。
中国の存在も懸念事項だ。
「太陽光パネルはほとんど中国製で、賦課金で間接的に富が中国に行っている」(玉木氏)。
再エネを巡っては、内閣府のタスクフォースの元民間構成員、大林ミカ氏の提出資料に中国国営電力会社のロゴマークが入っていたことも問題視されている。
賦課金制度について玉木氏は、
「経済安全保障の観点からも検証が必要だ」
と強調した。

電気・ガス代補助5月で終了、家計に1903円の負担増 再エネ賦課金値上げも
2024/4/18 19:19
https://www.sankei.com/article/20240418-35EY4SBKHRJUHJVT3ED74WB6PM/
政府はこれまで行ってきた家庭や企業の電気やガス代の負担を抑制するための補助金の支給を、2024年5月使用分を最後に終了する。
ロシアのウクライナ侵略などで高騰した燃料価格が安定したためだが、令和6年度からは再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せしている賦課金の単価も引き上げられた。
物価上昇に苦しむ家計にとっては、補助がなくなることで新たな打撃となりそうだ。
■冬が終わり価格も安定
政府は現在、電気は家庭向けで1キロワット時当たり3.5円、ガスは1立方メートル当たり15円を補助。
東京電力や関西電力によると標準家庭(260キロワット時)の月額の電気代の抑制効果は910円、東京ガスによるとガスは450円だ。
2024年5月使用分からはこの補助が半減し、2024年6月からはなくなる。
補助は令和5年1月使用分から始まったが、斎藤健経済産業相は
「液化天然ガス(LNG)や石炭の輸入価格が侵略前と同程度に低下した」
と役目を終えたと話す。
実際に財務省の貿易統計でも、1トン当たり16万円を超え過去最高水準に達したLNGの輸入価格は、令和6年2月には10万円弱に落ち着いている。
「電力需要が多い冬が終わったことも要因」(政府関係者)
だという。
■2024年4月からは賦課金も引き上げ
一方で足元の円相場は1ドル=155円を窺う
「超円安」
の状況が続く。
中東情勢の緊迫化などで価格が高騰する原油のように、不安定な国際情勢により、LNG価格が再び上昇するリスクは常にある。
補助がなくなるだけでなく、政府は2024年4月から再エネ賦課金の単価を1キロワット時当たり2.09円引き上げて3.49円とした。
賦課金の引き上げなどで、4月使用分の電気代は東電の標準家庭で8137円、関電で6754円と、いずれも前月より500円超上がる。
関電の電気代が東電よりも安いのは、発電コストが安い原発が稼働している影響が大きい。
賦課金の引き上げと補助金の消滅により、標準家庭で2024年3月と比較すると家計には計1903円程度の負担増となり、消費意欲が落ち込み、好調な賃上げの効果を打ち消しかねないとの指摘もある。
■新電力への乗り換えも…
こうした中、新電力に期待する向きもある。
エネルギー価格高騰で電力調達コストがかさみ、一時は撤退や新規申し込みの停止が相次ぐなど苦境に立たされたが、調達価格が落ち着くことで経営の安定化が見込まれるためだ。
帝国データバンクによると、令和6年3月時点で撤退や倒産・廃業が判明した新電力は前年同月比43.4%増の119社に上った。
しかし新規契約停止は38.4%減の69社、契約受付再開は51.6%増の47社と、巻き返しの動きも出てきている。
帝国データの担当者は
「値下げに動く新電力も僅かに見られる」
と明かす。
ただ電力不足を防ぐため、発電所設備の維持費を小売り事業者が負う
「容量市場」
制度の拠出金支払いも2024年度から始まる。
新電力にとっては経営上の負担となり、今後、電気料金に転嫁することも想定される。
電力自由化で参入した新電力も料金攻勢は力強さに欠けるのが実情だ。

「国破れてパネルあり」再エネ賦課金廃止も検討を…国民民主・玉木雄一郎代表が警鐘
2024/4/10 20:19
https://www.sankei.com/article/20240410-OTDEOGLDDVLGHF5JUWEFEKVH3U/
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年4月10日、産経新聞の取材に応じ、再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされている賦課金について
「廃止を含め、抜本見直しの時期に来ている」
と述べた。
再エネ賦課金は電力会社の販売収入が減ると、逆に上がる算定方式。
2024年度は、ロシアのウクライナ侵攻で高騰した資源価格が一服して販売収入の減少が見込まれるため、値上げとなった。
標準的な家庭(月の使用量400キロワット時)で換算すると、賦課金は令和5年度比836円増の月額1396円。
令和4年度(1380円)の水準に戻る。
■賃上げの流れも帳消しに
玉木氏は賦課金値上げについて
「せっかくの賃上げの良い流れを、帳消しにする」
「賃金が増え、消費が増えるという好循環が断ち切られてしまう」
と指摘した。
国民民主は2024年3月、賦課金の徴収を一時停止し、電気代を引き下げる
「再エネ賦課金停止法案」
を国会に提出している。
賦課金の制度については
「所得の低い人も含めて集めたお金を、メガソーラーを設置できる事業者に回す『所得の逆再分配』が行われている」
として、構造的な問題があると指摘。
特に太陽光発電については
「(発電)コストが下がっており、市場原理に任せるべきではないか」
と述べ、賦課金が支える固定価格買い取り制度(FIT)の見直しを訴えた。
再エネについては今後、洋上風力などメニューが増加し、賦課金を含めた補助的な制度の必要性が高まる可能性もある。
玉木氏は
「電気代、社会保険料、税金をこれ以上上げないことが最優先」
「『国破れてパネルあり』ではいけない」
「優先順位を国益、国民の生活から考えるべきだ」
と述べた。
■中国が生産能力8割
太陽光発電業界は中国勢が台頭しており、国際エネルギー機関(IEA)の2022年の報告によると、太陽光発電に必要な主要要素の世界の生産能力の8割超を中国が占める。
ただ、パネル素材の多結晶シリコンの多くは、新疆ウイグル自治区での
【強制労働】
による製造が疑われている。
これに関連し、玉木氏は
「人権を無視した形で安く製造されたものについては、輸入しない、使わない」
「供給網(サプライチェーン)から排除することを義務付けるための法制化も必要だ」
と主張した。
また玉木氏は、内閣府のタスクフォース(TF)元民間構成員、大林ミカ氏の提出資料に中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークが入っていた問題にも言及。
「組織や外国からの不当な影響がなかったのかどうか、政府は徹底検証すべき」
と強調した。

東京都の太陽光パネル設置義務化 住宅高騰や人権侵害助長する 杉山大志氏
2024/4/21 9:00
https://www.sankei.com/article/20240421-S3PWT4IHZBJQJEWHJ5UPTDWWHQ/
東京都が都心の温室効果ガスを令和12(2030)年までに50%削減することを目指し、2025年4月から新築住宅などを対象に太陽光パネル設置の義務化に踏み切る。
家庭の電気代削減や停電時の防災力効果も図れるとし、新築時などに補助も行うとする。
ただ、多額の税金を投入するだけの効果が得られるのか疑問視する声もある。
エネルギー政策と環境問題を研究するキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志氏に話を聞いた。
温室効果ガス削減といった取り組みは、地球全体の問題であり、東京都だけで規制することで得られる効果は少ないと言える。
また、都が行う太陽光パネル設置義務化は、日当たりが良く屋根が大きい住宅に住む人にとっては補助金などで儲かる制度になっているが、東京は人口密度が高く、一軒家でも屋根が北向きなど太陽光発電に不向きな家も多い。
更に、集合住宅などに住む人にとっても経済的恩恵を得られないにもかかわらず、莫大な税金が投入される。
条例で設置義務を負うのは住宅供給事業者で、未達成の場合は、その企業名が公表される。
このため、公表を恐れて、必要ない住宅にも設置することが考えられる。
加えて都民は新築の住宅を購入する際に太陽光パネルの費用も負担することになるため、住宅価格が高騰して都内で購入しづらくなる可能性もある。
太陽光パネルは光が当たれば発電し続けるため、災害時にも問題が生じる。
東京都の江東5区(墨田区・江東区・足立区・葛飾区・江戸川区)と言われる海抜0メートル地帯では、台風や高潮で水害が発生した場合、太陽光パネルが水没することで感電など2次災害が発生する恐れがある。
パネルが損傷して火災が起きることもあり、消火活動も水を直接かけると水を伝って感電するため、鎮火に時間を要する場合もある。
そもそも太陽光発電は日光によって発電されるため、1年の内で、17%程度の時間しか発電できない。
住宅の上にパネルを設置しても発電量が予測しづらく、既存の火力発電設備などをなくすことはできず、2重投資の状態でコストが嵩む。
世界の太陽光パネルの約9割が中国で生産されていて、太陽光発電導入には、中国製の太陽光パネルに頼らざるを得ない現実もある。
中国製の太陽光パネルが台頭している背景には、新疆ウイグル自治区での
【強制労働】
で価格を安く抑えている点が指摘されており、米国などでは中国製の輸入禁止措置が取られている。
東京都の太陽光パネル設置の義務化は、こうした人権侵害を助長することに繋がる。
安定的なエネルギー供給と二酸化炭素(CO2)の削減の両立を目指すのであれば、太陽光発電に頼るよりも、原子力や天然ガスを利用することの方が現実的だと言える。

再生可能エネへの投資は無駄遣い 莫大な国民負担も…見返りはほとんどなし 気まぐれに発電するに過ぎない太陽光パネル
2024.4/11 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240411-RGOKT76P4VNNTMASJZO7KYOMZY/
日本政府は
「グリーントランスフォーメーション(GX)」、
つまり脱炭素のために、政策によって10年で150兆円の官民投資を引き起こすという。
投資というと聞こえはいいが、原資を負担するのは我々国民だ。
1人当たり120万円、世帯当たり360万円も負担するのだが、見返りはほとんどありそうにない。
なぜなら、最大の投資先が再生可能エネルギーだからだ。
太陽光発電は本質的に2重投資である。
なぜなら、家庭に太陽光パネルを付けても、火力発電所をなくすわけにはいかないからだ。
夜でも曇りの時でも電気は必要だからである。
バックアップのために火力発電所が必要だという言い方をする人もいるが、これでも太陽光パネルを贔屓し過ぎている。
なぜなら、太陽光パネルは年間17%しか稼働しない。
年間83%は火力発電所に頼ることになるわけで、8割以上も発電するのにバックアップという言い方は的外れである。
要は、電力供給のためには火力発電所が必要なのであって、太陽光パネルは気まぐれに発電するに過ぎない。
これは風力発電も同じことである。
日本では洋上のもっとも風況の良い所でも、風力発電の稼働率は35%しかない。
既に太陽光発電は導入し過ぎであり、余った時には電気を捨てている状態である。
政府はこの対策として他地域への送電線を建設するとか、蓄えるためにバッテリーを導入するが、これは3重投資、4重投資になる。
再エネは今や最も安いなどと言う人がいるが、それはコストの一部しか見ない都合の良い話をしているに過ぎない。
現実には再エネを大量導入したドイツやデンマークは電気代が最も高い。
CO2(二酸化炭素)を排出しない火力発電として、CO2を地中に埋めるCCS、それにアンモニア発電や水素発電などにも政府は巨費を投じるとしている。
だが、これも万事予定通り進んだとしても、発電コストはこれまでの火力発電所の2倍、3倍、あるいはそれ以上になると試算されている。
こんな高価な技術を日本でいくらか導入したところで、世界で売れるはずもない。
これに何千億円、何兆円と費やすというのは、まるきり無駄遣いである。
既存の火力発電と競合できるコスト水準になる技術を目指して、研究所で基礎的な技術開発をするにとどめるべきだ。
全てが予定通りに進んでも、確実なのは、莫大な国民負担だけである。
喜ぶのは利権に預かる一部の政治家、行政官、企業ばかりである。
こんな愚かな政策で
「グリーン経済成長する」
とのたまう経産省は、経済も産業も全く分からないようだ。
■杉山大志(すぎやま・たいし)
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。
1969年、北海道生まれ。
東京大学理学部物理学科卒、同大学院物理工学修士。電力中央研究所、国際応用システム解析研究所などを経て現職。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、産業構造審議会、省エネルギー基準部会、NEDO技術委員などのメンバーを務める。
産経新聞「正論」欄執筆メンバー。
著書・共著に『「脱炭素」は嘘だらけ』(産経新聞出版)、『亡国のエコ』(ワニブックス)、『SDGsの不都合な真実』(宝島社新書)など。

<正論>中国を利するエネ政策を止めよ
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志
2024/4/10 8:00
https://www.sankei.com/article/20240410-UFXUMJX2DFLD3PKZRPR22GS6LM/
再生可能エネルギー導入に向け規制見直しを検討する内閣府タスクフォース(特別作業班)の会合に、委員の自然エネルギー財団事業局長、大林ミカ氏(2024年3月27日に委員辞任)が提出した資料に、中国国営企業である国家電網公司の透かしロゴが入っていたことが問題になっている。
日本のエネルギー政策が中国の影響を受け決定されているのではないかとの懸念が出た。
対策としてセキュリティ・クリアランス強化が言われているが、それだけでは到底足りない。
■脱炭素は中国の「超限戦」
というのは、中国は日本に対して直接的な工作をする必要すらないからだ。
日本には
「使える愚か者(useful idiots)」
がいる。
これはレーニンの言葉であり、資本主義国には、本人には特段の自覚すらないままに共産主義国のために働く愚か者がいる、ということである。
中国は世界を共産党独裁対民主主義の体制間の限りない闘争、即ち
「超限戦」
と捉えている。
そこでは脱炭素はまさに天佑である。
日本をはじめ先進国が勝手に経済的自滅をし、中国には莫大な利益をもたらすからだ。
大林ミカ氏も、
「再エネ最優先」
を掲げる河野太郎規制改革担当相も、中国企業の太陽光発電事業や風力発電事業を儲けさせる一方で、日本のエネルギー供給を不安定化し高コスト化している。
これは中国の望む通りだ。
だがここに中国が命令を逐一下す必要はない。
せいぜい、当たり障りのない情報提供をして親中的な気分を盛り上げる程度で足りる。
そうすれば勝手に運動してくれる。
「再エネ最優先」
を強く支持するのは日本の左翼リベラル勢力であるが、彼らは中国に融和的でもある。
中国の太陽光パネルの半分は新疆ウイグル自治区で生産されており、
【強制労働】
の関与の疑いが濃厚で、米国では輸入禁止措置まであるが、日本ではこれは全く不問にされている。
これも中国の望む事そのままである。
■日本を破壊する日本政府
今、日本政府は脱炭素、再エネ最優先を推進することで、日本経済を破壊している。
太陽光発電と風力発電を大量導入しているが、北海道では風力発電が多過ぎて余るので1兆5000億円を投じて新潟までの海底送電線を建設するという。
これだけでも仰け反るが、これは氷山の一角に過ぎない。
政府は脱炭素のために今後10年間で150兆円のグリーントランスフォーメーション(GX)投資を官民で実現するとしている。
投資と言えば聞こえは良いがその原資は国民が負担する。
GDPの3%であり、3人世帯で360万円もの負担になる。
これでは日本経済はガタガタになる。
目玉となる再エネ事業のお金の多くは中国企業に流れる。
一方で脱炭素は日本の防災には全く役立たない。
国連のモデルを信じたとしても、日本が2050年にCO2をゼロにした時の地球の気温の低下はせいぜい0.006度しかない。
日本の安全保障も危険に晒されている。
河野氏が防衛相を務めた時、自衛隊の施設は100%再エネを目指すこととされ、今では多くの施設が再エネ電力を購入するようになった。
電気事業者の中には近年に設立された企業もあり、中国系の企業がどのぐらいあるのかも分からない。
これら企業は電力消費量を監視することで、自衛隊の活動状態を把握できてしまう。
のみならず有事には、本国の命令があれば電力供給網を遮断・攪乱するかもしれない。
いつから日本政府はこのような、日本を滅ぼすような事ばかりするようになったのか。
2021年に策定された第6次エネルギー基本計画で2050年CO2ゼロが目標とされた。
河野氏は
「再エネ最優先」
を掲げ、2030年の発電に占める再エネの数値目標を36%から38%
「以上」
にするよう、経産省の官僚を怒鳴り上げた音声がリークされている。
日本の官僚は、時の政治権力には滅法弱くなった。
昇進するか左遷されるか、彼らにとっての生殺与奪の権を握られているからだ。
かつては脱炭素という経済自滅的な政策には抵抗していた経産省が、すっかり宗旨変えしてしまった。
■「愚か者」を排除せよ
今では経産省こそが巨大な予算と権限を持った最も強力な脱炭素利権と化し、日本経済を破壊している。
彼らは最早内から自らを変える能力はない。
政治が変わるしかない。
左翼リベラル化した自民党こそが脱炭素推進の本丸である。
日本の国益を損なう
「使える愚か者」
を退場させ、それに代えて、日本の安全保障と国民経済を第1に考える人々にエネルギー政策を任せるべきである。
政治が変われば、経産省の幹部人事も刷新できる。
経産省が脱炭素利権にまみれてしまったのはここ数年のことに過ぎない。
まだ以前のことをよく覚えており、現状に違和感を覚えている優秀な官僚はたくさんいる。
愚か者を排除し、政治的な路線転換さえすれば、彼らは日本国民の安全と経済のために良い仕事をしてくれるはずだ。

<主張>再エネ資料にロゴ 中国の影響力工作を疑え 河野担当相の責任は重大だ
社説
2024/4/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20240401-OK3BL3MXVFNBDKYMXUGDBPMHLQ/
政府のエネルギー関連の会議に提出された資料に、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークの透かしが入っていたことが発覚した。
再生可能エネルギー導入に向けて規制見直しを目指す内閣府のタスクフォース(TF、特別作業班)に対し、委員を務めていた大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長が提出した資料の件である。
大林氏が経済産業省や金融庁の有識者会議などのヒアリングに呼ばれた際や、国連、欧州連合(EU)の関連機関の会議への出席時に提出した資料にも同様のロゴがあった。
■全省庁で実態を調べよ
中国は共産党支配の全体主義国家で、日本から尖閣諸島(沖縄県石垣市)を奪おうと狙っている。
台湾問題では軍事力行使を辞さない姿勢を崩さず軍備を増強中で、日本にとって安全保障上の脅威だ。
中国国営企業は共産党政権と一体である。
大林氏は
「誤解を受け、不安にさせた」
として委員を辞任した。
財団主催の会合に中国国家電網公司が提出した資料を自身が改編した際にロゴが残ったと説明した。
財団は
「資料の内容は中国国家電網とは一切関係のないもの」
と釈明した。
鵜吞みにはできず、辞任で幕引きにはできない。
政策形成への中国の影響力工作はなかったのか。
中国共産党政権の意向が浸透して日本の政策が歪むことは決してあってはならない。
調査すべきは再エネTFに限らない。
岸田文雄政権はこれを機に、政策決定へ影響力工作が及んでいないか全省庁で点検に乗り出してもらいたい。
今回の問題で再エネTFは信頼できなくなった。
解散または活動停止が必要で、従来の提言は棚上げしたらどうか。
所管閣僚である河野太郎規制改革担当相は問題が発覚した当初、X(旧ツイッター)に
「チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し同じようなことが起きないよう徹底していきます」
と投稿した。
ロゴ入りの点だけを問題視していたのか。
内閣府規制改革推進室の山田正人参事官も
「事務ミスかもしれない」
と述べていた。
国政担当者として視野が狭すぎる。
中国による影響力工作をなぜ一番に懸念しなかったのか。
高市早苗経済安全保障担当相は当初から
「エネルギー安全保障は、国民の生活や経済活動にも大きな影響を及ぼす安全保障の中核的な課題の1つだ」
「他国から干渉されるようなことがあってはならない」
と指摘していた。
斎藤健経済産業相も
「当該団体(同財団)が特定企業の強い影響を受けているとの懸念が払拭されるまで、ヒアリングを控える」
と語った。
河野氏が会見で
「自然エネルギー財団と中国の特定の企業の間にどんな繋がりがあったのか調査を始めている」
「事実関係を調べた上で対処方針を決めたい」
と表明したのは、問題への批判が高まってからだ。
河野氏は閣僚として高市氏や斎藤氏を見習うべきである。
■ASG構想ありえない
大林氏のTF委員起用について林芳正官房長官は
「内閣府の事務方が提案した案を河野氏が了承した」
と語った。
人選に関わった河野氏と内閣府の責任は重い。
河野氏が外相当時の
「気候変動に関する有識者会合」
では委員9人のうち3人が自然エネルギー財団のメンバーだった。
河野氏は同財団との関係についても説明すべきだ。
同財団は太陽光、風力、水力などの自然エネルギー資源を相互に活用するため日本と中国、ロシア、インド、タイなどの送電網を連結するアジアスーパーグリッド(ASG)構想の実現を唱えている。
中国国家電網公司の呼び掛けで設立された国際的な送電網構築を目指す非営利団体にも参加していた。
ASG構想も国際的な送電網も専制国家の中露両国などに日本の電力供給を左右される余地を与えかねない。
国家安全保障、エネルギー安保の両面から到底受け入れられない構想だ。
日本国民の安全と国益を損なう構想を掲げるような財団のメンバーを政府の会議体の委員にすることは極めて危うい。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、政府の審議会などの委員選定にも、経済安保上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る
「セキュリティー・クリアランス(適格性評価)」
が必要との見解を示した。
その通りである。

再エネ人選 河野氏に疑念
美しき勁き国へ 櫻井よしこ
2024/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20240401-4K7S5A2ICRLVNI2KSIZNGCO4YE/
河野太郎デジタル相が内閣府で主導した再生可能エネルギーに関するタスクフォース(TF)の会議で事件が起きた。
河野氏の推薦でTFに加わった
「自然エネルギー財団」
事業局長の大林ミカ氏が中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴ入り資料を正式に提出していた。
我が国のエネルギー政策を議論する政府中枢で中国の資料が使われていた。
ここまで浸透されていたかと驚愕したのは私だけではないだろう。
河野氏肝煎りのTFは構成員4人のうち、大林氏と高橋洋氏の2人が自然エネルギー財団関係者で大林氏がすぐに辞任した。
が、トカゲの尻尾切りのような終わり方で済む問題なのか。
2011年に孫正義氏が創設した同財団は中国を中心に広くアジア諸国にまたがるエネルギー供給網
「アジアスーパーグリッド(ASG)」
の実現を目指す。
ASGに組み込まれる国は民生、産業、国防、全分野でエネルギー供給の安定を必然的に中国に頼ることになる。
国家の首根っこを中国に押さえられるに等しいASGを孫氏らが目指すのは自由だ。
しかしなぜ、河野氏はそうした人々を重用するのだろうか。
気になることを国民民主党幹事長の榛葉賀津也(しんば かづや)参院議員が指摘した。
「河野氏が外相当時、気候変動の有識者会合を設置しました」
「その異常な人選と内容を我が党議員が国会で質した」
「有識者各氏は意見書で化石燃料由来の発電は中止、石炭火力発電の段階的廃止計画を明示せよなどと再生可能エネルギーを強く推していました」
2018年3月23日、参院経済産業委員会で同党の浜野喜史議員が質した。
「今年(2018年)2月、外務省は気候変動に関する有識者会合で、エネルギーに関する提言を取りまとめています」
「これは外務省の見解を示したものですか」
外務省側は
「あくまでも有識者の現状に対する危機感の表明」
で、それが
「外相(河野氏)に対して提出された(だけ)」
と答えた。
外務省見解ではないということだ。
浜野氏は更に、有識者9人の内3人が孫氏の財団の執行メンバーだと指摘した。
前述のように今回のTFでは4人中2人が財団関係者だった。
この人選の偏りは何を示すのか。
著明な政治家が主催する会議の結論は自ずと大きな影響力を発揮する。
河野氏が再エネ推進で影響を及ぼそうとしているのは明らかだ。
動機は何か。
河野氏の自然再生エネルギーへの肩入れ、化石燃料の否定は我が国の国益にどう合致するのか。
この疑念に関して河野氏はきちんと説明すべきだ。
政府は、温暖化対策の国際枠組み
「パリ協定」
に基づく温室効果ガスの削減目標の達成に向け、脱炭素化に10年で150兆円超の投資が必要だと想定し、うち20兆円を支援する方針だ。
専門家らは我が国のエネルギーを再エネで賄おうとすると、この額はやがて何倍にも膨らんでいき、日本経済を押し潰すと危惧する。
今、甚大な資金を風力発電などに注入することが正しいとは思えないのだ。
それが我が国の産業を下支えし、国民生活を豊かにするとも思えないのである。
加えて風力発電に関しては設備のほとんどが中国からの輸入だ。
利益は中国に吸い取られる。
更なる再エネ賦課金で、ただでさえ国際的に高額な我が国の電気料金はより高騰する。
国民負担も国内産業への負担も尋常ではない。
河野太郎氏や自民党の小泉進次郎衆院議員は再エネに莫大な資金を投入し電気自動車(EV)を増やすという。
しかし、日米欧のどこでも政府が補助金を出してもEVは消費者から敬遠され始めた。
EVに熱心だったドイツ政府はEVへの補助金を前倒しで停止した。
中国はEVで最先端を走っていたが、今や中国のEV大手、比亜油(BYD)さえも方向転換してハイブリッド車などに傾いている。
にもかかわらず、我が国はまだEVへの補助金をやめない。
再生エネルギー全体に関して国際社会は大きな揺り戻しの中にある。
2050年までに二酸化炭素(CO2)排出ゼロを目指し、気温の上昇を1.5℃までに抑えるとしたパリ協定への各国政府の姿勢が変化しているのである。
パリ協定の目標数値に縛られているのは主に先進国であり、ロシアやグローバルサウスの国々には有利な条件が与えられている。
先進国が年間5兆ドル(約750兆円)を温暖化対策費用として途上国に払う時、初めて彼らも先進国同様のCO2削減の努力をするという条件だ。
中国がインドと共に途上国に分類されているのは周知の通りだ。
そうした中で日本がCO2ゼロに向けて、巨額を支出するのは愚策である。
ドイツは2030年までに石炭から脱却する方針を延期する可能性が出てきた。
英国はCO2ゼロの実現よりもエネルギー安全保障の方が重要だとして、化石燃料の段階的廃止に距離を置いた。
キャノングローバル研究所の杉山大志研究主幹が紹介する
「脱炭素からの撤退が始まった」(ロス・クラーク著)
には、パリ協定崩壊を示す事例が満載だ。
例えば2023年12月にドバイで開催した国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)では、議長を務めたアブダビ国営石油公社の会長が3年で石油生産量を約50%増やすと発表した。
ブラジルとカナダが石油生産量の拡大を決定した。
インドは2030年までに化石燃料を60%拡大する。
そして中国だ。
2021年までの2年間に新規石炭発電所127基の建設を承認し、その後の2年で承認数は182基まで増えた。
繰り返す。
パリ協定は破綻した。
再エネへの巨額の支援、投資はやめるのが国益だ。
広く世界を見つめて、日本だけが世界の潮流に取り残され、国力を衰退させる事態は防がなければならない。
エネルギー分野で我が国が中国の影響下に置かれることも回避しなければならない。
一般常識から見れば奇々怪々の動きを見せてきた河野氏だからこそ、その行動の意味と意図を国民に説明する責任がある。

フィリピンの先例警戒、中国が電力支配 40%株式保有、送電止める危険 米軍基地抱える日本も脅威″トエネに中国の影・第5弾
2024.3/30 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240330-FTIF36STYBK5PFZIIJYHBZMBKY/
■峯村健司氏緊急リポート
再生可能エネルギーに関する規制見直しを検討する内閣府のタスクフォース(TF)に、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークが入った資料が提出された問題が収まらない。
エネルギー戦略は国家の存立に直結する最重要政策であり、
「他国の干渉があってはならない」(高市早苗経済安保相)
からだ。
林芳正官房長官は2024年3月28日の記者会見で
「河野太郎規制改革担当相の下、内閣府において中国政府から不当な影響を受けていなかったかなどの調査を行う」
と語ったが、議会や第3者機関も調査すべきではないのか。
キヤノングローバル戦略研究所主任研究員、峯村健司氏は、国家電網公司がフィリピンの送電企業の40%の株式を保有し、同国議会が
「安全保障上のリスク」
を懸念した前例に迫った。
再エネ導入に向けた規制の見直しを検討する内閣府のTFの資料の一部に、中国の
「国家電網公司」
のロゴマークの透かしが入っていたことが明らかになった。
資料は、民間構成員である財団法人
「自然エネルギー財団」
事業局長、大林ミカ氏が提出したものだった。
大林氏は2024年3月27日の記者会見で民間構成員を辞任したと発表した。
大林氏がTFに入った経緯について、林長官は2024年3月28日の記者会見で
「内閣府事務方が提案した案を、河野規制改革担当相が了承した」
と説明した(=大林氏は2024年3月27日の記者会見で、河野氏の推薦だったと説明)。
■「パワーポイント」による事務ミス…内閣府の説明に疑問と矛盾
問題発覚後の2024年3月25日に記者会見した内閣府規制改革推進室の山田正人参事官によると、同財団が2016〜2019年にかけて開いたシンポジウムに中国企業の関係者が登壇した。
その際の資料を大林氏が提供され、別の機会に編集ソフト
「パワーポイント」
を用いて引用した際、文書のテンプレートにロゴが残ったという。
山田氏は
「内容に問題はなく、事務ミスかもしれない」
と説明した。
この説明には早速、いくつかの矛盾や疑問が浮上している。
同財団が翌2024年3月26日、ホームページ上で発表した経緯説明では、大林氏は編集では
「パワーポイント」
ではなく、
「キーノート(Keynote)」
を使っていた。
金融庁の有識者会議や経産省の小委員会に大林氏が提出した資料にも同じロゴが確認されている。
内閣府の調査は不十分と言わざるを得ない。
そして、筆者が最も注目しているのが、中国政府における
「国家電網公司」
の役割である。
2002年に設立された中国最大の電力配送会社で、オーストラリアやブラジル、チリなどの発電・送電会社に積極的に出資をしている。
■40%株式保有、送電止める危険
その中で
「国家電網公司」
が積極的に進出をしてきたのが、フィリピンだ。
親中政策をとったアロヨ政権時代、フィリピン国家送電会社(NGCP)に40%出資し、2009年から全国の発電所から配電施設までの送電を受託した。
ところが、2019年11月、議員向けの内部報告書で、
「フィリピンの電力網が現在、中国政府の『完全な支配下』に置かれており、我が国の電力網に混乱を引き起こす能力を持っている」
と警告されていることが発覚した。
NGCPを監督する送電公社の責任者が議会の証言で、フィリピン人技術者が施設への立ち入りを制限されており、中国によって送電を止めることができる可能性があることを認めた。
中国が
「国家の悲願」
と位置付ける台湾併合に乗り出した場合、米国の同盟国でありバシー海峡を挟んで位置するフィリピンの存在は極めて重要だ。
その際、中国がフィリピンの関与を阻止するために、全土を停電にする可能性はあるだろう。
同じく、米国の同盟国であり米軍基地を抱える日本に対して、中国がフィリピンに対して実施したようなアプローチをするリスクを考慮するのは当然のことと言える。
今回の問題を
「事務的ミス」
で片付けるべきではない、と筆者は考える。
電力事業は2022年5月に成立した経済安全保障推進法で
「特定社会基盤事業」
と指定されている。
その所管官庁である内閣府は、地政学リスクも含めた徹底した原因究明をすべきだろう。

再エネ政策は中国の影響下?
阿比留瑠比の極言御免
2024/3/28 1:00
https://www.sankei.com/article/20240328-WDBBYQTYVVOUVE4YDID7CB4L2I/
中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題に関する内閣府の説明資料
https://www.sankei.com/article/20240328-WDBBYQTYVVOUVE4YDID7CB4L2I/photo/BL5EXY7Y2FJVBNWPL7F6BG6P7I/
国のエネルギー関連の有識者会議などで利用された資料に、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴマークの透かしが入っていた問題は、我が国の再生エネルギー戦略は中国製の資料を基にし、中国の意図に沿って進められてきたのではないかとの深刻な疑念を生んでいる。
高市早苗経済安全保障担当相は2024年3月26日の記者会見で、ロゴ入り資料を提出した再エネ導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースの民間構成員を務めていた大林ミカ氏についてこう指摘した。
「該当構成員が所属する自然エネルギー財団は中国国家電網の会長が、会長を務めている団体に理事会メンバーとして参加している」
「エネルギー安全保障の関連政策の検討に当たっては、他国から干渉されることがあってはならない」
■中露と送電網目指す
自然エネルギー財団はソフトバンクグループ(SBG)の会長兼社長の孫正義氏が、自然エネルギーを基盤とした社会構築を目的に設立した。
一方、国家電網公司の会長が会長を務める団体とは、中国、ロシア、韓国などの国際送電網の構築を目指す非営利団体
「グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構(GEIDCO)」
のことである。
大林氏が事業局長を務める自然エネルギー財団は2024年3月26日、
「無用な誤解を避けるため」
としてGEIDCOからの脱退を表明したが、財団もそのアジア版とも言える
「アジアスーパーグリッド(ASG)構想」
を掲げてきた。
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年3月26日の記者会見で、これに対する懸念を次のように表明した。
「この財団が言っていることは、出来るだけ日本は原子力発電をやめろ、火力発電もやめろと」
「仮に電力不足になった時に、中国やロシアから電力を送電網を使って輸入していくことになると、エネルギーの中露依存が高まっていく」
「生殺与奪の権を握られてしまうということになる」
この安全保障上の観点を巡っては、自民党の小林鷹之前経済安保担当相も2021年2月、衆院予算委員会でこう指摘していた。
「(ASG構想で)日本は安全保障上、大陸と繋ぐわけにはいかない」
「日本はエネルギーミックスを、日本1国だけで実現していかなくてはいけない」
■ロゴの問題ではない
自然エネルギー財団の大林氏をタスクフォース構成員に選んだのは河野太郎規制改革担当相である。
河野氏に関しては、外相時代の2018年3月の参院経済産業委員会でも、国民民主党の浜野喜史氏が外務省の気候変動に関する有識者会合の在り方を巡りこんな疑問を呈していた。
「メンバーを見ると非常に偏った構成だ」
「9人中3人が孫正義氏が会長を務める自然エネルギー財団の執行メンバーだ」
規制改革担当相としてタスクフォースを作った河野氏は2024年3月25日の衆院予算委では、政府資料に中国企業のロゴが入っていたことについてこう述べていた。
「ロゴにはウイルスのような有害な要素はないと判明した」
「ロゴのないものに差し替えることを考えている」
誰がコンピューターウイルスの心配をしているというのか。
余りに国民をバカにした答弁ではないか。
玉木氏が2024年3月26日の記者会見で
「ロゴが入っているかどうかの問題ではない」
「我が国の大切なエネルギー政策を決める際に、外国企業や外国政府の影響が及んでいるのではないか」
と語った通り、中国との関係こそが問われている。

中国企業ロゴ問題「内容には問題なし」 内閣府「不当な影響力受けたなら問題」 再エネタスクフォース資料
2024/3/25 13:58
https://www.sankei.com/article/20240325-CWZ57KOKKRMF3IC7Q5BWVEJBWI/
再生可能エネルギー導入促進を目指すタスクフォースで中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題に関する内閣府の説明資料
https://www.sankei.com/article/20240325-CWZ57KOKKRMF3IC7Q5BWVEJBWI/photo/LLOZEZYSXBCVNBK4XJPIA5F4RA/
再生可能エネルギー導入に向けた規制の見直しを目指す内閣府のタスクフォースで提出された資料に中国国営企業のロゴマークの透かしが入っていた問題で、内閣府規制改革推進室は2024年3月25日、緊急の記者会見を行った。
資料自体には中国企業に由来する内容はなく、内容に問題はないと説明した上で、更に経緯を調査するとした。
問題の資料はタスクフォース民間構成員の財団法人
「自然エネルギー財団」
事業局長、大林ミカ氏が作成し、2023年末などの会合向けに提出した。
一部のページに、中国の国営電力会社
「国家電網公司」
のロゴが入っていた。
記者会見した規制改革推進室の山田正人参事官によると、同財団が2016〜2019年にかけて開いたシンポジウムに中国企業の関係者が登壇。
大林氏がその資料の提供を受け、別の機会に編集ソフト
「パワーポイント」
を用いて引用したところ、文書のテンプレート(ひな型)にロゴが残り、提出資料を作成した際にも反映された結果という。
ブラウザーの環境によっては表示されないため、同室も気付かなかったとした。
山田氏は大林氏の提出資料について
「内容には問題がない」
として、ロゴを抹消した上で再度、公開する方針を示した。
再発防止のため、事実関係を更に究明するとした上で
「何か不当な影響力の行使を受けたということであれば問題だが、単なる事務ミスかもしれない」
とも語った。
同財団と中国企業の関係については
「人的・資本的関係はないと聞いている」
と説明。
大林氏の身分に関しては
「まずは事実関係を調べてからだ」
と述べるにとどめた。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/518.html#c27

[政治・選挙・NHK294] 小池都知事3選の“不安材料”は田母神俊雄氏の出馬と維新の出方…最悪「100万票」がパーに?(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
21. 秘密のアッコちゃん[370] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月05日 10:35:22 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[483]
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日中韓会談と中国大使暴言 産経「一層の対中発信」求める
社説検証
2024/6/5 9:00
https://www.sankei.com/article/20240605-RQNVQ2TQTNOBXFBLKOCWQCHJAM/
■朝毎東は「対話」の必要性強調
岸田文雄首相が中国の李強首相、韓国の尹錫悦大統領とソウルで会談した。
3首脳は共同宣言を発表し、各紙は4年半ぶりの日中韓首脳会談が持つ意義に言及した。
しかし、中国の対日強硬姿勢や安全保障問題を巡る日韓との隔たりなど、3カ国が協調していく困難さに焦点を当てた産経と読売に対し、朝日、毎日は、3カ国の対話が継続するよう日本側に努力を促すことに力点を置いた。
3カ国会談に合わせ、日中、日韓などの2者会談も行われた。
産経は2024年5月28日付で岸田首相の外交姿勢を取り上げ、
「力による現状変更をためらわない中国に、もっとはっきりと日本の立場を伝える努力」
を一層行う必要があると主張した。
産経が特に問題視したのは、中国の呉江浩駐日大使が、台湾を巡って日本が
「中国の分裂」
に加担すれば
「日本の民衆が火の中に連れ込まれる」
と発言したことについて、中国側に暴言の撤回と更迭を求めなかったことだ。
「中国軍が日本国民を殺傷するという露骨な脅迫だ。岸田首相自身が怒りを伝えないようでは侮られ、中長期の日中関係は歪むばかりとなる」
と断じた。
2024年5月24日付でも
「このような大使が日本と正常な外交を営めるのか」
と辞職を求めた。
日経は2024年5月25日付で
「日本国民の感情を傷つけ、甚だ不穏当だ」
「外交儀礼に反する威嚇と言わざるを得ない」
と批判した。
読売も同日付で
「日中関係の安定に尽力すべき立場にある大使が、日本を脅すかのような発言をしたことに対し、政府が抗議したのは当然だ」
と強調した。
日中韓首脳会談に関して読売は2024年5月28日付で、朝鮮半島の非核化に関する文言が
「それぞれ立場を強調した」
と前回の成果文書から後退したことに触れ、
「中国が軍事的な挑発を強める北朝鮮を擁護していることの表れだろう」
「中国はこうした態度が北朝鮮を増長させていることを、自覚すべきだ」
と咎めた。
併せて
「日本は、米韓両国と安全保障協力を強化していかねばならない」
と論じた。
朝日は同首脳会談を
「世界の安定に資する対話の枠組みへと育て上げる努力を続けるべきだ」
と説いた。
その上で、日本が次回の議長国を務めることを踏まえ、
「岸田政権が安保面で対米傾斜を進めた結果、却って日本の存在感が陰った面も否めない」
と疑問を投げかけ、
「日米同盟を基軸にしつつ、日本の独自性も見据えたバランスの取れた東アジア外交を構想する時だ」
と読売と対照的な見解を披露した。
毎日も
「首脳同士が直接向き合えば、信頼の醸成に寄与し、緊張の高まりを防ぐことができる」
と論じ、
「対話の流れを加速させるのが日本の責任だ」
と断じた。
東京も
「3カ国首脳会談の枠組みを北朝鮮の暴走を食い止めるためにも活用すべきである」
と強調した。
2024年5月28日付の朝日、毎日、2024年5月29日付の東京は呉大使の暴言など中国の対日強硬姿勢に触れなかった。
3カ国は共同宣言で、中断していた自由貿易協定(FTA)の締結交渉を進める方針を明記した。
産経は2024年5月29日付で
「交渉を現段階で再開することには、強い疑問を感じる」
と疑義を呈した。
中国は東京電力福島第1原発の処理水を巡り、日本産水産物を不当に輸入停止したままだ。
中国製品の過剰生産問題についても習近平国家主席は問題の存在すら認めていない。
産経は
「そうした身勝手な姿勢を改めようとしない中国を相手に実のある交渉に入れるのか」
と難じた。
毎日はFTA締結交渉の再開や人的交流の拡大、気候変動問題での協力などに触れながら
「こうした取り組みを着実に続けることが重要だ」
と期待を示した。
自らを大国視する中国は、傍若無人な外交姿勢を取ることが多い。
日本は中国に対し、今まで以上に主張すべきことを明確に主張すべきである。

日中韓首脳会談と中国大使暴言
【産経】
・日本国民への脅迫許すな(2024年5月24日付)
・一層の対中発信が必要だ(2024年5月28日付)
・交渉を再開すべき環境か(2024年5月29日付)
【朝日】
・秩序守る対話を深めよ(2024年5月28日付)
【毎日】
・対話の流れ加速させたい(2024年5月28日付)
【読売】
・国際的信用を損なう台湾威嚇(2024年5月25日付)
・地域の安定へ協力積み重ねよ(2024年5月28日付)
【日経】
・中国は台湾への軍事的な威嚇をやめよ(2024年5月25日付)
・日中韓の対話再開を地域の安定に生かせ(2024年5月28日付)
【東京】
・北朝鮮抑止の枠組みに(2024年5月29日付)

<主張>中国大使の暴言 日本国民への脅迫許すな
社説
2024/5/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20240524-T4ZEA7XLS5NKVCMU24YUQ5JQWA/
日本国と日本国民に対する、軍事力を振りかざした脅迫であり到底容認できない。
中国の呉江浩駐日大使が台湾を巡り、日本が
「中国の分裂」
に加担すれば
「日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」
と語った。
呉氏は2023年4月、着任直後の会見でも同様の発言をして日本政府から抗議されている。
今回の異常な発言は、頼清徳台湾総統の就任式があった2024年5月20日、都内の中国大使館で開かれた座談会で飛び出した。
呉氏は
「(中国は)最大の努力を尽くして(台湾との)平和統一を目指す一方、武力行使の放棄も絶対確約しない」
と述べた。
その上で、
「火の中」
の言葉を用いて日本国民を脅迫した。
どのような前提条件を付けても、中国軍が日本国民を攻撃して殺傷すると脅した発言で外交官失格である。
呉氏は
「武力又は武力による威嚇に訴えない」
ことを確認した日中平和友好条約第1条にも反している。
このような大使が日本と正常な外交を営めるのか。
呉氏は発言を撤回して謝罪し、職を辞したらどうか。
もし同様の脅迫が中国駐在の外国大使から発せられたら、中国は国を挙げて非難し国外追放へ動くだろう。
発言を知った日本国民は眉を顰(ひそ)めている。
元国家公安委員長の松原仁衆院議員(無所属)は外交上の
「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)
として呉氏を追放すべきだと2023年に続き政府に促した。
林芳正官房長官は会見で
「極めて不適切だ」
と呉氏の発言を非難し、外交ルートを通じ抗議したと明らかにしたが不十分だ。
呉氏を呼んで直接抗議し、発言撤回と謝罪を求めるべきだ。
中国側の反応次第では、駐日大使交代の要求や呉氏の国外追放措置も必要である。
岸田文雄首相は近く韓国での日中韓首脳会談に臨む。
少なくとも呉氏の発言撤回がなければ、李強首相との2者会談をしている場合ではない。
座談会には鳩山由紀夫元首相や社民党の福島瑞穂党首、外務省OBらが出席したが、呉氏の暴言に誰も抗議しなかったのは情けない限りだ。
鳩山氏に至っては
「呉大使のお話に基本的に同意する」
と述べた。
出席者は日本国民よりも中国政府の機嫌を伺う卑屈な姿勢を取った自身を恥じてもらいたい。

<主張>岸田首相の外交 一層の対中発信が必要だ
社説
2024/5/28 5:00
https://www.sankei.com/article/20240528-4WQFXLYYPJOL3JWDRJVS63MCVE/
岸田文雄首相が訪韓し、中国の李強首相、韓国の尹錫悦大統領と会談した。
日中韓首脳会談は4年半ぶりで、日中、日韓、中韓の2者会談も行われた。
中韓両国とはそれぞれ懸案があり首脳会談開催に意義はある。
3首脳は、北朝鮮の非核化と朝鮮半島の安定が日中韓共通の利益とし、半島問題を政治解決する必要性で一致した。
中断していた自由貿易協定(FTA)締結交渉の再開や、広範な分野での協力推進を確認した。
岸田首相は拉致問題の即時解決への支援を求めた。
韓国が文在寅前政権のような反日一辺倒から、国際安全保障に留意する尹政権に代わったこともあり、日中韓の枠組みで首脳会議を開きやすい環境になった。
その中で岸田首相が、様々な外交を展開しようと努めたこと自体は否定しない。
だが一方で、一層の努力が必要な点も浮かび上がった。
それは、傍若無人な言動を繰り返し、力による現状変更を躊躇わない中国に、もっとはっきりと日本の立場を伝える努力である。
岸田首相は李首相との初会談で、台湾を巡る軍事情勢を注視しているとし、
「台湾海峡の平和と安定は国際社会にとって極めて重要だ」
と伝えた。
日本周辺での中国の軍事活動に
「深刻な懸念」
を表明し、尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)の中国ブイの即時撤去を要求した。
中国当局が拘束した日本人の早期解放も求めた。
南シナ海での中国の威圧的行動やウイグル人の人権状況への懸念も伝えた。
これらは当然だが、十分とは言えない。
中国の呉江浩駐日大使の暴言の撤回と大使更迭を求めなかったからだ。
呉大使は2024年5月20日、日本が台湾を巡り
「中国の分裂」
に加担すれば
「日本の民衆が火の中に連れ込まれる」
と語った。
前提条件付きでも中国軍が日本国民を殺傷するという露骨な脅迫だ。
岸田首相自身が怒りを伝えないようでは侮られ、中長期の日中関係は歪むばかりとなる。
中国はウクライナを侵略するロシアに対し、軍需生産を強化させる工作機械や電子部品、ロケット弾の推進剤になる
「ニトロセルロース」
を輸出している。
岸田首相は、李首相に侵略への加担をやめよと明確に迫るべきだった。

<主張>日中韓FTA 交渉を再開すべき環境か
社説
2024/5/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20240529-KXCLT7JTVBPFVCR3YRWDOHB6GE/
岸田文雄首相と中国の李強首相、韓国の尹錫悦大統領による首脳会談の共同宣言で、日中韓が自由貿易協定(FTA)の締結に向けて
「交渉を加速していくための議論を続ける」
と明記した。
中断していた交渉を再開するとの合意である。
経済が悪化する中国の要請を受けた合意とされる。
日中両国には政治的軋轢がある中でも経済で結びつ付く現実がある。
日韓で中国に公正なルールに基づく自由貿易を促せるならば、協定は日本にも利をもたらそう。
だが、そのための交渉を現段階で再開することには、強い疑問を感じる。
中国は東京電力福島第1原発の処理水を巡り日本産水産物を不当に輸入停止したままだ。
習近平国家主席は日米欧が懸念する中国製品の過剰生産について問題の存在すら認めない。
そうした身勝手な姿勢を改めようとしない中国を相手に実のある交渉に入れるのか。
貿易協定の交渉は国益のぶつかり合いとなりがちだが、前提として自由貿易を追求する当事国間の共通理解が必要だ。
中国にそれが見受けられない以上、日本は前のめりになるべきではない。
日中韓は既に
「地域的な包括的経済連携(RCEP)」
にも参加しており、これよりも高水準の連携を日中韓FTAで目指す。
自動車の関税撤廃や、中国政府による補助金、国有企業優遇なども議論する見通しだ。
交渉で同じ土俵に立てば中国に変革を促せるとの見方もあろう。
RCEPでも指摘されたことだ。
だが現状を見ると、中国はRCEP参加や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟申請で自由貿易推進を訴えつつも、経済的威圧などの強硬姿勢はやめない実態がある。
日中韓FTA交渉を再開すると言うならば、その前に科学的根拠のない処理水問題での輸入停止を必ず即時撤廃させるべきだ。
過剰生産された安価な中国製品が世界の市場を歪めている問題も、交渉前に適切な対応を約束させるべきである。
中国が今回、FTA交渉を望んだのは貿易を通じて国内経済を活性化させたいからだろう。
加えて、日米欧などが対中依存を減らそうと結束を強める中、これを分断して自らの孤立を回避する狙いもあろう。
日本は中国の思惑を踏まえて、もっと強かに動くべきである。

中国軍の演習 国際的信用を損なう台湾威嚇
2024/5/25 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20240524-OYT1T50168/
中国軍が台湾周辺海域で大規模な軍事演習を実施したのは、台湾の新政権に圧力を掛ける狙いがあるのだろう。
だが、意に沿わないからといって武力による威嚇を繰り返しているようでは、中国の国際的信用は損なわれよう。
演習には、陸海空軍と、弾道ミサイルを運用するロケット軍などが参加した。
演習区域は台湾全体を取り囲むように設定された。
台湾海域を封鎖し、台湾の海上輸送路や米国の支援ルートを遮断するという侵攻シナリオのようだ。
台湾有事となった際に、中国が同様の作戦を実施する可能性もある。
日米は、演習で示された中国側の艦船や戦闘機の運用実態を分析して、日本有事に備えた対応に生かすべきだ。
中国軍機と駆逐艦は、架空の軍事目標を連携して攻撃する訓練を行った。
多数の軍用機が、中台の境界となってきた台湾海峡の中間線を越え、台湾側に入った。
中国軍機の中間線越えは常態化している。
中国の習近平政権は最早、中間線を存在しないものと見做していると見える。
中国軍の報道官は演習の目的について、
「台湾独立勢力を懲らしめ、外部勢力の干渉に厳重に警告するものだ」
と主張した。
台湾の頼清徳総統が演説で、民主主義を共有する日米などと協力する考えを示したことを指しているのだろうが、
「懲らしめる」
という乱暴な表現は、中国の高圧的な態度を世界中に印象付けた。
中国軍が今後、頼氏の言動次第で弾道ミサイルの発射訓練などを行い、挑発をエスカレートさせることもあり得る。
台湾の世論は、中台関係の現状維持を支持している。
頼氏はそうした民意も踏まえ、中国に武力行使の口実を与えないようにすることが極めて重要だ。
中国軍は今回、台湾が実効支配する金門島や馬祖列島も演習区域に含めた。
離島の奪取が、中国の軍事作戦の重要な要素の1つであることを示したものだ。
中国は尖閣諸島周辺でも領海侵入を常態化させている。
日本は、離島への部隊配備を進めると共に、自衛隊と海上保安庁が連携して警戒を強める必要がある。
中国の呉江浩駐日大使は、台湾問題で日本が
「中国の分裂」
に関与すれば、
「日本の民衆が火の中に連れ込まれよう」
と述べた。
日中関係の安定に尽力すべき立場にある大使が、日本を脅すかのような発言をしたことに対し、政府が抗議したのは当然だ。

日中韓首脳会談 地域の安定へ協力積み重ねよ
2024/5/28 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20240528-OYT1T50024/
日中韓3か国の首脳同士で意思疎通を図ることは大切だが、安全保障について日韓両国と中国との間の溝の深さも改めて浮き彫りになった。
岸田首相と中国の李強首相、韓国の尹錫悦大統領がソウルで会談し、人的交流や経済・貿易など6分野で協力することを柱とした共同宣言を採択した。
共同宣言は、文化や観光、教育の交流を促進し、2018年に3054万人だった3か国内の往来人数を、2030年までに4000万人に増やす目標を掲げた。
日中韓の自由貿易協定'FTA)の締結交渉を進める方針も明記した。
ただ、対立の少ない分野に絞って合意をまとめたのだろう。
日中韓首脳会談は2019年末に中国で開かれた後、日韓関係の悪化などで途絶えていた。
4年半ぶりに対面で話し合ったことを契機に、地域の安定に向けて、具体的な協力を積み重ねることが重要だ。
しかし、安全保障に関しては後退も目立つ。
前回の首脳会談の成果文書では
「我々は朝鮮半島の完全な非核化に関与している」
としていた。
今回の共同宣言では、朝鮮半島の非核化について
「それぞれ立場を強調した」
と述べるにとどめた。
会談の当日、北朝鮮が
「人工衛星」
の打ち上げを予告したことに関し、李氏は
「各当事者は自制を保ち、事態の複雑化を避けねばならない」
と述べただけだった。
これらは、中国が軍事的な挑発を強める北朝鮮を擁護していることの表れだろう。
中国はこうした態度が北朝鮮を増長させていることを、自覚すべきだ。
日本は、米韓両国と安全保障協力を強化していかねばならない。
日中の首脳会談も行われ、岸田首相は、中国による日本産水産物の輸入禁止措置の即時撤廃を求めた。
中国が日本の排他的経済水域(EEZ)内に設置しているブイの撤去も要求したが、いずれも李氏は応じなかったという。
懸案の解決に向き合おうとしない李氏の姿勢は残念だ。
中国は、不動産不況に苦しむ中で投資を呼び込みたいのだろうが、こうした姿勢では到底望めまい。
日韓関係では、元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟を巡り、韓国国会で多数派の野党が、政府傘下の財団が賠償金相当額を支払う解決策の撤回を訴えている。
岸田首相は尹氏と会談し、緊密な意思疎通と関係の強化で一致した。
首相は尹氏との信頼関係を生かし、解決策を着実に実行するよう働き掛けていく必要がある。

[社説]中国は台湾への軍事的な威嚇をやめよ
社説
2024年5月24日 19:05
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2437B0U4A520C2000000/
中国軍が台湾周辺で2日間、軍事演習を実施した。
「台湾独立を目指す勢力への懲罰」
としているが、台湾を包囲するような軍事的威嚇は、如何なる理由があろうと許されない。
台湾の頼清徳総統は2024年5月20日の就任演説で中国との関係について、統一も独立もしない
「現状維持」
と明言した。
これは総統選で示された民意である。
頼氏は台湾と中国は互いに隷属しないとも述べた。
中国は強く反発しているが、頼氏と同じ民主進歩党(民進党)の蔡英文・前総統の時代から使われてきた表現の1つに過ぎない。
今回の軍事演習を見ると、中国の陸海空軍と核ミサイルを運用するロケット軍の演習地域は拡大傾向にある。
台湾本島の北・東・南部の他、離島の金門島や東引島を含む馬祖列島の周辺などでも演習したとしている。
軍事演習には中国海警局の船舶も加わった。
海警は、軍最高意思決定機関の中央軍事委員会傘下にある武装警察部隊(武警)指揮下に入っている。
沖縄県の尖閣諸島周辺にも出没する海警の新たな動きに注意を払うべきだ。
中国軍は2022年8月、当時のペロシ米下院議長が台湾を訪問した際も、台湾を包囲するように7日間、軍事演習をした。
中国軍の弾道ミサイル5発が初めて日本の排他的経済水域(EEZ)に着弾した事実は記憶に新しい。
台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障上、極めて重要だ。
インド太平洋地域の安定にも関わる。
力による現状変更は許されない。
軍事演習を終えたとしても、今後エスカレートする可能性がないのか、注視する必要がある。
中国は言論面でも強硬姿勢を強めている。
呉江浩駐日大使は、日本と台湾の関係に絡み、日本が
「中国分裂」
に加担すれば
「日本の民衆が火の中に引きずり込まれる」
と述べた。
台湾の総統就任式に日本の国会議員が出席したことも念頭にあるようだ。
「日本の民衆が火の中に」
という表現は、日本国民の感情を傷付け、甚だ不穏当だ。
外交儀礼に反する威嚇と言わざるを得ない。
林芳正官房長官が
「極めて不適切だ」
と、直ちに抗議したのは当然である。
日本の国会でも問題視する動きがあり、今後の日中関係にも影響しかねない。
中国には言動に慎重さを強く求めたい。

[社説]日中韓の対話再開を地域の安定に生かせ
社説
2024年5月27日 19:05 (2024年5月28日 0:54更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK2743J0X20C24A5000000/
4年半ぶりとなる日中韓サミットが2024年5月27日、ソウルで開かれ、自由貿易協定(FTA)交渉の再開など幅広い協力を謳った共同宣言を発表した。
緊張が高まる東アジアで首脳級が顔を合わせる意義は大きい。
対話再開を地域の安定に生かさねばならない。
宣言は、合意し易い人的交流と相互投資の拡充を前面に打ち出した。
日韓にとって中国は貿易総額の20%ほどを占める最大の貿易相手国で、人口減少と少子高齢化といった同じ課題も抱えている。
安定した隣国関係作りは安全保障、経済両面で重要である。
同サミットの久々の再始動は中国の意向が左右した。
国内景気の冷え込みや地方財政の悪化などで日韓と経済関係を立て直す必要性に迫られたのではないか。
2023年11月に釜山で開いた3カ国外相会談の際は見送られた晩さん会や共同記者発表にも今回は応じた。
中国が外資誘致への期待を示す一方、東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出に関し、日本側が求める日本産水産物の輸入停止措置の即時撤廃などでは大きな進展がなかった。
宣言には北朝鮮の非核化に向けた連携も入っておらず、溝の深さを物語る。
北朝鮮はこの日、軍事偵察衛星と見られる人工衛星を打ち上げると日本側に通告した。
夜に発射したが、失敗した。
今回の発射は国連安全保障理事会の決議に違反する。
共同宣言が目指す地域の平和と安定に挑戦する行為で、断じて容認できない。
岸田文雄首相と韓国の尹錫悦大統領の信頼関係が中国を同サミットに呼び戻したのは間違いない。
新総統が誕生した台湾を巡る問題は日韓の経済安全保障やエネルギー問題にも波及する。
中国の強圧的な言動に声を揃えて言うべきことを言う姿勢が大事だ。
2024年4月の総選挙で与党が大敗した韓国では尹政権が対日政策を含めて野党の攻撃に晒されている。
2024年5月26日の日韓首脳会談では、水素などのグローバル供給網の確保などに向けた協力の強化で合意した。
両政府は成果を積み重ねて揺るぎない関係を築くよう求めたい。
日中韓サミットに中国から参加するのは首相で今回も李強氏だった。
中国はトップの習近平国家主席に権力が集中する。
最近も台湾全域を取り囲む形で軍事演習に踏み切るなど強硬姿勢を鮮明にしており、岸田首相は習氏を対話の場に引き出す努力も必要になる。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/521.html#c21

[政治・選挙・NHK294] これだけ選挙に負けているのに、よくやるわ いよいよ近づく自公維の敗戦記念日(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
26. 秘密のアッコちゃん[371] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月05日 16:49:09 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[484]
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「共生」ではなく「統合」が必要だ
正論2024年7月号 評論家 三浦小太郎
本稿では、まず戦後の日本における外国人の受け入れ政策の歴史を簡単に辿り、私が実際に接した外国人を巡るいくつかのケースを示した上で日本が今後、受け入れを行う場合に考えるべき
「思想的原則」
を述べる。
尚、本稿で私は
「移民」
という言葉を原則として使わない。
日本政府はこれまで、我が国の外国人労働者の受け入れについて、あくまで一定の期間に限定した、専門的、技術的分野の労働者の受け入れであって、我が国への定住を目指す
「移民政策」
は採っていないと一貫して述べてきた。
しかし現実には、一定期間就労した労働者が長期滞在や定住を継続して求める可能性は極めて高く、こうした線引き自体、外国人受け入れ策について移民政策か否かと議論することと同様余り意味がないと思えるからだ。
大東亜戦争の敗戦後、日本には約200万人に及ぶ朝鮮半島出身者が存在した。
敗戦までは
「日本国民」
だった彼らを単純に外国人問題と捉えることには無理がある。
ただ、歴史的教訓とすべきことは、在日朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)という北朝鮮に従属する組織の存在を事実上容認してしまった点で、我が国に禍根をもたらした。
これは後述する。
日本の外国人受け入れの大きな転機となったのは1970年代後半のベトナム難民の受け入れと1979年の国際人権条約、1981年の難民条約の批准である。
戦争と革命の世紀であった20世紀に、国境を越えた難民、移民の権利を守るために打ち立てられた理念の1つが、条約にある内外人平等待遇、即ち自国民に与えるものと同等の待遇を外国人にも保障するという原則である。
この原則に基づき、1948年に国連で採択された世界人権宣言では
「人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身」
による差別を否定し全ての人が
「社会の一員として、社会保障を受ける権利」(第22条)
を持つと見做した。
更に1966年に採択された国際人権規約には
「社会的及び文化的権利に関する国際規約」
として
「国民若しくは社会的出身による差別」
の撤廃が記されている。
難民条約にも、第23条で公的扶助を難民に対し自国民と平等待遇とするような条文が存在することは外国人受け入れにおいてまず議論の前提にならなければならない。
1989年には出入国管理法が改正される。
この法律は現在に至るまで日本政府の外国人受け入れの基準を定めたもので
@不法就労、不正規滞在の取り締まり
A専門・技術職の受け入れ拡大
B技能実習制度の先駆けとなった「企業研修」制度による在留資格
が特徴だ。
在留に期限と資格を設けて外国人を受け入れるという原則を掲げたものである。
当時の時代背景を説明すると、1985年のプラザ合意以後、円高によって外国人労働者が日本で働くメリットを感じ、出稼ぎ労働者として日本に流入していた。
「3K」
と言われた
「きつい」「汚い」「危険」
な職場に不法就労や資格外活動といった劣悪な労働条件の下で単純労働を課されるという実態が横行していた。
2012年には高度人材ポイント制度が導入された。
これは
「高度」
な学術研究、専門技術、経営管理などに従事している外国人に対し、学歴、職歴、年収などについてそれぞれポイントを設け、合計が70点に達した場合は優遇措置として配偶者の就労、永住許可申請に必要な居住年数の短縮など様々な優遇措置が設けられた。
2023年には更に拡充された特別高度人材制度が導入された。
高度人材として滞在する外国人の数は、2022年度の段階で1万8315人におり、うち63.9%が中国である。
次いでインド5.7%、韓国4.4%、アメリカ4.1%、台湾3.2%と続く。
(出入国在留管理庁資料より http://www.moj.go.jp/isa/content/930003527.pdf)
日本の高度先端技術の分野に迎え入れられている外国人の6割以上が中国人であるという現実は、安全保障上も注意が必要である。
2018年に行われた出入国管理法改正では、更に新たな在留資格として
「特定技能」
が設立された。
日本の産業を支える業種のうち、@介護AビルクリーニングB素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業C建設D造船・舶用工業E自動車整備F航空G宿泊H農業I漁業J飲食料品製造業K外食業など人手不足業界と列挙した上で
「特定技能1号」
「特定技能2号」
の2種類の在留資格を認める制度である。
これまでの在留資格はいずれも国際貢献を目的にしていたが、初めて明確に人手不足の中で業態維持のために外国人を受け入れると掲げた。
2024年3月29日には自動車運送、鉄道、繊維、林業などの業界が追加された。
「特定技能2号」
はより熟練した労働者で日本語にも長け、在留期限は無制限とし、家族の帯同も許可される。
本来日本が公的には認めていないはずの単純労働者の受け入れが横行していたのが、日系ブラジル人など日系人の受け入れと、1993年から始まった技能実習制度、更には不法就労者だった。
技能実習制度は外国人が最長で5年間、働きながら技能を学ぶことで
「技術移転」
を行うことが目的であったが、現実には最低賃金を下回る額で厳しい労働条件下に置かれ、また、実習生が職場から失踪するなどの問題が相次いだ。
結果、政府の有識者会議の決定として、2023年の段階で現行制度を廃止し
「育成就労制度」
に変更、基本的に3年で一定の専門性や技能を持つ水準にまで育成し、受け入れ職種を、介護や建設、農業などの分野に限定することになった。
この技能実習は、外国人受け入れにおける本質的な問題が露呈した例である。
実習生の受け入れ目的が技術移転という国際貢献であっても、実際に受け入れる企業の立場からすれば、現場で作業をする労働者とは本来雇用関係にあり、企業に利益をもたらす存在でなければならない。
国家の方針にどんな理想論が掲げられようと、それが実践されるのはあくまで現場なのだ。
実習生たちを送り出す国側も、的確な制度の下に行っている場合もあれば、国によってはブローカーまがいの組織が高額な借金を課す形で日本へ送り出すケースもある。
私はある外国人が日本における就労ビザのために100万円以上を必要としたと聞いたことがある。
良心的で法に則った受け入れと技能研修を行ってきた企業や組織の名誉のためにも、送り出し国側の諸問題は日本の受け入れの在り方と共に抜本的に解決されなければならない。
更に不法就労者たちの存在は、日本の治安の脅威となるだけでなく、何らの法的保護も設けられない彼ら自身の人権問題として深刻な事態を引き起こしかねない。
以上に見られるように、日本政府は
「移民政策」
という言葉を否定はしてきたが、事実上外国人労働者の受け入れを継続して行ってきた。
そして、ほとんどの決定は閣議決定でなされ、国会においても政府与党内においてもそれ以後、十分な審議が尽くされたとは言い難い。
仮に審議が尽くされたとしても
「少子化の実情から外国人受け入れは日本経済のために必要である」
という、政府や企業の多数派によって疑われることのない命題に沿った結論(及びリベラル側からの多文化共生と差別反対がこれを補強する)しか生まれないのではないだろうか。
私たちはこの命題自体を再検討すべき時に来ている。
そのために参考になる文献の1つは、自身もキューバからの移民である経済学者、ジョージ・ボージャスが著した『移民の政治経済学』(白水社、2017年)である。
■単なる労働力ではなく『人間』
まずボージャスは、移民=外国人労働者は、
「人間」
であって
「労働者」
「労働力」
といった抽象的な存在ではないことを常に強調する。
彼らは自らの意志で行動し、受け入れ国にロボットのように使われ、必要がなくなれば処分されるような存在ではない。
外国人労働者を受け入れることは、彼らの社会福祉や人権を当然守ることを前提とする。
これは先述した国連の規定からも明らかだ。
同時にボージャスは、人類の歴史において、移民受け入れは受け入れ国にとって経済的利益がある場合のみ行われ、そうでない場合には国境は閉ざされたという歴史的事実を確認している。
この両面が外国人受け入れを考える上では必要な姿勢なのだ。
ボージャスは移民のもたらす経済的利益を一概に否定しているのではない。
移民が労働人口に参加すれば、確かに富は移民と競合する立場にある労働者から、移民を使う側の経営者に移転される。
移民が労働市場に入ることで、労働者の賃金は低下するが、この賃金減少分は、人件費を節約できた企業の利益となる。
これを
「移民余剰」
という。
この
「移民余剰」
によって受け入れ国全体の富は確かに増加するが、それは同時に自国の労働者にとっては富を失うことである。
ボージャスの指摘は更に付加すれば、企業が設備投資などの生産性向上よりも、安価な外国人労働者を雇うという安易な選択を行い、本来は社会的に改革すべき低生産性の工程・部門が国内に残存してしまう。
またボージャスは移民余剰の利益は、先進福祉国家では、移民への社会保障費によってほぼ相殺されると述べている。
短期的には移民は経済的のみならず、社会的、政治的、経済的に負の影響をもたらす可能性が高い。
そしてボージャスは現代のアメリカに対し
「1100万人もの書類不所持移民を入国させているような穴だらけの国境」
の現状のままでは、移民政策を論議すること自体が無意味だと断定する。
尚、不法移民の取り締まりのためには、ボージャスは国境封鎖よりも不法就労者を雇用する雇用主への処罰の厳格化を求めている。
更に中東からの難民にも触れ、自身の体験から深い同情を持ちつつ
「我々は現実的でなければならない」
「難民の中には少数だが恨みや争いを持ち込み、それを受け入れ国で晴らそうと思う人々がいる」
「また、受け入れ国の社会と政治の安定を揺るがす恐れのある文化的慣習を持ち込む人もいる」
「移民政策は益々(難民であろうがなかろうが)移民が単なる労働職以上のものを持ち込む存在であることを考慮に入れなければならなくなるだろう」
(『移民の政治経済学』)
と警鐘を鳴らす。
■脱北者の順法意識
ここで私のささやかな体験を述べておきたい。
私はある時期、北朝鮮から脱出して日本に入国した脱北者たちの定着支援に関わっていた。
日本は、1959年に始まった帰還事業により北朝鮮に渡った帰国者とその子孫に関しては、彼らが脱北後、希望した場合は歴史的経緯と人道的配慮で日本国に受け入れてきた。
その中には帰還事業の責任と国内の人権弾圧を告発して北朝鮮国家を訴えている人たちもおり、多くは無事日本社会に適応している。
しかし、私の接した脱北者の中には、日本の法律や制度を軽視する傾向もまた見られた。
脱北者は中国においても難民としての保護は受けられず、警察に見つかれば強制送還の運命が待っていた。
「違法状態」
に置かれ、しばしば中国人のブローカーに匿われてきた脱北者の中に、法律への軽視の意識が生まれてもやむをえまい。
しかしその結果、中国朝鮮族が脱北者に成りすました形で入国したり、脱北者自身がブローカーまがいの振る舞いを行うこともあった。
あるいは麻薬の売買に関与したり、偽パスポートによって偽装難民化したりした事例が、ごく少数とはいえ、散見されたことも事実である。
私は一部の例を持ち出して脱北者を受け入れてきたという人道的意義を否定したいのではない。
ただ、難民の性格を考え得る上で決して無視できない一面である。
今、埼玉県川口市で問題になっているクルド人問題も同様である。
2024年4月13日の産経ニュースの記事
「川口の仮放免者700人、初めて判明 大半はクルド人か 各自治体に情報提供へ運用見直し」
によれば、埼玉県川口市内には、現在、難民認定申請中で入管施設への収容を一時的に解かれた不法滞在状態の
「仮放免者」
が約700人存在している。
これは出入国在留管理庁のまとめた数字であり、大半はトルコ国籍のクルド人とみられる。
記事によれば
「仮放免者の情報はこれまで、本人が希望しない場合は当該自治体へ通知されず、自治体にとって実態把握が困難」
であったが、今後は
「自治体から要請があれば入管庁から仮放免者の情報が提供されるよう、入管難民法の運用を見直した」。
更に2024年6月10日の改正難民法施行以後は
「仮放免許可書」
の携帯を新たに義務付ける。
埼玉県川口市内では近年、クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している。
「仮放免者」
の問題は、今の入管の病が凝縮しているとも言えるだろう。
厳正な法執行こそがまず必要であるにもかかわらず、それが出来ずにいる。
一方で外国人への門戸を広げることは際限がないのに、在留管理という我が国の外国人受け入れの原則は貫けずにいる。
本誌令和3年8月号でも論じたが、今回の改正入管法で難民申請中の送還停止は2回までが限界となり、申請3回目(もしくはそれ以上)の場合は送還の対象となる。
これは難民認定が却下された後も、ほとんど同一の資料で、何度も申請要求を繰り返し在留を引き延ばす行為への防止策だ。
私にも国家を持たぬクルド人の歴史に一定の同情はある。
ただ、敢えて言えば国家を持ち得なかったクルド人に、国家秩序や法意識への軽視が見られるならば、それは受け入れ国の保護を自ら放棄したことと同じ事なのだ。
■「国家」の在り方議論を
外国人の受け入れと文化的統合のモデルとしては、これまではアメリカ型の
「メルディング・ポット」(多様な人種、民族による文化が社会で溶け合い、新しい生活文化を形成する)
という概念が存在した。
しかしこの理念は本家アメリカにおいて、1960年代の公民権運動やブラック・パワーをはじめとする様々なマイノリティ運動の中で否定されていく。
人種のるつぼ理念とは、白人多数派の価値観への従属を強いるもので、各民族の文化を否定するものだと批判されたのだ。
次に生まれたのが多文化共生の理念で
「モザイク型」
の受け入れ理念として世界に広がった。
だが、多文化共生には大きな落とし穴がある。
それは現在普遍的な理念として受け入れられている、政教分離、男女平等、自由民主主義、反差別主義、人権擁護、また伝統を尊重した上での自由といった、西欧近代の生み出してきた最良の理念を相対化し、各民族文化の差異を強調することで、BLM(ブッラクライブズマター)に代表されるような激しい分離・対立を社会に招くことに繋がってしまったのだ。
白人の差別意識への批判が行き過ぎたアファーマティブ・アクション(マイノリティ優遇政策)を引き起こし、人権擁護が事実上の言論弾圧であるポリティカル・コレクトネス(社会の特定のグループのメンバーに不快感や不利益を与えないように意図された政策(または対策)などを表す言葉の総称であり、人種、信条、性別、体型などの違いによる偏見や差別を含まない中立的な表現や用語を使用することを指す)として猛威を振るい、表現の自由をも脅かしている。
少数派の文化が時として普遍的な自由や平等の価値観に反する場合にそれは無条件で肯定すべきなのか。
イスラム教における
「名誉殺人」
(婚姻拒否、強姦を含む婚前・婚外交渉、「誤った」男性との結婚・駆け落ちなど自由恋愛をした女性、更には、これを手伝った女性らを「家族の名誉を汚す」ものと見なし、親族がその名誉を守るために私刑として殺害する風習のことである)
(射殺、刺殺、石打ち、焼殺、窒息が多く、現代では人権や倫理的な客観から人道的問題としても議論される)
(一部の文化圏では父や夫以外の男性と同空間滞在(非隔離)した女性や同性愛者が対象となったとされる)
(殺害被害者は多くは女性であり、男性の場合は同性愛者の場合が多いが、異性愛の男性が殺される事件も稀にある)
(「名誉殺人」とも言う)
(イスラム教が盛んな地域で主に行われているため、その宗教や文化と関連付けられて語られることが多い)
(しかし、ヒューマン・ライツ・ウォッチの責任者の1人であるウィドニー・ブラウンは、この犯罪について「文化や宗教を超えて行われる」と警鐘を鳴らしている)
やかつてインドで存在した寡婦が夫を追って焼身自殺する儀式(サティー)を私たちの社会で認めることなどできまい。
そして我が日本では、朝鮮総連の存在が
「在日朝鮮人の人権組織」
と見做され、このことが事実上国内での工作活動や犯罪を看過することに繋がった。
今、新たなモデルとして生まれているのは
「市民的統合」
である。
これは外国人が、受け入れ国の言語、歴史、自由民主主義の価値観について教育によって受け入れ、身に付ける形で統合を目指すやり方である。
これはオランダが最初に打ち出し、1998年、オランダ語習得や市民教育などの
「統合コース」
への参加が移民に義務付けられた。
その後、この統合システムはヨーロッパに拡大している。
私はこのモデルを応用することが日本の今後に最も相応しいと思うが、ここで敢えて
「国民統合」
という言葉を使いたい。
「国民統合」
とは、自由民主主義と政教分離といった現在国際社会で通用する普遍的価値観の許容や日本の文化伝統への一定の理解を外国人受け入れの前提とすることである。
このシステムは難民や準難民に対しても適応される。
受け入れた外国人を外国人と見てその文化を尊重する共生政策とは異なり、
「日本国民」
と同等に扱う同化主義に近いが、それは普遍性への同化と、今後在住する日本国の文化への理解を求めることだ。
もちろん、その原則の上でも各民族文化への尊重は同時に可能なはずであり、そのバランスを取ることこそが、元々寛容な姿勢で多文化を(西欧の近代主義も含めて)受け入れてきた日本の伝統である。
最後に、私は前述した人権規約や難民条約における、内外人平等待遇の原則を、今、国際社会は見直すべき時に来ていると考える。
難民や移民を保護してその権利を守ろうとする精神は何ら間違ってはいない。
だが、特に近年の欧州における難民・移民の現状を見る時、かつての
「迫害する国家から脱出した難民を守る」
という理念と同様に
「難民(及びそれと判別し難い大量難民)から、既存の国家や社会の秩序を守る」
こともまた重要な時代に私たちは生きているのだ。
社会秩序や安全保障の問題、ひいては国家とは何かという理念の問題まで拡大して議論することが、国会でも民間でもまず必要である。

川口の仮放免者700人、初めて判明 大半はクルド人か 各自治体に情報提供へ運用見直し
「移民」と日本人
2024/4/13 19:14
https://www.sankei.com/article/20240413-EBG6TISPPRGJTEK7FDFWV7C2FE/
日本語、トルコ語、クルド語で「公園内で、夜に大きな声や音を出してはいけません」「ごみはきちんと持ち帰りましょう」と呼びかける看板=埼玉県川口市
https://www.sankei.com/article/20240413-EBG6TISPPRGJTEK7FDFWV7C2FE/photo/JESUUVVFENF75H7HMVM5MJDCNY/
難民認定申請中で入管施設への収容を一時的に解かれた不法滞在状態の
「仮放免者」
が、埼玉県川口市内に700人程度いることが2024年4月13日、出入国在留管理庁のまとめで分かった。
大半はトルコの少数民族クルド人とみられる。
仮放免者の情報はこれまで、本人が希望しない場合は当該自治体へ通知されず、自治体にとって実態把握が困難だった。
このため、自治体から要請があれば入管庁から仮放免者の情報が提供されるよう、入管難民法の運用を見直した。
また、2024年6月10日施行の改正入管難民法では、仮放免者に
「仮放免許可書」
の携帯を新たに義務付け、携帯しやすいよう、許可書の大きさを従来のA4判からカード大のサイズに変更するという。
川口市内では近年、クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している。
この日、市内で国会議員らが
「一部の外国人による迷惑行為のある地区」
を視察。
その後に市や市議、入管庁との意見交換会が開かれ、終了後に参加者らが報道陣に明らかにした。
入管庁によると、仮放免者数は日々変動するが、直近では川口市内に約700人おり、大半はトルコ国籍という。
同市内にはトルコ国籍の正規の在留者が約1300人おり、トルコ人も含め、合わせて約2000人となる。
強制退去処分が出ながら送還を拒む不法滞在状態の
「送還忌避者」
は、令和3年末時点で3224人。
このうち半数に当たる1629人は難民申請中で送還が停止されていた。
送還忌避者は令和4年末時点では4233人まで増えた。
改正法施行後は、難民認定申請中の強制送還停止が原則2回までに制限され、仮放免者の数も減ることが想定されている。

きっと再燃する外国人参政権問題
正論2024年7月号 日本政策研究センター 岡田邦宏
我が国の外国人政策が大転換しようとしている。
今、国会に提出されている法案(出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案など)は、出身国への技術移転など国際貢献を建前とした現在の
「外国人技能実習」
制度を廃止し、人手不足を補うことを正面に掲げた
「育成就労」
制度、つまり外国人労働者を労働力として位置付け導入する制度へと転換することが眼目となっている。
この
「育成就労」
資格で3年の在留期間を経て技能や日本語能力が育成されたとなると在留資格が
「特定技能1号」
となり、更に次の段階として熟練技能が求められる
「特定技能2号」
の試験に合格すれば永住資格の取得も家族呼び寄せも可能となる。
また、これまでの技能実習制度では原則認められていなかった実習先の転籍が、新制度では1つの職場で1年を超えて働いた場合、条件付きで認められることとなる。
こうして
「育成就労」
資格で3年の在留期間を経て在留資格が
「特定技能」
となった場合も、外国人が働くことのできる職種が従来の14業種に自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野が追加されることが決定している。
近い将来、水産加工や製造業、農作業だけでなくバス・タクシーの運転手や鉄道の駅員として外国人が働く姿を見ることとなる。
まさに、外国人政策の大転換と言えるが、この転換がもたらすものは何か。
人手不足が幾分か解消されるというだけの単純な話ではない。
朝日新聞は
「未熟練労働者として入国した人たちに中長期のキャリアパスを示し、将来的な定住への道筋が見えるようにした」(2023年10月20日・社説)
と評価したが、外国人労働者の定住を促進するかのような政策変更と言える。
我が国の外国人政策は在留期限と在留資格を限定して在留を許可する
「在留管理」
が原則で、期限が切れると在留できなくなる制度のはずだったが、今回の政策転換が定住を前提とまで言わないが、定住を促進する、移民政策に転換するかのような内容と読めてしまうことは否定し難い。
■外国人が10%を超える日
問題は定住化だけではない。
既に日本人人口が急激に減少する一方、今回の政策転換以前から在留外国人は着実に増加する時代が始まっている。
2023年6月時点での在留外国人の総数は322万3856人(出入国在留管理庁)で過去最高となった。
そのうち外国人労働者は204万8675人(2023年10月末時点)で、前年から22万人余り増加し、初めて200万人を超えた。
政府は今回の政策転換によって5年間で82万人の外国人労働者の増加を見込んでいるというのだから、今回の法改正が外国人労働者の流入を加速させることは間違いあるまい。
このまま日本人人口が減少し、外国人人口の増加が続けばどうなるか。
国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研と略)による推計(2023年4月公表)では、今から45年後の2070年に日本の総人口は8700万人に減少し(2020年の国勢調査による1億2615万人から31%減)、その一方で在留外国人は939万人へと増加するとの推計を発表している。
つまり、総人口に占める外国人の比率が10.8%となり、現状の比率約2%と比べて約5倍、日本は10人に1人が外国人という人口推計となると予測されている。
しかも、既にその時期が45年後の2070年よりかなり早く前倒しされる可能性すら指摘されている。
入管庁の発表によると外国人の入国者数から出国者数を引いた
「入国超過」、
つまり外国人の増加数は2023年9月までの1年間で24万人と前年同時期を5万人も上回っていた。
実は、先の社人研による外国人人口推計は毎年16.4万人の入超を想定した推計だったが、現実には既にその1.5倍も増加している。
この増加傾向が続けば外国人人口比率10%は2070年より10年、20年早まるのは確実と言える。
ちなみに外国人比率10%と言えば、ヨーロッパではドイツ(19%)には及ばないが、イタリア(11%)とほぼ同率、フランス(13%)やイギリス(14%)に近い数字と言える。
これらの国々では移民問題が国政上の大問題となっているが、外国人労働者を移民とは呼ばない我が国においても、本格的な
「外国人政策」
が論じられねばならない時代がやって来ていることは確かである。
■抜け落ちた地方への視点
外国人政策は、出入国管理が国家の主権に係わり、労働政策を含めて出入国や在留、帰化などの制度も基本的に国政マターであり、今回の政策転換を行った背景となったのも外国人材受け入れ・共生に関する関係閣僚会議の報告書
「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」
と言える。
そこで何が掲げられているのかと言うと、
「外国人も社会の一員として包摂する安全・安心な社会」
「外国人を含む全ての人の社会参加」
「個人の尊厳と人権を尊重した社会」
の3つのビジョンを挙げ、外国人との共生社会を目指そうという構想である。
このロードマップに掲げられた共生のビジョンを真っ向から否定しようとは思わないが、その実現性に疑問を持たざるを得ないというのが率直な感想と言える。
というのも、外国人人口の増加、定住化の波に直面するのは
「地方」
なのだが、このロードマップにはその
「地方」
への視点が見当たらないというかすっぽり抜け落ちていると言わざるを得ないからである。
外国人は日本で働くために入国し在留しているが、単なる労働力として位置付けるだけで済む問題ではない。
「我々は労働力を呼んだが、やって来たのは人間だった」
というスイス人の言葉があるように、職場での労働環境、年金・健康保険、子供の保育・学校教育、本人と家族の日本語教育、更には生活保護を含めた生活環境の整備が必要とされることは言うまでもない。
そうした課題や問題に実際に直面するのは中央官庁ではなく地方自治体である市町村だが、自治体財政や人的問題への言及は余りに少ない。
そうした地方との連携が余りに希薄で、
「外国人との共生」
だけが独り歩きしているように読めてしまうというのが筆者の感想である。
■その先に外国人参政権
先に挙げた行政対応など財政的・人的問題はクリア可能だとしても、もっと深刻な問題がある。
ロードマップが外国人を
「日本社会を共に作る一員」
と位置付け、外国人の
「個人の尊厳と人権」
が尊重される社会を目指すことを強調している。
しかし、外国人の
「個人の尊厳と人権」
を強調すれするほど、その先には
「外国人参政権」
という議論が待ち構えていることは間違いない。
そもそも参政権(選挙権・被選挙権)は国民が自国の政治に参加する権利であり、外国人には与えられていない。
少し説明すると、平成7(1995)年の最高裁判決は概略次のように外国人の地方参政権を否定している。
憲法15条1項は公務員の選定罷免権は
「国民固有の権利」
と規定し、その
「国民」
とは憲法が規定する国民主権の原理における国民、つまり我が国の国籍を有する者を意味することは明らかで、そうした性質上、地方選挙であっても在留する外国人には及ばない。
また
「住民」
についても
「憲法第93条2項に言う『住民』とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当」
とも判示した。
その意味で外国人の参政権問題はこの最高裁判決で決着が着いていると言えるが、近年、当時とは違う事情が生じてきていることに留意したい。
平成7(1995)年の最高裁判決当時は憲法学者の間でも外国人の参政権は憲法上保障されないとする全面否認説(禁止説)が有力であったが、最近では国政レベルにおいて外国人の参政権は認められないが、地方自治体レベルの参政権は、外国人に認めても憲法違反にはならないとする学説(許容説)が有力となっているからである。
例えば、芦部信喜・高橋和之『憲法』(第7版)は、
「狭義の参政権(選挙権・被選挙権)は外国人には及ばない」
「しかし、地方自治体、特に市町村という住民の生活に最も密接した地方自治体のレベルにおける選挙権は、永住資格を有する定住外国人に認めることもできる、と解すべきであろう」
としており、樋口陽一『憲法』(第4版)も
「(外国人の)地域社会構成員としての性格に着目して、地方自治体の選挙につきそれらを認めることは、一般的に言って、違憲の問題を生じないと解することができよう」
と解釈している。
こうした憲法解釈を読めば、外国人を
「日本社会を共に作る一員」
と位置付けるロードマップのロジックと類似していることが分かる。
外国人の
「個人の尊厳と人権」
が尊重される社会を目指すという方向性は外国人地方参政権許容説と重なると言えよう。
尚、この他に憲法学者の中には憲法が外国人参政権を要請しているとの学説もあるがここでは省略する。
今現在、具体的に外国人参政権要求が叫ばれているわけではない。
しかし、近い将来、新たな参政権要求が提起された場合、最高裁判決当時(平成7年、1995年)とは学説状況が変わっていることを考えれば、従来の最高裁判決が維持できるのかどうか、不安なしとは言えない。
今の政府の閣僚会議が最高裁判決を超えて外国人参政権の議論を報告書に書くことはあり得ないが、関係閣僚会議のロードマップが外国人を
「日本社会を共に作る一員」
とし、外国人の
「個人の尊厳と人権」
の尊重を提言したことが、参政権議論の中で許容説の布石となることは十分にあり得るように思える。
■急増する10%超の市町村
参政権問題では、こうした憲法解釈とは別に外国人人口の増加によって市町村単位で深刻な問題が持ち上がることが予想される。
前提となる解説をさせて頂くと、先に外国人の人口比率が10%を超える時代が到来すると書いたが、この10%はその時の総人口の分母とし全外国人を分子とした比率、言わば全国平均であって、これを個別の市町村で見ると事情が大きく変わってくる。
4年前2020年の国勢調査では、外国人比率が10%を超えている市町村は10自治体程度しかなかったが、外国人人口の増加傾向を踏まえて5年後10年後に10%を超える市町村がどれほど増えるだろうか。
実は将来の市町村ごとの外国人人口は推計されていない。
ただ、社人研は毎年の全国レベルの外国人人口の
「入超」(増加)
分を16.4万人として計算しているので、この増加分を既知の国勢調査(2020年)の市町村別の外国人人口のシェアに基づいて年ごとに市町村に加算する方法で計算してみると、個別の市町村の数字は正確ではないにしても、ある程度のトレンドを知ることができる。
全体の傾向として言えることは、今から6年後の2030年になると、外国人比率が10%を超える市町村の数は40〜50と急増し、しかも分母となる日本人人口が少なくて外国人人口が多い現在の10%越えの市町村とは違って、地方では製造業の大規模工場や工場団地周辺の小都市、都市部では大阪や東京の一部の区に加えて名古屋市や神戸市の一部の区も、埼玉県川口市など特定の国の外国人が集中する自治体も10%を超えるという傾向が読み取れる。
このままの傾向が更に次の10年も続けば、10%超の自治体は100近くになる可能性がある。
また、10%超の予備軍とも言える外国人比率7〜9%の市町村は4年前2020年の国勢調査時には26しかなかったが、2030年の段階で既に倍増するとの傾向が窺える。
■地方政治を左右する勢力に
こうした外国人人口の急増は、仮に外国人に選挙権が与えられたとすれば、地方政治に大きな影響をもたらすこととなる。
人口10万人規模の市では市会議員は1200票程度で当選している(定数25〜30)。
その市の外国人人口比率が10%の場合、有権者数や投票率を考慮しない粗っぽい計算だが、複数の議員を外国人だけで当選させられる。
人口20万人の市と言えば地域の中心的な自治体だが、市議は1400票〜1500票で当選している。
ここでも外国人の人口比率が10%を超えていれば、更に複数の議員が当選可能と言える。
そうなれば外国人の政治集団ができると言えよう。
在留外国人からすれば、人口の一定比率を占めながら(ここでは仮に10%としたがそれ未満でも問題の性質は変わらない)、自分たちの代表を持てないのは、
「個人の尊厳と人権を尊重した社会」
というロードマップの共生ビジョンに反する、まさに人権が損なわれているという問題意識が生まれても何ら不思議ではない。
日本人の側にも、こうした外国人の政治パワーを利用しようと地方参政権の獲得を掲げる政治勢力も出てこよう。
かつて民主党政権は2009年の総選挙での民団(在日本大韓民国民団)の選挙支援と引き換えに外国人地方参政権法案を当時の小沢一郎幹事長が主導して提出しようとしたことがあった。
外国人労働者問題の専門家の中には参政権など当然だと主張する向きもある。
宮島喬(みやじまたかし)お茶の水女子大学名誉教授は
「(外国人労働者は)住民として国や自治体から様々なサービスを受ける権利を持ち、またサービスを受けるだけでなく、参加する権利、つまり地域の諸組織に参加したり、地域政治に参加する権利も認められるべきでしょう(住民投票、地方議員・首長の選挙に参加したり、請求権などを行使したりする権利)」
と主張している(岩波ブックレット『新版外国人労働者受け入れを問う』)。
今後、子弟の教育など外国人の生活に係わるテーマが地方選挙の争点となった場合、選挙権が認められていないことが問題視されることは十分に考えられよう。
こうした状況の背景にあるのは、これまで日本人が経験したことのない外国人の増加であることは間違いない。
にもかかわらず、先のロードマップは、こうした地方に係わる深刻な問題について問題意識がすっぽり抜け落ちていると言わざるを得ない。
■「国益の原則」忘れるな
そもそも外国人政策の原則とは如何なるものなのか。
外国人の政治的自由と在留許可を国が制限できるかが問題となったマクリーン事件において最高裁は、余り注目されなていない論点だが、法務大臣の任務についてこう判示している「昭和53(1978)年10月4日」。
「法務大臣は、在留期間の更新の許否を決するにあたっては、外国人に対する出入国の管理及び在留の規制の目的である国内の治安と善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定などの国益の保持の見地に立って、申請者の申請事由の当否のみならず、当該外国人の在留中の一切の行状、国内の政治・経済・杜会等の諾事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲など諸般の事情をしんしやくし、時宜に応じた的確な判断をしなければならない」
この判決で注目すべきは
「出入国の管理及び在留の規制」

「国内の治安と善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定など」

「国益の保持」
を目的としている点にある。
外国人政策は
「国益」
が原則だということである。
外国人労働者を受け入れる究極の目的は我が国経済に寄与してもらうためであることを考えれば、当然とも言える。
現在の外国人政策もこうした
「国益の原則」
に沿って、ここまで取り上げてきた地方の観点だけでなく、様々な観点から外国人政策がデメリットを含めて論じられ捉え直されるべきであろう。
外国人に係わる治安問題は国民の関心事だが、そうした問題指摘はロードマップには余りにも少ない。
経済的観点からは外国人労働者の受け入れの経済効果について、経済界は人手不足だけを強調するが、外国人労働者の受け入れにはどんなデメリットがあるのかも論じられるべきであろう。
また安全保障という観点からも検討が必須である。
中国の国防動員法は中国政府が有事を認定すれば日本在住の中国人も動員対象となる。
我が国に在留する外国人約342万人のうち、中国人は約82万人で最大勢力である。
外国人の4人に1人が中国人という現実を踏まえれば、中国の国防動員法は、それが実際に在留中国人に適用されるかどうかは別として、日本の外国人政策にとって検討されるべき大問題と言える。
こうして見ると、外国人との共生を目指すと言っているだけで問題が解決できるかのように思える、そんな時代では既にないことは確かと言えよう。

メディアがダメだから国会議論もダメ
正論2024年7月号 政策シンクタンク代表 原英史
10年後、20年後に、
「あの法改正がその後の日本社会の破壊に繋がった」
と振り返ることになるのではなかろうか。
この通常国会で成立に向けて審議が進む、技能実習制度の見直しなどに関する法案のことだ。
■国会での意見陳述
技能実習制度は、劣悪な労働環境や失踪などが生じ、外国政府からも人権侵害との批判を受け、見直しの検討がなされてきた。
法務省の有識者会議での検討(2023年11月に最終報告)を経て、2024年の通常国会に法案が提出された。
2024年4月16日に審議入りし、2024年4月26日には衆議院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人として意見陳述を行った。
概略こんな事を述べた。
第1に、
「外国人に選ばれる国に」
という標語は再考すべきだ。
政府やマスコミは最近揃って、
「このままでは日本は外国人に選ばれなくなってしまう」
「外国人に選ばれる国にならないといけない」
などと唱えているが、違和感を感じる。
外国人の中には、日本文化を愛し、地域に溶け込み、経済成長に貢献する
「居て欲しい外国人」
もいれば、一方で、経済社会に貢献せず、犯罪を起こし、脱税や社会保障制度の悪用などを行う
「居て欲しくない外国人」
もいる。
まず、
「日本国が外国人を選ぶ」
ことが決定的に重要だ。
これを欠いたまま
「外国人に選ばれる国」
を目指しても、
「居て欲しくない外国人」
ばかりが日本を選ぶことになりかねず、これは害悪でしかない。
第2に、これまで日本政府が行ってきた事は、
「なし崩しの移民受け入れ」
だ。
政府は建前では
「移民政策は採らない」
と言い続けてきた。
第2次安倍政権の初期に
「年20万人の移民受け入れ」
の試算を示して猛反発を受けて以降、決まり文句として唱えることになり、菅内閣・岸田内閣にも引き継がれた。
しかし、現実には外国人労働者の数は、2012年に68万人から2023年には205万人になった。
この10年ほどの間、毎年12万人の移民受け入れを行ってきたのが実態だ。
また、政府のもう1つの建前は、
「高度な人材は積極的に受け入れるが、単純労働は受け入れない」
だが、これも現実と乖離している。
この10年ほどの移民受け入れの相当部分は、技能実習と資格外活動(主に留学生のアルバイト)だった。
言うまでもなく、どちらも技能水準のごく低い労働者だ。
一方で、
「積極的」
に受けれいているはずの高度人材は、2012年に高度人材ポイント制を創設したものの、技能実習などとは桁が異なり、外国人労働者総数の1%程度に留まって来た。

★表 外国人労働者データ(@2012年A2023年)、単位:人
・外国人労働者総数*1:@682,450A2,048,675
・技能実習*1:@134,228A412,501
・資格外活動*1:@108,492A352,581
・高度人材*2:@313A23,958
(出典)
*1:厚生労働省「外国人雇用状況」(各年10月末)
*2:出入国在留管理庁「在留外国人数」(各年末)

(【表】)要するに、日本政府が行ってきたことは、建前とは全く裏腹に、単純労働に重きを置く移民の受け入れだ。
これは、安価な労働力を求める一部産業界に引きずられた結果として生じて来た。
第3に、技能実習制度の問題の根源は、
「安価な労働力」
を求める一部産業界による悪用だ。
もちろん全てが悪用ではなく、好事例もある。
しかし、生産性の低い業界や企業が、高い賃金を払えないため人手不足に陥り、生産性を高めて賃金を上げる努力をする代わりに
「安価な労働力としての外国人」
に頼るケースが少なからずあった。
政府はこうした一部業界の要望に応えて対象業種を追加し、悪用を黙認してきた。
結果として、以下の問題が生じた。
@安価な労働力を求める企業が利用するので、自ずと劣悪な労働環境など人権侵害が生じがちになり、失踪などの事案も生じた。
A安価な労働力を受け入れるので、犯罪や社会的トラブルなど、社会への悪影響も生じがちになった。
B受け入れた企業は、生産性を高めて賃金を上げる代わりに、外国人労働力を受け入れて生き延びる道が与えられ、このため、賃金は低迷し、経済成長が阻害された。
日本は今、相対的に賃金の低い、貧しい国へと転落しつつあるが、大きな要因の1つが技能実習制度の悪用だった。
こうした経過を考えれば、問題解決には外国人政策を根本から見直す必要がある。
審議中の改正案のような小手先の手直し(技能実習の名称を改める、転籍を認めるなど)ではなく、何のためにどのような外国人を受け入れるのか、基本戦略を定めなければならない。
個別制度見直しの前にまず
「外国人基本法」
を制定すべきだ。
こういった事を国会で述べた。
実は、私は直前に骨折して入院中だったが、何としても国会議員の方々に問題を認識して、本来あるべき議論をして頂きたいと考えたので、無理に外出許可を貰って車椅子で出席した。
だが、残念ながら、徒労だったようだ。
私の提起した課題はほぼ議論されることなく、法案審議は粛々と進み、2024年5月17日に衆議院法務委員会で可決された。
参議院での審議が残されているものの、恐らくこのまま成立に向かう可能性が高そうだ。
■産業界に阿る与党
政府の改正案について、少し詳しく説明しておこう。
全くダメなわけではなく、評価できる部分もある。
技能実習関連以外で
「永住資格の取り消し」(永住者が税や社会保険料の支払いを故意に怠る場合や一定の犯罪を犯した場合に資格を取り消す規定)
の追加も提案されている。
これは望ましい改正だ。
本来そんな外国人には永住資格を与えるべきではなく、取り消し規定がなかったことがおかしかった。
早急に規定を追加し、厳正に執行すべきだ。
一方、
「技能実習制度の見直し」
は全く評価できない。
政府案では、技能実習制度を廃止し、代わりに
「育成就労制度」
を設ける。
報道では、
「育成就労では、技能実習と異なり、転籍が一部認められている」
といった事ばかり強調されているが、そんな事は枝葉の話でしかない。
事の本質は、従来の
「なし崩しの移民受け入れ」
を正面から制度化するものなのだ。
従来の仕組みは、
▽国際貢献(母国で働く人材を育てる)を目的とする技能実習制度に基づき、脱法的に低技能労働者を受け入れ、
▽更に、2018年改正で創設した特定技能制度と事実上接続して、長期在留を可能にし(ただし、あくまで事実上の接続であり、本来の制度趣旨には反するので、政府の説明資料では少し隙間が空いている)、なし崩しで
「低技能労働者を受け入れ、長期在留させる」
ものだった。
今回の改正では、
▽技能実習制度の代わりに、人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を設けて、制度上堂々と低技能労働者を受け入れられるようにし、
▽更に、特定技能制度と正式に接続し(政府の説明資料では、隙間がなくなる)、制度的に
「低技能労働者を受け入れ、長期在留させる」
仕組みにするものだ。
看板の掛け替えに過ぎないという以上にこれまでコソコソと行ってきた事を堂々と看板に書いてしまうような改正と言って良い。
これではもちろん、先に述べた技能実習のもたらしてきた問題(人権侵害、犯罪・社会的トラブル、賃上げと経済成長の阻害)は何ら解消しない。
それどころか、今後は堂々と低技能労働者の受け入れを拡大できることになるから、益々増幅することになるだろう。
こうした改正の方向と軌を一にして、政府は2024年3月末、特定技能の受け入れ見込み数として
「今後5年で82万人」
との方針を決定した。
制度発足時の2018年からこれまでの5年間は34万人だったから、倍増以上だ。
また、対象業種として、バスやトラック運転手などの自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野を追加する方針も併せて決定している。
特定技能の入り口である育成就労も、自ずと拡大していくことになろう。
より長期的な見通しも示されている。
2023年4月に国立社会保障・人口問題研究所が示した将来人口推計だ。
「外国人が毎年16万人入って来る」
との前提の下、人口に占める外国人比率が2020年の2%から2070年に11%にまで増えるとの推計を示した。
「移民政策は採らない」
などという空虚の説明をしながら、政府は現実には
「なし崩しの移民受け入れ」
を着実に前進させ、本格的な拡大へと向かっている。
ちなみに私は、外国人雇用協議会という一般社団法人の代表理事も務めている。
この団体には、安価な労働力の受け入れとは一線を画し、
「日本の経済社会で活躍できる質の高い人材の受け入れ」
という理念を共有する外国人材関連企業の業界団体だ。
団体の会員企業にとっては、単に短期的な利益拡大だけを考えれば、今回の法改正で外国人の受け入れ規模が拡大するのはビジネスチャンスかもしれない。
しかし、日本社会には取り返しの付かない損失をもたらしかねない。
結果として、長期的に外国人材ビジネスの基盤も損なわれる。
だから、私個人はこの法案には反対であり、参考人質疑でもそう明言した。
正直なところ、政府・与党がこんな法案を国会に提出したことには甚だ失望した。
欧米諸国の多くでは、移民問題が深刻な社会混乱をもたらしている。
日本の政治家も官僚もその状況は十分認識しているはずだ。
それなのに何故、諸外国の失敗の道を辿るように、
「なし崩しの移民受け入れ」
を平然と制度化しようとするのか。
特に自民党の保守派の議員たちは一体何をしているのか。
結局、政府・与党は、人手不足を訴える一部産業界に阿って、国の未来を危うくする危険性に目を瞑っている。
本当に情けないことだが、これが今の政府・与党の現実だ。
「政治とカネ」
を巡る自民党の対応が問題になっているが、こちらの方が余程深刻だと思う。
■より低レベル人材を求める立憲
立憲民主党は対案として
「外国人労働者安心就労法案」
を提出した。
立憲民主党の説明によれば、政府案では外国人の人権侵害の要因が除去されなていないのに対し、対案は外国人の人権を守る内容だという。
しかし、中身を見ると、
「外国人の人権を守る」
とは逆行している。
まず、技能実習と特殊技能を一本化して
「一般労働」
という制度に改め、受け入れのハードルをこれまでより引き下げる。
技能講習でも政府・与党案の育成就労でも最低限の日本語能力が求められるが、これを不要にするという。
とんでもない話だ。
日本語のできない低技能労働者を受け入れれば、職場でも地域社会でもこれまで以上にトラブルが生じる。
周囲の日本人に迷惑を及ぼすだけでなく、外国人自身にとっても人権侵害や差別を受ける可能性が高まるだろう。
更に
「永住資格の取り消し」(永住者が税や社会保険料の支払いを故意に怠る場合や一定の犯罪を犯した場合に資格を取り消す規定)
には反対し、規定を削除している。
これもおかしなことだ。
ルールを守らない外国人を野放しにすれば、外国人への反感が高まり、ルールを守る外国人までその対象にされかねない。
むしろ外国人への人権侵害を増幅しかねない。
何故こんな逆行した対案を出すのか。
結局、本当に人権を守りたいわけではないのだと思う。
本当に人権を守りたければ、低技能労働者を受け入れるのをやめ、安価な労働力として悪用される道を断てば良い。
「可哀相な外国人」
を作らないよう未然防止するのが最善の解決策だ。
ところが、立憲民主党の対案は、政府・与党案以上にもっとレベルの低い低技能労働者を受け入れ、問題を起こす外国人も在留させ続けようという。
「可哀相な外国人」
をもっとたくさん作って、その上で
「可哀相な外国人」
を守ろうという話だ。
マッチポンプそのものだが、これが
「人権を守る」
と称する人たちの求めていることだ。
参考人質疑の際、共産党の本村伸子議員から、諸外国での移民受け入れの状況について問われ、私はこう答えた。
多くの国には、安価な労働力を求める産業界がある。
一方で、可哀相な外国人を受け入れたい、守りたいという人たちもいる。
これらは全く異質なようだが、実は同じ方性を向いて、一緒になって社会を悪くしてきた。
これが欧米諸国の多くで起きてきたことだ。
現在の国会状況を見れば、日本でも同様に、産業界と人権左翼の結託が起きている。
自民党は、産業界の要望に応えて安価な労働力の受け入れを制度化しようとする。
立憲民主党は、可哀相な外国人を守ると称し、更に低レベル人材を受け入れようとする。
与野党どちらも、安価な労働力を受け入れる方針では合致して、どちらがより社会を悪くできるかを競い合っている状況だ。
そして、基本的な方向は合致しているから、こんな劣悪な政府・与党案に対して、野党は徹底抗戦しようとしない。
粛々と法案は成立に向かっているのだ。
しかも、採決に際しては、
「永住資格の取り消し」(永住者が税や社会保険料の支払いを故意に怠る場合や一定の犯罪を犯した場合に資格を取り消す規定)
に関して立憲民主党の主張を一部受け入れ、
「外国人の状況に配慮して行う」、
即ち資格取り消しは抑制的にしか行わない旨の修正が施された。
せっかく的確な改正がなされようとしていたのに規定の実効性を損なったわけだ。
最早、与野党で手を握って、社会を危機に向かわせようとしているとしか思えない。
■一刻も早く国民的議論を
残念ながら、こうした惨状をマスコミは全く報じない。
私は、これまでも技能実習の見直しについて、マスコミの報道がおよそ的外れであることを繰り返し指摘してきた。
2023年5月に法務省の有識者会議が中間報告を出した段階で本誌2023年7月号に
「弱者を作る朝日 移民を歓迎する産経」、
本誌2023年11月号に最終報告が出た段階で産経新聞にコラム
「『外国人に選ばれる国』という美名の下に…」(2023年12月10日付)
を寄稿し、新聞各紙は
「人権を守れ」
「選ばれる国に」
などと唱えるばかりで、
「安価な労働力」
に偏った外国人受け入れなどの根本問題に触れていないことを指摘してきた。
国会での法案審議の段階になっても状況は全く変わらない。
▼読売新聞は、
「外国人の就労環境を改善せよ」
「『選ばれる日本』にしていくことが大切だ」
と説いている(2024年2月10日付社説)。
▼産経新聞は、
「労働環境の是非を着実に」
と唱え、取って付けたように
「移民に対し安易に道を開くことにならにように」
と付け加えるだけだ(2024年3月21日付主張)。
▼朝日新聞は、
「労働者の権利を重んじる態勢に生まれ変われるのか疑問」
と指摘し、永住資格の取り消しについては
「筋違いで、共生の理念を否定するメッセージ」
と厳しく批判している(2024年5月10日付社説)。
いずれも、これまで本稿で述べてきたような外国人政策の根本問題には全く目を向けていない。
更に、ルールを守らない外国人との
「共生」
を求める朝日新聞に至っては、論外と言う他ない。
マスコミがダメだから、国会でもダメな議論しかなされない。
本来、外国人政策は、国の未来の姿、国民1人1人の生活に重大な影響を与える。
国民が議論に参画し、選挙などを通じ選択すべき課題だ。
一刻も早く、国民的議論の土台を整える必要がある。
そのため、
「移民政策は採らない」
などの意味不明な言葉で誤魔化すのでなく、明確な選択肢を示して議論がなされるべきだ。
第1の道は、従来の延長、即ち
「低技能労働者を中心とした移民受け入れ」
の拡大だ。
これは、欧米の多くが辿って来た道だ。
「深刻な人手不足への対応」
「人口減少する地方の活力維持」
「外国人の人権を守る」
などともっともらしい説明がよくなされるが、行き着く先は大概同じだ。
第2の道は、
「外国人排斥」
だ。
欧米各国では、第1の道で深刻な社会問題が生じ、反作用として極端な排外主義を唱える勢力が力を強めた。
第1と第2の道の対立で、社会の分断も招いた。
日本でも今後、こうした声が高まる可能性は高い。
第3の道は、そのいずれでもなく、冒頭でも触れた
「外国人を選ぶ」
道だ。
経済社会を豊かにすることに貢献する高度人材は積極的に招き、低技能労働者は受け入れない。
表向きの説明としては、日本政府はずっとそう言い続けてきたのだから、本当にその通り実行したらよい。
私は、欧米諸国の失敗を踏まえれば、これが進むべき道だと考えている。
いずれにせよ、このまま漠然と
「なし崩しの移民受け入れ」
を延長・拡大し、社会が大混乱に陥ってからでは手遅れだ。
1度立ち止まって、国の進む道を冷静に議論するには、今が最後のチャンスだ。

育成就労法案、衆院通過へ 労働力不足に外国人材確保 職場変更「転籍」も可能
2024/5/21 7:11
https://www.sankei.com/article/20240521-PBYN6RJRE5MVXCKDP3TIJGYTHM/
技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度
「育成就労」
を創設する入管難民法と技能実習適正化法の改正案が2024年5月21日、衆院本会議で可決され、衆院を通過する。
参院に送付され、今国会で成立する見通し。
人手不足の分野で労働力を確保し、即戦力とされる特定技能水準の人材を育て、長期就労を促す。
公布から3年以内に施行する。
育成就労の在留期間は原則3年で、技能実習では原則禁止されていた同じ業務分野で職場を変える
「転籍」
を一定の条件で認める。
転籍手続きなどで悪質なブローカーを排除するため、民間業者の関与を禁じる。
技能実習で受け入れ仲介を担う監理団体は
「監理支援機関」
と名称を変え、外部監査人を設置して中立性を高める。
今後は永住者の増加も見込まれるとして、納税などを故意に怠った場合は永住許可を取り消し、別の在留資格に切り替える規定も盛り込んだ。
衆院審議では与野党が修正を協議し、永住者の生活状況に配慮することなどを付則に追加した。

国貧しくする外国人政策
政策シンクタンク代表 原英史 
2024/4/28 8:00
https://www.sankei.com/article/20240428-7IRYKFFZSFP2TFLRAJTQM47IVE/
外国人の技能実習制度の見直しなどを内容とする出入国管理法等改正案の国会審議が始まった。
2024年4月26日、衆院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人の1人として陳述を行った。
私の述べた意見は、技能実習など個別制度の手直しの前に、まず
「外国人基本法」
を制定し、受け入れの戦略を明確にすべきだということだ。
政府は従来、なし崩しで外国人政策を進めてきた。
表向きは
「移民は受け入れない」
と言いつつ、実態は安価な外国人労働力の受け入れが拡大した。
日本人に十分な賃金を払って人材確保できない企業や業界が、安易に外国人労働者に頼り、入管行政も要望に応えた。
「国際協力」
が目的の技能実習制度などの悪用を政府が容認してきたのだ。
この結果、劣悪な労働環境や失踪などの問題が生じ、外国人による犯罪、社会的トラブルなども広がりつつある。
業界・企業が賃上げせず事業継続する道が用意され、賃金水準低迷の一因となった。
今回の改正案はこうした根本問題を解決するものではない。
「技能実習制度の廃止」
を掲げ、実態とかけ離れた国際協力の名目を人材育成などに改めてはいるが、実質大きく変わった点と言えば、転職を認めた程度だ。
看板の掛け替えに近い。
今後、人手不足が拡大する中で外国人受け入れの規模は拡大するから、これまでの戦略なき受け入れの負の側面は、更に大きく広がりかねない。
政府が今、行うべきことは戦略なき状態の解消だ。
国民的な議論も経て、
「外国人基本法」
を制定することが不可欠だ。
基本法ではまず、何のために外国人を受け入れるのかを明確にする必要がある。
「人手不足の解消」
を目的とするのは危うい。
業界要望に安易に応え続けることになり、日本人も含めた賃金引き上げを阻害し、日本をより貧しい国にしかねない。
安易な労働力の受け入れは社会的軋轢も生みやすい。
目的は
「日本を豊かにすること」
とすべきだ。
生産性を高めて経済社会を発展させるため、貢献できる質の高い外国人を戦略的に受け入れていく必要がある。
併せて、外交・安保政策の観点で人的交流を強化すべき国から重点的に受け入れるよう戦略性も求められる。
日本に限らず、移民を巡る議論は、賛否が大きく分かれ、イデオロギー・感情的対立にも陥りがちだ。
解決の道は、安易な受け入れでも全面的排除でもなく、日本国にとって有用な外国人材を選び抜いて受け入れることだと考える。
だが、今回の改正案はなし崩しの延長で、安易な外国人受け入れの道を広げ、社会の混乱を招き、日本をより貧しくしかねない。
必要なのは、なし崩し的な移民から戦略的政策への転換だ。

「外国人に選ばれる国」という美名の下に… 政策シンクタンク代表・原英史
2023/12/10 8:00
https://www.sankei.com/article/20231210-K3VBLS7WBBPVZFO3Y4EMXZC6VA/
外国人が働きながら技能を学ぶ技能実習制度の抜本見直しに向けて、政府の有識者会議の最終報告書がまとまった。
国内外から指摘されてきた劣悪な労働環境などの問題を解消し、日本が
「外国人に選ばれる国」
になって、人手不足への対応を目指そうという。
具体的には
▽技能実習制度は廃止して新たに「育成就労」制度を設ける
▽人権侵害を防ぐべく、働く企業を変える「転籍」を認める
などの内容だ。
だが、欠落しているのは、
「外国人に選ばれる国」
になる前に
「日本国が外国人を選ぶ」
ことの重要性だ。
日本文化を愛し、地域に溶け込み、経済成長に大いに貢献する
「日本にいてほしい外国人」
もいれば、経済社会に貢献せず、犯罪を起こし、社会保障制度を悪用するなど
「いてほしくない外国人」
もいる。
後者が日本を選んでくれても害悪でしかない。
技能実習制度を巡る諸問題の根源は、この視点を欠いていたことだ。
「国際貢献」
という建前のもと、一部産業界の求める
「安価な労働力」
としての外国人受け入れに悪用されてきた。
欲しいのは
「安価な労働力」
だから、技能のない外国人を
「選ぶ」
ことなく受け入れ、余程の事がない限り在留し続けられる仕組みだった。
だから、劣悪な労働環境など人権侵害が生じ、一方、外国人犯罪なども起きがちになった。
本来必要な見直しは
「外国人を選ぶ」
制度への転換だ。
ところが、政府の有識者会議の最終報告書は小手先の見直しばかりで、問題の根源に手を付けていない。
新制度の目的は
「国際貢献」
から
「人材育成と人材確保」
に変えると言うが、
看板の掛け替えどころか、正面玄関から
「安価な労働力」
を受け入れることにも繋がりかねない。
一部産業界の要望に応え続けている限り、人権侵害の問題も解消しない。
結局、
「いてほしい外国人」
ほど日本を避け、選択肢の乏しい
「いてほしくない外国人」
ばかりが日本を選ぶ。
更に外国人受け入れの規模が拡大すれば、欧米諸国以上に深刻な移民問題に直面しかねなない。
これが
「外国人に選ばれる国」
という標語の行き着く先だ。
深刻な状況を前に主要新聞各紙の社説はおよそ的外れだ。
「(外国人に)選んでもらえる社会を作っていきたい」(朝日新聞)
「日本を『選ばれる国』に変えていくことが大切だ」(読売新聞)
「外国人にそっぽを向かれることになりかねない。政府は正念場」(日本経済新聞)
などと声を揃える。
せいぜい産経新聞が
「社会に様々な問題を生みかねない移民に対し、この改革が安易に道を開くことがあってはならない」
と一言指摘しているだけだ。
これでは、外国人政策はおかしな方向に向かうばかりである。

正論2024年2月号 政策シンクタンク代表 原英史
■人権左翼と一部産業界の結託?
政治とカネの騒動の陰で重要な政策転換も進んでいる。
その1つが技能実習制度の見直しだ。
技能実習を巡っては、劣悪な労働環境などの人権侵害、それに伴う失踪などが長らく国内外で指摘されてきた。
法務省の研究会でなされていた検討が2023年11月末にまとまり、2024年通常国会での法改正に向けて準備を進めることになった。
内容は、技能実習制度は廃止し、新たに
「育成就労」
制度を設けるという。
結論から言えば、看板の掛け替えどころか、むしろ更におかしな方向に向かっている。
そもそも技能実習制度の根本問題は、
「国際貢献」(途上国への支援)
という建前の下、
「安価な労働力」
として外国人受け入れの道を開いてきたことだった。
もちろん制度を有効利用する好事例もあり、全てを否定するわけではない。
だが、生産性の低い一部産業界が、賃金引き上げや設備投資の代わりに
「安価な労働力」
を要望し、政府が応えて対象業種を追加してきた面があった。
そんな事業者が利用しているから外国人への人権侵害が起きがちになった。
「安価な労働力」
を求める事業者は外国人を選ばず受け入れるので、犯罪なども起きがちになった。
生産性を高めない事業者を温存し、経済成長の阻害要因にもなった。
今回の報告書は根本問題に全く踏み込んでいない。
それどころか、
「就労育成」
制度は
「人材育成と人材確保」
が目的だという。
つまり、これまでのように
「国際貢献」
と建前を述べるのはやめて、堂々と
「人材育成」
と称する。
つまり、これまで通り、
「安価な労働力を」、
しかも正面玄関から受け入れようということだ。
その上で、人権侵害を防ぐため、別の企業などに移る
「転籍」
を認めるなどと言うが、小手先の見直しでしかない。
今、本当に求められるのは、
「日本国としてこれから、どんな外国人を(高度人材、安価な労働力など)、どのような方式で(短期か長期かなど)、どの程度の規模で受け入れるのか」
という国民的議論だ。
外国人の中には、日本の経済社会の成長や活性化に大いに貢献する
「日本に居て欲しい外国人」
もいれば、経済社会に貢献せず、罪を犯し、社会保険を悪用するなど
「日本に居て欲しくない外国人」
もいる。
これをどう選び、どう受け入れていくかが肝心なのだ。
政府はいつもこうした本来の議論から逃げ、技能実習の見直しなどの各論に突如入り込む。
基本戦略を定めていないので、結局、一部産業界などに引きずられ、なし崩しの移民受け入れに向かってしまうのだ。
これに対し、主要新聞各紙は的外れだ。
いずれも
「安価な労働力」
路線の継続を批判しようとはしない。
朝日新聞も毎日新聞も日経新聞も揃って
「これで外国人に選ばれる国になれるか」
と憂え、
「転籍」
をもっと拡大せよなどと論じている。
メディアがこんな状況では、外国人政策はおかしな方向に向かうばかりだ。
安価な労働力路線を続け、多くの
「日本に居て欲しくない外国人」
から
「選ばれる国」
になったところで、社会にとって害悪でしかないのは明らかだろう。
こんな状況から想起されるのは、欧米諸国でも生じてきた、人権左翼と一部産業界の暗黙の結託だ。
難民申請者などの幅広い受け入れに対し、人権を重視する勢力と、安価な労働力を求める一部産業界は、一見すると水と油のようだが、実は利益が一致している。
暗黙の結託を背景に、過剰な難民受け入れなどがなされてきた面が否めない。
今後、日本でも同様の事態が起きかねない。
事態は深刻だ。

弱者を作る朝日新聞 移民を歓迎する産経新聞
正論2023年7月号 政策シンクタンク代表 原英史
物事を見る時は、個々の事象の表層だけでなく、全体像や背後の構造まで見極めることが肝要だ。
例えば重大事故が生じた時、まず悲惨な被害状況などに向き合うことは欠かせないが、それだけでは不十分だ。
更に踏み込み、事故が何故生じたのか、製品の欠陥がなかったか、法規制や監督体制に問題はなかったかといった検証を行ってこそ、再発防止に繋がる。
報道機関にはそうした姿勢が求められる。
■入管法改正を巡る報道
しかるに2023年国会で焦点になっている入管難民法改正について、残念ながら新聞各紙の報道は実に底が浅い。
目立つのは、
「難民申請3回以降は送還可能」
について、在留外国人らの反対意見を紹介して批判的に報じるものだ。
毎日新聞(電子版)は
「ウィシュマさん妹『外国人の人権無視』入管法改正案の衆院委可決で」
(2023年4月29日)
で、今回の改正は
「不法滞在中の外国人の強制送還を進める狙いがあるが、日本で暮らす外国人の『排除』に繋がりかねないとの懸念も示されている」
とし、2021年に死亡したウィシュマさんの遺族の
「外国人の人権を無視し、尊重していない」
との意見を紹介している。
東京新聞は
「『国を分断する法案を許すな』『国家によるいじめだ』 入管法改正案への抗議デモ、国会前に4千人超」
(2023年5月13日)
で、仮放免中の外国籍の夫と暮らす女性のデモ参加者の声として
「夫は4回目の難民申請中」
「結婚したら収容はあり得ないと思っていたが、理由なく収容されて現実を受け止められず、弟に泣きながら電話したこともある」
「入管は厳正な判断をしているとは思えない」
「国を分断する法案を許してはいけない」
と報じる。
朝日新聞は社説
「入管法改正案 課題に背を向けた国会」(2023年4月28日)
でこう主張している。
「非正規滞在の外国人に対する入管当局の適正な処遇をどう確保するか」
「議論は大きな世論のうねりを生んだ」
「国会が拙速に封じるのは許されない」
(中略)
「入管施設での長期収容を防ぐ対策が問われたにもかかわらず、政府提出の法案は、収容をめぐる手続きに裁判所など第三者のチェックを入れることを避け、入管当局の強い裁量下にとどめる」
「難民申請中でも強制送還できる例外も設けた」
「保護を求めてきた人を迫害のおそれのある国に帰すリスクは高まる」
気になる点は色々ある。
「外国人の人権」
はもちろん尊重しなければならないが、外国人であっても日本にいる時は日本の法令を守らないといけない。
法令に違反したら収容や送還の対象になり得るのは当たり前だ。
東京新聞記事で紹介される女性は
「理由なく収容された」
と言うが、在留資格が切れているのに滞在していたので収容されたはずだ。
収容で引き裂かれて辛いだろうが、決して
「理由なく」
ではない。
だが、そうしたこと以上に根本的な問題は、不法滞在外国人に関わる不幸な事象の表層しか見ていないことだ。
■「弱者の味方」が弱者を作る
なぜ不幸な事象が生じてきたのか。
問題の根源は、不明瞭でどっちつかずで曖昧な入管行政だ。
確かに、難民認定はなかなか受け入れられない。
だが、申請を繰り返して長年日本に居続けることができる。
2010年以降は申請中の就労も法的に認められた。
在留資格が切れれば、収容されることもあるが、収容されないこともあり、何年も経ってから突然収容されることもある。
基準は不明確で運次第のようなものだ。
更に、在留特別許可という制度があり、日本人との結婚や、日本社会に定着しているなどの理由で特別に在留が認められることもある。
特に2000年代半ばには随分と許可がなされた。
こうした曖昧な入管行政が、
「日本にいれば何とかなる」
との期待をもたらしてきた。
難民認定申請者は、2000年頃は200〜300人程度だったが、2010年代後半には年間1万人以上に激増した(2018年に就労が制限されて2000〜4000人程度に減少した)。
政治的迫害など難民要件にはおよそ当てはまらず、経済目的で在留を望む外国人も相当程度含まれていたはずだ。
だが、期待と言っても、不確かな期待に過ぎない。
結果として、首尾よく在留できた人もいれば、収容や家族分断などの不幸な事態に陥る外国人も数多く生じたわけだ。
こうしてみれば、解決策は明らかだ。
認定基準を明確にすることだ。
保護すべき外国人は、何度も申請しなくても、迅速に難民や準難民として受け入れる。
認められない場合は、早期に退去してもらう。
曖昧な行政による不確かな期待を断ち切ることこそ肝要だ。
ところが、これに対し朝日新聞などは、
「申請を何度も繰り返す外国人が在留し続けられるようにせよ」
と唱える。
あやふやな期待を持たせ続けろというのだ。
「弱者の味方」
のつもりなのかもしれないが、実際には不幸な事態を更に引き起こすことになってしまう。
報じている記者らの気持ちは分からないでもない。
在留外国人などを取材するうちについ
「期待を持たせてあげたい」
と思うのだろう。
だが、不確かな期待を持たせてあげることで問題が解決するわけではない。
これも善意でやっていたことだろうが、不確かな助言で曖昧な入管行政が増幅した一部の支援者たちも、結果的には不幸を作り上げた一端だ。
朝日新聞などは自らの報道・主張が結局、新たな弱者を作りかねないことを自覚すべきだ。
■難民受け入れを進めた安倍内閣
外国人政策は全般に、建前と実態の乖離が深刻だ。
技能実習を巡る建前(国際貢献)の乖離はよく指摘されるが、もっと根本的な乖離もある。
まず
「移民は受け入れない」
という建前がある。
これについては、安倍晋三内閣の初期、経済財政諮問会議で
「年20万人の移民受け入れ」
が検討されたことがあった。
当時、諸方面から猛反発を受けて検討は中止され、その後は
「移民政策は採らない」
と言い続けることになった。
菅義偉内閣・岸田文雄内閣にも方針が引き継がれている。
だが、実態としてその間に何が起きたか。
「移民政策を採らない」
はずだった安倍内閣の間、外国人労働者総数は68万人(2012年末)から172万人(2020年末)と2.5倍に急拡大した。
その後コロナ禍で一旦鈍化したが、再び拡大しつつある。
「高度な外国人は受け入れるが、単純労働は受け入れない」
との建前もある。
だが、現実には100万人超の外国人労働者増のうち、半分は技能実習と留学生、即ち最も技能水準の低い労働者だ。
結局、実質的には
「単純労働を中心に毎年10万人以上の移民を受け入れてきた」
というのが現実なのだ。
何故こんなことになっているかというと、
「安価な労働力として外国人を利用したい」
という産業界の一部の要望に引きずられてきたためだ。
古くは1990年代から始まった日系移民の受け入れもそうだった。
その後は、技能実習や留学生アルバイトが広がった。
「移民は受け入れない」
「高度な外国人しか受け入れない」
との建前を守るため、名目上は
「日系だから」
「国際貢献(人材育成)のため」
といった理屈を付けてきたが、実態は
「安価な労働力としての外国人受け入れ」
そのものだった。
産業界の要望に引きずられるのは米国も欧州も同様だ。
メディアが
「日本と桁違いの認定率」
と称する難民受け入れも、実は
「安価な労働力を求める産業界」

「人権左派」
の意図せざる結託で過剰な受け入れがなされてきた面は否めない。
結果として過剰に
「安価な労働力としての外国人」
を受け入れ、移民に関わる深刻な社会問題をもたらした。
日本はこれまで受け入れ規模が小さかったが、今後、国内での人手不足の広がる中で
「安価な労働力受け入れ」
路線を拡大していけば、確実に欧米の轍を踏むのではないか。
■各社とも全体像度外視
技能実習については本来、こうした外国人政策の全体像を踏まえた見直しが求められるはずだ。
ところがメディアの報道では、劣悪な労働環境、失踪トラブル、海外からの「人権侵害」との指摘、といったことばかりが注目されがちだ。
法務省の有識者会議で2023年5月に公表された中間報告では、技能実習の廃止(人材育成を制度目的とする現行制度は廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新制度に)、転籍制限の緩和などを柱とする見直しの方向が示された。
これに対しても新聞各紙の報道は、
「外国人の人権を守れるか」
という視点での報道・主張ばかりだ。
朝日新聞は社説
「技能実習制度決別の意思を明確に」(2023年4月1日)
で、
「立場の弱い外国人の労働搾取だと指摘されてきた制度と、本当に決別できるのだろうか」
と危惧を示す。
日経新聞の社説
「技能実習制度の看板掛け替えでは困る」(2023年4月12日)
も、より抜本的な改革を求める内容だが、視点は
「日本が国際的な信用を取り戻すためには、技能実習制度の禍根を断ち、政策の転換を明確に示すことが欠かせない」
ということだ。
確かに
「外国人の人権」
は重要だが、課題はそれに止まらない。
「安価な労働力としての受け入れ」
を今後も維持・拡大するのか。
その場合に人材供給源はどう考えるのか(かつては中国、近年はベトナムだったが、経済水準が上がったので今後は難しい)。
諸外国で起きてきた移民問題にどう対処していくのか。
産経新聞くらいはまともな議論をしていないかと思って見てみたら、更にダメだった。
主張
「技能実習制度の廃止 人権を守る労働環境整えよ」(2023年4月25日)
では、人権問題を解決する観点から以下のように主張している。
「中間報告のたたき台案は、制度の目的を人材育成としたまま実習生を労働者として受け入れるのは『望ましくない』として制度廃止を求めた」
「その上で、人材育成だけでなく人材確保も目的とする新制度創設を提言したのは理に適う」
「ただしこれは移民問題とは別である」
「社会を変質させる恐れのある移民受け入れへと安易に道を開かないようにすべきだ」
率直に言って、これを書いた人は中間報告の意味が分かっていないのだと思う。
精度目的を
「人材育成」
から
「人材確保と人材育成」
に切り替えるとはどういうことか。
これまで表向き
「安価な労働力としての受け入れ」
とは言わずにこそこそとやってきたが、これからは正面から堂々とそう言ってしまおうということだ。
「人材育成」
も目的に残すことで技能水準の低い人材を受け入れ続けられる。
産経新聞はこの方針を
「理に適う」
として歓迎しているわけだ。
一方で
「移民問題は別」
とも言っているが、私の理解では、
「安価な労働力としての受け入れ」

「移民の受け入れ」
に他ならない。
政府の言い分では、
「在留期間の制限などがあるので移民には当たらない」
らしいが、どこの国でも単純労働者に最初から永住資格を与えることはあまりない。
今回の中間報告は、外国人政策の根本の転換だ。
だが、産経新聞までこの体たらくでは、国民の多くが気付かないうちに大転換がなされることになりかねない。
ここまで、私は外国人受け入れに否定的な主張ばかりしているように見えたかもしれないが、実は外国人雇用協議会という推進側の民間団体の代表理事も務めている。
本稿で述べたことはあくまで私個人の見解だが、この協議会も私も、能力水準が高く日本の経済社会に貢献できる外国人はもっと受け入れるべきとの考えだ。
高度人材に占める外国人の割合は、日本は欧米諸国などに比べて圧倒的に低い。
★高度人材に占める外国生まれの割合
OECDの資料を基に2010年11月経済産業省作成
◆15歳以上の高度人材の人口に占める外国生まれの割合
・英国 23%
・米国 16%
・フランス 13%
・ドイツ 13%
・日本 1%
これでは、グローバルな国際競争で日本が取り残され、日本の競争力は下がる一方だ。
日本の相対的な給与水準は急速に低下している。
2022年経済産業省が公表した
「未来人材ビジョン」
では、タイと日本の企業を比較し
「タイの方が部長に昇進する年齢が平均的に10歳若く、しかも年収が高い」
という衝撃的なデータも示された。
それなら能力に自信のあるアジアの若者は日本よりタイに行った方が良いわけだ。
このまま推移すれば、日本にやって来る外国人の水準はどんどん低下する。
経済社会への貢献度合いは小さくなり、半面で犯罪やトラブルは増えかねない。
そうした中で、
「安価な労働力としての外国人受け入れ」
路線を本当に更に進めるのか。
それで日本の競争力は上がるのか。
日本社会はどうなるのか。
産経新聞は
「社会を変質させる恐れ」
を本当に危惧するなら、真面目に考え直してもらいたい。
■「報道の能力」の欠如
毎年のことだが、
「国境なき記者団」
による
「報道の自由度ランキング」
が公表された。
朝日新聞ではこう報じられている。
朝日新聞
「報道の自由、日本は68位 主要7カ国で最下位」(2023年5月4日)
「国際NGO『国境なき記者団』(本部・パリ)は3日、2023年の『報道の自由度ランキング』を発表した」
「調査対象の180カ国・地域のうち日本は68位(昨年71位)で、昨年よりは順位を上げたものの、主要7カ国(G7)の中で依然、最下位だった」
「日本の状況について、『メディアの自由と多元主義の原則を支持している』としたものの、政治的圧力やジェンダー不平等などにより、『ジャーナリストは政府に説明責任を負わせるという役割を十分に発揮できていない』と批判した」
この記事は、重要な部分を報じていない。
本誌の読者ならば知っているだろうが、
「国境なき記者団」
のレポートでは例年、日本に関して
「記者クラブの問題」
「新聞・テレビのクロスオーナーシップ規制がないことにも起因する、メディアの極度の集中」
が指摘されている。
2023年も同様だ。
これらは
「政治的圧力」
などとは異なり、朝日新聞自らの問題だ。
少なくとも、このランキングを報じるならば、これらの点も報じないとおかしいだろう。
同時に、朝日新聞の報道の通り、
「政治的圧力」
などの指摘もある。
「2012年から右翼国家主義者(nationalist right)が政権について、ジャーナリストが敵視されている」
とか
「秘密保護法制で福島原発へのアクセスが制限された」
とか、私から見ると
「一体どこの国の話なのか?」
と思う内容だが、それこそ
「メディアの極度の集中」
の結果、朝日新聞など一部のメディアの特異な世界観や社会認識が世界にも広まっているのだろう。
私が思うに、日本のメディアに欠けているのは
「報道の自由」
ではなく
「報道の能力」
だ。
せっかく自由に報道できる環境があるのに、まともな報道ができていない。
今回取り上げた難民や技能講習に関しても、問題の本質に触れず、政府の方針に対する批判的検証もできていない。
決して政治的圧力で封じられているわけでなく、能力が欠けているからだ。
「政治的圧力」
云々と言うが、もし的確な取材に基づき自信を持って記事を出しているなら、圧力がかかっても、覚悟を持って抗したら良い。
実際には、能力不足で筋違いの記事を出しているためにしばしば抗議を受け、それに対し
「圧力だ」
と逆切れしているだけではないのか。
私自身、以前安倍政権で国家戦略特区ワーキンググループの座長代理を務めていた際、獣医学部の件をはじめ、いくつもの虚偽報道がなされ、その度に抗議していた。
朝日新聞本社に出向いて、そう間違っているのか詳細に説明したこともある。
担当の部長が何の反論もなく
「なるほど、なるほど」
と聞いているが、訂正記事が出ることはなかった。
毎日新聞にはデタラメな誹謗中傷記事まで掲載され、提訴して係争中だが、毎日新聞の言い分は
「そんなことは書いていない」
だった。
ひょっとすると朝日新聞や毎日新聞は、こうした抗議や提訴も
「政権の手先が圧力をかけてきた」
などと思い違いをしているのかもしれないが、まず自らの報道を省み、責任を持てる報道をしてほしい。
「ジェンダー不平等」
も同様だ。
取材対象に差別的な人物がいて、不当な扱いやセクハラを受けたなら、それを記事にして追い詰めれば良い。
能力不足でそれもできず、政治や社会のせいにしている様は、実に見苦しい。

国民を富ませない移民の経済効果
正論2024年7月号 青山学院大学教授 福井義高
政府が進める外国人の受け入れ策は事実上、移民社会へと舵を切ることにならないか。
その是非を巡って推進、制限論者とも自分たちの主張に拘泥し、感情論になりがちで、建設的な議論が進まぬ中、なし崩しに外国人労働者の受け入れは進んでいく。
筆者は2023年の本誌7月号で主にジョージ・ボーハス教授(米ハーバード大)による研究を基に、移民の経済効果を検討した。
建設的議論の一助とすべく移民を
「感情」
でなく
「勘定」
の問題として考えてみたのである。
その結果分かったのが、移民の受け入れは、受け入れ国のGDP(国民総生産)を増加させるけれど、移民の受け取る賃金相当分を除いた自国民に帰属するGDPはほとんど変わらないことである。
2015年の時点で移民労働者が全労働者の16%を占める米国でも、元からいる米国民分のGDPへの効果は全GDPの0.3%しかなかった。
ただし、移民の効果は企業と労働者で大きく異なる。
移民受け入れで賃金は下がり、企業利益(資本所得)は12%増加したのに対し、賃金は5%減少と推計された。
更に、自国労働者のうち移民労働者と競合する職種の賃金が下がる一方、移民と競合しない自国労働者は移民が従事するサービスの価格低下の恩恵を受ける。
こうした移民の経済効果は、米国に限らない。
2003年にオランダ中央計画局(CPB)が公表した報告書
「移民とオランダ経済」(Immigration and the Dutch Economy)
によれば、移民により労働者が5%増えると、資本(投資)財価格が一定で、移民が全て単純労働者だった場合、オランダの自国民全体への効果はほとんどない一方(GDPが0.06%増)、企業利益は4%増、非単純労働者賃金2%増に対し、単純労働者賃金は6%減少する。
米国とオランダの例から明らかなように、移民受け入れは、自国民の所得増を伴わない、格差を拡大する所得再分配政策なのである。
勝者は企業とエリート、敗者は一般国民である。
■不都合な結果
たとえ格差が拡大しても、高齢化が加速する中、外国人労働者に頼ることなしに日本経済は回らないのだから、受け入れざるを得ないという主張もあろう。
しかし、移民推進は、高齢化により益々厳しくなる国の財政状態を多少とも改善するどころか、更に悪化させるのである。
2023年に前述の
「移民とオランダ経済」
のアップデート版とも言うべき移民が財政に与える影響に焦点を当てた報告書
「国境なき福祉国家」(Borderless Welfare State)
の最終版が公表された。
(https://demo-demo.nl/wp-content/uploads/2023/06/Borderless_Welfare_State-2.pdf)
ただし、
「移民とオランダ経済」
が明らかにした移民の経済効果は、多文化共生を是とし移民受け入れを推進する政府にとって都合が悪いものだったこともあり、今回の報告は民間プロジェクトとして行われた。
オランダは2023年現在、人口が1800万人で日本の7分の1程度、65歳以上人口の割合は20%で日本の29%より低いものの高齢化が進んでおり、2021年のGDP比国民負担率(税金と社会保険料の合計がGDPに占める割合)は39%で日本の34%より高い。
日本同様、高齢化が財政に与えるマイナスの影響が深刻な問題と考えられている。
ただし、移民流入により人口は増加している。
例えば2022は前年に比べ、《native》即ち土着のオランダ人の人口は0.1%(2万人)減少したものの、移民とその子供は3.1%(13万人)増加し、全体では0.7%(12万人)増加した。
こうした中、報告書
「国境なき福祉国家」
は、通常アクセスできないオランダ全人口1720万人(2016年初人口+年間出生児数)の個人データを使い、オランダ人と移民、後者は出身地地域別にそれぞれどれだけ財政に貢献し、また支出を伴ったかを推計している。
まず、全人口がオランダ人1340万人と移民385万人に大別される。
移民は他国で出生しオランダにやって来た1世(第1世代)とその子供である2世(第2世代)からなり、全体の22%を占める。
尚、当初から帰国する予定の外国人労働者とその家族も含まれている。
移民は欧米(western)出身と非欧米(non-western)出身に大別され、更に42地域にグループ分けされている。
欧米に含まれるのは、ロシアを含む欧州諸国、北米(米国とカナダ)、大洋州(オーストラリアとカナダ)、インドネシア(旧オランダ領)そして日本である。
調査の基準となる2016年のデータを基に、オランダ人と移民に分けて財政への単年度ベースの影響を示したのが表1だ。
★表1 オランダ人・移民別財政への影響(単年度ベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算)
(注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計/日本は欧米に分類
「@人口(百万人)A人口(全体比)B貢献額(兆円)C支出額(兆円)D純貢献額(兆円)E純貢献額(GDP比)F1人当たり純貢献額(万円)」
・合計:@17.2AーB60.2C60.5D-0.2E-0.2%Fー
・オランダ人:@13.4A78%B49.5C46.3D3.2E2.3%F20
・移民全体:@3.8A22%B10.7C14.2D-3.5E-2.4%F-90
・移民欧米:@1.7A10%B5.9C5.7D0.2E0.1%F10
・移民非欧米:@2.1A12%B4.8C8.5D-3.7E-2.6%F-170
単年度ベースというのは、この1年間の収支に基づく、筆者たちの表現を借りれば
「静的」
な推計である。
尚、
「国境なき福祉国家」
のデータは全て2016年価格のユーロで表示され、その後のインフレが考慮されていない。
ここでは、オランダの2023年消費者物価指数が2016年比26%上昇したことを反映させ1ユーロを160円で換算して、2023年価格で表す。
以下、同様である。
全体の78%を占めるオランダ人の財政への貢献は49兆円5000億円だったのに対し、46兆3000億円が支出されたので、差し引き純貢献額はプラス3兆2000億円、GDP比プラス2.3%の貢献となった。
一方、全体の22%を占める移民は貢献額10兆7000億円に対し支出14兆2000億円で純貢献額マイナス3兆5000億円、GDP比2.4%の負担(-2.4%)をかけたことになる。
ただし、欧米出身と非欧米出身で大きく異なる。
全体の10%を占める欧米出身移民は貢献額5兆9000億円に対し支出額5兆7000億円で純貢献額プラス2000億円、GDP比プラス0.1%でほぼ収支トントンであった。
ところが、全体の12%を占める非欧米出身移民は、貢献額4兆8000億円に対し支出額8兆5000億円でGDP比2.6%の負担(-2.6%)をかけたことになる。
これは、1.6%と推計されているオランダにおける高齢化がもたらすマイナスの影響を上回っている。
1人当たりで見ると、非欧米出身移民は170万円の負担(マイナス170万円)となっている。
欧米出身移民は貢献額と支出額が釣り合っているので、移民の財政負担はほぼ全てオランダ人の肩にのしかかることになる。
■資本ストックで見る重要さ
しかしながら、単年度ベースの数値は、移民受け入れの効果を判断する上で、必ずしも適切な指標とは言えない。
移民受け入れは(マイナス価値のある場合も含め)一種の投資であり、永住せず出国(remigration)する移民もいるけれど、長期に渡って財政に影響を与えることは間違いない。
移民を受け入れることに伴い、学校教育や医療、その他行政サービスを追加的に提供する必要が生じ、財政負担が増す。
従って、将来に渡る移民のストック(複数年度ベース)価値を推計する必要がある。
実際、
「国境なき福祉国家」
では、単年度ベースの静的アプローチでなく、経済学で
「世代会計」
と呼ばれる手法を用いたストックベースの動的アプローチが必須であることは移民に限らない。
政府がある年に長期に渡る支出にコミットしても、その年の支出として計上されるのは実際に支払った額だけである。
例えば、日本政府が10年間毎年1兆円合計10兆円の新規道路建設を決定しても、最初の年には1兆円しか支出計上されない。
しかし、財政への影響を考える場合に重要なのは、長期に渡って必要となる10兆円という金額であることは自明だろう。
さて、投資即ちストックとしての移民を考える場合、移って来た本人のみならず、その子供たちの分も考慮する必要がある。
また、移民全てが永住するわけではないので、受け入れ国にとってのストック価値を推計するには、出国する可能性も考慮し、その分を控除する必要がある。
「国境なき福祉国家」
は、この2点を考慮に入れた推計をメインの数値としてしている。
移民1人当たりの子供の数については、出身地域別で出生率が違うことも考慮されている。
まず、欧米出身移民に関しては、ストック価値はほぼゼロと推計された。
つまりオランダ財政に貢献もしないけれど、負担にもならないということである。
★表2
非欧米出身移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ160円換算)
@2016年A2015〜2019年平均B1995〜2019年平均
・純貢献額(兆円):@-6.4A-5.4B-3.4
・2016年GDP比:@-4.5%A-3.8%B-2.4%
一方、表2に示したように、非欧米出身移民は、1995〜2019年の25年間で見ると、財政への純貢献額は年平均マイナス3兆4000億円、GDP比2.4の負担(-2.4%)であった。
2015〜2019年の直近5年間だと、純貢献額はマイナス5兆4000億円、GDP比3.8%の負担(-3.8%)、2016年は難民が大量に入国したため、純貢献額はマイナス6兆5000億円、GDP比4.5%の負担(-4.5%)であった。
要するに、非欧米出身移民はマイナスの資本ストックであり、オランダ人にとって移民受け入れは、ただでさえ高齢化によって厳しくなる一方の財政状況を更に悪化させる負の投資ということになる。
「今年いくらかかったか」
というフローで見るよりもストックで見た方が、貢献額がプラスの場合は小さく、マイナスの場合は更にマイナス幅が大きくなる。
これは、移民1世は大人になってから入国するので、オランダ人にも共通する、子供時代の財政上のマイナス要因(公教育コストなど)がかからないためである。
■移民1人当たりはどうか
移民全体でなく、移民1人当たりで見た場合、オランダで生まれる子供や出国の可能性を考慮した、ストックとしての財政への影響はどのくらいなのか示したのが表3である。
★表3
出身地別1人当たり移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算)
(注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計
@出国の可能性を考慮した場合(基本推計)A出国の可能性を考慮した場合(最小推計)B出国の可能性を考慮した場合(最大推計)C永住した場合
(単位:億円)
・仮想オランダ人:@プラス0.2AーBーCプラス0.4
・移民平均:@マイナス0.3AーBーCマイナス0.5
・移民欧米:@0.0AーBーCプラス0.1
・移民日本:@プラス0.4Aプラス0.3Bプラス0.5Cプラス1.0
・移民非欧米:@マイナス0.6AーBーCマイナス1.0
・移民中国:@マイナス0.1Aマイナス0.2B0.0Cマイナス0.2
・移民トルコ:@マイナス0.7Aマイナス1.0Bマイナス0.6Cマイナス1.1
・難民平均:@マイナス1.0AーBーCー
・難民欧米:@マイナス0.6AーBーCー
・難民非欧米:@マイナス1.1AーBーCー
・難民トルコ:@1.0AーBーCー
推計に際して、当然ながら多くの仮定が置かれており、仮定を変更すると数値が大きく変動するようでは信頼が置けない。
その懸念に対応し、仮定をもっともらしい範囲内で変えた推計がいくつか試みられている。
結果的に、最小推計と最大推計の差はさほど大きくなく、基本推計の数値はかなり信頼度が高いと思われる。
まず、比較の基準として、オランダ人と同じ属性の人間が移民として訪れた場合を考える。
入国する年齢や出国の可能性も考慮した、この
「仮想オランダ人」
のストック価値はプラス2000万円である。
移民は平均でマイナス3000万円と推計される。
ただし、出身地域別の違いは大きい。
欧米出身移民は全体ではほぼ財政に中立的ながら、日本出身移民はプラス4000万円の
「優良資産」
となっている。
日本以外では北米、大洋州、北欧、そして西欧の一部からの移民のストック価値が高い。
皮肉なことに、途上国の移民が行きたいと願う国からの移民こそ、オランダにとって
「資産」
価値があるということだ。
一方、欧米系でも東欧の一部からの移民のストック価値はマイナスである。
非欧米出身は平均でマイナス6000万円の
「負債」
となる。
ただし、やはり出身地別のバラツキは大きく、中国がマイナス1000万円であるのに対し、トルコはマイナス7000万円となっている。
移民は更に入国理由別に推計されており、オランダに限らず受入国にとって最も負担となる難民の場合、欧米出身(旧ユーゴスラビアなど)がマイナス6000万円、非欧米出身はマイナス1億1000万円だった。
その多くがクルド系と思われるトルコからの難民はマイナス1億円である。
更に、移民が永住した場合の推計も行われている。
財政貢献がプラスにせよマイナスにせよ、永住を仮定しない基本推計よりも、絶対値(プラス幅あるいはマイナス幅)は大きくなる。
とりわけ、例外的に日本出身移民は2世になってもオランダ人より純貢献額が大きいので、ストック価値はプラス1億円となる。
一方、トルコ出身移民はマイナス1億1000万円である。
トルコ出身のうち難民の数値は未公表なものの、恐らく1億5000万円前後と思われる。
日本出身移民が例外的というのは、日本以外でストック価値が高い欧米出身移民の場合、2世になるとほぼ財政に中立的なオランダ人(2016年生まれの場合、ストック価値マイナス60万円」)にほとんど同化するのに対し、日本出身2世はストック価値がプラス2000万円と推計されるからである。
■福祉国家が終わる
オランダ財政に貢献する移民と負担となる移民を分けるものは何か。
学力(教育レベル)と共に重要なのが文化的距離(宗教や慣習などの隔たりの大きさ)である。
学力が高いほど、出身地とオランダの文化的距離が近いほど貢献額は大きく(負担額は小さく)なる。
実は、日本出身移民はオランダ人より学力が高く、日本は米国よりも文化的距離がオランダに近いとされている。
その結果、日本出身移民の財政から見た同化度はオランダ人(定義上100%)を上回る134%となっている。
一方、貢献額がマイナス即ちオランダ財政の負担となっているのが、学力や文化的距離で隔たりがある
「アフリカ・イスラム・クラスター」
である。
推計では2世までしか考慮されていないけれども、こうした地域からの移民は、3世以降もオランダ社会への同化が進んでいないため、財政上の重荷である状態が続くと考えられる。
従って非欧米出身移民による財政への負の影響は、推計値よりもっと大きい可能性が高い。

「アフリカ・イスラム・クラスター」
の移民2世にかかる治安維持コストは他地域の2世の2.3倍と推計されている。
日本同様、オランダでも少子高齢化が進んでいる。
推計時の出生率はオランダ人女性1.7、欧米移民女性1.4、非欧米移民女性2.0であった。
コロナ禍前2019年には更に低下し、オランダ人女性1.6、欧米移民女性1.3、非欧米移民女性1.9だった。
少子高齢化による年金財政悪化、経済成長率低下に対処するには、移民を必要とする意見がある。
しかし、
「国境なき福祉国家」
が示したのは、途上国からの移民流入は、財政を更に悪化させ、そのマイナスの影響は高齢化の影響を上回るという現実である。
途上国出身の場合、難民だけでなく、労働移民であっても財政には負担となる。
「働くならば移民は問題ない」
という主張は正しくないのだ。
財政問題を度外視するとして、オランダが現実の年齢人口バランスを維持するために移民受け入れを進めた結果、21世紀終わりには人口は1億人に達する。
ただしオランダ人は僅か1割の少数派になってしまう。
「国境なき福祉国家」
が指摘するように、移民で少子高齢化を抑制する試みは必ず行き詰まる
「ネズミ講」
のようなものである。
今回の推計に含まれていないけれど、オランダのように既に人口密度が高い国の場合、人口増が社会・自然環境にもたらす非財政的コストや、自国民の心理的コストを無視することができない。
可住地面積当たり人口密度がオランダの倍近く、同質性の高い社会を長年に渡って構築してきた日本の場合、こうしたコストは更に大きなものとなるのは確実である。
オランダ政府は、ほぼ無条件に受け入れている
「難民」
と称する移民の多くが制度を悪用していることを認めている。
にもかかわらず、有効な対策を取ろうとしない。
労働移民についても、選り好みせず途上国から受け入れている。
<報告書は
「政府の移民政策」
が長期的に何を意味するかについて以下のことを疑いなく示した>
<財政への増大するプレッシャー、そして最終的には我々が知る福祉国家の終わりである>
<従って、現在の法的枠組みを続けるという選択は、明示することなく福祉国家に反対する選択なのだ>
■議論に欠けるもの
本稿ではオランダを例に、移民を財政的観点から分析する見方を紹介した。
多文化共生あるいは人権の観点に基づく移民推進論者は、移民の是非を金銭価値のみで判断するのはけしからんと主張するであろう。
しかし、移民を巡って、どのような美辞麗句で飾り立てようと、途上国からの大量移民は、一般国民からエリートへの所得再分配をもたらす上、財政を圧迫し、自国民に対する行政サービス水準を低下させる。
とりわけ弱者に対するセーフティーネットを劣化させる可能性が高い。
如何なる政治信条の持ち主であろうと、政治家が第1に考えねばならないのは、まず自国民、とりわけ弱い立場にある国民の福利であるはず。
ここで指摘した移民の経済財政効果を十分考慮せず、なし崩しに外国人労働者を受け入れることは、自国民への裏切りと言っても過言ではない。
【付記】本稿作成に当たり、「国境なき福祉国家」の筆頭著者ヤン・ファンデベーク博士より貴重な助言を賜った。

人手不足論はまやかしの市場重視
正論2023年7月号 青山学院大学教授 福井義高
海外からの移民を積極的に受け入れるべきという意見には2つのタイプがある。
まず、昨今流行りのダイバーシティ、多文化共生の観点からのもの。
一方、こうした移民による多様化推進論に対しては、日本社会の独自性を保つため、移民は受け入れるにしても限定的にすべきという主張も有力である。
もう1つの移民推進論は、人口が減少する中、経済成長を実現するには、移民による労働力確保が不可欠という、経済的要請によるものである。
実際、様々な分野で、なし崩しに外国人労働者受け入れが進んでいる。
多様性か独自性かという、特定の価値観に基づく主張は、お互い自分が正しいことを前提に相手を非難する感情論になりがちで、言いっ放しに終わってしまう。
それに対し、経済的観点からの是非は、生前、経済倫理学を提唱された竹内靖雄元成蹊大教授に倣って、感情ではなく勘定、つまり損得の問題として、検討することが可能である。
「感情」
ではなく
「勘定」、
つまり損得の問題として、検討することが可能である。
というわけで、ここでは高邁な文化論は避け、対象を移民(外国人労働者)の経済効果に絞って考えてみたい。
■もし国境を撤廃したら
第二大戦後、米国主導で進められた貿易自由化によって経済成長が促進され、日本のみならず各国国民の生活水準は大きく向上した。
貿易自由化とは、モノの移動に関して国境を撤廃するということなので、ヒトの移動に関しても国境を撤廃すれば、更に経済成長が促進されると考えても不思議ではない。
実際、グローバル経済推進論者は、そのように主張している。
もし世界中で移民制限を撤廃し、ヒトの移動を完全自由化すれば、その経済効果は如何ほどなのか。
幸い、移民の経済研究の第一人者であるジョージ・ボーハス教授(ハーバード大)がシミュレーションを行っているので、その結果(一部筆者推計)を紹介しよう。
ここでは、途上国の労働者は祖国を離れることに特別なコストは伴わないケースを取り上げる。
まず、世界銀行の推計に基づき、世界を人口11億人うち労働者6億人の先進国と、人口59億人うち労働者27億人の発展途上国に大別する。
現実のデータに即して、先進国・途上国共に、企業が利益を人件費に回す割合を示す
「労働分配率」
を70%、先進国と途上国の賃金格差を4対1と仮定する。
移民自由化の賃金格差は、労働力の質ではなく、社会の仕組みを反映したもので、先進国の高賃金は、途上国に比べて、より効率的な経済活動を可能とするものになっているからと考える。
従って、移民を完全自由化すれば、自由貿易によって同じモノの値段が世界中で等しくなるように、ヒトの値段即ち賃金も世界中で同じなる。
また、移民を完全自由化すると、先進国と途上国の人口と賃金はそれぞれどうなるのか、2つの場合を考える。
まず、移民を受け入れても、それまで効率的な経済活動を可能にしてきた先進国の社会体制が変わらない場合、そして、途上国からの大量移民で、先進国の社会が半ば途上国化する場合である。
先進国社会不変の場合、世界全体の国内総生産(GDP)は57%増加する。
ただし、先進国経済に対する移民の経済効果を見るには、移民自身が得る経済効果(賃金)を除外し、土着の自国労働者賃金と自国資本に帰属する所得の合計を、移民自由化前後で比較する必要がある。
移民賃金を除外しても先進国のGDPは39%増加するので、モノの自由貿易同様、ヒトの移動自由化は自国民に帰属する経済のパイを大きくする。
しかし、移民自由化がもたらすGDP増加は、大規模な移民と表裏一体である。
国境撤廃によって、労働者の家族も含めて、途上国人口の95%に当たる56億人が先進国に移住することになるのだ。
その結果、国民・移民共通の先進国賃金は39%減少する。
ただし、途上国からの移民から見れば143%の増加である。
一方、先進国の資本所得(企業利益)は、労働者増・賃下げの恩恵で、220%増加する。
大量の移民が流入すれば、受け入れる側の先進国の社会体制が、その経済効率性も含めて、大きく変化すると考える方がもっともらしい。
やって来るのは、働くロボットではなく、人間なのだから。
途上国からの大量移民で先進国社会が半ば途上国化する場合、移民自由化前より低下するとはいえ、それでも途上国より高い生産性が維持される先進国に、途上国人口の84%に当たる50億人がやって来る。
その結果、世界全体のGDPは13%増加するものの、社会の途上国化で、移民に支払われる賃金を除外した先進国のGDPは7%減少すると共に、自国民・移民共通の先進国賃金は56%減少する。
それでも移民から見れば74%の賃上げである。
一方、先進国の資本所得(企業利益)は、社会の途上国化によるマイナス効果にもかかわらず、労働者増・賃下げ効果がそれ以上に
「貢献」
し、108%増加する。
移民自由化の勝ち組は、言うまでもなく、まず先進国で働くことで賃金が大幅に上昇する途上国からの移民である。
そして、途上国から安い労働力を
「輸入」
することで、利益を大幅に増やすことができる企業である。
一方、負け組は、移民労働者による
「賃金ダンピング」
で、大幅な賃下げを余儀なくされる先進国の自国労働者である。
先進国における移民推進とは、グローバル化とか多様性とかいった美辞麗句を取り去って、その経済効果を直視すれば、労働者から資本家・経営者への所得再分配政策である。
ボーハス教授が指摘するように、
「先進国の労働者が、国境撤廃論者に従うことを拒否するのは、人種差別や外国人排斥とはほとんど関係ない」
「単に新世界秩序(New World Order)から恩恵を受けないからなのだ」。
移民推進は、先進国の国民大多数から見ると、勘定の問題として割に合わないのである。
■移民大国、米国の場合
国境完全撤廃によって途上国民の大半が移民するケースなど非現実的過ぎて、今後の日本の移民政策の参考にならないという批判があろう。
確かにそうかもしれない。
そこで、移民大国である米国の実例を、ボーハス教授の推計(一部筆者推計)に依りながら、見てみよう。
結論から先に言ってしまえば、移民推進が所得再分配政策であるという、その本質は変わらない。
2015年のデータによると、全労働者のGDPに対する貢献分は12%を占める。
しかし、移民流入で増加したGDPから移民の取り分を除くと、移民が自国民にもたらす経済効果はGDPの0.3%でしかない。
ただし、GDPの内訳を見ると、自国労働者の取り分が3%減少したのに対し、企業の取り分は3%増えている。
国境完全撤廃でほとんどの途上国民が先進国に殺到する場合と異なり、移民労働者が全体に占める割合が
「僅か」
16%であっても、移民労働者がいない場合に比べ、賃金は5%低下し、企業利益は13%も増加するのである。
更に、移民に対して提供される公的サービスの財政負担増が移民の納税額を上回る、つまり財政純負担増は確実であり、移民流入のネットのGDP貢献分0.3%は、その純負担増で帳消しになるか、マイナスになっている可能性が高い。
ここまでは労働者を一括して扱ってきたけれども、労働者といっても、大企業経営幹部から非正規雇用の単純労働者まで様々である。
実際に、移民労働者との競争を強いられ、賃金低下圧力に晒されるのは、元から低賃金の職種に従事する自国労働者である。
ボーハス教授の推計によれば、移民流入で競合する職種の労働者が10%増えると、その賃金が少なくとも3%、場合によっては10%程度低下する。
一方、移民労働者と競合しないエリートたちは、むしろ移民労働の恩恵を受ける側である。
移民推進は労働から資本への所得移転のみならず、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転をもたらす。
そもそも、アメリカは移民の国とされるけれども、これまで常に大量の移民を受け入れてきたわけではない。
日本では
「排日移民法」
と呼ばれる1924年に成立した改正移民法により、北・西欧系を除く移民が大幅に制限され、1920年代半ば以降、移民が激減する。
それから約40年経った1965年に移民法改正が行われた際、法案を提出した国会議員も政府も、この改正は移民送出国の構成が若干変わるだけで、移民数自体が増加することはないと
「確約」
したにもかかわらず、移民数は激増、しかも、改正前と異なり、欧州ではなく、途上国からの移民が大多数を占めるようになった。
20世紀半ばの移民制限期に所得格差が縮小したのに対し、大量移民が始まった1970年代以降、所得格差が拡がり、今日に至っている。
この間、米国非管理職労働者のインフレ分を除いた実質賃金はほぼ横ばいだったのに対し、大企業社長(CEO)報酬は労働者賃金の20倍程度だったのが、300倍を超える水準となっている。
■誰のための移民推進なのか
まず、移民の経済的メリット・デメリットを検討するに当たり、何を基準とするのか、はっきりさせる必要がある。
移民自身から見れば、日本の移民受け入れはプラスに決まっている。
そうでなければ、そもそも日本にやって来ない。
しかし、デモクラシーにおける政策の判断基準は、まず主権者たる国民の幸福や豊かさであり、今いる日本人にとって新たな移民受け入れがどのような経済効果をもたらすかが、移民政策の是非を巡る判断基準となるべきであろう。
出生率の低下で人口が減少する中、新たな労働力として大量の移民を受け入れれば、日本のGDPが押し上げられることは間違いない。
ただし、経済成長政策として有効か否かを判断するには、移民を受け入れなかった場合のGDPと、受け入れた場合のGDPから移民賃金と移民受け入れに起因する純財政負担を引いた額を比較しなければならない。
米国の実例でも分かる通り、移民推進は自国民の経済成長にはほとんど影響しない、ほぼ純粋な所得再分配政策である。
社会の途上国化による生産性の低下、純財政負担を考慮すれば、経済成長への効果はむしろ全体としてマイナスの可能性が高い。
移民推進は、労働から資本への所得移転に加え、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転を引き起こす、弱肉強食の格差拡大政策なのだ。
企業経営者をはじめ社会のエリートたちに移民推進論者が多いのは、要するに自分にとって得だからである。
多様化推進の観点からの移民推進論も、こうした主張を行う人が概して高学歴エリートであることを鑑みれば、正義感溢れる
「感情」
論でカムフラージュされた
「勘定」
論と見ることもできる。
一方、欧米では弱者の味方のはずの左翼・リベラルが移民受け入れを推進しているけれども、これは比較的最近の現象である。
元々、左翼・リベラルの間では、支持基盤だった労働者の利益を守るため、移民受け入れに慎重な意見が有力であった。
冷戦時代、
「移民の継続は深刻な問題をもたらす」
「合法、不法とも移民をストップせねばならない」
と主張したのは、極右どころか欧州左翼の大立者ジョルジュ・マルシュ仏共産党書記長である。
米国のある有力な大統領候補もこう語っていた。
「不法移民流入を阻止せねばならない」
「この目的を達するため、国境警備要員を増やさねばならない」
「合法移民に関する法律も、合衆国が移民の数と質をもっとコントロールできるよう改正せねばならない」
「移民受け入れに関しては、まず、合衆国は、無責任な他国干渉への干渉ーこうした干渉はほぼ確実に政治難民を生み出すーによって難民が生じることだ」
「もっと用心しなければならない」
「本当に難民かどうか、より確実に難民申請を審査せねばならない」。
発言の主はドナルド・トランプ前大統領ではなく、ベトナム反戦で名を馳せたリベラルの雄、ユージン・マッカシー民主党元上院議員である。
要するに、今日の労働者は左翼・リベラル主流派に見捨てられたのである。
ただし、新たな動きも見られる。
ドイツで急進左翼の代表格とみなされてきた旧東独出身のザーラ・ヴァーゲンクネヒト左派党連邦議会議員が、大量移民は自国労働者の経済的利益を損なうという
「勘定」
論を前面に出した移民反対論を唱え、左翼・リベラル主流派から非難される一方、
「極右」
正統とされるAfD支持者の間で大人気となっている。
■低賃金は企業の敗北宣言
豊かな社会では、必要であったも自国労働者がやりたがらない仕事が増え、移民なしにはやっていけないという主張をよく聞く。
しかし、先進国で移民が従事するのは、自国労働者がやらない仕事ではなく、現在の賃金水準ではやりたくない仕事である。
不法移民を一掃した米国のある地域で現実に起こったように、外国人労働者がいなければ、自国労働者がやりたくなる水準まで賃金は上昇する。
また、企業は技術革新で乗り切ろうとする。
実際、それは高度成長期の日本で起こったことである。
「人手不足」
にもかかわらず、移民を入れなかったことで、製造現場ではロボットが普及して省力化が進み、高学歴エリートと大衆の賃金格差が縮小し、戦前の大企業大卒社員の家庭では当たり前だった
「女中」
が賃金高騰でほとんど姿を消した。
一方、我々がどうしても生活に必要と考える財サービスであれば、十分に生産性を上げることができないため賃金上昇を価格に転嫁せざるを得ず高価格となっても、需要は残る。
一例として、生産性向上が困難な理美容業の料金は、高度成長前に比べ一般物価水準を超えて大きく上昇したけれども、今も需要は健在である。
低賃金でないと事業を継続できないというのは、高い価格を支払ってまで買う価値のある財サービスを提供できないという、企業としての敗北宣言に過ぎない。
低賃金の外国人労働者への依存は企業にとって麻薬のようなものであり、自国民の所得格差を拡げるのみならず、生産性向上努力を妨げ、結果的に、企業の衰退をもたらす。
経済的観点からの移民推進論者は、ほとんどの場合、自称市場重視論者でもある。
しかし、現在、
「人手不足」
が叫ばれている仕事の多くは、財サービス価格が低過ぎて超過需要が生じているのであって、価格を上げて需要を減少させるのが、本来の市場重視であろう。
その典型例が貨物輸送である。
人手不足対策に議論は不要である。
市場のシグナルに耳を傾け、トラック運転手の賃金を上げればよいのだ。
現在の価格で現時点の需要に応じようとする需要充足主義は、計画経済的・社会主義的発想であり、市場重視とは無縁である。
人手不足論者にみられる、こういう財サービスの価格あるいは職種の賃金は低くて当然という発想は、単なる思い込みに過ぎない。
理美容サービス料金に見られるように、社会の変化に伴い、財サービスの相対価格は劇的に変化してきた。
戦後、相対賃金が大きく変化したことは、先に述べた通りである。
人手不足を理由とした移民推進論は、国民経済の観点からは到底正当化できない。
市場のダイナミズムを無視したまやかしの市場重視、その実、反至上主義なのだ。
国境完全撤廃のシミュレーションはともかく、米国の実例は、EBPM(Evidence-based Policy Making:証拠に基づく政策立案)を標榜する日本政府にとって、移民政策を検討する際に、大いに参考になるはずである。
ともあれ、移民問題は感情ではなく、冷静な議論が可能な勘定の問題という認識が求められる。

EBPM(証拠に基づく政策立案)とは?
EBPMとは、Evidence-based Policy Makingの略称であり、日本においては内閣官房が以下のように定義している。
(1)政策目的を明確化させ、
(2)その目的のため本当に効果が上がる行政手段は何かなど、当該政策の拠って立つ論理を明確にし、これに即してデータ等の証拠を可能な限り求め、「政策の基本的な枠組み」を明確にする取組。
つまり、たまたま見聞きした事例や経験(エピソード)のみに基づいて政策を企画するのではなく、データを活用し、合理的根拠(エビデンス)に基づいて企画すること。

人手不足解消のカギは外国人労働者を受け入れないこと
Hanada2024年7月号 小西美術工藝社社長 D・アトキンソン
■衝撃的なアンケート結果
岸田政権は2024年3月29日、人手不足の分野で一定の技能がある外国人労働者を受け入れる在留資格
「特定技能」
について、2024年度から5年間の受け入れ枠を82万人とすることを閣議決定しました。
2023年度までの5年間で設定していた人数の2.4倍となり、外国人労働者の受け入れが加速することになります。
とんでもない話だと憤っていたら、最近、更に衝撃的なニュースが飛び込んできました。
「外国人労働者受け入れ『賛成』62%、高齢層で大幅増 朝日世論調査」(朝日デジタル)
<朝日新聞社が全国世論調査(郵送)のテーマ「人手不足社会」に関連して、人手不足の業種を対象に外国人労働者の受け入れを拡大する政府方針への賛否を尋ねたところ、「賛成」62%が「反対」28%を大きく上回り、賛否が拮抗した5年余り前の調査から大きく変化した>
もちろん、日本のマスコミの世論調査なので、どういう業種の人を対象にしたか、経営者だけにアンケートしたのかなど詳細が出ておらず、留意は必要ですが、6割もの人が外国人労働者受け入れに賛成というのは、驚きました。
人手不足に悩まされているのは、ほとんどが中小企業です。
人口減少の下、中小企業は生産性が低い。
有給休暇の取得率などを見ると、労働環境が大企業より厳しいので、労働者が不足すると、まず中小企業が人手不足になる。
日本の中小企業は社員数が非常に少ないので、すぐに大きなダメージを受けます。
日本企業の平均従業員数は9人。
85%の日本企業は、平均従業員数がたった3.4人。
仮に従業員数3人の職場から1人辞めると、労働力が3分の1減り、たちまち
「人手不足」
に陥ってしまうのです。
■努力したくない中小企業
私から言わせれば、中小企業は人手不足を解消する努力が進んでいません。
私は以前から、中小企業は統合して、次第に規模を大きくしていかなければいけないと主張しています。
合併統合することで、経営陣などの管理職や経理はこれまでの半分で済み、その分、人手不足の部署に人手を回すことができる。
統合まではいかなくても、会社間でお互いに人手が足りない時には融通し合うことができるよう連携はするべきです。
もう1つは、機械化など設備投資による作業の効率化。
ただ、経営者としては、日本人は低賃金でも仕事を真面目にこなしてくれるので、コストを掛けて設備投資を行う動機が生まれません。
機械化などをするより、低賃金で人間に働いてもらう方が安上がりなのです。
ここは肝心なポイントで、人口減少によって生じている人手不足は、本来、企業がそれに合わせてビジネスモデルを変えるチャンスであり、変えなければならないのです。
しかし、連携も合併もしたくない、設備投資で生産性向上もしない・・・中小企業がビジネスモデルを変える何の努力をすることもなく現状維持をするため、唯一残された方法が、減っていく日本人労働者の代わりに外国人労働者を受け入れることなのです。
現時点で、200万人の外国人労働者が日本に来ています。
2060年には生産年齢人口が3000万人減るので、低賃金労働者依存症の中小企業経営者を満足させるためには、1000万人単位で外国人労働者を受け入れなければならないでしょう。
主に最低賃金で働く外国人労働者が大量に入って来ると、日本人の賃金も上がらなくなります。
経営者は楽でしょうが、社会保障の負担が増える一方の日本で、財政も労働者も大きな打撃を受けます。
こんなふざけた話があるでしょうか。
■これまで以上に増える軋轢
2023年、2500万人の外国人観光客が日本を訪れました。
一方、
「オーバーツーリズムだ」
(ある地域を訪れる人が急増したことにより、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況)
と批判する声もあります。
満員でバスに乗れないとか、ホテルが満室で取れないとか、マスコミなどで
「オーバーツーリズム」
と批判されていることは、日本側の受け入れ体制の未整備によって起こっていることで、
「オーバーツーリズム」
などではありません。
1カ月当たり200万人来ているインバウンドは海外旅行できるレベルの層で、日本におカネを落として、欧米人などの場合、2〜3週間したら国に帰っていきます。
一方、外国人労働者は全く逆です。
中小企業が求めているのは、最低賃金で働いていくれる人材。
日本の最低賃金は世界23位で、ハンガリーやイランよりも低く、後進国レベル。
そんな低賃金であっても働きに来る外国人労働者は、言い方は悪いですが、どういう教育水準の人か分かりません。
そういう外国人が1000万人単位で日本に来て、定住するのです。
しかも最低賃金で働く外国人労働者は、経営者たちが住むようなエリアではなく、一般庶民が住むエリアで生活するようになる。
欧州などでは、低賃金の移民などは大変な問題を引き起こしています。
そもそも、イギリスがBrexit(イギリスが欧州連合 (EU) から離脱すること、離脱したこと)に踏み込んだ最大の原因は、庶民が強いられた移民の問題でした。
インバウンドは一時的にしかいないから、発生するトラブル、軋轢などたかが知れていますが、定住する外国人労働者は違います。
既にして、日本に住むイスラム教徒が
「土葬できる墓を作ってほしい」
と要請していたり、神社の賽銭箱を破壊したりする事態も起こっている。
1000万人単位で外国人が入ってきたら、これまで以上に様々な軋轢が生まれるでしょう。
なぜ経営者が低賃金で人をコキ使いたいがために、日本全体が迷惑を被らなければいけないのか。
「オーバーツーリズムだ!」
と騒いでいる人たちは、今すぐ外国人労働者受け入れに反対した方がいい。
どこの国でもそうですが、教育水準の低い移民を大量に入れれば、犯罪やトラブルが増えます。
移民政策で成功しているのは、高学歴かつポテンシャル(潜在的な力。可能性としての力)の高い人材を受け入れて、イノベーション(新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念)をどんどん起こしているアメリカくらい。
■中小企業延命という愚策
私が日本に来た1990年代前半は、高学歴・高所得の外国人でないと就労ビザが下りませんでした。
「日本人にできる仕事は外国人にやってもらう必要がない」
という考え方で、よほどの特殊技能を持った外国人でなければ、日本で働くことができなかった。
自分で言うのも何ですが、イギリスでトップの大学であるオックスフォードを卒業していても、なかなか申請が通らなかったほどです。
人手不足が叫ばれたているのは、飲食宿泊や運送業など、労働環境が悪く、生産性も低い業種です。
高学歴の人材などを必要としていません。
少子化によって競争率が下がり、今の若者は名門大学、大企業に入れる確率が昔よりも飛躍的に上がっています。
そんな中で、若者が最低賃金でしか雇えないような会社を選ぶはずがない。
若い優秀な人材を確保したければ、先述したように、合併するなり設備投資するなりして、生産性を向上させ、若者にとっても魅力的な
「中堅企業」
になるしかありません。
ところが、政府は外国人労働者を受け入れて、中小企業を延命させようとしています。
これほどの愚策はありません。
成功例がほとんどないのに、なぜ政府は外国人労働者受け入れを拡大しているのか。
もちろん、中小企業経営者側からの要請もあるでしょうが、一番大きいのは、今の社会保障を維持するためでしょう。
先述したように、ピークから既に1300万人も減っている生産年齢人口は、2060年まで更に3000万人減ります。
そうなれば、今のビジネスモデルを維持して高齢化に伴う負担に応えるために、労働している人間の数を最低でも維持しないと、今の社会保障制度を維持することができなくなる。
だから低賃金の外国人労働者を入れようということなのでしょう。
しかし、この考え方は余りにも短絡的過ぎます。
■日本人労働者は増やせる
政府には、外国人労働者を受け入れる前にやるべき事がたくさんある。
まず、日本人労働者の供給量を増やすべきです。
そのためには、扶養控除の廃止。
これだけ人手不足が騒がれる中で、フルに働かないことで税制優遇するなど、あり得ない制度です。
もう1つは、専業主婦(主夫)への年金制度の廃止。
サラリーマン(第2号被保険者)に扶養されている専業主婦(第3号被保険者)は保険料を自ら負担することなく、将来的に老齢基礎年金が受給できるのです。
自分は払っていないのに年金を受け取れるというのは、社会保障の原則に反しているだけでなく、女性の働く動機を奪っています。
海外によくあるやり方を導入して、既に貰っている人は仕方ないですが、例えば平成何年生まれ以降の人の場合、第3号非被保険者を廃止すると決めればいい。
低賃金の外国人労働者を受け入れる前に、優秀な日本人女性にフルに活躍してもらう仕組みを徹底的に実施するべきです。
女性活躍を訴えるなら、まずこの2つの廃止は必須でしょう。
それに中小企業改革。
これまで何度も書いてきたように、規模が小さいというだけで日本の中小企業は優遇されています。
弱者扱いされて、期待もされません。
商工会議所などの中小企業の団体も、改善を要求されると、すぐに
「中小企業潰し!」
「中小企業淘汰論者!」
「中小企業は下請けいじめを受けている!」
などと煽ります。
それによって、中小企業は成長するインセンティブ( やる気を起こさせるような刺激。動機付け)が削がれています。
そうではなく、きちんと足腰の強い中堅企業に成長した企業をバックアップしていく。
規模が大きくなることで、人手不足にも強くなる。
■逆説的な人手不足解消方法
経済合理性を歪ませる中小企業優遇の最たる例が、
「交際費」
です。
今は日本では中小企業というだけで、取引先との接待などに使う交際費を800万円まで損金扱いできます。
私の経験則でしかありませんが、私の周囲の中小企業経営者で、会社のためにこの800万円を使っている人はほとんどいません。
仕事に関係なく、高級寿司屋で食事をしたり、夜の店に行ったりと
「”社長自身”への接待」
に使われており、全く実態を伴っていない。
要するに、公私混同です。
この制度をフルに使うことができる企業はほぼ小規模事業者です。
成長して中堅企業になろうとすれば、この制度のメリットは次第に減ります。
更に、サラリーマンをやって何の経費も使えないよりは、公私混同が許されている小規模事業者になった方が圧倒的に有利になる。
経済合理性より、経営者優遇を狙って起業するインセンティブが働いていしまうのです。
これは考え過ぎではありません。
日本企業の場合、6割以上の企業が赤字企業です。
この比率は、1960年代から景気と関係なくずっと上がっています。
諸外国の例を分析すると、企業数の赤字比率は2割で、日本では如何に経済合理性の低い小規模事業者が多いか分かります。
実は、中小企業が2017年度に支出した交際費は約3兆円。
もし、この3兆円に法人税(23%)を掛ければ、6900億円もの税金を取ることができます。
政府の肩を持つわけではありませんが、日本は何か物事を動かそうと思えば、とにかく批判・反対の風です。
中小企業はもっと頑張れと言えば
「中小企業いじめだ」
と批判され、扶養控除廃止を言えば
「専業主婦いじめだ」
と批判される。
日本は本当に疲れる国です。
中小企業問題について、商工会議所前会頭の三村明夫氏は、未だに私を批判しています。
日経新聞(2024年4月27日)の
「私の履歴書」
で、三村氏はこう語っていました。
<中小企業はサボっているのではない>
<統計の数字だけを見た
「生産性の低い中小企業は淘汰されるべきだ」
といった極論が罷り通れば、日本経済は本来の強さを失うだろう>
「統計の数字」
以外に、一体何を根拠にすればいいのでしょうか。
教育水準の高い日本人を低賃金で働かせている
「統計的事実」
について、三村氏はどう思っているのか、逆に訊きたいくらいです。
三村氏は、最低賃金を引き上げると大量に中小企業が倒産する、失業者は大量に増えるというような主張をよくしていました。
1990年代に比べて、最低賃金は2倍に上がっています。
安倍政権以降も1.3倍にもなっている。
三村氏の主張と真逆に、企業数は大幅に増えて、就業者数も史上最高水準になっている。
三村氏が主張していた
「大量の倒産」

「大量の失業者」
も、統計に表れていません。
だから、
「統計ではない」
と言うのでしょう。
政府も、強烈な反対に遭うことは目に見えているから、
「じゃあ、現状維持のために外国人労働者を入れるしかない」
と半ば諦めており、場当たり的な対応しか取れないのではないか。
この人手不足を解消するために、政府はどうすればいいか。
逆説的ですが、
「これ以上、外国人労働者を受け入れないこと」
です。
外国人労働者を受け入れないことで、中小企業はにっちもさっちもいかなくなり、自動的に中小企業間の提携・統合、設備投資による生産性向上が進みます。
それは、中小企業改革の前進にもなる。
先述したように、中小企業を延命させるために外国人労働者を受け入れるなど、百害あって一利なしの愚策中の愚策。
冒頭の世論調査で、外国人労働者受け入れに賛成した人には目を覚まして頂きたい。
政府は
「経営努力をしたくない」
「現状維持をしたい」
という経営者の甘え、自己中心的な考えなど一顧だにせず、毅然と対応してほしいと思います。

外国人受け入れ「特定技能制度」に4分野を追加、5年で82万人見込み 政府が閣議決定
2024/3/29 10:10
https://www.sankei.com/article/20240329-QQTAPVAO7JLS3PHI6X4N4G3SQQ/
政府は2024年3月29日、外国人を中長期的に受け入れる
「特定技能制度」
の対象にトラック運転手などの自動車運送業や鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、対象分野を現在の12から16に広げる方針を閣議決定した。
令和6年度から5年間の受け入れ見込み数は最大で82万人とした。
パブリックコメント(意見公募)を経て省令を改正する。
受け入れ見込み数は、国内の雇用拡大や生産性向上だけでは不足する労働力を業界ごとに算出したもの。
5年間で約34万人としていた制度開始時から2倍超となった。
人口減少や時間外労働規制強化によって物流分野での人手不足が深刻化する
「2024年問題」
などが反映された。
追加4分野のうち、利用客と会話の機会が多いタクシーの運転手や鉄道の車掌などは、必要な日本語試験の基準を他の分野よりも高いレベルとする。
既に特定技能の対象となっている製造業分野でも繊維や鉄鋼、印刷業務などを中に加える。
特定技能は平成31年4月に創設。
最長5年間働ける1号と、家族が帯同できて事実上永住できる2号がある。
政府は、外国人の研修を目的とする技能実習制度を廃止し、外国人材の確保と育成を目的として将来的に特定技能制度に移行できる
「育成就労制度」
創設を柱とする関連法案を通常国会に提出している。

祖国にいながら外国人に怯えて暮らすのか 「受け入れろと」と他人の国で暴走する移民たち
WiLL2024年7月号 イスラム思想研究家・麗澤大学客員教授 飯山陽
■クルド人がまた犯罪
先の衆議院東京15区の補欠選挙は、たくさんの応援を頂きましたが力及ばず落選してしまいました。
皆さんのお陰で、最後までマイクを握ることが出来ました。
今回、選挙に出馬した理由の1つが、日本の移民国家への道にストップをかけるためです。
しかし現状は厳しく、またクルド人による犯罪が起きました。
しかも今度の被害者は何と女子中学生です。
産経新聞オンラインの記事(2024年4月5日付)です。
「女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署は2024年3月7日、不同意性交等の疑いで、トルコ国籍でさいたま市南区大谷口の自称解体工、ハスギュル・アッバス容疑者(20歳)を逮捕した」
「『日本人女性と遊んだが暴行はしていません』と容疑を否認しているという」
再度確認してみると、この記事は削除されており、追加の記事では容疑者は匿名にされていました。
実名は
「デイリー新潮」
やまとめサイトのみで閲覧できます。
容疑者の居住地はさいたま市ですが、川口署が逮捕したということは、川口市で活動するクルド人の居住地が近隣の市にも広がっているということでしょう。
トルコ国籍のクルド人の多くはイスラム教徒ですが、一般的にそれほど信仰に熱心ではありません。
しかし、クルド人文化は、イスラム教文化と共通する所が多く、その1つが女性や性に関する文化です。
イスラム教では、異教徒の女性は二重の意味で卑しい存在とされており、尊厳を持つ人間として扱われません。
更にイスラム教には、性行為や結婚をしても許される最低年齢という概念がありません。
イスラム教徒の男性の中には、本件のような
「異教徒の女子中学生」
というのは、性的に何をしてもいい存在だと思っている人がいる可能性があるのです。
イスラム教徒の移民による、現地の女性たちに対する性暴力事件がヨーロッパで多発している背景には、このようなイスラム教の女性観、異教徒観があります。
イスラム教徒の男性は、異教徒の女性には何をしても構わない、髪や肌を露出させているのは尊厳がないことの証であり、むしろレイプされたがっているのだと、そう理解してしまうことがあるのです。
私はイスラム教の研究者ですから、イスラム教が如何に土着文化を侵食する力を持っているかを知識としてだけでなく、実感としても知っています。
世界にはこうした文化や価値観を当然とする人々が多く存在するため、理想の多文化共生・異文化共生を現実のものにするのは困難です。
実現したいのならば、外国人に対し、
「あなたの常識は日本では受け入れられない」
「日本では日本のルールを守ってもらわねば困る」
と、ハッキリと徹底的に主張するしかありません。
更に、外国人の子供には出来るだけ早いうちから、日本のルール、文化に馴染んでもらう必要があります。
フランスでは、2019年から義務教育が始まる年齢を6歳から3歳に引き下げました。
その背景には、自国の文化や風俗を守るために移民を教育する意図もあります。
一方で日本には、こうした対策は一切なく、多文化共生・異文化共生は素晴らしい、日本人は外国人の文化を理解し、受け入れろと主張するだけです。
このまま何の対策もしなければ、先述のような事件は今後更に増えるでしょう。
■何が、権力の監視役か
にもかかわらず、政府や自治体、企業、そしてメディアも、日本社会に対して影響力(インフルエンシャル)な発言権を持つ”権力者の皆さん”はこぞって、
「活力維持に外国人が必要だ!」
と声高に言います。
読売新聞オンライン版でも
「外国人・高齢者 活力維持へ重要『育成就労』『特定技能』着実に・・・人口減抑制」
と題して、次のような記事が掲載されました。

<人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない>
<政府は今年(2024年)、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の創設を決めた>
<掲げたのは「人材の確保と育成」>
<帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った>
(中略)
<外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる>
(中略)
<業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある>
<その司令塔として、政府に「誘致戦略本部」を創設すべきだ>
<制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する>
(2024年4月26日付)

日本社会が人口減を抑制し、活力を維持するためには、外国人をどんどん日本に受け入れることが必須だとして、読売新聞がわざわざ提言しているわけです。
読売新聞だけでなく、既に国から企業まで皆揃って同じ事を言う有り様です。
外国人が必要だ、というのは、つまり”移民推進”です。
多様性の奨励はそのための地均しです。
多様性のある社会は
「活力を維持する」
と盛んに宣伝し、多様性を促進するために移民を受け入れる必要があるとして事を進める。
そもそも自民党は2016年3月15日の
「労働力の確保に関する特命委員会」
の初会合時に、政調会長の稲田朋美議員が
「日本は移民政策は採らない」
と明言した上で、議論を開始しています。
ところが、その8年後の2024年、岸田政権が在留資格
「特定技能」
について2024年度から5年間の受け入れ枠をこれまでの2倍を超える82万人とすると閣議決定しました。
8年前・2016年の方針を平気で変え、国民に嘘を付く、これが自民党政権です。
そしてこの嘘を嘘だと指摘せず、政府方針に同調しているのがメディアです。
何が
「権力の監視役」
でしょう。
「笑わせるな、愚か者!」
と言いたくもなります。
■7つの大罪である理由
読売新聞が提言した、
「日本社会の人口減を抑制し活力を維持し、成長を続けるためには外国人移民が必要だ」
という主張は完全に間違っています。
理由は7つー。
第1に、人口減の埋め合わせをするために移民を受け入れるなら、考えられないほど多くの移民を受け入れなければならないため、この政策自体が非現実的であることは、国連の調査でも明らかになっています。
第2に、人口減を埋め合わせするために移民を受け入れても、日本人でない人が増えるだけなので、日本で外国人による人口の置き換え(人口が増加も減少もしない均衡した状態になる)が進むだけです。
これを
「人口減の抑制」
だと言う人は、日本が日本でなくなることを積極的に推進する人たちです。
第3に、不足する労働力を補うために移民を受け入れても、移民もいずれ年を取って働けなくなります。
日本は今、永住を認めるという条件で移民を受け入れようとしていますが、労働力だったはずの移民は遠からず、日本の福祉によってその生活を支えなければならなくなります。
■移民と社会の暴走
第4に、不足する労働力を補うために移民を受け入れると言いながら、日本政府は彼らに家族の帯同を認めています。
5人、10人の家族を帯同すれば、移民の安い賃金では家族全員を養えなくなり、その分を補うのは、私たちの福祉、つまり税金です。
労働力が必要だと言って外国人を受け入れたのに、彼らの生活を我々の福祉で支えなければならないという事態が生じます。
労働力として受け入れた移民が、働く意欲を失ったり、病気になったり、失職すれば移民の家族の生活は、私たちの税金、私たちの福祉で支えなければならない。
これは移民を多く受け入れた欧米で実際に発生している問題です。
第5に、労働力として移民を受け入れれば、日本人の賃金が下がります。
政府が推進するインフレを上回る程度まで賃上げをする方針とは、正反対のベクトルに進みます。
サウジアラビアは移民を多く受け入れている国の1つですが、企業に一定数の自国民の雇用を義務付け、給与体系も外国人とは異なる水準を義務付けています。
しかし日本にはこうした規制はありません。
安い移民労働力を受け入れれば、企業と経営者が得をするだけで、日本人の労働者は専ら損をします。
これでは日本社会を弱体化させるばかりで、
「活力の維持」
どころではありません。
第6に、世界の文化の中には、日本の文化、伝統、常識、法律とは相容れない、矛盾するものが大量にあるため、全て受け入れれば、社会が混乱し、秩序が乱れます。
第7に、移民が増えれば間違いなく治安が悪化します。
現在、警察は外国人の犯罪を見逃し、仮に逮捕しても検察が不起訴にして犯罪者を無罪放免にします。
警察を恐れない”無敵の外国人”が、日本社会で暴走し、好き放題に犯罪に手を染めているのは、こうした背景があるからです。
外国人が増えれば、この状況は更に悪化するでしょう。
日本人は祖国にいながら、外国人に怯えて暮らさなければならなくなり、警察に守ってもらえなければ、自衛せざるを得なくなります。
犯罪の被害者となっても、誰も助けてくれない、そんな世の中にしたいですか?
■”聖域”という名の移民都市
2024年5月1日、バイデン大統領はワシントンでの集会で、日本経済が低迷している理由として
「外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」
と述べました。
そんなアメリカでは現在、不法移民が急増しています。
米南西部の国境を越えて拘束・保護された不法移民は2023年度(2022年10月〜2023年9月)に247万人と3年連続で過去最多を更新。
かつてはメキシコや南米各国からの流入がほとんどでしたが、今は、中国などから中南米を経由してアメリカを目指す不法移民も増えています。
バイデンの
「外国人好きで移民を望む」
政策が、世界中から不法移民を引き寄せているのです。
アメリカ内で移民に寛容な都市、いわゆるサンクチュアリ・シティ(聖域地域)の代表がニューヨーク市です。
ニューヨーク市では移民を10万人ほど受け入れ、日々増え続ける移民の数に悲鳴を上げ、2022年10月に民主党のエリック・アダムス市長がとうとう非常事態を宣言しました。
「移民はニューヨークのストーリー(歴史)の一部で、アメリカの一部でもある」
「しかし移民政策は崩壊している」
「国家的危機だ」
「もう限界だ」
「市単位の予算には限りがあり、思いやりだけではどうにもならない所まで来ている」
アダムス市長は移民の受け入れの危機的状況を踏まえ、度々このように訴えてきました。
ニューヨーク市の移民関連の予算は2024年度が約42億ドル、2025年度が約49億ドルと巨額です。
その後、アダムス市長は法律違反の疑いのある移民を保護してきた政策を転換する考えを示しています。
つまり不法移民を矢継ぎ早に受け入れる政策を採った結果、市が財政破綻しかかっているのです。
ニューヨーク市に限らず、不法移民を受け入れた州や都市は軒並み財政や治安が悪化し、地元住民の不法移民に対する感情も悪化しています。
今や28%のアメリカ人が不法移民の問題は、アメリカにとって最大の問題だと認識しています。
■”日本”であるために
一方、日本はどうか。
岸田政権は今まさに
「移民を望む」
政策を採りつつあります。
アメリカで不法移民に厳しい共和党が政権を取れば、アメリカに殺到している世界の不法移民が、今度は日本に殺到するでしょう。
今度は日本が不法移民の”サンクチュアリ(聖域)”になろうとしています。
日本が日本であり続けること、日本が国民にとって安心して暮らせる祖国であり続けること、日本人の暮らし、豊かさ、安全が守られることが何より大事です。
移民受け入れ推進は、こうした安心・安全を全て破壊します。
しかし今の日本の国会議員に、日本国民の安全を主張する人はほとんどいません。
彼らは皆、嘘を付き、移民を受け入れることによって起こる問題に言及する人はほとんどいません。
移民によって破壊された欧米社会や、先述のクルド人による性的暴行事件が彼らには見えていないのでしょうか。
文化や価値観の違いによって生じる事件、財政や治安の悪化などが起き得る移民政策を阻止する必要があります。
日本が移民問題で苦しむ欧米のようになるのは、時間の問題です。
私たちにとって大切な日本という国を、守り抜かなければなりません。

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

中学生に性的暴行したクルド人は難民申請中だった 地元市議は「実態を正しく直視するべき」
2024年4月5日
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04050558/?all=1
埼玉・川口市でクルド人男性が不同意性交容疑で逮捕された。
女子中学生に性的暴行をした疑いである。
実はこの男性、難民申請中だった。
悲劇の主人公のはずの
「難民」
が他人を悲劇に追いやる、その実態とは。
 ***
報道等によると、2024年3月7日に逮捕されたのはさいたま市に住むハスギュル・アッバス容疑者。
トルコ国籍の20歳、解体工だという。
事件があったのは2024年1月13日のことだ。
アッバスは都内の女子中学生とSNSで知り合い、複数人でドライブ。
2人きりになった後、川口市内のコンビニの駐車場に停車し、車内で犯行に及んだ。
行為の時間は約6分。
粗暴極まりない事件である。
川口市とその周辺でクルド系の住民と地元住民との間に軋轢が生じているのは周知の通り。
■市議も「不安に思う市民が増えている」
2023年7月4日は男女の揉め事で怪我をしたクルド人男性が川口市立医療センターに運び込まれ、それを巡ってクルド人が100人ほど病院に集結。
一時、救急搬送の受け入れが停止されるという大騒動が起きた。
「不安に思う市民が増えていると感じます」
とは、川口市議の奥富精一氏。
「これまでも一部のクルド人が改造車で危険運転や違法駐車をしたり、あるいは喧嘩をしたりという事例が見られてきました」
2023年6月には市議会で
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」
が採択されている。
「そこにきて今回の事件ですから、市民の不安が益々増したとしても不思議ではありません」
■クルド人増加の背景事情
クルド人とは、中東のトルコやイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に住む「国を持たない民族」。
川口は彼らが集住する地域として知られ、現在、2000人以上が暮らしている。
「彼らは難民申請をしているケースが少なくない」
と言うのは、入管のさる関係者だ。
「トルコと日本は現在、短期滞在ならビザは必要ではありません」
「で、ノービザで入国し、滞在期限が切れるまでの間に難民申請を行うんです」
「すると、その審査期間中は強制送還が止められる」
「川口に来るクルド人の多くは、ある特定の地域の出身です」
「こうした仕組みで入った人たちが地元の親類縁者を呼び寄せ、数が増えていったんです」
今回の事件を起こしたアッバスも、先に日本に来た父を頼って幼少期に来日し、難民申請をした“移民2世”だという。
「実際、彼らが難民認定されることはほとんどありません」
「クルド人が母国で差別されているのは事実でしょう」
「が、難民条約が規定するように、自由が奪われたり、生活が著しく損なわれ、生命の危機が生じているかと言えば、そこまでとは認められないことが多い」
「申請期間中に日本で稼いで帰国するか、或いは子供が小中学校に長期間通うなどすれば、在留特別許可を貰えるかもしれない」
「クルド人増加にはこうした背景事情があります」
しかし、そうした入国経緯の者の中から凶悪犯が出れば、住民との摩擦が生じるのは当然の事だろう。
■グレる2世
この地域で長年、クルド人支援に携わってきた「在日クルド人と共に」理事の松澤秀延氏は、
「彼らも日本の社会に順応したいと思っていますが、日本側の拒否反応が強く、そこで絶望を感じてしまうことも多い」
と分析するが、
「今回の事件もそうですが、2世の中には学校に行かず、いわゆる“グレて”しまうケースも少なくない」
「この問題を指摘するとすぐ差別と言われますが、まずは実態を正しく直視することが重要だと思います」
(奥富市議)
多様性尊重――そんな建前だけでは語れない現実が、この川口には横たわっているのである。
週刊新潮 2024年4月4日号掲載

外国人・高齢者 活力維持へ重要 「育成就労」「特定技能」着実に…人口減抑制[読売新聞社提言<7>]
2024/4/26 5:01
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240425-OYT1T50222/
■労働者に「選ばれる国」
人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない。
政府は今年、外国人技能実習制度に代わる新制度
「育成就労」
の創設を決めた。
掲げたのは
「人材の確保と育成」。
帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った。
外国人労働者を中期的に受け入れる在留資格
「特定技能1号」
も、自動車運送業や鉄道などの4分野を追加して16分野に広げた。
日本で暮らす外国人は増えており、約340万人に上る。
労働者は2023年10月末時点で約204万人だ。
政府は、育成就労と特定技能を
「車の両輪」
として、労働力を補っていく。
他国も受け入れを進めており、獲得競争を勝ち抜くには
「選ばれる国」
にならなければならない。
外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる。
農業や介護、建設など職種も幅広い。
業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある。
その司令塔として、政府に
「誘致戦略本部」
を創設すべきだ。
制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する。
育成就労では3年間働いた後、在留期間が5年の特定技能1号、永住が事実上可能な2号を段階的に取得してもらうことを目指す。
外国人の受け入れ先は主に地方の中小企業で、自力での育成には限界がある。
自治体の支援が欠かせない。
広島県は2023年、2号取得を目指す外国人を雇う企業に、最大300万円を補助する事業を始めた。
尾道市の
「因島鉄工」
はこの事業を使い、造船・舶用工業分野で全国初の合格者を出した。
その一人、ベトナム人のファン・ヴァン・マインさん(35)は
「将来は奥さんを連れてきて、ここでずっと働きたい」
と語る。
同社では試験対策として日本語講師を雇い、技能向上のための模擬試験を実施。
外国人向けの寮も整備した。
人材を繋ぎ止めるには、異国の地で働く外国人が暮らしやすく、文化に馴染める工夫も求められる。
■フレイル対策
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、2020年に7000万人超だった生産年齢人口は、2100年に3200万人に減る。
人手不足を補うため高齢者の力も必要だ。
内閣府の調査では、仕事で収入を得ている60歳以上の9割が、「いつまでも」を含め、70歳以上になっても働きたいと回答している。
企業は、技術や経験を持つ高齢者を積極的に受け入れるべきだ。
2040年には医療・介護人材が100万人近く不足するとされ、介護が必要な高齢者を少しでも減らしたい。
要介護一歩手前の状態「フレイル」の高齢者が対策を取った場合、5年後に15%が改善し、35%が状態を維持したという調査もある。
予防には食事や運動、就労といった心身の充実がカギを握る。

郷に入って「郷に従わん」外国人
直球&曲球 宮嶋茂樹
2024/5/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240509-H4LOHB4JIROYBC6FPXFOHBKM7Y/
日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
やて?
いやいや、バイデン米大統領、言葉は正確に伝えんとアカンわ。
多くの日本人が嫌いなんは、日本に来ても日本の文化や伝統、ルールを尊重せず、皇室を敬愛するどころか敵視するような外国人のことや。
日本人もどないかしとるで。
政・官・財・民、挙げて
「インバウンド」
景気やと歓迎して、いちびっとるけど、日本に来る観光客や定住外国人は、当たり前のことやけど、善意の人≠ホかりやないんやで。
最初から転売目的で爆買い≠オたり、白タクで荒稼ぎしたりしとる外国人も後を絶たん。
オーバーツーリズム
(とある地域を訪れる人が急増したことにより様々な問題が発生し、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況のこと。日本では「観光公害」とも呼ばれており、県や市といった全体で起きるものではなく、「〇〇市の橋周辺」や「春の〇〇府の寺院」など、特定の場所や季節、時間に起きるものを指す言葉)
の弊害も深刻や。
そこで暮らしとる日本人が多大な不便や迷惑を強いられとる。
東京や大阪じゃ日本人が泊まれるホテルを探すだけで一苦労や。
富士山もゴミだらけやんけ。
これほど外国人観光客が日本に押し寄せる理由は色々ある。
メシがうまいし、安い。
種類も豊富や。
治安もエエし、皆が皆とは言わんけど、まぁ日本人は外国人に親切や。
しかし、一番の原因は昨今の円安やろ。
円安=日本が安う見られとるというこっちゃ。
ハワイやヨーロッパは無理やけど
「円安」
の日本やったらいけるわ、とな。
それでも、ワシは何もやみくもに外国人の観光客や定住者を締め出せ、と言うとるわけやないんや。
困っとるんは、日本に来てまで犯罪まがいのことをやったり、日本の法令に反する自分らの風習を認めろ、と叫んだり、日本を理解しようともしたりせん、外国人なのである。
海外の日本人を見てみい。
皆から嫌われんようにちゃんと努力しとる。
その国の慣習、ルールを尊重して気、遣っとる。
イスラム圏に行ったら、お祈りの時間は静かにしとるし、豚肉は食べんし、公の場では酒も飲まんようにしとる。
「郷に入れば郷に従え」
という、諺を知っとるからや。
その国の交通ルールから公共マナーまで、いくら日本人には理解不能でも尊重するで。
そんな日本人を
「外国人嫌い」
やて?
バイデン大統領、それはないで!

バイデン米大統領が同盟国を「外国人嫌い」と切り捨てた失言の背景
ポトマック通信
2024/5/9 7:00
https://www.sankei.com/article/20240509-MFUGY3GBRVNUJJQMQJDL5YUPEA/
バイデン米大統領は2024年5月1日、アジアや太平洋諸島系の支持者集会でこう述べた。
「米国経済が成長を続けるのはなぜか」
「理由は我々が移民を歓迎するからだ」
「なぜ中国は経済的に行き詰まっているのか」
「なぜ日本は困難な状況なのか」
「ロシア、インドはなぜか」
「理由は彼らが外国人嫌い(xenophobic)で、移民を望まないからだ」
人は異なる人種、言語、宗教、生活習慣の人々の存在に拒否感や嫌悪感を抱くもので、どの国も受容と葛藤の歴史を続けている。
私が驚いたのは、大統領の失言に慣れっこのはずの米メディアの反応だった。
「同盟国に否定的用語を使った意図は?」
との疑問だ。
バイデン氏がなぜ日印中露を一括りに
「外国人嫌い」
としたのか報道官の釈明を聞いても判然としない。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、米国の移民差別の事例を挙げて
「日本の友人たちがバイデン氏のコメントを受け流してくれることを願う」
と述べた。
流せなかったのか、日本政府は
「正確な理解に基づかず残念」
と申し入れをしたと聞く。
日印を軸に中露を牽制する政権のインド太平洋外交への影響を懸念する向きもあるというが、失言には本心や願望が表れることもある。
日本を権威主義陣営との橋渡し役とする新構想があるのかと想像した。

林官房長官、バイデン米大統領の「日本は外国人嫌い」 「正確な理解に基づかない発言」
2024/5/7 12:18
https://www.sankei.com/article/20240507-GHSI6VL6DRNXPNOBYGMUH7TUQU/
林芳正官房長官は2024年5月7日の記者会見で、バイデン米大統領が、日本経済が低調なのは外国人嫌いなためだと発言したことに関し
「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言で残念だ」
「米国には日本の考えや政策を改めて説明した」
と述べた。
2024年4月の岸田文雄首相の国賓待遇での訪米を踏まえ、
「日米関係はかつてなく強固であり、引き続き日米関係の一層の強化に取り組んでいきたい」
とも強調した。

バイデン氏の発言は「残念」 日本政府が米側に伝達
2024/5/4 16:01
https://www.sankei.com/article/20240504-UYFMDSHLXZKMPNKFYEN72HZNLA/
バイデン米大統領が日本経済が低調なのは
「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言したことについて、日本政府は2024年5月3日までに
「正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」
と米側に伝達した。
関係者が明らかにした。
ホワイトハウスが公表した発言録によると、バイデン氏は2024年5月1日、ワシントンでの選挙資金集めイベントで、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛し
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
と語った。
ジャンピエール大統領報道官は2024年5月2日、バイデン氏の発言について
「移民が如何に米国を強くしているかについて話した」
と記者団に釈明した。
記者から日本との関係を悪化させるのではないかと問われると
「日本とは力強い関係がある」
とだけ答えた。(共同)

日本や中国の経済不調は「外国人嫌いのせい」 バイデン米大統領が集会で発言、移民を称賛
2024/5/2 18:35
https://www.sankei.com/article/20240502-HXPLHHHEO5LJ5LECJI6HHSVFW4/
バイデン米大統領は2024年5月1日、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛した上で、日本や中国などの経済が低調なのは
「彼らが外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」
と発言した。
ワシントンでの選挙資金集めイベントで述べたと、ロイター通信が報じた。
2024年11月の大統領選で対決するトランプ前大統領の移民受け入れに消極的な姿勢を念頭に、バイデン氏は集会で
「移民こそが私たちを強くしてくれている」
と強調。
一方で
「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」
との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)が2024年4月に発表した2024年の経済成長率の見通しでは、米国は2.7%で日本は0.9%。
一方、中国は4.6%、インドは6.8%となっている。(共同)

育成就労決定 永住資格を厳格化 税金滞納で取り消し
産経新聞2024年2月10日
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、外国人の永住許可制度を適正化する政府方針を決定した。
外国人永住者を巡っては、税金を滞納する事例などが確認されており、悪質な場合は在留資格を取り消せるよう要件を見直す。
政府は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度の方針を決定。
即戦力の外国人労働者を受け入れる在留資格を
「特定技能」
のうち、事実上永住できる特定技能2号への移行を促す同制度下では永住者の更なる増加が見込まれることから、悪質な外国人を排除する仕組みを整備する。
入管難民法は、永住資格の許可要件として素行の善良さなどを規定。
政府のガイドラインでは他に、納税義務の履行などを要件に挙げている。
一方、入管難民法で在留資格を取り消せるのは虚偽の申請で資格を得た場合などに限られ、税金や社会保険料の滞納を重ねても取り消されない。
関係者によると、永住資格取得後、納税などを拒むケースが複数、確認されている。
永住者は在留期限や活動に制限がない。
2023年6月末時点で約88万人で10年前から4割弱増加。
在留外国人の約3割を占める。

政府、外国人の「育成就労」新設方針 転籍1〜2年で可能 技能実習制度は廃止
2024/2/9 10:30
https://www.sankei.com/article/20240209-44RUQO4NEFNRPJT2WJRKPZ2X5Q/
政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる
「育成就労」
制度創設を柱とする政府方針を決定した。
技能実習制度では原則認められていなかった転籍(転職)を原則1年で認める一方、最長で2年間、転籍を制限できるとした。
政府は2024年3月にも国会に関連法案を提出する。
技能実習制度を巡っては劣悪な労働環境の影響で人権侵害事案などが発覚。
政府の有識者会議が昨年、公表した最終報告書は技能実習制度を廃止し、育成就労制度を創設。
育成就労期間が1年を超えるなどの条件を満たせば原則、転籍を認めるとしていた。
その後、地方から都市部に人材が流出する可能性があるなどの懸念を払拭するため、転籍に一定の制限をかける必要があると自民党の部会が提言。
政府方針は、当面、業界ごとに最長で2年まで転籍を制限できるとした。
転籍時の日本語能力は、最も易しい日本語能力試験「N5」レベルや、基本的な日本語を理解することができる「N4」レベルを設定する。
転籍要件の緩和に伴い、悪質な転籍ブローカーの介入を防ぐため、転籍の仲介状況を透明化するための体制を整備をする他、資格のない外国人を雇うことを禁じる不法就労助長罪の法定刑を引き上げる。
受け入れの仲介を担う監理団体は
「監理支援機関」
とし、外部監査人の設置を義務付ける。
新制度は、人材の育成だけでなく確保も目的とし、受け入れる分野を特定技能制度と揃える。
育成就労期間を終えて日本語と技能の試験に合格すれば、特定技能1号に移行できる。

欧州、難民は「外国に送れ」の新潮流 メローニ伊首相「モデルになる」と意欲満々 
緯度経度 三井美奈
2024/2/9 9:00
https://www.sankei.com/article/20240209-O2HOXT6SKVMYXM4VF7UMMMLY64/
移民流入に悩む欧州で、
「難民を第3国に送る」
という奇策が浮上した。
イタリアと英国が先導している。
イタリアの計画は2023年11月、メローニ首相が発表した。
地中海を渡ってくる不法移民を隣国アルバニアに送るという。
2024年春にもスタートし、年間3万6000人を見込んでいる。
「欧州のモデルになる」
と誇った。
計画によると、アルバニアの沿岸に受け入れ施設を造ってもらい、イタリアに移民船が来たら、上陸させずに施設に直送する。
施設ではイタリアの職員が難民審査を行い、周辺の警備はアルバニアが担う。
難民資格が得られなかった人は、イタリアの責任で送り返すことになっている。
イタリアには2023年、北アフリカから移民船で15万人以上が押し寄せた。
イタリア政府は欧州連合(EU)加盟国に
「分担して受け入れを」
と求めたが、応じてもらえない。
そこで、アルバニアに
「EU加盟を支援する」
と約束し、合意を取り付けた。
地元紙によると、経費は5年間で推計6億5000万ユーロ(約1030億円)。
全てイタリアが負担する。
金と手間をかけて、わざわざ移民を外国に送るのには訳がある。
欧州人権法では、1度入国させると追放は極めて難しい。
難民資格がない人も申請を繰り返し、
「子供や病人がいる」
と法廷で訴えれば、強制退去にブレーキがかかる。
そこで
「とにかく入国させない」
ことが重要になった。
「我が国(イタリア)に来ても外国に送るからムダ」
と示し、密航を諦めさせる狙いもある。
メローニ氏は
「不法移民に危険な旅をさせずに済む」
と、抑止効果を強調した。
欧州研究機関
「国際移民政策開発センター」(ICMPD)
のマルティン・ホフマン顧問は
「よく練られたアイデア」
「EU域外の受け入れ施設でも、イタリア法で運営すれば『人権軽視』の批判をかわせる」
「うまくいけば、追随国が増えるだろう」
と予測する。
英国では今、
「移民のルワンダ移送」
法案が国会で審議されている。
英仏海峡を渡ってくる不法移民を6500km南のルワンダに送り、難民申請から定住まで委任することを目指す。
イタリアと英国は、人権団体や左派野党から
「残酷」
「難民保護の責任逃れ」
と批判された。
英国では2023年、当初法案に最高裁が
「人権侵害の恐れあり」
として違憲判決を示し、政局は大揺れになった。
それでも、第3国移送案への関心は高い。
デンマークの他、ドイツ最大野党の中道右派
「キリスト教民主同盟(CDU)」
が、EUによる取り組みを訴えている。
フォンデアライエン欧州委員長は、イタリア案を
「画期的」
と讃えた。
EUはこれまで、リビアやチュニジアに支援金を出し、移民船の出航を止めてもらおうとした。
EU加盟国で受け入れ枠を作り、負担を分け合うことも定めた。
いずれもあまり成果がない。
どの国も
「何とかしろ」
という世論の圧力に直面している。
注目が集まるのは、欧州人を良心の呵責から救う効果もあるからだろう。
各国政府は本音では不法移民を追い払いたいのだが、
「瀕死で救いを求める人を見捨てるのか」
という人権団体の訴えを無下にできず、常に逡巡している。
苦難の末にやってきた移民を、また外国に送る。
そんな方策に飛びつくほど、事態は切迫している。
2023年、欧州で難民申請件数は100万件を超えた。
地中海を渡る途中で死亡、行方不明になった移民は約3000人に上る。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/530.html#c26

[政治・選挙・NHK294] 選挙報道の自由が特例であり続ける理由 輪記子 それ、当たり前のことですか?(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
7. 秘密のアッコちゃん[372] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月05日 17:20:49 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[485]
<■121行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>靖国神社を冒瀆 中国は容疑者引き渡しを
社説
2024/6/5 5:00
https://www.sankei.com/article/20240605-PADVPPR7VBKI3IP3M5GJCPS6XE/
靖国神社の石柱に落書きされた部分はブルーシートで隠されていた=2024年6月1日午後、東京都千代田区
https://www.sankei.com/article/20240605-PADVPPR7VBKI3IP3M5GJCPS6XE/photo/E3Y6GOB53ROWTDLSIAS3G5PI3Y/
東京・九段の靖国神社の
「社号標」
という石柱に、英語で
「トイレ」
と落書きされる事件が起きた。
中国の動画投稿アプリで、男が石柱に向かって放尿するような仕草をし、赤いスプレーで落書きする犯行の様子が投稿されていた。
警視庁公安部が器物損壊容疑で捜査している。
容疑者は上海在住とみられる中国籍の男で、撮影役と一緒に中国に向けて出国したという。
靖国神社は246万余柱の英霊が眠る近現代日本の戦没者追悼の中心施設である。
極めて下品な犯行で冒瀆したことは絶対に容認できない。
警視庁は容疑者を急ぎ特定してもらいたい。
岸田文雄首相と上川陽子外相は最大限の憤りを表明し、中国側に容疑者の引き渡しを求めるべきだ。
落書きは2024年6月1日早朝、通行人が発見して警察に通報した。
犯行の動画が投稿されたことからも計画的な仕業とみられる。
中国のSNSでは
「とても美しい」
「よくやった」
と称賛する声が上がったというから呆れる。
靖国神社を批判的に捉えるとしても、今回のような犯行が許されるはずもない。
日本には多くの中国人がいるが、その大多数は今回のような愚かな行為をしていない。
下品な犯行やそれを礼賛する投稿が中国人のイメージ悪化を招くことがなぜ分からないのか。
中国外務省の報道官は記者会見で今回の事件を巡り、
「外国にいる中国公民は現地の法律を順守し、理性的に訴えを表現するよう注意を促したい」
と述べた。
良くない事だったと考えてはいるようだが、注意喚起だけで済む話ではない。
日本と中国は犯罪人引き渡し条約を結んではいないが事は重大である。
中国政府は日本側の捜査に協力し、容疑者を拘束して引き渡してもらいたい。
報道官は同じ会見で靖国神社を
「日本軍国主義が発動した精神的な道具であり象徴だ」
と批判した。
だが参拝者は静謐(せいひつ)な環境で英霊を悼み、平和への誓いを新たにしている。
中国側の長年の反日教育が事件の容疑者の靖国神社への憎悪を掻き立てたのではないかと恐れる。
靖国神社では過去にも中国人、韓国人らによる放火や落書きなどの事件があった。
英霊の静かな眠りを守るため警察が警備を厳重にすべき時である。

靖国神社落書き事件で日本政府が外交ルート通じ中国に懸念表明、注意喚起を要請 
2024/6/4 17:39
https://www.sankei.com/article/20240604-UYXFQGBU2NPCFN6HOMZSXWLKE4/
上川陽子外相は2024年6月4日の記者会見で、靖国神社(東京都千代田区)の石柱に中国籍とみられる男が落書きする映像が中国の動画投稿アプリ
「小紅書(レッド)」
に投稿されたことに関し、
「我が国の関係法令に反すると思われる行為を是認、助長するような動画が作成され、拡散されるようなことは受け入れられるものではない」
と述べた。
その上で
「外交ルートを通じ、中国政府に事案の発生に対する懸念を表明すると共に、中国国民に現地法令の順守、冷静な行動を取るよう注意喚起することを要請した」
と明らかにした。

靖国神社で石柱に落書き疑い中国籍の男、撮影役と約5時間後には出国 計画的か
2024/6/3 21:09
https://www.sankei.com/article/20240603-QW3O22CA4FO7FME3ZSTUUHOJ5U/
東京都千代田区の靖国神社で石柱に落書きが見つかった器物損壊事件で、落書きをした疑いのある中国籍の男が犯行の約5時間後には出国していたことが2024年6月3日、捜査関係者への取材で分かった。
男は出国直前に落書きをしており、警視庁公安部は計画的な犯行とみて捜査している。
捜査関係者によると、男は2024年5月31日午後9時55分から同10時までの間に落書きをしたとみられ、その直後の2024年6月1日未明の便で出国した。
男は中国・上海在住とみられている。
男が落書きする様子は、中国の動画投稿アプリ
「小紅書(レッド)」
に投稿されており、撮影役も一緒に出国したことが確認された。
落書きは2024年6月1日午前5時50分頃、通行人が発見し、周囲にいた警察官に申し出た。
神社入り口の
「社号標」
という石柱に赤いスプレーを使い、英語で
「トイレ」
と書かれていた。
また、同日午後7時頃には同神社のこま犬に中国語で書かれた張り紙があるのを通行人が発見し、110番通報した。
中国語で
「世界人民は団結しよう」
「ただしおまえらは含まない」
という趣旨が記されていた。
公安部が関連を調べている。
動画によると、男は、辺りが薄暗い中、石柱の台に登り、石柱に向かって放尿しているような仕草をした。
その後、赤いスプレーで英語で
「ToiLet」
と書いて立ち去った。
男は英語で
「アイアンヘッド」
と名乗っていた。

靖国神社落書きは「日本人の魂を汚す行為」在日中国人も冷ややか「馬鹿野郎といいたい」
2024/6/3 18:59
https://www.sankei.com/article/20240603-6O3XHXQ5K5HZNMJYR2KCN6VAMU/
靖国神社(東京都千代田区)の石柱が
「トイレ」
と英語で落書きされた。
中国のSNSに投稿された動画では、中国籍とみられる男が石柱に赤いスプレーで落書きし、放尿するような仕草が映っている。
警視庁公安部は器物損壊容疑で男の行方を追っているが、慰霊の場を汚した男に対し、静かな怒りが広がる。
日本で暮らす中国出身者も、日本人の感情を踏みにじる行為に冷ややかな目を向けている。
「どの国も国のために命を落とした人への畏敬の念がある」
「戦争で亡くなった人を祀る、日本人にとって神聖な場所が汚されたのは不愉快で残念だ」
「日本人の魂を汚す行為だ」
民主党の衆院議員だった牧野聖修氏は2024年6月3日、産経新聞の取材にこう語った。
牧野氏は中国共産党政権下で迫害されるチベット仏教徒を支援していることで知られる。
牧野氏は
「僕たちが靖国神社を汚されることが嫌なように、どこの国も国のために命を落とした人に対しては感謝の念と崇敬の思いを持っているはずだ」
「こういうことをすれば歴史問題を巡り、両国関係を友好なものにしようとしても乗り越えられない状況になってしまう」
と指摘した。
中国政府が弾圧している民族や香港人への支援活動を続ける古川郁絵氏も
「私にとっては大切な英霊が祀られている神域だ」
「英霊は日本を守るために命懸けで戦った方々で、今の私たちが存在する先祖そのもの」
「その魂を汚された気がする」
と語った。
在日中国人で中国の民主化を求める
「民主中国陣線」
の盧家熙(ろ・かき)氏は産経新聞の取材に答え、男について
「旧日本軍の侵略への反対などの考えがあったのだろうが、それはデモや集会で表現すればいいことだ」
「日本の法律に違反するような行為を行うべきではない」
と述べた。
■「目の前にいれば首根っこをつかまえる」
日本ウイグル協会理事で、2023年10月に日本国籍を取得した田中サウト氏は
「英語でトイレと書き、放尿するとは一線を越えた行動で、とても驚いた」
「SNSにアップして自身を愛国主義者だと中国人にアピールしたいのだろうが、凄く嫌な感じだ」
「狭い視野で愛国心を煽ることはおかしい」
と不快感を示す。
ベストセラー「歌舞伎町案内人」(角川文庫)の著者で、日本に帰化したジャーナリスト、李小牧氏も産経新聞の取材に、男の行為について
「中国人のイメージが悪くなる」
「中国人の観光客も日本に来ているのに、あの男が全ての中国人の印象になりかねない」
「目の前にいれば首根っこをつかんで110番する」
「元中国人として馬鹿野郎と言いたい」
と語った。
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/527.html#c7

[政治・選挙・NHK294] 彼らは相手にされていない ムジナ3兄弟に冷静な国民の蔑視(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
27. 秘密のアッコちゃん[373] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月06日 12:55:37 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[486]
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少子化対策の支援金制度「税よりも悪質な増税」日本総研・西沢和彦理事
2024/6/5 18:40
https://www.sankei.com/article/20240605-E56C6FYBG5IR3EJM4D3B7HV5OY/
公的医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
を令和8年度に創設することなどを盛り込んだ少子化対策関連法案が2024年6月5日の参院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。
日本総合研究所の西沢和彦理事に関連法や支援金制度などについて聞いた。

「子ども・子育て支援金」
制度のような国民負担の伴うものは本来、選挙で信を問うべきだが、選挙がない
「黄金の3年間」
の間に行われた。
民主主義的なプロセスを踏みにじったと言える。
国会審議においても加藤鮎子こども政策担当相は官僚の用意した答弁を読むだけだった。
また、徴収額の試算について小出しにしてきたが、初めから示すべきだ。
特に
「少子化対策は社会にとっての受益」
という政府の説明は詭弁だ。
保険はそもそも個人のレベルで、受益と負担が一致しなくてはならない。
保険料を払うからこそ、受益を受ける権利がその個人に発生し、保険料と受益が結び付いているからこそ医療費の無駄を監視などする。
政府の説明は個人の受益と負担から全く関係ない理屈を持ち出していた。
これまでになかった理屈であり、全く許容しがたい。
また、社会保険には逆進性があり、財源が必要であるのならば、租税で賄った方が公平で効率的だ。
事業主の負担分も賃金を削るなどしないと捻出できず、雇用にとってもマイナスである。
社会保険料を使うというのは、税よりも悪質な増税と言える。
社会保障の持続可能性を高めるには、現役世代から高齢世代への所得移転の規模を小さくすることが、国として出来る事だ。
例えば、高齢者の自己負担を上げたり、医療費をなるべく抑えたりすることだ。
子育て以外にも医療や年金など財政需要がある中で、国民負担は限界に近付いている。
与野党でバラマキ合戦をするのではなく、歳出抑制と負担増という国民受けのしない課題に取り組んでいかなければならない。
本件をきっかけに、与野党で今後の政策決定の在り方について議論してほしい。

子ども支援金に専門家「撤回を」 衆院予算委中央公聴会
2024/2/29 20:58
https://www.sankei.com/article/20240229-T7H4LIX5KBJA3JQYEZL3YZUMQA/
政府が少子化対策の財源として公的医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
制度に関し、2024年2月29日の衆院予算委員会の中央公聴会に出席した日本総合研究所の西沢和彦理事は
「撤回すべきだ」
と述べた。
現役世代から高齢者まで幅広く上乗せされるのに対し、子育て世帯以外は負担に見合う利益を受けられない可能性があることなどを念頭に反対の意向を示した。
鈴木亘学習院大教授も出席し、少子化の最大の要因は未婚率の上昇だと強調。
政府の
「次元の異なる少子化対策」
は児童手当の拡充など子育て世帯への給付が中心だとして
「結婚してもらうことに、ほとんど何も手が付いていない」
「出生率が上がる効果はほぼない」
と指摘した。

児童手当拡充、夫婦の「共働き・共育て」推進で加速化プラン具体化 少子化対策関連法成立
2024/6/5 17:29
https://www.sankei.com/article/20240605-EKIRMURF6ZI2RAP6WDGAE35KGE/
2024年6月5日の参院本会議で成立した少子化対策関連法は、子育て世代を経済的に支援する政策などが盛り込まれた。
政府が昨年作成したこども未来戦略の
「加速化プラン」
を具体化する内容だ。
同日発表された令和5年の人口動態統計(概数)の出生数は72万7277人で過去最少を更新。
少子化に歯止めを掛けるため、政府は出産・子育てし易い環境の整備を急ぐ。
政府は同法で、子供や子育て世代に対する経済的な支援やサービスの充実、財政基盤の確保について、一体的な整備を図る。
児童手当は2024年10月から所得制限を撤廃し、現在0歳から中学生までの支給期間を高校生年代まで延長する。
低所得のひとり親世帯などに支給される児童扶養手当も、2024年11月から第3子以降の加算額を月最大6450円から1万75円に増やす。
夫婦が等しく仕事や家事、育児を役割分担する
「共働き・共育て」
を推進するため、
「出生後休業支援給付」
を令和7年4月に創設。
両親とも14日以上の育児休業を取得した場合、手取り収入を現在の育休前の実質8割から実質10割に引き上げる。
政府は加速化プランを実行するための財源について、最大で年3.6兆円と見込む。
このうち1.5兆円は既定予算の活用で賄い、社会保障の歳出削減で1.1兆円を捻出する。
残りは公的医療保険に上乗せする
「子ども・子育て支援金制度」
を創設して幅広い世代から徴収する方針だ。
支援金制度の創設に伴う個人の負担について、政府側は賃上げなどで国民の所得が増えれば
「実質的な負担は生じない」
との説明を繰り返した。
岸田文雄首相は2024年2月、徴収額は令和10年度に医療保険加入者1人当たり
「月平均で500円弱」
と言及。
ただその後、政府は野党側の追及を受け公的医療保険別や収入別の徴収額試算を小出しに公表した。
結果的に示された試算は月50〜1650円となり、首相が当初説明した
「月500円弱」
を上回るケースもあった。
政府は支援金制度の創設で子供1人当たりの給付額が計146万円拡充されると説明するが、負担増に国民の不満は根強い。
自民党の閣僚経験者は
「首相は『負担増』と批判されることを警戒し過ぎ」
「国民に正直にお願いすべきだ」
と話した。

少子化対策関連法成立、児童手当や育休給付拡充 財源確保に保険料上乗せで徴収
2024/6/5 13:01
https://www.sankei.com/article/20240605-6YPVOBL4N5PVVHBQN4OALFAJVI/
岸田文雄政権が今国会の目玉政策と位置付ける少子化対策関連法案が2024年6月5日の参院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。
児童手当や育児休業給付の拡充が柱。
財源確保のため、公的医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
を令和8年度に創設する。
首相が2023年1月に
「次元の異なる少子化対策」
に取り組むと表明後、約1年半かけて議論してきた政策が順次実行に移る。
少子化傾向は年々加速しており、歯止めが掛けられるかどうかが問われる。
同法では、経済的支援を手厚くするために児童手当の支給を高校生年代まで延長し、所得制限を撤廃する。
第3子以降は月3万円に倍増する。
この他、親の就労に関係なく子供を預けられる
「こども誰でも通園制度」
を令和8年4月から全国で開始し、保育サービスも強化する。
一方、支援金は令和8年度から徴収を始め、令和10年度には1兆円とする。
個人の負担額は加入する公的医療保険や収入で変わり、政府は会社員らの被用者保険、自営業者らの国民健康保険、75歳以上の後期高齢者医療制度についてそれぞれ年収別に試算。
負担額は月50〜1650円と示した。
支援金制度創設に伴う子供1人当たりの給付拡充額は平均約146万円としている。
政府は国会での審議で、支援金について社会保障の歳出削減の範囲内で構築するため
「実質的な負担を生じさせない」
と繰り返し主張する一方、具体的な削減額などには踏み込まなかった。
野党は
「事実上の増税だ」
などと批判した。

少子化対策関連法案は、財源確保のため公的医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
創設が最大の目的で、事実上の子育て増税だ。

<主張>少子化の参院審議 財源を明確にするときだ
社説
2024/5/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20240520-REPO7LNIS5I4PKQ3PARPSVXYZM/
児童手当や育児休業給付の拡充などを盛り込んだ少子化対策関連法案が、参院で審議入りした。
近く議論が本格化する。
対策を確実かつ継続的に行うには、財源に関し国民の理解を得た上で、しっかり確保しなければならない。
だが、岸田文雄首相は衆院審議で
「実質的な追加負担は生じさせない」
と語るばかりで、財源論にきちんと向き合っているとは言い難かった。
政府は公的医療保険に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
を令和8年度に創設し、令和8年度に6000億円、令和9年度に8000億円、令和10年度に1兆円集める方針を示している。
実質負担ゼロというのは、社会保障費の歳出削減と賃上げで国民負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金を徴収するという理屈だが、これが分かりにくい。
しかも、高齢化で医療や介護の需要が高まる中、削減の中身が十分に見えてこない。
首相や関係閣僚は、歳出を減らす方策をより具体的に提示してほしい。
それなくして実質負担ゼロといわれても説得力がない。
衆院の審議で首相は、支援金の具体的な額の見通しを問われ、当初、医療保険の加入者1人当たりの平均月額は令和10年度に500円弱と答えていた。
加入者には子供らも含まれる。
政府はその後、医療保険毎の収入に応じた試算を出した。
例えば、会社員らが入る被用者保険で年収600万円の場合は、保険料を支払う被保険者1人当たり月額1000円を見込んでいる。
負担の議論を避けたいがために、試算を出し惜しみしていたと言われても仕方あるまい。
負担を巡る問題から逃げずに、正面から丁寧に説明すべきだ。
参院では財源論や個々の対策にとどまらず、長期人口目標や、人口減でも豊かさが実感できる社会の在り方といった大局的な見地からの議論も、政府や与野党から聞きたい。
安倍晋三政権時に、50年後、1億人程度の人口を維持するという目標を経済財政運営の指針
「骨太の方針」
に掲げたことがあった。
だが目標は消え、現在、目指すべき人口規模を政府は示していない。
国全体で少子化を乗り切っていくには、国家目標を明確にすることが欠かせない。

子育て支援金を全世代から徴収 少子化対策法案が衆院通過、「負担ゼロ」説明に野党批判
2024/4/19 18:14
https://www.sankei.com/article/20240419-JCTWKWNF3ZNTZGJ5NCUB33LNSI/
児童手当や育児休業給付を拡充する少子化対策関連法案は2024年4月19日の衆院本会議で、自民、公明両党の賛成多数により可決され、衆院を通過した。
財源確保のため、公的医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
を令和8年度に創設。
現役から高齢者まで幅広い世代に負担を求める。
政府は
「実質負担はない」
としているが、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主といった野党は
「説明が不十分」
などと批判、反対した。
参院の審議で、実質負担ゼロの根拠をどう説明するかが焦点となる。
政府、与党は今国会での成立を目指す。
岸田文雄首相が
「次元の異なる」
と謳う対策を法案に盛り込んだ。
児童手当の支給を高校生年代まで延長し、所得制限を撤廃。
第3子以降は月3万円に倍増することなどが柱。

子育て支援金、衆院委可決 児童手当拡充の財源確保 「事実上増税」野党反対
2024/4/18 10:37
https://www.sankei.com/article/20240418-WV75S3UD3ZK6BISWCLSDP7CSJU/
児童手当拡充を柱とした少子化対策関連法案は、2024年4月18日の子供政策に関する衆院特別委員会で採決があり、与党の賛成多数で可決された。
審議では、財源確保のため公的医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
創設が最大の論点となり、野党側は
「事実上の子育て増税だ」
と批判。
採決でも反対に回った。
2024年4月19日の衆院本会議で採決される予定。
対策では児童手当の支給を高校生年代まで延長し、所得制限を撤廃。
第3子以降は月3万円に倍増する。
この他、両親が共に14日以上の育児休業を取った場合、育休給付を最大28日間、実質10割に引き上げる。
親の就労に関係なく保育を利用できる
「こども誰でも通園制度」
も設ける。
実現には、今後3年間に年最大3兆6000億円の財源が必要となり、社会保障費の歳出削減や支援金などで賄う。

子育て支援金75歳以上50〜750円 年収別試算公表 国保は年収400万円で月650円
2024/4/16 21:05
https://www.sankei.com/article/20240416-CLXLXLJGV5J3NAV3SWB4ZJQXYA/
こども家庭庁は2024年4月16日の子供政策に関する衆院特別委員会理事会で、少子化対策の財源を確保するため公的医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
の75歳以上の年収別の徴収額試算を示した。
令和10年度には年金収入のみの単身世帯で月50〜750円となる。
与野党は支援金制度の創設を盛り込んだ少子化対策関連法案を衆院特別委で2024年4月18日、衆院本会議で2024年4月19日に採決する日程で合意した。
支援金制度は令和8年度に徴収を始め、徴収総額は6000億円から段階的に引き上げ、令和10年度に1兆円となる。
徴収額は医療保険や収入によって異なる。
75歳以上の後期高齢者医療制度では令和10年度の単身世帯の1人当たりの徴収額は年収80万円の場合、月50円。
年収が上がる毎に増え、
▽160万円は月100円
▽160万円は月200円
▽200万円は月350円
▽250万円は月550円
▽300万円は月750円
と試算した。
400万円以上は支援金の上限に該当する可能性があり
「一概に言えない」
としている。
こども家庭庁はこれまで会社員らが加入する被用者保険や自営業者らの国民健康保険の試算も公表。
被用者保険は令和10年度に年収400万円は月650円、年収600万円なら月1000円。
国民健康保険は年収400万円の場合、加入者1人当たり月550円などの負担としていた。

加藤鮎子こども政策担当相、実質負担ゼロ改めて強調 子育て支援金、論戦本格化
2024/4/3 11:53
https://www.sankei.com/article/20240403-6UHFINV2F5JIVJ5E2P6TQ6U3A4/
児童手当の拡充などを柱とする少子化対策関連法案は2024年4月3日、子供政策に関する衆院特別委員会で実質審議入りした。
対策の財源を確保するため公的医療保険料に上乗せする
「子ども・子育て支援金」
を創設する。
加藤鮎子こども政策担当相は、社会保障の歳出削減に取り組み、支援金を徴収しても
「国民に実質的な負担が生じないようにする」
と改めて強調した。
自民党の国光文乃氏への答弁。支援金の負担の在り方を巡る論戦が本格化した。
対策には今後3年間に年最大3兆6000億円の財源が必要となり、政府は社会保障の歳出削減や支援金などで賄う方針。
この日の特別委で加藤氏は、支援金徴収などの負担だけでなく、児童手当の拡充など
「しっかりとした給付がある」
と指摘し、法案について
「国民に理解頂けるよう説明する」
と述べた。

児童手当拡充の少子化対策法案、衆院で審議入り 財源確保に支援金徴収
2024/4/2 14:38
https://www.sankei.com/article/20240402-WAQCB6RHEBOM3J7WDXJQ7NVEMA/
児童手当の拡充などを柱とした少子化対策関連法案は2024年4月2日の衆院本会議で審議入りした。
対策の財源を確保するため公的医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
制度を2026年4月に創設する。
今国会での成立を目指す。
対策には今後3年間に年最大3兆6000億円の財源が必要で、社会保障の歳出削減や支援金などで賄う。
加藤鮎子こども政策担当相は法案に関し
「社会全体の意識を変え、安心して子供を産み育てることができる社会の実現を目指す」
と述べた。
岸田文雄首相は少子化対策の財源について
「支援金制度の構築は、歳出改革による保険料負担の軽減効果の範囲内で行い、歳出改革を中心として財源を確保する」
と述べた。
政府は支援金の月平均の負担額を医療保険別に試算。
保険料を払っている被保険者1人当たりで2026年度は月200〜550円、制度が確立する2028年度は月350〜950円となる。

加藤鮎子こども担当相、子育て支援金の答弁迷走 金額上がる可能性「参考人の答え通り」
2024/3/5 21:18
https://www.sankei.com/article/20240305-CAAN63RW5VDFJNWCUPHCPPKZN4/
2024年3月5日の参院予算委員会で、少子化対策の財源確保のため公的医療保険料に上乗せする
「子ども・子育て支援金」
を巡り、加藤鮎子こども政策担当相の答弁が迷走する場面があった。
答弁書の読み上げに終始する場面が目立ち、野党側がいら立ちを募らせる場面も目立っている。
支援金は医療保険の加入者から保険料に上乗せする形で徴収する制度。
政府が国会提出した少子化対策関連法案では、支援金の負担率は、政府が政令で定める範囲で、医療保険の保険者が定めることになっている。
この日の予算委では、岸田文雄首相が国民1人当たり
「月500円弱」
と試算を示した支援金が、将来値上がりする可能性があるかどうかが議論された。
日本維新の会の駿政調会長は、支援金の率を決める政令について、
「社会保障負担率の上昇に与える影響の程度が、社会保障の歳出削減などによる負担率の低下に与える影響の程度を超えないものとする」
とした関連法案の付則を
「考慮しなければならない」
と別の付則に書いてあると指摘。
「『考慮しなければならない』であって禁止規定ではない」
「将来上がる可能性は否定できない」
と迫った。
加藤氏は
「禁止規定ではないが、『考慮する』ということは義務として、政府は法の規定に基づき、適切に法令を定めていく」
と答弁した。
音喜多氏が、上がるかどうか明確な答えを求めると、政府参考人として、こども家庭庁の担当者が代わって答弁。
支援金は児童手当などに充当されることが関連法案で規定されず、充当される割合も法案に規定されることから
「基本的に子供の数が増えていかない限り、支援金は増えない」
「そういう法律的な立て付けだ」
と説明した。
支援金制度は、介護保険や健康保険のように、高齢者の増加で保険の総額が増えるものと性質が違うとも強調した。
音喜多氏は
「完全に禁止する規定になっていないので、上がる可能性は法的に否定できない」
と重ねて指摘すると、こども家庭庁は
「端的に可能性があるかないかと言えば、可能性としては(支援金制度の)総額によるので『ある』」
「ただ、法律上様々な立て付けから、基本的に増加していく仕組みにはなっていない」
と重ねて答えた。
加藤氏は
「政府参考人が答えた通りだ」
と追随したが、音喜多氏は
「参考人がここまで助けてくれたのだから、担当相に正面から答えてほしい」
と迫った。
加藤氏はようやく
「法律の立て付け上は、可能性としては『あり得る』」
と答えた。
やり取りを聞いた岸田文雄首相は、支援金の負担率が上昇する可能性について
「法律論としてその通りかもしれないが、政治的には負担増加は考えていない」
と強調した。
加藤氏は、一連のやり取りで答弁書を読み上げることに終始。
野党からは
「質問と回答が嚙み合わない」
と指摘される場面も目立っている。

http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/539.html#c27

[政治・選挙・NHK294] 京大教授「クズ中のクズ岸田首相が支持率7割(2022年現在)… 政治に対する本質的な関心を失った民族は、100%確実に滅びる」 (S… 西大寺
5. 秘密のアッコちゃん[374] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年6月06日 18:03:46 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[487]
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空の守りは高コスト 反撃能力が不可欠
正論2024年7月号 元航空自衛官・作家 数多久遠
2024年4月13日、イラン・イスラム革命防衛隊が300発を超えるミサイル攻撃をイスラエルに対して行いました。
しかし、これはほぼ完璧に防がれています。
イスラエルの迎撃確率は99%以上だったと報じられています。
その一方でウクライナは、同じような弾道ミサイル、巡航ミサイル、それにドローンによるロシアの攻撃に苦しめられています。
この差異の理由を、アローミサイルやアイアンドームなどのイスラエル製防空兵器の優秀さであると見る人もいます。
しかし、現実は札の強さで勝敗が決まるカードゲームのように単純ではありません。
本稿では、同じような攻撃を受けたイスラエルとウクライナの事例を分析しつつ、我が国の防衛をどう確実にしていくべきかを考えてみます。
■ウクライナ苦戦の背景
ウクライナは、前線付近が滑空爆弾やFPV(操縦者視点)ドローンによる攻撃も受けていますが、それ以外はイスラエルに対する攻撃と同様に、弾道ミサイルや巡航ミサイル、そして自爆ドローンによる攻撃を受けています。
同じような攻撃態勢を受けながら、被害には大きな差異がある原因を分析します。
▼弾道ミサイル
イランがイスラエルに向けて発射した弾道ミサイルは、少数と見られていますが、種別としては中距離弾道ミサイルであり、ロシアがウクライナに撃ち込んでいるイスカンデルよりは射程が長く、迎撃は困難なものです。
それにも関わらず、ほぼ完璧に迎撃できた理由は、米軍艦艇などが支援したことなども関係しますが、最大の理由はイスラエルの国土が狭いためです。
中距離弾道ミサイルを迎撃可能なミサイルの開発、配備は技術的にもコスト的にも困難ですが、守るべき国土が狭ければ十分に可能です。
イスラエルの面積は2万2000平方キロ、関東平野よりも少し広い程度の面積しかありません。
この狭い国土であれば、イスラエルが保有するアローなどの迎撃ミサイルで十分に防衛できるのです。
それに対して、ウクライナの国土は、ロシアに占領されている地域を除いても約50万平方キロで、イスラエルの22倍もあります。
ウクライナが現在保有しているパトリオットよりも強力な弾道ミサイル迎撃能力を持つアローがあったとしても、到底防衛できるものではありません。
もちろん全域を守る必要はないとしても、主要都市を守るだけであっても、非現実的な数の迎撃ミサイルが必要となってしまいます。
ゼレンシキー大統領(表記はウクライナ語準拠)は、イスカンデルの迎撃が可能なパトリオットの追加を要望していますが、彼の発言で言及された28個ユニットは、26個高射砲隊を擁する自衛隊の総数よりも多い数です。
それだけあれば、確かにイスカンデルで狙われている主要都市は守れるかもしれません。
しかし、やはり非現実的な数だと言わざるを得ません。
▼巡航ミサイル、自爆ドローン
イランが発射したミサイル総数は300発以上と言われていますが、内訳については相反する情報があり、正確なところは分かりません。
しかしながら、弾道ミサイルや巡航ミサイルは高価であり、大半はウクライナでも多様されているシャヘドなどの自爆ドローンだったと見られています。
ドローンと巡航ミサイルの迎撃において困難な点は、これらが低高度を飛行していることです。
そのため、何よりも発見することが困難です。
レーダーは、基本的に地平線より下を見ることができません。
地表ゼロメートルから見た場合、上空1万メートルを飛ぶ飛行機が地平線の上に現れるのは、約400kmまで接近してきた場合です。
高度100メートルを飛行するドローンを発見できるのは、半径40kmの範囲だけです。
しかもこれはあくまで計算上の数値に過ぎません。
実際には山やビル、森などがあり、この40kmよりもかなり狭くなります。
AWACSなどの早期警戒能力のある航空機が常時監視を行えば発見も可能ですが、そんな事が出来るのは世界でも米軍だけです。
それにも関わらず、イスラエルがイランが発射した巡航ミサイルやドローンを迎撃できた理由は、イランとイスラエルの間に横たわる国や駐留軍が迎撃に協力したためです。
イランとイスラエルは、約1000km離れています。
この間に存在するヨルダンやサウジは、イスラエルに通報するのみならず、イランが発射した巡航ミサイルなどを自ら迎撃しています。
シリアやイラクを含めた中東各国に駐留する米軍部隊、ペルシャ湾や紅海の米軍艦艇部隊も迎撃を行っています。
そして、イランはミサイルをそうした国々の上空を飛行させるため、ミサイルの飛行経路、発射日程をサウジなどに通告していました。
その情報も、米軍やイスラエルに共有されています。
発見が困難という巡航ミサイルやドローンの利点を、イランはそもそも捨て去っていたのです。
このイスラエルの事例と、2年以上に渡りミサイルを撃ち込まれ、それによって防空システムの配備地をロシアに把握されているウクライナでは余りにも状況が違います。
ウクライナの場合、Tu-22Mなどの爆撃機が反射する空中発射巡航ミサイルは、爆撃機の離陸状況から、大まかな飛来経路が分かるのみで、陸上発射の巡航ミサイルやドローンは、いきなり国土上空に飛来します。
それらは、前線付近の防空システムの配備されていない場所から進入し、防空システムの配備された場所を避け、ウクライナの奥地まで進入します。
これを完璧に防ぐためには、前線に大量の監視・防空システムを配備し、黒海には対空ミサイルを搭載した艦艇を遊弋させなければなりません。
広大な国土を持つウクライナに可能なことではないのです。
■ロシアでも防空は難しい
イスラエルによる完璧とも言える防空は、周辺各国とそこに展開するアメリカをはじめとした各国軍の協力によって達成されたものでした。
それが、1000km以上にも渡るバッファーエリアで機能したことによって、初めて99%の迎撃率が達成されています。
それだけ、防空は困難なものなのです。
そして、これはウクライナに侵略を行っているロシアにも同じ事が言えます。
2022年の全面侵攻が始まった後、アメリカをはじめとした欧米各国は、ウクライナを支援する条件として、クリミアを含めたロシア領域内への攻撃に供与する兵器の使用を禁じました。
そのためウクライナによるロシア領域内攻撃は、ウクライナが開発したドローンに限られています。
この条件は徐々に緩和されています。
クリミアへの攻撃にイギリスが供与したストームシャドウが使われるようになった他、2024年4月に止まっていたアメリカによる武器供与再開と同時に、長距離ミサイル(ATACMS)でのロシア支配地域深部攻撃が行われました。
当然、供与したアメリカが条件を緩和したからです。
しかし、まだかなりの制限があるようで、ロシア国内への攻撃は、ウクライナが開発したドローンによるものがほんとです。
ロシアの巡洋艦「モスクワ」を撃沈した対艦ミサイルのネプチューンが、射程1000kmの巡航ミサイルに改造されているとの情報もあります。
今後はドローンに加え、この改造ネプチューンによる攻撃が増えるかもしれませんが、現状はドローンがほとんどです。
そうであっても、このドローン攻撃はかなりの戦果を上げています。
首都モスクワを含む、ウクライナ国境から数百km以上離れたロシア各地が、それらドローンによる攻撃を受けています。
当初は空港などの軍事目標だけでしたが、2023年から石油精製施設やガスパイプラインなど、ロシアの経済を支える主要産業であるエネルギー産業にも攻撃が行われるようになっています。
最近になって報じられた情報として、ロシアのエネルギー産業大手であるガスプロムの2023年の業績は、1999年以来の赤字に転落しています。
市況などが主たる原因であると言われていますが、設備投資額が大幅に増えたことも影響していたでしょう。
これには、被害を受けた設備の復旧費用が含まれていると見られています。
こうしたロシア領内の被害は、低空を飛行するドローンが、前線付近に配備されたロシアの防空網を突破しているためです。
前線の防空網さえ突破してしまえば、国土の広さは逆にデメリットともなります。
前線を突破するドローンの存在が確認されたとしても、見失ってしまえば、その後の進路の把握は極めて困難だからです。
■航空作戦における攻撃と防御
このウクライナとロシア、双方が防空に苦慮している現実から導かれる結論は、完璧な防空はあり得ず、空の戦いにおいては攻撃しなければ、国家の防衛が成り立たないということです。
これには、ミサイルや自爆ドローンのようなスタンドオフ(敵の射程圏外から攻撃できる)兵器の発展が関係しています。
かつて、ミサイルが歴史に登場するまでは、防空が効果的であれば、高価な航空戦力を効率的に撃墜することで、防空側が敵の航空戦力を破壊することが可能でした。
これは、防勢対航空(DCA:defensive counter air)作戦と呼ばれます。
防御によって敵の航空作戦能力を破壊する作戦です。
このDCAの逆は攻勢対航空(OCA:offensive counter air)作戦になります。
分かり易い例は、航空機による敵基地空爆です。
攻撃により敵の航空作戦能力を破壊します。
第二次世界大戦におけるバトル・オブ・ブリテンは、このDCAとOCAの分かり易いぶつかり合いでした。
バトル・オブ・ブリテンは、ドイツがイギリス上空の制空権を獲得するために行われた戦いです。
この時、ドイツがOCA、警戒管制レーダーを発達させたイギリスがDCAを行っています。
当時は、DCAとOCAの有効性が拮抗していたと言えるでしょう。
しかし、バトル・オブ・ブリテンに勝利したイギリスでも、ドイツのV1、V2ミサイルへの対応に苦慮したように、スタンドオフ兵器の発達で、徐々にOCAの有効性がDCAの有効性を上回っていきます。
対地ミサイルの長射程化により、例えそれが100%迎撃されてしまったとしても、攻撃側の損失は発射した対地ミサイルのコストだけになりました。
一般に迎撃用ミサイルが高価なこともあり、対する防御側はその場合でも攻撃側と大差ないどころかそれ以上の損失(コスト)がかかることになりました。
その上、既に述べたように完璧な防空は不可能です。
スタンドオフ兵器が多用される現代の航空戦では、軍事面では攻撃側が圧倒的に有利なのです。
このことが、アメリカをはじめとしたウクライナを支援する各国が、ロシア支配地域内への攻撃を緩和してきた背景でもあります。
攻撃には防御側の3倍の兵力が必要であるとする
「攻撃3倍の法則」
が言われることがありますが、あれは陣地によって防御側が有利になる陸戦での話です。
航空では、そして海戦でも、既に攻撃側が有利になっています。
しかし、攻撃側が有利であっても、防御力整備を攻撃能力に全て振ってしまうことは不適切です。
先制攻撃してしまえば政治的な非難を浴びますし、軍事面だけを考えても、逆に先制された場合に壊滅的な被害を被ります。
攻撃と防御、ベストミックスが必要なのです。
■F-16到着で戦況は
原理原則的な事を書きましたが、翻って現実を見てみます。
攻撃側が有利だとしたら、間もなくウクライナに到着すると言われるF-16は、大丈夫でしょうか。
活躍する前に破壊されてしまわないでしょうか。
F-16が地上で破壊されてしまう可能性はゼロではありませんが、心配は無用です。
供与の話が具体化してから1年以上が経過しています。
その間に、配備予定の基地には堅固な航空機用掩体(航空機などを敵の攻撃から護るための大型の覆い状施設や横穴などについては「掩体壕」とも言う)が構築されていると思われます。
もしかすると、地下格納庫が建設されているかもしれません。
これが、余りに前線に近い場合は、滑空爆弾の直撃で破壊される可能性はありますが当然、前線からある程度下がった基地が選択されているでしょう。
シャヘドのようなドローンでは、炸薬量が足りず、たとえ直撃しても堅固な掩体なら内部の航空機を防護できます。
弾道ミサイルや大型の巡航ミサイルの場合、直撃すれば掩体ごと破壊される可能性がありますが、全面侵攻の始まった2年前と比較すると、調達される部品の精度が低下しているのか、ウクライナの最近の巡航ミサイル被害報告を見ると命中精度が低下しているようです。
掩体への直撃を狙うことは困難でしょう。
また、当然ながらF-16を配備する基地近傍には迎撃システムを配備するはずです。
それによって迎撃できますし、ウクライナは現在も防空警報を出せるだけのミサイル監視体制は構築できているため、警報を受けて迎撃システムを起動すると同時に、暴露した状態の機体があれば、離陸させてしまうなり、掩体に入れるなりが可能です。
むしろ、F-16が活躍できるかどうか否かを考える上で重要なのは、F-16に搭載すべき弾薬、特にスタンドオフ能力のあるミサイル、滑空爆弾が十分に供与されるのかどうかということです。
F-16があっても、搭載する弾薬が通常爆弾のみであれば、撃墜されるだけで終わります。
F-16と併せ、2023年夏から供与されている対レーダーミサイルのHARMや滑空爆弾のJDAMがどの程度追加供与されるかによって、F-16が活躍できるかどうかが決まると思われます。
■我が国防衛の決定打
最後に、このイスラエルとウクライナの実例から我が国が何を学ぶべきなのか考えてみます。
我が国は、長らく専守防衛を標榜してきました。
その看板こそ外してはおりませんが、安保3文書に敵基地攻撃能力(反撃能力)を明記し、トマホークを含む長射程のスタンドオフ兵器導入に踏み出しています。
しかしながら、まだ緒に就いたと言えるレベルであり、長年掲げ続けてきた看板の弊害により、我が国の能力は防空に偏重しています。
攻勢対航空(OCA:offensive counter air)の能力は乏しく、防勢対航空(DCA:defensive counter air)に偏っているのです。
この状態が続けば、中国や北朝鮮は高価な防空システムを整備することなく、能力を攻勢対航空(OCA:offensive counter air)用の攻撃兵器に全て投じることができます。
我が国が相応の敵基地攻撃能力を整備すれば、敵はそれに応じた防空兵器を整備せざるを得ません。
敵基地攻撃能力を保持するだけで、それを1発も発射しなくとも、敵の攻撃能力を削ぎ、我が国の防衛に寄与できるのです。
だからこそ、これらの国や影響を受ける勢力が必死に我が国の敵基地攻撃能力に反対しています。
これは、極超音速滑空弾のような高度な敵基地攻撃能力において、特に顕著に言えることです。
その整備が極少数に留まったとしても、敵の中枢を攻撃できる能力を保持することで、敵にそれに対する高度な備えを強要できます。
敵が権威主義的な独裁国家であれば尚更です。
独裁者は、遥か彼方から殺害されるかもしれないとなれば、それに備えなければなりませんし、攻撃を躊躇します。
つまり高度な敵基地攻撃能力は、彼らに対する抑止力が高いのです。
加えて、できれば、技術的にはもう少し多く製造・配備が容易な弾道ミサイルも保有しておくべきです。
イージスSM-3やパトリオットPAC-3で迎撃できるとは言え、北朝鮮が保有するノドンが200発もあることは、我が国にとって非常な脅威です。
アメリカが、我が国への弾道ミサイル配備を見送ったと伝えられていますが、性質の違う敵基地攻撃能力を保有しておくことで、敵に対処能力の保有を強要できるため、安価な弾道ミサイルの保持も、非常に有効な手段なのです。
いずれにしても、敵にとって、我が国の専守防衛は、非常に有り難いものです。
十分な敵基地攻撃能力を保持するだけでなく、それを政治的にも有効に機能させるため、もう専守防衛の看板は下ろすべきでしょう。

ウクライナはF16で露領攻撃可能 オランダ国防相が表明 今年後半に24機を順次供与
2024/6/4 19:45
https://www.sankei.com/article/20240604-T4O5ETXHS5JEJBM4H3MIHRWQXI/
オランダのオロングレン国防相は2024年6月4日までに、ウクライナに供与予定のF166戦闘機を使ったロシア領内への攻撃は可能との考えを示した。
ニュースサイト、ポリティコのインタビューに答えた。
オランダは2024年後半以降、計24機を順次供与する見通し。
報道によると、デンマークのラスムセン外相もウクライナに供与予定の計19機のF16でロシア領内の軍事施設を攻撃可能との考えを表明している。
米国もウクライナに対し、米国供与の兵器を使った限定的なロシア領攻撃を容認したばかり。
ウクライナ軍がロシア軍の攻勢に直面する中、欧米はウクライナ支援のレベルを上げている。
アジア安全保障会議を開催したシンガポールでインタビューに応じたオロングレン氏は
「我々はウクライナに国際法を守ることだけを求める」
「つまり自衛のための使用だ」
と述べた。(共同)

ウクライナ前国防相、露領内攻撃「許可を得た」と歓迎 敗北は「独裁国連合の支配構造を生む」と警告
2024/6/1 9:41
https://www.sankei.com/article/20240601-NSLKXCNEWBN5JD56BH3WTMKJR4/
ロシアの侵略が続くウクライナのレズニコフ前国防相が2024年5月31日、ワシントンで講演し、米国や欧州が供与した兵器でウクライナの露占領地だけでなく露領内の軍事的標的を攻撃する重要性を指摘した上で、
「我々はその許可を得た」
と述べ、ウクライナ支援を巡る一大転換となる米欧諸国の判断を歓迎した。
米メディアは米国が供与兵器による露領土の軍事拠点への限定的攻撃を容認したと伝え、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国もウクライナの越境攻撃容認に続々と支持を表明した。
レズニコフ氏は、露軍が北方から国境を越えてウクライナ東部主要都市ハリコフ方面へ攻勢を強めていると指摘。
露側の軍事拠点を攻撃対象にできれば、民間人の犠牲を減らす有効な手段になると強調した。
同氏は2023年9月に辞任するまで米欧と軍事支援を巡る交渉に従事した。
ロシアの軍事行動のエスカレートを警戒し米国の供与する兵器は歩兵携行式ミサイルから155ミリ榴弾砲、高機動ロケット砲システム、戦車と段階的に進化したが、同氏は
「我々は常に戦果を示した」
「今日不可能なことが明日には可能になるとの信念がある」
と強調した。
露軍が制空権を握る中で民間人を守るため防空態勢強化が急務とし、
「F166戦闘機は防空システムの主要部分をなす」
と早急な配備を求めた。
米欧の支援意思喪失を狙うロシアの
「認知戦」
にも警戒を促した。
レズニコフ氏は、イランや北朝鮮と結託するロシアの勝利を許せば
「独裁国家連合の新たな(支配)構造が世界中で形成される」
と予測。
別の紛争に発展し米国の軍事・経済負担が増える事態を抑止する意味でもウクライナ支援は
「現実的だ」
と強調し
「我々は疑いなくこの戦争に勝つ」
と結束に自信を示した。

米独、ウクライナによるロシアへの越境攻撃を容認 露国境地帯での苦戦受けて方針転換
2024/5/31 22:24
https://www.sankei.com/article/20240531-EWUSCA7EBBLBFNWPLIISE7HPJE/
ブリンケン米国務長官は2024年5月31日、チェコのプラハで記者会見し、バイデン政権がロシアに侵略されたウクライナが米国から供与された兵器を使いロシア領内に越境攻撃することを認めたと明らかにした。
ドイツ政府報道官も同日、ウクライナがドイツから供与された兵器による露領内への攻撃を許可したと発表した。
米メディアによると米国は、越境攻撃の目標をウクライナ東部の都市ハリコフ周辺に限定するよう要請。
また、米国が供与した地対地ミサイル「ATACMS」などを使い国境地帯より遠方にある露国内の施設や拠点を攻撃することは従来通り認めないとしている。
米独はこれまで、戦術核の使用に言及するプーチン露政権との対立激化を避けるため、ウクライナに越境攻撃をしないよう制約を課してきたが、戦局が同国に決定的に不利になる恐れが出始めた他、英仏などが攻撃を認める姿勢を相次ぎ打ち出したのを受けて攻撃容認に転換した。

NATO非公式外相会合、ウクライナの越境攻撃を大多数が支持 ハリコフの戦局転換に期待
2024/5/31 18:21
https://www.sankei.com/article/20240531-JPP2MY4EPRKR3CIWT2FYY23JNY/
チェコのプラハで開かれていた北大西洋条約機構(NATO)非公式外相会合は最終日の2024年5月31日、ウクライナが欧米から供与された兵器でロシア領内を攻撃することに大多数の加盟国が支持を表明し、ウクライナの勝利に向けた後押しを一層強めることを確認した。
ウクライナによる越境攻撃を巡っては、これまで米独など加盟国の多くが自国製の兵器でロシア領内を攻撃しないようウクライナに制約を課してきた。
ところがロシアが最近になって露国境に近い東部に新たな戦線を開いてウクライナ領内に越境攻撃を仕掛けているのに対し、ウクライナは有効な反撃ができずに守勢に立たされ、欧米諸国に兵器使用の制約を解除するよう要請していた。
NATOのストルテンベルグ事務総長は会合後の記者会見で
「私たちは新たな戦局に対応する必要がある」
と述べ、この日の協議で多数の加盟国が制約の緩和に踏み切ったことに
「歓迎の意」
を表明した。
ストルテンベルグ氏はまた
「ウクライナには自衛権がある」
と指摘。
プーチン露政権がNATO加盟国によるウクライナの越境攻撃容認を非難していることに関しては
「侵略戦争を始めたのはロシアだ」
「私たちは屈しない」
と強調した。
NATOは組織としてはウクライナに兵器を供与しておらず、越境攻撃の容認の是非は供与した各国の判断となる。
イタリアのタヤーニ外相は2024年5月31日、
「伊製兵器を越境攻撃に使わせることは憲法の制約上できない」
としたものの、加盟国の大勢が容認を打ち出したことで、ウクライナがロシアの攻勢を押し戻す転機となることが期待される。
また、スウェーデンは会合に合わせ、ウクライナ空軍によるF16戦闘機の将来的な運用を視野に、効果的な戦闘を可能にする早期警戒機サーブ340の供与を表明。
チェコも弾薬50万発分に相当する16億ユーロ(約2710億円)の拠出を明らかにした。
ロイター通信によると、ストルテンベルグ氏は現状の軍事支援の水準を維持するため、加盟国全体で毎年少なくとも計400億ユーロ(約6兆8000億円)を拠出するよう求めた。

ロシア領攻撃「国際法に従っていれば問題ない」 フィンランド大統領
2024/5/31 10:56
https://www.sankei.com/article/20240531-Q6ZR7GJHRROHJDJX6YH576SVR4/
フィンランドのストゥブ大統領は2024年5月30日、首都ヘルシンキで共同通信などの取材に応じ、ウクライナが欧米から供与された兵器でロシア領内を攻撃することは
「国際法に従っていれば問題ない」
と語った。
ウクライナへの兵器の供与国が相次いでロシア領への攻撃に前向きな発言をしている。
ストゥブ氏は供与した兵器は
「ウクライナが自分たちを守るためにある」
「(用途を)制限する考えは支持できない」
と話した。
ロシアと国境を接するフィンランドは、ウクライナに侵攻したロシアに強硬な姿勢を取っている。
侵攻について
「あらゆる国際法に反する」
「女性や子供を殺害し、病院や学校を攻撃している」
と非難。
「ウクライナが勝利するように支援するのは私たちの責務だ」
と強調した。
フィンランドはウクライナ侵攻を背景に、2023年4月に北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。(共同)

米、供与兵器の露攻撃容認か ウクライナ守勢で姿勢転換
2024/5/31 9:13
https://www.sankei.com/article/20240531-RVJHNWPENVMSPLPV4YYVSJ3PKU/
米主要メディアは2024年5月30日、バイデン政権がウクライナに対し、米国が供与した兵器をロシア領内の軍事拠点への攻撃に使うことを非公式に承認したと報じた。
ウクライナ軍が東部ハリコフ州で守勢に立っており、従来の方針を転換した。
米政府当局者の話としている。
英国やフランスの首脳らが最近、欧米供与の兵器をロシア領内への攻撃に使うことに前向きな発言をしており、バイデン政権の対応が焦点となっていた。
米メディアによると、バイデン大統領が最近、反撃のために米国供与の兵器を使ってもいいとウクライナ側に伝達するよう部下に指示した。
標的はハリコフ州の周辺地域に限定し、ロシア領内でウクライナへの攻撃やその準備を進める部隊を想定している。
ロシア領内の民間施設を狙うことや、米国供与の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」などで国境から遠く離れた軍事拠点を攻撃することは承認されていないという。(共同)
http://www.asyura2.com/24/senkyo294/msg/529.html#c5

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