29. 中川隆[-13812] koaQ7Jey 2020年3月18日 15:35:25 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[1070]
実は、戦後の音楽評論家ということで、吉田秀和VS宇野功芳というのも書きたかったのだけれど、梶原一騎を書いていたら長くなって力尽きてしまったのである。ま、このテーマはいずれそのうち。
今年は風邪も多いに流行っているらしく、私も珍しく寝込んでしまった。積んである本でも読もうかと思ったら、
宇野功芳の『楽に寄す』(音楽之友社)
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%87%E9%87%8E%E5%8A%9F%E8%8A%B3-%E6%A8%82%E3%81%AB%E5%AF%84%E3%81%99-%E5%AE%87%E9%87%8E-%E5%8A%9F%E8%8A%B3/dp/4276211298
というのが目についたので、開いてみた。ひとつひとつはそれほど長くないエッセイを集めたものである。
これが、心地よい本だった。幸福な老人の書いたものという感じがするのである。ゆったりと温泉に浸かり、好きなすしを食べ、いいと思う演奏家を堪能する。昔の宇野氏には、不幸と言うと大げさだが、不幸ぶっているポーズがあった。それが、愛読者を魅了していた。なんたる変貌か。
この変貌を私はすばらしいと思う。若者が不幸ぶるのは、よい。むしろあまり幸せそうにしていると馬鹿に見える。が、老人は幸せそうにするべきである。
それにしても、フルトヴェングラーやクナッパーツブッシュに入れあげていた氏が、現在では彼らに対して冷静になっているとあまりにも素直に書いているのには驚いた。それどころか、モーツァルトに対してすら。まさに人は変わるのである。時代も世界も変わる。
http://www.hmv.co.jp/news/article/1212060065/
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/482.html#c29