★阿修羅♪ > zikAgAsyVVk > 100002
 
g検索 zikAgAsyVVk  
 前へ
zikAgAsyVVk コメント履歴 No: 100002
http://www.asyura2.com/acas/z/zi/zik/zikAgAsyVVk/100002.html
[経世済民128] 日経平均大引け 続落、440円安 リラ急落で世界株安、円高進行も重荷(日経新聞)  赤かぶ
1. 2018年8月14日 00:06:41 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1287]
ビジネス2018年8月13日 / 15:44 / 7時間前更新
日経平均は440円安、1カ月ぶり安値 トルコ通貨安でリスクオフ
2 分で読む

[東京 13日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は大幅に4日続落。2万2000円の大台を割り込み、終値は7月6日以来、1カ月ぶりの安値となった。トルコリラ安に歯止めが掛からず、新興国からの資金流出に伴う金融市場の混乱が警戒され、リスク回避ムードが強まった。トルコ中銀は声明や利下げを通じて市場の沈静化に動いたが、日本株の戻りは限定的だった。

TOPIXは2%を超す下落。東証1部の値下がり銘柄数は全体の89%に上った。業種別では、好決算を発表したリクルートホールディングス(6098.T)の上昇が寄与したサービスのみ上昇。32業種が値下がりし、機械、海運、非鉄金属など景気敏感セクターが下落率上位に入った。

銀行が必要とするあらゆる流動性を供給するとしたトルコ中銀の声明が伝わった後、日経平均はいったん下げ幅を縮める場面があった。だが戻りは鈍く、やがて売り直しの流れとなった。大引け直前に同中銀は、リラの預金準備率の一律引き下げを発表している。

日経平均ボラティリティー指数.JNIVは前週末の16ポイント台前半から一時19ポイント台後半まで急伸。指数と同様に1カ月ぶりの高水準を付けた。東証マザーズ指数は4%を超す下げとなり、年初来安値を更新した。

三井住友アセットマネジメントのシニアストラテジスト、市川雅浩氏は「思惑的に売りが出ているが、トルコの通貨安が及ぼす日本経済、世界経済への影響は限定的。欧州の流動性はまだ潤沢であり、ESM(欧州安定メカニズム)など危機対策も十分整備されている。金融システム危機は簡単には起きにくくなっている」と話す。

個別銘柄では日本郵政(6178.T)がしっかり。10日に発表した2018年4―6月期連結決算は、当期利益が前年同期比18.2%増の1235億円だった。2桁増益での着地となったことを好感した。ゆうちょ銀行(7182.T)は減益となったが、ゆうパックなどの取り扱い増で日本郵便が大幅増益となり、収益を押し上げた。

半面、新川(6274.T)がストップ安比例配分。同社は10日、19年3月期の連結営業利益予想が従来の4億2000万円の黒字から一転、12億7000万円の赤字になると発表した。メモリー関連投資が弱含んでおり、ワイヤボンダの売り上げが予想を大きく下回る見込みという。

東証1部の騰落数は、値上がり191銘柄に対し、値下がりが1884銘柄、変わらずが28銘柄だった。

*見出しの脱字を補って再送します

日経平均.N225

終値      21857.43 -440.65

寄り付き    22117.57

安値/高値   21851.32─22124.60

TOPIX.TOPX

終値       1683.50 -36.66

寄り付き     1706.72

安値/高値    1681.80─1707.31

Recruit Holdings Co Ltd
3213.0
6098.TTOKYO STOCK EXCHANGE
+178.00(+5.86%)
6098.T
6098.T6178.T7182.T6274.T.N225
東証出来高(万株) 152364

東証売買代金(億円) 25144.92


 


外為フォーラムコラム2018年8月13日 / 14:54 / 7時間前更新
コラム:日銀の戦術的「曖昧さ」、いつまで通用するか=岩下真理氏
岩下真理 大和証券 チーフマーケットエコノミスト
5 分で読む

[東京 13日] - 日銀が7月31日に、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決定してから、2週間が経過しようとしている。声明文では、緩和の長期化を約束する政策金利のフォワードガイダンスを新たに盛り込み、その一方で長期金利の変動幅を許容する文言と副作用に配慮する表現も加えられた。

結果として長期金利の居どころを実際に上方シフトさせながら、円高・株安を招かずに済んだ。今後は経済・物価情勢次第であり、金融政策の自由度を確保するという、見事な出来栄えだ。

筆者は、今回の施策をハト(緩和の長期化)とタカ(長期金利の上方シフト、副作用に配慮)の競演と受け止めたが、市場での先行きの見方は割れたままであり、コンセンサスは固まっていない。それでも、この2週間弱で金融市場局が指値オペを打たなかったこと、臨時オペで金利上昇抑制の意向を伝えたことなどから、当面の長期金利は0.10%前後の水準での推移となりそうだ。

7月会合前には長期金利の誘導目標引き上げの観測も飛び交ったが、物価見通しを下方修正しながら、政策金利の一部である長期金利を引き上げれば、見通しと政策運営に整合性はなく、2%の物価安定目標の意義が問われてしまう。その点を明確化し、さらには物価目標を諦めていない姿勢を示すため、日銀はフォワードガイダンスを導入したと言える。

ただし、今回のフォワードガイダンスは一見、強力だが、文章が妙に長くて分かりにくい。確かに2019年10月の消費増税の影響まで考えると、短くとも2020年春、2年ぐらい先まで、長短金利は現状水準を維持と受け止められるのは自然だろう。

しかし、文章が簡潔にできないのは、ボードメンバー9人の妥協の産物だからだ。過去の発言から、コミットメントに一番のこだわりがあるのは若田部昌澄副総裁だろう。反対が多くならないようにまとめ上げた、事務方の苦労が垣間見える。

黒田東彦総裁は定例会見で「ほとんどの不確実性が海外」と指摘した上で、「2019年10月の消費税率引き上げの影響を例示的に示す」という考え方をほのめかした。一部に消費税にこだわったメンバーがいたと推察されるが、賛成したメンバー全員がそれだけにこだわっているわけではなさそうだ。

なお、8日に発表された7月会合の「主な意見」では、フォワードガイダンスの導入を条件に、賛成したメンバーが2人いることは読み取れたが、具体的な議論は明らかにならなかった。その一方で、雨宮正佳副総裁は2日の講演後会見で、フォワードガイダンスについて質問され、「消費税率引き上げの影響を含めた不確実性も含めて、経済・物価情勢をどう判断するかがポイント」「カレンダーベースの約束ではないと位置付け」と回答。経済・物価情勢を判断して決定するため、あらかじめその期間は決めていないことを示唆した。

市場では「当分の間」の解釈も分かれるが、金融政策の効果発現のタイムラグや、経済・物価情勢を丹念に点検することを踏まえると、筆者はとりあえず、半年という期間は重要な節目と考えている。

<フォワードガイダンスという着ぐるみ>

筆者は前回7月12日付のコラムで、大規模な金融緩和(長短金利操作付き量的質的金融緩和)の副作用として、1)金融機関の収益減少が長期化することに伴う金融システム不安、2)財政規律の低下、3)市場機能の低下、の3つを挙げた。その上で、1点目と2点目が構造的要因であるのに対して、3点目はオペ運営の見直しにより早めに対応できる部分と指摘した。

まさに今回、その対応を決めたのだが、昨夏以降、政策の微修正に取り組むべきとの意見を書き続けてきた筆者にとっては、考えていた政策修正(長期金利の引き上げ)の姿とは明らかに異なる。それでも日銀が7月に急いだのは、9月の自民党総裁選後は動けなくなるとの読みや、為替が円高方向に進行していないタイミング、物価上昇に対する自信のなさではないかと推察する。

将来において、理想的な日銀の枠組み変更はマイナス金利と長短金利操作を同時撤廃することだ。しかし、足元の物価動向は2%の物価安定目標にはほど遠い。4―6月分のコアコアCPI(消費者物価指数、生鮮食品およびエネルギーを除く総合)の低迷により、日銀は「物価上昇が視野に入る形で、政策修正をする」という通常コースを進むことを、断念せざるを得なくなった。

よってフォワードガイダンスの着ぐるみをまといながら、まずは市場機能の改善を図ることにした。日銀は当面、金融市場調節の弾力化のもと、国債買い入れオペを淡々と減額していくことになろう。海外発の金利上昇時に、オペ運営の真価が問われる。

このフォワードガイダンスの曖昧さこそ、自らを守り、政策運営の自由度を確保するための日銀の戦術だ。そうしなければいけないのは、過去にトラウマがあるからだ。

振り返れば、1)2000年8月のゼロ金利解除決定から、わずか7カ月後の2001年3月に再びゼロ金利政策に追い込まれたこと、2)2006年3月の量的緩和解除、7月のゼロ金利解除後、8月の「CPIショック」(基準改定)でコアCPI(生鮮食品を除く総合)が再び前年比マイナスとなり批判を受けたこと、3)2007年8月の「パリバ・ショック」を受けて追加利上げを断念したことなどを経験してきた。

日銀内には、いつの間にか利上げに対して、不可逆的な抵抗感がついてしまったように思われる。それでもタカのDNA(遺伝子)は持っていて、マクロプルーデンス(金融システムの安定策)もしっかり取り組まなければいけない。

苦肉の策として、経済・物価情勢次第でどちらにも行けるように、あえて曖昧な時間軸にするしかなかったと思われる。長く日銀と市場に関わっている方々なら、なぜこの複雑な戦術が取られるのか理解できるはずだ。

<限られた政策修正のタイミング>

今後の政策修正に向けては物価動向が重要であることは変わらない。その一方で、緩和長期化に伴い、金融機関の収益減少という副作用が大きくなっていく状態も続く。

7月の声明文には、「金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検」が新たに盛り込まれた。金融市場調節の弾力化は市場機能を改善できても、金融仲介機能や金融システムの安定には力が及ばないものだ。

10月発表の金融システムレポートは副作用の検証で、重要な役割を果たすだろう。構造的要因に加え低金利環境の継続による累積的な変化、収益力の下押し圧力について、どのような判断が示されるのか、分析が待たれる。これを踏まえて新たな情報発信が始まるのか(昨秋はリバーサル・レート)、10月は重要な会合になると予想する。

前向きに受け止めれば、オペ運営の弾力化はつなぎの措置だ。今後の経済・物価情勢が悪化しなければ、次なる政策修正の機会に望みが残る。筆者は副作用に配慮し、コアCPIが前年比プラス1%近辺で推移している来春までに、機動的な政策運営をすべきと考えている。

日銀は新たな情報発信により地ならしを進め、長期金利の変動幅上限を経験した後、スムーズに長期金利を引き上げるのが理想的な形だろう。

2019年は日本における政治イベントがめじろ押しだ。4月の統一地方選挙、5月の新天皇即位・改元(4月末に今上天皇退位)、6月の20カ国・地域(G20)首脳会議(日本が議長国で大阪開催)、7月の参議院選挙、10月の消費税引き上げと続く。来年1―3月期が限られた政策修正のチャンスとみている。

岩下真理氏(写真は筆者提供)
*岩下真理氏は、大和証券のチーフマーケットエコノミスト。三井住友銀行の市場部門で15年間、日本経済、円金利担当のエコノミストを経験。2006年1月から証券会社に出向。大和証券SMBC、SMBC日興証券、SMBCフレンド証券を経て、18年1月より現職。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

 

 

エルドアン・トルコ大統領 リラ安の進行は経済ファンダメンタルズに基づいたものではない
配信日時 2018年8月13日(月)20:05:00 掲載日時 2018年8月13日(月)20:15:00

リラ安の進行は経済ファンダメンタルズに基づいたものではない
トルコ経済の状況は健全だ
米国の貿易行動はWTOの原則に反するもの
経済的な攻撃が続くだろう、これまでとは異なる手段で対応する


トルコ中銀、市中銀行を支える措置発表−リラ急落の中
Onur Ant
2018年8月13日 15:43 JST
? 通貨安に歯止めをかけることや銀行システムの流動性拡充を図る
? リラ建てとドル建ての債務について支払準備率を引き下げ
トルコ中央銀行は13日、商業銀行が利用できる資金と金を増やす措置を発表した。リラ急落に歯止めをかけることや銀行システムの流動性拡充を図った。
  中銀はリラ建てとドル建ての債務について支払準備率を引き下げた。最大で100億リラ(約1660億円)、60億ドル(約6620億円)、30億ドル相当の金が追加で利用可能になる。
  それに先立ち、担保規則を緩和するとともに、銀行が保有する外貨を裏付けに借り入れられる額を200億ユーロ(約2兆5150億円)相当に引き上げることも発表。銀行がリラ資産を担保に借り入れられる上限である500億ドルについても必要ならば引き上げると表明した。
  中銀の発表後にリラは下げ幅を縮め、イスタンブール時間午前8時58分(日本時間午後2時58分)現在は3.8%安の1ドル=6.6904リラ。
原題:Turkey Central Bank Takes Steps to Support Banks as Lira Slides(抜粋)


 


トルコリラ、なぜ売られる? 3つのポイント
2018/8/13 15:32日本経済新聞 電子版
 トルコの通貨リラの急落がきっかけとなった「トルコショック」が世界のマーケットを揺さぶっています。そもそもリラはなぜ売られているのでしょうか。

(1)利上げに否定的

 通貨の価値が下がると、物価が上昇します。その場合、各国の中央銀行は政策金利を引き上げることで、通貨の価値と物価を安定させようとします。ところがトルコの場合、エルドアン大統領が利上げは景気を冷やすと嫌っています。そのため、リラは売りが売りを呼ぶ展開になりがちです。

▼トルコショック、株安広がる

(2)大統領に強大な権力

 各国の中央銀行は政権から独立し、政治家が嫌いがちな政策金利の引き上げの是非などを判断すべきだとされます。ところが、トルコの場合、エルドアン氏が強大な権力を持ち、トルコ中央銀行の政策決定も左右しています。

▼強権型大統領制 トルコで始動

(3)米国と対立

 トルコでは2016年にクーデター未遂事件が起きました。トルコが事件に関係したとする米国人牧師を拘束している問題などで、両国は厳しく対立しています。米国のトランプ大統領は制裁としてトルコ閣僚の資産凍結を決めたほか、トルコから輸入する鉄鋼などの関税を引き上げることも表明しました。米国との対立はトルコ経済に悪影響を与え、リラがさらに売られる原因となります。

▼牧師拘束巡り米強硬

強権型大統領制 トルコで始動  エルドアン氏、2期目に
2018/7/10付日本経済新聞 朝刊
保存 共有 その他
 【アンカラ=佐野彰洋】トルコで9日、エルドアン大統領に国政の広範な権限を集中させる実権型大統領制が始動した。エルドアン氏が6月の大統領選での再選を受け2期目に入り、1923年の建国から続く議院内閣制は廃止された。反対勢力を弾圧し、法治を軽視する同氏は自らの威光を誇示すべく大型インフラ開発に固執するが、海外からの資金調達など経済環境は悪化。今後、強権のひずみが噴き出す恐れもある。

 「トルコ共和国の…

トルコショック、株安広がる
日経平均一時400円超安 トルコ大統領が利上げ否定
2018/8/13付日本経済新聞 夕刊
保存 共有 その他
 トルコの通貨リラ急落の影響が広がっている。13日の株式市場で日本株を含めたアジア各国・地域の株価が軒並み下落した。日経平均株価は続落し、取引時間中としては約1カ月ぶりに2万2000円を割り込んだ。トルコのエルドアン大統領は12日、リラの安定に不可欠とみられる政策金利の引き上げを否定。世界の投資家の慎重姿勢が広がり、株式への投資を手控える雰囲気が強まっている。

 13日の東京株式市場で日経平均株価は…


牧師拘束巡り米強硬 関係改善へ糸口見えず
2018/8/12付日本経済新聞 朝刊
保存 共有 その他
 【ワシントン=中村亮】トルコの通貨リラの下落の背景となっている米国とトルコの関係悪化は泥沼の様相を見せている。中間選挙をにらみ、トランプ米政権内では米国人牧師の解放に向けた強硬策に異論は少ない。トルコも圧力に対抗する姿勢を崩しておらず、関係改善の糸口が見えない。

 10日に打ち出した鉄鋼とアルミニウムへの追加関税について、トランプ氏はリラ下落による輸入品の価格低下を考慮したと説明したが、実際にはト…

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/177.html#c1

[経世済民128] 日経平均大引け 続落、440円安 リラ急落で世界株安、円高進行も重荷(日経新聞)  赤かぶ
2. 2018年8月14日 00:09:51 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1288]

>トルコのリラ危機から日経平均も大幅下落に、あわてたクロダ日銀は今日も703億円の買い(2営業日で1400億)、瞬間に空売りの餌食だ。トルコ原発に融資したいアベ政権の生命維持のためとはいえ、国富を流出させ、損失一方の支離滅裂になってきた。https://t.co/H9FYtV0NDA— 金子勝

相変わらず愚か

日銀のETF買は完全に合理的

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/177.html#c2

[戦争b22] 「ヒロシマ・ナガサキ、73年目の原爆の日」(DW・Suptnik・Pars Today) 無段活用
4. 2018年8月14日 00:13:23 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1289]
北朝鮮の非核化に向けた取り組みに疑念=CTBTO代表

トランプ米大統領(右)との首脳会談に先立ち、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)は豊渓里の地下核実験施設を破壊する様子を海外メディアに公開した.

By Jonathan Cheng
2018 年 8 月 13 日 21:05 JST

 【ソウル】北朝鮮は、核実験施設を破壊してミサイル発射実験も中止し、さらに朝鮮戦争で亡くなった米兵の遺骨も返還したと主張している。そして次は米国が制裁を解除する番だという。

 だが包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)のラッシーナ・ゼルボ代表は13日のインタビューで、北朝鮮は真摯(しんし)に非核化に取り組んでいるという姿勢を国際社会に示せていないと指摘する。

 ゼルボ代表は「これまで行われた取り組みは尊重しなければならない。何もしないよりはましだ」と述べた上で、「しかしそれを検証することで信用が生まれる」と語った。

 ドナルド・トランプ米大統領と6月にシンガポールで首脳会談を行う前、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は海外メディアを招き、豊渓里の地下核実験施設を破壊する様子を見せた。

 だが、核の専門家や国際機関が現地に赴いて核施設の破壊を単独で検証することは許されなかった。そのため、核実験施設の閉鎖が不可逆的なものなのか、それとも2017年9月に行われた前回の核実験の影響で既に使えなくなった施設だったのか判断することができず、疑念が広がった。

 海外メディアは比較的小規模な爆発しか見ることができなかったため、ゼルボ代表は、核施設の多くの坑道がすべて破壊されたとは考えにくいとの見方を示した。

 「入り口は破壊されたかもしれないが(中略)すべての坑道が破壊されたと言うには十分ではない。違う場所に入り口を作ればいいからだ」。

 ゼルボ代表は、北朝鮮が国際的な調査官を受け入れるのに遅すぎることはないと指摘。調査官の派遣により、核施設の閉鎖を証明できる有効なデータが収集できるかもしれないと述べている。
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/277.html#c4

[原発・フッ素50] ドイツは電力の輸出国だ ―原子力主体のフランスにも供給 (自然エネルギー財団)  魑魅魍魎男
6. 2018年8月14日 00:28:12 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1290]

ウラン市場に回復の兆し 生産縮小と需要増の予測で

中国などが原子力発電所を増やしているため、ウラン価格は上昇傾向にある。写真は中国福建省の福清市にある原発 PHOTO: LIN SHANCHUAN/ZUMA PRESS
By
Paul Garvey
2018 年 8 月 13 日 15:01 JST
 ウラン鉱山が次々と閉鎖される一方、世界中で原子力発電所を新設していることもあり、長く低迷してきたウラン市場に強気の投資資金が流れ込んでいる。
 今年に入って、原子炉で使用する放射性物質ウランの価格が劇的に好転することを見込んだ投資ファンドがいくつか設立された。2011年に福島原発事故が起きて以来、各国が原子力依存を見直したことから、ウランは最もパフォーマンスが悪い商品となっていた。
 福島第1原発の事故が起こる前、ウランの価格は1ポンド=約70ドルだった。2017年5月にはその価格が19.60ドルにまで落ち込んだ。見積もりによると、それは世界のウラン生産の少なくとも4分の3が不採算となる水準だった。米国では、ウランの低価格に苦しむ生産業者がトランプ政権に輸入制限を嘆願した。米商務省は先月、関税導入の前段階となる可能性のある調査を開始したことを明らかにしている。
ウラン価格の推移
Source: UxC
.(単位:ポンドあたりドル)2017’1817181920212223242526$27April 2, 2018x$21(単位:ポンドあたりドル)

 ウランは他の多くの商品と異なり、公開市場では取引されていない。取引の多くは交渉を通じた随意契約の下で行われている。しかし、コンサルティング会社トレード・テックが算出する推定スポット価格はここ数週間で25.85ドルに上昇していた。これは過去2年以上で最も高い水準だ。
 中国が原子炉に投資していることといくつかのウラン鉱山の閉鎖という追い風を受けて、ウラン市場の反騰を見込む新たなファンドが次々と設立されている。マルセロ・ロペス氏はブラジルのL2キャピタル・パートナーズで新設された総資産3000万ドルのウラン投資ファンドを運用している。
 ウラン価格が上昇するとみているロペス氏は、「現在のウラン市場はわれわれが生きている間で最大の好機だと思う」と話す。
 最近の価格の上昇は供給削減への反応であり、それは長期的な価格上昇圧力を招く可能性もある。
 世界最大のウラン生産業者であるカザフスタンのカザトムプロムは昨年12月、生産を20%削減すると発表した。先月にはカナダのウラン生産大手カメコがマッカーサーリバーとキーレイクの鉱山での採掘作業を無期限で中止すると発表した。
 カメコのそうした措置がウラン市場に及ぼす影響を過小評価することはできないと主張するロペス氏によると、それは「サウジアラビアが原油市場から撤退するようなものだ」という。
 供給が減少する一方で、需要は増加が見込まれている。
 世界原子力協会によると、世界には450基の原子炉があり、そのうちの39基を擁する中国では新たに19基が建設中だ。大気汚染の一因となっている石炭火力発電所に代わるものを必要としている中国にはさらに203基の原子炉を建設する計画がある。ロシアには37基、インドには22基の原子炉があるが、既存の発電電力量を2倍以上にする計画の一環として両国それぞれで新たに6基の建設が始まっている。
 米エネルギー情報局(EIA)によると、化石燃料への依存を減らそうとしている中東地域の発電電力量は今年の3.6ギガワットから2028年には14.1ギガワットに急増すると見込まれている。
 その一方で米国のような先進国は、他の燃料の生産が制限されていることを踏まえると、電力構成の一部として原子力発電を維持していく可能性が高いとアナリストは指摘する。
 ロンドンに拠点を置く投資顧問会社バッカス・キャピタル・アドバイザーズのピーター・バッカス氏は「世界のエネルギー需要が劇的に増すことに疑いの余地はない」と話す。「ウランはその解決策の一部にならざるを得ない」
 バッカス・キャピタルは今月にロンドン証券取引所で新規株式公開(IPO)を実施したイエロー・ケーキの創設と上場で中心的役割を果たした。製錬されたウランの購入と保管を行う同社は2億ドルを調達した。米資産運用会社ブラックロックは同社の株式の4.7%を購入した。
 オーストラリアのファンド運用会社トライベッカ・インベストメント・パートナーズ(運用総資産18億ドル)もイエロー・ケーキのIPOを後援し、今月にはウランに特化したファンドを設立した。ウラン価格の反騰を見込んだ投資のためにそのファンドは約7400万ドルの調達を目指している。
 ウランに関してはフライングも何度かあった。旧ソビエト連邦製の核弾頭を原子炉燃料にリサイクルするプログラムの終了(2013年)や日本の原子炉の福島事故後初めての再稼働(2015年)はウラン相場好転のきっかけになるかともてはやされたが、ウラン価格の持続的な回復は実現しなかった。
関連記事
• トランプ政権、ウランへの関税も視野 安全保障巡る調査開始
• トランプ氏が狙う石炭復活、割高で危険な執着
• 米国が狙う対サウジ原発輸出、核拡散リスクも
• 中国に原発の巨大企業が誕生へ、大手2社の合併承認
• 原発解体の第一のルール:出口の確認


http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/208.html#c6

[経世済民128] ジリ貧の日本企業で普通の社員が生き残る3つのシナリオ(ダイヤモンド・オンライン) 赤かぶ
2. 2018年8月14日 00:32:07 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1291]

その一方で。。

 


ベゾス氏は本当に「現代史上最大の富豪」か
石油王ロックフェラー氏の資産と比べてみる

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏(1月29日) PHOTO: LINDSEY WASSON/REUTERS
By
Jo Craven McGinty
2018 年 8 月 13 日 07:58 JST
 アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏の資産が1500億ドル(約16兆6000億円)を超え、ベゾス氏が現代史上、最大の富豪になったとこのほど宣言された。
 しかし本当にそうだろうか。
 答えは過去に富豪と呼ばれた人々の資産をどう説明するかによる。
 経済学者でウェブサイト「Measuring Worth」(財産を評価する)の代表でもあるサミュエル・H・ウィリアムソン氏によると、説明のし方は少なくとも5つあり、それぞれ結果は異なるという。
 実質資産は最も知られている評価基準で、資産の相対的購買力を表す。資産額を消費者物価指数(CPI)に基づくインフレ率で調整して計算する。
 米国で初めて保有資産が10億ドルを超え、現代の富豪の中でベゾス氏の最大のライバルであるジョン・D・ロックフェラー氏の資産をこの基準で評価すると、資産額は今の価値で240億ドルにしかならない。
 これを逆に応用すると、ロックフェラー氏の富が初めて10億ドルを突破した1916年当時のベゾス氏の資産の価値は約65億ドルになる。
 ところが一部の専門家の間には、CPIのように平均的な世帯が購入するモノやサービスの価格で富豪の資産を調整するのはばかげているという意見がある。
 投資マネージャーで「The Birth of Plenty: How the Prosperity of the ModernWorld Was Created」(邦訳:『豊かさ』の誕生 成長と発展の文明史)の著者、ビル・バーンスタイン氏は「ジェフ・ベゾス氏は欲しいものは何でも買える。ベゾス氏は財産のほんの一部でさえ使い切れないのではないか」と話す。
 ウィリアムソン氏が提案した評価基準は実質資産の他に、世帯購買力、相対的勤労所得、相対所得、相対生産額がある。しかし、かたや石油王、こなた電子商取引で成功した大物の莫大な財産を比較するのにその全てが有効とは限らない。
J・D・ロックフェラーの資産保有資産が10億ドルを突破した1916年当時の資産を現在の価値に計算し直すとどうなるか(単位:10億ドル)

Source: Measuringwealth.com
$40712724相対生産額(GDPで比較)相対所得(1人当たりのGDPで比較)相対購買力(CPIで調整)

 平均的な世帯が購入するもので大富豪の資産を評価してもおそらく意味がない。未熟練労働者や生産労働者の収入と比較する、相対的勤労所得という物差しで富豪の溢れるような資産を評価しても同じく意味がない。
 しかし残りの2つの基準――相対所得と相対生産額――はヨット一式の価値を評価するのに有効だ。2つとも国内総生産(GDP)、つまり一つの国の中で一定期間に生産された最終的なモノとサービスの価値を使って計算する。
 相対所得はステータスを測る評価基準で、現在の1人当たりのGDPを比較年の1人当たりのGDPで割ったものに比較年当時の金額をかけて計算する。
 この基準では、ロックフェラー氏の資産は現在の価値で1270億ドルとなり、ベゾス氏の資産より約15%少ない。
 ウィリアムソン氏によると、これは1916年の1人当たりのGDPに対する10億ドルの割合と、現在の1人当たりのGDPに対する1270億ドルの割合が同じ、ということだ。
 影響力の大きさを測る物差しである相対生産額も算出方法は似ている。こちらは現在のGDPを比較年のGDPで割り、それに比較年の金額をかける。
 この評価基準で見ると、ロックフェラー氏の資産の現在の価値は4070億ドルとなり、ベゾス氏の資産の3倍弱になる。
 これを対GDP比で表すと、ロックフェラー氏の資産は1916年当時のGDPの2%に相当し、ベゾス氏の資産は現在のGDPの0.7%程度にとどまる。
 ベゾス氏は資産の多くをアマゾンの株式として保有している。7月にブルームバーグのビリオネア指数にベゾス氏の純資産が掲載されたときは、株価は変動するためこのような高評価は長続きしないとの見方があった。
 ウィリアムソン氏は市場の気まぐれをこう説明する。「(保有株に)1株100ドルの値が付くかもしれない。だが、誰も買わなければ何の価値もない」
 遠い昔の富豪は今とは異なる問題を抱えていた。
 最近の富豪は別として、「史上最大の富豪」として名前が挙がった人達はイスラエルのソロモン王やマリの王、マンサ・ムーサなど多くが大昔の人物で、財産や経済状態を立証するのは事実上不可能だ。一部には、いずれにしても比較ができるようなものではないという意見もある。
 「14世紀半ばにマリで1トンの黄金を保有しているとしよう。物を買うのに黄金を国外に持ち出すだけでも一仕事だ。たとえ持ち出すことができたとしても、買いたい物すべてをラクダで運ぶことはできない。私ならむしろ今いるところにとどまり、ミドルクラスとして十分な収入があるほうがいい」(バーンスタイン氏)
 それでもイスラム教徒だったムーサは数千人を引き連れてイスラム教の聖地メッカまでの6000キロを超える旅に出て黄金をばらまき、心ならずもその後10年以上にわたってエジプト経済を混乱させたと言われている。
 話を戻そう。ベゾス氏は富豪の資産を評価するにふさわしい基準の一つでは現代史上最大の富豪だ。しかし別の基準ではそうではない。
 どちらが正しいのだろう。
 結局のところ、ぜいたくな問いにたどり着いた。
関連記事
• アマゾンのベゾス氏、月面永住のビジョン語る
• アマゾンのベゾスCEO、世界長者番付で首位に(2017年7月28日掲載)


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/174.html#c2

[国際23] 米国から露中への中東覇権の移転が加速〜今回、シリアの内戦終結と同期する形で…7月の米露首脳会談/田中宇 仁王像
1. 2018年8月14日 00:37:02 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1292]

仮に米国が太平洋で失速しても、ロシアが簡単に中国の覇権を受け入れることはないし

そもそも米国のパワーもまだまだ、強い。

覇権争いが終わる見込みはない


 

 

 


ワールド2018年8月13日 / 19:14 / 4時間前更新
ロシア、2国間貿易の自国通貨建て決済を支持=大統領府報道官
1 分で読む

[モスクワ 13日 ロイター] - ロシア大統領府のペスコフ報道官は13日、すべての国との2国間貿易をドルではなく自国通貨建てで決済することが望ましいとの認識を示した上で、それを実施するためには詳細な作業が必要と指摘した。

トルコのエルドアン大統領は11日、中国、ロシア、ウクライナとの貿易を自国通貨建てで行う準備を進めていると述べた。

ペスコフ報道官は、エルドアン大統領の提案に関する質問に、ロシアはすべての国とそのような制度を目指してきたとしたうえで、これまでのトルコとロシアの2国間協議でも何度か提起されたことを明らかにした。

 

ワールド2018年8月13日 / 16:14 / 7時間前更新
鉄鋼・鉱業から75億ドル追加徴税か、プーチン大統領が検討指示
1 分で読む

[モスクワ 10日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は、鉄鋼や鉱業などの企業から年間5000億ルーブル(75億ドル)を新たに徴税する案について検討するよう指示した。アンドレイ・ベロウソフ大統領顧問が大統領に宛てた書簡をロイターが入手した。

プーチン氏は5月の大統領選で勝って4期目に入り、新たな経済目標を設定したが、達成には新たな財源が必要。政府は既に2019年の付加価値税(VAT)税率引き上げと定年延長を発表している。

アルファ・バンクのチーフエコノミスト、ナタリア・オルロバ氏は、年金改革を巡り反プーチンの動きが強まっており、政府は新たな財源を確保することで妥協点を模索していると指摘した。

大統領府の広報担当者、ディミトリ・ペスコフ氏は、プーチン大統領が計画の検討に合意したと認める一方、大統領はまだ判断を下していないと述べた。政府関係者らは、計画案は骨格を示したもので、慎重な議論が必要だと指摘した。

ロシアの鉄鋼最大手NLMKを所有し、鉄鋼業界を代表する富豪ウラジミール・リシン氏は、稼いでるからといって鉄鋼や鉱業業界に追加課税するのは経営の効率性を悪化させるだけだと指摘した。

EVRAZ plc
517.8
EVRE.LLONDON STOCK EXCHANGE
+7.80(+1.53%)
EVRE.L
EVRE.LALRS.MMPLZL.MM
鉄鋼や鉱業、エネルギーなど輸出産業は、2014年来のルーブル安の恩恵を受けている。このためロシア政府は国営企業に対し配当増を求め、ガスプロムに対して課税を強化した。

この日のロシア株式市場では、大統領が追加課税を検討との報道を受けてエブラズ(EVRE.L)、アルロサ(ALRS.MM)、ポリュス(PLZL.MM)といった金属関連株が急落した。

 

東京外為市場ニュース2018年8月13日 / 22:14 / 1時間前更新
UPDATE 1-中国新規人民元建て融資、7月は予想上回る1.45兆元 M2伸び5カ月ぶり高水準
1 分で読む

* 7月の中国の新規人民元建て融資は1.45兆元(予想:1.2兆元)

* 7月末時点の人民元建て融資残高は前年比+13.2%(予想:+12.8%)

* 7月の中国マネーサプライM2伸び率、前年比+8.5%(予想:+8.2%)

* 7月の中国社会融資総量は1.04兆元 (内容を追加しました)

[北京 13日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)のデータによると、7月の新規人民元建て融資は1兆4500億元(2106億9000万ドル)でアナリスト予想(1兆2000億元)を上回った。

6月の1兆8400億元から大幅に減少したものの、前年同月実績は上回った。

7月の新規人民元建て融資データは13日、これより先に中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)が公表していた。

7月末時点の人民元建て融資残高は前年比13.2%増加。アナリスト予想(12.8%増)を上回る増加率となった。6月は12.7%増だった。

住宅ローンが大半を占める家計向け融資は6344億元で6月の7073億元から減少。新規融資全体に占める割合は43.8%。6月は38.4%だった。

企業向け融資は6501億元で6月の9819億元から減少した。

銀行融資は6月に膨らみ、7月は減少する傾向がある。

7月のマネーサプライM2伸び率は前年比8.5%増でアナリスト予想(8.2%増)を上回り、過去5カ月で最大の伸び率となった。6月は8.0%増で過去最低の伸びだった。

7月の社会融資総量は1兆0400億元(1511億1000万ドル)で6月(1兆1800億元)から減少した。

社会融資総量は、通常の銀行貸出システム外のオフバランス融資を含み、シャドーバンキングの動きを示す目安とされている。

7月末時点の社会融資総量残高は前年比10.3%増の187兆45000億元(27兆2400億ドル)だった。

中国当局は、銀行システムへの資金供給を拡大し、経営の厳しい企業への融資をつなげようとしているが、債務不履行が増加する中、銀行が融資に慎重になっている兆候がみられる。

 

 
WSJ社説】ウイグル族への弾圧、世界は注視すべし
新疆ウイグル自治区で監視にあたる治安隊員と装甲車両(2017年11月5日)

2018 年 8 月 13 日 10:35 JST

 中国ではウイグル族の人々が次々に姿を消している。中国当局はこの2年間に、国際的にはほとんど注目されることなく、同国北西部に住む何十万人もの少数派イスラム教徒を拘束してきた。家族に残されるのは、どこに連れて行かれたのか、なぜターゲットにされたのかという疑問だけだ。この問題を研究する専門家アドリアン・ツェンツ氏は、各地に設置されている収容所に何十万人もの人々が収容されている可能性があると指摘するが、中国当局はこうした施設の存在を否定している。

 だが今、徐々に情報が漏れ伝わっている。収容所から解放された少数の人々は海外に逃亡し、虐待の状況を語っている。看守らは、収容者に再教育を施し、イスラム信仰の放棄と、共産党の信奉を迫っている。反抗する者は虐待されたり、独房に入れられたりしている。

 拘束された人々の多くは、国外に出たことのある者や、親族が国外にいる者だ。無差別に拘束されているようにみえる人もいる。数週間で解放されることもあるが、無期限に拘束されている人もいる。こうした気まぐれな手法による拘束が恐怖を増幅させている。著名なウイグル族の民族学者ラハイル・ダウット氏は、昨年12月にウルムチから北京に向かう途中で姿を消し、その後消息不明となっている。同氏は、忍耐が必要と説き、政治にはかかわっていなかった。 

 こうした強硬手段は、中国北西部の新疆ウイグル自治区に対する広範な締め付け策の一環である。新疆ウイグル地区では、ウイグル族とそれより少数派のカザフ族が人口の過半数を占めている。昨年には、同地区の治安関係予算はほぼ倍増され、都市部に配備される警察官が3万人増員された。 

 中国治安当局はまた、公共の場に顔認証カメラを設置している。住民は自家用車に追跡装置を装備し、携帯電話にはモニタリング・ソフトウエアを搭載することが義務付けられている。強制的な「健康診断」で採取された血液サンプルを基に、同地区全体を網羅するDNAデータベースの構築が進んでいる。

 当局は、イスラム原理主義を撲滅しようとしていると主張する。過激派「イスラム国(IS)」や国際テロ組織アルカイダに感化されたグループによる小規模なテロ攻撃が何件か起きているようだ。またシリア政府は、ISとともに5000人のウイグル族が同国の内戦で戦っていたと主張する。

 しかし、ウイグル族は総じて、穏健な形態のイスラム教を信仰しており、長年、過激化には抵抗してきた。これが変わりつつあるとすれば、それは、イスラム信仰のどんな表現をも処罰するという中国政府の方針が主因だ。例えば当局は近年、ウイグル族がラマダン(断食月)に飲食を絶ち、あごひげをたくわえ、自分の子にイスラム式の名前を付けることを禁止した。また、宗教関連の文書などがないかどうかウイグル族の自宅を捜索し、多くのモスク(イスラム寺院)が取り壊された。

 フロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員(共和)は10日、このような弾圧について本紙に寄稿したばかりで、責任ある当局者に制裁を科すよう米政府に求めている幾人かの議員の1人だ。またマイク・ペンス副大統領は中国によるイスラム教徒の扱い方を糾弾した。さらに10日、中国による人権弾圧が国際規約に違反しているとする証拠を国連の人種差別撤廃委員会が検証した。

 ウイグル族の窮状には大きな意味がある。中国の最高指導者・習近平氏は毛沢東以降みられなかったようなプロバガンダ戦術、監視、拘束といった手段を駆使している。中国の警察は、まず新疆(ウイグル自治区)で新技術や監視技術を先駆的に導入し、その後、こうした技術を全国的に展開しつつある。米国は中国政府との間で多くの重要な争点を抱えているが、組織的なウイグル族弾圧は、習政権の本質をあらわにしている。

関連記事
中国「完全監視社会」の実験場、新疆を行く
ビッグデータで危険人物「予測」 中国の治安対策
【社説】中国のイスラム恐怖症

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/656.html#c1

[国際23] 米国から露中への中東覇権の移転が加速〜今回、シリアの内戦終結と同期する形で…7月の米露首脳会談/田中宇 仁王像
2. 2018年8月14日 00:38:44 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1293]

ワールド2018年8月13日 / 16:04 / 7時間前更新
米の対トルコ鉄鋼関税倍増、国内エネルギー業界から不満高まる
1 分で読む

[ヒューストン 10日 ロイター] - トランプ米大統領がトルコから輸入する鉄鋼とアルミニウムに適用する関税率を従来の2倍に引き上げたことについて、米国のエネルギー業界から不満が高まっている。国内の石油・天然ガス輸送パイプラインの建設コストがさらに跳ね上がる恐れがあるためだ。

米商務省によると、トルコから昨年輸入された鉄鋼製品は約11億8000万ドルで、輸入量全体の4%にすぎない。ただ関税が倍になったことで、買い手側は仕入れ先を変更せざるを得ず、既に高騰している鉄鋼価格を一層押し上げてしまう。

トランプ政権が3月に鉄鋼・アルミの輸入制限を発動し、大半の製品の関税を上げたことが、これまでの価格上昇をもたらした要因だ。

こうした輸入制限により、ギリシャからの鉄鋼製品を使うプレーンズ・オール・アメリカン(PAA.N)の原油パイプラインのコストは4000万ドル増えた、と同社幹部は話す。

プレーンズのウィリー・チャン最高執行責任者(COO)は7日、「われわれはプロジェクトを進めているものの、既存の注文に課税するのは不公平だと考える。われわれが購入したのが米国で入手できない特殊素材という点を考えればなおさらだ」とこぼした。

業界団体インターステート・ナチュラルガス・アソシエーション・オブ・アメリカ幹部のキャスリーン・ランディ氏は、輸入関税が「エネルギー・インフラ整備プロジェクトを脅かす」と指摘し、企業が国際貿易に参入する上で「不当に罰せられつつある」と付け加えた。

キンダー・モーガン(KMI.N)は、メキシコ湾岸向け天然ガスパイプライン敷設に使用する特殊パイプの半分近くを、3月の米輸入制限発動前にトルコ企業に発注していた、と広報担当者は明らかにした。

同社はトルコに対する輸入鉄鋼関税が2倍に引き上げられたことにはコメントを拒否したが、3月に適用された関税については商務省に適用除外を申請中で、まだ決定が下されていないと説明している。

Plains All American Pipeline LP
26.95
PAA.NNEW YORK STOCK EXCHANGE
-0.32(-1.17%)
PAA.N
PAA.NKMI.N


 

 


米通商政策、小国にも厳しく 特恵関税見直し
トルコやタイなどの見直しに着手、今後はアジア以外に拡大へ

全米豚肉生産者協議会はタイへの特恵関税見直しを米政府に申し立てた(写真はアイオワ州の農場) PHOTO: DANIEL ACKER/BLOOMBERG NEWS
By
Lucy Craymer in Hong Kong and Josh Zumbrun in Washington
2018 年 8 月 13 日 10:18 JST
 貿易相手国に対する米国の敵対的な姿勢は、中国や欧州といった巨大経済圏だけでなく、より小規模の国々にまで広がっている。いずれも米国を自国産品の重要な市場とみる国だ。
 1年半前にドナルド・トランプ氏が米大統領に就任して以来、米通商代表部(USTR)は、何千品目もの対米輸出品に米国の低率関税が適用されている開発途上国について、その適格性を広範に見直してきた。
 直近の事例はトルコだ。トランプ政権はトルコとの関係が悪化する中で、これまで無関税となっていた同国の対米輸出について、特恵措置の適用除外に着手した。タイやインドネシア、インドも、無関税措置の一部を失う可能性があるとの通告を米国から受けている。こうした国は今後増える可能性が大きい。現在はアジア諸国を中心に見直しが行われているが、米国は他地域にも対象を拡大する予定だ。
 米政府がこれら途上国に圧力を掛けるのに利用している制度は、1976年につくられた一般特恵関税制度(GSP)だ。GSPは貧困国の経済発展を支援するのが狙いで、自動車部品から宝石に至る多くの対米輸出品への関税を免除するもの。現在はフィジーやエクアドルを含む121カ国が対象になっている。
 USTRは、対象国がこの特恵制度適用の適格性を備えているかどうか、いつでも見直すことができる法的権限を持っている。過去数十年間にUSTRが行った見直しは、ほぼすべてが貿易団体や労働組合からの申し立てに関連しており、児童労働や人権などの問題が焦点となっていた。
 ロバート・ライトハイザーUSTR代表の昨年の声明によれば、米政府は10月から、GSP適用の適格性を見直す過程で「プロアクティブ(積極)アプローチ」を開始し、「米国企業にとっての公正な競争条件」を重視するようになった。
特恵関税制度を使った対米輸出額トップ10(2017年、単位:10億ドル)

インドタイブラジルインドネシアトルコフィリピン南アフリカエクアドルカンボジアパキスタン$0 billion$2$4$6
 この方針の下で最初に見直し対象になったのはアジア・太平洋の25カ国。東欧・中東・アフリカ諸国の見直しは今秋始まる。
 これまでのところ、新たな見直し方針によってGSPの適格性を失った国はない。
 USTRは貿易・投資面の障壁に懸念を示し、貿易相手国が自国市場について「公正で適切な市場アクセス」を提供しているかどうかについて疑問を提示している。近年は「市場アクセス」がGSP見直しの根拠となることはなかった。あるUSTR当局者は、GSP見直しを求める外部からの申し立ての中で、この要件が懸念材料としてリストアップされることはなかったと述べている。
 シンガポールにあるアジア貿易センター(ATC)のデボラ・エルムズ所長は、米国は相手国から二国間貿易協定締結などの譲歩を引き出すためにGSP見直しを利用していると述べる。多くの国にとって米国は巨大な輸出市場であるため、「重大な問題」だという。
 GSPに基づく米国の輸入額は2016年には約190億ドルと、輸入総額2兆2000億ドルの1%未満だった。米国から見れば微々たるものだが、途上国にとっては大きい。
 直近のGSP見直しは8月初め、トルコに対して行われた。USTRはトルコが米国製品に関税を課していることを理由に挙げ、米国の輸出業者に公正な市場アクセスが与えられていないことを懸念していると述べた。折しも米国は、トルコで拘束されている米国人牧師の解放をめぐって同国と対立しており、圧力を強化しようとしている。

特恵関税制度を利用した対米輸出品目トップ10(2017年、単位:100万ドル)

Source: U.S. Trade RepresentativeNote: † Precious metal jewelry †† Monument and building stone * Sweetened or flavored waters**Insulated cables/wires


 米政府が今春、鉄鋼・アルミニウムへの追加関税を発動すると、トルコはコメやたばこ、自動車などの米国からの輸入品に同規模の報復関税を課した。トランプ氏は10日、トルコの通貨リラが急落している中で、同国産鉄鋼・アルミの関税を2倍に引き上げた。
 5月には米政府はタイのGSP適格性を見直す方針を表明した。全米豚肉生産者協議会(NPPC)の申し立てを受けたもの。NPPCは、タイは米国産豚肉の輸入ライセンスをほとんど与えないと不満を募らせていた。
 タイは10年以上前から、成長促進剤ラクトパミンを含む豚肉の輸入を禁止してきた。ラクトパミンは多くの米国農家がエサに添加してブタに与えている。タイは、この添加物が使われていないとされる輸入豚肉に高い検査料を課してきた。
 タイの6つの県にある養豚組織は5月、トランプ大統領宛ての公開書簡で、タイ国内市場が供給過剰状態にある中、米国産豚肉を受け入れるよう圧力をかけるのをやめるよう訴えた。また、「これはタイの養豚農家に想像を絶する災厄をもたらすだろう」と述べた。
 タイのGSP適格性に関する決定は保留状態になっている。
 タイがGSPプログラムの下で昨年米国に輸出した物品は42億ドル相当で、総輸出額の約13%を占めた。
関連記事
• 米トルコ、関係悪化の背景 カギ握る6つの火種
• 【寄稿】中国が負けるトランプ貿易戦争
• これは「貿易戦争」か? エコノミストの賛否二分



http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/656.html#c2

[国際23] トランプ氏のメディア攻撃、全米100紙以上が社説で非難へ <日本のメディアは見習え!>  赤かぶ
2. 2018年8月14日 00:45:13 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1294]

>自由を標榜し、知る権利を主張するのであれば、必ずメディアは政権批判をしなくてはならない

これは間違い

無内容な愚かな批判を繰り返しても意味はない

>くだらないには同調するくせに、肝心なことには対応しない日本のメディアとは大違い。

たしかに、くだらないことは同調する必要はない

客観的かつ定量的に政策の作用と副作用を評価し、

対案との比較を行った上で厳しく批判を行うべきだろう



http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/658.html#c2

[国際23] 「トランプが大豆産業を壊滅させた」──悲鳴を上げるアメリカの大豆農家(ニューズウィーク) 赤かぶ
1. 2018年8月14日 00:48:17 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1295]

戦争とは、そういうもの


特に反グローバリズムの共和党支持者に関しては、

完全に愚かな指導者を選んだ自己責任と言える


http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/657.html#c1

[国際23] ロシアを戦争に追いやるアメリカ経済制裁(マスコミに載らない海外記事) 赤かぶ
2. 2018年8月14日 14:01:48 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1296]
イスラエルとイランの間で板挟みになるロシア

ロシアは「中東の警察官」になれるか?(前編)
2018/08/14

小泉悠 (財団法人未来工学研究所特別研究員)


頻繁に会談を重ねるネタニヤフ首相とプーチン大統領(REUTERS/AFLO)
ロシアにとっての新たな中東問題
 2015年9月にロシアがシリア紛争に介入してから、まもなく丸3年が経とうとしている。この間、ロシアは空軍、特殊部隊、軍事顧問団をシリアに送り込み、合わせて大量の軍事援助を行うことでシリアのアサド政権を支え続けてきた。これによってアサド政権は不完全ながらも支配領域を回復し、もはや同政権を軍事的に打倒することは極めて困難な状況になりつつある。この意味では、ロシアの戦略目標はほぼ成功したと考えられよう。

 しかし、ここに来て、ロシアにとって頭の痛い新たな問題が浮上しつつある。ロシアと並んでアサド政権を支えてきたイランの軍事プレゼンスがシリア全体に広がり、これを懸念するイスラエルとの間で一触即発の状況が生まれつつあることがそれだ。イランとの核合意をまとめたオバマ政権とは異なり、新たに誕生したトランプ政権がイランに対して強硬な姿勢を取っていることもそこに拍車を掛けている。

 このような状況下において、ロシアがイスラエルとイランの調停者としての役割を果たす場面が目立ってきた。米国が中東への関与を後退させる中にあって、中東におけるロシアの存在感はことさら増大しつつある。

 では、ロシアは米国に代わる新たな「中東の警察官」になるのだろうか? そもそも、そのような能力と意志はロシアに備わっているのだろうか。小欄では、これらの問題について二回に分けて考えてみたい。

ネタニヤフのモスクワ詣で
 ロシアでは、5月9日は戦勝記念日とされている。1945年のこの日、ナチス・ドイツがベルリンに突入したソ連軍に降伏したことを記念するものだ。

 戦勝記念日にはロシア各地で軍事パレードが開催されるが、中でも大規模なのは首都モスクワでのパレードである。ロシア軍の最新兵器が赤の広場を行進し、プーチン大統領が従軍経験者を讃える演説を行う。外国からのゲストも招かれるが、2014年以降、西側諸国の首脳は概ねボイコットしており、近年ではロシアの友好国首脳が主なゲストとなっている。

 今年の戦勝記念パレードについて言えば、イスラエルのネタニヤフ首相が参加したのが目についた。イスラエルはロシアとの関係も深いが、米国の友好国でもあることから、ウクライナ危機以降は戦勝記念パレードに首脳を派遣してこなかった。また、パレード中の席次もプーチン大統領からひとつ離れた席とされ、いわゆる主賓扱いではなかった。2015年のメイン・ゲストだった中国の習近平主席が夫人とともにプーチン大統領のすぐ隣に席を占めたことを考えると、外国首脳に対しては若干奇異な待遇であったと言える。

シリアを舞台として高まるイスラエルとイランの緊張
 かつてユダヤ人絶滅政策を推進したナチス・ドイツはイスラエルにとって「民族の敵」であり、これに対するソ連の勝利を讃える式典にイスラエル首相が出席することはたしかにおかしなことではない。しかし、ネタニヤフ首相訪露の本当の目的は、現在進行形のシリア紛争に関してロシアの支持を取り付けることであったと考えられる。

 この点を理解するために、今年に入ってからの経緯を簡単に辿ってみよう。

 イスラエルはこれまでにもシリア領内でイラン革命防衛隊やヒズボラを標的とする空爆を度々行っているが、2018年以降にはその激しさが増している。特に2月10日には、シリアのホムス県にあるT4空軍基地を発進したイラン革命防衛隊の無人偵察機がイスラエル領空を侵犯するという事件が発生した。イスラエル軍はこの偵察機を撃墜するとともに、空軍部隊を派遣してT4基地を含むシリア領内のイランの拠点を空爆したが、この過程でイスラエル空軍のF-16戦闘機1機がシリア軍の防空システムで撃墜され、緊張が高まった。

 4月9日には再びT4基地が空爆を受けた。レバノンから発進したイスラエル空軍のF-15戦闘機によるものとされ、7名のイラン人を含む14名が死亡したと報じられている。

 興味深いのは、ここでイスラエルがロシアの理解を求めるような行動を取ったことである。攻撃から2日後の4月11日、ネタニヤフ首相の要請で行われたプーチン大統領との電話会談がそれだ。しかし、シリア領内へのイランの軍事展開を認めないと主張するネタニヤフ首相に対し、プーチン大統領はシリアの主権を尊重することの「根本的な重要性」を指摘し、シリア領内への攻撃を手控えるように要請するなど、対話は平行線に終わったようだ。

 それでもイスラエルは攻撃の手を緩めなかった。ネタニヤフ首相訪露の前日にあたる5月8日にはイスラエル空軍がダマスカス南方のアル・キスワーを空爆し、イラン人8名を含む15名が死亡した。標的はイラン革命防衛隊がシリアに持ち込んだ長距離ロケット砲であったとされる。

 翌9日、モスクワを訪問したネタニヤフ首相はプーチン大統領の長時間の会談を行い、シリア領内のイラン革命防衛隊への攻撃を「安全保障上の権利」であると主張したと伝えられる。また、この前日には米国がイランとの核合意破棄の方針を決定していることから、空爆への理解だけでなく、ロシアをイラン陣営から引き離す狙いもあったと思われる。

 そしてこの翌日、イスラエル空軍は再びシリア領内での空爆に踏み切った。イスラエル側の説明によると、これはゴラン高原からイラン革命防衛隊のクッズ部隊がイスラエルをロケット攻撃したことへの報復であり、攻撃対象はシリア領内に展開するイラン革命防衛隊やその軍事施設であったとされている。

ロシアの恐れる「最悪のシナリオ」
 ネタニヤフ首相は7月11日にもモスクワを訪れている。公式訪問ではなく、ロシアで開催されていたサッカーW杯の観戦を目的とする「私的訪問」とされたが、本当の狙いはやはりシリアにおけるイラン革命防衛隊の展開について協議することであったというのが大方の見方だ。ネタニヤフ首相自身も「シリア、イラン、そしてイスラエルの安全保障上の必要に関して協議する」ことを明らかにしているほか、イスラエル首相府が『タイムズ・オブ・イスラエル』の取材に対し、「会談が終わる時間に応じて試合観戦に赴く」と回答していることからして、W杯が「おまけ」であったことは明らかであろう。

 この訪問自体は以前から明らかにされていたものであったが、その直前の7月8日にはイスラエル空軍が再びT4基地を空爆していた。イスラエルがシリア領内でイラン攻撃を続ける一方、ロシアとのトップ外交を活発化させていることが窺えよう。

 こうしたイスラエルの動きをロシアがどこまで容認しているのかは明らかでない。ただ、ロシアが軍事力を用いてイスラエルの行動を阻止することは、中東に展開させうる軍事力の規模からも財政面からも困難であり、ロシアの選択肢はいずれにしても限られている。「合意できないことに合意する」というのが、シリアを巡るロシアとイスラエルの当面の状況であろう。

 とはいえ、ロシアにはイスラエルに全面的に同調するわけにはいかない事情も存在する。これについては以前の拙稿(『イスラエルのシリア空爆とロシアの役割』http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12849)でも扱ったが、ここで改めて簡単にまとめておこう。

 第一に、イスラエルによる革命防衛隊への攻撃を全面的に認めてしまえば、ロシアとイランの関係が確実に悪化する。中東における最重要友好国であるイランが完全に離反する事態はロシアとしては避けなければならない。ことにロシアがシリア全土を制圧できるだけの地上兵力を提供できない以上、ここでイランの支持を失えばロシアのシリア戦略が破綻しかねない。米国がイランに対する姿勢を硬化させている現状ではなおさらである。

 第二の、そしてさらに深刻なシナリオは、シリアを舞台としてイランとイスラエルの全面衝突が始まってしまう可能性である。イスラエルによる空爆後、このようなシナリオの蓋然性は賛否を含めて様々に論じられたが、ロシアにとっては看過できないリスクであったことだけは間違いない。シリア発第5次中東戦争が勃発すれば、これはこれでロシアのシリア戦略を崩壊させる可能性をはらんでいるためである。

 いうなればイスラエルとイランの間で板挟みの状態に置かれているのが現在のロシアであると言える。そして、これに対してロシアが打ち出したのが、冒頭で述べた「調停者」として振舞うという戦略であった。

 そこで次回は、「調停者」としてのロシアと、その限界について考えてみたい。
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/660.html#c2

[中国12] 消えた弁護士 中国”法治”社会の現実〜李文足「…自分の身の安全のために夫を見捨てることなんか私にはできません」/Nスペ 仁王像
7. 2018年8月14日 14:10:50 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1297]

中国、ウイグル人100万人拘束を否定 国連人種差別撤廃委

2018/08/14

BBC News


ジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会の会合で、中国政府が少数民族のウイグル人ら100万人を新疆ウイグル自治区で拘束しているとの批判に対し、中国側は13日、「全くの嘘だ」と回答した。

中国高官は、ウイグル人は十分な権利を享受していると述べた一方、「宗教的過激派に染まった人物は(中略)移住と再教育の補助を得る」と話した。

この発言は、10日の会合で示された、同自治区が「大規模な収容キャンプのようになっている」との懸念を受けたもので、中国側からの言及はまれ。

新疆では数年にわたって断続的に暴動が起きており、政府も取り締まりを行っている。

中国政府は、イスラム系武装組織や独立支持派が問題を企てていると非難している。

中国の主張は?
中国は2日間ある人種差別撤廃委員会の会合に50人強の代表団を送り込んだ。

10日の会合では米国のゲイ・マクドゥーガル委員が、中国政府が「ウイグル自治区を大規模な収容キャンプのようなものにしている」との報告を受けて懸念を表明した。

これに対し中国共産党中央統一戦線工作部のフー・リャンヘ副部長は「ウイグル人を含む新疆の市民は平等な自由と権利を享受している」と答えた。

同氏は移住や再教育プログラムの存在を認めた上で、「ウイグル人100万人を再教育センターに拘束しているという議論は全くの嘘だ」と付け加えた。

BBCの特派員によると、中国政府が新疆の状況への解決手段について公の場で説明するのはまれだという。

一方、中国国営の英字紙グローバル・タイムズは、新疆での厳しい治安対策は同自治区を「中国のシリア」や「中国のリビア」にしないためのものだと擁護した。

同紙は社説で「新疆の治安状況の改善は大きな悲劇を回避し数え切れない命を救った」と述べた。

しかし、マクドゥーガル委員はより明確な説明を求めた。

「100万人という人数が間違っているというなら、一体何人なのか? 教えてほしい。そして、どの法律によって収容されているのか?」

同委員は併せて、再教育を受けている人の人数についても質問を重ねた。

ウイグル人とは?
ウイグル人はイスラム教を信仰する少数民族で、ほとんどが中国の新疆に居住しており、同地域の人口の45%を占める。

新疆ウイグル自治区は、南に接するチベット自治区と同様、中国国内の正式な自治区に指定されている。

ここ数カ月、さらに多くのウイグル人やイスラム教徒が新疆で拘束を受けているとの報告があがっている。

アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチを含む人権団体が国連人種差別撤廃委員会に提出した報告書には、キャンプに集団で収監させられた人々が、中国の習近平国家主席への忠誠を強制的に誓わされているとの主張が掲載されていた。

世界ウイグル会議も、拘束された人たちは訴追なしで無期限で捕らえられ、無理やり中国共産党のスローガンを叫ばされていると報告した。食料は乏しく、拷問を受けたとの報告も広がっているという。

この報告書によると、収監された人々のほとんどは何の罪でも告訴されていず、弁護士を依頼することもできない。

中国側は、宗教的過激派に対抗するためと偽って拘束を行っているとされている。

1回目の会合のあった10日には、中国各地で宗教的対立の緊張が高まった。

北部の寧夏回族自治区では、モスクの破壊を阻止しようとした数百人のイスラム教徒が当局と衝突した。

当局は、最近建てられたこのモスクには正式な建設許可が下りていなかったとしている。しかし人権団体によると、政府が宗教活動を厳しく制限している中国では、当局のイスラム教徒への敵意が増しているという。

(英語記事 China Uighurs: Beijing denies detaining one million)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/45178502

http://www.asyura2.com/17/china12/msg/785.html#c7

[経世済民128] トルコリラ急落は世界的な金融危機につながるのか?(マネーポスト) 赤かぶ
1. 2018年8月14日 21:07:12 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1298]

日本株は大幅反発、トルコ問題の過度な警戒後退−全業種高い
赤間信行
2018年8月14日 8:08 JST更新日時 2018年8月14日 15:44 JST
• トルコ中銀は金融システム強化へ、トルコ・リラは下げ一服
• 為替は円安方向、円高リンクで前日急落の反動で上げ余地大−SBI証
14日の東京株式相場は5営業日ぶりに大幅に反発。トルコの金融システム強化に向けた取り組みなどを受けて、前日に対米ドルで最安値を付けたトルコの通貨リラの下げが一服。リスク回避の円買いが小休止して電機など輸出関連や通信中心に幅広い業種が買われた。
  TOPIXの終値は前日比27.45ポイント(1.6%)高の1710.95、日経平均株価は同498円65銭(2.3%)高の2万2356円08銭。両指数とも3月27日以来4カ月半ぶり上昇率。
  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、トルコ問題による欧州金融機関への影響が懸念され前日の日本株は大幅安となったものの、「トルコへのエクスポージャーが大きいスペインでも5%未満。欧州中央銀行による数次のストレステストもあり欧州の銀行の経営不安は不要」と指摘。「トルコ・ショックをあおって日本株を売り込んだ向きが手じまった」と話した。
  トルコ中央銀行が13日に債務の支払準備率引き下げやリラと外貨の流動性の管理方法に関する規則緩和などを発表して以降、為替相場は円安に振れ、きょうのドル・円相場は一時1ドル=110円90銭を付けた。ユーロ・円相場も1ユーロ=126円50銭台まで円が下落。前日に1ドル=7.236リラと最安値を付けたトルコ・リラは6.8−6.9リラ台で推移している。
  為替相場の円高一服を受けてきょうの日本株は反発して開始。SBI証券の鈴木英之投資調査部長は、トルコ中銀が危機対応の政策を早期に打ち出したことが好感されているとした上で、「日本株は前週末から円高に呼応して売り込まれただけに、円高の勢いが止まったことで反発の余地が大きくなった」との見方を示した。TOPIXと日経平均は10、13日の2日間でいずれも3.3%下げ、世界の主要株価95指数のなかで下落率8、9位になっていた。1、2位はいずれもトルコ株で4.7%と4.6%。

  午後に入ると一段高となり、日経平均はこの日の高値で引けた。しんきんAMの藤原氏は短期筋の買い戻しが中心としながらも、「株価の下げを待っていた一部投資家がきのうの下げ局面で買いを入れ、トルコ懸念の緩和を受けたきょうも買いに動いたのではないか」とみている。
• 東証1部33業種の上昇率上位は倉庫・運輸関連、精密機器、情報・通信、陸運、電気・ガス、不動産
• 売買代金上位では4−6月期営業利益が前年同期比4.2倍となったブイ・テクノロジー、利益が市場予想を上回った光通信、SMBC日興証券が目標株価を上げたソフトバンクグループが上昇
• 三菱UFJモルガン・スタンレー証券が業績予想を減額したスタートトゥデイ、みずほ証券が投資判断を下げたコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングスは下落
• 東証1部の売買高は12億624万株、売買代金は2兆533億円
• 値上がり銘柄数は1795、値下がりは264


トルコ・リラ急反発、一時6.8%高−国内小口投資家がドル売り
Constantine Courcoulas
2018年8月14日 16:41 JST
• 小口投資家は5000万−6000万ドル相当の外貨を売却
• 流動性の低さが相場の動きを増幅したとトレーダー
トルコの通貨リラが現地時間14日の取引で急反発。過去1カ月で30%近い下落を受けて、国内の小口投資家がドルを売って利益を確定した。
  同日の市場でトルコの小口投資家は5000万−6000万ドル(約55億5500万−66億6500万円)相当の外貨を売却したもようだと、イスタンブールの為替トレーダーが述べた。メディアに対して発言する権限がないとして匿名を条件に語った。流動性の低さが相場の動きを増幅したと付け加えた。
  イスタンブール時間午前10時8分現在、リラは6%超上昇の1ドル=6.4609リラ。10年物国債利回りは123ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し21.46%。
原題:Turkish Lira Rebounds as Locals Sell Dollars Amid Thin Liquidity(抜粋)


 

パウエル氏率いる米金融当局、利上げ継続へ−トルコ市場混乱でも
Rich Miller、Jeanna Smialek
2018年8月14日 13:30 JST
• 市場が織り込む9月の利上げ確率は90%、12月は55%前後
• 中国絡みでなければ米国は新興国市場の動向をあまり気にせずか

パウエル氏

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
トルコに端を発した金融市場の混乱は、新興国全般に波紋が広がりつつある。だが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局が利上げを休止する理由にはなりそうにない。これが熟練のFRBウオッチャーの見立てだ。
  確かに2015、16両年には海外情勢を考慮して米金融当局が利上げを見送ったり、遅らせたりしたことはあった。しかし、当時は現在に比べて米国の失業率は高く、基調的なインフレ率は低かったという大きな違いがある。恐らくもっと重要なのは、当時の混乱の中心が世界第2の経済大国で、経済規模がトルコの10倍余りの中国だった点だろう。

  元FRB当局者で、現在はバークレイズの米国担当チーフエコノミストを務めるマイケル・ゲーペン氏は「過去の事例から一般的に言える結論は、中国を巻き込むものでない限り、米国は新興市場の動向を総じて無視する公算が大きいということだ」と語った。
  こうした見方は投資家のものと一致する。トルコ問題の波及が懸念されつつも、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む9月の米利上げ確率は90%で1週間前と変わりがなく、12月の利上げ確率は約55%とされている。
  米株価はこのところ、トルコ情勢もあって軟調な地合いとなっているものの、引き続き過去最高値近辺で推移し、影響は限られている。新興市場の緊張に伴うドル高は、米企業の輸出競争力をそいで経済成長を多少損なう恐れがあるが、長期金利の低下がそうしたマイナス要因を一部相殺している。
  一方、脆弱(ぜいじゃく)さを抱える新興国に一段とストレスを加えているのは、通商問題を巡るトランプ米大統領の攻撃的な姿勢だ。JPモルガン・チェースのグローバル経済担当ディレクター、デービッド・ヘンスリー氏(ニューヨーク在勤)は、「米国は懸念や不安を抑えるという、従来の役割を果たしていない。それどころか、火に油を注いでいる」と指摘した。
原題:Powell to Keep Hiking as U.S. Growth Overshadows Turkey Turmoil(抜粋)

 


 

人民元の最悪期は終わった、悪材料織り込み済み−スタンダードC
Tian Chen
2018年8月14日 13:46 JST
• 元相場はドルに対してこの3カ月に約8%下落
• 貿易摩擦や金融緩和などマイナス要因は考慮済み−フェン氏
中国・人民元が大幅に下落する最悪期は終わった−−。トルコ情勢が世界の市場を混乱させている中で、英スタンダードチャータードの大中華圏担当マクロトレーディング責任者、チャールズ・フェン氏はこう見ている。
  貿易摩擦や中国の金融政策緩和など、人民元の下押し圧力となっていた要因は相場にほぼ織り込まれている上、ドルがさらに上昇する余地も限られているとフェン氏は分析する。年初来高値から20%余り下落している中国本土株も底入れに向かう可能性がある。
  外国為替や金利、現地通貨建て社債トレーディングを統括する香港在勤のフェン氏は、ドルが弱含めば元が最近の下げと同程度のぺースで戻す「十分な可能性」があると指摘した。また元上昇が経済のファンダメンタルズやドルの全体的な方向性に沿ったものであれば、当局が大規模介入に乗り出す公算は小さいとも述べた。

  米中間の貿易摩擦激化や景気下支えに向けた中国人民銀行(中央銀行)による緩和の動きを背景に元はドルに対してこの3カ月に約8%下落。アジア通貨で最悪のパフォーマンスを記録している。中国当局は元ショート(売り持ち)のコストが事実上高くなる措置を打ち出しており、為替市場での「群集行動」を避けるよう市中銀行に促した。元安になると、米国による対中関税引き上げに輸出企業は対処しやすくなるが、海外資産の外貨建て利益を押し下げるリスクにもなる。
原題:Veteran StanChart Trader Says Worst of Yuan Slump Is in Past (1)(抜粋)


 

 


ビットコイン6000ドル割れ、8月下落率は23%−仮想通貨ほぼ全滅
Eric Lam
2018年8月14日 12:18 JST
• ビットコインは一時6.2%安の5887ドルと6月以来の安値
• 規模が大きめの仮想通貨100種のうち99通貨が過去24時間に下落
仮想通貨ビットコインは14日、6000ドルを割り込んだ。他の仮想通貨の多くも値下がりし、今月に入ってからの売りが止まる兆しは見えない。
  ビットコインは香港時間午前10時44分(日本時間同11時44分)現在、6.2%安の5887ドルと6月以来の安値。イーサは12%安。コインマーケットキャップ・ドット・コムがモニターする規模が大きめの仮想通貨100種のうち、99通貨が過去24時間に下落した。
  ビットコインを裏付けとした上場投資信託(ETF)承認への期待が外れたことなどで仮想通貨は今月に入り下落。ビットコインの月初来下落率は約23%となっている。年初来では58%安。

原題:Bitcoin Sinks Below $6,000 as Almost Everything Crypto Tumbles(抜粋)


英雇用統計:4−6月失業率は43年ぶり低水準、賃金の伸びは鈍化
David Goodman
2018年8月14日 18:09 JST
• 4−6月失業率は4%、1975年2月以来の低水準
• 賃金の伸びは2.4%に鈍化、9カ月ぶり低水準
英国の4−6月失業率は43年ぶり低水準となったものの、賃金の伸びは鈍化した。
  政府統計局(ONS)の14日の発表によると、4−6月失業率は4%と、少なくとも1975年2月以来の低水準。エコノミスト予想は4.2%だった。
  ただ、賃金の伸びはやや鈍化し、上昇率は2.4%と9カ月ぶり低水準となった。イングランド銀行は3.5%に向けて加速すると見込んでいる。賞与を除く賃金上昇率は2.7%で、1月以来の低い伸びだった。インフレ率の2.4%は上回った。
原題:U.K. Unemployment Falls to New 43-Year Low But Pay Growth Slows (抜粋)


 


ダリオ氏率いるブリッジウォーター、金ETFの持ち分維持−4〜6月
Luzi Ann Javier
2018年8月14日 9:17 JST
• SPDRゴールドの持ち分は6月30日時点で390万口
• iシェアーズ・ゴールドの持ち分は変わらずの1130万口
金市場から資金が流出し金価格が下落する中、資産家でヘッジファンド運用者のレイ・ダリオ氏は、金を裏付けとする二つの主要上場投資信託(ETF)の持ち分を維持した。
  規制当局への届け出によれば、最大の金連動型ETF「SPDRゴールド・シェアーズ」のダリオ氏率いるヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツによる持ち分は6月30日時点で390万口、2番目に規模の大きい「iシェアーズ・ゴールド・トラスト」の持ち分は1130万口となっている。
  4−6月にSPDRゴールドからは10億ドル(約1100億円)余りが引き揚げられ、iシェアーズは四半期ベースでは2016年以来の資金流出となった。ドル相場と株価の上昇で金の安全資産としての魅力が低下し、金価格は4−6月に5.5%下落。米国の経済成長が好調で米金融当局による利上げ継続の妥当性が高まり、利息の付かない資産である金への逆風が強まった。
原題:Billionaire Dalio’s Bridgewater Maintains Holdings in Gold ETFs(抜粋)

 

中国:7月の工業生産や投資が予想に届かず−貿易摩擦激化の中
Xiaoqing Pi
2018年8月14日 11:13 JST更新日時 2018年8月14日 12:15 JST
• 工業生産は前年同月比6%増、予想6.3%増
• 1−7月の固定資産投資は5.5%増−予想6%増
7月の工業生産など中国の経済指標は市場予想に届かなかった。貿易摩擦の激化が先行きに影を落としている。
  国家統計局が14日発表した7月の工業生産は前年同月比6%増。ブルームバーグがまとめた市場予想は6.3%増だった。
  7月の小売売上高は前年同月比8.8%増加。市場予想は9.1%増。1−7月の都市部固定資産投資は前年同期比5.5%増と、データがさかのぼることができる1999年以降で最低の伸び。予想は6%増だった。
  政策担当者が米国との貿易対立の長期化に備える中、中国経済は勢いを失いつつある。当局者は中小企業への融資を増やし、インフラ投資支援を拡大すると表明したが、そうした措置が成長面で効果を上げ始めるには時間がかかりそうだ。
Sliding Economy
Retail sales and investment slowing, output growth flat

Source: National Bureau of Statistics
  AMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者、シェーン・オリバー氏(シドニー在勤)は「全てが予想をやや下回った」と指摘。「昨年始まったシャドーバンキング(影の銀行)の融資抑制と米国との貿易摩擦を巡る不確実性が影響しているのは明らかだ。さらなる刺激策の根拠となる」と語った。
  
原題:China Growth Momentum Stalls as Trade War Turns Real for Economy(抜粋)
(4段落目以降にコメントなどを追加して更新します.)

 

PRESIDENT Online2018年08月12日 11:15

近いうちに訪れる"世界不況"が株の買い時

これから私たちの生活はどう変わるのか。マイナス金利の拡大や消費税の増税、東京五輪後の経済後退にどう備えればいいのか。経済・金融とお金の運用、家計の防衛策に詳しい3人の専門家に話を聞いた。

※本稿は、「プレジデント」(2017年11月13日号)の記事を再編集したものです。

(1)マイナス金利拡大
低金利で資産運用ができない
マイナス金利政策によって、金利の大幅な低下が銀行の収益悪化や不動産価格の高騰、資産運用難などの副作用を生んでいる。だが、日銀はマイナス金利政策のさらなる効果を目指し、金利をより引き下げる可能性がある。

▼大江コメント

日銀 黒田東彦総裁(AFLO=写真)

日銀がいくらお金を供給しても世の中にそれが十分出回っていないため、経済は活性化しません。併せて大胆な経済政策、成長戦略が必要なのです。黒田東彦総裁の任期は18年4月8日までですが、官邸の信任が厚いため、続投する可能性大。そうなれば、異次元緩和は継続されることになるでしょう。

ではどうするか。私は株式投資をおすすめします。ただし、日本株だけに集中するのはダメ。世界の1割程度のシェアしかありませんから、日経225やTOPIX(東証株価指数)などのインデックス投資でも、実態は日本という1つの市場で運用するアクティブ運用。中長期の資産運用は、世界経済の規模に合わせて日本以外の先進国株8割、新興国株1割、日本株1割といった国際分散投資が基本。毎月の積み立て投資なら平均購入単価を安くできるため、慌てずに継続しましょう。

結論:積み立てによる国際分散投資で、資産を増やせ

▼中原コメント
マイナス金利は、銀行の収益を悪化させて中小企業に対する融資のリスクを取りづらくし、不動産投資への融資が将来の不良債権予備軍に。さらに、マイナス金利によって年金や退職金の企業負担が重くなり、企業収益も圧迫されています。

資産運用はもはや金利で稼ぐのは困難。かといって米国株も日本株もすでに高値圏であまりおすすめできない。ですが、私は早ければ2018〜19年にも米中の経済が大減速し、世界同時株安に波及すると読んでいます。08年のリーマン・ショック後、世界的な金融緩和により低金利が続いた中で、新興国も含めた世界中の国々で債務が増えすぎているからです。

借金に依存する経済はいずれ行き詰まり、逆回転を始めるのは歴史が証明しています。ですから、株を買うなら景気後退期の最中の安いときが狙い目。18〜19年は日経平均で1万6000円割れくらいの下げはあるかもしれません。

結論:近いうちに訪れる不況が、株の買いどき

(2)消費税増税
10%引き上げで家計はさらに厳しく
安倍政権は「2019年10月の消費税率10%への引き上げ」を予定通り実施する考え。14年4月に消費税率が5%から8%に上がったときのように、景気回復に強いブレーキがかかることを覚悟しておいたほうがいい。

▼荻原コメント
もし増税したら消費がさらに落ち込み、企業の売り上げが減り、賃金も上がらないという悪循環が続き、急速に深刻なデフレへと逆戻りします。消費税の増税は、よく「子孫にツケを回さないために必要」なんていわれますが、これはウソ。私たちが消費税を払うようになってから、たかだか28年、それも平均で5%程度。でも、これから生まれてくる子は一生涯10%以上の消費税を払う。子孫にツケを残しまくりです。

家計の防衛策としては「お金を使わず、貯める」ことと「収入を増やす」ことしかない。夫は副業を始め、妻はパートではなく正社員になり、子どもはアルバイトをして、と一家総出で稼がないと、この難局は乗り切れないかも。政府は厚生労働省「モデル就業規則」の副業について「原則禁止」から「原則容認」に変更する方針です。自分にどんな副業ができるか、1度じっくり考えてみてはどうでしょうか。

結論:一家総出で稼げ! 副業も要検討

▼大江コメント
今増税しないと、国の財政が危なくなるなんてことはない。日本の借金は確かに約1070兆円ありますが、バランスシートで見ると資産も結構ある。現預金や有価証券、独立行政法人などへの出資金のほか、日本銀行法によって日銀の財産はすべて国のものになるため、日銀が保有する国債も国の資産になります。これらをすべて足すとトータルの赤字は100兆円程度で、GDP(約520兆円)の約2割。特に心配することはありません。

もし増税が実施されたら、やってはいけないのが増税前の「駆け込み消費」。前回8%に上がったときでおわかりのように、増税後のほうが住宅もクルマも家電も安くなります。また、一般に増税後は一時的な景気後退が来ます。アクティブな株式投資をやっているなら、増税前に株を売って現金に換えておき、増税後の株価が下がったときに買い直す戦術を検討してみてもいいでしょう。

結論:増税前の駆け込み消費は、やってはいけない

(3)年金減額
年金はどのくらい減らされるのか
2016年末、年金改革法案(いわゆる年金カット法案)が成立した。たとえ物価が上がっていても、賃金が下がれば、年金支給額はカットされる。適用は2021年4月からだ。老後不安はますます高まりそうだ。

▼中原コメント
年金の支給開始年齢は段階的に引き上げられ、最終的には75歳にならないと帳尻が合わない。そのために、政府は75歳まで働ける環境の整備に力を入れ始めるでしょう。ですから、もう覚悟を決めて「年金が減っても自分で稼げばいい。生涯現役のほうが人生を楽しめる」くらいポジティブに考えましょう。労働人口は減っていきますから、75歳まで働ける仕事は結構あると思います。ただし、よりよい条件で働くためには、やはりスキルを磨いておくことが大切です。

では、どんなスキルがいいのか。注意したいのは、AI(人工知能)に奪われないスキルを選ぶこと。税理士や公認会計士、弁護士、弁理士などの士業は半分以上、AIにとって代わるでしょう。狙い目は、経営戦略策定、データ・サイエンティスト、マーケッター、商品企画、M&A支援など。きめ細かな心遣いが求められる接客・介護などの分野も有望です。

結論:AIに奪われない仕事は何かを、見極める

▼大江コメント
公的年金は盤石で、よく言われるように破綻寸前でもない。日本の年金制度は単年度決算で、毎年入ってくる年金保険料で年金を支払う仕組みになっています。たしかに今は少子高齢化で収支は赤字になり、これまでの貯金(約145兆円、2016年度末)から毎年5兆〜6兆円程度が補填されています。ですが、一方でこの貯金が減らないように運用して増やしています。16年度の運用状況は約8兆円のプラス。

ただし、公的年金だけではゆとりある生活は難しいですから、自助努力は必要です。定年前後に訪れるのは、健康、お金、生きがい(孤独)という3つの不安。これらをなくす最善の方法は「可能な限り働き続けること」。頭を使って体を動かし、人と関わる機会が増えれば、認知症の予防にもなります。男性も女性も、最後に頼れるのはお金ですから、できる限り働き続けることが大切だと思います。

結論:定年後も働くことで、お金と認知症の予防になり一挙両得

(4)残業代カット
今後、対象者大幅拡大の恐れは?
労働基準法改正案では、残業代ゼロは「年収1075万円以上」「高度専門職」に限定されるが、法案が通れば、省令で簡単に内容は見直せる。経団連は以前から「年収400万円以上に適用せよ」と要求している。

▼荻原コメント
残業代カットの対象となる年収や職種は、いずれ必ず広がります。労働者派遣法がそうでした。派遣可能業種が当初の13業務から16業務に、そして26業務に広がり、さらに今では業務の分類さえもなくなっています。経団連の求める年収400万円まで、おそらく同じような道を辿るでしょう。

でも、会社勤めだと自分の好きなことが自由にできるわけではなく、いつまで経っても束縛されます。ならば、いっそのこと60歳の定年を機に、あるいはその前に起業してしまうのも1つの選択肢です。そのためには、50歳以上になったら会社以外の人脈を広げていくことも大切。今は、アイデア次第でインターネットを活用したビジネスがいろいろできます。海外勤務の経験があるなら、「シニア海外ボランティア」はどうでしょう。仕事にもよりますが、2年間の勤務で130万円くらい貯まるそうです。

結論:会社の給料だけに頼らず、副業やプチ起業も視野に

残業が減ればサラリーマンの給料が下がってしまう ≫

▼中原コメント
安倍政権の「働き方改革」では、残業時間の大幅な削減が義務付けられる見通し。しかし、今の企業の賃金体系は残業代の占める割合が少なくなく、残業が減ればサラリーマンの給料が下がってしまう。時代の趨勢として残業を少なくするのは仕方ないですが、その分、企業は基本給を上げる必要が出てきます。しかし、その実現は極めて不透明な情勢です。

こうした状況下、国民に自助努力で資産運用すべきということ自体が間違っています。投資するなら、一生涯働けるように自己投資にお金を回すといい。例えば、経営やファイナンス、マーケティングなどの知識を身につけられる社会人向けのビジネススクールに通うのはどうでしょうか。学費の捻出が難しい場合は、安上がりなインターネット大学で学んだり、書物で学んだりする方法も。学ぶのに年齢は関係ない。いくつになっても好奇心を失わず、新しいことにチャレンジする気持ちと行動力が大切です。

結論:ビジネススクールや書物などを利用して、自己投資

(5)オリンピック
2020年以降、日本は不況に陥るか
五輪前は国のインフラ投資や五輪需要を見込んだ民間投資が前倒しで行われるが、その反動で開催後に投資が鈍化し、景気が低迷する。実際、都心部の不動産や建材の価格が高騰しているが、バブル崩壊が危惧される。

▼中原コメント
18〜19年に米中経済が大減速すれば、20年の東京五輪の頃はすでに不況期に入っていて、今高騰している不動産価格も下落しているでしょう。超低金利環境は、相続税対策のアパート経営やサラリーマンの賃貸不動産経営に火をつけましたが、そのブームも間もなく幕を閉じます。

問題は、これから本格的な人口減少が始まるのに、供給過多にある貸家の供給がさらに増え続けていること。すでに全国で820万戸の空き家があり、その半数超は貸家。遅くとも10年後には全国的に家賃が大きく値下がりします。

こうした状況を考えると、今後は住宅を買った価格よりも高く売れる可能性は極めて小さい。これからマイホームを持つなら、将来、高く売って利益を出そうなんて考えず、「家族と楽しく暮らす」ことを優先して選んだほうがいい。定年後もずっと幸せに暮らせるのか、などもポイントになるでしょう。

結論:賃貸経営や売却益狙いの不動産投資は、避けるべき

▼荻原コメント
「オリンピックの崖」なんて言われるように、五輪後に前倒し投資のリバウンドが一気に来るでしょう。では、オリンピック後の不況にどう備えればいいのか。その処方箋が企業も行っている「ダウンサイジング」。デフレ不況の中で企業がやってきたことは、内部留保の増加とコスト削減、借り入れ返済です。家計もそれと同じ。貯金と節約、住宅ローンの繰り上げ返済に励むべきです。

デフレの中では無理して投資しなくても、今あるお金を減らさなければいい。日本の金融機関は今、マイナス金利政策によって運用難に陥り、収益の悪化に苦しんでいます。そんな中で狙っているのが個人の資産。こういうと何ですが、まるであの手この手で手数料稼ぎを目論んでいるかのよう。商品の仕組みやリスクをよく理解できていないのに、「すすめられたまま手を出して大損した」なんてことにならないよう、注意してくださいね。

結論:五輪後不況に備え、今から家計をダウンサイジング

(6)教育無償化
政治家の甘言を信用できるのか
自民党は消費増税の増収分の一部を充て、幼稚園・保育園(3〜5歳)の費用を無償化する公約を掲げた。一部の高等教育の無償化もある。ただ、財源は明確化されていない。

▼荻原コメント
教育無償化に対して政治家がどこまで本気なのかは怪しいもの。でも国が負担する教育費は、他の先進国に比べて非常に少ないのが現状です。日本では国立大学(自宅生)でさえ授業料のほか、入学金、通学費、図書費などを含めると4年間に500万円以上かかる。だから50%を超える学生が奨学金を利用しています。頭がよくてもお金がなければ大学で学べないわけです。

でも、日本の教育環境もこれからガラリと変わるでしょう。今や授業料がすごく安いインターネット塾も登場しています。まだ知名度は高くありませんが、インターネット大学もあります。

結論:政治に頼らず、授業料の安い塾を効果的に取り入れる

(7)北朝鮮暴発リスク
有事の資産防衛はしておくべきか
安倍政権はトランプ米大統領と共に、北朝鮮の金正恩政権に圧力をかけ続けている。国際社会の包囲網が強まった結果、窮鼠猫を噛むかのごとく、北朝鮮が暴発する日が来るかも。

▼大江コメント
これはあくまで私個人の考えですが、日本にミサイルが飛んでくるような戦争は起きないと思います。仮に北朝鮮暴発リスクがあるにしても、「有事の資産防衛」は必要ない。

よく金地金やビットコインがいいと言われますが、もし日本がミサイル攻撃されたら金を保管している貸金庫はもちろん、銀行も閉鎖されてしまう事態だって起こりかねません。ビットコインもどんな値動きになるか、まったく想定できません。「有事の金」とよく言いますが、これは昔、欧州で戦争が起きて難民が逃げ惑ったとき、持ち運びできる金が役立ったことに由来した話。島国の日本は、そもそも金を持って逃げるところがありません。

結論:有事に備えて、金やビットコインを買う必要はない

----------
大江英樹
経済コラムニスト
大手証券会社を定年退職後、オフィス・リベルタス設立。資産運用、企業年金、シニア層向けライフプランなどをテーマに執筆や講演などで活躍中。

中原圭介
経営アドバイザー・経済アナリスト
その経済予測の正確さには定評がある。著書多数。2017年11月に『中原さん、未来の日本経済はどうなるんですか?』を上梓予定。

荻原博子
経済ジャーナリスト
大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。家計経済のパイオニアとして、経済の仕組みを生活に根ざして平易に解説して活躍中。著書多数。
----------

(経済コラムニスト 大江 英樹、経営アドバイザー・経済アナリスト 中原 圭介、経済ジャーナリスト 荻原 博子 構成=河合起季 撮影=大沢尚芳、加々美義人 写真=AFLO、時事通信フォト、iStock.com)

前のページ 1 2
タグ:
年金消費税景気幼児教育無償化
支持する(2)
コメント(7)


プレジデント社の新メディアサイト。
クビ・定年が怖くなくなる最新稼げる資格
トランプの政策が世界のマネーを翻弄する
メルカリの先をいく「17歳CEO」の将来
甲子園の熱中症を無視する朝日の"二枚舌"
年収400万で1000万より"幸せな生き方"
記事一覧へ

あわせて読みたい

米景気が2019年に後退の可能性
My Big Apple NY


日銀総裁「景気は緩やかに拡大」
ロイター


日本も危険? 景気悪化の兆し現る
MAG2 NEWS


増税は日本のインフレ防止に働く
WEDGE Infinity


アベノミクスで景気回復は真実か
週刊金曜日編集部


 


 
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/181.html#c1

[経世済民128] トルコリラ急落は世界的な金融危機につながるのか?(マネーポスト) 赤かぶ
2. 2018年8月14日 21:17:29 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1299]

トルコ株最大ETF、資金流入拡大も要注意−空売り用の口数増か
Carolina Wilson
2018年8月14日 10:52 JST
• iシェアーズMSCIトルコETF、10日に5300万ドル余りが流入
• 弱気ポジション構築で口数増必要だった−ルークマン氏
トルコ株を対象とする最大の上場投資信託(ETF)への資金流入が最近膨らんだ。だが、これを強気のシグナルと捉えるべきではない。
  クレディ・スイス・グループの米州担当ETFマーケットメーキング責任者、ジョシュ・ルークマン氏によると、「iシェアーズMSCIトルコETF」への資金流入は、トレーダーらが借りて空売りするための新たな口数が必要となっていることを示唆している可能性がある。トランプ政権がトルコの鉄鋼・アルミニウムへの関税率引き上げを表明した後、同ETFには5300万ドル(約58億7000万円)余りが10日に流入、約5年ぶりの大きさを記録した。
  iシェアーズMSCIトルコETFの発行済み口数が1400万口と比較的少なく、弱気ポジションを取ろうとしているトレーダーらに供給するため口数を増やさなければならなかったとルークマン氏は話す。
  S3パートナーズのデータによれば、同ETFの空売り残高は今月、485万口と少なくとも1年ぶりの高水準に膨らんだ。10日には過去最高の売買を記録、約15%安と2008年以来の大きな下げとなった。週明けの13日は11%下落した。
Trading Turkey
Investors scoop up short positions in Turkey ETF amid currency crisis

Source: S3 Partners
原題:Turkey ETF Sees Cash Inflows Surge as Short Sellers Smell Blood(抜粋)


 


仕組み信用商品に警戒警報、「リスクオフ」の時期に入ったーBofA
Christopher DeReza
2018年8月14日 14:50 JST
証券化商品についてよりディフェンシブにーバチュバロフ氏ら
連邦機関の住宅ローン証券をアンダーウエート
バンク・オブ・アメリカ(BofA)によると、仕組み信用商品の市場には警戒警報が鳴り響いている。アナリストらは同市場が新たな「リスクオフ」の時期に入りつつあると警告した。多くの指標が用心を促しているという。

  アレクサンダー・バチュバロフ氏らアナリストはリポートで「証券化商品についてよりディフェンシブになり、連邦機関の住宅ローン証券をアンダーウエートにしている」と説明。「リスクオフの時期が恐らく始まっている」と記述した。

  投資家のリスクテーク意欲の低下は、投資適格社債のスプレッドの拡大につながり、ファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の住宅ローン担保証券など、より高格付けの仕組み商品に影響する可能性が高いという。

  トレンドを示す重要な指標は10年物米国債利回り、2年物と10年物のスプレッド、金利のボラティリティー、投資適格級社債のスプレッドで、「8月は、イールドカーブのフラット化、金利低下、スプレッド拡大に向けた戦術的ポジションを取るのに良い時期となるだろう」としている。


原題:Bank of America Says Pump the Brakes on Structured-Credit Risk(抜粋)


 

 


ソブリン債にとどまらない、アルゼンチンとトルコは社債でも安値競う
Justin Villamil、Pablo Gonzalez
2018年8月14日 14:38 JST
• トルコの銀行への打撃は特に甚大−リターン悪化を主導
• アルゼンチンでは汚職、トルコでは政策の失敗が社債の打撃に
ソブリン債だけではない。アルゼンチンとトルコは社債でも安値争いを演じている。
  今月最もパフォーマンスが悪いドル建て新興国社債10本のうち、6本がトルコ企業、4本がアルゼンチン企業だ。最もリターンが低いのはトルコのイシ銀行の社債(2028年償還)でほぼマイナス19%、この集団で最も高いアルゼンチンの公益会社トランスポルタドラ・デ・ガス・デル・スルでさえマイナス7.3%となっている。一方、ソブリン債のリターンはアルゼンチンがマイナス7.5%、トルコはマイナス6.7%。
  
  ピクテ・アセット・マネジメントのシニア投資マネジャー、グイド・チャモロ氏(ロンドン在勤)は「アルゼンチンとトルコは結合双生児のごとく取引されている」と指摘。「その理由は異なるものの、結果は同様だ」と語った。

  トルコとアルゼンチンは共に経常収支赤字の規模が大きく、インフレ加速に苦しんでいるが、トルコは伝統的な経済政策の遂行や利上げを拒み、通貨リラや資産価格の暴落を招いた。アルゼンチンでは、中央銀行が13日に利上げに踏み切ったものの、汚職スキャンダルの急拡大で投資が失速する恐れがある。
  SMBC日興キャピタル・マーケッツのエグゼクティブディレクター、オクサナ・ラインハルト氏(ロンドン在勤)は、トルコ資産はある時点で魅力的になるかもしれないが、今トルコに投資することは「落ちてくるナイフをつかむようなものだ」と語った。
  アルゼンチンでは、リセッション(景気後退)に向かいつつある状況に加え、国内大手企業の一部が関与した汚職捜査が輪をかけた。トランスポルタドラ・デ・ガスを共同管理するパンパ・エネルヒアを含む、パフォーマンス下位の社債10本に入るアルゼンチン企業4社の全てが、この捜査に直接または間接的に関わっている。パンパの広報担当者は、社債価格の下落は同社の第2四半期の損失が影響した可能性があると説明。その他のアルゼンチン企業はコメントを控えた。
  アルゼンチンの通貨ペソは年初から35%余り下げており、世界で2番目にパフォーマンスが悪い。そして最下位に位置するのがトルコ・リラだ。
             
原題:Think Turkey, Argentine Sovereign Debt Is Bad? Look at Companies(抜粋)


 

 
トルコ危機が新興市場全般に波及、株式と通貨が1年ぶり低水準に
Rita Nazareth、Ben Bartenstein、Giulia Morpurgo
2018年8月14日 6:48 JST
トルコの金融システム下支え措置は不十分と一部アナリスト
アルゼンチンのセンチュリーボンド利回りが10%に急上昇
トルコ危機は新興市場全般へと波及し、株式と通貨の双方を1年ぶりの低水準まで押し下げた。

  トルコの政策当局が国内金融システムを下支えする最初の措置を講じたものの、一部アナリストからは苦境にある市場を守るには不十分だと見なされ、トルコ・リラは一段安となり、他の新興市場国にも通貨安が広がった。トルコのエルドアン大統領は米国を批判。利上げを論外とし、国際的な救済措置の要請を拒否すると表明する中で、トレーダーらはトルコ資産を売り浴びせ、それが他の途上国経済へと波及した。

  南アフリカ共和国の通貨ランドの1カ月物インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)は2015年12月以来の大幅上昇となり、アルゼンチン・ペソが1ドル=30ペソまで下落する中でアルゼンチンのセンチュリーボンド(期間100年の超長期債)利回りは10%に上昇した。

  野村インターナショナルの外為ストラテジスト、ジョーダン・ロチェスター氏(ロンドン在勤)は、「またもやマニック・マンデー(大騒ぎの月曜日)だ」と発言。「われわれはトルコがこの流れをとめるために持ち合わせている選択肢のリストを検討している。利上げや国際通貨基金(IMF)の関与、トルコ・リラへの市場の信頼感回復だ。残念ながら全ての要素が逆方向に向かっている」と述べた。

  MSCI新興市場指数は2%下げ、1041.60となった。CBOE新興市場ETFボラティリティー指数は1カ月ぶりの高水準に上昇。MSCI新興市場通貨指数のこの4日間の下げ幅は16年11月以来最大となった。JPモルガン指数の新興市場ソブリンのリスクプレミアムは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の366bp。


原題:Turkey’s Collapse Sinks Emerging Markets on ‘Manic Monday’(抜粋)


 

 

EU、トルコ通貨リラ急落で欧州銀への潜在的影響注視−欧州委報道官
Jones Hayden
2018年8月14日 7:19 JST
トルコ・リラの動きが欧州の銀行に与えかねない潜在的影響を認識
「欧州委はグローバル市場の動向を注意深く見守っている」と報道官

Photographer: Ismail Ferous/Bloomberg
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、トルコ通貨リラの急落に伴うグローバルな影響、特に域内の銀行に及ぼす潜在的な影響を注視していることを明らかにした。

  トルコの通貨と株式、債券の相場が急落する状況を受けて、欧州委のシュパール報道官は13日にブリュッセルで記者団に対し、「欧州委はグローバル市場の動向を注意深く見守っている。トルコ・リラの動きが欧州の銀行に与えかねない潜在的影響も認識している」と語った。

  シュパール報道官は、市場の動きに関するコメントを控える一方、難民を巡るEUとトルコとの合意に及ぼす潜在的影響についても欧州委としてコメントしないと述べた。

原題:EU Is ‘Closely Following’ Global Impact From Turkish Lira Crisis(抜粋)


 

 


外為フォーラムコラム2018年8月14日 / 12:31 / 3時間前更新
コラム:トルコ・ショック、真の懸念は「欧州難民危機」再来=唐鎌大輔氏
唐鎌大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
5 分で読む

[東京 14日] - 国内外ともに夏季休暇モードで流動性が薄くなる時期だが、トルコリラ急落を受けた混乱が新興国のみならず先進国の市場にも影響を及ぼしている。この震度をどう評価するかは目下、夏休みの重要な課題だ。

前回7月17日付のコラム「新興国の次は米国経済か、異変伝える炭鉱のカナリア」でも述べたように、米連邦準備理事会(FRB)が引き締めを継続している以上、遅かれ早かれ「新興国市場からの資本流出」自体は起こるべくして起こることであり、見通しを作る上では自然な想定であると述べてきた。

つまり、「あとはきっかけ待ち」という状況にあったところ、今回のトルコリラ・ショックが起きたというのが筆者の理解だ。これを機に新興国市場からの資金流出が続く展開に構えたい。

<現状打開に必要な4つの選択肢>

もともとトルコリラ安の底流には中央銀行への政策介入も辞さないエルドアン大統領の経済政策という内政要因があったが、対米関係の悪化という外交要因もあった。とりわけクーデター容疑でトルコ当局に拘束されている米国人牧師を巡って問題がこじれた結果、「鉄鋼・アルミニウムに係る追加関税率を倍に引き上げる」という米政府の決定につながり、トルコリラ急落のトリガーを引くに至っている。

こうした状況下、トルコが現状を打開するために必要な選択肢は、1)緊急利上げに踏み切る、2)米国人牧師を解放する、3)資本規制の強化、4)国際金融(IMF)支援の要請である。

もっとも、「利下げをすればインフレ状況も落ち着く」という奇異な主張の持ち主であるエルドアン大統領は8月12日の演説で、1番目の選択肢については「自分が生きている限り、金利のわなには落ちない」と一蹴しており、その上で2番目にも応じない姿勢を明確にしている。また、4番目の選択肢についても「政治的主権を放棄しろというのか」と述べ、これも退けた。

今のところトルコは、3番目の選択肢を取っている。8月13日早朝、トルコ銀行調整監視機構は、国内銀行による海外投資家とのスワップ、スポット、フォワード取引を銀行資本の50%以内に制限すると発表し、投機的なリラ売りの抑制に踏み出している。

しかし、投機のリラ売りを抑制しても同国が経常赤字国であるという事実は変わらないので実需のリラ売りは残る。資本規制を強化するほど、トルコへの投資は敬遠されるはずであり、経常赤字のファイナンスは難しくなる。新興国が危機に陥る際の典型的な構図が見て取れる。

そのほか、8月に入って以降は、中銀が設定する各種準備率を調節することで市中への流動性供給を増やすという措置も取っている。それらの措置が市場の緊張緩和に寄与するには違いないが、利上げによる通貨防衛を期待する市場参加者にとって迂遠(うえん)な一手と言わざるを得まい。言い換えれば、政策金利の調整を決断できない「中銀の独立性の無さ」を逆に誇張しているようにすら見えてしまう。

<欧州金融システムへの影響は軽微か>

トルコ・ショックはどれほどの震度を持つと考えるべきなのか。今回、トルコ・ショックが先進国市場にまで影響を及ぼし始めたのは、欧州系銀行がトルコに対して大きな債権を持っているのではないかという懸念を8月10日付の英紙フィナンシャル・タイムズが報じてからだった。

同報道では「欧州中銀(ECB)がスペイン、フランス、イタリアの国内銀行が抱えるトルコ向け債権の大きさを懸念している」といった趣旨の関係者のコメントが紹介されており、記事の中で各国大手銀行の名前が具体的に挙げられていたことから同日の対象銘柄株価は大きく値を下げ、これが世界的な株安につながった格好である。

しかし、国際決済銀行(BIS)の統計を見る限り、そこまで懸念すべき事態なのかは判断がつかない。確かに、トルコの国内銀行が外国銀行に対して持つ対外債務の約6割がスペイン・フランス・イタリアによって占められていることから、市場が「トルコ発、スペイン・フランス・イタリア経由、ユーロ圏行き」といった危機の波及経路を心配することも一理ある。このところのトルコリラ急落を踏まえれば、外貨で借り入れている債務の為替ヘッジが進んでおらず債務不履行に陥る部分が出てくる可能性は確かにある。

とはいえ、トルコにとって欧州が重要な債権者であるからと言って、欧州にとってトルコが同じくらい重要な債務者であるとは限らない。例えば、国際与信残高(国外向けの与信残高)を見ると、スペインは約1.8兆ドル、フランスは約3.8兆ドル、イタリアは0.9兆ドルである。ちなみに、ドイツは約2兆ドルだ。

ここで、それらユーロ圏4大国の国際与信残高合計に占めるトルコ向け与信残高の割合を計算してみると、2%にも満たないことが分かる。国別に見てもスペインの4.5%が最大であり、トルコ・ショックがそのまま欧州金融システムを揺るがすような話になるとは考えにくい。

<「難民」を巡る大きな借り>

だが、問題がないわけではない。というのも、欧州連合(EU)はトルコに対して大きな借りがある。2015年に勃発し「債務危機を超える危機」とも言われる欧州難民危機は今も根本的な解決には至っておらず、正確には解決のめどすら立っていない。だが、その一方で大きな混乱も招いていない。

これはなぜなのか。ひとえにEUとの合意に従ってトルコが難民をせき止めているからである。EUに流入する難民の多くは内戦激化により祖国を飛び出したシリア人であり、トルコ経由でギリシャにこぎ着けてEUに入るというバルカン半島を経るルートを利用していた。ゆえに、EUとしては何とか経由地であるトルコの協力を得て流入をせき止める必要があった。

2016年3月18日、ドイツが主導する格好でトルコとの間で成立した「EU・トルコ合意」は非常にラフに言えば、「カネをやるから難民を引き取ってくれ」という趣旨の危うい合意だが、効果はてきめんだった。少なくとも、その合意がEU(とりわけドイツ)に余裕を与えているのは紛れもない事実である。

<欧州政治安定の鍵はエルドアン政権の手中に>

これは裏を返せば、難民危機はトルコひいてはエルドアン政権次第ということである。ここに至るまでの大統領の言動を見る限り、今後、意図的に難民管理をずさんなものにするリスクはないとは言えまい。

いや、故意ではなくともトルコの政治・経済自体が混乱を極めれば難民を管理しきれないという過失も考えられる。どちらにせよトルコがいつまでも欧州のために難民をせき止めてくれる保証はない。

率直に言って、EU域内に難民流入が再開するのは非常にまずい。そうなった場合、難民流入に不平不満を抱えるイタリアのポピュリスト政権が勢いづくだろう。ただでさえ、それを切り札として欧州委員会と交渉する雰囲気があるのだから、事態はより複雑になるはずだ。

また、10月にバイエルン州選挙を控えるメルケル独政権も難渋するだろう。難民受け入れのあり方を巡って長年の姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)がメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と仲たがいを起こしたことが6月に話題になったばかりだ。ここで状況が悪化したら余計に両者の溝が埋め難くなろう。

さらに2019年5月には欧州議会選挙もある。EU懐疑的な会派をこれ以上躍進させないためにも難民を巡る状況はやはり悪化させるわけにはいかない。

金融市場ではトルコの国内金融システム混乱がユーロ圏に波及する経路が不安視されているが、現実的にはエルドアン政権が欧州難民危機ひいてはEU政治安定の生殺与奪を握っている事実の方がより大きな脅威であるように思われる。

唐鎌大輔氏(写真は筆者提供)
*唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のチーフマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。著書に「欧州リスク:日本化・円化・日銀化」(東洋経済新報社、2014年7月) 、「ECB 欧州中央銀行:組織、戦略から銀行監督まで」(東洋経済新報社、2017年11月)。新聞・TVなどメディア出演多数。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。


 


 

 


トップニュース2018年8月14日 / 15:01 / 4時間前更新
トルコリラ安で外国客が爆買い、大統領はおもてなし呼びかけ
1 分で読む

[イスタンブール 13日 ロイター] - トルコの通貨リラが急落する中、これを利用してイスタンブールの高級品店街で買い物しようと、外国からの観光客が殺到している。

シャネルやルイ・ヴィトンの店では、アラブ人観光客を中心とする列が店外を取り巻くほど伸びて、ほとんど動かない状態。

エルドアン大統領の影響力に対する懸念や米国との関係悪化などから、今年に入りリラは対ドルで40%以上下落している。大統領は、重大な時期にドルを持ち込んでくれる観光客を一段ともてなすよう国民に呼びかけている。

ある高級服飾店の従業員は匿名で、ハイシーズン中にしても買い物客の人数は異例と指摘。リラ安が原因との見方を示した。

クウェートからの観光客は、「トルコのためには相場が改善するよう願うが、ここにいる買い物客のためにはこのままであるよう願う」と語った。


 

 


ワールド2018年8月14日 / 18:41 / 3時間前更新
トルコ、米国製電気製品の不買運動実施へ=エルドアン大統領
1 分で読む

[イスタンブール 14日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は14日、米国製の電気製品に対し不買運動を実施すると述べた。米国はトルコで拘束されている米国人牧師を巡り、同国に対して制裁を科したほか、関税を引き上げた。

エルドアン大統領はトルコ経済について必要な措置を実施しているが、重要なのは確固たる政治スタンスを維持することだとの見方を示した。

 

 


 
トルコ情勢に揺れる新興国市場、ファンダメンタルズの強さ置き去りに
Netty Ismail、Filipe Pacheco
2018年8月14日 12:05 JST
• 投資家、トルコ関連リスク回避で新興国へのエクスポージャー圧縮
• 「トルコと同じ問題を抱える国は他にない」−GAMのマクナマラ氏
トルコの金融危機に動揺した新興国市場は、向こう数日から数週間は下げ続けるかもしれないが、これ以上はそれほど痛みを伴うことなく苦境を乗り越えそうだ。
  危機が伝染するとの懸念は13日に浮上。トルコ・リラは2営業日の下落率を約20%に拡大して最安値を付け、南アフリカ共和国の通貨ランドやメキシコ・ペソ、インド・ルピーを含む新興国通貨のパニック的な売りに拍車が掛かった。投資家はトルコでの損失の穴埋め、あるいはリラのポジションをヘッジするため、新興国市場全体へのエクスポージャーを圧縮した。
           
クレディ・スイスのグローバルCIO、ブルクハルト・バーンホルト氏は新興国市場への波及についてコメント
出所:ブルームバーグ
  もっとも、近い将来のその先をみると、他の新興国市場がトルコと同列に扱われるファンダメンタルズ上の理由はほとんどない。平均インフレ率は記録的な低さで経常収支は改善しており、新興国の世界はトルコの現状からかけ離れつつある。この違いが危機の伝染を抑える可能性がある。
リラの伝染リスクは限定的−ゴールドマンのスピルオーバー指数が示唆
  GAM・UKのファンドマネジャー、ポール・マクナマラ氏(ロンドン在勤)はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「トルコと全く同じ問題を抱える新興国市場は他にないため、トルコだけに封じ込められる可能性がある」と指摘した。
            

           
  トルコの問題の核心は急激なインフレであり、これが実質リターンを低下させる。一方、新興国市場の平均インフレ率は2.81%と記録的な低水準で、過去7年間において実質利回り平均を4ポイント余り押し上げた。これは持続的な売りを支える材料ではあり得ない。

  経常収支の悪化とインフレ高進の抑制に政策当局が十分な措置を講じてこなかった市場を、投資家は罰し続ける。トルコのインフレ率は15.9%、アルゼンチンは同29.5%で、リラとペソはいずれも年初来の通貨パフォーマンスでランキング最低付近に位置する。
            
Narrowing Deficit
Emerging markets' current-account deficit as a percent of GDP has narrowed since 2016

Source: IMF
  「われわれにとっての大きな懸念材料は、トルコが本当に重大な危機に陥り、資本規制を課すことだ」と述べたマクナマラ氏は、そうなれば、新興諸国の「資産クラスの信用を失墜させるようなものだ」と語った。
  
Growth Picking Up
Real GDP growth for emerging markets

Source: IMF
原題:Turkey Too Much of a One-Off to Undermine Emerging-Market Case(抜粋)


 


 

外為フォーラムコラム2018年8月14日 / 16:41 / 3時間前更新
コラム:ドル高予想変更は無用、トルコ危機もガス抜きに=植野大作氏
植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
5 分で読む

[東京 14日] - 真夏の外為市場でドル円は上値を削る展開になっている。7月19日に一時113.17円と約6カ月ぶりの高値圏へ上昇したが、トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)の利上げを批判しながらドル高けん制発言をぶつけてくると急落。「日銀が金融緩和の副作用軽減策を模索している」との観測報道が相次いだことも重しとなり、7月下旬には一時110円台半ばまで売り込まれた。

その後、7月末の日銀会合で消費増税前の利上げ期待を封印するフォワード・ガイダンスが導入されると反発し、112円台に復帰する一幕もあったが、8月中旬にかけては再び軟化。9日から始まった日米通商協議への警戒感が高まる中、10日に勃発したトルコリラ円の暴落に軽く巻き込まれると110円台前半に続落する場面も観測されている。

米国発の世界貿易戦争への懸念が強まる中、最近のドル円は、米国経済・金融政策の相対的な優位性が注目されるとドル高・円安が進む一方、世界貿易戦争のエスカレートを伝える残念な報道、米大統領の不規則発言、トルコ発の新興国不安などが意識されるとドル安・円高方向に振れる非常にややこしい展開になっている。

例年、8月の盆休み前には、「国内輸出企業のドル売り注文が大きくなる」との思惑が広がるほか、中旬になると米国債の大量利払いの円転観測が広がりがちだ。そんな時期に日米通商協議が始まったこともあり、今後の交渉の場で米国側が日本の嫌がる「円高カード」を切ってくるとの警戒感も渦を巻いている。当面は円高に振れやすい展開が続きそうだ。

ただ、筆者は年末に向けてのドル高・円安予想を堅持している。3月安値の104円台から7月高値の113円台に至るまで、かなり一方的なドル高・円安が進んでいただけに、「8月の円高説」「日米通商協議の開始」「トルコリラ安ショック」などを口実にした適度なガス抜きで押し目を作った方が、その後の上昇余地は広がるだろう。以下、そのように考えている理由を3つ挙げておく。

<貿易戦時下でドルは売られにくい>

第1に、世界貿易戦争時下にあっても米国経済が堅調に推移し、FRBが主要先進国の金融政策正常化レースの先頭を走っている。米国の実質経済成長率は今年第2・四半期に年率プラス4.1%に加速。アトランタ地区連銀の推計によれば、第3・四半期も4%台を維持しており、今のところ、輸入増税の負担に負けて失速に向かっている様子は観測されていない。

このような状況下、パウエルFRB議長は先の議会証言で「当面は緩やかな利上げを続けるのが最善の策」と述べており、同時に進めている保有債券の圧縮にも「3、4年はかかる」との見解を示していた。当面は「金利」と「量」の両面で米金融政策の正常化が進みそうだ。

米国が始めた不毛な輸入関税引き上げ合戦は、全ての参戦国の成長押し下げ要因になり得るが、為替レートは当該2国通貨の相対評価で方向が決まる。このため、米国が過去の金融危機対応で散布したドル資金を回収しながら先進国の利上げレースで先頭を走れる体力を維持している間は、貿易戦時下における「敗戦国選び」の矛先は、米国に先制攻撃を仕掛けられた相手国側の通貨に向かい、ドルは買われやすく売られにくい地合いになる。

現在、トルコリラ暴落の悪影響が他の新興国や欧州諸国に波及することが懸念されているが、米国の金融システムに飛び火して金融政策の正常化を妨げるような事態に発展しない限り、新興国通貨と欧州通貨に対してドル高と円高がほぼ同時に進む状況が続きそうだ。ドル円相場への感染力は限られるだろう。

<口先介入の力で相場は支配できない>

第2に、米大統領の米利上げ批判や米政府要人によるドル高けん制発言は、すう勢的なドルの地合いにほとんど響かないとみられる。不動産会社の経営で財を成し、自らを「低金利人間」だと認めるトランプ大統領が、パウエル議長の利上げ路線を快く思っていないのは事実だろう。ただ、「FRBの独立性」は、先達の英知が築き上げた米国民の貴重な財産だ。

その価値を熟知しているパウエル議長は、今後も大統領の嗜好に左右されずに金融政策を運営するはずだ。米国経済が弱ってくれば、大統領に言われなくても利上げを止めるだろうが、今はまだその時期ではないと判断しているようだ。

また、日米通商協議が本格化する中、米政府の高官がドル高・円安けん制発言で日本に揺さぶりをかけてくる可能性は否定できない。ただ、筆者は為替相場のトレンド判断において、特定の国や組織で要職にある人物の言霊(ことだま)の力をあまり重視していない。

日米貿易摩擦が盛んだった数十年前に比べ、為替市場の売買規模や参加者の多様性は格段に増しており、現在、ドル円だけで年間の売買金額は2.5京円程度に達していると推定される。天文学的な金額の国際資金フローが自由に行き交う為替の動きを、口先介入の力だけで支配するのはトランプ大統領でも多分無理だ。恐らく本人はそう思ってないかもしれないが、為替市場の恐ろしさを熟知している多くの市場関係者は、もしも自分が米国の大統領になったとしても、「自らの希望を伝えるだけで為替相場のすう勢を意のままに操れる」とは思っていないだろう。

そもそも、「アメリカ・ファースト」を標榜して貿易赤字を削減、海外に漏出した投資資金や雇用を国内に戻すことを目指すトランプ大統領の政策は、もしも成功したならドル高圧力を発生させるはずだ。経済・軍事の両面で米国を断トツの強国にすることを目指して仮想敵国を攻めておきながら、口先介入の呪いだけでドル安に誘導するのは難しいだろう。

<「尺蠖(しゃっかく)の屈するは伸びんがため」>

第3に、7月末の会合で日銀は巧妙な情報操作で円高ショックを回避しつつ、異次元緩和のマイナー・チェンジに成功した。「日銀が金融緩和の副作用軽減策を練っている」との観測報道が最初に流れた7月20日から31日の結果発表の直前まで、各種媒体が競って報じた記事の中に、フォワード・ガイダンスの導入を示唆していたものは皆無だった。

その後、実際に公表された具体策を見ると、「短期金利はマイナス0.1%で据え置いたまま、適用残高を5兆円だけ減額する」「長期金利の中心はゼロ%で維持した状態で上下の変動幅を0.1%から0.2%に広げる」という地味な内容だった。わずかに容認された長期金利の上昇幅は0.1%と世界標準の政策金利変更刻みとみなされている0.25%の半分以下にとどめられていた。結局、事前の観測報道の死角に入っていたフォワード・ガイダンスだけがサプライズを呼び、異例の低金利政策の出口はひとまず見えなくなっている。

また、一般には注目されていないが、今回の会合で日銀は、「コアインフレの実績が安定的に2%を超えるまでマネーの拡大方針を維持する」というオーバーシュート型コミットメントも堅持していた。今後の日銀の金融政策は「金利」の面ではフォワード・ガイダンス、「量」の面ではオーバーシュート型コミットメントという2つの基本方針の下で運営されることになる。

「オープンエンドのマネー漸増を約束しながら異例の低金利政策を続ける日本」と「計画通りに保有資産を圧縮しながら緩やかな利上げ見通しを維持する米国」の違いは明らかだ。彼我の金融政策の印象格差をすう勢判断の軸に据える姿勢を崩さない限り、年末に向けたドル高・円安見通しは不変だ。

「尺蠖(しゃっかく)の屈するは伸びんがため」のことわざもある。この夏、一時的に1ドル=110円を割る局面があったなら、買い下がりで臨みたいと考えている。

植野大作氏(写真は筆者提供)
*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/181.html#c2

[経世済民128] トルコリラ急落は世界的な金融危機につながるのか?(マネーポスト) 赤かぶ
3. 2018年8月14日 22:23:41 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1300]
トルコリラ急落、投資家が学ぶべき教訓とは
トルコは制度が機能不全に陥った究極の事例と言える(写真はイスタンブール市内のバザール)
トルコは制度が機能不全に陥った究極の事例と言える(写真はイスタンブール市内のバザール) PHOTO: YASIN AKGUL/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By James Mackintosh
2018 年 8 月 14 日 16:07 JST

――筆者のジェームズ・マッキントッシュはWSJ市場担当シニアコラムニスト

***

 トルコの通貨リラの急落は、おかしな経済政策と米国との対立によって生じた地域的な大惨事というだけではない。他の新興国市場に投資する人々への警告でもある。新興国の経済的統治が改善するという長年の強気論は投資家が思っているより当てにならない。

 トルコでは長年にわたって好景気が続き、投資家は同国の制度に恒久的な変化があったと考えるようになった。ところが不況になると、昔ながらの悪しき政治と政策が装いを新たに戻ってきた。確かに今回は軍の主導によるものではない。ただ、独裁色を強める大統領は、トルコが抱える問題を外国の陰謀のせいにするいつものやり方にすがりついている。痛みを受け入れて根深い財政問題に取り組もうとはしていないのだ。

 他の新興国市場についても同じことが言えるかもしれない。1990年代後半の債務不履行(デフォルト)で傷ついた新興国は行いを改めた。2000年代には中央銀行に独立性が与えられ、民主主義が根付き、貿易が盛んになり、資本逃避のリスクに対抗するため外貨バッファーが構築された。投資家は制度の強化が続くと確信し、多くの企業幹部にとって新興国市場は「成長市場」になった。

 長年の弱気論は、このプロセスが逆方向に進むという考え方だ。2013年の「テーパー・タントラム」(量的緩和縮小の示唆を受けた市場の動揺)でマクロ経済運営の誤りが明らかになり、かつては欧米式の民主主義を支持した指導者が独裁者になりつつある。法の支配や人権、政治家の気まぐれに左右されない金融政策を保護したさまざまな制度は、強力な指導者に逆らうにはあまりに弱いことが露呈した。

 トルコは制度が機能不全に陥った究極の事例だ。しかし同じような力は他の新興国市場でも働いている。インドではポピュリスト的指導者が中央銀行に干渉している。中国は国家主席の任期を撤廃し、共産党指導部の独裁性を強化した。フィリピンの大統領は超法規的殺人に対する規制を受け入れない。東欧ではポーランドを筆頭に指導者が制度による統治を破棄している。その一方で、ロシアは経済危機から立ち直り、他国の独裁者を導く存在となった。

 しかし、制度の失敗だけで国家が危機に陥るわけではない。「シャルマの未来予測 これから成長する国 沈む国」の著者であるモルガン・スタンレーのルチア・シャルマ氏によると、経済の動向はこれまでは民主主義の国でも独裁国家でも同じようなものだったが、今は民主主義の国のほうがはるかに順調だ。

 制度がぜい弱な国は負荷が高まった時により苦労する。だから景気悪化による影響は非常に大きい。トルコは今まさに、そのことを身をもって学んでいる。制度が強かったり、合理的な政策を採用したりしている国も、例えばドルが高いときに多額の経常赤字を抱えれば打撃を受けるが、回復力は強く、実際に回復は早いだろう。

 新興国について債券市場は弱気論を展開している。2000年代には新興国のハードカレンシー(主要通貨)建ての債券が人気となり、米国のジャンク債と同程度だった利回りが2008年には米国の高格付け社債の利回りに近い水準を付けた。この10年で利回りの改善は後退し、この夏、新興国債券は13年ぶりに米国のジャンク債をわずかに上回る水準で取引されている。

 投資家が考えるべき問題は2つある。1つは新興国市場が本当に逆戻りしているのかという点だ。全体としてはおそらく違う、というのがその答えだ。

 確かに多くの国が間違った方向に進んでいる。しかし、他の重要な新興国では制度が強固に保たれている。ブラジル、マレーシア、南アフリカで汚職スキャンダル後に指導者が交代した例がそうだ。インドネシアは正統派の経済政策を維持している。インドでもナレンドラ・モディ首相がポピュリズムに走っているにもかかわらず、過去の指導者の下では行われなかった重要な経済改革が実施されている。全体として見れば、新興国が集団で後退しているというよりも、進歩しなくなった新興国があるということだ。

 第2の問題は、長期的な統治の悪化がどの程度織り込まれているのかという点だ。この疑問に答えるには、長期的な統治傾向と短期的な循環を切り離す必要がある。短期的には新興国市場は再燃したドル高に圧迫されており、このドル高は経常赤字を背景にドルでの資金調達に依存する国に打撃を与えている。その筆頭格がトルコやアルゼンチンだ。中国経済の減速はコモディティー(商品)輸出に頼る国にとって痛手となった。FRBが金融緩和策を取っていた時期には投資家は利回りを追ってリスクの高い現地通貨建ての新興国債券に投資していたが、金利上昇で利回りを追う動きも鈍くなっている。

ニュースレター購読

 新興国の株式はリーマン・ブラザーズ破綻後の短期間の回復後はさえない。2001年以降の先進国株式に対するアウトパフォーマンス分の半分がなくなった格好だ。一方でハードカレンシー建ての新興市場債は再びジャンク債のような扱いを受けており、楽観視できない。

 しかしいずれのケースでも新興国市場の不振は誇張されている。ジャンク債の利回りは歴史的な低水準にある。したがってジャンク債のような扱いを受けることは以前ほど軽視の印ではない。一方、このところ米国株に後れを取っているのは新興国の株式だけではない。新興国株は1年から2年あるいは5年かけて米国を除く先進国と全く同じように回復した。

 株価のバリュエーションも同じだ。米国と比較すると割安に見えるが、米国を除く先進国と比較すると、予想株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)のどちらで見ても特に割安ではない。

 多くの悪材料が既に織り込み済みで、新興国市場はもはや人気の投資先として絶頂期にあるわけではない。しかし、新興国市場が長期的にはアウトパフォームするという見方は健在で、今でも一般にはリスクの源泉というより成長の源泉として受け止められている。このセンチメントに変化が起きたときこそ、本物の逆張り投資家が殺到するときだろう。

関連記事
トルコリラ急落、波乱におびえる新興国市場
米トルコ関係悪化、カギ握る6つの火種
トルコ大統領、リラ急落巡りソーシャルメディアに怒りの矛先


 


 


トルコ大統領、リラ急落巡りソーシャルメディアに怒りの矛先
トルコの当局者はこのところのトルコリラ急落について、偽ニュースに批判の矛先を向けている。エルドアン大統領(写真)は「テロリスト」がソーシャルメディアで誤情報を広めている疑いがあるとして強く非難している

By David Gauthier-Villars
2018 年 8 月 14 日 07:48 JST 更新

 【インスタンブール】トルコの当局者はこのところのトルコリラ急落について、偽ニュースに批判の矛先を向けている。レジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、「テロリスト」がソーシャルメディアで誤情報を広めている疑いがあるとして強く非難している。

 リラは13日に一時10%急落。年初来では40%余り下落している。同国が借り入れコストの上昇に対応できなくなるとの懸念が高まっているうえ、長年の軍事同盟国である米国との対立も長引いている。

 6月の再選後に行政権を大幅に拡大したエルドアン氏は、大方の原因は米国にあり、米政権がトルコに対して経済戦争を仕掛けていると非難してきた。

 だが13日になって、怒りの矛先が別方面へと向けられた。

 エルドアン氏はアンカラの大統領公邸に集まったトルコ大使らを前に、「ソーシャルメディアに経済テロリストがいる」とし、「まさに背信のネットワークだ」と指摘した。

 さらに、当局が銀行の預金引き出し制限を準備しているとの悪意に満ちた投稿が、パニックを引き起こすためにソーシャルメディアで広められていると述べた。トルコ政府は資本規制を導入する計画はないとしている。

関連記事
米トルコ、関係悪化の背景 カギ握る6つの火種
トルコ危機、のど元過ぎれば買いの好機も
トランプ氏、トルコ経済に揺さぶり 関税引き上げを宣言
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/181.html#c3

[国際23] イラン最高指導者ハメネイ師「米との対話禁止」 ロウハニ政権の政策批判も(ニューズウィーク) 赤かぶ
1. 2018年8月14日 22:31:17 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1301]
イラン、米との対話拒否 トランプ流ツイートで
イランの最高指導者ハメネイ師はトランプ米政権との対話を断固として拒否している
イランの最高指導者ハメネイ師はトランプ米政権との対話を断固として拒否している PHOTO: IRANIAN SUPREME LEADER OFFICE HA/EPA/SHUTTERSTOCK
By Asa Fitch
2018 年 8 月 14 日 06:20 JST 更新

 ドナルド・トランプ米大統領はイランとの直接対話に応じる姿勢を示しているが、イラン最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師は13日、可能性を真っ向から否定した。ハメネイ師はトランプ氏の流儀さながらに、厳しい語調の大文字を並べたツイッター投稿で提案を却下した。


Khamenei.ir
@khamenei_ir
Recently, U.S. officials have been talking blatantly about us. Beside sanctions, they are talking about war and negotiations. In this regard, let me say a few words to the people: THERE WILL BE NO WAR, NOR WILL WE NEGOTIATE WITH THE U.S..

7:31 PM - Aug 13, 2018
1,952
1,032 people are talking about this
Twitter Ads info and privacy
 国家の決定で最終決断を下す権力を持ち、あらゆる政治対話を承認する立場にあるハメネイ師は、ツイッターの公式アカウントで「戦争にはならない、われわれは米国と交渉もしない」と言明。別のツイートで「現状では不可能だが、たとえ米国と交渉したとしても、現政権が相手となることは決してない」と付け加えた。

 ハメネイ師はこの日、ツイッターへの投稿前に演説でも同様の意志表明をしていた。トランプ氏が先月下旬に提案した無条件での対話について、イランの反応を巡る不透明感を晴らした格好だ。

 トランプ氏は5月、イラン核開発の抑制と引き換えに国際的な経済制裁を解除する核合意から離脱。イランの指導者層はこれに激怒し、両国の激しい舌戦に発展している。

関連記事
イランのハッカー、仮想通貨と「身代金」に照準
イランで金需要急増、米制裁再発動を前に
【社説】イラン通貨安とトランプ氏の貢献


 


2018年08月13日 / シリア
シリアを訪問するイランの高等経済代表団..両国間の戦略文書に署名する
シリアを訪問するイランの高等経済代表団..両国間の戦略文書に署名する
In: 2018年8月13日10:55 pIn:スライダー、国際政治ニュース、ニュースビュー
印刷 Eメール
道路やイランの源アミールアミニの計画と管理のための都市の確立のアシスタント大臣は、経済代表団の先頭にシリアの首都ダマスカスに到着し、シリアアフマドラニアの経済関係のディレクターと経済産業省における国際協力と貿易で迎えられました。

イランの経済代表団は3カ月前に道路大臣の訪問とイランの都市アッバス・アクフンディのダマスカスへの訪問中にイランとシリアの経済協力開発の分野で署名された覚書をフォローアップする。

経済代表団には、関係するシリア政府関係者との覚書の内容を確定するため、イラン各省の多数の経済関係者が含まれている。

代表団のメンバーは、両国間の経済協力分野における新しい変革の始まりを告げるために、シリア側との長期的な協定を結成する予定である。

イランの代表団は、産業協力、情報技術と経済制度を確立し、ネットワーク上の小さな研究など、多くの分野のシリア側との会談は、水を液化し、送電線や再構成処理のための新しい変電所を作る含まれていました。

代表団の訪問は、両国の間で締結された契約を結ぶために、両国の高官が出席して数日以内に開催される予定の合同経済委員会会議に備えて行われる。

シリア首相とイランの会議の第一副会長の存在下で開催される合同委員会の終了時に、それは契約述べた文書だけでなく、経済、文化の分野でのイランとシリアの間の戦略的な文書に署名されます。

ポスト0
Tweet
ポスト0

関連記事
シリア人が宝くじに費やしたわずか10億ポンド 
2018年8月13日12:32 PM 
"Hajj"の口実の下で..サウジアラビアに逃れるための "Nasra"のリーダー
2018年8月13日11時33分  
ロシアからシリアまでの巨大な貨物トラック
2018年8月13日11:30 p


 


 
内戦シリアで富を築いた男、アサド政権の命綱
欧米の制裁対象にならない実業家サメル・フォズ氏とは
シリア・ホムスにあるフォズ氏の製鉄所 PHOTOGRAPHS BY YOUSSEF BADAWI/EPA FOR THE WALL STREET JOURNAL
By Sune Engel Rasmussen and Nazih Osseiran
2018 年 8 月 14 日 11:12 JST

 【ホムス(シリア)】シリア第3の都市ホムスは戦闘によって廃虚と化した。残された大量の金属廃材は、ある製鉄所で溶かされ、住宅を再建するための鉄筋に生まれ変わっている。

 この製鉄所の所有者は、シリアを粉砕した内戦から富を築き上げた実業家サメル・フォズ氏(45)だ。

 戦闘が激化し、多くのビジネスマンが逃げ出す中、フォズ氏はシリアにとどまった。内戦に関わる多くの勢力を取引相手とし、「イスラム国(IS)」の支配地域やクルド人支配地域に小麦を供給した。製薬からセメントまでさまざまな事業を手掛け、政府とも近い関係を維持し、最近は政府との共同事業にも乗り出した。

 フォズ氏は、欧米の制裁を受けることなくシリアの戦時経済で財を成すという、類いまれな成功を手にした。その結果、アサド政権が事業契約を結ぶ際の最も重要なパイプ役となった。

シリアの実業家サメル・フォズ氏

 同氏は、アサド政権が対抗勢力から力ずくで奪った首都ダマスカスの土地に、超高層ビルを建設する計画を立てている。今年になって、ダマスカスの高級なフォーシーズンズホテルの過半数株式を取得した。政府も出資する同ホテルには、人道援助の提供や外交拠点の維持のため外国の当局者らが宿泊している。

 フォズ氏は、こうした過程でトルコ当局と対立してきた。また、アサド政権とつながりがあるにも関わらず欧米諸国の制裁の対象になっていないことについて、周辺地域の一部外交官らは疑問を抱いている。

 フォズ氏は次の目標として、内戦が政治的に解決されなくても、ホムスにある製鉄所の溶鉱炉をシリア再建の土台にしたいと考えている。バッシャール・アサド大統領が権力の座にある限りシリアとの関わりを避けている外国の投資家や篤志家からも、支援を得ようとしている。

 米国企業はシリアへの新規投資を禁じられている。一方で欧州企業は、政府や軍の関係者やアサド大統領の親族、制裁対象者以外のシリアの個人との取引は認められている。フォズ氏の事業統括会社であるアマングループは昨年、ダマスカスで国際貿易フェアのスポンサーを務めた。

 めったにインタビューに応じないフォズ氏だが、ある日の深夜、隣国レバノンの首都ベイルートのレストランで取材に応じた。ボディーガードが周囲を警戒する中、お茶を飲みながら、単に自ら利益を得るためでなく国家の利益のために行動していると語った。砂糖の生産から自動車の組み立て、不動産に至るさまざまな事業について、何千もの雇用を生み出し、難民をシリアへ呼び戻すことが目的だと話した。

シリアのGDP成長率
(前年比)
Source: World Bank
%
2010
’11
’12
’13
’14
’15
’16
-35
-30
-25
-20
-15
-10
-5
0
5
2013x-31.5%
 「人は十分な金を稼いだら、国のために何ができるのかを考え始めるものだ」。側近から手渡された携帯電話のテキストメッセージに目をやりながら、そう述べた。「私が国の再建を考えないなら、一体だれが考えるのか」

 フォズ氏の純資産を推定することは不可能で、本人も明らかにしようとしない。だがシリアの人たちは国内有数の大富豪だと言う。鉄鋼・ホテル・住宅のほか、医薬品や砂糖精製、自動車組み立て、ミネラルウオーター、金鉱などの事業に権益を持っている。

 フォズ氏は海外留学から帰国した後、父親が始めた家業を継ぎ、この企業帝国を築いた。製鉄所ではシリア人1000人以上、インド人約100人に加え、少数のロシア人専門家を雇用している。

 ベイルートに拠点を置くビジネスサイト「シリアリポート」の編集者で、フォズ氏の経歴に注目してきたジハード・ヤジギ氏によれば、フォズ氏の企業帝国はアサド政権に資金面の命綱を提供している。

 「西側の政府や企業がフォズ氏と取引を始めれば、政権の正常化に向けて踏み出したことになる」と、ヤジギ氏は語る。

 フォズ氏は、シリアで事業を行うには役人とある程度は協力する必要があるとしながらも、自分は国内の他の実業家以上にアサド氏に近いわけではないと言う。政府はフォズ氏についての質問に回答しなかった。

 フォズ氏は1973年、地中海沿岸の都市ラタキアで薬局経営者の息子として生まれた。シリアを支配するアサド家が経済を刺激する政策を導入し、都市部でビジネスエリート層が生まれた時代に育った。1990年代初めにパリのアメリカン大学に留学。米国のボストンとサンディエゴの大学でも学んだことがあるという。

政権軍の空爆で破壊されたホムス市内の地区
政権軍の空爆で破壊されたホムス市内の地区 PHOTO: YOUSSEF BADAWI/EPA FOR THE WALL STREET JOURNAL
 シリアに戻ると、家業を広げ、農機具やセメントの輸入を手掛けた。しかし人脈がないことから事業はあまり成長しなかった。

 それを一変させたのは、2011年に始まったシリアの内戦だ。戦闘が企業を追い出して経済に混乱をもたらし、アサド政権やさまざまな反体制組織に気に入られた機敏な企業家にとって有利な時代となった。

 多くの実業界のリーダーが国外に逃げたため、フォズ氏はシリア紛争を利用してさまざまな陣営と取引する機会を得た。「私は4年間、競争相手が全くいないなかで働いた」

 欧米諸国はシリアにとどまっていた一部の実業家に制裁を科し、企業や個人が取引するのを禁止し、彼らの海外資産を凍結した。

 西側外交官によれば、フォズ氏が注目を集めるにつれて、ベイルートにある幾つかの欧州諸国の大使館は大使の会合で、アサド政権との緊密さを理由にフォズ氏を制裁対象に加えるべきだと提案した。ただEU加盟国のなかで、制裁手続きの最初のステップとして同氏の名前を正式に示した国はなかった。

ニュースレター購読

 フォズ氏は、自分が制裁を免れたのは当然のことだと述べた。アサド政権軍とは無関係な産業部門に投資しており、食料品を配布したのは人道支援だという。「私が制裁されるなら、国連も制裁されるべきだ」と語った。

 シリア紛争による経済的破壊は実業家にとって過酷な状況を作り出した。世界銀行の推定で2016年までに総額2260億ドル(約25兆円)相当に達した。そうした中でもフォズ氏は国内にとどまり、アサド政権とのパイプを築いた。

 フォズ氏は最近、欧州につながりのある企業と最初の契約を結んだ。部下によれば2億5000万ドル相当の契約だ。相手はチュニジアに本拠を置くバイオマス・インダストリーズ・アソシエーツ社。同社がドイツの砂糖生産会社BMAグループから機械類を購入し、それをフォズ氏が所有するシリアの砂糖生産会社に出荷する。

ホムス県に建設中の砂糖工場
ホムス県に建設中の砂糖工場 PHOTO: YOUSSEF BADAWI/EPA FOR THE WALL STREET JOURNAL
 バイオマスはコメント要請に応じなかった。BMAグループは、バイオマスに機械類を供給する契約を結んでいることと、この機械類がシリアに出荷されると認識していることを認めた。フォズ氏はこのような取引を通じて、シリア再建を制約している国際制裁措置に抵触することなく外国投資をシリアに持ち込みたいと考えている。

 ホムスは反政府勢力の拠点になったが、3年間にわたる政権軍の空爆作戦によって破壊され、屈服させられた。焼け焦げた住宅の残がいのわきに貼ってあるポスターでは、アサド氏が手を振って「われわれは共に再建する」と宣言している。

 フォズ氏の製鉄所は、昨年買収した時には操業していなかったが、現在では溶鉱炉5基のうち3基が稼働中だ。 

 「再建とは人々を呼び戻し、彼らに職を与えることだ。それは物事を開始することだ」とフォズ氏は語った。

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/666.html#c1

[国際23] 米FBI、トランプ批判発言の捜査官を解雇(ニューズウィーク)  赤かぶ
1. 2018年8月14日 22:33:39 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1302]

モラー特別検察官の任命、支持する連邦判事4人目
2016年の大統領選へのロシア介入疑惑を捜査するロバート・モラー特別検察官
2016年の大統領選へのロシア介入疑惑を捜査するロバート・モラー特別検察官 PHOTO: JOSHUA ROBERTS/REUTERS
By Byron Tau
2018 年 8 月 14 日 10:28 JST

 【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領が任命した連邦判事は13日、ロバート・モラー氏が特別検察官に任命されたことは合憲だとの判断を示した。2016年の大統領選へのロシア介入疑惑に関するモラー氏の捜査に対する法的な異議申し立てはさらに劣勢となった。

 米連邦判事のダブニー・フリードリック氏は41ページの意見書で、モラー氏にはロシア企業を起訴する権限があると支持を表明した。検察側は、この企業は民主党組織のコンピューターに不正に侵入し文書を公開する行為で共謀したと主張している。

 フリードリック氏は昨年、首都ワシントンの連邦裁判所判事としてトランプ氏に指名され、上院で11月、超党派の圧倒的な支持を受け承認された。

 ロッド・ローゼンスタイン司法副長官が17年5月にモラー氏を特別検察官に任命したことへの異議申し立てを退けた連邦判事は、フリードリック氏で4人目となった。

関連記事
トランプ氏弁護団、特別検察官への反証は万全=ジュリアーニ氏
トランプ氏の聴取、弁護団がモラー氏に対案を提示
米特別検察官、ロシア情報当局者12人を起訴


 

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/667.html#c1

[国際23] 白人至上主義の波が政界にも、ホワイトハウス前も緊迫〜ニーラン氏が一定の支持を得る背景には…白人の人口比率が下がっているこ 仁王像
3. 2018年8月14日 22:35:07 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1303]

合法移民も密かに制限、変容する米国
H1Bビザ改革の大統領令に署名するトランプ氏(中央)

By Gerald F. Seib
2018 年 8 月 14 日 10:29 JST 更新

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJのチーフコメンテーター

***

 カナダのある金融会社はこのほど、米国にオフィスを開設し、増員プロセスの一環としてアナリストを雇った。採用した人物は、物理の博士号を持つ数学の達人で、これまでボストンにある他の金融会社に勤めていた。

 その男性は中国国籍だったため、その会社は新規雇用主として、男性が保有している「H1Bビザ(高度な専門技能を持つ外国人向け査証)」の切り替えを申請した。これは従来、形式的な手続きだった。

 だが移民を巡る現在の状況下で、こうした手続きは、もはや形式的なものではなくなっている。米当局は男性の新規ビザ申請を却下。その数学の達人は滞在資格を失い、中国へと帰国を余儀なくされた。男性は今、米国ではなく、雇用先の金融会社の本拠地であるカナダで勤務している。

 この案件を担当したフィラデルフィアの移民弁護士、ウィリアム・ストック氏は、ビザの切り替えの承認について、これまでは「疑問の余地はなかった」と話す。だがこうした例は、活発化する移民政策議論において、経済的に重要だが、ほとんど理解されていない側面を浮き彫りにする。国民の間で盛り上がっている議論は目下、トランプ政権の不法移民制限に集中しているが、政権はひそかに、合法移民を減らす措置も多数講じているのだ。

 こうした措置の一部は、国民への告知がほとんどないまま、新たな政策を通じて実施されている。弁護士や移民擁護派によると、中には、現行規制を厳格に解釈することで変更されたものもあるという。

 米移民弁護士協会 はこの春、トランプ政権の政策変更がいかに合法移民を制限しているかをまとめた26ページにわたる資料を公表した。同協会は現在、その後に講じられた政策を反映するための更新作業を進めている。

 同協会の政府担当副責任者、ダイアン・リシュ氏は「トランプ政権は、高技能者が米国で働くことを徐々に難しくしている」と話す。

 トランプ政権の移民政策の厳格化は、H1Bビザ発行に大きな萎縮効果をもたらしている。H1Bビザは、企業が高学歴の外国人労働者を雇用するために活用していた主要手段だ。これにより、企業側は米国内では確保できない人材を手当てするとしていた。前出の弁護士、ストック氏は、H1Bビザが却下されても、「必ずしも米国人がその職を埋め合わせることにはならない」と語る。「時には、米国人が代わりに雇用されることもあるが、一方で、プロジェクト自体が棚上げ、またはインドに移管されることもある」という。ストック氏は多数の大手企業を顧客に抱える。

  超党派のシンクタンク、米国政策国家財団(NFAP)がまとめたデータは、足元のこうしたすう勢を如実に物語っている。H1Bビザ却下件数は2017年度第4四半期(7-9月)に前期比41%急増した。より顕著なのが、移民当局がビザ申請で追加の証拠提出を要求するケースで、第3、第4四半期にかけて、3倍以上の水準に増えた。追加の証拠提出は、申請が却下される兆候を示す措置とも言える。

 NFAPのエグゼクティブディレクター、スチュアート・アンダーソン氏は、状況証拠を踏まえると、現行年度に入ってもビザの却下件数の増加傾向は継続しているもようだと語る。

 だが影響はH1Bビザだけにとどまらない。難民受け入れのための人道プログラムも縮小されている。2016年の難民受け入れ枠は最大11万件に設定された。ドナルド・トランプ大統領はこの上限を4万5000件まで引き下げており、今年に入り、実際に難民として入国が認められた件数は、さらに著しく少ないことをデータは示している。

 トランプ政権はまた、災害や危機により、本国に戻れば生命が脅かされる恐れのある外国人の米国滞在を認める「一時保護資格(TPS)」制度も大幅に縮小している。政権はこれまで、エルサルバドル、ハイチ、ニカラグア、スーダン、ホンジュラスからの移民に対する一時保護資格を打ち切った。30万人以上に影響が及ぶ見通しで、その多くは何年も米国に滞在していた人々だ。

ニュースレター購読

 政権はさらに、移民の家族が社会福祉給付金の給付を受けているか、申請者が今後、給付金の給付を受ける公算が大きいと当局が判断した場合に、移民の合法資格を付与しない措置を検討している。

 ここにてきて、合法移民の問題はにわかに注目を集めている。トランプ政権下で廃止される可能性の高い移民家族呼び寄せ制度を通じて、メラニア大統領夫人の両親が市民権を取得したことがきっかけだ。だが多くのケースは、ここまで関心を呼ぶことはない。

 移民弁護士のニコール・サイモン氏は、知らずにH1Bビザを失った顧客もいると語る。米国で教育を受けたそのコンピューターエンジニアの男性は、本国バングラデシュで挙式し、米国に戻った後、移民当局の誤った指示により滞在資格を失った。

 男性と妻の間には子供が生まれたばかりで、赤子は早産のため集中治療が必要な状況にあったが、男性はビザの更新が却下された後、職を失った。数カ月に及ぶ苦労の末、男性はこの夏、ようやく滞在資格を得たという。サイモン氏はこの男性の例は、「すべてが移民抑制へと向かっている実態」を反映していると語る。

関連記事
不法移民の親450人超が国外退去か=トランプ政権
MBA留学生の採用、尻込みする米企業
トランプ政権がH-1Bビザ厳格化、その手法は
米の移民政策、IT人材獲得の好機とみるカナダ

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/665.html#c3

[戦争b22] 米、第3次世界大戦に向けて新ウイルスをバルト諸国で実験か? オピニオン(Sputnik) 赤かぶ
2. 2018年8月14日 22:38:02 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1304]
トランプ氏、国防権限法案に署名 国防予算80兆円
トランプ米大統領(写真)は13日、2019会計年度の国防予算の枠組みを決める「ジョン・マケイン国防権限法(NDAA)案」に署名した

By Vivian Salama
2018 年 8 月 14 日 10:16 JST

 【フォートドラム(米ニューヨーク州)】ドナルド・トランプ米大統領は13日、当地のフォートドラム陸軍基地で、2019会計年度の国防予算の枠組みを決める「ジョン・マケイン国防権限法(NDAA)案」に署名した。

 NDAAは、中国政府の一連の政策に対抗する措置や、米軍兵士の支援策が盛り込まれており、共和・民主両党の幅広い支持を得た。

 トランプ氏は攻撃ヘリコプター「アパッチ」や迫撃砲を背に、「米国は再び尊敬を集めている。この新たな権限により現役兵士を数千人増やし、米軍の規模を拡大して増強する」と数百人の群衆に語った。

 一部の議員はNDAAについて、これまでになく厳しい対中姿勢を反映していると指摘する。下院は7月下旬にNDAA案を可決。上院は8月1日に賛成87、反対10で承認した。

 NDAAの成立で、19会計年度の国防予算は総額7160億ドル(約80兆円)となった。中国への対抗措置は、中国による南シナ海での軍事活動拡大、米国の最先端技術を獲得しようとする行為、中国共産党の宣伝活動などに狙いを定めたものだ。

 トランプ氏は、法案に名前がついたジョン・マケイン上院議員(共和、アリゾナ州)にはあえて言及しなかった。マケイン氏はかつて、医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案を巡りトランプ氏と衝突したことがある。

 ベトナム戦争の元捕虜で、上院軍事委員会の委員長を務めるマケイン氏は声明で、議会がNDAA案に同氏の名前をつけたことに「恐縮」していると述べた。

関連記事
米国防権限法、中国への厳しい姿勢を反映
ZTE、米サプライヤーとの取引再開が目前 商務省と合意
「宇宙軍」創設指示の舞台裏 トランプ流の力業
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/278.html#c2

[国際23] 「トランプが大豆産業を壊滅させた」──悲鳴を上げるアメリカの大豆農家(ニューズウィーク) 赤かぶ
7. 2018年8月14日 22:41:26 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1305]

輸入関税で貿易収支の改善見込めず=NY連銀
関税引き上げで「輸入だけでなく輸出も減少」
中国はWTO加盟以降、輸入品への関税を引き下げたことで生産コストが低下した。米国の関税引き上げはその逆の結果を招く可能性も

By Nick Timiraos
2018 年 8 月 14 日 09:32 JST 更新

 米ニューヨーク連銀のエコノミストは13日、輸入品に対する関税を引き上げても、米国の貿易赤字を圧縮できる可能性は低いとする分析を公表した。米国内で生産する業者の輸出コストが増大する公算が大きいためだという。

 ニューヨーク連銀のエコノミストであるメアリー・アミティ氏らは同連銀のブログで、関税引き上げにより「輸入だけでなく輸出も減少する見通しで、貿易収支の改善にはほとんど、あるいは全くつながらないだろう」と指摘している。

 アミティ氏らは、中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以降、中国による輸入品への関税引き下げが、いかに中国の生産コストを引き下げ、国内の生産性向上に寄与したかを分析。中国企業は生産コストの低下にともない、輸出品の価格を引き下げて、米市場でのシェア拡大が可能になったとしている。とりわけ、中国の対米輸出は、輸入関税が最も大きく引き下げられた産業で拡大したとした。

 その上で、その逆の作用も働く可能性があると指摘。米国の大手輸出業者は中間財の輸入に大きく依存しているため、中国からの輸入品に対する関税を引き上げれば、輸入品が減少するだけでなく、米国の輸出も押し下げる恐れがあるとした。

関連記事
トランプ氏の貿易交渉、国別に見ると
米通商政策、小国にも厳しく 特恵関税見直し
トランプ氏、カナダ車に関税警告 メキシコとの交渉「順調」
【社説】トランプ関税が海外に押し戻す雇用
これは「貿易戦争」か? エコノミストの賛否二分


 

 
WSJ寄稿】米中貿易戦争、双方が勝つ道
中国の改革派を支持することは欧米の利益にかなう
米中貿易戦争、双方が勝つ道
By Weijian Shan
2018 年 8 月 14 日 15:35 JST

――筆者のウェイジャン・シャン氏は香港のプライベートエクイティ投資会社PAGの会長兼最高経営責任者(CEO)

 ***

 米国と中国の貿易戦争はエスカレートしており、どちらの側にも後退の兆しは見えない。米国は中国からの輸入品500億ドル相当に25%の関税を課し、さらに2000億ドルを対象にする可能性がある。中国側では米国からの輸入品を罰する余地がなくなりつつある(米国の中国からの輸入額は、その逆の4倍だ)。そのため、米中貿易戦争がサービスなどの部門や米企業の多大な中国本土投資に飛び火しかねない。サービス部門では中国側の支出が米国側の4倍に上る。

 ただ中国の指導部はこの紛争への対処で意見が分かれている。市場志向の改革派は、自らの政策により中国と貿易相手国との関係が恒久的に改善すると考えている。だが強硬派は共産党思想の根源を重んじている上、自らの既得権を守りたいため、経済自由化に抵抗している。彼らはドナルド・トランプ米大統領による貿易攻撃で、中国には大きな政府と強い国有企業が必要なことを示す証拠が増えたとみている。

 中国の改革派を支持することは西側の利益にかなう。しかし、これまでのところ貿易紛争は守旧派の手中にある。中国政府は戦う姿勢を示してきた。米国の圧力に屈したとみられることは政治的に許されないためだ。

 米国も引き下がりそうにない。株式市場はこれまで減税と持続的な景気拡大を受けて上昇し、貿易問題を受け流してきたが、この状態は永遠には続かないだろう。中国に対抗するために少なくとも何らかの手段――貿易戦争ではないにせよ――が必要であるとの見方は党を超えて支持されているようだ。米国人は台頭する中国が戦略上の敵だとの見方を強めている。

 その意味で中国の経済発展は、米国に代表される市場自由主義の存亡にかかわる課題として示されることが多い。キッシンジャー・アソシエーツのジョシュア・クーパー・ラモ共同最高経営責任者(CEO)は10年以上前に「北京コンセンサス」を打ち出した。この概念では、政府主導の経済モデルは西側の自由市場モデルである「ワシントンコンセンサス」に代わり得る存在とみられている。変革に抵抗する中国の指導部はこの枠組みを輸入し、活用してきた。

 しかし、それは理にかなわない。「北京コンセンサス」がなぜ魅力的かは簡単に分かる。中国経済が目覚ましい成長を遂げてきたからだ。40年前、その規模は米経済の6%ほどだった。今ではドルベースで米国に次ぐ世界2位、購買力平価ベースでは世界最大となっている。

 だがこの成長は中央集権制や政府の施策の結果とは程遠い。それどころか中国の成功はほぼすべてが市場改革によるものだ。40年前、工業・農業生産はほとんど全て国有企業などの「共同体的」な機関によるものだった。現在では政府系機関が中国経済に占める割合は30%を割り込んでいる。旧ソ連でそうだったように、見える手が指揮する経済は悲惨であることが判明し、中国政府は1978年に本格的な改革に乗り出した。その後の中国経済の成功は市場の見えざる手の力を証明した。もし「北京コンセンサス」があったとしたら、それは中央管理制度を捨てて市場に委ねるというコンセンサスだろう。

 現在の中国はほぼ市場経済国だが、米国と欧州連合(EU)が反対し続けているため世界貿易機関(WTO)にはそう認識されていない。中国政府とその国有部門は依然あまりに大きく、それが形成する不透明な保護主義の防波堤は貿易相手国に嫌われている。

 中国国務院は自らのウェブサイトで、「国有企業は中国にとって戦略的に重要とみなされている複数の部門で支配的位置にある」「だが民間企業が追い上げを図る一方で、国有企業はその地位を乱用し、優先的政策の恩恵を受けていると非難されている」との認識を示している。

 貿易相手国に取り入り、また自国の経済成長を維持するため、中国は自由市場にさらに近づくための抜本的改革を必要としている。習近平国家主席は5年前、市場の力が資源配分で「決定的」役割を果たすことが、中国の経済改革の中核をなす原則になると述べた。

 この点で、中国改革派の政策は米国の政策と大差ない。米政府は戦略的な対話を進め、中国が一段と市場に優しい構造改革に合意する方向に持っていくべきだ。そうした改革には、外国のモノ・サービス・投資に対する一層の市場開放、知的財産権保護の枠組み改善、全ての競争的産業における国有企業の民営化、資源配分の決定的な役割を政府ではなく市場に委ねること――がある。トランプ氏がEUと議論してきた相互無関税の原則を、米国の対中貿易関係の枠組みにすべきだ。

 トランプ氏と習氏がそうした合意を形成できれば、米中両国はいずれも貿易戦争の勝者となるだろう。

関連記事
米中貿易戦争、解決のキーマンは王副主席か
【社説】中国、貿易戦争で容易には屈せず
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/657.html#c7

[経世済民128] 東日本銀行、不正のオンパレード…客から根拠ない手数料徴収、過剰融資先に定期預金強制(Business Journal) 赤かぶ
3. 2018年8月14日 22:47:50 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1306]

#不正は増えるだろう

 

北関東地銀4〜6月期、めぶきは最終増益 収益厳しく
金融機関 北関東・信越
2018/8/8 22:30
 北関東の5地銀・グループの2018年4〜6月期連結決算が8日出そろった。最終増益を確保したのはめぶきフィナンシャルグループ(FG)のみで、他の4行は軒並み最終減益となった。貸出金利回りは緩やかに低下を続け、収益環境はなお厳しい。加えて、余資運用では米長期金利の上昇に伴い、各行で米国債の損切りを進める動きが目立った。

 連結純利益はめぶきFGが前年同期比12%増の134億円と2桁増益を確保したが、群馬銀や東和銀など4行は大幅な最終減益となった。めぶきFGも本業のもうけを示す実質業務純益は20%減の145億円にとどまった。傘下の常陽銀行が上場投資信託(ETF)の売却益を計上し、最終増益となった。

 米長期金利の上昇を受け、各行は有価証券のポートフォリオの見直しを進めている。めぶきFGは米国債を売却して含み損を解消する一方、欧州債や事業債を購入した。4〜6月期に売却損を計上した群馬銀は「第2四半期以降の金利動向を見て、買い戻しも検討する」という。

 筑波銀も米国債を中心に外債の損切りを進めたが「評価損の拡大を補いきれなかった」。米国債や投資信託などその他有価証券の含み益(6月末時点)は6億円と前年比で74%減った。低金利が続くなか、有価証券運用も難しさを増している。


類似している記事(自動検索)
「米債持ちすぎ、判断裏目に」 利上げ“予行演習”教訓に (2018/8/3付) [有料会員限定]
頭痛の種は「不良債券」 3メガ銀、外債含み損拡大 (2018/8/2付) [有料会員限定]
北関東地銀、持ち合い株の売却進む (2018/7/18付) [有料会員限定]
北関東地銀の19年3月期見通し、めぶき・群馬銀は純利益増 (2018/5/15付)
北関東地銀6行、4〜12月実質業務純益9%減 (2018/2/9付)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33967400Y8A800C1L60000/?n_cid=SPTMG002

地銀「不良債券処理」へ 金融庁の新規制 契機に 純利益増益も、債券売買赤字8倍 4―6月期決算
金融最前線 金融機関
2018/8/14 21:43日本経済新聞 電子版

 地方銀行が保有する外国債の処理に重い腰を上げた。米国などで金利が上昇し価値が目減りした上に、外貨の調達コストが上がり、持っていても損失を生む“逆ざや”が出始めたからだ。上場地銀80行・グループは損失覚悟で売却した結果、2018年4〜6月期の債券売買の赤字額が前年同期比8倍に急増した。金融庁も今期決算から新規制を導入し、「不良債券処理」を促し始めた。

 常陽銀行と足利銀行を傘下に置くめぶきフィナンシャルグループ(FG)は65億円、山陰合同銀行は37億円――。4〜6月期決算で「国債等関係損益」の項目に計上した損失額が大きい地銀の上位には、体力に余裕のある有力行が並ぶ。

 めぶきは米金利の上昇(債券価格は下落)やドル調達コストの上昇で投資効率が悪化した米国債を損失覚悟で売却。資金の一部を欧州の国債などに振り向けた。

 地銀の「不良債券処理」に注目が集まったのは、16年4〜12月期に米国債などで250億円の売却損を計上した静岡銀行だ。その後、池田泉州ホールディングスも17年4〜6月期に131億円の損失を計上。今期に入り、小出しながら他行も処理を始めた構図だ。

 14日までに出そろった上場地銀の18年4〜6月期の連結純利益の合計は3664億円で前年同期比20%増えた。一見すると好決算に映るが、中身を分解すると全く好調ではない。

 経営統合した三重県地盤の三十三FGや近畿地方の関西みらいFGが計上した負ののれん代。こうした特殊要因を除くと、一転して前年同期比13%の減益だった。本業融資から稼ぐ資金収益の減少が主因だが、ここにきて、重くのしかかるのは「国債等債券損益」だ。

 4〜6月期の同損益は250億円の赤字で、前年同期比8倍に急増した。通期決算でも18年3月期まで2期連続赤字。しかも赤字額は1213億円と、米リーマン危機の09年3月期(6768億円)以来の規模にのぼった。

 このタイミングで債券売買損失を出したのは、早い段階で損切りをしたため。金融庁が問題視するのは、目先の利益を求めて過度にリスクを抱えたり、明確な相場見通しを持たずに将来の損失拡大につながる含み損の拡大を放置したりしているような事例だ。

 日本国債の金利が上昇した場合のリスク量。金融庁の調査で判明したのは、地銀がメガバンクなど主要行の3倍以上に上る深刻な実態だった。国内外ともに18年3月末時点から金利が0.5%上昇すると4分の1超、1%の上昇で半分以上の地銀で年間の本業利益(コア業務純益)を上回る含み損が発生すると試算した。

 日銀によると、地銀(64行)の有価証券の保有残高は18年5月時点で66兆円超。このうち日本国債は31%の約20兆5千億円、米国債など外国証券も13%強の9兆円弱に上る。マイナス金利政策が始まった16年2月と比べ、日本国債は3割、外国証券は2割減らしている。

 地銀が赤字覚悟でも債券の売却を急いでいる理由の一つは、金利の先行き不透明感だ。マイナス金利の付いた日本国債から逃避した米国債は長期金利が16年半ばの1.5%から足元3%近くまで約2倍に上昇し、多額の含み損が発生した。将来、さらに金利が上昇(価格が下落)すれば、損失は広がりかねない。

 債券は満期まで保有すれば元本が償還される。ただし外債は投資に伴って外貨を調達する必要があり、「この調達コストを加味すると逆ざやになっているケースも少なくない」(金融庁幹部)。体力があるうちにこまめに損切りして、少しでも投資効率の高い投資に振り向けたいという心理が働いている。

 もう一つは金融庁が導入した新規制だ。金利変動時のリスクを厳しく測定するもので、2019年3月期から対象を全銀行に広げた。金利変動時に想定される損失が自己資本の20%を超えた地銀に対して金融庁がテストを実施し、事実上の売却を促す内容だからだ。この規制の導入を見越して売却に動いている地銀もあるとみられる。

 「9月中間期は要注目だ」。ある銀行関係者は警戒する。日銀が7月末に決めた長期金利の上昇を一定程度容認する政策修正。日本国債の保有額は外国債券の2倍以上の20兆円を超えており、「インパクトは外債の比ではない」(地銀関係者)。

 外債と日本国債のダブルで不良化リスクが高まるなか、JPモルガン証券は20年度に地銀の1割にあたる約10行が経常赤字に陥ると試算。金利上昇で運用の損失リスクが高まれば「赤字予備軍は40行程度まで増える」(西原里江シニアアナリスト)という。

 すでに地銀収益は国債など有価証券の運用で4割を稼ぐ体質だ。本業を補うはずの債券運用で忍び寄る「不良債券」問題は内憂外患の構図に陥りつつある。(亀井勝司)



前後の記事を読む 一覧
金融庁20年 三国谷勝範・元金融庁長官 「銀商」...[有料会員限定]

宙に浮く4兆円 国債大量償還 運用難一段と[有料会員限定]
金融最前線


北関東地銀4〜6月期、めぶきは最終増益 収益厳しく (2018/8/8 22:30)
頭痛の種は「不良債券」 3メガ銀、外債含み損拡大 (2018/8/2 20:30) [有料会員限定]
債券運用、約7割の地銀で損失計上 (2018/6/4 20:00) [有料会員限定]
地銀、膨らむ外債損失 「素人運用」で揺らぐ経営 (2018/4/25 1:31) [有料会員限定]
地銀の17年4〜12月、収益力落ち込む 外債損失処理も (2018/2/15 22:00) [有料会員限定]

 

 

宙に浮く4兆円 国債大量償還 運用難一段と
金融最前線 金融機関
2018/8/14 21:45日本経済新聞 電子版

 日銀の異次元緩和から5年が経過し、比較的高い利回りの国債が大量償還期を迎える。2019年3月期に償還を迎えるマネーは約4兆円。どこに再投資すべきか答えは見つかっていない。

 「投資先を探すのに一苦労ですよ……」。中部地方を拠点とする有力地銀の運用担当者は打ち明ける。今年、償還を迎える日本国債は約500億円。持っていた高利回りの“お宝債券”が消え、次の投資先を探すが、期待利回りを維持できるだけの運用商品は見当たらない。

 野村証券が地銀105行を対象に分析したところ、19年3月期に償還する国債は約4兆3千億円。日銀の異次元緩和が始まる前の13年3月期より3割ほど増える見通し。仮に償還マネーを再投資に回さない場合、利息収入は10年以内に2千億円ほど減る計算だ。「利息の減り方が急な地銀ほど利益の悪化が進みやすい」(小清水直和シニア金利ストラテジスト)

 高い運用益を確保しようと流動性の低い外債やクレジット商品で過度にリスクを取れば「不良債券」を抱える結果になる。金利上昇に釣られて、株安も誘発すると保有株の含み益まで消失する恐れがある。地銀の運用助言を手がける和キャピタルの小栗直登社長は「機動的に売買する運用体制を構築すべきだ」と指摘する。

 大手を中心に含み益に頼った経営が地銀の特徴の一つだった。しかし、JPモルガン証券によると2年間で国内外の債券含み益は3分の1に減り、18年3月期は8500億円まで減った。有価証券の運用難が地銀経営を揺さぶる時代に入ってきた。   (南毅郎)

前後の記事を読む 一覧
金融庁20年 三国谷勝範・元金融庁長官 「銀商」...[有料会員限定]
地銀「不良債券処理」へ 金融庁の新規制 契機に[有料会員限定]


日銀の資金供給増加にブレーキ 緩和開始以来の低水準 (2018/7/15付) [有料会員限定]
消える「1.5%の10年債」 26兆円償還、再投資難しく (2018/6/27付) [有料会員限定]
いちよし証券、地銀向け私募投信残高が513億円に (2018/6/15付) [有料会員限定]
消えた利息、融資5兆円分(「ナゴヤ金融」の今) (2018/5/16付) [有料会員限定]
社債、苦肉の「不祥事」買い 安値拾い、リスクは覚悟 (2017/12/8付) [有料会員限定]


 



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/180.html#c3

[国際23] ロシアが4月に続いて5月もアメリカの財務省証券を大量に売却、ドル離れを加速(櫻井ジャーナル 赤かぶ
3. 2018年8月15日 01:43:39 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1307]

ワールド2018年8月15日 / 01:06 / 31分前更新
ドルの基軸通貨としての役割は凋落=ロシア外相
1 分で読む

[アンカラ 14日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は14日、訪問先のトルコで、ドルの基軸通貨としての役割は薄れつつあり、ロシアはトルコを含む貿易相手国との決済にそれぞれの国の通貨を利用することを模索していると明らかにした。

ただトルコとの貿易決済にドル使用をやめるかについては明言しなかった。

ラブロフ外相はトルコ外相との共同記者会見で、ドルの基軸通貨としての役割は次第に薄れていくとの見解を示し、ロシアとトルコは数年前から相互の貿易の決済にそれぞれの国の通貨を利用することを検討してきたと述べた。

その上で、ロシアはイランともこうした決済を検討しており、中国とはすでに自国通貨での決済に向け取り組みを開始していることを明らかにした。

ロシア大統領府は前日、ロシアはすべての国との2国間貿易にそれぞれの国の通貨を利用するのが望ましいとの見解を示している。

 


 
東京外為市場ニュース2018年8月15日 / 01:26 / 10分前更新
UPDATE 1-ロシア外相、トルコとのドルを介さない取引提唱 支援は言及せず
1 分で読む

(情報を追加しました)

[アンカラ 14日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は14日、訪問先のトルコで、ドルの基軸通貨としての役割は薄れつつあり、ロシアはトルコを含む貿易相手国との決済にそれぞれの国の通貨を利用することを模索していると明らかにした。ただトルコとの貿易決済にドルの使用をやめるかについて、またトルコに支援を提供するかについては言及しなかった。

ラブロフ外相はトルコ外相との共同記者会見で、ドルの基軸通貨としての役割は次第に薄れていくとの見解を示し、ロシアとトルコは数年前から相互の貿易の決済にそれぞれの国の通貨を利用することを検討してきたと述べた。

その上で、ロシアはイランともこうした決済を検討しており、中国とはすでに自国通貨での決済に向け取り組みを開始していることを明らかにした。

ロシア大統領府は前日、ロシアはすべての国との2国間貿易にそれぞれの国の通貨を利用するのが望ましいとの見解を示している。

ロシアとトルコはともに米国から制裁措置を課されているが、ラブロフ外相は今回の訪問で、トルコとの貿易決済でのドル使用停止の可能性のほか、トルコに金融支援を行うかについても直接言及しなかった。

ブルーベイ・アセットマネジメントのシニアストラテジスト、ティモシー・アッシュ氏は「ロシアはトルコに親切な言葉を掛けるにとどめ、こうした状況を利用して米国、および西側諸国の安定を乱そうと画策している」とし、「ロシア自身も米国の制裁措置を巡る問題を抱えているため、現時点ではトルコに金融支援は行わない」との見方を示した。

 

ワールド2018年8月14日 / 23:31 / 31分前更新
トルコリラは上向く、ドルは信頼失った=財務相
1 分で読む

[アンカラ 14日 ロイター] - トルコのアルバイラク財務相は14日、トルコ政府は通貨リラ相場を保全するとし、相場は上向くとの見方を示した。同時に、ドルは政治手段として利用されているため信頼を失っているとの見解を示した。

財務相は与党・公正発展党(AKP)の議員に対し「われわれはリラを保全する。リラは今後、大きく上昇する」と述べた。

米国はトルコに対し制裁措置を導入したほか、関税率も引き上げた。アルバイラク財務相はこれについて、トルコは「世界金融システムの最大のプレーヤー」の直接的な標的になっているとし、問題を政治問題に転換すれば「代償を払う」ことになると警告。「ドルは信頼を失った」とし、「ドルが政治的な懲罰の手段として利用される中、われわれはリラの保全に向け強力な措置を取っていく」と述べた。

同財務相はまた、自由な市場の規律の範囲内で対策を実施し続けると同時に、企業の外為リスクの低減に向け対応する姿勢を表明。政府は市場の緊張緩和にあらゆる手段を尽くしているとし、トルコリラの取引について一段と強力な措置を取る姿勢を示したほか、トルコは財政規律を維持するとも述べた。

投資については、もたらす付加価値に応じて優先度を決めると表明。政府の政策枠組みの中で、効果的



 


 

 


 

 
 
 

ワールド2018年8月14日 / 23:31 / 1時間前更新
トルコ政府は通貨リラ保全へ、相場は上向く=アルバイラク財務相
1 分で読む

[アンカラ 14日 ロイター] - トルコのアルバイラク財務相は14日、トルコ政府は通貨リラ相場を保全するとし、相場は上向くとの見方を示した。

財務相はまた、自由な市場の規律の範囲内で対策を実施し続けると同時に、企業の外為リスクの低減に向け対応する姿勢を示した。

このほか、政府は市場の緊張緩和にあらゆる手段を尽くしているとも表明。トルコリラの取引について一段と強力な措置を取る姿勢を示したほか、トルコは財政規律を維持するとも述べた。

また投資については、もたらす付加価値に応じて優先度を決めるとも表明。政府の政策枠組みの中で、効果的な改革が最重要事項となるとの見解も示した。

 

 

アルゼンチンが5%緊急利上げ、45%に トルコ危機で
中南米
2018/8/14 4:12 (2018/8/14 10:00更新)

 【サンパウロ=外山尚之】アルゼンチン中央銀行は13日、政策金利を5%引き上げ、年45%にすると発表した。トルコリラの急落を受け金融市場が混乱する中、アルゼンチンの通貨ペソは対ドルで下落し、史上最安値を更新していた。新興国市場からの資金流出は足元で再び加速しており、各国当局は通貨防衛に追われている。

アルゼンチンの通貨ペソは年初来で4割近く価値が下落した

 中銀は緊急会合を招集し、利上げを決定。声明で「国外の情勢と物価上昇のリスクに対応するため」と説明した。

 米国の利上げ観測を背景に4月に始まった新興国からの資金流出で、国内総生産(GDP)比で5%近い経常赤字を抱えるアルゼンチンはトルコと並び、通貨が売られていた。

 6月に始まった国際通貨基金(IMF)からの支援や中銀総裁の交代もあり、通貨ペソは足元で1ドル=27ペソ台で安定していたが、トルコの通貨危機をきっかけにペソ売りが再燃。13日昼すぎ(日本時間14日未明)に一時、1ドル=30ペソと、対ドルで史上最安値を更新していた。利上げ発表後はペソが買い戻され、29ペソ台で取引を終えた。

 アルゼンチン中銀は7日に政策金利の据え置きを発表したばかりだった。外貨準備高は9日時点で575億ドル(約6兆3600億円)と、IMFの支援前より2割弱高い水準にある。IMFの融資枠に余裕がある中、サプライズ利上げで市場の沈静化に動いた。

 中銀は声明で「少なくとも10月まで、利率を下げないことを決めた」と言明し、ペソ売り圧力に対抗する姿勢を見せた。通貨安に追随する形で4月から5月にかけて3度にわたり実施した緊急利上げが奏功せず、IMFへの支援要請を余儀なくされた経緯があるため、先手を打った形だ。

 また、トルコのエルドアン大統領が利上げに否定的な見解を示したことがトルコ通貨の売りにつながったことを意識した可能性もある。

 通貨売りは中南米諸国にも波及している。ブラジルレアルの13日終値は1ドル=3.88レアルと、約1カ月ぶりの安値となった。メキシコやペルーでも通貨安が進んでおり、輸入物価の上昇が経済を冷やすリスクが浮上している。



https://www.jetro.go.jp/world/cs_america/ar/basic_03.html
2018年8月9日

2018年のGDPはマイナス成長の見通しに(アルゼンチン)


2018年8月2日

5月の産業活動指数はマイナス5.8%に急落(アルゼンチン)


2018年7月26日

自動車部品の一部の関税率を引き下げ(アルゼンチン)


2018年7月19日

6月のインフレ率は前月比3.7%、ここ2年で最高に(アルゼンチン)


2018年7月17日

中銀が政策金利を40%に据え置き(アルゼンチン)


2018年7月12日

エコノミストの経済見通しは悪化傾向(アルゼンチン)


2018年7月12日

ブラジルとの自動車協定、期間延長を提案(アルゼンチン、ブラジル)


2018年7月11日

上半期の自動車生産は前年同期比10%増も6月はマイナスに(アルゼンチン)


2018年7月2日

4月の産業活動指数が干ばつの影響で急降下(アルゼンチン)


2018年6月27日

IMF理事会がアルゼンチン向け融資を承認(アルゼンチン)


2018年6月27日

MSCIがアルゼンチンを「新興国」に格上げ(アルゼンチン)


2018年6月25日

第1四半期の実質GDP成長率は前年同期比3.6%(アルゼンチン)


2018年6月22日

PPPプロジェクト第1弾、高速道路は外国勢も多数を落札(アルゼンチン)


2018年6月21日

5月のインフレ率は前月比2.1%と高水準続く(アルゼンチン)


2018年6月15日

たばこの内国税額をインフレ率に連動(アルゼンチン)


2018年6月15日

国外のデジタルサービス利用に付加価値税を導入(アルゼンチン)


2018年6月11日

公共料金差し戻し法案にマクリ大統領が拒否権発動(アルゼンチン)


2018年6月11日

通貨急落後初のエコノミストの見通し発表(アルゼンチン)


2018年6月8日

IMFと500億ドルの融資枠組みで合意(アルゼンチン)


2018年5月31日

第1四半期の貿易は赤字が大幅に拡大(アルゼンチン)


2018年5月31日

大豆油の輸出税を10%に削減(アルゼンチン)


2018年5月30日

バイオディーゼルの輸出税を15%に追加増税(米国、アルゼンチン、EU)


2018年5月24日

アルゼンチン産牛肉、中国市場が全面解禁に(中国、アルゼンチン)


2018年5月21日

大統領、通貨急落の混乱終息を宣言(アルゼンチン)


2018年5月16日

進むアルゼンチンとチリの経済連携(アルゼンチン、チリ)


2018年5月15日

アルゼンチン政府がIMFへ融資を要請(アルゼンチン)


2018年5月8日

中銀が政策金利を40%へ引き上げ(アルゼンチン)


2018年5月1日

2017年の対内直接投資額は約119億ドル(アルゼンチン)


2018年4月25日

IMFが2018年実質GDP成長率予測を2.0%へ下方修正(アルゼンチン)


2018年4月23日

第1四半期のインフレ率は6.7%(アルゼンチン)
 


 

テクノロジー2018年8月15日 / 01:06 / 31分前更新
ビットコインが一時6000ドル割れ、イーサリアムも大幅安
1 分で読む

[14日 ロイター] - 14日の市場で仮想通貨ビットコインBTC=BTC=BTSPが下落。ルクセンブルクに本拠を置くビットスタンプでは一時5880ドルと6000ドルの大台を割り込んだ。その後は下げ渋り3.5%安の6035ドル。

仮想通貨イーサリアムETH=BTSPは大幅安。一時昨年9月以来の安値を付け、その後は11%安の252.81ドル。

 


 

東京外為市場ニュース2018年8月15日 / 00:51 / 1時間前更新
UPDATE 1-世界の投資家、米中ハイテク株を選好 新興国株はショート=BAML
2 分で読む

(内容を更新しました)

[ロンドン 14日 ロイター] - バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)のファンドマネジャーに対する月次調査によると、世界の投資家は依然、米国および中国のハイテク株に対し圧倒的に強気な一方、新興国株を売り持ちとしている。

8月調査によると、最も人気が高い取引は7カ月連続で「FAANG(フェイスブック、アマゾン・ドットコム、アップル、ネットフリックス、グーグル)とBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)のロング」だった。

フェイスブックやツイッターの株価が前月、軟調な決算を受けて下落したことで、米国や中国の株価上昇の主な要因だった大手ハイテク銘柄への懸念が浮上したものの、同部門は人気を保っている。

次いで人気の取引が新興国株の売り持ちという結果だった。

調査はトルコリラがドルに対して16%急落する直前の8月3─9日に実施された。

新興国株の投資判断はやや「アンダーウェート」だった。ただBAMLは、これまでの新興国危機の最悪期ではアンダーウェート指数がマイナス27まで低下したことに対し、今回はマイナス1であると指摘し、今後投資家が新興国株の配分をさらに減らす可能性があると述べた。

世界的なリスクとして投資家らは3カ月連続で、貿易戦争が最大の懸念事項とした。

また投資家らは、米連邦準備理事会(FRB)の政策を受け世界的に金融情勢が引き締まっていくことを見込んでいる。54%が国債をアンダーウェートとしている一方、20%が世界的な大手銀行をオーバーウェートとしている。銀行は金利上昇の恩恵を受けるため。

世界的に見て投資家は8月に現金の配分を4.7%から5%へ引き上げ、総じて慎重になっていたことを示す。一方、企業利益見通しは前向きで、5%が利益は改善すると回答した。

欧州のファンドマネジャーは比較的強気だった。現金の配分は5%から4.3%へ低下した。経済成長が加速すると回答した欧州の投資家は4月以来の多さだった。向こう12カ月で景気後退に陥るとの回答は過去で2番目に少なかった。

米企業の利益が好調な中、米国株のオーバーウェートは2015年1月以来の高水準となり、米国は5年ぶりに株式で最も人気の高い地域となった。

企業利益において米国が最も有利な地域だとした回答者は67%に上り、17年ぶりの高水準だった。

一方、英国株ファンドからは資金が流出した。配分の減少幅は月次ベースで16年5月以来の大きさだった。英国の欧州連合(EU)離脱を巡り合意なしの無秩序な離脱への不安が高まったためだ。

ユーロ圏株への配分は7カ月ぶりに増えた。

S&P総合500種のボラティリティーを示すVIX(恐怖指数)は8月9日に1月以来の低水準を付けた。ボラティリティーをロングにすることは逆張りの投資と言える。BAMLはまた、「BRICロング/FAANGショート」と「国債ロング」もまた逆張りの投資と位置付けた。

 


 

 
前向きに読み解く経済の裏側

「暴落した高金利通貨を損切りしない」のは「新たな投機」

2018/08/14

塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

 高金利通貨が暴落した時は、さらに暴落を続ける力と戻る力が綱引きをし、後者が勝つとは限らない、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は警告します。


(Milkos/Gettyimages)
 トルコの通貨が暴落しています。いわゆる高金利通貨なので、トルコの通貨を持っている投資家も多いと思いますし、「大きな損を抱えているから、いまさら売れないので、このまま持っていよう」「こんなに安くなったのなら、これから買おう」と考えている投資家もいると思います。

 筆者は、トルコについては何も知りませんが、一般論としての注意事項をお知らせするために、x国の通貨である高金利通貨xドルが暴落した場合に注意すべきことについて記すことにします。

現在の経済に相応しくないほど売られている可能性は大
 前回記したように、通貨が暴落すると、「売りたくない売り」の注文が大量に出てきますから、「正しいxドルの値段(x国経済の現状に相応しいxドルの相場。ファンダメンタルズを反映したレート、などとも呼ばれる)」よりも大幅に安くなっている可能性は大きいでしょう。

 たとえば借りた米ドル(またはユーロ、円などの先進国通貨。以下同様)でxドルを買っている海外投資家が借金の返済を迫られた場合には、「今の相場ならさらに借金をしてxドルを買いたいのに」と考えながらも借金返済のために泣く泣くxドルの売り注文を出す、という具合にです。

 しかし、仮にxドルが正しい値段より大幅に安くなっているとしても、読者がxドルへの投資を検討しているとすれば、それはハイリスク・ハイリターンのバクチだとしっかり認識した上でご判断ください。現在持っているxドルが損失を抱えている場合に、損切りをせずに相場の回復を待って持ち続けることも、同様のバクチであると、しっかり認識して下さい。

 筆者は賭け事を悪いとは思いませんが、自分がどれくらい儲かる(損を取り戻す)チャンスがあるのか、そのために自分がどれくらいのリスクを抱えているのか、という事をしっかり認識した上で判断する必要があるからです。

適正レートに戻る可能性も大
 適正レート以上に通貨が売り込まれた場合には、「後から考えると絶好の買いのチャンスだった」という場合も少なくありません。

 まず、米ドルをxドルに交換すると、経済実態からは考えられないほど巨額のxドルが手に入ります。

 しかも、おそらくxドルの金利は高騰しているでしょう。X国の投資家が米ドルを買わないように、外国の投資家がxドルを買うように、「xドルは高金利だから、x国の国債を買いましょう」というx国中央銀行からのお誘いが来ているはずだからです。これを「通貨防衛のための利上げ」などと呼びます。そこで、巨額のxドルを高い金利で運用して巨額の金利収入(ただしxドル建て)が得られるでしょう。

 多くの投資家がx国中央銀行の誘いに乗れば、皆が米ドルをxドルに替えてx国の国債を買うでしょう。そうなれば、xドルの値段が戻るのです。市場の世界は「美人投票」なので、多くの投資家が「他の投資家は中央銀行の誘いに乗るだろう」と考えるか否かで方向が決まり、一度方向が決まると皆がその方向に向かうので、一気にxドルの値段が戻る場合も少なくありません。

 あるいは、消費者が動くかもしれません。x国の消費者は、輸入品が値上がりするので、輸入品の消費を控えるでしょう。一方で、外国の消費者は、x国の商品がとても安くなるので、大量に買うでしょう。それにより、x国の貿易収支が膨大な黒字となるでしょう。そうなれば、x国の輸出企業が海外から持ち帰った米ドルをxドルに替えることによりxドルの値段が戻るかもしれません。

 こうしてxドルの相場が戻れば、海外の投資家は、安く買ったxドルを高金利で運用して増やした上に高値で売って多額の米ドルを持ち帰る、ということが可能となります。ハイリターンですね。しかし、世の中はうまい話ばかりではありません。ハイリスクについては以下で。

通貨が暴落を続けて実体経済が通貨に追いつくリスクも大
 外国の投資家がxドルを安くしか売れずに損をするのはx国の痛手にはなりませんが、x国の企業が外国から米ドルを借りていたら大変です。米ドルを借りてxドルに替えた時には少額のxドルしか受け取っていないのに、外国の銀行に返済する際には巨額のxドルが必要となるからです。

 最初に返済した借り手はまだ良いとして、最初に返済した借り手が米ドルを購入したことで、ドルが値上がりするので、次に返済する借り手の返済負担は重くなります。そうなると、「早く返さないと倒産してしまう」ということになります。

 借りている企業は早く返そうとしますし、貸している海外の銀行も早く返してもらおうとします。そうなると、皆が一斉に米ドル買いに走るので、xドルは一層暴落し、皆が米ドル建の借金を返済できずに倒産するかもしれません。

 米ドル建ではなく、xドル建で借金をしている企業にとっても、事態は深刻です。上記のように中央銀行が金利を引き上げると思われるからです。

 そうなると、米ドル建で借りている企業もxドル建で借りている企業も倒産することになり、極端な場合、国内の工場がすべて止まってしまうかもしれません。そうなると、外国の消費者が「x国の製品は安く買えるだろう」と考えて買いに来ても、「倒産したので生産ラインが止まっていて、売れるものがありません」と言われてしまいます。

 国内の多くの企業が倒産すれば、失業率が猛烈に高まって国内の治安は悪化し、富裕層や知識層は国外に逃げ出すかもしれません。もちろん持っている資産はすべて米ドルに交換してから、ですが。

 そうなれば、国内の産業は壊滅し、経済状態が極度に悪化し、「暴落した通貨の価値に経済の状態が追いついてしまった」と言ったことにもなりかねません。そうなれば、為替レートは暴落したまま戻りません。戻ることを期待して「塩漬け」した投資家、あるいは新たに購入した投資家には辛いことでしょうが。

 もちろん、こうした事態を回避するため、政府が戒厳令などの強権発動をするかもしれませんが、そうなれば海外の投資家は誰もxドルを買わないでしょうから、大暴落でしょうね。

 政府が先進国やIMFに助けを求める可能性はありますが、そうなると当然に政府の権限は先進国やIMFなどに大幅に制限されることになります。それを政府が受け入れるか否かは、政府の性格にもよりますので、x国の具体的な対応については何とも言えません。

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/662.html#c3

[経世済民128] 「トランプが大豆産業を壊滅させた」──悲鳴を上げるアメリカの大豆農家(ニューズウィーク) :国際板リンク  赤かぶ
1. 2018年8月15日 10:06:40 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1308]

#トランプ共和党が、貿易戦争で仮に中国を壊滅に追い込めれば、米国の覇権が長期化する可能性は高まるが

ローマと違い、ベトナム戦争すら勝てなかった民主主義国家の米国では

実現はかなり難しいだろう

 


米中間の投資、蛇口を絞る新規則の衝撃
海外投資の見直しを迫られる米国株式会社、一つの時代に終止符
2018.8.15(水) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年8月13日付)

米国製品の不買を呼び掛け、大手飲食店などの客には影響なし 中国
中国北京市内にあるマクドナルドの店舗(2018年4月11日撮影)。(c)AFP/WANG ZHAO〔AFPBB News〕

 国家安全保障が米国における外国投資を規定する重要な要因になった――。これが、最近米議会を通過した法案の要点だ。

 省庁横断組織の対米外国投資委員会(CFIUS)は1980年代から、外国からの対内投資が安全保障に及ぼす影響を審査してきたが、潜在的なリスクよりも恩恵を優先する傾向があった。

 だが、台頭する中国への不安が原動力となり、超党派の支持を得た新たな「外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)」は大きな転換点となる。

 新法は、誰が米国への投資を許されるべきで、誰が許されないべきかを決める際、国防総省と各種情報機関が担う役割を強化する。

 また新法により、米国企業が中国に投資することも格段に難しくなる。その結果、企業が資金を調達し、国境を越えた商取引を行う方法が大きく変わることになる。

 関係する金額にかかわらず、こうした変化は過去40年間で最も重大な変化の一つに数えられる。米国企業に関し、米国政府側の態度が一変することになるからだ。

 宣伝文句を別にすると、少なくとも1980年代以降は、米国企業は国益にかなうように活動しなければならないという前提は存在しなかった。

 財と資本と労働力は、好きなところへ移動できた。それこそが、まさにグローバル化の定義だ。大方の人は、米国企業がうまくやれば米国人が繁栄すると考えていた。

 だが、過去数十年間にわたる賃金停滞が示しているように、米国企業と米国人消費者の運命は今や根本的に切り離されている。

 貧富の格差だけでは、共和、民主両党の政治家がルールを見直すべきだと思うには不十分だった。

 しかし、中国は再考を促すのに十分だった。

 ドナルド・トランプ大統領にとっては、関税が最大の個人的関心事だが、中国との経済戦争や文化戦争(そして、いずれ訪れるかもしれない本物の戦争)に負けるかもしれないという不安は、どんな分野の人と付き合っていようとも、米国で広く共有されている心配の種だ。

 中西部の男性は「アメリカ・ファースト」と書かれた帽子をかぶるかもしれないが、沿岸部のエリート層は大枚をはたいて一番いい中国語課程がある私立校に子供を入学させている。

 (中国国内での将来展望が上向いたために、かつてニューヨークのステータスシンボルだった中国人ベビーシッターは高すぎて雇えなくなっており、新たなビザ発給要件のせいで見つけること自体が難しくなっている)

 合理性があろうとなかろうと、この不安感は企業を窮地に追い込んでいる。

 「直接話し合いをしたとき、トランプ政権の関係者は私にはっきりと、米国企業は中国で足場を獲得するために魂と知的財産を売り渡したと言った」

 ジョージ・W・ブッシュ大統領の下で国家安全保障会議(NSC)のメンバーを務め、現在、安保問題について法人顧客に助言を与えているマイケル・アレン氏はこう語る。

 「政権関係者は、(米中両国の)依存を断ち切るという観点でものを語り、『今は痛みを感じるが、後で我々に感謝しますよ』と言っている」

 右派と急進左派の双方では、多くの人が長年、こうした考えを抱いてきた。だが、そのような考えが今、公然と議論され、現に行動に移されているという事実は、米国と中国は切り離せないほど密接に絡み合っているという考えをきっぱり否定するものだ。

 新しい考え方が間違っているかもしれない理由はいくらでもある。

 貿易、投資の両面で数十年続いてきた米中両国の結びつきを解きほぐす難しさ、解消しようとする努力が市場に与える効果、大統領の心変わり、中国側の大きな妥協といったものだ(最後の2つは実現するかどうか疑わしい)。

 だが、このトレンドにはいくつかの段階があり、以下のような変化につながると筆者は見ている。

 まず、国境を越えた取引に関する企業のメッセージが変わる。

 「境界線を一変させる」とか、「人々を結びつける」といったことを聞く機会が減り、米国の成長をてこ入れするための「戦略的」なM&A(合併・買収)について聞く機会が増えるだろう。

 経営者はワシントンで過ごす時間が増え、財務省だけでなく、ホワイトハウスや国防総省を訪れるようになる。M&Aに先駆けた微笑攻勢がカギを握る。

 防衛産業の請負業者と工業系の大企業はすでに、政治的な標的になっている。

 ハイテクと金融が後に続くだろう。すでに中国による対米投資は急減しており、調査会社ロジウム・グループによると、2016年に記録した過去最高の460億ドルから、2018年上半期はわずか21億ドルに激減している。

 今後は米国の対外投資も攻撃に見舞われる。

 近年、人工知能(AI)や第5世代の通信規格、量子コンピューターといった分野で、シリコンバレーとウォール街の双方から大量の資金が中国に流れ込んでいた。

 商湯科技(センスタイム)について考えてみるといい。

 北京に本社を構えるAIベンチャーで、防犯カメラの映像やデジタル決済システムで使われる顔認識ソフトウエアを手がけている同社は、米国のクアルコム、シルバーレイク・パートナーズ、タイガー・グローバル・マネジメント、フィデリティから出資を受けている。

 だが、こうした投資に絡む政治は劇的に難しくなる。

 米国の投資家が(合弁事業や強制的な技術移転を通じて)中国の監視国家に利用される可能性があるイノベーションやアイデア、データの資金をまかなったり、共有したりしているという認識が残っている間は特にそうだ。

 シスコシステムズからグーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックに至るまで、ありとあらゆるハイテク企業がこのような形で非難の的になることは想像に難くない。

 国際舞台に新しい大物プレーヤーが登場するたびに海外投資に対するアプローチが変わるのは、珍しいことではない。CFIUSの法律が前回、大幅に刷新されたのは1980年代で、日本の台頭に対応する動きだった。

 だが、FIRRMAはワケが違う。ビジネスがまさにビジネスだった時代の終わりを告げる公算が大きいのだ。

By Rana Foroohar


 

フェニキア人が歴史上いかに重要だったか説明しよう
【連載】ビジネスに効く! 世界史最前線(第3回)
2018.8.15(水) 玉木 俊明
カルタゴの遺跡
 歴史研究に、史料は不可欠です。ですが史料というものは、本質的に勝者による記録です。敗者の記録は、廃棄されてしまうことも多く、そうなると人の目に触れることはありません。
 したがって、実は史料にあまり信用が置けない場合もあるのです。
 今回取り上げるフェニキア人は、おそらく一般に知られている以上に歴史上重要な役割を果たした民族です。しかし彼らは、古代ローマとの戦いに負けてしまい、その史料はほとんど燃やされてしまいました。
 そのため、勝者であるローマの偉大さばかりが強調され過ぎ、フェニキア人の重要性が軽んじられてきました。
 そこで今回は、フェニキア人が歴史上どれほど重要であったのかを見ていきたいと思います。
フェニキア人とはどういう民族だったのか
 一般に、「フェニキア人」は、エーゲ文明に属するクレタ文明(前2000〜前1400年頃)とミケーネ文明(前1600〜前1200年頃)が後退した後に、地中海交易で栄えた民とされます。
 彼らについてはあまり多くのことは分かっていませんが、フェニキア人がセム系の語族に属し、海上交易に従事していた民であったことは確かです。
 フェニキア人は、ユーフラテス川上流に定住し内陸交易を担ったアラム人とよく対比されます。アラム人がラクダによってシリア砂漠などで隊商を組んで交易をしたのに対し、フェニキア人は海上交易で活躍しました。
 さらに、アラム人はアラム文字を作り、それがヘブライ文字、アラビア文字、シリア文字、ソグド文字、ウイグル文字の母体となっていきました。それに対してフェニキア人は、まだ象形性が残っていた古代アルファベットを改良し、線状文字にし、今日まで続くアルファベットの元を作ったとされます。
 ちなみに、フランスの古代エジプト学の研究者・シャンポリオン(1790〜1832年)が、後代にロゼッタ石からエジプトの神聖文字(ヒエログリフ)を解読しましたが、それはエジプトの文字がアルファベットの祖先だからこそ可能になったのです。
 このように、アムル人やフェニキア人が文字を発明・改良したのは、おそらく交易のためであったと考えられます。交易というのは、単に言葉を交わすだけで完結するわけではありません。使用言語の違うさまざまな民族と意思を通じ合わせなければならなりません。そのために、文字が必要だったのでしょう。
 フェニキア人が使用していたアルファベットは、現在のように26文字ではなく、27文字から30文字あったそうです。しかも、左から右に書くだけではなく、右から左へ、左から右へ、あるいは上から下に書かれたと言われています。
 彼らが改良したアルファベットは、ヨーロッパ各地で使用されるようになりました。それは、彼らが交易のためにさまざまな地域に移動する人々であったからでした。言うなれば、フェニキア人は「ヨーロッパ文明の父」なのです。
 フェニキア人の根拠地は、東地中海南岸、現在のレバノンにありました。彼らはそこで生長していたレバノン杉を使って、地中海の交易活動に進出したのです。
 レバノン杉は、高さが40メートルほどにまで生育するのですが、現在ではほんのわずかしか残っていません。それは、フェニキア人をはじめとする交易に従事する人たちが船材や建材にするため伐採したからです。
 耐久性があり香がよいため、高級木材として珍重されたレバノン杉は、神殿の内装材にも使われたようです。ちなみに、現在のレバノンの国旗の中央に描かれている樹木のシルエットもこのレバノン杉。それだけこの地の人々にとって誇るべき存在なのです。
 さらにフェニキア人の特産品として、赤紫色の染料がありました。この染料で染めた織物も有力な商品だったのです。他にも、高度な技術を身につけた職人多作り出す象牙や貴金属、ガラス細工もありました。地中海世界各地の貴族階級に属する人々にとって、フェニキア人がもたらす品物は垂涎の的だったのです。
 この強力な“商材”を武器に、フェニキア人は貿易と海運で地中海を席巻しました。
【地図1】に、フェニキア人の交易路を示しました。彼らの交易ネットワークは全地中海に及んでいます。古代ローマのそれと比較しても、各段に広いものです。フェニキア人ほど広大な取引網をもつ民族は、この当時のヨーロッパには見当たりませんでした。
 われわれは、「古代地中海世界はローマ人によって形成された」と思い込みがちです。
 しかし、古代地中海世界は、むしろフェニキア人によって築かれたと考えるほうが妥当です。彼らは地中海の物流を完全に支配していたのです。
【地図1】フェニキア人の地中海における交易路 ©アクアスピリット
拡大画像表示
 フェニキア人は、前12世紀から地中海の物流をほぼ独占するようになり、いくつもの植民市を建設するようになります。その植民市を中継点として、地中海の物流は徐々に統一されていきます。このフェニキア人が開拓した航路は、ずっと後になってローマ人やムスリム商人、イタリア商人、オランダ商人たちも利用することになりますが、当初はフェニキア人だけが知る「秘密のルート」でした。
 フェニキア人は、古代ヨーロッパ世界で最高の航海術を誇っていました。
 古代ギリシアの歴史家ヘロドトスによれば、エジプト王のネコ2世(前606〜前583年)の命を受けたフェニキア人が、紅海から西回りで、3年かけてアフリカを周回とされています。
 また前450年頃、カルタゴのハンノという航海者は、アフリカ西岸まで航海したという記録が残されているのです。
 つまり他のヨーロッパ人が15世紀の大航海時代に成し遂げたことを、フェニキア人はすでに前6世紀に遂行していたのです。
ティルスの役割
 フェニキア人が築いた植民市は次第に都市国家へと成長していきます。中でも有名なのが、シドンとティルスです。ここでは、そのうちティルスについてお話ししましょう。
 ティルスは、やはり現在のレバノンの地中海沿いに位置する都市でした。ティルスでは、銀・金・錫・鉛・奴隷・青銅商品馬・軍馬・ラバ・象牙・小麦・きび・蜜・油・ぶどう酒・羊毛・布地・羊・山羊・香料・宝石・黄金などの商品が取り引きされていました。これらの商品は、ティルスに輸入され、そして再輸出されたのです。ティルスは、東地中海最大の交易拠点でした。
 この時期、ティルスのフェニキア人はアケメネス朝ペルシアと結び、その保護を受けながら勢力を伸ばしました。多くの商品が、ティルスを経由して、フェニキア人の船で行き来したのです。
 ティルスは地中海沿岸にいくつもの植民市を築いていきます。その中で最も重要なのが、現在のチュニジア共和国にあったカルタゴです。カルタゴは前820年頃ないし前814年頃に建国されたといわれますが、前6世紀には西地中海における交易の中心地へと成長しました。
カルタゴの隆盛
 カルタゴが建設されたのは、現在のチュニジアの首都・チュニスに近い場所でした。地中海に面したこの地は、他のフェニキア人の植民市と同様、水深が比較的浅く、簡単に錨を下ろすことができるので、船を港で停泊させるのが容易でした。
 地中海のほぼ中央に位置するカルタゴは、シチリア島にも近く、北アフリカからイタリアに至る地中海の南北路を押さえることができるという利点がありました。カルタゴは地中海の交易ネットワークのちょうど中心に位置していたので、母市・ティルスがアレクサンドロス大王の侵攻によって衰退してからは、地中海交易の中心地となり、大いに隆盛を極めました。
 当時カルタゴは、シチリア島の西半分を支配していました。そのことにより、イタリア半島を統一して西地中海の新興勢力として台頭してきたローマと、西地中海の覇権をめぐって直接対決することになってしまいます。これがポエニ戦争(前264〜前146年)です。これは、帝国主義的に領土を拡大していた2国間の避けられない争いでした。
【地図2】 カルタゴ・ギリシア・ローマの領土 ©アクアスピリット
拡大画像表示
 第1次ポエニ戦争で、カルタゴを破ったローマは、初めてイタリア半島外の領土となるシチリアを獲得します(前241年)。
 一方、シチリアを失ったカルタゴは、多額の賠償金の支払い義務まで負わされます。苦難はそれだけではありませんでした。カルタゴが支配していたサルデーニャ島の守備を担っていた傭兵部隊が反乱を起こしたのを機に、ローマによってサルデーニャ島、さらにはコルシカ島までまんまと奪われてしまったのです。カルタゴは海上交易の拠点を失ってしまいました。国家の死活問題でした。
 カルタゴはローマに対する憎悪の念を強く持つようになりました。そうした中、1つの大きな動きがありました。第1次ポエニ戦争に参加した将軍・ハミルカル・バルカが、遠征軍を率いてイベリア半島へ進出します。イベリア半島の鉱物資源はカルタゴにとって重要な交易品でした。そこまでローマに奪われたくないという思いもあったのかも知れません。
 その後、フェニキア人はイベリア半島で急激に勢力を伸ばしていきます。カルタヘナ(カルタゴ・ノヴァ)、アルメリア、バレンシア、バルセロナといった都市は、カルタゴのフェニキア人が築いたものなのです。
 カルタゴとローマの争いは続きました。前218年には、第2次ポエニ戦争が始まります。
 カルタゴ軍を率いたのは、イベリア半島に進出したハミルカル・バルカの息・ハンニバルでした。幼いころ、父に連れられて行った神殿で「打倒ローマ」を誓ったという逸話が残っていますが、その誓いを実行に移したわけです。
 現代においても戦術家として非常に名高いハンニバルは、ローマに奇襲を加えます。カルタゴ・ノヴァを出発したハンニバルの軍勢は、ピレネー山脈を越え、ローヌ川を渡り、そしてアルプス山脈を越えてローマに向かったのです。よく知られた「ハンニバルのアルプス越え」です。アルプス越えでは雪崩に襲われるなど、決死の行軍となります。その際、象37頭も引き連れていったそうですから、前代未聞、空前絶後の大作戦でした。
 およそ5万人の軍勢だったカルタゴ軍は、5か月かけてイタリア半島に辿り着いた時には半減していたと言いますから、その過酷さが偲ばれます。
 この第2次ポエニ戦争の最大の決戦は前216年のことでした。これまた歴史に名高いカンネーの戦い(カンナエの戦い)です。ガリア人らの援軍を併せて5万人のカルタゴ軍は、8万人ほどのローマ軍と対峙します。
 多勢に無勢でしたが、将軍・ハンニバルによって鼓舞された兵士は勇敢でした。ハンニバルによって敷かれた陣形もローマ軍を大いに翻弄しました。
 終わってみれば8万人のローマ軍は7万人もの死者を出したと言われています。対するカルタゴ軍の死者は5700人。カルタゴ軍の圧勝でした。
 しかしカルタゴは、その勝利をうまく生かすことが出来ませんでした。その後、ローマの将軍スキピオによって形成は逆転。和平を模索し始めた本国・カルタゴはハンニバルに帰還命令を出します。憤慨しつつもカルタゴに帰還したハンニバルでしたが、そこにスキピオ率いるローマ軍が攻め入ってきます。ハンニバル軍とスキピオ軍は、カルタゴの近郊ザマで対決、カルタゴは再び敗北してしまうのでした(前201年)。
 この敗戦でカルタゴは再び大きなダメージを受けました。多数の戦死者や捕虜を出しただけではなく、またもや多額の賠償金を課せられ、軍備の大幅な削減も飲まされたのでした。
 ところがカルタゴは逞しかったのです。
 第2次ポエニ戦争後、任期1年の最高政務官になったハンニバルは、貴族の権力を大幅に削って民主化を進め、財政改革にも手を付けます。これらの改革が奏功し、カルタゴは徐々に繁栄を取り戻していくのです。
 もっともハンニバル自身は、1年後に最高政務官の任期が終わると、反対派に追い詰められ、ついにはセレウコス朝シリアに亡命することを余儀なくされてしまいます。
 一方で、カルタゴの再興を目の当たりにしたローマは、猛烈に警戒心を強めます。さらに当時のローマの支配層にとっては、どれだけ軍事的成果を上げたかが極めて重要な問題になっていました。軍事的な成果が、国内での地位の向上に結び付いていたからです。
 そうした情勢の中、カルタゴはローマにとって格好の標的になったのです。
 カルタゴの殲滅を狙ったローマは、ついに前149年には第3次ポエニ戦争を仕掛け、カルタゴを滅ぼしにかかります。ローマ軍は、文字通りカルタゴ市を破壊し尽くしました。カルタゴのフェニキア人は殺されるか奴隷になるかしか道はありませんでした。ローマ軍は、カルタゴが再興することがないよう、その地に大量の塩を撒いたと言われています。ローマ軍の仕打ちはそれほど苛烈なものでした。
 カルタゴが滅ぶと、交易拠点を失ったほかのフェニキア人の都市国家も急速に衰えていきます。それに代わってローマは、西地中海を支配する大帝国へと成長していくのです。
 一連の戦争で、カルタゴに関する文献史料はあらかた失われました。したがって研究はきわめて困難でありますが、今後、考古学遺跡の発掘で、もっと多くのことがわかるのではないかと期待されています。
フェニキア人の遺産
 人類は、定住することで文明を築きました。その文明は、移動する人々によって各地に伝播しました。その役割を請け負った民族の1つがフェニキア人でした。
 フェニキア人は、ビジネスによってさまざまな地域を結び付け、その文明と文明をつなぎ合わせました。彼らが築いた交易ネットワークは、北海、地中海、紅海、さらにはアフリカ西岸に至る巨大なものです。この広範な地域に、各地の文明を伝え広げていったのですから、その影響力は絶大です。
 これらの地域は、後代にヨーロッパ人とイスラーム教徒によって統治されます。ということは、双方の文明の形成にはフェニキア人の文化も貢献したはずです。
『物流は世界史をどう変えたのか』(玉木俊明著・PHP新書)
 ローマ人は、カルタゴの街を焼き尽くしました。主要な史料も灰と化しました。そのため、勝者であるローマ中心の歴史のみが後世に伝えられることになってしまったのです。現代の私たちが学んでいる世界史も、その例外ではありません。
 しかし、もしもフェニキア人という「交易民族」の活躍がなければ、地中海世界の結合はもっと違うものになっていたはずですし、イスラーム世界の文化もまた現在とは違ったものになっていたと思われます。
 歴史の彼方に消え去ってしまったフェニキア人ですが、われわれは彼らの果たした役割もっと知り、深く学ぶべきなのです。



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/182.html#c1

[経世済民128] 「トランプが大豆産業を壊滅させた」──悲鳴を上げるアメリカの大豆農家(ニューズウィーク) :国際板リンク  赤かぶ
2. 2018年8月15日 10:25:16 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1309]

#いずれにせよ、当面は、反グローバリズムと保護主義の強化により

左右いずれの体制でも、ナショナリズムや国家資本主義は強化され

国家間および企業間格差の拡大、世界全体の経済低迷と貧困化は続くことになる


 

 

インド、米ハイテク大手の規制強化を検討

中国に倣い産業育成狙う

2014年にインドを訪問したアマゾンのベゾスCEO。アマゾンはインドに50億ドルの投資を行う計画だ

By Newley Purnell
2018 年 8 月 14 日 08:33 JST

 【ニューデリー】インド政府は新たな規制を通じて、米ハイテク大手の影響力を抑制することを検討している。アマゾン・ドット・コムやアップル、アルファベット傘下のグーグル、フェイスブックなどに新ルールを課し、市民のデータ管理を厳格化して、国内の新興企業を育成する中国の戦略を踏襲する構えだ。

 関係筋によると、ここ数週間で明らかになった一連の政策草案を受けて、米ハイテク大手は懸念を強めている。インドは従来、中国に比べて外資受け入れに前向きだったこともあり、米ハイテク企業は残り少ない主要な成長市場であるインドに多額の投資を行ってきた経緯がある。だが、こうした状況は変わろうとしている。

 規制を専門とするバンガロールのテクノロジー弁護士、ビナイ・ケサリ氏は「前例がなく、極めて真剣に受け止める必要がある」と指摘。「大きな影響が出る可能性もある」とみる。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した電子商取引に関する新政策の草案は、「公正な競争環境」を求める立場を繰り返し強調。「支配的な地位を築く外資系企業などとの間で適切な立場を確保するため、国内のイノベーションとデジタル経済を推進する」新たな規制を盛り込んだ。
 
 また、電子商取引やソーシャルメディア、検索エンジンのプラットフォームを通じてインド国内で作成された個人情報については「保管先をインド国内に限る」必要があるとし、政府は情報へのアクセス権を持つとしている。

 さらに草案では、海外の電子商取引会社がインドの外資所有規制を回避する要因となっていた抜け穴にも対処する可能性が記されている。

インドの当局者や新興企業の間では、同国が世界レベルのハイテク大手を育成する機会を逸しているとの危機感がある。中国は厳しい規制を敷くことで、アリババグループやテンセントなど、世界でも有数の革新的なハイテク企業を創出しており、インド当局はこうした中国の政策に倣い、国内企業の成長余力を高めたいと考えているもようだ。

 ただ、米ハイテク企業にとって、インドは戦うだけの価値がある市場だ。コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの報告書によると、インドのネット利用者数は3億9000人と、中国に次ぐ第2位で、米国を上回る。また調査会社イーマーケターは、インドの電子商取引市場が今年、2015年から3倍の水準となる330億ドル(約3兆6500億円)に拡大すると予想している。

関連記事
インドに賭けるIT企業、チャートで読むその理由
インドの試練:余りに多くの若者、余りに少ない良い仕事
アマゾン最大の敵、インドでは「町の小さな店」


アップル、インド戦略の失敗で計画見直し iPhoneのシェア、インドではわずか1%に
2018.8.15(水) 小久保 重信

アップル、時価総額1兆ドル超え 民間企業で初

アップルストアに掲げられた同社のロゴ。ベルギー・ブリュッセルで(2018年2月8日撮影)。(c)AFP PHOTO / Emmanuel DUNAND〔AFPBB News〕

 米国の市場調査会社IDCによると、今年4〜6月期におけるインドのスマートフォン出荷台数は3350万台となり、1年前から約20%増加した。

インドのランキングで11位に後退
 出荷台数が多かったメーカーは1位から順に、中国シャオミ(小米科技)、韓国サムスン電子、中国ビーボ(維沃移動通信)、中国オッポ(広東欧珀移動通信)、中国トランション・ホールディングス(傳音控股)。

 インドは、スマートフォンの出荷台数ベースで、中国に次ぐ世界第2位の市場と言われるが、IDCによると、この市場では、これら上位5社の合計シェアが約8割となる。インド市場は、ここに来て急速に上位メーカーへの集約が進んでおり、これに伴い小規模メーカーのシェアが縮小している。

 そうした中、世界で年間2億台超のiPhoneを販売する米アップルはここ最近、インド市場で苦境に立たされている。香港のカウンターポイント・テクノロジー・マーケットリサーチのレポートを引用した米ブルームバーグの記事によると、現在、アップルのインドにおけるシェアはわずか1%。そのメーカー別販売台数ランキングは11位となっている。

 アップルは昨年(2017年)、インドで約300万台のiPhoneを販売した。しかし、今年は6月末までの半年間で、100万台に満たなかった。このまま推移すれば、今年のアップルのインドにおけるiPhoneの年間販売台数は、200万台を下回り、2015年の水準に逆戻りすると指摘されている。

頼みの綱の旧モデルが低迷
 その主な理由は、高額すぎるiPhoneの価格だと指摘されている。インドの一般的な消費者のスマートフォン購入予算は1万インドルピー(約150ドル)。しかし、アップルの旗艦モデルであるiPhone Xの同国における価格は1500ドルと、その10倍だ。

 インドでは、450ドル以上する端末の販売台数は全体の5%に満たない。しかし、iPhone Xよりも安価なiPhone 8であっても900ドルする。そこで、同社は、「iPhone 6」「同6s」「iPhone SE」などの旧モデルを販売している。しかし、ブルームバーグによると、これら旧モデルは、発売からすでに2年以上がたっており、ここに来て急速に販売が落ち込んでいる。

ベテラン幹部をインド事業の責任者に
 そうした中、アップルは昨年末、社内で高く評価されているベテラン幹部のミシェル・クーロム氏をインド事業の責任者に任命した。今後は、同氏を中心とする幹部陣で、インドの事業戦略を見直し、新たな施策を講じていくという。

 これには、地場小売業者に対する販売支援やブランド戦略の刷新、一部小売業者との関係見直し、インド市場向けアプリやサービスの開発/改良などが含まれるという。

 また同社は、いまだ同国には1店舗もない直営店「Apple Store」を来年にも開設したい考え。ゆくゆくは、主要都市である、ニューデリー、ベンガルール(旧称バンガロール)、ムンバイで店舗を構える計画だと事情に詳しい関係者は話している。



(参考・関連記事)「アップルのインド戦略、長年の努力が花開く?」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50061

?米ウォールストリート・ジャーナルやインドのエコノミック・タイムズなどの報道によると、かねて米アップルが計画していた、iPhoneのインド生産が始まったようだ。

インド産のiPhoneが店頭に
?これまで、アップルの製造パートナーである台湾の電子機器製造受託業者、ウィストロン(緯創資通)がインド・カルナータカ州の州都、バンガロールで、iPhoneの組立業務に特化した工場を設置すると、伝えられていた。

?今回の報道によると、この工場ではその後順調に準備が整い、このほどその試験操業が終わった。ここではiPhoneの廉価モデルである「iPhone SE」の組み立てを行うが、同モデルは月産2万5000〜5万台体制で組み立てられ、2017年5月第3週にも最初のインド産iPhoneが店頭に並ぶ可能性があるという。

?急成長していた世界のスマートフォン市場を支えてきた中国では、ここのところ販売が減速している。そうした中、アップルはインドにおける自社ブランド構築の新たな手法を模索しており、iPhoneのインド生産はその一環だと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

?また、アップルはiPhoneをインドで生産することで、同国における販売価格を引き下げられる可能性があるという。

?現在のインドにおけるiPhone SEの販売価格は320ドル。これは米国における販売価格の399ドルよりも安いが、インドのスマートフォン平均販売価格は131ドルとなっている。iPhone SEはアップル製品の中で安いと言っても、いまだ多くの人々にとって手が届かないスマートフォンだ。ある政府関係者は、インド生産が始まったことで、iPhone SEは今の価格より100ドル安くなるのではないかと期待しているという。

?ただし、いずれにしてもアップルはiPhoneの電子部品をインドに輸入しなければならず、部品関税を支払う必要がある。アップルはインド当局に税の軽減措置などを求めているが、同社が望む回答は今のところ得られていない。

次へ
[あわせてお読みください]
アップル、まもなく新たなハードウエア発表か (2017.5.16 小久保 重信)
大前研一「つながりが生むビジネスモデル『テクノロジー4.0』とは何か」 (2017.5.15 biblion)
データ経済の規制:世界で最も価値ある資源 (2017.5.12 The Economist)
iPhone 7、世界のスマホ機種別ランキングで1位に (2017.5.12 小久保 重信)
アップル、タブレット市場で首位維持も大幅減少 (2017.5.9 小久保 重信)

 


 

バークシャー、4-6月期もアップル株を買い増し
ウォーレン・バフェット氏(写真)は総じてIT銘柄から距離を置いている

By Mengqi Sun
2018 年 8 月 15 日 09:43 JST

 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイは4-6月期(第2四半期)もアップル株を買い増した。

 バークシャーが14日に証券当局に提出した届け出によると、6月末のアップル株保有数は3月末比で1240万株増え、保有額は466億ドル相当となった。

 近年はIT(情報技術)株が大幅高となっているが、バークシャーは総じてIT銘柄と距離を置いている。数少ない例外の1つがアップルで、バフェット氏は自分が理解できる消費財メーカーだと話している。

 バークシャーはアップル株を何度も買い増しており、2017年初頭には保有株数を2倍超に膨らませた。バークシャーのアップル株保有比率は3月末時点で4.96%となり、米資産運用大手バンガード・グループに次ぐ第2位株主に浮上していた。

 バークシャーは規制要件が厳しくなるのを避けるため、個別銘柄の保有比率を10%未満に抑えるようにしている。そのため、銀行株や航空株の保有数を調整したと同社は述べた。

 同社は4-6月期に米銀大手ウェルズ・ファーゴ株を450万株売却する一方、米金融大手ゴールドマン・サックス・グループ株を230万株買い増した。また、米地銀大手USバンコープ株を990万株購入した。

 航空株については、デルタ航空株とサウスウエスト航空株を大幅に買い増す一方、アメリカン航空グループ株とユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングス株の保有比率を落とした。

関連記事
投資の失敗は誰にでもある、バフェット氏でさえも
【バロンズ】バフェット氏の退任に備えよ


 

 


中国債務不安再び、新疆政府系組織が返済期限守れず
「新疆生産建設兵団」の傘下部門、債券81億円相当の利払いと償還金の返済不能に
中国・新疆ウイグル自治区内の道路沿いに掲げられた習近平国家主席のポスター
中国・新疆ウイグル自治区内の道路沿いに掲げられた習近平国家主席のポスター PHOTO: THOMAS PETER/REUTERS
By Chao Deng
2018 年 8 月 15 日 07:47 JST 更新

 【北京】中国・新疆ウイグル自治区で、政府系の準軍事組織「新疆生産建設兵団」が期限内に債券の支払いを履行できない事態に陥った。中国政府が巨額債務の負担を肩代わりできるのか、懸念が再燃している。

 新疆生産建設兵団の傘下部門である国有資産管理第6師団は13日遅く、国内で発行した7300万ドル(約81億円)の債券について、期限内に利払いと償還金の返済ができなかったと明らかにした。またその後、19日に期限を迎える別の債券についても、返済は困難との見方を示した。

 新疆生産建設兵団はもともと軍事組織としての役割を担っていたが、現在では政府に変わって企業の運営も担当している。イスラム系少数民族のウイグル人が多く暮らす西部・新疆の開拓を進めるために、1950年代に政府から派遣されたのが起源だ。

 複数の国内メディアは今回の件について、地方政府の金融会社による初のデフォルト(債務不履行)となる前触れだと伝えている。だが格付け会社S&Pグローバル・レーティングとフィッチ・レーティングスのアナリストは第6師団について、新疆ウイグル政府のために資金調達は行っていないため、厳密には政府系の金融会社ではないと説明する。

 とはいえ、期限内に返済できなかったことで、銀行は今後、政府系組織であっても融資に慎重になる公算が大きいとS&Pのアナリスト、クリストファー・リー氏は指摘する。中国の債務は2017年末時点で、国内総生産(GDP)比242%に膨らんだと推定される。ドイツ銀行の分析によると、調査対象の地方政府系金融会社1844社が抱える債務は32兆4000億元(約520兆円)と、GDP比41%に膨らんだ。

小麦を収穫する新疆生産建設兵団経営の農場
小麦を収穫する新疆生産建設兵団経営の農場 PHOTO: DU BINGXUN/ZUMA PRESS
 リー氏は「流動性のひっ迫が波及するだろう」と話す。

 中国の政府系企業が期限内に社債の支払いを履行できなかったことは過去にもあるが、今年に入って発生したデフォルト(債務不履行)は主に、民間企業に集中している。民間企業は資金調達をノンバンク系の貸し手に過度に依存しており、中国当局による金融システムの債務抑制による打撃を受けやすいためだ。

 格付け会社の上海新世紀資信評估投資服務(上海ブリリアンス)が先月公表した報告書によると、第6師団は主に農業・製薬などの事業運営を政府に代わり担当。また政府の補助金に依存している。

 第6師団は最近、傘下にインフラ建設の子会社を加えた。上海ブリリアンスによると、2017年末時点で、中国政府は8億2900万元規模のインフラ工事完成に向け、その子会社に8000万元の補助金を支給している。

 また、第6師団は多額の債務を抱えており、資産に対する負債の比率は、2015年の54%から3月末時点で59%近くに上昇したという。

 ただ、上海ブリリアンスは、第6師団はなお銀行と良好な関係を維持しており、まだ手を付けていない16億7800万元相当の融資が残っているとしている。

 格付け大手はこれまでも、中国政府が債務増大の抑制に動く中で、地方政府系の金融会社による債券デフォルトのリスクを指摘してきた。

 フィッチは昨秋、デフォルトが発生した場合には中国債券市場でおそらく調整が起こるとの予想を示している。投資家が前回、金融会社に対する政府の支援が薄れるとの見方に傾いたのは2014年だった。フィッチによると、中国当局はその際、地方政府は金融会社の債務について責任を負わないと表明した。

 支払期限内の返済不履行が再び発生したことで、地方政府がどの程度介入するか、中国情勢に注目する向きは再考を迫られている。アナリストらは特に小規模な県(郡)レベルの金融会社はリスクが高いとしている。

 リー氏は「政府系でも下位に行くほど、支援は減る」とし、「リソースはそれほど強固ではなく、銀行に支援をあおぐ力も弱いだろう」と話す。

関連記事
中国の社債デフォルト増加、処方薬届くか
中国「一帯一路」構想、パキスタンで暗雲
中国、パキスタンが陥る一帯一路「債務のわな」に反論

 


 

トルコとインドの通貨急落、波及リスクどこまで
トルコリラやインドルピーの急落で、影響拡大への懸念が強まった(写真は13日、イスタンブール)
トルコリラやインドルピーの急落で、影響拡大への懸念が強まった(写真は13日、イスタンブール) PHOTO: ERDEM SAHIN/EPA-EFE/REX/SHUTTERS/EPA/SHUTTERSTOCK
By Mike Bird
2018 年 8 月 15 日 04:34 JST 更新

 トルコリラやインドルピーの急落は、比較的リスクの高い新興国資産からの資金逃避を増幅させそうだ。

 トルコリラは14日の取引でやや値を戻し、多くの新興国通貨もそれに同調したが、インドルピーは1ドル=70ルピーを割り込んで過去最安値に沈んだ。アルゼンチンは中央銀行が40%から45%への緊急利上げを決めたにも関わらず、通貨ペソはその後2.1%下落した。

 これら通貨の急落を踏まえて、売りがどこまで波及するかとの疑問が噴出している。資産運用担当者は安全逃避に走るか、損失を補うために低リスク資産の売りを余儀なくされている。ここ数日は世界的な株安になり、トルコと経済関係の薄いメキシコ、南アフリカ、インドネシアなどの通貨さえも大きく売られた。

 影響の及ぶ範囲はいくつかの要因によって決まりそうだ。これまでは経済面で共通の弱点があるか、外国金融機関のエクスポージャーが大きいか、または同じ外部要因が数カ国を同時に見舞った際に、市場はパニックに陥った。

 現在、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げと量的緩和の解消に動いており、はるか遠方でも借り入れコストの増加を招いている。多くの国に痛みをもたらすドル高にもつながった。

 資産運用会社ブルックス・マクドナルドの投資ディレクター、エドワード・パーク氏は、これまでは多数の国がドル建てで安く借り入れ、予算を穴埋めしていたと説明。その上で「巨額の赤字を抱え、外部から巨額の借り入れを必要としている国はどれだけあるだろうか。答えは『たくさん』だ。影響がどこまで広がるかを人々はまだ分かっていないと思う」と話した。

 金融危機以降、途上国へのドル建て融資は大きく膨らんだ。国際決済銀行(BIS)によると、今年3月末時点の融資残高は約2兆4890億ドル(約276兆円)と、15年間で4倍余りに増加した。ただ二大新興国のインドと中国の場合、ドル建て債務への依存度は他国より著しく低い。

 1990年代のアジア通貨危機を教訓に、途上国は以前より外貨準備を積み増しており、国際収支も改善している。ニューバーガー・バーマンの新興国債券担当共同ヘッド、ロブ・ドリコニンゲン氏は「全体的にもろいという感じはない」と話した。

 トルコの問題は独特だとする投資家もいる。ジュピター・アセット・マネジメントの新興国ファンドマネジャー、コリン・クロフト氏は「トルコは並の新興国ではない」とし、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領という「極端に型破りな経済観を持つ1人の人物に権力が集中している」と語った。

 従来の危機では金融システムも影響の波及に一役買っていた。多くの米銀は80年代の累積債務問題が発生する前に、中南米諸国に巨額の資金を貸し付けていた。87年にはブラジルが対外債務の利払いを停止。同年には米シティグループの前身など主要8行が合計55億ドルを失った。

 このところトルコへのエクスポージャーの大きい欧州銀の株式が売られている。だが9日からのストックス欧州600銀行株指数の下げ幅は3%程度と緩やかだ。これら銀行への打撃が欧州の金融システム全体に脅威をもたらす可能性は低いとする見方がアナリストの間では優勢だ。

 野村のアナリスト、オリー・バロウズ氏は「その一方で、貿易金融を手掛ける銀行への打撃は注目されていない」とし、そのエクスポージャーは「さらに大きい可能性がある。さらに幅広いのは確実だ」と指摘した。

関連記事
トルコリラ急落、投資家が学ぶべき教訓とは
トルコ危機、のど元過ぎれば買いの好機も
【バロンズ】世界投資3大リスクとその回避法

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/182.html#c2

[経世済民128] 「世界最大のごみ捨て場」中国の終焉──日本のプラスチックごみはどこへいく てんさい(い)
1. 2018年8月15日 10:32:45 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1310]

良い機会だ

愚かな国民は、危機にならない限り、己の愚かさに気づかない

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/187.html#c1

[不安と不健康18] スマホのブルーライトで失明早まる可能性、研究 スマホやノートパソコンを長期間使っていると失明する てんさい(い)
2. 2018年8月15日 13:34:25 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1311]

>スマホやノートパソコンを長期間使っていると失明

過剰なデマ

何十年も使っている老人も失明していないし

最近はブルーライトカットのDisplayが主流


http://www.asyura2.com/16/health18/msg/642.html#c2

[政治・選挙・NHK249] 憲法破壊宣言の首相に戦前・戦中派の戦慄 「不戦の誓い」の白々しさ、嘘はこれだけある(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
1. 2018年8月15日 22:06:41 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1312]

確かに不戦の誓いなど意味はない

死刑の廃止と同じで、外的条件が変われば、いつでも戦争は起こる

ヒトとは、そういうものだ


 

 

 
オトナの教養 週末の一冊
帝国陸軍は愚かで非合理だからアメリカと戦争したのか?〜『経済学者たちの日米開戦 秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』牧野邦昭・摂南大学経済学部准教授に聞く〜
2018/08/15
友森敏雄 (「WEDGE Infinity」編集長・月刊「Wedge」副編集長)

開戦時・内閣総理大臣だった東条英機(写真中央・AP/AFLO)
「8月や、6日、9日、15日」という詠み人知らずの歌がある。広島に原爆が落とされた8月6日、続いて9日に長崎、そして15日無条件降伏(ポツダム宣言の受諾)である。
 8月15日には、陸海軍を中心に戦争時の資料が大量に焼かれた。今でも「大本営発表」というと悪い意味で使われるように、戦時中は負けているにもかかわらず、勝っているような発表がされ、負けてしまえば、責任逃れのために資料を焼いた(公文書を粗末に扱うという官僚の悪弊は今にも引き継がれているということだろうか……)。
 このように昭和の軍部、特に帝国陸軍は、非合理主義で、極端な精神主義に走った組織という認識が一般的だ。
 ところがそんな陸軍が、開戦前に日本を含め、アメリカ、イギリス、ドイツなどの主要国の「経済抗戦力」について調査を行っていたという。陸軍主計中佐・秋丸次朗をリーダーとして調査組織を設置した(通称「秋丸機関」)。
 秋丸機関の調査によって、日米の経済力の差は「20:1」にもおよぶことが判明した。そして、この報告書は陸軍にとって都合の悪いものであるために「焼却処分」された――。
 非合理な陸軍だから、さもありなんということで、戦後長らくこの通説が信じられてきた。

『経済学者たちの日米開戦 秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』(新潮選書)。牧野邦昭。1977年生まれ。東京大学経済学部卒業。京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。現在、摂南大学経済学部准教授。専攻は近代日本経済思想史。著書に『戦時下の経済学者』(中公叢書、第32回石橋湛山賞受賞)など
 しかし、これについて「本当だろうか?」と、問題提起をしたのが『経済学者たちの日米開戦 秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く』(新潮選書)を上梓した、牧野邦昭摂南大学経済学部准教授だ。
「通説」打破への突破口となったのは、牧野氏がネット上のデータベースに、焼却処分されたはずの秋丸機関の報告書がいくつか残っていることを発見したことだ。
「2008年、京大の院生のときに、京都府立図書館のデータベース(OPAC)で、秋丸機関の別称である『陸軍省主計課別班』を検索してみました。すると、関連資料が出てきたのです。その後、京大、東大などの図書館のデータベースにも資料があることが確認できました」
 秋丸機関の研究員の一人で、「(秋丸機関の)報告書は陸軍の意向に沿わないので、焼却処分された」と発言していた有沢広巳・東京大学経済学部教授が1989年に亡くなり、その蔵書が遺品として東大経済学部図書館に寄贈された際、その中から報告書の一部である『英米合作経済抗戦力調査』(其一)が見つかったことは既に知られていた。

 しかしそれ以外の資料はほとんど見つかっていなかったが、牧野氏は多くの秋丸機関の資料をネット上のデータベースで発見する。
「2013年にはGoogle Booksで秋丸の発言が掲載された報告書を見つけました。そして、(国立情報学研究所が運営し、全国の大学の蔵書などを調べることができる)CiNii(サイニイ)Booksで、『独逸経済抗戦力調査』が静岡大学図書館にあること発見しました」
 さらに牧野氏は、『英米合作経済抗戦力調査』(其二)を、古書データベース「日本の古本屋」で発見し、購入した(その後、東大経済学部資料室に寄贈)。

「こうした発見ができたのは、情報がデータ化されたからです。今後は、AI(人工知能)が、新しい資料を発見するということも起きてくるかもしれません」

 焼却処分されたというものがなぜあるのか? 牧野氏の疑問は深まった。しかし、報告書の内容を読み込んでいくと、英米の経済抗戦力の大きさを示してはいるが、全体としては、当時の論壇や政府機関、シンクタンクで言われていることと変わらない内容だった。そして、当時の雑誌などに、秋丸機関の研究員が報告書と同様の内容を執筆、発言していることが分かった。
 では、秋丸機関の「報告書」の内容とはどのようなものなのか。
勝ち目が少ないことを指摘していた報告書

 マクロ分析された『英米合作経済抗戦力調査』(1)では、
英米が合作すれば、米国の供給で英国の供給不足を補うことができる。
英米の合作は、第三国に対して70億ドル余りの軍需資材の供給能力になる。
ただし、最大の供給能力の発揮には開戦後1年〜1年半の時間が必要。
英国船舶の月平均50万トン以上の撃沈は、米国の対英援助を無効にする。

 ミクロ分析された『英米』(2)では、
英国の弱点として、島国であるために食料や資源を遠隔地から船舶で輸送しなければならない。

『独逸経済抗戦力調査』では、
ドイツの経済抗戦力は1941年がピークで、その後低下する。
英米長期戦に頼るにはソ連の生産能力を利用しなければならない。
食料不足が表面化しており、ウクライナからの供給が必要。
石油も不足しており、ルーマニアからの供給だけでは足りず、ソ連のバクー油田からの供給が必要。

 しかし、ドイツがソ連の各種能力を利用するには、ソ連との決戦を短期で終了させる必要があり、長期化した場合は、「対英米長期戦遂行は全く不可能」となると、悲観的に述べられている。

 これに加えて、日本が行動すべき指針も示している。

「東亜」は欧州に不足しているタングステン、錫、ゴムなどを供給することができるため、日本はシンガポールを占領し、インド洋連絡を行う必要がある。
独ソ開戦以降、ソ連と英米の提携が強化されるため、日本は包囲網突破の道を南に求めるべし。
北における消耗戦を避け、南において生産戦争、資源戦争を遂行すべし。

 報告書全体としての結論をまとめると、「長期戦になればアメリカの経済動員力により日本もドイツも勝利の機会はない」、ただし「独ソ戦が短期で終われば、イギリスには勝てるかもしれない」というものだ。そして、日本がなすべきこととしては、「北進(対ソ戦)」ではなく、資源獲得のチャンスがある「南進(対英米)」すべきとされた。

 こうした情報は当時、機密でもなんでもなかったのである。むしろ「常識」とも言えるものだった。それにもかからず「なぜ、開戦を決断したのか?」。そのとき、思い至ったのが行動経済学における「プロスペクト理論」だった。

人間は、損失を被る場合にはリスク愛好的(追及的)な行動をとる
 本書のなかで、牧野氏はこんな事例を示している。
 2つの選択肢のうちどちらが望ましいか。
(a) 確実に3000円支払わなければならない。
(b) 8割の確率で4000円支払わなければならないが、2割の確率で1円も支払わなくてよい。
 (b)の損失の期待値はマイナス3200円(=マイナス4000円×0.8+0円×0.2円)で、(a)よりも損失が大きくなる。人が合理的に動けば、(a)を選ぶ。しかし、実験では(b)を選ぶ人が多い。つまり、「人間は、損失を被る場合にはリスク愛好的(追及的)な行動をとる」のだ。
 これを証明したのが「プロスペクト理論」で、人は財が増えるのと、減るのとでは、減る場合のほうに価値を置く。そのため、損失が出る場合は、その損失を小さくすることを望む。つまり、確率は低くても、損失が0円になる可能性がある(b)を人は魅力的に感じてしまうということだ。
 この(a)と(b)の状況は、昭和16年(1941年)に、日本が置かれた状況と同じだと、牧野氏は指摘する。

(A)昭和16年8月以降はアメリカの資金凍結・石油禁輸措置により日本の国力は弱っており、開戦しない場合、2〜3年後には、確実に「ジリ貧」になり、戦わずして屈服する。
(B)国力の強大なアメリカを敵に回して戦うことは非常に高い確率で日本の致命的な敗北を招く(ドカ貧)。しかし非常に低い確率ではあるが、ドイツがソ連に短期で勝利し、英米間の海上輸送を寸断し、日本が東南アジアを占領して資源を獲得して国力を強化してイギリスが屈服すれば、アメリカの戦争準備は間に合わず、講和に応じるかもしれない。

「プロスペクト理論に基づけば、現状維持よりも開戦した方がまだわずかながら可能性があるということになるのです」
 牧野氏は「『開戦すれば高い確率で日本は敗北する』という指摘自体が、逆に『だからこそ低い確率に賭けてリスクを取っても開戦しなければならない』という意思決定の材料になってしまった」と指摘する。
 これが「なぜ正確な情報があったにもかかわらず、開戦にいたったのか?」という疑問に対する牧野氏の答えだ。
秋丸機関は第3の選択肢を出すことができた
 こうした状況は現代の政治や、ビジネスのなかでも起こりうる。上手に乗り切るために必要なことは何なのか。牧野氏はこう話す。
「視野狭窄に陥らないようにして、選択肢を広めに持つということが大事だと思います」
 そうすると、日米開戦時にこのような大局的な視点に立って物事を判断できる人材がいれば、日米開戦は回避できたのだろうか。牧野氏は、秋丸機関は第3の選択肢を出すことができる存在だったと考えている。
 満州時代に、後に首相となる岸信介、日産の創業者である鮎川義介などと対等に渡り合い、共に仕事をして「関東軍参謀に秋丸参謀あり」と謳われた秋丸主計中佐、そして東大教授の有沢広巳、慶應大教授で陸軍主計少尉でもあった武村忠雄など、優秀な人材が集結していた。
「もし、秋丸機関に『3年後でもアメリカと勝負できる国力と戦力を保持できるプラン』を出すように示唆する人物が陸軍にいれば、秋丸機関はそのプランを出すことができたと思います」
 開戦を回避していたら、その後の日本はどうなり、いま、どうなっていたのだろうか……とも、考えてしまうが、それは本書の主題ではない。
 現在まで、かつての日米(英)戦争は、非合理的な陸軍が無謀な戦争をはじめたという認識が一般化している(もちろん、帝国陸軍は様々な過ちを犯した)。ただ、「ストーリーとして分かりやすいから、戦後こうした考えが浸透したのだと思います」と、牧野氏が指摘するように「陸軍悪玉論」にしてしまうと、思考はそこでストップしてしまう。
 牧野氏は、本書の冒頭で政治学者・丸山眞男の言葉を引用している。
「陸軍や海軍というのは、もともと組織的に頭のいいのがいたというせいもあるけれど、よほど合理的だったのではないか」
 決して狂信的な人たちではなく、むしろ合理的な人たちが「正しい情報があったはずなのに、なぜこのような選択をしたのか?」。この問いは、現代にも通じるのである。


 


日本に武力行使の用意あるか、漫画が突きつける問い
日本に起こり得る軍事の未来を描いた作品、累計300万部超え
「空母いぶき」の作者かわぐちかいじ氏(7月9日) BENJAMIN PARKS FOR THE WALL STREET JOURNAL

By
Chieko Tsuneoka and
Alastair Gale
2018 年 8 月 15 日 12:51 JST
 【東京】ある嵐の夜、東シナ海の無人島に怪しい3人組が上陸した。そこから緊迫が高まり、ついに中国が日本の幾つかの島を侵略。日本政府は第2次世界大戦後で初の軍事力行使に踏み切り、陸海空で激しい戦いが繰り広げられた――。
 これは漫画「空母いぶき」シリーズで描かれているフィクションだ。日本に起こり得る軍事の未来を描いたこの作品は、累計販売部数が300万部を超えている。次に控えているのは、実写版の映画と5年ぶりに見直される「防衛計画の大綱(防衛大綱)」だ。これまでは漫画でしか見られなかった兵器の一部が導入される可能性がある。
 「日本の自衛隊は他国を攻撃する能力を有するべきか」。「いぶき」が投げかけるこの疑問は防衛大綱見直しの中心にある。
就役・建造中の標準空母

Source: International Institute for Strategic Studies 米国中国インド英国イタリアロシアフランスタイ米国その他
Note: Spain has an assault ship that can launch short take-off aircraft; Japan has four helicopter-carriers.


 第2次大戦中の日本による侵略行為のため、攻撃的軍事力の保有は日本や近隣諸国で扱いが難しい問題となっている。旧日本軍は戦後に解体され、自衛隊に作り変えられた。自衛隊の役割は限定されており、多くの日本人は災害救助が主な任務だと思っている。
 安倍晋三首相は自衛隊に対する法的制約を一部緩めたが、自衛隊が戦闘に従事できる状況には厳しい制限がある。
 複数の政策担当幹部が、同盟国の米国に促される形で、北朝鮮と中国の脅威が高まっているため新たな軍備に投資して自衛隊の戦闘能力を高める必要があると話している。
 日本の将来的な軍事支出に関する詳細は年内に、来年度の予算案と新たな中期防衛力整備計画(中期防)の中で示される見通しだ。

自衛隊の富士総合火力演習(2017年8月) PHOTO: YOSHIO TSUNODA/ZUMA PRESS

 昨年、日本は巡航ミサイルの購入計画を発表し、いわゆる攻撃能力の確保に向けて1歩踏み出した。政府は巡航ミサイルが国土への侵略を防ぐのに役立つと述べたが、外国の軍事基地を狙うこともできる。
 与党・自民党の安全保障調査会は今年、第2次大戦以降で日本初となる空母を保有し、「F-35B」ステルス戦闘機ないし同等機を搭載するための多額の予算を盛り込んだ提言をまとめた。
 同委は、空母を保有し持続的な防空能力を投入することで、東シナ海で起こり得る中国の攻撃から日本の島々を守る防衛力を大幅に高めることになると主張。一方、野党の一部政治家は、空母は他国の攻撃にも使えるため日本の専守防衛の原則に反すると訴えている。

漫画「空母いぶき」 PHOTO: BENJAMIN PARKS FOR THE WALL STREET JOURNAL
 第2次大戦中、日本は世界有数の空母群を保有していた。そのうち6隻は1941年の真珠湾攻撃に使われた。
 中国は3隻目となる空母を建造しており、日本政府に対しては軍備構築に際して歴史を顧みるよう警告してきたが、日本が空母を保有する可能性については直接コメントしていない。
 日本南部の島々を巡る軍事衝突で空母が果たす役割は漫画「空母いぶき」の中心をなすテーマだ。この作品は2014年に連載が始まり、最新の単行本は7月に発売された。
 作品中の空母に搭載されているF35B戦闘機は、日本が軍事力(日本が創設したものに酷似した水陸機動団など)を総動員する間、中国戦闘機を迎撃するものだ。実写映画は来年の公開が予定されている。
 作者のかわぐちかいじ氏(70)は海上自衛隊を扱った漫画で有名だ。「いぶき」のアイデアは13年、日本が空母を開発するとのうわさが飛び交っていた際にひらめいた。軍事衝突の中でいかに防衛的空母にするかを示し、紛争を防ぐための強さというメッセージを伝えたいと話している。
 かわぐち氏は「日本に手を出す、東シナ海に手を出すと自衛隊は黙っていませんよ、と中国に伝えたいと思う」と述べた。同氏の父親は戦時中、掃海艇に乗艇していた。
 「いぶき」人気については、日本が過去の蛮行を繰り返すことなく軍事衝突に勝てるという、武力行使に対する抵抗感を払拭(ふっしょく)するメッセージを反映しているとの声もある。作品では日本の護衛艦艦長が、「いぶき」は大日本帝国海軍の復活だと見られかねないとの懸念を示し、日本は専守防衛を厳格に守っていると強調している。

かわぐちかいじ氏(東京、7月) PHOTO: BENJAMIN PARKS FOR THE WALL STREET JOURNAL
 戦争の記憶をテーマにした社会学を研究する立命館大学の福間良明教授は「歴史認識のくびきから放たれるという(効果もある)」と述べた。
 「いぶき」を読んだことのある54歳の男性エンジニア、小野内智さんは陸上自衛隊広報センターを見学後、「私は腰抜けなので、日本を絶対戦場にしてはいけないと思っている」と話した。
 空母の開発・運用、あるいは全通甲板のヘリコプター搭載護衛艦 4隻のうち1隻を空母に改修するには多額の費用がかかることから、日本が導入を思いとどまることも考えられる。米ランド研究所の日本の軍事専門家ジェフリー・ホーナン研究員によると、日本政府は無人航空機を選んだ方が支出に見合った価値を得られる可能性がある。
 日本が空母の計画を進めれば、「いぶき」の追い風になるかもしれない。小野寺五典防衛相は昨年現職に就任する前、この作品について、「 あまりにリアルで驚きました 」と述べたと伝えられている。
関連記事
【社説】日本のミサイル防衛強化、中国の自業自得(2017年12月21日掲載)
【寄稿】日本の産業セキュリティー強化は急務


http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/313.html#c1

[経世済民128] トルコリラ急落は世界的な金融危機につながるのか?(マネーポスト) 赤かぶ
5. 2018年8月15日 22:16:25 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1313]
コラム2018年8月15日 / 16:18 / 4時間前更新
コラム:トルコ危機、世界金融秩序の凋落を露呈
Edward Hadas
3 分で読む

[ロンドン 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トルコの通貨危機は予想しやすかった。それよりも驚くべきは、世界の反応の弱さだ。従来の世界金融秩序が非常に惜しまれる事態だ。

大規模な経常赤字を補うため短期融資に頼り続けてきた国に、大混乱が起きることはほぼ必然といえる。それだけではない。多額の外貨建て借入金と高インフレが、混乱を拡大した。トルコ政府が、経済維持の一助となった国際金融機関の助言をはねつけたことも、混乱に拍車をかけた。

トルコのエルドアン大統領が、これまで深刻な問題を回避できたのは幸運だった。しかし現在、彼は危機に直面している。自国通貨リラは5月初め以降、対ドルで42%下落。国内で金融危機が起きるのを防ぐには、奇跡か国際支援が必要だろう。

2009年、エルドアン氏が当時首相として率いていたトルコ政府が、国際通貨基金(IMF)からの助言をもはや必要としないと発表してから、トルコは大きく様変わりした。「つえなしで前に進む」ことを選んだのだ。

トルコは長年、IMFの支援に大きく依存していた。1970年から2009年に至る大半の期間で、IMFから「スタンドバイ取り決め(SBA)」を受けてきた。トルコ政府が経済改革に取り組み続ける限り、IMFは支援を約束した。

だが今回、IMFはいまだにトルコからの電話を待っている。IMFにはリラを安定させるのに必要な知識と、恐らくそのための資金もあるが、エルドアン大統領はIMFをトルコ国民の「敵役」に選んだ。

IMFに対する反感は大統領の国家主義的で独裁主義的な意図に沿うものだが、同時に痛ましいパターンにも一致する。伝統的な権力者は、世界的な金融問題に見舞われると、身動きが取れなくなる。

自由貿易や自由な資本移動、自由市場の原則にやみくもに忠実だと広くみられていることで、IMFの名声は傷つけられた。2011年から専務理事を務めるクリスティーヌ・ラガルド氏の下でIMFのアプローチは軟化したものの、トルコの頑なさは、かつては存在したモラル的権威がIMFに欠けていることを示唆している。

そして米国はかつて、反抗的な政府や債権者、交渉者に圧力をかける際には信頼できる圧力源だった。世界金融システムの管理人として、軍事的覇権を握る国として、また世界最大の経済国として、米国は強力なアメとムチを持っていた。

だがそれはもう過去の話だ。

トランプ米大統領は、米国市民のアンドリュー・ブランソン牧師がトルコで自宅軟禁されていることの報復として、トルコに追加関税をかけることでこの危機を悪化させた。トランプ政権は、北大西洋条約機構(NATO)同盟国であるトルコの経済的運命に、あるいは敵対的で弱体化したトルコが中東での米国の権益に与える影響に、無関心のように見える。かつては世界秩序の保証人だった米国は、ならず者になった。

一方、経済力のある欧州連合(EU)は2017年のトルコ輸出の47%を受け入れている。欧州の銀行は、トルコの財政リスクにもっともさらされており、同国の混乱を収束するのを支援する動機がある。

さらに言えば、トルコには推定350万人のシリア難民がいる。トルコが受け入れなければ、一部は欧州に向かっているかもしれない。

とはいえ、EUがトルコに支援を働きかけようとしているようには見えない。エルドアン大統領は楽な交渉相手ではないが、ブリュッセル、あるいは他のEU加盟国から支援の公的な申し出を受けていない。

従来の世界金融秩序が古くさく、大きな欠陥があることはほぼ間違いない。IMFは長いこと硬化したままだし、米国は必ずしも誠実な仲介者ではなかった。欧州の結束が十分であったことは一度もない。この3つは、世界金融システムの無謀な傾向を抑制するのにほとんど何もしなかった。それでも、失速し、エンジンが止まりかけて煙を出しているオンボロ車のように、歩くよりは好ましいものとされている。

では、次に何が起きるのか。

トルコ政府は計画があると明らかにしているが、国際債権団から相当な支援がなければ、政治能力が試される深刻なリセッション(景気後退)はほぼ不可避だろう。隣国ギリシャでは、2008年に海外からの資金調達が突然止まったことにより、6年間で国内総生産(GDP)が27%落ち込んだ。ギリシャの経常赤字は現在のトルコのそれより大きいが、トルコはインフレと資本逃避という問題も抱えており、さらにたちが悪い。

トルコの問題にとって最善の解決策は、新たな指導者と刷新された機関による、より広範な世界金融秩序を確立することだろう。パキスタンや南アフリカといった、海外金融機関の善意に頼りすぎている国々にとっても、これは良いニュースとなる。

残念なことに、そうした新秩序はまだ見えてこない。中国には必要とされる富と経験、世界からの尊敬に欠けている。その上、自国の銀行セクターの制御に苦労している。

危機は、時に皆の頭脳を結集させることがある。従来の大国は恐らく、古いオンボロ車を集めて、トルコのために中途半端でそこそこの対策を見いだすことになるだろう。

たとえそうなったとしても、リラの急落は強力な警告を発している。つまり、通貨危機が今後も起きる可能性が非常に高いということだ。世界経済を導く指導者がいなければ、それは現実のものとなる。

 

 


 
トルコ通貨危機、国内銀に負担ずしり
エルドアン大統領が推進する経済プログラムの中心的存在となってきたトルコの国内銀は、通貨リラの急落による悪影響を実感しつつある
By Patricia Kowsmann
2018 年 8 月 15 日 14:45 JST

 トルコの銀行が通貨リラの急落による悪影響を実感しつつある。国内銀の健全度は、トルコ経済にどれほど深刻な打撃が及ぶかをみるバロメーターになりそうだ。

 国内銀は多額の外貨建て債権を保有している。その大部分は企業向けで、消費者向けもある。ドル建てやユーロ建ての融資はリラ建ての返済額が急騰している。こうした状況に景気減速が追い打ちを掛けるとみられる。

 トルコの金融当局は14日、消費者・企業向け融資債権の不良化という銀行の重荷を軽減するための措置を発表した。金融機関による返済期限延長や債務再編支援を認めるといった内容だった。

 ABNアムロの債券ストラテジスト、トム・キンマンス氏は「最終的に鍵を握るのは、外貨建ての融資を受けながら売上高はリラ建てという企業の資金調達コストだ」とし、「こうした企業の返済能力が問われている」と述べた。

 国内銀はレジェプ・タイップ・エルドアン大統領が推進する経済プログラムの中心的存在となってきた。2017年には政府主導の融資ブーム(銀行経由の融資を国内総生産=GDPの7%相当の規模まで押し上げた)が経済を急成長させたが、インフレの高進も招いた。

 国内銀は現在、嵐のまっただ中にある。ガランティ銀行、ヤピ・クレディ銀行、トルコ勧業銀行の株価(リラ建て)はいずれも40%超下げている。投資家の警戒感を映すように、3行の株価純資産倍率(PBR)はそれぞれ0.58倍、0.39倍、0.40倍に沈む。

 国内銀の資金調達もリラ安の影響を受けやすい。投資家はトルコのソブリンリスクが高いとみて、国内銀が発行した債券に高い利回りを要求している。例えば、トルコ勧業銀行が発行したドル建て債(2018年10月償還債)の利回りは14日に17.90%を付け、約1週間前の5.29%から急上昇した。

 トルコ中央銀行によると、5月時点で非金融企業の外貨建て資産はおよそ1200億ドルで、負債は3300億ドルを超える。企業が値下がりするリラでその差を埋めることができるかは不透明だ。

 トルコ最大の通信会社トルコ・テレコムは先月、4-6月期(第2四半期)の純損益が8億8900万リラの赤字になったと発表した。「為替変動による悪影響」が響いたという。こうした要因を除く純損益は6億7600万リラの黒字だった。同社の総額147億リラの借り入れは、ほぼ全てがドル建てかユーロ建てだった。

 アナリストらによると、収益源を国内市場に頼る小売り・エネルギー・通信部門の企業が特に大きな打撃を受けている。

 リラが急落する前から、債務返済が滞る兆候はあった。3%であればまだ低いとされる不良債権比率が最近やや上昇している。米格付け会社フィッチ・レーティングスは7月、不良化の恐れがある融資債権が増えたことを理由に、トルコの銀行24行を格下げした。

 もう1つの不安要素は、トルコ政府が預金引き出しを制限する資本規制を導入するのではないかと懸念される中、預金者が銀行預金を続けるかどうかだ。

 ベレンベルクのエコノミスト、カーステン・ヘッセ氏は「トルコの家計は長年、ドルやユーロ、金を銀行に預け続けてきた。これは多額の外貨建て融資を行っている銀行には朗報だ」と指摘。銀行の前に預金引き出しの長い列ができ始めたら、中銀が直ちに「止血」に動く可能性があると述べた。

 中銀の統計によると、国内銀の預金の約47%、融資の36%は外貨建てとなっている。

 国内銀がこの状況を乗り切ることができるかは、トルコの不安定な情勢がいつまで続くかに大きく左右されるとアナリストらは言う。フィッチによると、国内銀の資本比率(銀行の損失吸収力の指標)は5月時点で15.9%と高水準を保っているが、昨年末の16.9%からは低下している。

 トルコ銀は国内にも不安要素を抱える。リラ建ての資金調達コストが急騰しており、リラ建て国債利回りは20%を超える。一方、預金は潤沢とは言えない。トルコ銀の預貸率は145%近くで、米銀の約70%を大きく上回る。

関連記事
ロシアに歩み寄るトルコ政府、米制裁を受け
トルコリラ急落、投資家が学ぶべき教訓とは
トルコ中銀、リラ下支えに一連の措置発表
トルコとインドの通貨急落、波及リスクどこまで


 

 

 
外為フォーラムコラム2018年8月15日 / 15:32 / 1時間前更新
コラム:トルコ・ショックは世界金融危機の火種となるか=鈴木健吾氏
鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト
4 分で読む

[東京 15日] - トルコリラは10日、対ドルで20%前後の急落をみせた。翌週13日にかけてはリスク回避傾向が加速し、世界中の株価指数が下落。為替市場では新興国通貨が軒並み下落する反面、安全通貨とされる円やドル、スイスフランが上昇する動きとなった。

にわかにトルコを巡る懸念が米中貿易戦争懸念に並び、グローバル経済のリスク要因として浮上した。

もともとトルコリラは年初より下落基調にあった。経常赤字の大きさやインフレ率の高さなどがファンダメンタルズ面で材料視され、政治的にはエルドアン大統領の強権的な政治姿勢が嫌気されていた。

これに加えて10日にはトルコで軟禁中の米国人牧師を巡り米国との対立が先鋭化したことや、欧州の銀行が抱えるトルコ向け債権の大きさを欧州中銀(ECB)が懸念しているといった報道などがきっかけとなり、トルコリラの急落につながった。

この結果、トルコ同様に高インフレや経常赤字を抱えるアルゼンチンペソも急落し、同国中銀は13日、通貨防衛のための緊急利上げに追い込まれている。また、トルコ向け債権が大きいとして名指しで報道されたイタリアやスペインの銀行の株価も13日にかけて7―8%もの急落を演じた。

今回のトルコリラ急落が、1997年のアジア通貨危機のような新興国通貨の連鎖的な急落や、欧州銀行の破綻など金融危機の火種となり、グローバル経済を大幅に悪化させるとの懸念が台頭したのである。

<局地的な悪材料か>

だがその後、株式市場が多少の反発をみせるなど、事態の悪化に一定の歯止めがかかっている。結論から述べると、今回のトルコリラ急落が世界経済を揺るがす危機にまで拡大する可能性は低いと考えている。

インフレ率や経常赤字は新興国の中でもトルコとアルゼンチンが頭ひとつ抜けている。国際通貨基金(IMF)によれば、アルゼンチン、トルコに次いで高インフレなのはメキシコだが、その水準はトルコの半分程度であり、経常赤字も対GDP(国内総生産)比でみれば数分の1に過ぎない。他の新興国通貨も「同類」とするにはやや無理がある。

また、国際決済銀行(BIS)によれば、トルコ向け貸出に占める欧州銀行の割合は74.8%と極めて高いが、欧州銀行からみたトルコ向けの貸出は全体の1%強にすぎない。この一定程度が不良債権化するとしても、金融システム不安につながるとの懸念は悲観的過ぎる。

グローバルなリスク回避の連鎖につながらなければ、あくまで局地的な悪材料の1つということになる。名目GDPで世界21位のアルゼンチンが今年5月にIMFに金融支援を要請した際にも世界の金融市場の動揺は限定的にとどまった。トルコの名目GDPはアルゼンチンよりも3割ほど大きく世界17位だが、世界の金融市場への影響は限定的とみられる。

ただ、トルコ自身にとって状況は深刻だ。トルコは危機対応として、スワップなどの資本規制や流動性の供給、銀行の自己資本ルールの一時的な緩和などを行ったが、いずれも問題の根本的な解決にはならないだろう。特に資本規制は経常赤字を補てんする資本流入の妨げとなり、さらなるトルコリラ安圧力につながる可能性もある。

トルコの実体経済はこれまでのところ堅調だが、足元のリラ下落が続けば、輸入物価の急激な上昇や外貨建て負債を抱える企業・金融機関が破綻する可能性、また海外投資家の資金引き揚げなどといった悪影響が拡大する可能性がある。

<安保・難民問題に要警戒>

トルコがこうした悪循環を避けるためには取り急ぎ、1)米国との関係改善、2)中銀の大幅利上げ、が必要となろう。

米国との関係改善には、2016年のクーデター未遂に絡んで軟禁状態にある米国人牧師の解放が最も手っ取り早いが、エルドアン大統領は今のところこれを否定。一方で、駐米トルコ大使がボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)と13日に面会し、この問題を協議したとの報道もあり、何らかの進展があるかもしれない。

トルコ中銀は利上げ期待の高かった7月24日の会合で利上げを見送った。エルドアン大統領の強硬な利上げ反対姿勢が影響しているとされ、市場はこれを嫌気した。今回のリラ急落局面でトルコ中銀が毅然とした態度を示せれば市場の安心感につながるとみられる。

これらの対策が行われればリラは一定程度反発し、懸念は徐々に解消に向かうだろうと考えている。

ただ、今回のトルコ問題の中長期的な懸案事項として、欧州の政治に与えるリスクには一定の注意をしておきたい。具体的には安全保障問題と難民問題だ。

トルコは地理的にロシアに近い北大西洋条約機構(NATO)の一員だが、足元、米国との関係が悪化する一方、ロシアとの距離が縮まっている。エルドアン大統領の「新たな友人や同盟を探し始めなければならなくなる」との発言も気掛かりだ。

また、トルコは欧州連合(EU)との合意に基づいてシリアなどから欧州への難民流入の堰(せき)となっている。難民問題がドイツのメルケル政権を揺るがしたことは記憶に新しい。

このような点やトルコ側の対応などに今後も一定の注意が必要ではあるものの、今回のトルコリラ急落はグローバル経済の急激で大幅な悪化を招くきっかけとはならず、市場は徐々に一定の落ち着きを取り戻していくのではないかとみている。

鈴木健吾氏(写真は筆者提供)
*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。


 

 

 

 


 トルコは予行演習にすぎない−「量的引き締め」加速で新興国にリスク
Michelle Jamrisko、Enda Curran
2018年8月15日 16:25 JST
量的引き締めでドルとユーロの流動性が吸収されるリスク
新興国の債務には赤信号が点滅しているとアルジェブリスのガロ氏
トルコは予行演習にすぎない。
  主要中央銀行は、2019年にかけて政策金利引き上げやバランスシートの縮小を予定し、金融危機時代の政策を巻き戻す動きが加速する見通しだ。いわゆる「量的引き締め(QT)」は、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)改善を伴わずに低金利で資金調達が可能な債券に大きく依存してきた政府や企業にとって、ドルとユーロの流動性が吸収されるリスクがある。
  米金融当局は満期償還分の再投資を行わないことで保有資産残高の縮小に動き、欧州中央銀行(ECB)は資産購入プログラムを年末に終了する予定。ブルームバーグ・エコノミクスの予測では、日本銀行を含む3つの主要中銀による純資産購入額は、2017年末の月間1000億ドル(約11兆1200億円)近くから18年末までにゼロに縮小する見込みだ。    
            

  アルジェブリス・インベストメンツのマネーマネジャー、アルベルト・ガロ氏(ロンドン在勤)はブルームバーグテレビジョンで、「新興国市場全般になお油断がある。新興国の債務には赤信号が点滅している」と語った。  
  
  モルガン・スタンレーのハンス・レデカー、ゲ・タン・クー両氏は14日のリポートで、「流動性が潤沢な世界であれば、新興国市場の最近の動きが相場の変動や現地の流動性に与える影響ははるかに小さかっただろう。ここ数週間にわれわれが新興国市場で目にした状況は、グローバルな流動性環境が引き締まった結果だといえる」と指摘した。
原題:Turkey Just a Test Case as Quantitative Tightening Era Nears(抜粋)


 

 


トルコを締め付けるトランプの愚策、リラ・ショックの背景

2018/08/15

佐々木伸 (星槎大学客員教授)


8月13日イスタンブールのグランバザール内の両替所(AP/AFLO)
 トルコと米国の対立が先鋭化、リラ・ショックを招くなど世界市場を動揺させている。対立の要因はトルコが拘束中の米牧師の釈放を拒否したことだが、その背景にはトランプ大統領がエルドアン大統領に約束を反故にされた、とぶち切れたことがある。同盟国を軽視するトランプ氏の振る舞いはトルコをロシアに接近させており、「外交素人の愚策」(専門家)との批判を生んでいる。

発端
 発端はトルコに23年間も在住しているキリスト教福音派の米国人牧師アンドルー・ブランソン(50)氏が2016年10月、その夏のクーデター未遂事件に関与したとして、拘束されたことだ。同牧師は今年7月に刑務所から自宅軟禁に移されたが、厳しい監視下に置かれていることに変わりはない。

 トランプ大統領は6月のブリュッセルでの北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の際、エルドアン大統領と個別会談し、牧師の釈放問題について話し合った。トランプ氏はその時、当時イスラエルに拘束されていたトルコ人女性の釈放をわざわざイスラエルに働き掛け、女性を釈放する手助けまでした。

 米紙によると、トランプ氏はエルドアン氏が会談で、牧師の釈放に同意したと受け取ったが、その後も釈放されず、約束を反故にされたと思い込んだようだ。釈放のシナリオは、牧師と米国で投獄されているトルコ人銀行家を交換しようというものだ。銀行家は対イラン制裁に違反した容疑で逮捕されている。

 トルコは8月、高級代表団をワシントンに派遣し、サリバン国務副長官らと釈放問題について協議した。米側はこの際、牧師を8月8日までに釈放するよう最後通告、トルコ側は対イラン制裁違反に関連して、トルコの銀行をこれ以上捜査しないよう要求した。結局、協議は不調に終わった。

 トランプ氏が牧師の釈放にこれほどこだわるのは、牧師が福音派に属しているからだ。福音派は米有権者の25%を占める同氏最大の支持基盤。11月6日の中間選挙に向け、牧師を釈放させてアピールする政治的な思惑があった。しかし、この思惑が外れ、トルコへの怒りが爆発したようだ。

根っこにギュレン師送還問題
 トランプ氏は7月のツイートで、ブランソン牧師を長期間拘束していることに大規模な制裁を課すと宣言。米政府はこの発言に従って8月1日、トルコの法相と内相の2人を在米資産凍結などの制裁対象に指定すると発表、10日にはトランプ氏がトルコにすでに課している鉄鋼とアルミニウムの関税をそれぞれ50%、20%に倍増させるとたたみかけた。

 これに対して、エルドアン大統領は2閣僚の資産凍結に同等の報復措置を課すとし、鉄鋼への追加関税についても「経済戦争には負けない」「われわれに脅しは通用しない」などと強く反発。国民に対し通貨リラを支えるため「金やドルをリラに交換するよう」呼び掛け、米国との全面対決の姿勢を打ち出した。

 しかし、こうした両国の緊張激化を受け、リラは10日だけで約20%下落。その価値は年初以来40%以上も下落するという非常事態に陥った。強権的なエルドアン氏が中央銀行の政策運営に介入する恐れも出たことからリラ安に拍車がかかり、米国や日本を含め世界市場が動揺、株安となった。

 トルコと米国間には、ブランソン牧師問題に加え元々、いくつかの懸案がある。特にエルドアン氏にとって我慢がならないのは、クーデター未遂事件の黒幕と名指ししているギュレン師の送還問題だ。エルドアン氏は事件後、軍や政府、司法、学校などからのギュレン派一掃に乗り出し、これまでに15万人を拘束し、11万人以上を職場などから追放した。

 しかし、当のギュレン師は米ペンシルベニアの山中に在住し、トランプ政権もエルドアン氏の送還要求に応じていない。同氏は6月の大統領選挙で初の「実権型大統領」として再選を果たし、閣僚の任免権や国会承認なしの非常事態宣言発布など強力な権限を手に入れ、その独裁的な姿勢が際立っている。

プーチンにすがるエルドアン
 トランプ氏との対立で追い込まれたエルドアン氏にとって、頼りはロシアのプーチン大統領だ。米国が鉄鋼などへの追加関税を発表した10日には、プーチン氏と急きょ電話会談、事実上、同氏にすがりついた。 

 エルドアン氏は同日付のニューヨーク・タイムズへの寄稿でも、米国が同盟国であるトルコに失礼な行動をやめなければ「新たな仲間や同盟国を探し始めなければならない」などと警告した。国際関係論から言えば、米ロを天秤にかける典型的な動きである。

 エルドアン氏と米国との関係はクーデター未遂事件が起きる前から、シリアのクルド人支援問題などでギクシャクしてきた。だが、その逆にプーチン氏とは友好関係を築いた。ロシアのシリア軍事介入で、その軍事力を目の当たりにし、2017年、ロシアの最新防空システムS400の購入を契約した。プーチン氏にとっては米国とその同盟国に楔を打ち込む好機でもある。

 この兵器購入契約に米国が危機感を募らせるのは当然だ。S400を導入すれば、NATOの一員であるトルコ領内で、ロシアの技術者が公然と活動することになる。米議会はこのほど、ブランソン牧師を釈放し、S400の購入契約を停止しなければ、トルコが米国から購入したF35戦闘機100機の引き渡しを認めないとする法案を可決し、エルドアン氏に圧力を掛けた。

 イランのザリフ外相はトルコへの米制裁を「恥ずべき行為」と批判したが、エルドアン氏にとっては当面、ロシアとイランこそ同盟国だ。この3カ国はシリア内戦でも協力関係にあり、内戦終結後のシリアの政治体制についての協議を続けてきたし、3カ国とも米国から制裁を受けているという共通項がある。

 トランプ氏が優先するのは目先の利益だ。先のNATO首脳会議や先進7カ国首脳会議(G7)で見せた“同盟国を同盟国と思わない”姿勢、そして日本を含む同盟国との貿易戦争も辞さない態度がそのことを物語っている。だから同盟国であるトルコに対する強硬方針もさほど違和感がないに違いない。だが、「トルコがロシアに取り込まれた時、その地政学的損失は米国にとってはかり知れない」(ベイルート筋)。後になってほぞを噛むのは米国ではないのか。


 

 


 
ロシアに歩み寄るトルコ政府、米制裁を受け
トルコのチャブシオール外相(左)とシリア危機について協議するロシアのラブロフ外相(4月、モスクワ)

By David Gauthier-Villars
2018 年 8 月 15 日 11:32 JST

 【イスタンブール】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領がアップルの「iPhone(アイフォーン)」を含む米国製電化製品のボイコットを呼びかけ、トランプ政権への対立姿勢を強めている。一方、トルコのメブリュト・チャブシオール外相はロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談し、欧米の制裁を批判した。

 北大西洋条約機構(NATO)に長年加盟しているトルコは、欧米各国とロシアの板挟みになっていた。だが同国政府は今週に入り、ロシア側に歩み寄る姿勢を示している。トルコとロシアはそれぞれが米政府から制裁を受け、自国通貨が対ドルで下落。その中でエルドアン氏が呼びかけたボイコットも、米政府の制裁に報復するための一手だ。

 トルコの通貨リラは同国経済の先行きに対する懸念からすでに下落していた。だが、テロ関連容疑で拘束されている米国人牧師を釈放しなかったとして米政府が制裁措置を発動した1日以降、リラは対ドルで最安値を更新し続けている。14日にはやや持ち直したものの、年初来では大幅な下落を見せている。

 米政府がトルコからの輸入品に新たな関税をかけるとしたことで、貿易面でも全面的な対立が生じる不安が高まっている。

ニュースレター購読

 ラブロフ氏とトルコの首都アンカラで14日に会談したチャブシオール氏は、欧米による制裁を強く非難。「われわれが傷つけられる時代は終わらなければならない」とした。

 またラブロフ氏も、「彼らは制裁や脅し、恐喝、そして絶対的命令といった手法を用いている」と同じように批判を展開した。

 ラブロフ氏はトルコとの協力関係を強化するとし、中国やイランと実行しているように、トルコとの貿易でもドル建ての決済をやめる可能性に言及した。

 ロシアとの関係を強化すれば、エルドアン氏は米国への依存度を減らすことができる。またトルコ軍はNATOの南東部を守り続けているが、第2次世界大戦以降続く欧州の体系が変わる可能性もある。

 エルドアン氏は支持者らに対し、「われわれは新たな同盟国を求めている」と12日に述べていた。

関連記事
トルコ大統領、米電化製品のボイコット宣言
トルコとインドの通貨急落、波及リスクどこまで
トルコリラ急落、投資家が学ぶべき教訓とは

 

 

322回 トルコリラ下落の背景とドル高の背景【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】
配信日:2018年8月15日
フリーアナウンサーの大橋 ひろこ氏が実際のトレードを通じて学んできたFX取引のコツ、魅力をお伝えいたします。

第322回 トルコリラ下落の背景とドル高の背景【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】
トルコの通貨リラの下落は、南アフリカの通貨ランドやインドの通貨ルピーなど新興国通貨の下落に波及しただけでなく、多額のトルコ債券を保有しているとしてスペインやイタリアの銀行不安が広がりを見せ、欧州の通貨ユーロの下落まで誘引しました。

トルコリラは2001年2月に変動相場制に移行しましたが、当時のレートは1トルコリラ170円ほどでした。今回の下落でトルコリラは15.60円近辺にまで下落しています。長期化する経常赤字がトルコリラ安の背景ですが、恒常的なトルコリラ下落で輸入物価が高くなってしまうため、インフレ率が高いことも問題です。さらに近年ではISによるテロなど地政学リスクが観光収入を減少させており、恒常的にトルコリラ安が継続しているのです。

足下ではこの6月の大統領選挙で再選されたエルドアン大統領が、金融政策を司る中央銀行に対し、利下げを主張していることが懸念されています。トルコリラ安の影響もありトルコのインフレ率は15%にも上るため、物価の安定のためには利上げが必要な局面なのですが7月の政策会合では利上げを見送ったことで市場が失望、トルコリラ下落がさらに加速しました。トルコリラが暴落しているこの局面で、利下げは考え難いのですが、利上げの必要に迫られているのに利上げできないというだけで、トルコリラ売りの材料としては十分です。

こうした中で、トランプ大統領がトルコに対する鉄鋼・アルミ関税倍増を指示したことがきっかけとなり、トルコリラの大暴落が起こりました。2016年にトルコで起きたクーデータ-未遂事件に関与したとしてトルコで軟禁状態にある米国人、ブランソン牧師の釈放を求める米国に対し、トルコもまた米国に亡命しているイスラム教指導者ギュレン師の引き渡しを求めており、米国はこれを拒否しています。トルコに対する関税引き上げは、このような政治的背景が引き金となっているため、トルコ側の譲歩がない限り米国の制裁の圧力は緩むことがないと思われ、トルコリラの下落に歯止めがかかるとは思えません。

足下の為替市場、下落圧力が強いのはトルコリラだけではありません。国際決済銀行(BIS)によるとスペインは2018年3月末時点で809億ドル(9兆円弱)のトルコ向け債権があります。フランスが351億ドル、イタリアが185億ドルも保有していることが懸念され、ユーロにも売り圧力が強まっています。そもそも6月のECB理事会で政策金利を「少なくとも2019年夏にかけて」過去最低の現行水準を維持するとの見通しを示したことで、ユーロは下落圧力が強まっています。

ニュージーランドもまた、8月9日のニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策会合にて政策金利を据え置き、「2020年まで利上げしない」スタンスを示しました。今後2年金利が上がらないとうことで、ニュージーランドドルは売り圧力が強まっています。

イギリスは2017年11月に10年ぶりの利上げに踏み切り、この8月にも再度利上げを発表しました。利上げのサイクルにあるポンドですが、上昇するどころか4月を天井にして下落が続いています。ポンド売りの材料は「合意なき離脱リスク」。イギリスは2016年の国民投票でEUからの離脱(ブレグジット)を決めました。離脱といっても簡単ではありません。EUとイギリスの間で様々な新ルールの取り決めが必要となります。EUとの間でのブレグジット交渉のデッドラインは2019年3月29日ですが、実際には合意事項をイギリスとEU各国の各議会の承認を得る必要があるため、2018年10月までには条件合意が求められますが、現時点では何もまとまっていない状況です。

日本は7月の日銀の金融政策決定会合で修正があったとはいえ、低金利政策の長期化は明白。ということで、粛々と利上げを続けている米国以外の国には買い材料が見当たらず、ドル一強となってしまっているのです。行き過ぎた相場の揺り戻しはあっても大局のドル高はまだ続くものと思っています。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

TwitterAccount
@hirokoFR
次の記事「第321回 8月円高の経験則、その心理と需給【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】」

 


 


トルコが米国製品に追加関税−自動車やコメ、酒類
Taylan Bilgic、Inci Ozbek
2018年8月15日 14:16 JST

Photographer: Danielle Villasana / Bloomberg
トルコが官報で追加関税を適用する製品のリストを公表した。

リストに22品目盛り込む−携帯電話は対象外
コメに50%、アルコール飲料に140%、乗用車や他の自動車に120%、化粧品に60%
原題:Turkey Raises Customs Tax on Some U.S. Goods Including Vehicles(抜粋)

トルコ・リラが下げ再開、前日に8%余り上昇−中銀措置は不十分
Ruth Carson
2018年8月15日 13:14 JST
15日の外国為替市場でトルコ・リラが再び下落。前日は8%余り上昇していたが、トルコ中央銀行が発表した措置はリラを支えるには不十分なことが示された。
  リラはアジア時間の取引で一時3.4%安。13日には過去最低の1ドル=7.2362リラを付け、他の新興市場通貨の下落を引き起こした。
  中銀は「必要なあらゆる措置を取る」と表明、市中銀行の支払準備率を引き下げるなどの策を打ち出し、14日はリラが反発していた。
  一方、エルドアン大統領は米国人牧師拘束を巡り譲歩の姿勢を見せず、14日には米国製電子機器をボイコットすると発表した。

原題:Lira Resumes Drop as Central Bank Steps Fail to Stem Sell-Off(抜粋)

 

 

トルコ危機に激しくさらされた隣国の通貨、騰落率トップから転落
Natasha Doff
2018年8月15日 14:47 JST
ジョージアの通貨ラリは8月初めまでは年初来騰落率でトップ
ラリはトルコの通貨危機に数日で飲み込まれ、上げ幅を打ち消した

Photographer: Kerem Uzel / Bloomberg
ジョージア(旧グルジア)とロシアの開戦から10年となった週に、ジョージアの通貨ラリは、同国の南に位置するトルコの危機の急襲を受けた。
  ラリは8月初めまでは世界の通貨の年初来騰落率でトップだったが、トルコ市場の混乱が波及し、今年の上げ幅が打ち消された。ジョージアにとって最大の貿易相手国であるトルコに対する競争力を保つために為替相場の調整が必要になるとの見方が投資家の間に広がり、ラリは数日でトルコの通貨危機に飲み込まれた。
  この1週間でラリは対ドルで約6%下げ、年初来の騰落率もマイナスとなった。さらに悪いことには、ジョージアの貿易相手国2位は、米国による最新の制裁と追加制裁の恐れから通貨が今月下落していたロシアだった。
  ガルト・アンド・タガート・リサーチのエバ・ボチョリシビリ氏らアナリストはリポートで、「力強い市場の需給により、ジョージアの通貨ラリは2018年8月初めまでは地域の通貨売り浴びせの影響を受けなかった」とした上で、「この調整は、ラリが主要通貨に対して実際に調整し、競争力を維持していることを意味する」と説明した。
  ラリの運命の逆転は、今月のトルコ・リラ急落の影響の広がりをあらためて示している。リラの大幅下落はユーロ圏から中南米まで幅広い市場への重しとなっている。カザフスタンやアゼルバイジャンなど旧ソ連諸国の通貨もロシアとトルコのダブルパンチを受けて下げている。

High Exposure
Georgia does the bulk of its foreign trade with Turkey and Russia

Source: Bloomberg
原題:Currency Most Exposed to Turkey Meltdown Swept From Hero to Zero(抜粋)


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/181.html#c5

[経世済民128] 「税金納めるために年金受給」のブラックジョーク(マネーポスト) 赤かぶ
1. 2018年8月15日 22:49:02 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1314]

>公的年金は国民の老後の「生活保障」の性格を持つ。「生活保障」から税金を取るのは理にかなっていない

低レベルな認識だが

そういう問題ではないのは明らかだろう

現状は、国内生産力と貯蓄率が高いから、インフレ率も抑制されているが

今後、さらに高齢者比率が増えれば、財政ファイナンスで誤魔化しようがない事態に至る

そのための苦肉の策に過ぎず

現政権に限らず、どの政権でも、結局、同じことになる


もちろん企業の生産力を弱め、よりバラマキを強化するポピュリスト政権ほど、

害悪が大きいのは政治理念が左右どちらでも同じことだ


何度も言うように、本来は、公的年金など廃止し、私的年金と貯蓄で老後を賄い

生活保護もしくはBIに一本化すれば根本的な問題は解決するが


十分な貢献はしたくないが、政治(他人)に依存して、

リスクなしに安楽な生活を送りたいという

現実には不可能な欲望に支配された結果、

常に不満と文句に苛まれる、

愚かな国民が多い限り、平和も豊かさも実現することはない


それが日本に限らず、今後も、大部分の人類の運命になる


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/195.html#c1

[経世済民128] トルコ・ショックの本番はこれから…9月に起きる金融危機(日刊ゲンダイ)  赤かぶ
1. 2018年8月15日 23:05:17 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1315]

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/181.html?c5#c5


 
収穫」するなら今しかない、トルコ危機が1997年彷彿−マイナード氏
Alexandra Harris
2018年8月15日 13:48 JST
タイ・バーツが急落したのは1997年7月だった
トルコ・リラ暴落も同じ道筋をたどるだろう

スコット・マイナード氏
Photographer: Chris Goodney
グッゲンハイム・パートナーズの最高投資責任者、スコット・マイナード氏は、現在のトルコ危機が1997年を彷彿(ほうふつ)とさせるとして、保有資産のこれまでの値上がり分を「収穫し、リスクを減らす」機会は今しかないと警鐘を鳴らした。
  同氏は14日、「トルコ・リラの暴落(およびイタリア、アルゼンチン、インドの問題、貿易戦争の脅威)は」1997年のアジア危機と「同じ道筋をたどるだろう」とツイート。
  14日にはリラとアルゼンチン・ペソが反発したが、「安心感にだまされてはいけない」として「季節要因もマイナスだ。株式相場がピークを付けたのは1987年の8月、タイ・バーツが急落したのは97年7月だった。(経済学者の)ミンスキーがここにいれば、安定が不安定につながるとわれわれに思い出させるだろう」と語った。

原題:Guggenheim’s Minerd Sees Glimpses of 1997 in Turkish Lira Strife(抜粋)


 

 
メルケル独首相:ユーロは投機に対する防衛手段−トルコ通貨と対照的
Arne Delfs
2018年8月15日 9:07 JST
ユーロ圏の財務相ポスト創設には反対−域内に共通予算がない
ドイツは英国のEU離脱に関し「契約に基づく決着」を望む
ドイツのメルケル首相は14日、ユーロについて語り、トルコ・リラが見舞われているような通貨投機に対する貴重な防衛手段だと指摘した。

  メルケル首相はドイツ東部の都市イエナでのタウンホールミーティングで、「各国それぞれが行動するのではなく、われわれには欧州共通の利害があることをこのところ喜ばしく思う」とし、リラと比較して「投機がそう簡単ではない共通通貨がわれわれの下にあることに満足している」と語った。

  また、欧州統合は中国などに対抗する上で重要だとしたものの、ユーロ圏財務相のポスト創設には域内共通予算がない中で反対する姿勢を示した。共通予算創設案は欧州連合(EU)の財務計画の一環として扱うことが望ましいとも述べた。

  英国のEU離脱が欧州に与えるリスクに関する質問に対しては、「契約に基づく決着」を好むとし、無秩序な離脱回避への期待を示した。

原題:Merkel Says Turkey’s Turmoil Shows Value of Shared Euro Currency(抜粋)


 

 

トルコ当局、銀行の資本ルールを緩和−自己資本比率の値洗い一時停止
Asli Kandemir
2018年8月15日 6:09 JST
価格が「正常化」するまでの暫定ルールだと銀行監督当局
最近の市場変動が銀行資本力の「不公正な低下」引き起こしている

トルコの銀行規制監督当局は苦境に陥っている国内銀行の支援で時限的な非伝統的措置を講じた。日々の時価による証券の再評価で発生する評価損が銀行の財務健全性の指標に影響を及ぼさないようにする。

  トルコの当局は14日に銀行に送付した文書で、自己資本比率の値洗いを一時停止する新ルールについて、証券価格が「正常化」するまで続くとし、「市場の最近の投機的なボラティリティー」が銀行の資本力の「不公正な低下」を引き起こしていると説明した。時価会計では、ポートフォリオは資産の簿価ではなく、現時点の時価総額で表されなければならない。

原題:Turkey Eases Capital Rules on Banks, Suspending Mark-to-Market(抜粋)

 


仮想通貨ほぼ全面安、売りが売りを呼ぶ展開か 上位100位に入る仮想通貨のほぼ全てが過去24時間で下落
By Steven Russolillo, Paul Vigna and Akane Otani
2018 年 8 月 15 日 13:24 JST

 仮想通貨全体の時価総額が1月の最高値から70%も急落している。商業的な仮想通貨の利用が進んでいないことへの失望や、投機的な動きが背景にある。

 仮想通貨の総流通額は今週、2018年に入って初めて2000億ドルを下回った。昨年11月以来の水準だ。広範な仮想通貨に売りが広がり、「見境のない売り」だと指摘する声もある。仮想通貨のデータサイト「コインマーケットキャップ」によると、時価総額で上位100位に入る仮想通貨のうち、98通貨が過去24時間で下落している。

 最も広く利用されているビットコインは今週、6月末以来となる6000ドル割れとなった。調査サイトのコインデスクによると、2番目に多く使われているイーサは24時間で17%下落した。

ニュースレター購読

 仮想通貨事業に注力しているヘッジファンド、マルチコイン・キャピタルのカイリー・サマニ氏は、ここ2日間は売りが売りを呼んでいる状況だと指摘する。

 仮想通貨が急落している理由については、ビットコインやイーサなどが一般的に普及していないことを指摘する向きが多い。

 一方、1月の最高値水準まで戻ることはないとの考えが優勢となるに従い、損失拡大の回避で売りが殺到しているという見方もある。ビットコインなど仮想通貨を保有する投資家は、今年に入りハッキングなどで幾度も大きな損失を被ってきた。

 また、米経済の堅調な足取りや米連邦準備制度理事会(FRB)による一連の利上げ、トルコなどリスクの高い新興国から資金を引き上げる動きを受け、投資家のセンチメントが変わりつつあるという面もある。

仮想通貨のマイニング企業ビットファームズの施設(7月)

 ビットコインなど仮想通貨は、ファンダメンタルズよりも市場のモメンタムに左右されることの方が多い。2017年には、仮想通貨の普及が本格化することに賭けた投資家が殺到した。

 価格急落は仮想通貨の利用者にとって新しいことではない。ビットコインは昨年、1カ月に約1回のペースで最高値・最安値から20%超の騰落を繰り返していた。12月には40時間で40%急騰したかと思えば、その後24時間で25%急落した。

 今回の急落についても、一部専門家からは変動が激しい仮想通貨市場では特に珍しくはないと指摘する声が出ている。サマニ氏は「最高潮に達して高揚感に浸れるかと思えば、急落してお手上げになることもある」と語っている。

関連記事
仮想通貨を組織的に価格操作、その手口とは
仮想通貨暴落、背後にいた1人のプログラマー
バフェット氏、仮想通貨「悪い結末迎える」


 

仮想通貨はバブルを経て強さ増す−イーサリアム共同創始者ルービン氏
Camila Russo、Erik Schatzker
2018年8月15日 8:37 JST
投機的な「トレーダータイプ」が仮想通貨の価格変動促す
イーサリアムは何百ものプロトコルと共存するだろう−ルービン氏

イーサリアムの共同創始者ジョゼフ・ルービン氏
Photographer: Christopher Goodney/Bloomberg
仮想通貨イーサリアムの共同創始者ジョゼフ・ルービン氏は、デジタル通貨のここ1年の価値高騰はバブルだったとの認識を示す一方、価格が急落しても急成長するエコシステムはより強靱(きょうじん)になっていると語った。
  ルービン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「われわれは6つの大きなバブルを見てきたが、どれもその前のバブルの規模を上回っている。どのバブルも発生している時は驚くばかりだが、振り返って見ればチャート上の吹き出物のようなものだ」と発言。 「これらのバブルに伴ってわれわれの活動は急拡大し、それこそが現在われわれが目の当たりにしていることだ」と述べた。
  コンセンシスの最高経営責任者(CEO)であるルービン氏によると、昨年の価格急騰以後、開発者の活動は「2桁の規模」で拡大。「トレーダータイプ」がボラティリティーを促しており、価格低迷によって中核インフラの開発や導入が遅れるとは懸念していないと付け加えた。
  同氏はイーサリアム退職後にコンセンシスを創業。同社はイーサリアムのネットワークをベースにしたスタートアップ企業の活動を支援している。
  
  同氏は、他の何百ものプロトコルの中でイーサリアムが重要な存在となり、それらと共存する未来を描いている。「まさに飛躍的な時代を生きていくような感じだ」と語った。
コンセンシスのジョゼフ・ルービンCEO、仮想通貨市場についてコメント
出所:ブルームバーグ

原題:Ethereum Co-Founder Lubin Says Crypto Is Stronger After Bubble(抜粋)


 


米中間の投資、蛇口を絞る新規則の衝撃
海外投資の見直しを迫られる米国株式会社、一つの時代に終止符
2018.8.15(水) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年8月13日付)

米国製品の不買を呼び掛け、大手飲食店などの客には影響なし 中国
中国北京市内にあるマクドナルドの店舗(2018年4月11日撮影)。(c)AFP/WANG ZHAO〔AFPBB News〕

 国家安全保障が米国における外国投資を規定する重要な要因になった――。これが、最近米議会を通過した法案の要点だ。

 省庁横断組織の対米外国投資委員会(CFIUS)は1980年代から、外国からの対内投資が安全保障に及ぼす影響を審査してきたが、潜在的なリスクよりも恩恵を優先する傾向があった。

 だが、台頭する中国への不安が原動力となり、超党派の支持を得た新たな「外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)」は大きな転換点となる。

 新法は、誰が米国への投資を許されるべきで、誰が許されないべきかを決める際、国防総省と各種情報機関が担う役割を強化する。

 また新法により、米国企業が中国に投資することも格段に難しくなる。その結果、企業が資金を調達し、国境を越えた商取引を行う方法が大きく変わることになる。

 関係する金額にかかわらず、こうした変化は過去40年間で最も重大な変化の一つに数えられる。米国企業に関し、米国政府側の態度が一変することになるからだ。

 宣伝文句を別にすると、少なくとも1980年代以降は、米国企業は国益にかなうように活動しなければならないという前提は存在しなかった。

 財と資本と労働力は、好きなところへ移動できた。それこそが、まさにグローバル化の定義だ。大方の人は、米国企業がうまくやれば米国人が繁栄すると考えていた。

 だが、過去数十年間にわたる賃金停滞が示しているように、米国企業と米国人消費者の運命は今や根本的に切り離されている。

 貧富の格差だけでは、共和、民主両党の政治家がルールを見直すべきだと思うには不十分だった。

 しかし、中国は再考を促すのに十分だった。

 ドナルド・トランプ大統領にとっては、関税が最大の個人的関心事だが、中国との経済戦争や文化戦争(そして、いずれ訪れるかもしれない本物の戦争)に負けるかもしれないという不安は、どんな分野の人と付き合っていようとも、米国で広く共有されている心配の種だ。

 中西部の男性は「アメリカ・ファースト」と書かれた帽子をかぶるかもしれないが、沿岸部のエリート層は大枚をはたいて一番いい中国語課程がある私立校に子供を入学させている。

 (中国国内での将来展望が上向いたために、かつてニューヨークのステータスシンボルだった中国人ベビーシッターは高すぎて雇えなくなっており、新たなビザ発給要件のせいで見つけること自体が難しくなっている)

 合理性があろうとなかろうと、この不安感は企業を窮地に追い込んでいる。

 「直接話し合いをしたとき、トランプ政権の関係者は私にはっきりと、米国企業は中国で足場を獲得するために魂と知的財産を売り渡したと言った」

 ジョージ・W・ブッシュ大統領の下で国家安全保障会議(NSC)のメンバーを務め、現在、安保問題について法人顧客に助言を与えているマイケル・アレン氏はこう語る。

 「政権関係者は、(米中両国の)依存を断ち切るという観点でものを語り、『今は痛みを感じるが、後で我々に感謝しますよ』と言っている」

 右派と急進左派の双方では、多くの人が長年、こうした考えを抱いてきた。だが、そのような考えが今、公然と議論され、現に行動に移されているという事実は、米国と中国は切り離せないほど密接に絡み合っているという考えをきっぱり否定するものだ。

 新しい考え方が間違っているかもしれない理由はいくらでもある。

 貿易、投資の両面で数十年続いてきた米中両国の結びつきを解きほぐす難しさ、解消しようとする努力が市場に与える効果、大統領の心変わり、中国側の大きな妥協といったものだ(最後の2つは実現するかどうか疑わしい)。

 だが、このトレンドにはいくつかの段階があり、以下のような変化につながると筆者は見ている。

 まず、国境を越えた取引に関する企業のメッセージが変わる。

 「境界線を一変させる」とか、「人々を結びつける」といったことを聞く機会が減り、米国の成長をてこ入れするための「戦略的」なM&A(合併・買収)について聞く機会が増えるだろう。

 経営者はワシントンで過ごす時間が増え、財務省だけでなく、ホワイトハウスや国防総省を訪れるようになる。M&Aに先駆けた微笑攻勢がカギを握る。

 防衛産業の請負業者と工業系の大企業はすでに、政治的な標的になっている。

 ハイテクと金融が後に続くだろう。すでに中国による対米投資は急減しており、調査会社ロジウム・グループによると、2016年に記録した過去最高の460億ドルから、2018年上半期はわずか21億ドルに激減している。

 今後は米国の対外投資も攻撃に見舞われる。

 近年、人工知能(AI)や第5世代の通信規格、量子コンピューターといった分野で、シリコンバレーとウォール街の双方から大量の資金が中国に流れ込んでいた。

 商湯科技(センスタイム)について考えてみるといい。

 北京に本社を構えるAIベンチャーで、防犯カメラの映像やデジタル決済システムで使われる顔認識ソフトウエアを手がけている同社は、米国のクアルコム、シルバーレイク・パートナーズ、タイガー・グローバル・マネジメント、フィデリティから出資を受けている。

 だが、こうした投資に絡む政治は劇的に難しくなる。

 米国の投資家が(合弁事業や強制的な技術移転を通じて)中国の監視国家に利用される可能性があるイノベーションやアイデア、データの資金をまかなったり、共有したりしているという認識が残っている間は特にそうだ。

 シスコシステムズからグーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックに至るまで、ありとあらゆるハイテク企業がこのような形で非難の的になることは想像に難くない。

 国際舞台に新しい大物プレーヤーが登場するたびに海外投資に対するアプローチが変わるのは、珍しいことではない。CFIUSの法律が前回、大幅に刷新されたのは1980年代で、日本の台頭に対応する動きだった。

 だが、FIRRMAはワケが違う。ビジネスがまさにビジネスだった時代の終わりを告げる公算が大きいのだ。

By Rana Foroohar

 

 

 
預金利息ゼロ時代に幕、米銀で金利引き上げ加速

ゴールドマンの消費者向け金融部門、マーカスは年率1.83%の預金金利を提供する PHOTO:RICHARD DREW/ASSOCIATED PRESS
By
Aaron Back
2018 年 8 月 14 日 06:11 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
 米国で銀行にお金を預けても利息ほぼゼロだった暗黒の10年が終わりに近づいている。消費者にとっては朗報だが、一部の銀行には悪い知らせだ。
 米連邦準備制度理事会(FRB)が2015年12月に緩やかな利上げを開始して以降も、銀行の預金金利引き上げの動きは鈍かった。だが足元の利上げに伴い、この状況にも変化が生じつつある。
 主導しているのは、2%近い金利を付与しているオンライン銀行だ。一方、大手銀行の預金金利は、ゼロをある程度上回るにすぎない。だが、より重要なのは、FRBが金利を引き上げる度に、利上げ幅のより多くの部分が消費者に向かっているという点だ。キーフ・ブリュエット・アンド・ウッズ(KBW)によると、4-6月期(第2四半期)の預金ベータ(政策金利の引き上げ幅のうち預金金利に転嫁された割合)は44%と、1-3月期の 28%から急上昇した。
 KBWのアナリスト、クリストファー・マクグラッティ氏は「4-6月は銀行の資金調達コストの加速、または(政策金利の上げ幅に対する)遅れを取り戻す四半期と言える」と述べる。

FRBの利上げ開始後も鈍かった銀行の預金金利引き上げペースが足元で加速している
FF金利 オンライン銀行の預金金利 銀行全体の預金金利

Source: Credit Suisse  Note: Fed funds is average quarterly rate.

 一方で、長期貸出金利は低水準にとどまる。そのため、イールドカーブのフラット化により、一部の銀行は厳しい状況に置かれるが、すべての銀行が同じ状況にある訳ではない。法人融資など、短期指標金利に連動する融資を多く抱える銀行は、融資金利を着実に引き上げており、預金金利の上昇によるコスト増を吸収している。だが商業用不動産など、長期融資を手掛ける銀行は、高まる圧力にさらされているとマクグラッティ氏は指摘する。
 預金金利が低水準に張り付いていた要因のうち重要となるのが、10年にわたる事実上のゼロ金利時代を経て、預金者が銀行口座を収益源ではなく、資金管理の手段だと認識するようになったことだ。つまり預金者にとって銀行は、テクノロジー企業と大差なくなり、利便性の高いウェブサイトやアプリ、決済方法を競って提供する存在となった。
 だがこうしたテクノロジーの進化はもろ刃の剣でもある。金融業界の新参者であるオンライン専門銀行も、簡単に預金を集めることができるようになった。
 ゴールドマン・サックスの消費者向け金融部門マーカス、クレジットカード金融会社シンクロニー・ファイナンシャルでは現在、出し入れ自由な口座の預金金利が年率1.83%となっている。これは金融危機の発生前から現在に至るまで、見られなかった金利水準だ。
 クレディスイスによると、4-6月のオンライン銀行全般の預金金利は推定1.29%と、1-3月期の1.11%から上昇した。一方で、銀行全体では0.53%から0.64%に上昇した。
 クレディスイスは試算に当たり、オンライン預金を取り扱う16行のデータを調査した。対象行には、ゴールドマンやクレジットカード会社のアメリカン・エキスプレス(アメックス)やディスカバー、自動車金融のアリー・ファイナンシャル、サンタンデール・コンシューマー、証券会社チャールズ・シュワブなどが含まれる。
 クレディスイスによると、こうしたオンライン銀行が金利付与型の預金全体に占める割合は6%と、2015年の4%から市場シェアを拡大している。オンライン銀行がシェアをさらに伸ばす余地は十分にある。従来の銀行に対する預金金利の引き上げ圧力は、今後も高まるだろう。
関連記事
• QE終了は心配不要、警戒すべきは金利の動き
• 米FRB、利上げの最終到着点はどこに?
• 米銀大手は業績好調、株価も息吹き返す

 


ドル・円キャリートレードの魅力増す−日銀フォワードガイダンスで
masaki kondo
2018年8月15日 11:29 JST
円で借り入れてドルで運用する取引の4−6月リターンは4.9%
円を調達通貨とする取引のトータルリターンでG10通貨の中で最高
ドル・円のキャリートレードの魅力が増した。金利が当面、超低水準にとどまるという日本銀行のフォワードガイダンスのおかげだ。これに対し米金融当局が2019年末までに5回の利上げを想定していることを考えると、キャリートレードの魅力は高いと、三菱UFJ国際投信とみずほ証券が指摘した。
  金利格差と予想変動率を比較したキャリー・トゥー・リスク比率はキャリートレードの魅力を測る指標だが、G10通貨で円に対してこれが最も高いのは米ドルだ。
  三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは、フォワードガイダンスはキャリートレードにプラスだとし、日銀は動かないことを決めたので金融政策の観点から円が上昇する公算は小さいと指摘した。
  ブルームバーグのデータによれば、円で借り入れてドルで運用するキャリートレードの4−6月リターンは4.9%で、円を調達通貨とする取引のトータルリターンとしてG10通貨の中で最高だった。リターンは為替レート変動と金利収入、調達コストを勘案する。


通貨 1年間の預金金利 FXボラティリティ キャリー・トゥ・リスク
パーセント パーセント 比
米ドル 2.83 8.56 0.34
AUD 2.49 11.61 0.22
NZD 2.35 11.50 0.21
CAD 2.29 10.44 0.23
NOK 1.36 11.31 0.13
英ポンド 1.10 11.63 0.10
SEK -0.21 11.00 N / A
ユーロ -0.24 9.87 N / A
DKK -0.37 9.90 N / A
CHF -0.65 7.85 N / A
日本円 -0.12 N / A N / A
原題:Dollar-Yen Carry Trade Just Got More Appealing, Thanks to BOJ(抜粋)


 


 
ビジネス2018年8月15日 / 18:48 / 1時間前更新
英CPI、7月は前年比+2.5%に伸び加速 昨年11月以来
1 分で読む

[ロンドン 15日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比2.5%となり、ロイターがまとめたエコノミスト予想に一致した。CPI上昇率は前月まで3カ月連続で前年比2.4%となっていたが、7月は伸びが加速した。前年比で伸びが加速したのは昨年11月以降で初めて。

ONSによると、コンピューターゲーム価格や輸送費が上昇。一方、衣料品価格は低下した。

7月の英生産者物価投入指数の上昇率は前年比10.9%となった。伸び率は1年超ぶりの大きさだった。50%を超す上昇となった石油価格が寄与した。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は10.4%だった。

産出指数の上昇率は前年比3.1%と、6月の3.3%から鈍化した。ただコンセンサス予想の3.0%は上回った。

6月の英国全体の住宅価格は前年比3.0%上昇と5月の3.5%から鈍化し、伸び率は2013年8月以来の低水準だった。ロンドンの住宅価格は0.7%低下。下落率は2009年9月以来の大きさだった。


英国:7月インフレ率は8カ月ぶりに加速、自動車燃料や交通費が上昇
Lucy Meakin
2018年8月15日 19:04 JST
7月の英国のインフレ率は8カ月ぶりの加速となった。自動車燃料や公共交通費、コンピューターゲーム、食品などの価格が上昇した。
  政府統計局(ONS)が15日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇し、エコノミストの予想と一致した。6月は2.4%上昇だった。
  イングランド銀行(英中央銀行)は7月のCPI上昇率を2.6%と予想していた。欧州連合(EU)離脱を決定した国民投票以降のポンド安の効果が薄れる中で、今後はインフレ率低下のトレンドが再開するとみている。
  食品やエネルギー、たばこ、アルコール飲料を除くコアインフレ率は1.9%で前月から変わらず。CPIの発表を受け、ロンドン時間午前9時39分時点でポンドは前日比0.2%安の1.27ドル。

原題:U.K. Inflation Rate Accelerates on Fuel, Transport, Games (1)(抜粋)


 

インドネシア中銀、追加利上げ−今年5月以降で4度目
Viriya Singgih、Tassia Sipahutar
2018年8月15日 16:43 JST
7日物リバースレポ金利は5.5%−従来5.25%
エコノミスト28人のうち7人が0.25ポイントの利上げ予想
インドネシア銀行(中央銀行)は15日、政策金利の引き上げを発表した。利上げは今年5月以降で4度目。通貨ルピアの下げに歯止めをかけるため迅速に動いた。

  政策金利である7日物リバースレポ金利は5.5%と、従来の5.25%から引き上げられた。ブルームバーグの調査ではエコノミスト28人のうち7人が0.25ポイントの引き上げを予想、残りは据え置きを見込んでいた。

原題:Indonesia Fights Turkey Contagion Risk With Another Rate Hike(抜粋)


 

 
日銀金融政策決定会合の影響を分析(田口 美一)

異次元緩和の弊害
今回の日銀金融政策には、市場も大変注目していました。具体的には、黒田総裁に対して、金融緩和を少し修正する可能性を期待していたのですが、全く外れてしまいました。出てきたのは、一段と強い意志を持って金融緩和を強めるというコメントでした。
日銀が今置かれている状況を中心に整理しながら見ていきましょう。アベノミクスのビフォー、アフターとしては、黒田バズーカ砲を4回打ったわけですが、これで基本的に実体経済はとても良くなりました。円高株安を阻止するということにも成功しています。その意味ではすでに、かなり高い点数は十分あげられるのではないかと分析できます。マーケットや経済界の受け止め方も、冷静に見て7割から8割程度の人がこういう判断をしていると思います。
ただし、その一方、残された問題が非常に大きいのも事実です。
その一つは、日銀があまりにも大きな異次元緩和をやってしまい、しかも国際公約とも受け止められるような、CPI 2%達成まで一歩も引かないなどと宣言してしまったことによります。国債も大量に買い、400兆円も買ってしまい、またETFやREITも買っていて、これをどうするのかという問題です。
そしてもう一点は、その大量に買われている国債の発行元である、財務省、日本政府の1000兆円に及ぶ巨額の国債残高を、どうやって対処していくのかという問題です。日銀も政府、財務省も、ともに金利が上がってしまうと大変なことになる訳です。つまり、この政策の結果大きな宿題が残ってしまったというのが実情なのです。
日銀が国債を400兆円以上持っているので、金利が上昇したら含み損が出ます。それに対して日銀は引当金を積み立てているわけですが、そうは言っても金利が1%上がるとその負担は相当なものになります。株式やREITも保有しているので、今は黒字で含み益があって良いのですが、価格が落ちると結構大変なことになります。
そして金利が上がって何より大変なのは、今現在でも年間の利払い費を9兆円程度払っている財務省・日本政府です。それがもし1%上がってしまえば、さらにプラス9兆円、合わせて18兆円程度の利払い費が必要となるわけです。約100兆円の国家予算に対し、20兆円弱の利払い費を払うというのは本当に大変なことで、さらに国債を発行しなければならなくなってしまうのです。こうした問題をどうするのかというのが異次元緩和の弊害であると言えます。
4月27日に日銀は、これまで2019年度に可能性が高いとコメントしてきたCPIの2%達成時期については、文言を削除しました。
黒田総裁は、就任当初の2013年初の時点では、2年間でこれを達成させると言っていたわけで、当時の副総裁に至ってはできなかったら辞めるという強い宣言をしていたわけです。結局達成できないまま任期を全うされ、しかも黒田総裁は二期目に入っているという状況です。達成時期については、これを具体的に明確にするのは削除したわけですが、今回7月末の政策決定会合でさらに踏み込んで、この大胆な金融緩和策から一歩引いて、お相撲の例え話で言えば、土俵のギリギリから少し中央に戻す方向がうかがえるような対応策をやるのではないかと思っていたのです。
マーケットも同様で、少しこの大胆な金融緩和策を解除する方向なのではないかとの見方で、10年債が決定会合直前に急上昇したと考えられます。10年債は2016年9月の金融政策決定会合で、YCC、イールドカーブコントロールで0%程度にするとし、相当長期に亘ってこの政策を遂行すると決めました。10年国債0%ということを言い出したその時点から、金利は0%近傍にほとんど張り付いていました。
それが久方ぶりにポンと上がったので、この大胆な不退転の決意で土俵際に目一杯押し寄せられたところで延々と国債を買う政策から、いよいよ一歩中央に戻ってくるような、金融緩和策を少し緩める政策が出るのではないかと思われていたわけです。言い方を換えれば、「正常化戦略・出口戦略」の一歩が始まるかも知れないとの期待感が高まっていたのではないでしょうか。

金融緩和策枠組み強化へ
結論的には、7月31日今回の金融政策決定会合で、そうした予想は大幅に外れ、むしろ緩和策の枠組み強化が打ち出されました。お相撲の例えで言えば、土俵一杯徳俵に足が掛かった状態が継続していると言えるのではないでしょうか。
今回は、4つのことを打ち出しました。政策金利のフォワードガイダンス導入と難しい言葉を使っていますが、フォワードガイダンスとはこういうことです。今、ゼロ金利をやっているわけですが、それは何とリンクしているかと言うと、黒田総裁的にはCPIとリンクをしています。CPI 2%が達成できなければ、できるまでこれを続けると言っているわけです。CPIとリンクしているものの、そのリンクの度合いはよくわからず、達成時期もすでになくしてしまったので、どの程度長期に亘ってゼロ金利をやるのかが見えません。そのフォワード、つまり先行きを、日銀としてとしてガイダンスしますと言うのです。今のゼロ金利政策をどのぐらい長期に亘ってやるのかということを示唆するというのが「フォワードガイダンス」なのです。
これは以前の言葉で言うと時間軸効果と言えます。結局、「2019年秋の消費税引き上げの影響を含めた経済、物価の不確実性を踏まえる」としていて、2019年の秋までは今のこの金融政策を続けると言っているのです。それはつまり、来年の秋まではこのままですと明確に言ったわけです。
そして他方で「2019年内では、おそらくCPI2%は無理だ」とも言ってしまいました。「もう少し先にならないと達成できない」としています。そうするとこのフォワードガイダンスの示唆しているタイミングは、2019年秋ではなく、CPI 2%達成と同じ時期とすれば、2020年、2021年ぐらいだと暗に言っているのです。少し深読みすれば、「黒田総裁の真意はそれまで10年国債は0%維持、イールドカーブコントロールをこのまま続ける」と解釈できます。
さらにもう一つわからない事は、今まで10年国債の変動許容幅は±0.1%まででしたが、それを±0.2%に拡大した点です。
より緩和策を強化して、しかも2021年まで今のゼロ金利を続けると言っているならば、変動許容幅に言及する必要はないとも思いますので、ここで変動許容幅についてコメントがあったことで、理解を複雑化しています。
以前から問題視されていた流動性の枯渇、つまり、日銀がたくさん国債を買ってしまうので流通市場での商いが枯渇している事実を受け、そこに配慮してある程度値動きが出ても許容すると言っているのです。
それはもっと言えば、銀行経営に配慮しているということです。「ゼロ金利になってしまったので、貸し出し金利も、持っていた国債も0%になってしまった。つまり儲けの利ざやがなくなってしまったので、それに配慮して変動幅の拡大を許容する」という理屈なのでしょうか。
そもそも「金融緩和を優先して、利ざや圧縮という厳しい経営環境を銀行に押し付けている」にもかかわらず、「変動幅の拡大を許容するので何とか上手くやって下さい」と言っているようにしか思えない今回の政策発動には、理解しがたい部分が多くあります。
緩和策の枠組みの強化と表現しているのは、つまり一言で言うと緩和を強めているわけです。それなのに同時に国債流通市場での変動幅拡大を許容するのは全く矛盾することなのです。
市場参加者は、理解し難い事象があると夜もゆっくり眠れません。為替・株・債券市場というのは、「わからないことがあれば試してみよう」と反応する生き物なのです。マーケット参加者は白黒ハッキリしないものは怖いのです。不透明なものが出てきたらどっちが本当なのか試すために、マーケットは動こうとするものなのです。多くのマーケットアナリストは、日銀に敬意を表して、この話が出た当日は、これでマーケットの変動はおさまったとコメントしたのですが、この翌日、8月1日から2日にかけて、実際のマーケットはこれに反して0.1%を超える動きを始めたのです。
今後も試す方向に動くと思います。0.2%、0.3%になれば、日銀はものすごく多くの資金を使って、例えば指値オペなどをして、金利を0.1%、0%にする方向に持っていくことになるので、市場的には混乱が待っていると言えます。

【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「株式・資産形成実践コース」講師
田口 美一
8月2日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼詳しくはこちら


▼その他の記事を読む:
【前回の記事】企業業績の推移をウォッチせよ(福永 博之)



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/196.html#c1

[経世済民128] トルコ・ショックの本番はこれから…9月に起きる金融危機(日刊ゲンダイ)  赤かぶ
2. 2018年8月16日 00:11:38 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1316]
ビジネス2018年8月15日 / 23:58 / 9分前更新
トルコリラ、適正価値著しく下回る=IIFエコノミスト
1 分で読む

[ワシントン 15日 ロイター] - 国際金融協会(IIF)のエコノミストらは15日、現在のトルコリラ相場について適正価値を著しく下回っているとの見方を示した。国内景気の減速や輸出動向加速で国際収支見通しが改善し、向こう1─2年間、リラは底堅くなると予想した。

首席エコノミストのロビン・ブルックス氏は記者会見で、マクロ経済の基礎的条件に基づく適正価値は1ドル=5─5.50リラ前後と指摘した。

高水準の経常赤字やエルドアン大統領の利上げ反対姿勢、対米貿易摩擦の拡大を巡り不安が広がる中、リラは13日に7.24リラの安値を付け、14日は6.08リラ付近で推移した。

トルコリラ下落に伴う新興国市場の資本動向について、影響波及の可能性を示すとも指摘した。


ダウ平均は一時300ドル超下落 2万5千ドル割れ=米国株速報
配信日時 2018年8月15日(水)23:43:00 掲載日時 2018年8月15日(水)23:53:00
NY株式15日(NY時間10:43)
ダウ平均   25030.66(-269.26 -1.06%)
ナスダック   7754.10(-116.80 -1.48%)
CME日経平均先物 21890(大証終比:-290 -1.32%)

ドル円は110円台半ばまで下げ幅拡大 米中問題含め不透明感が根強い=NY為替チェック
配信日時 2018年8月15日(水)23:38:00 掲載日時 2018年8月15日(水)23:48:00
 NY時間に入ってドル円に戻り売りが強まっており、110円台半ばまで下げ幅を広げている。きょうは一時111.40円近辺まで上昇していた。先ほどから取引が開始された米株式市場でダウ平均が大幅安で始まっており、ドル円を圧迫している模様。夏休みシーズンで市場参加者も少ない中、短期筋の利益確定売りが圧迫している模様。

 新興国市場でトルコリラはきょうも買い戻されているものの、トルコ政府は米国との対決姿勢を強めており、米国側も追加制裁の可能性を指摘している。トルコリラは一旦落ち着いているものの緊張感は持続しているようだ。

 また、米中貿易問題も依然として不透明感が強くリスク回避の雰囲気を呼び込んでいる。きょうは中国IT大手の決算が弱かったこともその雰囲気を助長している模様。

USD/JPY 110.57

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

原油在庫の大幅増で下げ加速 65ドル台前半に=NY原油速報
配信日時 2018年8月15日(水)23:35:00 掲載日時 2018年8月15日(水)23:45:00
NY原油先物9月限(WTI)(NY時間10:35)
1バレル=65.15(-1.89 -2.82%)

米経済指標【米週間石油在庫統計】
配信日時 2018年8月15日(水)23:30:00 掲載日時 2018年8月15日(水)23:40:00
EIA週間石油在庫統計(バレル・前週比) 
原油   +680.5万(4億1419万)
ガソリン −74万(2億3313万)
留出油  +356.6万(1億2899万)
(クッシング地区)
原油   +164.3万(2345万)
*()は在庫総量


東京外為市場ニュース2018年8月15日 / 23:43 / 24分前更新
BRIEF-米原油在庫、680.5万バレル増=EIA週間石油在庫統計(予想:249.9万バレル減)
1 分で読む

[15日 ロイター] -

* 米原油在庫、680.5万バレル増=EIA週間石油在庫統計(予想:249.9万バレル減)

* 米ヒーティングオイル在庫、29.3万バレル増=EIA週間石油在庫統計

* 米製油所処理量、日量38.3万バレル増=EIA週間石油在庫統計

* 米原油輸入、日量134.1万バレル増=米EIA週間石油在庫統計

* 米ガソリン在庫、74.0万バレル減=EIA週間石油在庫統計(予想:58.3万バレル減)

* 米留出油在庫、356.6万バレル増=EIA週間石油在庫統計(予想:96.4万バレル増)

* 米石油製品輸入、日量18.7万バレル減=EIA週間石油在庫統計

* 米留出油生産、日量10.0万バレル増=EIA週間石油在庫統計

* 米オクラホマ州クッシングの原油在庫、164.3万バレル増=EIA週間石油在庫統計

* 米ガソリン生産、日量32.1万バレル増=EIA週間石油在庫統計

* 米製油所稼働率、1.5%上昇=EIA週間石油在庫統計


東京外為市場ニュース2018年8月15日 / 23:18 / 1時間前更新
BRIEF-8月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は67=全米住宅建設業者協会(予想:67)


ビジネス2018年8月15日 / 23:58 / 9分前更新
米労働生産性、第2四半期は+2.9%に加速 賃金伸び控えめ
1 分で読む

[ワシントン 15日 ロイター] - 米労働省が公表した第2・四半期の非農業部門労働生産性速報値は季節調整済みの年率で前期比2.9%上昇し、2015年第1・四半期以来3年強ぶりの高水準となった。

ただ、単位労働コストが0.9%低下して、14年第3・四半期以来の低水準を記録した。前年同期比の上昇率は1.9%にとどまり、控えめな形で賃金が上昇した状況を示した。

労働生産性上昇率は、第1・四半期が従来の0.4%から0.3%に下方修正された。

第2・四半期のエコノミスト予想は2.3%だった。前年同期比で1.3%上がった。

1947年以降のデータも修正した。生産性の伸びがさえない状況は大きく変わらなかったが、単位労働コストは昨年推計よりも堅調となった。時間当たり報酬に上方修正を加えたためという。

07─17年の生産性上昇率は年率で1.3%と、0.1%ポイント引き上げられた。

単位労働コストは、第1・四半期が従来公表の2.9%から3.4%に上方修正された。


7月の米鉱工業生産 0.1%上昇 市場予測下回る
北米
2018/8/15 23:40
 【ワシントン=長沼亜紀】米連邦準備理事会(FRB)が15日発表した7月の鉱工業生産指数(2012年=100)は108.0となり、前月の改定値から0.1%の上昇だった。上昇率は前月の1.0%から鈍化し、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.3%程度)を下回った。前年同月比では4.2%上昇した。

 製造業は前月比0.3%上昇した。一方、鉱業は0.3%下がり、6カ月ぶりの低下となった。電気・ガスも0.5%低下した。

 CIBCエコノミックスのエコノミストは、鉱業は前年同月比では12.9%上昇と依然力強く、また電気・ガスは変動が激しいとして、7月の指数は「全般に堅調で、鉱工業部門の拡大が続いていることを示している」との見方を示した。

 設備稼働率は78.1%で、前月の改定値から変わらなかった。

7月の米小売売上高 0.5%増 市場予測上回る
北米
2018/8/15 23:39
 【ワシントン=長沼亜紀】米商務省が15日発表した7月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.5%増加した。6カ月連続の増加で、伸び率はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.1%程度)を上回った。前年同月比では6.4%増えた。一方、6月の売上高は前月比0.2%増と0.3ポイント下方修正された。

 7月の内訳は、家具店やスポーツ・本・音楽を扱う店の売り上げを除く広い範囲で増えた。特に衣料・装飾品店(前月比1.3%増)、飲食サービス(1.3%増)、百貨店(1.2%増)などの売り上げが好調だった。

 全体から自動車・関連部品を除いた売上高は0.6%増で、市場予測(0.3%程度)を上回った。

米国経済指標【企業在庫】
配信日時 2018年8月15日(水)23:00:00 掲載日時 2018年8月15日(水)23:10:00
企業在庫(6月)23:00
結果 0.1%
予想 0.1% 前回 0.3%(0.4%から修正)(前月比)


東京外為市場ニュース2018年8月15日 / 23:13 / 1時間前更新
BRIEF-6月の米企業在庫は前月比+0.1%(予想:+0.1%)=商務省
1 分で読む

[15日 ロイター] -

* 6月の米企業在庫は前月比+0.1%(予想:+0.1%)=商務省



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/196.html#c2

[国際23] 3回目の南北首脳会談「大胆な一歩踏み出す」韓国 ムン大統領〜「「…朝鮮戦争の終戦宣言と平和協定につなげるための」と/nh 仁王像
2. 2018年8月16日 00:20:17 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1317]

中国、10兆円以上の北朝鮮支援を約束
混迷する朝鮮半島
習近平氏、中朝首脳会談で「米朝関係を改善してもかまわない」とお墨付き

2018年8月16日(木)
重村 智計


3度目の首脳会談に臨んだ金正恩委員長(中央)と習近平国家主席(右)(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)
 非核化をめぐる米朝交渉の潮目が変わった。明らかに、北朝鮮は「遅延作戦」を取っている。その背景にあるのは習近平国家主席の発言だ。平壌とワシントン、それぞれの中枢事情を知る複数の関係者が、習近平国家主席が「完全非核化は10年前後のちでいい」と、北朝鮮の金正恩委員長に述べたと明らかにした。

 また、中国は今後10年間にわたって総額10兆円もの支援をすると北朝鮮に約束した。

 北朝鮮の非核化について、習国家主席は「中朝首脳は何度も非核化で合意した。非核化は必ず実行してほしい」と求め、「10年前後の時間をかけてもいい」と伝えた。その理由として、非核化を短期間で実行しようとすれば、北朝鮮の軍部が反発し金委員長の指導力が不安定になることを指摘した。それゆえ、経済開発が成功し国内が安定した後でいいとしたわけだ。この中国の意向が、米朝の核交渉遅延につながっているようだ。

 習国家主席は9月9日の北朝鮮建国記念日に訪朝し、4回目の首脳会談を行うという。中朝首脳が、米朝の「完全非核化交渉」を遅らせ、日朝首脳会談の見通しを不透明にしている。

 習国家主席は、9月9日に行われる北朝鮮の建国70周年記念式典に出席し、中朝の関係回復を世界に示すという。習国家主席が訪朝するのは初めてで、緊密な中朝関係を国際社会に誇示すると同時に、北朝鮮国内の反体制勢力を抑えるため、金委員長への全面支持を印象付ける。

 マイク・ポンペオ米国務長官と河野太郎外相は8月4日、シンガポールで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムで、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相との会談を求めたが、短時間の立ち話で終わった。北朝鮮はこれを「会談」と認めなかった。金委員長が、李外相が日米外相と会談するのを認めなかったからだ。北朝鮮では、金委員長の許可なしに、政府高官同士が会談することはできない。

 北朝鮮の労働新聞(電子版)は8月6日、完全な非核化を実現するまで制裁を緩和しないという米政府と同議会の姿勢を激しく批判する論評を報じた。ただし、ドナルド・トランプ米大統領を批判するのは避けた。これは、米朝首脳会談の否定、さらには金委員長批判につながるからだ。北朝鮮は、指導者無謬説を前提にしているので、その業績は誰も否定できない。

日本からの経済協力を急ぐ必要はない
 北朝鮮が非核化への姿勢を変化させ、米政府を非難し始めたことについて、関係者は「中朝首脳会談が北朝鮮を変えた。ホワイトハウスは、首脳会談の内容を入手している」と明らかにした。中朝首脳会談で、習国家主席が「10年間で1000億ドル(約11兆円)の支援」を約束。必要なら、支援期間を20年間まで延ばすという。

 毎年1兆円以上に上るこの支援は、単なる資金援助にとどまらず、鉱山開発や企業による投資などを含むとみられる。中国は世界各地で展開する地下資源確保戦略を、北朝鮮でも展開する。

 だが、国連制裁決議が存続する限り、中国が全面的かつ大規模な支援を行うのは不可能だ。順調に支援が実行されるとは思えない。このため、石油の海上「瀬取り」など制裁の「抜け穴」を狙った支援が実行されている。中朝首脳会談後に活発化した「瀬取り」への追加制裁に中国が反対しているのはこのためだ。瀬取りの活発化は明らかに、中国政府の意向を反映した「石油支援」なのだ。

 北朝鮮は、この巨額支援があれば、日本から経済協力資金を引き出す交渉を急ぐ必要はない、と考えるだろう。すでに韓国との南北関係の動きも停滞している。習国家主席の約束が、日朝と南北関係に影響を及ぼしているわけだ。金委員長は、昨年の春頃までは拉致問題や日朝関係改善に取り組む姿勢を見せていたが、その思いは消失したようだ。

「トランプ再選はない」で一致
 習国家主席は、米中貿易戦争に関連して「トランプ大統領が2期目を務めるのは難しいだろう」との見通しで、金委員長と意見が一致したという。中朝首脳は、トランプ大統領の再選を助けないことで合意した模様だ。米中貿易戦争で、北朝鮮は中国に全面協力し、トランプ大統領を困らせる外交を進める。

 習国家主席はまた、9月の国連総会で演説し、国連制裁を解除するよう訴えるべきだと金委員長にアドバイスした。そうすれば、制裁緩和の雰囲気が生まれ、中国も支援を推進しやすくなると伝えた。だが、国連総会に出席すれば2回目の米朝首脳会談に応じざるをえなくなる。金委員長はなお検討している模様だ。

拉致問題の進展は期待薄
 日本の拉致問題について、習国家主席は金委員長に「拉致は日朝2国間の懸案で、米朝会談の議題ではない」と忠告した。このため北朝鮮は、米朝首脳会談の議題を調整したポンペオ国務長官に「拉致問題は議題にしない」との立場を示し、譲らなかったという。このため、米朝首脳会談で「拉致問題は話し合わなかった」というのが北朝鮮の公式の立場だ。

 こうした平壌の空気と金委員長の意向を受け、北朝鮮の高官は誰も「拉致問題解決」「日朝首脳会談」を進言できない状態にある。金委員長に直言できるのは、妹の与正(ヨジョン)氏と秘書室長の金昌善氏だけという。北朝鮮の高官は、秘書室を通してしか金委員長に報告・進言できず、面会もかなわないという。平壌のシステムも、金正日時代とは様変わりし、秘書室が全権を掌握している。

習氏「朝鮮は、何度も中国に裏切られた歴史を忘れないだろう」
 首脳会談での中朝首脳の発言は、にわかには信じがたい驚愕の内容だ。しかし、最近の北朝鮮の外交姿勢をみると、変化に至った背景と米中朝外交の「流れの変化」を十分に理解できる。

 トランプ大統領は、中朝が最初の首脳会談を行った直後に「中朝首脳会談後に、北朝鮮は姿勢を変えた」「完全な非核化に期限は設けない」「習近平国家主席は世界的なポーカーの名手」と発言した。また、ポンペオ国務長官も「交渉は長期化する」と、見通しを変えた。米国首脳陣による一連の発言は、中朝首脳会談の議事内容をホワイトハウスが入手した事実を、強く示唆している。あるいは、中国側が意図的にリークしたのかもしれない。

 習国家主席は、巨額の経済支援を約束した上で、「北朝鮮は中国の属国になることを心配するだろうが、そうしたことはしない。中朝の歴史関係を十分に理解している」と語ったという。「北朝鮮が中国に反発するのも理解している。北朝鮮は、何度も中国に裏切られた歴史を忘れないだろう」とも述べたという。

 そのうえで、「米朝の関係を改善してもかまわない。中国に隷属することなく独立を維持するために米朝関係を重要視する、という朝鮮の戦略を十分に理解している」との認識を示した。習国家主席が示したこの理解に、金委員長と幹部たちは心を動かされたという。


このコラムについて
混迷する朝鮮半島
朝鮮半島の動向から目が離せない。

金正恩政権が、核とミサイルの開発を続けている。
日本に対する核の脅威が刻一刻と高まる。

金正恩委員長の動向は、北朝鮮と周辺国との関係だけでなく、日米・日韓関係にも影響する。

韓国では文在寅氏が大統領に就任。
米韓と南北の距離感が大きく変わる可能性がある。

この変化をウォッチし、専門家の解説をお送りする。
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/669.html#c2

[経世済民128] 日経平均大引け 続落、440円安 リラ急落で世界株安、円高進行も重荷(日経新聞)  赤かぶ
4. 2018年8月16日 00:41:24 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1318]
「日銀は事実上の正常化第2弾に踏み切った」前日銀審議委員、木内登英氏が7月末の金融政策決定会合を分析
キーパーソンに聞く


2018年8月16日(木)
田村 賢司

 日銀が7月末の金融政策決定会合で新たな政策を導入した。長期金利のゼロ%誘導を維持しながら変動幅の上限を従来のプラスマイナス0.1%から同0.2%に広げた。前日銀審議委員で現在は野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は「これは金融緩和からの事実上の正常化策だ」と言う。アベノミクスの大きな柱となってきた金融緩和策はどう変わるのか。見通しを聞いた。
日銀が7月31日に開いた金融政策決定会合以降、日米欧で長期金利が上昇しました。日銀の新たな政策が影響したのでしょうか。

木内登英・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト(以下、木内):日銀は長期金利の誘導目標を0%に維持しましたが、変動幅は従来のプラス・マイナス0.1%から同0.2%へ拡大するなど、いくつかの新たな仕組みを導入しました。

じわりと引き締めに動いた?
日銀の7月の政策決定会合の主な内容
主な項目 概要
長期金利操作 長期金利の誘導目標ゼロ%を維持。変動幅は従来のプラスマイナス0.1%を0.2%に。長期国債の買い入れ増加額を「年間約80兆」とする言葉は残した
ETFとJ-REIT 買い入れ増加額を、ETF(上場投資信託)は現在の年間約6兆円、J-REIT(不動産投資信託)は同900億円を維持。ただし、市場の状況に応じて買い入れ額は変動する。ETFはTOPIX(東証株価指数)連動型の買い入れ比率を増大する
マイナス金利 維持。金融機関が日銀に預ける当座預金のうち約10兆円にマイナス0.1%の金利をかけている。この残高を減らす。半減と見られる
フォワードガイダンス(将来の指針)導入 「当分の間、現在のきわめて低い長短金利水準を維持」するという指針を新たに示した。「当分の間」は正確には示さず。日銀が引き締め方向の政策に動くとの市場の観測を打ち消す狙いか
 わずかながらでも金利が上昇するということで、これまでゼロ金利下で外債などに向かっていた国内機関投資家のマネーが巻き戻された可能性はあります。しかし、大きくはないと思います。むしろ、米FRB(連邦準備理事会)の引き締め継続観測などで金利が上昇したという方が先で日銀とは直接関係はないのではないでしょうか。実際、さして円高にはなっていません。

 それより日銀の新たな政策にはもっと大きな意味があると思います。


木内登英(きうち・たかひで)氏
1987年、野村総合研究所入社。90年に野村総合研究所ドイツ、96年には野村総合研究所アメリカで欧米の経済分析を担当。2004年、野村証券に転籍。07年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして日本経済担当。12年から5年間、日銀審議委員を務め、17年7月から野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト(写真:清水 真帆呂)
日銀は「金融緩和政策の持続性を高める」ためだとしていますが。

木内:事実上の正常化策だと思います。日銀は2016年9月に長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策を導入し、それまでの国債買い入れによる量の緩和から長期金利をゼロ%に誘導する金利操作に変えました。

 この後、長期国債の買い入れによる増加額を年間約80兆円で維持するとしながら実際には40兆円程度に抑え始めました。私から言えば、これが事実上の正常化策第1弾でしたが、今回はそれに次ぐ第2弾といえるでしょう。

銀行経営の悪化に対応した
長期金利の変動幅を広げたからですか。

木内:事実上の利上げというべきだと思います。16年9月の政策で短期金利をマイナスに抑え、長期金利をゼロにしたことで(国債の運用である程度の収益を稼ぐ)銀行の経営が苦しくなり、日銀による国債の大量購入で債券市場は、半ば機能不全に陥りました。

 今回の政策変更はこうした“副作用”を一部でも解消しようというわけでしょう。もちろん日銀自身は、金融緩和を継続するためと前向きな発言を繰り返していますが、そこが本心ではないと思います。

 銀行の経営が厳しくなり、超金融緩和の長期化に批判が高まるのに対応したのでしょう。しかし、今後も銀行の経営が改善しないとなると、市場はさらなる政策変更を期待し始めるでしょうね。

0.1%程度、金利が上がっても銀行経営への影響は限定的と見られています。

木内:米国は金融緩和から正常化に動いているし、ユーロ圏も資産買い入れ策を終えようとしています。欧米の金利が上がる時に日本だけが上がらなければ、やはり批判にさらされるでしょう。

 今回の決定会合の直前、市場では「日銀が長期金利上昇を容認する」との観測が広がり、金利が上昇する局面がありました。日銀は指し値オペ(日銀が指定する利回りで国債を買い入れる手法)で金利を抑えましたが、その直後の決定会合で結局は事実上の利上げです。

 「日銀も市場の動きを無視できなくなった」と市場参加者は感じたのではないでしょうか。長期金利をゼロ%に誘導しながらプラスマイナス0.1%の幅を認めていたのを、0.2%幅に変えただけですが、そうせざるを得なくなったということが大きい。

「緩和政策の持続性を高めるための変更」と日銀は言っていますが、持続性は高くないということですか。

木内:そう思います。意外に早く崩れる可能性もあると思います。早ければ年内にももう一段、金利の変動幅を広げることもありえるのではないでしょうか。事実上の再利上げです。

緩和を「当分の間」継続は政府への配慮
どの程度の利上げがあり得るとみているのですか。

木内:一気に引き上げることはありません。急に引き上げると、国債価格の下落で銀行に損失が出ることになるからです。少しずつやるとしても、短期金利をマイナスのままにして長期金利を将来的には0.5%くらいにしていくことはあり得ると思います。

しかし、フォワードガイダンスでは、現状の金融緩和を「当分の間」続けるとしています。

木内:フォワードガイダンスの導入にはいくつかの狙いがあると思います。1つは、事実上の正常化をゆっくりと進めるため。大きな変化を起こさないという意志を見せることです。2つ目は政府への配慮です。2019年10月に消費税の引き上げが予定されています。その時期と金融緩和からの正常化が重ならないようにするという政府へのメッセージではないでしょうか。

 3つ目は円高対策です。金融緩和を継続しないとなると、外債などへ向かっていた機関投資家のマネーが還流し、急速な円高をもたらしかねない。それは止めたいわけです。4つ目は、金融政策を決める政策委員の中の(さらなる金融緩和が必要だとする)リフレ派への対応でしょう。

 特に政府への配慮は大きいのではないでしょうか。

ETFとREITの買い入れ方の変更の狙いは。

木内:買い入れ額は変更していませんから、例えば年間約6兆円購入しているETFを3兆円にするといったことはありません。

 しかし、基本的に株価が下がった時に買うことにしていますから、上昇時には買えない。すると、株価上昇が続くと購入できない期間が続くこともありえます。その状況で期末になると、無理をしてでも買わざるを得なくなる。そうしたことはしませんというのが今回の変更。期末に近くなって5兆円しか買っていなくても、市場の状況によっては無理な買い入れはしないということです。

 TOPIX連動型の比率を高めるのも含めて、特定銘柄や市場の株価への影響をできるだけ抑えたいというわけでしょう。


このコラムについて
キーパーソンに聞く
日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/177.html#c4

[政治・選挙・NHK249] <沖縄知事選> 自民党のこの人選、可笑しくないか  赤かぶ
1. 2018年8月19日 00:40:15 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1319]
辺野古をめぐる茶番劇に幕を引くとき
利益誘導に「沖縄の心」を利用するのはやめよう
2018.8.17(金) 池田 信夫
普天間基地のオスプレイ(出所:米海軍)
 沖縄県の翁長雄志知事が名護市辺野古の埋め立て承認を撤回すると発表した直後に急死し、辺野古問題は混乱に陥っている。政府は8月17日に予定していた土砂投入を延期し、9月30日に予定されている県知事選挙の後まで先送りされるとの見方も出ている。

 辺野古移設は仲井真知事が承認したが、それに反対して当選した翁長知事は承認を取り消した。国は「取り消しは違法」だと県を提訴し、最高裁で県の敗訴が確定したので、また県が撤回しても法的には無意味だ。いつまでこんな茶番劇を続けるのだろうか。

「沖縄振興策」は利益誘導
 普天間飛行場を移設する方針は、もともと橋本内閣が米軍基地の整理縮小策の一環として提案し、1997年に辺野古沖に移転することで日米が合意したものだ。しかし民主党政権で鳩山首相が移設先について「最低でも県外」と約束し、具体案が出せないまま撤回して辞任した。

 これによって辺野古問題は混乱し、仲井真知事も「県外移設」を掲げて知事に再選された。その後、2013年末に仲井真知事は安倍首相と会談し、首相は毎年3000億円の振興予算を8年間にわたって確保することを約束した。このとき仲井真氏は「有史以来の予算」と高く評価し、辺野古移設を容認した。

 これに沖縄県民は反発し、県議会は知事辞任要求決議を賛成多数で可決した。「県外移設」が「オール沖縄」のスローガンになり、それを公約にして2014年に仲井真知事の約束を破ることを公約に掲げて当選したのが翁長知事である。

 このように知事の方針が二転三転して何度も補助金を要求する沖縄の姿勢には「約束違反の利益誘導だ」という批判が強い。翁長氏も2012年の朝日新聞のインタビューで、それを認めている。

 振興策を利益誘導だというなら、お互い覚悟を決めましょうよ。沖縄に経済援助なんかいらない。税制の優遇措置もなくしてください。そのかわり、基地は返してください。国土の面積0.6%の沖縄で在日米軍基地の74%を引き受ける必要は、さらさらない。いったい沖縄が日本に甘えているんですか。それとも日本が沖縄に甘えているんですか。

沖縄の基地は減っている
 翁長氏は利益誘導であることを認めた上で「それは本土の負担を沖縄が引き受ける対価だ」と開き直るのだが、それは本当だろうか。次の図のように沖縄が返還された1972年に比べると、沖縄の米軍専用施設の面積は33%減った。この時期に全国の基地が45%減ったので、沖縄の比重が上がっただけだ。

全国知事会の資料より(防衛省調べ)
 つまり基地が沖縄に集中したのではなく、本土でも沖縄でも基地は縮小されたのだ。沖縄の縮小率が小さかったのは、本土が沖縄に甘えているからではなく、その逆でもない。アメリカの極東戦略の変化によるものだ。

 1951年のサンフランシスコ条約では、沖縄の米軍基地には日本国憲法が適用されなかったので、核兵器が配備され、海外派兵も行われた。それが沖縄に米軍基地の集中した原因である。

 沖縄返還の後、米軍縮小策で在日米軍基地は大きく減り、その位置づけも補給基地になったが、朝鮮半島と台湾に近い沖縄の地政学的な重要性は大きいので、沖縄の基地はそれほど減らなかった。

 その位置づけも「攻撃の前進基地」だったので、自衛隊がその役割を分担することは難しい。沖縄返還で日本の領土になったのだから、日本が守るべきなのだが、憲法の制約でできない。

 このように沖縄の米軍基地は、日米同盟という戦後日本の「裏の国体」の要だったが、それは平和憲法という「表の国体」との矛盾を抱えている。日本政府はその矛盾を沖縄に押しつけ、補助金でごまかしてきた。

 沖縄の地元紙をはじめとする革新勢力も、利益誘導の応援団となってきた。革新は基地反対を叫び、保守がそれを抑える見返りに本土からいつまでも補助金を取る茶番劇が続いてきたが、彼らは辺野古問題に決着がつくと困る。革新が弱体化したので、保守の翁長氏が革新に相乗りしたわけだ。

日米関係の中で沖縄を考えよう
 観光以外に産業のない沖縄にとって補助金は最大のビジネスなので、利益誘導は一概には否定できないが、それを「沖縄の心」という美辞麗句で飾ることが問題を混乱させてきた。本質的な問題は、日米関係の中で米軍基地をどう位置づけるのかである。

 この点で、翁長氏が全国知事会に提案して、8月14日に防衛省に提出された米軍基地負担に関する提言は注目に値する。

 これは「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させることや、事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入の保障などを明記すること」などを求めるものだ。

 現在の日米地位協定では、米軍基地に日本の航空法は適用されない。東京の上空は「横田空域」と呼ばれる米軍の空域で、管制権はアメリカにある。これは主権国家としては異常な状態で、占領統治の延長上にあるといってもよい。

 ところが日本は憲法の建て前で軍備を持てないので、対等な軍事同盟を結ぶことができない。このためアメリカが在日米軍基地の指揮権も管制権も持つ地位協定ができ、日本政府は「事前協議」を求める権利しかない。

 これを解決する方法は安保条約を改正して日米が互いに防衛責任をもつことだが、それは憲法第9条に違反する。アメリカから見ると、日本はアメリカを守る責任がないのに、アメリカが日本の防衛責任を負う安保条約は不平等条約である。憲法を改正するなら、安保条約と地位協定も一体で考える必要がある。

 米軍再編の中で、海兵隊の基地は今後ずっと沖縄にあるとは限らない。北朝鮮情勢が不安定なとき辺野古移設を撤回するわけには行かないが、長期的には海兵隊の縮小は選択肢だろう。そういう戦略的な議論をするならともかく、情緒的な「反戦・平和」論議には意味がない。

 沖縄問題の本質は、日米同盟の矛盾である。翁長氏はそういう沖縄の表も裏も知り尽くした上で、「沖縄の心」を最期まで演じたのだろう。それは彼なりの沖縄への奉仕だったのかもしれないが、ここで茶番劇には区切りをつけ、日米関係の中で沖縄問題をまじめに考えてはどうだろうか。
http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/433.html#c1

[経世済民128] 米中貿易協議に関して(在野のアナリスト) 赤かぶ
2. 2018年8月19日 06:53:18 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1317]
  ■ 『from 911/USAレポート』第774回

    「2018年『波乱の秋』3つのシナリオ」

    ■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(冷泉彰彦さんからのお知らせ)

<その1>

もう一つのメルマガ、「冷泉彰彦のプリンストン通信」(まぐまぐ発行)
http://www.mag2.com/m/0001628903.html
(「プリンストン通信」で検索)のご紹介。

JMMと併せて、この『冷泉彰彦のプリンストン通信』(毎週火曜日朝発行)もお読
みいただければ幸いです。購読料は税込み月額864円で、初月無料です。

<お知らせ、その2>

『自動運転「戦場」ルポ : ウーバー、グーグル、日本勢 ── クルマの近未来』
(朝日新書、税込み853円)という本を出版いたしました。皆さまの議論の一助と
なればと思っております。書店等でご覧いただければ幸いです。

http://mag.jmm.co.jp/39/13/310/148670

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 『from 911/USAレポート』               第774回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 2016年の9月から10月にかけて、「もしかしたらヒラリーが負けるかもしれ
ない」という見方が出始めていた頃の話です。当時のアメリカの株式市場では「トラ
ンプが大統領になるかもしれない」という話題は、イコール「株安」につながってい
ました。そして、「11月にトランプが勝ったら大暴落が起きる」ということが信じ
られていたのです。

 その頃、言われていたのは「トランプの勝利は、アメリカに取っての Brexit」だか
ら、最低でも10%から15%の暴落は必至だろうというものでした。もっと具体的
には、当時の市場はヒラリー勝利を織り込んでいたわけですし、そもそも「NAFT
A見直し」だとか「貿易戦争」といった「政策」というのは、グローバル経済に最適
化しているアメリカ経済を壊しかねないと思われていたからでした。

 では、実際にトランプが当選したことで、株の暴落が起きたのかというと、そうで
はありませんでした。反対に、株は上昇して行ったのです。きっかけは、2016年
11月8日の晩、当選確実の報道を受けて行った「勝利宣言スピーチ」でした。今か
ら考えると、全く信じられないのですが、「分断から和解を」と訴える格調の高いス
ピーチだったのです。

 このスピーチを契機として、株価は一気に上がって行きました。実は、当確が打た
れたアメリカ時間の8日の深夜(実際には9日未明)に、売買がされていた大きな株
式市場は東京だけで、その東京は「ヒラリー敗北悲観で暴落」していたのでした。と
ころが、東京がクローズする前後でトランプの演説が出て、これを契機に上げに転じ
たのは欧州市場だったのです。明けて9日のNYは全面高になったのでした。

 この「和解のメッセージ」がどうして株高を招いたのかというと、そこには明確な
期待があったからです。それは「ドナルド・トランプ」というのは変人奇人として選
挙戦を戦ったが、それはあくまで勝利のための戦術であって、実際にホワイトハウス
に入ったら、「普通の共和党大統領」として常識的な政治を行うのではという期待で
した。

 その期待は、しかしながら年が明けて2017年1月の就任式で一気に裏切られる
ことになりました。就任演説で、事もあろうに大統領は「アメリカ・ファースト」と
二回叫び、しかも「アメリカ・ファースト・オンリー」という、あくまで自己流の政
策を貫くことを宣言したのです。

 しかしながら、2016年11月に始まった「トランプ株高」は止まりませんでし
た。理由としては、経済のファンダメンタルズが強くなって行く「めぐり合わせ」に
あったということに加えて、規制緩和や減税といった「株高に通じる共和党流の判断」
への期待があったからです。その後、2017年夏にはヴァージニア州で発生した白
人至上主義者のテロ行為について、反対派デモとの「双方に非がある」という大統領
の発言が物議を醸しましたが、これも「経済には直接関係がない」ことから株には影
響を与えませんでした。

 そして、2017年12月には早々に大規模な「トランプ減税」法案を、議会で通
すことに成功して、大統領は市場の期待感に応えたのです。その株価が初めて揺らい
だのは、2018年の2月でした。この頃から「貿易戦争」宣言が本格化しており、
市場はこれに敏感に反応して行ったのです。では、株は暴落へ向かったのかというと、
一旦は大きく下げたものの、一進一退となりつつ、再び高値を追うようになって行き
ました。

 30社の平均に過ぎないNYダウ、ハイテク株に偏ったNASDAQではなく、も
っと市場全体を代表する指標と言われるS&Pで言えば、現在の最高値は1月末の
2872ドルで、現在は2850ドルですから、戻り切るまであと一歩というところ
まで来ています。この戻しですが、「雇用も消費も堅調で、ファンダメンタルズは依
然として強い」「大規模緩和からの連銀の出口戦略のさじ加減が絶妙」「中国との間
は最後には対決回避になるという楽観論」の3点セットで来ているのだと思います。

 とりあえず8月13日から17日の週に関しては、そのような雰囲気で来ています。
今週は、トルコの「リラ・ショック」があり、株もそれなりに動揺しましたが、16
日の木曜日に大きく戻したのは、あくまでこの3点セットが強固だということが言え
ます。

 とりあえず8月17日の現時点では、アメリカ経済と市場の状況はそんなところで
す。では、この先、秋口以降もこの3点セットのような「バランス」が効いて、アメ
リカの経済と市場は安定が続くのでしょうか?

 この秋、2018年の9月というのは2008年のリーマン・ショックの「10周
年」になります。早いものだという感覚もある一方で、この10年間でアメリカ社会
も、そして世界も一変したことを思うと、何とも複雑な感慨を覚えます。そんな、こ
の秋ですが、構造的に考えてみて、「波乱」が起きるのは避けられそうもありません。
とりあえず、3つのシナリオを検討してみたいと思います。

 1番目は、トランプ政権が安定し、株価も安定、アメリカの政治・経済・社会がこ
の秋を無難に乗り切るというシナリオです。そのためには、次のような条件が必要で
す。

(1)景気の暗転が起きず、また連銀が年内の利上げを「上げ過ぎず、据え置き過ぎ
ず」の絶妙な判断で乗り切る。
(2)そのためにもトルコの「リラ不安」は早急に収拾がされ、欧州の金融機関の動
揺も軽微、また難民の欧州への押し出しも回避される必要がある。
(3)政権の「ロシア疑惑」は、側近のマナフォート、フリンなどの有罪で「手打ち」
となりトランプ家からは有罪になる人物は出ない。
(4)中国との通商戦争も9月一杯で解決し、11月のブエノスアイレスG20サミ
ットには「しこり」を残さない。
(5)景気の安定ということ、また民主党サイドの「過度の左シフト」の結果、11
月の中間選挙では、上下両院とりわけ下院において共和党は過半数を維持する。
(6)その結果、大統領の弾劾裁判は成立の可能性が消滅する。

 この6点は、相互に関連があると見なくてはなりません。例えば、(3)のロシア
疑惑がどんどん深刻化した場合には、「トランプ劇場」の演出はより過激化して、支
持者を「面白がらせる」必要が出て来ますから、トルコや中国との和解は難しくなり
ます。問題を思い切り「こじらせ」た上で、敵味方の峻別を濃厚にして行く必要が出
てくるからです。一方で、リラ不安や米中通商戦争の激化ということになれば、市場
は持たないでしょう。

 2つ目のシナリオは、「株安が先」というものです。アメリカ経済のファンダメン
タルズは強いと言われています。例えば、大規模小売のウォールマートは史上最高の
決算だというのですが、私にはそれがちょっと引っかかるのも事実です。廉価品中心
のウォールマートが大きく伸びたというのは、消費センチメントが「どこか冷え込ん
できた」兆候なのでは、という疑念も少しあるからです。

 ウォールマートについて言えば食料品が売れているというのですが、乾物はPBも
含めて悪くないのですが、生鮮品は質的に相当落ちるので、それが売れているという
のは、あんまりいい感じがしません。見方として、インフレからの生活防衛という範
囲であれば許容もできるのでしょうが、私が気にしているのは、それこそ今から10
年前、リーマンショックの闇が全米を包んでいた時、かなり良い身なりをした客層が
ウォールマートに殺到していたという異様な光景です。

 もしかしたら消費のセンチメントが下がってきているのでは、そんな感覚があるの
です。航空会社も史上最高の決算というのですが、国内線に乗って大空港の賑わいな
どを見ると、春先に比べて、夏場の勢いはどうも今ひとつのような感じがしてなりま
せん。ネット広告にしても、SNSにしても収益ということでは、伸び悩みの時期に
来ている感じもします。

 そんな中で、仮に9月に連銀が「強すぎる引き締め」に動いた場合、あるいは「ト
ルコのリラ問題」の長期化に市場が耐えられなくなった場合に、それこそ「リーマン
・ショックの10周年」を契機として、市場と景気、雇用が大きく動揺するかもしれ
ません。

 そうなると、それこそ2008年の大統領選の再現で、9月から11月へと一気に
政権与党がモメンタムを失って、今年の場合は中間選挙における共和党の大敗という
ことになる可能性もあります。

 3つ目のシナリオは、「選挙の敗北が先」というシナリオです。景気も株も「だま
しだまし」行って、11月まで大破綻は回避できた、だが、選挙で共和党は大敗して
しまい、そこからダラダラと問題が深刻化、という流れです。

 この順番は最悪です。というのは、仮に「直前まで共和党優勢」で「蓋を開けてみ
たら大敗」ということになると、そのショックが大きいだけではありません。民主党
は、直ちに「大統領弾劾」のプロセスに進む可能性が大きいのです。ちなみに、弾劾
裁判の発議つまり「起訴」というのは下院の司法委員会の決議を受けて下院本会議で
行うので、下院の多数を民主党が取っていれば「できて」しまいます。また上院での
可決には「3分の2」という高いハードルが設定されているのですが、共和党議員の
中にも弾劾に「賛成」という票が出る可能性があり、下院さえ通れば弾劾まで行く可
能性はあると思われます。

 ただし、この大統領がアッサリ辞任するとは限らず、ダラダラと「弾劾のドラマ」
が続くようですと、政治も経済もボロボロになる危険があると思います。更に言えば、
弾劾成立の場合も、大統領辞任の場合もペンス副大統領の昇任ということになります。
その場合に、ペンスとしては「トランプに恩赦を与えない」という冷酷な判断を下し
て、トランプ政治を完全に断ち切り、実現可能な範囲での政治、つまり通常の共和党
的な政権運営をしっかり行えるのかが問われます。

 そこでペンスがウロウロするようですと、弾劾成立の勢いで民主党が更に勢いを増
す、けれども民主党は対立エネルギーの上で突っ走るので、「左シフト」がどんどん
強まり、国民皆保険、最低賃金一律15ドル、移民への市民権付与、労働者の権利拡
充といった政策に突っ走って、市場はこれを嫌い、経済が立ち直らないという可能性
もあるでしょう。

 反対に、2番目のシナリオのように、早めにトランプ経済が崩れ、トランプ政治が
行き詰まる、その場合は、同じように弾劾騒動にはなるでしょう。ですが、民主党に
は「政権運営への真剣な覚悟」が問われますから、実現可能な政策、つまり「頭を冷
やして、やや中道」という姿勢が取れるかもしれません。3番目のシナリオの場合は、
世界経済への影響も含めて、問題は大きくなりそうです。

 株価と景気ということだけで言えば、第1のシナリオ、つまりトランプが「狭いゾ
ーン」の中で現実的な判断をして、中間選挙にも勝ち、なし崩し的に「ようやく常識
的な政権」に移行してくれるのが一番いいのですが、その可能性はかなり低いように
思われます。

 となると、株安が先で選挙敗北がその結果となる「早めの変化」シナリオが「まだ
マシ」であり、ダラダラこのまま進んで選挙で大敗、そこから株と景気のクラッシュ
が始まって、弾劾騒動でそれが悪化しつつ長期化するというのが「最悪シナリオ」と
いうことができると思います。いずれにせよ、リーマン・ショックの「血の底が抜け
るような」経験から10年、この2018年の秋も、アメリカの政治経済は波乱含み
と言えそうです。

------------------------------------------------------------------
冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家(米国ニュージャージー州在住)
1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大学大学院(修士)卒。
著書に『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』『チェンジはどこへ消えたか〜オ
ーラをなくしたオバマの試練』『場違いな人〜「空気」と「目線」に悩まないコミュ
ニケーション』『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名
門大学の合格基準』『「反米」日本の正体』『トランプ大統領の衝撃』『民主党のア
メリカ 共和党のアメリカ』『予言するアメリカ 事件と映画にみる超大国の未来』
など多数。またNHK-BS『クールジャパン』の準レギュラーを務める。

近著は『自動運転「戦場」ルポ : ウーバー、グーグル、日本勢 ── クルマの近未来』
(朝日新書)
http://mag.jmm.co.jp/39/13/311/148670


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/220.html#c2

[経世済民128] 米中貿易協議に関して(在野のアナリスト) 赤かぶ
3. 2018年8月19日 06:54:52 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1318]
原油市場は下落トレンドに突入してしまうのか
米国のイラン制裁で主要産油国の協調体制が瓦解
2018.8.17(金) 藤 和彦
イラン大統領、米の「心理戦」批判 制裁再開控え
ドナルド・トランプ米大統領(左、2018年7月18日撮影)とイランのハッサン・ロウハニ大統領(2018年5月2日撮影)。(c)AFP PHOTO / HO / IRANIAN PRESIDENCY〔AFPBB News〕

 米WTI原油先物価格は、7月半ば以降、1バレル=67〜70ドルのレンジで推移してきたが、徐々に下押し圧力が強まっている(米国の原油在庫が大幅増加したことから、8月15日のWTI原油価格は1バレル=64ドル台と6月下旬以来の安値となった)。

 相場の動向を左右する要素は(1)「地政学リスクの上昇」と(2)「原油需要の鈍化懸念」である。

イランの原油生産量は予想ほど減少しない
 まず「上げ」要因である地政学リスクの上昇だが、市場関係者が最も注目しているのは米国とイランの対立であるのは言うまでもない。

 米国政府は8月7日からイラン制裁の一部を再開させた。今回復活したのは自動車や鉄鋼に関するものが中心であり、原油に関する制裁は11月上旬に復活する。

 米国政府はイランに対する制裁を再開させることで、当初目標としていた「イラン産原油の完全輸入停止」には届かないものの、「イラン産原油の輸出量が最大で日量100万バレル削減できる」と予想している(8月10日付ブルームバーグ)。米国の制裁復活を控えて欧州(今年上期の輸入シェア20%)韓国(11%)の石油会社がイラン産原油を手控え始めていることから、イラン産原油の輸出量は徐々に減少し始めており、ピークの日量270万バレルから7月には同232万バレルとなっている。米モルガン・スタンレーは「米国の制裁により今年第4四半期のイラン産原油の生産量は現在の日量380万バレルから最大で同270万バレルにまで落ち込む」との見方を示している。輸出全体の70%、歳入の30%を占める原油輸出量の維持は、イラン政府にとって死活問題である。

 だが、イラン産原油の生産量は市場の予想ほど減少しないとの見方もある。実際に7月のイランの原油生産量を見ても、日量373万バレルとピーク時と比べて5万バレル程度しか減少しておらず、輸出量の減少(38万バレル減)に比べて小幅である。

 欧州や韓国と異なり、イラン産原油の最大の輸入先である中国(26%)は、6月の輸入量は日量72万バレル、7月には同80万バレルとその規模を拡大している。シェア第2位のインド(23%)の7月のイラン産原油輸入量も前月比30%増、前年比85%増の日量77万バレルとなり、過去最高だった。イラン側がインドに対し原油の輸送費用を無料としたことなどがその要因とされている。

 イラン産原油は、販売努力に加え、通貨リヤル安により価格競争力の上昇などが追い風となって、発展途上国を中心に新たな取引先を確保できる可能性がある。

 米国政府は「イラン産原油の著しい削減が制裁回避の条件である」と輸入国に声高に主張しているが、2012年の際も、イラン産原油の輸入国は半年ごとに「著しい削減」の実行を証明することで制裁は免除されていた。「著しい削減」とはいえ、その基準は曖昧であり、少量でも前期に比べて原油輸入が減少していれば制裁は発動されることはなかった。今回も同様の運用になるのではないだろうか。さらに、「主要産油国が協調減産を続けていることから、前回に比べてイラン産原油の代替品が比較的容易に見つかる」との指摘もある。

懸念された米国とイランの軍事衝突
 8月に入ると市場では新たに「米国とイランが軍事衝突する」との懸念が生じた。イランが米国の制裁が開始される直前の2日にペルシャ湾で海上軍事演習を開始したからだ。例年秋に行われる演習がこの時期に実施されるのは異例であり、ペルシャ湾で展開中の米艦艇への連絡もなかった(軍事演習は突発事案が生じることなく無事終了した)。

 イランの最高指導者ハメネイ師は8月13日、トランプ大統領が前提条件なしにイランとの首脳会談に応じる考えを示したことに関連し、「米国とは戦争もしないし、交渉もしない」と断言した。専門家は「米国がイランへの制裁を復活させても、両国関係が急速に緊張することはなく、現状維持が続くだろう。双方とも相手に対する言葉での批判は過激なるだろうが、軍事衝突は望んでいない」と考えている(8月7日付日本経済新聞)。

「革命防衛隊が機雷を撒くなどしてホルムズ海峡を封鎖する」との憶測もあるが、そうなればイラン自らの原油輸出にも大きな支障が生ずることになり、イラン側が取り得る選択肢だとは思えない。

増加している世界の原油生産
 米国とイランの対立を尻目に他の主要産油国は着実に増産している。

 1カ月前に「供給不足に陥る可能性がある」と警戒していた国際エネルギー機関(IEA)は8月10日、「サウジアラビアやロシアなどの産油国が生産を増やしたことから世界的な原油供給懸念が後退した」と認識を改めた。

 世界最大の原油生産国であるロシアの7月の原油生産量は日量1122万バレルとなり、過去最高を記録した2016年10月の水準に肉薄している。世界第3位のサウジアラビアの原油生産量も6月に日量1049万バレルと急上昇した(7月の原油生産量は日量1030万バレルと下落している)。また米国の原油生産量も、頭打ちの傾向があるものの、過去最高に近い水準を維持している(直近の生産量は日量1080万バレル)。

 IEAの8月の月報によれば、7月の世界の原油生産量は前月比30万バレル増の日量9940万バレルとなり、IEAが想定している今年の世界の原油需要見通し(日量9915万バレル)を既に上回っている。

原油価格を引き下げる米中貿易摩擦
 需要面に目を転じると、世界最大の原油輸入国である中国の状況が芳しくない。

 中国の7月の原油輸入量は日量848万バレルとなり、6月(836万バレル)に続いて低水準となった(5月の原油輸入量は920万バレルだった)。このことが市場参加者の不安心理を煽り、原油価格は前日比3%超減の大幅安となった。このところ中国の原油輸入を牽引してきた民間製油所(茶壺)が、原油高や消費税課税の厳格化により精製マージンが縮小し輸入を手控えるようになったことがその要因だ。茶壺の苦境は今後も続く可能性が高い。

 米中貿易摩擦が激しくなることで中国の原油需要はさらに鈍化するとみられる。報復関税の応酬は中国側にとって不利とされている。貿易戦争による実体経済への悪影響は徐々に出始めているが、金融市場(株式や人民元など)では既に顕著である。世界の大手金融機関で組織する国際金融協会は8月7日、「中国の人民元相場の大幅下落が大規模な資本流出を招き金融市場に混乱をもたらす恐れがある」と警戒を呼びかけた。

 米国側はこれまでのところ影響を受けていないが、今後も無傷でいられるだろうか。

 中国政府は8月8日、「米国政府の関税措置に対抗し、23日から米国からの輸入品160億ドル相当に25%の追加関税を課す」と発表したが、当初輸入関税追加のリストに入っていた米国産原油は最終的には除外された。中国商務部はその理由を「中国は石炭から天然ガスへの転換などエネルギー消費の構造調整を行っており、石油や天然ガスの輸入を増やすことが必要だ」と説明している。だが中国の石油会社は、先行きの不透明感から米国産原油の調達に消極的になっている。割安感から2016年以降、米国産原油の輸入を積極的に増加させてきた石油石油化工(シノペック)は、今後、米国産原油の輸入を停止することを決定した(8月3日付ロイター)。

 米国産原油の中国向け輸出量は過去最高だった3月の日量45万バレルから7月は23万バレルにまで減少しており、米国内の在庫増加圧力は高まりつつある。ドライブシーズンが過ぎ原油需要が軟調となり始めるこの時期に在庫が増加すれば、原油価格が大幅下落し、好調を維持する米国の金融市場(ジャンク債や株式)に打撃を与えることになる。

 世界の原油需要の3割を占める米中両国の経済が減速するリスクがあることから、原油価格上昇をリードしてきたヘッジファンドは原油価格の下落を意識するようになり、保有する米WTI原油先物と北海ブレント原油先物のポジションの合計は2016年以来の低水準となっている(8月6日付ブルームバーグ)。

 米国によるトルコに対する制裁も、原油市場の新たな攪乱要因となりつつある。米国政府は8月10日、トルコで自宅軟禁されている米国人牧師の釈放をトルコ政府に強引に認めさせるためトルコ産の鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税を引き上げた。だが、これによりトルコの通貨リラが急落、金融危機が欧州や他の新興国市場に波及し(8月13日付ブルームバーグ)、原油需要のさらなる鈍化を招くとの懸念が高まっている。

 7月に7%下落した原油価格だが、原油価格を下支えしてきた主要産油国の協調体制が米国のイラン制裁により瓦解してしまったことから、今後は本格的な下落トレンドに入ってしまうのではないだろうか。

サウジ皇太子、名実ともに権力を手中に
 最後にサウジアラビア情勢についてコメントしたい。

 サウジアラビア政府は8月6日、同国の人権状況をカナダ外相が批判したことに激怒して一方的にカナダとの国交を断絶した。このことはサウジと同盟関係にある欧米諸国やベテランのサウジウォッチャーにも衝撃を与えた(8月8日付フィナンシャル・タイムズ)。イエメンへの軍事介入をはじめ人権問題に関して国際的な批判を浴びているサウジアラビア政府は、カナダに対して過剰反応を示すことで今後一切批判を受けつけないとのメッセージを打ち出そうとしているかのようだが、実権を握るムハンマド皇太子の強硬な外交姿勢を問題視する声が一層高まっている。

 2017年6月にカタールと一方的に断交し、その後ドイツ政府がイエメン問題を批判したことを理由に政府プロジェクトからドイツ企業を締め出したことなどを踏まえ、最新の米国の外交雑誌フォーリン・ポリシーは記事の中でムハンマド皇太子を「傲慢で未熟な人間だ」と痛烈に批判した。

 その皇太子が名実ともに権力を手中におさめる時期が近づいているようだ。

 サルマン国王は7月30日、夏季休暇を過ごすため、紅海沿岸に建設中の新未来都市NEOM(ムハンマド皇太子の肝いりの構想)に到着した(7月30日付ロイター)。欧州や北アフリカで夏季の大半を過ごすのが通例であるサウジアラビア国王が、今年は急遽建設されたNEOM内の宮殿に滞在するという異例さから様々な憶測が流れていたが、8月13日、「サルマン国王の病状が悪化したため、国王専門の医療チームが現地入りしている」との情報が飛び込んできた。

 内憂外患を抱えるムハンマド皇太子への王位継承は果たしてうまくいくのだろうか。
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/220.html#c3

[経世済民128] 日銀の資産総額がGDPを超える!(小笠原誠治の経済ニュースゼミ) 赤かぶ
2. 2018年8月19日 20:04:05 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1319]

相変わらず、問題の本質が見えていないようだが

日銀が国債を買うこと自体は、全く問題ではないし

それで高インフレになるのであれば、長期的には良いことだ


そして日銀の資産総額がGDPを超えるというのは

その購入対象である、国債がGDPの2倍まで増えていることが原因であり

その原因は、これまでのバブル崩壊やバラマキ財政、そして社会保障の膨張の放置といった放漫政治にある


さらに、その原因は、自分で問題を解決しようとせず、

政治(他人)に依存しているのに、その監視のコストも払わない

そもそも監視する能力すらない愚かで無責任な国民にある


その国民の代理人である行政や、政治家、そして多くの企業が

利己的で無責任になるのは当然と言える


いずれ、そのツケを高インフレと低い実質可処分所得

そして社会保障の崩壊という形で、払うことになるのだが

既に手遅れだろう



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/231.html#c2

[経世済民128] トルコリラの問題は一過性ではない これから金融市場に波及する可能性も(マネーポスト) 赤かぶ
5. 2018年8月19日 21:59:52 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1320]
リラ急落のトルコで金取引が急増、過去最高を記録
Eddie van der Walt
2018年8月17日 10:04 JST

  トルコでは通貨リラが急落する中、金先物の取引が過去最高の規模に膨らんでいる。イスタンブール証券取引所の金先物取引は60日平均で1日当たり4万5000枚を超え、3月前半の1万5000枚弱から急増している。ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のデータによれば、トルコは世界5位の金の消費市場。
原題:Gold Trading in Turkey Hits Record High on Lira Troubles: Chart(抜粋)

 

 
乱高下のトルコリラ、次の衝撃に備えヘッジも多様化
アンカラの外貨交換所前でドル紙幣を持つビジネスマン。エルドアン大統領の要請でリラ支援のためドルを売却している
By Christopher Whittall and Patricia Kowsmann
2018 年 8 月 18 日 09:46 JST 更新

 トルコ政府が今週、金融市場の沈静化に向けて対策を講じたことで、リラ売りも一時的に一服した。だが、投資家はさらなる衝撃に備えて、新たなヘッジ手段を探っている。

 トルコに対する脆弱(ぜいじゃく)な地合いを反映し、17日には4日ぶりにリラが対ドルで反落。米国が16日、米国人牧師の拘束問題を巡り、追加制裁も辞さない構えを見せたことが嫌気された。ただ、週間ではなお5%以上値上がりしている。カタールによる150億ドル(約1兆7000億円)の支援策に加え、トルコ金融当局が国内銀行の為替スワップ取引を制限するなど対策を講じたことが背景にある。

 こうした当局の介入により、リラの下落を見込んだ取引はコストが増え、リラを支えたもようだ。だがレジェップ・タイップ・エルドアン大統領の経済政策や物価の高騰、対米関係の悪化、今後1年に返済期限を迎える多額の外貨建て債務など、トルコを巡る懸念に対処するには不十分だとアナリストは指摘する。

 ベレンベルグのエコノミスト、カーステン・ヘッセ氏は「ガン患者が痛み止めを飲むようなものだ。短期的には痛みが和らぐが、トルコ経済の根本的な問題を解決することにはならない」と話す。

 国際通貨基金(IMF)のデータによると、トルコの外貨準備は約1000億ドルと、債務返済に不安を残す水準だ。しかもこれには、市中銀行が預金準備規定を順守するために、中央銀行に預け入れている大量の外貨や金が含まれており、実際はこれより少ない可能性がある。

 トルコ経済の長期的な健全性を巡る不透明感から、投資家はリラを売るだけではなく、さまざまな市場で保険を求め奔走している。

 IHSマークイットによると、貸し出されているドル建てトルコ国債の残高(空売り需要の目安)は、年初の3億5000万ドルから足元では14億ドルまで膨らんだ。また株式市場では、「iShares MSCI トルコ ETF」の空売り残高が今週、年明けから倍近い水準となる430万株に増加し、年初来の高水準を記録した。

 トルコ国債のデフォルト(債務不履行)に備えた保険を購入するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でも、商いが活発になっているとIHSマークイットのディレクター、ギャバン・ノーラン氏は指摘する。

 トルコのベラト・アルバイラク財務相は16日、投資家との電話会議で、厳しい状況にあることを認めながらも、トルコはこの危機を脱し一段と強くなると訴えた。

 電話会議に参加したマニュライフ・アセット・マネジメントの新興国市場アナリスト、リチャード・シーガル氏は「トルコは窮地に追い込まれた中で、何らかの手を打つ必要があった。会議を受けて、投資家は好意的に解釈するかもしれない」と指摘。「だが状況が悪化する可能性はまだ残っている」と語る。

関連記事
通貨安のトルコ、エネルギー価格急騰で「泣き面に蜂」
トルコ経済の警告サイン、新興国で突出
米トルコ、関係悪化の背景 カギ握る6つの火種

 

 


 

 
トルコとアルゼンチンに続くのはウクライナの通貨か
Daryna Krasnolutska
2018年8月17日 15:36 JST

  ウクライナの通貨フリブナはトルコ・リラとアルゼンチン・ペソに次いで最も売り込まれやすい新興国通貨だ。対外債務に対する外貨準備の割合やインフレなどのデータを分析したオックスフォード・エコノミクスがこう指摘した。シニアエコノミストのエフゲニア・スレプトソバ氏によると、旧ソ連から独立したウクライナは外国からの投資の少なさや、海外借り入れへの依存という不均衡を示しており、状況は「極めて深刻だ」という。国際通貨基金(IMF)からの175億ドル(約1兆9400億円)の支援なしでは、ウクライナは通貨危機に直面するとスレプトソバ氏は述べた。
原題:Ukraine’s Currency at Risk of Following Turkey, Argentina: Chart (抜粋)


 

 

 

コラム2018年8月19日 / 10:20 / 3時間前更新
コラム:ドル高と新興国危機、蘇るグリーンスパン氏の警告
Jamie McGeever
3 分で読む

[ロンドン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)議長だったグリーンスパン氏は20年前、「世界で重圧が高まっている中で、米国が影響を受けずに繁栄のオアシスであり続けられる保証はない」と警告した。

ドル高やトルコ金融危機で新興国市場が深刻な内部崩壊の危機にさらされている現状をみると、グリーンスパン氏の発言は今日でも重要な意味を持つ。FRBはいつまで単独で利上げを続けることができるのだろうか。

1998年と同じ流れになるならば、まもなく事態は一変する。グリーンスパン氏の発言は98年9月4日だが、FRBはその数日後に利下げに踏み切り、ドルは数カ月間ではあったが下落した。

グリーンスパン氏が挙げた「重圧の高まり」の要因は、米金利上昇とドル高に端を発する世界的な金融の引き締まりであり、新興国市場が今日抱える問題と根源は全く同じだ。

世界金融危機後に金利が0%近くに据え置かれたことで、借り入れは世界的に過去最高水準にある。また、FRBが2015年以降、緩やかながら確実に利上げを進めた結果、米国債利回りと借り入れコストは世界金融危機以降で最も高くなっている。

これは危険な組み合わせで、FRB当局者は口では逆のことを言うが、今後の金融政策決定でこうした要因を間違いなく考慮に入れるだろう。新興国市場の経済が軒並み悪化した場合、FRBは短期金融市場や政策当局者が示唆するように、年内にさらに2回、来年には3回の利上げを実施するだろうか。

グリーンスパン議長率いるFRBは、ロシア金融危機やロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の経営破綻で市場が動揺したため、1998年の9月、10月、11月にそれぞれ相次いで利下げした。安全資産とされる円はこの年の10月に18%上昇し、月間としては30年ぶり高い上昇率を記録した。

<システミックリスク>

1998年と同様に米経済は現在、ハイテクブームを謳歌しており、政策当局者は低いインフレ率と長期金利の低下、イールドカーブのフラット化に困惑し、新興国市場のドル建て債務は史上最高となっている。トルコ危機は当時のロシア危機と重なる。

歴史がそっくりそのまま繰り返すことは稀だが、共通点はあるものだ。特定の金融機関や市場の機能不全が金融システム全体に波及して危機を引き起こすシステミックリスクは、現在の方が小さいだろう。世界金融危機とその後の規制強化により金融システム全体の借り入れが縮小しているためだ。しかしドルのためにこうした構図は成り立ちにくくなりそうだ。

FRBのまとめによると、ドルの新興国市場通貨に対する実効レートは昨年1月以来の水準に上昇している。

重要なのは過去最高水準からそれほど遠くないという点だ。昨年1月の水準を抜けば、FRBが指数の算出を開始した1995年以来であり、恐らくは1980年代半ばのプラザ合意以降の最高水準となる。

国際決済銀行(BIS)によると、新興市場国のノンバンクに対するドル建ての与信は今年初めに3兆6800億ドルと過去を更新し、借り手の負担は増している。

ドルは4月以降に8%上昇、10年物米国債の利回りは今年に入ってから50ベーシスポイント(bp)近く上がり、2年物米国債の利回りも75bp上昇して2.70%近辺と約10年ぶりの高水準だ。

借り手にとって心配なのはドル高に一服の兆しが見えないことで、特に対人民元では節目の1ドル=7.00元が視野に入った。

また市場全体にとって気がかりなのは危機の「伝染」の兆候が顕在化し始めていることで、少なくとも投資家はヘッジを増やしている。

市場のゆがみを示す、シカゴ・オプション取引所の「スキュー指数」は先週159と過去最高を更新した。セマフォ・マクロのイオアン・スミス氏によると、1990年以降に同指数が145を超えたのは9回だけ。1998年10月と2006年3月に140を超えて急上昇したが、いずれのケースでも市場は2000年と2007─08年にピークを付けた。

スミス氏は先月のノートで「スキュー指数は今度も大きな潮目の変化の前兆になるのだろうか」との問いを発し、目先の相場下落に備えるのは根拠のあることだとしている。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

 

両極端なインド市場、株高・通貨安いつまで続く

投資家はSENSEXから読み取れるインドの状況に警戒すべきだ(写真は独立記念日前夜のムンバイ市内、14日) PHOTO: FRANCIS MASCARENHAS/REUTERS
By
Andrew Peaple
2018 年 8 月 18 日 00:32 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
 インド政府観光局のCMでは「インクレディブル・インディア」とサウンドロゴが流れる。アジアの経済大国であるインドの市場の現状を一言で言い表すならば、まさに「インクレディブル(とてつもない)」だ。
 他の新興国にたがわず、インドの通貨も大きな圧力にさらされている。インドルピーは今週、初の1ドル=70ルピー台をつけ、過去最安値近辺で取引されている。ただ、他国と違ってインド株式市場は健全なようだ。主要株価指数のS&P BSEセンシティブ指数(SENSEX)は過去最高値圏で推移している。年初来の上昇率は11%近く、米S&P500種株価指数など、各国の主要株価指数の大半を大きく上回る。
 投資家はSENSEX指数から読み取れるインドの状況を警戒し、ルピーのさらなる下落も心配すべきだろう。
 わずか30銘柄で構成されるSENSEXは、およそ半数の構成銘柄の大幅な上昇によって押し上げられてきた。ソフトウエア輸出大手のインフォシスやタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)が最たる例だ。ギャブカル・リサーチのウディス・シカンド氏は最近のリポートで、おおかたの買い注文は国内の資産運用会社によるもので、安全資産とされる国営企業に押し寄せていると指摘した。一方、海外投資家の売買動向は売り越しで、より幅広い市場を反映する指数のMSCIインディア・インデックスなどは今年に入りドルベースで下落している。トムソン・ロイターによるとSENSEXの予想PER(株価収益率)は22倍と割高で、調整の機が熟しているようにみえる。
 ルピーはといえば、状況は良くなる前にまだ一段と悪化しそうだ。インドの貿易赤字は先月、5年ぶり高水準の180億ドルに拡大し、市場予想を上回った。バンクオブアメリカ・メリルリンチのアナリストによると、特に準備銀行(中央銀行)関係者が先ごろルピーの一段安を容認する姿勢を示したこともあり、投資資金の流出が再び加速することが目下の懸念事項だ。
 確かに、インドはトルコではない。対米輸出は国内総生産(GDP)比でわずか2%にとどまり、世界貿易を巡る緊張の高まりには持ちこたえやすいはずだ。世界有数の原油輸入国でもあるため、原油価格が下落することがあれば追い風となる。その上、インド中銀はインフレ目標を巡る管理体制で称賛を勝ち取っており、トルコ中銀とは全く対照的だ。それでも、多額の対外債務を抱える国々には厳しい状況が待ち受ける中、インド市場へ戻るのは気の弱い投資家向きではない。

 
レバレッジドローンが以前より「危ない」理由

レバレッジドローンは以前より「危ない」投資なのかもしれない PHOTO: VICTOR J. BLUE/BLOOMBERG NEWS
By
Matt Wirz
2018 年 8 月 17 日 14:02 JST
 近年、投資家はジャンク債発行企業へのローンをかつてないほど大量に購入してきた。ハイイールド債よりも安定したリターンが得られると見込んだからだ。だが、そうしたローンはもはや債権者が思っているほど安全ではないかもしれない。
 ムーディーズ・インベスターズ・サービスが行ったリサーチによると、「レバレッジドローン」の質の急激に低下しているため、将来の景気後退期には回収率が過去平均より大幅に低下するとみられる。ここ数年の低金利で拍車がかかった企業借り入れは記録的な水準に達しているが、その多くは1兆4000億ドル規模の投機的ローン市場で行われてきた。
 ムーディーズによると、次の景気後退期に入った場合、レバレッジドローンの中心的回収率は額面に対して61%となり、過去平均の77%から低下する可能性が高い。リスクがより高い、いわゆるセカンドリーン・ローン(第二順位抵当権付きローン)の回収率は過去平均の約43%から14%に大きく低下するとみられている。

債権回収率の比較 過去の平均回収率 将来の見通し

Source: Moody’s Investors Service
第一順位抵当権付きローン 第二順位抵当権付きローン 無担保ジャンク債
過去の平均回収率x無担保ジャンク債x40%

 債権者はこれまで、企業が倒産した場合でも融資額のほとんどを回収できた。融資は企業の資産で担保されており、通常は担保がない債券の保有者よりも支払請求優先順位が上になるからだ。レバレッジドローンの大半には依然として担保が設定されているが、企業の借入額がより大きくなる一方、株主が自らに過剰な配当を支払ったり、企業の資産をはく奪することを防ぐ法的保護、いわゆるコベナンツ(財務制限条項)が貸し手に付与される例は少なくなっている。
 つまり、次のデフォルトサイクルでは、回収に必要な資産が過去の水準よりも少なくなっている企業により多くの債権者が支払請求をすることになるのだ。無担保債の保有者に残る資産も少なくなるだろう。ムーディーズによると、次のデフォルトサイクルにおける回収率は約32%になる見通しだ。過去平均は約40%である。
 米投資顧問会社グッゲンハイム・パートナーズは4月の顧客向けレポートで、「持続不可能な水準の家計債務が特徴的だった前回の景気後退とは異なり、次の景気後退は社債市場に起因するとわれわれは考えている」と述べ、ジャンク債とローンの予想回収率が下がっていることを警告していた。
 ジャンク債のデフォルト率は来年、低水準を維持するとみられている(ムーディーズの予想は約2.2%)が、金利が上昇して経済成長が減速するようなら上昇するだろう。そうなったら、ローンのデフォルトは前回の信用危機より幅広い投資家に影響を及ぼすことになる。レバレッジドローンの市場規模は2008年末の約8000億ドルから約1兆4000億ドルに拡大しているからだ。
 そうした市場規模拡大の大部分は、フェデラルファンド(FF)金利引き上げに関して投資家の懸念が高まった過去4年間に起きた。ベンチマーク金利と連動して上昇する金利が支払われるローンは、固定金利が支払われる社債より魅力的になるからだ。機関投資家に向けのローン担保証券(CLO)の組成が急増したことも、ローン市場への資金大量流入の一因となった。
関連記事
活況のローン市場の見えざるリスク
LIBOR乗り換え急ぐ企業、金利上昇で利払い削減へ
レバレッジドローン投資、そろそろ懸念の時
レバレッジドローン市場で育つ「リスクの芽」


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/232.html#c5

[経世済民128] ロシアは米国債保有国のランク外に --- 久保田 博幸  赤かぶ
8. 2018年8月19日 22:10:21 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1321]
トップニュース
2018年8月19日 / 08:10 / 9時間前更新
アングル:米国企業のレパトリ鮮明に、海外で米国債保有低下
2 分で読む


[ロンドン 16日 ロイター] - ドル資金が米国に戻りつつある。アイルランドからバハマに至る税制優遇地域で今年になって米国債保有が減少した。これはトランプ政権の税制改革を受け、米企業が海外に保有してきた利益の本国還流(レパトリエーション)を表している。
米国を拠点とする多国籍企業が、これまでに現金もしくは米国債などの流動資産として海外に積み上げた利益の総額は3兆ドルと推定される。米国に戻さない限り、海外で稼いだ利益に対する税金の支払いは繰り延べを認めるという税制になっていたためだ。
しかしトランプ政権がこうした「繰り延べ」ルールを廃止すると同時に、企業が海外利益を米国に戻すなら現金には15.5%、非流動資産には8%の税率を適用するという改革を実施し、資金還流の強力なインセンティブが生まれた。
これらの税率は、以前に還流した場合に適用された35%よりずっと低く、現在の法人税率の21%も下回っている。
結果として今年第1・四半期だけで3000億ドルが米国に戻ったことが、国際収支統計で分かる。

米財務省の国際証券投資統計(TICデータ)を分析すると、税率が低かったり米企業の海外拠点がある、もしくは単にファンド運営や資産管理の本拠地として有名な10地域で、米国債保有が減っている。
米国のハイテク企業や製薬企業の欧州拠点になっているアイルランドは、1─6月で米国債保有額が280億ドル減少。スイス、バミューダ、バハマ、オランダの米国債保有額も急減し、こうした性質の地域で増加したのはケイマン諸島だけだった。

ロンバー・オディエのチーフ投資ストラテジスト、サルマン・アフメド氏は「米国債保有の落ち込みが主に税制面の事情に起因しているのは明らかだ。(米国への)資金還流が大規模に発生し、ハイテク企業が目立ったけん引役になっている」と述べ、米国債から自社株買いに資金が移動していると付け加えた。
TICデータには、どの企業が資金を戻したかや実際に資金還流が原因で米国債保有が減少したのかを確かめる材料は存在しない。ただし各企業の米証券取引委員会(SEC)への届出書類によると、アップルやグーグル、マイクロソフトの足元の米国債保有額は2020億ドルで、昨年末の約2200億ドルより少ない。
アップル1社だけ1─3月に235億ドル相当の自社株買いを実施し、今後の自社株買い資金にさらに1000億ドルを振り向けた。
そして資金還流が本当に海外の米国債保有を減らしているとすれば、流れは続くはずだ。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリスト、キャロル・チャン氏は、アイルランドの米国債について同国がそれほど多くの外貨準備を持っていない点から全て民間保有だと確信していると話した上で、米ハイテク各社はアナリストとの電話会議で資金還流計画に言及したものの一度に全部戻ってくるわけではないだろうとみている。
(Ritvik Carvalho、Sujata Rao記者)


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/229.html#c8

[経世済民128] ロシアは米国債保有国のランク外に --- 久保田 博幸  赤かぶ
9. 2018年8月19日 22:15:25 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1322]
豪中銀、米国の「問題ある」財政刺激策に不安
豪中銀のフィリップ・ロウ総裁
By James Glynn
2018 年 8 月 17 日 13:55 JST

 【シドニー】オーストラリア準備銀行(中央銀行)のフィリップ・ロウ総裁は17日、米国のインフレ率が「問題のある」財政拡大を背景に急上昇する可能性に不安を募らせていることを明らかにした。

 ロウ氏は議会証言で「私は不安を感じている。経済の生産能力がすでにかなりの高水準にある中、あのような財政政策を打ち出すのは極めて異例だ」と述べた。

 また「米連邦準備制度理事会(FRB)が予定より早く金融緩和を終了せざるを得なくなり、金融市場に破壊的な影響を及ぼす可能性は排除できない」と警告。市場はFRBの意向を再評価する準備ができていないが、「それが起きる確率は高まっている」とした。

 さらに、「米国は経済が好調で失業率が極めて低いため、今は再び財政収支の均衡を目指すべき時だ」とする一方で、米国は正反対のことをしていると指摘した。


 

 

トランプ氏の貿易政策、NY連銀の警鐘はやまず
ニューヨーク連銀はトランプ政権の貿易政策を批判している
By Michael S. Derby
2018 年 8 月 17 日 23:32 JST

 米ニューヨーク連銀は、トランプ政権の貿易政策への厳しい批判を続けている。

 貿易政策は連邦準備制度理事会(FRB)の管轄ではないため、もちろんドナルド・トランプ大統領を名指しすることはない。だが貿易政策が国内経済の動向に影響するのは間違いなく、ニューヨーク連銀から意見が出てくるのは自然なことだ。

 最近のニューヨーク連銀の研究報告や、ウィリアム・ダドリー前総裁の発言は、中国をはじめとする主要貿易相手に追加関税を課すことで貿易赤字の縮小を目指すトランプ氏の戦略について、問題点を指摘してきた。

 とりわけ、貿易の障壁を引き上げるのは逆効果で、それによって解決できる問題よりも多くの問題を引き起こすという多くのエコノミストの見解を強調してきた。

 ニューヨーク連銀が4月に発表した研究は、鉄鋼に対する追加関税が「少なくとも短期から中期的には米国の雇用の純減を招く公算が大きい」と結論付けた。

 8月13日に公表された研究報告ではさらに、米国の関税導入と他国の報復行動により「輸入と輸出がともに減少し、貿易収支は全くと言って良いほど改善しない」との見通しが示された。

 ダドリー氏はニューヨーク連銀総裁を務めていた4月、「貿易戦争に勝つのは簡単だ」というトランプ氏の発言について「貿易戦争に勝者がいるとは思わない」と述べていた。

 これまでのところ、米経済に貿易政策の明確な影響はまだ見て取れない。だが実際に打撃が明らかになった時、ニューヨーク連銀は世論に警告を与えてきたと言うことができよう。


 

 


トランプ大統領、ドルに関する語調に変化−かつてはドル安誘導も
Rich Miller
2018年8月17日 2:06 JST
「大切なドルにマネーが流れ込んでいる」−トランプ氏
ドルは「強く、安定している」−クドローNEC委員長
ドルに関するトランプ米大統領の語り口は、少なくとも今のところは以前と異なるようだ。
  トランプ大統領は16日、投資家はドルに資金を注ぎ込んでいるとツイッターに投稿。こうした展開は通貨の下落ではなく、上昇を後押しする傾向がある。同大統領はこれまで再三にわたり、ドルの下落につながるようなコメントを発してきた。
  トランプ氏は「米経済はこれまで以上に順調だ」と投稿。「われわれの大切なドルには、過去にめったに見られないほどのマネーが流れ込んでいる。企業利益はこれまで以上に高く、インフレは低い。企業の楽観はこれまでになく高い」と続けた。
  ホワイトハウスのクドロー国家経済会議(NEC)委員長はCNBCテレビジョンとのインタビューで、よりあからさまに発言。ドルは「強く、安定している」と述べ、「かなり長い間」レンジで取引されていると話した。
  クドロー氏は「大統領がこの日指摘したように、ドルは王様、ドルは強い、安定しており、信認の証だ」と発言。「マネーが米国に流入している。それは素晴らしいことだ」と語った。
  ドルは広範な通貨バスケットに対し、今年は約5%上昇している。

原題:Trump Changes Tune on Dollar After Talking Down the Currency (1)(抜粋)


 

 

 
米ミシガン大消費者マインド指数:ほぼ1年ぶりの水準に低下
Reade Pickert
2018年8月17日 23:14 JST 更新日時 2018年8月18日 0:22 JST
現況指数の低下幅6.6ポイントは2011年8月以降で最大
家庭用大型耐久財の購入意欲はほぼ4年ぶり低水準
8月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は予想外に低下し、ほぼ一年ぶりの低水準。大型アイテムの購入意欲が薄れたほか、貿易摩擦をめぐる緊張が根強いことが背景にある。

ミシガン大学消費者マインド指数のハイライト(8月、速報値)
消費者マインド指数は95.3と、前月の97.9から低下。昨年9月以来の低水準。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は98.0。予想の最低水準よりも低い結果となった
現況指数は107.8に低下、前月は114.4。6.6ポイントの下げは2011年8月以来で最大
期待指数は87.3で変わらず
1年先のインフレ期待値は2.9%で変わらず
  家庭用の大型耐久財に対する購買意欲はほぼ4年ぶりの水準に低下。自動車は2013年以来の低水準。住宅に対する見方はこの10年で最も消極的だった。

  ミシガン大の消費者調査ディレクター、リチャード・カーティン氏は「家庭用耐久財の価格に対する消費者の声は、この10年近くに見られなかったほどネガティブだ」と発表文で指摘。「強い数字となった最近の国内総生産(GDP)は、経済成長と失業の見通しにわずかなプラスの影響しか与えていない」と続けた。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:Consumer Sentiment in U.S. Declines to Lowest in Almost a Year(抜粋)


 

 

 

トランプ氏の四半期決算廃止案、資本コスト上昇も
SEC(写真)は1970年以降、企業に四半期ごとの決算報告を義務付けている
By Justin Lahart
2018 年 8 月 18 日 07:39 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

*** 

 ドナルド・トランプ米大統領は企業の決算報告の頻度を減らす案をツイートした際、企業トップらから妙案だと言われていると明かした。そうしたトップが率いる企業の株式を保有する投資家は、恐らく意見を異にするだろう。

 米証券取引委員会(SEC)は1970年以来、企業に四半期ごとの決算報告を義務付けている。年月を重ねるうちに、四半期決算を巡る市場の反応はあたかも目まぐるしい曲芸の様相を呈するようになってきた。多くの投資家は数字そのものに注目する代わりに、業績が市場予想を上回ったかどうかを推測しようとし、恒例の電話会議で企業幹部の発言を逐一分析している。

 四半期報告を巡っては、短期業績に対する近視眼的な見方につながり、長期の成功を損なうという批判がある。実際、「アカウンティング・レビュー」誌に先ごろ掲載された論文によると、決算の報告頻度が高い企業ほど、事業への投資が少なかったという。

 経営陣はなるべく多くを語らずに済ませたいかもしれないが、投資家は株式を保有する企業についてできるだけ多くを知りたいと思うものだ。財務報告の期間が空けば空くほど、投資家は株式について一層リスクが高いとみなすようになる。3カ月で起こることより、6カ月の間に起こることの方がずっと多いからだ。どちらの場合でも株価は結果的に同じところに落ち着くだろうが、そこへ至るまでの時間が長引き、短期的な値動きは大きくなる。そうなれば、他の全条件が平等だと仮定すると、株価水準は若干低めになり、企業の資本コストがやや上昇することになる。

 学術雑誌「会計・経済ジャーナル」に2011年に掲載された論文は、決算報告が年1回のみだった1950年代初頭から四半期ごとの報告が義務付けられた70年代までを対象に研究し、報告頻度が高いほど資本コストが低いことを明らかにした。

 半期に一度の報告となれば、投資家の間で競争条件が不平等になる恐れもある。企業の内部関係者や、クレジットカード情報などの特殊情報にアクセスできた投資家は、そうでない投資家に比べ、事業を詳しく知る手掛かりにより長く触れていたことになる。

 会計分析会社シリト・フォレンジックスの創業者、ハワード・シリト氏によると、報告頻度が減った場合のもう一つの問題は、投資家や規制当局にとって不正会計を見抜くのが一層難しくなることだ。

 シリト氏は決算報告の頻度を減らす案を企業幹部が支持するのには驚いていない。「もちろん、企業はやりたいようにやって、縛りが少ない方を望む」と指摘。「重視されるべきなのは投資家にとっての利点だ」と語った。

関連記事
トランプ氏、四半期決算の廃止を提言 SECに検討指示

 


 


四半期決算の終わり? 率直に歓迎できない理由
上場企業の決算発表を年2回にすべきとの提案は名案なのか
By Jason Zweig
2018 年 8 月 19 日 14:24 JST 更新

――筆者のジェイソン・ツヴァイクはWSJパーソナル・ファイナンス担当コラムニスト

***

 トランプ大統領は17日、上場企業の決算発表に関して年4回ではなく、2回だけにすべきだと提案した。

 そうすることで企業は官僚的形式主義に従うためのコストを削減でき、企業トップは長期目標に専念しやすくなるとトランプ氏は示唆した。トランプ氏は決算発表の回数の削減について実現可能性の検討を証券取引委員会(SEC)に要請した。

 著名投資家ウォーレン・バフェット氏と米金融大手JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモン最高経営責任者(CEO)はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で、経営陣による四半期利益の見通し発表を廃止するか、回数を減らすべきだと提言したが、トランプ氏の提言はこれと同じ考え方だ。

 果たしてそれは名案なのだろうか。回数が減ることでどのような違いが出てくるのか。

 同僚のジェームズ・マッキントッシュ記者が指摘してきたように、企業が短期的な決算のプレッシャーから長期的な目標での妥協を強いられるという考え方を裏付けるマクロ経済的証拠はあまりない。例えば企業は研究開発にかつてないほどの大金を費やしている。

 ところが、企業の内部関係者の見方は違っている。デューク大学のキャンベル・ハーベイ教授(金融論)とその同僚らが上場企業の最高財務責任者(CFO)を対象に実施した2003年の調査では、78%が四半期目標を達成するためなら長期的な価値を犠牲にすると回答した。CFOの多くは短期的な利益見通し達成のため、投資の削減、将来的に利益をもたらすプロジェクト開始の延期、売り上げ前倒し計上などもすると認めた。

 「本当に驚いたのは、78%が利益目標達成のために(長期的な)価値を犠牲にすると認めたことだ」とハーベイ教授は話す。「実際の割合はさらに高い可能性もある。企業トップには足元の四半期だけではなく、長期的な目線でわが国の繁栄に寄与する決断をしてもらいたい」

 ハーベイ教授が巨大な年金基金の運用者を対象に実施した2014年の調査では、回答者の大半が年4回よりも年2回または1回の決算を選好しているということが分かった。その理由の1つが、企業トップが粉飾決算の誘惑に駆られる回数が減りそうだという点だ。

 とはいえ、決算を年4回から2回に減らしたからと言って企業トップによるあらゆるごまかしがなくなるとは限らない。ハーバード大学ロースクールのマーク・ロー教授は「企業の決算発表が半年に一度だけになれば、悪影響は少なくなるどころか、拡大する可能性がある」と指摘する。四半期ごとの情報更新がないと「株価はファンダメンタルズからさらにかけ離れたものになるかもしれず、そうなれば経営陣が粉飾決算の誘惑に駆られる可能性はさらに高まる」というのだ。

 もちろん、企業情報への確実なアクセスというコンセプトは、頻度にかかわらず比較的新しいものだ。1930年代の前半まで、投資家が決算報告書を見るためには企業の本社まで行かなければならない場合が多かった。本社まで行ったとしても、株主でなければ、閲覧を拒否されるかもしれなかった。財務調査会社インフォメーション・フォー・ビジネスが1974年に400以上の米大手上場企業を対象に実施した調査では、20%の企業が投資家に年次決算書のコピーを無料で提供していなかった。

 ハーベイ教授とオハイオ州立大学で金融論を教えるイツァーク・ベンデービッド教授にはさらに思い切ったアイデアがある。企業は資産、負債、売上高、経費といった基本的財務情報を毎日、あるいはリアルタイムで更新すべきというものだ。すでに年次、四半期決算報告書に掲載されている項目以外については開示する必要がないので、競合他社にリアルタイムの情報を利用されるということはない。その一方で、そうした継続的な情報更新によって「偽情報が流されたり、価値が歪められたりする可能性が減少する」とハーベイ教授は主張する。

 現時点では多くの企業にそれを導入する技術がないが、ビッグデータの時代に入ったので、将来的にそうなることはほぼ確実だろう。

 SECがすぐに検討できる単純な措置が1つある。企業には四半期利益の見通し公表が義務付けられていないということをはっきりさせるのだ。それを公表しているのは上場企業の約27%に過ぎないが、企業経営の長期志向を推進するための企業や機関投資家から成る非政府組織(NGO)「FCLTグローバル」のサラ・コヘイン・ウィリアムソンCEOは「特に新規上場企業の間で利益見通しを公表しなければいけないという考え方が一般化しているようだ」と指摘する。

 一つ言えそうなことは、たとえ決算の回数を減らしたとしても、短期的な失望に対する投資家の過剰反応は恐らく防げないということである。

関連記事
トランプ氏、四半期決算の廃止を提言 SECに検討指示
トランプ氏の四半期決算廃止案、資本コスト上昇も
【寄稿】短期志向は経済に有害=バフェット氏とダイモン氏
「短期予想の公表停止を」バフェット氏らが寄稿

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/229.html#c9

[経世済民128] トルコリラの問題は一過性ではない これから金融市場に波及する可能性も(マネーポスト) 赤かぶ
6. 2018年8月19日 22:18:20 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1323]

S&Pとムーディーズ、トルコを格下げ−リセッション予想も
Onur Ant、Hari Govind、Ben Bartenstein
2018年8月18日 7:50 JST
格付け会社のS&Pグローバル・レーティングとムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、トルコの信用格付けを引き下げた。リラ相場の不安定さや経常収支の大幅な赤字が同国経済を弱体化させる恐れがあると指摘している。

  S&Pはトルコの外貨建て格付けを、アルゼンチン、ギリシャ、フィジーと並ぶ「B+」に引き下げ(従来は「BB−」)。ムーディーズは同国格付けを「Ba2」から「Ba3」に下げた。両社は通貨安とインフレ急加速、経常収支赤字を同国の主な脆弱(ぜいじゃく)性に挙げた。

  S&Pは「リラの軟化が負債を抱えた民間企業セクターを圧迫しており、トルコの銀行の資金調達リスクをかなり高めた」と述べた。また、「経済的リスクが高まったにもかかわらず、トルコの金融・財政当局による政策対応はこれまでのところ限定的だと当社は考える」と指摘した。

  S&Pはさらに、トルコが2019年にリセッション(景気後退)に陥るとの予測も示し、「インフレは今後4カ月の間に22%でピークをつけ、19年半ばまでに20%を下回るだろう」と述べた。

原題:Turkey Cut Deeper Into Junk as S&P Sees Recession Next Year (1)(抜粋)
 

 

 

 


 


外為フォーラムコラム2018年8月16日 / 16:12 / 1日前
コラム:真夏の嵐を呼ぶトルコリラと中国人民元=斉藤洋二氏
斉藤洋二 ネクスト経済研究所代表
5 分で読む

[東京 16日] - 近頃の金融市場は、デリバティブが駆使され、さまざまなポジションが国境や各市場をまたいで、複合的に積み上がっている。また、AI(人工知能)やアルゴリズムの進化が相まって、大幅な変動が起きやすい。それだけに日々の変動は次々と上書きされ、過去の出来事の記憶は薄らいでいく。

とはいえ、今年はリーマン・ショックが起きた2008年からちょうど10年目の節目であり、いまさらながら当時の金融市場の混乱と直前の泰平ムードとのコントラストが鮮烈に思い出される。

そんな折、日銀は7月17日、2008年1―6月に行われた計7回の金融政策決定会合の議事録を公表した。それによれば、同年6月12―13日開催の会合、つまりリーマン・ショックが起こる約3カ月前に行われた会合においてでさえ、その後の危機到来を十分に見通せていなかった様子がうかがえる。

例えば13日の会合では、当時の白川方明総裁が欧米金融市場の状況を評価する際、危機や最悪期の定義に触れ、「私自身、大手の金融機関が突然破綻することを指して最悪期とか危機だと言っているように思え、そういう意味でいくと多分、危機、最悪期は去ったのだろうと思う」と述べていた。

いつものことながら危機発生前には警戒感がやや弛緩するようであり、当時の金融市場も例に漏れず、サブプライム危機は出口に向かうとの一部の楽観論も手伝って、日経平均、NYダウともに底堅い動きを見せていた。2008年7月11日にはニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物価格(WTI)が1バレル=147ドルの史上最高値を記録するなど、リスクオン・ムードも健在だった。

しかし周知の通り、2008年9月15日の米証券大手リーマン・ブラザーズ経営破綻を機に、市場はリスクオフへと急旋回。その翌月、日経平均は一時7000円割れ、NYダウも一時8000ドルを割り、翌2009年3月には6469ドルの底値まで下落した。その後、各国政府・中央銀行が拡張的な財政・金融政策を総動員した結果、混乱はようやく収束に向かった。

そして10年後の今年、トランプ米政権が仕掛ける対中貿易戦争や後述するトルコリラ・ショックなどもあり、足元ではやや弱気風が吹き始めているものの、日経平均は8月16日終値で2万2000円台、NYダウは同15日終値で2万5000ドル台と、目覚しい回復ぶりを示している(NYダウに至っては回復どころか、今年1月に史上最高値を更新)。

こうした株高の背景には、アップル、アマゾン・ドット・コム、グーグル(アルファベット傘下)など米国を代表するテクノロジー企業の大躍進があるが、それ以上に見逃せないのが「喉(のど)元過ぎれば熱さを忘れる」のことわざの通り、市場に強欲さと投機熱が回帰してきたことだ。

銀行の自己勘定取引などを制限する「ボルカー・ルール」の骨抜きを図る動きはその表れだろう。要するに、バブルの芽があちこちで大きくなっていると思われる。

「十年一昔」とはよく言ったもので、確かに1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、そしてリーマン・ショックの前哨戦である2007年のパリバ・ショックと、10年周期で危機が発生している。

現在稼働中のパラダイムも間もなく不調を来し、ショックを起こす可能性は否定し難い。「強気相場は幸福感の中で消えていく」との格言が教えるように、低金利に支えられてきた世界経済成長はすでに警戒水位に達している可能性がある。

<金利上昇への耐性欠如>

では、現在のパラダイムに生じている変化は何かと言えば、低金利政策から金融正常化へのシフト、平たく言えば金利上昇圧力だろう。

現在の成長システムは低金利を前提としたものであり金利上昇への耐性が欠如している。この10年を振り返ると、米国においてはバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)元議長が量的緩和策を主導してきた。

そして、退任前に量的緩和縮小のレールを敷き、それ以降イエレン前議長とパウエル現議長がその路線を踏襲。ゼロ金利政策を解除し、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.75―2.00%まで引き上げてきた。米10年債利回りは一時3%台に達し、今も2%台後半に定着するなど米国では低金利パラダイムは終わったと言っていいだろう。

4―6月期の米実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は年率換算で前期比4.1%増となり、足元の7―9月期についても、アトランタ地区連銀の予測モデル「GDPナウ」によれば4.3%増に加速する見通しだ(8月15日時点予測)。トランプ米大統領が声高に語りたくなるような好調ぶりである。FRBの利上げについては、今年後半あと2回、さらに来年についても3回程度行われる可能性が高い。

米国外に目を転じても、欧州中銀(ECB)が6月、量的緩和策に相当する資産買い入れプログラムを年内で終了することを決めた。日本でも、日銀が7月に「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を発表し、緩和継続を目指すとしつつも金融システムへの副作用に配慮する動きを強めている。わずか0.1%刻みとはいえ長期金利操作の弾力化も図られ、新発10年債の利回りは8月2日、一時0.145%を付けた。

要するに、非伝統的金融政策を成長回復エンジンとした過去10年のパラダイムが激変にさらされている。今後米国の金利高と通貨高に直撃される新興国や企業は長期資金の借り換えにおいて、さまざまな不都合に直面することが予想される。

低金利になじんだ世界経済・国際金融市場に金利上昇の影響は直接、間接に及ぶことは必至だ。これが新たな金融危機の火種になる可能性は拭えない。

<「コンフィデンス・ショック」の可能性>

実際、泰平を突き崩す異変の予兆はあちこちで散見されるようになってきた。米中貿易戦争もさることながら、トルコが通貨急落に見舞われたことをきっかけとして、新興国市場全体に動揺が広がっている点は気掛かりだ。

震源地となったトルコ経済の先行き不透明は増すばかりである。高金利を嫌うエルドアン大統領のけん制を受けて、15―16%水準の高インフレに対処すべき中央銀行が小手先の対応しか取れず、トルコ経済は極めて脆弱な状況に追い込まれている

トルコリラ・ショックは8月16日現在、小康状態にあるものの、トルコ中銀が利上げなど抜本的な対策を取れなければ、いつ急落を再開しないとも限らない。トルコ危機は局地的な悪材料にすぎないとの見方も多いが、そうした論者も認めているように、グローバルなリスク回避の連鎖につながれば危機の震度は一気に高まることになる。

コンフィデンス(信用)ショックが起これば当然、問題はトルコにとどまらない。国際与信残高に占めるトルコ向けの割合の低さだけを見て、例えば欧州金融システムが揺さぶられる恐れはないと言い切るのは危険だ。

また、このトルコリラ急落に加えて警戒すべきは、中国人民元ショックの再来だろう。かねてより資本流出が懸念されていたところに、米中貿易戦争が勃発。これを通貨安で乗り切ろうとする中国政府の意図が透けて見えて、市場の売りを誘っている。

8月16日は対ドルで元高方向に若干振れたものの、日本時間午後4時現在1ドル=6.9000元付近で推移し、3月27日に付けた対ドル年初来高値6.2448元から見て、依然として10%程度の元安水準にある。7元の大台突破も目前に迫っている。

今後、トルコリラと人民元のさらなる変動が夏の嵐を呼びかねない点には、細心の注意が必要だろう。

斉藤洋二氏(写真は筆者提供)
*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
 

 

 
ワールド
2018年8月16日 / 14:52 / 12時間前更新
焦点:トルコ・タントラムか、市場は通貨危機の伝染を懸念
Ritvik Carvalho and Karin Strohecker
4 分で読む


[ロンドン 14日 ロイター] - トルコ通貨リラTRYTOM=D3は過去1週間にわたって最安値を更新し続け、世界の金融市場を揺るがしている。14日以降、いくぶん値を戻しているものの、外国銀行に対する圧力や新興市場資産の投げ売りによる危機の伝染を投資家は懸念している。
トルコリラの下落と「危機の伝染(コンテージョン)」が他の資産クラスに及ぼす影響を以下にまとめた。本格的なコンテージョンの兆候が出現したのは、2013年に米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和縮小を示唆して新興国が動揺した、いわゆる「テーパー・タントラム(緩和縮小に対するかんしゃく玉破裂の意味)」以降で初めてだ。
関連記事:トルコリラ急落で新興国に「危機の伝染」が復活
1)リラ下落の副産物
今月初めからの資産運用の変化には、トルコ情勢の影響が見られる。

MSCI新興国株指数.MSCIEFは年初来9.9%下げており、MSCI世界株価指数.MIWO00000PUSの進む方向と乖離(かいり)し続けている。また、これは新興国の中央銀行がいっせいに金融引き締めを行っている時期とも重なった。

トルコ通貨危機による世界市場に対する影響の大きさや持続性を巡っては、専門家の間でも意見が分かれている。
「対ロシア制裁や米国とトルコの関係は特異なリスクであり、これらに限っていえば、大きなコンテージョンはみていない」とピクテ・アセット・マネジメントのスティーブ・ドンズ氏は言う。「新興市場全体でコンテージョンが起きるには、包括的にドルが強くなくてはならない」
2)新興株
リラ急落はトルコの株式市場を動揺させた。ドル建てでは、MSCIのトルコ株式インデックス.MITR00000PTRが8月初めから約24%下落。年初来では50%超下げている。一方、より幅広いMSCI新興国株指数.MSCIEFは約10%の下落だ。

3)他の新興国通貨に波及
トルコリラの急落は、他の新興国通貨の下落も招いている。アルゼンチンの通貨ペソは最安値を更新。新たな緊急利上げも歯止めにはならなかった。インドのルピーも最安値まで落ち込んだ。ロシアのルーブル、南アフリカのランド、インドネシアのルピアも2年超の安値となった。
トルコと類似性のある市場だけが売り手の標的ではないと、英投資会社エキゾティックス・キャピタルのスチュアート・カルバーハウス氏は指摘する。
「コンテージョンとリスクオフが主なテーマだ。ただし、『似たような特徴』だからというより、全般的に売られている」
多くの国では、経常赤字の拡大により、リスク資産を減らそうとする投資家に対する脆弱(ぜいじゃく)性が一段と高まっている。「こうした基準で見ると、トルコ、アルゼンチン、パキスタンがもっともダメージを受けやすい」とカルバーハウス氏は付け加えた。
新興国通貨安の連鎖はまた、過去1カ月においてこれらの通貨に対する予想変動率の急上昇をもたらした。これは、さらに大きな動きが数日内に起きると投資家が予想していることを示している。

4)ユーロとユーロ圏の銀行
欧州の銀行株、とくにトルコでかなり手広く活動しエクスポージャーが高い銀行の株式は、欧州中央銀行(ECB)が一部銀行について懸念を強めていると伝えられると売られた。
「スペインの銀行は、深刻化する通貨危機に対してもっとも弱い。次に弱いのはフランスとイタリアの銀行だ」と、英コンサルタント会社TSロンバードのシュエタ・シン氏は指摘。「欧州の銀行が抱えるトルコに対するエクスポージャーの高さを考えると、危機が進行するにつれ、その影響に対する投資家の懸念も強まる」
欧州の銀行に対する圧力は、通貨ユーロへの圧力へと波及している。ユーロ圏の金融システムの安定性を巡る懸念が再燃する中、ユーロはすでに弱含んでいた。

5)安全資産
投資家がリスク資産を手放し、世界でもっとも安全と思われている米国債へと向かう中、米ドルもリスクオフの流れの恩恵を受けている。米10年債利回りは過去2週間で最低水準となり、ドルは1年ぶりの高値を記録した。
安全資産とみなされている日本円やスイスフランといった通貨も、トルコ・ショックから買われた。

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

 

 

 

 

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/232.html#c6

[経世済民128] 日銀の資産総額がGDPを超える!(小笠原誠治の経済ニュースゼミ) 赤かぶ
3. 2018年8月19日 22:20:39 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1324]
ビジネス
2018年8月17日 / 13:54 / 4時間前更新
焦点:超緩和時代の終焉、市場が迎える中銀流動性の「転換点」
3 分で読む

[ロンドン 16日 ロイター] - 世界の金融市場を長らく満たしてきた中央銀行の流動性は、間もなく「引き潮」に転じる。中銀が大規模緩和姿勢が終わった際に市場はどんな反応をするか、さんざん議論してきた投資家にとっても、情勢変化に順応するための猶予期間は、わずか数カ月程度になった。
米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)という世界の4大中銀は、2009年の金融危機以降、世界経済に約13兆ドルの資金を流し込んできた。しかし来年は2011年以来初めて、世界全体で資金供給額よりも吸収額の方が多くなるのだ。
ECBは年末に新規の債券買い入れを停止する。もうほぼ1年にわたってバランスシート縮小を進めてきたFRBも10月からは縮小ペースを加速させ、来年バランスシートから外す債券は4700億ドル相当に上る。

過去10年近く紙幣増発とゼロ金利が続いてきただけに、こうした変化は市場にとっても重大な意味を持つ。
ピクテ・アセット・マネジメントのシニア・マクロ・ストラテジスト、スティーブ・ドーンズ氏は、来年は世界の市場から差し引きで1000億ドルの流動性が減少すると予想。中銀の流動性が今年の差し引き5000億ドル供給から来年は吸収に転じる「明確な転換点」で、金融資産にとって来年は危険な年になるとの見方を示した。
金融市場には既に亀裂が見え始め、トルコ通貨危機や米中両国の貿易摩擦によって緊迫化している。新興国株は1月から20%も値下がりし、MSCIの世界株指数は月間ベースで3月以来の落ち込みを記録する流れだ。投資適格未満のドル建て社債の平均利回りは今年になって50ベーシスポイント(bp)上がった。
米国株は堅調な企業業績に支えられているとはいえ、S&P総合500種のオプション取引でコール(買う権利)に対するプット(売る権利)の需要度合いを示す「スキュー指数」からは、不安感の高まりがうかがえる。同指数は3月以降で最も高い水準にあり、つまりはプットの引き合いの強さを物語る。
<大きな痛み>
ピクテの試算では、4大中銀と中国人民銀行による計1兆ドルの流動性供給はMSCI世界株指数の20%上昇をもたらし、同額吸収されれば反対に指数は20%下がる。そして来年想定される差し引き1000億ドルの流動性吸収であっても、指数は小幅に下落するという。
アビバ・インベスターズのマルチ資産ファンドを統括するスニル・クリシュナン氏は、株高局面の終了こそ宣言していないが、株式と新興国市場への資金配分縮小に動いた。
クリシュナン氏は、市場はセンチメントとバリュエーションの両面で景気回復と緩和マネーの双方が手に入らない現実に適応していく必要があると指摘し、投資家はそれを今後数カ月で実行しなければならないと付け加えた。
新興国、とりわけ外国投資家を頼りにしているトルコや南アフリカは、流動性への依存度が高い。先進国でもイタリアはECBの緩和の恩恵を大いに享受していたので、流動性吸収が債券市場に打撃を与えた場合に受ける痛みもまた激しい。
ブラックロックのグローバル債券最高投資責任者リック・リーダー氏は「世界の流動性プールを先回り的に減らすのは、世界経済に広く有害な影響を及ぼす危険がある。イタリアにおけるここ数カ月の出来事は、そうした経緯を浮き彫りにしている」と警告した。
<流動性減少のブレーキ役>
コンサルティング会社クロスボーダー・キャピタルによると、世界の90%の中銀は現在引き締め的な金融政策をしている。筆頭は複数回の利上げを実施したFRBで、BOEも今月利上げに動いた。新興国の中銀も総じて引き締めモードだ。

また流動性吸収は中銀に限った話ではない。米国の税制改革が同国企業による資金の本国還流を促し、今年第1・四半期には世界各地から米国に3000億ドルが戻された。

もっとも流動性減少はなおゆっくりしたペースが続くかもしれない。日銀は最近、緩和の枠組み強化を狙った措置を打ち出し、出口への道筋を示すのではないかとの期待に水を差した。
さらにピクテのドーンズ氏は、米国のプライベートバンクが減税を追い風に年間6000億ドルもの流動性を生み出し、FRBの引き締め効果を相殺していると述べた。
そのFRB自体でさえ、貿易摩擦や新興国市場の動揺を理由に引き締めのスピードをもっと緩める可能性がある。
最後に中国は貿易摩擦に起因する経済の緊張を和らげるため、流動性供給を開始しており、同国の融資やマネーサプライの増加が世界的な流動性減少にブレーキをかけてもおかしくない。
ドーンズ氏は、今後見込まれるのは流動性が突然パニック的になくなるのではなく、真綿で首を絞められるようにじわじわと減っていく展開だとの見方を示した。
(Sujata Rao、Dhara Ranasinghe記者)

 

 


 
「日銀は政策効果に自信を失ってきた」東短リサーチ社長チーフエコノミスト、加藤出氏に聞く
キーパーソンに聞く


2018年8月17日(金)
田村 賢司

7月末の金融政策決定会合で日銀が導入した新政策は専門家の間でも評価が分かれる。長期金利のゼロ%誘導を維持しながら変動幅を従来の倍のプラスマイナス0.2%に広げるなど、政策の“柔軟化”を図った。代表的な日銀ウォッチャーの一人である東短リサーチ社長チーフエコノミストの加藤出氏はどう見るのか。
7月末の日銀の政策変更について、「『引き締め」でも『緩和』でもないニュートラルなもの」、あるいは「事実上の正常化第二弾」など見方が分かれます。どう見ていますか。

加藤出・東短リサーチ社長チーフエコノミスト(以下、加藤):基本的には日銀は八方ふさがりにあるということだと思います。異次元の金融緩和を5年数カ月続けましたが、国債を大量に買い入れる「量の緩和」は行き詰まり、2016年9月に長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策を導入しました。量の緩和から長期金利をゼロ%に誘導する政策に変えましたが、それでもインフレは思ったように進みませんでした。


加藤出(かとう・いずる)氏
東短リサーチ社長チーフエコノミスト。1988年4月、東京短資入社。金融先物など短期市場のブローカーとエコノミストを兼務した後、2013年2月より現職。マネーマーケットの現場の視点から日銀、FRB、ECB(欧州中央銀行)、イングランド銀行、中国人民銀行などの金融政策を分析している(写真:清水真帆呂、以下同)
 異次元緩和はさらに長期化が必至となったわけです。しかし、一方で副作用が大きくなった。特に金融機関の収益悪化は厳しく、それに対処しようとすると金利自体を上げなければならなくなります。でも、そこには踏み込めない。インフレ目標を柔軟化しない限り、周りは完全にふさがれた状況です。

元々、副作用があることは言われていました。なぜ急に気にし始めたのでしょうか。

加藤:日銀が重視するコアコアCPIという物価指数があります。価格変動の大きい生鮮食品、エネルギーを除いたものですが、今年6月は前年比でたった0.2%、3カ月連続で下落しました。これだけの大規模緩和を5年あまり実行し、世界経済も好調な中でこうした数字が続くことで日銀は政策効果に自信を失ってきたのではないでしょうか。そこに長期国債の取り引きがほとんど成立しない日が頻繁に出てくるといった市場機能の深刻な低下が目立つようになってきたため、多方面から副作用への批判が高まり、無視できなくなったということではないかと思います。

新政策は非常なナローパスになる
米国ではドナルド・トランプ大統領がFRB(連邦準備制度理事会)の利上げ姿勢を公然と批判し始めています。これも影響していますか。

加藤:FRBは今年既に2回の利上げを実施し、さらにもう2回引き上げると予想されています。来年は3回程度の利上げが望ましいとFRBの主要幹部は今は見ているようです。日銀も世界経済がリセッション(景気後退期)に入るのはしばらく先と予想していますが、トランプの“貿易戦争”が世界経済の減速を早めたり、彼がFRBの政策に強く介入すると、FRBが利上げを早めに停止するリスクが顕在化します。もしそうなると、日銀が政策調整を実行できる期間は短くなります。米国が利上げをしないのに日本だけが実行すれば円高になるなどとても難しいからです。

 それを見越せば「動けるときに動いておこう」と判断した可能性はあります。

結局、今回の政策変更で日銀が気にしてきた副作用、つまり銀行の収益悪化と国債市場やETF買いなどによる株式市場の機能低下を改善することはできるのでしょうか。

加藤:日銀の金融政策決定会合議事要旨などから政策委員会がこれまで議論してきた副作用を整理すると、次の2つに大別できます。ひとつは、金融機関の収益圧迫が続くと経済のお金の流れが先行き悪化する問題です。もうひとつは市場機能が深刻に低下している問題です。

 インフレ率が弱い中では金利水準を引き上げづらいため、前者の銀行の収益悪化問題に対する効果は限られています。日銀幹部は今回の政策変更後に、長期金利の変動幅の拡大は認めるけれども、長期金利の誘導を引き上げるわけではないと強調しています。金利収入はほとんど増えませんから銀行経営の苦しさは変わりません。今回の政策変更は後者の問題に焦点を当てたものです。

 しかし、市場機能の回復は容易ではないでしょう。もともと国債発行高がこんなにも巨大なわが国で、長期国債の金利を中央銀行がゼロ%近辺に誘導することは無理があります。日銀は当初大規模な国債購入で長期金利を抑えました。それによって市場の流動性(取引量)を大幅に低下させ、市場を薄くして長期金利を日銀がコントロールしやすくしたと言えます。金利をゼロ%に誘導しながら変動幅をプラスマイナス0.2%の幅に抑えるというコントロールが出来るのはその結果でもあるはずです。

 だとすると、そのコントロール性を維持しながら市場機能の回復を両立させるのは矛盾することになります。本質的には長短金利操作も国債の大量購入も止めることが市場の機能回復につながるはずで、日銀の新政策は実際には非常なナローパスだと思います。

政府は早期のインフレ目標達成にこだわっていない

来年は4月に統一地方選、7月に参院選があり、秋には消費税引き上げも予定されています。それも含めて日銀は動きにくいのでしょうか。

加藤:そういった政治日程を考慮すると、日銀が副作用対策としての金利水準の引き上げに事実上動けるのは今年10月か来年1月の決定会合あたりかと思っていました。しかし、今回の金融政策決定会合で日銀は、来年の消費税率引き上げの影響を考慮しながら現行の金利水準を「当分の間」続けることを約束するフォワードガイダンスを導入しました。市場が近い時期の利上げを織り込んで円高が進むことを避けるための措置です。

 来年の消費税引き上げの影響については、日銀は2014年ほど大きなものにならないと見ているようです。前回のときは、消費者は2回分の計5%の税率引き上げを見込んで駆け込み需要を強めたため、反動も大きくなりました。また、増税後は社会保険料の引き上げも重なりました。今回は2%ポイントの引き上げだし、食品については軽減税率も導入されます。また、政府は引き上げ後の消費の反動減対策も打つようですからそこもある程度抑えられると思います。

 しかし、フォワードガイダンスを宣言してしまいましたので、たとえば、世界経済の上振れで原油価格が高騰し、少々円高になる方が望ましいといった状況にでもならないと、消費税率引き上げ前の金利水準の引き上げは難しいと思われます。

日銀が政策変更と同時に公表した2020年度の物価見通しは1.6%。当初から掲げてきた2%のインフレ目標はこの先どうするのでしょう。

加藤:政府は今は早期のインフレ目標達成にこだわりを持っていないのではないでしょうか。最近はあまり言わなくなっています。ただ、円安・株高の障害になることは困る。そうでなければ多少の政策変更はいいということだと思います。

 一方で日銀は、異次元緩和開始以来の金融緩和手段のほとんどを、インフレ目標が達成されるまで継続するオープンエンド式としてきました。しかし、これまで述べたように、その効果は確認されず、逆にやめるきっかけがつかめないという厳しい現実に直面しています。

 2016年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策は、それまで短期で物価目標を達成しようとしていたのを持久戦に変えたといえます。だが、その先が見えなくなっているのです。この持久戦をどう変えていくのか見せないといけなくなる時期は次第に迫っているのではないでしょうか。


このコラムについて
キーパーソンに聞く
日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/231.html#c3

[経世済民128] 日銀の資産総額がGDPを超える!(小笠原誠治の経済ニュースゼミ) 赤かぶ
4. 2018年8月19日 22:21:53 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1325]
日銀はいつまで「大本営発表」を続けるのか「異常」が「普通」になってしまった異次元緩和の怖さ

小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字

2018年8月17日(金)
小宮 一慶

 日銀の金融政策は、太平洋戦争時の日本と同じ状況に陥っているのではないか──

 8月15日に終戦の日を迎え、ふとそんなことを思いました。

 日銀の異次元緩和がスタートしたのは、2013年4月4日。日銀政策決定会合で、「マネタリーベースを2年間で2倍まで増やす」という大胆な内容が発表され、世界中から驚きの声が上がりました。「異次元」と言われるゆえんです。当初は2015年3月までの見込みでしたが、5年を過ぎた今も、マネタリーベース(日銀券と日銀当座預金の合計)は依然として拡大を続けています。さらに2016年2月には、マイナス金利政策が導入されました。

 日銀の異次元緩和がなぜ太平洋戦争と重なって見えるのか。金融政策の先行きとリスクを考えながら説明したいと思います。


(写真=栗原秀夫/アフロ)
日銀はなぜ「物価目標2%」の旗を降ろさないのか
 異次元緩和がスタートした当初、日銀の目的は二つありました。一つは景気の底上げ、もう一つはインフレ率の引き上げです。

 まず、景気浮揚効果はどれだけあったのでしょうか。実質GDP成長率は、確かに2013年度2.6%、2014年度マイナス0.3%、2015年度1.4%、2016年度1.2%、2017年度1.6%と、低いながらもある程度の成長はしていますが、細かく内容を見てみるとなかなか厳しい状況です。GDPの約6割を支える「消費支出2人以上世帯」の推移を見てください。

消費支出2人以上世帯
(前年比%) 銀行計貸出残高
(前年比%)
2013年度 0.9 2.3
2014年度 ▲5.1 2.5
2015年度 ▲1.2 2.5
2016年度 ▲1.6 2.4
2017年度 0.2 2.8
2017年1月 ▲1.2 2.6
2月 ▲3.8 2.9
3月 ▲1.3 3.0
4月 ▲1.4 3.0
5月 ▲0.1 3.2
6月 2.3 3.3
7月 ▲0.2 3.4
8月 0.6 3.2
9月 ▲0.3 3.0
10月 0.0 2.8
11月 1.7 2.7
12月 ▲0.1 2.4
2018年1月 1.9 2.3
2月 ▲0.9 2.1
3月 ▲0.7 1.9
4月 ▲1.3 2.0
5月 ▲3.9 1.9
6月 ▲1.2 2.1
7月 ― 2.0
出所:総務省、日銀

 2013年度は前年比プラス0.9%(実質)と伸びました。これは2014年4月の消費増税に向けた駆け込み需要が発生していたからです。翌2014年度は、その反動で同マイナス5.1%まで落ち込みました。以降もマイナスの数字が続き、2017年度はプラスに転じましたが、それでもわずか前年比プラス0.2%という状況で、家計の消費は低迷を続けています。

 異次元緩和の成果が現れるはずの銀行融資はどうでしょうか。「銀行計貸出残高」を見てください。2013年度以降、前年比プラス2%台前半の水準で伸びていたのが、月別の数字で見ると、2017年の春先から夏にかけては3%台にのせました。しかし、その後は再び2%前後まで戻っています。マネタリーベースを急激に増やしても、銀行融資はそれほど伸びていないと言えます。設備投資等の資金需要がそれほどないからです。日本経済の足腰は弱いままなのです。

 日銀の二つ目の目的であるインフレ率はどうなっているのでしょうか。「消費者物価指数(前年比)」を見てください。

消費者物価指数
(生鮮除く総合前年比%)
2013年度 0.8
2014年度 2.8
2015年度 0.0
2016年度 ▲0.3
2017年度 0.7
2017年1月 0.1
2月 0.2
3月 0.2
4月 0.3
5月 0.4
6月 0.4
7月 0.5
8月 0.7
9月 0.7
10月 0.8
11月 0.9
12月 0.9
2018年1月 0.9
2月 1.0
3月 0.9
4月 0.7
5月 0.2
6月 0.8
出所:総務省

 2013年度は前年比プラス0.8%、2014年度は同2.8%です。先ほども触れたように2014年度は消費増税があり、日銀によると、このうち2%分が消費増税分の影響で、実質は0.8%の上昇とのことです。この時期は、比較的異次元緩和の成果が出ていたのではないかと思います。

 日銀は「物価目標2%」を掲げていますが、実際のところ1%程度の物価上昇が妥当な水準だと私は考えています。

 インフレ率が上昇すると、金利も上昇する可能性が高まります。1%の金利が2%に上昇するようなことがあれば、既発債はあるものの、現在約100兆円の国家支出のうち10兆円の利払費が、将来的には2倍に膨らんでしまいます。1%を大きく超える金利上昇は、財政を逼迫することになりかねないのです。

 さらに、民間金融機関や日銀は大量の国債を抱え込んでいるわけですから、本当にインフレ率が2%となり、金利が上がってしまったら、巨額の評価損が出てしまう可能性もあります。

 にもかかわらず、なぜ日銀は物価目標2%にこだわるのでしょうか。

 答えは「期待インフレ率」です。長期にわたり日本経済を蝕んできたデフレから脱却するには、期待インフレ率を高めることが必要です。そこで日銀が「物価目標2%」と表明すれば、「この先は物価が上昇する」と皆が思い、早め早めにお金を使うようになる。これが景気を刺激する効果を生むというわけです。

 そう考えると、2013、2014年度は、比較的望ましい状態だったと言えます。ところが、2015、2016年度は再びゼロ近辺まで低下し、2017年度は0.7%という状況です。

 これまでのところ景気底上げとインフレ率の引き上げという日銀の狙いは十分に実現できているとは言い難い状況です。

金融政策には「限界がある」
 異次元緩和は、当初2015年3月までには終了する見通しでした。黒田東彦日銀総裁は当時、「アベノミクス第1の矢である金融緩和と第2の矢である財政出動によって景気は緩やかに回復してきたが、最も重要なのは第3の矢である成長戦略だ。成長力を底上げするための成長戦略の実行を加速し、強化することが極めて重要である」と訴えていました。

 つまり、金融政策から成長戦略へバトンタッチしなければ、日本経済の足腰は強くならないと言っていたのです。金融政策は、所詮カンフル剤に過ぎないということをよく分かっていたのでしょう。

 冒頭で「太平洋戦争」いう言葉を出しましたが、私は、こういった日銀の動きが戦時中の日本政府や軍部の動きに重なって見えるのです。

 太平洋戦争は真珠湾攻撃から始まりました。山本五十六長官率いる連合艦隊は、ハワイの真珠湾の奇襲に成功。狙いは戦況が有利なうちの「早期講和」で、米国から好条件を引き出すことでした。ところが、戦局はズルズルと泥沼へと突入していったのです。

 異次元緩和から抜け出せない日銀もそれと似ています。当時の山本五十六長官が早期講和を考えていたように、日銀は「成長戦略へのバトンタッチ」を目指していたと思います。予定通り実現していれば、日銀も日本軍も役割を終えることができたはずです。しかし、政府の成長戦略は加速しませんでした。自民党議員は既得権益の代表者が多く、規制緩和などは総論賛成ですが、各論反対だからです。成長エンジンが見つからない中、結局、日銀は戦線を拡大し続けた。つまり、異次元緩和をずるずると続けてしまったわけです。

 戦時中、大きな転機となったのが、ミッドウェー海戦でした。その時、日本の虎の子であった主力空母を4隻も失ってしまいました。戦況が悪化する中で、日本政府は何を行ってきたかというと、「情報統制」です。

 大本営発表では「日本は勝利している」「華々しい戦果をあげている」と国民に向けて報じていました。負けることがあったら、「敗北」ではなく「玉砕」という言葉を使いました。

 今年6月、日銀の若田部昌澄副総裁は日本経済新聞のインタビューに対し、「金融政策に限界はない」と発言しています。これを聞いて私は戦時中の大本営発表と似ていると感じました。もちろん、「限界がある」と言ってしまったら、金融市場がパニックになる恐れがありますから、そんなことは言えないのは分かります。しかし、日銀が示した「物価目標2%」の達成期日はすでに過去6回延期され、ついには達成期日自体が削除されました。これは事実上、「金融政策に限界がある」という話と同義ではないでしょうか。

 こういった中で続けられてきた異次元緩和は、もはや十分な先の見通しもなく、「撃ちてし止まん」との掛け声で無理な戦争を続けてしまったのと同じ状態に陥っているのではないでしょうか。

異常が普通になりつつある日本の金融政策
 太平洋戦争の末路は、日本人300万人以上の犠牲と敗北でした。日銀の政策で直接人が亡くなるわけではありませんが、効果よりも副作用が心配される金融政策を続けていけば、リスクばかりが増大していきます。

 米国は量的緩和を早々に終わらせて、金利引き上げに向かっています。欧州中央銀行も、年内で量的緩和を終了すると発表しています。欧米では、金融政策を正常化させるプロセスに入りつつあるのです。それに対し、日本だけが依然として異次元緩和を続けている。

 もちろん、7月末の金融政策決定会合で、長期金利のゼロ%誘導を維持しながら変動幅の上限を従来のプラスマイナス0.1%から同0.2%に広げるなど、軌道修正の動きもないわけではありません。しかし、量的緩和というスタンスは維持されたままです。

 量的緩和によって、現在のマネタリーベースは500兆円弱。135兆円を2年間で270兆円に倍増し、「異次元」と言われた当初の目標をはるかに上回っています。それなのに今ではほとんど注目すらされていません。明らかに異常な状態だと感じます。

 戦時中は異常を異常と感じられなくなるものです。日本の金融政策も同じです。異常が常態化しつつあり「普通」だと多くの人が思っていることが非常に心配です。

 今、日銀も、政府も、私たちも、現在の金融政策は異常な状態だということを認識しなければなりません。


このコラムについて
小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字
 2020年東京五輪に向けて日本経済は回復するのか? 日銀の金融緩和はなぜ効果を出せないのか? トランプ米大統領が就任した後、世界経済はどこに向かうのか? 英国の離脱は欧州経済は何をもたらすのか? 中国経済の減速が日本に与える影響は?
 不確定要素が多く先行きが読みにくい今、確かな手がかりとなるのは「数字」です。経済指標を継続的に見ると、日本・世界経済の動きをつかむヒントが得られる。
 企業の動きも同様。決算書の数字から、安全性、収益性、将来性を推し量ることができる。
本コラムでは、経営コンサルタントの小宮一慶氏が、「経済の数字」と「会社の数字」の読み解き方をやさしく解説する。


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/231.html#c4

[経世済民128] トヨタに267億円賠償命令 米裁判所、幼児2人重傷で  赤かぶ
4. 2018年8月19日 22:27:39 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1326]

ベンツもBMWもトヨタと同じ大衆車メーカー

ベンツもBMWもトヨタと同じように小型車から高級車まで作る大衆車メーカーです。

例えば、ベンツならAクラス、BMWなら1シリーズなどが小型車、Cクラスや3シリーズなどの小型セダン、Eクラスや5シリーズのミドルセダン、Sクラスや7シリーズの高級セダンなどを作っています。

また、特にベンツはハイエースのような商用バン、トラックなど多種の車を作っている大衆車メーカーで、ドイツでは普通の大衆車メーカーと認識されている。
ベンツAクラス、BMW1シリーズとトヨタのヴィッツやホンダのフィットは同格

ベンツならAクラス、BMWなら1シリーズなどが小型車は、お金があまりない若い人や奥さんがのるセカンドカーとして使われています。

トヨタのヴィッツ、日産のマーチ、ホンダのフィット(それぞれ名前は欧州名になっている)が小型車として販売されています。

ドイツではベンツのAクラスやBMWの1シリーズと上記の日本車の扱いは同等。
実際、性能的にも同等。

どれを選ぶかはただの好み。
ドイツのタクシーはベンツ

ドイツでタクシーによく使われている車は、ベンツのCクラスやEクラスが大半。

ドイツのタクシーは日本に比べると値段が安いため、足代わりによく使います。
もしベンツが高級車なら、日本よりも安い値段で運んでくれるタクシーになんて使えません。
フォルクスワーゲンを日本語にすると大衆車という意味

ドイツの最大手の自動車メーカーと言えばフォルクスワーゲン。

フォルクスワーゲンと言う発音は実は日本用に作られた発音で、
本来はフォルクスヴァーゲン。英語だとヴォルクスワーゲン。

日本では前半がドイツ語発音のフォルクス、後半は英語発音のワーゲン。
これを組み合わせてフォルクスワーゲンとなっています。

ドイツ語のフォルクスは大衆・民衆、ヴァーゲンは車という意味。
つまりフォルクスワーゲンという社名を日本語に訳すると「大衆車」。
ドイツ車はなぜ高いのか?

よく輸入車には関税がかかるため高くなると言われるが
ドイツと日本の間では自動車には関税はかからない。掛かるのはせいぜい輸送費である。

実際、ドイツのディーラーに行くと為替の影響で日本円に換算すると日本より高いことがある。

ドイツでは日本に比べると、かなりの距離を走る。
著者がドイツに住んでいた時は、1年間で50000キロ程度走っていたが、ドイツでは珍しくない。

日本では一般的に車の寿命は10万キロと言われるが、ドイツなら2年で超えてしまう人も珍しくない。
中古車を検索すると30万キロを超えた車でも普通に売っている。

また、日本に比べると速度が速いため、エンジンも高回転となりがちで振動が大きい。
一方、街中を走ると石畳の道路などもあり、道路からの振動も大きい。

つまり日本よりも過酷な状況で長距離はしるため、部品も高い強度が求められる。
このため部品代が高くなり、車の値段も上がってします。
ドイツ人は高い車をどうやって買うのか?

ドイツにはカンパニーカー制度という会社から車を支給されるシステムが一般的である。
日本の場合、役員や重役になると会社から車が支給さえるが、ドイツでは課長クラスから車が支給される。

この支給される車は会社が長期リースという形で契約を結ぶが、福利厚生の一部となっており、会社の車でありながら自分の車として使用することができる。

会社の規模や肩書などで、月々のリース額の上限が決められ、基本的に自分で自由に車を選ぶことができる。
リース期間は3年間で、3年後にまた新たに車を選ぶことができる。
リースが終わったカンパニーカーは中古車市場へと流れていく。

ディーラーで自分で購入すると高いが、会社の福利厚生で車を手に入れるのである。

若い人たちやカンパニーカーを支給されない工場のワーカーなどはカンパニーカーから落ちてきた中古車を購入する。

ちなみにA4やベンツのCクラスは課長クラスが初めてもらえる車のレベルである。
日本でベンツやBMWが高級車と言われるようになったきっかけ

30年ほど前、日本ではバブルと言われる好景気に沸きました。

みんなが好景気に沸いていたため、日本車でも高級車が飛ぶように売れていましたが
特に自営業者や会社を経営する方は自分の財力を誇示するため、また税金対策のためにより高い車を求めました。

そこでベンツやBMWを扱っていた輸入代理店は、ベンツやBMWの中でも高級車両をバンバン輸入しました。輸入代理店にとっても高級車種の方が利益率が大きいため好都合だったのです。

この結果、日本で見かけるベンツやBMWは高級車種ばかりとなったため、
べンツ、BMW=高級車という図式が日本人の心に刻み込まれたのです。

30年経ったいまでも、べンツ、BMW=高級車と思い込んでいるのです。
トヨタでこの図式をたとえると

ある国(A国とします)が好景気に沸いていました。
A国の輸入代理店がトヨタ車に目を付け、トヨタの中でも高級車種のレクサスLSやGSを大々的にせんでんして、A国ではレクサスLS,GSが人気となりました。

お金持ちや社長さんはみんなレクサスLSやGSに乗っている。
A国の人はトヨタというのは高級車メーカーなんだと思い込んでしまいました。

それから30年経ってもトヨタは高級車メーカーと思っている人がたくさんいて、
たとえヴィッツであっても、「おっ、トヨタ車。金持ちだ〜」となっている状態です。
結論

ベンツやBMWには高級車種もあるが、高級車メーカーではなく、大衆車メーカーである。
ベンツのEクラスやBMWの5シリーズ、アウディのA5などを高級車と思ってしまうのは大きな勘違いである。
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/230.html#c4

[国際23] 3回目の南北首脳会談「大胆な一歩踏み出す」韓国 ムン大統領〜「「…朝鮮戦争の終戦宣言と平和協定につなげるための」と/nh 仁王像
6. 2018年8月19日 22:32:04 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1327]
トップニュース2018年8月18日 / 08:06 / 3時間前更新
焦点:韓国版ラストベルト、凋落の企業城下町を襲う失業と自殺
Hyunjoo Jin and Heekyong Yang
4 分で読む

[蔚山(韓国) 13日 ロイター] - 現代重工業で働くため、リー・ドンヒーさんが韓国南東部の港湾都市・蔚山(ウルサン)に移り住んだ5年前には、現代グループの企業城下町として栄えていた同地の造船所は昼夜を問わず稼働していた。

従業員も韓国平均給与の3倍を稼いでいたという。

だが、現在52歳のリーさんは今年1月解雇された。造船受注の急減によって、仕事を失った現代重工(009540.KS)の従業員や下請け企業関係者は2015年から2017年にかけて約2万7000人に上る。

リーさんの妻は家計を支えるため、現代自動車(005380.KS)の下請け企業で最低賃金の仕事に就いた。20歳の娘は、蔚山で就職することを希望して現代重工系列の大学に入学したが、今では違う土地での就職口を探している。

一家の境遇は、蔚山の衰退を映し出している。

かつての豊かな企業城下町は、中国との競争、人件費の上昇、そして現代グループへの過度な依存によって大きく揺らいでいる。現代グループは、韓国で大きな影響力を持つ「財閥」と呼ばれる同族経営のコングロマリットの1つだ。

リーさんのような現代グループの従業員は、数世代にわたり、朝鮮戦争(1950─53年)による惨禍からの復興と、製造業を中心とする工業大国への変貌を支えてきた。蔚山も2007年までには、韓国で最も富裕な都市になっていた。

だが、韓国の財閥は今や独りよがりで、リスク回避志向に陥っており、海外の競合他社に追いつけずにいる、と一部専門家は危惧している。

アジア第4位の経済大国である韓国が輸出を重視してきたことも、主要な貿易相手国における保護主義の台頭や外的ショックに対する自らの脆弱性を高めてしまった。

「現代は私にとって、すべてだった。もうお手上げだ」──。現代自動車の工場から10キロ圏内で、同社従業員に人気の高層マンション群にある自宅で、リーさんは吐息を漏らした。

韓国統計局によれば、若者が職を求めて流出しているため、蔚山は現在、国内で最も急速に高齢化が進んでいる。同市の人口は1970年以降4倍に膨れあがり110万人に達したが、2016年には、他地域では増加しているにもかかわらず、初めて人口が減少に転じた。

<韓国版「ラストベルト」>

蔚山が直面している課題は、多くの点で1970─80年代に米国中西部の都市が直面した状況とよく似ている。かつて繁栄した産業中心地から、大量の雇用と人口が失われた時期だ。

世界的な造船大手の本拠地であり、自動車関連産業が集まる主要拠点でもある蔚山は、今まさに韓国版「ラストベルト(赤さび地帯)」になりつつある、と一部の専門家と業界幹部は警告している。

「状況はもっと悪くなる可能性がある、現代とその下請けに頼りきりだからだ」と、ソウルにある延世大学のモ・ヨンリン教授(国際政治経済学)は語る。「他に支えるものが何もない」

伝説的な起業家だった鄭周永(チュン・ジュヨン)氏が、1967年に蔚山で現代自動車を創立。6年後には現代重工も立ち上げ、捕鯨で知られていた小さな漁村は、巨大な企業城下町へと変貌した。

数十年にわたってこの街には、高賃金や企業の補助付き住宅、潤沢な手当に魅せられた求職者が集まった。

現代グループの影響力は今も鮮烈に感じられる。現代のグレーの制服を着た従業員が現代製のクルマを運転し、現代百貨店でショッピングを楽しみ、社宅のマンションで暮らし、系列の病院で診察を受けている。子どもたちは現代系列の学校や大学に通っている。

業績低迷の影響に苦しむ現代重工は、英BPや米エクソン・モービルといった顧客企業の社員らのために使っていた、外国人向け大規模地域施設や社員寮などの売却を進めている。関係者によれば、こうした施設には、集合住宅やゴルフコース、プールや学校なども含まれる。

現代重工の広報担当者は、同社は「企業としての正常化」に向けて最大限の努力をしており、職不足と余剰労働力に対処するために労働組合とも協力していると強調した。

<自殺率が国内で最悪に>

現代グループの経営不振による影響は、蔚山全体に広がっている。

現代重工本社から数ブロック離れた、昔ながらの市場では、平日にもかかわらず市場は閑散としており、造船所の労働者向けの十数軒の飲食店や作業服店は閉店していた。

Slideshow (11 Images)
「われわれのような商売にとっても、すべては現代次第だ。今は現代の経営が悪化しているから、こちらもやりくりに苦労している」と、この市場にある小さなそば屋を営むEom Soon-uiさんは語った。

税関データによれば、韓国の昨年輸出総額に占める蔚山のシェアは12%。これは2000年以降の最低水準であり、ピーク時の19%を大きく下回っている。

またここでは自殺件数も増加している。韓国統計局のデータによれば、25─29歳の自殺率が国内最悪となっている。

現代重工が経営する蔚山大学病院の職員によれば、自殺を試みた事例は182件に上ったという。前年は約150件だった。

蔚山市内に最近竣工した橋では客を降ろさないよう、警察からタクシー運転手に指示が出ている。ここ1カ月で3人がその橋から投身自殺しだからだ。

「一生懸命働けば生活が楽になり、子どもたちが真面目に勉強すれば豊かな人生を送れる。そう皆が信じてきた」と蔚山の自殺予防センター職員パク・サムソンさんは語る。「だが、違う現実に直面して、彼らの多くが希望を失ったようだ。中には、最悪の選択をしてしまう人もいる」

<国内では最強、海外では衰退>

造船部門で多数解雇されたことを受け、自動車部門の労働者は、次は自分たちの番ではないかと恐れている。

Hyundai Heavy Industries Co Ltd
103000.0
009540.KSKOREA STOCK EXCHANGE
-500.00(-0.48%)
009540.KS
009540.KS005380.KS
現代自動車はすでに一部の生産拠点を海外に移転しており、ロイターが閲覧した社内予測によれば、国内生産比率は、2004年の約80%から、今年は37%に下がると見込まれている。

国内での人件費高騰と強力な労働組合を考えれば、これは必要な変化だと企業幹部は指摘する。

だが労働者側は、現代グループが抱えている問題の多くは自業自得だと主張。主要市場・米国におけるスポーツタイプ多目的車(SUV)ブームを予測できなかったことや、電気自動車にシフトする業界の波に乗れなかったことなどを挙げた。

現代自動車はコメントしなかった。同社は今年に入り、今後5年で4万5000人をグループ全体で採用し、「ウェアラブル・ロボット」や人工知能などの新規事業に大きな投資を行うと約束している。

とはいえ、少数の強力な財閥への依存が、韓国経済の足を引っ張っていると一部の専門家は警鐘を鳴らしている。

財閥上位10グループが生み出す収益の総計は、2017年の韓国国民総生産(GDP)の66%に相当する。対照的に、フォーチュン誌の昨年調査によれば、米国では、上位500社による収益の総計が、同国GDPの65%に相当している状況だ。

「わが国の財閥は自己満足に陥っていた」と語るのは政府系金融機関である韓国産業銀行の李東傑(イ・ドンゴル)総裁だ。国内で享受しているほぼ独占的な環境によって、財閥グループはリスクを取ることを嫌がり、イノベーションが遅れたという。

海外主要市場での不振を背景に、韓国の輸出増加率は、昨年の15.8%から、今年5.3%に、そして来年には2.5%へとさらに減速することが見込まれている。

<消えた楽園>

これは、蔚山を筆頭とする同国の輸出拠点で、さらに苦痛が増すことを意味する。

文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領は5月、蔚山を含めたいくつかの都市を「産業危機地域」に指定。労働者・サプライヤーの支援と新規産業育成に向けて、今年1兆ウォン(約985億円)の予算を計上している。

文大統領は、財閥中心の経済政策は限界に達しており、持てる者と持たざる者の格差を拡大している、と指摘。

「革新的成長」を掲げた新政策の下、韓国政府は燃料電池や自動運転車、「スマート工場」、ドローン、さらには人工知能やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータといった分野に向けた投資を推進している。

現代グループに勤務するベテラン社員たちは、こうした新政策の恩恵を感じていないと語る。

現代重工を解雇されたリーさんは、住宅内装の仕事に就くために塗装や成形の技術を学んでいるが、地元経済の不振は不動産セクターにも打撃を与えているため、再就職に苦戦している。

1982年に蔚山に来たHa M. H.さんは今月、36年間勤めた現代重工に別れを告げる。外国からの海上プラットフォーム受注が干上がっているからだ。

「古き良き時代にここで働いていた、スコットランドなどの国からきた外国人検査技師は、蔚山を楽園と呼んでいた」と彼は語った。「仲間は皆去っていった。私が最後の1人だった」

(翻訳:エァクレーレン)
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/669.html#c6

[国際23] 米中経済戦争 中国留学生による技術持ち出しに懸念 米、ビザ発給厳格化(かいけつニュース速報) 怪傑
3. 2018年8月19日 22:39:52 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1328]

#中国留学生が減ると大学経営への影響は大きそうだ


 

コラム2018年8月19日 / 08:00 / 4時間前更新
コラム:米国で学費重視の大学選び、金融危機時より慎重に
Gail MarksJarvis
3 分で読む

[シカゴ 15日 ロイター] - 米フロリダ州に住むデニス・ノルトさんの継息子、ジェイコブさんは小学4年生のころから、自分の部屋の壁に名門マサチューセッツ工科大学(MIT)のポスターを貼り、いつの日か入学することを夢見ていた。

しかし現在18歳になり、大学に出願中のジェイコブさんに、ノルトさんはばつの悪いメッセージを伝えた。「ママが天国からやってきて十分な奨学金をもらえるなら、MITに行ける」と。「そうでもしない限り、州内の安くて手ごろな良い大学の方が理にかなっている」

フロリダ州ウインターパーク在住のファイナンシャルプランナーであるノルトさんは、MITのような学費の高い私立大学とフロリダの州立大学を比較。その結果、州立大にかかる学費や生活費などの合計額は、そのようなエリート大学の3分の1にも満たなかった。

MITの試算によれば、次年度にかかる全費用は7万0240ドル(約780万円)。一方、フロリダの州立大では2万ドル未満だ。

大学の高額な費用がメディアに大きく取り上げられ、また、金融危機の教訓もあり、そうした高額な費用を支払える人でさえ「ますます慎重になっている」とノルトさんは言う。

ノルトさんの抱いた印象は、米教育ローン大手サリー・メイが今週発表した調査と一致する。力強い米国経済にもかかわらず、前回のリセッション(景気後退)に苦しんでいたときよりも、今の方がはるかに大学費用の支払いに慎重であることが、生徒や親1907人を対象に実施した同調査から明らかとなった。

回答者の約90%が大学は良い投資と答えてはいるが、だからといって、費用がいくらかかっても入学することを意味するわけではない。

親の78%が大学教育の費用を重視していると回答。また、高校生の70%は2017年度の入学に出願する以前に、高すぎる大学は除外したと答えている。費用の高い大学は即座に避けると答えた生徒が42%に達していた2008年と比べると、大きな変化だ。

親も、より厳しい態度で臨んでいる。46%が最初から高額な大学は排除すると答えている。2008年は39%だった。

高額な大学を排除した後、金銭的援助の申し出が届いてからも精査は続く。2017年、奨学金や助成金を得ても十分ではなかった場合、生徒の69%は大学入学を辞退していた。2008年はわずか38%だった。

親も、49%が援助の申し出を吟味してから大学に「ノー」と言うと答えており、一段と厳しい目を光らせている。2008年、そう答えた親は30%しかいなかった。

一方、高額な大学に「ノー」と言いたくない親もいると、ファイナンシャルプランナーのショーン・ムーアさんは言う。彼はフロリダ州ボカラトンで「スマート・カレッジ・ファンディング」の会長を務めている。「子どもが一生懸命勉強したのに、そうした大学に行かせられないなんてどうしたらできるのか、と親は言う」

とはいえ、率直に「リターンは何かと尋ねてくる」親も増えているとムーアさんは話す。

そのような考え方の変化の背景には、大学入学者数の減少や、幅広い教養を学ぶ小規模なリベラルアーツ・カレッジの廃校がある。こうした傾向は、人口動態の変化などの要因のほか、大学教育の費用と価値に対する懸念を映し出している。一部の大学は、リベラルアーツ課程を減らし、キャリア志向を強める学生のためにエンジニアリングやビジネス課程を加えている。

<学費無料や減額も>

大学側は、費用の減額や免除によってコストに敏感な受験者に応えている。

エリッサ・シメールさん(17)は今秋、イリノイ州シカゴ近郊にあるコミュニティーカレッジのハーパー大学に入学する。新しいプログラムのもと、2年制の同大学で学ぶ学費は無料だ。その後、学士号取得のため公立大学に編入する計画だ。

「大学に進学するために地元を離れた友人たちは、結局は戻ってきて、大学費用の借金がストレスになっている」と彼女は言う。「おカネの心配をする必要がないので、良い選択だと母は私に言った」

コミュニティーカレッジは通常、親が大卒でない高校生や独立した既卒生に訴求力がある。両親が大卒のシメールさんは、キャリア志向が強く、意欲的な生徒だ。

ファイナンシャルプランナーは、経済的に苦しい親には子どもをコミュニティーカレッジからスタートさせるようアドバイスすることが多い。イリノイ州ローリングメドウズのブレンダ・ノックスさんもその1人だ。「富裕層であっても、大学費用の3分の1だけでも節約できたらと願っている」と語る。

その一方で、慎重な消費者である必要性について、ファイナンシャルプランナーは説いている。米コミュニティーカレッジ協会が最近発表した報告書によると、非常に多くのコミュニティーカレッジが厳しさに欠け、4年制大学に編入する際に単位が認められず、結果としてより多くの費用がかかり、学生の時間も無駄に費やされているという。

前出のサリー・メイの調査では、家族の半数が予想通りの経験を得ていると回答した一方、残りの半数はそうではないと答えた。後者は、教育の質や諸費用、交通費、住宅費、生活費にショックを受けている。1年目を終えると、予期せぬ授業料の値上げや奨学金の削減に見舞われることも多い。
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/639.html#c3

[経世済民125] 米小売業界、アマゾンが席巻=店舗苦境「パニック状態」 5年後には日本も同じようになるかも てんさい(い)
9. 2018年8月19日 22:42:31 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1329]
コラム2018年8月18日 / 09:46 / 1日前更新
コラム:米ウォルマート、効率性でアマゾン猛追
Jennifer Saba
3 分で読む

[ニューヨーク 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米小売り最大手ウォルマート(WMT.N)の強みが鮮明になっている。時価総額2700億ドルの同社が16日発表した第2・四半期(5─7月)決算は増収だった。

増収率はライバルのネット通販大手アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)と比べて見劣りするが、アマゾンが人員を大幅に増やして収益性が低下する一方、ウォルマートの従業員は過去になかったほど生産性を高めている。

ウォルマートの第2・四半期は、総売上高が前年同期比約4%増の1280億ドル。米国内の既存店売上高は4.5%増え、この10年間で最高の伸びとなった。これに対しアマゾンの第2・四半期(4─6月)決算は39%の増収、純利益は25億ドルだった。

だが効率性の面では、ウォルマートはアマゾンとの差を縮めている。230万人の従業員を抱えるウォルマートは、2018年1月に終了した前年度の従業員1人当たり売上高が約21万7000ドルだった。これは過去5年間でほとんど伸びていないが、米国の民間企業として最も雇用者数の多い同社が、電子商取引との激しい競争に直面する中で出した数字としては、手堅い実績といえる。多くの小売り業者は電子商取引との競争で打ちのめされているのが実情だ。

アマゾンは高い生産性を謳歌しているが、その優位性は急速に失われつつある。昨年の従業員1人当たり売上高は約31万7000人となり、5年前の半分程度に減少した。増員ペースが売上高の伸びを上回った結果だ。2017年にアマゾンの売上高は31%増加した一方、従業員数は64%増えた。

アマゾンは出前などの事業を積極的に拡大しているため、人員は増え続けるだろう。自然・有機食品小売り大手ホールフーズ・マーケットを買収したことで、従業員は8万9000人増えた。これは2017年の全人員の16%に当たる。年内に発表される見通しの第2本社の設立により、さらに少なくとも5万人は増える見込みだ。クラウドコンピューティング事業のアマゾン・ウェブ・サービシズは収益性が一段と向上しているが、中核の小売り事業の比重が高まることは成長の重しだ。

ウォルマートは既に、膨大な人員と実店舗を抱え込んでいる。同社はこの経営基盤の上で、米国内の従業員を配送に活用することや、インドの電子商取引大手フリップカートへの160億ドルの投資により、電子商取引事業からも利益を絞り出そうと試みている。米国内ネット通販の売上高は第2・四半期に40%増えた。ウォルマートが両事業のバランスをとることに成功すれば、アマゾンとの対比は改善し続けるはずだ。

●背景となるニュース

・ウォルマートが16日発表した第2・四半期(5─7月)決算は、総売上高が前年同期比3.8%増の1280億ドルだった。純損益は8億6100万ドル(1株当たり0.29ドル)の赤字。前年同期は290億ドル(1株当たり0.96ドル)の黒字だった。

・ブラジル事業の過半数株式売却に関連した費用などの特別項目を除外した調整後1株利益は1.29ドルとなり、トムソン・ロイターI/B/E/Sが集計したアナリスト予想の平均(1.22ドル)を上回った。

・米国内の既存店売上高は4.5%増加。今年度(2019年1月31日終了)通期業績について、為替変動の影響を除いた純売上高を2%増とする見通しを示し、従来の1.5─2%から上方修正した。通期の調整後1株利益は4.90─5.05ドルと予想、従来の4.75─5.00ドルから引き上げた。

Walmart Inc
97.85
WMT.NNEW YORK STOCK EXCHANGE
-0.79(-0.80%)
WMT.N
WMT.NAMZN.O
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://www.asyura2.com/17/hasan125/msg/233.html#c9

[政治・選挙・NHK249] 年金繰り下げ受給 70歳からの割り増し選択に潜む衝撃の事実(マネーポスト) :経済板リンク  赤かぶ
1. 2018年8月19日 23:31:05 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1330]
社会保障予算どう管理するか(上) 公費投入の「定率制」廃止を
鈴木亘 学習院大学教授経済教室コラム(経済・政治)2018/8/15付
フォームの終わり
ポイント
○公費の伸び率は名目成長率以下に抑えよ
○多額の公費は国民のコスト感覚狂わせる
○規制緩和で保険運営者の裁量余地拡大を
 政府が6月にまとめた「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」では、これまで社会保障関係費の伸びを年間5千億円程度に抑えるとしてきた目標値の明記が取りやめられた。思い起こせば、小泉政権から続けられてきた年間2200億円の伸び抑制も、麻生政権が2009年に目標値を撤廃し、そ…
社会保障予算どう管理するか(中) 診療報酬 抜本的改革を
小黒一正 法政大学教授
経済教室2018/8/16付
フォームの終わり
ポイント
○社会保障改革進まねば消費税率24%にも
○窓口負担見直し必要だが改革効果に限界
○後期高齢者医療にマクロ経済スライドを
 政府は2019年10月に消費税率を10%に引き上げる予定だが、少子高齢化や人口減少が急速に進む中、社会保障費の増加や恒常化する財政赤字で日本の財政は厳しい。税や保険料などで賄う社会保障給付費(医療・介護・年金など)は現在おおむね120兆円だが、内閣府などの推計によると、40…


社会保障予算どう管理するか(下) 年金過剰給付の是正 急げ
西沢和彦 日本総合研究所 調査部主席研究員/中田大悟 創価大学准教授
2018/8/17付
日本経済新聞 朝刊
ポイント
○名目下限措置により年金額ほぼ据え置き
○現状では51年に積立金枯渇し年金額急減
○中高齢者には適切な自助や共助を求めよ
 日本の年金財政は極めて深刻な問題を抱えている。にもかかわらず「100年安心」がうたわれた2004年の年金改正以降、そうした問題は糊塗(こと)され続けている。
 厚生労働省は5年に1度、人口動態と経済変数に一定の前提を置き、年金財政の今後100年間の姿を描き出す。これは財政検証といい、いわば年金財政の定期健診だ。直近は14年に実施され、健康体であるとの判断が下された。
 ただしその判断は物価上昇率1.2%、賃金上昇率2.5%など実態とかい離した日本経済の先行きに関する前提を置くことで、年金給付を抑制する「マクロ経済スライド」が順調に機能するという仮定の上に成り立っている。
◇   ◇
 マクロ経済スライドは、高齢化の進行下でも年金財政の持続可能性を図るため、04年改正で導入された。
 もともと年金は前年の賃金上昇率に応じ、年金額を改定する仕組みをとってきた。例えば前年の賃金が2%上がれば、年金も2%上げる。これを賃金スライドという。04年改正では賃金スライドをいったん棚上げし、前年の賃金上昇率から1〜2%程度(スライド調整率)を差し引いた年金額改定にとどめることで給付抑制を図ることとした。
 スライド調整率は、年金財政の支え手である労働力人口のその時々の減少率を踏まえて決定される。棚上げ期間は、給付が十分抑えられ、財政検証から100年たった時点でも積立金が枯渇せずに一定程度残るめどが立つまでだ。

にしざわ・かずひこ 65年生まれ。一橋大社会学部卒。専門は社会保障
 ただし前年の名目年金額は維持するとの縛り(名目下限措置)が設けられた。賃金上昇率、スライド調整率がそれぞれ0%、1%の場合、年金額は1%減額されるのではなく、名目下限措置により据え置かれる。例外措置のはずが、実際には賃金が伸びず、恒常化し今日に至っている。マクロ経済スライドが実際に機能したのは、消費増税の影響で一時的な物価上昇が起きた14年の翌15年の1回だけだ。
 その結果、年金給付水準は04年改正時の想定に反し過剰給付になっている。04年改正時、年金給付水準を表す代表的指標である所得代替率(年金額を賃金で割った比率)は当時の59.3%から、14年には54%まで低下すると想定されていた。だが実際には2割弱高い62.7%に上昇した。2割弱とは9兆円規模に相当する。それは過剰給付であり、将来世代の給付原資となるべき積立金の取り崩しや赤字国債で賄われている。
 国の一般会計における社会保障関係費約33兆円(18年度予算)のうち、年金は11.8兆円に及ぶ。仮にマクロ経済スライドが確実に機能していれば、その分社会保障関係費は抑えられていた。
◇   ◇
 では実態に近い経済前提によれば、今後の年金財政の姿はどう描かれるのだろうか。筆者らは厚生労働省が公開する14年財政検証プログラムを基に、より現実的と考えられる経済前提の下で試算した。
 物価上昇率、賃金上昇率は13〜17年の平均をとり、いずれも0.44%とした。この期間は12年12月にスタートした第2次安倍政権および景気拡大期と重なる。なお物価上昇率は14年の消費税率引き上げの影響を除いている。運用利回りについては年ごとのブレが大きいことから、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の通期運用利回り(01〜16年)の2.89%とした。

なかた・だいご 73年生まれ。横浜国立大博士(経済学)。専門は公共経済学
 この試算によれば懸念すべき2つの事態が生じる。一つは加速度的な積立金の取り崩しだ。厚労省の14年財政検証では、14年の183.3兆円から75年に672兆円となるまで積立金残高を積み増し、それ以降2110年に給付の1年分になるまで残高を減らしていく想定になっている。
 しかし筆者らの試算では、積立金は足元から2051年に枯渇するまでほぼ一貫して取り崩されていく。取り崩し額は年々大きくなり、30年の0.7兆円から40年に6.5兆円、50年に10.5兆円となる。積立金の資産構成の4分の1は国内株式なので、それだけ株式市場に常に売り圧力がかかることになる。
 もう一つは52年には非連続的な年金給付の調整に追い込まれることだ。14年財政検証では、所得代替率は年平均0.4ポイントずつ低下し43年に50.6%まで下がるが、それ以降は維持されるとしている。04年改正で国民に約束した50%が確保される形だ。
 だが筆者らの試算で用いた賃金上昇率0.44%では、名目下限措置が障壁となる。1〜2%のスライド調整率をすべて差し引くことができず、所得代替率の低下は年平均0.2ポイントと緩慢なものにとどまる。給付水準が十分に下がらないため、51年に積立金が枯渇し、52年以降は保険料収入の範囲での給付となる。その結果、所得代替率は51年の54.2%から52年の36.1%へと一挙に落ち込む(図参照)。

 一方、名目下限措置を廃止するとどうなるだろうか。同じ経済前提の下で試算したところ、48年まで積立金が積み上がり続け、所得代替率は44年に46.8%まで低下した以降はこの水準で維持できる。
 19年に予定される次の財政検証を踏まえ、名目下限措置廃止に取り組む必要がある。楽観的な経済前提で100年安心を演出するのでなく、経済が下振れしても一定の年金給付が維持される将来像を示すことこそ、制度の信頼につながると肝に銘じるべきだ。
◇   ◇
 そのうえで年金制度が抱える諸課題への対応が必要だ。第1にかねて検討が急がれる非正規雇用者の厚生年金適用拡大だ。国民年金の就業別加入者数で最大のウエートを占めるのが非正規雇用者とみられる。国民年金加入者は基礎年金のみの受給であるうえ、さらにマクロ経済スライドの対象となることを考えると、2階部分を持つ厚生年金への適用拡大は喫緊の課題だ。
 第2に働き方の多様化への対応だ。今後、複数の仕事から収入を得るマルチワーク、副業、プラットフォーム上でビジネスを展開する労働者、およびシェアリングエコノミーの下で働く非典型的労働者などの増加が見込まれる。さらには健康面で個人差の大きい高齢労働者の増加は、雇用形態の一段の柔軟化を促すと予想される。こうした労働者をいかに公平かつ効率的に社会保険制度に取り込んでいくかは、現代的な課題といえる。
 「骨太方針2018」でも「勤労者皆社会保険制度」が打ち出されており、具体化に向けた今後の取り組みが極めて注目される。正攻法は年金制度の一元化だが、改革のフィージビリティー(実行可能性)を重視し、現行制度下で適用拡大を先行させる方法もあり得るだろう。経済界との合意形成が必要だ。
 第3に年金の受給開始年齢をより柔軟に選択できるように期限を定めないオープンエンド化だ。一般に高齢者の金融リテラシー(知識)は加齢とともに低下することを踏まえると、可能ならば積極的に繰り下げ受給を選択し、後期高齢期に手厚い年金給付を受けた方が好ましい。労働所得の有無や多寡に応じ、一時的な年金給付停止や縮小といった選択肢があってもよい。加えて公的年金の給付抑制を補完するため、私的年金および企業年金の拡充も不可欠だ。
 マクロ経済スライドの名目下限措置を廃止しフルに機能させつつ、中高齢者の自助や共助を適切に引き出せれば、未曽有の高齢化を乗り越える道筋は残されている。建設的な議論を急ぐ必要がある。


http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/129.html#c1

[経世済民128] 加工食品の産地表示で再注目、中国産食品はどこまで安全なのか(マネーポスト) 赤かぶ
2. 2018年8月19日 23:35:59 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1331]

人は安全情報よりも、デマや危険情報を信じ、拡散したがる

それもまた自然なこと

http://bunshun.jp/category/chugoku-shokuhin
危険すぎる中国産食品
最新回を読む

食卓でも外食でも、何気なく口にしている「中国産食品」。記者が現地へ足を運び、「潜入取材」で目撃した「中国産食品」の内実を衝撃的な写真とともに明かします。

中国発「汚すぎるゴミ畑」の実態〜農薬の空瓶、点滴パック、注射器まで〜
中国発「汚すぎるゴミ畑」の実態〜農薬の空瓶、点滴パック、注射器まで〜
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品 #9
徳山 大樹
2018/03/23
「猛毒だから食べると危険!」は本当か? 中国産ピーナッツの真実
「猛毒だから食べると危険!」は本当か? 中国産ピーナッツの真実
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品 #8
徳山 大樹
2018/03/13
中国人も「食べたくない」驚愕の成長ホルモン漬け“速成鶏”
中国人も「食べたくない」驚愕の成長ホルモン漬け“速成鶏”
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品 #7
「文春オンライン」編集部
2018/02/11
ビニールハウスで育てられる中国産「ドブ川野菜」の実態
ビニールハウスで育てられる中国産「ドブ川野菜」の実態
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品 #6
「文春オンライン」編集部
2018/01/29
タイヤ痕がくっきり。地べたで干された中国産「カーペットひじき」の衝撃
タイヤ痕がくっきり。地べたで干された中国産「カーペットひじき」の衝撃
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品#5
徳山 大樹
2017/12/22
中国人も「これは工業用だ」と絶句。戦慄の「ホルマリンウナギ」
中国人も「これは工業用だ」と絶句。戦慄の「ホルマリンウナギ」
週刊文春記者が見た!  危険すぎる中国産食品#4
「文春オンライン」編集部
2017/12/07
食べて一晩中トイレから出られなかった中国産「ヘドロアサリ」の恐怖
食べて一晩中トイレから出られなかった中国産「ヘドロアサリ」の恐怖
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品#3
徳山 大樹
2017/11/07
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品#2 イカ・白身魚フライ編
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品#2 イカ・白身魚フライ編
山東省の「イカ社長」が産地偽装を認めた
徳山 大樹
2017/10/23
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品#1 漬物編
週刊文春記者が見た! 危険すぎる中国産食品#1 漬物編
「ゴミじゃないよ、ニンジンよ!」
徳山 大樹
2017/10/17
ランキング
最新
24時間
週間
いいね!
甲子園は「本当に」高校球児のための大会になっているのか
new
甲子園は「本当に」高校球児のための大会になっているのか
ここまでわかった「がんにならない」のはこんな人
ここまでわかった「がんにならない」のはこんな人
高校野球「熱中症で力尽きたエース」記事が朝日新聞に見当たらない、という問題
高校野球「熱中症で力尽きたエース」記事が朝日新聞に見当たらない、という問題
観客席から「殺すぞ」 松井秀喜「5打席連続敬遠」は“事件”だった【夏の甲子園100回! ベストシーン】
観客席から「殺すぞ」 松井秀喜「5打席連続敬遠」は“事件”だった【夏の甲子園100回! ベストシーン】
小林麻央に14年間連れ添ったマネジャーが語る「麻央が亡くなった日」
小林麻央に14年間連れ添ったマネジャーが語る「麻央が亡くなった日」
ここまでわかった「がんにならない」のはこんな人
ここまでわかった「がんにならない」のはこんな人
「愛してる」と言って亡くなった小林麻央さんの最期を作り話だという医師たち
「愛してる」と言って亡くなった小林麻央さんの最期を作り話だという医師たち
要介護状態になった「毒親」を捨てたい──50歳の息子の葛藤
要介護状態になった「毒親」を捨てたい──50歳の息子の葛藤
気力、体力、財力が充実した「ハイブリッド老婆」に苦しめられる長女
気力、体力、財力が充実した「ハイブリッド老婆」に苦しめられる長女
小林麻央に14年間連れ添ったマネジャーが語る「麻央が亡くなった日」
小林麻央に14年間連れ添ったマネジャーが語る「麻央が亡くなった日」
「緊張の糸は、高畑さんが亡くなってもほどけない」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #3
「緊張の糸は、高畑さんが亡くなってもほどけない」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #3
眞子さまが小室圭さんと自由に結婚できない3つの理由――2018上半期BEST5
眞子さまが小室圭さんと自由に結婚できない3つの理由――2018上半期BEST5
「400万円超の“借金トラブル”」スクープ記者が見た眞子さま婚約者・小室圭さんの素顔――2018上半期BEST5
「400万円超の“借金トラブル”」スクープ記者が見た眞子さま婚約者・小室圭さんの素顔――2018上半期BEST5
「高畑勲監督解任を提言したあのころ」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #2
「高畑勲監督解任を提言したあのころ」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #2
「なぜ高畑勲さんともう映画を作りたくなかったか」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #1
「なぜ高畑勲さんともう映画を作りたくなかったか」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #1
「なぜ高畑勲さんともう映画を作りたくなかったか」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #1
「なぜ高畑勲さんともう映画を作りたくなかったか」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #1
5532
「緊張の糸は、高畑さんが亡くなってもほどけない」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #3
「緊張の糸は、高畑さんが亡くなってもほどけない」――鈴木敏夫が語る高畑勲 #3
1919
そして甲子園球児たちは、他競技でトップアスリートになった
そして甲子園球児たちは、他競技でトップアスリートになった
898
背番号124の「野球小僧」 阪神・横田慎太郎が脳腫瘍から復活する日
背番号124の「野球小僧」 阪神・横田慎太郎が脳腫瘍から復活する日
798
「猛暑もチャンス」から突然の「サマータイム導入」 森喜朗の五輪トンデモ発言まとめ
「猛暑もチャンス」から突然の「サマータイム導入」 森喜朗の五輪トンデモ発言まとめ
564
もっと見る
最新情報をお届け!
4679
26148
SPECIAL

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/233.html#c2

[政治・選挙・NHK249] 安倍は、昨日に引き続き、またゴルフ。経団連のお偉いさん方と  赤かぶ
1. 2018年8月20日 00:09:37 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1332]
談合は関係なし! 神様が見たってリニアはいける
リニア新幹線 夢か、悪夢か
「JR東海の天皇」、葛西名誉会長インタビュー

2018年8月20日(月)
金田 信一郎

 9兆円をかけるリニアプロジェクトに暗雲が垂れ込めている。詳しくは日経ビジネス8月20日号で21ページにわたる特集記事としてレポートしているが、昨年から表面化した談合問題は工事の先行きを暗示する。また、安倍首相の発言で財投3兆円が投じられたが、大親友・葛西敬之名誉会長への「お友だち融資」ではないのか――。様々な疑問を、リニア計画を30年にわたって引っ張ってきた葛西名誉会長に聞こうとしたところ、JR東海から断りの電話が入った。そこで休日、自宅を直撃する。「それは僕でないと語れないな」。そうして、翌日の名誉会長インタビューが実現した。そのすべてをここに披露する。

 昨日は自宅に押しかけて、すみませんでした。

葛西:いやいや、まあ、昭和15(1940)年から住んでいましてね。あそこは、もう昔は本当に田舎でした。


葛西敬之(かさい・よしゆき)氏
東海旅客鉄道名誉会長。1940年生まれ。63年東京大学法学部卒、日本国有鉄道入社。69年米ウィスコンシン大学経済学修士号取得。86年職員局次長。「国鉄改革3人組」の一人。87年JR東海発足とともに取締役に就任。95年社長就任。2004年会長、14年名誉会長。今年、28年ぶりに代表権が外れる。
昨日も、その場でも話しましたが、なぜ、リニアに9兆円もかけてのめり込んできたのか。

葛西:国鉄の分割民営で、それぞれ(の会社)に使命があり、うちは「東海道新幹線会社」ということですよね。

 それで、東海道新幹線の開業時点での状況を見ると、当時の土木技術の常識では10年は絶対に大丈夫だけど、20年経つと取り換えが起こるかもしれないと、こういう話がありました。ローカル線の赤字を埋める担い手としては、技術が陳腐化しつつあった。さらに言えば、空港が建設中で、競争先は能力を拡大しつつある。

 しかし、(東海道新幹線は)輸送能力が限界に達している。輸送能力を増やすためにはどうしたらいいのか。ならばバイパスを造るしかないと。すでに国の法律で決まっている中央新幹線(リニア)があり、東海道新幹線と旅客流動が同じなので、一元経営しなければならない。

難しいのはカネ。借金返済会社だったから
鉄道ネットワークというのは、儲かる大動脈があって、それで儲からないところを支えるというものでは。東海道新幹線が儲かったときに、鉄道ネットワークとしてもう1回考えるという方向性もあったのかなと。新幹線が二重化しても、人口減少時代で、しかもビジネス上の会議というのもネットに移ってきている。

葛西:そんなの30年前から言われているけど、そうなってないんだよ。

でも人口は実際に減少してきている。

葛西:人口はだけど、世界の人口動態がどう変わるかということ。日本人だけの人口で測るべきではない。インバウンドが今増えている。日本で定住人口も増えていく可能性がありますね。すべてのインフラが非常に整っている東京〜大阪間の地域というのは、日本経済のいわば頭脳であり、体幹部であると。

それは東海道新幹線をここまで強くしてきたのだから、その更新でいいのでは。

葛西:東海道新幹線は1時間15本走っているんです。17本が限界だから、そうするとあと2本ですよ。技術や設備を強化し、それからスペックを統一して、効率的な運用をした結果、そこまできたからね。もうこれ限界なんだよね。

 この次は、やっぱりもう1つバイパスがいるんですよね。東京〜名古屋間、名古屋〜大阪間、このバイパスがどうしてもいる。「このバイパスはいらない」という議論はないですよね。

でもこれだけ東海道新幹線が活躍していると、それで、かなり満足感を得ている人も多い。

葛西:いや、今はいいですよ。しかし、まだこれから世界の人口は増えますよね。アジアの人口も増えますよね。そして日本に定住したいという人の数も増えていきますね。東京、名古屋、大阪を結ぶ使命というのは大きくなりますね。使命は行き止まりというのはないんですよ。

 常に今プラス一定のアローアンス(余裕)を確保しなくちゃいけないと。バイパスを造らないで、何を造ったらいいと思うの?

東海道新幹線の強化。

葛西:東海道新幹線と同じものを造るということになると、リニアに比べるとはるかに今度は用地買収とか難しくなりますよね。だからその意味で言うと、リニアというのは非常に新しい時代に即した効率性と高速性と、両方を持ったテクノロジーです。ですから東海道新幹線はファンダメンタルなネットワークの基本ですよね。

 しかしリニアはそのバイパスとして、東京〜名古屋、東京〜大阪の人間をいかに引き取るか、受け止めるかと。

リニアは難しいということは、最初からお感じになっていた?

葛西:難しいのはおカネ。借金が多かったでしょう。だから我々は国鉄の借金の相当部分を引き取ったわけなんです。最初は借金を返す会社だったの。

 新幹線でもうけて、借金を返す会社。ところが、それが借金を返し続けて、金利負担が減ってきた。ゆとりができたので、自分のおカネでリニアを造りましょう、という話が視野に入ってきたと。つまり自分の、本来の使命をさらに強く達成するために使おうということに決めたわけですね。

そのころ債務も3兆円、一時は2兆円ぐらいまで減った。

葛西:そうですね。

完全民営化もされた。何かタイミングだったと。

葛西:そうですね。

自分たちでやるんだと決めて、ただおカネは相当かかると思った。

葛西:カネは当時の試算で、東京〜名古屋間が5.5兆円だと言っていましたね。それから名古屋〜大阪間が3.5兆円。

それは今も変わらない数字ですか。名古屋までの5.5兆円は、増えることはない?

葛西:今も基本的には変わらない。いろいろやっているうちに増えたり減ったりしますから、最終的にぴったりそうなるということじゃない。大局的な想定です。

想定がどうなるか。去年からのリニア談合の問題もありました。

葛西:談合は、我々はまったく関係ないからね。

でも、ゼネコン側の幹部の方と話をすると、JR東海さんの工事、このままやっていくと採算が厳しいから、話し合ってしまった面がある、と。

ゼネコンとつばぜり合いはやったらいい
葛西:それは彼らが勝手に話したこと。要するに、彼らは「もっと高く契約を結んでくれ」と思ったんですよ。我々は「いや、もっと安くできるだろう」と。こちらも技術者がいっぱいいますから、厳しい折衝になったと思うんだけど。それについて、どうやったのか僕は知りませんよ。

ゼネコンにしてみれば、技術開発や研究とか、一緒にやってきたんだから、利益が薄いときついと思った。

葛西:だから、新しいタイプの工事もあるし、ゼネコンの最新技術は各社ありますから。日本の建設技術、鉄道技術の粋を尽くしてやろうということです。互いに情報交換したり、勉強会をやったりしたことはあったと思うんですよ。

 だが、契約を結ぶのは、我々としてみれば、やっぱりこの範囲内で上げたい、できるはずだと思っている部分はあるし、向こうは10年もかかる工事だから、その間に物価がどう変わるか分からないリスク要素もある。少しバッファーを取りたいということもあって、だから、いろいろ知恵を出し合い、契約をいくつかに区切ったりする。

 この辺はプロの世界で、素人が口出すことはない。私は会社として方針を決める。あとはプロがつばぜり合いをやるわけです。そのつばぜり合いで、法律に触れたかどうかは、これは彼らの話です。

でもゼネコンからすると、我々も悪かったけど、「発注者責任もあるんじゃないか」という思いがある。

葛西:発注者責任? 民間企業の工事ですから、公開競争入札にする必要はないので、ここ(の会社)がこの分野は得意だと(すれば)、「あそこにやらせる」という髄契(随意契約)でいいわけです。その代わり金額については徹底的につばぜり合いをして、たたき合いますよね。今度は「1対1でやるぞ」ということにはなるかもしれません。それは発注者と受注者は常に一緒の方向を向いてはいるが、しかし契約金額という点では向かい合って、つばぜり合いは大いにやったらいいと思う。

金額のことでいうと、リニアの車両の開発をした三菱重工業が撤退した。やっぱり金額が折り合わないと。もう、倍ぐらい差があるという声もある。JR東海と請け負う企業と、金額の差が結構開いてきているのではないか。

葛西:そんなことはないですよ。1両12億円で造るということでこちら側が投げたのを、三菱重工は「それでは造れません」と言ったんですよね。今、東海道新幹線の車両というのは、1両3億円ぐらいでできている。リニアの1両は4倍の値段ですよね。それで我々は十分造れるはずだと思いますよね。現に、日本車両と日立は「それでやらせていただきます」と言っているわけだよね。だから僕は三菱重工の場合は軍需産業で、ものすごくマージンが高いんだと思うんですよ。三菱重工の特殊事情であって、それは一般的にJR東海が高いものを安く買おうとしているからではないんですよ。

今、9兆円を自分で出してやっていくと。ただ、2016年6月に安倍晋三首相から「財投を入れる」という話が出ました。

葛西:あれは自己負担だよ。

でも財投ですから、財投債が発行される。

葛西:財投債だけど、銀行から借りるのとまったく同じですから。

安倍さんとの話、どっかであったかも
いや、銀行から借りたら、無担保で3兆円を0.8%という金利で借りられないのでは。30年間も元本を返済しなくていいという条件も出てこないと思うんですよ。

葛西:財投で借りているというのは、財投機関から借りているということであって、財政出動しているわけじゃないんだよね。あれは債権を発行する。発行するのに必要だった経費も全部含めて、JR東海はコストをカバーして、端数を切り上げたおカネで借りるわけですよね。だから、あたかも政府におカネを出してもらったかのごとく理解するのは、これは間違っているのか、ねじくれているのかどっちかなんだよ。

でも、政府が決めるからこそ、安倍首相がまず宣言したわけですよね。2年前の6月の財投の決断は、やっぱり葛西さんが「財投を入れると、これだけ工期が短くできる」とおっしゃったのでは。だから、安倍さんがそうしたと。

葛西:僕は安倍さんには、直接はそういう話をしてないんですよね。

そうなんですか。

葛西:安倍さんを支持しているけど、何かしてくださいというお願いは、基本的にやらないことにしています。ただ、政府に大阪からの要求がすごく強くて、「一刻も早く、大阪までの工事を立ち上げられるようにしたい」という気持ちがあったのは事実ですね。大蔵省や経産省、国交省はあんまり飛躍した考えが出てこないんですよ。

でも、安倍さんもあれだけ葛西さんと頻繁に会っていると、その中で、財投の発言の直前など葛西さんに話したくなるのでは。

葛西:そんな話は安倍さんから出ませんよ。

その間、リニアの話は。

葛西:だから、大阪までの着工をできるだけシームレスにやりたいという気持ちは、大阪にも政権にもありますよね。安倍総理や菅官房長官、杉田副長官にもあるのは分かります。そうすると、「やる方法はないのかな」なんて話がある。

 ある日、「こういう案でやったらどうだ」というサウンドがあったのも事実。それは安倍さんが言われるだいぶ前ですよ。それで、政策的にある程度詰めた上で、それは総理の所に、「こういうことでいきたい」という話が上がったんだと思うんですよね。直接の相手は財務省ですよね。あるいは国交省ですよね。でも国交省から、あんまり大きな知恵が出ないから、やっぱり財務省なんですよね。

そうすると、安倍さんの方から「何とかならないか」みたいな話があった。

葛西:どっかであったかもしれませんね。何人かで集まったりするところはありますからね。だけど、あんまり具体的にこれ、何とか知恵を出してくれとか、こうしたらどうだとか、一切ないんですよ。

国からおカネを回してもらった。

葛西:いや、でもそれは国から借りただけであって、そのおカネは金利の補助もまったくなくてですよ、金利を払って返すわけです。だからあれを「国から財政支援を受けた」というのは悪意によるねじ曲げとしか思えないよね。

財投を借りて失敗したものがたくさんある。私が見てきたものが悪すぎたかもしれないけれど。でも、葛西さんも国鉄に財投を投入され、重い債務になって、若かりし頃に大変な思いで改革された。それがまた繰り返される危険はないんですか。

葛西:100%繰り返されないんだって。僕は国鉄に入ってから、財投をずっとやってきて、それで毎回、「これは返せない」と思いながらきましたよね。だから、運賃の値上げをすべきなのに、それを切り下げておいて、差額を財投で借りるという話だとか。黒字になるような工事じゃないのに財投を付けて、無理やりシナリオを作ると。それを作る時の答弁を僕は書きましたから。返せることはないと。どんどん雪だるま(借金)が大きくなるだろうと思ったわけ。

 今回のやつはまったくそう思ってないんだよ。僕は財投を散々やってきて、その上の経験に立って、今回のは大丈夫だと。なぜかといったら、開業1年目からキャッシュフローで黒字になるからなんですよね。

リニアによって新幹線がさらに生きてくる
ただ、それはまさに国鉄時代の計画と同じようなものでは。

葛西:いや、違います。

違いますか。

葛西:国鉄の時代は全部赤字ですよ。

例えば、計画では名古屋まで、のぞみプラス700円、新大阪までプラス1000円で需要予測をしています。すごく安く感じ、何か国鉄時代の運賃を上げずに借金をして造ってしまった話とダブって見えるんですが。

葛西:何が。リニアの運賃?

はい。

葛西:リニアの運賃はまだ決まってないからね。

でも、それで需要の予測をしている。

葛西:でもリニアの場合、どういう運賃政策を取るかまったく決まってない。これから全部決めるわけですよね。それからリニアの審議会に提出した試算に比べると、経常利益は2000億円ぐらい増えている。その意味で、昔の財投と同じかもしれないというのは不勉強すぎるよ。

 そういうプロジェクトなんだって。東京〜大阪間って特別な地域なんですよ。東海道新幹線が今、本当にフル稼働でやっている。さらに増えようとするものを受け入れるものを造る。しかも飛躍した性能を持った21世紀の技術になるわけで、そのところについて、何の心配もしてないんですよ。

しかし、リニア新幹線はあまりにもハイスペックじゃないか。

葛西:どうして? だって、東海道新幹線ができたときに、東海道本線はフル稼働していたんだよ。こだまが走って、時速110kmで。それで東京〜大阪を6時間半で結ぶというところまできていたわけ。それに対して、東海道新幹線はあまりにもハイスペックだったんですよ。でも、それができたことによって今日があるわけですよ。

 だから僕が思うに、東海道新幹線は世界中で類例がないんですよね。圧倒的。でも、それに甘んじていたら、結果的には衰退の道をたどるんですね。ですからバイパスを造って、東京〜名古屋を40分、東京〜大阪を67分にする。そういう体制に持っていくことによって、東海道新幹線がさらに生きてくるんですよね。

しかし、新幹線は東京〜新大阪ですとか、東京〜名古屋の需要は相当落ちますよね。

葛西:ただし、京都や新横浜もあるよね。それから岡山があり、広島があり、そのネットはすごく大きいですよね。21世紀の半ばになってできる輸送機関が東海道新幹線と同じものだというのでは、日本の国の将来のダイナミズムが失われますよね。そこはやっぱり飛躍しなくちゃいけないと思いますよね。

葛西さんは絶対、収支はいけるんだと。

葛西:私がじゃなくて、神様が見ても、誰が見たっていけるんです。

でも、かつて山田社長は「リニアは絶対ペイしない」と言った。

葛西:山田、そんなこと思ってないよ。あれは質問が悪くて。

そうなんですか。

葛西:そうだよ。彼に聞いてごらん。彼はもう絶対黒字だと思っていますから。

リニアの設備更新と維持管理で年間4200億円かかり、増収効果よりも大きいということを山田さんはおっしゃったと。

葛西:僕、詳しくは見てないけど、オペレーションコストと減価償却費、合わせますよね。東海道新幹線が今5700億円ぐらいのキャッシュフローを生んでいますから、減価償却費がたぶんリニアの場合5兆5000億円だとすると、2000億円の減価償却費が出ますと。

 オペレーションコストが収入とトントンだとして、2000億円が赤字になるというふうに見えるけど、実は2000億円、言ってみれば、税金を払わなくちゃいけない収入が減るので、内部留保が増えるわけですね。だからプラスとマイナス、両方ありますよね。だからあんまりそれは気にすることないので。

 あの時の計算だと、開業時点の厳しいときでも両方合わせると、確か経常利益630億円というぐらいの数字になっていたかな。

 でも今の状況で見ると、もうすでに2000億円ぐらい増えているから。2600億円ぐらいになっているということだよね。だから僕は、収支についての心配はいらないと思うよ。

心配しなくていい。

葛西:(心配は)いらない。それは保証してもいいけど。

今もう6000億円近い利益が上がる経営体なので、JRグループの北海道や四国といった厳しい経営状態の会社を救い、鉄道ネットワークを再構築する道はないんでしょうか。

連携に手を出すなんて、愚問を発しないでもらいたい
葛西:鉄道は19世紀は陸の王者だったわけ。ところが、20世紀になって競争相手がいっぱい出てきました。高速道路の建設ネットワークを見てごらん。本当に東海道新幹線ができたときは、名神しかなかったんですよ。今もう日本中に道路ができている。航空網もできている。そういう状況の中で鉄道が道路に転換していく部分というのが増えてくる。当然なんですよね。それを嫌だという地元の人たちの意見もある。

 そういうのにずっと付き合いながら、全国を1本に戻そうなんていうことにはなりませんよね。経済原則に反するから。だから我々はやっぱり、分割をして、与えられた我々の使命、これを徹底的に果たすということです。国家の大動脈で、人口の6割が住んでおり、GDPの6割がここで生み出される。そこの部分がいかに健全にこれからも機能し続けるかというために、我々は全力を挙げるということですよね。

 現に、今1260人をリニアの建設に充てているわけですよ。米国にも(人を)出していますが、我々って国鉄時代と違って、人が余っていませんから。効率的に仕事をする前提でフル稼働でやっています。それをやって初めて、工事が予定通り進むんですから、ここのところ(他社との提携)に手を出す気はないのかなんていう愚問を、発しないでもらいたいですね。

しかし、リニアも他の鉄道網も、まったく違う事業ではないし、選択肢としてはあり得るのでは。

葛西:何が? だって、それぞれが会社の使命が決まっているんだから。(JR各社が)それぞれ定義されていまして、例えば東日本は首都圏の鉄道を強化する。それは東海道新幹線にとってプラスですよね。

 我々は12の在来線を持っています。全部赤字です、東海道本線も含めて。これを維持しながら、東海道新幹線を磨き上げていく。でも、もうぎりぎりのキャパシティーになったので、バイパスを造って、さらにゆとりを作っていくと。東海道新幹線のお客さんが切符を取れない。立って乗らなくちゃいけない。金曜日の夜なんて、立っていますよ。

そうですか。

葛西:だからそういう状況を緩和して、快適な輸送を21世紀も続けるということが我々の使命ですよね。まず、我々の使命を果たしきることが大事だと思うんですよ。その上でさらにゆとりがあるというのが、20年先になるかもしれないけど、その時には何を考えるかだよね。

葛西さんは、もう一度、陸の王者を取り戻そうとしている?

葛西:いや、私、そうは思ってないですけどね。要するに19世紀、鉄道は万能の輸送機関だったわけ。でも今は万能ではなくて、ごく限られた条件のあるところで機能しているわけですよ。東京〜大阪間というのは鉄道輸送にとって、最も機能の発揮しやすい分野。だからここは鉄道だと。

 米国という国は大きな国だから、要するに遠くは飛行機、それから中距離、近距離はこれは高速道路となっているんですよ。しかし、渋滞して、心筋梗塞みたいになっているのが、北東回廊なんですよ。ワシントン〜ニューヨーク間。

 だからここには第3のバイパス、それは何だといったら、高速鉄道でもいいが、できればリニアを北東回廊には造ったらいいと思うんですね。それはだから、万能の輸送機関じゃなくて、すべてがそろっている中で、それでもなおかつ交通が渋滞しているところのいわばバイパスですよね。そういうものとして鉄道はこれから使われていくんですよ。先進国においては。

それが鉄道の21世紀の使命になると。

葛西:そうです。21世紀は各国によって鉄道の役割が違うんですよ。アフリカ、インド、欧州、米国、日本、路線によっても違うんですね。東京〜大阪間というのは世界でもユニークな地域ですよね。やっぱりそれと同じユニークさを持っているのは、ワシントン〜ニューヨーク〜ボストンでしょうかね。そこは同じような形になるんですよ。そうでないところはまた別で、インドは今、JR東日本がやっていますよね。アフリカはまだこれからですよね。ヨーロッパは19世紀の鉄道を生かしながら、20世紀と19世紀が同居するという形の鉄道の輸送ですよね。

 だけど日本の場合はそうじゃなくて、19世紀の鉄道も、20世紀の鉄道も、それの接続をよくすることによって、ネットワークを作っていくというのが今までのやり方。リニアもその延長線上に、21世紀のものが入ってくるということですかね。

リニアが完成するまで生きていないんじゃないか
リニアの完成で、葛西さんの長い鉄道マン人生は、やろうとしてきたことがほぼすべて実現する。

葛西:僕はリニアが完成するまで生きてないんじゃないかと……。

いやいや、そんなことはないでしょう。

葛西:僕も今年78歳ですから、完成するのが10年先で88歳でしょう。だいたい平均寿命を超えちゃうので、僕は。

88歳はもちろん、葛西さんは大阪開業まで生きているでしょう。

葛西:まあ、その都度、僕は目の前にある問題の大切なことにベストを尽くすということを積み重ねてきましたので、一期一会みたいなものできています。これからもだからリニアは大事だと思うし、新幹線も大事だと思うし、あるいは海外展開も日米同盟を強化するという意味で大事だと思いますよね。いろいろやりますが、しかし、それは明日終わるかもしれないと。それでもいいやと思ってやるしかないよね。


このコラムについて
リニア新幹線 夢か、悪夢か
 時速500km、大阪まで1時間。夢の超特急リニアの工事が本格化してきた。しかし、昨年からリニア談合事件が表面化し、主要企業がリニアから撤退する事態も起きている。財投3兆円が投じられ「国家プロジェクト」の色彩も強まっているが、リニアは本当に国民のためになるのか。巨額プロジェクトを動かす男たちを追った。
http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/469.html#c1

[国際23] 米中貿易戦争、中国市民に広がる「反米不買」の声(ニューズウィーク) 赤かぶ
1. 2018年8月20日 07:57:54 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1333]

2018.8.19 20:11
【米中貿易戦争】中国の経済学者「勝ち目なく壊滅的」 金融市場は「無謀な戦い」

中国の人民元紙幣
 米中両国の事務レベル貿易協議が22日から米国で開かれる予定だが、双方の主張は依然として隔たりが大きく、摩擦解消につながるかは不透明だ。今春に始まった米中貿易戦争は、すでに中国経済にダメージを与え始めた。「中国に勝ち目はなく、はやく失敗を認めて、事態を収束すべきだ」との厳しい見方も中国国内でくすぶっている。

 2期目の習近平政権が発足した直後の3月23日、中国商務省は米国による鉄鋼・アルミ製品への追加関税措置への報復として、128品目の米国製品に対し追加関税を課すと発表。問題がエスカレートした。

 中国の官製メディアは「われわれはいかなる戦争も恐れていない」と強気な姿勢を崩していない。ただ、対米輸出に依存している中国経済が米国と全面対決することは「無謀な戦い」とみる投資家も少なくなく、中国の金融マーケットは敏感に反応した。

 株式市場では3300ポイント前後だった上海総合指数が3月末から下落し、8月中旬には2600ポイントと約20%も下げた。人民元の為替相場も対ドルで10%近く急落した。中国は近年、経済成長率が前年比6〜7%で推移している。為替相場が下落すれば輸入コストが大幅アップするなど、成長率を押し下げる要因になる。

 「中華民族の偉大なる復興」とのスローガンを掲げ、経済規模で米国を追い越すことを夢みる習政権にとって、打撃は大きい。

 広東省や上海周辺で、米国からの発注激減にともない、生産停止に追い込まれる工場も出ている。中国は報復措置として、米国産大豆に高い関税を課したが、中国国内の家畜飼料は米国産大豆に依存しているため、飼料のコストが増大。7月以降、北京など都市部の豚肉の価格が高騰し、市民生活にも大きな影響が出始めている。

 一方で、中国が追加関税を課す米国製品は農業分野に集中していることもあって、貿易戦争が米国経済に与える影響は今のところは限定的。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均はこの間、むしろ5%前後上昇している。

 中国の著名な経済評論家、賀江兵氏は香港メディアに対し米中貿易戦争について「勝ち目がない」と強調した上で、「いまの状態が今後2カ月以上も続くと、中国の経済は壊滅状態に突入する」と指摘し、中国当局に対し早期解決を訴えている。(矢板明夫)

 

 


2018.8.19 22:18
【米中貿易戦争】中国・清華大拠点のハッカー、米アラスカ州などにスパイ行為 米情報会社明らかに

中国・北京で清華大の門の近くを歩く人々。同大は習近平国家主席の母校で、ハッカーによるスパイ行為が指摘されている=2016年7月(ロイター)
 【ワシントン=黒瀬悦成】米国と中国の「貿易戦争」が先鋭化する中、中国の有名大学、清華大(北京)を拠点とするハッカーがスパイ行為を目的に、米アラスカ州政府や同州のエネルギー・通信関連企業のコンピューター・システムに侵入を図っていたことが19日までに、米情報分析会社「レコーデッド・フューチャー」の調査で明らかになった。

 同社によると、スパイ行為は今年5月下旬、アラスカ州のウォーカー知事を団長とする経済使節団が中国を訪問する前後数週間にわたって行われていた。

 ハッカーらは、中国とアラスカ州との貿易協議に関する最大の焦点である石油・ガス産業の動向を探ろうとしていたとみられ、州政府に加え、州天然資源局のシステムも標的となった。具体的被害の有無は明らかにされていない。中国は同州にとり最大の貿易相手国で、昨年の対中輸出総額は13億ドル(約1430億円)以上だった。

 ハッカーらはこれとは別に、中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」で協力強化に向けた協議を進めているケニアやブラジル、モンゴルの経済権益に対するスパイ行為も行っていた。

 清華大は、習近平国家主席の母校で、中国で最も権威のある大学「国家重点大学」の一つ。中国最高水準の工科系部門を擁することから「米マサチューセッツ工科大(MIT)の中国版」との異名をとり、中国の科学技術政策と密接に連携している。

 

 

中国嫌いのマハティール首相、EVでは踵返して急接近
プロトンを買収した吉李汽車と組み、マレーシアのEV大国化目指す

2018.8.20(月) 末永 恵
新たな国産車の復活を模索するマレーシアのマハティール首相。車好きで知られ、ナジブ政権によって廃止になったF1グランプリ誘致も、マハティール首相が主導した。5月の政権交代後、93歳でフェラーリを運転し、「F1レース復活もあり得る」と語る(クアラルンプール郊外)
 「マハティール首相は中国の古き良き友人。ASEAN(東南アジア諸国連合)以外で初の外遊国に中国が選ばれたのは、中国に対する重要性と友情の証。今回の訪問が両国にとって利をもたらすことを期待する」

 中国政府は、中国の李克強首相招待の下、17日から5日間の日程で、中国を公式訪問中のマレーシアのマハティール首相(以下、マハティール氏)の来中を前に、そう熱烈歓迎の意を表した。

 外国公式訪問としては、6月末のインドネシア訪問以来、2回目。6月に5月の政権交代後、日本に初外遊し、つい先週、再度、日本(九州)を訪問した知日派のマハティール氏を“やんわり”牽制し、面子を保とうとする中国ならではの歓迎のメッセージとも捉えられる。

 しかし、内心は熱烈歓迎とは無縁だ。

 「中国は、61年与党政権が続いてきたマレーシアで、まさか歴史的な政権交代が起きるとは予想していなかった」(マレーシア政府関係者)という。

 「PH(マハティール氏率いる野党連合「希望同盟」)だけでなく、これまでの野党の歴史や活動についてもほとんど知識がなく、ナジブ政権を支援しておけば安泰と踏んでいた中国は、新政府の情報収集に右往左往」

 「当然、選挙戦中に中国側が“古き良き友人”と慕うマハティール氏を表敬訪問することは1回もなかった。選挙後、その無礼に中国政府の代表者がマハティール首相に陳謝した」と明かすほどだ。

 そんな中国の“期待”を裏切って、15年ぶりに野党の代表として首相に返り咲いたマハティール氏。

 今回の訪中直前の米メディアとのインタビューでも「中国主導の大型プロジェクトはマレーシアに必要ない。廃止、あるいは、延期を視野に入れている」とマレーシアの国益重視の一貫した姿勢を貫き、中国での再交渉前の戦術として、大国を揺さぶっている。

 93歳の“老兵”だが、3300万人を率いる百戦錬磨の小国の“兵”だ。

 さらに、14億人の大国・中国に対して、世界のメディアを前に、新政権発足直後、習近平国家主席が提唱する現代版シルクロード経済構想「一帯一路」の大型プロジェクトを財政難を理由に、中止を発表。

 大国の面子をバッサリ、切りつけた。

 小国とはいっても、南シナ海やマラッカ海峡など、中国の国家安全保障や一帯一路の戦略上、極めて重要な位置づけにあるのがマレーシアだ。

 今回の訪問は、中止になっている一帯一路の中国主導大型プロジェクトに関する再交渉とともに、2国間での貿易、投資、インフラ開発などの経済ミッションに重点が置かれる内容だ。

 6人の関係閣僚を伴って訪中するマハティール氏は、18日に浙江省杭州市のアリババ本社を訪問し、創業者のジャック・マー氏と会談。

 「アリババの国家事業は、中国の人々に役立っている。マレーシアでもそのノウハウを生かしてもらいたい」とマハティール氏。

 輸出拡大を目論んだ同社との共同開発などのプロジェクトなどに関する案件や、新規ビジネスについての具体化について協議した。

 さらに、20日には習国家主席や李首相との首脳会談、共産党指導部との会談も予定されている。

 しかし、それ以上にマハティール氏が今回の訪中で重要視している一つが、18日の中国最大の(非国営)民間自動車会社「吉利汽車」(ジーリー、浙江省台州市)の訪問だった。

 マハティール氏は、 創業者で会長の李書福(リー・シューフ)氏と会談し、同社・工場などの見学。さらには最新モデルの視察とテストドライブを行った。

 また、プロトンホールディングと吉林汽車が、2019年半ばまでに中国で両者の同額出資のもと、ジョイントベンチャーによる工場を新たに設置することでも合意した。

 ちなみに、車マニアのマハティール氏は、93歳の今でも、後部席に護衛SP、助手席にはハスマ夫人を乗せ、クアラルンプール市内をドライブする現役ドライバーだ。

 最近では、F1レース用のフェラーリを運転し、我々メディアの度肝を抜いた。この車の運転には特殊技能が要求されるからだ。

 そんなマハティール首相が「わが子を失った、とてつもなく悲しい」と昨年フェイスブックに書き込んだ――。

 マレーシアの国民車「プロトン」の生みの親の同氏は、昨年5月にプロトンの吉利汽車への身売り(同社が株式の49.9%を取得)が決まった直後、プロトンを失った落胆の心境を隠し切れなかったからだ。

 マハティール氏が、日本の三菱自動車の支援で東南アジアで初の国産車開発に挑んだ元国策企業が、会社創業から34年にして、自動車後発組と思われてきた中国企業に買収された屈辱の瞬間でもあった。

 同氏は、2003年に首相を辞任して以来、プロトンのアドバイザーに就任。

 低迷するプロトンの復活を任され2014年に会長に任命され、ナジブ前首相と同社の経営戦略で対立し辞任するまでの2年間、プロトン再生に挑み、最後まで外国自動車メーカーへの身売りに否定的だった。

 マハティール氏が、ナジブ政権打倒で92歳(7月10日に93歳を迎えた)の高齢であるにもかかわらず、かつての政敵、野党連合の会長を引き受け、選挙に打ってでた決定打が、ナジブ前首相が推し進めた国民車「プロトン」の中国企業への身売りだった。

 総選挙の前倒し実施がささやかれていた昨年8月末での中国投資に関するシンポジウムで「野党が勝利すれば、プロトンを中国企業から奪え返す。そうでなければ新しく国産車を製造する新会社を設立する」と明らかにしていた。

 今年の6月の日本経済新聞社の国際会議では、「新しい国産車を作りたい」と、日系のメーカーへの協力を求め、先週にはプロトンに次いで、第2の国産車「プルドゥア」が資本提携するダイハツの大分工場を視察。

 電気自動車(EV)などの次世代カーへの可能性や協力について協議した。その上で、トヨタ自動車と日産自動車にも、同様に協力要請の書簡を送ったとされている。

 新しい国産車への取り組みで、マハティール氏が6月の来日で日本に秋波を送る中、戦々恐々としたのは、プロトンを傘下に収めた吉利汽車の創業者で会長の李氏だった。

 「プロトンが日系など外国企業に買収されるかもしれない」(プロトン関係者)と危惧したという。

 そんな李氏と幹部の姿がマレーシアの首相府で見られたのは、マハティール氏が訪日から帰国して2週間もたたない6月末のことだった。

 李会長は、プロトン株買収後に初めて来年9月にマレーシアで販売予定の「新生プロトン第1号」となるSUV車のお披露目を行い、マハティール氏にテストドライブしてもらった。

 「技術的、デザインにおいても素晴らしい」とマハティール氏からお墨付きをもらい、「李会長が安堵した」(プロトン関係者)ともいわれている。

 日本ではあまり染みのない吉利だが、欧米メディアでは「中国初の世界的自動車メーカーを狙う野心的企業」として注目されている。

 もともとは洗濯機などを販売していたが、2輪車製造に転業。20年ほど前、李会長の高級車ベンツを一つひとつ分解し、自動車製造のノウハウを探求したという。

 会長の愛車を元に戻すことはなかったが、「吉利一号」はベンツそっくりの模倣品として生まれ変わった。

 当時は、日欧米の自動車メーカーだけでなく、中国政府からも援助をえず、製造した車は道路での使用許可が下りず、農道でしかテストランができなかった田舎のちっぽけな自動車製造有限会社だった。

 それから20年。業界で無名だった吉李汽車は香港株式市場にも上場し、ボルボ、ロータス、ロンドンタクシー・インターナショナルを傘下に持つ中国初の世界的自動車メーカーを目指す中国の民間最大手の自動車会社に急成長した。

 2017年の国内販売では、約140万台と、第一汽車、上海汽車(共に国営)などを追撃する上位5位のメーカーにまで成長した。

 国営ではないが、吉利には地元浙江省の銀行が経営支援していて、李会長は習主席や李首相との政治的パイプも強いという。

 中国政府は、日米欧の自動車先進国にエンジン車では勝てないと熟知していることから、エンジンのないEVによる自動運転化の先行を推進し、次世代自動車産業の「強国」になろうと国家戦略を目論んでいる。

 そんな国策の下、現在、吉利は、アフリカや中央アジアに完成車輸出をしているが、ASEAN市場は未開拓だ。

 マレーシアに拠点を構えれば、6月のインドネシアへの公式訪問でマハティール首相がジョコ大統領に提案したアセアンカーとして、インドネシアを皮切りに、域内全域からインドまで、からインド、さらにはボルボブランドの技術が受け入れられる英国などへの進出も、将来的な販路として開拓できる。

 それは、習政権が目指す一帯一路政策に合致する西方進出と連動することにもなる。

 また、ASEAN市場の攻略は、40年近く日本の自動車メーカーが完全独占支配してきた「日本の裏庭」の東南アジア市場への挑戦でもある。

 これまで、欧米のフォルクスーワーゲン(VW)やゼネラル・モーターズ(GM)が進出拡大を狙ったが、失敗を繰り返した。

 マハティール氏は、エンジン車では国産車の世界進出は失敗したが、EV市場を席巻する中国メーカーとEVベンチャーを開発できるかも、という夢をもう一度、抱いているのだろう。

 マレーシア政府は、2030年までにマレーシアを、EV産業の「マーケティングハブ」に成長させる計画で、国内で走行する電気乗用車を20万台に引き上げ、13万か所の充電基地を設置する構想だ。

 今回の吉利本社訪問では、マレーシアの部品企業などのローカルコンテントのシェア拡大や技術者など従業員の現地化など、マレーシアの国益を重視したプロトンの企業方針や戦略の見直しの提案と協議を図る狙いがある。

 「一帯一路からマレーシアの国益を最大限に生かす」と話すマハティール首相。「マレーシアの誇り」を再び、取り戻せるか、93歳の執念と挑戦は続く。

(取材・文 末永 恵)


http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/685.html#c1

[経世済民128] トルコリラの問題は一過性ではない これから金融市場に波及する可能性も(マネーポスト) 赤かぶ
7. 2018年8月20日 08:00:42 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1334]
トランプvsエルドアン、リラ暴落をめぐる非難合戦 実は互いの陰謀論を裏づける大親友?
2018.8.20(月) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年8月17日付)

トルコ通貨安、一服も反発の兆しなし 大統領は米を再度批判
トルコの首都アンカラの大統領府で開かれた第10回大使会議の昼食会で演説するレジェプ・タイップ・エルドアン大統領(2018年8月13日撮影)。(c)AFP PHOTO / TURKISH PRESIDENTIAL PRESS SERVICE / KAYHAN OZER〔AFPBB News〕

 「我が国とトルコの関係は現時点では良くない!」

 ドナルド・トランプ氏は8月第2週にツイッターにこう投稿した。だが実際のところ、少なくとも経済面においては、トランプ大統領はトルコの大統領の大親友だ。

 トランプ氏はタイミングをバッチリとらえた。8月10日金曜日にトルコリラが暴落(これは誇張ではない――この日だけで16%も下落したのだから)している間に、突如、トルコから輸入される鉄鋼・アルミ製品の関税を2倍に引き上げると発表したのだ。

 そのうえ、自身の特殊なロジックを用いて、これは「我々の非常に強いドルに対する」リラ安への具体的な対応策だと示唆した。

 トランプ氏がリラ急落の口火を切ったわけではない。ただし、一時的に悪化させたことは確かだ。

 そして重要なことに、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がずっと欲しがっていた、まさにその口実を、トランプ氏は提供することになった。

 トルコの問題は何年も前からくすぶっていた。外国資本への依存度が高く、インフレも率2ケタに達していたため、リラ防衛のために金利を引き上げることが繰り返し求められていた。

 外貨を借りているトルコ国内の債務者を窮地に追い込むリラ暴落を防ぐためだ。

 ところが、トルコの中央銀行は先月の金融政策決定会合でも利上げを行わなかった。多くの外国人投資家にとっては、これがとどめの一撃になった。

 こうした状況に対し、エルドアン氏はナンセンスだと答えた。同氏は、高金利がインフレを引き起こすと以前から主張しており、自分の周りを「イエスマン」で固めている。

 利上げを求める声はトルコをねじ伏せようとする外国の陰謀の一環だと語り、えたいの知れない「金利ロビー」なるものの存在をほのめかしている。正統派経済学など知るもんか、というわけだ。

 本当のことを言えば、リラの災難はトルコが自ら作り出し、自ら悪化させたものだ。筆者は先日、休暇を取ってエーゲ海に出かけた際、現地の商店やバーから英ポンドでの支払いを尋常でないほど強く求められた。

 「ほらね」。遊覧船の切符のセールスマンは、20ポンド札がぎっしり詰まった財布をチラリと見せて教えてくれた。「ためてるんだよ。月末まで取っておくと、その頃には価値が増えている」

 地元の人たちが英ポンドをハードカレンシーと見なすとき、問題が起きていることが分かる。

 (公平を期すために付け加えると、あのセールスマンはどんな外貨でも受け取っていただろう。筆者らの顔が青白かったから、英国人だとばれてしまっただけのことだ。遊覧船の旅はとても楽しかった)

 これまで、エルドアン氏の党の忠実な支持者でない人々は、同氏の非難合戦を笑い飛ばすことができた。

 大統領周辺の理性ある人々は、特に6月の選挙の前までは、何かと人を罵るエルドアン氏の振る舞いからトゲを抜こうと奮闘していた。

 金利は「すべての悪の母だ」と同氏が断言したときには、警戒している投資家が離れていかないように微笑み攻勢に出て、しばらくの間はうまくいった。

 今では、そうした側近の一部が遠ざけられてしまっている。

 そしてトランプ大統領のおかげで、エルドアン氏も「だから言ったじゃないか」と無理なく言えるようになっている。米国は確かに、倒れているエルドアン氏を蹴りつけようとしているからだ。

 悲しいかな、おそらくそのために、エルドアン氏はますます自分のミスを認めようとしなくなるだろう。

 急激なリラ安と戦うために、賢明だが痛みを伴う施策が講じられる可能性も低下してしまうだろう。必要な石油をほぼすべて輸入しているトルコ経済に大きな傷跡がついているにもかかわらず、だ。

 エルドアン氏はすでに、相手と同じ手段で立ち向かっている。米国製電子製品の輸入禁止を求めたり、米国製の酒類、自動車、タバコにかかる関税を引き上げたりしている。

 これはすなわち、エルドアン氏と共生関係にあるトランプ氏も、米国企業を傷つけようとする陰謀が外国にあると指摘できることを意味している。

 トルコ政府当局者はもう少し実際的で、8月15日水曜日には、外国の銀行によるリラの売りを実行・助長を制限する措置を講じた。

 とはいえ、トルコリラを空売りしたいという投資家の気持ちがこれで完全に抑えられるわけではない。

 リラを防衛できるか否かは、拘束中の米国人牧師を解放せよという米国の要求にトルコ政府がどう応えるかに大きく依存する。ただ、上記の措置によってリラは直近の安値から少し上昇している。

 エルドアン氏は非難をかわす技のチャンピオンかもしれないが、そういう人物はほかにもいる。

 イタリアのルイジ・ディマイオ副首相は先日、外国の勢力に対して次のように毒づいた。

 「イタリア政府を攻撃するために市場を使おうと望む者がいるのであれば、そんなことで脅される我々ではないということを思い知らせてやらねばならない」

 発足からまだ日が浅いイタリア連立政権が怒りの矛先を向けているのは、欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)などだ。

 ギュンター・エッティンガー欧州委員(予算担当)は5月、イタリア人はポピュリストに投票するとどうなるかという教訓を市場から教わることになるだろうと発言し、謝罪を強いられた。

 6月にはイタリア政府の側近たちが、イタリアに圧力をかけるためにECBが債券市場を「操作」していると非難した。こちらは完全な言いがかりではなかった。

 ECBはその頃、市場からの債券買い入れにおいてイタリア債の割合を引き下げていたからだ。

 その理由は退屈かつ技術的なものでしかなかったが、ECBをいじめっ子に仕立て上げたい向きにとっては、そんな細かい話はどうでもよかった。

 米国の金利が上昇し、ECBの支援も縮小されるなか、リスク資産の市場を支えする基盤は不安定さを増している。今後は、弱い鎖に相当する部分が困難に直面することになるだろう。

 自分以外の人を誰でも非難する人に注意の目を向けていなければならない。

By Katie Martin

 

トルコ・リラ暴落を招いた“もう一つの暗闘”トルコ第2の国営銀行が米国史上最大の制裁破りに関与した?!
松富 かおり

2018年8月20日(月)

トランプ大統領(左)とエルドアン大統領(右)事あるごとに対立する二人は何を話していたのか(写真:ロイター/アフロ)
 トルコの通貨「リラ」が暴落。年初に比べてすでに40%安となった。

 5年前1リラは約55円、今年初めは30円、それが18円にまで落ちた(8月17日現在)。対ドルで見ると2013年には1ドル=約1.8リラだったが、13日には1ドル=7.2リラとなり最安値を更新。輸入する石油のリラ建ての価格などが大きく値上がりし、国内でさらなるインフレを招いている。

 原因は、「アンドリュー・ブランソン牧師」をめぐる米国とトルコの確執とされる。トルコは同牧師が、2016年に起きたクーデター未遂事件を支援したとして拘束していた。トルコは同牧師を自宅軟禁に移したが、米国の態度は和らいでいない。だが実は、両国にはこの問題以上の懸案があり、ブランソン牧師の解放だけではリラ安に歯止めがかからない可能性が大きい。

トルコ第2の国営銀行に巨額罰金の懸念
 最大の懸案は、トルコによる「イランへの経済制裁破り事件」だ。米国で今年5月、トルコで2番目に大きい国営銀行ハルクバンクの元副頭取が同容疑で禁固32カ月の実刑判決を受けた。ドナルド・トランプ大統領の政策は予測しにくいと言われるが、「イランは放置できない」ことははっきりしている。

 この判決は、米国では昨年から注目されていた「ザラブ・ケース」に対するもの。トルコとイランの国籍を持つレザ・ザラブ容疑者が、トルコがイランから買った石油の代金をドルに替えてイランの口座に入れ直すのに同銀行が協力したとされる事件だ。イランは米国が科す金融制裁のためドルによる決済ができず、外貨準備高が減少し輸入代金を払うのが困難な状況にあった。

 ザラブ容疑者は、そのスキームを明らかにすることで罪を軽くするという司法取引に同意した。証言によれば、ハルクバンクは、トルコがイランから買った石油の代金を同行内のイラン口座に入金すると、それをザラブ容疑者の口座に移す。ザラブ容疑者はそこから引き出した資金を使ってイスタンブールで金の延べ棒を買い、ジム用のバッグに詰め、飛行機でドバイに行く。そこで金をドバイの通貨に換え、さらにドルに換金。再びトルコに帰りイランがハルクバンクに持つ口座にドルを振り込むことを繰り返していた。

 ザラブ容疑者の証言が真実ならば、この事件は1兆円をはるかに超える米国史上最大の制裁破りとなる。

 米ニューヨークの裁判所は、ザラブ容疑者がこのスキームを実行するため賄賂を渡した相手、日時、どの通貨で渡したかまで詳しく明らかにした証言には信ぴょう性があるとし、ハルクバンクの副頭取に実刑判決を下した。

 この事件には、ハルクバンクの頭取も絡んでいたとされる。元副頭取への量刑が非常に軽かったため、この後さらに発展があると予測される。ハルクバンクに巨額の罰金が科せられる可能性が大きい。そうなれば、トルコの銀行システム全体に大きな打撃を与え、すでに景気の腰折れが見られるトルコ経済にとって致命的になると予想される。

 さらに、収賄側として現在のトルコの与党・公正発展党で経済大臣を務めた人物などが関わっていたとされる。従来なら、どこかの時点で米国との間で外交的な解決が図られたと考えられるが、今のトランプ政権が応じるかはわからない。

 トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領が昨年5月に訪米した際、トランプ大統領はブランソン牧師の釈放を3回も要求している。それが、いま再び大問題として浮上したのは、ザラブ・ケースで最初の判決が下され、先の展望が見えてきたからではないか。

次ページ「ムスリム同胞団への支援は許さない」

ザラブ容疑者による汚職事件はトルコ国内では実は2013年に表面化している。同容疑者は一時逮捕され資産も没収された。しかし、エルドアン首相(当時)は「ザラブ氏は金の取引業者で福祉家でもある」とし、資産没収を取り消した。エルドアン氏は、数百人の警察、検察官の配置換えや解雇と、3人の閣僚の辞任、大規模な内閣改造を行うことで、政権を揺るがしたこの汚職事件をなんとか収めた。

 だが、国民は、この事件を今でも覚えている。今後、米国がハルクバンクなどに巨額の罰金を科す可能性が消えない限り、トルコ国民や、事情通の外国投資家がトルコリラを買い戻すとは予想しにくい。

 トルコは貯蓄率が低く外資に依存しており、通貨危機が長引けばトルコの経済全体に悪影響が拡がる。さらに、万一、トルコに融資している欧州の金融システムに影響が及べば、債務危機から立ち直ったばかりのスペインや、銀行システムに弱さの残るイタリアは大きなダメージを受ける。すでにリラ安につれてユーロ安も起こっている。

ムスリム同胞団への支援は許さない
 トランプ大統領が取り組む中東政策においてもう一つ明確なのは「ムスリム同胞団は許さない」という点だ。ムスリム同胞団が率いる政府を倒して2013年に政権についたエジプトのアブデルファタハ・シシ大統領が昨年4月ホワイトハウスを訪問した際に、トランプ大統領が大歓迎したことからもそれがわかる。一方、後に述べるように、対ムスリム同胞団でも、トルコのエルドアン大統領はトランプ大統領と対立する。5月に訪米したエルドアン大統領に対するトランプ氏の態度は冷たかった。

 サウジアラビアなどが昨年6月カタール断交に踏み切った時、トランプ大統領は「早速、中東歴訪の成果が出た」とツイートしている。サウジなどが断交前にカタールに要求した柱は「イランとの親密な関係を止める」「他国の政権批判をする衛星放送アル・ジャジーラを閉鎖する」「テロ組織の支援を止める」だった。このテロ組織とはムスリム同胞団を指す。

 以前からムスリム同胞団に肩入れしていたトルコはこの時、「カタールを守る」として5000人の兵士をすぐにカタールに増派し、食料の空輸も始めた。

 イスラエル寄りのトランプ大統領は、イスラエルの長年の敵であるパレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスを敵視している。この組織は「ムスリム同胞団」のパレスチナ支部を起源とする。エルドアン大統領はこのハマスも支援している。2010年には、建材などの支援物資と約700人の支援活動家を載せた支援船団を派遣した。

 このことからも、トランプ政権が「ザラブ・ケース」を、ハルクバンク元副頭取への“甘い”実刑だけで終わらせるとは考えにくい。

振り上げた拳は下ろせない
 一方、「欧米と戦う強い大統領」を演じてきたエルドアン大統領も、振り上げた拳を簡単には下ろせない。

 彼は「ストリート・ファイター型」の政治家で、敵を激しく攻撃する「強い大統領」として支持を固めてきた。国内では、反米、反欧州感情を煽る言動を繰り返す。トルコの閣僚が政治集会を開くのを禁じたドイツやオランダの首脳に対し「まるでナチスのようだ」と非難を浴びせたのは記憶に新しい。

 2年前に起きたクーデター未遂事件の首謀者を米国に住むギュレン師(イスラム教の指導者で、イスラムと他の宗教や文化との融合を説いてきた)と断定。米国に対して、同師の身柄送還を何度も求めている。これに対して米国は「十分な証拠が示されていない」と拒否してきた。

 米国に向けたトルコの鉄鋼輸出は昨年11億ドルで、メキシコやロシアに次ぐ6位。日本を上回る。これに他国に対する税率の2倍となる50%の関税をかけられたらたまらない。それでも同大統領は8月12日、トルコ国内向けの演説で「米国が取る措置は政治的陰謀であり降伏はしない」と発言。トルコの閣僚が米国内に保有する資産を米国が凍結したのに対し、「トルコ国内にある米閣僚の資産を凍結する」と応じている。

 外交を用いて穏便に処理することを良しとしない二人の「強い大統領」の確執が世界に及ぼす影響は小さくない。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は8月13日、「トルコ経済が不安定となることで得をする者はいない」「ドイツはトルコの繁栄を望んでいる。それはドイツにとっての利益である」と発言した。これは、NATO加盟国同士の争いに欧州が巻き込まれないよう願う悲痛な訴えだ。

松富 かおり
ジャーナリスト・キャスター
元駐トルコ公使夫人
1959年生まれ。1983年、東京大学を卒業し、TBSに入社。「筑紫哲也 ニュース23」などでキャスターを務める。外交官と結婚。ビクトリア大学で国際関係学の修士号を取得。駐トルコ公使、駐イスラエル大使、駐ポーランド大使の夫人として外交活動をサポート。2013年からジャーナリスト活動を本格的に再開。

 

 

 

2018年8月20日 居林 通 :UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパンエクイティリサーチヘッド
市場に混在する強弱の材料 それぞれの動向に目配りを
 今の金融市場ではプラス(強)とマイナス(弱)の材料が綱引きをしている。前回の本欄では二つの論点を述べた。一つは株価水準から見て、今は次の投資チャンスを待つ時期である点、もう一つは、米国の金利上昇が新興国から資金を吸い上げることが通商問題に隠れた本質的な問題である点だ。
 現在も、次のエントリーポイントを待つ姿勢は変わっていない。昨年まで株価が好調だった銘柄群に売りが出ているが、企業業績の伸び率は低下しており、業績好調銘柄は概していまだに割高で取引されているとみる。通商問題とその裏にある新興国経済へのインパクトを見極める必要があろう。
 米中の通商問題は米国が7月6日に340億ドル分、8月23日に160億ドル分、中国からの輸入品に対する関税を引き上げたことだ。これに対して、中国も同額分の米国からの輸入品に対して関税を引き上げるとしている。
 8月10日にトランプ米大統領がトルコに対して鉄鋼・アルミニウムの関税を2倍に引き上げたことで、トルコ・リラ以外の新興国通貨にも下落の動きが波及した。

拡大画像表示
 米国経済は法人税引き下げ、石油価格上昇、保護貿易による輸入品の価格上昇と、国内インフレで金利上昇が続く可能性が高い。米国金利が上昇すると、ドル高になり、新興国企業・政府は外貨建ての借り入れ分が自国通貨建てで大きくなり、自国の金利が上昇する。
 この点は新興国にとって「意図せざる流動性抑制」だと前回述べた。これに米国・トルコ間の政治問題も加わった格好で不透明感が増している。
 一方で好材料もある。中国政府は7月末の政治局会議で景気重視にかじを切ることを決めた。預金準備率引き下げや地方政府の財政拡大を認めるなどの内需拡大政策を取るものとみられる。2016年前半の中国景気が腰折れしかかったときには、この政策で持ち直した。中国企業の業績は堅調で株価トレンドと大きく乖離している(上図参照)。よって、中国の株価がここで下げ止まれば世界的な株価停滞を抜け出せる可能性が高い。
 国内に目を向けると4〜6月期の決算の姿がほぼ見えてきた。ここでもプラスとマイナスの材料が混在している。プラス材料は企業収益が予想より好調で、純利益が前年同期比で7〜8%程度の伸びとなったこと。マイナス材料は、この伸び率は徐々に低下しており、10〜12月期にはマイナス圏に入るとみられる点だ(下図参照)。
 海外投資家が買いに戻ってくるためには、通商問題の企業収益へのマイナスがどの程度なのかが明らかにならなければいけない。プラスとマイナスの両方に注意しながら投資タイミングを待ちたい。


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/232.html#c7

[経世済民128] トルコショックが世界経済に無視できない影響を与える理由 特に、新興国経済が不安だ(現代ビジネス) 赤かぶ
2. 2018年8月20日 23:21:03 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1335]

既にブランド品は週100%、つまり年率5000%のインフレ


金融崩壊の危機にあり、必需品の輸入もまともにできない状況で、

多くの国民が被害を受けているが


経済に無知な大統領が変わらない限り、中銀がいくら頑張ってステルス利上げを行ったところで

ベネズエラと同様な運命が待っている


ただ欧州への移民カードなどもあるから、あれほど悲惨な事態にはならない可能性は高いか


 


トルコ経済への攻撃は国旗への攻撃と同じ=エルドアン大統領
1 分で読む

[イスタンブール 20日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は20日、トルコ経済への攻撃は同国の国旗や礼拝への呼びかけに対する攻撃と変わらないとし、通貨危機の狙いは「トルコおよびトルコ国民をひざまずかせること」と主張した。

21日から始まる4日間のイスラム教の祝祭「イード(犠牲祭)」を前にした録音演説で述べた。

トルコリラTRYTOM=D3は、対米関係の悪化や中銀の独立性を巡る懸念で年初から約40%下落し、他の新興国通貨や世界の株式市場にも影響が波及している。

エルドアン大統領は、「わが国経済への攻撃は、礼拝への呼びかけや国旗に対する攻撃とまったく変わらない。目的は同じ。目的はトルコおよびトルコ国民をひざまずかせ、捕虜にすることだ」と述べた。

さらに「為替相場をもってトルコを屈服させられると考えている者たちはじきに、自らの誤りに気づくだろう」と語った。

国や機関を名指しはしなかったが、過去に西側の格付け会社や投資家をリラ売りの犯人と批判している。

対米関係が緊張する中、20日に首都アンカラでは、米国大使館に向けて複数回の発砲があった。

また17日には、トルコの裁判所が、拘束中の米国人牧師、アンドリュー・ブランソン氏の釈放を求める申し立てを棄却。

さらに同日、大手格付け機関のS&Pグローバル・レーティングとムーディーズ・インベスターズ・サービスがトルコの格付けを引き下げている。


 

 


ベネズエラ、デノミ実施 通貨10万分の1に切り下げ
2018/8/20 16:30日本経済新聞 電子版
 【サンパウロ=外山尚之】南米ベネズエラ政府は20日、通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミ(通貨単位の切り下げ)を実施した。インフレが止まらないなかでの苦肉の策だが、マドゥロ大統領は最低賃金を約35倍に引き上げるとも発表した。場当たり的な政策で、さらなる混乱は必至だ。

17日、新紙幣を手に演説するベネズエラのマドゥロ大統領(カラカス)=ロイター 


 「我々は大きく勝利し、経済の回復と成長、繁栄のための旗を立てる」。マドゥロ氏は19日、デノミの成功に自信を見せた。これまで準備不足で2度延期したが、今回は20日を休日としたうえで送金やカードの決済などの金融システムを全国的に一時停止した。

 デノミは2008年以来。現行の10万ボリバルを1ボリバルソベラノと交換するほか、同国が独自に発行する仮想通貨「ペトロ」とのペッグ制を導入する。ベネズエラ政府の説明によれば1ペトロ=3600ボリバルソベラノとなる。

 ペトロは原油価格に連動し、1ペトロあたり60ドル(約6600円)の価値があるとしている。現在の中央銀行の公式為替レートの水準からすると、約95%の切り下げに相当する。実態を反映しない公式レートによる為替管理を諦め、闇レートに合わせたとも読める。

 ベネズエラでは外貨不足と物資の欠乏でハイパーインフレが止まらず、国際通貨基金(IMF)は年内にもインフレ率が年率100万%にも達すると予測する。マドゥロ政権は世界最大級の埋蔵原油を担保とした仮想通貨とひも付けることで、通貨の信認を得たい考えだ。

 ただインフレが沈静化する兆しはない。マドゥロ政権は17日、デノミに合わせて最低賃金を月額1800ボリバルソベラノ(約3300円)に引き上げると突如発表した。現在の520万ボリバルから35倍の水準だ。

 資金に余裕がない中小企業に対しては補助金を支給するとしたが、原資がないなかで通貨の乱造を今後も続ける形となる。首都カラカスではマドゥロ氏の発表後、混乱状態の人々が買い占めに走り、物価上昇が加速したという。マドゥロ政権は世界一安いとされるガソリンへの補助金削減や消費増税などの引き締め策に着手していたが、自ら台無しにした。

 ロイター通信によると、南の国境を越えてブラジルへ逃亡するベネズエラ国民が急増している。ブラジル軍が国境の警備強化に乗り出し、18日までに女性や子どもを含む約1200人がベネズエラに戻ったという。

 国民の窮状はさらに進みそうだが、独裁体制は揺らいでいない。マドゥロ氏は4日に起きたドローン(小型無人機)による自身の暗殺未遂に関与した疑いがあるとし、不逮捕特権を剥奪して野党議員らの身柄を拘束した。

 逮捕者には軍関係者も含まれるが、政権と軍幹部は密接につながっており、クーデターに結びつく可能性は低そうだ。野党勢力は21日にゼネストを呼びかけるが、政府が監視を強めるなか、国民が応じるかは不透明だ。


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/243.html#c2

[政治・選挙・NHK249] 世界にバレ始めた、政府とマスコミが隠す福島の真実!(simatyan2のブログ) 赤かぶ
13. 2018年8月20日 23:42:27 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1336]

>最終的に安全と言われる数値の50倍以上

意味不明だが

http://img.asyura2.com/x0/d8/9402.jpg

低レベルな煽り番組で喜んでいるとは、放射脳にありがちなパターン

一部に0.75uSV/h程度の線量があっても特に不思議ではないし

もっと遥かに高い線量のエリアで暮らしている人々もいる


つまり全く問題ないレベルだから

チェルノブイリの立ち入り禁止区域でも、既に、かなり線量が下がって

安全になっていた場所があったというだけに過ぎない
http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/493.html#c13

[自然災害22] 的中連発のAI地震予測 警戒レベル上昇のエリアはどこか(週刊ポスト) 赤かぶ
7. 2018年8月21日 00:07:01 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1337]

>今年3月以降に発生した震度4以上の全ての地震と、直前のAI地震予測(レベル3以上)を比較すると、的中率は約7割
>レベル3以上は要注意。特にレベル4以上は震度5以上の大地震


そもそも震度4など、内陸型であれば、狭い領域で、簡単に起こるのに予測的中率が7割程度

震度5も大した地震ではないが、さらに下がって的中率が半分程度だとしたら

ほとんど、実用的には全く意味がなさそうだ


http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/590.html#c7

[経世済民128] ベネズエラのデノミ(在野のアナリスト) 赤かぶ
1. 2018年8月21日 07:45:40 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1338]

>ポピュリズムを否定したら、民主主義など成り立ちません

こういう愚か者が増え、大衆迎合のバラマキと大企業潰しを続ける

ポピュリスト政治家が国家を支配すると

いずれ経済は崩壊し、民主主義自体が崩壊する

ただし、それは既得権を握る超富裕層が政治を支配し、

再分配の拡大を怠り、格差拡大を放置した結果でもある


その場合、底辺層の無知な大衆への金融経済教育には限界があるから

何らかの経済的ショックがきっかけで貧困と失業が急増すれば

妬みや不満がポピュリズム政治を生むか、テロや対外戦争による

ガス抜きが起こり


いずれにせよ平和や民主主義は簡単に自壊する


これも寡占化による資本主義と自由市場の自壊同様、確実なことだ


kotobank.jp/word/ポピュリズム-169867
ポピュリズム
populism

1892年に結党されたアメリカ合衆国の人民党,通称「ポピュリスト党」を通じて広まったことば。20世紀以降も,アルゼンチンのペロン体制,中国の毛沢東主義,アメリカのマッカーシズム,西ヨーロッパ諸国の極右政党など,多種多様な政治運動と現象がポピュリズムのうちに数えられてきた。アメリカではポジティブな意味合いに,ファシズムを経験したヨーロッパ諸国などではネガティブに用いられる。一般的には,(1) 政治・経済・文化エリートに対する異議申し立て,(2) 主権者として代表されていない「人々(people)」の掲揚,(3) カリスマ的な指導者による扇動,などを特徴にしている。ポピュリズムは非民主主義的で,ファシズムや独裁主義に近いとされることもあるが,イデオロギー的な体系をもっているわけではなく,三権分立や官僚機構など,自由主義的なエリート支配が人民の意思を歪曲していることを批判する。既存の利益団体や職能団体に包摂されておらず,政治的に正当に代表されていないと感じている層(農民や単純労働者など)の不満を吸い上げ,既得権益層や過度に保護されているとされるマイノリティを非難することで動員をはかることを特徴にしており,ここから反エスタブリッシュメント,非主流派の政治と呼称されることもある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵の解説
ポピュリズム
政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動をポピュリズムと呼ぶ。ポピュリズムは諸刃の剣である。庶民の素朴な常識によってエリートの腐敗や特権を是正するという方向に向かうとき、ポピュリズムは改革のエネルギーとなることもある。しかし、大衆の欲求不満や不安をあおってリーダーへの支持の源泉とするという手法が乱用されれば、民主政治は衆愚政治に堕し、庶民のエネルギーは自由の破壊、集団的熱狂に向かいうる。例えば、共産主義への恐怖を背景にした1950年代前半の米国におけるマッカーシズムなどがその代表例である。民主政治は常にポピュリズムに堕する危険性を持つ。そのような場合、問題を単純化し、思考や議論を回避することがどのような害悪をもたらすか、国民に語りかけ、考えさせるのがリーダーの役割である。
(山口二郎 北海道大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説
ポピュリズム

一般的に、「エリート」を「大衆」と対立する集団と位置づけ、大衆の権利こそ尊重されるべきだとする政治思想をいう。ラテン語のポプルス(populus)=「民」が語源。こうした考えの政治家はポピュリストと呼ばれる。複数の集団による利害調整は排除し、社会の少数派の意見は尊重しない傾向が強い。「大衆迎合」「大衆扇動」の意味でも使われる。ただ、有権者の関心に応じて主張を変えたり、危機感をあおったりする手法は、ポピュリストとみなされない政治家も用いる。
(2015-12-23 朝日新聞 朝刊 2外報)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

デジタル大辞泉の解説
ポピュリズム(populism)
1 (Populism)19世紀末に米国に起こった農民を中心とする社会改革運動。人民党を結成し、政治の民主化や景気対策を要求した。
2 一般に、労働者・貧農・都市中間層などの人民諸階級に対する所得再分配、政治的権利の拡大を唱える主義。
3 大衆に迎合しようとする態度。大衆迎合主義。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説
ポピュリズム【populism】

@ 民衆の情緒的支持を基盤とする指導者が、国家主導により民族主義的政策を進める政治運動。1930年代以降の中南米諸国で展開された。民衆主義。人民主義。
A 政治指導者が大衆の一面的な欲望に迎合し、大衆を操作することによって権力を維持する方法。大衆迎合主義。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
ポピュリズム
ぽぴゅりずむ
populism
1891年に結成されたアメリカ人民党、通称「ポピュリスト党」によって広まったことば。ラテン語で「人々」を意味する「ポプルス」を語源とする。20世紀になってからも、南米アルゼンチンのペロン体制、中国の毛沢東(もうたくとう)主義、アメリカのマッカーシズム、西欧諸国の極右政党など、多種多様な政治運動と現象がポピュリズムのうちに数えられてきた。[吉田 徹]
ポピュリズムの特徴目次を見る
日本では、「大衆迎合」「衆愚政治」「扇動政治」、最近では「反知性主義」などと同じ意味で使われることも多いが、アメリカでは一般的にポジティブな意味合いで用いられることが多い。その反対に、ファシズムを経験したヨーロッパ諸国や日本などではネガティブに用いられる。そのため、ポピュリズムということばは価値中立的に用いられることはなく、日欧では、非難されるべき対象や姿勢を名指しする場合に用いられるものであることに留意しなければならない。ポピュリストとされる政治家が自らを「ポピュリスト」と名のるわけではないため、ファシズムや保守主義などと区別して認識する必要が出てくる。[吉田 徹]
ポピュリズムの共通項目次を見る
古今のポピュリズムの事例に共通するものとして一般的に指摘されるのは、(1)政治・経済・文化エリートに対する異議申し立てであること、(2)主権者として代表されていない「人々」を顕揚すること、(3)カリスマ的な指導者が扇動することである。いずれの場合も、だれが「エリート」で、だれが「人々」に数えられるかは、その時代や国の文脈に応じて変化することが、ポピュリズム理解のむずかしさの一つになっている。政治エリートは、既成政党であったり議会であったりすることもあれば、官僚機構であることもあるし、経済エリートは財界や資本主義家である場合もある。文化エリートとしては、マス・メディアや知識人が論難されることが多い。また、エリートに無視されているとされる「人々」は、農民や労働者層であることもあれば、自営業者や手工業者であることもある。
 ポピュリズムは非民主主義的で、ファシズムや独裁主義に近いとされることもあるが、実際にはイデオロギー的な体系をもっているわけではない。それが批判するのは、三権分立や官僚機構など、自由主義的原則に基づくエリート支配によって、人民の意思が歪曲(わいきょく)されている状況であることが多い。既存の利益団体や職能団体に包摂されておらず、政治的に正当に代表されていないと感じている層(農民や単純労働者など)の不満を吸い上げ、既得権益層や過度に保護されているとされるエリートを非難して動員を図るものであり、ここから反エスタブリッシュメント、非主流派の政治と呼称されることもある。[吉田 徹]
ポピュリズムの歴史目次を見る
歴史的にみてポピュリズムには三つの波がある。最初の波は19世紀末のことであり、これはアメリカ人民党による政治運動に代表される。同党は不況にあえぐ南部・中西部の小作農と都市部の労働者層の支持を求め、鉄道・通信の国有化や企業の農地所有の制限、累進課税強化などの公約を掲げて、共和党と民主党という二大政党に挑戦した。しかし1896年の大統領選挙で民主党が同党の政策を取り込み、そのため支持基盤も広がらなかったことで急速に勢いを失っていった。その前の1860年代には、やはり農民の解放を目ざして、ロシア帝政を打倒するナロードニキ(人民主義者)運動が起き、1881年には同運動の急進派によってアレクサンドル2世が暗殺される事件が起きている。
 これらのポピュリズムに共通しているのは、ともに国が農業経済から工業経済へと本格的に離陸する過程で起きていること、またアメリカの人民党の政策の一部はその後民主党に、ナロードニキはロシア革命を主導するボリシェビキに引き継がれることになり、ともに過渡的な政治運動に終わったことにある。
 ポピュリズムの第二の波は、第二次世界大戦後の高度成長の時代になってからである。先進国では、アメリカの共和党議員マッカーシーによる反共主義運動であるマッカーシズムが、1950年代のポピュリズムの代表例とされる。さらに当時の西ヨーロッパではイギリスの保守党議員パウエルEnoch Powell(1912―1998)がコモンウェルス(イギリス連邦)からの移民排斥を訴えたことや、フランスの自営業者プジャードPierre Poujade(1920―2003)が始めた反徴税運動であるプジャード運動などがポピュリズムの典型例とされた。これらは、戦後の高度発展期にあって、都市部に資本や人が集中するといった社会の構造的な変動に対する反動とされることもある。なお、マッカーシズムはその後大統領となるニクソンやレーガンに、パウエルは首相となるサッチャーに、プジャード運動は極右政治家ジャン・マリ・ルペンJean-Marie Le Pen(1928― )に影響を与えている。
 また、開発途上国においては、インドネシアのスハルト体制やチリのピノチェト政権、中国の毛沢東体制など、軍部の掌握を背景に、政治的自由よりも経済発展を優先する政治がポピュリズムとされた。
 以上のように、19世紀末と20世紀後半のポピュリズムも、いずれも産業構造が変動して既存の政治の利益媒介が揺らぎ、その後に別の形態を伴って展開していくことが確認できよう。[吉田 徹]
21世紀のポピュリズム目次を見る
その後第三の波として、ポピュリズムということばが広く用いられるようになるのは、21世紀に入ってからのことである。まず、2000年代には、イタリア首相のベルルスコーニやフランス大統領のサルコジなど、社会政策においてはきわめて保守的かつ権威主義的で、経済的には市場原理を重んじる政治家がポピュリストとされた。日本でも小泉純一郎がポピュリスト政治家とされたことは記憶に新しい。こうした政治家は、一様に古い政治を一掃すると主張して、新たな支持基盤を獲得するとともに、個人の自己決定権のようなリベラルな価値を批判する点でも共通していた。
 2010年代に入ってから目だつのは、従来は社会民主主義政党の金城湯池であった旧鉄鋼・炭鉱・重工業で栄えた地域で支持を集める、いわばポスト工業型のポピュリズムである。イギリス独立党(United Kingdom Independence Party:UKIP(ユーキップ))党首のファラージNigel Farage(1964― )やロンドン市長のボリス・ジョンソンBoris Johnson(1964― )などが主導したイギリスのEU離脱(ブレグジット)にかかわる国民投票で、大量に離脱に投票したのは、グローバル化の恩恵にあずかれなかった地域の人々であった。イングランド北東部は従来、労働党の強い地盤であった。また、トランプ大統領誕生とともに有名になった「ラスト・ベルト」も民主党の伝統的な支持基盤であったが、トランプ支持へと変転することになった。さらに2017年にフランスの大統領選の決選投票に進んだマリーヌ・ルペンが率いる国民戦線(FN)も、近年では社会党の地盤であった北東部で支持を伸ばしている。こうしたポスト工業型のポピュリズムは、製造業が衰退し、サービス産業が進展するなかで、移民の流入を含むグローバル化からの恩恵を感じられない旧中間層の不満に巣くっているといえる。
 なお、日本では石原慎太郎や橋下徹(はしもととおる)(1969― )、小池百合子(こいけゆりこ)(1952― )など、大都市の知事を務める改革志向の政治家がポピュリストとされることが多い。これは、二元代表制のもとで首長は住民から直接に選出されることによる。首長候補は地方議会や行政機構の既得権益を批判して、都市部の有権者の支持を集めることができるためである。[吉田 徹]
民主主義とポピュリズム目次を見る
このように、ポピュリズムはその時々の政治・経済・文化的エリートが進める政策や彼らが認める価値観に対して、反発を感じる社会階層が一定程度存在しており、その代弁者たるポピュリストが支持を集めることができたときに生起する。民主主義は、統治者(政治家)と被統治者(有権者)との同一性を原則としている。しかし、代表制民主主義においては、実際には両者の間につねに歪(ゆが)みが生ずる。この代表制の歪みを示す兆候としてポピュリズムをとらえることができる。いいかえれば、ポピュリズムによって民主主義が危機に陥るのではなく、民主主義が機能していないためにポピュリズムが生まれるといえる。[吉田 徹]
『吉田徹著『ポピュリズムを考える』(2011・NHK出版) ▽国末憲人著『ポピュリズム化する世界』(2016・プレジデント社) ▽水島治郎著『ポピュリズムとは何か』(中公新書)』
[参照項目] | ナロードニキ | ファシズム | プジャード運動 | ポピュリスト | マッカーシズム | 民主主義
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/245.html#c1

[政治・選挙・NHK249] 総裁選の争点に 石破氏の秘策は「加計問題」と「脱原発」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
2. 2018年8月21日 08:04:34 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1339]

国民の多く(特に女性)が、多くの問題が噴出した安倍への不満を高めているのが主因だろうが

受け皿となるのが石破では、難しいだろう


野党はもちろん、自民党内でも、まともな人材が育っていないという

厳しい現実の反映でもあるが


国民の政治への期待が縮小し続ける場合、その改善も当面は無理

与党支持率が、さらに低下していき、今度は鳩山をさらにパワーアップしたような

大衆バラマキ型の左派ポピュリスト政治家が

日本に深刻なダメージを与える可能性も大きそうだ


もちろん安倍のように、元々、右派ポピュリスト政治家だったのが

路線変更する可能性もあるので、一概には断言はできないが


いずれにしても、国家の置かれた状況が厳しい場合

政治にできることは限られるし

その時の国民のレベルを大幅に超える優れた意思決定を

政治に期待しても無理ということだ

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56993
石破茂はこのまま永田町から追放されるのかもしれない
残酷だが、これが政界の現実

週刊現代講談社
毎週月曜日発売プロフィール
シェア9ツイートブックマーク0
波乱は起こるかもしれない。だが、このまま一騎打ちになるのだとすれば、安倍は「一強」に歯向かおうとするこの男を、完膚なきまでに潰したいと考えている。反乱者に待ち受ける代償とは何か?

「陰のドン」の余裕
8月1日午前10時、平河町・砂防会館。黒のクラウンから姿を見せた男の表情には、余裕が漂う。

――週刊現代ですが、石破さんへの支持は?

「えっ?いや、なんにも、なんにもそういうことはね……」

かすかに口元をほころばせた男は、総裁選に向け、本格的に動き出した。

青木幹雄、84歳。政界引退後もなお、毎週水曜日、砂防会館別館2階にある事務所への「出勤」を続けている。

麻雀卓のおかれた部屋で、自民党参院幹事長の吉田博美を通じて「指示」を出す。いわずと知れた、竹下派と自民党参議院の陰のドン≠ナある。

'07年の参議院選挙で歴史的大敗を喫し、参議院議長の座を逃した。時は第1次安倍政権。自分の顔に泥を塗った安倍を、ドンは信用していない。

青木は、参議院のみならず竹下派全体で、石破支持に動こうとしている。石破にとって、今は青木の支援だけが頼りだ。

ちょうど同じ時間、本誌記者は、石破茂と議員会館で向き合っていた。

――安倍総理の3選が有力で、石破さんは劣勢だと報じられている。

「そうですね。でも自分を振り返っても、中選挙区時代は『劣勢』とか『落選』とさんざん言われていた。'90年の選挙は消費税の是非を問う総選挙でしたが、私は『消費税は絶対に必要だ』と言って出馬して、落選確実だと言われました。

でもトップ当選だった。選挙は、自分で努力しなきゃ駄目ですし、最後の最後までわからないんですよ」

――安倍総理の多数派工作を前に、石破さんだって、安倍さんに歯向かえば「干される」でしょう。

「『干してやる』とか『今ごろ遅い』とか、官邸や自民党の主流派幹部が言っているという。

私が知っている自民党は、同志に対してそんなことを決して言いませんでした。それじゃまるでパワハラです。選挙民が選んだ国会議員に対して、あまりにも傲慢で不遜だと思う」

――安倍政権に問題があると思う議員は多いが、みんな怖がっている。

「やはりみんな選挙区の期待があるから、取り立ててもらいたいでしょうし、選挙でも比例の上位に入りたいと思う。不遇を恐れれば萎縮するでしょう。自由闊達に、勇気をもって議論する風潮が、失われつつあると感じています」

石破の言うとおり、安倍はあの手この手で、石破包囲網を作り上げようとしている。安倍は側近議員にこう話している。

「石破が総裁選で3割以上の票を取ることは、なんとしても阻止したいんだ。8割から9割を自分がとって、二度と石破が立ち上がれないようにする。小泉(純一郎)さん流に言えば、『石破をぶっ潰す』だよ!」

11年分の恨み

 
https://toyokeizai.net/articles/print/234264
石破支持の声がまったく盛り上がらない根因
同じ「反乱」でも小泉元首相とは大違い
安積 明子 : ジャーナリスト 2018年08月20日

「石破支持」が盛り上がらない理由とは?(写真:ロイター/Yuya Shino)
9月20日に投開票が行われる自民党総裁選に、石破茂元自民党幹事長が8月10日にいち早く名乗りを上げた。野田聖子総務相も出馬意欲を見せるものの、一連の"仮想通貨疑惑"で身動きがとれないうえ、立候補に必要な20名の推薦人を集める見通しもついていない。

首相は「余裕」
一方で、すっかり余裕を見せているのが安倍晋三首相だ。8月15日には戦没者追悼式などに出席した後、同日夜には森喜朗元首相や小泉純一郎元首相、麻生太郎財務相らと軽井沢で会食し、翌朝にはゴルフを楽しんだ。

もっとも当初、安倍首相は8月11日に亡父・晋太郎氏のお墓参りをすませた後、山口県連の会合で出馬表明することになっていた。その予定を遅らせたのは、西日本の豪雨被災対策を優先したためというのが建前だが、その実は早期に出馬表明することで論戦上手な石破氏とがっぷり四つで組む状況を避けたかった、との思惑も見え隠れする。

実際に気象庁が異例にも東京と大阪で会見を行った7月5日の夜、安倍首相は“赤坂自民亭”で自民党議員たちと談笑している。この会合への異例な参加は総裁選での感触を得るためと言われた。さらに福岡県、佐賀県、長崎県、広島県、岡山県、鳥取県、兵庫県、京都府に特別大雨警報が出た6日夜にも、安倍首相は官邸で無派閥議員たちと面会。総裁選対策は着々と行われており、決して優先順位を下げているわけではない。

そのような安倍首相に挑戦状をたたきつけるがごとく、石破氏が開いたのが8月17日午後の「政策会見」だった。まずは得意の憲法論を展開し、秋に開かれる臨時国会で憲法改正発議に意欲を示す安倍首相に論争を挑もうというわけだ。

しかしながら17日の会見では記者からの質問は相次いだものの、8月10日の出馬会見ほど注目を集めることはなかった。安倍首相の3選が確実視されている以上、当選することのない石破氏の動向を報道する価値はあまりないということもあるだろう。ニコニコ動画やTHE PAGEといったネット動画配信メディアが17日の会見に参加しなかったことも、露出度が低くなった理由だ。

そればかりではない。筆者が気になるのは、普段は人一倍丁寧に語る石破氏の「言葉の薄さ」である。

「私はどんな媒体の取材でも受ける」。10日の会見でも17日の会見でも、石破氏は大手メディアに限らずフリーランスの取材をも歓迎すると断言した。17日の会見では表現の自由に関し、「国政上の説明義務」を規定する自民党案について言及している。その背景には森友・加計問題があることは間違いないが、同時にネットや雑誌など記者クラブ以外のメディアに対するアピールも感じられた。

石破氏と同じく党内基盤を持たない小泉純一郎元首相は、新聞やテレビよりも週刊誌やスポーツ紙などといったメディアとの距離が近かった。それが2001年4月の総裁選でのブームの火付け役になったと言われている。石破氏がそれを意識したとしても当然だ。

自民党定例会見のドアを閉じたのは誰か
だがネット世論は安倍首相の人気が圧倒に高く、石破氏に味方することはないだろう。たとえば7月20日にドワンゴが公表した「月例ネット世論調査」では内閣支持率は55.3%と大手新聞やテレビ局の世論調査の数値を上回り、「次の総理にふさわしい人物」に至っては「安倍晋三」が49.2%と断トツで、石破氏は8.6%の小泉進次郎筆頭副幹事長にも及ばず、6.3%にとどまっている。

そもそも「石破氏はフリーランスにも会見を開放した」と喜ぶのは早計だ。2012年9月の総裁選でもフリーランスは不十分(質問の機会が大きく制約されていた)ながら参加できたし、現在でも党大会などは開放されている。これは大手メディアもフリーランスもほぼ平等な扱いだ。

問題は自民党本部4階で行われる定例会見だ。自民党は野党時代には総裁会見などはフリーランス等にも不十分ながら開放していた。ところが政権に復帰したとたん、有無を言わせずそのドアをすべて閉じてしまった。この時、党務を仕切っていたのは幹事長だった石破氏であることを忘れてはならない。

ただし、党三役のうち、高市早苗政調会長(当時)だけは会見がオープン化されるように尽力してくれた。

平河クラブ(自民党の記者クラブ)も党本部も協力的ではないとわかると、定例会見の後に政調会長応接室で筆者のような記者クラブに属していない記者を対象として“懇談”を開いてくれた。

これは私的なものだったが、会見の実質的なオープン化とは政治家が大手メディアだけを重視するのか、広くメディアを「国民の知る権利の手段」として認めるのかという日頃の姿勢次第ということになる。

ちなみに政調会長懇談について、筆者は高市氏が政調会長退任以降も継続を申し入れたが、後任の政調会長は平河クラブの意向(特権)を重視したのだろうか、懇談は高市氏一代で終わっている。

自己都合で秋波を送られても…
報道(メディア)は、政治家と有権者との間の情報の橋渡し役といえる。重要なのは等身大の事実を扱うことであり、時には政治家が渡したくない情報もその中に含まなくてはならない点だ。そういう意味では政治家とは常に“平常な関係”を貫くことが必要だが、「間に合っているから」といって遠ざけられたり、「(瞬間風速的に)必要だから」といっていきなり引き寄せられるようなことは御免被りたいものだ。

そうした観点で今回の自民党総裁選を見るなら、劣勢ゆえに必死なのだろうが、フリーランスにも秋波をおくろうとしている石破氏に対しては自然と距離を置いてしてしまう記者が多いのではないだろうか。

そのように感じるのは筆者だけではないようだ。周辺の記者の様子をみる限り、今回、盛り上がりに欠ける理由の一つは、石破氏に対するそこはかとない不信感があるように感じられる。
http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/510.html#c2

[国際23] トランプ大統領インタビュー モラー氏のロシア疑惑聴取に疑念「偽証罪のわな」に(ニューズウィーク) 赤かぶ
2. 2018年8月22日 06:37:07 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1340]

テクノロジー2018年8月22日 / 00:11 / 2時間前更新

米、ロシアに追加制裁 「一段の経済的苦痛も」と警告

1 分で読む

[ワシントン/モスクワ 21日 ロイター] - 米財務省は21日、ロシアが関与したとするサイバー攻撃に絡み、新たにロシアの個人2人と企業1社、スロバキアの企業1社に制裁を科したと発表した。

サイバー攻撃に絡み、すでに米政府の制裁対象となっているロシアの水中施設企業ダイブテクノサービシズの制裁回避を手助けしたと説明した。

財務省は6月、米国や同盟国に対するサイバー攻撃を実施する方法を巡りロシア連邦保安局 (FSB)に協力したとして、ダイブテクノサービシズなどに制裁を科していた。

また米財務省は同日、国連の対北朝鮮制裁に違反し、北朝鮮への石油精製品輸送に関与したとして、ロシアの海運会社2社と船舶6隻に対しても制裁を科すと発表した。

米国務省と財務省の高官は同日、対ロシア制裁に絡み上院銀行委員会の公聴会で証言し、ロシアが行動を改めないようであれば、さらなる経済的苦痛を与えることも辞さないとの認識を示した。

マンデルカー財務次官は「われわれの強力な権限を使い、一段の経済的苦痛を与えることは可能であり、ロシアの行動が著しく変化しない限り、ためらわずそうした措置に踏み切る」と述べた。

フォード国務次官補(国際安全保障・不拡散局)は、米国による対ロシア制裁を巡る懸念から、ロシアと他国による大規模な武器取引が解消されたとの認識を示した。

これとは別に、ミッチェル国務次官補は外交委員会の公聴会で、制裁を巡る懸念を背景に、ロシアの武器取引に80億─100億ドルの影響が出ている指摘。さらに、ロシアへの対外直接投資が2013年以降、80%落ち込んだことを明らかにした。

こうした中、ロシアのリャブコフ外務次官はロシア外務省のウェブサイトに掲載した声明で、米政府は「虚偽の口実」に基づき制裁措置を導入したと非難。米国の制裁措置には根拠がないとし、ロシア政府が対抗措置を導入する可能性があることを示唆した。



テクノロジー2018年8月21日 / 17:40 / 3時間前更新

米保守派団体サイト狙ったロシア系ハッカーを阻止=マイクロソフト
1 分で読む

[ワシントン/モスクワ 21日 ロイター] - 米マイクロソフト(MSFT.O)は20日、ロシア政府とつながりを持つとされるハッカー集団が米保守派団体からユーザー情報を不正に取得しようとする試みを阻止したとブログで発表した。

マイクロソフトのデジタル犯罪対策ユニット(DCU)は先週、裁判所命令に基づき、「ストロンチウム」という集団が作成した6つのインターネットドメインのコントロールを移すなどした。同集団は「ファンシー・ベア」「APT28」という名でも知られ、ロシア政府と関連があるとされる。

マイクロソフトは「2018年の米中間選挙を控え、こうした試みが米政党の関連団体にセキュリティー上の脅威を与えていることを懸念している」とした。

ハッカー集団は、米上院の3つのウェブサイトとマイクロソフトの「オフィス365」のウェブサイトのほか、民主主義を推進する「共和党国際研究所」、サイバーセキュリティーを含むテーマの会合を主催する「ハドソン研究所」のウェブサイトを模した偽サイトを用意。サイトの訪問者がユーザーネームとパスワードを入力することで、ユーザーの情報を不正に取得することを狙った。

マイクロソフトは「現時点では偽ドメインが情報の不正取得に成功したかどうかを示す証拠はない」とした。

これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は、疑惑を裏付ける証拠がないと反論。記者団に対し、「どのような証拠に基づきこのような結論に至ったのか理解できない。証拠が欠落している」と述べた。

また、ロシア外務省は「ロシア市場でも長らく事業を展開してきた国際的な大企業が、米政府を巻き込んでいる『魔女狩り』に積極的に参画していることは遺憾である」とする声明を発表した。

マイクロソフトのブラッド・スミス社長兼最高法務責任者(CLO)はこの日、MSNBCのインタビューで、ハッカーは「すべての政治スペクトラム」を標的としていたとの見方を表明。ただハッカー行為が成功した証拠はないと述べた。また、この件の背後にいるとみられる「ファンシーベア」の名称で知られるロシアのハッカー集団が、仏大統領選挙のすべての候補者を標的としたハッカー集団と同一の団体であることに疑いはないとの見方も示した。

Microsoft Corp
105.98
MSFT.ONASDAQ
-0.89(-0.83%)
MSFT.O
MSFT.O



ビジネス2018年8月22日 / 02:11 / 4時間前更新
米FRB利上げ、打ち止めまであと3─4回=ダラス連銀総裁
1 分で読む

[21日 ロイター] - カプラン米ダラス地区連銀総裁は21日、連邦準備理事会(FRB)は最大雇用と物価安定を巡る二重責務の目標を達成したとした上で、金利を中立水準へと段階的に引き上げるべきで、中立水準までの利上げ回数はあと3─4回になるとの見方を示した。

ダラス連銀公表の論文の中で、自身が判断する中立金利は2.5─2.75%程度とした上で「金利はあと3─4回の利上げで推定中立水準に到達する見通しだが、到達した時点で一服し、経済見通しやイールドカーブなど各種要素を検討し、それから適切となり得る追加対応を決定したい」と述べた。

トランプ大統領は前日、ロイターのインタビューで、パウエルFRB議長の利上げ継続方針について「気に入らない」と述べた。

カプラン氏はトランプ氏の発言に直接触れなかったものの、利上げを行うことで「不均衡対応や国内景気を一段と拡大する最良の機会が生まれる」というFRBの認識を示す内容となった。

国内経済成長率については今年が3%とし、減税効果が薄れることに伴い来年は鈍化すると予想。長短国債の利回り差が低水準となっている状況について、先行きの成長鈍化予想を反映しているほか、景気拡大が終盤局面にあることを示すとの見方も示した。


東京外為市場ニュース2018年8月22日 / 05:26 / 1時間前更新
米金融・債券市場=リスク選好改善で利回り上昇、FRB議長講演に注目
3 分で読む

[ニューヨーク 21日 ロイター] -
米東部時間 価格 利回り コード
30年債(指標銘 15時53分 99*31.50 3.0008%
柄)
前営業日終値 100*10.50 2.9830%
10年債(指標銘柄 15時45分 100*08.50 2.8442%

前営業日終値 100*14.50 2.8230%
5年債(指標銘柄 15時53分 100*03.50 2.7260%

前営業日終値 100*07.00 2.7020%
2年債(指標銘柄 14時30分 100*01.00 2.6079%

前営業日終値 100*02.00 2.5910%

清算値 前日終値 コード
Tボンド先物9月限 145*04.00 145*15.00
Tノート先物9月限 120*14.50 120*20.00

米金融・債券市場では、リスク選好度が上向くなか国債利回りが上昇した。市場では
24日の米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演に引き続き注目が集まってい
る。
この日は米株式市場でS&P総合500種が過去最高値を更新。D・Aデビッドソン
(シアトル)の債券トレーディング担当バイスプレジデント、メアリー・アン・ハーレー
氏は「株価上昇を受け『リスクオン』相場になっている」と指摘。ただ「今週は24日の
パウエル議長の講演が最大のイベントとなる」と述べた。
FRBは今年はこれまで2回の利上げを実施。市場ではFRBが年内にさらにあと2
回の利上げを実施し、合計の利上げ回数が4回になるのか手掛かりを探る動きが続いてい
る。こうしたなかパウエル議長が24日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれる
経済シンポジウムで行う講演のほか、FRBが22日に公表する7月31日─8月1日の
FOMC議事要旨に注目が集まっている。
FRBの金融政策を巡っては、トランプ米大統領が前日、ロイターのインタビューに
対し、パウエルFRB議長が利上げを継続する方針であることは「気に入らない」などと
発言。これを受け、この日は年内にあと2回の利上げが実施されるとの観測がやや後退し
た。
CMEグループのフェドウオッチによると、金利先物市場が織り込む9月に利上げが
実施される確率は96%と、前日の94%から上昇したものの、12月に追加利上げが決
定される確率は63%と、64%から低下した。
シーポート・グローバル・ホールディングス(ニューヨーク)のマネジング・ディレ
クター、トム・ディガロマ氏は「トランプ大統領がFRBの積極的な引き締めを阻止しよ
うとしていることがどのような影響を及ぼすのか市場は注目している」と指摘。トランプ
氏の発言が伝わった後のオーバーナイトの取引ではドルは下落したと述べた。
前出のハーレー氏は「FRBは非常に注意深く、独立性を守ると見られる」とし、「
パウエル議長はトランプ大統領を直接名指しすることはせずに、なぜFRBが現在の政策
は緩和的と見なしているのか説明することで反論しようとする可能性がある」との見方を
示した。
午後の取引で10年債利回りは2.848%。前日は2.815%と、
7月6日以来の低水準を付けていた。
2年債と10年債の利回り格差は24ベーシスポイント(bp)にや
や拡大。前日は23bpと、2007年以来の水準に縮小していた。

<ドル・スワップ・スプレッド>
LAST Change
U.S. 2-year dollar swap spread 19.75 (unch)
U.S. 3-year dollar swap spread 17.75 (-0.25)
U.S. 5-year dollar swap spread 13.75 (-0.75)
U.S. 10-year dollar swap spread 6.75 (-0.50)
U.S. 30-year dollar swap spread -6.75 (-0.50)
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/698.html#c2

[経世済民128] 黒田総裁は“白旗”か…ついに日銀が「株を買うのをやめた」(日刊ゲンダイ) :政治板リンク  赤かぶ
2. 2018年8月22日 06:41:48 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1341]

日銀の大規模な金融景気刺激策は奏功しつつあるーABNアムロ
コナー・シスロ
2018年8月21日 22:18 JST
日本銀行の前例のない金融緩和による景気刺激策はついに、デフレに勝利しつつある。ABMアムロが指摘した。

  数十年ぶりの労働市場の引き締まりが賃金上昇につながり、2%という日銀のインフレ目標は、「以前よりもはるかに達成可能なように見える」とABNアムロの ビル・ディビニー氏が20日のリポートに記した。日銀が政策正常化に向けて少しずつ進んでいるということであり、前進は続くだろうと同氏は指摘。コアインフレ率は2019年末までに、同年に予定されている消費税増税の影響を除いて1.2%に達すると予想した。

  同氏は潜在成長率を上回る投資主導の景気拡大と、それを支えるアジア中産階級による日本旅行需要を指摘。「アベノミクス導入時の一般的な期待とは裏腹に、円が劇的に下落したにもかかわらず、成長加速の原動力は輸出の伸びではなかった」と分析した。

  ただ、中国の成長鈍化と貿易保護主義の逆風が日本経済の重しになるとともに、2020年の東京五輪のための支出も一巡するため19年後半には投資が減速すると予想し、今年と来年の成長率は1%と「潜在成長率にほぼ一致」するだろうと予測した。

原題:Japan’s Massive Monetary Stimulus Is Paying Off, Says ABN Amro(抜粋)


日生、明安:日銀は超長期債の一段の購入減額を、政策修正は不十分
伊藤小巻、程近文
2018年8月22日 6:00 JST
日銀政策修正後も30年金利約0.86%、新規貯蓄性商品の予定利率並み
コミットしていない超長期オペの一段の減額がありがたい−明治安田
運用難の大手生命保険会社は、投資の国債回帰には日本銀行が許容する長期金利(10年国債利回り)の変動幅拡大では不十分だとし、日銀が超長期ゾーンの国債買い入れを一段と減額することが必要とみている。収益回復に向け、超長期金利の上昇を促す策を望んでいる。

  生保の国債運用は、長期の保険契約に対応するALM(資産・負債の総合管理)の観点から20年や30年など超長期債が中心。日本生命保険財務企画部の栗栖利典担当課長は、今年に入り低下していた超長期債利回りが7月末の日銀の政策修正で上昇し「目線が1年前に戻ったイメージ」と一定の評価をするものの、日銀オペで「超長期国債の買い入れを一段と減らせば利回り曲線は立っていたのではないか」と話す。


記者会見に臨む黒田東彦総裁Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  超金融緩和策は生保各社にとって運用面だけではなく、予定利率の引き下げや貯蓄性商品の販売抑制など販売面にも影響が出ており、運用利回りと保険料等収入は低下傾向にある。こうした中、日銀は7月末の政策決定会合で、長期金利の許容変動幅を誘導目標ゼロ%の上下0.2%程度に拡大。これを受け超長期金利も上昇したが、20年0.63%程度、30年0.86%程度にとどまっている。日生の場合、新規の主な貯蓄性商品の予定利率は0.85%と30年金利とほぼ同水準で、利ざやが極めて薄い。

  明治安田生命保険の佐藤元彦執行役員運用企画部長も「10年債を変えるよりも先に、もっとやれることはある」と指摘。政策決定会合で決めている10年債の誘導目標を変更するのは難しいのに対し、「コミットしていない超長期のオペをもっと減額してくれるとありがたい」と話す。

  富国生命保険の渡部毅彦財務企画部長は、日銀の政策修正について「もう少し長期金利が上がるような方向の政策を期待していた部分があり若干期待外れ」と語る。同社では30年国債の金利が9、10月に1%を超えてくる状況になれば投資の選択肢には入ってくるが、決して十分ではなく、運用計画に明示的に織り込む水準ではないとしている。


超長期オペ
  2016年9月の長短金利操作導入以降、日銀は資金量中心から金利重視へと政策の軸足を移しつつあり、国債購入額を削減している。月5回行う超長期国債の買いオペ(10年超25年以下と25年超の2種類)は16年8月当時、両者合わせた1回あたり購入額が3200億円程度だったのに対し、今月は2400億円程度と約25%減少。それでもなお生保の間では不満がくすぶっている。

  明治安田生命の佐藤氏は、「日銀自身が長期になればなるほど政策効果は低くなると言っている」と話す。日銀は16年9月の総括的検証で、ローンや社債など企業の資金調達年限は短期から中期ゾーンが多く、このゾーンの金利低下の方が長期から超長期ゾーンの金利低下よりも経済波及効果が大きいと指摘。超長期金利の上昇を抑える必要性は薄いことを示唆している。

  日生の栗栖氏は日銀オペが継続される限り、超長期債利回りは現状からプラスマイナス0.1%程度の動きにとどまると予想。今後も「外債投資をしながら、この環境を乗り切っていく」と話す。同社は18年度の運用計画で、1兆円程度を見込む新規資金のうち4000億円前後を為替リスクを回避しないオープン外債に振り向ける一方、国内債券は「横ばいから増加」にとどめる方針を打ち出していた。
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/247.html#c2

[国際23] 最新の対ロシア経済制裁は、トランプが政権を掌握していないことを示している(マスコミに載らない海外記事) 赤かぶ
4. 2018年8月22日 07:10:20 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1342]

Putin’s Unlikely Ally in His Standoff With the West: His Central Banker
Elvira Nabiullina has earned an unusual degree of freedom to buttress an economy buffeted by sanctions
Elvira Nabiullina, Russia’s central bank chief, on June 8. KATYA REZVAYA FOR WALL STREET JOURNAL
71 COMMENTS
By
Anatoly Kurmanaev
Aug. 20, 2018 9:56 a.m. ET




• • ST. PETERSBURG—After Russia’s central-bank chief, Elvira Nabiullina, moved to shut down a large lender last year for allegedly falsifying accounts, the nation’s top prosecutor’s office issued an order to leave the bank alone.
She closed it anyway.
In her five years in office, Ms. Nabiullina has closed hundreds of weak banks, stymied the exodus of Russian wealth abroad and transformed monetary policy to bring inflation to record lows. That has earned her an unusual amount of freedom to make tough decisions, even if that means treading on powerful interests.
Thinking of Ms. Nabiullina merely as a central banker understates the significance of her role. As President Vladimir Putin bids to return Russia to great-power status, challenging the U.S. and Europe from Syria to Ukraine, it’s her job to shore up the economy against volatile oil markets and sanctions. Russia’s ability to continue its quest rests in large part on whether Ms. Nabiullina can keep the financial system stable.
Given Russia’s messy, corruption-filled banking system, that is a challenge. She has struggled to regulate some state banks, analysts said, and her job has grown more difficult with looming new U.S. sanctions against Moscow for a nerve-agent attack against a former Russian spy in the U.K. Moscow has repeatedly denied involvement.

Workers in biohazard suits at the scene where a former Russian spy and his daughter were found sickened by a nerve agent on March 8 in Salisbury, England. PHOTO: BEN STANSALL/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
Ms. Nabiullina has earned public praise from Mr. Putin, who rarely commends subordinates, as well as from abroad. Last year at the Kremlin, Mr. Putin told her that “under your leadership, the central bank has done a great deal to stabilize the economic situation.” Managers at big investment funds, from Pacific Investment Management Co. to Pictet Asset Management, call Ms. Nabiullina one of the world’s most skilled central bankers. Christine Lagarde, managing director of the International Monetary Fund, lauded her in May for setting “standards of quality for macroeconomic policy.”
International investors have piled into Russian government bonds, despite the country’s weak economic growth, weakening currency and deepening U.S. sanctions.
“Nabiullina was clearly given a mandate from the highest level of the government to bring stability,” said Kirill Lukashuk, head of the financial sector at ratings agency ACRA. “The government realized they can’t be stable without a healthy banking sector, strong reserves and low inflation.”
In an interview, Ms. Nabiullina said her focus has been on improving the health of Russia’s banking sector. “It became obvious to everyone that something had to be done,” she said. “In the circumstances when we started facing external challenges and geopolitical risks, the financial system had to become very strong and very stable.”
Mr. Putin has expressed his “very, very high appreciation” of Ms. Nabiullina’s work “given the very complicated macroeconomic environment, the very aggressive international environment, toward Russia,” said presidential spokesman Dmitry Peskov. “Her position demands more independence…because the central bank is independent in accordance with our legislative system,” he added.

Vladimir Putin and Elvira Nabiullina during a meeting on Oct. 27, 2017, at the Novo-Ogaryovo residence outside Moscow. PHOTO: ALEXEI NIKOLSKY/PRESS POOL
When Ms. Nabiullina took over Russia’s central bank in 2013, it was a sleepy institution with poorly trained staff and limited powers, investors and bankers said. Mr. Putin criticized her predecessors for lacking the will to clean up the country’s banks.
In 2006, the central-bank official responsible for revamping the system, Andrey Kozlov, was shot dead in his car. Russian financier Alexey Frankel, whose banking license Mr. Kozlov had revoked earlier that year, was later convicted of organizing the killing.
Today, bodyguards accompany Ms. Nabiullina even inside her headquarters.
Detractors include presidential advisers and industrialists who say her focus on low inflation and iron regulation is stifling the economy.
“From stability to stagnation is just a short step,” said Andrey Sokolov, chairman of Russia’s largest private lender, Alfa Bank.
There are about 480 active banks in Russia, triple the number in Brazil, which has a similar-sized economy. Russia’s top 20 lenders, however, account for 70% of the banking assets. Almost a third of the banking system is in the hands of state-owned Sberbank , the successor of the Soviet Union’s banking monopoly.
Ms. Nabiullina, 54 years old, was born into a working-class Tatar family in the Ural Mountains. She earned an economics degree from Moscow’s top university during the final years of the Soviet Union and immediately began working on policies for Russia’s burgeoning market economy.
She spent the 1990s working at the country’s largest business trade group and in the economy ministry. She has earned a reputation for bookishness, personal honesty and fixation on detail, according to government advisers. Those qualities drew the attention of Mr. Putin, who brought her into his think tank to help draft an economic manifesto shortly before he assumed the presidency in 2000.
As president, Mr. Putin consolidated power, curbing the political clout of tycoons and regional strongmen. At the time they also controlled a large part of the banking system, using weak regulation to finance political campaigns and personal ventures and to transfer wealth out of the country.
When banks collapsed under the weight of bad lending decisions and unsustainable deposit rates, owners often moved abroad, usually to London, where they bought mansions at record prices. The U.K.’s government has denied extradition requests from Russia, citing lack of trust in the country’s judicial system.
Industry veterans said that before Ms. Nabiullina took over, banking licenses were mostly used as mechanisms to funnel money abroad and process insider deals.
Cleaning Up the Banks
As Russian central-bank chief Elvira Nabiullina has closed or nationalized banks, the state has had to pay back billions of rubles in guaranteed deposits.
Source: Central Bank of Russia (licensed); Russia's Deposit Insurance Agency (rubles paid back)
“We used to open a newspaper in the morning and look at the banking deals and said—that’s capital flight, and that’s asset stripping,” said Sergey Khotimskiy, co-founder of one of Russia’s largest private banks, Sovcombank. “The dodgy enrichment schemes were obvious to everyone.”
The 2008 global financial crisis exposed the weakness of the system. Indiscriminate lending saddled banks with mountains of bad debts, which they camouflaged with increasingly elaborate balance-sheet exercises, said Mikhail Zadornov, a veteran state banker. Bank failures snowballed, leaving the state to pick up the tab for insured deposits.

Mr. Putin and Ms. Nabiullina on Oct. 20, 2008. PHOTO: IVAN SEKRETAREV/ASSOCIATED PRESS
Banking woes slowed Russia’s economic recovery, which convinced Mr. Putin to act. In Ms. Nabiullina he saw a loyalist who had the expertise and the stomach to clean up the financial system, according to two people who were government advisers at the time. Mr. Putin appointed her as his economic adviser in 2012, and head of the central bank the following year.
When she took over the institution, banks and companies were moving $5 billion out of the country every month, and inflation topped 7%.
She shut down 70 banks in her first year.
In 2014, the West met Russia’s military interventions in Ukraine with sanctions. The impact, combined with a precipitous fall in the oil price, caused the value of the ruble to fall by half against the dollar that year.
Taking Interest
Elvira Nabiullina has left Russian interest rates high to keep inflation low.
*Highest rate for the month
Source: Central Bank of Russia
Ms. Nabiullina stopped a longstanding policy of spending billions of dollars from the country’s reserves to try to prop up the ruble. In December 2014, with the ruble continuing to fall, the central bank nearly doubled its key lending rate to 17% at an emergency late-night meeting.
The rate increase restored calm to markets but strangled the country’s consumer-fueled growth. The country’s emerging middle class, which had become used to foreign vacations and European cars, is still feeling the effects of the ruble’s collapse.
Some government advisers and lawmakers criticized Ms. Nabiullina for the rate increase. “Difficult decisions are difficult to explain [to the government],” she said. “For me it was easy to make that rate decision, because I was sure there was no alternative.”
Ms. Nabiullina turned her attention next to homegrown problems. Since she took office, she has halved the number of Russian banks, shutting down about 440 lenders. She has reduced capital outflows by about 50% to $2.5 billion a month.
Many of the banks she closed had been considered untouchable, analysts said. Some, such as Promsviazbank, counted lawmakers and state-company executives among its shareholders and held money for national oil companies and the Orthodox Church. Others, like Bank Sovetskiy, had served political objectives, providing banking services in Crimea, the Ukrainian region the Kremlin annexed in 2014.
A dozen shut-down lenders have tried suing the central bank to get their licenses or assets back. None have succeeded.
“Nabiullina has freedom to operate as she chooses in the interests of stability, even when it hurts vested interests,” said Alexander Danilov, a banking analyst at Fitch Ratings. “She has stepped on many toes.”
Yugra, the bank she closed last year over the objections of the prosecutor’s office, is owned by construction magnate Alexey Khotin. The bank had used credit taken from other banks to subsidize market-beating deposit rates, and became the 12th-largest holder of retail deposits in the country last year, according to the central bank. It also sponsored an amateur hockey league founded by Mr. Putin, who occasionally plays in it.
When the central bank took over Yugra last June following repeated warnings, it said it found a $600 million deficit in its balance sheet masked with bad loans. Just hours before the bankrupt bank’s license was due to expire, the prosecutor’s office ordered a halt to the closure, calling the bank “a financially stable credit organization.” Ms. Nabiullina rejected the order.

Ms. Nabiullina shut down Yugra last year. Above, a Moscow branch in July 2017. PHOTO: ANTON PODGAIKO/TASS/ZUMA PRESS
Mr. Khotin’s representatives and the prosecutor’s office didn’t respond to a list of questions on Yugra’s closure, which the bank is contesting in court.
“It was a test of will, and she won,” said banking analyst Mr. Lukashuk.
Ms. Nabiullina’s freedom stands out from her peers in developing economies from Turkey to Argentina, where central bankers are under pressure from the government to keep interest rates low to keep credit flowing to voters and businesses.
In January, inflation hit a record low for the post-Soviet period of 2.2%, a result of Ms. Nabiullina’s decision to keep interest rates high after the Crimea sanctions. Some tycoons have urged a faster reduction.
Ms. Nabiullina’s confidence in Mr. Putin’s backing was on display at the central bank’s congress in St. Petersburg in June.
She publicly traded barbs with the chief executive of Russia’s banking behemoth, Sberbank, and criticized the head of a major state oil company for raising gasoline prices. She chastised the police and courts for not doing enough to punish errant bankers.
Still, she has struggled to regulate Russia’s lesser, underperforming state-owned banks, whose executives often treat them as fiefs, analysts said. These banks are kept afloat by constant injections of state funds, which the executives have funneled into unrelated assets ranging from supermarkets to railroad cars.
Almost a trillion rubles of public capital, about $16 billion at today’s rate, went to just three state-owned banks—VTB, Gazprombank and Rosselkhozbank—in the first four years of Ms. Nabiullina’s central-bank term, according to Fitch Ratings. All are still saddled with bad debts or illiquid assets.
Ms. Nabiullina said the same regulatory rules apply to all banks, adding that she has shut down several regional state-owned lenders.
The central bank has also come under criticism for bailing out three large private banks last year, including the country’s seventh-largest lender, Bank Otkritie. The move has cost the government about $44 billion and continues to drain public funds.
Private bankers said Otkritie should have been sold off in pieces instead of becoming yet another state bank. Government-owned lenders now account for two-thirds of all lending and private deposits.
Ms. Nabiullina said Otkritie was “too big to fail” and required a quick takeover to avert a financial crisis.
RELATED READING
• Russian Stocks, Ruble Take Hit on Uncertainty Over U.S. Sanctions
• U.S. to Impose New Sanctions on Russia Over Nerve-Agent Attack in U.K.
• In Russia, the Corporate Raiders Are Often Cops
• Russian Agency at Center of U.S. Hacking Indictment Has Long Operated in the Shadows
While the cleanup of the financial sector is nearly finished, she said, she sees bigger problems for Russia’s economy as a whole. “The previous model of [consumer-led] economic growth has been drained,” she said. Her modest economic forecasts have consistently lagged behind Mr. Putin’s goals, which she said can be achieved only through deep, unpopular changes to the system.
Even if the price of oil rose to $100, from around $65 today, she said, “it’s very unlikely that our economy can grow above 1.5% to 2%” a year.
—Anna Mikheeva and Mike Bird contributed to this article.
Write to Anatoly Kurmanaev at Anatoly.kurmanaev@wsj.com



プーチン大統領と西側との対立関係:彼の中央銀行家
エルビラ・ナビウリナは、経済制裁のために特別な自由を得ている
ロシアの中央銀行総裁、エルビラ・ナビウリナ(Elvira Nabiullina)、6月8日。ウォールストリートジャーナルのためのカティヤ・リズヴァヤ
71コメント
〜によって
アナトリー・クルマナエフ
2018年8月20日9:56 a.m. ET




••ST。ロイター通信によると、

とにかく彼女はそれを閉じた。
彼女の5年間のオフィスでは、Nabiullinaさんは何百もの弱い銀行を閉鎖し、海外のロシア財産の流出を阻止し、インフレ率を最低に抑えるように金融政策を変えました。それはたとえ強力な利益を踏みにじっているとしても、彼女に厳しい決定を下すための珍しい自由を与えました。

Nabiullinaさんを単に中央銀行家とみなすことは、彼女の役割の重要性を控えめにしています。ウラジミールプーチン大統領がロシアを大国に戻し、米国と欧州にシリアからウクライナに挑戦するよう呼びかけたことから、激しい石油市場や制裁措置から経済を救うのは彼女の仕事です。ロシアの探求を続ける能力は、Nabiullina氏が金融システムを安定的に保つことができるかどうかに大きく依存している。
ロシアの乱雑で腐敗した銀行システムを考えると、それは挑戦です。アナン事務総長は、モスクワに対する新制裁措置がイギリスの元ロシア人スパイに対する神経薬の攻撃で現われたことで、彼女の仕事はより困難になったとモスクワは繰り返し主張した。
 
バイオハザードの労働者たちは、ロシアのスパイとその娘が3月8日に英国のソールズベリーで神経の病気に冒された場面で訴訟を起こす。写真:ベン・スタンスル/フランス・プレース/ゲッティイメージズ
Nabiullina氏は、部下や海外からの褒め言葉はほとんどないプーチン大統領から賞賛を得ている。昨年、クレムリンでプーチン大統領は、「あなたのリーダーシップの下で、中央銀行は経済状況を安定させるために多大な努力をしました」と語った。太平洋投資管理会社からピクテット・アセット・マネジメントまで、世界で最も熟練した中央銀行家の一人であるNabiullina氏。国際通貨基金(IMF)のクリスティン・ラガルド(Christine Lagarde)マネージングディレクターは、「マクロ経済政策の質の基準」を設定したことを5月に賞賛した。
同国の弱い経済成長、通貨の弱含み、米国の制裁強化にもかかわらず、国際投資家はロシアの国債に積み重なっている。

「格付け機関ACRAの金融部門責任者、キリル・ルカシュック氏は、「ナビウリナは安定性を確保するために最高水準の政府からの権限を与えられたことは明らかだ」と述べた。 「政府は、健全な銀行部門、強い準備金、低インフレがなければ、安定しないことに気づいた」
インタビューで、Nabiullina氏は、ロシアの銀行部門の健全化に焦点を当てていると述べた。 「誰にでも何かをしなければならないことが明らかになった」と彼女は語った。 「外的課題や地政学的リスクに直面した状況では、金融システムは非常に強く安定しなければならなかった。
プーチン大統領は、Nabiullina氏の作品「非常に複雑なマクロ経済環境、非常に積極的な国際環境をロシアに与えてくれたことについて、非常に高く評価している」と表明した、とドミトリー・ペスコフ大統領は述べた。 「中央銀行は立法制度に応じて独立しているので、彼女の立場はより多くの独立を求めている」と彼は付け加えた。
 
ウラジミール・プーチン、エルビラ・ナビウリーナが、モスクワの外にあるノボ・オガリョボの住居で、2017年10月27日の会合で語った。写真:ALEXEI NIKOLSKY / PRESS POOL
Nabiullinaさんが2013年にロシアの中央銀行を買収した時、スタッフは訓練されておらず、権限が限られている眠そうな機関だったと投資家と銀行家は言いました。プーチン大統領は、前任者に対し、国の銀行を清掃する意志がないと批判した。
2006年には、システムの改革を担当する中央銀行職員、アンドレイ・コズロフは、彼の車で銃撃された。その年の早い段階で、コスロフ氏の銀行免許を取り消したロシアの金融業者、アレクシー・フランケルは、殺害の組織化について有罪判決を受けた。
今日、彼女の本部の中でさえナボウリーナさんにボディーガードが同行しています。
批判者には、低インフレと鉄規制に焦点を当てていると指摘されている大統領顧問と工業者が含まれている。
ロシア最大の民間貸し手アルファ・バンク会長、アンドレイ・ソコロフ氏は、「安定から停滞までは、ほんの短いステップである」と述べた。
ロシアには約480の活発な銀行があり、同様の規模の経済を持つブラジルでは3倍の数です。しかし、ロシアの上位20の貸し手は、銀行資産の70%を占めている。銀行システムのほぼ3分の1は、ソビエト連邦の銀行独占の後継国である国営のSberbankの手に委ねられている。

54歳のナビウリナさんは、ウラル山脈の労働者階級のタタール家として生まれました。彼女はソ連の最後の年の間にモスクワのトップ大学から経済学の学位を取得し、急速に拡大しているロシアの市場経済のための政策に取り組み始めた。
彼女は1990年代を、同国最大の商業貿易グループと経済省で働いて過ごしました。彼女は政府の顧問によると、帳簿、個人的な正直さ、細部への固定という評判を得ている。プーチン大統領は、彼女をシンクタンクに連れて来て、2000年の大統領選挙直前に経済声明を作成するのに役立った。
大統領として、プーチン大統領は権力を統合し、政界の勢力と地域の強硬派の政治的影響を抑えました。当時、彼らはまた、銀行制度の大部分を支配し、弱い規制を用いて政治的キャンペーンや個人的な事業に資金を供給し、富を国外に移転させた。
銀行が悪い貸し出しの決定と持続不可能な預金金利の下で崩壊したとき、所有者は多くの場合、通常はロンドンに移動し、そこでは大邸宅を記録的な価格で購入しました。英国政府は、司法制度に対する信頼の欠如を理由に、ロシアからの引渡要求を拒否している。
業界のベテランは、Nabiullina氏が代理を務める前に、銀行ライセンスは主に海外で資金を送って内部取引を処理するための仕組みとして使用されていると述べた。
銀行の清掃
ロシアの中央銀行長エルビラ・ナビウリナ(Elvira Nabiullina)が銀行を閉鎖または国有化したため、国家は保証された預金で数十億ルーブルを返済しなければならなかった。
出典:ロシア中央銀行(免許)。ロシアの預金保険代理店(ルーブル返済)
ロシア最大の私営銀行Sovcombankの共同設立者であるSergey Khotimskiyは、「午前中に新聞を開き、銀行取引を見て、それが資本逃避であることは資産剥奪だ」と述べた。 「ドッジー豊かな濃縮計画は誰にとっても明らかだった」
2008年の世界的な金融危機は、システムの弱点を露呈した。ベテランの州の銀行家であるミハイル・ザドルノフ氏は、無差別な貸し出しの銀行には不良債権の山が詰まっており、ますます精巧なバランスシートの練習に偽装されている、と語った。銀行の失敗は雪が降り、被保険者の預金のためのタブをピックアップする状態を残す。
 
写真:IVAN SEKRETAREV / ASSOCIATED PRESS 2008年10月20日、プーチン大統領とナビウリナ大統領
ロシアの経済回復が遅れたため、プーチン大統領は行動を起こした。 Nabiullinaさんには、当時の政府顧問であった2人の人によると、彼は専門家と金融機関を浄化するための胃を持っていたロイヤリティーを見た。プーチン大統領は2012年に経済顧問として彼女を任命し、翌年に中央銀行の長を務める。
彼女が金融機関を買収したとき、銀行と企業は毎月50億ドルの資金を出し、インフレ率は7%を超えました。
彼女は最初の年に70の銀行を閉鎖した。
2014年、西側諸国は、制裁を受けてロシアの軍事介入をウクライナと会った。この影響は、原油価格の急落と相まって、ルーブルの価値はその年のドルに対して半減した。

興味を引く
Elvira Nabiullinaはインフレを抑えるためにロシアの金利を引き上げた。
*今月の最高料金
出所:ロシア中央銀行
Nabiullina氏はルーブルを守ろうとするために国の埋蔵量から数十億ドルを費やすという長年の政策を止めた。 2014年12月、ルーブルが下落を続けている中、中央銀行は緊急深夜会議で主要貸出金利を約17%に倍増させました。
この金利上昇は、市場に冷静に戻ったものの、消費者の繁栄した成長を阻害した。外国の休暇やヨーロッパの車に慣れてきた新興中産階級は、依然としてルーブルの崩壊の影響を感じている。
一部の政府顧問と議員は、Nabiullina氏に金利上昇を批判した。 「難しい決定は政府に説明することは難しい」と彼女は言った。 「私にとっては、その選択肢がないと確信していたので、その決定を下すのは簡単だった」
Nabiullinaさんは自宅の問題の隣に彼女の注意を向けました。彼女は就任して以来、ロシアの銀行の数を半分に減らし、約440の貸し手を閉鎖した。彼女は月に約50%から25億ドルの資本流出を減らしました。
彼女が閉鎖した銀行の多くは、手を触れることができないと考えられていたとアナリストらは指摘する。 Promsviazbankのような一部の者は、議員や国営企業の役員を株主に数え、国営石油会社や正教会に資金を預けた。 Bank Sovetskiyのような他の人たちは、2014年にウクライナのクレムリンに併合されたクリミアで銀行サービスを提供するという政治的目的を果たしていた。
ダースのシャットダウン貸し手は、ライセンスや資産を取り戻すために中央銀行に訴訟を起こそうとした。誰も成功していない。
フィッチ・レーティングスの銀行アナリスト、アレクサンダー・ダニロフ氏は、「ナビウリナは、利害関係が損なわれても、安定性のために選ぶよう自由に行動する」と述べた。 「彼女は多くのつま先を踏んだ。
昨年、検察庁の異議を理由に閉鎖した銀行ユーグラは、建設大隊のアレクセイ・ホーティンが所有している。同銀行は、他の銀行からの信用を利用して市場預金金利を補助し、中央銀行によると、昨年の同国における小売預金の第12位の保有者となった。また、プーチン氏が設立したアマチュア・ホッケー・リーグもスポンサーとなっています。
中央銀行が昨年6月に警告を繰り返してYugraを買収したとき、不良債権で覆われた貸借対照表に6億ドルの赤字を発見したという。破産した銀行の免許の有効期限が切れる数時間前に、検察庁は銀行を「財政的に安定した信用機関」と呼んで停止を命じた.Nabiullina氏は命令を拒否した。
 
昨年、NabiullinaさんがYugraを閉鎖しました。上、2017年7月のモスクワ支店。写真:ANTON PODGAIKO / TASS / ZUMA PRESS
ホッティンの代理人と検察庁は、銀行が裁判で争っているユグラの閉鎖に関する質問のリストには答えなかった。
「それは意志のテストであり、勝った」と、銀行アナリストのルーカシュク氏は述べた。
Nabiullina氏の自由は、トルコからアルゼンチンへの途上国の同僚から際立っています。アルゼンチンには、中央銀行が政府から有権者や企業への信用流入を抑えるために金利を低く保つよう求められています。
1月には、ソ連時代2.2%のインフレ率が過去最高を記録した。これは、クリミア制裁後に金利を引き上げるというナビウリナの決定の結果である。一部の大物は、より早い削減を促している。
プーチン大統領の支持に対するナビウリナ氏の信頼は、6月のセントピーターズバーグでの中央銀行の会議で展示されていた。
彼女は、ロシアの銀行大手Sberbankの最高経営責任者(CEO)と野蛮な取引を公にし、ガソリン価格を引き上げるために大手国営石油会社の頭を批判した。彼女は間違った銀行家を処罰するのを十分にしなかったため、警察と裁判所を懲罰した。
ロイター通信は、ロイター通信に対し、ロイター通信に対し、ロイター通信によると、これらの銀行は、スーパーマーケットから鉄道車両に至る無関係の資産に経営陣が注ぎ込んだ州の資金を絶え間なく注入することによって浮き続ける。
フィッチ・レーティングスによると、Nabiullinaの中央銀行の任期の最初の4年間で、ほぼ1兆ルーブルの公的資金(現在の金利で約160億ドル)が、国営銀行の3つ、VTB、Gazprombank、Rosselkhozbankに移されました。すべてはまだ不良債権または非流動資産で抱かれています。
Nabiullina氏は、同じ規制ルールがすべての銀行に適用され、いくつかの地域の国営貸し手を閉鎖したと付け加えた。
中央銀行はまた、昨年、同国の7番目の貸し手であるBank Otkritieを含む3つの大きな民間銀行を救済する批判を受けている。この動きにより、政府に約440億ドルの費用がかかり、公的資金が枯渇している。
プライベートバンカーは、Otkritieはまだ別の国営銀行になるのではなく、売り切れになっているはずだと述べた。

プライベートバンカーは、Otkritieはまだ別の国営銀行になるのではなく、売り切れになっているはずだと述べた。政府所有の貸し手は現在、すべての貸出および私募の3分の2を占めています。
Nabiullina氏は、Otkritieは「失敗するには大きすぎる」と言い、金融危機を回避するためには迅速な買収が必要だと述べた。
関連レディング
•ロシア株式、ルーブル、米国の制裁に関する不確実性に襲われる
•米国は、英国の神経薬剤攻撃に対するロシアの新たな制裁を課すために
•ロシアでは、法人レイダーズは頻繁に警官となる
•米国ハッキング告発センターのロシア庁は、長い間シャドーで動いていた
彼女は、金融部門の浄化はほぼ終了しているが、ロシア経済全体にとって大きな問題を抱えていると述べた。 「[消費者主導の]経済成長の以前のモデルは消耗している」と彼女は語った。彼女の控えめな経済予測は、プーチン大統領の目標に一貫して遅れている。
石油価格が今日約65ドルから100ドルに上昇したとしても、「経済は1.5%から2%以上成長する可能性は非常に低い」と述べた。
-Anna MikheevaとMike Birdがこの記事に貢献しました。
Anatoly.kurmanaev@wsj.comでAnatoly Kurmanaevにお書きください

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/674.html#c4

[経世済民128] トルコショック、市場参加者が身構える「最悪のシナリオ」(ダイヤモンド・オンライン) 赤かぶ
4. 2018年8月22日 07:30:43 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1343]

米国とトルコ、強権大統領の経済音痴が招く危機トランプvs.エルドアン、米国の経済学者はいずこへ
岡部直明「主役なき世界」を読む


2018年8月22日(水)
岡部 直明


2018年7月11日、ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)の夕食会で談笑するトランプ米大統領と、エルドアントルコ大統領(右)(写真=ロイター/アフロ)
 強権大統領の経済音痴が危機を増幅している。トルコショックがおさまらないのは、「金利は搾取の道具」と考えるエルドアン大統領が中央銀行を支配して利上げを認めないからである。利上げという通貨防衛の鉄則を無視するのは、経済常識の欠如を示している。

 トルコショックは対外債務を抱える新興国に連鎖する。そのトルコに対して、制裁関税を課したトランプ米大統領もまた無知をさらけ出している。二国間の貿易赤字を「損失」と勘違いし、赤字解消を要求するのは、グローバル経済の相互依存を知らぬ大きな過ちである。こうした強権大統領の経済音痴は、民主主義と資本主義に複合危機をもたらし、世界経済を大きく揺さぶっている。

トルコショックをもたらした利上げ拒否
 強権政治は経済危機を招く。その典型が2016年のクーデター未遂事件以来、強権化を極めたトルコのエルドアン大統領である。強権によって、いっさいの批判を許さず締め付けを強めており、欧州連合(EU)も警戒感を高めてきた。問題は、エルドアン経済政策が独善に陥っていることだ。米欧が金融緩和からの出口戦略に動いているのに、内需刺激をやめなかった。

 なにより、エルドアン大統領は金利引き上げを認めなかった。「金利は搾取の道具」と考える強権大統領がいるかぎり、市場は安心して通貨リラを売り込める。トルコショックのきっかけは、米国との対立だった。トランプ米大統領は、トルコが拘束する米国人牧師の解放を求めて、鉄鋼・アルミニウムの関税を倍増する制裁関税発動を打ち出した。

 しかし、トルコショックの基本的な要因は、強権大統領の経済音痴にあることは間違いない。中央銀行は大統領の完全支配下にある。心配したメルケル独首相が「中央銀行の独立性を確保せよ」と忠告したほどだ。中央銀行は、エルドアン大統領の「金利は搾取」論を忖度して、政策金利は上げられず、なんとか市場金利の利上げ誘導でしのごうとしているが、限界は明らかだ。

 巨額の対外債務を抱え負担が膨らむ民間企業の団体などは、通貨防衛のための利上げを求めるが、封じ込まれている。インフレの進行が経済を危機に陥れ国民生活を圧迫するなかで、トルコ国債は格下げされた。

IMFにも背を向ける
 通常、通貨危機に陥った国は、国際通貨基金(IMF)の支援を仰ぐが、ここでもエルドアン大統領は「政治主権の放棄になる」と自説に固執し、IMF依存を避けている。中南米債務危機やアジア通貨危機で、支援の見返りに厳しい財政緊縮など改革を要求された経緯をみているからだろう。

 IMF依存を避ける代わりに、サウジアラビアとの断交で孤立しているカタールと直接投資などで関係を深め、通貨スワップ協定を結んだ。いかにも付け焼刃だ。独仏などEUからの支援も期待しているが、限界はあるだろう。

 トルコショックが収まるには、エルドアン大統領自身が強権政治を改め、中央銀行の独立を認め、利上げなど経済常識を取り戻すしかない。しかし、それはいまのところ望み薄というしかない。

新興国に連鎖、欧州、中東にも波紋
 トルコショックは、対外債務を抱える新興国に連鎖する。トルコリラと並んでアルゼンチンペソは昨年末比で4割の下落を記録した。ロシアルーブルやブラジルレアルも1割を上回る下落である。通貨安は南アフリカランド、インドルピー、インドネシアルピアなど新興国のほぼ全域を覆っている。ドル建て債務の多い国ほど、通貨安に見舞われる。アルゼンチンは年40%の政策金利を45%にする緊急利上げに追い込まれた。下落幅が相対的に小さいインドネシアまでが利上げを余儀なくされている。

 欧州にも不安が広がる。トルコ向け債権はスペイン、フランス、イタリアの銀行に多く、トルコが受け入れる直接投資残高の75%は欧州からの投資である。ユーロ危機からの回復途上でまだぜい弱な南欧経済が揺さぶられることにもなりかねない。

 何よりトルコの混迷がEUの難民危機を再燃させることが懸念される。シリアからの難民がトルコ経由で、再びEUに流入する可能性が高まるからだ。難民問題の解決に政権維持をかけるメルケル独首相が、トルコショックの打開に手をさしのべようとするのはそのためだ。

 トルコは北大西洋条約機構(NATO)加盟国であり、トルコの混迷は、ただでさえきしんでいる米欧同盟に新たな波乱要因を持ち込む。トルコは中東の地域パワーであるとともに、EUに接し長く加盟交渉を続けてきた。この複雑な地域の要衝が混乱すれば、米欧だけでなく、ロシアや中国を含めてパワーバランスを崩す恐れもある。

トランプショック生んだ大誤解
 トルコショックの引き金を引いたのは、トランプ米大統領である。中間選挙をにらんで選挙地盤の福音派牧師の解放を最優先させているためだが、トランプ氏の経済音痴こそ世界経済を混乱させる最大の要因である。環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し、中国、EU、日本など主要国・地域を相手した関税引き上げによる貿易戦争は、2国間の貿易赤字を「損失」と考える大誤解からきている。貿易に損はない。貿易は「ゼロサム」の世界ではない。貿易の拡大は「プラスサム」「ウィンウィン」そのものである。

 たしかに、米国にはこれまでにも2国間の貿易赤字を解消しようとする貿易摩擦はあった。日米間では、繊維、カラーテレビ、鉄鋼、自動車、半導体など個別摩擦の火種が絶えなかった。しかし、苦労してまとめあげたはずの通商合意は結局、何の意味ももたなかった。それが日米の苦い教訓である。その一方でグローバル経済が進展するなかで、貿易だけでなく投資や技術協力による相互依存が深まり、2国間の貿易摩擦は「過去の遺物」になっていた。

 トランプ流保護主義はこの「過去の遺物」をあえて掘り返し、時計の針を数十年逆戻りさせるものである。世界がもの作りとIT(情報技術)を融合させる「第4次産業革命」のさなかにあるなかで、時代遅れの発想法である。重厚長大産業の保護を「安全保障」のための言い張るのは無理がある。

 もちろん、中国に対して「知的財産権」の保護を求めるのは意味があるが、米中2国間の貿易赤字の解消のため関税引き上げをエスカレートさせるのは、誤った選択である。中国に知的財産権の保護を求めるにあたっては、世界貿易機関(WTO)のルールのもとで日米欧の主要先進国が連携することこそ重要である。

問われる米経済学者の責任
 トランプ大統領の経済音痴ぶりに、米国の経済学者がなぜ立ち上がらないのか不思議である。トランプ流保護主義の暴走には、経済団体は、自動車業界も含め反対を表明した。グローバル経済時代の先頭を行く米国にとって、保護主義は自殺行為になることが目に見えているからだ。

 トランプ政権には、まともな経済学者は参加していない。有力大学のビジネススクールを出たのに、トランプ大統領は経済学者嫌いである。反知性主義のあらわれだろう。経済学者不在は、戦後の米国の歴代政権でも初めてのことである。よく共通項を指摘されるレーガン政権の「レーガノミクス」のように、「トランプノミクス」などと呼ばれることもない。

 経済学者の側が政権に参加してしまえば、その後の「レピュテーション・リスク」(名声の危険)が高まると読んでいる面はある。しかし、トランプ大統領の経済音痴のために世界経済が危機に巻き込まれようとしているときに、米国の経済学者の「沈黙」は無責任である。ここで虚無主義に身を任すのは罪でさえある。

 何のためにノーベル経済学賞の栄誉に浴する多くの経済学者を輩出したか、米国の経済学者たちは連帯して、トランプ大統領に、粘り強く過ちを説くべきである。歴代政権に影響力のあったサミュエルソン教授やフリードマン教授がいたら、学派を超えて間違いなく連帯していただろう。

民主主義と資本主義の複合危機
 強権政治が危険なのは、戦後世界の土台になってきた民主主義と資本主義の複合危機を招きかねないところにある。

 強権政治に共通しているのは、批判を許さず言論の自由を葬り去ろうとしている点にある。トランプ大統領が米国の主要メディアを「国民の敵」と呼び、批判的な報道を「フェイク(偽)ニュース」と決めつけるのは、言論の自由を最優先してきた米国の建国の精神を真っ向から否定するものだ。

 こうしたトランプ氏の反メディア姿勢に対して、ニューヨーク・タイムズやボストン・グローブなど全米300以上の新聞社が一斉に反対の社説を掲げた。これは米国に言論の自由が生きている証拠である。米国の民主主義の健全性を示している。その一方で、トランプ大統領のあからさまな反メディア姿勢が米国の有権者の間で一定の支持を得ているのも事実である。米国の民主主義の衰退を直視するしかない。

 問題は、こうした民主主義の衰退が資本主義の危機に結びつきかねないことだ。強権政治による中央銀行への介入は危険な兆候だ。エルドアン大統領がトルコ中銀を支配下に置くだけでなく、トランプ大統領も「低金利が好きだ」と公言し、パウエル米連邦制度準備理事会(FRB)議長の利上げ路線を「気に入らない」とあからさまにけん制している。誤った経済観にもとづく中央銀行への介入は、世界経済を危機にさらすことなる。

 「大統領よ、あなたは間違っている」。こう正面切って言える勇気ある人々が続々登場するのを期待したい。強権に対抗できるのは、自由な言論しかない。


このコラムについて
岡部直明「主役なき世界」を読む
 世界は、米国一極集中から主役なき多極化の時代へと動き出している。複雑化する世界を読み解き、さらには日本の針路について考察する。
 筆者は日本経済新聞社で、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、取締役論説主幹、専務執行役員主幹などを歴任した。
 現在はジャーナリスト/武蔵野大学国際総合研究所 フェロー。

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/250.html#c4

[国際23] ボルトンには中東での戦争ごっこがお似合いだ  天木直人  赤かぶ
1. 2018年8月22日 07:32:48 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1344]
中国新疆・ムスリムの強制収容所が急速に拡大
トランプ政権、ウイグル問題を「対中外交カード」に
中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス


2018年8月22日(水)
福島 香織


米国メディアを中心にウイグル・ムスリム弾圧についての報道が続いている
 中国でウイグル・ムスリムを対象とする強制収容所が急速に拡大していることが、米国の衛星写真などから判明している。収容者は少なく見積もっても100万人、あるいは200万人を超えているという推計もあり、中国の宗教、“少数民族”政策の苛酷さがこの2年で急激に増していることがうかがわれる。外国ジャーナリストが新疆地域での取材の自由を奪われて久しいが、一部記者は現地の強制収容所周辺も果敢に取材している。また、強制収容所からかろうじて国外に逃げだした人たちの証言も表に出だした。新疆地域のムスリム迫害の状況をまとめてみたい。

 中国国内のウイグルを中心とするムスリムの弾圧状況は2009年の7・5ウルムチ事件以来、外国記者らが現地で自由に取材することが叶わず、一部の在外ウイグル人組織経由で発信される以上の情報がなかなか出ない状況だ。だが昨年暮れあたりから米国メディアを中心に現地のウイグル・ムスリム弾圧状況への取材がかなり試みられている。背景には米トランプ政権がウイグル問題を対中外交カードとして見直していることもあろう。

 たとえば国連の人種差別撤廃委員会(8月10日)に米国のゲイ・マクドゥーガル委員が「200万人規模のウイグルその他のムスリム少数民族を強制収容所で再教育を受けているとの報告を受けている」と懸念を表明。この報告では、ひげを蓄えている、ベールをかぶっている、国営テレビ放送を見るのを拒否した、などの理由で収容されるケースもあるという。さらに、新疆地域の12歳から65歳のウイグルについてはDNAや眼の虹彩などの生体情報を含むあらゆるデータを強制的に収集し極めて厳しい監視を実施していると指摘する。

 7月26日には、副大統領ペンスがワシントンの講演で、数十万、あるいは数百万とみられるウイグルが強制収容され政治再教育を強いられている問題に言及し、「宗教的な信条が脅かされている」と懸念を表明。この同じ日に、米議会で開かれた公聴会で国務省が派遣する国連特別大使ケリー・カリーが、中国が2017年4月(新疆ウイグル自治区過激化防止条例を施行以降)、ムスリム少数民族の“中国化”を目的とする強制収容所を多数建設し、その収容人数が80万〜100万人に達すると報告していた。その収容所では、信仰とウイグル言語、男性のひげや女性のベールなど、ウイグルのアイデンティティを放棄させ、共産主義を信じさせるよう洗脳教育を行っているという。この中国の対ウイグル弾圧は、「一帯一路」戦略の起点である新疆地域を中国化するという戦略目標があるのではないか、という点も付け加え、米国は、これを中国の人権問題として抗議していく構えであることを証言している。

 新疆の強制収容所(中国語では集中営)に関しては、今年2月のBBCの報道から注目され始めた。BBCはトルコに逃げてきた亡命ウイグルの妻や母親が強制収容所に入れられたことなどを、本人から取材。「銃で殺されるより、妻や母親が収容所内で虐待死させられることの方が恐ろしい」と語っていた。

WSJがウイグル弾圧報道を強化
 亡命ウイグル組織から断続的にこうした強制収容所の実態については情報が出ていたが、最近になってウォールストリートジャーナル(WSJ)がこの問題の報道に力をいれている。WSJ社説(8月13日付)で中国のウイグル弾圧への強い警告を発信。在米ウイグル問題研究者のアドリアン・ツェンツ氏の発言を引用する形で、この2年間に北西部の少数民族ムスリムが数十万単位で強制収容所送りにされている可能性を指摘。著名なウイグル族の民族学者で新疆大学教授のラハイル・ダウットが昨年12月以降、北京で姿を消したことなどにも触れ、中国のウイグル弾圧は国際社会が関心を寄せるべき重大な人権問題としている。

 さらにWSJは強制収容所付近の現地取材や米国の衛星写真などを根拠とした秀逸なリポート(8月17日付)を発表している。カシュガルに近い疏勒県付近の衛星写真の2017年4月17日と2018年8月15日撮影の2枚を比較すれば、そこに建てられている強制収容所建設面積が2倍以上に拡大していることが一目瞭然だ。この収容所はWSJ記者が昨年11月にも現地を訪れている。その時にはまだなかった建物も8月15日には建てられており、この収容所の拡張が現在進行形で急速に行われていることを示している。

 この記事では、米国と国連の専門家の推計として、新疆地域のムスリム少数民族人口の7%にあたる100万人が収容されているとしている。かつて強制収容所に収容されていた22歳のウイグル青年はWSJのインタビューに答えて「収容所の中国人職員から、この世に宗教なんてものはない、神なんて存在しないのに、どうしてお前は信仰するんだ?と問われた」と証言している。WSJはその他、収容者の家族ら数十人に接触しているが、うち5人が収容所内で家族が死亡した、あるいは釈放後まもなく死亡したと答えているという。

 在外ウイグル亡命組織もこうした一連の動きに呼応している。米国の公聴会にあわせて7月26日、世界ウイグル会議代表のドルクン・エイサ及び前代表のラビア・カーディル、さらにオーストラリア、カナダ、日本、米国などのウイグル亡命組織代表者らが米ワシントンに集まり、ウイグル弾圧の実態について米議会と米メディアに発信した。


日本外国特派員協会で2015年に会見する世界ウイグル会議前代表のラビア・カーディル(写真:AFP/アフロ)
 このときの在米亡命ウイグル人の証言によれば、習近平の子飼いの部下である陳全国が現新疆ウイグル自治区の書記になって以降、対ウイグル強制収容所再教育政策が強化され、収容所では毛沢東語録の暗唱や、毛沢東による新疆解放への感謝を唱えるよう強要する、時代錯誤な“再教育”が行われているという。さらにウイグルに対しては豚肉を食べるように強要し、ウイグル女性には漢族男性と結婚せねば、就職もできない、と洗脳しているという。こうした洗脳、再教育を受け入れない場合、せいぜい3人が入ればいっぱいになる程度の反省房に監禁される。この部屋に9〜10人が詰め込まれることもあるという。

 反省房では睡眠時間は4時間だけ、豚肉以外の食事を与えられず、一日中、毛沢東への感謝を唱えさせられるという。オーストラリアから来た亡命ウイグル人の証言によれば、陳全国が書記になって以降、在外ウイグルの家族への弾圧が激しくなっており、家族の偽の呼びかけによって、海外に留学していたウイグル学生が新疆に呼び戻されたあと収容所に入れられるという例が急増しているという。その数は8000人以上ではないか、とも言われている。マルコ・ルビオ上院議員は4月に、新疆ウイグル自治区書記の陳全国に対しては在米資産の凍結や入国ビザを制限するなど「人権の包括的責任に関するマグニツキー法」を適用するべきだと米政府に要請しており、米政府としても、その方向で検討中のもようだ。

 こうしたウイグル側の主張を受けた米政権および米メディアの態度に対して、中国は強く反駁している。

 国連の人種差別撤廃委員会でのゲイ・マクドゥーガルの証言に対しては、中国統一戦線部第九局副局長の胡連合が次のように反論した。

「100万人を強制収容しているという事実はない。確かに再教育施設は存在しているが、その名称は職業訓練センターであり、宗教過激派に騙された人々に対し、新たな居場所をつくり教育によって助ける場である。……だが、目下、そのセンターで何人が生活しているかは私も知らない」

 統一戦線部第九局というのは、2014年に新設された新疆問題を担当する部署。この部署の建前は、新疆の三種勢力(テロ勢力、民族分裂勢力、宗教過激派)における幾多の深刻な社会問題を解決し、新疆の安定を図ることを目的とする。

 中国のタブロイド紙・環球時報は胡連合の発言を踏まえて8月13日に「新疆を中国のリビアにしないこと、これが最大の人権」という社説を発表。簡単にいえば、新疆の平和維持のために多少の無茶は必要悪、という論理だ。いわく「新疆の治安維持は一大戦役であり、統一戦線部幹部群衆の新疆における戦いは、全国人民の支持と理解と許しを得られるものだ。彼らを恨み、噂に流され、西側の威圧を助長してはならない」。さらに新疆のイスラム過激派が中国の平和安定を脅かす例として、北京の金水橋や昆明鉄道駅で起きた「イスラム過激派テロ事件」などを例にあげている。要するに、宗教弾圧や強制収容所での再教育については事実上認めているということだ。

ISが中国に報復を予告
 一部ウイグルが中国当局の弾圧・迫害を受けて、その恨みからIS戦闘員となって中国に報復してやりたいと考えていることは、彼らが発信する動画などからも判明している。昨年2月27日、ISのウイグル戦闘員らがウイグル語で「われわれはカリフ制国家の兵士だ。お前らのもとに行き、武力によってはっきりさせてやる。川のように血を流し、虐げられた人たちの復讐(ふくしゅう)をする!」と発言する警告ビデオを流していた。これはISの標的に中国が挙げられた初めてのビデオであり、中国としても脅威を感じたかもしれない。昨年4月以降の強硬な新疆政策は、こうした挑発を受けての、国家安全を守る上で必要な対応だというのが、中国側の言い分だろう。

 ISに名指しで報復を予告された中国には多少の同情もするが、この状況は2009年の7・5事件に象徴される中国共産党のウイグル弾圧が背景にあり、これまでの中国民族政策の失敗の結果という見方もできる。この失敗の原因を冷静に分析せずに、この後におよんで、宗教過激派のテロを防ぐという建前で1000万人規模の民族を丸ごと洗脳して信仰とアイデンティティを放棄させようとする完全な民族浄化など、21世紀の文明国の想像の斜め上をいく蛮行であり、これに共感や理解を寄せる先進国は皆無だろう。中国の民族政策がこの方向性を突き進む限りは、新疆の平和安定どころか、より強い恨みと復讐心を生み、新疆の内戦化が本格化するのではないか、と懸念するのである。

人権問題に踏み込んだトランプ政権
 ところで、長らく米国を含め先進国がなかなか踏み込もうとしてこなかった人権問題としての新疆ウイグル問題が、このところ報道を含め活発化しているのは、前段でも触れたようにトランプ政権になってからである。ウイグル問題は一部IS問題とリンクしており、なかなか踏み込むのが難しいテーマだ。イスラム問題やテロ問題の背景に理解が浅い日本メディアも中国の圧力を受けながら、ウイグル問題に切り込むのは、より困難であったかと思われる。

 そこに、人権意識がオバマ政権などよりも低いといわれ続けていたトランプ政権が切り込んだことは、たとえ対中強硬路線に必要な政治カードとして利用したいというのが本音であっても、当の迫害されているウイグル・ムスリムたちにとっては朗報であり、現状を改善するチャンスであろう。

 さらにいえば、ケリー・カリーが公聴会で指摘したとおり、中国にとっての新疆政策は、習近平の壮大な軍事経済戦略である「一帯一路」の成否にかかわるテーマ。一帯一路戦略は「中国製造2025」と並んで、中国が米国に匹敵する現代社会主義強国になるために必要な二大戦略の一つだと考えれば、ウイグル問題は新疆地域のウイグル人権問題にとどまらず、日本を含む国際社会の安全保障にもリンクする問題だと再認識できるだろう。

 さて、日本首相の安倍晋三が10月に訪中し習近平と会談する日程が詰められているが、大勢の財界人も同行し、ひょっとすると一帯一路への協力もテーマに上がるかもしれない。少なくとも中国サイドはそれを大いに期待している。だが、このテーマが俎上に載るならば、ぜひともウイグル問題や「過剰債務による罠」と指摘されている債務国の“植民地化問題”なども問いただしてほしいところだ。

【新刊】習近平王朝の危険な野望 ―毛沢東・ケ小平を凌駕しようとする独裁者

 2017年10月に行われた中国共産党大会。政治局常務委員の7人“チャイナセブン”が発表されたが、新指導部入りが噂された陳敏爾、胡春華の名前はなかった。期待の若手ホープたちはなぜ漏れたのか。また、反腐敗キャンペーンで習近平の右腕として辣腕をふるった王岐山が外れたのはなぜか。ますます独裁の色を強める習近平の、日本と世界にとって危険な野望を明らかにする。
さくら舎 2018年1月18日刊


このコラムについて
中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス
 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/699.html#c1

[国際23] 2018年秋の世界情勢を展望する〜トランプの戦略は、短期的なバブルの延命を…/田中宇 仁王像
1. 2018年8月22日 23:28:19 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1345]

相変わらず米国支配層が意識的に多極化を志向しているという妄想に囚われているようだが


>トランプは逆に、金融の不健全を拡大して自分の任期が終わるころに金融崩壊(米金融覇権の瓦解)
>システムを潰すつもりなら、何年かの金融バブルの維持は可能

別にトランプは金融崩壊させたいわけではなく

単に愚かなために、ドルの外貨準備通貨としての価値(金融覇権)下落を加速させているだけだろう

また、金融崩壊と言えるほど、ドルの価値を低下させるためには


今後、FRBメンバーがリスク資産のバブルを放置して利上げを怠り、

将来の名声を地に落とすほど自滅的であり

かつ

大多数の国民が資産バブルと格差拡大を望むほど愚かである必要がある


後者は、十分、有りうるが、前者は、現状では可能性としては低い


また、低い確率で、前回の失敗から学ばずに、仮にバブルの生成と崩壊が起こるとしても

それで米国の産業崩壊が起こらなければ、ドル資産の外貨準備としての需要が無くなるわけではない


いずれにせよ、かなり無理があるシナリオだし

それ以前に、基軸通貨の受け皿に最も近いユーロ自体が、かなり危うい状況になるだろう

 


 


イタリア:政府債務1.2兆円増大も、道路国営化なら−橋崩落の波紋
Luca Casiraghi、Tommaso Ebhardt、Antonio Vanuzzo
2018年8月22日 16:21 JST
イタリアはジェノバでの橋崩落事故を受けて有料道路の国営化を検討しているが、これに踏み切った場合、政府債務が最大94億ユーロ(約1兆2000億円)増える。


ジェノバでのディマイオ副首相(右)写真家:フェデリコ・ベルニーニ/ブルームバーグ
  これは、道路運営を現在請け負っているアウトストラーデ・イタリアの昨年末時点の負債額だ。イタリアを走る約3000キロの有料道路網を同社が運営する契約を早期に打ち切れば、債券の付随している条項に基づき政府が同社債務を肩代わりしなければならない。

  既に大きいイタリアの政府債務がさらに膨らめば、欧州連合(EU)との対立の追加の火種になる。EUはただでさえ、イタリアのポピュリスト政権の財政と支出計画が同国予算に与える影響を懸念している。

  ジェシー・シン氏らクレジットサイツのアナリストは、アウトストラーデの債券の条項が「有効なら、政府が同社の道路運営の免許を取り消さないインセンティブになる」とリポートで指摘している。

原題:The $11 Billion Reason Italy May Not Nationalize Autostrade (2)(抜粋)


http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/706.html#c1

[経世済民128] 年収1000万円"貯蓄ゼロ世帯"2割超の謎 高収入は高支出になるメカニズム(PRESIDENT) 赤かぶ
4. 2018年8月22日 23:42:37 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1346]

>年収1000万円以上にもかかわらず、貯蓄がまったくない世帯は約2割

>>03 が指摘している通り

年収1千万でも、可処分所得は〜700万程度になる上に

仮に子供2人が私立だったり、住宅ローンなどを抱えて、返済を優先している場合は、貯蓄はなくても全く不思議はない

さらに、その親世帯が富裕層で相続の可能性があれば、貯蓄するインセンティブはなくなる

つまり単に無計画で愚かである割合が2割というわけでもないだろう


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/264.html#c4

[経世済民128] 年収1000万円"貯蓄ゼロ世帯"2割超の謎 高収入は高支出になるメカニズム(PRESIDENT) 赤かぶ
5. 2018年8月22日 23:49:59 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1347]

>年収1000万円あっても、裕福な暮らしとは言いがたい。むしろ、身の丈以上の支出をし、生活が苦しくなる可能性が高い

高年収世帯ほど、親も高収入であった確率が高いとすれば、この可能性は否定できないが

>>04で指摘したように、生活が苦しいのではなく、単に貯蓄せずに消費しいるだけという可能性もある

いずれにせよ年収クラス別に、貯蓄率の割合や分布を見ない限り、単なる妄想に過ぎないだろう



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/264.html#c5

[経世済民128] 年収1000万円"貯蓄ゼロ世帯"2割超の謎 高収入は高支出になるメカニズム(PRESIDENT) 赤かぶ
6. 2018年8月22日 23:59:55 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1348]

親世帯の年収や資産との相関を含めた分布は家計調査を見てもわからないだろうが

一応、この図からは

やはり高年収(1000万以上)ほど、貯蓄がまったくない世帯は少ないことが示されている

だから一般的には

「年収1000万円〜むしろ、身の丈以上の支出をし、生活が苦しくなる」は間違いである可能性は高いだろう


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/264.html#c6

[政治・選挙・NHK249] 地銀は悲鳴! アベノミクスこそ総裁選の争点にすべきだ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
1. 2018年8月23日 22:25:25 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1349]

トランプ並みに

相変わらず愚かだが

唯一アベノミクスで、まともに機能しているのがQQE

そして金融政策は日銀の専管事項

つまり争点になるものではない

http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/607.html#c1

[政治・選挙・NHK249] 地銀は悲鳴! アベノミクスこそ総裁選の争点にすべきだ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
2. 2018年8月23日 22:38:03 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1350]

http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/607.html?c1#c1


ちなみに海外でも、緩和的な金融政策を採用した国ほど

景気も雇用も改善しているのは言うまでもない

何度も言っていることだが

現時点で日本で最も重要なのは、産業と社会保障の構造改革を行うことで

生産力を高めながら、超少子高齢化に備え、老朽化したインフラの高度化と

AIロボット化の加速を可能とする次世代インフラの整備


つまり口先だけでなく、本当にアベノミクスを実行することであり

そのための金融緩和政策だったのは、黒田総裁も何度も指摘していたことだが

無能な野党は論外として、予想通り、バラマキ体質が抜けず、

高齢既得権層向けの自民党にも到底、無理だ


ただしポピュリズムと格差拡大に関しては、まだ日本は良い方であり

愚かな人類は、生態系を破壊しながら、1000年もたたずに自滅し

高度科学技術文明も終焉に向かうのがメインシナリオ


それまでにAIがシンギュラリティを超えられることに期待するしかないだろう

 

2018年8月23日 / 19:10 / 2時間前更新
19年度国債費、3年ぶり増額要求へ 24兆円台半ばで調整=政府筋
1 分で読む

[東京 23日 ロイター] - 財務省は、2019年度一般会計予算の概算要求で、借金の返済に充てる国債費を24兆円台半ばとする方向で調整に入った。複数の政府筋が明らかにした。16年度以来3年ぶりの増額要求で、北朝鮮情勢に対応する防衛費と併せ、歳出の押し上げ要因となる。

18年度要求額は23兆8214億円だった。同年度の当初予算額23兆3020億円からは1.3兆円弱の増額となる。

財務省は19年度の予算要求で17年度の剰余金9000億円余りを償還費に充てるよう要求する。国債費のうち、利払いにかかる想定金利は1.2%と、要求段階での最低水準に据え置いた。与党との調整を踏まえ、月内にも発表する。

19年度は、消費増税に備えた景気対策や迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の取得費などがかさみ、一般会計予算の要求総額としては5年連続の100兆円超えとなる。

山口貴也 編集:田巻一彦


 


2018年8月23日 / 20:00 / 1時間前更新
スイス中銀、バランスシート縮小は今後数年予想せず=代理委員
1 分で読む

[チューリヒ 23日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)のモーザー代理政策委員は23日、同中銀の巨額のバランスシートについて、今後数年は削減することができないだろうとの考えを示した。

中銀のバランスシートは、スイスフラン高抑制を目的とした為替介入を受けてスイスの経済規模の120%超に膨れ上がり、その比率は欧州中央銀行(ECB)や日銀といった他の中央銀行を上回っている。

同委員はチューリヒで開かれたイベントでフラン高の抑制という中銀の目標に触れ、「バランスシートの規模は中銀の目標や目的ではない。われわれの政策の結果として拡大した」と説明。

バランスシートの規模削減は為替市場の動向次第だが、「極めて長い時間がかかりそうだと疑われる。ただ、バランスシートの規模は金融政策を遂行するわれわれの能力には影響しない」と述べた。


 

トランプ氏の批判、米金融当局の政策判断に影響せず−ジョージ総裁
Christopher Condon
2018年8月23日 20:37 JST
「個人的にそれがわれわれの政策決定能力を妨げるという感覚ない」
年内もう2回利上げが望ましいとカンザスシティー連銀ジョージ総裁

カンザスシティー連銀のジョージ総裁は、米経済の漸進的な改善が続く限り、年内もう2回の利上げが望ましいと述べるとともに、トランプ大統領の批判が米金融当局に影響することはないと語った。

  ジョージ総裁はワイオミング州ジャクソンホールでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、「年内にもう2回金利を引き上げるのが適切だろうというのが私自身の予想だ」と話した。

  大統領は自身が指名した連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長について、低金利政策を推進すると期待していたのにそれに反して金利を引き上げているとして、17日に開かれた資金集めのイベントで共和党支持者に不満を漏らした。

  ジョージ総裁は政治的圧迫は一切感じないとし、「個人的には、それがわれわれの政策決定能力を妨げるという感覚はない」と言明。連邦公開市場委員会(FOMC)は「議会からの負託に重点的に取り組んでおり、長期的な経済成長のための政策判断に努める」と説明した。

  カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムは米東部時間23日午後8時(日本時間24日午前9時)の夕食会で正式にスタートし、同24日午前10時にはパウエル議長が変化する経済における金融政策について講演する。

原題:Fed’s George Says Rate-Hike Criticism by Trump Won’t Sway Fed(抜粋)


 

 

ユーロ圏:総合PMIが上昇、堅調な成長持続−ECBのQE終了控え
Jill Ward
2018年8月23日 17:31 JST
欧州中央銀行(ECB)が債券購入終了を準備する中で、ユーロ圏経済は8月も堅調を維持した。

  IHSマークイットが23日発表した8月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)速報値は54.4と、7月の54.3を上回った。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想は54.5だった。

  7−9月(第3四半期)の成長率は前期と同じ0.4%を見込むことができ、現在の経済活動と雇用、物価の指標はいずれも高水準にあるとマークイットが説明した。

  マークイットのエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「8月の調査結果は政策当局にタカ派的なシグナルを送った」とコメントした。ただ、先行指標に基づくと「リスクは下振れ方向に傾いている様子だ」と付け加えた。

  ECBは「堅調で広範な」景気拡大を理由に、12月で資産購入を終わらせる計画を堅持している。

原題:Euro-Area Growth Stays Strong as ECB Plans to Ease Stimulus(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
関連ニュース
トランプ氏の批判、米金融当局の政策判断に影響せず−ジョージ総裁
日経平均小幅続伸、通信や小売など内需は割安見直し−自動車関連安い
米国が「為替操作」する日−通貨の議論不可避とプラザ合意の立役者
貿易戦争、次の節目は?−米中の重要イベントから転換点を探る
トランプ大統領とパウエル議長の間で金利巡る会話ないと認識


 

2018年8月23日 / 19:20 / 2時間前更新
ECB、刺激策の巻き戻しを遅らせてはならない=独連銀総裁
1 分で読む

[ベルリン 23日 ロイター] - ドイツ連銀のワイトマン総裁は23日、記者団に対し、欧州中央銀行(ECB)はインフレ率が目標に沿っている今こそ刺激策を巻き戻すべきだと述べ、政策正常化に遅れが出ないよう警告した。

ECBは6月、今年末までに資産買い入れプログラムを終了することを決めたが、ワイトマン総裁は、この決定が数年を要する可能性のあるプロセスの最初の一歩にすぎないと指摘。「特に副作用の可能性を考慮するなら、非常に緩和的な金融政策と非標準的措置からの脱却を始めるべきときでもある」と述べた。

また、「この正常化プロセスは恐らく、今後数年かけて徐々にしか行われないだろう。まさにそれが、必要以上の遅滞なく実際に着手することが重要な理由だ」と強調した。

独経済紙ハンデルスブラットは今週、メルケル独首相が来年にも交代する欧州委員会委員長とECB総裁について、欧州委員長ポストの方がドイツ出身者が獲得できる確率は高いと認識し、優先的に働きかけを行っていると報じた。

この報道を受けてワイトマン総裁にも注目が集まったが、総裁はECB総裁ポストについては言及しなかった。

ユーロ圏のインフレ率が既に十分高いかどうかの議論については、ドラギ総裁の見解とは異なっており、ECBが1.7%としている2020年予測が、2%をやや下回る水準というインフレ目標と「ほぼ合致している」との認識を示した。


バイトマン氏:ECB、「非常に拡張的な」政策から脱却すべき時だ
Carolynn Look、Birgit Jennen
2018年8月23日 21:09 JST
ECBの政策姿勢とユーロ圏経済の現状にミスマッチ
政策正常化は今後数年をかけて段階的に行われるだろう
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのバイトマン・ドイツ連邦銀行総裁は、ECBの拡張的金融政策姿勢はユーロ圏の景気が上向く現状に即しておらず、方向転換の開始がますます重要になっているとの認識を示した。


  バイトマン氏は23日ベルリンで、インフレはECBの目指す水準へと向かっており、今こそ「非常に拡張的な金融政策と非標準的な措置からの脱却を始めるべき時だ」と言明した。副作用を考慮すれば特にそうだと論じた。

  12月末で債券購入を終了する方針は「ユーロ圏に必要な金融政策正常化の第一歩にすぎない」とし、他の政策ツールは「今後数年をかけて段階的に変更されるだろう」と記者団に語った。

  「景気が上向く現状は、並外れて拡張的であり続ける金融政策姿勢と対照的だ」と付け加えた。

  異例の景気刺激措置をしばしば批判してきたバイトマン氏は次期ECB総裁の最有力候補と見なされている。ドラギ現総裁の任期は2019年10月に満了する。

原題:Weidmann Says Time for ECB to Exit ‘Very Expansionary’ Policy(抜粋)

http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/607.html#c2

[国際23] 機密権限剥奪されても、トランプは危険と言い続ける──元CIA長官(ニューズウィーク)  赤かぶ
1. 2018年8月23日 22:49:24 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1351]

愚かな国民が増え、愚か者が指導者に選ばれる国は、いずれ自滅するのは

ベネズエラやジンバブエ、大日本帝国など例を俟たない


 


 

MMT(現代金融理論)のエッセンス! ウオーレン・モズラー「命取りに無邪気な嘘 5/7」
この文書の原文の説明および、ガルブレイス教授による序言はこちら

これまでの目次

嘘1:政府は支出するために、まず税金や借入によって資金を調達しなければならない。 あるいは、政府支出は、徴税能力と借入能力に制限されている。
嘘2:政府赤字は、子供たちの世代に債務という負担を残すことになる
嘘3:政府赤字が貯蓄を奪う
嘘4:社会保障制度は崩壊している

命取りに無邪気な嘘 その5:
貿易赤字は維持することのできない不均衡で、職業や産出を奪うものである


事実:
輸入とは実質的に利益で輸出は費用だ。貿易赤字は私たちの生活水準を直接的に改善する。職は輸入が原因で失われるのではなく、政府支出の水準に対して税が高すぎるゆえに失われる。


読者諸兄はこれを見ただけで、主流派は貿易についてもやはり全部逆に捉えているのではないか、と疑うだろう。貿易の話をきちんと理解するためにはいつも忘れないでおくべきことがある。経済的に「受け取ること」は「与えること」より良い、ということだ。

輸入とは実質の利益であり、輸出は実質の費用なのだ。

別の言い方をすると、海外の誰かが消費するモノやサービスを生み出すために労働することは、経済的に良いことをもたらさない。ただし海外からモノやサービスを輸入し消費する分がなければだ。簡潔に言えば、国の富とは「自分たちのために産出し保有しているものすべて」に「輸入したすべて」を足し、「輸出の分」を引いたものだ。

結局のところ、貿易赤字は私たちの生活水準を向上させている。そうでないことはあり得るだろうか?だから貿易赤字とは、大きいほど好ましいのだ。主流の経済学者や政治家、そしてマスコミは皆、貿易問題をあべこべに考えている。残念な真実だ。

要点を理解するための例え話。第二次大戦後、もしマッカーサー司令官が「日本は戦争に負けたのだから毎年200万台の自動車を米国に送ること」と宣言していたら、それは征服した敵からの搾取である、大きな国際問題になっていただろう。第一次大戦後に同盟国がドイツに対し高額過ぎ搾取的な賠償請求を行って第二次大戦を引き起こすことになったことを繰り返しているという非難にさらされたことだろう。マッカーサーはそんな命令はしなかった。にもかかわらず、実際には日本はその後60年以上にわたり米国に毎年約200マン台の自動車を送り続けてきた。対して米国から送ったものはほとんどなかった。すると驚くべきことに、日本側はこのことは「貿易戦争に勝利」したことを意味すると考え、われわれ米国側は「負けている」という意味だと考えるのだ。しかし米国は自動車を獲得し、日本は口座にドルが入りましたという通知をFEDから受け取っただけだった。

中国も同じだ。彼らの製品が米国の小売店の棚をいっぱいにし続けている一方で、FEDからの支払い通知書以外のものは受け取っていないことから「戦いに勝っている」と考えている。大狂気だ。

毎日のように目にするマスコミの見出しやコメントを引用してみよう。

- 米国は貿易赤字に「陥って」いる
- この貿易赤字は維持不可能な「不均衡」だ
- 中国のせいで米国の職が失われている

聞き飽きたナンセンスだ。私たちは貿易赤字から膨大な利益を得ている。諸外国は数千億ドル分に相当するモノとサービスを米国に送ってきており、これは米国から諸外国に送ったモノとサービスより多い。彼らは生産して輸出したいし、私たちは輸入して消費したい。これは修正する必要がある維持不可能な不均衡だろうか?それを終わらせることを望む理由は?彼らが対価として私たちからのモノとサービスを望んでいないけれども私たちにはそれを送りたいのなら、それを受け入れるべきでないというのは何故だろう。理由などない。ただ国の指導者達は金融システムを完全に誤解して、実は巨大な実質利益なのを国内の失業という悪夢にひっくり返して理解しているだけなのだ。

これまでの「無邪気な嘘」を思い出してほしいが、米国は常に国内の生産をサポートし、国内の完全雇用を維持することが可能だ(減税または政府支出、あるいはその両方によって)。たとえ中国やその他の国が国内産業のライバルとなるモノやサービスを送ると決めたとしてもだ。外国が売りたいものと、私たち自身が完全雇用の水準で生産できるものの全部を買うのに十分な購買力を維持すればいいだけのことだ。その結果として一つかそれ以上の産業は失われるかもしれない。それでも適正な財政政策をもってすれば、働くことができて働く意思のある人々を全員雇用し、民と公が消費するためのモノやサービスを生産しつつ、十分な購買力を維持することは常に可能だ。実際に、ずっと貿易赤字は高水準だったにもかかわらず、低い失業率を最近まで保つことができていた。

では、米国は支出の習慣を賄うため、酔っぱらった水夫のように外国から借金しまくっているというあの話は?それも嘘だ!中国が国債を買うかあるいは別の方法でわれわれの支出を賄っていて、それに依存している、なんてことは全然ない。実際に起こっていることはこうなのだ:「米国の信用創造が海外の貯蓄を賄っている」

これはどういう意味か?例として典型的な取引で見てみよう。米国に住んでいるあなたが中国製の自動車を買うと決意する。米国の銀行に行き、その自動車を買う資金の借入が受理される。あなたは借入れた資金を自動車と交換した。中国の自動車会社は銀行預金を得、銀行の帳簿にはあなたへの貸付金と中国の自動車会社の預金が記載されている。参加者は皆「ハッピー」だ。あなたは資金より自動車を持っていたかった。借りていなかったら変えないのだからあなたはハッピー。中国の自動車会社は自動車よりも資金を持っていたい。車を売っていないとそうならないのだから彼らもハッピー。銀行は貸付金と預金を持ちたいが、貸し出さないとそうならないのだから、やはりハッピー。

「不均衡」はどこにもない。全員が満足しきっている。まさしく望みの物を実際に得ている。銀行は貸付金と預金を得たのでハッピー、そして貸借は一致。中国の自動車会社は貯蓄として米国ドルの預金を得たのでハッピー、そして貸借は一致。あなたは欲しかった自動車を得、納得の上で支払いをしたのでハッピー、そして貸借は一致。この時点で全員が望みの物を得てハッピーな状態だ。

そして、この中国人が望んだ米国ドルの銀行預金を賄っているのが米国内の信用創造、つまり銀行貸出で、私たちが「貯蓄」とも言っているものだ。さて「海外資本」ってどこに?そんなものはない!米国は海外資本に何か依存しているという考えは当てはまらないのだ。それどこか、米国ドルという金融資産を貯蓄したいという彼らの希望を賄っているのは米国の信用創造プロセスなのだから、彼らがこれに依存している。私たちは、外国の貯蓄が何かを賄っているということに依存していたりはしない。

再度言うが、これは私たちのスプレッドシートだ。もし私たちのドルを貯蓄したいのなら、彼らは私たちの砂場の中で遊ぶしかないのだ。また、海外の貯蓄者がドル預金を使うことにはどんな選択肢があるだろう?特になにもありはしない。別の金融資産を誰か売りたい人から買うか、モノやサービスを売りたい人から買えるだけだ。その取引が市場価格でなさるなら売り手も買い手も双方ハッピーだ。買い手は欲しかった、モノやサービスや金融資産などを獲得する。売り手も欲しかった、ドル預金を獲得する。不均衡などあり得ない。なので、米国の海外資本依存の可能性は毛ほどもない。この手続きのどこにも海外資本は登場していないのだから。


07/22/2018 – 2:54 PM
By erickqchan
Posted in MMT
Comments (0)
← パブリーナ・R・チャーネバ 「貧困、失業、そしてジョブギャランティ」(2011年8月9日)

 


 

  
MMT(現代金融理論)のエッセンス! ウオーレン・モズラー「命取りに無邪気な嘘 4/7」
この文書の原文の説明および、ガルブレイス教授による序言はこちら
嘘1、嘘2、嘘3、嘘5
本翻訳は@やまぐろさんに大半をやっていただいたのです、感謝です。

命取りに無邪気な嘘 その4:
社会保障制度は崩壊している


事実:
政府の小切手は不渡りにならない

国会議員が全員信じているようなものがもし何か一つあるとすれば、それは「社会保障制度は崩壊している」ということだろうか。かつてオバマ大統領(候補)が「そのお金はいつか尽きているだろう」と言ったかと思えば、ブッシュ大統領は「破産」という言葉を一日に四度も口にした。マケイン上院議員もしょっちゅう「社会保障制度は崩壊している」と主張しているのだから。全員、間違い!

すでに論じてきたように、政府が自国の貨幣を「持っている」とか「持っていない」とかではなかった。政府は、わたしたちの銀行口座の数字をただ変更するだけだ。社会保障制度もその一つ。政府が社会保障費を適宜支払う能力に上限などない。

社会保障信託基金の口座残高の数字がいくつだったとしても別段問題はない。Fedにあるすべての口座は皆そうだが、信用基金とは帳簿の「記録」に過ぎないからだ。社会保障費を支払うときに政府がしなければならないことと言えば、受取人の口座の数字を増やし信託基金の口座の数字を減らす、それで全部だ。仮に信託基金の数字がマイナスになったとしても問題ない。それは単に、社会保障費の支払いによって受益者の口座の数字が増えたことを表しているのに過ぎない。

社会保障制度の民営化の是非は、ワシントンでなされる主要な議論のひとつだ。読者はもうおわかりだろうが、この議論は全く意味をなしていない。まずはそれを片付け、その次の話に進むことにしよう。

社会保障制度の民営化とは具体的にはいったい何だろう?そしてそれは経済や私たち個人に対しどのような影響を及ぼすのだろう?

民営化の考え方は、こうだ。
1. 社会保障の徴収と支給を共に減額する。
2. 社会保障費としての徴収が減る分で被雇用者は優良株式を購入する。
3. 徴収が少なくなるので、政府の財政赤字がいったんかなり拡大する。財務省は「それを賄う」(彼らの表現)ために国債を売る

これでわかっただろうか?簡単な言葉に置き換えよう。
- あなたの給料から社会保障のために引き落とされる金額は少なくなる
- あなたはこれまで引き落とされていた分の資金で株式を買うことができるようになる。
- あなたが将来リタイアした後にもらえる社会保障費は少々少なくなる。
- 但し、その時あなたは株式の所有者となっている。社会保障支払いを途中でやめた分よりも価値がついている可能性がある。

個人の視点からは興味深いトレードオフであるように見える。ただし、あなたが買った株式はかなり時間を掛けてゆっくり値上がりしていなければならない。案に賛成な人は、こう考える。

「これによりいったんは財政支出が大きく拡大するが、それは後の社会保障給付の抑制によって埋め合わせられる。そして、社会保障費として徴収されていたお金は株式市場に流れ込むことで、経済の成長と発展につながる」

案に反対な人は、2008年の大暴落を引き合いに、社会保障の代わりとして株式市場に資金を投入するなど危険性が高すぎると主張する。

「もし人々が株式市場で敗北したら、政府は退職者を貧困から救うために年金支給を増やさなければならなくなるだろう。だから、私たちが多数の高齢者を貧困ラインを下回るような危機に晒そうと思わない限り、政府がリスクを負うことになるのだ。」

両方とも、ひどい間違いだ!(いったいだれがこんなこと思いついたんだ!)

これはメディアの議論でよく現れる典型的な間違いで、「合成の誤謬」と呼ばれているものだ。教科書的な典型例を挙げよう。フットボールの試合を観戦中に、もっとよく見ようと立ち上がるとする。では、全員が立ち上がって観戦すれば全員が試合をもっとよく見えるようになるだろうか?そうはならない。全員が立ち上がってしまったら、誰一人立つ前よりよく見えるようにはならないどころか、立ち上がる前より見えなくなってしまう。

彼らはみな、社会保障制度への参加者という立場からのミクロレベルでしかものを見ておらず、国民全体をマクロなレベルで見ていないのだ。

マクロ(大きな絵、トップダウン)レベルで見たときに何が根本的に間違っているかを理解するためには、まず最初に「社会保障制度への参加とは、機能的には国債の購入と同じだ」ということを理解する必要がある。説明しよう。

現行の社会保障制度においては、あなたが今政府にドルを渡すと、後日ドルが戻ってくる。これはまさしく、あなたが国債を買うとき(もしくは普通預金口座にお金を預けたとき)に起こることだ。

いま政府にドルを渡し、後日ドルが戻ってくる。加えて利子がつく。そう、社会保障制度は結果としてよい投資ということになって多めのリターンをもたらしてくれるかもしれない。しかし利回りがいくらであるかという点を除けば、国債とほぼ同じなのだ。(なお、今やこのことを知ったあなたは議会よりも一歩先に進んでいる。)

スティーブ・ムーア

さて、これでCATO研究所の経済学部長のスティーブ・ムーアと私との数年前の会話について話す準備が整った。彼は現在CNBCのレギュラー出演者で、長年社会保障の民営化を推進しようとしてきた人物だ。スティーブは私が主催したある会議で、社会保障についてスピーチするためフロリダにやって来たことがある。彼は、国民に社会保障の支払いをさせるのではなく、その資金を株式市場に投入するに任せたほうが、退職して時間が経ったときには彼らにとって良くなるのだとする講演を行った。また彼は、政府の財政赤字の一時的な増加もそれには十分な価値があり、株式への資金が景気の拡大と繁栄を助け、それ続く景気拡大により長期的にはおそらく”払い戻されているだろう”と主張した。

その時点で私は質疑応答のセッションに持って行った。

ウォーレン:「スティーブ、あなたの言う、お金を政府に社会保障税の形で与え、後でそれを取り戻すというのは、機能として見れば国債を買うのと同じです。つまり、いま政府にお金を渡し、後であなたに返ってくるという機能という面においてです。唯一の違いは、高齢者がどのくらいのリターンを得るかですね。」
スティーブ:「そうだが国債の方が利回りが大きい。社会保障は2%の利子が付くだけだ。社会保障は個人にとって悪い投資だ。」
ウォーレン:「オーケー、投資面についてはあとで触れるつもりですが、あなたの民営化案では、政府が支給する社会保障の額を減らし、社会保障制度に参加していた被雇用者はその分のお金を株式市場に投入するということになりますね。」
スティーブ:「そうだ。1ヵ月あたり約100ドル、承認された優良銘柄のみに対してだ。」
ウォーレン:「なるほど。そして財務省は、徴収が減る分を埋め合わせるために追加の国債を発行し、それを売却する必要があるのですね。」
スティーブ:「そう、それは将来の社会保障支給という財政負担を減らすことにもなる。」
ウォーレン:「そうですね。私の論点を続けますが、株式を買うことになる被雇用者はその株式を別の誰かから買うわけで、株式の所有者は変わりますが経済に新しい資金が投入されるわけではありませんね。」
スティーブ:「そうだ。」
ウォーレン:「株式を売った人たちはそれによってお金を得ますが、それが追加国債を買うお金になると見ることができますね。」
スティーブ:「そうだ。そのように考えることはできる。」
ウォーレン:「するとどうなるでしょう。我々がすでに同意したように、被雇用者は国債を購入することと機能的に同義である社会保障への支払いをやめて、株を買うと。そしてその株を売った方人の方は、その代わりに新しく発行された国債を買うと。これをマクロのレベルから見てみると、いくつかの株式の所有者が変わり、またいくつかの国債の所有者が変わっているというだけです。社会保障を債券として捉えれば、株式総数も発行済国債も総数はほぼ変わりありません。ですのでこのことが経済や総貯蓄、その他のことに影響を与えることはありません。せいぜい取引手数料が発生するくらいでしょう。」
スティーブ:「そうだ、そのように見ることもできる。しかし私はそれを民営化だと捉えている。政府よりも人々の方が上手な投資ができると確信している。」
ウォーレン:「オーケー。しかし人々が持つ株式の量に変化はないとあなた同意しましたよね。するとこの提案では経済全体に変化はありません。」
スティーブ:「しかし、社会保障制度の参加者にとって変化は確かにある。」
ウォーレン:「そうです。そしてそれ以外の人にまさしくちょうど逆の変化が起こるということです。そしてこの点に関しては議会も主流の経済学者もまったく議論してきていないのではないでしょうか?あなたがたは提案の実態よりも、民営化という言葉に対してイデオロギー的なバイアスを持っているように見えます。」
スティーブ:「私はこの案がいいと思っているのだ。民営化を信じている。民間は政府よりも上手な投資ができると信じる。」

私はスティーブとの話をここで打ち切った。彼の提案は決して株式の数を変えないし、アメリカ人一般が投資のためにもつ株式の数も変えない。ゆえにマクロレベルでは、国民が「政府ができるよりも優れた投資」をできるようにはならない。そして、スティーブはそれを知っているが、彼にとって重要なことではない – 彼はこの話が非論理的だと知りながら、ただ話を続けるのだった。

メディアが彼を批判することもない。彼は「社会保障制度よりも株式の方が良い投資である」だとか、「政府が国債を売らなければならなくなり、それが投資に使われるべき貯蓄を奪う」だとか、「政府債務がどんどん増大るすると政府は破産の危機にさらされる」などと、私たちが「無邪気な嘘」と呼んでいるありとあらゆるナンセンスを展開しているのだが。
残念なことだが、命取りに無邪気な嘘はモグラ叩きのようにあちこちから湧いてきて、どこからまともに相手をして行けばいいのか見えにくくなってしまうほどだ。

そして議論のレベルが低くなって行く!この「世代間の」とかいう話は次のように続く。「問題なのは、30年後には今より多くの退職者が存在するので労働者人口は今よりも減少し(それ自体は真実だ)、社会保障信託基金が枯渇してしまうことだ(あたかも信託基金の口座の値が政府の支出能力を制約になるなどと、、、馬鹿馬鹿しい話だが彼らはそう信じている)。だから問題解決のため、高齢者が必要な財やサービスへの支払いをするための十分なお金を持てるようにするべく、何とかしてその方法を構築する必要がある。」その考え方がとんでもなく酷いのだ。

労働者が減少し退職者が増加する問題(”依存人口比率”と呼ばれる)だが、彼らは「高齢者が十分な購買ができるための基金を確実に作ることで問題を解決できる」と考える。

こんな風に考えてみよう。もし今から50年後、現役で働いている人はたったの一人、退職者が三億人だとしよう(単純化のために誇張している)。現役のたった一人ですべての食糧を生産しなければならず、あらゆる建物を建てメンテナンスする必要があり、洗濯をしたり、すべての医療ニーズを満たしたり、テレビ番組を制作する、エトセトラエトセトラエトセトラ・・・と、この一人はものすごく忙しいだろう。さて、いまのわたしたちは、この三億人の退職者が彼一人に対して支払うための十分な基金を確実に持てるようにしておこうと考える必要があるのだろうか?私はそうは思わない!これは明らかにお金の問題ではない。

我々がしておかなければならないこと。それはこのたった一人の労働者が十分賢く、また十分生産的であるようにしておき、またすべてをこなすために十分な資本財とソフトウェアがあるような状態を作っておくことだ。さもなくば退職者たちがいくらたくさんのお金を持っていようと深刻な問題に直面してしまう。ゆえに今の問題というのは、現役労働者を充分には生産的ではない状態に留めておくことの方で、その結果が将来の資本財とサービス不足につながってしまう。

「”支出のためお金”を多くためておく」というスローガンはせいぜい物価上昇につながるだけで、より多くの財やサービスを創出することには決してつながらない。この主流派ストーリーはいっそう酷くなって次のように展開する。「それゆえ、政府は今のうちに歳出を削るか増税をしておく必要がある。将来の支出に備えて資金を積み増しておくためだ。」これはまったく馬鹿馬鹿しい話で、われわれ現役世代の幸福だけでなく、将来世代の生活水準をも破壊する「命取りに無邪気な嘘」であることを読者はもう理解されていると信じる。

私たちはもう、政府はドルを持つとか持たないとかではないと知っている。政府は私たちの銀行口座の数値を増やすことで支出し減らすことで徴税している。税率を上げることは私たちの支出能力を下げることにはなるが、政府の支払い能力を何ら増やしはしない。もし支出が多すぎて、経済が”過熱”(経済という巨大デパートで売られているものに対する、私たちの購買力が強すぎるということ)したそしてもそれはまあオーケーだ。しかしその逆の場合、今の実態が正にそうなのだが、仮に完全雇用状態だったら生産され売りに出されるであろうものに対して支出がはるかに弱いようなときは、増税して私たちからさらに支出能力を奪ってしまうと、それは実態を更に悪化させることにしかならない。

このストーリーは、まだまだ酷くなる。主流派経済学者は、私たちが今日作ることができるもののうち、50年先も役立つ実際の財などほとんどないと言う。

そしてこう続ける。「私たちが遠い未来の子孫のためにできるたったひとつのことは、彼らが将来の需要を満たせるようにすることを確かなものにするために、彼らが知識と技術を持てるよう今ベストを尽くすことだ」、と。公共の財産を未来のために「抑制(貯蓄)」するために我々がすることは今日の支出をカットなのだと言う。皮肉なことにそれは何にもならないどころか、雇用と成長を減らし、我々の経済を後退させることにしかならない。そしてさらに悪いことに、またがっかりさせられることに、私たちの指導者が方針を誤ってまず削減したのは教育分野だったのだ。教育こそは子供たちの50年後のためにいま為されなければならないことだとは、主流派も同意するところであるのに。

もし政策決定者が、通貨システムがどのように機能しているかを正しく把握したならば、問題は社会資本そして恐らくはインフレなのであり、政府の支払い能力は問題ではありえないということに気づくことになるはずだ。

彼らが高齢者の収入をもっと確保しておきたいと考えていたならば気づくだろう。問題は単純に「便益の向上」なのであって、真の課題は「私たちは高齢者に対してどれくらい水準の実質資源を割り当てたいのか」なのだ。高齢者にどのくらい食料を割り当てるのか?どの程度の住居を?衣服を、電気を、ガソリンを、医療サービスを? 本当の問題とはこういうこと。そしてそう、高齢者により多くのモノとサービスを与えることは、残りの人たちの分が少ないということになる。私たちの本当のコストとは、高齢者に割り当てているモノやサービスの量なのだ。それにいくらを支払っているかでは決してない。それは銀行口座の「数字」でしかない。

そしてもし将来を心配するようなリーダーであるなら、その目的から見て価値が高いと考えられる教育形態に対して助成をするだろう。

しかし、彼らは金融システムを理解していない。理解するまではこうしたことを「正しい方向性」で把握することはない。

そうであるかぎり、この社会保障に関する「命取りに無邪気な嘘」は、私たちの今の幸福と将来の幸福の両方を棄損し続けるというわけだ。


06/24/2018 – 6:13 PM
By erickqchan
Posted in MMT
Comments (2)
← ウェイン・ゴドリー 危機をモデル化した経済学者【MMTの先駆者シリーズ@道草】
パブリーナ・R・チャーネバ 「貧困、失業、そしてジョブギャランティ」(2011年8月9日) →

 

パブリーナ・R・チャーネバ 「貧困、失業、そしてジョブギャランティ」(2011年8月9日)
かなり古い記事ですが、MMT(Modern Monetary Theoty:現代金融理論。本サイトでの関連翻訳、経済学101サイトでの関連翻訳)の立場からの政策提案がどのように為されているかの例として以下を訳出
“Poverty, Joblessness, and the Job Guarantee”
New Economic Perspectives, August 9, 2011 by Pavlina Tcherneva
(ttp://neweconomicperspectives.org/2011/08/poverty-joblessness-and-job-guarantee.html)
最近出た「米国の子供の状況」のレポートには悲惨な統計が公表されていた。米国では 5人に1人以上の子供貧困状態に生きていて、国内の年齢層で比較したときに突出して貧しいのが子供たちということだった。 2008年から2009年の間に子供の貧困率は10%上昇していた。これは一年間の上昇率としてデータ史上空前の規模だ。 米国は、GDP(および億万長者)では世界で最も裕福な国だが、子供の相対的貧困率は先進国で最下位だった。

いま米国は4630万人の貧困層(戦後最大)を抱えていて、全人口の14.3%を占めている(2000年以降増加傾向にある)。
この大きな原因は2つあり、収入格差が大きいことと、失業率が高いことだ。
2002年から2008年の期間を通じて、世帯所得で上位0.01%の層の所得は68%増加した一方、下位90%層の所得は4%減少した(豊かな10%の家計が全所得の50%を占めていることにも注意)。私たちはこの数年、過去最大級の大きさで所得と富が最上層に移転するのを目撃していたということになる。
ひどい貧困状況のもう一つの大きな要因が失業率だ。 失業保険は300万人以上の人々を貧困から守ったが、適正な賃金でのフルタイムの雇用こそが、国内の貧困問題に取り組むための本来で唯一の方法だ。そのような政策が存在しない限り、貧困家庭は政府の支援に頼らざるをえなくなるが、現実は政府支援が減額され続けてきた上に、今後数年間も緊縮財政の圧力を受け続けるだろうとみられている。 例えば、大不況が始まって2年後の2010年に、貧困家庭一時扶助制度(TANF)が扶助した子供の人数は1996年よりも56%少なかった(議会が失業保険給付の延長を拒否していることにも注意)。
雇用がある家庭の状況もかなりひどい。年間を通してフルタイムで働く労働者のうち16.4%は貧困から脱出するのに十分な収入を得ていない。 したがって、そのような家庭も勤労所得税額控除(EITC)などの政府プログラムに頼らざるを得なかった。2008年は2,450万人の家庭がEITCの恩恵を受けたが、そのほとんどは低賃金労働者の家庭への支給だった。
貧しい人々の拠り所である政府のプログラムは小さ過ぎるか、なくなりつつある。公共の敵のナンバーワンとは、政府の債務や赤字ではなく失業率・貧困・所得格差であることを、この米国の子供の緊急事態は思い出させてくれる。
ワシントンが作りだした不合理な債務・赤字恐怖症が、この、いま一番差し迫っている経済問題から注意を逸らせてしまっている。 政府債務の利子にせよ、退役軍人への恩給にせよ、年金の支払いにせよ、自国通貨を発行管理している国が支払い義務を果たさずデフォルトしないければならなくなることについて、経済学的にまっとうな理由は存在しない。MMTの経済学者たちはこのことを何十年も論じてきたが、今やウォーレン・バフェットからアラン・グリーンスパンにいたる有名なの専門家たちが同じことを論じるようになり始めている。米国の政府支出はすべてドルでなされている。外国の通貨ではない。従って、連邦政府の財政赤字は常に持続可能だ。ただし赤字財政支出が常になされるべきであるとか常に効果的である、とは限らない。恐ろしい経済状況になっているとわかった今こそは、財政支出政策を再考し方向性を変える時だ。
その出発点として、三方面からのアプローチを提案する。
1. 子供手当制度
子供手当制度は、子供の貧困を軽減する政策として広く認知されているものだ。ほとんどの先進国(米国以外)には、何らかの形での子供手当制度がある。ある年齢以下の子供がいる家庭に対して、一人につきいくらという給付を出す制度だ。米国には子供がいる家庭に対し税控除の制度があるが、これは所得のある家庭の子供だけへの恩恵だ。失業者の子供たちはこの助成の恩恵を受けることができない。また米国の税制度は適応申請が難しいことで有名で、たとえ資格がある場合でも助成や給付を受けていない家庭がある。
2. 社会保障の強化
貧困が増加していなかった唯一の年齢層が65歳以上の層だった。高齢者の貧困率が急激に減少(データの収集を開始した50年代後半は35%以上あった)した原因は社会保障制度に尽きる。70年代半ばに給付額が増大し、それ以来、高齢者の貧困率は約9%で安定していた。それでもまだまだ減らす余地はある状況なのにもかかわらず、今にも行われようとしている社会保障給付の改革や削減は、間違いなくこれまでの成果を奪い取って行くことになるはずだ。 多くの子供たちがこの制度に頼っていることにも注意が必要だ。2009年には、300万人の子供たちが、障害者、退職者、または死亡した労働者に対する社会保障給付の恩恵を受けていた。
3. ジョブギャランティ制度(JG: Job Guarantee)
政策立案者はジョブギャランティ(JG)という提案を真剣に受け入れるべき時だ。政府が、生活可能な額の賃金で直接雇用を行うことは、失業率を下げ、失業者とその子供を貧困から守るための最も直接的な方法だ。直接雇用創出にはマクロ経済安定化機能という重要な性質がある。またその源流にはケインズの財政政策のビジョンがある。広範囲な財政支出による呼び水効果は機能するまでに時間がかかる。とりわけバランスシート不況の時期はそうだ。そこで政府、失業者自身、地域や地域社会の問題を対象として支出する必要がある。満たされていない公的なニーズは無数にある。そして公共部門は貧弱すぎる。公共財の需要は多くあるのに供給がまったく足りていない。JGこそは経済をジャンプスタートさせる最も効果的な方法だ。JGは失業率を直ちに削減し、経済を回すの車輪に潤滑剤を安定供給する。Gは重要かつ必要な公共セクターの雇用を満たすと同時に、失業者にとっては効果的な移行プログラムになるだろう。つまり、民間セクターが雇用を増やすにつれ、公共セクタープロジェクトを完了した多くのJG労働者はそこに雇用を求めることになるだろう。その移行にJGの訓練、教育、就職支援(JGプログラムのすべての援助)が役立つ。このこともJGを実施することが不可欠であるもう一つの重要な理由だ。労働者を探している企業が失業者の雇用をあからさまに拒否している事例はたくさんあるからだ。履歴書の大きな空白、いや、小さな空白でさえも、企業が好意的に扱うことはない。JGは賢明で効果的な財政政策であり、景気後退に見舞われた時の第一選択肢になるべきものだ。そして、私たちは失業率が高水準になることを許容し続けてきたために、2年前に必要だった規模よりもはるかに広範なJGプログラムが必要な状態になってしまっている。それでもなお、JGは私たちの第一の政策オプションであり得る。ウィンストン・チャーチルは言った。「米国人は正しいことをすると期待して良い。ただし、正しいこと以外のすべてをやり尽くした後に。」、と。今こそJGを導入するべき時なのだ。


http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/694.html#c1

[環境・自然・天文板6] 猛暑のせい?セミ羽化中に15%死ぬ 小3男児自由研究 (かいけつニュース速報) 怪傑
1. 2018年8月23日 22:57:13 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1352]

温暖化で現在の生態系が崩壊していくのはほぼ確実であり

新たな生態系へと変わっていく

ただし、その生態系は、人類にとって、決して快適なものではないだろう


https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/286.html

絶滅危機種の10種に1種が気候変動の影響を受けている

IUCN(国際自然保護連合)が発表している、世界の絶滅の恐れのある野生生物のリスト「レッドリスト」には、2万4,000種あまりの野生生物が「絶滅の危機の高い種(絶滅危機種)」として掲載されています。(2017年8月時点)

そしてレッドリストは、野生生物を追いつめる大きな11の要因の一つに、「気候変動」つまり地球温暖化を挙げています。

この気候変動による影響を受けていると考えられている絶滅危機種は、西暦2000年以降、急激に増加してきました。

2000年時点で15種とされたその数字は、2004年には182種に急増。さらに2008年、632種と増え、2010年には1,000種を超えました。2015年には2,000種を数えるまでになり、2017年にはこれが2,835種に。3,000種という数字も、すでに目前に迫っています。


 


 


この熱き人々

働かないアリと過労死する働きアリ。“昆虫博士”の驚きの発見

土畑重人(昆虫生態学研究者)
2018/08/23

吉永みち子

 1冊の図鑑から広がった昆虫の世界。虫好き少年の尽きない探究心が研究者への道の扉を押し開けた。培ってきた観察眼と斬新なひらめきで、昆虫の社会システムの解明に挑む。

 旧帝大時代から日本の昆虫学の拠点として、昆虫の生態や進化のメカニズム解明の研究をリードし続けてきた京都大学。吉田山の深い森と向かい合うような吉田キャンパスの門をくぐると、古木に囲まれて農学部総合館がある。2階に上がると、昆虫の写真や絵や模型が、ずらっと並ぶ研究室のドアを飾っている。その一室が学術博士・土畑重人(どばたしげと)の研究室だ。

 土畑が所属するのは日本生態学会、日本動物行動学会、日本進化学会、個体群生態学会、日本応用動物昆虫学会。そこから、どんな研究をしているのか想像しながら中に入ると?……床に置かれた飼育箱が目に入った。のぞき込むとたくさんのアリが動いているが、床にアリの姿はなく、なぜか全部が箱の中に行儀よく留まっている。

 「箱の壁面に滑り剤を入れているので、外には出ません。でも、誰かひとりが登れそうな道を見つけるとみんなで出てきちゃうこともたまにはあります」

 どれか1匹ではなく、誰かひとりと言った。何気ないひと言に昆虫たちへの愛が感じられ、研究対象であるアリを見る目が優しい。

 土畑の研究テーマである「社会性昆虫を用いた『公共財ジレンマ』現象の総合的実証」は、2014年度の日本動物行動学会賞を受賞している。用いられた社会性昆虫はアリで、ヒトの社会において助け合いに内在する脆(もろ)さとして知られている「公共財ジレンマ」の板ばさみ状況が、アリの世界でも存在することを実証したということになる。

 「社会を作るという点では、バクテリアやアリなども人間と共通するところがあって、なぜ社会を作るのかというのは生物学的には中心的な問いでもあるわけです。社会を作るということは何らかの意味で自分が損をしなければならないところがある。人間の社会でいえば税金を払わなければならないとかね」

 個々の協力によって形成され、誰もが利用できる物やサービスが公共財なのだが、中には協力をしないで恩恵にだけ与(あずか)ろうとする不埒な者が出てくる。しかし、ただ乗りしようとする者が多くなると、公共財は成立しなくなる。自分の利益のために協力しないのと、社会の利益のために協力するのと、どちらが最終的な利益につながるのか。それが公共財ジレンマで、アリの社会にも存在するというわけだ。

働かないアリの謎に迫る
 土畑が研究者として最初に注目されたのは、13年に琉球大学の辻和希(つじかずき)教授との共同研究で発表した「子だくさんの『働かないアリ』と過労死する『働きアリ』」という論文だった。日本では過労死が社会的な問題になっていることもあって、自然界での公共財ジレンマの実例発見は関心を集めた。

 しかし、アリといえば女王アリ以外はみんな働き者と相場が決まっている。

 「研究というのは先行研究の積み重ねの上に成り立つものなので。1982年に野外でアリを観察していて、どうも働いていないアリがいるということに気づいた人がいた。それ以来、いろいろな人が研究してきたテーマなんです」

 働いていないらしいアリが発見されたのは三重県紀北町(きほくちょう)。種類はアミメアリ。研究室の巣箱のアリをよく見ると、背中に網目がある。


研究室で飼育されているアミメアリ
 「それがアミメアリです。日本ではアミメアリはどこにも存在していて、行列しているアリは十中八九アミメアリです。普通、アリは女王アリと働きアリがいて女王アリは産卵し、働きアリがエサを運び巣を管理するんですが、アミメアリはちょっと変わっていて、全員が卵を産み、みんなに平等にエサを与えて、みんなで育てる。女王とワーカーといういわゆる階級の差がないんです」

 共同で助け合って平等な社会を形成している。ある意味、理想の社会を実現してきたアミメアリの中に働かないアミメアリが出てくると、社会はどうなっていくのか。ニートや引きこもり、80代の親が50代の子を支える8050(はちまるごまる)問題などの言葉を生み出している人間の社会を頭の片隅で重ね合わせてみると、にわかに興味が湧いてくる。

 「働かないアリは遺伝子的に決まっていて、働かないアリの子もやっぱり働かない。働かないから働くことにエネルギーを使わずにすみますので、その分、長生きで卵をいっぱい生みます」

 たくさん産んだ卵の世話もしないし、もちろんエサも取りに行かない。そうなると、働きアリはその特性をますます顕著に発現して、社会を維持するために、働かないアリの割合の増加に応じて労働量がどんどん増えていき、やがて過労死してしまう。結果、さらに働かないアリの割合が増える。

 土畑は、大きな2つの壜(びん)を机の上に並べた。1つは働きアリだけの壜、もう1つは働かないアリだけの壜。働きアリたちの壜は卵も元気で巣もきれいに保たれているのに対して、働かないアリたちの壜は、卵の多くは死んでしまって巣も掃除しないから非常に汚い。

 働きアリの協力にただ乗りするだけの働かないアリが過半数を超えると、エサもなくなり、子供も成長できず、巣は汚れ、衛生環境も劣悪になって社会は維持できずに自分たちも死に絶えて、ついには約2万匹いるという1つの巣が消滅してしまう。まさに公共財ジレンマの典型的な姿がこのように視覚的に示されると、何やら深刻な気分になってくる。

 「通常、働きアリは巣ごとに遺伝子が違うのですが、働かないアリは、その存在が見つかったどの巣でも同じ遺伝子を持っているんです。つまり、何らかの理由で他の巣に入り込んでいるということになります」

 死に絶える寸前に生き延びた最後の働かないアリは、他の巣にもぐり込んで再び働かない遺伝子を継続させながら巣を食いつぶしていく。ということは……やがてアミメアリは絶滅してしまうのではないか。

 「それが、すでに1万年以上、アミメアリは残っている。働きアリも働かないアリも両方残っているということは、危ういバランスでずっと成り立っていることになります。普通のアリの巣は女王アリが飛んできて作られるんですが、アミメアリの巣は1つの巣が2つに分かれて増えていきます。働きアリだけでも巣を増やしていけることが、もしかしたら存続に影響しているのか。これからの研究課題でもあります」

 それにもう一つ謎がある。最初は圧倒的多数であるはずの働きアリは、やがて巣を崩壊に追い込む危険な働かないアリが誕生した時に、それらを駆逐することなく、自分たちがより多く働いて彼らを養うことで問題をクリアしようとするのはなぜなのか。

 「なぜアミメアリは働かないアリを許容するのか、その理由はまだわかりません。それが解明できれば社会の寛容さの起源が明らかになるかもしれません」

虫好き少年から昆虫博士に

 異種を許容する──実はまだ気づかない大きな仕組みがあって、アミメアリの存続のために働かないアリが出現することに何らかの理由があるのかもしれない。まだ解明されない謎は多く、そのために研究者はDNAの解析を試み、日々ひたすら観察を続ける。今は動画があるが、かつては100匹のアリの行動を20分間すべて記録し、それを100回続けるという根気のいる作業が求められたという。

 それで何かが必ず得られるという保証があるわけではない。でも一瞬の出来事が、その後の大きな前進の手がかりになることも十分に考えられる。仮説を立てそれが証明された瞬間は、研究者としての醍醐味であり喜びでもあるが、仮説を裏切る意外なことが見つかれば、それもまた新たな道へと導く光となる。

 「その研究は何の役に立つのかとよく聞かれます。研究の結果、人間を救う薬ができるというわけではないけれど、何かの役に立つはずだというだけではいけないんだろうと思っています。ここは純粋科学ではなく応用科学の研究室ですから。

 アリもヒトもDNAを持っていて、ある種のアリのゲノムを全部読むことができる。こうした分子生物学的な手法は、アリが自然の中でヒトよりも長い時をどう生きてきたのかという知恵を、生物として役立てることができるのではないか。また、分業とか協力とか社会を作るといった人間との共通性がある。人間は考えて意識的に構築し、アリは本能的に構築するという違いはあっても、システムとしてみた場合に、個体がたくさん集まった生物がとる行動の共通性もあるのではないか。人間の問題に対して、こういう解決法があるという例示として使うことができるのではという期待を持っています」

 何が起きるのかわからないと言うのはたやすいけれど、何が起きるか先輩生物の行動からある程度予想できるというのは大事なことなのではないかと、土畑の言葉は熱を帯びる。研究者がどんな思いで研究に向かっているのかを伝えたいという思いが、言葉の端々から感じられる。

 「普通の研究者の姿って見えないですからね。僕自身、高校生の頃、研究者って何をやっているのかわからなかったし、どうやったら研究者になれるのかもわからなかったから」

 土畑は、小学生の頃から、昆虫好き少年と自他ともに認める存在だった。将来何をしたいかと問われると、昆虫の博物館をつくりたいと答えていたという。昆虫に興味を持ったきっかけは、父から『原色日本蝶類図鑑』を買ってもらったこと。きれいだなと思ったのはよく覚えているという。それから、外に出ると蝶を探すようになり、見たものを図鑑と照らし合わせて名前や生息地や特徴を調べるようになった。

 「外に出ると何かしら蝶や虫を探している感じ。夏休みの自由研究は昆虫採集が定番でした。蝶から始まってトンボ、カブトムシと広がって、近くの倉敷市立自然史博物館の学芸員さんにはずいぶんお世話になりました」

 いつの間にか昆虫のことなら土畑に聞けばいいと言われるほどになり、中学2年の時にはクロカタビロオサムシ、ヨツバコガネ、シロヘリハンミョウ、ベーツヒラタカミキリと希少な4種類もの昆虫を発見して、地元の山陽新聞に掲載された。昆虫少年は、昆虫博士と呼ばれるようになり、暇さえあれば昆虫を探していたというのに楽々と東京大学理科U類に現役で合格。本物の昆虫博士の道をまっしぐらかと思ったら、一度寄り道をしたのだそうだ。

 「3年次で、文系と理系から半々の学生が集まっている科学史・科学哲学科を選択したんですが、しばらくして、来るところを間違えたって気づきました。オリエンテーションでギリシャ語で挨拶する人がいたり、ラテン語を習うとか、これはかなわんと思いました。大学院の修士課程で再び昆虫に戻りました」

 ところでアリを研究の対象に選んだのには何か理由があったのだろうか。


 「昆虫に戻って最初の1年くらいは、研究対象を決めずに論文だけを読んでいたんですが、学会に出席したときに琉球大学の辻教授と出会って、アリの面白いテーマがあるけどやってみないかと声をかけてもらったんです。小学校の時から自由研究でいろいろな昆虫をテーマにしたけど、アリはやったことがなかった。小さいから標本にするのが大変そうだったし。でも、ここでアリに出会ったんならアリをやってみようと思ったんです」

 働かないアリの存在が確認されている三重県紀北町には、5月から8月の調査シーズン中、少なくとも月に2回はサンプルの採集に行く。いかにも昆虫類が多く存在しそうな大学向かいの吉田神社や吉田山も、フィールドワークの現場である。

 リュックを背負って外に出ると、まるで写真撮影だということを忘れたかのように、真剣なまなざしで地面を見つめている。その様子は、研究室の中でDNA解析や論文の作成をしている姿からは想像できない、少年のように無邪気な好奇心にあふれていた。

どばた しげと?1982年、岡山県生まれ。2010年、東京大学大学院博士課程修了・博士号取得。日本学術振興会特別研究員等を経て、14年より京都大学大学院農学研究科助教。専攻は昆虫生態学。
中庭愉生=写真

http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/665.html#c1

[国際23] 2018年秋の世界情勢を展望する〜トランプの戦略は、短期的なバブルの延命を…/田中宇 仁王像
2. 2018年8月23日 23:02:43 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1353]

バカは死ななきゃ治らないと言うが

愚か者は、よほど痛い目に遭っても現実を直視することができない


https://johoseiri.net/vfh_xlf_ixg/
https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjhiq.pdf
 


 


 

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/706.html#c2

[国際23] ロシア、シリア介入で「行き詰まり」他国に資金援助求める=ボルトン米補佐官(ニューズウィーク) 赤かぶ
3. 2018年8月23日 23:11:07 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1354]
ドイツ銀のロンドン支店、ロシア政府との取引打ち切ると警告
Steven Arons、Olga Voitova
2018年8月23日 21:11 JST
6月にロシア政府宛てに書簡、文書提出求める
定期的な再審査は世界中の顧客に対するKYC手順の標準
ドイツ銀行のロンドン支店は6月に、ロシア政府が顧客確認(KYC)情報更新のために必要な文書を提出しないならば取引を打ち切ると警告した。かねて批判されている顧客に対する監視の甘さの是正を図った。

  投資銀行部門責任者ガース・リッチー氏と同行弁護士の一人が署名した書簡をブルームバーグ・ニュースが入手した。


ガース・リッチー氏写真家:Krisztian Bocsi / Bloomberg
  6月27日付でロシア政府に宛てた書簡は「ドイツ銀行は現在、ロシア連邦政府がドイツ銀行ロンドン支店に持つ商品と、当行が記録として保管している顧客確認文書を再審査している」とし、「この書簡の日付から30日以内に連絡がない場合は」、取引打ち切りの意向を伝える「通知を送る可能性がある」としている。

  ドイツ銀行のKYC手順はかねて各国当局の懸念の対象となっており、同行も最近、そのプロセスが複雑過ぎると認めていた。

  ドイツ銀行の広報担当者は23日、「定期的な再審査は世界中の顧客に対するKYC手順の標準的な部分」としつつ、それ以上のコメントを控えた。

原題:Deutsche Bank London Threatens to Terminate Business With Russia(抜粋)


 

 

 

メディアから読むロシア

ロシアが「中東の警察官」なれない理由

ロシアは「中東の警察官」になれるか(後編)
2018/08/23

小泉悠 (財団法人未来工学研究所特別研究員)

「調停者」ロシア?

8月21日モスクワで行われた「国際軍事技術展示会 アーミー2018」で挨拶を行ったプーチン大統領(REUTERS/AFLO)
 スタジオ・ジブリのアニメ映画『風の谷のナウシカ』は世界のアニメ史上に残る傑作として知られる。核戦争によって文明が滅びてから1000年後の世界を描いたこの作品には「巨神兵」と呼ばれる旧文明の巨大人型兵器が登場し、凄まじい破壊力を発揮するものの、最終的には怒れる王蟲の群れに蹂躙されてしまう。

 しかし、このアニメの原作となったコミック版『風の谷のナウシカ』では、「巨神兵」の描かれ方がかなり異なる。「オーマ」の名を持つ「巨神兵」は、実は「調停者」であり、その巨大な破壊力によって大国間の戦争を抑止する役割を旧文明世界に負っていたことが明らかになっていくのである。

 ここで「調停者」について触れたのは、中東におけるロシアの役割とその限界を考える上で有用であるように思われたためだ。本稿の前編『イスラエルとイランの間で板挟みになるロシア』で触れたように、シリアを舞台としたイランとイスラエルの対立が激化するなかで、ロシアは「調停者」と振る舞おうとしている。しかし、ロシアには本当の意味でその力が備わっているのかどうか。後編にあたる本稿では、この点について考えてみたい。

埋まらない溝
 前回述べたように、シリアにおいてイランとイスラエルが直接衝突する事態はなんとしても避けなければならないものであった。そこでロシアは、両者の間に入って衝突を避けようとする動きを盛んに見せている。

 たとえば、イスラエルが5月にシリア領内のイラン革命防衛隊を空爆したのち、ロシアのラヴロフ外相は、「シリア南部にはシリア共和国軍の部隊だけが展開すべきである」と述べ、イラン革命防衛隊の撤退が望ましいことを示唆したことがある(ただし、ラヴロフ外相は「これは双方向の措置でなければならない」として、イスラエルによる空爆も暗に非難した)。

 また、この日、レバノン上空でロシア空軍のSu-34戦闘爆撃機がイスラエル空軍のF-16戦闘機に接近したと報じられている。イスラエル側の報道によると、ロシアは5月初めからレバノン上空に軍用機を侵入させ始めていたとされ、レバノンを拠点とするイスラエルのシリア領内での活動(偵察及び爆撃)をけん制する狙いがあったと見られる。このラヴロフ発言に続き、英国に本拠を置くシリア人権監視団は、イラン革命防衛隊及びヒズボラはゴラン高原から撤退する用意があるようだと述べており、ロシアの調停による兵力の引き離しが実を結ぶかに見えた。

 しかし、現実にはロシアの調停が機能しているとは言い難い。結局、イラン革命防衛隊はシリア南部から撤退していないと見られており、(ロシアのけん制にもかかわらず)イスラエルによるシリア領内での空爆も継続されている。

 7月16日にフィンランドのヘルシンキで開催された米露首脳会談でもシリア問題は大きく取り上げられたようだ。ボルトン米安保補佐官によると、この際、イランをシリアから撤退させるべきであるとの見解で両国首脳は一致したものの、現実的には難しいという結論に達したという。さらに同月23日、イスラエルを訪問したラヴロフ外相が、ゴラン高原のイスラエル国境から100km以内にイラン部隊を立ち入らせないようにするとの提案を行ったが、イスラエルは不十分であるとして拒絶したとも報じられている。

 イランが一度固めたシリア領内の地歩を完全に放棄させることはロシアにとっても困難であり、かといって部分的撤退ではイスラエルも納得しないという状況が見て取れよう。

ゴラン高原へのロシア軍展開
 それでも、ロシアとしてはシリアにおけるイラン・イスラエル対立を放置することはできない。こうした中で8月、ロシアは、国連平和維持部隊の一部としてゴラン高原にロシア軍憲兵隊を展開させ始めた。同国南部において反体制派の掃討が進み、同地域にイラン革命防衛隊が展開してくることを懸念するイスラエルを宥める意図があると見られる。ロシア軍の哨所は最終的に8カ所が設置される予定とされ、ロシアによるゴラン高原への展開としては過去にない大規模なものとなる見込みだ。

 とはいえ、ラヴロフ外相の訪露で提案されたシリア南部からのイラン部隊撤退が「不十分」とされたことからも明らかなように、ロシアの措置はイスラエルの対イラン脅威認識を抜本的に払拭するものとはならないだろう。

「調停者」にはなれないロシア
 以上のように、ロシアは中東において圧倒的な力を持つ「調停者」として振舞うことはできておらず、近い将来にそのような振る舞いが可能となる見込みは薄い。煎じ詰めるならば、これはロシアが中東において発揮しうる力の限界に帰結しよう。秩序を乱す者に対して受け入れがたい懲罰をもたらす存在でなければ「調停者」たりえないためである。

 たしかにロシアは旧ソ連近隣地域(ロシアが「勢力圏」とみなす地域)においては圧倒的な軍事大国であり、政治的にも経済的にも強い影響力を発揮し得るが、中東はその限りではない。もともと外征軍ではないロシア軍が中東に展開できる軍事力には限りがあり(米軍の持つ巨大な空輸・海上輸送力をロシアは欠いている)、そのような大規模作戦を支える経済力となるとさらに小さい。エネルギーや経済をテコとしてイスラエルやイランを従わせるというオプションもロシアにはない。2015年のシリア介入以降、ロシアが中東情勢における影響力をかつてなく高めたことは事実であるが、その限界は正しく認識されるべきであろう。

 同じことは、中東全体の秩序についても言える。米国が中東へのコミットメントを低下させるなか、ロシアが米国に代わる新たな「警察官」になりつつあるとの論調が我が国内外には見られるが、これは明らかに過大評価であると言わざるを得まい。そのような限界のなかでロシアが何をしようとしており、どこまでできるのか。中東に復帰してきたロシアの役割を見通す上で必要なのは、こうした過不足ないロシア像であるように思われる。
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/709.html#c3

[環境・自然・天文板6] 猛暑のせい?セミ羽化中に15%死ぬ 小3男児自由研究 (かいけつニュース速報) 怪傑
2. 2018年8月23日 23:16:07 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1355]

BBC News

デンマークのコンテナ船、砕氷船なしで初の北極海航路航行へ 

2018/08/23

BBC News

デンマークの貨物船が今週、コンテナ船としては世界で初めてロシア領北極海を航行する。

マースク・ラインが保有する「ベンタ・マースク」は3600個のコンテナを乗せてロシア極東ウラジオストクを出発し、9月末にサンクトペテルブルクに到着する予定だ。

北極海を通ることで、スエズ運河を経由するよりも14日早く到着できるという。

マースクは今回の航行で北極海航路のデータを収集し、北極海の氷が解けたことでこの航路が経済的に利用可能かを検証する。

マースクは声明で、「この試験航路を通じて、北極海航路がコンテナ船の航行に実用可能かを検証し、データを集める」と話した。

ベンタ・マースクは「アイスクラス」と呼ばれる階級に属し、凍らせた魚や冷蔵製品、通常のコンテナ貨物などを運搬する。

北極海航路はロシアと米アラスカの間を通るベーリング海峡から、ノルウェーまでを通っている。

一方でマースクは、「現時点で我々は、北極海航路が顧客の需要や取引パターン、人口集中などを元に決定した既存の航路の代替になるとは考えていない」としている。

原子力砕氷船
これまで、北極海航路を航行するには工学は原子力砕氷船のエスコートが必要とされてきた。

しかし地球温暖化によって航路の一部海域で夏の気温が30を超えるようになり、実行可能性が変わったという。

コペンハーゲン・ビジネス・スクールが2016年に発表した報告によると、現状と同じ速度で北極海の氷が解けていけば、北極海航路は2040年ごろに経済的に利用可能となる。

https://services-webdav.cbs.dk/doc/CBS.dk/Arctic%20Shipping%20-%20Commercial%20Opportunities%20and%20Challenges.pdf


その時期は早まる可能性もある。昨年には、北極海航路を航行するために設計されたロシアの天然ガス・タンカー「クリストフ・ドマルジェリ」が初めて砕氷船の助けなしで航海した。今年に入ってからは、ロシアのガス会社ノバテクが、同じく特別設計のタンカーでこのルートを航行している。

このほか中国は、ユーラシア大陸にまたがる貿易圏構想「一帯一路」の一環で北極海航路を利用している。

国営の中国遠洋海運集団(COSCO)は昨年秋、ロシアの海港で地下鉄と肥料工場の建設に向けた設備を多目的貨物船で搬送した。

(英語記事 Container ship takes on Arctic sea route)

提供元:https://www.bbc.com/japanese/45280105

logo
Copyright © 1997-2016 Wedge Rights Reserved
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/665.html#c2

[国際23] ボルトンには中東での戦争ごっこがお似合いだ  天木直人  赤かぶ
3. 2018年8月23日 23:19:39 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1356]
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

アジア諸国に「一帯一路」以外の選択肢を与えたポンペオ演説 岡崎研究所

2018/08/23

 7月30日、ポンペオ米国務長官は、ワシントンDCの米国商工会議所で開催されたインド太平洋ビジネスフォーラムにおいて、「インド太平洋経済ビジョン」と題し、約20分にわたる演説を行った。その内容の主要点を、簡単に紹介する。


(worradirek/Seohwa-Kim/Topuria Design/iStock)
・トランプ政権の自由で開かれたインド太平洋戦略の中心には、米国ビジネスの関与がある。そのことを、トランプ大統領は昨年ベトナムで述べているし、米国の国家安全保障戦略にも書かれている。

・インド太平洋地域は、米国西海岸からインドに至るまでの地域を指すが、この地域は将来の経済成長の源であり、だからこそ自由で開かれていなければならない。

・「自由」とは、いかなる国家も他国の威圧から主権を守ることができることを意味し、国内的には、人々が基本的権利と自由を享受できる社会を言う。「開かれた」とは、全ての国が、開放された海と空にアクセスできることを意味する。領土や海洋に関する紛争は平和裡に解決されるべきである。経済的には、「開かれた」とは、公平で相互的貿易、開放された投資環境、透明性のある国家間の協定等を言う。これらを通して、地域の持続的成長が可能になるのである。

・自由で開かれたインド太平洋への米国の関与は、長い歴史がある。米国務省は1794年には、カルカッタに領事を設置した。

・米国は、支配ではなくパートナーシップを求める。企業に対して何をするようにとは言わず、環境を整え、現地が潤い、二国間のパートナーシップが育つようにした。そうして米国は、インド太平洋地域の各国で雇用を増やし、成長を支えてきた。

・米国のインド太平洋戦略は、地域の国々が持続的経済成長によって輝くようにする戦略的パートナーシップを築くものであり、戦略的に依存関係を構築するものではない。トランプ大統領も述べているように、米国は引き続き自由で開かれたインド太平洋で、相互に繁栄できるような条件を整えて行く。

・米国がこの地域への関与を深めることは、米国の戦略的利益になる。世界人口の3分の1以上を占め、世界の経済大国6か国のうち4か国(米国、中国、日本、インド)がこの地域にある。ASEAN10か国は、最も世界でも経済成長が速い所であり、米国製品の主要な買い手でもある。

・米国のインド太平洋戦略は、自由で開かれたインド太平洋を促進する限り、いかなる国家も排除しない。米国は、この地域への関与を深めて行く。何故なら、米国はインド太平洋の人々と、2020、2030、2040年と将来にわたって、経済成長を共有するからである。例えば、既にこの2年間で、シンガポールに駐在する米国企業は、10%増加した。

・米国がインド太平洋への経済的関与を強めるもう一つの理由は、安全保障にある。トランプ大統領の国家安全保障戦略が示すように、「経済安全保障は、国家安全保障である。」

・米国は今までインド太平洋地域に様々な貢献をしてきたが、今日、新たに1億130万ドルの構想を打ち出す。将来の基礎的分野であるデジタル経済、エネルギー及びインフラ整備に使用される。

・1番目のデジタル連結とサイバー・セキュリティのパートナーシップには、第一段階として2500万ドル投資される。米国は、通信インフラを技術援助や官民協力等を通じて支援する。

・2番目の構想は、アジアEDGE(エネルギーを通して開発と成長を強化する)と呼ばれる。EDGEは、今年1年で5000万ドル投資する。米国は、パートナー諸国が、エネルギーを輸入したり供給したりするのを支援しながら、インド太平洋地域に、安定したエネルギー市場を育成する。

・3番目はインフラである。米国は、国家の主権と地域の統合と信頼を進展させたいと考えている。これらは、インフラがきちんと整備され、資金的にも無理なく、社会的にも責任ある形で受け入れられることで可能になる。

・これらの構想を進めるにあたって、米国は、同盟諸国やパートナー諸国と協力する。最近下院を通過し現在上院に回ったBUILD法案も重要である。この法案により、米国の開発援助予算は二倍以上の600憶ドルになる。

・米国の企業となら、世界の人々は、思ったものを得られることを知っている。誠実な契約、正直な規約等である。ビジネスにおける整合性こそ、アジア太平洋経済ビジョンにおける主たる柱である。各国が求めている事でもある。

・先般、私(ポンペオ国務長官)は、初めてベトナムを訪問したが、今週(8月1日)からは、マレイシア、シンガポール及びインドネシアを訪問する。ASEANは、文字通りインド太平洋地域の中心である。

参考:Michael R. Pompeo "America's Indo-Pacific Economic Vision" (Department of State, July 30, 2018)

 トランプ政権のインド太平洋地域戦略を、経済的側面から語ったのが、今回のポンペオ国務長官の「インド太平洋経済ビジョン」演説である。演説の中で、ポンペオ国務長官は、インド太平洋地域と米国との係わりを歴史的に振り返っている。パートナー諸国の経済成長を支えた例として多くの国名が挙げられた。具体的には、日本、韓国、香港、シンガポール、台湾、フィリピン、マレイシア、タイ、バングラデシュ、ベトナム、インド、インドネシア、ネパール、モンゴルである。また、過去も、これからも、APEC(アジア太平洋協力会議)、ASEAN(東南アジア諸国連合)、ADB(アジア開発銀)と協力して行くことが述べられた。

 演説の中で、しばしば、米国は正直で、自由で開かれたアジア太平洋を追求し、支配したり、政治的影響力を行使したりはしない、と述べられた。これは、暗に中国を批判していることは明らかである。

 ポンペオ長官が演説を行った7月30日付のワシントンポスト紙では、ジョッシュ・ロウギンが、米国は、アジア諸国に対して、「一帯一路」以外の選択肢を与えた、とポンペオ長官の演説内容を評価した。

 マティス国防長官がインド太平洋安全保障戦略を、ポンペオ国務長官がインド太平洋経済戦略を打ち出し、トランプ政権のインド太平洋戦略は本格化した。この戦略を裏付けるための米国議会の法案も、次々に成立している。オバマ政権では、「アジアへの回帰」という言葉が流行ったが、実際、第一期のクリントン国務長官が退いてから、第二期オバマ政権では、広島や真珠湾での日米同盟の絆を深める演説はあっても、具体的案件はほとんど進まなかった。
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/699.html#c3

[経世済民128] 地銀は悲鳴! アベノミクスこそ総裁選の争点にすべきだ(日刊ゲンダイ) :政治板リンク  赤かぶ
1. 2018年8月23日 23:23:12 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1357]
派遣時給7月2.2%上昇、三大都市圏 事務職ニーズ増

2018/8/23 20:57日本経済新聞 電子版

 派遣社員の時給が事務職を中心に上昇している。人材サービス大手のエン・ジャパンが23日発表した7月の三大都市圏(関東、東海、関西)の募集時平均時給は前年同月比2.2%高い1548円と2カ月連続のプラスだった。働き方改革で正社員の定型業務を切り出し、派遣社員に任せる企業が増加。時給の高い事務職の募集が増え、全体の水準を押し上げた。

 事務職の時給は同2.2%高い1568円と、過去最高を記録した。求人数は同2.14倍。主にデータ入力などの定型業務をこなす一般事務職は同2.5倍だった。

 「人工知能(AI)などに将来代替できる仕事を洗い出す一方、当面は派遣社員に任せている面もある」。エン・ジャパンの沼山祥史派遣会社支援事業部長はこう語る。正社員の残業削減に向けて派遣社員を新たに募集し、定型業務を移管する企業が増えている。

 経験やスキルの必要な専門事務職の時給上昇も全体の水準を押し上げた。英文事務は1757円で同4.6%上がった。

 改正労働者派遣法を受け、9月末からは同じ職場で働けるのは3年までに制限される。経験の長いスタッフが新たな職場を探すケースが増えるとみて高時給で確保する動きが目立つ。派遣は応募から近日中の就業を求めるのが一般的だが、就業開始を秋以降とした高時給の求人が増え始めた。

 相対的に水準の低い介護職の募集が増えたため、派遣の平均時給は2016年秋以降、前年同月比マイナスが続いた。介護職の求人数は5倍前後で推移していたが、7月は2.28倍に落ち着いた。人手不足の中、効率的に求人活動を進める施設が増えている。

 同業大手のリクルートジョブズが発表した7月の派遣社員の募集時平均時給は三大都市圏で前年同月比0.8%高い1648円だった。

 


「AIが仕事を奪う」はウソかもしれない
雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生
2018/6/19

産業界の人手不足感が強まっている。本当にAIに代替されるのだろうか
AIで仕事がなくなる論となくならない論の交錯

 ここ数年、ずいぶん「AIの進化で仕事がなくなる」と騒がれてきた。その発端となったのが、2013年に出されたオックスフォード大学のフレイ&オズボーンの研究レポートだ。その中では、9割の仕事が将来、機械により代替される、と書かれている。その二年後の2015年に今度は野村総研が、同様の調査を日本で行った。こちらでは、今後15年程度で現状の労働人口にすると49%分の仕事がなくなるという発表がなされている。15年という具体的な年限まで区切って書かれただけに、衝撃の度合いはさらに高かった。

 以後、ビジネス誌はハチの巣をつついたような状態となり、「10年後に残る仕事」「AI時代を勝ち抜くキャリア」といった特集が頻繁に組まれていく。こうして私たちの頭には、AIによる雇用喪失というものが規定の事実として刷り込まれていった。

 ところが現在、それからずいぶん時間が経っているのに、企業の求人は減るどころか大いに増え、人手不足感はかつてないほどになっている。どうしてこんな齟齬が乗じているのか? 理由としては、世界的な金融緩和に下支えされた長期的な景況感の高まりや、日本・東アジアそして欧州先進国での少子化などがあげられるだろう。ただそれは、人手不足の「トータルな説明」として正しかろうが、ミクロに労働市場を観察しても、機械による労働代替はほぼ起きていない。こうした現実を踏まえたうえで、AI何するものぞ、人間の仕事は機械なんかに代替されるわけはない、という揺り戻しの声も強まりつつある。

 こんな甲論乙駁状態で視界不良になっている「AIと労働」について、これから4回にわたり、考えていくことにしたい。

過去100年でも社会は大きく変わった。これから100年もその程度変わる

 最初に少し結論めいたものを書いておく。西暦2030年やそこらで本格的に機械が人の仕事を奪うということはないだろう。ただ、そのころになると、労働の質も、私たちのキャリア観もそこそこ変わりだす。働くことやスキルへの投資、そしてそうしたものから生み出されるカタルシス(充実感)などが、徐々に変容し始めるのだ。AI論者が盛んに騒ぐ「シンギュラリティー(技術特異点=そこを超えると不連続に異常なほど変化する)」はそうそう簡単に訪れやしない。それはどんなに早くとも、2100年を超えたその先となるだろう。ただし、その大変化に向けて、人間は、働くこと・学ぶことの質を変えていくことになる。私たち現代を生きる人間たちに望まれるのは、あと100年足らずの間に、ゆっくりとその変化に体をなじませるというパラダイムチェンジなのだ。

 20世紀の初め、世界には帝国主義的価値観が蔓延していた当時。その頃は、労働は農林水産業従事者が圧倒的に多く、続いて製造・建設業が急激に雇用のウイングを広げていた。知的労働者はほんの一握りにすぎなかった。もちろん、パソコンも携帯もインターネットさえなく、そうしたユビキタス社会は、「夢の世界」でさえまだ語られていなかった。それが、100年間のゆっくりかつ継続的な変化により、かつての人たちからは想像もできない社会となった。私たちはその変化に順応し、キャリアや教育もしっかりアップデートされて来た。この先100年も、それと同じかやや大きい程度の変化対応が、必要となる。そう考えれば怖くもなくなろう。

単純労働は機械代替できない。大手企業の担当者の正直な意見

 さて、フレイ&オズボーンの研究や、野村総研のそれは、どこが間違っていたのか。たとえば前者は、発表時点で査読付き論文ではなく、単なるディスカッションペーパーだった、というような些末な問題をあげつらって、揚げ足取りをするのはやめておきたい。私が問題視しているのは、両研究とも「雇用実務・現場を全く調べていない」ということなのだ。70弱の職務について機械研究者にそれが機械にとってかわれるかをヒアリングし、その主観的回答をメタ化して結論を出している。内容自体は非常に興味深い。ただ、その結論を、雇用現場にぶつけてエビデンスを取る、という作業はしていない。それは大変「惜しい」と言わざるを得ない。なくなるといわれた職務について、ほんの2、3でもいいから実務者に確認していれば、現実はけっこう違うとはっきりと見えたのだから。

 製造業、建設業、サービス・飲食業、流通・販売業。こうした就労人口が多く、そして、今後なくなるといわれれがちな俗にいう「単純労働」はそう簡単になくならない。それらの産業に属する大手企業では、今でも自動化投資に余念がない。名だたる大学の研究者や、大手ハイテク企業と研究を続けている。ただ、現時点での結論は、異口同音に「そう簡単に自動化は無理」。付言しておくが、さらりと広報通しで取材をすると、「AI化に向けて邁進しており、順調に自動化が進んでいる」という情報が渡される。企業イメージや株価材料としては、そうした話がもてはやされるからだ。ところが、自動化の責任者たる人間としっかり関係を作って本音を聞くと、こたえはNoなのだ。そして、先に出た4産業がほぼ同じことをいう。AIで自動化できない理由はこんなことなのだ。

細切れで多彩なタスクとメカトロがネック

 たとえば、ケーキショップの店員、レジ担当者の職務内容を考えてみよう。彼女はレジ打ちの傍ら、以下のような仕事を並立させている。

・ケーキをショーウインドーから出す。
・ケーキを箱詰めする。
・バックヤードからケーキを補充する。
・ショーウインドーを磨く。
・値札を変える。

筆者の近著『「AIで仕事がなくなる」論のウソ』(イースト・プレス)
 大まかにみて、一人のスタッフが7〜10個程度の細かなタスクを担当している。たとえば、AIで完璧にレジ処理を行い、お金の受け取りから釣り銭の受け渡しまでこなすメカトロを作ることは現在の技術レベルでもたやすいだろう。

 それを導入すれば、レジ待ちは減り、計算ミスや、売上金の紛失・盗難などもなくなる。だが、それにはけっこうなお金がかかる。だから投資コスト的な問題が第一に生じる。

 それ以上に大きいのは、7〜10個のタスクはそれぞれが独立した物理的作業を伴うことだ。そのため、機械代替するには、タスクに応じて7〜10のメカトロを組む必要がある。そのコストは膨大なものになる。のみならず、それは見栄え的にもなりたたないだろう。購入客の目線となって考えてほしい。店に入ると、多数のメカトロがガチャガチャうごめいている。そんなケーキ屋さんに行く気がするだろうか。

細切れで多彩なタスクとメカトロがネック

 たとえば、ケーキショップの店員、レジ担当者の職務内容を考えてみよう。彼女はレジ打ちの傍ら、以下のような仕事を並立させている。

・ケーキをショーウインドーから出す。
・ケーキを箱詰めする。
・バックヤードからケーキを補充する。
・ショーウインドーを磨く。
・値札を変える。

筆者の近著『「AIで仕事がなくなる」論のウソ』(イースト・プレス)
 大まかにみて、一人のスタッフが7〜10個程度の細かなタスクを担当している。たとえば、AIで完璧にレジ処理を行い、お金の受け取りから釣り銭の受け渡しまでこなすメカトロを作ることは現在の技術レベルでもたやすいだろう。

 それを導入すれば、レジ待ちは減り、計算ミスや、売上金の紛失・盗難などもなくなる。だが、それにはけっこうなお金がかかる。だから投資コスト的な問題が第一に生じる。

 それ以上に大きいのは、7〜10個のタスクはそれぞれが独立した物理的作業を伴うことだ。そのため、機械代替するには、タスクに応じて7〜10のメカトロを組む必要がある。そのコストは膨大なものになる。のみならず、それは見栄え的にもなりたたないだろう。購入客の目線となって考えてほしい。店に入ると、多数のメカトロがガチャガチャうごめいている。そんなケーキ屋さんに行く気がするだろうか。

 

AI進化に伴う雇用シフトが東アジアを世界最強にする
雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生
2018/8/10

筆者は、AIによる雇用シフトが東アジア経済圏を世界最強に押し上げると予測する
日本は「塞翁が馬」的な移行期となる

 これから先15年間の日本の雇用を振り返っておく。15年というタイムスパンであれば、AIはまだ特化型にとどまり、機械による労働代替は言われるほど多くは生じない。その規模は570万人程度であり、就労人口は1割程度の減少となる。ただその間に、生産年齢人口は820万人、労働者数は650万人も減少する。こうした社会情勢の中にあっては、AIによる労働代替は不安要素というよりも、むしろ歓迎されるべきこだとわかる。ただ、少し俯瞰して考えれば、それは人口減少社会という「日本」の特殊性ゆえにいえることだとわかる。人口が維持されている、もしくは増加している国で、1割も雇用が減ったら、失業率はとんでもないことになるだろう。そう考えると、日本は「少子化が進んでいてよかった」という皮肉な結論に至る。

 万事塞翁が馬、という中国の故事がごとく、現在目の前に起きている災厄が、しばらくすると案外好事につながったりする。昨今の日本ではこんなことがよく起こる。2009〜2012年の超円高期、東日本大震災による電力供給の不安定も重なり、日本企業は業種を問わず、海外進出を余儀なくされた。元から空洞化が進んでいた製造業のみならず、販売・サービス・金融などの大手企業も、積極的にグローバル化を進める。その直後にアベノミクスにより大幅な円安となる。

 この時期は世界同時好況期でもあり、欧米日中では、株価も地価も大幅に高騰していく。一足先にグローバル化を果たした日本企業は、海外各地で大幅に売り上げを増やし、それを連結決算すると円安効果で利益がかさ上げされるという「盆と暮れが一緒に来た」状態となる。

 もし、この順番が逆だったらどうなったか? 円安期であれば、現地の地価や設備機器、人件費などがかさ上げされて、進出はままならない。さらにそこに好況が重なれば、株価や現地通貨ベースでも3倍近くにもなるので、企業買収もできないだろう。

 日本の場合、不況×円高期にグローバル展開できたので、それに必要なコストは、好況×円安期の2〜3割で済んだといわれる。そしてその直後に好況×円安となったため、投資コストの回収は早く、2015〜2017年にかけて史上最高益を記録する企業が続出した。まさに、「塞翁が馬」といえるだろう。

中・韓・台も人口減少社会で痛みは少ない

 ここから先は、グローバルな視点も盛り込んでおく。

 人口が減少していない社会で雇用が1割も消失したら、大変なことになる、と書いた。これから15年、世界の多くの国では雇用不安が巻き起こる可能性がたかい。ただ、日本の周辺、いわゆる東アジアはわが国同様、比較的、穏当な移行期となることが予想される。


筆者の近著『「AIで仕事がなくなる」論のウソ』(イースト・プレス)
 韓国・台湾・中国の3カ国・地域は、いずれも出生率が1.4を割り、急激な人口減を迎える時期にあるからだ。それも、日本は2005年に底打ちし、出生率は良いペースで回復しつつあるが、他の3カ国・地域は底這い状態にある。とりわけ、一番人口も多く、経済規模も大きい中国で少子化が止まる気配がない。少子間の元凶と目されていた一人っ子政策は、すでに2013年に大幅緩和(両親どちらかが一人っ子であれば第二子出産がOK)され、2015年には撤廃されたにもかかわらず、出生数は2017年も減少し続けた。世界第二の経済規模とはいえ、人口が多いために、一人当たり所得は日本の1/5程度の社会で、急激に大学進学率が上昇し、女性の社会進出が同時並行ですすんだ。この状況では、女性の若年出産率は当分下がり続ける少子化に歯止めがかからないだろう。

 すでに中国は生産年齢人口がマイナスに転じており、2020年代からは総人口までも減少期に入ると目される。韓国・台湾も現状の出生率推移から見ると、じきに同様の局面となるだろう。

 つまり、東アジアは、総じて人口減少が続く。だから、機械による雇用代替は看過されることになるだろう。しかも、3カ国・地域とも日本より製造・建設従業者比率が高い。この分野はこれから15年の機械による雇用代替は比較的少ない。ゆえに、雇用減少は日本より緩いペースになる。ということで、東アジアでの雇用崩壊は特化型AI期、すなわち2030年半ばまでは起きないのではないか。

 人口で世界の4分の1、経済規模で同3分の1を占める東アジア地区が比較的、温和な状態でいることは、世界経済にとっては一つの安心材料となるはずだ。

 一方、経済でいえばもう二つある極=欧と米はどうなるか?

EU離脱・極右跋扈で揺れる欧州、国内に「南北問題」を抱える米国

 欧州諸国、とりわけ旧西側先進国は実は東アジアほどではないが、出生率は低く長期的には人口減少傾向が続いている。なのになぜ、経済が成り立っているかというと、移民とEUの域内移動による労働力補填があったからだ。これから15年の間に、雇用が1割減る中で、こうした外部からの労働力が非常に問題になってくるだろう。そこを取りやめにする政策を打てば、日・中・韓・台同様に、比較的混乱少なく、機械代替が進められる。ということで、少々前に騒がれたEU離脱の気運が再度高まっていくのではないか。とりわけ、EU内は自由に労働移動できることを旨としたシェンゲン協定が議論の的になると思われる。

 唯一先進国で人口増加を続けている米国はどうだろうか。ただし、内情はワスプ(ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント)とそれ以外で大きく異なる。ワスプ系は欧州・東アジア同様、出生率は低い。ヒスパニックやアフリカンなどの非ワスプが出生率をかさ上げしている構造にある。これからの15年で雇用代替される仕事は、非ワスプ領域の仕事が多い。そこで、ワスプ×非ワスプの軋轢がどんどん大きくなっていくのではないか。

 ただ、米国の場合、事務職の機械代替がすでに相当レベル進んでいる。そうした意味では、雇用代替は1割までいかず、数%ですむかもしれない。その数%を対立の種火にしないようなリーダーが出現すれば、問題はうまく乗り切れるのではないか。

2040年以降に新たな南北格差が問題となる

 経済的には小さな存在ではあるが、人口は多い途上国はどうなるか考えてみよう。

 まず、途上国の経済の柱となっている製造業は、この15年ではそれほどの雇用消失が起きない。一方で所得や教育水準の向上とともに、雇用構造も少しずつホワイトカラー的職務がシェアを上げていくと予測される。製造業での雇用消失とホワイトカラー職務の増加が拮抗するような成長を遂げれば、こちらも痛みは相当緩和されるだろう。

ただし、時がもう少し下り、2040年以降になると、AIが汎用型となり、全脳アーキテクチャー期になると、話は別だ。このころには製造や建設、サービス流通業が次々に機械代替されるようになっていく。ではその時に何が起こるか?

 かつて先進国から途上国・社会主義国へと移転した工場が次々に先進国に回帰するという現象が起きる可能性が高い。俗にいう製造業の空洞化(海外生産)は、工場労働者の人件費の安さがその理由であった。ただし、こうした空洞化には様々なコストが付随する。カントリーリスク、遠隔コントロールロス、輸送費、保険費、本社スタッフの赴任費、など目に見える費用も多く、意思疎通の問題など目に見えないコストがその上に重なる。だから、工場労働者の人件費が本国と比べて3分の1以下でないと釣り合わないという。

 全脳アーキテクチャー型ロボットで製造コストが著しく低下すれば、もう海外進出の理由は、「為替変動リスクへの対処」程度くらいしかなくなるだろう。ただ、為替リスクに関してのヘッジであれば、大消費国たる中国やアメリカ、欧州主要国に直接工場を建てた方が良い。そうした意思決定のもと、途上国の工場は、本国もしくは大消費地たる大国に集まっていくはずだ。

 工場が回帰した先進国は、いくら製造スタッフをロボット化したとしても、管理・メンテナンス要員などそこそこの雇用が新たに発生する。また設備投資や土地購入などの投資も行われる。そのため、若干ながら、経済の底上げ要因となる可能性は高い。一方、途上国は、海外からの投資が極端に減少し、雇用も崩壊する。ここに新たな南北問題が起きる可能性は高い。

 こうして世界全体を見回してくると、AIによる長期的な雇用変動を一番うまく乗り切るのは、日中韓台という極東4カ国・地域となるのではないか。

 蛇足覚悟で結べば、2040年代は環東シナ海経済圏が世界を牛耳る構図になると予測しておきたい。


海老原 嗣生(えびはら・つぐお)
1964年、東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。 その後、リクルートワークス研究所にて雑誌Works編集長。2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。雇用・キャリア・人事関連の書籍を30冊以上上梓し、「雇用のカリスマ」と呼ばれている。近著は『「AIで仕事がなくなる論」のウソ』(イースト・プレス)。
キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/275.html#c1

[経世済民128] 地銀は悲鳴! アベノミクスこそ総裁選の争点にすべきだ(日刊ゲンダイ) :政治板リンク  赤かぶ
2. 2018年8月23日 23:45:31 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1358]

黒田緩和修正 私の診断 金融政策を「脇役」に戻せ 立正大教授 池尾和人氏
2018/8/22付日本経済新聞 朝刊
 今回の政策修正は、日銀内で様々な意見が混在する中でバランスを取った妥協の産物だ。方向性がはっきりしないのは、大規模な緩和をいくら続けても物価が上がらず、日銀が2%の物価目標達成に向けた戦略的な見通しを失っているからだ。


 日銀は目標達成を目指して強力な金融緩和を続けていると言うが、現実には強力な緩和になっていない可能性が高い。金融緩和の度合いを測るには金利水準だけでは十分ではなく、金融機関の利ざやに直結する利回り曲線の傾きもあわせて考慮する必要がある。

 政策金利がゼロ金利に到達した後では、緩和で長期金利を引き下げると利回り曲線の傾きも平たんになり、金融機関の利ざやは縮小する。金利が下がることによる緩和効果はあるが、利ざやの圧縮で金融仲介活動は抑制され、緩和効果を打ち消し合う。後者の要因が勝れば、緩和しても経済には逆効果になる。

 利回り曲線が極端に平たんになっている現状ではいくら緩和をしても逆効果となる局面にきている。金融政策が限界に達しているという「不都合な現実」から目をそらすべきではない。

 物価低迷の要因を日銀は「デフレ心理」と説明している。人々が明日は今日よりも豊かになると思えなければ、可処分所得が少々増えても消費を増やさない。

 デフレというと金融政策の対象に思えるが、将来に希望を持てるようにするのは成長戦略の領域だ。金融政策は脇役でしかないのに主役のように扱ってきたのがこの5年間だった。

 戦略の見直しは日銀だけではできない。5年間の大規模な金融緩和策がどのような効果と潜在的な問題点を引き起こしたのかを、政府はきちんと総括する必要がある。


 

 


FRB
9月利上げ示唆、貿易問題「重大なリスク要因」
毎日新聞2018年8月23日 17時35分(最終更新 8月23日 17時35分)

経済一般
アメリカ
最新の経済ニュース
速報
経済政策・財政
経済
FOMCの議事要旨を公開
 【ワシントン清水憲司】米連邦準備制度理事会(FRB)は22日、7月31日〜8月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開した。委員の多くは景気が想定通りに推移すれば「さらなる措置が早期に適切となる可能性が高い」との認識を示し、9月の次回会合での利上げ実施を示唆した。また、貿易戦争が「重大な不確実性とリスクの要因になる」との考えで一致した。

 議事要旨によると、委員らは米経済の堅調さを確認。そのうえで先行きのリスクについて、全委員が通商問題に言及し、「貿易紛争が大規模かつ長期化すれば、企業心理や投資、雇用にマイナスの効果を与える」と指摘した。さらに追加関税による輸入品の値上がりが消費者の購買力を減らしたり、企業の生産体制を混乱させたりする懸念も示された。

 また、FRBが政策金利を1.75〜2.0%まで引き上げたのに、長期金利は3%弱にとどまっており、このまま利上げを続ければ政策金利の方が高くなる事態も予想される。

 会合では、数人の委員が「金利の逆転が不況の前触れになることを過去の統計が示している。注意を払うべきだ」と主張。これに対し、日銀など他国の金融緩和が米長期金利を抑制していると考えられるとして「統計から因果関係を推論するのは適切ではない」との反論が出された。今後どこまで利上げできるかをめぐる課題だが、FRB内でも意見が割れている。

 一方、今後の景気悪化に備えるため、イエレン前議長時代に行っていた金融緩和の新たな手法の検討を、今秋に再開する方針を明らかにした。(共同)

文字サイズ
印刷
シェア
Timeline
0
1
関連記事
日銀決定会合:長期金利上昇を容認 1年10カ月ぶり修正
貿易戦争:長期化の様相 米の追加関税、中国は報復姿勢
FRB:9月の利上げ、貿易戦争が波乱要因に
日銀:長期金利、上昇容認を検討 金融緩和長期化で軽減策
長期金利:強まる上限探り 日銀、予定外のオペ


 

 
異次元緩和への対案、そもそも2%の物価目標はいらない
久保田博幸 | 金融アナリスト
8/23(木) 15:50
ツイート
シェア
ブックマーク
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀の異次元緩和を批判すると、では対案があるのかという問いが来ることがある。そもそも対案というのは、何かしらに窮している際にそれを解決すべき手段が必要な際に必要とされるものではなかろうか。

 日本でも中央銀行による積極的な金融緩和によって欧米並みの物価水準を達成させることで、国民の生活も豊かになるという発想そのものに間違いはないのであろうか。2%という物価目標を達成すれば、我々の生活は豊かになるのか。

 デフレが良くない。デフレを止めるためには物価を金融政策で欧米並みの2%に引き上げなければならないという理屈にもいくつもの疑問点がある。

 デフレが何故起きたのか。日銀の金融緩和が足りなかったからなのか。そもそもデフレがスタートしたとされる1998年頃の状況をみるとバブル崩壊による金融システム不安による影響が大きく、そこにアジアの通貨危機等も加わるなどしたこと、さらに日本国内の雇用体系の変化などによる影響が大きい。これらは日銀の金融緩和でどうにかなるものではなく、あくまで金融緩和は鎮静剤の役目を果たすぐらいであろう。

 日銀による2000年のゼロ金利解除か早すぎたとの意見もあった。そもそもゼロ金利政策はデフレ防止で行われたものではない。その後のITバブル崩壊を予言できたのであれば、確かに解除に急ぐ必要はなかったかもしれないが、それには予言者が必要になる。

 その後もサブプライムローン問題からリーマン・ショック、さらにギリシャ・ショックからの欧州の信用不安に繋がる。この間に世界的な金融経済危機が起きており、日銀も含め積極的な金融緩和策が講じられた。この際の日銀の緩和規模が足りず、円高が進行したとの見方もある。いやいや、それだけ日本の通貨が信用されていたことで円が買い進まれたとの見方の方が素直な見方ではなかろうか。ただし、その円高も行き過ぎた。

 その反動がアベノミクスによって起きたわけではあるが、世界的な金融経済危機が後退していたタイミングであっただけであり、その円高調整が終了後は現在の為替市場をみてもわかるとおり、落ち着いている。日銀が異常な緩和策を行わなければ円高になってしまうとの意見もあるが、米国の利上げによるドル高もたかが知れていることをみると、一概にそのようなこともいえない。

 物価上昇のため、円高解消のためとして、非常時の対応となるような極端な金融緩和策は必要なのか。そもそも、どのような経路を通じて大胆な緩和策が物価に働きかけるのか。

 アベノミクスが登場したのは、欧州の信用不安の後退時期と重なる。その後の世界経済は米国を主体に回復基調にあり、日本経済も同様で雇用も回復してきた。日本経済の回復は日銀の異次元緩和がなければ起きなかったのか。そのようなことはない。異次元緩和で物価は2%に上がることもなかった。

 債券市場や株式市場に歪みをもたせ、財政ファイナンスに近い政策を行ってまでもいったい何をしたかったのか。代案は何かと問われれば、そもそも2%の物価目標はいらない。通常の金融政策を維持させることで、柔軟な金融政策を行える状況とし、非常時には金融市場を通じて心理的な沈静化を図れるようにする。それがいまの金融政策の在り方ではないかと思う。金融政策は直接、物価や景気に働きかけてそれを動かせるものではない。

ツイート
シェア
ブックマーク

久保田博幸
金融アナリスト
フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

 

147回 日銀の金融政策「微調整」がJ-REITに与える影響【J-REIT投資の考え方】
配信日:2018年8月23日
アイビー総研株式会社 関 大介氏が、J-REIT投資の考え方について、解説いたします。

第147回 日銀の金融政策「微調整」がJ-REITに与える影響【J-REIT投資の考え方】
1.短期的な分配金への影響は少ない
日銀が7月末に金融政策決定会合(以下、決定会合)で行った金融緩和策の修正は、微調整とも言えるものであった。このためJ-REIT価格に対する影響は少なく、東証REIT指数は内容公表日の7月31日に前日比22ポイント上昇の1,768ポイントとなった。
価格面への影響が少なかった最も大きな要因は、長期金利の上昇幅が限定的であったことだ。決定会合後に10年国債利回りは日銀の上限を探るように上昇したが、J-REITの利回りは10年国債利回りとの相関性が少なくなっているため影響を受けなかった。言い換えれば、10年国債利回りが上昇したことによってJ-REITの利回りが上昇(価格は下落)する傾向は、短期的には生じることもあるという程度のものとなっている。
筆者が注目していた点は、10年など長期のスワップレート(固定金利にするための金利)への影響だ。この点についても、8月初旬時点では期間10年のスワップレートは0.35%程度に上昇したあと0.32%程度で推移している。2016年12月から決定会合前までは0.25%から0.30%程度で推移していたことと比較すれば、上昇したかたちにはなっている。
しかし、0.25%から0.30%も0.30%から0.35%へ上昇したとしても、同じ0.05%の幅である。つまり2017年の時点でも0.05%上昇の影響を受けていたことになる。加えて、0.35%の水準は2015年末と同程度であり、その前は高い水準で推移していた。
本連載(4月26日コラムの図表2参照)では、2018年4月以降に返済期限が到来する借入金の金利が0.94%であるのに対して2017年は0.57%で借換えが出来ていたため、支払利息の減少により分配金の増加基調が続くということを記載していた。例えば、今後の借入金利が0.05%上昇したとしても0.62%での調達が可能ということになり、支払利息は減少するためJ-REITの増配シナリオは維持されたかたちになった。

2.今後の日銀動向に注意が必要な局面へ
ただし、決定会合における微調整が表面通り、「金融緩和の長期的な持続性維持」のためだけではない場合には長期金利の上昇傾向が続く点には留意しておきたい。今回の決定会合では、当面の長期金利の上限を0.2%程度としているが、この状況が続く可能性は低いと考えている。
その理由として米国の利上げが続く中で為替の円安傾向が強くなれば、現在は中国に向かっているトランプ大統領の矛先が日本に向けられる懸念があるためだ。米国の圧力に抗しきれず金利上昇が続く可能性は捨て切れないと考えられるのだ。
この点のリスクを重視する投資家であれば、既に投資している銘柄やこれから投資対象となる銘柄の財務体質を充分に確認する必要があるだろう。具体的は、金利上昇への耐性が強い、長期固定金利での借入金調達が大半を占め借入金の返済期間が分散している銘柄を選択対象とすべきと考えられる。
また、決定会合ではJ-REITに対する買入れ額や投資方針に変更はなかった。ただし、実際に年間900億円相当の買入れ額が維持されるという点については不透明な要素が多い。さらに「長期的な持続性維持」という方針を続けるのであれば、現在のAA格相当だけを投資対象とする内容が変更となる可能性もある。従って、今回の決定会合ではJ-REIT価格への影響は少なかったが、今後の動向には注視を続ける必要がありそうだ。

コラム執筆:アイビー総研株式会社 関 大介

<本内容は、筆者の見解でありアイビー総研株式会社及びJAPAN-REIT.COMを代表したものではありません。個別銘柄に関する記載がある場合は、その銘柄の情報提供を目的としており、お取引の推奨及び勧誘を行うものではありません。また執筆時点の情報を基に記載しております。>
次の記事「第146回 「2018年上半期の投資家動向」」

 


日経平均小幅続伸、通信や小売など内需は割安見直し−自動車関連安い
長谷川敏郎
2018年8月23日 7:53 JST 更新日時 2018年8月23日 15:53 JST
米国の追加関税発動後も金融市場は冷静、業績や割安さを評価
独コンチネンタルが業績予想下方修正、欧米で自動車関連株下落

23日の東京株式市場では日経平均株価が小幅続伸。米国による中国への追加関税発動後も金融市場は落ち着いた動きとなる中、情報・通信や小売、サービスなど内需関連中心に株価の割安さを見直す動きが見られた。半面、業績懸念からタイヤや輸送用機器株が売られ、TOPIXは小反落。

  日経平均株価の終値は前日比48円27銭(0.2%)高の2万2410円82銭。TOPIXは0.15ポイント(0.01%)安の1698.22。

  東京海上アセットマネジメントの橋爪幸治シニアファンドマネジャーは「ドル・円が1ドル=110円台を維持しており、7−9月期も製造業中心に業績が上振れる可能性がある。業績を考慮すると、TOPIXの12カ月先PER13倍以下で売って利益を上げるのは困難」だと述べた。その一方で、「通商問題の影響は見極めきれない上に、トランプ米大統領をめぐる政治リスクも相次ぎ買い進むにはリスクがあり、売買が少ない」とみていた。
  
  米国はワシントン時間23日午前0時1分(日本時間午後1時1分)に、中国からの輸入品160億ドル相当への追加関税を発動させた。発動は規定路線だったものの、発動後の市場動向を見極めたいとのムードが強かっただけに、午後に中国上海総合指数が再度プラス圏に浮上、為替市場では円が対ドルで110円台後半とやや円安で推移するとともに、日本株市場でも情報・通信や小売など内需関連を見直す展開となった。東証1部では値上がり銘柄数が値下がりを上回った。


東証内Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは、小売や食料品などディフェンシブ色の強い内需関連は「このところ売られていたため、割安感からの買いが入っている。国内投資家のリバランスの動きもあるようだ」と指摘していた。

  もっとも、東証1部売買代金は5営業日連続で2兆円を下回った。東京海上AMの橋爪氏は「パウエルFRB議長講演や日米貿易交渉など手控え材料は山積。決定的な好材料という次の一手が見えず、投資家はしばらく様子見せざるを得ない状況」と話していた。

  タイヤや自動車株の下げが目立った。世界2位の自動車部品メーカー、ドイツのコンチネンタルは22日にことし2度目となる業績見通しの下方修正を発表した。中国と欧州の販売不調が要因。同社株は22日に13%安と急落したほか、ミシュランが4%安など欧米株式市場でタイヤ株や自動車部品株が売られ、きょうの東京株式市場でも連想売りが膨らんだ。


東証1部33業種では石油・石炭製品、小売、サービス、情報・通信、不動産、医薬品など17業種が上昇
ゴム製品、輸送用機器、海運、非鉄金属、鉄鋼、機械など16業種は下落
売買代金上位では、中国と韓国以外のアジアの出店を拡大と報じられたファーストリテイリング、ゴールドマン・サックス証券が強気の投資判断を継続したKDDI、8月度既存店売上高が2カ月連続で増加したニトリホールディングスが高い
スルガ銀行、デンソー、SMC、大和証券が格下げした三井金属は安い


 

 


FRB、金融緩和「新たな手法議論」 景気悪化に備え
北米 経済・政治
2018/8/23 3:32
保存 共有 印刷 その他
 【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は22日、7月31日〜8月1日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。先行きの景気悪化に備えて金融緩和の手法を議論し、参加者は利下げや量的緩和に加えた「新たな政策手法を議論する」と決めた。2%の物価目標を柔軟にして一時的なインフレを容認する案などが検討課題になりそうだ。

パウエルFRB議長=AP
画像の拡大
パウエルFRB議長=AP

 前回のFOMCでは追加利上げを見送った。ただ、4〜6月期の実質成長率が4%台に達するなど米景気は好調で、多くの会合参加者が「景気が想定通りに推移すれば、間もなく追加利上げが適切になる」と主張。9月の次回会合での利上げを示唆した。FRBは年内に2回の追加利上げを見込んでおり、金融市場も9月の利上げを織り込んでいる。

 もっとも、会合参加者は「政策金利は(景気を冷やさず過熱もさせない)中立的な水準に近づいている」との見方でも一致した。現在の政策金利は1.75〜2.00%にとどまるが、利上げ局面は既に2年半に到達。FOMCは利上げサイクルの終了時期を探っていることを改めて明らかにした。6月の会合では2019年から20年にかけて利上げを停止する可能性を示唆している。

 利上げサイクルが19年に停止すれば政策金利は3%程度で打ち止めとなる。以前に比べて十分な利下げ余地が確保できないリスクがあり、FOMCは「低金利環境での金融政策の選択肢」についても議論した。

 FRBはこれまで利下げや量的緩和のほか、先行きの緩和期間を明示して市場の期待を高める「フォワード・ガイダンス」を政策手段としてきた。ただ、FOMCでは参加者から「量的緩和などの経済効果は不透明だ」との声が上がり「さらなる政策手段を議論していく」ことで一致した。

 議事要旨では具体策に触れるのを避けたが、FRB内では2%の物価上昇率目標を柔軟に運営する「物価水準目標」の導入などを議論している。物価水準目標とは、物価上昇率が長く2%を下回り続けた場合は、目標に到達した後も一時的なインフレを容認して金融緩和を続ける政策手法だ。物価水準目標を導入すれば、FRBの将来的な政策スタンスは従来より緩和的になる。

 FOMCではトランプ米政権の関税政策に「潜在的に重大な下振れリスク」と懸念する声が噴出した。企業投資の停滞につながったり、物価の上昇で景気そのものを下押ししたりするリスクを指摘する参加者もいた。


NYの視点:次回9月のFOMC、追加利上げ&「金融政策は依然緩和的」の文言削除か=議事録
2018年8月23日 市況ヘッドライン、注目トピックス 経済総合

中国勢の引き上げで湾岸タワマンは売れ残りへ。いつ家を買うのが正解なのか?=午堂登紀雄
シンゾウ・ドナルドの仲とは何だったのか。対米貿易摩擦が日本経済にとどめを刺す=斎藤満
トランプ支持メディアに起きた不可解な弾圧。誰がフェイクニュースとみなすのか?=高島康司
高田馬場で実感した「キャッシュレス化」の大波。チェーン店は脱・現金払いに本気だ=岩田昭男
プライムも通販も凌駕する、Amazonのビジネスで最も成長率が高い意外な分野とは?= シバタナオキ
ウォール街に投資家はもういない。彼らの関心は「最強のAI」開発だけ


米連邦準備制度理事会(FRB)はワシントンで22日、7月31日から8月1日にかけて開催した連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表した。この中で、多くの高官が、「もし、指標が見通しを後押しする結果となった場合、比較的すぐに追加利上げが適切となる可能性が強い」と見ており、FOMCが9月に追加利上げに踏み切る用意があることを明らかにした。同時に、貿易、住宅、新興諸国市場を下方リスクとして挙げた。

参加者は6月の会合後、米国経済の見通しで、著しい警鐘はなかったと指摘。全般的に持続的な経済活動の拡大、強い労働状況、インフレが目標である2%に近づいたことに連動し、政策金利をさらに緩やかに引き上げると見込んでいる。少数のメンバーが2%のインフレが持続するとの自信をより強めたことも明らかになった。強い需要や関税の影響を受けたコストの上昇で値上げが目立つと指摘。他の数人は、経済が過熱し、インフレを加速させ、金融不均衡または、結果として景気後退をまねくとの懸念を表明した。

「金融政策は指標次第」とするFRBは、9月、おそらく12月にも利上げを実施する可能性が強い。また、FRBは緩やかに政策金利を引き上げており、近く、「金融政策は依然緩和的」との文言を声明から削除する意向を示した。

9月のFOMCでは追加利上げとともに、声明では、「金融政策は依然緩和的」との文言が削除される可能性が強まった。

 

米新規失業保険申請、21万件=前週比2000件減―労働省【8/23 21:31】
【ワシントン時事】米労働省が23日発表した18日までの1週間の新規失業保険申請は、季節調整済みで21万件と前週比2000件減少した。市場予想(ロイター通信調べ)の21万2000件を下回った。失業保険受給者総数は11日までの1週間で172万7000人と、2000人の減少。市場予想は172万1000人。

新規失業保険申請件数(8月12日〜8月18日)

21万件(前週比2000件減)

4週間平均 21万3750件(前週比1750件減)

新規失業保険申請件数(8月5日〜8月11日)

21万2000件(改定なし)

失業保険受給者総数(8月5日〜8月11日)

172万7000人(前週比2000人減)

4週間平均 173万5500人(前週比5000人減)

失業保険受給者比率(8月5日〜8月11日)

1.2%(前週比横ばい)


 


 

7月の米新築住宅販売、1.7%減=年換算62万7000戸―商務省【8/23 23:03】
【ワシントン時事】米商務省が23日発表した7月の新築一戸建て住宅販売件数は、季節調整済みで前月比1.7%減の62万7000戸(年換算)となった。マイナスは2カ月連続。市場予想(ロイター通信調べ)は63万1000戸。前年同月比は12.8%増。

販売価格(中央値)は前月比6.0%上昇の32万8700ドル。同月末時点の在庫戸数は2.0%増の30万9000戸だった。

新築一戸建て 62万7000戸(前月比1.7%減、前年同月比12.8%増)

在庫戸数 30万9000戸(2.0%増、12.0%増)

販売価格 32万8700ドル(6.0%上昇、1.8%上昇)

販売ペース 5.9カ月分(前月比3.5%増)

(注)販売価格は中央値


 


日経225先物 +70.00
22480.00 +0.31
23:23

TOPIX先物 +8.00
1706.00 +0.47
23:23

NYダウ30種 +19.90
25753.50 +0.08
23:44

S&P 500 +5.59
2867.41 +0.20
23:28

USD-JPY +0.7100
111.2700 +0.64
23:43


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/275.html#c2

[政治・選挙・NHK249] 石破氏:格差に目を向けないで、何が政治だ(かっちの言い分) 一平民
1. 2018年8月24日 07:30:19 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1359]
鉄の結束はどこにいった
2018年8月23日 12時20分

「安倍か、石破か」。9月の自民党総裁選挙をめぐり、第3派閥の竹下派が揺れた。かつては鉄の結束を誇った“名門派閥”復活を目指し、4月に党総務会長の竹下亘氏(71)が会長に就任。総裁選挙はその試金石と見られていたが、派内は安倍総理大臣支持と石破元幹事長支持の真っ二つに。竹下氏は苦悩の末、事実上の自主投票を決める。竹下派で何が起きていたのか。どうして、こうなったのか追った。(政治部竹下派担当 根本幸太郎 宮里拓也)
にじむ無念
総裁選挙の告示まで1か月を切った8月9日。
長野市内のホテルで開かれた竹下派の会合冒頭、マイクを握った竹下亘会長は、こう切り出した。

「正直言って、私は、できれば一本化したいという思いを強く持ってやってきたが、それはできないということを判断した」

派閥として支持する候補者の一本化を断念し、事実上、自主投票とする方針の表明だった。温厚な性格で知られる竹下氏は普段からあまり感情を表に出すタイプの政治家ではない。この日も、いつもと変わらない表情に見えたが、その言葉には、派閥として一致した対応を取りたかったという無念さがにじんでいた。

“鉄の結束”への試金石
竹下氏が率いる竹下派は正式名称「平成研究会」。「一致結束箱弁当」、「鉄の結束」とも呼ばれた旧田中派の流れをくみ、竹下氏の兄・竹下登元総理大臣が旗揚げした「経世会」を前身とする。かつては党内最大派閥として、竹下、橋本、小渕の3人の総理大臣を輩出するなど絶大な存在感を示し、名門派閥と言われてきた。

しかし、近年は有力な総裁候補を出せず、第3派閥に転落。体制の立て直しに向けて、参議院側が派閥から離脱する構えを見せ、当時の派閥会長の額賀氏に退任を要求する“お家騒動”の末、4月には竹下氏が会長に就任、“竹下ブランド”のもとで、派閥復活への歩みを進め始めたばかり。今度の総裁選挙で、かつての「鉄の結束」を示せるのかが、まさに試金石となっていた。

「熟考」戦略
竹下氏は会長就任当初から、ギリギリまで情勢を見極めることを、総裁選挙の基本戦略としてきた。
安倍晋三総理大臣(63)の外交を高く評価する一方、「ポスト安倍」の岸田文雄政務調査会長(61)を「政策的に一番近い」、石破茂元幹事長(61)も、かつて同じ派閥に所属していた経緯から「同志という感覚を持っている人もいる」と評した。
一方、派内には茂木敏充経済再生担当大臣(62)や加藤勝信厚生労働大臣(62)など、衆議院側を中心に安倍総理大臣に近い議員がおり、先んじて安倍支持を表明する派閥幹部もいた。
それでも竹下氏は「政治は『一寸先は闇』だ」と繰り返し、最終的に誰を支持するか明言しなかった。効果的なタイミングで、派閥がまとまって支持を打ち出すことで、選挙戦の流れを決定づけ、存在感を誇示したいという思いを感じた。

岸田氏立たず 誤算に
竹下氏の戦略を大きく狂わせることが起きる。

7月24日、岸田氏が立候補を見送り、安倍3選支持を表明したのだ。その晩、地元島根から帰京した竹下氏を直撃すると「総裁選挙の構図が変わってきた感じを強く持っている」と緊張感をにじませた。
当初の方針を前倒しして、8月9日の長野市の会合までに対応を決めることになった。安倍総理大臣と石破元幹事長の一騎打ちの構図がほぼ固まり、安倍優勢の見方が強まる中、これ以上決定を遅らせるのは得策ではないという判断だった。

派閥幹部は「わが派は、ほぼ安倍支持でまとまっている」と、安倍総理大臣支持でまとめることに自信を見せていた。

予想もしなかった動き 突然に
7月最後の週末、同僚記者から予想もしていなかった情報が入ってくる。
「青木さんが石破支持でまとめたがっているとの話がある。竹下さんもそれに傾いているようだ」
青木さんとは、青木幹雄・元自民党参議院議員会長(84)。

かつて「参議院のドン」と言われ、政界引退後も派閥に影響力を持つ長老だ。竹下登元総理大臣の元秘書で、竹下氏とも関係が深い。半信半疑のまま取材を進めていると、石破支持に向けた動きが表面化した。

7月31日朝、竹下派の会長代行も務める吉田博美参議院幹事長(69)ら参議院側が、東京都内のホテルに集まり、総裁選挙への対応を吉田氏に一任することを決めた。出席者の1人は「この場で参議院側は石破支持の方向が固まった」と解説する。

なぜ石破支持?
ではなぜ参議院側は石破支持にかじを切ったのか。

参議院側の幹部の1人はこう説明してくれた。
「有権者の中に『安倍NO』という感情は強い。来年夏の参議院選挙を考えると、安倍総理大臣以外の選択肢を見せなければ、自民党全体が沈む。石破さんを積極的に支持する理由はないが、消去法でそれしかない」
また別の幹部も「安倍総理がダメだなんて言っていない。安倍政権がいいことはわかりきっている話だ。ただ議論もしないまま続投を認めると、自民党は意見を封殺する政党だと思われてしまう。議論して総理・総裁を決めた方が世論もついてくる。広い意味で安倍政権を支えることになる」と話す。
つまり来年夏の参議院選挙への危機感が石破支持の理由だという。劣勢とみられる石破氏を支援して論戦を活性化させ、党の多様性や人材の厚みをアピールした方が得策だという判断だ。

別れても好きな人…
ただ参議院側をとりまとめる吉田氏にとっては、苦渋の決断だった。

吉田氏は安倍総理大臣と同じ山口県出身で個人的な関係も深い。参議院の国会対策委員長や幹事長として、安全保障関連法など重要法案の成立に尽力し、安倍政権を支えてきたことは自他ともに認めるところだ。7月下旬に吉田氏が、党の支持団体の幹部から総裁選挙での対応を質問され「安倍支持でまとめてくれ」と答えていたという証言もある。
しかし「おやじ」と慕う青木氏の意向、そして、来年の参議院選挙の環境を、どう整えるのか思い悩んだ結果、個人の思いとは逆の判断を下す。
吉田氏はこの頃、開かれた会合で、昭和のヒット曲のタイトルを引きつつ苦しい胸の内を吐露した。

「これまで安倍政権を支えてきたが、これからも『別れても好きな人』でありたい」

深まる溝
参議院側の動きに対し、安倍総理大臣を支持する議員が多い衆議院側からは反発の声が上がる。若手の1人は「なぜ、すでに引退している青木氏の意向に従わなければならないのか。自分は“青木派”ではなく、竹下派だ」と、強い抵抗感を示した。
さらに幹部からも、安倍総理大臣が3選した場合、石破氏を支持した派閥が、内閣改造や党役員人事で冷遇されるとの懸念が上がった。衆議院側と参議院側との溝は深まっていく。

タイムリミットが近づく中、竹下氏は「迷っていないと言えばうそになる」と繰り返す一方、派閥として支持の一本化に、あくまでもこだわる考えを強調し続ける。

自主投票論広がる
竹下氏の思いに反し、派内では「衆参で別々に対応すべきだ」という意見が広がる。衆議院側への意向の聞き取りで、安倍総理大臣支持が大勢を占めた翌日の8月3日、参議院側のある幹部がささやいた。

「もう最終的には痛み分け。つまり来週の竹下会長の判断は『衆と参、それぞれ別でやりましょう』という形になるんじゃないか」

石破支持へと先に仕掛けた参議院側から「一本化にこだわらない」とする意見が出始めたのは潮目の変化のように感じられた。タイムリミットまで残り2日に迫った8月7日、参議院側の対応を一任されている吉田氏が、国会近くの派閥事務所で竹下氏と会談。

関係者によると、吉田氏は、過去の総裁選挙でも衆・参で支持する候補が分かれたこともあったとして、衆議院と参議院で対応を分けることも選択肢に含めるよう提案したという。事実上の自主投票に向けた流れができた。

封じられた竹下氏の意向
8月8日夕方、対応の最終協議のため、竹下氏のほか衆・参の幹部が派閥事務所に顔をそろえた。
冒頭、竹下氏は「『一本化する』と言い続けてきたができずに今日まで来た。いろいろなハレーションも起こし、反省している」と陳謝。そのうえで、衆・参双方の立場や、議員個人の考えも尊重するとして、事実上、自主投票とする方針を決めた。

実は、竹下氏はこの協議に先立ち、幹部と相次いで会談し、一本化はしないとしたうえで「個人としては、石破氏を支持したい」という考えを伝えていた。しかし、これに衆議院側の幹部は「個人の思いであっても、派閥の会長が表明すると、所属議員の判断に影響が出る」と反発。
結局この日、竹下氏が石破氏支持を表明することはなかった。

どうなる“鉄の結束”
竹下氏は総裁選挙について、会長就任当初から「私1人が決めようとは思っていない。何が何でも、右向け右というわけにはいかない」と述べてきた。それは、これまでのように派閥の領袖がすべての方針を決めるのではなく、若手を含めた所属議員から意見を聞いて決めるという、新たな時代の派閥像を目指しているようにも見えた。
竹下派は今回の総裁選挙後、派閥として再度結束し、3年後の次回選挙では、自前の候補者の擁立を目指す方針だ。
しかし、今回、総裁選挙で意見集約できず「派閥の意味がなくなった。派閥であることを放棄した」(参院ベテラン)という指摘や、竹下氏の調整力、決断力を問う声も上がっている。また、総裁選挙の後、人事などへの影響を懸念する声もくすぶる。
再び派閥としての存在意義を示し、「鉄の結束」を取り戻せるのか。待ち受ける道は、決して平たんではなさそうだ。

政治部記者
宮里 拓也
政治部記者
根本 幸太郎
http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/604.html#c1

[国際23] 英「合意なき離脱」への対策発表〜EU離脱まで7か月余りとなる中/nhk 仁王像
2. 2018年8月25日 15:02:28 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1360]
英国:EU加盟国国債、「ゼロリスク」分類停止へ−合意なき離脱なら
John Glover
2018年8月24日 20:06 JST
銀行、資本積み増しか債券売却を迫られる見通し
英国でのトレーディング拠点維持はますます難しく
英国は欧州連合(EU)を合意なしに離脱する場合、EU加盟国が発行した債券を「ゼロリスク」に分類することを停止する。銀行は資本の積み増しを求められることになりそうだ。

  英財務省はEU離脱後の金融サービスの監督業務について対処方針の概略を示し、この変更が行われれば、流動性の一部をEU加盟国国債で保有する英国の銀行やその子会社はこの債券に関して自動的に追加資本を求められることになると説明。リスクの度合いは監督当局が各国の信用力を吟味して決定するとしており、EU内の周辺国債を多く持つ銀行は打撃を受ける可能性がある。

  信用力の低い証券を多く抱えている銀行は資本を積み増すか、英EU離脱の混乱のさなかにある市場で該当する証券を売却するかを迫られることになる。EUとの相互承認規則がもはや適用されないことから、英国の銀行はEUの監督当局からも同様の措置を命じられる可能性がある。また、英国にとどまれば追加資本が必要になるため、EU加盟国の銀行が英国内にトレーディング拠点を維持することも難しくなる。

  インベステックのアナリスト、オーウェン・カラン氏(ダブリン在勤)は「奇妙な決定だ」と述べ、ロンドンから行う一部のマーケットメークは「法外なほど高くつく」ようになるだろうと続けた。

原題:U.K. to End Zero Risk for EU State Debt on No-Deal Brexit (2)(抜粋)
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/723.html#c2

[国際23] ロシア、シリア介入で「行き詰まり」他国に資金援助求める=ボルトン米補佐官(ニューズウィーク) 赤かぶ
5. 2018年8月25日 15:04:13 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1361]
米国がロシアに追加制裁、27日発効−英国の元スパイ襲撃事件受け
Bill Faries
2018年8月25日 0:11 JST
制裁はロシアへの外国支援と武器売却を断つ狙い
ロシア人元スパイとその娘が襲われた神経剤、ロシアが使用と結論
米国はロシアに対して新たな制裁措置を打ち出し、詳細を発表した。英国で3月に起きた神経剤によるロシア人元スパイ襲撃事件を受けた対応で、米ロ関係が悪化を続けていることを浮き彫りにした。

  国務省が公表した今回の制裁措置は、ロシアへの外国支援と武器売却について残されているルートに狙いを定めた。また輸出入銀行を通じたものを含め米国からロシアへのあらゆる信用供与を禁止する。これらの措置は米連邦公報に27日に掲載され、発効する。

  国務省によると、この制裁は「ロシアが国際法に違反し、自国民に化学兵器を使用した」と米政府が結論づけたことを受けて決定した。

  国務省はコメントの要請に今のところ応じていない。

原題:U.S. Imposes New Sanctions on Russia After Nerve Agent Poisoning(抜粋)

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/709.html#c5

[経世済民128] ベネズエラのデノミ(在野のアナリスト) 赤かぶ
7. 2018年8月25日 15:29:30 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1362]

2018年8月24日 / 14:57 / 6時間前更新
アングル:デノミ強行ベネズエラ、超インフレ国の買い物事情
Shaylim Castro and Isaac Urrutia
6 分で読む

[カラカス/マラカイボ 17日 ロイター] - ハイパーインフレに対応するため通貨単位を5桁切り下げるデノミネーション(デノミ)を3日後に控えたベネズエラでは、デノミが大混乱を引き起こし、生活必需品が入手不可能になることを恐れた人々が、商店やガソリンスタンドに長い行列を作っていた。

20日実施のデノミ前に、食品や乾物などの必需品を自宅に十分確保し、自家用車のガソリンを満タンにしたかったのだ。

社会主義的な経済モデルが崩壊したベネズエラでは、野党主導の議会発表によれば、インフレ率が7月には8万2700%に達した。これは、石鹸1個やトマト1キロなどの必需品を買うにも、現金を山ほど用意しなければならないことを意味する。

そして、その現金入手自体も困難なことが多かった。

「野菜を買いに来たけれど、この行列には並んでいられないから、引き返す」。西部マラカイボのスーパーで、事務職員のアリシア・ラミレスさん(38)はそう語る。「皆必死になっている」

今回は、2016年12月にマドゥロ大統領が、最高額紙幣を代替なしに廃止したときのような混乱はなさそうだ。この時は抗議デモが多発。略奪行為や多数の逮捕者が出て、国は実質的に法定通貨なき状態に陥った。

車のドライバーたちは、給油を急いでいた。ベネズエラでは、多額の政府補助金でガソリン価格が世界最安値となっており、1米セント(約1・1円)で2896ガロン(約1万リットル)購入できる。デノミ実施後は、ガソリン代に釣り合う小額紙幣が新たに発行されないため、購入できなくなるのではないかと心配するドライバーもいた。

マドゥロ大統領は今月、ガソリン価格の引き上げに言及したが、その日程は明らかにしていない。ガソリンスタンド関係者数人は、価格変更について何も説明を受けておらず、近い将来に価格が引き上げられることはないだろうと話した。

「週末に営業しているガソリンスタンドをみつけられないと困るので、今入れにきた。人々は怒るというより、悲しんでいる」と、かつて工業が盛んだったバレンシアの町でガソリンスタンドに並んでいた教師のアナ・ペレスさん(50)は話した。

ベネズエラは政敵が仕掛けた「経済戦争」の犠牲になっていると主張するマドゥロ大統領は、デノミ実施により、経済が安定すると主張している。同国は石油輸出国機構(OPEC)の加盟国でもある。

一方で、反大統領派からは、デノミが会計上の操作に過ぎず、物価上昇を抑制する効果はまったくないと批判する。また、インフレは、社会主義政策の失敗や野放図な紙幣増刷に原因があるとの批判も根強い。

実際には、多くの商取引が、販売端末を使ったデビットカードで行われているため、銀行幹部が急すぎると訴えていた今回のデノミ強行によって金融ネットワークが崩壊するのではないかとの懸念も出ていた。

マドゥロ大統領は、デノミ実施日を祝日に指定。単位を引き下げられた新しい紙幣が同日に導入され、銀行のインターネット取引は、その前夜から数時間停止することになった。

2016年の通貨改革との最大の違いは、今回の場合、新紙幣が導入される間、新旧の紙幣が混在する期間があるということだ。その期間がいつまで続くかは決まっていない。

そのため、新通貨で10ボリバルの物を購入するため、額面100万ボリバル分の旧紙幣で支払うという、紛らわしい状況も出てくる。

銀行口座を持たない低所得層の人々は、これまで日用品の買い物に大量の紙幣を持ち歩いていた。

チーズ1キロ、米ドルにして1ドル14セント相当を買うために、1000ボリバル紙幣7500枚を用意しなければならなかった。1000ボリバル紙幣は、2017年に完全導入されたばかりだ。

53セント相当の石鹸1つを買うには、同紙幣が3500枚必要だ。

「大惨事になるだろう。まだ何の情報もきていない」と、カラカスの日用品販売店マネージャーのヨレイマ・マンリケさん(42)はかたった。「客にも店にも、クレイジーな状況になる」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/245.html#c7

[経世済民128] 月収44万68歳の悩み"暇で暇で死にそう"  何もしない家での生活の息苦しさ(PRESIDENT) 赤かぶ
9. 2018年8月25日 16:20:03 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1363]

>企業年金(有期)12万円/国民年金+厚生年金22万円・個人年金10万円
⇒約44万円/月
>妻から『ストックはあるけどフローが回りません』
>生活費は月50万円ですませ、残りの収入は貯金

現役時代に、高所得で贅沢な生活が身についたらしいが

平均的な年金生活世帯は、月20万台

今の生活水準を維持したいなら、働いて、貯蓄を増やしておくのは必要不可欠だが


長生きリスクを考えた場合、

いずれは企業年金(有期)は終わるし、仕事もできなくなるから

よほど貯蓄がない限り、節約生活に切り替えるしかないだろう



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/274.html#c9

[経世済民128] 異次元緩和への対案?そもそも2%物価目標はいらない --- 久保田 博幸  赤かぶ
1. 2018年8月25日 21:56:39 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1364]

>財政ファイナンスに近い政策を行ってまでもいったい何をしたかったのか

結果から見れば、円安による景気刺激から雇用・賃金の改善ということだが

何といっても、主要な効果は財政ファイナンスによる社会保障膨張と放漫財政の維持だろう

主な受益者は、雇用刺激で正社員採用されたり、賃上げの恩恵を受けた非正規の労働者世帯や、多くの輸出企業やインバウンド企業、リスクテイクした投資家などだが

主な被害者?は、経営基盤が脆弱な金融機関、リスクテイクせず円預金に集中していた高齢富裕層や、高所得層ということになるか



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/289.html#c1

[経世済民128] 異次元緩和への対案?そもそも2%物価目標はいらない --- 久保田 博幸  赤かぶ
2. 2018年8月25日 22:02:40 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1365]

あと年金基金なども、大きな恩恵を受けているが

今後も、運用に成功し続けられるかと言えば、疑問だろう


 


公的年金、運用益2.6兆円、円安が追い風に
2018/8/3 20:00日本経済新聞 電子版
 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3日、4〜6月期の運用実績が2兆6227億円の黒字になったと発表した。プラスは2四半期ぶり。米国など先進国の株価が上昇したほか、円安が進んだことも追い風となった。足元では外国株式の上昇が進み、一段と利益が拡大しているもようだ。

 6月末時点の運用資産額は158兆5800億円。4〜6月の運用利回りは1.68%だった。利子・配当収入は約1兆円で四半期ベースでは過去最高になった。

 全体をけん引したのは外国株式で、2兆円の利益を計上した。米国やドイツの株価が小幅に上昇。また米連邦準備理事会(FRB)の利上げで国内外の金利差が拡大したことなどを受け、ドル高・円安基調が進んだ。

 足元でも外国株式の上昇が続き、利益が拡大しているもようだ。野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストの試算によると、7〜9月期は足元で2兆8000億円の黒字となっている。

 6月末時点の資産構成は、国内債券が27.14%で目安の35%を大きく下回る一方、国内株式は25.55%と目安(25%)を上回る傾向が続く。外国債券は15.34%、外国株式は25.32%だった。


 


GPIF、海外でも存在感ーアップル株保有ゴールドマンしのぐ (訂正)
野沢茂樹、Min Jeong Lee
2018年8月22日 7:04 JST 訂正済み 2018年8月22日 16:05 JST
外国株で時価総額が10億ドル超の保有銘柄が56社にー3月末時点
FAANG銘柄の保有が収益押し上げにつながる
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が日本の株式市場だけでなく、海外でも存在感を高めつつある。時価総額トップのアップル株の保有で、バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチやゴールドマン・サックス・グループなど有力な米機関投資家を上回っている。

  ブルームバーグがGPIFの3月末時点の外国株保有を基に試算したところ、時価総額が10億ドルを超える銘柄は56。現在では時価総額1兆ドル(約111兆円)超えのアップル株を発行済み株式数の約0.9%に当たる4109万5884株保有し、BofAメリルリンチやゴールドマン・サックスを上回るほか、JPモルガン・チェースに次ぐ12位の大株主となっている。


  JPモルガン・アセット・マネジメントの前川将吾グローバル・マーケット・ストラテジストは、GPIFが海外でも存在感を増してきてるのは間違いないと指摘し、中長期な運用なので分散投資を若干リスクを取りながら進めていく方向性は変わらないとみている。

  GPIFは安倍政権の下で、2014年にリスク資産投資を積極化する方針に変更し、外国株の保有比率の目標値を25%と、従来の2倍強へ引き上げている。現在の保有比率は目標値をすでに達成し、今年6月末時点の保有額は日本株とほぼ同じ規模の40兆7753億円に膨らんでいる。12年末時点の14兆4339億円と比べると2.8倍の規模だ。

  ブルームバーグの試算によれば、GPIFが保有する外国株の時価総額の割合は、米国株の55.5%を筆頭に、英国株5.6%、中国・香港株5.4%などが続いている。運用資産の8割以上は市場の運用指標に沿ったパッシブで、構成比はMSCIの外国株指数とほぼ同じ。時価総額上位の10銘柄中、同指数の構成銘柄と異なるのは1社だけだ。

過半数を占める米株

Source: GPIF, Bloomberg

Note: 3月時点

  GPIFの外国株の運用収益率は過去4年間の累積で37%。米国株の強気相場と重なり、アップルなどのFAANG銘柄の時価総額がほぼ倍になった影響が大きい。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは、グローバルな投資戦略がGPIFの運用を支えているとみている。


  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、GPIFは株式保有を増やすタイミングに恵まれたと指摘。その分、短期的な株価の変動に運用成績が左右されやすくなっており、長期的な視野での評価を意識する必要があると言う。

  運用で今後の検討課題となる可能性があるのは国内株の占める割合だ。日本株はMSCI世界株指数の構成比で8%程度だが、GPIFの保有株のうち約51%を占める。米国株の保有は27%にとどまり、残りは約50カ国の株に分散されている。三菱モルガン証の藤戸氏は、純粋にポートフォリオの観点からは見直しがあってもおかしくないとみている。

株式は国内偏重

Source: GPIF, Bloomberg

Note: 3月時点

(第5、8段落と一覧、円グラフの保有比率に関する数値を訂正します.)

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/289.html#c2

[経世済民128] 携帯料金の4割引き下げは日本経済にメリットがなさそうな理由(ダイヤモンド・オンライン) 赤かぶ
7. 2018年8月25日 22:18:42 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1366]
イギリスの3倍…⁉日本の携帯料金、やっぱり高すぎだった
官房長官「4割値下げ可能」発言で激震
長谷川 幸洋ジャーナリストプロフィール
シェア3,383ツイートブックマーク194
諸外国と比べてあきらかに高い
菅義偉官房長官が8月21日、札幌市内で講演し、携帯電話料金について「4割程度、下げる余地はある」と述べた。これを受けて、大手携帯3社の株価が一斉に急落する事態になった。はたして携帯料金は下がるのか。
菅長官は「(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社の)携帯電話料金はあまりにも不透明で、他国と比較すると高すぎる。競争が働いていないと言わざるを得ない」と指摘した。そのうえで「(事業者は)国民の財産である公共の電波を利用している。過度な利益を上げるべきではなく、利益を利用者に還元しながら広めていくものだ」と述べた。
これには、まったく同感だ。私もかねて携帯電話料金は「複雑で分かりにくい」と思っていた。パンフレットを読んでもよく理解できず、少し時間が経つと、料金や割引システム自体が変わっていたりする。「消費者に優しい」とは、とても言えない。
つい最近も「とっくに解約した」と思っていた契約が、実は解約できていなくて、消費者センターに相談したくらいである。これについては、後で触れよう。
総務省は23日に開いた情報通信審議会(総務相の諮問機関)に携帯電話料金の引き下げについて諮問した。今後、有識者による検討会議を立ち上げる予定だ。この際、ぜひ料金引き下げを実現する方向で議論してほしい。
いきなり結論を書いてしまったが、携帯電話料金については、これまでも政府内で議論されてきた。2015年9月には、安倍晋三首相が経済財政諮問会議で「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題。その方策についてしっかり検討を進めてもらいたい」と総務相に指示した(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0911/gijiyoushi.pdf)。
その後、昨年9月に電気通信事業法施行規則が一部改正され、同12月には総務省が有識者を集めて「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」を立ち上げた(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/mobile_market/index.html)。結論はことし4月、報告書にまとめられている(http://www.soumu.go.jp/main_content/000548405.pdf)。
今回の官房長官発言は元を辿れば、3年前の総理指示に行き着くのだから「とりあえず検討する」といった程度の話ではない。遅すぎたくらい、と言ってもいい。安倍政権として、あらためて料金引き下げに意欲を示した形である。
さて、日本の携帯料金は高すぎるのだろうか。
総務省は毎年「電気通信サービスに係る内外価格差調査」を実施している。最新の2017年7月調査によれば、自社で回線網を設置、運用している事業者(MNO、大手3社)によるスマートフォンの料金(月20GB)は東京が8642円、ニューヨークが7215円、ロンドンが2947円だった(http://www.soumu.go.jp/main_content/000493771.pdf)。
これをみると、大手3社はあきらかに高い。ニューヨークに比べて19%高く、ロンドンに比べると、実に3倍近い料金である。データ容量が月2GBや5GBだと、ニューヨークより安いが、すぐ上限に達してしまって結局、割増料金を払っている消費者も多いはずだ。
自社で回線網を備えず、大手事業者から借り受けたりしている事業者(MVNO、楽天モバイルなど)はどうかと言えば、同じスマートフォンの料金(月20GB)で東京が5726円、ニューヨークが6740円、ロンドンが4126円だった。やはり、東京はロンドンに比べて38%高である。
携帯3社は儲けすぎてはいけない
携帯3社は「儲けすぎてはいけない」
各社の収益がどうなっているかといえば、NTTドコモの18年3月期の営業利益は9732億円、KDDI(auブランド)が9627億円、ソフトバンク(国内通信事業のみ)が6829億円で、3社合わせて2兆6188億円に上った。
3社合わせると、トヨタの連結決算の営業利益2兆3998億円を上回っているのだ。
こう書くと、中には「携帯料金が高くて儲けすぎと言っても、民間企業なのだから、政府が口を出す話ではない」と思われる読者もいるかもしれない。ここは大事なポイントだから、しっかり確認しておこう。
携帯電話会社とトヨタはまったく違う。菅官房長官が言ったように、携帯電話会社は国の免許を受け、国民の共有財産である電波を使って事業をしている。つまり、国民から資源を借りて事業をしているのだから「儲けすぎてはいけない」のである。
言い換えれば、私たち消費者(=国民)が電波資源を携帯会社に貸して、事業をさせてあげているのだから、儲けすぎなら「もっと料金を安くしろ」と注文を付けるのは問題ないどころか、本来、当然の要求なのだ。
原理的に言えば、儲けすぎの携帯電話会社が料金引き下げで利益を消費者に還元しないなら、政府は電波法に基づいて、電波利用料の値上げによって、公的サービスの充実を図ることもできる(http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/fees/)。いわば、強制的に利益を吐き出させるのだ。
同じ原理は、大手3社が回線網を自社で備えていないMVNO事業者に回線を貸すときに徴収する接続料についても、当てはまる。いくら民間企業だからといって、大手3社は勝手に接続料を決めることはできない。
電気通信事業法で、接続料は「能率的な経営の下で適正な原価に適正な利潤」を加えた額を上限とする、と定められている。ここで「適正な利潤」とは、同法に基づく2種接続料規則で
「他人資本費用」+「自己資本費用」+「利益対応税」と規定されている(http://www.soumu.go.jp/main_content/000524105.pdf)。
つまり、大手3社はMVNO事業者に回線を貸すときの接続料も、法令に基づいて適正な料金を設定しなければならないのだ。
解約しづらいのも問題だ
解約しづらいのも問題だ
総務省が設置した先の「モバイル市場の公正競争に関する検討会」は、3社のMVNO事業者に対する接続料が透明、適正に設定されているかどうか、3社のグループMVNO企業を優遇して扱っていないかどうか、などを検討した。
その結論は「(改正した省令、告示の)運用状況等について検証し、必要に応じて見直しを行っていくことが重要」(報告書)となっている。
そのうえで、KDDIとソフトバンクについては、総務省が総合通信基盤局長名で3月、接続料算定に関して「BWA(注・広帯域移動無線アクセスシステム)に係る原価及び需要について適正に反映される方法によることとされたい」という異例の要請をした 
http://www.soumu.go.jp/main_content/000539946.pdf)。
やや分かりにくいが、ようするに、大手はここでも「儲けすぎ」の疑いがある、という話なのだ。接続料は巡り巡って、消費者が支払う携帯電話料金にも反映される。けっして、会社だけの話ではない。
さて、私が遭遇した解約トラブルとはなんだったか。それは5年前に「解約した」と思っていた某社の携帯電話に関わっている。家族が契約した回線を解約した際、一緒に契約していたオプション契約の回線が解約されていなかったのだ。
オプション回線は「親回線の紐付きになっている」という説明だった。だから「親回線を解約すれば、子回線も当然、解約される」とばかり思っていた。ところが最近、料金請求が続いていることに気が付いて、問い合わせたら、ようやく事態が判明した。
同社は「紐付きの子回線であっても、お客様から解約のお話がなければ、こちらからは申し上げません」と回答した。それでは「紐付き」の意味をなさないだろう。親回線の解約時に子回線について、取り扱いを顧客にきちんと確認すべきではないのか。
ちなみに、先の検討会に提出された総務省の資料によれば、2016年から17年にかけて1年間で総務省電気通信消費者相談センターには計107件の相談が寄せられた。そのうち、解約に係る費用と解約手続きに関する相談が40件と一番多かった
http://www.soumu.go.jp/main_content/000524105.pdf)。
ということは、世間では他にもさまざまなトラブルが生じているはずだ。オプション回線契約をしている消費者は十分、注意しないと、私のように余計な料金を負担するはめになりかねない。このあたりも、しっかり是正してほしい。


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/279.html#c7

[国際23] ギリシャ国民の集団大虐殺(マスコミに載らない海外記事) 赤かぶ
14. 2018年8月25日 22:19:35 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1367]
2018年8月25日 / 15:38 / 6時間前更新
アングル:支援卒業のギリシャ、市場動揺で国債発行おあずけか
2 分で読む

[ロンドン 20日 ロイター] - ギリシャは20日に欧州安定メカニズム(ESM)に基づく第3次金融支援を終了し、8年間におよぶ支援を脱却した。しかしトルコ通貨危機で金融市場は動揺しており、早ければ9月にも指標となる10年物国債を発行して財政的な自立を明確にするとの期待は打ち砕かれそうだ。

ギリシャは5月にイタリアの政局混乱を巡る市場の緊迫で起債計画の棚上げを余儀なくされたが、足元ではトルコ通貨危機で世界的にリスク回避のムードが高まり、国債の発行コストが再び極めて高い水準となっている。

ギリシャのプライマリーディーラー3社のうち1社の関係者は、ギリシャが10年物国債を発行するならば、投資家を引きつけるために提示しなければならない利回りは4.5%を大幅に上回り、5%に達する可能性もあるとの見方を示した。

プライマリーディーラーの1人は「今のところ起債があるとは思えない。トルコ情勢が沈静化し、イタリアの政情がもう少し落ち着く必要がある今なら莫大な新規発行プレミアムを支払わなければならない。ギリシャはすぐに起債する必要に迫られておらず、様子を見る」と予想した。

他のプライマリーディーラー関係者2人も同意見で、このうち1人はギリシャの国債発行当局は「分別」があり、慌てて起債に動きそうにないと話す。

現在指標となっているギリシャの10年物国債(2028年1月償還)の利回りは7月には3.81%だったが、最近は4.33%で取引されている。

ギリシャは公式には10年物国債の発行計画を発表していない。

DZバンクの金利ストラテジストによると、ギリシャは先にユーロ圏各国と最後の支援として150億ユーロの融資を受けることで合意しており、当面は国債発行による追加の資金調達に頼らないで済む。新たに国債を発行しなくても、2018年と19年の財政収支が計131億ユーロの黒字になる見通しだという。

3人のプライマリーディーラー関係者は、ギリシャの10年物国債の新発プレミアムについて、25─40ベーシスポイント(bp)が必要とみている。

ギリシャ国債の利回り曲線から想定される「2028年9月償還債」の利回りは4.40─4.45%前後。これに新発プレミアムを乗せると発行利回りは5%近くになる計算だ。

2人目のプライマリーディーラー関係者は「ESMからもっとはるかに低いコストで資金が調達できるのに、こんな水準で起債して筋が通るだろうか。市場にアクセスできると示したいのは分かるが、ギリシャ当局は相応の良識も備えている」と述べた。

ユーロ圏の支援基金であるESMと欧州金融安定基金(EFSF)の貸し出し金利はそれぞれ0.99%と1.44%。ギリシャのユーロ圏からの借り入れはこの2つの基金が大部分を占める。

(Abhinav Ramnarayan記者、Virginia Furness記者)
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/718.html#c14

[国際23] 国連事務次長だったフェルトマンが国連機関にシリア復興協力禁止の秘密指令(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
2. 2018年8月25日 22:39:12 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1368]
アナン元国連事務総長死去「板挟みの中でつねに探ったギリギリの妥協点」

2018/08/24

花田吉隆 (元防衛大学校教授)

18日、コフィー・アナン元国連事務総長が死去した。享年80歳。初のアフリカ出身事務総長(前任のガリ事務総長は中東、エジプト出身)。たたき上げで事務総長まで上り詰めた人。2001年ノーベル平和賞受賞者。アナン氏は輝かしい経歴と数々の業績を残しこの世を去った。出身のガーナでは「国民の英雄」とされ、一時は、大統領に、との呼び声も高かった。しかしその足跡は、国連の苦悩を表すもの以外の何物でもない。


8月18日に死去したコフィー・アナン元国連事務総長(写真:ロイター/アフロ)
「世俗世界のローマ法王」と評されたアナン氏
 アナン氏は、1938年、当時、黄金海岸と言われた今のガーナのクマシ村で生まれた。名前のコフィーは、現地のアカン語で金曜日を意味する。生まれた4月8日が金曜だった。家庭には恵まれた。祖父と叔父は部族の長、家系はガーナの貴族である。コフィーは両親の愛を一身に受け順調に成長していく。1958年、ガーナの大学に進んだが、それは一部の者にしか認められない「特権」だった。続いて米国、スイスに留学、MITではMBAをとった。これ以上の恵まれた環境はない。このあたりは、途上国で名を成す人物に共通する。結局、学業の機会に恵まれることこそが途上国出身者の将来を切り開いていく。

 学業を終えたアナン氏は、1962年、WHOにポストを見つける。以来1974年から1976年までのガーナ観光会社での勤務を除き、アナン氏は国連を足場に活躍していく。

 アナン氏は物静かな人である。感情を表に出すことなく、常に自らの思い、主張を見事なまでにコントロールする。人はアナン氏を評し「世俗世界のローマ法王」という。人間が持つ、生の欲望はアナン氏には無縁である。「優秀な外交官」とはアナン氏を評するときに常に言われることだが、確かに、その、スマートでそつない言動は、洗練された外交官の極みを思わせる。アナン氏がまとうスーツは体にぴったりフィットし、その端正な顔立ちともあいまってアナン氏の姿は気品すら漂わせた。アナン氏に会うと、人は強い印象を受けずにいられない。

 この、そつなさこそが、良くも悪くも、アナン氏の40年以上にわたる国連活動に刻印されている。

冷戦の終結による「国連の台頭」
 そういう国連でアナン氏は頭角を現していく。やがて国連幹部に登用。そのかじ取りを一身に担う場に躍り出る。時、あたかも冷戦が終了、新たな秩序の模索の中で世界中が揺れ動いた時だった。その激動の波に、国連もまた一葉の落ち葉の如くのみこまれていく。

 アナン氏の生涯で際立った輝きを放つのは、事務次長及び事務総長として活躍した1993年から2007年である。中でもブトロス・ブトロス=ガリ事務総長の下、PKO担当事務次長として過ごした93年から97年は国連が冷戦後の激動に翻弄された時だった。

 当時、世界は冷戦終了に沸き立っていた。恐怖の均衡がようやく終わった。力と力が対峙する世界に代わり、今度は国連が舵取りする番だ。冷戦期間中、安保理は有名無実だった。五大国に拒否権がある以上、安保理の麻痺は避けられない。しかし、それも終わった。ようやく、国連が活躍する機会を与えられる。

 高揚感に酔う中、当時のガリ事務総長は、野心的な改革を打ち出していく。中でも画期的だったのが、国連に強制力を与える提案である。

国連に圧し掛かる「超大国の圧力」
 世界には世界政府と呼べるものがない。だから、国連がいくら良い提案をしてもそれを強制することができない。この「強制力」の問題は国連が持つ宿命的な限界である。代わって登場するのが各国の主権、就中、超大国たる米国の意思である。

 つまり、国連は、自らが掲げる理想と米国が持つ力との間で絶えず板挟みにあう。しかも、実際は米国の力の方が圧倒的に強い。米国の軍事力と拠出金なしに国連ができることは何もない。国連が追及する理想は降ろしたくない。しかし、現実の力とカネを無視して国連の存在はない。如何に両者の間にギリギリの妥協を探るか。事務総長がこなさなければならないのは、単線思考では如何ともしがたい難題である。

 国連に与えられた武器はただ一つ、国際世論だ。これとてバカにはできない。何と言っても数がある。多くの国が一つの声でまとまれば如何に超大国といえども簡単には無視できない。しかし世論は世論、出来ることには限りがある。超大国からはひっきりなしに圧力がかかる。板挟みの事務総長は身も細る思いである。

 ガリ事務総長はそういう中で国連のPKOに強制力を与える提案をした。

 新たな装いをこらしたPKOがアフリカに送りこまれた。しかし、そこで待っていたのは無残な敗北だった。1993年のソマリアでは、PKOとして活躍中の米兵がソマリア兵に捕まり惨殺、市中を引き回され世界中に衝撃を与えた。1994年のルワンダではPKOが住民の大量虐殺を前に手をこまねいていたとして世界から非難を浴びる。そして、1995年、ボスニアのスレブレニツァの虐殺でもPKOはなす術もなかった。

 結局、PKOに強制力を与える試みは失敗。1995年、ガリ事務総長は「PKOに強制力を与えるべきではない」と立場を後退させざるを得なかった。そのガリ氏の下でPKOの実際の指揮にあたったのがアナン氏である。非難は当然アナン氏にも向けられた。後年、アナン氏はルワンダの悲劇を振り返り「別の選択があっただろうか。確かにあったかもしれない。少なくともやってみるべき価値はあったかもしれない」と言っている。

自らを選んだ米国に正面から楯突いたアナン氏
 1997年、ガリ事務総長の任期満了に際し米国はその再任を拒否した。ガリは野心的すぎる、米国の言うことを聞かない。代わってアナン次長が事務総長に就任する。アナンは物静かで分をわきまえている。アナン氏のそつない言動が、米国がアナン氏を受け入れた一因とされた。

 しかし1997年の事務総長就任後、アナン氏は「ただ黙って言うことを聞くだけ」の事務総長にはならなかった。

 事務総長は国連と超大国の板挟みの中で、ギリギリの妥協点を探っていかなければならない。「ただ諾々と超大国の言うことを聞くだけ」との選択は、はなからなかった。しかし、超大国の意向を全く無視して事務総長が務まるわけもない。事務総長としてのアナン氏は、感情を表に出さず、常にスマートな言動を繰り返しつつも、板挟みの中で人知れず苦悩の日々を送っていたに違いない。

 特に、2001年の9.11後、米国はとみに単独主義的傾向を強めていく。2003年、米国が新たな安保理決議を得ることなく一方的に始めたイラク戦争に対し、アナン事務総長は「イラク戦争は違法」と強く抗議した。かくて2002年からのアナン事務総長第二期目、国連と米国との関係は緊張を孕まないではいられない。事務総長の側近は、いつアナン氏が辞任すると言い出すか、心配が絶えなかったという。

現実を知るからこそ、理想に近づくことができる
 アナン氏の第二期目、世界は冷戦終了後のユーフォリアから覚め、改めて米国の力の大きさを認識した。しかし、現実を認識することは理想を放棄することではない。むしろ現実の認識の中でこそ、理想に向けたしっかりとした足取りを踏み出すことができる。事務次長の時に手痛い失敗を被ったアナン氏は、そのことを改めて感じたに違いない。アナン氏の下の国連にはそういう確かな足取りが見てとれる。

 激動の中に翻弄された国連、その中にあって、物静かに洗練された立ち振る舞いで国連を率いたアナン氏。激動の国連の舵取りをするには向かなかったという人もいる。アナンは人を信じやすい、独裁者の表の顔だけでなく裏の残忍さも見なければならないのに、「世俗の法王」は表の顔だけ見て騙される、激動の国連には豪腕の事務総長こそがふさわしい。

 しかし、事務総長が国連の理想と超大国の力との板挟みの中にあることは忘れてはなるまい。目立った言動や立ち振る舞いは、一見、華やかで世間受けしやすく、国連の存在を世間に印象付けるかもしれない。しかし、「板挟み」の事務総長が腕力にものをいわせ、理想と現実の中で理想の方に大きく舵を切ったらどうなるか。アナン氏はそういう中で国連を沈没させることなく、粘り強く妥協点を探っていった。「スマートな」舵さばきは、はたから見れば物足りないかもしれない。しかし、「板挟み」の国連にそれ以外のどういう選択肢があっただろう。
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/711.html#c2

[国際23] 兆候あらわ トランプ政権は中国との対決姿勢に舵を切った 日本外交と政治の正体(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
6. 2018年8月25日 22:53:43 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1369]
チャイナ・ウォッチャーの視点

米中貿易戦争に困惑する中国のビジネスマンたちの本音

2018/08/24

高田勝巳 (株式会社アクアビジネスコンサルティング代表)

 最近国際的に活躍する中国の民間企業のオーナー、経営者たちと米中貿易戦争について意見交換する機会があり面白い話を聞けたので読者の皆様とシェアしたい。

 私自身ここ数年中国から米国向けの機械設備の輸出関わっており、米国の代理店と販売体制について合意した途端に米中の貿易戦争にぶつかってしまい、そのビジネス自体が頓挫しているので、まさに他人事ではない問題である。


(Nerthuz/GettyImages)
 さて、中国の企業家たちはどのように認識し、とらえているのか、まず、話を聞いたのはいつも意見交換をするゴルフ仲間のエコノミストのA氏。最近彼多忙で世界を飛び回っており、なかなか一緒にゴルフできないので、私の上海の自宅に招待して、私の手料理と白ワインで一杯やりながら話を聞いた。

 彼はもともと自由貿易論者で中国の国営セクターと太子党周辺の権益を民間の開放することが中国の真の発展につながると主張しているので、本件についても彼の主張につながる話になった。

まず、今回の中米貿易戦争は、別に習近平になったから起こったというものではない。中国も西側色並みに市場を開放するという前提で、WTOに加盟して、中国が外国において同等の待遇を享受しているのに、中国は、相変わらず、西側色並みに外資に対してオープンでないし、国営、公共セクターの入札で実質外資を排除するなど、アンバランスな状況が続いていた。
また、中国は政府が市場を規制する側でもあり、同時にプレイヤーでもあるので、外国企業にとっては、まともに競争しても勝ち目はないという不満もあったのではないか。
本来、WTOの加盟国がもっと中国に文句を言うべきであったが、日本とEUは中国に文句を言う力はないのではないか。だとすると、猫に鈴をつけるのは、米国しかないということであろう。
では、なぜクリントン、オバマは言わなかったのか、それはプロの政治家だからではないか。世の中の不合理、不公平に慣れているどれほど敏感ではない。それに対し、トランプは、人気取りといえばそれまでだが、そもそも彼は根っからのビジネスマンだから、とにかく、自分がアンフェアな立場でディールすることが許せない、そのような背景があるように感じている。
中国は、最初、これまでにように米国から大口の買い物をしてバランスを改善すればなんとかなると高を括っていた感があるが、それは、先に述べた、米国の本源的な不満の解決にはならない。
人民元安誘導も限りがある、25%の関税というのは絶妙な比率で、10%の関税であれば、人民元を15〜20%安くすれば相殺できるが、25%の関税だと40〜50%の人民元安が必要となる。輸入インフレを考えればそれはとてもできることではない。
そうなると中国は、米国に対して政治的ディールで米国と妥協するか、国内市場を解放するしかない。国内市場を解放すれば外資にもメリットはあるが、最終的に最大の受益者は中国の民間企業と消費者であると考えるので、中国の成長エンジンになる。
中国市場の開放には、国営セクターと太子党周辺の権益の再調整が必要となり、習近平のリーダーとしての資質が最大限に発揮されることを期待している。最近、香港メディアなどで、習近平が経済的な失策で立場が微妙になっているとの言論があるが、彼以外に既得権益集団を調整し、この難題を解決できるリーダーは今のところ中国に見当たらない。
今回の貿易戦争で、中国からの輸出が減って困るのは米国ではないかという私の問いに対しては、気の利いた先は、すでに第三国経由で米国に輸出していて急場をしのいでいる。時間の問題で、そうした先は東南アジアなどに生産を移転するはずなので、結果、米国は何も困らないはずと。
日本はなぜプラザ合意をしたのか?
 次に、上場企業を複数所有するスーパーリッチのBさんと彼が所有する会所(企業の迎賓館みたい施設で商談、会食ができる施設)での商談の合間の休憩の時に話をした。彼は、歴史の研究が趣味で大の日本贔屓。ビジネスマンだけれども世界の歴史、政治経済をよく研究していて、中国の将来の方向性についても問題意識を持っている。初めて会った時は、いきなり、あの時の近衛内閣はなぜ、北進(対ソ連)を捨てて南進(対米国)に走ったのかという質問をされた。 

 北進していれば世界の歴史も日本の運命も違った展開になったであろうとのこと。私が、コミンテルンの色々な工作もあったのではないですかと返答すると、我が意を得たり、という感じで、盧溝橋事件を含めコミンテルンが日中関係にどのような影響を及ぼしたかという話を始める始末。

 私は、ここまで突っ込んで歴史の背景を語る中国人初めて出会って驚いた。コミンテルンが日中関係にどのような影響を及ぼしたなんて、現在の中国共産党は表向きには話さないことで、彼によるとそこまで知っているのも中国共産党の中でもほんの一部の人だけだとのことであった(ここで、本題と関係のない歴史の話をここで紹介するは、中国でも一流のビジネスマンは真剣に歴史を勉強し、貿易問題をも含めた先行き不透明な現代社会の将来を考えているということを、日本の読者にも知ってもらいたいからである)。

 余談が長くなってしまったが、そのAさんが、今回言い出した質問は、なぜ、日本はプラザ合意をしたのか、その辺の背景、経緯を教えてもらいたいとのこと。現在の米中貿易戦争の米国の交渉相手が、日本のプラザ合意の時の米国側の担当者とのことで、日本の経験から何かヒントを得たいようであった。

 私は、自分の認識をなるべく簡潔に分かりやすい言葉で説明した。要するに、戦後米国は、日本を発展させて共産主義国家に対する楔(くさび)にしようと日本を支援してきたが、その結果、日本が経済的に膨張しすぎたので、この辺で頭を押さえておいて、自分にももっと分け前をよこせというだけのこと。日本の立場から言えば、同意するもしないも受け入れるしかなかったはず。今回の米中貿易戦争の背景もある意味それと同じではないか。

 A氏によると、確かに中国はこれまで、プラザ合意後の円高の中での日本産業の海外シフトなどをうまく活用し、サプライチェインの一部を中国移転させることに成功し、米国に輸出し大いに稼がせてもらった。また、9.11以降中東に目を向ける間に、中国はじっくり国力増強に力を入れてきた部分はあると。

 そして、私からは以下の通り指摘した。

これまで米国は中国に対して政治的な背景もあり多めに見てきたら、中国が儲けすぎてしまって、このままで米国の覇権を脅かすほどになったということ。ここで頭を押さえておかないと大変なことになるのではないかという懸念だが、別にこれは今に始まった話ではない。
中国は、共産党一党独裁の国で、選挙により政権の正当性が保障された民主国家ではないから、そのうち民衆の不満がたまって破綻するのではないかと期待していたら、いつになって破綻しない、破綻しないどころか、中国人はますます豊かになっている。政治家は米国や日本のようにポピュリズムの悪弊を心配することなく、政策を執行できる。国の権益に守らたれた巨大企業が、米国の企業と不動産をどんどん買収してゆく。一方、中国の国内市場は国にしっかり守られているからおししいところはなかなか食べさせてくれないのに、入場料として知財の提供を求められる。中国と喧嘩しても後出しじゃん拳みたいで負けるばかり。アンフェアだ、中国は米国の知財を掠め取っているということになっている。
そうした懸念は今に始まった話ではなく、トランプはそこをディールのチャンスと見たわけでは。ただ、中国は日本と違って、米軍が自国に駐留していることもないし、核爆弾を保有している常任理事国として、より独立独歩だから、日本よりは交渉の余地があるのでは?
 Bさん、ニヤニヤしながら聞いていたが、私の指摘に対して概ね反論しなかった。ただ、中国はもっと謙虚な姿勢で行ったほうがいいし、野望があっても、それはあまり表に出さないほうがいいということを言っていた。先行きについて色々尋ねてみたのであるが、それ以上の歯切れのいい、話は出なかった。どうも彼らとしても、どこを落とし所にするのか、探しあぐねている感じがした。

トランプの土俵で戦うべきではない
 次に民営の機械メーカーのオーナーで世界各国に工場を持つC氏と上海のクラフトビールのお店でビールを飲みながら話をした。彼は、大学時代に共産党員になったエリートで、政治の世界に残っていたら、相当偉くなっていたはずと周りの人は言っている(彼は逆に失脚して牢屋に入っていたかもしれないと自虐的に笑っている)。

 彼の会社は、年商100億円程度で、毎年10億円程度は米国に輸出している模様。米国からの引き合い増えている中での貿易戦争、彼も第三国経由の輸出を考えているなど、困っているようであったが、中国、EU、日本の商売も順調だそうなので、それほど切羽詰まった感じでなかった。ただ、今の中国を指して、共産党の歴史をよく勉強しているが共産党員は多いが、経済がわかっている人が少なすぎる。

 このままだと中国で膨大な数の輸出関連企業が倒産することになると心配していた。私から、中国国内市場を解放すればいいのではとの問いに対しては、工業分野では外資、内資の差はそれほどないとの認識で、自動車も外資100%が可能になるとの回答。私から、それでもサービス産業や一部の工業分野ではまだまだではないかとの指摘に対しては、否定はしなかった。

 もう一人、そこに同席していた日系の電子部品メーカーの総経理のD氏。バナナの叩き売りでないのだから、中国は、下手に妥協するべきではない。中国からの輸入製品が高くなれば米国だってそのうち我慢できなくなる部分もあるはず。トランプの土俵で戦うべきでないとの意見。

 それに対して、私から、以下の通り問いかけた。どこまで米国に妥協すれば米国が納得するか、そのように考えてもキリがないのではないか。それよりも、問題は、米国が中国との競争はアンフェアで割負けすると思っているということなのだから、まず、中国側から見てもWTOのルールに則って市場の開放が不十分な部分を開放し、知的財産権についてのよりフェアな制度、運用を浸透させて行けば、自ずと落とし所も見つかるのではないか。

 市場の開放は、中国の民営資本の発展にもつながる。外資もメリット受けるが、中国の内資は資金力や経営ノウハウでも十分外資と渡り合って行けるのではないか。

 彼の回答は、高田の言うことは道理としてはわかるが、なかなか難しいところであると。市場の開放は、国有資本の権益の開放でもあり、そうすると中国の民営資本にとっては有利で、中国経済そのものの成長要因になるのであるが、実は、政府はそれを恐れている。国有資本が権益を失って、それが民間資本の発展につながるとすると、政府としては、経済に対する支配力を失うと考える。だから、道理としてはわかるけど、なかなか怖くて権益を下方できないのが実態と。だとすると、中国のリーダーである習近平が今なすべきことは、国有権益と民間経済のバランスをどこまで妥協して米国を納得させるかという、内政面での調整ということのようだ。

 最後に、週末に、中国に長く駐在し中国情勢に詳しい日系機械メーカーの日本人駐在員の友人とゴルフに行く車の中で米中貿易戦争の話になったので紹介したい。

 まずは、彼のビジネス、中国の輸出産業向けの設備、部品の販売が、ここ3カ月で明らかの弱気に変化しているとのこと。その中で、トランプがどの辺を落とし所として想定しているか、今後の先行きが話題になったのだが、概ね以下のような結論で落ち着いた。

 すなわち、おそらく、トランプのやり方としてトランプ自身、落とし所が想定できているわけではなく、まず、蜂の巣を突っついて大騒ぎにさせておいて、その中で、自分に有利な落とし所を探して行くのではないかということである。

 実は、このようなネゴの手法、中国の政治家や、ビジネスマンも時として取るやり方だ。だから、現在の中国政府は引き続き強気の発言、対処を続けながら、必死に落とし所を探しているのではないか。ギリギリまでガチンコの姿勢を示しながら。それは、11月の米国の中間選挙まで続くのか、その後も継続するのか、米中両超大国の我慢比べはどこまで続くのか注視したい。
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/725.html#c6

[経世済民128] 中国は5年以内に"隠れ不良債権"で壊れる バブル崩壊が起きる可能性は40%(PRESIDENT Online) 赤かぶ
12. 2018年8月25日 23:01:20 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1370]

2018年8月25日 / 15:43 / 6時間前更新

コラム:金融健全化進める中国、「おなじみの政策」復活か

Christopher Beddor

2 分で読む

[香港 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国当局は、利益相反の疑いで大手格付け会社「大公国際資信評価」に異例の厳しい処分を実施した。しかし政府は現在、景気テコ入れを目指し銀行にインフラ支援を呼びかけてもいる。

貸し出しの増加とリスキーな慣行の取り締まりを両立させるのは難しい。今回の処分は政府のジレンマを浮き彫りにした。

中国証券監督管理委員会は17日、大公国際資信評価に対して1年間の新規業務停止を命じた。同社が高額なコンサルティング・サービスを提供した企業に格付けも付与し、利益相反の恐れがあるというのが理由だ。

中国では格付け会社と企業の癒着がリスク評価を歪ませており、不正一掃は確かに長年の課題だった。データ会社ウィンドによると、中国の既発債券の60%(金額ベース)は「トリプルA」格付けの発行体のもので、これは驚くべき数字だ。

当局は現在、金融システムの健全化に幅広く取り組んでいる。昨年は債務拡大の抑制に熱を入れ、リスクの高い簿外借り入れを減らす措置に乗り出した。これが実を結び、ムーディーズによるとシャドーバンキング(影の銀行)の資産は6月末時点で国内総生産(GDP)比約73%と、ピークだった2016年末の87%から縮小した。

しかしこうした取り組みが今、最大の試練に直面している。第2・四半期の中国の成長率は6.7%と、前期の6.8%から減速。6.5%前後という政府目標は余裕で上回っているが、当局者らは神経を尖らせ始めている。

国務院(内閣に相当)は先月、「より積極的な」財政政策を呼び掛けた。以来、省庁が発表する経済見通しは財政・金融政策の緩和を織り込んで微修正されている。中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)は前週末、金融機関にインフラ向け融資を拡大するよう要請した。

これら一連の動きは、中国政府が古い政策を引っ張り出しつつあることを示している。借金を原資としたインフラ投資による経済テコ入れだ。まだ2016年の再現までには至っていない様子で、政府は公にはデレバレッジ(債務縮小)の継続を呼びかけているし、高官らの姿勢は慎重だ。

しかしここ数週間の様子を見る限り、景気が一段と減速すれば抑制的な姿勢も緩みかねない。政府指導部と大公国際資信評価が承知している通り、信用拡大という土台はぐらつきやすく、長期的な成長には向かないとしてもだ。

●背景となるニュース

・中国証券監督管理委員会は17日、大手格付け会社「大公国際資信評価」に対して1年間の新規業務停止を命じた。格付けを付与していた企業にコンサルタント業務も提供していたと批判している。

・中国銀行保険監督管理委員会(CBIRC)は18日、金融機関に対し、インフラ向けの融資を拡大し、輸出入業者へのサービスを改善するよう通告した。1カ月足らず前には、国務院が「より積極的な」財政政策を呼び掛けていた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/276.html#c12

[経世済民128] 米国債、外国人に買い疲れ気配で利回り高騰リスク(ロイター) 赤かぶ
4. 2018年8月25日 23:03:50 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1371]
2018年8月25日 / 09:58 / 5時間前更新
コラム:米国経済と株式相場の新たな「支え役」
Tom Buerkle
2 分で読む

[ニューヨーク 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 企業の設備投資が、米国の経済と長期間続く株式の強気相場を支える新たな要素となりつつある。

各企業は、昨年の大型減税で浮いた資金の多くを新しい工場や設備の建設、ないしソフトウエア購入に振り向けている。これが好ましい流れをもたらし、同時に貿易摩擦などの逆風に対する「保険」の役割を果たしているのだ。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、S&P総合500種企業が第2・四半期に発表した設備投資額は前年同期比で24%増と、2001年以降で最大の伸びになった。より包括的な政府統計からも同様の傾向が読み取れる。第1・四半期の設備投資は前期比11.5%増、第2・四半期も7.3%増だった。

投資はこれまで圧倒的にソフトウエアや知的財産が対象だったが、今はそれだけでなく有形資産向けも増えている。今年第1・四半期と第2・四半期の構造物投資はいずれも13%強増え、設備関連への投資は昨年初め以降10%近くの伸びが続く。

USスチール(X.N)は、工場施設の全面的な改善やフラットロール製品の生産能力を2020年までに10%増強するため、設備投資を25%増やして15億ドルとしている。

エコノミストの見方では、設備投資は企業の生産能力を高め、在庫投資や個人消費よりも経済押し上げ効果が持続するので好ましい。

またこうした投資は、企業経営者の先行きに対する自信の表れでもある。需要がピークを超えようというときに、経営者は生産を増やしたいとは考えないものだ。

投資のタイミングも大助かりだ。S&P総合500種の強気相場は22日で過去最長に達する一方、モーニングスターの集計では今年上半期に米株式ミューチュアル・ファンドから210億ドル近くが流出した。

さらに設備投資は、政治リスクに対する防盾にもなってくれる。トランプ米大統領が相次いで輸入関税を導入して世界的な貿易戦争の脅威が高まり、減税によって米国の貿易赤字が膨らんでいるからだ。トランプ氏は米連邦準備理事会(FRB)さえも政治に巻き込もうとしており、20日にはロイターのインタビューで自分をもっと「支援」するべきだと言い放った。

設備投資自体がこうしたリスクを取り除いてくれるわけではないが、少なくとも米企業がリスクは対処可能だと考えていることが分かる。実際投資が持続的な効果を有するなら、恐らくリスクをうまく乗り切っていけるだろう。

●背景となるニュース

・バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、S&P総合500種構成企業が第2・四半期に発表した設備投資額は前年同期比24%増加した。

・S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのデータに基づくと、2009年3月に始まったS&P総合500種の上昇は、今月22日で過去最長に達し、1990年代の強気相場の記録を塗り替えることになる。

現在の米国の景気拡大は8月で110カ月目で、来年7月まで続けばやはり過去最長を更新する。

United States Steel Corp
30.95
X.NNEW YORK STOCK EXCHANGE
+0.36(+1.18%)
X.N
X.N
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56749?page=4
米中貿易戦争激化で、日本人の年金とあの大企業に「身震いする影響」
影響はこんなところにまで…
週刊現代講談社

もう、逃げようがない
魔の10時半……。

このところ、東京証券取引所では、こんな言葉が交わされるようになっている。上海証券取引所が開く日本時間の午前10時半に、隣国の株価暴落を受けて、どんな影響が襲ってくるか知れなくなってきたからだ。

それというのも7月6日、米トランプ政権が、中国に対する貿易戦争を「宣戦布告」したからである。

アメリカはこの日から、340億ドル分の中国製品に対して、一律25%の追加関税をかけた。中国も直ちに「反撃宣言」し、同日から同様に、340億ドル分のアメリカ製品に対して、一律25%の追加関税をかけた。

するとアメリカは、新たに2000億ドル分の中国製品に対して、一律10%の追加関税をかけると発表。

家具、カーペット、自転車、スキー板、トイレットペーパー、ハンドバッグ、ペットフード……。計6031品目にわたる中国製品に、ほとんど見境なく関税をかけるというのだ。

これに対し、中国は対応に苦慮している。昨年のアメリカからの輸入額は、1539億ドルしかないため、同様の対抗措置は取れない。同月に中国商務部が長文の「抗議声明」を発表したものの、アメリカを攻めあぐんでいる。

それにしても、2000億ドルと言えば、邦貨にして約22兆円だ。こんなケタ違いの額の関税が、1ヵ国に対して課せられるのは、前代未聞である。

仮に、中国もすべてのアメリカ製品を追加制裁の対象にした場合、制裁額は両国合わせて、約47兆円!

リーマン・ショックから10年を経て、ようやく復調してきた世界経済が、再び嵐に見舞われるリスクが、一気に高まってくる。

そうなると、もちろん日本も対岸の火事ではいられない。日本企業の海外展開研究を専門とするシグマ・キャピタルの田代秀敏チーフ・エコノミストは、「多くの日本企業が、壊滅的な打撃を被ることになる」と警告する。

「日本企業が前世紀から、さまざまな風雪に耐えて来られたのは、主要な工程を日本で行い、それ以外の工程は中国などで行うという国際分業体制を敷いていたからです。つまり中国に問題があれば、タイやベトナムなどに移せばよかったわけです。

ところが現在では、原材料や部品の調達から、製品の製造、在庫管理、販売、配送までのサプライチェーンが、網の目のように日本、中国、台湾、韓国などを覆っています。

そのため、ひとたびアメリカが中国に貿易戦争を仕掛ければ、それは東アジア全域に対する宣戦布告に等しい。多くの日本企業も逃げようがなく、甚大な被害が出ることを覚悟しなければなりません」

中国人の不気味な「予言」

中国で「金融恐慌」が起こる…
世界ナンバー1とナンバー2の経済大国によるガチンコ対決は、中国のほうが相対的に不利だというのが、世界の金融界の共通認識になりつつある。

中国は、いくらナンバー2とはいえ、現在の経済規模は、アメリカの3分の2弱に過ぎず、金融システムや株式市場なども、まだまだ脆弱だからだ。

実際、中国国内でも、金融の専門家たちが、次々に警鐘を鳴らし始めた。

中国を代表する金融学者の陳志武エール大学終身教授は、米中貿易戦争が勃発した当日に、中国の大手インターネット・メディア『網易』のインタビューに答えて、次のように述べた。

「今回の貿易戦争による被害は、中国のほうがアメリカよりもはるかに大きい。そしてトランプ政権は、自国の被害よりも中国の被害が大きいと判断する限り、貿易戦争を継続させるだろう。

つまり貿易戦争は、すぐに解決することはなく、長期的に中国経済を痛めつけると見るべきだ」

このインタビューは中国当局によって、直ちにネット上から削除された。

さらに6月25日、中国政府内部で『金融恐慌の出現を警告する』と題した経済論文が回覧された。「いまや中国に、かなり高い確率で金融恐慌が出現するだろう」と断言したものだ。

論文の筆者は、中国国務院(中央官庁)傘下の中国社会科学院内にあるシンクタンク、国家金融発展実験室の李揚理事長以下、4人の研究グループである。彼らは、いわば習近平政権内部から、いたたまれなくなって声を上げたのだ。

Photo by GettyImages
具体的には、次のように警告している。

〈中国国内で債務の不履行、ボラティリティ(流動性)の緊張、為替の下降や株価の下落などが止まらない。これに加えて、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ、そして今回のアメリカとの貿易摩擦の長期化が決定的な要因となり、いまや中国に、金融恐慌が起こる確率は極めて高い……〉

この論文もまた、中国で直ちに削除されたが、何とも恐ろしい予言である。

思えば、いまから10年前にアメリカでリーマン・ショックが起こった時、その余波は間髪を容れず、日本をも襲った。アメリカ向け輸出は激減し、原油価格の高騰などから物価はハネ上がった。

結局、金融危機の影響から、翌'09年の日本の経済成長率は、マイナス5.42%と、戦後最低を記録したのだった。

あれから10年、今度は米中貿易戦争が引き金となって、中国発の金融恐慌が起こると、中国の「金融のプロ」たちが、警告しているのである。

日本人の年金にも大打撃
ホンダ、ソニー、花王、ユニクロ…
昨年の日本の貿易相手国は、1位が中国で全体の21.7%、2位がアメリカで15.1%である。'07年以降、中国は一貫して日本の最大の貿易相手国であり、中国発の金融危機が日本にもたらす影響は、10年前の比でないことが、容易に推察できる。

前出の田代氏も続ける。

「もしも中国発の金融危機が起こったなら、リーマン・ショックをはるかに上回る衝撃が、世界と日本を襲うでしょう。特に、ゼロ金利を超えてマイナス金利に踏み込んでいる日本は、対処不能に陥ります。

デフォルトを防止するため、医療・年金・介護予算の大幅カットを覚悟しなければならなくなります」

さらに個別に、日本企業への影響を見ていこう。

米中貿易戦争のダメージが大きい日本企業に共通しているのが、中国国内の工場で生産し、アメリカに製品を輸出していることだ。いくら日系企業が作ろうが、それらの製品はアメリカでは、メイド・イン・チャイナの烙印を押されてしまうからだ。

トランプ大統領が目の敵にしている自動車、オートバイや、それらの部品メーカーも、多大な損害を受ける。中国で製造するオートバイをアメリカに輸出しているホンダや、その系列メーカーのケーヒンなどだ。

Photo by GettyImages
また、2年前に台湾メーカー鴻海の傘下に入ったシャープや、アメリカ向けビデオカメラを中国で生産しているソニーなども、制裁の影響をモロに受ける。太平洋セメントのように、中国工場が、アメリカ向け輸出に頼っている企業はなおさらだ。

さらに、制裁の範囲が日用品にまで広がっていけば、花王のような企業はますます影響を受けることになる。

逆に、米中貿易戦争の影響を受けない日本企業も存在する。ポイントは、中国工場からアメリカ向けに輸出していないか、もしくは輸出していても制裁の対象外となっている品目を取り扱っていることである。

哺乳瓶メーカーのピジョンは、米中両国で手広く事業を展開しているが、両国の事業を完全に分散しているため、制裁の嵐から逃れた。

また、今年度上期の決算で、初めて海外売り上げが国内売り上げを上回ったユニクロは、衣料品がアメリカの制裁対象から外れたため、問題ない。

もしも衣料品を制裁対象に含めると、アメリカ人の着る服がなくなると言われるほど、中国に依存しているからだ。

ダメージの大きい会社、ない会社
影響はこんなところにまで!
前出の田代氏の分析をもとに、代表的な日本企業への影響を記したのが、ページ下の表である。
おしまいに、日本国内では、どんなものが値上がりして、どんなものが値下がりするのか。経済ジャーナリストの荻原博子氏が解説する。
「自動車は値上がりし、食料品も大部分は値上がりします。国産牛や国産豚であっても、輸入飼料を使って育てているので、例外ではありません。
ただし、中国への輸出が63%を占めていたアメリカ産大豆がだぶつくため、それらが安価で日本に入ってくる可能性がある。そうなれば、納豆などは値下がりします」
こうした変化は、当然ながら日本企業の株価にも影響を与える。トランプ大統領と習近平主席の争いが日本を直撃する日は、刻一刻と迫っている――。

「週刊現代」2018年8月4日号より


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/281.html#c4

[経世済民128] トランプ大統領が利上げにご不満だとか --- 久保田 博幸  赤かぶ
8. 2018年8月25日 23:05:50 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1372]
トルコショックより大きな危機が、これから世界経済を襲う可能性
重要な局面変化に備えよ

唐鎌 大輔
みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト
プロフィール
シェア59ツイートブックマーク2
変調を示すデータが出現!
お盆休みの金融市場の話題はトルコショックに独占されていたが、依然、年初来からの最大のテーマが貿易戦争である状況が変わっていない。春先以降、「どうせブラフ(はったり)だろう」との観測が支配的であったが、事態は着々と不味い方向に傾斜している。
少なくとも、米国による対中制裁関税はすでに実施のステージに踏み込んでおり、「もはやブラフとは言えない」という認識に切り替えるべき時に来ている。もちろん、市場参加者も貿易戦争の脅威は十分認識していると思われるが、株・為替・金利といった主要な資産市場での織り込みが進んでいるようには見えない。この点、確たる回答は正直なところわからないが、「不透明感が巨大過ぎるゆえに適切な織り込みが進んでいない」というのが筆者の認識である。
だが、経済指標に目をやれば感応度の高いソフトデータから織り込みが始まっている兆候はある。
photo by iStock
経済統計は、データの性質によって「ハードデータ」と「ソフトデータ」に分かれる。ハードデータとは生産量や売上高、価格など実体経済活動の実数を集計したものであり、鉱工業生産や小売売上高、消費者物価指数などが代表的である。
言うまでもなくハードデータこそが実体経済活動を映じており、経済分析上はハードデータの示唆する客観的且つ具体的な情報が頼りになる。しかし、集計・加工に時間を要するため速報性はどうしても劣る。
これに対しソフトデータは調査機関が対象者に実施したアンケートなどに基づいて現状ないし先行きの景況感を示した結果が集計される。ハードデータに比べれば回答者の主観的な判断が混入するが、その分、速報性に優れるというメリットがある。今回の本欄では、変調が見られているソフトデータの近況を紹介してみたい。
拡大局面の終焉
震源地・アメリカの目を覆いたくなる「指標」
景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから市場で最も注目されるソフトデータはPMI(購買担当者景気指数)であり、企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の近況などを尋ね、その結果を指数化し公表するものである。
景気に関し50を上回れば拡大、下回れば縮小を意味する。多くの国・地域について数字が用意されているため、世界経済の現状を素早く把握する手段として広く運用されている。
総合、製造業、サービス業といった区分で公表されるが、とりわけ製造業の購買担当者であれば製品の需要や自社の生産計画、取引先の動向などを見極めた上で仕入れを行うと考えられるため、その動きが景気に対して先行性を持つことで知られている。

上図に示されるように、先進国・新興国の別を問わず、2018年初頭をピークに下落に転じており、2016年1〜3月期をボトムに続いてきた世界経済の拡張局面が転機を迎えている様子が窺える。この間に複数回の利上げやバランスシート縮小に着手できたFRBは外部環境に恵まれていたという側面も忘れてはなるまい。
如何にFRBと言えども、世界経済のモメンタムが下降局面にある最中では7回利上げして、バランスシート縮小にまで至るのは難しかったと考えられる。

ちなみにPMIを国・地域別に見ると(上図)、米国だけは4月まで拡大基調を維持していたが、5月以降は失速感が隠せていない(図中点線四角部分)。
各種減税措置が寄与している分、景気のモメンタムが長続きしたのだろうが、そもそも永続性を期待するようなものではない。
真っ当に考えれば、利上げの累積的な効果が金利感応度の高い消費・投資を減速せしめる局面に入ってきている可能性を留意すべきである。
ちなみに米国に関するソフトデータでは毎月初に公表されるISM景気指数も注目だが、7月分は製造業・非製造業(サービス業)ともに予想比大きく悪化している。これまで米国以外の国・地域で進んでいた企業心理の悪化が震源地である米国にも影響が及び始めたのではないか。
トランプ米政権の下で先鋭化する保護主義が従前の自由貿易ルールを根本的に変える局面に入ったと理解されてくれば、企業は設備や雇用などに係る投資を手控えざるを得なくなるだろう。現在のソフトデータ悪化は将来のハードデータ悪化の「芽」であることを忘れてはならない。
アルゼンチン、中国、韓国…
世界経済の「寿命」を縮める同時多発的「投げ売り」
上述のようなPMIの動きからは「米国だけが好調なので利上げを進める」という構図の難しさを示唆している。
米景気の好調を理由にFRBが利上げを推進すること自体は筋が通っている。だが、その構図はドル建て資産の投資妙味ばかりが相対的に改善する状況をも意味する。その状況が極まっていけば必然的に新興国市場からの資金引き揚げが起きることになる。
それが「○○ショック」と呼ばれるほどの現象になるかどうかへ脇に置くとして、新興国市場からの資金流出それ自体は既定路線とさえ言える。
まずは今年上半期に、そうした米金利上昇の影響を真正面から食らったのがアルゼンチン、トルコ、ブラジル、南アフリカ、メキシコといった主に経常赤字の国々であり、特にアルゼンチンとトルコの下落幅は突出していたことは周知の通りだ(他通貨とはスケールが違い過ぎるため以下図では敢えて除外している)。

米金利が上昇する局面で対外経済部門の脆弱な通貨が手放されるのは歴史的に繰り返されてきたお馴染みのパターンである。
しかし、6月中旬に米国が中国に対する知的財産権侵害を理由に追加関税を課す方針を示して以来、貿易戦争懸念が強まり、新興国市場は上述したような「米金利上昇を理由とする売り局面」に加え、「米通貨・通商政策を理由とする売り局面」にも直面するようになった。後者の局面では中国、韓国、台湾、タイといった経常黒字が大きい国が標的になる。
要するに、「米金利対比での劣後感」と「貿易戦争への警戒感」が同時発生していることで、経常収支の状況にかかわらず新興国通貨が手放されやすい市場環境が醸成されつつある。ちなみに今年に入ってから、複数の新興国の中央銀行が利上げに着手しているが、これは「米金利上昇を理由とする売り局面」への対応策である。理屈としては理解できるが、そのような動きが同時多発的に生じれば、当然、世界経済の寿命を縮める方へ作用することになる。
資金の大逆流が始まった
トルコショックが示す「不都合な真実」
本稿執筆時点ではトルコショックを受けて新興国市場全般が敬遠されるという駄目押しムードが強まっており、新興国通貨が纏うムードは悲惨である。
もちろん、多様な新興国を一括りにすることに危うさはあろうが、現実問題として新興国通貨が手放される時は同時多発的に起きるものである。
世界的にソフトデータが悪化し始めている現状は、「相対的にリスクが高いと思われる市場から資金を引き揚げる」という局面の到来を示唆しているように思われる。その標的として、まずは信用リスクが相対的に高い新興国市場や社債市場が狙われているというのが実情ではないか。
新興国通貨(建ての資産)が冴えず、米国の社債市場ですらクレジットスプレッドがワイド化しているのは周知の通りである(以下図)。

昨年6月、デフォルト常連国のアルゼンチンが100年国債(投資不適格のシングルB格付け)で起債し、計画の3倍以上もの需要(30億ドル弱に対して90億ドル超)を集めたことが話題になったが、このようなことがまかり通ったのは「カネが余っていたから」以外の何物でもあるまい。
過去数年(特に2017年)で新興国へ流入した資金の規模は非常に大きく、FRBの政策運営が引き締めに傾斜する現状で逆流が発生するのはごく自然な話と言える。8月に入ってから金融市場を揺るがしているトルコショックもその一例だろう。ソフトデータの悪化が示唆する重要な局面変化の兆候は軽視できない。


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/272.html#c8

[自然災害22] 世界各地で異常な猛暑=米で気温52度、北極圏でも30度超え−国連機関 ピノキ
6. 2018年8月25日 23:07:23 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1373]
WEDGE REPORT
「ゾド」に生活を追われるモンゴルの遊牧民 温暖化&世界最悪級の大気汚染
2018/08/25
竹田有里 (環境ジャーナリスト)
 モンゴルが世界最悪級の大気汚染に見舞われているのをご存知だろうか?首都ウランバートルの大気汚染は、中国・北京の5倍といわれるほど深刻である。モンゴルといえば、青々と生い茂った草原と大地を馬とともに駆け回る遊牧民の姿を思い描く人が大半だろう。なぜモンゴルで大気汚染なのか?筆者はフジテレビ地上波で放送されたドキュメンタリー番組「環境クライシス」のディレクター兼ナビゲーターとして氷点下40度にもなる冬の凍てつく大地へ降り立った。
 中央アジアの山岳地帯、標高4300mのアルタイ山脈を超えると、見渡す限りの広大な草原地帯が広がっている。「人は馬の上で育つ」と言われるこの国は太古の昔から遊牧民の国だった。しかし、1990年の民主化以降、首都ウランバートルへの流入が激増し、国の人口約318万人のうちウランバートルの人口は146万人と半数を占めている。ちなみに遊牧民は95万人ほどで、家畜数は、全人口の20倍、約6000万頭と言われている。
 増幅の一途をたどるウランバートルは、近年深刻な大気汚染に悩まされている。そもそもウランバートルは盆地であるため、大気が留まりやすい。冬は世界平均の25倍もの汚染物質で大気が充満し、ついに“世界最悪の大気汚染“というレッテルを貼られることになった。

首都ウランバートルの街を覆うスモッグ
 事実、数メートルの先の信号の表示が“ガスって”見えないので交通事故に危うく遭うところだった。息を吸うと何かが入り込んでいて喉や鼻を刺激するわ、目なんて沁みて痛いわで、スーパーでマスクとサングラスを急遽購入した。街ゆく人たちは、おしゃれな皮のコートを身にまとっているが、表情を伺えない。咳き込む人も多く、数日経つと、唾を吐く人の姿は見慣れてしまった。
 現場や人々を取材する中でこの惨状の原因が見えてきた。気候変動である。
 気候変動によって放牧を放棄せざる得なくなった元遊牧民たちが、ウランバートルに押し寄せ、ゲル地区と呼ばれる遊牧民たちのゲル(移動式住居)の密集地域を形成した。この都市スラムで彼らは廉価な石炭で暖をとったり料理をしたりしてギリギリの生活を送っている。元遊牧民たちは、口々に「ゾドにやられた」と叫んだ。遊牧民たちに何があったのか?ゾドとは一体何者なのか?
冬の魔物「ゾド」

「ゾド」で死に絶える家畜

 今年の冬、ゾドによる被害が最も大きかったウランバートルから西へ400キロのウルハンガイ県に向けて車を走らせた。いたるところで、家畜の死骸が無残にも四方八方に転がっていた。
 ゾドとはモンゴル語で寒雪害を意味する。ゾドの発生要因は、冬の草地を覆う雪氷の増雪や夏の少雨や干ばつなどにより牧草の欠乏が続く気候状態である。ゾドが発生すると家畜は夏に十分な牧草を食べられず、脂肪が蓄えられなくなり、越冬できず大量の家畜が死に絶える。国民の約30%が遊牧民であるモンゴルでは、家畜を失うことは財産を失うこと同じ。多くの人々の命や生活をも脅かすことになる。
 ウルハンガイ県ブルド村の遊牧民オトゴンソガルさん一家は、今年のゾドで約300頭の家畜のうち半数も失ってしまったという。金額にして1100万トゥグルク、日本円で50万円。50万円があれば、子ども2人を大学まで通わせることができる。さらにゾドの影響は家畜の死だけではない。今年の冬は、ここ数年で最も厳しく、冬の定住場所で雪が深かったため、さらに違う場所へ移住する「オトル」を行い、家畜を連れゲルを運んだ。その最中、オトゴンソガルさんの家族が、大雪で埋もれた馬の救出中に凍死したという。それでもオトゴンソガルさんは遊牧民としての誇りを持ちゾドに立ち向かっている。「最後の1頭になっても遊牧民はやめない」。

春は出産の時期。生まれたばかりの家畜を幸せそうに世話をするオトゴンソガルさん一家

気候変動で「ゾド」が増加傾向に
 ゾドの研究者であるモンゴル環境省気候変動対策課のバトジャルガル博士に話を聞いた。
 「過去最も厳しかった2009年から2010年の冬に発生したゾドでは被害が遊牧民の8割に当たる77万人に及び、970 万頭の家畜が死んだと伝えられた。さらに今年は1月〜2月だけで70万9000頭の家畜が死んだ。この数はすでに2011年以降で最多である」
 さらに博士は「気候変動の影響でゾドの発生数が増加傾向にある」と指摘。
 下のグラフ・年間平均気温偏差は、モンゴルの年間平均気温偏差を示したものである(基準値は1961〜1990年の30年平均値)

 1940年から2015年の間に気温が2.24℃も上昇しており、最も暑かった年のベスト10は、すべて2000年以降である。

データ提供:Ministry of environemnt and tourism 写真を拡大
 次のグラフ・年間降水量偏差は、モンゴルの年間降水量偏差を示したものである。(1961年〜1990年の30年平均値)
 
 1940年から2015年にかけて、降水量が減少傾向にあることがわかる。

データ提供:Ministry of environemnt and tourism 写真を拡大
 博士によると、一昔前は12年に1度くらいの頻度でゾドが発生していたのに対し、近年は3.8年に1度の頻度で起きているという。このまま温暖化が進めば、遊牧民が消え、モンゴル国の3割を占める国民の生活基盤が失われる恐れがあるのだ。
ゾドによる社会問題
 オトゴンソガルさんのような遊牧民ばかりではなくゾドによって家畜を失った人々の多くが遊牧生活を止めざるをえず、ウランバートルに押し寄せてきている。その数は年々増え続け、ウランバートル人口の6割を占める約90万人に達した。上述の通り、首都への流入に拍車をかけている要因の一つだ。遊牧民たちは、遊牧生活で使っていたゲル(移動式住居)を設置しまくり、今では巨大な「ゲル地区」が形成された。しかし、居住を確保したらそれで安心というわけにはいかない。遊牧しかしたことがない彼らは、なかなか職が見つからず、3K(きつい、危険、汚い)の職場環境の仕事しか得られない。彼らの生活は困窮し、アルコール中毒や犯罪に手を染める人たちもいる。こうした元遊牧民が「環境難民」として肩を寄せ合っている。
 下図は、ウランバートルの人口推移の予測を表したもので、青線は政府が都市計画に伴う人口、赤線が現状の人口である。2009年にはすでに当初計画である2020年の112万5千人をゆうに超えた125万人にも達した。計画人口と現状人口との年々の乖離増大の背景には、政府の予想をはるかに超える元遊牧民たちの人口流入がある。

データ提供:ウランバートル市大気汚染削減庁 写真を拡大
 現在では、もはやこれ以上ゲルを建てられない状況に陥り、今年1月、政府は、ウランバートル市内に流入する遊牧民を規制する条例を制定。しかし、それでも墓地をぶち壊してゲルを建てる遊牧民までいるという。政府が、遊牧民の流入を規制した要因に、冒頭の「大気汚染」問題があるのだ。

「環境難民」が生む次の環境問題
 ゲル地区に住むソロンゾンボルドさん一家もその一人。彼らの「ゲル」からは、調理やマイナス50度の極寒に耐えるために燃やした石炭から出る汚染物質を含んだ真っ黒な煙が上がっている。

左・廉価な石炭売り、右・ゲルの中で使っている石炭

 煙の街と化したウランバートルの病院には、廊下に溢れかえるほどの患者が、大気汚染を原因とする「肺炎」などの病気を患って、受診に来院している。
 毎年400人を超える幼児が大気汚染を原因とする病気で死亡しているという。胎児や妊婦にも大気汚染の影響が及んでいる。
 ソロンゾンボルドさんの次男ニヤムバザルくん(小学6年)も肺炎をこじらせ、冬に外で遊ばないようにしている。

ソロンゾンボルドさん家族、左がニヤムバザルくん

ウランバートルのビル建設現場の内装業
 ソロンゾンボルドさんと妻は、ウランバートルのビル建設現場で内装業として毎日朝から晩まで働いている。2人の稼ぎは合わせて日本円で月収4万円ほど。子供達の学費どころか次男の医療費を捻出するのでせいいっぱい。ニヤムバザルくんの夢は、科学者になるため日本の大学で学ぶこと。子供の夢を叶えるため、両親は大気汚染に加担していることに胸を痛めつつも、安価は石炭で生活を支えている。
 そもそも彼らは、遊牧時代、「持続可能」な自然のサイクルの中で生きていた。家畜の毛や皮から衣服やゲルを作り、家畜の肉や乳から食事を作り、家畜の糞さえも夏の間に乾燥させ、冬に燃料として利用している。彼らの生活に、一切の“ゴミ”は排出されないのだ。

左・燃料にする家畜の糞、右・羊の毛から作る絨毯 
 しかし、今や家畜を失った彼らにとって、安価な石炭のみが命綱となっている。心地に住む富裕層や中間層は、セントラルヒーティングが完備されたマンション等に居住している。
 ゲルから排出された煙は、富裕層らが住む地区に流れやすく、ソロンゾンボルドさんの妻は、富裕層から罵倒され唾を吐かれたそう。「申し訳ない。でも仕方ないんです。非難の目を向けられることのない遊牧民に戻りたい…」と胸を詰まらせた。
 遊牧民たちは、何千年も前から先祖代々受け継がれた自然が創り出す恵みの中で生きてきた。環境問題とは程遠い世界で生きていた彼らに罪はない。しかし、我々先進国が地球に鞭を打ち続けたその罰を受けるのは、こうした何ら罪のない遊牧民のような「環境難民」である。気候変動の影響を真っ先に受ける人々を減らすためにも、我々先進国ができることはたくさんあるだろう。今回の西日本で起きた豪雨も、気候変動の影響も受けているといえよう。筆者の地元も、壊滅的な被害を受け、多くの人々が行き場を失った。我々日本人は、「環境難民」は遠い国の話であると思いがちであるが、肝に銘じてほしい。我々も「環境難民」になる日がすでに襲来しているということを。
 「環境難民」の数は、年々急速に増え続けていて、2050年には全世界で10億人に至るとも予想されている。
【Column 世界最南端のトナカイ遊牧民ツァータン族の危機】

 気候変動は、少数民族の存続にも影響を及ぼしている。ロシア国境沿いのツァガンノール(ウランバートルから車で48時間!)の山奥に、トナカイを遊牧する人たちツァータン族が点々と住んでいる。そのうち取材をしたのは、3家族14人。野営地には、400頭ものトナカイが飼われていた。1歳の男の子がトナカイの放牧の基礎を父親から学び、斧で薪を割る練習をしていた。

左・ツァータン族の家族、右・オルツと呼ばれる移動式住居
  そんなほのぼのとした地域は、モンゴルで最も温暖化の影響を受けているエリアの一つ。具体的な影響は、

・トナカイの餌であるトナカイ苔の成長が悪く、トナカイがやせ細る。
・これまで発生しなかったダニ類がトナカイに病原菌をもたらし死に至らしめる。
・日中暑くトナカイが動けないので夜に放牧するが、降雪量が少なく、トナカイが泥にはまり走れなくなり、夜行性の狼などに食われてしまう。

と多岐にわたっている。

 目まぐるしく変わる環境下にいても、子供たちは「この村が好き。トナカイを遊牧する生活はやめたくない」と頬を真っ赤にして屈託ない笑顔で言い切った。

トナカイの世話をするツァータン族
 先日、パリ協定の元で温室効果ガスの削減目標を達成しても、世界の気温が4℃から5℃上昇するというニュースが飛び込んできた。ツァータン族も「環境難民」とならざるを得なくなるのも時間の問題だ。
撮影:竹田有里



http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/584.html#c6

[政治・選挙・NHK249] 河野太郎さんと尾畠春夫さんのこと。(谷間の百合) 赤かぶ
23. 2018年8月25日 23:09:40 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1374]
スーパーボランティア・尾畠春夫さんが語った「壮絶なる我が人生」
私が被災地に行く理由【前編】
週刊現代
, 齋藤 剛
プロフィール
シェア807ツイートブックマーク46
お盆休みに、一躍注目を集めたスーパーボランティア・尾畠春夫さん。山口県周防大島町で行方不明となっていた2歳男児を発見し、連日ニュースに登場していた姿は記憶に新しい。現在、広島県呉市でボランティア活動を続ける尾畠さんに、週刊現代の齋藤剛記者が「被災地に行く理由」と「家族の話」を訊いた。
自然に人が集まってくる
山口県周防大島町で行方不明となった藤本理稀ちゃん(2歳)を捜索開始から30分で発見して、「時の人」となった尾畠春夫さん(78歳)。
スーパーボランティアと呼ばれるようになった尾畠さんは休む間もなく西日本豪雨の被災地である広島県呉市の天応地区でボランティア活動をしている。8月20日(月)、本誌記者も尾畠さんを追って、現地に向かった。
ボランティアが活動する被災地域に向かうと、尾畠さんの姿はすぐに見つかった。真っ赤なつなぎに「絆」「朝は必ず来る」などと書かれたヘルメットをかぶり、汗を流していた。
赤いつなぎと「絆」ヘルメット姿でインタビューに応える
尾畠さんの姿を見つけるや、住民や他のボランティアが駆け寄って写真撮影を求める。尾畠さんは「10枚ならいいよ」と冗談を交え笑顔で応じていた。実際、接すると実にチャーミングなおじいさんであった。
取材の旨を伝えると、「遠いところからごくろうさんです、おやっさん。まぁ座ってください」と応じながらも、「でもね、ただの変わったおっちゃんですよ。自分なんて取り上げたら売り上げが落ちるよ」と笑う。尾畠さんは成人した男性のことを「おやっさん」、女性のことを「ねえさん」と呼び、「来る者は拒まず、去る者は追わず」が信条だという。
作業を終えた17時すぎ、避難所になっている小学校の校庭の端にある尾畠さんの拠点で、話を聞いた。木陰スペースにシルバーの軽ワゴン車をとめ、そこで寝泊まりしているのだ。
ちなみに、ここは撮影スポットにもなっていた。尾畠さんが活動で不在している日中は、住民やボランティアが次々と訪れ、車の中を覗き込み、記念写真を撮っていた。
尾畠さんが一人で拠点に戻ってくると、年配の女性が現れて差し入れの焼きそばを渡す。
「今日もありがとうございました。私は体が悪くて作業ができない。本当に感謝しています」
こう頭を下げる女性に対し、尾畠さんは「あれ、今日は泊まりに来たの?」とジョークを交えながら軽妙にやりとりする。尾畠さんが言う。
「善意を断るわけにもいかないでしょう。金銭は一切受け取りませんが、差し入れであればありがたくいただきます。ただ、どうお返ししていいのか。これが悩みです」
ボランティア仲間、住民、そしてマスコミ。自然と人を引きつける人柄はどこからきたのだろうか。尾畠さんに自らの人生を振り返ってもらった。
小学5年ですぐに奉公に出された
戦後の荒廃や復興、バブルも、すべて見てきた
生まれは1939年。78歳と8ヵ月です。戦前に生まれ、戦争を経験し、戦後の荒廃や復興、そしてバブルも経験した。いまとなってはあの時代に生まれたことに感謝しております。芋とカボチャばかり食う時期もありましたが、それも良き思い出です。
大分県の国東(くにさき)半島で生まれて、幼少時に現在の杵築(きつき)市に引っ越し、そこで育ちました。父は下駄職人で、主に桐の下駄を作って販売していました。商売は順調ではなかった。ちょうど履き物がゴム製品に変わる頃で、下駄の販売は下降線でした。
母は主婦です。実は母についての記憶は多くはありません。というのも、母は41歳で亡くなってしまった。私が小学5年生のときです。母の死は自分の人生にも大きく影響しました。父はもとより酒好きな人間でしたが、妻が逝き、何人もの子供を抱え、下駄は売れないという厳しい現実から逃れるためか、ヤケ酒に走ってしまった。
取材当日もボランティア活動で汗を流す
そして、そんな父によって、自分は農家に奉公に出されることになります。自分は7人兄弟の4番目。ですが、兄弟のなかで自分だけが奉公に出されることになりました。父からの説明は「お前は大飯食らいだから」というものでしたが、納得できるわけがありません。
だから、両親に影響を受けた、なんて話がよくありますが、自分にかぎってはそんなものはありません。というのも、小学5年生で親元を離れ、それこそ毎日草刈りやら何やらで忙しかった。学校には行きたくてもまともに行けなかった状態です。
奉公に出されたのは、家が貧しくそれを助けるためでした。それはわかっていましたが、父を恨みました。なぜ兄弟のなかで俺だけが……。最初はものすごく悔しかった。
とはいえ、奉公に出された以上は腹をくくるしかない。世の中はなるようにしかなりません。「やるだけやってやろうじゃないか」と心を入れ替えたのです。
以来、奉公に出された家のおやっさんとねえさんを親だと思って何でも言うことを聞きました。すべては飯を食うためです。恨みの対象だった父ですが、いつしか感謝するようになりました。奉公の経験がいまの宝になっていますからね。後ろ向きで得をすることなんてありません。だから自分はプラス思考という言葉が大好きなんです。 
背中を押してくれた姉の存在
帰るところなんてなかった
私は昭和30年に中学校を卒業すると、卒業式の翌日に別府にある魚屋の小僧になりました。自分の意志ではありません。働くことになったきっかけは姉の紹介です。
「働きに出たい」と相談すると、姉から「あんたは元気がいいから魚屋になりなさい」と言われたんです。自分にとって姉の言葉は親の次に重い。もとより姉のことを信用していたので、それに従いました。
SL汽車で別府駅に向かう際、父から青い10円札を3枚持たされました。「珍しく大盤振る舞いだな」と喜んだのも束の間、すぐに30円は片道切符代だとわかりました。特攻隊と一緒です(笑)。自分には帰るという選択肢はありませんでした。
地元住民との交流も
ただし、それまでが極貧でしたからね。魚屋に就職し、食事にあらの煮つけが出たのを見て驚きました。それまで毎日芋とカボチャでしたからね。こんなうまいものがあるのかと衝撃を受けました。
別府の魚屋で3年間修業した後、山口県下関市の魚屋で3年間ふぐの勉強をしました。さらに兵庫県神戸市の魚屋で関西風の魚の切り方やコミュニケーション術を4年間学んだ。私は10年修業した後に魚屋を開業するつもりでした。
ところが当時、貯金はゼロに近かった。というのも、魚屋の給料は安く、開業資金をまったく準備できなかったんです。
そこで、開業資金を短期間で用意するために上京しました。お世話になったのは、大田区大森にあった鳶と土木の会社です。もちろん、コネなんてありませんから、そこの親父さんに「俺には夢があります。3年間働かせてください。その代わり、絶対に『NO』と言いません。どんな仕事でもやります」と直談判しました。
鳶や土木の仕事の経験は、いまのボランティア活動に役立っているかもしれませんね。ありがたいことに、会社から「このまま残って頭(かしら)になれ」と熱心に誘っていただきましたが、自分は決めたことは必ず実行するのが信条。これはいまも昔も変わりません。その意味では、面倒な男かもしれません。 
結局、昭和43年、大分に戻り、4月にかみさんと結婚。そして、その年の11月に自分の魚屋を持ちました。名前は『魚春』です。二文字をくっつけると鰆(さわら)。もちろん、自分が一番好きな魚です(笑)。
所帯を持つために必死に貯金した
かけた情けは水に流せ。受けた恩は石に刻め
振り返ると、繁盛した時期もあれば閉店危機もありました。とりわけ窮地に陥ったのは、大分でPCB(水銀)が社会問題になったときでした。それこそ客足がピタッと止まりました。仕入れの量を通常の10分の1程度に減らしましたが、それでも売れなかった。
このとき、助けになったのは妻の存在でした。かみさんは料理上手で、ポテトサラダやコロッケ、キンピラなど総菜を店で販売するようになった。これで危機を乗り切った。妻がなければいまの自分はないでしょう。
妻との出会いは別府の小僧時代にさかのぼります。修行していた魚屋の向かいの貝専門店の娘でした。うちのかみさんは3学年下。中学1年生でした。当時は混浴の共同風呂があり、自分も彼女も気兼ねなく利用していましたが、風呂に行くのが恥ずかしくなったことを覚えています。当時から「いつかあの子と結婚したい」と意識していました。
別府の小僧時代の1ヵ月の給料は200円でしたが、100円は自由に使い、残りは貯金した。それもこれも彼女の所帯を持つためでした。
女房の支えもあり、商売は順調でしたが、65歳の誕生日に店を畳みました。15歳のときから『俺は50年働く。そして、65歳になったらやりたいことをしよう』と決めていたんです。
私にはいま48歳の息子と45歳の娘がいて、孫も5人います。息子は大学に行くこともできた。それもこれもお客さんが魚を買ってくれたから。皆さんが温かく手を差し伸べてくれたからこそ、いまの生活がある。それに気づきました。
いただいた恩をお返しするのは当たり前。それが人の仁義です。どのような形で恩を返そうかと考えたとき、第二の人生をボランティア活動にささげようと決意しました。「かけた情けは水に流せ。受けた恩は石に刻め」。好きな言葉です。ですから対価は一切求めません。
後篇『酒も飲まず、貯金もゼロ スーパーボランティア・尾畠春夫さんの生き方』はこちらから⇒https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57178

酒も飲まず、貯金もゼロ…スーパーボランティア尾畠春夫さんの生き様
私が被災地に行く理由【後編】

週刊現代
, 齋藤 剛
プロフィール
シェア1,595ツイートブックマーク355
山口県周防大島町で行方不明となっていた2歳男児を発見し、大きな注目を集めたスーパーボランティア・尾畠春夫さん。現在、広島県呉市でボランティア活動を続ける尾畠さんに、週刊現代の齋藤剛記者が「被災地に行く理由」と「家族の話」を訊いた――。
前編『スーパーボランティア・尾畠春夫さんが語った「壮絶なる我が人生」』はこちらから⇒https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57170
健康保険証は11年無使用
私は65歳から本格的にボランティア活動を開始して、最初は新潟の中越地震のときかな。災害があるとすぐ現地に向かいました。それこそ全国を回りましたね。
東日本大震災のときは、南三陸でがれきの中から思い出の写真などを見つけ、被災者に戻す「思い出探し隊」の一員として、約500日間ボランティア活動をしました。このとき、酒をやめました。それまで自分は浴びるほど飲むタイプでした。しかも、ストレートでしか飲まない。しかし、南三陸の光景を見て思うところがありました。
避難所のベイサイドアリーナには1800人もの避難者がいた。ぎゅうぎゅう詰めで身動きできない。にもかかわらず、誰も文句を言わない。同じ日本人でありながらこんな思いをしている人がいるんだと思った。酒なんか食らっている場合ではないと思ったんです。
笑顔を絶やさない尾畠さん
それから7年5ヵ月一滴も飲んでいません。ただ、酒を断ったわけではありません。中断しているだけです。解禁するときは東北3県の仮設住宅がすべて取り除かれたときと決めています。そんな日が来ることを期待しています。
健康保険証は11年ほど使用していません。大きな病気は40歳の頃に腸捻転をやったことくらいかな。大分の自宅にいるときは毎日8qほどジョギングしています。健康の最大の秘訣はとにかく体にいいものを食べる。これに尽きる。
具体的に言うと、野草を集め、茹でて酢醤油で食べます。桑の葉がうまいですね。あと、たんぽぽもうまい。オオバコ、ドクダミ、ヨモギ……。どれも体にいい。こうした食生活は登山を始めた40歳の頃から続けていますが、誰かにおすすめしません。実際、家族でも食べているのは自分だけです。
いまの食生活ですか? 被災地に負担をかけることがないよう、別府市内のディスカウントストアで約2週間分の食料を買い込みました。ボランティア中の主食は、持ち運びに便利なパックご飯とインスタントラーメンです。ご飯は3パックで198円。ラーメンは5パックで158円です。
パックご飯は温めるとガス代がかかるのでそのまま食べます。おかずなんていりません。梅干しがあれば十分です。寝泊まりするのは軽ワゴン車の後部座席です。被災地のどんな環境でも寝られるようにするため、普段からゴザの上で寝ています。この車は13年間乗っていますね。走行距離は約20万q。故障したことは一度もない。タフな相棒ですよ。
家族はなんて言っているのか?
ボランティア活動中はお風呂にも入りませんし、シャワーも浴びません。大分に帰って温泉に入る。これは格別です。3時間も4時間も入ってしまいます。これはボランティアを終えた後の楽しみのひとつです。
日常生活はシンプルそのものです。テレビはNHKしか見ません。しかも、情報収集のため30分見るだけ。ただ、地元紙である大分合同新聞は定期購読しています。お気に入りはラジオ深夜便。懐かしの歌が好きですね。
カミさんは旅に出て5年帰ってこない
私は被災地に行ったら「暑い」とは絶対に言わない。もし自分が被災者であったならば、どう思うのか。ボランティアさせていただいているという立場を忘れてはいけません。
当然ですが、言動すべてに気をつける必要があります。赤い服を着ているのもこだわりです。背中には名前が大きく書いてあります。これには理由があり、被災している方は身元がわかるほうが安心するんです。
さらによく話すこと。黙っていると怖いでしょう。赤い服もそうですが、すべては安心感をもってもらうためです。
背中には大きく「尾畠春夫」の文字が
現在の貯金はゼロに等しいですね。年金は月約5万5000円。ここからボランティア活動費を捻出しています。私は商売人ですからカネには執着しています。それはいまも同じです。
ただし、ないものは追っても仕方ない。私は逃げるものは追いかけない主義です。そのときの状況に応じた生活をしているだけです。ここに来るだけでも往復で約1万円かかります。残りは4万円。それに合わせて生活するだけ。ない袖は振れぬ。これを心がけています。
家族の反応なんて気にしません。ただし、ボランティアに出かけるときは、自宅の玄関に『どこどこに行く』と息子と娘への伝言を残して出発しています。
カミさんは、いまは旅に出ている……。一人旅です。「自由にしたい」って。「旅に出たい」と言うから「はい、どうぞ」と。5年前に出かけて……まだ帰ってない。愛想を尽かされたらそれはそれで仕方ない。
そもそも、夫婦なんてもともと他人じゃから。ただ惚れて結婚した。憎いとかそんな気持ちはない。いまの家は妻とゆっくり老後を過ごすために購入したものです。カミさんも鍵を持っている。いつでも帰ってこられる状態にしてあります。
息子は公務員です。市役所に勤めています。自分とは真逆の人生を歩んでいる。「魚屋を継いだほうがいいかな」と聞かれたことがあります。そのとき、「お前には継がせないよ」と怒りました。
当たり前ですが、自分の人生は自分で歩むべき。私は子供に対してどうこうしろと言ったことはありません。国民の義務さえ果たしていれば何をしてもいい。
いつかは沖縄で遺骨収集を
小さくても長持ちする。そんな生き方をしたい
娘はいろいろと心配してくれます。携帯電話を持つように何度も言われていますが、携帯電話にしろ、パソコンにしろ、そうしたものに振り回されたくない。カーナビも一度も使ったことがありません。
孫といえば、忘れられない思い出があります。店をやめて1年後くらいかな。あるとき、一番年上の孫が突然うちに来た。当時、孫は高校生でしたが、真剣な顔で「話があるんだ。じいちゃん、タバコをやめろ」と言うんです。
65歳を過ぎると体力が急激に落ちるから絶対にやめろって。自分はヘビースモーカーで、ピースを2箱吸っていました。これはうれしかった。孫の言うことは天の声だと思い、その場ですべて燃やしました。ちなみに、この孫は登山をしています。私の影響だそうです(笑)。これ以上うれしいことはないですよ。
来る人は拒まず。もっとも、マスコミはすぐいなくなるでしょう。私なんて一過性のもの。日本は熱しやすく冷めやすい。自分のことなんてすぐ忘れるでしょう。僕は花火の中では線香花火が好きなんです。小さくても長持ちする。そんな生き方をしたい。
いつかは沖縄で遺骨収集したいと思っています。ガマってわかりますか。沖縄にある自然の洞窟です。ここには相当な数の兵隊さんの骨が残っているようです。その捜索をしたい。本当は今年実行する予定で、道具など準備をしていました。ところが、災害が続発して断念しました。いまはこちらが優先です。ただ、来年の春にも実現したい。

ボランティア活動の現場では、経験豊かな尾畠さんの存在感はやはり大きい。暑さで具合を悪くしたスタッフを見つけると、すぐさま水を飲ませ、休ませる。積極的にコミュニケーションをとろうとしないメンバーがいると、笑顔で話しかける。
最後に尾畠さんと握手したが、握力は78歳のそれではなかった。そのバイタリティ、行動力には感服するしかなかった。
週刊現代の最新情報は公式Twitter(@WeeklyGendai)で



http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/378.html#c23

[経世済民128] 異次元緩和への対案?そもそも2%物価目標はいらない --- 久保田 博幸  赤かぶ
4. 2018年8月25日 23:15:48 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1375]

>代案は何かと問われれば、そもそも2%の物価目標はいらない。通常の金融政策を維持させる

通常化ということは非伝統的政策(異次元緩和)を全てやめる=>ETF&国債売却ということを意味するが、理解しているのだろうか


>金融政策は直接、物価や景気に働きかけてそれを動かせるものではない

こちらも無意味

既に指摘しているように

間接的な影響は大きい


今も異次元緩和がない場合に比べ、実効為替を円安方向に強く押し下げ続けているし

強力に財政ファイナンスをサポートしている

金融政策は利子率政策ではない(日本版)
05/30/2013 ? 8:52 PM
By 227thday
Posted in Nick Rowe
Comments (5)

以下は、Nick Rowe, ”Monetary policy is not interest rate policy ? Japanese version” (24 May, 2013)の訳です。文中の「何で買うか」という点について、このあたりの一連のポストなども合わせて読まれるのもいいかもしれません。誤訳等ありましたら御指摘頂けると幸いです。
追記:コメント欄に本ポストに関するサムナーのコメントと、それに対するニック・ロウの返答を追記して頂きましたので、そちらも合わせてご参照ください。

現在と将来の双方において、ある資産を買い入れると僕が宣言してみたとしよう。そしてみんながその宣言を信じたとする。もしこの宣言がその資産の価格の下落を引き起こしたら、不可解な話だ。僕がその資産の価格を上昇させようとして買い入れをしていると言っていたら、これはさらに不可解な話になる。これが現在日本で起こっていることだ。債券価格は下落を続けている(よって債券イールドは上昇している)。(おそらくは)アベノミクスによって。
こうしたパラドックスを引き起こすかもしれないケースはいくつかある。

僕は、いつも資金を失ってしまう全く出来の悪い投資家として評判なのかもしれない。だから、僕が不動産を買っているのを見たら、みんなは持っている不動産を売ることに決めてしまう。

僕が資産を持っているという情報自体が、資産の価値を薄れさせてしまうのかもしれない。僕が相当に流行遅れなので、もし僕がバーバリーの水着を買ったら、他のみんなはバーバリーを買うのをやめてしまう。

それか、僕は新品の自転車を支払うことでタクシーの免許証を買っているのかもしれない。市場に溢れる自転車によって、タクシーに乗ろうという人は少なくなり、免許証は無駄になってしまう。

最後の例は、現在の日本のケースに一番近い。何を買うかというだけでなく、何で買うかということだ。現在と将来双方における道を走る(in circulation)自転車のストックの上昇は、タクシーの免許証の需要に影響を及ぼす。現在と将来双方における流通する(in circulation)貨幣ストックの上昇は、債券の需要に影響を及ぼす。期待される将来の物価水準と将来の実質所得の両方、あるいはどちらか一方を引き上げ、それらが債券需要を減少させるからだ。

金融政策とは利子率政策だと考えてしまうと、このパラドックスから抜け出すことは難しい。これは、メカニックが車のハンドルの制御配線を左右反対に繋げてしまったようなものだ。だから右に曲がろうとしてハンドルを右に切ると、ハンドルがおかしくなったと思って驚いてしまうが、実際には反対にハンドルを切っているのであって、車は左に曲がる。何が起こっているのかが分かった後には、それに慣れてうまくハンドルを切れるようになるかもしれない。でも英語という言語は、そんなハンドルを切っているときにどうやって運転しているかを、明確に説明するのに向いているだろうか。「どっちの方向にハンドルを切ろうとしている(trying; 訳注:以下「」内やイタリックの”〜ようとする”は全てtryもしくはその活用形)んだ?」。僕は日本語にも同じような問題があるだろうと考えている。

貨幣を増発し、債券の購入をすることで債券イールドを押し下げ「ようとする」ことが実質上経済の回復をもたらし、回復への期待が投資の増加、貯蓄の減少、流動性や政府債券の安全さへの需要の減少を引き起こし、そしてそれが債券イールドの上昇を起こすこということを知っていた上で、経済回復による副作用として債券イールドの上昇を受け入れると意思がある場合、債券イールドを押し下げようとしていると真実本当に言えるだろうか。うん、イエスでもあり、ノーでもある。でも、債券イールドの上昇は政策の失敗したことを意味しない。それどころか、政策がうまくいっていることを意味するんだ。

日銀は債券イールドを押し下げようとしているだろうか。うん、イエスでもあり、ノーでもある。日銀が債券イールドを押し下げようと奮闘しているという意味ではイエスといえるけど、この闘いは経済の回復というもっと広い戦争の一部だ。そして日銀が経済回復のための戦争に勝利した暁には、彼らは債券イールドを押し下げるという闘いには負けることになる。だから日銀としては、債券イールドを押し下げるという闘いには負けたいんだ。

リチャード・クーが次のように言ったとアンブローズ・エヴァン・プリチャードが伝えている。

昨夜伝えたとおり、クー氏は貨幣的なリフレというアベノミクスの狙いは狂っていると考えている。「インフレへの懸念が起こり始めてしまったら、どれだけ債券を購入したとしても日銀はイールドの上昇を抑えられなくなる。」そしてこれは「日本政府への信認の喪失」をもたらし、そして「日本経済の終わりの始まりとなる。」


はいはいそうですね。日本経済がデフレと不景気から十分に回復したときには、日銀は債券イールドの上昇を抑えられなくなる。強くそれを抑え「ようとすれ」ばみるほど、イールドの均衡は上昇するからだ。でも、回復が十分力強いものに見えたときには、日銀は債券イールドを抑え「ようとする」ことをやめ、これらの債券イールドが上昇をやめるところまで、それを上昇させ「ようとする」ことになる。

アンブローズはリチャード・クーが「…日本のもっとも著名な経済学者で極端なケインジアン(arch-Keynesian)」とも伝えている。「極端」という点がメインであり、「極端なケインジアン」という意味はあんまりない。ポール・クルーグマンはケインジアンだけれど、アベノミクスがうまく債券イールドを上昇させたとして、彼がそれを問題視することはないと思う。彼は債券イールドの上昇を喜んで、日銀は流動性の罠を抜け出して金融政策の「とっかかり(traction)」を取り戻したと言うだろう。リチャード・クーはケインジアンだろうか。それとも彼はただの財務屋で、マクロや貨幣を本当のところは分かってないんだろうか。(僕はその答えを持たない。)

これは日本経済の「終わりの始まり」なんかじゃない。その代わり、そして僕が望むように、これは日本の長きにわたる不景気の終わりの始まりになるかもしれないんだ。

そして、もしこれが日本の長期にわたる不景気の終わりであるなら、これは金融政策はバランスシート不況においては役に立たず、財政政策だけが民間部門のデレバレッジを相殺することができるというリチャード・クーの論文の終わりの始まりにもなる。そして僕らは、日本が何年も前にこれをやらなかったおかげで、これまでの年月を無駄にして、日本政府が債務GDP比率を悪化させるのを許すがままにしたことだけを悔やむことになる。なぜなら、高い債務GDP比率だけが、日本の経済回復を願っているかもしれない一方で、回復に伴う金利の上昇は望まないという人がいる理由だからだ。そしてこれは、回復を止めようとする理由にはならない。アベノミクスみたいなことを何故もっとずっと早くやってなかったんだ、ということを悔やむもう一つの理由ではあるけどね。
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/289.html#c4

[国際23] トランプは「権力に酔いしれている」と元CIA長官!  赤かぶ
4. 2018年8月25日 23:19:01 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1376]
オトナの教養 週末の一冊

なぜアメリカ社会はここまで「動的」なのか『アメリカの社会変革』ホーン川嶋瑤子氏インタビュー
2018/08/24

本多カツヒロ (ライター)

 「アメリカは非常に動的な社会」と語るのは、アメリカに居を構えるお茶の水女子大学ジェンダー研究センター元教授のホーン川嶋瑤子氏。確かにアメリカ発の「#me too」運動は、世界的な広がりを見せており、過去を振り返っても、公民権運動をはじめ、さまざまな運動がアメリカでは展開されてきた。一方で、現在のトランプ大統領は差別的な話題を振り撒いている。過去と現在、同国では、一体何が起き、その背後には何があるのか。『アメリカの社会変革』(ちくま新書)を上梓した同氏に話を聞いた。


(robertiez/iStock/Getty Images Plus)
――今回の本では、アメリカでのさまざまな社会運動を取り上げながら社会の動向や歴史的展望が紹介されています。こうした動きを1冊の本にまとめようと思ったのはなぜでしょうか?

川嶋:日米を往復していますが、アメリカは非常に動的、可変力のある社会だと感じます。可変的な社会は人々に活力や能動的姿勢を与えます。たとえば、不平等や差別の強い問題意識が、平等を求める大きな運動を生み出しました。人種差別反対の公民権運動以降、女性、年齢、ハンディキャップ、LGBT等による差別反対のさまざまな運動が起こりました。最近の「#me too」運動もそうです。これは、採用や昇進、賃金の性差別だけでなく、セクシュアル・ハラスメントやレイプ等も蔓延しているにもかかわらず、多くが沈黙のなかで隠されてきたのですが、ネット上の書き込みサイトが作られ、発言の場として広がったものです。

 一見、別々のように見える個々の運動は実はつながり影響しあっています。いろいろな運動がどのようにして起こるのか、運動を推進する力は何か、どのような理論が説得力を得て世論を動かすのか、メディアの力や判決のインパクト、文化や教育の力などの要素も考えながら、社会変化を総合的に分析しようと思いました。

――現在アメリカ在住ですが、日常のなかで動的だなと具体的に感じることはありますか?

川嶋:スタンフォード大学やシリコンバレー近郊の同じ地域で長く生活していますが、この辺は技術革新の中心地であり、新しい産業、企業の誕生と成長、グローバル化がもたらす変化をひしひしと感じます。

 移民の流入は、社会を変える大きな力ですね。住民の人種構成は急激に変化してきました。私の近隣の住民もインド系、中国系が増え、近隣の公園では、かつて白人親子が圧倒的に多かったですが、今ではアジア系親子が多数です。優秀な公立学校がある地域には、特に子どもの教育を重視する韓国や中国などのアジア系移民が集中する傾向があります。生徒の人種構成も大きく変わりました。地域の土地家屋の価格や家賃が上がり、生活費全般も上昇し、前からの住人は他の地域へ流出する傾向にあります。昔の移民は貧困から抜け出すためにアメリカへ渡って来ましたが、現在の移民、特にシリコンバレーで働く人たちは裕福な人たちが多いのです。

 サンフランシスコ湾岸地域では、アジア系人口が20〜30%にまで増加しています。中国系の大きなショッピング・センターは増えているし、韓国系、インド系、最近は東南アジア系のレストランが増えています。

――アメリカは人種というものに対してとても敏感なのでしょうか?


『アメリカの社会変革』(ホーン川嶋 瑤子、筑摩書房)
川嶋:アメリカの歴史は人種・移民の歴史です。差別から平等へと動いてきましたが、まだマーティン・ルーサー・キングの「私には夢がある」のスピーチが描いた社会は実現していません。

 私はジェンダー研究を専門としてきたので、女性をめぐる社会問題には敏感ですが、日常生活では人種をより意識することが多いです。

 「多様性の大切さ」は、社会的価値として定着したと思いますが、例えば、スタンフォード大学のキャンパスを見ると、やはりブラック学生、アジア系、白人系というようにグループを作って歩いていることが多い。アジア系は非常に増えています。といっても、中国系、インド系が圧倒的に多くて、日本人留学生はここ20年ほど縮小しています。

 シリコンバレーの企業は移民労働力なしでは成り立たないし、リベラル(進歩的)な地域ですから、特に技術系の移民受け入れには積極的です。差別の面では、マイノリティや移民に対するあからさまな差別は少なくなったと思いますが、微妙な、より見えにくい形の差別は続いていると思います。アジア系は重要な技術系労働力ですが、トップには少ない。ただし、インド系は活躍しています。

 トランプが大統領に就任して以降、彼自身がポリティカル・インコレクトネスを公然と発言するようになり、それに刺激されて一部の地域では、白人至上主義者、反移民ナショナリストの活動が活発化し、一般市民の間にも差別発言が増えてきたように感じます。

――トランプ大統領になり、昨年移民の受け入れを制限したことに対し、シリコンバレーを中心とするIT企業が反対の声をあげたことがありましたね。それくらい移民が重要ということですね。性別に関しては、たとえばシリコンバレーの雇用に関しては、どう影響しているのでしょうか?

川嶋:女性グループが、シリコンバレーでも技術職に女性が少ないと指摘し、大手IT企業に労働者構成の公表を要求しました。Facebook社などが回答しましたが、やはり技術職や経営陣に女性が少ないことがわかり、各企業はできるだけマイノリティや女性の割合を増やす努力をすると明言。現在では、女性やマイノリティ向けのプログラミングを学ぶコースが増え、企業も支援しています。シリコンバレーでは昨今、技術系のマイノリティ女性は引く手数多です。

――そうしたマイノリティや女性の割合を高め、極力人種や性別の構成を公平にしようというのは、アファーマティブ・アクションの影響が強いのでしょうか?

川嶋:最近はアファーマティブ・アクションという表現に代わって、「多様性の価値化」という表現を使うことが多いです。そのように変わってきた背景には、平等とは何か、平等を達成するにはどのような方法が最適か、どのように正当化するかというようなとても重要な問題があります。

 1960〜70年代にかけて女性運動や公民権運動で、アメリカ社会の価値観は根底から変わりました。1964年公民権法が差別を禁止して平等を保障しましたが、ジョンソン大統領は差別の禁止だけでは平等は達成できないとして、65年と67年にアファーマティブ・アクション(以下AA、積極的是正措置)の実施を要求する大統領令を出しました。つまり、過去における差別のため黒人や女性の雇用が少ないという結果があるならば、それを是正する努力をして平等を達成しようとするものです。

 差別行為が現にあったかどうかを問題にしません。そこが、公民権法の「差別禁止による平等達成」の考え方と異なります。

 70年代は平等を支持する進歩的社会潮流だったので、マイノリティや女性に対する雇用の割当制や優先策等の強いAAが実施されました。しかし、70年代後半になると、白人男性側は「自分は差別をしていないのに、どうして不利益を受けないといけないのか」と逆差別訴訟を起こします。70年代後半の保守潮流の高まりにのって81年にレーガンが大統領に就任しましたが、強いAAによる平等化策への反対論が高まりました。レーガンは判事に保守派を任命し法廷は保守化し、マイノリティ優先のAAに対する違憲判決が増え、AAは非常に制限されていきます。

 マイノリティへの加点や人種別採用枠等を採用する大学の入試政策は多くの訴訟の対象となり、違憲とされました。AA反対派が起こした一連の訴訟を通して、「多様性がもたらす教育的利益」のために、人種を複数の配慮要素の一つとして使用することは正当化されるが、「黒人だから」というように人種そのものを使ったAAは違憲となったのです。

――AAは現在どのように運用されているのでしょうか?

川嶋:近年、州法や住民投票で、大学入試や公的組織の雇用で、人種や性を考慮することを禁止する州が増えています。スタンフォードは私立大学ですが、「AAオフィス」ではなく、「多様性オフィス」としています。人種を配慮したAAが違憲とされるリスク増えたので、人種の代わりに、経済的社会的に不利な家庭出身とか、家族内に大学卒がいないとか、不利な地域で育ったとかの要素を配慮するようになっています。州立大学の入試では、高校での成績がトップX%という入学政策もあります。

 大学教員については、女性が少ない理工系での女性増加が重要な課題になっています。適切な女性候補者に対する応募奨励や、採否判断にバイアスが入らないよう採用手続きを厳格にしたり、メンターリングや助言による昇進支援をする、というようなことが行われています。

――最高裁判所判事には、トランプ大統領は昨年保守派のゴーサッチ判事の任命に成功しましたが、さらに、今年中道右派のケネディ判事の辞職表明を受け、保守派のブレッド・カバノー氏を指名しましたね。

川嶋:2016年2月に保守派のスカリア判事が死亡し、空席が出たのですが、オバマ大統領が指名した候補者は、共和党多数の上院は司法委員会での公聴会の開催を拒否して葬り、1年間は欠員のまま8人の法廷でした。そのため、4対4で、重要な訴訟で決定を下せないケースも生じました。トランプ大統領は、17年4月に、この空席に保守派のゴーサッチ氏の任命に成功しました。前任者も保守派だったので法廷の構成に大きな変化はありません。

 しかし、今年7月末に中道派のケネディ判事が辞職したことで、トランプ大統領は、2人目の最高裁判事任命の機会を手にしました。間髪入れず、保守派のカバノー判事を指名。この任命に成功すれば、法廷は完全に右傾化します。

 また、リベラル派のギンズバーグ判事(85歳)とブレイヤー判事(79歳)はともに高齢で、トランプ在任中に辞職した場合、後任に保守派の判事の任命に成功すれば近年稀に見る保守法廷の誕生となります。これは非常に大きな社会的インパクトをもちます。アメリカでは、最高裁判決が、価値規範に大きな影響を与えます。だからこそ、大統領は、自分の考え方に沿った判事を任命しようとし、反対派はそれに反対し対立することがままあります。

――そもそも最高裁判事は、どのように任命されるのですか?

川嶋:最高裁判事は、大統領が候補者を指名し、上院の承認を得て、任命します。しかし、ゴーサッチ氏の承認時には、共和党議員52人、民主党議員48人だったので、「3分の2の承認」から「過半数の承認」へとルールを変更して、承認しました。任期の期限がなく、本人が辞職するか、亡くなるまで、30年以上の就任もあり、長期的に社会の動向に影響するので、その任命は著しく重要です。

 今後、カバノー判事の任命について、民主党は中間選挙で上院で過半数となることを期待し司法委員会での審議を選挙後まで遅らせようとしていましたが、大統領と共和党は共和党過半数を維持している中間選挙前に承認へとこぎつけるため、公聴会を9月に開催するよう決めました。

――保守派が台頭する一方で、映画『ブラックパンサー』の大ヒットやケンドリック・ラマーがラッパーで初のピュリッツァー賞を受賞、また「#BlackLivesMatter」「ひざつき」運動の台頭など、トランプ政権とは真逆のマイノリティの動きも盛んになっているように見えます。

川嶋:政界にも、芸術やエンタテインメント、メディアでもキャスターやコメンテーターとして成功している黒人はたくさんいます。しかしながら、全体から見ればそれはほんの一握り。多くの黒人は、貧困だし、刑務所に収監されている黒人男性も多い。一度、収監されると履歴に残りますから、再就職が難しくなり、再び犯罪に走るというサイクルから出れないことが多い。十代での婚外出産が多く、男性の収監者が多いので、多くの子どもが母子家庭や祖母が支える家庭で生活しています。その多くが貧困です。

――黒人で逮捕される人が多いのは、人種による捜査、レイシャル・プロファイリングがいまだに残っているからでしょうか?

川嶋:黒人の逮捕者のなかには、重犯罪者もいますが、薬物所持などで逮捕されるケースが多いのです。麻薬取締強化策、3ストライク法(3回目では厳罰に処す)が犯罪者を著しく増やした。警察官も黒人に犯罪を犯す人が多いというステレオタイプなイメージを持っていることが多く(レイシャル・プロファイリング)、白人よりもはるかに多くの黒人の停車、車内捜査や、過剰な暴力を振るう。黒人が警官に射殺された事件を発端とし、黒人の怒りは爆発し、「#BlackLivesMatter」運動が広がりました。黒人差別への抗議デモが暴徒化したこともあり批判も向けられ、また一般市民にしても、警察がいるから治安が確保されているという認識があるので、警察批判に同意しない人たちもいる。しかし、この運動は強いリーダーシップのもとでの運動というよりも、ネットで結ばれたゆるやかな運動として5年間続いています。

 アメリカンフットボールの試合などでも国歌斉唱時に起立せず、片膝をつき、人種差別に抗議する動きがありましたが、トランプ大統領は反愛国的であると批判し、つぶそうとしました。

 対照的に、「#me too」運動はアメリカ国内のみならず、世界的に広がり、大きなインパクトを持ちました。新しい社会運動におけるネットの力の凄さを感じます。

――最後に、どんな人に本書を薦めたいですか?

川嶋:日本は同質的社会というイメージが強く、差別問題に対しあまり敏感ではないと思いますが、実際には、女性差別、年齢差別、ハンディキャップ差別、性的マイノリティ差別、外国人差別等、いろいろ存在します。これまで、アメリカでの平等運動の展開が日本に伝わり、日本での問題意識が高まり、運動が広がり、平等化への歩みに貢献してきたという面もあります。アメリカでの動向を知ることは有意義だと思います。

 移民は、これから日本でも必然的に増えていくでしょう。異なる人種、文化、言語の移民をどのように日本社会の一員として受け入れていくか? この重要な問題を考えるうえで、移民の国アメリカの歴史と今の問題の理解は、参考になると思います。

 トランプ大統領となって1年半、黒人大統領オバマがとった進歩的政策の抹消、逆転に走りました。人種差別的発言、批判的運動や批判的メディアの抑圧をはじめ、アメリカ人が誇りとしてきた民主的政治制度、社会の価値規範を土台から揺り動かしています。民主主義の危機が言われています。本書が、今アメリカで起こっていることを知る上で少しでも役に立つことを願っています。

 最後に、シリコンバレーには、日本から多くの学生やビジネス関係者が訪れます。アップルやグーグルやフェースブックといった世界に名だたる先端企業に足を運び、イノベーションやスタートアップについて学んでいかれますが、同時に、この地域の発展の歴史、日系人の歴史、人種問題や経済社会問題、等についても目を向け、広い視野からシリコンバレーを理解していただきたいと思います。この本がその助けになれば、うれしいですね。

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/683.html#c4

[経世済民128] 年収100万円減も!江崎グリコに異変、減給・退職相次ぐ(週刊ダイヤモンド) 赤かぶ
2. 2018年8月27日 19:53:55 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1377]
「地方大卒MBAなし」が外資系の最年少社長に
慶応ビジネス・スクール EXECUTIVE
第97回 日色保ジョンソン・エンド・ジョンソン代表取締役社長(2)

2018年8月27日(月)
慶応ビジネス・スクール


日色保(ひいろ・たもつ)
1988年静岡大学人文学部法学科卒業後、ジョンソン・エンド・ジョンソンに入社。医療機器の営業、マーケティング、トレーニングを担当。外科用機材部門と糖尿病関連事業部門の事業部長を経て2005年にグループ会社オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス社長に就任。2008年同社アジアパシフィック事業も統括。2010年ジョンソン・エンド・ジョンソンメディカルカンパニー成長戦略担当副社長シニアバイスプレジデントに就任。2012年から現職。(写真は北山宏一、以下同)
 慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応ビジネス・スクール)は次世代の経営の担い手を育成すべく、エグゼクティブ向けに特化した学位プログラム「Executive MBA(EMBA)」を開設している。「EMBA」プログラムの目玉の1つが、企業経営者らの講演と討論を通して自身のリーダーシップや経営哲学を確立する力を養う「経営者討論科目」。日経ビジネスオンラインではその一部の授業を掲載していく。

 6月の経営者討論科目ではジョンソン・エンド・ジョンソンの日色保代表取締役社長が「ジョンソン・エンド・ジョンソンにおける人材育成とリーダーシップ」をテーマに講義した。新しい場所で様々な経験を積ませてキャリアを構築していくのがジョンソン・エンド・ジョンソン流の人材育成。典型的なキャリアパスをたどった一人が、史上最年少の46歳で現地法人トップに就いた日色社長だという。日色社長は自身の経歴を振り返りながら、それぞれの場でどんな経験を積み、どんな学びを得て社長への階段を上っていったかを説明した。

(取材・構成:小林佳代)

 ここからはジョンソン・エンド・ジョンソンの人材育成や私が考えるリーダーシップについて話していきます。

 能力開発のあるべき形というのは様々な考え方があると思います。私自身が考えるポートフォリオは、トレーニングコースや資料からの学習が10%、他者からの学習が20%、新たな経験からの学習が70%というものです。

 つまり、人を育てる上で最もインパクトが大きいのは、実際の新たな経験からの学習だと考えています。もちろん、座学も重要だし、人から教えを受けることも必要ですが、「今までやったことがないことをやらせてみる」ことが、人を大きく成長させるきっかけになると信じています。

 私の場合、新卒でジョンソン・エンド・ジョンソンに入社してから24年目、46歳で社長になりました。現地法人の社長としては最年少です。数えてみると、それが14件目の仕事でした。

 私は地方の国立大学の出身。社長になるための勉強をしたわけではないし、MBA(経営学修士)も取得していません。正直、社長になる素養があったわけではありません。けれど、色々な仕事をして、その度に新しい経験を積んでいくうちに、気づいたら、世界最大級のグローバル企業の日本法人社長を務められるぐらい、身体のいろいろな部分に筋肉がついていました。そのプロセスに大変感謝をしていますし、「ジョンソン・エンド・ジョンソンという会社に育ててもらった」と心から思います。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンでの私の経歴をご紹介しながら、それぞれの仕事でどんな学びがあったのかを紹介していきましょう。

 私が入社したのは1988年。バブル真っただ中で、世の中がすごく浮かれていた時代でした。地方の大学生だった私は、正直なところ、あまり深い考えもなく、熱心に企業を研究したわけでもなく、いろいろな経緯があって、ジョンソン・エンド・ジョンソンに入社しました。

 入社後は営業部員として医療機器や医療材料を売る仕事に就きました。私が担当したのは、外科手術用の製品です。当時はちょうど腹腔鏡などを使う低侵襲型の手術が出始めたころでした。営業で病院に行き、外科の先生方にそういう機器や手術方法を紹介していました。時には、40代、50代の教授が執刀する手術に立ち会い、「先生、もっとレバーをひっぱってください」「こうやって動かしてください」と指示もしました。大学を出たばかり、若干22〜23歳だった自分には大変なカルチャーショックでした。


偏見を捨てて、受け入れてみる
 目の前のベッドには、治療を必要とする患者さんが麻酔をかけられて寝ています。そんな緊張感あふれる場で、一生懸命に手術をしている医者に対して、自分が「こうしてください」などと指示をするのです…。ついこの間までちゃらんぽらんな学生だった私ですが、この経験で、一気に新入社員気分が吹き飛びました。

 しっかり勉強して、正しい情報を伝えなければ、今、目の前で寝ている患者さんに悪い影響が及んでしまいます。「これは真面目に仕事に取り組まなくてはならない」と意識を改めました。そして、自分自身が本腰を入れて取り組むことで、「仕事は面白い」と感じるようになったのです。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンという会社は、「これから伸びる」と思った事業には思い切った投資をします。低侵襲の手術部門も一挙に人員を3倍に拡大しました。大量に人を採用したため、マネジャーが足りなくなり、最後の1席は「もういいや、お前で」と、私が就くことになりました。

 会社に入ってわずか3年半、26歳で営業部員8人を抱えるマネジャーになりました。マネジャーというのは何をしなくてはならないのか。それすらわかっていなかったので試行錯誤でした。今振り返ると、自分のコピーを一生懸命つくろうとするばかりで、決していいマネジャーではなかったと思います。管理の方法もリードの仕方もわからないから、とりあえず、自分の経験に従って「オレのようにやれ」という指導になっていました。

 そんな時期に、日本に赴任していた米国人マネジャーが体系的な人材開発やトレーニングの必要性を主張していました。それまでのジョンソン・エンド・ジョンソンは知識やスキルの伝え方も極めて属人的でしたが、それを改め、誰もが同じ水準で知識やスキルを習得できる仕組みが必要だと説いてきたのです。しかし、日本のマネジャーたちの受け止め方は冷ややかでした。「日本のことを何も知らないヤツがいきなり来て何を言ってるんだ」という感じです。私もそう思っていました。

 ある時、たまたまその米国人マネジャーと帰りが一緒になり、2人で歩いていた時に、彼がポツリと「日色さん、This is pain」とつぶやきました。彼は、日本のマネジャーたちが自分たちで壁をつくり、協力してくれない構図に苦しんでいたのです。その姿を見て、単純に「かわいそうだな」と感じました。そこで、私はバイアスをなくして、改めて彼の話を受け止めてみようとしました。すると、彼が言おうとしていることがはっきりと理解でき、その重要性に気づいたのです。

 偏見を捨てて受け入れてみることで、全く違うことが見えてくる――。多様な人々と関わり合いながら、一人ひとりの考えや価値観を尊重し、聞き入れるインクルージョン(包含)の重要性を学ぶ貴重な経験になりました。


管理職の管理には距離感が大事
 その米国人マネジャーの指示で、日本に体系的な人材開発の仕組みを導入するため、私は米国に勉強に行きました。帰国後、学んだことを活かし、体系的なトレーニングシステムやコーチング、カウンセリングのあり方、キャリアパスの構築などにかかわりました。

 それまでは営業などで自分自身が成果を出す仕事が多かったのですが、こうした仕組みづくりにかかわると、自分の仕事が会社に対して大きなインパクトを与えていることを実感できます。この時に、私は本当に「仕事って面白い」と心から感じたように思います。

マイクロマネージは自分には便利だったが
 ジョンソン・エンド・ジョンソンは仕事で成果を出すと、よりチャレンジングな目標が与えられる会社です。私の場合は、再び米国に1年派遣され、医療制度の研究や国際マーケティングなどに携わることになりました。死にものぐるいで働いて成果を出すと、今度は帰国して営業部に戻り、地方のマネジャーたちを管理するポジションに就くことになりました。ファーストラインのマネジャーでなく、セカンドラインのマネジャーを経験することになったのです。

 初めて管理職を管理するマネジャーになった当初は、彼らとの距離感がつかめず、スタッフと同じように管理しようとしてしまいました。管理する側の立場からすると、最も効率がいいのは同じことを同じフォーマットで同じように全員にやらせることです。そしてマイクロマネージすること。私自身、マイクロマネージする上司は一番嫌いなのですが、管理する側としては便利だから、ついそういう管理をしてしまっていました。

 ところが、どうもうまくいきません。部下である地方のマネジャーたちの顔が暗く、面白くなさそうなのです。その時に気づいたのは、やはり管理職にはある程度の裁量とか、自分で考えて決定を下せるような余地を残さないといけないということです。管理職の管理には距離感とエンパワーメントが不可欠なのです。


手術のビデオを見せて仕事の意義を伝えた
 33歳でマーケティングを担当することになりました。この時に一番印象に残っているのは、品質改善への取り組みです。

 私たちが扱う医療機器や医療材料は患者さんに直接的に影響するもの。品質には極めて厳重な対応が必要です。中でも日本の要求水準は非常に高い。欧米の品質基準と日本の品質基準のギャップには相当な差があります。日本の品質基準を満たすべく、時に我々はテキサスにある工場まで出向いて品質改善に取り組んでいました。

 テキサスの工場はとてつもない田舎にあり、地元のおばちゃんたちがたくさん働いています。彼女たちは一生懸命に仕事をしていますが、「自分たちの仕事が誰のために、何のために役に立っているのか」はピンときていません。9時から5時まで工場にいて、「目の前にあるこれとこれをくっつける」といった作業に終始していますから、仕事へのこだわりもあまりありません。

 あれこれ手を尽くしたものの、品質改善はなかなかうまくいきませんでした。最終的に、私は日本から心臓血管外科医を連れて行きました。彼が行った心臓手術をおばちゃんたちにビデオで見せたのです。その先生は小児専門なので、ビデオに映っていたのは先天性の疾患で手術を受ける子供の写真でした。麻酔を受けて、たくさんのチューブがつながれた状態で手術が始まります。拍動している心臓に血管をつなぐ作業をしている時、ビデオをパッと止めます。心臓外科医が「ここで皆さんがつくっている製品を使います。この製品はとても大事なもので…」ととうとうと語り出します。

 この仕掛けはとても効きました。おばちゃんたちはみんな涙、涙…。「この子は助かったの?」と聞いてきて、「助かって、今はとても元気です」と言うと、パチパチパチパチと拍手がわき起こりました。この出来事の後、おばちゃんたちの仕事への取り組み姿勢は変わり、ぐんと品質も上がりました。

 「自分たちの品質基準に合わない」と文句を言っても始まりません。相手の立場、相手の心にきちんと刺さる材料を提供する。そうすれば話は伝わるし、物事は通じます。そんな勉強ができた経験になりました。


「自分に心地いい人かどうか」で判断してはいけない
 その後、営業とマーケティングの統括を経て、私は36歳で部員180人、売上高160億円ほどの事業部の事業部長になりました。この時には、ナレッジマネジメントに挑戦しました。この仕組みによって、他の営業所で成功している戦略が誰の手を経ずとも見られるようになります。そのほかにも、社内のノウハウや知識、知恵がものすごく流通するようになりました。

 ナレッジマネジメントを構築したことで、情報をコントロールすることによってのみ、付加価値や存在意義を維持していたマネジャーは淘汰されていきました。機敏なマネジャーは、情報がシェアされることを前提に、自身も情報に対するアンテナをいっぱい立てて勉強し、営業員に対する支援を強化して成果を上げていきます。マネジャーやリーダーの役割は情報を管理することではなく、下を支援することだと改めて強く感じました。

 その後、別の事業部の事業部長に就任します。ここは売上高が1億円ほど。部員も20人ぐらいしかいません。1年半前に華々しく立ち上げたものの、わずか9カ月で事業部長が飛ばされ、その後任も9カ月後にいなくなるという悲惨な状況に陥っていました。

 以前の事業部は「1を言えば10を理解する」ような人材がそろっていましたが、今度はそうはいきません。こういう環境の中で、今いる人材を活用しながらいかに立て直すか。私がやったのは「社員たちに勝つことへのこだわりを持たせること」でした。自信をつけさせるために社員たちを徹底的にトレーニングし、やったことがない仕事にもどんどん挑戦させました。その結果、1年弱ほどで事業部を立て直すことができました。新しい経験を積ませることが、いかに人を育てるかを改めて認識する出来事となりました。

 その後、グループ内の臨床検査会社の社長に就任しました。39歳の時です。売上高は200億円ほどでしたが、臨床検査の業界ではトップ10に入る会社です。

 この会社に入って驚いたのは、社員の中に私の目をまともに見ようとしない人とか、何を言ってもボソボソとしか返事をしない人がいたこと。コミュニケーション力は乏しく、「もし、私が採用の面接官だったら5分で落とすだろう」と思いました。

 ところが、こういう人たちが臨床検査の世界ではただ者ではないのです。輸血検査のプロトコルに関して業界随一の存在だったり、ネットワークシステムにものすごく強くて、自分でソフトウエアまで開発していたり…。

 私は、自分が営業出身ということもあり、元気で、ハキハキしていて、言いたいことがきちんと言える人材を評価したくなりがちでした。しかし、臨床検査の会社には緻密さが求められます。人材は多種多様です。自分のバイアスで、自分にとって心地いい人をつい優遇してはいけないということを痛感しました。


信頼に足る現地のリーダーに任せる
 その後、アジア地区を統括することになり、初めて日本以外の国の管理を経験しました。インド、オーストラリア、中国など様々な場所に行きました。最初のうち、勢いあまって、何でも自分でマネージしようとしていました。KPI(重要業績評価指標)をレビューする際も、すごく細かいところにまで口出ししていました。けれど、すべての国を自分で管理できるはずはありません。自ら何度足を運ぼうと、そこに住んでビジネスをやっている人ほどはわからないものです。

 グローバルのトップから、「自分が信頼するヤツを見つけて、そいつに任せろ」と言われました。自分ではわからないことを何度もレポートを出させ、レビューをしても、現地の人間の仕事の邪魔になるばかり。信頼に足る現地のリーダーを見つけ、任せてやらせてみるというのが一番だというのは本当にその通りだと思いました。

 「任せるしかない」とわかると、腹をくくるものです。本来、マネジメントというのはこういうものだとこの時に思い知りました。その後、成長・イノベーション戦略を立案・実行する部門の責任者に就き、それまで経験のなかった管理部門の経験を積みます。そして46歳で社長に就任し、今に至ります。このように様々な部署、役職で様々な経験をしながら、リーダーに必要なことを学ばせてもらうことができました。

 一般に、キャリアの進展、拡張については「キャリア・ラダー(ハシゴ型)」をイメージする人が多いことと思います。同一領域で一本道を昇進していくパターンです。ジョンソン・エンド・ジョンソンの場合はこれとは違って、「キャリア・ラティス(格子型)」です。複数領域で昇進したり、平行移動したりと様々な経験を積みながらキャリアを構築していきます。頻繁に人を動かしますが、全員に対してやみくもに機械的にローテーションをするわけではありません。本人の希望、適性、ポテンシャルなどを見ながら、オーダーメードでやっています。私はキャリア・ラティスで経験を積んだ典型的な社員だったといえます。


このコラムについて
慶応ビジネス・スクール EXECUTIVE
 この連載では、慶応ビジネス・スクールで展開されているエグゼクティブ向けMBA課程のエッセンスを紹介。日々のビジネスに奮闘する読者の問題解決のヒントを提供します。
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/301.html#c2

[経世済民128] トルコ金融市場の休場明けで再び波乱も(会社四季報オンライン) 赤かぶ
1. 2018年8月27日 20:09:47 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1378]
トルコの通貨危機から得られる3つの教訓 中央銀行が問題解決を先送りすると何が起きるのか
2018.8.27(月) 加谷 珪一
トルコ・イスタンブールの雑踏(資料写真)
 トルコリラ急落の影響が拡大している。金融システム全般には波及していないものの、エルドアン大統領の国粋主義的なスタンスが解決を遠のかせている。トルコリラの暴落と過度のインフレは、中央銀行が問題解決を先送りするとどうなるかを示す典型的なケースといってよいだろう。

もともとリスクが高い通貨と認識されていたトルコリラ
 トルコリラは7月まで、1トルコリラ=24円前後で推移していたが、8月に入って急落。一時は1トルコリラ=15円台まで下落した。米国はすでに量的緩和策を終了し、金利は緩やかな上昇フェーズに入っている。相対的に米ドル運用が有利になっていることから、新興国からの資金流出が懸念されていたが、最初のターゲットとなったのは予想通りトルコリラだった。

 新興国の経済は海外資金への依存度が高く、もともと先進各国の経済政策や金融政策の影響を受けやすい。量的緩和策によって米国経済は低金利が続いてきたが、こうした環境下では、余剰資金が利回りの高い新興国に向かいやすくなるので、新興国における資金調達は容易になる。

トルコ通貨が急落、最安値更新 トランプ氏の関税倍増表明で
トルコのイスタンブールで、トルコリラ紙幣を数える両替商(2018年8月8日撮影、資料写真)。(c)Yasin AKGUL / AFP〔AFPBB News〕

 だが米国経済が正常化し、金利が上昇を始めると投資家のスタンスは大きく変わってくる。新興国の通貨はボラティリティが高く、ハイリスクな投資先である。仮に数%から10%の利回りがあったとしても、米国債への投資でそこそこの利回りが得られるのであれば多くの投資家が米国債への投資を選ぶ。

 このため、米国が量的緩和策の終了を決定した2014年以降、新興国の一部から米国に向けて資金が流出し、新興国通貨が不安定化するリスクが指摘されていた。トルコはその中でもリスクが高めの国であると認識されていたが、その不安が見事に的中してしまった格好だ。

トルコリラの下落はかなり前から始まっていた
 トルコリラが不安定化する可能性が高いと指摘されていた最大の理由は、対外債務比率の高さと金融政策のスタンスである。

 トルコは約4600億ドルの対外債務を抱えているが、これは同国のGDP(国内総生産)の50%を超えている。南アフリカやメキシコ、ブラジルなど他の新興国における比率は50%を切っており、トルコの数字は相対的に高い。経常赤字のGDP比率についても同様で、トルコの5.5%に対して、ブラジルは0.5%、メキシコは1.6%、南アフリカは2.3%に収まっている。

 トルコはEU加盟を目指していた国であり、1人あたりのGDPも1万ドルを超えるなど、それなりに豊かである。ただASEAN諸国とは異なり、基本的に内需が経済の中心となっており、消費先行で経常収支が赤字になりやすい。海外資金への依存度も高く、金融システムによる影響を受けやすい体質である。

 こうしたところに、エルドアン大統領による強権政治が続いたことで、経済政策が後手に回ってしまった。

 トルコのインフレ率は高く、過去10年の平均的な物価上昇率は8%を超えている。本来であれば、金利を高めに誘導し、過度なインフレを抑える必要があるが、国民からの人気を最優先したいエルドアン政権は、景気の腰を折りかねない金利の高め誘導を望まなかった。

 トルコの中央銀行はこうしたエルドアン政権の意向を「忖度」し、金利の引き上げには消極的だったので、事実上、インフレが放置された状態が続いていた。トルコリラの減価は必至の状況だったといってよい。

 今回、短期間でトルコリラが急落したので市場の注目を集めたが、トルコリラの下落はかなり前から始まっている。2014年末における為替相場は1トルコリラ=50円を突破していたが、2015年末には2割ほど下落し、2016年末にはさらに25%下落した。今回の急落はここからなので、少し時間を遡ればトルコリラは3分の1になっていることが分かる。

身内を財務相に据え、中央銀行を牽制
 今回の下落の直接的なきっかけは、トランプ米大統領がトルコで拘束中の米国人牧師アンドリュー・ブランソン氏の解放を求め、トルコ閣僚を対象とする経済制裁の実施に踏み込んだことである。

 米国の要求に対してエルドアン大統領が猛反発し、トルコと米国の対立が先鋭化。市場がこれに敏感に反応してトルコリラの下落につながった。

 だが、トルコと米国の対立はあくまで政治的なものであり、通貨下落の本質的な理由ではない。インフレの放置や対外債務の大きさなど、基本的な要件が揃っていたところに、こうした政治的な事象が重なったことで、市場が動き始めたに過ぎない。

 トルコの場合、さらに悪条件が重なっている。トルコは以前は議院内閣制だったが、独裁を強化したいエルドアン首相(当時)が憲法改正を強行。首相職は廃止され、同氏は大統領に就任。非常事態令の発令など極めて大きな権力を握ることになった。

 強権を手にしたエルドアン大統領は、早速、娘婿であるアルバイラク氏を財務相に起用。グローバル市場からの信任が厚かったシムシェキ前副首相は閣外に去った。エルドアン氏は、金融の引き締めを求めるトルコ中銀に対して、これを実施しないよう政治的圧力をかけてきたが、身内の財務相への起用で中央銀行への圧力がさらに強まることが確実となった。

 これらの要因が複合的に重なり、トランプ政権との対立をきっかけに通貨暴落が始まったというのが、もっとも自然な解釈だろう。

危機は複数の要因が絡み合って発生する
 今回の通貨下落をめぐる一連のプロセスは、私たちに3つの知見を提供してくれている。1つは、通貨の下落というのは、単一の要因で発生するわけではないということ、2つめは、通貨の下落には予兆があるということ、3つめは日常的な金融政策のほころびが大きな危機を引き起こすということである。

 確かにトルコの対外債務比率は高かったが、それだけが理由で通貨が暴落したわけではない。金融政策の放棄や中央銀行の独立性に対する懸念、政治的な対立などが複合的に絡み合い、最終的には通貨の信認低下につながった。もしエルドアン大統領が中央銀行に対する過度な政治的干渉を控えていれば、ここまでの下落は発生しなかったかもしれない。

 今回の下落は突然発生したように見えるが、もう少し長いスパンでみれば、通貨に対する不信任は3年前から始まっていたことが分かる。金利も同様で、かなり早い段階から上昇傾向を強めていた。

 市場の動きを冷静に見ていれば、こうした危機が発生するリスクが高まっていることは理解できたはずである。だが、多くの人は、日常的な経済活動に変化がなければ、危機が発生するとは考えない。

 トルコと日本では経済力の大きさがあまりにも違うため、トルコの状況をそのまま日本にあてはめることはできないが、上記の法則は経済規模に関係なく適用することが可能だ。

 日本政府が抱える膨大な債務は、それ自体が円の大幅下落の要因となるわけではない。だが、こうした基礎的要因に、金融政策に対する不信任や当局の当事者能力の欠如、さらに政治的なインパクトなどが加わった場合、金利の急騰や通貨の下落が発生しないという保証はない。

 量的緩和策によって大量のマネーを市場に投入したにもかかわらず、現時点において回収のメドがまったく立っていない現実を考えると、日本の金利動向について注意が必要というのは、常識的な感覚といってよいだろう。
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/309.html#c1

[経世済民127] 最低賃金 首都圏は1千円目前? 中小企業は悲鳴  赤かぶ
5. 2018年8月27日 20:10:30 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1379]
前向きに読み解く経済の裏側

最低賃金の引上げは、「情報弱者」の味方

2018/08/27

塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

 最低賃金が26円引き上げられることになりました 。「これは企業にとって困ることで労働者にとって嬉しいことだ」と言えそうです。

 今は景気が良く、労働力不足です。最低賃金が上がっても、失業者が増えることにはならないでしょう。それなら最低賃金の引き上げは労働者にとって嬉しいことですね。特に、「情報弱者」の労働者にとって朗報です。


(Bluehousestudio/Gettyimages)
 世の中には情報があふれていますが、それでも情報に疎い人(情報弱者)は必ずいます。

 「自分が世間相場よりずっと安い時給で働いていることに気づいていない人」

 「自分の時給が友人より安いことには気づいているが、時給の高い仕事を見つけることができない人」

 といった人がいるのです。最低賃金が上がれば、そうした人々も今までより高い時給で働けるようになるでしょう。

 情報弱者ではない労働者にとっても、最低賃金が上がれば恩恵を受ける可能性は高いと言えそうです。「経済学的に正しい賃金相場と比べて今の世間相場が低すぎる」という場合も多いからです。

労働力不足というのは賃金が安すぎる証拠
 賃金は労働力の価格です。「価格は需要と供給が一致する所で決まる」というのが経済学の大原則ですから、通常のケースでは労働力の需要と供給が一致しているはずです。需要と供給が決まる時の価格を「均衡価格」と呼びます。経済学的に正しい価格(本稿の場合は賃金)、と考えて良いでしょう。

 もっとも、世の中は経済学が考えているほどスムーズには動きません。人々が「均衡価格」を知っていれば問題ないのですが、実際には人々は均衡価格を知らないからです。

 失業が多いということは、労働力の供給が需要より多いということですから、労働者たちが「均衡価格より高い賃金が欲しい」と言って仕事を探し続けている状況です。これを解消するのは容易ではありません。政府が失業者に向かって「均衡価格はもっと低いから、もっと安い賃金の仕事を探しなさい」とアドバイスをすることは可能でしょうが、諦めきれない失業者も多いでしょうから。

 反対に、労働力不足だということは、均衡価格より低い賃金で労働者を雇おうとしている企業が多数あるということです。おそらく世間相場が「均衡価格」より低いのでしょうから、これは解決が簡単です。最低賃金を上げれば良いのです。さすがに最低賃金が上がれば、均衡賃金より安く雇おうという企業は諦めるでしょうから。

 もちろん、最低賃金の引き上げ幅が大きすぎれば失業者が増えてしまいますが、そうでない限りは、最低賃金の引き上げは労働力不足を緩和するのです。これは、均衡価格より低い賃金で労働者を雇おうと無駄な努力を続けていた企業に気付きを与える役割もしていることになります。

最低賃金の引き上げは、日本経済にとって良い影響
 最低賃金が引き上げられると、効率的ではない企業は「そんなに高い賃金は払えないから、アルバイトに辞めてもらおう」と考えるでしょう。そうなれば、効率的な企業は「最低賃金が上がったのは手痛いけれど、おかげで効率的でない企業がアルバイトを減らしてくれて、我が社がアルバイトを採用できることになったのだから、満足しなければ」と考えます。

 結局、アルバイトが効率的でない企業から効率的な企業に移ったわけで、これは日本経済全体として見ると好ましいことです。

 最低賃金が上がると、日本経済には、もうひとつ良い影響があります。それは、企業が「安い賃金で労働者を雇うことができない」ということをしっかり認識するので、「それならば省力化投資をしよう」という決断ができることです。

 「自動食器洗い機を買いたいが、安いアルバイトが見つかるかもしれないから、今少しアルバイトを探してみよう」と考えていた企業が、諦めて機械を買うことにすれば、日本経済が効率的になります(別の言い方をすれば、労働生産性が上がります)。

将来の不況期は心配だが
 さて、最低賃金の引き上げは、どんな場合でも労働者にとって良いことだ、と考える人がいるかもしれませんが、そうと決まったものでもありません。

 景気が悪くて失業者が大勢いる時に最低賃金が上がれば、いままで雇っていた企業が「こんな高い賃金を払うなら、雇わない」と言い始めて、失業者が増えてしまうからです。

 もっとも、どの程度最低賃金が上がるとどの程度失業が増えるのか、という問題はあります。最低賃金が1%上がったら失業が10%増えるなら大問題ですが、最低賃金が10%上がったら失業が1%増えるなら、労働者全体としては悪い話ではありませんから。

 そこで、本来であれば「景気が良い時には最低賃金を引き上げ、景気が悪い時には状況に応じて最低賃金を引き下げる」ことが望まれます。しかし、実際には最低賃金を引き下げるのは難しいでしょうね。労働者たちの反感を買うでしょうから、選挙を気にする政治家たちは、引き下げを避けようとするでしょう。

 そうなると、「失業者が増えたら失業対策の公共投資を増やす」ということになって財政赤字が増えてしまうかもしれません。

 したがって、「本稿は基本的には最低賃金の引き上げに賛成だけれども、将来の不況の時のことは心配だ」ということになるでしょう。

 もっとも、今後は少子高齢化によって、いつでも労働力不足だ、という時代が来るかもしれません。そうなれば、「最低賃金の引き上げは良いことだ」と素直に言えるようになりますね。そうなると良いですね。

http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/857.html#c5

[戦争b22] 専守防衛を逸脱…安倍政権が「電子攻撃機」配備で北を挑発(日刊ゲンダイ) :政治板リンク  赤かぶ
2. 2018年8月27日 20:15:55 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1380]
陸上自衛隊の情報軽視は改まるか
体制整備以上に重要な意識改革と人事
2018.8.27(月) 森 清勇
英秘密情報部、初のテレビCM開始 人材多様化狙う
英首都ロンドンにある秘密情報部(MI6)本部(2010年11月23日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / BEN STANSALL〔AFPBB News〕

 大東亜戦争で日本が敗戦した要因は敵情見積が不足し、第一線で戦う部隊への補給が続かなかったことが大きい。

 また、戦後処理を謳ったヤルタ会談の秘密協定情報を入手しながら、大本営が適切に対処しなかったことも明らかになっている。

 これはひとえに、情報・兵站の重要性に関する認識を欠き、教育訓練を疎かにした上に、適切な人を得なかった人事からである。

 そうした諸々の欠陥の反省の上に立ち、創設された防衛庁(現在は防衛省)・自衛隊(以下では陸上自衛隊を対象にする)であったが、教訓が十分に生かされてきたとは言い難かった。

 対処する相手国の変化も然ることながら、戦術・戦法においても大部隊の正面衝突というよりも、指揮中枢の撹乱など、情報・技術戦の様相が大きくなっている。陸上自衛隊の大改革はそうした時代の要請にフィットするのだろうか。

 自衛隊の創設当時は治安維持的な任務が重視され、また脅威は北方のソ連(当時)からと想定されていた。そこで、部隊の編制装備はほぼ均一を基本とし、配備の重点は北海道防衛を担当する北部方面隊に置かれた。

 しかし、ソ連の崩壊で北方の脅威は低減したが、改革開放で経済的発展を続けた中国が長年にわたり2ケタの軍事力増強を続け、脅威の正面は九州方面に移転した。

 しかも、中国の脅威はソ連型の大規模部隊による着上陸侵攻と異なり、サラミ戦術と称される脆弱な部分を見つけて少しづつ侵略する戦法ともみられている。

 好例が南シナ海の岩礁などを埋め立てて人工島に変容させ、航行の安全などに資するためと称して国際社会を欺きながら、今では軍用基地に変容させたことである。

 米国のドナルド・トランプ政権はオブラートに包まれがちな国家の姿をむき出しにしている。同盟国と雖も甘えが許されない日本である。米国に頼りきりの安全保障体制であった日本にとっては試練の時であるが、改革のチャンスでもある。

情報はすべての行動の基本
 軍隊が関わる情報と言えば、戦場における戦いの情報と局限されがちである。

 しかし、それはあまりに狭い見方で、より重要な情報は、軍隊の規模に始まり、その編制や装備、さらには錬成の度合いなどであり、とりもなおさず国力判断に資するものである。

 また、軍隊の運用などは国家の歴史や伝統に由来することが多く、敵対する相手側にとっては存亡にもかかわる重大事である。

 このように、軍隊が関わる情報は、軍隊の運用や組織、教育・訓練の重点など広範に及び、軍隊内の問題というよりも国家(存亡)の問題と言える。

 今日の状況に照らしていえば、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍事強国への変化などは、かの国の国家戦略にかかわる情報であり、国家的見地からの対応がなければ収集・処理などは叶わない。

 そうした中で、脅威の焦点が中国にあることは言うまでもない。

 中国は孫子の国だけあって、正面から武力を以ってガンガン攻めてくるという形ではなく、普段は世論戦・心理戦・法律戦といわれる三戦や歴史戦・経済戦、さらには孔子学院などの文化侵略、またサイバー攻撃による知財窃盗など、あらゆる資源を駆使した超限戦を仕かけている。

 このような深謀遠慮でカムフラージュした中国の戦略を見極めることもなく、米国をはじめとする先進国は支援で近代化させることによって価値観を同じくする中国が出現するとみてきた。

 しかし、全く違った結果をもたらしている現実に直面し、困惑しているのが実情である。

 ところが、戦後の日本は軍隊を保有していないこと、また、防衛庁が後発官庁で省として独立していなかったことなどもあり、情報に対する意識が疎かにされてきた。

 そこには、情報=諜報=スパイ行為といった短絡思考も重なり、日本的感覚から毛嫌いされたこともあろう。

 ましてや、国家戦略に関わる情報の収集・分析や戦略兵器に携わる人物の一貫した体系に基づく養成などは行われてこなかったといえよう。したがって、組織的な教育のカリキュラムで専門家を養成するのではなく、現場主義で賄ってきたという以外にない。

 国家の真の姿は、歴史や伝統に裏打ちされていることは言うまでもないが、国家の表向きの言動で見るだけでは得られない。

 裏に回って、あの手この手で入手しなければならないものであるが、戦後の日本はそうした手法などを「汚い」の一言で避けてきた感がある。

 情報は国家存続の基本であるという視点が日本人には欠落していた。

 国家の評判を気にするあまりの結果でしかないが、英国のようにきれいな印象を与えている国家が世界最強の情報収集組織を持っていることからも分かるように、情報は国家意識を強固にもった国民の支えがなければ集めることはできない。

 場合によっては、相手国家を支配下に収めたいと企図する「思い上がり」の国家があるかもしれない。そうした企図の察知は、表面的な対処からだけの情報では得られない。

「中国情報」では負けてならない日本
 日本は中国の近隣国であり、中国の政治や経済の影響を最も受けやすい。極論すれば、中国情勢の見極めは、日本の運命に直接的に関わってくる重要事である。

 日本人でありながら米国の一流紙誌で論陣を張り、ワシントン条約体制会議でも意見を聴取されたカール・カワカミは、ワシントン条約体制を主導した米国は中国について最も詳しい日本の意見に耳を傾けることなく行動して中国を増長させ、体制崩壊をもたらしたと述懐した(『支那大陸の真相』)。

 日本こそが、中国の真の姿をつかみ、米欧などの先進国をはじめ、世界の国々に向かって発信すべきであったが、戦後の日本は「日中友好」の美名のもとに、中国の「真の姿」を正しくとらえる努力を怠ってきた。

 国家主権が最も尊重される時代にあって、日本は国家主権を蔑にするかのように対中外交に於いてはへりくだり、媚中外交と陰口さえ叩かれる状況であった。ましてや相手が脅威の存在になるなどとはつゆほども想定せず、ODA(政府開発援助)で支援し続けた。

 「友好」にかまけて、表面的な言動の収集だけにとどまり、中国が秘めた企図、軍事的な「脅威」の見積りを怠ってきたのである。

 こと軍事問題に関しては、防衛省・自衛隊の責任範疇である。第1次世界大戦以降は総力戦と言われるように工業技術などが重要視されるようになり、軍隊に対する精神的な教育訓練だけでは不十分となってきた。

 第2次世界大戦で連合軍を有利に戦わせたものは、優れた情報能力と継戦能力を支える多量の兵站物資、さらには軍の運用・展開を科学的に考察するオペレーション・リサーチなどの科学技術であったことも分かってきた。

 情報や兵站なくして戦えないと分かっていながら、戦後の日本は双方を疎かにしてきた。端的に言えば、日米同盟をいいことに、米軍頼りで甘えてきたからである。

米軍が指摘した情報問題
 ここで、日本が先の大戦で情報に関して、いかなる状況にあったかを確認しておきたい。

 戦後の昭和21年4月、米軍は「日本陸海軍の情報問題について」という調査書を米政府に提出した。

 その結言の一節は以下の通りである。なお、「注」は大東亜戦争中の大本営情報参謀で、戦後は自衛隊の情報分野で活躍した堀栄三氏による(『大本営参謀の情報戦記』)。

 「日本の陸海軍情報は不十分であったことが露呈したが、その理由の主なものは

(1)軍部の指導者は、ドイツが勝つと断定し、連合国の生産力、士気、弱点に関する見積りを不当に過小評価してしまった(注、国力判断の誤り)

(2)不運な戦況、特に航空偵察の失敗は、最も確度の高い大量の情報を逃がす結果となった(注、制空権の喪失)

(3)陸海軍間の円滑な連絡が欠けて、せっかく情報を入手しても、それを役立てることができなかった(注、組織の不統一)

(4)情報関係のポストに人材を得なかった。このことは情報に含まれている重大な背後事情を見抜く力の不足となって現われた(注、作戦第一、情報軽視)

(5)日本軍の精神主義が情報活動を阻害する作用をした。軍の立案者たちは、いずれも神がかり的な日本不滅論を繰り返し声明し、戦争を効果的に行うために最も必要な諸準備を蔑にして、ただ攻撃あるのみを過大に強調した。その結果彼らは敵に関する情報に盲目になってしまった(注、精神主義の誇張)」

戦前の情報軽視
 このような結果をもたらした陸軍の情報に関する姿勢はどのようなものであったか。

 米軍の調査書は「日本では陸軍大学校や航空将校養成学校にも、情報学級もなければ特殊な情報課程もなく、わずかに情報訓練が行われたこともあったが、それも戦術や戦史、通信課程の付随的なものに過ぎなかった」と総括している。

 戦術教育では彼我部隊の勢力や配備状況などを「想定」として与えられる。その一例は以下の通りである。

1.軍は敵を豊橋平地において撃滅すべく諸般の準備を行っている。
2.第○師団は、軍の先遣兵団として○日夕、岡崎付近に集結を完了した。
3.○日午後6時までに第○師団長の承知した敵情は次の通りである。

(1) 敵の先遣部隊の兵力は、少なくも一個師団を下らず、東海道を西進中で、本夕には天竜川の線に達すると判断される。

(2) 軍主力の終結は順調にて、明○日、三梯団となって豊橋平地に向かって前進を始める予定である。

(3)・・・

4.○日夕6時、第○師団長は軍司令官より、師団は速やかに豊橋平地に進出し、軍の作戦を容易ならしめるべき軍命令を受領した。

 これを受けて、学生は課題として、「師団長の決心」や「作戦主任参謀の作戦命令」などを起案することになる。本来は、師団長の決心を問う前に、敵の配置や勢力をいかにして把握するかなどが問われなければならない。

 しかし、そうした設問は、戦前ばかりでなく、戦後の自衛隊における戦術教育においても一切不問にされてきた。

 こうした結果、情報は「自分で取るもの」ではなく、「与えられるもの」となり、国家の運営に関わる戦略情報の段階から、第一線の戦闘に関わる戦術情報の収集手段や分析のやり方など、ことごとく空白であったのだ。

 大東亜戦争中は大佐で大本営参謀の任にあり、敗戦直後は東久邇宮内閣総理大臣秘書官を務め、戦後自衛隊に入隊して陸上自衛隊最高幹部の陸上幕僚長になった杉田一次氏は『情報なき戦争指導』で、「情報」について次のように書いている。

 「旧軍においては教範類の中でも、情報の重要性が強調されず、為さざると遅疑するとは、指揮官の最も戒しむべき所とす、として積極果敢型を望ましい指揮官像と見做し、思考堅実型を斥け、情報マン養成の人事が軽視された。そのうえ,戦略や戦術の教育においても、情報は教官(統裁官)より与えられ、情報が如何にして求められ、審査や評価されたかは不問に付され、与えられた情報はすべて真実であるとして受け入れられていた」 

自衛隊の不適切な人事
 堀栄三氏は懇願されて自衛隊に入隊する。沖縄沖航空戦における大本営発表の「大戦果」を「信用できない」として名を馳せたように、分析力に優れ、自衛隊の情報分野になくてはならない人物であったからだ。

 その堀氏が自衛隊入隊時に受けた訓示の取り扱いについて辛辣な所見を述べている。

 入隊直後に幹部候補生学校で1か月間の訓練を受けたとき、陸上自衛隊の最高幹部である陸上幕僚長が訓示を行ったが、野党の耳に入れば不具合なことを話したらしく、翌日、筆記した者はノートを提出させられたことについてである。

 戦時中は南方で山下奉文大将にも仕えたことのある堀氏である。「恐らく山下大将であったら、取り消しなんて、見っともない事は喋らないし、喋ってもその言葉に責任を持ったであろう」という。

 「自衛隊の作戦命令を貰って行動を起こした途端、あれは取り消しだとなったら、誰が一体責任をとるのであろうか」と疑問を投げかけ、「まず第一に失望してしまった」と率直に吐露する。

 そして、「どうやら自衛隊のボスたちは、政治家たち上の方を見て、部下たち下の方は見ていないようだった」として、次のようなエピソードを紹介する。

 エジプトがスエズ運河を国有化すると発表した時期、陸上自衛隊は全国から高級幹部を集めて、那須野ヶ原演習場で大規模は図上演習を計画していた。師団長等は演習に参加するため部隊を留守にするか否かが問われる事態となる。

 情報担当の第2部長が判断することになり、「おーい、国外班長(堀氏)! 戦争になるか、ならんのか?」と、追求が急であったと述べる。

 部長は「東大出で、官界をとんとん拍子で歩いてきて、いまや旧軍の陸軍中将の位」についていて、次の異動で「師団長に栄進できるかどうかの試練の時」で、失敗は許されなかったのだ。

 在京外国武官の動向をはじめ、関係大使館の状況の変化や米空軍基地の警戒態勢、報道機関の論調の変化、石油会社の危険度の感じ方、ニューヨークやロンドンの株式の動き、さらにダレス米国務長官の動きなどなど、考えられるあらゆる情報から、堀氏は「戦争になりません」との判断を進言する。

 部長は「どこで聞いてきたのか? まさかエジプトまで行ったのでもないのに」と反問し、「君、もし間違ったらどうするか? それこそ首が飛ぶぞ!」と凄まれるが、「責任者は第2部長ですから、あなたは首では済まないでしょう。間違ったときは自決をする以外に責任を取る方法はないでしょう」と皮肉を交えていったと述べる。

 部長は堀氏の回答に自信が持てず、「情報に明るい専門家や、外務省の局長クラス、課長クラスで、第2部の顧問会議を作って、そこで決めて貰うのはどうだろうか?」などを提案してきた。

 「我々が責任を持つ仕事」だと堀氏が言っても部長はまだ釈然とせず、「幕僚長以下各部長に集まってもらって、部長会議に堀の案を提案して決めてもらう」と言い出す始末。

 堀氏は自分一人で駆けずり回ったことも踏まえ、「自衛隊の情報は組織でするのではなく、1、2名の職人的勘でする情報である実態を暴露」したという。

 また「責任者が責任を逃げて、会議で行う統帥であることも判明してしまった」と嘆き、「情報はまだその日暮らしである」と、情報に対する責任感の無い不適切人事を糾弾している。

自衛隊の情報関係者育成
 戦前の反省を踏まえ、自衛隊の幹部要員を養成する防衛大学校は情報や兵站など科学技術に明るい幹部が必要であるという認識から理工系とし、また組織の軋轢などを除去する目的で陸海空幹部要員が共同生活する形をとる。

 戦闘にかかわる「普通科(旧軍の歩兵)」、「特科(同砲兵)」、「機甲科(同戦車)」職種や、後方支援に分類される「武器科」「需品科」「輸送科」「衛生科」など、また両用的な「通信科」「施設科(旧軍の工兵)」などの14職種がある。

 隊員は職種部隊に所属し、それぞれの職種教育を行う学校(武器科は武器学校、通信科は通信学校など)で学ぶことが必須とされている。

 しかし、「情報」職種はつい8年前の2010年まで存在しなかった。情報はすべてに関係するため、職種としての分類に馴染まないという好意的解釈もできるが、ざっくり言って「軽視」ないし「無視」という評価が正しかったのではないだろうか。

 従って、情報に携わる組織は各職種から派遣された隊員で構成される混成部隊でしかなかった。

 防衛および警備のため必要な知識や技能を取得させる教育訓練機関として調査学校(旧軍の中野学校に相当)が存在したが、職種学校ではないため、情報に携わる者にとっての必須の教育機関ではなかった。

 また、ここで学ぶ隊員には中・高齢者も多いことから、それぞれの職種部隊で「使い物にならない」「排除された」隊員が学ぶところという偏見・悪評さえ囁かれる状況であったと仄聞した。

 筆者は武器職種であったにもかかわらず、在隊間の多くを情報関係で勤務し、中でも戦略兵器情報に携わることが多かったが、調査学校で教育を受けて情報マンになったわけではなかった。

 偶々大学の専攻が電気で、大学院でさらに科学技術(核融合専攻)を学んだ結果、兵器・技術の情報を収集する部署に配属され、何時しか生涯の仕事として歩むことになったということである。

 情報に対する陸自の戸惑いは「情報」を教育する学校の消長からも考察できる。情報や情報専門家がますます必要になるであろう内外情勢下にあって、拡大どころかなんと縮小さえ行われてきたのである。

窮る情報意識の欠如
 平成22年版防衛白書は、「近年、防衛分野における情報の重要性が高まってきたことを受け、情報にかかる専門性の高い識能を保持する隊員を育成し、陸上自衛隊の情報機能を強化するため、10(平成22)年3月に新たに情報科職種が創設された。新たな職種の創設は、陸上自衛隊創隊以来、初めてのことである」と述べる。

 「情報の重要性が近年高まってきた」という認識を、読者の皆さんはどう思うだろうか。ピントはずれもいいところだ。これでは、大東亜戦争の反省どころか、冷戦崩壊後の国際情勢、中でも北朝鮮や中国の状況を全く反映していないという以外にない。

 筆者は、陸幕調査部で技術担当をしていた折、偵察衛星の研究を前任者から引き継ぎ、関係企業などの協力を得て防衛庁(当時)・自衛隊での開発推進を図った。

 しかし、上司や要路に諮っても、「宇宙の軍事利用はしない」政府方針に反するとしてほとんど聞く耳がなく、国際情勢に鑑みた打開策追求の熱意などは微塵も感じられなかった。

 その後、何年かたって北朝鮮がテポドンを打ち上げ、政府が「多目的情報収集衛星」に言及するに及び、各企業などが研鑽してきた偵察衛星研究が役立ったことは言うまでもない。

 白書は続けて、「情報科職種の創設により、情報を専門とする人材を安定的かつ継続的に確保するとともに、長期的視野に立った段階的かつ計画的な人材育成が可能となり、情報に係る人的基盤の強化を図ることができると考えている」と書いてある。

 「情報」をいかに軽視していたかが伺える。

 筆者は相手に勝つためには鹵獲兵器等を入手し、徹底的な調査研究が必要である旨の提案をしたことがあったが、要路者はカタログ性能で良しとする安易な道をとるものが多かったことも、情報にかかわる人材を得ていなかったからではないだろうか。

 英語表記で「Intelligence School」と記された「調査学校」の経緯からも、陸上自衛隊の「情報」に対する認識が読み取れる。

 1954年9月、「陸上自衛隊調査学校」は小平駐屯地に創設されるが、その後、越中島(1956年)に移転し、再度小平(1960年)に帰ってくる。

 しかし、2001年3月、調査学校は廃止され、同場所に存在した業務学校に吸収・合併される形で「小平学校」となり、その中の情報教育部・語学教育部として格下げの形で存続する。

 今年(2018)3月の大改革で、情報教育部・語学教育部を母体に富士駐屯地に陸上自衛隊「情報学校」が新編され、年度末には教育支援部隊として情報教導隊も新編される予定となっている。

おわりに
 1937年の南京における追撃戦は中国共産党の国家をあげた捏造で「南京大虐殺」とされているが、これよりはるかに熾烈で、日本軍を手古摺らせた上海攻防戦がその前にあった。

 精鋭と謳われた金沢の第9師団は戦死将兵3833人、戦傷8527人を出し、戦力の66%が損害を被り、中でも将校は狙撃で狙われた。

 中国軍はドイツの将軍を顧問として招聘し、ドイツの兵器や訓練で防備を固めていたが、日本軍はそうした情報を察知しておらず、支那事変の発端となった盧溝橋事件程度にしか見ていなかった。

 堀氏は「諜報戦の時代に、現在の自衛隊の軍事諜報組織は、実に貧弱な統合幕僚会議の第2室と、その下に陸海空三自衛隊の情報部または調査部があるだけで、仕事の内容も陸海空がそれぞれ自分本位の立場からの狭い視野で情報をとらえる旧軍時代と一向に変わっていない」と、平成元年に喝破していた。

 その後、統合幕僚会議が統合幕僚監部になり、堀氏が指摘したような欠陥を是正するために、第2室と陸海空の情報部の一部を合併して1997年に「情報本部」を立ち上げたが、縷々述べたように、日本人の「情報」に対する意識は、いまだ萌芽し始めたばかりという程度ではないだろうか。

 戦前の駐在武官に相当する「防衛駐在官」は、いまだに外務省への出向で、「一等書記官兼ねて一等陸佐」の肩書でしかない。

 外務省要員が先にあり、防衛省要員は付け足しでしかないのだ。ここにあるのは省庁の序列意識で、国家の存亡にかかわる重責意識は感じられない。

 国際社会で飛び交う情報からエキスを抽出して日本を健在させるためには、一等陸佐ではなく「大佐」(さらには少将)で、大使に次ぐ処遇くらいが与えられなければ、諸外国の要路に接近できないことは言うまでもない。
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/264.html#c2

[戦争b22] 中国が上陸部隊の海兵隊を3倍以上に増強!  赤かぶ
7. 2018年8月27日 20:24:57 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1381]
ハイテク覇権国を目指す中国の歩みは止められない
三峡ダムに見る中国の底力、米国の対抗策も進展を遅らせるだけ
2018.8.27(月) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年8月24日付)

三峡ダム漂流物の「回収王」が見た長江生態環境の変化
三峡ダム漂流物の「回収王」が見た長江生態環境の変化。写真は、埠頭を出発し、回収作業を始める機械化漂流物回収船(2018年6月28日撮影)。(c)新華社〔AFPBB News〕

 あの瞬間は、いつの日か、プロパガンダ芸術で称えられることになるかもしれない。

 湖北省宜昌を流れる揚子江の霧が晴れ、卓越した技術力の誇らしい象徴である三峡ダムの上に習近平氏が姿を現し、中国は技術超大国になるべく独自の道を突き進むと宣言した、あの瞬間のことだ。

 習国家主席が今年4月に行ったこの演説を直接聞いたのは、青色のつなぎ姿で満面に笑みを浮かべた作業員の一団だった。しかし、この発言の真の標的は、中国との貿易戦争のわめき声を発していた米ホワイトハウスだった。

 「過去には、我々は生活を切り詰め、歯を食いしばり、2つの爆弾(原爆と水爆)と人工衛星を作った」

 習氏はこう述べた。「技術開発に取り組む次の段階では、幻想を振り払い、自立しなければならない」

 毛沢東以来の強大な権力を誇る最高指導者の言葉である以上、そこにはかなりの重みがある。しかし、目に見える隠喩としての三峡ダムは、習氏が認める覚悟ができていないことまでも明らかにしている。

 ダムの壁は中国企業が作ったものの、発電するタービンは、少なくとも当初は、外国製だったということだ。

 この矛盾には、技術立国を目指す中国のジレンマが凝縮されている。

 「中国製造2025」と銘打った政府の計画は、2025年までに様々な分野の技術で世界の主導権を握ることを求めているが、付加価値の階段を上っていく取り組みの進展は、かなりの程度、外国の技術や知的財産に依存していたのだ。

 従って、貿易戦争への中国の対応は慎重なものとなる。

 中央政府は中国企業に対し、サプライチェーンにおける米国の技術・知的財産への依存度を引き下げ、可能であれば欧州、日本、韓国、台湾など米国以外の国や地域のもので代替するよう命じている。

 「米国は基本的に、頼りにできない経済パートナーだ」

 国務院国有資産管理委員会(SASAC)という国有持ち株会社(前年度連結売上高は26兆4000億人民元=3兆8000億米ドル)のある幹部はそう語る。「頼るには、とにかくリスクが高すぎる」

 では、中国は米国抜きで本当にやっていけるのだろうか。

 対ドルでの人民元安や、それに足並みをそろえるかのような上海市場の株価下落などを見ると、金融市場が示している答えは「ノー」であるように見える。

 しかし、より長期的に見るなら、中国は2つの重要な点で成果を上げるように思われる。

 まず、半導体などの主要分野では困難な面があるにせよ、米国からの輸入への依存度を引き下げることで、自国企業のサプライチェーンのリスクを小さくできるかもしれない。

 また、人工知能(AI)や第5世代(5G)移動通信システム、モノのインターネット(IoT)、自動運転車、電池技術などの分野では、2025年までに世界的な優位性を得るという目標を達成できる可能性がある。

 一つ、中国にとって有利な点は、こうしたリスク低減活動が米国からの輸入品だけに適用され、米国企業が中国で製造する部品には適用されないかもしれないことだ。

 これは重要なポイントだ。

 米国企業が中国で製造・販売している製品は昨年、金額ベースで約2500億ドルに達しており、中国が米国から輸入した製品1300億ドルのほぼ2倍に相当するのだ。

 もう一つ考慮すべきポイントは、米国ハイテク製品の代替品が容易に手に入ることである。

 中国の証券会社、海通証券の調べによれば、11のハイテクセクターについてアジアでの売上高を分析すると、欧州連合(EU)、日本、韓国および台湾で作られた製品の方が米国で作られた製品よりも多いセクターが8つに上っている。

 ちなみに、米国製品が明らかに優勢な残り3セクターは、半導体と半導体製造装置、および航空宇宙だ。

 そのため、技術をめぐる米中の対立は、主に半導体業界で繰り広げられる。

 今年4月には米国が中国の通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)に対し、米国製半導体やその他のハイテク製品の購入を7年間禁止すると発表したことで、中国の脆弱性があらわになった。

 ZTEはこの制裁で窮地に陥り、米政府が救いの手を差し伸べた。

 しかし、半導体セクターは、中国が野心を抱いていることが特に明らかな分野でもある。

 調査会社ギャブカルのダン・ワン氏によれば、「中国製造2025」実現支援のために予算が確保された約3000億ドルのうち、1500億ドルほどは、半導体における中国の能力を高めるために使われることが決まっている。

 また半導体の分野でさえも、米国の支配は完全にはほど遠い。

 もしZTEに対する制裁が同じ中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)に適用されていたら、そのダメージは簡単に封じ込められていただろう。

 ファーウェイは半導体の設計を、世界で7番目に大きな半導体設計会社である完全子会社の海思半導体(ハイシリコン)で行っているからだ。

 中国のこれまでの記録も、近代化に対する中国の気迫が負ける方に賭けるのは愚かであることを示している。

 10年前には、中国がスマートフォンで世界市場を席巻すると予測した人はほとんどいなかっただろう。

 しかし昨年にはファーウェイ、OPPO(オッポ)、vivo(ビボ)といった中国企業は世界のスマーフォン販売額の43%を占めている。米国のアップルや韓国のサムスンの影も薄くなる数字だ。

 このように見ていくと、中国が技術の階段を上っていくこと、米国の反発によってそのペースが遅くなったり痛みがもたらされたりすることがあっても上り続けていくことは、明らかだと思われる。

 ひょっとしたら、三峡ダムの話は、結局、そういう展開を示しているのかもしれない。

 最初に取り付けられたタービンは欧米の発電設備メーカーが供給したものだったが、中国メーカー2社が急速に実力をつけ、ダム建設プロジェクトの後期段階に参加できるほどになった。

 そして今ではこのハルビン動力設備と東方電機が、ほかの国々で欧米勢の仕事を奪っているのだ。

By James Kynge

© The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.

http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/284.html#c7

[政治・選挙・NHK249] 杉田水脈がLGBT差別問題から逃亡の裏で“お仲間”の極右集会に参加予定!「南京事件はなかった」のトンデモ主張(リテラ) 赤かぶ
12. 2018年8月27日 20:33:38 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1382]
2018年8月27日 橘玲 :作家
「保守のジャンヌ・ダルク」がバッシングするつもりがバッシングの標的になってしまった理由
[橘玲の日々刻々]
橘玲のメルマガ 世の中の仕組みと人生のデザイン 配信中
 自民党に所属する保守派の女性議員が雑誌への寄稿で、「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)」に対し、「彼ら彼女らは子供をつくらない、つまり「生産性」がないのです」と述べたことが激しい批判にさらされています。

 これまでこのコラムで何回か、「世界の価値観はリベラル化しており、日本も半周遅れで追随している」と書きました。しかし今回の事件は、日本の「右傾化」を象徴しているのではないでしょうか。

 その後の展開を見るかぎり、じつはそうともいえません。

「中国」や「韓国」、「リベラル」には過剰なくらいの批判(しばしば罵詈雑言)をしている右派論壇のひとたちは、この件については奇妙なことにみな沈黙を守っています。私が目にした唯一の「擁護」は「新しい歴史教科書をつくる会」創設メンバーの一人である藤岡信勝氏によるもので、「「『生産性』という言葉は(中略)引用符が施されており、(中略)誤読に基づく冤罪というべきものだ」でした。慰安婦問題などでこの女性政治家を「保守のジャンヌ・ダルク」と持ち上げていたひとたちは、いったいどこにいってしまったのでしょう。

 自民党内にも彼女の主張を擁護する声はほとんどなく、9月の総裁選で安倍首相のライバルである石破茂氏や野田聖子氏ははっきり批判していますし、「人それぞれ政治的立場、色んな人生観もある」と庇った二階俊博幹事長も、同じ会見で「多様性を受け入れる社会の実現を図ることが大事」と述べています。それぞれニュアンスの差はありますが、保守派議員のなかでも四面楚歌になっていることは間違いありません。

 この女性政治家は母子家庭や生活保護を「自己責任」と批判してもいましたが、驚いたことに今回の問題ではいっさいの説明を拒絶しています。自らの意見を開陳するのは思想・表現の自由でしょうが、国会議員は多額の税金を受領しているのですから、一般人はもちろん言論人と比べても重い説明責任を負っています。それを放棄するのでは、「弱い者には厳しく自分に甘い」といわれてもしかたないでしょう。

 私の考えでは、世界は「リベラル化」と同時に「アイデンティティ化」しており、日本ではそれが「日本人」という脆弱なアイデンティティを守ろうとするかたちで表われます。これが「日本」を攻撃する(と思われている)者たちへの強い反発(嫌韓・反中、朝日ぎらい)になるのですが、逆にいえば「日本」に関係ないことはリベラルでかまわないのです。

「ネトウヨ」と呼ばれるひとたちは、「反日」だけでなく、「フェミニズム」「夫婦別姓」「LGBT」はたまた「ベビーカー」までさまざまな“弱者利権”を攻撃しますが、じつはこうしたテーマはリベラル化が進むなかで大衆的な支持を得ることができなくなっています。「すべてのひとが平等に、もって生まれた可能性を最大化できる社会を目指すべきだ」という意味でのリベラルを否定し、前近代的な日本の「伝統」を称揚するひとは右派論壇や保守派の政治家でもどんどん減っています。

 ところが件の女性政治家は、「ネトウヨ」的な主張をすればするほど「ジャンヌ・ダルク」ともてはやされると思ったのでしょう。この勘違いで地雷を踏み、バッシングするつもりがバッシングの標的になってしまったのです。

参考:朝日新聞2018年7月27日「杉田氏「生産性」発言に広がる批判 自民党本部前で抗議」
『週刊プレイボーイ』2018年8月20日発売号に掲載

橘 玲(たちばな あきら)

橘玲のメルマガ 世の中の仕組みと人生のデザイン 配信中
作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『「言ってはいけない?残酷すぎる真実』(新潮新書)、『国家破産はこわくない』(講談社+α文庫)、『幸福の「資本」論 -あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』(ダイヤモンド社刊)、『橘玲の中国私論』の改訂文庫本『言ってはいけない中国の真実』(新潮文庫)など。最新刊は、『朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論』(朝日新書) 。

●橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中!(20日間無料体験中)
http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/335.html#c12

[国際23] 速報!トランプ急きょ、国務長官に訪朝中止を指示!  赤かぶ
4. 2018年8月27日 21:11:42 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1383]
トランプ氏の支持率安定、元側近裁判の打撃見えず
トランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告(21日)

: CRAIG RUTTLE/ASSOCIATED PRESS
By Janet Hook
2018 年 8 月 27 日 10:25 JST 更新

 ドナルド・トランプ米大統領の元側近が裁判で有罪評決を受けたり、有罪を認めたりしたが、同氏の支持率は安定を保っている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)とNBCテレビの最新の共同世論調査で明らかになった。

 2016年の大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたポール・マナフォート被告は21日、詐欺罪などで有罪評決を受けた。またトランプ氏の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告も同日、脱税と選挙資金法違反について有罪を認めた。

 その直後に実施された世論調査では、登録有権者間のトランプ氏の支持率は44%となった。2つの裁判に関する新たな動きが報じられる前に実施された前回調査の46%からは小幅な低下だが、この変化は誤差の範囲内で統計的に有意性はない。

 民主党系の世論調査専門家ピーター・ハート氏は、元側近の裁判が中間選挙に向けて重要な分岐点になると期待していた反トランプ派にとって、今回の調査結果は期待外れだったと解説する。ハート氏は、共和党系の世論調査専門家ビル・マッキンターフ氏とともに、この世論調査の実施に当たった。

 世論調査では、トランプ氏の支持基盤の忠誠心が堅固であることがあらためて示された格好だ。同氏の熱烈な支持者は、トランプ大統領就任以降のさまざまな議論にはほとんど動揺を見せずにきている。マッキンターフ氏は「(トランプ氏をめぐっては)たくさんの出来事が起きているが、支持率への大きな影響はない」と語る。

トランプ氏の支持率安定、元側近裁判の打撃見えず
 調査は18−22日に900人を対象に行われ、続いて22―25日に600人を対象に実施された。

 今回の調査では、米大統領選へのロシア介入疑惑に関する捜査について、トランプ氏が正直かつ誠実に対応しているかとの質問には、「イエス」が38%で、「ノー」が56%だった。賛否はほぼ支持政党に沿って分かれたが、共和党支持層はそれほど確信を持って「イエス」とは思っていない。民主党支持層では、トランプ氏が「正直ではないと強く思っている」のは81%だった。これに対し共和党支持層では、「正直だと強く思っている」のは46%で、「どちらかといえば正直」が30%だった。

 また経済運営の面では、景気好転を受けて共和党に対する信頼感の方が高い。経済運営はどちらの党が優れているかとの質問では、共和党が43%、民主党が29%だった。7月の前回調査に比べ、その差は2倍に広がった。

 それでも、中間選挙後どちらの党が議会の多数派を占めるべきかとの質問に対しては、民主党という答えが50%、共和党が42%だった。ここ数カ月間の調査では、民主党は一貫して共和党に同程度の差を付けてきている。

 WSJとNBCの世論調査に従事している別の民主党系専門家フレッド・ヤング氏は、中間選挙の「未知要因」として大統領弾劾を挙げる。「民主党が弾劾の話を強く出し過ぎると、民主党が議会多数派の地位を奪取することへの疑念を引き起こし、共和党の対抗心をあおる可能性がある」と指摘する。

関連記事
トランプ氏の腹心が反旗、その背景に何が?
トランプ大統領の最も暗い1日
【社説】大統領の弾劾に口つぐむ民主党

 


社説】大統領の弾劾に口つぐむ民主党
2019年に向けた最大テーマ、選挙前にあえて語らず
外国投資リスク審査近代化法案について議員らと意見交換するトランプ米大統領(8月23日)
外国投資リスク審査近代化法案について議員らと意見交換するトランプ米大統領(8月23日) PHOTO: JIM LO SCALZO/EPA-EFE/REX/SHUTTE/EPA/SHUTTERSTOCK
2018 年 8 月 24 日 16:20 JST

 しー、お静かに。他に何をするにせよ、「I」から始まる言葉には11月まで触れないでほしい――。これはドナルド・トランプ米大統領の元個人弁護士マイケル・コーエン被告が選挙資金法に違反した罪を認め、トランプ氏の関与を示唆したことを受け、民主党指導部や同党に好意的なメディアの多くが国民に発したメッセージだ。「弾劾(impeachment)」という言葉は、今から11月の中間選挙当日まで禁句扱いとなった。

 「これに関する情報が出てくるかどうか、いつ出てくるのかを注視している」。元下院議長で、恐らく将来その職に再び就くと思われる民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務はこう話す。「今後何か他の材料が出てこない限り、われわれの優先的な課題とはならない」

 コーエン被告の罪は重大だが、大統領弾劾の議論は「時期尚早」だと民主党の上院院内幹事を務めるディック・ダービン議員も言う。「より多くの情報が出てくる必要がある」ため、「まだそうした言葉を使う段階ではない」

 ワシントン・ポストのコラムニスト、E・J・ディオン氏は「トランプ氏は生き延びられるか?」と遠慮がちな見出しをつけ(読者には同氏の答えが分かっているだろうが)、民主党に次のように助言した。「トランプ氏の弾劾を支持する意見が突如、非常に強まった。だからといって弾劾を2018年の選挙テーマにするのは賢明でない」

 こうした誤った見方を信じる人は、トランプ氏はストーミー・ダニエルズ(アダルト映画女優ステファニー・クリフォードさんの芸名)といちゃついたりしなかったと信じているのだろう。

 政治的な現実はこうだ。民主党が11月の選挙で下院の過半数を獲得すれば、ほぼ確実にトランプ氏の弾劾手続きに入るだろう。民主党のこれまでの発言や既に動き出したプロセスからみて、民主党には他に取るべき道があまりない。ただ、選挙前の今はそれを認めたくないだけだ。4年の任期を見越して大統領を選んだつもりでいる大勢の「嘆かわしい人々」(トランプ氏の支持者)や無党派層の人々を刺激しないようにとの配慮だ。

***

 民主党が下院(定数435)で228議席を獲得し、過半数を奪還するのが妥当な推測だと思われる。10議席差は多くないが安定的多数といえる水準だ。それは民主党が2年間主張し続けたことによってもたらされた結果となる。すなわち、トランプ氏はロシア政府と共謀して2016年の大統領選をかすめ取った正当性を欠く大統領であり、大統領の地位を私利私欲の手段に利用しており、米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー前長官を解任したことは司法妨害にあたり、コーエン氏が有罪を認めた以上、もはや選挙資金不正の「起訴されていない共謀者」だという主張だ。

 民主党はついにこの人類への脅威に対して何かできる権限を手にするのだ。それなのに突然「いや、気にするな」と言うのか。

 恐らく民主党はゆっくりと始め、まずは捜査手続きを活性化させるだろう。召喚状や公聴会、それら全てがメディアを通じて最大限に伝えられる。コーエン被告が主要な証人となり、司法取引で名前の挙がった他の人々も証言するはずだ。中でもトランプ氏の納税申告書は大いに注目を集めるだろう。

 このように展開し始めたら、民主党指導部が止めようとしてもそれを止めるのは難しい。ロバート・モラー特別検察官が上司に報告書を書き(その内容が漏れるのは必至だ)、自分には現職大統領を起訴することはできないが、司法妨害または怪しい資金調達だと思われる証拠があると告げたら、なおさら止められなくなる。証拠すら問題にならないかもしれない。というのも弾劾は政治的手続きであり、何が(弾劾に値する)「重大な罪および非行」かを定義するのは議会だからだ。

 一方で、2020年の大統領選に向けた民主党候補指名レースが始まり、多数の候補者がリベラル派有権者の心をつかもうと躍起になる。そこで競われるのは、誰が最も大きな声で弾劾を主張するかということだ。テリー・マコーリフ前バージニア州知事は大統領選出馬に前向きだが、ビル・クリントン元大統領を擁護し、弾劾に反対した同氏でさえ、トランプ氏の弾劾は「わが党がぜひ検討すべきことだ」と述べた。

 怒りというよりむしろ悲しい気持ちで、冷静な判断を求める声が高まりそうだ。だが政治的な機運には誰も手をつけられない。民主党の基盤であるリベラルな支持者が求めるのは、同党が弾劾採決まで持ち込むと期待できることだろう。メディアの支配層もそうだ。彼らはトランプ氏が正当な手段では自分たちのヒロインを打ち負かすことができなかったという確証がほしいのだ。

 政治的に賢明なシナリオは2020年まで待つことかもしれない。国民がトランプ疲れを起こしたら、その波に乗るという作戦だ。だがリベラル派が現大統領にどれほど政治的な屈辱や法的な罰を与えたがっているかを過小評価すべきではない。われわれの話を信じないなら、ツイッターの投稿やコラムを読むといい。

 大統領の弾劾が2019年〜20年にどのような政治的展開を見せるかは分からない。ロシア共謀疑惑と何の関係もない行為を根拠にした弾劾は、多くの国民をいら立たせるだろう。だが、ニューヨーク・タイムズは今週、「そんなことは問題ではない」と言い放った。現時点では上院で有罪と認定される見込みは低そうだ。だが共和党をトランプ氏の行動の擁護に回らせることができるのだから、民主党は気にしないかもしれない。

 中間選挙の年である今年、肝要な点は、民主党がトランプ氏の弾劾は自分たちの政策課題の1つではないと語っても、それを決してうのみにすべきではないことだ。それは同党の唯一の課題なのだから。

関連記事
トランプ氏の腹心が反旗、その背景に何が?(前編)
トランプ氏の腹心が反旗、その背景に何が?(後編)
「口止め料」情報提供で訴追免除、タブロイド紙CEO
トランプ氏、また司法長官を攻撃 司法取引巡り

http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/726.html#c4

[政治・選挙・NHK249] 共産は嫌いだという玉木氏が選出されるようなら国民民主の先はない。(かっちの言い分) 一平民
15. 2018年8月28日 07:32:43 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1381]
体質転換迫られる「長老支配、上意下達」の共産党 決定的に欠けている党内民主主義
2018.8.28(火) 筆坂 秀世
日本共産党の党勢拡大「特別月間」は成功するのか?
 日本共産党が「参議院選挙・統一地方選挙躍進 党勢拡大特別月間」に取り組んでいる。最大の収入源である「しんぶん赤旗」の連続的な減紙、党員数の激減が続いているからだ。この運動の成功のために、「激動の時代に歴史をつくる生き方を──あなたの入党を心からよびかけます」という長文の「入党のよびかけ」も作成されている。

 だが以前にも書いたが、この「特別月間」が成功することはあり得ない(参考「率直に表明された共産党・党勢拡大運動の悲惨な現状」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53349)。なぜ党員が減り続けているのか、その原因究明がまったくなされていないからだ。原因を究明せずして、どんな運動に取り組んだところで成功するわけがない。

「入党のよびかけ」も、そもそもこんな長文の文書を読む人がいるとは到底思えない代物だ。中身は、自画自賛ばかりのうんざりした内容だ。ソ連などの崩壊も、相変わらず「あれは社会主義ではなかった」という無責任な弁明だけである。こんな弁明が世間に通用すると思っているとするなら、傲慢の極みである。

 ソ連を理想の社会主義国だと信じ、革命は近いと信じて、どれほど多くの若者が革命運動に身を投じたのか。そんなことはまるでなかったかのように、共産党の重鎮である不破哲三氏などは、社会主義革命は21世紀から22世紀にかけての課題だなどと気楽に語っている。命がけで共産党に入党し、革命運動に身を投じた人をなんだと思っているのか。

 党内では、こんな幼稚な言い逃れが、理論家不破哲三のありがたい分析としてまかり通っている。これに批判の声すら上がらない。この体質こそが共産党ということなのだろうが、こんな党に若者が夢を抱いて入党するわけがない。まず、共産党のこうした体質転換こそ急ぐべき課題だろう。

共産党の指導者は選挙で選ばれない
 まったくといっていいほど国民の関心を集めていないが、現在、国民民主党の代表選挙が行われている。9月4日投票ということだ。9月7日からは、自民党の総裁選挙が始まる。このように普通は政党のトップは選挙で選ばれる。だが日本共産党だけは違う。代表選挙というものがそもそもない。

 日本共産党について私に質問をする方の多くが、「志位さんは何年委員長をしているのですか? あんなに長いこと委員長の座にいて、党内から批判の声は上がらないのですか? どう見ても共産党の中には民主主義がないようにしか思えないのですが」という疑問を投げかけてくる。

 私はこういう質問が出たときには、「そもそも共産党内には選挙がないからです」と答えることにしている。

 こう言うと、共産党は「そんなことはない」と反論するだろう。というのも、共産党の党規約の第三条には、「すべての指導機関は、選挙によってつくられる」と規定されている。さらに第十三条には、次のように書かれている。

――党のすべての指導機関は、党大会、それぞれの党会議および支部総会で選挙によって選出される。

――選挙人は自由に候補者を推薦することができる。指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦する。選挙人は、候補者の品性、能力、経歴について審査する。

 指導機関というのは、下から順に支部委員会、地区委員会、都道府県委員会、中央委員会のことを指している。その他にも、幹部会、常任幹部会、委員長、副委員長、書記局長などの選出もある。

 ただ規約を見れば一目瞭然なのだが、この規定には選挙にとっての一番大事なことが欠落している。これだけでも「これは選挙と呼べる代物ではない」と断言しても間違いではない。

 それは、“立候補という制度がない”ということだ。

 自ら立候補できないような選挙制度などあり得ない。しかも、「指導機関は、次期委員会を構成する候補者を推薦する」とある。要するに、現在の指導部が次のメンバーを選ぶということだ。

 もし自治体選挙や国政選挙で立候補制度が禁止され、現在の議員が次の議員を選ぶとしたら、共産党は口を極めて「これは選挙ではない」と批判するだろう。当然のことだ。こんな選挙制度などあり得ない。

 だが共産党では、例えば中央委員会の選挙では、それまでの中央委員会が約200名程度の次期中央委員、准中央委員(決議権を持たない)名簿を作成し、党大会に提案する。この約200名には、年齢や簡単な党歴などが書かれている。写真はなかったと記憶している。私など相当党歴も、幹部歴も長かったがよく知っていると言えるのは、せいぜい2割程度だった。ほとんどの人は顔も知らないし、話もしたこともない。地方で活動する党員はもっと知らないだろう。

 これをどう選ぶのか。党大会では代議員に約200人の名前が書かれた投票用紙が配布される。名前の上に欄があり、「この人は選びたくない」と思う人だけにチェックをする。そうでない人は何も書かない。最高裁裁判官の国民審査のようなものだ。結局、顔も知らなければ、経歴もよく知らない人を従前の指導部が提案したとおりに選ぶのが共産党の言う選挙なのだ。

 では、この名簿は誰が作るのか。中央委員や幹部会委員、常任幹部会委員の誰もが熟知しているわけではない。人事局担当の常任幹部会委員や委員長、書記局長などのごく一部が主導して作成される。私は何年も常任幹部会委員や政策委員長、書記局長代行の任に就いてきたが、それでもこの名簿作成に関わったことはなかった。

 結局、数人の幹部の意向、というより、ほとんどトップ一人の意向で中央委員会や幹部会委員、常任幹部会委員などの党中央の指導部が作られていく。委員長や書記局長なども同様である。トップがみずから「辞める」と言わない限りいつまでも居座り続けることになるのだ。

 こんな組織に党内民主主義などあるわけがない。

共産党の本当のトップは誰なのか
 党規約上は、現在の共産党において最も上位の職責を担っているのは、志位和夫幹部会委員長である。では志位氏が実質ナンバーワンかと言えば、私はそうではないと見ている。実質的なナンバーワンは、不破哲三氏であろう。幹部会委員長、中央委員会議長を歴任した不破氏は、これらの役職は降りたものの、88歳の今も最上位の常任幹部会委員として残っている。不破氏が影響力を残していく上で常任幹部会委員に残っていることが重要なのである。

 不破氏の前にカリスマ指導者として君臨した宮本顕治氏(故人)は、引退した途端にすべての影響力を失ってしまった。当時、わけ知り顔の共産党ウオッチャーが、引退しても宮本氏の影響力が残っているかのような解説をしているのを見たことがあるが、引退した翌日から党本部内で宮本氏のことはまったく話題にも上らなくなった。一夜にして過去の人になったのだ。

 不破氏は自分が居座っただけではない。不破氏の側近中の側近であり、それだけが存在意義のような浜野忠夫氏も居座らせた。同氏は85歳である。私が在籍していた当時から、浜野氏は不破氏の“伝令役”であった。不破氏は、志位委員長にはほとんど直接には意見を言わず、浜野氏を通して指示を出していた。不破氏の意向は、浜野氏に聞けば分かるほどであった。

 元書記局長の市田忠義氏もすでに75歳になっている。同氏は2015(平成27)年に、任期限りで引退を表明していたが、翌年の参院選挙に出馬し、4回目の当選を果たしている。「野党共闘を進める上で、他野党との人脈を生かすため」というのが引退を撤回した理由だそうだ。だが、市田氏は他野党に人脈など持っていない。私が在籍当時、民主党の中野寛成幹事長と市田氏、私の3人で飲んだだけで、不破氏から注意されたぐらいだ。

 不破氏が高齢でも党の最高幹部に居座るためには、浜野氏も、市田氏も留任しなければ都合が悪かったということだ。現在、80歳代の中央役員は不破氏、浜野氏の2人だけである。市田氏も4番目の高齢である。

 そのため昨年の党大会では、中央役員の選出基準について、「年齢によって機械的に区分することをせず、一定の年齢に達している同志であっても、その知恵と蓄積された経験を生かすため、健康と家庭などの条件の許す同志については、退任を希望している同志でも積極的に慰留する」などと定められた。この提案をしたのが浜野氏なのだから、自作自演と言うほかあるまい。

 かつて宮本顕治氏が80歳代になっても居座り続けた際には、「余人をもって代え難い」などと党内に説明し、さすがに党内から反発の声が上がったことがある。この実態は、今も何ら変わっていないのだ。

 市田氏や同氏の立命館の後輩である穀田恵二国対委員長は、2人で話す時、志位氏のことを「あいつ」と呼んでいたそうである。もう引退したが、石井郁子衆議院議員・副委員長なども地元の大阪に帰ると、自分の力は棚に上げて平然と志位氏を批判していたそうだ。市田氏は私にも、「あの野郎」と志位氏のことを呼んだことがある。もちろん本人の前ではペコペコしている。党の最高幹部たちがこういう面従腹背の態度をとっているのだ。

 宮本顕治氏に引退の引導を渡したのは、不破氏だった。今度は志位氏が不破氏に引退の引導を渡すときだと思う。共産党の体質転換は困難だとは思うが、まずここから始めるべきであろう。
http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/640.html#c15

[経世済民128] 日本がインフレになって、金利上昇するのはいつなのか? --- 内藤 忍  赤かぶ
1. 2018年8月28日 07:37:01 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1382]
矛盾が内在する日銀「緩和修正」を解読する
上野泰也のエコノミック・ソナー
決めたのは「金利上昇促進」?「低水準固定」?
2018年8月28日(火)
上野 泰也

日銀の異次元緩和はまさに「エンドレス」の様相(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
 日銀は7月30、31日に開催した金融政策決定会合で、何を決めたのか。市場金利は上がるのか、下がるのか、それとも動きが激しくなるだけなのか。ふだん金融市場に接していない人々のほとんどは、マスコミ報道などに接しても「よくわからない」というのが、正直な感想ではないだろうか。市場のプロの世界でも、見方にはけっこうばらつきがある。
 それもそのはず。日銀はこの会合で、アベノミクス景気にとってダメージが大きい急激な円高進行を回避するため「金融緩和を強化する」という体裁をとりつつも、実際には、現在行っている実験的で大規模な金融緩和が今後さらに長期化することへの備えやそれに伴う副作用の軽減という名目で、市場で金利が上昇する余地をこれまでよりも拡大することを画策した。正反対のことをひとつの政策パッケージに盛り込んだわけで、メリハリが利かない、わかりにくい政策決定になるのはもともと避けられなかったと言える。
日銀がアナウンスした柱は4本
 7月31日の昼頃のディーリングルームは、日銀会合が終了して決定内容がホームページで公表されるのを、久しぶりに緊張感を持って、かたずを飲んで待ち続けた。時事通信をはじめとするマスコミ各社の事前の観測報道から、2018〜20年度の消費者物価見通しの引き下げ(金融緩和のさらなる長期化はやむなしということ)、それに伴う銀行収益への累積的な悪影響や債券市場の流動性低下・株式市場のゆがみといった副作用を軽減するための策を日銀が決めるだろうという見方が、市場の内外で強まっていたからである。
 筆者の場合も、いつ会合が終わるか分からず、終わった瞬間から決定内容を分析評価するレポートの執筆にとりかかる必要があるので、ほかの仕事に手をつけるわけにもいかず、ひたすら画面をにらんで待ち続けた。
 通常よりも長く、13時すぎまで時間をかけた議論の末、日銀は「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決定したことをアナウンスした。柱は以下の4点である。
@政策金利のフォワードガイダンス(先行きの政策運営についての約束)を導入
 具体的には、「日本銀行は、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している」とされた。
A長期国債買い入れの弾力的な運用
 長期金利(10年物国債金利)のターゲットは「ゼロ%程度」で据え置きつつ、「金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する」とされた。公表文には全く書かれていなかったが、10年物金利の変動幅を従来の「倍程度」にすることで大まかな合意が成立し、黒田東彦総裁がアナウンスした(後述)。なお、「金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する」との脚注が付され、日銀が長期金利急上昇を放置するわけではないことが明示された。
Bマイナス金利がチャージされる日銀当座預金残高の減額
 日銀当座預金残高の三層構造<図1>のうち、真ん中にある「マクロ加算残高」(ゼロ金利が適用されるため日銀からの支払いも日銀への支払いも発生しない)の基準比率引き上げ(30.5%→33.0%)によって、「政策金利残高」(▲0.1%が適用される)を現在の水準(平均して10兆円程度)から減少させる。銀行収益への配慮という位置付けになる。
■図1:三層構造になっている日銀当座預金(月次・平均残高)

(出所)日銀
 ただし、日銀が発表している業態別の日銀当座預金残高の7月分によると、この月にマイナス金利をチャージされて日銀に支払っていたのは、「その他準備預金制度適用先」に分類される銀行と、信託銀行がほとんど。都市銀行のマイナス金利適用残高はゼロで、地方銀行・第二地方銀行はきわめて少額である。したがって、今回の措置は幅広い業態の銀行にメリットがあるわけではない。
CETF(上場投資信託)の銘柄別買い入れ額の見直し
「年間約6兆円」という買い入れペースは不変だが、TOPIX(東証株価指数)に連動するETFの買い入れ額を増やして(銘柄数が少ない日経平均株価に連動するETFの買い入れ額は結果的に減少)、株価形成におけるゆがみの軽減を狙った。
 また、「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動し得るものとする」とされ、カレンダーの区切り目での買い入れ実績の数字をにらんだ硬直的・義務的なETF買い入れを行うわけではない(株価の騰落に応じてETF買い入れにメリハリをつける)ことがアナウンスされた。
 以上の内容を踏まえつつ、日銀が7月の会合で決定した内容についての追加的な解説を、Q&A方式をとりながら4つのテーマについて行いたい。
(Q1)日銀による決定内容の受け止めには国内と海外で「温度差」があるようだが。


(A1)国内では、直前に観測報道が重なったことに加え、金融機関の「悲鳴」が身近な話であることから、「長期金利の上昇容認」が真の狙いという受け止めが主流である。
 一方、欧米では、フォワードガイダンスによる「当分の間」の利上げ封印に関心が集まった。8月1日の英経済紙フィナンシャルタイムズの記事の見出し「『非常に低い』金利にこだわることで日銀は中央銀行のトレンドに従わず(BoJ bucks central bank trend to stick with ‘extremely low’ rates)」が、象徴的である。
為替が円高に動くのを回避か
 日銀は、対外公表文の最初にフォワードガイダンスを置くことにより、今回の決定内容を材料にして為替が円高に動くのを回避しようとしたと推測される。為替市場でシェアが上昇しているとされるアルゴリズム取引を意識して政策パッケージのタイトル(英文では“Strengthening the Framework for Continuous Powerful Monetary Easing”)を工夫したのではないかという説もある。日銀内部からも「アルゴリズムの機械的な反応で円高・ドル安に振れないよう、表現を工夫したとしても不思議ではない」との声が漏れるという(8月5日 日経ヴェリタス)。
(Q2)今回決定された政策金利のフォワードガイダンスは、19年10月の消費税率引き上げを不確実性の例として示しつつも、カレンダー型(ある四半期や月まで政策金利を変更しないといった、カレンダーの上で時期を特定しているタイプのガイダンス)にはなっていないが。


(A2)黒田総裁は記者会見で、「リスクのかなりの部分は海外の話で、これはどうなるか全く分からない点です」「当面、日本経済に内在する不確実性の例として、2019年10月の消費税率引上げの影響を例示的に示すことによって、どういった不確実性を考えているかを示しているわけです」と述べた。消費増税は「例示」という扱いである。
 けれども、政治的には(自民党総裁選終了後の延期アナウンス説を筆者はとっているが、仮に予定通りに実行されるならば)、財政を引き締めるわけであり、非常に重要なマターである。財政を緊縮する場合、通常のポリシーミックスは金融政策の緩和強化である。日銀が利上げ(長短の金利ターゲット引き上げ)に動くつもりは全くありませんという姿勢を政府・与党サイドにアピールしておく狙いも、為替の円高の回避に加えて、今回のガイダンスに込められているのではないかと、筆者は推測している。
 また、カレンダー型にしなかったことで、先行き追加緩和の必要性が生じた場合、ガイダンスを強化してカレンダー型にするという(小さな)カードを1つ手にしたとも言える。
(Q3)日銀金融市場局は、長期金利が急上昇していた8月2日午後に、予定になかった長期国債買い入れ4000億円を実施して市場を落ち着かせた。アグレッシブに国債イールドカーブをスティープ化させようとする(長期・超長期ゾーンの金利上昇を通じて利回り曲線の右肩上がりの傾斜をきつくする)姿勢が、日銀には見えていないが。


(A3)雨宮正佳日銀副総裁は8月2日の講演で、日銀が対応する必要のある問題を「信認確保」「持続性強化」の2つに集約した上で、「経済・物価の見方などを反映して長期金利がある程度変動することを許容し、市場機能を維持することが必要と判断しました」「ただし、長期金利の操作目標は『ゼロ%程度』から変えていません。金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する方針であり、金利水準が切り上がっていくことを想定しているものではありません」と明言した。
 日銀政策委員会にリフレ派が3人いる中での妥協の産物ではあろうが、上記が日銀のスタンスであり、能動的に長期・超長期ゾーンの金利を持ち上げようとする意図はないと解される。
(Q4)金融政策決定会合終了後の対外公表文には具体的な記述がなかったにもかかわらず、黒田総裁の記者会見で10年債金利の変動許容幅を従来の倍程度に拡大するとのアナウンスが行われた。日銀の組織運営・権限分担上、どうなっているのか。


(A4)雨宮日銀副総裁が8月2日に京都で行った記者会見の席上、以下の発言があった。
 「政策決定会合で議論して、政策委員会で、『上下にある程度変動し得るものとする』というところまでを決定文として決定しようということで合意したということです。それに対し、具体的にどの程度がこの変動幅、『上下にある程度変動し得る』幅かということについては、多少委員の間でも微妙な感覚の違いはあるわけですが、その中で、これまでの『イールドカーブ・コントロール』導入後の変動幅であった±0.1%の倍程度ということは概ね合意され、総裁が『それは記者会見で説明しましょう』というところまで合意して、総裁が言及したということです。この範囲そのものが、執行部の判断で変わるということはありません」
 こうした運営は、非常にグレーだと言わざるを得ない。
 「上下にある程度」変動するというところまでは決定会合で決めて、あとは金融市場局に「丸投げ」するのは、授権する範囲が大きすぎる感がある。すなわち、政策金利変更の幅と同じくらいの市場金利変動を、執行部の現場部局の裁量に委ねることには、疑問が生じる。
 しかしながら、決定会合で長期金利の変動許容幅を数字で決めた上で公表文に落とし込むと、為替市場が事実上の金利引き上げだとみなして、円高に動くリスクがどうしても警戒される。
 そこで、「±0.1%の倍程度」だという合意を決定会合で取り付けた上で、金融市場局に指示する形をとったものの、公表文には明記せず、後ほど総裁会見で口頭で説明する扱いにしたのだろう。決定会合で多数の合意が得られた事項ならば、公表文に明記するのが、フェアではあるまいか。
異次元緩和はエンドレス
 日銀の金融政策は、「非対称性のわな」とでも呼べそうな状況に陥ってしまった感がある。日本の童謡にある「行きはよいよい、帰りは恐い」という表現も当てはまる。
 金融緩和の強化は、円滑に進めることができる。緩和の効果により円安・株高が進めば、日本経済にカンフル剤が打たれるわけで、政治サイドからも、反対論はまず出てこない。
 だが、金融緩和の除去(=金融引き締め)は、難渋すること必定である。それによって市場が円高・株安に動く可能性が高いわけで、政治サイドから反対論が出やすい。景気・物価への下押し圧力の大小、財政政策とのポリシーミックスにも目配りする必要がある。
 そうした「非対称性」について事前に十分に考えを巡らせることなく、あるいは「短期決戦」に失敗した場合のプランを事前にしっかり用意することなく、黒田日銀はバズーカを撃ってしまい、その後に追加緩和も実行した。中長期的な戦略を欠いた、どうにも悲しい戦いぶりだと言わざるを得ない。日銀の異次元緩和はまさに「エンドレス」の様相である。


このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/313.html#c1

[国際23] 故マケイン氏、最期の声明でトランプ氏批判(AFP) 赤かぶ
6. 2018年8月28日 23:14:03 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1383]

2018年8月28日 / 07:45 / 7時間前更新
マケイン氏追悼の半旗に二転三転、トランプ大統領の対応に批判
2 分で読む

[ワシントン 27日 ロイター] - 米ホワイトハウスは、共和党重鎮のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)の死去を受け、国旗を半旗にしたり、それをまた戻したりした揚げ句、27日に再び半旗に戻した。国家的指導者が逝去した場合の手順を破り、異例の混乱が生じている。

マケイン氏はベトナム戦争に従軍し、捕虜となった経験を持つ。退役後に政界入りし、2008年の米大統領選に出馬、オバマ前大統領に敗れた。脳腫瘍を患っていた同氏は25日、81歳で死去した。訃報を受け、多くの米国民が同氏に哀悼の意をささげ、半旗掲揚した。

だが、マケイン氏とさまざまな問題を巡って対立していたトランプ大統領は、2016年の大統領選挙活動中に、「戦争の英雄ではない」と批判した経緯などもあり、歴代大統領が通常、弔意を表する方法を追随することに迷いを見せた。

ホワイトハウスではマケイン氏を追悼する半旗を25日に掲げたものの、早々と元に戻した。トランプ大統領は半旗を2日以上掲げるよう指示する慣例的な宣言を出すのも遅れていた。

最終的に、退役軍人や議員らのプレッシャーを受けたトランプ大統領はようやく27日になって、マケイン氏の国家への貢献に敬意を表し、半旗掲揚することを指示したと声明で明らかにした。

「政策や政治における見解の不一致にかかわらず、マケイン氏の米国への奉仕に尊敬の念を抱いている。マケイン氏に敬意を表し、葬儀が終わるまで米国旗の半旗掲揚を実施する宣言に署名した」と大統領は声明で語っている。

米国在郷軍人会はフェイスブックに載せたトランプ大統領への書簡の中で、「著名な政府当局者が死亡した場合の伝統的な慣例に従う」ようホワイトハウスに求めていた。米国在郷軍人会はマケイン氏を「大切な一員」だとしている。

マケイン氏に関して浴びせられた数々の質問を一日中無視していたトランプ大統領は翌27日の夜、ホワイトハウスで開かれたキリスト教福音派の指導者の集まりで沈黙を破った。

「ジョン・マケイン上院議員の家族にお悔やみを申し上げる。マケイン議員が国のためにしてくれた全てに、われわれはとても感謝している」とトランプ大統領は語った。

連邦政府では同日、ほぼ終日混乱が見られた。米連邦議会議事堂や多くの国立公園では半旗が掲げられた一方、国防総省や連邦最高裁判所では国旗は通常通りに掲げられていた。

国土安全保障省は半旗掲揚するよう政府全体に通知したが、27日にそれを撤回し、各施設の職員に判断が委ねられることになったと、ある当局者は明かした。

<「ショッキング」>

米国大統領は通常、有力議員が死亡した際には議会の先導に従い、埋葬される日の日没まで半旗掲揚することを命じる。反トランプ支持者は、大統領の消極的な態度について、マケイン氏に対する最後の侮辱と捉えている。

「葬儀まで半旗掲揚を命じない大統領など、前例がないのではないか」と、カリフォルニア大学ワシントンセンターの歴史学教授、ジョン・ローレンス氏は指摘する。

「議会とホワイトハウスの政策の違いは明らかに目立っており、幾分ショッキングですらある」とローレンス教授は語った。

マケイン氏は生前、トランプ大統領をしばしば批判しており、大統領の葬儀への参列を同氏が望んでいなかったと遺族は明らかにしている。

遺族の代理人はマケイン氏によるお別れの言葉を発表。その中で同氏は、米国について次のように語っている。

「愛国心と対抗意識を混同するとき、われわれは自身の偉大さを弱めることになる。壁を壊すのではなくその後ろに隠れるとき、そして変化に必要な偉大な力であり続けてきた、われわれの理想の力を信頼せずに疑うときも、それを弱めることになる」


2018年8月28日 / 23:06 / 2分前更新
トランプ米大統領、グーグルを批判 ニュース検索を「不正操作」
1 分で読む

[ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は28日、米グーグルの検索エンジンが自身についての「公正な報道」を隠しているとして批判した。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で、グーグルで「トランプ ニュース」と検索した場合、自身が「フェイク(偽)ニュース」と呼ぶメディアのみが表示されると指摘した。

CNNなどの大手メディアの報道を推奨し、保守的な声を隠すことは危険な行動とし、「グーグルは不正に操作している」と非難。「これは実に重大な状況で、対処する!」と述べた。

トランプ大統領は発言を裏付ける証拠を示していないほか、具体的な対処法にも踏み込んでいない。

ホワイトハウス、グーグルからはコメントを得られていない。


http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/736.html#c6

[戦争b22] 中国が上陸部隊の海兵隊を3倍以上に増強!  赤かぶ
8. 2018年8月29日 04:54:35 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1384]
「日本は北東アジア防衛の最前線に立たされる」
「トランプ時代」を生き抜くための防衛政策
元海上自衛隊員に聞く防衛大綱改訂の考え方

2018年8月29日(水)
森 永輔

今年末をめどに防衛大綱*1と中期防衛力整備計画が改訂される。前回の改定から5年。この間に北朝鮮は核・ミサイルの開発を大幅に前進させた。トランプ政権が誕生し、米国の安全保障政策も変化した。改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。笹川平和財団の小原凡司・上級研究員に聞いた。
(聞き手 森 永輔)


ヘリコプター搭載護衛艦「かが」。ヘリを搭載できるだけでなく、輸送艦としての機能も備える(写真:ロイター/アフロ)
今年末をめどに「防衛大綱」*1と「中期防」*2が改訂されます。前回の改定は2013年。当時と比べて、日本を取り巻く安全保障環境は大きく変わりました。北朝鮮は核・ミサイル開発を大幅に進展させました。そして、トランプ政権が誕生。この間に日本は、集団的自衛権の行使を限定的に容認する安全保障法制を制定しています。今回の改訂にあたって、どのような点を考えるべきでしょうか。

*1:正式名称は「防衛計画の大綱」 *2:正式名称は「中期防衛力整備計画」
小原:ご指摘のように、日本を取り巻く安全保障環境が2013年からどう変化したのか、を念頭に考える必要があります。


小原 凡司(おはら・ぼんじ)
笹川平和財団 上級研究員
専門は外交・安全保障と中国。1985年、防衛大学校 卒。1998年、筑波大学大学院修士課程修了。1998年、海上自衛隊 第101飛行隊長(回転翼)。2003〜2006年、駐中国防衛駐在官(海軍武官)。2008年、海上自衛隊 第21航空隊副長〜司令(回転翼)。2010年、防衛研究所 研究部。軍事情報に関する雑誌などを発行するIHS Jane’s、東京財団を経て、2017年10月から現職。(写真:加藤 康 以下同)
 まず、現在の国際社会に対して中国が構造的にストレスを与えています。そして、米国のドナルド・トランプ大統領が、覇権をめぐる争いを始め、中国の台頭を抑えることに全力を挙げている。この構図がさまざまなところに影響を及ぼしています。

 こうしたアジア地域において日本は今後、米国陣営の最前線に立たされることになります。トランプ政権が「米国第一」を掲げているからです。米政権のこの変化を念頭に、大綱と中期防を改訂すべきだと考えます。

 欧州においては、対ロシアで安全保障の大半をNATO(北大西洋条約機構)に任せています。「任せる」というより押し付けていますが。ロシアは中国と異なり、経済において米国に対抗できる国ではありません。軍事の面でも、核抑止の部分でのみ話をつけられれば、残りの部分はNATOに任せられるからです。

 中東においても同様の構図が見て取れます。イランは経済で米国に対抗できません。軍事的にはイスラエルに抑えさせる。

 では北東アジアはどうか。日本は対中国、対ロシアで最前線に立たされることになるでしょう。米国が軍事面で日本に期待する役割はこれまでより大きなものになる。北朝鮮の非核化が十分なものにならなければ、北朝鮮への対応も引き続き残ることになります。

 トランプ大統領は北朝鮮に完全な非核化を本当にさせるでしょうか。NATOへの押し付けや、イラン核合意からの撤退など、トランプ大統領が取ったこれまでの動きから類推すると、トランプ大統領は、米国に直接の脅威を与える存在に意識も資源も集中したいようです。その存在は中国であり、北朝鮮ではありません。日本が考えるような非核化になるかどうか、現段階では不透明です。北朝鮮や韓国が求める朝鮮戦争の終結を受け入れ、在韓米軍を撤退・縮小させるシナリオの方が、欧州や中東での動きと整合性があるといえるのではないでしょうか。

 トランプ大統領は今のところ、安倍晋三首相と親密に付き合い、北朝鮮に非核化を求めています。しかし、これも朝鮮戦争の終結を中国や北朝鮮に対して高く売るための交渉術の一環である可能性があります。さらに、今秋に中間選挙が控えていることを考える必要がある。これほど短い時間で朝鮮戦争を終結させて、在韓米軍を撤退させることができれば、有権者の支持につながるでしょうから。

日本にとっては厳しい環境が待っていますね。

小原:はい。私は、さらに台湾の動向が日本の安全保障環境の変化に加わるとみています。トランプ大統領は無邪気に台湾との関係を深化させようとしています。しかし、台湾をめぐって中国が譲歩することはあり得ません。台湾以外の点では、米国との関係を荒立てない方策を選ぶでしょうが。

 こうした中で、人民解放軍が台湾への圧力を強める動きがあります。中国海軍は2018年8月10日から13日まで、山東省青島沖で軍事演習を行いました。中国軍は7月にも浙江省沖で演習を実施しています。中国メディアは、「台湾独立派」をけん制する狙いがあるという軍事専門家の分析を伝えたのです。また、2017年以降、大型爆撃機を含む中国軍機が、繰り返し台湾を周回飛行して、台湾に圧力をかけています。

 こうした動きは、中国指導部による、台湾に対する軍事的圧力です。人民解放軍には違った思惑があるともいわれます。人民解放軍は習近平(シー・ジンピン)国家主席が進める反腐敗政策の主たるターゲットにされており、不満がたまっている。このはけ口を台湾への行動に求めている面があります。台湾に強く出ても、習国家主席は反対しづらいですから。

 台湾をめぐって米国と中国がゲームを展開する。この環境において日米同盟をいかなる形にするのか、日本は何ができるのか、何をすべきなのかを考える必要があります。

同盟調整メカニズムを生かせ!
具体的には日米同盟をどのような形にするべきなのでしょう。

小原:自衛隊と米軍がより緊密に協力できるようにしていくべきだと思います。同盟調整メカニズム(ACM)を具体的に動かして有効なものにしていく。

同盟調整メカニズムは、平時から緊急事態までのあらゆる段階で、自衛隊または米軍が取る行動について、政策と運用について日米間で調整をする仕組みですね。2015年に改訂されたガイドライン*で導入されました。

 いくつかの会議で構成されています。日米安全保障協議委員会は日米の外務相、防衛相が参加するもの。その傘下の防衛協力小委員会には、日本からは外務省北米局長と防衛省の防衛政策局長、米国からは国務次官補や国防次官補が参加します。さらに自衛隊の代表と米太平洋軍、在日米軍の代表が会する共同計画策定委員会などがあります。


*:正式名称は「日米防衛協力のためのガイドライン」。日米両国の役割と任務、協力と調整の在り方について、一般的な方策と政策の方向性を示すもの
小原:はい。特に共同計画策定委員会は日常的に、訓練の時にも生かしていく必要があるでしょう。

 同盟調整メカニズムを生かすために、日本側は常設の統合司令部を整えねばなりません。統合任務部隊(JTF)という統合司令部を事態に応じて作ることができますが、常設ではありません。

統合任務部隊は東日本大震災の時に設置されましたね。陸上自衛隊(以下、陸自)の君塚栄治・東北方面総監(当時)がJTF東北の司令官となり、その下に海上自衛隊の横須賀地方総監と航空自衛隊の航空総隊司令官が加わる形を取りました。

小原:その通りです。しかし、災害対策だけでなく、軍事作戦に関する統合司令部を常設にする必要があります。そうでないと、平時から有事にかけて米軍と連続的に効果的な協力をすることができません。

 さらに自衛隊の組織の在り方、グレーゾーン事態*への対応の観点からも常設の統合司令部を設置するのが有効です。組織の在り方として、参謀と指揮の機能を明確に分けるべきです。今は統合幕僚長(以下、統幕長)が、首相と防衛相を補佐する参謀の機能と、自衛隊の部隊を指揮するトップの機能を両方担っています。二つの機能を同時に十分にこなすのは容易ではありません。

*:有事とは言えないが、警察や海上保安庁の装備では対応しきれない事態
 官邸に入るであろう統幕長に代わって、統合幕僚副長がオペレーション・ルームで指揮をとることになっていますが、副長もまた指揮官ではないのです。

 平時から統合司令部が存在していて、情報を収集していれば、グレーゾーン事態から始まるハイブリッド戦にも対応しやすくなります。ハイブリッド戦とは、軍同士の衝突に先立って、もしくは同時に、サイバー攻撃やテロ、民間の騒擾を起こし、社会を混乱に落とし込んで進める戦争です。敵は、政府がその対応に手を取られている隙を突いて、本格的に軍事力を行使する。

 現行の仕組みでは、薄いグレーの段階で自衛隊が関与することはありません。この状態を改め、常設の統合司令部を設置し、平時から作戦を立て、米軍とどう協力するのかを協議しておくのです。事態が起きてから、事態認定をし、統合任務部隊を設置し、作戦を立てていて、はたして間に合うでしょか。東日本大震災の時は、JTF東北の司令官が決まるまで3日を要しました。

「抑止」と同時に「対処」も
 米国が外交政策を変化させたことへの対応に加えて、「対処」を一層重視する方針を示す必要もあると考えます。これまでの大綱・中期防は、各種事態が起きないよう「抑止」することに重点を置いてきました。事態への「対処」*は「被害を最小限に抑える」とされているだけです。しかし北朝鮮の核・ミサイルの開発が進展するなど脅威が現実になる可能性が増しています。対処にも従来以上に意を払わなければならない環境になっています。

*:事態が起こった時にどうするか、のこと
 具体的には、どのような部隊編成にすれば機動力を最も高められるかを検討する必要があるでしょう。ハイブリッド戦はいつが始まりか分からない形で始まる。また、相手がコントロールできると思っていても、軍事衝突は、一度起こってしまうと、人がコントロールできない状況にあっというまに進展します。これは歴史が証明するところです。

 日本はすでに統合機動防衛力*を高める方針を打ち出しています。これは正しい方向だと思います。例えば海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦を部隊輸送もできるよう作り変えました。「いずも」型は船体の側面に大きなハッチを付け、大型車両を積み込めるようにしました。「おおすみ」型の輸送艦も保有しています。装備をそろえる方向は間違っておらず、着々と進んでいると思います。

 これらをより一層生かすため、体制や編成を再考するのです。陸自が保有するどの部隊をどこに配置しておくのか、具体的に考えていく。効果的な機動展開ができることで、事態を起こそうとする外国にコストを強要することができます。

 私は、この意味において、航空自衛隊が移動式の警戒管制レーダーを小笠原諸島に配置したことを高く評価しています。これにより「防空の空白地域」を埋め、この地域で活動する外国の部隊を日本の監視下に置くことができます。

 次は、このレーダーから得られる情報を基に、どの国が何の目的でどのような部隊を展開しているかを検討する。それに対処するためには、どのような兵器が必要で、それを搭載できる航空機は何で、何機必要かを考え配備する。日本の部隊が迅速に展開してくると分かれば、外国はそれに対処すべく、相当のコストを負担しなければなりません。このように対処能力を高めることは、抑止力を高めることにもつながります。


 陸自が日本の最西端である与那国島に沿岸監視部隊を配備したことも同様の効果があります。この部隊だけで、事態が生じた時に中国の艦隊を止められるわけではありません。しかし、この部隊が得た情報を基に、他の部隊が迅速に展開してくると知らしめることで、コストを強要できるわけです。

 こうした体制をより高いレベルにするためには、陸海空の3自衛隊が得た目標情報を統合する必要があります。この点はまだ十分とはいえません。例えば、統合された目標を共有するだけでも容易ではない。同一の目標に対して、複数の探知情報がある場合、それら探知情報を統合するプロセスが発生します。例えば、あるレーダー探知目標が、他のレーダー探知目標と同一であるのかどうかの確認も必要です。これには、電波情報を分析したり、衛星画像を解析したりすることも含まれます。目標情報の統合を高い精度で実行するのは、同一のシステムを用いる一つ一つの自衛隊の中でも容易ではありません。3自衛隊で統合するとなれば、なおさらです。

 情報収集は、いまは「調査・研究」という名目で実施されており、作戦任務とはされていません。この位置づけも変えていく必要があるでしょう。

作戦を、「研究」レベルから真の「作戦」にする
小原:対処能力を高めるためには、米軍と協働する体制もより精緻なものにしなければなりません。例えば日米による共同作戦。これは、米軍は「作戦」と認識しているものの、日本は「研究」と位置付けています。「研究」という位置づけを変更することが難しくても、常設の統合司令部を設け、平時から日常的に行う米軍との指揮所訓練などを通じて検討できるよう改めるべきでしょう。その際は、脅威となる外国の弱点の分析も進める。作戦を立てたら訓練を積むことも重要です。

昨年の4月、トランプ政権が北朝鮮を武力攻撃するのではと緊張が大きく高まりました。そのようなときに自衛隊はいかなる行動をとるのか、事態が起きる前にきちんと決めておき、訓練も積む必要があるということですね。

小原:そのとおりです。

これまで自衛隊が、共同作戦を「研究」することしかできなかったのは、安保法制が制定されるまで集団的自衛権の行使が認められてこなかったからですか。

小原:そうだと思います。

日米同盟の強化と自主防衛力の向上は一体
冒頭で、「日本を取り巻く安全保障環境と、2013年から何が変化したのか、を念頭に考える必要がある」と教えていただきました。最も大きな変化は「米国第一」のトランプ政権が誕生し、オフショア戦略を取っていることですね。欧州・中東・アジアの各地域において、第一線はNATO、イスラエル、日本に任せる。この変化を大綱・中期防に書き込むべきでしょうか。

小原:「オフショア戦略」という表現は必ずしも適切ではありませんし、また、文字にして大綱に書き込む事案ではないと考えます。書くとしたら「米朝首脳会談が行われ、朝鮮戦争が終結する可能性が生じた」という具合になるでしょう。朝鮮戦争が終結する、すなわち、日本が最前線になるということですから。

 米政権の外交・安保政策が変わっても、日米同盟を破棄するオプションは日本にはありません。これをどう有効に動かしていくかを考えるしかありません。

大綱・中期防に、「自主防衛力を高める」方針を書き込むべきという意見もあります。

小原:これまで申し上げてきたことは、自主防衛の強化につながるものと私は考えます。つまり、日米同盟の強化も自主防衛の強化につながる。また逆に、日米同盟の強化には自主防衛の努力が含まれるということでもあります。

 日米同盟は、「日本が米国に頼る」枠組みではありません。日本が最大限の自助努力をし、米国がそれを認めなければ、米国が日本の防衛に着手することはないのです。日本は自主防衛力を高め、それを米国に認めさせるようにしなければならない。

 繰り返しになりますが、平時から米国と協調することが大事です。米国と共同作戦を取る段階になった場合、それまでの経緯をお互いが知っていたほうがスムーズに進みます。同盟調整メカニズムを通じて、お互いの状況を理解しておく。こうした情報共有が、米国がいつ日本の防衛に関与するか意思決定をする際に、影響を及ぼすことがあるでしょうし。

 さらに、日米同盟を北東アジア地域における、さらにグローバルな公共財にすることに、日本が努力することも重要です。先ほどお話しした小笠原諸島に設置したレーダーで取得したデータを米国と共有する仕組みを高めれば、この地域の情報収集は日本に任せてよい、となるかもしれません。台湾有事に日本がどのような役割を果たすかを詰め、実行することも、地域の安全保障への貢献につながります。

敵基地攻撃能力は米国との交渉材料
米国の安全保障戦略が変化する中で、敵基地攻撃能力の問題はどう考えるべきでしょう。そして、大綱・中期防でどう扱うべきでしょうか。


小原:私は、日本は敵基地攻撃能力を保有すべきだと考えています。この能力がなければ、外国からの威嚇に対し、その威嚇の根源を排除する意思があることを表明することができません。能力を持ったからといって、必ずしも行使するわけではありません。しかし、政治的なメッセージの本気度を高めるためには、その裏付けとしての能力が必要です。

 ただし、日本がその能力を単独で高めること、行使することには慎重であるべきでしょう。米国と協議して進めるべきです。単独で進めた場合、その次の作戦で米軍の協力が得られなくなる可能性がありますから。

 これまでは日米は、日本が盾、米国が矛の役割を担ってきました。日本が敵基地攻撃能力を保有すれば、この任務分担を変更することになるわけですから、米国の理解を得ることが必要です。 日本が一部であれ矛の役割を担うことになれば、米国は、日本が起こす戦争に巻き込まれる可能性が生じるわけです。こうした懸念を緩和する必要があります。

 その一方で、敵基地攻撃能力の構築は、米国との交渉における取引材料としても有効です。

米国との交渉に役立つのですか。

小原:万が一の話ですが。米国が北朝鮮との交渉において、ICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発さえしなければ核兵器の保有は認める、と落とし所を決めたとします。

デカップリング(日米離間)ですね。米国への脅威は今以上に大きくならないが、中距離弾道ミサイルが残る以上、日本への脅威は今と変わらない。米朝首脳会談が6月に行われた際、これを落とし所に交渉がなされるのではと、日本の関係者の間で懸念が広がりました。

小原:そうですね。このような落としどころは、日本が許容できるものではありません。「米国がそのような交渉を行うなら、日本は北朝鮮の核ミサイル発射施設を単独で攻撃できる能力を構築する」と訴えれば、それだけでも米国の方針に影響を与えると思います。日米が確実に協力することを担保するのに役立つわけです。

現行の中期防に以下の記述があります。

 これは敵基地攻撃能力についての言及ですね、「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力」という回りくどい表現になっていますが。これを改める必要はありますか。

7日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる。
小原:今のところ敵基地攻撃能力を「早急に保有すべき」という状況ではないと評価しています。

 ただし、日本国内および米国との間で今後議論していく必要はあります。それをうながす意味で、「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力」との表現を「敵基地攻撃能力」に改めることは考えられると思います。北朝鮮が核・ミサイルの開発を進展させたことで、議論を進める環境は整ってきましたから。

イージスアショアよりもTHAADが政治的にベター
ここからは個別の装備のお話を伺います。まずは地上配備型のミサイル防衛システム「イージスアショア」についてです。政府はこの5月、「導入に向けた取り組みを引き続き進める」と意思表明しました。しかし、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が完全な非核化を約束したので、「必要ないのではないか」という議論が巻き起こっています。大綱・中期防ではどう扱うべきでしょう。

小原:まず、その必要性についてお話しします。私は、地上に配備するミサイル防衛システムは必要だと考えています。いまは海上自衛隊のイージス艦に大きな負担がかかっていますから。

イージス艦は弾道ミサイルによる攻撃だけでなく巡航ミサイルによる攻撃にも対応できます。南西諸島の防衛にも有効。それを日本海に張り付けておく負担は大きいですね。

小原:ええ。

 ただし政治的なメッセージとしては地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の方が有効だと評価しています。

イージスアショアを導入するか、THAADを導入するかで、政治的メッセージが異なるのですか。

小原:はい。イージスアショアはミッドコース*を飛行中のICBMを迎撃するものです。一方、THAADは落下するターミナルフェーズ*における高度の高いところで撃ち落とすことを想定したシステムです。低い高度は空自が持つパトリオットミサイルが対応する。

*:ロケットエンジンの燃焼が終了した後、宇宙空間を慣性飛行している状態。この後、大気圏への再突入する *:大気圏に再突入してから、着弾するまで
 ミッドコースでの迎撃は、すでに海自がイージス艦の増強を進めています。なので、THAADを導入したほうがより広い高度レンジで対応できるようになる。軌道のどこにあるミサイルでも日本は迎撃する意思があることを、相手国に示すことができるわけです。日本に対して弾道ミサイルで攻撃しても無効なのだと知らしめる。


中期防でイージスアショアに触れるべきでしょうか。

小原:すでに導入を決定しているので、必要ないかもしれません。言及するとすれば、「北朝鮮は完全な非核化を約束したものの具体的な動きはない。その一方で、国連決議に反して核開発を継続しているとの情報もある。非核化が現実のものとなるまでミサイル防衛システムの強化を緩めてはならない」という具合でしょうか。

F-X(次期戦闘機)についてはどうでしょう。現行の支援戦闘機「F2」の後継として、2030年をめどに導入することになっています。日本による独自開発、外国との共同開発、外国からの輸入の3つの選択肢が想定されています。

小原:私は、F-Xに限らず共同開発が主流になっていくと考えています。単独で武器を開発できる国は減ってきており、現在は米国くらいでしょう。その米国でさえ、自衛隊が現在導入を進めている「F-35」は共同開発にしました。

 また日本が外国と安全保障協力をするうえで、防衛装備品の共同開発は有効な手段になっています。日本は軍事行動で協力するのは難しいですから。その一方で高い技術力を持っています。

 日本が安全保障分野で協力できる国は米国にとどまりません。例えばフランスが日本の存在を見直し始めています。フランスはニューカレドニアなどアジア・太平洋地域に海外領土を有しており、中国が軍事力を強化するのに危機感を抱いており、この地域での安全保障協力を考えなければならない。米国がトランプ政権になったこともあり、日本への注目を強めているのです。

英国も再びアジアへの関心を強めていますね。

小原:東南アジアの諸国と協力できるケースも増えていくと思います。

F-Xについて、大綱・中期防には「日本が主導できる共同開発が好ましい」という書きぶりになるでしょうか。

小原:そうですね。

日経新聞が8月23日の朝刊1面でF-Xの動向を取り上げました。米防衛大手のロッキード・マーチンがF-XとしてF22*の改良版を防衛省に提案し、日本企業と開発・生産を分担すると申し出たという内容です。小原さんはこれを読まれて、どのような感想を持ちましたか。

*:米ロッキード・マーチンが開発したステルス戦闘機。自衛隊はF4EJ改の後継機として検討したが、米議会が輸出を認めなかった。このためF35Aの導入が決まった経緯がある

米ロッキード・マーチンが開発した「F22」。「米空軍史上最高の戦闘機」の異名を取る
小原:中国の開発手法を理解して進める必要がある、ということですね。日米の開発手法は非常にち密、かつ計画的です。必要な性能要目をきっちりと決め、それを実現する技術を組み込んで設計する。そして改良の時期が来るまで、同一仕様のものを使い続けます。

 一方、中国の開発はもっと粗っぽく、かつ柔軟です。例えば機体にフィットするエンジンがなくても、むりやり取り付けて飛ばしてしまう。しかし、改良も早い。同型の2番機を作るときには修正を加えます。新しい電子機器が開発されれば、それをすぐに採用する。常に最新の技術を適用するのです。

 中国が国産し部隊配備を始めたステルス戦闘機「殲20(J20)」は、今のところF22に性能面で圧倒的に劣るかもしれません。しかし、最新のJ20が、仕様が固定されたF22の性能を超える時が来るかもしれません。

予算を大きく増やす必要はない
最後に予算についておうかがいします。大綱・中期防で予算についてはどう触れるべきでしょう。三木武夫内閣が1976年に「当面、(防衛費は)国民総生産(GNP)の100分の1に相当する額を超えない」と閣議決定して以来、この方針がおよそ守られてきました。しかし、イージスアショアをはじめとする高価な防衛装備の導入が予定されています。トランプ政権は、NATO加盟国に対し「防衛予算をGDP(国内総生産)比2%に引き上げる」約束を守るよう強く求めています。日本にも同様の要求をしてくるかもしれません。

小原:「GNP比1%」枠について大綱・中期防で触れる必要はないと思います。また、トランプ政権が増額を求めてきたから予算を増やす、というものでもないと考えます。防衛費の額は本来、〇〇のレベルの防衛力が必要、そのためには〇〇の装備が必要で、それにはいくらかかる、というのを積み上げて決めるべきです。

 現在の防衛費の予算を大きく増やす必要はないと思います。社会保障などに大きな予算が必要な今、国民のコンセンサスを得るのは容易ではないでしょう。

 先ほどお話ししたように必要な装備品をそろえる取り組みは正しい方向で進んでいます。今は、それを十分に活用できるよう、部隊配備や運用力を高める時期です。これが現在の自衛隊が抱える根本問題です。


このコラムについて
「トランプ時代」を生き抜くための防衛政策
今年末をめどに防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)が改訂される。
前回の改定から5年。この間に北朝鮮は核・ミサイルの開発を大幅に前進させた。2017年11月には、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」を打ち上げ、「米本土まで届く」と主張した。 トランプ政権が誕生し、米国の安全保障政策も変化した。トランプ大統領は北朝鮮の金正恩委員長と史上初の首脳会談を実現し、完全な非核化で合意した。しかし、その進展度合いには疑問がつきまとう。 米国と覇を競う中国に、防衛費の拡大ペースをゆるめる気配はない。
防衛大綱と中期防の改訂に当たって我々は何を考えるべきなのか。
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/284.html#c8

[経世済民128] 介護保険利用料を減らす有効手段「世帯分離」とは(マネーポスト) 赤かぶ
1. 2018年8月29日 05:08:10 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1385]
【第102回】 2018年8月29日 浅川澄一 :福祉ジャーナリスト(元・日本経済新聞社編集委員)
日本が学ぶべき、介護費用を抑制するオランダとドイツの仕組み
ドイツの介護施設
ドイツの高齢者施設の様子。ドイツでは介護費用の抑制策が進んでいる。
 高齢者の急増に費用が追い付かないため介護保険制度の介護サービスが縮減されつつある。現在70歳前後の団塊の世代が80歳を超えると、介護サービスへの需要はさらに高まる。他の先進諸国でも同様に、ベビーブーマー世代の高齢化に伴う財源難に悩まされ、効率的な運用に乗り出した。

 介護保険を日本より早く制度化したオランダとドイツでは独自の総費用抑制策に取り組んでいる。

オランダは自治体への権限移譲で
交付金25%減、住民の力を借りる路線へ
 1968年のナーシングホーム(日本の特別養護老人ホームに相当)から介護保険(AWBZ)の導入を始めたオランダでは、2007年に第一次の改革を始めた。介護保険サービスの中の掃除や買い物などの家事援助を地方自治体に権限を移し、その分国の負担を軽くした。受け皿となった自治体の制度(WMO)は、従来の社会福祉法と障害者法を統合したもので、住民主体の住民自治の力を効率的に発揮してもらおうという狙いだ。

 これに先立ち、就任したばかりのウィレム・アレクサンダー国王が2013年9月に「オランダは、これまでの福祉国家から参加社会に転換しなければ」との声明を発表した。手厚い社会保障政策を続けてきたが、GDPに対する予算比率が年々高まり、もはや限界と判断。政府に頼るだけではなく、国民一人ひとりが地域社会への参加意識を持ち、助け合い活動に乗り出すように呼び掛けた。

 元々ボランティア活動が浸透している国だけに、国王の呼びかけは好意的受けとめられた。AWBZの改革もその路線上で行われた。

 次いで、2015年には第二次改革に挑む。AWBZの役割を高齢者施設だけに限定し、訪問看護やリハビリなど医療系サービスを医療保険(ZVW)に移すとともに、通所介護などの在宅サービスをWMOに全面移行させ、AWBZの名称もWLZと変えた。(図1)

「国から自治体へ制度を移行」図表
拡大画像表示
 こうした地方自治体への権限移譲にともない、国から自治体への交付金も2015年から25%削減した。

介護教育部長が語る改革方針
医療者と近隣住民を繋ぐ「地域ケア」の重要性
 首都のアムステルダムで、この2015年改革を担うデュオ・ステュールマン介護教育部長から具体的な方針を聞いた。

「大規模で単機能なサービス提供法を改め、小規模で多機能な方式に転換させようとしています。地域から疎遠な関係から地域に密着したやり方に変える。住民へのサービスがより行き届くようになります。そのために小さな組織を支援していきたい」

 医療や介護のプロにすぐに頼るのではなく、市民ができるだけ自分たちの力を発揮できるようにと、仕組みを変えつつある。

「これまでは、税金を払っているのだからサービスは当然受ける権利があると多くの国民は考えていた。それを、自分たちでできることは自分たちで、と変えねばならない」

 家庭医(GP)にも意識改革が及ぶ。地域との付き合いが深く、住民からの信頼度は高い。国民はすべて近所の家庭医に登録する制度が定着しているからだ。

「GPから2次医療機関への紹介状をすぐに出すのではなく、まず地域のケアサービスを活用することで対処できないか考えてもらう。できるだけ医療機関に頼らないようにしたい」

 自治体が担うWMOの業務は広がった。住宅改修や車椅子の貸与のほか、美術館などへの同行ボランティアの派遣、ホームレスへの宿泊紹介、家庭内暴力への対応など高齢者だけではなく、「生活困難者」向けの業務を一手に担う。

 強調したのは「地域ケア(バイクゾルフ wijkzorg)」という考え方だった。本人の左右に2つのグループを描いて説明する(図2参照)。右側に家庭医、訪問看護師、病院、保健センター、左側に家族、ボランティア、福祉施設、同伴者などがあり、両グループをまたぐように「地域ケア」と書かれている。右側の医療系の専門職集団と左側の近隣の住民集団という2つのグループを結びつけ、両グループが本人を支援するというのが「地域ケア」である。(図2)

「地域ケアは専門職と住民で」図表
拡大画像表示
 右側の制度上の組織だけではこれからの介護施策は限界があるとみたのだろう。その限界を補完するために、左側の地域住民の関わりが求められる。この両グループの融合、即ち地域ケアを動かすために新たに設けたのが「地域チーム(バイクチームwijkteam)」だ。

 そして、「従来の制度では、当事者への理解不足もあって、不必要なサービスを提供していたことも多かった。それを効率化させねばならない。必要ない人まで施設入居していた」とも話す。従来施策の基本的な見直しが始まっているようだ。

 この2015年改革で、国から自治体に渡される交付金は25%も削減されたが、

「どの自治体からも不平不満の声は出ていません。利用者本位で動いてみると、この新しい予算内できちんとできることが分かったようです」

「国の制度から自治体・地域の自主事業へ」という大きな流れは欧州諸国に共通する。オランダでも同様だが、かなりドラスティックに進められているのは間違いなさそうだ。

ドイツは介護保険料を4回アップ、
総費用を抑制するための仕組みも導入
 日本より5年早く介護保険をスタートさせ、日本が参考にしたのがドイツ。

 高齢化率は22%で、日本より5ポイントも低い。それでも制度発足以来、保険料率を4回アップさせ財源を拡大させてきた。昨年1月には多くの認知症の人を対象者として迎え入れる大改革を断行した。

 規模を拡大しているように見えるが、実は、総費用を抑制する仕組みを巧みに取り込んでいる。ひとつは「部分給付」と言われる基本的な考え方であり、もう一つは家族介護を広げるための現金給付である。

 スタート時の保険料率は収入に対して1.7%だったが、昨年1月には2.55%まで上げた。経済成長が大幅な上昇を支えた。同時に3段階の要介護判定を5段階に広げた。(図3)

「2017年以降の給付」図表
拡大画像表示
 認定基準も大きく変わった。「介護にどのくらい手間がかかるか」から「本人がどんな生活ができるか」になった。同時に身体介護中心だった制度に認知症など精神・知的機能面からケアが必要な人も要介護者に含めた。

 度重なる制度改定の中で、近年、認知症の人向けに「要介護0」を設け、要介護1のほぼ半額の給付をしてきたが、昨年1月には本格的に取り込んで要介護2にアップした。

「確かに認知症の人への判定が緩やかになり、利用者が20%ほど増えた」「サービスを受けられる人が増えたのは良いことだと思う」と改定を評価する事業者が大半だ。

 ベルリン在住のジャーナリストで研究者の吉田恵子さんは、「新たに約50万人の高齢者が要介護者と認定された。その大半は認知症の人になった」と言う。

 なかには「とっても複雑で基準項目が15から144にも増えて大変。要介護度が低くされたと言う利用者のために、不服の申し立てをしようにも簡単にはいかない」(リュッセルハイム市のアルツハイマー協会)と嘆く声もある。

 日本の介護保険でも、「認知症の軽度者は歩行や食事摂取など身体動作に問題がないことが多いため、要介護認定が軽くなってしまう」と苦情が寄せられ、認定基準の見直しを迫られたことがあった。もう10年ほど前のことだ。現地の施設視察の体験を踏まえても、認知症ケアへの取り組みは日本が一歩先行しているようだ。

ドイツ介護保険の財源は保険料のみ
「部分保険」によって総費用を抑制
 ドイツの介護保険が日本と異なるのは、まず、利用者に年齢制限がないこと。医療保険と同じように国民すべてが保険料を払いサービスを受ける。労働者と経営者が折半の保険料だけが財源で、税の投入も利用者の自己負担もない。

 保険制度の原則が貫かれており、さすがビスマルク以来の「社会保険の母国」だけのことはある。財源の半分に税が投入され、1割の利用料負担で始まった日本とは異なる。

 そして、保険者は基礎自治体ではなく、「介護金庫」である。医療保険を運営する「疾病金庫」がそのまま2枚看板を掲げて運営している。

 独立の公法人で日本の健康保険組合と似た組織だ。企業や同業者、地域などの単位で成り立ち、かつては全国で4ケタもあったが統合が進み、今では108に集約されている。最大手のAOK(一般地域疾病金庫)は、全16州に置かれ介護保険被保険者の半数近くが加入している。

 介護保険法は1970年代から連邦議会で議論され「負担増になる企業側はずっと反対してきた。労働者側との妥協の結果が部分保険という決着になった」(フランクフルトの施設長)。

「部分保険」とは聞きなれない用語だが、要は介護保険だけでは十分でないと言うこと。例えば要介護5の人が施設に入居する際、1ヵ月の利用料が全国平均の40万3000円(3100ユーロ)とすると、介護保険では要介護5の場合で約26万円(2005ユーロ)しか給付されない。残りの約14万円は自己負担となり、年金や預金で補う。保険で賄うのは「部分」というわけだ。(図4)

「施設の利用料に届かない『部分保険』」図表

拡大画像表示
 施設によって利用料はバラバラだから、自己負担額も異なる。地域差もある。南西部は高額で、旧東独地域は安い。職員の人件費や物価の格差による。

 年金と預金が足りなければ、州自治体から「介護扶助」(生活保護に近い制度)を受給できる。従って、自己負担分が約14万円の場合に、年金や預金などで12万円分しか払えなければ、残りの約2万円を介護扶助で補うことができる。

 日本では特別養護老人ホームの利用料は全国一律で、入居する際に要介護度に応じて利用料の1割だけ払えばいい。介護付き有料老人ホームでは、事業者に費用の一部が介護保険から「特定施設入居者生活介護」として給付が得られ、かつ、施設によって利用料がバラバラという点で、この「部分保険」と同様な仕組みと考えてよいだろう。

 給付額を日本の制度と比べると、施設への給付費が要介護4と5で4〜5万円低く、その上利用料が高いので、利用者の負担は大きい。在宅サービスでは日独の差はさらに広がっている。総費用を抑える狙いからだ。(図3参照)

日本にはない「現金給付」も導入
家族介護の担い手を「労働者」と見なす
 もうひとつ、日本と大きく異なるのは、家族介護者向けの「現金給付」が大きな役割を果たしていること。

 日本では家族への現金給付で大議論があった。「家族が互いに助け合うのは日本の伝統であり美風」と言う推進派に対し、「嫁や娘、妻たちが介護を強いられてしまう」とする反対論が鋭く対立した。「介護の社会化」を掲げた介護保険の原則論が通り、現金給付は消えた。

 ところが、ドイツでは当初から重視されている。何しろ在宅介護の過半がこの「現金給付」だ。「施設入居より在宅重視」とする基本施策は日本と同じだが、現物給付の半額以下の安い家族介護で総費用の圧縮を図っている。現物給付とは、訪問介護や通所介護(デイサービス)などの在宅サービスである。

 実は、家族介護の担い手を「労働者」と見なしているところが肝心である。介護者の介護時間が週14時間以上あり、かつ、30時間以上は社会で働くことはできない状態であることが条件となっている。

 労働者であるから、年金や労災保険、失業保険に加入できる。2年間の介護休暇を取得して、その後に元の職場に復帰する。

 現金給付は要介護者の口座に振り込まれる。つまり要介護者が「雇用主」となり、子どもや親族、近隣者、あるいはファミリーヘルパーなどに介護費として渡す。このファミリーヘルパーは、散歩や掃除、洗濯などの生活支援を行う職業として定着している。諸団体が講習会を開いて資格を与えるが、国家資格ではない。

 このほかに、ポーランド人を中心にした東欧やトルコなどからの移民を含めた外国人ヘルパー(家政婦)が大勢いる。その数は、40万人に達するとも言われる。低賃金労働者が多く、斡旋業者が介在する「闇労働」とも指摘されている。2011年からEU域内では労働者の移動が自由になったことが拍車をかけている。

 24時間の継続した介護が必要な場合に外国人ヘルパーを住み込みで頼むと、現金給付の対象となるが、給付額が少なく大部分は持ち出しにならざるを得ない。

 介護者がきちんと介護を受けているかのチェックが為されることもあり、今のところ現金給付制度への批判はほとんど聞かれない。

 現金給付を設けた最大の理由は、できるだけ在宅介護を続けて、費用が高い施設入居を思いとどまらせたい政策判断がある。当初は、確かに現金給付の比率が高かったが、最近では大都市部を中心に独居者が急増しており、現物給付の比重が増えつつある。

 現金給付と現物給付を組み合わせた「コンビネーション」と言われる使い方も広がっている。

(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/321.html#c1

[政治・選挙・NHK249] 総裁選につき、石破氏の挑戦に対し、安倍側は「土俵に乗る必要ない」と述べているらしい  赤かぶ
1. 2018年8月31日 01:39:52 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1386]
「石破ビジョン」が市場関係者から冷ややかな視線を浴びせられる事情
ポストアベノミクスは困難かも…
磯山 友幸経済ジャーナリスト
プロフィール
シェア17ツイートブックマーク1
疎いといわれる経済の政策は
9月20日に投開票が行われる自民党の総裁選挙に向けて、現職の安倍晋三総裁(首相)に挑む石破茂・元幹事長が政策集「石破ビジョン」を公表した。

メディアは「アベノミクスに代わる『石破ビジョン』」と持ち上げたが、石破氏の経済政策のスタンスはどうなのか。仮に安倍氏を破って総裁になれば、首相になるわけで、石破氏の経済政策を実行に移した場合、日本経済はどうなるのか。

さっそく、兜町など市場関係者の間では、分析・論評が始まっている。

石破氏が掲げた「ビジョン」は大きく分けて5つ。@ポストアベノミクスへの展開、A個性と自律性を発揮し地方で成長と豊かさを実感できる真の地方創生の実現、Bより人を幸福にする福祉社会の実現、C人生100年時代の新たな社会の創生、D自立精神に富み安心・安全な国の構築――である。

一瞥して何を最も訴えたいのか、今ひとつ伝わって来ないが、それはひとまず置く。

最初に経済を掲げたのは、安倍総裁がこれまでのアベノミクスの成果を訴えていることへの対抗だろう。石破氏は@の「ポストアベノミクスの展開」として、次の4つを掲げた。

・デフレに後戻りしないマクロ経済政策の継続
・格差是正、真の地方創生、技術革新、新しい時代の要請に応じた人材強化に重点を置き、財政規律にも配慮した経済財政運営
・検証なき膨張を続ける現行の成長戦略を見直し、成長力の底上げに資する戦略に再編
・経済政策の一貫性とリスク対応の機動性確保のため経済金融総合対応会議(日本版NEC)を創設

である。

だが、残念ながら、具体策に欠けている。

国民の関心は「日々の生活」

マクロ政策は継続
「ポスト」アベノミクスと言いながら、マクロ経済政策は「継続」すると言う。会見では「異次元の金融緩和は効果を上げたが、カンフル剤がいつまでも続くわけではない」と述べているが、では、量的緩和を止めるのか、というとそうではなさそうだ。

「財政規律にも配慮した経済財政運営」というのは、安倍首相が第2次安倍内閣発足以降、アベノミクスの「2本目の矢」として打ち出してきた「機動的な財政政策」を意識したものだろう。だが、財政出動を減らすのか、どうやって財政規律を立て直すのかといった具体策はない。

アベノミクスの3本目の矢である「民間投資を喚起する成長戦略」についても、「検証なき拡張を続ける」と批判し、見直しを掲げるが、いったいどう見直すのかも明らかでない。

そのうえで、「経済金融総合対応会議」を創設するという。自民党の政策通と言われるベテラン議員は、「今でも総理が座長を務める経済財政諮問会議などいくつもあるのに、さらに会議を増やしてどうするのか」と首をひねる。

これからみんなで考えましょう、ということだろうが、自民党総裁に選ばれるということは、首相になるということだ。

今、野党でも国民民主党が代表選挙を行っている。立候補している玉木雄一郎代表は、「コドモノミクス」と称して第3子に1000万円を支給する制度を掲げる。野党第2党だから当選しても政策が実現するわけではないのだが、石破ビジョンに比べてはるかに具体性がある。

石破氏は安全保障や防衛分野に精通しており、その分野では右に出る政治家はいないとも言われる。

一方で、経済については疎く、関心持っていないと酷評されてきた。そうはいっても多くの国民は日々の生活、つまり経済の行方に多大の関心を持つ。地方の党員票を獲得しようと思えば、「経済」政策なしには戦えない。

「地方創生」についてはどうか
地方への目配りは
今回の総裁選では国会議員票405票に対して、同数の405票が地方党員票に割り振られている。安倍総裁は国会議員票の7割を固めたとされており、石破氏に勝機があるとすれば、地方票を獲得するしかない。

6年前の総裁選では第1回投票で、地方票300票のうち石破氏は165票を獲得、安倍氏は87票だった。果たして今回、どれぐらいの地方票を石破氏が獲得するのか。

その意味でも「地方創生」への取り組みは注目点だ。石破ビジョンでは2番目に「真の地方創生の実現」を掲げた。「個性と自律性を発揮し地方で成長と豊かさを実感できる」のが「真の」地方創生だと石破氏は訴える。が、これも具体性に欠ける。

10の細目が並ぶがいずれも「誰でも賛成しそうな」きれいごとが並んでいるようにみえる。

・脱炭素化・再生可能エネルギーを原動力に地方創生を実現
・全国民ひいては全世界が利益を享受するもうかる農林水産業の実現
・農林水産業を通じた地域の維持・活性化
・大都市の豊かさが地方に波及するという発想を転換、魅力ある産業が存立する豊かな地方経済
・地方の個性や自主性、経営力向上を後押しする財源の充実や補助金・交付金制度の見直し
・地方創生を担う人材や政策機能の確保(地方公共団体のガバナンスや機能強化、霞が関や企業からの人材移転)
・地方創生深化のための規制緩和・制度改革
・サービス基本法制定と生産性向上国民運動の展開(地方経済・農林水産業の高付加価値化)
・地方における最先端の基盤技術を活かしたスマートシティーの展開
・インバウンド戦略の強化と日本の各都市がアジアのスマートシティーと共鳴、共同で地方を世界経済に開く「架け橋プロジェクト」

いずれも、誰もが賛成しそうな項目だ。これらの政策はアベノミクスでも否定されているわけではなく、むしろ包含されている。「補助金・交付金制度の見直し」は第1次安倍内閣より以前から言われ続けていることで、それをどう具体的に見直すのかがむしろ焦点になる。

地方の党員たちに、アベノミクスではダメ、石破ビジョンでいこうと思わせる事ができるのか。力不足のように感じられる。

安倍総裁陣営の動き
安倍に代わりうるものか
一方の安倍総裁陣営も党員向け政策ビラを作り、配布を始めた。そこには「安倍晋三『5つの決意』」として政策が書かれている。

「頑張った人が報われる経済成長」
「すべての世代が安心できる社会保障改革」
「美しいふるさとを守り、次世代へ引き渡す」
「地球儀を俯瞰する外交の更なる展開」
「憲法を改正し、新しい時代を切り拓く」

冒頭に掲げたのが経済。経済成長が必要だ、というアベノミクスの「信念」が掲げられている。「『失われた20年には、二度と後戻りさせない』とし、「『三本の矢』で、デフレ完全脱却を成し遂げ、戦後最大のGDP600兆円を実現」と訴える。

地方創生についても、これまでの成果を踏まえた政策を掲げる。「新しい挑戦を後押しする農林水産業全般にわたる改革。中小・小規模事業者の生産性革命。訪日観光客4000万人を実現し、若者にチャンスあふれる地方創生を進める」としている。

安倍総裁は現職の首相なので、成長戦略などで実行している具体策と結びついて具体性を帯びている。

市場関係者は安倍氏の圧勝を予想する向きが多いが、万が一、安倍氏が負けた場合の経済政策の「転換」を気にする。だが、なかなか石破ビジョンから経済の先行きを連想するのは難しい。「株価が上がる要素がほとんどない」と重鎮証券アナリストは“瞬殺”する。

最初に石破氏が掲げた「正直、公正、石破茂」というキャッチフレーズには、自民党内から安倍氏の個人攻撃だ、という批判が挙がった。

まあ、個人攻撃と感じると言うことは安倍氏が不正直で不公正だと思っていることになるが、批判が出るということは「痛い」ところを突かれたということなのだろう。安倍氏のビラが、「責任、実行。」としているのも、石破氏のキャッチフレーズを意識しているようにもみえる。

安倍首相の対抗馬として期待されているのは、増長する安倍氏の批判票の受け皿だ。おそらく、安倍批判を鋭く展開する方が、地方票を獲得できるだろう。だが、それで地滑り的逆転勝利を収めても、アベノミクスを転換されるのは困るというのが自民党支持層の本音ではないだろうか。



http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/872.html#c1

[経世済民128] 好景気なのに消費停滞の原因は「体感物価」の上昇だ(ダイヤモンド・オンライン)  赤かぶ
11. 2018年8月31日 01:42:28 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1387]
180829
史上最高の企業利益なのに思ったほど賃金が上がらない日本経済の罠パート賃金だけ25年で2割増の怪

竹中 正治
龍谷大学経済学部教授
プロフィール
シェア190ツイートブックマーク0
パートタイムだけコンスタントな賃金上昇
今日の低失業率と人手不足、そして史上最高の企業利益にもかかわらず、日本の賃金伸び率の頭の重さは、賃金の「上方硬直性」とでも言うべき状態だ。
例えば雇用者1人当たりの平均賃金である現金給与総額(厚生労働省のデータ)を時給換算して見ると、1993年から現在までの名目の増加は4.4%にとどまり、年率平均の伸び率にするとわずか0.2%だ(2018年6月時点)。
ゼロ金利下でも大胆な量的金融緩和政策により、消費者物価指数で前年比2%の物価目標を実現してみせると宣言した日銀黒田総裁も、今では日本の賃金上昇率の弱さが、物価目標達成の大きな障害であると認めている。
なぜ日銀が物価目標2%にこだわるのか。そもそも金融政策とは名目金利水準を操作することで実質金利水準を上下に調整し、景気変動に対して平準化効果(景気の過熱や過度の不況を回避する効果)をもたらすものだ。
つまり「実質金利=名目金利+インフレ率」であるが、名目金利がゼロ近辺になると、それを割り込んでマイナスにすることができない。そのため、伝統的な金融政策が機能するためには一定水準のインフレ率(物価上昇率)が欠かせないからだ。
ところが、そんな日本の労働市場でも1990年代以降一貫して賃金が上昇し、93年比で23%も賃金(時給換算ベース)が増加した雇用部門がある。しかも当該分野での雇用は拡大の一途をたどり、今では全雇用者の3割を超える。
「えっ〜嘘だろ。そんな分野があるのか」と思われるであろう。実はそれはパートタイム労働者の賃金である。
図表1が示す通り、90年代以降も右肩上がりで上昇し、2012年12月以降の平均年率の伸び率はプラス1.6%、17年以降はプラス2%を超えている(月々のぶれを均すために12ヵ月移動平均で表示している)。
一方、フルタイム労働者の賃金伸び率は図表2が示す通り、1998年にピークを付けた後は2012年まで緩やかながら下げ基調だった。2013年からは上げ基調に転じるが、上昇テンポは微弱で2012年12月以降18年6月現在まで年率平均プラス0.8%にとどまっている。
さらに日本と米国の賃金伸び率を、フルタイム労働者とパートタイム労働者に分けて比較したのが図表3である。興味深いことに、2008〜09年の世界金融危機と不況からの回復過程での日米のパートタイム労働者の賃金伸び率はほぼ同じ水準で(図表の赤線と黄色線)、直近では双方年率2%台である。
ところが、米国ではフルタイム労働者の賃金伸び率(図表の青線)はパートタイムを趨勢的に上回り、直近では年率3%台である。一方、日本ではフルタイム労働者の賃金伸び率(図表の紺色線)は2000年代後半以降、趨勢的にパートタイムを下回り、直近でも年率1%余にとどまっている。
図表1
図表2
図表3
なぜそうなったのか
v決して好ましくない、ある事情とは
さて、このような日本のフルタイム、パートタイム、そして全体平均の賃金動向の違いの背後にある事情は何だろうか。
第1に、フルタイム労働者の賃金に比べてパートタイム労働者の賃金が、日本では構造的に低過ぎ、その賃金格差の修正が緩やかながらも長期にわたって生じている可能性がある。
そもそも正規雇用とは法的に定義された概念ではない。退職年齢はあるが、それ以外には期間の定めのない雇用形態だ。その多くはフルタイムだが、少数ながら短時間勤務(パートタイム)の形態もある。
一方、非正規雇用には、いわゆるパートタイム・アルバイト、派遣社員、契約社員などのカテゴリーがある。契約期間は日雇い、1年、あるいは数年など有期である。もっとも多いのがパートタイムとアルバイトで、非正規雇用の約7割を占め、文字通り短時間勤務だ。
つまり正規雇用と非正規雇用の賃金格差が、フルタイムとパートタイムで分けた場合にも現れ、その賃金格差が緩やかながら縮小されるトレンドにあると言えよう。
第2に、雇用全体に占める非正規雇用の比率は90年代以降趨勢的に上昇してきた。非正規雇用の賃金は正規雇用に比べてかなり低いので、雇用者全体に占める非正規労働比率の増加が、雇用者1人当たりの平均賃金伸び率を抑制してきた。
例えば厚生労働省の資料によると、2017年6月の所定内給与に基づいて正規雇用でかつフルタイムと非正規でかつパートタイムの時給を比較すると、30〜34歳の年齢層では1.5:1.0の格差、50〜54歳では2.2:1.0の格差がある(厚生労働省「非正規雇用の現状と課題」2017年)。
ちなみにこの調査によると、非正規雇用のうち273万人が正規雇用として働く機会がなくやむを得ず非正規雇用として働いている「不本意非正規」である。
ただしこの点では良い変化が見えてきたことも強調しておこう。
2015年以降は正規雇用も増加傾向が鮮明になり、雇用全体に非正規雇用が占める割合は37%台で頭打ちとなっている。その結果、非正規比率の上昇が平均賃金を押し下げる効果は剥落し、平均賃金は上がりやすくなっている。
実際、厚生労働省の報告書(「平成29年版 労働経済の分析」)で示された現金給与総額の変化の要因分析によると、雇用に占めるパートタイム比率が上がり続けた2010〜14年は、パート比率の上昇によって1人当たり現金給与総額は年率平均0.5%押し下げられた。
しかし正規雇用の増加に伴うフルタイム労働が増加し始めた2015年から、そのマイナス効果は縮小し、17年からはわずかながらプラスに転じ始めている。
第3に、雇用者の年齢構成の変化も90年代後半から10年余にわたって正規雇用の平均賃金抑制に働いた。というのは、平均賃金指数がピークになった1990年代後半は、団塊の世代が50歳前後になり日本の年功的な賃金体系の中で最も賃金水準が高い局面に入った時だった。
その後、団塊の世代は「役職定年」を迎え、さらに60歳、あるいは65歳で定年退職し、それに伴い平均賃金を押し下げる効果が働いた。
雇用維持の代償
長期雇用保障と賃金の上方硬直性
第4に、米国と反対に日本ではフルタイム労働者の賃金伸び率がパートタイムのそれより低いのは、正規労働者の雇用の長期保証の有無と関係がある。おそらくこれが一番重要なポイントだ。
つまり正規労働者の雇用維持を最優先とし、その代償として賃上げを抑制する日本的な労使関係だ。
もっとも1990年代半ば頃までは労働組合も消費者物価指数の上昇率に労働生産性の向上を加えた水準をベースアップ要求の指標として春闘を展開し、ある程度その実現に成功してきた。
ところが、1997〜98年の銀行不良債権危機を背景にした戦後最大の不況を機に、労働組合はベースアップを捨てて正規労働者の雇用維持を最優先する方針に転換し、経営もこれに応じるという転換が起こった。その時の慣行が今に至るまで続いていると考えられる。
この時の不況を契機に起こった期待経済成長率の低下も、企業経営者が景気回復期の人手不足を正規雇用の積極的な増加で補充することを躊躇わせ、パートタイムなどの非正規雇用の増加で対応する傾向を強めた。
そもそも、人手不足に対応して、企業がパートタイム労働の賃金を正規雇用のそれに比べて引き上げられるのは、再び景気後退などで労働力が余剰になった場合は、いつでも雇用を停止できるからだ。
言い換えると、人手不足にもかかわらず正規雇用の賃金、特にベースアップに企業経営者が二の足を踏むのは、正規雇用の賃金(特に所定内給与)は固定費であり、一度上げると景気後退になった時に削減が困難で企業利益を圧縮するからだ。
それは企業経営者や経済団体の首脳らが率直に語っている通りだ。
米国に比べると、日本の企業の正規雇用に関する解雇は総じて厳しく制約され、慣行や判例に基づき、大企業ほど解雇は企業が経営危機に直面して他に方策がない場合に限られている。
これが正規雇用の賃金を固定費化しているわけだ。一方で、企業規模が小さくなるほど十分な金銭的補償もなしに解雇されるケースが増えるのが実態だと言われている。
要するに現在の日本は大企業ほど長期雇用保証の代償に人手不足でも賃金、とりわけベースアップを犠牲にしている。
同時に、それほど雇用保証が安定的ではない中小企業でも慣行として大企業の抑制された賃金上昇率に足並みを揃える結果、正規雇用全体の賃金の上方硬直性が蔓延しているように思える。
エコノミストとしての観点で言えば、もう少し解雇権の行使を柔軟化して、米国で見られるように解雇の見返りに例えば最低1年分程度の給与を支払う条件で解雇できるような労働法制を施行すれば、賃金の固定費化は緩和される。
その結果、人手不足時には正規雇用でも賃金が今より柔軟に上昇する余地が生まれるだろう。いわゆる「解雇の金銭的解決ルール」である。
労働者も失業保険の給付に加えて相応の「解雇支給金」を得れば、時間をかけて転職、あるいは転職のための教育・再訓練などを受ける余裕が生まれる。
日本の多数派
なさけない安定にしがみつく?
この点については、昨年5月に厚生労働省が「透明かつ公平な労働紛争解決システム等のあり方に関する検討会」の最終報告を公表している。
しかし解雇の金銭解決ルールの制定が必要だとする主張と、そうしたルールはむしろ金銭的代償で解雇を助長するという労働組合やその利害を代表する論者との間で鋭い意見対立を起こしている。
この労働法制の問題は、金融系エコノミストである筆者の専門ではないので深入りはしないが、日本の企業が陥っている正規雇用労働者の賃金の上方硬直性の罠から抜け出さないと、デフレは終わっても、低インフレ状態から抜け出せない。
その結果、米国の様に量的金融緩和を終了し、金利を引き上げることができない。すなわち次の景気後退に直面した時に金融緩和政策を働かすことができない。
今日の様にイノベーションの速い時代は、それに伴って産業構造や職種の分布も変化する必要があり、労働力の柔軟な移動(労働市場の流動化)が欠かせない。労働者の権利保護と労働市場の流動化のバランスをとった「透明かつ公平な」解雇ルールの制定が求められているのだと思う。
もっとも「賃金は上がらなくても良いので、定年までずっとこの企業に居させてください」というのが現在の日本の正規雇用層多数派の期待・願望であるならば、正規雇用に見られる賃金の上方硬直性は、そうした多数派の期待の自己実現した結果だと言うこともできようか。
もしそうだとすると、なんとも、なさけない感じである。



2018年8月30日 / 23:35 / 2時間前更新
米個人消費、7月は0.4%増 物価も安定上昇
1 分で読む

[ワシントン 30日 ロイター] - 米商務省が30日発表した7月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比0.4%増と底堅く伸びた。市場予想と一致した。第3・四半期初めに経済が堅調に伸びたことを示唆した。

6月の個人消費支出も0.4%増だった。

7月は外食や宿泊のほか、処方箋の支出が増えた。

インフレ調整後の実質消費支出は前月比0.2%増。6月は0.3%増だった。

第2・四半期は、堅調な個人消費が経済を押し上げた。第2・四半期国内総生産(GDP)は年率で4.2%増と、第1・四半期(2.2%増)の倍近くのペースで伸びた。

第3・四半期は、貿易赤字が拡大するほか、住宅市場が弱含むことが見込まれるが、底堅い個人消費が打撃をいくぶん和らげるとみられる。先に発表された7月統計では、モノの貿易赤字が大幅に増加したほか、住宅販売が減少。住宅建設の伸びは鈍化した。

個人消費は第1・四半期に年率で0.5%増と低迷したが、好調な労働市場が追い風となり第2・四半期は3.8%増となった。

7月の個人消費支出の内訳は、モノが前月比0.2%増と、6月の0.1%減からプラスへ転じた。サービスは0.4%増。6月は0.6%増加していた。

需要が拡大する中で物価も引き続き安定的に伸びた。個人消費支出(PCE)価格指数は変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が前月比0.2%上昇。6月は0.1%上昇していた。

7月の前年同月比は2.0%上昇と、6月の1.9%上昇から伸びが拡大した。コアPCEの前年同月比は米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安としている。コアPCEの前年同月比は3月に、2012年4月以来初めてFRBが目標とする2%に達した。

先週公表された7月31日ー8月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨によると、当局者は「経済が潜在成長率を超えるペースで伸びる期間が続いた場合、物価上昇圧力が増す」との懸念を表明した。FRBは9月に今年3度目となる利上げを決めるとみられている。

7月の個人所得は0.3%増。6月は0.4%増加していた。賃金は7月に0.4%増加した。貯蓄率は6.7%と、6月の6.8%から低下した。
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/334.html#c11

[経世済民128] 今の株価は1988〜89年のバブルに近い "適温経済"は2019年に覆される(PRESIDENT) 赤かぶ
7. 2018年8月31日 01:47:32 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1388]
新興市場キャリー取引、8月として史上最悪のリターンートルコ騒動で
Netty Ismail、Filipe Pacheco
2018年8月30日 16:06 JST
• 「トルコとアルゼンチンの弱さが互いに増幅」とマニュライフ
• ブルームバーグの指数、7月末以降で5%余りの落ち込み
8月は新興市場にとってこれまでも残酷な月だった。一つの指標でみると、今年はその中でも最悪の8月となりそうだ。
  ドルのショートポジションによって調達し8つの新興市場で運用するキャリートレード成績を示すブルームバーグの指数は7月末以降に5%余り落ち込み、8月としては指数算出開始の1999年以来の最悪となる見込み。
  8月は米ドルが同国の金融引き締め基調を背景に1年2カ月ぶり高値に達した一方、トルコとアルゼンチンの通貨危機、米中貿易摩擦がリスク資産の需要を弱めた。
  パフォーマンス最悪の通貨はトルコ・リラ、アルゼンチン・ペソ、ブラジル・レアル、ロシア・ルーブルだった。マニュライフ・アセット・マネジメントのシニアアナリスト、リチャード・シーガル氏は、今年の8月は「トルコとアルゼンチンの弱さが互いに増幅し合った」と話した。
Worst August
Yield-chasers suffer worst August return ever

Source: Bloomberg
原題:EM Carry Traders Have Worst August on Record Amid Turkey Turmoil(抜粋)




180830
マーケットが恐れる「逆イールド」は米国株暴落のシグナルなのか
イールドカーブと株価の関係を検証する

安達 誠司
エコノミスト
プロフィール
シェア61ツイートブックマーク1
トルコ通貨危機の次の話題
マーケットの話題はめまぐるしく変わる。トルコの通貨問題は解決したとはいえないが、マーケットではほとんど話題に上らなくなった。
トルコリラに投資していた人にとっては大変な状況は変らないが、やはり国際金融市場全体への波及はみられなかった。トルコ問題が世界的な金融危機の引き金になるという指摘もあったが、残念ながらそうはならなかった。
一方、このところマーケットで話題になっているのは、米国の国債市場でイールドカーブ(利回り曲線)が「フラットニング化」しつつあることだ。
具体的には2年物国債と10年物国債の金利水準がほぼ等しくなったことが、将来の米国経済のリセッション(景気後退局面)入りを示唆しているのではないかと指摘され始めている(筆者は、なぜ、2年物国債と10年物国債の利回り格差を「イールドカーブ」の代理変数にするのはよく理解できないが、どうも慣例になっているようだ)。
株価と景気の関係から考えると、これは、景気後退前に株価が暴落する局面が来る可能性が高いという指摘とほぼ同じ意味である。
金融関連のメディアでも取り上げられるようになったが、実際のマーケットでは非常に短絡的な発想による危機シナリオが実現することはほとんどない。従って、筆者は、金利差の逆転が株価暴落や景気悪化のシグナルにはならないだろうと考えている。
80年代前半以降の2年-10年の国債利回り格差と株価の関係をみると(図表1)、金利差がマイナスに転じると(すなわち、2年物国債利回りの水準が10年物国債利回りの水準を上回ることを意味し、「逆イールド」といわれる)、その後、しばらくして株価が暴落したことが実際に数回あったことがわかる。

拡大画像表示
具体的には2000年10月(逆イールドになったのは2000年2月)、2008年1月(逆イールドになったのは2006年9月)の2回である。言うまでもないが、前者がITバブル崩壊、後者がリーマンショック(の前兆)である。
一方、逆イールド状態になりながら、株価の暴落が実現しなかったこともある。
例えば、1989年1月から9月にかけて逆イールドが示現しながら、その後、株価の本格的な下落局面は実現しなかった(小さな調整局面はあったが)。さらにいえば、1994年終盤に両者の金利差が急激に縮小した局面があったが、その後の株価はむしろ加速度的に上昇した。
このように、80年代以降のデータから想定されることは、2年-10年の国債利回り格差がゼロ、ないしはマイナス(逆イールド)になったとしても、これは必ずしも株価暴落、及びその後のリセッションの先行指標になるとは限らない、ということである。
さらにいえば、株価の暴落は、そもそも株価の水準自体が「バブル」と呼ぶにふさわしい水準まで上昇していたことが大きく影響したとも考えられる。現局面の株価はバブルとは思えないので、もし、筆者が正しければ、今回の金利差の逆転現象は株価暴落の前兆にはならないことになる。
イールドカーブよりも有益な指標
世界大恐慌からの回復局面を検証
そもそも、リーマンショックという大恐慌以来の金融・経済危機を経験した後の回復期における逆イールド状態が今後の株価や経済にどのような影響を与えるかを考える際に、バブル崩壊直前の逆イールドの経験をそのまま当てはめたところで先行きを読むという意味の情報価値はほとんどないのではないか。
そこで、次に、「リーマンショック後の回復局面」と同じパターンとして、戦前の世界大恐慌からの回復局面のイールドカーブと株価の関係について考えてみる。
当コラムでも何度かとりあげたことがあるが、大恐慌からの回復期の米国では、主に金融政策の失敗(過度な引締めによる「オーバーキル」)から一旦は克服したかにみえたデフレに再度見舞われたことがある(「1937年大不況」といわれる)。
今回の「金利差の逆転」で近い将来、株価が暴落し、米国経済がリセッションに陥るという懸念は、まさにFRBによる過度の金融引締めによるより短い年限の金利上昇が「1937年大不況」に近い状況をもたらすのではないかという懸念と共通する点が多いのではないかと考える。
そこで、1929年以降のイールドカーブデータで「2年-10年の国債利回り格差」を算出し、株価との関係からその推移をみたのが図表2である。

拡大画像表示
1937年の株価暴落直前に利回り格差は急激に縮小しているが、最も縮小した局面でも利回り格差は0.7%弱となっており、イールドカーブは「順イールド」であった。だが、この「順イールド」状態の中でも株価は暴落した。
ちなみに、具体的には、株価は1937年4月から暴落局面に入ったが、1937年4月の3ヵ月物の国債利回りは0.6%であり、事実上の「ゼロ金利」状態が継続していた。このことから、もし、今後、株価が「1937年大不況」型の暴落に見舞われるとすれば、これは金利(差)で予想することは困難であることを意味している。
それでは、何が株価暴落、そして、その後の再デフレのトリガーになったのであろうか。
一つの可能性としては、「金利(イールドカーブという意味では「質」といってもよいかもしれない)」ではなく、むしろ「量(マネタリーベース)」が減少局面に入った点ではなかったかと考える。
当時のマネタリーベースの伸び率と株価の関係をみると(図表3)、1937年3月より、マネタリーベースは前年比でマイナス(-3.1%)に転じ、その後2桁台の減少率となった。この極めて急激な「(市場)流動性」の収縮が株価暴落につながった可能性がある。

拡大画像表示
さらに1980年代以降をみても(図表4)、2000年、及び、2006年にマネタリーベースの伸び率はほぼゼロまで落ち込んでいる。

拡大画像表示
以上より、今後、株価の大きな調整があるかないかを考える際は、イールドカーブ(もしくは金利差)をみるよりもマネタリーベースをみた方が有益ではないかと考える。
マネタリーベースの伸び率
株価暴落のトリガー
ただし、直近(7月)時点の米国のマネタリーベースは前年比で4.5%の減少となっており、すでに減少ペースが加速しているようにみえる。そして、それにもかかわらず米国の株価は堅調に推移している。すなわち、現時点ですでに米国のマネタリーベースは減少局面に入っているが、いまだに株価暴落のトリガーを引いていない。
これをどう考えるかであるが、筆者は、FRBが現状の資金供給スタンスを続けていけば、米国経済がどの程度の成長を見込めるかという点を考慮すべきだと考える。
リーマンショック以降、米国経済は「長期停滞」に陥ったといわれて久しい。そのため、リーマンショック以前、2003年から2007年にかけての平均である名目6%弱(5.7%強)を回復できると考えている人は少ないだろう。そして、FRBの経済見通しをもとに推測すると、現在の米国の長期均衡的な名目成長率は3.5%強程度であると思われる。
そして、現在のマネタリーベース残高は、リーマンショック直後の2008年7-9月期を起点として米国経済が名目3.5%程度の成長を実現するのに適正な供給量にほぼ等しい水準であると推測される(図表5)。

拡大画像表示
つまり、マネタリーベースの伸び率は前年比でマイナスに転じているものの、水準でみれば、多くの人々が想定している均衡的な経済成長を実現するに最適な状態であるとすれば、株価の先行きに対してそれほど悲観的にもならないと思われるのである。
そして、今後も前年比で5%から7%程度の減少幅であれば、この均衡水準を維持できる可能性が高い。
従って、今後、米国株価が暴落し、近い将来米国経済がリセッションに陥るリスクが高まるとすれば、FRBが資産圧縮ペースを加速し、マネタリーベースの減少率が10%を超えてくる時ではないだろうか。
そして、2年-5年の金利差よりもマネタリーベースの方が重要な指標であると考える。
トランプは経済で“大化け”する可能性を秘めている。気鋭のエコノミストが、世界と日本の動向を鋭く予測する!


ユーロ圏:8月の景況感、予想以上に低下−貿易摩擦や政治リスク重し
Marcus Bensasson
2018年8月30日 18:58 JST
• 8月のユーロ圏景況感指数は111.6と前月の112.1から低下
• 予想は111.9、ユーロ圏の4大経済大国全てで悪化した
ユーロ圏では8月の景況感指数が予想以上に低下した。低下は8カ月連続。貿易摩擦や政治リスクが重しとなっている。
  欧州連合(EU)の欧州委員会が30日発表した8月のユーロ圏景況感指数は111.6と前月の112.1から低下した。エコノミスト調査では111.9が見込まれていた。景況感はユーロ圏の4大経済大国全てで悪化した。
ユーロ圏 実績 調査 前回
景況感 111.6 111.9 112.1
鉱工業 5.5 5.5 5.8
サービス 14.7 15.2 15.3
消費者 -1.9 -1.9 -0.5
業況判断 1.22 1.26 1.30(1.29から改訂)
原題:Slide in Euro-Area Economic Confidence Poses Risk to Growth(抜粋)


2018年8月30日 / 16:55 / 5時間前更新
欧州は「ヨーロッパ・ファースト」政策を採用せず=独財務相
1 分で読む

[フランクフルト 30日 ロイター] - ドイツのショルツ財務相は、「ヨーロッパ・ファースト(欧州第一主義)」政策を採用しないよう警告したほか、欧州連合(EU)が英国とのEU離脱(ブレグジット)交渉において合意に達するかどうかは不透明との見方を示した。

ショルツ氏はフランクフルトで開催されたカンファレンスで、欧州の政策は欧州の企業と産業を促進するものであるべきと指摘。一方で、「ヨーロッパ・ファーストではない」とし、欧州以外の企業が欧州大陸で事業を行うことを排除するような保護主義的な政策を意味しないとした。

また「われわれはナンバーワンになる必要があるとは少しも考えていないが、先駆者の一員にはなりたいため、(政策により)われわれの潜在能力を発揮しなければならない」と述べた。

ブレグジット交渉に関しては、合意確保に向けあらゆることを行っていくとしたうえで、合意に達するかどうかについてコメントするのは難しいとした。

さらにショルツ氏はドイツの輸出産業を支援するために強い金融セクターが必要と言及。ブレグジット後にはユーロ決済業務の大部分が次第に欧州大陸とドイツに移転するとの見方を示した。

*内容を追加しました。


アルゼンチン中銀:政策金利を60%に引き上げ−ペソ防衛で
Patrick Gillespie
2018年8月31日 0:24 JST
アルゼンチン中央銀行は30日、主要政策金利を60%とし、従来の45%から引き上げた。通貨ペソの下落に歯止めをかけるのが狙い。ペソはこの日急落し、過去最安値を更新した。

  アルゼンチンのマクリ大統領は29日、国際通貨基金(IMF)に対して信用枠(500億ドル=約5兆5700億円)に基づく融資実行の前倒しを要請したことを明らかにしていた。

原題:Argentina Hikes Interest Rate to 60% to Stem Peso Plunge(抜粋)

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/322.html#c7

[国際23] ニューヨーク・タイムズによれば、プーチンがアメリカを支配している(マスコミに載らない海外記事) 赤かぶ
1. 2018年9月01日 18:48:23 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[1389]
from 911/USAレポート』第775回

    「ジョン・マケイン葬送と激しさを増す政局」

    ■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(冷泉彰彦さんからのお知らせ)

<その1>

もう一つのメルマガ、「冷泉彰彦のプリンストン通信」(まぐまぐ発行)
http://www.mag2.com/m/0001628903.html
(「プリンストン通信」で検索)のご紹介。

JMMと併せて、この『冷泉彰彦のプリンストン通信』(毎週火曜日朝発行)もお読
みいただければ幸いです。購読料は税込み月額864円で、初月無料です。

<その2>

『自動運転「戦場」ルポ : ウーバー、グーグル、日本勢 ── クルマの近未来』(朝
日新書、税込み853円)という本を出版いたしました。皆さまの議論の一助となれ
ばと思っております。書店等でご覧いただければ幸いです。

http://mag.jmm.co.jp/39/13/312/148670

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 『from 911/USAレポート』               第775回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 8月31日の金曜日には、奇しくも2人の偉人の葬儀が同時並行的に行われること
になりました。まず天才的な名歌手アレサ・フランクリンの訃報(8月16日、享年
76)については、長く闘病していたこともありアメリカ社会は冷静に受け止めたよ
うに思います。また、その存在はあまりに大き過ぎ、十代の頃から第一線で歌ってい
たそのキャリアは60年に及び、特定の時代を象徴させるのは難しいということもあ
ります。

 晩年の彼女については、オバマ大統領の就任式で歌っていますが、その前に大統領
自由勲章(文民最高の栄誉)を授与されたときの大統領は、ジョージ・W・ブッシュ
でしたから、政治的・党派的なものを超えた存在ということも言えるでしょう。デト
ロイトでの葬儀では、ビル・クリントンが弔辞を読んでいましたが、それも政治的と
いうよりはフランクリンという存在の大きさを考えると自然であったように感じられ
ます。

 一方で、首都ワシントンには共和党のジョン・マケイン上院議員(8月25日死去、
享年81)の棺が、地元アリゾナ州での一連の葬送を終えて到着していました。この
日からは、まず長年勤務した議会議事堂に棺は安置され、一般の弔問を受けています。
こののち、ワシントンでも何回かの葬送の儀式があり、最終的にはアナポリスの海軍
軍人墓地に葬られることになっています。

 このマケイン議員の死去、そして葬儀というニュースは、連日大変に大きく報道さ
れています。著名な政治家ですから話題になるのは当然とはいえ、大統領経験者の死
去のケースを上回るような大きな扱いとなっています。その理由として、一つにはト
ランプ大統領との確執があります。

 トランプという人は、マケイン議員に対して、2015年の大統領選出馬以来、極
端とも言うべき罵声を浴びせ続けていました。マケイン議員については、ベトナム戦
争中の1967年にハノイ爆撃中に操縦していた単座機が撃墜され、そのままハノイ
で捕虜になりました。俗に「ハノイ・ヒルトン」と米兵が呼んだ収容所に入れられた
のです。

 やがて、北ベトナム当局はマケインが「米海軍のベトナム作戦司令官の息子」だと
いうことを突き止めると、マケインを釈放しようと動き始めました。マケインはこれ
を拒否したのです。理由としては「司令官の息子を釈放することで、寛大さをアピー
ルするなど政治的なプロパガンダに使われることを恐れた」のと「そもそもプロパガ
ンダ目的で釈放するなど捕虜を政治的に利用することは戦時国際法違反」だという認
識からでした。

 釈放を拒否したマケインに対しては、容赦のない殴打等の拷問が加えられたと言い
ます。その結果として、彼の肉体は衰弱し、頭髪は真っ白になったのでした。拘留は
1973年という戦争の最末期まで続き、結局のところ彼の釈放は、北ベトナムとア
メリカの和平交渉のカードとされたのです。

 マケインに取って、この6年近くにわたる捕虜体験は、彼のその後の人格に大きく
影響を与えたのでした。元来、アメリカ軍では、戦闘中に不明になったり捕虜になっ
たりした兵士のことを「英雄視」することで、そこに最大の名誉を与える伝統があり
ます。「生きて俘囚の辱めを受けず」として自決を迫った東條の「戦陣訓」とは正反
対の考え方ですが、前線についても銃後についてもどちらが「士気高揚」になるのか
は、両者の戦った戦争の結果を見ても一目瞭然と言えます。

 ジョン・マケインと言う人は、自分が「MIA・POW」つまり「不明兵・捕虜」
であったことを政治活動においても、極めて重視していました。例えばですが、20
01年以降の「ブッシュ政権とアルカイダ系の戦い」において、当時のアッシュクロ
フト、ゴンザレスといった歴代の司法長官は、「テロ情報を入手する」ためなら拷問
も辞さずという政策を掲げていました。チェイニー副大統領(当時)もその推進派で
した。

 これに対してマケイン議員は常に厳しい批判を加えていました。根拠は明快で「わ
が国が公然と拷問を肯定するのであれば、仮に敵の捕虜となった米兵に対して、敵と
して拷問を加えることへの正当化を許すことになる」というものであり、正に自身の
経験から出た一種の叫びのようなものだったのです。

 これに対してトランプは「ヘソ曲がり」とでも言うべき揶揄をしています。201
5年の7月ですから大統領選への出馬表明を行った直後のことでした。「あの人は、
戦争の英雄なんかじゃない。だって捕まったから英雄だっていうんだろ? 俺として
は、捕まらないヤツのほうが好きだな」という発言は、その当時大変に話題になりま
した。

 この時点では、まだトランプは「変人の泡沫候補」だったのですが、ジェブ・ブッ
シュをはじめとした「主流派候補」がこの発言を強く批判すると、それがメディアに
取り上げられる、その上でトランプが謝らないと、更に主流派とメディアが批判する
というサイクルの中で、今から考えれば、それを面白がった人々がトランプへ吸い寄
せられて行ったのでした。いわゆる炎上商法です。

 ですが、マケインとしては、勿論この発言を許すはずもないわけで、以降、トラン
プとマケインは犬猿の仲ということになりました。トランプの大統領就任後にも、こ
の傾向は続いており、2017年7月にトランプが議会共和党とともに「オバマケア
(オバマ大統領が実現した医療保険改革)」を「リピール(廃止)する」法案に対し
て、わざわざ療養中のアリゾナから議会に駆けつけ、「ニッコリ笑いながら親指を下
に」向けて反対票を投じたのは伝説になっています。

 そのような関係であるマケイン議員が死去したという中で、トランプ大統領は、そ
の死について何も発言せず、ツイートもしないで、じっと「沈黙」を守っていました。
この不自然な沈黙に対してはまず批判があり、やがて「実に形式的な」弔意の言葉が
出されたのですが、これも遺族宛のもので本人のことは言及しないという冷たいもの
だったのです。

 一方で、マケイン議員の死去を受けてホワイトハウスの星条旗は、一旦は半旗とさ
れたのですが、どういうわけか2日後の27日の月曜日の朝になると元に戻されてい
ました。このことも、メディアや政界から厳しく批判されていたのです。

 その月曜日の午後からは、批判を受けてホワイトハウスの星条旗が半旗に戻されま
したし、大統領は「マケイン議員のことは尊敬している」とか「我が国へのあらゆる
貢献に対して、敬意を表する」という、ようやく正式な弔意を示す発言をしていまし
た。ちなみに、この間の二転三転について問われると、大統領は「自分は側近の指示
に常に従って動いただけ」などと逃げていました。

 では、大統領は、国と政府を代表してマケイン議員の棺をワシントンで迎えたのか
というと、そうではなく、大統領は選挙運動のためにワシントンを後にしたようです。
一部には、ワシントンを中心に共和党も民主党も一緒になって、マケインの葬送を行
なっているわけで、そこから逃げるというのは「両党が妥協して一緒に弾劾を仕掛け
る」危険を増すだけだという論評もあります。ですが、反対に、「トランプのコア支
持者はマケインが心底嫌い」なので、大統領としては当然の行動だという見方もあり
ます。

 ただ、この一連の状況の中で大統領が再三にわたって「自分を弾劾すると株が暴落
する」とか「弾劾なんて出来っこない」などと、自らの口から「弾劾(インピーチメ
ント)」ということを言い始めているのは気になります。もしかしたら、政権の中枢
には相当の孤立感や焦燥感があるのかもしれません。

 7月以来の側近の離反や有罪判決など、大統領周辺のスキャンダル激化の一方で、
ペンス副大統領がダンマリを決め込んでいたのが印象的でしたが、今回のマケインの
葬儀では大いに存在感を示しています。大統領の不在を埋める役割をしているという
説もあれば、マケイン葬送におけるペンスの存在感は「弾劾後の大統領昇格」を先取
りしたものなどという物騒な解説もあります。

 さて、アメリカの政局は9月の声とともに、11月6日(火)の中間選挙目指して
選挙戦が本格化して行きます。この中間選挙の構図ですが、基本的にトランプ政権と
しては、「単に共和党が勝てばいい」とは思っていないようです。つまり、同じ共和
党であっても「絶対に弾劾に賛成しない」トランプ派を一人でも多く連邦議会に送り
込んでおかないと安心できないということです。

 合衆国大統領が、公務そっちのけで「エアフォースワン」に乗って、南部や中西部
に出向いては毎週のように「ラリー形式の演説会」をやっているのは、何となく不自
然な感じがあります。ですが、本人とその周辺は大真面目のようです。というのは、
中には「民主党の対立候補」に対して共和党候補の応援というのも少しずつ出て来て
はいますが、これまでのところは「予備選における共和党内でのトランプ派の応援」
つまり、マケインのような「共和党中道派現職の追い落とし」のために活動している
わけです。その背景には、「弾劾への警戒感」というのが濃厚にあるのです。

 普通に考えれば、トランプはワシントンにいて、マケインの葬送においても存在感
を見せておくのが、共和党の大統領としての礼儀でもあるし、中間選挙で共和党に勝
たせたいのであれば、そうするのが常道です。ですが、それができずに「半旗を戻す」
とか「ワシントンから逃げる」というのは、やはり共和党中間派への距離感が相当な
ものだということなのでしょう。

 ということは民主党から見れば「敵失」ですから、選挙戦は大いに有利に・・・と
なるはずですが、この民主党にも一筋縄では行かない事情があります。というのは、
共和党の中では「トランプ派による現職追い落とし」が盛んであるのと同じように、
民主党の中でも「バーニー・サンダース率いる左派による中道派の追い落とし」がド
ンドン発生しているからです。

 つまり政局の全体が、「左の極端」つまりサンダースのような「社会民主主義者」
によって「左シフト」している民主党、そして共和党では、大統領自らが勢力的に遊
説を続ける中で躍進する「右の極端」が伸びる、その結果としてアメリカの分裂がよ
り深刻化するという構図になっているのです。

 考えてみれば、ジョン・マケインの葬儀がこれほど大きな関心を集めているのも、
今となっては難しくなった「超党派合意」の立役者に対する「喪失感」のためなのか
もしれません。マケインの葬儀では、故人の政敵そのものであったオバマ、ブッシュ
という大統領経験者に対して、遺言で弔辞を頼んだということが大変に話題になって
います。

 オバマについては、2008年の大統領選の本選で戦った相手ですし、ブッシュの
場合は2000年の大統領予備選で熾烈な、いや泥仕合とも言える激しい戦いを演じ
た相手です。その両名に弔辞を頼んだということで、マケインは「度量の広さ」と
「超党派精神」を遺した格好となっているからです。

 では、その遺志を実現する形で、民主党・共和党ともに「左右への分裂」を抑制し、
中間派を復活させて超党派の合意による政治を志向することは、可能なのでしょうか?
これは、マケインの葬儀を離れて現実を見るのであれば、ほぼ不可能と言わざるを得ま
せん。

 現在は2018年の9月であり、2000年代でもなければ、80年代でもありませ
ん。例えば、トランプ派は、国際分業を否定します。では、中国からの輸入品に25%
とか50%の関税をかけたとして、例えばスマホの最終組み立てラインがアメリカにで
きるかというと、これはほぼ可能性はありません。

 最先端のクリーンルームで、ロボットともに精密なアセンブリ作業をこなしつつ、一
定の生産性と正確性を発揮するような労働力は、競争力ある価格ではアメリカ国内には
存在しないからです。何よりも、トランプ派の人々は、そのような労働力ではありませ
ん。

 彼らの多くは、80年代の貿易摩擦期に組合に守られつつ、アメリカの製造業の衰退
に立ち会った人々です。基本的にその多くは、すでに年金生活に入っています。ですか
ら、製造業の復権などというのは、「彼らの名誉や自尊心を満足させる」以上でも以下
でもなく、その本質は現実ではなくファンタジーだからです。

 一方で、サンダース派の「社会民主主義者」ですが、彼らの公約は「トランプ弾劾」
「最低賃金を全国で1時間15ドル(約1600円)に」「メディケア・フォー・オー
ル(英国、カナダ、日本のような政府主導の単一支払元による国民皆保険の実現)」と
いうもので、共和党の小さな政府論とは真っ向から対立します。

 このサンダース派の中でも注目を浴びている、NY市内の選挙区で民主党下院のベテ
ラン議員を駆逐して候補になった28歳でプエルトリコ系の女性候補、アレクサンドラ
・オカシオ=コルテスは、「ウーバー、リフトなどのライド・シェア」ビジネスに対し
て猛反対しています。その理由は、「運転手の賃金水準が下がった」から、つまり「こ
れは電気による照明を否定して、ロウソクの火に戻るようなものだ」と言うのです。

 ですが、これは著しい搾取のためではなく、生産性の向上と、利用者の利便性向上の
ためですし、そもそも自動運転への過渡期としての事業でしかないわけですから、その
ような抵抗姿勢では、時代の流れに棹さすことは難しいわけです。むしろ、構造改革や
技術革新という観点からは、完全に守旧派に属する議論になってしまいます。

 勿論、過去の製造業労働者の名誉の問題があるというのも分かります。現在のタクシ
ー運転手の生活権というのも分かります。ですが、そうした個々の感情論や既得権を超
えた大きなエネルギーで、グローバルな技術革新が猛スピードで走っている中では、右
や左の極端なポジションからこれを否定しても機能はしないのです。

 そんな中、マケイン流の保守に軸を置いた中道主義も、そしてオバマ=ヒラリー路線、
つまり英国の「第三の道」のようなリベラルな価値観と市場経済に最適化した経済で
「全体の成長」を目指し、あとは分配の問題として調整するというアプローチも、実は
限界を露呈しているのです。

 マケインの中道主義、一匹狼的な超党派主義は、確かにカッコいいわけですし、亡く
なってみると愛惜の念は止みがたくなるのも分かります。ですが、現実の2018年9
月には、もうそれだけでは世界を回すことはできません。中道実務主義は、更に202
0年代へ向けてバージョンアップして行かねばならないのです。

 そのバージョンアップした中道実務主義の芽が、今回の中間選挙の中で出てくるのか、
左右分裂の激化という表面的な現象の奥にある何かを探して行かねばなりません。そう
考えると、ジョン・マケインの伝説は、その全体を静かに葬送してゆくので良いのかも
しれません。

------------------------------------------------------------------
冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)
作家(米国ニュージャージー州在住)
1959年東京生まれ。東京大学文学部、コロンビア大学大学院(修士)卒。
著書に『アメリカは本当に「貧困大国」なのか?』『チェンジはどこへ消えたか〜オ
ーラをなくしたオバマの試練』『場違いな人〜「空気」と「目線」に悩まないコミュ
ニケーション』『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名
門大学の合格基準』『「反米」日本の正体』『トランプ大統領の衝撃』『民主党のア
メリカ 共和党のアメリカ』『予言するアメリカ 事件と映画にみる超大国の未来』
など多数。またNHK-BS『クールジャパン』の準レギュラーを務める。

近著は『自動運転「戦場」ルポ : ウーバー、グーグル、日本勢 ── クルマの近未来』
(朝日新書)
http://mag.jmm.co.jp/39/13/313/148670
http://www.asyura2.com/18/kokusai23/msg/763.html#c1

   前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > zikAgAsyVVk > 100002  g検索 zikAgAsyVVk

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。