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2021年8月8日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/122687
新型コロナウイルスの感染急拡大で、医療現場は緊迫の度を増している。コロナ病床を現在の31から60に倍増する予定の千葉大病院(千葉市中央区)では、医師や看護師が感染リスクと向き合いながら、奮闘を続けている。病院の特別許可を得て、記者は院内の実態を取材することができた。医師の1人はこう訴えた。「災害だと認識しなければならない」(山口登史)
◆酸素投与の男性つらそうな様子
「病棟内では、あちこち手を触れないでください」。5日午前8時20分、病院に到着すると、待っていたのは厳しい防疫指導だった。病床に接近できるのは取材者1人だけ。撮影を担当する写真部の由木直子記者が厳重な防護服を着用した。
午前10時ごろ、コロナ専用病棟の個室で、看護師2人が入院中の60代の男性の体をタオルで拭いたり、おむつを替えたりしていた。男性は中等症。肺炎の症状があり、酸素投与を受けている。看護師に冗談を言うなどしていたが、時折「苦しい」とつらそうな様子を見せた。
◆ストレッチャーでの移動は慎重に
看護師は入室前に専用スペースで防護服を着る。退室時には防護服の外側に触れないように慎重に脱ぎ、専用のごみ箱に入れなければならない。「少しでも外側に触れると、感染リスクが高まりますから」と看護師の1人。
この男性を診療する様子を、廊下に置かれたモニターで見ていると、にわかに看護師たちが集まってきた。隣の病室にいる70代の男性が人工透析を受けるために別室に移動するという。看護師らは防護服に着替えると、男性をベッドからストレッチャーに乗せ替え廊下を移動。突然、別の看護師から「ここは左だよ」と大きな声が飛んだ。
感染防止のためコロナ病棟といえども患者の移送ルートは決められている。ストレッチャーがその動線から外れそうになったためで、声をかけられた看護師は、慌てて向きを変えた。
◆重症患者の転院連絡で慌ただしさ増す
午前11時ごろ、院内の別の廊下が慌ただしくなった。千葉市外の医療機関から重症患者が転院することになったのだ。看護師らは業務用の携帯電話を手に、救急隊員らと連絡を取り合う。やがて、到着までしばらく時間があることが判明すると、別の看護師が、疲労の色がにじむ同僚たちに「休める時に休んどきなよ」と声をかけた。
医師や看護師たちの表情には疲労の色がにじむ。それでも、集中治療室(ICU)にいる男性患者が人工心肺装置ECMO(エクモ)を取り外せることになったことが話題になると、皆に笑顔が広がった。
◆さらに増えそうな新規入院患者
「内科医、外科医がさらにコロナチームに入って、どうやって(勤務の)予定を組むんですか」
同病院でコロナ患者に対応する感染制御部の5日朝のミーティングで、現場から厳しい意見が出た。
横手幸太郎院長はこの後にあった別のミーティングで、新規感染者の入院が増加する可能性を指摘。「今後1カ月、戦時中に次ぐぐらい、医療機関への影響があるのではと考えておいていいと思います」とスタッフに協力を呼び掛けた。
感染制御部の猪狩英俊部長は「ワクチンの接種は進んだが、オリンピックで国民の気持ちが高揚し、人の流れが抑えられていない」と指摘する。
◆ICUは4→10床に
県内の病床稼働率が58・7%となった4日、県はコロナ病床を計画上限の1383床に増やすことを決定。対応する医師や看護師を増やす必要があるため、医療機関に一般患者や救急患者の受け入れを一部制限するよう要請した。
千葉大病院では主に重症者が入る集中治療室(ICU)を4床から10床に拡大。一般患者受け入れは緊急性の高い場合を除き、新たな入院や延期可能な手術などは制限する方針を決めた。
◆「1人1人が命を守る行動を」
コロナ患者対応をしている職員の中には、慣れない職員が増員されることで、細かな感染防止のルールが徹底されず、感染リスク増大を心配する人もいる。
ある看護師は「普段コロナ患者に接していないスタッフが多くなれば、対策の周知徹底は難しくなる。リスクが増すことで濃厚接触者が増え、結果的にスタッフが少なくなることもありうる」と不安そうに話した。
一般患者の受け入れ制限について、医師の1人は「コロナ患者を優先せざるを得ないのは理解できるが、苦渋の決断」と、別の患者が診療できなくなることに無念の思いを口にした。
猪狩部長はこう強調する。「緊急事態宣言が発令されていることを一人一人が自覚し、命を守る行動を取ってほしい」
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- Re: 患者「苦しい」…防護服の看護師奔走 コロナ病床倍増「災害だ」 緊迫の大学病院(東京新聞) 蒲田の富士山 2021/8/08 22:46:42
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