現在地 HOME > 掲示板 > 戦争23 > 570.html ★阿修羅♪ |
|
【バグダッド福島良典】イラクの大量破壊兵器を調べる国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス委員長と国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は9日、査察協力をめぐるイラク側との2日間の協議を終えた。同日夜(日本時間10日未明)の記者会見でブリクス氏らは、イラクが生物・化学兵器に関する文書提出に応じたことなどを明らかにし、イラク側の態度に変化の兆しが見られると指摘、査察の継続を希望した。しかし、焦点の一つだったU2偵察機による航空査察についての合意が先送りされるなど、武力行使回避に向けた局面打開には至らなかった。
ブリクス、エルバラダイ両氏は9日昼、イラクのラマダン副大統領と会談し、イラク危機の緊迫を踏まえ、国外での科学者聴取などについて協力強化を求めた。両氏は今後のイラク側の協力姿勢を見極めたうえで、14日に国連安保理で査察結果について追加報告する。エルバラダイ氏は9日の記者会見で「イラク側の対応に変化の兆しが見られる」と評価した。ブリクス氏は「突破口という言葉は強すぎる」としながらも、査察の継続を望む姿勢を示した。
米国のU2偵察機を使った航空査察についてイラク側はこれまで、湾岸戦争後にイラクの北部と南部に設定された飛行禁止区域の停止などを条件に挙げていた。だが、イラクのサーディ大統領顧問(科学技術担当)は9日夜の記者会見で条件の取り下げを示唆した。
航空査察には飛行高度の高い順から米国のU2偵察機、フランスのミラージュ、ロシアのアントノフ、ヘリコプター、無人偵察機が適しているとされる。同顧問は「米国、フランス、ロシアの三つの方法を組み合わせるやり方が見つかると思う」と述べ、14日の査察追加報告までに受け入れ可能な方法について返答すると確約した。
また、イラク側は2日間の協議で査察団に対して(1)イラクの保有を米国が指摘する炭疽菌(2)イラクが過去に4トン分の開発を認めたVXガス(神経ガス)(3)安保理決議で認められた射程(150キロ)を超えるミサイル――の開発に関する書類を提出した。書類の内容についてはニューヨークで10、11の両日、専門家が精査する。イラク側は廃棄済みと主張している化学兵器関連物質について、廃棄場所の土中を掘り返して検証する方法を査察団に提案した。
[記者会見骨子]
ブリクス国連監視検証査察委員会委員長とエルバラダイ国際原子力機関事務局長の記者会見の骨子は次の通り。
一、イラクに変化の兆候がみられた。
一、イラクは炭疽(たんそ)菌、VXガス、ミサイル開発に関する文書を提出した。
一、イラクは米U2偵察機による査察について14日までに回答すると約束した。
一、イラクは科学者に単独聴取を奨励し、科学者リストの補足を約束した。
一、査察継続を希望する。
[毎日新聞2月10日] ( 2003-02-10-12:19 )