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UN安保理で行われたパウエル国務長官によるイラク大量破壊兵器開発・保有の証拠開示演説をTVの同時通訳で見た。
総合的評価は、証拠の開示というのではなく、イラク攻撃を向けてそれを正当に思わせるプロパガンダ演説ということになる。
「証拠」は偵察衛星写真やイラク当局者間の通話盗聴テープそしてイラク脱国者を中心とした証言録から構成されたものだが、「情報の提供ありがとう。ではその情報に基づいてより有効な査察を続けましょう」と言うしかないないレベルのものである。
建物の衛星写真も示されたが、それが化学兵器の製造拠点だと言うのなら、現在イラク国内にいる査察チームにその建物を調べさせればというのが自然の反応であろう。
(建物はそう言われるのを想定したのか、トラックや貨車の改造研究施設・製造施設の情報(絵)も示していた。それも、がんばって偵察衛星で捕捉して欲しいものだ。捕捉が困難だとしても、パウエル氏が演説でも言ったように平和を追求しているというのなら、地上査察で探し出す努力をすべきだろう)
状況証拠ばかりのためか、イラン-イラク戦争時代の化学兵器使用実績やUNSCOM時代の査察結果を持ち出して、それと現在をない交ぜに話すことで生物化学兵器の恐ろしさとフセイン氏の危険性を声高に指摘するだけになっていた。
(生物兵器の恐ろしさを例示するために、01年秋の米国たん素菌テロを持ち出したのは笑った。それは、米国自身が生物兵器禁止条約に違反していたことや高精度生物兵器をきちんと管理できずに民間テロに使われてしまったことをさらすという無様なものだったからである)
アルカイダとフセイン政権とのつながりもお話レベルで、それを意味ありげなものにするために、アルカイダのテロとされるUSコールなどの出来事をくっつけてまとめていた。
公表された盗聴テープも、化学兵器の隠蔽を示すとされるものは、アラビア語の英語翻訳であってさえ核心的な内容を含むものではなく、それが無線交信の盗聴だと説明されれば、イラク当局者がそんなやばい内容を簡単に盗聴される無線で話すものなのかな?という疑念をぶつけたくなる。
ブッシュ政権も、今回の「証拠開示」により安保理で武力行使容認決議が採択されればもうけもの、そうでなくても、米国は機密情報まで提示して精一杯の外交努力を行ったという実績を残せればいいと思っているだろう。
決議が得られなければ、一部の愚かな国は悪との戦いから逃げたが、世界の平和と安全を希求する正義の国家が連合でイラクの武装解除を行うという名分を掲げて虐殺戦争に突っ込んでいくと思われる。