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【ワシントン中島哲夫】ブッシュ米大統領は28日の一般教書演説で、「テロとの戦争」における最も危険な敵は、大量破壊兵器を開発・保有する「無法者の政権」だと強調し、イラクとテロ組織「アルカイダ」の関係にも言及した。一昨年9月の米同時多発テロに戻って、そこからフセイン政権の危険性と対イラク武力行使の正当性を証明しようという「原点回帰」の論理が見える。
ブッシュ大統領は昨年の一般教書演説でイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と指弾し、新たな国際状況を作った。特にイラクの場合、1年間の曲折を経て、今や軍事攻撃の可能性がくっきりと浮上している。
大統領は今年の演説で、自ら作った状況への対応を迫られた。イラク攻撃の大義名分が弱く、国内外の疑問の声を軽視できない。国連安保理に武力行使容認決議を求めるとしても、現時点では必ずしも採択の見通しがたたない。
ブッシュ大統領は演説で、「無法者の政権」が大量破壊兵器を自ら使うだけでなく、テロ組織に流す危険性を強調した。米同時多発テロの記憶と直結する「アルカイダ」に、この種の兵器が渡ればどうなるか。フセイン政権を放置できない理由を、この論理で説明しようとした。
同時テロ後のアフガニスタン軍事攻撃は、同時テロの実行者ではないタリバン政権を転覆させたが、これに反対はあっても大きな声にはならなかった。テロの衝撃があまりに激しかったからだ。
大統領はこの衝撃の「原点」に戻ることで「イラク攻撃やむなし」の結論を導き出そうとしている感がある。米国の建国以来の大義は「人間の尊厳」であり、米国の気骨は逆境の中で明らかになる――といった主張も、「原点」を意識しているようだ。
ブッシュ大統領はこの演説を背景に、各国首脳との直接会談や電話協議を本格化させる。イラクの大量破壊兵器保有の「証拠」も、機密指定を解除して一部公開する方針だ。
これらを国際社会がどう受け止めるか。それはイラク問題だけでなく、ブッシュ政権の外交全般についての評価につながることになろう。
[毎日新聞1月29日] ( 2003-01-29-12:06 )