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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
平成14年(2002)12月25日(水曜日)
通巻465号
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北朝鮮の無法ぶりを、北京は黙認するのか、故意に放置しているのか、それとも匙を投げたのか?
米国は二正面作戦も辞さず、と放言しているがイラクに専念の態勢は明らか
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北朝鮮が寧辺にある5000キロワット級実験用原子炉でIAEAの封印を撤去し、さらには技術者が原子力施設に入った。これはあからさまな「再稼働のための保守作業」ジェスチャーだ。
北朝鮮は使用済み核燃料棒約8000本が保管されている貯蔵庫、使用済み燃料棒からプルトニウムを抽出する放射化学研究所などの封印を次々と撤去した。
無論、まだ施設の稼働には至っていない。北朝鮮が原子炉の運転を再開すれば、核兵器製造は時間の問題とされ、米国を挑発するが、それはチキンゲームに等しく、朝鮮半島の緊張どころか、北東アジア全体の緊張が高まることになる。
この北の無謀な行為をラムズフェルド米国防長官は「北朝鮮指導部は大バカなことをしている」と、口を極めて非難した(23日)。
また米国は「イラクと北朝鮮の2カ国同時の二正面軍事行動は「十分行う能力がある」とラムズフェルドは強調した。
同長官は「金正日は自国の国民を弾圧し、飢えさせ、強制収容所をいくつもつくったり、核兵器を開発したりしている。北朝鮮経済は韓国の36分の1。これでは原子力発電さえ必要としない。夜、朝鮮半島の衛星写真がしめす実態は韓国のきらびやかな発展に比べ、北は漆黒の闇ではないか」と言った。
ロシア外務省のヤコベンコ情報局長も「北朝鮮の核施設の封印解除は遺憾である」とする声明を発表した。
だが、いまのところ北京は如何なる姿勢も示してはいない。不気味な沈黙なのか、熟慮中なのか、匙を投げたか。でなければ最終判断をしかねているのだ。
○北京の沈黙のほうが本当に不気味だ
今週のTIMEはこういう。
「中国がどこまで北朝鮮を甘やかせるか、それとも何かのカードとして、現在のところはやりたい放題をさせているのか」。
ヘリティージ財団に依れば「北の90%の食料と40%の石油は中国が供給している]([TIME」、02年12月23日号)。
北が核開発を再開とアナウンスしたとき北京の反応は従来と異なった。「それは危険な外交的冒険だ」とする覚え書きを平壌に送ったのだ。
中国から見れば「北が核武装すれば、韓国も日本も核を持つだろうから、ロシア、インドからの核の脅威を控える中国としては回避したいシナリオとなる」とTIME誌はアメリカ人らしい予測を述べる。
ロシアとて悩みは同じ。最近もプーチンと江沢民は「北の核武装を阻止する」目的で共同声明を出したほどだ。
かといって中国は金体制の崩壊を望んではいない。数百万の難民を受け容れたくないからで、南北統一もまた中国に取っては悪夢である。万一、統一されて南北朝鮮がアメリカよりのスタンスになれば、中国が北に持っていた権益さえすべて喪いかねない。
クロフォードでのブッシュ・江沢民首脳会談(02年10月25日)で、ブッシュ大統領が「金正日とはあったことがないが、彼は本心で平和を望んでいるのか」と聞いたとき、江沢民主席は「それはわたしも知らない」と答えるのが精一杯だったとか。
平壌放送によると、北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」(12月24日付け)は、金正日総書記の軍最高司令官就任11周年にあたる社説を掲げ「今日、わが国に対する米帝の孤立化、圧殺策動は危険ラインを超えている」と奇妙な批判を展開した。
「最高司令官同志が命令さえ下せば、侵略者の牙城を一撃の下に撃滅、掃討し、金正日軍事強国の威力を全世界に力強くとどろかせるだろう」
その病的なパラノイア論調は寸毫も変わらないが、このところ頻りに信号を送りだしたのは、それだけ平壌のほうが困惑し、焦っている証拠。最後の事態に陥っていることだけは動かせない事実だろう。
http://www.melma.com/mag/06/m00045206/
◆北京の沈黙は何を意味するか。最近中国を訪れた奥田訪中団は中国要人と面会できずに帰ってきた。こらは今、北京がかなり北朝鮮問題で、方針をめぐって大混乱が起きているのだろう。権力の移行期も重なりその動きが注目されるが、日本のマスコミは何も報じない。北朝鮮の命運は中国が握っているが、外交音痴の小泉首相はロシアに行く。