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Re: 「石油を制する」ためには「産油国イスラムを制さなければならない」 − 石油が目的なのではなく通貨的“富”が目的 − 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 20 日 16:34:34:

(回答先: 「米ロ石油連合」〜アメリカの世界戦略 投稿者 どうもと 日時 2002 年 7 月 20 日 01:57:45)


どうもとさん、こんにちわ。

>私は、ドル・株のバブル崩壊を放置しておくことが「バブル調整」というブッシュ政
>権の一つの政策になっていると見ている

放置しているのか、意識的に崩壊させているのかは別として、W.ブッシュ政権は言われるようなスタンスだと考えています。


>ブッシュ政権にはそのような短期的な経済運営についての施策とは別に、「9.11
>テロ」直後からスタートさせている強大な世界経済戦略がある。


以降で書かれているロシアと米国の共通利益に関しては同意します。


>ハンチントンの影響だろうか、アメリカの世界戦略はイスラム世界との戦争にあると
>いう意見をあちこちで時折見かけるが、アメリカはそのようなドンキホーテ的な観念
>論で物を考えはしない。そのようなリスクとコストの高い方法を計算高いアメリカは
>取らない。

「アメリカの世界戦略はイスラム世界との戦争にある」ということを言っている人がいるとしたら、その考え方自体が誤りです。
戦争は、戦略を実現するための手段でしかありませんから、イスラム世界との戦争に勝利して何を達成したいのかが語られなければなりません。


「対テロ戦争=対イスラム戦争」を“文明間の衝突”や“宗教間の衝突”と見ているのが“観念論”であって、「アメリカの世界戦略はイスラム世界との戦争にある」と考えるのはだけでは“観念論”かどうか未定です。

アフガニスタン虐殺戦争では、「そのようなリスクとコストの高い方法」を「計算高いアメリカ」が取っています。
アフガニスタンをカスピ海周辺の天然資源をインド・アジア方面に運び出す経路と考えているのなら、パイプライン敷設地域を掌握していたタリバン政権を活用する方がずっと合理的=掲載高い方法です。タリバン政権とはパイプライン敷設で経済的交渉が可能というか契約寸前まで進んでいたのです。


アフガニスタン虐殺戦争により、米英系資本がアフガニスタンにパイプラインを敷設・維持することは遥か彼方(英米政権が根底的に変化しない限り)に遠のきました。

これこそ、米国政権が“石油戦略”で動いているとしたら、「このようなリスクとコストの高い方法を計算高いアメリカは取らない」手段だと考えています。


>オールド・エコノミーであるにせよ、「石油を制した者が世界を制する」、このエネ
>ルギー戦略が20世紀を「アメリカの世紀」にしたし、現在のブッシュ政権の基本戦略
>でもあるだろう。

「石油を制した者が世界を制する」というのは、石油が、金を稼ぐ重要な手段であるとともに、金を稼ぐ後ろ盾である軍事力強化にとって大きな地位を占めているからです。
突き詰めれば、“石油で金を稼ぐ”ことが目的であって、石油そのものが目的ではありません。
(原油が供給力過多になれば、石油メジャーは、稼ぎを維持するために、油井の操業休止や閉鎖に踏み切るでしょう)

原油を制するためであれば、経済的取引で事を進めていくのがもっとも合理的です。
そして、米欧の石油メジャーは、ダイヤや金と同じように、世界レベルで原油及び石油製品の販売を支配しているのですから、それを優位に立って進めることができます。

そうでありながら、9・11からアフガニスタン虐殺戦争そしてパレスチナ虐殺軍事行動とイスラム世界で軍事作戦を展開し、イランやサウジアラビアに対して政治的挑発を仕掛け、イラク攻撃を公言している理由を考えるべきだと思います。か

産油国王族中心に1兆ドル(115兆円)以上の余剰通貨(投資に向かう通貨)が存在し、これからも原油が販売されるごとに支払われていく通貨をどう回収するかが、米欧金融経済主体の主要経済(金儲け)テーマです。

これまでは兵器輸出や対米欧投資でそれを回収しようとしてきましたが、今後本格的持続的に産油国の通貨的“富”を吸い上げようと考えたときに最大の障壁になるのが、イスラムの“利息取得禁止”です。(投資に回されている1兆ドルの余剰通貨はまだ彼らに保有されたままです)

原油であれ、鉄鋼であれ、半導体であれ、自動車であれ、金融取引であれ、それらを生産し販売したり、取り引きする目的は、自己が保有する通貨的“富”をより多くすることにあります。

これを抜きに、どんなに重要な物資であるとしても個々の物資を取り上げて論じても、全体像は見えてこないと思っています。


米国のというより米国政権を槍として使っている「世界経済支配層の世界戦略は、イスラム法国家を根絶し、グローバルに長期的で安定的な通貨的“富”を稼げる仕組みをつくること」だと考えています。

そして、これこそが産油国の通貨的“富”を確実に吸い上げる方法であり、「石油を制する」ことでもあります。

カスピ海周辺・非イスラムアフリカ・アジアイスラム・南アメリカの産油諸国は、イスラム法国家ではなく、既に産油国の通貨的“富”を確実に吸い上げる仕掛けができていたり、これからでもスムーズにできるところです。

どっぷり近代的価値観に浸ってしまっている日本人をはじめとする先進諸国の人々には理解しにくいことかもしれないが、「なぜ、今、イスラムなのか」をもっと掘り下げて考えるべきだと思っています。


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