【エルサレム3日=平野真一】
パレスチナ自治区に対する大規模な侵攻作戦「守りの壁」を展開しているイスラエル軍は3日未明(日本時間同日午前)、新たにヨルダン川西岸北部の完全自治区サルフィトと、中部ラマッラに近い半自治区ジャラゾン難民キャンプに侵攻、作戦地域は着々と拡大している。
サルフィトでは軍戦車が市中心部に進駐、パレスチナ人側と交戦したが、被害は不明。軍が2日深夜に侵攻を開始した北部ジェニンでも激しい銃撃戦が続き、イスラエル放送によると、パレスチナ人の死者は、女性医師や武装組織指導者を含む計4人に達した。
2日未明に軍が侵攻した西岸南部ベツレヘムでは3日、武装パレスチナ人計200人近くがキリスト教聖地「聖誕教会」など2教会に立てこもり、同教会前の「メンジャー(飼い葉桶)広場」に展開したイスラエル軍戦車に銃撃した。軍は聖地への発砲禁止命令を受けていると見られ、応戦を控え、投降を呼びかけている。
一方、緊張を増しているレバノン南部では、同国のイスラム原理主義組織ヒズボラが3日未明、国境越しにイスラエル側に迫撃砲を撃ち込んだのに対し、イスラエル軍も砲撃で応戦した。ただ、イスラエルは自治区侵攻作戦のさなかに北部に別の戦線を抱えることを恐れており、ペレス外相は2日、アナン国連事務総長に対し、レバノンとヒズボラの後ろ盾であるシリアにヒズボラ抑止を働きかけるよう要請した。
(4月3日21:15)