(回答先: 身柄拘束に来たら撃つ アラファト氏、携帯電話で側近に〔朝日新聞〕 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 4 月 02 日 11:53:53)
アラファト・パレスチナ自治政府議長がイスラエルの手で、ヨルダン川西岸の自治区ラマラにある議長府に監禁状態となっている。「テロの基盤」を壊滅するとして、イスラエル軍はその他の自治区への侵攻も拡大させているが、シャロン首相は一体、この血なまぐさいドラマを、どんな結末に導くつもりなのか。「始めるのは上手だが、終えるのは下手」といわれる首相が描いた青写真への懐疑は、イスラエル内でも募っている。
(エルサレム・島田佳幸)
◆問題は「その後」
シャロン首相は国防相だった一九八二年、アラファト議長率いるパレスチナ解放機構(PLO)を駆逐するためレバノンに侵攻、首都ベイルートに迫り、議長はチュニジアのチュニスへの脱出を余儀なくされた。
首相は「あの時、アラファトを殺しておけばよかった」と語ったことがある。イスラエル紙マーリブ(三月三十一日付)は今回の軍事行動の「個人的側面」を指摘し「首相は、ベイルートで開かれた『輪』を閉じたがっている」と書いた。
ただ、イスラエル政府は、議長の生命は脅かさない、と繰り返し強調している。それは、米国の「ただ一つの注文」といわれる。しかし、イディオト・アハロノト紙によると、首相府筋は「テロが続けば、首相はブッシュ米大統領に、約束は守れないと告げることになる」と語っており、選択肢から完全に除外されたともいえない。
しかし、もっと現実的なのは「追放」である。同紙は「首相はチュニスへの追放を真剣に考慮している。議長から他国に行くという『整然とした提案』があれば、肯定的に受け止める」とする側近の声も伝えている。
ただ、問題は「その後」である。八時間に及んだ二十七日夜からの閣議で首相が「議長追放」を提案した際、モサドなど情報・治安機関のトップが「より危険が増す」と警告したように、追放の「その後」に展望がないのである。
議長を追放し、自治政府を解体し、自治区を再占領すれば、怒りに燃える三百万人のパレスチナ人を完全に支配し、攻撃を封じ込めることができるのか。「イスラエルに、そんな能力がないことは過去に証明されている」(ハーレツ紙のオピニオン記事)と冷静に見る向きは少なくない。
◆テロの基盤
軍事行動の目的は「テロの基盤」の壊滅だという。要するに、しばしばシャロン首相が援用するように、ブッシュ大統領と同じ“哲学”−テロは力でつぶせる−の顕現なのである。
しかし、いくら議長の頭に銃を突きつけるようなことをしても、自爆テロがなくならないことは、三十一日にハイファなどで連続発生したことでも、明らかだろう。
イスラエルの呼ぶ「テロリスト」と「普通のパレスチナ人」の境界は、日増しにぼやけてきている。あるイスラエル人ジャーナリストが語ったように「『テロの基盤』は(パレスチナ人の)心の中にある」のであり、軍事行動で粉砕できる場所にはないのである。